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【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十六冊目

1名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/15(日) 03:39:16 ID:kfMgdbAg
このスレは、萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━((( ⊂⌒~⊃。Д。)⊃━━━━ッ!!! 』ではない
萌えでなおかつえちぃ描写の含まれる自作小説の発表の場です。

【重要】
18禁レートのスレッドは<<sage進行>>でおながいします。
(ageてしまった場合にはメール欄にdameと入力して書き込みましょう。一番下に下がります)

基本的ルール
・ マターリ厳守
・ 荒らしは完全放置。
・ ROまたは小説と関連のないネタで盛り上がるのはダメ。
・ コテハン叩きも、スレの雰囲気が荒れるからダメ。
・ コテハンの人も、荒れる元になるので暴走したりしないように慎重に発言しましょう。

ローカルルール
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ このスレでの『えちぃ』基準は、「手淫」(オナーニ)だとか「目合い」(セクース)だとかのレベルでつ。
・ 特殊ジャンルは苦手な人もいるということを考慮してやってください。
 (タイトルに明記するとか、配慮を)
・ 催促はやめましょう。
 (絵、文を上げてくれる人は自分のプレイ時間を削って上げてくれてます)
・ 感想は無いよりあった方が良いです。ちょっと思った事でも書いてくれると(・∀・)イイ!!
・ 文神を育てるのは読者です。建設的な否定をおながいします(;´Д`)人
・ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。
・ リレー小説でも、万事OK。

リレールール
・ リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること。
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように。
・ 命の危機に遭遇しても良いが、主人公を殺すのはダメです。

板内共通ルール:
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/

みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説保管庫(Wiki):
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki2/pukiwiki.php

前スレ:
【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十五冊目
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2名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2007/04/15(日) 03:40:12 ID:kfMgdbAg
dameないと一番上から始まるの?Σ(゚Д゚)
3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/15(日) 04:20:03 ID:ASwjsHFo
お 掲示板に戻るのリンクが治ってる。
4まるみsage :2007/04/15(日) 08:22:47 ID:Kke3eI8k
家に着いてからセフィルは考え事をしていた

(明日からは授業はなくなって、代わりに戦いかぁ・・・)

考えると深刻な問題である
セフィルはヒーラーだ
一人で熟練した戦士はもちろん、モンスターとすら戦う事は危うい。
女だと油断しきってる強姦などとはわけが違うのだ
となると、プロンテラ南の辺りで誰かを探すか、知り合いの戦士を頼るしかない
戦いは強制ではないが、プリーストになれる日も近いと思うし
今後の事も考えておかないといけない


(カイルとかどうなのかな・・・ってなんでカイル、どうしてカイル。アレじゃなくてもいいし)

突然頭に浮かんだローグの名前を振りかぶる

(アレ・・なんてのは言い過ぎたかな・・でも・・・)


カイルは確かに初体験の相手だけど、そこまで肉体関係があったわけじゃない
過去に何人もいた彼氏とのがよほど回数は多いし内容も濃い

なのになぜあんなに自分の中でのウェイトが大きいのだろう
すぐに人を茶化すし、いっつもふざけてるし、強そうに見えないし
のらりくらりしてるし・・・しかも会いに行っても留守多いし


あの初体験の後、カイルはホテルに私を置いて消えた
そういう男なんだろうと思っていたし、再会したときも性欲処理に使えるくらいしか
最初は思っていなかった。


(でも・・・)

時折見せる見てるこっちが泣きたくなる表情、深い青色の瞳
イった時ぎゅって抱きしめてくれる仕草
セックスの後、優しく髪を梳いてくれる仕草
歩けないほど酔った時なんて家まで運んで看病してくれた事もあった

この半年の彼を見る限り、とても女を置いて逃げる人には見えなかった

(でも・・・でも・・・ってあああでもでも言ってばかりだ私!!もういいーー!!)

なんだかわけの分からない思考になってきたので考えを変える


(ちょっと早いけど・・夜の準備しよっと。
 なんか無性に・・・ヤりまくりたい気分)

こういう時はセックスして憂さ晴らししよう
そう・・・いつものように


いつもは薄めの化粧だが、今日は濃い目にすることにした
口紅はローズピンク、マニキュアは紫とケバい感じだ

(そういえばルイにセフレなんていたんだ
 あの子の夜の事は聞いた話でしか知らないや)

お互いの話はよくするけども
実は一緒に夜行動するというのは今日が初めてだ
日中に買い物行ったりはよくあるのだが・・・

ルイとの親交のキッカケは
彼女から、聖堂ではまず聞く事のない下な話題を振ってこられた時だ
自分以外にそんな人間がいるとは思わなかったので
私もルイに興味を持った

それ以来数年の付き合いである
しかしルイの表の顔しか知らない事に、今更ながら気がつかされる

(夜のルイがどんなのかちょっと興味あるかも)

なんて思いつつ化粧を終えて服を着替え始めた
ブラをつけようとして、ふとノーパンノーブラで行く事を考えた
その方が自分も相手の男も興奮すると思ったからだ
服とパンツも下着を着けてないことがバレやすいチョイスにする

(あぁん・・私どんなことされちゃうのかなぁ・・・)

これからの事を想像するだけでふとももにまでいやらしい汁が垂れてくるセフィルだった


──夜も深くなった頃

「セフィル、おまたせー」

危うく自慰をするところだった
慌てて玄関に向かう

「あ、ルイこんばんはー・・・・っ」

見た瞬間、驚いた
さらさらの金髪美女が立っていたからである
普段のルイはすっぴんだからあどけなさの残る顔なのだが
化粧をしていると別人のようだった
ヒールの高い靴を履いていたせいもあるが、とても18歳にもなってない少女には見えない
思わず見入ってしまっていた

「どうしたの?」
「あ、う、ううん。なんでもないよー じゃいこっか?」
「うん、こっちよ」


カツ・・コツ・・・
ヒールの音を響かせながら、夜の街を二人で歩いていく
冬はもう過ぎたものの、なんだかんだで夜はまだ冷える

「もう春だけどーまだまだ夜は冷えるよねー」
「うん、そうね セフィルは特に下着つけてないみたいだし?」
「・・・っ!?」

小悪魔のような顔つきでこっちを見てくる
目の色が赤なせいもあって、本当に本に出てくるサキュバスのようだった

「・・・乳首、透けてるよ?」
「あはは・・・さっそくバレちゃった」
「いいんじゃない?その方が男も喜ぶと思うし
 ・・・そうじゃないと困るしね」
「え?」

ルイが何か小声でつぶやいた
聞き返そうと思ったとき

「あ、ここよ このお店」
「あ・・・ここね」
「知ってるってことは、セフィルも売りの経験あるのね」
「ん、まあ・・ね」

ルイが案内してくれた店は、金で女を買う男がよく集まる居酒屋だった
以前はよくここで売りをしていた
別にお金が欲しかったわけではなく、なんとなくそういった悪い事をする事が快感だったからだ


店に入ると『そういう』目当ての男性がたくさんおり、いっせいにこっちに視線を向けてきた
今更そんな事で怯みはしないので、構わず奥の席に進んでいった

「この辺りで待ってよう」

ルイが4人用のテーブル席についた

「うん。すぐ来るかな?」
「と思うよ。あ、よかったら吸う?」

ルイが胸元からタバコを出して聞いてきた
別に吸いたいわけではないが、断る理由もないのでもらっておいた

「うん、もらおっかな」
「ん・・火どーぞ」
「ありがと・・・ふううー」

肺まで吸い込んで一気に吐き出す
ルイも自分のタバコに火をつけている

(ルイって結構きついの吸うんだなぁ・・・)

セフィルもタバコを吸う事はできる
とはいっても普段はほとんど吸わず、人に薦められたときにたしなむ程度だ
なのであまりきついのを吸うと辛い
普段抜けてるところがあるルイの大人びた言動に、セフィルは内心驚いていた


しばらく買いの勧誘を流したりしながらルイと二人で待ってると
ルイの友人らしい二人の男性がやってきた。
顔に大きな傷がある男と30前後の茶髪男だ

「あ、こっちだよー」

ルイが二人を笑顔で手招きする

「悪いな、待たせた。この子がセフィかい?」
「うん、そうよー」
「なるほど・・・ルイが言ってた通りすごい美人だな。
 抱き甲斐があるってもんだ」

茶髪男がぶしつけに言った

(あれ・・・?この人、どこかで・・・)

どこかで会った気がする男だった
しかしセフィルも寝た男は多い
一夜限りで寝た事があるのかもしれないし
相手もそれを覚えてないだけなのかもしれない
そんな風に軽く考えた

「初めまして〜セフィと言います。今夜はよろしくね?」

笑顔で挨拶した
途端に茶髪男が生唾を飲み込む
視線の先は主にセフィルの唇、胸、足、である

「あ、ああ・・・よろしく頼むよ。俺はオズワルド、こっちは・・」
「いや俺の名前は言わなくていい」

茶髪男─オズワルド─が紹介しようとしたのを
顔に傷のある男が遮った
セフィルと関係を持つつもりはないらしい

「それじゃあセフィル、私はこの人と他所いくから
 オズさんと楽しんでね」
「え、ああ・・うん・・またね」

なんだか唐突な展開で一瞬呆けたが
元々セフレを紹介するとのことだったので、気にしない事にした
傷のある男がルイを連れて(ルイのお尻を撫で回しながら)店を出て行った

(なんだか・・・ルイじゃないみたい)

昼間と違い、あまりにも大人びているルイに不安を覚えるセフィルだった


オズワルドが私の隣に座って話しかけてきた

「いい匂いだな・・・香水でもつけてんのかい?」

いきなり顔を近づけるなりくんくん匂いを嗅いできた

「ううん、とくに〜 石鹸の匂いじゃないかなぁー」
「くく・・・下着もつけてないしな?あんた最高にイイよ」

そう言いながら片手で私の股を撫でたりしている
どうやらさっそくする気満々のようだ
もっとも人格は好きになれそうにないタイプなので
私としても体だけの関係には都合がいい

「ここでするわけにもいかないし・・・ね?」

そう言ってセフィルはいきなりオズワルドのズボンの中に手を入れ
爪でオズワルドのを軽くつぅー・・・っと撫で上げた

「っ・・あ、ああ・・じゃあ近くのホテルいくか」

うっとり見つめつつオズワルドが言う
指についた糸を引いてる先走りを舐めると、濃い味がした
・・・セフィルの子宮の奥が、疼いた
5まるみsage :2007/04/15(日) 08:27:12 ID:Kke3eI8k
すす、すみません・・・
また名前欄のところ間違えました

背徳と快楽その4です
6背徳と快楽5sage :2007/04/15(日) 08:31:06 ID:Kke3eI8k
──数十分後、とあるホテルの一室


「あああああああん、あっいっいっいい!そこ、そこもっとついてぇ!」

ギシッギシッギシッ

「うあああくっはぁ!ここか・・っここがいいんだなぁ!?」

ベッドの軋む音とセフィルの喘ぐ声がハーモニーのように響きあう

聖職者でありながら堕落した行為を貪る
その背徳がセフィルの動きを更に激しくさせ
なんとも言えない快感が身体を駆け巡る

騎乗で突き上げられながら、セフィルは喘ぎまくった


「うん・・うんっ・・!もっと激しくしていいよぉぉ
気持ちよくてイっちゃいそうなのおおおお!」


オズワルドは部屋に入るなりセフィルを押し倒した
居酒屋からすでに抑制が限界に近かったのだろう
愛撫もなしにいきなり挿入してきた
セフィルが濡れていなければどうするつもりだったのか疑問である


「うあああああもう激しくできねぇ・・!!」

セフィルにも余裕がないと思ったのか、オズワルドがペースを落そうとした
さっきから何度もイきかけているからだ

「あっは・・!じゃあ私からしてあげるよぉ」
「な?う、まじかよ・・・っあああああ!?」

セフィルはヒダをオズワルドの感じやすいところに絡みつくように動いた
あの酒場で撫でたときから、どこが弱いのか大体勘で分かっていた
セフィルは快楽に震えながらもまだまだ余裕を残していた
そんな彼女の前でイク寸前という素振りを見せたのが間違いだった


(思った通り・・一度攻められだすとダメな人・・・)


オズワルドが攻めに弱い事は気がついていた。
この男は虚勢を張る癖がある
さっき酒場で軽く爪で撫でただけで、この男は完全に勃起した
オズワルドは平静を装っていたが、セフィルはただの見栄なのを見抜いていたのだ。


「ああああああんかわいい・・・びくびくチンコが震えてるよぉっ
 ほら、ほらぁっ・・たまらないでしょおお!?」

絡みつくように腰を円状に動かす

「ぐぅあああ、やめ、そんなにしたら・・・でちまうよレイラあああああ」


(・・・・レイラ?)

一瞬他の女の名前を言ったのだろうと流そうとした
しかし・・・数秒後、ハッキリとセフィルは思い出した
どこかで見た覚えがしたはずだ

(この男・・・あの時の!)

あの時、母と夜交わっていた男だ
レイラとは母の名だ・・・レイラ・ディクセン

(これは・・偶然?それとも・・・)

「うあああたまらねええええええイっちまううう」

深く考え事をしようとしていた所へ、オズワルドの悲鳴が聞こえて中断された
思考が軽くパニックだったセフィルは、思わず怒りを覚え

「あっそ・・じゃあ、イっちゃえ・・・?」

そう言って冷たい笑顔でぺろっと自分の唇を舐めたセフィルは
手加減なしでオズワルドの弱いところを膣で一気にしごきあげ・・イかせた


「う、あっ────!!!!!!」

ドックッ・・・ドク・・・ドクッ・・!

膣内に大量の精液が流れ込んでくる
ボーっとその感触を楽しむ


セフィルには妊娠というものがない
元々はきちんと妊娠できる体だった
だが、11歳の時初体験で調子に乗ったセフィルは
避妊もせずに不特定多数の男と肉体関係を結び
その結果誰の子供かわからない子を宿した

そして中絶の薬を、非公式な薬を売っているアルケミストから買い
その時に実験中だという、妊娠しなくなる薬と性病等にならなくなる薬を
買ったのである

セックスに貪欲であったセフィルは大金を積んで迷わず買った

「効果が現れるまですさまじい激痛が
 体を襲うという課題がクリアできてないのさ。
 だがそれさえ耐え切れば効果は間違いないし副作用ももうない。
 ・・当然だが妊娠は二度と出来ないという事を注意しておくが」

セフィルは少し考えた後、飲んだ
言われたとおり信じられないほどの激痛がセフィルを襲った
体中が痛み、特に子宮辺りの激痛はすさまじいものだった
あまりの痛さに唇を噛み切り、体に爪を立てた
薬を飲んだ日はとうとう気絶してアルケミストに介抱してもらったほどだ

目が覚め、痛みがなくなったセフィルは
効果を確かめる為に手始めにアルケミストと交わり
その後4日間で10人もの男と交わった

翌日診療所で検査した所、あれほどまでに避妊もせずに乱交したのに
妊娠しておらず、性病もなかった。
にもかかわらず、妊娠以外に関しては子宮の機能が正常だったから
アルケミストの腕が確かだったことをうかがわせる


セフィルの中に大量の精液を出し終えた後

「くはぁ、たまんねぇ!もっと出させてくれ・・・っ!」

と、セフィルの返事も聞かずにそのまま腰を動かし始める

ズチャ・・ズチャ・・ズチャ・・

(お母さんもこんな風にやってたのかな)

ギシッギシッギシッギシッ

「く・・ああああまたイっちまう!!」

2回目の射精
セフィルは何もしていない
オズワルドが勝手に動いて勝手に射精しているのである

(なんでこんなのと付き合ってたんだろ・・・)

「こんないい女に中出ししまくれるなんてよぉ・・・たまらねえ!」

そう言ってまた抜かずに腰を動かし始める

ズブ・・ズブ・・ズブ

(でも・・・こうやってセックスしてる私の言える事じゃないか)

「うおおおっなんでこんな・・絡み付いて・・っ!」

ズチ・・ズチ・・ズチ

(それにしてもこの男、精液濃いしすぐイクし・・お母さんよく妊娠しなかったなぁ・・)

「うああやべ・・っイっちまう!」

3回目の射精が近いようだ
オズワルドが切羽詰ってる間も
セフィルはオズワルドの動きで揺らされながら
なんとなく考え事をしていた


床に散らばったセフィルの服と靴のエナメルは
その光沢の中に、オズワルドに膣を使わせてやりつつ
ぼーっと天井を眺めているセフィルを映し出していた・・・


情事の後、一応レイラとは誰?どうしてそう呼んだの?と聞いてみた

「いや・・・昔の俺の女なんだが、あんたに似てたんだよ」
「そう・・・・」

(やっぱり私もお母さんの娘って事かぁ・・・)

自嘲気味に、私は笑った
透き通るような銀髪と薄い赤色の瞳は父親似だというのに
性癖や言動に通じる物があるらしい


オズワルドに関係の継続をしないかといわれたが、丁重に断った
母の匂いがする男とセックスというのは、嫌な物だし
体だけの付き合いすらしようと思えない男だった


その日は日も昇らないうちに家に戻り
さっさとシャワーを浴びて倒れるようにして眠ってしまった


〜続く〜
7まるみsage :2007/04/15(日) 08:36:12 ID:Kke3eI8k
5までがんばって書いたのでUPしてみました

ちょっと文面が見難いかもですが、勘弁してやってください(;つД`)

PS.まだ続きあります 長編でごめんなさい
8まるみsage :2007/04/15(日) 08:40:21 ID:Kke3eI8k
あ、それとスレッド建ててくれた方ありがとうございました!
とても助かったのでお礼を言わせてください
9名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/15(日) 15:53:22 ID:/hfbGlQc
続き、楽しみにしてます
10名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/15(日) 15:56:52 ID:1gC/qwck
文末に句点がないのは何でだろう。
11まるみsage :2007/04/15(日) 18:50:51 ID:rwzNCs6U
>>9
ありがとうございます。
時間あるときにがんばります!

>>10
すみません・・・
正直付け忘れてました。
今後気をつけます。
12名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/16(月) 09:06:43 ID:Dwa80ufI
前スレでケミ子とジプ子どっちがいいか聞いた者だが、恋敵のプリ子に感情移入しすぎてヒロインをプリ子にしたくなってきたorz
同じ話で2パターン書くかな…
13名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/25(水) 02:23:56 ID:Niomgr5Y
先生どっちも読みたいです
14名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/28(土) 18:56:00 ID:pFIHupYs
暇つぶしに書き捨てたものなので、推敲などしていませんが投稿しようと思います。
飽き性な自分が。orz
15GGsage :2007/04/28(土) 18:56:41 ID:pFIHupYs
GG

1
攻城戦。
ひとつ世界に散らばるあまたのギルド同士が、その誇りと強さを掛けて戦う時間。
その砦欲しくば、力をもって主を討て――。


「ふぁ〜あぁ・・・。」

金色に輝くエンペリウムにもたれながら、一人の男追撃者が大きなあくびをする。
それを見たギルドメンバーの女教授が、咎めるように声を上げる。

「暇防衛だからって、油断してると背中をかかれるわよ!」

追撃者の男は「へいへい」と呟くと、今度は呑気に伸びを始める。
あきれ果てたという顔をしながら、女教授は小言を続けた。

「何のための「眼」だと思ってるの?万が一鼠を見逃して落城でもしたら…。」

「すとーっぷ!」

終わる気配のない彼女の小言を、若い男の声が制した。

「教授殿。コイツが一度足りとも賊を見逃したことがあるかい?」

軽装のスナイパーの語る優しげな言葉には、どこか否定を許さない響きがあった。
女教授はさも不機嫌そうに「ふんっ」とあからさまに顔を背け、教授の仕事に戻っ
た。

「サブマスターは女性の扱いが上手でいらっしゃる。」

追撃者はニヤケ顔でスナイパーを見ながら褒め称える。

「マスターが苦手なんだから仕方ないでしょうに。」

スナイパーは苦笑しながら答えた。

「ともかく彼女のご指摘通り、ウチは君の「眼」に期待しているのだから、
あまりぼーっとつったっていられると満額報酬は却下されるかも知れないよ。」

こんなことを平然と笑顔で言ってのける。
全く「油断できないというのはこの男のことだぜ」と誰とはなしに胸の中でぼやきな
がら、
追撃者は「やれやれ」と一旦目を閉じ、意識を集中させてから再び目を開く。


普段の視界より、やや青みががった世界がそこに広がった。
16GGsage :2007/04/28(土) 18:57:01 ID:pFIHupYs
2
隕石召喚魔法が生み出す轟音。
狭いエンペルームにひしめき合うギルドメンバー。
踊り手と歌い手が繰り出す「ロキの叫び」の合奏・・・。
まるで祭りの喧騒のような騒々しさの中、彼の目は不審な黒い影を見つけた。

『へへっ。たいしたもんだ。』

その人影は前衛ゾーンを抜け、追撃舞台を抜け、ウィザード地帯をもいとも簡単に抜
けてくる。
しかも、端など歩かず堂々と道の中央をだ。

『金ゴキチェイスってやつか…ご丁寧にローグの魂までかかってやがる。』

こちらが「見えて」いるということを相手に気づかれないよう細心の注意をしつつ、

追撃者はエンペリウムを背に同業者と向かい合う形に立った。
彼の頭の愛らしい人形には希少価値の高い「マヤパープルカード」が挿されている。

ギルド内で「眼」と呼ばれる力を持つソレは、「クローキング」「チェイスウォー
ク」など、
普通の目では看破できないスキルを見破る能力を持つ最終兵器だ。
ローグの魂で移動速度の上がった人影は、スナイパーと教授の間を器用に潜り抜け、

追撃者の位置が気になるのか、立ち止まったり、ウロウロしたりしている。
彼がわざと目線を下げると、その隙に彼の横を通り抜けようとこちらに移動してき
た。
後少しで通りぬける、その時に追撃者は動いた。

「ご苦労さま。」

そう言って人影の肩辺りを掴んで動きを封じる。
人影は驚きの声を上げると、びくっと震えて逃げようともがきだした。

「おっとっと。暴れるとうちの人らにバラしちゃうよ?それでもいいの?」

追撃者はメンバーの動きに注意を払いながら、低い声で呟き、相手の装備を確認する
ため念入りにボディチェックを始める。

『なんだ女か。』

身長と細い体格柔らかな体つきが、隠れていようともそれを伝えてくる。
あれ、グラス、デモマスクにシルクローブ…。
その手が丁度胸元で止まる。

『…ブリーシンガメンだと?コイツ双翼同盟のアシリエルか…。』

ブリーシンガメン。それはこの世の奇跡と呼ばれる首飾り。
それを持つ人物はこの世界では、双翼同盟『Platin Flugel』のギルドマスターにし
て女追撃者の『アシリエル=ロード』以外にない。

「悪ィ…。タダのネズミならちょっと脅して追い返したんだがね。」

彼の亜麻色の髪の隙間から見え隠れする灰色の目がすぅっと細くなり、吊りあがった
口端が暗い笑みを作った。

「スマン、ちょいWISが着たわ。」

追撃者はそう言うと、侵入者・アシリエルの腕を掴んでエンペの影に回りこむ。
ここは、丁度メンバーのいる防衛ラインの死角になっていた。

「貴様…マヤパープル装備所持者か。」

初めてアシリエルが口を開く。
凛としたよく通る声。
この状況でも一歩も引かない毅然とした口調。
それがまた追撃者のカンに触った。

「ふふ…いいぜ、もっと声出せよ。その方が都合がいい。」

そう言うと、おもむろに彼女の胸肉をビスチェ越しに鷲掴みにする。
突然の彼の行動に、アシリエルの身体がびくっと反応する。

「愚か者め。もうすぐ同盟の本隊がここに到着するぞ。」

彼女がひるまずそう言うと、追撃者は愉快そうに目を細めた。

「なら、そこにいる『婚約者』さんにアンタの痴態を見てもらえばいい。」

そう言いながら、ビスチェを引き下げ、無理やり乳房を露出させる。

「は、はなっ…。」

離せと続けるつもりだったであろうその言葉は、追撃者が両の先端を指先で器用にこ
ね回すことでかき消されてしまった。
そのまま彼は、エンペリウムと自分の間にアシリエルを挟む形で身体を密着させる。

彼女はチェイスウォーク状態のままなので、「眼」を持たない第三者から見れば、追
撃者がエンペリウムにもたれかかってるよう、にしか見えないだろう。

追撃者は彼女の顔を何かを探し当てようとするように見つめ――とは言え、その姿は
影にしか見えないので表情が読み取れる訳ではないのだが――そしてゆっくりと耳元
に唇を寄せる。

「…リースがされたことは、こんなもんじゃないぜ…。」
17GGsage :2007/04/28(土) 18:57:20 ID:pFIHupYs
3

彼が低い声で囁き、アシリエルの頭に疑問符が浮かんだと同時に、彼女の通信機がギ
ルド通信を受信した。

『アーシュ、聞こえるか?中の様子はどうだ?』

その声を聞いた彼女は一瞬で冷静さを取り戻し、外にいる同盟軍に指示を出そうと口
を開く。

『フランツっ!…ここには…あっ、んっ!』

彼女の言葉は、首元に感じた生暖かい濡れた感覚に遮断された。
それは、ヒルのようにところどころ吸い付きながら、アシリエルの白い肌に唾液の筋を残しながら移動していく。

『どうした!?何があった…』

心配そうな通信機の声は、彼女がスイッチをオフにしたことで途切れた。
さらり…と追撃者の髪が彼女の顎を掠め、そのことで彼が何をしようとしているのか、嫌が上でも想像させられた。

「やっ…うぅぅっ…っ。」

突然、先端を吸われ彼女の体はびくっと跳ねるが、それでも声を漏らすまいと必死で唇を引き結ぶ。
追撃者はお構いなしに、真っ赤な果実を唇で挟んだまま舐め回し、
もう片方の果実は、まるで大切な宝物を磨き上げるように、手のひらの使ってあくまで優しく転がす。

「うっ、くぅぅ!」

きつく閉じた桜色の唇から抑えきれない声が漏れ、それが目の前の男を扇情している事実に、
彼女は気付くはずもなかった。

「ほら、誰にもお前の姿は見えてないんだから、遠慮することないぜ?」

そう言いながら、ガードのゆるくなった下半身に手を伸ばし、短パンの上から秘部を指先で撫で上げる。

「…っ!?」

アシリエルは思わず腰を引かせ、その刺激から逃れようとするが、背中にエンペリウムが当たり、
逃げ場を失ってしまう。

「すっげ…熱くなってるぜ?」

その言葉にアシリエルの全身が熱くなる。
「そんなことない」反論したくとも、出るのは荒い息と、甘い喘ぎだけ。
ベルトとボタンを片手で器用にはずされ、うるんで仕方のないそこを直接触られ、彼女はその刺激に目が眩む。
慣らすという言葉を知らないかのように、追撃者はいきなり指を彼女の中に挿入する。
ぐちぐちと、見ず知らずの男に自分の内側をいじくられ、声を上げることも抵抗することも叶わず、
ただ、事がすぎるのを待つことしかできなかった。
18GGsage :2007/04/28(土) 18:57:40 ID:pFIHupYs
4
「…入れるぜ。」

無理やり与えられた快感に汚された頭に、その言葉はひやりとした感覚でアシリエルの意識を覚醒させた。

「やっ、いやぁっ…。」

思い出したかのように抵抗を始めた彼女を無視し、追撃者は彼女の腰を持ち上げそのまま挿入していく。
硬く熱い物が自分の中に入ってくる感触に、アシリエルは言葉すら出すことが出来なかった。

『どうして…私こんな目に…。』

その疑問だけが吐き気と共に、頭の中をぐるぐると回っていた。

「締め付けてきやがるぜ?感じてるのかよ?」

そう言いながら、彼はまだきつい彼女の中を無遠慮にかき混ぜ始めた。

「そ、んなっ…ぁっ…んっ!!」

そのまま動きは激しい出し入れに変わり、アシリエルは自分の中で彼の物が膨張していることに気がつく。
最初刺激されなかった場所も、大きくなった物に上下同時に擦り上げられ、彼女の膣内は意思とは裏腹に
貪欲に欲しがりり、締め付ける。
今、自ら腰を動かし求めていることに、彼女自身は全く気がついてないようだった。
アシリエルは、眉をひそめ、きつく眼を閉じ、口元は快楽に緩んだ。
責め立てられ熱くなった身体は、無意識に追撃者にしがみつく格好になる。
追撃者はそのまま激しく腰を振り、何も言わず彼女の中に精を放った。
突然潤みを増した膣内を、更に彼の欲望が擦り上げ、最強の同盟の女主人は、今やただの雌に成り下がり、
悲鳴を上げながら全身を痙攣させる。

「――サイト!!」

チェイスウォーク状態がサイトによって炙り出され、アシリエルの痴態がたちまち追撃者の眼前に現れた。
彼女のシンボルである燃えるような赤い髪は、快楽の汗に濡れた顔に張り付き、凛としたアイスブルーの瞳は、
生理的な涙に濡れ、緩く開かれた口元からは白い歯がわずかに覗いていた。
それを見た追撃者は、満足そうににやりと笑うと、呆然とする彼女の手に蝶の羽を握らせる。

「キャアアァァァアアッ…!!!??」

皮肉にも、事態に気がついたアシリエルが蝶の羽を使うのと同時に、双翼同盟の兵はエンペルームに突入した。

「…リース。これでよかったんだよな?」

追撃者はそう呟くと、手早く身支度を整え仲間の元に急行する。

「遅いじゃない!何やってたのよ!!」

「悪ィ、ちとヤボ用でさ。」

飛んできた女教授の怒声に作り笑顔で答えると、追撃者は意識をもう一度集中する。
視界が青く染まり、通常の者には見ることのできない世界がそこに広がった。
追撃者は崖上に立つと、弓矢が飛んでくるのも避けずに口を開く。

「双翼同盟さんよ。アシリエルは俺が討ち取ったぜ?」

その中にいる一際身体の大きい聖騎士が驚きの声を上げた。

「何ぃ!貴様アーシュに何を…!?」

吊りあがった目で、飄々とした追撃者を睨み返す。
血気盛んな聖騎士に、追撃者は左手で中指を立てながら舌を出して答えた。
19GGsage :2007/04/28(土) 18:58:06 ID:pFIHupYs
その頃、アシリエルは蝶の羽によって、双翼同盟のベースキャンプに飛ばされていたが、
彼女を心配するメンバーを避けるように姿を眩ませ、リヒタルゼンの表通りをクローキング抜け、
貧民街へ逃げ込む。
寂れた街の片隅にある、今にも潰れそうな宿の親父に金貨を叩きつけ、
返事も聞かずにかび臭い部屋に逃げ込んだ。
すぐに浴室に入り、水しか出ないシャワーで、全身を何度も何度も擦り洗う。
途中で、太ももを追撃者の精液が伝い、彼女は堰をきったかのように声を上げて泣き喚いた。

「なんで…っ、なんでなのっ…?!」

しゃくり上げながら何度も何度もそう呟いた。
シャワーで冷たくなった全身を抱き、震えながら涙を流す。
しばらくそうした後、アシリエルはよろよろと立ち上がり、濡れた身体のままベッドにつっぷした。
ごわついたベッドカバーがみるみる色を変える様を見つめていると、段々彼女の中に不当な扱いを受けた
ことに対しての怒りがみなぎってくる。

『許さない…絶対許さない…。あの男絶対殺してやる。』

うす暗い部屋でそう呟きながら、彼女はいつの間にか眠りに落ちていった。


一方、リヒタルゼンの高級ホテルでは、睦事にいそしむ二人の男女の姿があった。

「なぁJoys。Platin Flugelのマスターの情報持ってるか?」

男は、豊満な乳を鷲づかみにしながら尋ねる。

「ひゃぁっんっ…!知らない…たらぁっ。」

「事情通のお前が知らない訳ないだろ?」

彼女のささやかな嫉妬を、男がまるで理解しなかったことに苛立ちを覚えたが、
馬乗りになった状態で下から突き上げられ、Joysは甘い声を漏らしながら自ら腰を動かす。
そのたびに揺れる金髪の巻き毛が、彼女の肩や胸元で跳ねていた。
ベッドの下には、もどかしそうに脱ぎ捨てられた赤いガウンと、きつねの襟巻き。
そして男の服と思われる毛皮付きの青い上着と、黒いブーツ。

「あぁっ、あんっ、すごいの…いっちゃうっ…!!」

膣をかき混ぜながら、男の指が濡れたピンク色の真珠をこねまわす。
それを合図に、金髪女は背を大きく反らせ、びくびくと全身を震えさせた。
女の熱くぬかるんだ密壷が、男の欲望をきつく締め上げる。

「…それでどうなんだ?」

そう言うと男はJoysをホテルの窓に押し付け、立ったまま後ろから挿入をする。

「やっ…見られちゃ…。」

「このまま続けて欲しいか、それとも情報を出すかどちらかだぜ?」

意地悪く耳元で囁くと、男は女の耳たぶを口に含んだ。

「言う…からぁ。んぁっ!」

全身を震わせJoysは答える。
男はゆっくりうなづくと、そのままの体位で激しく女を責め立てた。

「あぁんっ、あっ、いやいやぁぁっ…!?あ、ああぁっ…いくぅぅっ!!」

女は悲鳴を上げながら絶頂を迎え、意識を失った。
20GGsage :2007/04/28(土) 18:59:43 ID:pFIHupYs
>>19はGG5ですね。No振り忘れました。orz
一応続き有りなので、そのうち書き込みにきます。
お目汚しスンマソン。
21GGsage :2007/04/28(土) 19:05:35 ID:pFIHupYs
連カキですが。
CWはサイトで炙れませんデス。ゴメンナサイ。orz
22名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/29(日) 00:42:48 ID:JKIInAtE
金ゴキもサイトで炙れないな
その程度で炙れるなら防衛ラインのルアフサイトに引っかかるだろ
23名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/29(日) 01:10:01 ID:T6UQeQnc
金だけならサイトで炙れるです。
続き楽しみに待ってますよ。
24名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2007/05/01(火) 14:36:14 ID:5ZxPkdsI
 こんにちは。 かなーり昔に投稿していたものです。
 全後編のSSを投下しますね。
25僕らが旅に出る理由dame :2007/05/01(火) 14:37:27 ID:5ZxPkdsI
 エミルさんとわたしは、晴れて結婚した。
 二人だけで、そっち誓いを立てて。
 花嫁は、たくさんの人に祝福されると幸せになる、と言うけど、隣に愛しいエミルさんが
いるだけで幸せだった。

 二人でニブル村に行って、さまよえる魂を浄化させ、その代価をして収集品を得る。
 そんな日々が続いた。


 そんなある日。
 狩りの後、愛を確かめ合った後の事だった。
「ごめん、私しばらくマリアと狩りが出来ない」
 すまなそうにエミルさんがそう言った。
「マリアの事淋しくさせるのは嫌だけど、プリーストギルド内で指令が入ったんだ。
 『マグヌスプリーストには至急現場に向かう事』って。
 ―――何処に行くか、とか何をするか、とかは、どんな親しい人にも教えては
いけない事とされてるから…」
 わたしは支援プリーストだから、そんな指令が入っていたなんて知らずに居た。

「うん…わかった。 待ってるから」
 そう言うとわたしは、エミルさんに抱きついた。
 一緒に居られない時間、淋しくないように。
「出発は明後日だから、それまでは一緒にいられるよ?」
 髪を優しく撫でてくれて、お互いの唇を重ね合わせた。
 触れるだけの優しいキス。 いつもは早口で呪文詠唱をする唇。
「…ごめん、マリア、これ以上してると…またしたくなっちゃうから」
 唇を離すとそう言って、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 エミルさんからは以前から使っているお気に入りのコロンと、お洗濯の香り、
それとエミルさん自体から香る香りが体温と一緒に伝わってきた。

「いいですよ? …エミルさんがわたしを求めてくれるなら…何度でも」
 そう言うとわたしは、エミルさんの胸に唇を落とした。
「…マリア、疲れてないの?
 ただでさえ今日の狩りはたくさんマリアが引きつけて狩っていたのに」
「平気です…あ、でもエミルさんは疲れてないですか?」
 お互い詠唱の早さの変わりに体力を犠牲にしている。
 ましてや狩りの後に愛を確かめ合ったばかりだ。
「私は平気だけど…」
「じゃあ…また愛してください」
 そう言うと震える唇でキスをした。
 長い長いキス。 その内、お互いの舌を激しく絡めあう。
「んっ…あ…」
 エミルさんの背中に回した手に力が篭る。

「体力無しのマリアなのにね」
 くす、っといたずらっぽく笑って耳たぶを甘噛みしてきた。
「あっ…」
 耳や首筋が弱いのは何度も体を重ねているうちに、判った事だ。
 自分では判らない快感。
 何度もされるうちにさらに敏感になってきた。
「んっ、んっ、んっ…」
 耳全体を舐め終わると、首筋に舌を這わせられる。
 エミルさんの生暖かい舌が、わたしの首筋を…。
「やぁ…ダメ、ダメ、ダメッ!」
「マリア。
 何がダメなの?」
 言うと同時に、這わしていた舌を離す。
「―――エミルさんの意地悪」
 そう言うと胸に顔をうずめて、そっと囁く。
「何? マリア、もっと大きな声で言わなきゃ判らないよ?」
 顔を離すと、うつむいているわたしの顔を覗きこんだ。
「首筋に、舌を這わされると、たくさん感じちゃうから…」
 言った後、顔がかぁぁぁっと熱くなる。
「はい。 よく言えました。
 じゃあこれはご褒美ね」
 そう言うと、右乳首を軽く甘噛み、左乳首を指で軽く転がしてきた。
「あっ…」
 エミルさんは器用さが高い分、する事なす事、わたしの体を熱くさせる。
「ほら…すごく敏感になってる」
 そう言うと行為を何度も何度も続けた。

「エミルさん…」
「ん? なあに?」
 上半身だけをずっと責め続けていたエミルさんに話しかける。
「あの…その…」
「なあに?言わなきゃわかんないよ?」
 ずっと太ももをもじもじさせ続けていたわたしを見ているから、判ってるはずなのに。
 けど、こうやって意地悪されるのも、次第に快感になっている自分がいる。
「上半身だけはなく、下半身にも…欲しいです」
「何が欲しいの?」
 にや、とますます意地悪っぽく微笑む。
「指とか…舌とか…」
「それだけで我慢できるの?」
「……」
 本当に意地悪だ、この人。 でもそれすら悦びに変わってゆく。
「…だって、エミルさんも…」
 それ以上は恥ずかしくて言えなかった。
「じゃあ、私の顔のほうにお尻向けて」
「はい…」

 寝転がっているエミルさんに覆いかぶさるようにして、お尻を顔に近づける。、
「うわぁ、マリア。
 ここからいやらしい涎がいっぱい出てるよ?」
 すくい取るように舐めてきた。
「ひゃあっ!」
 びくん! と体を反らせる。
「ほら、私のをお口で…」
「はい」
 天に向かってそそり立っているペニスを、ゆっくりと咥える。
 くびれてる所を重点的に舐め、緩急をつけてそれを出し入れする。
「ん…マリア上手になってきたね。
 じゃあこれはご褒美」
 そう言ってクリトリスを舌でつつく。
「んっ…はぁ…ん」
「またやらしい涎をたらしてるよ?
 『上のお口だけじゃなく下のお口を責めて』って」
 そう言うとクリトリスを舌で転がしながら、指を膣に入れる。
「や…あっ…」
 くちゅくちゅ、とわざと音を立てて行為を続ける。
 その度にわたしは感じて、口を動かすことが出来なくなる。
「ほら、お口がお留守になってるよ?」
「だって…そんな事…されたら…集中…できない…」
「しょうがないなあ、マリアは本当に欲しがり屋さんなんだから。
 ほら。 じゃあこっちにおいで」
 そう言うと腕を広げておいでおいでする。

 エミルさんの上にまたがる。
「マリア、自分で入れてね?」
「……」
 膣にゆっくりエミルさんのペニスが入ってくる。
 熱くて硬い…。
「ふあ…気持ちいい…です」
「そう? じゃあ私は動かないからマリアが自分で動いてね」
「……」
 ゆっくりと上下運動する。 その度にエミルさんを感じられた。
 何度動いただろう? 快感が、わたしを襲う。
「マリア、自分で動いてるだけでこんなにキューって締まっちゃうんだ?」
「だって…気持ち…いいから…」
「じゃあ、こうしたらどうなるかな?」
 そう言うと、突き上げてきた。
「ひゃ! …だめ…だめ…」
「だめなら止めるから自分で動けば?」
「…いじわるですよね…エミルさん」
 知らずに涙が涙を零れて、訴える。
「はいはい。 してあげるから泣かないの。
 …泣き虫で、私の可愛いお嫁さん」
 そう言うと頬を伝っていた涙をぬぐって、
「マリアは可愛いね」
 と言い、激しく突き上げた。

 奥まで突き上げられて、だんだん我慢が聞かなくなってくる。
「あっ、だめです、イっちゃう…」
「いいよ、マリア。 イッちゃいな」
「あ…あ…っ!」
 快感がわたしの中を突き抜けていった。
「マリア、私もイクよ」
「はい…」
 びゅく! …びゅく、びゅく、びゅく…。
 わたしの中にたくさん精液を放出してくれた。
「うれしい…」


 翌日。 わたしはマンドラゴラ森を彷徨った。


 そしてエミルさんの旅立ちの日。
 わたしは最後にエミルさんに抱かれた後、お守り袋を差し出した。
「これ、わたしだと思って持っていってください」
 中には四葉のクローバーを入れた。
「ありがとう。 行って来るよ」
 そっとキスをしてくれた。
「わたしは平気だから。 エミルさんの上に神様の加護がありますように」
 そう言って、指名された場所向かうエミルさんの姿を見送った。
26モルヒネdame :2007/05/01(火) 14:39:01 ID:5ZxPkdsI
 何日経っただろうか? エミルさんがいないのが苦しくて苦しくて仕方なかった。
 その間、仲のいい友達と狩りに出かけたりした。
 けれども心の隙間は埋まらなかった。

「ただいま…」
 聖堂の、誰もいない部屋。
 プリースト同士で結婚した場合は、聖堂内に部屋を与えられる。
「さてご飯作らなきゃ…」
 そう言いながらキッチンに立った。

「あ…またやっちゃった」
 明らかに一人で食べられない量の夕飯。
 エミルさんは細いのによく食べる人だから。 いつも2.5人分作ってしまう。
「今日はポトフだから、仲のいい友達でも呼んで食べようかな…」
 そう言いながらこの世界に伝わるノートを開いた。

 そこには友達になった人を書き記す欄があって、名前が書いてあるところに居るか居ないかとか、
名前に触れると、遠くにいても話すことが出来る不思議なノートだ。
 …今日に限って、誰もいない。
 じゃあ次のページを繰って、ギルドメンバーを…だめだ、こっちもいない。
 仕方ない。 今晩と朝食で何とか食べきろう。

 夜も更けて、ベッドに横になる。
『おやすみ、マリア』
 そう言ってキスしてくれるエミルさんがいない。
『抱き合えば暖かいから暖房なんて要らないね』
 そう抱きしめてくれるエミルさんがいない。

 ―――気づくとわたしは涙をぼろぼろと零していた。

 こんなに心が、体がエミルさんを求めていたなんて。
 そう気づいたわたしは、ネグリジェの下に手を入れた。
 左手で胸を揉み、ネグリジェに入れた右手をショーツの中に入れる。
 …目をそっと閉じてエミルさんの姿を想像した。
 この手は、エミルさんの手。

「エミルさん…エミルさん…」
 くちゅくちゅ、とやらしい音が部屋に響く。
『マリア、えっちな音が立ってるよ?』
「それは…エミルさんの事が好きで好きで、欲しくなるからです」
 そっと、呟く。
 呪文のように、そっとそっと。
『マリアは本当にやらしい子だね』
「はい、わたしはやらしい子です…」
 指の動きが徐々に早くなる。 ざらざらした所を何度も何度も責め立てる。
「あっ…や、だめです…イッちゃいます…」
『いいよ、イって』
「…はい」
 指の本数を増やし、何度も何度も激しく責め立てる。
「だめ、イっちゃう、イっちゃう、イっちゃう…」
 きゅうっと膣がしまるのが判る。 びくっ! 体に電流が走った。

「…っ、はぁ、はぁ、はぁ…」
 力が入らない体に何とか力を入れ、ゆっくりと二本入った指を引き抜く。
「…綺麗に…しなきゃ」
 指についた愛液を舐め取る。 甘酸っぱいような、不思議な味がした。


 それから来る日も来る日も自得に耽った。
 もちろん朝の礼拝には顔も出すし、奉仕活動もきっちりこなす。
 けれど、自分の部屋に入ると、何かが疼き出した

 エミルさんの残り香。 耳に残る声。 体温。
 目を閉じると浮かぶ、細い腰。 でも筋肉はそこそこついていて…。
 それら全部がわたしを揺り動かす。


 数日後。
 小鳥のさえずりで目を覚ました。
 朝食を作らなくちゃ…。
『マリア』
 ! …この声は。
「エミルさんですね、お帰りなさい」
 伝記のページを繰ると、そこにはエミルさんの名前が記されていた。
『無事任務、終了したよ。 今から総括を終わらせて帰るから、待っててくれる?』
「はい! …今日のご飯は何がいいですか?」
 思わずニコニコとした顔で話す。
『う〜ん、レタスとハムのクリーム煮がいいかな。
 なんか知らないけど今回の任務の支給品の中に、大量のキノコとニンジンがあったし』
「判りました! じゃあ他の材料刻んでおきますね」
 確か生クリームもあるし。 美味しいのが作れそうだ。
『私がいない間に何か代わった事はあった?』
「…帰ってきてから、話しますね。
 エミルさん、今日は一緒にお風呂入りましょう」
『はいはい。私も積もった話があるから、長風呂になりそうだね』
「じゃあぬるめに沸かしておきますね」
 うれしい。
 大好きな人がいるってだけで、こんなに嬉しくなるなんて。

<おしまい>
2724-26dame :2007/05/01(火) 14:43:42 ID:5ZxPkdsI
 これなら前後編に分けなくても良かったかもしれませんね(汗)
 しかもあまりえっちくないや。・゚・(ノД`;)・゚・

 さて仕事に戻ります。(・∀・)ノシ
28名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/09(水) 11:09:36 ID:U.O9Km6k
ママプリ氏帰ってこないかなぁ(つд`)
29名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/05/14(月) 06:01:22 ID:/DS20FEE
ふぁいあーうぉーるの3作目とアサシンクロスだからなの最終話が見たいぜ
30名無しさんsage :2007/05/27(日) 23:17:40 ID:T4I.zQsQ
誰かテイマ主体の話を書いてくれw
31名無しさんsage :2007/05/27(日) 23:19:28 ID:T4I.zQsQ
書き忘れ
攻めがテイマでも受けが低までも可

連続スレスマソ
32名無しさんsage :2007/05/28(月) 00:09:52 ID:/cSjoE02
うぉぉ・・・
自分ミスオオス('A`)
低ま⇒テイマ
連続スレ⇒連続レス(カキコ
orz
33名無しさんsage :2007/05/28(月) 01:11:52 ID:/cSjoE02
誤字
低ま⇒テイマ
連続スレ⇒連続レス、カキコ
スレ汚しスマソ('A`)
34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/30(水) 14:10:24 ID:hZKgBQTg
初めてなんですが書いてみたものがあるので、
紹介させてもらってもよいですか?
かなり駄文だと思いますので、
今後のためにアドバイス等いただけたら嬉しいのです・・・。
35名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/30(水) 14:57:04 ID:hZKgBQTg
誰もいない。
うっ・・・;;
36名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/30(水) 15:10:34 ID:hZKgBQTg
誰もいらっしゃらないようなので、書き逃げします。
初心者ですが、よろしくお願いします。

「本当の転生」です。
37本当の転生sage :2007/05/30(水) 15:12:00 ID:hZKgBQTg
俺は「ハンター」だった。

そしてハンターとしての頂点を極めた。
頂点を見ると、俺は全てにおいてやる気を失ってしまったのだ。
仲間たちはギルドの拡張を狙い、俺に経験値を上納することを目的に連れ出す。
ギルドのため、皆のためと思えばいいのかもしれないが、
己自身の成長のかけらもないと思うと、自然とおっくうになっていった。
腕を買われて、各地にいるボスたちの討伐にも誘われたが、
ボスの落とす宝を巡るいざこざ、対抗相手との妨害戦争、どれも俺はうんざりしてしまった。
そうすると自然とギルドとの関わりも薄くなり、俺もフェイヨンの家に引き篭もりがちになっていっだ。
でもそんな時、あるニュースでミッドガルド中が沸きかえった。
なんと、頂点を極めた者だけが到達できる神殿が公開され、そこでは新たなる修行を積むチャンスを得ることができると言うのだ。
以前、新たに国交が開かれたシュツッバルド共和国には未開の地が多いと聞いてはいたが、
両国の友好が強固になってきたとこで飛行船の定期便も運航されるようになり、ミッドガルド国民にも馴染みの深い国となってきた。
そこでシュツッバルド共和国は、この神殿をミッドガルド国民にも開放することになったのだ。
俺は早速定期便に乗り、シュツッバルド共和国ジュノーにある、ヴァルキリー神殿に通じると言われているセージキャッスルへ行った。

彼女に初めて会ったのは、この時が初めてだった。
38本当の転生sage :2007/05/30(水) 15:12:44 ID:hZKgBQTg
俺はセージという奴らのことなど何もしらなかった。
奴らは砦を所有するギルドの要員として重宝されているとぐらいは知っていたが、
俺は砦には興味がなかったし、通常の冒険においても俺にとっては必要のない奴らだ。
なぜなら、俺は特殊な矢を自ら製作することができ、その中には属性を付与された矢もあるからだ。
セージキャッスルなんてものに踏み込むことさえ初めてだった。
俺が神殿への案内員を探してキャッスル内をうろうろしていると、奥の広間の教授と話しこんでいるマジシャンの姿が目に入った。
本当は案内員の居場所を聞きたかったが、何やら重苦しい雰囲気だったので、邪魔をしないででおこうと踵を返した直後。
背後から光が差した。
何だと思って振り向くと、さっき居たマジシャンがセージへと転職したのだった。
こんな場に居合わせて、何も声を掛けないのも具合が悪いと思い、俺は
「転職おめでとう」と声を掛けた。
さっきまで幼いマジシャンだった少女が振り向き
「ありがとう!!」と満面の笑顔で答えた。
振り向く時、彼女の大きく裂けたスリットが煽られて浮かび上がり、同時に肩から背中へと垂れ下がる丸いアクセサリーが二つ、
ふわっと浮いて、まるでシャボン玉がゆっくりと落ちていくかのようにもとの位置へと戻って行った。
ドキっとした。さっきのマジシャンの時の後ろ姿とは想像もつかないほど大人びている。
よく考えたら、セージと直接話をすること自体初めてだった。
「いや・・・バルキリー神殿に行こうとして偶然来ただけなんだけどね、とにかくおめでとう。頑張ってな。」
「ありがとうございます!教授目指してがんばります!」
「え?・・・ってオイ、セージになったばかりだと言うのに、もうその上位職のプロフェッサーのこと考えてんの?」
「ええ!もともとプロフェッサーになるために、セージとして修行することにしたんです。」
「まぁ・・・気が早いと言うか・・・、セージを極めるのも大変だと思うが、がんばれよ。」
「はい!!  ・・・って、もしかして神殿への案内員をお探しで?」
「ああ、実はそうなんだ。ここは初めてでね。知ってるかい?」
「もちろんですとも、我が『セージ』キャッスルですからね。こっちですよ。」
「サンキュ」

俺の案内を終えると、彼女は振り返った時と同じ笑顔で俺に聞いて来た。
「ハンターさんは、転生されるんですか?スナイパーに?」
「あぁ、もうハンターとしてはすることがないからな。」
「!・・・」
「こうして頂点を極めちまうと、モチベーションってのは下がるもんなんだよ。
まぁお前さんにはわからない話だろうが。」
「・・・」
「転生すればまたノービスとして1から出直しだ。当分暇つぶしはできるだろう。」
俺の言葉を聴くと、彼女の目が少し涙で潤んだように見えた。
やべっ、これから頑張ろうって奴にまずいこと言っちゃったかな・・・と少し気が咎めたものの、
それ以上に初対面なのにこんな風に動揺させてくる彼女をうざいと感じて、邪険に扱いたくなってきた。
「・・・ハンターさんは、どうして頂点を極められたんですか?何のために?」
「何のためにって・・・、別に己を鍛えるのに意味はねぇよ。
俺はギルドとの付き合いもないないし砦も襲わない。
一人で冒険をダラダラ続けてたらこうなったってわけさ。」
しばらく俯いた後、彼女はきっとした目つきで顔を上げ、俺の目を強い眼差しで貫きながら言った。
「自分のためだけに頂点を極めたって、悲しいことです。
皆、何かのために戦うんじゃないんですか?」
ドキっとした。
俺には昔、守りたいと思う相方が居たからだ。
彼女はプリーストだった。マグヌス使いの高速詠唱プリーストを目指していた。
俺は彼女を守りたいと思っていた。彼女のことが好きだった。
でも、彼女は、
マグヌスを扱えるようになると俺の助けを必要としなくなり、
マグヌスだけでは戦えないような場所へ行くことになると、
俺よりも体力のある騎士やクルセイダーなんかと出かけるようになった。
相方と思ってたのは、愛情を絡ませていたのは、俺だけだった。
それから俺はこの世界を去ることもできず、惰性で敵を倒し、惰性でハンターの頂点に立ってしまったのだった。
俺は図星を突かれてむっとした。
「お前にはあるのかよ?戦うための何かが。」
「私は砦を守るギルドの一員として活躍し、ギルドメンバーと砦を守るために戦いたいのです。」
彼女の胸元をふと見ると、ミッドガルドでは有名な砦所有のギルドのエンブレムがついていた。
Gvには興味のない自分でも名前ぐらいは知っている。
こいつはGvセージってわけか。ってことは体力・高速詠唱型だから、
大方セージになるまでもギルドメンバーに養ってもらってきたんだろう。
「お前みたいなギルドの中でぬくぬくしてきたお嬢さんにはわからねぇよ。
一人きりってのがどんなことか。」
彼女の目に溜まっていた透明のものが溢れ出た。
とたんに俺を襲う罪悪感。
いや、でもこいつから質問してきて、それで勝手に怒ったり泣いたり・・・
わけがわからねぇ!!
とたんに逃げたくなった。
「案内してくれてありがとうな。俺、もう行くから。」
と、ユミルの書に手を伸ばした。
神殿に転送される直前、俺の目の端には、まだ頬を濡らしてその場に立っている彼女の姿が目に入った・・・。

神殿でヴァルキリーに会うと、俺はノービス姿に戻された。
だっせぇなぁ〜と思いつつ、早速古巣のフェイヨンに戻って、修行を始めることにした。
いつものフェイヨンの街。
早速なじみの門番に預かってもらってたマインゴーシュと防具を受け取ってレベル上げに励もうとした。
すると後ろから
「あの!」
・・・!この声は。
さっきのセージだった。
俺が転生を終えてフェイヨンに戻って来るのを見越して、先回りして来たようだった。
「なんだよ・・・どうしてこんな所に?」
「・・・伝えたいことがあったんです。」
「伝えたいこと・・・?」
俺はさっきの態度とは裏腹に、弱腰になった。
彼女の頬にはまだ涙の跡があるし、
なにしろ俺はさっきのオーラハンターから一転して、情けないノービス姿だったからかもしれない。
「私を守るために戦いませんか?」
「・・・は?」
「私もあなたを守るために戦います。あなたも私を守ってくれませんか?」
「守るって・・・、俺、今ノービスなんだけど・・・。」
「あなたはスナイパーになられます。私もプロフェッサーを目指します。
本当ならハイプリーストの方がいいでしょうが、あいにく私はセージなので・・・。」
「ハイプリでも教授でもいいけどさ、それ以前になんで俺とお前がそんな関係に・・・?」
「あなたの目を見てたら、守ってあげたくなったのです。」
・・・わけがわからん!!
「だって、お前はギルドと砦を守るんじゃないのかよ?」
「あれは知り合いに強引に誘われて、そうしようかな、と思ってただけです。
ギルドに貢献するのはかまわないですが、それとは別で、個人的にあなたを守りたいのです。」
俺、ますます混乱。
「俺がスナイパーになるのもずっと先だし、それよかお前が教授になるのなんかもっとずっと先だぞ。」
「待っててください!私、きっと追いつきますから!」
むちゃくちゃ言いやがる・・・。
「これ、私の名前です。スナイパーになる時、私に通信メッセージを送ってください。
それまでは通信はしません。きっと、私、追いつきますから!」
メモを渡された。そこには彼女の名前が書いてあった。
そう言うと彼女は飛ぶように振り返って、走り去ろうとした。
「ちょ・・・!まて・・・!」
ひるがえった背中の丸いアクセサリーを引っつかもうと手を伸ばしたが、彼女はその瞬間に蝶の羽でも使ったのか、
フッっと姿を消した。
俺はまだ混乱していた。
なんでいきなり守る守られるの関係に?
でも、マインゴーシュを持ってポリンやウィローを倒しているうちに、顔がにやけてきている自分に気がついた。
俺に、楽しみができた。冒険する楽しみが。己を強くする楽しみが。
こんなのも、悪くない。そう思った。
39本当の転生sage :2007/05/30(水) 15:13:23 ID:hZKgBQTg
俺はゆっくりながらも順調に成長を続け、スナイパーになるまでになった。
彼女のことは忘れたことはなかった。
ゆっくりと成長をしていたのは、彼女を待っているせいだったかもしれない。
1度しか会ってない。それにじっくり会話したってわけでもない。
でも、それだけの関係の彼女が「待ってて」と言ったとこで、信用できるものかどうか疑う気持ちもあった。
でも嘘でもいい。彼女のことを思うだけで、ハンターの時にはなかった充実感が俺を支配してくれたからだ。
でもそれも今日で終わりだ。
俺はこれからスナイパーになる。約束通り、彼女に通信メッセージを送る。
彼女がそれに答えれば、俺の充実した思いは続く。答えなければ、それで終わりだ。
また、孤独で意味のない生活に戻る。
俺は意を決して、彼女宛に通信を送った。

・・・

通信は彼女まで届かなかった。
彼女が通信圏外に居るか、もしくはもうこの世界から姿を消してしまったか・・・。
だいたい、何時頃転職になるかもまったくわからないで、いきなり通信をよこせとか、無茶な話だ。
連絡を取りたければ、それなりの時期と時間を指定するはずだ。
なんだか、彼女に騙されたような気がした。
でも、それでも、たまたま通じなかっただけかも、なんて希望を抱いたり、
とにかく、俺には彼女を恨む気持ちは沸いてこなかった。
彼女の「待ってて」。その言葉だけは信じたかったんだ。
40本当の転生sage :2007/05/30(水) 15:13:55 ID:hZKgBQTg
スナイパーになって数週間。
俺はスナイパーとしてのスキルもある程度習得し、ダラダラとした狩を続ける日々を送っていた。
相変わらずのソロ生活だ。ハンターの頃と何も変わっちゃいない。
巷では、最近発見されたタナトスやリヒタルゼンにあるダンジョンに行くのが流行っていて、
俺も昔の知り合いから声を掛けられることもあった。
でも大抵、そのパーティーにはプロフェッサーの姿があった。
教授の姿を見ると、彼女を想い出す。
彼女にはあれから通信を入れていない。彼女からの通信も来ない。
彼女以外のプロフェッサーとは狩をしたくなかった。
大方騙されたんだろうと思っても、彼女を恨むことはできず、心の底で彼女を待っていた。
俺は座りながら精神力を回復しつつ、最後に見た彼女の泣き顔を思い浮かべていた。
スナイパーってのは強いが、精神力の消耗が激しい。
いつも回復しながら思うのは彼女のことだった。
すると、後方から聞こえる馬の嘶き。
ナイトメアでもきたかな、と思ったら、同時にデビルチのユピテルサンダーを食らった。
しまった。
いつもはこれを食らう前に瞬殺してしまうから、対策を講じていなかった。
痛いダメージだ。
敵はそれだけではなく、団子状の塊を作って押し寄せていた。
つい彼女のことを思って油断していた。
激しいノックバックに、続けざまに浴びせられるユピテル。
俺は身動きが取れない状態になってしまった。
得意のシャープシューティングを数発放ったが、射線をそれた敵がまだまだ襲ってくる。
回復しきってなかった精神力はすぐ尽きてしまった。
「もうだめだ!逃げよう!」と思った瞬間、後方から声が。

「ファイアーウォール!」

目の前に火の壁が広がった。
自分に当たらないところを見ると、マリオネットの出したものではないようだ。
咄嗟に数歩下がり、敵との距離を取った。
同時に持っていた青ポーション1つを一気に飲み、続けざまにシャープシューティングを放った。
敵を一掃することができた。
ファイアーウォールがなければ青ポーションを飲む間もなく死んでいただろう。
いったい誰が?

と思ったら、突然パーティの招待状が舞い落ちてきた。
勢いでそれを受け取ると、

「ソウルチェンジ!」

一瞬周りがまたたくように輝き、俺の精神力が一揆に満タンになった。
驚いて振り向くと、そこに居たのは彼女だった。
彼女はプロフェッサーの衣装を身につけていた。
「おまたせ!!」
「・・・」ポカーンとする俺。
「よかったー間に合って♪」
「・・・!♪〜じゃねぇよ!
何だよ!今までどうしてたんだよ!なんで通信できなかったんだよ!何時の間に教授になったんだよ!?」
「あわわわわ・・・ごめんなさい。教授にはちょっと前に転職しました。
通信が通じなかったのは、早く教授になるためにずっとグラストヘイムの地下に篭っていて、
通信中は死にやすくなるので、あえて通信を遮断してたのです・・・。
教授になってもソウルチェンジを覚えるまではあなたを守れないと思って・・・。」
「・・・・・・・・・・・!!くうぅ〜〜〜!!・・・待たせやがって!」
「待っててくれたんですね!?よかったぁ〜♪」
「・・・約束しちまったからな。」
「嬉しい〜。」
「こっちは待たされて疲れたよ!」
「これからはいくら疲れても、私が癒してあげますよ?」
そう言って、INTカンストのヒールLv1の後に、再びソウルチェンジして見せた。
「ってお前INTカンスト!?Gvはどうすんだよ!?」
「あなたに追いつきたかったし・・・、ギルドの中でぬくぬくしている自分はいやだったんです。
あなたを守るためにも、自分で戦える力が欲しかったんです。」
『あなたを守る』
その言葉が俺の心を貫くようだった。
思わず俺は彼女を抱き寄せた。
「きゃっ・・・!」
「黙れ!何も言うな!・・・あんな一方的な約束させやがって・・・さんざん待たせやがって・・・!」
「・・・」
「俺は、俺は、そんなソウルチェンジなんかより、お前に、早く・・・会いたかったんだ。」
彼女の頬を涙が伝っていくのが、俺の肩越しに感じられた。
初めて会った時の俺を混乱させたそれとは違う、俺の中を甘くかき乱すような涙だった。
「待たせてごめんなさい・・・。でも待っててくれて嬉しかった。」
俺はまるで当たり前かのように、彼女の涙を自分の唇で拭き取った。
とても甘い味がしそうだったが、それは当然ちょっとしょっぱい味がした。
彼女はちょっと驚いたようだったが、静かに眼を閉じた。
最後に彼女のまつ毛に残った涙を俺の唇にしみ込ませて、
そのまま何かを待っているようにわずかに開いた彼女の唇に口付けをした。
「んっ・・・」
彼女の喉の奥からわずかに声が漏れた。
最初に彼女の下唇を甘く噛んで、それを離すと交差するようにお互いの上下の唇を絡めた。
俺の中に、彼女を愛おしいと思うのとは別に、何か本能的な感情が湧き上がる。
そのまま腕を彼女の腰に回しさらに強く引き寄せた。
まだ瞳を閉じたままの彼女を確認した後、彼女の唇をかき分けて舌を進入させようと伸ばした時、
「んぐっ!!」
いきなり彼女が、この場面にはあまりにもそぐわない声を上げて唇を離す。
「えっ!?」
いきなり会ったばかりでやりすぎたのか!?と、後悔が一瞬のうちに襲う。
「ファイアーウォール!」
俺の背後に炎の壁が広がり、それに突っ込んだナイトメアが痛みの嘶きを上げる。
「ダブルストレィフィング!」
ナイトメアは俺の放つ矢で一瞬で消滅したた。
「ごめんなさい。嬉しかったです。でもここはあまりにも落ち着きません。
付いて来てください。」
41本当の転生sage :2007/05/30(水) 15:14:44 ID:hZKgBQTg
俺は彼女に言われるがままに、イズルードからの定期便に乗り、ジュノーの街へ降り立った。
彼女について行くと、そこはセージキャッスルだった。
「ここから始まったんですよね。」
「ああ、そうだったな。」
「はっきり言っちゃうと、一目惚れでした。
でもあなたはこれから生まれ変わると言うのに、寂しげな目をしていた。
『何もない』と言ったあなたの『何か』になりたいと思った・・・。」
「もうなったよ、再会する前も、そして今これからもずっと、
お前が俺の戦う意味になってくれる。」
また2人で強く抱き合った。
「ずっと会いにいきたいのを我慢してた。もう離れたくないよ・・・。」
「・・・」
俺は彼女の手をつかんで、長く続く廊下を進んだ。
彼女と初めて会う直前、セージキャッスルの中で案内員を探して迷っていたときに、
来客用だかの客室を見つけたのだ。
そこは使用していない時は施錠されていないようで、中央に豪華な大きいベットが置かれている豪華な部屋だった。
そのベットの前まで来て、俺は彼女を抱き上げてベットへとやさしく降ろした。
俺を見上げる彼女の目は、涙とは違う別のもので潤んでいるようだった。
彼女が両腕を上げて俺を招く。
招かれるまま膝をベットへと上げて、彼女へと顔を近づけた。
彼女の両腕は俺の首を囲んで胸へと引き寄せ、俺は彼女のやわらかな胸に顔を押し付けられるようになった。
「全部、・・・あなたのものになりたい・・・。」
「俺も、お前を全部俺のものにしたい。」
胸から顔を離し、彼女の顔を見た。
彼女の目はまっすぐと俺の目を見つめる。
まるで彼女が俺にシャープシューティングを決めたみたいだ。
完全に射抜かれちまった俺は、倒れこむように彼女の唇にキスをした。
今度は最初から舌を絡める。
「んっ・・・ん・・・」
彼女の甘い声が上がると、その息が次第に上がっていくのがわかった。
俺の息も上がっていく。
そのまま彼女から唇ははなさずに頬から首筋、そしてちょっと戻って耳たぶを含んだ。
「ぁん・・・」
くすぐったいのか、彼女はちょっと身をくねらせた。
すかさず片手で彼女の服を脱がしにかかる。
まず邪魔な襟巻きを引き抜いて、ベットの下へと投げる。
ベルトをはずして、肩から足元まである長い上着から腕を抜こうとしたら、
彼女の長い袖がひっかかった。
片手で苦戦していると、彼女はみずから袖を腕から外してくれた。
服を捲り上げて、彼女の白く丸いふくらみを両手で覆った。
一瞬彼女はビクッとした。
かまわず続けて、2つあるピンク色の突起の一つを口に含んだ。
「あっ・・・!」
彼女が腰を浮かせた。
反応を見ながら、それを舌で転がし、歯で軽く挟み、そしてむさぼるように吸った。
含んでないもう一つも、指で軽く挟み転がすように刺激した。
「あぁん・・・んっ・・・」
彼女の腰が落ち着きを無くしたように、少し浮いては左右へ動き、脱力したようにベットへと落ちるのを繰り返す。
「気持ちいい?」
「うん・・・あなたに触れられてるとこ・・・全部気持ちいい・・・」
乱れた呼吸をしながら答える彼女。
胸から顔を離して彼女の顔を見ると、赤く蒸気して、目はうるうると輝きを放っていた。
一気に湧き上がる俺の中の何か。
何かが切れたように感じて、俺はそれに流されるまま、
一気に彼女の両足を開いてその中央に顔を沈めた。
「あっ!きゃっ・・・!」
反射的なのだろう、足を閉じようとされたが、既に俺の鼻先は彼女の茂みへと到達していた。
それを感じた彼女の足から力が抜けた。
手で彼女のかなり薄いといえる茂みの先に見える割れ目を広げる。
ぬらぬらと怪しげな輝きを放っていて、その雫が既にシーツへと小さな染みを作っていた。
「下着、・・・履いてないんだ?」
「う、うん・・・。あまりつけてないの・・・。」
普段から着けてない?
そう思うと、過去に会った彼女の姿を思い出し、妙に興奮した。
あのときも下着を着けてなかったのかと思うと・・・!
割れ目の奥にある穴へとそっと指を指し入れる。
すんなりと入った。
同時に大きく膨らんでいるクリトリスに舌を伸ばした。
「あああああっ!」
彼女は大きく腰を上げた。
指が抜けそうになったが、なんとか位置を合わせ、
さらにもう1本の指を入れてかき混ぜるように回転しながら抜き指しを繰り返した。
クリトリスの根元を唇で軽く挟み、先っぽを舌で弾くように細かく擦る。
「あああっ!ああんっ・・・ああっ・・・だ、だめ・・・っ!」
膣口に差し込まれた指先のその奥から、熱くねっとりとしたものが湧き出てくるのを感じる。
指を抜き差しするたびに、その根元からぴちゃっと音を立てて飛沫が上がる。
なんともやらしい匂いが俺の脳までを包んでいく。
「ああああああっ・・・!いっ、いっちゃぁうよぉっ・・・!」
「いいよ」と返事をしたかったが、俺の口は彼女のクリトリスに奪われている。
返事ができない代わりに、その刺激をさらに素早く細かく、ちょっと強くした。
どんどん絡みついてくる膣壁にかまわず、指の速度も上げる。
すると彼女の膣口が俺の指をぎゅうっと締め付けた。
「あぁっ・・・・・・!!いくうっっ・・・・!!」
弾けたように彼女の腰が上がり、細かく全身を震わせる。
同時に膣口が俺の指の根元ををリズミカルに締め付け、
そのたびに飛沫があがり、溢れ出た愛液が俺の腕を伝って流れてきた。

彼女は落ち着くと腰を下ろして、大きく乳房を揺らしながら息を整えた。
「・・・いっちゃった・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「うん、いかせちゃったよ。」
俺は自分の口の周りについた彼女の愛液を舐め取り、
さらに腕に伝って流れてきた愛液も、大きく舌を出して舐めて見せた。
「おまえの、旨い。」
彼女は上気したままの顔をさらに赤くしたが、
急にいたずらっこのような目で俺を射抜くと、
「わたしもあなたの美味しいの、欲しい。」
と言って、俺の肩を押して倒してきた。
「わっ!」
すぐにベルトに手をかけると素早く外して、そのまま俺のズボンを一気に下ろした。
「おいしそうなの・・・みっけ♪」
今度は俺の頬が赤くなるのを感じた。
既に大きく反り返って天を仰いでいる俺の息子は、下着に小さな染みを作っていた。
彼女は下着の上から俺のものに唇を充て、根元からゆっくりと上ったあと、
染みの部分に「チュッ」っと口付けをしたようだった。
「もらっちゃうね・・・?」
そう言うと下着を下ろして根元に片手を当て、ちょっと腹から浮かせると、
先っぽに唇を当てて、軽く何度か吸った。
「・・・!」
「・・・おいしい。」
俺、もう彼女のなすがまま。吸われるたびに、息子がビクビクと跳ね上がるのが分かる。
「もっと濃いの、もらうね・・・?」
そう言うと先っぽから口に含み、だんだんと根元までを包み、
そのまま中で舌が裏筋を伝い、先の膨らみの境目をなぞっていった。
「くっ・・・はぁ・・・やべ・・・」
たまらず声が出た。
「ひもちひひ(きもちいい)?」
「あぁ・・・すごく・・・」
「んっ・・・」
彼女の口の端から唾液が流れ出る。それを潤滑油にして、根元を握っていた指が
俺の幹をさするように上下し、俺の中のモノを押し上げてくる。
彼女の唇がまるで空気が真空の宇宙へと流れ出るように俺の先を吸い上げ、
熱い舌が裏筋に立てられて局部的な刺激が上下する。
俺の放ちたい欲求はピークに達した。
「ぐっ・・・!も、もぅ・・・いくぞ!」
「んんっ・・・」
俺はそのまま彼女の口の奥へと放った。
かなり長い間、出続けているのがわかる。
その間彼女は俺を離そうとはしなかった。
俺の息子が多少のやわらかさを取り戻すと、
彼女は根元までを口にすっぽりと包み、強く全体を吸い上げた。
「ぅっはぁっ・・・!」
なんとも言えない刺激だ。
このせいですぐに固さを取り戻してしまった。
「んっ・・・おいし・・・。」
彼女は軽く上を向いて口を開けると、その舌の上には白い液体が転がっていた。
それを数回舌の上で転がすと、口を閉じてゴクッと飲み干した。
「ごちそうさまっ♪」
「・・・バカ。」
すでに天を仰いでしまっていた俺の息子を見ると
「今度は一緒にいこ・・・?」
と軽く首を傾げて見せた。
再び湧き上がる俺の欲望。
彼女の腕を引っ張り背中を向けさせると、うつ伏せに押し倒し、
お腹の下に手を入れて腰を持ち上げさせると、一気にまだ乾いていない割れ目へと挿入した。
「あぁんっ!」
かまわず根元までを挿れる。
彼女の中は乾いていないどころか、さっきよりもさらに溢れていた。
見ると。彼女の太ももを幾すじもの愛液の雫が伝っていた。
俺を含んでいる間、彼女自身も溢れてきていたようだ。
さっき指で味わったのとはまた違う、さらに想像を超えた
やわらかくそれでいて絡みついて締め付ける、背筋を突き抜けるような快感が俺を襲った。
「いくぞ・・・!」
「あぁっ・・・う、うん・・・」
両手を彼女の腰に添えて、激しく突きつけた。
肉壁の当たる音が響く。そのたびに彼女の飛沫が上がる。
「ああっ、あああっ、いいっ、すごい・・・!あぁんっ!」
彼女が俺を包み絡ませてくる。
それはだんだん強く、そしてリズミカルになってくる。
おれ自身もこみ上げてきたモノが先端へと溜まり、溢れそうなほどの張りを出しているのが分かる。
「あっ・・・もぅだめっ・・・!いっいっちゃうぅぅっ!」
「俺も・・・いくっ!」
「ああああああっ!来てっ!一緒にきてぇ!ああああんっ!」
彼女が強く締め付けてきた。
その刺激で俺の先端は弾けたように口を開ける。
「いくぞっ・・・!」
「あああぁぁぁん!いくうぅっ〜!!」
彼女のリズミカルな震えに合わせて、俺も勢いよく解き放っていった。
42本当の転生sage :2007/05/30(水) 15:15:20 ID:hZKgBQTg
「一目惚れとか言ってもさ、いくらなんでも強引すぎやしないか?
騙されてんのかと思ったぜ。」
俺たちはお互いが落ち着いた後、ベットに入ってお互いを愛おしそうに撫でながら話をした。
「ひどい〜。騙す気なんてなかったけど、待っててくれるかどうかはちょっと自信なかった。」
「俺も本当に会いにくるかどうか、疑ったこともあったよ。」
「でもね、そんな時、ギルドの先輩に事情を話してみたの。
そしたらね、頑張ってみな?その人もきっと待っててくれるよ、って言ってくれて、
追いつけるように手助けもしてくれたんだ。それで挫けないで頑張れた。」
「へぇ〜。いい人も居るもんだなぁ。砦守るのに忙しいだろうに。」
「その人はハイプリーストさんなんだけどね、昔はマグヌス使いのプリーストだったんだって。
その時はGvギルドには居なくて普通に冒険を楽しんでたんだけど、
その時にあなたと似たような人を傷つけたことがあるんだって。
とても後悔してて、私にはそんな思いをして欲しくないから頑張れって。」
「・・・」
もしかしたら、あいつかもしれない。
直感的にそう思った。
「自分は転生して砦を守る人生を選んだけど、私には別の生き方を見てもらいたいって。
それですごく応援してくれたんだ。」
「・・・そうか。いい人だったな。感謝しなきゃ。」
「うん、そうだね・・・。お礼に行かなきゃ・・・。」
後悔していたのか。
ひょっとしたらあの頃、彼女も俺を想っていてくれていたんだろうか。
でもそれでも彼女は俺から離れ、砦とギルドのために生きる道を選んだ。
俺はそんな道は選べない。
どうあっても、一緒には居れない運命だったんだ。
俺は今この隣にいるこいつと会うためにそういう運命を辿ってきたのかもしれない。
そう想うと、それまで目的もなく孤独だとくすぶっていた俺の生きかた全てが情けなく想え、
それを救ってくれた彼女が心底愛おしく思えた。
俺は今やっと生まれ変わったのかもしれない。
おれにとっての転生は、今この瞬間で、
俺にとってのヴァルキリーは、今となりに居るこいつだったのかも。
そんな考えが浮かび、裸で寝てるこいつがあの神殿で転生儀式を行うのかと思ったら、
ニヤけてしまった。
「何?」
「いや、なんでもねぇ!」
テレ隠しに強く抱き寄せた。
「あーん、そんなに強く抱かれたら、また欲情してきちゃうよぅ。」
「えっ!?」
「んっ・・・ねぇ・・・また、して・・・?」
「ちょ、ちょっと休ませてもらっていいかな〜・・・?精力が・・・。」
「それなら気にしない!これでOKでしょ? ソウルチェンジ!」
暖かく突き抜けるような軽い快感が光と共に走った。
・・・不思議と何かみなぎってくる!?
「じゃ、もー一回やっとくか?」
「うん♪♪」
と言う感じで、2人でまた布団の奥に潜り込む。
この調子だと、俺、ちょっとこの先不安かも・・・!?

Fin
43本当の転生sage :2007/05/30(水) 15:17:00 ID:hZKgBQTg
以上です。
いざ書き込んでみたら無駄に長すぎるし
改行等も見づらいし、
誤字あったし、稚拙で駄文だし、
ほんとうにごめんなさいごめんなさいごめんなさい
44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/30(水) 17:47:13 ID:LSlJISrA
>>34-43
誤字あっても、改行見づらくても、長くても

 面 白 け れ ば 全 て 良 し !

超GJ!イイなぁ、ラブコメうらやますぃw
45名無しさんsage :2007/05/30(水) 21:37:41 ID:QCv0x/o.
>>34-43
GJ!(´・ω・)b
次回作に期待w
46名無しさんsage :2007/05/30(水) 21:39:05 ID:QCv0x/o.
設定案などがあったら書いてみようかと思う今日この頃
47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/31(木) 10:12:25 ID:0romAgH6
>>34-43です。
>>43>>44様 感想ありがとうございました。
GJと言っていただけてとても嬉しいです。

あまりにも誤字が多かったのと、
Hシーンは初めてで勢いでダダダダッと書いてしまったので手直ししたいのを含め、
完成文を用意したいと思うのですが、
また長文でスレを消費するのもまずいので、
どこかにアップロードできるとこなどありますか?
相応しい場所がありましたら教えていただけたらと思います。
クレクレで申し訳ありません。
48名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/31(木) 10:13:28 ID:0romAgH6
失礼しました。
感想を書いていただいたのは
>>44>>45様でした。
ありがとうございます。
49名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/31(木) 18:43:19 ID:.LP.rSkU
とても面白く読ませていただきました!
戦う理由や強くなる理由、それを見出す過程とか
いろいろ短い中でよくできてたと思います。

欲を言ってしまうと、次回作は
教授子の初体験話とか見てみたいですねー。
50名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/06/01(金) 14:00:16 ID:PwJpaQbw
>>49
電波受信させていただきました。
一晩で一気に書き上げてしまったものですが、
よかったら見てください。

あまりスレの趣旨には沿っていませんので、
あくまでも>>34-43のおまけとしてご覧ください。

誤字チェック、2回ほどしましたが、
抜けありましたらお許しください。

では
「私の生きる意味」
よろしくお願いします。
51名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/01(金) 14:01:18 ID:PwJpaQbw
ああああ・・・上げてしまった・・・。

スレが下がってから公開させていただきます。
ほんとうにごめんなさい。
52名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/01(金) 14:02:52 ID:PwJpaQbw
あれ?上がってない?

ので乗せます。

スレ消費しすぎててすみません;;
53私の生きる意味sage :2007/06/01(金) 14:03:59 ID:PwJpaQbw
…寒い…

両腕を抱えてシーツの上で体を丸める。
それでもたまらずに、シーツをまくりあげ、その半分に体をくるませる。
寒い。
…誰か暖めて…


鍵を開ける音がする。
静かにドアが開く。
ああ、あの人が帰ってきた。
「あぁ、寒かったかい?」
床まで届く長いマントをひるがえしながら外し、それをおもむろに椅子へと投げ出す。
「一人にして悪かったね。同盟の件で揉めてて。
ったく、あいつら勝手なことばかり言いやがって…チッ」
私には何のことかわからない。
まだシーツにくるまったままの私に手が伸ばされる。
「今日のご褒美がまだだったね。ほら、おいで。」
剥ぎとられるシーツ。
やっと僅かに温もりを帯びていたのに。
「ご褒美」は別に欲しくなかった。
でも「ご褒美」を美味しそうに貰えば、その後暖かいものが貰えたから…

あの人がいつものモノ目の前に差し出す。
黙ってそれを口に含む。
汗ばんだ酸っぱい味がした。
でもこれが終われば、暖かい暖炉の前で食べるスープと、お気に入り毛布が待っている。
だから嫌な顔などせずに、黙って「ご褒美」を受けた。

「そろそろそのカッコにも飽きてきたな。」
暖炉の前でスープをすする私を舐めるように見ながらあの人が言った。
「かと言って転職さしちまったらもうノービス姿も拝めなくなるしなぁ…。
まぁ、ノービス姿っても殆んど裸だったけどな、ハハッ。」
何が可笑しいのだろう。
「裸になっちまえば何でも同じか。
そうとなったら…マジシャンならすぐそこの魔法学校で転職できる。
早速行こう。」
まだスープが残っていたのに、あの人はお皿を奪うとそれを机に乱暴に置く。
スープが机の上へこぼれた。
心の中で「もったいない」と呟いた。
洋服を引っ張り出すと、それを私に着せる。
こういう時だけはすごく優しくするんだ。
久しぶりに着る服はなんだかむず痒く、下着も不自然な部分を締め付けているようで気持ちが悪かった。
ずっと裸ばかりで居たせいだろうか…。
「いくぞ。」
54私の生きる意味sage :2007/06/01(金) 14:04:43 ID:PwJpaQbw
扉が開くとはりつめた冷気と乾いた風が私を刺した。
外へ出るのは何日ぶりだろう。
一週間?いや、二週間…?
この街へは暫く滞在していたが、
私が知っているのはあの何時も寒い部屋のある家だけで、
街の名前すらもうわからなくなってしまっていた。

「君にはアコライトとなる素質がある」

そう言われて、「プロンテラ」という街に舞い落とされたのはどれくらい前のことだっただろうか。
何をしていいのかもわからず、街をさまよった。
大勢の人が居た。
腰を下ろして話をする鎧姿の騎手と法衣の聖職者。
路上で商売をするカートを引いた商売人。
何やら看板を掲げ、
「タートルアイランドでハッケイを使えるモンクさん募集中〜!」
と叫ぶ人。
色々な人が居てわくわくしてきたが、いきなりの人混みに当てられ軽い目眩がした。
ちょっと落ち着こうと、人気のない大きな城のような建物の前に腰を降ろした。

「ねぇ?君ひとり?」
背後から男性の声がした。
「えっ!あっ、はい。一人です!」
緊張した。
男性は足元まで隠れるぐらいの長いマントに身をつつんでいた。
同じ服装の人はさっき街の中で大勢見たが、その男性は少し違っていた。
彼の足元はボンヤリと光り、そこから淡い光の渦が彼を守るように立ち上っていた。
「一人なら俺と一緒に来ない?色々教えてあげられると思うよ?」
たしか初心者修練場の教官が、
「この世界では他の冒険者たちと力を合わせていくのが大切」
と言っていた。
この男性は親切に私を助けてくれるつもりなのだと思った。
「はいっ!よろしくお願いします!」
「じゃついておいで。」
私の手を掴み立ち上がらせると、カプラで転送を使うように言い、小銭を握らせた。
言われるがままこの街へと降り立ち、彼の自宅であろう家に通された。
その家は生活感がなく、色どりもなにもなく、
ただ古ぼけた机と椅子が二脚、そして薄汚れた暖炉、一人用にしてはやけに大きいベットだけがあった。
「ここ、座って。」
「あっ、はい。」
差し出された椅子に腰を下ろす。
てっきりモンスターのいるフィールドで冒険の手解きでもしてもらえるのかと思っていたのに。
もしかしたらその前に講義や、地図を見ながらの下調べでもするのかな?
「いくつなの?」
「あっはい!15です!」
「15か…。ちょっと若すぎるけど、できない歳でもないな。」
「はい?」
「名前は?」
「リュカです。」
「リュカか。かわいい名前だね。」
そう言って私の前に立つ。
「…ありがとうございます…。」
どんな状況なのか、どうしていいかわからずに、うつむいた。
椅子に座った私の目線は、目の前に立った彼の股間の辺りにぶつかってしまう。
それが嫌で顔をあからさまに横に逸らせた。
「どれぐらい知ってるのかな?若いし、ノービスちゃんならまだ未経験ってとこかな。」
「は?」
何を聞かれたのかわからなかった。
「冒険もいいけど、そんなものより俺が女の子としての悦びを教えてあげるからね。」
彼が何を言っているのかがわかった。
咄嗟に立ち上がり、出口へと向かおうとする。
彼は素早くマントを広げると私の行く手を遮り、
後ろからくるむようにして腕でがっちりと抑えつけた。
「はっ…離してっ!」
「もう遅いよ?子猫ちゃん。」
そのままマントにくるまれて自由を奪われたまま、やけに大きいベットへと投げるように落とされた。
私がマントと格闘してる隙に、彼はシーツの下から古びたロープを取り出し、
慣れた手付きで後ろ手に私の両手首を縛りあげる。
「やだぁっ!やめて!お願いっ!」
「甘いこと言ってんじゃねぇよ?
この世界で女の冒険者が知り合いも頼らずにやってこうなんて甘過ぎんだよ。
こうやって生きてくしかねぇんだよ、お前は。」
さっきとは明らかに違う、ワントーン下げた声で冷たく言い放つ。
彼の長く細く、やけに冷たい指が私の首を押さえた。
「うっ…ぐうっ…!」
苦しい…!
顔を歪めると、彼は手を外し、
「わかったね?お嬢ちゃん?」
そう言って私の上着を乱暴に引き裂いた。
私にはもはや抵抗する気力はなかった。
ただ、自分の愚かさを恥じて涙が溢れ、
それがカビ臭いシーツへと染み込んでいくのを見ているしかなかった。
55私の生きる意味sage :2007/06/01(金) 14:05:28 ID:PwJpaQbw
彼は一方的に私の洋服を全て剥ぎ取ると、
自分は身なりを乱さずただズボンの前だけを開いた。
「ほら、しゃぶるんだ。」
彼が下着の奥からいきり立った男根を取り出す。
彼の指がそのモノを軽く擦ると、さらに伸びて膨らんだように見えた。
こんなモノを口に入れなければならないの…!?
初めて見る黒光りしたそれを自分の口内に入れるのかと思うと、寒気が襲った。
「ほら!くれぐれも歯立てんじゃねぇぞ。」
そう言うと私の唇に押し付けてきた。
もう、言うとおりにするしかなかった。
恐る恐る口を開けてそれを迎えいれた。
気持ち悪い…。
まるでこの世界には存在し得ない異世界の物質を呑み込んでいるようだ。
むわっとした生臭い匂いが鼻をついた。
「そうだ。そのまま吸い上げろ。舌も使うんだ。」
使うと言ってもどうすればいいのかわからない。
適当に動かしてみると、彼は
「違う、もっと立てて!」とか
「下からなぞるように!」と具体的に言いはじめた。
私は彼の言うまま一生懸命やった。
とにかく、早く終わらせて、このモノを口から外したかった。
「そうだ、そのまま続けろ。」
口の中のモノが膨れてさらに長さを増しているように感じた。
喉の奥へとそれが到達しそうになるたびに、
反動で歯を立ててしまいそうになるのを必死で堪えた。
「うっ…くっ、はぁ…っ、出すぞ」
そう言うと私の頭を掴み、ぐっと根元まで引き寄せた。
「んっぐぅっ…!」
激しい吐き気が襲った。
でも込み上げる胃液を抑えこむかのように、彼の先端からドクドクと苦い液体が流し込まれる。
あまりの苦しさと拒絶感で涙が溢れた。
彼は全てを出し切るとやっと私の頭を離してくれた。
たまらずに咳き込む。
今しがた流し込まれたモノが逆流してきそうだった。
「ふぅっ…、まぁ見込みアリってとこだな。」
わけのわからない感想を言われた。
まだ咳き込む私に構わず押し倒おすと、私の脚を大きく広げさせた。
「やあぁっ!…げほっ!やめてぇっ!」
片足と片手で私の脚を抑え付けると、
空いている片手で私の秘部を押し広げ、観察するように顔を近づけた。
「いい色だな。毛の具合も申し分ない…。」
何をもって申し分ないと言っているのかわけがわからなかった。
「あんま濡れてねぇな。まぁ初めてなら仕方ねぇか。
処女は面白いがそのへんが面倒くせぇ…。」
後ろ手に縛られて自由にならない両腕、かたく抑えつけられた両足。
もう抵抗することも、拒否の言葉を発することも、全て無駄に思えた。
この男は手慣れ過ぎている。
あまりにも隙がなかった。
「流石にちょっと濡らしとくか。」
そう言うと、唾液で濡らした指を私の深部へと差し込む。
初めて感じる異物感に鳥肌が立ち、思わずのけ反った。
「あああああっ!」
「だいぶ狭いな…。」
彼が腕を捻らせながら無理やりこじ開けてくる。
強烈な痛みが走った。
「いたあああぁぁぁい!やめてぇっ!」
「うるさい!我慢しろ!」
彼の指は止まらなかった。
さらに奥へ進み、中からもみほぐすように広げてきた。
「やあぁ…やめ…て…お願い…。」
腟全体が腫れ上がったように熱を帯び、痛みが鼓動と共に繰り返された。
「まだ濡れてこねぇな。ほんと手が掛かりやがる。しかたねぇな。」
そう言うと、私の秘部にある突起をきゅうっと摘んだ。
「はあぁっ!?」
全身を電気が走り抜けていったようだった。
「こっちの感度はいい方か。
舐めてやっからしっかり濡らせよ?」
摘まれてジンジンとしている突起物が、今度はぬめっとした感覚につつまれた。
ざらざらとした舌が突起物を転がし、根元から剥き上げられてあらわになった先端を突付いてきた。
「はぁぁうっ!?…やぁ…!やめてぇ…!!」
そのたびに背筋に電気が走り、その余韻が下腹部に熱く集中してくるのがわかった。
子宮が浮力を得たようにふわっとしてはシクシクと痛むのを感じる。
「もぅ…やめてぇ…お願い…お願い…。うっ…。」
涙が溢れた。
シクシクとした子宮が、熱い何かを排出していくのがわかる。
それが彼の挿し込んだ指と自分の隙間をじょじょに埋めて行き、
摩擦を取り去ってくれる。
痛みがやわらいできた。
その代わりに、ゾワゾワとした感覚が私の腰を覆ってゆく。
「よし…いいぞ。挿れられるな。」
「うっ…えっ……ぐすっ…。」
私はただ嗚咽を続けた。
情けなかった。
自分の感情とは裏腹に、人間として、動物としての本能が働いてしまったことが。
彼が私から指を抜いた。
「うっは…!初めてでここまで濡れてくるとは…!
お前いいものもってんじゃねぇか、ハッ。」
彼が手を私の乳房にこすりつける。
たしかにひどくぬめぬめとしていた。
生暖かいそれで乳房一面が覆われた。
もう、恥ずかしいとも何とも思わなかった。
ただ、早く終わってくれたら、それでいい。
それだけでいい。
「挿れるぞ。」
彼が私の上から大きな影を作って覆いかぶさる。
私は瞳を閉じて、思考を閉ざした。

その日の事はそれからあまりよく思い出せない。


それから私はずっと彼の家で過ごしている。
湿ったカビ臭いベットの中が、私の居場所だった。
彼はずっと家には居ず、出かけることが多かったが、
私を置いて行く時はドアも窓もしっかりと外側から施錠し、
窓ガラスにも外側からぶ厚い木戸を閉めて行った。
彼は家へ戻るとまず私の口で逝き、そして数回に渡って抱き、
その後暖炉に火をくべて私に食事を与えた。
私の思考力は最初のあの日からほぼ停止しており、
彼が私を抱くことさえも何も感じないようになっていた。
既に、眠る、食べる、排出する、抱かれる、と言ったように、
当たり前の出来事になっていった。
ただ、行為の後に与えられるスープと暖炉の炎だけが私を暖め、癒してくれた。
56私の生きる意味sage :2007/06/01(金) 14:06:11 ID:PwJpaQbw
私は唯一の楽しみを中断され、ムッっとしたが、
外に出れると知って久々に心が躍った。
外は家の中よりもずっと寒かったが、手足を思い切り伸ばして踏み出した。
「助けて!」と声を上げたら、誰か助けてくれるだろうか。
それとも皆無関心で遠巻きに見ているだけなのだろうか。
もし誰も助けてくれなかったら、彼は私にお仕置きをするだろう。
私には賭けをする勇気はなかった。
彼の手はがっちりと私の手首を握っていた。
「逃げようとか考えんなよ?な?」
手首に力が篭った。

「グラハム!何時の間に戻ってきたの?」
後ろから女性の声がした。
彼は振り向くと、
「おぅ。もう2ヶ月以上前だよ。」
「へぇ。しばらくゲフェンを離れてたから知らなかったわ。」
「もう攻城戦にも復帰してる。」
「そうだったんだ。…っと、この子は?」
「あぁ、気にすんな。俺のお人形さん。」
「…あんたまたやってんの?何でアリーナまで行ったか忘れたの?」
「そんなことねぇよ。彼女が俺に付いて来たんだ。な?」
…うなずくしかなかった。
「色々教えてやって、今もこれからマジシャンに転職させてやるとこだ。」
「マジにするんだ。アコのが似合いそうな子だけどねぇ。」
「ま、プロまで行くのはいろいろ面倒だ。マジシャンなら全て俺の範疇だしな。」
「…また変なこと考えないようにね。次の会議の時会いましょう。」
「おう、またな。」
法衣の女性はテレポートを唱えて掻き消えた。

ここはゲフェンで、どうやらこの建物は「魔法学校」と言うらしい。
彼に言われるがまま魔法学校の職員と話をし、
彼に渡されたアイテムを中央の合成機に入れて、輝く粉を取り出す。
それを職員へ届けると、私の全身を光が包んだ。
光で眩んだ目が慣れてくると、私の衣装が変わっているのがわかった。
さっきのとは違い、大きく足が露出し、
胸も膨らみがはっきりとわかるようなピッタリとしたものになっている。
「おっお〜…!いいな!やっぱ1次職んなかじゃマジシャンが最高だ!」
彼が感嘆の声を上げる。
私はと言うと、ずっと裸でいたせいか衣装の変化などどうでもよかった。
「これ…とってもいい?」
ずっと不自然に締め付けてきた下着の方が気になる。
「あっ、あぁ…。いいぞ!取っていいぞ!」
彼が息を荒げる。
衣装さえも気持ち悪かったが、さすがに裸で街を歩くわけにはいかない。
下着なら腰布で隠れて着ていないのはわからないだろうと思った。
私が下着をはずすと、彼はそれを取り上げてマントの内側に押し込み、
「早く家へ戻るぞ!…我慢できん!」
そう言って私の腕を引っ張った。

結局外に出れたのは、あの時が最後だった。
あの後家へ戻り、彼はまた私を繰り返し抱いた。
私はまた思考を閉ざして、終わるのを待っただけ。
2回目の夜が過ぎた頃、彼は
「大人しくしてろよ。」と言いのこして、出かけていった。
鍋にはスープが残っていて、暖炉には火が点り薪も十分に置いてあった。
私は毛布に包まりながら暖炉の前でスープをすすり、
満たされると、また湿ったベッドの上で丸くなった。
57私の生きる意味sage :2007/06/01(金) 14:06:52 ID:PwJpaQbw
そのままどれぐらいの時が過ぎただろう。
窓ガラスの向こうも厚い木戸で覆われているため、朝晩の区別もつかない。
暖炉の火だけの明かりしかないこの部屋には、時間を示すものがなかった。
あれから何度かスープを飲んだ。
鍋のスープは底をつきている。
薪もあと数本を残すのみになっていた。
彼は何日間留守にしているんだろう。
こんなに長く戻らないのは初めてのことかもしれない。
何かあったんだろうか。
別に彼の身を心配したわけではない。
彼が戻らなければ、必然的に私もここで朽ちて行く、それだけだ。
でもそれもいいかもしれない…。

コン!コン!

ドアがノックされた。
初めてのことで、私はベッドから跳ね起きた。

コン!コン!
「誰か居ないか?」

男性の声がする。
明らかにあの人ではないことはわかった。
これはチャンスかもしれない。そう思った。
シーツを頭からかぶって恐る恐るドアに近づいた。
「誰…?誰なの…?」
「居らしたか。私はプロンテラ城から雇われている治安維持部隊ゲフェン支部隊長のオルウェンと申す。
こちらに住むグラハム氏のことでお伺いした。中へ入れて欲しい。」
「あっ…はいっ。でも私には開けられないの…。」
「…やはり噂は本当であったか。戸を蹴破るので離れてくれ。」
「はいっ。」
男性が外から戸を数回蹴り上げると、古い木戸は簡単に部屋の中へと倒れてきた。
私をここへ隔てていたものは、なんと簡単に崩れたのだろう…。
男性が部屋の中へと入ってきた。
輝くほどに磨き上げられた鎧をまとった騎士だった。
胸元にはプロンテラ城の塔の形を模した大きな証をつけている。
「まずお伝えせねばならんが、グラハム氏は現在プロンテラ城地下に囚われている。」
「…えっ?」
「3日前の晩、プロンテラ市街にてある砦所有ギルドのマスターが殺害された。
その容疑がグラハム氏にかかっている。
目撃者も多数いるし、グラハム氏の容疑に間違いはないだろう。」
「…」
「グラハム氏が逮捕された後、身辺調査をしていたわれわれのところに、
グラハム氏が数日前少女を連れて歩いていたところを見たという証言が届いた。
彼は半年ほど前にも、少女を自宅へ監禁して暴行した容疑が掛けられていてね…。
それは証拠不十分でわれわれも彼を裁くのを諦めざるを得なかった。
グラハム氏がまた同じ犯罪を重ねているようであれば、
証拠をしっかりと押さえ、彼を逮捕したいと思っていたのだ。」
「…」
「君は、彼に閉じ込められてたんだね?」
「…」
黙って頷いた。
「ありがとう、教えてくれて。君はもう自由だ。
どうか我々に協力して、彼の犯罪の全てを明らかにして欲しい。」
騎士は私の肩を軽く掴んだ。
その瞬間、私の意識は遠のき、
自分が膝から崩れ落ちて行くのがわかった。
58私の生きる意味sage :2007/06/01(金) 14:07:35 ID:PwJpaQbw
気が付くと私は、ベッドの上で横になっていた。
いつものベットとは違う、ふんわりと乾いて、石鹸のいい香りがするベットだった。
「あぁ、気が付いた?」
女性の声がする。
銀の髪を腰まで伸ばした美しい女性が、赤い法衣に身を包んで立っていた。
「ここ…は…?」
「私の家よ。私の名前はセレア。あなたをあの家から連れ出した騎士の部下よ。」
あぁ…そういえば、そんなことがあったんだ…。
実感が沸かない。
「あなた…マジシャンのようだけど、ノービスの頃から…あそこに?」
頷いた。
「そう…。気が付いてあげれなくてごめんね…。私たちの務めなのに…。」
「私…どうなるの?」
「もうあなたの好きにしていいのよ。
でも、もしよかったらあの家であったことを私に話して欲しい…。」
あの家でのこと。
それを考えたら、今するはずもないカビくさいあのベットの臭いが鼻をつき、
暖かいはずなのに凍るような寒気が全身を走った。
涙が溢れてきた。
「…思い出させてごめんね。
つらいなら、もう思い出さなくていいわ。
何も話さないでいい。忘れましょう…。」
女性が私を優しく抱きしめてくれた。
すーっと寒気が引いて、彼女のいい臭いの髪が私の鼻に触れた。
「私…なんのために生まれてきたの…?行くところもない…なにをすればいいのかもわからない…。」
「そう。…じゃあ私たちと一緒に居る?」
「あなたたちと?」
「えぇ。私たちはわりと大きなギルドを持っているの。
あなたが会ったことのある騎士はそのマスターで、彼は国王からの信頼も厚く、
ギルドごとミッドガルドの街の治安を守る部隊に所属させてもらってるわ。
普段は各地の街の警備をしたり、パトロールを行ったり、
市街で犯罪が起こればそれを捜査したりもする。
でもそれだけでなくて、所有している砦を守るために、
他のギルドと攻城戦もしたりするわ。」
「攻城戦…」
「そうよ。あなたは経歴がないから部隊への加入はできないけど、
よければ私たちのギルドに参加して砦を守る戦いをしてみる?」
「いいの…?」
「いいのよ。でもさすがにその経験不足じゃ戦いには参加させられないから、
ちょっと鍛錬しないとね。
あなたはウィザードになりたいの?それともセージ?」
ウィザードは、あの男の職業であることはわかった。
セージと言うのはまったく知らない。
「私、あなたみたいになりたい…。」
「…でもあなたはもうマジシャンだから、
どうやってももうアコライトにもプリーストにもなれないの。
ごめんなさいね。」
「そうなんだ…。」
「何も知らないのに難しいでしょうけど、まず目指すものを見つけないとね。」
「…じゃぁ、セージにする。」
自然とあの男とは別のものを選んだ。
「そう、わかったわ。
セージは貴重な人材だし、ましてはその上位職のプロフェッサーになれば、
ギルドとしてもとても助かるわ。」
「プロフェッサーになったら役にたてるの?」
「そうね、すごく役に立つわ。」
「じゃあ…私、それになる。」
「ええ。頑張りましょう。」
「私、プロフェッサーになって、あなたたちの役に立ちたい。
あなたたちのために戦いたい。」
「…」
彼女は俯いたあと、私の目と見て言った。
「とても嬉しいわ。でもね、それだけじゃだめよ。
あなた自身が守りたいもの、あなた自身の足で歩いて探さないと。
これだと思ったら、ためらわずに掴みなさい。
でないと、失ってからその大切さに気づいて後悔しちゃうから。
それが見つかるまでは私たちと一緒に戦いましょう。それでいい?」
「うん。」

こうして私は彼女たちのギルドへ加入し、
セージになるため、さらにはその上のプロフェッサーを目指して、
日々冒険に勤しみ、
攻城戦の時には物資の用意をしたり、連絡係をやったり、
ギルドのために働いた。
ギルドマスターのオルウェンさんはロードナイトの紳士で、
私の男性恐怖症をあせらずゆっくりと治す手伝いをしてくれた。
今では男性とも普通に話せるようになってきた。
でも私が床に座って足を前で組むととたんに真っ赤な顔をして走ってきて、
頭をペチッっと叩くのだ。
「お前は足をむやみに持ち上げたらいかんといっとろーが!」
そう、私は未だに下着をつけることに慣れていなくて、
「今日だけは絶対につけなさい!!」とセレアにしつこく言われない限りつけていなかった。
さすがに洋服だけは我慢して着ていたけど…。
始終一緒にいてくれる2人は私が足を持ち上げるたびに前に回りこんでハラハラしているようだった。
ハイプリーストのセレアは今でも私の姉のような存在で、
日々の鍛錬の手伝いだけでなく、心のケアもしてくれる。
私の過去を知っているのはこの2人だけで、
他のメンバーは突然加入してきた弱々しい私を珍しそうに見たが、
今では分け隔てなく接してくれ、皆可愛がってくれる。
ここが、私の居場所なんだと思った。
セレアは自分自身が本当に守りたいものを探せって言ったけど、
このギルドの仲間がそれなんだと信じて疑わなかった。
彼らのために、戦い、生きて行きたいと思っていた。

そして私はセージへと転職できるまでになった。
イズルードから飛行船に乗る時、セレアが優しい目で見送ってくれた。
「新しいあなたを見つけておいで。」
そう言ってセレアが微笑んだ。
「うん!ありがとう!いってくるーっ!」
大きく手を振って答えた。
これからジュノーに降り立ち、セージとなる転職試験を受ける。
憧れのセージキャッスルは何度も下見に行って、細部まで知っていた。
最近ではヴァルキリー神殿へ通じる場所として、
訪れる人も増えたようだ。
あの場所でセージになる瞬間を想像しながら、
飛行船の甲板でさわやかな風を浴びて目を輝かせた。

新しい私になろう。

そう誓った。


Fin
59私の生きる意味sage :2007/06/01(金) 14:08:24 ID:PwJpaQbw
以上です。

改行とか考えたつもりでも、全然改善されてませんね。。
ほんとに失礼しました。
60名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/06/01(金) 14:13:53 ID:XrwLIEzI
2人のラブストリーだけでなくスナイパーの過去の清算まで、素敵な内容でした。
次回の作品にも期待してます
61名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/01(金) 21:26:03 ID:.NhZc.Z6
初体験話をリクエストした者です。

リュカの過去がとても気になっていたのですが
そういう過去があって、だからスナさんにあれほどまでに
心惹かれたんだな〜!っていろいろ補完されてすばらしかったです。
次の作品も楽しみにお待ちしてます!
そこで次回作への

っ燃料投下 「理由もなく体を売る聖職者の少女。快楽主義者。
       ある男性との出会いをきっかけに変わっていく。」
62名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/02(土) 01:24:00 ID:REE33gQE
なんかびっくりするほど話が上手く繋がってるね、

最初のハンターさんの方読んだ時は変なセージだなーと思ったけど
こうくらーい過去話を聞かされると随分印象も変わるもんだ
63名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/02(土) 18:06:21 ID:VyTQN0RA
教授子×♂スナ シリーズ
休日返上で続編を用意させていただきました。

諸事情あってタイトル未定です。

例によって誤字お見逃しお願い申し上げます。

初めて見る方にお願いがあります。
本作はシリーズものであり、前2作を読まないとまったくわけがわかりません。
初めての方はまず>>34-43を、
次に>>53-58をお読みいただけますよう、
お願い申し上げます。
その際、誤字と改行の見難さは、
見なかったこととしていただけるとありがたいです。
本人深く反省しております。

>>61
あなたのリクエストのおかげで、ここまで続いたと言っていいぐらい、
ありがたいと思っています。
燃料投下をいただきましたが、
教授子×♂スナに関しては個人的な事情で思い入れがあり、
せっかくいただきました燃料も、
現段階では私の中で燃焼させることが難しいです。
形にすることができず申し訳ありません。


個人的な萌えカップルなため、次々と受信する電波を
勢いで形にしてしまいました。
続けざまにレスを消費して申し訳ありません。
64タイトル未定sage :2007/06/02(土) 18:08:16 ID:VyTQN0RA
「あぁんっ…そこ…いいっ…!」

リュカがいつもの甘い声を上げる。

「ここ?それともこっちか?」
「あああっ!そこぉ!そこがあぁっ…!」
「ここだな。じゃこのまま行くぞ?」
「きて…!エドっ…!」
俺は彼女がいいと言う場所を目掛けて、集中的に突き入れる。
「ああぁんっ…!いい…いいよっ…!エドのがいいっ…!ああぁふっ…。」
「俺もっ…お前の中が…、っ…一番いいぞっ…!」
先端が当たるその部分から彼女の脈のようなものを感じる。
それとともに全体がしゅうっと締め上がり、ぞわぞわと奥から波打つような刺激を与えてくる。
まず、彼女の一番奥が固く締めあがる。
俺の張りつめた先端がそれを感じると、その後は彼女の全体的な締め上げがリズミカルになる。
ほら、なってきた。
リズムはだんだんと早くなり、強く大きく、見てもわかるほどになり、
それに合わせて結合部から飛沫が上がる。
俺も最後の理性で調節していたものを解放して、なすがままに上らせていく。
そろそろくるかな?
「ああっ…もぅ…い……っ
「いくぞ?」
彼女の訴えを遮ぎるように言い、最後の一番激しく大きな運動を繰り返した。
「ああぁぁああっ!いくぅっ…!ああぁんっ!!」
「あふぅっ…!くぅっ…!」
いつもの彼女のきつい締め上げと同時に俺も放つ。


「つ…疲れ…た。5回目…はぁっ…。」
「エド、お疲れさまぁっ♪」
リュカがチュッと口付けてきた。
「5回じゃねぇよ…。口で2回出してっから… 7回!?あほか!?俺は…。」
「あたしなんか10回はイってるよぅ。」
そう言ってぷぅっと膨れて見せた。
もう教授になって大分経つと言うのに、いつまで経っても幼い奴…。
どう考えても、俺、ロリコンじゃねぇか…。
「エドが10回もイかせてくれるぐらい、私を抱いてくれるのが嬉しいっ♪」
そう言うと俺に抱きつく。
まぁ…ロリコンだろうがなんだろうが、可愛いからどうでもいいんだが…。
それに顔に似合わず脱ぎだすと大胆に開かれるその肢体。
快感を感じ出すととろけそうになる瞳。
甘え上手なとこ。
俺をねだるその仕草。
それに忘れちゃいけないのが、常にノーパンなとこ…。
これには参った。
狩り中でもそれを思い出すと、俺のモノがひょっこり顔を出しちまうこともある。
「せめて狩り中ぐらいはパンツ履けよ…。」
と言うと、
「下着が気になって狩りに集中できないよっ!邪魔っ!!」
と言って聞く耳もたない。
そう、彼女は狩となると人が替わったようにシビアになる。
「後ろ!シャープ撃って!」
「そこアンクルしといてあっち先に処理!」
と、俺がどやされるほどだ…。
なんでこんな性質を持ったのかわけがわからんが、
とにかく彼女は全て俺好みで、俺を飽きさせなかった。


彼女は俺のフェイヨンの自宅に転がりこんできて、今ではほぼ同棲状態だ。
大体日中は狩りに出かけ、遠くの町で休み、また狩りをしつつフェイヨンへ戻る。
そして夜は毎晩最低でも1回は交わるか、
俺に動く気力がなければ彼女が口でして、俺は手で愛撫する。
そして抱き合いながらベットで眠った。
しかし最近は雨続きで、そんな日は家に居て適当にだらだらと過ごすのだが、
こう連日家にいてセックス続きでは…。
俺、干からびんじゃねぇか?
リュカは今日は出かけないとなると、家の中で1日中裸で過ごす。
なぜか必要以上に服を着ようとはしないのだ。
流石に誰か訪ねて来る時や俺が出入りする時は服を着てはくれるが、
二人きりになると別にこれから寝ようという雰囲気でなくても取り敢えず脱ぐ、と言った具合だ。
彼女いわく、
「だって楽じゃない?」
変な癖ではあるが、そのせいで俺を欲情させる瞬間は山のように溢れていた。

「リュカ、なんかお前、胸でかくなってねぇ?」
裸のまま食品庫から飲み物を取り出すリュカを見て言った。
「ん?…そうかな?」
「いや、確実になってる。俺の手がそう言ってる。」
「あはっ。そうかも〜。成長したかな?」
「成長、か…。…ってお前今何歳なの?聞いたことなかったけど。」
「ん?一昨日16になったばっかだよ?」
「あぁ、それならまだ成長する余地があんな、って……………16ぅ〜!?」
「うん♪」
「待てよ!?16って……!………くあぁぁ〜…!」
「どしたの?」
リュカが隣に腰を下ろして、俺を覗き込む。
「18歳未満とのセックスは違法なんだぞ!?」
「ん?そうなの?」
「そうだよ!馬鹿…!あぁ〜今更だが俺はなんてことを…。」
「でもそれって、同意じゃなかったりだとか、私の方から訴えた場合だけじゃない?」
「あっ…そっか…。同意だから別にいいのか…。」
ホッとした。
「んもぅ〜エドったらお馬鹿♪」俺の首に腕を絡めてまた口づけてきた。
さっき彼女が飲んでいたオレンジジュースの味がする。
もっとそれを味わいたくて、彼女の唾液をすするように吸い付いた。
「んっ…ふっ…。」
あっ、やべ。
またリュカのスイッチが入っちまう。
「そう言えば一昨日誕生日って、何で俺に言わねぇんだよ。」
慌てて口を離して言った。
「ん〜…実際私も忘れてたし。
ふっと思い出したときにエドが私をイかせるからふっとんだ、ふふっ。」
俺が突っ込めない言い訳だ…。
「とりあえず、16歳おめでとう。次はちゃんと二人で祝おうな?」
「うん♪ …で、エドは何歳なの?」
「……25。」
その差9歳…。犯罪ギリギリだな。


「そう言えばこの間の攻城戦どうだったの?」
俺たちは遅い昼食を摂っていた。
彼女は裸のままシーツを羽織って食事をしていた。
「ん〜ちゃんと防衛できたよ。」
彼女は毎週ギルドの攻城戦に参加している。
俺と出会う前から続けていることだし、
彼女はギルドに相当恩があるようだった。
俺は彼女を快く送り出し、その間は食料の調達などをして一人で過ごしていた。
「そっか、よかったな。で、お前は役に立てたのか?」
「…微妙。」
そうだろう。
彼女は火力に特化した教授だ。
体力が必要不可欠な攻城戦では、まともに役に立っているとは思いずらかった。
「そう言えば、マスターがエドに会いたいって言ってた。」
「え?俺に?何で?」
「わかんない〜。私がいつもエドの自慢話してるから?キャッ♪」
…何をどう自慢されているのか、想像したくなかった。
「じゃこれから行ってみる?」
「ほんと!?いくいくぅ〜!用意するね!」
彼女は被っていたシーツを投げ捨てると、服を取りに隣の部屋へ走っていった。
彼女のギルドにはそのうち挨拶をしなければならないと思っていた。
彼女が相当世話になっているし、
何しろGv向きではない教授に育ってしまったのも俺のせいだったから。
それに、彼女を応援してくれたというハイプリースト。
おそらく俺が過去に愛した女性かもしれない。
あえて確かめる必要はないだろうが、
俺がリュカと一緒に生きて行く上で、いずれは会わなくてはならないだろう。
どうせ避けれない道なら、早めに進んでおいた方がいいと思った。

あと、雨が上がるまでこのまま家に居たら、
俺が完全に干からびそうだったからだ…マジで。
65タイトル未定sage :2007/06/02(土) 18:09:10 ID:VyTQN0RA
プロンテラの城内。
ここの一角に彼女のギルドの駐屯地があるらしい。
リュカは慣れた様子で進んでゆく。
一方俺は初めての場所に緊張した。

「リュカで〜すっ!入りま〜す!」
彼女は一室に勢いよく踏み込んだ。
「リュカ!どうしたの?攻城戦のない日に珍しいじゃん。」
「今日は私のダーリンを紹介しに来ましたぁ〜!
これが私の大事なエドっちで〜す!!」
『っち』を付けられた上で初対面の人の前に出る気持ちをわかってくれ…。
「ども…初めまして。リュカが世話になってます。」
俺はちょっと頭を下げながら部屋へと入った。
「おおお〜っ!」
部屋に居た7人が一斉にどよめいた。
「君が噂のスナくんかぁ〜!!」
噂なのか…俺は。
「いやぁ〜俺らのマスコットのリュカをまさか独り占めされるとは!」
体力のない彼女がGvギルドでマスコット扱いなのは容易に想像できた。
「エド君。俺らの間ではリュカには手を出さない協定ができてたんだよ?
それを君が横からかっさらって行ったわけだ。
どう落とし前つけてくれるんだ?ん?」
アサクロがカタールを光らせ、俺の肩に手を掛ける。
「えっ…えーっと…。さらったと言うか…。」
むしろさらわれた気がしてたのは俺の方…。
「こらこらっ!なんてことしてんのあんたたちはっ!」
奥に居たクルセイダーの女性が声を上げると、
アサクロはピシッっと居直った。
どうやらこの部屋の中では彼女が上官らしい。
「ごめんなさいね、皆冗談が好きで。
ここの監督官のリータよ。宜しく。」
「あっ、どうも。」
差し出された手を受けた。
「ねぇリータ。セレアとオルウェン知らない?」
『セレア』
リュカが俺の前で初めて口にしたその名前は、やはり俺の予想通りだった。
「セレアなら砦に行ったわよ。
マスターは交代の時間がもう直ぐだけど、まだゲフェンじゃないかな?」
「ありがとう!エド、行こう!」
「あっ、ああ。」
リュカは俺の手を引っ張ると、まっすぐと城を奥へ抜けた砦へと向かう。
今更ながら、セレアに会うことをためらう気持ちが出てきた。
でも今ここでリュカの足を止める理由が見つからない。
俺は覚悟を決めた。

城を抜けると、もう雨は上がっていた。
正面の砦前に赤い法衣の銀髪の女性が立っているのが見える。
「セレア!」
リュカが大きな声で呼ぶ。
銀髪の女性は振り向くと、
「リュカ!?」と目を見開いた。
間違いなく、彼女だった。
「セレア!エドが来てくれたの。紹介する。」
「エド?」
「うん、私のダーリンだよ。」
リュカが振り返って俺を指差す。
セレアが今だ城の出口で動けないでいる俺を見た。
「…」
「エドー!彼女が私のお姉さん役のセレアだよ!いつも言ってるでしょ?」
「…」
セレアも俺も無言状態だった。
「?」
リュカが不思議そうに首を傾げる。
俺は近寄りながら、リュカには見えないように、背後からセレアに目配せをした。
セレアはすぐに察したようだ。
彼女は昔から頭の回転の速い女性だった。
「あっ…あなたが…えっと、エドさんか!よろしく、エド。」
「よろしく。リュカが世話になってます。」
俺たちは握手をした。
「セレア、もうオルウェンは帰ってくる?」
「そうね、そろそろ戻るわね。」
「私、途中まで迎えに行って、エドが来てることを知らせてくる!」
「ええ、それなら北の出口から行くといいわ。いつもそこから戻るから。」
「うん!」
リュカは俺が居ることも忘れた様子で駆け出して行った。
まるで父親の帰りを待つ子供のようだ。
リュカを見送ると俺たちは、目をしばらく合わせたあと、プッっと噴出した。
「まさか…!リュカの相手があなただったなんて…驚いた!」
「俺も。話は聞いていたけど、まさか君だとは思わなかったよ。」
あえて嘘をついた。
「だってリュカってば、あなたのことを
『ダーリン』とか『エドッチ』って呼ぶんですもの。
てっきり『エドッチ』って名前の人かと…ふふっ。」
「…あいつ…。何処でもそんな感じなのかよ…。ハハッ。」
俺たちは笑った後、ふうーっと深呼吸した。
「リュカは今とても幸せそうだわ。ありがとう、エド。」
「いや、こっちこそ。リュカが世話になってるし、
リュカが教授に転職するまでも相当助けてもらったみたいだな。」
「あぁ、たしかに手伝いはしたけど、少しだけよ。
実際私は仕事が忙しくてそんなに出かける時間はないし。
ほとんどあの子一人で頑張ったのよ。」
「そうか。でもありがとう。君がいろいろリュカの心の支えになってくれたようだ。」
「まぁね。出会いが出会いだったし…。」
「出会い?」
セレアの動きが止まった。
俺の目をセレアが見つめる。
俺はわけがわからなかったが、視線を逸らすことができずじっと待った。
「いえ、なんでもないわ。」
先に視線をはずして、セレアが言った。
気まずい雰囲気をどうにかしたくて慌てて俺は口を開いた。
「Gvギルドに入って、王立部隊の仕事までしてるんだってな。すごいな。」
「そうでもないわよ。まぁ…冒険を続けて行くのは私の性には少し合わなかっただけ…。」
「そっか…。」
まだどうにも気まずい雰囲気が続く。
「エド〜!!オルウェンが帰ってきたぁ〜!!」
リュカが走ってくる背後に、ペコペコに乗ったロードナイトの姿が見えた。
…ん?…どうも見覚えのあるような姿に思えた。
ロードナイトはペコペコから降りると砦の柵に綱をひっかけて、俺を見た。
「……エド!?」
「……ボブ!?」
「その名前を呼ぶなぁあああああ〜!!!」
ロードナイトが俺に飛び掛って口を塞いだ。
「んぐぐぐぐっ!」
「俺はオルウェンだああああ〜!!!」
ロードナイトは叫んだ。

「2人が知り合いだったなんて、びっくりしたぁー!」
リュカが楽しそうに跳ねて言った。
「かなりむかーしだけどな。一緒のギルドでやってたんだ。」
「あぁ。俺もまさかリュカのダーリンがお前だったとは夢にも思わなかったよ。」
「ほんとにな。俺だってリュカの『オルウェン』が、あの貧弱剣士の『ボブ』だったとは…。」
「言うなといっとろーが!!!」
オルウェンは顔を赤くして怒った。これ以上からかうのはまずそうだ。
「何で『オルウェン』なんて名乗ってんだ?」
「名乗っているわけではない!
国王から王立部隊への召集を受けた時、正騎士として国王から騎士名を授けていただいたのだ。
昔の名は捨て、今は『オルウェン』が俺の名そのものなのだ!」
オルウェンは偉そうに言った。
「へぇ〜、ずいぶん出世したもんだなぁ〜…。」
「あぁ。お前も俺につくか?ん?」
「ご冗談を!」
大きな声で笑い合った。
「そういえばエドはセレアとも…。」
オルウェンがそう言い掛けた時、
セレアがオルウェンの足甲を軽く蹴り、目配せをした。
「あぁ…、っと。二人は初対面だったよな。もう紹介は済んだ?」
「ええ。」
ぷぅーっ、っと音がしそうなほどリュカの頬が膨れた。
「つまんなぁーい。昔の話ばっかしちゃってさ。」
「あぁ、ごめんな、リュカ。」
俺はリュカの頭を撫でてご機嫌を取ろうとした。
「リュカ。」オルウェンが急にキリッとした声で呼びかけた。
「丁度よかった。次の攻城戦用の経費に計算ミスがあったんだ。
回復薬とブルージェムストーンが足りない。
リータが資料を持ってるから、アレクたちと一緒に行って調達してきてくれないか?」
「えぇ〜っ。そんなぁ…エドが居るのにぃ。」
「ほら、物資の用意はお前の仕事だろ?行った行った!
エドはその間飽きさせないように俺が接待しとくから。」
「もぉ〜っ。エド、待っててね♪すぐ戻るから。」
「あぁ、ちゃんとお仕事しといで。」
「うん♪」
リュカは城内へと駆け出して行った。
66タイトル未定sage :2007/06/02(土) 18:10:27 ID:VyTQN0RA
俺は砦の中の応接間に通された。
「まぁ座ってくれ。」
豪華なソファに腰を下ろした。
向いのソファにオルウェンとセレアが腰を下ろす。
オルウェンが神妙な声で話し始めた。
「俺はリュカに、お前に会いたいから一度連れてきてくれと言っていたんだ。」
「あぁ、聞いたよ。」
「そうか。俺としては絶対にお前に話しておきたいことがある。
お前には聞く覚悟はあるか?」
「オルウェン…待って。それは…。」
セレアが口を挟んだ。
「セレア、止めるな。俺は考えに考え抜いて、話すことに決めたんだ。」
セレアもそれ以上何も言えないようだった。
「覚悟って…。リュカのことか?」
「あぁ、そうだ。それを聞いてもお前はリュカと共に生きる覚悟はあるか?」

いったいリュカの何のことなのだろう。
さっぱり想像がつかない。
しかし、今この状態で俺が答えられる言葉は一つしかなかった。
「あぁ。俺はあいつを守る。何を聞いても。」
「そうか、なら聞いてくれ。」
オルウェンが静かに話し始めた。
オルウェンが初めてリュカに会った時のこと。
それ以前にリュカがどのような状況に置かれていたのかという事。
このギルドへ入ってきたばかりのリュカの様子。
マジシャンからセージへと必死だった彼女の努力。
そして俺と出会い、身をけずりながらプロフェッサーを目指していた過程。
俺の知らないリュカの過去が、オルウェンの重い口から語られた。
ショックだった。
リュカにそんな過去があるとは思いもしなかった。
たしかに、あどけなく世間知らずな彼女が、
俺と初めて一緒になった時の大胆な行為。
「初めてではない」とはわかったいた。
俺にもそれなりの過去はある。
あえて考えるほどのものではないと思っていた。
しかし、まさかそんな経験をしていたとは…。
「俺がこれをお前に話したのは、リュカを守るために大事なことをわかってもらいたかったからだ。
あいつは過去につらすぎる経験をしている。
あんなに始終はしゃいだ様子を見せているが、その奥には過去のトラウマを抱えていることをわかって欲しい。
そしてそれを引き出してしまうような全てのことから、お前はリュカを守らなければならない。」
セレアの閉じた目から涙が零れ落ちた。
「あなたと出会ってからリュカは本当に変わったの。
それまでリュカは夜ゆっくり眠れることがなかったぐらい、怯えていたわ。」
「今リュカが夜中に飛び起きたり、うなされている様子はあるか?」
オルウェンが聞いてきた。
「いや…そんな様子はまったく…。」
いつも同じベッドで抱き合って眠るが、俺が眠りを妨げられたことはない。
朝起きるとリュカの頭で俺の腕がしびれていることがほとんどなぐらい。
「そうか、ならお前のもとでは安心して眠れているってことだな。」
オルウェンが背もたれに寄りかかり、その身を反り返らせながら大きく息を吐いた。
「ふーっ。お前にならリュカを任せられそうだ。
俺は安心していいんだな?」
「…あぁ。」
俺の返事には力が篭らなかった。
「なんだ、そんな頼りない返事は俺は聞きたくない。」
オルウェンが再び前に乗り出して、真剣な口調で言った。
「いや…リュカへの思いは変わらない。俺はあいつを守る。それだけは絶対だ。」
ただ、ただ…、どす黒い嫉妬心が俺の心を支配してきていた。
俺の、俺のリュカがそんな変態野郎のペットのような状態で弄ばれ、
あのリュカの白い肌とほのかに赤く色づいた秘部が彼女の意思にかまわず汚されていたなんて。
その変態野郎を殺してやる…!
俺の固く握られた拳が震えた。
それを見たオルウェンは、
「…お前の気持ちはわかるが、それをリュカの前では出すなよ。
お前自身だけの問題だ。男なら、自分の中で処理しろ。」
「…わかってるさ。」
声が震えた。
「その…」
「ん?」
「そのウィザードは今はどうなってんだ?」
「…そいつはまだ拘留されている。プロンテラ内ではないがな。
殺人罪に問われていたが、被害者も犯罪者であることが後でわかった。
そのせいでそいつの刑は多少軽減されて、死刑には問われなかった。
リュカの件については、俺たちは公表していない。
公表して罪を問うとなれば、リュカの証言が必要不可欠だったからだ。
俺たちにはそれはできなかった。
まだ服役期間は相当残っているが、模範囚であれば短くなる可能性もある。
そいつが出てくるとしても…、
俺はお前にそれ教えることはできない。」
「そうか…。」
俺のこのどす黒い感情をぶつける術はないようだった。
自分の中で押さえ込むしか…。
「つらいことを話したわね。ごめんなさい…。」
セレアが俺を宥めるように言った。
「いや、…聞けてよかった。
知らなかったら、俺は、もしかしたら間違いを犯していたかもしれない。
ただ、あいつを甘えさせて、可愛がってやればいいと思ったかもしれない。
でもそれがあいつを本当に守ることにはならないとわかった。
今の俺なら、あいつを全てのものから守ることができる。」
「そうか…。」
オルウェンの顔が緩んだ。
俺も落ち着きを取り戻していった。
「ところでだな、あいつはまだ下着をつけてないのか…?」
オルウェンが俺の耳元で小声で言った。
「あぁ、いくら言ってもつけやしねぇ…。正直まいってる。」
「やっぱりか…。」
「家んなかでもいつも裸でうろうろしてやがって、どうにかして欲しいよ、まったく。」
「それもまだ直っとらんのか…。」
…はっと思いついた。
リュカのこの変な癖をオルウェンが知ってるってことは…!?
「おま…っ、まさかリュカの裸とか…見っ……!?」
思わずオルウェンの胸ぐらを掴んで迫った。
「ま、待て!そりゃ最初何もしらなくて多少は目に入ってしまったことはあるが、
決してちゃんと見てもいないし、何も感じてない!!」
「本当か!?」
「本当だ!!だいたいあんな幼い体見てどうやって欲情しろと…!
俺の好みはボンキュッボンなのだ!!」
「そうか…って、お前俺を愚弄する気か…?」
俺は脱力した。
「あっ!いや…人にはそれぞれ好みと言うものがあるしなっ!
お前はロリコン、俺はたまたまそうではなかったってことで…。」
さらに脱力する俺。
横でセレアがクスクスと笑った。

「まぁ…話は変わるが。」
オルウェンは急にギルドマスターの顔に戻った。
「エド、お前うちのギルドに来るつもりはないか?」
「俺が?」
「お前が攻城戦に興味がないのは昔から知っている。」
「あぁ、その通りだ。」
「攻城戦には参加してくれなくてもいい。
王立治安維持部隊の隊員としての仕事をしてみないか?」
「なんだ、スカウトか?」
「ああ。優秀な人材をスカウトして部隊の充実を計る。
それも部隊長としての使命だからな。
お前ほどの腕があれば隊員として申し分ない。
どうだ?考えてはくれないか?」
ミッドガルドの各街を守る治安維持部隊。
俺の性格からして、国王に忠誠を誓うなどガラではないが…。
さっき聞いたリュカの過去を思い出す。
街の治安を守る仕事をすることが、
リュカのような人知れず不幸な境遇に置かれた人たちを一人でも多く救うことに繋がるのではないか。
「悲しいことに、
この国にはまだまだ俺たちが想像もしたくないような酷い犯罪を犯す奴らがいる。
氷山の一角と言われようが、
俺たちはそういう奴らを一人でも無くし、
冒険者たちが安心して過ごせる国を造りたいのだ。」
痛ましい過去を抱えるリュカ。
彼女を今後そのような奴らに近づけず、
心穏やかに過ごせる世界を作るのには、
オルウェンの言うように地道な活動を続けて行くしかないように感じた。
それが最終的にリュカを守ることになる…。
「考えさせてくれ。返事は後日でいいか?」
「ああ。何時でもいい。
待ってるからな。」
「部隊に入るのはかまわない。
が、お前の部下になれと言うのが気に入らないぜ。」
俺はオルウェンの固い鎧の胸板を拳で打った。
「ははっ!まぁ建前だからな。」
「私も待ってるわ。」
セレアが微笑んだ。
「ああ。ありがとう。」
俺らは、それから昔話に花を咲かせた。
67タイトル未定sage :2007/06/02(土) 18:11:03 ID:VyTQN0RA
リュカと家へ戻ると、
早速彼女はまた裸になった。
「リュカ、話があるんだ。」
「なに?」
「俺、オルウェンの部隊に入ろうと思うんだ。」
「…ホント!?」
「あぁ。ギルドに加入して、部隊の隊員資格審査を受ける。
ただ攻城戦には出ないけどな。
俺は対人戦は好きじゃないから。」
リュカが俺に飛び付いてきた。
「すごいっ!格好いいっ!
エドなら絶対審査に受かるよ!」
「ああ。オルウェンが国王宛に直接推薦状を書いてくれるそうだ。
審査と言っても形式だけだよ。」
「ああ〜っ!エドの隊員姿、絶対格好いいよ〜!早く見たぁ〜い。」
「きっと直ぐ見れるさ。」
「私も部隊に入りたいなぁ〜。」
「二十歳になったらな。
後4年もあるな。
それに、パンツ履いてないと入れてもらえないぞ?きっと。」
「むぅー。」
俺の胸に頬を充てるリュカの頭を撫でた。
彼女の緑色の髪は艶やかに降りて、背中へと流れている。
初めて会った時から大分伸びた。
明らかに、セレアに憧れて、彼女のようになろうとしているのがわかる。
健気なリュカ。
可愛いリュカ。
可哀想なリュカ。
愛しいリュカ。
…俺のリュカ…。
彼女の白く細い肩。
緩やかに背中から腰へと伸びる曲線。
俺の両手におさまってしまいそうなほどにひき締まったお尻。
フッと、何もなく薄暗い部屋でシーツにくるまり震えている彼女の姿が浮かぶ。
俺が愛しいと思う彼女の全てが、そんな風に晒されていた。
そんな思いは、もう二度と俺がさせない…。
彼女を抱く腕に力を込めると、耳許で囁いた。
「抱いてもいいか…?」
「…?いいよ?」
今までそんなことを聞いたことなどないせいか、
リュカは少しキョトンとしていた。
68タイトル未定sage :2007/06/02(土) 18:11:40 ID:VyTQN0RA
リュカの前髪を撫で上げると、キスをした。
当たり前のようにお互いの舌を絡めあう。
お互いの口内を探るように、出し入れを繰り返えした。
「あふっ…んふっ…。」
リュカのスイッチが入る音がした。
俺のスイッチは既に入っている。
わずかに口を離すと、リュカは
「あふぁっ…。」っと溜まった呼吸を吐いた。
俺は舌だけを伸ばし、
甘い息が漏れてくる唇をなぞるように辿った。
「んん…。」
そのまま首筋から耳へ、また首筋を伝って肩へ、
肩先から鎖骨を伝って胸へ、彼女の体を舐め上げる。
「あぁ…っ。はぁっ…。」
リュカの体からは今日の雨の味がわずかにした。
まだお互い立ったままで、俺は腰を落とし、
リュカの右の乳首を吸う。
始めに音を立てて吸い、それから歯で甘噛を繰り返す。
「あぁんっ…。」
噛んだ乳首に舌を立て、リズミカルに弾いた。
同時に左の乳首を親指と中指で軽く挟み、
人指し指で上から押しつぶすように刺激した。
「やぁん…っ。」
左手はそのままに口を離して、
彼女の乳房の縁を舌でなぞり、
わき腹から足の付け根を辿る。
少し上がり下腹の中央の窪みに舌を尖らせて差し込んで、
マッサージするように上下させた。
「あはっ…やだぁ…。」
俺は完全に両膝をついて身をかがませていたが、
リュカを少し押して、後ろにあったテーブルに手をつかせる。
リュカが体重を手で支えだすと、
彼女の片足をあげて俺の肩へと掛けて、
彼女の薄い茂みに顔をつけた。
彼女の内太ももには、既に愛液の雫が流れた跡があり、
足元の床にも小さく濡れた跡があった。
もう知り尽くしている彼女の秘部の突起に舌を伸ばし、
左手を外側から後ろへ回し、彼女の深部へと伸ばした。
すこし触れただけで俺の指へ愛液が滴り落ちてきた。
舌をクリトリスに軽く充てるだけにして、
既に十分に湿った俺の指で彼女の割れ目を摩る。
「くちゅ、くちゅっ」っと音を立てる。
リュカは俺の指が膣口に近づきすぐ離れて行くたびに
「あぁっ…。」と声を発した。
膣口の上で指を止めると、
今度はその周りだけを円を描くように辿らせた。
「やぁだぁっ…なんで…?…はぁっ…。」
リュカは俺がなぜ指を挿し込まないのかが理解できないようだった。
俺の指から腕へ、彼女のから流れ出る愛液がつたい、
肘から雫となって床へ落ちていくのを感じた。
「エッ…エドッ…。なんか…言って…よ…?はぁんっ…。」
俺はただ彼女をより高い快感へと導くことだけに集中していた。
返事をせずに同じ行為を繰り返していると、
彼女の秘部がひくっ、ひくっと全体を奮わせた。
これはいつも俺の分身が彼女の中で感じている、
彼女が絶頂を迎える前触れの反応だ。
それでも俺は指は挿し込まず、
大きく剥き出したクリトリスへ充てた舌だけを少しだけ細かく動かした。
「あああぁぁぁぁんっ!!」
彼女が突然大きな声を上げると、
指の先の膣口がぎゅうっと閉じて、その後リズミカルに収縮を繰り返した。
彼女の膝から力が抜け、机についた手と俺の肩へのった足だけが体を支えている。
「あ、あ、あ、あ、あっ…あぁ〜っ…。」
何も入っているはずのない彼女の膣口から、飛沫がぴゅうっと跳ね上がった。
それが俺の首筋に当たり、服へと染み込んで行った。
リュカは腕にも力は入らなくなってしまったようで、
俺に体重を預けながらじょじょに腰を落とし、床へと座り込んだ。
「はぁっ、はぁっ…。」
大きく息をする。
「エド…ずるいよぅ…。何も入れてくれないなんて…。」
「リュカ…ごめん。…でもすげぇ可愛かった。」
「どしたの…?今日、いつもと感じ違う…よ?」
「…」
何も答えずに彼女を抱きかかえ、ベットへと下ろした。
それから俺を服を脱ぎ、また改めて彼女の全身を舐め上げた。
彼女が俺に語らない過去の中で、
彼女の体にわずかでも残ってしまっているその「跡」がないかを探すように。
そんなものが一片たりとも残らないよう、彼女の全てを俺で洗い流したかった。
「ふぅっ…あっ、ふっ…。」
彼女はそのポイントポイントで体を細かく震わせた。
最後に彼女の太ももに残ったさっきの愛液の雫を綺麗に舐めとり、味わった。
「エド…お願い…。エドが欲しいの…。挿れて…?」
彼女が潤んだ瞳で俺に懇願する。
俺自身ももう限界だった。
彼女に覆いかぶさり、先端を愛液の水溜まりへ伸ばす。
これ以上ないくらいピンと張りつめたモノは、
手を添えずとも、十分に潤いすぎている彼女の深い部分へとすんなりとあてがわれた。
ゆっくりと、味わうように挿し込む。
「あああっ…きてぇっ…!」
なんてこった。彼女の空洞は入るなりすぐに俺に絡み付いてきた。
ずちゅっ…。
根元まで到達するとそんな音を立てて、愛液が隙間を登り溢れてきた。
「リュカ…愛してる。」
「私も…エド…。」
口付けを交わした。
「お前の全てを、俺が、包んでやる。」
「うん…!」
俺はゆっくりと運動を開始した。
さっき何も挿れずにイかせてしまったせいだろうか。
彼女の中は待ち焦がれた刺激に爆発したかのように震わせ、波打っている。
すぐにリズミカルな締め付けを始め、
俺は自分の登りつめる衝動を巧みに調節しながら、
彼女の絶頂も手に取るようにタイミングを操った。
俺自身、昨日の夜から数えて8回目の行為に当たるから、
調節するのはそう難しくはなかった。
ただ、彼女の方はそういうわけではなさそうだ。
「ああっ…!うんっ…!やだぁっ…エド……っ!」
「…どうした?」
「いっ、イきたいのぉっ…!じらさ…ない…でっ…ああぁんっ!!」
「何でイきたいの?」
「…エドっ…のっ…エドのおちん…ちんでっ…イかせてっ…欲しいの…あぁあっ!」
「どうして俺の…で、イきたいの…?」
「好きっ…愛してるっ…の…!」
「俺を?…それとも、俺のちんちんだけ?」
「りょっ、両方っ…!ああはぁっんっ…!エドがっ…全部好きっ…!!」
「俺も、リュカの全てを…愛してる…!」
リュカの興奮を高めようと始めた言葉プレイだが、
俺の興奮も抑えきれないほど登りつめてしまった。
もうこれ以上の調節は無理だ。
「リュカ…!俺が…イかせてやる!」
さっきまでじらしていたその部分を強く打ち込む。
「あぁぁあああっ…!!エドぉっ!!いいのぉっ!いい〜っ!!」
「イ…イけよっ…!俺のでっ…はぁっ…イっていいぞっ…!」
「イくうっ…!エドっ!あああぁあっ!!いっちゃうぅ〜っ!!」
ぎゅうっと閉めあがる膣口。
飛沫がぱあぁっと飛び散った。
「あああああああぁぁっ!!エドーーっ!!」
「リュカ……っ!うっ…はぁっ…!!」
俺の先端から発されたモノが彼女の一番深い所を打ち付けると、
俺たちは失神したようにそのまま倒れこみ、二人で暫しの眠りへ落ちていった。
69タイトル未定sage :2007/06/02(土) 18:12:47 ID:VyTQN0RA
俺が意識を取り戻すと、リュカはまだ可愛らしい寝息を立てていた。
まだ俺のモノはまだリュカの中へと収まったままで、
ゆっくりと引き出すと、
愛液と白く濁った粘液が混ざり合い流れ出してきた。
それが吸い込まれるようにシーツへ染み込んでいったが、
俺たちがひとつとなっていたその布団の窪みは、既にジットリと湿っていて、
「いくらシーツを洗ってもきりがねぇや…。」
なんて現実的な事を考えてしまった。
俺の興奮は収まっていたが、
リュカを本当の意味でずっと守りたい、
さっき彼女を抱く前に決意したその思いは、まったく醒めてなどいなかった。
リュカとは数え切れないほど交わったが、
あれほどお互い興奮したのは初めてだったかもしれない。
あのレベルのセックスを毎回求められたらどうしよう…
なんてギャグみたいな後悔が、俺をフッと笑わせた。
近いうちにまたプロンテラ城のオルウェンに会いに行き、
今日の返事をしよう。
それから俺たちはきっとプロンテラへと居住を移し、
毎日王立部隊の紋章をつけて出勤していく俺をリュカが見送るんだ。
きっとリュカはそんな俺を
「ますます惚れ直しちゃった♪」
なんて笑って、またおねだりをするんだろうな。

リュカ。
俺がお前を変えたように、俺もお前に変えられた。
俺たちは暗い過去を抱えていたり、生きる意味を見失っていたり、
共に寂しい道を歩んできた。
その道がぶつかり合った時、俺たちは激しく惹かれあい、
そして今は完全に重なった1本の道となった。
もう分かれ道に出会うことはない。
2人でこの道を歩いていこう。
彼女の寝顔に誓い、
そして彼女を抱えるようにして、俺はまた眠りへと落ちていった。

Fin
70タイトル未定sage :2007/06/02(土) 20:13:09 ID:VyTQN0RA
シリーズ完結となります。
読んでいただいた方、ありがとうございます。

ストーリーをお褒めいただく言葉をいただきましたが、
自分でもわかっているとおり文章力が未熟すぎですし、
また誤字も多く、長く見づらく、
読み手の方にご苦労をおかけしたかと思います。

ここに書き込んだことをきっかけに、
暫し修行に励みたいと思います。
また読み手の一人に戻らせていただきます。
ありがとうございました。
71名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/02(土) 21:21:04 ID:VJCZshGs
>>70
お疲れ様です

読むの好きでしたよ
また機会があったら是非、小説を書いて下さいね
その日を楽しみに待ってます
72名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/03(日) 09:27:23 ID:WSd1Zul6
うん、良かったと思うんだ。
次回があることを気長に待ってますね。
73名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/04(月) 11:19:44 ID:iKPW1sUE
まさにGJ!

次回作も期待して待たせてもらいます!
74名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/07(木) 22:47:49 ID:gJZXMi2U
またWikiに変な項目増えてますよ。
あと、現行スレが16になるのはいつのことやら…
75名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/08(金) 02:27:23 ID:5IhIi03Q
さっき見てたけど踏んでないといいなぁ…
76名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/11(月) 23:51:38 ID:resent7g
思わず書き込み。
守りたくて強くなるはずが目標失って、
惰性で狩ってたら光って転生しちゃったアサクロがここに…(苦笑)

読んでて色々感じるものがあったので、つい書き込んでしまいましたとさ。
77名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/14(木) 02:58:49 ID:803D6oJY
久しぶりにスレを開いた、今日はどうしても寂しくて1人で埋めたかったからだ
ある意味せっぱ詰まっていた、欲していた状況で読んだのは久しぶりかもしれない
3番目の文章を読みながら温かい気持ちで満足できたよ
置かずにできるかといわれれば無理だろうが、スレタイに沿った良い作品だと思う

最初のハンター転生編は二重表現(頭が頭痛で痛い、など)が目立ったり
語尾が「〜である」と「〜であった」のバランスが悪い(後者が多かった)など
なんというか斜め読みしてしまったのだけど、だんだん直っていったのが不思議だ
途中の助言なども加味されたのかもしれないが、格段に良くなっている
ただ会話と地の文がほどよく混ざらずにそれぞれが塊として交互に存在してる感じかな?
あとは比喩表現を増やすと柔らかくなるかもしれないと思った
色を示すのにも日本語は類を見ないほど便利なものってのは物書きとしては基本知識で
情景描写についても思考にからみつくくらいがちょうど良い
なんとなく今の感じだと立て札の点字を指でなぞって読んでる具合だが
もう少し婉曲表現や比喩を増やすことで綿とかゼリーのような感触を楽しめるようになる
点字は触覚に語りかける感じだが、綿やゼリーは肌に広範囲で語りかけるからな

と、なんとも前半と後半で文章レベルが違うアドバイスだが届くかどうか?
これでも高校時代は文芸部の部長をやっていて
部員の作品のアドバイスなんかも担当していた過去があったりする
「お前は作家より編集者の方が向いているな」とか言われると今でも複雑な気分だ
78名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/16(土) 14:41:45 ID:zFsc8Fpw
>77
最初の4行と最後の3行イラネ
たった7行で横柄なお節介にしかみえん
79名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/17(日) 01:11:08 ID:/1wnal3A
>>70
だいぶ遅いですがGJです、とても楽しく読ませてもらいました。
機会があったらまた70さんの小説を読んでみたいです
80名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/17(日) 18:41:44 ID:N1lOQ2fw
アドバイス自体が無意味だとは言わないが
マジ批評するとスレがアレになるのは
ここに限らず創作スレ全般の常識だろうが…。

>>77自重
81名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/17(日) 21:04:33 ID:WHA.BmNU
編集者が向いてるといったその友人の目は節穴だな
向いてるのは批評家だろう
82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/17(日) 21:51:32 ID:K0cK9Ni2
いいから話を切り上げないか。
83名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/18(月) 13:08:58 ID:fXtK34og
>>70
リュカという名前だとどうしてもドラクエ5の主人公が浮かんでしまうドラクエ小説好きな俺
そんな俺のアホ脳は置いといて、よかったですぜ。年の差ハァハァ
8470sage :2007/06/19(火) 14:09:35 ID:kcKKKdsg
感想ありがとうございました。
いろいろ改善しつつ新しい作品を生み出そうとしても、
なぜだかリュカとエドの話から離れられません(悩
第1話を手直しした上で、第1話のリュカサイドからの話を書いてみました。
第1話の内容+リュカのエピソードが入るので
うざいぐらいの長編になってしまいました。
読んでみたいと思う方が一人でもいれば、書き込ませていただこうかと考えてます。

>>77さん
ご意見ありがとうございました。
文章つたなくてすみません。
比喩ですか、いろいろ勉強してみます。
自分自身がこういう直接的な表現の方が萌えるせいか、
そうなってしまっているのだと思います。
置かずにならないと言われたのはちょっとションボリでした。
♂一人称だとやはり想像の粋を出ないので、無理やりだったかも。
そのへんはやはり勉強!勉強!しかないなぁと思ってます。
85名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/19(火) 23:09:03 ID:jfk.f9hs
もう随分前なんだけど剣士♂とソヒーがえっちな事したり
ソヒーの無念を晴らしたりそのソヒーが人間に生まれ変わって剣士とくっつく

ってな感じのSSがあって、また読みたくなったんだが誰か覚えてないだろうか
8670sage :2007/06/25(月) 13:32:28 ID:OLUfhufY
スレを独占する勢いですが、投下させていただきます。
練習で書いてみたつもりでも、やはり誰かに読んでもらえたらなぁ
と思ってしまうものですね・・・。

前3作とシリーズは違いますが、同一世界の話です。
登場人物が重複していたりします。
本当は前3作とこの話の間には、もう一つ話存在します。
が、それは駄っぽいのであえて出さずに、
今回のものを読んでいただけたらと思います・・・。

>>85さん
自分も読んだ覚えはありますが、どこだったか・・・;;
87もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:34:39 ID:OLUfhufY
最近の俺は玉砕続きだった。
まったくツイていない。

俺はとある有名Gvギルドに所属している。
以前は別のギルドに所属していたのだが、
ある大手ギルドの砦に攻めいった時、そこで防衛していたあるハイプリーストに一目惚れした。
彼女との接点を持ちたいがために、前のギルドでの地位も仲間も捨て、そのギルドに飛び込んだ。
そこで彼女は新人教育を担当しているようで、俺は彼女と二人きりの部屋で講義を受ける日々…
と、そこまでは良かったが。
どう見ても彼女はマスターの女のようだった。
あの屈強なマスターから彼女を奪えるはずもない。そんなことしたらギルドもクビに間違いなし。
よってアタックする前に玉砕。
次にギルドへ加入して来た可愛らしいマジシャン。
厳つい転生職や二次職の中にあって、彼女の儚げな姿には誰もが注目していて、俺もその中の1人だったわけだ。
ある新人メンバーが彼女に手を出そうとしてマスターの怒りを買い、ギルドをクビになったとのウワサが流れた。
そんな状況で誰が彼女に手を出せるだろうか。
と言うわけでこちらも行動する以前に玉砕。
(しかし彼女は教授になった途端にギルド外の男と同棲生活をするようになったらしく、その男が何とも羨ましい…)
次に、配属された班の班長だったクルセイダーの上司。
献身クルセだけあって体格はよかったが、可愛らしい顔でいい声をしていた。
攻城戦中俺に献身してくれる彼女に、ほのかな恋心を抱いた。
今回だけはアタック前に玉砕するようなこともなく、
俺は彼女に告白した。
「ずっと俺だけを献身してくれないか…?リータ。」
「は?」
「いや、だから…ずっと俺だけのために…」
「私は班長として部下全員をまとめ守る義務がある。お前だけを特別視するわけにはいかない。」
「そういうことでなくてだな、えっと…。」
「用はそれだけか?」
「いや…まだ…。」
「これ以上時間を取らせるとは、よほど重要な用事なんだろうな?」
「…」
「早く言え。」
「…何でもないです。ゴメンナサイ。」
「うむ。」
と言うわけで告白(?)したのに玉砕。

俺は惚れっぽいみたいだ。
惚れっぽいわりに今まで特定の彼女なんてものは居たためしがなく、
抱いたことがあるのも商売女ばかり・・・。
しかしそれも最近は今のギルドの規律が厳しすぎて、ご無沙汰だ。
アサシンからアサシンクロスへと転生を果たした時は、
「これで孤独なソロ生活とはおさらばだ!」
なんて思ったが、あいも変わらず相方のできない日々。
町でいちゃつくカップルを横目で眺めつつ、俺はギルドと部隊の仕事をこなす日々を続けていた。
88もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:35:54 ID:OLUfhufY
ある日、俺の班はプロンテラ内で不法に営業している売春宿の摘発に向かった。
この手の商売は後を絶たない。
今日も仕事の一連の流れの中での作業となるのに間違いはないと思っていた。
路地を入った奥に、古びた民家がある。
普通の民家を装った売春宿のようだ。
俺たちは打ち合わせ通り、経営者に悟られないよう出入り口を封鎖し、
一気に踏み込んで宿内を制圧した。
中には経営者のオヤジと数人の売春婦。
売春婦たちは若くなく、皆そこそこの見た目。
これでは正式な届出をして国に上納金を納めていたら経営は成り立たないだろうと感じた。
班長のリータは経営者のオヤジを後ろ手に縛り上げて、
他のメンバーに各部屋を捜索するよう命じた。
俺も一番奥の一室に踏み込み、中を捜索した。
中には売春婦は居らず、ただそれをする用のベットと、終わった後に使う簡易シャワー室、
そして古い箪笥だけが置かれていた。
ここに異常はないな、と思った時に、箪笥の足元の床に不自然についた傷が目に止まった。
箪笥の足からきれいな曲線を描き伸びている。
これは、箪笥を何度も引きずった時についた傷だと予想できた。
気になって、その傷の通りに箪笥を動かしてみる。
すると箪笥の背後からは腰ぐらいまでの高さしかない古い木戸が現れた。
これは隠し扉だな、とピーンと来た。
俺は柱に縛り付けられたオヤジの所へ行って、
「あの奥の部屋の隠し扉はなんだ?」
と聞いた。
「ヘヘッ、見つかっちまいやしたか。
今さら隠そうったってそうはいきませんよねぇ?」
「そりゃそうだ。正直に言え。」
「あの中には、女がいるんすよ。」
「女?売春婦か?」
「違いやす。売春婦なんかとは比べもんにならない女ですよ。」
「どういう女だ。」
「さるお方から預かったんすよ。ある薬と一緒にね。
ただそのお方は今はしょっぴかれちまって、
誰も引取り手がない状態でやしてね。」
「そいつは誰だ。」
「オーラウィザードのグラハムって人ですよ。
昔からの付き合いでね。
今は殺人を犯したとかで服役中ってらしいすよ。」
「そいつから女を預かったって言うのか?」
「へぇ。特別な事情のある女でしてね。」
「事情?」
「さっき薬も一緒に預かったって言いやしたっしょ?
その薬で眠らせておかないと大変な女なんすよ。」
「どう大変なんだって?」
「それは旦那、起きてからのお楽しみっすよ、ヘヘッ。」
「なんだ、お前、ちゃんと言え。」
「起きたら最後、もう眠らせる薬はないから、大変なことになりやすよ。
デヘヘヘヘッ。」
その時、リータが戻り、オヤジを柱から解いた。
「レン、私はこいつを連れて城へ戻り尋問に入る。
あとのメンバーは売春婦をとりあえず施設へと収容させるよう指示してくれ。」
「はっ。」
「お前はここの始末をつけておいてくれ。
終わったら城に報告にくるように。以上。」
「了解しました。」

リーターはオヤジを連れて城へ向かってしまった。
他のメンバーも売春婦を連れて施設へと向かって行った。
俺は民家を装った売春宿に一人残ったわけだが、
あの隠し部屋をどうするか悩みに悩んだ。
このまま一度城へ戻ってリータやオルウェンに報告するべきか、
それとも今ここで扉を破り中を確認するか…。
中に居るのは女だと言う。それも何か事情のある。
オヤジの口ぶりだと女は薬で眠らされているようで、
木戸の奥は物音一つせず、この騒ぎにも気がついていないようだ。
俺は、中に居るのが「売春婦ではない女」と言うのが気になって、
とりあえず報告はせずに眠っているであろうその女を放置することにした。
89もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:37:11 ID:OLUfhufY
俺はその日の仕事が終わると、あの民家へと向かった。
日は完全に落ちていて、路地には人影もない。
俺はクロークしながら封鎖されている民家の扉へ近づき、こっそりと忍び込んだ。
そしてあの奥の部屋の隠し扉に向かった。
扉の奥は未だ物音一つしない。
中に居るという女はまだ眠ったままのようだ。
と言うか、そもそもこの中に女が居るかどうかさえも怪しい。
あんなオヤジの言うことを間に受けてしまった自分の馬鹿さに気がついた。
どうせ開けても中は物置とか隠し帳簿やらがあるだけだろう。
そう思って、戸を思い切り蹴破った。
中は暗闇で、低い入り口にはそぐわないちゃんとした高さの天井がある部屋だった。
広さは…さほどない。せいぜいベット2つ分と言ったところか。
しかしこの暗闇では様子がよくわからない。
「ベノムダスト!」
俺は毒地帯を床に作りだし、その毒が淡く発する紫の明かりで様子を探ることにした。
「!」
女が居た。
まさか本当に居たとは…。
その女はマットを敷いただけのベットの上に横になっていた。
服装からするとアコライトのようだ。
この売春宿に居た女たちとは比べ物にならないぐらい若い。
若いと言うよりは…幼い。
透き通るような白い肌。肩上程度の栗色の髪。
幻かと思うほどの儚げな姿をしている。
しかし幻ではない。彼女は眠ってはいるようだが、生身の人間だった。
「スー、スー」と軽い寝息の音が繰り返される。
「おい。起きろ。」
俺は彼女の肩を掴みゆすったが、一向に起きる気配はない。
相変わらずの穏やかな寝息だけが繰り返される。
「おい!起きないか?」
どうやっても起きる様子がない。
俺は実際に女が居たこと、それにその女がどうやっても目覚めないこと、
どれも非常に面倒だと思ったが、それを放置することもできず、
とりあえず女を背負って自宅へ連れて行くことにした。
女を背負おうとすると、床に小さな紙屑が幾つも転がっているのに気がついた。
赤色と青色、2色の丸められた紙屑がいくつか散乱している。
広げてみると、中には何もなく、紙自体がコーティングされているようでツルツルとしていた。
まるで、何か粉薬を包むような紙に似ている。
そう言えば、オヤジが「薬と一緒に女を預かった。」「薬で眠らせている。」と言っていた。
さしずめこれは睡眠薬か何かが入っていたんだろう。
しかし色からして2種類の薬があったようだ。
もしかしたら、一方は眠らせるための薬、もう一方は起こすための薬、なのかもしれない。
散乱した紙の中に、1つだけきれいな赤い包みの紙を見つけた。
開けてみると、予想通り何かの粉が入っていた。
他には包みは存在せず、オヤジが「もう薬はない。」と言っていたのを思い出した。
これが最後の起こすための薬ってわけか。
俺は女を背負うと、その薬を服の胸元に挟み込み、その民家を後にした。
90もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:37:58 ID:OLUfhufY
俺は寮に入っているメンバーが多い中、以前のギルドに居た時から使っている自宅があったので、今もそこに住んでいた。
ベッドへと女を降ろす。それでも女は起きる気配はなかった。
やはりこの薬で起こすしかないのか。
俺は薬の包みを忍ばせた胸に手を充てる。
ふとオヤジの言っていた言葉を思い出した。
「起きたら最後、大変なことになりやすよ。」
いったいどうなるというのか。
考えられることとしては、目覚めた彼女が俺を見て大声を上げて、助けを叫ぶ。
近所の人が気づき、俺は少女を誘拐した疑いをかけられてしょっぴかれる…。
そんなぐらいのことしか思いつかなかった。
かといってこの少女をこのまま眠ったままにしておくわけにはいかない。
目覚めさせて、大声で叫ばれようが事情を説明し、身元を判明させてそれなりの処置をしなくてはならない。
俺は決意して胸元から薬の包みを取り出した。
それを彼女に飲ませようとして、矛盾点に気がついた。
完全に熟睡している少女にどうやって薬を飲ませたらいいのか。
考えたあげく、薬を水に溶かし、それを俺が口に含んで口移しで流し込むしかないと思った。
意を決して、彼女の口元に自分の唇を合わせようと近づいた。
少女の唇はわずかに開かれ、淡いピンク色の豊かな膨らみが真珠のように艶を帯びている。
その美しさに俺はあやうく薬を飲み込みそうになり、グッとこらえて、彼女の口に薬を流し込んでいった。
薬が彼女の口へ入っていくと、彼女は「ん…ん…」と声を出した。
早くも覚醒し始めてきたのかもしれない。
とりあえず、俺は彼女が俺を最初に見たときに人攫いと勘違いしないように
衣服の皺を整えて、王立部隊員である証の紋章をわざとらしく胸につけた。
「ん…ふっ…。」
彼女の目がじょじょに開く。
すると彼女の瞳が素晴らしい鳶色をしているのがわかった。
まるで吸い込まれるような鳶色・・・。
彼女の目が完全に開いたところで、俺は叫び声を上げられる前に!と思い、
「おはよう!俺は治安維持部隊隊員のレン。君をある民家から保護した!」
と大きな声で言った。
彼女はむっくりとベッドから起き上がると俺を見た。
覚醒した彼女は眠っている時よりも現実味のある姿になってはいたが、
それでも何かケースに入った人形のような、世間からは隔離された近寄りがたさがあった。
「えーっと…聞こえてるかな?」
「…」
「よければ名前とか教えてもらいたいんだけど…。」
てっきり驚くやら叫ぶやらの反応があると思っていたのに、無言のまま俺を見つめてくる。
いったいどうなってるんだ?
痺れを切らしそうになったところで、彼女が一言目となるその言葉を発した。
「ご主人さま。」
「へ?」
「ご主人さま。お待ちしておりました。」
ご主人さまとな??俺にはさっぱりわけがわからない。
「今日もご褒美くださいませ…。」
彼女は続けてそう言うと、自分で服を脱ぎ始めた。
「ちょちょちょちょっ…!な、何してるんだ!?」
慌てて止めようとしたが、彼女は何のためらいもなく脱いでいく。
クリーム色のボレロを脱ぐと、長いピンク色のワンピースの脇のボタンを外し、流れるように腕を抜く。
あっと言う間に彼女のおわんのように張り出した小ぶりの乳房が現れ、
その頂点には淡いピンクの乳首が2つ、ツンと立ち上がっていた。
彼女はそのままワンピースから足を抜き、下着一枚の姿となった。
少女だとばかり思っていたが、そうでもなく、彼女の体の曲線は男を奮い立たせる魅力が十分にあるものだった。
彼女を形作る白い肌全てが透明感で輝いていて、俺は思わずボーっと見入ってしまったが、
ハッと我に帰り、
「だだだだめっ!とにかく着て!服着て!!」
と彼女の脱ぎ捨てられたワンピースを掴んで突き出したが、彼女はそれにかまわず最後の下着を外す。
やばい、これはやばいぞ。何かの罠なのか!?
誰か俺をはめようとしているのか!?
などとあり得もしないことを考えてしまうほど混乱してきた。
彼女は一糸纏わぬ姿になると俺の前に立ち、
「ご主人さま…。可愛がってください。」
そう言うと俺の前に膝まずき、俺の股間へと手を伸ばしてきた。
「…えっ?えっ!?な、なに!?」
彼女は慣れた手つきで俺のベルトを外してズボンを下げると、
俺の分身をやわらかく掴み自らの顔の前へと取り出す。
「えっ?えっ!?何すんの!?」
明らかにこれから俺がされようとしていることは想像できる状態だったが、
そんなことが在りうるわけがないし、と大人しく待っていられる状態ではなかった。
だが、やはりその通りで、彼女は俺のモノを口に含むと、すぐに滑らかな動きで俺を擦り上げてきた。
「ふ、ふうっ…、ちょ、ちょっと…まてって…!」
そう言いつつ、それ以上言葉は続かなかった。
売春宿の奥で眠らされていた少女。その少女に俺は今犯られている。
素性のまったくわからない女なんて、商売女よりも性質が悪い。
しかし、しかし、…この状況は…この気持ち良さは…!!
「んっ…ちゅぷっ…ちゅ…ちゅうっ」
彼女は夢中で俺をしゃぶり続ける。
これは、もしかしたら、俺が今まで相手にしてきた商売女たちよりも、
数段上の腕前(?)かもしれない。
それにこのあどけない顔でそんなに夢中にしゃぶられる様子を見せられてしまったら…。
と思うと、俺の中で蓄積されていたものが久々に猛スピードで一気にせり上がってきた。
「ああっ!だめだ!…出ちまう!!」
思わず叫んでしまった直後に、堰を切ったように溢れ出す俺の分身共。
それでも彼女は擦ることを止めず、
出ていくそばから俺の快感の証が追加されて行き、いつまでもイキ続けていくような感覚に襲われた。
さすがに暫くすると俺の放出は止み、彼女がゆっくりと口を外す。
彼女の頬は俺が放ったもので膨らんでいた。
彼女は指の一本を口の中へと差し込むと、ゆっくりと引き出して、
指についた俺の精液をウットリとした目で眺めた。
口へ残ったものをゴクッ、ゴクッを音がするように数回に分けて飲み込み、
精液のついた指を自らの股間へと這わせた。
俺は快感の余韻が残った頭で、それを見ていたが、ふと現実に戻された。
これはやばいことになってしまった。
どうしてこんなことに!?
以前混乱する俺をよそに、彼女は自ら秘部をまさぐり
「あぁん…、ご主人さまぁ…ここにもくださ…い…っ。」
と潤んだ目で俺に懇願してきた。
彼女の手で弄られているその部分からトロリとした粘液が雫となって垂れて行くのが見えた。
どうしたらいいんだ…。彼女の言うとおりにしてしまってもいいのか!?
迷っていると彼女は俺に背中を見せて膝まづき、四つんばいになってお尻を突き出すと
足を開いてわざとその部分を俺から見えるようにしてきた。
「ぁん…はぁんっ…」
そう喘ぎながら彼女の白く細い指が穴に射し込まれ、細かく出入りを繰り返す。
もう一方の手の指はこれまた真珠のような淡いピンクの突起を擦っているのがわかる。
「はぁ…あふぅっ…ごちゅじんしゃま…お願いちまちゅ…
ここ…入れてくだちゃい…リルのこと…犯してくだちゃい…。」
そうロレツの回らない口調で言うと、ヒダを指で広げて、入り口をはっきりと見せ付けるようにしてきた。
広げられた入り口の奥は無限にぬらぬらと光っていて、とめどなく愛液が溢れでてきていた。
もう、ここまで来てしまったら、入れても入れなくても一緒のような気がしてきた。
同じならば、彼女の望んでいるようにしてあげた方がいい、よ、…な?
そう無理やり言い聞かせると、俺は彼女が待っているその穴に自らを挿し込んだ。
「ひゃあぁぁん!あぁんっ…!ご主人さまぁ〜っ、リル嬉しい!!」
「いいのか?いくよ…?」
一応聞いてみておく。
「くだしゃい〜!一番奥までご主人しゃまのおっきいのください〜!!ぁああんっ!」
俺は現実を振り切って、望まれるまま突き上げることにした。
「ああぁんっ!ああん!!ご主人さまぁっ、とてもいいですぅ〜!もっと、もっとぉ〜!!」
さっきまでの迷いは何処へやら。
俺は瞬く間に突きつけることに夢中になった。
久しぶりのセックスだからだろうか。
いや、それだけではない。
今まで抱いたどの女よりも、彼女のそれは素晴らしいものだった。
体が小ぶりのせいだけとは思わせないほど狭く、全体を程よく締めつけてくる。
内部はまるで細かい溝が幾重にも続いているようで、その溝が愛液を絡めながら俺の竿を擦り上げる。
彼女の秘部は全く毛がなく、ほぼ肌の色と同じ色をしていて、
ピョコンと顔を出したクリトリスと入り口のヒダだけがピンクに色づいている。
それが愛液にまみれて宝石のように輝き、俺の動きに合わせて透明な飛沫を上げる。
こんなことをしているのに、なんて言うか、彼女の喘ぐ姿はまるで芸術品のようだった。
「はあぁん!ごひゅひんさまぁ〜すごいですぅ〜!
ひゃあぁん!あふっ!リ、リル、イってしまいますぅ〜!」
「そうかっ…はぁっ…イっても…いいっ…よっ…。」
「あぁぁんっ!リルのっ、リルの奥の所にっ、ひゃあぁん!
ごひゅひんひゃまの、一番濃いのっ!…せーえき入れてくだしゃいっ!ひゃあははぁんっ!」
「よしっ…!いくよ…!」
「あぁぁん〜!せーえき…せーえきお願いします…!
はぁぁんっいっちゃいますぅ〜!あぁぁんっっ!」
彼女がイきはじめると同時に更に締め付けがキツくなり、俺の先端が爆発したかのように吐き出していった。
彼女がそう望んだように…。
91もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:38:37 ID:OLUfhufY
彼女の体の震えが止まるのを待ち、俺は緩んだ分身を彼女から引き出した。
俺の濁った精液と彼女の透明な愛液とが混ざり合って流れ出てきた。
突然彼女はむっくりと起き上がると四つん這いになり、股間へと手を充てて流れ出るそれを受け止め始めた。
そして手についたそれを丁寧に舌で舐め取っていく。
「ペろ…んちゅ…せーえき、おいしいですぅ…ペろ」
俺は正直呆気に取られた。
商売女たちの中にはある程度客の希望を聞いてくれる奴もいて、
希望のシュチュエーションでのセックスに応じてくれたりもする。
恥ずかしながら俺にもメイド風プレイなんてものを希望したことがあった。
でもいくらそんなプレイだと言っても、ここまでするような女は当然見たこともなかった。
彼女はそれが当然かの如く、実に美味しそうに精液と愛液をすすり舐めてゆく。
「んちゅっ。ご主人さま、ご褒美ありがとうございました。
次のご褒美は後ろで戴いてもいいですか…?」
「へ?後ろ?」
「はい。ココです。」
そういって四つんばいになってお尻を持ち上げると、
さっきとは違う股間の後ろ側にあるもうひとつの穴へ指先をちょっとだけ差し込んで示して見せた。
「ココ!?いや待って!突然そんな…。」
「だめですか?」
「だめとかそういう事じゃなくてね、とりあえずだね、話しを…。」
「お口に戴けるんですか?」
「…違う、違う。君と話しがしたいんだ。」
「もぅリルにはご褒美をくださらないんですか?」
彼女はそう言うと大粒の涙を流し始めた。
「あああ〜泣かないで…。ご褒美は…えっと…また今度にして…。
とにかく君のことを教えてくれるかな?」
「ぐすっ…お話ししたらまたご褒美戴けますか…?」
「…う、うん。またきっとあげるから…だからまず服を着よう。ね?」
「…はい。ぐずっ。」
なんとか通じたようで、彼女は服を着始めた。
快楽に身を浸したのも束の間、俺はとんでもない事に巻き込まれたような気がして後悔していた。

「まず…名前は、そうだ、リルっていうのかな?」
俺は服を着た彼女を椅子に座らせ、お茶を差し出した。
しかし彼女は受け取ろうとはしないので、仕方なく側のテーブルへと置いた。
「はい、ご主人さま。」
「えっと、まずそのご主人さまって呼ぶの、辞めてくれないかな。
俺はレン。ただそう呼んでくれたらいいから。」
「はい、ご主人さま。」
「…」
と、言った感じで話しはなかなか進まない。
夜中に彼女をあの売春宿から連れだしゴニョゴニョがあった後でこんな会話の進み具合。
大方のことが分かってきた時にはもうすっかり夜が明けていた。
やばい、俺は今日も出勤の日だった。
眠い目をこすりながら仕事の支度を始めた。
「え〜っと、リル。俺は仕事に行かなくちゃならないから、その間ここで1人で待ってられるかな?
誰か来ても扉を開けたりしちゃだめだよ。」
「はい。帰ったらご褒美を戴けますか?」
「ご褒美っつーと…。えーと、その…だっ、抱いてあげたらいいのかな…?」
「はい。レンと一つになって、リルの中にレンのせーえき、戴けますか?」
「あっ…ああ。…そんなに欲しいなら…またあげるからさ…。」
「ありがとうございます。お帰りお待ちしてます。」
俺は楽しみなような、先が思いやられるような…複雑な思いで仕事へ出掛けた。
92もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:39:28 ID:OLUfhufY
俺は仕事の休憩時間を潰してまでモロクを訪れていた。
どうしても確かめたいことがあったからだ。
一晩かけて聞き出した彼女の話しはこうだった。
アコライトとなってすぐ、彼女は声を掛けてきたウィザードに付いて行き、その男の家で過ごしてた。
彼女はそのウィザードに処女を奪われ、長い期間その男の相手をして過ごしていたようだ。
男を「ご主人さま」と呼ぶことも、セックスの仕方も、全てその男に教え込まれ、
ほぼセックス漬けの毎日を過ごしていたらしい。
男に抱かれ、精液をその身に受ける。それだけが彼女の生活の全てだったようだ。
だがある日、男に薬を飲まされると意識を失い、目覚めた時にはあの売春宿の一室に見知らぬ男と居たらしい。
彼女はためらいなくその見知らぬ男を「ご主人様」と呼び、何回にも渡って彼女の言うところの「ご褒美」を受けた。
そしてまた意識を失うと、目覚めた時にはまた別の男と居てご褒美を受ける。
そんな事が何度となく繰り返された。
そして、彼女の一番新しい「ご主人様」。それが俺だったというわけだ。
彼女の話しからはこれだけを理解するのがやっとで、
後のことは彼女を監禁していたウィザードに確かめるしかないと思った。
城の資料室にある裁判記録を調べると、殺人罪で服役中のグラハムというウィザードに目が止まった。
名前もあの売春宿のオヤジが言っていたのと一致する。
俺はウィザードが服役しているモロクの監獄を目指していた。

俺は監獄へ着くと、看守に胸の王立治安維持部隊の証を見せ、囚人のグラハムと面会させるよう言った。
面会室で待っていると、手錠を掛けられたウィザードが看守と共にやってきた。
部屋には二名の看守が同席していた。
「だれだ?あんたは。」
ウィザードが聞いてきた。
「初めましてさ。リルのことを聞きたいと言ったら理解できるかな?」
ウィザードの目が反応した。
「…いいだろう。ただし人払いをして記録を取らないことが条件だ。
そうでなきゃ話すつもりはない。」
「わかった。」
俺は看守たちに「全ての責任は俺が持つ」と言い聞かせて部屋を出てもらった。
改めて奴と向かい合わせに座って気持ちを落ち着かせてから話し始めた。
「リルを知っているんだな?」
「ああ。俺がおもちゃにしてた女だ。」
「彼女を自宅に連れ込んで暴行した上に長期間に渡って監禁していたな?」
「まぁ…そういうことになるかなぁ?」
ウィザードの不真面目な返事にイラっとした。
「その後彼女を売春宿に預けただろう。それはなぜだ?」
「治安部隊の奴等が俺を怪しんでて取り調べられそうになったからさ。要するに証拠隠滅。
まぁ実際に取り調べを受けたが、証拠不十分で釈放さ。フッ」
まるで誇るかのように鼻を鳴らしながら笑った。
その舐めた態度に俺のイライラはどんどん大きくなる。
「彼女に飲ませていた薬は何だ?何処から手に入れた?」
「あれは持続性の睡眠薬と強力な催淫剤だ。
両方共非合法薬を作って売ってるアルケミから買った。
催淫剤の方は睡眠薬から覚醒させる時に使う。
強い興奮で覚醒してそのまま淫乱モードに突入するってわけさ。」
「どうしてそんなものを彼女に飲ませた?」
「最初は逃がさないためとセックスを楽しむために使ったが、
そのうち薬を使わなくても十分淫乱になっちまってな。
起こしておくと始終セックスばかりねだるようになって大変だったから、
大人しくさせとくのに使った。」
なんて奴だ。
己れで彼女を監禁しておきながら、まるで彼女を面倒な道具のように扱っていたと言うのか。
「彼女は今、俺が保護している。」
「へぇ!そりゃお前さんラッキーだったな。
あれはいいオモチャだ。どんなことでも言うこと聞く。
まぁ俺としてはそれじゃあ面白味に掛けるがな。
やっぱり抵抗されてこそのレイプだよ。
まぁ兄ちゃんにはまだその辺は早いだろうから、
あのオモチャにせいぜい奉仕してもらうといいさ。ヘヘッ」
「貴っ様ぁっ!よくもそんな…!!」
俺は思わず立ち上がると奴の胸ぐらを掴み、間にあった机を蹴飛ばして退かすと奴を壁に強く押し付けた。
「どうしました!?」
大きな物音に二人の看守が慌てて部屋へ駆け込んできた。
俺は構わず続けた。
「お前のせいで1人の少女の人生と人格が狂っちまったんだぞ!?」
「ハハッ…自衛しない方も悪いのさ。
俺は可愛い捨てネコが路頭に迷ってたから連れて帰って、可愛がってやっただけだ。
そして飼えなくなったんで人に預けた。それだけだ。」
「彼女をネコなんかと一緒にするな!!」
俺の怒りは収まるところを知らなかった。
奴をさらに強く締め付けて、もう一度壁に叩きつけた。
「やめてください!囚人への暴行は禁じられています!」
二人の看守が俺と奴の間に割って入り、引き離した。
俺の息は上がり、奴を締め付けていた手が怒りで震えた。
「はあっ…。俺は正直なだけさ。
兄ちゃんにもあるだろ?男なら可愛い女を抱いて思いどおりにしてみたいって欲求がな。
俺は兄ちゃんみたいな臆病者の代わりにそれを実現してやったまでだ。感謝しろや?」
これ以上この男には何を言ってもムダだ。
「俺は責任持って彼女を救う。貴様は臭い飯を食い続けるがいい。」
「ケッ」
奴が唾を床へ吐き出すと、そこには血が混じっていた。
俺は部屋を出るとすぐプロンテラへと舞い戻った。

プロンテラへ戻ると次の目的の人物に会いに行った。
うちの部隊付薬剤師のアルケミストだ。
彼はアルケミスト連盟の副会長も努めているほどの優秀な薬剤師だ。
俺は彼の事務所を訪ねると、リルの存在は上手く隠しながら、彼女が飲まされていた薬について聞いてみた。
「たしかにそういう非合法薬を製造して闇で販売している奴等がいると聞いたことがあるな。」
「そうか。例えばだな、そういった薬を長期間に渡って服用した場合、
何らかの副作用が出たりとかするのかな?」
「副作用?」
「そうだな、人格がやられるとか、脳がやられて思考力や状況把握能力が落ちるとか…。」
「もともとは合法な薬を改造したものだから、そこまでの副作用はないと思うよ。
ただ長期間となると、依存性のが心配だな?」
「依存性?」
「ああ。服用している時間が長くなってくると、
服用していない時の自分と服用している時の自分が逆転してしまう。
要するに、薬を服用した状態の自分が本当の自分だと認識してしまうようになって、
薬を服用していなくても服用中のような症状が出たりする。」
「そうか…。」
彼女はまさにそれかもしれない。
強い催淫剤を服用し続けて、本来から淫乱な性質であるかのようになってしまった。
「その依存性ってのは治るのかな?」
「はっきりとは言えないけど、
まず薬の服用を辞めて、本来の自分を思い出させるカウンセリングを受ける。
急激な変化を求めるとストレスがかかって反発が出るからね、あくまでもゆっくりだよ。
あと相反する作用を持つ薬を少量ずつ服用していくってのもあるね。」
「そうか、よくわかったよ。ありがとう。」
「こんなことなら何時でも。また何かあったら遠慮せず聞いてくれ。」
「…ああ。」
きっと近いうちにまた彼の助けを借りることになるだろう。
93もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:40:10 ID:OLUfhufY
俺は仕事を終えて帰る道すがら、彼女をどうするか考えていた。
今の彼女では男を見るたびにセックスをねだりかねない。
やはりちゃんと治療やカウンセリングを受けたほうが良い。
しかし表に出すとなると、彼女のことをどう説明したらいいのやら…。
正直に売春宿から保護したと報告しようにも、俺は彼女と既にあんなことをしてしまったし、
売春宿の摘発からはもう丸一日以上が経過している。
今更リータに報告して、時間が経ってしまっているのを追求されたらどうしよう。
どうにも八方塞がりだった。
彼女の極度の淫乱性質さえおさまってくれれば、外に出しても何とでも説明できるのだが…。
と考えていたところでアクビが襲ってきた。
…そう言えば俺、一睡もしてないんだった…。
帰ったらとにかく寝よう、うん。
そう思って自宅のドアを明けた。
彼女の姿は見えなかった。
外へ出たのかと一瞬あせったが、奥の寝室からほのかな灯りとか細い声が漏れているのに気が付いた。
どうやらそこに居るようだ。
「リル、ただいま。入るよ?」
「……」
返事はなく彼女のか細い声がかすかに聞こえた。
…この声の感じは…!?
思いきって戸を開けると、彼女はベットの上で裸になり、一心不乱に両手で股間をまさぐっていた。
「はぁあぁんっ!あぁん〜!欲しいのぉ〜ココにおちんちんとせーえきが欲しいのぉ〜っ!
ひゃぁあん…はあっ、はぁっ…」
「こ、こらっ!止めるんだ!」
彼女の片腕を掴んで股間から離すと、その手はすでに愛液にまみれていた。
快楽に夢中になっていた彼女が俺に気が付いた。
「ご主人さまぁ〜っ!!!」
彼女は鳴き声を上げて俺に抱きついてきた。
「ただいま。…だめだよ、一人でこんなことしてたら…。」
「だって…だって…。リル、寂しかったの。ご主人さまが居なくて…。」
「ご主人さまって呼ぶのはだめって言っただろ?」
「ごめんなさい…。リル、ご褒美貰えないと、どうしていいかわからないの…寂しいの…。」
そう言って彼女は俺の胸に顔を埋めながら、大きな涙を溢した。
なんて哀れなことなんだろう。
彼女はこれまで他人と関わってきたのはセックスが全てだった。
普通の人間が会話やスキンシップでコミュニケーションを取るように、
彼女はそれをセックスと言う形でしてきた、いや、させられて来たんだ。
彼女にとってセックスが他人と関わる術であり、唯一他人のむくもりを感じられる手段だったのだろう。
そんな手段しか知りえない生活を強いられてきた。
彼女は淫乱なんかではない。
ただ、ただ、寂しかっただけなのだろう…。
「リル…よく聞いて?
セックスだけが人と係わる手段じゃないんだ。
こうやって話したり、抱き合ったりするだけでいい。
セックスなんてしなくたって、俺は君の傍に居るんだ。」
「…本当?」
「ああ、本当。仕事に行ったりはするけど、ちゃんと君のもとへと戻ってくる。」
「リル、もうせーえきもらえないの?」
「それも違う。君が心から愛して信頼できる人に出会えた時、その人と一つになってそういう事をしたらいいんだ。
だからもう初めて会った人や知らない人とそんなことしちゃだめだよ。」
「うん…。じゃあリル、レンとだけにする。レンだけのせーえきもらう。」
「え?俺!?」
「レン、リルに優しくしてくれたもん…他のご主人様と違って痛いことしなかった。だからレンが一番好き…。」
「そ、そっか…。じゃあ…、俺のところに居るか…?」
「うん。リル、レンと一緒に居て、せーえきいただきたいです…。」
「えーっと…、それはそんなしょっちゅうあげるようなもんじゃないから…。特別な時にあげるから。ね?」
「うん。」
と言うわけで、彼女は俺と居ることになった。
本当は医者に見せてちゃんとした治療を受けさせることも考えたが、
今俺がそんなことをしたら彼女は怯えて俺さえも信じられなくなってしまうかもしれない。
そんな最悪な状況は避けたかった。
時間がかかってしまうだろうが、俺が責任を持って見守ろうと思った。
「リルね、凄くぐちゃぐちゃなの…。レンの居ない間、レンの事考えてたら濡れちゃったの。
ココにレンのおちんちんが欲しい…。」
そういうと何処までも澄みきった鳶色の瞳を潤ませて、俺を見つめてくる。
…今さっき、特別な時だけと言ったばかりなのに…。
だからと言って突然彼女から快楽を取り上げるのも惨いことだろう。
そう思って、
「じゃあ、これはご褒美じゃないよ?
俺がリルを愛して、リルも俺を愛して、お互いが求め合ってするセックスだ。
わかった?」
と彼女に言い聞かせた。
「うん。リル、レンのこと好き…。」
そう答えると、裸の体をぴったりと俺に合わせてきた。
あぁ、なんて柔らかいんだ…。
力を込めたら折れてしまいそうなほどのか細い腕で、必死に俺にしがみついてくる。
俺の中に、どうしようもない彼女への愛しさと、
同時に男としての本能的な部分がこみあげてきた。
俺はズボンを下ろすと既に大きくそそり立っている分身を取り出し、
ベットに腰掛けたまま、彼女を向かい合わせに膝へ乗せた。
彼女はゆっくりと腰を下ろしながら、自分へと俺のモノをあてがう。
既に潤っていた彼女の中にゆっくりと入っていく。
「あぁあんっ…!レンのが入ってくるよぅ…っ。」
「リル…嬉しい?」
「嬉しい…!レンと一緒になれて嬉しい…。」
「そっか。じゃあ…動いてごらん?」
「うん。レンも気持ちよくなってね…?」
そう言って軽く腰を浮かせては重力に任せて落ちて行き、また反動で浮かせていくのを繰り返す。
「はぁんっ、ああんっ、あぁんっ…!きもちぃよぉっ!レンのおちんちんきもちぃ〜っ!」
「俺もっ…気持ちいいよ…。」
リルの動きはだんだんと大きくなり、腰をくねらせるような前後への動きも追加されていった。
「ひゃぁはぁんっ!あぁはぁんっ!せーえきっ!レンのせーえきちょうだぁいっ!!」
彼女の口からは唾液が垂れていた。
「あぁ…リルの中にっ…、俺のヤツみんなやるぞ…!」
「はやぁくぅ〜っ!ひゃあああんっ!イっちゃうぅっ!せーえきっ!せーえきぃ〜っ!!」
「いくぞ!!」
俺は彼女のお尻を両手で抱えると、グッと引き付けて下から思い切り突き上げた。
「ああああぁぁぁぁあんっ!!イっちゃうぅっ!!イくうっ!!イくうぅっ〜!!」
彼女はそのまま感電したように全身細かく震わせて俺へのしかかってきた。
俺も彼女の震えに合わせて、彼女が欲していたものをその中へと放出する。
「はぁん…嬉しい…リル、レンが好き…。」
「俺もリルが好きだよ。」
「リルのこと、もう放したりしないで…ね…?」
「あぁ。もう放さない。安心しろ…。」
そう言って繋がったままキスを交わした。
94もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:41:00 ID:OLUfhufY
それから1年半の月日が流れた。
俺は聖堂の前に腰を降ろして、カタールを磨きながら時間を潰していた。
カップルが俺の前を通り過ぎて、聖堂へと入って行く。
女性の手にブーケが握られてるところを見ると、これから結婚式でもあげるつもりなのだろう。
以前の俺なら、そんなカップルをうらやましい目で眺めていた。
今の俺は、街が平和で幸せな気持ちの人が居ることを心から喜べる。
俺自身が身も心も充実しているせいだろう。
俺はリルと暮らすようになってから、ギルドと部隊を辞めようかと考えた。
部隊の仕事は夜勤が頻繁にあるし、リルとなるべく一緒に居てあげたいと思ったからだ。
そう悩んでいた時、部隊の同じ班のスナイパーの仲間に売春宿のことはうまく隠して事情を相談した。
そいつは俺の後輩だったが、思いのほか気のいいやつで、妙にウマが合った。
こいつなら信用できると思い、ある程度の経緯を話してもいいと思った。
そいつも同じギルドにいる年下の教授と同棲していて、共通する部分も感じていたからかもしれない。
そうしたらその後なぜか、俺の勤務表からは夜勤の文字が一切消えた。
1日の勤務時間も短縮されていて、まさに特別扱いだ。
その後ギルドマスターに呼び出され、
「事情を聞いた。自宅に病人が居て看病が必要らしいな?」
と言われた。
「はい…。」
「病人をあまり一人にするのはよくない。
かと言って仕事をサボられたり、優秀な隊員を失うのは部隊として痛手だ。
当分勤務を軽くしてやるから、病人が良くなってきたらその分働いて返してくれ。」
「…はいっ!ありがとうございます!!」
マスターがここまで考えてやってくれたことを心底感謝した。
おかげで俺は部隊もギルドも辞めることなく、リルとの生活を続けることができた。
それももう1年半になるのか…。
遠い目でこの1年半を振り返っていると、背後から突然
「わっ!!」と肩を突かれた。
「ひぃっ!!」
「ひぃって何よ!転職できたよっ!」
「何だリルか…。おお〜やっとお前もプリーストか!よかったな!」
「うん、ありがとう。」
「こんな支援下手のリルでもプリーストになれるとは…聖堂は転職試験を見直したほうが…?」
「ちょっとぉ〜!何よそれ!?ひっどい。もう支援してやんないんだからっ!」
「ハハッ、冗談だよ。」
そう言うとリルを抱きしめた。
あの日から彼女の状態はどんどん安定して行き、今は完全に普通の少女となった。
今の彼女が、本当の彼女だったのだ。
俺は彼女に外の世界を教え、冒険の手助けもし、そして彼女は今日プリーストへとなったのだ。
もう彼女は大丈夫…。
「ねぇ?」
「ん?何だ?」
「転職できたら絶対言おうって思ってたことがあるの。」
「うん。」
「私を、○○の相方にしてください…。そしてずうっと一緒に居てください…。」
彼女はそう言うと恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「相方?」
「うん…だめ?」
「相方って言うかさ…、何で今更?俺はとっくにリルを相方だと思ってたけど?」
「えっ!?そ、そうだったの!?」
「お前なぁ、一緒に住んでて体の関係もあって、それで今更相方にって、ちょー笑えるわ。」
「やぁん、そんな風に思ってなかったよ。ずっとレンに相方ができちゃったらどうしようって思ってたのにぃ〜。」
「そんな心配いらねぇよ。ずーっと一緒にいるんだろ?ん?」
「…うん…。一緒にいてね。」
そう言って俺たちはまた抱き合った。

〜Fin〜
95もう一人の少女の話sage :2007/06/25(月) 13:57:01 ID:OLUfhufY
>>94の最後の方にある○○は「レン」です。
名前未定のまま書き始めて○○で済ましていたのを、訂正し忘れました。

重ね重ね、駄文失礼いたしますた。
誤字お許しください。
96名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/25(月) 17:12:31 ID:xllhGkuE
>86-95
お話としては面白かったです。やっぱりハッピーエンドが一番読んでて満足できますね。
前作もそうですけど、ヒロインが特殊な性向を持っている理由がしっかりフォローされていて
丁寧な作りになっているところが好印象です。

オマケというか、前作を読んでいるとニヤりとできる部分があるのもよいですね。
間に入るもうひとつのお話は、リータさんのクルセ時代のストーリーかなと予想。
ほとんど出てないけど、なんだか気に入ってしまいました。パラ子、いいよ。パラ子。

>77氏の意見のことだけど、私も小説を読んでいるというよりは脚本を読んでる感じがしました。
お話を構成する最低限を準備して、ちょっぴり味付けした感じ。でも、これもSSだと思います。
表現の勉強もいいですが、楽しく書けるうちにいろいろたくさん書いちゃう方をオススメします。

スレ独占状態は気にしなくて平気だと思います。(むしろスレが動いてくれて嬉しい・・・)
前作の修正版ですが、えろだに上げてはいかがでしょうか。板のトップから行けるところです。
アップ後にこちらに一言落としてもらえれば、私は読みに行かせていただきますよ。


>85
似た展開のお話をとあるサイトのブロック崩しのオマケ小説で読んだ覚えがあります。
ソヒーの無念を晴らしたあと、剣士は冒険者を辞めて40歳近くまで放浪するというお話ですが。
97</div>95</div>sage :2007/06/25(月) 19:11:35 ID:6MJbBNQ.
早速読んでいただけて感激です(>_<)
書き込んでいない話しというのは、ギルドに入ってからのリュカの話しで、第一話のリュカ目線になります。
第一話のオマケ的なものですね。
でも96さん鋭いです。
次回はクルセ(まだパラではないのです)子リータを主人公にした話しを妄想中です。
手直しした作品は上げておこうと思ってます。
でも上げるからには完璧でないと…と、
またチェックしてからにしようと思います。
手直しと言っても、誤字修正がメインなんですが…

文章の質というか、いろいろ悩んでましたが、
やはり自分はこの感じからは抜け出せないのかなぁ…と思っております。
いろいろ吸収しつつ、良くなったネと言われる日が来たらいいなと思い、続けてみようかと思ってます。
98名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/29(金) 03:16:41 ID:ar82MOyA
70さんGJです
楽しく読ませていただきました、ハッピーエンドってなんだか良いですね
ほっとする感じが…w次回作を楽しみにしています
99名無しさん(*´Д`)ハァハァ20040401投稿のブツなdame :2007/06/29(金) 23:51:18 ID:gLYesjPo
>85
遅レスですまんが、えろだの過去ログにもある。
そこでも指摘されてるが、どっかのサイトからの無断転載品っぽいんで…
100名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/03(火) 00:28:48 ID:04HuQ8tg
>>70
とりあえずエロだからおかずって言うんじゃなく、あくまで「萌えるエロ」という意味では
ハッピーエンドとかこそばゆい純愛なんかも良いんじゃないかなと思ってみる
とりあえずエロがなくても成り立つシナリオは良いものが多いよ?
たいていコンシューマーやアニメに移植されるエロゲは総じて評価が高いしね

それとは別に、ふと浮かんだ妄想・・・
転職試験に挑んだ男ノービス、なんとか試験をクリアしようとするものの失敗続き
どうしても転職できない時にとある(希望系列の)上位職の人と出会う
その人が特別に試験官をかってでてくれて、失敗ながらも2人だけの秘密で転職を許可される
ただしそれが弱みとなり、その上位職に逆らえない状況に・・・
転職の瞬間に渡されたのはその一次職の女の衣装だった
男ノービスの身長が低いのと子供顔なのを気に入った上位職の罠だったというわけ
それ以降女性として過ごすことを余儀なくされつつ、だんだんと目覚めかけてしまう葛藤
あーんなことやこーんなことなんてシリーズで誰か書いてくれないかなー?w
ちなみに上位職は男だとホモになってしまうので、女として表面レズ(+ふたなり)って流れがベター?
101名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/05(木) 03:32:59 ID:W5tTaTfA
個人で書く小説だし好きなエンドでいいとおもうy。
個人的にはハッピーエンド大好き!
小説位好きなの読みたいしね
102名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/06(金) 03:32:56 ID:NiZ9Z4fo
そういえば、突然話変えてすまんが
昔ロズエルの話書いてた人いたよな
ローズとかルトとかロズエルとかシリーズ物かいてた人

あの人の作品ツボだったんだけど、新作書かなくなっちゃったよなぁ・・・
もうこのスレも見てないんだろうか

ロズエルの過去話見てみたいわー
103名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/06(金) 08:33:34 ID:KMGw66sA
そういえば後ひとつでとりあえずあの作品も完結する予定でしたねぇ。
マダー言い続けるのも無粋に感じてしばらく向こうの拍手にも何も言わないでいたのだけれど。
104名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/08(日) 22:10:04 ID:m2DQFWms
自分もロズエル篇作者様の再降臨を待ち焦がれている者の一人です。
催促のつもりではなく、応援のメッセージとして何度か拍手を送ってみたものの…
たしかに無粋だったのかもしれないと反省。
おあずけ状態で気長に待っています。
10570 :2007/07/10(火) 01:52:12 ID:aHWy8lMo
>>70とさせていただいた方がわかりやすそうなのでそうさせていただきます。
>>95で言っていたお話ができたので投下させていただきます。
シリーズモノなので、できましたら前作4つの話を読んでから
この話しを読んでいただきたいと思っています。
多少よくわからない部分が出てくるかと思います。
4つの話しはこのスレッド内に掲載させていただいております。

仮題としてわかりやすく「リータ」と付けさせていただきます。

私もロズエル篇、大好きなんです…。続き読みたいですね…。
10670 :2007/07/10(火) 01:53:15 ID:aHWy8lMo
アコライトの青年が泣いている。

彼はクルセイダーだった母を幼くして病気で無くし、その後騎士の父と共につつましく生きていた。
父を助けたくて、支援プリーストを志望していた。
父と共に狩りに出かけ、支援の腕を磨き、プリーストへとなれる日も近づいていた。
狩りの休憩中、親子は必ずと言っていいほど、亡き母のことを語り合った。
「母さんはどんな女性だった?」
「ハハッまたその話しか。ロイは母さんのことが本当に好きなんだな。」
「うん。父さん、また母さんの話しをしてよ。」
「うむ。母さんは立派なクルセイダーだった。
弱いモンスターを悪戯に殺めることもなかったし、困っている冒険者を進んで助けた。
まだ赤ん坊だったお前をペコペコに一緒に乗せて、ゲフェンの展望台まで散歩に行くのを日課としてたな。
美しい金髪をなびかせて歩く姿に、他の冒険者たちも皆見とれていたよ。」
「母さんって美しい人だったんだね。」
「あぁ、美しく誇り高く、本当に素晴らしい女性だったよ。」
そしてまた親子は狩りへと戻って行くのだった。
しかし親子の幸せな日々はあっけなく崩れた。
自宅に押し入った強盗に、父はその命を奪われた。
父も腕に覚えのある騎士であったが、
寝込みを襲われたのと、あと息子を守ろうと、その命を差し出したのだ。
父が倒れると、近所の人が通報してくれたのが、治安部隊が駆けつけて来た。
強盗供は蟻の巣を散らすように逃げて行った。

「父さん…父さん…!!」
アコライトの青年は床に伏した父に縋り付いて泣いた。
「ロイ…よかった…お前が傷つかずに居てよかった…。」
「でも父さんが…。」
「ロイ、立派なプリーストになるんだぞ…。
父さんとはもう狩りはできないが、お前の手を必要としてくれる人が必ず居る…。」
「いやだ!いやだ!!父さんと供にずっと一緒に戦いたかったんだ…。」
「すまない…ロイ。私も母さんも…、天空からお前のことをずっと見守っている。」
「父さん…!行かないで!!僕を一人にしないで!!」
「…」
「父さん!!父さん…!!わああぁぁぁぁっ!!」
父は息子の手を握ったまま息絶えた。

父の血に染まった胸に顔を埋め泣いているアコライトの背中に手が触れた。
優しく透き通った声が語りかけてくる。
「何時までもそうしていては、父上が安心して母上のもとへ行くことができないぞ。」
「うぐっ…えっ…父さん…父さん…ぐすっ…。」
「君も男だろう。父上と母上の名に恥じない、立派な聖職者にならねばな。」
「…。」
「ほら、顔を上げなさい。」
青年は声に促されて涙でぐしょぐしょになった顔を上げた。
「なんて顔をしているんだ。父上や母上は君のそんな顔を望んではいない。」
声の主は金髪の長い髪を下ろし、輝く鎧に身を包んだクルセイダーだった。
そのゴツゴツした鎧に似合わない白く透き通った肌に小さな顔。
体は逞しそうだったが、その物腰には女性的な優しさが溢れていた。
クルセイダーは青年の涙と血で汚れた顔を手ぬぐった。
その手はとてもやわらかくて暖かく、青年は「母もこのような手をしていたのだろうか。」と思わずにいられなかった。
「君は一人になってしまった。けれど、その姿をいつでも父上と母上が見ていることを忘れるな。
決して復讐をしようなどと考えてはいけない。
一人でも逞しく生き、いつか父上と母上に胸を張って報告できるような道をゆくのだ。」
クルセイダーは青年を見つめて優しく微笑んだ。
「…はいっ…!」
青年の返事にはもう暗い影はなかった。
107リータ :2007/07/10(火) 01:54:31 ID:aHWy8lMo
※↑の名前のとこ訂正しわすれました。

↓以下本文の続き

私は何時ものようにソコへ指を伸ばした。
まず茂みをわけいって敏感な芽を軽くつつく。
まだそれは蕾のままで、花を咲かせ蜜を垂らしてはいない。
片方の手でまだ柔らかい胸の突起を摘まむ。
指で軽く挟んで、擦るようにコリコリと転がす。
これは、あの人の手。そう、今私を弄ぶのは、あの人の指…。
「はぁんっ…オルウェン…」
思わす名前を呟く。
返事などあるはずはない。
でも、そう呟くことで私は妄想を確信へと変えてゆくのだ。
柔らかかったはずの胸の突起はあっと言う間に固くなり、
ほら、もう私の蕾が花開き始め、蜜を垂らして彼の指であるはずのものを誘う。
「彼の指」が蜜を捕らえ、大きく膨らんだ蕾を擦る。
「あぁはぁんっ…!オルウェンっ…もっとぉっ…!」
「彼の指」はさらに激しく蕾をもみしだく。
「あはぁぁんっ…!そこぉっ、そこがいいの…オルウェンっ…!!」
蕾の中から現れた新芽がその刺激を受け止め、その奥に潜む私の子宮に震えるような快感を流し込んでゆく。
「あぁぁん!!オルウェンいっちゃうっっ…!」
私は弓のように体を反らせ、その弦が弾かれたかのように細かく体を震わせる。
「オルウェンっ!オルウェン…!!」
そう「彼」を呼ぶと、頬を一筋の涙が伝ってゆくのを感じた。

またやってしまった…。
最近は毎晩になってしまっている。
いけないと思いつつも、気が付くと下着に指を差し込んでいる。
日々私の妄想はより具体的な形を成し、その快感も直接的なものになってしまった。
報われない思いにイライラが募り、毎晩の一人遊びでそれを発散する。
それが癖になり、この状態からすっかり抜け出せなくなってしまった。
私は聖騎士という職に就きながら、一人になるとこのように堕落した姿を晒している。
そんな自分が嫌だった。
前のように、身も心も清らかで堂々とした自分に戻りたかった。
何でこんなことに…。

私は献身クルセだ。
献身クルセとは献身する相手が居てこその存在である。
しかし私は根っからの固い性格が災いしてか、友人は少なく、狩に誘ってくれるような仲間など居なかった。
数年前のあの日もオークダンジョンで細々とゼノークを倒し、奴等の落とす大量の収集品を集めて食費の足しにしようかとしていた。
すると洞窟の奥から悲鳴が聞こえた。
またか…と洞窟の奥へ目をやる。
ぼろぼろになって倒れているアルケミストとアサシンの姿が見えた。
でもそれだけでなく、その奥からは剣を交える激しい音が響いている。
誰か奴と戦っているのか?
私は奴と戦う気などなかったが、あんな奴と戦う奇特な人物を拝みたくて洞窟の奥へと足を進めた。
戦っていたのはオーラ騎士だった。それに支援をするのもオーラプリースト。
二人だけでこの洞窟に巣くうボスであるオークロードに立ち向かって居た。
騎士の戦いぶりに思わず見とれて、私はその場に突っ立っていた。
すると騎士は私に気が付いたようで、
「おい!手伝え!!そのまとったオーラは飾りか!?」
と怒鳴ってきた。
初対面の私になんて言葉を…!?
そう思ったがこうして声をかけてくる人物に私は会ったことなどなかった。
私は騎士の迫力に押され、彼らと供にオークロードと剣を交えることとなった。
暫しの戦闘の後、オークロードは大きな痛手に再びその身を潜め、私たちは並んで腰を降ろすと大きく息を吐いた。
「はあっ…。疲れたな…。 俺はオルウェン。君は?」
「はぁっ…。リータと言います。」
「リータ、いい戦いっぷりだったな。はぁっ。」
「あなた方も素晴らしいですね。たった二人でボスに立ち向かうなんて…。」
「そうでもないさ。いい支援役が居れば十分可能だ。な?」
横に居たプリーストの女性が微笑んだ。
騎士は唐突に私に迫ってきた。
「君、何処のギルドにも所属していないようだが、よかったらウチへ来ないか?」
「あなたのギルドへ?」
「あぁ。俺がマスターなんだが、今優秀な人材を集めていて、
大きなギルドになったら今度解放される砦を奪おうと考えているんだ。
一緒にやってみないか?」
「私なんか役に立つのでしょうか。」
「あぁ。是非来て欲しい。君の力が欲しいんだ。俺に付いてきてくれ。」
私にはそれがまるでプロポーズのように聞こえ、思わず赤くなってしまった。
いや、プロポーズでないことはわかっているが、私をここまで必要と言ってくれた人など今までいなかった。
私は騎士の言葉を快く受け、彼のギルドに所属し、今に至る。
108リータ :2007/07/10(火) 01:55:40 ID:aHWy8lMo
この出会いから私の心はオルウェンを追いかけている。
別に彼に告白し、思いを通じ合わせようなどと大それたことは考えてはいない。
ただ、彼の役に立ち、彼に認められ、彼を助けたい、そう思っているだけ…。
でも数年に渡るその思いは自分でもわからないほどの速度で膨れ始め、
とうとう私はそれを押さえ込むのに疲れてしまっていた。


ある晩私は、部下が突然仕入れてきた盗賊集団のアジトの情報を報告しようと、
オルウェンの執務室を訪ねようとしていた。
もう深夜勤の時間を回っており、事務所は夜勤番が所々に立っているだけで静まり返っていた。
オルウェンの執務室の前まで行くと、ドアの隙間からは灯りが漏れていて、
彼がまだ仕事をしているのがわかりホッとした。
報告をしようと扉をノックするために近づく。
すると部屋の中からセレアの声が聞こえた。
「本当によかったわ、リュカのこと…。」
「…あぁ。」
少しの間が空く。
その間を止めたのはセレアだった。
「どうしたの?まだ心配を?」
「違うよ。…俺が気にしているのは…君のことだ。」
「…私の?」
「君は昔、奴とは恋人同士だった。俺は当時君から奴についての相談もされてたくらいだぞ。
その奴がリュカの相手と知って、君は何とも思わなかったのか?」
今日、オルウェンとセレアが妹のように可愛がっている教授が、同棲するスナイパーを連れてギルドを訪ねてきた。
どうやら奴とはその人物のことらしい。
「…もう終わったことじゃない。」
「いいや。君があの時、ギルドと攻城戦のために生きると決め、奴の前から姿を消したあの時の涙…。
俺にはまだ終わったとは思えない。」
「やめて…オルウェン。私にはリュカの幸せを壊すようなつもりはまったくないのよ。」
「違う!そうじゃないんだ。俺だってリュカの幸せを壊したくなどない。
だが、本当は君だってリュカのように、女性としての幸せを欲しているんじゃないのか…?」
「…。」
「セレア…。君は奴との別れを決めた時からギルドと仕事に全てを捧げてきた。
ずっと俺の側で支え続けてきてくれた。俺は…ずっとお前を見ていたんだ。」
「それ以上は言わないで…オルウェン。」
その瞬間、何かが家具にぶつかったようなガタッとした音がした。
するとオルウェンの絞り出すような声が響いた。
「いやだ!今日こそ言わせてくれ…!俺は…お前を……!!」
また何かがぶつかったような音の後に、重い物がソファーに落ちたようなドサッとした振動が扉の向こうに響いた。
私はいたたまれなくなり、その場を後にした。

わかっていたことではないか。
オルウェンは、セレアを愛しているのだ。
二人はギルドの皆が勘ぐるような恋人同士ではない。
でも、上辺でわかる恋人同士以上に深い所で結ばれた関係なのだ。
オルウェンの目には、セレア以外の女性は女性としてさえ映っていない。
セレアはそれだけ美しく、知性に溢れ、心強き女性だ。
愛しいオルウェンの想い人であると知っても、恨む決さえ起こらないような完璧な女性…。
セレアが責任感という重圧の仮面を剥がすことが出来た時、彼女はオルウェンの気持ちに答えその身を彼に預けるだろう。
そんなことは以前から予想していた。
でも、いざその場に居合わせてしまうと、私の心は醜い嫉妬により掻き乱だされ、
やり場のないこの想いが目から滴となって溢れ出てしまうのだった。


一ヶ月後、私は意を決してオルウェンの執務室を訪ねた。
私の申し出を聞くと、オルウェンは手にしていた書類を投げ捨て、勢い良く立ち上がった。
「転生だって…!?」
「はい。転生してノービスに戻ります。つきましては、転生休暇の許可を…」
我がギルドと部隊には転生休暇制度が設けられている。
転生してノービスへ戻ってしまうと、ギルドと部隊の仕事はまともにできなくなる。
転生二次職となるまで一定期間ギルドと部隊を仮脱退することができるのだ。
「たしかに転生休暇はあるが…一般の隊員向けのようなものではないか。
お前のように役職に就いて部下も持っている者に隊を抜けられるのは…。」
「分かっております。しかし、最近は高レベルのパラディンの隊員も増えてきております。
上に立つ私が何時までもクルセイダーのままなのは立場が無い思いなのです。」
「言いたいことは分かる。
だが俺はオーラクルセだからお前を今の役職に就けたわけではない。お前の人柄と統率力を買っているのだ。
俺はクルセのままでも構わないと思っている。」
「マスター、お願いです。どうか…!」
私は片膝をつき、頭を垂れた。
私を引き留めるオルウェンの顔をまともには見れない気持ちだった。
オルウェンは腰を降ろすと、固く唇を結び、デスクに肘をついた両手で頭を抱え、悩んでいるようだった。
暫し待つと、オルウェンは観念したように顔を上げ、大きく息を吐いてから言った。
「…わかった。許可しよう。」
「有難うございます!」
「ただし、休暇は3ヶ月間で延長は認めない。あくまでも仮脱退だ。必ず戻ってきてくれ。」
「はい。私の後任はアサシンクロスのレンに命じてください。彼なら私の代わりが充分勤まるはずです。」
「わかった。」
オルウェンはスッと立ち上がるとギルドメンバー全員に伝わる告知を流し始めた。
『ギルドマスターより。
第二部隊長件プロンテラ市街担当班班長、監督官リータに対し三ヶ月の転生休暇を命ずる。
後任班長はアサシンクロス・レンに命ずる。』
告知が流れると、ギルド会話が一斉に流れ込んできた。
『レン:班長!マジですか!?それに俺が後任って…!?』
『アレク:班長!帰ってくるの待ってますからね!』
他にも驚きと転生を祝福するメッセージが何時までも続いた。
私はオルウェンに頭を下げると、
胸に着けていたギルドエンブレムと王立部隊員の証を外し、オルウェンのデスクのに静かに置いた。
オルウェンは私を見つめ大きく頷いた。
彼の瞳は私に対する信頼が揺るぎない事を語っていた。
あぁ、そんな目で私を見ないで…!
私はあなたを想うあまり夜毎淫らな想像に喘ぎを上げ、
この聖騎士の姿にそぐわないただの一匹の雌と成り下がっているのだから。
私はもう一度頭を深く下げ、逃げるように執務室を後にした。
さようなら、オルウェン…。
この時、私にはもうギルドへ戻るつもりはなかった。
109リータ :2007/07/10(火) 01:56:31 ID:aHWy8lMo
私は肩書きも何も無いただのノービスハイとして、懐かしの故郷イズルードへと降り立った。
早速昔世話になった短剣を片手に、通称ポリン島へと向かった。
草むらでポヨポヨと跳ね回るポリンたちをザクザクと刻む。
そう言えば、モンスター相手に戦闘をするなど何年振りかのことだった。
ノービスとは言え転生者である。ポポリン程度の敵なら取るに足らない相手だ。
ポリンたちが弾けてゆくその単調な音を繰り返し聞いていると、考えてはいけない事が頭を過る。
次の攻城戦のロキ担当はたしか新人のジプシーだったはずだ。
大丈夫だろうか。誰かちゃんと指導していてくれるだろうか。
それに先週通報があった違法賭博場。
あれは裏に大きな組織がついていそうだから、直ぐに摘発をせずに暫く泳がせ、
内偵調査をしたほうが良い事をレンはちゃんとわかっているだろうか…。
マーリンの冷たい棘が私の体を刺したのにハッとし、ギルドと部隊の事を未練がましく考えていた自分に気付き頭を振った。
その瞬間、背後から幾つものポリンたちが一斉に私に襲いかかって来た。
あ、まずい。エンジェリングだ。
可愛らしい姿からは想像もつかない高HPを誇り、高い回復力を持つポリン種のボス。
恐ろしい敵ではないが、転生者でもノービスなどには敵う相手ではない。
短剣で数回突いてみたものの、激しく続く攻撃に足を捕られ動けず、戦闘不能を覚悟したその時、
「居た!!」
背後から男の声が響いた。
するとエンジェリングたちは私から引き剥がされ、その声の主に向かって行く。
ハイプリーストがそこには居た。
彼がエンジェリングに攻撃を加えた事により、奴等はその男にターゲットを移したようだ。
これはいわゆる横殴りと言う行為にあたるものだが、ノービスである私に何が出来ようか。
もともと小ボス狩りなどに興味はない。エンジェリングなどこの男に快くくれてやろう。
と、立ち去ろうとしたその時、男は鈍器を取り出しエンジェリングを殴り始めた。
私はその姿に目を見張った。
なぜなら男が振り降ろす鈍器のスピード、それにその破壊力。
どちらも聖職者にはそぐわないものだったからだ。
いわゆる殴りプリーストというものだろう。
上位聖職者になっても殴りプリーストを続ける者はそう多くは居ない。
それに殴りプリースト自体攻城戦には縁が薄い存在であったから、間近でその戦いぶりを見るのは初めてだった。
ハイプリーストはものの数発でエンジェリングを砕き割った。
同時にエンジェリングを探し回って徘徊していた冒険者たちが周囲を囲み、一斉に大きな声を上げる。
「出た!」「出たぞ!!」
エンジェリングが砕け散ったその跡に、淡く輝く一枚のカードが落ちていた。
あ、エンジェリングカードだ…。
「早く!拾って!!」
ハイプリーストが私に怒鳴った。
「…えっ!…あっ、ああ。」
私はその迫力に押されて思わずカードを手に取った。
周囲から「廃ノビが取ったぞ!」「くっそ…!!」などと声が上がる。
「乗って、早く!!」
そう言うと、ハイプリーストはポータルを開き、そこへ私を押し込んだ。

ポータルを抜けると、そこはウンバラだった。
「ごめん。咄嗟だったからこんな所のポータルを出してしまった。とにかく、おめでとう。」
ハイプリーストは笑顔で手を差し出して来た。
私はその手を受けずに、代わりに持っていたエンジェリングカードを彼の手に置いた。
「…えっ?」
彼は驚いていた。
「奴を倒したのは貴方だ。
いくらファーストアタッカーに拾う権利が在ろうとも、私は何もしていないし、
もとよりこのような物は必要としていない。」
「必要ないのなら、売ってゼニーを得たら良いでしょう。」
「生憎ゼニーにも興味はない。
それより貴方はこれが欲しくて奴を探していたんだろう。欲しいのなら受け取ればいい。」
「違います!私は……!」
そう言うと彼は口ごもった。
カードが欲しくて何時間もポリン島を徘徊して居たと素直に認めるのが恥ずかしいのだろうか。
「とにかく私には邪魔な代物だ。
それよりこのような辺鄙な場所へ無理矢理連れて来られ非常に迷惑しているのだが。
イズルードかプロンテラへ送っていただけるか?」
「あっ…、…はい。…すみませんでした…。」
彼は消沈した様子でポータルを開いた。
私はそれに乗り込む直前、彼の袖口へカードを投げ入れた。
彼が驚いて慌てている様子がわかったが、かまわずにポータルへと飛び込んだ。

着いたのはイズルードの剣士ギルド前だった。
なんて都合がいい…。
しかしソードマンハイに転職出来るまではまだ幾分経験値が足りてなかった。
手近なフィールドで経験値を稼ぐと剣士ギルドで転職を済ませ、今日は昔馴染みの宿に泊まることにして早々に休んだ。
急ぐ必要などない。もう戻らないと決めたのだから…。
110リータ :2007/07/10(火) 01:57:28 ID:aHWy8lMo
早く休み過ぎたからだろうか。
私は深夜に目が覚めると寝付けずに居た。
昨日まではギルドの寮の部屋のベットで休んでいた。
突然休む場所が変わったせいだろうか。
いや、違う。
体が、欲しているのだ、快感を。
私は夜毎淫らな想像を重ね自慰に耽っていたせいか、
深夜にベットで行うその行為が癖になってしまっていて、
絶頂を迎えた後でないと深い眠りを得られないようになってしまっていた。
これまでの夜と同じように秘所へ指を伸ばし、隠れこんでいた蕾を擦る。
己れの指ほど己れの快感のポイントを知るものなど有りはしない。
私の秘所は直ぐに水音を立て始めた。
ただ、何時もと違うのは、これはあくまでも己れの指であるという点。
何の妄想にも侵されていない自分の指…。
私はオルウェンの名前だけは呼ぶまいと、ひたすら己れ自身を指先で擦り上げた。
そう考えてしまう事実がまだ私がオルウェンへの思いを断ち切れずにいる証だったが、
私は今や何の肩書きも持たない一介の転生剣士だ。
守るべき部下も居ない、崇拝すべき人も居ない。
気高く誇り高い聖騎士という偽りの仮面を被る必要もない…。
ただ快楽に身を横たえ、まだその身に受けたことのない精を欲っしてだらしなく喘ぐ雌の一人となっても、
もう自分を咎める必要もないのだ。
水音が次第に大きくなる。
ハッ、ハッ、ハッと短い呼吸の繰り返しが早まり、それに合わせて鼓動も早くなってゆく。
私の下半身は足先までが小刻みに震え出し、全身の神経が下腹部へと集中している。
他の部分は感覚が途切れ脱力してゆくのに、
秘所をまさぐる両手だけは確実に規則的に動き、さらに力が込もって速さを増してゆく。
必死に堪えていた声が、この時だけは私の意思にも関わらず吐き出されてしまう。
「はあぁぁぁぁんっ!イくうっ…!!」
全身を雷に撃たれたようにガクガクと震わせ、私の下の口からは壺を倒したかのように中の蜜が溢れ出した。
全身を駆け抜けた快感の余韻に浸りながら、愛液で汚れた手を乳房に擦りぬめりを取ると、
脱力感にまかせそのまま眠りへと落ちようとしていた。

ガタガタッ! 「ひぃっ!!」

階下で物音と悲鳴が聞こえた。
これまでの職業柄、私は咄嗟にベットから起き上がり、サイドテーブルに置いてある武器を取った。
ベットから飛び降りると、ベットと壁との隙間に身を滑らせた。
こんな深夜の物音、そして宿の女主人のものと思われる悲鳴。
何かが階下で起こったのに間違いはないと思った。
ダンダンダンッ!!という乱暴な足音が階段を上ってくる。
ここへ来る気なのか?そう、今夜この宿に泊まっているのは私一人だった。
部隊の仕事では乱暴な強盗の相手など何度もしてきて、私にとっては恐れるに足らぬものだったが、
今この上位剣士の姿では到底対応できるかどうかまったく自信がなかった。
それに手にした武器も、以前愛用のトリプルブラッディサーベルではなく、ただのマインゴーシュ。
さっきの快感によってかいた汗が乾かぬ間に、私は別の汗をかき出した。
足音が部屋の前で止まると、乱暴に扉が開かれた。
廊下の灯りによる逆光の中に、3人の人影が立っていた。
「居るのはわかってんだ。出てこい!!」
低い男の声が怒鳴りつけてきた。
相手は皆男らしい。三人も居る。
私は大人しくベットの影からその身を現した。
「私に何の用だ?」
真ん中の男が部屋へ踏み込み私に近づいて来た。
「今日お前さんが拾ったモノをいただきに来た。大人しく出せ。」
今日拾ったモノ…。エンジェリングカードのことか?
さしずめこの男たちはあの場に居合わせた奴らなのだろう。
「持っていない。」
「…なんだと!?」
「確かに私が拾いはしたが、あのエンジェリングを倒した者に譲った。」
「…んな馬鹿な話しがあるか!?信じるわけがねぇだろう。」
「信じるも信じないも本当のことだ。」
「…チッ。調べさせてもらうぞ。」
ローグと見えるその男は、後ろで待っていた二人に顎で合図すると家捜しをさせた。
そのローグの胸元を見てみると、見覚えのあるギルドエンブレム。
あぁ、あの悪名高いギルドのメンバーってわけか。
集団で強盗やレイプを繰り返し、何人ものメンバーを逮捕した覚えがあった。
家捜しが続けられるも、当然カードが出てくるわけはなかった。
「後はお前さんだけだ。」
ローグは私の肩に手を置くと、寝巻きを握り乱暴に引き裂いた。
「くっ…!」
「ヘッヘ…身体検査といくか…。」
ローグの手が下着姿の私の肌に触れ、撫で回すように全身を滑り落ちていった。
何という屈辱…!しかし今の私には大人しくしているしかなかった。
「…持ってないってのは本当みたいだな。」
「だからそう言ったろう。」
ローグが納得したようで、私は少々安堵した。
「カードをやったって奴のことを詳しく聞かせてもらおうか。」
「詳しくなど知らぬ。ハイプリーストだったと言うことしかわからん。」
「あんとき居た奴だな…。おい、お前ら戻って調べるんだ。」
二人の男は部屋を出て行った。
「…お前さんにはまだ用がある。」
ローグは私の前に立ち、その目を細めてニヤッと笑った。
…まさか…!?
ローグは私の腕を掴んで振り回すように引っ張ると、そのままベットへと勢い良く倒した。
間髪入れずに上から圧し掛かると、私の両腕を頭上でひとつにまとめ、私の唇を塞いだ。
「うっぐうぅっ…!」
ローグは唇をはずすと、私の耳元へ近づけて、小声で囁いた。
「…好きなんだろ?さっきからお前の体から女の汁の匂いがするぜ…?
こっちもカードが見つからなくて押入り損だ。これぐらいのご褒美がねぇとな…。」
そう言って片手で私の乳房を揉みしだいた。
なんてことだ。こんなことで私の処女が奪われてしまうと言うのか。
私が自慰行為に耽っていたせいで、この男のその気を煽ってしまったと言うのか。
「時間がねぇから早速いかせてもらうぜ!」
私をうつ伏せに返すと、手は固定したまま腰を上げさせ下着を剥ぎ取る。
神業とも言える速さで自分のベルトとズボンの留め金をはずすと己自身を取り出した。
その様子を背後に感じた私は、
「やめろ!!このようなことをして何になるというのだ!!」
と訴えた。
「俺はどうもならねーよ。ただお前は精液にまみれて孕むかもしれねぇがな!!」
そう言い終わると同時に、一気に私の深部を貫いた。
「あああぁぁぁぁっ!!やめろぉっ!!いっ、いたあああっ!!」
凄まじい痛みが私の中心を走った。
まるで両足を左右に引き裂かれるような痛み。性器を串刺しにされて晒されているような痛み。
ローグはかまわずに私を突き立ててくる。
「痛いとか言ってこの濡れ具合はなんだ?何もしてねぇのにグッショリじゃねぇか!」
男の言うそのとおりに、男の動きに合わせて、ずちゅっ、ずちゅっと水音が響いていた。
こんなことになるとも知らずに、馬鹿な自慰行為をしてしまっていたことを心から悔やんだ。
私は痛みに体を強張らせ、逃げることもままならず、ただ声だけは上げるまいと必死に耐えた。
ふと男が動きを止めた。
「こりゃ…、まさかお前処女か?ハハッ…!こりゃトンだご褒美になったな!!」
おそらく男の目にはその証と言える鮮血が見えたのだろう。
私の目からは、後悔と屈辱と痛み、その全てが混ざり合った涙が流れた。
快感など、微塵も感じられなかった。
男は動きを再開すると、いっそう激しく腰を打ち付けてきた。
「はぁっ…!いくぞ!!」
そう言うと、一番奥を貫き、その精を私の子宮へと流し込んできた。
111リータ :2007/07/10(火) 01:58:13 ID:aHWy8lMo
ガシャン!

廊下から何かが壊れる音が響くと暗闇に包まれた。
誰かが廊下にあるランタンを落として灯りを消したようだ。
「誰だ!?」
ローグが声を上げ、私から離れた。
廊下から気配がゆっくりと部屋へ入り込んでくる。
「…お前らは冒険者の風上にも置けん。
悪戯に奪い、欲望のままに犯す。
敬愛する神に代わり、我が鉄槌によりその罪を悔い改めるがいい。」
聞き覚えのある声が静かに響いた。
昼間ウンバラで別れたハイプリースト…!?
「その生意気な口を塞いでやる!!」
ローグはハイディングで素早く姿を隠した。
気配の主がルアフを唱えると青白い炎が浮かび、トンネルドライブで移動していたローグの姿が現わになった。
「くっそ…!」
ローグは背後からバックスタブを決めようとしていたのを見透かされ舌打ちをした。
やけくそに正面から飛びかかった所をハイプリーストのスタナーがヒットする。
「ぐっはぁっ!」
スタナーの特殊効果のスタンが発動したようで、ローグは目を回してその場でフラフラと回った。
ハイプリーストは素早くポータルを開くとローグを軽く押し、その中へ押し込んだ。
続いてハイプリーストもポータルへ踏み込もうとする。
「…待って!!」
私は思わず彼を呼び止めた。
彼はまさか呼び止められるとは思っていなかったようで驚いた顔をした。
躊躇したように足を迷わせていると、ポータルはその入り口を閉じ、彼は諦めたように大きく息を吐いた。
「あなたに怒られる前に去ろうと思ったのですが…、貴女のその目を見てしまったら私の決意も砕けてしまった。」
「助けてもらったのをなぜ怒る必要などあるのか。」
「助けたなどと…私は貴女の迷惑と言う言葉に躊躇して、結局は間に合わなかった。
何も出来なかった自分など貴女に言葉すらかけてもらう資格もありません。」
そう言うと彼は私の傍らのシーツを持ち上げ、それで私を柔らかく包んだ。
「踏み込む前に治安部隊に通報を入れました。直ぐに部隊が駆け付け奴らには追手がかかるでしょう。」
治安部隊に通報…?
それではかつての同僚たちがここにやって来て、私のこの有り様を見られてしまうと言うのか!?
「…いやだ!私を何処かに連れて行って!早く!」
「えっ!…は、はいっ!」
彼が慌ててポータルを開くと、私はシーツを纏った姿のままで彼の手を掴みポータルへ飛び込んだ。
112リータ :2007/07/10(火) 01:59:03 ID:aHWy8lMo
昼間と同じく、ポータルの先はウンバラだった。
「すみません…今ここを拠点として活動しているので、咄嗟に出すとここになってしまうんです。
…あっ!さっきの男を乗せたのはリヒタルゼンへのポータルです。安心してください。」
聞いてもいないのに慌ててそう言い出した。
「ありがとう…助かった…。何とお礼を申し上げたらよいか…。」
「礼などと…そんなものは必要ありません。貴女とこうして言葉を交わせただけで…。」
「私は昼間貴方に失礼なことを言ったかと思う。今更ながらお詫び申し上げる。」
「…エンジェリングカードは冒険者がこぞって欲っしているものです。
偶然にもその幸運に恵まれた者は、貴女のように、カードを狙う悪者に狙われることがあるのです。
そのような事を説明もせず突然ポータルへ押し込んだ私が悪かった。
それに結果的には何もできずこのような事に…。」
「そのことはもういい…。とにかく、この姿ではどうする事も出来ない。
よかったらもう少し手を貸していただけないだろうか。」
「勿論です。この村に私が借りている部屋があります。
取り敢えずそこで衣服を調達しましょう。」
彼に案内されて村の奥の民家へと入った。
そこで現地住民であろう異国人となにやら理解できない言葉で会話をする。
会話を終えると二階の一室へと案内してくれた。
「今剣士用の服を頼んでおきました。朝には用意出来るということです。
それまではこの部屋で休んで下さい。私は別の部屋を使います。では。」
「待って!」
私は部屋を出て行こうとした彼の腕を掴んだ。
「貴方は…名はなんというのです。」
「…私の名はロイです。」
「なぜ初対面の私にこんなにも…。」
「困っている人が居たら聖職者なら助けるのは当然です。
聖職者といっても癒しの力の弱い異端児ですがね。」
そう言うと優しく微笑んだが、少し迷ったような顔をすると言葉を続けた。
「それに…貴女とは初対面ではありません。
実は、私は貴女を探していたのです。リータさん。」
名前を呼ばれ、ビクッとした。
私を探していた…?
「申し訳ないが私には貴方と会った記憶がない。なぜ私を…?」
「もう数年前の話ですし、私にとって忘れられない瞬間であったとしても、
貴女には沢山の出会いの中の一つでしょうから、覚えていなくても無理はありません。
私は当時まだアコライトでした。
貴女はたった一人の肉親を亡くし悲しみに暮れる私の頬を、優しい手で拭って下さった。」
遠い記憶のなかに、盗賊に殺されて血に染まる父親に覆いかぶさって泣いているアコライトの青年の姿が浮かんだ。
たった一人の肉親を亡くし、迫り来る孤独に涙する青年の頬を、たしかに私は拭っていた。
「あの時の青年が…。」
「ええ、私です。あれからプリーストとなり、今は転生してこの姿に。
当時は支援職を希望していましたが、貴女の『一人でも逞しく』という言葉に影響され、
転生してからは殴りプリーストとして生きています。」
あまりの驚きに私は言葉が出なかった。
「あれからずっと、あの時の貴女の手が忘れられず、貴女を探していました。
貴女が所属しているギルドはすぐに突き止められました。
当然私も加入しようとしましたが…。
残念なことに書類審査で落とされてしまいました。殴りプリーストは論外だとね。
この時初めて、殴りプリーストの道を歩んだことを後悔しましたよ…。
しかし先日貴女はギルドを脱退された。
私は貴女に会おうと、もしも転生されるのなら絶対に訪れるであろうイズルードで貴女を待っていたのです。
でも待ちきれずに貴女が居そうなフィールドを探し回り、エンジェリングに襲われている貴女を見つけたのです。」
私がエンジェリングに襲われた時、彼は「居た!!」と叫んだ。
「居た」のは、エンジェリングのことではなく、私のことだったのだ。
彼は私の前に跪き、震える両手で私の右手をそっと包むと、そのまま額をあてて俯いた。
「…貴女にずっと会いたいと思っていた。
貴女は今私の前に存在している。…しかし私は貴女を助けることができなかった…!
こんなにも自分を呪いたいと思ったのは初めてです…。」
彼の言葉の最後がくぐもって、肩が細かく震えていた。
泣いているのだろうか。
私の言葉を忘れずに生きて来て、私のことを思い涙している男が目の前にいる。
私はどうしようもなく彼のことを愛しいと思った。
さっきレイプされて処女を失ったばかりなのに。
その前は別の男を忘れられずに自慰行為に耽っていたというのに。
「こんな私のために泣かないで…。私は貴方が思うような綺麗な人間ではないのだから…。」
「貴女がどんな人であろうと関係ない。
私にとっては貴女は誰よりも気高く美しい聖騎士なのです。
あんなことがあろうと貴女は汚れたりなどしない。
今も私の前で何よりも眩しく輝いている…!」
彼が俯いて泣いている姿が、過去のアコライトの青年と重なった。
私も跪いて彼の首に腕を回し、彼の首筋に顔を近づけた。
「ありがとう。貴方がそう思ってくれるだけでいい…。だからもう泣かないで。」
そう言って私は彼の涙を自分の頬で拭った。
「…あぁ!リータさん…!!」
「ロイ…!」
113リータ :2007/07/10(火) 01:59:37 ID:aHWy8lMo
私は彼を愛しいと思うままに抱きしめた。
彼もそれに答えて彼も私を強く抱き返してくる。
「こうして貴女に触れていられるだけで夢のようだ…。」
彼はシーツに包まれた私の背中を繰り返しなでまわしていた。
「貴女をこうして腕に抱くのを何度も夢に見た。
貴女は夜毎私の夢に現れては私の腕をすり抜けていった…。」
彼は切ない声で囁く。
私が夜毎オルウェンの姿を心の中に映し乱れて居た頃、彼も私の姿を映し出していたのだろうか。
「私は貴方が思うような聖女ではない…。
淫らな想像をすることもあれば、叶わぬ思いと嫉妬に耐えられず信頼してくれる者たちからも逃げ出したのだ。
…そんな私でも貴方は私を変わらずに愛すると言えるのか…?」
「もちろん…!貴女だってこの現世に生きる一人の女だ。
愛する人も居れば抱かれることを夢見るのも当たり前のことです。
現に私も貴方を抱く事を何千回も夢見た…。
貴女がもしも私に抱かれることを少しでも望んでくれるのならば、私は永遠に貴女に答えてゆくつもりです。」
「ならば…、私を抱いて…!嫉妬に狂った過去も、さっきの男が残した跡も、みんなみんな貴方で埋めて…!」
「…リータ!」
溢れる思いが堰を切ったように流れ出し、私たちは口付けを交わすと貪るようにお互いの口内を探り合った。
彼の熱い舌は私を捕らえて離すまいと必死に動き回っていた。
彼は私をくるんだシーツを肩から外すと、現れた鎖骨と胸元に何度も口付けた。
そして消え入りそうな声で、
「あぁ…リータ、リータ…。」
と何度も私の名前を囁く。
呼ばれる度にその声が私の中を優しく擽り、ジワジワと熱い何かが下腹部に集まってゆく。
彼が私の乳房に手を添えただけで私の体はビクンと跳ね上がった。
しかし彼は自らの長年の夢が叶うことに夢中になり、それに気が付いてもいないようだった。
赤ん坊が母親の乳首を吸うように、夢中で私の乳首を吸い上げる。
「はぁあんっ…あっ…はぁっ…」
私は初めての刺激に、身を捩らせて快感を吐息で示した。
彼が私の声に反応して、
「私で感じてくれるのですね…?」
と囁いた。
直ぐに再開された愛撫に私は返事も出来ず、ただ与えられるままに喘ぎを漏らし続けた。
彼は私をサッと抱き上げるとベットへと下ろし、自ら衣服を脱いだ。
私より幾分年下であろう彼の胸は若々しい筋肉に覆われていた。
肩を縁取る盛り上がりに私は自分にはない男の荒々しさを見てしまい、それだけでジワッと溢れだす己れの性を感じた。
だが彼はそんな荒々しさなど微塵も感じさせないような繊細な動きで、私の腰や足を愛撫してゆく。
彼の指先と熱い舌が肌に触れる度に、私はビクビクと体を震わせてジワジワとその証を垂れ流てしまう。
「あぁリータ…壊れてしまいそうだ…!
こうして私の腕の中に居ても、未だあなたは幻のように消えてしまうのではないかと怖い…。」
彼は子供が母親にすがりつくように言った。
「はぁっ…私は消えたりなど、…しない。貴方に…抱かれるために…ここにいるの…あぁんっ!」
「ロイと呼んでください…。」
「あぁっロイ…私をめちゃくちゃにしてぇっ…!」
彼は獣のように荒々しく私の秘所にしゃぶりついた。
「ひぁはあぁぁんっ!」
音立てて私が垂れ流していた愛液を吸い上げると、彼は熱い舌で蕾を乱暴に弄び、蜜壺へと指を突き入れた。
「あっははぁんっ!」
突然与えられた荒々しい快感に私は髪を振り乱して答えた。
目は霞んで物を捕らえなくなり、耳には彼が私の敏感な部分を弄ぶぴちゃぴちゃという音だけが響く。
口元はだらしなく開き、涎が流れ出しているのを感じたが、もうどうでもいいと思った。
「あっあっあっ…おっ、おかしくなっちゃぁ…うぅっ…はあぁぁんっ!」
僅かに残った意識でそうを叫ぶと、私は快感のなすがままに全身を震わせた。
彼の指との隙間を縫って蜜が止めどなく溢れているのを感じた。
朦朧とした意識の中、やっと僅かに捕らえ始めた視線の中に彼の火照った顔が見えた。
「リータ…なんて美しいんだ…。もう私も我慢が…!」
そう言うと、熱い彼自身があてがわれ私の中へと入ってきた。
絶頂の直後の侵入に、私は再び腰を震わせた。
「はああぁぁんっ!ロイ…ロイっ…!!」
「リータ…あぁ…愛してます…!」
「ロイ…全部、全部忘れさせて…!私を全部貴方にしてしまって…!」
「貴女を全部私のものにさせてください…!リータ…っ!!」
そう言うと激しく腰を打ち付けてきた。
「ひゃあはんっ!はぁんっ!はぁんっ!」
先刻処女を失った時とはまったく違い、彼のものが熱く強く私を貫くたびに背筋を快感だけが突き抜けてゆく。
部屋の中にはパンパンと肉がぶつかり合う音と、それによって上がる愛液の雫が飛び散る音だけが響いた。
自慰行為などでは得られない激しい快感。心と心がぶつかり合う快感。
私も彼も、めくりめく押し寄せる快感の波に呑み込まれ夢中になって行った。
「ああっ…もう…だめだっ…!!」
「イっちゃうっ…!はぁんっ!…ロイ…一緒にきてぇっ!!」
「あぁリータっ!!いきます…!」
彼はこれ以上ないくらい私の奥を貫くと、熱い生命の源を私へと注ぎ入れた。
私の中が彼の吐き出したもので一杯となり、私の心までもが彼で一杯になったのを感じた。
114リータ :2007/07/10(火) 02:00:09 ID:aHWy8lMo
私たちは朝までひとつのベッドで眠った。
彼は私が眠りに落ちるまで私を見つめ髪を撫でて、
「リータ、リータ…」と私の名前を囁き続けた。
私が先に目を覚ますと、彼は少年のようなあどけない寝顔を晒していた。
私は指で彼の栗色の髪を撫で、昨晩の出来事を思い出し頬を赤らめた。
ほとんど初めてのセックスと言えるのに、あの自分の乱れ様…。なんと淫乱だったことだろう。
以前の自分なら、そんな淫乱な様を人に見られてしまったら、後悔に命を絶っていたかもしれない。
でも彼の前ではちっとも恥だとは思わなかった。
愛していれば抱きたいと思い、抱かれたいと思う。なんて自然なことなのだろうか。
不思議と私の中には、以前私を支配していたオルウェンの影は微塵も残っていなかった。
今はただ、無条件に私への愛を語った青年を愛しいと思うだけ…。
ロイ、あなたが私の言葉を糧に生きてきたと言ったように、私も貴方の愛を抱いて生きていける。
そう確信すると、私は扉の前に届けられた剣士の衣装に袖を通し、短剣を握って部屋を後にした。

三ヶ月後。
私はオルウェンの執務室をパラディンの姿で訪れた。
「おかえり。」
オルウェンが優しい笑顔で迎えてくれた。
その横にはセレアが佇んでいる。
「おめでとう、リータ。」
セレアが手を差し出して来たので、私はそれを受けた。
「ありがとう。」
オルウェンがデスクの引き出しから、懐かしいギルドエンブレムと部隊の紋章を取り出した。
私は黙ってそれを受け取ると、以前と同じ様に胸へつけた。
『ギルドマスターより。
パラディン・リータのギルド再加入に際し、第二部隊長の任を命ず。』
オルウェンが告知を流すと、ギルド会話が『ワーッ!!』と盛り上がった。
続けざまに『おかえり!』『おめでとう!!』のメッセージが届く。
「お前、変ったな。以前よりも表情がやわらかくなった。」
オルウェンが思いもかけないことを言ってきた。
「本当だわ。転生していた間、何かあったのね。」
セレアまでもが言ってきた。
「なっ…何を言うんですか!二人とも…。私は何も変わってなどいません!」
私の頬は赤くなってしまった。
「ハハッ!変ってないのならそれでも結構!!以前のように仕事に励んでくれ。」
「はっ。」
「では、早速部隊の…。」
「あっ!!」
私はオルウェンの言葉を遮った。
「ん?」
「勤務は、明日からにしていただけますか?今日は先約があるもので。」
「先約…?…まぁ、かまわないが…。」
「あと、これからは寮の方にも入りません。自分で住居を用意してますから。」
「あっ、ああ。かまわないぞ。」
「では、また明日伺います。今日はこれで。」
「う、うむ。」
私は二人にペコッと頭を下げると足早にオルウェンの執務室を後にした。

「…やっぱりあいつ、変ったよな…?」
「フフッ、そうね。」
これはリータが部屋を出た後に交わされたオルウェンとセレアの会話。

私はプロンテラ城を後にすると、街の中心の噴水を眺めている人物に駆け寄った。
「ロイ!!」
ハイプリーストの青年が振り向いた。
「リータ。仕事は済んだ?」
「ええ。仕事は明日からにしてもらったわ。
復職すれば仕事で一緒に居られる時間は短くなるし、今日は最後ののんびりデートをしましょう。」
「いいの?」
「ええ、かまわないわ。ほら、ポータルを開いて!」
「はいはい。じゃいつものニブルヘイムに行くとしますか。」
「聖水、ちゃんと持ってる?」
「もちろんだよ。ワープポータル!!」
二人の人影がポータルへと吸い込まれると、噴水の水音だけが残った。
一つだけ、謎も残っているが…。
二人がポリン島で出会った時に拾ったエンジェリングカード。
あれはいったい何処に?
二人はすっかりそのことを忘れている。
実は、今そのエンジェリングカードはウンバラの村の二人が結ばれたあの民家のテーブルで、
なんと鍋敷きとして使われていた。
ロイがカードの置き場に困って、カードの価値などまったくわからないウンバラの民に預けたのだ。
預けられた方もそのことをすっかり忘れていて、ある日戸棚から出てきたカードを、
丁度いいと鍋敷きとして使ってしまっていた。
こうして幻のエンジェリングカードが一枚、その日の目を見ずに終わったのであった。

〜Fin〜
115リータ :2007/07/10(火) 02:03:02 ID:aHWy8lMo
余計な注釈を入れさせていただきます。
ロイ、お気づきの通り彼は紛れもないマザコンです。
リータを襲ったローグの所属ギルドは、過去、ロイの父親を殺した人物の居たギルドです。
それに気が付いたロイはリータを襲われた怒りもあり
リヒタルゼンに行ってローグをボコボコにしようと考えていました。
しかしリータに呼び止められて、「決して復讐をしようなどと考えてはいけない」と言う言葉を思い出す。
そのあとロイが語った「決意が砕けてしまった」という決意とは復讐の決意だったわけです。
あといろいろ、オルウェンが昔はボブと言う名前だったはずなのにオルウェンと名乗っていたり、
リータの性格設定が第三話の時の様子とはかけ離れていたりしますが、
継ぎ足しで書いていってしまっているため、お許しください。
ちなみにリータがオルウェンと出会ったのは、転生職はもちろんGvも実装前という設定で、
当時OD2Fにはオークロードが居たはず…?と思い、そういう設定で書いています。
違っていたらお許しください。

今回もとても長くてすみませんでした;;
駄文を読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
116名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/10(火) 22:28:53 ID:VeheNOZo
お疲れ様です。激しくGJでした。
>>106で早くも涙ぐんでしまったが二人が幸せになって本当に良かった。
しかしどんどん上手くなってますね。
また新作を期待しています。
個人的にはオルウェンとセレアにも(以下自粛)
117名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/07/10(火) 23:55:08 ID:qGYMp02Y
流れを読まずに新規投下ノω・)
ふたハム*赤毛Lk子
ふた、あなーる航空なんぞ含んでますので、苦手な方はスルーお願いします(´・ω・`)

ではいってみようか


体中が痛い…
ふと目覚めると、見慣れないベッドだった。
あれ?あたしはノーグの火山で倒れてたはず。
不思議に思っているうちに、扉が開き誰かが入ってきた。
長い銀髪の女ハンターだった。
彼女はやさしくドアを閉め、こちらに近づいてきた。
「目、さめたんだ。おはよう。大丈夫?きみはノーグ山のダンジョンで倒れてたんだよ」
「や…はりそうか…助けて頂いて、申し訳…っつあ」
起き上がろうとしたが、力が入らないばかりか激痛が走った。
「ああん、まだ起きちゃダメ。全身ボロボロだったんだから」
「体中包帯になってる」
言って、ラックにかけてある自分の鎧を見た。
同年代の誰よりも傷だらけかもしれない一張羅。
これを着て式典は無理かな、と思った。
「服はぜんぶ脱がせて洗ってるわ。ごめんね、裸見ちゃった」
人懐こい笑みを浮かべるハンター。
その真赤な瞳が印象的だった。
「うちはテールアルメ。テールでいいよ。君は?」
「エメリ。ありがとうテール」
言葉と同時に再び眠気が襲ってきた。
「エメリ…よろしくねエメリ」
最後まで聞き取れず、あたしは眠りにおちた。

次に目が覚めたときは、夕方だった。
ベッドの傍らにはふわふわの巻き毛のきれいなハイプリースト。
悔しいことに、その胸の山二つ、こちらの完全敗北のようだ。
「目が覚めたようね。起こしちゃったかな?」
言って微笑むハイプリースト。
「私はリッツ。今治癒魔法かけるからね」
リッツさんの手から暖かい光が放たれ、傷の痛みをとっていく。
「ねえエメリ。どうしてロードナイト一人であんなところで無理をしてたの?」
そっか、バレバレなんだ。力も足りないくせにあんな背伸びして。
挙げ句人形の作ったモンスターだまりに太刀打ちできなくて。
でも、
「強く…なりたかったんです。だからそのためには多少の無理も」
リッツさんの目付きが少し訝しんだ。
「多少の無理ね…そんなにボロボロになって倒れて、それでも多少かな?」
そんなにまでしてすることなのかと彼女は問いたいのか。
「強くなって、どうしても会いたい人がいるんです」
「そう…」
言って、リッツさんはすこしかなしそうな顔をした。 あたしはその人について語る気はなかった。
「でも、感謝してます」
それきり、言葉が続かなかった。
ヒールによる治療が終わり、彼女は立ち上がった。
「終わったわ。まだ包帯は取れないけどね」
施療前より大分楽になった。
今なら立てるかもしれない。
ベッドの淵に捕まり上体を起こした。
幸い痛みはない。
「あっ、無理しちゃ駄目よ」特に起きてすることもないが、なぜだか寝ていられなかった。
「…下にみんないるわ。無理しないでゆっくりいきましょ」
ここは宿屋の二階の寝室だった。
階段を下りるまで気付かなかったのは仕方がないことだと思う。
さて食堂に着くと、その一角にテールとリッツさんと同じエンブレムをつけた集団がいた。
その中でテーブルにいたテールはあたしを見るなり飛び掛かってきた。
「エメリ!もう起きて大丈夫なの」
「こらこら怪我人に飛び付かないの」
この人懐こいハンターを引き剥がすリッツさん。
「寝巻で申し訳ない、この度は瀕死のところを助けてもらって有難うございました」
とりあえず、ギルドメンバーに礼をした。
「何堅いこといってるの。お互い様じゃんね」
テールの屈託のない笑顔が救いになる。
「ほらあんたたちも自己紹介しなよ、気の利かない」
彼女はあたしが馴染めるように気をつかってくれた。
「俺はボイド。ブラックスミスだ。全くうるさいハム子だな。いま一声かけてやろうとしてたんじゃねーか」
ちょっと豪快なひとだな。
ふと、足元をみるとうすら輝いている。
そうか、この人はオーラなんだ。
続いて奥の栗毛で目を隠したウィザードが本を見ながらつぶやいた。
「俺は…パイル」
再び彼はそっぽをむいた。
「悪い奴じゃねえんだ、ちょっとシャイなだけな」
「誰が」
パイルさんの指に電気がパリッと走った。
「はいはいそれでうちが!このろくでなしどもを纏めるギルドマスター、テールさんなのだ」
「誰がろくでなしだ!」
テンションの高いテールにすかさず突っ込むボイドさん。漫才のようである。
「ねえエメリ、きみさえよければずっとここにいていいんだよ」
今までずっと一人でやってきたあたしは、当然ギルドに入っているはずもなく、また一ヶ所に留まっていられる性分でもないと思ってた。
そして、走り続けるしかないと思ってたんだけど。
「追い掛け続けるのもいいけど、少し地に足をつけてからでもいいんじゃない?」
リッツさんが笑顔でいった。
だけど、少し止まってもいいのかな。
「テール、そのエンブレム、受けるよ」
彼女の顔がまるで花咲くかのようにぱっと明るくなった。
「ありがとう!よろしくエメリ」
あたしの手を取ってぴょんぴょんはねるテール。
でも、本当は感謝するのはあたしのほうなんだ…
1184/2 :2007/07/10(火) 23:58:54 ID:qGYMp02Y
それからの毎日は、リハビリと称して低級ダンジョンにでかけたり、あまり長くないクエストをこなしたり。
いつも夜はゲフェンの宿屋で過ごす。
そうこうしているうちに、包帯も最後の一ヶ所になった。
その日はオーラの近いテールをみんなでしばいたんだ。
みんなへとへとになって、汗を流したら速攻ベッドインだった。
あたしも部屋で鎧を外して、最後のももの包帯をゆっくり剥がしていた。
不意にノック音。長年のくせで柄尻に手をあて、たれかと問う。
ノックの主は、テールだった。彼女を部屋に招きいれ、いつものくせで鍵を掛けた。
「すごい…徹底してるね」
「みんな手癖。一人が長かったからね」
「隣、すわっていい」
聞くが早いかベッドのあたしの隣に座るテール。
「エメリ…うちの誘い、迷惑だったかな」
「何を言いだすかと思えば。あたしは、テールに感謝してる。あなただけじゃない、ギルドのみんなにも」
『あの人』にあう目標はかわらないけど、それだけじゃないって気付けたんだ。
「だから、変な心配しなくていいんだよ」
言ってテールを抱き締めた。
なぜだかわからないけど、体か勝手にそうした。
するとこんどはテールが身を起こした。
「エメリ…」
どさりとテールに押し倒された。
「テー」
言い切る間もなく彼女の唇があたしの言葉を遮った。
長く甘い口付け。舌を入れるでもなく、ただそれだけが続いた。
ふっと重なっていた唇が離れた。
「いや?」
なぜか拒む気は起きなかった。
「いやなら拒んでる」
言って、今度はどちらからともなく唇を求め合った。舌を入れ、絡め、互いの唾液を貪る。
彼女の手が、あたしの胸へとのびる。既に胸の傷は完治していた。だがその跡を這うようにいやらしく指がなぞる。
「んんっ…む…」
思わず上ずった声が出てしまう。
「はあ…んっ…」
さらに胸をいじる手の動きは増していく。
焦らすかのように外側から揉み続けられると、乳首に刺激が欲しくなる。
だがお預けのように手は出されない。
「んふうぅ…ぷあっ!」
不意に乳首をいじられた刺激で唇が離れた。
テールの口からは唾液が粘液のように糸を引いていた。
「エメリ…感じやすいんだね」
言って、自由になった口でなおも傷跡をなぞる。
「はぅ!…そんな、こと…わかんない…よぉっ」
テールの愛撫になすすべなくベッドに真赤な長髪をばらまき、あたしは彼女の舌に意識を集中せざるをえなかった。
「んむ…ちゅ…」
「は…だめっ」
テールはあたしの胸をなめつづけ、きっと男の子よりもねちっこく、吸う。
だめ、もうがまんできない…
自分がどんな顔をしているのかわからない。
でも、涙とか涎とか、変な声とかは勝手に出ちゃうんだ。
「こらエメリ、何してるの」
いきなり胸への攻撃が止んだと思ったら股間にのびた自分の手を捕まえられていた。
「ああん…だってぇ」
堪え切れず自分でいじってしまったのが露呈し、顔が真っ赤になるのが自分でわかる。
体の奥がきゅうんと熱くなるのを感じる。
「むっつりすけべなエメリちゃんにはお仕置きをしないとね」
テールはあたしに尻を向けた。蒸れ蒸れのスパッツから、雌の匂いがした。
嗅ぐたびに体が熱くなる。
舐めたい…ねえ舐めたいよ。
首を起こし舌をえれえれとだしても、届かない。
でも、汗と女の子のやらしい匂いが鼻を突く。
「ひうっ!」
まさに不意打ちのようにあそこを舐められたあたしは、思わず海老ぞりになってしまった。
続いて、舌がふとももの方へ。
「まって…包帯」
「治ってる」
やさしく、ねちっこく舐めながら、ふとももの包帯は剥がされていく。
「瘡蓋だけだよ」
と、瘡蓋の周りを舐め始めた。
「ああんっ…そこ、だめっ」
治りかけの瘡蓋の周りは、感覚が違うんだ。
くすぐったいような、痒いような。
そして目の前のテールの蒸れたスパッツ。
あたしのを舐めながら、汗と、別の汁で染みすら出来ている。
これでは、生殺しだ。
しかし気にせずぺろぺろくちゃくちゃ、舌による攻撃は続く。
「切ないよぉ…お願いテールの舐めさせてぇっ」
半泣きになりながらの懇願。
「じゃあスパッツの上からだけね」
言ってテールはあたしのかおのうえに尻を下ろした。
鼻腔に広がるスパッツの匂いがあたしの感覚をマヒさせる。
無我夢中でテールのわれめを舌でなぞる。
「あっ!あうっ、そこだめっ」
彼女の喘ぎも気にせずひたすら舐める。同時に自分のも濡れてきている感覚がわかる。
なおもスパッツの上から女性器へ、舌を無理矢理潜り込ませる。
「あ、ひ…でるっ」
もうテールはあたしのをいじってるどころではない。
「やあ…いっ…くぅ!もれちゃ…あふあっっ!」
びくんびくんと彼女が震えたと同時に、部屋に雄の青臭い匂いが満ちた。
「何、この匂い?
テールの股から顔を抜き、彼女に向き直ると驚くべき状態であった。
腰巻きを持ち上げ膨らんだスパッツからどくどくと白濁が漏れている。
「みられ…ちゃったぁ…」
「まさかそれ」
テールはうつむいた。
まさか男?いやさっきの感触はどう見ても女…
これが世に言うふたなりというやつなのだろうか。
だが生えていようとなんだろうと、テールはテール。むしろいとおしいくらいだ。
「脱いで…見せてよテール」
「気持ち悪くないの」
「生えていたってテールはテールじゃない」
言って白濁まみれのスパッツをはぎ取った。
案の定むわっと青臭い匂い。
そのなかの、ひくんひくんと小さく踊るテールの自身。
射精したあとのそれは萎えていた。
スパッツの中で漏らしたせいで、精液でぬらぬらしてるそれを、堪らなくいとしく感じ、あたしは躊躇なくくわえた。
口いっぱいに広がる雄の匂い。
そして、
「んふ…へーるの…あじ」
「くわえたまま、しゃべっちゃやぁ」
口の中でもごもごとテールの肉をもてあそぶ。
そのたび彼女はびくんと感じていた。
調子に乗って舌で鈴口をまさぐる。
「あうっっ!」
テールは一際大きく仰け反った。同時に、くわえた逸物に血が流れ込んでくる。
びくんびくんとそれは口の中で大きく堅く熱くなり、納まり切らずぶるんと口から飛び出た。
「っぷあ、また、大きくなっちゃったね」
「エメリがあんなにいじるから」
真っ赤になって恥ずかしそうに言うテールがとても可愛かった。
「入れて…いい…?」
テールは上目使いで懇願するようにあたしに聞いた。でも…
「ごめん、初めては、あの人って決めてるんだ」
「そっか、はじめてだったんだ…はじめてなのにこんなえっちで、素質あるんじゃない?」
顔が赤くなる。
「うれしくないっ」
1194/3 :2007/07/10(火) 23:59:37 ID:qGYMp02Y
そしてあたしは自分でも驚く発言をした。
「うしろだったら、いいよ」
「ええっ!?」
テールは目を丸くした。自分も驚いた。
だって、テールのいきり立つそれをみたら、やっぱりいとおしくて、体が求めてるんだ。
あの娘とのつながりを。
「ほんとにいいの?」
「テールにならいいよ、おしりのはじめて、あげる」
言って、あたしは股を開いた。
自分でいっておいてあまりの恥ずかしさにどうにかなりそうだ。
「わかった…」
テールはさっきの自分のスパッツから精液をかきとり、自分自身に塗った。
まるで簡易なローション。
「滑りやすくしたから、ゆっくりいくね」
そういってあたしの菊座に自身をあてがう。
「ん…っく」
柔らかなようで、でも硬くて熱い感触。
ぬるぬると先っちょが撫で回した。
「すごい…ぱくぱくしてるぅ」
「言わないでぇ…」
なおも剣先が入り口を撫でる。
「あぅ…ふぁ…っっ」
あたしの愛液と、新しく出てきた我慢の汁がさらにぬめりを増した。
「ふぅっ…入り口…気持ちいいっ」
ぬるぬる、ぐりぐりと必死に切っ先をこすり付ける。
舌でもなく、指でもないその違った刺激。
じらすかの様に、なかなか矢は入ってこない。
「ごめ…っ出ぇ」
「えっ」
触っている肉棒がびくんとはねた。
「あ…あうっ!」
菊座と、外性器から下腹に熱い汁がかかる感じ。
「また、出ちゃったぁ…」
テールは自分自身をしごきながら、とろんとした目であたしを見ていた。
熱い白濁が、盛大に飛び散ってひっかかっている。
「あつい…すごい…いっぱい」
きっとじらそうと思ったら出ちゃったのかな。
精液まみれの肉棒を、これまた精液まみれでどろどろの手で擦るテール。
その姿は、たまらなくアンバランスでいやらしい。
手の中のテールの逸物は、怒張をよぶに相応しくまだ天をつき、びくんびくんと震えている。
「今度こそ…いくよ」
再び熱い肉棒が、あたしの菊門に宛がわれた。
「くっ…!」
ずるり、と一気に熱い塊がおしりの中に入ってくる。
二度の射精で、潤滑は既に問題なく。
意外なほど、痛みがなかった。
「エメリ…いたくない?」
「うん」
繋がったまま、ぎゅっとテールが抱きしめてきた。
あたしもそれに答える。
「一緒になれたね…」
「そうだね…テール」
そう言って、何度目かの口付けを交わす。
「動く…から」
言うが早いかテールが腰を引く。
ぬるりと、まるで排泄のような感覚を覚える。
「はぅ!なんか出」
「だいじょうぶ、抜いただけだか…ら!」
「ひぁ!」
再び熱い塊が戻ってくる。
そのたびに、脳天までつき抜ける快感。
こんな、何度も突かれたらあたまがくらくらしちゃう。
「ふっ…うっ…エメリのなか、あったかくてきもちいい」
自然、速度を上げピストンが直腸を往復する。
下腹部を中心に、すごい電撃が走りっぱなし。
まるで、あたしじゃないみたい。
接合部はよく見えないけど、ぬっちゃぬっちゃと汁まみれの身体のぶつかる音。
「はんっ、ふうっ…すごい、おしり、きもちいいっ…!」
だめだ、頭が…しびれてきた。
飛びそう…
「くっ…んんっ…あたしも…いくっ」
だんだん、テールの逸物がおなかの中で大きくなってくるのが分かる。
そして、さらに硬く…
「ううっ、はう!出そう、おっきいのきそうっ!!」
テールのピストンがもっと勢いを増した。
汁まみれの腰がぶつかる音が、ぼんやりと耳にはいる。
「いいよっ…テール、だして、あたしのおしりにいっぱいだして!!」
口から自然に言葉が出る。
もう正気を保ってられないっ…
「うぐっ…おぅっ!出る、ひいっ出るううう」
あたしのなかで、どくんと一際おおきくテールがはねた。
「あっあっ…うぅう、出てるっ…」
テールは半泣きだった。
直腸で射精しながら、さらに腰を振り続ける。
どくどくと、熱いものが流れ込んでくるのがわかる。
「すご…尿道こすって…とまんない」
先に2度も出したのに、なんて量。
でも、脈はまだづついてる。
「はう、ううっ!エメリのなか、いっぱい出してるぅ…」
ぎゅっとあたしを抱きしめて、彼女はまだ腰をふりつづける。
びゅるる、という流れ込んでくる逆流。
それがたまらない快感に変わっている。
ひとしきりの射精が終わった後、テールはゆっくりと柔らかくなった逸物をあたしの直腸から抜いた。
放屁のような、大便のような卑猥な音がして、栓がぬける。
「ゼリーみたいな、すごい、濃いの…でた」
肩で息をするテールは言った。
あたしはというと、穴を塞いでいた逸物が抜かれ、ぽっかりと広がったままのような感じ。
「まだ、あたまくらくらするぅ…」
下半身はぬとぬと、さらに上半身も汗でびちゃびちゃ。
自分の真赤な髪の毛もベッドの上ですごく乱れてる。
テールの銀髪も一緒だ。
そんな状態でも、今、テールのことがすごく大切に思えて。
愛しくて。
「えっ…」
ぐちゃぐちゃのまま、テールを強く強く抱きしめた。
「エメリ」
テールも、あたしを抱き返してきた。
「テール、なんかあたってる」
その晩は、空が白むまで、あたしたちは絡み合い求め合い続けた。
1204/4 :2007/07/11(水) 00:00:18 ID:bHRs4tDI
「っ…あーぁ、やっばい昼だ」
隣でテールががばっと起きた。
あたしは、まだ半分まどろみのなかで。
ただ、全身に昨日の感触がのこってる。
「すごい匂いだね」
あたしたちは、顔をあわせて笑った。
そして、一緒にシャワーを浴びた。

一階の食堂にいくと、みんなはお茶を飲んでいた。
「やっと起きてきたか」
ボイドさんがニヤニヤわらいながら言う。
「昨晩は、ずいぶんお楽しみだったようで」
テールは真っ赤になる。
あたしも、耳まで真っ赤になってることは、自分でもわかる。
「もー!セクハラよ」
「お前らがな!」
自然、笑いが生まれた。
「みんな昨日はヘトヘトで、今日も午後まで起きられなかったっていうのに」
リッツさんが言った。
パイルさんは、相変わらず本を読みながらそっぽを向いていた。
少し、顔が赤かった。
耳元で、リッツさんがぼそりと言う。
「今度は、テールの夜の担当はあなたできまりね」
え…?
リッツさんは、ニコニコわらってるだけ。
テールは、ボイドさんにごねている。
「さて、午後からでちょっと時間もないけど、またこのさぼりハンターをしばきにいくか」
ボイドさんが提案した。
「何よ、自分は光ってるからって。あんたこそさっさと転生しなさいよ」
「俺という〜盾をなくしたらどうなるっ」
「もうエメリがいるからあんたは用無しよ」
「ひどいわっ」
「あはははっ」

『あの人』を追うことはやめないけど、ちょっと回り道してもいいかな。
この人たちとなら、あたしは自分を見つめなおせる。
きっと、道をはずれても、教えてくれるはず。
それまで、この身はまだ弱いけど。
みんなの盾になろう。
そしてもっと強くなったら…


End

中途半端なエロシーンですまーそ(*ノωノ)
話よんでて分かりづらかったひとのために人物補完

・エメリ:Lk子。レベル70くらい。赤毛剣士デフォ。並乳。
・テール:ハム子。レベル98なはず。白髪剣士デフォ。並乳。強精。
・リッツ:ハイプリ子。レベル90くらい?マガレと同じ髪型。巨乳。
・ボイド:オーラBS。ウホッ。
・パイル:Wiz夫。一応90台。ビジュアル系空気。

まだまだ修行が必要デスナ(´・ω・`)


以上板汚し失礼。
121名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/07/11(水) 13:07:31 ID:QiuCtuz.
>>117
同性同士は別にスレがあるからそっちに投稿したほうが喜ばれるよ。
122117 :2007/07/11(水) 14:47:50 ID:bHRs4tDI
アッー!(д) ゚ ゚
気づかなかったです
申し訳ない。。

吊ってきます;y=ー( ゚д゚)・∵.
123名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/11(水) 17:59:17 ID:lEIYIrdI
いやいや、確かにスレの趣旨とは違うが
個人的には好きだった。
グッジョブb
12470sage :2007/07/13(金) 12:42:57 ID:pX2mPI8U
>>116の最後の一文に強烈な電波を受信しました。
ただでさえいつも長いのに、今までで一番長いのが出来上がりそうです。
とりあえず前・中・後編に分けさせていただこうかと思い、
完成した前編を投下します。

タイトルはわかりやすく仮題で「セレア」
今回は前編ということで、「セレア・前編」とさせていただきます。
125セレア・前編sage :2007/07/13(金) 12:43:47 ID:pX2mPI8U
ミッドガルドの南東部に位置する港街アルベルタ。
諸外国との定期船が就航し、様々な人種が行き交う貿易の街である。
その街の一角にある歓楽街。
船旅に疲れた貿易商人や、タートルアイランドやアマツへ渡る冒険者たちが一時の安らぎを求めてやって来る。

その歓楽街の中でも一二を争うかと思われる老舗の酒場。
ここには一夜の夢を求める男たちと、それを受け入れようという女が集まると、
常連客の間では暗黙の了解となっていた。
その酒場のカウンター席の隅に、その若い女は今日も座っていた。
カクテルの入ったグラスを片手で弄びながら、だるそうに頬杖をつく。
長い銀髪に、所々パープルのメッシュを入れている。
足下まで届きそうなウィザードマントの中からは、白くしなやかな両足を組み合わせているのが大胆に覗いていた。
その女に、1人の男が近づく。
「やあ、久しぶり。」
女がゆっくりと振り返った。
「あら…ずいぶんご無沙汰だったわね。」
「タートルアイランドに渡ってたからね。今回の旅は取り敢えず今日で終わり。暫く休んだらまた行くつもりだよ。」
「ふぅん、随分頑張るのね…。」
女はカウンターに向き直ると、残っていたカクテルを飲み干した。
「タートルアイランドに居る間、君のことが忘れられなかったよ。あの旅立ち前の一夜が…。」
「あら、光栄だわ。」
「どうかな…再び旅立たねばならない憐れな冒険者に、また夢を見せてはくれないかな?」
女はフフッと笑うと、
「随分遠回しな言い方をするのね。すっかり溜まったアサシンさん?」
と、男の股間をポンと叩いた。
「うおっと…!わかってるなら頼むよ、ね?」
男は片目をつむって女にねだった。
それに妖艶な笑みを返すと、女はカウンターの向こうに居た酒場のマスターを呼び、鍵を受けとる。
席を立つと男を促して酒場の二階へ上がり、沢山ある部屋の一番奥の一室に二人で入って行った。

薄暗い部屋の中、二人の体がベットの上で絡み合う。
部屋の中は熱気とむせかえるような淫臭が立ち込め、
二人の荒い息づかいと粘液が絡み合うぴちゃぴちゃという音が響いていた。
「はぁんっ…!相変わらず強いのね…あぁんっ!」
「君にそう言ってもらえるなんて…自信がつくよ…はあっ。」
ベットにうつ伏せになり腰を高々と上げている女の後ろから、先ほどのアサシンが己れを挿入し、リズミカルに腰を振っていた。
「あぁはぁんっ!そろそろ…またイかせてぇんっ!」
「ん…じゃ、いくよ…?」
そう言うと、パンパンパンと激しい音を立てて腰を打ち付けて始めた。
「ひゃあんっ!はあぁんっ!いいっ…凄くいいよぉっ…!」
「はあっ…!そ…そんなに…締めると、また直ぐ…いっちゃうよっ…?」
「だめぇっ!もうちょっとぉっ…もっと奥突いてえっ!あぁはぁんっ!」
男は高まる衝動を必死に堪えながら、女に腰を打ち付ける。
「あぁっ…来た…来たあっ…!イクわ…はぁぁんっ!」
「はっ…俺も…、もうイって…?」
「ひぁあんっ!中…中はやめてぇっ…はぁんっ!ねっ…?あぁんっ!」
「分かってるよ…はぁっ…イクよっ!」
「あぁぁぁんっ!イクうっ!イクうっっ…!」
女の絶頂を確認すると、男は急いで己れを引き出し、女の尻の上に置く。
手を添えて二回ほどしごくと、白濁液が先端から弧を描いて吹き出した。
それを背中に浴びながら、女は腰をガクガクと震わせてグッタリと倒れ込んだ。
126セレア・前編sage :2007/07/13(金) 12:44:17 ID:pX2mPI8U
シャワーを浴びた女がベットへと腰を下ろし、その長い髪を拭いていた。
「ねぇ。どうして中に出させてくれないの?」
まだベットの中でさっきまでの淫行の余韻に浸っていた男が声を掛けた。
「べつに…中がいやなだけ。」
女の返事はそっけなかった。
「最後まで中でイクと、俺もアニスももっと気持ちいいと思うよ?」
「だったら中でイかせてくれる女を探したら?私はかまわないわよ。」
女はついと腰を上げると、ソファーに置いてあった自分の衣服に手を通し始めた。
「そんな事言わないでくれよ。
中てイかせてくれなくたって、アニスほど美人で感度もよくて、締まりのいい女なんて居やしないよ。」
「そう思うのなら我慢してちょうだい。」
女は既に衣服をほぼ着終わって居た。長いウィザードマントを腕に掛けて、扉へと向かおうとする。
「あっ、アニス。待って。」
男は呼び止めると、傍らにあった自分の上着のポケットからゼニーを取り出した。
「これ、お礼。持ってって。」
そう言うと女へと差し出した。
「いらないわ。」
女は怒ったようにプイと顔を背けた。
「どうして?」
「私は商売女とは違うのよ。私が貴方を選んだだけ。
そんなものを渡したいならそれなりの所へ行ってちょうだい。」
「ごめん…悪かったよ。…また会ってくれるかな?」
男は心配そうに尋ねた。
「…いいわよ。毎週あそこで飲んでるから。またね。」
そう言うと女は部屋を後にした。
階下に降りた女は、酒場のマスターに目配せをすると、
長いウィザードマントを翻してはおり、深夜の街へと踏み出した。
そして細い路地裏へと入っていく。
路地の奥で辺りを見回し、誰の気配もないのを確認すると、
「ワープポータル!!」
と唱えて光の筒へと踏み込んだ。

女が着いたのはフェイヨンの弓手村の隅だった。
そこからフェイヨンの村へ入ると自分の家へと入って行った。
その間女は、常に周囲に人が居ないかを警戒していた。
家に入ると女はやっと警戒を解き、安堵の表情を浮かべる。
衣服を全て脱ぐと、それをクローゼットへと仕舞い、かわりに紫のワンピースを取り出した。
落ち着いた紫色に胸元は白い生地、肩は生地が寄せてありふっくらと膨らんだワンピース…。
それを身につけると鏡台の前に座り、ロザリオを首から下げ、頭に着けていたパープルのメッシュの付け毛を外した。
そして鏡の中の自分を見つめ、ボソッと呟く。

「おかえり、セレア…。」
127セレア・前編sage :2007/07/13(金) 12:45:03 ID:pX2mPI8U
私が処女を失ったのは13歳の時だった。

父は物心ついた頃からおらず、母と二人きりの生活だった。
ウィザードの母は私を養うために男たちに体を売って稼いでいた。
家には母の仕事部屋があり、毎日のように違う男が出入りする。
それを常に見ていた私は、母が仕事部屋で何をしているかを自然に察していった。
ある日、仕事をしている母を待って家の前で一人遊んでいると、母が声をかけてきた。
「セレア、ちょっと来てちょうだい。」
「はぁい。」
仕事中の母に呼ばれることなど初めてのことだった。
「セレア、この間たしか月のモノが始まったって言ってたわよね。」
「…うん。」
私は数ヶ月前に初潮を迎え、一人前の女性となったばかりだった。
「今は?出ているの?」
「ううん、先週終わったよ。」
「そう、なら平気ね。」
私は母がなぜそんなことを聞いて来たのかわからなかった。
「実はね、いつも来てくれるあのお金持ちの人がね、…お前を希望してるのよ。」
「私を?…希望って…。」
「うん。母さんがいつもしてるお仕事をね、お前にお願いしたいんですって。」
「…。」
「大丈夫。優しくしてくれるから。怖くないから、ね?いいよね?」
私は母の言うことに逆らうことなどできなかった。
母は決して喜んで男たちと寝ていたわけではなかった。
父を亡くしてから他に頼る人もなく、あの細腕で私を養って行くためには仕方のないことだったのだ。
母は私にはとても優しくしてくれていたし、決して私の腹は空かせまいと思いやってくれていた。
しかも、先日、母とこんな会話をした。

「セレアは将来どんな職業に就きたいの?」
「うーん…私ね、プリーストになりたいな。
でも支援だけじゃなくてね、マグヌスを使ってゾンビや悪魔を退治するの!」
「そう、格好いいわね。」
優秀なプリーストとなるには、聖堂の聖職者養成学校に入学するのが一番だった。
学校に入学するには当然入学金が必要だったし、多額の授業料もかかってくる。
母は、お金を稼ぐことに必死になっていたのだ。

「うん…わかった。私、平気よ。」
「そう…ありがとうね。じゃ、向こうで体を洗って、用意しておいてね。
あと、お前の名前は『アニス』ってことにしてあるからね。」
そういうと母は仕事部屋に戻って行った。

私は裏庭の洗い桶に水をためて、裸になってその中に座ると手ぬぐいで体を丁寧に拭った。
優しい母。私を守ろうと必死な母。
そんな母がなぜ私にこのようなことをさせるのか。
一見矛盾しているようだが、母はお金を稼いで私を学校に入学させるため必死になるあまり、
なぜお金を稼いでいるのか目的を見失いつつあったのかもしれない。
もしくはこうまでしないと、どんなに母が体を売っても学校の入学金を貯めることは不可能なのかもしれない。
私はこのあと自分の身に起こるであろう事など、母と自分の将来のためならばたいしたことはないと思っていた。
128セレア・前編sage :2007/07/13(金) 12:45:38 ID:pX2mPI8U
用意を終えると、母の仕事部屋のドアをノックした。
母が待ちかねた様子で扉を開けた。
「アニス…!よかったわ、用意できたのね。」
「うん。」
部屋の奥ベッドに半裸の男性が横たわっていた。
母はその男性に向き直ると、私の背中を押して男性の傍へと近づけた。
「アニスですの。お待たせしました…。」
男性が体を起こして、私の髪の毛を撫でた。
「アニスっていうのか。可愛らしいね。お母さんともよく似ている。」
「あの…この子、初めてですの。どうか…優しくしてやってくださいまし…ね…?」
母が心配そうに男性に言った。
「あぁもちろんだよ。」
男性はフッと笑うと私の肩を抱いて自分の隣に座らせた。
母がそっと部屋を出て行き扉を閉めた。
(あぁ…母さん…、私やっぱり…怖い!)
母の姿が見えなくなると私は涙ぐんでしまった。
「おや…どうしたのかな。急に怖くなったのかな…?」
男性が私の涙目を見て言った。
「…うっ…えっ…。」
「大丈夫。僕は君を怖がらせたりなどしないよ。それにこれからすることは怖いことじゃぁない。
人間なら誰でも持っている欲求を花開かせる、素晴らしい行為なんだよ。」
「…。」
「初めてでも、僕が君を必ず幸せな気分にしてあげるから。安心して…。」
そういうと優しく私をベットへと押し倒した。
男性の大きな体が私の上にふわっと覆いかぶさり、近づいてきた唇が私の唇を包んだ。
当然初めてのキスだった。
男性の唇は私の唇を優しく撫で、歯で私の下唇をふんわりと噛んでから舌を進入させてきた。
驚いて体を強張らせた私の頭を優しくなでて安心させると、私の舌と絡めてきた。
男性の舌が私の舌と合わさり、口の中を探るように舐め回してゆく。
私の心臓は早鐘を打ち、今まで感じたことのないムズムズとした何かが体の中に沸いてきた。
男性が唇をはずすと、私は思わず「ふぁっ…」と息を漏らしてしまった。
「…よかったのかな?」
そう言われると、なぜだかわからずに顔が熱くなった。
丁寧に私の服を脱がして裸にすると、私の細い体とちょっとだけ小高い丘のようになった胸を見つめてきた。
「いいね…とっても可愛らしい体だ…。」
そう言うと私のちょこんとでっぱったピンクの乳首を口に含んできた。
「あっ…!」
驚いて体をビクンと飛び上がらせてしまったが、男性はかまわずに乳首を舐め続ける。
さっき私の口の中を這い回った舌が、今度は私の乳首を這い回ってつついてくる。
湧き上がったムズムズがより大きくなって私の下腹部に熱を与えてきた。
初めての気分に自分に何が起こっているのかわからず怖くなったが、
なぜだか男性の口から体を離そうとは思わなかった。
むしろ、そのままにされてゆくことを望んで…?
男性がもう片方の乳首を指で刺激してくると、私は思わず
「ひああっ!!」
と叫んでしまった。
まるで下腹部のムズムズがドカンと爆発したみたい。
男性が「フッ」と少し笑ったようだった。
男性が口と指で触れているその胸の先っぽから、なにかがじんわりと染み込んできて、下腹部へと流れてゆくみたい…。
私の顔はのぼせて熱くなり、だんだんと思考が働かなくなってゆくのがわかった。
ふと太ももに水気を感じてハッとした。
手で探ると、自分が横たわっている丁度股間に当たるシーツの部分が濡れているのに気が付いた。
「ごめんなさい…漏らしちゃったみたいです…。」
私は男性に謝った。男性に気が付かれたら怒られると思ったのだ。
男性はそれを聞くと、にっこりと笑った。
「いいんだよ。それは漏らしたんじゃなくて、君が幸せになる準備ができてきた証だからね。」
あれ?漏らしたんじゃないのか…。と、ホッとした。
でも、こういうことをすると体にこんな反応が現れることに驚いた。
「じゃ、これだけ濡れてきたってことは、そろそろできるかな…。」
男性はそういうと私の股間に顔を近づけてきた。
「やぁんっ…!」
「大丈夫だから。安心して。足を開いて…。」
男性が私の太ももに手を添えて足を開かせる。
私のほんの少し薄く毛が生えている股間をまじまじと見つめてきた。
「はっ…恥ずかしいですっ…。」
こんなところ、母にさえこんな風に見せたことなどなかったのに…。
「いやぁ…とても綺麗だ。いいものを見せてもらった。僕の思い通りだったよ。」
「やだあっ…。」
もう恥ずかしくてどうしようもなかった。
「ほら、自分で触ってごらん?」
男性はそう言うと、私の手をひっぱり私の股間へと導いた。
「ほら、ここの溝のところ。指でなぞってごらん…?」
恥ずかしくてたまらなかったが、言うとおりにしないとと思い、溝に指を這わせた。
「ひぁはああぁぁんっ!!」
なぞった途端にビリビリとした電気が背筋を貫いてきて、思わず叫び声を上げてしまった。
「ほらね、すごく濡れてて気持ちいいでしょ?」
「はっ…はい…。」
今のが…快感??
「じゃ、指を入れるからね。力を抜いて。」
そういうと溝の奥にある穴へと、指を一本挿し込んできた。
さっきまで感じていたムズムズというもどかしい感覚を破り、激痛が襲ってきた。
「いたたたたたたたぁっ!」
「力をいれちゃだめだよ。リラックスして。」
「だめ…!痛い!痛いのぉっ!!」
「我慢して…!すぐに気持ちよくしてあげるから。」
ずっと優しかった男性も、この時だけは私の訴えを聞いてはくれなかった。
私は痛みに全身を強張らせ、涙を流しながら我慢していた。
男性の指は掻き分けるように私の奥へと到達し、その後ひねらせながら中を揉み解すように動いていた。
「いたぁっ…はぁっ…いたたっ…!」
「もうちょっとだよ…頑張って。」
必死に堪えていると、男性の言うように段々と痛みは引いてムズムズとした感覚が戻ってきた。
「はぁっ…はぁっ…くぅっ…はぁっ…。」
「うん…開いてきたね…。よかった。」
男性の指の動きに合わせて、ずちゅっ、ずちゅっ、という音が響いていた。
これ、さっき言ってた幸せになる準備の証の音かな…?
などと考えていた。
また段々と私の思考力は堕ちて行き、男性の指の動きと供に湧き上がってくる快感に声を上げてしまっていた。
「あはんっ、あんっ、はぁんっ、ああんっ…。」
「じゃあ本番といくかな…。」
男性は指を抜くとまた私の上へと覆いかぶさるようにして、片手でズボンと下着の前をはだけさせた。
そこから男性の性器を取り出す。
それは硬く張りつめたように、男性の体にくっつきそうなほどそそり立ち、
先端の膨らんだ部分の先かはぬらぬらと何かが滲み出して光っていた。
黒々としたそれを見た時、私の心は一気に恐怖へと支配された。
「…いや!いやぁっ!!やめて!!」
私は体をうつ伏せに返し、這いずってベットの上から逃げようとした。
「大丈夫…!!大丈夫だから!!安心して。」
私はあっけなく圧し掛かってきた男性に動きを封じられ、
うつ伏せのまま両手を背中に固定されると、腰を少し持ち上げさせられた。
「やだあっ!!やだぁっ!!お母さん!!!」
思わず母に助けを求めたが、扉は開かなかった。
その直後、私の中心を硬く太い何かが貫いた。
「あああああああっ!!!」
「はぁっ…だめだよそんなに締めたら…!力を抜いて…!」
「いたあっ!痛いっ!!やぁ…やぁだっ…。」
さっき挿れたれた指などとは比べ物にならないほど硬く太いそれは、
私の中の壁を容赦なくこじ開け、そして引いてはまたこじ開けてくるのを繰り返していた。
これが幸せなの?お母さん、これが私の幸せなの?
涙が溢れてきてどうしようもなかった。
「はうんっ…いっ…あぅっ…はあっ…。」
腰周辺をゾワゾワという感覚が襲って来始めたが、
貫かれた痛みと腫上がった膣ではそれを快感を捉えることはできなかった。
「はぁっ…いくね…?」
男性はそう言うと、より激しく腰を打ちつけて来た。
腫上がった膣壁が、摩擦によりいっそう熱を放ち、奥に到達するたびに背筋を刺激してきた。
「ああっ、ああっ、はああっ!!」
「いくよ!!」
ドーンと強く打ち付けたのを最後にして男性は私から性器を抜いた。
すると私の尻の上に熱い液体がドクドクと振り掛けられるのを感じた。
何か得体の知れないものを掛けられていることよりも、
解放されてなおも熱くジンジンと痛む股間が心配で涙が止まらなかった。

この日、私は同じ行為をあと三回、そして口による奉仕というのを二回した後、母と会えたのだった。
129セレア・前編sage :2007/07/13(金) 12:46:07 ID:pX2mPI8U
しばらくして、私は聖堂の聖職者養成学校に入学し、晴れてアコライトとなった。
学校には裕福な家庭の生徒が多く、私はまだ体を売り続ける母親の存在を隠すようになっていた。
もちろん、自分がそれまがいのことをしたことなど、微塵も感じさせずに振舞った。
学校にも慣れ始めた頃、授業を終えて家に帰ると母の姿はなく、
あの男性が家で私を待っていた。
「やぁ。久しぶりだね。
家にはお母さんに入れてもらったんだ。お母さんは夜まで帰らないよ。」
そういうと私の肩を抱いてベットへと促した。
私は大人しく男性に抱かれた。
久々の刺激に私の下の口はだらしなく蜜を垂らし、行為によがり声を上げていた。
男性は満足すると、
「またたびたび来るからね。お母さんには許可をもらってあるんだ。」
そう言って帰って行った。

母は私を売ったのだ。

大方、最初に私が抱かれた時、母はあの男性からお金を受け取って私を学校へ入れた。
しかし月々請求される授業料は、やはり母の稼ぎだけでは支払い続けることができなかったのだろう。
男性は私の授業料を負担する代わりに、私の体を自由にする権利を母から得たのだった。
お金が必要なのは、私が学校へ行っているせいだ。
自分自身にかかるお金を、私は自分の体で稼いでいる形となった。
それでも私は、娘を男へと売り渡した母を許すことはできなかった。
私は学校に通う三年間、ずっとあの男の世話になり、卒業すると同時に母と男の前から姿を消した。
既に私はプリーストとなっていて、学校を主席で卒業するほど優秀な能力を持っていた。
実家を後にすると、プロンテラからは離れたフェイヨンに小さな家を借りて、
そこで細々と一人で暮らすことにした。
しかし、私の体はあのいやらしいロリコン男に隅々まで調教されていて、
既に男なしでは自身の湧き上がる「女」の部分を押さえきれなくなってしまっていた。
しかし、私は母とも、あの男とも、あの過去とも決別することを望んでいる。
この矛盾した思いを自分の中で正当化するため、
私は実家から持ち出した母のウィザードの衣装に身を包み、アルベルタの歓楽街に通うようになったのだ。
アルベルタに居る私は、男から男へと渡り歩く淫乱なウィザード、アニス。
フェイヨンに居る私は、聖職者養成学校を主席で卒業した優秀な退魔プリースト、セレア。
こうして私は「二つの自分」を持つようになった。
130セレア・前編sage :2007/07/13(金) 12:47:57 ID:pX2mPI8U
とりあえず前編終了。
完成次第、続編を投下します。
ご意見とか感想とかいただけたら、すごく燃料になります。
よろしくお願いします;;
131名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/13(金) 15:28:57 ID:3XVsqjRc
身近にそういう友人がいるので、一瞬びっくりしました。

個人的にとても好きですね。
娼婦さんの裏の顔話とか過去話というのは
重い反面、いろいろ新鮮なので面白いです。

次回作期待してますb
13270sage :2007/07/13(金) 17:00:54 ID:pX2mPI8U
早速ですが中編投下させていただきます。
133セレア・中編sage :2007/07/13(金) 17:01:46 ID:pX2mPI8U
「セレア、おはよう。」
「おはよう、エド。」
私は朝になると、所属しているギルドの溜まり場へと顔を出した。
ギルドと言っても、このフェイヨンにたまたま住んでいてよく顔を合わせていた者たちの集まりなだけ。
私はよく一緒に狩りに行くハンターのエドと挨拶を交わした。
「セレア、おはよう。」
「おはよう、ミリアム。」
同じくギルドのメンバーのアルケミスト、ミリアムもやってきた。
「セレア、昨日これ忘れて行ったでしょう。私のカートに入ってたのよ。」
彼女は聖水を取り出した。
「あっ、そうだったわね。ごめんなさい。」
昨日彼女を連れて遊びに行った時、預かってもらっていたのをすっかり忘れていた。
「気が付いて夜届けようと家を訪ねたんだけど、居なかったみたいね。何処へ行ってたの?」
「えっ…昨日は……内緒!!」
「内緒ってなぁ〜に?もしかしたら隠れて男と会ってたんじゃないのぉ〜?」
ミリアムがからかうように言って来た。
しかし私の中ではそれはギャグにさえなっていず…。
「そんな人なんかいないわよ!変なこと言わないで…。」
「あはは、冗談よ。とにかく返しておくね。」
「ありがとう。」
私は聖水を受け取ると、チラッと横目でハンターのエドを見た。
エドはグローブと弓の手入れをしている。
よかった、今の会話、エドには何とも思われなかったみたい…。
ホッと胸を撫で下ろすと、成り立て騎士のボブが顔を出した。
「よっ。セレア、エド、おはよう。」
「おはよう。」「おはよう。」
「ほらほら、手入れはその辺にして、何処か三人で狩りに行かないか?」
「えぇ〜…朝っぱらから早速かよ。」
手入れの手を止めてエドが面倒くさそうに言った。
「俺は転職したてで早く色んなスキルを覚えたいんだよ!ほらほら行こう!」
ボブの強引な誘いに、三人で狩りへと出かけた。

次の週の晩。
私はまた「アニス」となって、酒場で誘ってきた男とベットを供にしていた。
この男、アマツからやってきたブラックスミスで、商売を終えて明日また別の地へと旅立つということだった。
ブラックスミスの逞しいセックスに私は満足していた。
「そういえば、あの噂、聞いた?」
ベットの中で私を愛撫しながら、ブラックスミスが聞いてきた。
「なぁに?噂って。」
「シュバルツバルド共和国が、今度ミッドガルドにヴァルキリー神殿を解放するって噂さ。」
「何なの?それ。」
「知らないのかい?オーラをまとってヴァルキリー神殿へ行くと、上位職に転生できるようになるんだよ。」
「ええっ?上位職に!?」
私はブラックスミスの愛撫をさえぎって身を乗り出した。
「あっ、あぁ。…まだ噂だけどね。あんまりミッドガルドでは知られていないみたいだね、まだ。」
「初めて聞いたわ…。」
「とにかく、オーラをまとっていなければ神殿へ行く資格は与えられないらしいよ。」
「オーラね…。」
「君も転生してハイウィザードを目指すといいよ。
君があのミニスカートとハーフコートを着ている姿、見てみたいなぁ…。」
「そう…ね…。」
それからのセックスに私は上の空だった。

上位職に転生できる。
それは私にとってこの上もないチャンスだった。
未だ母とあの男の呪縛から逃れられず男を渡り歩く自分。
私はこの二つの顔を持つ自分に嫌気がさしていた。
転生して、また一から人生をやり直せれば、過去の自分を全て捨て去ることができるような気がしていた。
これで捨て去れなければ、いったい何処で捨て去れと言うのか。
私はプリーストを極めオーラをまとい、新しい自分に生まれ変わるしかないと思った。
オーラをまとうためには、ひたすら冒険を重ね、経験を積むしかない。
私はこれからは狩りに集中して取り組んで行こうと決意した。
134セレア・中編sage :2007/07/13(金) 17:02:29 ID:pX2mPI8U
「ねぇエド、狩りに行かない?」
私は相方とも言えるエドを狩りに誘った。
「ん〜…昨日沢山狩ったし。今日は俺はのんびり過ごしたいんだよなぁ〜。
セレアもそうしようよ。ゲフェンの展望台、一緒に行ってお弁当でも食べない?」
「…うん…。」
私は狩りに行って早く経験をつみたかった。
しかし相方のエドはわりと気楽な性質で、狩りをするときはするけど、
どちらかと言うとのんびりと過ごしていることの方が多かった。
私はエドとの狩りが大好きで、彼の明るい人柄も顔もとても好きだった。
彼の前では「アニス」には信じられないほどに、しおらしい清楚な女性として振舞っていた。
エドは食い扶持に困らない程度に狩りを楽しめればいいと思っているタイプだ。
一方私は、これまではそんなエドとのんびりした時間を過ごすのも好きだったが、
先日転生の話しを聞いてからは、このエドの性質に少々イライラするようになってしまった。
私は、彼と一緒に転生できたらどんなに嬉しいだろう、と思っていたが、
エドは転生の話しをしてもまったく魅力を感じていないようだった。
ふぅーっとため息が出てしまう。
まだ噂にすぎないと言うのに、私の心はヴァルキリー神殿へ飛んで行ってしまいそうだった。
「セレア〜エド〜!今日も狩りに行こうぜ!」
ボブが現れた。
「俺はパース!!今日はまったりさせてもらう。」
エドが間髪入れずに断った。
「セレアは?暇ならどこか行って経験値稼ごうよ。
俺、ブランディッシュスピアー覚えたんだよ。これでかなり強くなったはずだし。」
「えっ…う…うん…。」
横目にエドの肩がピクッと震えたのがわかった。
「ほら、行こう行こう!!」
「えっ…。ええ。」
私はボブの強引な誘いに流されるまま、ポータルを開いた。
ボブに続いて振り向かずにポータルへと乗り込む。
振り向いて、エドがどんな顔をしているのかを見るのが怖かった。

翌日、溜まり場にエドは顔を出さなかった。
今日は天気が悪く小雨が降っている。
エドは相棒の鷹のタイラーが雨が嫌いだからと言って、天気が悪い日はあまり狩りへは出ない人だった。
そんな日は私はエドの家を訪ねて一緒に食事を作ったりして過ごしたこともあったが、
昨日の件でエドの家を訪ねるの躊躇して、なんとなく溜まり場を訪れた。
「おう、セレア。」「やぁ。」
溜まり場にはいつものようにボブが居たが、もう一人、クルセイダーの男性が座っていた。
「あ…おはよう、ボブ。そちらは?」
「こいつジェイク。狩場で知り合ったんだけどさ、すげぇ強いんだよ。グランドクロスってやつ。」
「よろしく。」
差し出されたジェイクの手を受けた。
「よろしく、こちらこそ。」
「これから三人で何処かいかないか?こいつが居ればグラストヘイムの騎士団だって怖くないよ。」
騎士団…!そこは強い敵が多く潜み、沢山の経験が積める憧れの狩場だった。
「ええ!行くわ!」
私は喜んで返事をした。
「よおし!三人でがんばるぞー!!」
ボブが私とジェイクの真ん中に立ち、私たちの肩に手を置いて明るく言った。
「ええ、頑張りましょう。セレアさん、よろしくお願いしますね。」
「ええ、私も頑張ります。」
ジェイクの言葉にそう答えると、私たちは三人でポータルへと吸い込まれて行った。
その時の狩りは絶妙なバランスで高効率を叩き出し、それを知った私たちはその後も三人で狩りに行くようになった。
毎日溜まり場で待ち合わせて、グラストヘイムへと旅立つ。
私はエドのことが気になっていたが、彼はだんだんと溜まり場へは顔を出さなくなり、
あまり会うことも無くなってしまった。
私は正直、エドを含めて四人で狩りに行きたいと思っていた。
私はエドが好きだったから。エドも一緒に強くなって彼と一緒に転生したかったから。
しかし、絶妙なバランスを保つこの三人のパーティーにエドが加わることは、
自然と効率を下げることに繋がる。
高効率を喜ぶボブとジェイクに言い出せずに長い期間が過ぎてしまっていた。

いつものように歓楽街で「アニス」として過ごした私は、翌日寝坊してしまった。
その時の相手があまりにも絶倫で、私は激しすぎるセックスにすっかり腰が砕けてしまっていたからだ。
その日はとても狩りなどできる状態ではなかった。
どうせもうボブとジェイクは狩りへと出かけただろう。
私は陽だまりを求めて溜まり場へと向かった。
そこでは一人のハンターが、相変わらずグローブと弓の手入れをしていた。
エド…!
エドに会うのは数週間ぶりだった。
思わず緊張して、彼の背後から声をかけた。
「エド…久しぶり。」
「おう、セレア。元気だった?」
エドは以前と変らない笑顔を返してくれた。
「う、うん!!元気だった。」
「そっか、よかった。」
私は手入れを続けるエドの横に腰を降ろした。
いつものエド愛用の磨き油の甘い香りが漂っている。
それを嗅ぐととても安心できる…。
あぁ、私、やっぱりエドのことが好き…。彼のことが好きなんだ…。
目を閉じてしみじみと自分の気持ちを繰り返し確認していた。
「そうだ。暇なら崑崙の丘まで行ってみようか。景色がすごくいいらしいよ。」
「ほんと?見てみたいわ。」
「じゃあ途中狩りでもしながら、ゆっくり行ってみようか。」
「うん、わかった。」
その日私はエドと久しぶりに二人きりで過ごし、心からそれを楽しいと感じていた。
崑崙の丘では二人で腰を降ろし、眼下に広がる澄みきった青空を眺めていた。
エドが、草むらについた私の手の上に自分の手を重ねてきた。
今まで何度も二人きりで過ごしていて相方などとも名乗っていたが、
私たちの関係は清いもので、ましてや手を繋いだこともなかった。
私はその手を受けて、彼の手と硬く組み合わせた。
彼が自分の方へ手を引き寄せると、私は引っ張られて彼によっかかる形になり、
彼はそのまま私の肩抱き寄せた。
すごく、ドキドキした。
ただ肩を抱かれているだけなのに…。
何人も男を渡り歩いてきてるはずなのに、私は彼の前だけではまるで生娘に戻ってしまっていた。
真っ赤な顔をしている私の顎に彼が手をかけると、くいっと私の顔を上げさせた。
彼の顔がどんどん近づいてきて、私は「キスされる!!」と覚悟して目を閉じた。
目を閉じること数秒、私の唇には何も触れてこなかった。
かわりに、彼の甘い香りのする唇が、私のおでこ触れた。
あれ…。なんだ、おでこだったのか…。
ちょっとだけがっかりして目を開けると、エドは照れくさそうに笑って
「また、今度、…な?」
と言った。
「…うん。」
私もはにかみながら答えた。
135セレア・中編sage :2007/07/13(金) 17:03:11 ID:pX2mPI8U
私は迷っていた。
私の中の「セレア」は、エドと共に過ごすことを望んでいる。
しかし「アニス」は相も変わらず数えきれないほどの男たちと体を重ね、「セレア」のそんな気持ちを嘲笑うのだ。
アニスがいる限りセレアに本当の幸せの日々は来ない。
私はセレアで居たいがために、アニスに恐れを抱くようになっていった。
それでも、私の体は毎週じわじわと男を求め疼き出し、
気が付くとアルベルタの歓楽街のあの酒場で、ウィザードのアニスとしてグラスを傾けている。
今夜の私は飲みすぎていた。視界がうねうねと渦を巻き、激しい目眩に耐えかねて顔をカウンターへと突っ伏していた。
自分の中に存在する矛盾した二人のいがみ合いに疲れて居たのだ。
「いっそ誰も私に声を掛けてこなければいいのに。」
そんな身勝手なことを考えていた。
「やぁ。」
そんな希望も虚しく男が私の背後から声を掛けて来た。
私はカウンターに突っ伏したまま「なぁに?」と答えた。
「アルベルタに毎週現れるという魔性の美女、アニス嬢の噂を聞いてやってきた。
私にも一夜の夢を見せてはいただけないか?」
何時もの私なら声を掛けてきた男を慎重に値踏みして、気に入らなければ追い返していた。
しかし今夜はそんな気が沸かないほどに酔い、どんな男でもいいから抱かれてめちゃくちゃにされたかった。
「…い、いわ…よ。」
私は酔いすぎていて足も立たなかった。男に抱き上げられて何時もの部屋へと連れていかれる。
男は私をベットへと下ろすと、カチャカチャと音を鳴らし鎧を脱いでいるようだった。
その音を聞きながら「騎士かな…?それともクルセ…?」などと考えていた。
確認しようかと思ったが、私の瞼は鉛のように重くぴったりと合わさってしまい、
それを開くのにはもっと強い意思が必要だった。
男は目を閉じたままの私の服を脱がせ、愛撫を始める。
男の愛撫は繊細で時に大胆に。私の体は直ぐに火照り始め、喘ぎを漏らし始めた。
ジワジワと淫水が滴り始めると、男は口と指を使い私を一度目の絶頂へと呆気なく導く。
直ぐに私の口に既に固く張り出した性器をあてがって来たので、私は無我夢中にしゃぶった。
その時にこのモノが今までのどの男のモノよりも大きく、固く、素晴らしい形をしていることがわかった。
私の中の「アニス」が、早くこれをその身にくわえたいと、とめどなく涎を垂らし始めた。
男は私の口の中に精を吐き出すと、侵入を待ち焦がれてヒクヒクとしている私の壺穴へと侵入してきた。
私は期待通りのその剛直にヒィヒィと喘ぎ、二度目の絶頂を迎えた。
男は射精をせずに突きつづけ、私が四度目の絶頂を迎えたと同時に射精した。
うっかり「中に出さないで」と言い忘れたが、男は私の噂でも聞いて来たのか、ちゃんと外で射精してくれていた。
男は射精を済ますとまた直ぐに私の中へと入って来て、また素晴らしい剛直で私を突き上げる。
私はまた三回もイかされて、男が果てるとやっと解放された。
続けざまの絶頂に、私は意識を朦朧とさせてだらしなくベットに横たわっていた。
「…セレア?」
おもむろに名前を呼ばれ、思わず
「…なぁに?」
と返事をした。
してしまった後で気が付いた。
私は「アニス」だ…!
がばっとベットから起き上がって、私の名を呼んだ男の顔を確認した。
「…ジェイク…!…どうして…!?」
男は、ボブと共によく一緒に狩りに出掛けていたあのクルセだった。
私は誰の目から見ても分かるほどに狼狽えた。
「やっぱり…まさかとは思ったけど、初めて見た時から似ていると思ったんですよ。」
男はため息混じりに言った。
「だからってこんな騙すような真似…。」
私の体は秘密があらわになった恐怖でガタガタと震えていた。
「似てるからと言って、聞いた所で貴女は惚けて誤魔化すだけでしょう。
だから貴女が酔って、さらに疲れて気が抜けた所を狙ったんです。」
「酷いわ…!」
「酷いのはどっちですか。貴女こそボブや私を始めとして、周りの人間を騙しているではないですか。」
「…。」
ジェイクは葉巻を取り出して火を点けると、深く吸い込んで煙を吐き出してから言った。
「私は貴女を清い乙女と信じて疑わずに熱を上げている親友に、この事実を伝えなければならない。」
親友…!?
「…それって…。」
「もう此処へ来る筈です。」
「…止めて!お願いだから誰にも言わないで…!!」
私は情けなく彼にすがった。
「別に誰に言うつもりもありません。今ここに来るただ一人を除いてはね。
それに、もう遅いですよ。」
そんな…!
すると、部屋のドアがノックされる音が響いた。
「ジェイク?居るのか?こんなとこに呼び出して。いったいどうしたんだ?」
ドアの外から呼びかけるその声は、まさしくボブのものだった。
「ああ。鍵は開いてるから入ってくれ。」
私の目に、ゆっくりと回っていくドアノブが映った。
「いや…止めて!お願い…!!」
私の最後の足掻きの叫びが響くと同時に、ドアが開かれた。
「…っと!!申し訳な…い…。」
ボブは、部屋の中に居た裸の二人を見て、咄嗟に目を背け引き返そうとした。
しかし、ピタッと動きを止めると、恐る恐る私の顔を見直してきた。
「…セレア…?」
見られてしまった。
もう誤魔化すことなどできない。
私はただ目を閉じて、ボブから浴びせられるだろう軽蔑の言葉を待った。
「そうだ、お前が何時も聖女と崇め、憧れて止まないセレア嬢だよ。」
ジェイクが私の罪を知らしめるように言った。
「どうして…こんな…?」
ボブはただただ戸惑っているようだった。
「この女は何も知らないような顔をしておきながら、
その癖裏じゃこうやって何人の男とも情事を重ね、お前を騙してたんだよ。」
ジェイクの言葉が私の胸を刺した。
「セレア…。本当なのか…?」
ボブの顔は悲しみに染まり、私に否定してもらいたいと瞳で訴えてきた。
しかし私には、否定する事実も権利もなかった。
「ボブ…ごめんなさい。ごめんなさい…。」
私には謝る事しか出来なかった。
「ボブ、許し…て…」
ボブの前に跪ずこうと腰を上げた直後、
激しい頭痛と吐き気に襲われて思わずうずくまった。
下腹部がぎゅうっと締め上げられるように痛み、視界がぐるぐると回ると、
意識が遠退いてベットの下へと転げ落ちてしまった。
「セレア!?セレア…!」
ボブが私の名を呼んだ。
あぁ…本当にごめんなさい。ボブ…
私の意識は暗闇に呑み込まれて行った。
136セレア・中編sage :2007/07/13(金) 17:03:49 ID:pX2mPI8U
気が付くと私は見知らぬ部屋のベットに横たわっていた。
「セレア…。」
呼ばれたのにハッとすると、私の傍らにはボブが腰掛けていた。
「ボブ…ごめんなさい、ごめんなさい。私…。」
私は体を起こして、ボブに頭を下げようとした。
「だめだ、安静にしていないと。」
ボブは私の肩を押さえつけてそれを辞めさせた。
「…私、あなたを騙してた。本当は酷い女なの。」
「もういいんだ。俺のことなど気にするな。」
「ごめんなさい、ごめんなさい…。」
私にはただ謝ることしかできなかった。
「そんなに泣くな。とにかくここでしばらくは静養して、体を回復させないと。」
ボブの言葉は私を言い聞かせるようだった。
「静養って…私、お酒を飲みすぎて酔いつぶれただけなの…。平気よ。」
「いや、違うんだよ。…君は、妊娠していたんだ。」
…妊娠…!?
「そんな馬鹿な…!?」
「本当だ。医者がそう言っている。…ただ、もう赤ん坊は……。」
…流産…。
私は自分が妊娠しているのも知らず、その上既に流産してしまっていたのだ。
私が男たちに「中で出さないで」と言っていたのは、
もちろんゆきずりの男の子を身ごもってしまうのが怖かったからだ。
私の母は客の子供を何度も妊娠しており、生活の余裕のない母は中絶を繰り返していた。
私はそんな母のようにはなりたくなくて、それで「中に出さないで」という決まり文句を言うようになった。
それに、私の中の「セレア」の聖職者としての性質が、堕胎を良しとはしていなかったから。
しかし、射精を外にしてもらうだけでは当然避妊になりはしない。
いつかこんなことになることも何処かで予想してはいた。
ちゃんとした避妊はしないのに男に「中に出さないで。」と言うのは、
私の中で「アニス」と「セレア」を共存させてバランスを取る唯一の手段だった。
私は、馬鹿な自分に対する後悔と、もう失われてしまった小さな命を思って涙を流した。
セレア…なんて馬鹿な女。
今更後悔したって、何も元通りにはならない。
友人との絆も、汚れてしまった体も、失われてしまった命も、みんな…。
私はボブの肩を借りながら、ひたすら嗚咽を続けた。
「セレア…。体が回復したら、俺と一緒にあのフェイヨンの溜まり場へ戻ろう。な?」
こんな私にボブは優しく語り掛けてくれた。
あの暖かい陽だまりの、エドが居る溜まり場へ戻る…?
「うっ…私…もうあそこへは戻れない…、ぐずっ。」
「そんなことない。戻れるさ。だから…。」
「ううん、私、もう…エドには会えない…。会う資格なんかないの…。」
「セレア…。」
ボブは、私がエドの名前を出したことに驚いているようだった。
「私、誰の子を妊娠していたかもわからないくらいに男と寝てた。
だらしが無くて、汚い女なの。こんな私、エドには相応しくない…。
それにこんな私だってこと、エドに知られたくないの…!」
そういうと一層激しく涙が溢れてきた。
「…そうか…。わかった。じゃあ、何処か別の所に旅立とう。俺が一緒に行ってやる。」
「そんな…ボブを巻き込むことなんかできない…。」
「ハハッ、今更そんなことを言ったって無駄だよ。もうどっぷり巻き込まれてるさ。
お前だけ一人で行かせやしない。俺と一緒に転生を目指そう。な?」
ボブ…。私は貴方を騙して傷つけたと言うのに、貴方はなんて優しいのだろう。
私は彼が私を慕っていてくれたことに気が付きもせずに、色々な男と体を重ねてきた。
そしてそれを知ってなお、私が口にしたのはエドの名前だった。
その上で、彼はここまで私に言ってくれる。
今の私の心はエドに対する思いと後悔が溢れ、ボブへの愛情を感じることはできなかったが、
全てを知ってでもこう言ってくれるボブに、私は甘えてしまいたかった。
「ありがとう…ボブ。私…転生して、生まれ変わりたい。」
「あぁ、生まれ変わろう…。」
私はボブの胸で泣き続けた。

私はしばらく入院を余儀なくされたが、ボブは毎日訪ねてくれ、私を励まし続けた。
体が回復すると、私とボブはフェイヨンから遠く離れたゲフェンに二つの個室のついた部屋を借り、
フェイヨンの家からはボブが私の家財道具を引き上げてくれた。
私はエドはもちろん、あのギルドの仲間にはあれ以来会っていないままだった。
突然姿を消した私を皆がどう思っているのか気にはなったが、ボブに聞くことはしなかった。
ボブもゲフェンへと住居を移し、私たちは日々オーラをまとうために狩りに勤しんだ。
私とボブは同じ家に住んでいたが、それぞれに施錠できる個室がついていたため、
食事などは一緒に摂ったが、寝室を供にするような艶かしい事は一切起こらなかった。
私はあれ以来「アニス」となって歓楽街に行くこともなかったし、もうセックスは懲り懲りだった。
ボブが本当の私を知っても、昔と変らず慕っていてくれることは感じていたが、
ボブも私の思いを知ってか、決してそれを表へは出そうとしてこなかった。
私はそんなボブに甘えて、彼と一緒の生活を続けていた。
ほどなくして、私とボブはオーラを身にまとう。
ボブはギルドを結成して、今度解放される砦を奪うために優秀な人材を探して勧誘を始めた。
序所に仲間は集まり、私たちは解放された砦を一番に手に入れた。
私たちのギルドはそれから砦をずっと防衛し、ミッドガルドでも強豪なギルドとして名を馳せた。
マスターのボブは有名人となり、彼はある日国王から城に招かれ、国王に忠誠を誓う正騎士の称号を賜る。
その時に騎士名として「オルウェン」の名をいただき、彼はその後その名を名乗るようになった。
彼の正騎士としての活躍は目覚しく、ほどなくして転生を済ませ私たちがロードナイトとハイプリーストとなると、
国王から我がギルドをミッドガルドの治安維持部隊として雇う話しをいただいた。
もちろんオルウェンは喜んでその話を受け、私たちは街を守る部隊として活躍した。
私はずっとエドが今頃どうしているのかと忘れることはできなかったけど、
ギルドと部隊の仕事の慌しさに追われているうちに、自然とエドのことを思い出す時間はなくなっていった。
オルウェンはすっかりギルドマスター件隊長としての顔が板につき、
私はずっと彼に付き添い、私を見守り続けてくれた彼を助けて行くことを決意した。
137セレア・中編sage :2007/07/13(金) 17:04:30 ID:pX2mPI8U
以上で中篇終了です。
…ほんと独占しちゃってるなぁ…すみません;;
138名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/13(金) 17:50:26 ID:rFA0CxvI
ボブ・・・いい奴だな(´;ω;`)
どんどん独占してくだされ。続きを待ってます(・∀・)b
139セレア・後編sage :2007/07/13(金) 20:09:13 ID:pX2mPI8U
セレア・後編
投下いたします。

↓以下本文


そう過ごすこと数年、私に思いがけない再会が待っていた。

ある事件に関連して、オルウェンはその犯人に監禁され暴行を受けていたマジシャンの少女を救い出した。
私とオルウェンはその少女を保護し、彼女の身の上を知って同情した。
少女は救ってくれた恩を返そうと、私たちの役に立ちたいと言って教授を目指した。
そんな健気な彼女がとても可愛らしく、私とオルウェンはその少女を実の妹のように可愛がっていた。
妹のように、と言っても、オルウェンはまるでその少女の父親のようになっていて、
そんな少女とオルウェンの姿は私を微笑ましくさせた。
その少女、リュカが、セージキャッスルで出会った男性に一目ぼれをしたと言うのだ。
私たちはその話しを聞いて、もちろん彼女を応援した。
彼女は教授になると、その男性の下に行き、居候していた私の家には戻らなくなった。
ちょっと寂しい気もしたが、不幸な過去を持つ彼女が幸せを掴んだことに安心していた。
そのリュカが、ある日恋人の男性を連れてギルドを訪ねてきたのだが、
なんとそれがエドだった。
私は思いがけないことにかなり驚いたが、エドとリュカの寄り添う姿を見ても嫉妬の感情は沸きあがりはしなかった。
心から、リュカと昔愛したエドの幸せを喜んだ。
ただ少しだけ、なんと言ったらいいのかわからないモヤモヤが私の心の中を焦がした…。
140セレア・後編sage :2007/07/13(金) 20:09:47 ID:pX2mPI8U
その日、深夜まで、溜まっていた王室からの書類の整理をオルウェンと二人でしていた。
一通り目を通し終わると、今日のリュカとエドの姿を思い返し、オルウェンに言った。
「本当によかったわ、リュカのこと…。」
「…あぁ。」
オルウェンは返事をすると、書類を掴んだまま動きを止めた。
「どうしたの?まだ心配を?」
「違うよ。…俺が気にしているのは…君のことだ。」
「…私の?」
オルウェンは書類を置くと、私の目をまっすぐに見つめてきた。
「君は昔、奴とは恋人同士だった。俺は当時君から奴についての相談もされてたくらいだぞ。
その奴がリュカの相手と知って、君は何とも思わなかったのか?」
「…もう終わったことじゃない。」
そう、終わっている。
私がエドに対して思うのはただ懐かしいというだけで、リュカの笑顔も心から祝福できる。
「いいや。君があの時、ギルドと攻城戦のために生きると決め、奴の前から姿を消したあの時の涙…。
俺にはまだ終わったとは思えない。」
「やめて…オルウェン。私にはリュカの幸せを壊すようなつもりはまったくないのよ。」
「違う!そうじゃないんだ。俺だってリュカの幸せを壊したくなどない。
だが、本当は君だってリュカのように、女性としての幸せを欲しているんじゃないのか…?」
「…。」
私はオルウェンのその言葉で、私の心を焦がしたモヤモヤが何だったのかをわからされた。
「セレア…。君は奴との別れを決めた時からギルドと仕事に全てを捧げてきた。
ずっと俺の側で支え続けてきてくれた。俺は…ずっとお前を見ていたんだ。」
「それ以上は言わないで…オルウェン。」
だめだ。彼が言おうとしていることを聞いてしまったら、
私はもうオルウェンに甘えてゆく事はできなくなる。
オルウェンは勢いよく立ち上がると、デスクに足をぶつけながらも私に迫ってきた。
「いやだ!今日こそ言わせてくれ…!俺は…お前を……!!」
オルウェンが私を抱きしめ、テーブルを押しのけると、ソファへと押し倒してきた。
「オルウェン…だめ…!」
「セレア…!!愛してる。ずっと昔から…愛してたんだ…!!」
彼は私の胸に顔を埋めながら、震える声で漏らすように言った。
「あなたも知っているでしょう?私がどんな女だったのか…。
私はあなたの愛を受け入れられるような綺麗な女じゃないのよ。」
「わかってる…!君があの時のことを悔やみ、傷ついているのはわかってる。
だが、それでも俺の思いは変らない。お前が欲しいんだ…!」
彼の声は切実な思いにかすれていた。
「だめよ…!私は汚れてるの…あなたに抱かれる資格なんかない。」
「汚れてたっていい!俺がお前を綺麗にしてやる…。
俺はずっとお前を抱きたかった…。たった一度だけでもいい。俺の思いを受け止めてくれ…!」
オルウェンは泣いていた。
「そんな都合のいいことできない…!」
「都合がいい男でも俺はいいんだ。
一度だけでも望みがかなえば、俺はまたいつもの自分に戻る。
お前もこれまでのようにして、忘れてくれてもいい。
頼む…!愛してるんだ…!!」
エドと別れてからずっと傍で見守っていてくれたオルウェン。
私は彼の思いを知りながらも、ずっと見ない振りをしてきた。
彼にずっと甘えてきたんだ。
彼はその間、彼は私への想いを抑えるのにどんなに苦しんだろうか…。
これは、私がオルウェンに与えてきた苦しみなのだ。甘えることでずっと苦しめてきた。
そんな彼の「一度だけ」と言う叫びを、どうして無碍にすることができよう。
自分が悪かったのだ、全て…。
「オルウェン…わかったわ。一度だけでいいなら…私を抱いて。」
そう言って胸にある彼の蒼い髪を撫でた。
「セレア…!セレアっ…!!」
オルウェンは今までこらえてきたものを溢れさせて私を抱きしめた。
セレア、なんて馬鹿な女。大切な人をここまで苦しめて…。
私には彼を拒む権利などないのだ。
今までずっと都合のいいように彼を扱い、その上苦しめてきた。
私の体をそこまで望むなら、こんな汚れた体、いくらでも彼に与えたらいい…。
そう考えて私は彼の思うままに身を任せた。
オルウェンはソファの上で荒々しく私を抱いた。
私の服を優しく脱がすと、自分は乱暴に衣服を脱いだ。
彼の鍛え上げた体は、私を優しく包んだかと思うと、急に野獣のように私の快感を刺激してきた。
久しぶりに感じる男の汗の匂い。私の頭はそれに酔って行った。
「セレア…セレア…ずっと待ってたんだ…!俺がお前を綺麗にしてやる…。」
そう繰り返して、私の全身をくまなく愛撫していった。
数年振りのその快感に、私の「女」はすぐに目を覚まし、蜜壷はいやらしく涎を垂らし始める。
「オルウェン…来て…。」
そう私が囁くと、彼は夢中な様子で私の中へと入ってきた。
私を突き上げるオルウェンは、今まで見たことのない「男」の顔をしていた。
快感に悶え、顔を火照らせて、夢中で私の中をかき混ぜていた。
「セレア…セレア…っ!」
繰り返し私の名前を呼ぶ。
私も彼の熱いモノの突き上げに悶え、名前を呼ばれるたびにビクビクと腰を震わせた。
私を「セレア」と呼びながら抱いたのは、オルウェンが初めてだった。
私がセレアとして受け入れた男性、それはオルウェンだけだった。
「ああっ…!オルウェン、オルウェン…っ!もうっ…ああぁんっ!」
「セレア…セレア…!出すよ…!」
「来て…!私もいくうっ…ああぁはぁあんっ!!」
私はまるて初めて感じるかのように快感に体と心をガクガクを震わせて、
自分の足を彼の腰に回し、オルウェンを私の中から逃がさぬように固定した。
以前口癖だった、「中に出さないで。」
そんなことは一切口に出さず、繋がったまま彼の精を存分に受け止めた。

その晩は、執務室の奥に用意してある仮眠室の粗末なベットで、オルウェンと眠った。
彼は約束どおり、一度だけしか私を抱かなかった。
でも、ベットの中で甘えるように私の胸に顔を埋めて、
「セレア…セレア…愛している…。」
と何回も呟きながら眠りに落ちていった。
私は、いつも部下たちの前で堂々としているオルウェンと、
今の子供のようなオルウェンのギャップにとても驚いた。
二人で旅立ったあの日から、いつも私が頼ってきたオルウェンの背中が、今はとても小さく見えた。
ずっと彼を苦しめてきた。ずっと私が甘えてきてしまった。
今夜だけは、彼を甘えさせてあげようと思った。
141セレア・後編sage :2007/07/13(金) 20:10:11 ID:pX2mPI8U
翌日、私とオルウェンは何時ものように仕事に就いていた。
彼が言っていたように、彼は何時もの彼だった。私も何時もの私として振舞う。
二人とも昨夜のあの熱いまぐわりなどまるでなかったことのように振舞った。
でも私の中の「私」は昨日までとは少し変っていて、何かが一枚剥がれたような気分だった。
昨日エドと再会して私の胸を焦がした何かは、完全に消え去っていて、
代わりに、昨日受け止めた精を愛しく大切にしたい思いが少し沸いていた。
横目で、書類と格闘しているオルウェンの姿を見る。
なんだか、それがとっても可愛くて、後ろから抱きしめたくなった。
でも、今はしない。
今そんなことをしても、私はきっと後悔する。
ギルドと部隊にも若い隊員たちがどんどん増えてきていて、皆優秀に育っている。
いつか初代メンバーの私とオルウェンも、その席を後輩へと受け継ぐだろう。
何年先の話しかはわからないけど、その時、彼の思いが変わってなければ、
私は心から彼を受け入れられると思う。
今は、私も彼も、この与えられた重大な責任を果たすべき時なんだ。
「セレア、国王との謁見の時間だ。行くぞ。」
オルウェンがまとめた書類を手に立ち上がって言ってきた。
「ええ。」
私も既にまとめていた資料をもって彼に従う。
ミッドガルド治安部隊長オルウェンの後に、隊長補佐官セレアが続き、プロンテラ城の長い廊下を進んでいった。

〜Fin〜
142セレア・後編sage :2007/07/13(金) 20:22:34 ID:pX2mPI8U
長い駄文を読んでいただいた方ありがとうございました。

余計な注釈
クルセのジェイク。彼は両刀です。
オルウェンのことを狙ってました。けど、オルウェンはセレアに熱を上げていた。
それゆえあんなことをしたわけです。
もともとは紳士ですので、その後セレアの秘密を誰かに漏らすことはありません。

後編になるにつれHシーンが遠慮気味になりました。
上手じゃないし、オルウェンのHは非常に書きにくい気持ちでしたので…
お許しください。

念のため、最近スレッドを開いた方にわかりやすく。
第1話 >>37-42
第2話 >>53-58
第3話 >>64-69
第4話 ※未掲載
第5話 >>87-94
第6話 >>106-114
第7話(前・中・後) >>125-141
となってます。
順番に読んでいただけたら、少々ニヤッとできる部分があると思います。
今更ながら7つも書いたのかと…。
とくに最初の方話しの誤字の多さは、どうかどうか許してください。
最初の方の話しはいずれ書き直したいと思ってます。
143名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/14(土) 00:06:41 ID:GxOXDtQk
ぐっじょぶです!
これだけの話をグダグダにせずにつなげれるのは
なんともすごいですね。
いろいろと、各キャラのエピソードや心象が補完されている感じで
とても面白いです。

今後も楽しみにしてます。
144名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/14(土) 09:32:22 ID:OZhLqCDQ
過去という部分が凄い良く纏まってるな〜っておもいます。
こんなスレでなんですけど、過去を含めて受け止めてあげる事って大事ですよね。
145名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/14(土) 15:04:14 ID:SkctmchU
お疲れさん。久々にがっつり読めて面白かった。
が、考えたこと書き切れなかった事を知ってもらいたいという気持ちは分からないでもないが
余計な注釈の部分は本当に余計だった気がする。
特に容姿は文中で説明されたほうが自由に想像できたかも。
書き直しをしたいようだし、HPでも作ってそこで設定としてまとめてみるのもいいと思う。
或いは次回のSSに書けなかったネタを盛り込んでみるとか。

思い入れも大事だけど、文だけから読み手に想像させるのも大事だと思う。
146名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/14(土) 19:37:24 ID:OZhLqCDQ
リュカはウィザードになるのが嫌でセージを選んで、
リュカが姉と慕うセレアはウィザードとして花売りをしていたと。
意図的なのかはわかりませんがその部分が興味をひきました。
14770sage :2007/07/15(日) 02:39:01 ID:6UhF34k.
145さん
本当にその通りでした。
読み手の方の心情を無視した場違いな注釈を入れてしまい、
申し訳ありませんでした。
以後よく気を付けます。
他読んでいただいた方、
本当にありがとうございました。
148名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/15(日) 15:25:20 ID:INJfmiDg
いやいや怒ってるわけじゃないΣ(゚Д゚;)
そういう方法もあるんだなと取ってもらえればよかっただけだ。
自分で書いておいてなんだが、読み手の意見を全部受け止めることないさ。
14970sage :2007/07/15(日) 16:47:56 ID:zf26BPVs
あっ…こちらも別に怒られたなんて;;
>>147はたまたま携帯から書き込んだもので、
要点だけを簡潔に書かせていただいたら、あんな文になってしまいまして;;

HPを作ることとかも、しばらく前から考えています。
(実は今もブログでちょこっと公開してたりしてます)
ご意見ありがとうございました。参考にさせていただきます。
150名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/15(日) 17:06:23 ID:vDYWZPLQ
HPとな!?
それはイイですな(*´д`*)

完成したらぜひとも閲覧させていただきたく思いまする。
151名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/15(日) 17:57:11 ID:cyg2N6DY
70氏の作品は描写も分かりやすいし、特に一つ一つのセリフがとても良いですね。
切なく名前を呼びながらのエチシーンなど個人的にかなり萌えです。
自分もHPぜひ拝見させていただきたいです。
152名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/19(木) 23:06:04 ID:erwwH4qA
100の方の話を少し考えてるんですが、今の所はアコ×ハイプリになってます。
しかし小説って難しいですね・・・今まで書いた方々はすごいと思う。
153名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/21(土) 08:21:03 ID:0E1OYNO.
まさにGJ!

続編もwktkさせてもらいますぞ!

HP作ったら是非見てみたい人の数(2/20)
15470sage :2007/07/26(木) 23:26:54 ID:Vp7Jp0Vo
どんどん独占行きます。

新作が出来ましたので、あげさせていただきます。
相変わらず長〜いです。
あとストーリーを重視するあまりHがかなり少ないです。
ごめんなさい。

タイトルは「月明かりの下で」とでも仮題でつけさせていただきます。
ではよろしくお願いします。
155月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:27:59 ID:Vp7Jp0Vo
アンブローシア

それは、ギリシア神話ににおいて不老不死がかなう神々の食べ物の名。
神々の祝福をうけた聖なるもの。

彼女はその名に相応しく、神に魅入られたようにように美しかった。


深夜、雇い主から呼び出された俺はいつもの酒場に向かっていた。
酒場に入っておなじみの席に目をやると、赤い法衣の雇い主が右手を上げた。
「悪いな、こんな時間に。」
このハイプリーストの男の名はハリス。
ミッドガルドの警察とも言える憲兵隊に所属している男だ。
「仕事の話なら大歓迎さ。で、今度は何だ?」
俺は奴の向いに座り、ウェイターを呼ぶと「いつもの。」とだけ言った。
「もちろん仕事だよ。コモドに行ってもらいたい。」
カクテルが届くとそれを少し口に含んだ。
「コモド、か…。また珍しいとこだな。」
コモドと言えば海沿いの町で、美しい海岸とうっそうとした森があるばかりだ。
商業地としては閑散としすぎていて、それを知っているカップルがよくデートに訪れる。
まさに平和な街というイメージだ。
そんなことろに俺の仕事があるのは意外だった。
「コモドにあるバーに潜入して、そこにいる人物の周辺を探って欲しい。」
「その人物の容疑は?」
「容疑というほどのものではないんだが、お前も知ってるだろ?最近市街で起きてる連続毒殺殺人。」
「あぁ、もう9人も殺られてるやつだな。」
「うむ。こっちも犯人の手がかりがなかなか掴めなくてイライラしてるとこだったんだが、
先週殺された被害者が発見される直前、ある人物が付近で目撃されてるんだ。」
「ほう、やっと掴んだ手がかりってわけか。」
「あぁ、そうなんだ。ただ目撃されただけだから容疑としてはかなり薄いんだが、
少しでも怪しいものは調査して、こちらとしても何か手がかりになればと思ってる。」
「ふむ。」
「目撃されたのは、若い女ジプシー。どうやらコモドにあるバーに居るらしい。」
「その女を調べればいいんだな?」
「ああ。殺人事件自体は女の仕業としては難しいものだが、ひょっとしたら犯人と関連がある人物かもしれん。」
「わかった。バーに居る女と、その周辺を探る。」
「頼んだぞ。詳しい資料は追って届けさせる。」
ハリスは俺の頼んだカクテルの分の支払いを済ませ、酒場を後にした。


俺はリノス。職業はチェイサー。
さっきのハイプリーストと同じ憲兵隊に所属しているわけではない。
そんなお堅いところに所属できるほどできた人間ではないからだ。
俺はチェイサーとしての闇に潜んで付けねらう特性を生かして、個人傭兵のような仕事をしていた。
ハリスを窓口として、憲兵が動くほどでもない小さな事件の事前調査を行うのだ。
さっきのように時々呼び出されては仕事をもらって、済んだら奴に報告をして報酬を貰う。
そうして生計を立てていた。
156月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:28:53 ID:Vp7Jp0Vo
詳しい資料が届けられると、俺はさっそくコモドへ向かった。
目的のバーは海の上の桟橋の先にあった。
思ったよりも小さなバーだ。
まずはバーの様子を探り、調査目標を見つけなければならない。
俺は薄暗い灯りの燈るバーの中へと入っていった。

バーは円形上のフロアーにテーブルと椅子が並べられ、
右奥にカウンター席、中央奥に小さい舞台がある、ごく一般的なものだった。
左奥にはバンドが楽器を演奏するためのスペースが設けられていた。
客はさほど多くなく、ポツンポツンと飲んでいる男たちが居るだけだった。
調査対象は女ジプシーということだが、ジプシーでなくとも女の姿はない。
俺はウェイターにカクテルと頼むと、しばらくバーの様子を観察していた。
しばらくすると舞台の脇から5人のバードとクラウンが楽器を持って現れた。
もともと薄暗かった照明がさらに落とされて、小さな舞台にスポットライトが当てられた。
舞台で何かが始まるらしい。
飲んでいた客たちも、舞台へと体の向きを合わせた。
バードたちの演奏が始まった。
客たちがまばらな拍手をする。
舞台の奥から人影が現れ、スポットライトがそれに合わされた。
…ジプシーだ!!
恐らく調査対象はこの女い間違いはない。
俺は対象を見つけた動揺を表すまいと、舞台をじっと見つめた。

バードたちの演奏が流れるように響いてくる。
舞台のジプシーはそれに合わせて舞を始めた。
まるで蝶が舞うように軽やかに、長い袖を巻き上げて回りながら跳ねる。
羽でもついているかのように滞空時間があり、音もなく着地する。
かと思うと小川が流れるように円形の舞台をたどってステップを踏む。
…美しい。正直な感想だった。
他の客たちも、手にもったグラスを口に運ぶこともなくすっかり魅入っている。
しばらくすると音楽はフェードアウトするように小さくなり、
スポットライトも灯りを落として、舞台から人影が消えた。
まばらな拍手が上がる中、俺は席を立って酒場を後にした。
157月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:29:42 ID:Vp7Jp0Vo
俺はバーとは逆方向にある小さな宿に部屋を借りて、しばらくコモドに滞在することにした。
翌日からコモドの住民に聞き込みを開始する。
住民によると、あのバーはある砦所有のギルドのマスターが始めたものらしい。
そのマスターはアサシンクロス。
バーの営業開始の頃から、あのジプシーは毎晩のように舞台で舞いを披露しているようだ。
早速そのアサシンクロスとジプシーについての素性調査を開始したが、
どうやっても二人の素性はわからなかった。
普通ミッドガルド内で生活しているならば、誰かの目に留まり何らかの情報は少なくとも残るはずだ。
それなのに、その二人がアサシンやダンサーだった頃からの情報など、一切を得ることができなかった。
ただ、今はそのアサシンクロスのギルドはブリトニアの砦を所有し、ここしばらくずっと防衛を続けている。
ジプシーの方はギルドメンバーではないようだが、そのギルドと何らかの関連があることは間違いない。
アサシンクロスの名こそ「サリオス」と判明はしたが、あのジプシーについては名前すらもわからなかった。

今夜もジプシーは舞台で舞いを披露していた。
俺はそれを見届けると、酒場を後にして海岸の砂浜でこれからのことを考えた。
とりあえず近いうちにあのギルドとのコンタクトを取り、メンバーになるのが早そうだ。
攻城戦の前日にギルドメンバーの多くがあのバーへと集まるらしい。
明日バーに行って、ギルドメンバーとコンタクトを取ることにしよう。
そう思いながら、砂浜に横になった。
月明かりがあって星が綺麗な夜だった。
目を閉じるとあのジプシーの舞う姿が浮かんでくる。
今まで見たこともないような美しい舞。
小柄な体が、流れるように舞台の上を飛び跳ねてゆく。
顔は近くでは見れないのではっきりとはわからなかったが、おそらく相当美しい。
名前さえもわからない彼女が、俺の中をくるくると飛び跳ねていた。
フッ、と人の気配がして、俺は身を起こした。
誰かが砂浜に居る。
俺はチェイサーとしての本能から、すぐに傍の岩場に身を潜めた。
ゆっくりと人影が近づいてきた。
目をこらして見る。
あのジプシーだった。
彼女は波打ち際まで来ると、足が海水につかるかつからないかの所で踊り始めた。
舞台の上と同じように、軽やかに舞う。
彼女の足で海水が飛沫を上げると、それが月明かりに反射して宝石のように輝いた。
舞台の上とはまた別の美しさ。
彼女は波音をバックに、星たちを観客に、月明かりをスポットライトにして舞っていた。

「…てっ!!」

魅入っていた俺の指先に鋭い痛みが走り、思わず声を上げてしまった。
岩場を歩いていた小さなカニが、俺の指を挟んでいた。
「…誰!?」
彼女が舞うのをやめて、俺の潜む岩場を振り返った。
仕方があるまい。俺は姿を現した。
「ごめんな。覗くつもりはなかったんだ。」
ゆっくりと足を進めて彼女に近づいた。
「誰なの…?」
彼女はジリジリと後ろへ下がった。
「怪しいもんじゃないよ。ここの宿に泊まってて、散歩をしてたら君が来たんだ。」
探っている相手を前に我ながら堂々と嘘をついた。
「…。」
彼女は無言で俺を睨んでいた。
「隠れて見ていたのは誤るよ。ごめん。でもとても綺麗だったから…。」
そう、本当に綺麗だったから…。見とれていたんだ。
「本当にそれだけ…?」
「あぁ。それだけだよ。」
彼女は少し警戒を解いてくれたようだった。

今まではっきりとは見れなかった彼女の顔をよく確認する。
白い肌に小さな顔、黒々とした大きな瞳。
赤い髪が細い肩の上で風になびいていた。
小柄で小さい体に、露出の多いジプシーの衣装。
胸の膨らみはしっかりと衣装を盛り上げていて、少女と女性の狭間にあるのを思わせた。
舞だけではない。姿もやはり、相当美しい…。

「とても綺麗な舞だったよ。海の上のバーで何時も踊ってるよね。ここで練習してるの?」
「ええ。家は狭くて踊る場所がないから…。」
「そっか。…名前、聞いてもいい?」
「アンブローシア。アンって呼ばれてるの。」
「アンブローシアか。俺はリノス。よろしく、アン。」
「よろしく。」

俺の差し出した手を彼女は受けてくれた。
それにしても…冷静になって考えてみると、対象の前に姿を晒して名乗ってしまうなんて、
俺としたことがとんだ失態だ。
本来なら姿さえ見せずに探りを入れなければならないのに。偽名さえも使わなかった。
何ていうか、俺はその時は自分の仕事のことなどふっとんでしまっていたのだ。
それもこれも、彼女の美しさのせいだ。
俺は、彼女の美しさに惑わされていた。

「どうしてバーで踊ってるの?」
「知り合いがやってるバーなの。私の踊る舞台をつくるために、バーを始めてくれたの。」
「へぇ。すごいね。踊りのためだけになんて。でも本当に綺麗だもんな。」
彼女はほんのりと頬を赤くしてはにかんだ。
「ありがとう。舞台を見てくれたのね?」
スポットライトの逆行の中からは、彼女は観客の顔など確認できないのだろう。
「あぁ。何度か見せてもらったよ。」

その時、遠くから男の声が響いてきた。
「アン!!何やってるんだ!?」
声の響いてきた方向を見ると、長髪のアサシンクロスが暗闇の中で鋭い目を光らせていた。
「あっ…今戻るわ!」
彼女は慌てたように返事を返した。
「ごめんなさい。もう行かなきゃ…。」
「うん。」
「また、舞台を見に来てね。じゃあ…。」
「またね。」
彼女は走って男の方へと戻って行った。
158月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:30:22 ID:Vp7Jp0Vo
宿屋の部屋へ入ると、俺はベットへと落ちるように倒れ込んだ。
アンブローシア、か…。
それにしても美しい。
あの姿にあの舞の素晴らしさ。
目を閉じると、彼女の姿ばかりが浮かんできた。
…どうしちまったんだ、俺は…。
初めて彼女の舞を見た時から、彼女のことばかり考えている。
仕事の調査対象だからか?いや、違う。
仕事など関係なく、俺は彼女のことを考えている。
姿を晒して名乗ってしまった失態など、どうでも良くなってきた。

…そうだ。俺は惚れちまったんだ…。彼女に…。

対象に惚れちまうなんて、これでこの仕事はおじゃんだ。
報酬はおろか、長らくコモドに滞在した宿屋代も食事代もハリスに請求できない。
でも、たしかに彼女は俺の調査対象だったが、本来の目的は殺人犯に関する情報を得ることだ。
彼女が殺人犯であるわけはない。
小さくか弱い体で、9人もの男に毒を飲ませることは難しいはずだ。
あの美しい彼女にそんなことができるわけがない。
どちらかと言うと、怪しいのはあのアサシンクロスの方だ。
俺と話している彼女を怒鳴りつけてきた。
それにあの長髪に鋭い眼光。
あのバーを溜まり場にしているギルドのマスターの特徴と一致している。
俺は悩んだ挙句、とりあえず仕事を続行することにした。
対象は…、あのアサシンクロスだ。


俺は翌日も彼女の舞台を見に行った。
彼女は何時ものように舞い、そして舞台の奥へ消えて行った。
今日のバーは混雑していた。
翌日の攻城戦に備え、ギルドメンバーが終結しているからだ。
でもあのアサシンクロスの姿はなかったし、他に長髪のアサシンクロスも居なかった。
やはりあいつがギルドマスターだと確信した。
俺はバーを出ると昨日彼女と会った砂浜に向かった。
昨日と同じ場所に陣取って、横になる。
なぜだかわからない。
けれど、こうして居たらまた彼女に会えるような気がしていた。

しばらくすると、彼女は現れた。
俺は今度は隠れたりせず、手を上げて彼女を呼んだ。
「アン!」
「…リノス!!」
彼女は俺を確認すると駆け寄ってきた。
「今日も舞台を見てくれたの?」
「あぁ、見させてもらったよ。今日もとても素晴らしかった。」
「ありがとう…。そんな風に言ってくれたの、リノスだけ。」
「本当?あんなに綺麗なのに。」
「うん。…私、あまり外の人を話しをしたことがないから…。」
俺がどんなに調査しても素性のわからなかった彼女。
もしかしたらほとんど外にも出たことがなかったのか…?
「ひょっとしてさ、昨日のアサクロの人って、あのバーの経営者?」
「うん。そうなの。」
やはりあのアサシンクロスがギルドマスターだった。
「じゃあ彼が君のために舞台を作ってくれたんだね。」
「ええ。踊りしか知らない私に、そのため場所を作ってくれたの。感謝してるんだ…。」
と言う事は、奴とアンはかなり親密な関係…?
「…恋人なの?」
思い切って聞いてみた。
「ちっ、違うよ!!ただずっと一緒にやってきてるだけ…。」
彼女は慌てて否定した。
俺はホッとした。「ずっと一緒」と言う言葉は気になったが…。
「否定してくれたってことは…、俺もちょっとは望みを持ってもいいってことかな?」
「え?」
彼女の大きな瞳が俺を見つめた。
「君の踊り、本当に綺麗だった。…なんて言うか、もう忘れられないんだ。」
いきなりの告白に、彼女は意味を察して顔を真っ赤にした。
「あれからずっと君のことを考えてばかりいる。…好きなんだ。」
俺はまた仕事のことなど忘れていた。
あのアサシンクロスのことなど、もうどうでもいい。
ただ、彼女に俺の思いを伝えたい。彼女の返事が聞きたい。それだけだった。
「ありがとう…。でも、私、リノスのことまだよく知らないから…。」
彼女はモジモジしながら答えてくれた。
「じゃあ、これから俺のこと、知ってくれるかな?」
「…うん。」
「知ってくれてからでいいから、また返事を改めて聞かせて欲しい。」
「…うん。わかった。」
彼女が恥ずかしがるその様子からは、俺のことを拒否するような思いは感じられなかった。
159月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:31:10 ID:Vp7Jp0Vo
それから一週間、俺たちは毎晩海岸で語り合った。
俺は彼女の踊りの練習を見守り、合間に自分のことを語った。
もちろんアンを探りにコモドへ来たことなどは言わなかったが…。
俺の過去の冒険話しや、コモドから遠い街に行った時の思い出など、
彼女は良く聞いて、可愛らしく笑った。
一方彼女は自分のことはほとんど語らなかった。
何処の町出身なのか。コモドで舞台に立つ前、いったい何をしていたのか。
あのギルドとマスターとはどういう関係なのか。
知りたい思いもあったが、今目の前に愛らしい彼女が居るだけで俺には十分だった。

語り合いながら、俺は彼女の手に自分の手を重ねた。
彼女は驚いていたが、手をはずそうとはしなかった。
「アン…。好きなんだ。あの日の返事、聞かせてくれないかな…?」
「…うん。…私も、リノスのこと…好き…。」
彼女は波音に掻き消されてしまいそうな小声で答えた。
「ほっ、ほんと!?…俺のこと、好きって言ってくれた!?」
慌てて聞き返してしまった。
「…うん。好き…。」
彼女の声はますます小さくなって、恥ずかしそうに俯いてしまった。
俺は彼女の顔を下から覗き込んだ。
真っ赤な顔をした彼女は、両手で顔を覆ってしまった。
「アン…、顔、見せて?見たいんだ。」
「…。」
手をはずさせようとする俺に、彼女は抵抗しなかった。
彼女の潤んだ大きな瞳を見つめると、俺は吸い込まれるように彼女へと顔を近づけた。
まず額に軽く口付け、彼女の頭を撫でる。
折れてしまいそうな彼女の体を抱き寄せて、俺は彼女の首筋に顔を埋めた。
「アン…。愛してる…。」
耳元でそっと囁くと、彼女がブルッと体を震わせた。
体を少し離して、今度は彼女の唇に口付ける。
最初に軽いキスを交わし、見詰め合った後、絡み合うような口付けをした。
「ふぁっ…。」
彼女が苦しそうに甘い呼吸を漏らす。
その声が俺の中を刺激して、彼女を抱く腕に力を込めさせた。
長いキスの後、俺は彼女の首筋に唇を這わせて吸いつき、手を彼女の胸に当てる。
「あっ…。」
彼女が小さく肩を震わせた。でも抵抗する様子は見られない。
彼女の小さな体が震えるたびに、俺の本能は止まることなど知らないように湧き上がってくる。
もう、今すぐにでも彼女を自分のものにしたくなった。
幸い、海岸には誰も来る様子などない。この一週間、何時も二人きりだった。
俺は胸に当てた手を、彼女の胸を覆った布へと滑り込ませようとした。
その途端、
「…あっ、だ、だめっ…!」
彼女はか細い声を上げて、俺から体を離した。
瞬く間に俺を後悔が襲った。
「ごっ、ごめん…。やりすぎだった…よね…?」
「…うん…。まだ、そこまでは…。」
彼女が申し訳なさそうに言った。
「いや!俺が悪かったよ。好きって言ってもらえたのに有頂天になっちゃって…。
もっと…ゆっくり…だよね…?」
「うん…ごめんね。」
彼女に謝られると、ますます俺は情けなくなってきた。
「謝らないでよ。悪いのは俺なんだから…。」
そう言って彼女の頭を撫でた。
160月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:31:36 ID:Vp7Jp0Vo
俺は翌日、コモドの宿を一旦引き払い、プロンテラへと戻った。
アンには、「用事があるから明日一度プロンテラへ戻る。」と別れ際に言っておいた。
彼女と思いを通じ合わせたのはよかったが、重大な問題が残っていた。
仕事のことだ。
こうなった以上、もうこの仕事は受けられない。
ハリスに会って、正式に仕事を断らなければならない。
こんな途中で仕事を投げ出すなど、今後ハリスとの関係が悪くならなければいいが…。
早速酒場のマスターに頼んで、ハリスと連絡を取ろうとした。
酒場に向かって歩いていると、
「リノス!!」
と呼びとめられた。ハリスだった。
「ハリス、よかった。これから連絡を取ろうと思ってたんだ。」
「お前こそ、一度報告を入れてきて以来一切連絡がないから、心配してたんだよ。」
「…すまない。その…仕事のことなんだけど…。」
「シッ…!!そのことなんだ。こっちへ。」
ハリスは俺の言葉を遮ると、人目を避けるように裏路地へと促した。
「どうしたんだ?」
何時もと違う様子に尋ねると、ハリスは俺に小声で耳打ちしてきた。
「お前の報告の後、こっちでも調査を続けてたんだ。
あのギルドマスターのサリオス。奴が犯人の可能性が高い。」
「…なんだって!?」
俺は思わず大きな声を上げた。
「シッ!大きな声を出すな!!
被害者9人全員が、ブリトニアに砦を所有するギルドのメンバーだったんだ。
恐らく、サリオスは自分のギルドの砦が襲われるのを防ぐため、ライバルギルドのメンバーを襲ったんだろう。」
彼女が「ずっと一緒にやってきた」と言っていた人物が殺人犯…!?
「そんな…!?たしかなのか?」
「あぁ。ほぼ間違いはない。おそらく殺人は奴のギルドぐるみで行われている。
奴が直接手を下していなくても、殺人を指示しているのは奴で間違いはない。」
それがもし本当なら、彼女はどうなるんだ?彼女も関係があるのか?
「とにかく奴周辺の偵察を続けて、動きがあればすぐ報告してくれ。
次の犠牲が出るのをなんとしても食い止めなければならん。」
「あっ…あぁ…。」

俺の頭は真っ白になり、ハリスが去った後もその路地に立ち尽くしていた。
161月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:32:01 ID:Vp7Jp0Vo
同じ頃、コモドにて。

鋭い眼光のアサシンクロス、サリオスがアンに話しかけていた。
「アン、最近毎晩出かけてるな。踊りの練習か?」
「えっ?…あっ、うん…つい夢中になっちゃって…。」
アンは彼の顔を見ずに返事をした。
「嘘だ。」
サリオスは冷たい声ではっきりと言った。
アンはその言葉に体を震わせた。
「男と会ってるんだろう。知っているんだぞ。」
「…」
アンはサリオスをごまかすことなどできないとわかっていた。
「ごめんなさい…。」
「好きなのか?その男が。」
アンは何も答えられなかった。
サリオスは大きくため息をついて言った。
「もう会うな。」
「でっ…でも…!」
「だめと言ったらだめだ。会うな。」
サリオスの言葉には強い棘があった。
アンはそれ以上何も言えなくなってしまった。
「アン、よその人間と付き合おうということなど俺たちにはできない。わかるだろう?」
今度は優しく言い聞かせるように言う。
アンは何も言わず俯いたままだった。
サリオスはアンに近づくと、慣れた手でアンを抱き寄せた。
アンを慰めるように頭を撫でていたが、あるものに気が付いて手を止めた。
「…これは?…奴に抱かれたのか?」
「えっ?」
「首筋に痕があるぞ。」
アンは慌てて体を離すと、昨日リノスが唇を這わせた首筋を手で隠した。
「…違っ…。」
「抱かれたのか!?」
アンが言い終わらないうちにサリオスは大声をあげ、アンの腕を掴むと振り回すようにベットへと倒した。
「違うの…!抱かれてなんて…!」
「何が違うんだ!こんな痕をつけやがって!お前は俺のものだ!!」
そう叫ぶと、サリオスはアンの胸元の布を引き裂いた。
「サリオス…。」
アンは諦めたように呟いて、怒りに我を忘れたサリオスに身をまかせた。
サリオスは乱暴に乳房を揉みしだきながら、アンの下穿きをも剥がしてゆく。
「許さないぞ…お前は俺だけのものだ。ずっとずっと俺たちは二人だけなんだ。」
そう言いながら、乱暴な愛撫を続ける。
リノスが残した跡を上から隠すように吸い付き、新たに跡を残す。
他にも数々の淡い赤い染みが、アンの胸元に咲いていった。
「うん…わかってる…。サリオス…ごめんなさい。」
「他の誰にも抱かせないぞ。俺だけのものだ。心までは思うとおりにならんでも、この体だけは誰にもやらん…!」
乱暴な愛撫を終わらせると、慣れた手つきでアンの足を開き、その中心に硬くそそりたった男根をあてがった。
あてがった先端でぬめりを確認すると、一気に中を貫いた。
「あぁっ…!!」
「アン…!アン…!俺のアンブローシア…!!」
繰り返し名前を呼びながら、サリオスは音を立ててアンを突き上げる。
「あんっ…ああっ…!」
アンはその衝動にか細い喘ぎを漏らす。
細く白い体を震わせて、何かに耐えるように喘ぐ。
そんな健気な様子が、サリオスを一層征服欲へと駆り立てた。
「アン…いくぞっ…!」
「ああぁああっ!!」
アンがブルブルと大きく身震いすると、彼女の体は弓のように反り返りガクガクと腰を震わせた。
サリオスもその精を、征服の証であるかのようにアンへと注ぎいれた。

行為が終わると、サリオスはすぐにベットを抜け出し、身なりを正した。
アンはだた目を閉じて、流れ出す涙をサリオスに見られまいと背を向けていた。
「アン、また仕事だ。」
その言葉にアンはビクッと体を震わせた。
「…また…?」
「あぁ。これで最後になるだろう。我慢してくれ。」
「…もういやなの…あんなこと…!」
アンは涙の乾かぬ顔を上げてサリオスに訴えた。
「全ては俺とお前の城を守るためだ。
あの最低な生活からやっとここまでのし上った。お前に踊る場所も用意してやることができた。
それを失いたくはないだろう。やるんだ。」
「……。」
アンの意見など通るはずもなかった。

「今度の目標はチェイサー。名前はリノス。憲兵隊に雇われた個人傭兵だ。
俺たちを怪しんで調査しているらしい。詳しい報告を上げられる前に処分するんだ。」
162月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:33:03 ID:Vp7Jp0Vo
結局仕事を断ることはできなかった。
どうしていいのかわからなくなり、俺はとりあえずコモドへ戻るもあのバーと海岸には顔を出せなかった。
彼女と親しい間柄と推測されるあのアサシンクロスが、犯人かもしれない…。
それも奴個人の犯罪ではなく、仲間かギルドが少なくとも関わっているという。
アンはギルドメンバーではないようだったが、もしかしたらただのメンバー以上に親しい間柄かもしれない。
もし奴が犯人だったら…。アンも関係しているとしたら…。
俺はどうしたらいいんだ。
宿屋の部屋で深夜までのたうち回っていたが、それでは何も解決しないことに気づき、とりあえず海岸へ足を向けた。
何時もの時間よりかなり遅い時間だ。もう彼女は居ないかもしれない。
ジリジリと進まぬ足をなんとか前へ出し、ゆっくりといつもの浜辺へと来た。
何時もの場所に小さな人影が座っていた。
アンブローシアだった。
深夜になって肌寒いのか、彼女は黒いショールを肩から首へ巻いていた。
「…アン…!」
アンが声に気づくと、俺を見てサッと立ち上がった。
「リノス、おかえりなさい。」
「ん…遅くなってごめんな。」
「ううん…。」
彼女に近づくと、彼女が何時もはつけていない真っ赤な口紅をつけているのがわかった。
「ねぇ、今日はもう遅くて寒いから、…リノスの借りてる部屋に行ってもいいかな…?」
「…えっ?」
「だめ?」
突然の要求に驚いたが、これを断る理由など見つかるわけがなかった。
「あっ、ああ…行こうか。」
「うん。」
赤く染まった彼女の唇が、何かいつもとは違う様子を感じさせた。

宿の部屋へ入っても、彼女はショールをはずそうとしなかった。
「どうしたの?それ脱いで、そこへ掛けたら?」
「ううん…まだ寒いから…。」
「そっか…。」
昨日まで止まらないほどに語り合っていたはずなのに、俺たちは黙ってばかりだった。
「リノス…。」
沈黙を破ったのはアンだった。
「えっ?何?」
「私のこと…好き?」
思いもかけない質問だった。
「あっあぁ…好きだよ…?」
俺の声は明らかに動揺していた。
彼女が今この場で、なぜそんな質問をしてきたのかがわからなかった。
「じゃあ…キス、して…?」
まったく予想外の言葉に驚いた。
「えっ…、うん…。」
俺たちは思いを通じ合わせた男女だ。キスすることにどんな不自然なことがあるだろうか。
彼女がそう希望するのにも、何か理由があるにせよ決しておかしいことではない。
俺はベットへ腰掛けたアンの横に腰を下ろすと、アンの肩を軽く掴んで俺の方へ向けさせた。
アンはすぐ瞳を閉じて、顔を少し上げた。
いつもの淡いピンク色とはうって変って、真っ赤な口紅に覆われた唇は何か不気味なものを感じさせた。
瞳を閉じて待つ彼女へと顔を近づけた。
なんだろう。俺の中の本能が警鐘を鳴らす。
恐ろしいものが俺に迫ってきていると知らせてくる。
それでも、もう唇が触れてしまおうかというその時、彼女の瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
…何故泣く…?
「…どうして…?」
「えっ?」
俺の問いに彼女が瞳を開けた。
「何故泣くんだ…?」
彼女は自分の頬に手を当てると涙を確認し、驚いていた。
泣いていることに自分で気が付いていなかったのか。
俺は彼女の肩を掴み詰め寄った。
「どうしたんだ?…何があったのか俺に話してはくれないのか…?」
彼女の涙は瞬く間に大粒のものとなり、両の頬を濡らしていった。
「…ごめんなさい、ごめんなさい…。」
彼女は謝ると、俺の胸で嗚咽を続けた。

暫く彼女は泣き続け、俺はただ彼女を優しく抱いて慰めた。
嗚咽が落ち着くと、彼女は
「顔を洗ってきたいの…。」
と言ってバスルームへと入って行った。
暫く待つと彼女はバスルームから出てきたが、さっきまでつけていた真っ赤な口紅はきれいに無くなっていた。
俺の横に腰を降ろすと、彼女は語り始めた。
「私のこと、全部話すわ…。」
俺は黙って彼女の話しの続きを待った。
「私、さっきあなたを殺そうとしてた…。」
「…。」
さすがに驚いたが、俺は黙ったままでいた。
「私の唇には猛毒を配合した口紅が塗ってあった。
貴方が口付けたらすぐにその毒が効いて、あなたは心臓が止まってしまうはずだった…。」
「…どうしてそんなことを…?」
彼女はまた涙を流し、搾り出すような声で語り続けた。
「…それが私の仕事だったの。あなたを殺すよう言われてきたの。」
「…サリオスにか…?」
「ええ…。あなたが私たちを探っていると知って、素性がばれる前に殺そうって…。」
「でも唇に猛毒なんて塗っていたら、アン自身だって…。」
そうだ、アンが無事なのはあり得ないはずだ。
「私たちはどんな薬も毒も効かない特異体質を持っているの。産まれつきではなくて、そう育てられた。」

彼女がそれからした話しはこうだった。
アンとサリオスは地下の暗殺者組織の中で育ったそうだ。
幼い頃からあらゆる毒の知識を学ばされ、同時にそれらの毒が効かないように少しずつ耐性をつける訓練をしてきた。
多くの者が耐性をつける前に死んでしまうが、アンとサリオスは生き延び、暗殺者としての人生を歩まされることとなった。
その組織の状況は実に劣悪で、不潔で暗い牢獄のような建物に閉じ込められ、一日中訓練生の悲鳴がこだましていたそうだ。
アンとサリオスはそんな組織を嫌い、二人で組織からの脱走を図った。
当然脱走者は、組織の秘密を守るために処分される。
アンとサリオスは色々な街を転々をしながらひっそりと生き、なんとかこれまで組織には見つからずに居た。
二人の経歴など、いくら調べてもわからなかったのはそのせいだった。
サリオスはすでにアサシンへとなって居たが、幼いアンはまだノービスで、
「暗殺者とはまったくかけ離れた人生を」と言うサリオスの考えでダンサーになったそうだ。
サリオスは組織から逃げ延びたことを確信すると、強大な力をつけるためにギルドを結成し、砦を奪った。
砦で稼いだ金を使って、踊ることが大好きなアンのためにあのバーを始めた。
サリオスは力をつければつけるほどに、他ギルドから砦を奪われることに恐怖し、
それを阻もうとアンにライバルギルドのメンバーの暗殺を命じた。
あれほど嫌がっていた暗殺者としての仕事をアンにさせるなど、
砦に執着する余り、サリオスはもう半分狂っていたのかも知れない。

「騙すつもりなんてなかったの…。でも貴方に本当のことを言うことは出来なかった。
私の踊りを褒めてくれた貴方に嫌われたくなかったの…。」
アンの気持ちは理解できた。
そんな重大な秘密を、好きだからといってどうして言うことができよう。
彼女も、すごく苦しんだはずだ。
「嫌ったりなどするもんか…。辛い道を歩んできたんだな…。」
俺は彼女を抱き寄せて慰めるように頭を撫でた。
「アンがどんなことをしてきたとしても、俺の気持ちは変らない。アンを愛している。」
「だめ…。私はこの手でもう9人もの人の命を奪ってきた。愛されるような人間じゃない。」
「それはアンの意思じゃない。サリオスにやらされてきたんだろう?アンは自分からそんなことを出来はしない。」
「実際にやったのは私。…同じことよ…。」
「たとえそうだとしても、俺はアンを愛してる。
…何処か遠くに、二人で逃げよう。憲兵隊にも組織にもサリオスにもわからない何処かに…!」
「…リノス…!」
163月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:33:33 ID:Vp7Jp0Vo
俺は思うままにアンを強く抱いた。
「リノス…!私もリノスを愛してる…!」
彼女も泣きながら俺にしがみついてきた。
かわいそうなアン。どんなにか辛かったことだろう。
組織でのことも、サリオスにやらされてきたことも、俺に真実を言えなかったことも。
こんなか弱い彼女がそんな想像に耐えない人生を歩んできたことに、俺には彼女を救う義務があると思った。
愛しているから。そしてこれからも彼女を愛し続けるから…。
俺は彼女をそのままベットへと押し倒すと、淡いピンク色の艶やかな唇に口付けた。
お互い舌を伸ばし、激しく求め合った。
彼女が肩に巻いているショールを外してほおり投げると、彼女の首筋から胸もとには無数の赤い痣があった。
そうだ、これは口でつけられる吸い痕…。
アンはそれを見られたのに動揺し、手で覆って隠そうとした。
「…サリオスか…?」
「…ごめんなさい…ごめんなさい…。」
彼女はだた泣いて謝るだけだった。
あの狂った男が、この美しいアンの体をほっておくはずがなかった。
「いいんだ…俺が全部綺麗にしてやるから…。」
そう言って、俺はその痕を全部自分の唇で覆い、洗い流すように舐め上げた。
胸もとの布をずらして彼女の乳房をあらわにすると、そこに隠れていた痕も丁寧に舐めた。
全ての痕を舐め終わると、彼女の淡いピンク色の乳首へと舌を這わせた。
「あぁっ…。」
彼女がか細い喘ぎを漏らした。
俺はそのまま彼女の乳首を口の中で弄び、片方の手で彼女の下の衣服を脱がせ始めた。
アンも俺の服へと手をかけ、ゆっくりとボタンを外していった。
俺たちは絡み合いながら段々と裸になり、お互いの肌を合わせてその体温を確かめ合った。
彼女の肌はきめ細かく、俺の皮膚へ吸い付くように合わさる。
俺はまるで全身が性感帯になったように、触れ合う肌からゾクゾクとする快感を感じていた。
「リノス…リノス…抱いて…。」
彼女がうわ言のように囁く。
俺は彼女の秘部へと手を伸ばし、彼女の蜜をその手で確かめた。
体温よりも暖かいそれは、俺の指先にねっとりと絡みついた。
「はぁんっ…あぁっ…。」
彼女が俺の指先に反応して身を捩じらせる。
俺は彼女の喘ぎを塞ぐように唇を塞ぎ、そのまま密をからめとった指先で彼女の花芯を弾いた。
「んーーーーっ…んっんっ…。」
彼女は体を震わせながら必死の喘ぎを叫ぶ。
快感に身を震わせる彼女の健気な姿が、俺の中をふつふつと煮立たせた。
「いくよ…?」
外した唇を耳元に寄せてそう囁くと、濡れる壷口へと俺自身をあてがった。
そしてゆっくりと味わうように身を沈めてゆく。
そこは思った以上に狭く、進入する俺自身を搾り出すように抵抗して締め付けてきた。
「ああぁぁっ…ああっ…。」
時間をかけて根元までを挿れると、探るようにゆっくりと出し入れを始めた。
「はあんっ…はぁっ…あんっ…ああんっ…。」
可愛い喘ぎが、俺の動きに合わせて耳元で繰り返される。
それだけで俺は登りつめてしまいそうだった。
「アン…もう俺がつらい思いはさせない…俺と…行こう…。」
「ああっ…リノス…リノス…っ。愛してるぅっ…。」
耳元で繰り返される甘い呼吸とか細い喘ぎ。それに下腹部に与えられる熱い鼓動のような快感。
俺はもう抑えることなどできなかった。
「アン…いくぞ!」
そういうと抑えていたものを解放させ、音を立てるように激しく腰を打ちつけた。
「はあんっ!ああんっ!ああんっ!…リノスっ…!」
彼女はイヤイヤをするように頭を振って悶えていた。
「ぃっちゃぁ…ああっ…ぃっちゃうぅっ…!ああっ!はあっんっ!」
「俺もっ…イくよっ…!アン…!!」
そうして二人で登りつめた。

失神しそうなほどの快感が落ち着いても、俺たちは体をあわせたままベットへと身を沈めていた。
アンが涙をとめどなく流しながら、俺の顔を両手で挟み、自分へと近づけた。
俺は彼女にされるがままに唇を合わせた。
「リノス…。ありがとう。愛してる…。 …さよなら…。」
さようなら…?
何故そんなことを…?
そう思った途端に俺は激しい目眩に襲われ、意識を失うように眠りに落ちてしまった。
164月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:34:05 ID:Vp7Jp0Vo
目が覚めると、俺は意識を失った時と同じベットにまだ居た。
朦朧としたまま、自分の傍らを手で探る。
手はシーツへと触れるばかりで、そこに居るはずのアンに触れることはなかった。
「…アン!?」
俺は飛び起きて、アンの姿を探した。
「彼女はもう居ない。」
背後から男の声がした。
驚いて振り向くと、そこい居たのはハリスだった。
「…ハリス…!?どうして此処に…!?」
ハリスは落ち着いた顔で椅子に腰掛けたまま答えた。
「彼女に連絡をもらったからだ。」
「アンは…!?アンは何処だ…!?」
「彼女は自首した。もう逮捕されて取調べを受けている。」
「なんだって…!?」
「彼女はお前を薬で眠らせた後、自ら俺の元へ出向いて殺人を認めた。
俺たちは確認を取ってから彼女を犯人と断定して逮捕したんだ。」
「…嘘だ!!…嘘だ!!」
俺はこれから彼女と遠い土地へと逃げるはずだった。それなのにどうして自首なんて…。
信じられず頭を激しく振った。
「実は調査に入ったお前の様子がおかしかったんで、黙ってお前にも調査員をつけさせてもらっていた。
お前が対象であるあのジプシーに惚れているのはすぐわかった。
申し訳ないが、彼女を捕らえるために…お前を利用させてもらった。」
「ハリス…!許さねぇ!!許さねぇぞ!!彼女を出せ!早く出せ!!」
俺はハリスの胸ぐらに掴みかかった。
「お前を騙していたことは申し訳なかった。しかし彼女は殺人犯だ。それも9件もの。こうするしかなかった。」
「違う…違う…!アンはそんな人間じゃない!!…本当の犯人はサリオスなんだ!!」
「当然それも裏を取ってある。奴ももう逮捕して取調べ中だ。」
「ならアンは…。」
「すまないが、彼女は実行犯だ。罪がないと言うことなど到底できない。」
「そんな…!?どうにかしてくれ。ハリス、お前ならアンをどうにか助けられるだろう?」
俺はハリスに情けなくすがっていた。
「…無理だよ、リノス。…もうどうにも出来ない…。…すまない。」
ハリスも俺の心情を察したのか、肩を震わせて言った。

アン…。 アンブローシア…。
さようならって…こういうことだったのかよ…?
俺はこんなこと、望んじゃいなかった…。


俺はそれから、あのコモドの宿屋に留まったまま抜け殻のように過ごしていた。
部屋に篭ってはたびたびあの浜辺へ行き、月明かりを浴びながら星を眺める。
食事もろくに取らないまま、まるで廃人のように過ごしていた。
宿屋には頻繁にハリスが訪ねてきた。
有名な店で携えた差し入れなども持ってきたが、俺は手を付ける気にはなれなかった。
ハリスは俺に気を使っているのか、アンとサリオスの裁判の情報などを俺に告げた。
アンの本名は、アンブローシア=ロウ。サリオスの本名は、サリオス=ロウ。二人は同じ苗字だ。
そう、二人は兄妹だったのだ…。
兄妹であったから、組織から脱走を試みるなど危険なことを二人で乗り越えてきたんだ。
そんな兄妹の絆は半端ないものだったはずだ。
アンにとって、ずっと危険を供にし自分を守ってきた兄は絶対の存在だったろう。
だから兄の命令にも逆らわず、罪を重ねてしまった。
兄にとっては妹への愛情が狂気によって醜くゆがみ、
血の繋がった実の妹を抱くという行為に走らせたのかもしれない…。
二人は裁判で死刑を求刑されているそうだ。9件もの殺人を犯してきたのだから当然のことだった。
俺はハリスの語る情報など耳に入らない様子で、ただただアンのことばかりを考えていた。
165月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:34:57 ID:Vp7Jp0Vo
数ヵ月後、アンとサリオスの判決が死刑に確定した。
死刑はすぐに実行される。
俺がハリスから判決の報告を受けた時には、もう二人の刑は執行された後だった。
…実感が沸かない。
まるで夢の中に居るような気持ちだった。
目が覚めたら、アンはきっとまたあの浜辺で踊っている…。
「実はこれを預かったんだ。昨日書いたもののようだ。」
ハリスが何か差し出してきたが、俺は見ようともしなかった。
「…ここに置いておくからな。
…もしもまた仕事をする気になったら連絡をくれ。何時でも待っている。」
ハリスは反応のない俺に諦めて部屋を出て行った。
俺は暫くして、ハリスが置いていったものを見た。
白い封筒。…そこに小さく「Annb.」と書いてあるのが見えた。
アンブローシア…!?
俺は封筒に飛びつくと夢中で封を開けて中の手紙を読んだ。


  『リノス


  突然姿を消してごめんなさい。
  でも私にはこうするしかなかった。
  最後に愛した貴方に抱かれたこと、本当に嬉しかった。
  もう悔いはない。安心して自分の罪を償いに行けます。
  サリオスの事、どうか恨まないでください。
  彼は本当はとても可哀想な人なのです。
  彼を狂気に走らせることを止めることができなかった、
  それは私の責任です。
  恨むなら、私を恨んでください。
  貴方と出会って貴方を愛すことが出来て本当によかった。
  ただ、あなたを傷つけることになってしまったのだけが、心残りです。
  もう会うことは叶わないけれど、貴方に感謝だけはどうしても伝えたかった。
  リノス、リノス…本当に愛してました。
  さようなら。

  「月明かりの下で」って曲があるのを知っていますか?
  私はそれが大好きで、それで何時も月明かりの下で踊っていたの。
  リノスにもその曲を聴いてもらえたら嬉しいです。


  アンブローシア』


手紙を読んで愕然とした。
こんな手紙だけで、こんなもんで、俺に別れを告げようとした彼女が恨めしかった。
「月明かりの下で」って…それが何になるんだよ。
そんなものがアンの代わりになるって言うのか?
アン…お前は俺を勘違いしている。
そんなものでお前が消えた苦しみを癒せるほど俺は馬鹿じゃないんだ。
お前じゃないとだめなんだ。何も代わりになどなりはしない。
アン…、アンブローシア…。
どうして……!?

俺は手紙を握り締めたまま泣き崩れた。


コモドの海岸にまた夏が訪れようとしていた。
俺は相変わらず浜辺に腰を降ろし、月明かりを浴びていた。
目を閉じてると、彼女の舞う姿が鮮明に浮かぶ。
月日さえも彼女を忘れさせてはくれなかった。

遠くからギターの演奏が聞こえてくる。
…初めて聞く曲だった。
俺はなぜか誘われるようにその音がする方向へふらふらを足を進めた。
岩場に腰掛けたクラウンが、ギターを演奏していた。
なぜか心に心地よく響く曲だ。
ボーっと曲に聞き入っていると、クラウンは演奏する手を止めて俺に話しかけてきた。
「この曲がそんなに気に入りましたか?」
「あっ…あぁ…。何て言う曲なんだ?」
「これは『月明かりの下で』という曲です。
かなり難しい曲なので演奏できる者も少なくて、あまり聞くことができないんですよ。」
『月明かりの下で』…。
アンの手紙にあった曲だ。
「すまないが、もう一度最初から演奏してもらえないだろうか。」
「ええ、かまいませんよ。」
そう答えるとクラウンは再びギターを奏で始めた。
彼の奏でる音色が俺の心を潤すように染み込んでくる。
不思議と今まで俺の心を詰まらせていた重い塊が、砂のようにさらさらになり落ちてゆく。
アンブローシア…。
これを、俺に伝えたかったのか…?
もう二度とアンに会うことのできない苦しみを忘れられるわけなどなかったが、
この曲が、俺にこの先の道を月明かりで照らすように示してくれたようだった。
俺は、もう一度、前に進むことができるかもしれない…。
俺は思わずクラウンに訊ねた。
「その曲、俺にも弾けるようになるかな…?」
「ええっ?チェイサーの貴方にですか!?この曲はバードにも難しくて弾けないぐらいなのですが…。」
クラウンが驚くのも無理はない。
「でも、練習すればなんとかならないかな?どうしても自分で弾きたいんだ。」
クラウンは俺の目を見つめると、フッと軽く笑った。
「面白い方ですね、チェイサーなのに楽器を弾きたいなんて。
わかりました。貴方の熱意に免じて、私でよければこの曲を教えて差し上げましょう。」
「そうか!ありがとう!! 俺、ギターを買ってくるよ!」
「ええ、お待ちしてます。」
俺は夢中で駆け出した。
走るなんて、久々のことで足がもつれそうだったが、必死に前へ進んだ。
もしもあの曲を弾けるようになった時、何かが変る気がした。

…そうだろ?
…アンブローシア…?


<Fin>
166月明かりの下でsage :2007/07/26(木) 23:37:05 ID:Vp7Jp0Vo
ハッピーエンドじゃなくてごめんなさい。
悲しい話を書きたくて作ったんですが、
それでもやはりわずかな救いを用意せずには居られなくて、
こんな終わり方になりました。

読んでくださった方、ありがとうございました。

※HPちゃくちゃくと準備中
167名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/27(金) 01:49:08 ID:cJbhxEdE
素直に面白かった!GJ!
168名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/27(金) 05:41:20 ID:4XoWVvJ6
超GJ!!
感動した!!
169名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/21(火) 22:14:27 ID:/mWqUBEY
バッドエンドでもないし、締めもいいし、GJです
170名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/25(土) 03:51:39 ID:mVbI.JjE
こそこそ。こんな時間に投下してみます。
未完だし、初めてで勝手が判らないけど、投下〜。

タイトルはまだ未定で御座いまする。では。
1711/8sage :2007/08/25(土) 03:53:26 ID:mVbI.JjE
「おらっ!きちっとしゃぶれよっ!てめぇはその為だけの存在なんだからなぁっ!」
「うぶぅっ!うぐっ…ぐふぅ、ん…いやぁ…止めてぇっ…」

いきり立った逸物を強引に相手の口の中にねじ込んで、しゃぶる事を強要しているローグと
手を拘束され、抵抗らしい抵抗が出来ないまま咥えさせられるジプシー。

此処はギルド砦と呼ばれる建物の中。そこでは今、狂乱の宴が開かれている最中であった。
勝者が敗者を捕らえ、陵辱し、犯し抜く。そのような行いがまかり通っているのも
全ては、勝負に勝ったギルドが砦を手に入れ、そこを根城に出来るからなのだろう。

「おおおうっ!出るっ、出るぞっ!全部飲み込めよっ!ははははっ!俺の精子で受精させて
孕んじまいなっ!潔癖症のスナイパーさんよっ!ははははっ、出すぞぉっ!うおぉあっ!」
「いやっ、いやぁぁぁぁぁっ!中にっ、中に出さないでぇっ!うあぁぁぁぁっ…
妊娠したくない、したくないのぉ…こんな奴らの子供なんて嫌ぁ…うあああぁぁ…」

少し離れた所では、正常位で犯していたローグがスナイパーの膣内に精液を放っていた。
ごぼり、ごぼりと白く濁った泡を結合部から漏らしながら、余韻に浸っている。

「どうした?いやにつまらなさそうじゃないか。女は選り取りみどりなんだぜ?
つまらない事気にしねぇで、お前も混ざっちまえよ。気持ち良くなれるぜ?」

エンペリウムの存在していた台座の傍で座っていた俺に声を掛けてきたのは此処の砦の
所持者―つまりギルドマスター―のチェイサー、ギュラスだった。

「ギルド砦を取る手伝いはした、けどこれの手伝いはしたくない。それが理由じゃ駄目か?」

ぶっきらぼうに答えると、ギュラスはおかしそうに笑って隣に腰掛けてくる。

「くはははっ、手伝いなんて言うなよ。これは娯楽だぜ?勝者が敗者をレイプする。
勝者が浸れる最高の娯楽じゃねぇか、気にすんなよそんなモン。あまり我慢してると
ザーメン腐って使い物にならなくなるぜ?ぎゃはははははっ!」

心底楽しそうに語っては笑うこいつを、俺はどうも好きになれない。当然か。
俺は征服して犯す愉しみを楽しめるほど下卑た存在じゃない。俺が楽しみたいのは…
やめよう。今此処でそれを語ってもこいつに笑われるだけだ。いや、笑われるだけで済めば
良いが、下手すれば敵と判断されて殺されかねないな。それは困る。

「例え娯楽だろうと、俺は参加しない。お前達で楽しめばいい。俺は外で風に当たってくる。
…変なのを送り込んでくるなよ?邪魔したら…」
「わぁってるよ、邪魔はしねぇさ。けどな、ヒェルテ。お前は俺のギルドのメンバーなんだぜ?
メンバーならメンバーらしく、マスターの主催するパーティに参加するって言うのがお前の言う
筋ってやつなんじゃねぇのか?」

ギュラスとの会話を断つ為に切り出した言葉を、まともな理論で返された俺は、ただ立ち尽くして。
俺の呆然とした顔を見て、ギュラスはおかしそうにまた笑う。

「何だよ、そんな顔して。てめぇのそんな顔見てるとまた笑いがこみ上げてきちまうじゃねぇか。
俺がマトモな理論を繰り出したのがそんなに意外かよ?俺はいつだってマトモなんだぜ?ぎゃはは!」

………。少しだけこいつを見直しかけた自分が馬鹿に見える。やっぱこいつは好きになれない。
答えないまま外へと続く扉へ向かっていると、後ろからあいつの声が聞こえる。

「今夜はオールナイトで愉しんでっかんなぁ!後で差し入れも送ってやんぜ、ヒェルテ!ぎゃははは!」

…振り返って睨みたくなる衝動を堪えながら、俺は外のテラスへと向かう。
後ろからは叫び声と高い笑い声、交合の音が響いていた。
1722/8sage :2007/08/25(土) 03:54:16 ID:mVbI.JjE
そもそもなんで俺みたいなのが、ギュラスのギルドに所属しているのかと言うと。
…自分でも思い出したくないのだが、臨時パーティでの清算時に俺が間違ってギュラスの欲しがっていた
レアを売ってしまったのが原因で。勿論弁償金は支払ってその場は済んだのだが、後からWISで
精神的な障害の弁償をしろと何度も何度も何度も喚かれて最終的にはギルドに所属させられ、ギュラスの
気が済むまで資金の弁済、ついでにGvGへの参加を強制させられたと云う訳だ。

そんな間抜けな俺の頬を撫でる風は優しく、先程までの怒号と喧騒に満ちた時間を忘れさせてくれる。
俺は、滅多に吸わない煙草を取り出して火をつけると、空に煙を吐いてひとりごちる。

「…いくら敗者が慰み者にされるからとは言え、あれは見てらんないよな…。まぁ…彼女達もそうされて
仕方の無いような対応を取ってたっちゃ取ってたんだろうけど…やるせないな。」

そう、今回の勝負の敗者は女性のみのギルド『ローゼンメイデン』で、俺達のギルドは男のみ、それも
殆どがローグやチェイサー等の、いわば悪漢やゴロツキと呼ばれてもおかしくないギルド『カルマ』。
以前から二つのギルドは険悪な仲だったのだが、GvGというシステムが実装されてからというもの
ローゼンメイデンはGv常勝ギルド、対する俺達はレーサーと呼ばれる事すらない格下中の格下で
二つのギルドは勝負とは呼べないほどに決まりきった結末を迎える筈だった。今夜までは。

そもそも何故二つのギルドが対立する事になったのか、詳しい理由は知らないのだが予測はつく。
ローゼンメイデンのマスター―ハイプリーストなのだが―は、異様に男を見下した言葉を使い、男は全て
敵であり、女性のみしか信用せず、人間扱いしないというもので。対するうちのマスター、ギュレスは
女は性欲を発散させる為の道具としか見ていない節のある人間で。
そんな二人が対立し、敵対しあうのは想像するより明らかな事だったろう。
そんな対立が何年も続き、此方が悪質な嫌がらせや邪魔等、いわゆるMPKをしても向こうは相手にせず
努めて気にしないように過ごし続けていたらしい。よく捕まらなかったとカルマのメンバーに思いながら
良く我慢できたものだなと、ローゼンメイデンのメンバーに感心していたのだが。

遂に今夜、見下す者と見下される者。ローゼンメイデンとカルマの立場は完全に逆転して
カルマのメンバーは祝杯をあげ、ローゼンメイデンのメンバーに恨みと僻みと妬み、あらゆる負の感情の
篭もった集団輪姦を開始し、ローゼンメイデンのメンバーはプライドも何もかもをずたずたに引き裂かれ
人として生きる事が困難になるまで犯し尽くされ、嬲らされ続けている。
1733/8sage :2007/08/25(土) 03:55:18 ID:mVbI.JjE
何度目かの煙を吐いて、俺は後ろに湧いた気配にようやく気付いて。

「…誰だ?ギュラスか?」

後ろを見ずに声を掛けても返事は無く、緩慢な動きで振り向くとそこには、ローゼンメイデンのメンバー
の一人―服装がボロボロだが恐らくチャンピオンだろう―が居た。

「えっと…君は?どうして此処に…と言うか、どうやってあの場から抜け出してきたんだ?」

あの乱交ともいえる凄惨な場からどうやって此処に来たのかと言う疑問を問いただすと、彼女は小さな声
で事情を話し始めた。

「…いちばん、えらいひとに…ここにいけって…いわれたから…」

あまりに酷く犯されすぎたのか、言葉もつたなく聞き取りにくかったが、それだけ聞き終えて。
ようやく事情を把握した俺は、軽く手招きをしながら少し考える。

一番偉い人って言うのは、ギュラスの事だよな…アイツに言われたから此処に来たって…何でだ?

と、そこでさっきのギュラスの言葉が脳裏に蘇った。
そうだ、アイツはさっき「後で差し入れを送る」とか何とか言ってたんだったか。
…差し入れってローゼンメイデンのメンバーじゃないかよ…俺にどうしろって………はぁ。
アイツの意図は判っている。俺に女性を犯す楽しみを教えようと言うのだろう。余計なお世話だが。
そもそも俺は女性に興味が無い訳じゃない。ただ犯して自分だけが気持ち良くなる事が嫌いなだけだ。
セックスは性欲処理の為のプロセスじゃない。愛し合う二人が愛情を確認する為に必要な事だ。
そんな事を理念にしていても、ギュラスに言える筈は無い。当然だ、ギュラスとは考え方が違っている。
そんな理念をアイツに伝えたら、アイツの逆鱗に触れるだけだ。むざむざ殺されるような事は伝えない。

と、手招きをしながら考えていたら、すぐ傍に彼女がいて。いきなり視界内に入ってきた、精液や他の
液体やら何やらで汚れてしまった彼女の顔を見て驚いて仰け反ってしまって。

「うぉわ!?…わっ、わっ…あごぶ!」

バランスを崩して慌てて、テラスの手すりに頭をぶつけて床に尻餅をついてしまう。
そんな様子がおかしかったのか、チャンピオンの彼女はクスッと微笑んで。笑顔が見れたと喜んだのも
束の間、俺がカルマのメンバーだという事を思い出すとまた怯えるような表情になってしまった。

「…あー、いちちち…くっそ、頭ぶつけるなんて情けないな…」

後頭部を抑えながら、俺は傍に立ったままの彼女に声をかける。
出来る限り優しく、怖がらせないようにと気をつけながら。

「…あー、えっと。俺はヒェルテ。君の名前を、教えてくれないかな?
それと、そこまで怖がらなくて良いよ。俺は下の連中みたいに酷い事をしたい訳じゃないから…さ。」

手を伸ばしながらそれだけ伝えると、彼女は意外そうな表情を一瞬だけ浮かべ、ゆっくりとした動きで
俺の手を取り、伸ばした足の上にちょこんと座って。

「………ユーノ…ユーノ=セヴァステル………ヒェルテ、さん………わたし、ヒェルテさんを…」
1744/8sage :2007/08/25(土) 03:56:16 ID:mVbI.JjE
彼女の顔をハンカチで綺麗にしてあげて、そのハンカチをカートに仕舞いこむ。
名前を教えてくれた彼女―ユーノが続けようとするのを、指で優しく口元を抑えて制する。
アイツの思惑に乗る必要はない。この子だけでも、心を壊させないようにしないと。
優しく笑いながら首を左右に振り、彼女のしようとしていた事をやめさせて。そのまま話を続けようと
していたのに、彼女はあろう事か俺の指をゆっくりと口に含んで舐め始めてしまった。

「…んっ…ちゅっ……ちゅぱ……ん…ヒェルテさんの指…おいしい、です…ちゅうっ……ちゅるるっ…」
「ちょっ、ちょっと待って。止めてくれ、舐めなくて良いんだっ。舐めなくていいからっ。」

俺が言葉で制し、手を引こうとしても彼女は両手でがっしりと俺の手首を掴んでいる為に離せなくて。
感想を漏らしながら、そのままぴちゃぴちゃと音を立てて舐めしゃぶっているユーノ。

…これじゃ埒があかない。そう思った俺は、指を舐める事に集中したままの彼女をもう片方の手で
抱き寄せて、耳元で囁いた。

「…そんな事、しなくて良いから…少し、俺と話をしてくれないかな?」

抱き寄せられると、身じろぎをして拒絶しかけるユーノ。だが、カルマのメンバーに逆らうと、より酷い
目に遭うと身体が記憶してしまったのだろうか、ゆっくりと力を抜いて抱き寄せられて。
怯えの抜けない表情のまま、俺の方を向いて固まっている彼女。何度か、優しい調子で声を掛けていると
やがて信用し始めてくれたのか、ゆっくりと体から力が抜けていって、口から指を解放してくれた。

「…ありがと。実を言うと、少しくすぐったかったんだ、指。キミ…あ、いや、ユーノだったね。
君みたいな可愛い子に指を舐められるなんて思わなかったし、驚いちゃってね。」

指に付いた唾液を自分の服の裾で拭うと、ユーノは微笑み、また無表情に戻って俺に身体を寄せてきた。
…まずい。非常にまずい。偉そうな理念を抱えた俺も、いっぱしの男な訳で。さっきの指舐めといい、
その時の表情といい、今の行動といい。…いくら俺でも欲情しない訳はなく、どうやってごまかそうか、
何と伝えるべきか。そんな事を考えながら難しい表情を浮かべていると、彼女の方から声を掛けられて。

「…じゃ、じゃあ…わたしは、なにをすれば…いいんですか…?」

つたない言葉遣いのまま問いかけられて。俺は思わず彼女を抱き締めてしまって。

「何もしなくていいよ。ユーノは、傍に居てくれるだけで良いから。俺がそう望んでるっていう
理由じゃ…駄目かい?」

今の言葉を伝えている俺の顔はきっと真っ赤に染まっているんだろう。恥ずかしすぎるが、これが正直な
俺の気持ちであり、望みなんだから仕方がない。
ユーノが小さく呼吸をする音が耳に届いて。少し経った後に、ゆっくりと言葉が紡がれる。

「…わか、りました…。ヒェルテさんが、そう望むなら…わたしは、ヒェルテさんの傍に…います。」

筋肉がこわばった姿勢のまま言葉を聞いて。俺はようやくふはーっと長い息を吐いた。
…ところが、その息がユーノの背中に掛かって、あろう事かユーノは小さな喘ぎ声をあげ、
熱い吐息と共に俺の耳に届けさせてしまう。

せっかく収まった情欲の炎が、また火をつけられてしまって。
うあああ、俺やばい、俺やばいって!どうしよう!どうすんの俺!?どーすんのよ!?
1755/8sage :2007/08/25(土) 03:57:17 ID:mVbI.JjE
ユーノの熱い吐息の後、固まって黙り込んだ俺を不思議に思ったのか、ユーノが俺の耳元で怯えた声で
ひたすら謝罪の言葉を繰り返し繰り返し言い続けている。

「…どうか、したんですか?ヒェルテさん…わ、私、もしかして…ヒェルテさんに逆らってしまいました
か…?ご、ごめんなさい…あやまりますから、ぶたないでください…お願いします…お願いします…」

…陵辱され、輪姦されて抵抗して、何度もぶたれてしまったのだろう。軽いトラウマのようになって
しまった彼女の反応に、俺は理性を取り戻して。体を離して、ユーノの目を見れるようにして話す。

「違うんだ、そうじゃない…そうじゃないから、安心して…ぶったりなんかしない、しないから。
だから、落ち着いてくれ。…大丈夫、今わけを話すよ。」

俺の言葉に、先程よりもすんなりと落ち着いたようで。じっと俺の目を見つめて、俺の言葉を待って。

「…逆らったとか、そういう訳じゃなくて。えー…あー…あのね。下の連中みたいに酷い事しないって
さっき言ったけど、俺も一応男な訳で…体を寄せられたり、熱い息を吹きかけられて欲情しない訳じゃ
無い訳なんだ。…その、ごめんな。ユーノは、強引なセックスをされたくないだろ?」

今の俺の気持ちを素直に伝える。ユーノは、どんな反応をするだろうか。たっぷり十数分経ってから
少し落ち着いたユーノは、ゆっくりとした動きで俺の顔に自分の顔を近づけてきて…

「…ヒェルテさん…私は、ヒェルテさんの傍にいます…。例え、どんな事をされても……
ヒェルテさんの、望みをかなえる為に…私は、その為にここに来たんですから……」

それだけ呟いて、ユーノは俺にキスをしてきた。
俺はいきなりの事に驚いて、何も出来ずにそのまま流されて。

「…ちゅっ……んっ…ちゅ……ヒェルテさん…ふぁ……わ、私…ヒェルテさんになら…んちゅっ……
その…んっ…はぁっ…されても、良い、です…」

ユーノは何度もキスをしながら話し、俺の唇を舌で割って入れてきては唾液を啜って。
小さな声で、犯される事を自ら望んだ。先程まで怯えていたのが嘘の様に、情熱的に見つめながら。

「…ユーノ…どうしていきなり、そんな事を?あぁ、いや。嬉しくないって訳じゃないんだけどな。
君にとって俺は、敵対してるギルドの一員なんじゃないのか?」

盛り上がってきた雰囲気に水を差してしまったな、などと考えながらも思った事が口を付いて出て。
ユーノは、静かに語り出した。

「…たしかに、ヒェルテさんは敵のギルドかも知れません…でも、私に優しくしてくれたのは本当で…、
私は、ヒェルテさんの事を…優しいヒェルテさんを…信じたい、です。だから…」

…そこまで言ったユーノの唇を、今度は俺から塞いだ。ここまで言われて、奮い立たない男は居ない。
俺は、彼女の心を救おうと初めは思った。だが今は…彼女の全てが愛しい。彼女を守ってやりたい。
1766/8sage :2007/08/25(土) 03:58:19 ID:mVbI.JjE
「ん……ユーノ……それ以上は、言わなくていい。君の気持ちは判ったから……だから、これから
君にする事は、君を汚す事じゃないと判ってほしい。…君を、愛したいんだ。隅々まで、全てを。」

雰囲気に後押しされて、俺はユーノに告白をした。彼女は小さくコクンと頷くと、両手を広げて俺を
抱き締めてきた。俺も、それに応える。

「ヒェルテさん…私を……私の体を…ヒェルテさんの、で…染めて欲しい、です…」

小さな声、だけどしっかりした声でユーノは俺を求めてきた。俺は、焦る気持ちを抑えながらズボンの
留め具を外して、既に硬くなったそれを外気に晒すと少し肌寒く感じる。温かさを求めて、ユーノの
秘所と触れ合わせ、ユーノの腰を手で動かさせて刺激する。

「んぁぁぁっ…ヒェルテさんっ…ヒェルテさぁんっ……私の…私のぉっ…!」

懇願してくるユーノの秘所は既に潤んでいて。手で動かさなくとも、ユーノ自身が腰を振ってねだって
いるのは理解できる。我慢できずに、俺は愚息をユーノの秘所に挿入して、奥まで繋がって。
自分的に長いと思っていた愚息は、どうやら本当に長かったようで。先端にコツコツと何かが当たる
感触が有り、腰を揺すって確認していると、ユーノの恥ずかしさに染まった顔がどんどん快楽に蕩けて
いくのが判る。…もしかして、ここが子宮口ってところなのか?確信を持てず、何度も小突いていると
ユーノが切れ切れの声で、嘆願してきた。

「あぁっ…あぁぁぁんっ……ヒェルテさんっ…おくっ、おくぅっ……コツコツって突いちゃやぁ…
わ、私…馬鹿になっちゃうぅ…ヒェルテさんので、突かれてぇ…おかしくなっちゃうのぉっ…!」

ユーノの漏らす甘い声に、俺の理性は本能にあっさりと敗北して。対面座位のまま、彼女の腰を抱いて
腰を前後に動かしながら、ユーノの体も動かして。彼女の中を隅々まで突き、壁を擦って。余す所無く
ユーノを愛し、ギルドメンバーに受けた陵辱の傷を忘れさせるように俺のもので塗り替えていって。

「良いんだっ…良いんだよ…馬鹿になったって…良いからっ…俺が、君のっ…君を…一生っ…愛する
からっ…!愛し続けるからっ…!だからっ…だから、俺のでっ…おかしくなってくれっ…」

突き込みながら口説いて。ユーノは何度も何度も頷いては喘ぎ、秘所をキュウキュウと締め付けて。
我慢しきれなくなった俺は、限界が近い事を彼女に伝える。

「もうダメだっ…イキそうっ…っはぁっ…はぁっ…ユーノっ…ユーノっ……!」
「きてっ、ヒェルテさんっ……中にっ…中にくださいっ…!ヒェルテさんのでっ…私の中をっ……
一杯にしてくださいっ…!あぁっ…!あああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!!」

限界を越え、先に絶頂に達したユーノを追いかけるように、俺もまた爆ぜて。ユーノの中に、何度かに
分けて、俺という存在の証を注ぎ込んでいく。ユーノは少し呆けた顔でそれを受け入れていて。
目を細めて注ぎ込まれるのを受け入れているその表情がいやらしく、だがとても綺麗に感じて。
キスを求め交わしながら、まだ注ぎ続けて。…やがて長い射精を終えても尚、繋がったままで。

「…ヒェルテさん……私…ヒェルテさんが好きです…大好き……だから…私を……ヒェルテさんだけの
ものにして、ください……ずっと、傍に…居させて、ください…」

気持ち良さから溢れた涙を拭おうともせずに、ユーノは俺に語りかけて。俺は、射精直後でまだうまく
回らない頭でそれを聞いて深く考えずに頷いた。
1777/8sage :2007/08/25(土) 03:59:20 ID:mVbI.JjE
そうして、短い時間で身も心も恋人同士となった俺達の前に、幾つかの障害が立ちふさがる。
…一つ目は俺のギルドのマスター、ギュラスとそのメンバー。ユーノを連れたまま、此処から出れる訳
は無い。まして彼女はGvGの敗者として捕らえられた存在。解放など許す筈が無い。
二つ目は彼女のギルドのメンバー。解放するには、ギュラス達と敵対しなければならない。
解放しなければ、彼女の心にしこりが残ってしまうだろう。
三つ目、これは前述の二つの問題をクリアしてからなのだが…俺達の身の振り方だ。
首都には居られない。同様にゲフェンやフェイヨン、アルデバラン…ギルド砦のある地域は
ほぼ無理だろう。となるとモロク…或いはアルベルタから船で別の大陸へ逃げるか。どれであるにせよ
今までよりも過ごしにくくなるだろう。無事に逃げ切れれば、だが。

心配そうに俺の顔を覗き込んでくるユーノの頭を優しく撫でながら、俺はひたすらに考えた。
戦うか、逃げるか。戦う場合、方法と段取りは。逃げる場合の経路は。ギルドを抜けるタイミング等…
ひたすら考えて、考えて…夜も更けて、虫の声すら響かなくなった時間に、ようやく考えが纏まる。

傍で眠ってしまっていたユーノを揺すって起こして。小さな声で訊ねる。

「ユーノ…ユーノ。少し聞きたい事があるんだ。大丈夫かい?」
「ん…うぅ…ヒェルテ、さん…?…私…寝ちゃってたんですね……聞きたい事、ですか?…」

目を擦って起き上がり、傍に体を寄せてきたユーノに言葉を続けて。

「君の事を、君のギルドのメンバーはどこまで知ってる?出身地とか、どのくらいの戦力かとか。
…それと、彼女達は助けなきゃいけないかな?」

小さな声で喋る俺の雰囲気を感じ取って、ユーノも小声で返してくれる。

「私の出身は、イズルードです。勿論、ギルドメンバーも知ってます…戦力は…阿修羅を撃てるので
防衛時の遊撃として重用されてました。」

頷きながら、続けさせて。少し言いよどんだ後、ユーノは真剣な眼差しを浮かべて。

「メンバーを助ける事で、私達が危機に陥るのなら、助けない方が良いと思います。確かに私は
ギルドにお世話になって、面倒も見ていただきました。けれど、ヒェルテさんと結ばれたい私には
ギルドの事よりも、ヒェルテさんと一緒に居たい事の方が強いんです。だから…」

その言葉以降を言わせないようにして、俺は頷いて。ユーノの手をしっかりと握って、立ち上がる。

「…判った。それじゃ、此処から逃げ出そう。…大丈夫、こっちのギルドのメンバーは大半が犯し
疲れて泥のように眠ってるだろう。それ位に、君達のギルドへの不満は高かったんだ。」

その言葉に複雑な表情を浮かべて立ち上がるユーノ。だが、すぐに真剣な表情になって。

「でも、流石にマスターは…それに、全員が寝てるとは思えませんし…」
「それも大丈夫。全員が寝てなくても、此処の砦の構造を覚えきっている訳じゃないさ。ギュラス
だってそうだ。アイツは今頃、ローゼンメイデンのマスターと行為の真っ最中だろう。砦の構造
なんて、行為の時に思い出せるものじゃないさ。」

ユーノの不安を力強い言葉で打ち消して。ゆっくりとした足取りで階段を下り、途中の脇道に入る。
ユーノの手を引きながら、一歩一歩、音を立てぬように気を配りながら進めて。暗闇の中を進むと
やがて前方から外の風が流れ込んできて。そのまま進むと、砦の裏手の小さな袋小路に出た。

「…よし、誰も居ない…今の内に砦から出よう。それから、ギルドを抜けて…後は、南に進んで
街中に入る。夜中でも賑わってる首都だから、巧く存在をくらませられる筈だ。さぁ、行こう。」
1788/8sage :2007/08/25(土) 04:00:21 ID:mVbI.JjE
これからの事を簡単に伝え、手を取って静かに走る。気付かれない事を祈りながら走って。
もう少しで砦から出られる、という場所で急にWISが届く。…ギュラスだ。

『おいぃ、あんまり長くイタしてんじゃねぇぞぉ?早く戻ってこいよ。』

気付かれた、と思い込んで体を竦ませるが、続く言葉にへにゃへにゃと崩れ落ちかける。

『ローゼンメイデンのマスターを犯しまくってる所をお前にも見てほしいからなぁ…ヒェルテ。
だから、早く戻ってこいよ。もう差し入れは充分堪能しただろ?早く戻ってこいって。』

…どうやら、気付かれた訳ではなさそうだ。心配しているユーノに、にっこりと笑って。
少しずつ歩を進めながら、どう答えるべきかと逡巡して。
砦の入り口に差し掛かって、ようやく重い口を開いた。

『あぁ…充分に堪能したさ、ギュラス。…堪能しすぎて、勿体無くなった。』
『あんだとぉ?おい、てめぇ…まさか。裏切ろうとか考えてんじゃねぇだろうなぁ!?えぇ!?
何とか言えよ!あぁん!?…クソッタレがっ!っざけんじゃねぇっ!』

沈黙を答えと受け取ったのか、慌てた様子がギルド内に流れるチャットから感じ取れる。
以降のWISを拒絶し、ギルドエンブレムを剥がして捨てる。同じ様に、ユーノも剥がしていて。
慌しくなった砦から離れるように、一目散に駆け出した。

二人で城内を駆けて、街の中へ抜ける。目指すは…カプラ職員。転送さえしてしまえば、以降の
追跡はほぼ不可能になる。奴等が虱潰しに色々な街を探している間に、逃げ切れると云う訳だ。
…体が、妙に軽い。景色が早く流れていく。心配になって後ろを見ると、ユーノが微笑んでいる。
そうか、速度増加の魔法!ユーノは、いつの間にか俺達に魔法をかけていたのだ。予定よりも
かなり早く、俺達はカプラ職員の元に辿り着いて。息を整えながらお金を出し、目的地を伝える。

「…はぁっ…はぁっ!…カプラさん、今すぐアルベルタまで!二人一緒に頼む!」

二人分の代金を払うと、カプラ職員は事務的な対応で俺達の体と意識を転送させた。
179名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/25(土) 04:02:31 ID:mVbI.JjE
とりあえずここまでとなりまする。

はぁぁぁ…心臓ばっくばくだ。

続きは…その内書くかもしれません。気長にお待ち下さいませ。
180名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/26(日) 21:42:48 ID:d3HU.pNo
なんというじらし
続きがどっちにも転びそうで怖いぜ
さぁ早く続きを書く作業に戻るんだ
18170sage :2007/08/27(月) 16:43:17 ID:ejotmSvo
久々に投下しに来たら新作が!!
限られた時間の中で激しく求め合うっていいですよね…。
とても好みです。
続き楽しみにしてます。
このまま終わったりしたら、恨みます(ぇ

179さんの続きを待っている方に、70より暇つぶしをプレゼント。
前作で書ききれなかった設定を含んだおまけのSSを書きました。
内容がかぶっているのでつまらないと思われるかもしれませんが、
書いちゃったので投下させてください;;
長いです。ありえないくらい長いです。
182月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:44:57 ID:ejotmSvo
夏の深夜。

ミッドガルドの首都、プロンテラの町の片隅。

人気のない裏路地に大柄なパラディンの男と小柄なジプシーが居た。
「君が会いたいなんて言うもんだから飛んできたよ。」
パラディンがジプシーの肩に手を回しながら囁いた。
「嬉しい…。急にあなたに会いたくなってどうしようもなかったの。」
ジプシーも男の囁きに甘えるように答えた。
「僕はあの日君に声を掛けられた時から、もう君に夢中なんだ。
そんな君から会いたいと言ってもらえるなんて…、僕の想いを受け入れてくれるのかな。」
「…そのつもりでここへ来たの。…キス、してくれる?」
「あぁ…。もちろんだよ…。」
パラディンの大きな影がジプシーを覆うように重なった。
張り詰めたような静寂があたりを包む。
「…ぐぅっ…!?」
パラディンは唇を外すと呻き声を上げ、ガクッと膝を落とした。
その姿をジプシーは微動だにせず見下ろしている。
「…なっ…何をっ…ぐぁっ…したぁっ…!?くっ…苦しっ…。」
パラディンは胸を押さえながら必死に声を絞り出す。
「…ごめんなさいね。あなたに恨みはないけれど…これしかないの。」
「何故っ…?…くっ…はあっ……がはっ…!」
パラディンがジプシーへと腕を伸ばすと、ジプシーはそれから逃げるように後ずさった。
パラディンの伸ばした手は虚しく地面へと落ち、そのまま大柄の体も地面へと叩きつけられた。
「がはっ…があっ……。」
地面に伏したパラディンの口から血が吐き出されると、彼はそのまま動かなくなった。
ジプシーはそれを見届けると、パラディンの襟元についていたギルドのエンブレムをサッと剥がし、
自分の胸元へと挟み込んだ。
手の甲で自分の唇を擦ると、そこには真紅の紅が移った。
足音を立てないように路地を進み、周囲を注意深く見渡す。
誰もいないのを確認すると、路地から身を現した。
ところがその直後、隣のあばら家から二人の酔っ払いが飛び出した。
「ぷっはぁー!!飲んだ飲んだ!!」
「ひゃぁ〜うまかったなぁ!」
酔っ払いは大きな声を上げて、肩を組みながらふらふらと進んできた。
ジプシーは動揺を見せないよう、顔を伏せて横を通り過ぎようとした。
すると酔っ払いの一人がジプシーに気づき、
「おっ!お姉ちゃん!かっわいいなぁ〜これから一杯どう?」
と声を掛けた。
ジプシーはその声にまったく耳を貸さず、足早に通り過ぎていった。
「ちっ!ツレナイねぇ〜。」
酔っ払いは舌打ちをして向き直った。
「ん?何だありゃあ。」
酔っ払いのもう一人が、先の路地の奥にある大きな影に気が付いた。
「んー?…犬猫にしちゃあ大きいなぁ。」
「俺たちのお仲間かもなぁ。助けてやって、お礼に一杯ご馳走になっとくか?」
「そりゃいいな。」
そうふざけ合うと、大きな影が居る路地へと入っていった。
ジプシーはそれを背後に感じてはいたが、止まるわけにはいかない。
ますます足早になると、離れた路地に飛び込んで、蝶の羽を握りつぶした。


「何?見られたかもしれないって?」
長髪のアサシンクロス、サリオスが、鋭い目を光らせてジプシーに迫った。
「…う…うん…。殺った後、出てくるところを見られたの…。」
「実際に殺ったとこじゃないんだな?それなら大丈夫だ。」
「でも…きっと憲兵たちに報告が行くわ。そうしたら…。」
「平気だ。憲兵ごときが俺たちの素性を割り出せるはずがない。
このコモドのバーに行き着いたって、お前が殺ったという証拠なんて掴めやしない。」
「…。」
ジプシーはまだ肩を震わせて俯いていた。
「アンブローシア。例え誰が来たって、俺がお前を連れていかせやしない。
絶対に守ってやる。安心しろ。それにもうこの仕事はこれでお終いだ。
奴らも大分大人しくなった。もう砦を襲われる心配はないだろう。」
「…うん…。」
サリオスはアンブローシアの肩を抱き、彼女の顎に手を添えると少し上を向かせ、軽く口付けた。
「アン…アンブローシア…、俺はお前さえ居ればいい…。ずっと一緒だ…。」
そう言うと、サリオスはアンの体を抱き、傍らのベットへと落とした。
「…まずは、あのくそきたねぇパラ野郎の汚れを俺が落としておかないとな…。」
そう言いながらアンの衣服を優しく脱がし、その白い乳房の間に顔を埋めた。
「サリオス…。」
アンも黙ってその身を任せた。
183月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:45:28 ID:ejotmSvo
もう組織を脱走してから8年が経っていた。
最初の数年間こそ、夜も眠ることができないほどに神経を張り詰めて生きていたが、
ここ数年、特にサリオスがギルドを結成してからはほぼ普通の生活を送るようになっていた。


組織を脱走したのは私が8つの時だった。その時サリオスは14歳。
私たち二人は物心ついた時既に組織の中に居た。
両親の顔など覚えていない。会った記憶などないからだ。
組織から両親は私を産むとすぐに病気で死んだと聞かされたが、真実かどうかは定かではない。
サリオスに両親のことを尋ねたこともあったが、彼は目を光らせて「知らない。」と言うだけだった。
昼も夜もなく薄暗い組織の牢獄のような建物。
そこから一歩も出ることも叶わず、私たちは日々薬物の授業を受け、その薬物を少しずつ口へ含まされた。
最初は数十人居た子供たちも、日が経つにつれて数を減らしてゆく。
そう、皆、薬物に体を蝕まれて死んでゆくのだ。
数十人居た子供たちは、あっという間に両手の指で数えられるほどになった。
しかし隣の部屋には、また新たに外の世界から子供たちが連れてこられてきていた。
その子供たちが一日中泣き声を上げる。
「かあさん…かあさん…!」「家へ帰してー…!」「助けて〜!!」
私はずっと耳を塞いでいた。
でも、その泣き声も数ヶ月もすると止まり、
そして教官がその部屋から小さな担架を運び出してゆくのが扉の外で繰り返されてゆくのだった。

私とサリオスはそんな劣悪な環境の中生き残った。
教官たちは「さすがこの兄妹は両親の才能を受け継いでいるな。」と言っていた。
その言葉で、私たちの両親もこの組織の者だったのだと察することができた。
それならば、私たち兄妹は、
生まれ出でたその時からこの組織に身を捧げる運命だったと、あきらめもついたものだった。
そんな希望の欠片もない生活で、唯一私を笑わせたもの。
それは共に生き残った仲間のミシェルだった。
彼女は兄と同じ年頃の少女で、私たちとは違って外の世界から連れてこられた子供だった。
彼女はクラウンとジプシーの両親、バードの兄と共にコモドで平和に暮らしていた。
彼女は母親からダンスを習っていて、ダンサーになるのが夢だったそうだ。
しかし彼女は組織によってさらわれて、すでにシーフとして暗殺の訓練を受けていた。
ミシェルは母親に教わったダンスを、教官たちの目を盗んで私に教えてくれた。
私はミシェルの教えてくれるダンスに、この組織の中での唯一の楽しみを見出していた。
「アンはダンスの才能があるよ!きっと私よりもいいダンサーになれるね。」
ミシェルはそう言って私を兄と共に可愛がってくれていた。
私もこんな環境に生きながら、兄とミシェルさえいればいいと思うほどに慕っていた。

今でも想いだすのは、そう…ミシェルがいつも口ずさんでいたあの曲。
「月明かりの下で」。
ミシェルの父がその曲を演奏し、母がそれに合わせて踊る。
ミシェルにとっては家族との思い出の残る特別な曲だった。
「いつかこの曲に合わせて舞を踊るの。…その時は、アンも一緒に踊ろう。ね?」
「うん。」
その時は、そんな夢が叶うわけがないことも知らず、無邪気に返事をしていた。
184月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:45:56 ID:ejotmSvo
ある深夜。
ぼろきれのような毛布に身を包み眠っていると、兄が私を起こしてきた。
「…兄さん…?」
「シッ!…ここを出るんだ…。アン、ついてこい。」
「アン、おいで。一緒に行こう。」
ミシェルも一緒だった。
その晩、大きな仕事が入ったとかで、教官や大人たちはほとんどが留守にしていた。
組織の建物に残っているのは、子供たちと数人の見張りだけ。
兄とミシェルは、それを知ると、脱走するのは今夜しかないと思って準備をしてきたようだった。
「他のみんなは…?」
私は同じ部屋の仲間や、他の部屋に閉じ込められている仲間たちが気になっていた。
「こんな大人数で移動しては脱走は成功しない…。悲しいが、俺たちだけで行くんだ。」
「そうよ、アン。私たちが逃げられたら、後でみんなを助けにこよう。ね?」
ミシェルも私に言い聞かせるように言った。
「…うん。」
私もわがままが通らないことを察すると、大人しく兄とミシェルに従った。
どうやって開けたのか、隔離部屋の扉は開いていた。
「いくぞ…!」
兄が音を立てないように扉を開き、私とミシェルを誘導した。
見張りに気づかれないように、扉をもとのように戻しておく。
そのまま薄暗い廊下を進んだ。
しばらく行くと、見張りの大人が立っているのが見えた。
見張りはすっかり油断しているのか、あくびをしてまどろんでいる。
「ここに居ろ。」
既に組織の中でも優秀と期待されていたアサシンの兄は、クローキングをして見張りに近寄った。
背後にぴったりついてハイディングを解くと、続けざまにソニックブローを浴びせた。
見張りは頭に星を散らしたまま倒れこんだ。
兄がわたしたちに目配せをして「来い!」と言う。
踏み出そうとしたその時、私とミシェルの背後から「何をしている!?」と声が響いた。
巡回の見張りが来てしまったのだ。
私たちは前方の見張りに気をとられていて、まったく気がついてなかった。
「こら!!待てーー!!」
見張りが駆け寄ってくる。
「アン…!」
反対から兄も腕を伸ばして走ってきた。
その時、
「アン!行って…!」
ミシェルが私を抱きかかえ、強く兄の方へと押し出した。
「ミシェル!?」
兄は私の体を受け止めるとミシェルの行動に戸惑って足を止めてしまった。
「サリオス!アンを守ってね…!アン…!踊り、忘れないでね!!」
ミシェルはそう言うと、迫ってきていた見張りに飛び掛った。
「うわっ!」
見張りは一瞬ひるんだが、すぐに体制を建て直し迫ってこようとした。
そこに、ミシェルが隠し持っていた短剣を抜き出し、見張りの股間へと突き刺した。
「ぐああああっ!!」
見張りもまさかミシェルが武器を隠し持っているとは思わず、
さらにそんなところを刺されようとは想像もしなかったのだろう。
うずくまって大きな声を上げた。
「早く!この音でまた見張りがくるわ!!行って!行ってーーー!」
ミシェルはうずくまった見張りになおも攻撃を加え、足にしがみついて動きを封じていた。
兄は私を抱きかかえながら走った。
後ろから大人たちが追いかけてくる音が聞こえる。
幼い私は、恐怖のあまり下着をぐしょぐしょに濡らしていた。
兄は暗闇をひたすら走る。とにかく走った。
一晩中走っていたかもしれない。
私は兄の背中に負ぶわれながら、いつしか眠りに落ちてしまっていた。
185月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:46:21 ID:ejotmSvo
それから私たちは数年間、ウンバラの森の奥やエルメスプレートという
人のほとんど居ないフィールドを転々としながら生活していた。
ミッドガルドや同盟国のシュバルツバルドなどの街に立ち寄ることなどできなかったため、ずっと野宿をしていた。
劣悪な組織からは抜け出せたが、代わりに常に神経を張り詰めた生活。
幼い私は兄の影に隠れじっとしていただけだったが、兄は夜も眠らずずっと私を膝に抱いていた。
幼いながらも、兄が心底疲れきっているのを感じていたが、
何もできない自分はただ兄の体を小さな手で擦るしかなかった。
私が優しく擦ると、兄は少しだけ笑顔を見せてくれた。
それが嬉しくて、ずっと兄にくっついていたものだった。
そんな生活を数年間つづけ、私は14歳になった。その時兄は20歳。
まだミッドガルド内に入ることはできなかったが、アユタヤの街の隅のあばら屋でひっそりと暮らしていた。
私と兄は外出はほとんどせず、兄がたまに世間の情報を仕入れたり食料を調達するために外へ出るだけだった。
私もその歳になると色々と自分の状況がわかるようになり、
私を守りながら逃亡生活を送り、疲れきっている兄を必死で気遣うようになっていた。

その日も、夜も昼も眠らない兄が、ベットの上でわずかにまどろんでいる間、
ぴったりと体を寄り添わせて兄の体を擦っていた。
「アン…。」
兄が呼びかけてきた。
「何?」
「アン、俺はもうお前さえ居れば何もいらない…。」
兄の声はしわがれていて老人のようだった。
「うん。私も兄さんが居れば何もいらないよ。」
「そうか…。アン、おいで…。」
「うん…?」
兄が胸の中へ私を招いた。
「俺がアンを一生守ってやる。一生大切にしてやる。ずっと一緒だ。ずっと俺のものだ…、アン…。」
「うん…兄さん…。」
私に向けられた兄の目は、膜がかかったように白く霞んでいて、ただ朦朧と視線が彷徨っていた。
兄は私の服に手を掛けると、ゆっくりと上着を脱がし始めた。
「…兄さん…!?」
「アン…、アン…。俺のものだ…。」
兄の視線は朦朧としながらも、その手だけは力強く、私に振りほどくことはできなかった。
「兄さんっ…やっ…やめて…!?」
「アン…大丈夫だ。守ってやるんだ。俺が・・・俺が・・・。」
あっと言う間に上着が脱がされてしまい、私の小さな乳房があらわにされた。
兄は体重を完全に私にかけて動きを封じながら、片手で私の腕と一掴みに固定し、私の唇を塞いだ。
「んんんんーーーーーっ!!」
なぜ実の兄とこんなことを…!?
私は混乱しつつも必死に抵抗を示した。
兄は私の抵抗を感じると、唇を外して言った。
「…そんなに俺がいやなのか…?アン…。俺だけが…俺だけがお前を守っているのに…。」
そう言うと、兄の目からは大粒の涙が流れ出した。
「兄さん…。」
「俺たちは二人だけだ。親も居ない。…ミシェルさえ捨ててきたんだ。
俺にはもうアンしか居ない。アンにも俺しか居ないはずだ…!」
兄はミシェルを愛していた…?
しかし、ミシェルは私を助けるために犠牲になった。
脱走を図ろうとしたミシェルが、あの組織で生き延びて居るはずがない。
兄が唯一愛を捧げようとした女性は永遠に奪われてしまったのだ。
それを受け止めることができるのは…、そう。私しかいないのだ…。
「兄さん…、サリオス。いいよ…好きにして…。」
私は全てを受け入れることを決め、あえて兄を名前で呼んだ。
ミシェルが兄をそう呼んでいたように…。
186月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:46:54 ID:ejotmSvo
「アン…、アン…!!」
サリオスが激しく口づけてきた。
「んっ…!んんっ…!」
サリオスは荒々しく舌を差し込んできて、私の口内を犯していった。
さっきは抵抗したけれど、一度受け入れると決めたなら、それは不思議と嫌な行為ではなかった。
私だって、たった一人の肉親として兄を愛しているのだ。
しかしこれからは兄を兄ではなく、無条件で私を包み守る一人の男性、サリオスとして受け入れよう。
彼が私を守る代わりに、私は悲しみを抱え疲れきっている彼に癒やしを与えるのだ。
それがこれからの私の生きる意味となるだろう。
私もサリオスと同じように舌を出し、彼の唾液を啜り上げた。
唇を離すと、サリオスは私の小さな乳房に吸い付いた。
手で掴んで揉もうとしても、まだ十分な膨らみもないのでできない。
その代わりにといわんばかりに、行為を乳首へと集中させてきた。
片方の乳首を音を立てて吸い、もう片方の乳首を指で挟み、ぐりぐりとこね回してきた。
まだ未発達の乳首は、初めての刺激を受け止めきれず痛みが走った。
でも私は声を上げることを耐え、夢中にしゃぶるサリオスの髪を撫で続けた。
痛みはだんだんと無くなり、変わりにビリビリとした感覚が私の乳房を覆っていった。
何故だか腰が落ち着かなくなってくる。
私は腰をわずかに浮かせると、ふらふらと細かく揺らしながら喘ぎ声を上げ始めた。
「あん…あん…あんっ…。」
それに気がついたサリオスが、乳首を摘んでいた指を私の股間へと這わせた。
サリオスが指を当てると、プチュっと音がして、股間から太ももに水気を感じた。
「はぁんっ!」
私は思わず背筋を反らし、大きく腰を上げてしまった。
サリオスはそれに構わず、指で水音を立て続けた。
クチュクチュクチュクチュと水音だけが耳に木霊すると、頭が急に真っ白になり、一瞬意識を失ったように感じた。
それでも奥深くに居る私の意識が、自分が体を強ばらせながら震え、大きな叫び声を上げているのを認識していた。
震えが止まると、朦朧としながらもサリオスが私の足を開くのを感じた。
サリオスが私の足の間に身を置いている。
この時が来た。これで、もう私とサリオスは兄妹では無くなるんだ…。
覚悟を決めてサリオスを受け入れた。
熱い塊が私の入り口にあてがわれると、ぐりぐりと周りを押し広げるように動いた。
そのこそばゆい感覚に、私はまた落ち着きを無くしてしまう。
「ふあっ!ふあっ!ああぁっ!」
頭の中までも擽られているような気がして、イヤイヤをするように頭を激しく振ってしまった。
ぐりぐりは私の中にすこしずつ入ってきた。
初めて受け入れる時は激しい痛みが伴うと聞いたことがあったが、そうでもなかった。
サリオスが気遣っていてくれているのだろうか。
徐々に侵入してくる熱い塊は、私を揉みほぐすように動いていた。
多少の痛みはあれども、それを上回るくすぐったさが、私の下半身を支配していた。
「はあっ…あはっ…ああんっ…。」
意識せずとも吐息が漏れてゆく。
その時、終始無言だったサリオスが言葉を漏らした。
「…ミシェルっ…!」
……やはり…。
ミシェルと別れた時兄は14歳。
多少早すぎと言えども、同じ年頃の二人があの光の射さない劣悪な環境の中で体を重ね合い、
唯一の希望の光としていたとしても、誰が彼らを責められるだろうか。
サリオスは何年も逃亡を続けながらも、ミシェルを置き去りにした自らを責め続け、
果てには疲れ果て、ミシェルの影をあの頃と同じ年頃となった私に重ねずには正気を保てなかったのだろう。
私は自分が幼い事に任せ、サリオスにここまで負担をかけ続けてきた事を悔やまずにはいられなかった。
サリオスのモノが根元まで私に包まれると、ゆっくりと運動を開始した。
「はふうっ、あうんっ、いっ…、ううっ…。」
さすがに走る痛みをこらえつつ、必死にサリオスにしがみついた。
サリオスはもう私の名を呼ばない。
きっと、彼が今肌を合わせているのは、ミシェルなんだ。
そう思うと、痛みによるものではなく涙が溢れた。
サリオスが私を妹として大切に愛していることには間違いはない。
けれど、彼の悲しみはそれを忘れさせるほどに深く、今はミシェルにすがりたいほどに疲れているんだ。
わかっている…、わかっている…だけど…!
どうしてか、私はとてつもなく悲しかった。
サリオスはどんどん動きを激しくし、私もそれに合わせて声を上げた。
もう痛みはない。ただ、サリオスが私を突き上げるたびに激しい衝動が背筋を駆け抜けてゆくだけ。
「あっ…あぅっ…!!」
サリオスが呻き声を上げると、動きはぴったりと止み、変りに熱いものが中に注ぎ込まれるのを感じた。
サリオスはそのまま私の上にもたれかかり、私はあまりの重さに身をよじって抜け出した。
大きくはずむ呼吸を整えてサリオスを見ると、彼は眠っていた。
6年振りに訪れた、深い深い眠りだった。
187月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:47:17 ID:ejotmSvo
サリオスは二十歳になるとギルドを結成し、ブリトニアの砦の一つを手に入れた。
砦には高価な品物を出す宝箱があるし、ギルドメンバーからギルド運営に必要だと言って沢山の資金を集めた。
それにメンバーを募ってのボス討伐。
サリオスはあり余る財産を手にしていた。

私とサリオスが兄妹の関係を断ち切ってから暫くして、私たちの逃亡生活は終わりを告げようとしていた。
それまでは組織の気配を少しでも感じようなら慌てて隠れ家を変えていたが、
その頃から組織の気配を感じることは無くなっていたからだ。
サリオスは、組織はもう俺たちを死んだものとして追うのを止めたのだろう、
これからは逆に堂々と暮らし、組織の追ってが現れても対抗できる力をつけてゆくべきだ、と言った。
そうして サリオスはギルドマスターとして君臨して行ったのだ。

私はと言うと、ずっと長いことノービスとして過ごして居たが、
サリオスの進めでアーチャーに、そしてダンサーに転職した。
私もサリオスも、未だミシェルの事を忘れてはいなかった。
私がダンサーになることで、兄が少しでもミシェルを置き去りにした苦しみを癒せるのならばと思った。
それに私は何よりも踊る事が好きだった。
サリオスはギルドメンバーに命じて私とパーティーを組ませると、私には安全なところに隠れているように言い、
ギルドメンバーに戦闘を行わせて私に経験値を吸わせた。
このような形で私はジプシーにまでなり、戦闘を全く知らず踊りしか能のないジプシーが出来上がった。
我ながらの情けない事だとは思っていたが、
サリオスは自らの手の中で私を完全に操り、思い通りに作り上げてゆくことにかなり満足しているようだった。
サリオスがそう望むなら、私はそれに従うまでだった。

それに 、私たちの淫らな関係も、あの日から絶えることなく続いていた。
サリオスは私を抱くと、やっと安心して眠れるようだった。
私を抱くことで彼が癒されるのならば、と私は何時でも応じた。
サリオスは何時でも私の中で出すので、私は密かに身ごもってしまうことを恐れていたが、
私たちはある意味不法薬物の専門家である。
ささっと妊娠を防ぐ薬を調合すると、それを常に飲むことで、この許されない関係を延々と続けていた。


砦の防衛にも慣れてきて、やっと落ち着いた生活が送れるだろうと思い始めた頃、サリオスは立て続けに襲われた。
最初は当然組織の追っ手が来たものと覚悟をしたが、
よくよく調べると、同じブリトニアの砦で領地を責め合うギルドの手のものだとわかった。
ライバルギルドたちは、突然現れて砦を鮮やかに手に入れたサリオスを怪しみ、
サリオスを葬り去ることで私たちのギルドを混乱させ、砦を奪い返そうとしてきたのだった。
三度の襲撃にもサリオスは無傷だったが、
ギルド結成当時からサリオスが右腕として使ってきたロードナイトが、サリオスを守るために死んだ。
サリオスにとってギルドメンバーなど、自らがのし上がってゆくための駒に過ぎなかったが、彼だけは違っていた。
サリオスが私以外に、ミシェル以外に、唯一心を開き始めていた相手だったのだ。

サリオスは彼の死に、私の前でだけ涙を見せて言った。
「きっと神は、俺のような人間は誰にも心を開くなと言っているんだろうな…。みんな…みんな奪っちまいやがる…。」
「サリオス…!そんな悲しいこと言わないで…。私が居るじゃない…。」
「そうだな…。俺にはアンしか居ない…。」
自らに言い聞かせるように呟いていた。

サリオスの様子が本格的におかしくなって行ったのはそれからだった。
ここ最近の穏やかな表情はすっかり消え、逃亡生活を送っていた頃のような虚ろな目を見せるようになった。
視線は定まらず宙を漂うのに、暗闇の中では鋭く怪しい光を発する。
まるで深夜獲物を探して徘徊しているヒョウのように…。
私を抱く時も乱暴な愛撫をするようになり、回数も増えていった。
私を抱いていてさえ心休まらない、そんな風に見えた。

そして、とうとうサリオスは私にそれを命じたのだ。
188月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:48:06 ID:ejotmSvo
いつものように私を抱いた後、サリオスが言った。
「アン…。コモドにお前が踊るための店を作ろうと思う。」
「えっ…?本当に?」
「本当だ。コモドの海の上に、月明かりだけを浴びるバーを作って、そこにお前が踊るためのステージを用意するんだ。
舞台で踊りが披露できるんだ。嬉しいだろう?」
サリオスの話す内容とは裏腹に、彼の目は相変わらず朦朧とし、無表情に遠くを見ていた。
コモドはミシェルが生まれ育った街だ。
そこで踊ることは、遠いあの日に交わしたミシェルとの約束だった。
「嬉しいよ…。でも、いいの…?」
「ああ…。だが、そのためにお前にはやってもらいたい仕事がある。」
「仕事?」
今までほとんど外にも出ず、僅かに関わった他人も全てサリオスのギルドのメンバーだけだった。
サリオスは執拗に私を外界から隔離し、独占してきたのだ。
その私にサリオスが「仕事」と言うようなものを頼むなんて…。
「俺を襲ったギルドの奴らを、毒殺するんだ。」
「…!」
な…何て言ったの…?サリオス…!?
「奴らを誘惑して、唇に仕込んだ毒を口移しで含ませるんだ。
アンは充分に美しい…。お前になら簡単にできることだ。
誰もまさか口移しで毒を含ませたとは想像もしまい。そんなことが出来るのは、あの組織の外では俺たちだけだからな。」
「そんな…、でも私、人殺しなんて…。」
「アン、わかってくれ。ほとんど世間に知られていないお前にしかできない仕事なんだ。
殺らなければ、俺たちが殺られる。
やっと手に入れた砦も、ギルドも、金も、安心して眠れる夜も…!また全て失うんだぞ!?」
サリオスは爪を立てるほどに強く私の肩を掴み、大きく揺さぶりながら迫った。
さっきまでの朦朧とした目とは違う目をしていた。
かといって暗闇で光る時の鋭い目でもなかった。
それはまるで…、そう、獣に追い詰められた仔山羊のような…、怯えた悲しい目をしていた。
そんなサリオスを初めて見た。
私には、断ることなどできなかった。

そうして私は、一人の男をこの手にかけた。
しかし、それだけではサリオスの要求は止まらなかった。
どんどんエスカレートしてゆき、とうとう私は9人もの男の命を奪っていた。
すっかり汚れてしまった私の手…。
それでも私は踊ることだけは辞めなかった。
それだけが、私の生きている証だったから…。


そんな頃、私はリノスに出逢った。
彼は私の踊りを見て、私を好きだと言ってくれた。
出逢ってからほんの僅かな期間しか経っていないのに、私も彼を好きになった。
リノスは私が初めてまともに接した「外界」の人。
その人が私の踊りを誉めてくれた。
それだけで私は、リノスだけが何にも支配されない本当の私自身を見てくれたようで、
これまでに感じたことのない充実感を感じることができたのだ。
これまでの人生も、サリオスのことも、人を殺めたことも、リノスの前では何もかも忘れることができた。
いっそ全てを捨ててリノスと共に生きることができたら…、とも思ったが、
私がサリオスを見捨てたら、サリオスはどうなるのだろうか…。
きっとやっとのことで保っている正気を完全に失い、狂気の道へと落とされて行くだろう。
常に私を守り愛してきてくれたサリオスを捨てることなど、できるわけもなかった。

わかっていても、リノスの前になると、私はただの一人の少女に戻ってしまう。
彼の囁きに答え、私も彼を好きだと口に出してしまい、彼と口付けを交わしてしまった。
リノスの日の光の匂いのする胸に顔を埋め、この身を彼に預けてしまいたくなる。
しかし、私の心の奥底でサリオスの声が響く。
「アン、俺とお前は、ずっと二人だけなんだ。俺にはお前しかいない。」
サリオスが、私がリノスへと心を奪われていることを知ったら何て思うだろうか。
そう思うと、ぎりぎりのところで思いとどまるしかなかった。
私がサリオスからの呪縛から解き放たれない限り、リノスと歩むことは不可能だ。
でも私にはサリオスを捨てることなど絶対にできない。
それならば…、リノスと別れるしかないことになる。
でもそれも出来ない自分が居る。
とにかく、リノスの存在をサリオスに知られることは避けなければならないと思っていた。


しかし、あっけなくリノスの存在はサリオスに知れた。
おそらくギルドメンバーにでも私を見張らせていたのだろう。
私がリノスに体を許したのかと勘ぐると、サリオスは逆上して一層激しく私を抱いてきた。
私はサリオスに抱かれながら、「やはりリノスとは別れるしかない…。」と覚悟した。
しかし、そんな私の覚悟にかかわらず、サリオスは残酷な命令を私に下したのだ。

「憲兵隊に雇われたリノスというチェイサーが俺たちを探っているらしい。
詳しい報告が上げられる前に処分するんだ。」

私の目の前は真っ暗になった。
リノスを殺す…。
しかもリノスは憲兵隊に雇われた調査員で、私たちを探るために近づいた…?
サリオスは、私が心を奪われている男性と、調査員のリノスが同一人物だとは気づいていないようだったが、
そうでなくても、私にとっては残酷すぎる指令だった。
私にとって、サリオスの命令は絶対を意味している。
従うしかない。
愛する人を、この手に掛けるしかなかった。
たとえ私が手に掛けなくとも、そうしたらサリオスは自らでリノスを殺しに動くだろう。
それならば、せめて私の手で…。
そう覚悟を決めて、リノスに会いに行った。

あの、毒の入った真紅の口紅を塗って…。
189月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:48:32 ID:ejotmSvo
夜、リノスと会うために海岸へ行った。
リノスは何時もの時間になっても現れない。
私の中を色々な考えが渦巻いていた。
私がリノスを殺らなければサリオスが殺る。
サリオスの手までもが汚れ、彼は一層狂気へと足を踏み入れるだろう。
だから殺るなら私が殺るしかない。
だけど、初めて愛した人を手に掛けてまで、どうしてこの先生きていくことができよう。
リノスが死んだら、私も命を絶ってしまいたい…。
でもそうしたら残されたサリオスは…!?
だめ…!サリオスを一人にすることは絶対にできない…!
そう思っていた時、リノスが現れた。
リノスの様子は何時もとは違っていた。
私から一歩身を引いたような…、ぎこちない感じがある。
リノスは憲兵に依頼されて私たちを調査していたのだから、もしかしたらもう私たちのことで何か掴んでいるのかもしれない。
それに、リノスが私を好きだと言ったのも、彼の仕事の上でのことだったのかもしれない。

でも、そうだとしても、彼を殺らなければならないことにはかわりない…。
すると、冷静な暗殺者としての自分が目を覚ますのを感じた。
せめて彼をベッドの上で安らかにねむらせてあげたくて、彼の泊まっている宿屋の部屋へと誘った。

部屋に入ると、甘える言葉をかけてキスをねだった。
リノスがそれに答えれば全ては終わりだった。
瞳を閉じて待つ。リノスの最期のキスは私のものとなるはずだった。
「何故泣くんだ…」
リノスが口づけずに呟いた。
泣いている?私が?
まさかと思って頬に触れると、たしかに涙が伝っていた。
割り切ったはずなのに…。どうして…!
「何があったのか俺に話してはくれないのか?」
リノスは私に詰め寄った。
…やっぱりできない…!
何人もの男をこの手に掛けてきた私だけど、唯一愛した人、リノスだけは…!
汚れきってしまった私などもうどうなってもいい。
リノスだけは、リノスこそがこの先も生きなければならない人なんだ。
私はなんてことをしようとしてしまったのだろう…。
私は自分のしてきたことの愚かさにただ涙が溢れ、リノスに謝るしかなかった。
190月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:48:54 ID:ejotmSvo
それから私は、リノスに自分のことを語った。
彼を殺そうとしたこと、組織の中で育ったこと、サリオスとそこから脱走して長い逃亡生活を続けていたこと。
そしてサリオスに言われるままに9人の命を奪ったこと。
彼は憲兵側の人間だ。当然私を憲兵たちへと引き渡すだろう。
むしろ 、私もその方がいいとさえ思っていた。
しかし彼の反応は違っていた。
それでも私を変わらずに愛していると言った。
そして、私と二人で憲兵からもサリオスからも逃げようと言った。
私は、リノスが仕事のために私を愛してると言ったのではなく
、本当に私自身を愛してくれていたのだと知り、リノスに抱きついた。
リノス…!私が初めて愛した、唯一愛した人。
今はただ、サリオスの事も自ら手を汚してきたことも忘れ、彼と一つになりたいと思った。
リノスに求められるままに唇を重ね、激しく舌を絡め合う。
今まで感じたことのないほどに体の中が疼いた。
何度もサリオスを受け入れてきた体だったけど、こんなにも自ら進んで一つになりたいと思ったことなどなかった。
リノスが私の服を脱がし始めると、早く彼と肌を合わせたくて、私も彼の服に手を掛けた。
リノスの肌が現れると、ふうっと彼の体臭が鼻をかすめた。
私たちは暗殺者の卵として、特別な処置で体臭を消されていた。
仕事の場で匂いを残すことは暗殺者にとって命取りになるからだ。
リノスからは、日の光を感じさせる匂いがして、初めて嗅ぐ男性の生々しい体臭に、私の中は淫らに酔って行った。
あらゆる刺激を全身で受けながら、私の蜜が彼を待ち望んで溢れてゆく。
「リノス…抱いて…。」
待ちきれずに口に出してしまうと、リノスは私の秘所へ指を這わせた。
「はぁんっ…あぁっ…。」
快感が彼の指から流れ出してくるようで、私はさらに蜜を溢れさせる。
指だけでもリノスが愛おしくて仕方なくて、腰をゆらゆらと揺らして吐息を漏らしてしまう。
私の待ちきれない気持ちが伝わったのか、リノスの熱いモノが私にあてがわれた。
ゆっくりと、二人で一つになる瞬間を味わう。
体が燃えるように火照っていた。
自分の中が震えて、侵入するリノスを逃がさんとするかのように締めあがってしまうのがわかる。
それでも彼は私をゆっくりとこじ開け、そしてぴったりと最奥を突いた。
ぞわぞわと、彼の先端から快感が溢れ出してきていた。
リノスがゆっくりと動き出すと、無意識のうちに声を上げてしまう。
リノスが私の中をかき混ぜながら囁いた。
「アン…もう俺がつらい思いはさせない…俺と…行こう…。」
何もかもを捨てて、リノスと二人で逃げる。
そう出来たら、どんなにか幸せだろう。
つらい逃亡生活になったとしても、私はリノスさえ居てくれたらいい。
それだけで生きてゆける。
リノスも、今は、そんな覚悟でそれを言ってくれているのがわかる。
しかし長い逃亡生活は人を苦しめ、狂気へと走らせる。
それを私は誰よりも良く知っている。
私はまた、サリオスにしてきたように、リノスをも狂気に落とそうとしてしまうかもしれない。
愛する人がそんな風になってゆくのを、もう見たくなかった。
それに、彼と一つになっていることで、私はこれ以上ないくらいに生々しく、彼の生をこの身で感じていた。
彼こそがこの先も生きるべき人。
生きてゆかなくてはならない人。
そんな未来あるリノスを、私の血まみれの人生に巻き込むことだけはできない。
それならば、私の取るべき道は一つ…
「ああっ…リノス…リノス…っ。愛してるぅっ…。」
私はある覚悟を決めると、彼に愛だけを叫んだ。
愛している。
愛しているからこそ、私はあなたと行くことはできない。
「アン…いくぞ!」
リノスが言うと、激しく突き上げられ、快感が大きな波のように次々と押し寄せてきた。
「はあんっ!ああんっ!ああんっ!…リノスっ…!」
リノスの生が私に流れ込んでくる。
それが苦しいほどに私を包んでゆく。
リノスの姿をこの目に焼き付けたくて、激しく動く彼を見つめた。
繋がった部分から淫水と肉が絡み合う音が響き、その向こうに顔を火照らせて私の中をかき混ぜる彼が居た。
彼の顔からは汗とも涙ともつかない滴が伝い、それが窓から差し込む月明かりに反射して光を放っていた。
リノス、あなたは踊る私を美しいと何度も言ったけど、あなたの方がずっと美しい。
私が美しいと見えたとしても、それは血塗られた罪の上に積み重ねられた偽りの美しさ。
あなたの生きる姿こそが、全身全霊をかけてこんな私を愛してくれるその姿こそが、真実美しい。
リノス、あなたの愛したのがこんな私でごめんなさい。
でも私は誰よりもあなたを大切に愛しく思う。
だから、こうして私があなたに僅かな爪痕を遺してゆくことをどうか許して…。
本当はこうして何時までも繋がっていたかったけれど、
リノスの硬く張り出した分身が、私をどうしようもないほどの快感へ導いてしまう。
まだ、もう少し…、あなたの生を感じていたい…。
でも、もう…もう…。
「ぃっちゃぁ…ああっ…ぃっちゃうぅっ…!ああっ!はあっんっ!」
「俺もっ…イくよっ…!アン…!!」
何かがはじけたように、リノスと一緒に腰を震わせる。
リノスの熱い生の証しが、私へと注ぎ込まれているのを感じた。
最後まで、逃さぬように彼のものを受け止める。
私は幸せだった。
今までないくらいに幸せだった。
191月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:49:24 ID:ejotmSvo
衝動が落ち着いても、私はリノスと一つになったまま抱き合っていた。
幸せの余韻に何時までも浸っていたかったけど、
私にはやらなければならないことがある。
この決意がくじけない間に…。急がなくては。
この部屋に来て直ぐ、私は予備の毒薬と即効性の睡眠薬をシーツの隙間に忍ばせておいた。
リノスに気づかれないように、睡眠薬を探り取り、そっと自分の舌の上に置く。
リノスの肩越しに埋もれていた顔を上げ、彼の頬を両手で挟んだ。
「リノス…。ありがとう。愛してる…。 …さよなら…。」
リノスに別れを告げ、そっと口づける。
彼は疑うこともなく私と唇を重ねた。
私を見つめる目が大きく揺らぎ、リノスは脱力しながらベッドへもたれてゆく。
直ぐに彼は穏やかな寝息を立て始めた。
「ごめんね…リノス。」
そう言ってもう一度口づける。
これが正真正銘の最期のキス…。
私は身なりを正して、残った毒薬をバスルームの排水溝に捨てると、リノスの眠る部屋を後にした。

宿を出ると、一人のプリーストが私の目の前に立ちはだかった。
「アンブローシア=ロウですね?」
「ええ…。」
「私は憲兵隊所属の調査員です。
最近起きている事件のことでお聞きたいことがあります。」
やはり憲兵たちには私たちのことが既にばれていたのだ。
でも、リノスに抱かれるという最大の幸せを味わって覚悟のできた私には、むしろ都合のいいことだった。
「…わかったわ。あなたの雇い主に会わせて欲しいの。」
「えっ…。」
調査員は私の反応に少し驚いた。
「逃げたりしないわ。全てを話したいの。」
「…わかりました。」
そう答えると、調査員のプリーストはポータルを開いた。
さようなら、リノス。
そう心で呟きながら、ポータルへ踏み込んだ。


「アンブローシアだね?よくここへ来てくれた。」
私は調査員に案内され、憲兵事務所でハイプリーストのハリスという憲兵と面会していた。
「全てを話すつもりできたの。」
「それは…、私にとって嬉しい事だが、恐らく私はこの場で君を逮捕しなければならなくなるだろう。それでもいいのか?」
「ええ。…もう全てを終わりにしたいの…。」
「リノスは…、君がここへ来ることを知っているのか?」
ハイプリーストの名前の呼び方に、この人がリノスの雇い主であり、友人でもあることを感じた。
「リノスは何も知らないわ。彼に黙って来たの。
それに…、私はもう二度とリノスに会うつもりはないわ。だからもういいの…。」
「そうか、わかった。では話しを聞かせてもらおう。」
長い告白の後、ハリスは私を逮捕し、そしてサリオスを逮捕するために憲兵を派遣させた。
サリオスに、リノスの存在が知れるように情報を流したのは彼のようだった。
彼は、リノスを殺すためにサリオスが動くと確信していたのだ。
その上で、私がリノスを殺せずに自首することすらも読んでいたようだ。
サリオスは憲兵隊を舐めきって馬鹿にしていたけど、ハリスの読みの深さには、手を上げるしかなかった。
リノスの存在に関わらず、私たちは近いうちに逮捕されることになっていただろう。
ハリスの目論みは見事成功し、9人もの命を奪った連続毒殺殺人はこうして幕を閉じたのだった。
192月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:49:52 ID:ejotmSvo
9件の殺人について、一つずつ順を追った長い裁判が続いていた。
サリオスも同様に逮捕され裁判を受けているらしいが、
私たちは共犯者という立場から、いくら肉親と言えども会うことは叶わなかった。
私が今望むことは、サリオスを永遠に孤独から救ってあげることだけ。
早くサリオスに、兄さんに会いたかった。

数ヶ月後、やっと判決を受けることができた。
判決は…、死刑。当然サリオスもだ。
明日未明に刑が執行され、その前にサリオスに会わせてもらえると聞き、私は静かにその時を待った。
自らの命を終えることについては、何のためらいもなかった。
むしろ、これで今までのしがらみから逃れることができると、清清しささえ感じていた。
静かに最後の夜を過ごしていると、ハリスが面会に現れた。
静かなまま私と見つめ合った後、ハリスは重い口を開いた。
「アンブローシア…、俺が君を逮捕したとは言え…、今になって後悔しているんだ…。」
「そんなこと言わないで。私は、むしろこれで良かったと思っているの。」
「そうか…。しかし…リノスが…。」
ハリスはかなり躊躇っていたが、言葉を続けた。
「…まだ君を忘れていないんだ…。」
「…。」
私は自分とサリオスがしがらみから逃れることばかりを考えていて、残されるリノスの思いを考えていなかった。
リノスはそれほどまでに、私を愛していてくれた。
リノスが愛してくれたからこそ、私は覚悟をすることができたのに…。
リノスに会うことは決してもう出来ないとわかっていたが、彼に感謝の思いだけは伝えたい、そう思った。
「…手紙を書くわ。全てが終わったらリノスへ渡して欲しいの。」
「ああ、預かるよ。」
面会時間の終わりがきて、ハリスは立ち上がった。
「さようなら…アンブローシア…。君のことは忘れない。」
ハリスの言葉は震えていた。
「逮捕されたのがあなたで良かった。感謝するわ、ハリス。…さようなら…。」
ハリスはうつむいたまま、牢を後にした。

それから私はリノスへの手紙を時間をかけてしたため、そして最期の贈り物をそれに託した。
そう、私が幼い頃から心の中で一番大切にしていたあの曲。
「月明かりの下で」。
何時もあの曲が私の支えだった。
あの曲があったから、踊ることができた。
踊っていたから、あなたと出会えて、愛し合うことができた。
この曲こそが、私の幸せだった。
リノス…。あなたへ、この曲を捧げます。


未明となり、処刑場に連れて行かれた。
処刑場に着くと、憲兵たちに囲まれるようにしてサリオスが待っていた。
サリオスの髪は伸びきって乱れ、顔はやつれ、今まで見たことがないほどに虚ろな目を漂わせていた。
「サリオス…。」
手錠が解かれた手を彼に伸ばした。
「ごめんね…一人にして…。」
「…アン……?」
サリオスも私へと手を伸ばし、優しく握ってきた。
「そうよ、私よ…。もう一人にしないから…、ずっと一緒だから…。
これから、一緒にミシェルに会いに行こう。ね?」
「…ミシェルに…?」
ミシェルの名を口にしたとたん、サリオスの目は焦点をわずかに取り戻し私を見つめ返した。
「そうよ。ミシェルに会うの。これからはミシェルもずうっと一緒なのよ。」
「ミシェル…ミシェル…っ!」
サリオスの目から涙が溢れ、私の手をきつく握り返した。
周りに居た憲兵たちの間から、すすり泣きのような声が聞こえたが、もはやどうでもいい事。
サリオスは人目もはばからす、私の胸に顔をうずめて泣いていた。
「…時間だ。」
憲兵がそう言うと、私たちの手は引き剥がされた。
離れてゆくサリオスの顔を見ると、さっきまでとは違って、うっすらと穏やかな笑みを浮かべていた。
私は安心して処刑台へと踏み出す。
リノス、最期のこの時でさえ、私はのめり込むほどにあなたを愛してる。
もし、生まれ変わりと言うものがあるのなら、今度は普通の少女として生まれ、またあなたと出会って愛されたい。
その時まで…、今は…、さようなら…。
193月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:50:27 ID:ejotmSvo
7月7日。
遠い天津の国では、今日は七夕と言う日らしい。
七夕の夜には、引き離された恋人同士が、夜空で一年に一度の再会を果たすと言うのだ。
何ともロマンチックな話しだが、私にとってこの日は悪夢の始まった日だった。
そう、幸せだった家族が一夜にして崩壊したのだ。

9年前の今日、まだバードだった私はクラウンの父と共に合奏会に参加するため、
自宅のあるコモドからは遠いアルデバランへ出かけていた。
家には、ジプシーの母と幼いノービスの妹が残っていた。
合奏会を終えて深夜になって家へ帰ると、真っ暗な家の中に血まみれになった母が倒れていた。
驚いて父と共に駆け寄ると、
「ミシェルが…連れて…行かれ…アサシン…暗殺者たちが…。ミシェルを…ミシェルを…。」
と、最期の力を振り絞って私たちに伝えると、母は息をひきとった。
憲兵に通報して母の最期の言葉を伝えたが、
憲兵たちがどんなに調べても何の痕跡も見つからず、妹の行方も判らずじまいだった。
父は最愛の妻と娘を奪われたショックで体を壊し、それから二年後に病でこの世を去った。
私はたった一人取り残され、あまりにも悲しいことが続いたコモドを後にした。
あれから、毎年この日だけはコモドに戻り、浜辺でこの曲を演奏している。
「月明かりの下で」。
この曲は母が一番愛した曲で、
父の演奏するこの曲に合わせ、母と妹が楽しそうに踊った我が家族の思い出の曲だった。
妹のミシェルの行方は未だわからない。
9年も経ってしまった今、生死すらも定かではない。
もはや妹は…。
そう思うしかなく、私は両親と妹のために、かの思い出の地、コモドでこの曲を演奏するのだ。

たった一人でのレクイエムのような演奏を続けていると、一人の人影が近寄ってきた。
フラフラとおぼつかない足取りのその人物は、チェイサーの青年だった。
あまりにも悲しみをたたえた瞳で、この曲に聴き入っている。
私は思わず手を止めて、チェイサーに話しかけた。
「この曲がそんなに気に入りましたか?」
チェイサーは私の問いに現実に引き戻されたように答えた。
「あっ…あぁ…。何て言う曲なんだ?」
「これは『月明かりの下で』という曲です。
かなり難しい曲なので演奏できる者も少なくて、あまり聞くことができないんですよ。」
そう、私にしても、両親と妹にこの曲を捧げたく、父の遺した楽譜を見て必死に練習したのだ。
「すまないが、もう一度最初から演奏してもらえないだろうか。」
そう私に頼むチェイサーは、何か必死の叫びを秘めた目をしていた。
「ええ、かまいませんよ。」
私はチェイサーの望むままに、再び演奏を始めた。
チェイサーは瞳を閉じて聴き入っている。
彼の表情が次第に柔らかくなってゆくような気がした。
深い悲しみを抱えていると思われる青年。
その悲しみが、この曲によって癒されているのだろうか。
私と同じように、彼にとってもこの曲は特別な意味を持っているようだった。
演奏が一通り終わると、チェイサーは驚くことを言った。
「その曲、俺にも弾けるようになるかな…?」
「ええっ?チェイサーの貴方にですか!?この曲はバードにも難しくて弾けないぐらいなのですが…。」
「でも、練習すればなんとかならないかな?どうしても自分で弾きたいんだ。」
何故だろう、彼の目はすがりつくような必死の叫びを上げていた。
彼にとってこの曲は、どんな意味を持ったと言うのか。
私にとっても特別なこの曲。彼が思うその意味を知りたくなった。
「面白い方ですね、チェイサーなのに楽器を弾きたいだなんて。
わかりました。貴方の熱意に免じて、私でよければこの曲を教えて差し上げましょう。」
そう私が答えると、チェイサーの表情は一変した。
「そうか!ありがとう!! 俺、ギターを買ってくるよ!」
「ええ、お待ちしてます。」
チェイサーは一目散に楽器を売っている武器屋へと走っていった。
両親と妹に届けばと願い演奏していたレクイエムが、彼に届いていた。
きっと両親と妹にも、届いてくれているだろう。
私は、足をもつれさせながら走ってゆく青年の姿を、晴れ晴れとした気持ちで見送った。


それから長い間、
月明かりのある夜コモドの海岸では、美しいギターの音色と、
それに続いてたどたどしくも懸命に奏でられているギターの音色が、
波音と共に聴かれていたということだ。


<Fin>
194月明かりの下で(裏)sage :2007/08/27(月) 16:52:35 ID:ejotmSvo
以上です。

最近、やっと、自分にはエッチシーンは無理なんだと気が付きました…。
H無しSSに切り替えようかな…。
195名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/27(月) 16:57:42 ID:kr8O9YUs
エロメインじゃないことはそのとおりだと思うが
小説のエッセンスからセックス省くと書き方いろいろ変わっちゃわないかのう。

中身は面白かったです。場所はどこであれ次回作また期待してますヨ!
196名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/28(火) 07:55:05 ID:ttsFN/I.
グッジョブです。
色々切なくなる話ですが、興味深く読ませていただきました。

自分も上の人と同じ意見で
セックスシーンは、官能的かどうか、というだけではなく
話を盛り上げる、または起伏をつける薬みたいにも考えてますので
あまり気になさらなくて大丈夫ですよ。
個人的には好みでした。

次回作楽しみにしてますね!
197名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/28(火) 11:26:02 ID:8gBJy2EY
>月明かりの下で(裏)
スレタイに関係なく、久々にいい伏線を読ませてもらった
このスレで泣いたのは久しぶりだな、今週は俺も少し筆が進みそうだよ
19870sage :2007/08/28(火) 13:19:01 ID:37c6dw7I
読んでいただいた方ありがとうございます。
通常のストーリー部分や会話の部分はささっと書けるのに、
Hシーンに入ったとたん筆の止まる70であります。
Hシーンをそういう風に思っていただけるなら、
このままH有SSにチャレンジし続けて行こうかな。
なかなか成長しませんが、次回以降もお付き合いいだだけたら嬉しいです。

燃料になる希望設定とかが欲しくなってくる今日この頃…。

あと、HP作ってて未完成のまま上げてたんですが、
うっかり期限前に入金するのを忘れていて全てがおじゃんに。。
それ以来HPへのモチベが下がり気味;;
199名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/28(火) 18:49:06 ID:pfS3dEz6
燃料・・・・

幼い頃に引越しか何かで別れた、幼馴染の男女が再会
でも再会した幼馴染の女の子は昔と違って・・・、とか
大雑把にはこんなのどでしょ?

HPなむですorz
個人的に楽しみにしてたので、それは災難でしたね。。。
200名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/31(金) 10:21:11 ID:Q/I.W/DY
どえらいお久しぶりですはじめまして
いつぞやのBSさんのお話をば。。ニーズシカトですいません。
201Delta Side Rosesage :2007/08/31(金) 10:21:45 ID:Q/I.W/DY


小気味のいい音を立てて切り株を叩き割った。
木の葉の擦れ合うざわざわとした森の中ではその音はいやに異質でやけに響いて聞こえる。
他に聞こえるのは何とも付かない虫の鳴き声だけだ。
これで何匹目だろうか。
汗を飛ばすように金髪をかきあげた。
首筋から流れ落ちる汗はシャツを濡らしていく。
いろいろと透けるが、周りに誰もいないのをいいことに気にせずやりたい放題だ。
その暑さにうんざりして体の力を抜いた。
振り下ろした斧をそのままにして木陰を探す。
あたり一面はまばらな木々に覆われていて日差しから身を隠す場所には事欠かない。

「ふへぇあ」

気の抜けすぎた声を上げて切り株に腰を下ろした。もちろん魔物じゃないことを確認してから、だ。
ホットパンツのボタンをはずして放熱させる。腰に下げたポーチからボトルを取り出し一気にあおった。
ぐぐ、と音を鳴らしてのどを通る水はたとえ温くともアタシを生き返らせる。
さらりと吹く風は首元を通り過ぎ、しかしそれほど涼しくない。
午後の陰は段々と傾き伸びつつある。

「うーん・・・」

手をついて背を反らし、空を見上げた。
青々とした木の葉の向こうにやはり青く高く空がある。
木陰は風にゆらめき、自分の足が日差しに当たったり隠れたりする。
うだるような暑さのせいか武器を作るための材料を集めるのも、それをするために危険なところに
足を踏み入れられるよう鍛錬することもいまいち成果があがらない。
木々の隙間から覘く空は段々と低く落ちていく。

「やっぱりアタシじゃ」

駄目かな、という言葉だけは水と一緒に飲み込む。
こんなところで狩りをする冒険者なんてめったにいないだろうけど
なんとなく弱音を吐くところを外に出すのは気分がよくない。
ごまかすように、カートの中をあさる。
この間売り払ってからまたしばらく狩りをしていたからか、中は鉱石だったり
色のついた薬草だったりそれまでの成果がごちゃごちゃと詰め込まれている。
ところどころ錆びたカートの縁に手を掛けて体重を預けると
その重さにギチギチと悲鳴を上げてその身を軋ませる。
その中からエルニウムの原石をいくつか取り出して眺めた。
ふぅ、と鼻でため息を吐く。

「これだけじゃなあ」

今日の成果を勘定して、苦笑といった顔になる。
しばらく手の中でころころともてあそび、やがて諦めたようにじっと
手の中に転がる黒い塊を見つめ、それにも飽きるとカートのなかに捨てるように戻した。
どうも今日は調子が悪いんだ。そういうことにする。

「出直しますか」

膝に手を付いて立ち上がった。
少しの立ちくらみが体をふらつかせ、カートに支えられる。
放っておいた斧を引っ込抜き、カートに突っ込み引っ張る力を強くする。
ごろごろと音を鳴らすカートは、時たま小石に乗り上げては少し強い音を響かせた。
今日は何を食べようかなどと考えながら帰路に着く今はもう空が赤くなっていた。
えっちらおっちらとカートを引きずりながら目を細める。
薄い空が遠くまで燃えて見えた。
夕焼けに染まる雲は遠く、ゆっくりと流れていく。




「今日はね、廃坑にいったよ。オークの洞窟よりも骨ばっかりだったー」
「ホントー?うちはまだかなあ」

ブラックスミスになってからは同じ時期に試験をパスした皆と一緒に鍛錬を積んだ。
空が紅く染まる頃、皆で同じ宿を取ってその日の成果についての話題に花を咲かせた。

「ロゼはどうだった?」

作られてから大分たっているのか体重を移動するだけで軋む音を上げるベッドに体を委ねるアタシは顔を上げた。
目の前には大きな白い枕と飾り気のない木の板そのままのような木目の壁と
それに取り付けられた不釣合いに大きな窓、そして視界の右半分を覆う黒い影が見えた。
同期の中、成績トップでパスした子がこちらを向いていた。
まだランプのついていない部屋の中、夕日の逆光で彼女の表情はうかがい知れなかった。
でも、きっと自信に満ちた顔だったんだろうな。
悪気は無いんだろうけど、居心地が悪かった。
だから、

「あ、アタシはまだ…」

言葉を濁してごまかし、視線をそらして仰向けになって天井を見つめた。
木目の節がまだこちらをみているように感じられてイヤになった。
周りがいくつかのスキルを使えるようになっている反面、アタシはまだ商人の頃のスキルを伸ばしていた。
だから特に目新しいことがなくて、皆の話題にはいまいち入っていきづらかった。
最初は皆元気が有り余ってるなぁなんて感じてたけど、今となってはアタシの体力がなかっただけなんだと気づいた。
アタシは皆がまだお話してる頃にも寝息を立てることが多かった。
結局今日もまぶたが重くなってきて、皆よりも一足先にベッドに潜り込んで目を閉じることになる。
その日、部屋の明かりが消えたのはアタシが寝てからずいぶんたってからだった。

そんな調子だから、段々と鍛錬を積むにしても皆とは別行動を取ることが多くなっていった。
皆が誰々と組んだとかどこそこに行ったとかそういう話にはろくについていけなかった。
そして今日も一人で露店を開く。

「いらっしゃいませ」

接客は嫌いじゃなかった。むしろ誰かとお話できるんだから好きなほうだった。
鍛錬を積むのは一人ですることが多くて精神的に結構つらいものがある。
一緒に高めあう仲間というものの有り難味を実感させられていた。

「これひとつもらえるかな」
「はい、ありがとうございます」

最初はモロクで開いていた露店も、プロンテラのにぎやかな通りから少し外れたところに出すほうが多くなっていた。
モロクよりもお客のニーズが多様で商売のスキルを磨くにはいい場所だと思う。
でも、たびたび起きるテロには何度も悩まされた。
大量の、見たことも無い恐ろしい化け物なんて相手にできるはずも無く、
アタシは露店をそのままに逃げ回って倒せる相手だけ倒す、といった具合で
自分なりにテロを相手に戦っていた。

「あぁー」

テロの後に露店に戻るとぐちゃぐちゃになった商品やいろいろとなくなった物品の確認を急いだ。
火事場泥棒などという根性のある輩も多くいるものだと感心した。
敵から逃げつつ、またはあしらいつつ品物を抱えて逃げるのはなかなかの頑張り屋さんだと思った。
少なくともアタシにはまねできない。

「ふぅ」

露店の整理がひと段落するころにはもう日も傾いて見上げなくてもまぶしかった。
空が、街が紅くなる頃には露店の片付けをしなくてはならなかった。
テロがあったから一部の商品は残ったままだったけど、その代わりに白ポーションなどの回復財がよく売れた。
露店に関してはなかなか上々だった。
カートを引っ張りながら何気なく空を見ると、でっかくてつかめそうな紅い雲がなにやらおいしそうに見えておなかがすいてきた。
宿に戻って少し早めに夕食を食べたアタシは、皆よりも早く部屋に戻ってやっぱり今日も先にベッドに体を投げ出した。
まだ外は薄暗い程度の夕刻、目を閉じるとすぐに今日が終わっていった。
202Delta Side Rosesage :2007/08/31(金) 10:22:42 ID:Q/I.W/DY


目を覚ますと、一人ベッドの上でだらしなく足を投げ出していた。
スリップはきわどいところまでめくれ上がり、ショーツは汗にじっとりと濡れている。
視界一面の天井に木目は無く、薄いクリーム色の壁紙がところどころくすんでいるだけだ。
枕を肘で押しつぶして上体を起こす。
まだぼやける視界をどうにかしようと目を擦って部屋を見渡すと目に入るのは
いつものくしゃくしゃにして抱きしめたシーツと
いつものシーツをはがされたベッドと
いつもの茶色いサイドテーブルと
いつものクリーム色の壁と
いつもの白いタンスと
いつものパステルグリーンのカーテンと
いつもの漏れ出る日差しと
いつものプランターでゆれるシナモンと
いつもの開けたままのドアだった。
やはりいつもどおり脱いだスリッパがどこぞへと追いやられており
そしていつもどおりベッドの上から足で寄せる。
周りに皆はいない。というかベッドがそもそもひとつしかない。

「ああ」

かすれた声がでた。
サイドテーブルの上に置いたままだったコップを手に取る。
懐かしい、そう思った。
一口だけ、水をすすり喉を潤す。
カーテンを開けると今日も日は容赦なく降り注ぎ、その光を
肌に受けるとさっそくじりじりと体温が上がっていくのが感じられた。
まぶしさに目を細めながらつぶやく。

「あの頃から」

一人だったな。
今日はどうしようかな、と考えながら窓を開けた。
ゆっくりとカーテンが揺れる。
やわらかく肌をなでる風は、やはり涼しさを感じさせない。
横のシナモンの葉が日光を受けてうれしそうに揺れた。
コップを傾けて水をかけてやる。
日の光を受けて段々と思考が起きてきた。

「そうだ」

昨日の成果も加えて売らなきゃいけないものも結構溜まってきたから
今日はのんびり露店を開いてさばいておこう。
やることが決まるとやる気が出るもの。
アタシはタオルを引っつかんでバスルームへと急ぐ。
水をかけたばかりだというのに、プランターの土はすぐに乾いていった。
今日も暑くなる。



「いらっしゃいませー」

強い日差しから逃れるように、アタシは日陰に入るような路地の角に露店を開いた。
大通りのように品物をずらずらと並べるほどのスペースはなく、カートと商品で
囲まれると自分が出入りできなくなりそうな狭い場所だが、こう暑くては
露店を開くにしてもお客さんも日陰に入るようなところでないと
しっかりと品定めもしてくれないだろうとの配慮だ。

「…このナイフは…」
「それは…」

なかなか売れ行きもよろしい。
やっぱり冒険者として魔物と戦うよりもこっちのほうが向いてるんだろう。
値段のつけ方ひとつにしても周りの情報をいかにすばやくキャッチして
それをしっかり自分の中で処理できるかどうかで違ってくる。
一種の堪というか、経験によるところが大きいと思うけど。

「オレンジジュースください」
「はいまいどー」

今日ほど暑いと飲料の売れ行きも伸びる。
先ほどから飲み物だけを求めてくる人もいれば、買い物のついでに
そばに置かれた氷の浮かぶ小さな水槽に浸かった冷たそうな魅惑にほだされる人もいる。
多めに用意してよかった。
アタシもちょっとのどが渇いたので、冷やしていなかったミルクをあけてみる。

「んあ」

ホットミルクになっていた。
仕方なくふたを閉めて売り物用のミルクの入った氷水につける。
がぼっと音を立ててビンごと腕を突っ込むと冷たい水が気持ちいい。
汗の浮く体をどうにかしたくて後ろの赤レンガの壁に背を預けた。
体の熱が背中からレンガに吸い込まれていくのも最初の数刻だけ。
すぐに体温と同じになった日陰のレンガはアタシの汗でぬれる。
ちょうどそのとき、品物のカタナを手にとってつぶやく声が聞こえた。

「おーあったあったこれだ、…たぶん」

そういった目の前のハイプリーストの男はこの気温だって言うのに
律儀に首元まで閉じた僧衣を羽織っており、見ているこっちがイヤになってくる。
彼は刃の具合を見てうなった。
プリーストという職でカタナを品定めできるのかという疑問はさておき
とりあえず結構値の張る商品なのでアピールしておかないと。

「おっとそこの黒髪が綺麗なプリさんお目が高いわねぇ?それはウチの取って置きの品よ」

そう声をかけると刀の刃からこちらに目線が来た。品定めする細い目つきのままアタシの方を見据えてくる。
すると、彼は虚空をつかみこね回し始めた。なんだかいやな手つきだ。
あぁ、これはチョットあぶない人なのかもしれない。

「お兄さんカッコイイからちょっとまけてあげよっかぁー?値札なんで見てないで早く買っちゃいなさいよ変態プリースト」

特に彼が表情を変えなかったから自分では本音が出ているのが気がつかなかった。
いきなり誰かと連絡を取り合って自分が変態かどうか聞いていたが、自明の事を聞く意味がわからない。
そのまま内容を聞いているとどうやら買ってもらえそうな流れだ。
連絡相手のお使いか何かかな。
こんな変なのの相手なんて大変だなぁ。でも類は友をっていうし似たようなのだったりして。
なんて失礼なことを考えていると、不意にその変態が会いたい!と叫んだ。
すると、隣に赤い光の柱が立ち、うっすらとシルエットが見える。
呼ばれたのはどうやらロードナイトだ。短いプリーツスカートが良く似合う少女は
ピンク色のやわらかそうな髪と無表情なことがあいまって人形のようなどこかあやうい雰囲気をもっていたが、
ロードナイトになるほどの実力があるのだから人は見かけによらないものだ。
結婚するような信頼関係にある者同士が使える移動術だけど、呼ばれた彼女をみるに
プリーストには変態のほかにロリコンという肩書きも必要みたいだ。
変態は、呼び寄せたロードナイトにカタナを見せて確認を取っていた。
なにやら言い合っているのが夫婦喧嘩であることに気づき、アタシはニヤニヤしながら眺める。
うらやましいことだね。

「よし、じゃぁコレください」

話がまとまったようで、取って置きだった品物を売ることができた。
今日一番の成果だ。これはうれしい。

「ごひいきにー」

おつりを渡してすぐだった。大きく響く音が耳を突いた。
よく聞き慣れた音だ。テロだ。
もう何度もテロの被害にあってきたから、感覚が麻痺しちゃってるのかもしれない。
最初はただ逃げ回るだけだった。次は逃げながらも反撃することができた。
今では率先してテロの鎮圧に加わることができるくらいにはなった。
だから、いつものか、なんて思いながらカートの中を漁って斧を取り出す。
見れば、大通りには大量の魔物がうごめいている。じきにここも阿鼻叫喚の大騒ぎに巻き込まれるだろう。
そうなるまえにせめて何匹か、アタシもテロ鎮圧に貢献しないと。

「おおっとこうしちゃいられないわ、お兄さん、支援くださいよ!」
「へっ、逝って来いや」

支援を受けたアタシは、走り出した。
203Delta Side Rosesage :2007/08/31(金) 10:23:47 ID:Q/I.W/DY


砂埃が舞うのはプロンテラの大通りから少し外れた通り。
アタシは目を細めて斧を構えた。目線の先には魔物が群れを成して迫っている。
不意にその魔物の中の一匹が長い触手を伸ばしてきた。
警戒しているアタシはそれを難なく避け、足元に突き刺さるその触手に斧を叩きつける。
もし、人間同士の戦いであったならば、このような動きは隙以外の何物でもなく、たちまちにやられてしまっただろう。
だけど、コイツらの知性は低い。とかく、連携というコトをしない。
魔物たちは確実にその数を減らしていく。

「Adrenaline Rush!Loud Voice!」

手に持つ斧はまだ新しく、実は先日買ったばかりだったりする。
しかしその新しい斧は既になじみ汚れていた。
普段戦闘に出ないアタシがそれだけ武器を使いこなす。
それはテロの頻繁さを物語る。

「同盟破棄ってほんとかなぁ」

このテロの多さはここ最近噂に聞くシュバルツシルト共和国との同盟の破棄が起因したものではないか。
斧を振り回しながらそう懸念をめぐらせていると、情けない悲鳴が聞こえてきた。

「ひあ、や、わああう」

見れば、肩で切りそろえた銀の髪を揺らし四つんばいでわさわさうごめき逃げてくる白い物体が在る。
肩のケープが羽に見え、そして頭についているウサミミが白い触角に見えた。
でかくて白い盗蟲がいる…!
物体は髪の毛と同じく珍しい銀の瞳が可愛らしいアコライトの女の子だった。
見下ろすと目が合う。

「あわわわわ、どうしようううう」

慌てふためくアコライトは震えて動かない。見上げる瞳は不安に揺らぎ、目じりに涙をためる。
その後ろには彼女がつれてきたとおぼしき魔物の群れがある。とても処理できる量じゃない。

「あーコラコラ、怖くないから下がってなよ?」
「あーうー」

情けない声を上げているアコライトは腰を抜かして下がるどころじゃないらしい。
アタシには人を守りながら戦う術なんてない。
そう、熟知している。一人でしかいられなかったことを。

「んー、逃げるしか、ないかぁ」

辺りを見回して退路を探す。
向こうに見えるロードナイトの少女が多くを引き付けているものの、やはり戦力差が見て取れた。
とにかく、移動しながら数を削っていく他にないだろう。
後ろに後ずさりながら魔物の攻撃を盾に受ける。
ヘタに避けるとアコライトへ攻撃が行ってしまいそうで怖い。
斧を叩きつけ少しでも魔物たちの戦力を削る。一度に引き受けるのは無理だった。
だいだいアタシは避けるのは得意じゃないんだ。耐えるのも得意じゃないけど。
だからせめてもの足止めにハンマーを振りかぶる。

「Hammer Fall!」

足元に叩きつけ衝撃を巻き起こす。
その衝撃により抵抗の弱い数匹の魔物は脳を揺さぶられ気絶したようだが、
過半数はその衝撃をものともせずに迫ってきた。
その様子を見てアタシは舌打ちをして顔をしかめる。
まだ、この数では相手にするには多い。
足元に転がるアコライトを即座に小脇に抱え、くるりと身を翻した。

「さ、逃げるわよ。口閉じてなさいよ。舌、噛むから」
「にゅ」

脱兎。走れば揺れるアコライトのウサミミはまるで魔物にさようならと手を振っているよう。
くそう。こないだよりも規模が大きいじゃないのよ。
日に日に規模の大きくなるテロはもはやアタシでは相手にできない物量になりつつある。

「あーもう騎士団はなにやってんのよ!まだか協会遅いっつうのー!」
「ごめめめめんなさあががいいいい」
「舌噛むっていったでしょうがあ!」

何でこの娘が謝るんだ。
ああ、息が上がってきた。やっぱ人一人担いで走るのは体力が要る。
もっと余裕が必要だったんだなぁ。
額に浮かぶ汗で張り付く金髪をかきあげて一息つく。
走っていたときとは違う疲労が身体に汗を噴き出させた。
アコライトを降ろし、魔物の追ってくる方へ目を向ければ、
走ったおかげで多少撒くことができたようで数が減っていた。
斧を握り締め、片手で瓶を持ち、歯でフタを開ける。
一気に瓶の中身を飲み干すとさらに体が熱くなり、自分の中に流れる血の量が
いきなり増大したように感じられた。

「あ、…はぁ、狂気薬っていうだけあるわ」

そう呟き、歯を食いしばって斧を振りかぶる。息を大きく吸った。

「結構高いのよ…!コレ!」

迫る魔物は目前で、爪を大きく振り下ろす動作に移るところが見える。
だからその爪を斧で叩き割る。
後ろに大きく口を開けて襲い掛かる魔物がいるのを視界の端で捕らえる。
だから振り向き様の回転を伴った一撃でその頭を吹き飛ばす。
遠くで弓に矢をつがえる魔物がアタシを狙う。
だから身を低くして走り寄り、弓ごとその体を両断する。
段々と減ってはいくものの、しかし走って撒いた魔物も次第に追いついて来つつあった。

「キリがないわね…!」

マステラの実にかじりつきながらそう呟く。
ろくに噛まずに飲み込んだそのとき、魔物の一匹がアコライトに標的を変えた。
まずい。

「さがって!」

とっさにアコライトの前に身体を投げ盾を構える。
無理な体勢で受け止めた攻撃は自分の予想よりもずっと重くて後ろに突き飛ばされた。
体が背中を前にして運動エネルギーを得て、しかし道と体との摩擦により打ち消される。
左の腿と腕は石畳の道に削られて赤く染まった。
なんとか手をついて立ち上がる。

「あい、ったー…」

熱せられた道に滴る血はすぐに凝固し、しみを作る汗は蒸発して消えていく。
斧を握る手は汗ばみ、腕から流れる血もあいまってぬめる。
疲労が溜まっていき、動きのキレが鈍ってきているのが自分でもわかった。
もう一度撤退してある程度撒かなければ、このままではジリ貧だ。
だからアタシはアコライトの腕を掴んで背負う。

「しっかりつかまってなさいよ」

逃げてばっかりだな、なんて考えた。それだけの余裕があるのかはわからない。
自分じゃない誰かが自分を見ているようだった。
無理だよ。そうつぶやくアタシの声が聞こえた気がした。
アタシじゃ。そうつぶやく誰かの声が聞こえた気がした。

「お、お姉、ちゃ、血が…」
「…」

背中では涙をこらえ切れなかったアコライトがしゃくりあげながらつぶやく。
アタシはそれに答えずに走り続ける。
必死でヒールとささやくような声が耳元に聞こえる。
ろくにエーテルも隆起させられないそれは効果を発揮することなくただ音として響くだけだ。
なぜか嬉しさを奥底に感じたような気がしたが、すぐに焦りに塗りつぶされた。
不意に、マンドラゴラかなにかのツタがアタシの足を引っ掛ける。
つんのめるようにして身が前に投げ出され、引っかかったツタから足が抜ける。
地面が迫るなか、無意識にアコライトの少女を抱きしめて身をひねった。
先ほど盾を構えた左腕を強く打ち、熱く焦げるような摩擦を受けて肌が削られる。
痛みに顔がゆがみ、息が詰まった。
204Delta Side Rosesage :2007/08/31(金) 10:24:21 ID:Q/I.W/DY
「…っは」

肺に残る空気が吐き出され、視界が薄くなる。
腕の中のアコライトは無事だ。それだけを確認して必死で立ち上がる。
がりがりとマステラの実をかじるが、喉を通らない。
仕方なく、白ポーションで飲み込んでやった。
足りない。斧を持ち上げる力がでなかった。
何ムキになってるんだろう。いつもなら…。
焦りだけが先を走っていく。後ろからくる焦りはアタシを追い抜いていく。
そして更なる焦りがアタシを追い立てる。
今の自分が焦げ付いていく。カラカラに乾いて何も残らない。
鼓動が早い。指の先ですら拍動を感じる。汗が止まらない。
自分の、心臓が奏でる、その鼓動にすら、アタシは、置いていかれるんだ。
がらんという音が遠くで聞こえた気がした。
足元に自分の斧が転がるのをみて、なんの音かわかった。
だめだろうか。やっぱり一人じゃなきゃだめなんだろうか。
でも、あと少しくらいなら…。
しゃがんでおびえているアコライトに向かって手を伸ばした。
アタシはどんな顔で手を出したんだろう。

「ホラ、立って」

その手は確かに握られた。

アコライトではない誰かの手によって。

「よーく、がんばったぁあ!あとはわたしたちにまかせてひかえおろーう!」
「ひかえおろう〜ひかえおろう〜。ひかえおろうといっておろうが〜」

握手するように掴んだ手をぶんぶん振り回し、
そう叫ぶのは青く長い髪を揺らす若干頭のおかしいウィザードと、
対照的な赤の髪を短く切ったやっぱり頭の悪そうなモンクだった。

「先生そこは!熱いですう!ファイヤーウォール!」
「あっつあつ〜」

壁という割には炎の柱が一本しか出ていない。
あまり壁らしくないが、それにぶち当たった魔物は一瞬にして蒸発していった。
こんなファイヤーウォールみたことないんですけど…。
炎の柱の周囲は熱気によってゆらいでみえる。
それを見てびびったのか魔物たちの足が止まった。
陽炎の向こうで歪んで見える魔物たちの姿はその終わりを予感させる。

「あ、これはどうも、挨拶が遅れましたが、わたし、協会の者です、4649ー」
「夜露死苦〜」

敬礼のポーズをとりながらアタシに言う。
え、あれ、こいつらが…。
遅いとか思うよりも助かったという気持ちが強い。あと意外って気持ちも。
アタシは安堵感にぺたりと尻餅をついた。

「クールな瞳が!感じるの!ストームガスト!」
「ああんひんやり〜」

素早い、そう、本当に一瞬の、しかも意味不明の詠唱を終え、地に大きく印が刻まれた。
白く輝く牢獄が生まれ、そこに在るのは絶対零度の極寒。
瞬く間に氷の彫像が立ち並ぶ。
が、凍って滑り行くその先から先ほど地に突き立てた炎の柱に触れるなり
温度差に耐えられない固体が美しく砕けていく。
白の視界があけた先には魔物の中に屈強な1体がいたのか、
大きめの氷の塊が冷たく輝きを放ちたたずむ。
それに目もくれずウィザードはアタシ達に振り返り手を差し伸べながら背中のモンクに言った。

「カティ、残りお願い」

その声は落ち着いていて、信頼を感じさせた。
少し胸が苦しくなった。焦りが残る。

「まっかせて〜」

対する返事は間延びした甘い声。
モンクは身に迸るエーテルを増大させる。
親指と人差し指を立てて、大きな氷塊に狙いを定めた。
バリバリと紙を破るような音を立てるその力を指先に凝縮させたかと思うと、

「指☆弾!ばきゅ〜んあばばばば〜」

炸裂し、腕が頭上に跳ね上がり、そして直線的なエーテル波が輝く彫像を打ち抜き四散させた。
自分で効果音をつけて。あばばばばってなに?
粉々に砕け、残るのは微かに冷気を残す冷たい風。
その空気に頬がふれ、アタシはぶるりと身震いした。

「だいじょうぶだった〜?無茶しちゃダメだよ〜。リズが心配してたよ〜」

モンクのほうがアコライトの額をつっつきながら言う。
常に笑顔なのが逆に怖いかもしれない。指弾打つときも笑ってたし。

「あぅあ、ごめんなさい」
「おおっとBSさんが助けてくれたんだね、さんきゅっ」

アコライトは手を引かれ立ち上がる。
そして、まだ腰を上げないで惚けているアタシに向かって、

「その、ありがとうでございましたっ」

微妙に変な言葉遣いでアコライトは頭を下げる。いや、アタシ、逃げ回っただけなんだけどね…。
ま、礼を言われるのは悪い気はしない。甘んじて受けておきましょうか。
立ち上がり、お尻についた土埃をはたきながら言う。

「いえいえ、じゃ、アタシ商品の片付け行って来るわね。お疲れ様です」

そう言ってアタシは手をひらひらさせてもとの場所に向かう。
さすがに走り回ると疲れるわ。規模はだんだん大きくなってるし。
それに…今回は状況が違ったしね。
なんとなく後ろを振り返ってみると、アコライトが手を引かれてなんだか
説教をされながら大通りから消えていくのが見えた。
と、アコライトがちらりと振り返りこちらを見てにこっと笑った。
目があうと、アタシも笑い返してやる。
アコライトは手を繋いだウィザードを見上げて何か話していた。
あんなちっちゃな娘も協会なんだなぁ。
あんな二人から説教とかいろいろ大変だろうけど強く生きるんだよ。
なぜか感じるうらやましさに気付かない振りをしてそう呟いた。
205Delta Side Rosesage :2007/08/31(金) 10:24:48 ID:Q/I.W/DY



置き去りにしていった露店に戻ると、先ほどテロ鎮圧に向かう前に支援をくれたハイプリーストが路地裏に入っていくのが見えた。
支援のお礼でも言ってついでにヒールもいただこう。

「あ、プリさーんさっきはありがとー。ついでといっちゃ何だけどヒー――

『あ…だめ、だ…人がきちゃったら…』
『こねーよこんなところで』

聞こえるのはこちらを振り向く音でもYESNOの返事でもなく、二人の情事の吐息。

 ――ーるをああ?!」

な、なにを…。
アタシの頭はついていけなかった。
この往来の中、いくら路地裏とはいえ、いくらテロの後で皆がその事後処理に追われているとはいえ、初めて見る光景だった。
そりゃそうだ。他人の情事などそう見られるものではない。
それに、アタシは、その、まだだし…。
そのせいか、アタシはついその行為に見入ってしまった。
二人の体が密着して、プリーストは少女の体を執拗に撫で回す。
ゆっくりと、手が少女の太腿をたどり、秘所を目指す。
少女の体がびくりと震えるのが遠めにも見て取れた。
アタシ自身もはっとして、我に帰る。
そ、そうだ、露店を…。
耳で後ろの嬌声を聞きながらカートの中の商品を並べてゆく。
気をとられてしまい、大事な品を取りこぼし、カートからなかなか取り出せない。
その動作はぎこちなく、目の前には大きく『準備中!』と書かれた看板を立てている。
チラ、と顔を横へ向け、目で後ろを覗き見る。
壁にもたれて二人が抱き合っているのが見えた。舌を絡ませ足を上げて押し付けあっている。
少女の体がなまめかしくうねり、求めるように肌を重ねる。
舌を伝う唾液が少女の口へ流れ、喉が動いた。
ごくり、と生唾を飲み込むアタシの立てる音は同じなのだろうか。
アタシは顔が熱くなるのを感じ、必死で冷静になろうと努めた。
しかしその甲斐なくアタシのショーツはじわっと濡れる。
手が、どうしても、我慢できない。
微かに聞こえてくる高く透明な声を聞いてますます切なくなる。
カートを前にだし、辺りに並べた商品の後ろに身を隠す。
そしてアタシは自らのホットパンツに手を突っ込んだ。
ぐちゃりと音がして、ぐしょぐしょに濡れていることを確認させられる。
こうしている間は何もかもを忘れていられた。
それが快感によるものなのか、それゆえの快感なのかはわからない。
クリトリスを指の腹で撫でつけ、押し込む。
アタシの体は自分のものでないかのようにびくつき、おなかの中から液体がぬらぬらと溢れてくる。

「ぁ…ふっ…くあ…」

熱い。
あ、だ、だめ、だめだ。だめだっていうのに体は後ろに向く。カートにもたれかかり、
路地の角から二人を覗き見た。少女ののけぞる首筋に吸い付くようにキスをしているのが見える。
片足を上げたその秘部にはさっきのプリーストのソレが出入りしていた。
アタシは初めて見る生のその姿に興奮を止められない。
少女の秘裂は出入りするモノにあわせてめくれ上がり、愛液を溢れ出させる。
白く濁る液体は少女の太股を伝い落ちていった。
彼女らの情事に合わせるように手が激しく自分自身を貪っていく。

「あ、あぁ、あふ…んぁあああ」
『あっだ、っめぇ、そこぉ…きゃぅう』

自分の浅ましい声に混じって薄い嬌声が聞こえる。
淫猥な声をBGMにアタシの手は激しさを増した。
襞をなぞり、爪の先だけを埋め、同時にクリトリスを皮の上から押しつぶす。
自分の体が自分のじゃないみたいに感じていた。
繋がりから目が離せないで居ると、プリーストは体位を変えて
こちらによく見えるようにあの娘の足を広げて持ち上げた。
大きく開いたソコはやはり出入りを繰り返す男の人のモノで満たされていて…。
苦しそうな顔で悶える彼女は、しかし快楽の声をあげくわえ込むように腰をくねらせる。
その動きに興奮して、アタシ自身も大胆になっていった。
あそこをいじってないほうの手が自然に胸にいく。
シャツの下から手を挿し入れて、胸を持ち上げるように揉みほぐす。
指が先端をつまむとしびれるような快感が体を襲った。
びくびくと痙攣を起こしながら、乳首を弄り回す。
下と胸の刺激に夢中になったアタシはもう彼女らの情事の音など聞こえない。
ただただ、彼女らの腰の動きに合わせて自分を貪りひたすらに悦楽の高みを目指す。

「うあっ、あ、あぁ…ん、あは」

窮屈なショーツの中の手が動くたびに粘着質の水音が頭に響き、同時に快感が背中を駆け上がっていく。
胸は汗で滑り、手の動きがさらにスムーズになっていった。
腰が浮いて突き出すように、それを支えるように背中がのけぞる。
強く胸を掴み絞るように手を押し付けると痛いのにジンジンして気持ちいい。
彼女らもより一層強く快感を求め、二人の繋がる部分から白く濁る精液がこぼれているのを見て興奮する。
真っ赤に充血した二人の秘部の赤さにふと思い出して、カートの中を探る。
目的のものを見つけ出してつい笑ってしまった。

「あはっ、あったぁ」

取り出したものは赤い液体の入った瓶で、先ほど口にしたものだ。
胸をいじっていたほうの手だけで瓶をあけるのがうまくいかなくてもどかしい。
でもあそこをいじるのは止めたくない。だからさっきのように口でフタを空けようとした。

「あ、あう、ん、ぐ」

フタをあけるのに顔を横にすればいいのに、アタシは彼女らの情事に釘付けで余裕がなくって瓶を横にして開けた。
当然瓶の中身は零れ落ちる。
胸の谷間にこぼれ、染み出すように臍へと伝い、濡れるそこに触れた。

「んんぁ、あ、あっは」

どういう効果があったのかはわからない。
でも、アタシは指が触れているだけでも激しく動かしているときのような快感にさらされた。
妙にそこだけが熱く感じられる。

「あ、え…な、んでえ、あア、なんでぇ」

わけもわからずに快感に震えた。
その震えは指に伝わり、痙攣するような指の動きはそこを絶え間なく刺激し続ける。
強い刺激は脳を焼き、まさに狂気へと誘う薬の名に相応しいものだった。

「っは、イうっ、こ、こんなんで、の、んだら…」

こぼしたバーサクポーションの残りに目をやる。
その赤の誘惑に勝てるはずもなく、アタシは瓶を口に傾ける。
喉を鳴らして一気に飲み込むと、体の先まで熱くなる。火照る肌はほの赤く染まった。
衣擦れすら快感に捕らえ気持ちよさに身悶えればその分だけ
胸や腰周りの摩擦による刺激が強まり、快楽のインフレーションが起こる。
震える指を押し付けて更なる高みを目指せば、すぐそこにあって、そしてもっと上にいけることを知る。

「あっあっ、い、いイ、いはっ」

一番上を目指して止まることなく貪り続ける。
感覚は麻痺するどころかより一層敏感になるように感じられた。
開けっ放しの口からは淫らな声を発し、端からよだれがこぼれ、白い喉を伝って落ちていく。

「ほ、欲しい…」

つい、呟いた。

「ア、アタシだって、うぁ、はぁっ、んあああああ」

寂しい。そういう感情に気付いていなかったわけではないが、見ない振りをしていたのは否定できない。
そして、つい呟いてしまった。欲しい。しかし、かなわぬ思いだった。だから今はただ、欲しがるのは快楽だけにして。
涙を浮かべ、目を瞑れば零れ落ちる。アタシは泣きながら、溺れた。

「はっ、んっく…は、はぁあ」

もう、そこは近い。快感と共に加速していく。どうやら彼女達も近いようだ。
少女は狂ったように腰を振ってくわえ込み求める。
男は獣のようにその求めに応えてそそり立つそれをねじ込む。
不意に、彼女達の動きが止まる。そして、アタシの体も。
膝を突き背中を大きく反らして頭をカートに押し付けながら、自らの性器を手のひらに押し付け、ぐりぐりと擦りつけるように腰を突き出した。
胸を持ち上げ、シャツからこぼれた先端を咥える。唇に力がこもり、

「ん、ふ、んぅぅうううぅうぅうう」

直後脱力したように二人は、アタシは、体を弛緩させ、詰まらせた息を吐く。
ぐしゅ、と濁った音が聞こえた気がした。
ショーツから手を引き抜くと、自分のそこから出てきた液体でべとべとになっていた。
指を広げてみると間に糸を引き、やがて自重に耐えられずにプツリと切れて石畳の路に吸われていく。
アタシはぼんやりした目を細めて、ねとつく自分の指を舐めてつぶやいた。

「…すっぱい…」
206Delta Side Rosesage :2007/08/31(金) 10:25:22 ID:Q/I.W/DY


しばらく惚けていて、ややあってから気付いた。
傾き始めた日差しは若干弱まり、しかし相変わらずの暑さで、汗が吹き出る。
シャツが汗で透けるが構わない。
それよりも、汗じゃない体液で濡れているホットパンツをどうするかが問題だ。
べたべたのそこをぬぐって、粘着質の水分を含んだ布を見てどうしたものかと戸惑う。
アタシは自分の愚かさに嘆いた。

「あぁ…」

まぁ、してしまったものは仕方ないし見てしまったのも別にアタシのせいじゃない。
幸いにして人通りはまったく無く、自分の痴態も見られてはいないようだった。
ミルクを冷やしておいた氷水をすくって洗う。
絞ってカートの縁にかけると絞りきれなかった水分が滴り落ちるが、それも瞬く間に蒸発して消えてなくなった。
気を取り直してカートの中身を整理していると、二人が路地裏から出てきた。
プリーストのほうと目が合う。は、恥ずかしいじゃない…!
目を逸らすと、ロードナイトのほうと目が合った。ぐわぁ!
互いに顔を真っ赤にする。

「お、テロんときはどーも。無事だったようで何よりだ」

プリーストが話しかけてくるが、まるでさっきのことがなかったことのような話しぶりだ。
だからアタシも必死で冷静を装う。

「あ、え、っと、うん、支援ありがとね」

どうにも装いきれていなかった。
あの光景が目に焼きついて離れない。
だから顔を見ないように俯いた。

早くどっかにいってくれという願いが神様に通じたのだろうか。
どこからか悲鳴が聞こえ、昼間と同じような規模のテロが巻き起こる。
発生位置は詳しくはつかめないものの、昼間のときより遠くで起きたようだ。
こちらに波及してくるまでは少し時間がかかるだろう。
事後処理も追いつかないままの露店も多い中、街は再び混乱に陥った。

「どーした?いかないのか?支援ならしてやるぞ」
「あ、あー、アタシは戦闘BSじゃないからね、さっきので疲れたし今回はアンタらにまかせるよ」

先ほどのゴキライトの件を思い出し、任せることにした。
だいたい、今の状態で行ったらそれこそ逝ってしまうかもしれない。
プリーストの気遣いも今は余計なお世話としか思えなかった。

「そうか、じゃ仕事してくる」
「い、いってらっしゃーい」

向こうのほうでは夕焼けなのかメテオストームが降ってるのかわからない赤い空に轟音が響く。
空をぼんやりと眺めていると、先のテロよりも規模が大きいらしいと騒いでいるのが聞こえる。
こっちまでくるかもなぁ、なんて思いながら水槽の中の水をそこらに打ち水として撒く。
氷は溶けてしまい、すでに無い。
水槽からだした飲料はカートの中でぬるくなっている。
壁に立てかけた武具類を布に一つ一つ包み、カートの底の方へとつめていく。
念のため、自分の斧はむき出しにしたまま立てかけてある。
すぐに走れるようにある程度の荷物をまとめていると

「すいません、この白ポーションありったけください」

クルセイダーの男が急いだように話しかけてくる。テロの鎮圧に向かうのだろう。
アタシはまとめかけていた荷物を解いて白ポーションを取り出す。
規模のせいか、クルセイダーは言うだけ言って大通りの様子をしきりに気にしている。

「はいはいちょっとまってね。おいくつですか?」
「ええと、…あ、ちょっとフィー、全部なんて持てないわよ」

連れのプリーストの女が答えながら、慌てるクルセイダーをたしなめる。
銀髪と銀の瞳がどことなく昼間のアコライトに似ている気がした。

「じゃぁ、えーと200個で」
「毎度あり!今後ともごひいきに。がんばってくだ」

言いかけた言葉は地響きに遮断され、受け取るお金をつい取りこぼしてしまう。
見れば、こちらまでテロが来ていた。
さっきのロードナイトの少女が大量の魔物の攻撃を捌いているのが見える。
一見無茶な量に見えるが変態が的確なサポートをして十分にカバーしているようだ。
これも信頼関係あってのことなんだろうなぁ。

「急ぎましょう」
「あぁ、後ろは任せた」

プリーストが凛とした声で促し、クルセイダーは魔物の群れに飛び込んでいった。
それを追うようにプリーストもブレスを掛けながら付いて行く。
後ろは任せた、か。

それを見送りながら解いた荷物をもう一度まとめる。
昼間の三人もまた来ているんだろうか。
うるさい二人の間に頼りないアコライトが上を見上げて談笑する姿を思い出す。
結局最後までヒールもできないアコライトだったなあ。
振り返ったときににこりと笑いあったのを思い出しふふ、と声にならない息を吐いた。
あのいやでも耳に入る変な詠唱が聞こえない。それについてまわる頭の悪い掛け声も聞こえない。
つまり、いないのだろう。
アタシはアタシにできることをやるのみ。
そう言い聞かせて立ち上がれば、変態の声が聞こえた。

「ははは、俺の愛の強さのおかげでテロは鎮圧された!見たか者共平伏せ崇めろ奉れ」
「自惚れるなハル。私の想いのほうが強いに決まってる」

先ほどのエロプリーストとロリータナイトだ。まちがえた。ハイプリーストとロードナイトだ。
なんだかロードナイトの少女が吹っ切れたような感じがする。
ハイプリーストのほうはだいぶ前から吹っ切れてるというかどこか切れてるのは確実だが。
さすがにああはなりたくないが、それでもいつかアタシにも彼らのように
深いつながりをもつパートナーができるだろうか。
一緒に狩りをして。
隣で露店を開いて。
疲れたらおんなじベッドで眠る。
一人じゃない毎日。
そんな―――

「は、」

息を吐ききらない溜め息は、テロの事後処理に追われるプロンテラの喧騒にかき消されていく。
アタシはまとめた荷物をカートに詰め込んだ。
むき出しの斧もぼろ布で包んでカートに引っ掛ける。
ぐ、と力を入れて引っ張る。
ギタガタと悲鳴を上げ、石に乗り上げてはガタンとほえるカートはぼろい。
今日も紅い夕暮れは変わっていない。
いつもの空に向かってほう、ともう一度息を吐いた。


夕焼けに染まる赤い雲は今日もゆっくりと流れていく。
207名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/31(金) 10:28:49 ID:Q/I.W/DY
以上です。
ブラウザで読むこういうタイプの読み物は改行が難しいですね…。
専ブラで見ると改行しすぎに見えるわー。
208名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/31(金) 22:03:53 ID:MsTF0Xe2
すごい久しぶり
ほしいのならくれてやると言わんばかりにエレクチオンしてるんだがどうしてくれるあーうー
情景描写がいいね
改行は自分はそんなに気にならなかったかな
フォントや窓の大きさが人それぞれだから仕方ないと思われ
209名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/01(土) 03:26:41 ID:P.R1TeZI
こ、これは懐かしい・・・
GJ
210名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/03(月) 03:27:45 ID:qlb/2hNU
おお懐かしい
何気に全キャラ総動員で始終ニヨニヨしっぱなし
すっぱいのエロさもたまんね
超GJ!
211名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/03(月) 17:32:19 ID:09qb8Pik
春の日差しを受ける緑豊かな風景。
多少飽きるぐらい平和な街。
ここは"田園都市"と呼ばれるフィゲル。
街では日々ビンゴゲームや、モンスターレースが開かれ、こののどかすぎる集落が廃れていかないのも、それらのギャンブルゲームと、都会にはない新鮮な空気やのんびりと過ぎる時間のせい。

私はプロンテラ大聖堂から派遣された高司祭です。
最初こそ自然に囲まれた中での生活は楽しいものでしたが、半年が過ぎた辺りから、都会のあの喧騒を懐かしんだり、静か過ぎる街に退屈を覚えるようになりました。
フィゲルでは酒場ですら日付が変わる時前には閉まってしいますし、場所もひとつしかないものですから、私のような者がお忍びで行くという訳にも参りません。
なにせ、こちらの方々はみなとても信心深く、未だに聖職者というものは、純潔を守り、飲酒など絶対にしないと思われていますから。
それはとても良いことだと思います。主の教えの通りですし。
禁欲的な生活に我慢がならない私こそ、よほど不信心な輩だと言うことも重々承知です。
だから、これは誰にもいえない私だけの秘密・・・。


私はその日の仕事を終え部屋に戻りました。

『早くあれがしたい・・・。』

私の頭の中はそれでいっぱいで、引き出しからいつもの物を取り出す時でさえ手が震えるほどです。

「んくぅ・・・」

手馴れた手つきでタオルを猿轡代わりに口を塞ぐと、狭い浴室に移動し誰にも見られないよう施錠します。
そして、手元のコックを最大までひねると、壁に固定されているシャワーヘッドから暖かいお湯がざあっと溢れだし、私の真紅の司祭服を肩口から流れるまま、さらに深い色へと変色させていきます。

「んっ・・・!」

徐々に液体が全身を舐めるように侵食していく感触が私の体を震わせ、ブラをしていない胸の先端は、張り付いた衣服を持ち上げ自己主張を始めていました。

『今日も誰も気がつかなかったのかな・・・。』

敏感になっている先端を服ごしにそっとつまんでみると、甘い痺れが全身を駆け抜け、私は甘えるようにバスタブに背をもたれさせました。
すべらかなシルクの手触りが水を含み、胸や股の部分にぴったり張り付いてとてもいやらしい。
真紅の法衣の両スリットからあられもなく露出している太もももが、指を動かすたびかすかに揺れています。
口を塞がれ、自分の声が自分の中で反響し、それが一層卑猥な気持ちにさせるのです。

「ぅ・・・くぅ。」

優しくじらすように乳首をこねていた手を、今度は片方だけ太ももの方に下ろしていきます。
内ふとももを指先でくすぐるようになぞったあと、期待で濡れぼそっているあそこにゆっくり手を伸ばします。
今日は、履いたままでも存分にいじることができるように、股の部分が開いている形のパンティーですから、指先は何の前触れもなく濡れた花びらに触れてしまいました。

「ひぐぅっ!」

乳首をつねるようにこね回しながら、自分から股を広げてあそこに指を誘導します。
服と肌の間を伝うお湯さえ、今の私は敏感に反応してしまって・・・。
目をつぶって舞い上がる感覚に身をゆだねて・・・。
212名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/03(月) 17:32:35 ID:09qb8Pik
「お手伝いいたしましょうか?お嬢様。」

突然かけられた声に体がびくりと反応します。
驚いて目を見開くと、いつの間にか目の前には闇色の服をまとった男性がいたのです。

『この人・・・チェイサーだ・・・。』

大聖堂の要請で参加した攻城戦にて、何度かしか目にしたことはないけれど、確かにその格好には見覚えがありました。
得意技は誰にも姿を見られることなく追撃すること。

「ん・・・ぅぅっ。」

なぜこんな場所に・・・そう思うよりも早く、私は立ち上がろうとしました。

「ここまで見せ付けたんだから、責任とってもらわないとね?」

そういって笑うと、男性は私の腕を掴んでバスタブに座らせ、口元のタオルを取りました。

「そんなのしてたら美人が台無し。」

そう言いながら、私の左胸を手のひらを圧迫するように押し付け、見せ付けるように胸肉に指を序々に食い込ませて来ます。
それだけで私は頭がぼーっとしてしまい、なすがままになってしまいました。

「ふっ・・・あぅ・・・ぅっ。」

乳首をきゅうっと摘みながら唇を奪われ、私の唾液も悲鳴も甘く吸い取られてしまいました。
優しく、でも執拗に口の中を舐め回されて、私は思わず涙をこぼしてしまったけれど、降りそそぐシャワーのお陰で気づかれなかったみたいでほっとしました。
フィゲルの住民はみな親切でしたし、何の不自由もなく生活していました。
でも、本当は誰かのぬくもりに甘えたいって、願っていたのかも知れません。
そんな飢えを、チェイサーさんの舌が甘く吸い取っていってくれてるみたいで。
なんでこんなタイミングでこの人はここにいるんだろうって、そんな考えも体の奥がしびれていくような感触に侵されていって・・・。

「ずいぶん素直な方なんですね。」

唇を一旦離すとまた屈託のない笑顔で話かけられます。

「それとも、したくてしょうがなかったのかな。」

くちゅ。

一瞬、あのえっちな形のパンティーのこと思い出しかけたけれど、すぐにどこかに行ってしまうほど感じてしまって。
また声を上げそうになったらまた口付けられて、それがもどかしくて・・・。

「ひぅっ・・・。」

指を曲げられてクリトリスの裏側をノックするみたいにこすられて、もっとって甘えるように膣内が震え愛液をこぼします。

「こんなにえっちなパンティーつけて・・・。」

言いながら指をぐりっと動かされ、思わず腰を持ち上げてしまいます。


「ほら、動いたらお手伝いできないよね?」

力強い手が両方の太ももをつかんでバスタブの縁に押し付けます。

「あぅっ。」

そのままチェイサーさんの顔がゆっくり股間に近づいていって・・・。
濡れて張り付いた法衣の前布をつかみながら見上げられて、とても恥ずかしくてきっと変な顔しちゃってそうです。
213名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/10(月) 10:05:30 ID:CJLzoWpg
えっ、これからだと思ったのに、ここで終わりなのっ
それとも焦らしの手管ですか。・゚・(ノ∀`)・゚・。

切実に続き希望です〜
214名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/15(土) 00:44:07 ID:krTp91Bc
GJ!!
生殺しってこういうことかそうなのか。

続ききぼん(`・ω・)
215名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/25(火) 20:06:56 ID:571qrMPU
このスレは停滞してしまったと思って最近来てなかったが
久しぶりに来たら70氏という神が降臨してて感動した。
是非これからも素晴らしい作品を期待してます。
21670sage :2007/09/26(水) 13:40:39 ID:2O891BDE
Σ!?
>>215
神とかもったいなさすぎます!!
その称号は今しばらく過去の文神様方に預けさせていただきます。

と、言うわけで、また投下しにきてしまいました。
微妙にスレ違いになりつつあろう自分の小説たち。
けれどご縁を大切にしたいと思い、引き続きこちらに投下させていただきます。
今回は久々?にあのシリーズの続編です。
第8話とさせていただきます。
仮題は「オルウェン」
スレの住人様方は何の続編か分かっていただけるかな、と思ってます。

少々独り言を。
自分もかなり前からこのスレの読者の一人でした。
たしかにずいぶん前からスレは停滞状態で、寂しく思ってました。
自分はβ時代からのROプレイヤーですが、最近ROの世界全体も熱が冷め、
ROを取り巻く世界も当時に比べて寂しくなってしまったのを感じずには居られません。
自分自身もたびたびの休止を繰り返しつつROを続けてきましたが、
最近はプレイ時間も減りつつあり(おかげで小説を書く時間があるわけですが)
自分の中でも小さくなってゆくものがありました。
スレ活性のきっかけにでもなれば何気なく書き始めた小説。
思い切って投下してみて、暖かい言葉を沢山いただき、
今ではROプレイよりも、小説の妄想をする時間のが圧倒的に多いかも。
自分の独占状態のレスが続くのはいささか複雑な思いもあるのですが、
読んでいただける方がいる、それを読んで参加してみようと思う方がいる、
そんな希望をもってROを取り巻くものの一つとして残っていけたらと思い、
今後も小説を書いていけたらと思っています。

ごめんなさい長くなりすぎました;;
短く削ろうかな。いや、このまま「書き込む」ボタン押しちゃおうかな。
ええい、押しちゃいます;;
217オルウェンsage :2007/09/26(水) 13:42:35 ID:2O891BDE
俺の女神に出会ったのは、まだ俺が10台の剣士の頃。
彼女は駆け出しの退魔プリーストだった。
可憐な仕草で唱えるヒールが、仲間を癒やすためでなくアンデットを葬るために放たれる。
巨大な十字架を掲げて詠唱されるターンアンデットが、一瞬のうちに生ける屍どもを昇天させる。
俺の一目惚れだった。
彼女の美しい肌、そよ風になびく銀色の髪、聖母マリアを思わせるほどの美しい姿とは裏腹に、
同一人物かと疑うほどの厳しい視線で、聖なる力によってアンデット共を塵に帰してゆく。
これほど美しい女に初めて会った。
それから彼女は、俺の永遠の女神になったんだ。


俺はやっと二次職に転職し、騎士となった。
早速フェイヨンにある溜まり場へと足を向ける。
彼女は俺の姿を見てどう思うだろうか。
新品の鎧姿の俺はきっと見違えているはずだ。
今まで同じ溜まり場を利用する仲間の一人に過ぎなかった俺を、少しは見直してくれるかもしれない。
そんなことを考えながら、お馴染みの仲間と挨拶を交わす。
そして輪の中の一番奥、俺の女神がゆっくりと振り返った。
「あらボブ!転職おめでとう。」
「ありがとう、セレア。」
祝いの言葉を投げかけてくれた女神の視線は、今俺だけに向けられている。
『かっこいいわね。』
『見直したわ。』
などの言葉が、俺の頭の中だけでこだまする。
セレアの動かぬピンク色の唇を見つめて、早くその言葉が実際に俺の耳へ届くのを今か今かと待っている。
が、虚しくも邪魔が入る。
「おー、少しは見られるようになったな。ほら、これお祝いだ。受け取れよ。」
そう言われると、投げられた小さなブリキ缶を受け取った。
「ん?これ何だ、エド。」
「俺の使ってる磨き油だよ。前に欲しがってたろ?」
「え!あの九尾狐のか!?」
「ああ。高価な上に、親方は俺の他数人の常連にしか売ってくんないんだぞ。
親方に頼み込んで譲ってもらったんだ。大事に使えよ?」
「まじで嬉しいよ!サンキュー、エド!!」
セレアとの見つめ合いを邪魔されたのには頭にきたが、この貴重な磨き油を貰ってしまっては感謝するしかない。
俺は素直に、仲間の祝いを笑顔で受け取った。
エドは、この溜まり場を昔から利用している古株だ。
職はハンターで、俺も狩りに同行したことがあるが、相当腕がいい。
しかし奴はお気楽な性格で、己の技を極めるよりは、仲間とのゆったりとした時間を楽しんでいるような奴だ。
俺は、あれほどの才能があるのに、己を磨く努力をしない奴をもったいなく思っていた。
それに奴はなぜか何時も、俺の女神の横に腰掛けている。
たまーに出かける狩りも、ほとんどがセレアとのペア狩りだ。
最近溜まり場に加わった剣士の俺など、二人の間に割って入ることは出来なかった。
それもあり、おれは必死に己を磨き、奴らと対等な二次職になった。
セレアとエドが狩りペアを組んでいることは周りの仲間から聞いても明らかだったが、
どうやら二人の関係はそれ以上でもそれ以下でもない微妙な所でストップしているようだ。
騎士となった今、エドや他の仲間たちにも負けやしない。
きっと女神の視線を俺だけに向けてみせると、俺は張り切っていた。


俺は早く騎士スキルを揃えようと必死に狩りに勤しんだ。
ペコペコの扱いにも慣れ、ピアースレベルも上がると、俺も皆との狩りに参加できるようになった。
セレアが俺のためにブレスと速度増加を唱える。
俺は彼女の前に出て敵とガチンコの対峙。
自慢の特化槍を大きく構えると、セレアが素早く敵にレックスエーテルナの恵みを降り下ろす。
そこで俺が自慢のピアースを決める。
セレアの恵みで倍のダメージを浴びた敵は、呆気なく塵となって消え失せる。
ああ、なんて幸せなんだ。
彼女の前で戦える、彼女を守ることができる。
俺は最高に嬉しい狩りの日々を送っていた。
…ま、俺がピアースを決める前に、エドのダブルストレイフィングが敵を撃ち抜いて消し去ってしまうことが多々あったが。
ガチンコ勝負を基本とする体力バカの俺の鈍くさい動きじゃ、奴の素早く正確な射撃には敵うまい…。
218オルウェンsage :2007/09/26(水) 13:43:55 ID:2O891BDE
ある日、溜まり場に顔を出すと、既にセレアとエドの姿はなかった。
ペア狩りにも行ったのかな…?
追いかけて邪魔したい思いに駆られたが、そんなことをしては女神にしつこいと思われてしまうかもしれない。
要は、俺自身がセレアにペア狩りをしたい!と思わせるぐらい頼もしくなればいいわけだ。
置いていかれたからと言って落ち込んではいられない。
ソロ狩りをしようと、オーク村にある洞窟に行くことにした。
オーク村について洞窟に入り、より奥のゼノークが多く出る所まで進んだ。
奴らはわりかしいい職業経験値を持っているわりに体力はない。
それに落ちている収集品めがけて次々と群がってくるため、間断無く倒し続けることが可能だ。
今日ここで頑張れば、待ちに待ったブランディッシュスピアーを習得できそうだ。
俺は黙々とゼノークやオークスケルトンを倒し続けた。
すると、洞窟の奥から眩しいほどの光が射した。
なんだろうと進んでみると、ペコペコに乗った大柄な人物が見えた。
騎士か…?いや、あれはクルセだ!
仲間うちにクルセは居ないため、とっさにはわからなかった。その時、またあの眩しい光が射した。
「グランドクロス!!」
巨大な十字架が奴の頭上に現れると、それが奴の周囲にクロスした聖域を作り出す。
目が眩むほどの光と共に、一瞬のうちに範囲内の屍共が蒸発するように消滅した。
すげえ…話しには聞いてはいたが、これが聖騎士のグランドクロスってやつか!
圧倒的な破壊力の前に呆然としていると、振り返った奴が俺を見据えた。
あ、見られてる。
やば…変な奴だと思われちまう。
だけど、俺はなぜか奴から視線を外すことはできない。
奴の視線が俺に絡みつくようにまとわりついていたからだ。
「やあ。ペコ騎士君。そんなに見つめられては、私もいささか恥ずかしいのですが…。」
クルセの発した言葉は思いがけず丁寧なものだった。
それに安心した俺は、ペコペコの足を進め、彼のペコペコと突き合わせるほどに近寄った。
「すまない!あまりに凄いスキルだったもんで。カッコイイなぁ!見とれちまったよ。」
「そんな風に言っていただけるとは、光栄です。」
クルセは小さく頭を下げた。
力におごらないなんと紳士的な振る舞い。
それだけで、一気に彼に対する好感が湧いた。
「俺はボブ。まだ新米の騎士なんだ。君は?」
「ジェイクです。」
「いやぁ、なんだか名前までカッコイイなぁ。」
「あはは、面白い方ですね。」
ジェイクはくったくのない笑顔を見せてくれた。
それから俺たちは、色々な話しをしながら共に狩りをした。
ジェイクは今まで俺の周りにはいなかったタイプの男だった。
紳士的で丁寧でクールで。しかし笑うとあどけない少年のような顔を覗かせる。
あれだけの強さを持っているのに少しもおごらず、逆に俺を立ててくれようとさえする。
しかし彼の立ち振る舞いと語りからは、その奥に熟練した優秀な冒険者としての能力が見て取れた。
俺はすっかり彼の事が気に入ってしまった。
彼からは俺が学ぶべきことが沢山あった。
そんな尊敬できる彼だからこそ、俺は、俺の大切な女神を彼に紹介したくなったんだ。


ジェイクとの何度目かの狩りを終わらせると、俺は彼に持ちかけてみた。
「今度紹介したい人が居るから、うちの溜まり場へ来ないか?」
「紹介したいとは…?誰です?」
「んとな、…俺の憧れの女性なんだ。」
「…!」
なぜかジェイクは押し黙ってしまった。
あれ…?いきなりそんな女性に会わせたいなんて言っておかしかったかな…?
「彼女はプリーストなんだけどな、とても美しくて優秀な人なんだ。
是非ジェイクにも彼女の素晴らしさをわかってもらいたい。」
「…。」
ジェイクは返事をせずに何か考え込んでいるようだった。
俺はなんだか彼の考えていることがわからなくて、少し不安になった。
しかしジェイクは何時ものくったくのない笑顔を俺に向けると、
「ええ、わかりました。是非紹介してください。」
と答えてくれた。
「そうか!よかった!」
「あなたがそれほど心を奪われるとは、相当美しい女性なんでしょうね。」
「そうなんだ。まるで女神のように…、って!ジェイク!彼女に惚れちゃダメだからな!?」
「ええ。ご心配には及びません。」
「よかった。お前みたいなイイ男がライバルになったら勝てる気がしないぜ。」
「ハハッ。言いすぎですよ。」
「あっ!後な、彼女に俺が憧れてるって事、絶対に言うなよ!?
俺はいつか自分の力で彼女を振り向かせるのが目標なんだ。」
「ええ、わかってますよ。
それより、プリーストさんなら三人で狩りに出掛けてみてはどうでしょう。
私たち二人にプリーストさんが加われば、騎士団あたりでも十分戦えますよ。」
「まじ!?騎士団で!?」
俺なんかには考えもつかない提案だった。
「ええ、私が集まった敵をグランドクロスで一掃できますし。奴らは聖属性に弱いヤツばかりですからね。
ボブにはしっかりプリーストさんを守ってもらいながら、
こぼれた敵や深淵の騎士にピアースを撃ち込んでいただければ余裕のはずですよ。」
「そうか!じゃあ早速明日セレアに紹介するよ!
騎士団での狩りなんて、きっとセレアも喜ぶよ!」
「ええ、楽しみですね。」
そうして俺はセレアにジェイクを紹介し、三人での狩りを始めたんだ。
しかし、まさかこのせいでセレアを苦しめる事になろうとは、その時は思いもしなかった。
219オルウェンsage :2007/09/26(水) 13:45:03 ID:2O891BDE
セレアとジェイクとの狩りは全てが順調で、俺の騎士としての熟練度もかなり上がった。
ピアースもブランディシュスピアーもすっかり自在に扱えるようになり、そんな自分に自信も持ててきた頃だった。
「いっそセレアに告白をして、相方になってくれと申しこんでしまおうか」
などと考えるようになった。


ある日、俺はジェイクから突然呼び出された。
それも奇妙な所に来いと言うのだ。
それはアルベルタの歓楽街にある古い酒場だ。
あの辺りは娼婦やそれを買う旅の男たち、
それに加えてゲイやレズビアンなどの同性愛者たちの出会いの場にもなっているという噂だ。
女神一筋の俺にはまったく縁のない話しだ。
俺も男だし、剣士の頃は彼女なんかもいてそれなりの経験もあったが、
セレアに出会ってからは彼女以外の女性には目もくれず、一人虚しくこの右手を仮の恋人として耐えて来たわけだ。
今更そんな所に出入りなどしたくなかったが、ジェイクがあまりにも真剣な様子だったので、
彼の頼んでくるまま、指定された時間にその酒場の二階にある一室を訪ねてみることにした。
扉の前につくと、ドアには貼り紙がしてあり、
『ボブへ。着いたらノックせずに扉を開けて中へ入ってくれ。ジェイク』
と書いてあった。
ジェイクがそう言っていても、ノックもせずに扉を開けるなど…?
だいたいジェイクは部屋の中に居るのだろうか。
俺は嫌な予感がして、メモを無視して取りあえずノックをして呼びかけてみた。
「ジェイク?居るのか?こんなとこに呼び出して。いったいどうしたんだ?」
「ああ。鍵は開いてるから入ってくれ。」
扉の向こうからすぐにジェイクの声が返ってきた。
俺は安心してドアノブに手をかけた。
「いや…止めて!お願い…!!」
…女性のような声が聞こえたような気がした。
しかし勢いのついた俺の手は止まらず、大きく扉が開かれてしまった。
開かれた先の薄暗い部屋には裸の人物が二人。
俺はその人物の顔を確認する間もなく、大慌てで視線を逸らした。
「…っと!!申し訳な…い…。」
「ジェイクの奴…!」と思いながら扉を閉めようとしたその瞬間。
俺の視界に、俺が何時も心に留めていたあの顔が目に入る。
まさか…!?
俺は躊躇いながら視線を戻し、おずおずとそれを確認した。
間違いない。
「…セレア…?」
その女性は長い銀髪にメッシュを入れていたり、見たこともない白い肌を露にしていたが、
セレアだ。
俺が間違うはずがない。憧れの俺の女神の赤裸々な姿だった。
セレアは何かを諦めたように、瞳を閉じていた。
そしてその隣には、同じく裸姿のジェイク。
彼は葉巻の煙をくゆらせながら、俺の目を見据えて言った。
「そうだ、君が何時も聖女と崇め、憧れて止まないセレア嬢だよ。」
「どうして…こんな…?」
俺には何もかもがわからなかった。
「この女は何も知らないような顔をしておきながら、
その癖裏じゃこうやって何人の男とも情事を重ね、お前を騙してたんだよ。」
ジェイクのその告発に、セレアはビクッと小さな肩を震わせた。
「セレア…。本当なのか…?」
突然こんな姿を見せられ、そしてそんな事実を突きつけられ、それをそのまま信じろと言うのか。
状況が全てを物語っていたとしても、俺は尋ねずにはいられなかった。
「ボブ…ごめんなさい。ごめんなさい…。」
セレアは何も否定せずにただ謝罪を呟く。
「ボブ、許し…て…」
シーツにくるまった彼女は立ち上がろうとしていた。
が、その直後、セレアの顔は苦痛に歪み、そのままベットの下へと転げおちた。
「セレア!?セレア…!」
俺は部屋に飛び込んで、床に転げた彼女へと手を伸ばした。
「セレア!!しっかりしろ!」
「…!」
傍らでジェイクが慌てて葉巻をもみ消す。
「…何をしたんだ!?彼女に何をした!?」
俺はセレアを抱き上げながらジェイクに怒鳴った。
「……。」
ジェイクは何も言わずに驚いた顔で立ちすくんでいる。
セレアは…、彼女は依然苦痛の表情を浮かべつつも、目を閉じて呼びかけには答えない。
ふと、視界の端に赤い色が目に入る。
シーツが、セレアの体に巻きついていたシーツが鮮血に染まっていった。
「…医者だ!ジェイク!!早く医者を!!」
「…あっ、ああ!」
ジェイクは部屋にあった電話に手を掛けると、慌ててダイヤルを回した。

医者はすぐに到着した。
ベットに横たえたセレアを確認し、その体を触診する。
彼女の下腹部に触れた医者は、
「すぐに入院させる。」
と言って担架を呼んだ。
「彼女のご家族は?連絡して欲しい。」
医者にそう言われたが、俺にはどうにもできなかった。
セレアから家族の話など聞いたこともなかったからだ。
両親は居るのか。兄弟姉妹は居るのか。何処の町出身なのか。
さっぱり検討がつかない。
だがまごまごしている暇はない。
俺は咄嗟に、
「俺は彼女の婚約者です。一緒に行かせてください!」
と答えていた。
「そうか。なら君が一緒に来なさい。」
医者にそう言われ、俺はセレアと共に病院へ向かった。
220オルウェンsage :2007/09/26(水) 13:46:05 ID:2O891BDE
俺は病院の廊下の椅子に腰掛け、頭を抱えていた。
さっき、セレアを診てくれた医者に呼ばれた。
そこで衝撃の事実を聞いたのだ。
セレアは無事だった。暫く静養が必要なものの、何の心配も要らないらしい。
しかし、それだけではなく…。セレアは妊娠三ヶ月だったそうだ。
だが、すでに子供は成長できる状態にはなく、医者は流産の処置を施したとのことだった。
驚きの事実に呆然とする俺に、医者は、
「婚約者なのに知らなかったのかい?
あまり彼女に無理をさせちゃあいけないよ。どうやらかなり精神的にまいっているようだ。
それだけではないが、流産したのはそのせいもあるよ。
望まない妊娠だったのかもしれんが…、そうなら避妊をちゃんとしてやりなさい。」
と諭した。
避妊…?
避妊も何も俺は…。
「…はい…。」
理不尽な思いを打ち消しつつ、医者に頭を下げた。


頭を抱えながら、なんとか自分の感情を整理してみようと努力してみる。
部屋の中に裸で居たセレア。
その横で葉巻をふかし、同じく裸姿のジェイク。
涙を流し俺に詫びるセレア。
そして彼女の苦痛の表情。
苦しみのままうずくまり、悲痛な呻きを上げながら倒れ込む…。
そして、…妊娠、流産…。
ジェイクが俺に告げたのは真実だったのだろうか。
しかし嘘だとしたら、なぜセレアは裸でジェイクと居たのだ?
しかもセレアは何も反論せず、俺に許しを乞おうとさえした。
ジェイクが言ったのが真実だとしたら、全ての辻褄が合う。
どうにも目を背けられない事実を目の当たりにし、
俺は何も知らなかった自分の愚かさ、セレアの体を抱いただろう複数の男共への嫉妬、
知りたくもない事実を残酷な方法で突きつけたジェイクへの恨みで、なんとも言えない涙を溢れさせた。
その時、カツカツと甲冑の足音を響かせる人影が近づいてきた。
「ボブ…。」
ジェイクだ。
今更この俺に何の用だと、奴の姿さえ見たくもなかった。
俺は返事もせずにうつむいたままでいた。
「すまない…。まさかこんな事になるとは…。君がそんなに悲しむとは…。」
あれだけの事をしておいて、何を言っているんだ、この男は…。
「君が騙されて居た事に怒り、女性への不信感を募らせてくれると思ったんだ。」
騙されていた?俺が?
違う。俺が勝手にセレアを女神にしたて上げ崇めていただけなんだ。
セレアを自分の理想の枠に当てはめ、生身の彼女を見ようとしていなかったんだ。
「そうしたら、君が…、振り向いてくれるんじゃないかと…。」
…誰に?
「私に…。ボブ…、私はずっと君が好きだったんだ。」
…そういう事だったのか。
ジェイク。俺もお前も、ある意味同類だ。
お前は俺を振り向かせたいあまりに、誰も幸せになれないほどの残酷な仕打ちをセレアにしてしまった。
俺は俺でセレアを偶像のように仕立て上げ、その中で悩み苦しむ彼女に気付いてやる事さえできなかった。
二人とも、恋ゆえに、自分だけの狂った見方しかできなくなっていたんだ。
俺にお前を責めることはできない。
結局、俺一人がセレアもお前も、苦しめていたんだ。
「悪い。俺が愛しているのはセレアだけだ。」
俺はジェイクにはっきりと告げた。
それが彼のためになるのだ。俺からの謝罪のつもりだった。
「そうか…。すまなかった。…彼女にも詫びたいが、余計な事だな…。」
「ああ…。」
「私は消える。ボブ、君という人に出会えてよかった。本当にすまなかった。…さようなら…。」
俺は無言で、遠ざかるジェイクの足音を聞いていた。
なんて馬鹿なんだ俺は。
人の本質というものを見ようともせず、苦しめてばかりだった。
そのため、憧れの女神も親友も、失ってしまった。
ジェイクとはもう終わりだ。
こんなことがあり、お互い顔を合わせても辛いだけだろう。
セレアは…、きっと俺の顔を見ればこのつらい事実を思い出すだけだ。
だが、彼女を諦めることなど考えられない。
なぜなら、女神の偶像とは違う彼女を知ってさえなお、俺は彼女を愛しいと思っていた。
そんな悩み苦しむ彼女が、俺の中でよりリアルに、手が届く存在になっていた。
俺のこの手で、少しでも彼女の苦しみが和らぐのなら、何でもしてやりたい。
そう思った。


セレアの眠っている病室に入り、ベッドの傍の小さな椅子に腰を降ろした。
セレアは穏やかな寝息を立てている。安らかな眠りが彼女を包んでいるようだ。
あんなに苦しそうな彼女を見た直後のことだったから、俺は安心した。
初めて見る彼女の寝顔は、俺が想像していた通りに美しかった。
今でさえ、彼女があんな娼婦まがいのことをしていたなど信じられないほどに清らかだった。
なぜ彼女はあんな事をしていたのか…。
いや、もはや何も聞くまい。
俺は今目の前に居る生身の彼女を愛すると決めたのだから。
するとセレアが意識を取り戻した。
「セレア…。」
俺は彼女を怯えさせないよう優しく呼びかけた。
セレアは一瞬ビクっとしたものの、俺を確認すると身を起こして謝罪を再開しようとした。
「ボブ…ごめんなさい、ごめんなさい。私…。」
「だめだ、安静にしていないと。」
彼女の肩を軽く抑えてまたベッドへともたれさせた。
「…私、あなたを騙してた。本当は酷い女なの。」
「もういいんだ。俺のことなど気にするな。」
「ごめんなさい、ごめんなさい…。」
俺などに謝らないでくれ、セレア…。
「そんなに泣くな。とにかくここでしばらくは静養して、体を回復させないと。」
「静養って…私、お酒を飲みすぎて酔いつぶれただけなの…。平気よ。」
やはりセレアは妊娠にまったく気付いていなかったのか。
残酷な事実を突きつけるようで躊躇いもあったが、これを知らずに居ることは決して彼女のためにはならないだろう。
俺は事実をありのまま伝えることにした。
「いや、違うんだよ。…君は、妊娠していたんだ。」
セレアの瞳が大きく見開かれたまま固まった。
「そんな馬鹿な…!?」
「本当だ。医者がそう言っている。…ただ、もう赤ん坊は……。」
それだけ言うと、セレアの目からは大粒の涙がこぼれ始めた。
女性として当たり前すぎる反応。
彼女は今、自分のしてきた事を悔やみ、僅かに芽生えた母性で失われた我が子を憐れんでいるのだろう。
しかしもう全てが取り返しのつかない事、終わってしまった事なんだ。
こんな言い方は良くないことはわかっているが、そう思ってゆかなければセレアはだめになってしまう。
「セレア…。体が回復したら、俺と一緒にあのフェイヨンの溜まり場へ戻ろう。な?」
そう、何もかも忘れて元通りの日々に戻るんだ。
セレアの涙に濡れた瞳が僅かに遠くを見た。
しかしそれはすぐにまた涙に濡れてゆく。
「うっ…私…もうあそこへは戻れない…、ぐずっ。」
そう言うと彼女は俺から体を離し、ベッドへ突っ伏すようにして嗚咽を始めた。
「そんなことない。戻れるさ。だから…。」
「ううん、私、もう…エドには会えない…。会う資格なんかないの…。」
俺はエドの名が出た事に動揺を隠せなかった。
「私、誰の子を妊娠していたかもわからないくらいに男と寝てた。
だらしが無くて、汚い女なの。こんな私、エドには相応しくない…。
それにこんな私だってこと、エドに知られたくないの…!」
まったく予想できない事でもなかったが、彼女がこれほどまでにエドを思っていたとは…。
彼女を変わらずに愛してゆく決意をした直後に、俺は早速失恋してしまったわけだ。
しかし、失恋してもなお、俺は彼女が愛おしかった。
今は、俺だけが、彼女を理解してやれる。
そんな自信が俺の背中を押した。
「…そうか…。わかった。じゃあ、何処か別の所に旅立とう。俺が一緒に行ってやる。」
「そんな…ボブを巻き込むことなんかできない…。」
首を振り遠慮する彼女に、俺は言い聞かせるように続けた。
「ハハッ、今更そんなことを言ったって無駄だよ。もうどっぷり巻き込まれてるさ。
お前だけ一人で行かせやしない。俺と一緒に転生を目指そう。な?」
セレアは再び俺の胸で泣き始めた。
「ありがとう…ボブ。私…転生して、生まれ変わりたい。」
「あぁ、生まれ変わろう…。」
お前が転生することを望むのならば、俺がそれを叶えてやる。
それでお前の傷が癒やされるのならば、俺は何だってしてやる。
ずっと、俺が、ありのままのお前を見守ってやる。
俺は新たな決意で、この胸の中の哀れで愛しい女をずっと愛する事を誓った。
221オルウェンsage :2007/09/26(水) 13:46:44 ID:2O891BDE
セレアが退院すると、俺たちはゲフェンで共同生活を始めた。
一緒の家に住んでいるわけだから、端から見たら同棲中のカップルに見えただろう。
しかし現実は切ないもので、中央のリビングとキッチンを挟み、
それぞれに簡易シャワーとトイレがついた鍵つきの個室のある家だったもんで、
お互い食事が終わると鍵を掛けて個室に籠もり、翌朝まで顔を合わせないような生活の仕方だった。
セレアは以前夜の街を彷徨っていたことなどなかったかのように、毎晩部屋に籠もっていた。
俺はと言うと、扉を二つ隔てた向こう側で彼女がシャワーを浴びていると考えただけで、
湧き上がってしまうムラムラを抑えるのに必死だった。
今の彼女に告白しようなどと、無神経な事はしまい。
だが、あの扉の向こうに愛しい女が無防備に横たわっているのに、声も掛けられず大人しくしているのはまさに拷問だった。
同居すれば家賃が安くすむからと言って、こんな家を見つけて来た自分を心底後悔した。
しかしそんな日々が続けば次第に慣れてくるもので、
俺はいつからかムラムラすることもなくなり、自然体のまま同居生活を続けていた。
俺たちはオーラを目指し、ただひたすら狩りに夢中になっていった。
そしてオーラを纏い、ヴァルキリー神殿が解放されると直ぐに転生を済ませた。
その後も順調にロードナイトとハイプリーストになった。
その過程で、俺は大きな変化を遂げていた。
まず自分がマスターとなって作ったギルドで砦を手に入れた。
長いこと防衛にも成功し、難攻不落の砦のマスターとして噂されるようになった。
他にも時々起こるモンスターからの襲撃戦線に参加したりもしていた。
俺は、俺の噂を聞きつけた国王に城に招かれ、王に忠誠を誓う正騎士の称号と「オルウェン」という騎士名を賜った。
俺は正直「ボブ」という名前が間が抜けているような気がして気に入っていなかったから、
それからはその騎士名を名乗るようになった。
加えて、今では俺のギルドは治安維持部隊としても活躍している。
俺はその部隊長として多くの部下を抱える責任ある立場となっていた。
今のセレアはそんな俺の右腕として動いてくれていた。
彼女はあれからずっと俺の影のように寄り添い、常に俺をフォローしてきてくれた。
セレアの助けがなかったら、俺がここまで出世することもなかっただろう。
いつしか俺たちは、古い友人と言うよりは、上司と腹心の部下といったような堅苦しい関係を築いていた。
それでも俺は、まだセレアを愛していた。
二人で旅立った時から年月を重ね、彼女はより美しく、知的に、清楚に輝いていた。
その頃の彼女は、部隊の仕事とギルドの運営に夢中になっているといった感じだった。
そんな彼女を前に、俺が今更愛だ恋だを持ち出すのは犯罪とさえ感じられた。
だから俺は、何時までも待つつもりでいたんだ。
セレアが、俺を男として見てくれるその日まで。
222オルウェンsage :2007/09/26(水) 13:48:13 ID:2O891BDE
しかしその決意はあっけなく崩れた。
思いがけない突然の再会…そう、エドが俺たちの前に現れたのだ。
俺にとってもエドは昔馴染みだ。友人として再会できた事を素直に喜んだ。
セレアも同様に喜んだ、面向きは…。
けれど俺は、見逃さなかった。
エドとその隣に寄り添う少女を見るセレアの目に、小さな寂しげな影が堕ちてゆくのを。


俺は落ち着きを失くしていた。
何時までも待つつもりでいたのに、あのセレアの寂しげな瞳を見てしまってからと言うもの、
セレアの本当の気持ちを垣間見てしまった気がしていたからだ。
セレアは嫉妬していたのだ。
でもそれはエドやそれに寄り添う少女に対するような、自己中心的な醜い嫉妬などではない。
あの二人を包む「幸せ」自体に、悲しいほどの嫉妬を感じていたのだ。
セレアは深く傷ついたあの時から、
まるで自らが女性であることを忘れたかと思うほどに、狩りや仕事に躍起になってきた。
今にして思えば、それはまるで故意に己を色恋から遠ざけていたかのようだった。
しかし、今日のあの彼女の瞳。
あの影は、幸せを諦めながらも、心の奥底では誰かを求め寂しげな涙を流す悲しい少女が隠れているのを思わせた。
セレア、君も女性としての幸せを望む一人の普通の女なんだ。
なのに、あの罪が君を固い殻に閉じ込めてしまった。
俺は、俺は…。
そんなお前を…。
「本当によかったわ、リュカのこと…。」
執務室で二人きりになると、セレアはまるで世間話でもするかのように俺に語りかけてきた。
セレア、君は自分でも本当の気持ちに気がついていないのか…?
「あぁ…。」
俺は虚ろな相槌を返した。
「どうしたの?まだ心配を?」
「違うよ。…俺が気にしているのは…君のことだ。」
心配など…。俺が気にかけているのはリュカばかりではない。お前こそが…!
「…私の?」
セレアはとぼけたような顔で言う。
俺はもう、君のそんな形作った表情には騙されない…!
「君は昔、奴とは恋人同士だった。俺は当時君から奴についての相談もされてたくらいだぞ。
その奴がリュカの相手と知って、君は何とも思わなかったのか?」
とうとう口に出してしまった。
もう俺は待てない。待つもんか…!
あんな寂しげなお前を、放っておくことなどできない!
「…もう終わったことじゃない。」
「いいや。君があの時、ギルドと攻城戦のために生きると決め、奴の前から姿を消したあの時の涙…。
俺にはまだ終わったとは思えない。」
「やめて…オルウェン。私にはリュカの幸せを壊すようなつもりはまったくないのよ。」
「違う!そうじゃないんだ。俺だってリュカの幸せを壊したくなどない。
だが、本当は君だってリュカのように、女性としての幸せを欲しているんじゃないのか…?」
俺はまくし立てるように言葉を続けた。もうどうにも止まらなかった。
「セレア…。君は奴との別れを決めた時からギルドと仕事に全てを捧げてきた。
ずっと俺の側で支え続けてきてくれた。俺は…ずっとお前を見ていたんだ。」
「それ以上は言わないで…オルウェン。」
セレアの小さな抵抗など、俺の決意の告白の前には何の意味もなかった。
「いやだ!今日こそ言わせてくれ…!俺は…お前を……!!」
俺はたまらずに彼女を抱きすくめた。
彼女の細い肩が動揺に一瞬強張る。
ここまで言ってしまってもう逃がすことなどできない。
そのまま傍にあったソファへ倒れ込んだ。
「オルウェン…だめ…!」
「セレア…!!愛してる。ずっと昔から…愛してたんだ…!!」
積もり積もった想いを乗せて、とうとう俺はその言葉を吐き出した。
「あなたも知っているでしょう?私がどんな女だったのか…。
私はあなたの愛を受け入れられるような綺麗な女じゃないのよ。」
まだ彼女は固い殻を破ろうとはしない。
もう、彼女が殻から出てくるのを俺は待てない。
俺が、殻を破るしかないんだ。
「汚れてたっていい!俺がお前を綺麗にしてやる…。
俺はずっとお前を抱きたかった…。たった一度だけでもいい。俺の思いを受け止めてくれ…!」
「そんな都合のいいことできない…!」
「都合がいい男でも俺はいいんだ。
一度だけでも望みがかなえば、俺はまたいつもの自分に戻る。
お前もこれまでのようにして、忘れてくれてもいい。
頼む…!愛してるんだ…!!」
セレアの過去の心の傷を思うと、決意が砕けそうだ。
そんな彼女に無理強いしているかのような自分が情けなくて涙が溢れてしまう。
だけど、俺にはもうこうするしかなかった。
祈るような気持ちで、セレアの返事を待った。
「オルウェン…わかったわ。一度だけでいいなら…私を抱いて。」
一度だけと言う言葉に、セレアは覚悟を決めてくれたようだった。
そう、一度だけでいい。それでかまわない。
俺は、その一度だけに、今までずっと彼女を見つめ慈しんできた全てを込めることができる。
そんな自信があった。
223オルウェンsage :2007/09/26(水) 13:48:49 ID:2O891BDE
セレアは全てを許すように体の力を抜いて言った。
「いいわ…。あなたの好きにして…。」
俺は服を着たままの彼女を力任せに抱きしめた。
ずっと、この瞬間を待っていた。
この愛しい女が今この腕の中に居る。
俺はただただその存在を確かめるように彼女を抱きすくめた。
ひとしきりセレアの体温を味わってから、洋服に手をかけた。
朱色に染められたビロードのような手触りの法衣は、それだけで高雅な印象を与える。
それに加え、それを纏うのは俺がこの世界で最も得難いとしていた美しい女。
俺はまるで触れてはならない神々しいものに手を出してしまったような気がして、指先を震わせた。
ああ、俺は結局何も変わっちゃいない。
セレアは今でも俺の憧れの女神だ。
何をしていようと、どんな罪を抱えていようと、彼女は女神だ。
美しい女神なんだ。
そんな事を考えながら、壊れてしまわないようにそっと解いていった。
セレアの白い肌が露わになり、それが俺の視線によってピンク色に染まってゆく。
そんな彼女の変化に、俺も慌てて服を脱いだ。
そうだ、今日は勤めから戻ってシャワーを浴びてなかった…。
汗くさかったらどうしよう…。
などと考えてしまったが、そんな心配をよそに彼女は腕を大きく広げて俺を招いた。
おずおずと身を寄せると、彼女は俺の首筋に顔を埋め、大きく息を吸い込んだ。
そして色っぽい呼吸を俺の胸の中で漏らす。
「…はぁっ…。」
それを聞いた途端に、俺の理性は掻き消えるように姿を隠した。
目の前の豊満な膨らみに手を伸ばし、両手で寄せるように揉み上げる。
何の抵抗もない肉の塊は俺の手によって自在に形を変え、俺の指を埋もれさせてゆく。
まるで印しのように刻まれた突起が、俺の唇を誘った。
誘われるままに舌を伸ばし、唇で包み込む。
それは思った以上に硬く、俺の舌に抵抗を示す。
「…ぅんっ…。」
微かな喘ぎが耳に届くと、一層激しく俺を揺さぶってきた。
乳房を捕まえる手はそのままに、今度はその陶器のような肌が描く曲線に舌を這わせた。
細くしなやかな曲線に俺の舌が翻弄されてゆく。
ふと、過去に彼女を抱いたであろう、見たこともない男たちの影が俺の頭の中を掠めた。
こんな美しい物を惜しげもなく与えられただろう男たち。
お前らはなんて不幸な奴なんだ。本当の美しさに気づきもせず、それを汚そうとだけしてきた。
だが、俺だけが知っている。
ささやかな幸せを望みながら、それを自分に許そうとしない悲しい一人の女の美しさを。
彼女が昔愛していた、あのエドさえも知らない美しさだ。
それが今俺のものに、今だけはこの俺の手の中にあるのだ。
信じられない思いにまた手を震わせながら、俺は彼女を舌で縁取ってゆく。
「ふぅんっ…ぁん…。」
セレアが俺の手の中で身を捩じらせると、俺は彼女の艶かしい香りを感じた。
それをたしかめようと、ゆっくりと足を開く。
そこに俺が待ち望んだ彼女の「女」が溢れていた。
俺は彼女の快感をむさぼるようなことはしたくない。
それはセレアだって望んではいないはずだ。
これは、ただ彼女が一人の女として硬い殻を砕く切っ掛けとなればいい。
そう。君だって、もう女としての幸せを望んだっていいんだ。それを気づいて欲しいだけだ。
俺は壷口の蜜を指先に絡め、彼女が十分に用意ができていることだけを確かめると、
そのまま大きく覆いかぶさった。
「オルウェン…来て…。」
セレアが待っていたように俺に囁いた。
それを聞き届けると、俺も十分に用意できている自分を彼女の真ん中にあてがった。
そして一気に貫く。
「…ぁああっ…!!」
少し遠慮がちとも言える、しかし思わず漏らしてしまったと言うような喘ぎが届く。
それだけで俺の思考は快感に飲み込まれていきそうになる。
俺は必死に理性を意識する。
しかし長く積み重ねた願いを叶えた感動は、それをたやすく飲み込んでいってしまう。
絡みつく淫水。こすれあう内壁。震え迫る圧迫感。衝撃と共に上がる飛沫。ぶつかり合う湿った音。
そして…彼女の熱い吐息。
だめだと思いつつも、俺は本能のままに腰を突き動かしてしまう。
「ぁはあぁんっ!あんっ…!あんっ…!!」
セレアも完全に快感に飲み込まれた恍惚の表情で俺を見つめる。
俺たちは見詰め合ったまま、片時も目を逸らさず一緒に動いていた。
俺は熱にうかされたかのように彼女の名前を呼び続けた。
それだけが、俺をぎりぎりのところで踏みとどませる手段だった。
そして、どうしてそうなったのかもわからないほどの間に、俺たちはキスをしていた。
セレアに頬をつかまれて引き寄せられたのかもしれない。
彼女のみずみずしい唇に包まれ、俺の舌は彼女の中を動き回る。
下の結合部に負けないほどの淫らな音を立てて、お互いの唾液が行き来する。
これが、もしかしたら、彼女が殻をやぶった瞬間だったのかもしれない。
苦しそうに唇を外すと、セレアは
「ああっ…!オルウェン、オルウェン…っ!もうっ…ああぁんっ!」
と限界の叫びを上げた。
「セレア…セレア…!出すよ…!」
俺とて、もう既に同じ気持ちだった。
「来て…!私もいくうっ…ああぁはぁあんっ!!」
瞬間、俺は戸惑ったが、セレアの足は既に俺の腰に絡み付いていた。
彼女がそれを望むのなら、俺に迷いはない。
俺は最高に愛しい女の中で、同時に果てた。


セレア。
お前に俺の思いは届いただろうか。
お前の寂しさに濡れる心を包むことを何よりも望む俺に、気が付いてくれただろうか。
気づいてくれたのなら、そう、今すぐでなくてもいい。
俺は何時までもお前を待っている。

永遠に…。

お前は俺の「女神」なのだから…。


<Fin>
22470sage :2007/09/26(水) 13:51:31 ID:2O891BDE
以上です。

ところでまたかなり私的なことなのですが、
HP完成目前です。
見てみたいと言っていただけた方が数名(3かな;;)いらしたので、
完成時に報告をしたいと思うのですが、
URLをここに書くのは宣伝になっちゃうのでだめですよね。
検索サイトにひっかかるようになってから確認して、
検索文字かなんかを報告させていただく形でいいのかな…。
あーほんとに自分のことばっかりでスレ埋めててすみません;;
225名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/26(水) 15:42:22 ID:hR9IE/iY
>>70
グッジョブ
今回も楽しく読ませてもらいました
やっぱり娼婦さんの話というのは、他にはない
いろんな意味での刺激があって、個人的に大好きです

以前、ロズエルシリーズの作者さんもHPを作ってましたが
あの方はここにURL載せたんだっけかなー・・・
抵抗あるのなら、『えろだ』とか使うのはどうでしょ?
ちょっとした作品と一緒に、私のHPですみたいな
226名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/27(木) 00:18:43 ID:8.nNUTZE
>70
GJです。
氏の作品はシナリオも巧いけど何よりもキャラが魅力的ですな。
リュカやリルの話もまた読んでみたいと思います。
スレ独占を後ろめたく思うことなくどんどん独占しちゃってください。
HPも超期待してます。
22770sage :2007/09/28(金) 11:51:33 ID:5bXeuDrA
ALLキャラ総出演の番外編を投下させていただきます。
…眠い。
228季節はずれの番外編sage :2007/09/28(金) 11:52:52 ID:5bXeuDrA
ここはルティエ。ミッドガルドより遥か北方。
一年中雪に覆われる白銀の街。折しも今日はクリスマスイヴ。
ルティエの街はサンタクロースたちが行うイベントに一層の賑わいを見せていた。

今日はあるカップルの記念すべき日となる。
あの、不幸な過去を抱えた少女と、孤独な生活に生きる目標を失っていた青年が、
これからの生涯を共に歩む誓いを交わす。
そう、二人は今日、結婚するのである。


「おーい!違う違う!その花はあっちの通路のやつだって!そこに置くのは向こうにある白いやつだ!」
大きな声を上げて式場の準備を取り仕切るのは、アサシンクロスのレン。
同僚で親友でもあるエドのため、今日のパーティーの幹事をかって出たのだ。
花婿、花嫁共にギルドメンバー。
それにエドはマスターのオルウェンの古くからの友人でもあり、リュカはオルウェンの娘とも妹ととも言える存在。
オルウェンの一声で、ギルド総出で二人の結婚を祝うことになっていた。
式の開始予定時刻まで後一時間。
慌ただしく会場の準備が進められていた。


そしてこちらは花嫁控室。
既にドレスに着替え、今日の主役である花嫁のリュカが、
姉のように慕うセレアに髪を結ってもらい化粧を施されていた。
リュカは17歳になっていた。
「リュカ、いいわよ。もう目を開けて。」
最後の仕上げに瞼のシャドウを入れ終わり、セレアはリュカに言った。
「……。」
聞こえていないはずはないのに、リュカは眉間にシワを寄せるようにして目を閉じたままだ。
「リュカ?」
セレアはもう一度呼びかけた。
「………吐きそう…。」
「え!?」
「……うっ…ぷっ」
「…やだ!大変!リータ、桶を持って来て!早く!」
「あっああ!」
リータが慌てて手桶を持って駆け寄った。
「…ううう…。」
リュカは桶に顔を入れるようにして、吐き気を堪え呻いている。
「大丈夫…?」
セレアは心配そうにドレスの背中をさすり、
リータはどうしていいのか分からずにオロオロと周囲を歩き回っている。
数分もすると、リュカは顔を上げて、
「…治まった…。」
と言った。
「…よかった…。」と、付き添いの二人も胸を撫で下ろした。
「しかし、こんなに吐き気がしては…、今日の式は大丈夫なのか?」
リータが心配そうに尋ねた。
「もうつわりは終わったはずなんだけど…。今日になったら急に復活したみたいで…。もぅやだ…。」
花嫁らしからぬ青い顔をしたリュカが答えた。
「そうね…、もしかしたら緊張してるせいかしら…。」
セレアが首を傾げながら言う。
「もうやだー!エドに会いたい…なんか不安なの!」
と、足を大きくジタバタさせてワガママを言う花嫁。
せっかく綺麗に化粧をしたというのにその目からは涙が滲み出し、
これで本当に妻や母親になれるのかと二人をげんなりさせた。
「もう…仕方ないわね。リータ、エドを呼んできてあげて?」
「はいはい。」
229季節はずれの番外編sage :2007/09/28(金) 11:53:31 ID:5bXeuDrA
リータは建物の反対側に位置する花婿控室を訪ねた。
「エド?私だ。いいか?」
ノックをしながら呼びかけると、「どうぞ!」とすぐ返事があった。
「班長、どうしたんすか?」
既に支度を終え、ピシッとしたタキシードに身を包んだエドは、控え室でくつろいでいた。
「すまんが花嫁の控室まで来てくれんか?リュカが呼んでいるのだ。」
「はぁ?」
「どうやら緊張しすぎて不安になってるようでな…。エドを呼んで来いとワガママを言うのだ。」
「…あいつは…。」
エドも頭を抱えてガックリとした。
「つーか、普通は式直前に支度を終えたら、花嫁とは会わないもんなんじゃないすかねぇ…?」
「さぁ…。でも花嫁が暴れてはどうにもならん。
セレアも仕方がないからお前を連れて来いと言っていた。」
「はいはい。…ったく、リュカは…。」
と、二人は花嫁の控え室に向かった。


「リュカ、お待ちかねのエドだぞ。」
リータに先導され、エドが花婿禁制のはずの花嫁控え室に足を踏み入れる。
「リュカ?どうしたん…」
「エドぉぉぉぉ!」
エドの姿を見るなり、リュカはウエディングドレスを翻して飛びついた。
「お前なー…、せっかくみんなが世話焼いてくれてるっつーのに…。」
「だってぇ…。」
エドの胸に顔を埋めるリュカの後ろから、セレアとリータがエドに目配せをしてそっと部屋を出てゆく。
花嫁と花婿だけを残し、パタンと静かに戸が閉められた。

「ほら、化粧が崩れるぞ?何をそんなに不安がってんだ?」
「わかんない…。わかんないけど、なんか不安なの…。」
リュカの表情はほとんど半泣きだった。
「ねぇ…、これって、夢じゃない?結婚式も、このお腹の赤ちゃんも…、夢じゃないの?」
「何言ってるんだよ。今日俺たちは夫婦になるし、
お前の腹ん中にはたしかに俺とお前の妊娠4ヶ月になる赤ん坊がいる!
夢なんかじゃないぞ?」
「うん…。」
リュカは少しだけ安心したように頷いていた。
そんなリュカを見ながら、エドは思いを巡らせる。
リュカは聞くに耐えないような不幸な過去を抱えている。
俺と出会い幸せを掴んだといっても、その傷が消えたわけではない。
癒すことの出来ないトラウマが、今結婚と母となるという二重の揺るぎない幸せの前に、
どうしようもない不安という形で現れているのかもしれない。
エドはそう思うと、花嫁を見つめて言った。
「結婚なんてのは紙の上だけの契約だ。俺たちの間は今までと何も変わらない。
ただ数ヶ月後、俺にはお前と同じくらい大切にしなきゃならない存在が増える。
お前、いいお母さんになりたくないのか?」
「なりたいよ…!でも…、なれるのかな…。」
「俺を思うのと同じように愛してやればいいんだ。
まぁちょっとはお前も学ばなきゃならないことがあるけどな。
俺も居るし、一緒に頑張ればいいんだ。な?」
「うん。」
リュカはやっと安心した表情を見せた。
エドもホッとする。
「エド…。」
「ん?」
「キス、して?」
「馬鹿、口紅取れるぞ。」
「また後でセレアに塗ってもらう。」
そう言って瞳を閉じ顔を上げる。
エドはやれやれと言うような顔をし、それでもやはり愛しい花嫁の望むままに口づけた。
なるべく、口紅が取れないように軽く。
それでも目を開けない花嫁。
仕方ないからもう一度軽くキス。
まだ待つ花嫁。
しょうがなくまたキス。
と繰り返しているうちに、何時の間にかそれは濃厚な口付けへと変化してしまった。
深く唇を交差させ、舌を絡めて唾液を交換し合う。
「んっ…ちゅ…ふぁ…ん、ちゅうっ」
花嫁の指は何時の間にか花婿の耳へと伸び、愛おしそうに撫でながら耳たぶを弄ぶ。
花婿の手も、ドレスの上から胸の膨らみを確かめていた。
妊娠中の花嫁の乳房は、それ以前よりも一段と張り出し、乳首は大きくより敏感になっていた。
「ふぁっ…エド…んっ…。」
「ん…?」
「もぅだめ…んふっ…いれて…?」
「馬鹿…式…始まっちまう…。」
「短くていいから…はぁっ…も…我慢…で…きな…ふぁんっ…!」
「…一回だけだぞ…?」
「ん…。」
花婿はゴソゴソと花嫁の大きく膨らんだドレスをたくしあげ、手を入れて中を探る。
予想通り、そこに下着はない。
直接指で秘所に指を這わせると、これまた予想通りかなりの湿り気を帯びていた。
たくしあげたドレスを下半身に被せるようにしたまま、
急いでベルトと留め金を外し中で膨れあがっていた性器を取り出す。
傍の姿見鏡の中央に、小物を置く小さな突っ張り棚があることに気がつくと、花嫁を軽く持ち上げてそこに座らせた。
ドレスが汚れないように大きく広げ、その中に花婿の下半身を隠す。
ドレスの中で花嫁の片足を持ち上げ、腰を少し手前に引き寄せた。
それで丁度、お互いのアソコが向き合う。
また唇を合わせると、一気に挿入した。
「んっ…んんっ…!!」
唇を合わせたのは、花嫁の声を塞ぐため。
合わせたその中で舌を絡め、そしてドレスの中で性器を絡め…。
この場所、この衣装、そしてこれから夫婦となるというその状況が、二人を猛スピードで快感に導いてゆく。
「んぷっ…!」
流石に苦しくなった花嫁が唇をはずした。
慌てて花婿が
「リュカ…!シッ…!」と諭す。
「んっ…わかって…るっ…!ね…エド…。」
腰を動かしながらも、唇を時々触れ合わせながら吐息で会話を始めた。
「ん…?」
「赤ちゃん…男…の子…かな…?女の…子…かな…?んんっ…!」
「さぁ…な…。とりあえず…、どっちでも…パンツは…履くように…育て…ような…?」
「…バカ…ぁんっ…!」
「リュカ…?」
「なに…?」
「ウエディング…ドレス…すげぇ…似合って…る…ヤバい…くらい…。」
「んっ…じゃ…式が終わって…もっ…ドレスでエッチ…またする…?」
「…バカ…!」
「フフッ…ぁあんっ…!」
また濃厚なキスを始めながら、ドレスの中の淫行は続いていった。
230季節はずれの番外編sage :2007/09/28(金) 11:54:20 ID:5bXeuDrA
「ふーっ!何とか間に合った…。」
プロンテラ城での会議を終えたオルウェンは、急いでルティエに駆けつけていた。
式のパーティー会場を見渡すと、もうすっかり準備はできているようだ。
「マスター!!」
「おぉ!レン。幹事ご苦労様。」
「とんでもないです。
ところで、準備が終わったんで控え室に居るセレアさんに電話入れてんですけど…出てくれないんですよ。」
「何?リュカんとこか?」
「はい。」
「んじゃ俺がリュカの顔見がてら行ってきてやるよ。」
「お願いしますー。」

カツカツと甲冑の足音を響かせながら進むオルウェン。
その間、フッと微笑んだり、かと思うと急に寂しげな顔をしてみたり。
彼にしてみれば、リュカは娘も同然の存在。
娘を嫁がせる父親のような、いささか複雑な心境なのかもしれない。
急な会議のため、もしかしたら式に間に合わないかもしれないとリュカには伝えてあった。
しかしギリギリ間に合った。
既にここに着いていることでリュカを驚かせようと、オルウェンはノックもせずに花嫁控室の扉を開けた。
「リュカー!!」

……。

そこには、鏡にもたれるウエディングドレス姿のリュカ。
そしてドレスで下半身を覆いかぶせるようにして寄り添う、タキシード姿のエド。
結合部さえドレスに隠れて見えないものの、二人の火照った顔があの中で何をしているのかを物語っていた。
固まるオルウェン。
もちろん、花嫁花婿も固まる。
「あ…オルウェン…おはよ…。」
リュカは思わず惚けた挨拶をした。
それに釣られて、エドも「よぉ…」と挨拶。
オルウェンはガックリとうなだれながら無言で扉を閉めた。


なんなんだあいつらは…。
これから結婚式だっていうのに!
あんなんだから、できちゃった結婚なんかになったんだ。
二人がゆくゆく結婚するのはわかってたことだが、
俺はもうちょっとリュカが大人になってからがいいと思ってたんだ。
それなのに、エドの奴が猿だから、リュカが妊娠なんてことになって…。
早すぎるとは思ったが、生まれてくる子供のことを考えて今の結婚に賛成したんだ。
そんな俺の心遣いも知らず、あいつらは…。

と、心の中で文句を繰り返しながら廊下を進むオルウェン。
その時、廊下の角からセレアが現れた。
「オルウェン!よかった、もう来てたのね!」
「ん…。」
「何?そんなに怖い顔して…。
それよりもう直ぐ時間だから、リュカとエドを呼んでこなくちゃ。」
「ああああああー!!」
「…何その大きな声は…。」
と、セレアはわざとらしく耳を塞ぐ。
「えーーっと、式はだな!延期だ!あと10分…いや、20…?いや、30分の延期だ!」
「え?どうして?」
「俺が着いたばかりで疲れてるからだ!!俺が言うんだから皆に文句は言わせない!
ほら、会場で待ってる奴らに伝えに行こう!!」
「?…ええ…。」
不審な決定に首を傾げるセレアを引っ張り、オルウェンは会場へと続く廊下を進んで行った。
231季節はずれの番外編sage :2007/09/28(金) 11:54:47 ID:5bXeuDrA
少し化粧の乱れた花嫁と、何故かスッキリした顔の花婿が控え室から出てくると、
30分延期されていた結婚式がやっと始まった。
神父の前に立った二人は、愛の誓いの言葉を交わす。
そして指輪の交換。
花嫁が溢れさせる涙を見ると、父親役のオルウェンもさっきの怒りを忘れて目を潤ませた。
その後、華やかなパーティーが始まり、皆各々の祝いの言葉で二人を囲んだ。
最大のイベントは、クリスマス期間だけルティエで結婚式をすると召還されるストームナイトの手痛い祝福だ。
せっかく綺麗に準備した会場が、激しい魔法で瞬く間にぐちゃぐちゃとなった。
もちろん標的は花嫁と花婿。
ドレスと正装の二人はスキルを使うことができず、あっと言う間に地面に寝転んでしまう。
その後も酒に酔って気の大きくなったギルドメンバーたちが次々と突っ込んではなぎ倒されてゆく。
これが通常フィールドだったらまさに地獄絵図となった所で、
最後は、オルウェン、リータ、レン、そしてそれを支援するセレアの手によってストームナイトは消滅した。

そして最後のメインイベント。ブーケトスだ。
沢山の女たちが待ち受けるリュカのブーケは、そのコースを外れ、
離れた所で遠慮がちに見ていたセレアの胸に当たり、その手の中に落ちた。
ブーケを手にしたセレアに拍手が上がる。
「やだわ…貰うつもりなんてなかったのに…。」
セレアは赤らんだ顔で困ったように言った。
「まぁそう言うな。受け取れ。
お前がリュカを心配して来たように、リュカもお前の事を気遣っているのだ。その思いを…、な。」
隣に居たリータがセレアに囁いた。
「…リュカ…。」
可愛い妹の思いを知り、セレアは瞳を潤ませた。
232季節はずれの番外編sage :2007/09/28(金) 11:55:21 ID:5bXeuDrA
そしてその夜。
花嫁と花婿は初夜を過ごしているわけだが、
あの二人が今頃何をしているかなんて分かり切ったことは、あえて形にはしまい。割愛。


プロンテラ内の小さな家に戻ったレンは腰を抜かしていた。
「なっなっなんだそのカッコは!?」
「ん?裸エプロン・クリスマスバージョンだよ?」
レンの相方で同棲相手のリルが、赤で白いフリルをあしらったエプロンを裸姿に着け、
頭には白いボンボンのついたサンタ帽、赤いブーツを履いてご丁寧に白髭までも付けていた。
呆気に取られるレン。
「としたの?こーゆーの、キライ?」
不安気に尋ねるリル。
「いっいや、キライじゃないぞ。むしろ…スキ…ゲフンゲフン。」
真っ赤な顔をしたレンが答える。
「よかった!ね、ケーキ焼いてあるよ?食べる?」
「いや…その前に、お前を食いたい…。」
「やだぁ、レンったら。あはっ。」
そうして二人はベットルームへと消えていった。


そして同じくプロンテラのとある家。
リータとロイが、ささやかなクリスマスメニューの前でグラスを合わせていた。
「おつかれ、リータ。それに、メリー・クリスマス。」
「メリー・クリスマス。」
チン、とシャンパンの入ったグラスが音を立てた。
「どうでした?結婚式は。」
「ああ、いい式だった。ま、いろいろ大変だったけどな。」
「そうですか。今夜はゆっくり休みましょう。」
「ん。」
そうして、食事を始めた。
食事も終盤にさしかかった頃、ついと立ち上がったロイは何かを取りに隣の部屋へ行き戻ってきた。
「どうした?」
ナフキンで口を拭いながらリータが尋ねた。
「これを、リータに。」
そう言ってロイは、小さな宝石箱を差し出した。
「…。」
中身は予想できるほど分かりきっていたが、リータはそれを受け取ってそっと開けた。
中には、今日リュカがしていたものにも負けないぐらいの、輝くダイヤの指輪があった。
「これは…。」
「リータ。私の生涯の伴侶となってください。
今はまだ私は頼りないかもしれないですが、あなたを一生守ってゆきたい。
私に自信がついたら、その指輪をはめてください。」
「ロイ…。」
みるみるうちにリータの目から涙が溢れた。
「嬉しい…。私、その時を待ってる…。」
「リータ…。」
二人は固く抱き合って、長い口付けを交わした。


一方こちらはプロンテラ城内の治安維持部隊隊長執務室。
結婚式のため、オルウェンもセレアも二人して半日休暇を取ってしまったため、
処理しなければならない書類が山のように溜まっていた。
二人で黙々と書類の整理をしている。
時計が「ボーン」と鐘を鳴らすと、時間は0時を回っていた。
「はぁ…。終わっちゃったね、クリスマスイヴ。」
セレアが時計を見つめ、一息ついた。
「だな。」
オルウェンは書類から目を離さないまま答える。
セレアはそんなオルウェンに視線を向けたが、彼はそれに気づかない。
そのまま視線をちょっとずらして、オルウェンのデスクの脇においてあるブーケを見た。
しばらくそれを見つめた後、思い切って口を開いた。
「ねぇ、後の書類はうちに持って行って片付けない?
もうお腹空いてきたでしょ。私、夜食作るし。」
「えっ!?」
オルウェンはすっとんきょうな顔をしてセレアを見つめた。
「だ、か、ら、…私の家に来ない?って言ってるの!!」
言ってしまったのを少し後悔しながら、それでももう後には引けないとセレアは真っ赤な顔で言った。
「いっ、いいのか!?」
オルウェンはあたふたしながら立ち上がった。
「うん…いいよ。…泊まってっても…いい…。」
セレアはもう彼を見ることができず、隠れるように俯いてしまった。
「ま、待ってろ!?すぐ用意するから!!」
オルウェンは慌てて着替えを取りに隣の仮眠室に飛び込んだ。
「ええ。」
ところがすぐに仮眠室から顔を覗かせて、
「…逃げるなよ!?」
と念を押してきた。
「逃げないわよ!馬鹿!!」
と、真っ赤な顔で怒るセレア。


こうして恋人たちのクリスマスの夜は更けていった。


<Fin>
23370sage :2007/09/28(金) 11:55:58 ID:5bXeuDrA
勢いだけで書きました
でも後悔はしていない!!
234名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/28(金) 19:54:26 ID:VEh.bQRI
面白かった。
けど、誰だおまいはっていうキャラもいるなぁ。
235名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/28(金) 21:46:48 ID:JEaaX8PE
つーかさ

ROじゃなくても通じる部分あるじゃん
236名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/28(金) 22:46:42 ID:u87xhgkA
それはまぁ・・・このスレのなかに書かれたものだけでもほとんどそうじゃね?
ROしてるって感じのあるか?
237名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/29(土) 02:02:36 ID:NECD9zhw
番外編って書いてあんじゃん
238名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/29(土) 03:16:36 ID:CzvThBj6
番外編かそうじゃないかって関係ないだろ
239名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/29(土) 05:55:09 ID:.0.lszZI
GJGJ
面白かった

しかしリータとレンは記憶にない・・・
読み直してみるか
240名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/30(日) 08:16:55 ID:0atM.sZI
激しくGJ!ファンにはたまりませんな
セレアかわいいよセレア(´д`*)
24170sage :2007/09/30(日) 18:45:18 ID:KVDj65Pc
根本的にRO感が薄くなってしまってすみませんでした。
勢いだけで書くとやっぱりいいことないですね…

HPが一応できたので、これからはそっちで頑張らせていただくことにします。
今まで読んで下さった方、ありがとうございました。
卒業っ! ノシ
242名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/10/01(月) 02:24:21 ID:j5gf5W4A
70氏GJでした。
これからも応援したいがHPのアドレスは公開されないのだろうか?
ここに書くのは宣伝になるから避けたいとのことを言っておられたが、
どこか別の場所で公開されるのかな?
243名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/10/11(木) 18:41:48 ID:J3ctz0rg
70氏のHP見たい人(1/20)
キーワードでもおいてくれたら探す
244名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/10/16(火) 10:30:10 ID:j2X.RkYQ
70氏のHP見たい人(2/20)
これからも新作が読みたいので
245名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/10/21(日) 12:12:58 ID:Y.7PxqvE
検索にかかるようになったらキーワードを置きに来るって言ってたじゃないか
まだ検索にかからないんだろ
246名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/10/24(水) 16:57:13 ID:Ktxfovdw
70さんGJ
RO成分薄くても、ROの職業やキャラがあって成り立つものも多いと思いますよっ!

そして久々に来てみたけど賑わってるようで何より。
甘々な作品しか書けないんだが、今は需要があるのかなぁ…
書いてみようかと思いつつ、どうしようか迷う俺ガイル。
247名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/10/24(水) 19:34:30 ID:Y.dWsGWk
>>246
どんなジャンルでも、書いてくれて投下してくれる人は文神でつ
遠慮せずカモン!
248名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/10/29(月) 00:19:54 ID:/JQ2/Lyk
えろだ、死んだか……?
249名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/02(金) 19:56:59 ID:bWmlOw8I
70氏も去って、また停滞になってきたなぁ
寂しいね。自分に書く才能があればいいんだが。
250名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/03(土) 01:21:35 ID:t7lLOxno
才能なんか必要無いぜ。
書こうと思う気持ちさえあれば。
最初の方はそういう書き殴りっぽいのばっかだったのにな。

当方6ヶ月前に引退してアカウントも消えようかと言う頃。
書こうかと言うネタはあるんだが、
リアルが落ち着いてから…。
ってそんな事言ってるからいつまでも書けないんだが。
251名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/04(日) 01:36:45 ID:OoxGv4DI
みんなすごく上手くてLv高いからねぇ(;´ー`)
書きなぐりみたいなのでよければ、書いてみようかなぁ
252名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/04(日) 09:36:02 ID:BR3VDNLI
どこかの猫がこんな事言ってた

『どんな冒険にも最初の一歩が必要だ。陳腐な言い方だが、けだし名言だね』

古いネタでスマン
253名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/08(木) 00:14:26 ID:l38ob2e6
なんかこう鬼畜責め妄想のネタはないものだろうか。
254名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/08(木) 20:47:41 ID:pp9Gvqd2
ぼんやりROサーチエンジン系列をめぐってたら70氏のサイトを見つけた・・・。
新作があってうれしかったぜ
255名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/08(木) 22:22:33 ID:V37DOKB.
な、なんだってー!
教えてもらうわけにもいかないしがんばって探すか。
256壊れた笑顔sage :2007/11/15(木) 18:34:17 ID:1bSAVvpw
 彼女がその仕事に志願したのは、本当に純粋な使命感からだった。
 彼女は心からみんなの笑顔を愛していたし、彼女自身もまた、よく笑う朗らかな娘であった。募集の張り紙を見た時は、運命的なものさえ感じたほどだった。
「こんにちは、スマイルガールです!」
 耳を傾ける者もいなくなって久しいその言葉を、今日も繰り返す。
 プロンテラの街角――
 彼女がこの場所に立つようになって、もう数年が過ぎていた。
 かつては彼女の言葉に興味深く聞き入ってくれた街の人々も、今では彼女がそこにいることすら忘れてしまったかのように、足早に通り過ぎてゆく。
 ごく稀に声をかけてくる人がいても、殆どが人違いや、あるいは苦情といったものでしかない。
「なんだ、カプラじゃねえのかよ」
「邪魔なんだよなァ、こんな所に突っ立ってられちゃ」
 あからさまな苛立ちを顔に浮かべ、ぺっと唾を吐き捨てていく者もいる。
 無言で通り過ぎてゆく人々も、少なからず同じようなことを思っているのだろう。彼女に向けられる視線は、道端に転がる犬の糞を見る時のそれと等しかった。
 しかし、彼女は弱音すら吐かず、ただ笑顔で、人々の白い目に耐え続けた。みんなに笑顔を与えるには、まず自分が笑顔でなければならないと、そう信じていたからだった。その信念だけが、折れそうな彼女の心を支えていた。
 ある日の帰宅途中、彼女はふと、街角の窓ガラスに映った自分の姿に目を止めた。
 一瞬、目を疑った。これが本当に自分なのだろうかと思った。
 支給された時には真新しかった制服は、あちこちが綻び、薄汚れていた。肌は荒れ、頬はげっそりとこけて生気がなかった。そのくせ、顔だけは、まるでそれ以外の表情の作り方を忘れてしまったかのように、にっこりと笑みの形に歪んでいた。
 そういえば、と彼女は思った。最後に本当の笑顔を浮かべたのは、いったいいつのことだっただろうか?
 記憶を辿ってみたが、思い出せなかった。もうずっと長い間、心から笑うことなどなかったのだ。
 ふいに、胸が張り裂けそうな気がして、視界がぼやけた。
 泣くのかな、と思ったが、窓ガラスの中の自分は、相変わらず乾いた笑顔を浮かべたままだった。彼女は無理に泣き顔を作ってみようとしたが、笑顔が奇妙に変形しただけで、うまくいかなかった。
 瞳に溢れた涙が、重力に耐え切れず頬を伝い落ちた時も、窓ガラスの中の自分は歪な笑みを浮かべていた。彼女はその顔が、泣くこともできない自分を嘲笑っているような気がした。
257壊れた笑顔sage :2007/11/15(木) 18:34:57 ID:1bSAVvpw
 翌日の朝、彼女は初めて仕事に行きたくないと思った。それでも、体に染み付いた習慣というものは変わらなかった。彼女は結局いつものように薄汚れた制服に着替え、家を出た。
「こんにちは、スマイルガールです!」
 街角に立ち、無駄な呼びかけを繰り返す。顔だけは笑ったまま。
 彼女の目は虚ろで、声は心ここにあらずといった風であったが、その変化に気付く者などいるはずもなかった。街はいつもと同じように、せわしない日常を消化してゆく。
 ――ああ、なんだ、そうだったんだ。
 惰性だけで声を張り上げながら、彼女は思った。
 私がどうなろうと、何をしようと、誰も何も感じない。たとえ私がいなくなったって、彼らは気付きもしないだろう。いや、むしろ、せいせいしたと思うかもしれない。
「……あはは」
 彼女の喉が引き攣るように震え、唇から笑い声が洩れた。ふっと視界が滲み、彼女は視線を床に落した。
 その時、誰かが自分の前を通り過ぎる気配がした。
「あっ、こんにちは、スマイルガールです!」
 彼女は慌てて目を拭い、顔を上げてそう言った。
「あン、スマイルガールだぁ?」
 やって来たのは、男の二人組みだった。一目でそれと分るほどに泥酔していた。顔は紅潮し、足取りはおぼつかない。しかし、目だけはぎらぎらと嫌な光を放っている。
 堅気の目ではなかった。どんなに酒臭い息を吐きながらも、その身に染み込んだ暴力の匂いは無くならない。
 まともな人間なら、決して関わりあいたくないと思う人種である。しかし、その時の彼女は、そんな判断すらできないほどに弱りきっていた。
「おう、兄貴、こいつスマイルガールだってよ」
「へえ」
 兄貴と呼ばれた男は、口元を歪めて笑い、目を細めて彼女を見つめた。肉食の獣が、獲物を品定めするような目つきであった。だが、彼女はその目つきを、イベントへの興味だと思い込んでいた。
「えっと、トリスタン三世国王陛下の命により、明るいミッドガッツ王国を作るためのイベントがありましてですね、私はその中の『国民に笑顔を!』というサービスを担当させていただいております」
 久しぶりにやってきたお客に、彼女は弾けるような笑顔を浮かべ、早口でまくし立てた。
「へえ、国民に笑顔を、ねえ……」
「ちょうどいいや。どうにも最近、面白いことがなくってね」
「はいっ! このイベントをきっかけに、私だけではなく、みなさんが笑顔で生きていける世界を作りましょう!」
 彼女がそう言った時だった。いつの間にか彼女の両脇に移動していた二人の男が、いきなり両手首を握ってきた。
「きゃっ!?」
 彼女は思わず声をあげ、男たちの手を振り解こうとした。しかし、屈強な男二人に、女の細腕で敵うはずもない。彼女はバンザイをするように両腕を持ち上げる格好となった。
「な、何するんですか、放してください!」
「うるせえ!」
 弟分が怒鳴り、彼女の顔を空いた方の手で殴った。容赦のない力が込められていた。生温いものが鼻から溢れるのを彼女は感じた。痛みよりも、突然のことで何がなんだかわからなかった。
「おい、クソアマ。明るいミッドガッツを作るだと?」
 彼女は力なく頷いた。その髪がぐい、と引かれ、彼女は仰け反るように顔を上げた。
「そのくだらねえお題目のせいで、俺らがどんな目に遭ってるか分ってんのか? ええ?」
 言いながら、男は彼女の髪を掴んだ手を振り回した。ぶちぶちと頭髪が引き千切られ、彼女の口から悲鳴が洩れた。
 明るいミッドガッツ計画は、何もスマイルマスクを配布するだけのものではない。いや、むしろ、計画の大分部は、荒廃した国内の治安浄化にあるといってもよかった。その中で、彼らのような闇社会に生きる者たちは、真っ先に取り締まりの対象となった。
「国民に笑顔を、とか言ってたっけなァ、あんた」
 兄貴分の男が、舐めるような視線を彼女に這わせた。
「俺たちも国民なんでね。たっぷり笑えるショーを見せてもらおうじゃないか」
 言いながら、男は腰に提げたナイフを抜いた。白刃がぎらりと光り、彼女はひっと声をあげて身を硬くした。
「おっと、動くなよ。手元が狂っちまうだろ」
 男の手がすっと持ち上がり、ナイフの刃先が彼女の襟元に触れた。その刃が、少しずつ彼女の服を切り裂いてゆく。
 いつの間にか、騒ぎを聞きつけた人々が、三人の周りをぐるりと取り囲んでいた。しかし、誰一人として男たちを止めに入ろうとする者はいなかった。みな、関わりあいになるのを恐れているのである。
 いくら当局の取り締まりが強化されているとはいえ、闇社会を取り仕切る組織の力はまだ強い。彼らと諍いを起こせば、恐ろしい報復を受けるのは目に見えている。
「見物人もたくさん集まってきたじゃないか。さあ、路上ストリップショーの始まりだぜ」
258壊れた笑顔sage :2007/11/15(木) 18:35:31 ID:1bSAVvpw
 彼女はぎゅっと目を閉じた。男の手が一気に振りぬかれ、素肌が風に触れるのが感じられた。
 観衆のざわめきが彼女の耳に届いてきた。それは哀れみよりも、下品な好奇の声であった。
「へへえ、思ったよりもでけえ乳してるじゃねえか」
 弟分は舌なめずりして、下卑た笑い声をあげた。
「客の受けもいいようだぜ、なあ?」
「まったくだ。もっとサービスしてあげなくちゃな」
 言いながら、兄貴分の男は寝かせたナイフで剥き出しの乳房に触れた。冷たい金属の刺激に、彼女の意思とは関係なく、乳首が硬く尖っていく。
「いいねえ、そそる眺めだぜ。どら、こっちもきちんとお披露目しないとな」
「いやっ、やめてください……!」
 彼女の言葉に耳を貸そうともせず、男は下着ごとスカートを剥ぎ取った。三角の黒い茂みが露わになり、彼女は必死に両膝を合わせた。
「おいおい、そんなに脚を閉じてちゃ、よく見えないだろう?」
 男は苦笑いしながら手錠を取り出し、彼女の両手首を背中の後ろで固定した。
「おう、こいつのマン穴がみなさんによぉく見えるようにしてやりな」
 弟分は頷いて彼女の後ろにしゃがみこむと、膝の裏に手を回し、一気に彼女の体を抱え上げた。
「あっ……!」
 観衆の視線が一斉にそこに集まり、誰かがごくりと唾を飲む音が聞こえた。
 大きく開かれた脚の真ん中に、幾重にも折り重なった柔襞で形作られた肉の薔薇が咲いていた。その下の窄まった菊穴までも、余すところなく衆人環視の中にさらけ出されている。
「はは、まるで親がガキに小便させてるみてえな格好だなァ。ケツ穴までよォく見えるぜ」
 男はげらげらと笑い、腰に提げていた酒瓶をあおった。口元から、溢れた酒がぽたぽたと地面に落ちる。
「ぷはっ……とォ、どうせなら、もっとよく見えるようにしてやらねえとなァ」
 口元を拭い、男は残った酒を彼女の股間に浴びせた。再びナイフを構え、脚の間にしゃがみこむ。
「ひっ! な、何を……」
「さあて、ストリップショーの次は、公開剃毛ショーのお時間だぜ」
 男は笑いながら、ナイフの刃で彼女の陰毛を剃り始めた。安酒に濡れた茂みが、じょりじょりと音を立てて剃り落されていく。
「やっ……ぁ、やめっ……!」
「っとォ、動くなって。クリ豆も一緒に削ぎ落しちまうかも知れねぇぜ? あるいは、もう一つ穴が増えちまうかもなァ」
「ッ……!」
 彼女は唇を噛み、体を強張らせた。
「そうそう、大人しくしてな……っと、よォし、できた」
 男は立ち上がり、綺麗に剃り上がった彼女の陰部を見下ろした。
「おほォ、こいつはいいや。見事なツルマンに仕上がったじゃねえか。ピンクのビラビラのひとつひとつまで、くっきりと見えらァな。おい、てめえも見てみろよ」
 彼女は恐る恐る目を開き、変わり果てた自らの局部を見やった。幼女のようにつるりとした肌の中に、熟した柘榴のような肉の割れ目が覗いていた。ひどくアンバランスなその眺めの向こうに、大勢の観衆がにやにやと下品な笑みを浮かべているのが見えた。
 ――あ。
 羞恥心と屈辱感で狂いそうになる意識の中で、ぞくん、と甘い疼きが彼女の体を疾り抜けた。
「おう、おう。マン穴がグチョグチョに濡れてよォ、絶景だぜ」
 男は再びしゃがみこみ、しげしげと彼女の秘肉を眺めた。
 もちろん彼女は濡らしてなどいなかった。彼女の秘部を濡らした液体は、男が浴びせた酒である。
 しかし男はそんなことを気にする素振りもなく、彼女のそこに指を突っ込み、無造作にかき回した。
 男を知らない体ではなかったが、彼女のそこはまだ異物を迎え入れることができるような状態ではなかった。
「ひぅっ! あ……ぁ!」
 全身を貫く痛みに、彼女の唇から、悲鳴にも似た声が洩れた。その声に、男が嗜虐的な笑みを浮かべる。
「いい声で鳴くじゃねえか。おら、もっと鳴いてみろよ!」
 ごつごつした男の指が、いっそう激しく彼女の中を動き回る。肉壷を濡らした酒が、クチャクチャと湿った音を立てた。
「あぁああっ! 痛っ……ぁ……やっ……やめっ…あぁあっ!」
 彼女は狂ったように手足をばたつかせた。だが、弟分に後ろから抱えられたままでは、ほんの些細な抵抗でしかなかった。
「へえ、そんなにやめて欲しいのか?」
 男が指を止めて訊ねた。彼女は苦痛で半ば朦朧としたまま、こくこくと首を上下に揺らした。
「そうだなァ……」
 男は膣穴に指を突っ込んだまま、しげしげと彼女の肢体を眺めた。その顔が、悪戯を思いついた小童のように、にんまりと歪んだ。
259壊れた笑顔sage :2007/11/15(木) 18:35:56 ID:1bSAVvpw
「ひとつ、条件がある」
「じょう……けん?」
「ああ。おめえ、このまま、ここで小便して見せな」
「なっ……!? そん、なのっ……」
「別に難しいこたァねえだろう? いつも便所でしてるみてえに、ここから垂れ流しゃいいんだ」
 言いながら、男は指先で彼女の尿道口を小突いた。
「んっ……!」
「できねえってんなら別にいいんだぜ。このままてめえのマン穴を存分にかき回してやるからよ」
「それはっ……」
 さっきまでの痛みを思い出したのか、彼女はぶんぶんと首を振った。
「じゃあ決まりだな」
 ぬぷん、と男は彼女の中に差し込んでいた指を抜き取り、立ち上がった。
「さあ、お次は路上放尿ショーだぜ。せいぜい勢いよく飛ばして楽しませてくれよ」
「う……ぅ」
 だが、突然小便しろと言われて、すぐに出せるものでもない。彼女はなんとか尿道口を緩めようとしたが、体がぷるぷる小さく震えるばかりで、雫の一滴も溢れてはこなかった。言うとおりにしなければ酷い目に遭わされると分ってはいても、やはり無意識のうちにブレーキがかかってしまうのである。
「どうした、さっさとしねぇか。客を待たせるモンじゃねえぜ」
 男が苛立った声で言った。
 ――客?
 彼女は顔をあげ、虚ろな目を周囲に向けた。無数の観衆が、口元ににやにやと笑みを浮かべながら、彼女の股間に視線を注いでいた。目をそらしている者は、誰一人としていない。その場にいる全ての者の視線が、彼女だけに向けられている。
 ――あ。
 ぞくん、と。
 先ほど感じたあの甘い疼きが、再び彼女の中を駆け巡った。
 みんながわたしを見ている。
 ずっと、誰も、見向きもしなかったわたしのことを、みんなが見つめている。
 笑いながら――。
 そう思った瞬間だった。大きく開かれた彼女の脚の間から、ぷしゃあっと勢いよく黄金色の液体が迸り、宙に放物線を描いた。
「おお、ホントにしやがったぜ!」
 彼女の体を抱えていた弟分が、大声で笑いながら腕を揺らした。飛び散る雫がきらきらと陽光に輝き、広場の石床を濡らしていく。
「ははっ! こりゃあ見事な噴水だなァ!」
 笑い声は、周囲を取り囲んだ観衆からも洩れていた。彼女は呆けたように尿を垂れ流しながら、夢現の中でその声を聞いていた。
 ――ああ、なぁんだ。
 朦朧とした意識の片隅で、彼女は、ふと思った。
 みんなが笑ってる。
 笑顔でわたしを見てる。
 わたしが、ずぅっと、ずぅっと、願っていたもの。
 願って、願って、でも叶わなかったもの。
 もう届かないと思ってた。
 みんなが笑顔になれますように――なぁんて、そんなのは所詮、子供じみた夢でしかなかったと、そう思いかけてたのに。
 その夢が今、ここに叶った。
「――あれ、兄貴ィ」
 彼女の肩越しに首を突き出していた弟分が、ふと何かに気付いたように声をあげた。
「あン、どうした?」
「このアマ、笑ってやがるぜ」
 弟分の言うとおりであった。この狂った宴の中、彼女の唇は、薄っすらと笑みの形に歪んでいた。
「ほォオ、こりゃ面白え。ションベン垂れ流すとこ見られて嬉しいのかよ。とんでもねえ変態だなァ、こいつはよ」
 兄貴分の男は、げらげらと笑い声をあげた。
「……あははっ」
 つられて、彼女の口からも笑い声が洩れた。彼女が長い間ずっと浮かべ続けてきた、偽りの笑いではなかった。本当に、心の底から、彼女は笑っていた。
260壊れた笑顔sage :2007/11/15(木) 18:36:39 ID:1bSAVvpw
「あは、あはは、あははははは!」
 彼女の笑い声は、堰を切ったように溢れ続けた。そのあまりの笑いように、さすがの男も、妙だと気付いたらしい。
「おい、こりゃあ、マジでイカれちまったか?」
 ――狂ってる? 誰が?
 彼女は、焦点の合わない目で、男を見上げた。
 それって、もしかして、わたしのこと?
 ううん、狂ってなんかいるものですか。わたしは本当に嬉しいの。だってみんなが笑顔でわたしを見てるもの。みんなが笑顔だとわたしも嬉しいの。ほら、こんなに笑ってわらってワラッテ――
「あははははははは!」
 とりとめなく渦巻く彼女の思考は、言葉にはならなかった。代わりに、乾いた笑い声だけが、その唇から溢れ出していく。
「まァいいか。頭のネジがブッ飛んでようが、穴の具合にゃ関係ねえだろう」
 言いながら、男はズボンのチャックを下ろした。そこから、硬く反り返った肉棒が、びぃんと弾かれたように飛び出した。
「兄貴、やっちまうんですかい?」
「当たり前じゃねえか。こうなっちゃあ、一発抜かねえことにゃおさまりがつかねえ。おめえだって、ギンギンにおっ起ててんだろうがよ」
 男の言うように、弟分のペニスははちきれんばかりに膨らみ、ズボンの前を押し上げていた。
「どうせなら、いっぺんにやっちまうか。前の穴にゃ俺が突っ込むからよ、おめえはケツ使え」
 男は彼女の両脚を脇に抱えるようにして、その間に体を割り込ませた。先端が花弁の中心を捉え、そのまま一息に貫いた。
「ひぎっ! あはっ……あぁあっ!」
 笑い声と苦痛の呻きが混じり合い、奇妙な叫び声となって彼女の口から洩れた。
「ははは、キツキツだなァ」
 男はそのまま腰を使い始めた。肉棒がごりごりと膣肉を抉り、安酒と小便、そして血の混じった液体が、クチャクチャと音を立てる。
「おら、てめえも突っ込みてえんだろ?」
 男は彼女の尻に手を回し、ぐいっと抱き起こしながら左右に開いた。白い尻肉の中に、薄茶の小さな窄みが覗いた。弟分は居ても立ってもいられないという風にペニスを取り出し、入り口に押し当てた。
 めりめりと裂けるような手ごたえと共に、巨大な肉の凶器が、彼女の中に潜り込んだ。
「あふぁあああっ! つぅっ……ぁ……!」
 彼女の体がガクガクと激しく震え、絶叫が唇から迸った。
「おっ……ほォ、すげぇ反応だなァ。こっちもキュウキュウ締め付けてきやがるぜ」
 二人の男は、彼女を抱えていた腕を離した。体重が二つの穴にかかり、肉棒がさらに深くめり込んでいく。
「おお、すげぇなァ。両穴のチンポだけで宙に浮いてるぜ」
 男は楽しそうに笑い、ゆさゆさと彼女の体を揺すった。
「ひぁっ、ひぁっ、あはははっ、あひぁああ!」
「ははっ、まだ笑ってやがる。チンポ二本突っ込まれて嬉しいってか? とんでもねえド淫乱だあァ、このアマは。どら、もっとヒイヒイ言わせてやるよ」
 言いながら、男は抽送を再開した。弟分も、下から突き上げるように彼女のアヌスを抉りこむ。二本のペニスが容赦なく彼女の中を往復し、ごりごりと擦れあった。
「あひぅ! ひぐっ……つぅ! んぁああっ! あはっ、あははは!」
 彼女の絶叫は、もはや獣の咆え声のようであった。周囲の男たちは、生唾を飲みながら彼女の痴態に見入っていた。自分が犯している気分になっているのか、ズボンをパンパンに膨らませている者もいる。
「ふぁあっ……んく! あっ、あぁあ、あはっ……ぁ!」
 二人に嬲りものにされながら、彼女はそれでも笑い続けていた。
 みんなが見ている。
 みんなが笑っている。
 こいつらに犯されるわたしを見て、みぃんな笑顔でわたしを見てる。
 嬉しいな。
 嬉しいな。
「ひぁはははは! あははっ、あははははぁっ……あぁあんっ!」
「つっ……おォ、兄貴っ、俺……もぅ」
「あぁっ、たっぷり中に出してやんな。俺もイクぜ……くっ!」
 二人の動きが激しさを増した。グチャグチャと肉穴を混ぜる音が大きくなり、荒い吐息が男たちの口から洩れ出していく。
「よォオオしッ……、フィナーレは公開中出し孕ませショーと行こうじゃねぇか!」
 そう言って、男はずぶぅううっと深く彼女の膣穴に自らを沈み込ませ、びゅるるるっと精液を吐き出した。
「あぁああっ……ふぁあああっ……あはっ…あはぁああっ!」
「くっ……ぉおおおお!」
 同時に、弟分も彼女の尻穴にたっぷりと白い樹液を注ぎ込んでいた。びくんびくん脈打つ二つのペニスから、ドクドクと叩きつけるようにザーメンが迸り、彼女の中を満たしていく。
「あひっ、あひっ、ひぁぁぁ……!」
 絶叫と共に彼女の目がぐるんと裏返り、白目を剥いた。手足ががくがく痙攣し、肉棒を咥え込んだ二つの穴が、独立した生き物のようにヒクヒクとうねり、男たちのものを締め上げていく。
「ははっ……どうだァ、しっかり孕めそうか?」
 最後の一滴まで残さず注ぎ込み、男はげらげらと笑い声をあげた。
 その時だった。
「おいッ、貴様ら、何をしているッ!?」
 駆け寄ってくる複数の足音と共に、鋭い叫び声が聞こえた。観衆の視線が、一斉に声の方に向いた。
「ちっ、憲兵が来やがったか。おい、ずらかるぜ」
 二人の男は、まだ痙攣している彼女の体からずるりとペニスを抜き取ると、素早く声と反対の方向へ逃げ去った。周囲に集まっていた観衆も、蜘蛛の子を散らすように、次々と立ち去っていく。
 広場に残ったのは、数人の憲兵と、全裸のまま横たわる彼女だけであった。
「君、大丈夫か?」
 憲兵の一人が、彼女に上着を被せ、そっと抱き起こした。彼女は焦点の合わない目で、その憲兵の顔を見上げた。
「もう心配ない。すぐに、救護のプリースト達も駆けつけるはずだ」
 彼女はこくんと頷き、そのまま目を閉じた。
「おい、どうした?」
 その様子を見た他の憲兵が、心配そうな声をあげた。
「大丈夫、気を失っただけです。我々の姿を見て安心したのでしょう。ほら――」
 そう言って、憲兵は彼女の顔を指し示した。
 彼女は、笑っていた。
261壊れた笑顔sage :2007/11/15(木) 18:37:16 ID:1bSAVvpw
「こんにちは、スマイルガールです!」
 いつものように街角に立ち、もう何度繰り返したか分らない呼びかけを繰り返す。
 相変わらず、立ち止まる人はいない。
 だが、彼女は確かに感じていた。通り過ぎる人々が、ちらりと好色な視線を彼女に走らせていくことを。
 ああ――
 甘い疼きに、彼女の体がぞくんと震える。
 みんなが、わたしを待っている。わたしに期待している。
 なんという悦び。
 もう悩む必要はない。わたしは見つけたのだ。みんなが笑顔になれる方法を。
「……あはは」
 彼女は笑いながら、そっと服のボタンに手をかけた。



//おわり。
//誤クリック誘発したり肝心のマスクが不気味だったりで何かと不人気なスマイルガールさんですが、みんなもっと彼女を愛してあげてください。性的な意味で。
262名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/15(木) 19:10:49 ID:CqVQfdTE
GJ!!
スマイルガールに目を付けるとは、素晴らしい。
次ログインしたら、取り合えずスマイルガールの前に行く人(1/20)
263名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/15(木) 20:24:32 ID:R4lQRozw
70氏の結局見つからん感じだ…。
264名無しさん(*´Д`)グゥグルsage :2007/11/16(金) 02:20:15 ID:Lor7fiA6
ヒント:名前
265名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/16(金) 02:21:57 ID:Lor7fiA6
こういうdでるのは大好物です
GJ!
266名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/16(金) 15:10:46 ID:LP/39s.2
>>263
本人が降臨してないのでアドとかHPタイトルは書けないが、
萌えサーチにあったよ
267名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/17(土) 10:35:42 ID:NlSNhzIo
>>266
みつけたよ。ありがとう
268十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:13:39 ID:fIjeelgU
最初は単純な動機だった。
「商売が出来る上に戦闘スキルもあるなんてお得じゃない!?」
そんな理由で商人になった。

しかし実際に商人になってみたものの、
戦闘に関連するスキルが習得できるようになるのは高い職業レベルが必要で、
さらにブラックスミスにならなければまともな戦闘スキルを覚えられないときたもんだ。
初心者の私は頼る人も装備を買うお金もなく、ただひたすら苦しい戦闘を続けていた。


アルベルタの街を出て直ぐの森でずっと狩りを続けて来たけど、
最近ではポポリンやウルフから受ける傷もたいした痛みを伴わなくなった。
調べてみた所、ここから少し行った所にフェイヨンと言う弓手の村があるらしい。
変化が欲しくなった私は、思い切ってその村まで旅をしてみることにした。
暫く行くと、お馴染みの切り株型のモンスターの姿。
ウィローなら一撃で撃破できる。
私はいつもの調子でそのモンスターに歩み寄った。
ところが、ある程度近寄った所で、モンスターの方から私に近づいて来た。
あれ?なんで?
と思った所に、私の体に熱い火の矢が降り注ぐ。
なっ…!?これって…魔法!?
モンスターの方から襲われるのも、魔法をこの身に受けるのも初めてのこと。
私はカートから出した紅ポーションを慌てて傷に擦り込み、無我夢中で切り株に切りつけた。
暫しの戦闘で切り株を砕き割ったが、予想以上のダメージを受けてしまった。
さらにカートからポーションを取り出し、傷に擦り込んでいると、またも前方に切り株の姿。
私は慌てて岩影に身を潜めた。
今また襲われては体力が持つかどうか自信がない。
てっきりウィローかと思った切り株は、良く見ると色が違う。
ウィローではない上位モンスターだったんだ…。
岩影から出てまたあのモンスターに見つかって魔法を背後から受けようものなら、
戦闘不能に陥ってしまうかもしれない。
蝶の羽を使ってアルベルタに戻ろうとカートを探ると、蝶の羽は見当たらない。
今日はフェイヨンに泊まるつもりでアルベルタへ帰るつもりがなかったから、
うっかり忘れてきてしまったみたいだ…。
私はその場から動くことも出来ず、あの赤い切り株を恐れ一人震えていた。
269十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:14:11 ID:fIjeelgU
どれぐらいの時間が経っただろうか。
そんな時、彼女が現れたのだ。

「そんな所でどうしたの?商人さん。」

ひょっこりと岩影を覗き込んできた彼女は、クリーム色の髪を後ろで束ねた聖職者だった。

「あっ…」
私は誰かが私に気づいてくれたという安心感で、思わず涙を零してしまった。
「あらあら…、可愛そうに。迷い込んじゃったのかな…?」
「ぐすっ…はい…赤い切り株に襲われて…蝶もなくて…うぇっ…どうしたらいいのか…えぅっ。」
「エルダウィローね。そうか、アクティブモンスターは初めてだったのね。
あいつは気配を察知して先制攻撃して来るタイプなのよ。」
「私何も知らなくて…えぐっ…怖くて…。」
「初心者さんなんだね。もう大丈夫よ、私が居るから。」
「はい…。」
私はやっと安心して岩影から身を現した。
「何処かへ行くつもりだったの?」
「あ…はい…フェイヨンまで…。」
「そっか、じゃあ送ってあげるよ。」
「有難う御座います。」
「ついておいで。直ぐだよ。」
そう言うと彼女は私に支援スキルを掛ける。さらに最後にアスムプティオ。
私の体は淡い光のバリアで包まれた。
私の前を歩く彼女は、迫りくるエルダウィローをヒラヒラと軽くかわし、
片手で握った鈍器を軽く振り回すだけで切り株を砕き割った。
私は彼女のあまりの強さにボーゼンとしつつ、自分は襲われないようなんとか必死で彼女に着いて行った。


暫く行くと、森を抜けた先に木で作られた門が見えた。
どうやらあそこがフェイヨンの村らしい。


「ここまで来れば平気だよ。あそこがフェイヨンだから。」
「あっ有難う御座いました!!」
「いえいえ〜。頑張ってね。じゃ。」
と、彼女は身を翻して去ろうとする。
「あっ、あの!」
「ん?」
「お名前は…。」
「そんな名乗るほどのもんじゃないって。」
笑って手を振る彼女。
「いえ!今の私には何も出来ませんが、何時かお礼をさせてください。」
今までたった一人でやってきて、こうして助けられたことなどなかった。
あまりの嬉しさに、何とか彼女との接点を持ちたかった。
「別にいいから〜。」
「だめです!お名前だけでもどうか…。」
「ん〜…そんなに言うなら…。エリザよ。あなたは何て言うの?」
「あっ、ルカって言います。本当に有難う御座いました!!」
「も〜大げさだよ〜。可愛いいんだから、初心者さんは。…あっ。そうだ、可愛いいついでに、これあげるよ。」
「え?」
と彼女の差し出した武器。
それは、『+7強いフィルのアイスソードメイス』と名のついた武器だった。
私の所持金ではとても買えないような、高級属性武器だ。
「新しい武器があるから、それもう要らないんだ。知人の打ってくれたものだけど、よかったら使って?」
「そんな…。こんな高価なものいただけないです!」
「いいからいいから。それ売り払うのもちょっと忍びなくてね。
かといって倉庫に眠らせておくのもその子が可哀想でしょ?
武器も使ってもらった方がきっと嬉しいと思うんだ。」
「でも…。」
「…う〜ん…、じゃあ貸すってことで!期間は無期限。要らなくなったら返してくれたらいいから。ね?」
そう言って彼女は鈍器を私の手に握らせた。
「…は、はい…それなら…。」
「じゃ決まりね!それを使えばエルダウィローにも勝てるはずよ。頑張ってね。」
「はいっ!」
「じゃ!またね!」
彼女はテレポートを唱えて掻き消えた。


その日はもう日が暮れかかっていたので、そのままフェイヨンの宿に泊まり、
翌日彼女に言われたように、あのソードメイスを持ってエルダーウィローに挑戦してみた。
なんと、数発の攻撃で、エルダーウィローを砕き割ることができた。
今まで使っていた店売りの+7スティレットとは大違いの威力。
私は自分の強さに圧倒し、その日は夢中でエルダーウィローとの戦闘を続けた。
また日も暮れ、再びフェイヨンに宿を取った。
1日の戦闘の疲れでベットへと横になり、今日一日お世話になったソードメイスを古布で磨く。
よく見ると、柄の部分に何か文字が彫ってあるのがわかった。
大分前に彫られたのだろう。更に何度も握られてきたことで消えかかってる所がある。
それでも何とか解読すると…

『from Fill to Elley, with LOVE forever』

フィルよりエリーへ、永遠の愛を込めて…って…。

フィルとは、武器の名のとおりこのメイスを制作したブラックスミスのことだろう。
エリーとは、この武器の持ち主であるエリザさんの事で間違いない。
知人に打ってもらった、という知人とは、エリザさんの恋人だったのだ。
恋人に作ってもらった属性武器。きっとそれで新しい武器があっても「売ることはしのびない」と言っていたのだろう。
そんな大切なものを譲ろうとしてくれた彼女と、そんな彼女にこれをプレゼントした武器職人。
なんとも言えない憧れが、私の心の中に広がった。
私もブラックスミスになり、いつかこのソードメイスを返しに彼女に会いに行こう。
そう誓い、頑張ることを決めた。
270十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:14:40 ID:fIjeelgU
それから数ヶ月。私はブラックスミスへの転職を果たした。
あれから順調に職業レベルは上がり、
カートレボリューションを覚えることができるとさらに戦闘は楽になった。
ここまでこれたのも、みんなこのソードメイスのおかげ。
今では私も自身の所持金で属性武器の数本も買えるようになった。


転職を済ませたそのまま、彼女宛てに通信を入れる。

『あー、テステス。エリザさんですか?』
『…ん?どなたかな?』
『三ヶ月前、フェイヨン周辺で会った商人を覚えてますか?』
『…?…あぁ、もしかしてエルダウィローに怯えてたあの子?』
『ええ!その私です!!今ブラックスミスになれたんです!』
『おお〜おめでとう!』
『これもあなたが貸して下さったソードメイスのおかげです!』
『あれ使ってくれてたのね。よかった!…転職直後ってことは、今ゲフェのBSギルド?』
『はい。』
『ちょっと待ってて。』
『はい?』

と、会話が途切れた途端、BSギルドの入り口に彼女が現れた。

「エリザさん!?」
「おっめでとぉ〜!!」
「きゃっ…!」
驚く私は、されるがままに彼女に抱きしめられる。
抱きしめられたまま、彼女の後ろの出入り口を見て居ると、逞しい体格のホワイトスミスが入ってきた。
「おめでとう。」
ホワイトスミスは、優しい声で言った。
彼は…もしかしたらフィルさん!?
「あああああああ有難う御座います!!」
フィルさんは柔らかな微笑みを浮かべて私を見つめる。
エリザさんの肩越しの私の顔は、まるでゆでダコのように赤くなった。

まさかフィルさんにまで会えるなんて…。
今まで想像だけしかできなかったフィルさん。
私の憧れのホワイトスミスであり、尚且つBSとしての本分を全うする武器職人。
彼が製造したあの武器を見たら、思慮深い落ち着いた人柄さえも想像出来る程だった。
その上で、自ら製造した武器に愛の言葉を刻み恋人へ贈る情熱…!
実際のフィルさんは、オトナで、優しい声をしていて、逞しくて…。さらに格好良かった…!

「へええ!立派になったねぇ〜!」
エリザさんの声が耳元に響き、ハッと我に帰る。
「あっはい…!それにしてもいきなり現れるなんて、びっくりしました。」
「あぁ、私ね、丁度ここの目の前のポタを持ってるの。相方のせいでね。」
「おい、俺のせいとか言うなよ。誰かさんがクホってばっかで、しょっちゅう鋼鉄叩かなきゃならないのは誰のせいなんだよ。」
「はいはい、すみませーん!
でも支援スキルでSP節約しつつ成功率上がってるのは私のお陰でしょ?」
「あーはいはい。ボクが製造出来るのもエリザ様のお陰で御座います。感謝しております。」
「分かればいいのよ〜。」
二人の言葉の掛け合いはまるでリズミカルな漫才のようで…。呆気に取られていた私にフィルさんが気づき、
「ほら、俺は初めてなんだから紹介しろよ!」
と、エリザさんに言った。
「あっ、そうだった!
コレ、私の相方のフィル。あなたの先輩に当たるし、丁度一緒に居たとこだったらか連れてきたの。」
「あっはいっ!えっと、るっ、ルカといいいいますっ!せっ戦闘BSっ、め目指してますぅっっ!」
手をガクガクさせながら、必死にフィルさんの前へと差し出した。
「…よろしく…。」とフィルさん。
「よよよろしくおねがいいいいしますううっっ!!」
フィルさんが受けてくれた手をブンブンと上下に振り回しながら、夢中で挨拶をした。
「…ルカちゃん。どもってるし、顔真っ赤だよ?」
ニヤニヤとしたエリザさんが私の顔を覗き込んだ。
「あっ!やだ!えっ!違うんですっ!!」
「フィルに惚れちゃった?」
「ややややっ違いますっ!!ちがっ!えっと!その!…やっばりホワイトスミスって、凄い憧れですから…!」
「ふぅん?」とまたにやけるエリザさん。
すると、まるで部外者の口調でフィルさんが口を開いた。
「えっと…、手、もういいかな?あんまり振り回されてると肩抜けそ…。」
「あああああっ!すっすすすみませぇぇぇんっっっ!!」
慌てて手を離すと、私は恥ずかしさのあまりしゃがみこんで頭を抱えてしまった。

「ね?可愛い子でしょ?」
「ああ、ホントだな。」
と、二人の会話が頭上で聞こえた。
271十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:15:14 ID:fIjeelgU
BSに転職してから1ヶ月。
私は何故かエリザさん、フィルさんと行動を供にしていた。
私は当然あのソードメイスを返すつもりでいたのだけど、
二人は「オーラになったら返してもらうよ。」と笑って言った。
エリザさんは殴りハイプリースト、フィルさんは製造ステにちょっと威力を強化したタイプの武器職人。
転生前に武器製造依頼を通じて知り合い、それから相方同士として一緒にやってきているとのことだった。
私は鈍器使いの先輩の二人から、様々なアドバイスを受ける事が出来た。
これ以上に頼もしい先輩など思いつかない。
私は二人が初心者の私を可愛がって気にかけてくれるのを良いことに、二人から様々な恩恵を受けていた。
そう、戦闘面だけではなく、二人の息の合った掛け合いに理想のペア像をも重ねていった。


その日も、私は二人の指導でスフィンクスダンジョンで狩りを行い、
二人は私の掛けるアドレナリンラッシュに大喜びではしゃいでいた。
狩りを終えて、三人でモロクに宿を取った。

宿の側のバーで皆で夕食を取った時、私はふと二人が何時も飲んでいるお酒が気になって言ってみた。
「ねね、それ、美味しいの?」
「うん。モロクに来たらこれを飲んでおかないとね。ヴァーミリオン・ザ・ビーチ!!」
と、残ったカクテルを一気に飲み干したエリザさん。
「俺はこのトロピカル・ソグラドのが好きだけどなぁ。」
とフィルさんはグラスをちょっと高く上げてみせる。
「え〜っ!絶対こっちのが美味しいのに、フィルったら味音痴!!」
「そりぁ俺はお前みたいな良いとこのお嬢様じゃないからな。舌も貧相に育ったんだよ。」
「ええっ!エリザさんてお嬢様だったんですか?」
驚いて割って入った。
「そだよ。こいつの父親はレッケンベルっていうリヒの大企業のとこのどえらい研究者してるんだよ。」
「んもぅ〜!フィルったら余計な事教えないでよ。
たしかにそうだけど、もう実家も出てるし私と父は関係ないんだから。」
プンプンと怒るエリザさん。
「そっか、父親の期待を裏切って殴りになった家出娘だったよな〜。」
ニヤニヤとしてグラスを傾けるフィルさん。
「そうだ!ここはルカにどっちのカクテルが上か決めてもらおう!!」
大きく手を叩きながら、名案とばかりにエリザさんが叫んだ。
「わ、私が!?」
「こら、ルカはまだ未成年だろ?酒はまずいんじゃないのか?」
「一口ぐらい平気でしょ。こっちにヴァーミリオン・ザ・ビーチ一つお願い〜!」
フィルさんの忠告を無視して、エリザさんは再びカクテルを頼む。
カクテルが届くと、
「ほら、先にフィルの方飲んでみて?」
と、エリザさんが私に促す。
フィルさんの飲みかけのカクテル…!
「う、うん。」
『きゃ〜!フィルさんと間接キス!?』
などと馬鹿な期待を胸にカクテルを口に含む。
フルーティーで爽やかな甘味が口いっぱいに広がった。
「…おいしいっ!!」
「ほら!やっぱりこっちのが美味いんだよ。」
と、胸を張るフィルさん。
「まだまだ!結論はこれからよ?今度はこっち。」
エリザさんがヴァーミリオン・ザ・ビーチのグラスを差し出す。
「うん♪」
私はさっきの美味しいさに気を良くして、今度はちょっと多めにゴクリと飲み干した。
「…。」
カーッと熱い液体が私の喉を潤す。
そのまま胃に流れてゆくと、体全体に熱さが広がった。
じわじわと、お腹から湯気が上がるように体から力が抜けてゆく。
あれ?なんだろこの感覚…?
あれ??あれれ???
と、私の意識はどんどん白に染まって行く。
「ルカ?どしたの?」
私を覗き込むエリザさん。
「ルカ!?」
勢い良く立ち上がるフィルさん。
そこで私の意識はプツンと途切れた。
272十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:15:43 ID:fIjeelgU
フッと意識を取り戻すと、私は浮いていた。

あれ…?たしかバーの椅子に座っていたはずなのに。
浮きながらゆらゆらと進んでいる私。
…そうか。抱き上げられて歩かれているんだ。
私の頬には、暖かい肌が触れていた。
これは…フィルさんの胸だ。
私はフィルさんに抱き上げられ、運ばれている。
「ったく、だから止めとけって言ったんだよ。」
触れている胸から、私の中に直接フィルさんの声が振動した。
「だって、まさかこんなに弱いなんて…。」
きっとエリザさんがフィルさんの横を歩いている。
「初めての酒じゃしゃあないかぁ。とりあえずゆっくり休ませてやろう。」
また頬に振動として声が響いた。
あぁ…なんかすごく気持ちいい。
フィルさんの胸があったかくて、声が優しくて、いい匂いがする。
こんなにフィルさんの至近距離に居たことなんてなかった。
今私の目の前には、きっとフィルさんの逞しい首筋と、あのハンサムな顔があるんだろう。
だけど、だけど…私には瞳を開く力が出なかった。
とにかく気持ちいい…。ずっとこうされていたい…。
ガチャ、と音がして扉が開かれると、私はふかふかのベットの上に降ろされた。
あぁ…もっと抱き上げられてたかったのに。
でもそう思ったのもつかの間、私の意識は再び深く沈んでいってしまった。



次に意識を取り戻したのは、真っ暗な部屋のベットの上だった。
「ん…。」と寝返りをうって、体を起こそうとする。
「…っ!いたたっ…!!」
途端に激しい頭痛が襲った。
ガンガンガンと内側からハンマーで叩かれてるみたいな激しい痛み。
「…これが二日酔いってやつ…?あたた…。」
初めてのお酒であっと言う間に酔ってしまい、私は自分の取った部屋へと運ばれたのだった。
それにしても…、頭が痛すぎる。
立ち上がろうとすると、激しい眩暈もした。
うあ…。もうお酒なんて絶対に飲まない!!
エリザさんもフィルさんも、こんなのが好きだなんてオカシイんだから。
とにかく、まだ夜中みたいだけどこの頭痛じゃ眠れそうにない。
エリザさんかフィルさんか、頭痛薬を持ってないか聞いてみよう。
私はなんとか立ち上がり、とりあえず隣の部屋を取っているエリザさんを訪ねてみた。
「…エリザさん、起きてる?」
扉の外から呼びかけてみたが、反応がない。
さすがにもう眠ってしまっているのかもしれない。
けど…、直接フィルさんの部屋を訪ねるのはかなり勇気が居る。
起きてもらうなら、やっぱりエリザさんだ。
そう思って、ドアをノックしようと思った時、
キィー…、と音を立てて扉がわずかに開いた。
エリザさん、鍵掛け忘れて…?
「エリザさん?開いてたんで入りますよ?起きてます?」
私は静かに室内に入った。
部屋の奥には小さなランタンが灯り、側のベットは空っぽだった。
『いない…?』
こんな深夜に何処へ行ったんだろう。
すると、部屋の奥の窓が開いているのに気がついた。
窓の奥にはバルコニーがある。
私の泊まっている部屋にはバルコニーがついてなかったので、そんなものがあるのに今気がついた。
『バルコニーに出てるのかな。』
私は窓に近寄り、バルコニーを覗こうと顔を出した。
バルコニーには誰もいなかった。
その代わり、バルコニーは隣のフィルさんの部屋へと続いていた。
エリザさんの部屋とフィルさんの部屋は、バルコニーで繋がれていたのだ。
フィルさんの部屋からはランタンの灯りが漏れ、バルコニーの地面に動く人の影が見えた。
『フィルさん起きてる…?』
私はバルコニーへ片足を一歩踏み出した。

「…あぁっ…!」

声が聞こえた。エリザさんの声だ。

「…はぁっ…!エリザ…!」

フィルさんがエリザさんを呼んだ。

「あぁ…フィル…好き…好きよっ…あぁんっ!」

エリザさんもフィルさんを呼ぶ。

私の心臓が飛び出しそうなぐらいに鳴った。
別に、覗こうなんて考えたわけじゃない。
でも、私の足は、音を立てないように細心の注意を払い、フィルさんの部屋の窓に近づいていた。
少し進んだだけで、窓から見える部屋のベットの上で、裸の人物が絡み合っているのが見えた。
エリザさんと…、…フィルさん…。
二人はランタンの灯りの中で、激しく動いていた。
エリザさんはベットへと仰向けに横たわり、高々と足を上げている。
その間にフィルさんが腰を入れ、エリザさんの足を抱えながら激しく揺れていた。
「あんっ!いいっ…フィルすごいよぉっ…!!」
「エリザもすげぇいいよ…!締まりと絡みが半端ねぇっ…!!」
「久しぶりだからすごい感じるぅっ…!!フィルもっとぉっ!」
「いくぞ…!!」
フィルさんは足に回していた手を外し、エリザさんの腰に回す。
そのままさっきよりも大きく前後に動き出した。
「あああっ!!はぁんっ!!すごいっいいっ!!ひぁんっ!!」
激しい動きに合わせて、仰向けになったエリザさんの大きな乳房が乱れるように揺れた。
「エリザっ…エリザ…!!イっちまえっ…!!」
フィルさんの体から透明な飛沫が上がる。
それがランタンの灯りの中で光を放つ。
ベットがギシギシと音を立て、ちょっと湿らせた手を叩くと出るようなパンパンと言う音が繰り返された。
見てはいけないものを見ている。私にだってさすがにわかっていた。
だけど、だけど、目が離せなかった。
「フィル!いっちゃぁうっ!!いっちゃうーっ!!」
「イけ!!イっちまえ!!」
「あ、あ、あ、あ、…っイくうっ!!イくうっ!!ああああああっ!!!」
「エリザっ…!!はぁっ…うっ…!!」
二人は繋がったまま同時にがくがくと震えると、静寂が辺りを包んだ。
フィルさんはガックリと腰を落とし、そのままエリザさんの横に倒れこむ。
エリザさんがフィルさんに腕を回し、髪をなでで顔を寄せた。
きっと、キスしてる…。
暫く抱き合った後、エリザさんが今度はフィルさんをまたぐようにし、
フィルさんの股間に顔を近づける。
「…うぅ…。」
フィルさんが小さく呻く。
エリザさんが暫く頭を動かした後離れると、
フィルさんの股間に高々と聳え立つ肉棒があるのが、ベランダに映った影でわかった。
「…あっ…。」
それを見た時、私の体の中を何かが走った。
エリザさんがそれを握り、自分の下に合わせる。
ゆっくりと腰を落として沈むと、今度はエリザさんが激しく動き始めた。
「フィルぅっ…!好きぃっ…!!」
「俺も…好きだ…エリザ…。」
二人はまた囁きあいながら、別世界へと没頭してゆく。

『…ぅ…も…だめ…!!』
私は何かたまらない気持ちになり、そそくさとエリザさんの部屋を抜けて自分の部屋へと戻った。
273十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:16:09 ID:fIjeelgU
急いで自分の部屋に入り背中で扉を閉めた。

…熱い。私どうしちゃったんだろう。
不思議なことに、さっきまで感じていた頭痛や眩暈はまったく無くなっていた。
下腹に手を充てて、瞳を閉じる。
すると、さっき見たフィルさんの立派な肉棒が頭の中に浮かんだ。
同時にお腹の中で何かがきゅうんっと言う。
なんだか下着がお漏らししたように湿っているのを感じる。
デニムのパンツの脇から指を差し込むと、股の部分がぐっしょりと濡れていた。
さっき窓の外で聞いたパンパンという湿った音が幻聴のように聞こえてくるような気がする。
私は自然とベットへと進み、デニムパンツのホックを外して下着ごと降ろした。
下着の股の部分と自分の股間に、透明な粘液が糸を引いた。
股間に指を這わせる。
「…はっ…あっ…。」
閉じた溝の部分には粘液が絡みつき、指で広げるとくちゅくちゅと音を立てた。
不思議な気分に同じことを繰り返していると、
「…ぁっ!!」
指先が前の方にある膨らんだ粒に当たった途端、体を電気が走り抜けた。
「や…ここ…すご…。」
気持ちいいとかはわからない。ただ、もっともっと、今の刺激が欲しい。
確信的に指先で粒を撫でる。
「あっ、あっ、あっ…!」
座っていることもできなくなり、ゴロンとベットへ倒れこむ。
さっきエリザさんがしていたように足を高々と上げて、広げて触りやすくした。
「あっ、いっ…、フィルさぁ…っ…!」
何をしてるかなんてもうわからない。
ただ、ここに、さっきエリザさんがもらってたものを、フィルさんのアレが…私も欲しい!
開いていた片方の手でシャツをはだけさせて、乳房をわし掴みにした。
もう一方は相変わらずくちゅくちゅと激しく音を立て続ける。
自然と望むままに粒を押しつぶしながら撫でたが、何か足らない。
あそこに、この中にアレが欲しい。フィルさんのアレが…。
でもそんなことは叶うわけもない。
ふと視界の端に立てかけてあった鈍器が目に留まる。
『+7強いフィルのアイスソードメイス』
あれだ…。フィルさんの、フィルさんがあの手で打った武器。
起き上がってソードメイスの柄を掴むと、持ち手の部分を股間にグッと押し当てた。
「ああああっ!!」
押したただけで中に圧力がかかり刺激がくる。
このまま中に入れてしまいたかったけど、さすがにそれは怖かった。
充てるだけにして、クックッと圧力を加え続ける。
「あっ、あっ、あっ、…きもちっ…!!」
やだ、自分が壊れそ…でも止められない…!!と思った時、
「…ぁあああああっ!!」
激しい電気が背筋を走り、私は全身を震わせて叫びを上げた。
ソードメイスをベットの下にガシャンと放り出し、震えながらベットへと倒れこんだ。
「はぁ…はぁ…っ…。」
心臓が早い。呼吸も。汗が噴出してきた。
仰向けになったまま、体が落ち着くのを待った。
落ち着いてくると、涙が出てきた。
何やってんだろ…私。初めて、こんなことした。なんか切ない…。
泣くつもりなんてないのに、涙がどんどん溢れてきてしまう。
私…どうしよう…。フィルさんが…好き…。
初めて会った時から、いや、あのソードメイスに刻まれた愛の言葉を見た時から、好きだった。
そして実際に会って、もっと好きになった。
今夜フィルさんの裸とアレを見ただけで、体が熱くなった。
私も、私だって、エリザさんみたいにフィルさんのアレが欲しい…。
でも…。

『フィルぅっ…!好きぃっ…!!』
『俺も…好きだ…エリザ…。』

フィルさんはエリザさんを愛している。エリザさんもフィルさんを愛している。
長く相方として過ごしてきた二人の間に、私みたいなお子様が割って入れるわけがない。
だからって、このままエリザさんと居るフィルさんを見続けるのは辛すぎる。
も…だめ。私は二人と一緒には居られない…。

行こう…。あのソードメイスを返して、一人で旅立とう。
フィルさんを忘れられる何処か遠くに。

私はそのまま泣きながら眠りへと落ちていった。
274十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:16:33 ID:fIjeelgU
翌日、起きて階下の食堂へ行くと、すでにフィルさんとエリザさんは席について食事をしていた。
「おはよう!」
エリザさんがティーカップ片手に笑顔で言った。
「およそう、だな。ルカは。」
フィルさんはペコペコの卵のオムレツを突きながら私を見る。
「おはよ…。」
私は二人をまともに見ることが出来ず、下を向きながら空いている椅子に着いた。
「昨日はごめんねぇ。まさか倒れちゃうなんて思わなくって。頭、痛くない?」
エリザさんが私を覗き込む。
「う、うん。平気。私こそ部屋まで運んでもらっちゃってごめん。」
「なぁに、ルカなんて軽くて空気みたいなもんだったよ。エリザと違ってな。」
フフンと鼻を鳴らすフィルさん。
「ちょ!ひどーーい!」
ポカポカとフィルさんの頭を叩くエリザさん。
「あははは!!」
思わず私も笑っていた。

こうして居れば、別につらいことなんてない。これからも二人の側で過ごせるんじゃない?
そんな気がした。
でも、また何時昨晩のような場面に出くわしてしまうとも限らない。
それに、恋人同士の二人に始終くっついて居ては、いいかげん私だって邪魔者だと気がつく。
やっぱり私は去った方がいい…よね。

「ね、あの、二人に話しがあるの。」
私は思い切って口を開いた。
「何?大事な話?」笑うのをぴったりと止めたエリザさんが私を見る。
「うん…大事なこと…。」
「ん〜…ちょっと時間がないから、戻ってからでいいかな?」
エリザさんは考えながら言った。
「え?出かけるの?」
「うん、ちょっとリヒまで行くつもりなの。」
「実は今朝、エリザのオヤジさんから連絡が入ったんだよ。エリザと会いたいってね。」
フィルさんが説明してくれた。
「ええ!本当ですか?」
「うん、だからちょっと父に会いに行ってくるの。2〜3日で戻るから、それから話聞くわ。」
エリザさんは食事を切り上げて、ナフキンで口を拭って立ち上がった。
「16で家を出て、…6年振りだろ?オヤジさんに会うの。」
「うん…、何か緊張だけどね。行ってくるよ!」
「おう!気をつけてな!」
フィルさんと目配せを交わすと、エリザさんはついと宿から出て行ってしまった。

だめ…!今じゃないと決意が砕けちゃう!
私も後を追って宿を飛び出した。


「エリザさん!!待って!」
「ルカ?どうしたのよ?」
走って来た私に気が付いて、エリザさんは立ち止まった。
「わ…私、一人で旅に出るつもりなんです。」
「ええ!?ちょっと待ってよ。どうしてそんな。」
「何時までもエリザさんとフィルさんに甘えてられないなぁって…。」
「何言ってるのよ!そんな事ないわよ。」
「でももう…。」
「待って、そんな大事な話、ゆっくりさせてよ。とにかく私が戻ってからにしましょう。」
たしかにその通りだけど、エリザさんが居ない間、私はフィルさんと二人きりになってしまう。
そんなの耐えられる自信がない。
「そうだ、これ持ってて。」
と、エリザさんは首に掛けていたネックレスを外した。
「え…?」
それを私の右手に握らせる。
「これ、私がすごぉーく大切にしてるものなの。だから預かってて、私が戻るまで。
勝手に旅に出たりなんかしちゃだめよ!」
「エリザさん…。」
「船の時間に間に合わなくなっちゃうから。行くね。待っててね!」
エリザさんはテレポートを唱えて掻き消えた。


手を開いて、握らされたネックレスを見た。
聖職者の象徴の十字架に、鍛冶屋のハンマーが一緒にデザインされたネックレスだった。
武器職人を相方とする、エリザさんらしいデザインだ。
きっと何時も法衣の下に着けていたに違いない。肌に馴染んで、彼女の温もりを感じさせた。
私はそれをカートの一番奥にしまい込んだ。

しかし、私がエリザさんにそれを返すことはなかった。
エリザさんに会ったのは、その時が最後だったのだのだ。
275十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:16:55 ID:fIjeelgU
あの日からもう二週間が経っていた。
エリザさんは、予定の日が過ぎても私たちの待つモロクの宿には戻って来なかった。

フィルさんが言うには、エリザさんが出発した日の夕方、
『無事に着いたよー!』
と通信が入ったそうだ。
それからは実家に居るエリザさんを邪魔したくなく、あえて通信はしなかった。
そして3日目の朝、帰りの予定を聞こうと通信を入れた。
通信はエリザさんに届かなかったそうだ。
それからたびたび通信を入れても、一向に届く様子はない。
心配になったフィルさんは、リヒタルゼンまで行ってエリザさんの父親がいるレッケンベル社を訪ねたそうだ。
何度もエリザさんの父親との面会を求めたが、ほぼ門前払いの扱いを受けたらしい。
心配になった私も通信を入れてはいるが、エリザさんに届くことはない。

「何処にいっちまったんだ…エリザ…。」

フィルさんは明らかなほどに元気を無くし、
ここ二三日では昼間からお酒を沢山飲むなど、次第に荒れていくようになった。
私はいやな予感がしていた。
エリザさんは私にネックレスを預けて行った。
必ず待ってて、と。
それなのに、彼女が自ら姿を消すなど考えられない。
ましてや恋人のフィルさんに黙って行ってしまうなど、尚更有り得ない。
恐らく、エリザさんの身に、何か恐ろしい事が起こったに違いない。
帰りたくても、帰れない。そんな事が…。


エリザさんが消えて3ヶ月も経つと、フィルさんはもう見ていられないほどに荒んでいた。
何処へも出掛けず、宿の中でお酒を飲んでばかり居る。
昼も夜もなく酔っ払い、その手は常に細かく震えていた。
手先がおぼつかなくては、繊細な神経を要する武器製造も武器精錬もできるわけがない。
もう、フィルさんは、フィルさんではなくなってしまう。
私はそんな風に感じていた。

もう、エリザさんは戻っては来ない…。
もはや、きっと…。
フィルさんは敢えて口になどしなかったが、私もフィルさんも同じ事を考えていた。
276十字架とハンマーと、名無しのソードメイスsage :2007/11/20(火) 23:20:01 ID:fIjeelgU
やばい、容量が。
計算ではギリギリで入る予定だったのに;;
とりあえず次スレ立てにチャレンジしてみます。。
277名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/25(日) 18:35:39 ID:Sb9wlawQ
とりあえず次スレ案内張っておきますね

【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
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