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【18歳未満進入禁止】みんなで創る18禁小説Ragnarok ♀×♀ 第5巻【百合】

1226たんsage :2006/11/24(金) 03:48:24 ID:5480sN7Q
このスレは、萌えでなおかつ女性同士のえちぃ描写の含まれる自作小説の発表の場です。
・ リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してます。
・ このスレでの『えちぃ』基準は、「手淫」(オナーニ)だとか「目合い」(セクース)だとかのレベルです。
・ どのジャンルの文神様でも大歓迎!書いてて百合になった小説は是非こちらへご投稿ください。
・ あえて許容範囲を大きくしてあります。読者様もおおらかな気持ちで受け入れてください。
・ 保管庫を積極的に利用しましょう。作者自身で保管してしまうのが一番。不完全でも誰かが直してくれます!
・ 題のわからない作品は仮題をつけて保管。作業内容はここか保管庫で報告。
・ 投稿も感想も気軽に書き込み、温かく受け入れる雰囲気を作りましょう!

▼小説内容に関して
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・ ♀×♀の絡みをメインに据えた小説でお願いいたします。
・ 特殊ジャンルは苦手な人もいるということを考慮してやってください。
・ ふたなり、グロは冒頭に注意記述を。
・ 話の流れ上どうしても必要なら主人公を殺すのもアリとします。ただし描写はソフトに美しく!
・ 話の流れ上どうしても必要なら♂との絡みが入ってもOKとします。ただしあくまでも百合がメインで!
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▼リレールール
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・ リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
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※ 読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようご協力をお願いいたします。
※ 文神様を拒絶・萎えさせるような発言はご遠慮くださいますようお願いいたします。

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【お子チャマは進入禁止】みんなで創る18禁小説Ragnarok ♀×♀ 第4巻【百合】
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1136384492/

保管庫
みんなで作る小説Ragnarok ♀×♀萌エロ保管庫
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php

♂×♀スレ
【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十五冊目
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1150784725/
2226たんdame :2006/11/24(金) 03:56:38 ID:5480sN7Q
新スレ立てました。とりあえずdameときますね
3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/24(金) 08:39:54 ID:hPpXUkEg
とりあえず1乙とぬるぽしておきますね
4名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/24(金) 11:20:07 ID:Ag8YU0Yw
ガッ
5名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/24(金) 14:40:29 ID:see8FfEk
>226たん

     ::|    ____
     ::|.  ./|=|    ヽ.    ≡三< ̄ ̄ ̄>
     ::|. / |=|  o  |=ヽ     .≡ ̄>/
     ::|__〈 ___  ___l   ≡三/ /
     ::|、ヽ|.|┌--、ヽ|/,-┐|    ≡/  <___/|
     ::|.|''''|.\ヽ--イ.|ヽ-イ:|  ≡三|______/
     ::|.ヾ |.::. .. ̄ ̄| ̄ /
     ::|  ';:::::┌===┐./
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./       こ、これは乙じゃなくてスラッガーなんだから
     ::||ロ|ロ|  `---´:|____    変な勘違いしないでよね!
     ::|:|ロ|ロ|_____/ロ|ロ|ロ,|`ヽ
     ::| |ロ|旦旦旦旦旦/ロ/ロ|旦,ヽ
     ::|ロヽ 旦旦旦旦旦./ロ,/|::旦旦)
     ::|ヾ旦旦旦旦旦旦,,,/::::|、 旦旦
6名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/27(月) 20:54:39 ID:tXlcDqmM
5スレ目一番槍、という事で。
早速ですが投下させてもらいます。
暫しのお付き合いを。
7精霊奇譚sage :2006/11/27(月) 20:55:10 ID:tXlcDqmM
大きな天道虫が飛んでいる。
それを捕食せんと、天道虫よりもさらに大きな蜻蛉が隙を伺っていた。
視線を他方へ移すと、二足歩行の鰐が七色に輝く草を興味深げに爪で突付いている。
湿度と気温が高く、緑と水に溢れたいわゆる熱帯。
"幻想の島"コモドから程近い、ここはカララ沼と呼ばれる地域である。
時折この場所を狙って訪れる者は、その目的から──貴重な爪を求め、あるいは命を賭した力試しの為にグリフォンと戦うのだ──相応に高い実力を持っている。

持っているのだが。

カララ沼の北端、一段高くなった台地の突き当たり。
崖に三方を覆われたそこで、人影が二つ蠢いていた。
一つは金を流したような髪のクリエイター。
技術を極めたアルケミストがさらに上位の力を与えられた、いわゆる転生二次と呼ばれる者である。
実力は相応以上に高く、その力は人工生命すら生み出すと云われている。
もう一つが問題であった。
色あせた黒髪を持ったシーフの少女である。
シーフは冒険者の中でも初心者に次いで低い実力を持つ一次職。このカララ沼には危険なモンスターも多く、一次職の者が戦うには分不相応な場所だ。
実力が上位の者に訓練をつけて貰うにしてもこの場所は不向きであり、転生二次職が一次職と組んでこの場所に居る事自体がまず有り得ないと言ってもいい。
その有り得ない事が、ここで起こっているのである。
もし万一巨大な蜻蛉・ドラゴンフライに襲われたなら一次職など一溜まりもない。
そんな場所で、不相応な二人は───

「…っ…お…姉様っ…もっとっ……!!」
「呆れた子…一度じゃ満足できずにおねだりするなんて。ねえ?」
「…だっ…だって……足りな…お…姉様っ……!!」

よりによって、睦事に励んでいたのである。
地形が地形なので、この場所に居るモンスターを排除すればある程度は安全なのだが、それであっても万一という事がある。
その万一を踏まえた上での行動なのだろう。良く見れば金髪のクリエイターは腰にいくつかの瓶を下げ、時折辺りを伺っている。
周囲に気を配りながらも、クリエイターの女性はシーフの少女への責めを続けていた。
既に一度果てている少女は、僅かな刺激にもひくひく身体を震わせて反応し、快感をアピールする。
内部に浅く挿し入れられた指が、風と共に起こる葉擦れに混じって僅かに水音を立てた。
指が「急所」を掠めたのだろう。少女は体を瞬間的に強張らせて息を飲んだ。
うわ言のように少女は何かを囁いている。それに対し、嘲りさえ感じさせる笑みを返しながら女性は執拗に責めを続けた。
葉擦れ。鳴き声。水音。喘ぎ。辺りに聞こえるのは、それのみである。
やがて女性が少女に口づけると、少女は全身を引きつらせて再び果てた。
8精霊奇譚sage :2006/11/27(月) 20:55:41 ID:tXlcDqmM
「おねえちゃん。あのニンゲンたちは、なにをしているの?」

わたしとおねえちゃんがかくれている草むら。
その先には、ニンゲンがふたり、まるでからみ合うようにくっついている。
わたしは何をしているのかわからなくて、おねえちゃん──わたしの大好きなドリアードのおねえちゃん──にたずねた。
ニンゲンは、わたしたちとはちがう生きもの。ふしぎが一杯だった。

「あの人間達は、お互いに仲がいい事を確かめているんだよ」

きれいな緑色の髪をなびかせて、おねえちゃんはわたしにほほえむ。
なかよしだと、ああいう事をするのだろうか。
ニンゲンって、ふしぎ。

「ふーん、そうなんだ…」
「さあ、そろそろ帰ろう。人間に見つかると大変な事になるよ」
「はあい」

きゃあ、と後ろでさけび声が聞こえた。
でも、そのさけび声はたぶん、助けてって意味じゃない。
もっと。もっと。そういう事、だと思う。
もうちょっと見ていたかったけれど、おねえちゃんの言うようにニンゲンに見つかったらたいへんなので、そっとここをはなれた。

「ねえ、おねえちゃん」
「何?フィー」

その日の夜。
わたしは、いつも眠っている木の下で、おねえちゃんと二人で月をながめていた。
いつもならおねえちゃんはここで眠る事はないのだけど、今日はわたしと一緒にいてくれるって。
ちなみに、フィーっていうのはわたしの事。
フェアリーフ、じゃ誰の事かわからないから、おねえちゃんはわたしをフィーって呼んでくれる。

「わたしとおねえちゃんは、なかよしだよね?」

わたしがおねえちゃんにたずねると、おねえちゃんはにっこり笑って「勿論。決まっている」って言った。
そう。わたしとおねえちゃんは、なかよし。
おねえちゃんは時々ここへ遊びに来てくれるし、わたしもおねえちゃんのところへ遊びに行く。
…わたしがおねえちゃんのところへ行くと、いつも大きな虫に追いかけられるっていうのはひみつ。

「ねえ、おねえちゃん」
「何?フィー」

2回目のやりとり。
わたしには、ずっと考えていた事があった。

──あの人間達は、お互いに仲がいい事を確かめているんだよ。

わたしたちとニンゲンは、からだつきがけっこう似ている。
じゃあ、わたしたちもあのニンゲンとおなじように、なかよしを確かめられるんじゃないか、って。
だから。

「わたしも、あのニンゲンみたいにおねえちゃんと仲良くしたい」

そう、言った。
9精霊奇譚sage :2006/11/27(月) 20:56:11 ID:tXlcDqmM
「あの人間達のように?」
「そう。お日さまが出ている時にいた、あのふたりのニンゲンみたいに」

そう言うと、おねえちゃんは困ったような顔でわたしを見た。
困ったような…っていうか、困っているみたい。
よく見ると、おねえちゃんの体にまとわりついている葉っぱが、少ししょんぼりしてる。
…わたしが言った事、そんなにまずかったのかな。

「おねえちゃん、イヤだったらいいよ?わたし、ニンゲンみたいにできなくてもおねえちゃん大好きだから」

あわててわたしは取り消したけれど、おねえちゃんは少し考えたあと、「いいよ」ってうなづいた。
そして…自分の体にまとわりついている葉っぱを、少しづつ外し始めた。
わたしやおねえちゃんが葉っぱをはずす、っていうのはつまり「全部をまかせる」って事。
ニンゲンが服をぬぐのと同じ、だと思う。

「フィー」
「なに?おねえちゃん」

葉っぱを全部はずしたおねえちゃんに、わたしは首をかしげて答えた。
おねえちゃんの体はほそくて、とてもきれい。
わたしも大きくなったらおねえちゃんみたいになれるのかな。

「フィーはまだ小さいから、私からしてあげる事はできない」
「小さいと、だめなの?」
「大きくなってからじゃないと耐えられないから」
「そうなんだ」
「だから、フィー。フィーが私を可愛がって」
「あのニンゲン…ちょっと大きいほうがしたみたいに?」
「そう。あのように、私を」
「うん。いっぱいいっぱい、してあげるね」

わたしがうなづくと、おねえちゃんはやさしく笑ってわたしの頭をなでてくれた。
わたしの頭にあるふたばにおねえちゃんの手がふれるたび、て少しくすぐったくて気持ちいい。
それがわたしはとても大好き。おねえちゃんもそれを知っているから、わたしがいい子だとこうしてくれる。
そうしてわたしの頭をなでた後、おねえちゃんは足…ニンゲンでいう足のところをかくしているツタもはずして、何もないすがたになった。

「さ、フィー」
「うんっ」

笑ったおねえちゃんにつられて、わたしも笑う。
ちょっとだけいきおいをつけておねえちゃんの胸に飛びこむと、おねえちゃんはしっかり受け止めてくれた。
おねえちゃんの体はほそいけれど、でもわたしが飛びこんだくらいじゃたおれない。だから安心して飛びこめる。
飛びこむと、おねえちゃんの大きな胸がわたしをお出むかえ。やわらかくて、甘いにおいがする。
おねえちゃんの胸にキスすると、おねえちゃんはくすぐったそうに声をもらした。
ニンゲンのこどもは、胸のさきっぽから出るおつゆでそだつらしい。
そんな話を思いだしながら、おねえちゃんの胸にもう一回キスをした。
ちゅうちゅうと、ニンゲンのこどものようにおねえちゃんの胸を吸うと、んふっ、ておねえちゃんが笑う。
両手をおねえちゃんの胸にそえて、優しくさわる。ふわふわとしてて、とてもやわらかい。
こうしてると、すごく幸せ。ニンゲンのこどもも、きっと幸せなんだろう。

少しのあいだおねえちゃんの胸の幸せを感じていたら、吸っていた胸の先っぽがだんだんかたくなってきた。
おねえちゃんの顔を見上げると、すこしほほを赤くして、はあはあいきをしていた。
あのニンゲンとおなじ。もっとしてほしい、っていうサイン。

「っぷぁ…おねえちゃん、もっと?」

いちおう、たずねてみる。
こくり、とおねえちゃんがうなづいて、わたしの手をにぎった。
そのまま、おねえちゃんはわたしの手をおねえちゃんのおまたに持って行って…

「ふ………っ」

おねえちゃんのおつゆでしめったところに、わたしの指をさわらせた。
あつくて、ぬるぬるしてるそこにさわったとたん、おねえちゃんはなんだか苦しそうな顔つき。

「…おねえちゃん?」

しんぱいになって、おねえちゃんを見ると、おねえちゃんはこくこくうなづいた。
いやいや、じゃなかったから、きっと気持ちいい。そう思う事にした。
ぬるぬるしてるおまたを、ゆっくりなでてあげる。
おねえちゃんは少しふるえて、ふうっ、といきをはいた。
なでてあげるたびに、おまたのぬるぬるは少しづつふえて、わたしの手をぬらしていく。
10精霊奇譚sage :2006/11/27(月) 20:56:40 ID:tXlcDqmM
ちょっと思いついて、指についたぬるぬるをなめてみた。
すごく甘くて、おいしい。花のみつみたい。
もっとほしいなあ、と思った。

「おねえちゃん…」
「んぅ……なに?」

ちょっと涙目のおねえちゃんが、わたしを見て笑った。
なんだか、とてもきれい。みだれたいきで、ほっぺを赤くして、涙目で。
…もっと、見たい、と思う。

「おねえちゃんのおつゆ…ほしい」

そう言ったわたしに、おねえちゃんはぎょっとしたようだった。
…まずい事を言ったのかな。

「あの…おねえちゃん??」

おねえちゃんは答えない。

「…おねえちゃん?いやだった?」
「え!?あ、いや。嫌じゃない…」

あわてておねえちゃんは首をふったけど、なんだかまた困ってるみたい。
わたしおねえちゃんを困らせてばかりだなあ…

「嫌じゃない…というか、驚いただけ」
「びっくりしたの?」
「そう。まさかそういう事を言うとは思わなかったから」

びっくりしたにしては、なんか困ってたみたいだけど……。

「…じゃあ、いいの?」
「ん…好きなだけ」

そう言って、おねえちゃんはおまたを広げた。
おつゆで光って、こっちもきれい。気のせいか、甘いにおいもする。
ちょっとだけ舌で触ってみると、やっぱり甘かった。
舌で触ったらおねえちゃんがぴくっ、てしたけど…きっと、わたしの手がさわった時と同じで気持ちよかったから。
だから、もう一回…ゆっくりと、なめた。甘くておいしい。
ちゅぷちゅぷと音をたてて何回も何回もなめる。そのたびに、おねえちゃんはぴくぴく動いて気持ちよさそう。

わたしのはなが、おつゆをながしているところの上にあるポッチにさわった。
そのとたん、おつゆがたくさんあふれてきて、おねえちゃんは高いこえをあげた。
わたしはびっくりしておねえちゃん顔をみあげると、ほんのり赤かったほっぺがまっかになってて、すごく苦しそうにいきをしてて…
あわててわたしはおねえちゃんのおまたからはなれようとしたけれど、おねえちゃんは私の頭に手をおいて。

「…もっと、して…」

って、はあはあ言いながら。
本当にだいじょうぶなのか聞いてみても、おねえちゃんはうんうんとうなづくだけ。
…気持ちいいと、こうなるのかな?あのニンゲンもそうだったし。
とにかく、わたしはもう一回おねえちゃんのおまたをなめ始めた。
さっきのポッチもときどきなめてあげると、そのたびにおねえちゃんは「ひっ」「んうっ」て声をだして、体をぴくぴくさせる。
そしてそのたびに、おまたから甘いおつゆがたくさんあふれてくるので、わたしは何回もポッチをなめてあげた。
指を入れておつゆをすくうと、中がきゅっきゅってしまってまるでわたしの指をはなしたくないみたい。
だからきゅっきゅってしまるたびに指を少しふかく入れて、おくのおつゆをすくいだしたりしたけれど、それでもおつゆがたれちゃってもったいない。
やっぱり指をぬいて、ちょくせつなめることにした。
おつゆがながれるところに舌を入れて、ちゅーって吸うとおねえちゃんがびくびくって大きくふるえた。たぶん、すごく気持ちいい、って事。
じゃあ、ちゅーって吸いながらポッチを指でさわってあげたらどうなるんだろう。
ちらっとおねえちゃんを見たら、涙を流しながら、でもとてもうれしそうな顔をしてる。
たぶん、だいじょうぶ。きっとおねえちゃんはもっと気持ちよくなると思う。
右手の指をポッチにそえて、いっきに吸いながら指でポッチをこちょこちょ。
いやあああ、って言いながらおねえちゃんがびくびくあばれるけど、でも、やめない。
きっと、こうしたらこうしただけおねえちゃんが気持ちいいから。
おねえちゃんが気持ちいいと、甘いおつゆがたくさん。
だから、やめない。おねえちゃんが気持ちよくて、わたしもうれしいから、やめない。
ずっとずっと、おねえちゃんが気持ちよくなれるように。
ずっとずっと、わたしが甘いおつゆをなめられるように。
11精霊奇譚sage :2006/11/27(月) 20:57:03 ID:tXlcDqmM
「おねえちゃん」
「なあに、リィ」

じわじわと日が照るカララ沼の一角。
私は、私の妹とも言うべきフェアリーフのフィーと草叢に隠れている。
何故隠れているのか、というと…

「んっ…あふっ……」
「やっ…うぅっ…んっ…」

私達の少し先で、人間が睦事の真っ最中だから。
これはいつか見た光景。
まだ私が成体となる前の、幼い日の記憶。

「おねえちゃん」の甘露に夢中になっていた私は、加減する事など知らず日が高く昇るまで「おねえちゃん」を責め続けた。
その結果、綺麗だった緑色の髪は色あせ、瑞々しかった肌は衰えて、「おねえちゃん」は枯れてしまった。
その直後から、まるで「おねえちゃん」が私になったかのように私は急速な成長を遂げた。

「幼生」フェアリーフは、「成体」ドリアードの体液を摂取する事で成長する。

ドリアードが枯死しないよう少量づつ体液を分けてもらい僅かづつ成長する場合もあれば、加減する事なく全てを奪い急成長する場合もある。
私は、後者だった。「おねえちゃん」は、不幸にも私に捕食されてしまった事になる。
その事実に私は哀しみ、そして日々「おねえちゃん」に近づく私の体を恨んだ。
恨んだが、そうした所で「おねえちゃん」は帰って来ない。
いつからか私と「おねえちゃん」は一つになったのだと考えるようになったその時、私は「フィー」という名前を捨て一体のドリアードとなったのだ。
そして、私は幼生の「リィ」と共に居る。
つまり今は私が「おねえちゃん」であり、リィが「フィー」という事。
そんなリィが私を見上げて、不思議そうな目で尋ねた。

「おねえちゃん。あのニンゲンたちは、なにをしているの?」

いつか辿った記憶。
私も「おねえちゃん」になる日が来た。
あの時、私が「おねえちゃんのおつゆがほしい」といった時、彼女は少しの驚きと共にこう思ったのだろう。
時が来た。フィーが大人になるその時が。なら、必要な物を分け与え育てよう、と。
私も心からそう思う。だから、私は微笑んでリィに言った。

「あの人間達はね、お互いに仲がいい事を確かめているんだよ───」


Never end...
12名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/27(月) 20:58:29 ID:tXlcDqmM
以上、やや短めですがこれにて終了です。
初っ端がこんなのでいいのかなあと思いつつ投下しちゃったしまあいいや、などと。

最後に。
もう幼女はやめておきますorz
13名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/27(月) 21:12:21 ID:tXlcDqmM
連投すみません。
>>11に一点訂正を。

×私は、私の妹とも言うべきフェアリーフのフィーと草叢に隠れている。
○私は、私の妹とも言うべきフェアリーフのリィと草叢に隠れている。

解りにくくて大変申し訳ない…。
14名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/27(月) 21:23:53 ID:tXlcDqmM
さ、三連投……ッ!無駄に伸ばしてすみませんほんと。

冒頭のお二人について、使用許可を頂いております。
許可くださった226氏に感謝を。

それでは、本当にこれで失礼します。ザ・グッバイ。
15名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/30(木) 21:54:46 ID:QsWz3Gok
停滞しすぎじゃね!?

最初読んだときはてっきりあの二人の話かと思いましたが
まさかこういう方向に持っていくとは・・・
最初から良い物見させていただきました

てか冒頭の二人何故こんなところでこんなことやってるんだ!?
16レニャチェリの人sage :2006/12/01(金) 06:31:06 ID:oNnNFFLg
そんなこんなで、こちらに続きをあぷします。
それと、>>6氏GJです。
なにげに226氏のキャラが出ているあたりがなんとも。
フェアリーフ×ドリアードという着眼点も良いですねぃ。
17レーニャとチェリム その2(9)sage :2006/12/01(金) 06:38:38 ID:oNnNFFLg
「うう、ごめんね、弱いっていっても、まさか胸だけでイケるなんて思わなくて」
「ぅ、い、いいから、気にしなくて、はぁ、はぁ……」
まだ、体のこわばりが抜けない。
息をつくと、また声が震える。
「それに、突然、こんなえっちなことして……でも、それ以外にどうしたらいいかわかんなくて」
「それも、かまわないから。チェリムは、チェリムなんだから」
思うように動かない体に、チェリムを抱いて受け止めてる。
私たちの関係を簡単に例えるなら、姉妹、なのかな。親族なら抱き合ったところで、心を温めあっていることをだれも咎めたりなんてしないし。
恋を挟む人と人、という関係は無理。
そんなのはあたりまえだけれど、でも、私はチェリムが好き。
イク前のチェリムの訴えが、そのチェリムを好きでいる私のことを、チェリムが認めてくれたからだと思う。
心の中でつぶやいても、空回りしてまたせつなくなるようなことがない。
ただ、このままでいいと言い切れない。言い切れば、きっとチェリムとの関係において、胸のつかえが取れるはずなのに、何か、この距離に関する違和感を感じているような気がした。
「ありがとぉ……レーニャさん優しいよ、暖かいよ……」
「どうしたんだ、今日のチェリムはなんだかすごく、儚げ」
「今のレーニャさんに言われたくないよ」
「それも、そうか」
シャワーの中でじゃれあってて、二人ともお湯に濡れてた。
案の定チェリムも、一糸纏わぬ姿でいた。服を着ていない姿を見るのは、ものすごく久しぶりのように思える。
お風呂、チェリムからよく一緒に入ろうって誘われて、そのたびに昂奮がのぼせを誘った。
たまぁに耐え切れなくて鼻血が出たりもした。
チェリムに心配かけて、だんだん一緒に入る回数減ったような。
でも、今は、そんなにのぼせ上がるほど昂奮しない。むしろ、あのときよりもっとチェリムの体に惹かれてるし、そのぬくもりや柔らかさを味わいたいと思ってる。
チェリムが背中にもたれかかっているのを、正面に向き直って受け止めた。
「レーニャさん……?」
「なあ、チェリム、本当に、一緒にいていいのか?」
「あたりまえだよ」
即答、されてしまった。
「今の私に、ほんとに友達って呼べる人は、レーニャさんしかいないから」
「友達、か……」
「レーニャさんを改めてフッちゃうみたいで、すごく申し訳ないけど……」
「いいって、気にしなくても。一緒にいてくれる、っていうだけでとても安心だから、気にしないで」
「レーニャさん……」
チェリムが私を抱く腕がとてもきつい。
鍛えた体にも、そのきしみが結構しんどく響いてる。
それだけ、チェリムが私を手放したくないって思っているんだということ。
「もう、ぎくしゃくするのは嫌だ。チェリムとは、ずっと仲良くしていたい」
「うん、私も。でも、男の人とのえっちはさせてね……」
「それは、チェリムがちゃんと意中の人一人を見つけるまでだな。それより後に、手当たり次第引っ掛けてたら、許さないから」
「うー、それはすごーく怖いんだけど」
「これでも、寛容なほうだ。本当は、誰かに抱かれるチェリムを想うだけですごくやきもち焼いてるんだからな」
「はぁい、あんまりレーニャさんのこと刺激しないように努力します」
「うん、それでよし」
チェリムが、そっと私から離れる。
その目がどこか潤んでいるのは、それだけ心温まる想いをしていたからだと思う。
私もきっと、チェリムと同じ目をしているはずだから。
そのまま、チェリムと浴室の権利を入れ代わろうと、私はそこから出ようとしたのだけれど、いきなりチェリムにがっしと腕を捕まれてしまった。
18レーニャとチェリム その2(10)sage :2006/12/01(金) 06:39:15 ID:oNnNFFLg
「ちぇりむ……?」
「レーニャさん、もちょっとしよ」
「しよって、何を?」
いや、なんとなく聞かなくても分かる。
まだ、チェリムにこびりついた臭いは、忌まわしい男の生臭さは、消えてないから。
理由をチェリムに聞く前に、タイルの上に座らされ、チェリムに肩を押さえ込まれてしまう。
「チェリム?」
「レーニャさんは、誰に初めての人になってほしいの?」
「は、初めてって」
直球の質問に、恥ずかしさがのぼせを助長してくれる。
答える前に、卒倒したりしないだろうか。
「だって……たまぁにレーニャさん、すごく切なげなオナニーしてるでしょ?」
「な、なんでそんなこと」
「ずぼしー? ずぼし?」
「う……」
今の、カマかけだったのか。
気づいたときにはすでに遅く、私が自慰をしていることも、誰を想ってしているかも筒抜けになってしまった。
きっと耳まで赤く染まってるだろう、と思えるくらい、頭が恥ずかしさにぼうっとしてきた。
チェリムに、まだ自慰する自分の姿を見られたことはないはずなのに、まるで最初から最後までの一部始終を見られてしまったように思えた。
それがさらに恥ずかしさを助長してくれる。
「相手は、やっぱり私なんだよね?」
「……」
しばらく、答えるのをためらったけれど、もう、うなずく以外の選択肢がなかった。うなずかなくてもわかりきっていることのはずだから。
「そっかぁ。じゃあ、その切なさを今から解いてあげるね」
「チェリム?」
チェリムが、私の膝の間に体を割りいれてひざまずいた。
私の一番秘めるべき部分が、チェリムの顔のまん前になるような位置だ。
「や、そんなところ見ないでほしい……」
「レーニャさん、もうぐしょぐしょだね、さっきの胸もみのせいかな」
私の訴えなんか右の耳から左の耳らしい。自分以外の女性器に、チェリムは何か別の玩具を見つけたような嬉々とした様子でいる。
「そんなの、当たり前だから」
「そっかぁ。でも、こっちのほうがおっぱいよりもっと気持ちいいんだよ」
「っひっ!?」
突然、両足の間、その付け根から、体を電撃のような強烈な感覚が走った。
「レーニャさん感じやすい体なんだね……」
「違う、それは、自分でやるにはこんなに感じない、きっと、他の人に、特にチェリムに、触ってもらってるからっ」
「ふーん」
思わず馬鹿正直に答えてしまった。
後悔をどんなにしてももう遅い。今のチェリムに、私が為す術はもうなかった。
その敏感に、熱っぽい吐息が吹きかけられた。チェリムが口元に私の秘部を寄せているみたい。そっと覗くと、舌を伸ばせば、すぐにでもその部位を愛撫できてしまいそうなほどの距離。
「ぁ……やぁ、チェリムっ」
「レーニャさんはクリでイク派? 膣内(なか)でイク派?」
「っ!?」
と、秘核を指で弾かれてしまう。
体を支えるのが辛い刺激が、私の体を貫く。
「これだと、クリでイク派かなぁ。でもそれはそれでもったいないよね」
たまに、いじるだけ、ちょっと息を、吹きかけるだけ。
でも、奥のほうがじわじわ熱くなって、そのたびに溢れ出す愛液が滴るのを、感じずにはいられなかった。
「もったいないなんていっても……」
蜜を垂らしている部分は、チェリムが男を受け入れて、とてもよさそうにしていた部分。その膣内、どれくらい気持ちいいんだろうと夢見ても、自分の指で処女膜を破るのは、あまりにも惨めに思えたから、一人でするときは、避けてた。
でも、今は、今から、私はチェリムにそれを貫き、破いてもらえるかもしれない。
「いいよ、処女を自分で破っちゃうわけにもいかないもんね。でもっ。レーニャさんは、もうこれから、ここに指を入れないではいられなくなるほど、ここを感じやすくするように熱烈に愛してあげるね」
「そんなの、愛するなんていわない」
「いいの、言葉のあやなんだから。レーニャさんは、おとなしくしててね」
19レーニャとチェリム その2(11)sage :2006/12/01(金) 06:40:06 ID:oNnNFFLg
「……っ!?」
チェリムの唇の感触、だと思う。口づけされた柔らかさが、いつもはいじってない部分の襞に触れた。
舌は、私の入り口付近をたどって、最初はそっと、なぞられるだけ。
「ぁ……ぁ……」
「ここ、二枚ともぴったり閉じちゃってる。綺麗なピンク色してて、レーニャさんここだけまだ女の子みたいでかわいい」
「そんな、こといわないでぇ……」
「ふうん? こっちの口はうねってるよ?」
「やぁぁ……っ」
じっくり見た事ない。でも、きっとチェリムの言うとおり。まったく弄ってないから、それは当たり前だと、思う。
恥ずかしいけれど、チェリムのこれからしてくれるかもしれないことを待ち望む気持ちのほうが強くて、抵抗できない。
ただチェリムの舌と指先に撫でられているだけなのに、体を震わさずには我慢できない心地が、下半身から全身を通り抜けていた。
「チェリム、だめぇ……っ」
「その、"だめ"は、もっと気持ちよくなりたい"だめ"なのかなぁ?」
思わず口に出てしまった言葉なのに。
チェリムにそれを踏み台にされてしまうように、チェリムの指先に膣前提をつつかれ、押され、チェリムの舌先で秘核の根元を、郭をなぞられる。
「ふぁ、ぁ……ぁっ」
「指にねっとりレーニャさんのがまとわりついてきてるよ……」
「やだぁ、やぁぁっ」
恋してる人にいじられてる。
それだけでも心の底から感じて、乱れたくて仕方なくなってしまうのに。
チェリムは恥ずかしいことばかり言う。
顔が燃えていそうなくらい、熱くて、なにか噴出している感じ。
「ちゅぅ、れろ、ん、ちゅ……」
指先じゃない、何か柔らかい感触を襞に感じた。チェリムが、蜜口とキスして、るのかな?
「ん、ふふ、レーニャさんの下のお口とディープキス〜」
「っ!? や、やぁ、ふぁあっ、っ、ぁっ」
まるで思考を手にとって弄ばれているようだった。チェリムと求め合うキスをしてる場所があまりにもふしだらで、淫らで、しかも、チェリムの舌が少し、入り口を割ってる部分が、声を出さずにはいられないくら感じさせられてしまう。
もし上の唇でされても、拒否なんかしないけれど、チェリムの舌をを悦んで受け入れているのが、ぴったりと閉ざされているはずの、貞潔そうな桃色の合わさり。この淫靡な行為にそこは、嬉々としてのめりこんでいるよう。
「レーニャさん、こっちのお口涎だらけだよ? そんなに興奮しちゃだめ」
「そんな、そんなの、無理……っ」
「んー? どうして〜?」
だって、チェリムが好きなんだから。
もっともすぎる答えなのに、いや、だからこそ絶対口に出してなんか言えない。言うより、チェリムの口淫に、秘内からもっと涎のように愛液を溢れさせてしまう。
「ふふふふ、焦らなくても、ちゃんとしてあげるからぁ。ちぅぅ、れろれろ……」
「っぁ、ぁ、ぁ……だ、やめ、ちぇりむぅっ」
舌は思った以上に滑らか、なんとなくざらつきを感じるのかもと思っていたのに、チェリムの舌、ときおり固さで私の柔肉を押して、少しずつ、少しずつ感じる場所が膨れ上がっていくよう。
声、出さないではいられない。
出さなかったら、もっと感じてしまう。
「嫌じゃないよね……ふぅう、ちゅぅ、レーニャさん、れろ、私の頭、押し付けてるんだもん」
「っ!? ひぁぁ……いやぁ、やぁぁ」
無意識、だった。全然気づかなかった。
ふと気をチェリムの頭の上に向けると、私は彼女の後頭部に両手を添えて、チェリムの顔をより自分へ導くように寄せていた。それに、思わず力むのは。
りきむ、のは。
「レーニャさんの匂いってなんか不思議……自分のだとあんまり匂いわかんないし……」
チェリムの舌の動き、唇の動き、徹底して私を追い込もうと、してないから、だからどこか、もどかしい。
だから、チェリムの舌、もっと感じるところをつついて、転がして、欲しいから、だからチェリムの頭、寄せてる。彼女をより深くへ招きいれようとしているんだ。
「チェリム、そんなの嗅がないで……もうここにいられないくらい恥ずかしい……」
「でも、レーニャさんのラブジュース、恥ずかしがるたびに溢れてるよ」
わざとらしく音を立てて、チェリムが愛液をすすり取ってる。私の液の量を誇張するように。
「そんなに、出てないって……っ、はぁ……ぁ……はぁ……」
「ふふふ、これなら、いつ指が入っても、ねっとりとろーりと受け入れてくれるかな?」
そんな私の状態を感づかれ、その先の行為を告げられ、これから、チェリムにもっともっと深くを愛撫してもらえる、そのことを私はもっともっと求めたかった。
でも、今求めたら、求めたりなんかしたら私は本当にはしたない女になってしまう。
私は、素直に欲しいものを欲しいといえるような、気楽さを持ってないから。
「でもまだだめだよ? レーニャさんから欲しがるまで入れないからね」
「っ……そんな、欲しがりなんか……」
「それがそれが、女の人は欲しがるように出来ているんだよ。こうして、レーニャさんの下の口にキスしたり……」
軽く触れるような口づけを、蜜口に吸い付くようにして。
「クリのまわりを舌先でなぞったり」
言うまま、けしてその中央を弾いたりせずに舌先で秘核の見え隠れする郭をくまなくたどったりして。
「ひだひだをそっと舐めてあげたりすると」
「ぁ……っ、ぁ……ぁ……」
20レーニャとチェリム その2(12)sage :2006/12/01(金) 06:40:59 ID:oNnNFFLg
言葉をそのまま再現するだけ。それだけでも、十分感じさせられていた。
優しく、でも手を抜かない。徐々に、徐々に、私の下半身はチェリムの舌に虜にされている。頭の中が、どんどん気持ちよさだけで埋め尽くされていく。チェリムともっと深く繋がりたいと、想い人との接点を結びつきを強めたいと、私の心が迷うことをやめようとしてる。
だから私は、だから。
「たまらないよね」
「うん……うん……」
「欲しくなるよね」
「っ……ぁ、ふぁあぁっ」
当たり前だ。チェリムの舌戯に、もう私にほんのわずかの理性も残ってなんかいない。
貪欲にチェリムを求めたくて、今すぐにでも口に出したい。
「チェリム、わた、し……欲しい……」
「んーなにがぁ? れろれろ……」
「ふぁぁ……チェリムとの結び、つき……」
「それはどういう意味なのかなぁ……?」
「チェリムに、私の、わたしの初めての人になってほしい……指で、私の証を赤く裂いて欲しい……」
だから、言った。
「それはすっごく痛そうだけど……いいの?」
「大丈夫、チェリムにしてもらうなら、それ以上の幸せはないから」
思わず、正直な、私の気持ちを。
チェリムを好き。チェリムに身も心もすべて捧げたい。恥ずかしい部分すべて、その舌で、その指で私がおかしくなるくらいまで、愛して欲しい。
どこまでも我が侭な願望がまざってるってわかるけど、もう立ち止まれない。
「ふぅぅ、レーニャさんこれが最高なんて、思っちゃだめだよ〜?」
「……っぁぁ……んっ」
わざとらしく、熱い吐息を注ぎ込むようにチェリムの唇が私の蜜口に語りかけ、時折、キスする。
「好きって気持ちが共鳴しないえっちより、共鳴するえっちのほうがもっと幸せなんだから……」
「チェリム……っ」
「私は、レーニャさんのことを恋せないんだよ。それでも、私に初めての人になって欲しいの? えっち大好きなだけで、女の人とすることも興味だけで押し通しちゃってるんだよ?」
「はぁ……はぁ……いい、かまわないから」
この断りは、チェリムと私の距離をすべて物語っていること。
チェリムとは永遠に恋人同士にはなれない。恋し愛し合うセックスじゃない。
でも。
チェリムの自虐した気持ちそのもの。チェリムが自身を分不相応だと思ってること。
そして、チェリムのその淫らさに起因する孤独。
「私は、優しくて暖かいチェリムが好き。かわいくて、えっちなチェリムが好き。聖職者でいるチェリムが好き。私の同性愛の寂しさを、けして無碍ににしないチェリムが好き……だからチェリムが欲しい」
「レーニャさん……」
「来て。精一杯受け止めるから」
そっとチェリムの体を自分に寄せた。
なんて華奢な体なんだろう。自分の腕力をわきまえないと、へし折ってしまいそう。
お風呂場でお互い一糸纏わぬ姿。
触れ合う部分触れ合う部分すべてが、生の触感。それだけでも、気が変になってしまいそうなほど興奮する。
いつもうさぎ耳が乗っかってるショートカットは、今はシャワーに濡れてるだけで、何もかかってない。
私はチェリムが指を入れやすいように、横から彼女を抱いた。
滴る愛液が、浴槽の縁を伝い流れ落ちていた。
「レーニャさん……」
彼女が動きやすいように、また感じすぎて浴槽に落ちないように、お尻をタイルの上に落とし、お互いにその上に座った。
今はむしろ、私の体のほうが束縛されている。
「いくよ……痛いのは最初のうちだけだからね。すぐにヒールかけて、よくしてあげるから」
「ああ……うん……」
チェリムの腕が、私の体を抱いた。
私はチェリムを招くように、首をそっと寄せた。
チェリムの身がのしかかり、指がそっと、私の秘部へ降りてく。蜜をたたえたそこは、まだ枯れずにチェリムの指を待っていてくれた。
チェリムの指が伸び、チェリムの指先が、襞に触れた。
「ふぁ……ぁ」
「レーニャさんのここ、ほんとに綺麗……入れるね」
「うん」
少しずつ、彼女の中指が私の中に割り入っていく。自分もまだ差し込んだことの無い、粘膜の合わさりへ、徐々にチェリムの指が奥へ入っていくのがわかる。
21レーニャとチェリム その2(13)sage :2006/12/01(金) 06:41:46 ID:oNnNFFLg
「わ……レーニャさんの中、入れたとたんにぎゅって締めてきてる。指一本でもすごくきついよ」
「っ、そうなの、か……?」
「うん。私は、だいぶ広がっちゃってて、こんなにきつくなかったし。でも……破くなら、ね」
チェリムの指が、じきに私の膣内にその長さをすべて収めてしまった。
一番奥に届いているのかはわからないけれど、指、入っているだけなのに、なぜかじんわりと、淡い恍惚が呼び起こされてくるよう。
「チェリム、動かして欲しい……」
「うん、いいよ」
チェリムの指が、引き抜かれるように動く。
その指に引きずられるように膣壁が動くと、擦りあわされる部位が、けして敏感とはいえないけれど、でも、息を深くつかないとそれに飲まれてしまうような心地が、体の奥で目を覚まし始める。
「ふぁぁ……」
「レーニャさんの中、すっごく熱くて、とろとろ。それに、なんか襞が重なってて。うぁぁ、みみずみたい……」
「っ、ぁ……ぁ……」
「ふふふ、レーニャさんがもし異性好きなら、男の人は長いこと早漏に悩みそう」
「っ、男のことは、いわないで……っ」
なぜなのかわからない。
その、重なった襞の膣壁が、なにか関係するんだろうか。
「ごめんね。うん、じゃあちょっと、激しくするね。痛くても我慢して」
「わかった……っっ!!」
指先で感触を確かめるだけだったチェリムの指が、私の膣壁を押し広げるように、私の中を乱雑にこねりまわし始めた。
「っ、く、ぁ、くぅっ……」
感じるなんて言葉、はそこにない。
腰が砕けてしまうのではないかと思うような強烈な痛みが、蜜の中を襲う。
「レーニャさん、もちょっとしたら平気になるから、がんばって……がんばって……」
「そ、そんなこと、いっても……っ」
覚悟は、決めていたはずなのに。
それはどこか、怖れを抱かせるような痛さだった。
その怖れに、膝が震える。足に入る力が、チェリムから逃れようとしてる。
でも、逃げられなかった。
逃げるなんてできなかった。
破瓜してくれてる、チェリムが初めての人に、なってくれてるという事実が、お尻をここにつなぎとめていた。
「ん、キス〜……ちゅぅ」
「んっ!? ん……ちゅ」
口づけを、チェリムからしてくれた。
唇と唇が重なり合う。唇の柔らかさに、チェリムの優しさが乗せられてくる。そっと、私の唇を舐めてくれてる。
キス、してもらえたことの意味を考えるまでも無く、私は思わずチェリムの舌に自分の舌を捧げていた。
「んはぁ、ん、ぁ……ん」
「ん、ふふ、積極的だぁ……れろ、れろ」
重なり合う。くっつきあう。お互いの口腔を求めるように絡み合う。
その間に、だんだん、チェリムの指の動きに、激痛が遠のいていった。
ひりひりとする、鈍い痛みが残ってはいるけれど、足をだらしなく投げ出しても、そろそろ、平気な気がしてきた。
「ん、ふぅ、あ……もう、痛み、さっきより楽……」
「んふふ……レーニャさん濡らしすぎだもん……」
指を一本だけ、というのもいえるのかも、しれない。
でも、なぜだろう。けして、傷口の痛みが感じることを妨げなかった。
むしろ、その痛みを覆いかぶせるくらいの心地を欲しているようだった。
「違うって、そんなんじゃないって……私は」
「好きな人にいじられてるんだからでしょう?」
「……それは……」
「純真で一途なレーニャさんのことはお見通しだよ」
そのチェリムの一言は、なにもかも見透かされた嫌悪になるはずなのに、今の私は、むしろこれからのチェリムの指戯を欲しがること、それに……チェリムの腕の中に抱かれてることへの暖かさで、心にこれ以上ないくらい幸福感が広がってた。
舌を突付き合わせたまま、チェリムの指は私の膣襞を確かめるように押し、なぞってく。
「ん、ふ……」
その指先が、いたるところを押すたびに声が漏れてしまう。漏らさずにはいられない。
チェリムがいつも、ここに男の凶悪な赤黒を受け入れて、あんなによさそうにしてしまう理由が、だんだんと、この身に感じてわからされてしまった。体に受け入れているだけで、せつないくらい奥の奥に熱っぽい快感を膨らませてしまってるから。
「ふぁあっ、チェリムの指、入れてもらってるだけなのに……っ」
「感じてきちゃったかな? じゃあ、もしかしたらちょっと痛いかもしれないけど、指2本にするね」
「2ほん……?」
指1本だけでも、チェリムに私の中はきつきつに張り付き絡み付いてる感じなのに、2本も入るのかな……
「レーニャさん、ここから女の人は赤ちゃん産むんだよ? 赤ちゃんの頭は、2本指の5倍は太いの。だから、2本くらいじゃどうこうならないから、むしろ1本じゃ足りなくなっちゃうよ」
「そんなこと……」
説明するととたんにチェリムの指がいったん私の中から抜き取られた。
彼女の指に、私の中を満たしていた愛液と、処女を裂いた証ともいえるような赤い筋がねっとりとまとわりついて、艶に光ってた。思わずじっと見てしまったけれど、チェリムの指は細いというにふさわしい部類のものなのに、それでも、私の膣内はもういっぱいいっぱいに感じた。
それが、2本に……
「じゃあ、いくよ……」
中指と薬指をそろえて、チェリムが私の前提をその2本で突付いた。
「っ……ぁ……っ」
ややねじ込み気味に、私の中へチェリムの指が改めて入っていく。
「レーニャさんの入り口、ちょこっと広がっちゃったよ。でもまだまだゆとりある感じだなぁ。中はすっごく狭くてきつきつなのに……」
「ぅ、ぁ……ぁ……」
口を突く声が、2本に増えてさらに膣内を押し上げる指に、押し出されるようにもれてしまう。
痛みは、裂けて治ってない部分から、鈍く腰にやや響く感じ。でも、座って、チェリムに抱かれてることが、むしろその鈍痛すらも悦の心地に浸らせてくれた。
最初は太くなった部位に不慣れで違和感があったけれど、次第に馴染みはじめると、とたんに指を受け入れている蜜内全体が、その感触にじわじわと熱を帯び始めた気がした。
22レーニャとチェリム その2(14)sage :2006/12/01(金) 06:42:18 ID:oNnNFFLg
「はぁ……はぁ……」
「ふふ、レーニャさん感じやすい……動かしたらどうなるんだろう?」
ゆっくりチェリムの指が引き抜かれていく。指のくびれが私の膣内をかき出すように、圧迫しながら出て行く。
「ぁ、ぁ……んっ」
「ぇぃ」
くびれが蜜口を通り過ぎようとするときに、指が膣内を一気に遡って、指先が最奥を振るわせた。
「ひぁあっ!?」
痛みの鈍さがすべて、体の芯に向かって悦となって打ち込まれてきた。
声に、思わず嬉声を入れずにはいられないくらいの、強い感覚だった。
「ぅ、ぁ、っぁあ、ふぁ、あっ……」
味を占めるように、チェリムがその二本指をひねり、かきまぜて、私の奥も襞も、赴くままに蹂躙しはじめた。まだ経験は薄いのに、ただ痛いだけになるくらい、激しいはずなのに、私の膣は思った以上に丈夫で、敏感で、淫らだった。
「チェリム、やぁ、こんなの、はげしすぎる……っ」
「そうされてレーニャさんはどう? 痛い? 気持ちいい?」
「そんな、のっ……はぁ、ひあああっ」
「レーニャさんって感度いいよね。おっぱいもみもみしただけでいっちゃうんだもん」
「やっ、ぁ、それは、いわない……いわないでっ」
「恥ずかしいよね、いやらしいよね……ここ、とろとろにしつづけないと、我慢できないよね」
弄ばれてるのに、でもそれがもっと気持ちよく、させてもらえる方向に向いてる。チェリムの指にしてもらえていることが、チェリムに私のすべてを捧げられていることが、そういった責めもすべて変えがたい幸福感へ変換してくれる。
恥ずかしさも、いやらしさも、みなチェリムに見てもらっているだけでもう、すべてさらけだせてしまいそうだった。
「チェリムに、チェリムにしてもらってるから……っ」
膝が、がくがくする。
足の居座りの良い場所を探そうとしても、どこにもとらえられない。
じたばたと脚をもがいてしまう。
「それはどうしてなの……?」
「はぁ……それ、はぁ……」
そんなこと、決まりきってる。
でも、いったらもう、絶対止まれない。
「んー? はむっ」
「っはぁっ!!」
チェリムがわきの下に頭を通して、私の乳房に唇で食むようにキスした。乳輪にも乳首にも触れてないのに、チェリムの柔らかな唇に乳房から体中が揺らされるほど感じてしまっていた。
「ふふふ、どうしてかなぁ……れろれろ……」
「はぁ……それはぁ、チェリムを、チェリムを……」
「私を?」
「ふぁ、ぁ、チェリムを好きだから……チェリムのこと誰よりも愛してるから……っ」
口に、出すわけにいかなかった言葉なのに、もう私は、言わずにはいられなかった。
チェリムの指に、私の中の収縮が震えるようになってきてたから。
それが体を、だんだん力ませてきてたから。
「私は……あなたを恋せないよ? それでも、いいの?」
「いい……かまわ、ないっ、私はチェリムと一緒にいたい……っ、はぁ、っ、っ、ぁあっ」
しゃべるの、本当に苦しくなってきた。
もう、気持ちよさしか吐き出せない。息をすることも忘れてしまいそう。
「レーニャさん……こんなに想ってくれてうれしいな」
「はぁ、はぁ……だ、め、……っ、あ、ぁぁっ」
目の前、よくわからない。
チェリムに抱かれてるのかすら、わからない。
ただ、一番の高みへ突きあがってしまうかもしれないことに、身をゆだねてしまうだけ。
「いいよ……私もレーニャさんとならいつでも一緒にいても。ううん……いつまでも一緒にいたいな……ね」
ちゃんと応えられない。
言葉がつむぎだせなくて、ただうなずくしかできなかった。
「いいよ、レーニャさん、このまま……」
「っ、ぁああ、もう、っ、ぁあ……っあああっ!!」
イク間際に聞いたチェリムの声は、今までの中で一番優しく暖かい響きに聞こえた。

タイルの上に二人、壁によりかかって寄り添ってる。
チェリムに肩をあずけているのが、すごく安心する。今の今まで、この場所で、私はチェリムと結ばれてた。厳密には結ばれるとはいえないのかもしれないけれど、気持ちを受け入れてもらって、暖めてもらえたことだけでも、うれしい。
「ちょっと冷えるね」
「まだ雨降ってたからな……」
自分の声が無意識に押し殺されていたのは、気をやってた衝撃がまだ強すぎるせいなのか。
「ふふ、かわいかったなぁレーニャさん。いっつもきりっとして、男の人みたいな喋り方して、大人の女性って魅力いっぱいなのに、えっちなことすると本当に可愛くなっちゃう」
「そんなこといわないで……」
「ふふ、でも恥ずかしいのが気持ちよかったでしょ?」
でも、チェリムが濡れ場になるととたんにその淫らさの本性をあらわにすることは、よくわかった。彼女自身はやや受けのタイプのはずなのに、攻め手に回ったときのそれは、淫魔にも匹敵するたちの悪さだ。
「……チェリムの意地悪」
「意地悪でいいですよーだ。こないだのお返しだもん」
「じゃあこの次は腰が立たなくなるくらい激しくしてやるからな」
「え? もしかして……今から?」
「いや、今日はいいや……私のほうが腰立たないし」
実際、処女を破った後の部分の痛みがまだ残っているのか、ずきずきと腰に響く感じ。
それなのに、あんなに気をやってしまったのは、とても不思議だった。
「レーニャさんすっごくおっきな声で、イッちゃってたもんね。気持ちよさそうだったなぁ」
「もう、その話は終わりだ」
「ふふふ、レーニャさんのま○○んは小さな女の子みたいに綺麗なピンクで、毛もうっすらな……」
「チェリムっ」
だめだ、チェリムは私の反応を弄ぶのが癖になっている感じ。
このまましばらく、ほうっておくしかないか。
でも、こうして、馬鹿馬鹿しいことを言い合っていても、今私とチェリムの間柄に、隔てるものは無い気がする。
好きでいてもいい、一緒にいてもいい。
たぶんだけれど、またえっちなことをしてもいい。
チェリムは私にそのことを許してくれたんだ。
恋仲にはなれないけれど、今はこのことを喜んで、チェリムと共にいよう。

私は、そっとチェリムの手を握った。
23レニャチェリの人sage :2006/12/01(金) 06:44:35 ID:oNnNFFLg
以上でその2終了です。
レニャチェリ自体、もちょっと続くかもしれませんが、お目汚しにならないようがんばります><

しかし、えちしーんのメインがそれまでの過程とそれほど変わらない容量になるなんてorz
テキスト大きすぎですみません。

では、全レスは帰ってきてからのちほど。
24名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/01(金) 12:16:19 ID:NVCF0yOs
わはーーい!
レニャチェリの人、今回もGJです(*´д`*)
大容量コォ━━━━щ(゚Д゚щ)━━━━イ!!!!

3も楽しみにしてます(〃 ̄ー ̄〃)
25226たんdame :2006/12/02(土) 01:21:49 ID:qm7ZZ1vU
ひゃっはー、保管庫がようやっと回復しそうです。休憩代わりにレスします

>>ねえさま
合同企画と言うことでよろしくお願いします。愛してます

>>6
コテハン名乗りましょうよこてはんー
冒頭の二人はあれはきっと、グリフォンのADS狩りですよね。
湧き時間待ちでヒマだったに違いないです

>>レチェの人
え ろ す ぎ 。
「男の人はイイんだよー教えてあげたいよー」のチェリムたんと、
「私はチェリムじゃなきゃ嫌なんだ」のレーニャさんの噛み合ってなさが異常にえろいです。
なんかえろすぎてくやしい。
26保管庫管理の人sage :2006/12/02(土) 01:44:17 ID:fyZ73rn2
大変失礼致しました。書き込み不能になってるのに気付かなかった上に、
226たんに突付かれるまでその事態に気付けなかった名ばかり管理人です。
FTPで上げなおすと権限者がかわるからリライトできなくなるなどとは思いもよらず。
今後、どうやってバックアップから復旧しろと……orz

過去スレで可能なものは手作業で削除>Wiki上で再作成、という原始的なやり方で
保管しなおしました。もっといいやり方を御存知の方、こっそり教えてくださいませ。
27226たんdame :2006/12/02(土) 03:17:12 ID:qm7ZZ1vU
>>管理の人
作業終了しました。既出作品全部収録。
保管庫の掲示板に報告しようと思いましたが、エラーが出て書き込めません…orz
28名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/03(日) 19:24:29 ID:QQPgkiUA
>>226たん
保管+埋めSSお疲れ様です。
古い作品にふたなり、おいしゅうございました
29226たんdame :2006/12/06(水) 01:12:38 ID:oAWIjSts
ねえさまのあれは恐らく挑戦状だと思われるので、当方に迎撃の用意ありということで。
↓の226たんバージョンです。
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1136384492/279-282
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「ねえさまああああああああああ」
 カウベルをガラガラ言う勢いで鳴らして、料理店のドアを破る……わけではないが、その位の勢いで開けて店内へ飛び込む。目をすっと細めて店内を見回す。赤い法衣を探せ。あった、いやあれは別人だ。紛らわしい、ここからソウルブレイカーの一撃でも見舞ってやろうかしら。ハイプリーストの法衣はあの人だけが着ていればいいのに。
「まだ来てねえよ、うるさいな」
「失礼しましたああああああ」
 捜し人が居ない事を確認すると、わたしは料理店を後にし、冬の冷たい夜闇へ身を溶かして走り去った。実のところこれで3回目で、店の人は相当にイヤそうな顔をしている。でもそんなことで、わたしのねえさまへの気持ちは妨害できないのだ。えへん。


 所変わってPvPフィールド・イズルード型マップ。料理店を出たわたしは近くの宿屋からここへ足を運んでいた。こんな深夜にそんなことをしているのには多少の訳がある。
 わたしには『ねえさま』と呼んで慕う女性がいる。といっても実の姉妹ではなく、でも魂の深いところではもっと密接な繋がりがあって、それは愛や恋ましてや友情などでは及びもつかぬ繊細で甘美な感情で――こほん。とにかくわたしには愛するねえさまがいる。理知的で大人びた雰囲気で、司祭としての能力も高く、文才や果ては絵心にまで幅広く恵まれたうえ、わたしと同じく……いや、それ以上に同性愛者のケがあって、長身ですらりと美しく艶かしい身体が……はぁぁぁ。ねえさま、会いたいです。
 ねえさまのことを考えるとこの調子で、自分ではもう割りとどうしようもない。帰りの遅くなる仕事をしているねえさまは、毎日深夜に件の料理店で食事を摂るわけで……それを待ち受けて感動の再会を愉しむのがわたしの日課になっていた。ならば店で待っていれば良いのだろうけれど、時間が近づくにつれて大人しくしていられなくなってしまうので、こうしてPvPエリアに足を運ぶことしばしば。
 わたしは女ながらに暗殺者――それもアサシンクロスとして相応の修練を積んだ身で、そうした能力には恵まれている。駆け出しの冒険者を秒殺してみたり、猛者たちと死闘を演じてみたりすることで、自分を鎮めてねえさまを待つのだった。鎮めるのは焦燥であったり、昂ぶりであったり、疼きであったり、いろいろだ。
 相応の修練と言ってもわたしのそれはかなりのレベルであり、わたしはアサシンクロスのうちでもさらに一流に数えられる。攻城戦にもしばしば参加し、特定の勢力に与するわけではないのだが、雇われ者として数多の武功を立てている。智謀優れた将として知られ、そのリスクの割に実入りの少ない奇策は敵はおろか味方をも撹乱し、また戦場においては『しねえええええええい』などと雄叫びを上げて奮迅するまさに戦の女神。『迷惑だ』、『やかましい』、『友達と思われたくない』などと敵味方双方から畏怖、賞賛される無双の猛将である。
 そうした能力に長けているわたしであるからこそ、またそれを磨く為、こうして機会があれば対人戦シミュレートエリア・PvPフィールドへ足を運ぶのだ。

 イズルードの町並みをそっくり模した戦闘マップを、視覚迷彩歩行――クローキングを駆使して探索する。ここにはわたしの他に2人入室しているようで、一人で挑んでも勝ち目は充分だし、相手によっては良い勝負も期待できる。狭い街であるためか、市場の前ですぐにその二人を発見することができた。
「ネネコさん、いくらデートと言ってもここは……」
「そう、アリサは私の決めた場所が気に入らないのね」
 その二人はいずれも女性、ハイプリーストとロードナイトであるようだった。これは手強い、総力で挑まなくてはこちらが倒される。かなり強いと見受けられる相手にしか使わない必殺の武器、ブラッディロアを握り締めて様子を伺う。相手がいかに強力でも、その守りを紙のように貫く呪いの武器。代償として相手の攻撃を回避する能力を完全に失うが、一撃で斃せば済むことだ。もとよりわたしは、敵の攻撃を躱す修練をあまり積んではいない。一撃で敵を倒す攻撃力と、また相手にそれを許さないタフネスを特別に磨いている。
 わたしなどは一見すると小柄でバストの貧し……控えめな美少女なわけだが、甘く見ると痛い目に遭うことになる。戦場でのわたしは敵にも味方にも恐れられる暴虐の将なのだ。身のこなしにあまり自信がないとはいえ、アサシンクロスとしての長い鍛錬と小柄でスレンダーな体形が、かなりのレベルの回避力を授けてくれてもいる。神様ありがとう、泣いてなんかいない。
 もっとも、この呪物を使っている限りはその回避力も地に落ちてしまうのだが。
「そんなことは……でも、他に人が居ない部屋に入ってどうするんです?」
「別に、二人になりたかっただけよ。ここなら貴女の迷惑なお姉さんも来ないわ」
 何やら雑談に興じているらしく、アスムプティオの白光は視認できない。ふふ、その警戒の甘さが命取りになる。わたしは物陰へ移動し、カタールに猛毒を塗った。こうしてこっそり準備する姿はいくらか間抜けな様相だが、相手に気付かれなければ別に構わない。この猛毒、効果は折り紙付きだが厄介な性質を持っているのだ。主原料となるカルボーディルの性質上、塗ってから一分ほどで揮発して効果が無くなる。この辺は改良の余地があると思う。もちろん、密室での使用は厳禁だ。毒物に対して鍛えているわたし達アサシンクロスでも、カルボーディルそのものが持つ向精神作用は受ける。うっかり窓のない地下室で塗布して、そのまま気持ちよく天国へ逝きかけた同業の噂を耳にする。
 慎重に武器に毒を仕込んで、再び隠行歩行で忍び寄る。
「で、でもネネコさん。ここで、その、するのは流石に」
「ふうん、アリサは厭らしいのね。私はそんなこと言ってないのに」
 少し離れている間に、幾らか会話が飛躍を見せている気がする。どういう仲なんだ、この二人。
「え、えぇっ!? ネネコさん、ずるい」
「……待ってアリサ、静かに」
 アリサと云うらしいロードナイトの背後に潜んだわたしが、まさに八連撃の構えを取ったとき。ネネコと呼ばれた高司祭がおろむろに歩いて来て――。
「――サイト!」
「な!?」
「うわああっ!?」
 突然、魔法の松明がわたしの姿を照らし出した。何故わかった!?
 驚きながらも反応した騎士がボウリングバッシュを放つ。回避を捨て盾を手放していたわたしは、それをまともに受け、堪らず吹き飛んだ。
「アリサ、もう一発!」
「はいっ! でぇいっ!!」
 レックスエーテルナ――衝撃倍加の術を加えてもう一撃。さらにレックスエーテルナを加え、なんと大振りの剣技がもう一撃。二の太刀、三の太刀が異様に速い。
 ――不覚。今時珍しい敏捷性に重きを置いた騎士か。
 わたしは敢え無く地面に伏せる羽目となった。それを見下ろして、司祭は一言。
「――アイシャさんかと思いました」
 誰ですか、それは。
 その人はこうして発見されると、ここまで問答無用で攻撃されるらしい。内心ツッコみつつ、まだ見ぬアイシャ嬢に同情した。

30226たんdame :2006/12/06(水) 01:13:09 ID:oAWIjSts
「ねえさまああああああああああ」
「まだだって言ってんだろがトンチキ」


 しょんぼり感を隠せないまま再度PvPエリアへ。先ほどの勘のいい二人組みにリベンジしたい気もするが、さっきの一戦で警戒されていては分が悪い。第一、聖職者が暗殺者に対して使う光の術がルアフではなくサイトとは。ルアフより有効範囲は広いが魔道具を用いなくては使えない――また、ルアフには僅かなダメージを伴う浄化作用がある。その軽微な損傷は衝撃倍加の術を徒に解除してしまうため、彼女らの戦術と相性が良くない。知ってか知らずか――それをわざわざ使っているというほどだ、余程暗殺者の追跡に慣れているのだろう。日常的に尾行されたり、果ては刺客を付けられたりもしているだろうということだ。あんなナリをして実は相当の大物や、札付きの犯罪者なのかも知れない。そんな相手と好んで喧嘩する気にはなれなかった。
 そういうわけで今度はプロンテラ、ここには4人いるらしい。
「……どうしたの」
 噴水広場付近では、女性が二人倒れていた。そっくり同じ顔をした、ハイウィザードとブラックスミス。有名な攻城戦参加ギルドの紋章をつけている。大分昔に、雇われて戦ったことがあるけれど。大きな声では言えないけど、あまり良いギルドではなかった。
「何でもないわよ」
「お姉さんも気をつけて、テロがいますよ」
「大体ね、私が対人用にVit振ったエリートだからこうなったのよ。私が強いから負けたの」
 何を言ってるんだ、このウィザードは。この訳のわからない見栄の張り方には、いくらか親近感すら覚える。
「はいはい。帰りますよ、ほら」
「うちのギルドに逆らおうなんて……」
 ぶつくさ呟きながら二人は光に包まれ、このエリアを離脱した。一見した感じでは仲のいい凸凹姉妹。楽しいのだろうなあ。

 二人を見送って隠行で歩いていると、妙にキョロキョロしながら歩いている不審な少女を見かけた。シーフの姿をしている。
 ――シーフ?
 普通こんなところに一次職は来ない。ましてや先刻の二人はテロがいると言っていた。つまり、このルームには他者に無差別攻撃を仕掛ける何者かがいる。例えばわたしのような。まさかこのシーフがあの二人を倒せるわけはないだろうし……。何にしても、とりあえず倒しておこう。
 右手には対人用、コンバットナイフ。左手には命中力を高めるマミーカードを滅多挿しした短剣を持って。
「ソウルブレイカー!」
 アサシンクロスの奥義が一、魔法と物理の複合攻撃。もちろん隠行は解除される。魔法的な力を殆ど学んでいないわたしが使っても威力に乏しいが、優秀な武器と必殺の腕力のお陰で充分な殺傷力を得られる。
「ひゃうっ!?」
 かわいい悲鳴を上げて一撃で吹き飛んだ。他愛もない、むしろわたしが大人気ない。とりあえず事情を窺おうと倒れたシーフに近寄ると、背後で声がした。
「よくやったわ。囮も立派な仕事よ、トリス」
「えぇっ!?」
 建物の陰から現れた見慣れない姿の女。クリエイターか、成る程彼女ならばこそ一人で先の二人を倒すことも可能だったのだろう。冷静に考えてはみたが実のところ大変ピンチである。ああ、なんか飛んできてる。二色の瓶が、ひいふうみ、6本ずつ。
 そしてわたしは、修行僧の必殺の拳でも見ないようなとんでもないダメージを受けて、挽肉体験をした。貴重な経験だった。

31226たんdame :2006/12/06(水) 01:13:47 ID:oAWIjSts
「ねえさまああああああああああ」
 さっさと戻り、気を取り直して料理店へ。夜の街を後ろ向きに跳躍疾走。さっきの挽肉が仮想現実で良かった、しばらくハンバーグは食べられない。
 やった、ねえさまが居る。会いたかった、涙が溢れそう。辛かった、寂しさとか剣とか挽肉とか。
 息を切らせて瞳に涙の膜を張って、ねえさまのテーブルにつく。呆れたような疲れたような顔で溜め息を吐く。きっと実際に呆れているし疲れているに違いない。大丈夫ですねえさま、今日はわたしも疲れていますから。
 ねえさまはハンバーグセットを食べていた。何ですか、嫌がらせですかそれは。ううん、ねえさまはわたしの死闘も苦難も知る由もないのだ。そう、泣くのはわたしだけでいいのだ。むしろ、ねえさまに食べられていると思えばなんと幸せなことか。でもこの店の料理は不味いと思うのだけど。お酒の出ないこの料理屋でないと、お酒好きのねえさまは、うっかり呑んでしまうからなのかも知れない。
「結局、『ねえさま』は確定なんですか」
 一瞬何を聞かれたのかよくわからなかった。当たり前すぎる。義姉だからねえさま、いったいねえさまは何故疑問を。
「ねえさまと私は義姉妹の契りを交わした仲じゃないですか」
 まったく……もしかして忘れているのだろうか。何を言っているんですか、ねえさまは。ああ、いけない。口に出してしまったかもしれない。
 にこにこして見せて、ねえさまの顔を覗き込むと、微妙な表情に更なる磨きがかかっていた。そんなねえさまも、素敵。呼ぶたびに胸とかどこかがきゅうんとなるので、この呼び方は譲れないのだ。断じて。
「まあ呼ぶのは構いませんけど、義姉妹の契りなんて交わしてませんから。そこのところ勘違いして勝手に変なこと吹聴しないでくださいね」
「はあい」
 あぁ、ねえさまは優しいけど冷たい。それがとても愛おしくて、わたしの変なスイッチが入ってしまう。
「――ねえさまに喜んでいただけるのなら、私何だって言う事聞きます」
 とびっきりのかわいらしい笑顔でわたしは言った。一人称『私』の発音さえいつになくハッキリと。普段のわたしは『私』なのか『あたし』なのか判別しにくいような発音になってしまうのだが、意識して変えることでまるで別人のようになる。
 どうやら今日のわたしは、清楚なお嬢様で行くつもりらしい。わたしはよく、ノリでこうした寸劇を始めてしまうことがあるのだが、癖のように始まるものなので自分の役回りはやってみるまでわからない。以前などは、ねえさまに変態呼ばわりされて背筋を震わせて悦ぶ変態の役をやってしまった。まさか、ねえさまにあれが地だなんて思われていないだろうか。安易に否定もできないけれども。
「あらあら、貴女は可愛い事を言うのね」
 ――!
 先ほど作った『かわいらしい笑顔』に一瞬ヒビを入れてしまう。意外にも、ねえさまは乗ってきた。普通、こんなことはまず無い。
 冷たくあしらわれて枕を濡らすか、その冷たさにキュンとなって違うものを濡らすか、そんなところが関の山だ。ならば今日は一体どうしたというのか。 一瞬の間で考えて思い至った。そうか、すっかり忘れていたけどここは人目がある。ねえさまは一見、人前では冷たくも穏やかな聖職者然としているように見える。だけど実際はそうではなく、その芯はとても――熱い。というか、一種のバカでさえある。
 そう、間違っても、人前で売られた喧嘩を降りるような人間ではないのだ。
「か、かわいくなんか……」
 これこそは千載の好機。逃すわけには――いかない。
 ねえさまはこの『勝負』、恐らく負ける気などない。だけどねえさまは、大切なことを忘れている。ねえさまは『お姉さま』を演じなければならないが、わたしにその必要はない。かわいらしく振舞う必要こそあるが、わたしは心底ねえさまにめろめろなのだ。ほら、勝手に頬は染まる。二の句は自然に継げる――。
「いいえ、貴女は可愛いわ。もっと自信を持ちなさい。私が認めているのだから。ね?」
 ああ、ねえさまってば何て事を。有頂天、桃源郷、筆舌に尽くせない。わたしは脳が溶けてしまうような思いをした。
 席を立ち、ねえさまが歩いてくる。完璧な動作。美しくどこか蠱惑的で、視覚の刺激だけでわたしは腰から崩れ落ちそうになる。
「で、できませんそんな事。第一、ねえさまのほうがずっと!」
 ほら、考えなくっても言葉は出る。演じなくても、勝手に言葉に詰まり、しどろもどろでねえさまを見上げてしまう。ねえさまは気付いていない。この勝負、わたしに分があるのだ。
「仕方のない子ね、じゃあ自信を持てるようにおまじないをしてあげるわ」
「おまじない…? え、あっ」
 わたしの目前まで来ているねえさま、その唇が更に迫ってくる。まさか、これは。
「可愛くない子にはこんな事しないのよ? 私は」
 迫ってくる。一見すると止まっているのではないかと感じるほどのゆるやかな速度で、ねえさまは唇を近づけてくる。こんなことは今まで無かった。たまにこうして寸劇に乗ってくれることがあっても、ねえさまは『ここまでやる』ことは無かった。つまりここは、本当ならわたしは慌てなくてはいけないところだ。……本来なら。
 しかしそこはわたしのこと、本来も阿弥陀如来もあったものか。ねえさまとの接吻、そんな人生丸ごとチップにして賭けてもいいようなチャンスを、決めてもいないお約束でふいにするつもりなんかない。ねえさまがもし、わたしが逃げると見越してこれをやっているなら――ねえさまは大きく見誤っている、わたしの愛とか恋とか欲とかそういうイロイロを。
 何を言うつもりもない、ただ口を結んで……突き出したりはしない、今のわたしは清楚な乙女なのだから。ただ横に結んだ唇で、ねえさまを待つ。
「良い子ね」
 時間稼ぎだ。ムードのある台詞だけど、ねえさまはやっぱり、キスする気なんか本当はなかった。本当はここでわたしが笑い出したり、外野から茶々が入ったりすればねえさまの思い通りなのだろう。でもそんな展開をわたしは望まない。
 やがて、唾液に濡れた柔らかい感触が、唇に触れた。ギャラリーの息を呑む声や、控えめな喝采が耳に届く。
 思わず肩がびくりと震える。これが、憧れのねえさまの、唇。抱き締めて貪りたく……ううん、抱き締めて貪られたくなるけれど、それを押し留めたせいで、身体が少し大きく震えた。そのせいか、ねえさまの唇はすぐに離れてしまう。……心底、勿体無いことをしたと思った。
「どう? 自信持てそうかしら?」
 半分以上素で、ぼーっとしていると、ねえさまの声で意識が戻った。会話の内容は、『わたしが自分がかわいいことに自信を持てるか』だったはずだけど、とりあえずそれはわたしも、きっとねえさまもどうでもいい。ましてやギャラリーの冷やかしなんて、余計にどうでもいい。
 きっとこれは、わたしとねえさまの『勝負』が本格的に幕を開けた、その証のキスなのだ。
「貴女は可愛いの。自信を持ちなさい」
「あ……っ、は、はいっ。ねえさま……。ありがとう……ございます」
 演技では普通、顔色まで自由自在とはいかない。ところがどうだろう、わたしの顔は今に火でも吹くのではないかというほど熱い。わたしは本当にねえさまが好きなのだ。ねえさまはきっとまだ、そこを読み切れていない。
「いいえ、どう致しまして」
 だからこそねえさまは、こんなに微笑んでくれる。ここまで来たらわたしの目的は一つしかない。『勝負』にかこつけて、ねえさまからめいっぱいの幸せを頂いて、一時の陶酔を貰ってしまおう。その幻で一生幸せになれるくらいに。

32226たんdame :2006/12/06(水) 01:15:34 ID:oAWIjSts
 ――さて。
 完璧な笑顔で歩き去ろうとするねえさまには、純な想い溢れた少女として背に抱きつき、むりやり歩みを止めて。用事がないなら帰ると言われては、頬を染めて、『少しだけ、このままで……』などと熱い声で呟いてみせて。
 そして繰り出された、家まで連れて行ってしまうという、おそらく『警告』には――もちろん、内心大喜びで――清楚に遠慮しつつ、飛びついた。
 ねえさまはやはり、見誤っている。不肖わたくし、据え膳とエサは残さず食べる所存であります、ねえさま。
 軽く引き攣りそうにぴくぴくした笑顔のねえさまに手を引かれ、部屋へ上げられる。夢どころか白昼夢や妄想にまで見たねえさまの部屋。
「ねえさまの部屋――ぇ、えっと……素敵、です……」
 演技ではなく、感動で言葉が出ない。そこは殺風景なワンルームだった。家具の類はそこいらの安い組み立て式のもので、華美な装飾など一切なく、どちらかと言うと男性の住まいのような。綺麗に片付けられているという訳ではないけれど、そもそも物自体が少ないので散らかった印象は全くない。そんな様子でありながら、家具のカラーリングのセンスや部屋に漂うねえさまの香りは『男の部屋』などとは天地のように遠く――そして目を引くのは、一人で使うにはやたらと大きなベッド。
 しかしこんな狭い部屋でこんな家具類しかないのなら、わたしに部屋を教えてしまう覚悟ができたのも納得がいく。もしわたしが下手に羽目を外すようなら、ねえさまはベッドを質に入れ、家具を処分し、躊躇なく引っ越してしまうのだろう。そんな足元の軽いところも含めて……ねえさまは気付いているのか、いないのか――。
 この部屋は。男のような気安さで、女のセンスと香りが漂い、ベッドが豪華で、何かあれば逃げるにも易い――。
 つまり、一言で言うなら。……ここは紛れもない、『女を抱く女』の部屋だ。
 ――認識した瞬間、めまいがした。
「どうしたの。ぼうっとしちゃって。熱でもあるのかしら」
 ねえさまの掌がわたしの額に当てられる。おいしい、状況としては確かに美味しい。でもわたしはあまりのことに、身体の変調と体温の上昇を抑えられなかった。ねえさまは、この部屋からの連想がどれだけ危険なものであるかわかっているのだろうか。だとすれば、この勝負の勝ち目は薄くなっている。いくら演技の必要が少ないといっても、実際に忘我の極みに立たされては演じる余裕など消え失せる。
 心拍数と体温が急上昇するのがわかる。危ない、卒倒するならまだしも鼻血など噴こうものなら完全に台無しだ。
「本当に熱いわね。帰った方が良いのではなくて?」
「い、いいえ。大丈夫……ですから。心配かけて、済みません……」
 辛うじてそう絞り出す。予想を遥かに超えた事態に怯んだとはいえ、ここで帰らされて堪るものか。この受け答えで意識がいくらか明晰性を取り戻した。そう、わたしには金科玉条の掟たる絶対目的がある。この部屋で、わたしはねえさまに抱かれるのだ。一生の思い出を手に入れるのだ。
「あら、可愛い貴女のことですもの。心配させてもらえなかったら悲しいわ。でも、そうね。帰りたくないと言うのならとりあえず」
 ねえさまが、腹黒い本性を逆にむき出すような微笑みを見せ――ああ、わたしはねえさまのその顔が大好きだというのに、さらに――あまつさえ、ねえさまのベッドを一瞥して、言ったのだ。
「横になって休んではどうかしら」
 危うくベッドにたどり着く前に倒れてしまうかと思った。いけない、ねえさまは作戦を変えてきた。わたしに退く気が微塵も無いと見切ったのか、それとも一種の試し打ちなのか、異常においしい状況を次々に作ってくる。正直こちらのほうが、わたし自身の欲を抑えなくてはならず、格段に捌きにくい。つまり、わたしが『純情な乙女』をやめてしまったら、わたしの負けなのだ。さらりと追い出されてしまうことだろう。不幸なのは次々と欲望を訴える己の変態具合。幸福なのは、それをねえさまに抑圧されること自体さえも甘美に感じる己の変態具合。どういう勝負なんだ、これは。
「手甲とかすね当てとか、くつろげないようなものは外してしまいなさい。テーブルに上げておいていいから」
 思案しているうちに、ベッドに寝ることは承諾してしまっていたらしい。危ない、意識を手放してはボロが出る。自分に警告を与えて、ねえさまの言を反芻する。
 ――って、脱げと?
 はい、喜んで。カチャカチャと具装を外してテーブルへ並べてゆく。対人戦を志す者にとって安心の拠り所となるバックラーも、季節柄防寒も兼ねた厚手のマントも、ほいほい外して揃えて置いてしまう。色気のある脱ぎ方をした方が良いだろうか。
 ……待て、そうじゃない。危うく、早くも純情な乙女を手放すところだった。幸い、ねえさまの注意はそちらへ向いていないようだ。何やら思案しているように見える。一転、攻め時か。
「――ねえさま?」
 我ながら完璧な表情と声色で、問いかける。紅潮した頬、熱っぽい瞳、掠れながらも意思のある、思慕を強く感じさせる声。それも、中空を見詰めて何かを考えているねえさまを心配する姿勢を崩さずに。ほとんど地なのだから、完璧なのは当然である。ペースを取り戻した、そう思ったのだが。
「ずっと着けているからかしら。やっぱり外すと少し汗の匂いがするのね、と思って」
「――っ!」
 ――ぶっ。
 噴き出しそうになる、いや実際に噴き出しかけたのを唇を噤んですんでの処で食い止めた。何てことを言うんだねえさまは。
 確かについ先刻までPvPで死闘を繰り広げたり、バックステップで石畳を疾走したりしていたのだから、相応に匂うに違いない。それは当たり前のように恥ずかしい……恥ずかしいのだが。
 ――これは、普段のわたしのセリフそのものではないか。
 おいしい、おいしすぎる。急に鼻腔が鋭敏になり、部屋に充満するねえさまの香りにくすぐられる。ヤバい、嗅がせっこしたい。逆らいがたい欲望が噴き上げてくる。仕事帰りのねえさまの匂いを嗅いで、わたしの汗を嗅がせたい。そんなある種、いや実際に破滅的すぎる願望が煽られる。確実に、ねえさまはこれを狙って言ったのだ。なんてこと、敵はあまりに強大だ。
「ごめんなさい、変なこと言ってしまって。でも悪くない香りだと思ったわ」
「あ、ありがとう、ございます……」
 ま、まだ言うか、ねえさま。鼻のむずむずした感覚が気になってまともに喋れない。己の変態さが今こそ恨めしい。
33226たんdame :2006/12/06(水) 01:16:15 ID:oAWIjSts
「止めてしまったわね。遠慮しないでベッド使いなさい。悪くなったら良くないもの」
「……あ、ありがとうございます」
 居ても立ってもいられず、お礼を重ねると、限界一歩手前まで精錬されたハイレベルの銘を冠するブーツを、安物の短靴にするように踵を踏み潰して脱ぎ捨てる。装備品の価値なんかねえさまの前ではゴミクズ以下である。ベッドへ勢いよく飛び込んで頭から埋めてしまいそうな心を全力で自制して、体重相応の軽さでベッドに横になる。わたしの頭を柔らかく受け止めるねえさまの枕。柔らかいクッションがいっぱいに吸い込んでいたねえさまの匂いが、圧迫されて外へ押し出される。
 ――ここだけの話。わたしの理性というか意地というか、そのへんはあまり頑丈にできていない。
「ちょ、あ、貴女……!」
 ねえさまの止める声を調味料に、肺一杯の深呼吸でねえさまの香りを堪能する。頭の後ろが痺れる。枕に顔を押し付け、ねえさまの匂いだけを呼吸する。性の絶頂が道を開けるほどの法悦に視界がホワイトアウトしかけたあたりで、ねえさまの様子に気付く。止めに来ない。
「うふふ、ねえさまの匂いがします……」
 今のわたしの鈍い頭でも、すぐに納得した。ねえさまは今、わたしを心配するお姉さまの役なのだ。確かに今のわたしの行動は普段のわたしの『地』そのものだが、役の上でもそこまで重大なコースアウトではない。結果、予想外の捨て身の攻撃となったわけなのだ。
「そ、そう……。それは、良かったわね……」
 苦々しげな呟きを心地良く聞きながら、ねえさまの枕に顔を押し付けて息を吸う。顔を離して息を吐く。繰り返す。これはひょっとすると、傍目カルボーディル吸引中毒患者に見えるんだろうか。わたしには、ねえさまの香りの方がよほど麻薬的だ。あまり派手にやると重大な違反を取られるので、鉄の意思で押し留める。
「それよりも貴女」
 ――!
 顔を上げると、ねえさまの顔が思ったよりもずっと近くにあった。
「さっきよりも赤くなっているように見えるわ」
 当たり前すぎる。ねえさまのベッドでねえさまの香りを嗅いで、赤くならない女なんかいるはずがない。そんな女は不能者である。
「もしかして――ベッドに上がって厭らしいことでも想像したのではなくて?」
 もっと当たり前すぎる。ねえさまはもしかして、この部屋がそういうイメージしか持ち得ないことに最初から気付いていないのだろうか。
「そ、そんな、こと……! ただ、ねえさまの匂いが気持ちいいから……」
「じゃあ、私がそばに行ったらもっと赤くなった貴女が見られるのかしら」
 ――なっ。
 あまりのことにねえさまの枕を取り落とす。目の前にいるのは本物。先刻キスをしたときと比べて、ほんの少し離れているだけの距離。ねえさまの体温と呼吸を、顔に感じてしまう。
「ね……さま……」
「やっぱり赤くなったわ。可愛いわね」
 赤く、なるのは、当然だ。きっと、すごくだらしのない顔もしている。もはやまるっきり素なのだが、ねえさまが演技と取ってくれるのを祈るだけだ。
「私は――想像しているわ。厭らしいことを」
 ――っ!
 ねえさまが、わたしで、厭らしいことを。演技だ、これはねえさまの演技。わかっている。でも、こんなに望み通りでいいのだろうか。身体が小刻みに震え、口が酸素を求めてうっすら開く。閉まらない。
「もう一度聞くわ。――厭らしいことを、想像したのではなくて?」
 想像している。それは決まっている、むしろ最初から想像していた。ならばここは何と答えるのが最善なのだろう。ねえさまの香気に犯されて惚けきった思考に、必死に鞭を入れる。しっかりして、ねえさまとこの先に行きたいなら、今こそしっかりしなくては。
 だらしなく緩んだ顔で認める、これは最低だ。変態と笑われて放り出されるに違いない。それはそれで気持ちいいことになる気はするが、この状況でそんなことで満足したくはない。
 ならば否定する、あり得ない。わたしは断固としてこの先へ行きたいのだし、情欲をひた隠してねえさまと歓談するのは、それはそれで美味しくはあるが……間違っても、ここで望むような展開ではない。
 どちらでもないなら、つまり、戦うのだ。
「……し、しました。私、ね、さまと、したら、って……」
 認める。ただし、純情な乙女として。憧れのねえさまにすべて捧げる清純でうぶな少女になり切る。
 心の奥でどれだけ変態が泣き叫ぼうと、押さえ付けていい子ぶり続けるのだ。きっと、それだけが一番気持ちのいい展開への道なのだ。
「なら、両想いだわ」
 ねえさまの笑顔はどこか諦めたようでいて、わたしの期待が見せた幻でなければ――少しだけ、愉しそうに緩んでいた。


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はい、226たんバージョンお届けしました。いろいろと責任は取りません!
34レニャチェリの人sage :2006/12/06(水) 01:22:00 ID:J9fD81gM
>>226たん
GJです。
259たんの文章に負けず劣らずの切れ味なのに、ひそかに登場する259たんキャラたちとのコメディックなやりとりもまたいい。
私にはそうそうできないものですから、うらやましいくらいです。
これからのえろえろ展開に期待してます。

あと、レニャチェリへの感想ありがとうございます。
当分はこの方向性のままいくと思いますが、次回の構想が浮かんでは消え浮かんでは消えして難儀しています。
まぁ、まったり書きますのでお楽しみに。
35名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/07(木) 00:21:48 ID:G0Hy9k4g
('A`)r イタタタタ・・・
36名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/08(金) 00:47:00 ID:kuajPFHE
>>35
痛いかね。それ以上に上手いじゃん?
37名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/08(金) 01:47:07 ID:euxijdKk
さわんじゃね
38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/10(日) 00:09:06 ID:AjsMX5ZI
レニャチェリいいわぁ
非処女でヤリマンな子が大好き
39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/10(日) 01:38:54 ID:E4gC4Mss
レニャチェリの人キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!(遅

2人はこの先いったいどうなるのか・・・
次作も期待してます!GJです!!
40レニャチェリの人dame :2006/12/10(日) 18:16:22 ID:bLWMBfGo
レニャチェリ、とりあえずその3の構想はあがったのであとは書くだけです。
今までの分の全レスできなくてごめんなさい。

>>38
今回でめでたく(?)非処女になった、チェリムにだけヤリマンのレーニャさん……嘘です、チェリムさんのことですね。
お目汚しにならないよう、次回もチェリムのキャラを磨き上げたいですね。

>>39
二人の運命ははてさてどうなるか。
まったりお待ちくださいませ。

個人的に58534に期待dameです。
41名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:22:07 ID:jddWiykw
神な作品がいぱい、というかレニャチェリのえらい人と
226たんいるこの状況で、初めてのSSを投下しようとするぼくはきっと無謀者っ。
投げて逃げるに限るぜぇ。

※文章中に暴力的な表現を含む場合があります。
※文章自体が稚拙で未熟な場合が多々あります。
※がんばったけど、ダメかもしれません。
42名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:24:14 ID:jddWiykw
「───は! 所詮腐れ肉か、やっぱ相手にならねェな」
    細切れになり、カタチを成さなくなった腐肉の塊を蹴飛ばす。
    ちょうど頭の部分に当たったのか、球状の物体がバウンドしながら石床の転がってゆく。

    これで何十匹、いや、何百匹目を斬ったのか。もしかすると千を超えてるのかもしれない。
    が、数はこの際関係ない。そもそも、このグラストヘイム城、監獄区画に来た理由など
    取るに足らない簡単なもの、金稼ぎを兼ねた唯の暇つぶし。
    「……まぁ、暇つぶしだしな、こんなもんか」
    独り言を呟いてるところで、ひたひたと響く足音が複数、おかわりがきたらしい。
    「懲りねェなぁ……」
    フッ、と息の塊を吐き出して、手に持つ片手半剣(バスタードソード)に力を込めるイメージ。
    その瞬間、剣に走る白光。光は刃に定着し、さながら光の剣のようになる。
    オーラブレイド、剣に己の気の力を乗せるスキル。ロードナイトにのみ許された奥義のひとつ。
    オーラによって輝く剣を軽く一振りして、迫り来るおかわりに対して言い放つ。
    「OK,いいぜ、このヘルガが相手してやる───光栄に思いな」


    それから数分後、私は最後の一匹を脳天から両断した。
    紅い飛沫を上げ、左右に別れていくインジャスティス。その周囲に転がる幾重ものバケモノの骸。
    剣を振り、血糊を飛ばす。さらに剣をくるくると玩びながら、満足気にため息を吐く。
    「……そろそろ戻るか。あらかた暴れられたしな。」
    剣を鞘に収め、壁に寄りかかりながら道具袋を漁る。
    ……あら
    「……ねェな。買い忘れたか?」
    お目当てのアイテム、蝶の羽が見つからない。どうも出掛ける前に補充し忘れたようだ。
    「───しゃぁねェ、歩いて帰るか。」
    再び剣を抜き、肩に担ぐような持ち方をしながら、私は出口へ向かって歩き出した。

    ───声が、聞こえた。そんな気がした。おもわず足を止める。
    この監獄という場所、魔術師に人気の狩場ということから、そこそこに人がいる。
    だから、たかが声ごときでどうにかなるものでもないのだが。

    私は、その聞こえた、気がした声が、妙に気になった。
    いつもなら気になったところで、無視してさっさとその場を去るのだけど。
    ……今日はなぜか、そんな気分にはなれなかった。
    ───寄り道も、悪かぁねェかな。
    私は、声のいた方へ足を向けた。


    結果からいえば、私の選択と行動は正解だった。しかしそれは、あくまで人道に基づいた客観。
    実際の私は「ああ……なんかめんどくせェことに首突っ込んじまったなぁ……」と、軽く後悔するのだった。
    進んだ先に広がる光景。それは動く死体とバケモノの有象無象。
    そして、ヤツらに壁際に追いやられ、息を絶え絶えにしている一人のモンク。
    白色の修練服は所々引き裂かれ、白い肌と、赤く滲んだ傷痕が覗く。
    ナックルを握りこんだ手が赤いのは敵の血か、己の血か、いや、恐らく両方の血。
しかし、黒い濡れ羽色の髪の間から見えた彼女のアンバーの瞳は、未だ戦意を失っていない。
    ───有象無象の中から、背格好の高い、頭巾のようなマスクをかぶった男が躍り出てきた。
    この監獄上層において、最凶の実力を持つ悪魔。拷問担当の一人、リビオ。
    いくら戦意を失っていないとしても、この状況で彼女に勝ち目は無い。
    だけど、私はこの状況を静観できるほど冷酷でも、冷徹でもなくて。
    そのときにはもう、私の行動は決まっていた。
    リビオがその手に持った、鉤とのこぎりを振り下ろそうとしたとき。
    私は、担ぎ持っていた剣を、思いっきりブン投げた。
    連続的な風切り音とともに、回転しながら剣は飛ぶ。そして、その狙いから違わず、剣はリビオの胸部を直撃。
    それでも剣の勢いは完全には死なず、リビオを巻き込みながら通路まで吹き飛んでいく。
    「───ビンゴッ」
    その光景がどこか滑稽で、思わず叫んでしまった。
    バケモノどもがこちらを向く。こっちを完全に補足したようだ。
    「……私も混ぜてくれよ、おめェらよ」
    笑みがこぼれる。言いようのない高揚感、戦いの感触。
    ああ、愉しみだ。楽しみで仕方が無いぜ。
    「さぁ、やろうぜ!イカれたパーティのはじまりだ!」
    私の感情が、爆発した。


    およそ十数分。あれだけいたバケモノの集団は、皆ただの肉塊に成り下がっていた。
    「……暇つぶしが、盛大な狩りになっちまったなぁ……」
    屍骸の山の中心で一人呟く。そういえばモンクの彼女は大丈夫だろうか。
    「おい、生きてるか?死んでたら返事───」
    その刹那、もはや死に体だったはず彼女が、こちらへ向かってダッシュをかけた。
    その視線の先には、私、いや、私の後ろの「何か」に向いていた。
    思わず振り返る。そこには、胸に剣を生やしたリビオがいた。仕留めきれていなかったらしい。
    ヤツはまさに、私に、両手のその凶刃を振り下ろさんとしている時だった。
    しかし、ヤツが得物を振り下ろすよりも速く、彼女はリビオの懐に飛び込み、拳をめり込ませる。
    「こ…のぉ…ッ」
    彼女が小さく声を吐いた、その瞬間、爆裂音のような音が響く。眼ではっきり判るほどの気を、ヤツに叩き込んだのだ。
    だが、リビオの勢いもとまらない。まだ致死には至らぬようで、私に定めていた照準を飛び込んできたモンクに変更
    強烈な殺気の塊とともに、その鉤を叩き付けようと───
    「させるかこのゴボウ野郎がぁぁあああッ!!」
    胸から生えている剣をひっつかみ、横に捻るように、強引に剣を振りぬく。
    紅い噴水があがり、踊るようにふらふらとステップを踏みながらリビオは崩れ落ちた。


    「バカかてめェは!もう少しでホントに死んでるとこだったんだぞッ!?自分の身体の状態みてから動きやがれ!」
    派手な立ち回りが終わってからしばらく。私は彼女に対して声を張り上げていた。
    肩で息をして、壁際に寄りかかるようにへばっている彼女に、私は容赦なく言葉を浴びせた。
    「大体な、ココはてめェなんかがくるにゃ早すぎンだよ!背伸びなんかしやがって!それで死んだら世話ねェな!!」
    いってるうちにヒートアップしていく私の頭。ああ、腹が立つ。腹が立って仕方が無い。
    「それともアレか?自殺志願者かなんかか!?だったら私がブツ切りにしてやろうか!?」
    腹が立ちすぎてついに殺人予告らしいことまでぶっちゃけてしまった。
    「……黙ってないでなんとかいいやがれッ、ちくしょう……」
    剣を納めて、嘆息しながら、吐き捨てるように言葉を投げつける。
    彼女は押し黙ったまま俯いたまんま。泣いているのか、それとも単に反応を返す余裕が無いのか。
    舌打ちをしつつ、とりあえず彼女を抱き起こして肩を貸す。
    「ほら……歩けるか?さっさと出るぞ」
    なんだかんだありつつも、なんとか私「たち」は監獄を後にした。


    古城入り口まで戻ってきたところで、彼女を壁に寄りかからせて、薬と布を取り出す、応急手当のために。
    なんでここまでしてやらにゃならないのだろうか、
    「……ごめん、なさい」
    「謝るくらいなら、最初っからこんな無茶すんじゃねェよ」
    傷に白ポーションを染み込ませた布を貼り付けていく。
    「……自分の実力ががわかんねェような身の程しらずでもねェだろ、だのに、なんでこんなトコに来ンだよ、ったく」
    謝罪の言葉の後から、また押し黙る彼女。───さっきのアレが相当に効いてるのか?
    「ほれ、こんなもんで処置終わりだ。あとは自前のヒールでなんとかなんだろ」
    手当を一通り終わらせて、残った白ポーションを道具袋に放り込み、私は立ち上がる。
    「一応ここにも、ヤバイ奴がうろついてたりするからな、少し休んだらとっとと戻んな」
    翻り、剣を担いで、かつり、と一歩を踏み出したあたりで、私はダメ押しを。
    「───次、もしおんなじことやってたら、見つけても助けてやらねェからな」
    吐き捨てて、私はその場を去った。自慢のプラチナブロンドをたなびかせて。
43名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:25:41 ID:jddWiykw
  そんな寸劇から幾日か、私はまた退屈な日々を過ごしていた。
    もともと交友関係は広くなく、しかも皆大抵は臨時PTやらに出掛けているようなので、会うことは稀。
    だから、一人でいろいろな処を狩り歩くか、もしくは
    「───ヒマくせェー……」
    安宿で金属カップに満たされた安酒を呷る日々。無論酒は水で薄めてある。ケチめ。
    「……そういやあのバカモンク、まぁたムチャしてねェだろうなぁ……」
    うなだれながら、いつかに助けたモンクのことを思い出した。
    なんであんなとこにいたのか知らないが、あの状況で諦めない根性のすごさは認めてもいい。
    「スジもよかったし、ありゃぁ大物になるぜ……」
    気がつけば、ワケのわからない独り言を呟いていた。酒を呷りながら独り言を垂れ流す女。
    ……やべェ、不気味だ。
    「ヒマなのが悪ィんだ、ちくしょー……」
    遂にはうなだれはじめる私、こうなりゃまたどっか狩りにでも───


    「……見つけた」
    不意に真後ろから聞こえる声。
    「あン?」
    つい、マヌケな声を洩らしながら、めんどくさそうに、私は振り返る。
    「遂に、見つけたっ」
    そこにいたのは、濡れ羽色のショートボブと白い修練服。そしてアンバーの瞳。
    そう、あのときの、ムチャモンクだ。
    「て、てめ……なんで……」
    驚いた、これはさすがに驚いた。いままでで一番ビビったかもしれない。
    「探したんです、ずっと探してたんです」
    探した?何故、なんの理由で。
    「人づてに話を聞いて、騎士団の人にも聞いて、それでやっと、見つけた」
    わざわざそこまでして、私を探した理由は何なんだ。
    「……なンだよ、一体。何の用だ」
    カップを傾け、安酒を流し込む。味など、わからないが。
    「私を……」

    「私を、あなたの恋人にしてくださいっ!!」


    ───ぶはっ!?

    思わず、口に含んだ酒を噴き出した。
    何いってんだ、コイツは。
    あんまりな状況に私の頭がついていかない。なんだって?なんていった、コイツ。
    「ゴホッ、なんだッ、ゲホッゲホッ」
    「あ、あの……大丈夫、ですか?」
    大丈夫なワケあるかこのバカモンク。
    とりあえず、落ち着いてきたところで深呼吸。吸い込んだ空気を、声にして吐き出した。
    「バカかてめェバッカじゃねェのかッ!?またはアホか!?ふつーじゃねぇぞ、その感覚は!?」
    「普通じゃないのは十二分にわかってますっ!でも、でもっ!」

    「好きになっちゃったんです!あの時、助けてもらった時から!!」

    なんだっておい。これはどーいうことだ、神サマ答えて、プリーズ。
    「あのとき……ちょっと、背伸びしてみようかなって、監獄に出掛けて、でもやっぱりダメで、囲まれて、
      殺されそうになって、最後は戦って死んでやるって、もう崖っぷちのところで……貴女が、助けてくれたんです」
    あの時のことを反芻するように、彼女は私に語りかける。
    「戦ってる貴女は とっても綺麗で、まるで伝承の中の戦乙女の様で……」
    ヴァルキリーは普通、悪魔のヘアバンドと悪魔の羽耳飾りはつけないと思う。
    「あんなバカなことやっちゃったのに、助けてくれて、手当てまでしてくれて……そのとき、感じちゃったんですよ」
    彼女がこちらに顔を上げて、その瞳のアンバーで、私を見つめた。
    「ああ、私はこの人に、一目惚れしちゃったんだなぁ……って」
    まるでギャグかコメディ。私はそう感じつつも、彼女のひどく真剣なその表情に、何も言えないでいた。
    「それから、探しました。この数日間、寝る間だって惜しんで探しました。この想いを伝えようって、
      一生懸命探しました。そしてやっと……探し当てることが、できました……」
    たかが助けられた、ってだけで、それだけで人を好きになるものなのか、やはり、コイツの思考がわからない。
    「改めて告白します。ヘルガさん」
    濡れ羽とアンバーが、強く私を見据える。コイツ、私の名前を知ってるのか。
    「私を……このストラを、あなたの……恋人に、してくだい」

 
    それから、あのバカモンク───ストラは、私に纏わりつくようになった。
    いや、恋人宣言を受理したわけじゃない、というかふつーOKする奴ぁいないとおもうんだが。
    そう、断ったんだ。私は今、隣で一緒になって歩いてるアホモンクの告白を切り捨てた、はずなんだけど。
    それでも彼女は、私について来た。本当になんなんだコイツ。どういう神経してるんだ。
    「今日も狩り、行かないんですか?」
    そんな心境もなんのその、彼女は私に問いかける。
    「行かねェ、つーか行けねェ」
    「……どうして?」
    さも不思議そうに首を傾げる。言わなきゃわからないのか、このマヌケモンクは。
    「私が行くようなランクの場所に、てめェを連れて歩けるかよ。考えりゃわかンだろ」
    彼女と私では、実力が違いすぎる。私がいつも行くような場所では、彼女は耐えられない。
    だといって、狩場のランクを落とすような真似も出来なかった。
    相棒も対等に付き合える友人もいない私の、唯一の「娯楽」だ。妥協なんかしてたまるものか。
    「……あ、愛があれば!」
    「ねぇよんなモン!つーか監獄の時の失敗をまたやらかしたいのか!?」
    あぅ……と呟いて、しょんぼりとなる彼女。ええいもう。
    「……手伝いくらいは、してやる」
    「……ぇ?」
    彼女の表情が変わった。驚いたような、呆けたような。
    「てめェが強くなるための、手伝いだ。私と付き合えるくらいまでは鍛えてやる」
    「……ヘルガさんっ」
    ストラが私の腕に抱き付いてきた。ま、まてこいつ。
    「か、勘違いすんじゃねェ!てめェみたいな弱いのと一緒に歩いたら、私まで軽くみられるからだ!」
    強引に腕を振って彼女を引き剥がす。
    「……さっさといくぜ、このバカモンク」
    「はいっ」
    そうして、アイツと私の奇妙な生活が始まった。
44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:27:44 ID:jddWiykw
       ───まさか三ヶ月も持つとは思ってなかった。
    「……は、はふ……」
    窓から夕日が差し込む。私とストラは、宿一階の酒場兼食堂で向かい合って座っていた。
    いや、彼女は座っているというより
    「つ、つかれ……ました……」
    へばって、机の上に突っ伏していた。
    「そらまぁ、今日は割とキツい場所選んだからな」
    薄い安酒を含み、飲み下す。薄められてなお強いアルコールがのどを焼く。
    「さっさと休んどけ。明日は今日以上に厳しくいくからな」
    「ふぁ〜い……じゃあお先に失礼します……」
    席を立ち、ふらふらと二階へ上がるストラ。相当疲れてるようだ。そりゃそうか。

    「……なに、やってんだか、私は」
    さっさと追い返せばいいのに、結局私はアイツに付き合っている。
    三ヶ月もあのバカモンクに振り回されている。
    気がつけば、私もあのバカの事を考え始めてる。ホントにどうしたんだ、私は。
    そんなキャラじゃないだろう。そんな「いいやつ」じゃないだろう。
    おおよそ騎士らしくなんかない私は、あんなヤツに手間かけてやるような性格じゃなかったはずだろう。
    ───思考が空転している。バカらしい。
    気がつけば、酒瓶はとうに空で、外には闇が広がっていた。
    「……ホントに、なにやってんだかな」
    これから二本目を開ける気にも、何か注文しようという気にもなれなかった。
    ───寝るか。
    人もまばらになった一階酒場を後にし、私も二階へ上った。

    私の部屋へ向かう途中、部屋のドアの一つが微妙に開いていた。
    ここはストラの部屋か、閉め忘れて寝るとは不用心な。
    「……部屋のカギくらい閉めろよ、バカが……」
    小さく呟いて、ドアを閉めようと部屋へ近付く。
    「……ぁ…ぅ……」
    ……なんだ?まだ起きてるのか?
    「んあっ……んぅ……く…ん…」
    私は思わず息を止めた。彼女はまだ起きている、それを確信した。
    聞こえて来る甘い声。
    「ふぁ……ん……んっ」
    開いてるドアの隙間から、思わず、覗き込む。
    「はっ…はぁっ……」
    部屋の中は暗くて、よくわからない。
    けれど、見えない光景は、きっと私の予想通り。
    彼女、ストラは───
    「ぁ…ぁあ……ふぁ……」
    ベッドに転がっている布団の塊がもぞもぞと蠢く。
    私は、その場から動けないでいた。足が張り付いたようになって、床から離れない。
    挙句に私は覗きみたいな真似をしている。
    「はぁ、ん……」
    足が動かない、腕も動かない。体中が、動かない。
    「やっ……ヘルガ…さん……っ」
    動かないはずの体が、震えた。
    私の名前を呼ばれた、ただそれだけなのに。
    「ヘルガさん……ヘルガ、さぁん……」
    何度も私の名を呼ぶ、ストラ。私まで妙な気分になってくる。
    「好きっ、ヘルガさんっ……好き、好きぃ……っ」
    自分の息が荒い。さっきよりも体が震えてる。私、おかしい。
    「だめっ……ヘルガさん、私、いく……いく……っ」
    布団に包まっていた彼女が、びくん、びくん、と大きく跳ねる。
    「ヘル、ガ、さぁ……っ!」
    一際大きく、反ったように布団の形が変わる。痺れた様に断続的にはねる体。
    「……はぁ……はぁ……はぁ……」
    それからやや後に聞こえる呼吸音。私の意識がふっ、と覚めた。
    私は、なにを、バカな。よりによって出歯亀なんか。
    この異常な事態から抜け出さなければ。そう考えて自分の部屋に急ごうと、体を引く。
    カシャ、ン 廊下に響く、グリーブの音。
    「や、ば……ッ」
    気が動顛してしまう私、思わず声まで出してしまった。
    「……ッ!だ、誰か、いるんですか、っ」
    気づかれた。感づかれた。ヤバい、この状況は非常にヤバい。
    考えるよりも早く、廊下を駆け出した、走るがごとく早足で。
    足音も鎧のこすれる音もかまわず、私は自分の部屋へ駆けた。
    自室へたどりついて、ドアを乱暴に閉めて、カギをかける。ドア伝いにずるずると崩れる私の体。
    「はぁっ、はぁっ、はぁっ、くっそ……っ、はぁっ」
    息を切らして悪態をつく。
    「マジで、なにしてるんだよ、私は……ッ」
    心臓の鼓動が体中に響く。激しい吐息の音がイヤに耳につく。
    顔が熱い。いや、顔どころじゃない、体中が熱い。
    ストラが私をオカズにオナニーしてて、故意ではないにせよ、私はそれを出歯亀してしまった。
    その事実を再認識すると、私の中の熱はさらに高くなる。
    「なんで、だよっ、なんでこんな……」
    こんなに熱いんだ。こんなに息苦しいんだ。
    両手で自分の体を抱いて、ドアにもたれてうずくまる。
    アイツのあの、甘い声を思い出すと、もっと熱くなるのをはっきり感じる。
    あのバカに特別な感情なんかないはずだ、ないはずなんだ。あんなバカに。
    背伸びで死にかけて、私に非常識な告白をして、断ってもホイホイついてくるあのバカなんかに。
    「なんなんだよッ、もう……」
    大体女同士じゃないか、アイツと私は、なのに、なのに。
    「……ワケわかんねェよぉ……ッ」
    本当にワケがわからない。この胸の熱さのワケが、わからない。

    結局その夜は、まともに眠れなかった。

    「おはようございます」
    「……ぁぁ、おはよう……」
    朝日が黄色く見える。あのあと、1時間も眠れなかった、ちくしょうめ。
    「……大丈夫、ですか?なんだかつらそうに見えますけど」
    「……ぁぁ、別に……」
    誰のせいだと思ってやがる───いや、もしかして自業自得なのか?
    ……ヤバい、昨日のことを思い出してきちまった。体中が熱くなってく、あの感じ。
    「……あー……ちくしょう」
    「……?」
    コーヒーをむりやり流し込んで、一気に飲み干し、乱暴にカップを叩きつける。
    「───っ、よし、いくぜ」
    「ぇ、え?だって、まだ朝ごはん……」
    「市でなんか買って向こうで食うぞ。朝錬の後にな」
    勢いよく立ち上がって剣を担ぐ。
    きっと赤くなってる自分の顔を隠す意味合いで、自らのプラチナブロンドをたなびかせて。
    「あ……はいっ」
    元気いいな、ちくしょう。


    それから少し。朝錬という名のモンスターとのドつき合いが一通り終わったあたり。
    狩場の海岸から少し離れた丘の下、二人で遅い朝食を摂っていた。
    「しかしまぁ……だいぶマシにゃなってきたなぁ、てめェも」
    「……そうですか?」
    リンゴを齧りながら、ストラを見下ろす。
    「監獄でボッコボコにされたあんときよりはずっとな。よくがんばってるぜ?」
    ストラは私を見上げたまま、ぽかん、とした表情になる。
    「……ンだよ、どーした?」
    「い、いえ……その、ヘルガさんにそういう風に褒められるのって、初めてだから……」
    顔を赤くしてもじもじとする彼女。いちいちそんなリアクションすんじゃない、こっちも意識するじゃないか。
    「ほ、褒めて伸ばすタイプじゃねェからな私は。
      大体マシになったって程度で、まだまだてめェは私の足元くらいにしかなんねェんだぞ」
    彼女とは反対方向を顔を背けて、リンゴをヤケクソ気味に齧る。ち、ちくしょうめ。
    「なら、私は……まだまだがんばらないといけませんね。貴女の隣に並んで歩けるくらい」
    心臓が一瞬大きく跳ねたような錯覚。唐突になにを言い出すんだ、このバカモンクは。
    大体こんな言葉に反応する私も私だ。なんだっていうんだ、こんなヤツ。
    「……まぁ、精々がんばんな」
    なるだけ冷静を保とうとする私。こんなことまでしなきゃならないなんて、本当に私は、どうしたんだ。

    私はそのとき気づいていなかった。背後に迫る大きな殺気を。
45名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:29:31 ID:jddWiykw
    「───ッ!?ヘルガさんっ!後ろ!!」
    「? なん───」
    体に走る大きな衝撃、ここに生息するオットーの一撃かとおもえば、そんなレベルじゃない。
    もっと大きな、もっと重い一撃だ。
    体が宙を舞っている感覚。全身に響き続ける衝撃の残滓。
    地面が近づく、咄嗟に体を捻り、片ひざをつくように着地。
    衝撃のきた方向を見やる。そこには、このフィールドにはいないはずのモノがいた。
    黒い甲冑に全身を包み、影をそのまま形にしたような黒馬にまたがる大きな体躯。
    携えるのは、鈍く輝き、己の身長を超えるような巨剣。さらに、馬の鞍に甲冑と同じ色の馬上槍を吊り下げて。
    グラストヘイム古城において、恐れられている存在の一つ。闇を纏ったその騎士は。
    深淵の騎士、と呼ばれている。
    そして、その恐るべき存在が、私たちの目の前に、その堂々たる姿を現していた。
    「なッ!?なんでコイツがこんなトコにいやがんだ!?」
    いや、あらかた想像はつく。どっかのバカが古木の枝を折りやがったんだ。面白半分に。
    あの枝にはモンスターをランダムに召還する不思議な性質を持った魔力が宿っている。
    その性質から、街中などで枝を折りまくる「テロ行為」を行うものが少なくない。
    「チッ……ちくしょう、とんだ朝錬だぜ」
    そういえばストラは?あのバカはどうした。
    「ストラッ!いるか!生きてるかッ!?」
    大声で叫ぶ。いくらなんでも、コイツはヤバい。
    「ストラ!おいバカモンクッ!!」
    「生きてますっ!無事です!」
    ザッ、と海岸の砂を踏みしめる白い修練服の影。見たところ無傷のようだ。
    「咄嗟に身を引きましたから、なんとか巻き込まれずに済みました」
    私の横に並ぶと同時に構えをとるストラ。
    「ヘルガさんの修行の賜物です」
    「……たりめェだ、伊達にあんな鍛え方させてねェからな」
    剣を引き抜く、そのとき気づいた。今装備してる武器は、中型モンスターに対してダメージを増加させるカード
    を3枚挿ししてあるもの。しかし、コイツは大型に分類されるバケモノ。分が悪い。
    ……こんなハプニング、予想なんかしてなかったからな、地味にヤバいぜ。
    「私は許しません、ヘルガさんに傷をつけたアナタを」
    気をすばやく練り始めるストラ。
    ───私はいい、コイツはどうする。いくらなんでもコイツと戦わせるには厳し過ぎる相手だ。
    一瞬で真っ二つにされてしまう。私だって危ない相手だ。
    ───最悪、コイツだけでも逃がす。差し違い覚悟でやるしかない、か。
    「……ストラ、てめェはいい。手ェ出すな」
    「……ッ!どうして!?」
    「てめェにゃ荷が勝ちすぎる相手だからさ」
    彼女を制するように、剣を水平に向ける。
    「で、でも!」
    さらに視線で彼女を諭すように。
    「人を守るのが騎士の仕事だ、おとなしく守られろよ。腐っても、私は騎士だからな」
    こんな時だけ騎士ヅラする私、ずるいよな、全く。
    「ヤバそうだったら、さっさと逃げろ。私に構うな」
    「……」
    ストラが黙り込む。納得してくれたのだろうか。

    嘶く馬の声、ガチャガチャと物々しい金属音があたりに響く。
    ───これ以上待っちゃくれないようだな。
    「OK,待たせたな───始めるか!ハデに決めようぜェ!!」
    私は駆け出した。砂浜に佇む黒い騎士へ。


    「くっそ……さすがにキツいな……」
    小さく呟き、額から流れてきた血を舌で舐めとる。やはり装備が悪い。
    中型特化といわれる武器と、ソードフィッシュカードを挿したアクアメイル。
    こんな装備でよくがんばれてるもんだ。自分を褒めてやりたい。
    が、それでどうにでもなるわけでもなく、私は確実に消耗していた。
    あたりに散乱する白ポーションの空き瓶の数はおよそ二十、残る手持ちは三。
    ストラは私の後方に下がった安全なところから、私を見守っている。ちなみに支援魔法はもらっている。
    が、それでも厳しい。ヤツの巨剣から繰り出される───本来ならば槍の技であるブランディッシュ・スピアを
    モロに喰らえば、もしかすると逝きかねない。未だ撃たれてないのは幸いか。
    翻って私は、かなりの数のボウリング・バッシュを叩き込んだ。ヤツもダメージが相当蓄積しているはずだ。

    ヤツが剣の構えを変えた。殺気が倍近くに膨れ上がる。間違いない───次で殺る気だ。
    どうも、ヤツも考えてることは同じらしい。なら───
    「いいぜ、お互いにこれで決まりそうだしな……やってやるぜ」
    私も剣を構え、大きく深呼吸。ヤツ、深淵の騎士を見据える。
    まるで突き刺すような強烈な殺気。負けてられるか、こっちも後がないんだ。
    そして───
    刹那と呼ぶにふさわしいその一瞬。黒き騎士の剣と、私の剣が駆けた。
    私の剣はヤツの鎧を砕き、胴に刃が沈み込む。確実な手ごたえ。しかし、ヤツの剣もまた、私の体に深く食い込んだ。
    腹部が熱い。まるで炎の塊をそのまま飲み込んだかのように。このまま振り切られたら、負けるのはこっちだ。なら───
    「やら、せねぇぇええええええッ!!!」
    両手で握った剣に持てるだけの力を込めて、とある、一つの剣技を発動させる。
    剣に気をのせ、炎と共に爆発させるスキル。剣士時代に習得し、に使用できる技。その剣技は───
    「Magnum…Break!!!」
    赤熱化した剣から爆発。深淵の騎士を内側から破壊していく。
    「……私の……勝ち、だぜ……」
    黒い甲冑の隙間から血のようにあふれでる黒い液体。剣を伝って、私の体をも濡らしていく。
    突然手ごたえが無くなる。続いて崩れ落ちる、闇色の甲冑の抜け殻。
    続いて私の体も崩れるように、砂浜へ倒れこむ。腹部に刺さった巨剣が、倒れた拍子に地面に押し出されて抜け落ちる。
    傷口からハデに噴出する血飛沫。気をやってしまうようなすさまじい激痛。
    「……っ、ヘルガさんッ!!」
    ストラが駆け寄ってくる。すごい顔してるな、あのバカは。
    「ヘルガさんっ、ヘルガさんっ!!」
    んな連呼しなくても聞こえてるよ、このバカモンク。
    「い、いまヒールを……ッ」
    涙を目に溜めながら、私にヒールをかけるストラ。しかし、彼女のヒールではここまでの重傷は治癒できない。
    「塞がれ、塞がってよぉ!!」
    流れ出る涙を拭おうともせず、懸命ヒールをかけ続ける。
    本当にバカだよ、てめェは。私なんかに構わずにさっさと逃げろよ。今オットーきたらてめェもヤバいんだぞ。
    「神様……お願い……ッ」
    いいから逃げろよ、てめェまで私に付き合うことはないんだぜ?
    「神様、ヘルガさんを……助けて……」
    ああ、なんで私、コイツのことばっか心配してるんだろう。
    死にそうなのは自分なのに、コイツのことばかり考えてるんだろう。
    「……おねがい……っ」
    そういや、コイツの泣き顔、どっかで見た気が……。
    ヤ、バ、意識が──────
46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:30:21 ID:jddWiykw
    これはいつの思い出だ───私はいつもの鎧に身を包んでいた。
    目前に広がる光景は草原のような。ちらほらと見える原始的な建築物が見える。
    ということはここはオークの縄張りか。
    そうか、これは私がロードナイトになってまだそこまで期間が経ってない頃。
    新兵卒の騎士より少しマシな程度の実力しかなかった頃。
    自分の力がどう変わったのか、試してやろうとしてここに来たんだっけか。
    それで、適当に斬り刻んで歩いてたとき、ハプニングがあったんだよな。
    「ゃ……ぃゃ……」
    ちょうど、そのハプンングのシーンだ。
    かすかに人の声が聞こえてきて、私はそっちに向かった。
    向かった先の果てには、地面に投げ出されたチェインと。
    「やっ、やだぁっ、やだぁぁあっ」
    複数のオークに陵辱されてるアコライトがいたんだ。
    「やめ、てぇ、いやぁっ、やぁぁぁっ!」
    細腕で抵抗しているがそれも空しく、オークたちは彼女を蹂躙していく。
    自身についた、人に比べるとあまりにも巨大な凶器を、まだ成熟していない秘部にねじ込んで。
    本来挿入するようには出来てない、排泄するための器官にも、その凶器を突き刺して。
    あぶれたヤツらは、彼女の小ぶりな乳房や手、さらには髪までも犯し尽くして。
    そんな陵辱劇を目撃してしまった私は、腹が煮えくりかえるような激しい怒りを覚えて、その怒りをむき出しに。

    気がつけば私は、陵辱劇の役者たちであるオークどもを解体し尽していた。
    返り血で紅く染まった頬を腕で強引に拭って、肩で大きく息をして。
    「ひっく……んく……ひっく」
    アコライトのしゃくり上げで頭に上ってた血がスーッと冷めて、私は彼女のほうに歩き出す。
    彼女は泣き顔のまま、私を見上げて。私は彼女をそのまま抱き上げて。
    それから、街へ戻るためにまた歩き出して───


   「ヘルガさんっ!!」
   聞こえてきたのは、最近一番聞いた声。見えてきたのは、最近一番見る天井。
   あれは夢か。つーか、死んでなかったのか、私は。
   「ヘルガさん、大丈夫ですか?ちゃんと生きてますか!?」
   「あー……たぶんしんでない」
   だるそうに彼女に返答。痛みはないが、寝起き後のようなダルさがある。
   「……よかった、よかったぁ……」
   気が抜けたように、ベッドに突っ伏すストラ。ここは、宿の私の部屋か?
   「死んじゃったのかと、おもった……よかったよぉ……」
   「……自分でも、死んだんだと、おもったけどな……よく、生きてたな……」
   生きているという事実より、私はさっきの夢のほうが気になる。
   夢というよりも記憶。なんであの記憶を夢としてみたのか。
   「っ……さすがに、まだ少し痛むか」
   上半身を起こそうとして、腹部から響く痛みに顔をしかめる。
   「だ、だめですよ!まだ安静にしてないと!」
   「なに、別にキツい痛みじゃない。起きる分にはなんとかなんだろ」
   半身を起こして、傷のあった腹部を見やる。包帯は巻いてあるが、血は滲んでいない。
   「しっかし、ここまでどうやって私を?」
   「それは……その、たまたまPT連れのハイプリーストさんが通りかかって……」
   「……OK,納得」
   自分で運んできたなんていったら、私はこの世からオサラバしてただろうな。
   「……ごめんなさい」
   「あン?」
   突然謝りだすストラ。どうしたっていうんだ。
   「もし、もし私がちゃんと戦えていたら、私がちゃんとした癒しの奇跡が使えたら……」
   うな垂れる彼女。……コイツは。
   「───ほんッとーに、バカだなてめェは」
   泣き顔を上げて、私を見る。
   「癒しの奇跡なんててめェに求めてもいねェし、ちゃんと戦えてたしても、結局お互いくたばってたかもしれねェ」
   私を見つめ続ける、ストラ。
   「第一、ここまでボロクソになったのは私の力不足だ。てめェの過失じゃねェ」
   「で、でも!」
   「でもでもうるせェ!いいか、IFなんてもんは考えるな、んなもん存在しねェんだよ」
   「ぁ、ぁぅ」
   「……とりあえずお互い生きてる。それでいいじゃねェか。過ぎた事悔やんでもしょうがねェんだ」
   「……ごめん、なさい」
   しょんぼりとなるストラ。だが、さっきのような自虐的な空気はもう感じない。
   「わかりゃいい、てめェの泣き顔なんか、私はもう見たくねェからな」
   そうさ、このバカの泣き顔なんて夢の中でも───ちょっとまて?
   なんで記憶の夢のアコライトとコイツが被る。いや、まて、まさかあのときのアコが───
   『あのとき、助けてくれた時から』バカモンクはそういって私に告白した。もし、このバカがあのアコだとしたら。
   ……年単位の間、私に好意を抱き続けてたってのか?他の男に触れ合う機会だってあったのに、わざわざ私をか?
   ───バカだ。本当にどうしようもないバカだ、このモンク。なんで私みたいな不良騎士なんか、好きになるんだよ。
   翻って私はといえば、いつのまにかコイツのことばっかり考えてる。自分のことより、この大バカのことを優先して
   考えるようになってしまっている。まるで、恋する乙女かなにかのように。

   ───そうか、そういうことか。

   「───ああもう、どうしようもないバカだぜ」
   「そ、そんなバカバカいわないでください……反省してますから……」
   「いいやバカだ。相当にバカだよ。私は」
   「だから……え?」
   気づいた。気づいてしまった、自分の心に。
   「どうしようもない、どうしようもないくらい、バカだ……」
   この三ヶ月、コイツ───いや、ストラのことを見てて、楽しかったんだ。
   さんざバカバカ怒鳴ったけど、ストラといるのが楽しかった。
   なんだかんだで、一日も欠かさずストラと会話して、特訓して、食事時まで一緒だった。
   その『楽しい』が、私の中で少しずつ変わっていったんだろう。私すら気がつかないほどに、少しずつ。
   「ヘルガ、さん?」
   いまさら気づいたんだ。私が、ストラをどう思っているか。
   「ヘルガさーん?」
   私は───
   「……ちょっと、こっちこい」
   「と、突然、なんですかヘルガさん」
   「いいから、こい」
   訝しげな顔をした彼女が、私の方へ身を乗り出す。
   「……どうしたんですか、ヘル───っ!?」
   私は、彼女を抱きしめた。自分でも信じられないような行動。
   「ぇ、ぁ、え?え?」
   抱いている腕で、触れている体でストラを感じる。なんだか、柔らかい感じ。
   「へ、ヘルガさ、さん!?」
   明らかに動揺しているような声が聞こえる。当たり前か、普段はこんなこと、想像もできないもんな。
   「そそそ、その、どうしたん、ですかっ、と、突然!」
   「……いいじゃねェか、別に」
   「ででで、でも!」
   「……それとも、イヤか?こういうことされるの……」
   抱きしめたまま、私は彼女に問いかけた。答えなんて、きっと決まってるけど。
   「そんなこと、ない、けどっ……でも、ヘルガさんは、私のこと……」
   「キライなんて、一言も言ってないぜ?」
   「でも、あの、私の告白は……」
   そう、断った。けど───
   「ああ、断った。けどな、だからどうしたよ」
   「どうしたよ、って───」
   「仕方ねェだろ、いまさらわかったんだからさ」
   「わかったって、一体何が……」
   きっぱりいわなきゃダメか、このバカには。
   「───私は、ストラのことが好きになってたって、ことだよ……このバカ」
   顔が熱くなってくのを感じる。カーッと、血流が集まるのがはっきりわかる。
   「……ヘルガ、さん……」
   彼女が私の名前を呼んで、彼女もまた、私の体を抱きしめた。
   お互いに抱き合ったまま、そのままふたり、動かずに。
   心臓の鼓動がふたつ。私の音と、ストラの音。お互いにとても速く脈打って。
   「ヘルガさん……すごい、ドキドキしてるの、伝わってきます……」
   「ストラだって、わかるぜ……すげェ速い……」
   ふたつの音を聞いていて、体も熱くなってくる。この間あった、あの熱さと同じ熱。そうか、あのときの熱さも……。
   「ヘルガ、さん……いい?」
   問いかけてきたストラ。その問いにYesと答えれば、もう戻れない。
   「……ダメつっても、止まんないだろ、もう」
   戻れなくていい。このままでいい。私はストラと一緒にいたい。ずっと、いたい。
   「……好きだよ、ヘルガさん……」
   ストラが顔を寄せてくる。目を閉じて、唇を突き出すように。
   「いまさら、だぜ……」
   私は、その唇を、自らの唇で受け止めた。
47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:32:08 ID:jddWiykw
   それはまるで、最上の果実のような、いや、あのイグドラシルの実だって、こんなに甘くない。
   明確に味があるわけではないのだが、私の脳は確実に、その味を甘いと感じた。
   ただ唇を合わせているだけなのに、体中がとろけそうな感覚。温くてやわらかい、いままでで感じたことのない感覚。
   ああ、キスってこんな気持ちがいいものだったのか。こんな、こんなに甘いファーストキス。
   「……ぷぁ」
   彼女が唇を離す。甘い感覚はなくなったけど、まだストラのぬくもりと感触が残ってる。
   「一応、ファーストキス……なんですよ」
   私だってそうだ、いちいち恥ずかしいヤツめ。
   「それは……お互いさま、だ」
   真っ赤な顔で向き合うふたり、抱き合っていた腕はもう離れているけど。
   「ねぇ、ヘルガさん……」
   上気した顔で、私を見上げる。はにかみ具合が、何かたくらんでいるような感じだ。
   「……なん、だよ」
   その表情が可愛く見えて、思わず目をそらす。まるっきり初心な子供じゃないか、私。
   「……もう、一回っ」
   「な、なん───ん、む!?」
   ストラがまた、私に唇を合わせてきた。再び襲う、あの甘い感覚。でも、それだけじゃなかった。
   「む、ん、んんっ」
   さっきとは違う、口の中に入り込んできた、ざらっとした感触。それは私の中をかき回すように撫でる。
   これが彼女の舌だとわかったとき、私は戸惑った。でも、その戸惑いは口内が蹂躙される快感に押し流されていく。
   頭の中までとろかされたように、私は彼女の感触に酔い痴れていた。挙句に、私は自分の舌を彼女のそれに触れ、絡める。
   半ば半開きになったお互いの唇からは、ひどく淫らな水音が響いている。
   お互いの唾液を交換して、それをさらに口の中で混ぜ合わせて。あんなに甘かった感覚はもっと甘く。
   蜂蜜よりも甘い唾液を飲み下して、半狂乱気味に行われていた口付けが終わる。
   名残惜しそうに、お互いの舌には銀色の糸が光る。
   「ふ、ぁ……」
   呆けた様な声。いつもとはまるで想像もつかない、私の声。
   「2回目は激しく、してみました……」
   激しすぎだ、このバカ。本気で危なかった。
   「でも……キスだけじゃ、物足りません」
   私の首元に顔を寄せて、首筋に沿う様に舌を這わせて。そこだけが、熱い。
   「……ヘルガさんの全部が、ほしい……」
   その囁きだけで、どうしようも無く昂ぶってくる。今の私には、その声だけでも強力な媚薬となり得てしまう。
   「……いいぜ、ストラになら全部、くれてやってもいい……」


   寝巻きを脱がされ、下着を剥ぎ取られ、体を隠しているのは腹部に巻かれた包帯だけ。
   けれどそれも腹部だけで、実際のところ、私の肝心なところは完全にさらけ出されていた。
   こういう行為の経験がまったく無い私は、恥ずかしさでいっぱいで、ストラの顔を直視できなかった。
   「……んな、まじまじ見んな。なんだ、その……あれだ、すげェ、恥ズい……」
   両腕で胸元を隠すように抱こうとするが、ストラは私の腕を制した。
   「イヤです、余計にまじまじ見ちゃいますよ……ヘルガさんの、キレイな身体」
   私の手首を掴んで、ベッドに押し付ける。胸の双丘、というにはあまりにも控えめな乳房が彼女の視界に。
   「だ、大体なんでてめェは着たままなんだよ、不公平だ……」
   ストラの恥ずかしすぎる言葉に対する憎まれ口。意味など成さないだろうが。
   「いいじゃないですか、そんな、ささいなことは……はむ」
   「ひゃ、ぁっ、なにが、ささいなことだ……ッ」
   柔らかく、濡れた感触が、私のなだらかな山の頂点に。体がぴくん、と反応してしまう。
   「くそっ……おぼえてっ、ひにゃっ、いやがれぇ……ぁんっ」
   私の手首を押さえ込んでいた彼女の腕も、気がつけば唇が触れてないほうの乳房をやわやわと刺激する。
   触れられるたび、吸われるたびに、電撃が通り抜けたような衝撃。思わず声が出る。
   「はっ、んはぁっ……っ」
   「胸だけで、こんな感じちゃうんだ……ヘルガさん、敏感なんですね、はむ……ちゅ」
   胸を弄られるだけでこんなに気持ちがいい。ピリピリとした快感が私を襲う。
   「やっ、や、ぁぁ、も、やめっ……!」
   「ヤですよ。ヘルガさんとこうするの、夢見て来たんです。だから、やめてなんかあげません」
   より一層激しくなるストラの攻め。それにつれ、私の声も一層高く。
   「でも、胸だけで満足もさせてあげません。もっともっと、気持ちよくなれるところ、あるんですから……ね」
   片方の腕を胸からはなして、つつつ、と指を滑らせていく。包帯の巻かれた腹部をなぞり───
   私の、女性として、大切なところに、その指が触れた。
   「ここが、もっと、気持ちよくなれる、大事なところ……」
   自分でも滅多に触れないそこに、ストラは指を這わせて。ぬるり、とした感触。
   彼女の指が濡れてるわけじゃない。濡れてるのは───私の、秘所。
   「ヘルガさん、すごい……もう、こんなに……」
   指を交互に走らせて、その湿り気を再確認するように。その度に、胸を愛撫されてるときとは比べ物にならない快感。
   「や、だ……あぁぁぁあ……!」
   2回目のキスのときとおなじ、くちゅくちゅとあふれる水音。でも、キスとは段違いの淫靡な音。
   ストラに秘所を触れられているという事実と、叩き込まれる快感と、響く音が、私をさらに興奮させる。
   「あぁ……ふぁぁ……」
   「ふふ、どんどん溢れてきます……ヘルガさんの、ここ」
   コイツ、言わなくてもいいようなことを。恥ずかしさと気持ちよさがない交ぜになる。
   突然、指を秘所から引き抜いて、私の眼前へもってきた。窓から入ってくる柔らかな太陽の光に照らされて、ストラの
   指はぬらぬらと光っていた。
   「ほら、これ、ヘルガさんの、ですよ……」
   私の、蜜。わかってはいたけど、見せ付けられると、頭の中まで熱くなってくる。
   「こんなになるほど濡らしちゃうなんて、エッチなんですね、ヘルガさんは……」
   眼前の指を私の顔から自分の口元へ持っていく。ストラは、私の蜜のついた指を、愛しそうに舐めとる。
   「んっ、あむ……んちゅ、ちゅぅ……」
   ただ一心不乱に、指を、私の蜜、愛液を舐めとっていくストラ。そのときの彼女の表情は、愉しそうに、淫らに微笑んで。
   「はむ、ん……甘いよ、とても」
   ヤバい、本気でヤバい。ここまでとは思ってなかった。コイツがこんな表情するなんて。
   「じゃあ今度こそ、本番、です」
   そういうと、再び、指を蜜溢れんばかりのそこへ。
   「ほ、本番って、いったい、ふぁっ!」
   さきほどと同じように、指を上下に滑らせた。また、快感が襲い掛かってくる。
   「本番はつまり……こういうこと、です」
   行き来していた指が、ぴたりととまり、ぐっ、と押し込むような感触が。
   「っ、……やさしくしてくれよ……こんな女だけど、一応、処女なんだから、な」
   言った途端、彼女の表情が変わった。驚いたような、そんな顔。
   「……ごめんなさい、本当は指なんかじゃなくて、その……」
   「別に構わないよ……言ったろ、全部くれてやるって」
   我ながら恥ずかしい台詞、けど、ストラになら私をすべて捧げてもいいと、本気で思った。
   だから言った。それだけ。
   「ヘルガさん、嬉しい……」
   涙を目に溜めて、幸せそうに微笑む。
   「バカ、今は泣くところじゃないだろう……?」
   その表情がとても可愛くて、彼女の頬に手を添えて。流れ落ちる涙を親指で拭ってやる。
   「ごめん、なさい……じゃあ、いきますよ……?」
   「ああ……来て、ストラ」
   押し込みかけている指が、私の中に少しずつ入り込んでくる。ここからは私の知らない世界。怖いといえば嘘になる。
   「ふぁ、う、ん……っ」
   じわりと響く、軽い痛み。けれどそれ以上の快感。指が中に入ってくるごとに、それを強く感じる。
   「次、二本目、いきます……」
   「……OK、こい……」
   覚悟はとっくにできてる、こうなればなんでもこい。受けてたってやる。
   「はっ……うぁっ、あああっ!」
   「痛いと思うけど……少し、我慢して」
   少しなんてもんじゃない。はっきり言えばすごく痛い。いままで色んな敵と殺りあって、色んな痛みを知ったけど。
   戦いのときの痛みとは違う、一番敏感なところの、一番大切なところの痛みだから、なんだろうか。
   「ぅ……ん、ぅぅ」
   熱く、鈍い痛みが腰に響いてる。けど、私の中にはっきりと感じる、ストラの指。
   「はぁ、はぁ、はぁ、すとらぁ……」
   手を伸ばして、ストラの名を呼ぶ。すがるように、何かに触れていたい。
   「すとら……抱かせて、抱きしめさせて……怖い」
   怖い。なんだか、怖い。不安になる。そんなわけはないのに。
   「大丈夫、ヘルガさん……大丈夫」
   私に抱きすくめなれながら、大丈夫、と囁きつづけるストラ。そのこえに段々と安らぎを覚える。
   痛みすら引いてくるような、そんな錯覚まで。
48名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:32:38 ID:jddWiykw
   彼女の匂いと囁きとともに、一体何分経ったのだろうか。
   秘所の痛みも随分引き、中に感じる指の感触だけ。
   「ん……もう、だいぶ楽になった……」
   「じゃあ、動かしても……大丈夫?」
   一瞬不安になった。でも、きっと大丈夫。
   「大丈夫、だと思うよ……痛かった分、気持ちよく、して」
   「……うん」
   返事とともに、彼女の指が動き出した。中にあったものが引き出される。
   「あっ、うぁああ、あ……」
   さっきみたいな痛みはない。変わりにあるのは、感じたことも、想像したこともない、強烈な快感。
   私の喉からあふれるのは、さきほどよりも高い嬌声。ヤバいとか、そういうレベルじゃない、気持ちよすぎる。
   「はぁ、うぁっ、ひゃ、あぁああっ!」
   「痛くは……なさそうですね。その可愛い声でわかりますよ……」
   ゆっくりと出入りをしていただけの二本の指が、今度はかき回すように、入り口を広げるように。
   様々なアクションを起こす。私はその動きに翻弄されて、彼女のされるがまま。
   「ふぁ、ふぁああっ、あぅ、っ、ああっ」
   声が抑えられない。指の動きに合わせて、私の声が部屋に響く。
   「ヘルガさん、可愛いです……すごく、可愛い」
   気持ちいい。気持ちよくて、どうにかなりそうだ。全身がガクガクいってる。いままでに無く、淫らな私。
   「すとらぁっ、あああっ、すとらぁぁっ!」
   「いつもはあんなにカッコいいのに、こんな可愛い声上げて……そんなに、感じてくれてるんですね……」
   ストラがなんかいってる、けど、そんなのどうでもいい。体が、頭がもう、この気持ちよさしか捉えられない。
   「膣、ビクビクしてますよ……もう、イっちゃうかな……?」
   「あくぅっ、あぅっ、あぅぅうっ!」
   とても高いところに意識がもってかれる。頭の中が白く染まっていく。
   「もう、もう……っ、とぶ、とぶっ!」
   気持ちいい、飛んでいく、もう、ただそれだけ。
   「ヘルガ……好き」
   瞬間、ロードオブヴァーミリオンのような、凄まじく、強烈な衝撃。
   「あっ、あっ!うあぁあああああっ!! 」
   白が、意識が爆ぜて、白に飲み込まれていく───


   「ん……ん、ぅ」
   目を開く。飛び込んでくる見慣れた天井。
   窓からのぞく空は暗く、すでに月が高くあがっている。
   「夜、か……」
   体を起こし、窓を開けようとして、気付く。一糸纏わない、いや、包帯だけの自分の姿に。
   「あ……」
   視線を落とすと、そこには、白い修練服姿のストラがいた。
   「ん……すぅ……」
   規則正しく上下する胸と、呼吸。布団に散らばるショートボブの濡れ羽色。
   「……夢じゃぁ、なかった、か」
   私はとストラが交わった───彼女に一方的にイカされただけともいうが───その事は真実だった。
   思い出すだけ、顔が赤くなる。どうも、まだまだ私は初心のまま。
   「……情けねェや、私も……」
   ふと、ストラを見る。やさしい寝顔。
   他人の寝顔をこんな近くから見るのは初めて───思えば今日は初めてだらけだ。
   そういえば、私の告白も随分カッコ悪いものだったな、情けない。
   ───だれも見てないし、きちんと締めてみよう。カッコよく、それが私のモットー。
   「……好きだよ、ストラ」
   耳元で小さく囁く。面向かってはまだいえないけど、いつかビシッと決めてみたい。


   「ま、まってくださいよ、ヘルガさんっ」
   「さっさとしやがれバカモンク。今日から鍛錬上級コースだ。もたもたしてたらど−なってもしらねェぞ」
   早朝のゲフェン。まだ橙色の太陽がゲフェンタワーにかかる。
   あれからほんの数日。ストラと私の関係はあまり変わってないように見える。私は相変わらずバカバカ言うし、
   彼女はトロいまんま。旗から見れば変化なし。
   「上級コースって、一体どこいくんですか、ゲフェニア1階層とかならちょっとわかりますけど」
   「……3ヶ月まえのリベンジだ。グラストヘイム監獄、いくぞ」
   でも、お互いを想うという、いままでには無かった感情がプラスされている。
   外からはわからないけど、私たちはつながっている。ストラは私を好きで、私はストラが好き。
   同性同士だけど、気にするものか。私は、ストラと一緒に歩いていきたい、それだけ。
   「……監獄、ですかッ!?」
   「私のリハビリも兼ねてな。暴れてやろうぜ、二人でさ」
   「……はいっ、がんばります!」
   ───頼むぜ、私の一番大切な、相棒さんよ。
49名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 08:34:59 ID:jddWiykw
以上dす。
つうか、読みにくい、読みにくいよぼくのバカ……っ

ああ、初回でとんだ失敗……っ
情けなさす……ッ
50226たんdame :2006/12/11(月) 08:38:02 ID:bQwZaXik
>>41
リアルタイムで全部見ましたよおおおおっ! ええ、リロード連打しながら。
何故かしてやったりの気分。さっきまでえろいの書いてたのでテンション高いです。

語気も荒いお姉さまだ!やんきーだ!わたしには書けないタイプの女性だっ!
でも総受けってあたり超かわいい。堪能させていただきました。

……しかし、えろいですねえ。いいかんじに百合百合。
こういうカップル物って実は書いたことなくって、憧れたりします。
51名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 15:54:23 ID:1QJq.Df.
>>41
キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ ! !
神がまた一人生まれた

とても楽しませてもらいました!
初めて投稿とは思えないですな
続きor新作が楽しみになりますた
52名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/11(月) 19:45:33 ID:fEwf0IQ2
>>41は作品を投下した!
すごごご(効果音
こうかは ばつぐんだ!

いやもう最高です!
受けに回っても語調が崩れないのが良いというかなんというか!
あぁ!この表現であってるのか分からない!(死

で、その直後になんなんですが違和感を覚えたところがあったのでひとつ、
>>47のとこの下から19行目あたり?の「怖いといえば嘘になる」
ってとこは「怖く無いといえば」なんじゃないかなとか思ってしまったのですがどうなのでしょ。
いや、これそのままであってるなら良いんですがというかその場合切腹してお詫びします。
53レニャチェリの人dame :2006/12/11(月) 21:05:01 ID:V2ESYaRc
テキストはまったりと進行中。

>>41
ここに神がまた一人生まれた。

私がえらい人だなんて言ったら、倉庫に保存された作品の作者すべてがえらい人ですよ〜
とにかくGJです。お話の持っていき方とかエロスとかもううはうはです。
つか、オットー海岸で枝使う人って相当なきまぐれ屋さんなんでしょうねぇ……あそこBOTにはきついでしょうし。
5441のひとsage :2006/12/12(火) 00:29:37 ID:z0BLnPIw
なんだかお褒めの言葉がたくさんあるよ!?

>>226さま
  な ん だ っ て ぇ ぇ ぇ ぇ (゚д゚;)
   まさかリアルタイムだなんて。みられた!みられちゃった!もうお嫁にいけない!

>>51さま
  妄想でハァハァしてたらこーなっただけです。割とガクブルでしたが!

>>52さま
  本人、脳みそぐつぐつさせながら書きましたので割とそういう、言い回しがヘンなこと多いかと想います。
  52さまの表現のつもりで書いたけど、どこをどうしたああなるのか!ゴメンナサイ単純にミスです。

>>レニャチェリのえろい(?)ひとさま
  言われてみればそんなかんじ!みんな平等にえらい、むしろえろいひと?
  枝はきっとアレですよ、アイテム欄から別のアイテム使おうとしたら間違えて枝折っちゃった。てへ、みたいな。
  レニャチェリストーリーにワクテカがとまらない!

 みんなだいすきだー!
55名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/12(火) 19:34:34 ID:Ey6zXJxU
久々神キタ━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━!!!

>>41様乙であります!
えろのみにあらず、心理描写の繊細かつ大胆さ(?)が超GJです!!
次作などを心待ちにしております!
5692sage :2006/12/14(木) 00:51:11 ID:LkD2ZkQ2
>>41さん
こいつぁとんでもない破壊力だ…(ごくり
激しくGJですよっ

近いうちに投下できるようなそうでないような|-`)
57名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/16(土) 18:53:59 ID:DKBiTvlc
そういえば以前えろだにあがってた
dop1とdop2の作者さんってどうしてるのかなー
あの作品とても好きだったんだけれど
58名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/12/16(土) 19:58:21 ID:1o15wwvA
>>57
それは259の人だ!
59名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/17(日) 20:03:04 ID:3OSvRZMQ
ΩΩΩ<なんだって!!

dopの作品は259の人の作品だったのか
すみません、知りませんでしたorz
レニャチェリの人の作品と259の人のdop作品が個人的に大ファンですね
60名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/19(火) 00:06:53 ID:YAYxvI6I
保管庫を覗いてみたら昔書いたのが載っててちょっと嬉しいから投下(ぇ
やっぱり書くのって難しいですね。
久しぶりすぎてダメダメなのですがご容赦を!

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わたしが間違っていたかもしれない。
そう考えたのは、何杯目かのお酒を飲み干したときだった。
「ティルファさん、もうギブアップですか?」
半分ほど酒の入ったグラスをゆらゆらと揺すりながら、狐の襟巻きを首に巻いた子が尋ねてくる。
この子の名前はセレナ、同じギルドのお友達で仕草が小動物みたいに可愛いからみんなにいっつもからかわれてる
魔法を制御することに長けたその能力から、教授やプロフェッサーと呼ばれているけれど
この子の場合そんな堅苦しいイメージなんかこれっぽっちもない。
一言で言うと可愛い。
「ムリ、もーだめ・・もうのめない・・・」
調子に乗って飲みすぎた。もともとそんなに強くないのに、相手のペースに合わせたらこれだ。
こんなんじゃ、冷静なスナイパーというギルドの中でのわたしの評価も危うい。
頭がふらつく、少し気持ち悪い。


数時間前……
すでに日課となりつつある狩りを終え、臨時的なパーティーを脱退したわたしと彼女は、一緒に飲むことになった。
狩りでは何度も一緒になったことはあったけど、二人っきりで飲むのは初めて

「とりあえず、あの店はどうー?」
いつもギルドのみんなで行ってる行きつけの店を提案してみる。
「うーん・・・でも、少しゆっくり飲みたい気分ですし・・・」
対するセレナはあまり乗り気ではないようで考え込んでいるようだ。
「・・・そうだ!わたしの部屋、この近くなんですよ。良ければいらっしゃいませんか?」
名案を思いついた。といわんばかりのきらきらした目でこちらを見つめてくる。
やっぱ、かわいいなぁ・・・と、ダメダメ わたしには心に決めた人がいるんだから。
そういえば、この子の部屋にはまだお邪魔したことがなかった。行ってみようかな。
「そうね、その方がゆっくり飲めそうだし お邪魔するかな」
承諾すると、ぱっと表情を輝かせる。
「やったぁー! こっちです、こっち!」
「ちょっと・・!セレナちゃん、そんなに急がなくてもっ」
わたしを誘えたことがよっぽど嬉しいのか、セレナはそのままわたしの手を引いて駆け出した。
ほんと、可愛いんだから・・・
思わずこちらも微笑んでしまう。
そのすぐ後に、この子の本性を思い知らされてしまうのだけど・・・。
61つづっきーsage :2006/12/19(火) 00:09:03 ID:YAYxvI6I
そして、今に至る…。
「これくらい飲んだだけで酔っちゃうなんて、少しだらしがないですよ〜?」
「セレナちゃんが、お酒に強すぎるのよ・・・。」
ほんとに強かった。
平気な顔で強い酒を一気飲みしはじめた時には笑うしかなかった。
「ほ〜ら、ダメですよ?もっと飲んでください」
妖しい笑みを浮かべたセレナが、わたしの口に酒の入ったグラスを押し付け、流し込む。
突然の出来事にわたしは慌てるしかなかった。
「んぅっ・・!?セレナちゃ・・けほっ・・・」
口の中に広がるアルコールの苦い味。
思わず飲み込んでしまい、咳き込む。
「けほっ・・・んぅう・・セレナひゃん・・何するの・・・」
頭がクラクラする・・さっき飲まされたお酒のせい・・?
そんなわたしを見つめながら、セレナはクスクスと笑っている。
「今日は・・今まで色々された分、全部お返ししますからね・・?」
そう言いながら、セレナはどこからか手錠を取り出す
「ぇ・・・?」
それを見て、わたしはまた戸惑ってしまう。
まさか、今までからかってきた事への仕返しだとでも言うつもりなんだろうか?

それよりあんなもの、何に使うんだろう・・?

少しだけ、どきどきする。
セレナが、近づいてくる・・・。
「ちょ、ちょっと!セレナちゃ・・んんぅ・・!」
いきなり唇を塞がれた。
酔っているせいか、抵抗できない。
自分の腕が背中に回されるのを感じる。
ガチャ、と金属が鳴いてわたしの両腕に手錠がかけられた。
「これで・・暴れられませんね・・」
どこかうっとりしたような声が聞こえた。

「可愛い格好ですよ・・?ティルファさん」
力任せに押し倒される。
「やああ・・!セレナちゃん、やめて・・!!」
怖くなって、思わず叫んだ。
「今日は誰も居ませんから・・叫んだって無駄ですよ?」
セレナの手が、乱暴にわたしの服を脱がそうとする・・。
「やだっ・・ホント・・やめて・・・」
思わず涙が出た。
何でわたしが、こんな目に・・。
仕返しだとしても、酷すぎる。
「泣き顔も可愛いです。」
ふと、服を脱がそうとしていたセレナの手が止まる。
「これだと、脱がしにくいですね。失敗しました・・。」
わたしはいつの間にか泣きじゃくっていた。
「そんな泣かなくても、ちゃんとしてあげますよ。」
そう言うと、セレナはナイフを取り出して
「脱がしづらい服は、切っちゃいましょう」
わたしの服を、ゆっくりと切っていく。
時々肌に当る金属の冷たさが、逃げようとするわたしの意識を無理矢理に現実に引き戻していく。
「動くと、怪我しますよ・・?」
上半身を覆っていた服は、下着も含めほとんど切り裂かれて胸があらわになっている。
寒い・・・。
「綺麗な肌・・可愛いです」
セレナの冷たい手がわたしのお腹を撫で回す。
「ひ・・ぁっ・・」
くすぐったさに思わず声が出て、息を止めるようにして声を押し殺す。
「もっと声、聞きたいのに・・・。」
セレナが、ナイフを持ち直して・・
「あとでじっくり、聞かせてくださいね?」
ウエストからナイフを差し込んで、ホットパンツを切り裂いていく。
「やっ・・!やめてぇぇ・・!!」
体を跳ねさせて暴れる。
「暴れると怪我しちゃうって言いましたよ?」
お構い無しに切り裂かれて・・・。
下着を残すだけの姿にされてしまった。
「最後は、これですね・・」
ショーツもウエストのところから指を入れて持ち上げられる。
「やめて・・やめてえええ・・・」
いくら懇願しても、非情にもナイフが入れられて。
わたしは無防備になった。
「さて・・・それじゃ、いただきまーす。」
服を切り終えたセレナが覆いかぶさってきて、いきなり胸に触れる。
「ひぁ・・やだよぉ・・・」
「ティルファさんが嫌かどうかは、私に関係ないです。」
いきなり乳首をつままれて、ひねられる。
「にゃぅっ・・!」
「くす・・可愛い声出しちゃって・・・こうしたら、どうなっちゃいますかぁ?」
乳首を口に含んで、吸われる。
舌で転がされて・・
「ひゃっ・・んぅっ・・や・・!」
「んちゅ・・・びくびくふるえて、可愛いです・・」
軽く歯を立てられて、背筋が震えてしまう。
「ちゅ・・・ちゅぅう・・・」
「んふぁ・・!」
ひとしきり吸って満足したのか、セレナが唇を離す。
「可愛いですね。でも・・・」
胸を離れた指先がお腹をくすぐりながら下腹部に降りていく。
「こちらも、見せてください。」


「んふ・・丸見えですねぇ」
セレナがわたしの両足を持ち上げて、大きくM字に開かせる。
「やら・・はずかしっ・・!」
暴れようとするけれど、もう力が入らなくて
「可愛いですね。」
セレナの指があそこに触れる。
「あら・・・?」
「もう、濡らしていたんですか?」
くちゅり、と水音を響かせながらセレナの指が優しく擦りあげる。
「んぁあっ・・や・・んん・・!」
わたしは体をびくびくさせて反応してしまう。
「ティルファさんって、いやらしいんですねぇ〜」
ぐちゅり・・。
音を立てて指が乱暴に突き入れられる。
「んぁあぁあっ! やぁあ・・いきなりぃ・・・んんぅっ!」
「気持ちいいんですか?」
静かな部屋にぐちゅぐちゅという卑猥な水音が響く。
「きもち・・よくなんかぁあ・・・んぅっ・・!」
激しく指が出し入れされるたびに、腰が跳ねてしまう。
「体の方が正直ってよく言ったものですねぇ・・」
セレナが中で指を曲げて、中を引っかくように動かしてくる。
「や・・ひぃっ・・んぁぁあぁあっ・・!」
「ティルファさんが、こういう風に犯されて悦ぶ人だなんて思いませんでした。」
「ほら、いいんでしょ? 良いって言いなさいよ、この変態。」
セレナの指がどんどん激しくなって、限界まで高められてしまう。
「やぁあ・・・も・・らめ・・いっひゃ・・」
その途端、セレナの指が止まって引き抜かれる。
「ふぇ・・・?」
いきなり刺激がなくなって、それを求める腰が何度も動いてしまう。
「なに勘違いしてるんですか?」
ぺろり、と指についた愛液を舐めながら妖しく笑って
「簡単にはイかせてあげませんよ・・・?
 わたしが今まで色々された分、長く楽しませてもらいますから
 ティルファさんも・・・楽しんでくださいね ふふ
 うれしいでしょう?」
セレナの指が、再びあそこに触れてくる。
「こーんなに濡らしちゃって、やっぱりだらしない・・・」
くちゅり・・、再び指が差し入れられる。
「んぁぁ・・や・・もうやらぁあ・・・!」
「中も、トロトロですね。」
「いきたいなら、おねだりしてみたらどうですか?」
くすくす笑いながら言ってくる。
今のわたしには、それはとても魅力的な言葉だった。
「も、もぅ・・・いかせて・・いかせてほしいのぉ」
思わず、叫んでしまう。
「きもちよく・・・なりたいよぉぉ!」
「ふーん、今はきもちよくないんですか?」
すかさず、いたずらっぽく尋ねてくる。
「う、っあ!・・・き、きもちいいですぅ、でも・・・ふぁん・・!」
おねがいいかせて・・もう、それだけしか考えられない。
「ふふ、可愛ぃ・・
 でも、まだあげませんよ・・・?」
「や・・いじわる、しないでぇ・・」
いきたくていきたくて、泣き出してしまった。
「あらあら・・仕方ないですねぇ・・」
指の動きが激しくなる。
「んぁああ・・いっちゃぅ・・いっちゃうよぉぉぉ・・!」
「許してあげます。イっていいですよ。」
クリトリスを擦りあげられる。
「んぁあっ・・はぃ・・! いっちゃうの・・ふあぁあぁあああっ!」
全身を震えさせて、イってしまう。
快楽の余韻から開放されて、息が整い始めるとセレナが口を開く

「可愛かったですよ、ティルファさん
 また今度、可愛がってあげます。嬉しいですか?」
「知らない・・。」

この後、ギルドでセレナをからかっていた全員が、こんな目にあったとか
62名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/19(火) 00:10:33 ID:YAYxvI6I
以上ですっ!
書き逃げしますっ!
お目汚し失礼しましたっ!
63226たんsage :2006/12/19(火) 13:12:41 ID:kVSi/ojg
こんにちは、最近焦らしソフトえすえむ以外のえっちをが考えられなくなっている226たんです。
短いのを書いてみようかなと思いますが、しばらく↑のノリが続きそうな予感がします。

>>60
↑というわけで焦らしプレイらぶ。ごちそうさまでした!
64259の人sage :2006/12/22(金) 23:57:31 ID:XemRorlA
>>41さん
面白かったです。こういうキャラこのスレ初めてですよね。たぶん。
おいしいおいしい!
普段とエッチのときのギャップのあるキャラってこううまく書かれると
物凄く魅力的だと思います。ご馳走様でした。

>>60さん
こういうさっくり読める甘いものが密かな好物だったりします。
ソフトえすえむ私も好きなので良いご馳走でした。はあはあ。


続き気になる。続き読みたい。好きに書いて構わない。と温かい言葉をいただきたので
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php?%C4%B9%A1%CBx%A1%DFy%A1%E158534%2Fx%CA%D4-1
の続きを書いてきました。↑読まないとわけわからないと思うのでご注意ください。
65259の人sage :2006/12/22(金) 23:58:36 ID:XemRorlA
 やたらと近い位置で顔を赤らめている友人を眼前に、私はしっかりと覚悟を決めた。
 ――というほど大げさな心構えは全然必要なかった。この人は黙っていれば大層可憐なナリをしているので、元々積極的に忌避すべき理由というものが明確には存在していなかったりする。こちらから手を出す気にはなれないけれど、こういう事態になってしまった以上、あちらがその気でいるのなら付き合うのにやぶさかではない。大して迷わずそう思ってしまえるくらいには、この友人は魅力的な容姿をしていた。
 この面倒な遊びを続けるにあたって最も重要な点として、主導権の確保が挙げられる。そこだけは譲れないし譲らない。
 遊ぶのと遊ばれるのは違う。その二つの間に境界線を引いたときにどちらに立っていられるのかというのは、私にとっては大きな問題なのである。主にプライドやら体面やらのせいで。
「ちょっと聞きたいのだけれど――」
 そういう信念に基づいて私は行動を開始した。
「貴女、経験はあるのかしら」
「え、あ、あの」
「一人でしたことは当然あるんでしょうから聞かないわ」
 まずは牽制。あまり似合わないことはするな、と。
 本当に何の色も付いていないまっさらな子を長時間かけて好きにできるというのならともかく、どう振舞って見せようが、この人の実態はわけのわからないモノに浸かってドドメ色だとか蛍光ブラウンだとか、おかしな色の付いてしまった手遅れ感溢れる筋金入りの変嗜好の持ち主という、どうにも末期的な代物である。過剰にうぶな振りなどされたところでかわいくも何ともない。白々しい空気と不自然さが漂うだけなのは目に見えている。
「正直にお答えなさい」
 私は本題に入るべく、プレッシャーを掛けるように目を細めた。
「誰か、他の人と厭らしいことをした経験はあるのかしら。――私以外の人と」
 最後の部分で語調を強める。もしそうだったらどうなるかわかっているわね、と言外に含めて。実際にどうなるのかは私自身にもわからないが、要は雰囲気だ。首を横に振らせる雰囲気が作れればそれでいい。
 思惑通り、友人殿は真っ赤な顔をしたまま少しの間視線を泳がせ、それから呟いた。
「あ……ありま、せん……」
「なら、これが初めてね?」
 念を押す。
「はい……」
 友人殿は潤んだ瞳を私に向けて消え入りそうな声で頷いた。
 ――掛かった。
 言質を取った私は内心でほくそ笑んだ。
 初体験じゃあ多少理不尽なことをされたとしてもお姉さまに物申したりなどできないはずだ。いくら友人殿本人が手馴れていようが関係ない。この人が今のキャラを貫こうとする以上はろくな抵抗などできないのである。そのジレンマにこそ勝負の鍵があると私は踏んだのだった。
「良かった。貴女みたいな可愛い子に他人の手垢が付いていたらぞっとするもの。私が初めての相手になってあげるわ。喜びなさい」
 はい、と我が友人は抑え切れぬ感情を持て余したかのような掠れた声を出した。どこまで役に入り込んでいるんだ一体。
 それならそれでこちらも相応にやるだけである。
 仰向けに寝転がった上半身に斜めから覆いかぶさるようにして、私は顔を近づけていった。あとほんの少しで唇が届いてしまいそうな距離。
 何度も言うが、この女性は中身が救いがたい変態だというだけで外見は美人さんな――体型のせいで美人というよりは美少女といった風情ではあるものの、清純さの微塵も存在しない内面を知っている身では間違っても少女などという表現はしたくない――人である。考えようによっては今の状況はある意味おいしいのかもしれなかった。
 とは言えそんな考え方など出来ないからこそ私なのであって。
 キスに至る前に、舌を出して緩く閉じられた唇に触れさせる。そしてゆっくりと嘗め回す。初体験だと言い張っている女の子の唇を。意識して唾液をまぶしつけた舌の先で。
 さすがに意表を突かれたのか、ん、と裏返った声が鼻から漏れた。そのまま笑い出しでもしてくれれば私の勝ちだったのに、残念ながらこの強敵からはそれ以上大きなリアクションは引き出せないようだった。
 私は朱唇の合わせ目を数回なぞって隙間を開けさせた。溜まっていた唾液が口の中へと流れていく。舐め取ろうとしたらしく入り口付近まで出てきた舌を見つけて軽く舐めてやると、友人殿は躊躇なく突付き返してきた。
 明らかに初めてではないその反応で、私は少しだけその気になってしまったのかもしれない。カチリと、なにかのスイッチの入った感じがした。全部に明かりが灯ったら正常な思考能力なんて簡単に失ってしまえそうな、そういう淫靡で退廃的な色合いをした、頭のどこかに無数にあるランプの幾つかに、カチリと。
 私は素直に、僅かに残されていた唇同士の距離を消滅させた。舌を深く差し入れ、腰を据えて彼女のそれを追い回す。「こんな変態にエサを与えないで!」と声高に悲鳴を上げる理性にはちょっとだけ目をつぶってもらって、結構な量の唾液も流し込んだ。
 キスというのは、ダメなのだ。全く同じ器官で交わされる行為だから一方的にするとかされるとか、そういう風にはどうしてもできない。ただでさえそういうものだというのに、さらに相手が上手いともなれば、意識の過熱具合までもが一緒にエスカレートしていってしまうのは当然の帰結だった。作戦ミスを悔いる思考を頭の隅に捉えながら、それでも私は舌を絡めるという単純で奥深い行動を止められずにいた。
「ンぅ……ぁ……んっ……」
 くちくちと粘質な水音を上げながら、口付けの相手は器用に鼻から、時には隙を見て口からも小さな声を出す。体のそれほど大きくないこの人は、それに相応しく高くて綺麗な声質をしている。キスをしながら漏れる控えめな声は、まさに脳髄を直接撫で上げるかのように響いていた。
 ――でも。
 やりすぎだこの声は。
 いくら普段とかけ離れた甘い声色を使おうと、やっぱりどう聞いてもその声は慣れ親しんだ変態さんの声なわけで。
 そう思った瞬間、思考領域を徐々に侵食し始めていたほの明るいランプの光がすうっと消えていった。もっと進めばどうだったのかはわからないけれど、この時点での私はまだ、幸いにして友人の喘ぎ声などで夢中になってしまえるまでには理性を失ってはいなかったらしい。
「はぁ、ぁふ……」
 唇を離すと友人殿の口からいやに甘ったるい吐息がこぼれた。さっきまでの声とこれは演技だろうが、キス自体はかなり本気の香りがしていた。こいつまさか私を落とそうとしてるのか、と疑ってしまいそうなくらい。真意はともかく、初心者にはあるまじき媚態とテクニックである。行き過ぎれば飲み込まれて主導権を譲り渡すという屈辱を味わっていたかもしれない。よって。
「ずいぶんと上手なのね。本当に初めてなのかしら」
 警告一。
 とろーんとしていた目の焦点を私の顔に結ばせてから、友人は呟いた。
「ぁ、あ、いえ、私は――」
「いいわ」
 二の句を次がせる前に私は声をかぶせる。何が何でも流れを渡してやるものかという勢いである。
「別に疑っているわけではないのよ。ただ驚いてしまって。私のことを考えてイメージトレーニングでもしていたのかしら。だとしたら嬉しいわね」
 ものすごく間抜けだが。想像してみて一人で噴き出しそうになった。危うい。
「でも、こっちは独りじゃあどうにもならないと思うのよ」
 私はアサクロの衣装に覆われた控えめな片胸のふくらみに手のひらを乗せた。ほっそりとした肩がひくりと小さく震えを走らせるのが視界の端に映る。
「私の触り方なんて想像してもわからないでしょうし。他人に触られたときの感覚も。違って?」
「そ、そうです……。だから私、自分の手がねえさまの手だって思えるように、自己暗示の本とかたくさん読んで」
 かわいらしい口調で言っているが内容は無茶苦茶である。こんなセリフがすらすらと出てくるあたり、この人は本当に頭がおかしいんだなあとしみじみ思う。ただそんな素振りは見せない。
「あら、大変だったわね。今日からはそんな必要はないわ。私が触ってあげるもの」
 言いながら布地ごと小振りな胸を撫で回す。ブラに相当するものを元から着けていないのか、それともこっちの気付かないうちに外したのかは本人でない私にはわからないが、衣装越しに少し立ち始めているらしい乳首の感触が手のひらに伝わってきていた。
 この人はたぶん胸、というか乳首が相当に弱い。前にそこをされるのが好きみたいなことを言っていたからおそらく間違いない。そういう人というのは布があろうがなんだろうが他人に触られると特別な動きを見せてしまうことが多々あるわけで。
「あ、ねえ、さま……」
 割と素っぽい声が出た。
 そういうのを待っていたのだよキミ。
 ……いや別に待ってはいなかったが。なんだか趣旨がわからなくなってきている。とりあえず、勝ち負けには関わらなくとも、こういうことをするからには反応は作り物でない方が良いに決まっているのだ。うん。
66259の人sage :2006/12/22(金) 23:59:39 ID:XemRorlA
「どうかしら、自分でするのと比べて」
 乳首の位置を捉えた私は服の上から軽く爪で擦り始めた。途端に、されている側の腕に変に力が入り出すのが目に見えてわかった。堪えきれないようにピクピクとたまに震えるのである。
 大正解。この人は――ものすごくここが弱い。
「どう? 自分でするのとは違うもの?」
 問いかけても明確な回答は戻らず、わかるかわからないかくらいに首が縦に動いただけだった。不自然なくらいに私の目を凝視していて、その口は下唇を噛んでいる。愛らしい表情である。
 この人の初体験発言が嘘っぱちで良かったと本気で思った。
 自分でやったのか誰かにされたのか、いい具合に開発されているからこっちは適当にやるだけであっちは勝手に感じてくれる。レスポンスの悪い相手を弄っているのはつまらないけれど、友人相手にムキになって愛撫を施すのも馬鹿らしいという認識がある。だから感度が良いのは大変に喜ばしいのだ。
「んぅっはぁ……、ねえ、さまぁ……」
「なあに?」
 聞き返しながらも爪を這わせる指先の動きは止めない。軽い力を心がけて円運動で周囲をくすぐってやる。荒くなっていく呼吸に連動して胸の上下動が速まった。
 何を言おうとしていたのか、続く言葉はやってこなかった。強くして欲しいと訴えようとしてキャラとシチュエーションの問題からボツになったのだろうか。
「もっとして欲しいのかしら」
 こちらから尋ねると、声を抑えながらこくりと頷く。妙にかわいい仕草だった。
「正直な子は好きよ」
 私はさっきよりもほんのちょっとだけわかりやすくなった胸の突起を柔らかく摘んだ。布地で擦り上げるように上方向に引っ張り、そしてまた摘み直す。繰り返すたびに少しずつ硬さを増していく乳首を指先で感じながら、私は色気のある吐息を漏らす友人にくすりと小さく笑いかけた。
「可愛いわね」
 本音である。
 何を隠そう――元から隠していないが――私は乳首がかなり好きである。正直な話、下半身を弄ったときにどれだけ濡らしてくれようが、ここを愛でているときの幸せに比べたらほんの些細な喜びに過ぎないのではないかとさえ思う。そんな私だから、こう、かわいらしくむくむくとしていく胸の先っぽを意識すると、たとえ所有者がどんな変態さんであろうとかわいく感じてしまうのだ。
 ……まあ。要するに、かわいいのは乳首であって決してこの人本人ではない。
「わかるかしら。どんどんぷっくらしてきているわ」
 赤面している友人には構わず、服の上からでも確認できるほどに膨らみを帯びてきた胸の突起を、私は飽きもせずに再び爪の先で繊細に引っ掻く。手の中にあるのは大好きなものなのだ。そう簡単に開放してなどやれるはずがない。
 友人殿の白い手がきゅっとシーツを掴んだ。噛み締められていた唇は半開きになって、は、は、は、と小刻みな呼吸を繰り返し始める。
 弱弱しくて単調な刺激というのは一見するとすぐに慣れて飽きてしまいそうに思えるが、弱点に対して加えられる場合にはその限りではない。どんなにつまらない攻撃でも過敏に受け止めてしまうからこそ弱点なのであって、そういうポイントというのは得てして微弱な刺激でも――むしろ微弱な刺激の方が長々と楽しめてしまうものなのだ。この人の乳首はそんな素敵な逸品なのだろう。ああ何てかわいい。
 私は笑みを深くして片胸の頂点で爪を往復させ続ける。単調といっても人の手によるものだから機械のように正確にとは行かないし、そもそもそこまで味気なくするつもりもない。たまに軌道を変えてやったり、一瞬止まってタイミングを変えてやったりするだけで、友人殿は面白いように反応した。
 二の腕が痙攣する様やあごが震える様などを見ると、この人は随分と我慢しているようだった。今すぐにでも私の手をどけるなり自分で触るなりしたいのだろうし、もっときつく、だとか、もっと他のところも、だとか言いたくもあるのだろう。そこを堪えているのは『ねえさまにはしたないと思われたくない女の子』でも演じているからなのか。大体が私は本当に初めての子が相手ならこんなことはしないし、初めての子は胸だけでここまで悶えたりはしないだろうに。
 前々から持っていた確信を私はさらに深めた。友人殿は根本的にマゾなのだ。
「逆もしてあげましょうか」
 この人の望みはおそらく別のことなのだろうと推測しながら、私は空いた胸を探って先端に指先を触れさせた。
「あっく、ふぅぅっ……やっ、ぁあ」
「嫌?」
「いっ……いぃ、え……し、してぇふ……くだ、さい……」
 やはりマゾである。普段を見慣れているせいか、小芝居を続けようとする負けん気の強さではなく変態っぷりの発露のようにしか感じられない。
 弄っていた方に比べるとまだまだだいぶ柔らかさの残る愛らしい突起の上で立てた爪をスライドさせると、それだけで呼吸の荒さが一段増した。もうはぁはぁではなくて、ふぅとかひゅうとか尋常でない音が混じりだしている。抑えてはいるもの小さく漏れる声にも明らかに艶が出ていて、演技の隙など一分も見出せないほど完璧に本気の響きになっていた。
 大したことをしていないのに持ち主をこんなにしてしまうなんて、この人の乳首は何と素晴らしいのだろう。これはもう感動的な領域にまで入っている。堪能し尽くさねば冒涜であろう。
 私は新しく弄りだした方の手を止め、片胸を覆う布に指をかけた。アサクロの衣装は胸部のパーツが左右で分かれているのでこういう時は非常に便利である。
「見るわ」
 返事を待たずにぐいっと外側に引いて小振りな乳房を露にする。慎ましく膨らんだ先端とその周囲は橙色と桜色の中間のような、初々しくも扇情的な色合いをしていた。大人なのに小柄なこの人に似合った、熟れているのにそうと感じさせないというか――。心の中で乳首美人さん認定して、私はすぐさま胸の先に顔を寄せた。
「ひぅっ……!」
 舌先を着けると同時に、肩と尻とでブリッジをする形で胸が突き出された。服越しにかりかりやっている方の手は胸に乗っているから関係ないが、口の方は警戒していなかったら歯を当ててしまっていたかもしれない。この人はそれがやりたかったのだろうけれど。
「だめよ。そんなにがっつくものじゃないわ。こういうのはゆっくりたっぷり楽しむものですもの。ね?」
 主に楽しんでいるのはこっちだが。
 ふくうううう、という呻きの混ざった呼気と共に背中がベッドに着地する。いつまで言いなりでいる気なのかは知らないが、とりあえずおとなしくなったのを確認した私は再度舌の先を可憐な突起に当てた。円周を舐めて、天辺を突付いて、息を吹きかける。吐息の冷たさに縮こまってしまう前にもう一度舐め回す。
 膨らみきっていなかった乳首が次第に頭をもたげてくるのを眺めながら、私は落ち着いたお姉様の仮面の裏で馬鹿のようにはしゃいでいた。あああああああかわいいかわいいかわいい。
 いい加減我慢が限界に近づいてきたのか、段々と大きくなってきた喘ぎ声が荒々しい呼吸と混ざり合って、ある種鬼気迫る感すらある壮絶でいて心地良い音色を奏でている。それでも眼前にある突起を噛むだの吸うだの摘むだのは絶対にしてやらない。そんなことをするまでもなくこの人は十分に感じているのだし。
 それに。
「私の友達に胸だけを一時間も二時間も責められたいって言っている人がいてね。凄く幸せだろうなあって」
 目の前で悶えている友人殿が過去に放った発言である。
「でも三十分くらいで痛くなってしまって駄目だって嘆いていたのよ。これだけ丁寧にしてあげたら結構持つと思うのだけど――貴女もされてみたくはない?」
 要はそういうことである。私はこの人の胸をなるたけ長い時間弄んでいたいのだ。
 『貴女も』も何も当人なわけだから、順当に考えれば頷くに決まっている。ただ今までの様子を振り返ると懲りていないとも限らない。確信の持てなかった私は駄目押しとばかりに、ずっとくすぐり続けていた指を胸から離して付け加えた。
「嫌ならここでやめにしましょう。でも後で物足りないからといって自慰なんて始めないでね。私が惨めだわ」
「あああ、や、ああああ、ね……えさまぁぁあぁ、やぁぁぁ、もっとおおお」
 ……小細工など不要だったのかもしれない。私の危惧を一蹴する反応速度で、愛しい乳首の持ち主さんはこくこくと首を縦に振っていた。あまりに必死すぎて質問の意味を理解しているのか疑わしく思う部分も無くはなかったが。
 いずれにせよ私が思う存分に胸を弄って良いとの許可を頂くことに成功したのは間違いない。にやつきそうになる頬を微笑の形に抑えこんでベッドを降り、クローゼットから数本タオルを出した。特に何かするためではなくて、ちらりと目を向けたときにアサクロの衣装のクロッチの辺りに染みが出来始めているのが見えていたから、単純にベッドの汚れを最小限に抑えようと思っただけである。
67259の人sage :2006/12/23(土) 00:00:32 ID:SXXFobbg
 離れていたのはほんの少しの時間だったのに、その間に友人殿は小さな乳房を両手でぎゅっと握って揉み始めていた。
「……ねえ。自慰なんて始めないでって言ったばかりなのだけれど」
 やっぱり聞いていなかったらしい。
「貴女は人の話が聞けないのかしら」
「あ……ね、え、さま」
 笑みを消して顔を近づけると、潤んだ視線がこちらに向いた。
「手、止めなさい。見苦しいわ」
「は、い……」
「貴女、初めてなのではなかったの? 随分とはしたないのね」
 初体験だろうがなんだろうが、あそこまで感じまくったらこうなってしまうのだろうとは私も思う。ただ単に「あんた役柄忘れてんじゃないの?」という気がしたので確認してみたのだ。完全に素に戻っているのなら私の勝ちなわけだし。
「す、すみません、わたし……ったら」
 はっとした様子は自然だったが、セリフが洗練されていない。……これは忘れていたな。
 即座に持ち直したのでマイナスポイント十くらいで許してやることにして、私は何事も無かったかのように会話を続けた。
「私がしてあげるって言っているのに自分で始めるなんて、ひどい侮辱だわ。貴女はそうは思わないのかしら」
「思います……。すみませんでした」
 力が入らないのか、友人殿は普段と比べるとやけに緩慢な動作で身を起こした。肌蹴られた片胸の先で綺麗な色をした乳首がぴこっと頭を出して揺れている。かわいい。
「なら、もう絶対にしないって約束して頂戴。もう一度されたらきっと嫌いになってしまうわ」
 我ながら完璧なリードである。こうまで言われてまだ自分でしたいなどと口にできる人はなかなかいないだろう。ましてや初体験の女の子ともなれば――初めての子相手にこんなことはしないが――、答えは聞くまでもない。これで私は邪魔を気にすることなく乳首を愛でられるわけである。邪魔をされたら邪魔をされたでそこで試合終了、「約束破ったあんたは家帰って独りでしてなさい」で美しく終われる。パーフェクト。
 やや引きつった顔で約束します、と首肯する友人の後ろに回ってタオルを敷く。
「良い子ね。ここにお座りなさい」
 友人殿は従順に指示された場所に腰を下ろした。
 背後から抱きつく形で、私は華奢な背中に体を寄せた。脇から腕をくぐらせて小振りな双丘に手のひらを当てる。ずらした胸の布は元の通りに乳房に被せておいた。直接触ってなどやらないのだ。
「服……戻すんですね」
「あら。貴女のためよ。痛くならないようにって」
「で、でも、あの……あひゅぅっ……!」
 少し前まで弄られ続けていた乳首は硬さをほとんど変えておらず、視覚に頼らずとも容易に発見できた。爪先を這わせてやると、友人殿はすぐさま呼吸を乱れさせ始める。
 一時的に刺激が途絶えて熱が冷めた感じがしていても、そんなのは錯覚でしかない。あれだけ悶えていた人がこんな短時間で回復するはずがないのだ。火種を近づければ簡単に燃え上がってしまう。
 軽く握った拳にシーツを巻きこみ、腕と肩は時折と痙攣を見せ――既に先ほどまでと同じ状態である。違う部分があるとすれば体勢が変わったことで上体が揺れるようになったくらいか。
「『でも』? なあに、言ってごらんなさい」
「わぁ、あああ、あたしっ、やぁふ、くっ」
 全然わからない。けど大体予想は付く。
 服越しはもう我慢できないから止めてくれと言うのだろう。もしくは下の方も触って欲しいと言うのかもしれない。はっきりと股布に滲んでしまうほど濡れてしまっているのはさっき確認したし、膝を立てた両脚の太ももは見ただけでわかるくらいに力が入ってプルプルと震えている。きっと疼きまくって頭がヘンになりそうなのだろう。しかしまだ耐えられるはずだ。
「駄目よ。胸をじっくり責められたいって言ったのは貴女だもの。責任持ちなさい。あと一時間くらい経ったら下の方もしてあげるわ。約束したから大丈夫だとは思うけれど、間違っても自分で弄ったりはしないでね。そしたらもう絶対にしてあげないから。私にして欲しいのなら我慢なさい」
「はっ……ぁ、いひ……っ」
「良い返事ね。期待しているわ」
 もうかなりのところまで勃ってしまっている乳首を、爪の先ではなく今度は指の腹で擦る。これっぽっちの些細な変化でも刺激に貪欲になっている体では全然違うように感じられるのだろう。友人殿は髪を振り乱して身悶えた。
 きっとものすごくキツイに違いない。私では無理だ。拘束されているのならともかく、その気になればすぐに自分で解消できるもどかしさをこんなになってまで耐えるなど、自分で仕向けておきながら想像もつかない。この人はやはりどう考えてもマゾである。
「ねぇふっ、えぇ、さまあっ……やぁあっ……っだめ、ぇやっあ」
「駄目? じゃあ直接触ってあげましょうか。それならもうちょっとは我慢できる?」
 限界を迎えさせてしまっては元も子もない。乳首を愛でる口実がなくなってしまう。お姉さまは初めての女の子を相手に望みもしないことをムリヤリ押し通したりはしないのである。
 私は胸を覆う布に横から手を差し入れ、両方の乳首を同時に探り当てた。じんわりと薄く張られた汗の膜に指の腹を引っ掛けて丁寧に丁寧に転がす。こうすると膨らみ具合が文字通り手に取るようにわかるのである。
「すっごいわ。ねえ、すっごいぷっくりしてる……!」
 なんだか興奮しすぎて、気付いたら素の口調でしゃべってしまっていた。たぶん腕の中の女性は気付いていない。くひゅうくひゅうとヤバそうな呼吸を重ねながら、何も無い空中に視線を投げて全身を小刻みに揺すっている。乳首様に気を取られて夢見心地なのだろう。ひょっとしたら地獄を垣間見ているのかもしれない。
 服の上から細心の注意を払って弄っていただけあって、ぷっくり度にはだいぶ余裕があるようだった。このくらいならまだまだ気持ち良いだけのはずだ。その証拠にトリップした友人が一向に帰ってくる様子を見せない。
「ねえ、乳首は好き?」
 胸の先を摘んで指同士を擦り合わせるようにして揉む。もちろん潰さない程度の柔らかな力で。もうまともな言葉を紡ぐ余力も無いらしく、友人殿は意味の通らない喘ぎと共にこくこくと頷きを返した。
「そうよね、気持ち良さそうだもの」
 一段と張り詰めた乳首を再び指先で転がす。まだカチカチには至っていない。痛みは無いに違いない。
「脚、動いているわ。切ないの?」
 摘んで、引っ張って、離す。伸び切って開放される直前に訪れる特有の不安感に襲われてか、は、あ、あ、と呼吸が切羽詰った乱れ方をした。
「切ないのね」
 シーツを掴んでいた拳が解かれて、よろよろと頼りない動作で、痙攣を繰り返す太ももの内側に向かっていた。
「でも駄目よ。貴女が触っていいのはシーツだけ。体に触れたらもうしてあげないわ。せっかくここまで我慢したのに。残念ね」
「ぅあああ、あ、ああっねっへ、ねえさまああ、ああっく、ああああっ」
 両手が元の位置に戻されるのと同時に、悲鳴のような嗚咽のような声が響き出した。泣きそうになっているのだろうか。そこまでして我慢するとなると、これはもはや勝負だのプライドだのなど一滴も混じる余地なく、ただのマゾだとしか思えない。確定である。
 軽快とは言い難い会話をそれなりに楽しんでいるうちに、指の先に触れる乳首の感触が相当に硬質なものになっていた。遠慮なく弄くり回していたのだから当たり前である。本当はもっとじっくり愛してあげたかったのだが、この人の限界はおそらくそう遠くない。
 丁度ぷっくりの限界と同時に訪れるようにと適当にアタリを付けていた目測は、当然の如くぴったりとは合わなかったようである。このまま行くとたぶん乳首の方が少々早い。
「私ね、友達に言われて、どうやったら胸が痛くならないのかを考えてみたのよ。もちろん一番大事なのは触り方だとは思うのだけれど、そのほかにもう一つ、良さそうなのを思いついたのよね」
 実際に効果があがるのかどうかは不明だが。ダメ元である。やらないよりはマシだ。――という意識でありながら、実はこの方法にはかなりの確信を持っている。理由は、おっぱいの神様の加護を信じているから。
 くりくりと乳首を捏ねくる指先を止めないまま、私は小声で呪文を詠唱した。
「アスムプティオ!」
 どういった原理なのか、神様の力か何かで敵の攻撃の何割か受け止めてダメージを和らげてくれる魔法である。
 敏感になりすぎて痛みを覚えてしまうような場合は、触らない限りは痛くもない。そういった、持続性の無い痛み――例えば吹き出物だとかには、傷を癒す魔法であるヒールは全く作用しない。しかし、痛みそのものを軽減してくれるアスムプティオならば効き目があるのではないかと私は考えたのであった。
68259の人sage :2006/12/23(土) 00:01:38 ID:SXXFobbg
「どうかしら」
 潰されたり揉み込まれたりと、容赦のない攻撃に晒されていた可憐な蕾は、今やぱんぱんに膨らんで、私の指に追い回されて胸の頂上をころころと転がっている。こんな無体な扱い方をされたら普通なら痛みがあるに違いないのだが。
「はぁぅっ、ふくっ、あああっあ、あああっ」
 友人殿の声からは一片たりとも苦痛の色が窺えなかった。むしろ激しくすればするほど、響きに悦びが混じるようですらある。
 ――ありがとうございますおっぱいの神様。
「あああんっふっ、あっんくぅっ、ね、ねえさまっ、ねえさまあっ」
 痛いくらいに敏感になっているのに痛さがほとんど無いというのはいったいどれだけの快感なのだろう。元々胸が弱点だったらしい友人は全身がガクガクと震わせて――もうこれだけでいってしまうのではないかと疑わずにはいられないほどのアブない反応を見せている。
「やああっあくぅぅふっ、ふああっあああっ」
 効果の切れることが無いようアスムを掛けなおしながら、身をよじる友人の喘ぎに押されるように、私は乳首への指戯をどんどんと加熱させていった。ぷっくらと勃ち上がったかわいらしい胸の先を、普段では考えられないような乱暴な手つきで何度も何度も転がす。いかな暴虐を尽くしても返ってくるのが心地良さげな様子のみ、というのは、なんだかクセになりそうなくらい楽しい。
「ねえさまっ、ねえさまっ、ねえさまっ、やっやだっ、ねえ、ねえええっ、していい? いい? いきたい、いきたいいいいっ」
 本当にいきそうな感じになっているのか。おっぱいの神様おそるべし。それでも胸だけでは最後の一押しが足りないのだろう。
「駄目に決まっているでしょう。まだ一時間経っていないわ」
 もう無理だろうが。
 友人殿は私の言葉を無視して、ぐちゃぐちゃに濡れまくっていた股間に手を運んだ。
「約束破ったわね。もう知らないわ。あとは一人で勝手にやって頂戴」
 冷たくそう言って、私は名残惜しい乳首さんから指を離し――。
 ポイントからしてこっちの勝ちは揺るぎないし、ここで友人殿を家から放り出して自然な流れのうちに小芝居を終える計画だったのだけれど。
 やる事は済んだとばかりにとっととベッドを降りた私の足を止めたのは、背後から掛けられた蕩けきった声だった。
「あ、あああっ、ごめっぇ、なさぁぁぁあああ」
 ほとんど涙声になっていたその悲痛さに心を動かされたわけではなく、まだ謝るだけの理性が残っていたことに驚かされた。一度触ってしまったら没頭せずにはいられないだろうと予想していたのに。楽観視が過ぎたのかもしれない。
 振り返ると、脚の付け根に向かわせていた友人の手は寸前のところで接触していなかった。触ってから離したのか、初めから触っていなかったのか、おそらくは後者だろう。始めるところまできちんと確認しなかった私の手落ちである。
 眼前で逃した勝機も、かわいい乳首たんと戯れる時間が延びたと考えればさほど痛くはない。というかむしろ勝ち負けは二の次で乳首を愛でたい気持ちの方が強くなってきているような感じがしないでもなかったりする。
 自然と口角の上がる私に、友人殿は必死な声で訴えた。
「ねえさまっ、ねえさまああっ、わたしの手をとめてえええええええ」
 ――止まっている。しっかりと止まっている。
 すぐにでも動いてしまいそうだから止めて欲しいという意味だろうか。それとも悪質の震えのようにぷるぷると振動している動きを止めて欲しいというのだろうか。ひょっとすると自分では触っているつもりなのかもしれない。肉体に染み込んだマゾ気質で体だけぎりぎりで止まっているとか。
 何にせよ一切触れていない状態だから、このままにしておいたら熱がすぐに下がってしまうのは明白である。
「別にいいわ、止めなくても。今まで頑張ったものね」
 私は友人殿の強張った両手を掴み、小振りな両胸に手のひらを当てさせた。覆い布は真ん中の巨大なスリットから左右に開いて、素肌に直接。
「好きなだけ触っていいわよ、胸。下の方は私がそのうちしてあげるから我慢なさいね」
「あああい、いやあああっきたいいっいきたいいいっ」
 嫌だと言いながらも、完膚なきまでのおマゾさんは期待通りになだらかな丘の先端を弄りだした。きつく摘んだり捏ね回したり、時には爪を立てたり。支えがなくなったためにか仰向けに倒れこんで、何もない空間に胸を突き出しながら一心不乱に自分の弱点を嬲っている。
 背中に回っていたせいで実物をあまり見ていなかった私は、実のところ乳首の弄くられているところが見たくて見たくて仕方がなかった。友人殿は大層な乳首美人なわけだし。こうして実際目にしてみると、びんびんに勃った美乳首が遠慮会釈もない様子で責め倒されているという光景は、私の心に感動に近い感覚すらもたらした。はああああああああかわいいいいいいなあああああああ!
 そんなになった私でもアスムを掛けなおすのだけは忘れない。もっとかわいい姿を見せておくれ。
「いきたい? でももういきそうなのでしょ? もっと頑張って弄ったらいけるのではなくて?」
 たぶん徒労に終わるだろうけれど。という本音は口の中に封じ込め、微笑でフタをする。
 友人殿の唇はもうしばらく前から「ねえさま」と「いきたい」以外に意味のある言葉を紡いでいない。涙ながらに繰り返されるそれにしても相当に不明瞭な発音である。薄い胸の頂上にある可憐な突起を愛撫と言っていいのか微妙なくらい荒々しい手つきで潰したり擦ったりしながら、射精を封じられたふたなりっ娘のように何もない空中に激しく腰を打ち付けている。そんな事をしても体にぴったりとフィットするアサクロの服では摩擦ひとつ得られないだろうに。
 発狂してしまうのではないかと不安にさせるほどの危うい痴態だが、いくらトップレベルの上位二次職の精神が強靭でも、生物としてそんな崖っぷちに立たされるまでは我慢できないだろう。もしかしたら本当はマゾすぎて既に片足を踏み出すところまで行ってしまっているのかもしれないが、まだまだ余裕があるのかもしれない。いつ限界が訪れるのか、はじめに目測を誤った私にはまったく見当が付かなかった。
 何分経ったのか。それほど長くはない時間が経過して、興奮でも誤魔化しきれないレベルの眠気に脳を侵食され始めたのを自覚した頃、私はベッドの上で悶える友人の両足の間に陣取った。このままでは埒が明かない。いかにかわいい乳首があろうと、心行くまで愛していいのは休日とその前日の夜だけなのだ。無念。
「そろそろ触ってあげるわ。暴れないでね」
「きゃふああっ」
 膝の下に手を入れてぐっと持ち上げる。そのまま肉の薄い太ももに腕を回し、股間が私の顔の間近に来るところまで尻を引き上げる。肩の付近と後頭部だけをベッドに着け、座っている私の胸に腰の辺りで寄りかかった形である。小柄な友人殿の体はそれほど重くなくて、楽に抱えられた。
 急激に体勢を変えられても胸の突起を弄る指は止まらない。もはや完全に虜となったようである。次にこうする機会があったら――無いだろうが――自己開発の末にもっと弱くなった乳首さんを披露してくれる事だろう。
 だいぶ前の段階で股の部分をぐちょぐちょにしていた衣装は、仰向けに寝ていたにもかかわらず今やへその下まで染みができてしまっている。というか股布のパーツはその辺りまでしかない。要するにマックスである。元から濡れやすい体質だったにしても、こんなになっていて指一本触れていないとは、どれだけ疼いているのか想像すらできない。マゾって凄い。
「あああああ、ああねぇ、さまぁああ、ぁぁあ」
 濁った瞳が私に向けられる。して欲しいという意思表示だろうが私はそんなに甘くない。したいのなら自分でするがいい。そしたら私は寝る。
 この体位の良いところは友人殿の腰がこれ以上上がらない点である。つまり、こちらから顔を近づけない限りは熟しきった秘所は私の顔に接触する事すらできないのだ。肉体的にあまり楽な姿勢ではないだろうが、そこはこの人の鍛え方を信じて無視。
69259の人sage :2006/12/23(土) 00:02:25 ID:SXXFobbg
「はあくっふあぁぁああ!」
 軽く息を吹きかけると、クロッチの内側の肉が蠢いて内ももがひくひくと痙攣した。長い間求めながら何の刺激も与えられなかった秘唇はこれだけでも大いに感じられるようになっているのだろう。
「エッチってね、いく直前が一番気持ち良いと思うのよ。丁度今いきそうなのでしょう? そうは思わない?」
 当然のように明確な応えは返ってこない。
 私はぴっとりと張り付いて性器の形を浮き上がらせたびしょ濡れの布の中心に爪の先を当てた。乳首をくすぐった時よりも慎重に、何があっても押し込む事の無いよう集中して厚めの布の上を滑らせる。筋肉の強張りが太ももからふくらはぎを伝ってつま先まで到達するのが見えた。暴れようとする動きはももと腰とを抱えた両腕で封じ込める。
「ああああああっぅああああぁぁぁぁああっ」
「あら、今の方がいきそうみたいね。気持ち良くない? あと少しで頭が真っ白になりそうな感じ。体が自分のものじゃなくなりそうな感じ」
 胸のパーツまで侵食し始めていた愛蜜が、それでは足りなかったようで、吸収しきれずにへその脇から溢れて胸元まで垂れていく。
「手、止まっているわ。それ掬ってみてはどう? 貴女の愛液」
 友人殿は張りの無い啼き声をだだ漏れにしながら、素直に従って濡らした指先で愛らしい突起をまさぐりだした。ぷっくらと膨らんだ乳首がさらりとした粘液にコーティングされて今までに無い艶を纏う。ものすごくかわいらしい。はぁはぁ。
「ね、気持ち良いでしょう。だからね。ずっとしていてあげるわ。ずっと気持ち良いように」
 指の動きを速める。押し付けはしないまま、ただ速度だけを上げて、布越しの花唇を繊細に引っ掻き回す。
「――ずっと、貴女がいかないように」
 だからさっさとと一人で始めて頂戴。とは口に出せない。けれど言うまでもなく、追い込まれた状況でのこの宣言に耐えられる人はそうそういないと思う。初めてだとか関係なしに。
 そうすると友人殿が自慰を始めても何の問題もなくなってしまうわけだが――もういい。いい加減眠いし。
 勝ち負け度外視でとりあえず綺麗に収束させて就寝する方針を固めた私の思惑を知ってか知らずか、敏感な体をした友人殿は絶頂の予兆に腰周りを震わせながら、それでも乳首を捏ねくる手を秘所に伸ばそうとはしなかった。
 ……この人はもしかして自慰に走ったら負けとか思い込んでいるのではないだろうか。いや実際に今までは負けだったのだが、私の打った手は確実に狙った方向に持っていける禁じ手のようなものである。だからこれは、この辺で終わりにしましょうよというメッセージとしても作用するはずなのだが、――気付いていないのだろうか。頭がわやくちゃになってまともな思考能力が残っていないとか。あり得る。
 だとしたら――ひょっとして私はもっと焦らさなくてはならないのだろうか。
 計算外の事態に心の中で愕然としつつ、私は汁気たっぷりの股の布に手を掛け、過度の刺激を与えないよう丁寧に、それでいて手早く横にずらした。
「もっと良くしてあげる」
 くすりと笑いかけて内ももにキスをすると、舌を着けたまま唇を泉の方向に移動させていき――その途中でふとおかしなことに気が付いて固まった。
 ……私の方こそ、何でオナニーさせたら勝ちみたいな発想になってるんだ。
 一時期はそれが一番美しく終わらせる方法だったというだけで、現在の事情は全然違う。
 まともな思考能力が残っていなかったのはこちらも一緒だったらしい。眠気のせいか、それとも乳首様の魅力にコロッと行ってしまったのか。
 冷静に考えれば、ポイントでリードした上に乳首を堪能するよりも寝ることを選んだ私の取るべき行動として最も適切なものは別にある。
「ごめんなさい、気が変わったわ。良くしてあげるのは良くしてあげるけれどね」
 そう――。
「――いかせてあげる。何もわからなくなるくらい」
 私はべと液でも掛けたのではないかと疑いたくなるほどに濡れている秘所に舌先を埋め、ゆっくりと旋回させた。
「ひっきっ……っ!」
 抱えた体がビクッと大きく撥ねる。目を向ければ胸を弄っていた指が完全に止まっていた。達してしまったらしいが、私は一切斟酌しない。この人が疲れて寝てしまうまでは。
「これだけでいってしまうの? 感じやすいのね」
 体つきに似つかわしく熟れた印象の薄い秘唇に舌先を這わせてクリに至る。一度も触られなかったはずの蕾は既に肥大していて舌に引っかかった。周囲を舐め、軽く押しつぶすように舌の腹で天辺に圧力を掛ける。
「くふっ、ぅああっ! あああっ、あああああ」
 ひくんひくんと蠢く媚肉を視界の端に映したまま、唇を着けてひどい疼きを訴えているだろう花芽を挟み込む。頂点を柔らかく舌先で撫でながら両唇を擦り合わせるのを繰り返すと、友人殿の腰が震え出した。私は止めない。逃れたいのか、動こうとする体をしっかりと抱えて唇を押し付ける。
「あああっああ、あっ、やあああっああああ」
 対格差だけをとってもこの体位から友人殿が逃げるのは容易ではない。加えて蕩けきって思うように体を操れない状態である。脱出はほぼ不可能だろう。
 そして私は相手が逃げようとすればするほど燃えるタチをしていたりする。こういう反応で良心の痛むことは全くない。むしろ嬉々として執拗にやり続けるタイプだ。
 包皮を完全に剥いて露出させた敏感な肉の蕾を舌の先で舐め回し、唇で挟み、時に軽く吸い上げる。何度かイッているらしい。時折走る不自然な緊張と弛緩が教えてくれる。続けるうちに元から短かったその間隔がどんどんと短縮されていく。
「いやっああっ! ああああっ!」
 切なそうに喘ぐ友人は涙を流して首を振っていた。きつくなってきているのだろう。それは想像できるけれど、そういう素振りは私の目には心地良く映る物でしかない。
「つらい? じゃあもっとつらくなりなさい」
 顔を上げたのはその一言を告げるためだけで、次の瞬間には再び唇をクリに押し当てる。泣こうが叫ぼうが止めない。だんだんと弛緩している時間よりも緊張している時間の方が長くなってくる。意味の通らない泣き声を上げながら、友人殿は震える両手を股間に向かって伸ばした。
 自慰をしようというのではなくて私の頭を押し離そうと言うのだろう。だがもう遅い。私の額に当てられた最上級の前衛上位二次職の手にはいつもの力が少しも篭っていなかった。小さな体に似合った、冒険者でもないただの少女のような腕力しか感じられない。よって私の口は友人殿の可愛らしい女の園に密着したまま。
「ああぅ、うあああぁぁぁっ、あああっあぅぁあ」
 もう弛緩している時間がほとんど無い。こんな短時間口でクリを弄ってるだけでイキッぱなしになるとは、乳首様の功績は計り知れない。あらためて感動を覚える。
「そろそろ何もわからなくなってきた?」
 再度顔を上げると、ぐったりとなった友人殿の瞳は虚ろな光を宿しており、――しかしこちらを見たような感じがした。錯覚の可能性も高いほんの一瞬の事。
 それでも迷わず駄目押しに及んでしまったのは、この状況を純粋に楽しみ始めていたということかもしれない。
「まだダメ? 贅沢ね」
 私は一旦友人殿を下ろして少しだけ休ませてから、力の抜けた下半身をもう一度引き上げた。片腕で腹の辺りをがっちりと抱え込み、太ももの下から回したもう一方の腕の指先でクリに触れる。そのまま中心線に沿って滑らせ、二本まとめて入り口に埋める。イキ癖の付いた体はそれだけでも耐えられなかったのか、確かな存在感を打ち込まれた膣内はきつく締まって異物の進入に応じた。痙攣する内部に構わず、腹の側に押し付けた指を強引に進めて行く。
「くふああっ! ああっああ!」
 ある一点に達したところで膣が一際激しく収縮した。この体は馬鹿正直なまでに律儀な反応を返すから非常にわかりやすい。
「ここね」
 過激な声の上がったポイントに指の腹を当てて力を掛けていく。押す力を緩めず、ゆっくりと円を描いて周囲もまとめて圧迫する。
「きひゅっくぅぅっ! くはっくぅああっあああっ!」
 暴れる――というか勝手に筋肉が引きつっているのだろう滅茶苦茶な動きをする友人殿の体を例によって逃がさないよう押さえ込みつつ、水を吸ったスポンジのようになっているそこを、私は丁寧に丁寧にひたすら揉み続ける。
「ふぅああっあああっ!」
「気持ち良い? 幸せね、貴女」
 無意識に優しい声を掛けてしまっていた。なんだか、やっぱり少しずつ本気で楽しくなってきているらしい。乳首様が一番とはいえ、感じやすい人と遊ぶこと自体も私は好きなのであった。
70259の人sage :2006/12/23(土) 00:04:00 ID:SXXFobbg
 それからしばらく、腕が疲れて抱えているのが億劫になるまでたっぷりと絶頂を味わわせてから、私は友人殿を開放した。力なくベッドに横たわった体は呼吸以外の動作を見せない。虚空を眺めた瞳は今度こそこちらに向けられることなく、間もなく瞼に塞がれた。
「もう良いかしら?」
 声を掛けても反応しない。これでようやく終われるらしい。
 汗と愛液をタオルで拭ってやって小柄な体を端の方に移動させる。中央を占拠されていては私が眠れない。濡れた服を脱がしてやるのは面倒だったのでやめた。疲れているだろうから多少不快でもどうせ起きないだろうし、馬鹿で変態だから風邪なんて引かないだろうし。
 ベッドを降りた私は大きく息を吐いた。
「……疲れた」
 その上眠い。
 クローゼットからタオルケットを出して、一応それだけは友人殿に掛けてやった。
 バスルームに行き、水を張った桶に脱いだ法衣とブラを放り込む。下は濡れてしまっていたから軽くすすいでから突っ込んだ。洗濯は明日だ。
 簡単にシャワーを浴び、ぱんつと寝間着代わりの長袖のシャツを身に着けて部屋に戻る。ズボンを穿くとなかなか寝つけないのだ私は。
 友人殿はベッドの上で気持ち良さそうに眠っていた。行為の余韻の抜けてきていた私は蹴り落としてやろうかと一瞬思ったが、目を覚まされると厄介なので大人しく空きスペースで我慢することにして、寝息を立てる友人の隣に横になった。
 湿った髪が少し気持ち悪かったけれど、羽毛の布団をかぶる――もちろん友人殿の体にも一緒に――と、睡眠を欲した体はすぐに意識を手放した。

 朝。アラーム――魔物ではなくて普通の目覚まし時計――の音で目が覚める。
 眠い。物凄く眠い。
 あんな芝居始めるんじゃなかったと後悔しながらベッドを降りて――一緒に寝ていたはずの友人殿の姿が見えないことに気が付いた。先に起きて帰ったのだろうか。朝っぱらから相手をしたい類の人種ではないから丁度良いといえば丁度良い。
 うがいをしてからグラスに水を汲み、食器棚から出したリンゴを洗ってテーブルに付く。他人に見られたらかなり恥ずかしい気の抜けた様子でぼーっとリンゴを齧るのが私の日常的な朝食風景である。
 ゆっくりもさもさと半分くらい食べ終えた頃になって、やっとそれなりに頭が回り始めた。
 目の前に一枚の紙がある。起きた時からテーブルの上に乗っていた、昨日までは確かに無かったはずの紙である。なんだか鬱陶しそうな文字が書いてあったので敬遠していたのだが、そろそろ読んでもいいか、という気分になりつつある。
 冒頭部分は――。
「『しょうらいのゆめ 2ねん 2くみ 6ばん』……」
 ……やっぱりやめよう。出だしからして馬鹿っぽい香りがプンプンしている。
 とりあえずはリンゴだ。
 うん、おいしい。
 全部食べて、グラスに残った水を飲み干す。いい具合に目が醒めた。だいぶ涼しい季節だから、部屋の中にいても薄着では結構冷える。でもそれくらいの方が頭は早くスッキリするのだ。
 私はリンゴの芯とグラスを片付けてから、改めて置手紙らしき胡散臭い文章に目を向けた。

『しょうらいのゆめ 2ねん 2くみ 6ばん
 わたしのゆめは、さいあいのねえさまにおかされることです。いつもわたしをつめたくあしらうねえさまが、ほんのすこしのよくぼうをひとみにうかべて、わたしをすきなようにいじめてくれたらいいとおもいます。ああ、そうなったらなんてしあわせでしょう。』

「…………」
 何だろうこれは。
 まさか素で私にされたかったのか、ネタじゃなくて。いや、しかしだとしたら何でこんなネタチックなメッセージを残すんだ。
 頭のおかしい人の考える事はよくわからない。
 「夢が叶ったからこっちの勝ち」だとか負け惜しみを言いたかったりするのだろうか。別にルールを決めている遊びではないから、あっちが勝ちだと思ったならそれで勝ちなのかもしれないけれど。
 私が苛めていたのは友人殿ではなくて友人殿の乳首なので、実際は彼女の言う『しょうらいのゆめ』とやらは叶っていないのだが。ラストのアレは不可抗力だ。
 ……まあ。
 私は私基準で勝ったと思っているわけだし、彼女も彼女の基準で幸せになれているのなら、この勝負に関しては蒸し返すこともあるまい。
 何だかんだ言って友人殿は割とかわいかったから、勝ち負けなんて関係なしに良い思いをさせてもらったのかな、と満足に思っている部分は、確かに幾らかあったのだった。
「よし、今日も仕事行くか!」
 多少の眠気があっても、いつもより少しだけ晴れやかな気分で朝の支度を始められるくらいには、確かに。


 めでたしめでたし。


 ――で、終われれば良かったのだが。
 どうやら私は友人殿の困ったちゃん具合を見誤っていたらしい。

「……無い」
 顔を洗おうとバスルームに入った私が放った第一声である。
 下着が無い。ぱんつが。昨日桶に入れたはずのぱんつが無い。
 どこまで変態なんだあの馬鹿は。脱ぎたてならともかく水に漬けてあるものを持っていくか普通。変態のスタンダードがどこにあるのかなんてそりゃあ私にはわからないけれど!
「あんにゃろ……!」
 私は一転、仕事を休むことにして、今日一日を引越しに費やす決意を固めたのであった……。


  おしまい
71259の人sage :2006/12/23(土) 00:06:02 ID:SXXFobbg
当たり前ですがフィクションです。

>>57さま
嬉しいです。ありがとうございます。
続き書くつもりはあるのですが、時間があんまり取れなくて(つд`
気長にお待ちいただけると嬉しいです。

ではでは。♀×♀スレばんざーい!
72名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/23(土) 01:47:54 ID:XQWY5FHM
どーん(こうかはばつぐんだ
前半でネタと思ってたらすごいエロいよ259たんー
ねえ様次は私を虐めて下さい、226たんは私が虐めますから
73レニャチェリの人sage :2006/12/23(土) 07:50:30 ID:GljfP/6M
本編すすまねぇ……orz
とにかく、まったりお待ちください。
目標は年内完成(できるのか?

>>ねえさま
なんというかもう226たんがはぁはぁするために特化されたカタールですね。
もともと切れ味抜群だから、226たんの悶絶する姿が手に取るようにわかります。
しかも、責め方のフェチ度の高さがもう。
とりあえず、完成お疲れ様です。次回作を私も期待しとりまっす。

>>72
226たんをいぢめていいのはねえさまだけですっ。私もしてみたいけれど、
それは分をわきまえない発現だろうし。

……というのは冗談で、コテハンしましょうよコテハン。
作品名がコテハンの私がいえた義理じゃないですが。
74名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/24(日) 00:58:48 ID:wjv/I.X.
226たんなの?!このアサクロの人は226たんなの?!
ねえさまは259の人なの!!!!????
(д) ゚ ゚(д) ゚ ゚(д) ゚ ゚(д) ゚ ゚(д) ゚ ゚

259様、いつもながらの神度に感動です(´-`*)GJ
75名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/24(日) 04:53:03 ID:hAWjrKhg
259の人やばすぎー?!エロ過ぎてポカーンとしちゃったよ

もしやこれって、226たんがこれのアサクロ視点書くの。むしろ書いてくださいお願いします
76名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/24(日) 19:33:14 ID:Mm0KVNyk
このスレに触発されて自分も何か書いてみようと
ストーリーを考えてみたけど、それを文章化する事がこれほど難しいとは…

改めてこのスレの文神様達を崇めずにはいられません
77名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/24(日) 23:43:16 ID:r0BLJLs2
冬コミで出す同人誌の参考にしようと久々に覗いてみれば…

皆様神すぎてもう参考とか言う前に凹む(自分の文才のなさに
78名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/25(月) 00:09:38 ID:OG1JSRiA
そういやここの小説とキャラの名前からなにから殆どかぶってるのあったな。
79名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/27(水) 12:51:04 ID:jVeeeQWE
なんという破壊力、なんという炸裂さ加減!うぎぎですようぎぎぎぎぎぎいい
濃密すぎてぼかぁもういろいろ危ないですよ!226のひとと259のひとのツープラトンは恐るべし威力じゃぁ……(゚д゚*)
80226たんdame :2006/12/28(木) 19:41:40 ID:GbJbX/zo
>>ねえさま
えろすぎ、というか、濃過ぎ! 何考えてるんですか貴女!?
と、というわけで、226たんバージョンです。なんか恐ろしく長くなってしまい、恐縮です。

ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php?%C4%B9%A1%CBx%A1%DFy%A1%E158534%2Fy%CA%D4-1
↑の続きになります。読まないとよくわかんないと思います。
81226たんdame :2006/12/28(木) 19:43:16 ID:GbJbX/zo
 ごくりと唾を飲み込む。ねえさまの顔が目の前にあると、反射による反応のように唾液の分泌が促進されるらしい。つまりそれは、ねえさまと唾液の交換をしたいという欲望は、本能に近いレベルでわたしの中に存在するということなのだろう。
 だが、ここまで来たらもうキスでは終わらないし収まらない。この後に待ち受ける甘美な交わり、それをねえさまも想像しているのだろうか、ねえさまは頬をしっとりと紅に染め、瞳を細めてわたしを見ていた。
 ――見られて、いる。ねえさまが、他ならぬ性愛の対象として、わたしを値踏みしている――。
 それは本来あり得ないことだった。ねえさまは女性を性愛の対象とする女性なのだから、本来こんな美少女にこうも慕われたなら、火遊びでぱくっと頂いてしまっても良さそうなものだ――性道徳だの倫理だの、あの法衣の中にはどうせ存在しないのだから。しかしねえさまは――わたしの主観に過ぎないが、その信憑性は高いレベルで――近い知人、それもとりわけ自分に好意を持っている相手は、まずそうした対象にしない。ねえさまはそもそも、他者への愛情なんてものは碌に持ち合わせておらず、本質的に自己性愛者、重度のナルシストなのだ。これは日ごろのねえさまの態度から断言ができる。
 そんなねえさまが女を抱くときは、相手が見目美しければ中身にはこだわらない。行きずりの女性との後腐れのない付き合いこそを望むのだ。きっと、娼館の類にも通っていたりするのではなかろうか。わたしが行ったときに鉢合わせたりしたら気まずいなあ。とにかく、ねえさまが性欲を満たす相手として選ぶのは、決まって名前も知らないような女性。そんなねえさまが、ねえさまの『友人』であり、ねえさまをあからさまに慕っているわたしを部屋へ迎えた。そして視線でわたしの肌を撫で、測っている――それも、ねえさまが好きらしい胸元を重点的に。
「ちょっと聞きたいのだけれど――」
 ねえさまの考え――わたしに抱く価値があるかどうかの判断は纏まったらしく、静かにねえさまは口を開いた。
「貴女、経験はあるのかしら」
「え、あ、あの」
 いきなり、そう聞かれた。ここで経験と言えば当然、あれだ。
「一人でしたことは当然あるんでしょうから聞かないわ」
 下唇を噛む。それはもちろん、あるに決まっている。特にねえさまに心奪われてからは、毎晩ねえさまを想って恥ずかしい声を上げるのが日課だ。筋金入りの乳首フェチであるねえさまに苛められるのを妄想して、胸ばかり捏ねくり回して赤く腫らしてしまったことも一度や二度ではない。
「正直にお答えなさい」
 ねえさまがわたしを見る。細く鋭い視線……酷く嗜虐的な、わたしの答えとそれに至る過程を愉しむ視線である。ねえさまのその視線を目で受けると、頭の奥で火花が上がり、危険な回路がショートした。
「誰か、他の人と厭らしいことをした経験はあるのかしら。――私以外の人と」
 加えて声。有無を言わさない、逆らうことなど許さない声である。真実が何であれ従わざるを得ない。第一、ねえさまはわたしが変態嗜好の持ち主であると知っている。処女であるなどと考えようはずもない。つまり、ねえさまがわたしに求めている答えは。
「あ……ありま、せん……」
 首の後ろからぞくぞくと、疼きに似た感覚がある。どうやらわたしは、こうしてねえさまに好きに踏みにじられるのが好きらしい。
「なら、これが初めてね?」
「はい……」
 見詰めて答える。確かに答えたはずが、か細い声になってしまっていた。ここで否定してねえさまの怒りを買っても、仕置きもされず捨て置かれるのがオチだろう。実際がどうであろうと、わたしは肯定するしかない。
「良かった。貴女みたいな可愛い子に他人の手垢が付いていたらぞっとするもの。私が初めての相手になってあげるわ。喜びなさい」
「は……い」
 掠れ震えた声が漏れる。わたしがある覚悟をして、その結果漏れた声だ。わたしは『初めて』としてねえさまと寝なくてはいけない。ねえさまがこう強調している以上は、初めてを装うことが困難な責め方をするつもりなのだろう。普通初めての子にあまり激しいことはしないが、初めての子であるわたし自身がそれを咎めることなどできはしない。つまりねえさまは、やりたい放題だ。
 望むところだった。自分が苛められることが好きな体質であることも確かに事実だが、それよりもとても嬉しいことがある。ねえさまがわたしで愉しんでくれている。わたしは本来、ねえさまにとって性の対象にはなり得ない立場。なのにねえさまは、わたしに好きなことをしてくれるのだ。わたしを悦ばせることなどあくまで二次的なもので、ねえさまがわたしにしたいことをしてくれる。それはつまり、ねえさまがわたしに――何らかの欲を、抱いているのだ。
 ねえさまの身体が、ベッドに寝たわたしに重ねられる。再び顔が近づいてくる。興奮で胸が絞られて、熱い空気の塊が喉をせり上がるが、目の前にねえさまの顔があるので、吐き出すこともできずそっと飲み込む。瞳が熱くて瞬きをすると、ねえさまはその隙に更に距離を縮めていた。仕事上がりの汗か、ねえさまも興奮しているのか――薄い化粧は少しだけ乱れているようだった。
 ねえさまの舌がわたしの唇に触れた。指などとは明らかに異なる、しっとりと唾液を吸った舌先の感触。触れるだけではない、まるでルージュを塗るようにわたしの唇をなぞっていく。くすぐったさに熱が伴うと、それは途端に甘く意識を痺れさせる毒になるようだ。
「ん」
 思わず、熱い息が鼻を通って漏れる。ねえさまの舌、気持ち良い。そう思ってしまうと、顔を突き出して口中に迎え入れ、舌同士で絡み合いたい欲が湧き上がる。そんな破廉恥な欲望を、わたしは必死に抑え込んだ。純情な乙女は、初めてを捧げるねえさまにそんなことをするはずがないのだから。
 ねえさまの舌が唇の間を繰り返しなぞるようになる。奥へ入ろうとする力は篭っていないが、もどかしくなって自分から唇を開いてしまう。重力に引かれて、ねえさまの温かい唾液が口の中へ流れてきた。あ、ダメだ。そう思ったが、ねえさまの唾液を味わうと――自分の唾液は無味なのに、どうしてこう甘く感じるのか不思議でならないのだが――その落ち着いた甘味に目を細めながら、自分の中にある安全装置が一つ、跳ねて飛んだのを感じた。
 一つも意識していないのに舌が動いた。控えめに前へ出て、ねえさまの唇から舐め取ろうとする――ぞくり。舌先に痺れを感じた。ねえさまに舐められたのだ。嬉しくなって、同じように舌先でつつくと、ねえさまの舌は一瞬怯んだように縮こまり、すぐに受け入れてくれた。実感する、わたしはねえさまと本当のキスをしている。演技が勝負がどうのなんて、一瞬でどうでもよくなるほどの、女同士のディープキス。そっと目を閉じてそのイメージに酔っていると、相当前から溜め込んでいたらしい唾液の塊が注がれた。異常に敏感になっているわたしの口唇は、唾液の孕む気泡に撫でられる感触すら判別し、陶酔に変えた。
 ねえさまとわたしの唾液が交じり合った湯桶の中、わたしとねえさまの舌が泳いでいる。突いては逃げ、舐めて捕まえ、絡み合って擦り合うことに夢中になる。舐められているところと、自分が舐めて触れているところから、ひっきりなしに妖しい痺れが襲ってくる。硬い歯にすら触覚があるように錯覚した。
「ンぅ……ぁ……んっ……」
 ねえさまの呼気を吸い、わたしの呼気として返す。互いに繰り返して、二人がかりで酸素を略奪しきった空気を鼻から、時には我慢できずに口から吐き出す。脳まで酸素が充分行き渡らないのか、思考が混濁に放り込まれる。それすらも心地良く感じ、息継ぎの度に漏れる声は、勝手に甘ったるい色に染まっていた。だが、ねえさまは気付いているだろうか。わたしが漏らす声は、時折かすかにねえさまの声でエコーしていた。
82226たんdame :2006/12/28(木) 19:44:37 ID:GbJbX/zo
「はぁ、ぁふ……」
「ずいぶんと上手なのね。本当に初めてなのかしら」
 唇が離れると同時に、感極まった声を漏らしてしまっていた。反射的に漏れた声だが、役柄の上では好ましくない。演じるための理性を必死に繋ぎとめつつ、枷の重さを実感した。ねえさまはやはり、わたしのエラーを探す立場を崩すつもりはないようだ。
「ぁ、あ、いえ、私は――」
「いいわ。別に疑っているわけではないのよ。ただ驚いてしまって。私のことを考えてイメージトレーニングでもしていたのかしら。だとしたら嬉しいわね」
 ねえさまは冗談のつもりかもしれないが、実際にやったことがある。目を閉じて、自分の舌で歯茎の裏や唇を舐めたり、指を一本咥えて舌と絡めたり。馬鹿馬鹿しく思えるが、これが実際にやると強烈で、ぞくぞくしてたまらなくなる。居ても立ってもいられなくなるのだ。
「でも、こっちは独りじゃあどうにもならないと思うのよ」
 そう言って、ねえさまはわたしの胸に軽く手を乗せた。触られる、そう意識した瞬間背筋に震えが走る。
「私の触り方なんて想像してもわからないでしょうし。他人に触られたときの感覚も。違って?」
「そ、そうです……。だから私、自分の手がねえさまの手だって思えるように、自己暗示の本とかたくさん読んで」
 自分で言っていて何なのだが、こんな『純情な乙女』は居ないような気がしてならない。蝋燭の火を見つめて精神集中して……なんてことをいつもやっているわけではないが、ねえさまにされている妄想以外では感じられない身体になっているフシはあった。熱っぽい声で『ねえさま……』と呟きながらするのが一番気分が乗るのは、確かである。
「あら、大変だったわね。今日からはそんな必要はないわ。私が触ってあげるもの」
 思わず、はっとねえさまを見上げた。役柄を崩さない優しい笑みからは真意は読めない。読めないからこそわたしを強く惑わす言葉だった。もし、わたしがこの初めての夜を演じ切ったなら……またねえさまに抱いてもらえる。役の上での台詞と言われればそれまでとはいえ、わたしにとってあまりにも嬉しい言葉だった。
 そんなことを考えているわたしの胸を、ねえさまが掌でまさぐる。小振りな膨らみはねえさまの眼鏡に適うか怪しいものだったけれど、慈しむように撫でてくれる。アサシンクロスのコスチュームの特徴で、下着を着けることはない。やや厚めの布地が裏打ちされてはいるけれど、憧れのねえさまとのキスに震えたわたしの身体は、当然それなりの反応を見せているわけで。
 ねえさまの掌が、わたしの乳首を布地の上から擦った。今までねえさまから与えられた感覚とは一味違う、明らかな性感が奔る。心地良い陶酔の中、ずっと我慢していた身体は、予想以上の伝導率でそれを脳まで運ぶ――。
「あ」
 『作り』を入れる余地もない声が漏れてしまう。
「ねえ、さま……」
 持ち直せなかった。ようやく与えられた快楽の一滴に、身体がわななく。鳥肌が立つような感覚に、乙女を演じる余裕などは根こそぎ奪われた。
「どうかしら、自分でするのと比べて」
 生地が厚いのを良いことに、ねえさまはわたしの乳首をかりかりと爪で擦る。それは、わたしの大好きな愛撫であって。右手で左胸を苛められて、わたしの左半身が麻痺し、痙攣する。か、とか、は、とか、切なく浅ましい声が漏れそうになるのを堪える。堪えるものだから、さらに震えを呼んでしまう。
「どう? 自分でするのとは違うもの?」
 ねえさまが乳首が好きと知って以来、自分で毎日こうして弄っていた。ねえさまのために開発したようなものである。当然のように、身体が暴れ出しそうなほど感じてしまう。ねえさまにされていることをもっと感じたくて、ひたすらねえさまの顔を見つめる。
 胸、特に乳首というのは感度の度合いが日によって大分違ってくる。気分や体調、生理周期などいろいろな要因があるのだろうけど、揉み解してもあまり気持ち良くない日から、服が擦れるだけで肩がぴくりと反応してしまう日まで色々だ。今日はと言うと――。
「んぅっはぁ……、ねえ、さまぁ……」
 ああ。今日のわたしはきっと、緩い服は着られない。歩くだけで乳首が尖り、風のひと吹きで天国が見られるだろう。それくらい今日の乳首様はご機嫌だった。
「なあに?」
 ねえさまは、わたしの気を知ってか知らずか――片胸だけを爪でひたすら、繰り返し擦るのだ。微笑ひとつ浮かべ、踊るように周りを嬲ってゆく。あれほど執心していた乳首は蔑ろにし、爪で小刻みなステップを刻んでいく。一歩一歩がわたしに語りかける。欲しいでしょ、と。触りたいでしょ、と。自分が後に継ぐつもりだった言葉をそのまま語りかけられ、わたしは言葉に詰まるのだ。言葉どころか息まで詰まり、胸を大きく上下させて呼吸する。その結果、胸への刺激が強まり、更なる呼吸困難に陥った。このまま続けられたら、窒息するかもしれない。
「もっとして欲しいのかしら」
 ――はふ、と切ない息が漏れてしまった。言いたくて堪らなくて言えなかった台詞を、ねえさまから言ってくれた。絶対に裏がある、そう思いながら小さく頷いた。もう、どうにでもなってしまえ。
 キスをされて、乳首を片方指先で嬲られた――それだけで、わたしは完全に、堕とされていた。
「正直な子は好きよ」
 布地越しに乳首を摘まれる――この人は、本当に乳首が好きらしい――爪を立てないように引っ張られる。力を適度に加減しているらしく、ねえさまの指の間、布地に挟まれた乳首は張力に引かれ、少しずつ元の位置へ戻っていく。布地に擦られながら。己の貧しい乳房をこのときばかりは心底呪った。布地の間を抜け切る瞬間は、引き絞ったゴム紐のように弾けるのだ。薄い胸は短く強いゴム紐に相当するわけで、堪らず背筋が跳ねる。そしてまた摘み、擦り上げながら引っ張られ――。
「可愛いわね」
 胸を上へ突き出した姿勢のまま、わたしは顔を真っ赤にするのだった。
「わかるかしら。どんどんぷっくらしてきているわ」
 わかるどころの話ではない。乳首が硬さを増すということはそれだけ摩擦や、離れる衝撃がダイレクトに伝わってくるということだ。それに感じてしまい、また乳首が硬くなるのだ。とんだ悪循環である。
 引っ張るのをやめ、ようやく解放されたかと思えば――再び、爪での攻撃が再開されるのだった。どうやらわたしは、この人の乳首フェチを少々甘く見ていたらしい。きっとねえさまは、好みの女の子の乳首を左右交互に硬くさせては元に戻るのを待つ、なんて遊びで休日一日消費しても本望なはずだ。わたしを笑えない、立派な変態である。そこまで考えたとき、恐るべき想像が脳裏を過ぎった。
 ――もしや、わたしはこのまま、乳首だけで弄ばれ続けるのではないか。
 まさかと思いながらも、執拗に乳首に加えられる刺激は、そんな考えなど容易く押し流す。ねえさまはわたしの胸が大層気に入ったらしい。大きさより感度、ということなのだろうか。正直、わたしは既に大分限界である。仰向けに寝ているため、濡れそぼった女陰から湿り気がお尻のほうまで伝っているのを感じる。乳首を触られるたびに、子宮が絞り上げられるような疼きを感じる。もはや腿を擦り合わせる動きが止められないレベルだ。
「は……は、はっ」
 涙を零しながら、小刻みに息をつく。ねえさまの顔を見るが、ねえさまはわたしの顔を見ていない。ましてや股間などには一瞥もくれる様子はない。ひたすら、無邪気な子供のように左乳首だけを凝視しては捏ね続けている。急に恐ろしくなり、わたしはシーツを握り締めた。ねえさまは笑みの形に唇を歪めて、爪の先で胸の先を引っ掻き、気が向いたように撫でてみては、爪を立てたり。
 だめだ、この人は、狂ってる。
 ほんの小さな一点からのみ与え続けられる凶暴な快感に、左半身を引き攣らせた。芽生えかけた恐怖すら、焦燥と快楽に流されていく。気持ち良い、確かに恐ろしく気持ち良いのだ。どんなに苦しくても、いや苦しいからこそ、やめてほしくなんかないのだ。
「逆もしてあげましょうか」
 ねえさまの申し出は、泣きたくなるくらい予想通りの物で。しかも、答えを聞こうともせずに、ねえさまの左手はわたしの右胸を這っている。この言葉の裏には『まだまだ乳首しかしてあげない』という意味があるわけで――。
 この人の乳首フェチはもはや病的である。ハイプリーストのくせに神様は信じていないみたいなことを言ってたけど、おっぱいの神様は信じていそう。むしろおっぱい教の司祭なのだ。伝道師なのだ。わたしがこれを好きになってしまったのもねえさまのせいなのだ。
「あっく、ふぅぅっ……やっ、ぁあ」
「嫌?」
 嫌でなどあろうはずもない。ねえさまがわたしの乳首を触りたがっているということは、わたしの乳首に欲情しているということだ。わたしが悦と欲に狂い悶える姿を見たがっているのかもしれない。そんな風にねえさまに求められるのは、わたしが何よりも望むことなのだ。
「いっ……いぃ、え……し、してぇふ……くだ、さい……」
 いくらでも我慢できる。我慢した方が、降りるよりも気持ち良いのだから。ねえさまの好きなようにされるのが、わたしの一番の幸せなんだから。
 右胸の先も爪で撫でられる。左胸から注がれる快感とは大分質の違う感覚――恐らくは、わたしの乳首の硬さの差が生む違いだ。二種類の感覚に翻弄されて、息をする暇が本格的にない。もしこれで死んでも本望だが、こんな幸せの途上で倒れたくはない。もはや演技をする余裕など一分もなく、ひゅうひゅう喉を鳴らして息をする。
83226たんdame :2006/12/28(木) 19:47:43 ID:GbJbX/zo
 ねえさまの左手が、わたしの胸元に差し入れられた。アサシンクロスの衣装は両胸の間に巨大なスリットが入っているのだ。
「見るわ」
 言うがいなや力を込めて、わたしの右胸を露にする。ねえさまから、わたしの胸を見たがってくれた。垂れ流しになっていた涎をごくりと飲み込む。わたしがねえさまを見るような浮かされた視線で、ねえさまはわたしの胸をしばらく見ていた。左の乳首を引っ掻く右手だけは止まってくれなかったが。
 感想の一言も述べずに、笑みを浮かべてねえさまは唇を落とした。もちろん、わたしの右胸へ。
「ひぅっ……!」
 最初に接触したのは舌だった。温かく湿った感触に背筋が跳ねて、ねえさまの歯に乳首を擦り付けてしまう。痛みと快楽とがごちゃ混ぜになって頭を縦に貫いた。感じ方が危険な気さえする。ねえさまはわたしの乳首を、奴隷化スイッチにでも作り変えるつもりでいるのではないだろうか。ちょっと捏ねられただけで理性が根こそぎ消えて、何でも言いなりになってしまうような。
 そのまま胸を突き出すが、ねえさまの口は無慈悲に離れていく。
「だめよ。そんなにがっつくものじゃないわ。こういうのはゆっくりたっぷり楽しむものですもの。ね?」
 ゆっくり、たっぷり。まだ終わらず、ここから更にゆっくり。ねえさまは微笑みながら、刑の宣告をした。わたしは喉を鳴らすような声を漏らしながら、持ち上げた胸を下ろすほか無かった。ねえさまの舌が円を描くように、わたしの乳首をくるりと舐めた。思わず身体を強張らせると、針の穴のように窄められた唇から息を吹きかけられる。唾液で濡れた乳首が急冷されて、んっく、と喘ぎを飲み込んだ。
 ねえさまは再び、舌の先でわたしの右胸を愛でてくれるつもりのようだ。舌の先だけで。左胸は依然として爪の先だけで。穏やかな刺激の繰り返しなのに、飽きるどころかどんどん追い込まれていく。息をしても喘ぎと混じり、はッく、はふン、などと訳のわからない声をあげてしまう。ねえさまはそれが面白いらしく、狙って愛撫のリズムをずらしてくる。何故だかやたらと恥ずかしい。いっそ激しくしてくれれば良いのに、もどかしい今の状態から攻め手を変えるつもりはないらしい。
「――私の友達に胸だけを一時間も二時間も責められたいって言っている人がいてね。凄く幸せだろうなあって」
 唇を離して、思い出したようにねえさまはそう言った。友達も何も、それはわたしが数日前にねえさまに言った発言だ。もちろんねえさまは、それをわかって言っている。そして、今わざわざその話をするということは。
「でも三十分くらいで痛くなってしまって駄目だって嘆いていたのよ。これだけ丁寧にしてあげたら結構持つと思うのだけど――貴女もされてみたくはない?」
 ――わたしは心の底から、数日前の能天気な自分を恨んだ。
 本当にされる身になってみればいい。しかもわたしは胸がとても弱い。そんなことをされたら絶対に気が狂う。そもそも、途中で絶対に我慢できなくなってオナニーを始めてしまうに違いない。今だって、本当にギリギリなのだから。
 唇を噛んで返答を渋っていると、ねえさまの指が左胸から離れた。今まであんなにも疎ましくもどかしかった刺激なのに、いざ断たれると、急に乳首が文句を言う。どうして止めるの、もっと欲しいと。
「嫌ならここでやめにしましょう。でも後で物足りないからといって自慰なんて始めないでね。私が惨めだわ」
「あああ、や、ああああ、ね……えさまぁぁあぁ、やぁぁぁ、もっとおおお」
 一も二もなく懇願してしまう。一秒でもこのままでいたくない。ねえさまの言葉を反芻し、理解するのは後でもできる。とにかくしてもらわなくては我慢できない。
 ねえさまはにっこり微笑むと、ベッドを離れた。クローゼットを開けてなにやらごそごそやっている。作業の内容はどうでもいい、とにかくねえさまには、今すぐわたしの疼きを鎮めてくれる気はないらしい。そう思った瞬間、わたしの手は勝手に動き始めていた。両胸に掌を被せ、不自然に偏った充血を解すために乳房全体を捏ね回す。ふあぁぁ、と安堵の息が漏れて手の甲を撫でる。熱い。
「……ねえ。自慰なんて始めないでって言ったばかりなのだけれど」
 ねえさまの声で、我に返った。
「貴女は人の話が聞けないのかしら」
「あ……ね、え、さま」
 胸を揉み解す快感に緩んだ声で、惚けた返事を返す。ねえさまの方を見ると、笑っているのか不機嫌なのかわからない表情でこちらを見ていた。どうやら、わたしは自分でしてはいけなかったらしい。考えてみたらそう言われたような気がしなくもない。
「手、止めなさい。見苦しいわ」
「は、い……」
 言いながら、なかなか手を止められない。止めようとしてみても、力なく二の腕が震えるばかり。触っていないとおかしくなりそうだった。
「貴女、初めてなのではなかったの? 随分とはしたないのね」
 その言葉でようやく思い出す。わたしはねえさまに初めてを捧げる、うぶな少女なのだった。自業自得とはいえ、なんて厳しい勝負なのだろう。わたしが有利などとはとんでもない話だった。
「す、すみません、わたし……ったら」
「私がしてあげるって言っているのに自分で始めるなんて、ひどい侮辱だわ。貴女はそうは思わないのかしら」
 本心で言っているのではないとわかっていても、ねえさまにそう叱られるのは辛く、それはどこか心地のよい辛さだった。
「思います……。すみませんでした」
 両手を胸から引き剥がし、ベッドに衝いて身を起こす。ねえさまの顔を見上げるが、視線が合わない。ねえさまはわたしの胸を見ている。そういえば、片胸を露出したままだった。
「なら、もう絶対にしないって約束して頂戴。もう一度されたらきっと嫌いになってしまうわ」
 く――。
 憮然とした声と台詞とは裏腹に、ねえさまの口元は緩んでいた。この人は一体、どういう脳味噌をしているのだろう。こんなやり口を思いつけるなんて、どう考えてもまともではない。こう言われてはわたしは自慰行為など始められるわけがないし、ねえさまは以前に、また抱いてもらえる可能性を仄めかしてもいる。当然わたしは、必死に我慢して乙女を演じ続けるだろう。
 でもその間にねえさまがすることは、執拗な乳首責めだ。他の部位に触れる気は最初から無いのかもしれない。その間――おそらく一時間以上、わたしは、自分で慰めたい欲望と戦い続けなくてはならないのだ。いっそ拘束されていたらどんなに楽だろう、触りたくても触れないのだから。触りたければいつでも触れる状態で、ねえさまはわたしを試そうとしている。やはりこの人は、類稀なる変態の才能がある。
「や、約束……しま、す」
 震えた声でそう言いながら、わたしは――そう、やはりマゾの気があるらしく――この過酷な状況でなお悦んでいた。それに何より、大好きなねえさまがわたしの悶える姿を見たがっている。期待に応えればご褒美もあるかもしれない。まるで夢のような話ではないか。
「良い子ね。ここにお座りなさい」
 わたしの背にクローゼットから取り出したらしきタオルを敷いて、ねえさまは言った。そういえばねえさまのベッドなのだから、わたしの愛液で汚すわけにはいかないのだ。実際、すでに染みを作っているのではないかと思うほど、滴らせてしまっている。身体は気だるい恍惚に包まれており、腰をそこまで動かすだけで結構な労力だった。
 そう、ねえさまのベッドなのだ。改めて意識すると、吸う空気は悉くねえさまの香りで一杯なのだ。……わたしの秘部から別の匂いが漂ってはいるが。改めるまでもなく、今のわたしは幸せなのだった。ねえさまになら、どんな無茶をされても構わない。
 ねえさまはわたしの背に周り、座ると同時にわたしの脇に腕を通した。抱き締めるような姿勢――愛しいと思う相手にしかしない姿勢、そして、間近で嗅ぐねえさまの香り。汗ばんだ首筋からは、わたしがまだ知らないねえさまの匂いがした。
84226たんdame :2006/12/28(木) 19:50:46 ID:GbJbX/zo
 振って沸いた一種の理想的姿勢に面食らっていると、ねえさまの手はわたしの胸を覆い、器用に衣装を元に戻した。肌蹴られていた右胸が再び布地に覆われる。
「服……戻すんですね」
「あら。貴女のためよ。痛くならないようにって」
 嘘だ。わたしを焦らして苛めたいだけに違いない。だけどそれは、とても嬉しいことだった。
「で、でも、あの……あひゅぅっ……!」
 こりっと音がしたように感じる。ねえさまが両の乳首を爪で捏ねたのだ。ねえさまから胸元はよく見えないのに、正確にそこを探り当てた――ということは布地越しでもすぐにわかるほどに硬くしたままだということだ。そんなところをねえさまに捕まっては、またすぐにおかしくされてしまうのは必定だった。
 ねえさまは手首をわたしの脇に押し付けて固定して、爪の先でかりかりと両胸を苛める。思わず脇を締め、上体を逸らし、震わせて……あっという間に、もっと刺激が欲しくて堪らない、と全身でアピールしてしまう。喉をひうひう言わせて息をしながら、首を回してねえさまの方を見ようとする。しかし、ねえさまはわたしに身体を押し付けているので、うまく行かない。
「『でも』? なあに、言ってごらんなさい」
「わぁ、あああ、あたしっ、やぁふ、くっ」
 膝を立てた姿勢のまま、背をねえさまに押し付ける。法衣越しではっきりとはわからないが、ねえさまの胸がわたしの背に当たっているのだろう。膝を左右に揺すって、秘所に僅かな刺激を得ようとする。首を前に傾けて、自分のそこを覗き込むと、色が変わるどころか太腿との間に糸を引いていた。つんと鼻につく匂い。覗いたのは失敗だった、今まで無視していた疼きが強烈に自己主張を始める。下も、触って欲しい、触りたい。
「駄目よ。胸をじっくり責められたいって言ったのは貴女だもの。責任持ちなさい。あと一時間くらい経ったら下の方もしてあげるわ。約束したから大丈夫だとは思うけれど、間違っても自分で弄ったりはしないでね。そしたらもう絶対にしてあげないから。私にして欲しいのなら我慢なさい」
「はっ……ぁ、いひ……っ」
 一時間なんて我慢できるわけがない、だけど否と言うことはできなかった。ねえさまにしてもらえないのももちろん辛いが、ねえさまにされるより自分で慰めることを選んだと思われるのは、死んでも嫌なのだ。ベッドに衝いた手でシーツを握り締める。こうして何かに掴まっていないと、少しでも気を抜いたら自分で弄ってしまいそうだ。
「良い返事ね。期待しているわ」
 そう言ってねえさまは、爪を納めて指の腹で乳首を擦り始めた。いくら硬くなっているといっても、厚い布地越しに指の腹だけで捏ねることはできない。布地越しに摩擦するだけである。拷問じみてもどかしい刺激だった。胸を前へ突き出し、半狂乱で頭を振る。自分の口が何か叫んでいるようだけど、何を言っているかまったくわかっていない。
「ねぇふっ、えぇ、さまあっ……やぁあっ……っだめ、ぇやっあ」
「駄目? じゃあ直接触ってあげましょうか。それならもうちょっとは我慢できる?」
 一瞬喜んで、すぐに失望した。ねえさまは『乳首を』直接触ってくれるつもりらしい。今のもどかしい触り方より気持ち良いのは目に見えているが、すぐに更なる疼きが襲ってくるのも自明である。
 ねえさまの手が一旦引き、無遠慮に両の袖から侵入してきた。恐るべき正確さで乳首を探り当てる手際は、流石ねえさまとしか言いようがない。じっとりと汗ばんでいる突起を転がすには、指一本あれば充分らしい。転がされ、引き倒され、優しく潰され、そんなわたしの乳首は、きっとねえさまに健気な抵抗を返しているのだろう。わたしはといえばそこから生まれる感覚で、ねえさまの肩に後頭部を預けてひくひく震えるばかり。見えるのは素っ気のない天井だけだ。
「すっごいわ。ねえ、すっごいぷっくりしてる……!」
 ぷっくり愛好家のねえさまは、乳首のしこり具合を確認してたいそうご満悦らしい。そんな声を聞きながらわたしは天井を見上げて、涎を垂らしながら四肢を痙攣させている。自分ではよくわからないが、乳首は大変なことになっているのだろう。今まで胸でこんなに感じたことなんか無かったのだから。口から漏れる息や声は、かふぅ、くひゅう、かひゅぅぅ、などと喘いでいるのか虫の息なのか判然としない。
「ねえ、乳首は好き?」
 そう言いながらねえさまは親指を侵入させ、乳首を摘んでしまう。際立ってはっきりとした快感に肩が揺れるが、大きく跳ねるほどの力は既にない。摘んだまま、ゆっくりと擦り合わせて揉まれているようだ。何を隠そうわたしの大好きな愛撫なので、すぐにわかる。そして、今のわたしがそんなことをされて、まともでいられるはずがない。
「は、ひゅぅ……っ」。
 口で返事はできず、頷いて見せる。視線が固定されていないため、頷くたびに視界が大きく上下に揺れる。
「そうよね、気持ち良さそうだもの」
 気持ち良いと一言で言えば簡単なのだけど、こんなことを続けられたら本当に頭のどこかに異常をきたしそうで恐ろしい。
「脚、動いているわ。切ないの?」
 そう言いながら、乳首を摘んで引っ張る。衣装を持ち上げて引き絞られながら、胸の気持ち良さでせっかく忘れかけていた股間の疼き、それを強く意識させられる。
「は……あ、あ」
 引っ張って、また弾けさせられると思ったら、指を離された。一瞬物足りなく感じてしまい、秘所の切なさを煽る結果になる。意識したが最後、どうやっても無視できないほど強烈に疼き始める。
「切ないのね」
 疼いているのか痒いのかよくわからなくなり、そこを触っていないことがとてつもなく不自然なことのように感じられる。自然に手が伸びていく。
「でも駄目よ。貴女が触っていいのはシーツだけ。体に触れたらもうしてあげないわ。せっかくここまで我慢したのに。残念ね」
「ぅあああ、あ、ああっねっへ、ねえさまああ、ああっく、ああああっ」
 辛うじて意識を繋ぎとめ、渾身の力でシーツを握った。これを離したら落ちる。ぐちゃぐちゃ触りまくって、奈落まで落っこちて戻って来られない。泣き叫んで懇願しても、ねえさまは優しく乳首を弄ってくれるだけだった。足を浮かせて踵で触ろうとするが、もちろん届かない。滲んだ汗が染み込んだシーツを握り締める。乳首から送られる快感はどこまでも大きくなって、自分もして欲しいと下から炙られる。味わったことがないほど気持ち良いのに、裏では全く物足りなくて、身体がバラバラになってしまいそうだった。
「私ね、友達に言われて、どうやったら胸が痛くならないのかを考えてみたのよ。もちろん一番大事なのは触り方だとは思うのだけれど、そのほかにもう一つ、良さそうなのを思いついたのよね」
 そう言ってねえさまは呪文を唱え始めた。乳首を摘んで捏ねながら、耳元で、ねっとりとした声で神に祈る。
「アスムプティオ!」
 神様なのか何なのか知らないが、こんな淫らな祈りもしっかりと聞き届けてくれるようだった。わたしの身体がぼんやりと白い光に包まれる。高司祭のみが使うことのできる、持続的で強力なダメージ軽減の術だ。強度の限られた防壁を作るだけのキリエエレイソンとは訳が違う、奇跡の術である。
「どうかしら」
「はぁぅっ、ふくっ、あああっあ、あああっ」
 突然、ねえさまの指の動きが激しくなった。かつてないほど膨張している乳首さんを、ラブコールを叫ぶ勢いで追い回しているらしい。敏感すぎるほど敏感なそこをぐりぐり押し潰したり、爪で引っ掻いたりもしている――のだが、痛くない。もとより体力を鍛えているわたしは、軽い痛みなど気にならないのだ。そこに奇跡の術である、ほとんど痛みに邪魔されずに快感だけが襲ってくる。
「あああんっふっ、あっんくぅっ、ね、ねえさまっ、ねえさまあっ」
 乳首を捏ねられている――ただそれだけなのに、身体ががくがく揺すられる。こんなに小さい突起を揉まれるだけで、どうしようもなく反応してしまう。たとえ戦闘で腕を叩き切られても、わたしはそうそう叫ぶことなど無い。こちらの方が――乳首を愛撫される方が、余程強烈な感覚だ。
 泣き叫んで身を揺さぶるわたしを眺めながら、ねえさまは乳首を弄り、アスムを冷静にかけなおす。
「やああっあくぅぅふっ、ふああっあああっ」
 腿の間から湧き上がる強烈な欲求は、もはや『触れたい』から『いきたい』へ変わっている。実際触ったらすぐに上り詰めてしまうだろう。ところが、愛撫されているのが胸だけでは、いきたくてもいけはしない。明らかに許容を超えた快楽を感じながら、絶頂はいつまで経ってもやって来ない。もしかして絶頂という仕組みは、人間が快楽で発狂しないように設けられたシステムなのではないか。
 ねえさまは構わずに、わたしの乳首へ乱暴狼藉を繰り返す。指で摘み、押しつぶしたまま捻られ、爪が食い込む。見えるわけでもないのにそうとわかるほど感覚は鋭敏なのに、痛みは殆どないのだ。
 ――大体、おかしい。こんなに気持ち良いなら、本当はびくびく腰突き出して、高い声で鳴いて何回も天国イっちゃってるはずなんだから。
「ねえさまっ、ねえさまっ、ねえさまっ、やっやだっ、ねえ、ねえええっ、していい? いい? いきたい、いきたいいいいっ」
「駄目に決まっているでしょう。まだ一時間経っていないわ」
 ねえさまが何を言っているかは、良く聞こえない。ただ、あまりの気持ち良さに――シーツを握る手から、力が抜けた。
「約束破ったわね。もう知らないわ。あとは一人で勝手にやって頂戴」
85226たんdame :2006/12/28(木) 19:52:19 ID:GbJbX/zo
 ――あ、やだ、嫌だ、やだやだやだやだやだ――ッ。
 ねえさまの冷たい声が、背筋を縦に貫いた。去ってしまう、追い出されてしまう――終わりに、されてしまう。背中を支えていたねえさまの身体が離れ、後ろ向きにベッドに倒れそうになり、慌てて身を支える。
「あ、あああっ、ごめっぇ、なさぁぁぁあああ」
 涙ながらに詫びる。自分がどうなっているのかはよくわからないが、言いつけを破ってしまったのだろうか。妙に冷めた思考がこうして巡っているということは、辛うじて免れているのだろうか。意識をそちらへ向けると、手首の付け根を腿に押し付けて、自分の手が動き出すのを止めている。ぶるぶると震える手は、壊れかけの機械のように危うく、今にも千切れて飛んでしまいそうにすら見える。いや、今はそれどころではない、気を抜いたら間違いなく触ってしまう。こうして持ちこたえていられる保証は全く無かった。何かの拍子で触れたりしたら、きっとそれまで。意識が桃色の海へ沈んで、綺麗さっぱり記憶が飛ぶだろう。
「ねえさまっ、ねえさまああっ、わたしの手をとめてえええええええ」
 じりじり、じりじりとピンクの海は水位を上げている。錯覚なのかどうなのか、わたしの手はミリ単位でジワジワと秘所へ近づいているような気がする。自分では止められない。ねえさまに、わたしの手首を掴んで、動かせないように押さえつけて欲しい。わたしのはしたない手が、ねえさまの言いつけに背かないうちに。わたしはこんなことしたくないのに、ねえさまの言う通りに、もっと我慢したいのに。この卑しい身体はどうして、こんなにがっつこうとするのだろう。言う通りにした方が絶対気持ちいいのに。悔しい、悔しい、もっと、もっと我慢したい――。
「別にいいわ、止めなくても。今まで頑張ったものね」
 『え?』と心の中で呟いて、掠れた息を漏らすと、両手をそれぞれねえさまに掴まれた。そのまま両手は、狂おしく触れたい場所ではなく――胸へ運ばれる。ねえさまは、手首を掴んだまま指先で胸を覆う布地を左右に開いた。布に代わり、わたしの両手が胸を覆う。
「好きなだけ触っていいわよ、胸。下の方は私がそのうちしてあげるから我慢なさいね」
 つまり、手が勝手に動くのは、胸を触らせて我慢しろと。そういう、こと、らしい。
「あああい、いやあああっきたいいっいきたいいいっ」
 喋ることを考えていないのに、口から勝手に懇願の言葉が漏れる。弄られすぎてじくじくと疼く乳首に掌が当たると、温かくて、とても痒くて、触らずにはいられなかった。乳首を撫で、捏ね回す。どうやらわたしの乳首はぶっ壊れてしまったらしく、ワケがわからないほどの甘い感覚が迸る。不用意に触れたのは失敗で、危うく喉を逸らしたまま白目を剥いてしまうところだった。たまらずベッドに仰向けに倒れる。アスムをかけなおしながら、口の端がひくついた妖しい笑みでねえさまが見ている。上気した頬、食い入るような視線。間違いない、ねえさまはわたしに欲情してくれている。
「あああっく、ねえ、ねぇねえ、ねえさまああああ」
 わたしの涙声も全く聞こえない様子で、ねえさまは息を呑んでわたしを――正確にはわたしの乳首を見詰めている。ねえさまは本当に乳首フェチだ、つまりもっと弄れば、もっと見てもらえる。きつく乳首を摘んで、ねえさまに良く見えるようにこりこりと捏ねる。もっと見てもらえるように胸を張って、突き出して見せた。爪を立てても痛くなくて、びりびり痺れるように気持ちが良い。アスムプティオが切れる気配は全くない。ハイプリーストとして熟達したねえさまの支援の腕は、憎らしいほど確かなものだった。
「きゃひ、くひゅう、ねえ、ねえさまああぁ、いきたい、いきたいいぃ」
 泣きながら訴えても、ねえさまは笑みの形の唇をうっすら開いたまま、黙ってわたしの乳首を見ている。その乳首を愛撫する――いや、苛め倒すと、痛いんだか気持ちいいんだかわからないような、ガツンとくる感覚が繰り返し襲ってくる。アスムは切れていないから、きっと気持ちいいのだろう。そしてその感覚は子宮をぐいぐい締め上げて、クリをズキズキ疼かせるのだ。お腹を引っ込め、背筋を逸らして、何時でもイける準備をした身体が、まだかまだかと訴える。
「いきたい? でももういきそうなのでしょ? もっと頑張って弄ったらいけるのではなくて?」
 やっと察してくれたねえさまに、わたしが返せる返事は掠れた喘ぎしかなかった。胸だけでなんかそう簡単にいけるわけがない。この灼ける泉には何の刺激も与えられていないのだ。そもそも人間の身体は、乳首だけで絶頂を得られるようになんて出来ているんだろうか?
 疑問と不満を飲み込んで、指に乗せて自分の乳首にぶつける。一歩間違えば勢いに任せて引き千切ってしまいそうで、そうならないようには加減する。どれほど痛めつけても、帰ってくるのは痺れる悦楽と、心を焦がす疼き。刺激を求めて腰が勝手に跳ね、無理な力で内腿が引き攣る。わたしの滲ませた液ですっかり水浸しになった股布は、まるで一体になったようにそこに貼り付いていて、どんなに激しく動いてもほとんど擦れてくれない。今すぐ乳首から手を離して、この焦燥の源泉を引っ掻き回して滅茶苦茶にしたい。それができないなら、手っ取り早く狂ってしまいたい。それでもわたしは乳首だけを嬲り続けた。炙られた鉄板に両手を押し付けて離さない行為のような、とっくに狂っているとしか思えない痩せ我慢。精神力でなんとかなるようなものではないのに、ねえさまに見られているだけで、わたしは乳首だけを責め続けていられた。胸で感じるたびに下が疼くのだから、いっそ手を止めてしまえば多少は楽になるのだろうに、手はどうやっても止まらない。これはもはや、地獄の責め苦にエントリーされてもおかしくない。
「そろそろ触ってあげるわ。暴れないでね」
 どれだけ時間が経ったのかはわからない。何時間もこうしているような気がしていた。この苦悶は永遠に続くのではないかと朧げに思い始めていたわたしの耳に、ずいぶん久しぶりに聞くねえさまの声が飛び込んでくる。コトバを使うなんて知的活動からずいぶん離れていたわたしの脳は、なかなか意味を理解してくれなかった。
「きゃふああっ」
 膝の下のぷにぷにした所に手を入れて、思い切り持ち上げられた。乳首から湧き上がる感覚に酔い切っていたわたしは、下半身ならどこでも感じるようになっているのか、声をあげてしまう。腿を掴んで引っ張り上げられると、ぞくぞくする快感に力が抜け、されるがままに逆さにされた。ベッドについた肩と、ねえさまの胸元に抱えられた腰で身体を支える。脚は空中に放り出されてWの字を描く。既にへその付近まで達している股間の色の変わった部分を凝視しながら、休まず乳首を掻き、潰し、揉み、捏ね続ける。気持ち良すぎて触っていられないくらいなのに、魔法にでもかかったように止めることができない。もし秘所に触れることを許されても、乳首の誘惑を簡単には断ち切れないだろう。乳首を触るといつも下も触りたくて堪らなくなるのだが、今は乳首自体が気持ちよすぎて止めることができない。そうして蔑ろにされ続けた腿の間の疼きは、わたしを強烈に責め立てる。
「あああああ、ああねぇ、さまぁああ、ぁぁあ」
 首を使って必死に身体を持ち上げ、ねえさまの顔に股間を押し付けようとする。もちろん届くわけがない。手をベッドにつければ可能かもしれないが、吸い付いたように乳首から離れない。それに、そんなことをしてもねえさまの機嫌を損ねるだけだ。どうやら触ってくれると言っていたらしいねえさまの方を見るが、頭がおかしくなりすぎて、ぼやけた視界のピントが合わず、表情が掴めない。
86226たんdame :2006/12/28(木) 19:52:37 ID:GbJbX/zo
「はあくっふあぁぁああ!」
 熱の塊になっているそこに、突然冷気を感じた。ねえさまに抱えられた腰ががくんと揺れ、足の先を突っ張らせ、内腿が引き攣る。どうやら息を吹きかけたらしく、それが強烈な疼きと乳首の快感に乗って、悦びになって弾けたのだ。
「エッチってね、いく直前が一番気持ち良いと思うのよ。丁度今いきそうなのでしょう? そうは思わない?」
 何か言われているが、断片的にしか理解できない。『いく』、『気持ち良い』、『いきそう』――うん、いきそう、いきたい、ねえさま、いかせて。叫んで訴えたいが、喉を通るのはふしゅるふしゅると細い息だけ。
 わたしの身体がびくんと跳ね、首を逸らして頭をベッドに沈ませた。縦に流れる視界に、ねえさまがわたしのあそこに爪を突き立てる光景が一瞬だけ見えた。ほんの僅か、爪の先が当たるくらい。布の上をスケートで滑るように移動する、僅かな硬質の圧迫。脚全体がジーンと痺れ、足の指が内側に折れ曲がり、突っ張る。ねえさまの指は軽く、手持ちぶさたに机に字を書くような気軽さでわたしを翻弄する。布越しのそれはどうしても、決定的な刺激にならない。腰を揺らして必死に暴れまわるわたしは、どんなに跳ねても、身も心もねえさまの優しくて残酷な腕の中。
「ああああああっぅああああぁぁぁぁああっ」
「あら、今の方がいきそうみたいね。気持ち良くない? あと少しで頭が真っ白になりそうな感じ。体が自分のものじゃなくなりそうな感じ」
 頭はとっくに真っ白、いや、『いきたい』というただ一色。わたしの身体は大分前から、ねえさまのもの。わたしの言うことなんか一つも聞きはしない。
「手、止まっているわ。それ掬ってみてはどう? 貴女の愛液」
 指摘されてはっとする。あまりの感覚に胸を触る手が止まっていた。そして、溢れ出た愛液は布地を伝い、へそを通り、露となってお腹に滴っていた。言われるまま指に取る。まさかこんな所まで溢れてくるなんてと思ったが、触れるとぬめり厭らしく糸を引くそれは、紛れもなくわたしの滲ませた愛液だった。
 粘液を纏った指で乳首を捏ねると、切ない汗に混じりしっとりと染み込んで、ひりつく痛痒をいくらか和らげてくれた。指の腹でくるくると回し、軽く先端にだけ当てて擦り、つんつんと突き――先ほどまでの乱暴な攻撃とは違う愛撫は蕩けるような気持ちよさをくれて、女の中心に灯った火にさらに薪をくべ風を送る。アスムはいつのまにか切れていた。いきそう、いきたい、今すぐにでもいっちゃう、それが、きもちいい。
「ね、気持ち良いでしょう。だからね。ずっとしていてあげるわ。ずっと気持ち良いように」
 ねえさまの指が繰り返し、わたしの股布の上を滑って踊る。布越しのまま、強くもならず、ただ軽く、速く。愛液が胸元へ垂れてくるたびにわたしの指が掬って、丹念に乳首に塗りつけていく。いきたいと泣き喚く身体が、わたしとねえさまの二人がかりで、気持ち良くて深い、遠い所へ連れて行かれる。
「――ずっと、貴女がいかないように」
 力の入らない身体がぞくっと震えた。今にも絶頂に届きそうで、飛び上がってそれを掴もうとしている腰が、断続的にびくびく跳ねる。心のどこかにあったらしい『最後はいかせてもらえる』という認識は、どうやら甘かった。ねえさまは本当に乳首にしか興味が無いのだろう、わたしがどれほど絶頂に飢えても気にしない――いや、むしろそれを愉しんでいるのだ。我慢できずにオナニーを始めるわたしを見て、例の勝負の勝利を確定させたいのかもしれない。
 わたしにとって、勝ち負けがどうとかは既に関係なくなっていた。ねえさまの言う通りにしていれば、どんなに辛くても、それが気持ちいいのだ。無間地獄で狂ってしまえというなら、その通りになってしまえば、きっとものすごく気持ちいいのだ。
 そんな覚悟というか諦めというか、恐ろしくて甘美な妄想に唇を緩ませて乳首を捏ねていると、ねえさまの手が撫でていた布を持ち上げた。横にずらし、わたしの秘部を空気に晒す。じっとり湿っているせいで、ひんやりと冷たく感じた。
「もっと良くしてあげる」
 内腿にねえさまの唇が当てられ、引き攣った筋肉がぴくんと反応する。ねえさまの舌はそのまま、わたしの汗や愛液にたっぷり濡れた腿を滑って、さっきから触れて欲しくて堪らなかったところへ移動して――止まった。
 身体をぐいぐい上下に揺らして、ねえさまの舌を腿の付け根で味わう。でも、中心を舐めてくれる様子はなく、すっと舌が離れた。
「ごめんなさい、気が変わったわ。良くしてあげるのは良くしてあげるけれどね」
 ――え?
「――いかせてあげる。何もわからなくなるくらい」
「ひっきっ……っ!」
 かふっ、と声にならなかった喘ぎが上顎に当たって鼻に抜ける。頭がヘンになるほど待ち望んでいた感覚。ねえさまの舌は、わたしの秘所にぬぷりと埋め込まれていた。あまりにも簡単に、達してしまう。わたしにクンニリングスをするねえさまの顔を見たいのに、視界は白一色で何もわからない。
「これだけでいってしまうの? 感じやすいのね」
 そう言って舌先を滑らせられると、ひくっ、と絞った喉に声を詰まらせてまた達した。舌先が、最高に敏感な蕾――もう開花しかけてつやつやに膨れているだろうが――を掠めていったらしい。そのまま舌の腹の部分で圧迫され、ざらつく繊毛の刺激に頭を振って悶える。乳首を触る手が止まってしまっていた。
「くふっ、ぅああっ! あああっ、あああああ」
 そのまま、唇で挟まれる。わたしのクリはあまり大きい方ではないのに、そんな芸当ができるほど膨れてしまっているのだろうか。ふと、運動した後にこれだけ蒸らされたあそこはきっと、ひどい匂いがするだろうなと思う。そんな恥ずかしすぎる事態でさえ、マゾっ気のある融けた思考には、恐ろしく気持ちの良い材料になってしまっていた。挟んだ唇は左右に擦られ、ねえさまの口に含まれた先端部から奔る痺れは、恐らく中で舐められているのだ。強烈すぎる快感と、繰り返されて引いてくれない絶頂が辛くて、力の限り身を振って逃げ出そうとする。あれほどいきたかったといっても、こう無遠慮に繰り返されては、かえって拷問というものである。
「あああっああ、あっ、やあああっああああ」
 いくら力を入れても、ねえさまのものになっているこの身体はまともに反応してくれない。力を入れ、腰を跳ねさせても、そこで気持ち良さに耐えられずにいってしまう。身体が震えて力が抜けて、手足がぐったりと伸びる。ねえさまはそれでも舐めるのをやめてくれず、力が入らないまま身体がぴくぴく震える。そしてまた、いかされてしまう。泣きながら首を左右に振る。気持ち良すぎて辛いのだ。イきっぱなしというのは憧れたけれど、これ以上は耐えられない。焦燥の次は、快感で頭がやられてしまう。やめて、もうダメ、そう思って泣き叫んでも、ねえさまはまったく気に留めてくれない。
「いやっああっ! ああああっ!」
「つらい? じゃあもっとつらくなりなさい」
 やっと唇を離してくれたかと思うと、残酷な一言だけ告げて、またすぐに同じ攻撃を始めるのだった。気持ち良さのあまり全身が震えだし、かちかちと歯が鳴る。首を振る力もなくなって、ひ、く、ひゅ、か、ふ、などと短い喘ぎを繰り返すことしかできない。くひゅうくひゅう鳴きながら、ねえさまの頭に両手を当てて、なんとかして退かそうと力を込める。震える両手をどんなに押しても、かくんと肘が折れるだけだった。
「ああぅ、うあああぁぁぁっ、あああっあぅぁあ」
 膝をぶるぶる震わせて、ねえさまの顔を挟もうとして、無造作にまた手で広げられる。全身にまったく力が入らない。絶頂と絶頂の間の間隔はもう無くなっていて、一度いった波が去る前に次の波に攫われている。完全にイきっぱなしだった。
「そろそろ何もわからなくなってきた?」
 目を上に向けて、はひゅ、と力のない吐息を天井へ吐いたとき、ねえさまに何か言われたような気がした。首が動かないので目だけをねえさまに向けるが、すぐにクリを舐められて、また視線が上へ飛んでしまう。
「まだダメ? 贅沢ね」
 唇を離したねえさまは、わたしの腰をベッドへ下ろした。優しく下ろしたようだったが、力が入らないわたしの身体はどさりとベッドに沈んだ。ひゅうはあ、ひゅうはあと二息ほどつくと、ねえさまに腰を抱え上げられる。そのまま指先で蕾を弾かれ、声もなく震える。辛うじて、これだけでまたイってしまうということはなかった。
 そこから滑り込むように、指が二本わたしの中へ入り込んだ。焦らされ抜いた挙句に漸く埋めてもらえた秘筒は、ひとたまりも無く充血しきった襞を切なく震わせてねえさまの指に殺到した。明らかにイってる反応を返すわたしの身体に構うことなく、ねえさまの指は上へ奥へと押し込まれ、お腹を内側から圧迫する。
「くふああっ! ああっああ!」
 当然その経路には、わたしが大好きで、触れて擦るとたまらなく感じてしまうポイントがあるわけで――。
「ここね」
 抑えようがない声で簡単に暴かれてしまったそのツボを、ねえさまは贅沢に愛撫する。押し込んで、解して、かき回しては押し込んで、押されるたびにわたしは高く、高く昇っていく。ねえさまの指でどこまでも持ち上げられていく。
「きひゅっくぅぅっ! くはっくぅああっあああっ!」
 ねえさまの指は規則的にそこを押し上げ続け、その度にわたしは飛び上がり、降りてこない。とっくにベッドから飛び上がって、部屋の天井を突き破って。
「ふぅああっあああっ!」
「気持ち良い? 幸せね、貴女」
 優しい声をかけられ、厭らしく微笑んだねえさまの顔を見る。なんだか本当に幸せで、わたしは一気に雲の上まで飛んでいった。
87226たんdame :2006/12/28(木) 19:53:34 ID:GbJbX/zo
「ん……あ――」
 はっと目を覚ました。ここは――ねえさまの、部屋。タオルケットと布団が丁寧に掛けられていて、隣には――。
「……!」
 思わず唾を飲む。すやすやと安らかな寝息を立てて、ねえさまが眠っていた。こ、これは。どうやら、わたしはねえさまにイき狂わされた挙句、失神したか疲れて眠ってしまったかしてしまったらしい。わたしとしたことが、不覚である。乳首はひりひり、あそこはじぃんと疼く。めろめろに感じまくってしまったせいで、どんな目に遭わされたか詳しく思い出せない。何回いかされただろう。完璧にイきっぱなしにされたせいで、回数がはっきりしない。それどころか、後半は記憶がかっぽり抜けている。きっとメチャクチャ気持ち良かったと思うのに、覚えていないなんて勿体無い。
 下腹部を中心にじっとりと広がる不快感から察すると、どうも粘液まみれのまま眠っていたようだ。窓にはカーテンが掛かっているが、どうやらまだ夜らしい。どれくらいエッチしていたのかはよくわからないけれど、枕許の目覚まし時計を見る限り、そんなに長いこと眠っていた訳ではないようだ。湿った服の不快感が早起きさせてくれたのかもしれない。とても喉が渇いているからそのせいかもしれない。どちらにせよ、起きられたのは嬉しいが、感謝はしない。
 そんなことよりねえさまだ。目覚まし時計のアラーム時間までにはまだ少し時間がある。目の前でねえさまが眠っている、これは神様のくれたチャンスに違いない。迷わず、わたしはねえさまの布団を剥いでみた。
「くふあ」
 ねえさまは長袖のシャツを着ていたが、下はぱんついちまいだった。なにこれ。絶対狙ってますよね、ねえさま。お誘いですよね。はあはあと息を荒げて、布団を元に戻す。寒くて目を覚まされてはかなわない。せっかく神様がくれたチャンスなのだ。ねえさまが信奉するのはおっぱいの神様である。つまり、何はなくともおっぱいを堪能して、神様に敬意を表明しなくてはならない。ならないのだ。絶対。わたしのせいではない。
 その前に、まずは水が飲みたい。身体の水分が全部愛液と汗になって出てしまったのではないかというほど、喉が渇いている。水分を出しすぎて肌もカサカサだ。ベッドから這い出て、台所へ行った。盗蟲の大集落となっている、悪名高きプロンテラ上水道のお世話になるのは少しばかり気が引ける。市販の飲料水が瓶入りで並んでいる中から、一本拝借させて頂くことにする。1リットル入りの瓶を傾けてあっという間に空にした。我ながら驚くべき飲みっぷりである。ねえさまの買い置きを勝手に頂くのは申し訳ないけど、今度おいしいお酒でお礼をしよう。水を飲んだことではっきりしてきた意識を確認しながら、ねえさまの眠るベッドへ戻る。寝るためではない。
「ごくり」
 擬音をわざわざ口に出して、唾を飲み込む。大きめのベッドの上に座って、ねえさまの寝顔を覗くと――うわあ、何だかこれ、たまらない。右手で、シャツ越しにねえさまのおっぱいに触れる。法衣の上からではなかなか測りにくいその膨らみは、わたしよりも大分豊かなようだった。布団の中にあったねえさまの胸は温かく、感触からすると、当然といえば当然だがブラは着けていない。起こさないように慎重に、少しだけ押してみる。柔らかい。鼻血出そう。幸せ、変態に生まれてホント良かった。柔らかい感触の中に、僅かな出っ張りを感じる。
 ねえさまの乳首だと思うと、今日されたことを思い出してしまい、胸の先がきゅんと熱くなった。触りすぎでひりひりして痒い。反対の手で自分の左胸の先に触れる。服越しでもジンと来る感覚があった。ねえさまの顔を見ると、穏やかにすうすう眠っている。起こさないように、シャツ越しに右手の人差し指でねえさまの乳首に触れた。
 ねえさまの表情に変化はない。でもわたしには確信がある、ねえさまは絶対にこうすると感じるはずだ。ねえさまは病的なまでの乳首フェチである。自分がされるよりも相手にするのが好きみたいだけど、自分で気持ち良くないことをあんなに好きになるはずがない。ねえさまはきっと、わたしと同じかそれ以上に胸が弱いはずだ。昨日ねえさまにされた触り方も、『こうするとこんな風に感じる』とバッチリ解っている人の責めだ。服越しに爪で擦られれば、追い立てられて堪らない気分になる。直接指の腹で回して捏ねられたら、ズンとお腹の奥に響いてくる。ねえさまは自分でしたか誰かにされたかして、その感じを知っている人なのだ。これは、間違いない。
 斜めに指の腹でノックを続けると、返る感触が少しずつ硬いものになってきたのがわかる。ねえさまはお気に入りの瞬間だ。いつの間にかわたしも大好きになってしまった。ぷっくりは正義である。自分の乳首にも同じことをしながら、ねえさまの乳首が膨らんでいくのを観察する。できれば一緒に膨らませたかったけど、残念ながら自分のはすでに硬かった。
「すぅ……ん……すう……」
 ほ、ほらやっぱり。寝息が少し鼻に抜け始めた。眠っているのに、乳首をこつこつされただけで、こんな風になるなんて。ねえさまはやっぱり、ここが気持ち良いのだ。
「ねえさま……」
 わたしがねえさまを責めていて、それに仄かな反応が返ってくる。眠っているからこそねえさまの意思に関係なく。かっと頭に血が上るような感覚がして、自分が興奮していることを知った。
「すう……ふう――ん、ん……はぁ……」
 こつこつこつこつと飽きもせずノックを続けると、寝息のリズムが乱れ始めた。疲れているし、まさかこれくらいのことで起きるとは思わないけれども。それにしても、良い反応である。ねえさまかわいい。
「ねえさまは、こんなことで……気持ち良いんだ」
 起こさないくらいの静かな声で言ってみる。ゾクゾクと背を這い回る、くすぐったい感じ。わたしは自他共に認めるマゾさんだが、こうして『自分のされたいことを相手にする』という役回りは、サドさんならずともかなり来るものがある。相手がねえさまと言えばなおさらだが、きっと寝ているからこそできることなのだろう。ねえさまはわたしの性癖をよく知っているのだし、責めて感じているわたしはすぐに取って食われるに違いない。なにより今日は、うっかり起こしたら最後、『仕事があるからさっさと離れて』とか言われてしまうに決まっている。ねえさまはそういう人だ。
「……気持ち良い夢、見てくださいね」
 疲れているだろうし、きっとそう簡単には起きないだろう。ねえさまの乳首が押し上げた布地を、指先でこしこし擦る。左手では自分に同じことをする。身を捩りたくなるようなむずむずした感覚。わたしはこれが好きだ。
「ぅふぁ、ん、ねえさま、ねえさまぁ……」
 あまり呼びまくると起きてしまいそうなので控えるべきなのだろうが、ねえさまと呼ぶたびに、何だかものすごく興奮する。オナニーしながらねえさまを呼ぶのはもはや癖である。しかし、目の前で当人が寝ているというのは、その、有体に言えば、ヤバいのだ。そう、変態的に、かなり危険である。
 ねえさまの乳首を愛撫する指先に、汗が滲んできている。シャツに染みこんでいるのか微妙に手触りが変わってきた。少しだけ爪を使って、こりこりしてみる。自分の乳首がそれを欲しがったから、ねえさまにも同じようにするのだ。
「っくふ」
「ん……」
 むずがるように眉間に皺を寄せたねえさまは、わたしに背を向けるよう寝返りをしてしまった。慌てて手を離す。起きた訳ではないようだ。触りにくくなってしまったので、少し考えて、わたしはねえさまの布団の端を掴んだ。そのまま、もそりと――頭を布団の中へ突っ込む。
 布団の中の蒸した熱気――ねえさまの体温で温められた空気を吸いながら、ショーツしか身に着けていないねえさまの下半身を覗く。そう、わたしはこれがやりたかったのだ。ねえさまの匂い――寝る前にシャワーを浴びたらしく、石鹸の匂いが微かにする――に混じり、さっきまでここで寝ていたわたしの、汗とかもっとアレな液の匂いなどが濃密に充満している。ねえさまの太腿に頬擦りして、しばらくうっとりと陶酔。この下着に覆われた内側を触りたい気はするけれど、そんなことをすればきっと起こしてしまう。それは不味かった。
 ねえさまにはニオイフェチニオイフェチ言われるわたしだけれど、あまり露骨な匂いは好きではないのだ。なので股間に顔を埋めるような変態行為はしない。わたしはノーマルなのだ。なので、ねえさまのシャツの裾から、中の匂いを嗅ぐ。息苦しくなるまでそんなことをしていた。実にノーマルである。
「はぁ……はぁっ」
 顔を外に出して酸素を取り込む。きっとわたしの顔は真っ赤で、髪は寝癖などでメチャクチャだろう。ねえさまはと言うと、とても安らかに眠っている。ごくりと唾を飲んだ。貧血にでもなったように頭がくらくらする。今度は、頭でなく身体でねえさまの布団に入った。二人並んで広いベッドで寝ている、それだけで、わたしは簡単に我慢できなくなるのに。ねえさまの寝顔と、匂いと、体温で、わたしはどうしようもなく興奮していた。身体を右――ねえさまの背中の方へ向けて、右手は左胸、左手は……あんなにイかされたのに、懲りもせずまた疼き出している秘めた園へ。
88226たんdame :2006/12/28(木) 19:54:13 ID:GbJbX/zo
「んは、ふ」
 左胸に下から掌を当てて、人差し指の先で乳首を擦る。左手で股布を横へ退かして、秘部を露出させる。まだ触らない。もっと触りたくなってからだ。
「ねえ、さまん、っふ、ねえさま……」
 ねえさまの背中を視線で舐めて、左手をねえさまの太腿へ伸ばす。しっとり汗で湿っていて、もちもち。う、わ、やらしい感触。右手は掌の底を胸のスリット辺りに押し当てて固定し、人差し指だけ小刻みに躍らせる。痒くなっているそこからは、軽く指が布地を押すたびにじんじんとした気持ちが込み上げてくる。
「あぁ……ねえさまぁ、ねえ、さまぁぁ」
 こんな簡単なことで、わたしの声は自分で聞いて恥ずかしいくらいトロトロに蕩けていた。こんなことしてると、街でねえさまを見ただけでオナニーが我慢できない子になってしまうんじゃないだろうか。ねえさまの太腿を触る手が、自分の股間に伸びそうになって、我慢する。
「ねえさまぁ、して、いいですかぁぁ……」
 右手を脇の下に窮屈に畳んで、右胸の乳首を、やはり布地越しに、親指の先でつつく。加減がしにくいのがかえって気持ち良くて、ねえさまの背中に甘ったるい吐息をぶつけてしまう。乳首しか触っていないのに、腰が勝手に揺れ出す、この感じがわたしは好き。下を直接するのと違って、へその下あたりが中で絞られて、お腹が勝手に引っ込むような、この感じ。
「やあぁ、ねえさまぁぁ、したい……、おなにー、したいぃ……」
 親指の関節から上をくいくい動かして、指の腹と爪で乳首を追い立てる。こういう触り方は、布地越しのほうが気持ちが良い。そして、こういう触り方は、ねえさまにされたように――ものすごく、下が疼くのだ。自分の身体をイメージする。乳首が震えて、痺れが身体の中をきゅんきゅん回って、子宮をつついて、物欲しそうにそこを竦めさせる。限界まで縮んだら、乳首の震えがクリトリスに殺到して、真っ赤に腫らして疼かせる。暗殺者として人体の急所を学んだときの図みたいに、リアルに思い描く。もっとエッチになるように、わたしの身体を追い立てる。乳首を一擦りするたびに切ない声が漏れて、身体が腰から波打って、くねる。触りたい、触りたいけど――めちゃくちゃ気持ち良い。こういうのも、マゾに入るんだろうか。
「ねえさまぁさ、触りますぅぅ、もうだめぇぇ、ねえさまで……しま、すぅう」
 聞こえてたら怒られるだろうなあ、と思いながら、小さな声でそう言って、わたしの左手は目的地へ伸びた。つん、と敏感な突起に包皮越しに触れる。んく、と息を呑んで衝撃に耐えた。右手は反射的に自分の身体を抱くように位置を変えた。仕方なく、攻撃対象を左胸に戻して、指先で撫でる。左手は、上からクリをそっと圧迫する。
「んっふぅぅ、はっね、え、さまぁぁ」
 どうしよう。本当に頭がどうにかなりそうなくらい気持ち良い。こんなオナニーが毎日できたら、家に篭って一日中遊んでいそう。中毒になる。クリを圧迫した指を、飽きもせず濡れに濡れた膣穴に添え、愛蜜を掬い取る。たっぷりと指に絡めて、刺激を切望する突起に塗り込める。思わずふにゃふにゃした声で喘いでしまう。触れた感じ、少し違和感があった。いつもより敏感で、あと、それだけではなく――。
「あっく、んふあぁあねえ、さ、まあぁん」
 指で押して、手前に引く。ぶるっと肩あたりが震えて、涙が滲んだ。半分くらい被っていた包皮をむりやり剥いたのだ。そのまま触れると、ぴーんと背筋を突っ張って、喉を逸らして、乳房に爪を立てて――辛うじて、イかずに済んだ。何これ、敏感すぎる。そして、違和感はどうやら正しいようだった。
「ぁふぁぁ、ねえさまぁ……クリ、おっきくなってるよぉぉ」
 ねえさまに散々焦らされ、嬲られたせいだろうか。一時的なものかもしれないが、いつもより膨張の度合いが大きい。そしていつもよりも敏感で、あまつさえ貪欲である。正直、今、ものすごく触りたい。これ、指の腹で捏ねたりしたら――ごくりと唾を飲む。さぞ気持ち良くイってしまうことだろう。目覚まし時計が鳴るまで、時間はあまり無い。でも、ここでいってしまうのは、やっぱり勿体無い。気持ち良いのをもっと愉しみたくて、わたしは右手を胸のスリットから、服の下へ入れた。薄い乳房を覆うように掌を差し入れると、中指と薬指の間に硬くなった乳首を感じる。
「はっあ、あぁぁあぁぁ……」
 長い息を揺らしながら吐いて、中指と薬指を互い違いに上下させ、乳首をこりこりと刺激する。左手はイってしまわないように慎重に、きっとぷるんとかわいい顔をしているだろうクリの上に、指を置く。胸と一緒に刺激すると、気持ち良いだけではなく、頭が『触りたい』で一杯になる。それがとても気持ち良いのだ。
「ね、ねえさまぁ、すごい、きもちぃ、なん、か、いつでもっ、イける……かもぉ」
 ねえさまの背中に顔を押し当てて、ぼそぼそとうわ言のように呟く。ねえさまの寝汗の匂いで、左手が勝手に動きそうになるのを、必死に押し留める。その分右手を激しくしようと、中指の腹で乳首を倒して、引いて擦る。ねえさまに焦らされたのを思い出して、気持ち良いのを我慢する。頭の奥のほうで、何かがチカチカと白く点滅していた。
「ふあ、ぁぁ、クリ撫でるぅう、ねえ、ねえさまぁあい、いいいきたいけどぉ、まだま、ままだだめぇえ……」
 ねえさまの背中に頬擦りしながら、自分でも何言ってるかわからない。たまにうまく喋れず、カチンと上下の歯をぶつけたりもしている。ヤバい薬でも決めてるように見えるかもしれない。いきたくてたまらない気持ちを煽って、でもいってしまわないように、加減して我慢して最高に気持ち良くなっている。ねえさまのせいで、これは完全に癖になった。
 そのとき、ねえさまが突然、こちらへ寝返りを打った。慌てて顔を引いて、身を逸らす。その拍子に、クリに当てていた左手の中指が、『コリッ』と擦れた。
「――っふ……っくあ、あ、あ、あああ」
 あ――ダメだ、止まらない。そう思ったと同時に、顔をねえさまの胸へ埋める。ねえさまの右乳首はまだ外から見ても場所がわかるほどに尖っていて、吸い寄せられるようにそこに口を付けた。
「あむ、ん、ねえさまぁぁあ……っんむぅぅ」
 肩で圧し掛かり、シャツの布地越しにねえさまの乳首を咥え、唾液を染み込ませて吸う。右手は人差し指の爪と、指先の肉の間に乳首を挟むように、押し込む。左手は小刻みに、震える指の腹で、つやつやのクリを繰り返し磨いていた。ねえさまの表情を伺う暇もなく――。
「――っ、ん、じゅ、ちゅう、んんっくんんんぅ」
 腰をクイクイ後ろへ突き出して全身を震えさせて、わたしはイっていた。何かが壊れそうなほど気持ちが良いのを押し退けて、同じ責めを続ける。もう一回、いける。きっと。辛いけど、我慢して、もう一回。ねえさまに、もっと、されたい。
 ねえさまの乳首をしゃぶりながら、目だけでねえさまの顔を見る。何だかとても、『気持ち良さそう』に眠っていた。寝汗の染みた布の薄い塩味に酔いながら、ねえさまの顔を見て、狙いを外さないようにクリをこしこし磨く。ねえさまが眉を動かすと、びくんと感じる。口元が動くと、ぞくぞくが背筋を駆けていく。鼻から甘い寝息が漏れると、それは、とどめになった。
「ん、ぅん――ん……っ、んんんん、んんぅん、ぅむんぅ――」
 喘ぎはねえさまの乳首で噛み殺され、逆流して、頭の中をグチャグチャにして、喉と鼻からヘンな音を立てて漏れた。クリに指を当てたまま痙攣したせいで、余韻も何もあったものじゃない。ぶるぶる震えて感じて、腰は引きっぱなしで、達した。今度こそ――イヤって程に、満足した。
89226たんdame :2006/12/28(木) 19:54:31 ID:GbJbX/zo
 一人エッチに夢中になりすぎたせいで、ほとんど時間が残っていなかった。意識が戻ってきて身体が動けるようになるまでにも、少し時間が必要で。ようやく身を起こし、すやすや眠っているねえさまの涎を舐め取って――テーブルの上に置いてあった具装を身に付けた頃には、ねえさまが起きる時間まで残すところ10分程度だった。
 朝食くらい用意して恩貸し――もとい、恩返しをしたかったのだが、その時間はなさそうである。仕事にプライドがあるねえさまのことだ、今日もしっかり頑張るのだろうし、朝からわたしが居ては邪魔になる。早々に退散せねばならない。
「よし」
 とりあえず、脱衣所で水に放り込まれていたねえさまのぱんつを確保した。最優先である。洗う前だから、洗わずに乾かして穿こう。きっと素敵。
「あとは……」
 そうだ、伝言くらい残して行かなくては失礼だろう。道具の中に紙があったはず。

『しょうらいのゆめ 2ねん 2くみ 6ばん
 わたしのゆめは、さいあいのねえさまにおかされることです。いつもわたしをつめたくあしらうねえさまが、ほんのすこしのよくぼうをひとみにうかべて、わたしをすきなようにいじめてくれたらいいとおもいます。ああ、そうなったらなんてしあわせでしょう。』

 ……ええっと。
 しまった、少し前にねえさまに見せようと思って、子供のつもりで書いた作文が殴り書いてある。ああ、わたしって無邪気だなあ。そして幸せです、ねえさま。こんなに早く夢が叶うなんて、思ってませんでした。
 とはいえ、乙女チックにうっとりしている場合ではないのだ。この際この紙の裏でもいいから、ええっと――。
 ――と、文章を考えていると、ねえさまの目覚まし時計が、けたたましくベルを鳴らしたのだった。


「あんにゃろ……!」
 ねえさまの毒づく声が脱衣所から聞こえる。ああ、やっぱり気付いたらしい。わたしの懐に仕舞いこまれた、ぱんつちゃんの失踪に。

 ――仕事にプライドがあるはずのねえさまは、どうやら今日は休みにするらしかった。
「通勤は不便だけどこの際伊豆かしらね。あの変態にバレないように……はあ、最悪」
 変態のストーカーな下着泥棒を撒くために、早々にここを引き払って引っ越すのだろう。なんとも、残念な話である。


 おしまい


 わたしはといえば。現在、クローキングでベッドの残り香を堪能している次第です。
 これからの季節、イズルードは寒いですよ、ねえさま。
90226たんdame :2006/12/28(木) 19:56:05 ID:GbJbX/zo
ながーい。お目汚し失礼しました、企画はきっとこれで終了です。

あ、すっかり忘れてましたが、この作品はフィクションです。
登場人物は実在のキャラクターとは一切関係ありません。ありませんったら!
91名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/12/28(木) 20:57:19 ID:nN61Eyyg
まったく、なんて変態だ・・・。
(´ヮ`*)ウヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ
92名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/28(木) 21:30:01 ID:vXF12fdo
…え〜…これが、萌え尽きるってことなんすかね…?
エロすぎて萌えすぎて変態ちっくだけどこう、こう、たまらんものがあるですよ!
93名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/28(木) 22:25:22 ID:wptCA8eE
こ、この変態っ!
徹頭徹尾、頭から尾てい骨まで変態っ。
ラストのクローキング大好きです。
94名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/29(金) 03:45:21 ID:UctBYX0Q
お、恐ろしい娘……ッ
だが そ れ が い い
この変態ぱぅわーの凄まじさッ
濃厚すぎてドロドロですようぎぎぎっぎぎぎ
95名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/29(金) 12:08:13 ID:inurdYCs
お、お、おかしらーー!
226たんがえ、え、え、え、えろろろろえろばあ!(北斗風)
96名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/30(土) 03:20:37 ID:tnbVCMLU
>>90
マジで自キャラですか^^

>アサシンクロスとして相応の修練を積んだ身。
>アサシンクロスのうちでもさらに一流に数えられる。
>智謀優れた将として知られ…

・・・なるほど!( ..)φメモメモ
97名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/01(月) 20:00:05 ID:DJQrstbY
とりあえず、新年ですし。
お題だけ置いていきますね
]ω・)ノ^『姫始め』
]ミ
98名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/01(月) 21:31:56 ID:vxOuQVdY
|ー゚)<期待してますよ
|ミ
99名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/02(火) 07:41:00 ID:vtw/Lcso
崑崙で見かけたアサクロたんとパラ子たんのPT名がヒメハジメだた・・・
その後二人はドコへ消えたのか・・・気になる
10041のひとsage :2007/01/04(木) 09:12:03 ID:Ps3POhIg
新年あけましておめでとうえろす!
お題に沿ってみたけれど、やっぱアレかもしれません。
短くまとめる練習とえろすの特訓もかねて姫始めをば。
※登場人物は前回と同様です。わからない人は前作を読んでいただければ幸いですけん。
10141のひとsage :2007/01/04(木) 09:12:29 ID:Ps3POhIg
寒波吹き荒れる首都プロンテラの街中。室内で暖炉を焚いていても寒いと感じてしまうほどの冷気が渦巻く。
にもかかわらず、街はお祭りムード。それもそのはず、今日、ほんの一時間ほど前に日付が変わったばかりの今日。
年が明け、次の年へ移ったその日。所謂ハッピーニューイヤーというヤツ。
いつもなら寝静まっている街も、月明かりに対抗するかのように明るくドレスアップされている。
歓喜と祝福の声がいくつも響き合い、辺りに酒の入ったグラスが人と共に舞っている。
かくいう私も、このお祭り騒ぎに便乗してちゃっかり飲んでいるあたり、そういうことが好きな人間だと思う。

場所はいつもの安宿。だがしかし、目の前にある酒瓶とグラスはいつもの安酒とは違う。
細長いグラスに満たされた液体は高価な宝石を液体にしたような美しい色合い。底から立ち上る泡が美しさをさらに彩る。
酒瓶に張られたラベルには「Henriot―アンリオ―」と刻まれている。ゲフェン辺りで作られる発泡性のワイン。
下町ではほとんどお目にかかれないタイプの酒だが、ここの宿の親父は独自のルートで仕入れてるらしい。
無論、こういうときにしか出さない「秘蔵っ子」というわけで。私たちはその秘蔵っ子を美味しく頂いている。
「おかわりぃ〜」
間抜けな声が私の耳に入る、こら、こういう酒はそんな飲み方するもんじゃない。
「も少し落ち着いて飲みやがれ、さっさと潰れるぞ、つか潰れるような飲み方すんな、このバカモンク」
上等な酒を前にしての会話じゃない、情けないな、とは思う。
「だってぇ、すーって入っていきますよぉ、このお酒ぇ〜」
そう、この手の発泡酒はひどく口当たりが軽い上、炭酸のせいでするする飲めてしまう。
しかし、アルコールは決して低くなく、酒に慣れてないヤツが飲むとあっという間に潰れてしまう。
目の前の白い修練服は、今まさに、そのパターンにキマりつつある。
「気持ちはわからんでもないが、てめェは酒、慣れてねェんだろうが。自分の限界ってヤツをちったぁ考えろ」
言ってはおくが、多分もう戻れないとこまできてる。あと30分も持つまい。
諦めのため息をつきながらアンチョビ・オリーブを齧り、グラスの中身を流し込む。
「―――ぷはぁ、こんなお酒はじめてぇ〜」
「……なんかいつもよりすげェバカっぽく見えるぜ、ストラ」
いや、ぽいどころか確実にバカになってる。
「ふへへ〜……んん……」
「あ、おいコラ、こんなとこで寝に入んな、せめて自分の部屋まで―――」
「ん……ふぅ……」
早かった。寝入るまでに1分とかかってない、いろんな意味で新記録じゃないか、これ。
「―――ええい、言わんこっちゃねェ……親父、上がるわ」
空になったフルートグラスを置き、顔を真っ赤にして寝息を立てるストラを担ぎ上げた。
「残った酒と肴は他のヤツにでも融通してくれや、勿体ねェしな」
その言葉を聞きつけた回りのテーブルからはちょっとしたサンキューコール。なんだかんだで浮かれてるらしい。
寝入った酔っ払いを担いで、コールを送るヤツらに後ろ手を振りながら、私は二階へ上がった。
10241のひとsage :2007/01/04(木) 09:13:12 ID:Ps3POhIg
「たくよ、早々に潰れやがって。いくら新年だからってアレだぜ?」
「んにゃ……」
聞いちゃいないんだろうが、なんとなく言ってみる。きっと意味もない。
「私は部屋もどるぜ、明日の朝様子見にくっからな」
またも聞いてないんだろうけど、とりあえずそれだけ言ってベッドから離れようと―――
がしっ、ぐいっ
―――右手を掴まれる。ついで強い力に引っ張られる。バランスを崩し、力で引き寄せられたベッドの方へ倒れこむ。
「ぅ、わっ」
固い布団の感触と、鎧の上から伝わる柔らかい圧迫感。
「しよ?」
耳元で囁かれる言葉、その言葉で今現在、私が置かれた状況を理解。
引っ張られて、倒れこんだとこ抱きすくめられて、私の顔に思いっきり自分の顔を近づけた状態。
「しよう、って……何をだよ」
「初えっち」
なにいってんだコイツ。
「いやまててめェ、こっちの意思はどーなるっつーか私はその気じゃ―――」
「いやっていっても、しちゃうから〜、あむっ」
不意打ちのキス。私自身を貪るように、激しく唇を蠢かす。
初めて交わったあの時と同じ、甘い味と柔らかい感触。アルコールの名残か、苦味をわずかに感じる。
口の中に割って入ってきたざらつく感じの何かも、私には覚えがあった。
このバカ、いきなり舌入れてきやがった―――ッ
歯茎を舐め、内頬をなぞり、上あごをくすぐり、舌同士を絡める。彼女の舌技に私はだんだんとろけてくる。
私の中の女が目覚める。淫らな私が首をもたげる。
ヤバい、いけない、スイッチが入る。なんとかやめさせないと―――ヤバい、気持ちいい……
はっきり残っていたはずの私の理性は、彼女のキスの前にあっというまに空中分解した。
「ぷぁ……んふふ〜」
「ぁ……ぁぅ……」
ストラの唇が離される。気持ちよかった感触がふっ、と消えた。
「スイッチ、入っちゃいましたね〜……ヘルガさんの、女の子のスイッチ」
スイッチ、初めてのあのときから、ストラにこういうキスをされるとスイッチが切り替わるように、体が熱くなる。
熱くて、ストラに触れられたくて、たまらなくなってしまう。体がそのための準備をしてしまうのだ。
「悪ぶってて、カッコいいのに、キスされると途端に可愛くなっちゃうんですよね〜……」
おかげで私は今、いい様にされてしまっているわけだが。
「そんなカッコよくて可愛いヘルガさんが、私は大好きですよぉ……」
「酔った勢いで、とんでもねェこと、いうんじゃねェ……」
語調を乱さぬのが私の最後の砦。直したくても直せるものじゃないから、滅多には崩れないが。
「んふふ〜……」
淫らでそれでいて美しい笑みを浮かべて、ストラの手は私のふとももの内側をなぞる。
「ミニスカートって便利ですよね、こーいうときはぁ……」
私は今日ほど、プリーツのミニスカートが標準制服の一部であることを激しく呪ったことはない。
もっとも、内側の私は恨みよりも、歓喜の声のほうが大きい。
「鎧は脱がせないから胸は触ってあげられないのが残念ですけどぉ―――」
手はふとももを遡って行き、段々と、そして。
「ここでいっぱい、可愛がってあげますから……ね」
くちゅり、と、私の秘所で音を立てた。
「ふぁ、っ」
触れてもらえた、という大きな充足感と、恥ずかしい、という少しの羞恥心。
「ん……可愛い声。もっと、聞かせて」
下着越しに、弄られる。キスからいきなりのダイレクト攻撃。少しの刺激から徐々に昂ぶっていった普段の行為からは
考えられない、初っ端からの大きな快感。だけど核には触れないもどかしさ、ここまでくると、一度イクまでスイッチを元に戻せない。
「あっ、ふぁっ、あうっ、あううぅっ」
愛液を滴らせているそこのカタチをなぞるように上から触れて、下に到達すると、今度は逆に指をはしらせる。
その上下運動で擦り上げ、もどかしい快感を持続させてくる。
「やっ、あっ、あんっ、んぁっ」
直接触れてほしい。直接弄ってほしい。欲しい、欲しい、欲しくてたまらない。
「……ぱんつ越しじゃなくて、直接触ってほしい?」
見抜かれてる。カンペキに見抜かれてる。覚えてろよこのバカモンク。
「焦らしてもきっと可愛いけど、今日は焦らしは無し……」
その言葉に安堵感すら覚える私。こんな状態で焦らされたら、絶対おかしくなる。
「でも、逆も、面白そうだよね……ね?ヘルガさん」
イヤな予感、焦らしの逆ってどういうことだ。
思考する間もなく、秘所に冷たい外気の感触。続いて膣内にいきなり叩き込まれる、よく知った異物感。
「ッ!あああっ!」
指を入れられた、一気に第三間接の根元まで。さっきまでのもどかしさとは打って変わり、私を飲み込もうとする快感。
股間から背筋を電撃が走り、頭の頂点まで駆け抜ける。
「ああっ、あああっ、うぁあっ」
「早くもイきそうなのかなぁ、きゅうきゅう締め付けてくるよぉ……」
快感という電撃は止まらない、止めてくれない。休む間もなく、指を抜いては挿し入れ、また抜く、ピストン運動の繰り返し。
「2本目、イっちゃえ」
抜き挿しの途中で、さらにもう一本、指が増えた。さらに上乗せされる快感に、私は限界を迎える。
「やっ、あああっ、あああぁああっ」
頭が白くなるあの一瞬。意識が爆ぜるあの一瞬がやってきた。気持ちいい、ということも考えられない一瞬。
「はっ、ぁっ、ぁ、ぁ……」
体中がびくんびくんと痙攣する。普段なら、そこから少しずつ意識が冷めていくのだけど。
今日はそんな―――甘くは無かった。
「まず、一回目。次いってみよ?」
「つ……次って、なんだ―――うああっ」
挿入したままの指を再び、しかも激しく動かし始める。
「待っ、おねが、待ってっ、イったばっか、でぇっ」
それでも待ってくれない、それどころか余計に激しく指を突き入れる。
手首の捻りも加わって、螺旋状に私の膣がえぐられる。こんな激しすぎる責め、初めてだった。
待ってと言うほど、イヤと喚くほど、強烈に快楽を投げつけてくる。
「止めてあげない。逆って、いったでしょう?」
「やだっ、やっ、あぁぁああぁっ」
先ほどよりも早く、また絶頂まで登り詰めてしまった。
―――それでもまだ、2本の指は止まらなかった。
「ああぁあぁあっ、やだぁぁっ、やだぁあああっ」
イったと思ったその次にもすぐに、次の絶頂。私の意識は、登ったままで降りてこない。
「とまんなっ、とまんないぃぃっ、とまんなぁああああっ」
力が入らない。全身がガクガクいってる。動かそうとおもっても、絶頂ですぐ気をやって体が動かない。
「イキっぱなし、ここも、締め付けたまんま、変わんないよぉ……ふふ」
まだ止まらない。ストラが何か言ってるけど、聞き取ることすらできない。
「ああああぁっ、うああああああっ、はっ、あぅぅぅうあああっ」
連続的に訪れる絶頂の間隔すらなくなってきた。自分がイってるのか、イってないのかすらわからない。
「可愛い、可愛いよぉ、ヘルガさぁん……」
アタマの中がぐちゃぐちゃになってく―――
10341のひとsage :2007/01/04(木) 09:13:44 ID:Ps3POhIg
「はっ……はっ……は、ぁっ」
責められ続けてどれくらい経ったか。かなりの時間が過ぎた気がする。
声を上げる体力すら無くなって来て、でも未だ、私の意識は気絶もしてくれない。
もう、快楽なのか苦痛なのかすらわからなくなって、私はただされるがまま。
いろいろもう限界なのに、ストラはまだ解放してくれない。本気で死にそうな辛さ。
「もっ……やっ……やぇて……」
呂律すら回らなくなった、マジで死ぬかもしれない。頭の神経が焼き切れそう。
「よく、がんばりました。じゃあ、これで……」
子宮口近くまでかき回してた指が止まり、入り口辺りまでずるずると引き抜かれる。
その入り口付近、少し窪んだポイントを軽く、確認するかのようになぞられる。その次の瞬間。
「とんでいっちゃえ」
押し込んだ。その場所を激しく責め立てた。
「ああああああああああああっ!」
最後の体力をもぎ取られるような、地獄の快感。そして。
ぷつん、意識が堕ちて―――


「……ん……くっ」
目を開く。見慣れたようで、どこか違う天井。なんだかデジャ・ヴを感じる。
体中がギシギシしてる。なぜかと思い、すぐに原因を探り当てる。
その原因の元凶たる人物が隣にいることももちろん。
「こンの、クソバカモンクッ!てめェ本気で殺す気―――あ?」
けろっとした顔で寝てると思ったクソバカモンクのストラは、青い顔で横になっていた。
「うぅ……あたまいたい、きもちわるいぃ……」
土気色の顔色と死人のような表情。身に覚えがある上、よく知った症状であった。
「うぇえ……」
よくある、飲みすぎの後に訪れる主症状であり、その名も
「……人のことさんざ虐めておいて、自分は二日酔いかよ……言葉もねェや」
「はぅぁあ……」
この死にそうな顔を見てると、怒る気もなくなってくる。辛いんだよな、これ。
「水くらいはもってきてやる。それに効く薬はなかなかねェからな、まずは水分とっとけ」
とりあえず、ぐちゅぐちゅになった下着だけは替えにいってからと、ベッドから立ち上がった瞬間。
「うわっ、とぉ!?」
床にへたり込んでしまった。腰に力が入らない。昨日のアレは相当にダメージがあったようで、主に腰への。
―――いつかぜってェ仕返ししてやる。そう胸に誓い、ふらふらとした足取りで自室へ向かった。


いや、きっと仕返しはムリだろうなぁ……。ちくしょう、バカモンクめ。好きだけどさ。
10441のひとsage :2007/01/04(木) 09:15:17 ID:Ps3POhIg
お付き合いどーもでした。

読み返してみると、226さまと259さまの劣化に見えなくもないというこのていたらく!
みんなもお酒の飲みすぎに注意ネー(゜ω゜)
105名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/06(土) 02:09:13 ID:AgbqIlf6
えろーす。
上手く言えないけどヘルガさんとストラさんの関係っていいなあと思います。
仕方ねえなあって言っててエッチでは完敗で、でも結局嫌がってないヘルガさんとか。
ステキ。
106226たんsage :2007/01/06(土) 09:40:59 ID:KlmR7tL.
読ませていただきましたー

えろーいじゃないですか、何が劣化かと。
これで安心して焦らしものを書けます。

…あれ?
107レニャチェリの人sage :2007/01/06(土) 12:48:06 ID:ZltEgMWc
なんだかヘルガ=レーニャ、ストラ=チェリムのような気がする。
でもえちくてGJです〜

私もレニャチェリ姫はじめ書こうかな……
108名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/07(日) 02:50:45 ID:pZTCOVEU
レニャチェリ期待age
wktk
109名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/07(日) 07:23:49 ID:3OoFT8bI
ヘルガ&ストラキタ━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━!!!
41の人キタ━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━!!!

愛のある2人のお話が大好物です(´¬`)GJ!
綺麗に改行してあるので読みやすかったデス。
110名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:08:58 ID:YnDj9J5M
なんだか最近皆様筆が進んでおられますね〜。
そんな中、私もちょっと浮かんだので、書いてみました…。
焦らしプレイ、と聞いてこんなのはいかがでしょーか、と。
今や私の看板娘となったあの子が再登場です。
111名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:09:17 ID:YnDj9J5M
しん…と静まり返った、光のほとんど刺さない場所。
魔物たちの巣窟、グラストヘイム古城の中でも特に隔絶された室内。
古城の2F、テラス状になっているところからのみ入れるその場所は、冒険者もさほど訪れない。
そのためか、普段ならば静かなのだが…。
「もう、マリちゃんてば、相変わらず可愛いですね〜」
「やん、プリ姉さま、そんなに抱きしめたら苦しいですよ〜」
「…え〜、この場合あたしは、二人纏めて抱きつけばいいわけ?」
などと、華やかで賑やかな声が響いていた。
室内の中でも、さらに奥の奥。
人も、魔物すら滅多に近づかないような場所に、三人の人影があった。
正確には、二人と一体、だろうか?
一人は、濃紺の衣装に身を包んだプリースト。
もう一人は、真紅の、露出度の高い衣装を身につけたローグ。
そして、もう一人…人にあらざるほどに真っ白な肌とワンピースを纏った存在。
マリオネットと呼ばれる魔物。
本来ならば敵対し、戦うはずのこの三人が、なぜか和やかに談笑していた。
「それにしても…こうしてまた三人で、新しい年を迎えられて…本当に良かったですね〜」
そう、しみじみとプリーストがつぶやく。
「ありがたいことです…異動になった時はどうしようかと思いましたけど」
頷くマリオネットの言葉に、ローグも表情を柔らかくする。
「最初いなくなった時は慌てたもんねぇ…でも、こうしてまた会えて、ほんとよかった」
そうして、またマリオネットの体を抱きしめる。
プリーストとローグの間に挟まれ、二人から抱きしめられるマリオネットは本当に嬉しそうだ。
しばらく、そんな穏やかな空気が流れていた、のだが。
「そうですね〜…こうしてまた会えて…もっともっと、マリちゃんのことを知ることができますし〜」
にっこり。
そうとしか表現できない笑みを浮かべながら、プリーストがマリオネットの体に手を這わせた。
「やっ…あ、プリ姉さま…そんな、いきなり…それに、あたしの、その…体のことは、隅から隅までご存知でしょう…?」
おずおずと、顔を真っ赤にしながら、小さな声で囁くようにマリオネットが答える。
羞恥からなのか、それとも…少しずつ体が反応してしまっているからか。
小刻みに体を震わせながら、やや上目遣いにプリーストを見上げる。
「まあ…確かに、今更、だけど…何度調べても飽きがこないってのは確かにあるわね」
背後から抱きすくめるようにしながら、ローグが耳元で囁く。
吐息が耳朶を掠めた、ただそれだけで…マリオネットの少女の体はひくんと震えた。
思わず、何かを耐えるかのように、目をつぶる。
「もちろん、マリちゃんの体はとっても素敵ですから…何度も調べたくなりますけど〜」
言葉だけの抵抗をしながら逃げようともしないマリオネットへと覆いかぶさるように体を寄せながら、プリーストが微笑む。
「今日は、もうちょっと違うところを調べてみたいな、と思いまして〜」
112名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:09:34 ID:YnDj9J5M
え?とマリオネットとローグが不思議そうな顔になる。
と…不意に、マリオネットの手があがった。
「きゃっ、あ、あれ、え…?」
不思議そうな声をあげたのは、マリオネット。
まるで、意思に反して体が動いたことに驚いたような。
「あらあら〜やっぱり、マリちゃん、こうしたら動いちゃうんですね〜」
いや、本当にその通りだったのだ。
マリオネット…操り人形のその名の通り、少女の体には操り糸がつけられている。
普通ならば、それを繰ることなど考えないのだろうが…このプリーストに常識を求めること自体が間違っている。
などと、一人ローグは頷いたりしていた。
「ちょ、ちょっとプリ姉さま、やめてください…そんな、やぁん」
体が自由にならないまま、マリオネットは抗議の声を発する。
否、本気で嫌がってるわけでもないが。
しかし、思うように動かせないまま、さらに好き勝手操られて。
体は気がつけば、あられもない格好…を通り越して、いっそ笑える格好にすらなっていた。
「ありゃりゃ、さすがのプリでも人形繰りは早々上手くいかないかぁ…あ〜、マリってばパンツ丸見え」
一人傍観者的立場になったローグは、そんなことを気楽に言っている。
丸見え、と言われて慌ててマリオネットは膝を閉じようとするが、しかしプリーストがそれを許さない。
「や、やだ、ローグ姉さま、見ないで…見ちゃやぁ…」
恥ずかしそうにいやいやと首を振るマリオネットの顔は赤い。
しかし、ローグは視線を外すことなく…どこか意地悪な笑みを浮かべていた。
「本当に見られたくないの?なんだか、嬉しそうな顔してるんだけどなぁ」
「なっ、違います、そんな顔してませんっ!」
慌ててマリオネットは顔を横にそらそうとした、が。
「うふふ、だめですよ、マリちゃん…こっち向いてくださいな〜」
プリーストが糸を操って、マリオネットの顔をまたローグへと向けさせた。
「だ、だめです、本当に…あたし…だめぇ…っ」
抵抗しようとしても、体が言うことを聞かない。
隠そうとした表情は…見せたくなくて、見られてしまったその顔は。
体の奥から湧き上がってくる熱に浮かされたような、潤んだ瞳。
唇が、物欲しげに半開きになってしまっているのが、自分でもわかってしまうほど。
だから、見られたくなくて…でも、見られてしまって。
それが一層、体の熱を生み出してしまう。
「マリは見られるだけで感じちゃう、エッチな子なんだもんね…?ほら、もう濡れ始めてる…」
くすくす、と小さな笑い声を響かせながら、ローグが顔を寄せる。
まだ、マリオネットの少女の体には触れてもいない。
それなのに、マリオネットは自分の体の変化に気づいて、顔を真っ赤にしてしまう。
「ち、違います、まだ、そんなことは…」
「まだということは、これから濡れてきちゃうということでしょうか〜」
間髪入れずにプリーストがそう囁くと、途端に黙り込んでしまう。
今まで何度も何度も体験してきたこと。
それが思い出されて、何も言えなくなってしまった。
「んふふ、今日は…ずっと見てるだけ、っていうのもいいかも知れないね?」
そんな意地悪なローグの声に、マリオネットが弾かれたように顔を上げる。
「そんな…っ…ローグ姉さま、今日は意地悪です…」
うるうるとした瞳を向けられると、今度はローグが言葉に詰まる。
悪いことをしているような罪悪感と…それ以上に。
今すぐにでも襲い掛かってたっぷりと可愛い声で鳴かせてあげたい。
強烈な衝動とともにそんなことを思いながら、それでもなんとか我慢する。
「今日はマリちゃん、大変ですね〜意地悪さんが二人もいるんですから〜」
「…自覚はあったのね…」
にこやかなプリーストに、ぼそりとローグが一言。
…途端に向けられた視線に、びしっとローグは硬直し、ぶんぶんと首を振っていたりしつつ。
「まあ、ともかく〜…私もそろそろ、意地悪しちゃいましょうか〜」
と、幾分糸の扱いに慣れてきたのか、プリーストがそんなことを言った。
113名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:09:55 ID:YnDj9J5M
「え、あ…きゃっ…や、だ、だめぇ…こんなのぉ…」
プリーストの言葉の意味を理解するよりも先に、マリオネットの手が動いた。
いや、動かされた。
ローグの目の前で、プリーストに操られて。
マリオネットは、自分で自分の胸を、触っていた。
ゆっくりと、最初は撫でるように…徐々に徐々に、大胆に、強く。
ワンピースに皺が寄るほどに、強く。まだ発展途上中の膨らみを、気がつけば揉みしだいていた。
「だめ、とか言いながら…随分気持ち良さそうじゃない?」
一人遊びを始めたかのようなマリオネットを、楽しげに…そして艶っぽい瞳で見つめながら、ローグが囁く。
吐息が触れるほどに近いのに、まだ、触れてくれない。
それがもどかしくもあり…そんな視線の先で自分で触れているのが、恥ずかしくもあり。
何よりも、それが…とても、気持ちよくて。
だけど。
「あうっ!プリ姉さま、そこ違う…もっと、こっち…あぅっ!!や、そんな、もっと優しく…あうぅ…もっと強くぅ…」
自分以外の誰かに操られる体。
何よりも、操ることにまだ習熟していない繰り手。
気持ちいいのに、決定的に気持ちよくなれない。
もっとこうして欲しいのに…もどかしさが募っていく。
「もう、マリちゃんってば贅沢さんですね〜そんなに気持ちよくなりたいんですか〜?」
そんな意地悪なプリーストの囁きに、思わずマリオネットは口をつぐむ。
…それも、しばらくのこと…また、唇は開いてしまう。
「だって、だって…こんなのぉ…はくぅんっ!!そ、そこです、そこ、もっとぉ!」
操られた指先が、何度か胸の頂を掠めた。
待ち望んだ刺激が与えられた途端に、びくんと体が跳ねて。
思わず、はしたない声で、恥ずかしいおねだりをしてしまう。
「ん〜?どこですか〜?ここですか〜?」
そうして、プリーストは…わかっているからこそ、わざと指先を外す。
「ち、違ぁ…んぅっ、こ、ここっ、ここですぅ!」
そんなプリーストに気づいているのかいないのか、マリオネットは胸をそらし、体を揺らして。
少しでも、指先がその先端の突起に触れるように体を揺する。
「どこを触ればいいの?ちゃんと言わないとわかんないよ?」
そんなマリオネットの痴態を特等席で堪能しながら、ローグがさらに意地悪に囁く。
「そ、そんなぁ…恥ずかしい、よぉ…でもぉ…」
さすがに、直接言葉にするのは恥ずかしいのだろう、マリオネットはためらう、が。
「ふふ…ちゃんと言えたら、ちゃぁんと触ってあげますよ〜?」
プリーストの囁きに、一瞬言葉が止まる。
しばらくの逡巡の後に…恐る恐る、といった感じで唇を開いた。
「さ、触ってください…あたしのっ…あたしの、乳首…いっぱい、触ってぇ!」
羞恥で顔を真っ赤にしながらのおねだり。
間近でみたローグは、それだけでくらくらとのぼせそうになってしまう。
「はい、よく言えました…じゃあ…いっぱい、触ってあげますね〜」
「ひゃうんっ!!あ、そこ、そこですぅ!いっぱい、いっぱい触ってぇ!!」
にっこり笑って、プリーストが糸を繰る。
途端に、マリオネットが体を跳ねさせ、声を弾ませた。
いつものプリーストの指使いよりもずっとずっと拙いもの。
それでも、欲しいところにようやっと触れてくれた指。
しかも、それは自分の指で…指先に、こりこりとした感触が伝わってくると、それだけでも恥ずかしくなる。
普段とは違う…自分で触っている、けれど、プリーストに触ってもらっている。
そんな不思議な感覚。
さらに、そんな自分の痴態を間近でローグに見られている。
…大好きな二人に見られて、操られて…自分で自分を慰めているところを、見られてしまっている。
それがとても恥ずかしくて…それ以上に、とても気持ちよくて。
「あうぅぅ!もっと、もっと触ってぇ…もっと見てぇ…あたしの恥ずかしいところ、全部、全部っ!!」
ワンピースはたくしあげられ、ほとんど全裸に近い体を晒してしまっている。
胸を覆う下着はすでになく、下半身を覆う下着を残すばかり。
ほっそりとしたたおやかな肢体を、熱で朱に染めながら。
一番真っ赤になって尖っている先端を、見せ付けるように胸を張る。
体をくねらせるほどに揺れるそれが、指先で弾かれて、さらに刺激を生んで。
もはや、見せるためなのか、弾かれるためなのか。
それさえもわからぬほどに、体を大きく揺り動かしてしまう。
「ふぅん…そんなに見られたいの…?硬く尖っちゃってる乳首とか…ぐっしょり濡れてるところとか」
ローグはそう囁くと、すぅ…と一瞬だけ、マリオネットのそこを指先で撫でた。
濡れて生地が張り付き、形がうっすらと見えるほどになったその場所は、かすかに触れられただけでもびくんと震える。
が、それ以上は、触れられない。
それがもどかしいのか、マリオネットはさらに腰を揺らして
「は、はい、見られたい…見て欲しいですぅ…ローグ姉さまに…プリ姉さまにも…あたしの恥ずかしいところぉ…」
もじもじと腰を揺らしながら、突き出すように…少しでも見られるように、とその場所を見せ付ける。
114名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:10:16 ID:YnDj9J5M
「あらあら〜そんな恥ずかしいこと言っちゃうマリちゃんには…ご褒美あげませんと、ね〜」
心の底から楽しそうにプリーストはそう言うと、糸をまた操る。
少女の手が、足が、動いて…ややぎこちない動きで、下着へと手をかけた。
「あ…プリ姉さま…まさか…あぁ…やぁ…ほんとに、見えちゃうよぉ…」
懇願するように。
しかし、体は一切抵抗することなく。
二人の視線をたっぷりと浴びながら、その視線の先で、自分で脱ぎ始める。
自分以外の意思で動かされてはいる、が…その意思は、自分とずれてはいなくて。
ただ、どうにもその手つきがぎこちなく、もどかしい。
「…ん〜…なかなか見えてこないね〜」
特等席に陣取りながら、ローグがそんなことをつぶやく。
退屈そうな口調は作っているが…視線も言葉も、熱っぽくて。
そんなローグに応えたいのに応えられないマリオネットは、じりじりと焦りのようなものを感じていた。
早く、早く動いて…脱がせて。…早く…見せたい、見られたい…。
「さすがにちょっと、手足同時は難しいみたいですね〜」
マリオネットの気持ちを知ってか知らずか…あるいはわざとか。
プリーストはそんなのんびりした口調で、ゆっくり、ゆっくりとマリオネットの手を操る。
少しずつ、少しずつ…露になっていく。
その感覚は、とても恥ずかしく…それ以上に。
とても、とても気持ちよくて。
「ああ…だめぇ…もっと…もっと、見てぇ…見てくださぁい…」
腰をもじつかせ、思うとおりに動かない足を、手を、少しでも動かそうと。
少しでも、早く脱げるように。少しでも早く、見てもらえるように。
そんなマリオネットの努力の甲斐があったかどうか…。
「ふふ…見えてきちゃいましたね〜」
「ほんと…マリの恥ずかしいところ、もうびちょびちょだよ…?」
ついに、二人の前に熱く潤んだ泉が曝け出された。
「あふぅ…見えてますか…?あたしの、あそこ…もっと…見てぇ…」
それだけで軽く達してしまったのか、ぴちゅ、と小さく飛沫が飛び散った。
うっとりと蕩けるような声でおねだりしながら、とろんとした瞳で二人へと交互に視線を流す。
「じゃあ、もっと見やすいようにしてあげませんとね〜」
プリーストが、それはもう楽しそうに。
すっかり慣れたのか、糸をさらに操って…。
「あ…プリ姉さま…こんなかっこう、恥ずかしいよぉ…」
両膝を立て、脚をMの字に開く格好…全てをさらけだしてしまう格好を取らされる。
それだけで…
「とか言いながら、マリってば…もっと濡れてきちゃってるよ?」
そう、ローグの言うとおり。
今まで以上に濡れてきてしまっているのを自分でも感じているから、かぁっとさらに羞恥で頬を染めてしまう。
「折角だし、今日は…マリが自分で慰めてるところを見せてもらおうかな?」
「あらあら〜それはいい考えですわね〜」
ローグの言葉に、我が意を得たりとばかりにプリーストが頷く。
「えっ…あ…そ、そんなの、恥ずかしすぎて…んぅ…や、ぁ…」
恥ずかしそうに首を振るマリオネットの意思とは裏腹に操られた手がゆっくりと動いていく。
曝け出された肌は、視線だけでも感じるほどに敏感になっていて。
それが、自分のものではないように感じる指先に触れられて、なぞられていく。
胸元から、なめらかなおなか。おへそを軽くくすぐったと思うと、さらに下…。
その場所へと、近づけば近づくほどに、指の動きがゆっくりになっていく。
「あう…プリ姉さまぁ…いぢわるしないでぇ…」
早く、早く触れたい。
そんな欲求とは裏腹に、中々触れてくれない指先。
後、ほんの少しだけ…思わず腰を浮かせて指を迎えようとするも、そこから指先は逃げてしまって。
「だめですよマリちゃん、そんなに動いたら…まだ上手く動かせないんですから〜」
そう言われると、マリオネットも必死で動きそうになる体を抑えようとする。
…どう見ても思うがままに操っているようにしか見えない、とローグは心の中でつぶやきながら。
「早く触りたくてたまらないんだ?マリはエッチな子だね…」
そう言いながらも、自分ももう、マリオネットをめちゃくちゃにしたくてたまらない。
辛うじて押さえていられるのは…触れなくても、あまりに可愛らしく淫らな痴態を見せ付けられているから、だろうか。
「そ、そうですぅ…マリは、マリはぁ…姉さまたちに見られながらぁ…早く、触りたいのぉ…いっぱい、あそこくちゅくちゅした

いのぉ…」
涙交じりの懇願に、こくん、と期せずして二人の喉が同時に鳴った。
プリーストとローグの視線が交わって…一瞬だけ、目で会話をして。
もうちょっとだけ、我慢我慢…二人でお互いに言い聞かせあう。
115名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:10:36 ID:YnDj9J5M
「はぅっ!!あ…あ、そこ、ですぅ!!」
自分の指で触っているはずなのに。
操られている指先は自分のものではなくて。
だから、おねだりにも似た言葉が零れてしまう。
熱い泉に触れた、自分の指先。
くちゅり、と音がしてしまうのが恥ずかしくて…気持ちよくて。
もっと、もっと、と思うのだけれど。
「…さすがに、細かい動きは難しいですね〜…」
「や、ぁ…そこ、違うの…もっと、激しくもっと中ぁ…あふぅっ!そこ、じゃなくてぇ…んぅっ!!」
欲しいところに触れられない。
自分でならたくさん触れるのに、操られた指先は言うことを聞いてくれない。
いつもの姉さまの指先よりも、ずっとずっと不器用な指先。
欲しい刺激と、こう触りたいというイメージと。
体が求めるものと心が求めるものと、実際に与えられるもの。
その差がいつまでも埋められなくて、もどかしくて、切ない。
「お、お願いですぅ…触って、触ってぇ…あたしをめちゃくちゃにしてぇ…プリ姉さまぁ…ローグ姉さまぁ…」
恥ずかしい、おねだり。
でも、もう我慢できない。体が、心が…欲しくて欲しくて仕方ない。
自分の胎内を感じる、熱を感じる指先。
後ほんの少しだけ動けば、望むものが得られるのに。
指を、動かしたくて仕方ない。
なんでもいい、欲しい、欲しくて仕方ない。
「ふふ…可愛いマリちゃん…そんなおねだりしちゃうだなんて…」
優しい声と、残酷な指先。よく知っている、プリ姉さま。
「めちゃくちゃにして欲しいんだ?そんな格好で…」
明るくて快活で、でも優しいローグ姉さま。
二人が、見ていてくれる。
だから、こんなに切なくて苦しいくらいなのに、我慢できる。
きっと…わかっているから。
「そんなエッチなマリちゃんは…ふふ…こうしたら、どうなっちゃうんでしょうね〜?」
そんな囁きの、次の瞬間。
「ひきゃぁぁぁ?!!あふぅぅ!!!い、いやっ、ああああ!!!」
ぐちゅりと、指先が自分の中心を抉るようにかき回していた。
プリーストが、操っているのでなく。
…否、プリーストが糸から指を離したから。
自分の意思が指先を操った瞬間に…途方も無い快感が襲ってきて、真っ白に染まってしまう。
「マリったら…そんなに激しくしちゃうくらい我慢できなかったんだ?」
ローグの意地悪な声も、どこか遠くに聞こえている。
それくらいに…自分の指に、溺れていた。
待ち望んで待ち望んで、与えられなくて…それでも、待ち望んでいた刺激。
それが、堰を切ったように与えられる。
暴力的なまでのその刺激は…めちゃくちゃにしているその指は。
間違いなく、マリオネット自身の指先だった。
「あらあら、こんなに激しく…マリちゃんってば、実はテクニシャンさんだったんですね〜」
「違っ、違ぁのぉ…ふやぁぁぁ!!いっちゃう、またいっちゃうぅぅ!!指、止まらないよぉぉ!!」
必死に否定するように首を振っても、指先は止まらない。
恥ずかしい音を響かせながら、飛沫を撒き散らしながら…二人に見せ付けるように。
見られている、欲しかったところに触られている。
長くコントロールを奪われていた体は、欲しくてもお預けをされていた体は。
自分の体でないような、自分の体だから思う存分めちゃくちゃにできるような。
そんな不思議な感覚が一層、感覚を強めていた。
「いくぅ!!あふぅっ、あ、またぁ…だ、だめぇ…またっ、またぁっ!!」
「マリってば…何回いっちゃうのかな…?」
「ふふ…何度でもいかせちゃいましょう…?協力してあげませんと〜」
自らを慰めて、乱れ狂う少女。
その痴態をうっとりとした眼で見ていた二人は、ようやく少女へと体を寄せる。
「ひやぁぁ?!あぅっ、そ、そこはぁ…そこもっ、いいのぉ…っ!もっと、もっとくださいぃ!」
プリーストの指先が、するりと少女の後ろへと忍び込む。
きゅうっと締め付けるような小菊は、しかし滑る液体をまとった指先に解されて。
程なく、こじ開けられ…蹂躙され始める。
「じゃあ、あたしはこっちだね…マリのおっぱい、こんなにぷっくりしてる…」
「いやっ、言わないでぇ…あくぅっ!!ああっ!!ち、乳首だけでいっちゃうぅぅ!!」
曝け出されたままの胸元へと、ローグが顔を寄せた。
と、その尖った先端へと口付けて…かぷり、と歯を立てる。
普段なら痛いくらいの刺激すら、今のマリオネットには快感として感じられて。
びくん、びくんと背筋を痙攣させながら、さらに胸を突き出すようにそらせる。
「マリちゃんってば…そんな恥ずかしいこと言っちゃうくらい気持ちいいんですか〜?」
聞くまでもないことを言いながら、プリーストはさらに少女を責め立てる。
小菊へと忍び込んだ指は2本に増えて、容赦なく広げ、中をこすりたて。
そのたびに少女の体は跳ね、さらに自身の泉をかき回す。
「あふぅぅ!!い、いいんですぅ!あ、またっ、またぁ…すごいのくるぅ!!」
もはや、マリオネットは真っ白になったまま戻ってくることもできず。
反射的に返す言葉すら、呂律が妖しくなっていた。
びくんびくんと断続的に起こる痙攣は、そのたびに達して、さらなる高みへと押し上げられている証拠か。
「いいよ、マリ…いっちゃって、いいよ…?全部、受け止めてあげるから…」
優しく囁きながら、マリオネットの胸を、めちゃくちゃに嬲っているローグ。
「ふふ…マリちゃんの可愛いところ、ちゃんと見ていてあげますからね…?」
容赦なく少女の菊座を蹂躙しながら、少女を抱きしめるプリースト。
「はひぃっ、いきます、いきますぅ!!姉さま、見ていて、見てぇぇぇ!!!」
一際大きな、少女の悲鳴にも似た声。
ぷしゃぁ…と飛沫を撒き散らせながら高みへと達した少女は、びくん、びくんと体を痙攣させ、硬直させ…
ふわりと満足そうな微笑を浮かべながら、くたりと倒れこみ、意識を手放した…。
116名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:10:56 ID:YnDj9J5M
それからどれくらいの時間が経っただろうか。
「…あ…んぅ…姉さまぁ…」
まだぼんやりと夢見心地なマリオネットが声を発する。
「あら、マリちゃん、気がついたんですね〜」
にこにこと、いつもの笑みを浮かべたプリーストが応える。
こくん、とまだ思うように動かない体ながら、頷いて返して。
…視線を、ゆっくりと動かす。
「…どーしてローグ姉さまは、裸で、しかもぐったりしてるんですか…?」
聞くまでもないことだが、思わず聞いてしまう。
「だって…あんまりにマリちゃんが可愛く乱れてくれたんですもの〜
 もう、私も我慢できなくって…でも、気絶しちゃってるし〜ですので、つい、ね〜?」
「つい、であそこまでしちゃうんですね…」
にこやかなプリーストの言葉に、マリオネットは呆れていいのやら畏怖していいのやら。
今まで二人と体を交えてきた中でも、ローグがあそこまでぐったりしてしまうのは数えるほどではなかったろうか。
「そう、そして、マリちゃんが起きたから、次は待ってましたとばかりに、なんですよ〜?」
がし、と両肩を掴まれる。
…それだけでもう、体に力が入らなくなってしまう。
「あ、あの、プリ姉さま…お手柔らかに…」
多分言っても無駄なお願いを、それでも一応してみる。
「はい、大丈夫ですよ〜次はこれで…ね〜?」
そう言いながら、プリーストが取り出したのは…チェインだった。
マリオネット自身が常に持ち歩き、時折プリースト自身も持ってくる、それ。
鎖を繋げた形の鈍器であり、武器である、はずなのだが…。
その特殊な使い方を何度も体に刻み込まれたマリオネットは、こくんと喉を鳴らす。
「ほ、本当にお手柔らかにお願いします…」
思わず、そう懇願しながら。
自身の体が、またほころび始めたのを感じて、頬が熱くなる。
受け入れてしまう自分の体に羞恥を感じながら。
受け入れることの悦びもかみ締めて。
なされるままに、プリーストへと体を開いていく。

グラストヘイム古城の、室内の一室。
静かなはずのその場所には、いつまでも幸せそうな甘い声が響いていた。
117名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 02:12:58 ID:YnDj9J5M
以上です。
焦らし、ということで、こういうアプローチもありかな〜と。
こういうのも楽しいなぁ、なんて思ったりしてる辺り、ちょっと道を踏み外しつつあるなぁ、とか思ったりしつつ。
それでは、百合スレのますますの発展を祈りつつ、今日はこれにてっ!
118名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/09(火) 02:44:09 ID:MvQ0qyEU
良いですね!いつものようにえろいのもうきゃーですけど
なんとなく、古き良き時代のROというか
個人的にROが一番楽しかった頃を思い出しました。
ほんとに良かったです。ありがとうございました!
119226たんsage :2007/01/12(金) 23:32:30 ID:NoiaS2T.
■唐突ですが突発座談会!■

時間:今から
場所:Fraya アルベルタ船室内

今決まりました。259の人と自分しかいませんが、お暇な方どうぞ!
しばらくやってます。解散したらこちらで連絡しますねー
120226たんsage :2007/01/12(金) 23:40:54 ID:NoiaS2T.
勢いで書いたため鯖名間違えました、Freyaでお待ちしております
121110sage :2007/01/13(土) 01:10:50 ID:ZyCrLZ4A
>>118
感想ありがとうございます!
古きよき時代、ですか…私もそれなりに古い人間なので、もしかしたら何か共通するものがあったのかも知れませんね。
私にとっても一番楽しかった時代が、もし一緒だったとしたら…素敵な偶然な気がします。


本日の座談会にはちょっと参加できませんが…参加者の皆様、どうか楽しんでくださいましっ!
122226たんsage :2007/01/13(土) 04:22:32 ID:TOLPFVdM
なぞの突発座談会、ひとまず解散しますー。
が、まだ人は残ってるみたいです。自分はダウンです、失礼。
123名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/13(土) 04:36:46 ID:6B8PKWUE
なぞの座談会参加者は全員撤収しました。
124226たんsage :2007/01/15(月) 00:28:13 ID:woBRFDSU
座談会で振ったネタをうっかり勢いに任せてSS化してしまいました。
所要時間五時間。内容はマニアックのきわみなので要注意。ダメだと思ったら早めに逃げてください。

↓のシリーズ読んだ後の方がわかりやすいと思います。
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php?%C4%B9%A1%CBx%A1%DFy%A1%E158534%2Fx%CA%D4-1
125226たんsage :2007/01/15(月) 00:28:46 ID:woBRFDSU
 目の前でねえさまが薄く眠っている。かつてない興奮に心震わせ、何があるはずもないのにキョロキョロと周囲に注意を配り、わたしはそれを見ている。
 ――え、何、この状況。
 整理すると、今日の昼まで遡るのだが――。


「――あげるわ、それ」
「わあ、ありがとうございます!」
 イズルードのある料理屋での一幕だった。仕事が休みだったねえさま――ねえさまと言ってもわたしが一方的に慕う義姉さまであって、実の姉妹ではない――は、ここで「寿司」なるアマツの魚料理を注文していた。戦場で研ぎ澄まされた勘を持つアサシンクロスであるわたしは、ねえさまの気配を察知してそこへ駆けつけたというわけである。ねえさまの好物である寿司をルーンミドガッツで出す店は、近くにはこの海鮮料理屋くらいしかない。アルベルタにも数軒あるそうだが、現在イズルード住まいのねえさまがそこまで行くことはないだろう。推理するのもそう難しくない。
 そうして駆けつけたわたしに対して、ねえさまは普段ならおっとりと迷惑そうにあしらうだけなのだが、この日は少し違っていた。古ぼけた包装紙に包まれた本を、『ちょうどよかったわ』と言って、わたしにくれたのだった。
「あ、開けてみてもいいですか?」
 ねえさまからのプレゼントなど滅多にあるものではなく、内容も確認せず即座に大喜びしていたのだ。一応、開封の許可を求めることにする。わくわく、何だろう。ねえさまのことだから何かの嫌がらせアイテムという線も捨てきれないが、それならそれで面白い。
「ええ。きっと気に入ると思うわ」
 眩しい微笑みを浮かべてねえさまは言った。ハイプリーストの法衣にこの笑顔はとてもマッチしている。いったい何人これに騙されたのだろう、中身は筋金入りのおっぱい星人だと言うのに。そして、この澄ました口調で話すときのねえさまは、ロクなことを考えていないねえさまだ。本来のねえさまの話し方はもう少しくだけている。今日のねえさまの口調は、以前にお姉様対乙女の演劇勝負をしたときのものに近い。これは間違いなく、何らかの嫌がらせか辱めアイテムに違いない。ねえさまのそんなところがまたたまらなく愛らしい。
 改めてお礼を重ねて包みを解く。出てきたのはやはり古ぼけた書物――『催眠術−入門から応用まで− セージキャッスル編』。
「……あの、ねえさま。これ」
「どうかしら。貴女ならきっと気に入ると思ったのだけど」
 時々、この人は本当に頭がどこかヘンなんじゃないだろうかと思うことがある。同じことをよくねえさまに言われるのだけど。
「う、嬉しいです。でも、こんな本どうしたんですか?」
「古本の露店で叩き売られていたの。きっと喜ぶんじゃないかと思って」
 確かにわたしはこういう話は大好きである。少し難しい本のようだけれど、読めるだろう。
「貴女の趣味の助けになるんじゃないかしら」
「は、はい……」
 ここでいうわたしの趣味というのはきっと自慰行為のことだ。それもねえさまのことを想ってするような。前に自己暗示がどうのこうのという話をねえさまにしたような気もする――つまり、ねえさまは『貴女はこれを使って私の幻とエッチしてればいいのよ』と言いたいのだ。うわあ、それってゾクゾク。

「――どう? 面白い?」
「はい、すっごくためになります」
 素早く、でも内容はしっかり頭に刻みながらページをめくる。実践的な本だった。
「ねえさまは読んだんですか?」
「ううん。私は貴女ほど興味ないもの」
「すごく面白いです、ありがとうございます」
「今度成果を聞かせてね」
「はいっ。――ねえさま、早速試しましょうよ。ねえさまのお家で!」
 ダメ元でムチャクチャ言ってみる。案の定、ねえさまは『は?』と言うような表情をしている。
「ですから、ねえさまで試すんですよ」
「待って。――どうしてそうなるの? 第一、貴女を家に上げるのは」
「いいじゃないですか、ねえさまの新居知ってますし。入ろうと思えばいつでも忍び込めますよ」
 引いたら負けである。多少ムチャクチャでも、ここはわたしの理屈を通すのだ。
「だからってね。第一、私に催眠術かけてどうするつもり?」
「どうって……何もしませんよ。後に残るようなこともしません」
 これは本当である。いろいろ言えないようなことももちろんしたいが、わたしはねえさまにけっして嘘をつかないのだ。――前に『初めてかしら』と聞かれて大嘘吹いた気もするが、不可抗力である。
「信用できないわ。変態だもの」
「ねえさま、逃げるんですか。って言うか、わたしみたいな素人の術にかかるんですか、ねえさま」
「かからないと思うけど」
 ねえさまは素直な人である。性格はとてもひねくれて真っ直ぐである。矛盾しているようだがそれがねえさまなのだ。
「じゃあ、いいじゃないですか。面白そうですし」
「……解ったわ」
 しばらく考える素振りを見せた後、ねえさまはそう言った。
「でも条件付き。貴女みたいな変態には当然よね」
「条件ですか?」
「まず、最初にわたしが貴女に試す。それでかからなかったら、私に」
「……はい、それでいいです」
 予想外の展開だが、望むところである。まさかとは思うがもし掛かってしまっても、ねえさまの性格上、絶対わたしで遊ぶに決まっている。きっとものすごく恥ずかしい目に遭うだろう。ねえさまに遊ばれるなんて、幸せそのものではないか。
「あと――さっきの『何もしない』っていうの。しっかり約束しなさい」
「ええ、もちろんですよ。わたしの、ねえさまへの愛に誓って。何かあっても、わたしはねえさまに何もしません」


 ――かくして。
 ねえさまのわたしへの催眠術はことごとく失敗。その後お茶を飲んで休憩して、わたしがねえさまに掛ける番となり。
「この声は貴女の心の声です……言うとおりにすると気持ちが良くて、とても安らげます」
 本をよく読んだお陰か、はたまた――お茶に少量混ぜた、アサシンギルド謹製の自白剤がうまく効いたのか。ねえさまはソファに座ったまま、気持ちよさそうに眠っている。演技ではなさそうだ。
「わたしが手を叩くと、貴女は目を覚まします。でも、ここでのことは思い出せません。思い出せないだけで、心の奥ではよく覚えていますよ」
 頷いたのか沈んだのか、こくりとねえさまの頭が下へ傾いた。
「いいですか? 覚えたことを言ってみてください」
「……手をたたくと……目を覚ますけど、ここでのことは思い出せない……でも、覚えてる……」
 ぼそぼそと呟くようにねえさまが繰り返す。わたしはというと、それを聞いているだけで興奮してしまってしょうがない。
「はい、そうです。目を覚ましてから、わたしが貴女の目の前で手を叩くと、またすぐにここへ帰って来られます。気持ち良く眠って、貴女の心の国に戻れますよ。いいですね」
「目の前で……手を叩かれると……眠って、ここに帰ってくる……」
「はい。ここでのことは、貴女の心の奥に刻み込まれて、絶対に忘れません」
「忘れない……」
「では……目を覚ましますよ。いち、に……」

126226たんsage :2007/01/15(月) 00:29:15 ID:woBRFDSU
 ――ぱちん。
 わたしが掌を叩くと、ねえさまは驚いたように顔を上げた。
「どうしたんですか?」
「……ちょっと、びっくりしたの」
「あ、ごめんなさい。……どうでした?」
 一応、聞いてみる。掛かっているなら覚えていないだろうし、演技ならボロを出さないだろうから、ほとんど無意味だけれど。
「全然。その本インチキなのかしら」
 いえ、たぶんこれ、とても実用書です。
「そうですか……ねえさま、ちょっといいですか」
「何? ……あ」
 そっと近づいて、猫騙しのようにぱちんと手を叩く。すぐにねえさまの肩が落ちた。

「……ここはどこですか?」
「私のへや……」
 しまった、この聞き方ではダメらしい。
「貴女は今、どこにいますか?」
「……私の……心の中……」
「はい、そうです。この声は貴女の心の声ですね」
「はい……」
 どうやら、問題なかったらしい。……さて、これからどうしよう。
「いいですか。貴女の部屋に遊びに来ていた友達は、遅くなる前に帰りました。家には貴女一人です」
「はい……家には私だけ……」
「誰も居ないのだから、誰かが居ても気になりません。見えていても声が聞こえても、居ないので気になりません」
「……はい」
 これで、わたしは居ないことになったはず。わたしからねえさまに何かしてはいけないのだから、これでいい。
「貴女に質問をします。これは貴女の心の声なので、正直に答えなくてはいけません。正直に答えると、気持ちが良いです。いいですね?」
「はい……正直に答えます……正直に答えると、きもちいい……」
「じゃあ、まず……好きな食べ物は何ですか?」
「……」
 あ……そうだ。こういう、考えて答える質問は良くないのだ。
「……お寿司は好きですか?」
「はい……」
「ワインは好きですか?」
「はい……」
 答えるたびに肩がソファに沈んでいき、下を向いていて表情は良く解らないが、口元がだらしなく緩む。ねえさまの考える『気持ちが良い』って、もしかしてエッチな気持ち良さだったりするのだろうか。
「今日遊びに来ていた友達は、好きですか?」
「……、……はい」
 嬉しいけど、今の間は何だろう。問い詰めたいけれど我慢。
「自分自身は、好きですか?」
「はい」
「……乳首は好きですか?」
「はい」
 こういう質問は即答なのに。やっぱりねえさまは筋金入りのナルシストで乳首フェチである。
 そこで、面白いことを思いついた。
「貴女は自分のことが好きです。もっと好きになりましょう、わたしがこれから貴女の肩を叩くと、叩くたびにもっと自分が好きになります」
「はい……っ」
 そう言って、ポンとねえさまの肩を軽く叩く。
「もっと自分が好きになりましたか?」
「はい」
 ぽん、ぽん、ぽん……ゆっくりとねえさまの肩を叩く。
「これで、貴女は自分のことがたまらなく大好きになりました」
「はい」
「もっと好きになれます。自分を愛してしまいましょう」
 ぽん、ぽん……ねえさまの頬が赤くなっていく。
「鏡を見ただけでたまらなくなりますよ」
 ぽん、ぽん、ぽん……。
「これから肩を叩くと、貴女の大好きな乳首も、もっともっと好きになりますよ」
「はい……」
 数秒時間を置いてから、ぽん、ぽん、ぽんと、三回叩いてあげる。
「自分のことは好きですか?」
「はい、大好きです……」
「乳首は好きですか?」
「はい……大好き……」
 自分から大好きと言ってくれるほどになった。良い感じである。
「……自分の乳首は好きですか?」
「……すごく好き……」
 ……よし。たぶんこれでOK。
 ここでまたひとつ、変なことを思いついた。わたしはこういうことを考えるのは得意なんだなあと呆れる。
「いいですか、貴女が自分で『ちくび』と言うたびに、貴女の乳首が敏感になります。気持ち良さを敏感に感じますが、痛くはありません」
「はい……ちくびって言うと……乳首が敏感になるけど、いたくない……」
「それでは、わたしが手を叩くと目を覚まします。ここでのことは思い出せませんが、心の奥でしっかり覚えていますよ」
「はい……覚えてます」


 ――ぱちん。
「……あれ」
 はっと気が付いたように顔を上げるねえさま。わたしの方に見向きもせず、時計を見ている。居眠りしてしまったと思っているのだろう。
 なにやら納得がいかないような顔をして、ソファにだらしなく座っている。すぐ向かいに座っているわたしには気づいていない。たまにこちらを見るが、見えてはいるのだろう、一瞬視線が止まる。でもすぐに戻り、何となく納得がいかないような顔になる。……何だか、ねえさまがものすごくかわいい。
 ここまできたら確定的である。ねえさまは演技でもなんでもなく、しっかり掛かっているのだ。
 そうと決まればやることは一つ、ねえさま観察である。

127226たんsage :2007/01/15(月) 00:29:41 ID:woBRFDSU
「……」
 観察を始めて数分。ねえさまの様子がおかしくなった。グラスに注いだワインを見て固まったまま動かない。いや、ちらちらとグラスを見ては視線を逸らしを繰り返している。
 ――そこで思い至った。ねえさまが見ているのはワインでもグラスでもない。グラスに映っているねえさまだ。
 唾を飲む音が聞こえた。静かな部屋である、向かいの席に座ったわたしにまでしっかりと聞こえた。
「……んっ」
 グラスを手にとって勢い良く傾けるねえさま。一息で飲みきってグラスをテーブルに置き……いや、置かずに手元へ戻した。
「……はぁ……はぁ」
 一息にお酒を飲んだせいか呼吸が荒い。食い入るような目で、目の前に持ち上げたグラスを覗いている。そして、とろんと目尻が下がる。
「はぁ……」
 色っぽい表情のまま、うっとりとグラスに見入っている。ねえさまならずとも心奪われるような、物凄くかわいい光景である。わたしなどはねえさまにぞっこんなのだから、ただごとではない。両手を腹の前で組んでゾクゾクくる震えを抑えている。
「……やだ、かわいい……」
 ほう、と熱い息をつきながらねえさまはそう呟いた。グラスの球面では良く解らないだろうに、口や目の筋肉を歪めていろいろな表情を作っている。きっと、どんな表情でも愛しくて仕方がないのだろう。そして、わたしの知っているねえさまは、そんなに愛しいひとを見ても身体の欲に繋がらないほど貞淑な女性ではない。
「はあぁ……どうしたんだろ……」
 グラスを持つ手が震えながら、それをテーブルへ戻す。カーテンを閉めようと思ったのだろう、よろよろと立ち上がってベランダの方へ歩き出す。歩き出してすぐに足が止まった。
 ――カーテンの閉まっていないベランダのガラス窓、その向こうはもう夜で。
 つまり、そこにはねえさまの姿がくっきりと映っていた。
「あ……あ、あ」
 立ち尽くして口をぱくぱくさせるねえさま。うわ、かわいい、とわたしが思うのもつかの間。ねえさまは弾かれたようにベランダの窓へ走り出していた。

「はぁ、はぁッ、や、やだぁ、私……」
 ガラスに顔を押し付け、頬擦りを始めてしまうねえさま。手がもぞもぞ動いているのは、頑張って服を脱ごうとしているのだろう。正気を失っていては上手く脱げないらしい。
「やだぁ、あの変態みたいじゃない、これじゃ……っちゅ、ん」
 舌を伸ばしてベランダに映る自分とキス。窓なのだし、きっとあまり綺麗じゃないのだろうと思う。悪いことをしたかもしれない。むしろ、あの変態って誰のことですか。
「んちゅ、んっふううん、か、かわいい……かわいいわ私……っ」
 ねえさまも潜在的には立派に変態だという確信を強めた。あの暗示でこんなになるとは、いったいどれだけナルシストなんだこの人は。
「はあっ、あふ、がっつかないでよ……ちょっとは待ちなさいよ、変態じゃないんだから……」
 腕立て伏せでもするように、両手で窓から身体を引き剥がす。そのまま勢い良く押して、尻餅をつくように後ろに座り、法衣を脱ぎ始める。はぁはぁと荒い息が、静かな部屋に妙にはっきり響いていた。もしかして、わたしはとんでもないことをしてしまったのではないだろうか。
 ――ねえさまは、上半身だけ器用に脱いで、ブラは投げ捨て、法衣は腰から床へ垂らして座り込んだ。いつのまにかショーツも投げ捨ててある。いつのまに脱いだのだろう。
「や、やらしい身体……っ、かわいすぎ……お、おかしいわよおおっ」
 ねえさまはやはりねえさまらしく半分脱いだ姿のまま、それをガラスに映している。カーテンの閉まっていないベランダの向こうは夜。外からは丸見えだろう。そうそう人通りのある場所ではないとはいえ、これは少しまずいかもしれない。
「ね、ねえぇえ、なんで、なんでよぉ、なんでそんなにかわいいのおおぉっ!?」
 ねえさまは粘ついた声でそう叫びながら、ガラスに飛びついて身体を擦り付けはじめた。きっとひんやりして気持ちいいだろう。なんでそんなにかわいいのって、わたしが聞きたい。ねえさま、かわいすぎる。
「はあぁあ、あん、やだ、やだやだやだ、気持ちいい……っやだやだやめてやめてよおぉっ!」
 本当に自分とエッチしているつもりになっているのだろうか。左手が左乳首を摘んで捏ね回しているのが見える。もしかして、普段トリップしちゃってる時のわたしってこんな感じなのだろうか。少し恥ずかしいかもしれない。
「やあああっなにこれぇええ、かわいすぎ、きもちよすぎ、おかしいのおぉっ、ちくびっっふあぁッ!?」
 突然、ねえさまの身体が跳ねて、ガラスに打ち付けられた。
 ――貴女が自分で『ちくび』と言うたびに、貴女の乳首が敏感になります。
「ふひゃあああ、ひゃう、なに、なになにこれえええええっ、ちくびヘンになっふひゃあああっ!?」
 ねえさまはそのまま窓から弾かれて床に転がり、両手で乳首を摘んで転がり回る。水揚げされたばかりの魚のように、身体を捩る動きだけで床から跳ね上がる勢いだ。
 止めるべきか悩んだけれど、あまりにねえさまがかわいすぎて、わたしは一歩も動けなかった。
「ひぃあ、ひぃいイく、いくいくいきゃああっ、ちくび、乳首でいっちゃあああああっッ!!」
 きゅうううっと抓るように乳首を引っ張って、脚をバタバタさせて床を叩き、腰をがくんがくん振って悶えるねえさま。そういえば、乳首でイけるって言ってあげるの、忘れてた気がする。……それより、これで乳首って言っちゃったのは4回目になる。一回であれだけ悶えていたのだから――。
「ち、ちくび、ちくびぃ、ひゃぐ、ちくびがあぁああ、あっ、ひ、イッ、くあ、あ、い、ちく、びぃぃ……」
 がくん、がくんとゆっくり大きく、ねえさまの腰が跳ねる。――うん、あれはイってる。間違いない。
 涙を振り撒きながら半ば白目を剥いて、全身に汗を滲ませて痙攣するねえさまに、わたしはゆっくり近づいていった――。


 ――ぱちん。
128226たんsage :2007/01/15(月) 00:30:28 ID:woBRFDSU
 大変なことになっていたねえさまを眠らせて、再びソファまで歩いてもらって。
「乳首の感度と自分への気持ちは元通りになりました。もうちくびって言っても何も起きません、いいですね?」
「……はい。……戻りました」
 少し休んでもらってから、第二ラウンドの準備を始めることにした。
「貴女は女性ですね」
「……はい」
「いいですか、よく聞いてください。貴女はふたなりになります。目を覚ますと、男性器……おちんちんがここに付いています」
 そう言って、ねえさまの前垂れをめくる。むわっと熱気を感じるほど、ねえさまのあそこは出来上がってしまっていた。
「ここには貴女のおちんちんがついています。貴女にはそうとしか見えません」
「はい……ちんこ……ついてる……」
 いや、ちんこってねえさま。そういうキャラでしたか。そういえば、そんな風に言ってた気もするけど。うーん、なんかえろくないなあ。
「いいですか、貴女は男性器を呼ぶとき、『おちんちん』か『ちんちん』と言います。他の呼び方は恥ずかしくてできません」
「はい……」
 正直これもどうなんだろうと思ったけど、他に思いつかないのだから仕方がない。
「これは敏感で、触ったり擦ると気持ち良くなりますし、イくこともできます。イったときは両手ですくい切れないほどの精液が出て、何回でもイけて、とても気持ち良くなれます。いいですね?」
「はい……いっぱい出て、何回でも気持ち良くなれる……」
「それから、目を覚ましたら、貴女の友達の言うことに逆らえません。部屋に居ないと思っても、声が聞こえたらその通りになります。何を言われたかは解りませんが、言われた通りになります」
「はい……さからえない、言う通りになる……」
「部屋には誰も居ません。何をしているかは解るけど、気になりません」
「……はい、気にならない」
 一応、同じ内容も繰り返しておく。
「では……わたしが手を叩くと、疲れもすっかり取れて目を覚まします――」


「……ん、ふああぁ……」
 何度目かになる、ぱちんと手を叩く音でねえさまは目を覚ました。一番に伸びをする。
「……はぁ」
 先ほどの激しい乳首オナニーを思い出しているのだろうか。沈んだため息をつく。そのまま立ち上がって、ベランダの方へ歩き出した。今度こそカーテンを閉めるらしい。
「ん……」
 股間に違和感を感じているのか、やや不自然な歩き方になっている。何だかかわいい。
 勢い良くカーテンを閉めると、ソファまで戻ってきて、おろむろに前垂れに手を掛けた。なるほど、違和感を確認するために、カーテンを閉めたらしい。
「……え?」
 思い切り頭上に?エモを出して固まるねえさま。そりゃあショックだろうなあ、いきなり生えてたら。
「え、おちん、ちん……?」
 あまりの衝撃的な出来事に立ちすくんで、触るに触れないらしい。ここはわたしの出番だろう。
「ねえさま、右手が勝手におちんちんでオナニーしますよ」
「……え……ひゃ、あっ」
 ねえさまの右手が輪を作って、腿の間、クリの真上辺りの空間でぴたりと止まる。たぶん先端を握っているつもりなのだろう。はっきりとは解らないが、結構大きいものをイメージしているようだった。
 明確に『オナニーする』と言われたねえさまの手が、握ったまま大人しくしているはずもない。恐る恐るといった感じでにぎにぎと指を動かしている。ねえさまの顔がたちまち真っ赤になる。
「や、やだ、何、勝手に……っ!」
 握った形のまま、ねえさまの右手はゆっくり上下に動く。先端まで来ると上の方が細くなり、しっかりとありもしない男性器の形をなぞっている。
「はあぁ、や、やめて、ねえ……」
 ねえさまの右手の動きを見ていると、わたしまで本当にねえさまに見えないおちんちんが生えてるような気がしてくる。その右手の手首を、ねえさまの左手が掴んだ。力をこめているようだがまったく止まらない。
「はふ、っ、はああぁ、はっ、ふぅぅ、は、ふぅぅ」
 リズミカルにしゅるしゅると、何も無い空間を指の輪……いや、手の筒が上下する。ときどき筒を崩して、先端があるらしき部分を指で摘んで捏ねたりもしている。
「ひあ、ふ、はっ、ふぅぅ、んっく、や、やだ、気持ち良い、これ」
 目がすっかり濁ってしまったふたなりねえさまは、おちんちんの気持ち良さにめろめろらしい。右手は根元まで下りて来ないから、クリを刺激したりはしない。つまり、ねえさまの身体は直接的には何の刺激も受けていないのだ。
「やだ、やだ、おちんちん、気持ち良いっくふあ、はぁっん」
 なのに、本当に気持ち良さそう。手の動きに合わせて腰を突き上げ、足の先までぷるぷる震えて、喉の奥から切ない声で喘ぐ。思わずわたしも自分の秘所へ右手を伸ばす。ねえさまのかわいい姿を見続けたせいで、尋常じゃない程に濡れている。左手はもちろん乳首へ。ねえさまのせいで完全にこれは癖になっている。
「ねえさま……」
「ひゃ、っぐ、だめ、これだめ、だめ、あ、ああぁあ、気持ち良くなっちゃう、ふひゃあ」
 いつの間にかねえさまは、足を踏ん張って背中をソファの背凭れに預け、腰をかっくんかっくん上下させていた。きっと、本当の男の子だってこんな気持ち良さそうにしない。何だか、ねえさまが羨ましい。身体のどこも愛撫してないのに、こんなに気持ち良さそうにして。
 わたしの方も火がついてしまい、もったいぶることもせずにクリを指先で押して、撫でる。胸はスリットから肌蹴させて、乳首を親指と中指で摘み、先端を人差し指で擦る。出血大サービスである。
「ねえさまあぁ……もっと、かわいい声きかせてぇぇ」
「はああっ、気持ち良いのぉ、おちんちんいいの、ふあん、ひゃぅあっくふぅん、おちんちんがきもちいいのぉぉ……ッ!」
 どうやら、図らずもねえさまに指示したことになってしまったらしく、遠慮の無いかわいい声を聞かせてくれるようになった。ねえさまの左手がついに右手を押さえるのをやめて、わたしと同じように乳首を触る。触り方が同じな所を見ると、気にはしていないものの、やはり見えてはいるらしい。
「くふぅあああんっ、いい、イイのぉぉっ、ちくびもおちんちんもおかしいくらいきもちイイっ!!」
「ねえさま……っく、ふあ、やあぁわたしもきもちいいよぉぉっ」
 だんだんねえさまの右手の角度が定まらなくなってきた。ねえさま自身に余裕が無いのだろう。それでも気持ち良くなってはいるようで何よりだった。わたしはといえばクリ刺激が気持ち良すぎてイきそうになっているが、ねえさまに合わせたいので我慢している。
「あっあああっや、や、やだっでっでで出るっ出る出ちゃううううっっ!!」
「あ、っあ、わ、わたしもいっ、い、イくいっくああイくぅっ!!」
 ねえさまを観察する余裕がなくなってきても、なんだかねえさまがものすごくエッチで厭らしいということだけはわかる。
「で、でっ出る出っああっああああああああああっっっ!?」
「い……ッくあ、くぅぅぅん……ッ!!」
 自分を焦らす余裕もないほど刺激的なねえさまの痴態に心焼かれて、わたしは激しく達した。
「あ、っあふ、あや、い、いっぱい、出っ、と、とまらない、あっきもち、いっふあ……」
 がくんがくんと断続的に腰を揺らすねえさまは、恐らく射精の幻覚を愉しんでいるのだろう――。

129226たんsage :2007/01/15(月) 00:31:08 ID:woBRFDSU
「やだ……掃除、しなくちゃ」
 ねえさまは大量の精液をぶちまけたつもりらしく、しきりにソファや床を気にしている。実際は何もないわけだが、愛液の染みはひょっとすると法衣から滲んでソファまで汚しているのかもしれない。
「ねえさま、動きたくなくなりますよ」
 そう言っておろむろに近づいて、ねえさまの前垂れを持ち上げて覗く。そこは思わず絶句するほどの惨状で、布を退けた瞬間熱気と淫臭が押し寄せる程だった。それはそうだろう、最低でも二回は激しくイってしまったねえさまの身体は、実際にはまだ乳首を少し触られただけの状態なのだから。とてつもなく疼いているんじゃないだろうか、これ。
 腰に下げた短剣を鞘ごと取り外して、言われたとおりだるそうに座っているねえさまの股間へ。刃の部分を鞘越しに、太腿で挟ませる。柄の部分が上へ飛び出す形だ。
「ねえさま、これがねえさまのおちんちんですよ」
 そう言って柄の先端を指先で撫でた。『んく』と呻いて身体を揺らしたところを見ると、ばっちり成功しているようだ。上から前垂れを被せると、まるで本当に生えているみたい。
「ねえさまのおちんちんは取れても痛くなくて、感覚は繋がってるし、イけますからね」
「ふあっ」
 そう言って、前垂れの中から、わたしの短剣を……ねえさまのおちんちんを、取り出した。

「はあ、ん、ふぅぅ……」
 『動きたくない』と言われたねえさまは、ソファでぐったりとして湿った呼吸を繰り返している。おちんちんを取られてしかもそれが居ないはずのわたしに持たれて、でもそれは気にならない……もしかしたら、混乱しているかもしれない。
「ちゅ、はむ」
「あふぅっ!?」
 おろむろに、わたしは短剣の柄を口に頬張った。もちろん、ねえさまに見えるように。気持ちよかったらしく、びくんと反応するねえさま。そのままわたしは、ずるりと唇をまとわりつかせて柄を引き抜き、ゆっくり舌を這わせて見せ付ける。
「ふああぁあ……な、何ぃ……? え、なんで、何でええぇ……?」
 膝をぷるぷる震わせて、『なんでかわからないけど気持ち良い』という不安を訴えるねえさま。考える余裕を奪おうと、湿った唇をまとわり付かせて口の中を前後に出し入れさせる。
「はああぁふううくふぅぅぅ……はふああぁあぁ……」
 すごく気持ち良さそう……本気で羨ましくなってくる。そっと柄を口から出して、もっと苛める言葉を口にする。
「ねえさまのおちんちんは、一回イっちゃうととてもイきやすくなりますよ」
 そう言って、ぺろりと短剣の柄、その先端を舐め上げた。
「んひぃぃっ!? や、あ、出、出っちゃああぁあぁっ」
 急激に射精の欲がこみ上げてきたのだろう。力の入らない身体をゆらゆら揺すって身悶える。ねえさま、かわいいなあ。
 わたしは反対のソファに座り、目の前のテーブルにお行儀悪く両足を掛けた。股布がズレて丸見えの性器がねえさまに向けて突き出される。もちろんねえさまはそんなものが見えても気にしないが――。

 わたしは短剣の柄を、そこへずぶりと挿し入れた。
「ふあああぁあっでっで出っ、で、出るああああっくふぅぅぅっっ!?」
「あふぅっ、ああぁあん……ねえさまのおちんちん……」
 腰をぴくぴくさせているねえさまにはお構いなしで、鞘を掴んでじゅぶじゅぶ動かす。ねえさまの秘所がひくひくして、蜜を垂れ流しているのが見える。
「あああっ、あ、あっふ、止まら、なああぁああぁあっひゃふああぁああ!!」
 そしてねえさまは、蜜どころかたっぷりとわたしの中に射精しているつもり。しかも、射精ながらむりやり出し入れさせられているのだ。きっと気が狂うほど気持ち良いに違いない。そして、それだけ感じているのに、身体への刺激は何もないのだ。気が狂うほど焦れてもいるに違いない。
「もう少しだけ、んふ、イき狂っててくださいねぇ……すぐっふ、あ、わたしも、イくっふぅぅんぁあ」
「や、やあだぁあああ、も、もぉ、絞らないでえぇえええっふあああ、出、出る出っあああぁあああっ!」
 あの落ち着いたねえさまがこんな喘ぎ方で悶えるなんて、きっととても気持ち良いのだろう。それを思うとわたしまできゅんきゅん感じてしまう。
「ねえさまあぁあ、あっ、あ、んっ、いっ、あ、イっく……っああぁあっ」
「やっやああああっやあああぁあああでっでで出っくはああぁああ」
 自分がイくために激しく速く出し入れし、それをねえさまに見せ付ける。動きたくないはずなのに首を振って悶え、ソファがぐらぐら揺れている。
「あっくっ、ふあっ、あ、ね、ねえさまっあ、あ、ああっあああああぁっ!!」
「ひゃああああっふああまっまた出っちゃああぁあああぁあっちんちんいくうぅぅっあああぁッ!」
 ねえさまの精液をわたしは感じられないのが残念だったけれど、膣内深くにねえさまを迎えて、わたしも達した。


「ねえさま、動きたくない気持ちが消えて、すっきりしますよ」
「はああぁ……はぁ、はふぅ……」
 そっと、ねえさまに短剣の鞘の方を握らせて、そう言った。身を起こしてソファに浅く腰掛けるねえさま。おろむろに、法衣の前垂れを自分でめくって覗く。ねえさまのおちんちんは手の中にあるから、普段どおりのねえさまのアソコが見えているに違いない。そして、以前ねえさまに悪戯された日のわたし並みに、そこは濡れまくっている。
「……はっあああ、や、やだ、だめ、だめだってええぇえぇえ」
 ――当然、そうなるわけで。予想通りである。

 散々お預けされた秘唇の奥深くを、めちゃくちゃ敏感でイきやすい自分のおちんちんで、それを好き勝手動かせる手で持って、激しく遠慮なしにじゅぼじゅぼ突きまくったら――どうなるんだろう?
「ひあああっぐ、ふああっ、や、やああぁああぁ、狂う、狂う狂う狂うッくふあぁああぁンっ!?」
 ――ねえ、どうですか? 気持ち良い? ねえさま。
「あッふあああででちゃッああ、ダメだめダメダメダメあああぁあッと、と止まらなッあああっで出るううああぁあっ」
 自分を慰める手はもう止めて、ねえさまが泣き叫んで自ら悶える姿をじっと見る。こんなに気持ち良さそうにオナニーする人、初めて見た。当たり前だけど。
「ねえさま、わたしのことがちゃんと見えて解るようになりますよ」
「っくふあ、ッえ、えっちょ、何で居るのッふっくあやああ出、出っああああお、おおぉ奥にぃぃっ!?」
「奥にせーえき当たってます? すっごく気持ちよさそう」
「やぁあこっこれパンクしちゃうからああぁあぁっとっとまらっ、止まらないのっまっまたでっ、ででっくはああぁあんっ!」
 出し入れを激しくした後は、ぎゅううっと奥に押し込んで、鍔でクリをごりごり押している。鞘、破れそうで危ない。大丈夫だと思うけど。
「ねえさま、乳首の感度がさっきの気持ちよさに戻りますよ」
「えっえええッやっやださっさわっちゃやッく、ああっふっち、ちくび、ちくびがああああぁあぁっ!」
 やだやだ言いながらも触っているのは自分の左手である。さすがねえさま。右手は鞘を掴んで、すごい音を立てて突き入れを繰り返している。
「で、っ出ちゃっ、ばっばバカ、バカでしょおぉっ、に、妊娠したらああぁあぁあッでっで出てるぅぅっ!!」
 これだけイきっぱなしになっててまだ止めないなんて、きっと止めたら勿体無いってくらい気持ち良いんだろう。わたしが入れてた時と違って、射精される感覚もあるんだろうし、おちんちんも乳首もめちゃくちゃ気持ち良いのだろうし。
「ねっねえええねえねえねえっ、みっ右も、右乳首も触ってよおぉぉっ」
「右乳首ですか? でも、何もしないって約束しましたから」
「やっ、やだやだあああ、全部一緒にイくいくいっイくのおぉっ、ねええぇ!」
 どうやら、両乳首と男の子と女の子全部一緒にイくつもりらしい。ねえさまってば、本当に欲張りである。
「触ってないところも、触られてる感じがして気持ちよくなっちゃいますよー」
「ひっく、あっ、や、あ、ち、ちくびもぉ、おへそも、おしりもっ、あっくあ、っくふああっ!?」
「ねえさま、お尻も好きなんですか?」
 初耳だった。いいことを教えてもらった、これは覚えておこう。わたしはお尻はあんまりなので気付かなかった。
「じゃあ、あそこにおちんちん入れたら、お尻にも入っている感覚がして気持ちよくなりますよ」
「そっ、そんなッくはうああああッ、や、ややイっちゃいっイっちゃああああッくぅぅぅっっ」
「ねえさま、次イったら――気持ち良く休んで、目が覚めたら暗示はすべて、消えますからね」
「あっああっ、あ出っでで出るッあああっいっいいイっイくあああっああ、あっあああああぁぁあっッ!?」


130226たんsage :2007/01/15(月) 00:31:54 ID:woBRFDSU


「――……」
「おはようございます、ねえさま」
「嘘だと言って欲しいくらいの記憶が一杯なんだけど」
「たぶん全部本当だと思います」
 約束通り、わたしは直接ねえさまには何もしていない。わたしは正直者なのである。
「……ずいぶんやってくれたわね」
「でもねえさま、気持ち良かったでしょ」
「覚えてなさいよ。貴女にも同じこと――」
 そこでねえさまは数秒言葉に詰まり――。
「――絶対にしてあげないから」
「な、何ですかそれ!? 普通ここは、リベンジで同じようなことをしてくれるんじゃ」
「貴女みたいな変態にあげる餌はないの。……でも、それよりね」
 ねえさまはそう言うとベッドの布団に包まる。

「……腰が立たないから、寝るわ。仕事首になったら貴女のせいだから」
「はぁい、おやすみなさい。あ、お台所借りますね、パスタでいいですかー」
「帰れ変態」


 ねえさまに普通に抱いてもらえるのは、いったい何時の日だろう。
 早朝放り出された冬のイズルードは、濡れたアサクロ服には寒かった。


 おしまい。


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はい、MCネタでした。
えーと、はい、ごめんなさい!
131名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/15(月) 14:31:54 ID:kSDlraAs
鏡とかふたなりとかのとこは259の人のDOPの話へのオマージュとみた!

足舐めとかMCとか時たまネタが濃すぎですよ。
もちろん全然構わないんですが!
132レニャチェリの人sage :2007/01/15(月) 22:49:01 ID:lokN4.Ds
226たんMCってなんてものを……
なんというかえろすぎです。ねえさまがやたらとかわいくなりまくってますっ。
しかし、こういうのをさくさく書けるのがうらやましい。
133名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/16(火) 02:01:24 ID:DtC.vpfQ
リモートレイプの現場をみておっきおっき。

モウダメ
134名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/16(火) 04:48:06 ID:n8MmRMXc
ぐは…まだ続くか…このシリーズ
はいて捨てるようで悪いが
すでに、ねえさまああああーーは自キャラと259の人のキャラだとネタとバレている。
てきとうで切り上げて欲しかった。
きっと596の人もねえさまサイドのネタを書くんだろ?
すばらしいネタになるんだろうな。
ぎすぎすしたレスつけて悪かったな。
135名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/16(火) 07:06:45 ID:zpG7ZNZM
お前な・・・ぎすぎすしたレスだって思うんだったら、
レス最初からするなよな。ぶっちゃけ見てて気分悪くなるぜ
もう少し考えて深呼吸してから書き込んだほうがいいぞ
すこし考えてレスを書く。これくらいできるだろ?
てきとうで切り上げて欲しかったとか、書いてくれる人や見てる人の
気分悪くするような文書いちゃいけないって思う。
とりあえず説教っぽい文になって悪かったな。
押し付けってわけじゃないが、ちと考えてくれ
もう子供じゃないんだし、わかるだろ?
うちも気をつけなきゃならんけどな・・・(これもぎすぎすさせそうだ)
136名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/16(火) 11:20:53 ID:MpRmtvs6
226たんは相変わらずいい作品をかきますな!
dopの方も期待age

>>135
君はなんていい縦読み
137名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/19(金) 12:28:46 ID:uuINRTMo
>>134-135
喪前らも乙
138SiteMaster ★sage :2007/02/05(月) 15:55:03 ID:???
保管庫のwikiのページにあるリンクのいくつかが、例のフィッシング&ウイルスサイトへのリンクに置き換わったりしてます。
気をつけてください。
139名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/06(火) 19:41:48 ID:lhibKcCM
ありがとうございます。遅ればせながらトップをとりあえず凍結しておきました。
140名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/09(金) 23:48:57 ID:ZZLc4yPU
保管庫 → Ragnarok ♂萌え小説保管庫のリンク

もしくは

Ragnarok ♂萌え小説保管庫そのものが汚染されてるみたいです。

クリックしたら青(というか水色)画面になりました。重々警戒を
141SIDEっぽいひとsage :2007/02/10(土) 00:29:02 ID:s29i0y9I
報告ありがとう。ここだけトップ凍結かけてなかったからやられたですっ。すまんですたい!
142保管庫管理の人sage :2007/02/10(土) 00:42:05 ID:s29i0y9I
_| ̄|○ li| 141は私ですともさ、はい。
修正しておきました。
143名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/11(日) 01:12:03 ID:kFGQUje6
レニャチェリたんまだかな・・・ワクテカ(*´д`*)
144名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/02(金) 02:31:45 ID:FE5TyXfY
これ、ここに置いて行きますね。


っ【誤って媚薬が混入したバニル】
145名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/03(土) 20:24:35 ID:UA/o9HTY
え?ケミさんがバニルを椅子として使って媚薬が皮膚吸収したって?

耐え切れなくてオナヌーだって?

しかも、ホムが奥義をして周りの人まで巻き込んで酒池肉林だって?

やだなー そんな ど じ な ケミなんていませんよははははは(棒読み
146名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/04(日) 17:59:17 ID:v51VD8Mc
どじなアルケミスト二人のおばかな日常にはありえる気がしますぉ(*´ω`*)
147259の人sage :2007/03/12(月) 01:19:08 ID:7groL.8.
餌をぶら下げられると簡単に食らい付いてしまう私は
いい加減馬鹿なんじゃないかと思います。
求められてる物とはちょっと違うかもしれませんが書いてみました。
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php?cmd=read&page=%CF%A2%A1%CBHappinessPotion%2FSubMenu
↑のシリーズです。なんかもう二年半以上間が空いていたようで
それなりにノリとかテンポとか変わっちゃってると思います。

一応調べはしたのですが、ホムについては実態を知らない部分が多いので
おかしなところがあるかもしれません。大目に見てもらえると嬉しいです。
148259の人sage :2007/03/12(月) 01:19:39 ID:7groL.8.
「ねえ、ユイちゃん――」
「イヤ」
 即答。話なんか聞かない。誰が聞くか。
「まだ何も言ってないよう」
 我が家の備品であるはずの椅子を我が物顔で占拠しながら、ピンク髪の女は唇を尖らせてしょぼくれた声を出した。
 相変わらず私の部屋は狭い。薬のしまってある棚だとか普通の一人暮らしには必要ないような大きさの机だとか、そういうものがあるから広くないのは当然である。
 だがしかし。
 そういった研究に必要不可欠な物を運び込んでも一応は余裕のできるように部屋を選んだつもりなのだ、私は。いくらお金が無いといっても環境が整わねば新薬の開発どころではないのだから、ここは出費を惜しめるところではない。
 手狭に感じるのは間違いなくこの女のせいである。
「ということで、今日はおとなしく帰ってね、ミル」
「なにが『ということ』なの?」
「いいから。それはこっちの話。あんたはバニルと遊んでたらいいじゃない。なんでわざわざウチまで来るのよ」
「バニルくんはバニルくん。ユイちゃんはユイちゃんだよ」
 ホム待ちアルケミストだったミルは、ホムが解禁されるとすぐにバニルミルトと呼ばれる種類の人造生命体を作り出した。何のひねりもなくそのままバニルと命名。茶色いゼリーの中に顔つきの黒い毬藻が浮かんでいるとしか表現のしようがない、果てしなく怪しい生き物である。これがなぜか慣れるとなかなか可愛いかったりする。
「つーかさ、何であんたはノックもせずに扉開けた挙句、あまつさえ私が一言もしゃべらないうちから勝手に座ってくつろいじゃってるわけ?」
 私はなるたけ不機嫌オーラを色濃くできるように、書物に落とした視線を上げることなくむっつりと言った。
 何をどうやっても無駄だと想像できないわけではないが、人間何事もあきらめてはいけないと思う。大体ここで甘い顔を見せたらコイツはさらに付け上がるに決まっているのだ。
「えー、だってノックしてもユイちゃん『帰って』って言うだけでしょ?」
 さすがにノックだけでそんな対応はしない。それを言うのは来客がミルだと判ってからだ。
 ――いや、問題はそこじゃないか。
「わかってるなら何で入ってくるのよ……」
 どういう理屈なんだ一体。私の意志は完全に無視されるのか。
「ユイちゃんの『帰れ』って挨拶みたいなものでしょ? どうせ『入るな』って言われても入るんだし」
 ……無視されるらしい。
「はぁ……。そーですか。不法侵入で捕まんないようにね」
「大丈夫だよう。ユイちゃんのトコ以外に鍵掛かってない部屋なんて知らないもん」
 知ってたら入るのかあんたは。
 ――ってそうじゃなくて。いや、それも大事だけど、もっと、こう、なんていうか、なにか別にあったような。……って!
「あんたが鍵壊したんでしょうがっ! いい加減交換しなさいよっ!」
 私は思わずガバっと本から顔を上げて怒鳴っていた。
 詳しい話は割愛するとして、このバカが突然「荷車大革命〜!」とか叫んで繰り出した秘奥義――と本人は主張しているカートとのダンス――の被害の一端が扉の鍵なわけである。あれ以来私のプライバシーは危機的状況に置かれ続けている。
「えー、でも直したらユイちゃん鍵掛けるでしょ」
「あんたがウチに押しかけてくる限りはね」
「じゃあやだ。どうせ泥棒さんなんて来ないんだからいいでしょー?」
 ――くっ!
 言い返せない自分が切ない。
 確かにこの部屋には金目のものがほとんど無い。盗られて心の底から困るものといったら研究の記録を溜め込んだノート類だが、社会的実績の全く無いアルケミストの研究を窃盗のターゲットに選ぶような酔狂な泥棒はきっとこの世に存在していない。
 ――つーかコイツに妨害されてなきゃこんなに貧乏なはずないんだけど。
 そう思えば小言の一つや二つも言いたくなるってものだが、私は精神力を振り絞り、湧き上がる衝動をねじ伏せた。
「ふっ。その手には乗らないわよミル。そうやって私を怒らせて邪魔しようって魂胆なんでしょうけど、もう見え見えなのよ。ミエミエ」
「そんなこと思ってないよう。いっつもユイちゃんが一人で勝手に怒ってるだけじゃない」
「あー知らない知らない。聞こえない聞こえない。何でもいいからとっとと帰りなさい。私は乗らないから」
 しっしっ、と手のひらを振ってやると、ミルは怪しげなわざとらしい含み笑いで応えた。
「ふ、ふ、ふくく、ふくくー」
「ふ、ふくく……?」
 天真爛漫な顔立ちでされる含み笑いというのはなんだか物凄く異様だ。
「ふくく。これを見てもそう言っていられるかなユイちゃん」
 若干ヒキ気味で顔を引きつらせる私の目の前に、「じゃーん!」と可愛らしい擬音付きで、名刺くらいのサイズの紙束が突き出された。
「何よこれ」
「よく見て」
 ――ん? なになに……。
”一品無料サービス! 会計の際にこの券を店員にお渡しください。一枚に付き一品無料にさせて頂きます。なお、一部メニューについては対象外となっております。詳しくは店員にご確認下さい。――踊り狂うサベージ亭”
 ――こ、これは……!
「踊サベのタダ券じゃない!」
「そうだよー、おどさべだよー」
 踊サベといえば、私とミルがプロンテラにやってきて間もない頃足繁く通っていた酒場である。お酒を嗜まない私たちが単純にご飯を食べるためだけに行っていたこの店は、特に料理が美味しいということもなく、出されるアルコールも安酒ばっかりだという話で、しかも安酒場に似つかわしく客層も上品とは言えない連中が大半を占めていた。
 絵に描いたような冒険者向けの荒くれ酒場なわけだが、一つだけ特徴があった。それこそが今眼前にぶら下げられている踊サベのタダ券なのである。
 このサービス券、客引きのアイテムであるなら当然あってしかるべき『お一人様一枚限り』的な注意書きが一切無い。書き忘れではなく本当に制限が無いのだ。券を提示した分だけいくらでも料理が出てくる。ちょっとした豪遊気分である。
 ミルは昔『商店街の裏福引』なるアヤシゲな催し物の景品だと言ってこれを大量に持ってきた。そういう経緯で、似合わない店だとは思いながらも頻繁に足を運んでいたわけだ。
 ――自腹切ってまで積極的に行きたいような素晴らしい店じゃないってのは間違いないんだけど。
 でも、なんというか――。
「懐かしいわね、ものっすごく。そんなもんどっから持ち出したのよ。一応レアアイテムでしょ」
「商店街のおじちゃんがサービスだって言ってくれたの。『まーじゃんで大勝ちしたぜええええ!』って息子さんがうるさかったから勝ち分全部巻き上げたんだって」
 ――顔も知らないけど息子さん南無。そしてありがとう。
 心の中で手を合わせ、私はまだ見ぬ男の魂の安寧を祈った。
「どうかなーユイちゃん。いかない? おどさべ。半分あげるよ」
 ミルがこれ見よがしにひらひらと券の束を振ってみせる。正直なところそんな挑発をされなくても既にミルの思惑通りに動かされてしまう屈辱を差し引いても楽勝でプラスになるくらい、行ってみたい気持ちが強くなっていたりする。しかしそんな素振りはおくびにも出さずに、私は開いていたページに淡々と付箋を貼りつけた。
「仕方ないわね。そこまで言うのなら、行ってあげようじゃない」
 こうして私とミルは久々の踊サベディナーツアーに出発することになったのだった。
149259の人sage :2007/03/12(月) 01:20:26 ID:7groL.8.
 踊サベの看板はわかりやすい。後ろ足で立って狂ったように踊るサベージがコミカルなタッチで――しかも非常に巧みに――描かれている扁額にはなかなか忘れられない強烈なインパクトがある。客足を向けさせる役に立っているのかどうかは甚だ疑問だが。
 久しぶりに見る店主のおやっさんは相変わらずやる気なさげだった。カウンターの奥に陣取ってぶっきらぼう極まりない相槌で酒癖の悪そうな酔客どもをあしらっている。この接客態度で繁盛するのだから飲み屋というのは不思議な商売である。
 上階に宿屋として機能する客室を備えているらしい――伝聞形式なのは、宿商売の雑事を面倒がったおやっさんがもう何年も前から、ぶっ倒れた酔っ払いに酒場の木床をベッドとして提供する以外では宿泊客を受け入れなくなっているためだ――踊サベのフロア面積は広く、カウンター席の他にグループ客向けの丸テーブルの席が十数セットある。通っていた時点のものなら全メニューをソラで言えるくらいになっていた古い常連客二人は、店に着くやいなやウェイトレスさんに食べたいものを五品ずつ頼み、それから一番奥のテーブル席に向かった。我ながら迷惑千万な客である。これはもちろん欲求を抑えることを知らないミルの振る舞いをたしなめることの無意味さを知っている私が彼女に付き合ってあげただけであって、決してこちらの本意とする行動ではない。
「お? あいつら」
「あら、ユイちゃんにミルちゃんじゃない」
 客の中には私たちの顔を覚えていた連中が予想外にたくさんいた。
「あ、お久しぶりです」
「こんばんはー」
「久しぶりねー。今日はどうしたの? 元気にしてた?」
 ヒゲ面のナイトのおっさんやらむちむちばでぃのローグのねーさんやらが肩を叩いたり、頭をくしゃくしゃしてきたりする。懐かしい面々に荒々しい歓迎を受けていると、テーブルはあっという間に運ばれてきた料理の皿で埋まっていた。
 私とミルは向かい合って仲良く「頂きます」と手を合わせ。
 そして――。
「あー! ミル待ちなさい! あんたそれ私が頼んだお化け貝のマリネ伊豆のカナトゥス風じゃない! なに一口で全部食べてんのよ!?」
「いいひゃない、んぐっ……まだ券あるんだし。また頼めば同じだよ」
「ならあんたが頼めばよかったでしょバカミル! 食べ物の恨みを甘く見るあんたには……てやっ!」
「ユイちゃん貧乏くさ……って、ああああっ私のチャッキーの中身風竜田揚げえええっ!」
 仁義無き闘いの火蓋が切って落とされたのだった。
 罵声が飛び交い、フォークが噛み合い、箸が蛇の如く隙を窺う。今やこのテーブルは無情な戦場である。己の才覚のみで食料を確保せねばならないのだ。
「やっぱりおっ始めやがったな。毎度毎度良く飽きねえもんだぜ」
「でもいいわよねー、なんだか楽しそうで」
「なんなら俺らもやるか?」
「……あんたが?」
「……悪かったよ。そんな目で見ないでくれ」
 おっさんとねーさんが何か言っていたが、周囲の声など気にしていては全て持っていかれてしまう。雑音は聞き流し、私は目の前の皿に集中する。
 闘いは短い膠着状態に入っていた。叫びに叫んだ私が狙っているのはミルのグラスの中身――こうなると自分のグラスをに手をつけたら負けのような気がしてくるから不思議だ――。しかし現在も続けられているフォークと箸による攻防を放棄してしまえば、必死に死守してきた高級ペコ風ピッキ肉のソテー〜グランペコの羽を添えて〜が奪われてしまうのは間違いない。
 ――状況を変える何かがあれば……! 意識を、意識を研ぎ澄ますのよユイっ!
 と、その時。
「あ、おねーさんっ、旬の食材入りいかしたミックスピザひとつちょーだいっ!」
 通りがかった店員さんにミルが声を掛けた。
 ――くっ小癪な、私の好物を頼んで動揺を誘う作戦ね!
 甘い。そんなことでは揺れない。今の私はそんなことで揺れてはいけないのだ。だが作戦自体は良かった。こちらも使わせてもらおう。
「ねえミル」
「何かなユイちゃん」
 視線で火花を散らせながら、二人して作り笑顔を浮かべ合う。
「あんたさっきから一人で食べまくってるけど、バニルにはあげなくていいの?」
「え、あっ、バニルくん……」
 テーブルから注意を逸らして足元のホムンクルスを一瞥するミル。
 ――ふっ、掛かったわね。
「隙あり!」
「あああんだめえええっ! ユイちゃああんっ、私のイチゴミルク飲んじゃダメえええええっ!」

 ――そんなこんなの熾烈な戦闘はしばらく続けられ。
「あーっ! こらミル、あんたそれ私のソーセージセット!?」
「うー、いいでしょー、半分こ」
 そろそろ疲れてきたのかはたまた油断を誘う策略なのか、ミルが現実的な妥協案を提示してきた。
 とりあえずここは様子見が良いだろう。
「ダメよダメ! 欲しけりゃ自分で頼めばいいじゃない」
「ユイちゃんのケチー。はい、ユイちゃんの好きなミックスピザ、半分こー」
 ミルは自分の勢力圏内に確保していた丸ピザを半カット、空いた皿に載せてこちらに寄越した。どうやら本気で休戦協定を結ぶつもりのようだ。
「う……しょうがないわね。半分こ、しよっか」
 しぶしぶ、といった風を装いながら返し、私は座りの良い位置に腰掛けなおして一息ついた。ようやく落ち着いて食事ができるらしい。
 運動の後だと何でも美味しく感じられる。オレンジジュースで喉を潤した私が少し温くなってしまったピザをぱくつき始めると、ミルは花柄カートをごそごそと漁り出した。
 取り出された訝しい物体を見て、私は眉をひそめた。
「何それ?」
「バニルくんのご飯だよう」
「いや待て」
「うん?」
 ミルの手にある物はどう見ても胡散臭い液体の入った試験管である。
「バニルってそんな物も食べるの? セルーだけじゃなくて?」
「う? セルーエキスでしょこれ?」
「私に訊かれてもわかんないわよ。そもそもセルーエキスって何?」
 ――つーかその毒々しい紫はどうも私が危険物に付けた色のように見えるわけですが。
「知らないの? ユイちゃんの部屋にあったんだよこれ」
 ――やっぱりーーーーーーっ!
「入り口横の棚! 上から三段目! 左から二つ目! セリエキスの隣っ!」
 思わず大声を出して立ち上がる私をきょとんと見上げながら、ミルは栓を空けて中身をどばどばとバニルにぶっ掛けた。
「あ、あ、あ、あんたはあああああああっ! わざとやってんでしょそれ! ありえないって! アルケミストの家にある良くわからない物を確認もせずにぶちまけるなんて非常識にも程があるわ! 一歩間違えたら大惨事よ大惨事!」
「でもユイちゃんちにそんなすごいお薬ないでしょ?」
「あんのよいろいろ! 世に出せない物とか色々! いや確かにあんたが手を付けられるトコには持ち出されても大して困らないような物しか置いてないんだけどさあ! ってそういう問題じゃなくてっ!」
 言いたいことはまだまだあったが、とにかく最重要事項の確認。
「ミル、あんたそれ掛かってない……?」
 おそるおそる尋ねると、ミルはいつもどおりの能天気な声を出した。
「平気だよう。バニルくんすっごい早食いなの。何あげてもすぐ食べちゃうんだよー、ポリンくんみたいに」
 ――あんたはそんなにいろんなものを食べさせてるのか。
 だいぶ前から育てているはずのバニルがなかなか次の形態に移行しない理由を垣間見た気がする。ホムンクルスの進化には親密度――どれだけ主人に懐いているかというのが重要になってくるとされており、要はそういうことだ。
「まあ、掛かってないなら良かったわ」
 私は疲れた息を吐きながらぐったりと椅子に腰を下ろした。
 あの液体は路地裏のいかがわしい薬屋から買った性感なんとか薬とかいうのをベースにあれこれ遊んでいて、出来上がったものを希釈用にさらに濃縮した――早い話が媚薬である。人間じゃないバニルには効かなかったのか、彼は見た感じ普段と変わらず、毬藻の顔に純真そうな瞳を輝かせている。
 私はもぐもぐとソーセージを頬張っているピンク髪の女に向き直った。
「ミル。そこに直りなさい。あんたに話が――」
「ひょっろあんららりっ!」
 説教を始めようと構えた私の耳に、突然第三者の声が飛び込んできた。激しくろれつが回っていない。『ちょっとあんたたち』と言ったのだろうか。カウンターの方からひどく危うい足取りでよろめくように歩いてくるその人は、黒髪をショートにしたアサシンのお姉さんだった。
「あんららりええ!」
 彼女は私たちのところまでやってくると、皿が浮き上がるほどの勢いでテーブルに手のひらを叩きつけた――たぶんこれは演出ではなく素だ。倒れそうになったのを支えたのだろう――。
「うるっ……うぶっ!」
 と思いきや手で口を押えてバックステップ。トイレに駆け込んでいった。
「……な、なんなのいったい」
 意味不明の展開に私はドンビキである。さすがのミルもこれには呆気に取られた様子だった。
「え、ええと、吐かれなくて、良かったわね……」
「うん……」
「料理、冷めちゃったね……」
「うん……」
 気勢を殺がれた私はそれ以上ミルを叱る気にもなれず、気分転換にと二人で何品か注文して、まったりと食事を再開した。
150名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/12(月) 01:21:06 ID:7groL.8.
 丁度気まずいムードを振り払うのに成功した頃、先ほどのアサシンのお姉さんがトイレから出てきた。さっきよりもしっかりとした足取りでこちらに向かってくる。あんな出来事の直後なのだ。今度こそ吐かれやしないかと反射的に私が身を硬くしたとして誰に責められよう。
 お姉さんは腕組みしてテーブル脇に立ち、高圧的に胸をそらせた。
「ちょっとあんたたち」
 ――あ、しゃべれてる。
 一回戻すと頭がスッキリすると聞いたことあったが、それは嘘ではなかったようだ。
 でもなんだかまだ目の焦点が怪しい。いろいろとコワイ人である。頭の中身とか胃の中身とか。
「な、なんのご用でしょう……?」
 私は努力して笑顔を作り尋ねた。露店の接客で鍛えた営業スマイルも今ばかりは引きつっているに違いない。
「その前に椅子は無いの椅子は。私ふらふらなんだけど」
 ――アナタが飲みすぎたせいでしょうに、何を偉そうに言ってんのよ。
 酔っ払いの思考回路は謎だ。
「ああ、あるじゃない」
 気だるげに言ったお姉さんが崩れるように腰が落ちつけたそれは。
「バニルくんっ! それバニルくんだよ! 退いてよう! バニルくんが潰れちゃうー!」
「なーによ、そんなに私が重いって言いたいの?」
「そうじゃなくてええええええ!」
 珍しく真剣になったらしいミルが顔を赤くして胴タックルを仕掛けた。バニルの上に陣取ったお姉さんはかなりタチの悪い部類の酔っ払いらしく、意地になったように抵抗している。かわいそうに、バニルの毬藻顔も心なしか苦しそうだ。
 ――ごめんねバニル。私はそのヤバそうな人と係わり合いになりたくないの。
 むごたらしい光景から目を逸らそうとした私に、ミルのホムは捨てられた子犬のような眼差しを向けてきた。
 しばし見つめ合う私とバニル。
 だんだんと自分がとんでもなく悪い人間になった気がしてきた。なんてしたたかなイキモノなのだろう。あんなバカのホムなのに。
 私は仕方なく口を開いた。
「ちょっとお姉さん――」
「お姉さん!? あんたなんかにお姉さんなんて呼ばれた、く……って、アリサ!」
 こちらに視線を向け、次いで物凄い威勢で立ち上がるアサシンのお姉さん。あまりの勢いにビクッと肩を震わせる私。
 ――何なのこの人。無茶苦茶怖いんですけど……。
「あらぁ、アリサ。私のこと追いかけてきてくれたの? やっぱりそうよねえ、あんな女より私よねえ」
 明らかに酒精とは別のものに頬の朱を上塗りさせて、なにやらうっとりと呟きながらこちらに寄ってくる。
 ――ひぃぃぃっ、コワすぎるぅぅぅぅっ! だからイヤだったのにぃぃぃぃぃっ!
「だ、誰ですかアリサって。わ、私のこと? 人違いですよ?」
「何よアリサ、つれないわねぇ。でもそうよね、私とアリサがそんなにべたべたしてたらあの女がキレちゃうものねえ。隠さなきゃいけないのよね。本当、アリサは悪い女だわぁ」
 抱きつこうと迫ってくる体を私は必死に押し返す。
「な、何わけわかんないこと言ってるんですか、人違いですってば! ミルも黙ってないで何とか言いなさいよ!」
「バニルくん大丈夫? 怖かったねー」
「なっ何よそのわざとらしい芝居! あんた今目逸らしたでしょ! バニルも! 助けてあげたでしょ!?」
 抱きしめあって――バニルに腕は無いから実際はミルが抱きしめているだけだが――二人の世界へ旅立つ一人と一匹。友達甲斐の無いヤツらだ。
 ――ってそんなのどかな感想付けてる場合じゃなくて!
「おやっさん!」
 私はカウンターの奥へ救援を求めた。
「ねえおやっさん、この人に水ぶっ掛けて目覚まさせてあげた方がいいと思ってるのはきっとおやっさんも同じだと思うのよ。このままじゃ店内で惨劇が起きるわ!」
「よくわかったな、そいつには俺も同意だ。だがな、そのお姉ちゃんは客だからな」
「私も客のはずだけど!?」
「いいかお嬢さん。世間じゃあどうなのか知らねえが、少なくとも俺の店じゃあ何十食も食いまくっといて一回も金置いて行かねえようなヤツを客とは言わねェんだよ、諦めな」
 おやっさんはニヤニヤと憎たらしい笑みを浮かべて眺めているばかりで、騒ぎを収める意思は全く見られない。
「ついでに良いことを教えてやろう。アリサってのは黒い長髪の美女なんだってよ。ここでクダ巻いてた時にそのお姉ちゃんが言ってたぜ。お前さんにぴったり当てはまるな」
「いまさらそんな情報なんの役に立つってのよ!?」
 だめだ。この人は駄目だ。
 新たな救助者を求めて店の中を見渡そうとした時、ふとミルの様子がおかしいことに気付いた。頬を染め、瞳を潤ませて、何かに耐えるように悩ましげな表情でバニルをきつく胸に抱いている。端的に言うと、情事の最中に声を堪えようとしているような顔だ。
「み、ミル?」
「ユイちゃあん……」
 ――うわ、完全にスイッチ入ってるし! 何故に!?
 原因として考えられるのはさっきの媚薬だが、ミルの報告によるとあれはバニルが全部食べたらしい。
 いや、待てよ。バニルが媚薬を吸収し、そのバニルを抱いたミルが発情している。ここから推測される最も簡単な結論と言えば。
151259の人sage :2007/03/12(月) 01:21:57 ID:7groL.8.
 ――ま、まさか、バニルが媚薬ゼリーになってる!? ということは!
 何となく怖かったからと脱出を企てていた今の状況の危険性を、私はここに来てはっきりと認識した。
 この熱っぽい顔をしたアサシンのお姉さんはさっき太ももむき出しであの媚薬ゼリーに座っていたわけで、とすればおそらくミルと同じく欲情むんむんなわけで――。
 ――狙っているのは……私の体!?
「いやああああああっ! 誰か、誰かいないの!? おっさん! ねーさん! 店員さん! そこのかっこいいセージのお兄さん!」
 私の悲痛な叫びは店内に空しく響き渡った。視線を走らせるとみんな無視、というか非常に楽しそうに見物している。この世に情というものは無いのか。
 ――ミルもバニルもお姉さんもおやっさんもおっさんもねーさんも店員さんもセージさんもっ!
「何なのよあんたらはああああああああああっ!」
 ぷっちん。
 私の理性はここで限界を迎えた。
「お姉さんレボリューション!」
 切れた私はカートレボリューションの要領でお姉さんを振り回してテーブルセットを蹴散らすと、目を回してふにゃふにゃになった体を床に転がし、急いでミルに駆け寄った。タイムリミットはあのアブない酔っ払いが起き上がるまでだ。
「バニル借りるわよ」
 ミルの腕から強引にホムンクルスを取り上げる。入浴以外では滅多に手袋を外さない製薬ケミの私にとって媚薬の皮膚吸収など恐れるに値しない。
「スフィアーマイン!」
 イクラ爆弾を作り出し、にやつきながら遠巻きに傍観している酔客どもとの中間地点に向かって蹴り飛ばす。そして私はタイミングを計りながら手に持ったゼリー体を振りかぶり――。
「食らえ鬼畜どもおおおおおおおおおっ!」
 爆発の予兆に胎動するイクラに向かってぶん投げた。
「むりやりバイオイクスプロージョンッ!」
 狙いあやまたず、バニルはイクラの爆発に巻き込まれて凄絶に爆散した。店中に飛び散るゼリーの残骸。すばやくカートを盾にした私とカウンターの奥に屈みこんだおやっさん以外の全ての人間が被害を受けたようだ。素晴らしい成果である。
「みなぎってきたあああああああっ」
「ぐぉおおおお、ぎんぎんだぜええええええええ!」
「お兄さーん、あなたよく見たら案外不細工じゃないのかもしれないわ」
 店内は激しい混乱状態に陥った。しばらくすればバフォメット崇拝教団のサバトもかくやという乱交会場に変貌を遂げるであろう。
「はぁ、はぁ、はぁ……思い知ったか人非人どもめ!」
「……お前さんはテロリストか」
 カウンターから顔を出したおやっさんは呆れ返った様子で投げやりな声を出した。
「ふっ、良い教訓になったでしょう。人でなしには相応の罰が待っているのよ」
 私はにやりと口角を上げて見せた。
 喉の渇きを覚えて残っていたオレンジジュースを飲むと、混乱の度合いを深めて行く店内を眺めていたおやっさんもアルコールらしき液体の入ったグラスを口に運んだ。
「それで、あいつらと同じ人でなしの俺にはどういった罰が待ってるんだ?」
「そんなにしおらしくしないで良いわよ。おやっさんがあいつらと同じかどうかはこれから決まるんだから。私のお願いを二つ聞いてくれたらもう何も起こらないわ」
「拒否したらどうなるか聞いても良いか」
「この店が公序良俗に反する営業をしているって警備隊に駆け込むわね。あの爆発の影響でこのあとここは乱交パーティーの会場になるの。現行犯で逮捕された人に対して連中がどれだけ融通きかないか、噂くらいは聞いたことあるでしょ?」
「……人でなしはどっちだか。わかったよ、何でも言いやがれお嬢様」
 舌打ちしながら肩をすくめるおやっさんの表情はどこか楽しそうだった。荒くれ者が喜びそうな雰囲気の酒場を経営しているくらいだから、元々ケンカとか乱痴気騒ぎとかが好きなのかもしれない。
「一つはわかると思うけど、そこで転がってるアサシンのお姉さんを縛り付けるか何かして。これ以上変なことしないように。もう一つは――」
 私は艶っぽい吐息を漏らしているピンク髪の友人を振り返った。バニルがいなくなったのを気にする余裕もないようで、ただ椅子に深く腰掛けて、ミニスカートの裾をぎゅっと握り締めている。顔だけでなく肌全体が仄かな桜色に染まっていて、ふっくらとした唇が『ユイちゃぁん』と声にならない言葉を紡いだように見えた。
「あのさ、おやっさん。部屋、貸してくれない? あいつアレでも友達だから、あのまま外に出すなんて、さ」
 おやっさんは私とミルを交互に見て意味深な笑みを浮かべた。
「『アレでも友達』……ね」
「な、なによ。いいから! 貸すの!? 貸さないの!?」
「別に。若いってのは良いもんだと思っただけさ、男でも女でもな。――ほら、鍵だ。持ってけ。お代はいらねぇが、死ぬのと吐くのはナシで頼むぜ」
「ありがと。これでおやっさんは人でなしの仲間入りを免れたわ」
 投げ寄越されたルームキーを受け取った私は、ミルを促して長らく客には使用を許されなかった階段を上った。
152259の人sage :2007/03/12(月) 01:22:45 ID:7groL.8.
 いい加減にしているようでも店を繁盛させているだけあって、やはりおやっさんは商売人としては一流ということなのか、いつ使われるかもわからないはずの客室は予想以上に清潔に保たれていた。
 ホコリ一つ浮いていない部屋に足を踏み入れると、よろめきながら懸命に歩いてきたミルはすぐにベッドに倒れこんだ。垂れてきた愛液が内ももを濡らしているのが見えた。
 ――あの薬ってあんなに凄い効果だったんだっけ……。
 バニルと混ざって何かの反応でも起こったのだろうか。それはともかくとして、ミルは先ほどからひどくつらそうだった。触ってもいないのにあんなに溢れさせてしまうとは、いったいどういう状態なのか、貧弱な私の想像力では全くイメージできない。
「ミル、大丈夫?」
「ユイ……ちゃぁ、ん……してぇ」
「つらいの?」
 小さく頷きが返ってくる。
「ねえ、してよぉぉ」
 光量を絞られた魔力灯が橙色に照らす薄暗い部屋。寝台に腰掛けた体勢から後ろ向きに倒れこんだような姿勢になったミルは、立ったままの私に向かって、下目使いに潤んだ視線を投げてくる。なんだか物凄く色っぽかった。
 ――なんで、こんなことしてるんだっけ、私。
 あのまま馬鹿騒ぎの会場に置いておいたらマズイと思ったから連れてきた。それは間違いないのだけれど、いざこの場になってここからどうするつもりだったのかを記憶から掘り起こそうとすると、何も出てこない。計画など無かったのだろう、始めから。
「ミル……自分で、したら?」
 バカな事言ったなあと思った。今の発言は、たぶん、すごく良くない。ミルは想像も及ばないくらいしたくなっているだろうに、ここまで自分ではしていなかったのだ。その意図するところはもう口に出された。私にして欲しいから、と。
 そうとわかっていても、二の足を踏んでしまう私がいる。理由は明白だ。
 ――だってこれ、『エッチな遊び』じゃないじゃない……。
 遊びだとかなんだとかのオブラート無しにこうした状況で向き合うのは初めてで、だから、してあげるべきだと頭の冷静な部分では理解できていても、竦んでしまうのだ。心と体が。
「見てて……くれる?」
「ぇ、あ、うん」
 何を言われたのかもよくわからないまま上の空で返事をすると、事態は勝手に進み出していた。
 柔らかそうなミルの指がミニスカートをたくし上げる。あまり身体が自由にならないのか、震える手の動きは一センチ一センチを確かめているかのようにゆっくりとしていた。
 露わになったぐしょぐしょの白ぱんつは、ぴっとりと肌に張り付いて、可愛らしい持ち主に似つかわしい楚々とした秘部を浮き上がらせていた。
「ユイちゃぁん……見てて、ねぇ」
「……見てるってば」
 私の返答と同時にミルが体をくねらせ、ひくつくアソコから、下着越しでもわかるくらいの量の蜜液がコプリと吐き出された。きっと中がキュウキュウ締まって欲しい欲しいって言っているのだろう。
 ショーツが太ももまで下ろされて、むわんとエッチな香りが広がったような感じがした。
「んんんぅふぅぅっ」
 人差し指と中指が秘唇に沈んでいく。動作が緩慢だったのはそこまでで、自制が利かなくなったのだろう、ミルの手ははっきりと快楽を求めて積極的に活動を始めた。この子の好きな場所は私も知っているから良くわかった。おなかの側にあるそのポイントを中心にしてぐちゅぐちゅと中を掻き回している。
「あ、あ、ああっゆ、ユイちゃっああっんっユイちゃああああんっ」
「……気持ち良い?」
 自分でも気付かないうちに潜められていた私の声は、小さすぎて少し掠れていた。それでもミルの耳には届いたようで、彼女はこくりと首を縦に振った。
 上気した顔にある目は僅かに涙を湛えてとろんと濁り、半開きの口は湿った息を吐く。客観的な立場にいるせいなのか、何度も見たはずの表情が二人でエッチなことをしている時よりもだいぶかわいらしく感じられた。
「あああっああっ、き、もちい、ぃよぉぉっ! ユイちゃあぁんっ見てぇっ、見てええええっ!」
 ずっと我慢していたのと媚薬のせいで、ミルはいつも以上に敏感に、且つ達しやすくなっているようだった。
 太ももが小刻みに開閉する。熱を上げて攪拌される秘所からこぼれる愛液が白く濁ってお尻の方に伝っていく。腰がピクピク震えていた。
 なんだかもう既に、限界が近いように見えた。
「いき、そう?」
「うんっうんっあああっあ、あっあっユイちゃっ! ユイちゃあああああああんっ!」
 ミルは一回イったみたいだった。でも媚薬に侵された肉体はそれっぽっちでは満足してくれなかったようで、だらだらと愛液を溢れさせる秘唇に埋められた二本の指は再び蠢き始めている。
 ――なんでこんなことしてるんだろう、ホントに。
 ミルの瞳は私を捉えて、ミルの唇は私の名を紡いで――ミルは私を見てしてるんだな、と、そう思った瞬間、ドキッと、ひどく高鳴っている鼓動に気が付いた。
 いきなり頭が真っ白になった。
 なんで友達のオナニーなんか見てるんだろう。しかもそれで、ちょっとドキドキなんかして。ミルは私にしてって言ってるのに、私が突っぱねて、その結果、私はこうして心臓の鼓動を持て余していて。
 私は何してるのかな、と、思って。
「――ミル、してあげよっか」
 何か、大事な理由があって封印していたはずの言葉だけれど、何で我慢する必要があったのか、にわかにわからなくなっていた。
153259の人sage :2007/03/12(月) 01:23:27 ID:7groL.8.
 私はベッドに歩み寄り、ミルの上に半身ずれて覆いかぶさった。
「手、止めて。してあげるから」
 軽く手首を掴んでやるだけで、ミルの手はほとんど自主的に秘所から退けられた。私はワンピースのスカートを捲り上げ、へその辺りに手のひらを着地させると、下腹部を撫で回しながらじわじわと指先を股間に近づけていった。
「私にして欲しかったのよね、ミル」
「ユイちゃ、ぁん……」
「そうなんでしょ?」
 自重で歪んでいる胸に顔を寄せ、口を使ってアルケミ服のカップの部分をずらす。空気に晒された薄桃色の突起は当然というべきかぷっくりと膨らんでいて、唇に引っかかった。
「ひゃぁうっ」
「それで私見ながらオナニーしてこんなにここ硬くしてたのよね」
 舌先で乳輪をなぞり、そのまま円を狭めて乳首の周囲を舐めまわす。吸い付いて口の中でころころ転がしてやると、ミルの喘ぎは一際高くなった。
「あああ、ゆ、ユイちゃっあああっ、お、お胸っいいっ、きも、ちいいよおっ」
 愛液の源泉に到達した手で汁を掬い、切なげに揺れている内ももに塗り広げる。とんでもなく疼いてるんだろうけれどまだしてあげない。
 こうして一度ミルに触れてしまうと、躊躇していた少し前の自分はどこへやら、私はもうノリノリになってしまっていた。
「ミルつらい? してほしい?」
「うんっしてっしてええ、ユイちゃぁんっ」
「ダメ。あんたが今つらいのはね、人んちから勝手に物持ち出した罰なのよ。わかる? 罰なんだから自分でしたらダメよ。ちゃんと反省したってわかったら私がしてあげるから」
 こんなのはタダの口実であって、タイミングを決めるのはきっと私の独断になる。耐えているミルはかわいいし。
 足の付け根に指を当て、入り口付近の肉をぐにぐにと揉んでやる。潤滑液にまみれたそこの肌はなめらかで、手袋越しでも心地良い弾力を返してきた。
「ああぅっユイちゃっああっ反省、してるっよぉっ! だからぁっああ」
「早いわね、全然信用できないわ」
 指先を押し付けながら下の――尻の方へと滑らせていく。大量の愛液による滑りに任せ、合わさったお尻の肉を掻き分ける。窄まりの上を引っ掻くようにくちくちと行き来させると、ミルの尻肉はその度に律儀に力を込めて反応した。
「ミルって実はお尻好きでしょ」
「しらなぁっ、ああっあ、はぁ、んっ」
「そう? まぁいいわ。こっちは好きよね」
 唾液で濡れた乳首を歯の先で軽く挟み、舌の腹で天辺を擦る。お尻の指は来た道を戻り、秘所との中間辺りの肉を小さな円運動で揉み込む。
「ああっあっお胸えぇっ、あぁうんっ反省、したぁっ、したからぁあっ!」
 ――心が篭ってないわ。
 と言おうと思ったが、胸から口を離すのもアレなので、代わりに乳首を吸い上げることで応えた。きっと言わんとしたことは伝わらないだろうけれど。
 私は手を前面まで戻し、感触を確かめさせるように、花唇の入り口でじっくりと指を上下させ始めた。時折軽く沈めながら。
「ユイちゃっ!ユイちゃああああっ!」
 ミルの喘ぎ声が悲壮な響きを帯びてくる。
「反省してる?」
「してる、してるぅっ、してるってばああっ、ユイちゃぁあっ!」
「もうしない?」
「しないぃぃっ! しないしないしないいいぃっ! しないからああっ!」
 必死に訴えるミルが無性に愛らしく思えて、私は小さく頬を緩めながら、指を奥に侵入させた。さっきミルが自分でしていたのと同じ二本指を。
「あぁんっんぁあっ! ユイっちゃあああっんっあっあぅんっ!」
「今言ったこと忘れないでね」
 ミルの指使いを思い出しながら中を擦りあげる。一番感じるところに押し当てて、周囲もまとめて刺激するようにくちゅくちゅと掻き回す。
「イっちゃいなさい、ほら」
「ひぃっちゃっああっああっ! ユイちゃああああっあああああっ!」
 本当にイきやすくなっているらしく、相変わらず気持ちいい締め付けをしている膣がさらに激しい圧迫を加えてきたのはほんのすぐ後のことだった。
 私はうねうねと蠢いているミルの中でゆったりと指を動かし続ける。
「まだ、足りないわよね」
 いつもよりも反応の良い体につられるようにして、このあと私はミルが寝てしまうまでエッチに付き合うこととなった。
154259の人sage :2007/03/12(月) 01:24:15 ID:7groL.8.
 ベッドで寝息を立てるミルの横に立って、私は思考の迷路にはまっていた。
 ――何で手出しちゃったんだろう。
 それはミルがしてって言ってたからだ、うん。
 ――それに、私もつらそうだからしてあげた方が良いよねとずっと思っていたわけだから……。
 だから、躊躇っていた始めの方がおかしいのだ。遊びだとかなんだとかそんなものを免罪符として求めなきゃしてあげられない時点で、ミルを変に意識してるってことで。
 ――でも、さっきってホントに私がしてあげなきゃいけなかったのかな。始めはひとりでさせたわけだし、あのまま見てたらそれで済んだんじゃ……。
 ぐるぐるぐるぐる。
「あーもう! 何なのよ!」
 思ったより大きく声が響いて、私はおそるおそるミルの寝顔を覗き込んだ。
 ――セーフ。
 ミルは安らかに眠っているようだった。
 ――こんなところでグダグダしてるよりも下降りた方が良さそうね。今頃どうなっているのかも気になるし。
 私は足音を抑えて階下へ降りた。
 酒場は予想外に綺麗に片付いていた。私が散らかしたテーブルも並べなおされ、騒ぎも完全に収束している。カウンターとテーブルには普通に客が付いていた。床に寝転がっている人が多い辺り余韻を感じさせるが、踊サベの木床は普段からベッドとして使われているからあまり違和感は無い。
「おやっさん、あれどうなったの?」
「おぁ? ああ、お前さんも済んだか」
 だるそうにグラスを傾けていたおやっさんは、カウンターから出てくると声を潜めて言った。
「何か知らねえがな、確かに乱交は始まった。だが何故か一人残らずダウンしてな、目覚ましたヤツは何も覚えてねぇって言うのよ。お前さんにとっても俺にとってもありがたいことにな。だからよ」
「何も無かったことにしようって話ね。わかったわ」
 やっぱりバニルと混ざって変なことになっていたようだ。都合が良すぎてビックリするくらいの副作用が生まれていたらしい。きっと私の日頃の行いが良いせいだろう。
「話が早くて助かる。お前さん頭良いんだろうな、本当は」
「『本当は』って何よ」
「そのままだが」
「……そーですか」
 それにしても。
 ――無かったことに……ね。
 ミルとのさっきのアレも私の記憶の中以外には存在しない出来事になるのだろう。私が躊躇ったことも、途中で翻したことも、誰も知らない。
 なら……。
 ――あのぐるぐる迷路の出口なんて探さなくても良いじゃない。
 無かったことにしてしまえばいい。明日の朝ミルが起きたら私も知らん顔でおはようって言えばいい。
 出口のありかなんて実はすぐに見つけてしまっていて、他の出口が無いのか必死になって探していたなんて、誰にも気付かれない。
 まだそこには行きたくないのだ、私は。今が心地良くて。それくらい自分でも本当はわかっている。
 でも――。
「何か飲んでいくか? おごるぜ」
「水でいいわ。それより、あの部屋朝まで借りてていいわよね?」
「今更出てけとは言わねえよ」
 無かったことになるのなら、どこまで迫っても、私が迷路を解くことはない。
 明日の朝には迷路自体が消えてしまうのだから。
 だったら。
「ありがと。じゃあ水貰ったら戻るわ」
「添い寝でもすんのか?」
 おやっさんの揶揄に、私は笑顔で答えた。
「悪い?」
 ――消えてしまうまで出口に一番近いところで寝ていても、いいでしょ。


  おわり。
155259の人sage :2007/03/12(月) 01:25:43 ID:7groL.8.
こんな感じで。素晴らしいネタ振りありがとうございました。
楽しく書けました!

前回読んでくださった方、ありがとうございました。
レス下さった方、えろいえろい言って下さった方、
本当にありがとうございました。物凄く嬉しかったです。
ではでは、♀×♀スレばんざーい!
156226たんsage :2007/03/12(月) 10:46:08 ID:ttvpn4jw
うわ。


…これはやられた。
♀×♀スレばんざーい!
157名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/13(火) 00:36:07 ID:cir05yB6
ああ、またこのコンビを見れるなんて・・・っ!
何気に登場してるあのアサシンのおねーさん、ぐっじょぶ。

再び光臨してくれるのをいちファンとして楽しみにしてますヽ(´▽`*)ノ
158名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/13(火) 01:02:41 ID:KnVChjtM
やっぱりこの二人はこう…可愛くてエロスでたまりませんな!
素直になりきれないユイたんはぁはぁ!
159名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/13(火) 04:30:03 ID:kJ4wVhas
ウェーーーーーーーイ
新作キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ ! ! !
最近新作なくて(´・ω・`)だったから嬉しいな
潤いをありがとう226たん
160名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/13(火) 16:26:59 ID:LXiw.VPc
>>159
落ち着け226たんじゃない259たんだ。

>>259たん
っGJ
161名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/14(水) 08:47:45 ID:GlPWoCIo
ちょwwほんとだ259たんだった
スマソOTL

久しぶりの新作で興奮しすぎた(*´д`*)
162名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/31(土) 02:59:01 ID:qEuOxXOM
Wikiの3スレ目のまとめのやつなんかかわっててうかつに踏んでしまったんだけど
これは大丈夫なのだろうか・・?
一応ノートンが遮断したみたいなんだけど。
163226たんsage :2007/03/31(土) 04:41:19 ID:.RSJtHPM
>>162さん
どうやらメニューバーは凍結から漏れていたようです。
こちらで直しておきました、ありがとうございます。
何事もなければよいのですが……

それにしても…嫌な世の中になったなあ。
164名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/24(火) 02:31:39 ID:8gaTFMB6
|ー゚)なんか新作見て見たいな・・

レニャチェリとか・・・226たんのDOPとか・・・

|ミ
165名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/27(金) 15:30:30 ID:WvN2axcY
DOPは259姉様だと思うけど、生体のやつか
166名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/04/28(土) 03:41:46 ID:6LkOx4Fs
いや、生体じゃない方
プリーストのやつだっけかな
あれは259様だったか
167sage :2007/05/07(月) 01:14:48 ID:NFgWlfAo
259様とレニチェリの人は神認定!(*´д`)
168名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/07(月) 01:15:51 ID:NFgWlfAo
(´・ω・`)名前がsageに…落ち着け私
169名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/07(月) 01:31:09 ID:JYQdUEIY
>>168
気持ちはわかるw
レニャチェリたんと259様はもうこのスレみてないのかなぁ
170名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2007/05/07(月) 08:53:45 ID:LpgqSwxA
レニャチェリの人はエミュから出てこないで欲しいナ
171名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/09(水) 00:09:11 ID:/Dl.Sd/o
>>168
つまり次はセージ娘のお話がきっと・・・
172226たんsage :2007/05/23(水) 00:25:30 ID:gJqyrESI
ちょっと珍しい感じで一本書いてきましたー。
毎度ながら流れ無視でごめんなさいー
173226たんsage :2007/05/23(水) 00:26:11 ID:gJqyrESI
 目を細める。スコープなど無用、蛇の目は一度獲物を捕らえれば逃がさない。遠く離れた相手の体温すら感じ取れるかのようだ。冷えた銃身――一昨日アマツで狩りをした時の分捕り品、長身銃サイクロンを握る。獲物は黙って座っては居てくれない。歩きもするし揺れもする、が、私にはその動きが手に取る用に読めた。練習とは違う、人を狙う緊張。一見平和な町でも、裏を返せばこうも物騒なのだ。どこに暗殺者が潜んでいるとも知れぬし、銃士や射手の狙撃を逃れることは不可能に近い。平和に暮らしている限りでは、そんな者に狙われる機会はなかろうが。
 ドン、と衝撃と発砲音。銃弾は獲物の頭を掠め、彼が被っていたウェスタングレイスを風に舞わせた。その古臭い帽子はイズルード市街を囲む海水に落ち、穏やかな波間へ消えた。突然のことに咥えていた煙草を取り落とした彼は、風貌からしてブラックスミスだろう。可哀想に、海へ向けてなにやら喚いている。
 うむ、良い気味だ。家族連れで賑わう公園で臭い煙を撒き散らすからそんな目に遭う。私は煙草が嫌いなのだ、特に公共の場で吹かして気取っている輩が。
 あの煙は、アインブロックの淀んだ空気を思い出す。私は軽い喘息持ちで、何度も苦しい思いをしたのだ。
「……はァ」
 実のところ狙っていたのは煙草の先だったのだが、この際それは忘れることにする。もうこんな危ない遊びはすまい、心に誓った。


 ライフルの銃身を掃除して歪みをチェックをしていると、ノックの音がした。ここは宿の自室である。私はプロンテラの人込みがどうも好きになれず、衛星都市であるイズルードに駐留することが多い。そんな自分は人付き合いを好まず……訪ねてくる知人に心当たりなどは、一件しかない。
「カレンかしら?」
 ドアに向かって尋ねながらそちらへ歩いていく。口に出してから思ったが、銃声を聞きつけた宿の主が不審に思って訪ねてきたというケースは充分考えられる。失敗したな、と内心で舌打ちをひとつ。まさか先ほど狙撃したブラックスミスがここを突き止めたということはないだろうが、念のため腰に下げた短銃の安全装置を指先で外しておく。本来、私の得物はこいつだ……番のカスタムメイド短銃、ガリスン。
「はいーカレンですー、銃声しましたけど何事ですか!」
 聞き鳴れた高い声を確認すると、私はドアの鍵を外した。


「――びっくりしましたよ、フランチェスカさんの部屋に行こうとしてたら、こう、ばきゅーんって音が」
「練習よ、練習。驚かせちゃった?」
 なにやら身振り入りで解説してくれるこの子は、小柄な体躯をしながら、正教会直属の聖騎士である。関係はというと、元ギルメン……でしかないのだが。印象の通りに頭はその、温かいというか、香ばしいというか、軽いというか、お天気というか――端的に言えばおバカである。何故こんな子が聖騎士として転生しているのか理解に苦しむ。正教会は私が考えているよりもいい加減な組織なのだろうか。まったくの余談だが、小柄であってなお、バストは控えめである。
「そりゃ、ガンスリンガーなんて珍しいし、フランチェスカさんしか考えられないじゃない。銃の暴発でケガでもしたのかって、もう、きゃーって」
 フランチェスカというのは私の名である。『岩蛇(パイソン)』のフランチェスカと呼ばれる銃士だ。堅物呼ばわりされているようで、あまり好きな二つ名ではない。腕も鈍ったようだし。
「貴女じゃあるまいし、そんな馬鹿じゃないわ。それよりカレン、私に用事だったんじゃないの」
 放っておくといつまで喋るかわからない子なので、適当に打ち切る。それに、銃声の話題にはあまり触れられたくない。忘れたい。
「んや、用事ってほどじゃなくってですね。遊びに来ちゃいましたー」
「……はァ……」
 たはー、と言っておでこに掌を当てる。遊びに来た、といっても冒険者である私が間借りしている個室で遊ぶものなんてあるはずがない。簡単なゲームの類ならできるだろうが、カレンの言う『遊びに来た』はそんな可愛らしいものではない。
 この子と私は、『元』ギルメンの仲である。というのも人付き合いが面倒になって、私が勝手に抜けたのだ。カレンとは狩り仲間という訳でも、旧知の友という訳でもない。なのにギルドを抜けた今でも、彼女はこうして『遊び』に現れるのだ。
「あのねぇ、カレン」
「だってだって、フランチェスカさんほど口のかたーい人っていないしね。それに、今までした中で一番だったし……」
「人の話を聞きましょうね」
 ごっ、とガリスンの銃口を額に押し付けてあげると、喋る勢いそのままに口だけぱくぱくして、やがて止まった。この子のこういう、漫画みたいな反応はかわいいと思う。何気なくいつもの調子で銃を向けてしまったけど、安全装置を解除してあることはすっかり忘れていた。どうも今日の私は危険な女のようだ、慌てて銃を下げ、再び安全装置を掛ける。
「いい? 頭のあったかい貴女にもわかるよーに、順番にゆっくり話すからね。……あんた、彼氏はどうしたのよ」
 名前はすっかり失念したが、確かカレンには仲のいい恋人がいる。筋骨逞しいチャンピオンの男性で、小柄なカレンとのコントラストが際立つ男だった。どうも冷静に考えると、彼女の無根拠な可愛らしさに騙された、可哀想な男のような気がしてならないが。
「んえ、がりくん? がりくんなら今も大好きですよー、あーねぇ聞いて、がりくんったらわたしのこと」
 そう、彼の名前はガリウスと云ったか。しかしなんだ、がりくんって。あのハイオークと相撲が出来そうな男が、まるで痩せっぽちのように聞こえる。
「はい、愛しい彼の話はいいから。で、あんたは私と、何をして遊びに来たのでしょうか?」
 どうもカレンと話していると、私まで敬語の使い方がおかしくなる。おバカ菌が伝染しているのだろうか。さっきの勢いで射殺しておくべきだったろうか。
「はーいっ、カレンは、フランチェスカさんとエッチしにきたんですー」
 ――ああ。
 やっぱり、と思っても。実際に笑顔でほざいていただかれると、めまいが致しますわけで。

174226たんsage :2007/05/23(水) 00:26:39 ID:gJqyrESI
「いい、よく聞いてね、カレン……」
「はーい先生」
 ――ツッコんだら負けだ。耐えろ自分。
「確かにね、何度か貴女と身体を重ねたことはあったわ。ギルドを抜けてからもあったわ、でもね」
「くぅ〜ん、フランチェスカさんの裸、綺麗なんですよねぇ。見たい見たい、ねぇ見せて」
「カレン、自分で静かにするのと、喉に鉛弾一発貰うのどっちがいい?」
 ごっくん。唾を飲み込んで、唇の端を摘むジェスチャー、そして反対側へ……口にチャック。人差し指を立てて、しーっ。うむ、大変よろしい。
「私が男と付き合うの面倒だから、貴女なら後腐れないと思って性欲処理に使ったの。お酒の勢いで抱いたこともあったわ、貴女って見た目だけは可愛いものね」
「せんせー、性欲処理ってなんですガぼッ!?」
 おバカの大口にガリスンの銃口を差し込んで黙らせた。続きを話すことにする。
「そういう私が言うのもなんだけれど、やっぱり浮気は良くないと思うのよね。そうでしょう?」
「はぐ、はご、んむ、んぎゅ」
 何か話したそうにしている。仕方がないので抜いてやる。……後で拭かなきゃいけない、失敗した。おバカ菌の殺菌もしなくては。
「はぁ、はぁ……えっと、フランチェスカさん、あのですね」
「ええ」
「浮気――異性から異性へと心を移すさま、多情。妻や夫など定まった人がいながら他の異性と情を通ずること。セージアカデミー国語辞典より」
 つらつらと暗唱してみせるカレン。丸暗記しているようだ。おバカなのに聖騎士を張れる能力だけは備えているから質が悪い。
「つまり――同性なら浮気じゃないんです、問題にゃーいですよ! これなら教会にも怒られませんからっ」
 ずびしぃっ、と人差し指を突き出して自信たっぷりに言う。ああ、ツッコみたい。ダメだ、この子やっぱりダメだ。
「……あのねカレン。それ、ガリウスからしたら男に浮気されるより屈辱的だと思うのよ」
「フランチェスカさんは口が堅いですもん」
「プロンテラ日報に垂れ込んでやろうかしら、聖騎士の高尚なご趣味って」
「いやああああああっ、フランチェスカさんの薄情者っ」
 そもそも、カレンのような立場の人間が『バレなければいい』と考えている時点で大問題だと思うのだ。

「ねえ。大体あんた、彼氏とベタベタじゃなかったの」
「んや、がりくんは毎晩すっごい激しくてとっても、きゃーって感じにしてくれるんですけど」
 毎晩ですか。そうですか……。
「足りなかったら昼もしてもらえばいいじゃない……どうして私なの」
「んぁー、その、足りてるんですよ。えっち分は、がりくんがそりゃもー栄養満点でお肌つやつやで、きゃーって」
「いや……ねぇ、だったら私にたかりに来なくてもいいじゃない」
 この子と話していると、何だかすべて放り出して耳を塞いで寝ていたい気分になる。
「そこはほらー、甘いものは別腹なんです。フランチェスカさんも女の子ならわかるでしょー」
「はァ……あいにく私、甘いものは苦手。第一、私のどこが甘いって言うの」
 正直、何度か重ねたカレンとの情事でも、甘い雰囲気などはまったく出ていなかったように思う。
「フランチェスカさんは甘かったよぉ……はふぅ」
 頬を染めて宙を見上げ、細くため息をついて……ああ、確かにカレンは可愛いのだ。だがどうだろう、こうしてうっとりと思い浮かべているのが、自分とのセックスであるという場合というのは。
「この際それはどうでもいいわ。悪いけど、私今日は――ううん、今後当分、する気はないから。お茶くらいは出すけど、飲んだら帰りなさいね」
「んえ、ええええぇぇっ!? な、なんで? なんでですか!?」
「はァ……あのねぇ、なんででもいいじゃない。はっきり言えば、飽きた」
 事実である。そもそもこうして相手に気を使って、長いこと関係を続けるのが嫌だから男に靡かなかった私だ。岩蛇呼ばわりされるのには相応の理由がある、今の状況が面白かろうはずもない。もともとカレンとも一夜きりのつもりだったのが、こうしてズルズルと来ているのだ……。
「ん、じゃ、じゃあねえ。フランチェスカさんが面白ければいいんですよね」
「カレンじゃ無理」
 このおバカがいくら知恵を巡らせた所で、高が知れているというものだ。
「じゃあフランチェスカさん、えすえむしよう。私のこと縛って、苛めてきゃーって」
「ああ、どうしようかしら。無性にデスペラードぶっ放したくなってきたわ」
「ええぇえっ、がりくんがしてくれるとすごいのにー」
 いや、あんたがすごくても私は知らない。本当、部屋に上げるんじゃなかった。


 それからしばらく、カレンは考え込んでいた。安物の赤ハーブティのカップを傾けて、その様子を見ている。顎に手を当てて、うんうん唸って上を見たり下を見たり……本当にアクションの大きい子だ。
「――じゃ、じゃあ。勝負しませんか、勝負」
「勝負?」
「ええ、賭けです。私とフランチェスカさんで、ギャンブル」
「……ふゥん」
 ……そう来たか。内心で舌打ちしながら感心した。銃士の間ではよく、小さなギャンブルが行われる。賭けるものは金銭から道具、食事から仕事、身体まで色々だ。そのルールが染み付いた私にとって、持ち掛けられた勝負を逃げるということは……それだけで非常に屈辱的だ。
「考えたわね。賭けるものは何?」
「勝った方が、負けた方を好きにできるーっ、って権利です」
「……はァ。勝っても負けても、結局するんじゃないの、それ」
「んや、フランチェスカさんが勝ったら、帰れって言えばいいじゃない」
 なるほど、確かにその通りだ。今までついつい身体を許してきた自分の甘さに、後ろめたい気持ちもない訳ではなく、それを昇華して関係を断つためにも勝負を受けるのは悪くない。負けたらどうなるかについては……まあ所詮、おバカのやることである。第一彼女は私を気に入ってくれているのだし、そうそう無茶なことはしないだろう――。
 ――悪くない。
「少し質問があるわ」
「はーい、なんでしょー」
「『何をしてもいい』っていうのは、どこまでの話?」
 そうなのだ。一応確認しておかねばならない。
「どこまでも何も、言ったままですよー。無理矢理何かしてもいいし、命令もおっけー」
「そうね、……死ね、って言われたらどうするつもり」
「あっはは、フランチェスカさんってば子供みたいー」
「あんたほどじゃないわ。死ねとまでは言わなくても、厳しいこと。例えば、『100Mz払え』とか、『ガリウスと別れろ』とか、『裸で外に出ろ』とか」
「フランチェスカさん、そんなこと言うんです?」
「言わないけど」
「じゃあいいじゃないですか。何でもは何でも、ですよぉ。信用してますし」
 私はカレンを信用していないわけなんだけれど。その辺どう思っているんだろう、この子は。悪い子じゃないし、おバカだから、私が本気で嫌がることはできないでしょうけれどね。
「後は、そうね。命令に対して嘘をついたり、見逃してくれるよう願うのはアリなの?」
「お願いならいいですけど、嘘つくのも拒否するのもダメです。お願いしても、ダメって言われたらやるんです」
「――本気?」
 正直、私は怖くなってきた。もちろん、負けたら何をさせられるかという恐怖も多分にあるが――こんなことを言い出すカレン自体が、薄ら恐ろしかった。私は『岩蛇』フランチェスカ――それはカタブツであるとの揶揄と同時に、冷徹さにも起因した二つ名だと言うのに。まさか、何をされるか想像もできないほどおバカなんだろうか。
「当たり前です。第一ー、これくらいじゃなきゃフランチェスカさん乗ってこないですしー、勝っても面白くないでしょ」
「ふゥん、上等ね。……勝負の種目は何にするの?」
「何でもいいですよ。コインにします? 得意ですよね、フランチェスカさん」
 コイントス。単純明快、一発勝負。銃士のギャンブルの基本……って、この子はどうしてそれを知っているのだろう。
「カレンがそれでいいなら、構わないわ。――でも良いの? 勝負で勝ったとなれば、私は本当に貴女を好きにする。甘くないと思うわよ」
 脅しのつもりはない。この可愛い子を好きなように出来る権利、興味が無くはないのだ。『今日は好きにしてください』と言われて、合意で始めるのとは訳が違う、完全な強制権――確かに面白そうだった。また、勝負で手に入れた権利を使わないというのは、その勝負への冒涜になるという意識もある。こんな風にワクワクしてしまうこと自体、カレンの思う壺なわけだが。
「私は、もちろん構いませんよ」
「悪いことは言わないわ。ガリウスが好きなら、止めるべき」
 言外に、その気持ち――歪んではいるものの、彼女なりの一途な気持ちを辱める行為を行う意思を仄めかして見せた。
「……フランチェスカさんが勝負してくれるなら」
「そこまでしてでも、私が欲しい、ってことね。面白い、受けましょう」
 ポケットから1Zeny硬貨を取り出して、裏と表をカレンに見せた。思いのほか、気持ちが高揚しているようだ。こんなに負けたくないギャンブルなんて久しぶりだ――カレンの思う壺にはまるのは癪だが、勝った暁には、私を甘く見たことを後悔させてやろう。

175226たんsage :2007/05/23(水) 00:27:03 ID:gJqyrESI
 軽い音がして、鈍い色のコインが翻った。
「――うひゃ」
 カレンがあっけに取られた顔で見ている。私の右手は左手の甲に重ねられて、中にはコイン。空中に弾いて、落ちるところをカレンの目の前で受け止めたのだった。私のような銃士は動体視力に優れ、コインを受け止める瞬間を見ていればどちらの面が出ているか解ってしまう。人並みにスキルを鍛えていれば、的中率は五割どころではないのだ。
「さァ、表と裏。どっち?」
 指定するのはカレンである。キャッチするときに目で見た情報だけではなく、掌で感じる触感で私はどちらの目が出ているか解るからだ。これがガンスリンガー同士なら互いに優れた目を持っている為、当てる側は後ろを向くなど、さまざまな作法がある。あえて見せた上で技術で欺いたり、裏をかいたり、コイントスはコイントスで中々奥が深い。もっとも、こんなおバカさんにそんな技を駆使する必要はないのだが。
「むむむ、えっとぉ」
「ふふふ、素直なカレンは表かなァ?」
 こうして尋ねるときの態度も、駆け引きの一環である。ヒラでの勝負でも、口は使う。
「えーっと、フランチェスカさんはどっちだと思いますー?」
 ……おバカなのか狙いがあるのかさっぱりわからない。どうしたものだ、これは。狙いがあってやっているのだとすれば、私はカレンに撹乱されていることになる。おバカのくせに。
「そうね、表だと思うわ」
「じゃあ、表で」
「カレン。本当にそれでいいの?」
「はい。フランチェスカさんはわたしに嘘つかないもーん」


 ――コインは表だった。


「あゃー、まさか、勝てるとは思ってなかったですよぉ」
「あんたみたいなおバカに負けるなんて、屈辱だわ」
 正直、驚いた。私は裏を出したつもりでいたのだ。今日の私は一体、どこまで調子が悪いのだろう。ブラックスミスの帽子を狙撃して以来、カンが狂い放題だ。
「本当そうですよねぇ。負けると思ったのになー」
「残念そうね。代わってあげてもいいわよ」
 冷静にそう言った。冷静に。そう、どうせ、この子とセックスさせられるだけだ。何度かしたことだ、何も変わらない。
「うー、そんな怖い顔しないでくださいよー」
「顰めっ面が地なの、知ってるでしょ」
「ううん――これは命令。フランチェスカさん、笑って?」

 ――なんてことだ。
「ふふ……はァ。それは難しい注文ね」
 顔から血の気が引き、どんどん笑顔から遠くなっていくのがわかる。震え出しそうなのを必死に抑える。簡単でつまらない命令だが、その裏にはひどく恐ろしい響きがあった。カレンは私に命令できる。勝負で勝ったのだから権利もあるし、強気に言い放つ度胸もある。それどころか、このつまらない命令は――恐らく、私を操るという宣言だ。そして――。
「まさか、できないなんて言いませんよね、こんなカンタンなこと」
 『お手本ですよー』と言わんばかりの笑顔で、結構ヒドいことを言ってくる。今日の私のカンが相当鈍いのはいよいよもって疑えない。少なからずこのおバカを甘く見ていたことは確からしいのだ。
「こ……これで、いい?」
「ぷっ、フランチェスカさんってば、おバカな顔ー」
「この状況で笑えって言う方に無理があんのよ……ッ」
 鏡がないのでよく解らないが、相当引き攣った笑顔をしているだろう。しかしカレンにおバカ呼ばわりされるのは、なんというか、腹の奥で渦を巻くナニカがある。第一、私は笑い方なんかよく知らない。そうでなければあんな不名誉な――呼んでいる者は賛辞のつもりかもしれないが――岩蛇なる二つ名で呼ばれるまい。
「そうそう、無理があってもやるんです。ね、フランチェスカさん――勝ったらどうするつもりでした?」
「考えてないわよ」
「うそつき、少し考えたくせにぃ。正直に教えてください、命令です」
 命令。その言葉を使われると、背筋がゾクっと震える。この子の命令はただ何か行動をさせるというものではなく――うまく言えないが、どうも恐ろしくてたまらない。
「……そうね。やるかどうかはわからなかったけど、いくつか考えたわ。私の目の前で他の男と寝てもらうとか、スマイルマスクで顔隠して、アインブロックの安酒場でワンコイン娼婦させるとか」
「うっわ、えげつないですね」
「アッチの知り合いなら、一回二回なら副作用のない幻覚剤とかも手に入るから、そういうのも考えたわ。乳首にピアス開けさせたら、彼氏に見限られちゃうかなァー、とかも」
 恐ろしさに呑まれないようにぺらぺら話す。カレンの性格上、『じゃあそれやってみましょうか』とはなるまい。こういうえげつないのを好みそうにはない――もっとも、だからこそ勝負を受けたのだが。
「ね、フランチェスカさん」
「なァに」
「私、それだけのものを賭けたんです。フランチェスカさんは、プライドのある人だから」
 銃士が賭けの負けを反故にすることはない。それがカレンの言う、プライドだ。正直に従えと言われれば、一片の嘘も挟まない。それを利用されたのは解り切っているが、だからといって翻す訳にはいかない。
「いいわ。何でもやる」
「はーい。じゃあ、えっちしましょう、えっちー」
 なんだ。結局同じじゃないか――。


176226たんsage :2007/05/23(水) 00:27:45 ID:gJqyrESI
 軽い音がして、鈍い色のコインが翻った。
「――うひゃ」
 カレンがあっけに取られた顔で見ている。私の右手は左手の甲に重ねられて、中にはコイン。空中に弾いて、落ちるところをカレンの目の前で受け止めたのだった。私のような銃士は動体視力に優れ、コインを受け止める瞬間を見ていればどちらの面が出ているか解ってしまう。人並みにスキルを鍛えていれば、的中率は五割どころではないのだ。
「さァ、表と裏。どっち?」
 指定するのはカレンである。キャッチするときに目で見た情報だけではなく、掌で感じる触感で私はどちらの目が出ているか解るからだ。これがガンスリンガー同士なら互いに優れた目を持っている為、当てる側は後ろを向くなど、さまざまな作法がある。あえて見せた上で技術で欺いたり、裏をかいたり、コイントスはコイントスで中々奥が深い。もっとも、こんなおバカさんにそんな技を駆使する必要はないのだが。
「むむむ、えっとぉ」
「ふふふ、素直なカレンは表かなァ?」
 こうして尋ねるときの態度も、駆け引きの一環である。ヒラでの勝負でも、口は使う。
「えーっと、フランチェスカさんはどっちだと思いますー?」
 ……おバカなのか狙いがあるのかさっぱりわからない。どうしたものだ、これは。狙いがあってやっているのだとすれば、私はカレンに撹乱されていることになる。おバカのくせに。
「そうね、表だと思うわ」
「じゃあ、表で」
「カレン。本当にそれでいいの?」
「はい。フランチェスカさんはわたしに嘘つかないもーん」


 ――コインは表だった。


「あゃー、まさか、勝てるとは思ってなかったですよぉ」
「あんたみたいなおバカに負けるなんて、屈辱だわ」
 正直、驚いた。私は裏を出したつもりでいたのだ。今日の私は一体、どこまで調子が悪いのだろう。ブラックスミスの帽子を狙撃して以来、カンが狂い放題だ。
「本当そうですよねぇ。負けると思ったのになー」
「残念そうね。代わってあげてもいいわよ」
 冷静にそう言った。冷静に。そう、どうせ、この子とセックスさせられるだけだ。何度かしたことだ、何も変わらない。
「うー、そんな怖い顔しないでくださいよー」
「顰めっ面が地なの、知ってるでしょ」
「ううん――これは命令。フランチェスカさん、笑って?」

 ――なんてことだ。
「ふふ……はァ。それは難しい注文ね」
 顔から血の気が引き、どんどん笑顔から遠くなっていくのがわかる。震え出しそうなのを必死に抑える。簡単でつまらない命令だが、その裏にはひどく恐ろしい響きがあった。カレンは私に命令できる。勝負で勝ったのだから権利もあるし、強気に言い放つ度胸もある。それどころか、このつまらない命令は――恐らく、私を操るという宣言だ。そして――。
「まさか、できないなんて言いませんよね、こんなカンタンなこと」
 『お手本ですよー』と言わんばかりの笑顔で、結構ヒドいことを言ってくる。今日の私のカンが相当鈍いのはいよいよもって疑えない。少なからずこのおバカを甘く見ていたことは確からしいのだ。
「こ……これで、いい?」
「ぷっ、フランチェスカさんってば、おバカな顔ー」
「この状況で笑えって言う方に無理があんのよ……ッ」
 鏡がないのでよく解らないが、相当引き攣った笑顔をしているだろう。しかしカレンにおバカ呼ばわりされるのは、なんというか、腹の奥で渦を巻くナニカがある。第一、私は笑い方なんかよく知らない。そうでなければあんな不名誉な――呼んでいる者は賛辞のつもりかもしれないが――岩蛇なる二つ名で呼ばれるまい。
「そうそう、無理があってもやるんです。ね、フランチェスカさん――勝ったらどうするつもりでした?」
「考えてないわよ」
「うそつき、少し考えたくせにぃ。正直に教えてください、命令です」
 命令。その言葉を使われると、背筋がゾクっと震える。この子の命令はただ何か行動をさせるというものではなく――うまく言えないが、どうも恐ろしくてたまらない。
「……そうね。やるかどうかはわからなかったけど、いくつか考えたわ。私の目の前で他の男と寝てもらうとか、スマイルマスクで顔隠して、アインブロックの安酒場でワンコイン娼婦させるとか」
「うっわ、えげつないですね」
「アッチの知り合いなら、一回二回なら副作用のない幻覚剤とかも手に入るから、そういうのも考えたわ。乳首にピアス開けさせたら、彼氏に見限られちゃうかなァー、とかも」
 恐ろしさに呑まれないようにぺらぺら話す。カレンの性格上、『じゃあそれやってみましょうか』とはなるまい。こういうえげつないのを好みそうにはない――もっとも、だからこそ勝負を受けたのだが。
「ね、フランチェスカさん」
「なァに」
「私、それだけのものを賭けたんです。フランチェスカさんは、プライドのある人だから」
 銃士が賭けの負けを反故にすることはない。それがカレンの言う、プライドだ。正直に従えと言われれば、一片の嘘も挟まない。それを利用されたのは解り切っているが、だからといって翻す訳にはいかない。
「いいわ。何でもやる」
「はーい。じゃあ、えっちしましょう、えっちー」
 なんだ。結局同じじゃないか――。


 ――と思ったのは、やっぱり甘かった。
「って言われてもねェ。私、全然そんな気分じゃないんだけど……どうしたらいい?」
「決まってるじゃないですか。――エッチな気分になってください」
「……はァ?」
 それは恐らく命令。だが、ある意味途方もなく難しい。やれと言われてできることとできないことがある。例えば私は煙草が嫌いだが、吸えと命令されれば咽せながらでも吸うだろう。でも、好きになれと命令されても、きっと不可能だ。
「方法は任せますから、自分で気分出してください。フランチェスカさんが本当にしたくなるまで」
「できるの、そんなこと」
「フランチェスカさん、本当におバカになったんですかー?」
 くすくす笑うカレン。続く言葉は、言われなくても解っている。
「できなくたって、やるに決まってるじゃないですか。命令ですもん」
「な、何か……そう、そういう本とか」
「ダメです」
「じゃあ、カレンのやらしい話とか……」
「ダメですよ」
「はァ……服、脱いでいいかしら」
「ええ。フランチェスカさんが、裸見せるほうが興奮するなら、いいですよ。私は脱ぎませんけどー」
 ……く。そういう態度で、来るわけね。
「いいわよ。そうでもしなきゃこの命令、従えそうにないわ……」
 それならこっちも、受け入れていくだけ。過剰に逃げ回ったところで不利になるばかりだ。
「そうそう、フランチェスカさん」
「……なァに」
 ガンスリンガーの黒い服をさっさと脱ぎ、内心の躊躇を振り払って――半端な恥じらいは墓穴を掘るだけだ――下着に手をかけたときだった。
「アソコ触るの禁止しますから、そのつもりでお願いしまーす」
「……あそこってどこのこと」
「フランチェスカさん。恥ずかしいこと言わせるのは、私の役目ですよ」
 これは、トボけてみても無駄だろう。仕方なく、私は……裸で、カレンの目の前で、肝心の部分には触れずに――したくもない自慰行為を披露する羽目になったのだった。
 いや、違う。したくなるまで、しなければいけないのだ。
177226たんsage :2007/05/23(水) 00:28:24 ID:gJqyrESI
「きゃーっ、きれいな身体。おっぱい大きいし、いいなあ。分けてくださいよー」
 自分の胸を左右からくいくい押して、寂しそうに言う。確かにカレンの胸は普通か、それより少し小さいかだ。
「まさかとは思うけど、それは命令?」
「まさかぁ。できませんしねー、あははは」
 部屋のベッドに素っ裸で、色気もそっけもなく腰掛ける私と、部屋の椅子に掛けてそれを見るカレン。カレンは鎧ではなく部屋着姿で、赤ハーブ茶を注ぎ足して啜っている。私はといえば左手を左胸に当てて、やる気なく揉んでいる。自分でやっていて何なのだが、こんなんで気分が出るわけがない。
「フランチェスカさん、バストいくつー?」
「……93のF」
「ぶっ」
 隠したってどうせ言わされるのだから仕方ない。そう思って素直に答えた。
「な、何よ」
「う、うらやましいーっ、フランチェスカさんなんかーっ!」
 拳で膝を叩いて激昂するカレン。ハーブ茶がカップの中でちゃぷちゃぷ揺れている。
「何よそれ」
「うるさいです。素直に答えたのは自慢ですね。大体何揉んでるんですか、そんなにむにむにさせてそれも自慢のつもりなんだ。さいてー」
「いや、あんたがエッチな気分になれって言ったんじゃない」
「んにぁーっ! 口答え禁止。なまいきなまいきなまいき」
 ワケがわからない。絶対性格変わってるし。胸の話は禁忌だったのかもしれないけど、聞いてきたのはカレンだし。
「Fさん」
「な、なァに。っていうかFさんって誰!」
「フランチェスカの頭文字とFカップだからFさん。わからないんですか?」
 いや、わかるけど。何この仕打ち。どうやらカレンにとって、お胸の話は本格的にダウトだったらしい。
「Fさん。シーツ胸に掛けてぴったり押し付けて。その上から乳首触りなさい」
「な、なんで急に命令口調に」
「やるのぉー!」
 ……怖い。カレンが怖い。
 言われるままにベッドの掛けシーツを引っぱり、胸に当てる。先端のふくらみが布を持ち上げているのを確認して、カレンの顔を伺う。
「指の腹でさわさわーって、気持ちいいですよ。爪は立てちゃダメです」
 無言で、言われるままにする。両手の中指の腹で撫でると、くすぐったくて身を捩る。こんな触り方をしたことはないけれど、何やらとてもくすぐったい。
「……何おっぱい突き出してるんですか。嫌がらせ?」
「そ、そんなこと言っても。肘を脇の後ろに引かなきゃ触りにくいから」
「口答え禁止。っていうかー、要らないこと考えないでください」
 カレンが怒っている。なんだかものすごく理不尽だ。勝手に私の胸にキレられても困る。怒りたいのはむしろこっちだ。
「頭で考えなくていいです。せっかくそんなに立派なんですから、おっぱいで考えればいいじゃない」
「はァ、できるわけないじゃないそんなこと」
「フランチェスカさん、結構おバカですね。できなくてもやるんですよ」
 ……つまり、これは命令なのだろう。カレンは、私に『頭じゃなくおっぱいで考えろ』と命じているのだ。メチャクチャである。私にどうしろと言うのだ。第一、おっぱいで考えるって何?
「どうすればいいのよ……」
「ふーんだ。教えてあげますから、言われるとおりにしてればいいんですよ――にぁ、手止まってますよ。本当におバカになったんですか?」
「あ……ごめん」
 理不尽極まりないが、カレンがとても機嫌悪そうにムスっとしている。思わず素直に謝って、指の腹で乳首を撫でる動きを再開する。くすぐったくて、胸を突き出す姿勢のまま、身体のあちこちがくねくねとうねる。胸から下もシーツの下でもじもじと動く。
「うふふふー、気持ちいいでしょ」
「く、くすぐったいわよ」
「じゃあフランチェスカさん、気持ちよくなりなさい」
 何なのよ、その無茶な命令は。
「にひひ、それ続けるとどんどんヘンになるよぉー。太腿すりすりして、腰きゅーって鳴いて、後ろに後ろにくいくい、くいくい動くの」
「……っ、ん」
 言ってることはおバカなのに、私の身体は本当にその通りに動いていた。カレンの機嫌を損ねないための、無意識の演技だろうか。こうして乳首を擦る刺激はどうも、気持ちいいというよりも落ち着かない感じがして、腿がもじもじ擦れ、腰が引けていく。明確な指向はないけれど、ただこうしていたくない気持ちが沸いてくるのだ。
「きもちよくないです?」
「くすぐ……ったい」
「ふーん。フランチェスカさんのお胸は贅沢なんですね。私のひんにゅーとは違うんだ」
 不機嫌そうに言うが、様子が少し違う。いたずらっぽく笑っている。なんだか、余計なスイッチが入ってしまっているような、そんな顔。
「じゃあ、気持ちよくなるまでしててくださいね。あっあ、もちろん休んじゃダメですー」
「……くぅっ」
 もう気持ちよくなってると言おうとしたが、先ほどくすぐったいと言ってしまった手前、すぐには言えなかった。いつの間にかすっかりエッチな気分は出来上がってしまっている。こんなにおバカなやり取りだったのに、私はおかしいのではないか。とにかく、もう少しだけ続けて早いところギブアップさせてもらおう。『エッチな気分になれ』という命令はもう、こなしたのだから。
「私ー、それお気になんです。でもあんま続けると本当にヘンになっちゃうかもー」
「ん……っく、――んはあ」
 親指と中指を開いて布地を伸ばし、乳首に押しかぶせ、その上から人差し指の指先から指の腹で擦る。ぴんと張った薄い布越しに、さらさらと、素肌ではありえない滑らかな摩擦で擦られる。初めてやったが、これは……イイ、かも、しれない。
「そうそう、そぉ、布たるませないのがコツなの。フランチェスカさん上手ー、えっちだー」
「や……ん、ふ、カレン……気持ち、いい」
 上半身をそれこそ蛇のようにくねらせて、下半身は一定のリズムでくいくいと引く。その動きが止められない。撫でている乳首自体は、もうとっくにコリコリした感触になっている。
「んゃー、嘘くさいなあ。フランチェスカさんの立派なおっぱいはもっと贅沢だよねえ」
「も、もう……気分、出ちゃったからぁ、ね……」
「だぁめー、まだ気持ちよくなさそう。もっともっと、たまんないって伝わってきたらねー」
 ……ああ、そうか。つまり。
「んはうぅ……カレンんゥ、これ、続けるの……?」
「もちろんですよぉ」
 はくっ、と息を飲み込んで、言われるままに乳首をすりすり撫で続ける。こうして触るためには両腋を締めて肘を後ろに引く必要があるので、胸を突き出したポーズが崩せない。その締めた腋でシーツを挟み、指で広げて押し当てるのだ。ちんまりと畳んだ上腕や肘が引き攣ったように震える。
「カレンん、これだめェ、続けられないィ……ッ」
 身を起こして座っているのも苦しくなって、ごろごろと布団の上で悶え転げてしまう。先端を撫でるだけでなく、両の掌でぐいぐい中央へ揉み込む。これはもう、紛れもないオナニーだ。事実、股間の湿った感触も無視できないくらいになっているわけで。
「まーだ恥ずかしがるだけの余裕があるじゃないですか。もっと続けてくださいー」
 ――つまり。私が本気で気持ちよくなっていることを伝えてやらないと、これは終わらないのだ。
「ひぐ……ッ、ひァ、くふゥゥ……」
 転げまわるうちに尻をカレンに向けて突き出して、背筋をそらして上半身をベッドに埋める姿勢になっていた。その状態でも布団と身体の間で必死に乳首を擦る。命令である以上、指を止めるわけにはいかないし、終わらせるにはこうでもするしかない。私のせいではない。
「きゃーっ、フランチェスカさんったらやっらしい。お尻くいくいこっちに突き出てますよぉ」
「だ、だってェ、気持ちイイの、じっとして、られェ、ないのよ……ッ」
「んふふぅ、フランチェスカさんってば、濡れてる。腰突き出して、回して……」
「やァあ、言わないで……ッくゥん」
 お茶を飲みながら観察しているだろうカレンは、批評はしてくれるものの、まだ手を止める許可をくれない。
「前から興味あったんですけどー、これ続けたらホントにヘンになっちゃうかなぁ?」
「や、やあァッ、ダメ、ヘンになる、なるからァ……」
 ベッドから身体が跳ね上がるほど、腰を後ろ、つまり上へ突き出し続ける。上半身の重みで胸を潰して、揉むのも気持ちいい。どうして私は、こんなになってしまっているんだろう。ああ、そうか、命令されたからだ。エッチな気分になれと言われたから、なっただけなのだ。
「――仕方ないなあ。フランチェスカさん、触ってあげますから、仰向けに寝て?」
 そう言われた瞬間、びくんと一際大きく腰が跳ねた。
178226たんsage :2007/05/23(水) 00:29:25 ID:gJqyrESI
「はっ……、ひふ、はっ……ひァ」
 胸の下で腕を組み、身を守るように膝を立て、踵を股間の前に置いて視線から防御する。無意識に上下の歯が触れ合い音を立てる。
「かわいー、涙目になってますよぅ。そんなに怖がらないで」
「無、理よ……ッ」
 仰向けになり、上半身をベッドに沈め、首を前に折ってカレンと見詰め合う。いや、カレンは私の顔を見てない。私のカラダを観察している。
「やー、知りませんよう。怖がらないで」
「ひ……っふ」
 精一杯気を落ち着ける。怖がるなとのご命令だ、無理でも努力せねばならない。身体も心も混乱しているのがわかるが、努めて落ち着こうと試みる。
「フランチェスカさん、これ借りますねー」
「ふェ?」
 カレンが取り出したのは、私の愛用している耳かきだった。アマツを旅行したときに見つけた、竹彫りの細い精巧なものだ。
「んふふ〜」
 耳かきを指先でつまみ、ぷらぷら揺すって何やら笑っている。梵天とか言ったろうか、鉤の反対側についた丸い綿がふわふわと揺れる。
 どうやら私の耳かきを使って、何かよからぬことを企んでいるようだ、この聖騎士様は。
「にぁ、お胸隠してるんですねー」
「ダメ……?」
 シーツで胸を覆い、両脇に挟んで胸の下で掌を合わせて、仰向けになっている。膝は揃えて曲げて横倒し。乱れた呼吸で上下する胸が見える。
「いいですけどー。あ、手そのままにしてて」
 耳かきを持ったまま、私の隣に腰掛けるカレン。ぎし。ベッドに手を衝いて、私の方へ体重をかけてくる。びく、と身体が竦んだ。
「怖い?」
 涙の浮いた目で見上げて、哀れを誘うような弱々しさで小さく頷く。意識したわけでもないのにこんな情けない姿になるなんて、私はよほど怯えているらしい。
「怖がらないで」
 そう私に『命令』すると、カレンは私の胸元へ手を伸ばした――その手には耳かき。
「んひひ、びっくりしちゃダメですよぉ」
「ェ……っひァっ!?」
 寝ぼけた瞳を見開いて、背を浮かせて仰け反った。何か、凄いことをされた。
「大きく動かないで。そのままですよー」
 かり、かり、かしゅっ、かりっ……。カレンは、耳かきの鉤で私の右の乳首の先端を、布地越しにリズミカルに引っ掻いていた。
「や、や、な、ッなに、なに、なになにィッ!?」
 ぶわっ、と視界が白くなった。息ができない。乳首を押しつぶすような強さではなく、表面を布地越しに掻くだけ。それだけで私はメチャメチャにされていた。
「んふふふ、フランチェスカさんすんごい気持ちいいんだ」
「ひっ、カひゅ、ひっは、ひ、ひ、ひアッ」
 身体の前で合わせた腕で、ぎゅっと自分の身体を抱いて。二の腕をぷるぷる痙攣させて、口をぱくぱくさせて酸素を求め、ヘンな声で喘ぐ。胸の先から絶え間なく送り込まれるジンジンした感覚が、頭の奥を貫いて抜けていく。
 本当に、息ができない。
「はふぅ……いいなあ。これ自分でしても、感じすぎてすぐ手が止まっちゃうんですよ。フランチェスカさんにはたっぷりしてあげますねー」
「や……だ、めェッ!」
 だめだ、だめだダメだこれはダメだ。すぐ手が止まるなんて当たり前だ。本気で息ができない。私、ここで死ぬの?
 岩蛇フランチェスカ、耳かきで乳首くすぐられて死亡。恨むわよカレン。
「うりうりうり」
「はッァ、ぁク、ッんぅン、ひ、ひッく、ひ、ふィッ」
「ぃあーん、フランチェスカさん可愛い。んふふ」
 そこで、ふっと耳かきが離れる。
「……ぷぁっ、ふぁ、ひ、ひふー、は、はー、っはー、はふ、は」
 バカみたいに大口開けて、酸素を補充する。じわーんと胸の先が痺れている。今気づいたが背中が冷たい……凄い量の汗をかいている。今まで気づかなかったのはカレンの傍若無人な攻撃に翻弄されていたせいもあるし、無意識に背中を浮かせていたせいでもあるだろう。
「さ、次は反対側ですよー」
「ちょっ、や、やだ、今のはダメッ!」
「ダメって何ですか。フランチェスカさん、立場わかってます? お乳でっかいくせにケチくさいの」
 関係ない。どんなに頑張ってこじつけてもそれは全然関係ない。
「ね、なんでもするから、さ。今のだけは勘弁しない……?」
「元々、なんでもするって話だったじゃないですかー?」
 ぐ。確かに、カレンの言う通りではある。だからってこれはダメだ、今も全身から熱くて冷たい汗が噴き出して、身体の端々ががくがく言っている。
「で、でもぉ……ねえ、なんでもするからァ……」
「えー。しょうがないなあ……じゃあ、耳かきで乳首いじめることにします」
「同じじゃない!?」
「なんでもするんですよね?」
 ――ああ、ダメだ。この子ダメだ。ホント正直に白状する、私カレンのことを舐めてた。バカにしてた。
「ごめん……カレン、本当ゴメン」
「ひゃわー、フランチェスカさんその顔、すっごい可愛いー」
「許してよ……ね、カレン……」
 プライドがどうとかはもう関係ない。怖いのだ。そして、こんなにカレンのことが怖いのに、性的に感じて興奮している自分が怖いのだ。
「フランチェスカさん、その顔――」
「……ゥん?」
 どきり。
「もっと。見せてくれますよね? 命令ですよ」

179226たんsage :2007/05/23(水) 00:29:41 ID:gJqyrESI
 ――。
「ひ……っく」
 泣いているんだろうか。右に続いて延々と引っ掻かれ続けた左の乳首がじんわりと疼く。痛くはないようだ。
「こうすると気持ちいいですか?」
 力の抜けた私の手から、汗をぐっしょり吸ったシーツを取り、胸を露にさせる。そして赤く腫れつつあるそこを、耳かきの反対側――梵天の綿毛でくすぐる。
「は、ァァ……んっふ、ゥん」
 確かに、先ほどまでの攻撃と比べれば穏やかで、気持ちいい……。
「ね、フランチェスカさん。どうして負けたんですか?」
「……ふェ?」
 一瞬、何のことかわからなかった。考えればすぐわかる、例のコイントス勝負のことだ。
「フランチェスカさん、あの勝負で私なんかに負けるわけがないんです。わざと負けたでしょー?」
「そ、そんなこと」
「あの勝負を持ちかけたのは、フランチェスカさんに乗ってもらうためでした。だから勝ち負けは任せたんです」
 確かに、本来の私は、あの勝負で勝つも負けるも自由なはずだ。ヒラで負けても、掌を開けるときに気づかれないようにコインを裏返すこともできる。
「ち、がぁ……偶然、負けたのぉ……ッん」
 乳首をくすぐる綿毛が、左から右へ。そしてそちらもさわさわと刺激し、快感を送り込んでくる。
「嘘でしょ。――わざと負けて、こうされたかったんですよ。フランチェスカさんは」
「やッ、あ、ち、違っああぁあ」
「気持ちいいでしょー。こうされたかったんですもんねー?」
 誤解、だ。私はそんな――自分から好き放題、カレンに苛められるのを望むなんてこと、あり得ない。
「お望みどおりにしてあげますよー。もっとえっちな身体になっちゃえ」
「や、やだッそんなの、望んでな――ッくあ」
 ぴちゅり。と私の耳まで水音が届いた。その瞬間に自覚する――私の女の部分が、まともな思考なんて許さないほど疼いていたことを。
「やー、じゃ無意識? フランチェスカさんたら、むっつりなんだ」
「あっひ、く……や、やあぁあ、ちが、あぁあ」
「違いませんよー。だって、本気なら負けるわけないんですから」
 ……それは、カレンの、言うとおりだ、けど。
 違う。私はこんなこと、絶対、望んでなんかいない。絶対だ。第一、この『岩蛇』フランチェスカが。
「ホントに望んでないんですー?」
 責める手をぴたりと止めて、カレンは私の顔を覗き込んだ。
「え……?」
「こういうの」
「ァひっ!?」
 ここからは見えないのに、一瞬遅れてすぐにわかる。指先で、敏感な処を柔らかく弾かれた。
「望んでないなんてこと……言うんですかー?」
「か、カレンん……あ、あんたァ……」
 ずるい。このおバカぶった聖騎士は、ものすごくずるい。どこかの岩蛇なんかより、よっぽど悪賢くて、狡猾だ。
「のこり3秒」
「ぁ……ん、っく」
 言わなきゃ。言わなきゃいけない、『望んでいない』って。こんなことは早くやめろって。
「のこり1秒ー」
「や、っだ、だめェ……」
「んにゃ、何がですか」
 ごくん。言葉とか息とか唾液とか、色々まとめて飲み込んだ。きっとそれを、カレンは私の答えと受け取ったろう。
 もう、いい。私は負けたのだ、カレンに。完全にはめられたのだ。諦めるのが一番だ。


「――しょうがないです、他ならぬフランチェスカさんの頼みです……わたしも鬼になります」
「こ、んの……」
 よく言う。こうなるよう仕向けたのはカレンだ。私は元々、こんな趣味は……。
「フランチェスカさんのこと、おっぱいバカに改造しちゃいますね」
 ……時々、カレンの話す言葉は私には理解できないことがある。「」
「いいですか? ここ、ちょんっとでも触ると」
「ンくッ」
 言いながら、私の乳首にちょんと触れるカレン。
「こっちが、きゅんってなる」
「っくゥッ」
 下へ――海鳥が魚を獲るような滑らかな動きで、指先が私のクリトリスに触れた。
「そんなスイッチにしちゃう。フランチェスカさんの、えっちボタン」
「な、なに、それェ……」
「フランチェスカさんの銃は、引き金を引いたら弾が出るじゃないですか」
 乳首の先を、左手の中指の腹で、指紋を引っ掛けてくすぐるように撫でながら。
「フランチェスカさんは……乳首を触ると、えっちな気分が止まらなくて、クリが疼いておつゆが漏れる」
「な、何ソレ……ッひあっくぅぅっ」
 右手がふわりと腿を撫で、クリをついばむ。今まで散々待たされたせいで、その刺激は恐ろしく甘かった。
「そんな風に中でくっついちゃうまで、交互にしてあげますね」
「やッや、ャだ、そんなのぉぉッくふぅッ……!」
 私の抗議は完全に無視して、カレンは私の胸を優しく愛撫し始めた。口で否定しながらも、片膝を立てて脚を広げ、熱に浮かされた泉を見せ付ける。そういえば、最初の命令はエッチな気分になれって命令だった。すっかり忘れていたけれど、こんなにエッチな気分になったのは初めてかもしれない。
「はーい、それじゃ下ー」
「えっあ、んっきゅ、ッくっ……!」
 言うがいなや、クリを指先だけで軽く押し込まれる。それだけで腰が爆発しそうな快感が襲ってきて、たまらず腿が閉じる。そのまま腰を引いてしまい、そのたびにベッドの弾力で跳ね上がる。
「あはは、フランチェスカさん腰振っちゃってる」
「ちっが、く、はっ……くふぅゥゥ……」
 泣けてきた。なんで私、こんなに感じてるんだろう。こんな、変な実験みたいな嬲られ方で。自分がカレンよりも惨めで厭らしい女みたいで、悲しくて――感じていた。
「ちゃんと覚えてくださいね。ここを触ると……」
「あ、あぁぁン、んふゥゥん」
 円を描くように両方の乳首を軽く、撫で、捏ねられて。それがたまらなく気持ちよくて、胸をぐいぐい突き出して。そして、腿をぐちゃぐちゃ摺り合わせる。
「そうそう、こっちがぎゅわって疼くの。たまらない?」
「んっふ、ぅンッ、や、ふッく、さ、触ってェ……」
「はい、ぐりゅってしたげますよー」
「ひあああぁあッ、しゥッ、しゅ、すごいィ、ん」
 カレンが言うには『ぐりゅっとした』らしい。何をされたかはわからないが、淫核に強い刺激があって、貧乏揺すりみたいに膝が震えた。
「んふふぅ、次はおっぱいー」
「はッ、はあァァ、や、ィやアぁ、下、下がァ……」
 乳首を優しく捏ね回される度に、その快感が秘処へ殺到していく。へそを突き出しては、身体を縦に波打たせて、腰を上へ跳ね上げる。もちろんそれは徒労なのだが。
「にゃー、もうちょっとですよー」
「や、やだァ待てないぃィ……クリも、中もアツくてダメぇ……」
 ふと視線を上へ遣る。楽しそうなカレンの顔を通り過ぎ、天井。いつもの自分の部屋なのに、まるで違う様子に見える。と言うか、ぐるぐる回っている。まさか、と瞬きをすると元の位置。そしてまた回りだす。どうやら私はダメらしい。
「フランチェスカさんは中に欲しくなる人ー?」
 私のクリトリスをこつんこつんとノックしながら問いかけてくる。そんなことされながら答えられる道理がない。
「ひっぐ、ひ、欲し、ィ、ぃあァ、ッく、くひィん」
 ばくん、ばくんと上半身が跳ねる。交互に乳首とクリを愛撫されるだけで、他には何もしてくれない。見えなくても凄いことになっているのがわかる。もちろん、アソコの濡れ具合のことだ。カレンには丸見えのはずだ。
「だよねぇー。すんごい欲しそうにしてるよぉー」
「わ、わかってる、ならぁァァ……んッフ、ぅぅん……」
 極めて事務的に、カレンの手は胸へ帰ってきた。指先がしっとり湿っている。ほぼクリしか触れていないのにそうなるほど、私はそこらじゅうを激しく濡らしているらしい。
「うんー。そろそろいいかなあー?」
「い、いィ、い、いいッ、いい、いいからァああぁ……」
 乳首をくるくる弄びながら、考えるようにして。
「それじゃ、ちょっと休憩ー」
「……ぃッ、あ、ああぁ……ッ!?」
 そのままカレンの指は、するりと離れた。疾しい熱だけを私に残して。
180226たんsage :2007/05/23(水) 00:29:56 ID:gJqyrESI
「あっはは、フランチェスカさん可愛い」
「ふェ……」
 あまりの出来事にぼけーっとしていると、カレンに笑われた。憤慨したいところではあるが、まずは呼吸を落ち着けることだ。
「どうでしたー?」
「悪趣味……」
 いまだに疼きと火照りが収まらない。正直なところ、自慰ででも発散してしまいたいのだが、カレンの手前そんなことはできない。とにかく、せっかく休憩を頂いたのだから、呼吸を整えて気分を落ち着かせることだ。
「気持ちよくなかったです?」
「そりゃ……感じる、けど、こんなの……」
「んにぁー。気持ちいいならいいじゃないですかー?」
 うん。おバカの相手はしない。深呼吸でもして落ち着かせてもらおう。
「はぁ……ふう……」
「落ち着きましたー?」
「お蔭様で、ね……」
 気まぐれで焦らしているとかではなく、私が落ち着くのを待っていたのだろうか。おバカの考えることはわからない。
「だったら、そろそろいいですかー?」
「何がよ?」
「んぇ? ここを、こうぽちっと」
「……ッ!」
 つん、と乳首を弾かれた。ぶるっと背筋が震えて、かああっと股間に熱が集まる。顔も熱い。困惑してカレンを見る目には、きっと薄く涙。
「あはは、できあがりー?」
「な、なによ、これェ……」
 両肘を掌で覆って、膝を丸めて、わなわな震える。落ち着いていたはずなのに、今、猛烈に疼いている。下手をすればさっき以上に。
「そうやって中でくっついちゃうと、すぐには直らないんですよー」
「な、何がよぉ……ッ」
「今日はずっと、フランチェスカさんはそのままー」
 ぞっとした。何だか、わけのわからない別世界にでも連れ込まれたような感覚。
「今日のフランチェスカさんは、おっぱい触ると、エッチなことしか考えられなくなるんです。イヤでも」
「そ、そんなァ、そんなの……」
 そんなバカなこと、と思った。でも、実際に今の私は。
「おっぱいで考えられるようになったでしょー?」
 目の前のおバカが言うとおりの、浅ましい身体にされている。


「こうなってから、おっぱいだけ触ったらどうなると思いますー?」
「や……そ、そんなのォ……」
 バカになる。絶対、そんなことされたら、私はエッチしか知らない女になる。
「大丈夫ですよ、そんなことしませんから」
「あ……ふゥ……」
「……フランチェスカさんが、自分でするんです」
 ……少しでもホっとした私がバカだった。

「んッく、ひ、や、ひクッ、はあぁあ、ひうぅ……」
「気持ちいいですかー?」
「ひ、っき、きもち、いい、いいっ、けど、けどぉォ……」
 両手で下から乳房を掴み上げ、先端を摘みながらぐにゅぐにゅ揉む。手加減なんかまるでできないけど、そうして責めるたびに私はどんどん渇いていく。
「あはは、お豆もびんびんですね。シーツ染みになってますよぉ」
 自分はそこを見ていないが、言われなくてもその通りになっているのは痛いほどわかる。カレンの言うとおりに中で繋がっているのか、乳首を捻るたびに、クリが自分もしてくれと訴えてくる。子宮は捩れるほど絞られて、疼きを持て余して身体がうねる。
「はひ、ひ、かッ、カレンンんぅ、し、下ッ、さ、触ってええェ……」
 涎を舐め取るのも忘れて、精一杯の媚態で懇願するが、取り合ってはもらえない。
「あはは、フランチェスカさんってば本当に蛇みたい。全身ぐねぐねしてるー」
「だ、だってェェ、っふ、くふゥ、ぁ、あァ、ヘンになるぅ……ッ!」
 うねるどころか、ベッドのスプリングを使って腰を跳ね上げる。そうして激しく動くことで少しでも紛らわせていた。
「いいですよ、それじゃ指貸してあげます」
「えッあ、あッああああぁァァッ!!」
 するりと前に体重を掛け、私の腰を押さえたカレン。中指を一本立てると、つるりと私の中へ潜り込ませた。たったそれだけなのに、快感を通り越して幸福すら感じる。
「ぃッあ、か、ッカレン、うッ動か、動かしてぇェ」
「んにあ、自分で動かしてくださいー。疲れちゃった」
「あッく、ん、んぐッく、ひあッ、あァン」
 必死に腰を突き上げて、カレンの指を膣壁に擦り付ける。狙いなんて定める必要もなく、ただ擦れ合うだけでたまらなく気持ちよかった。この指さえあればもう一生、性に不自由なんてしないと思えるくらい。
「えい」
「ひあッっく、ッふあああァッ……!」
 ぐり、っと膣内の指がうねった。その動きを最大限愉しむように、腰が勝手に動く。おでこの当たりで何か白く光ったけど、きっと幻覚。顎がかくかく震えている。何これ、私、丸っきりバカだ。
「フランチェスカさん、私の手首掴んでもいいですよ」
「はッあ、あっ、あ、あ、あんゥ、んッ、んふッ!」
 そう言われて、言われた意味をトロけた頭が理解して、すぐに身体が動いた。よくそんな元気があったものだと思う。上半身を起こして、カレンの腕を握り締め、じゅぶじゅぶ音を立てて自分の中へ突き入れる。口がパクパクするのが止まらない。
「うわあ、なんかすごい……」
「はふ、は、はひゅ、ン、んンン、んッくぅぅン」
 イく、これはすぐにイっちゃう。腰を前に突き上げながら、両手でカレンの指を奥へ突っ込む。腰をベッドへ沈み込ませながら、両手でカレンの指を腕ごと引っこ抜く。両膝を立ててベッドに足を衝いて、ひたすら早く、繰り返し。舌を噛みそう。
「サービスです。フランチェスカさん、イっちゃえ」
「ひ、っあ、ひッふ、ひ、はヒッ、ふァッ、あ、ッア、ぁ、ァ」
 急に、快感が頭まで縦に抜けてくるようになった。よくわからないけれど、中のカレンの指が曲げられているように思う。大喜びで、カレンの指を上に擦り付けるようにして何度も前後に動かす。まるで、愛液引っ掻き出し作業。
「んふ、こうしたら……覚えちゃうかな」
 私の腕の内側を、カレンの小さな左手が通り抜けた。きゅっ、と乳首を摘みあげられた感触。
「ひッっくぁ、あっ、あッく、あッあァァァ――ッ」


181226たんsage :2007/05/23(水) 00:30:13 ID:gJqyrESI
 ――どれくらいの間、ベッドの上で休んでいただろうか。
 外はとっぷりと暗い。この分だとカレンは泊まっていくことになるだろう。憂鬱である。
「なんてこと、してくれるのよ」
「そんなぁ、ちょっと開発してあげただけで」
「ちょっと?」
 言いながら、右手の人差し指で軽く、左の乳首を撫でてみる。甘い吐息をこくんと喉で飲み込む。腰がもそりと動いた。
「感じやすい身体のほうがいいですよ」
「……頼んでないわ」
 本当。元に戻らなかったらどうしてくれるのか。そりゃ、気持ちいいけど。
「あとはー、もうクセになってると思いますから、一人でするときに意識的に触ればおっけーです!」
「何がOKなのよ!?」
「一生そのままになれますよー!」
「いらんわああああああああああっ!!」
 でもきっと、触るんだろうな自分で。気持ちよすぎてダメだと思う、これ。
「まあまあ、また今度命令して苛めてあげますからー」
「もっといらんわあああああああああっ!?」

「でも、今日のあれ、期限なんて決まってませんよ?」
「――え?」
 ……しまった。

「というわけで、フランチェスカさんは一生、私のげぼくー」
「ちょ……と、それは、いくらなんでも……」
「嫌ですか?」
「……そ、それは」
 あ。もうダメだ。
 一瞬でも返答が遅れたら、こういうのはダメだ。まんざらでもないと思われたら、逃げられない。
「んふふ」
「……条件があるわ」
「何ですか?」
「私の時間は自由にさせてくれることと、煙草は吸わないこと」
「煙草はおっけーです。時間はー、がりくん次第?」
 ……つまり、彼氏がしてくれなかったら、私で発散?

「ふゥン」
 ――ちゃんちゃらおかしい。
 私はカレンを舐めていたけれど、カレンも『岩蛇』フランチェスカを舐めすぎだ。

「カレン、せめてキスして」
「いいですよー」
「……煙草くさいんだけど」
「がりくん、吸いますもん」

「さようなら、カレン」
「んにぁー! そんなのなし、なしーっ!?」
「じゃあ、ガリウスと別れればいいわよ」

 この際だ。浮気相手でなく正室の座を狙うとしよう。
 この私を捕まえて性欲処理に使おうなどという傲慢、許せるものか。

「んに、それはぁ……」
「コインで決めましょうか」
「絶対だめですーっ!」

 ――どうせこの子からは、逃げられそうにないのだから。

「それで今晩は、あの男どこにいるの?」
「まず、その銃をしまって下さい」


 おわり。
182226たんsage :2007/05/23(水) 00:30:48 ID:gJqyrESI
長くなりましたが、お付き合いいただきましてありがとうございました。
ではでは、百合スレばんざーい!
183226たんsage :2007/05/23(水) 00:53:22 ID:gJqyrESI
投稿ミスで>>175>>176で一部内容がかぶってしまいました。
気にしないで読み飛ばしてくださいー
184名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2007/05/23(水) 00:58:42 ID:p7G8wGcc
やー、いつもながらなんて変態的な・・・GJであります
226たんの話は大抵どこか壊れてるキャラが出てきて、その壊れ具合が楽しい
185名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/23(水) 01:11:52 ID:tTk65fDo
何であなたはこんなエロさの中に笑いまでこめられるんですか
GJです!
そして何気に新職のエロはじめてみた気がする
186名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/23(水) 10:27:28 ID:4DfAEiP.
新ジャンル「エロコメ」
187名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/25(金) 03:47:35 ID:eyGCFNDY
もはや百合を通り越してレズスレですね(´¬`)

はい、226乙
188名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/26(土) 11:05:46 ID:SdORG69w
同じこと言ってるから。

読みたくないなら読まなければ良い。
世の中は自分中心で回ってなんかないですぜ(・ω´・)

それはそうと、ものすごくGJ!
189名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/27(日) 08:04:28 ID:qqh3zgM2
まあ作品の良さと作者の人間性は関係ないよな

226たん作品ヽ(・∀・)ノ
190名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/31(木) 10:17:22 ID:CaGWxRgo
お前ら実は226たん嫌いだろww
負けずに頑張ってください
191名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/31(木) 17:28:37 ID:CtN5rhRg
まぁ、他の文神候補がいてもさ
投下しても「xxxの人マダ?」とか直後にかかれる今の流れで書き込む奴はいないだろうね。
192名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/31(木) 18:03:55 ID:dv165EpQ
時間的には直後ではなかったりするんだがね…
193名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/31(木) 23:08:00 ID:69WnliCw
薬とテクで堕落系読みたいね
194名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/07(木) 21:00:14 ID:K36xHx5c
>>190
まーあんだけ座談会で空気読まず、最初から終わりまで
ねえさまねえさま言ってれば、嫌がる人間も少なからず居るだろな
195名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/09(土) 08:09:33 ID:58GXus92
座談会は出たことないからそのあたりは知らないけど、文章は大好きだよ
196名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:08:49 ID:DKWLvU.s
なんか電波受信したから初投稿してみる。
スルーご自由に。文章変かもorz
197名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:09:29 ID:DKWLvU.s
今俺は奴の研究室にいる。
どうやら何かまた怪しい薬を作ったとかどうとか。
俺は即答した。
「絶対飲まねえ」
「ぇーもしかしたら大金持ちになるチャンスなのにぃ」
「俺の命と金どっちが大切なんだよ!!!!!!」
「もちろんお金」
こいつ殺してやろうか。

失礼申し遅れた。
俺の名前はクラベリア。一応騎士であるが騎士団からは脱退している。
そして俺が奴と言ったのは俺の恋人であるアルケミスト。レミル。
あまり関係ないが俺はレミルより五つくらい年下である。といっても俺が若すぎるだけだが。未成年だし。
奴の困ったところは日々怪しい薬を作っては俺に試さす。
もちろん断っているが奴から逃げられた覚えはない。
こういう研究に関すると奴は無駄に強くなる。
逃げようとしても必ず押さえ込まれていた。そして強引に薬を飲まされる。
198名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:10:03 ID:DKWLvU.s
そしてその状況が今だ。
しかし今回は対策してある。手錠を持ってきた。こういう時のために常時携帯するようにしている。
「にがさんでー!!」
奴がこちらに向かってきた。今だ!!!!
すばやく横にかわし俺を捕まえようと前に突き出していた両手を手錠で拘束する。
「あっ!!」
「絶対飲んでたまるかよ!!そんな薬!!!!!」
奴は手錠で両腕を拘束されたため慌てている。その隙に研究室から出ようとするが・・・
「あれっ?ドアが開かねぇ!!!!!!!!!」
「ふふふふふふっ・・・・」
奴が怪しい笑い声を発する。奴はいつの間にか手錠を硫酸でちぎっていた。何でんなもん持ってるんだよ!!!!!!
「ここは私の研究室よ。つまりその扉の主導権は私にあるのよ」
何わけわかんねぇこと言ってるんだと思ったが、奴のいったことは嘘ではなかった。
「この扉を開けるときはコレを持っておかないといけないのよ」
奴の手にはカードキーが握られていた。
っておい!!!!!!!!そんなもん昨日までは無かっただろうが!!!!!!!!いつの間に付けやがった!!!!
「観念しなさい・・・」
奴が寄ってくる。もう手錠も無い。剣で応戦してもよかったが部屋に置いてきてしまった。
そして奴がものすごい力で俺の胸座を掴む。やべぇ、完全にホールドされてしまった。
そしてポーション瓶に入った薬を強引に飲まされてしまった。
「くっ・・・」
そして同時にものすごい眠気が襲ってきた。
「くそっ・・・覚えてやがれ・・・・・・うっ」
そして俺はその場に倒れこむ。そして・・・・意識が・・・─────
199名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:10:23 ID:DKWLvU.s
────忌まわしき騎士団での過去・・・俺の親友が・・・死んだあのとき・・・。
これをきっかけに俺は騎士団から自主脱退した。そして一人旅を始めた。自暴自棄だった・・・。
どうなってもいいと思っていた・・・。
そんな時だったか。フェイヨンの迷いの森で奴と会ったのは・・・。
どこの馬鹿が枝を折って出したのだろう。いるはずの無いブラッディナイトがそこにいた。
奴は腰を抜かせていた。Lvが低い俺がブラッディナイトに勝てるはずがない。そんなの分かっていた。
また俺は人を見殺しにするのかと自問自答していた。そして奏している間に自分の不甲斐無さに腹が立ってきた。
どこと無い怒りが込みあがってくる。体が先に動いた。死んでもいいと思った。誰からも必要とされてない俺だ・・・・。
その時だった。自分の体が何かに支配されたかのように動いた。自分の体じゃないように思えた。
倒した・・・。ブラッディナイトを・・・。今の自分で倒せるはずの無い・・・魔物を・・・自分でも分からなかった。
なぜ倒せたのか・・・・・・何故だ・・・─────
200名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:10:41 ID:DKWLvU.s
────「はっ!!!!!!!!!!」目が覚める。夢か・・・。またこの夢かよ・・・。毎日毎日こんなもん見せやがって・・・・・。
天井をぼーっと見つめる。ぁぁそういや奴に薬を飲まされたら眠気に襲われたのか・・・。
ただの睡眠薬かよ畜生。何が起こるかビビッたじゃねえかよあの野郎。
ここは奴の寝室か。自分の部屋に戻ろう。そのほうが落ち着くしもう夜だ。疲れたしもう寝たい。
「よいしょっと・・・・って・・・ん?」
綺麗な女声が聞こえる。いったいどこからだ。あいつも綺麗な声はしているがここまで綺麗ではない。
「こんな夜中に歌の練習か?迷惑な・・・」
しかし異変に気づく。自分が話したと同時にその綺麗な女声が聞こえる。いったい何だよオィ。
そして更なる異変に気づいた。胸が苦しい。こんなに騎士の制服がキツイと思ったことは一度たりとも無かったはずだ。
しかも胸だけが苦しい。服がキツイなら上半身全体が痛くなるはずだ。
「いったい何なんだよ・・・」
胸に触れてみる。・・・・・・・・・・あれ・・・・柔らかい・・・・・・。
自分の体くらい知っている。毎日剣を振るせいで胸や腹筋は筋肉がついて硬くなっているはずだ。
壁に立てかけられていた全身鏡で自分の姿を見てみる・・・・・・・。
「ええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
断末魔以上の絶叫。なぜなら・・・・。
「俺・・・女になってる!!!!!!!!!???」
まったく状況がつかめない。なぜ急に性別が変わっているのか。そして何故こんなに綺麗なのか。
「後者はあんまり関係ないか・・・って落ち着いてる場合じゃねえよ俺!!!!!」
「あら〜なんか叫び声が聞こえたと思ったらやっぱり起きてたのね」
奴が部屋に来る。そして・・・
「クラたんに飲ませたのは性転換薬って言ってね一時的に遺伝子を変異させて性別を男なら女。女なら男と逆転させる薬なのよ」
関係ないが奴は俺のことをクラたんと呼ぶ。まぁ・・・呼び方ぐらいどうでもいいが・・・。
「おい!!!てことは俺一生女なのか!!!!!!!」
「ああそれなら安心して〜。効果は1日だから」
「一日もこの体!!!!!!!苦痛だ!!!虐めだ!!!人生オワタ\(^o^)/!!!」
一部不適切な表現がありましたことを深くお詫び申し上げます。
声のトーンが上がっているせいかあまり説得力が無いと思ってきた俺がここにいる。ああ内心泣いてるな俺。
「まぁ落ち着きなさいよ」
「落ち着けるかよ!!!!!!!!第一普通落ち着かないのが普通だろんむっ!!!!!!」
201名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:11:20 ID:DKWLvU.s
奴がベッドに押し倒すと同時に俺の唇を奪う。俺と言わずに私と言った方がいいだろうか・・・。
唇が離れると・・・
「一日も女の体なのよ?普通興味沸くでしょうが。」
「ふざけるな!!しかも何してっ・・・・!!!?」
また奴が唇を奪う。今度は深いキスだ。奴が舌を進入させてくる。俺は成すすべが無いまま舌を絡まされる。
唇を離して奴が言う。
「それに〜・・・私同姓でやるのって興味あったしぃ・・・・。」
「はぁっ・・・だからと言って・・・なんで俺でうあああああぁぁぁっぁぁぁ!!」
奴の手が俺の胸を服越しに揉みしだく。ああ女が胸を揉まれる感覚ってこうなんだ・・・やべえ・・・すごく気持ちいい。
「胸揉まれるだけでこんなに感じるだなんて・・・・Hな子ね・・・・お仕置きしなくちゃね・・・・」
とか言いながら俺の服を剥ぎにかかる。もちろんブラなんてつけてないから服をはがされた瞬間形のいい乳房が外気にさらされる。
「見るなあああぁぁぁぁ・・・」
「へぇ・・・結構大きいじゃない・・・・」
「あああああああああああああああ!!!!!!!!」
奴がまた胸を揉みしだく。今度は直に。強弱をつけながら・・・奴は俺の反応を見る・・・・。
「しかもこんなに硬くしちゃって・・・・あむ・・・・」
「ひぃやああああぁぁぁぁぁっぁ!!!!!!!」
乳首が硬くなっていた。奴がそれを口に含む・・・・・・・やべぇ・・・変な気分になってきた・・・・。
「こんなに感じちゃって・・・・下はどうなってるのかなー・・・・。」
「ちょふあぁあぁぁまてってぇえぇぇやめろぉうぁあああぁぁぁぁ!!!」
薬の効果でいつもならあるアレが無くなっていて変わりに亀裂が入っていた。
ズボンのそして男物の下着の中に手を入れ奴がソコを触る。
もちろん触られるなど初めてである。ああやべぇ。ちょっと指でなぞられただけなのに。頭おかしくなっちまいそうだ・・・・。
「もうこんなに濡らしちゃって・・・」
「ふぁやめっやめろぉぉぉふあぁぁぁああっ!!!!」
快楽が込みあがって来る。もう何も考えられない。体から力も抜けていく。
「良い匂いね・・・。我慢できなくなるじゃない・・・・」
奴が顔を股間に近づけてくる。まてそれだけはマジでやめてくれ・・・。
しかしそんな思いもむなしく。ズボン、そして下着を取り払われる。そしてすべての衣服を取り払われてしまった。
「やめろぉぉそれだけはやめてくれえぇぇぇ!!!!」
必死で押しのけようとするが腕にまったく力が入っていない。無意味であった。
ぬちゃ・・ぴちゃ・・ぐっちゃ・・・。
「っつああああぁぁぁぁふあぁぁひぃぁぁぁぁぁ!!!」
いやらしい水音が部屋に響く。今までに味わったことの無い快感に支配される。
奴はその行為をやめようとしない。むしろさらに激しくなったようにも思える。
「ふぁっやぁぁらめっああぁぁっ!!!」
ろれつが少し回らなくなってきている。畜生。おかしくなったら覚えてやがれ。
奴の攻めは止まろうとしない。そして俺は限界が近づいてきたのを自覚する。やばい・・・。イク・・・・。
「ひぁっらめああんっらめぇえぇぇイクうぅぅぅぅ!!!!!!!!」
その瞬間奴の行為が止まる。
「ふぇっ?」
「あらだめよまだイっちゃ。こっちでイってもらわないとね」
「っうぁぁぁぁぁひゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
すると今度は奴の指が俺のソコに侵入してくる。
「クラたんの処女いただき〜♪」
俺はこいつに処女まで奪われるのか。いったいどれだけ俺から奪えば気がするんだ。
「えいっ♪」
「っ!!!!!!ふあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
鈍い痛みとともに鮮血が流れる。責任取れよこの野郎。
ぐちゃぐちゃっずっちゃずっちゃ。
一定のリズムで部屋に響き渡るいやらしい音。
奴が指の出し入れを繰り返す。そうしてるうちにまた限界を感じてきた。
「らめっあめっいやぁれぇえぇイクぅぅいっひゃぅぅぅぅ!!!」
「いっっちゃえ♪」
「ひやあああああああああぁあぁぁああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
すると奴の指が今まで以上に奥に差し込まれる。
そして俺は限界に達した。体が弓なりにのけぞる。そして体の中が急に熱くなり股間から愛液が流れ出る。
「女の子の体なのにこんなにだしちゃって・・・ふふふ」
「はぁっはぁっはぁっ」
ああやっと終わる。そう安心したが甘かった。
202名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:11:37 ID:DKWLvU.s
「私も気持ちよくなりたいな〜」
そう言いながら奴は衣服をすべて脱ぐ。
「よいしょっと」
そして俺の股間に割り入ってくる。女同士のやり方を耳にしたことはあるがまさか!!!!!!
「おいっ!!!何をするんだやめっうあああああああああああああああああ!!!!!」
「んっあっ気持ちんっいいっ」
俺の肉豆と奴の肉豆同士が擦れ合う。イったばかりかとても敏感に反応してしまう。
「ふあっやぁっらめっああああっんっあっやっ」
「んっものすごい感じようねっあっ」
「だってだってだってだってえええぇぇぇぇぇ!!!」
「ああっ私もっんあっ気持ちいいっふうっ癖にやっなりそふあっ!!」
擦れ合うスピードが増す。滅茶苦茶気持ち良いじゃねえか畜生!!
「んあっらっあっひゃっんっ」
「あらまたイきそうなのっふっんあっ!!!!!!!」
「いっあっイクぅっらめぇ!!!イクぅあっあああっふあっ!!!」
「丁度んっ私もよっああっあああああああ!!!!!!!」
「んやああああああぁぁぁぁぁあぁぁあああ!!!!!!」
そして二人同時に絶頂を迎える。
203名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:11:57 ID:DKWLvU.s
そして事が済み時間が経つまで家で過ごした。
剣の手入れをしたり家を掃除したり。
そして24時間が経ったのであろう。またものすごい眠気が襲ってきた。ソファーに倒れこむ。

目が覚めるとちゃんと男に戻っていた。
「ふむーちゃんともどってるねー」
「どこ触ってるんだよこのバカッ!!!!!」
ゴインッ!!!!!!!
鈍い音が響く。思いっきり頭を殴ってやった。拳で。
「いったーーーーーーーーーーーーい!!なにするのよ!!!」
「うっせえ!!!薬で酷い目にあわせた罰だよ!!!!!!」
「まぁともかく薬はちゃんとできてるね。後は研究を重ねて完璧なものにするのみ!!」
「完璧ってどういうことだよ」
「一生逆の性別になるようにすることよ。これなら性転換を望んでる人が買うだろうしねそして私たちは大金持ち!!!!」
・・・・・・・ということはこいつ。
「その薬を俺に試さすつもりか?」
「もちろん」
「ぶっ殺すぞこの野郎!!!!!!!!!!!」
「大丈夫よ同時に戻す薬も作るから」
「そういう問題じゃねえ!!!!!」
まったく呆れるよこいつは。
こいつのめんどくせぇ研究の付き合いはまだ続きそうだ・・・。
たく。人の体ぐらい大切にしてくれよ。大切な恋人さんよ。
204名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 02:13:23 ID:DKWLvU.s
以上です。今みるとエロが微妙すぎるorz
日本語ほ変なところがちまちまと・・・。
続き?多分ありません。
205名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 17:06:27 ID:zjdtZ2TQ
>>194
っRP

今や痛い人としか見られないが5〜6年前なら普通だったんだぜ?
206名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 17:08:57 ID:E7ktpWFM
書き忘れ⊂(。Д。⊂⌒`つ

>>196
乙であります
強制女体化…(´д`*)
207名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 17:36:26 ID:u4s.3tFU
不覚にも人生オワタ\(^o^)/で吹いてしまいましたw
ネタも良いし、楽しく読ませていただきました。
208名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 17:56:08 ID:pIPSFknQ
>>205
座談会に参加したわけじゃないけど
いくらRPでも空気読めないキャラだったら嫌う人もいるんでないかい?
RPしたその人と付き合うのもまた人なわけだしね
209名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/10(日) 23:53:27 ID:EaAQTtQk
>>208
激しく同意

RPとか関係なし。
その場に適さない、空気読めない人間は煙たがられる。
210名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/11(月) 00:44:02 ID:JYiHY7mU
>>209
小説スレで個人叩き、変な議論して、萌え板座談会での萌え発言を後から板で叩く奴とかな。
煙いったらない。やめようぜ?

>>196
粗削りではあるけどエロくて良いなー
GJですた。次回作とかも書いたら是非
211名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/06/12(火) 13:18:15 ID:hSpWoTco
仮に226たんがそうだとしても。

例えば夏目漱石とかは鬱がちだったり人間嫌いだったりしたらしいが
作品は評価されてるだろう?

中の人などいない!じゃないけど、作品を見ようぜ…
212名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2007/06/12(火) 13:19:00 ID:hSpWoTco
sage忘れ・・。
dameとくわ
213名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/14(木) 10:23:27 ID:3YDdR9J6
とりあえずお察しな個人叩きも嫌味臭い援護ももう結構。

↓以下【文神様の登場を待つスレ】をお楽しみください。
214名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/15(金) 20:23:25 ID:qw3Rm9CQ
あやがみ
215名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/23(土) 08:43:50 ID:mHX6Wv1E
文神たん(*´Д`)ハァハァ
216『とあるギルドの恋物語』挨拶dame :2007/06/23(土) 23:27:22 ID:XhVc7hpg
こっそり、と投下します。

前回の座談会でWIZかアルケミネタで書くとか言った記憶があるけど、
かなり遅れちゃいました。
(226たんは座談会で言った通り、しっかりガンスリネタ出してるから、こっちも負けられないね!!)
そしてWIZじゃなくアサクロネタ・・・
アルケミストは出てくるよ!!
ちょっとSM入ってるから苦手な人はスルーしてね!!

それでは、とあるギルドの恋物語・・・始まります。
217『とあるギルドの恋物語』1/8dame :2007/06/23(土) 23:28:56 ID:XhVc7hpg
「アーシェラ!! 早くこないと転職しちゃいますわよ!!」
アルデバランに大きな声が響き渡る。声の主は短く切りそろえられた黒髪の商人の少女だ。
ラウドボイス効果だろうか、あの小さな身体でよくあんな声が出せるのだと、呼ばれた女性・・・アーシェラは関心していた。
二人は同じギルドなのだろう。ギルドから支給された服の上から同じ赤いエンブレムを付けていた。
「今行くから待ってなさい。年寄りは労わるものよ?」
「私と5歳しか変わらないような気がするのですが・・・」
「エリシア・・・」
半目で突っ込んでくるエリシアに大人の余裕を持ってアーシェラは答えた。
「17歳と22歳では大きな壁があるの・・・貴方も覚えておいたほうがいいわ」
例えるなら「可愛い」と「美しい」の差だろうか、身体の作りや顔のつくりが少女から大人へと変わっていく時期だ。
いつまでも若いままではいられないと思い知らされる時期でもある。
「意味不明ですわ・・・アーシェラ」
「大人になればわかるわ」
感慨深げに頷くアーシェラ。
「・・・アサシンクロスのくせにとろとろして・・・私はさっさと転職したいんですのに・・・」
あさっての方向を向き、小声でエリシアはぽつりと言い放つ。
「聞こえてるわよ」
「・・・いつのまに!?」
すぐ背後から聞こえてきた声にエリシアは飛びのいた。
アーシェラは悩み、ぽんと手を打つと元の場所に戻っていった。
そのままゆっくりとエリシアのそばに歩いていく。
「なんて無意味な・・・」
「こうすれば驚かないでしょ?」
「すでに手遅れですけどね・・・」
まったく、とため息をつくエリシア。
「とろくないのはわかりましたから、今度からは気配を消さずに近づいてきてください」
「はいはい」
「『はい』は一回」
苦笑するアーシェラ。エリシアは諦めたように肩を落とすと再び歩き始めた。
218『とあるギルドの恋物語』2/8dame :2007/06/23(土) 23:29:52 ID:XhVc7hpg
「・・・というわけで転職完了ですわ〜!!」
くるり、とダンサーよろしく回転し、新しい制服をエリシアはアーシェラに見せた。
かなり嬉しい、表情は笑顔に溶けてしまっている。
商人時代から苦労してここまできた。
だがそれもこの感激の布石と思えば苦労も吹き飛ぶというものだ。
アーシェラはその姿をじーっと見つめ感想を述べた。
「馬子にも衣装よね」
くるくると回転しながら、全身で喜びを表現していたエリシアの動きが止まった。
ぴきり、とその笑顔が固まる。
「エリシア・・・? どうしたの?」
アーシェラは本気でわからない、と心配そうな顔でエリシアを見つめた。
「それよりも転職祝いをあげるから手を出して」
両拳を握り、ワナワナと肩を震わせていたエリシアは突然のアーシェラの言葉に頭の上に?マークを浮かべた。
「いいから手を出しなさい」
笑顔でいうアーシェラに気圧されたのか、天然ぶりに呆れたのかエリシアは毒気を抜かれたように素直に手を差し出した。その手の中に小さな箱が渡される。
「開けてみていいんですの?」
「もちろん、もうそれは貴女のものなのだから」
「じゃあ・・・開けますわよ」
箱をゆっくりと開けてみる。
中から出てきたのは小さな懐中時計だった。
小さく加工されたジェムストーンが入っているが、これで動かすのだろうか?
本体は銀色に鈍く光っていた。きちんと鑑定しなければわからないが、これはおそらく銀製だろう。
それは技術的、材質的にもかなりの高級品だった。
「こんな高そうな物・・・本当にいいんですの?」
「別にそんな高いものじゃないし、気にしないでいいわよ。どうせもらいものだしね」
「もらいものって・・・」
エリシアは溜息を吐いた。
もらいものをプレゼントにする神経もそうだが、それを堂々と言える神経が信じられない。
文句を言おうと口を開きかけたその時、アーシェラはさらに言葉を続けた。
「昔の恋人の形見だから、大事にしなさいよ」
あまりにも軽い口調に一瞬エリシアは何を言われたかわからなくなる。
「形見ってもらいものじゃなかっんですの?」
「もらいものよ。最後のプレゼントだったの・・・まぁ、ずっと箱の中にしまっておくのも勿体無いし・・・」
アーシェラは肩をすくめて言う。
「機会があったら誰かにあげようと思ってたのよ」
エリシアは懐中時計を箱から取り出し手に持った。
ずっしりと手に重さを感じるのは銀で出来ているからだろうか。
「ありがとうございます・・・」
エリシアは懐中時計をぎゅっと胸に抱いた。
219『とあるギルドの恋物語』3/8dame :2007/06/23(土) 23:30:50 ID:XhVc7hpg
「死屍累々ですわね・・・」
「予想通りと言えば予想通り・・・かな」
二人のギルドが溜まり場にしている宿屋に戻ると、そこにはワインの瓶を片手に大笑いをしている騎士の女性と紅茶を飲みながら、ニコニコと周囲に笑顔を振りまいているウィザードの青年がいた。
ウィザードの青年の視線の先には十数人の男女が酔いつぶれて倒れている。
騎士の女性がエリシアとアーシェラに気づく。
彼女はその青い瞳を輝かせると、ワインの瓶をアーシェラに投げつけた。
「・・・く!!」
アーシェラのアサシンクロスとしての研ぎ澄まされた感覚は突然された行為にすぐさま反応した。
腰をひねり瓶を回避したのだ。背後で瓶が壁にあたり、粉々に砕け、残っていた中の液体が床を濡らしていく。
「リン・・・何・・・」
何をするのよ? と続けられるはずの言葉は騎士の女性・・・リンの次の行動によって遮られることになった。
「アーシェラた〜ん さみしかったわぁぁぁ!!」
「・・・って、いぃぅぅぅぅやぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!」
完全なる不意打ち。ほんの一瞬ワインの瓶に気を取られた隙にアーシェラはリンの接近を許してしまっていたのだ。
両手で抱きつかれアーシェラは熱い抱擁を受けた。そのまま押し倒され地面に転がることになる。
「あはは・・・いつも仲がいいなお前ら」
「アルベルト!! 貴方少し状況判断能力を養ったほうがいいわよ!!」
のんびりお茶を飲みながら笑顔を向けるウィザードの青年にアーシェラは叫んだ。
その手はいまにも唇を奪わんと迫ってくるリンの顔を抑えている。
「アーシェラた〜ん。好き好き〜!!」
「待ちなさい・・・待って!! プリーズ!! 貴女は酔っているのよ。落ち着いて・・・ね?」
「待たない酔ってない落ち着いてりゅぅぅぅ!!」
その言葉を最後にリンの身体の力が抜けた。
アーシェラに抱きつくような格好ですやすやと寝息を立てている。
「あぶなかった・・・」
アーシェラはリンを押しのけるとその胸を撫で下ろした。
220『とあるギルドの恋物語』4/8dame :2007/06/23(土) 23:32:09 ID:XhVc7hpg
エリシアはその様子を見て本日何度目かの溜息をついた。
「またですか?」
アルベルトの隣に座り同じようにお茶をすする。
「うん。いつもどおりナンパを返り討ちにしただけだよ」
「今日の勝負方法は・・・」
「飲み比べをして勝ったら一晩好きにしていいって勝負だったかな・・・」
「うちのギルマスも懲りない人ですわね・・・」
エリシアは床に寝転がり、規則正しい寝息をたてているリンの方に視線を向ける。
アーシェラが背中に背負い彼女を部屋から連れ出そうとしていた。
おそらく部屋に行って寝かせてくるつもりなのだろう。
手伝ってもよかったが、一人でも十分そうだし、巻き込まれるのは嫌なので放っておくことにする。
扉から二人が出て行くのを見送るとエリシアはお茶をのどに流し込み一息ついた。
改めてアルベルトの方を見やり、カップを置き椅子から立ち上がる。
「・・・それはさておき、アルベルト・・・これどう思います?」
アーシェラに見せたようにアルケミストの制服姿をアルベルトに見せる。
彼女の時と違うのは、その頬が朱に染まっている所だろうか。
「うん。似合ってるよ。頑張ったね」
笑顔を崩さずアルベルトはエリシアの頭を撫でた。
エリシアの顔がぼん、と音を立てそうなくらい真っ赤になる。
「ん・・・ちょっと熱があるのかな?」
「だ・・・大丈夫ですわ! 元気ですのよ!!」
「そうか。ならいいけど無理しちゃダメだよ?」
顔を真っ赤にして言い繕うエリシアに、怪訝な表情を見せながらも、アルベルトは納得したようだった。
「はい・・・ですわ」
エリシアも素直に頷いた。アルベルトはそんな彼女の頭を再び撫でると、ゆっくりと語り始める。
「そういえばアーシェラの転職を一緒に付き合ったことを思い出したよ」
アルベルトは転職のためにジュノーまで付き合わされたという話をエリシアにした。
「大変だったですわね」
「僕は神殿の最奥まで入れないからね。正直転職する姿を見られなくて少し残念だったよ」
その瞬間アルベルトの表情が微妙に変化をしたのをエリシアは見逃さなかった。
万人向けの笑顔からたった一人に向けられるやさしい笑顔へ・・・
ちくり、と胸が痛んだが顔には出さず笑顔でエリシアは話を聞き続けた。
221『とあるギルドの恋物語』5/8dame :2007/06/23(土) 23:33:03 ID:XhVc7hpg
「おかえりなさい」
「ただいまですわ」
読んでいた本を置きアーシェラはベッドから起き上がった。
「ごめんさい、今日はもう寝ることにします」
エリシアは向かい側のベッドにブーツを脱いで、突っ伏すように横になる。
「どうしたの?」
「別になんでもありませんわ・・・!!」
アーシェラが手を差し出すと、エリシアはその手を払いのけた。
目にはじんわりと涙が浮かんでいる。
「・・・エリシア」
アーシェラはじっとエリシアを見つめる。
ギルドに入ったときからの友人なのだ。
悩みがあるなら話して欲しかった。
「・・・エリシア・・・」
もう一度名前を呼ぶ。
帰ってきたのは静寂。
「・・・・・・いつでも相談に乗るからね」
222『とあるギルドの恋物語』6/8dame :2007/06/23(土) 23:34:33 ID:XhVc7hpg
「なんか寒い・・・・・・」
「あら?起きましたの?」
寝ぼけまなこで周囲を見渡すアーシェラにエリシアは、とびきりの笑顔を向けた。
「いつのまにか寝てしまったようね・・・それはさておき・・・」
「なんでしょう?」
「何故私は全裸でベッドに縛られているのかしら?」
アーシェラは四肢を縄でベッドの端に括り付けられていた。
床には彼女が今まで着ていた下着がしっかりと畳まれて置かれている。
「それでもアサシンクロスですの? 途中で起きると予想していましたのに、予想外過ぎますわ・・・」
はぁ、とため息を付き・・・
「服を畳む余裕すらありましたのよ」
くすくすと笑みを浮かべる。
「最近いろいろとサボっているからね」
「貴女も余裕ありそうですわね。ところで相談に乗って頂けますのよね?」
「何処をどう見ても相談とか聞いて欲しいようには見えな・・・んむぅ!」
その言葉は途中で中断されることになってしまった。
エリシアがアーシェラに近づき強引にその唇を奪ったからだ。
舌をねじ込み、唾液を送り込み、口内全体を犯していく。
唇を離すと、つーっ、と透明な糸が引いた。
「・・・ん・・・私はアーシェラを・・・貴女を自分のものにしたくて、貴女を滅茶苦茶にしたくて、溜まりませんの・・・」
エリシアはアーシェラの頬を撫でた。
キスのせいだろうか。その瞳はまるで熱に浮かされたようで、頬は上気している。
「別に私はそういう趣味は・・・ないから・・・」
「大丈夫ですわ。今からそういう趣味にしてあげますから・・・」
「ちょっと・・・やめ・・・」
エリシアはアーシェラの胸にその手を伸ばした。
ゆっくりと緩急をつけて揉んでいく。
「柔らかい胸ですわね。張りがあって大きくて・・・マシュマロみたい」
「やめてエリシア!! いい加減にしないと私も怒るよ!!」
「・・・そうですわね。やめましょう」
「え・・・?」
あまりにも素直にエリシアが手を離したので、アーシェラは拍子抜けしてしまったようだ。
「ふふ・・・そういうのもいいかも知れませんわね」
エリシアはアーシェラから離れると、カートの中をあさり始めた。
「えーと・・・これでもないし、これは・・・違う・・・ああ・・・ありましたわ」
取り出したのは一本の小瓶。赤ポーションよりは薄く、紅ポーションよりは赤みのある不思議な色のポーションだ。
「これを・・・こうして・・・」
エリシアはそれを口に含み、アーシェラににじり寄っていく。
「ちょ・・・それまさか・・・」
この状況で取り出すの薬と言えば、アレしかないだろう。
アーシェラはきゅ、っと口を閉ざし、それを拒否する姿勢をみせた。
「・・・ん・・・んー・・・んむ・・・んん・・・んーっ!!」
・・・が、それも徒労に終わった。頬の左右を思いっきり掴まれれば、人体の構造上、口は半開きになってしまうからだ。せめて両手が使えていれば突き放すことができたのだが・・・
エリシアはゆっくりと舌を使って。アーシェラの口の中に薬を送り込んでいった。
そのまま口内を犯し続ける。その喉がこくん、と鳴ったのを確認して、その唇を離す。
「何を飲ませたのよ」
「大体検討はついているはずですわ」
エリシアは言いながら、残った薬を手に取っていく。普通のポーションとは違い、粘性があるようだ。それをアーシェラの胸に塗りつけていく。
「はぁ・・・あなたね・・・やって・・・いいことと・・・んくぅ!!」
「クリをつねっただけで、いい反応してるクセに・・・口では嫌々言っていても、身体は喜んでますわよ・・・こっちにもたっぷり、塗ってあげますわね」
「やめて・・・」
「大丈夫。これが終わったらやめますわ・・・だからもう少し待ってくださいね」
言いながら、エリシアはアーシェの足の間に顔を入れていく。
「やめ・・・ふぁ・・・ん・・・やめ・・・んぁ・・・」
「ふひほふいへあへる(クリをむいてあげる)」
クリを舌で剥いて、そこにも薬を塗りつけたエリシアはもう一本同じ小瓶を取り出すと、それを針のささっていない大きめの注射器にいれていった。
「お願い・・・もうやめて・・・」
「手だけだと奥まで注入しずらいんですわよね・・・」
相手の抗議も耳に入っていないらしく・・・むしろ入っていても聞く気はないといったほうが正解か。
「お願・・・い・・・ふぁ・・・ん・・・ぁぁぁ・・・」
エリシアは薬のたっぷり詰まった注射器をアーシェラの秘所にあてると、ゆっくりと中身を注入していく。
「あ・・・もう少しですから、あまり腰を動かさないでください」
がくがく、と動き始めた腰を押さえつけ、最後の一滴までアーシェラの中に注ぎ込むとエリシアは満足げに彼女から離れた。
椅子に座り、にこりと言う。
「それじゃもう何もしませんわね」
223『とあるギルドの恋物語』7/8dame :2007/06/23(土) 23:35:45 ID:XhVc7hpg
「・・・ふぁ・・・あああ・・・はぁ・・・ん・・・はぁ・・・」
アーシェラの視界は完全にぼやけてきていた。
身体中からは汗が噴出し、秘所からはとめどなく愛液が溢れている。ただ刺激がなさすぎるせいか本気でイクまでには至っていない。
「そんなお尻をシーツに擦り付けて・・・大変そうですわね」
エリシアは紅茶を飲みつつ、その様子を観察していた。
空になった瓶をもて遊びながら、
「そうそう、この薬・・・本当は5倍に薄めて飲むらしいんですの」
「はぁ・・・ふぅ・・・あぁ・・・はぁ・・・」
「本来は飲み薬なんですが、ちょっと使い方失敗してしまいましたわ」
「ぁぁ・・・イきたい・・ふぁぁ・・・イきたい・・・イかせて・・・はぁ・・・んぅ・・・お願いぃぃ!!」
「10日分を一気に使うとこうなると・・・覚えておかねばなりませんわね」
「お願い・・・イかせて・・・触っ・・・て・・・何でもいいの! 何か欲しいのぉ・・・!!」
「うるさいですわね。やめてとか触ってとか・・・やめてあげたんだから静かにしてください」
エリシアはアーシェラに近づくとその腰に手を伸ばした。少し持ち上げて腰とベッドの間に数冊の本を挟む。そしてそれが動かないようにしっかりと縛り付けると、彼女は満足そうに頷き、
「なまじ多少自分で慰められるから苦しいのですわ。私って優しいですわね。ふふ・・・」
「・・・おねがひしますううぅぅぅ・・・怖いのぉおおおぉぉぉぉ!! 切ないのぉぉぉぉ!! イかせてぇぇぇぇ!!」
「イク直前の恐怖感が醍醐味じゃないですの・・・それをどれだけ長い間維持できるかでイった時の快感が変わるんですのよ」
まだまだ、とエリシアは腰を固定された代わりに髪を振り乱し始めたアーシェラを諭す。
「な・・・なんでも・・・なんでも、しゅ・・・るからぁぁぁ!! ひうことひくから、おねぎゃい・・・ひまふぅぅぅぅぅうう!!」
「・・・本当に何でもする?」
「な、なんでもするからぁぁ・・・お願い・・ひぐ・・」
「それじゃ一つ約束をしてくれたら、イかせてさしあげますわ」
こくこく、と激しく頷くアーシェラ。エリシアは満足そうに笑みを浮かべると、
「アルベルトに絶対手を出さないこと・・・彼が貴女を好きでも貴女は絶対に拒否しないとダメ・・・」
何故ここでアルベルトの名前が出てくるのかわからないが、もうそんなことはどうでもいい。ただ思いっきりイきたい。それだけが脳内を支配しているアーシェラは首をぶんぶん、と縦に振った。
「・・・絶対に手を出さないから、拒否するから、なんでも・・・いいか・・・ら・・・イかせてください・・・」
「じゃ・・・イかせてあげる・・・!」
「ふくぅぅぅぅうぅうううううっぅうぅぅうぅぅ!!」
エリシアは指を2本一気にアーシェラの秘所の中に突き入れた。
待ち望んだ刺激だ。それだけでイってしまったのか膣内はぎゅう、とエリシアの指を締め付けていく。
「指2本で・・・ふふ、いい反応ですわ。その調子で私のお人形になってください・・・ね!」
「はぁ・・・あぁ・・・抜かな・・・ひぎゃぁああああああああああああああああああぁぁぁああぁぁぁぁっぁ!!!!!!!」
アーシェラの悲鳴が部屋中に響く。エリシアが抜きかけた指を入れなおしたからだ。
ただ今度は4本、ほぼ全てがアーシェラの膣に入っている。
「ふくぅぅぅぅ・・・あぁぁ・・・はぁあああ、んくぅぅぅぅううう!!」
「そんな締め付けて、涙流して喜んで、くれなくてもいいですの・・・に・・・!!」
「・・・あぁぁぁぁぁぁああぁぁあぁ・・・・・・・・・」
そのまま手首まで一気にねじ込む。少女の細い腕とはいえあまりに大きな異物が入ったのだ。アーシェラはもう声も出せないのだろう、口を大きくあけて半分白目を剥きながら、身体中をがくかく、と痙攣させている。
「・・・それじゃ・・・おやすみ・・・」
そのままエリシアはアーシェラのクリを思いっきり舐めあげた。
アーシェラはびくん、と大きく背を仰け反らせるとそのまま、失神してしまう。
「・・・約束・・・覚えていてくださいね?」
224『とあるギルドの恋物語』8/8dame :2007/06/23(土) 23:36:31 ID:XhVc7hpg
「おはよう、よく眠れたかエリシア」
「ん・・・もう少し寝かせて・・・」
「早くしないと朝ごはん食べ損ねるわよ」
「ん・・・んー・・・今おきるか・・・・・・・・・」
そこでエリシアの動きが止まった。
「どうした? 何か私の顔についているのか?」
「・・・どうして、そこにいるの・・・」
エリシアはアーシェラの姿をじっ、と見つめた。
確かに昨日ベッドに縛り付けたままでいたはずだ。外した記憶は・・・ない。
よしんば自力で外せたとしても、あれだけの薬の量だ。そう簡単に抜けるとは思わえないのだが・・・
「寝ぼすけのエリシアを起こすのが私の日課だからね」
「・・・夢でも見てたのかしら・・・」
自信がなくなってくる。そうだとしたら、かなり現実感のある夢だ。
「・・・所で」
だがその考えも1秒でで否定された。
「エリシアはアルベルトが好きだったのね・・・」
「ぶは!!」
夢じゃないらしい、エリシアは急いで周囲を見渡すと確かに隣のベッドは乱れて、愛液やら汗やらいろんな体液でぐちゃぐちゃ、になっており、その近くには解けたロープが散らばっている。
「相談はアルベルトが好きだったんだけど、当のアルベルトは私に好意を寄せているみたいだから、私が彼を好きになる前に私が彼に興味を抱かせないようにしたい・・・そんなとこかしら?」
「ああ・・・あぁぁぁぁ・・・」
エリシアは天を仰いだ。
「・・・まぁ最初から私は彼を・・うん、好きにならないと思うんだけどね。・確かに少し昔の恋人と雰囲気とかマイペースなとことか、何も考えてないこととか似てたから、興味はあったけど・・・」
こそこそ、と逃げ出そうとしていたエリシアの首をアーシェラは掴んだ。
「それって、アルベルトっていう人の人格無視する行為じゃない。誰かの代わりみたいだしね・・・ところで・・・」
「あうあう・・・」
アーシェラはエリシアをベッドに押し倒した。
「ん・・・ちゅ・・・くちゅ、ちゅ、れろ、ちゅ・・・」
そのままエリシアの唇を奪う。
「ぷは・・・昨日のは、なかなか良かったわエリシア・・・貴女に本気になっちゃいそう」
「・・・最悪ですわ・・・」
「それじゃ、先にご飯いってるから、ちゃんと着替えてくるのよ」
アーシェラは言い残すと何やら重い空気のエリシアを残して部屋を後にしていった。
225『とあるギルドの恋物語』おまけdame :2007/06/23(土) 23:37:36 ID:XhVc7hpg
<おまけ>
「今日も元気だお酒がうまいぞぉぉぉ!!」
「リンは朝から元気だね」
その頃宿の食堂ではいつものテーブルでいつも通りの宴会が繰り広げられていた。
「アーシェラたんはいつもお酒拒否するから、つまんないぃぃ・・・」
「アサシンクロスは多少の毒は体内で中和できるみたいだから、勿体無いらしいよ。
どんな強力な毒も1時間もたないって」
「少しくらい付き合ってくれてもいいじゃない・・・」
「驕りなら飲むんじゃないかな」
「それはもうしたわぁぁ・・・ってそれって私と飲むの嫌なの、ねえアーシェラたんに私嫌われてるの!! あぁん、アルたん慰めてぇぇぇ!!」
「朝っぱらから何をやってるんですか!!」
アルベルトに襲い掛かろうとしたリンは、入ってきたアーシェラたん、もといアーシェラの投げつけた椅子によって撃墜された。アルベルトはいつものこと、と2人の様子をみて笑っていた。
「・・・椅子で殴るのはひどいと思うの・・・おかしくなったら責任とってね」
腰を振り、両手を顔の前に持ってきたぶりっこポーズで言う女騎士をアーシェラはじっ、と観察した。
「うん・・・いつもどおりおかしいから問題なし、ご飯にしましょう」
「ちょ!!おま!!!!」
226『とあるギルドの恋物語』あとがきdame :2007/06/23(土) 23:43:48 ID:XhVc7hpg
とりあえず第1話投下。全4話予定です。
遅筆なので投下ペースは開きそうですし、至らない所もまだまだありそうですが、
皆様よろしくお願いします。

さて・・・こっそりと逃げるよ!!
227名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/24(日) 18:58:34 ID:8Nwtjxa2
補足しました

余計なこと書くのもあれなので

GJ!
続きに期待
228名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/06/25(月) 02:51:29 ID:hz5/iXjQ
うほ!これはいい新作ですね
次回以降も期待してまつ!

個人的には
このアソコで過去にどれだけいやらしいことをしたの?みたいな
言葉攻めシチュきぼんぬ
229レニャチェリの人sage :2007/07/02(月) 07:28:09 ID:.L8fe08g
ごぶさたしています。
長々とスランプ状態で、物書きに一切手のつかない状態が続いています。
それをどうにか打破するべく、自分を奮い立たせている最中です。
いろいろご迷惑をかけて申し訳ありません、とにかく続きがんばって書きます。

>>217さん
新作GJです。
おくすりでせつなくなりすぎるのが伝わってきます。
全4話、私のように滞ることなく完結することを期待します。
230名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/05(木) 15:33:16 ID:WzwbHwVg
レニャチェリの人お久しぶり!
続きずっと楽しみにしてますた(*´д`*)

あのチェリムの自由気ままに男と寝るっていう魅力とかは
新鮮だったのでハマってしまいましたね。
ああいう子がイイ・・・・
231名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/07(土) 23:37:44 ID:Bp3mT7Ls
レニャチェリの人キターー Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!

誰にでもスランプはありますよね(´・ω・)
慌てず騒がず、まったりスランプ打破をお待ちしております。がんばです。
232226たんsage :2007/07/29(日) 02:27:55 ID:lhN9/CEQ
ひょんなことからすっごい短いのが1つできました。
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php?%C4%B9%A1%CB%C4%BA%B8%F7%C5%D4%BB%D4%B0%DB%CA%B9%2F%C2%E8%B0%EC%C9%F4
↑のシリーズの続きになります。
大統領クエとかオーディン神殿クエとかやってるほうが幸せかもしれません。
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「あつい」
 照りつける太陽は今日も自己主張が激しい。毎日毎日誰彼構わず熱視線送って節操のないことだ。
 季節は夏。大陸の北に位置するとはいえ、太陽にそそのかされたエルメスプレートの火山灰地層は、さしずめ天然のバーベキューコンロである。
「トリス、罰金10000z」
「待って、いつの間に決まったのそれ」
「暑い日の定番だもの。第一、あついあつい言われると本当に暑いじゃない」
「40000z」
「さて、出かけてくるわ」
「はいはい。いってらっしゃい、『リーフキャット』さん」
 暑い夏の日。蝉の声すらしないのは過ぎた熱射で死に絶えでもしたか。はたまた「五月蝿いわ」と木の幹ごと爆破でもされたか。
 反企業秘密組織秘密の羽は今日も平和である。そして今日も秘密秘密とくどいことこの上ない。
 色々とあった末に政府から活動縮小命令が出てしまい、一時は賑わっていたアジトも閑古コンドルがカァカァ言っている。なんでもカール大統領がヘマでイモで髭剃れよおっさんということらしい。
 複雑な事情を聞かされた気がするけれど、教養に疎い私はイマイチよく憶えていない。知らなくたって生きていけるなら知らないほうが楽でいいのよね。

「どこへ行くか聞かないのかしら」
「テロリストと関わっちゃいけないって初心者修練所で教わったの」
「フィゲルに潜伏していた『ルナティック』はわかる?」
「……アッシュさん? おでんの買出しでしたっけ」
「そう、オーディン神殿の調査」
 リーフさんは今日もマイペースである。外出とあってまた溶接マスクを着けているが、この夏の盛りにその格好は正気とは思えない。
「そのアッシュが手に入れた書類を『ワイルドローズ』が受け取ったらしいから、モロクまで取りにいくわ」
「この暑いのにモロクとか」
「その後コモドで2、3日のんびりする予定よ。留守を頼むわね、『盗蟲』ちゃん」
「しんじゃえ」
 どうやら私は上司に恵まれなかった。


「あつい」
 かくして、私トリスは独り、部屋数だけはムダに多い秘密の羽本部自室でグッタリしているわけである。
 ガルシュタインはリヒタルゼンに行ったきり。何故留守番かというと、私は一人で任務がこなせるほどの能力がないのだ。えっへん。
 ……あの事件以来、まだセニアには会っていない。ほんと、そろそろこの組織見切ったほうがいいんじゃないだろうか。そりゃあ、一人で何かができるわけでもないけどさ。
「あつい」
 あつい。ヒマでやることがないときは無駄に感覚が鋭敏になるのか、これは堪えられない。今頃あの鉄仮面で爆弾魔な上司はコモドで、溶接マスクを優雅に持ち上げてはヴァーミリオン・ザ・ビーチのグラスを傾けて洞窟の町の涼しさを堪能しているのだろう。……ちっとも優雅ではない。


「――ん、ふゥン」
 と、いうわけで、私はオナニーでもすることにした。


「はゥん……ぁ、あつ、い……よぉ……」
 自分の身体を軽く触り始めて、すぐに挫折した。
 よく把握してはいないものの、この建物には他にも何人か留守番の組織員がいる。いくらなんでも窓を開けたまま行為に耽るわけにいかないので窓を閉めてカーテンを掛け、部屋のドアには鍵をかけたのだけども。
 これは殺人的である。質のいい旅館にたまに付いているサウナ施設に似ているけど、湿度のせいかひたすら不快。叫びそう。
 どうせオナニーするのだし暑いからと全裸でベッドに横たわっていると、まるで溶けるように全身から汗が滲み出る。
「ちょ……死ぬ、って……」
 気だるく転げまわってシーツとタオルケットで汗を拭う。このままシたりしたら脱水症状で倒れるんじゃないだろうか。
「んぐ……んぐ」
 水差しを取って直接飲む。超ぬるい。飲んだ端から汗になって全身から漏れてく。どうしよう、ちょっと面白い。
 このまましたら、どうなるんだろう。
 そんなことを考えながら、ベッドに仰向けになった。

「あ……あ、あひィ」
 両腕で身体を抱いて、両手の人差し指で左右逆の乳首を押さえ、こりこり解す。汗が指にまとわりついて、摩擦のカンジがちょうどいい。びくびく、感じる。
「あ、あー……あァ……」
 背中が気持ち悪い。思い切り汗がシーツに染みて、じっとり張り付いている。二の腕が脇に貼り付いて、汗でベトベトする。
「んくゥん……乳首、こりゅこりゅ……あ、お腹に、くるゥ……」
 頭がぼーっとする。身体からもやが立ち上って、部屋中に広がる。暑い。
 べとべとする。気持ち悪い。ぷくってしてる。こりこりする。気持ちいい。
 腿をすり合わせる。べちょ、にちゃ。汗なんだか何なんだかわからないけど、ヌルヌルする。全身がヌルヌルする。
「あァァ……んふゥ、ん、んふぅぅン」
 いつの間にか左手は、そのヌルヌルする中心に伸びていて。掌をべっとり当てる。ベトベトする。右手で汗でふやけた胸の先を、つまむ。引っ張る、擦る。
 両脚を、タオルケットに絡める。ベトベトとヌルヌルをなすりつける。汗の染みた枕に頬ずりをする。
「はフ、ん、き、きもちィィよぉ……」
 頭がぼーっとする。考えることがフワフワ離れていく。風船が雲に消えていく。
 ぐちゅ。にゅる、ぐちゅり。
 ねばねばした水音が響く。部屋がゆらゆら揺れている。
「はぁぁァァ……くひゅぅぅぅ……」
 意識は朦朧としているのに、股間をまさぐる手は芯に触れていない。身体に染み付いた自慰のノウハウが、無意識下にでも「我慢した方が気持ちいい」と言ってくるのだ。
 中指一本。膣の中を小さく前後に。ときどき曲げて、くいくい掻く。
 ぬちゅ、にゅる、にゅぷ。
 視界が濁る。天井が歪む。回る。涙と汗が混ざって、目が少し痛い。息が苦しい。部屋の空気が私で汚れてる。
「はぁッ、はァァ、はヒュぅぅん」
 左手の指を抜く。掌で上下に擦る。ぬちゅぬちゅ音がする。その手をタオルケットで拭って綺麗にし、また当てる。
 右手は指先で、乳首を押す。ぷにぷにとただ押すだけで、じんわりと甘い幸福感が広がる。
「はふ……はッ、ふ」
 思わず身体を横にすると、変な匂いがした。シーツに染み込んだ自分の汗の匂いだ。
 頭の後ろがすぽんと抜けて、穴が開いた気がした。そこから「ばしゃっ」と勢いよく何かがこぼれてしまった感じがした。
「んぅぷッ……ん、はー……すー、ぷぁ、ふ」
 凄い匂いがする。濃い牝の匂い。自分のエッチな汗の匂い。頭の中がカラッポになって、鼻の頭が痺れる。
 口をだらしなく開けて、舌をぺろりとシーツに這わす。塩辛い。おでこのあたりが、ジリジリする。
「は、はー、ッは、は、はー……」
 だらだらと涎をこぼしながら、左手を上下に動かす。カラッポの頭に火花が散る。きもちよくて、綺麗。
 右手で乳首をつぶして引っ張ると、舌がピクピク震えて引っ込む。歯がぶつかってかつんかつん言う音と、意味のわからない喘ぎ声。それと水音。
「ひァ、んッっく、ひんッ……」

 ふと思いついて、白いタオルケットを両手で広げ、身体に掛ける。普段は使わない、暑苦しい掛け布団も広げ、タオルケットごと……頭から被る。
 むせ返るほど暑い部屋の中、汗になって溶けそうな身体を、布団の中に。
「んぷ……」
 暑い、苦しい。
 息を吸うと、私の身体が出した催淫ガスが、頭の中に吸い込まれる。充満してしまう。
 何も、わからなくなる。
 タオルケットを噛む。鼻で息を吸う。自分の愛液と汗を拭った布地の、濃い匂い。真っ白になる。目の前を覆う白いタオルケットが見えないくらいの白。
 右手を右胸に移して、不満そうだった右の乳首を摘む。「あク」とか意味のわからない声が出る。頭の中で何かがバチバチ弾けている。
 左手は、そこに掛かったタオルケットの布地を掴んで、ざらざらした布地で、クリを擦る。
 下から上へ、一回。
「ひッぐ」
 布地越しに摘むように、一回。
「か……ッ」
 震える手で押し付けて……。
「……ッぁくゥ、んン、……ッか、ふ――ッ」


「それでトリス。いいえ、『盗蟲』」
「な、何ですか」
「何か釈明すべき点はあるのかしら」
「え、っと……」
 頭の上の氷嚢のずれを直しながら、溶接マスクを外したリーフさんの顔を見る。
 どうやら私は今日の夕方過ぎに、部屋で粘液まみれのまま干からびかけているところを、『ワイルドローズ』さんに救出されたらしい。
 その知らせを聞いて、リーフさんはコモドから蝶の羽で急遽、看病に戻ってきてくれたのだそうだ。例によってワイルドローズさんは姿を消している。
 なるほど、リーフさんの剣幕ももっともな話だ。
「ないなら、今後勝手なオナニーは禁止するわ」
「えええええ!? そんな、死んじゃう!?」
「今日まさに死にかけた人のセリフかしら。カミサマも呆れるわよ、貴女には」


「……じゃあ、今度からは皆が見てるところですればいいんですか?」
「そうねトリス、飲み物が要る?」
「あ、はい」
「アシッドボトルでいいわね」
「ダメです!?」


 おわり
233226たんsage :2007/07/29(日) 02:28:49 ID:lhN9/CEQ
--------------------------------------------------------------------------------
1レスで収まるなんてなんて素敵。
変態投稿失礼しましたー。
234名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/29(日) 12:53:53 ID:RxlWlSoU
こっそり・・・
|_・)ノミテルヨー

美味しくいただきました、今夜自分のお布団でやってみよう・・・
235名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/07/29(日) 13:23:56 ID:MvwY.xio
226たんはこの後スタッフがおいしくいただきました。
236名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/08/06(月) 14:26:25 ID:DtHFQgG.
>>235

(*゚д゚)、ペッ
237名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/08/07(火) 01:26:23 ID:kFGH4pLU
レニャチェリたん・・・ワクテカ(*´д`*)
238名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/03(月) 13:26:39 ID:P14IphUs
数年前の自分の作品の続きを書こうこと思うんだが、かなり腕が落ちた俺をみんなは迎えてくれるだろうか…?
239名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/03(月) 18:25:11 ID:tBnfEHM6
投稿してくれる文神様を拒否したりはしないさ!
遠慮せず書いてみるよろし
240名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/10(月) 21:46:12 ID:9EtE1Se.
>>238
受け入れない奴は>>1すら読まないバカだから無視でOK!

報告書もマトモに書けない俺は、どんな作品でも「作品」になるだけ
スゴイと思うしね〜
241名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/12(水) 08:07:58 ID:wsKOewDc
でも現に書き込んだ後に感想すら書かずに
○○の人マダー?とか書いてあったりすると書き手側からすると受け入れられないのかと思うよ。
無視ほどつらいものはないのに。
242名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/21(金) 07:28:26 ID:h36pIRxI
このスレってRO2のネタでも投下していいんでしたっけ…?
243名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/21(金) 12:48:27 ID:P6H.tOXA
そういえばRO2の板はないですな。
とりあえずえろだにでもうpしてみるといいかも
244216dame :2007/09/28(金) 02:31:42 ID:wOI1usj6
おひさしぶりです。
三ヶ月ぶりの続編になります。
相変わらずヴァイオレンスな表現もあるので苦手な人はスルーしてください。
また男女の絡み?っぽいものもありますので、女同士じゃないと嫌だい! な人はスルー推奨。

それでは愛と狂気に彩られた『とあるギルドの恋物語』第2話・・・始まります。
245『とあるギルドの恋物語』2話(1/6)dame :2007/09/28(金) 02:34:37 ID:wOI1usj6
小さな宿のカウンターの一角でひとりの女アサシンクロスが、満足げにフォークを置いた。
彼女の目の前には皿が5〜6枚だろうか山積みと言っていいほど積まれている。
「今日もおいしかったわ」
遅い昼食を取り終えた女アサシンクロス・・・アーシェラは満足そうに微笑むと、食事を作ってくれた宿の主人に感謝を述べた。
ギルドの溜まり場として彼女が普段から使わせてもらっている宿屋だが、食事はもちろん、寝床として、何から何までお世話になっていた。
嬉しいことは嬉しいし、感謝はしているのだが、ただ宿代を徴収してこないのは、商売人としてどうかとアーシェラは考えていた。
そう考えれば払えばいいのだが、『ある仕事』を境に暗殺の仕事を引退したアーシェラには、収入を得ることはできなかった。
物心ついた時からアサシンギルドにいたこともあり、彼女は暗殺以外の仕事を知らないし、引退の原因になった『トラウマ』のため、知っていても仕事はほとんど限られてしまう。
現在は拾ってもらった民間ギルドの非戦闘型の先輩に経験を積ませるため壁役兼、保護者としてアーシェラは見返りに寝床と食事を得ていた。
今はそれよりも、友人として、むしろ妹としての感覚に近いものがあるのだが・・・
「いつもこんな美味しい食事を作ってくれているのに、ほとんどお礼できなくて、本当に自分が恥ずかしいわ・・・」
思わず愚痴が彼女の口を滑らす。
そんなアーシェラの言葉に周囲の客や主人がが苦笑を漏らした。
外から見れば彼女がこの宿のお抱え用心棒となっているのは、明白なのに本人は気づいていないらしい。
曰く『超越者』曰く『転生者』曰く『神に選ばれた者』
各職業ギルドで確実に上位の人知を超えた力を持つものだけが纏うことを許された服装。
それも対人戦闘に特化したアサシンの上位のアサシンクロスの姿だ。
そんな彼女が常駐していると有名な宿屋に忍び込む泥棒も、酒に溺れて必要以上に騒ぐ荒くれ者の冒険者はいない。
「ありがとよ。アーシェラちゃん。そう言ってもらえるだけでも嬉しいねえ」
宿の主人はきにするな、と言外に含み、破顔で答えた。
「嬉しいついでにそこで酔っ払っているギルマスさんをなんとかしてくれれば、もっと嬉しいんだけどねえ・・・」
ただ生真面目な根っこが彼女がそれだけで納得するはずもないので、宿の主人は食堂の一角に目を向けた。
つられてアーシェラも視線をそちらに向けると、そこには一人の女騎士がウィスキーの瓶を片手に泥酔状態に陥っていた。
彼女を拾った民間ギルドのマスター、リンだ。
リンという女騎士を表現するための使い古された言葉があった。
『黙っていれば可愛い娘』
それはこの宿に世話になった人が全員持つ彼女への共通見解だった。
その透き通った青い瞳の視界は定まっておらず、足元もおぼついていない。
「アーシェラちゅわぁぁぁぁん!! 一緒に飲もぉぉぉぉ♪」
「リン・・・」
アーシェラはため息をつくと宿の主人を睨み付けた。
ちらちら、と食事中も背後を気にしていたようなので、気づいてはいたようだったが、あえて話題には出さなかったことから見るに、完全に無視を決め込むつもりだったらしい。
それならリンの方向を向かなければよかったのだが、そこまで気がまわらなかったようだ。
アーシェラはもう一度ため息をつくと、部屋の片隅へ視線を巡らせた。
そこには彼女の腰の高さくらいの大きさの水樽が、鎮座している。
「リン、貞操の危機を感じるのでそれは遠慮しておくわ・・・え〜と、酔い覚ましにそこの水樽を樽ごと投げておくけどいい?」
「最近は水も高いんだから、無駄使いはやめてくれ。それよりもそこのイスがほどよく硬いぞ」
宿の主人の意見にアーシェラは残念ね、と漏らすとゆっくりと立ち上がり手近にあった椅子を手に取った。
「何か物騒な会話が聞こえてくるんだけど・・・」
「気にしないでいつものことだから」
「そっかぁ、いつもどおりかぁ〜、それじゃ飲もおぉぉ♪」
いつもどおり抱きつこうとかけてくるリンにアーシェラはいつもどおり椅子を振り上げた。
荒くれ者の冒険者がが暴れても壊れないと、一部で評判の『エルダーウィロー印』の椅子が、リンの脳天に一直線に叩き込まれる。
「甘いですわぁぁぁ!! Vit騎士の力見せてあげるからねぇぇぇええええ!! ぅいぃぃぃんでゅゎぁぁぁぁぁ!!!」
気合一発、リンが全身に力を込め、攻撃に備える。
『インデュア』がこんな風に使われるとはプロンテラ騎士団の誰が予想しただろうか。
そしてアーシェラの振り下ろした椅子が、リンの脳天に叩き込まれた。
どす、と鈍い音がアーシェラの手に響き渡る。
「き・・・効かないわぁぁぁ・・・」
足を震えさせ、涙目になりながらもリンは騎士の意地を見せた。
アーシェラは本気で驚いた様子で目を丸くしている。
「・・・相変わらず丈夫ね。それなら・・・」
にこり、とこれ以上ない笑顔を浮かべ再度、椅子を振り下ろす。
「ふぇええええぇぇええぇぇええええぇぇっ!?」
l今度こそリンが床に倒れて動かなくなる。
「『ダブルアタック』・・・どう?」
「二回攻撃しただけな気がするんだけどなぁ」
「そういう細かいことはきにしない」
アーシェラは 宿屋の主人のツッコミをさらり、とかわすと椅子に座りなおした。
「しかしこの娘もお前さんのこと本気で好きなんだねぇ」
「私はそういう趣味はないんだけどね」
アーシェラが肩をすくめるのを見て、宿の主人は苦笑する。
当のリンは気絶したまま、アーシェラたんらぶ〜、と連呼していた。
そんな店内の騒ぎに、まばらに存在していた他の食事をしている冒険者達は、巻き込まれるのを恐れて・・・もとい、いつものことだと気に留めないようにに食事を楽しんでいた。
246『とあるギルドの恋物語』2話(2/6)dame :2007/09/28(金) 02:35:54 ID:wOI1usj6
「困りましたわ困りましたわ困りましたわ困ってますわどうしたらいいですのどうし・・・」
食堂で殴打事件が起こっている頃、エリシアは自室で唸っていた。
部屋の中を右往左往、ベッドでごろごろ、机においてある本をパラパラめくっては閉じ、何度も鞄の中を見ては何度も整理し、何かをしてなければ落ち着かないという様子だ。
しばらく動き回っていたエリシアだが、疲れたのかベッドに倒れこむとぴたり、とその動きを止めた。
「まあ考えても仕方ありませんわよね」
そう言いつつも思考は、悩みにしっかりと囚われていた。
同じギルドメンバーのアルベルトにエリシアは片思いを寄せていた。
しかし当のアルベルトは同じギルドメンバーのアーシェラに好意が向いていたのだった。
愛してる、とまではいかないものの自分より彼女の方が優勢だと言うのは雰囲気でわかる。
別にアルベルト自身に確かめたわけではない、女の勘だ。
数日前までは別にそれでもいいと思っていた。
商人とアサシンクロスでは服装の関係上、魅力や色気では勝負にならないとわかっていたからだ。
アルケミストになれば、彼も自分のことを見てくれる。ずっとそう考えていた。
その考えは転職が近づくほど、胸の中で大きくなっていき、転職先へ向かう前日はほとんど眠れなかったほどだ。
しかし商人からアルケミストに転職してある程度『大人の女』っぽくなったにもかかわらず、アルベルトはアーシェラの方しか見ていなかった。
「そして勢いあまって彼女を壊そうとした結果自爆と・・・」
アルベルトがアーシェラを見ているなら、2人を絶対にくっつけないようにすればいい。
花街から手に入れた特性の媚薬でアーシェラを壊し、狂わせ、彼女を自分の従順なペットにすれば、アルベルトも彼女のことを呆れて自分の方を見てくれる。
「そう、その時はそう信じて行動したのに・・・」
エリシアはひとりごちると仰向けに体制を変えた。
階下から変な音が聞こえてくるが、またリンにアーシェラが激しいツッコミを入れてるのだろう。
「・・・はぁ」
最近、ため息が漏れることが多い。何故かはエリシア自身にも理由はわからなかった。
自分はアーシェラを壊した。壊したはずだと思っていた。
しかし彼女は壊れなかった。彼女のアサシンクロスという職の性質が媚薬の効果を薄めたからだ。
「・・・目覚めたアーシェラは私が起きるのを待っていて・・・」
押し倒され、キスをされた。
それは短くも濃密なディープキス。
アーシェラはそのまま食堂に降りてしまったが、一瞬で高められた欲情を抑えるはめになった。
アサシンギルドではベッドに誘い込んで暗殺を行うこともあるため、暗殺の技だけではなく性的な技も習得していると言う。
あのキスもその類のものなのだろうか。
された瞬間、自分の唾液が彼女の唾液と混ざり合い、蜂蜜のように甘く感じられた。
触れ合う舌は本当に2人分あるのかわからない程、境界は曖昧に蕩けていて、思考の制御はまったく利かない。
ただ気持ちいい、それだけが脳を巡る。
時間の概念も砕け、10秒ぐらいの時間が、まるで1分以上口内を犯されたような感覚に陥って・・・
247『とあるギルドの恋物語』2話(3/6)dame :2007/09/28(金) 02:36:51 ID:wOI1usj6
「・・・ん・・・くぅ・・・」
気づけば指が下着ごしに秘所を擦りあげていた。
キスを思い出しただけで濡れてしまっていたのか、くちゅくちゅと、下着は粘性の液体を染み込ませ淫猥な音を響かせている。
「ふくぅ・・・はぁ・・・ん・・・くぁ・・・」
左手はシーツをしっかり、と掴み、足を半ば硬直させながら、下着の上から襞に沿うように必死にエリシアは指を動かしていく。
もちろんいつまでも下着の上からは物足りない、青のミニスカートをたくし上げ、下着の中へ手を入れる。
「く・・・んぅ・・・きもちぃぃ・・・あ・・・いいのぉ・・・」
下着越しとはまったく違う、直接触れている感覚。
膣内から溢れてくる愛液が指先を、満遍なく濡らし、そのこと自体が気持ちを昂ぶらせていく。
人差し指と中指を膣内に入れ動かすと、お腹の奥に切ない気持ちがこみ上げてきた。
「はぁん・・・ふぅ・・・はぁ・・・はぁぁん・・・あそこが・・・んくぅ・・・ぁ・・・ひくひくしますのぉぉ・・・」
指を膣が締め付けたり、緩めたりしているのを感じる。
足が自然に閉じそうになるのを必死に押さえ、シーツを握り締め指を動かす。
「ふっ・・・くぅ・・・はぁ・・・ぁ・・・ぁん・・・」
膣内を擦りあげながら、ぷつ、ぷつと、自分の汗が湧き出してくるのを自覚する。
日常生活では滅多に出ない大粒の汗。
腕から、足から、お腹、胸、背中、額から、愛液に負けじと溢れ出した汗が身体の上を滑っていく。
それは行為により、敏感になっている身体には、媚薬にも等しく、さらなる高みへの足がかりになっていた。
「・・・ふぁぁぁ・・・んくぅぅ・・・らりない・・・まら・・・もっとぉぉ・・・」
本能に任せ、身体を動かす、こうすれば気持ちいい、そういうことは一切考えない。
シーツを掴んでいた左手は胸を揉み初めていた。
最初はやさしく、時折激しく、緩急を付けて揉み続ける。
乳首も触れ過ぎず、触れなさ過ぎず、もっと気持ちよくなるように、もっと長く感じ続けるように、愛撫する。
理性ではなく、本能が命じるままに己を愛し続ける。
「・・・くふぅ・・・ひゅぅぅ・・・うぅぅ・・・ふぅぅ・・・」
意識がお腹の下に集約されていく、まるで自分の身体が縮んでいるような錯覚。
心臓は先ほどから早鐘のように鳴り響いているのに、不思議と苦しい感じはまったくない。
汗は止まらず身体から湧き出ていて、口の中は唾液がいつのまにか溜まっていた。
舌を口内で動かすと舌先に甘く淫猥な味が広がり、さらに動かすと唇の端からそれが零れ出して頬を滑る。
「・・・イく・・・イく・・・イく・・・イク・・・・・・」
本能にほとんど支配されている頭の片隅で同じ言葉を連呼しているのを自覚する。
考えて発しているのではない。性欲に囚われた脳が唇から自然とその欲望を口にさせるのだ。
声を発するたび、乱れた呼吸と共に上下するお腹が膣内を、子宮を圧迫し、さらに感じさせる。
右手も左手もただ気持ちよくなるためだけの機械にように、動き続ける。
「はぁ・・・イく・・・ぁぁ・・・ぁア・・・くぁぁ・・・イくぅぅぅぅぅうううぁぁぁ・・・!!」
指を膣がきゅぅぅ、と締め付け、身体が硬直する。
呼吸がほとんど止まってしまう。意識しないと呼吸が出来ない。
背中は少し仰け反り、腰がベッドから浮いていた。
しばしの硬直の後、エリシアはどさり、と身体がベッドに沈みこませた。
248『とあるギルドの恋物語』2話(4/6)dame :2007/09/28(金) 02:37:55 ID:wOI1usj6
ゆっくりと下腹部に集中していた意識が身体中に戻っていく。
立ち上がろうと思っても足までまで命令が行かない。
膣から指を抜こうと思っても、指先まで命令が行かない。
完全に脱力している身体は余韻を楽しめと全力で主張している。
「ふぁ・・・ん・・・」
しかしそれに抗い、エリシアはゆっくりと指を膣内から抜いた。
だがそれで終わりだ。
立ち上がるまでの気力はない。
身体は汗と愛液まみれになっており、唇の端からは唾液が零れたままだ。
行為の最中は気づかなかったが、目に涙が浮かんでいるのを今更ながら自覚する。
これほど感じたのは初めてではないだろうか。
「・・・ああ・・・そういうことですのね・・・」
ふと、脳裏によぎった考えをエリシアは素直に認めた。
イって一度リセットされた頭は普段より激しく回転しているのだろう。
考えが脳裏を巡り続ける。
そう、自分は彼女に・・・アーシェラにあのキスで狂わされていたのだ。
そしてあのキスの後も、彼女が今までと何も変わらないように接してくることに対して、自分は物足りなさを感じていたのだ。
それを自覚した時、エリシアはアーシェラがキスの前に言った言葉を思い出していた。
『確かに少し昔の恋人と雰囲気とかマイペースなとことか、何も考えてないこととか似てたから、興味はあったけど・・・』
思えばそれを口にする彼女の声は何処か寂しそうでいて、
『・・・それって、アルベルトっていう人の人格無視する行為じゃない。誰かの代わりみたいだしね・・・』
今考えればあのキス自体も込み上げてきた寂しさを紛らわせるために思える。
そしてその切なさと寂しさを理解できたのは、自分がそう感じることができたからだ。
あのキスで唾液と共に自分に彼女の心が流れ込んできたのかも知れない。
誰かを本当に愛した時の本当の心のカタチ・・・
それはきっと空虚な空間を自分の心に作るのだ。
愛した相手でその空間を満たしていく。
きっと、それが本当に愛するということなのだ。
だから失ったり、想いが果たせないと、つらく苦しい寂しさと切なさが胸を締め上げるのだ。
そしてそれを”始めて”理解したことにエリシアは気づいた。
「私はアルベルトを本当の意味で愛していなかった・・・ということですの・・・?」
249『とあるギルドの恋物語』2話(5/6)dame :2007/09/28(金) 02:40:12 ID:wOI1usj6
「アーシェラたぁぁぁぁぁん!!」
リンは雄たけびをあげるとベッドの上に立ち上がった。
1秒、2秒、3秒・・・
誰も反応を返さないことに気づき、周囲を見渡す。
そこは自分の部屋だった。
部屋の片隅に無造作に立てかけられている槍や剣、鍵をかけられた自前のクローゼット。
そして四方にびっしり、と張られた明らかにアーシェラをモデルにした人物が書かれた絵の数々。
それは微笑んでいたり、怒っていたり、泣いていたり、あられもない姿だったり、多種多様だ。
さらにはその絵を元につくったシーツ、枕、布団、人形・・・etc
誰が見ても一通り見渡してリンは再度、自分の部屋ということを確認する。
「う〜ん・・・飲みすぎたかなぁぁ・・・頭が割れるように痛いよぉぉ」
食堂で飲んでいた記憶はあるのだが、それより先が思い出せない。
一時的な記憶障害だろうか、原因はきっとアーシェラたんへの愛が足りないからだ。
絵を描こうか、人形を新しく作ろうか悩み、リンは頭を抱えた。
「うぅ〜・・・」
そんな彼女の悩みをひとつの音が中断させた。
木の扉を叩くリズム感のある音。
言わずと知れたノックの音だ。
2、3度繰り返すとリンの耳に扉の向こうから、聞き知った声が飛び込んでくる。
「リン・・・時間だ・・・」
同じギルドメンバーのアルベルトの声だ。
リンはその言葉に窓の外を見る。
気づけば外はまだ明るいものの太陽は赤い夕焼けに変わっていた。
「今、開けるから待っててね」
言って扉に手をかけた瞬間、ふと気づき、言いかえる。
「勝手に入ってきていいよ」
別に自分は鍵を閉めていないし、自分をここに運びいれたのは合鍵を持つ彼なのは間違いない。
宿の主人という考えもあるが、決して自分の部屋に入らないように言いくるめてあるので、アルベルトに頼むはずだ。
がちゃり、と金属音を響かせ扉が開く、ウィザードのマントを羽織った青年は、部屋に入るとリンに向かってゆっくりと歩を進めた。
夕日が窓から差込み、逆行で彼の顔は見えない。
「ごめんね。待たせすぎちゃったね」
言いながらリンはアルベルトの頬を撫でた。
「ちゅ・・・くちゅ・・・んむ・・・」
そしてそのままリンは顔を引き寄せ、アルベルトにキスをした。
舌を彼の口内にいれ、唾液を絡ませる。
2人の唇の端から溢れ出した唾液が零れていく。
唾液を飲み込んだのかこくり、とアルベルトの喉が鳴った。
1回ではなく、2回、3回、4回・・・

こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり
、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こく
り、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こくり、こ
くり・・・・・・

足りないと言わんばかりに喉を鳴らし続ける。
「もう・・・久しぶりだからってダメだよ」
リンはそんな彼を押しのけるように離した。
口の端についた唾液を舐め取ると彼女はまだ物足りなそうにしているアルベルトを押しのけベッドに向かう。
騎士とウィザードの力の差だろう。
アルベルトは床に尻餅を付いてしまっていた。
リンはそんな彼を無視してベッドの下に手をいれる。
手を抜き取るとそこには小さな箱が握られていた。
座り込み見上げてくる視線を感じながらリンは箱が開き、中身を取り出す。
それはノービスや一次職がよく使うマインゴーシュと呼ばれる短剣だった。
250『とあるギルドの恋物語』2話(6/6)dame :2007/09/28(金) 02:42:06 ID:wOI1usj6
「ん・・・なんですの? これ・・・」
エリシアは自分の机に置いてあるメモに気づいた。
あれから、結局汗と愛液まみれのシーツや自分の身体を洗っていたのだが、いつのまにかアーシェラが戻ってきていたらしい。
メモを見ると、『少し用事ででかけてくる。明日の昼には戻る』とだけ書かれていた。
「一声かけてくれればいいのに・・・」
文句を言っても仕方がない。
エリシアは、洗濯中のシーツの代わりの新しいシーツをもらいに宿の主人の所へ行こうとして・・・やめた。
「今日はいないみたいですし、借りてもいいですわよね・・・」
視線が持ち主のいないもう1つのベッドに向かう。
ブーツを脱ぎ捨て、そのままベッドに身を沈めた。
息を吸うと持ち主の匂いを吸い込んでいるような錯覚に陥り、軽い自己嫌悪を覚える。
そう考えてしまうこと自体が問題なのだが、それはあえて気にしないことにした。
そのままゆっくりと目を閉じる。
まだ空は夕焼けに差し掛かったくらいだが、今日は久々に激しい自慰行為をしたこともあり、元来体力のあまりないエリシアの体力はさらに落ちていた。
ゆっくりと近づいてくるまどろみの中でエリシアは考える。
水浴びをしながらずっと考え続けていた事実。
自分はアルベルトを愛していなかった。
いや愛していたのかも知れない、ただそれは『代理』として愛していたに過ぎない。
わかっていて、あえて気にしないように、心の片隅に追いやっていた事実。
自分はアルベルトを失踪した兄の代わりとしていただけだった。
ある日忽然と姿を消した兄。
アルケミストギルドの中でも研究熱心で、それでいて飄々としていた、自分の兄。
結局何の研究をしていたのかは、教えてもらえなかったが・・・
エリシア自身が商人を選んだそもそもの原因は兄のようなアルケミストになりたかったからではなかったか。
「兄さんに雰囲気が似てたから、好きになったように思っていただけでしたのね・・・」
ウィザードとアルケミストという職の違いはあっても、研究熱心で飄々としていたアルベルトに惚れてしまっていたのは間違いない。
言いながら、ふと気づき、エリシアは笑みを浮かべた。
今はいないベッドの本来の主に言う代わりに、そのシーツを撫でる。
「・・・貴女も兄さんと同じような男性を愛していたんだし、私達いい友達になれそう」
帰ってきたら、おかえり、と言ってその胸に飛び込んでみようか。
それとも軽くキスをしてみようか。
シーツを一撫でするたびに、いくつも考えが浮かび、消えていった。
251216dame :2007/09/28(金) 02:52:06 ID:wOI1usj6
『とあるギルドの恋物語』第二話投下完了。
そして一部改行しくじっていることに気づく・・・orz
次からは気をつけよう。

ここまで読んでくれた方々ありがとうございました。
では三話までまたしばらくROMります!!
252名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/09/28(金) 19:32:50 ID:T58eFFMc
dameりすぎ!?
偏執具合がいいですねー
GJです
ただ・・・1に比べてものたりn(ry
253名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/10/02(火) 23:48:39 ID:GqNpa5nM
アーシェラたんの人キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
まさかリンとアルベルトがこうとは!!

3話、非常に楽しみにしております〜ヽ(・∀・)ノ
254226たんdame :2007/11/19(月) 00:25:43 ID:Dch1lsTM
おひさしぶりです。新作を久しぶりに書き上げてまいりました。
例によって例のごとく例ドリック例に漏れずむちゃくちゃ長いです……。

>>216さん
ひとりえっちは正義であります。正義を見ました。ジャスティスであります。
255226たんdame :2007/11/19(月) 00:27:05 ID:Dch1lsTM
 ……終わった。
 思わず、頭の中で上に「やっと」を付けそうになったけれど、それはいくらなんでも失礼だと思い直して回避に成功。
 別に嫌なんじゃないけど、だけど何か。そう……旅行に行った後家に帰ると、どっと疲れが出るのに似てる。行きたくて行った旅行なのに、気が張っていたせいで疲れてしまい、おなかいっぱいな気分になる。
「なあ」
 やっぱり家が一番だな、ってなるアレ。そんな感じなんだと思う。
 そうだ。……うん、そっか。私はそんな風に思ってるんだ、このこと。

「……寝てる?」
「ふぇ?」
 背中から、わしっと頭を撫でられる。くすぐったい。結構付き合いの長い私のカレシ様、レオン君である。一つ年下だけど結構頼りになる、ハンターの男の子。
「あ、ううん。考え事」
「あー……そっか」
 私たちは裸で横になっている。平たく言えば情事の後である。もっと平たく言えばえっちの後である。
「ん、ごめんね。……なに?」
 最近、こうして終わってから考え込んでしまうことが多い。どうせ不毛な思考、とりあえず棚上げにして、顔を彼に向ける。
「あ、あの、さ」
「……なによぉ」
「俺、男だけど……でも、我慢くらいきくし、どうってことないから」
「?」
「こういうの……お前が気乗りしないなら、いいよ。別に」
 ……あ。
 ここまで言われてようやく思い当たった私は、出掛かった言葉をとりあえず飲み込んで、話を聞く体勢になった。
「わかるからさ、その……お前も、楽しくないだろ?」
「そんなこと……」
 それでも思わず否定の言葉は漏れてくる。「そんなこと」の後は続かなかったが。
「したくないこと、してくれなくていいから。な、狩り行ってメシ食って飲み行って、お喋りして……十分だろ?」
「あ……っと、ね。私、そんなにつまらなそうにしてた?」
「いや……、いや。うん、まあ」
「あー、そっか。うん……ごめん」
 私が謝ると、レオン君は悲しそうな気まずそうな、微妙な顔をして視線を外した。生返事だけど、すごく悪いと思ってる。こんなことで気を使わせること自体ダメだってわかるから、余計に。
「別に、嫌ってわけじゃないんだけど……なんでかな」
「いいよ。ユーリもしたいって言うなら、そりゃいいけど」
「あ、う」
 それは……その、さすがに違うというか、そうであっても認めたくないというか……。
「……な?」
 苦笑して私の瞳を覗き込む我がカレシ様。なにか悔しい。
「んぐ、で、でも、たまにならしようね?」
「うん、そうだな。……たまに、な」


「――というわけなのよ」
「ははぁ、夫婦円満で知られるユーリちゃんにもそんな悩みがねぇ〜」
「茶化さないでよおおおおっていうか夫婦ちがふううう」
 目の前に居るのは我が友レッツァ。レオンと私の共通のギルドメンバーで、気の置けない友人。思えば、私をレオンとくっつけたのもこの子(の陰謀)だったような。私と同じ教会のプリーストなのだけれど、私よりも少しばかり……いや、だいぶ素行は良くない。荒れているというのとも違うのだけど。
 酒はもちろん、時たまフィゲルに出向いては博打もする。約束はあまり守らない。そもそもプリの勤めに顔を出した試しがない。何より男女の垣根なくお摘みの手が早い。幸いにして、うちのレオンはまだ手付かずらしい。何よりである。
 そのくせして、彼女の法衣は真っピンク。要するに、高司祭様である。この不良プリは、言うにことかいて私より徳が高いらしいのである。
 ……いつかグレるよ、私ゃ。冒険者としての腕だけで階位が決まるのはどうかと思うの。第一、この生臭プリの経験は半分くらい博打で稼いでいると思われる。腐敗だわ、階位制度の腐敗。
「それで? どーするの」
 そして何故か私は、何か困ったことがあると最初に彼女に相談する。習慣のようなものである。不思議なもので、レッツァに相談すると何事も「まあ、いっか」と思えるようになるのだ。解決したことは一度もないが。
「ど、どうするのって。わかんないからこんな恥ずかしい話してるのよ」
「だって、したくないんでしょ、ユーリ」
 またこの子はこういうことをすぱっと……。
 冒険者向けの、騒がしくて誰も他人の会話なんか聞いちゃない店を選んで良かった。
「そ、そうよ。レッツァならどうする? それ聞かせて」
「フるけど。あったりまえ」
「あっそ……一応、なんで?」
「元々、恋人なんかいらないもん。だって面倒じゃない? いつも一緒にいたい人なんて、この世に一人もいないもの」
 サラリとそんなことを言ってのけるレッツァ。じゃあ、どうしてあんたは私とレオンをくっつけたんだ。
「エッチしたきゃ相手なんかいくらでもいるし、何が悲しくてわたしのしたいことを邪魔させなきゃならないの?」
「したいことって?」
「その時々で様々。ソロ狩りしたい日もあるし、臨時行きたいときもあるし、ゴロ寝もしたいし。雑誌読んでみたり、食べ歩きしてみたり、レースのダブルス買い漁ってみたり、ぶらっと失踪してみたり。お祈りや懺悔もしなきゃ」
「……最後の2つはありえない」
「彼氏に狩りに誘われて、断って臨時行ったら、恨みがましく見られるでしょ?」
「そりゃ、たぶん……」
 それは恋人じゃなく友達とかでも、怒る人は怒りそうだけど。
「何それって思う。一人になりたいか、知らない人と遊びたいからってわかるでしょ。わからないバカなら要らないし、わかっててわたしの邪魔してるなら、もっと要らない」


 結局、私のおごったブランデーで上機嫌なんだか不機嫌なんだかよくわからないレッツァは、しばらくそうして喋ってくれていた。
「――つまりね」
「うん」
「わたしは、ユーリみたいな友達がいればいいの」
 ……は?
「わたしを踏み荒らさないからね、ユーリは。来るなってサインを出したら、帰ってくれる」
「そりゃ……付き合い長いから」
「ううん、違うよ。ユーリだから長く持ったってだけ」
「そうなのかな」
 あんまり考えたことがなかった。
「わがままなんだ、わたしは。側に居てほしいときだけ置いて、そうじゃないときは追い出すの」
「うーん……」
 納得できるようなできないような。
 しかし、その前に大きな問題点がある。言っていいものだろうか。
「ねえ、レッツァ」
「なに?」
「……論点、変わってるよね?」


「――あははは、いやーごめん。それでなんだっけ、ユーリの不感症を治すんだっけ?」
「いや微妙にっていうかだいぶ違う!?」
「んーっとね、ユーリはわたしとタイプが違うんだ、きっと」
 そりゃ、同類扱いされたら恥ずかしくて法衣着ていられないけど。
「ユーリは難しいね。恋人は欲しいんでしょ?」
「……たぶん」
「でも、きっとレオンに気を使っちゃう」
「うぐ」
 割とモロ、図星。
「それで向こうも気を使って、ギクシャクしちゃって、なんか駆け引きしてるみたいに」
「……あんた、見てるんじゃないでしょうね」
 ホント、図星。密偵でも放っているんじゃってくらい。
「そんなユーリちゃんはきっとそう、男の子の愛し方に馴染めないんだな」
「ほえ?」
 愛し方? 何、その恥ずかしいキーワードは。
「レオンはどう? 自分のものにしたがるか、守りたがるか、甘えてくれるか……優しくしてくれるのかな」
「や、優しいけど」
「男は大体ね、自分のものにして好き勝手したがるか、ガラスみたいに大切にしてくれるか、どっちか」
 レオンは後者だろう。このいいかげんな二元論が正しいとすればだけど。
「でもどっちも嫌でしょ、ユーリは。本当はもっと気楽なほうがいい?」
「うん……」
「そうだよねー。でもエッチってさ、普通、このどっちかじゃないと雰囲気が出ないもんなの」
「あ、それはそうかも……」
「でもその雰囲気だと、ユーリってば上がり症だから、ガチガチでマグロでしかめっ面で」
「うぐぐ」
 い、言わせておけば。ぜんぜん外れてないのがすっごい悔しい。本当に、ローグギルドあたりに探らせてるんじゃないでしょうね。
「ま、それが可愛いんだけど。要するにそういうことでしょ?」
「……かも」
「んー、余計なこと考えられないくらい乱れてみるとか。ダメ?」
「あんたみたいな淫乱と一緒にしないでよ」
「そっか、不感症だもんね」
 誰か、カプラ倉庫に置いてあるトリプルブラッディチェインを持ってきて。お願い。

「……あのさ、一応酒場でそういう話、やめてよ。なんか視線がイヤだし」
「そう? じゃ、わたしの家行こうよ」
「ふえ、それってそういう話するってこと?」
「かもね。おごってもらったから、お礼に秘蔵のスイーツを振舞いますわよー」
「一日しか持たないものを秘蔵するな!」
「今日はもともと、ユーリをお持ち帰りの予定だったの。買ったのは夕方」
 それはちっとも秘蔵ではない。お陰でお腹を壊さずに済むけども。
「はいはい、それじゃお持ち帰られますよ。ごめんねレオン、私は浮気者だわ」
 わざとらしく十字を切る。
 ――そういえば、こんな冗談、レオンの前では言ったことないな。


256226たんdame :2007/11/19(月) 00:28:34 ID:Dch1lsTM
「おいちいぃぃぃ」
「……それ、何の真似」
「何でもないわよ。ほら、このリンツァートルテ、おいしいわよー」
「あー、私はもういいわ。ごちそうさま」
 甘味をほどほどに堪能して、二又のフォークを皿に置く。小ぢんまりとした部屋にふたり、私とレッツァ。ここは彼女の部屋。部屋の主のイメージからはあまり想像できないのだけど、私の部屋よりも綺麗に片付いていて、毛足の短い絨毯には髪の毛の一本も落ちてはいない。
 ベッドを背に、背の低いガラスのテーブルを挟んで、絨毯に座る。床に座る感覚に私は不慣れなのだけれど、レッツァが言うにはアマツの方で覚えた習慣らしい。椅子を置かなくて良いので、小さな部屋を広く使えるということだ。
「遠慮しなくていいよ。食べ切れなかったらもったいないし」
「遠慮してるのはあなたにじゃなく、私のお腹のお肉にね。楽じゃないのよ、まったく」
「ふうん。……彼氏のため?」
「あー、うん。どうだろ……自分がキレイでいるため、かな?」
 正直、見せるためとかあんまり考えてない。そういうのって、冷えた仲だったりするのかな。

「ねえ、レッツァはさ。どうして、恋人いらないって言うの?」
「ん。話さなかったっけ」
「聞いたけど」
 うん、聞いたというか、流れと無関係に聞かされたんだけども。
「ユーリちゃんも実はいらない子だった?」
「なんかそれ、違う意味に聞こえる」
「あはは、それで?」
「わかんなくなったの。よりによって、上手くいってないなーって思ってるときに言われたから」
「あーごめん、そんなつもりじゃないの。ユーリは旦那さん居た方がいいと思うよ?」
 ……わかってる。けど。
「私だって……レオンのこと、ずっといつでも一緒にいたいなんて思わないもん」
「そりゃね。女の子はみんな寂しがりー、ってのは、男のモーソーよね」
 むしろ、一緒にいて息苦しいことのほうが多いんじゃないだろうか。
「わたしは悪い子だからね。めんどくさいことはしないの」
「……何よそれ。私のこと、いい子ちゃんって言うわけ」
「我慢できるなら、小さいことくらい我慢して付き合ったほうが得じゃない? ユーリちゃんは我慢できる子だけど、わたしはダメ」
「なんか、ムカつく」
「怒らないの。わたしは、レオンとうまくいって欲しいんだけどな?」
「なんで」
「無二の親友として」
 フォークの先を咥えてにっこり微笑む彼女に、私は苦笑を返した。

 しばらく、沈黙――もとい、もぐもぐごっくんという音と、「おいちぃ」が場を支配していた。

「――ねえ、ユーリってさぁ」
「なに?」
「レオンとしてて、イったことってある?」
 ……。
 硬直。数秒、思考。
 質問の意味を理解して、赤面する前に口がヘンなカタチに曲がった。呆れた。これが若い女聖職者ふたりの会話だろうか。
「あのねぇ……」
「いいからいいから」
「……ない、わよ」
 我ながらムスっとした顔をしているに違いない。ああもう、カレシ様とのエッチで感じない女なんて、それこそ不感症じゃないか。
「……あいつ、下手?」
「ううん……って、なんでそんなこと答えなきゃなんないの」
「いいじゃん、今更だし。アドバイスしたげるからちゃんと答えて」
 アドバイス、ねえ。確かにレッツァは、おどけて見えてもこういう所で無責任なことは言わない。きっと彼女なりに私のことを考えて助言してくれるだろう――それがマトモな内容であるかは別として。
「じゃあさ、一人でするときとどっちがイイ?」
「あ・な・た・ね・ぇ」
「わあああっ、お、怒らないでって!」
「私は真面目に困ってるの、わかる?」
「わたしだって真面目に聞いてるんだってば」
 真面目に何を聞いてくれるのかこの友人様は。
「はいはい、わかりました。他ならぬレッツァが言うんですものね」
「そうそう。そういう話なら大先輩だしね」
 そりゃあそうでしょうね。威張られてもとても困るけど。
「いいわ、うじうじするのはもうたくさん。聞きたいこと全部、話すわよ」
「さっすが。ささ、一杯」
 グラスに果実酒を注いでよこしてくれる。どうでもいいが、これはさっきレッツァがミルクを飲んでいたグラスだ……。

「――それで、なんだっけ」
 ミルクとリキュールの香るグラスをついっと空にして、返しながら言う。
「レオンのと自分の指と、どっちがイイかって」
 すぐお酒を注ぎ足して、返される。
「その下品な言い回しなんとかしなさい」
 さすがにまた空けてしまっては飲みすぎになるので、ちびっと口をつけてグラスを置いた。
「まあまあ。それで、ユーリはどっち派?」
「……どっち派、って。そりゃ、……自分で、するほうが」
「あらぁ、やっぱり」
「内緒ね」
 視線を外して、恥ずかしさを紛らわすためにグラスに口をつける。

「じゃあさ、やっぱり一人でしたら、イける?」
「……ん」
 こく、と頷く。
「……座ってしてる? 寝てしてる?」
「普段は、座ってかな……」
 ああもう。私は何を答えてるんだ、いったい。
「イく直前なんか、脇しめてきゅっと縮こまっちゃう?」
「それは……」
「唇、口の中に巻き込んで、内腿がぴくぴくして」
「ちょ、レッツァ……」
 そんな変な声色で、話さないで。
「ごく、ってツバ飲み込んでさ……あ、そう、今みたいに」
「!」
 ……無意識だった。そんなこと、したっけ。
「腰引けて、椅子の背もたれに背中丸めて押し付けて、二の腕がぷるぷる震えちゃったり」
 ほんの、少し。レッツァの顔がこちらへ近づいた。柔らかそうなほっぺたを少し上に持ち上げて、にっ、と笑って私を見る。
「ね、ねえ、ちょっと」
「つま先丸めて、足の指折って握って、息止めてきゅーっとイってから、あっつーい息吐いて震えちゃう感じ」
 ……ごく。
 今のは、自分でもわかった。
「気がついたら目に涙が溜まっててさ……ふふ。想像したら、ドキドキしてきた?」
「ばっ……それは関係ないでしょ!」
「あはは、それで……どう? 心当たりは」
「あ、う」
「んー、結構図星だった顔ね」
 ……うるさい。

「……わ、わりと、かな」
「ふぅん……」
 にまーっとイヤらしい笑みを浮かべて、レッツァはぴしりと立てた人差し指で、私を差した。そして。
「おなにー上手」
「ちっ、ちが……!」
 目の前にレッツァの指。爪がすごく短い。そういえば、爪を噛むクセが直らないって愚痴ってたっけ。
「違わない違わない。いいことじゃないの」
 よしんばそうでもちっとも威張れません。
「ううう……」
 もそもそとレッツァのベッドに逃げ込み、ケットをかぶって引きこもる。はめられた。からかわれた。人間不信だわ。
「ねえ、ユーリ」
「なによぅ……」
 この女は信用できない。私を辱める気なんだ。楽しんでるんだ。絶対そうだ。
「一人ならそんなに気持ちよくなれるのに、どうしてだと思う?」
「うぇ……? どうしてって……」
 カレシ様とのエッチがうまくいかない理由。どうしてだろう。
「……そりゃ、私が、レオンのこと……好きじゃないから……?」
「違う違う、ユーリはそういう子じゃないってば。きっと、自分で思ってるよりラブラブだよぉ?」
「……じゃあ、なんだっていうのよ」
「ん、それは――」

 ――ぎし。

「――緊張してるだけ」

 どさ。

「ユーリちゃんに必要なのは、一人でしてるみたいに気楽なエッチなの」
「えっ、ちょ……っと」
 いつの間にか、レッツァも私と同じくベッドへ。そして、あろうことか……両手を衝いて、私を組み敷いているではないか。
「ね……ユーリぃ。可愛い、ユーリちゃん」
「や、っやめてよ……ね、ねぇ……」

 ――ぷっ。

 ……ぷっ?
 ああ。レッツァが吹き出したんだ。
257226たんdame :2007/11/19(月) 00:29:03 ID:Dch1lsTM
「――なーんてね。どう? 練習してかない?」
「あ、あなたねえ……」
 悪い冗談だ。タチが悪すぎる。カンペキ本気だと思った。
「ね、練習。タダで付き合うわよ」
「い、やー、それは遠慮するかなぁ。ほら、レオンに悪いじゃない?」
 あはは……。なんて乾いた笑いで、覗き込む我が友人の顔を見上げる。
「なによぅ。他の男で練習するよりいいじゃない。間違いがあったら困るでしょ、旦那以外の子供とか」
「いや、練習しませんからね? ていうか露骨」
「そ? ならいいけど。わたしなら、きっと気楽だと思うんだけどな」
 ……そりゃ、ね。親より気安い相手だけど。
「レッツァ、酔ってるでしょ」
「そんなことないよー。実際、いい刺激になるんじゃない?」
「いや、だからってねぇ……」
「……良くしてあげるわよ。一人でするよりね」
 ……ごく。
「あ。ごく、っていった。今」
「え!? あ、それはちがっ……」
「期待してる、期待してる?」
「ちーがーうーっ」
 ――しかし、レッツァの案にも理がないわけではない。事に至ったときに緊張してしまうクセ。気を遣うばかりで何もできない感じられない自分……治すなら彼女に勝る相手はいないだろう。

「ね、レッツァ」
「なによぅ」
「こんなことして、もしOKしたらどうする気なのよ」
「親身になって楽しむに決まってるじゃない」
 そうね、そういう奴でした。私のために尽力しつつ、ちゃっかり自分も楽しむのよね。
「そうね――」
 考える振り。でも余計なことは言わない、わざとらしいもの。

「……遊ぼっか」
「さっすがユーリ、話せるぅ」
 ――ごめんねレオン。
 心の中で十字を切って、カレシ様にはカタチだけ詫びておいた。
 貴方とするときのためなのよ、なんてサイテーの言い訳つきで。


「――あはは……なんかちょっと信じられなくなってる」
「ん? 何が」
 レッツァのベッドに二人で寝て、距離と空気を測るみたいに見詰め合う。何かしてくるかと思ったけれど、レッツァはとっても楽しそうに微笑んでいるだけだった。
「まさか女の子と――それもレッツァとこんなこと」
 一番信じられないのは自分。悩みも多いけど、私はそれなりにレオンに操を立ててきた。そうあるべきだと思っていたし、そうしたくてしていた。
 それがどうしてこうなって今、こんなにノホホンとしていられるのだろう。
「そっかな。聞くけど、わたし以外とこういうことするの想像できる?」
「そ、そりゃあ……」
「彼氏でもダメだったんでしょ。わかるよ、ユーリのことは」
「んくぅ……」
 悪戯っぽく笑って、何かミョーなことを言ってる。そりゃあレッツァは、私のことは私よりよく知ってる。だから言ってることはたぶん正しい、だけど。
「大丈夫。わたしは、ユーリを取ったりしないよ。友達でしょ」
 そういうことはレオンに言いなさいよ。言われても困るけど。
「友達なら、なんでこんなことしようなんて」
「バカねえ……友達だから、するんじゃない」
 すっとレッツァの顔が近づいてきて……。

 ――あ、キスされる――!

 いけない、と思ったときはもう遅く。思わず目を閉じると同時に温かくて柔らかい感触が――

「……あ」
 ――頬に。
「かっわいい。ね、わたしにもしてよ」
「あ、……うん」
 友達だから、唇はなし。そんなことレッツァは言わない。だけど彼女なりの気遣い。
 そりゃあそう。彼女からすれば、これは同性の友人との遊び――舞台を見に行ったり、ショッピングに行ったり、そういうのと同じなんだ。
 恋人を欲しがらないレッツァ。彼女は私を誘惑しようなんて思ってないし、レオンに対して不義理にも思っていないんだろう。
 ――ちゅ。
「ふふ、くすぐったいね」
 私もレッツァの頬にキスをした。アコライト時代に女の子同士、ふざけてやっていた時のような軽いやつ。

「ユーリ、触るよ」
「うう、やっぱ信じられない……彼氏以外とこんなことするなんて」
 信じられないけど、別に嫌じゃない。それがまた信じられない。確かに、今のもやもやした状態を引きずるのは絶対ヤだし、レッツァにかかれば良かれ悪かれ何か変わるとは思ってるけど。きっとこれはそんなのじゃないんだ。
「彼氏とするのは信じられた? ……触るね」
 私が否定しないのを見て、肯定を待つことはせずに、お尻の上の辺りをレッツァの手が滑る。どうも腰が引けている私の背中は、どこかエッチっぽい曲線。その線をさわさわ撫でられて、自分の体勢に気づく。

「ねえ」
「なーに」
 私の胸に頬を埋めて、私の腰を抱いているレッツァ。枕の上から視線を下へ向けると、顔は埋めたままでこちらを向いてくれた。
「レッツァにとってさ……キスは恋人とするもの?」
「そりゃそうよ」
「じゃあ、こういうの――エッチ……って、どうなの」
「あ。ユーリってば、わたしのこと誰とでも寝る女って言ってる?」
「いや……」
 言ってる。けど言ってないことにする。
「こういうのは……今日は、ユーリとするもの」
「あっそ」
 嬉しいんだか何なんだか、複雑だけど。

「……キスのほうがエッチより重い?」
 なんとなく、そういうの女としてわからなくはないけど。
「そりゃそうよ」
 いつの間にか撫でる範囲が広がって、私のお尻をさわさわしながらレッツァは言う。
「お口にちゅーは、我慢できなくなんてならないじゃない。恋がなきゃしたいものでもないし」
「エッチは?」
「たまに我慢できなくなんない?」
 ……そうかなあ。なっても、一人ですれば……って、何を考えているんだ私は。
「キスって、恋愛してないとしないものだよ」
「……エッチは?」
「恋してなくてもしたいし、恋してるからってしたいとも限らない……でしょ?」
「あ、う」

 ぷちん。
 あっ、と思わず声が出る。丸め込まれている間に、背に回った手が私のガーターを外していた。
「ふふ。びっくりしたね?」
「レッツァぁ……」
 意地悪だ。わかってたけど、この子はだいぶ意地悪だ。
「緊張してるねえ」
「そ、そりゃそうでしょ」
 ただでさえ、なんていうのか……こういうの、嫌いじゃないけど苦手なのに。
「そーよね。ユーリちゃんは、男のエッチしか知らないもんね」
 ふぇ。なんのこっちゃ。
「言ったでしょー。男の子の愛情ってね、純愛か陵辱なのよん」
「ん……」
 なんだか物騒な単語が出始めた。よく知った風に言うけど、レッツァのそういう経歴ってどうなってるの。
「どっちもダメなユーリちゃんには、このわたしが違うのをご馳走したげる」
「ひゃっふ!?」
 違うのって、何。
 そんなことを言い挟む暇もなく、レッツァの手は私の法衣を脱がしにかかった。
258226たんdame :2007/11/19(月) 00:29:31 ID:Dch1lsTM
「わあお、ユーリったら見た目よりあるのねぇ」
「そ、そう……? って、あんたに言われると皮肉に聞こえるんですけど」
 胸の話である。調子に乗ったレッツァの手はスルスルと私の着衣を解き、ついに下着、ブラをも。
「そんなことないよ? だって、自分のがおっきくてもねえ」
「……揉んでもつまんない?」
「揉みにくいしね。はふぅ……」
「ど、どうしたの」
 身体で覆いかぶさって私の胸を揉みながら、ヘンな声を出して。
「幸せ感じてるのぉ」
「変態」
「そうよー、変態はいいよぉ。人生エンジョイだわ」
 わけがわかりません。でも、なんだろう。雰囲気なんか全然エッチっぽくないのに、私は。
「はふぅん。おっぱいは世界共通のごちそうよねぇ」
「変態とバカはどっちかにしてよ」
「むりー。もにゅもにゅー」
 口でもにゅもにゅ言いながら私のおっぱ……胸で遊び続ける彼女。
「は、ぁ……」
「おぉっ、今のため息」
「……呆れてるのよ」
「じゃなくて。ちょっと艶っぽかったよね、よね?」
 ……うるさいな。
 たとえバカでも変態でも、こう胸を揉まれ続けてると相応のものを感じてしまうわけで。
「揉むのはいいけど、後で痛くならないようにしてね」
「うんー。ねえ、このまま少し話しよ?」
「いいけど……何の話」
「じゃあ、おなにーの話」
 『じゃあ』じゃない。というかその話はさっきした。させられた。
「なんでそうなるのよ」
「え、当然でしょ。これからするために聞いておくの」
「何が当然か」
「今日のわたしはユーリちゃんの手足よん。きんもちいいオナニーのお手伝いするの」
「……私ゃ、足でなんかしませんよ」
 ああ、うん、もう。我ながら、ツッコむところはそこじゃない。

「はぁ……」
「感じる?」
「!」
 何気なく溜め息をついて、その吐息の色艶に驚いた。そりゃ、いくらボケっとしていたといったって、胸を弄ばれ続けているんだから当然だ。
「……そりゃ、まあ」
「いいよ、照れないで。遠慮しないで、気持ちいいとこ教えて。それとも……恥ずかしいのが好き?」
「あう……じゃあ、乳首、もうちょっと……」
 な、何を言ってるの私は。本当に。そんな、自分からねだるようなことなんて、レオンにだって言わない。ましてやレッツァになんか、そんな自分からからかわれに行くようなことを。
「こう? 擦るのがいい? 摘むのとか、捏ねるのは?」
「んっ、ふ」
「捏ねるの、いい?」
「あ、うん、それ……いい、かも」
 どうしてだろう。こんなに恥ずかしいことをされて、自分も言っているのに。恥ずかしくもなければ、レッツァは私をからかうこともしない。
「もっとしてあげる」
「あっ、ん、うん。ありがと……」
 これだけでも、顔から火が出そうなほど恥ずかしい言葉の、やりとりなのに。
「いじめたほうがいい?」
「ううん……このまま」
「して欲しいこと、言ってね。わたしはユーリの、手だよ」
 くにくにと私の乳首を揉みほぐしながら、熱っぽい声色を使って彼女は言う。
「オナニーのほうが気持ちいいんだったらさ、他人を使ってオナニーすればいいのよ」
「なによ、それ、ぇっ……」
「わたしと居て、緊張する?」
 半裸の脚にサラサラとツルツルな感触。高司祭の法衣のスリットから覗くレッツァの脚、それを包むきめの細かいガーターストッキング、脱がされて下に丸められた私の法衣。
 ――あ、この。皺になるじゃない。
「ユーリにとって……わたしの手、わたしの身体なんて、自分のみたいなもんでしょ?」
「そりゃぁ、ぁ……」
 いつのまにかレッツァの手は胸を離れ、両手で私を挟むように、私のわき腹を撫でている。爪の短い指先がスルスルと這い、その軌跡が一瞬遅れでくすぐったく感じる。
「自分じゃこういうのしないよね。ジーンとこない?」
「なんか、むずむずするぅ……」
 不快ではない。そういえば、レオンも同じようにいろんなところを触ってくれたのを思い出す。そのときは何か指がペタペタ這い回るだけで、こんな心地よいくすぐったさはなかった。
「なんで……こんな、違うの」
「ん」
 触り方の技術の違いとか、そんなことではきっとない。レッツァの指は他の誰とも違う特別だった。
「そりゃあ、わたしだからじゃないの?」
「だって、私……レッツァのこと、そんな風には、んくぅっ」
 指が上へ滑り、もにゅうと下から、両の乳房を掴まれた。
「そうそう、友達よね。しんゆー。だからでしょ」
「あ、揉むの……」
「もむの?」
「ん、つ、続けて? それ、好きかも……」
 そうだ。こんなこと、誰かに言うのは初めてなのに。何故か初めてな気がしない。
「はあい。お安い御用で」
「んぅー……レッツァの手、きもちい……」
 あー、わかってきた。私、わかってきたかも。

「いつもこうやって揉むの?」
「するけど、ん、こんなに長くない」
 さっきレッツァが言ったとおり、自分の胸ってこう、なんか揉みにくいし。
「じゃ、しばらくやっててあげるね」
「うんー……おねがいー」
 不思議と、全然恥ずかしくない。そりゃあそうなのである、相手はレッツァなんだから。見栄を張ることもなければ、気を遣ってあげることもないんだから。
 この特別な指の感触は、自分の指とそっくりだったのだ。
「ユーリ、おっぱい気持ちいい子なんだ?」
「うん、そうかも……あ、乳首張って苦しいから、こりって」
「あい、さー」
 リクエストに速やかに応えて、ぷくぅと硬くなった乳首を摘んでコリコリほぐしてくれる。
「きゅ、っふ、ぅぅん……そ、ちょっと引っ張って、あ、っくふぅぅ」
「やっぱり、ユーリったらホントは感じやすいんじゃない」
「そ、そぉ……自分でするとき、いつも、こんなかんじ……」
 こうやってエッチなこと言って、お願いしたりするのも、初めてなはずがない。いつも、自分の心の中で、自分に向かって言っていたことなんだから。
「ねえ、ユーリちゃん」
 するーっと私のストッキングを引き抜きながら、レッツァが言う。綺麗に裏返しに抜き取って、ベッドの横にそっと置く。裏返しで脱ぐと、後で履くとき大変なんですけど。
 それに当然、胸を触る手は一時離れるわけで。きゅーんとお胸に不満が溜まる。
 ――やだもう、すっかりオナニーの気分になってる。
「レッツァ……胸、まだだよお……」
「あ、うん。ごめんね」
 ストッキングを脱がし終えたレッツァは、再び私の胸を両手で揉んでくれる。トロンとした幸せに浸るようで、これ好き。
「ね……摘んで、引っ張って」
「ん、こう?」
「あっ、あ、んんぅぅぅぅ……ッ」
 仰向けになった私の両胸、その先端を両手でそれぞれ摘んで、ゆっくり上へ引っ張られる。重力で潰れていた膨らみが、引っ張られて伸びる。
「痛くないー?」
「う、ん、だいじょぶ……くにくにしながら、引っ張って」
「おけー。これ気持ちいいよねえ」
「これぇ、自分じゃやりにくくて……はぁぁ、きもちいい……」
 唇を噛んで、引っ張られるままに背筋を逸らして胸を持ち上げて、ばか丸出しの顔で溜めた息を吐き出す。そうなのだ、冷静に考えると、レッツァなら別にこんな姿見られたからって、どうということもないのだ。
「このまま続ける?」
「ん――も、ちょっとだけぇ……」
「じゃあ、10数えるね」
 少し横に開くように、角度をつけて引っ張る。
「……ん、っ、ん、うん」
「じゅーう」
 ぐいーっ。
「――は、っくうう」
「きゅーう」
 ぐにゅー。左右の胸を上下互い違いに引っ張って。
「あ、あそぶなあぁぁ……ッ」
「はーち」
 ぴた。
「ん、っく。くふう……」
「ななー……ろく、ごー、よんー」
 こりっ。こりこりこりこり……。
「ひ、ぐんっく、はあ、は、は」
「さーん、にー……」
 ぐっ、ぐぐーっ。身体が浮くくらい引っ張りあげて。
「あ、あっ、あ、や、ち、ちぎれるううんっ」
「いーち」
 そのまま、強く摘んで押しつぶすようにして――。
「ぜろっ」
「ッぃっくあっ!?」
 ぶつんっ、と音がするほど一気に引っ張られて、指がすっぽ抜けて外れて、私はベッドに落ちた。
259226たんdame :2007/11/19(月) 00:29:55 ID:Dch1lsTM
「ひぃぅ、ふ、ふっくぅぅ……」
「あー、痛かった……?」
「れ、レッツァぁぁ……」
 ちょっと痛かった。でも、今の、自分でするより。
「……ちょ、っと……」
「ちょっと?」
「よかった……」
 胸を押さえて、腫れたみたいになってしまった乳首を、指で撫でる。息が震える。
「こらこら、気持ちよくなるなら、わたしの指でね?」
「ひん」
 私の手を退けると、爪の短い指がそこを撫でてくれた。じくじく痺れるそこには、優しい触れ方がきもちいい。
「ねえ、ユーリさぁ」
「んぅ……?」
「こういうの好き?」
 そう言いながら、指で私の脚をさすって、だんだんと下へ。
「こういうのって?」
「んー、これとか」
「はふっ」
 指先が、私の左足の裏を円く滑る。爪が短いレッツァの指は、垂直に立てられても柔らかい感触。
「くすぐったい?」
「そ、そりゃ、あひゃっ」
 これはくすぐったい。左右の肩がシーソーみたいに上がり下がりを繰り返す。ぎっこんばったん身体を左右に振って悶え回る。
「自分でしないよね、こんなの」
「ひ、ひな、しなひぃ」
 自分ではしなかったり、やりにくいことを、自分の指にされるような。それはとってもキモチイイ体験で。

「は、はー、っふ、ぁー」
 泣き腫らしたような顔になっているだろう。身体中から汗が噴き出している。ふかふかして、いい匂いのするレッツァの布団に、息をつくたびに身体ごと沈むような。
「あははは、ユーリのアホ顔、超かわいい」
「あ、アホゆーな……」
「きっと、あんたの彼氏も見たことないのよね」
 んぎゅ。文句を言おうとした言葉と吐息と、喉に溜まった唾液をごっちゃに飲んだ。
「目が据わってるの。顔がポーっとなって、完全にエッチ酔い」
 嬉しそうにそう言って、指の腹で私の乳首をきゅっと磨く。
「っん」
 涙がついと横に垂れた。気持ちよすぎて、幸せすぎて、身体が取り乱している。
「レッツァぁ……続けて、ぇ」
「はいはい、たんとおあがりよ」
 ショーツ一枚の姿で仰向けに寝っころがって、胸を突き出して青息吐息。ベッドに腰掛けたレッツァは、半身になって私の右胸の先を、指でくるくる磨く。
「レッツァの指、ん、っく、気持ちいい、ね……」
 んく、ごきゅ、と喉が変な調子で、上手く喋れない。
「人肌って不思議よねえ。どんな高い布で撫でても、こんなに気持ちよくなれないし」
「そう、ね」
 片方の乳首を可愛がられるだけの時間。自然と、会話が始まっていた。わたしは満足な思考なんてできないのだけど。
「ユーリちゃんは可愛いですなあ」
「アホで悪かったわねぇ……っ」
「違う違う、ホントによ? 今まで抱いた子の中でも、ぶっちぎり」
 それ、微妙に嬉しくない。
「……他の子にも、こんな風にしたの?」
「んにゃ全然?」
 ……。
 は?

 あまりの即答振りに、もともと回ってないアタマが余計に固まっていると。
「だいたいこんなのして喜ぶのって、おなにー中毒のユーリくらいじゃない?」
「ばっ……」
 反論しようとしたらきゅっと乳首を摘まれた。レッツァはやっぱりずるい女だと思う。
「もっとエッチらしいエッチはしたけどね、普通に」
「それ、どういうこと……」
「気になってる? わたしのこと、好きになっちゃった?」
「なんでよ」
 ……そんなのは、わからない。
 わかるのは、レッツァはそんなのを求めていないってこと。友達である私が……ううん、誰でも。レッツァは誰のものでも、恋愛感情なんか欲しがらない。
「わたしはね、ユーリのこと好きだよ」
 だから、その一言はとてつもなく意外だったのだ。

「……はい?」
「世界で二番目に、ユーリが好き」
「――……一番は?」
「一番はわたし」
 ああ。そうか。
「わたしの愛情は、全部わたしのもの。自分ラブ。悪い?」
「いやもう、ご勝手に」
「でも、それ以外は全部ユーリのものだよ」
 ……なんだろう、このバカ。
「愛してるのは自分だけでも。それ以外で、世界の誰よりもユーリが好き」
「……嬉しい」
 うん、バカすぎて嬉しい。
「惚れた?」
「惚れない。好きだけど」
 きっと、これが一番の答え。
「よかった。――続きしよっか」
「うん、して。っていうか、待たせすぎ」
「ユーリって実は、すごくエッチだよね」
「いいじゃない、嫌われないなら」
 この親友の前なら、エッチになっても大丈夫だから。
260226たんdame :2007/11/19(月) 00:30:36 ID:Dch1lsTM
 ちゅ、ちゅっ。
 交互にキスをする。お互いの頬に。
 レッツァは、誰かと唇を合わせたことがあるのかな?

「ぱんつ、脱がすね」
「あ、私もしてあげよっか」
「いらない。今日はユーリのおなにーだもの、手が空いてるなら自分にしてあげたら?」
 なにそれ、と思ったけど。
「じゃあ、そうする」
 レッツァにしてもらうオナニーなら、それもいいかと思った。
「腰上げて」
 自分の胸に両手を被せながら、肩の後ろをベッドに沈ませ、腰をくいと持ち上げる。
「ひう」
 ひざの裏から入り込んだレッツァの手、その指先がショーツの染みをちょんと突いた。身体中に、何かがずーんと響いて広がる。肩がくねる。
「染みの形がさ、楕円じゃなくなってる。わかる?」
 わかる、ベットリ広がって変な形。レッツァは右腕で私の両膝を持ち上げて、左手でショーツを下げていく。身体の右側のゴム紐を、足先の方へくいくい、ずらして。反対側でも同じように。次は下、お尻側。
「汗も吸ってべっとり、ってことにしとこっか」
 くるくるに丸まったショーツが、脚を通って抜けていく。って、丸められるとあとで履くときに困るんですけども。
「レッツァ……」
「大丈夫よ、どーせベチャベチャで履けないから」
 不服もお見通し、でもそれは大丈夫じゃないと思うのよ。

「はぅ……あ、レッツァ」
「なにー?」
 自分の胸を自分で揉んで、露になったあそこを隠そうともせずに、脚を開いて。
「指ほしい……ずっとウズウズしてて――きもちよく、なりたい」
「いいよ、言われたとおりしてあげる。恥ずかしくない?」
「うん、恥ずかしくない……」
 内腿がひくつくほど脚を広げて、お尻を絞り浮かせるようにして、あそこを突き出す。それこそ、恥ずかしげもなく。
「ユーリは、恥ずかしいのが感じるタイプとは違うんだね」
「あはは、そだね……オナニーだし、きもちよければ何でもいいかも」
 よく聞く、見られるのが気持ちいいとか、好きな人とするのがいいとか、そういうのはあまりよくわからない。快感をいっぱい溜めていっぱい気持ちよくなるのが、単純に一番いいと思う。
「わたしもそうだよ。エッチするときでも、勝手な決め付けで『興奮するだろ』みたいにされると、むしろムカつくわ」
「あー、それわかるなあ。うちの彼はそういうのじゃないけど」
 『優しく』、『愛情が第一』、『一緒に』とか。まどろっこしいというか、すっごい冷める。レオンはしないけど『これが良いんだろ』みたいなのはもっと嫌。媚びさせられるのはさらに最低。そんな下らない――誰かの決めた記号より、私のされたいことをしてくれればいいのに。
 ――私も、そうされて受け入れられればいいのに。
「指一本でにゅぷにゅぷしてあげる。めろめろになるまでね」
「あ、それ、良さそう……」
 こんなふうに。どうして、なれないんだろう?


 ちゅぷっ。……くちゅっ。にゅちゅっ。
「あっ、あー、あ、あー、あー……♪」
 なにこれ。すっごくキモチいい。気持ちよさが強いわけじゃないけど、すごく、染みてくる。緩んだ顔で間抜けな声を出す。誰かに見せたり聞かせるためのものじゃなく、勝手に綻びる頬と、自然にこみ上げる声。
「ユーリのあそこがね、ふっくら盛り上がってるの。お腹が勝手に押し上げてくるんでしょ」
「そ、そぉ、身体がゆび、追っかけちゃう、あ、あー、ああぁあ」
 されてるのは、指一本。ローグ達が喧嘩を吹っかけるときにするみたいに、突っ張って立てたレッツァの中指が、ただ差し入れられ、抜けていく。指先を曲げることもしないし、激しくもしない。にゅぷにゅぷ、みちみち、私の肉を掻き分ける、ささやかな律動。
 ベッドに仰向けに寝ている私。左側は壁。右脚は膝から下を床へ垂らし、左脚は膝を立てて壁に押し付ける。お尻に力が入り、ヘアのあたりを上へ、上へ。ひくひく、身体が動く。
「あー……よだれでそう……涙も」
「ぽってり充血して、ぴちぴち狭いよ。こりゃイイんだろうねえ、うりうり」
「んああ、ああー、あ、あー、あぁ……♪」
 うっとりハマってる自分に気づく。露骨に感じるところを弄られないのが、ゆるゆる気持ちいい。ぬるま湯で半身浴をしていると、眠くなって身体が湯船に沈んでいくような、トロトロの意識。エッチに喘いでるのに色気もなにもない、くにゃくにゃになった声。
「ユーリのエッチ声、可愛いね。ルーンミッドガッツ名誉国民賞ものだわぁ」
「やあ、あ、あー……、ん、かわいくないよ、はふ、あー……ん」
 と言うか、何その変な賞。ツッコみたいけど頭が眠い。とろん。
「わざとらしいの嫌いでさ。ユーリのは、素のまんまのエッチ声。どんだけ可愛いと思ってやがるぅ」
「あ、あー――わかる、かなあ。そ、ね……私、可愛いかもー……あ、あっあ、胸もいい」
 両手の親指の腹で、自分の乳首を撫でてしごく。付け根から先端へ、しゅっ、しゅっ。軽く掠めるくらいが気持ちいい。
「ちょっと失礼、よっこらしょ、っと。右手、疲れたわ」
「ひゃわ」
 おっさん臭い掛け声で、レッツァは私の両脚を束ねて、右腕で右肩に担いだ。
「ちゅぷちゅぷしてあげる。自分じゃやりにくいやつ」
「あッ、あは……うん、お願い」
 両脚を上げて、上半身をベッドに埋める形の私。レッツァはその正面、ベッドの上に座って、私の脚をかついで、左手の人差し指を――ガンスリンガーの拳銃みたいな形にして、私に見せる。
「太いのが良いの〜とかってさ、ワリとウソよね」
「あ、ああー……っあ♪」
 ちゅるっ、と何の苦もなく、その人差し指は私の中に入ってきた。爪の短いその指は、粘膜を傷つける心配もせず、無造作に根元まで埋まる。
 自分の太股の裏から入れられているから、その様子は見えないのだけれど……見えなくてもよくわかる。
「太いので激しいのもそりゃいいけど、じっくり愉しむなら、これよね」
「あ、あー、あふう。これ、ずっとでも、いいよねぇ……あ、あーん、あぁ」
 我ながらとてつもないアホ面をしているのだろうと思うけど。
「普段なら、こんなの全然感じないけど。ずっとしてると浸っちゃうよねぇ」
 さっきよりも早い、ちゅぷちゅぷ音のする前後運動。レッツァの言う『エッチ酔い』してない素面なら、何も感じないような動き。でも、そこが厚く充血して、指に絡み付いているときは、別。ずっと続く、幸せな感覚。このまま寝ちゃってもいいくらい。
「どうする? このまましててもいいけど」
「もうちょっと……」
「はいさ。そのあとは?」
 そのあと……。
「……あー、うん、んと。登らせてくれる?」
「いいよ。天国までイかせたげる」
「うん……、あ、ああん、ああー……♪」
 両手を交差させて、両胸を抱いて、むにゅむにゅ揉みながら、幸せに肩まで漬かった。


 ちゅぷ、っぷ、にゅぷ、ちゅ、ぢゅ、っぷちゅ。
 リズミカルに指を差し込まれて、そのたびにレッツァの指の形に膣粘膜が広げられる。ぷちゅ、と音がして、小さな水泡が押し出されて弾ける。ぼーっとレッツァの笑顔に見とれながら、私は自分のそこがどうなっているか想像していた。
 レッツァの左腕は肩から動いていて、振り子のように前後に揺れる。前に揺れてにゅぷっと刺さり、後ろに揺れてちゅぷっと抜ける。ああ、こんなおもちゃ、売ってたらひとつ欲しいなあ。
「ユーリ、どんな顔してるかわかる?」
「わかる、よ。頭おかしい人みたいな、可愛いバカ面」
 めろめろ。だらしなく緩んだ笑みのまま、顔が戻らない。耳あたりからなんか、人として大事なものがトロトロ漏れ出してそう。
「よしよし。わかってきたんじゃない?」
 うん。なんとなく。こんなにエッチで可愛い私が、どうしてエッチで悩んでたのか、逆にわからないくらい。
「そろそろ、登っちゃってもいいかも……」
「そう? じゃあ、しよっか。ふひひひ、覚悟はいい?」
 このとろとろが終わってしまうのは勿体無い気もするけど、そろそろ我慢できない。
「うん。イっちゃうまでして……」
 そういえば、私は他人の手でイかせてもらったことって、無い。でも今日はきっと、簡単に登ってしまえると思う。レッツァの指だけど、これはいつも一人でしてることと同じだから。
「されたいことある?」
「全部かなあ――手、四本使ってオナニーしたこと、ないから。胸は自分でするから、中とクリお願い」
「素直なユーリ、かわいいね。お姉さん張り切っちゃう」
 素直すぎて、後で思い出して死にたくなるんだろうなあと薄々思う。冷静に喋ってるけど、頭は絶対おかしくなってる。
「脚、開いてね」
261226たんdame :2007/11/19(月) 00:31:21 ID:Dch1lsTM
 私から指を抜いたレッツァは肩に担いだ私の脚を下ろして、その間に入る。明かりを落としてもいない彼女の部屋で、これ以上ないくらいに、私のベットリ濡れたあそこが丸見え。これでちっとも恥ずかしくないのだから、我ながらどうかしている。
「あ、はふあ、レッツァ、あひぃ」
 ぽーっとそこを見ながら、手のひらの窪みで乳首を転がしつつ、マイおっぱい様の柔らかさを堪能して。レッツァが合図をくれるのを待ってる。目の前真っ白にして、ゆるゆるじゃなく、びくびくで、イくための快感を捕まえる――その合図。
「指入れまーす。今度はイかすから、ね」
「はぁーい。えぐってちょうだ――ぁん、っきゅふッ……!」
 にゅるんと潜り込んだ指。今度は右手の二本、中指と薬指が抵抗なく飲み込まれた。爪の短い指先が、すぐさま、鋭角に曲げられて私のエッチポイントをぐりゅ。そう、こう、ぐりゅって。他に言いようがないくらい、ぐりゅっと。
「24番、クレーン。ぱちぱちぱち」
「ひぐぅっ、や、やあッあア、イあ、く、くふぅぅッ!?」
 仮装大会か!? ツッコみたいけどそれどころではない。私の、一番敏感ではないけど、一番甘く感じるポイントを支点に。こともあろうに、レッツァの指は、私の身体をベッドから持ち上げた。
「ユーリかるーい、指二本だけで腰が持ち上がっちゃう。羨ましいねぇ」
「ひ、ひい、っイ、や、やッあイ、アあ、あァ……♪」
 舌を噛みそう。もちろんレッツァの指で持ち上がっているのではなく、たまらず私が腰を上げているだけ。しかし、所詮はか弱い美少女プリーストの腹筋である。長く体勢を保てずに、腰を支える力が抜けていく。
「あらら? 重くなってきた」
「かひゅ――ッ、ひ、ふ、ひう」
 重くなんかない! もちろんツッコめる状況ではない。腰を支える力が抜けた分、レッツァの指は私の気持ちいい場所へとめり込む。点滅する視界に、ポコっと一点、わずかに盛り上がった自分の下腹部が見えた。盛り上がっている原因は、もちろん内側から押し上げるレッツァの指先である。
 いくら私が細身の美女だといっても、女の指二本で下半身ごと持ち上げられるほど軽いわけではない。気がつけば、私は無意識に足をベッドに衝いて身体を支えていた。ふくらはぎと内腿がピクピクして、攣りそう。
「はいお疲れ様、下ろすよー」
「ひく、っく、は、はぁ、はぁっ」
 腰がベッドに下ろされたとき、お尻と汗で冷たいシーツの間に温かい感触。ずっと支えに添えられていたらしいレッツァの左手だ。気付かなかった。
「ユーリちゃん、涙とヨダレすっごいよ。怪奇ヌルヌル女?」
「う、うるさい、首絞めるわよ……ッんあ、あー……♪」
 ちゅぷっと小気味のいい水音を立てて指が抜かれた。圧迫から解放されると、とたんに物足りなくなる。
「さすがユーリ、身体も正直者。いよっ、模範的聖職者」
「……い、いいから、続きしなさいよ」
 不満そうな顔で、自分で胸を揉みながら、言ってやる。実際、もう、待てない。

「次、ここだね。今日触ってないよね」
「ひン」
 無造作に指で摘まれた。包皮越しの、一番敏感なアレ。一番甘くはないけど、一番敏感なアレ。
「どうされたい? 喋れるうちに聞いとくけど」
「喋れなくされるんかい」
「喋る余裕がある程度で、満足できるんだ?」
「むーり無理。察しなさいよねこの馬鹿」
「ですよねー、わたしら淫乱ですしー?」
 けらけら笑いつつ、指は自分のおっぱい。意識しなくてもできるいつもの触り方、指先で乳首をころころ。気持ちいい、この空気そのものが。
「剥いてさ、隅々まで触るの好きかな。何て言うの、シちゃうついでに綺麗にするみたいな」
「あー、わかるわかる。お風呂でも洗えないようなところ、垢とか気になるわー」
「何話してるんでしょうね、私らは」
 我に返ったら負けだと解ってはいる。いるけれども。
「じゃあ剥く」
「――ぎッ!?」
 にゅるぶ。腹側からレッツァの指に摘まれた突起が、圧力と愛液でつるんと、勢い良くフードから滑り出した音。いや、音なんかしないけど。
 腰がベッドの上で盛大に跳ね上がる。色気も惚気もエロ気もありゃしない声を上げてしまった。
「あ、痛い? ごめんね、一回やってみたかったんだ」
「……じ、自分で、やれば、いいじゃないのよお」
 じーんと身体が痺れる。目がしばしばして涙が止まらない。痛いというより苦しい。
「ずいぶん出来上がってるし、ユーリなら大丈夫かなとか」
「……痛くしてもジョークで済むから?」
「そうそう、さっすが解ってるぅ」
「殺ス」
「ごめんなさい」
 本当。何だろうこの空気は。エッチなことしてるのに、次から次へ、お気楽なジョークばかり飛び出して。
「じゃあ、気を取り直して。わたしの指を召し上がります?」
「うん、お勧めをフルコースで」
 それなのに、レオンとのセックスより、ずっと気持ちいい。
 身体が熱い。愉しい。ワクワク。ずっとしていたい。
 そもそも――他人とエッチして、気持ちよかったのなんて初めてだ。

「コッチは要る?」
 レッツァは思い出したように言って、べろーんと舌を出して指差す。
「いや、いいわ。オナニーぽくないじゃない」
 それもあるし、唇同士のキスをしない彼女だ。唇同士ではないけど、それをさせることに抵抗がある。
 なにより、レッツァが喋れなくなるのが、嫌だ。静かに集中しているなんて、そんなのは我が親友の姿ではないのだ。
「じゃあ指。綺麗にしてあげる」
「うん――あ♪」
 ぴとっ。剥き出しになった突起の先端に、レッツァの指の腹が当てられる。頭の中に手を突っ込まれて、ぐにゃりと脳味噌の形を変えられたような、突然の変化。視界が白く光って、レッツァの顔もよく見えない。
「さっきの痺れがそろそろ引いて、こうするとたまらないよ」
「あ、イあ、や、あ、あああ」
 意地悪そうな細い笑みで、当てた指を小さく動かす。圧迫はせずに、形をなぞる。身体がぶるぶる、ガクガク、あちこちで震え出す。自分の乳首にも、レッツァがクリトリスにしているように指を当てる。その手も震えて、むずむずした快感が湧き上がる。
「なんか赤紫で、ツヤツヤしてる。これ、死ぬほど感じるんじゃない?」
「そ、そお、や、なでちゃあああイッ、あ、か、かか、かッあぁァ♪」
 喋ると歯がぶつかるわ、喉が裏返るわでワケがわからない。レッツァの指は強く押し付けずに、ダイヤモンド3カラットでも磨くように丁寧に表面を滑る。熟れた身体は、指紋が滑り擦れる感触すら味わって、貪欲に快感を集めていく。限界を迎えるまでに沢山集めるほど、幸せにイけると知っているから。
「まるいカタチがツンと浮き出て、根元がわかるよ。このへん」
「ひぃッあ、そ、そこぉ、ほじって、あ、もっと、あぁいィ……♪」
 普段隠れている付け根の部分を、何度も円く、だんだん強く指が舐めていく。爪の短い指先が愛液でぬめって、突起を周囲から押していく。砂を手で寄せて山にしていくように、快感を真ん中へ、真ん中へと集めていく。
 無意識に、乳首を触る自分の手も、同じ動き。周りをくるくる撫でて、真ん中へ。時には麓を少し登り、頂上を掠め、集めて、集めて。
「中もしてあげる。一本ね」
「ああッあいイ、いい、イイの、しんじらんない」
 顔をくしゃくしゃにして嬉し泣き。私の人生に、こんな気持ちのいいことがあったことが嬉しくてしょうがない。するりと私の中に潜り込んだレッツァの左手、その中指が折れ曲がる。曲がる動きで甘いポイントが縦に擦られ、えぐられる。
「ひゃぐ、れっちゅあぁ、あ、こし、ばくはつするぅ」
 小刻みに腰が縦に揺れ、ベッドが軋む音を聞く。小刻みに、きききゅ、きききゅっ。限界近い、震えたリズム。
262226たんdame :2007/11/19(月) 00:32:05 ID:Dch1lsTM
「イかすよ。何回イく?」
「ふえ」
 もどかしい。クリを撫でる指は、中心から少し離れ、膣内の指は緩く伸びる。イかせてくれない。
「何回イきたいか、よ。教えて? その回数イくまで、泣いても叫んでもやめないであげるわ」
「いや、そんな……一回でいい」
「却下」
 ……却下? それはつまりイかせてもらえないということ。
「に、にかい」
「えー?」
「んひ、ひゅ」
 ゆるゆる、両手の指が動き出す。ゆっくりとした動きで、私の頭を苛む。白く塗りつぶす。
「何回?」
「ひ……ご、五か……イぃっ!?」
 ぎゅ、っと膣内の指が動いた。私の大好きなところに深く刺さる。右手の指も、突起の先端を一瞬だけ掠める。現金に嬉しそうな反応を返す、私の身体。
「五回ね?」
「そ、そおッああ、あ、あイイッそれえぇ♪」
 もちろん、本日最大の失言だったわけなのだが。レッツァの指が美味しすぎて、否定なんてできなかった。もともと、一回や二回で許す気なんて無いのだろうけど。
「五回、確かに聞いたからね。一気にイこかー?」
 楽しそうに笑って、左手を激しく動かす。指だけ動かすと疲れるからか、腕と手首を揺すって、指先をめり込ませてくる。
「ひ、ぞくぞく、あ、もお、イッ……あ、あッ♪」
 膣口でみちみち締め上げて、その擦れる感触も気持ちよく感じて、一回目イった。
「うわ、はっや。本当に五回イけるんじゃないの」
「や、やあら、っ、んめッ……!」
 ヒザが、あばれて、止まらない。レッツァの右手は、突起の先端をつんつん叩き、押して傾ける。私の手は、乳首で同じことをする。
「ユーリ、すごい。なんか、羨ましいくらい気持ちよさそう……」
「や、やひッ、イイ、い、イイの、イイッあ、ぁあ♪」
 ごくっ。レッツァが唾を飲む音が聞こえた。
 私のカラダ、凄く欲張りになっている。気持ちよすぎて、どこまで気持ちよくなれるか知りたい。もっと、もっとイイのが欲しい。
「ね、ユーリ、これ、これぇ……
「ひゃ、あ、ど、どれぇ?」
 中の指で円を描いて、たまらない身体にさせてくれる。そうしておいて、突起をつんつん軽く叩くのだ。ジンジン響いて、すぐにでもイきそうで、とにかく気持ちいい……。
「ね、イかすよ、イってね――二回目、ね」
「な、なによお、れ、レッツァ、あ、あはァ♪」
「凄いの、するよ、ね、イかすから、ね」
「な、なによお、興奮しちゃ、ってぇ、あ、ァん」
 突起を撫でる指が二本になった。中指に加えて親指。身体の中から押し上げる指のほうは、気持ちいい場所にハマって固まって。
「あ、やァ、イイ、い、イきたい、イかせてえぇ……♪」
「うん、うん、ユーリぃ、イかす、イかすよお」
 熱っぽい声でそう言うと、レッツァはありえない大きさに膨張した突起を強めに摘んで、その指を摺り合せ、て……。
 ――ッそれ!?
「ッッ〜〜〜あッあああ、ばッああきゅ――ゥんッ!!」
「うわぁ!?」
 きもちいい……とか、考える前に――思い切りイった。
 馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿この女馬鹿。そんなことされたら死ぬ。イき死ぬ。狂い死ぬ。
「か……、ひ、っくふ」
 ……今の私の身体には、気持ちよすぎて。

「に、二回目?」
「ん……も、――だめ」
 軽く気を失いかけて、後頭部が柔らかいベッドに沈んだ。


「――おーい、ぎぶあっぷ?」
 私の中に指を入れたまま、顔を覗き込んでくる。少しだけ休ませてくれたようで、声は出せそうだ。
「無理……あんたね、ちびるわよ、これ以上されたら……」
「いいよ? どうせ汗とか汁とかでシーツ再起不能だもん」
 ああもう、汁ゆーな汁。
「でも……」
「一人おなにーでも二回くらいイけるじゃん。はい、飲んで」
「うー」
 愛液まみれの右手で差し出された水を飲む。どうでもいいが、これはさっき私がお酒を飲んでいたグラスだ……。私の半生のうちでも、指を入れられたままグラスで水を飲んだ経験はなかった。貴重である。
「ふう」
 空のグラスをベッドの下、絨毯の上にテキトーに置いて、身体をベッドに沈める。
 興味はあるのだ。自分ではとてもじゃないけど、できないこと。

「レッツァ」
「ん」
「んと、イきたい……あと三回……――ッ!?」
 くちゅ。
 レッツァは、返事のかわりに微笑んで、入れっぱなしの指を捻ってくれた。


263226たんdame :2007/11/19(月) 00:33:10 ID:Dch1lsTM
 ――ある晩、例の酒場。付き合いの薄いギルドメンバーの男、職はナイト……名前は不覚にも思い出せない。私は、そんな彼に呼ばれて、夕食を同席することになっていた。他には誰も招かれていない。
 場所が私のよく行く酒場なのは、偶然なのか彼――面倒なのでホエイパストキ氏と仮称することにする――の計らいなのかは解らない。
 本当ならそんな要らぬ誤解を招きそうなツーショットは避けるのだが、奢ってくれるということなので甘えることにした。お金と食べ物は粗末にしちゃいけないって母さんも言っていた。第一、レオン君とギルド公認カップルである私に粉をかけるつもりでもないだろうし。
「ごめん、待たせた?」
「いや、全然だよ。酒、何がいい?」
 そんなベタベタなやり取りをして、ホエイパストキ氏のテーブルに着いた。


「えっと、それで?」
「それでって?」
 一応遠慮して安物のワインと皿盛りの一品料理を数点頼んで、舌を楽しませつつ。
「用件はそれだけなのかな、と思ったの」
「……まあな」
 ――呆れた。
「つまり、レッツァを狙ってるからアドバイス……いや、紹介しろってこと?」
「ま、まあな」
「はー……。あのね、それって私に失礼じゃないの? 食事に誘われてまでそんな話って」
「いや、そんなつもりじゃ」
「そりゃあ私は、レッツァみたいにスタイル良くないし美人でもないですけど」
 実際、こういう話はよくある。その度に厳しい現実を語ることになるのだけど。
「いや、悪い」
「あの、せめて否定してよ」
「いや、そんなつもりじゃ……とにかく、好きなだけ飲み食いしてって構わんから! 頼む」
 その条件でホイホイ協力するのも、意地汚くて嫌なんですけどね。ホエイパストキ君、男レベル低し。うちのレオンの方が素敵だわ、少し安心。

「はあ……で、それは恋人になりたいってこと?」
 あ、聞き方間違えた。こう聞いて、ホエイパストキ君の立場的に、イエスと言わないはずがないのに。どうでもいいけどこの仮名、呼びにくい。失敗だった。
「ああ、もちろん」
「あの子と寝たいだけなら紹介するけど」
 ぴき。ホエイパストキ君の顔が引き攣った。ちょっと面白い。
「ユーリさん、それは」
「ううん、バカにしてるんじゃなくて――本当に恋人になりたいって言うなら、無理」
「無理って」
 無理。
 あの子の恋人になれるのは、あの子自身だけ。あの子に愛してもらえるのは。
「レッツァは彼氏作る気なんてないから、頑張るだけ無駄よ。悪いけど」
 きっとこう言ってあげるのがホエイパストキ君のためだ。

「……つまり、そういうことか」
「何が?」
「ユーリさん、あんただろ? レッツァさんのお相手って」
「……は?」
 ――あ。まずい。
「あんたが、レオンと別にレッツァさんと、よろしくやってるって噂」
「どういう意味よ」
 私、ムカついてる。……声が作れない。
「そのまんまだよ。レッツァさんに男が寄ると追っ払うとか、怪しいくらい仲がいいし。俺、好きな女を女に取られて黙ってる気はない」


 ――ガタン。


「……本当にそうだったら」
「何?」
 思わず席を立った。平手を張らなかっただけ偉い。
「あ――ううん、そうだったら面白いよね? って」
「ユーリさん、座れよ」
「嫌よ。さようなら、ホエイパストキさん」
「……誰だそれ」
 あ、しまった。自分内仮ネームを口に出してしまった。

「名前、間違えたわ。とにかく帰ります。支払いは済ませておくから」
「俺の名前? それくらい覚えてくれよ、俺は――」
「名乗らないほうがいいわ。恥になりますよ?」
 そこまで言って、テーブルの端の伝票を取ってカウンターへ。多めに代金を支払って店を出た。彼は座ったままだった。


 ――本当にそうだったら……。


「よう、ユーリ――って、泣いてるのか!?」
「ふひゃ!?」
 酒場を出たところで、背中から抱きすくめられた。
「だ、大丈夫か? ハルトマンだろ、あいつが何かしたのか!?」
 私の顔を覗き込んで、心配そうに肩を掴む。そう、我がカレシ様こと、レオンだ。
 ……ハルトマンってさっきの男レベル低い彼の本名だよね。聞いてしまった。忘れよう。どうせ覚えられない。
「違うよ……平気。落ち着いて」
「そ、そうか? でも……」
「それより、なんでこんな所に居るのよ!」
「あ、それは……」
 ……まったく。今日は友人と食事と言ってあったから、わざわざ私の行き付けの店まで来たのだろう。ストーカー気質もいいところである。
「大体、店にも入らないで待ってたの? もう寒いのに」
「ち、違う違う。たまたま近くを通ったから、ユーリが帰るようなら送ろうとだな」
「ふーん?」
「のわっ!?」
 もぞっ、とレオンの背中に手を回し、上着の下に手を入れる。結構冷たい。
「ずいぶん冷えてるね?」
「うぐ……」
 女の用事くらい、勝手にさせなさいよ。
 本当、恋人って面倒くさい。レッツァの気持ち、よくわかる。


 しばらく、そうして抱きついていた。

「なあユーリ、人目が気にならんかね」
「ならない」
「顔、上げようぜ」
「黙れストーカー」
「ぐ……」
 涙が止まるまで、このままじゃないと困る。
「なあ、泣いてるだろ」
「解ってるなら黙ってなさいよ」


 私とレッツァが恋人? ……本当にそうだったら、ね。
 レッツァの恋人、それは私じゃなくても無理。
 私でも無理。

 もし、恋人になりたいって私が言ったら?


 ――惚れない。好きだけど。
 私がそう言ったとき、レッツァは――よかった、って言った。

 一番欲しい物だけは、あの子は絶対くれない。
 何よりレッツァは、それを欲しがる私を欲しがってくれない。きっと、ずっと。
 彼女の、超えちゃいけない線。私だけに見えてる。だから超えられない。


「れおん」
「な、なんだよ」
「ひとつだけ聞かせて」
 グダグダ言われたくない。今日聞きたいのは一言だけ。
「何だ?」
「世界で一番、誰が好き?」
「そりゃ、ユーリだよ」
「愛してくれる?」
「ああ」
「自分で言って」
「……ユーリ、愛してる」

 ……ぐすっ。

 どうして、あんた、あいつじゃないのよ。

「レオン」
「今度は何だよ」
 抱きついたまま。
「エッチしよ」
 私から、彼氏にねだったのは初めてである。『抱いて』とは言わない。そんなもの、求めてない。
「な、なんでいきなり。無理するなよ」
「無理じゃない。家来てよ、満足するまで帰らせない」
264226たんdame :2007/11/19(月) 00:35:37 ID:Dch1lsTM
「ユーリさ」
「うん?」
 私たちは裸で横になっている。平たく言えば情事の後である。もっと平たく言えばえっちの後である。
「随分、その……積極的になったな」
「あらあら、ごめんなさいね淫乱で」
「いででででで」
 太股をつねりながら言ってやる。こんな風に冗談を言うのも、随分抵抗がなくなった。
「余計なこと考えるのやめたの。気を遣うのバカらしいわ」
「……そっか」
「エッチは気持ちいいから、好き。譲り合ってグダグダなんて、スプリングラビットのタゲ被りだけでお腹いっぱい」
 ちゅう、っと思い切りキスをする。もちろん恋人の唇に。

「……こんな勝手な女、嫌いになった?」
「まさか」
「じゃあ言って」
「そんな、バカップルみたいな」
 ぎゅう。
「いでででででで言う言う言います」
「よろしい」

「世界で一番、ユーリを愛してるよ」
「うん。ありがと」
 ……言わせて聞くたびに、涙が出そうになるけど。
「私も、レオンでいいや」
「おい!?」
「レオンのこと、世界で一番愛してる」
「……う」
 平然としている私と、真っ赤になってる彼。


 でも、世界で一番好きなのは――。


 おわり。

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珍しく百合成分を追求したら、男性の出る話になりました。お口に合わなかったら申し訳ありませんです。
思ったより容量が酷い……こりゃえろだ行きでしたね。
次回からは40Kb超えたら自重しようと思います……。

次スレ立てても、良いのでしょうか。
265名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/19(月) 02:30:21 ID:iLAii4RA
(*ノノ)えろーす
266名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/19(月) 06:13:09 ID:VhGj25GA
ホエイパストキwww

もう507kってぇこった次行っていんじゃね
267名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/19(月) 09:36:09 ID:I1C2FIfY
ブラボー、おお、ブラボー。
いつもながら濡れ場を絶妙なシーンで切りますね。
長さも気にならなりませんでした。むしろ一気に読めた。
次回作も期待しております。

次スレもう行っちゃっていいんじゃないでしょうか。
268名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/19(月) 12:42:05 ID:uln5jaH6
おもろかったー
男が出てるのは個人的にはほとんど気にならなかった
が、やっぱり切なくなっちまうね。レオンもユーリも可哀相だった(ノ_・)
269名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/19(月) 23:55:31 ID:sNHfun1s
もう507kっでぇもここに投下でいいんじゃね(容量

こんなちょっと切なめなのもかけるのか226たん
おいしかったです
270名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/23(金) 20:38:36 ID:mqUY1spU
男が知らない彼女の事情
おいしいけどこええー
271226たんsage :2007/11/25(日) 07:39:34 ID:iPE/w4E.
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1195466217/l50

名前が化けたけど次スレ立てておきました。

>>265
行為を会話でブツブツ切りまくる癖が抜けません

>>266
無作為に設定した仮名でございますことよ?

>>267
最初は本当に5回分描写しようかと思ったのですが、だれるのでカットになりました。
長いですし…。

>>268
切なくなるのはだまされている証拠かもしれません。ひどい女ですよ、ふたりとも。
男性にこんなに市民権がある作品は初です……扱いは可哀想ですけど。

>>269
珍しく百合成分を重視したくなって書きました。なんとなく、雰囲気が昔の作品に近くなったかもしれません。
容量はきっと誰かが埋めSS書いてくれるさ!

>>270
百合に走るかは別として、結構いるんでしょうねえこういうカップル。
こわいこわい


まとめてで失礼しますが、皆様感想ありがとうございます。
感想もらうとやっぱり、次もがんばろうって思いますね!
272名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/25(日) 21:12:27 ID:jIEXalQU
次スレ建てたのは226たんだったのね!
お疲れ様であります!

そしていつもながら、作品楽しくそしてハァハァしながら読ませていただいてまする。
次も期待(*´д`*)
273名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/25(日) 21:12:48 ID:tzyLHH2o
おいちいいいいいバロスwwwwwwwwwwwwww

GJであります
274名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/26(月) 00:13:58 ID:DMg330sk
個人的にはカットなしの5回分を読んでみたい。
が、作者である226氏がクォリティに拘ってカットしたのであれば仕方ないか。
275名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/26(月) 14:35:50 ID:1DyM0mcY
こっちのほうをとりあえずうめますか
276名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/26(月) 14:36:07 ID:1DyM0mcY
うめうめ
277名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/11/30(金) 08:29:17 ID:7slFE2U2
うめー
278名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/09(日) 02:17:01 ID:VA101jKc
うめうめ
279名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/09(日) 03:49:42 ID:0AGNhacs
>>276-278
君らは何らかのギャグなのかい?
280名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/16(日) 07:40:57 ID:g6Q4b7.A
だが、断る。
281名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/17(月) 21:54:25 ID:qjGSDC4A
百合スレ作品に男がこういう感じで出てくるのはいただけない
282名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/17(月) 23:19:37 ID:bIE253LA
君は冷静になって>>1を6万回程読むといい
283名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/21(金) 13:26:18 ID:zj7.MpM2
毎回思うが226タソを叩くレスへの援護がめちゃくちゃ早いのは
やはり226タソがこのスレで神だからなのかい^^?
284名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/21(金) 17:08:18 ID:cgichJ9o
叩き方が不当だからだろ
たとえ、誰が書いていても、不当な叩きには擁護がつくと思うがな
285名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/26(水) 15:20:32 ID:ptBPCgdk
うめうめ

一応>>1には合致してる。その辺は間違いない。
擁護が早いについては単純にここが寂れすぎなだけな話だ。
よく投稿する作者の読者よりはあまり投稿しなくなった作者の読者のほうがよくスレを見てるのは道理だろ?

まさか226氏のせいで他の人が投稿しづらくなっただなんて言うんじゃないだろうな?。
286名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/26(水) 21:36:34 ID:Eha.ivvQ
なんかココって226氏のせいで他の人が投稿しづらくなってね?
287名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/27(木) 01:22:59 ID:dXsgmJC2
なんでそう思うん?
288名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/27(木) 01:23:52 ID:wEuYTg9M
嗚呼様式美
289名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/12/30(日) 23:03:29 ID:lE5X1iE2
226たんも連投したがらないみたいだし
気にせずに投稿してくれればいいのにな
問題があるとしたら住人の反応
290名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2008/01/08(火) 15:06:29 ID:hfcOmWTw
>>286
だってここは226たんのスレッドだもの

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