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【孤島の】バトルROワイアル 九冊目【惨劇】

1名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/05/30(火) 13:12:47 ID:yKHlxjzA
ここはどんなスレ?

各職男女と無作為に選ばれたROのキャラクターが
生き残る為にバトルロワイヤルする様子を描いた
リレー小説を扱っているスレッドです。


・まとめサイト
ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/

・前スレ
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1142748388/

・萌え板全体のルールは此方
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/


書き手のルール

先ず一番最初に。
このリレー小説内では、各登場人物は生きている人間であり、
いきなり投げ込まれた現実に各人様々複雑な感情を抱いている事を肝に銘じてください。
完全に現実的に書く必要は皆無ですが、バトロワの死の気配というものを忘れないで欲しいです。

次に、書く前に纏めサイトで作品の流れを把握してください。
流れの中では先に発表された作品が優先します。
競り負けても泣かない。
但し、荒し煽りはこの中に含まない。
(前触れの無い突然の心臓停止や全員即死等)

もし、執筆を続けていく内で、致命的な矛盾を過去の自分の作品に発見した場合、
スレにて申告の上、速やかに修正作品を仕上げて下さい。
どうしても音沙汰が無い場合は他の書き手が修正せざるを得なくなりますが、
原則として本人がその作品を修正しなければいけません。

それから、一人の書き手が連投を続けるのはイクナイ!!
最低でも三日程待って見ましょう。
止むを得ず連投する場合は、スレで意見を聞いてみると尚goodです。

本文の内容についてですが、RO内の設定と言うよりも、文章での説得力が重視されます。
但し、リレー小説という形式上、何よりもまず、キャラクタ間でのバランスを崩し過ぎないように気をつけてください。

作品の一番最後にはそれに登場した人物の
<氏名、所持品、死亡等の状態>及びに死亡者が出た場合<残り○○人>という表記をお忘れなく。
任意規定ですが、登場した人物については1)これまで描かれたプロフィール、2)これまで描かれたスキルを
下記の書式で記入していただけると更にgood.

<例:♂アコ>
1…描かれたプロフィールをその都度追加
 ・髪:呪いのカツラで逆毛に変更<023話>
 ・口調:wWw<023話>
 ・性格:少々潔癖、説教癖、不幸<071話>

2…描かれたスキルをその都度追加
 ・ヒール<065話>
 ・殴りアコ<071話>

最後に書き手の方は、現段階ではコテハンを名乗る事はご遠慮ください。
2名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 13:13:24 ID:yKHlxjzA
読み手のルール

叩き荒しはスルー推奨。反応は彼等の栄養源です。放置して枯死した後で削除依頼を。
又、過剰な擁護やNG議論も荒しの同類です。出来る限り自重していただけると幸いです。
もし、読み進めていく内に、作品内に矛盾を発見した場合、遠慮なく速やかに申し出てもらえると幸いです。

面白い、と思ったときには積極的に感想を。
首を捻った時には積極的に批評を。
又、暇だなーと思った時なんかは遠慮なく雑談を。
勿論、イラスト、まとめテンプレ、まとめサイト編集さん。
それぞれ大歓迎です。

感想は書き手の活力に、批評は書き手の技術向上に、
雑談は常にネタに飢えている書き手にとって格好の息抜き(兼、ネタ探し)になります。

勿論、読み手から書き手への転進も歓迎です。
その際の留意点は書き手のルールを参照してください。
3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 13:13:45 ID:yKHlxjzA
◆◆バトルROワイアル2 ルール◆◆

登場人物

ノービス+一次職+二次職(スパノビ含む)の男女四十名+特別枠十名
以上の五十名。

但し、以下の規定があります。
一次職、二次職、ノビ、スパノビは固有の名前をつけないこと。

特別枠は良識の範囲において、
ゲーム内部、萌え掲示板、LiveROのどんなスレ、場面からでも出演者を選出してよい。
余りにチョイ役の名無しや知名度の低すぎるキャラクタ、盗蟲、ポリンなど知能を明白に持たない者、荒し目的の出演者は含まない。
但し、出来うる限り前回のバトROワに未出演の人物である事が好ましい。
NPCもこの範囲に含む。
出典はNPC、mob、小説、スレを問わないが
スレ、小説の場合は同じ出展元からは原則二人までの出演とする。
また、特別枠十名の内訳はNPC枠、その他枠(mob、他小説・スレキャラ)にそれぞれ三名分の最低人数確保枠を設ける。
残りの四名分はどちらのものとして消費しても構わない。

それぞれの出演者で通常の冒険者については、髪形、外見などについては最初に執筆した人物の選択による。
但し、ピクミン、おにぎりetrなどと言った叩き目的が客観的に明白である場合、
執筆した者はその事に対しての異議へ正当な反論をする事を要す。
それをしない場合は、その話で語られたキャラクタの外見はNGであるとして無効であるものとする。
但し、作品を通じてその反論とする事も可能だが、その場合は相当程度の説得力が必要であるとする。

追加事項として、同じ髪型は原則として大量に氾濫してはならない。目安としては最大で三名まで。
イメージが被る為に同系統の職、例えば騎士-クルセなどでは別の髪型が望ましい。
更に、ドットの髪型は基本的に参考程度であり、執筆による説得力とスレ内部の同意が得られれば、
モヒカン、スキンヘッド等も可である。但し、その取り扱いには注意を要す。
また、ストーリー上の髪型の変更も可である。但しこちらも、その取り扱いは慎重に行うこと。

キャラクターの性格については、話の流れ、及び個々の執筆者に一任する事。
但し、執筆側は、それまでのキャラクタの性格について熟知するべし。

出演者は、前回同様その能力について制限を受けているものとする。
例えば、ヒールは止血や実際の治療の助け程度の効力しか無く、リザレクションは無効であり、
ファイアーボルトやあらゆる大魔法、モンクのスキルについても、それのみで殺害できる程の威力は失われている。
Mobやその他特別枠出演者についても同じであり、更に彼等は超人的能力を有する場合、普通の冒険者と同等程にそれは低下している。

また、カプラさんは、アンソロなどで見られる様な超人的能力を有するのではなく、
一般人、或いは一次職と同等(生涯一次は除く)くらいの能力であるとする。
精錬工の面々については良識に任せるけれども、彼らは直接的に武具を破壊する能力は持っていない。
又、二次職を超える様な戦闘力も持ってはいない。

ポタ、テレポについては参加者は使用は原則不可能。
インティミデイトについても、仕様変更に伴い、テレポート機能は無いものとする。

スキルに関する規定は以上に書かれたものであるとする。


舞台

マップがまとめサイトに上がっている事から、亀島に似ているが違う島である。
上がっているマップ自体にはまだ何も地形や設備が書き込みされてはいないが、
これは、執筆が進むにつれて順次設備などが記載されるものとする。
(例えば、家屋や市街地、灯台、教会、百貨店や廃墟など。但し、進行の都合上自由に出入り出来る地下洞穴は存在しない)
その広さについては、50人の人間が動き回るのに狭く無い程度である。
尚、全力で移動すれば、数時間程度で中央から島の端まで移動が可能である。

魔法発動時の音響については、至近〜やや中距離程度までならば響くが、
島の端など、余りに離れている場所であれば聞こえない。
気候については、書き手の便宜上、元祖バトロワに準じ日本の初夏程度とする。

そして、舞台に伴い放送に付いては、午前十時を基準として朝夜一回づつ放送されるものとする。
又、転職については、そもそも転職の舞台は島の中に存在せず、各職業ギルドの認証も得られない為、不能である。
但し、これはゲームのRO内部で一般的な『ノビ=>一次、及び一次=>二次』といった転職を示す意味での言葉であり、
例えば、各キャラクタの成長を示す演出的な効果における『転職』は含まないものとする。

原則Wis、ギルドチャット等については、これはゲーム内部での便宜的な機能であり、バトROワ内では存在しないものとする。


支給品

開始時手渡される鞄の中身には主に

支給品(武装or防具orハズレetcが入った青箱を模したケース)が二つ。弓の場合は通常の矢も付いている。
水、食料、大まかな地形だけが記された地図(前述まとめサイトの地図参照)、コンパスが入っている。
また、ランダムで5名に特別支給として古いカード帖が配られる。
ただし、当たりアイテムとはいえカード帖の中身も全て有用なカードとは限らない。
各出演者が元々所持していた武器防具や道具等に付いては取り上げられてしまっている。

又、この劇中においては登場人物はどんな武器防具であろうと使用する事はできるが
本職が用いるのに比べれば、扱いなれていない為に、普段使用する武器と異なった種類であるほど威力や命中率は落ちる。
(例:騎士はカタールならば多少は使えるが、弓に関しては鈍器として使わざるを得ない、など)
但し器用さが高い人間については、ある程度まではどんな武器でも使用する事が出来る。
長柄や斧に付いては器用さ以外にも筋力が必要となる。
更に宗教上の理由から殺人者でない、狂っていない、特別な事情の無いアコライト系に限っては刃物で戦闘は出来ない。
防具の効能は現実的に考えて頂けると幸いです。

また、完全にキャラクタ間のバランスを崩壊させる装備については、入手を禁止とする。
(神器全般や有効すぎる廃装備)

カードについては、特別支給のカード帖から得る他に、既にカードが刺さった武器防具か、
特別枠のmobの死亡、殺害によって出現、入手する事が可能である。
但し、後者については作者は進行と流れの都合上、執筆の前に十分な熟考をする義務を負うものとする。


主催

ミッドガッツ王国主体の非人道的イベントであり、国法のもと運営されている。
また、開催に関しては国家の他各職業ギルドも秘密裏に協力している。
詳しくはまとめサイトのプロローグ参照。

彼等が使用しているのは、前回と同じく外せば即死の呪いの首輪であるが
爆発力については、本人のみが死亡する程度である。前回ほどの威力は無い。
開始時には、彼等からルール、目的、勝利条件等が告げられる。
その辺りの細かい規定は第一話の作者とその後の流れによる。
4名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 13:15:02 ID:yKHlxjzA
<連投について>

 【連投規制A】 投下は1日1本(1採用)まで
 【連投規制B】 書いたことのある人物が含まれる話を書く場合は、該当する前回投下日から中2日開けてから
※規制B発動中も、規制Aに触れなければ関係ないパートを投下可能
※NG話、アナザー・番外編については連投規制はA・Bともに適用しない。


<議論について>

422 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/15(火) 19:13:13 ID:bK71eV2.
議論は薬だ。多すぎると投薬された相手を殺すことになる
だからほどほどにな


<サブタイトル横の時間表記と最下部の状態欄について>

296 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/11/25(金) 19:07:19 ID:FmGMqShU
>>293
任意だから義務じゃないんですが、まとめ時や続き書く時に便利なので
次から他の人のようにタイトル横の時間と最下部の状態欄付けてもらえたらやりやすいなと思います。
逆にF6惨劇部隊のように大人数の場合はその時だけ簡潔に書いてもいいかと。
5名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 13:16:07 ID:yKHlxjzA
<特定グループの時間が進みすぎることの弊害>

あるキャラ(およびグループ)の話のみが進むことで問題になるのは、
・そのキャラに対する他のキャラからのリアクションが制限される
ex)夜の時点で無傷なキャラに、昼の話として戦闘で負傷させることはできない
・同様にそのキャラの行動を通じて他のキャラの状態が制限される
ex)あるキャラが夜に♂Wizと出会ったとしたら、♂Wizは夜まで生存しなくてはならず
  しかも夜にはその場所にいなくてはならない
・特に定時放送をはさむ場合は死亡者および禁止区域の問題で整合性が取りにくい

上は極端な例を挙げたが、時間軸の整合性が絡むと大抵問題が発生する。
しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。

明確に制限事項とするのではなく、自粛事項程度にしておくのがいいのではなかろうか。
・物語全体の時間軸の整合性に配慮して、特定のキャラの時間を進めすぎないこと。
・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
 制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。
・この物語に明確な「主人公」は存在しない。えこひいきとならないよう配慮すること。
6名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 13:23:05 ID:yKHlxjzA
その他注意事項はこちらを参照

参加の注意(Wiki) ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/pages/415.html
7名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/05/30(火) 17:01:31 ID:Q8rfDV/w
>>1さんスレ立ておつです
8名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 21:19:45 ID:5qPMNeVY
220  鏡合わせの騎士 [深夜]


ここは何処で、自分は誰と戦っているのだろうか。
それすらもわからずに、ただ自分の身を守るために、♂騎士は剣を強く握りしめた。

ひとりになりたい――それだけを考えていた。
ひとりになることの怖さも、心細さも知っていた。今まで仲間という暖かい存在に包まれていたからだ。
それでも、誰かの傍にいることは耐えられないことだった。

死にたいのか、といったらそうではないのだと思う。
目の前の男が自分に剣を振るってきた瞬間、とてつもない恐怖と憎悪がその人物に対して沸き起こってきたからだ。
――その感情が、GMの介入によって異常に引き出されているのだということを、彼は知らないのだが。

一方で、♂クルセイダーは思う。この青年の瞳はこのような色だっただろうかと。
赤いのは以前からだったように思う。だが、このように血を思い出させるほど毒々しく、鮮やかだっただろうか。
人間を感じさせないその瞳は、色鮮やかでありながら酷く虚ろだ。それは狂気を孕んでいるようで、違うようにも思われた。
「狂ったか、♂騎士……?」
剣を交えながら、♂クルセイダーは呟く。その声は少しだけ寂しげにも聞こえた。
♂騎士は、そうではないと答えかけ、口を噤んだ。
(いっそ、頭ん中全部狂っちまえばいいのに)
そうすれば、この苦しみから逃れられる。しかしそれは、最もしてはならないことのようにも思えた。

(まずいな)
♂クルセイダーは内心で呟いた。
傷に痛みが走るうえ、左側がよく見えない。気配を読んでカバーしてはいるものの、しきれるものでもない。
コンディションが万全であれば、♂騎士相手に1対1なら互角以上と言っていいだろう。
しかし今の自分では分が悪い。相手が狂人となっていたならばなおさらだ。
左目は戻しようがないにしろ、せめて体の傷だけでも塞がっていたなら、と♂クルセイダーは悔いた。
「くっ……!」
きぃん、と音をたて、シミターが弾き飛ばされる。
咄嗟の判断で♂クルセイダーは後ろに跳んだ。
それは重傷を負った人間の動きとは思えぬほどだったのだが――それを上回る反応で、♂騎士が剣を突き出した。
「……?」
しかし、それが♂クルセイダーの体に届く寸前で、♂騎士は動きを止めた。
その手はぶるぶると震え、♂クルセイダーを見ているはずの瞳には、何か別のものが映っているように思われた。

殺されるのが、怖かった。だから殺すために剣を振るった。
目の前の人間は、俺を殺そうとしたんだ。殺したっていいじゃないか。
♂騎士は、自分にそう言い聞かせた。しかし、その手は動かなかった。

相手に殺されそうだったから、殺した。
――♂アルケミストの時もそうだったじゃないか。

それを思い出した瞬間、目の前の『人間』が、♂アルケミストと重なって見えた。
彼の手によって殺された♀プリーストと、♂アルケミストの姿が、頭の中に浮かんでは消える。
手が、震える。殺せない。二度も人を殺しておきながら、自分にはできないのだ。
気づいてしまった。殺すのも、怖いのだと。

気づけば剣を取り落としていた。落とした剣を、♂クルセイダーは――拾わない。
「……何故、泣く」
♂騎士の頬には涙が伝っていた。
その涙を見て、♂クルセイダーは気づく。♂騎士は芯まで狂ってはいないのだと。
「俺は……騎士として、生きたかったのに……」
誰に向かってでもなく、♂騎士は呟きはじめる。
♂アルケミストの幻影が、彼の中にあるGMの仕組んだ狂気を鎮め、彼自身の心の中の言葉を紡がせていた。

「諦めるのか? お前らしくもない。前の戦いのときお前は、恐れず立ち上がってきただろうに」
「違う! ちがう……。でも、どうしろっていうんだよ!
 騎士の役目も果たせないで、目に映るもの全部を怖がって、頭ばっかりおかしくなってる馬鹿に何が守れる?
 誰かのための騎士になりたくても……もう駄目なんだ。また変になった俺が、全部ぶち壊すに決まってる!」
悲痛な声で♂騎士が叫ぶ。
血を吐くかのようなその叫びを黙って聞きながら、♂クルセイダーはわずかに顔を苦々しく歪ませた。
「♂騎士」
しばらくして、♂クルセイダーは口を開いた。
彼の無機質な声に、♂騎士はびくりと体を震わせた。
「……少しも経たないうちに、酷い顔をするようになったな」
酷い顔、か。これを言われるのは二度目だな。
そんなことをぼんやりと考えながら、♂騎士は突然襲ってきた衝撃に意識を飛ばした。
9名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 21:21:24 ID:5qPMNeVY
+ + +


酷い頭痛と共に、♂騎士は目を覚ました。
空はまだ暗い。それほど時間は経っていないようだった。
辺りを見渡すと、少し離れた場所に♂クルセイダーが座っていた。
最も♂騎士自身は、個人としての彼を認識できてはいないのだが。

「……お前は」
突然声をかけられ、♂騎士は♂クルセイダーを驚いたように見つめた。いつ起きていることに気づいたのだろう、と思いながら。
「俺がわからないのか?」
続く言葉に、♂騎士は黙ったまま頷いた。
今となってははっきりとわかる。自分の感覚は、異常だ。
それを言い訳にするつもりはないが、人の見分けがつかないことが♂アルケミストを殺してしまった一因でもある。

「お前は誰だ? 俺のことを知ってるんだろう」
どこか間抜けな♂騎士の問いに、♂クルセイダーは苦笑しながら答えた。
「かつて剣士だったお前を助けた男、と言えばわかるか」
♂騎士は息を飲んだ。そう言われて彼をじっと見てみるものの、やはりはっきりとは判断できなかった。
♂クルセイダーはその視線を受け、彼の瞳を見つめる。
闇に浮かび上がるほどの鮮やかな紅はそこにはなく、瞳は覇気こそないが、元の深い赤を湛えていた。

「……もう一度、聞こう。お前はどうしてここにいる?」
その問いが、どこか鋭利な刃物のように♂騎士には聞こえた。
彼は思わず押し黙った。口に出して言うことは、罪を再確認するようで辛かった。
「俺はもう、大切な人を殺したくなんかなかったのに、また……」
♂騎士は重い口を開き、やっとそれだけを呟いた。
♂クルセイダーはそれで全てを悟った。集落で対峙したときに、かつて大切な人を殺めたという彼の事情は聞いていたからだ。
「♂アルケミストを殺したのか。お前が以前したように」
♂騎士が弱弱しく頷く。それが答えだった。

「何故だ? お前たちが仲間割れをするなどとは思えないが」
「……わかりません。そのとき俺は、あいつをあいつだと思えなかったんです。あいつが、何故かすごく怖かった。
 あの時の俺はまともじゃなかったんだ……そんな風に言い訳するのは簡単だけど、駄目なんです。割り切れるものじゃない。
 俺があいつを信じてやれなかったせいだって、そればかりを考えてしまう。あいつは最期まで俺を信じてくれていたのに」
♂騎士は頭を抱えた。♂アルケミストの、最期の姿を思い出したからだ。
♂アルケミストは命が尽きるその瞬間まで、♂騎士のことを思ってくれた。それが何よりも、彼にとって辛かった。
「……守りたかったか、♂アルケミストを」
「守りたかった、ってよりも……守りあいたかったんだ、と思います。
 それでもし、片方が死んでも……その遺志を、もう一人が守る――そんなふうに、なりたかった。
 俺が殺したら、どうにもならないのに。あいつの遺志を継げるほど、俺は強くないのに」

♂騎士の言葉に、♂クルセイダーは目を閉じた。彼もまた、大切だった人の姿を思い返していた。
♂クルセイダーは彼女を守る立場にあったが、彼女も同時に♂クルセイダーの心を守ってくれていたのだと、彼は思う。
彼女亡き今、自分の心は死んでしまったが、と♂クルセイダーは自嘲した。

「殺されるのが怖いから、ひとりになるために人を殺して。
 正気に戻ったら戻ったで、これ以上大切な人を殺したくないから、ひとりになるために逃げて。
 俺は、自分がこんなに弱い人間だったなんて思いませんでしたよ。弱者を守る騎士を……ずっと目指してたのに」
「そうだな。お前は、弱い」
♂クルセイダーの答えに、♂騎士は俯いた。
それに構わず、♂クルセイダーは言葉を続ける。
「弱い奴は、強くなれるまで悩み続けていればいい。望む生き方を見つけられるかどうかはお前次第だ。
 もし野垂れ死ぬことになったなら、それはお前が本当に弱いということだ。
 あるいは――死なずとも、気づかぬうちに俺のように狂っていくかもしれんな」
自分を狂人と認める♂クルセイダーは、果たして狂っていると言えるのだろうか。
♂騎士には彼が、正気の殺人者のように思えた。その生き方が正しいとも思えなかったが。

ただ♂騎士は、かつて彼が♂クルセイダーに向かって言った言葉を思い出していた。
「俺はあなたのようにはならない、か……」
「……そう、お前は言っていたな。今でもそう思うか?」
その問いに、♂騎士は少し黙る。しばらくして、思い切ったかのように口を開いた。
「……あなたのような生き方はできない。してはいけない……そう思います」
♂騎士の答えに、♂クルセイダーはわずかに笑みを浮かべた。
自分の生き方を否定されたというのに、どこか満足そうでもあった。

「……行け」
「え?」
「忘れたのか。俺は殺人者だ。お前にこれ以上道を示してやる義理などない」
そう言って、♂クルセイダーは♂騎士に立ち去るよう促した。
♂騎士がのろのろと立ち上がる。そこではじめて、彼は自分の剣が傍らに置かれていることに気づいた。
「……俺がまた襲ってくるかもしれないとか思わなかったんですか」
「今のお前にそれができないことなどわかっている。
 そうだな――俺は奇麗事が言える人間ではない。だからはっきりと言ってやろう。
 ……人を殺すのを躊躇って、ここで生きていけると思っているのか、♂騎士」
図星をつかれ、♂騎士は黙り込む。
♂クルセイダーは彼を鋭い目で見据えながら、言葉を続けた。

「お前がトラウマに苦しんで、現実から逃げたがるのは勝手だ。だが、騎士に今一度戻りたいと願うなら覚えておけ。
 自分の身も守れないような、そんな覚悟で他人を守れると思うな。……騎士になりきれなかった俺が偉そうに言うことでもないがな」
♂騎士に何故そのようなことを言ったのか、♂クルセイダー自身にもわからなかった。
騎士として生き、その道を貫いたまま死ぬ。
自分が果たせなかったことを、もう一人の自分ともいえる青年に果たさせてやりたかったのかもしれない。

♂騎士は♂クルセイダーに背を向けかけ、ふと一つの疑問を抱いた。
今更ではあるが、何故自分は生かされているのだろうか。気絶させられた時点で殺されていてもおかしくないというのに。
「あなたが、本当に俺の恩人だった人だというなら……どうして殺さなかったんです。
 あなたは殺人者なんでしょう。あの集落で戦った時だって、俺を殺そうとしたのに」
「さあな」
♂騎士の問いに、♂クルセイダーは無表情で返す。
「言っておくが、次はない。もし――もう一度会うことがあったなら、お前がどのような生き方をしていようと殺す。
 三度も会うこともなかろうが、そのときには少しはまともな顔をしていてもらいたいものだな」
「……あなたらしい、ですね」
♂騎士は苦笑し、♂クルセイダーに一礼すると、彼に背を向けて歩きだした。
♂クルセイダーはそれを見送ることもなく、ただ暗い空を見上げていた。
10名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 21:22:14 ID:SnS4aPq6
+ + +


また、らしくないことをしてしまった。
空を見上げたまま、♂クルセイダーはため息をついた。
何故♂騎士を殺さなかった。……殺せなかった、とでもいうのか。

――俺は、♂騎士がまだ道を戻れるのだと信じたかったのだろうか。
心の中で自らに問う。が、答えが返ってくるはずもない。
「……どうでも、いいことか」
彼は一人呟いた。自嘲するような笑みを浮かべながら。
もう自分が戻れないことに変わりはないのだ。♂騎士がどのような道を辿るにしても。

体がまともに動くほどに回復すれば、また死神として他人の命を刈り取りにいくことになる。
彼が生きている限り、それは続く。心が死んでいたとしても、命があるのなら永遠に。
(……今は何も考えず、体を休めるだけだな)
未だ残る体の痛みが、♂クルセイダーに再確認させる。
まだ彼は生きているのだと。そして――生きなくてはならないのだと。

一方で、♂クルセイダーの元を去った♂騎士も、地に座り込んで思案していた。
(ここに来てから、おかしなことだらけだ。
 痛覚はいつのまにか無くなるし、変な声は聞こえるし、人の見分けもつかない。それに――)
自分の中に、もう一人の狂気に歪んだ自分がいる。その存在が今回のことではっきりと自覚できた気がした。
それは二重人格といった別質のものではなく、自身の一部なのだと♂騎士は認識した。
狂った自分も自分であることに変わりはないのだから、彼はそれを仲間を殺した言い訳にするつもりはなかった。

(死んだら楽かもしれないけど……それは駄目だ)
消してしまった命は、背負っていくにはあまりにも重いが、自分の命と共にそれを投げ捨てることもできそうになかった。
死ぬのが怖いという単なる怯えかもしれないが、それでもよかった。
先のまったく見えない今、生きたいとまだ感じられること自体がひとつの光のように♂騎士には思えた。

後悔したまま命を絶つのではなく、生きていく。その結論は、かつての♂プリーストの助言と同じだった。
♀プリーストひとりを殺してしまったときと全く同じようには立ち直れそうもないけれど。
(何にしても……自分のしたことの後始末はつけにいくしかないよな)
ひとつ息をつき、♂騎士は立ち上がった。
かつて♀プリーストにしたように、♂アルケミストも弔ってやりたい。
それは自分がしてしまったことをしっかりと心に刻みつけるためでもある。辛いが、そうしなければどこにも進めそうになかった。

(俺を……♂シーフたちは近づけてくれるだろうか。認識できないあいつらを見て、また俺は狂わないだろうか)
不安がつのる。それと同時に少しずつ、自分の心を狂気が蝕んでいくように感じた。
すぐに暗い思考を振り払うように、目を閉じる。まだ、迷うときではないのだと♂騎士は自分に言い聞かせた。
(♂ケミにもう一度会いに行って、弔って……自分を見つめなおす。俺がどんなふうに生きるにしろ、まずはそれからだ)
♂騎士は目を開け、しっかりと前を見据えて歩き出した。
彼は思う。少しだけでも、かつてのように恐怖をおして進めただろうか、と。

不可思議な縁によって再会した♂騎士と♂クルセイダー。
近づきかけていた二人は再び、鏡を隔てたまま背を向けあった。
たとえ互いが、違う運命を辿った自分のようだとしても、決して自分自身ではないのだと拒むかのように。
同じものがあるとすれば、生き続けるという誓い――ただ、それだけだった。


<♂クルセイダー>
現在地:E-4
髪 型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し)
状 態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身
備 考:♂騎士を生かしはしたものの、迷いはない

<♂騎士>
現在地:E-4→D-6を目指す
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど、個体認識異常(♂ケミ以外)正気を保ってはいるが、未だ不安定
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害  体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻り、できるなら弔いたい
11名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 21:23:24 ID:5qPMNeVY
>>1さん乙です!

なんか長い……ごめんなさいorz
♂クルセって複雑なマーダーだよな、と書くたびに思うことしきり。
♂騎士はまだ全然立ち直れてないと思います。やっぱり二度も仲間を殺しちゃ、ちょっとやそっとじゃ無理ぽということで。
正気を保てるのか狂っちゃうのか。仲間殺しという不名誉な称号を与えられそうな♂騎士の明日はどっちだ。

そういえば♂騎士の認識異常って永続的なものなんだろーか。そのへん気になる。
12名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/31(水) 11:58:14 ID:gjTSeZRM
>>1さん乙、>>8さんも乙

長い文章いいよ、いいよー。
♂騎士と♂クルセのなんともいえない微妙な関係に、とてもドキドキさせられました。
道を踏みはずした♂クルセと、はずれた道から戻ろうとあがく♂騎士。
二人のこの先にどういう未来があるのか、はげしくワクテカ。

そして共通画像保管庫の薔薇絵にフイタ。
13名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/01(木) 12:28:25 ID:U4ZjCfyg
221.腹芸[2日目深夜]

「さて淫徒プリさん。これから行動する上で知っておくべき事があります」
「あ、はい。なんでしょう」

意外な巡り合わせに息を飲んで固まっていた淫徒プリは♂セージの改まった口調で気を取り直した。
目の前の女性が本当に師の妻だった人なのかは気になるが、それは後でいい。

「お会いしたときにも少し話しましたが、お互いの知識をすり合わせておきたいのですよ。特に危険な人物についてね」
「ああ、そうでした」

♂セージから彼らの知っている危険人物については聞いた。
けれどこちらは地面に書いたものを見られただけで、具体的に説明したわけではない。
ひとまず協力すると決めた以上教えておくべきだろう。
どのみち1つのことを除けば隠しておくほどの意味を持たない。

「実のところ伝聞と推測ばかりになるのですけど」
前置きして話し始める。
「まず危険なのがウィザードの男性。これはあなた達も知ってるんでしたね?」
「ええ、私がやられたのも彼にです。呪文の詠唱で先手先手を取られて」
足元から♀Wizが答えた。

さらに♂セージが補足する。
「付け加えますとデビルチを連れています。またSG、MSといった大魔法の他ファイアピラーという比較的珍しい魔法も使います」
なるほど。極めて厄介な相手ということですか。
♀Wizと♂セージの説明を聞いて要注意と記憶しつつうなずく。

「次によく分からないのがモンクの男性。少なくとも1人を手に掛けてますが、その後女性アルケミストと同行していました。何か理由があるのかも知れません」
そこまで言って彼女はあることに気付いた。
「問題は……気付いていましたか?女性のウィザードとアルケミストが2人ずつ居るんですよ」

「え?」
「いえ、気付きませんでした……そうですか」
驚きの表情を浮かべる♂シーフと考え込む♂セージ。
彼らの様子に♀商人が不思議そうな顔をする。
「それがどうかしたの?」

「この島に連れて来られた50人は、冒険者の各職男女1人ずつだと考えていたのですよ。それ以外はグラリスや殺された案内要員、ホルグレンのように冒険者と縁の深い一般人だとね」
「うん。そうだよ」
♀商人は当然のように頷いた。
「はい?」
♂セージの目が点になる。

「あれ、言わなかったっけ?友達からこのゲームの裏賭博があるって聞いた、って。その時にどんな人が参加させられてるかも教えてもらったの」
「……他に聞いていて言い忘れていることはありませんか?」
「ううん、それだけ」
「そうですか。無事にここを出られたら、そのお友達にお礼の花束と熱いキッスを差し上げに参りましょう」
「もうっ!」
お約束のように余計なことを言って♂セージが♀商人に叩かれた。

そんな2人をよそに♂シーフは首を傾げる。
「じゃあなんでウィザードとアルケミストだけ2人も居るのかな?」
「ふむ。まずは淫徒プリさんの意見をうかがいましょう」
彼らの様子に淫徒プリの知的優越感がちょっとくすぐられた。
自然と自分の考えを述べる口振りもなめらかになる。

「当然いずれか1人はBR法によって選び出された冒険者です。ですがもう一方はそれ以外の思惑があって送り込まれたのではないでしょうか」
「例えば?」
「女性ウィザードが2人居るのに気付いたときは殺人者を増やす目的だと思いました。つまりどちらかは危険人物だろうと。ただ、アルケミストはそこまで危険な能力を持ちませんしよく分からないんですよね」
♀アルケミが毒薬瓶を隠し持っていることを言うべきかどうかだけちょっと迷う。
彼女は確かに要注意人物だ。
だが彼女が直接の原因となって死んだ者はまだ居ない。積極的な殺人者としてはおとなしすぎる。
すると男性モンクと同行していたアルケミストの娘が例外なのだろうか。

そんな事を考えていると♂セージが人の悪い笑顔を浮かべて言った。
「では淫徒プリさん。貴女は気付いていますか?」
「はい?なんでしょう」
考え込んでいた淫徒プリは♂セージの次のセリフにまったく心の準備が出来ていなかった。

「女性プリーストも2人居るんですよ」

「……え?……ああっ!?」
確かに最初の部屋には女性のプリーストが居た。
それは初日に死亡放送が流れた♀プリーストに違いない。
そして今自分は女装している。
この場合イリーガルは間違いなく自分であり、今言った理屈では自分も危険人物だということになってしまう。

慌てまくる淫徒プリをじっと見ていた♀Wizがくすくす笑いだした。
「その様子ですと隠してたわけじゃないみたいですね」
「すっかり自分のこと忘れてました……」
「うんうん。そういうことってあるよね」
いろんな意味で落ち込む彼女の肩を♀商人がぽんぽんと叩いた。
その様子を♂セージは笑顔を浮かべたまま見つめる。
「ふうむ困りましたねえ。♀プリーストがどんな人物だったか分からない以上、あなたも要注意人物ですかねえ」
「ええと……」
返答に困る淫徒プリに代わって答えたのは♀Wizだった。

「♀プリさんは多分♂騎士さんと親しい関係にある人だったと思います」
「え、そうなの?」
「ええ。以前、私と♂シーフ君と♂プリさんの3人で♂騎士さんとお会いしたのですけれど、その時の彼はごく親しい人を亡くしたばかりに見えました」
ですよね、と彼女は♂シーフに目を向ける。
彼は頷いた。
「会ったのは最初の放送直後です。自殺しようとするぐらいの半端じゃない落ち込み方でした。それに血の付いたナイフを持ってたから、誰かの死を見届けたのは間違いないと思います。♂プリさんは懺悔を聞いたそうですけど……」
♀Wizの意見を精一杯フォローする♂シーフだったが、その相手が誰だったかについては自信が持てず首をひねる。

♂セージは当然その点に疑問を投げかけた。
「その相手が♀プリであると思う根拠は?」
♀Wizは即座に答える。
「女の勘です」
「は」
思わず♂セージのあごが落ちた。
今夜はよくよく絶句させられることが多いようだ。

♀Wizはころころ笑って続けた。
「と言うのは半分だけ本当で半分は嘘。直前の放送で告げられた死亡者から♂騎士さんが親しかった相手の人を勝手に想像したんですよ」
休むために横たえていた身を起こし、彼女は己の勘の根拠をたどる。
「あそこまで思い詰めるほどの相手なんて、最愛の人だったとしか思えません。ですから男の人ではないでしょうし、ジョーカーに倒されたとき誰も反応しなかった♀モンクさんも違います。すると残るのは♀プリさんと案内要員さん、♀シーフさん、♀アサシンさん、♀ローグさんなんですよね」
そこで♀Wizは♂シーフへちょっと申し訳なさそうな視線を向けた。
「先入観を持つのは良くありませんけど、やはり♀プリさん以外は可能性低い気がするんです」

♂シーフはむしろ納得しまくっていた。
「うんうん。シーフと騎士のカップルとかあり得ませんし」
「そこまでは言いませんけど」
苦笑する♀Wiz。
そんな彼女の言葉を♂セージは鼻で笑ってみせた。
「なるほど。確証はないわけですか。まあ期待してませんでしたが」
同時に手を合わせ、♀Wizに向けて軽く頭を下げる。
もちろん鼻で笑ったのは盗聴しているGM向けのポーズに過ぎない。

「それで淫徒プリさん、あなたの知っている危ない人は以上ですか?」
♂セージはそのまま続きを促した。
自分の問題がうやむやになった淫徒プリは気を取り直して続ける。
「あと1人だけ。私が1人になった原因は先に言った男性モンクと女性アルケミストの乱入にあるんですが、今にして思うと誰かに追われていたようなんです。なのに追っ手の姿をまったく目にしませんでした」

「それって♂ローグってことですか?」
職業柄♂シーフが真っ先にその意味に気付いた。
隠れたまま追跡するのはシーフ系二次職の特技だ。
そしてアサシン2人と♀ローグはすでに死者としてその名が公表されている。
「たぶん。確証はありませんけど」
「なるほど」
♂セージは頷く。
14名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/01(木) 12:29:40 ID:U4ZjCfyg
「では次はこちらの番ですね。私たちが実際に遭遇した危険人物は先ほど言ったとおり♂Wiz・♂クルセ・グラリスの3人です。が」
彼はそこで言葉を切って眉根を寄せた。
淫徒プリは首を傾げる。
「が?」
「もしかすると1人増えたかも知れません」

「どういうこと?」
心当たりのない♀商人は不思議そうな顔をした。
ゆっくり間を取って♂セージは言う。
「♂騎士さんも数に加えるべきかも知れない、ということです」

「そんな。あの人は混乱してただけですよ」
♂シ−フの抗議にも♂セージの表情は変わらない。
「では、その混乱の原因はなんでしょうね」
「原因って……♀Wizさんはなんともなかったんですから、やっぱり記憶喪失か何かだったんじゃ」

その意見に彼は首を振る。
「すべて忘れるならともかく、そんなピンポイントの記憶喪失は起きませんよ」
「じゃあ♂セージさんはどう思ってるんですか?」
口を尖らせる♂シーフに向けて指が3本立てられた。
「考えられる可能性は3つほどありますね」

「まずは回復薬に何か仕込まれていたけれど、♀Wizにだけ効かなかった可能性」
「え〜?それはないんじゃない?」
♀商人が首を傾げる。
「そうですね。食べ物に仕込むのであれば何らかの薬物と言うことになりますし、その場合むしろ体力に優れる♂騎士さんの方が抵抗しやすいでしょう」

全員が頷くのを待って彼は推測を続ける。
「次に考えるべきなのは♂クルセの剣に原因がある可能性です。彼の支給品が何だったかにもよりますが」
「持っていたのは普通のシミターですよ。それ以外の装備には気付きませんでした」
♂セージの視線を受け、実際に対戦した♀Wizが答えて言った。

「剣に何か変な薬でも塗ってあったかも知れないっていうの?」
「ええ。ただ、♂アルケミさんも♂クルセに切られてたのに何も起きてません。これもいささか不自然ですね」
「ふうん。じゃあ3つめの可能性って何?」
♀商人の問いかけに♂セージが答えるまで少し間があった。

「――GMによって、あらかじめ♂騎士さんに異常が仕掛けられていた可能性です」
「ええっ!なにそれ!」

「いいですか。先程のあなた方の言葉を思い出して下さい。彼には疑わしい点が多すぎるのですよ」
驚く仲間達を制して彼は言葉を続ける。
「まず♀Wiz。貴女の推理によれば、彼は開始時点において親しい上に頼りになる誰かが近くに居たことになりますね?」
「まあ……それはそうですけれど」
その誰かが♀プリではなく♀アサか♀ローグだとしても戦力としては遜色ない。
♀Wizは完全に納得した様子ではないながらも一応の同意をみせた。

しかし淫徒プリが首を傾げる。
「ですがその方はすぐに亡くなったわけですし、♂騎士さんにとって特に有利とは言えなかったのではないでしょうか」
「ええ、ですからそれだけなら偶然と見てもいいでしょう。ですが淫徒プリさん。その相手が♀プリだったとすると貴女の指摘が現実味を持って来ませんか」
「は、はあ」
彼の言う指摘とは、同職同性の参加者の一方は普通の冒険者とは異なる意図で送り込まれたのかも知れない、という意見のことである。
まさか今さら自分は女性ではないとも言い出せず、淫徒プリは頷くしかなかった。

「もちろん相手は♀プリではなかったかも知れません。ですがその場合次の候補はいずれもシーフ系二次職。身を隠す能力に優れ、本来もっとも殺しにくいはずの方達です。なぜ揃いも揃って1日目に死んだのでしょうね?」
「ルアフとかサイトで見つかって殺されたんじゃないですか?」
「それらのスキルが使える内で殺人者と判明しているのは♂Wiz1人です。正体不明の女性ウィザードを数えれば2人になりますが、有利不利で言えばアサシンやローグに軍配が上がります。わずか半日の内に双方を殺すことは難しいと思いますよ」
その女性ウィザードがミストレスであると知らない以上、それは♂セージとして当然の判断だった。

「じゃあええっと……ノービスとか意外な人に不意を打たれたとか」
「おそらくそれが正解でしょう。そしてこの場合、最も意外な相手とは♂騎士さんのことに他ならないのですよ」
「……」
♀Wizと♂シーフは顔を見合わせて黙り込む。
彼らも海岸で初めて♂騎士と出会ったとき、彼が誰かを手に掛けてしまったのではないかと思ったのだ。
♂セージの言葉を否定することができない。

「さらに今日、同じ状況で彼にだけ異常が起きました。ここまでくると偶然で片付けるには出来過ぎです」
♂セージは間違った手掛かりから正しい答えに限りなく近付いていた。
しかし、やはり前提が間違っていれば答えも間違う。
「でも♂アルケミさんがあんなに必死になるんだもん、悪い人じゃないと思うんだけど」
「そうですね。本人の意思とは関係ないのかも知れません。たとえば死亡を引き金に狂戦士化するような仕掛けがされていた、というすればどうでしょう」

「ちょっと待って下さいよ。♂騎士さん死んでないじゃないですか。それに前会ったときにはもう誰か殺してたかも知れない、ってことを説明できてませんよ」
「おお」
♂シーフの反論はかなり鋭く問題点を突いていたが、♂セージは困った顔をするどころか逆に嬉しそうな様子を見せた。
「たいへんよい指摘です。ですが魔法にせよその他の手段にせよ、人間への仕掛けなどそうそう思い通りに働くはずがないのですよ。つまり想定されてなかった状況で不完全な効果を現したとすれば説明がつきます」

「でも、その仕掛けって意味あるの?死んじゃったらゲームオーバーなんじゃ」
今度は♀商人が疑問を呈した。
当たり前すぎて聞きにくいことでも素直聞けるのは彼女の長所かも知れない。
「死亡の判定を下すのは当のGMです。そして彼らならスキルを制限されていないので蘇生が可能です」
彼は参加者達に対して用いられた爪角の欠片の存在を知らない。
だからリザレクションの効果も制限されているだろう程度に考えていた。

「でもでも、だったらそんなややこしいコトしないで最初から狂戦士?にしちゃうんじゃ」
♀商人は食い下がる。
それでも♂セージの推論を語る口調によどみはない。
「どんなに強くても、1人でしか居られない上無差別に攻撃を仕掛けるのではいずれ倒されてしまいます。それよりはまず仲間を作った方が生き残りやすいですし、一度倒されることで油断や混乱を誘えるという意味もあります」

「……つまり♂騎士さんは見境なく攻撃を仕掛ける狂戦士になっちゃったんですか?」
「ああ、誤解しないで下さい。それはあくまでも最後の推測が的中していて、なおかつ♂騎士さんの理性が仕掛けに負けた場合の話です。間違っている可能性も高いですし、♂プリさんが彼を落ち着かせているかも知れません」
情報が足りないまま推測すると間違いを犯しやすいことを♂セージはよく知っていた。
だからひとつの説を信じすぎないよう♂シーフをなだめる。
しかし♂プリの名を出したことで少年の心配は別のところに飛び火した。

「あ!♂プリさんが危ないかも知れないじゃないですか!」
今にも飛び出しそうな彼を♂セージの声と手が押し止める。
「まさかとは思いますが、追いかけようとか言い出すつもりではないでしょうね?」
「当然そのつもりです」
「やめておきましょう。却って危険です」
あくまでも冷静さを失わない♂セージ。
だがもちろん♂シーフは納得しない。
「なんでですか!」
くってかかる少年に♂セージは一件関係ないことを言った。
「待ち合わせの鉄則を知っていますか?」

「えっと、確かあんまり動いちゃダメなんだよね」
♂シーフではなく♀商人が答える。
「そのとおりです。双方が動き回ると、一方が立ち止まっている場合に比べて出会える確率は格段に下がります。まして夜の山中ではほとんど不可能と言っていいでしょう」
「だけど今、♂プリさんが危ない目にあってるかも知れないんですよ」
「あるいは♂騎士さんを連れて戻ってきている最中かも知れないですね」

♂セージの分析は正しい。
すべての可能性を考えた上で全員が生き残るのに一番いい道を指し示している。
それは♂シーフにもよく分かっていた。
それでも彼は抵抗を試みる。

「僕だけ探しに行って、他のみんなはここで待ってればいいじゃないですか」
「いけません。♂プリさんとあなたが入れ違いになったら今度はどうするのですか。ましてあなたが別の殺人者――例えば♂Wizと遭遇したら被害が大きくなるだけですよ」
聞き分けのない少年をどう説得したものかと、さすがの♂セージも容貌に困惑がにじみはじめる。
そこにおだやかな声が割り込んだ。
15名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/01(木) 12:31:30 ID:U4ZjCfyg
「でしたら私が♂シーフさんと一緒に行きましょう」
♀Wizは口元に微笑みを浮かべ、意外にもきついことを言い出す。
「私も♂プリさんのことが気になりますし、♂セージさんの冷たいおっしゃりようには飽き飽きですから」
そう言いつつ自分と♂シーフを丸で囲むように指を動かし、♂セージと♀商人、淫徒プリの3人も同じように丸で囲んだ。
そして両手でバツ印を作り、最後に聖書を指さす。

♂セージはそのハンドサインでグループ分けを再開しようという意味だと悟った。
確かにその組み合わせで♀Wiz側が首尾良く♂プリと再会できれば、戦力がきれいに均等に分かれたことになる。
そして再会できなくても♀Wizと♂シーフが組むことには意味がある。
「そうですね。私もいい加減あなた方の認識の甘さをフォローするのも疲れましたし。ここらが潮時でしょう」
そう言いながら借りていたマフラーを外した。

今度は♀Wizが♂セージの意図を理解し、それを受け取りながら一歩遅れで要求した。
「では私のマフラーを返して下さい」
「これですか。……まあいいでしょう。私だけ隠れられてもあまり意味ないですしね」
仲間の1人か2人だけ隠れられても、他の者が見つかれば意味がない。
しかも連続した壁面のない山中ではLv1クローキングでの移動は難しく、偵察に使うのにも限度がある。
しかし♂シーフとのコンビで使えば別だ。
彼にもハイドがあるから2人とも隠れることが出来る。
それは♂プリと合流するまで支援がないことを差し引いても充分なアドバンテージとなるだろう。

さらに彼は言った。
「この際です。選別にヒールでも掛けて差し上げたらどうですか淫徒プリさん」
「そうですね」
促された淫徒プリは手当てを始めた。
♀Wizの手足や顔など、外気に晒された皮膚にはあかぎれのような細かい裂傷がたくさん走っている。
ただ明らかに血色は戻っており、痛そうだが命に関わることはないだろう。
傷跡が残ってしまいそうなのがひどくもったいない。
彼女は5・6回ヒールを連打した。

「これぐらいですか」
「え、もう終わり?」
♀商人が不思議そうに尋ねる。
殴りプリである♂プリでもそれぐらいは使えてた気がする。
支援プリっぽいのにもう打ち止めなのだろうか。

「まだ使えます。けれどもしもの場合に力を使い切っていてはいけないですから」
「そんな、けちらないでくださいよ」
「ケチじゃありません。合理的な判断です」
呆れたように言う♂シーフに淫徒プリはあえて反論した。
「ここではいつ何が起こるか分かりません。万一の時にヒールや速度増加を掛ける余力がなかったでは済まないでしょう?」
それは♂セージ達の仲違いの演技に付き合ったのと同時に本音でもあった。
誰かが死にかけているならともかく、そうでもないのに力を使い果たす気はない。

「いいんですよ、♂シーフさん。敵になるかも知れない人にこれ以上借りを作るわけにも行かないですし」
「いや、でも……」
♀Wizの笑顔に♂シーフはとまどいを見せる。
彼女はまだ体力が回復したわけではないはずなのだ。
「それでは行きましょうか……っ」
案の定、立ち上がろうとした♀Wizはつらそうな様子で声を押し殺す。

♂シーフは彼女の肩をそっと押さえた。
「待って下さい。やっぱり朝になるまで待ちましょう」
「え?でも♂プリさんは?」
「いいんです。あの人ならきっと大丈夫だし、♂セージさんの言ったとおり今動いても見つからないと思います。それに」
彼は♂セージ達の顔を見比べる。
「いくらケチな淫徒プリさんでも、朝になればもう一度ぐらいヒールできますよね」
「そうね。私は気前いいからしてあげなくもないわよ」
淫徒プリはにんまりと笑った。

一方♀商人は見逃していなかった。
少年の背後で♀Wizがこっそり♂セージ達にウィンクを送り、彼が体の陰で親指を立てて見せていたことを。
♀Wizは自分の怪我を人質にして♂シーフが思いとどまるよう仕向けたのだ。
――なんでこの人達、こんなに性悪ごっこがうまいんだろう。
♀商人は1人引きつった笑いを浮かべていた。


<淫徒プリ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 師の言葉を思い出し少々センチ
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂セージと同行→朝を待って♀商人・♂セージと同行

<♂セージ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:ソードブレイカー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行→朝を待って♀商人・淫徒プリと同行

<♂シーフ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:多めの食料
容 姿:栗毛(紫)
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い
   ♀WIZ・♀商人・♂セージ・淫徒プリと同行→朝を待って♀Wizと同行

<♀商人>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が……?
   ♂セージと会えて少し不安解消
   ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・淫徒プリと同行→朝を待って♂セージ・淫徒プリと同行

<♀WIZ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐
   淫徒プリ・♂セージ・♂シーフ・♀商人と同行→朝を待って♂シーフと同行
状 態:容態安定。ただし全身の傷は傷跡として残る。HPはまだ赤ゲージ


<残り24名>
16名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/01(木) 12:45:15 ID:U4ZjCfyg
>>1さんおつつ〜。
そして>>8さんに引き続いての長文失礼orz
♂セージに現時点の知識だけで推理させてみたらえらいことに…。

それから最後の状態表についていろいろと。

まず♂シーフの髪色を決定してしまいました。
栗毛デフォ色だと♂アコとかぶるようなので紫に。
そしてその際、淫徒プリの髪が決定されていたことに気付きました(遅
この髪型は色違いで3人(♀騎士・♀Wiz・♀セージ)出ているようですが、
カツラですし許容範囲ですかね?
最後に淫徒プリの負っていた「軽度の火傷」はもうすぐ一日経ちますし、
治療しただろうと思うので消しました。
17名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/01(木) 13:27:57 ID:acRCLbKQ
特に本編で使ったわけでもないのに髪の設定を決める理由がわかりません。
それに♂シーフは初登場時に栗毛と書かれているんだから、普通に考えたら栗色の髪じゃないでしょうか?
18名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/01(木) 18:31:47 ID:Qb3NOd4E
>>16
>この髪型は色違いで3人(♀騎士・♀Wiz・♀セージ)出ているようですが

淫徒プリのかつらは、ハイプリデフォみたいだよ。
WIZデフォじゃないけれど。
何か。でよくみてみたら?
1916sage :2006/06/01(木) 20:55:42 ID:U4ZjCfyg
>>17
う、この「髪型」がなぜか栗毛と呼ばれているのかと思ったのですが、
調べたら「♂アコデフォの髪」が「栗毛」なんだそうですね。
つまり色もすでに決定されてる…。
失礼しました。♂シーフの髪色について取り下げます。
>>18
何か。見たのに間違えた……_| ̄|○
設定した方大変失礼いたしました。&18さんありがとうございました。
吊ってきます。。。
20名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/02(金) 07:27:12 ID:roCToQK6
>>16
>――なんでこの人達、こんなに性悪ごっこがうまいんだろう。
がつぼに入った。
朝っぱらから爆笑させてもらったぜ。

♀Wizパーティって何かと打算と信念のある大人が
一本気で突っ走りがちな少年少女を助けてがんばってるねぇ
21名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/02(金) 15:16:03 ID:RkJn/uDE
髪型関係で、ドット絵だとどの髪型になるのか?
みたいな話が出ていますが、第2回がはじまる前に、今回の各キャラの髪型に関してはドット絵にない髪型でも問題ないということになっていたはずなので、
無理矢理にドット絵であてはまる髪型を探すことは必要ありませんよね。

なんだかいつのまにか、容姿はROドット絵が基本みたいな流れになっているような気がしたので、念のため確認。
22名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/03(土) 13:07:57 ID:K3r1cu9k
222.硝子の心[2日目深夜]

♂プリは悩んでいた。何故このような状態になったのだろう?
本来♂騎士を探していたはずなのだが、何がどうなって現在のような状態になったのだ?
♂WIZから逃げたのは覚えている。謎の雷撃から逃げたのは覚えている。
息が切れるほど走り続け、その後♀アルケミストに出会ったのも覚えている。
それを証明するかのように隣にはすぅすぅと寝息を立てている♀アルケミストがいた。
だがその後の記憶がない。完膚なきまでに抜け落ちている。
彼女はプリーストの服を布団代わりに一矢纏わぬ姿でいた。
それが何を意味しているのか? 自分が何をしてしまったのか、考えるまでもないだろう
自分は何故か眠っていて、起きたら横に出会った♀アルケミストが…それも生まれたままの姿でいる。
これが示す事実は一つだ。言い逃れはできない。

(起こってしまった事実は事実として認めないといけねえよな……)

まったくその行為に対する記憶がないのが少し気になったが、
嘆息しながら、♂プリは内心で神と♀WIZに懺悔した。
懺悔という行為を終えた後、ふと脳裏をひとつの疑問が過ぎる。

(何故こうなってしまった?)

何故、♂騎士を探して連れ戻そうとしていたのに、この♀アルケミストと寝る状況になったのだ?
いや違う、問題はそこじゃない、酸欠状態になるほど走りまわったのは事実だ。
そのために少しハイなテンションになったのは仕方ないかも知れない。
だが思い返せば明らかにその状態は常識を逸脱してしまったいた。
ふざけるのは悪いことではない。しかし今は状況が状況だ。
ふざけるべきではない状況なのに、ふざけてしまった。
普段では決してありえないことだ。今の状況を考えればそれはあってはならないことだ。
そこまで考えて、♂プリはぞくり、と悪寒を感じた。

(……マジかよ……ってことはあれか……そろそろ精神の限界が近いってことか?)

狭い島の中での殺戮ゲーム。生き残るの一人の過酷なゲーム。
それは肉体的だけではなく、精神的にも参加者を追い詰めていったはずだ。
今まではよかった。♀WIZがいた。♂セージがいた。♀商人がいた。♂シーフもいた。
♂騎士がいて、♂アルケミストもいた。
だが今は一人だ。たった一人で♂騎士を探しに出た。
♂アルケミストを殺してしまった♂騎士を連れ戻しに一人で仲間の元を飛び出した。
その一人という状態が今まで仲間と一緒にいることで押さえ込まれていた死への恐怖。
先の見えない不安が具現化されてしまったとしたら?
その不安と恐怖から心を守る為、あのようなハイテンションな状態になってしまったとしたら?
馬鹿な行為をした自分への言い訳かもしれない。
しかしこれが事実なら、♂騎士だけではない。
自分自身、いやこの島にいる全員が不安と恐怖に負ける可能性を内在させているのだ。
それに勝つことができるのは揺ぎ無い信念を持つ♀WIZのような人やこの殺戮ゲーム自体を楽しんでいる
マーダー達だろう。ある意味マーダーは負けているとも言えるが……

「…ん…ふぁ…すぅ……」

隣で♀アルケミストが寝返りをうつ。
それによって彼女の身体から落ちかけた己の服をかけ直してあげながら、
♂プリはこの島で一人でいることの恐怖と仲間の大切さを再認識していた。
23名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/03(土) 13:08:42 ID:K3r1cu9k
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

♀アルケミストはまどろみの中でそれを見ていた。
見えるのは質素な部屋。必要最低限の家具だけがある少し傾いている小さな小屋。
そこでは小さい少女がいて、一人のプリーストの青年と仲良く遊んでいた。

「おにいちゃん、今日も冒険のお話きかせて!!」

青年に抱きつく少女、青年は苦笑しながら、少女の頭を撫でる。

「う〜ん? あまり面白い話はないよ? それでもいい?」
「うん!! おにいちゃんの冒険のお話が一番の楽しみだもん!! だからつまらないのなんてないよ!!」

困ったように言う青年に少女は屈託のない笑みを浮かべて答える。
青年はその笑顔に釣られて笑みをこぼしながら語り始めた。

「あはは。それじゃまずは……」

貧乏ながら二人は幸せに暮らしているようだ。
冒険者で頼りがいのあるプリーストの兄と、その兄の帰りとその兄が持ち帰ってくる「お話」を楽しみに笑顔を絶やさない少女。
たまに怖い顔つきの男達がやってくるが、「おにいちゃん」は柔和な笑みと毅然とした態度で追い返していく。
この兄妹二人がずっと一緒にいれば、どんな困難も乗り越えられるだろう。
しかしそれは適わないことを♀アルケミストは知っている。
青年は殺されるのだ。いや自殺したと言ってもいい。
大事な妹を守るため、親の残した借金を帳消しにするという言葉に踊らされて、
非公式の危険な任務に駆り出され、命を落とした愚かな青年。
そして、それ以上に愚かな何もできない、兄に頼り負担を兄に預け続けていた少女。
その絶えることのなかった笑顔は兄に負担をすべて預けていた余裕からのもの。

(けれどそれはかつての私……)

不意に聞こえてくる誰かの声。
その声に違う、という思いが込み上げてくる。
そしてそれが己の声だということも同時に理解する。
視界と意識だけの世界の中、抗うこともできずただその声が聞こえてくる。

(あなたが否定しても忘れてもこれは事実。認めるべき…)

ワケもわからず聞こえてくる声に意識はその言葉を否定することを選んだ。
ただ感情のままに、わめくように叫び続ける。

違う違う違うチガウちがうチガウ違ウ違ウチがウチガう……!!

自分の本性は狂気だ。狂気こそが正気だ。
男をたぶらかし、利用し、騙し、支配する悪魔のような女が私だ。
それが私自身。この狂えている心が私を支えている。
狂気を支えに生きてきた私がその狂気を否定したら、私は私自身に耐えられない。

(あなたは探していたんじゃないの? 本当の自分を…)

本当の自分は狂気の女、男を利用する悪魔のような女。それが私……!!

(違う。本当のあなたは一人では何もできない。誰かに頼って生きることしかできない哀れな娘。
あの泣きわめいている少女が本当のあなた)

その「自分自身の言葉」と共に小さな少女が大柄の男達に抱きかかえられて連れさられていくのが視界に入る。
しかしそれはだんだんとぼやけていき、自分自身が男達に抱きかかえられているような錯覚を感じていく。
それが錯覚ではなく、それを見ていたという状況こそが有り得ない錯覚だと心のどこかで認識した時、それが突然にきた。
感情の混乱。頬を伝わる涙。これからの生活に対する恐怖。痛かった。怖かった。苦しかった。助けて欲しかった。
過去と現在が混ざり合い、自分の心が負の感情でかき回されていく。

……嫌だ……私の狂気を否定しないで……思い出させないで……私を否定しないで……

意識の嗚咽が洩れる。フラッシュバックのように思い出されていく記憶。
耐え難い恐怖、不安、これが悪夢だという認識とそれが現実に起こったことであるという悪夢より残酷な事実の認識。

(あなたは白昼夢を見ることで狂気にまみれた自分を再認識してようやく耐えているだけ。
暗闇が怖ければ暗闇と同じ存在になれば怖くないものね?)

哀れむような自分の声が聞こえてくる。

こんなの違う、私じゃない、私は……私は……私は……!!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
24名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/03(土) 13:09:20 ID:K3r1cu9k
「…う…ううん……」

♀アルケミストの意識はゆっくりとまどろみの中からから目覚めた。
少し気分が悪い。嫌な夢を見ていた気もするがよく内容が思い出せない。
見上げると木に寄りかかりながら♂プリがこちらを見下ろしていた。

「眠れなかったのですか?」
「…いやさっき起きたばかりだ」
「そうですか…」

言いながら♀アルケミストは身体を起こした。
木の脇に置いてある自分の服に袖を通し、ついでに自分の荷物をチェックする。
乱された形跡はない。自分があの毒薬を持っていることは悟られてはないようだ。
そのことに馬鹿な男だなと思いつつ、男とはそんなものかという思いがわきあがる。
男は馬鹿だから寝てもいないのに、こちらが裸で横に寝ていた事実だけで、自分が抱いてしまったと考え、
無意味な責任を感じてしまうのだろう。

(愚かな愛しいお馬鹿さん…)

着替え終わり、♂プリの隣に座ると彼はこちらを見て真剣な表情で言ってきた。

「これから俺は一回仲間の下に戻ろうと思う」
「わかりました。それは構いませんがそのお仲間さん達は今どこに?」
「移動してなければD-6にいるはずだけどな」
「移動しているという可能性は?」
「それはないだろ。移動してたら俺が戻った時困るからな、第一人数的にもそう簡単にやられる奴らじゃないさ」

言いながら♂プリは何かを確かめるように頷き、そして苦笑した。
その行為が気になったのでふと尋ねる。

「どうして苦笑するのです?」
「いや、さっき仲間の大切さを再認識してな…」

♂プリは自分のしてしまった愚かな行動、そしてそれから推測されたこの島で一人でいることの恐怖、
仲間と…誰かと一緒にいることの大切さを再認識したことを語り始めた。

「…やっぱり、こんな状況ですし、誰か信頼できる人と共にいたほうがいいですよね」
「そうだな、不安と恐怖に負けて己の心をなんらかの狂気に支配されないようにするには、
やっぱり仲間と一緒にいるのが一番だな。一人で我慢してるとそれに耐えられねえ。
耐えれたとしてもきっと何かを犠牲にすることになっちまうそんな気がするんだ…って
…まあ、ぶっちゃけ恥ずかしいこと言ってる気もするが…」
「あはは……」

どくん、と心臓が跳ね上がる。
♀アルケミストは今の♂プリの言葉にどこか自分の心の奥底をかき乱されたような感覚に襲われた。
ほんの少しの感情の乱れ、それが何故なのか自分でもどうしてか理解できない。
それを吹き払うため、♀アルケミストは声を出す。

「まあ、とりあえず今は休みましょう。私は少し眠りましたから、しばらく見張りをします。
♂プリさんは今のうちに無理にでも眠って身体を休めていてください」
「ああ、悪いけどそうさせてもらおうか。眠れるかわからないけどな」

♂プリが木に寄りかかり、目を閉じる。
それを確認した♀アルケミストは一瞬、心を過ぎった己の感情の乱れの正体がなんなのか考えながら、
空の闇を見上げ続けていた。


<♂プリースト>
現在地:F-7
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ
状 態:睡眠により、疲労はある程度の回復。♀アルケミストと寝てしまったと思い込んでいる。
仲間の大切さを再認識し、D−6へ一回戻ることを考えている。


<♀アルケミスト>
現在地:F-7 ♀ハンターと♀スーパーノービスが雨宿りをしていた木のうろ
所持品:S2グラディウス 毒薬の瓶 ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ)
外見:絶世の美女
性格:策略家
備考:製薬型 更正の兆しはありそうだが、まだまだ悪のまま
状態:悪夢による軽度の意識の混乱。
2522sage :2006/06/03(土) 13:18:07 ID:K3r1cu9k
少し問題になっていた214話の不自然な♂プリの感情の変化を利用してこんなものを書いて見ました。
これで♀アルケミストが更正すればいいなと思いつつ、実は♂BSが死んだときも
こっそり更正の兆しがあったんだなと見直す時に再確認。
でもやっぱりそう簡単に更正はできない気もしますが……

一応場面ごとにレス数区切ったけど一つにまとめたほうがよかったかも知れない…
26名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/03(土) 16:08:03 ID:zfwQtJ7U
019.利用するものされるもの
>生まれてすぐに道端に捨てられ、粗悪な孤児院で育った彼女

というわけで、>>22のお話と♀ケミ登場時の設定に矛盾が見られます。
あと、個人的には♀ケミの更正は望んでいなかったり。まぁ、これはほんとうに個人的な意見なのですけれども……。

前回の♂BS関連の更正の兆しというやつも、あまり好評でない空気があったから、
次の書き手さんによってやっぱり悪なんだよ、という話が書かれたんだと思います。
2722sage :2006/06/03(土) 17:26:27 ID:K3r1cu9k
>>26
あら本当……(滝汗

言われるまで完全に見落としていました。
完全にチェック不足でしたね。
悪夢のシーンの修正をすることで修正できそうな気もしましたが、
全体の話として全く別のものになりそうなので申し訳ありませんが、
今回のお話はNG扱いでお願いします。

♀ケミには更正して欲しいけど、やっぱり無理だろうなぁ…と個人的に思う
28名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/04(日) 01:17:12 ID:t9fFE0Uk
そういやそろそろ食糧難になるPTが居ても良い頃合じゃないかな
最初に2日分までしか持たないみたいなこと書いてたし
29名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/04(日) 04:40:10 ID:9oEMUl7U
222.水[2日目深夜]

「そう……うん……大変だったね」
♀ハンタさんは大事な相棒――ふぁるを肩に乗せてさかんにうなずいていました。
防具になる物は何もないのですけど、あんなに鋭い爪でつかまれて痛くないのでしょうか。
「ああごめんね。生肉はないの。干し肉しかないんだけど、食べる?」
「ええとですね♀ハンタさん。ちょっといいですか」
「はいお姉ちゃん何でしょう」
答える声もしっかりしています。
ハンターにとって相棒の鷹というのは性格が変わっちゃうほど頼りになる物なのですね。
お姉ちゃんとしては少々さびしい気もしますが、今はそれどころではありません。
「急いでこの場を離れましょう」
「すぐですか?ふぁるにごはん上げてからじゃダメですか?」
ピィ
♀ハンタさんに合わせてふぁるが不満そうな鳴き声を上げました。
ちょっとかわいいです。でもダメなのです。
「すぐです。ちょっと騒ぎすぎましたから誰か来ないうちに」
ミストレスから身を守るためとは言え、大声あげて森中の鳥を起こして。ルアフも使って。
さらにミストレスも電光を連発しました。
1キロ四方に誰か居たら寝てても気付いたでしょう。
もっと遠くからでも見えたかも知れません。
「はーい」
やっぱり♀ハンタさんは素直ないい子です。


『ようよう。どこまで行くんだよ』
ふぁるが言いました。
わかんない。お姉ちゃんが大丈夫だって思うとこまでかな。
だいいち場所言っても夜中じゃふぁるわかんないでしょ?
『そーゆー問題じゃねえ。俺の空っぽの胃袋に説明してくれ』
あう。
落ち着いたらすぐ上げるから待ってよう。
歩きながら物食べると匂いで獲物に逃げられたり猛獣が集まったりするから絶対やるなって…ふぁるが言ったんだよ。
『うるせえ。だったら肉はいいから水くれ水』
え?
雨の中飛んで水にはうんざりしてるんじゃなかったの?
『あほかっ。雨ン中飛ぼうが海ン中潜ろうが、運動すりゃのど乾くんだよ』
へえ、ふぁるって泳げたんだ。
長い付き合いなのに初めて聞いたよ。
今度海に行く?
『例えだたーとーえー。俺はカワセミでも鵜でもねえ』
なあんだ。あはは。
でもふぁるの口じゃ水筒からは飲めないし…お姉ちゃんに頼んで水のあるところにしてもらおっか。
『あー、さっきから気になってるんだが。どーしてお前が妹であっちが姉貴なんだよ。フツー逆だろ逆』
だってお姉ちゃんの方が頼りになるんだもん。
なんだか考え方も大人っぽいし。
『まあお前が頼りねえのは今にはじまったコトじゃないけどな』
あ〜ひどいよふぁる〜。


「あのね、お姉ちゃん」
ふぁるとピヨピヨ話していた♀ハンタさんがこちらに話しかけてきました。
「はい、なんでしょう」
「ふぁるがね、大陸から島まで飛んできてのど乾いてるらしいの」
ふむ。
考えてみれば当然ですね。
「わかりました。水のありそうな場所まで降りましょう」
今までは歩きやすい尾根筋を選んで移動していました。
水を探すなら谷筋へ降りなければいけません。
けれど2日目も終わって食べ物も水筒の水も心もとなくなっています。
この際ちょうどいいでしょう。
「ところでふぁるに質問があるのですが」
「なあに?」
「この島の位置についてです」
ファルコンが大陸から直接飛んで来れたならこの島を出る方法もあるかも知れません。
「わかる?ふぁる」
ぴぃぴぃぴよぴよ
「え?うん……10よりおっきい数おぼえようよふぁる」
……。
なんだかとても不安になりました。
でももうしばらく待ってみましょう。
「聞いてみたよ」
「どうです?」
「大陸から九時の太陽の方向に長い翼の距離で行き7つ戻りいっぱいだって」
よくわかりません。
なんとなく大陸からずっと南東の方らしいことはわかりましたけど。
「いかだを作ったら陸までふぁるに案内してもらえますか?」
「ううん無理だと思う」
おや。即答ですか。
「なぜです?」
「翼の距離って風向きで変わるの。行きが7つで帰りがいっぱいなら、こっちに向かって2つ以上の風が吹いてるんだよ」
…やっぱりよくわかりません。
「帰りは向かい風になると言うことですか?」
「うん。ふぁるも帰れるかどうかわかんないぐらい遠いし」
すると海流の乗った海図か、風上へ切り上がれるような船がないと無理と言うことですね。
やはりいかだで逃げられるほど甘くはないですか。
どのみち島から出ると爆発というのが本当ならアウトですから最後の手段でしたが。
「それでは仕方ありませんね。水を探しましょう」
それにしてもこのゲームのバグはどこにあるんでしょうか。


『ところでよ。この山気を付けた方がいいぜ』
え?なんで?
『てっぺんに誰かいたからな』
さっきの女王蜂の他にも?
どんな人?
『なんかキナくせえ連中だったな』
それってやっぱり人殺しってこと?こわいなあ。
『いや違う。そりゃローグの野郎だ。上の連中は殺し合いしてるわりにゃエラくダレてたんだよ』
ええ?
じゃあ仲のよさそうな人達だったの?
それがなんできな臭いの?
『ちったあ考えねえとノーミソ腐っちまうぞ』
むー。頭は悪くないのにー。
『どんな上等の肉だってほっときゃ腐るのは一緒だってーの』
脳味噌って肉とはちょっと違うと思うの。
『だから例えだっ』
髪引っ張らないでよー。あんまり怒ると禿げるよ。
ふぁるがハゲタカになっちゃったらやだなぁ。
『なるかっ。奴らは俺達ファルコンとは別の鳥だっ』
うん、知ってる。
『…あーもー勝手にしろ。俺は寝る』
あ〜んすねないでよふぁる〜。
お願いだから答え教えて〜。
『猫なで声出すな抱きしめるななで回すな。羽根が乱れるっ』
だって〜。ふかふか〜。
『言ってるそばから頬ずりするなっ。わかった。教えてやるからはーなーせーっ』
は〜い。
『ぜー、はー、……いいか?どんな奴だって殺されるかも知れないとなりゃ警戒するだろうが。山の上にいる連中はその心配をしてねえんだよ』
それってまさか…。
『ああ。お前らをこの島に連れてきた奴らだろうな』
じゃあその人達をやっつければいいんだね!
明るくなったらふぁるとあたしとお姉ちゃんで…
『おちつけ。奴らやっつけるのが目的じゃねえだろ』
え、ちがうの?
目的って、まさか他の人達殺すことじゃないよね?
そんなことしたくないよ。
『ンなこた言ってねえ。なんとかして帰るのが目的だろって言ってんだ』
でも帰る方法なんて思いつかないし、見張ってる人達なら何か持ってるんじゃない?
『ちょっとまて。お前はともかくそっちのスパノビはテレポ使えてもおかしくないんじゃないのか』
うん。ニューマ使えるんだからテレポートも持ってるはずだよ。
『なんでそれ使って戻らねえんだよ』
なんか魔法があんまりよく効かないの。
それに島を勝手に出ると首輪が爆発するんだって。
『それじゃ連中倒しても島出られねえのは同じだろうが』
あ。そっか。
『まず首輪外すこと考えるんだな。それまで上の連中のことは忘れろ』
じゃあどうやれば首輪外せるの?
『俺が知るか』
え〜。
ふぁ〜るぅ〜。
『羽根かき回すんじゃねー!』


「ふぁ〜るぅ〜」
バサバサ
♀ハンタさんはふぁると仲良くたわむれています。
ちょっと楽しそうです。
でももうちょっと静かにした方がいいような気もします。
「♀ハンタさん」
「なあに、お姉ちゃん」
声を掛けると騒ぎがぴたりと止まりました。
「水を見つけたようです」
水の音が聞こえます。
細くてかすかな音ですが。
「どこ……あ、あった」
さすがハンター。水の匂いにも敏感です。
指摘するとすぐ斜面をまっすぐに移動し出しました。
山肌から染み出した水が水たまりを作っている場所を見つけたようです。
昨日の雨でできた一時的な湧き水でしょう。
沢まで降りないこの位置なら誰かと鉢合わせする可能性もそれほど高くありません。
今夜はここで休みましょうか。
ただ、
パチャパチャバタバタッ
「ああんふぁる〜。飲む前に水浴びしないで〜」
……。
飲み水を確保するにはもうちょっと時間がいりそうですね。


<♀ハンター>
現在地:E-5南端→?(山腹の泉
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備考 :対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方
状態 :半乾き? ♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん

<ふぁる>
現在地:E-5南端→?(山腹の泉)
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考 :なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇

<♀スパノビ>
現在地:E-5南端→?(山腹の泉)
外見 :csf:4j0610m2
所持品:S2ダマスカス、シルクリボン(無理矢理装着)、古いカード帖(本人気付いていない)
スキル:集中力向上、ニューマ、速度増加
備考 :外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)
状態 :半乾き? ♀ハンターの生い立ちや鳥との会話能力を知る、JTにより負傷

<残り24名>
30名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/04(日) 04:43:56 ID:9oEMUl7U
♀ハンタがふぁるから拠点のことを聞きつつ不用意にしゃべっちゃわない(GMに伝わらない)理由を捏造してみました。

>>28
最初の方を数話読み返してみた限りでは♀アコが2日分の水と4食分の食料、
逆に♂プリが食べきれないほどの干し肉を持っていたようですね。
支給に差があるようなので、さらに少ない人が居る可能性も?
31名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 17:03:11 ID:gOFUZTqg
223.生者のために、死者のために [2日目深夜]

光の届かない夜の森で、闇がうごめいていた。
よほど慎重なのか足音も小さく、風のざわめきを利用して巧みに存在を隠していた。
けれど瞳には、まともな人間であれば見ただけで萎縮し、取り乱してしまうほどの赤黒い殺意の炎が燃え上がっていた。

蠢動する闇とは裏腹に、男の表情は苦痛にゆがんでいた。
見れば男の脇腹からは、血らしきものが流れ落ちている。どうやら手当てしてあった傷口が開いたらしい。

男の傷はそれだけではない。
血には染まっていないものの、左目にはまだ新しい傷があり、おそらくは失明しているのだろう。
簡易的な処置を済ませてはあるが、焼けただれた左半身も、見るからに痛々しい。
が、男が顔をしかめることになった原因は別にあった。

不意をつかれて投擲された銛と呼ぶのもためらわれる鏃と棒を組み合わせただけのもの。
その先端が肌をかすめた程度でしかないのに、もうれつな睡魔が男を襲ったのだ。
男は睡魔にあらがうため、自らの傷を自らの手で開いた。

当然おびただしい痛みが男のからだを蹂躙した。
それでも眠ってしまうことに比べれば、ましだと判断したのだろう。
顔をくしゃくしゃにしながらも、ぎりぎりのところで痛みと睡魔に耐えていた。

槍を投げてきた相手が、仕掛けるタイミングをはかりながらどこかに潜んでいることは、容易に想像できた。
自分が同じような効力の槍を持っていたならば、間違いなくそうするからだ。
睡魔に耐えながら、さらにいつ襲ってくるかわからない相手に神経をすり減らしている相手へどう仕掛けるか。
この手の戦い方では、そこが肝心とも言えた。

しかし相手の作戦がわかっていたとしても、どうすることもできないことがある。
動きが鈍ることが、それだった。
体捌きに切れがない。そして反射神経すらも、麻痺しているようだった。
とにかく全身が、鉛をつめこまれたみたいに重かった。
鎧を身につけていなくてこの重さなのだから、冗談ではない。思わず苦笑したくなったほどだ。
それでもそんな暇はなかった。

相手が闇の中からようやくにして、飛びかかってきたからだ。
待ちかねたとばかりに男はシミターで反撃を試みた。
怪我をしていようと、手足が重かろうと、どこかで襲ってくるとわかっていた以上、遅れをとることはなかった。
その点ではさすがに戦い慣れていると言えた。

明かりの乏しい森に火花が散った。
ぶつかりあうバスタードソードとシミター。弾ける火花が剣戟の音にのって、持ち主の姿を浮かび上がらせた。

男は仕掛けてきた相手が女だったこと。
さらにはその女が冒険者ではなく、見知ったカプラ職員の一人であったことに眉をひくりとさせて驚いた。

女は男がクルセイダーであるのに盾を持っていないこと。
そして男が自分の銛によって困憊しているだけではなく、左目に傷を負っていることを知り、冷たい笑みを浮かべた。

どうせ他の殺人鬼に襲われて傷を負わされ、ほうほうの体で森に逃げこんで傷を癒していたに違いない。
これなら死角をうまく使うことで手早く決着をつけることができる。
そのカプラ職員の女、グラリスはそう思ったのだろう。自然と動きに単調さが生まれた。

まさか目の前のクルセイダーが祝福された死神の二つ名を持つ殺人鬼だなどとは、推察できるはずもなかった。

♂クルセイダーは、グラリスが自分の左目に気づいたからには、ためらいなく狙ってくると確信した。
彼女の瞳にどうしようもないほどの焦燥と殺意が渦巻いていることから、殺す側の人間であると直感していた。
だからこそ、行動を先読みできた。

この相手を見抜く力の差が、明暗をわけた。

グラリスが♂クルセイダーの死角から剣を揮う前に、♂クルセイダーは右目をも閉じていた。
どこからどう斬りつけてくるのかが予測できるのだから、あとはその瞬間さえ見誤らなければ良いのである。
視覚など必要ない。触覚と聴覚を研ぎ澄ませれば、それでじゅうぶんだった。

グラリスの剣をかわしざまに、♂クルセイダーはシミターで腕ごと斬り飛ばした。
首を飛ばしていれば、グラリスはその場で絶命しただろう。
けれどそれができなかったのは、♂クルセイダーの肉体が本調子から遠いことの証だった。
つまりあと一歩が届かなかったのだ。

耳を裂く絶叫がグラリスの口からあふれた。
かろうじて右手はつながっているものの、左手の手首から先を失ったのだから無理もない。
突っ伏してうめくと、さらにのたうち回った。
気を失ったとしても不思議ではない痛みが脳を駆け巡っているはずである。

♂クルセイダーにとってこれ以上の好機はない。
ところが彼もまた、次の一手を打つことができなかった。血を流しすぎたのだ。
ゆらりと上半身を揺らし、大木に背を預け、必死の形相でグラリスを見る。

相手は剣と左手を失ったのだからすでに問題はない。いや、そんなことはないと♂クルセイダーは考えていた。
あれほどの殺意を持った人間がその程度であきらめたりはしないことを、彼はよくわかっていた。
最終的には自分の命すらも必要としていない、殉教者のそれと同じである。命よりも優先するべきことが、他にあるのだ。

油断ない声で♂クルセイダーは言葉を発した。

「お前はこの島で、なにを求める? 自分の命すらも投げ出して、なにを求めている?」

答えられるはずがない。普通なら痛みに動くこともできないはずである。

ところが彼女は普通ではなかった。
どこからか取り出した矢で、唐突に左腕を刺した。
ぐさり、ぐさりと彼女は矢を刺した。それも一本ではない。二本、三本、四本と立て続けに突き入れた。
とても正気の沙汰ではない。

が、♂クルセイダーは彼女がなにをしているかをすばやく察した。
先ほどの♂クルセイダーとは逆である。
♂クルセイダーが痛みで眠気を飛ばそうとしたのに対して、グラリスは眠気で痛みを紛らわせようというのだ。
つまりはスリープアローを鎮痛剤として使ったわけである。

「それでもお前の死は動かない。無駄なことはするな」

声が届いていないのか、それとも届いていても聞いていないのか、彼女は皮膚をかきむしって痛みに耐えていた。
その上でさらに飛ばされて転がっているバスタードソード近くまで這いずろうとするのだから、おそろしい。
執念というほかなかった。

なにが彼女をそうまでさせているのか?
♂クルセイダーにはわからなかったが、手足が動くのなら、せめて楽にしてやりたいと思った。
実際には木にもたれかかっていることが精いっぱいで、両手も両足も、もう一歩も動かせなかった。

もしグラリスがこのままバスタードソードまでたどり着き、右手に持って襲いかかって来たら殺されるかもしれない。
そうでなくとも、自分もこの女も、この状態では遅かれ早かれ・・・・・・

気がつけば、噛みしめた奥歯が砕けていた。
ほんのひと時でも死を受け入れようとした自分を、自分の中のなにかが拒否したのだ。
意外に思うよりもはやく♂クルセイダーは自分の浅慮を悔いた。

(そうだ、俺は死ねない。死ぬわけにはいかない。たとえどんなことがあっても殺されるわけにはいかない)
(俺を殺す神など、いない)

今度は♂クルセイダーが絶叫した。
森中を震わせる、あらん限りの力をしぼり出した叫びだった。
死神にはふさわしくない、生命に満ちた叫びだった。

ひたすらに吼えて♂クルセイダーはシミターの剣先を、いまだ地面を這いずるグラリスに向けた。

殺さなければ、殺される。そして死ぬわけにはいかない。
♂クルセイダーはひどく当たり前のことを思った。
理由は違うが、きっと彼女もまた同じなのだろう。目的を果たすまで、死ぬわけにはいかないのだ。

♂クルセイダーはグラリスが戦う理由を知らない。
それは愛するWを生かすために。

そしてグラリスもまた、♂クルセイダーが戦う理由を知らない。
それは神を信じて死んだ少女を弔うために。

二人はそのために相手を殺さなければならず、そのために生きなければならなかった。
あまりにも悲しい戦いだった。


<♂クルセイダー>
現在地:E-4
髪 型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し)
状 態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身 体力は再びレッドゾーン
備 考:♂騎士を生かしはしたものの、迷いはない

<グラリス>
現在地:E-4
容姿:カプラ=グラリス
所持品:TBlバスタードソード、普通の矢筒、スリープアロー十数本とそれを穂先にした銛
備考:
状態:裂傷等は治療済み 左手首から先を失う 体力はレッドゾーン
32名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 17:21:02 ID:gOFUZTqg
受け入れてもらえるのかどうかとても不安な展開を投下します。
全国のグラリスファンの皆様、ごめんなさい。
でもまだリタイアじゃありませんので、どうなるかは次の人にお任せします。

それにしても重い展開が増えてきたので、アナザーでも書いて気分転換したくなりますね。
33名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 22:11:40 ID:4VoaXqGo
ぎゃあw
同じ組み合わせで朝方の話書いて時間進むの待ってたら没った!w
く、悔しくなんかないんだからねっ!(何者

てことで別PTの時間を進めてみまっす。
34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 22:13:47 ID:4VoaXqGo
224. B.O.T.[2日目深夜]

へし折られた刃にはいかなる殺傷力も残っていなかった。
しかし魔槍はどこまで行っても魔槍であった。
ヘルファイアはその力の残滓を文字通りの残り火と変え、
血の色を思わせるかすかな光を灯し続けた。

ほどなくして。
「ちっ。やっぱ焚き火してる馬鹿なんざ居ねえか」
赤光にひかれてやってきた♂ローグが吐き捨てた。
罠の可能性も考えわざわざトンネルドライブで近付いたのが馬鹿らしくなってくる。
彼は腹立ちまぎれに折れた槍の穂先を踏みにじった。
靴越しにじんわりと熱さを感じる。
「…いや。まだ熱いってこたあ、さっきまで誰かいたってか?」
そう言えば地面にもだいぶ踏み荒らされた跡がある。
つい最近、誰かがここで争ったに違いない。
♂ローグは素早く地面に伏せ、顔を横にして周囲を見渡した。
自分が飛び道具で狙われるのはごめんだし、視線を低くして眺めれば立ってては見えない微妙な凹凸が分かったりするのだ。
近くに誰か潜んでいれば見えるかも知れない。
「ん…?」
すぐに地形としては不自然な盛り上がりを見つけた。
伏せた人間のようなものが1つ。ただし頭がない。
そして少し離れたところにいわゆる土饅頭が2つ。
「どういうこった?」
身を起こして♂ローグはつぶやいた。
墓を作ったということは生き残ったのが仲良しごっこを続けてる奴だったってことだ。
放置されてる死体が襲ったか裏切ったかした奴だろう。
だが、墓を作る時間を掛けたとすると戦いが終わったばかりだという予想とずれる。
彼は土盛りに歩み寄り…無造作に蹴り崩した。
人1人分の穴を掘って土をかぶせただけの墓はあっさり崩れ去る。
現れた遺体を見て、彼は低く口笛を吹いた。
「いいツラになったな、おい」
ぐしゃぐしゃに叩きつぶされ土にまみれた顔はもはや判別不能だが、その挑発的な衣装は見間違えようもない。
彼が騎士とプリーストのカップルを狙ったときに邪魔してくれたダンサーだ。
試しにもう1つの墓も暴いてみるが、こっちは真っ黒に焦げていてよく分からない。
「確か今朝にはもう死んでたよな、おめえ」
埋葬されてなかった♂剣士も含め朝の放送で発表されたメンツのようだ。
つまりここで戦闘があったのは丸1日近く前のことになる。
彼は舌打ちした。
「ったく。だったらなんでまだ熱いんだおめえはよ」
ヘルファイアに毒づく。
もちろん槍が答えるはずもない。
♂ローグは試しに持ち上げてぶんとひと振りしてみた。
火球が撃ち出されることはないが、ちろちろ燃える残り火が一瞬大きくなり夜空に光の弧を描く。
「…そういうことかよ」
どうやら魔力がかすかに残っているらしい。
それが刃を熱しているだけだ。
と言っても刃が折れている以上、マッチかアイロンの代わりぐらいにしか役立つまい。
彼は魔槍を投げ捨てた。

だが。
赤い光の弧が宙に描かれたとき、それを見た者が意外なほど近くに居た。
距離にしてほんの百歩ほど。
昼間なら間違いなく視認できる距離。
しかし月光だけで見つけるにはわずかに足りない距離。
そんな位置に♂スパノビは巨体を縮こまらせることもなくただじっと座っていた。
足元では♀BSが静かな寝息を立てている。
闇の中、動かずただ座っている彼らには♂ローグも気付けない。
♂スパノビ達のかたわらには地図が広げられていた。
散り散りになった仲間達がどちらに行ったかを考えるため♀BSが広げたのだ。
しかし座り込んだ途端に朝からの疲れが噴き出し、そのまま寝てしまった。
♂スパノビは彼女を見守る。
起こした方がいいのかどうか判断がつかない。
このことに限らず、彼はえらい人に命令してもらわないとほとんど何もできない。
修練所のえらい人は何か難しいことを言っていた。

レオはこう言った。
「お前、もしかして生まれつきのバトルオーダートリッパーか」
BattleOrderTripper、略してBOT。
戦うよう命令を受けると半ば催眠状態に陥り、死ぬか終了を命じられるまで戦い続ける人間のことである。
彼らはある意味バーサーカーと似ているが、いくつかの点がはっきり異なる。
まず上位の者に命令されない限り症状を起こさないこと。
バーサーカーのように戦いの中で自然に狂乱状態になることはない。
次に肉体的には常人と変わらないこと。
異常な戦闘力や生命力を発揮することはなく、その分肉体的限界に達するのが遅い。
場合によっては不眠不休で数日間戦い続けることもある。
そして最後の違いは指定された「敵」しか襲わないこと。
催眠状態に陥るとほとんどの精神活動が止まるが、敵とそれ以外を区別することだけに単純化された判断力は残る。
余計な事を考えない分その反応は早く、また恐怖にとらわれることもない。
以上の特徴からBOTは命令者にとって都合のいい兵士だと思われ、作成法が確立されて一時期さかんに作られた。
しかし、である。
肉体的には常人止まりな上に臨機応変さに欠け、戦場で対等の相手と戦えばすぐに死ぬ。
しかも外見で敵味方がはっきり区別できないと役に立たない。
したがって力に劣る敵――民間人に対する無差別攻撃や、害獣を根絶やしにする目的にしか使えなかった。
今となってはほとんどの国家でその利用が禁止されており、せいぜいタチの悪い商人が密漁目的で配下に細工しているぐらいである。

ところが♂スパノビには生まれつきその素地があるらしい。
そして彼は彼自身にもよく分からない基準で従うべき「えらいひと」を決める。
法律や王国の兵士達はえらいひとではなかった。
だからこそこんな所に送られることになった。
しかし、今の彼には「ぼず」が居る。
もしも♀BSが命じれば彼は死ぬまで戦い続けるだろう。

♂スパノビは迷った末に♀BSへそっと手を伸ばした。


<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ クロスボウ 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2 未開封青箱
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:全身に軽い切り傷

<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖
外 見:むちむち カートはない
備 考:ボス 筋肉娘 覚悟完了
状 態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOTかもしれないが症状は未発現
状 態:HPレッドゾーン
35名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 22:17:48 ID:4VoaXqGo
今まではほぼ♂ローグが一方的に不意撃ちしていましたが、逆もありかなと状況設定。
でも彼が気付きさえすればまだまだ先制の余地はありますね。
ニアミスのまま♂ローグが南へ向かうか、あるいはどちらかが戦端を開くかは次の方にお任せします。
…BOTに関する下りは…いやそのごめんなさい。
36名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/09(金) 00:51:38 ID:i10jEGto
悪ケミ:没ったのもちゃんとupしなさいよ。
悪ケミ:別に読みたいわけじゃないのよ。ただ個人のディスクの中に埋もれるのはもったいないじゃない。
悪ケミ:それに、ちょこーっとくらいは気になるし。

子バフォ:主もどうして素直に読みたいと言えんのだ。
37名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/09(金) 02:35:33 ID:ubPuFA6.
>>36
んじゃまお言葉に甘えてアナザー投下っ

◇◇◇◇◇

アナザー.その河を渡って[3日目明方]

ザ――……
雨音か。波音か。
長く切れ目のない水音が脳裏に響く。

返らぬ日に聞いた音を思い出す。
『ほら、こうやって貝を耳に当てると海の音が聞こえるんですよ』
『それは耳の中を流れる血の音だって習ったんだけど』
『もう、不粋ですね』

ついに俺も彼岸に渡ったのか。
そんな思いが脳裏をかすめ、すぐに♂クルセは唇を歪めた。

俺がそう簡単に死ねるはずがない。
今まで手に掛けてきた奴らに蹴り戻されるだろう。
彼はあちこち引きつる身をゆっくり起こし、目を開けた。

ザ――……
すぐそばを川が流れている。
濁流と言うほどではなくなっているが、まだ水量は多い。
昨日降った雨が地下水位を上げたのだろう。

彼は思い出す。
♂騎士と出会って傷の深さを再認識し、D−4の川辺に戻って休んだのだ。
まだ癒えきっていない背の刺し傷が痛むが顔には出さない。

そして言った。
「そこにいるのは、誰だ」


気付かれましたか。
やや離れた茂みでグラリスは舌打ちする。
空が明るくなり始める少し前に動き始め、空が白んだところで♂クルセを見つけた。
昨日の反省もあって仲間の有無を確認していたのだが、その間に気配を察せられたらしい。

「貴男は殺し合いに……乗ってませんわよね?」
ガサガサと、わざと音を立てつつ茂みから砂浜へ出る。
3日目にもなって1人でいると言うことはほぼ間違いなくゲームに乗った殺人者だろう。
だが戦闘で散り散りになったり、1人だけ生き残る可能性もある。
逆に言えば彼女が騙せる可能性も残っている。

「いいや。俺は人殺しだ。お前と同じ、な」
対する♂クルセはあっさり言い切った。
「あら?私は……」
「ごまかしても無駄だ。お前は俺と同じ臭いがする」
彼はグラリスから直感的に殺意をかぎ取っていた。
理屈とは別の、前回優勝者としての勘で。

グラリスは相手の鋭さに舌を巻いた。
だが即座に頭を切り替える。
近寄ってみて分かった。♂クルセも軽くない傷を負っている。
やるなら今だ。
いきなりダッシュを掛け、体の影に隠し持っていた銛を振りかぶる。

グラリスの手から放たれた銛はまっすぐ宙を貫いた。
双方の間合いは10歩ほど。飛び道具にとっては至近距離。
それでも♂クルセは反応し、しかし動きが一瞬鈍った。
ど、と銛が左肩に突き立つ。

♂クルセの膝が崩れた。
グラリスは土を蹴立て、スカートの下からバスタードソードを抜きつつ一息に駆け寄る。
この相手は危険だ。
睡眠毒が効いている内に一撃で決めなくてはいけない。
彼女は♂クルセの頭を狙って大きく振りかぶった。
その目前で、眠っているはずの男の右手が動く。

ズボッと穂先の抜ける音。
強力だが軌道が単純になった剣の腹を男の左手甲が払う。
同時に右手で引き抜いた銛がグラリスの喉元めがけて突き出された。

「くっ!」
不意打ちだったにも関わらず、グラリスは首を振ってそれを避けた。
だが、槍に分類される武器としては常識外れの速度で銛が引き戻される。
――スピア・クイッケン!?
そのスキル名を脳裏で叫ぶ間もなく、胸元へ放たれた突きを剣の鍔元で受ける。
しかし続く腹への突きまでは捌ききれなかった。

どっ
「ぐはっ!」
グラリスの腹で鈍い打撃音が上がる。
彼女はその勢いに突き飛ばされてごろごろと転がった。
そして苦しげに腹を押さえ、片膝立ちに身を起こす。
「……?」
♂クルセは手応えに違和感を感じ、追撃を掛けずに右手の銛を見下ろした。
彼はすぐに銛を捨てシミターを抜く。

「はぁ…はぁ……。本当に油断ならない方ですわね」
打たれた腹を押さえて荒い息を吐くグラリス。
「…お前こそ、な」
左肩と左手の甲から血を流す♂クルセ。
双方は睨み合い、油断無く己の剣を構えた。

グラリスの睡眠毒は♂クルセに効かなかった。
睡眠毒とは麻酔の一種であるから。
多くの傷を負ったままの彼には苦痛をやわらげる程度の意味しかなかった。
♂クルセの銛はグラリスを貫けなかった。
銛に穂先は付いていなかったから。
仮止めされただけのスリープアローは彼の肩に残り、抜けたのは柄だけだった。

お互いに相手の手強さを確認した2人は慎重に間合いを詰める。

ざっ
今度は♂クルセが先手を取った。
怪我を感じさせない鋭い踏み込みで刃の圏内にグラリスを捉える。
そして右からの一閃。
グラリスは青眼に構えた剣の手元を脇に引き、鍔元で弾いた。
即座に切り返しの一撃が垂直に振り下ろされるが、正面に残した切っ先でこれも受け止める。

十字を描く2連撃を受けきったグラリスはそのまま剣を弾き上げ、振り下ろす。
だが♂クルセはそのバスタードソードの腹にシミターを沿わせた。
シャラアアアアァァンッと美しい音を立て、長剣の刃を舐めつつシミターが走る。
その軌道は円。
完璧なその動きに流され、グラリスの長剣が地を叩いた。

「くっ!」
攻撃を捌いた流れのままにシミターがグラリスの喉元へと迫る。
彼女は後ろ向きに跳びすさり必死に避けた。
鼻先をかすめる切っ先を感じつつ、長剣を体ごと振り回して追撃を牽制する。

♂クルセは深追いせずに踏みとどまり、再び間合いが開いた。

「強いですわね」
グラリスは敢えて口に出した。
この相手は本当に強い。
もし怪我をしていない全力の状態だったらと思うとぞっとする。
剣対剣での真っ向勝負では勝ち目が薄い。
「出直して来ましょうかしら」
彼女はそう言って、半歩引きつつ腰の後ろへ左手を回した。

グラリスの言葉も動作も誘いである。
逃げる気なら何も言わずにまっすぐ逃げた方が確実だし、今の彼女に他の武器はない。
焦った打ち込みを誘い、隙を作らせるためのフェイクだった。

だが、♂クルセは慌てなかった。
相手が引いた分だけ間合いを詰め、改めてグラリスの右側面へ踏み込む。
グラリスが何か隠し持っていても右目で見える範囲なら受けきれる。
それだけの自信があるので攻撃に無理がない。

右手首を狙って振り下ろされるシミターをグラリスは片手持ちのままの剣で受け止めた。
手応えが軽い。切り返しが来る。
右脇を駆け抜けながら小手から面へと切り返す剣筋。
今さら左手を沿えても重い両手剣を上げるのは間に合わない。
そう知りつつグラリスの左手が動いた。

かっ
♂クルセの曲刀が乾いた音を立てる。
そして折れた矢が砂浜に落ちた。
続いて襲いかかるバスタードソードを鍔元で受け止め、押し合いながら彼は呟く。
「矢、か」
切り返しの直前にグラリスが左手で投げたのだ。
反射的に打ち落としたため切り返しは止まった。
しかし分かったこともある。

ぎり、とグラリスの歯と刃が鳴った。
矢を投げたことで切られることは逃れたが、まともな隠し武器がないことも知られた。
ナイフの一本でもあればそちらを投げている。
そして矢は握って突き立てるのならばともかく、投げて刺さる物ではない。
つぎは牽制にもならないだろう。

グラリスは噛み合った刃を突き放し、力を込めて両手で武器を振った。
小技が効かないのならば武器の重量差で圧倒するしかない。
シミターはレイピアより幅はあるが、曲刀の例に漏れず刃が薄い。正面から打ち合えば折れる可能性もある。

しかし♂クルセは思った以上に強く、そしてしたたかだった。
払い、流し、決して正面から受けない。
さらに武器が軽いことを逆に利用して手数で攻め立て、強く打ち込むチャンスを与えない。
火花を散らして数合打ち合う間にグラリスは追いつめられていった。

グラリスは焦る。
今は何とか受けているが、このままではいつ致命的な傷を負うか分からない。
かと言って逃げようにも♂クルセの移動攻撃で位置が入れ替わっていた。
♂クルセは木々を背に、グラリスは川を背に。
打つ手がない。
38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/09(金) 02:36:17 ID:ubPuFA6.
その時。
ズバンッ!
「きゃ」
「む」
♂クルセのシミターから衝撃波が発せられた。
周囲の土砂と木の葉を巻き上げ、さらにグラリスを浅瀬まではじき飛ばす。

浅い流れに身を浸したグラリスを♂クルセはすかさず追った。
休ませてやるほど彼はお人好しではない。
川辺の泥を蹴立てて駆け寄る。
それに対してグラリスは尻餅を付いたままばしゃばしゃと後ずさった。
「来ないでっ!」
普通の娘のように悲鳴を上げ、手足を振り回して彼へ水を跳ね飛ばす。
(無様な)
♂クルセは無造作に進みかけ――立ち止まった。

この相手は油断ならないのではなかったか。
今さら無様なまねを晒すはずがない。
これは油断を誘うための演技に違いあるまい。
そしてこちらも川に誘い込み、条件を対等にしようという策だ。
水を吸えば衣服は重く体にまとわりつくし、流れに飲まれれば剣は振り回せない。
彼は水しぶきの届かない位置で立ち止まった。

案の定、グラリスは狂態を止める。
「あら。来ないんですの?」
残念そうに言って立ち上がった。
膝上まで強い流れに洗われており、全身から水が滴り落ちる。
「上がってこい」
♂クルセは冷たく言った。

グラリスは婉然と笑う。
「い・や。ですわ」
そしてバスタードソードを足元に突き立て、首の後ろに両手を回した。
一瞬怪訝な顔をした♂クルセも彼女がエプロンを外したところで意図に気付く。
濡れて重たくなった服を脱いでしまうつもりらしい。
戦うのに不利な材料がなくなり、しかもいざとなれば泳いで逃げられると言うわけだ。
「…思いきった物だ」
彼は感心半分呆れ半分の感想を漏らした。
思いついても普通は実行しない。
まして敵の目の前では。
彼は「ある瞬間」を待って踏み込んだ。

グラリスは足元から剣を抜く。
上半身をはだけ、その服を右腕にぶら下げたまま。
♂クルセは彼女が上着を半分脱ぎ、両手を拘束されるタイミングを狙ったのだ。
ある程度予想していたこともあって左手を抜くのは間に合った。
だが右腕に残った服が剣を振る邪魔になる。
男である以上脱ぎ始めれば少しは動揺を見せるかと思ったのに、それもないとは。
彼女は舌打ちし、左へ移動しつつエプロンを投げつけた。

顔を狙う白布を♂クルセは頭を下げてかわす。
湿った布を空中で切り裂くのは難しい。下手すれば武器に絡む。
それに、
ぴちゃっ
飛び散る水が額を打った。
受けても切ってもしぶきが散るのは止められない。
右目に入れば左目の塞がっている彼は危機に陥っただろう。
グラリスの思惑をかいくぐり、彼はシミターを横に薙いだ。

ジギィッ
グラリスが腹の前に立てた剣の表面で火花が散る。
横薙ぎの初撃は受けた。
けれどまだ縦の切り返しがある。
彼女は上着の重さに邪魔されつつも可能な限り素早く剣を上げた。
しかし、それをあざ笑うかのようにシミターは同じ軌道を戻る。
クルセイダー=ホーリークロスという思い込み。そして最初に見せた十字の切り返し。
それらを伏線にした攻撃はグラリスの胴にできた隙を確かに捉える。
身をよじる彼女の脇腹からぱっと血がしぶいた。

――浅い。
♂クルセは冷静に判断した。
グラリスの右腕から垂れ下がった服。
彼女の腕の動きを阻むそれが今度は盾となって刃の深い侵入を防いでいた。
ならば無防備に素肌を晒している部位を切るまで。
彼の左目の死角へ逃げ込もうとするグラリスにとどめを刺そうと左足を引く。
その足が、何かに縫い止められた。

「せえいっ!」
グラリスの気合い。
振り向けない彼の、見えない左目にできた死角から長剣が襲いかかる。
それでも彼は音と勘だけで左腕を上げ、確かに刃を受けた。
腕一本捨ててもまだ戦える。
だが。

グラリスの剣に付け加えられたヒドラカードの魔力は人の肉と骨を引き裂く。
刃は彼の腕を砕き、肺にまで達した。


「ごぼっ……矢、か……」
♂クルセは口から泡混じりの鮮血を流しながら呟く。
踏み換えようとした彼の足を縫い止めたのは川底に植えられた矢だった。
よく見れば周辺には同じように数本刺してある。
おそらく尻餅を付いたまま水を跳ね飛ばしていたときに左手で細工したのだろう。
その一本を踏み抜いたのだ。

刃がずるりと抜ける。
支えを失って体が仰向けに倒れた。
ここまでか。
明るさを増しつつある空を見上げて♂クルセは思う。
俺は死に場所を探していたのだ。
未練はない。

ただ、一つだけ心残りがあるとすれば。
俺がこの島での戦いにこだわり続けた理由に。
どんな聖職者も俺を満足させられなかった問いに。
納得のゆく答えが欲しかった。

「神は……本当に……いるのか……?」
目を閉じた♂クルセの唇から、質問とも疑問ともつかないつぶやきが漏れる。
クルセイダーらしからぬその言葉にグラリスの眉が小さく動いた。
しかし彼女はすぐに肩をすくめる。
「さあ?」
神が居ようと居まいと関係ない。
どちらにせよ彼女には何もしてくれないのだから。
彼女にとって大事なことはただひとつ。
「私には、私だけの天使がいますの。それだけで充分ですわ」

閉じられていた♂クルセの目が見開かれた。
光を失いつつある瞳から一筋の涙が落ち、
何かをつかもうとするように右手がまっすぐ伸ばされる。

「……?」
グラリスは慎重に距離を取り、手の伸ばされた方向を振り返った。
雲一つない空へ昇る太陽。
それだけが木立の隙間に覗き見える。

「なんですの?」
そう言って彼女が再び振り向いたとき、
男はすでに息絶えていた。
39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/09(金) 10:33:28 ID:BjW.JZ9c
>>31の人のように他の人に続きを託しているほうが、リレー小説っぽくて好き。
>>37の人は展開とかはおもしろいんだけど、毎度の一人完結がちょっと気になる。

二人ともしっかりと銛を使用し、睡眠毒で麻酔効果も表現しているあたり
話の作りが上手いなぁと思う。
40名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/10(土) 02:46:00 ID:kJN4sdms
>>34の人のBOTに関する設定も、なかなかCOOLな感じで好きだな。
41名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/10(土) 22:28:27 ID:Mink0s82
しかし、214話はどうなるんだろう。
採用なのか、無かったことになるのかがわからん。

WIKIでは ? になってるし・・・。

第一回でもなんか色々あったみたいだし、
この案件もそろそろ決着付けた方がいいんじゃないかな。
42名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/11(日) 20:03:36 ID:3vghxeEo
連絡もないし修正する気がないということでNG扱いでいいんじゃないか?
現状214話以降の話でも、214話に絡んでる話はないしな
214話の内容的にも♀ケミと♂プリの接触だけだし問題はなさそう
ぶっちゃけあの話のせいで♀ケミ、♂プリ、♂WIZ、ミストレスが動けない気がする

むしろNG扱いになってないのが不思議
まあ、修正意見出てから、3日以内に連絡しないと問答無用でNGくらいにしておいたほうが
個人的にいい気がするね
43名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/12(月) 08:14:25 ID:ODjynLOs
前にも話題に出たけど修正作業は三日以内、それができない場合はスレに連絡。
連絡無い場合はNGって決まりにしないと後々の人に響くよ。

というわけで、214はNGでいいと思います。
44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/12(月) 22:42:36 ID:o1g0L8UM
では一応>>42から3日だけ待って14日20時NG確定ってことで?

そして以降はこんな感じ?
・修正要望が出た場合、3日以内に修正を行うか自分なりの見解を示して賛否を問う
・見解に対してさらに修正要望が続いた場合そこから改めて3日間とする
・3日以内に修正できない場合、遅れる旨といつ頃までに可能かをスレに連絡する
・遅れは最長1週間まで
・本筋に関わらない軽微な訂正はこの限りではなく、wiki掲載を待っての修正も可とする

問題があるとすれば遅れの最長期間が1週間じゃ短いかもってことと、
修正要望論と擁護論がある場合の扱いですかね?
45名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/14(水) 02:05:36 ID:IDGWjnCo
おっす、オラ214話書いたモンだ、今日もいっちょ214話NGにすっか

……すまん。真面目な話苦手なんだ
修正案は色々出てたけど、やはりあの話は横島♂プリが出てこないのなら、存在する意味も薄いと思うし、NGでお願いします
レスが遅れてごめんなさい
あの話をマジ♂プリバージョンで書いてみたんだけど……ダメだ、つまらん
俺の力量ではおもろく出来なかった_| ̄|○
46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/15(木) 17:47:21 ID:R0.yyHGg
225.目覚め[2日目深夜]

サラサラサラサラ
草の擦れ合う音がする中、くるぶしまで届くような丈の草原をゆっくり南下する。
月明かりがあるとはいえ、見える範囲は決して広くない。
足音がするような歩き方をしないとはいえ、ここまでの長さに成長した雑草を相手に忍足をするほうが無理だというものだ。
それゆえに彼は、その囁き声に気付くのに遅れてしまった。
あるいは、拍子抜けのあまり気が緩んでいたのかも知れない。
しかし、彼はエキスパートだった。
次の瞬間、背負っていたクロスボウを素早く構えた。
その獰猛な笑みとともに。

♂スパノビは意を決して♀BSの肩をそっと揺さぶった。
「ん・・・・?」
疲労していたとはいえ、不覚にも眠っていたようだった。
「ど・・・」
しゃべりかけた♀BSに対し♂スパノビは必死の形相で首を振り、ある方向を指差す。
様子がおかしい。
♀BSは♂スパノビの指差す方向を凝視してみた。
自分のへし折った炎の槍のかすかな光の向こうに何者かが動く影。
「おで・・・怖い」
♂スパノビは体を動かさず、♀BSに囁いた。
こんな時刻に単独で動く人間。身こなしを見る限り盗賊あがりだろう。そして、♂スパノビの怯え。
結論は一つ。あそこにいるのは、仲間を傷つける可能性のある、敵だ。
その瞬間、♀BSは眠気が吹き飛ぶのを感じた。そして、素早く頭を回転させる。
「相手は1人、こっちは2人いる。いくら向こうが手練れでも同時に畳み掛ければ十分に勝機はあるはずだよ」
トーンを落とした声で♀BSは言う。
「あたいが先陣をきるからあんたはフォローを」
「わかっだ」
♂スパノビは言われるがまま頷く。
「相手は1人・・・あいつをやるよ!」
♀BSの自分に言い聞かすような言葉は図らずも、♂スパノビのどこかにスイッチを入れてしまった。
「ぼずの命令・・・あいつを、やる」
二人は音もなく立ち上がる。かたや闘将のごとく。かたや幽鬼のごとく。

自分の勘が正しいことは即座に証明された。
背後の、それほど遠いわけでもない場所から立ち上がる2つの影を見付けたからだ。
「気を緩めた瞬間に急襲ってかぁ。面白い」
♂ローグは即座に相手の戦力を分析する。
ぱっと見る限りは2人である。
ほかにも伏せている可能性がないわけではないが、回り込まれた可能性は皆無だ。
油断していたとはいえ、警戒していたのは事実である。
また、自分の足音すら隠し切れない草原、遠くまで見通せない薄暗さでは狙撃の可能性も限りなく低い。
「おいおい、思ったより無謀だなあいつら。なにか奥の手でもあんのか?」
独りごちる♂ローグに向かって影の片方が間合いを詰めるように走り出した。
「ち、前衛と後衛か?だが!」
手元にあるのは準備されたクロスボウ。
ほんの一呼吸ほどで詰まるほどの間合い、が逆にその距離だからこそ必殺の一撃にもなりうる。
限界まで張られた弦が高い音とともに矢を弾き出す。

打ち合わせ通り走り出した♀BSの背中を見ながら、立ち尽くす。
頭の中でこだまする教官の声。
”お前、もしかして生まれつきのバトルオーダートリッパーか?”
そして♀BSの言葉。
”あいつをやるよ!”
そのとき、彼の体は意思とは裏腹に外部の状況に反応していた。

♀BSの反応は早かった。
立ち上がり、向こうの影が弓を構えていると知った途端走り出した。
扱いやすく力のないものでも強烈な一撃を繰り出すことができる石弓。
完全に接近してしまわないと安心できるものではない。
しかし、♀BSが♂ローグの顔の傷を確認できる場所に到達した瞬間、矢は放たれた。
彼女ではなく、その背後に立ち尽くす♂スパノビにめがけて。
「しまっ」

ゴゥ!
♂スパノビの足元から細い枯葉が舞い上がる。
矢の風切り音はその音に飲み込まれ・・・そして、あらぬ場所に矢が突き立つ。
「ニューマだと?」
しかし、遠くに構ってられるほどの余裕はない。
目前にせまったワイルドな女、♀BSが手に持った斧を振りかぶったからだ。
「ちっ」
素早くバックステップをし、距離を取る。
空ぶった斧を既に構えなおし再び間合いを詰めようとする♀BSが見える。
精神集中を行い、姿を隠匿する。
ターゲットを見失った♀BSはしばし逡巡するが、後ろも見ずに叫ぶ。
「♂スパノビ、ルアフを!」
返事もなく後ろの影は青白い光の玉を纏い、♀BSに走り寄る。
トンネルドライブを行使し、矢をつがえながら回り込もうとしていた♂ローグは舌打ちする。
「思った以上に厄介だな」
すばやく姿をあらわし、今度は♀BSめがけて矢を放つ。
しかし、先ほどと同じく♂スパノビはそれに反応しニュマを行使する。
二人は背中合わせになり、♂ローグの襲撃に備え始めた。

闇を切り裂き矢が飛来する。
常人とは思えない反応でそれにあわせてニューマをはる♂スパノビ。
その体躯を守るように青白い光が絶え間なく旋回する。
♂スパノビと背中合わせになり、出鱈目なタイミングで飛び来る矢をニューマで防ぎながらの防戦。
矢はニューマの切れ目に飛んでくることもあれば、気が緩みそうになる瞬間に飛んでくることもあった。
そのタイミングに規則性はなく、こちらが疲労するのを今か今かと待っているようである。
事実、待っているのであろう。お互いに決定打に欠けるがゆえに疲労による隙は付け入る余地がある。
「それはあたいらも同じことさ」
ばらばらになった仲間たちにこいつを近づかせるわけにはいかない。
そういう意味では、相手がこちらに集中するのはいいことである。
再び足もとから上昇気流が巻き起こる。どこかで矢が地面に突き立つ音がする。
もう何度この繰り返しを行っただろうか・・・。
そっと背後を見てみると無表情な♂スパノビの横顔が見える。その顔に疲労の色はない。
スパノビの精神力の脆弱さは有名なくらいである。
精神集中を要する単調作業にこれだけの時間もったことの方が驚嘆に値するだろう。

「ち、思った以上に粘るな」
姿を隠せる分圧倒的に分があるが、人数の差は埋めがたい。
2人で動かず防戦に徹しているということは、この場には他に仲間はいないのだろう。
もしくは・・・援軍待ちの可能性もある。
あまり長引かせるのも得策ではない。
矢も多めにあるとはいえ限りがある。
ましてや、今夜の内に出来うる限り障害はなくしておきたいのである。
ならば・・・。
ルアフの効果が切れたとき。その時が狙い目だ。
魔法は同時には行使できない。ニューマとルアフの一瞬の隙をつく。
この意図された膠着はその狙いを誤魔化すためのブラフ。
もちろん、相手が精神的な限界をきたす方が理想的ではあったが。
視界の中で草原に舞う草がなくなる。
もう少しだ・・・・。
じりじりと移動をしながら狙いをつける。これまでの数回も、当たれば致命傷になるように狙ってきた。
周囲を明るく照らす、青白い光が消える。
いきなり暗くなったせいで視界が闇に包まれる。
しかし、体はそれとは関係なく動く。
直前の狙いそのままに素早く矢を放つと同時にクロスボウを投げ捨てる。
腰に吊るしてあったポイズンナイフを構え、矢の命中も確認せず一気に走り出す。
目が闇に慣れていなかろうと淀みのない動き。
「本当の殺し合いはこれからだぜ!」

ふっと闇が押し寄せる。
風が舞い上がる気配。
そして、衝撃。
上下感覚がなくりなり、自分が立っているかどうかも判別できない。
地面がぐらぐら揺れているように感じる。
今度は閃光。
そばで剣戟が聞こえる。
♂スパノビが応戦しているのだろう。
あれだけ怯えていたのが嘘のような攻防である。
♀BSは、そこでようやく自分が倒れ伏してるのに気付いた。
青白い光に照らされて4本の足が少し向こうで踊っているように見える。
1対1では不利だ。ましてや、相手はここまで一人で生き残ってきたであろう人間だ。
起き上がろうと体を動かすと左の脇腹に鋭い痛みが走る。
左の下半身もしびれがある。
しかし、このままじゃ仲間に出会うどころかむざむざ二人ともやられてしまうだけだ。
そう思うと再び闘争本能に火が点くのを感じる。痛みも忘れることができる。
倒れても手から離すことのなかった斧を杖代わりに、争いあう男たちの傍らに立ち上がる。


<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ クロスボウ(地面に打ち捨てられている) 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2 未開封青箱
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:全身に軽い切り傷

<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖
外 見:むちむち カートはない
備 考:ボス 筋肉娘 覚悟完了
状 態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。左脇腹に裂傷。毒?

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状は発現?
状 態:HPレッドゾーン?
・ニューマ
・ルアフ
47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/15(木) 17:49:39 ID:R0.yyHGg
初投稿です。
この企画を発見して、どうしても参加したくて、つたない文章ですが書いてみました。
終わり方が激しく中途半端です。。。
48名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/06/16(金) 07:39:43 ID:nnSPpnNk
♂ノビも♀ノビもニューマあるけど
魔力を制限されてて支援として修行を積んでる♀プリでもニューマ使えなかったのに
スパノビが使えちゃっていいのかな?それも何度も。
49名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/16(金) 11:36:59 ID:V8/ecAqs
>>46
ようこそ新たな書き手さん。
大歓迎ですよ。拍手、ぱちぱち。

>>48
むむむ、たしかに017話にて♀プリがニューマを使えないと言っていますね。
Gvに基づくならニューマは使えるわけですが、島ではヒールなどの治療系も弱体化しているので、Gv通りというわけでもない。
♀スパノビが使ったように羽虫を追い払う程度の効果は問題ないとは思いますが、矢の完全無効化は意見がわかれそうですね。

♀プリはニューマが出ないと言っていたけれど、戦闘時に使用を試みた描写はとくになし。
まったく出ないということはなさそうなので♀プリの勘違いと受けとることもできなくはないが、どうしたものだろう。

個人的には矢の威力は弱められるけれど、完全無効化はできないというところにしておくのが無難だと思う。
50名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/16(金) 11:38:18 ID:LvZsfUN6
裏技っぽいので出てくるノビの神様が影響してるとかにすればいいんじゃね?
51名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/16(金) 21:17:55 ID:lFRDiFTA
46です。
ニュマの効果が弱体化しちゃうと戦闘の行方が完全に変わっちゃうのですOTL
17話のところをしっかりと読んでなかったのでニュマの記述があったことに気づきませんでした(==;
NGにすべきなんでしょうか・・・?
あと、SP半ば無視で何度も使用してるのはBOT設定を使ってみたのですがいかがでしょうか?
52名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/16(金) 22:30:04 ID:QNGRakU.
BOTだけじゃなくて一種のチートも混ざってると考えればいいんじゃない?BOTとチートはワンセットみたいなもんだし
問題はそれをどうやって他の設定と矛盾しないよう上手く説明するかだけど
53名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/16(金) 22:41:32 ID:/gW8y1UE
チートっていうのはなかなかいい目のつけどころだと思った。
♂スパノビがBOTチート設定というのは、なかなかくすぐられる設定に思えまする。
そういうのが嫌いな人には申し訳ないですが・・・・・・
54名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 03:47:13 ID:CxukoLPw
BOTについては定義があるし前回も♂BS絡みで単語使われてたから問題ないと思うけど、
さすがにチートはなんでもありの免罪符みたいじゃね?

ということでBOT可チート否に一票です。本鯖も似たようなもんだし。
55名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 04:50:34 ID:jkTqoZu.
う〜ん。私はチートはかなりゲーム的な代物ではないかと考えます。
でもって

> 書き手のルール
>
> 先ず一番最初に。
> このリレー小説内では、各登場人物は生きている人間であり、
> いきなり投げ込まれた現実に各人様々複雑な感情を抱いている事を肝に銘じてください。
> 完全に現実的に書く必要は皆無ですが、バトロワの死の気配というものを忘れないで欲しいです。

登場人物達にとっては現実の世界である以上、
チートとは世界法則をねじ曲げることに他ならないのではないでしょうか。
もちろん魔法という一般物理法則を超越しているものが実在する世界のことですし、
説得力のある設定を準備できれば別でしょうが。

というわけで説得力のある説明がない限り、という条件付きで私もチートには反対です。

その上で。
ニューマに関しては他の魔法同様に極端な効果の減少でよいのではないでしょうか?
♀プリが使えないと思ったのは目に見えるほどの気流が生まれなかったからということで。
つまりエフェクトがない。(ぉ
ほんの少しとは言え矢が逸れることによるFleeの上昇、暗闇によるHitの減退、
ついでに♂ローグはハイブリッド型なので専門の弓職ほどはDexが高くないことを考えれば、
ある程度回避できてもそれほどおかしくないかと。

以上長文失礼しました。
56名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 10:08:10 ID:X5MQ3Tsk
225.目覚め[2日目深夜]

サラサラサラサラ
草の擦れ合う音がする中、くるぶしまで届くような丈の草原をゆっくり南下する。
月明かりがあるとはいえ、見える範囲は決して広くない。
足音がするような歩き方をしないとはいえ、ここまでの長さに成長した雑草を相手に忍足をするほうが無理だというものだ。
それゆえに彼は、その囁き声に気付くのに遅れてしまった。
あるいは、拍子抜けのあまり気が緩んでいたのかも知れない。
しかし、彼はエキスパートだった。
次の瞬間、背負っていたクロスボウを素早く構えた。
その獰猛な笑みとともに。

♂スパノビは意を決して♀BSの肩をそっと揺さぶった。
「ん・・・・?」
疲労していたとはいえ、不覚にも眠っていたようだった。
「ど・・・」
しゃべりかけた♀BSに対し♂スパノビは必死の形相で首を振り、ある方向を指差す。
様子がおかしい。
♀BSは♂スパノビの指差す方向を凝視してみた。
自分のへし折った炎の槍のかすかな光の向こうに何者かが動く影。
「おで・・・怖い」
♂スパノビは体を動かさず、♀BSに囁いた。
こんな時刻に単独で動く人間。身こなしを見る限り盗賊あがりだろう。そして、♂スパノビの怯え。
結論は一つ。あそこにいるのは、仲間を傷つける可能性のある、敵だ。
その瞬間、♀BSは眠気が吹き飛ぶのを感じた。そして、素早く頭を回転させる。
「相手は1人、こっちは2人いる。いくら向こうが手練れでも同時に畳み掛ければ十分に勝機はあるはずだよ」
トーンを落とした声で♀BSは言う。
「あたいが先陣をきるからあんたはフォローを」
「わかっだ」
♂スパノビは言われるがまま頷く。
「相手は1人・・・あいつをやるよ!」
♀BSの自分に言い聞かすような言葉は図らずも、♂スパノビのどこかにスイッチを入れてしまった。
「ぼずの命令・・・あいつを、やる」
二人は音もなく立ち上がる。かたや闘将のごとく。かたや幽鬼のごとく。

自分の勘が正しいことは即座に証明された。
背後の、それほど遠いわけでもない場所から立ち上がる2つの影を見付けたからだ。
「気を緩めた瞬間に急襲ってかぁ。面白い」
♂ローグは即座に相手の戦力を分析する。
ぱっと見る限りは2人である。
ほかにも伏せている可能性がないわけではないが、回り込まれた可能性は皆無だ。
油断していたとはいえ、警戒していたのは事実である。
また、自分の足音すら隠し切れない草原、遠くまで見通せない薄暗さでは狙撃の可能性も限りなく低い。
「おいおい、思ったより無謀だなあいつら。なにか奥の手でもあんのか?」
独りごちる♂ローグに向かって影の片方が間合いを詰めるように走り出した。
「ち、前衛と後衛か?だが!」
手元にあるのは準備されたクロスボウ。
ほんの一呼吸ほどで詰まるほどの間合い、が逆にその距離だからこそ必殺の一撃にもなりうる。
限界まで張られた弦が高い音とともに矢を弾き出す。

打ち合わせ通り走り出した♀BSの背中を見ながら、立ち尽くす。
頭の中でこだまする教官の声。
”お前、もしかして生まれつきのバトルオーダートリッパーか?”
そして♀BSの言葉。
”あいつをやるよ!”
そのとき、彼の体は意思とは裏腹に外部の状況に反応していた。

♀BSの反応は早かった。
立ち上がり、向こうの影が弓を構えていると知った途端走り出した。
扱いやすく力のないものでも強烈な一撃を繰り出すことができる石弓。
完全に接近してしまわないと安心できるものではない。
しかし、♀BSが♂ローグの顔の傷を確認できる場所に到達した瞬間、矢は放たれた。
彼女ではなく、その背後に立ち尽くす♂スパノビにめがけて。
「しまっ」

ゴゥ!
♂スパノビの足元から細い枯葉が舞い上がる。
矢の風切り音はその音に飲み込また。影に揺らいだ気配はない。
「ニューマだと?」
しかし、遠くに構ってられるほどの余裕はない。
目前にせまったワイルドな女、♀BSが手に持った斧を振りかぶったからだ。
「ちっ」
素早くバックステップをし、距離を取る。
空ぶった斧を既に構えなおし再び間合いを詰めようとする♀BSが見える。
精神集中を行い、気配を絶つ。
ターゲットを見失った♀BSはしばし逡巡するが、後ろも見ずに叫ぶ。
「♂スパノビ、ルアフを!」
返事もなく後ろの影は青白い光の玉を纏い、♀BSに走り寄る。
トンネルドライブを行使し、矢をつがえながら回り込もうとしていた♂ローグは舌打ちする。
「思った以上に厄介だな」
すばやく姿をあらわし、今度は♀BSめがけて矢を放つ。
しかし、先ほどと同じく♂スパノビはそれに反応しニューマを行使する。
二人は背中合わせになり、♂ローグの襲撃に備え始めた。

闇を切り裂き矢が飛来する。
常人とは思えない反応でそれにあわせてニューマをはる♂スパノビ。
その体躯を守るように青白い光が絶え間なく旋回している。
島に来る前に見たニューマとは比べ物にならないほどのお粗末なものだったが矢の狙いが定まらないのか致命的な1撃はいまのところない。
しかし、矢はニューマの切れ目に飛んでくることもあれば、気が緩みそうになる瞬間に飛んでくることもあった。
そのタイミングに規則性はなく、ニューマで防いではいるものの完全ではなくこちらにダメージを蓄積させている。
このまま、防戦が続けばいずれはこちらがやられてしまうだろう。しかし、向こうも焦れてきているはずだ。
お互い決定打に欠ける状態、忍耐や精神力を要求されてると言える。
相手が決着に向けて動き出せば、あるいは疲労によるゆらぎがあれば、その隙に勝機を見出せる。
「あたいらは、まだ負けてないよ」
再び足もとから上昇気流が巻き起こる。体のワキを矢が掠めていく。
もう何度この繰り返しを行っただろうか・・・。
そっと背後を見てみると無表情な♂スパノビの横顔が見える。頬に矢傷があるものの、その顔に疲労の色はない。
スパノビの精神力の脆弱さは有名なくらいである。
精神集中を要する単調作業にこれだけの時間もったことの方が驚嘆に値するだろう。

「粘るな・・・」
姿を隠せる分圧倒的に分があるが、人数の差は埋めがたい。
2人で動かず防戦に徹しているということは、この場に他の仲間はいないというだろう。
もしくは・・・援軍待ちの可能性もある。
あまり長引かせるのも得策ではない。
矢にも限りがある。あまり無駄弾を撃つほど余裕があるとはいえない。
ましてや、今夜の内に出来うる限り障害はなくしておきたいのである。
そのためにも遠近で攻める手段を手放すわけにはいかない。
ならば・・・。
ルアフの効果が切れたとき。その時が狙い目だ。
魔法は同時には行使できない。ニューマとルアフの一瞬の隙をつく。
この意図された膠着はその狙いを誤魔化すためのブラフでもある。
狙いに気づかれることはまずないだろう。
もちろん、矢傷によって倒れることが理想的ではあったが。
視界の中で草原に舞う草がなくなる。
もう少しだ・・・・。
じりじりと移動をしながら狙いをつける。これまでの数回も、ニューマがなければ致命傷になるように狙ってきた。
周囲を明るく照らす、青白い光が消える。
いきなり暗くなったせいで視界が闇に包まれる。
しかし、体はそれとは関係なく動く。
直前の狙いそのままに素早く矢を放つと同時にクロスボウを投げ捨てる。
腰に吊るしてあったポイズンナイフを構え、矢の命中も確認せず一気に走り出す。
目が闇に慣れていなかろうと淀みのない動き。
「本当の殺し合いはこれからだぜ!」

ふっと闇が押し寄せる。
風が舞い上がる気配。
そして、衝撃。
上下感覚がなくりなり、自分が立っているかどうかも判別できない。
地面がぐらぐら揺れているように感じる。
今度は閃光。
そばで剣戟が聞こえる。
♂スパノビが応戦しているのだろう。
あれだけ怯えていたのが嘘のような攻防である。
♀BSは、そこでようやく自分が倒れ伏してるのに気付いた。
青白い光に照らされて4本の足が少し向こうで踊っているように見える。
1対1では不利だ。ましてや、相手はここまで一人で生き残ってきたであろう人間だ。
起き上がろうと体を動かすと左の脇腹に鋭い痛みが走る。
左の下半身もしびれがある。
しかし、このままじゃ仲間に出会うどころかむざむざ二人ともやられてしまうだけだ。
そう思うと再び闘争本能に火が点くのを感じる。痛みも忘れることができる。
倒れても手から離すことのなかった斧を杖代わりに、争いあう男たちの傍らに立ち上がる。


<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ クロスボウ(地面に打ち捨てられている) 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2 未開封青箱
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:全身に軽い切り傷

<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖
外 見:むちむち カートはない
備 考:ボス 筋肉娘 覚悟完了
状 態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。複数の矢傷。左脇腹に裂傷。毒?

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状は発現?
状 態:HPレッドゾーン?
・ニューマ
・ルアフ
57名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 10:09:26 ID:X5MQ3Tsk
55さんを参考にして多少改変してみました。
いかがでしょうか?
58名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 11:49:50 ID:Q6lzedv6
魔法 >一般物理法則を超越するも、世界の法則に そってる物
チート>世界法則をねじ曲げて つかってる物

だと思ってる自分。
59名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 20:29:25 ID:TSTbBGz2
個人的にはニューマが出ないと書いてあるのに、
使用できること自体について違和感があります。

>>56では、ニューマがお粗末なものと書かれていますがしっかり効果出てますし、
なんか変ではないでしょうか・・・
弱体化してるくだりは悪くないと思うのですが、説明不足に思えます。
60名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 20:40:10 ID:4ic3V9iw
>>59
出ないといっているのはあくまで♀プリの発言上だけのことでしょう?
弱体化はされる必要があるかもしれませんが、使用できることは良いと思います。
61名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/19(月) 07:29:49 ID:HppTLT5w
>>56
使用できるが、ただし極端に制限される、はつまり「ないよりマシ程度」だと感じていました。
例えば1回分の攻撃しか無効化できないとか、それなりに回避に神経張らないといけない、とか。
持続時間や性能の面でだいぶ弱体化されるんだろうなぁと。
でも>>56を読む限りの印象では、ちょっと矢が掠めていったなぁ、程度だし二人が回避行動を
している描写がないので、これだとかなり「使える魔法」なのではと感じてしまいます。
弱体化の程度が弱いというか、>>59さんの通り説明不足と思うので、悠長に相談したり
冷静にチャンスを分析する余裕がない程度には「使えない魔法」にしといたほうが無難なのではと思いますが。
62名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/19(月) 07:34:37 ID:HppTLT5w
>>56
連投失礼、ついでに「くるぶし」は足首の部分なので、草原よりは芝生の印象に近いかと思います。
もしやもうちょっと上の部位と間違えてたり?
63名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/19(月) 07:57:24 ID:fLIb.CII
しかしそうなってくると、島でもまったく弱体化していないハイディングやクローキング、ルアフなどはいいのか? という疑問が浮かんでしまうのですが・・・・・・
ともかくどのスキルがどこまで弱体化しているか、というのは、最初に書いた人まかせだと思うので、
ニューマに関しても実際に発動し、効果が見られた♀スパノビの、

「いつもなら矢はおろか投げ槍や銃弾までそらしてしまうほどの強風が取り巻くのだが、今はごく普通のつむじ風程度に過ぎない」

で良いかと。あとはこれをベースにもうすこし>>56を修正してもらえば、いーんでないかい?
64名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/19(月) 23:55:39 ID:HppTLT5w
極私的な見解で、ハイド&クロークは「魔法」ではなく「技能・体技」だと思ってたからあんまり違和感は感じてなかったなぁ。
でも使用状態や効果をよく考えると「姿をくらます魔法」なスキルなのだろうか。
ルアフが弱くなると範囲が狭くなるか、すごい見つけづらくなるか、効果時間が少なくなるのかな?
弱体化の程度は最初に書いた人に準拠、で賛成。
65名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/20(火) 05:16:00 ID:6p5KkjDg
ニュマの効果がほとんど得られないっつーのがそもそも違和感あったんだろうね
スキルが使えない、じゃなく弱体化としているのは、スキルは「使える」って意味のはずだし
でないと、各職二人づつの舞台設定に意味が無くなる、ROである意味すら無くなるわな

その上で、既に出ているニュマに関してはもーしゃーない
ニュマはほぼ効果なし。でも、他のスキルもこれと同レベルでの制限かけたら
ROでバトルロワイアルではなく、ただのファンタジーでのそれになると思われ
おもしろさで言うんなら、直接攻撃系のダメージ減、それ以外はさして弱体化無しのが、スキルが有効活用できておもろいよーな気がする
まあ、ヒールやらリザやら確実に制限課さなならんスキルもあるけどね

スタンしないHF、凍らないFD、絶対反撃出来ないAC、反動も攻撃力も無いGX等々
……これってどうよ?
66名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/20(火) 18:01:07 ID:/A30U3BQ
本編がいろいろと問題になっているので、アナザーでお茶を濁してみる。

Another.礎と希望

「───どの・・・・・・、───どの・・・・・・」

なつかしい声が聞こえる。とてもとても、なつかしい。記憶の蓋をゆっくりと開く声。
そっとまぶたを起こすと、そこにいたのは一匹のヤギだった。
もちろん人の言葉を使うからには、ただのヤギではない。バフォメットというれっきとした悪魔である。
ただし、目の前にいるバフォメットはまだ子供で、蹴るのにちょうど良いくらいの大きさでしかなかった。

その私の腰にすら届かない身長のバフォメットだが、目つきだけはあまりよろしくない。
ヤギ特有の、横に、うにょーんと伸びた瞳孔。眼球は熟れたトマトみたいに真っ赤。
子供サイズだからぜんぜん怖くないんだけれど。

「起きたか主殿。あいかわらずダンボールハウスで寝起きしておるのだな」

ひさしぶりに会ったはずなのに、口調はすこしも変わっていない。きっと生意気なところもそのままなのだろう。

私は予期していなかった再会に驚いたけれど、表情を繕った。素直に喜べなかったのだ。

「私がどこで寝てたって、子バフォには関係ないじゃない。薄情もの!」

そう、子バフォは薄情ものだ。
ずっと私を主殿だなんて呼んで、さんざん私に尽くしておいて、なにも言わずにある日とつぜんいなくなったのだから。

「いままでどこに行ってたのよ! 私がどれだけ───」

言いかけて、やめた。これ以上なにかを口にすると、泣いてしまいそうだったからだ。
そっぽを向いた私に、子バフォはしょんぼりとした様子である。しょげるなんて珍しい。
もしかしたらはじめて見たかもしれない。

「言いわけくらい、聞いてあげるわよ」

沈黙が苦しくて、そうもらした。しかたなく顔を子バフォに向けると、子バフォの目が揺れて潤んでいた。
泣き出しそうな顔。そんな顔をされたら、間違ってもこっちが泣くわけにはいかない。
子バフォは子分で、私は親分なのだから。その関係を失ったつもりは、ないのだから。

「主殿・・・・・・」
「言いたいことがあるんじゃないの? 夢まくらに立ってきたくらいだし」

はっとして子バフォが伏せていた顔を上げた。私が気づいていないと思っていたらしい。
見くびらないで欲しい。これが夢であることくらい、わかっていた。
なぜなら今の私は殺戮ゲームの舞台にいるはずで、間違ってもこんな、プロンテラの片隅にはいないからである。

だからこれは夢。それでも子バフォに会えたことが、うれしかった。

子バフォは体を震わせて、言葉をしぼり出すようにして、話しはじめた。

「あの日、ワシはプロンテラからさらわれたのだ。そして目が覚めると、そこは、殺戮の舞台だった。
 50人の男女がひとりになるまで殺し合う。そんなおそろしい世界に送られたのだ」

私は唖然とした。あまりの衝撃に、相づちをうつことも忘れた。

「そこでワシはひとりの男に会った。
 男はそれはもうどこからどう見ても悪党と言った顔をしておってな、ワシはひどく戸惑った。
 その男についていくべきか、いかないべきか、ずいぶんと悩んだぞ。だが、どこか放ってはおけなかった。
 光の可能性と言えば良いのか。男はローグにもかかわらず、人を殺すことを迷っているように見えた。
 自分が闇であることに、ひどい矛盾をかかえているようだった」

遠い目をして寂しげに子バフォは言う。それだけで男が故人であることが、なんとなくわかった。

「ところが、か弱き少女との出会いが男を変えた。守るべき少女の存在は、男の瞳からは迷いの色を消したのだ。
 おどろいたぞ。悪党も変わるものだと感心さえした。だからワシは心から男の力になろうと決意した。
 この男に尽力すれば主殿のもとへ帰ることができる。ワシはそれに賭けたのだ」
「それで・・・・・・どうなったの?」

おそるおそる聞いた私に、子バフォは一度まぶたを閉じた。が、すぐに開いて続きを話した。

「迷いを断った男はたくましかった。皆を守り、襲ってくる相手とは果敢に戦う、まるで騎士のようでな、絶望の中の希望だった。
 闇を照らす太陽だった。だから・・・・・・だったのかの」

声に陰りが混ざった。

「ワシは自分の命よりも、男が生きられる道を選んでしまったのだ。
 すまない主殿。ワシは主殿のもとへ帰ることよりも、彼らの生を願ってしまったのだ」

嗚咽して話す子バフォが、かわいそうだった。
なにも悪くない。心から強く思った。

「その人は、希望だったんでしょ」

だからきびしい口調で言った。

「みんなを助けてくれる希望だったんでしょ! だったらいいじゃない。子バフォが負い目に思うことなんて、なにもないんだから」

そう、今の私には、痛いほど良くわかる。
子バフォがその男の人を、命を賭して助けた理由。私はきっと、同じ理由で忍者に助けられたのだ。

忍者が私になにを託したのか。
彼がなにを願って身を挺したのか。なにを祈って逝ったのか。それは希望だ。彼は私の中に希望を見てくれたのだ。

「ありがとう子バフォ。夢でも会えて良かった。うれしかった。
 私は子バフォに嫌われたって思ってたから」
「そんなはずはない。ワシはいまでも心から主殿を・・・・・・」
「ありがとう」

足もとにすり寄ってきた子バフォの背中をなでて、私はささやいた。

「子バフォも礎になったのね。希望のための礎に。だったら私は希望になるわ。
 希望になって、かならずこの島から脱出してみせるんだから」

私の言葉を聞いて、子バフォはまじまじと私を見た。それから笑った。
とてもかわいらしい泣き笑いの表情だった。

「良かった。ワシは主殿を残して逝ったことを、ずっと後悔しておったのだ。
 だがこれで、安心して消えることができる」

たまらず子バフォの体を抱きしめていた。たとえ消えてしまうとしても、抱きしめずにはいられなかった。

「私、がんばる。ぜったいに島から脱出して、世界せーふくを成し遂げてみせるんだから」

両手の中にいた子バフォはすでに消えていた。私はそのまま抱きしめた姿勢で、両目を閉じた。

次にまぶたを開ければ、またあの島に戻っているだろう。
だけどもう、迷ったりしない。私は私で、できるだけのことをしよう。きっと子バフォも見ていてくれるから。

「がんばるからね」

子バフォと忍者。二人に聞こえますように。そう願ってつぶやいた。
67名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/20(火) 20:17:42 ID:YsxM4JYs
GJGJイイヨイイヨホロリとキタヨー
ROワ1との関連ははっきり出さないって条件がなければ本編採用して欲しいくらいですね〜
68名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/21(水) 21:25:18 ID:IAC3ByxA
すげぇキュンときた
69名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/21(水) 23:27:02 ID:3qhXRcP2
225.悪魔との対話[2日目深夜]

「ふむ」
長い呪文を唱え終わった♂Wizは無感動な吐息をもらす。
デビルチがその顔を見上げた。
「どウした主人ヨ」
「やはり♂マジの反応は得られません」
どうやら探知魔法だったらしい。デビルチにすくめる肩はないので短い両手だけをひょいと広げてみせた。
「マあ死んダと放送さレてオったからナ」
「探知しやすそうな人は限られますし、どうせならもう少し実験に付き合って欲しかったですねえ」
♂Wizはかなり身勝手な感想をつぶやく。
それには答えずデビルチは槍の切っ先を振り立てて尋ねた。
「ソれがどうカしたノか?今ハ次の手を考えルベきであロう?」
「ふむ。その通りです。が」
♂マジが死んだということは、おそらくそちらにマーダーが居たという意味になる。
問題はいつごろ死んだかよく分からないことだ。
♀Wizと戦ったのが夕刻。
それ以降は連戦とそれに次ぐ移動で探知することなどすっかり忘れていた。
最後の探知直後に殺されたとすればもちろん、放送直前に殺されたのだとしてもすでに数時間経っていることになる。
マーダーの現在地を探る手段としての意味は失われてしまった。
ならば
「彼の死体を探してみましょう」
「なぜダ?マさか墓ヲ作ってヤるなドと言い出す気デはあるまイな」
彼の言葉にデビルチがあからさまな懸念を示す。
♂Wizは苦笑と不愉快の中間に位置する表情を作った。
「確かにまさかですね。私を何だと思ってるのですかデビルチ」
「強いモノほど一敗地にマみれるとトたんニ覇気を失うコとがアると聞いたゾ」
「ふむ、なるほど」
彼はデビルチの闇色の体に浮かぶ白い目を見据えた。
「今は戦いを求める気がないという意味ではその通りかも知れませんね」
「ナヌ」
デビルチはその手の槍を構える。
「そレは困る。契約ヲ違エる気か」
「おや。私とやり合う気ですか?」
答えて冷たい笑みを浮かべる♂Wiz。
一瞬の対峙後デビルチの腰が引けた。
「そンなツもりはなイが」
「冗談です」
♂Wizは表情を消して歩き出す。
仕方なく従うデビルチに対し彼は背中ごしに語った。
「今は、と言うのは朝までの話ですよ。視界の良くないこの時間は接近戦能力に長けた者に有利ですし、連戦で気力を消耗しましたからね」
「…オどかすナ主人ヨ」
デビルチは心中胸をなで下ろした。
「その意味で隘路になっているこの位置はよくありません。だから少なくとも移動する必要があるのですよ」
「アいろ?」
「狭い道のことです。このE−6は島の南北をつなぐ唯一の通路ですし、ここを通る人は禁止区域を避けて比較的中央へ寄るはずです。つまり見た目以上に範囲は狭く、夜中でも誰かと遭遇する可能性を無視できません」
「ふム。コこを離れるべキ理由はワかった。だガいいのカ?♂マジの近くにハ汝にトっても危険ナ殺人者がおるのデはないイのカ?」
デビルチは指摘する。
力量に差はあっても魔法を主な戦闘手段とする点で♂マジと♂Wizはよく似ている。
つまり♂マジを真っ向勝負で倒せるのであれば♂Wizにとっても強敵である可能性が高い。
♂Wizは首を振った。
「おそらく彼を殺した誰かはもうその近くに居ません」
「ナぜそウ思うのダ?」
「単純な心理です。マーダーであれば次の犠牲者を探すために移動するでしょうし、そうでない者が殺してしまったのなら一刻も早くその場を逃げだしたいと思うでしょう」
「そうイうものカ」
「ええ。普通の人は」
彼はデビルチにうなずき返し、そして軽く首を傾げる。
「もしかしてあなたはまだ地上に出て日が浅いか、あるいは生まれて間がないのではありませんか?」
「キくナ」
デビルチはそっぽを向いた。


♂マジの死体は意外にあっさり見つかった。
彼が最後に向かった方角からほとんどずれていなかった上に素っ裸で倒れていたためである。
「こ奴ハ何を考エて脱いダノだ?噂に聞ク『ろしゅツきょ』トかいう奴カ?」
槍の先で死体をつつきながらデビルチが愉快そうに尋ねる。
♂Wizは首を振った。
「いかに彼が変人でも、自分で脱いだとは考えにくいですね。殺害者が何か隠していないか調べたか、あるいは殺害手段をごまかすためにやったのではないでしょうか」
「ナんだツマらン」
不満そうなデビルチを横目に彼は♂マジの体をざっと調べた。
体に大きな傷はない。
少なくとも多量の出血はみられず、むしろ焦げ臭い匂いが目立つ。
「ドうなノだ?」
「おそらく死因は魔法によるものですね。それも外傷の小ささから見て電撃系です」
暗くてはっきりしませんが、と彼はつぶやいた。
「ただ…ふむ」
「どうシた主人ヨ」
「残った魔法使いの内、♀Wizと♂セージは島の北西にいました。となると残るのは♀マジだけ」
「こ奴ガ探しテおった者だナ」
「彼女に殺されたのでしょうかねえ。いささか驚きです」
♂マジと♀マジの言動を思い返して彼は首を傾げる。
どちらもそれなりに見所のある頭脳の持ち主だったが、目的のため他者を犠牲にするだけの思い切りには欠けていたように思う。
納得できない様子の彼をデビルチが横目に見上げた。
「他に魔法ガ使える者はオらヌのか?電撃なラば我も使えるゾ?」
「――なるほど。そう言えばあなたやジルタスの例もありましたか。…他に電撃を使うモンスターと言うと風の悪霊や梟の悪魔、洛陽の猫人に…女王蜂もですか」
他にもまだ居たような気がしますねえ、と♂Wizは頭を振りデビルチに視線をやった。
「あなたに心当たりはありませんか?」
「知らヌ。我は箱ニ入れらレておっタのだゾ」
「ふむ」
彼はあごに手を当てて考え込む。
しかしすぐに首を振った。
何者の仕業か断定するにはあまりにも証拠が足りない。
「今のところ誰がやったとも言い切れませんね。明るくなったらもう一度よく調べてみましょう」
彼そう言って手近な木の下に乾いた場所を見つけ座り込んだ。
デビルチがちょこちょこ駆け寄ってくる。
「朝までココにとどマるのカ?」
♂Wizは左腕の傷に応急処置をほどこし、木の幹に背を預けた。
「ええ。大魔法も使いましたしさすがに疲れました。見張りを頼みます」
「心得タ」
目をつぶる♂Wizへ敬礼するようにデビルチは槍を傾けた。


<♂Wiz>
位 置:E-6→E-7
装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子
   レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア
   ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報
   ストームガスト メテオストーム ソウルストライク ファイアーボール
備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド
   デビルチと主従契約 軽度の火傷 左腕に刺し傷 ♂セージに対する敗北感

<デビルチ>
位 置:E-6→E-7
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約

<残り24名>
70名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/21(水) 23:28:31 ID:3qhXRcP2
214話NGということですので、話数繰り上がって今回225でいいですよね?
71名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/21(水) 23:51:51 ID:hmGNbQHc
生まれたてデビルチ萌え。
問題があるとするならば、♂マジが死んだのは定時放送後だということか。
7269sage :2006/06/22(木) 22:34:59 ID:065Rhqk2
あ、あれ?完全に勘違いしてました。
前半分訂正させていただきます(_○_)

225.悪魔との対話[2日目深夜]

「ふむ」
長い呪文を唱え終わった♂Wizは無感動な吐息をもらす。
デビルチがその顔を見上げた。
「どウした主人ヨ」
「♂マジ君の反応が得られません」
どうやら探知魔法だったらしい。デビルチにすくめる肩はないので短い両手だけをひょいと広げてみせた。
「死んダか奴メ。案外だラしなかッたナ」
「探知しやすそうな人は限られますし、どうせならもう少し実験に付き合って欲しかったですねえ」
♂Wizはかなり身勝手な感想をつぶやく。
それには答えずデビルチは槍の切っ先を振り立てて尋ねた。
「ソれがどうカしたノか?今ハ次の手を考えルベきであロう?」
「ふむ。その通りです。が」
♂マジが死んだということはおそらくその近辺にマーダーが居たという意味になる。
問題は死んだのがいつ頃か、ということだ。
放送後であることは間違いないが、ほんのさっき殺されたばかりかも知れないし、すでに数時間経っているかも知れない。
マーダーの現在地を知る手段としての価値はかなり下がってしまった。
ならば
「彼の死体を探してみましょう」
「なぜダ?マさか墓ヲ作ってヤるなドと言い出す気デはあるまイな」
彼の言葉にデビルチがあからさまな懸念を示す。
♂Wizは苦笑と不愉快の中間に位置する表情を作った。
「確かにまさかですね。私を何だと思ってるのですかデビルチ」
「強いモノほど一敗地にマみれるとトたんニ覇気を失うコとがアると聞いたゾ」
「ふむ、なるほど」
彼はデビルチの闇色の体に浮かぶ白い目を見据えた。
「今は戦いを求める気がないという意味ではその通りかも知れませんね」
「ナヌ」
デビルチはその手の槍を突きつける。
「そレは困る。契約ヲ違エる気か」
「おや。私とやり合う気ですか?」
答えて冷たい笑みを浮かべる♂Wiz。
一瞬の対峙の後、デビルチの腰が引けた。
「そンなツもりはなイが」
「冗談です」
♂Wizは冷笑を消して歩き出す。
仕方なく従うデビルチに対し彼は背中ごしに語った。
「今は、と言うのは朝までの話ですよ。視界の良くないこの時間は接近戦能力に長けた者に有利ですし、連戦で気力を消耗しましたからね」
「…オどかすナ主人ヨ」
デビルチは心中胸をなで下ろした。
「その意味で隘路になっているこの位置はよくありません。だから少なくとも移動する必要があるのですよ」
「アいろ?」
「狭い道のことです。このE−6は島の南北をつなぐ唯一の通路ですし、ここを通る者は禁止区域を避けて比較的中央へ寄るはずです。つまり見た目以上に範囲は狭く、夜中でも誰かと遭遇する可能性を無視できません」
「ふム。コこを離れるべキ理由はワかった。だガよいのカ?♂マジの近くにハ汝にトっても危険ナ殺人者がおるのデはないカ?」
デビルチは指摘する。
力量に差はあっても魔法を主な戦闘手段とする点で♂マジと♂Wizはよく似ている。
つまり♂マジを真っ向勝負で倒せるのであれば♂Wizにとっても油断できない相手である可能性が高い。
♂Wizは首を振った。
「おそらく着く頃には彼を殺した誰かはもう居ませんよ」
「ナぜそウ思うのダ?」
「単純な心理です。マーダーであれば次の犠牲者を探すために移動するでしょうし、そうでない者が殺してしまったのなら一刻も早くその場を逃げだしたいと思うでしょう」
万一まだ居るとすれば睡眠をとるためだ。それなら奇襲する立場のこちらが圧倒的に有利になる。
「そうイうものカ」
「ええ。普通の人は」
彼はデビルチにうなずき返し、そして軽く首を傾げた。
「もしかしてあなたはまだ地上に出て日が浅いか、あるいは生まれて間がないのではありませんか?」
「キくナ」
デビルチはそっぽを向いた。
73名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/25(日) 00:25:31 ID:3BFu6lYE
226.砕けたもの[2日目深夜]

鋭く一撃、二撃――手首を返してフェイント。
右手の刃に意識を引きつけて左拳が顔面へ
…入らない。
「ちっ」
外見からは想像も付かない♂スパノビの身ごなしに♂ローグは舌打ちした。

一体なんだこいつは?
ごっつい女を毒っといてニューマからつぶすつもりがやたら手間取る。
フェイントがまるで効かねえ。
見透かしてやがるのかと思ったがそうでもねえらしい。
何も予測してねえんだ。
攻撃がどこから行くとか全然考えねえで、当たりそうな攻撃にだけもの凄え反応しやがる。

その割に反撃は単純極まりねえ。
馬鹿正直にまっすぐ短剣を突き出すだけ。
食らう気はしねえし、カウンターを入れればさすがに当たる。
もうとっくに倒れてておかしくねえくらいあちこち切った。
なのに弱った様子も見えねえってのは一体どういうこった?

「だったらこれでどうだよ」
♂ローグはトリッキーに体を揺らすのをやめて無造作につっ立った。
棒立ちにも近いその姿勢でも♂スパノビの分かりやすい攻撃なら最小限の動きでかわせる。
その分♂スパノビを観察することに集中。

心臓めがけて♂スパノビの握る短剣がまっすぐ突き出される。
ケレンもハッタリもない、速いが読みやすい剣筋。
――そんなんは剣士だけでいいんだよっ
どんなに反応が早くても、力を乗せた重くて速い攻撃には止められなくなる一点がある。
そこへポイズンナイフを滑り込ませた。

ず、と手応え。
太い腕へ刃が確かに食い込む。
次の瞬間にはもう腕が引かれていたが、今度こそ間違いなく毒を流し込めた。
さあどうする。

「…って、なんだぁ?」
♂スパノビは右腕を引くと同時に左手で傷口を絞り、血が噴き出したところへ何かを塗り込んでいた。
あまりに手際がよくて傷口をかばう仕草にしか見えなかったが、あれは

「解毒だとぉ!?」
普通スパノビが習得するスキルじゃない。
道理で手間取るわけだ。
ヒールも使うしニューマも使ってやがった。なかなかスキル切れ起こさねえところ見るとSPRとか持ってるのかもしれねえ。

けどそれじゃ肝心のスキルがすんげえ半端になってんだろ。
ほっといても怖くねえな。
♂ローグは優先順位を切り替えた。
面倒な割に怖さがないこいつよりまず女だ。

彼は♀BSが立ち上がろうとしていることにしっかり気付いていた。
不意打ちの影響が抜けてない上に毒が回り切って足元がふらついてやがる。
どうせならいろいろ楽しそうなこっちを残したかったんだが、2対1に戻って粘られるのはもっと面白くねえ。
とっとと片付けよう。

彼はバックステップを踏んだ。
躊躇無く追ってくる♂スパノビを待って体を入れ替え、元の方向へもう一度バックステップ。2人を分断する。
ほんの1秒かそこらで駆け戻れる距離だがそれで充分。
身をひねり、♀BSとその斧を視認し、右手のナイフを突き出す。
同時に斧が振り下ろされるが、アドレナリンラッシュも掛かってない斧の速度では彼を捉えきれない。
「とれえ」
ポイズンナイフは♀BSの腹を深々とえぐり、両手斧は♂ローグをかすめもせずに通り過ぎた。

だが。
振り下ろされた斧はそのまま地面へ叩きつけられた。
爆発的な衝撃が膨れ上がる。
激震が足下をすくい、♂ローグの全身を貫いて天地の感覚を奪った。


ドサリ
「ハンマー…フォール」
地に倒れた♀BSはあえぐように呟く。
膝に力が入らない。
立ち上がって斧を振ることは出来そうにない。
だから残ったすべての力を振り絞り、♂ローグの足首を万力のように締め上げて叫んだ。
「♂スパノビ!やっちまいな」


♂ローグの意識が飛んでいたのはほんの短い間だった。
そして天地の感覚が戻った瞬間に絶体絶命の危機に気付く。
巨体の突進する音。
関節をきめられた左足首の上げる悲鳴。
やべえ。やべえ、やべえっ!
彼は目前に迫る♂スパノビの短剣から必死に身をよじった。

どんっ
肩口に衝撃。
突き飛ばす力とひねる力、2つの無理な力が加わった足首が嫌な音を立てる。
「がああああっ!?」
激痛が電流となって背骨を駆け上がった。
だが、きめられていた関節が破壊されたことで足首の拘束がゆるむ。
彼は何も考えず、ただ生存本能に従いバックステップを踏んで逃げ出した。


<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ クロスボウ(地面に打ち捨てられている) 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2 未開封青箱
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:左足首を損傷 肩口に刺傷

<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖
外 見:むちむち カートはない
備 考:ボス 筋肉娘 覚悟完了
状 態:全身に浅い火傷・矢傷。左脇腹に裂傷。毒 腹部に深い刺傷

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現?
状 態:HP・SP共に消耗?
74名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/25(日) 00:26:56 ID:3BFu6lYE
きちんとスキル設計されてそうな♀スパノビと違い、♂スパノビはあれこれ無計画に手を出してそうだなと思ってこんなものを。
75名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/06/26(月) 04:20:08 ID:Jjua56Dw
色々書かれてるニューマだけど。効果弱くなってるなら「軌道逸らせるけどかする位に当る」とか?
76名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/26(月) 04:32:44 ID:9uGac1qY
BOT症状なんてあったっけか
77名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/26(月) 09:53:50 ID:P.mVrjJs
なんだかニューマが普通に効果があるように思えてきた今日この頃
78名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/28(水) 12:47:33 ID:ah.L0kA.
夜明けまでに最低限書かれなければならいことを記してみる。チラシの裏代わりに使ってスマソ

♂プリがどうなったか。
♂騎士は♂ケミのもとへ無事に戻れるのか。また、戻ったのなら再会した♂セージたちに受け入れられるかどうか。
♂クルセvsグラリス 決着はどうなるのか。
♂ローグは逃げられたのか。
♀BS、♂スパノビはその後どうしたか。

3日目、首輪解除や島からの脱出への光明は見出せるのか、それともさらなる絶望の淵に追い詰められるか。
前者なら
わずかの光明→しかし窮地に→あきらめない希望→どうにか奮闘→ぎりぎりの脱出

後者なら
かなり窮地→とても窮地→ひとすじの光明→けんめいに奮闘→どたんばの大脱出

そんな展開を妄想した。
79名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/28(水) 17:56:13 ID:19R9K9YY
どちらにしても脱出できるとは限らないですよ?
私は一応書き手側に属しますが、バッドエンドとか割と好きですので……フフフ
80名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/28(水) 18:11:42 ID:aNLwlIbA
227. ビーチフラッグス[2日目深夜]

グラリスは血の跡をつけながら、芋虫のように地面を這いずりバスタードソードに向かう。愛するWを生かすために。左手を奪った♂クルセイダーを殺すために。

♂クルセイダーもまたバスタードソードへと歩を進める。大木に預けていた体重を自分の足へと戻し、一歩、また一歩と、地面を這いずるグラリスとさほど変わらない早さで。

(俺は生きる!)
(彼女を殺して、俺は生き残らなければならない)
♂クルセイダーは察していた。今の自分では彼女がバスタードソードを手にする前に彼女の元へたどり着けないことを。それでも、彼は思った。
(彼女がそれを手にし、構えるまでのわずかな時間に殺さなければ)
今の♂クルセイダーには、避けた後体勢を立て直す体力…、いや、避けるだけの体力も残されていないと感じていた。

(彼を殺す!)
(彼を殺して、Wを救わなければならない)
グラリスは必死だった。Wのために、彼を殺すことだけを考えてバスタードソードへ向かう。左腕からくる激痛は、スリープアロー程度では気休め程度にしか変わらず、予想を超えた感覚の鈍化と戦いながら。
81名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/28(水) 18:12:27 ID:aNLwlIbA
グラリスがバスタードソードの一歩手前まで来たとき、急速に時は動き出した。
失った左手を地面に突き立て、悲鳴にも似た叫びを上げると、左手を支えに、それまで地面に伏していた身体を起こし、右手でバスタードソードを拾い上げる。
叫びと同時に♂クルセイダーはシミターを振り上げ、まだグラリスの存在しないバスタードソードに向かって振り下ろす。

直後、おびただしい量の鮮血があたりを染める。


<♂クルセイダー>
現在地:E-4
髪 型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し)
備 考:♂騎士を生かしはしたものの、迷いはない
状 態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身 体力は再びレッドゾーン シミターを振り下ろしている グラリスの攻撃を受けた可能性有り

<グラリス>
現在地:E-4
容姿:カプラ=グラリス
所持品:TBlバスタードソード、普通の矢筒、スリープアロー十数本とそれを穂先にした銛
状態:裂傷等は治療済み 左手首から先を失う 体力はレッドゾーン
備考:バスタードソードを拾い上げた直後 クルセイダー♂の攻撃を受けたかは不明
82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/28(水) 18:16:11 ID:aNLwlIbA
本編初投稿。
つたない文章の上に自分には決着がつけれませんでしたorz
83名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/28(水) 22:39:19 ID:um6VFshg
>>80
これくらいの長さもリレー小説っぽくて良いんじゃないでしょうか。
あんまり敷居が高すぎても投稿が止まってしまうので、むしろ個人的には大歓迎。
84名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/29(木) 04:38:53 ID:vi3XVQVk
命名センスのない身としては題名の素晴らしさに拍手したいところですw
85名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/29(木) 10:01:49 ID:D8e76gKQ
>>80
緊迫感があってよかった。
続きを妄想させる終わり方もリレーっぽくていいね。
ひとつだけ言うと、句読点は全角のほうが読みやすいかな。
8680sage :2006/06/29(木) 17:49:05 ID:5aMD57UY
>>85
気づかなかったorz
句読点はwikiに載り次第修正します
87名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/30(金) 00:53:58 ID:ZRraRaes
228.残酷な神さま [2日目深夜]

夢を見た。

とびきりのごちそうを目の前にしてうかれはしゃぐビニット。
そんなビニットを、行儀が悪いとたしなめるデフォルテー。

にぎやかな晩餐だった。

早くも葡萄酒を飲みはじめているソリンがいれば、鼻歌を歌いながら楽しそうに料理を運ぶテーリングがいる。
そして私のとなりには、まだ髪を伸ばしはじめたばかりの幼いWが座っていた。

彼女は瞳をきらきらと輝かせながら、テーブルの上に置かれた箱から赤色の包装紙をはがしとっている。
その箱は、私たちがついさっきWに贈ったものだ。

よほど中身が気になるのか、彼女は夢中になって紙をはがしていた。

ようやく開けた箱の中から出てきたものを見て、彼女は歓喜の声をあげた。
小さな手で大事そうに取り出したそれは、レースのついた白いリボンだった。

彼女はリボンを笑顔でにこにこと眺め、小鳥のようにかわいらしく喜びをさえずった。

「ありがとう、お姉ちゃんたち。とってもうれしい」

その笑顔があまりに可愛らしかったので、見ていた私の顔は大いにゆるんだ。

しあわせな誕生日のひとときだった。


口の中が血にあふれたことで、私は夢から目覚めた。
現実は夢とほど遠い、酷いものだった。

力まかせに斬りつけられたために胸も腹も見事なまでに裂けている。
骨などは砕けているに違いない。
即死ではないだけ、奇蹟とも言えるくらいだった。

夜の森であるために自分の体があまりよく見えないことを、正直ありがたいと思った。
もはや痛みの感覚すらないのだから、想像するだけでおそろしい。

さすがに呆然としたが、すぐに右手がなにかを握っていることに気がついた。
バスタードソードだった。

思い出して顔をゆっくりと上にあげたところ、人の顔があった。
暗さのため人であるとしかわからなかったが、♂クルセイダーに間違いないだろう。

目が合った気がした。

♂クルセイダーは低い声で私にぼそりとこぼした。

「死ぬのが、怖いのか?」

首を振る力が残っていなかったので、私は声を使った。ただしできる限り簡潔な言葉を選んだ。

「少しも怖くないですわ。ただ悲しいとは思いますけれど」
「どうしてだ?」

♂クルセイダーは矢継ぎ早に聞き返してきた。せっかちな男だ。それでも素直に答えることにした。
どうせ自分がもう長くないと思ったからである。

「守りたい人を守れずに死んでしまうこと。そのことが悲しいのですわ」

声に出したことで悲しさが強まった。
自分がここで死ぬこと。それはかまわない。それだけの罪を犯したとも思う。
ただそれでもWを守れないで死ぬことが、ひどく悲しかった。

「なるほど、愛するものを守ろうとする力か。どうりで強い。
 しかし残酷な話だ。守りきれずにお前は死ぬ。やはりこの世界には救いの神などいなかったというわけだ」

男は冷ややかな口調で言った。
クルセイダーが神を信じていないというのもおかしな話だが、この島ならそんなこともあるかもしれない。

私は思ったことを口にした。

「たしかに神さまはいないかもしれないですわね。もしいるのだとしたら、こんなことが許されるはずありませんもの。
 こんな人を殺し合わせるような、腐った遊戯が存在していいはずがありませんもの」

だけど、と続けた。

「さきほど私は夢を見ましたわ。なつかしい夢を。
 死ぬ前の最後の夢としては……悪くないと夢でした。
 二度と見ることはかなわないと思っていた笑顔が、見られましたから。
 もしかすると、そんな小さな奇蹟くらいなら、神さまは起こしてくれるのかもしれませんわね。あまり意味はありませんけれど」

蝋燭の炎が消える前の最後の輝きというものだろうか。
手足はもうぴくりとも動かせないのに、口だけがよく動いた。
気が狂いそうになるほどだった痛みも今はなく、まるでどこにも怪我などしていないように感じられた。

それでも自分が死ぬということは不思議と理解できていた。

死を受け入れつつあった私の意見に♂クルセイダーは感銘を受けたらしい。
うれしそうに言った。

「神はいる。しかしその程度のことしかしてくれないということか。なるほど。あきれるくらいに残酷な神だ」

けれど、どこか自嘲しているようにも聞こえた。

「ええ。ほんとうに残酷ですわね」

そう答えて私も少しだけ笑った。

奇妙なことだと思った。
私も彼も、命のやりとりをしていたはずなのに。殺し合いをしていたはずなのに。
さらに私はまもなく死ぬ。ところが彼に対する怒りや憎しみが少しも沸いてこなかった。

「悔いはないのか?」と彼が聞いてきたので、「悔やんだところでしかたがないですわ」と返した。

悲しいという感情だけは尽きなかったけれど、はっきりどうしようもないと思った。
つきものが落ちたみたいだった。

「自分が助からないことくらいわかりますもの。
 だからあとはあの子の無事を祈るだけ。どんなに悲しくても、今の私にできることは、たったそれだけ。
 ところであなたには、いませんの? 守りたい人。あなたはなんのために戦っていましたの?」

♂クルセイダーは淡々とした口調で答えた。

「俺には誰もいない。俺はこのどうしようもない人生に、ただ抗っていただけだからな。
 だがそれも終わりだ。結局は俺も、残酷な神にもてあそばれて死ぬらしい。所詮、人の力ではどうにもならないということだろうな」

私は驚いて彼を見つめた。表情はわからなかったが、荒れた息を吐く音が耳を通して聞こえてきた。
はっとして自分が握る剣の先を凝視した。

剣先がまっすぐに♂クルセイダーの胸へと伸びていた。

「あなたも、でしたのね」

そう言うのがやっとだった。

だから彼に怒りも憎しみも沸かなかったのだと、ひどく納得した。

ああ、と♂クルセイダーが頷いたので、ため息をもらした。
どうにか笑顔を作ったが、たぶん彼の目には見えないだろう。
それでも笑顔で話しかけた。

「それにしてはおたがいに、長く話ができていますわね」
「なに、残酷な神のほんの気まぐれというやつだろう。最後くらいは好きに愚痴れとでも言いたいのだろうが、馬鹿馬鹿しい」
「まったくですわ。どうせ気まぐれを起こすなら、こんな現実をねじまげるくらいしてもらいたいですのに」
「同感だ。こんな現実は───、こんなくだらない死にかたをする人間は、俺たちで最後にしてもらいたい」

彼が笑った気がした。私も口もとをほころばせている。
終わりの時間が、すぐ目の前まで来ていた。

とつぜん思いついたように♂クルセイダーが言った。

「お前の守りたいやつの名前を教えてくれ。俺もそいつの無事を祈ろう。
 一人より、二人で祈ったほうが効き目があるかもしれんだろう」
「誰に祈るのです? あなたのいう残酷な神さまにですか?」

驚くより先に聞き返していた。

「そうだな、最後くらい神に祈ってやろう。クルセイダーらしくな」

皮肉なのか、心からの言葉なのか、よくわからなかった。
朦朧とする意識で、かろうじて答えた。

「それは、たのもしいですわね」
「だろう。だから名前を教えてくれ」

W。
そうつぶやこうとしたが、唇が動かなかった。
残念だけれど、ここまでということなのだろう。

視界もぼけはじめている。私の世界が終わるのだ。

「まったく。神はどこまでも、俺につめたいらしい」

意識の底で♂クルセイダーの声が聞こえた。けれど、それもすぐに消えてしまった。

<♂クルセイダー>
現在地:E-4
髪 型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し)
備 考:♂騎士を生かしはしたものの、迷いはない
状 態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身 死亡

<グラリス>
現在地:E-4
容姿:カプラ=グラリス
所持品:TBlバスタードソード、普通の矢筒、スリープアロー十数本とそれを穂先にした銛
状態:裂傷等は治療済み 左手首から先を失う 死亡
88名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/30(金) 01:26:16 ID:XEC.3FaQ
>>87
なんてCOOLで格好良い死に様なんだっ!
二人ともナイスだったぜ!
GJ!!


競り負けたんで、ばにるみーに癒されてくるー( ´Д⊂ヽウェェェン
89名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/30(金) 01:37:58 ID:bI6qK8ks
やべえ、すげー格好良い。格好良いんだけど、

「……悪くないと夢でした」

ここで某自虐芸人が浮かんで吹いたw
9087sage :2006/06/30(金) 01:41:09 ID:ZRraRaes
>悪くないと夢でした

   ||     ⊂⊃
   ||    ∧ ∧
   ||    (  ⌒ ヽ  何回も読み直したのに……
 ∧||∧   ∪  ノ
(  ⌒ ヽ 彡  V
 ∪  ノ  フワーリ
  ∪∪
91名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/30(金) 04:20:35 ID:77X0q7TU
泣いた

後に>89見て吹いた
どうしてくれるw気づいてなかったのにいいいい
92名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/01(土) 11:04:51 ID:wu0dRs92
229. 親分の『命令』 [2日目深夜]


締め上げていた足首が、腕の中からするりと抜ける。
はっと♀BSが顔を上げた時には、♂ローグは既に闇へとその姿を消していた。
(逃げられた、か……)
戦いの最中の、まるで殺し合いを楽しむかのような♂ローグの表情を♀BSは思い出し、目を伏せた。
あの男は危険だ。どうにかして止めを刺したかったのだけれども。

♂スパノビが彼女のほうへ歩み寄り、傷口に手をかざす。
それと同時に左脇腹から体内へと染み込むような痺れが消える。だが――
(……生憎、もう完全に毒が回っちまってるみたいだね)
毒を受けながらも、闘争本能のままに♀BSは力を振り絞って動いた。
だからこそ♂ローグを退けることができたのだが、同時に受けた毒の進行を早めることにもなってしまっていた。
♀BSは血の溢れ出る腹部に、暖かい感覚を覚えた。見ると♂スパノビが懸命に傷を塞ごうとしている。
しかしその手から、何度か繰り返すうちに柔らかな癒しの光が消えた。
♂スパノビは何度も癒しの呪文を繰り返すが、光が再び現れることはなかった。
当然ともいえた。戦いの途中で精神力が枯渇しなかったのが不思議なくらいだったからだ。

「……もう、いいんだよ。あんたはよくやった」
そっと♂スパノビの手を握る。泣きそうな顔で見つめてくる♂スパノビに、思わず♀BSは笑みを零した。
「なんだい、そんな情けない顔して」
「だ、だって……ぼずが、ぼずが……」
ぼろぼろと♂スパノビの瞳から涙が溢れる。機械のような戦いをしていた先ほどとはまるで正反対だ。
強面が涙でぐちゃぐちゃになる様は一見滑稽だったが、♀BSにはそれが小さな子供のことのように愛しく思えた。
「……情けないねえ、大の男がびーびー泣くもんじゃないよ」
(こいつを可愛く思うなんて、ダンサーじゃあるまいし、ねえ)
心中で苦笑しながら、♀BSは♂スパノビの手をもう一度握った。

「♂スパノビ、あたいの荷物を取ってくれないかい」
素直に♂スパノビは命令に従い、♀BSの腰から鞄を外すと、彼女に差し出した。
♀BSは震える手でカード帖を取り出し、♂スパノビの手に握らせた。
「……ほら、持っていきな」
「え……で、でも、ぼず……」
「いいから。大切にしなよ……」
(だってそれは、あんなにあんたを大切に思ってた、ダンサーの遺品なんだから)
そういえば最後まで、ダンサーが死んだということを彼に言えなかった。
そもそも♂スパノビは他人の死を理解できるのだろうか。自分が死んだ後のことを思うと、胸が痛んだ。

「♂スパノビ……これからは、あたいはあんたを守ってやれない。だから……仲間を探すんだよ」
「ぼ、ぼずは。ぼずはどうするんだ?」
「馬鹿、いつまでも甘えてるんじゃないよ。
 あんたは……このあたいの、自慢の子分なんだ。だから――あたいがいなくても、あんたなら大丈夫だよ」
そう言って♀BSは笑ってみせた。
だが♂スパノビは、彼なりに何かを感じ取っているのか、暗い表情を変えなかった。
(……もう、終わりかい。あっけないもんだね……)
血を流しすぎたのか、意識が遠ざかりかける。
♀BSは力を振り絞って、口を開いた。最後の『命令』を下すまでは、死ねなかった。
「いいかい……絶対に、生き延びな。
 あたいだけじゃない。それは、ダンサーの望みでもあるんだから、ね……」
その言葉を最後に、♀BSは目を閉じた。
ぼず、といつものように彼女を呼ぶ♂スパノビの声を心地よく感じながら、♀BSは意識を闇へと沈めた。


+ + +


♀BSは、暖かな感覚と共にそっと目を開けた。
彼女は膝までを川の水に浸けていた。目の前には美しい花の咲く岸辺が広がっている。
(ここは……?)
岸辺だけが光に包まれたかのように明るく、それ以外がひどく暗い。
呆然としていると、クルセイダーの男とカプラの制服を着た女性――グラリスが彼女の傍に現れていた。
二人は互いに顔を見合わせ苦笑すると、ためらいもなく岸辺へと歩を進めていった。
その二人の姿に迷いを消されたように、♀BSも前へと足を踏み出した。

気がつくと、♂クルセイダーとグラリスの姿は消えていた。
しばらく歩くと、彼女の目の前に人影が浮かび上がった。
男女の二人組――彼らに♀BSは見覚えがあった。
でれでれとした表情で話しかける♂BS、それを聞き流すダンサー。
二人は♀BSに気がつくと、笑いながら手を振った。♂BSのそれには下心が含まれているのは明白だったが。
「……あなたもここに来ちゃったのね」
「もう少し♂スパノビのヤツを守ってやりたかったんだけどねえ……」
ダンサーの言葉に、♀BSは頬を掻いた。
その瞬間、背後から思い切り肩を叩かれ、♀BSは前へ倒れこんだ。
「ははは! 格好よかったぞ。辛くても立ち上がるあの根性! さすがは俺の娘だ!!」
背後で男の馬鹿笑いが聞こえる。♀BSは身を起こしながら、静かに拳を握り締めた。
「この……馬鹿親父!!」
ばきぃ、と気持ちのいい音が辺りに響き渡る。
頬に娘の拳に歪ませ、地に倒れ伏しながらも、ホルグレンの顔は笑っていた。

「やっぱり、心配?」
振り返って対岸を見つめる♀BSに、ダンサーが声をかける。
「……心配じゃないって言ったら嘘になるね」
ふぅ、と♀BSはため息をついた。
この世界に来てしまった以上、自分はもう♂スパノビを見守ってやることしかできない。
「ま……あたいにできるのは、あいつがこっちに来ちまわないよう祈っとくことだけさね」
♀BSはそう言うと、微笑を浮かべた。生者の世界に一人残る♂スパノビに向けるかのように。


+ + +


「ぼず……?」
何度呼びかけても、♂スパノビの親分は返事をしない。
♂スパノビは混乱しはじめていた。こんなときどうしたらいいのか、わからない。
その時、彼の頭の中に、♀BSの最後の言葉が浮かんだ。

そうだ、ぼずはなかまをさがせっていった。ぼずがそういったんだから、そうすればいいんだ。
そうして『いきのびる』ことをしたら、ぼずはよろこんでくれるかな。

♂スパノビが立ち上がる。一見すればそれは、仲間の死を乗り越えようとする悲愴な姿に見えただろう。
もちろん♂スパノビの頭の中にはそんなに深い考えなどない。
だが彼の行動は奇しくも、死者の遺志を継ぐという一般人の行動と一致していたのだった。


<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス
外 見:むちむち カートはない
備 考:ボス 筋肉娘 覚悟完了
状 態:死亡

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現?
状 態:HP消耗、SP枯渇


<残り21名>
93名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/01(土) 11:07:15 ID:wu0dRs92
結局チート云々ってどうなったんだろう?
なんか流されちゃってるので、普通に♂スパノビは一般人と同じくいずれはSP枯渇するって風にしてしまったんですが……(;´Д`)

♂スパノビって善人悪人の判断ができるかちと怪しいので、とんでもない人に近づいたりしてしまうかもしれないことに気づく。
個人的にいいキャラだと思うので、頑張って生き延びてほしいなぁ。
94名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/07/01(土) 13:13:41 ID:9BdR2iZ2
な・・・なんか
インベナム累々の毒状態だけで簡単に死んじゃうと
シーフ系って毒かけて逃げるだけでよく成っちゃう気がする・・
95sage :2006/07/01(土) 14:11:44 ID:BNFn20uM
>94
ほ、ほら!きっとポイズンナイフの毒はインベナムより強い猛毒なんだよ!
ゲーム内でほとんど使われないんだからここで陽の目を見たっていいじゃないっ!

まぁ上のは冗談として、毒もさることながら普通に腹に深い傷で死にかけだったし
毒だけで、ってワケじゃないから今回は良いんじゃないかな?と、思って見る。
ホントに毒だけで死ぬのは確かにカンベンだけどねー。


♂スパノビの今後に激しく期待。「生きのびる」というオーダーを達成できるのか!?
そろそろ終盤、果たしてどうなるやら。。。ワクワク
96名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/01(土) 14:14:55 ID:BNFn20uM
モウシワケナイ、書きなれてないのでageてしまった・・・

  ||
  ||
  ||
 ∧||∧
(  ⌒ ヽ
 ∪  ノ  プラーン
  ∪∪
9792sage :2006/07/01(土) 14:47:25 ID:wu0dRs92
うはスマソ(´・ω・`)
毒による衰弱+腹の深い傷からの失血による死亡、のつもりでした。
前回でかなりふらふらだったから、毒も結構効いてるのかなって思って書いたんですが、
どう見ても毒だけで死んでるように見えます、本当にありがとうございました。
傷を塞ごうとする描写をいれることで、血いっぱい出ててヤバいんだなって思わせたかったんですが大失敗ですねorz
やっぱり書き直したほうがいいですかね。確かに足りない部分多いですし。
98名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/02(日) 06:33:07 ID:nZfxddF2
毒だけで死ぬわけじゃないって了解はあるようですし、
作者さんが気になるならWiki訂正、ってぐらいでもいいんじゃないかな?
話の筋に関わらない訂正でスレ埋めるのもなんですし。

そしてふと思った。
食らうと弱るけど絶対に死なないROの毒って…いったいどんな毒なんだろ?
99名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/02(日) 22:38:58 ID:rnn6Qz..
亀ながら227,228,229を書いた方々GJ!
大きな存在感があった(と勝手に思ってる)二人が倒れて、物語も佳境へ…!って感じがひしひしと。
♀BSも今までお疲れさん…!

>>98
ROじゃないけど、似たようなネタでDQの毒状態について考察してるサイトがありましたよ。
Yahooで「死なない毒」って検索すると二番目に出てくる。ちょっと強引解釈だけど。
10098sage :2006/07/04(火) 06:15:19 ID:P8EU35cU
>>97
読んできました〜。
なるほど多少強引な解釈とはいえいろいろ説明のしようはあるもんですね。
他にも参考に出来そうな考察もあるようなので(HPとは何かとか)、
ひとまずブックマークっと 〆(゚▽゚*)
101名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/04(火) 06:16:29 ID:P8EU35cU
ぎゃーすいません>>99氏へのレスの間違いですorz
102名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/04(火) 23:39:07 ID:P8EU35cU
230.ひとには言えない話[2日目深夜]

暗く、見通しのきかない山中。
時として木々や斜面に月光もさえぎられ、方角を失う。
それでも♂プリはただひたすらまっすぐ歩いていた。

(ったく♂騎士の奴。どこまで行きやがった)
ヒールを連発しすぎたせいで頭がくらくらする。
じっとしていればそれなりに回復したのだろうが、そこは殴りの悲しさ。
歩いていてはほとんど回復しない。
そのうち歩くことそれ自体が目的になりそうだった。

ピ……ピ……ピ……ピ……ピ

やがて何か妙な音が聞こえ始める。
(疲れすぎで耳鳴りでもはじまったか?)
首輪から響く音の意味に♂プリは気付かなかった。

察しが悪いというのは酷だろう。
彼は♂騎士を追い、禁止区域のない北東へ向かっているつもりだったのだから。
ただ、暗い山中で思った方向へ進むことは想像以上に難しい。
林道の整備された山でさえときどき遭難が起きるのがその証拠である。
疲労で注意力が落ちていた♂プリは知らず知らずの内に道に迷い、いつの間にか禁止区域に近付いていた。

(クソ、うるせえな。今はンなこと気にしてる場合じゃねえんだ。♂騎士の奴を見つけて一発説教かまさねえと)
疲れ切った脳味噌には余分なことに考えを巡らすだけの余裕がない。

ピ、 ピ、 ピ、 ピ、 ピ、

あああうるせえうるせえうるせえっ
だまらねえとブチ食らわすぞコラあっ
何に何を食らわすと言うのか。
自分でもよくわからないが彼は両手をぶんがぶんがと振り回す。

ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、

うるせええええええええっ
それでも効果がないと見るや、今度は両手で耳を押さえたまま走りだした。
ただでさえ視界が悪いのにそんなことをすればどうなるか。
もちろんあっという間にバランスを崩す。
では道さえない山道でバランスを崩すとどうなるか。

♂プリの足がずるっと滑った。
「おおおっ!?」
前のめりにつんのめり、斜面を転げ落ちそうになる。
彼は反射的に残った足で強く地面を蹴った。
「なんのっ」
片手を地面につき、前回りにきれいなとんぼを切る。
足元の傾きも計算に入れ、着地のイメージもしっかりできていた。
ただ――回転方向に立木があることだけを見逃していた。

キンッ

肉体の激突音としてはあり得ないような高い金属音が♂プリの脳裏に響く。
「…………が……あ…………!?!!」
彼はそのままずるずると地面に落ち、ちょっと人には言いにくい場所を押さえて悶絶した。
男にしか分からない痛みと言う奴である。

「ぐ……ふ…、ふふ……」
十数秒後。身動きも出来ずにうずくまっていた彼の背が揺れ出した。
「ふ…ふははははははははっ!あ〜〜〜〜〜〜っ!!」
一声叫んでがばっと跳ね起き、股間を押さえてだんだんっと短く跳ねる。
「畜生やってられるかっ!俺はまだ一生貞潔守る気なんてねえんだっ」

ふ〜は〜ふ〜は〜
♂プリは荒い息を吐いて天を仰いだ。
そりゃ俺はそっち方向にも破戒僧だぜべらぼうめ。だからってこんな天罰はないんじゃねえか神様?
毒づきながらひょこひょこ歩き出す。

まさかつぶれてないよな?
こんな場合でもオトコとして『役に立つ』かどうか気になった。
となるととりあえず思い浮かぶのは♀Wizの顔。
ここ1ヶ月で一番の美人だし治療の時に肌も見た。
肝心の部分までは見てねえけどその方が色っぽいやまあそれはさておき。
ちと不謹慎だが緊急事態なんだ許してくれ♀Wiz…あいててて血が集まると痛えっ。

それでも♂騎士を捜すため、少々みっともない姿勢ながらも♂プリは歩き続ける。
だが彼は気付かなかった。
彼の苦痛のそもそもの原因となった首輪の音がいつの間にかとまっていることに。
転倒し悶絶したことで進む方向が変わっていたのだ。

与えられた苦痛が天罰ではなく天佑であったことを♂プリは知らない。


<♂プリースト>
現在地:不明(どこかの山中)
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ ♂騎士を追いかけ単独行動
状 態:心身ともに極度の疲労。根性で体を動かしている。股間を強打

*******

没になった旧214話にだいぶ似てしまいましたが…やっぱり面白いもんは面白かったので(ぉ
むしろ♂プリがはっちゃける可能性について私なりの解釈?てことでお願いします。
この状態で♀アルケミに遭ったらそれぞれどうするのかなとかちょっとえろ妄想。
でも♂騎士見つけたりする可能性も否定したくないのであえて現在地不明に。
103名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/05(水) 09:13:56 ID:XGMU30H6
状態欄にワロタ
104名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/07/05(水) 16:50:22 ID:RnSlOODg
破戒僧をこんな風に助ける神様もいるのになんで♂クルセは救われないんだろう…
105名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/05(水) 19:51:27 ID:FnPeSM7I
そりゃ♂プリに憑いてるのが笑いの神だからだろう。
106名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/05(水) 23:31:37 ID:ZOR6JMoM
エンタの神様がついてるのさ
107前スレ114sage :2006/07/06(木) 01:49:42 ID:SxiTiKho
>>105
誰が上手いこt(ry

>>106
誰g(ry

亀でスマンが7冊目355氏の【目覚め】で受け取った電波をエロスレでぶちまけてきたぜ。
18歳以上で良識ある紳士淑女ならびに悪漢悪女は自己責任においてご覧あれー

おっと、ちなみにこいつがNGワードだ
(`・ω・')つ【おしりえっち】
108名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/06(木) 02:03:34 ID:W/w.Rtoo
107のIDがSkiTinkoに見えた私はちょっと逝ってきますね
109名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/12(水) 01:26:21 ID:o1g0L8UM
231.手負いの獣[2日目深夜]


畜生畜生畜生畜生
殺してやる殺してやるコロシテヤル

隠れたまま息の続く限り逃げた♂ローグは姿を現すと同時にぶっ倒れた。
そのまま闇に向かって憎しみをぶちまける。

怒りは自分にも向いていた。

ルアフ、ニューマとハンマーフォール。
あり得ないほど最悪の組み合わせだった。
どうしてさっさと逃げなかったのか。

…あれだ。
初日に遭ったクソカップルだ。
退却間際に聞いた叫び。
『どうしてよ!ニューマもでないし!』

あれでニューマは使えないと思いこまされた。
だが今にして思えば実際に詠唱するトコを見たのは速度増加だけ。
あとはぎゃあぎゃあ騒いでただけだった。

策だったとは限らない。
だが少なくとも彼はあの言葉に釣られたのだ。

はらわたが煮えくり返る。
この手で泣き叫ぶツラを引き裂いてやりたい。
彼氏の命綱をくわえさせ、叫んだら終わりの素敵状態で犯し殺してやりたい。
だがあのアマはもう死んだ。

「うがああああああああっ!!」
怒りの力を借り、変な向きにぶら下がっていた足首を元に戻す。
しびれとも熱さともつかない激痛が左半身を満たした。

「…………!」
発作的に左足を切り落としたくなるほどの苦痛。
歯を食いしばり、無事な右脚に爪を立てて耐える。

どうやら骨は折れていない。
ただ腱か靱帯がイってるようだ。
戻したはずの足首が勝手に変な方向へ曲がろうとする。

何か使える物はないか。
荷物をひっくり返す彼の手に青い小箱が当たった。

「…この際だ。何でもいい、出やがれ」
治療薬ならラッキー。
使える武器でもいいし、クズ装備でも添え木にはなる。
ブーツの類や移動力を補える物でもいい。

開けた瞬間、清潔な白い布が大量にあふれ出る。
「お?」
一瞬、彼は第一の希望が叶ったかと思った。

だがその直後。
「っな…!?……あンのクソジョーカーーーっ!!」
怒りの余り卒倒しそうになる。

箱から出た物の正体はウェディングドレスだった。
ジョーカーという男はどこまでも悪質なジョークセンスの持ち主に違いない。

「こんなモノ着れるかああっ!」
彼は腹立ちまぎれに純白の布を引き裂く。
ウェディングドレスはあっという間にボロ切れの塊になった。

やがて。
「さて、と」
やるだけやって腹立ちも収まったのか、彼はボロ切れを固くねじりだした。
さらに結び合わせて長い紐にし、足首へ巻いてガチガチに固定する。

これでとりあえず立てるようにはなるだろう。
だが身のこなしは落ちるし、全力疾走もできない。
飛び道具での先制がこれまで以上に重要になる。

「ってもな」
クロスボウを取りに戻ることを考え、♂ローグは諦めた。
患部の熱が引くまでじっとしていた方がいい。
焦って無理をすると本当に動けなくなる。

それにさっきの連中が持っていったなら今さら戻っても間に合わない。
まだあるなら朝を待っても同じことだ。

彼はハイディングの要領で穴を掘り、冷たい土に足首を埋めた。


<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ クロスボウ(ヘルファイア付近に捨てたまま) 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:左足首を損傷(バンデージ固定済) 肩口に刺傷
110名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/12(水) 01:27:49 ID:o1g0L8UM
ひとまず♂ローグ。接近戦能力は落ちたもののクロスボウは取り戻せるでしょう(♂スパノビが自分の使えない武器を持っていくとは思いにくい)し、今後撃ち逃げに徹するとすれば…ある意味今まで以上に怖いかも?
111名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/12(水) 17:33:00 ID:b7XmATUs
>>110
感想だか誘導だかわかりにくいこと言うのはちょっと感心しないでもない
112名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/15(土) 00:36:35 ID:fzPSON/E
232.迷いの森 [2日目夜]

光の届かない夜の森を男は歩いていた。

手の届く距離ですら目を凝らさなければ見えないほどである。足取りは慎重だった。
つま先をゆっくりと前に伸ばし、そろりと地面につける。進めた足に体重を預けるのにじゅうぶんな感触を確認して、次の足を送る。
一歩、また一歩と繰り返し、道なき森を歩いていた。

男はこの森をできるだけ早く抜けたかった。
D-6まで移動して、自らの手で殺めてしまった♂ケミを少しでも早く弔ってやりたい。
その思いが、本来であれば動くべきではないはずの夜の森をひた歩く原動力となっていた。

他人が聞けば、自分で殺しておいて何をいまさら? と男に侮蔑の眼差しをそそいだかもしれない。
だが♂ケミを弔うという行為が、男には───♂騎士にはどうしても必要だった。
♂ケミを埋葬することで自分が背負った友殺しという罪と真正面から向き合う。
そうしなければ彼は前に進むことができないのだ。

それは肉体的な意味ではない、心がである。

殺される。死にたくない。気がつけば殺していた。
相方としてかけがえのない存在であったはずの♀プリも、友としてかけがえのない存在になってくれるはずだった♂ケミも、自分が殺してしまった。
ただ生きていたい。目の前にいる彼らがおそろしい。それだけの理由で殺してしまったのだ。

まったくの被害妄想だった。疑心暗鬼にとりつかれたとしか考えられなかった。
いずれのときも♂騎士を襲ったのは、狂おしいまでの脅迫観念だった。

不安を、焦燥を、恐怖を抑えることができず、黒い衝動が心に満ちあふれた。
殺さなければ、殺される。だから殺した。

しかし実際には♀プリも♂ケミも、♂騎士に対する殺意など、ただのひとかけらも持ち合わせてはいなかった。
おそらく彼らは最後まで、どうして自分が殺されなければならなかったのか理解できずに死んでいったに違いない。
信頼していたものに殺されたという絶望を胸に抱いて、彼らは死んだのだ。

いや、もしかすると♂騎士に刺されたときですら、彼らは自分たちの方にこそ悲があったのではないかと思い悩んだかもしれない。
それほどに心根のやさしいものたちだった。

そんな彼らの命を奪っておいて自分だけがのうのうと生きている。
許されていいはずがなかった。地獄の底に落ちるべきだと断言できた。

けれどそれは今ではない。今は死ぬときではない。どうせ死ぬのなら、この島で救うことのできるものたちのために身を粉にし、すべてを終わらせたあとに死ぬべきた。
すべてを終わらせてから、騎士として死ぬべきだ。

しかし、ほんとうにそれが自分の望みなのだろうか?

♂騎士は歩みを止めた。

先の接触のおり、♂クルセイダーは♂騎士に言った。
「弱い奴は、強くなれるまで悩み続けていればいい。望む生き方を見つけられるかどうかはお前次第だ」と。

果たして自分にとっての望む生き方とは、いったいどのようなものなのだろう。

ため息が洩れた。

死にたくない。命を手放すことなんてできないと泣き叫ぶ自分。
泥水をすすってでも生きていたいと強く願う自分。がむしゃらに生にしがみつこうとする自分。
心の奥底には確かに、あきれるほどに生を望む自分がいた。

なんと情けなくて、なんと無様な騎士だろう。これでは欲望のままに生きているローグとなにも変わりはしない。

いや、ローグよりもはるかに性質が悪い。
心を預けてくれたものを疑って殺し、魔が差したんだと言いわけをして弔う。それでいて善人ぶった顔をして仲間に取り入り、また殺すのだ。
それも生きたいという本能だけで。

こんな自分は騎士ではない。もしかすると人ですらないのかもしれない。
心はとっくに悪魔によって食い散らかされ、彼らの良いように操られているのではないだろうか。

♂騎士は頭を抱え唸った。

騎士として生き死ぬこと。悪魔に魂を売ってでも生き延びること。自分はいったいどちらを望んでいるのだろう。
♂ケミを弔ってやりたいのは罪と向かい合い騎士として前に進みたいからなのか。それとも罪から少しでも逃れたいだけなのか。

どろどろの思考に目まいがして、♂騎士は身近な木に体を預けた。

心が悲鳴をあげていた。

♂ケミを弔うというのは、彼に詫びようとする心からの気持ちであるはずだった。
自分がしでかしたことを厳粛に受け止め、それでも生きていくために必要なことだと思っていた。

違う。気づいてしまった。

なんのことはない。自分は死にたくないだけのだ。それでいて人を殺したくもないのだとはっきり自覚した。
できるかぎり罪悪を犯すことなく、さらに生き残りたい。

乾いた笑いがこぼれた。

生き残りたい、殺しもしたくないなどとは二人も殺しておいて言えた台詞ではない。
臆病で、卑怯で、矮小で、身勝手で、憐れとしか言いようがなかった。
とんでもない騎士もいたものだと自身を揶揄した。

顔を伏せ、泣くように両手をのぞきこんだ。

愛した人たちの血に染まった両手が、犯した罪の重さに震えていた。
醜い手だった。どこまでも醜く、汚らわしい。唾棄すべき手だった。

その手で顔を覆い、言ってはならない願いを口にした。

「生きたい……」

自分は騎士ではない。認めるしかなかった。
慕ってくれた人を手にかけておきながら贖罪もせず、自らの生を懇願することなど騎士にあるまじき行為である。

殺したくない。殺されたくもない。
欲張りな自分に、あきれかえって苦笑した。

この自分の感情を、ありのままを♂プリに伝えたら、彼はなんと言うだろう。
♂ケミを殺したことはすまなかったと思う。それでも俺は生きたい。そう伝えたら彼はどんな顔をするのだろう。

寝言を言うなと怒るのだろうか。そのていどの男だったかと鼻で笑うのだろうか。
それとも、あの豪胆な笑顔で、力をあわせて一緒に生き抜こうと受け止めてくれるのだろうか。

騎士である前に人間。♂騎士は、そう言ってくれた彼の言葉を今更ながらに思い返していた。

顔をあげた♂騎士は再び夜の森を歩きはじめた。D-6にたどり着くために。♂ケミを弔うために。
そして、自分と同じように生きることをあきらめない仲間と、ともに生き残るために。

精いっぱい生きようと思った。
たとえ自分が許されることのない罪人だとしても、殺してしまった彼らの分まで精いっぱい生きようと。

決意の瞳が赤く燃えていた。


<♂騎士>
現在地:D-4→D-6を目指す
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど、個体認識異常(♂ケミ以外)正気を保ってはいるが、未だ不安定
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害  体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻り、できるなら弔いたい
113名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/15(土) 22:46:40 ID:IU.Y0lHQ
質問ですが、第一回バトロワを漫画化して、勝手に公開したらアウトですか?
114名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/15(土) 23:54:24 ID:59HabH4M
いいんじゃないの?
漫画ならまだ見てない人も見るだろうし
115名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/07/16(日) 00:15:52 ID:H7pxqKz.
>>113
私はいいと思うし見たい
116名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/16(日) 00:19:16 ID:H7pxqKz.
うわぁsageてなかった…。申し訳ない。
117名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/16(日) 00:22:05 ID:mQDrjF0Q
勝手にというかここに書いたらWikiのリンクにはってくれるなら全然OKだとおもう
っていうかむしろお願いします 超読みたい
118名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/17(月) 01:01:55 ID:j8UGN1mM
>>113
激読みたい。……が、あの異常なまでのキャラクターの多さには十分注意しろよー
いっそ、序盤瞬殺キャラは 1 コ マ で処理するとかっ
119名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/07/17(月) 01:56:07 ID:gqXmvVcs
>>1138
♂ハンター、♀アコ、♂商人その他とかは死体になってるコマだけ描くとかね
省略できそうなエピソードはどんどん削らないと途中で面倒になりそう
120名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/17(月) 01:56:42 ID:gqXmvVcs
書き込み久しぶりだったからsageが消えてたorz
121名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/17(月) 02:05:12 ID:jTq63IS.
確かに久しぶりのようだな。
>>1138なんて超ロングパスを出すなんて…。
122119sage :2006/07/17(月) 02:13:01 ID:gqXmvVcs
>>121
………………………………









∧||∧
(  ⌒ ヽ
 ∪  ノ
  ∪∪
123名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/18(火) 22:01:09 ID:gsEdjJ4E
♂ローグ兄貴の煙草臭さは世界一ィィィィィッ!!
124名無しさん(*´Д`)ハァハァ初代も好きだが二代目の♂ローグ兄様も大好きよォォッ! :2006/07/18(火) 22:40:54 ID:OQ2Ea95M
>>123
おいおいちゃんと初代ってかいとけよ。現行の♂ローグなんざしぶとい小物臭しかしねーんだからよ!
125名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/19(水) 01:33:09 ID:HVzEzuv.
臭い・・・・・・?
じゃあこんなんドウダ


233.大自然の呼び声[3日目未明]

ずびし。
♂セージの脳天に鋭いチョップが入った。

「ついてこないで」
♀商人は冷たく言う。

「そうは言ってもですね」
♂セージは眠そうに目をしばたかせつつ抗弁した。
「やはり1人になるのはよくありませんよ」

「すぐに戻るってば」
彼女はいらだたしげに男を押し戻す。
ただし寝ている仲間を起こさないように小声で。

「しかし排泄中は最も無防備になる瞬間のひと・・・ぶっ」
言葉の途中で靴を投げつけられ♂セージは倒れた。

投げつけた姿勢のまま♂商人は肩を怒らせ荒い息を吐く。
「分かってるなら来るなっ!」
要するに見張り番の最中にトイレへ行きたくなったのだ。

彼女は投げつけた靴を拾って木立に入る。
「いい?絶対にこないでね」
「仕方ありませんね。声の届く範囲にいて下さい」
♂セージは倒れたまま答えた。


「まったく。もーちょっとデリカシーあれば完璧なのになあ」
ぶつぶつ言いながら♀商人は藪をかきわける。

結局、彼女はかなり奥まで分け入っていた。
声が届く距離では音も聞こえてしまうかも知れない。
乙女の恥じらいのなせるわざである。

「・・・・・・」
♀商人は来た方向を振り返った。
そろそろ東の空も白み始める時刻とは言え、木立の中はまだまだ闇に等しい。
視線も気配も届かないのを確認して彼女はしゃがみ込んだ。

※♀商人のお願い。目と耳をふさいでてね※

数分後。彼女は顔を上げた。
かすかな葉擦れの音。
まっすぐに近付いてくる。

彼女は慌てて服を整え、靴を脱いだ。
やがて目前まで迫った気配の顔のあたりを狙って叩きつける。

「天誅!」
「うおっ!?」
彼は大げさに飛び退いた。

「んもう、来ちゃ駄目っていったでしょ!」
仲間からは充分離れているので今度は気兼ねなく声を張り上げる。
「・・・そりゃまあ心配してくれるのは嬉しいけど・・・」

一方、彼は左腰に手をやって用心深く問いかけてきた。
「何者だ?」
その言葉でやっと♀商人はおかしさに気付く。
なんだか♂セージと様子が違う。

「ええっと、誰?」
「・・・♂騎士。そっちは」
「♀商人。って、え?ええええええっ!?」
反射的に答えてから♀商人は狼狽した。

わずかな明かりに覗く真っ赤な眼。
腰の手は剣の鞘に掛かり、すでに鯉口を切っている。
♂セージは言っていた。
♂騎士は狂戦士化しているかもしれない。

ズッ、と摺り足で踏み出す音。
「来ないでっ!」
カートもゼニーも置いてきた彼女は反射的にもう片方の靴を投げた。

銀光がひらめく。
鈍い音とともに靴がたたき落とされた。
彼女は身を翻して逃げだそうとする。

だが、靴がない。
素足に石や木の根が食い込む。
「痛っ・・・くつ、靴っ」

その背を襲うかと思えた♂騎士はなぜか立ちすくんでいた。
「靴・・・?」
足元に落ちた靴と♀商人を見比べる。

「そう、靴っ。返してっ」
「・・・・・・」
無言で考え込んでいた♂騎士はやがて剣をゆっくり収めた。
そして靴を拾う。

「ほら」
靴を差し出す彼から♀商人は後ずさった。
「寄らないでっ」

怯える彼女へ♂騎士はため息混じりの悲しげな笑みを向けた。
「そっちに敵意がないらしいことは分かった。なら戦う意味はない」
そう言って靴を彼女の足元へ投げ返す。

「・・・なんで?」
♀商人は警戒しながらそれを拾い、聞き返した。
彼は答える。
「敵なら靴なんか投げない。もっと硬い物を選ぶし、裸足じゃ戦いにくい」

彼女は思わず呟いた。
「それが分かるのになんで♂ケミさんを・・・」
何も持ってなかったのに。という言葉は口の中で消えた。

♂騎士は息を飲む。
「・・・あの時居たのか」
そして寂しそうに言った。
「見えなかったんだ」

「どうして?暗かったから?」
不思議そうに聞く♀商人へ彼は首を振る。
「いや。姿は見えていた」

「でもそれが誰か、何を持ってるか、持ってないかもわからなかった」
♀商人は首を傾げ、靴を履き直した。
「この靴は見えるのに?」

♂騎士は首を縦に、そして横に振る。
「今は見えない」
「どういうこと?」
「わからない」

「・・・これはどう?」
♀商人はその大きな手袋を外して見せた。
そちらをちらりと見た♂騎士は無言で首を振る。

「じゃあ、こうしたら?」
彼女は手袋をぽんと投げ渡した。
受け取った♂騎士は何とも言えない表情を浮かべて言った。

「決闘の申し込みか?」
上流階級では手袋を叩きつけるとそう言う意味になる。

「ちーがーうー!」
両手足をじたばたさせて抗議する♀商人に彼は苦笑した。
「冗談だ。手袋だなって意味のな」

「シャレになってないからやめて」
彼女は深々と息を吐いた。
そして気を取り直し、手袋を取り返す。
「でも、やっぱり見えたんだ。私が持ってると見えないんだね」

♀商人の手元を見ていた♂騎士は、やがて大きくうなずいた。
「そういうことか」
「うん。たぶんそういうこと」
彼女もうなずき返す。

「俺は他人がちゃんと見れなくなってるんだな」
彼は深々とため息を吐き、手に顔を埋めた。
「どうして・・・」

見かねて♀商人は言った。
「GMに何かされたんじゃないかって。♂セージさんが」

「GM・・・橘や森にか?」
♂騎士は顔を上げ、すこし考え込んだ。
心当たりがあるような気もするし、ないような気もする。

一方の♀商人も首を傾げた。
「橘とか森って誰?GMって言ったらジョーカーじゃないの?」

「ああ、俺が最初に会ったのはその2人だったんだ」
彼は当然のように答えた。
♀商人も、ふうん、と相槌を打っただけで終わる。

「それより。詳しい話も聞きたいし、あいつをちゃんと弔いたい」
そう言って♂騎士は辺りを見回す。
「他の皆は?」

「ん。ちょ〜っとあっちの方」
♀商人は背後の木立を示す。
「遠いのか?どうしてこんなとこに1人で・・・」
♂騎士は首を傾げながら踏み出した。

「ん?」
名状しがたい水っぽい足音。
彼は何かに気付いた様子で小さく鼻を鳴らす。
「なんだ。トイレか」

その瞬間、♀商人の顔が真っ赤に染まった。
「え・・・え・・・」
「え?」

「えんがちょ〜〜〜〜〜〜っ!!わ〜〜〜〜〜〜ん!」
「しまった!?すまん。ごめん。待ってくれ!」
泣きながら一直線に駆け去る彼女を追って♂騎士は必死に走り出した。


<♀商人>
現在地:D-6(仲間とやや離れた位置)
所持品:店売りサーベル、(以下仲間の所に置き去り)乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が……?
   ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・淫徒プリと同行→朝を待って♂セージ・淫徒プリと同行
   ♂騎士と遭遇

<♂騎士>
現在地:D-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど、個体認識異常(♂ケミ以外)正気を保ってはいるが、未だ不安定
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻り、できるなら弔いたい ♀商人と遭遇
126名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/19(水) 03:18:48 ID:OJrA9QU.
相変わらず♂セージ、いい味出してるなあw
♀商人も一時はどうなるかと思ったけど、よかったよかった。

それに、こんな時間に更新されるとは思わなかったし、今書いていたやつと被らなくてよかった。

というわけで、久しぶりに投稿します。
127名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/19(水) 03:21:49 ID:OJrA9QU.
234 見慣れた悪夢  2日目深夜〜3日目未明


ゆっくりと目を開けた。カーテンから差し込む光が、昼に近づいていることを教えてくれる。
 昨日は研究に力を入れすぎて、ほぼ徹夜をしてしまった。突っ伏した机から体を起こすと、毛布がはらりと地面に落ちる。寝てしまった自分に彼女が掛けてくれたらしい。さり気無い心配りがいつも自分を癒してくれる。まぁ、彼女には決して言わないが・・・。


 「おはようございます。昨日の研究は何か成果はありました?」

地下の研究室から階段を上がってくると、キッチンにいる彼女が何かを切りながら聞いてくる。眠たい頭で「少しは。」とだけ答え、昼になってしまった朝ごはんが何なのか、ぼんやりと考えた。今刻んでいるのは、レタスかな?ということはサラダがあるので、それにあわせて、肉か魚の料理があるのか?しかし、寝起きにそれらは重いな。だが、食べないと怒るし、なにより外の飯よりうまいから、残したくもないし・・・。

そうこう考えていると、玄関からノック音が響いた。彼女が「は〜い。」と返事をし、玄関に近づく。それを見て彼は急に不安になった。

(行くな、行くんじゃない。その扉に近づいてはいけない。)

だが、彼の思いは言葉にはならず、彼女は扉のノブに手をかける。

(ダメだ!!開けるな!!)

だが、叫びは声にはならず、彼女は扉を開けた。

「あら、確かにノックの音が聞こえたのに、誰もいないわ。いたずらかしら?」

そう言った後、彼女は彼に向かって、微笑みながら「や〜ね〜」と言って・・・。
止まった。止まった彼女は急に色を失い、白くなっていき、風に飛ばされる灰のように、開けた扉から消えていく。そして一本だけ残った歯が思い出したように重力に引かれて落ちる。それを拾い上げ、声にならない叫びを叫び続け、彼は意識を取り戻した。


 「また、夢でしたか。」

♂WIZはゆっくりと目を開けた。まだ暗い。デビルチを見張りに立たせてから眠りについて、そんなには時間は経っていないらしい。静かに身を起こし周囲を見渡す。見張りにいるはずのデビルチの姿がない。自分自身に危害がないのを考えると、デビルチに何かがあったとは考えにくい。となれば、生まれたてゆえの好奇心で、辺りの探索に行っているのかもしれない。

 「やれやれ、とんだ見張りですねえ。」

♂WIZは起こした体を宿り木に寄りかからせ、ゆっくりと目を閉じる。まだ休息は足りないが、横になるよりは何かあったときに反応し易い。手当てをした左腕をそっとさする。

(この島に来て2日。形態は違えど、彼女の夢を連続で見るとは・・・。最近は少なくなったのですがね。やはり、彼女に似ているあの♀ノービスのせいでしょうか・・・。そういえば、あの娘の行方も分らないままでしたね。♀WIZや♂セージとの戦闘で忘れていました。夜が明けたら、あの娘の捜索でもしますか。一度は諦めて引き返しましたが、見失ったのは隣のブロックの森の中。あれから半日近くは経っていますから、いない可能性が高いですが、なにか手がかりがあるかもしれませんしね。)


「お前は見立て通り、いい稼ぎだったぜ?」

机に並べた金を勘定しながら、その男は言った。私は何を思うわけでもなく、男から渡されるわずかな金を受け取って、男に背を向ける。

「明日もしっかり稼げよ?お前にはいままで随分と金がかかってんだ。しっかり返して親孝行してくれよ?」

そう言う男に何も答えず、自分にあてがわれた部屋に戻っていく。もう何も感じない。初めてだったときは泣きもしたし、抵抗もした。だが、いまではもう嫌悪すら沸かない。ただただ、作業のようにこなしていく。自分の体を清める行為も虚しく感じる。この行為は穢される為に行うのだ。そう思うのも当然だろう。そして、何人かの子と並べられ、好奇そうな目で見比べられ、私を指差しながら後ろに控える男に金を渡し、私の手を引いて部屋の中に連れ込んでいく。そして私の作業の時間が始まる。


はぁ、とため息をついて♀アルケミストは意識を戻した。ここは薄汚い部屋ではなく、深い闇に包まれた森の中。身を隠せそうなところがあったので、ここで眠っていたのだが、いやな夢で起こされた。辺りは梟の鳴き声などがする程度で、平和なものだ。今のうちに休んで、明日に備えよう。
 ♀アルケミストは少し態勢を変えゆっくりと眠りに落ちていった。


 「・・・子バフォ・・・。」

何かをつぶやいた悪ケミストにグラサンモンクは意識を向ける。閉じた瞼から流れる雫。何か悲しい夢でも見ているのだろうか。いや、悲しくない夢なんて見るはず無い。気を強く張っていないといけない、悲劇的な別れがあったのだ。楽しい夢なんて見られるはずが無い。

(俺では夢の中の君を護ることはできない。だが、現実の世界の君なら守ることが出来る。あの男が託した希望を俺が護ろう。自分自身の全てを懸けて・・・。)

グラサンモンクは周囲に意識を向けなおす。殺し屋としての感覚も使って、この少女を護る。文字通り自分の闇である部分も含め全てを使う。殺し屋として汚れきった自分だが、それがこの少女を生かすために役立つのなら喜んで使おう。

(ん?なんだ・・・?)

殺し屋としての自分が暗闇の中に違和感を感じとった。敵意はないようだが、見られている。そして、聖職者としての自分が人ではない気配を感じ取っている。一瞬小動物かと思ったが、聖職者として気配を感じているため、その可能性は低い。だが、悪魔の類であるのに、敵意がないというのもおかしな話だ。人を見たら襲ってくるのが彼らであって、遠巻きに見ているというのはどうも解せない。向こうもこちらの反応に気が付いたのか、徐々に離れていく。追って正体を確かめたいが、少女を放って置くわけにもいかない。

(誰かの使い魔か?だとしたら、早々にここから移動したほうがいいな・・・。)

グラサンモンクは、これで君を悪夢から助けられるかな、と思いながら、悪ケミストの細い肩をそっとさすった。


「主人の命デ『周囲』を見張ってイタが、近くにイルナ。」

そういうデビルチは周囲を捜索し終り、主のもとへ戻っていく最中である。見張りとは大分違うがデビルチ自身はその違いに気が付いてはいない。もっとも発見できているのは、グラサンモンクと悪ケミストのペアだけだが・・・。
デビルチはてってけてーと走っていく。主人に成果を報告するために。そのあと、その主人に後ろから口の両端に指を掛けられて引っ張られながら怒られるなんて、そんな事は今の彼には夢にも思っていなかった。


<♀アルケミスト>
<現在地:F-7 ♀ハンターと♀スーパーノービスが雨宿りをしていた木のうろ>
<所持品:S2グラディウス 毒薬の瓶 ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ)>
<外見:絶世の美女>
<性格:策略家>
<備考:製薬型 やっぱり悪>
<状態:軽度の火傷。騒動に乗じてPTを抜ける 一度は起きたが寝なおす>

<悪ケミ>
<現在位置:F-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォ?の夢をみている>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<グラサンモンク>
<現在地:F-7>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:♂ローグを警戒、負傷は治療、悪ケミを護る、怪しい気配により移動を決意する>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)>

<♂Wiz>
位 置: E-7
装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子
   レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア
   ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報
   ストームガスト メテオストーム ソウルストライク ファイアーボール
備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド
   デビルチと主従契約 軽度の火傷(手当て済み) 左腕に刺し傷(手当て済み)
♂セージに対する敗北感 いなくなったデビルチ待ち

<デビルチ>
位 置:E-7
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約 周囲を捜索して帰還中
128名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/19(水) 21:18:00 ID:xqi/0INI
てってけてーと走っていくデビルチ・・・
ヤバイ、♀参加者達より萌えるかもしれないwww
129名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/20(木) 01:44:18 ID:L3pgiRLc
キャラごとにもう少し改行を入れた方がわかりやすいかもわからんね
ケミと悪ケミがごっちゃになって一瞬戸惑った
130名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/20(木) 11:10:11 ID:KHavu1xY
やっと読破orz
もう涙腺緩みまくりだよ…(ノд`)

それはともかく凄く気になって仕方がないんだ、どうでもいいんだけど。
つ[淫徒プリ]
つ[3日目]
つ[髭]
いやほんとにどうでもいいんだけど。
131名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/20(木) 12:36:55 ID:KHavu1xY
ついでにアナザーっていうかNG

XXX 彼の見たもの

突然だが、ここである男の話をしよう。
彼は生来、自分の腕っぷしが自慢であり、それを活かして生きてきた。
実際のところ、頭も悪くはなかったのであるが。
だが、過去の彼は細かい計算など面倒だ、と考え、力任せの行動ばかりを取っていた。
しかし、そんな彼でも今の地位までのし上がっている。
その理由は、頭が悪いと思われていれば相手が油断をする、と彼が気づいたからだったのだろう。
それは彼にとって都合が良く、彼は無能を装っていた。
何故なら、その地位は彼にとってとても魅力的なものだったから。
もともと欲は人並み以上だ、彼は自分の地位を使って自らの欲を満たし続けてきた。

そんなある日、彼は夢を見た。
夢の中の彼は、彼が全く知らない人物であり。
その彼は、数多の苦難、絶望、後悔、それらを踏み越え、最後にはそれらの元凶と対峙していた。
対峙していたその相手は、ピエロ帽を被った白服の男。
死闘の末、その男は斃れる。

次の日も彼は夢を見た。
今度も彼の知らない人物であったが、今度は女性であった。
その女は、前の彼と同じように、苦難して絶望して後悔して、支えてくれたその男に好意を抱いていた。
そして、その男を守るため、彼女は自らを犠牲にした。

その後も、数日に渡り彼は夢を見る。その度に自分は他の人物になっていく。
そして、その人々の記憶や感情を、彼は体験していった。

数日後、彼はその道化に出会う。その道化はジョーカーと名乗り、彼に協力を命じた。

その内容は、BR…殺人ゲーム。反逆者、邪魔者。落ちこぼれ。そんな奴らを集め、殺し合わせ。それを、見世物にするゲーム。
今までの、自らの欲望のままに生きてきた男なら、喜んで。と即答して。最後の一人まで、ニヤニヤと笑いながら見ていただろう。
だが、彼は。夢で見た彼等の、悲しみ、苦しみ、痛み。それらを、体験してしまった。
そして、彼は既に察していた。…道化の顔には、夢と同じ場所に、傷跡があった。

何故だかはわからない。だが、と彼は思う。
きっとあれは夢ではなく、過去だったのだろう。
それも、そんなに遠い過去ではなく、ごく最近。このゲームで、犠牲になった者達の記憶。
…自分が何故そんなものを見たのか、彼にはわからなくて。
今までの自らの行為を、彼等の記憶も持って振り返ると、そこは目を背けたくなるような道で。
ひょっとして、自分は取り返しのつかない間違いを犯していないか。
彼はそう思っている。恐らく、間違っていたのだろうと思ってもいる。
…だから。彼は、このゲームを壊そうと思った。
だから、彼は。
GM森は、虎視眈々と、その機会を狙っている。
132名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/20(木) 12:42:21 ID:KHavu1xY
ということで斜め上なアナザーを投下。
GM森の扱いが余りに哀れで書いた。
かっとしてやった。森が目立てばどうでもよかった。
今では少し後悔している。

いや、GMの幹部クラスがただの小悪党ってどうかと思ったんだ(言い訳
133名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/21(金) 20:01:29 ID:3qhXRcP2
壁|ω・) まだ早朝の話書くには早いかな?
134名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/21(金) 20:09:15 ID:l5lGCcXk
グラサンモンク達がうろついてるし、♂プリも気合で動いてる様子。
早朝にいってもいいとは思うけど、もう少し未明で遊べそうな気がする。
135名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/24(月) 00:51:44 ID:E7FhEIZY
ネタおいときますね

っ淫徒プリと♀WIZの師匠についての会話
っミストレスVS♂WIZ
っアフロモンクぱーちーと♂プリ
136名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/25(火) 10:23:07 ID:XR1R0JcE
235 不運

―――……何だ?
♂プリは躊躇っていた。
木陰を通して人影が見える。まだかなり遠いが、複数…恐らく3人だろう。
「集団でいるってことは…多分殺人者じゃないんだよな。」
呟いて確認してみる。このゲーム、最後まで残った者が勝ち…だということは。
殺人者は単独で行動したがるだろう…と、思う。多分。恐らく。
―――ってことは味方なんだよな…?
彼等は♂騎士の行方を知っているかもしれない。殺人者でなく、知っているなら教えてくれるだろう。
だが、と彼は思う。あの集団が味方なのかを彼は判別できなかった。何故なら―――
一人妙なのだ。主に頭が。
―――やたらデカくねぇか?あいつの頭…
ミッドガルド王国ではアフロという髪型は一般的ではない。そのため、彼はそんな髪型の存在すら知らなかった。
その上、夜で遠距離であるということが、彼に正確な判断をさせなかった。
―――ほんとに人間か、あれは?明らかに頭デカすぎだろ…?
声をかけてみるか、それともやめておくべきか。迷っていた彼は…自らの足が、枯れ枝を踏みかけていることに気づかなかった。


―――パキッ
「「「!」」」「やべっ…!」
静まりかえっていた森に響いた一つの音。それに4人はそれぞれ反応する。
♂ハンタ、♂モンク、♀騎士は、音の響いた方向に集中する。
♂プリは自分の方に気配が向いたのを感じ取る。
最初に相手を確認したのは♂ハンタだった。鍛え上げた目。梟のような彼の瞳が相手を捉える。
♂プリはその視線を感じ、迷う。見つかった、どうする、敵か味方か、それ以前にあれは人なのか。
その一瞬の動揺。それが結果的に、彼の失敗となった。
「Hey,you,guy!覗きは・よくない・犯罪だ…ZE!」「うお!?」
その一瞬で、♂モンクに懐に入り込まれていたからだ。
考え込んでいた原因の妙な頭の相手が眼前に現れ、驚いて動きが止まる♂プリ。
鍛え上げられた拳を向けられ、彼は動くに動けなってしまう。
一拍遅れて♀騎士と♂ハンタも集まってくる。
もう彼に逃げ道はない。
彼の不運の原因は、♂モンクの髪型…アフロ。その妙な髪形だろう。
彼は両手を上げて…
「―――降参だ。」


「いや、信用できないぞその顔!」
「え、ちょ、待ておい!?」
「……(疑うような視線)」

…♂プリ自身のこわい顔も不運の原因だったかもしれない。
その後必死で説明して、彼らが納得するまで、♂プリは武器を向けられ続けたそうな。


<♂プリースト>
現在地:不明(どこかの山中)
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ ♂騎士を追いかけている ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と遭遇、誤解から捕まる
状 態:心身ともに極度の疲労。根性で体を動かしている。股間を強打


<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ
状態:麻痺からそれなりに回復(本調子ではない) ミストレスと、ジルタスを殺したモンクを探すために動く。
  ♀アーチャーを救いたい


<♂モンク>
位置 :E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見 :アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊
備考 :ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷


<♀騎士>
位置 :E-6
所持品:S1シールド、錐
外見 :csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考 :殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように
137名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/25(火) 10:24:02 ID:XR1R0JcE
ラッパーPTに♂プリを遭遇させてみました。
…ラッパーの台詞回しが非常に難しいですorz
138名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/25(火) 14:23:24 ID:WeNAzHbU
♂プリに「極度の疲労による方向感覚の欠如」を入れたほうが面白い気がしてきた。
それと♂プリの現在地がE-5もとい山の中のままだぞ、っと突っ込んでおく

・・・しかし♀騎士逆ハーレム状態だな〜w
139136sage :2006/07/25(火) 15:29:16 ID:q2KC5ZLA
ぎゃー!
すみませんすみませんorz

<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ ♂騎士を追いかけている ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と遭遇、誤解から捕まる
状 態:心身ともに極度の疲労。根性で体を動かしている。股間を強打 疲労により方向感覚欠如

これに差し替えお願いします…
140名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/28(金) 08:57:49 ID:REziJnTI
Wikiが見れないけど自分のPCが変なだけなのでしょうか・・・
141名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/28(金) 09:59:17 ID:XwZldtKI
>>140
見れるぞ?
ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/
ここだよな?
142名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/28(金) 19:12:37 ID:REziJnTI
今見てみたら見れるようになりました、お騒がせして申し訳ありませんでした・・・
143名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/02(水) 18:57:58 ID:nZfxddF2
Wikiの規約でも変わったのかな?
赤字の名前(死亡者)が全部「&html()プラグインを使うにはこのページの編集権を管理者のみ」に設定してください」
って化けて見えるんですが。私だけ?
144名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/02(水) 20:08:33 ID:zHS1NiKM
自分もそうなってるし、多分使用できるタグに制限がかかったんじゃないかな?
このまま使えそうに無いなら旧WIKIみたいに取り消し線にでもするしかないかね
145名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/03(木) 02:12:53 ID:JRgD96S2
おっとこれは…訂正しておきます。赤字のままでいけるはず。
146名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/03(木) 22:43:53 ID:uSrU.QC2
236.誤解する人々[3日目未明]


「遅いですね」
♀商人が木立に入ってからしばらく経ち、♂セージは首を傾げた。
女性のお手洗いは長いというが、それにしてもずいぶん遅い。
彼は淫徒プリをそっと揺さぶった。
「…ん?はい?」
「すみません、♀商人が排泄に出て戻りません。何かあったらいけないので見てきます」
「はい…って、ちょっと」
頷いた淫徒プリの眠たい眼がそのまま半眼のジト眼に移行する。
「なんでしょう」
「女の子のトイレ覗く気じゃないでしょうね」
「そんな趣味はありませんし、彼女にも来るなと言われました。ですがそれだけにしては遅すぎます」
淫徒プリは首を傾げた。
「ちょと遠くまで行っただけじゃないかしら」
「声の届く範囲に居て下さいと言ったのですが」
「…じゃあなおさら遠くまで行ったかもしれませんよ」
「そういうものですか?」
わけが分からないと言った表情の♂セージに対し、淫徒プリは処置無しと言わんばかりに首を振ってみせる。
「そういうものなの」
「では迷った可能性もありますね。後をお願いします」
呆れ顔の淫徒プリに言い置いて、彼は♀商人が向かった方向へ進み始めた。
時々振り返って元来た方向が分かることを確認し、目印を刻むことも忘れない。
ほどなくして。
「……………!」
ざざっ
斜め前方から♀商人らしき声と茂みを掻き分ける音が聞こえた。
「様子が変ですね」
彼は向きを変え、急ぎ足にそちらへ向かう。
そして泣きながら逃げる♀商人とそれを追いかける♂騎士を見つけた。

「ファイアウォール!」
「なっ!?」
♂騎士はいきなり目前にそそり立った炎の壁に仰天した。
勢いのままに突っ込みかけ、慌てて立ち止まる。
直後
「動かないで下さい」
FW越しに誰かが声を掛けてきた。
「待て、俺は…」
彼は対話のために壁を回り込もうとする。
「ソウルストライク」
パパパパパンッ
その進行方向を遮って半透明の魔力球が飛び、木に連続して着弾した。
さらにわずかに遅れて
「クァグマイア!」
ゴツッ
「つっ」
足元がぬかるみに変わり、どこからともなく飛んできた石が頬を叩く。
しかも追撃は止まらない。
「ホーリーライト!」
「くっ」
ダメージはせいぜい素手で殴られた程度だが、こうも打たれ続けては弁解する暇もない。
助けを求めて♀商人の姿を探すが、走って行ってしまったのか姿が見えない。
もっとも居たとしても攻撃してくる者と見分けがつかなかっただろう。
ひとまず木の幹に隠れた瞬間
「集え吹きすさぶ氷雪よ――」
長い詠唱が耳に届いた。
周囲の地面に巨大な魔法陣が現れ、急激に密度を高めてゆく。
(大魔法!?)
まずい。
そう思った瞬間、彼の心にまたしても恐怖が忍び込む。
話を ニゲロ
聞いてくれ コロサレル
魔法をハ止めメてレくナれイ
逃・ゲ・ロ
「インデュア!」
固く歯を食いしばり、彼は一直線に逃げ出した。

「スペルブレイカー」
♂騎士が背を向けるのにわずかに遅れ、ストームガストが阻止された。
「なぜ大魔法を?」
♂セージは♀Wizを振り返る。
彼女はちょっと困ったような顔をした。
「事情が不明でしたから。戦っているなら座視できませんし、問題があればあなたが止めるだろうと思って」
「ふむ。確かにそういう意図ならば詠唱の長い大魔法の方が有効ですね」
しかも魔法の阻止は彼に敵意がないという強い証拠になる。
♀Wizに対する不信感は残るにしても、彼女たちと今後別行動を取ることを考えればおおむね問題ない。
しかし。と彼は木々の間に消えた♂騎士の背を思いだした。
「どうやら彼は中断に気付く余裕もなかったようですが」
「何者だったのですか?」
♀Wiz達と共に追ってきた淫徒プリが歩み寄って尋ねる。
♂セージは意外そうに聞き返した。
「見えてなかったのですか?」
「離れてましたし炎の壁越しでしたから、はっきりとは」
それを聞いて♂セージは深く頷いた。
「なるほど、それでですか。あれは♂騎士さんだったんですよ」
「ええっ」
彼の一言で何をやったか気付いた3人はそれぞれに驚きと困惑を示す。
「悪いことしてしまいましたね」
「分かっていれば誤解させそうなことは控えたのですけど…」
♂セージは肩をすくめる。
「まあ仕方のないところでしょう。私としても彼の心理状態がわからないので近付かせないようにしていたぐらいですし」
「ちょうどそこに僕たちが来ちゃった?」
「ええ」
誰が悪いというわけでもない。誤解するしかない条件が重なったのだ。
はあ、と一斉にため息を吐く。
その時いきなりガサガサと茂みが鳴った。
全員の鋭い視線が集まる。
「あれ?ええと…あのえんがちょ騎士どこ行っちゃった?」
転んで絡まってでもいたのか、あちこちに枝や葉っぱをくっつけた♀商人はばつが悪そうに言った。


<♀商人>
現在地:D-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が……?
   ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・淫徒プリと同行→朝を待って♂セージ・淫徒プリと同行

<♂騎士>
現在地:D-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど、個体認識異常(♂ケミ以外)正気を保ってはいるが、未だ不安定
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走

<淫徒プリ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 師の言葉を思い出し少々センチ
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂セージと同行→朝を待って♀商人・♂セージと同行

<♂セージ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:ソードブレイカー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行→朝を待って♀商人・淫徒プリと同行

<♂シーフ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:多めの食料
容 姿:栗毛(紫)
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い
   ♀WIZ・♀商人・♂セージ・淫徒プリと同行→朝を待って♀Wizと同行

<♀WIZ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐
   淫徒プリ・♂セージ・♂シーフ・♀商人と同行→朝を待って♂シーフと同行
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは赤ゲージを脱したばかり


やっぱり♂騎士には不確定要因で居て欲しいなと合流阻止。スマヌ♂騎士。。。
147名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/08/04(金) 21:03:07 ID:joIg4Elg
なんか、「076.特別扱い」が見れないんですけど;;
もしかして俺のPCだけですかね?
他のページはなにも問題なく見れるのに
76話だけは昨日から何度やっても
真っ白のページが表示されるだけ……(;´Д`)
なんどか更新押してみましたが効果なしです;;
148名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/05(土) 03:04:56 ID:4HoWhcic
237.実験と観察[3日目早朝]


清く正しいアコライトの朝は早い。
まだ薄暗い内に起き出すと熟睡中の相棒を揺さぶった。
「ほらほら、さっさと起きるっ」
「う〜。まだ眠い〜」
起こそうとする手を避けて♀マジは右に左に転がる。
♀アコは両手を腰に当てて眉をつり上げた。
「そんなんで冒険者つとまるの?」
「ボクは学究派なの。フィールドワークは専門外〜」
「はいはいわかりました。でもあと2日しかないんだよ。時間は貴重でしょ」
「あ〜う〜」
夜更かし朝寝坊が常なのか、♀マジは一向に起きようとしない。
やがて諦めたようなため息と共に足音が離れてゆき、♀マジは腕に顔を埋めて寝直す態勢に入った。
しかしその耳に♀アコの笑みを含んだ声が届く。
「早く起きないとごはん全部食べちゃうからねー」
「ごはんっ!?」
飛び起きる♀マジ。
「どこどこっ…って何1人で食べてんのよ!」
「起きないのが悪い」
口をもぐもぐ動かしながら♀アコはしれっと言った。
♀マジはいそいそと近付き、食べ物を探して♀アコの周囲を見回す。
「で、ご飯どこ?保存食なんて昨日ので終わりだと思ってた」
「うん、昨日食べたのが最後だよ」
「え?じゃあ何食べてるの?」
「これ」
「う」
♀アコの取り出した物を見て♀マジは軽く引いた。
民間で用いられる精力剤にも似た、乾燥したトカゲのような代物。
ただし見た目に比して匂いはそう悪くない。
子デザが落ち着かなげに前足を踏み、舌を出して尻尾をぱたぱた動かした。
「それってペットフードじゃ」
「ん。どうかと思ったけど結構いけたよ。いらない?」
「もらう」
引っ込められ掛けたペットフードを♀マジの手が素早く奪う。
きゅうん
子デザは鼻を鳴らした。

「やー助かった。これでひとまず安泰だね」
「明日の夜はもうごはんの心配してる余裕なんてないしね」
北上する2人の足取りは軽い。
その後を子デザがとぼとぼ付き従う。
子デザ一匹なら一週間近く食べつなげるだけのエサがあったのだが、2人と一匹では節約しても二日分ぎりぎりにしかならない。
そして彼女たちには空腹を我慢して食い延ばす気などこれっぽっちもないようだった。
「で、どこ行くの?」
♀アコは♀マジに尋ねる。
方向音痴の1人と一匹としては♀マジに頼るしかない。
「F−5にジョーカーとかいうヤツ探しに行くの」
「え。なんで場所分かるの?」
「自分がエライと思ってるヤツは真ん中とか高いトコが好きでしょ」
そういって地図を見せる。
「あー。なんかちょっと納得かも。けど真ん中辺ってだけならもっと広いし、禁止されてないところから調べるのが先じゃない?」
「禁止されてるからなんだよ。他は周りから追い立てるみたいに禁止してるのに、ここだけ真ん中を、それも一番最初に禁止したんだよ?変だと思わない?」
「変…かなあ?」
「変なの。だからボクはここが怪しいと思う」
断言する♀マジに♀アコはふうん、とうなずき
「でも方向間違ってない?」
地図と景色を見比べて首を傾げる。
「え!?」
♀マジは慌てて地図を取り返し、さらに太陽の方向を確かめ直した。
結論。
「間違ってない。北はこっち。この超神話級方向オンチ!」
進行方向を確認した彼女はジト目を向ける。
♀アコは頬を膨らませた。
「そこまで言う?自分なんか朝寝坊魔人のくせに」
「ボクは普通だっ。キミが早すぎるの」
「ふーん。規則正しい生活しないと発育が遅れるんだよねー」
「あ〜っ。言ってはならないことを〜!」
売り言葉に買い言葉。
何度目になるか分からない竜虎の戦いが再開されようとした。
もう完全に慣れっことなった子デザはさっさと避難し、減ってしまったエサの代わりを探しに行く。
そしてすぐに戻ってきた。
わふ
「ん、どうしたの?」
子デザに裾を引っ張られ♀アコは構えを解く。
♀マジも戦意をそらされて歩み寄った。
「サベージでも見つけたとか?」
「だったら捕まえる?」
「もちろんお昼ごはんに大決定」
「よっし」
食欲に支配された2人はあまり深く考えず子デザのあとを追って駆けだした。


「あれは食べられないね」
「……」
子デザに案内されていった先で見たモノに♀アコは嘆息する。
対して♀マジは無言で背を震わせていた。
「どうしたの?」
心配になった彼女はそっと声を掛ける。
それを引き金にしたように♀マジが爆発した。
「なにやってんのよこのばかぁっ!」
「わ、ちょっと!?」
猛ダッシュを掛けた彼女を♀アコは慌てて追いかける。
彼女たちの行く手には♂マジの体を調べる♂Wizの姿があった。
「なニごとダ?」
さすがに気付いたデビルチが突進してくる♀マジに怪訝な顔をする。
♂Wizは丁寧に説明した。
「ああ、あれがこの♂マジ君の探していた♀マジですよ」
「主人も知リ合いデあったナ?再開を喜んでるヨうにモ見えヌが」
「ふむ」
彼は♀マジが魔法の射程距離内に入るまで待って立ち上がり、
「アイスウォール」
とりあえず壁を立てた。
「へぶっ」
突然のことに立ち止まれず、氷の壁へ顔をぶつける♀マジ。
そこへ彼女を挟みこむようにさらにアイスウォールがそそり立つ。
氷に閉じこめられ、動きの取れなくなった彼女は唯一動く口を働かせはじめた。
「ああああんたたち男同士で何やってんのよっ!」
「……は?」
♂Wizはデビルチに一瞬目をやり、その後でやっと♀マジの誤解に気付く。
「何かとてつもない勘違いをしてませんか?」
「ホう?どウ思ったのダ?」
「そこの笑う直立黒ネズミっ!聞かなくていいっ」
「ネズ…。言うタなバースリーのできそコないメがッ」
「ダレがババアだっ!ぴっちぴちのこのお肌が目に入らないか!」
自分の疑問には答えずキンキン声で口論を始めた2人に♂ウィズは眉間へしわを寄せた。
「ああ君たち。話が進みませんから喧嘩はやめてください。それと――クァグマイア!」
「わっ」
アイスウォールの陰で泥に足を取られた♀アコが驚きの声を上げる。
飛び出した♀マジについて来たものの、あっさり捕まったあげく口喧嘩を始めたことに呆れて出るタイミングを失っていた。
ふつう殺し合いの相手とこんな下らない喧嘩は出来ない。
だが♂Wizは何事もなかったかのように言ってのけた。
「デビルチ。そちらのアコライトを引き離しておいてください」
「心得タ」
うなずいたデビルチがキーキー声を上げ始める。
「ちょっとちょっと。あなた♀マジの知り合いじゃ…」
「知り合いですよ。仲がいいとは言いませんが」
「デハあちラにゆくゾ」
「ちょ…」
抗議しかけた♀アコはデビルチのJTにはじき飛ばされた。
149名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/05(土) 03:05:50 ID:4HoWhcic
「さて♀マジ君。久しぶりですね」
♀アコとデビルチが離れたところで♂Wizは改めて向き直った。
少し落ち着いた♀マジもやっと間違いに気付く。
「ええっと…そこの奇人と変なコトしてたんじゃない…んだよね?」
「大体想像は付きますが、変なこととは具体的にどのようなことでしょう」
「ボクの口から言えるワケないだろっ!」
♀マジは顔を真っ赤にして逆ギレする。
地団駄踏むなり照れ隠しパンチするなりしたいところだったが、氷漬けにされててはそれもままならない。
「まあどのみち彼は既に死んでいます。あなたの想像していたようなことはできませんよ」
「死んで…」
寝ているのだとばかり思っていた♂マジの肉体へ視線を落とす。
なるべくムニャムニャな部分が目に入らないようにしてるので断言できないが、やっぱり死んでるとは思えないほど安らか…と言うか妙に幸せそうな顔だった。
♀マジはかすかに震える声をしぼり出した。
「キミがやったの?」
「いいえ。私ではありません。が、他の誰であっても難しいでしょう」
「どういうことさ?」
「肉体の損傷は生命活動を停止するほどひどくはないのですよ。むしろ何というか……そう、魂を抜かれたような状態ですね」
「なんだよそれ」
青ざめる♀マジに対して♂Wizはひょいと肩をすくめた。
「理由は分かりません。ですが何にせよ、こうしてほぼ完全な肉体が手に入ったわけです。今は当初の目的を果たすことを考えるべきでしょう」
「って、まさかそいつ解剖するとか!?」
一応の知り合いが目の前でバラバラにされるのはあんまり見たくないなあ、と顔をしかめる。
♂Wizは微妙な様子を見せた。
「まあ最終的には。ですがこれほど完璧な条件が揃ったのですから、先に試したいことが1つ」
「な、なに?」
底光りする眼を向けられて♀マジは頬を引きつらせる。
やっぱり彼は尋常じゃない。
ほっとけないとか思ったこともあるけど、今はそれどころじゃない。
逃げないと。
悪い予感に怯え慌てる彼女に♂Wizは淡々と告げた。
「私はすでにあなたと彼の魂について知り、呪をつないであります。そして今、ほぼ完全な状態の魂なき器が手に入りました」
そう言って♀マジを閉じこめた氷壁のそばへ♂マジの死体を引き寄せる。
「え、え、ええ?」
「ですから第3の実験――魂の定着を試そうと思います」


「せいっ!」
ひゅひゅひゅんっ
振り子のリズムからしなるように打ち出される三連撃はすべて空を切った。
「邪魔するなこのチビ悪魔っ」
「ナニを言うカ。悪魔ダからコそ邪で魔なノではなイか」
デビルチと対峙する♀アコはなんとか♀マジの方へ駆け戻ろうとする。
だがそのたびにデビルチに妨害されていた。
「ああもうっ」
膝を狙って繰り出される槍を跳び下がって避ける。
お返しとばかりに蹴り上げようとするが、これはあっさり受け流された。
「ナめるデないゾ。イくら何でモ侍祭ごとキに倒さレてなどヤラぬ」
デビルチは決して強力なモンスターではない。
が、ろくな装備もない一次職が簡単に倒せるほど弱くもない。
しかも♀アコの得意とする拳打は、リーチの関係上自分の腰より低い目標には極端に当てにくい弱点があった。
「いい加減にしなさいよっ」
「オっと」
突き出される槍を狙って踏みつけようとするが、狙われる位置がそこまで低くないのでなかなか思うように行かない。
「もうっ!」
業を煮やした♀アコは蹴りをフェイントに入れて大きく間合いを取った。
「おや。まタ一歩仲間かラ離レたナ」
「うるさいっ!こーなったらあたしがあんたの天敵だって教えてあげる!」
「ホう?」
デビルチはできるならやってみろとばかりに彼女の行動を待つ。
命じられたのは時間稼ぎなのだ。誘いに乗る必要はない。
だが♀アコの祈りを聞いてデビルチは笑いを引っ込めた。
「オーディンの威光よ!」
「しマった、ほーリーラいトか」
闇に生きる者にとって聖なる光は確かに痛い。
逃げ場を探すがもう遅かった。
丹田の前で組み合わせられた♀アコの両手が開きながら突き出される。
「ホーリーライト!」
「ギャぁッ…………おヤ?」
とりあえず地面に倒れてジタバタしてみたデビルチだが、予想した衝撃がいつまで経っても襲ってこない。
不審に思って顔を上げると♀アコが頭を抱えていた。
「あああんもーどーしていっつも失敗するのよー!」
その言葉とともに彼女の手に灯っていた白光が揺らめいて消える。
事態を察したデビルチは転げ回って笑い始めた。
「キ…キキキキキッ。ホーりーらイとがコんな物ダとは知らナかった。この偽アこライトめガ。キキキキキッ」
「誰が偽よっ…もっかいっ!」
♀アコはもう一度ホーリーライトを詠唱する。
しかし勢いよく突き出された両手に白い光が灯るものの、やはり放たれることなく消えて行った。
「あーうー」
「やれヤれ、修行が足りヌな。ひとツ手本を見せテやろウ」
両手を見おろす彼女を嘲り、デビルチはキーキー声でJTの詠唱を始める。
その瞬間、♀アコの瞳がキュピンと光った。
「待ってたわよこの時を!」
「!?」
詠唱を続けるデビルチの目前へ一足飛びに間合いを詰め、両手を右腰に引きつける。
踏み込んだ左足と軸足のストライドはこれでもかと言うほど広く、腰の位置は地面をかすめるほど低い。
地を這うような姿勢によってデビルチとの身長差が消失した。
拳が、届く。
そして
「ホーーリーーラァイトォォーーーーッ!!」
発声と共に両腕を押し出し、限界までたわめた軸足の力を解放する。
――詠唱中のデビルチは逃げられなかった。
「グぎョあッ」
白光を伴って叩きつけられた両掌がデビルチの小さな体を軽々と吹き飛ばし、立木に叩きつけた。
♀アコの心象風景の中でその木がメキメキと音を立てて折れる。
もちろん現実にそんなことは起きない。
ただ、幹に貼り付いたデビルチがゆっくりと剥がれ落ちた。
「ふう、すっきりした」
♀アコは地面に落ちたデビルチを踏みつけ、大きく息を吐く。
その足の下でデビルチは苦しい声を絞りだした。
「わ、ワざとホーリーらイとが撃てヌ振りをしテいたのカ…?」
彼女はあっさり首を振る。
「ううん、飛ばせないのはホント。でもこうやって直接当てれば問題なかったのよね」
「…なぜコのヨうな奴ニ…」
精神的ショックを受け、デビルチは今度こそ気絶した。
150名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/05(土) 03:06:04 ID:4HoWhcic
「あ…ああああっ、あああああああああっ」
♀マジの喉から悲痛な叫びが上がり続ける。
彼女を拘束するアイスウォールには直交するように新しい氷壁が重ねられ、すぐには溶けそうにない。
そしてその周囲には大魔法にも匹敵する巨大で複雑な魔法陣が渦巻いていた。
「う…あ……やああぁっ……」
何かが彼女から引き剥がされて行く。
いや、違う。
彼女自身が肉体から引き剥がされて行くのだ。
術を開始する前に♂Wizは言った。
『あなたの魂を彼の肉体へ移し替えます。うまくいけば死なずに済みますよ』
痛みではなく、あるべきものが奪い取られる喪失感が全身をさいなむ。
代わりにそれを埋めて行くのは長い長い詠唱。
耳に響いていたその声が、次第に彼女自身をつかむ確固たる力として感じられるようになっていた。
視界がときどき二重映しにぼやけ、色や形の代わりに命や力の流れが目に映るようになる。
だが、彼女の魂は抵抗を続けていた。
色あせた視界が元に戻り、肉体の感覚を取り戻す。
今は体中に感じる氷の冷たさも気にならない。むしろその感覚が彼女の味方だった。
「あ……うう…」
再び魂を引き剥がそうとする力が掛かり、さらにまた彼女が押し戻す。
いつしか足元の魔法陣も内なる戦いを表すように正転と反転を繰り返し始めていた。
その時。
『――全に働いているようですが元の肉体から魂をうまく――。――な使い方をする予定はなかったのですから当然――』
♂Wizの思考が声として直接流れ込んできた。
同時に期待や焦りといった感情、そして誰かのイメージの断片が感じ取れる。
(女のひと…?)
一瞬自分の置かれた状況も忘れ、かいま見えたそのイメージへ意識を向ける。
それはあっという間に消え去ったが、感謝と悔恨に満ちた♂Wizの深い想いをかすかに感じ取れた。
(大事な人だったのかな)
♀マジは思う。
(だったらコイツがこんなになっちゃったワケもそこにあるのかも)
なんとかしてやれないかな、と思った直後。
思考の続きが聞こえてそれどころではなくなった。
『――は反動でこちらの魂が剥がれそ――。――り肉体から魂を切り離すには命を絶つのが確――』
(ちょっとまってええええええええええええええ!それってボクを殺すってイミ!?)
揺らぐ視界に♂Wizの握るコンバットナイフが映った。
魔法への精神集中を続けているのでごくゆっくりとしか動かせないようだが、ナイフは確実に上がって行く。
どんなにゆっくりでも氷漬けでは逃げられない。
(そりゃまあ確かに世紀の大実験に立ち会ってるわけだし、ちょっと成功しそうな気もするけど。自分が実験体になりたいとは思わないよ!)
(だいたいうまくいかないからって物理的手段に頼るのは魔法使いとしてどうかと思うっ。場当たり的な計画変更は失敗の元だよ!?)
♀マジは必死に抗議するが♂Wizの手は止まらない。
もっとも抗議しているのは魂だけで、肉体は意味を為さない叫びを上げ続けているだけなのだから当然と言えば当然である。
鋭い刃先はゆっくりと彼女へ近付き、
「ア・コ・ラ・イ・ト・キイィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ック!!」
ゴツン
強烈な衝撃を額に感じて♀マジの意識は闇に落ちた。


******

結果まで書いたけどあえてここで切ってみます。ちなみに当初の題名は『ボクとアイツとアイツとボクと』

>>147
私もIE・スレイプニル共に同じです。
技術的なことにはうといので分かる方の降臨待ち…。
151147 :2006/08/05(土) 17:06:36 ID:UBFxpNjY
>>148-150
そうなんですか;;
技術的な問題なんですか……
俺も大人しく降臨待ちしときます(´・ω・`)
152接近に失敗しました接近に失敗しました :接近に失敗しました
接近に失敗しました
153名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/06(日) 00:08:32 ID:1em5Hg9Y
♂WIZの相変わらずなオリジナル設定はどうにかならんものか・・・
154名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/06(日) 16:31:36 ID:yQd3D7rI
♂WIZ贔屓してる書き手がいるんだから、仕方ないんじゃないのかなあ。
私としては、ミストレスと会わないことが不思議で仕方なかったけど、
書く能力がなかったんで静観してたんだけど……
155名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 15:52:29 ID:givjKcYQ
237 異端の魔術

「ア・コ・ラ・イ・ト・キイィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ック!!」
「はぅっ!?」

儀式が今にも完遂しようとしたその瞬間。儀式の中心であった魔術師の少女の額に。
見事な飛び蹴りが決まった。
「これで動けるでしょ…っておーい!気絶しないでよ!?」
少女を拘束していた氷は砕けたが、その一撃で♀マジは昏倒したらしい。
新しく飛び込んできた少女…♀アコは♀マジを心配しつつ、♂Wizの持つナイフを弾こうと蹴りを放つ。

…仕方ないですね。

♂Wizは一旦儀式を中断し、闖入者の攻撃をかわす。

こんなに早く戻ってくるとは…計算外でした。デビルチめ、何をしているやら…

♂Wizは冷静に状況を分析する。この場にいるのは3人。自分と、♀アコと、♀マジ。
♀マジは先ほど昏倒した。ならば、自分と♀アコのみと考えていいだろう。
このアコライトはモンクを目指しているようで、なかなか体捌きがいい。だが。

その動きを封じてしまえば、ただの小娘ですね。

「クァグマイア!アイスウォール!」
動きを鈍らせ、閉じ込める。
「くうっ!こんなものっ!」
「ふむ。どうしたものですかね。」
一応閉じ込めることには成功した。が、氷壁の中から打撃音がする。…恐らく破壊して脱出しようとしているのだろう。
もし脱出されたら…今度も同じ手が通じるとは限らない。今仕留めるのが最も良いだろう。

残念です。実験体が増えるかと思ったのですが。

彼は詠唱を始める。選ぶ呪文はストームガスト。暴風と凍結の呪文。
この島の状態でも、直撃すれば死は免れないだろう。

このアコライトを始末してから、改めて実験を試しますかね…

詠唱しながら、彼はそう思った。
倒せると、思った。

「はぁッ!」
唐突に背後から、気迫が篭った声が聞こえ。
全く気づいていなかった彼は、そのまま撃ち抜かれた。
彼が自分を見下ろすと、胸部に見事な穴が開いていた。
奇跡的にまだ生きてはいる。だが、それだけだ。もう立ち続ける体力すらない。
倒れた彼が後ろを振り向くと…そこには、構えたままのモンクと、アルケミストの少女がいた。

…馬鹿な。こんな、こんなところで―――

薄れ行く意識の中、彼は考える。

死ぬわけにはいかない、まだ私は…彼女を…!

彼は最後の力で呪文を唱える。彼が最後に唱えた呪文は…中断した儀式の、最後の一文。
呪文は♀マジと♂マジを繋いでいる。だが、彼は呪文を少しだけ変更した。
うまく行くのかはわからない。だが、どうせ何もしなくても死ぬのだ。
ならば賭けてみよう…そう思いながら、彼は詠唱を終えた。

<悪ケミ>
<現在位置:E-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<グラサンモンク>
<現在地:E-7>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:♂ローグを警戒、負傷は治療、悪ケミを護る、戦闘の気配を確認して接近>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)>

<♂Wiz>
位 置: E-7
装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子
   レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア
   ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報
   ストームガスト メテオストーム ソウルストライク ファイアーボール
備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド
   デビルチと主従契約 ♂セージに対する敗北感 瀕死 自らが生き残る為に魂の定着を試す

<♀アコライト&子犬>
現在位置:E-7
容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-7
所持品:真理の目隠し
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
 褐色の髪(ボブっぽいショート)
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し ♀アコに蹴られて気絶
156名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 15:55:37 ID:givjKcYQ
ついに年貢の納め時ーと見せかけて生存しそうな♂Wizでした。
…なんでこいつはこんなにしぶといんだろう。自分で書いといてなんですが。
157名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 16:15:29 ID:7vF1f2L6
>155
とりあえず…この島において指弾で胸部に見事な穴は開かないと思う。
56話参照のこと。
158147 :2006/08/08(火) 16:38:18 ID:/9NQxaBM
えー、またなんですが、97話も表示されません_| ̄|○
ソースとかみてみたのですが、詳しくないのでサッパリです;;
また表示されないところがあったら報告した方がいいでしょうか?
159名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 16:42:19 ID:givjKcYQ
>157
56話の指弾は連射してるくさいから低Lvなのかなーって思ったんですが…
指弾ムリなら背後から殴って貫通…かな?
160名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 17:38:16 ID:.edTUssw
えーと、wiki更新しようとしたらナンバーが入り混じっててドレが何話かわかんないんだけど…
誇りある魂が217になってるから218は希望の灯火でいいのかな?
161名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 17:46:31 ID:SG3P3JLo
>>160
途中でNGになった話があったから1話ずつずれてるんだよね。
希望の灯火が218話でよかったと思いますよ。
162名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 17:50:36 ID:.edTUssw
225もカブってる…こまめに更新しないとナンバリング滅茶苦茶やねorz
163名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 18:14:29 ID:.edTUssw
なんか235と239がダメっぽい…真っ白なページが表示される
更新の時点でサーバーが見つかりませんになるとこういう状態になるのかな
164名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 19:23:41 ID:7vF1f2L6
>159
うーん…56話の文章からは、最初の指弾が手を抜いた強さとはちょっと思いにくい。
(殺したと思い込んでるし、初見の相手に不意打ちだし、全力でいくんじゃないかな)
そして素手で肉体に風穴はそれこそ指弾よか無理なのではと思うけど。
♂Wizを貫通させたいのであれば、何か武器とかが必要かも。何かないかな。

>一部のページが表示されない不具合についてページつくりました。
http://www6.atwiki.jp/battleroyale/?page=%E4%B8%8D%E5%85%B7%E5%90%8801
問題のあるページが複数出たので、@wikiに報告しました。
削除→再編集などやってみましたがダメっぽいです。
禁止ワード等は設定してないので、文章の長さなんかが原因かも…?
165名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/08(火) 20:01:37 ID:7vF1f2L6
>159
こんなの発見しちゃった…

235より
「発見できているのは、グラサンモンクと悪ケミストのペアだけだが・・・。
デビルチはてってけてーと走っていく。主人に成果を報告するために。
そのあと、その主人に後ろから口の両端に指を掛けられて引っ張られながら
怒られるなんて、そんな事は今の彼には夢にも思っていなかった。」
159氏か続きの書き手さんで一言フォローをぉぉ
166159sage :2006/08/08(火) 23:17:04 ID:givjKcYQ
>>164
素手で肉体貫通はジルタス相手にやってたはず、なんですが…
魔族が弱体化してるからって言っても人間より脆いとは考えにくいかな、と思いまして。

>>165
報告を受けたとしても、止めを刺す瞬間には多少の隙ができるかと考えました。
さらに、♂Wizには戦士的な戦闘力、つまり気配を感知する能力などはなさそうだったので。
あるとしても、そのような技能を高い水準で持っているであろうグラサンモンクを察知するのは無理かな、と。
それらから、止めの詠唱中の不意打ちならば通るかと結論しました。

一応自分的にはこんな感じです。わかりにくいですね、すみません…
167名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/09(水) 02:37:37 ID:ya.Ec5eg
指弾の強弱にこだわるんなら♂WIZのウリジナル魔法にも何とかしてくれよ
ジョーカーに自分の魂移して優勝してジエンド!とかなりそうで見てらんない
168名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/09(水) 04:43:26 ID:fvmzlYqc
>>166
あ、そうかジルタス!失念してました、ごめんなさい。
今見れないけど腹をぶちやぶったんでしたね。忘れてた。失礼しました。
あと>165は、通して読むと235話の最後が矛盾してて可哀想だなーと思っただけで、
♂Wizが「やっべコイツラ居たんだっけ」って二人の存在を思い出してくれたらそれだけで溝が埋まるかなーと。
(もちろん次の話でフォロー入れるんでも問題ないのですが)
結果は不意打ち成功で全く問題ないと思います。

>>167
疑問点がある場合、解決はご自身で積極的にどうぞ。
169名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/09(水) 09:32:00 ID:3SLl6DjM
素手で貫通させたという意見で決定しかけているところに悪いんですが、
たしかアルギオペ?の様な蟲に対して一度ではありませんが指弾であっさり倒していたので
WIZの硬さなら貫通できるのでは?
170159sage :2006/08/09(水) 10:02:11 ID:GZMBLcUE
>>168
なるほど、了解です。
フォロー入らなかったら後でその辺りを追加しておきます。

>>169
ちょっと読んできました。
蟲は確かまだ幼生という設定で、しかも二発必要となると指弾では無理っぽいですね…
ので、素手で行きたいと思います。ご意見ありがとうございました。
171名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/09(水) 12:34:55 ID:1w8FNYWQ
NGとアナザーをのぞいて本編をナンバリング修正しつつ237話「実験と観察」まで読めるようにしておきました。
ちなみにナンバリングがずれているので直前の話は238話になるかと思われます。次のかたは239を使用ください。

それから現在死んでいるページを確認しました。
第2回の本編とアナザー、NGしか確認しておりませんが、こちらの環境では以下のページが死んでおります。

2-111 111.妄想渦巻く夜の姫
2-136 136.上等な肉
2-142 142.目覚めは恐怖と共に
2-148 148.殺人者VSファルコン
2-152 152.不幸なめぐり合わせ
2-153 153.誤解が生んだ赤い結末
2-197 197.加速する悪意
2-198 198.涙
2-239

他の環境での確認と、できましたら代替ページの作成、差し替えを、どなたかお願いできますでしょうか。
本編も書きたいけど、暇がなす(;´Д`)
172名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/09(水) 14:56:47 ID:.Mks9asQ
時々キャラクターのステータス欄が/で閉じられてそこでブチ切れてることがあるね
コレに対する対処法とかないのかな
173名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/09(水) 15:53:11 ID:fvmzlYqc
スレやWikiのほうで報告のあった閲覧不可ページを修正しました。
詳しい内容は下記アドレスをご覧ください。
閲覧できないページを発見した場合教えてください。
その際はスレの内容を止めてしまうので、下記アドレスのほうに報告お願いします。
http://www6.atwiki.jp/battleroyale/pages/615.html

>>172
不具合報告のページに詳しくは書いておきましたが、その現象も<>のエラーみたいです。
まだ@Wikiに報告したばかりなので、ステ欄を確認したい場合には
しばらくの間「ページの編集」で無理矢理見てください…すみません。
174名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/10(木) 20:46:29 ID:RvYPpo6c
というか♂Wizとグラサンモンクが出ているらしき問題の文が読めないんだが、
NGワードらしきもの除いて載せてくれないか?
175159sage :2006/08/10(木) 22:42:24 ID:zT7AZY46
NGワードがわからないので削りようが…
修正版保管庫に置いてきましたので、そちらで見れないでしょうか?
指摘くださった方、ありがとうございました。
176名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/11(金) 20:41:56 ID:XPmtDrKI
239 なかま [3日目早朝]

彼女は長い悪夢を見ていた。
日常と言う名の悪夢。
当たり前になりすぎて悪夢だという意識もなかった。

彼女に夢はなかった。
ただその時置かれた境遇から脱し、這い上がることの繰り返し。
それは作業であって夢ではない。
上り詰めた先に何をしようと言う目的があったわけでもない。

彼女は悪夢しか知らないままに育ち、
そして今、別の悪夢の中にいる。


♀アルケミストは目を覚ました。
う〜ん、と体を伸ばそうとして手をぶつける。
そう言えば木のうろに潜り込んで寝たんだった。

(そろそろ一度きちんと身繕いしたいわね)
髪に付いた木屑を払って彼女は思った。
色気が武器の彼女としては着替えも化粧もできない今の状況はよろしくない。
あまり身だしなみが整い過ぎてても警戒されるだろうが、せめて水浴びして髪をとかすぐらいはしておきたいところだ。

(飲み水もなくなっちゃったし、小川でも探そうかしら)
うろを出た彼女は今度こそ大きく体を伸ばした。
こんな島でも朝の空気は爽やかだ。
さえずる鳥の声。
そよ風に揺れる梢。

すぐ傍でもゆらゆら揺れ動くものがある。
それがゆっくり顔を振り動かす人間だと気付くのに一瞬の間があった。
「きゃ!?」
思わず彼女は身構えた。
それでも反射的にか弱い女を演じられた事に少しだけ満足する。

そいつは頭を振るのをやめ、じっと見つめ返してきた。
だがその眼には殺意も欲情も侮蔑も憐憫も、彼女が予想したいかなる感情も浮かんでいなかった。
ただのモノを見るような眼。

その目つきに♀アルケミストの心の何かがざわついた。
「な、何よ」
反射的に言ってしまってから心の中で舌打ちする。
これじゃ虚勢を張ってるただの小娘だ。

それでもやっぱり相手の表情に変化は見られなかった。
ただ抑揚のない声でぼそっと呟く。
「おめ、ながまか。てきか」
そしてまた♀アルケミストの顔をじっと見つめる。

その口調を聞いてやっと彼女は相手の正体に気付いた。
こいつはあの愚鈍な♂スパノビではないか。
変わりすぎた雰囲気に飲まれてわからなかった。
いつも♀BSの意向を窺っていた、あの自信なさそうな様子が微塵もない。

彼女は一瞬だけ計算し、すぐに笑顔を取りつくろった。
「なんだ、あなただったの。よかった、私は仲間よ。忘れちゃった?」
下らない連中とまた一緒になるのは避けたい。けれど敵味方を問われて敵と答えるのは下の下だ。
答えを迷ったりごまかしたりするのも敵と言うに等しい。
ただ無駄に人数が増えるのは困る。

だからこう聞いた。
「そう言えば♀BSさんは?」
その瞬間、♂スパノビの表情が小さく動いた。
「もう、いね」
「…そうですか」
♀アルケミストは小さく頷いた。

♀BSとはぐれたのなら彼は今ごろ必死に探し続けているはず。
ということは死んだのだろう。
彼が殺したという可能性は…あり得ない。

「かわいそうに」
彼女はなるべく優しげな声を出した。
♀BSが死んだのであれば自分が取って替われるかもしれない。
うまく手なずければ裏切る心配のない手駒になる。
戦力としては疑問が残るけど、♀BSが死んで彼だけ生き延びたならそれほど馬鹿にしたものじゃない。

しかし、差し出した手の先から♂スパノビの体が逃げた。
「ながま、さがす」
「え?」
とまどう彼女の前で巨体が立ち上がった。
「めいれい、まもる」

さっさと行こうとする男に♀アルケミストは慌てた。
(ちょっとちょっと。私の誘いを無視するなんてどういうつもりよ)
内心かなりむっとしながら尋ねる。
「あの、命令って?」
♂スパノビは一言だけ答えた。
「ぼず、言った」

それ以上何も説明せず♂スパノビは歩き出した。
♀アルケミストも仕方なく後を追う。
ぼずと言うのは♀BSのことに違いない。
まだあの脳筋の命令に従ってるのだとすると、死んだと決めつけるのは早いかも知れない。
それなら。

「みなさんを探すならこっちだと思います」
彼女は♂スパノビの進む方向を少し修正した。
悩んだり復讐に狂ったりの余計な道連れはもうたくさんだ。
今までの『仲間』、特に♀BSと再合流しないように仕向けよう。

(と言っても誰がどっちへ行ったのか分からないけど)
彼女は心中肩をすくめた。

なるべく遠くまで行くのがいい。
その先はこの新しい手駒を活用しよう。
思い通りに動かすのは難しそうだが、盾にはなるし2人連れなら友好的なフリもしやすい。

それに♂スパノビだって男には違いない。
まずは彼を籠絡して、彼の仲間探しに乗じて有望なPTに紛れ込み、他の勢力を排除した上で毒薬を有効活用。それが理想だろう。
そこまで考えて彼女は苦笑した。

(世間ではこういう都合のいい理想のことを夢って言うんだったかしら)
少なくとも彼女の上を通り過ぎた男たちが寝物語に語った『夢』はそうだった。
彼女はそんなものに捕らわれない。
可能な目標を定め、達成する。

「あの、♂スパノビさん、待って下さい。私、山歩き慣れてなくて…」
♀アルケミストは♂スパノビの籠絡を始めた。
それがどれほどの難事かも知らず。


<♀アルケミスト>
<現在地:F-7>
<所持品:S2グラディウス 毒薬の瓶 ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ)>
<外見:絶世の美女>
<性格:策略家>
<備考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビと同行>
<状態:軽度の火傷>

<♂スパノビ>
現在地:F-7
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀アルケミストと同行
状 態:HP消耗、SPはほぼ回復?
177名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/11(金) 22:20:30 ID:m/L.CvEs
>>176
♂スパノビ切ない(´・ω・)
そして♀ケミさんがんばれw あいかわらずの悪女ぶりに惚れ惚れ。

一応報告。229話をwiki上で修正してきました。
これなら毒だけで死んだようには見えないはず。……多分。
178名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/08/14(月) 21:56:13 ID:IvZDCh/c
240.復活の魔術[3日目早朝]

♂WIZが死を感じた時に思ったことは二つ。
−デビルチがいっていた二人組の存在も考慮して場所を移すべきでした…
−ここで死ぬわけにはいかないのです、まだ私は…彼女を…!

一つ目の思いはすぐに消えた。今更すぎるからである。
正確にいうならばデビルチの報告にあった二人組みの他に♂WIZはこの近辺に強い妖艶な魔力を感じていた。
こんな危うい区域はすぐでるべきだったのだと、本当に今更ながらの刹那の後悔。
二つ目の思いは強く脳を回転させた。私が生きるにはどうしたらいいのかと。
答えはすぐにでた。自分の魂を移すことだ。幸いそのための準備も整っている。

これを実現させるには自分の魂を肉体から切り離す必要がある。
それには切り離す肉体の命を絶つのが理想。
もはや虫の息になってしまった今の自分の状態なら問題はない。

そして定着させる肉体の命も絶たれていて尚且つ損傷がないのが理想。
まだ魂が残る♀マジよりも♂マジに定着させるのが正解だろう。

だから♂WIZは♀マジと♂マジのリンクを自分と♂マジのリンクに急遽切り替えた。
これは少しだけの変更ですむので詠唱の進行の大きな妨げにはならない。

問題はどこにもない。♂WIZの魂は♂マジの肉体に定着して復活するはずだ−
そして♂マジの肉体で復活できればやりすごすなり反撃なりできるだろう。
うまくいくかどうかは解らないと思って無理矢理詠唱したものの確かな自信はあった。
実のところ心の底では十中八九うまくいくだろうという確信していた。
何年も積み重ねた論理と先ほどの実践で確実な手ごたえを感じていたからだ。
それは♂アサとの戦いの時よりも遥かに大きな勝算だ。私はまだ死なない。まだ実験は終わらせない…!

魂がゆっくりと肉体から解き放たれる。術の発動は成功だ。
そして♂WIZの肉体は完全に死んだのであろう力なく崩れ落ちた。
魔力が結ぶ♂WIZと♂マジのリンクラインを誰にも認識されることなく魂は運ばれていく。
そして♂WIZの魂が♂マジの肉体と融合するように重なり静かに定着していく。

−ハズだった。何故か定着していく感覚がまったくない。突然の絶望が♂WIZを襲う。
何故定着しないのか、それは命が絶たれた時点で爪角の欠片の効果が発揮されているからだ。
つまり一度命を絶たれたら二度とは復活はできないという爪角の欠片の効果が。
命を絶つという工程を踏む以上ミストレスの時のようにはいかないのだ。

魔術の結果は失敗となり♂WIZは魂だけが文字通り宙に浮かんだ状態になってしまっていた。
魂は肉体に定着することなくふわふわと浮かんでいく。

−失敗の原因は能力の制限でしょうか? それにしては…
呆然とした表情の♂WIZの魂は森の木々のてっぺんあたりで地上を見下ろしている。
何故失敗したかわからないと魂の思考は止まらない。
あらゆる失敗の原因となりうるものが♂WIZの脳裏に浮かび消えていき、そして−

−生死判定と蘇生阻止に爪角の首輪、ですか。
♂WIZは失敗の原因をついに確信した。

−主ヨ、残念ダったナ

デビルチの声が聞こえて周囲に注意を向けるといつのまにか♂WIZの横にいる。
デビルチも宙に浮いているということは魂だけのような状態なのだろうか。

−最高の環境と思っていたのですが皮肉なものです。あなたとの契約もこれで終わりですか?

−ウム、契約の途中ダがこうナってしまっテはしょウがないナ。ニブルヘイムまデ案内するゾ。

♂WIZは自嘲気味に薄い笑みを浮かべてデビルチに従う意思表示をする。

−私は…

そして最後に何かを言おうとしたがそのまま飲み込んで、消えた。
気絶していたデビルチのからだも同時にスッ−と消えていく。


<♂Wiz>
現在地:E-7
所持品:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子 レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:Si SiR FP QM FW FD IW SG MS SS FBl モンスター情報
備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド デビルチと主従契約 ♂セージに対する敗北感
状 態:死亡

<残り20名>
179178sage :2006/08/14(月) 22:01:12 ID:IvZDCh/c
ごめんなさいあげてしまいましたorz
ちょっと♂WIZの魔術の話しと”爪角の欠片”のくだりで違和感があったので投下してみました。
こうすれば♂WIZはまだまだ頑張れたのにとか思ってた方いましたらすいません。
180名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/14(月) 22:20:52 ID:6NRBQbtA
GJ。♂Wizらしい幕引きだと思うよ。
で、デビルチも野良にならず離脱でいいのかなぁ?
よければその辺の補完お願いします。

これで純正マーダーは♂ログとミストレス様に♀ケミになったのかー
がんばれマーダーまけるなマーダー(笑
181178sage :2006/08/15(火) 01:46:32 ID:1t28Iza6
あああすいません。抜けてましたね指摘さんくすでっす。
個人的には
<デビルチ>
位 置:E-7
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約
状 態:契約中断により消滅(所持品のうち+10スティックキャンディは気絶していた場所に放置)
を追加しようと思ってますが契約中断により消滅ってのも強引かなーという感じも。
前回も子バフォが死ぬまで頑張ってますからねー。
とりあえず消滅の強引さが認められればこのまま上のを追加ってだけで。
認められなさそうなら後半仕切りなおしてデビルチ復活ルートに修正します。
182名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/15(火) 14:53:31 ID:Fhrdz.mQ
誰かが+10スティックキャンディ拾って
デビルチ呼び出せたらステキじゃない?
183名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/08/15(火) 15:30:13 ID:X4E5yvVo
>>180
♀ケミはマーダーに入るのかな・・・
運が悪いせいか悪役になりきれてない気がする


スティックキャンディは♀マジの元に戻る感じでいいんじゃない?
184名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/08/15(火) 15:31:00 ID:X4E5yvVo
ごめん・・dameてしまった・・・
ageときます
185名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/15(火) 22:40:32 ID:8yGfb.Bg
孤島の殺戮ゲームといえば、精神不安定が展開の鍵と信じて疑わない私がちょっと生存者を評価してみた。
なかなか楽しかった、一部キャラのこきおろしに関して後悔はしていない。


♂ハンター
 けっこう精神不安定な王子様
 またミストレス様に揺さぶられるなり横槍なりあれば崩壊する
 シリアスぶれないPTで居心地の悪さを感じてかき回して飛び出しそう

♂ローグ
 人殺したのシーある意味精神やばい人
 快楽殺人者はかませ犬にしやすいのが今後の心配

ミストレス
 実は生存者の中で唯一、主催者側に明確な殺意を抱いていて実行に移そうとしている人
 早く山の子供たちに会いたいお母さんは、異種族の参加者どもを蹴散らすのに遠慮などない
 ちなみにむしタイプはひこうタイプに弱い

♀アルケミスト
 男運が無い
 女を嫌いな女、男は馬鹿だし道具だ、って考えの持ち主になるまでの過去を考えると、
 二日やそこらでマーダー思考が揺れるほどに不安定にはならなさそう

♂騎士
 彼に必要なのは専門医と暖かい心のケアです、精神的不安定状態からの脱出は絶望的

♂プリ
 エンタの神様がついてる、頑張れ強面
 ギャグエロ面に期待が寄せられる、別名下ネタ担当

♂スーパーノービス
 おやびんが死んでちょっと怪しい、稚拙な頭のおかげでこまごまとした事であっても重なると自然崩壊もありうる
 ♀アルケミストに崩される事は逆になさそうだがこいつも男だからね

♀スーパノービス
 もしも妹を失ったとしても「また…一人になっちゃった……」で済ませて行動を再会させそう
 女でスパノビでLvも低め?という肉体的な弱さがちょっとネック

♀ハンター
 ♀スパノビかふぁるのどちらかが死ねば即崩壊
 両方死ぬと自殺ルートを取りそう

♀ナイト
 ♂モンクが死んだら怪しくなる依存タイプ
 あとカップルっぽい感じをたもっているのはこの子で最後なので、恋愛面で活躍していただきたいところだが、
 相手が相手だし冷静ツッコミ役をせざるおえない状況のため期待薄

♂モンク
 喋りが書き手泣かせ、カイジといい勝負(書きやすさ:前回の内藤>>>>今回のラッパー>今回のカイジ)
 楽観的な性格が幸いして精神崩壊はなさそう
 ギャグ担当だったが♂プリとの合流によって本格的にギャグ担当PTとなった

♀アコライト ♀マジシャン
 二人と一匹が一緒にいる間は元気に駆け回るであろう、もう一つのギャグ担当PT
 ぶっちゃけデブも貧乳もサシでいわれるとだれしも傷つくので普通女の子は(どんなにキレても)影でだってなかなか言いません、こいつら実は相当えげつない
 悪ケミとグラサンモンクと合流したところで、首輪と地図に関しての情報提供が終わればあとはただのコントコンビになる
 ただし、あえて言えば♀マジは♂マジ・♂ウィズのことで精神的につつきまわせる余地がある

♀Wiz
 エロティズム担当、♂プリとは格が違うぜ
 過去や思想や目的がある分精神面は崩れにくそうだが、ヤケになってマーダーになった場合、
 頭脳も使えて魔力もあって避けるオーラウィザードは前回の初期〜中盤の♂BS並に手がつけられないマーダーに化ける

♂シーフ
 ぼっ、僕だって戦うんだ!って言いながら武器を構えつつ膝が笑ってて失禁するようなタイプだと思ってますがどうなの
 現在のところそうやって守ってあげる可愛い女の子がいないため、狂っちゃっても盗作ローグ志望という中途半端にいい頭をつかって自爆しそう
 影が薄くて処遇に困り放置してたら、なんだかんだいって最後までいた♂アーチャーがよぎります

♀商人
 最強の散財狩りの代名詞、メマーナイトも使えちゃう片思いの乙女、つーか金投げるとかそれどんな銭形
 精神崩壊させても、大人数PTをかき回すほどの力はないため腹をくくって♂セージ、♀Wizについていきそう

淫徒プリ
 ♀Wiz・♂セージが首輪解除→脱出ルートを順調にとる場合、現在PTの中で一番の爆弾
 ただし精神面での取り入りはイマイチのため物理的な行動を起こすことになりそう
 実は女装だったとバラせば、♂シーフと♂プリあたりにかなりの精神的ダメージを与えられる

♂セージ
 こういう状況で精神崩壊を起こすタイプではない
 ジョーカーと真っ向に相対したら我を忘れて狂っい飛び掛ってくれるかもしれないが、嫌味合戦になる可能性もある
 悪ケミと合流したら戦闘力(♀Wiz・グラサンモンク)の面からみても脱出ルートが確定してしまいそうで怖い

悪ケミ
 忍者といいグラサンモンクといい、もう一人のケミとちがって男運がある
 ♀アコ♀マジから首輪と地図に関してが聞ければ解除に一歩近づけそうだが、二人はそれが重要な事だとは思っていないためスルーだってありえる
 狂って殺人側転向はなさそう

グラサンモンク
 悪ケミと一緒にどこかに合流した時、もしかしたらまた爆弾に化けるかもしれない精神と性格を持ってる
 狂って殺人思考になれるだけの力も所持している
 悪ケミの人身掌握がしっかり作用すればなんら問題は無いであろう
186名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/16(水) 01:16:12 ID:0J4D3fIo
>>181
デビルチはこのまま消息はっきりさせないで、どっちにでも進められるようにしては?
今のままでも完全に消滅した、とはなってないわけですし。
復活させるには消えかけてた(らしい)ところから引き戻す何かが要りますが。
>>185
毎度おなじみちょっと斜め分析GJ。
これが結構楽しみだったり。

そしてひこうタイプによわいヒト書いては見たけど…大丈夫かなコレ。
かろうじて18禁じゃない…ハズ…。
187名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/16(水) 01:16:34 ID:0J4D3fIo
241 dawn purple [3日目未明]


草深い山の奥。
暗い梢の隙間から藍色の空が覗く。
りーり、りーり
朝の訪れも知らぬかのように虫達は合唱する。

ああ、ああ、ああ、ああ
虫の音に答えるのは嬌声にも似た高い声。
それに合わせて薄紫の光が明滅する。

光の元は1人の少女だった。

薄い胸。
短いスカートから覗く細い脚。
女としてはまだ成熟しきっていない青い果実。
かつて♀アーチャーと呼ばれていた彼女は、しかしそのなだらかな下腹をわずかにふくらませていた。

四つん這いになったその背で薄紫の光が明滅する。
下履きは脱ぎ捨てられ、秘めやかな場所を隠す物は短い裾の作るわずかな影しかない。

あぁっ
内股の青白い肉がひくついた。
ツッ――
スカートの暗がりから透き通った液体があふれ、白い腿を伝い落ちる。

そして青い布の下で肉が蠢き、影の中に丸みを帯びた何かが顔を覗かせた。
夜明け前のかすかな光に青白く映える肌よりも、さらに白い何か。

ふうぅっ、はあぁぁっ
彼女が熱い吐息を吐くたびに。
白くて丸い何かは頭を覗かせ、また戻る。

少しずつ、少しずつ。
ひと呼吸ごとにそれの大きさは増し、
やがてはっきりと形を現した。

少女の手首よりも一回りほど太いそれが、ぬるり、と一気に半分ほどぬめり出る。
完全な球体ではなく、米粒にも似たやや細長い形の…卵。

あぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁっ
高く、長く。夜明け前の空に苦痛と歓喜の声が響き渡る。
背から伸びた光がひときわ明るく輝き、はっきりとした羽の形を取った。
両の脚に震えが走り、内股に腱が浮く。
そして。

にゅぽんっ
かすかに湿った音を立てて卵は生み落とされた。
両脚の間に伸ばされていた繊手がそれを受け止める。

ふぅ、ふぅ、ふぅ、…あはぁ
荒い息、汗の浮かんだ額、潤んだ瞳。
苦闘の跡をありありと示す顔に、母となった少女は満足げな笑みを浮かべた。

湯気を立てる卵をそっと抱き、表面の液体をきれいにぬぐう。
「はよう育つがよい。そして我のために尽くすのじゃ」
彼女は卵に声を掛け、服の胸元へ収めた。

冷たい朝の空気にさらしておくのはよくない。
だが日が昇れば日向に放置しておいても孵るだろう。
蟲の卵とはそういう物だ。

(さて、次の子を孕むだけの時はあるかのう?)
彼女は小首を傾げる。
臣下は多いに越したことはない。
だが孵化までの時間や出産前後に動きが鈍ることを考えると2匹目は賭けになる。

(雄の当てならばあるがの)
曙光が空を彼女の色に染める中、
彼女は想い人の顔を思い浮かべてうっすらと笑った。


<ミストレス>
現在地:E-7近辺
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー
備考 :本来の力を取り戻すため、最後の一人になることをはっきりと目的にする。つまり他人を積極的に殺しに行くことになる。♂ハンターを誘惑。子を産んで戦力にするため?
  卵を産んだ。♀ハンターに報復したい!
188178sage :2006/08/16(水) 03:30:05 ID:dEGrTw.w
>>182,183,186
そうですね。ここは次の書き手さんに任せたほうが面白そうですね。

というわけで“240.復活の魔術[3日目早朝]”ですが、修正なしでいきたいと思います。
デビルチがどうなるのかは投げるようで恐縮な感じもありますが次の書き手さんにお願いします。


>>241
描写はセーフかと(笑
前に18禁関係で問題なった不快感もないしね。
これでE-7に竜虎&グラサンコンビ、ミストレズ、デビルチ?
北のE-6にはお笑いPT、東のF-7には♀ケミ♂スパノビがいるし何か起こりそうだー
189名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/17(木) 10:04:36 ID:WmJuQqIw
ちょっとアナザー置いていきますね。
190名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/17(木) 10:05:02 ID:WmJuQqIw
再会・最愛


そこは川辺。美しく花が咲き乱れる、その場所で。

デビルチと♂Wizが途方に暮れていた。

「…デビルチ。」
「ナ、何だ主ヨ?」
「貴方は私をニブルヘイムに案内すると言っていた気がするのですが。」
「ソ、そうトも、こコがにぶるへいむダ!」
と、周囲を指すデビルチ。…明らかに違う。
「貴方はニブルヘイムの場所すら知らないのですか…?」
「…仕方ナいだろウ、我は生マれテからにぶるへいむヘ行っタことナどないノダから…」
「それを先に言ってほしかったですね…」
肩を落とす(ように見える)デビルチ。その隣で溜息をつく♂Wiz。

さて、ここは何処なのだろう。
デビルチが適当に進んだ結果、自分がどこにいるのかさえ♂Wizはわからなくなっていた。
当然、帰り道もわからない。
「全く、もう戻れそうにないのですが。」
「それハ困ったナ…」
「貴方の責任のような気もしますが…まぁいいでしょう。それよりもここがどこなのか調べないと…」
♂Wizは周囲を見回す。
花、花、花…花が無数に咲く川原。林のような場所もある。
そして、川の向こうには薄く霧がかかっている。
「…ふむ、あの島でないことは確実なのですが。」
そう思って、林のほうへ歩く。少しでも身を隠せる場所に…と、島での思考が染み付いた自分に気づき苦笑する。
「そうでした、ここではもう殺し合う必要もないのでしたね。」
「そウだな。最モ、我は殺し合イのほウが面白かったのだガ。」
そう話しているうちに、林の中へ。あの島の林とは違い、安心感があると♂Wizは思った。
「たった二日しか過ごしていないのに、あの島の記憶が染み付いていますね…」
「まァ、なかなカ刺激的ダったからナ。」
「確かに…あのような環境は、普段は体験できませんね。」
「主ハ楽しかっタか?」
「はは、生憎私はそこまで壊れていませんよ。実験材料が豊富だったのは幸いでしたがね。」
「ふム…ム?」
「?どうかしましたかデビルチ?」
「イや、何かに呼ばレたようナ気がしてナ…」
「ふむ。…行ってみてはどうです?もう私と貴方は主従ではないのですから。」
「…ソうだな。でハ元主よ、チょっと行っテ来るぞ。」
そう言い残し、デビルチは草むらに消えていった。
その背を目で追い、デビルチが消えてから彼はふと呟く。
「…結局、私には彼女を蘇らせることができませんでしたか。」
たった一つの心残り。彼は、その心残りを想う。

「大変だったのね?」
「ええ、まぁ。…!?」
背後から唐突にかけられる声。とても、懐かしい声。
一瞬遅れ、それに驚き振り返った彼は、
そこに、愛しい彼女を見た。

「な…何故貴女がここに!?」
「何故も何も、死んだらここに来るのよ?…あら、ひょっとして気づいてなかったの?…ここは天界。」
「…天界、ですか?ここが?」
「そう。川の中、見なかった?」
「川?…あの川ですか?」
「そう。あれは下界を映す鏡。映るのは、覗いた人の望む場所、望む人、望む物。」
「そうなのですか。…そうでしたね、私は確かに死んだのですから…」
「そうね。久しぶり。元気だった?」
「ええ、つい先程までは。今は立派な死人ですよ。」
「ふふ、それもそうね。でも、安心した。貴方はあまり変わって…変わってる、のよね。」
「…?どうかしましたか?」
「私が死んでから…

異端の魔術に、手出ししてたわよね?」

唐突に突き付けられた言葉。それは彼を現実へ引き戻す。異端とは、禁忌。禁忌とは―――
「っ…そう、ですね。私は…貴女と居た頃の、私ではない。」
「そうね。あの頃とは違う…」
彼女から少しでも離れようと、一歩一歩後ろへ。彼女を、自分の闇で汚さぬように。
「…理論ばっかりで全然実践しなかったあの頃とは、大違い。」
「…は?」
予想していたものとは全く違う言葉。その言葉に、歩みが止まる。
「ごめんなさい。私が死んだから、貴方は…」
「違います。…私がこの道を選んだのは、あくまでも自分のためです。」
そういえば、と彼は思う。…彼女に、伝えたことはなかった。気づいたのは、彼女の死の後だったから。
「でも、貴方は私を蘇らせようと」
「…私は、私の愛する人を蘇らせたかっただけです。」
「っ…!」
「最も、今の私がそのようなことを言っても、意味はないでしょうが、ね。」
「…どうして?」
「どうして…ですか?…私は異端の魔術に手を染めました。それがどういう意味だかは判って」
彼にとっては十分すぎる理由。それは
「だから、何?」
彼女にとって、理由にならなかった。彼女はずっと秘めていた想いを語る。
「私は、貴方が好き。…異端なんて関係ない。ずっと、好きだった。…私は、川で、貴方を見ていたんだよ?」
川で。…先程の言葉を思い出す。そして、その意味も悟る。
「…そう、ですか。」
「へ、返事…は?」
薄く涙を浮かべ、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうな表情で彼女は問いかけてくる。
その彼女に、彼は久しぶりに…本当に久しぶりに、心からの笑顔を浮かべ。
「私も、愛していますよ。」
ふと彼は思う。…もし自分が、彼女の死の前に、この気持ちに気づいていたら。
そんなことをふと考えてから。
―――まぁ、今の私には関係ないですね。

♂Wizは、最愛の彼女をその腕で抱きしめた。


彼にも幸せになる権利はあると思うのです。え、ない?そんな冷たいこと言わないで。
191名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/17(木) 18:53:06 ID:1LPrDFIs
♂WIZがそんなことをしてる時起こった出来事・・・

♀剣士「あ・・・♂WIZさん発見です。ではさっそくインタビューを・・・」
♀セージ「まて♀剣士・・・フロストダイバー!!」
♀剣士「きゃあああああ!?」
♀セージ「どうやら取り込み中だ。あれが終わってからでもいいだろう」
♀剣士「・・・・・・・・」
♀セージ「見事な氷像になったな・・・」

♀セージ「では今のうちに・・・
♂WIZに聞きたい質問をこちらのあて先まで、どしどし応募してくれ」
♀剣士「・・・あんたねえ・・・まあいいけどね・・・♂アルケミスト、♂マジ、グラリス
♂クルセイダー、♀BS・・・他まだ質問に答えてない死者への質問も継続して
募集していますので奮ってご応募ください」
♀セージ「採用された方には・・・ってコラ・・・待て貴様!!」
♀剣士「採用された方には♀セージさんの整形前ブロマイドをプレゼント♪」

♀剣士「ご応募お待ちしています!!」(脱兎のごとく逃げる)
♀セージ「ウソだからな!! 信じるなよ!! ・・・って待てぇぇぇぇぇ!!!」
192名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/17(木) 19:03:28 ID:7wL87qZw
最後の一行同意
でもデビルチが空気読まずに出てくる展開にwktkした俺ガイル
193名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/18(金) 02:49:33 ID:uA/YCGAU
まだこのスレあるのか……ほんとこのスレ凄いな。
いつの間にか18禁的表現も微弱に含まれてるし……
みんながんがれ。
194名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/22(火) 20:36:39 ID:N3lPBpyQ
ふと思ったんだけど今このスレ覗いてる人間ってどのくらいいるんだろ?
195名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/22(火) 23:17:32 ID:6B6OBiHU
カウントでもしますか?

ノ (2/20)
196名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/22(火) 23:25:37 ID:zt3LSb4A
ノシ (3/20)
マダナツヤスミ
197名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/22(火) 23:32:37 ID:HLekWWFU
次まだかなー。(4/10)
198名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 00:20:02 ID:2SN7LTgI
おっと日付変わってた (5/10)
199名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 00:34:12 ID:GjIDIwEs
ノシ (6/10)
おりますよー
200名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 00:50:51 ID:SbxbqYA2
まだまだ〜(7/20)
201sage :2006/08/23(水) 01:39:59 ID:nCUp6cU.
1日1回チェック(8/20)
202201sage :2006/08/23(水) 01:42:31 ID:nCUp6cU.
書き込むのは久しぶりさ_| ̄|○スマソ
203名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 01:48:02 ID:P1joq0/c

(9/20)
同じくチェックしてます
204名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 01:55:17 ID:i.BGYUbI
レスが沢山!
と思ったらカウントだった。
なんて言いつつ。
 つ(10/20)
205名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/08/23(水) 02:24:30 ID:HJLlcJEA
(11/20)...φ(..)メモメモ
206名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 05:33:50 ID:m87Pywvo
時々書き手になる傍観者がひとり(12/20)
207名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 06:05:00 ID:eB5KkrC6
いるよー(13/20)
208名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 06:48:56 ID:KSW.0zNs
'`ィ (゚д゚)/ (14/20)
209名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 07:20:52 ID:G0hx06uM
ノ(15/20)
210名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 08:45:27 ID:fcv5uMr2
チェックは一日朝晩二回(14/20)
211名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 09:16:16 ID:/aWp3rlY
……(´・ω・`)ノ(17/20)
212名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 09:26:06 ID:NoDH04jU
ノ(18/20)
213名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 09:35:39 ID:XSCThbOw
(・ω・)ノシ(19/20)
214名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 09:55:04 ID:Zp8M1fXk
ノ(20/20)
215名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 10:02:29 ID:8R6bCHVU
満室じゃないかちくしょう。(20/20)(1/20)
216名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 12:37:20 ID:EmISZEgI
ノ(20/20)(2/20)
217名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 13:15:37 ID:HUHsVBl2
ネットを見る事が出来た日は出来るだけ。
しかし書くネタは無い。
218名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 15:37:19 ID:8ZmYloIc
ノ(20/20)(3/20)
読んでるだけの人ですけどね
219名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 17:24:48 ID:iFHFwnPc
予想外の人数に驚き(20/20)(4/20)
自分も混ざっといてなんだが、いつまで続けるんだ点呼w
220名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 18:30:04 ID:jxt9CW0E
まだまだいくよー(!!20/20)(5/20)
ネタが舞い降りてこないので読み手になってる書き手
221名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 18:39:06 ID:eYr/fhtA
(20/20)(6/20)
1回目から読み手でごくたまに書き手に
222名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 19:06:49 ID:EMqqQkQE
(20/20)(7/20)
最近は突っ込みも入れず見てるだけの書き手
223名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/23(水) 22:58:59 ID:OYoZYkGI
点呼で流すのもなぁと思って見てるだけだったけど
ここまで来たら同じだろうと思った読み専(1と8/20)
224名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/24(木) 02:39:36 ID:hBT7IyLM
(20/20)(9/20)
書き手だったものの、時間が取れず最近は読み手
225名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/24(木) 08:12:26 ID:G28I6shA
今日帰宅後、未亡人PTのネタを書き込もうと思っている出社前。
忙しくて書き込む暇すらないのはいかがなものか。
そんな1書き手
(20/20)(10/20)
226名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/24(木) 21:47:57 ID:Hy3hsGEE
おおよそ30人見てるのか。結構人いたんですね…
227名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/24(木) 22:35:15 ID:IXrQ/f0A
まだ増えますy
(20/20)(11/20)
228名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/25(金) 11:55:17 ID:1BEoYRu2
数回投稿後現在は読み手な人。まだまだこのスレの猛者達に遠く及ばない…orz
(20/20)(12/20)
229sage :2006/08/26(土) 05:24:43 ID:k3Vdq7e6
まあ、50人くらいは居るんじゃないかと・・・。
(20/20)(13/20)
230名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/26(土) 09:34:33 ID:IO.Gouq2
第1回からずっと読み手な人(20/20)(14/20)
231名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/08/26(土) 11:37:15 ID:BvIpTC5o
子バフォ:rom専だ。

(20/20)(15/20)
232名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/27(日) 03:22:08 ID:1f.F48Xo
次回は書き手になりたひなぁ

(20/20)(16/20)
233接近に失敗しました(リンクが怪しいので削除)接近に失敗しました(リンクが怪しいので削除) :接近に失敗しました(リンクが怪しいので削除)
接近に失敗しました(リンクが怪しいので削除)
234名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/28(月) 05:03:00 ID:dBI2uskU
いつの間にかお気に入りから消えてて今見つけた元書き手
最近は別の場所で別のものかいててこっちに手が回りませぬ
235名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/28(月) 16:46:45 ID:Hs.tz15.
>>225の帰宅を待ち侘びる俺。
モニターの前で正座して待機してるぜ!
236名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/28(月) 17:47:44 ID:BlBCjJFw
まだだ、まだ終わらんよ!(20/20)(17/20)

読み手だけどね・・・
237名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/28(月) 19:32:02 ID:cMhFG.p6
241.言霊[3日目早朝]

 ♂騎士が現れた後。
 とりあえず朝の放送を聞いてから動くともう一度決めた後、交代制で見張りに付くことにして、まだ体力が本調子ではない♀WIZのサポートに淫徒プリは付いていた。
 支援とWIZの組み合わせであれば、大抵の襲撃にも耐えられるだろうからだ。

「あの……さっきの言葉……どなたが言っていた言葉ですか?」

 どうにも気になって仕方がなかった淫徒プリは♀WIZに声をかけた。

「さっきの言葉? ああ、人間は一人で死んで行くんじゃないって?」
「そうです。その言葉」
「だから、大切な人ですよ。この指輪の相手……と言えば判ります?」

 そう言いながら、左手の薬指にはまった銀色の指輪……結婚指輪を見せた。

「旦那さま……ですか?」

 ♀WIZは微笑むことでその質問を肯定した。

「……失礼ですが、職業はプリースト? しかも、破戒と言われる殴り?」
「ええ、そうです。どうしてご存知なんですか?」
「あ、いえ。もし、そうであれば知っている方かもしれないと思いまして。今も、お元気なので?」

 淫徒プリの質問に♀WIZは顔を曇らせた。

「亡くなりました。一月ほど前に」

 間違いない。
 この♀WIZの夫は、自分の師とも仰いでいた人だ。
 あの人にはWIZの妻が居た。残念ながら、会ったことは無かったが人づてにAGIWIZだと聞いていた。

 ノービス時代に、クリーミーに追われていた自分を助けてくれ、人を救うことに憧れを見せてくれた人。
 そしてアコライトになった時もプリーストの位を授かった時も心から祝福してくれたのはあの人くらいだった。
 ……プリーストの位を授かる少し前くらいから、自分は悪事に手を染め始めたから自業自得ではある。
 もっとも、そんなことを知っていたら師はきっと自分を祝福よりも粛清していたかもしれない。

 プリーストの位を授かってからは、自分のことで忙しくなり疎遠になっていたが一月ほど前に、やはり同僚達の噂話で彼がこのゲームに参加させられたと言うことを知った。
 その時は、仕方がないと思っていた。
 あの生真面目すぎる性格は、今の腐った大聖堂の中では浮く存在であるのは間違いないのだから。

「そうですか……」

 今は亡き師の妻が目の前に居る。
 そして、もうすぐ別の道を進む。
 もしかすると、もう二度と会えないかもしれない。
 せめて、自分の本当の姿くらいは教えた方がいいのではないか。
 しかし、他者の目もある。
 そんな時に容易に自分の本当の姿を教えることは自分自身の危険にも繋がるのではないか。

 心の中をそんな葛藤が渦巻いて行く。

「どうかしましたか?」

 そんな心情が表情にも出ていたのか、心配そうな表情で♀WIZが覗き込んだ。
 淫徒プリは、覚悟を決めた。

「『人間は一人で死んで行くわけではない』……これは師と仰いでいた人が良く言っていたものです。ですから、間違いありません。私は、あなたの旦那さまに師事して頂いていたことがあります」
「あの人の弟子……?」

 そう言葉にしながら淫徒プリは地面の小枝を取って地面に文字を書き始めた。
 文字に気がついた♀WIZは、その文字を黙ったまま静かに読んで行く。

 曰く、自分は本当は男であること。
 曰く、油断を誘うために女装をしていること。

「ええ、他の方には黙っていてくださいね」
「どうして、私には言うのですか? 最後まで黙っていればいいのに」
「私は師のように正義や慈愛に生きることはできませんが、せめて関わりになった人は守りたいと思っていますよ」

 少し迷った後、淫徒プリは地面の文字を続けた。

 私の仲間だった、アルケミスト♀には気をつけるよう。
 彼女は、アサクロの劇毒を所持しているにもかかわらず、それを誰にも言わず1人で隠し持っていたから。
 美しいだけに、棘は鋭く人を傷つける。

「不思議な巡りあわせで……これが最期になるかもしれないから、気をつけて」
「……きれいな花には毒があるですね」

 ♀WIZの言葉を聞くと、淫徒プリは地面の文字を蹴り、消し去った。


<♀商人>
現在地:D-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が……?
   ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・淫徒プリと同行→朝を待って♂セージ・淫徒プリと同行

<淫徒プリ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂セージと同行→朝を待って♀商人・♂セージと同行

<♂セージ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:ソードブレイカー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行→朝を待って♀商人・淫徒プリと同行

<♂シーフ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:多めの食料
容 姿:栗毛(紫)
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い
   ♀WIZ・♀商人・♂セージ・淫徒プリと同行→朝を待って♀Wizと同行

<♀WIZ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐
   淫徒プリ・♂セージ・♂シーフ・♀商人と同行→朝を待って♂シーフと同行
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPはようやく緑っぽく
238名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/31(木) 18:37:30 ID:GNCnBmmM
アナザー.two little devils

誰かに呼ばれた気がすると言ってデビルチは草むらへ駆け込んだ。
かすかながら同族の気配を感じたのだ。

案の定小柄な悪魔を見つけたデビルチは開口一番に尋ねる。
「ちト聞くガ、ニぶルヘイムへ行くにハどうしタらよいノだ?」
「なに?」
いきなり質問されたその悪魔は赤くて丸い眼を瞬かせた。

そして不思議そうに問い返す。
「…お主、悪魔か。なぜこのようなところにおるのだ」
「人のコとが言エるのカ」
デビルチも当然のようにツッコミを返す。

小柄な悪魔は地面に座ったままつぶやくように言った。
「我は主どのを待っておる」
「契約ナのカ?」
「契約ではない。言葉にして約束したこともない。だが我は最後まで主どのと共にあるつもりであった」
そこで一旦言葉を切って視線を落とす。
「だのに我は主どのをひとりぼっちにしてしまった」

「だからもう一度会って謝らねばならぬのだ」
「フむ」
重い雰囲気にデビルチは居心地の悪さを感じて身じろぎした。
話をそらすようにもう一度尋ねる。
「そレでここハどこなノだ?ニぶルヘイムへ行く道ハ無いのカ?」

顔を上げた悪魔は紅い瞳をぱちくりとさせる。
「知らぬのか?」
「ム」
デビルチは言葉に詰まった。
見た目同じサイズの、つまりは比較的歳も近そうな相手に自分の経験のなさを白状するのは気が引ける。
ちょっとばかり迷って言い訳をひねり出した。
「コう見えてモ箱入りデビルチだったのダ」

「そうか」
相手は悪魔にしては珍しく、特に追求もせず説明し始めた。
「ここはヘラの野、そしてあれが冥界の川ギョルだ。泳ぐなりどこかに架かっている黄金の橋を渡るなりすればニブルヘイムに至る」

「なるホど」
ここへ来たのは結果として間違っていなかったらしい。
是非とも♂Wizに教えてやらなければ。
デビルチはひと安心とばかりにうなずき、とててててっと駆け戻ろうとする。

その尻尾が小さな手に捕まえられた。
「待て」
「ふギょ」

尻尾を強く引っ張られておもわず妙な声をもらす。
「何ヲするか」
ちょっと涙目になりつつ振り返ると相手はあっさり手を離した。
「すまぬ。だがニブルヘイムは本来悪人が送られる場所で、こちらが善き死者の来る場所だ。好きこのんであちらへ行く必要はないと思うぞ」
「フむ」

デビルチは♂Wizの所へ戻る理由を失って紅い悪魔の横に腰を下ろす。
「ではナぜ我が主人ハここヘ来たのダロう?悪人だト思うノだが」
「そうなのか?」
「楽しミで悪事を働ク者では無いヨうだが、己の行為ヲ悪と知っテなお押し通そウとしてオった」

「悪人と言ってもいろいろおるものだな」
紅い悪魔は苦笑じみた声を出した。
「我の主、――どのはいたずら好きでな。さまざまな悪事をたくらむのだが、成功した試しがない」

「ム?」
どこか楽しそうセリフから名前の部分だけがぽっかり抜けて聞こえ、デビルチは首を傾げる。
「名がヨく聞コえなかっタのだガ」
「――どのだ」
言い直してもやはり聞こえない。

「…マったク聞こえヌ」
「なんと」
小柄な悪魔は腕を組んで考え込む。

しばらくして悪魔はいくつかの名前を挙げた。
「ホルグレン、――、騎士男。聞こえぬ名はあるか?」
「2人目ガ聞こえヌ。あと騎士男といウのも聞き覚エはない」
「そうか」
角の生えた頭が縦に振られた。

「お主、現世とのつながりを残しておるのではないか?しかも――――に関わっておろう」
「まタ聞こえなカったゾ。確かにこコへは死んで来タのではナいガ」
「やはりな」

頷いた悪魔は急に居住まいを正してデビルチの顔を覗き込んだ。
「お主に頼みがある。聞いてはもらえぬか」
「キキ。♂Wizとノ契約モ終えたシ、聞かぬデもナいぞ」
デビルチは偉そうに腕組みしてそっくりかえる。だが内容を聞いてそのまま後ろへ倒れることになった。

「主どのを探し出して助けてやって欲しいのだ」
「…悪魔ガ人助けダと?しカも顔も名前モ分からヌのにドうやって探セと言うノだ」
顔だけ上げてデビルチはつぶやく。
そもそも現世へ戻っても島を出られるかどうか分からず、出れたとしても大陸は混乱のまっただ中だ。
誰かを探し出せる可能性などゼロに等しい。

しかし相手は自信ありげに言った。
「問題ない。主どのはおそらくお主の近くにおる。だから名が教えられぬのであろう。死者には生者の運命を決定できぬのだ」

「ツまりアの島におルのカ」
その声は相手に聞こえなかったようだが、それならやってみても良いかとデビルチは思った。
「ヨかろウ。だガ代価はどウする?主どのトやらの魂をモらってヨいのカ?」
「それはやれぬ。だが主どのを助ければお主はそれ以上の利を得るはずだ。――どのは――――なのだからな」

「フむ」
理由の大部分はまたしても聞き取れなかったが、デビルチは相手の言葉を信じた。
悪魔にとって契約は絶対的なものだ。誤解させることはあっても嘘は言わない。

「デは戻リ方を考えるトしヨう」
「それは簡単だ」
すっかりやる気になったデビルチが立ち上がると、紅くて小さくて角の生えた奴が実に悪魔らしい笑みを浮かべて鎌を構えた。
「まだ死んでおらぬなら、この場から消えれば元の場所に戻ろう」
「イやチょっと待…」

シュパンッ
刃が一閃し、デビルチの姿は急速に薄れだした。
「コノ…」
「主どのを頼む」
文句を言うより早く、角の生えた頭が深々と下げられる。
「我もよく似た状況に送られ死んだと、だが負けはせなんだと伝えてくれ。そして」

消える瞬間に聞こえた声は、まだデビルチの知らない感情を乗せていた。

「心は今も共にあると」
239名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/31(木) 22:05:26 ID:pyUeKX8w
243.知恵の実 [3日目早朝]

いつまでたっても自分に危害を加えるような魔法が飛んでこないことに、そのアコライトの少女は首をかしげた。
彼女なりに理由を考えてはみたのだが、殴りアコライトであるためか頭を使うことが苦手な彼女に答えらしい答えは得られなかった。
アイスウォールに囲まれ、クァグマイアの泥に足を取られ、動くことも周囲を見まわすこともできず、彼女は口を曲げ、しきりにうなっていた。

自分はあのとんがり帽子のウィザードによって身動きを封じられ、さらに彼の大魔法でまさに殺されるところだったはず。

ところが、どういうわけか魔法の詠唱は途中で終わったのだ。
魔方陣が掻き消えたことからも、詠唱が中断されたことは疑いようがなかった。

どうして彼の魔法は発動する前に止まったのだろう?

そういえば♂WIZがいたはずの方向から別の男の声と、にぶい音が聞こえた気がする。
はっきりとは聞きとれなかったけれど……

♀アコはあまり高性能ではない自身の思考回路を必死に繋いだ。生きようとする執念かもしれなかった。
気休めにも、窮地を脱したなどとは思えなかったのだ。

いまはまだ、一難が去っただけにすぎない。
氷が消えるまでの時間なにもできないことには変わりないのだし、♂WIZがどうなったのかわからない以上、いつ再び詠唱による魔方陣があらわれるかと思うと気が気でなかった。

すくなくとも動けるようになった瞬間からは全力で行動を開始できるように。
そう思い、彼女は神さまに祝福の祈りをささげた。もちろん速度増加の奇蹟を願うことも忘れなかった。
呼吸を整え、できるかぎり心を落ち着けて、そのときを待っていた。

気絶した(させた)♀マジのことが心配ではあったが、無事であることを信じた。

やがて時間が経過し、彼女を邪魔していた氷が一瞬にして消えた。
魔法により生成した氷はゆるゆると溶けるのではなく、ドライアイスのように液化することなく気化する。それもまたたく間に。
頭の片隅で知識として有してはいたが、実際に、まのあたりにすると違うものだ。
あまりにとつぜんのことだったので、すばやく動くための準備をしていたはずの♀アコも、とっさには反応できなかった。

逆にそのことが幸いしたのかもしれない。

もしアイスウォールの壁がゆっくりとしか溶けず、周囲の様子を見ることはできても動くことができなかったとしたら、♀アコはおそらく耐え切れなかっただろう。
♂WIZが血を流し地面に横たわり、そしてさらに気絶している♀マジになにかをしようとしているモンク風の男。
そんな光景を見せられたとしたら、♀アコは自分のこぶしが砕けることもいとわずに、素手によるアイスウォールの破壊を試みたはずだ。

しかしすべては終わったことだった。
♀アコが目にしたのは、横並びに寝かせられた♂マジと♂WIZ、それからすこし離れたところで寝ている♀マジの姿であり、
♀マジの体にはすでに治療がほどこされた様子で、彼女は気持ちよさそうな寝顔ですやすやと眠っていた。

「だいじょうぶだった?」

ふいに死角から声をかけられて、♀アコは振り向くと同時に地面を蹴った。
大きく距離をあけて声の主の姿を確認する。
視線の先にいたのは、♀アコと変わらないくらいの年齢とおぼしき一人の少女だった。

そこにはサングラスをかけ、バフォメット帽子を頭にかぶったアルケミスト風の少女が腕組みをしながら立っていた。

自分たちを救ってくれた人物が少女だったことに驚いたのか、♀アコは少女をまじまじと見つめた。
その視線に気持ちが悪かったのか、少女は身をよじらせた。

「な、なによ。そんなにじろじろ見て。
 私たちは命の恩人なんだから、まずはお礼でも言ったらどうなの?」

彼女の言葉に♀アコは胸をなでおろした。
声に嫌らしさや邪気のようなものが感じられず、彼女がほんとうに自分たちを助けてくれたのだということがわかったからだ。

あらためてアルケミストのサングラスを見つめ、それからちょこんと頭をさげた。

「ありがとう。助かったわ。あやうく凍り漬けにされて永遠の若さのまま像にされちゃうところだったし。
 ところで───私たちってことは、あなた以外にも仲間がいるってこと?」
「仲間じゃないけど、したぼくがいるわ」

聞いたことのない単語を耳にして、♀アコは眉をひそめた。錬金術師にしかわからない言葉なのだろうか。

「えっと、したぼくっていうのは───ホムンクルスの名前かなにか? あたし、そういうのさっぱりなのよ」

恥ずかしがる様子もなく、あっけらかんと自分の無知を認めた♀アコに、アルケミストの少女はくちびるの端を持ちあげて笑みを作った。

「たしかに、あんまり頭が良さそうな顔じゃないわね。したぼくはしたぼく。私の手足となって働く優秀な部下のことよ」

少女の高慢な態度と不敵な笑みを前にして、♀アコの頭の中を『姫プリ』という文字がよぎったが、さすがに口には出さなかった。
命の恩人である少女に遠慮したのだ。
これが♀マジ相手であれば、毛ほどの容赦もしなかっただろう。しかしここは抑えるところだった。

「それで、そのしたぼくさんは、どこに行っちゃったの?」

近辺にそれらしい気配はない。
アルケミストの少女は腕を組んだまま、顔の向きだけを変えた。

「♂WIZの使い魔かもしれないデビルチがいたのよ。そいつが遠くから魔法を使ってきたから、そっちのほうに倒しに行ったわ。
 すぐにもどってくると思うから、ここで待ってるの」

さっきまで自分が戦っていたデビルチのことを思い出して、♀アコは気まずい思いを味わった。
自分がしっかりととどめを刺していなかったことが、裏目に出たのだ。

「ところで───この島にきてからシーフと会った?」

とうとつなアルケミストの質問に♀アコは首を横に振った。
♀アコがこの島で会ったのはクルセイダーの男をのぞけば、ここに全員が揃っていた。
そのことを告げると、アルケミストは肩を落とした。どうやらシーフを探しているらしい。
放送によれば♀シーフはもう死んでいることから、探しているのは♂シーフとなる。

「シーフを見つけるといいことがあるわけ?」

♀アコの問いかけにサングラスの少女は表情をけわしくした。
ようやく腕組みをやめて、指先を下に向けた。
地面になにかがあるのだろうか。そう思った♀アコは、その場にしゃがみこんで地面を凝視した。
しかし、気になるところはどこにも見当たらない。

不思議に思って少女を見あげようとしたところ、少女もまた腰をおろした。
そして、少女はどこからかマジックペンを取り出すと、キャップをはずすことなく、その硬いキャップを利用して地面に文字を掘りはじめたのだった。

こうして首輪の盗聴の可能性、モンクの気奪による首輪の無効化、島全体に働く制御装置、
おそらくGMが所持する制御装置を無効にするアイテム、シーフによるそのアイテム奪取が脱出への鍵であること、
などの情報が♀アコに伝えられ、さらに♀アコから少女に地図による位置特定の情報が伝えられた。


<悪ケミ>
<現在位置:E-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<♀アコライト&子犬>
現在位置:E-7
容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-7
所持品:真理の目隠し
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
 褐色の髪(ボブっぽいショート)
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し ♀アコに蹴られて気絶 気絶中にグラサンモンクの治療を受けた

<グラサンモンク>
<現在地:E-7→不明>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:♂ローグを警戒、負傷は治療、悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチを追う>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)>
240名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/31(木) 22:18:32 ID:pyUeKX8w
ひと月半ほど修羅場ってたのを乗り越えて、久々に投稿。

♀マジが気絶さえしていなかったら、♂WIZを殺したグラサンモンクに敵対するなどの展開ができたけど、彼女は夢の中でした。
あとデビルチは、もうすこし舞台を引っ掻き回して欲しいので生き残りということでお願いします。
個人的には♂騎士を狂わせる役なんておいしいんじゃないかと期待したり。

あと、同じE-7にいる女王蜂さまの動向が気になります。
どうなるドキドキ。
241名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/02(土) 00:47:59 ID:GSbr4UXQ
GJ、なんですが…

♀アコって、文盲じゃなかったでしょうか。
そんな描写があったような…
242名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/02(土) 02:25:21 ID:MP7LExNY
文盲は前作の♀アサだったような。♀アコもそうでしたっけ?
243名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/02(土) 03:10:25 ID:f4b.p5M2
違うと思う
つーか>>241
「あったような」じゃなくて調べてから言おうぜ?
244名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/02(土) 04:22:03 ID:7ybxEGgg
くさいと言えば161のここらへん

>「だって、地図なくしちゃったんだもん。それにあたし、それからこの子も・・・方向音痴なのよ」

>気まずそうな顔をして、ぼそぼそと事の詳細を小さな声で喋る♀アコライトの様子がおかしかったのか、♀マジシャンはぷっとふき出して笑った。

>「うぐっ・・・だから言いたくなかったのよ」
>「神の遣いのアコライトが地図を読めない。うくくっ。あはは」

(Wikiからの引用なので空白の行をちょっと削った)


つーか>>243
「思う」じゃなくて調べてから言おうぜ?
…という話になるだろう。ちゃんと調べたところで、自分の自信とは別に調べもらす可能性は常にあるからな。
>>241の謙虚さを汲んで、ここは俺と一緒に黙ろうか。
245244sage :2006/09/02(土) 04:25:16 ID:7ybxEGgg
失礼。引用した箇所がもっともくさいが、しかし地図が読めないのと文盲はイコールじゃないよな
という主旨を書き忘れた。

それでは改めてもぐります。
246名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/03(日) 20:07:34 ID:rTmfCUk.
244.『信じる』ということ[3日目朝]


「信用できそうな仲間が見つかるといいですね・・・」

・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・

「あそこに生っている木の実って、食べられるでしょうか?」

・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・

「結構身体が汚れてますし、飲み水もほとんどないので、何処か水場を探したほうがよさそうな気がしません?」

・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・ずん・・・!

話かけても反応をよこさず無言で先を歩き続ける♂スパノビに♀アルケミストは大きくため息をつく。

(彼には人の話を聞くという概念がないの・・・?)

微笑をその顔に浮かべながらも、♀アルケミスト内心で悲鳴をあげていた

このゲームが始まって既に3日。
食料、水はすでに付きかけており、参加者の約半数が死亡している。
自分には一人で生き残る力はなく、見つけた宿木は『仲間を探す』ことに集中し、
こちらの誘いにノってくる様子がまったくない。
むしろ誘う以前に会話すらできそうな気がしてこない。
♀アルケミストに軽い絶望感が襲う。

(いい加減にしないと自分の魅力に自信なくしちゃうじゃないの・・・)

その後は無言で歩き続ける。
だが男女の力の差なのか、それとも製造型と戦闘型の差だろうか、
少しづつ♀アルケミストが遅れてきていた。

「少し待ってください・・・」

流石に♀アルケミストが悲鳴をあげる。
だが♂スパノビは彼女が呼びかける前に既にその歩みを止めていた。
訝しげに♀アルケミストがその背中を見つめていると、♂スパノビはゆっくりとその口を開いた

「おで・・・馬鹿だから・・・相手が悪くても悪くなくてもわからない・・・
信じられるか信じられないのかわからない・・・
だから信じることしかできない・・・悪い奴いないって思うしかできない・・・
だって・・・おで・・・馬鹿だから・・疑うことのできない馬鹿だから・・・」
「♂スパノビさん・・・?」

何を言っているのかわからなかった。
内容はわかる。
『自分は馬鹿だから相手を疑うことができない、故に自分ができるのは相手をとにかく信じること』
だが、何故今そんなことを言い出し始めるのか♀アルケミストには理解ができない。
もっとも彼女には他人を信じること自体が理解ができないのだが・・・

「・・・ぼず、おで仲間見つけた。おで生き残る、信じられる人かわからないけど、おで信じる・・・
信じて・・・彼女と一緒に生き残る・・・」

♂スパノビの巨体の影で見えなかったが、彼のすぐ近くには横たわる♀BSがいた。
服は血まみれで既に息を耐えていることがわかる。
♀アルケミストは状況を見て頭を働かせ、やるべきことを決めると♀BSの前に座り込んだ。

「お亡くなりになったのですね・・・」

こくん、と頷く♂スパノビに頷き返すと、♀アルケミストは膝を付き、祈りを捧げるように手を組んだ。
死者への祈りを済ませた彼女は頭をあげ、「ぼず」への報告を終えて無表情に立ち尽くしている♂スパノビに
悲しそうな、それでいて少し怒っているような複雑な表情を向ける。

「大事な『ぼず』ならこんな所で野ざらしにしてはダメですよ。一緒に埋葬しましょう」
「・・・埋葬?」
「死んだ人を休ませてあげるための・・・そして、生き残った人が相手が死んだことを受け入れて、
前に進んでいくために必要な儀式です・・・さあ、そこに穴を掘ってください。
私は彼女の身体をキレイにしますから」
「・・・わかった。ぼず休ませる、おで前に進む・・・」

スティレットを使い、地面を掘り始める♂スパノビの後ろで♀アルケミストはグラディウスに手を伸ばした。
『ぼず』である♀BSは死んでいる。
しかし死して尚、彼女の命令に従い、遺体に命令の遂行を報告するほどの忠実ぶりでは、
こちらの思い通りに動く可能性は低い。
生かして盾くらいにすることもできるが、このゲームで愚かにも他人を信じることしかできないようでは、
こちらに被害が及ぶことも想定しなければならない。
だが、ここで♂スパノビを殺せば彼の水や食料が手に入る。
彼一人分では量も期待できないために動くメリットは少ないが、ここに♀BSの分もある。
篭絡することもできず、共に歩き続けることにもメリットを見出せない以上、考える余地はなかった。

(・・・信じるものが馬鹿を見るのが現実なのよ・・・)

グラディウスを♂スパノビの首に突き刺すために取り出そうとした刹那、♂スパノビは振り返り、
彼女に強烈な体当たりをした。

「・・・きゃっ!?」

悲鳴をあげる♀アルケミスト。
二人は絡み合い、倒れこんでいく。
♀アルケミストは自分の考えがバレたのかと警戒し、覆いかぶさる♂スパノビを押しのけようと力を入れた。

(力が入ってない?)

♀アルケミストが見ると、その肩の背中側には矢が突き刺さり、赤い血がじわじわと流れ出していた。

(・・・私をかばって・・・? 篭絡されてもいない。ただ仲間だって、そう言っただけじゃないの・・・)

♂スパノビは痛みを感じさせない声で♀アルケミストに言う。

「・・・おで・・・仲間を護る・・・生き残るための・・・一緒にいる・・・おで信じた仲間を護る・・・!」

♂スパノビは立ち上がり、矢を飛んできた方向に視線を向けた。
♀アルケミストも同じように視線をそちらに向ける。
そこには足を引きずり、クロスボウを携え、こちらに敵意をむき出しにしている♂ローグがいた。

「・・・次はぶっころしてやる・・・」

二人にクロスボウを向ける♂ローグ。♂スパノビはまだ座り込んでいる♀アルケミストを庇うように前に立つ。
♀アルケミストは座り込んだまま混乱していた。

(信じる? 仲間? そんなくだらないことで自分の命を危険に晒して何が楽しいの?
馬鹿じゃないの? そんなこと有り得ない、他人は利用するもの・・・なのに・・・)

♀アルケミストにはわからない、♂スパノビの行動の全て理解ができない。
彼女に迫った男は快楽を得るために自分の身体を利用し、自分はそのことを利用して男を利用し続けた
しかし、彼はそんなこと関係なく、『信じた仲間』だから、ただそれだけで命をかけて戦おうとしている。
わからない・・・理解ができない・・・本当に・・・

「最っ低・・・!!」

♀アルケミストは叫び、いきなり立ち上がった。振り返る♂スパノビ。
それを機に♂ローグが矢を放つ。だが♂スパノビを狙ったそれは♀アルケミストが彼を押しやったため、
目標をはずし、♀アルケミストの頬に浅い傷をつけるだけにとどまった。

「ちっ!!」

舌打ちをして、再びクロスボウを構え、邪魔をした♀アルケミストを狙う♂ローグ。
同時に♀アルケミストは鞄から赤い毒薬の入ったビンを取り出すと、アシッドテラーの要領で
♂ローグに投げつけるために、それを大きく振りかぶった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

♀アルケミストにはわからなかった。
自分が何故こんなことをしているのか、自分の今の行動全てが理解できなかった。
ただ、理解ができないまま自然に身体が動いてしまっていたのだった。


<♀アルケミスト>
<現在地:F-6>
<所持品:S2グラディウス 毒薬の瓶 ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ)>
<外見:絶世の美女>
<性格:策略家>
<備考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビと同行>
<状態:軽度の火傷、頬に浅い切り傷>


<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀アルケミストと同行
状 態:HP消耗、SPはほぼ回復? 肩に矢が突き刺さっている


<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ クロスボウ(回収済み) 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:左足首を損傷(バンデージ固定済) 肩口に刺傷
247名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/09/10(日) 21:53:19 ID:/A2nbD/E
ほぼ丸一週間書き込みなし…ちょっと上げますよ
248名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/09/11(月) 05:24:40 ID:3eI/IeBo
http://tenpa65.exblog.jp/
249名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/09/11(月) 06:17:46 ID:81cuOM1U
殺し合いにもっていけるシチュってどんなのがあるだろうな

・マーダー
積極的なので残ってるのは♂ローグとミストレスくらいか?陣容は結構弱っているかもしれない
ただ、♀ケミも改心したように見せかけて殺戮者に走るかもしれない。原作の相馬みたいに
また、♂騎士も不安定なままだとしたらこっちに転ぶ可能性もある
・すれ違い
♂クルセが♂モンクに♀アコは危険だと教えたのはまだ生きてるはずだから♂モンクPTVS悪ケミPTはありあえるかもしれない
他は決定的に殺し合わせられる要因は薄いか……今後の話のくみ上げ次第だが
・GM介入
GMがそう積極的に介入してくるとは思えないが、堀や橘あたりの独断はあるかもしれない
・その他
事故死やタイムオーバー。まあ、ありえないと思うが一応

だいたいこんなところかな……
いっそのことハカロワみたいにGM戦でごっそり減らすのも自分は許容範囲だけど
250名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/11(月) 06:19:00 ID:81cuOM1U
ageちまった…
251名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/11(月) 20:49:50 ID:yHIHHYPk
245.真面目である不幸[3日目早朝]


トン・トン・トトント・トントントン

不規則なステップを踏む音が朝方の冷たい空気に響く。
そしてそれに合わせる鼻歌も。

show you show me san-dan-syo♪
醤油 de ご賞味 ren-da-syo♪

リズミカルでありながら不規則な節。
韻を踏んだ…と言うよりはむしろ駄洒落じみた歌詞。
同時に繰り出される鋭い拳の連撃とはイメージにいささかギャップがあった。

「むー」
近くで丸まって寝ていた女性が身じろぎした。
途端にステップを踏む男――♂モンクの動きがぴたりと止まる。
彼は足音を忍ばせて戻り、まじめな顔で彼女に語りかけた。

「…お休み・ゆっくり・羊を・カウント・one・two・three and half」
「ハーフって何だよ」

後ろからツッコミが入る。
習慣で日が昇ると同時に目覚めた♂ハンターだった。

「halfは・半分・0.5」
「いや、意味は分かってるけどさ。それより起こしたくないなら踊るのやめられないか?」

答える合間にもくいっ、くいっ、と体を動かす♂モンクを呆れ顔で見ながら言った。
自分の意志では止められないと聞いてはいても、起き抜けに見ると少々鬱陶しい。

「No-no・ダンスィン・俺っち・修練・new・ステップ・new・リズム・now」
「リズムとステップの練習って。本格的にダンサーにでもなる気か」
「Boooooooo」

否定と思われる声を上げて♂モンクはぶんがぶんがと頭を振る。
当人ももどかしいのだろうが、やられる方としては馬鹿にされてるような気がしてくる。
真面目にやれと怒りたくなるのを♂ハンタはこらえた。

「…踊ってるのではなくて、変わってしまったリズムで戦うための訓練をしている。という意味なのだと思います」

眠そうに答えたのは♀騎士だった。
横になったまま顔だけを上げ、ほとんど開いていない眼と眉を二本の平行線のようにして2人を見る。
ふぁふ。
彼女の口からあくびが漏れた。

「Cool」
「…相変わらず凄い通訳力だね。でももう少し寝てていいよ。♂プリ起こすには少し手間取りそうだし」

大口を開けて泥のように眠る♂プリを見下ろす。
よほど疲れていたのか、夜中にいびきを止めるため何度か鼻をつまんだのに起きなかった。

「食べ物の匂いさせれば起きるかな」
「残って・you・まだまだ・food・聞いて・ナイナイ・水っぽいze」
「まだ食べる物残ってたのか、言わないなんて水っぽい…ええと水くさいな。だそうです」
「保存食は食べ切ったよ。鳥でも捕ってこようかってことさ」
「その必要はねえ」

匂いをさせるまでもなく、食事の話に反応してそれまで寝ていた男がのっそり起きあがる。

「マズい干し肉でよけりゃ食い切れねえほど持ってるぜ」
「whaaaaaaaaaaat?」
「なんだってー!?だそうです」
「一体どこから?」

口々に驚きの声を上げる3人に対し♂プリはあっさり言った。

「はなっから鞄に入ってた。箱だけじゃなくてメシにも当たりはずれがあるみてえだな」
「…それって何かやばくないか?」

鞄から引っぱり出された大量の干し肉の束を♂ハンターは慎重に見つめる。
1人分としては明らかに多すぎる食料を見て警戒する彼に対し、♂プリは適当に一本抜き出して囓って見せた。

「ずっと食ってるが何も起きてないぜ」
「そうですよね。疑う理由もありませんし」

そう言って♀騎士も手を伸ばす。
♂ハンターは思わず彼女を止めようとするそぶりを見せた。
野山で生活するハンターは一見食べられそうな物に含まれる毒の怖さをよく知っている。
それに狩人の常識としては「エサ=罠」なのだ。
すると彼の目前でチッチッチッと指を振り♂モンクが踊り出した。

「思うよ・me・ジョーカー・狙う・俺達・争う・if毒…」
「はい、分かりました。もういいですよ。あなたの説明じゃ余計分かりにくくなりますから」
「オ〜マ〜イガ〜ッ」

調子よく歌い続けていたところを♀騎士の善意に遮られ、♂モンクはアフロ頭を抱えてのけぞった。
芝居じみたその仕草を見て♂プリがぼそっと言う。

「楽しそうだな」
「だね。じゃなくて」

思わず頷きつつも♂ハンターは話を元に戻した。

「♂モンクさん何だって?」
「1人だけ食べ物をたくさん持ってれば疑うのが当然です。そこに毒を仕込んでも引っ掛かる可能性は低いでしょう?それよりは何かあるんじゃないかと疑わせて内輪もめを起こすのが目的だと思う。と言いたかったみたいです」
「あ、そうか。ごめん」

自分の言動が対立を招きかねなかったことを指摘され♂ハンターは慌てて謝る。
♂プリはニヒルに笑った。(3人には獲物を見つけた狼の笑顔にしか見えなかったが)

「いいってことよ。それよりすげえな♀騎士。読心術か?」
「♂モンクさん専用ですけど」
「……」「……」

のろけのようにも聞こえる返事に♂ハンターと♂プリはそれぞれ何とも言えない表情を浮かべる。
それに気付いた♂モンクはカクカクと不審な動きを見せながら話をそらした。

「ささささておき・それは・捜す・俺達・♀アチャ・girl・知らない・か」
「アーチャーの女の子か?見てねえと思うぜ。だが…」
「だが?」

真剣な顔で考え込んだ♂プリの続きを♂ハンターはじっと待つ。
252名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/11(月) 20:50:07 ID:yHIHHYPk
♂プリはその目をまっすぐに見返して言った。

「かわいいのか?」

思わずがっくり肩を落とす♂ハンターに代わり♀騎士が生真面目に答える。

「私は会ったことないです。でも♂ハンターさんのお姫様だそうですから、たぶん」
「けーっ、どいつもこいつも売約済みかよ。やってらんねー」
「…やめてくれ」

ようやく声が出るところまで気を取り直した♂ハンターがうめき声を上げる。
だが♂プリは吠え続ける。

「うるせー俺にも美人の彼女くれーっ!性格良くてメシ旨くて乳がでかいともっとよしっ」
「そうかい・you?・思うよ・俺は・色と形」
「♂モンクさんっ」

♂プリのたわごとに合わせて歌った♂モンクの頭が♀騎士によって後ろからはたかれる。
鳥の巣のような髪の毛がクッションになってほとんど衝撃はなかったが、彼は大げさに身もだえた。

「なぜなぜ・why・殴るの・ミー・only meeeeeeee」
「うおーっ俺も叩いてくれーっ」
「あんたら…」

収拾がつかなくなってきた聖職者2人に♂ハンターはため息を吐く。

「頼む。少しだけでいいから真面目にやってくれ」
「おおわりい。だが俺は一応マジメだぜ?こんな状況じゃ好いたの惚れたのって健康的な欲があったほうが歪まねえからな」
「どうでも・見かけは・always・俺っち・ママママジマジ大マジ」
「……あーそー」

本当に彼らと一緒にやってけるのだろうか。
♂ハンターは頬を引きつらせた。
♀騎士も基本的にお嬢様のようで、♂モンクだけならともかく♂プリの下品な発言が加わるとお手上げらしい。誰か彼を押さえられる人が居ればいいのに。
そこで彼はふと思った。

「なあ♂プリさん。あんたの仲間、探さないか」
「どうした・放置か・your princess」
「まさか。あいつを探すついでにだよ。多分だいたい同じ方向だから。それに♂セージって人ならミストレスを追い出す方法思いつくかも知れない」

♂プリがなぜ1人でいるかや仲間については昨晩の事情説明で聞いている。
多人数のPTを冷静にまとめ上げていたという♂セージなら♂プリを完封できそうだし、♀アーチャーや♂モンクの異常も何とかなるかも知れない。
その可能性に思い至ったのか♂モンクも手足の動きを止める。
少し考えて♂プリも頷いた。

「そうだな。んじゃこの辺探しながら待つか」
「え?」

こちらから探しに行くつもりだった♂ハンターは意外の声を漏らす。

「仲間も絶対こっち来るってことか?なんで?」
「何でってお前」

♂プリは説明しようとして言葉に詰まった。
♂セージ達が南と東の岬を調べに行くためにはE−6を通るしかないから。とは言えない。
言っちゃいけないことは覚えているが、理由をうまく順序立てて説明する自信もない。
困った♂プリは自分でも嘘くさいなと思うことを口走った。

「…かよわい俺様を心配して探しに来るからだよ」
「へー」「tooooo・baaaad・joooooooke」

もちろん、男たちの声は全然信じていなかった。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ ♂騎士を追いかけている ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と遭遇、誤解から捕まる
状 態:心身の疲労はやや回復 股間を強打 疲労により方向感覚欠如(回復?)

<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ
状態:麻痺からそれなりに回復(本調子ではない) ミストレスと、ジルタスを殺したモンクを探すために動く。
 ♀アーチャーを救いたい

<♂モンク>
位置 :E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見 :アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳
備考 :ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷

<♀騎士>
位置 :E-6
所持品:S1シールド、錐
外見 :csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考 :殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように


>>185を受けて、シリアスになれない連中にお疲れさんな♂ハンターを書いてみました。
やっぱりラッパー難し。
253名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/09/18(月) 15:19:30 ID:BkgSNTmU
246.みっつの遭遇(3日目早朝)


「・・・鷹の声がする」
そう言い出した♂ハンターの提案で、一行はその声の主を探す為、小さな森の中を散策していた。たとえ野生のファルコンだろうと、♂ハンターが手懐けることができれば、戦力になるだろうと踏んだからである。
「♪ま・ま・ま・待ってろYour Bird! So・幸せのBlue Bird! だって俺達(だって俺達)・Flee bird」
どうやら♀騎士はついに♂モンクのラップにハモリを入れられるまでになってしまったらしい。楽しそうな二人を横目で見ながら、♂プリーストは♂ハンターに話しかけた。
「アンタは鷹使いかい」
「いや、俺は弓専門だよ。それでもここがこういう場である以上、戦力になりそうなものはやっぱり、ね」
「だぁな。俺ァ野生のファルコンってのは見た事ねぇからどこまで頼りになんのかは解んねぇがよ。餌付けとかすんのか? どうやって懐かせんだ?」
「あんまり考えてはないんだけどさ。何とか、頑張って・・・?」
ビーストベインもファルコンマスタリーも全てマスターしてはいるものの、いまひとつ♂ハンターにも自信はなかった。普通、一般的なハンターが駆るファルコンは全て、実戦用にハンターギルドが雛の頃から育成した改良種である。即ち、野生のそれとの戦力比も、ちゃんと手懐けることができるかどうかも、♂ハンターにも解らなかった。
「♪大丈夫さ(So)、心にLoveさえあれば人も・鳥も悪魔だって・(皆)みなミナ兄弟さ・Yeah!(Yeah!)」
にこにこノリノリヒップホップカップルの能天気さも後押しして、♂プリーストが一抹の不安を覚えたその時、視界に蹲る人影が飛び込んできた。
「オイ待て、誰かいるぞ」
「・・・そこに誰かいるのか?」
人影の方も、♂プリースト達に気づいたようだった。むくりと立ち上がり、こちらに注意を払っている。朝日は昇ったとはいえ、薄暗い森の中ではその正体がよく確認できない。小声で♂プリーストが仲間に警戒を呼びかける。
「・・・オイ。この状況でひとりってのは、ゲームに乗ってる馬鹿の可能性もあるから、油断すんじゃねぇぞ」
♂モンクも口を閉じ、♂ハンターは弓を構え、じりじりと距離を詰める。人影もじりじりと後退し・・・・・・だが、ある程度まで接近したところで、♂プリーストは相手の顔をはっきりと見た。
「てめえ・・・・・・♂騎士・・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・!!!」
名前を呼ばれた♂騎士は、慌てたように駆け出した。
「なっ・・・待ちやがれ、オイ!」
後を追うように♂プリーストも走り出す。仕方なく、♂ハンター達も続いた。・・・しかし、今のが♂プリーストが言っていた、仲間殺しの♂騎士・・・?

「♪Ah〜・・・何が何だかWhy・Why」


   *  *  *


――誰か向かって来んぜ。お仲間さんのようだが。
突然鋭くそう鳴いた相棒の言葉に、泉を経由した後、一夜を森で過ごしていた♀ハンターはぴくりと反応すると、硬い表情を作った。横で寝転びながら、精神力に負担がかからない程度のヒールで傷を癒していた♀スーパーノービスがすぐにその表情の変化に気づいて尋ねる。
「・・・何か、ありましたか?」
「人・・・、誰か、来るみたい」
「それは、敵ですか?」
「えっと・・・ハンターの人みたい。ふぁるの声に気づいて、こっちの方来たみたい」
――まだいるぜ。馬鹿みてぇな格好したプリーストの旦那に、馬鹿みてぇな事ぶつぶつ喋ってるモンクに、ひとり浮いてるぱっと見普通の騎士嬢だ。近くに他にも何人か、怖そうなのがうろうろしてるみたいだが。
「えっと・・・あと、何かおかしなプリーストさんに、何かおかしなモンクさんに、何かふつーの騎士さんみたいです。・・・あと、近くに怖そうな人が何人か」
パーティを組んでいるのならば、ましてやその中にプリーストが入っているのであれば、接触しても危険は少ないだろう。何かおかしな・・・というのが気にかかるが。だが、この一帯に人が集まってきているらしいならば、早朝の今のうちに移動が得策か。それとも♀ハンターとふぁるがいる以上、森の中の方が安全だろうか。
「・・・どうします?」
♀ハンターは緊張ゆえか、少し全身を震えさせている。
「・・・・・・まだ、怖いですか」
「ううん・・・今は、おねえちゃんも、ふぁるもいてくれてるもん」
不安と恐怖を払うように、♀ハンターはすっくと立ち上がった。
「大丈夫、もう怖くなんか」
「それは、君のファルコン・・・?」
「きゃあっぅ!?」
ずざざざっと、瞬時に♀スーパーノービスの後ろに隠れる♀ハンター。
「・・・まだちょっと、ダメみたいですね」
苦笑を浮かべながら、ぽかんとしている♂ハンター達に♀スーパーノービスが話しかける。
「ええと、はじめまして〜。あなた方は見たところ、危険な人達じゃなさそう・・・ですよね?」
「そこで俺を見るんじゃねぇ」
ぶすりと♂プリーストが突っ込む。
「こいつはな、まやぱーぽーカードが刺さってんだよ。イッツァレアモノだレアモノ、って待てゴルァ、このカオは自前だそこのハンターの女ァ、生まれたての小鹿みてーにぷるぷる震えんじゃねェッ! だいたい、それ言うならこの♂モンクだって十分怪しい奴だろうがよッ」
「♪No No、怪しくないナイナイナイ......イッツミー」
「はいはいよしよし、怖くないですからねー、あの人もきっといいひとですからねー」
まくし立てた♂プリーストにさらに怯えて縮こまってしまった♀ハンターの頭を撫でながら落ち着かせようとする♀スーパーノービスに、♂プリーストはもうこの島に来てから何度目になるかわからない、嫌な予感がした。
「ったく、この島に普通な奴ぁいねぇのか・・・っと、そうだ」
空気に流されてしまいそうだった目的を取り戻し、♂プリーストは訊く。
「アンタ等、♂騎士を見なかったか? 俺が追いかけてるのはそいつで、この辺に逃げて来た筈なんだが」
「♪NightにKnightが走る走る、追うよ♂プリ・リメンバー・ミー」
「その♂騎士さんというのは、殺人者ですか?」
「・・・・・・そうだ。だが、危険な奴じゃあねぇ。・・・筈だ」
♀スーパーノービスは思案する。敵討ちか、仲間割れか。そういった、危険に飛び込んで行く可能性のある目的を持った仲間がいるのであれば、♀ハンターのことを考えてもこのパーティと組んで行動するのは少し躊躇われるかもしれない。
「・・・知らないみたいだな。ったく・・・どこ隠れやがったんだ」
「あなた方は、その♂騎士さんを追いかけてるんですか?」
「♪Yes、(B・B・B・But)皆で・生きて帰って・Love!and Peace!」
「俺はな。コイツ等は、まぁ成り行きで一緒に行動してるだけだ。俺は、ほかに仲間もいるしな」
「俺は・・・ファルコンの鳴き声がしたから。これでも一応ハンターだし、戦力に・・・なるかなと、思って」
その言葉に♀ハンターがまたびくっと反応し、♀スーパーノービスの影から♂ハンターを見つめる。その視線に気づき、♂ハンターは苦笑しながら両手を振った。
「あ、いや、君の相棒なら、俺の出る幕はないから・・・そんな、奪おうなんて考えてないから、そう警戒されても・・・なぁ」
「♪ユアセールフ・幸せのBlue Bird、俺達・愉快なFlee Bird」
「お前はちょっと黙ってやがれっ」
「なる程・・・とりあえず、皆さんはいい人そうで、安心しました」
♀スーパーノービスの言葉に、そりゃそうだとばかりに♂プリーストが、それに続いて三人が頷く。
「そうだ。俺も、探してる人がいるんだけど・・・・・・」
♂ハンターがそう切り出そうとしたその時に。
がさり。


「・・・見つけたえ」


二人のハンターは同時に息を飲み、目を見開いた。
♀スパノビは見知った危険な相手に、♂プリーストは本能的に危機を察知し、身構える。
「♪Why? Who are? you?は不安言う?(no no?)」
ラッパーとそれにハモる♀騎士に、ふぁるはやっぱりこの姉ちゃんも変だった、と場違いなことを思う。
254名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/09/18(月) 15:20:00 ID:BkgSNTmU
そんな彼等の前に。
胸元で胎動する新たな命の鼓動に息を荒げつつ、♀アーチャーの姿をしたミストレスは、朝日を背にしてそこに立っていた。
「我が・・・王子様も、久方ぶりよのう」
火照った頬は、妖艶な笑みは、その姿はただ官能的に。

<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♂騎士を発見、再び見失う ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と一時的に同行
状態:心身の疲労はやや回復

<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ ♂モンク、♀騎士、♂プリーストと一時的に同行
状態:麻痺からそれなりに回復(本調子ではない) ミストレスと遭遇。棒立ち
    ♀アーチャーを救いたい

<♂モンク>
位置:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷

<♀騎士>
位置:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い
    ミストレスと遭遇、恐怖

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇

<♀スパノビ>
現在地:E-6
外見:csf:4j0610m2
所持品:S2ダマスカス、シルクリボン(無理矢理装着)、古いカード帖(本人気付いていない)
スキル:集中力向上、ニューマ、速度増加、ヒール
備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)
状態:♀ハンターの生い立ちや鳥との会話能力を知る、JTにより負傷(ちょっと回復)

<♂騎士>
現在地:E-6森の中を放浪
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど、個体認識異常(♂ケミ以外)正気を保ってはいるが、未だ不安定
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走、♂プリースト達から逃走

<ミストレス>
現在地:E-6
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー、(胸元に)ミストレスの卵
備考 :本来の力を取り戻すため、最後の一人になることをはっきりと目的にする。つまり他人を積極的に殺しに行くことになる。
     ♂ハンターの誘惑と♀ハンターへの報復、どちらを優先させようか? 卵はもうあと僅かで孵化
255名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/18(月) 15:22:16 ID:BkgSNTmU
カナリ久々に書いてみた・・・・・・散々言われてるけど、ラッパー難しいなぁ・・・orz
そろそろ各パーティごとの状況もまとまってきて、物語全体の収束時ですなぁ。
256名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/20(水) 03:41:39 ID:DN9KZ1IM
247.Arrowhead[3日目早朝]


「――最っ低・・・!!」
目の前のアルケミストが瓶を振りかぶる。
「ちいっ」
♂ローグは決意に満ちたその表情に脅威を感じた。
火炎瓶か、強酸か。
何にせよヤバい物なのは間違いない。
心臓を狙おうとしていたクロスボウの先をとっさに少し上へ向ける。
後ずさりしながら連射した矢の一発目が♀アルケミストの右肩を、二発目が顔面を捉えた。
ほとんど同時に投げ放たれた瓶は着弾の衝撃でわずかに狙いを外す。

瓶の直撃がないと見切った彼は突進してくる♂スパノビに狙いを変えた。
「死ねや」
二連射が巨体へ吸い込まれるように命中し、地響きを立てて倒れる。
同時に♂ローグのすぐ脇に瓶が落ちた。
バシャッ
「・・・うおっ!?」
いつもの彼なら飛び散るしぶきぐらい難なく避けただろう。
だが意識が♂スパノビへ向いていたこと、そして壊れた左足の分だけ逃げ損ねる。
左足首に巻いた白い布がたっぷりと液体を吸い込み、焼け付くような痛みが走った。
しかもそれはすぐに寒気へと変わり、痛みも大地を踏む感触も急速に失われて行く。
「毒かよっ」
皮膚から染み込むほど強力な毒だとすれば一刻も早く抜かなくては命が危ない。
彼はクロスボウを投げ捨て、短剣で左足の付け根を切り裂いた。

傷口から赤黒く濁った血がどろりと流れ出す。
一瞬の安堵。そして
「・・・ひは、は、ひははははははははは」
乾いた笑いが漏れた。
彼の握る短剣はポイズンナイフ。
投げつけられた物に比べればマシとは言え、毒が塗られていることには変わりがない。
もっともそうしなければ命が危なかったのであり、他に方法もなかったのだが。
「はははっ、ははっ、あ〜畜生がっ!」
改めて道具を探す手に矢筒が当たり、バラバラと矢が散らばる。
彼はその一本を傷口に突き立て、力まかせにひねった。
引き裂かれた傷口から血が噴き出し、痙攣した筋肉の中で矢が折れる。
今度こそ左脚は完全に動かなくなるかも知れない。

もっとも痛みはあまり感じない。
毒と貧血のせいだろうか。
酒に酔ったように気分がふわふわする。
2人とも殺したことだし、このまま毒が抜け切るまで待つか。と彼は思った。
だから白い手が散らばった矢を拾うのを見ても反応が遅れた。
「・・・・・・あ?」
「じゃあね」
目前に突きつけられた物がクロスボウの先端だと認識するより早く
彼の視界は暗転した。

◇◇◇◇

危なかった、と♀アルケミストは思う。
クロックカードの効果が発動していなければ眉間を射抜かれていたのは彼女の方だった。
今さらながらに冷や汗を流し、矢の当たった額を撫でる。
肩の方までは防げなかったけれど逆ではなかっただけ良しとしよう。

ほっと一息ついたそのとき、背後で身じろぎする気配があった。
「う・・・」
「!」
反射的にそちらへクロスボウを向ける。
矢をつがえてあれば撃ってしまっていたかも知れない。
だが撃ったばかりのクロスボウに矢はなかった。

彼女は安堵の息を深々と吐いて身じろぎした男――♂スパノビに歩み寄った。
どうやら思った以上に緊張していたらしい。
人をだまし、操って傷つけ合わせたことは何度もある。結果として自殺に追い込んだことも。
だが自分の手で人を殺したのはこれが初めてだった。
クロスボウを固く握りしめていた指をゆっくり引き剥がす。
(落ち着きなさい、私)
罪悪感は全くない。この緊張は自分の命が危険にさらされたからにすぎない。
彼女は手のひらにかいていた汗をぬぐい、深呼吸した。

幸い♂スパノビに刺さった矢は急所を完全に外れていた。
信じがたい事だが命中する瞬間にニューマを使ったらしい。
避けきれなかったのはそれだけタイミングがギリギリだったからだろう。
(幸い?)
彼女は自問した。
邪魔になるだけだから殺そうと考えていたのではなかったか。しかもこの怪我で戦力としての価値も落ちた。
見限り時なのだ。
彼女は♂スパノビにクロスボウを向ける。
だが、そこに矢はない。
「・・・放って置いても死ぬわよね」
彼女は言い訳するようにつぶやいて射殺した男の所へ引き返した。

「ポイズンナイフ・・・に望遠鏡?こんな物持ってたのね」
矢を拾い集め、さらに♂ローグの持ち物を確かめて彼女は首を傾げた。
食料と菓子包みはありがたくもらうとして、この装備はどうだろう。
確かに毒は非力な彼女にとって有用な武器に違いない。
だが即座に相手の命を奪えるほどの決定力がないのなら、戦闘力に欠ける彼女にとって接近戦はリスクが高すぎる。
望遠鏡も論外だ。こんなものをつけていては彼女の美貌が隠れてしまう。

鼻先で笑って彼女はそれらを捨てようとした。
だがそのとき彼女の脳裏を何かがかすめた。
霧散しようとするその思いつきを彼女は急いでたぐり寄せる。
(ポイズンナイフ。望遠鏡。・・・クロスボウ。・・・・・・毒?)
さらに♂ローグの死体と倒れた♂スパノビを見比べ、彼女はやおら動き出した。

ポイズンナイフを握って♂ローグの左足に巻かれた布を切り裂く。
そして猛毒を吸って不気味に変色した部分へ直接触れないように気をつけ、細く裂いて数本の矢へ結びつける。
接近戦ができないなら遠くから使えばいいのだ。
毒の量が少ないので即死させるほどの威力はないだろうが、通常の毒矢に近い効果は期待してもいいだろう。
彼女はポイズンナイフを捨て、作ったばかりの毒矢を他の矢とは別に鞄へ隠した。

そしてもう一つ。今度は自分の肩へ刺さったままの矢に触れる。
「いたっ」
痛むし、このままにしておくのは本当は良くない。
でもこの怪我は使える。
彼女は毒の染み込んでいない布をそれっぽく汚し、自分に刺さった矢へ結んだ。
確かまだハンターが2人とも生き残っている。特に♂ハンターは比較的近くにいるはずだ。
そして望遠鏡なら研ぎすまされたハンターの目より先に見つけることもできるだろう。
そうなればあとはクロスボウと自分達に刺さった矢をうまく使って他のPTと噛み合わせるだけだ。

♀アルケミストは♂スパノビの手当てを始めた。
演技に真実味を持たせるためには「ハンターに撃たれた人間」は多い方がいい。
彼女は自分が♂スパノビを助ける理由を探したことに気付かないふりをした。


<♀アルケミスト>
<現在地:F-6>
<所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2>
<外見:絶世の美女>
<性格:策略家>
<備考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビと同行>
<状態:軽度の火傷、頬に浅い切り傷、肩に矢>

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀アルケミストと同行
状 態:HPレッドゾーン、肩と胸に矢が刺さっている

<♂ローグ>
現在地:F-6
所持品:ポイズンナイフ
外 見:片目に大きな古傷
備 考:殺人快楽至上主義 GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す なるべく2人組を狙う
状 態:死亡


(残り20名)
257名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/20(水) 06:31:50 ID:2kgRmRLs
イイヨイイヨー
久しぶりに覗いたら色々事変が!
258名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/20(水) 18:32:39 ID:ouTqFrOY
散々暴れた挙句が「小悪党の死に様なんてこんな物」、でしたな。
♂ローグさんらしいっちゃらしいですね、追悼。
♀ケミさんはやっぱり悪、♂ローグに代わるマーダーとして君臨してくれるのでしょうか。
そして王子様編もクライマックスの時近し・・・・・・?
259名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/20(水) 18:55:07 ID:K.wZl2Jk
♀ケミはマーダーというか、裏で糸を引く悪の女幹部って感じじゃないかな
部下(引っ掛ける男)達の質が悪くてなかなか上手くいってないとことか、
後半に悪の心が溶かされて迷い始めているとことか、なんかそれっぽい

ある意味ギャグ担当
260名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/23(土) 17:29:12 ID:YVMabIhk
朝の放送はもう少し先になりそうですが、その前にネタというか疑問。
カプラWが本当につかまってるかどうかは公式には未定なんでしたっけ?
グラリス死亡しましたけど捕まっているとしたら彼女の立場は…?
261名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/23(土) 21:09:07 ID:UO/196jc
つかまっているとしたら、洋梨だねぇ

まぁ、そこはそれ、首輪つけて飛び入りさせるもよし、
ジョーカー様のすばらしいリサイクル術を拝めることでしょう
262名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/23(土) 21:23:46 ID:D9HJ.HF.
確か声が出せなくさせられた状態で、グラリスが殺戮を繰り返していく様子を
見せられている・・・というのを読んだ覚えがあるんだけど・・・

軽くwiki見直してもそれらしいのが見当たらないんよね
気のせいかも知れないけど、誰か覚えてる人いる?
263名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/23(土) 21:28:08 ID:6s3RwzWM
>>262
NGの定時放送2ですね。
実際のカプラWがどうなっているのか、それは不明です。
264名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/23(土) 22:46:55 ID:Ufjc2BsA
ジョーカー様の十八番は嘘八百。♂ローグにもついてたし。
だからWはもとから捕らえられてない、でも辻褄あわないなんてことはないかなと思います。
もちろんリサイクルしてくるのも、結局不明のままでも問題ないかと!
265名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/27(水) 20:43:13 ID:nqugL26I
248.混迷の戦場[3日目朝]


一瞬の自失から立ち直り、♂ハンターは目前の少女へ一歩踏み出した。
♀アーチャーを取り返さなければいけない。
どうすればそれが可能かは分からない。
だけど今の自分には手伝ってくれると言った仲間達が居る。

一方♀スパノビと♀ハンターは武器を構える。
「ふぁる!」
ピーイ
♀ハンターの掛け声と共にファルコンが飛び立ち頭上で旋回を始めた。
さらに弓へ矢をつがえてミストレスへ向ける。

だが紫髪の少女は彼女達にあっさり背を向けた。
そして♂ハンターへ語りかける。
「のう王子様。我の夫となる覚悟はできたかえ?」
その表情には昨夜♀スパノビ達に見せた凶悪さのかけらもない。

少女のあまりに無防備な姿に、狙いを付ける♀ハンターの内に迷いが生じた。
武器を持つ腕を下ろしそうになる彼女を♀スパノビが叱咤する。
「撃ってください。ミストレスは彼を誘惑して何かするつもりです」
「…うん!」
♀ハンターは改めて弓を引き絞った。

だが先に矢を放ったのは♂ハンターだった。
「チャージアロー!」
「きゃっ」
♀ハンターの手から矢がはじき飛ばされる。
「何をするんですか」
♀スパノビは助けようとしたはずの♂ハンターへ厳しい視線を向けた。

だが彼女よりもさらに激しい反応を示した者が居た。
ピィィーッ
『何しやがンだてめえぇっ』
鋭い爪と嘴が宙より襲いかかる。
抉られた腕からぱっと血がしぶいた。

「Ouch!流石はイッツァBlue bird・ダイヤも貫く・幸運の力」
気の鎧をまとって♂ハンターの前に立った♂モンクが陽気に歌う。
顔前で十字に組んだ腕には深い傷が刻まれていた。
金剛不壊もファルコンの鋭い爪の前には効果がない。
しかし彼はひるまない。
「告白タイムだ・my brother・俺っち防ぐぜ・おしおきだっちゃー・今さら・雷・怖くナイナイ♪」

♂モンクはミストレスが右手に気を集めていることを感じていた。
表面がどうあれ、いつでも電撃を使える用意はしているということだ。
だからこその金剛。
しかし怒りの治まらないふぁるは突入方向を変えて襲いかかる。
『てめーに用はねえ!どけっ』
気の鎧は体の動きを制限する。今度は♂ハンターを庇い切れない。

「ニューマ!」
♂ハンターを切り裂こうとしたふぁるの翼がいきなり強い気流に吹き上げられた。
「やめとけ、鳥。やりあいてえわけじゃねえが黙って見過ごすつもりもねえ」
苦虫を噛みつぶしたような、しかし断固とした表情で♂プリが言い切る。

仲間達に守られた♂ハンターはアーバレストを♀スパノビへ向けた。
「その子を撃たせるわけにはいかないんだ」
「彼女はミストレスです。見た目にだまされては――」
「知ってる」
「――そうですか」
これ以上の説得は危険と判断した♀スパノビは♀ハンターに下がるよう合図する。
忠告はした。望んで危険を冒そうとする者を引き止めて逆恨みされてはつまらない。

「ほんに良い男じゃの。我が王子様は」
ミストレスは妖艶に笑う。
この展開を読み切っていたわけではない。
だが♂ハンターが彼女を庇おうとすることは予想の内だった。
そして状況は彼女にとって決定的に有利に運んでいた。

♂ハンターの前へ紫の髪の少女がたどりつく。
「♀アーチャー…俺は」
彼は少女へ手を伸ばそうとする。
だが彼女の眼は♂ハンターを見ていなかった。
視線は彼の顔を向いているのだが、はるか遠くを見ているように焦点が合っていない。
「♀アーチャー?」

「だめ!逃げて!」
ミストレスの意図に気付いたのは、正面に居るただ一人の女性――♀騎士だけだった。
その叫びと急激に高まる気に反応し、電撃を受け止めようと♂モンクが身構える。
だが♀騎士は激しく首を振った。
「違う!そっちの2人!」

♀騎士の声が届くより早く、ミストレスは振り向きもせず♀ハンターへ紫電を放った。
羽虫たちの数多の目を持つ彼女にとってそれは造作もないこと。
「きゃあああっ」
大きく弾き飛ばされた♀ハンターは悲鳴を上げて倒れ伏した。

『おい相棒っ…てめえ、殺すっ』
矢のように飛来したファルコンの爪をミストレスは余裕を持ってかわした。
♂ハンターに歩み寄ったことで彼女もニューマの範囲に入っている。
これで矢と鷹は無力化した。♂モンクも金剛を使っている以上他のスキルを使えない。
つまり彼女が恐れるべき相手はもはや居ない。
彼女は♀ハンターにとどめを刺すべく再び右手へ雷光を集めた。

「させません!」
「…う…お姉ちゃん…?」
しびれて立ち上がれない♀ハンターを庇い♀スパノビが立ちはだかる。
一発喰らって吹き飛ばされるのは覚悟の上だ。♀ハンターが回復して逃げるまでの時間が稼げればそれでいい。

「愚かよの」
ミストレスは狙いを正確に定める。
前に立った小娘を弾き飛ばして後ろのハンターへ叩きつけるまでだ。
だが、その背に誰かがしがみついて邪魔をした。

「whaaaaat!?」「危ねえぞ!」
出遅れた♂モンクと♂プリの声を背に♀騎士は必死でミストレスに抱きつく。
戦うことは怖い。
傷つくことも、傷つけることも怖い。
だけど決めたのだ。騎士であるということは人を守ること。
彼女はずっと触れずにいた武器を手にした。

「放さぬか。おんしから死にたいかえ」
ミストレスは♀騎士に右手を向けようとする。
だがその手がびくりと止まった。
「やめてください」
♀騎士の握った錐はミストレスの抱く卵へ突きつけられていた。

動きを止めたミストレスの右手を♂ハンターが握る。
「お願いだよ。♀アーチャー。目を覚ましてくれ」
彼は♀アーチャーに、そしてミストレスに呼びかけた。
「ミストレス。俺の♀アーチャーを返してくれ。その卵の中にいる仔なら代わりの体になるんじゃないか?」
「……」
紫髪の少女は考えるようにうつむいた。

彼女は事の初めから羽虫たちに周囲に居る者の様子を監視させていた。
だからこそ2つの集団が顔を合わせる絶妙のタイミングで顔を出せたのであり、そして万一の切り札となり得る「彼」が近くにいることも知っていた。
彼女は屈辱に身を震わせながらもその切り札を使うことにした。

「助けてーっ、誰かーっ!」
悲鳴。
ミストレスの、助けを求める悲鳴。
あまりに不似合いで、そしてあまりに場違いな悲鳴。
その場の誰もが無意識の内に絶対あり得ないと考えていた行動を目にして思わず硬直した。


「彼」はどこまでも騎士だった。
♀プリとその父親が見込んでいたとおりに。
恐怖に縛られ、後悔に囚われ。
それでも助けを求める声を無視できなかった。

おそるおそる忍び寄った「彼」が見た物は、
倒れた人物とそれを守って立つ人物。
それに1人を2人がかりで押さえつけ、人質に取ったように見える集団だった。
そして「彼」はそれぞれの正体を判別することができなかった。

「彼」は名を♂騎士と言った。


<♂プリースト>変化無し

<♂ハンター>変化無し

<♂モンク>
状態:腕に裂傷

<♀騎士>
備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように ミストレスにしがみついている

<♀ハンター>
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い
    ミストレスと遭遇、JTにより負傷

<ふぁる>変化無し

<♀スパノビ>変化無し

<♂騎士>
現在地:E-6
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走、助けを呼ぶ声を聞きミストレスその他を発見

<ミストレス>
備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。
    ♂ハンターの誘惑と♀ハンターへの報復、両方実行中。卵はもうあと僅かで孵化
    ♀騎士に動きを制されている

※人数が多いため246.みっつの遭遇(>>253-254)と変化がない部分は状態欄省略
266265sage :2006/09/27(水) 20:52:15 ID:nqugL26I
私の力じゃガチバトには持ち込めなかったよ。。。orz
267名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/28(木) 01:50:51 ID:HqpVO7V2
これなんて乱交パーティー?
268名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/30(土) 00:45:20 ID:PWRSUCKM
ぶっこわせ全てを。
269名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/01(日) 23:41:30 ID:g6KOrr6A
249. 正しき道を [3日目朝]


♂騎士は走り出した。
姿がわからない人間に近づくことに恐怖はあったが、助けを呼ぶ人間を無視して隠れ続けることなどできなかった。
それが普通ならば、正しい道であるはずだった。

剣を抜き、突然走り寄ってくる♂騎士に、ミストレスを除く誰もが咄嗟には反応できなかった。
彼の目が明らかに自分たちを狙っていることに気づき、♀騎士は女王と卵から身を離すしかなかった。
だが、ミストレスを拘束していたもう一人である♂ハンターは、彼女から手を離すことができなかった。
彼は、もう『彼女』を離したくはなかったのだ。

♂騎士は走りながらも悩む。
殺すのは怖い。だが誰かを助けるためならば俺は騎士に戻れるだろうか。
――人を殺すのを躊躇って、ここで生きていけると思っているのか。
かつて♂クルセイダーから言われた言葉が、彼の頭によぎる。
ふと♂騎士は視界に、紫髪の少女を捉える。輪郭はぼやけてはいたものの、彼にはそう見えた。
彼女が、笑っているように感じた。助けに安心しているのだろうか、と事情を知らない彼は思う。
それが、♂騎士の心の箍を外す決定打となった。
なぜ彼女が個人として見えるのか、疑問に思う余裕は彼にはなかった。

鋭い刃が背中を凪ぐ。
♂ハンターはそれでも、ミストレスの手を握りしめ続けようとした。
だが痛みに力の抜けた彼の手を、無常にも女王は振り払う。
地に伏した♂ハンターに止めを刺そうと、♂騎士が剣を構えたその時だった。
「いい加減にしろ馬鹿野郎がぁ!」
背後からの強い衝撃に、彼は大きく弾き飛ばされた。

♂騎士と、彼に体当たりをした♂プリが、絡みあうように地を転がる。
やがて動きが止まると、♂騎士は♂プリから逃れようと半身を起こした。しかしすぐに、♂プリに押さえつけられる。
「離せ! 離せよ!」
「うるせえ! なんてことしてくれたんだてめえは!」
♂プリは、信じていた♂騎士に裏切られたような気持ちを抱き、憤っていた。
♂騎士は自分を押さえつける人間が♂プリであると気づかぬまま、悲痛な声で叫ぶ。
「邪魔をしないでくれ! 今度こそ守りたいんだ……!」
♂騎士の言葉に、彼の事情を知る♂プリの胸が痛む。
だが♂騎士に同情すべき点はあれ、彼が好転しかけていた状況を滅茶苦茶にしたことに変わりはない。

♂プリは、もがく♂騎士の顔を思いきり殴った。
とりあえず大人しくさせるにはこれが一番だ、という聖職者らしからぬ思考で。
「いいから落ち着け! 邪魔をしてんのはお前のほうだ。
 お前の気持ちはわかるがな、守ろうとする相手が間違ってるぜ」
♂騎士の体から力が抜ける。♂プリもそれを確認すると、押さえつけていた腕を離し、立ち上がった。
「お前、♂プリか……? そのダミ声、聞き覚えがある」
冷静になってはじめて、♂騎士は彼を諭す相手に気がついた。
「おうよ。もう少し早く気づいてほしかったがな。……ってお前、ダミ声ってなんだよ」
「教えてくれ……守ろうとする相手が違うって、どういうことだ?」
「あー、とにかくお前が守ろうとした女は敵なんだよ。
 悪いが詳しく説明してる時間はないんだ。お前以上になんとかしなきゃならねえ奴がいるからな」
そう言って♂プリはミストレスのほうへと視線を戻し――表情を凍りつかせた。
短刀に胸を貫かれ、崩れ落ちた♀スパノビと、それに縋り付く♀ハンターが彼の目に映る。
彼の体がその状況に反応する前に、彼女たちは紫電を受け宙に舞い上がり、落ちた。


+++


それは一瞬の出来事だった。
あまりにも場違いなミストレスの悲鳴、それに応えて現れた♂騎士。♂ハンターの負傷。
予想だにしない出来事の連続に、周りの者は誰もが咄嗟に動くことができなかった。
その隙にミストレスは♀ハンターへの報復の障害となる♀スパノビを始末しようと動いたのだ。
彼女の思惑通り、隙を突かれた♀スパノビは彼女の短刀に胸を貫かれ、虫の息だ。
立ちふさがる壁をなくしてしまえば、♀ハンターを守るものは他にない。

「お……おねえ……ちゃ……」
♀ハンターは自由に動かない手を、必死に♀スパノビへと伸ばす。
そんな彼女に、♀スパノビはやわらかな笑顔を向けた。
(だいじょうぶ……♀ハンターさんは、私がいなくてももう大丈夫です。
 あなたはもう十分強いですし……ふぁるさんだっていますから……)
「いや、いやだよ……死なないで……! おねえちゃんが、いなくなったら、あたし……」
震える♀ハンターの手を、♀スパノビはそっと握り締めた。
そして、力を振り絞って言葉を紡いだ。
「心配しないでください……ずっと、一緒ですから――」
「ならば、共に朽ちるがよい」
顔を上げた♀ハンターの視界に、紫電を手に纏うミストレスの姿が映る。
自由にならない体で逃げることもできず、彼女はぎゅっと♀スパノビの体を抱きしめた。

『やめろこのクソアマあぁぁぁぁぁ!!』
ふぁるが割り込むようにして滑り込み、その爪をミストレスへと振りかぶる。
♀騎士は再びミストレスへ飛びつこうと地を蹴り。
♂モンクは♀スパノビたちの代わりに電撃を受け止めようと駆ける。
しかし全てが、ほんの少しだけ遅かった。
紫電は割り込んだふぁるをも巻き込み、少女たちの体を宙へと舞い上がらせた。
270名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/01(日) 23:42:51 ID:g6KOrr6A
+++


「♂ハンター……悪いが、あの嬢ちゃんを元に戻すの、ちぃとキツイかもしれねえぜ……」
♀スパノビたちの元へと駆けつけた♂プリが、苦々しげに呟く。
♂プリに続いた♂騎士も、彼の背後で呟く。
「♂プリ……俺はまた、間違えたんだな。俺のせいで、また人が死んだんだ」
「馬鹿野郎、まだ死んだって決まったわけじゃ……」
「俺だってそう信じたいさ。でも……そのスパノビの女の子が、はっきりと人間に見えるんだ。
 死んだ♂ケミがあいつってわかるようになったのと、同じように」
「なんだと……?」
♂プリはかつての♂騎士の言葉を思い出す。
(見分けがつかない……とか言ってたっけな。そういえば俺のことも相変わらずよくわかってないみたいだし。
 よくわからんが、死んだらちゃんと見えるようになるってことか?)
「♂騎士。もう一人は……女のハンターなんだが、そうは見えないんだな?」
「ああ、わからない。……きっと、そのスパノビの子が守ったんだろうな」
二度も電撃を受けながらも、♀ハンターは生きていた。
♀スパノビが覆いかぶさるように彼女を抱きしめ、直撃を防いだからだ。
「まったく……大した嬢ちゃんだぜ。安心しな、あんたの妹は俺が絶対に死なせないからよ」
そっと♂プリは♀スパノビの頭を撫で、彼女の手を胸の上で組ませた。
そして彼は、気絶した♀ハンターへと向き直り、治療をはじめた。

ふと♂騎士は疑問を抱き、♂プリへそれを投げかけた。
「♂プリ……あの紫の髪をした、アーチャーの女……みたいなのは何者なんだ?
 遠目ではよくわからなかったんだが、今になってしっかり見るとあいつもなんとなく見えるんだよ。
 ちゃんと見えるわけじゃないけど……少なくともお前とか、他の奴よりは判断できる」
「……半分人間じゃないからかもな。なんとなくお前のおかしな所がわかってきたぜ。
 ひとつ言えるのは、あいつがお前にわかりやすく見えてるうちは、あいつは敵だってことだ」
♂プリの言葉に、♂騎士は眉を顰めた。いまいち状況が把握できない。
「ああ悪い。簡単に言うと、あの女はミストレスっていう魔物で、♀アーチャーの体を乗っ取ってる。
 ♀アーチャーは♂ハンター……俺の仲間の彼女で、♂ハンターはなんとか元に戻したがってる。
 つまり……危険極まりない女だが、殺さないようにしてほしいってことだ」

思わず♂騎士は頭を抱えた。そういうことならば先ほどの状況も理解できる。
倒れた人物は♀ハンター、それを庇うように立っていたのは♀スパノビ。
周りの人間は彼女らの仲間で、ミストレスを止めたいが、殺すことができないから抑えつけるしかなかった。
蚊帳の外の人間からすれば誤解しかねない状況をミストレスは利用し、自分はまんまと利用されたわけだ。
「つまりだ。♂ハンターって奴をサポートすればいいわけだな。もちろんあの女は殺さないように」
「結構無茶な相談だけどな。しかも♂ハンターはさっきお前が斬った奴だ」
う、と♂騎士は言葉を詰まらせた。今更味方についたところで信用してもらえるだろうか。
「一応お前のことは大体説明してあるから、大丈夫だと思うぜ」
(……それって俺が味方を殺したことも説明してるんだろ。逆効果じゃないのか……)
一抹の不安を覚えながらも、♂騎士はミストレスたちのほうへと体を向けた。

「……♂ハンターの無茶に、お前も協力してくれんのか?」
♂プリの問いに、♂騎士は背中を向けたまま答える。
「普通にあの女を殺すつもりになれば楽なんだろうけど、そうするつもりはない。
 ♂ハンターの、大切な人を思う気持ちってやつ、わかるし」
ふぅ、と♂騎士はため息をつき、言葉を続けた。
「何も知らないくせに状況を引っ掻き回して、♀スパノビを死に追いやったのは俺だ。
 罪滅ぼしになるなんて思っちゃいないけど、できることはしたい。
 俺、間違ったことばっかりしてきたけど……もう間違った道を選ぶのは嫌なんだ」
「……そっか。まあアレだ、お前には色々言いたいことがあるんだよ。
 それはうまく嬢ちゃんを元に戻して、お互い生き残ってからってことでどうよ」
「説教はゴメンなんだけどな。……まあ、そういうことにするか」
♂騎士が♂ハンターたちの元へと走っていくのを見届け、♂プリも♀ハンターの治療に再び集中した。

♂ハンターは、地に伏せながらも全てを見ていた。
背中の傷は、痛みが走るものの命に関わるほど酷くはない。
だが、心が痛かった。
ミストレスは、できたばかりとはいえ仲間には違いなかった♀ハンターたちを、はっきりと傷つけたのだ。
それを今更とはいえ目の当たりにすると、どうしても♀アーチャーとの距離を感じずにはいられなかった。
(本当に、戻せるんだろうか。……いや、やらなきゃいけないんだ。
 俺の我侭のせいで傷ついた♀ハンターたちのためにも、協力してくれてる♀騎士たちのためにも)
♂ハンターは痛みに顔を顰めながらも立ち上がった。
ミストレスが、彼に妖艶な笑みを向ける。彼はそれに目を逸らさず、彼女を睨みつけた。

「ああ、よい頃合じゃな」
熱に浮かされたような表情でミストレスが呟く。
それと同時に、彼女の抱く卵に一本の皹が走った。
「我の可愛い仔よ。ようやく母の力になってくれるのじゃな」
ぴしり、ぴしり。
間を置かずに皹は全面に走り始める。
女王蜂の魔力を継ぐ子供が、今まさに誕生しようとしていた。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と一時的に同行 ♀ハンターを治療中
状態:心身の疲労はやや回復

<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ ♂モンク、♀騎士、♂プリーストと一時的に同行
状態:背中に少し深い傷を負う。♀アーチャーを救いたい

<♂モンク>
位置:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷

<♀騎士>
位置:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い
   ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状態:JTによる負傷で気絶中

<♀スパノビ>
現在地:E-6
外見:csf:4j0610m2
所持品:S2ダマスカス、シルクリボン(無理矢理装着)、古いカード帖(本人気付いていない)
スキル:集中力向上、ニューマ、速度増加、ヒール
備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型) ♀ハンターの生い立ちや鳥との会話能力を知る
状態:死亡

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど 正気を保ってはいるが、未だ不安定
    個体認識異常(死亡した人間、人間でないものは判断可能。中身だけが魔物のミストレスは近くに寄ればわかる程度)
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走 ♂ハンターたちに協力したい

<ミストレス>
現在地:E-6
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー、(胸元に)ミストレスの卵
備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。
    ♂ハンターの誘惑と♀ハンターへの報復、両方実行中。卵がまさに孵化しようとしている
271名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/01(日) 23:44:12 ID:g6KOrr6A
私もガチバトってなくね?orz
多人数を書くことの難しさと、自分の力の無さを痛感。
♂騎士にミストレスがなんとなくわかるってのは、少しご都合だったかもしれない。
272名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/02(月) 01:12:13 ID:hp3lLMvc
ちょっと気になるんだが
いつ♀すぱのびは刺されたんだろう?
特に表記がないような気がするんだが。
273272sage :2006/10/02(月) 01:13:11 ID:hp3lLMvc
って勘違いでした、ごめんなさいorz
274名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/02(月) 10:19:14 ID:JUZCTLnE
♀スパノビを殺された♀ハンターの今後の動きが気になりますな・・・
色々と妄想できそう。

ところで忘れ物だぞ
つ【残り19名】
275名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/02(月) 18:43:34 ID:aAXmJk0Y
♀スパノビ・・・。・゚・(つД`)・゚・。
276名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/02(月) 22:29:40 ID:T05toDOE
遅レスだけどカプラWは
123イレギュラーで死にかけだったキャラだと思ってたんだけど
違うとしたら誰なんだろ?
277名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/03(火) 17:25:17 ID:1gE.v8.I
>>276
そうか。あれが誰かは筋には関係ないと思って考えてなかったけど、
Wにせよ他の誰かにせよ参加者に関わりがある人物なら影響したんですね。
意外な盲点。。。
278名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/04(水) 21:07:49 ID:Htv4hwwg
エウレカ[3日目朝]


腹が燃えていた。
じくじくと冷たい炎を上げて。

(これはダメのようですね)

多臓器不全という言葉が♀スパノビの脳裏に浮かんだ。
心臓は時々思い出したように脈打つだけ。肺は半分もふくらまない。
肋骨より下は完全に駄目だ。
絶え間ない苦痛のかたまりだけがそこにある。

四肢も動くのは左手一本だけ。
もはや数分以内に確実にやってくる死を待つだけの体だった。
とどめを刺して楽にしてもらいたいところだけど。

体の下に♀ハンターの鼓動を感じた。
彼女のためにもこのまま死ぬことはできない。

(大丈夫。♀ハンターさんはお姉ちゃんがきっと守ります)

身じろぎするごとに焼けこげた内蔵が悲鳴を上げる。
それでも左手で♀ハンターの体を探ることを諦めない。

(お姉ちゃんは妹のする事なんて全てお見通しなのです)

ふふ、と無理矢理笑う。
でもそうすると焦げた腹筋が引きつって痛かった。
ちょっと失敗だったかもしれない。

(ふぁるは昨日寝た山の上にGM達が居るって言ってたのでしょう?)

彼女の言葉とふぁるの仕草から近くに何か居るのだという想像はついた。
そしてそれを♀スパノビに伝えなかったということは他の参加者ではない。
となれば残るはGMしかない。

ならばそれを広めよう。
それはGMへのささやかな反撃に、そして♀ハンターの生還率を上げる材料になるはずだ。

◇◇◇

♀スパノビはこのゲームに投げ込まれて以来、ずっとバグを探していた。
そしてバグとまでは言えない1つの問題に気付いていた。

『朝夕の放送はどこから聞こえてくるのか』

単純に声を拡大しているだけであれば、音の聞こえてくる方向へ行けばGM達の拠点を見つけられるはず。
なのに彼女はその方向をまったく特定できなかった。
島全体に声を届かせるため何カ所か中継点があるにしても、その場所さえ分からないと言うのは不自然だ。

考えに考え抜いた末の結論は
『放送は参加者の首輪を使って各自に直接している』

この方法なら大きな音を出す必要も中継設備を作る必要もなく、拠点を見つけられにくい。
しかも参加者の居場所によって放送が聞こえにくくなったりする問題も起きない。
さらにはそのような『声を伝えるシステム』を応用すれば参加者の発言を監視できる。
考えてみればジョーカーは逆らったら首輪を爆破すると言ったのだ。
監視しているのはほぼ間違いない。

そこで彼女はさらにこう考えた。
『それならシステムを逆用してこちらの声を放送できるかも』
盗聴と放送が同じシステムを使っているなら双方は一緒の場所にあるはずだ。
大きな声をわざと盗聴させれば放送の方に入るかも知れない。

もちろん普段は放送機能は切られているだろう。
そうでなければ昨夜♀ハンターが叫んだとき、その声が放送されているはずだ。
おそらくオンになるのは朝晩の放送時のみ。
誰もが静かに聞き耳を立てているはずの時間だ。

ただ、この推測が合っている保証はない。
あるいはそういった反撃も無効にする精巧な仕掛けかも知れない。
しかも全てうまくいったとしても、実行した自分はまず間違いなく処分される。
だから今まではどうしても試せなかった。

だが。

自分に残されたわずかな命の灯すべてを
かわいい妹のために使えるなら。

◇◇◇

♀スパノビは♀ハンターの懐から抜き取った物――トーキーボックスへ精一杯口を寄せた。
罠からそれを作れるのはハンターのみ。
あくまでも作れるのは、だ。
ハンターのスキルだという先入観を捨てれば彼女にもそのオルゴールに似た黒い箱の使い方を推測できた。

「GMの拠点は地図のE−5…山頂付近」

裏面に突き出たゼンマイのツマミを巻きながら表面へ語りかける。
音を大きくする調整がしたのだがそこまでは分からない。

「あとは……放送の時間に……動くように……」

オルゴールと同じなら蓋を開ければ鳴るはずだ。
だが時限装置など思いつかない。
目がかすんで詳しく調べることもできない。

「……あは……だめな…おねえちゃん…です……ね……」

♀スパノビはトーキーボックスが鳴らないよう留め金を押さえたまま蓋を開け、代わりに自分の頭を乗せた。
そして体中の息を吐き出し、

「…バイバイ」

自らの時を永遠に止めた。


<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い
   ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状態:JTによる負傷で気絶中

<♀スパノビ>
現在地:E-6
外見:csf:4j0610m2
所持品:S2ダマスカス、シルクリボン(無理矢理装着)、古いカード帖(本人気付いていない)
スキル:集中力向上、ニューマ、速度増加、ヒール
備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型) ♀ハンターの生い立ちや鳥との会話能力を知る
状態:死亡


JTで倒れてから♂プリが駆け寄るまでの短時間、のつもりで書きましたけど…
順序前後するしアナザーですかのう
279名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/04(水) 21:24:44 ID:ugTon9RY
順序前後してる話他にもあるし、大丈夫じゃないですかね。
スパノビが探してたバグの複線も回収できるし。
280名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/05(木) 01:36:51 ID:L6ZlCeI6
同じく問題ないと思うに一票
スパノビ…(つД`)
281278sage :2006/10/05(木) 20:48:16 ID:hdIunGrY
>>279,280
ありがとうございます。では改めて仮ナンバーを打って

250.エウレカ [3日目朝]

でお願いします(_○_)
282名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/08(日) 04:08:58 ID:d70zri9U
賛否両論あるとは思うが思い切って投下。判定よろしくお願いします。

251  ギフト


広大な草原に一人の男が佇んでいる。薄汚れたローブを纏い、顔色は死人のように青白い。
黒髪の男は、とんがり帽子と片目眼鏡はしてはいないものの、♂WIZである。

「さて・・・、そろそろ時間切れになるのですがね・・・。」

と、一人つぶやく。彼はここがどこかも、自分がどういう存在かも理解している。だから、時間になるまで、ただ待ち続けているのだが、折角だからとここの主に会うことにしていた。彼がここに来てから随分経つが、その主は一向に姿を現さない。だがそれは、彼がここに来る原因を考えれば致し方ないことだ。

「まあ、慣れない事はするな、ということですかね・・・。」

♂WIZは何をするでもなく、ただただ待ち続けていた。


「ここは・・・。どこだろう・・・・。」

少女は気が付けば、広大な草原に立っていた。ひざの高さまである草が風にゆられている。体の一部と言ってもいい♀マジシャンの衣服は身に着けているが、真理の目隠しはいつの間にか外していたらしく、どこにもない。
彼女が周囲を見渡すと、この草原に誰かが立っているのを見つけた。後姿でよく分らないが、草原を吹き抜ける風にローブが揺らめいている。少女は引きつけられる様に男に近づいていった。

「あ、あの・・・。」

距離は3メートル位か、ここまで近づく前に、誰が立っているのかは分っていた。彼が自分にしたこと、彼から流れてきた過去、無慈悲に打ち砕かれた未来、狂気に駆り立てられた現在・・・。それらを問いただしたかった。なぜそこまでになってしまったのか、知りたかった。それが彼に対する恐怖心を抑え込み、声を掛けさせた。
♂WIZは呼びかけられると、ゆっくりと振り返った。少し少女の顔を眺めた後、話し出した。

「やっと来てくれましたか・・・。もうじき時間切れになるところでしたよ。」

そう言って表情を和ませた。この島で彼を見た者ならば誰もが驚いただろう。いつも険しく鋭い目で周囲を観察し、笑うといったら狂気に駆られたヒステリックなものでしかなかった。それが、とある女性と一緒のときに時折見せる穏やかな表情を見せたのだ。目の当たりにした♀マジも唖然としている。

「まあ、あなたには色々迷惑を掛けましたからねぇ、最後くらいは・・・。」

と♂WIZが話すのを止め、周囲を見渡した。なんら変化が無いのを確認してから、何かに驚いている少女に声を掛ける。

「どうかしましたか?何か驚くようなことでもありましたか?」

♂WIZの問いかけに、♀マジは我を取り戻した。全く予期せぬ出来事に頭の中が真っ白になり、何を問いただすつもりだったのかもわからなくなる。
283名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/08(日) 04:09:54 ID:d70zri9U
「え?えぇ、キミもそんな顔するんだなぁって・・・。」

「そんな顔?・・・、あぁ、そうかもしれませんね。確かにあなたと居た時はもっと険があったかもしれませんね・・・。ですが、今ではあの自分で認識できる『狂気』がありませんから、普段どおりの表情だと思いますよ。」

「へぇ、そうなんだ・・・。じゃあ、なんでその『狂気』が無くなっちゃったの?」

♀マジは話の流れで、つい聞いてしまった。ある意味一番知りたくなかった事だった。

「それはですね、私が死んでしまって、なおかつ望みが叶ってしまったからですよ。」

死んでしまった?♂WIZが?一体なぜ?では、目の前にいるこの人物は何者なの?
頭の中をぐるぐるさせて混乱している♀マジをそのままに、♂WIZは話を続ける。

「で、未練も何もなくなったので、『本体』はさっさと逝ってしまいました。ですから後は『私』が消えるだけなのですが、折角ですからあなたに渡そうと思いましてね、それで待っていたわけです。」

本体?私?渡す?♀マジはさらに頭をかき回されるが、元来の理解力の良さで整理し、質問しまくった。

「キミが死んじゃったのはなんで?で、キミは何者?本体ってどういう事?ボクに渡したいものって何?」

ふむ、と♂WIZは考え、整理し、順番に答えていった。

「まず、私が死んだのは魔術を行使している間に後ろから攻撃されたためです。次に私は『本当』の私ではありません。本当の私は既に『川』を渡っています。ここにいる私は、なんと言いますか、例えて言うなれば粘土に石を押し付けて、粘土に出来上がった石の表面というか、仮初めの存在なのですよ。私が使った魔術であなたの魂に私の魂がくっついた時にできたもの。ですので、本当の私の魂とは別の存在です。私が時間切れと言うのは、私を模っている『あなたの魂』があなた自身の形に戻ろうとするため、私という存在が無くなることなのですよ。まあ、本来の状態になるだけですので、何も問題はないですけどね。」
284名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/08(日) 04:10:44 ID:d70zri9U
♂WIZは一度ここで言葉を切り、ローブの中から黒い書物を取り出しながら、「ですが、」と付け加えて話を続けた。

「もしあなたが望むなら、一部ですが私という存在を繋ぎとめられます。もちろん望まなければ、一遍も残さず姿を消します。この辺りはあなた次第ですね。ま、もっとも残すといってもかなり限られますけどね。」

そう言って♂WIZは取り出した黒い書物を差し出した。

「これは私がウィザードとして得た技術です。もっとも異端の魔術は含まれてはいませんが・・・。これがあれば、おそらくですがあなたでもウィザードの魔法が使えるようになるはずです。」

その書物はどこか禍々しかった。すさまじい力を秘めているが、自分には扱いきれずに暴走してしまう、そんな印象すら受ける。

「ですが、この技術で得た魔法を使うときはおそらく何らかのリスクがあるでしょう。不発だったり、詠唱が通常より長かったり、つぎ込む魔力が多かったり・・・。もしかしたら、もっと違ったものを代償にしなければならないかもしれません。こればかりはなんとも言えませんがね。」

さすがに手が伸ばせない。もともと不吉に見えるのに、そこまで言われてしまっては、手の出しようが無い。

「本当に魔法が使えるの?無理にしか思えないんだけど・・・。」

「まあ、私も確証があるわけではありませんがね、まるっきり根拠が無いわけでもないんですよ。では代表的なストームガストを例にしますか。」

♂WIZは黒い書物を一旦ローブにしまい、根拠を話し始めた。

「ストームガストを使えるようになるには、元となるフロストダイバーとユピテルサンダーをある程度使えるようになっていなければなりません。それはストームガストと言う家を建てるのに、フロストダイバーという土台とユピテルサンダーという骨組みが必要だからです。そしてフロストダイバーという土台もアイスボルトという土が必要で、同様にユピテルサンダーにも、ナパームビートとライトニングボルトという部品が必要です。それらが全てそろって初めてストームガストという家を建てられるわけです。これが一般的なウィザードの習得方法です。
で、ここからがあなたが使う場合なのですが、フロストダイバーという土台はあるかもしれませんが、ユピテルサンダーという骨組みがありません。ですので、私の技術でこの骨組みを用意します。そしてそこからストームガストという家を建てる感じになります。ですので、他のウィザードが家を建てるだけでいいのに対して、あなたは骨組みから作らねばなりません。なので、出来上がる家もその場しのぎの家になるでしょう。ですが、魔力を掛け、時間を掛ければその場しのぎでもそれなりの家はできるでしょう。」

♂WIZの解説を辛抱強く聞いていた♀マジは湧き出た疑問をぶつける。

「でも、それだとホロンの力を込めたクリップと同じじゃない?確かカードの力で得たスキルの上に新たなスキルは積み重ねられないんじゃなかったっけ?」

「ええ、そうですね。ですが、それは仮初の技術を土台として自分自身の技術を築こうとしたときだけです。あなたの場合ですと私の技術の中から仮初の骨組みと家を引っ張り出してくるわけですから、根本的に違います。ユピテルサンダーを使えるからストームガストが使えるのではなく、ストームガストを使うためにユピテルサンダーを用意するのです。まあ、口で言うのは簡単ですが、実際にやるとなると、かなり大変だとは思いますがね。」

「ボクに使いこなせるかなあ・・・。」
285名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/08(日) 04:11:25 ID:d70zri9U
弱気な♀マジを見て、つい意地悪く♂WIZが言う。

「ま、無理でしょう。使うことはできても、使いこなすことはできないと思います。私でさえ血のにじむような修練をして得た技術です。そう簡単に使われても困ります。使いこなすにはあなたがウィザードになって自分自身で習得しないと、無理ですよ。ですが、なんとか子供だましくらいには使えるのではないかとは、思っています。それなりにはあなたを買っているのですよ。」

そう締めくくって、改めてローブの中から黒い書物を取り出し、♀マジに差し出した。

「そ、そんな風に言われたら、受け取るしかないじゃない。いいわよ、もらってあげるわよ。そんでもって、キミの魔法を使いこなして、キミ以上のウィザードになってやるんだからっ!!」

そういって差し出された書物を受け取る♀マジ。その瞬間からゆっくりと♂WIZの姿がうすく透明になっていく。あっ、と驚く♀マジに♂WIZは少しだけ微笑んだ。

「それでは、私は消えます。ああ、それから私が被っていた帽子を持っていきなさい。多少はあなたの助けになるでしょう。
もっとも、渡した技術が役立つことなく終わる可能性も十分あります。なんら助けにもならず、全く意味が無いということも考えられます。ですが、できることが増えるというのは、生き延びる可能性が多少は増えることでもありますから、精々足掻いて下さい。では。」

それだけ言って、♂WIZは姿を消した。初めから何も無かったように、広大な草原と自分だけになる。するとだんだん辺りが明るくなってきた。この感覚はわかる。おそらく目覚めが近いのだろう。最後に受け取った黒い書物を見つめて♀マジは覚醒した。


「お、やっと起きた。あんたねえ、あんまり心配かけさせないでよねぇ。」

♀マジにそう言ったのは♀アコだった。♀マジは体を起こすと辺りを見渡した。気を失っていた間に移動したらしく、♂WIZと鉢合わせた場所ではなくなっている。それに見慣れない人もいる。サングラスをかけ、バフォメット帽を被っている♀ケミらしき人。

「気が付いた?気分はどう?」

悪ケミが♀マジに尋ねる。♀マジは戸惑いながらも、大丈夫と答える。で、視線で♀アコに「この人は誰?」と尋ねた。♀マジの視線の意味を感じ取った♀アコが端的に答えた。

「悪ケミさんと今はいないけどもう一人グラサンモンクさんがいるわ。この二人が私たちの窮地を救ってくれた恩人よ。・・・で、はい、これ。」

そう言って♀アコは緑色の帽子を差し出した。戸惑いながらも受け取ると、

「あんたが一生懸命手を伸ばしてたから、一応持ってきたわ。あんな奴でもあんたは顔見知りみたいだったし・・・。あんまり持ってきたくはなかったけどね。」

「そっか、ありがと・・・。」

♀マジは恐る恐るとんがり帽子を被り、自分の中に意識を向ける。するとどこか隅の方にあの黒い書物の感覚が出てきた。だが、受け取ったときほどの存在感はなく、メモ帳くらいに小さくなっている。

(ああ、こんな小さなものから引き出さなきゃダメなんだ・・・。大変そうだなあ。でもやらなきゃ。あいつを超える魔法使いにならなきゃいけないし、さしあたっては、ここから生きて出なきゃね。)

♀マジのなかで目標が真理を追究する師匠の他にもう一人追加された。


<悪ケミ>
<現在位置:E-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<♀アコライト&子犬>
現在位置:E-7
容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-7
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
 褐色の髪(ボブっぽいショート)
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し ♀アコに蹴られて気絶 気絶中にグラサンモンクの治療を受けた 気絶復帰 心の奥底に♂WIZの『技術』を受け取るが扱えるかは別の話

<グラサンモンク>
<現在地:不明>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:♂ローグを警戒、負傷は治療、悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチを追跡中 ただし立場上そんなに遠くまでは追わない>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)
286名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/08(日) 13:31:04 ID:.JDUXZxY
>>282
賛否両論が出そうと書いているのは、♂WIZ優遇な話だからなのかな。
それとも死者から生者へ技術知識の伝播がなされたことなのかな。

♂WIZの技術を♀マジが受け取るのは、個人的には仕様逸脱で否。
♂WIZはこれまでも仕様外のスキルを使い過ぎているので、これ以上そういったスキルを持ち出してRO世界を壊さないほうが良いと考えます。
これがROと関係のないウィザードの話なら問題ないのですけどね。

ここから先は普通の感想。
♀マジの口調に違和感を覚えるところが多かったです。
ボクっ子なので、もうすこし少年っぽい言葉遣いを希望したい。

あと♂WIZの台詞が長いので、地の文も欲しいなぁ。

♂WIZと♀マジが会話するというシチュエーションは素敵でした。
できれば技術の教授とは関係のない、純粋な♂WIZと♀マジのお別れを読んでみたいです。
287名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/08(日) 20:16:56 ID:YQwRwDtI
仕様的にスキル継承がアリになってしまうと、
こんどは何処までの使用を可とするかで揉めそうな予感もあるし、
いい話だとは思うけれども個人的にはNG扱いにした方が良いと思う。
もしくは完全に♀マジの中だけに留めて置いて外伝的な扱いにするか。

ただ、戦闘知識とかそういうのはありかもね。
少なくともまじこより♂wizの方が実戦経験は豊富だろうし、
それらの中から一部の知識を得る、程度なら、話もそれほど破綻しないと思う。
288282sage :2006/10/08(日) 23:16:01 ID:JtCAnNzg
ご意見ありがとうございます。
やっぱりNGにしたほうがいいかなあ、と思いましたが、
シュチュエーション自体は評価していただいているので、
継承をはずしての修正文にさせていただきたいと考えています。

ただ、仕上がりは今日中には厳しいので明日までには何とか用意したいと思っています。
後、修正文を作成しながらも、スレは確認しますので、ご意見や感想がありましたら、
それも参考にさせていただきたいと思っております。

話は変わりますが、バトROワのHOMEに繋げないのですが、私だけでしょうか?
289282sage :2006/10/09(月) 02:29:18 ID:oG7snRME
遅くなりました、282です。修正の内容が内容なので、タイトルも変わります。
よろしくお願いします。
290282sage :2006/10/09(月) 02:30:42 ID:oG7snRME
251  異端ゆえに  (旧タイトル ギフト)


広大な草原に一人の男が佇んでいる。薄汚れたローブを纏い、顔色は死人のように青白い。
黒髪の男は、とんがり帽子と片目眼鏡はしてはいないものの、♂WIZである。

「さて・・・、そろそろ時間切れになるのですがね・・・。」

と、一人つぶやく。彼はここがどこかも、自分がどういう存在かも理解している。だから、時間になるまで、ただ待ち続けているのだが、折角だからとここの主に会うことにしていた。彼がここに来てから随分経つが、その主は一向に姿を現さない。だがそれは、彼がここに来る原因を考えれば致し方ないことだ。

「まあ、慣れない事はするな、ということですかね・・・。」

♂WIZは何をするでもなく、ただただ待ち続けていた。


「ここは・・・。どこだろう・・・・。」

少女は気が付けば、広大な草原に立っていた。ひざの高さまである草が風にゆられている。体の一部と言ってもいい♀マジシャンの衣服は身に着けているが、真理の目隠しはいつの間にか外していたらしく、どこにもない。
彼女が周囲を見渡すと、この草原に誰かが立っているのを見つけた。後姿でよく分らないが、草原を吹き抜ける風にローブが揺らめいている。少女は引きつけられる様に男に近づいていった。

「あ、あの・・・。」

距離は3メートル位か、ここまで近づく前に、誰が立っているのかは分っていた。彼が自分にしたこと、彼から流れてきた過去、無慈悲に打ち砕かれた未来、狂気に駆り立てられた現在・・・。それらを問いただしたかった。なぜそこまでになってしまったのか、知りたかった。それが彼に対する恐怖心を抑え込み、ためらいながらも声を掛けさせた。
♂WIZは呼びかけられると、ゆっくりと振り返った。少し少女の顔を眺めた後、話し出した。

「やっと来てくれましたか・・・。もうじき時間切れになるところでしたよ。」

そう言って表情を和ませた。この島で彼を見た者ならば誰もが驚いただろう。いつも険しく鋭い目で周囲を観察し、笑うといったら狂気に駆られたヒステリックなものでしかなかった。それが、とある女性と一緒のときに時折見せる穏やかな表情を見せたのだ。目の当たりにした♀マジも唖然としている。

「あなたと落ち着いて会話をするのは久しぶりですね。初日の夕方以来ですか・・・。口にしてみるとそれほどでもありませんが、随分長かったような気が・・・。」

と♂WIZが話すのを止め、周囲を見渡した。なんら変化が無いのを確認してから、何かに驚いている少女に声を掛ける。

「どうかしましたか?何か驚くようなことでもありましたか?」

♂WIZの問いかけに、♀マジは我を取り戻した。全く予期せぬ出来事に頭の中が真っ白になり、何を問いただすつもりだったのかもわからなくなる。
291282sage :2006/10/09(月) 02:31:40 ID:oG7snRME
「え?えぇ、キミもそんな顔するんだなぁって・・・。」

「そんな顔?・・・、あぁ、そうかもしれませんね。確かにあなたと居た時はもっと険があったかもしれませんね・・・。ですが、今ではあの自分で認識できる『狂気』がありませんから、普段どおりの表情だと思いますよ。」

「えっ?そうなの?てっきり前に見ていたのが普段の表情だと思ってたよ。急にニタニタしたり、人が目の前にいるのに一人の世界に篭ったり・・・。ホント○○○○としか思えなかったよ。」

「○○○○・・・、ですか・・・・・・。そんなつもりはなかったのですが・・・。まあ、あの時は確かに『狂気』に取り付かれていましたから、そう見えたかもしれませんが・・・。」

額にしわを寄せて唸る♂WIZ。その顔に♀マジはつい吹き出してしまった。

「あははははっ。だってそうとしか見えなかったよ。でも、今はちゃんとした顔だね。そんな顔できるなんて、思わなかったな。」

「まあ、私でも四六時中難しい顔をしているわではありませんから、落ち着いているときがあってもいいとは思うんですがね。」

とは言いながらも、自分の顔をつい触ってしまう♂WIZ。♀マジもさっきまで抱いていた恐怖心が完全に無くなっていた。

「でも、ボクは今のほうが安心できるなあ。少しはまともっぽいし・・・。」

♂WIZは「少しは・・・、ですか。」なんていいながらちょっとがっかりしている。
♀マジはふとした疑問を口にした。

「でもさ、なんで急にまともになったの?その『狂気』はどこ行っちゃったわけ?」

「えぇ、ですがその前に・・・。私はいつでもまともですから、そこは勘違いしないように・・・。
では、『狂気』が無くなった理由ですが、目的は果たせませんでしたが、望みが叶ったのですよ。私を駆り立てた『狂気』は望みが叶ったその時に消え失せたのです。」

♂WIZの目的。それがどういう事かは♀マジも薄々は気が付いていた。しきりに人体の研究をしたがり、魂についても独自の理論で研究している。そして♂WIZから流れてきた過去に垣間見える金髪の女性・・・。魔術師の身で蘇生をさせるという発想は異端以外の何ものでもない。だが、♂WIZは、目的は果たせなかったと言った。なのに、望みは叶ったという。♀マジは首をかしげて「どういうこと?」と尋ねた。

「それはですね、私が死んでしまったため、とある女性を生き返らせることが出来なくなったのですが、死後彼女に会うことが出来て、望みを叶えることが出来たからですよ。」
292282sage :2006/10/09(月) 02:32:20 ID:oG7snRME
「え・・・、死んだ・・・?」

衝撃的な内容を今日の夕食程度に気軽に話す♂WIZ。一方♀マジは理解が追いつかず固まってしまう。頭の中を硬直させている♀マジをそのままに、♂WIZは話を続ける。

「で、未練も何もなくなったので、『本体』はさっさと逝ってしまいました。ですから後は『私』が消えるだけなのですが、折角ですからあなたに会おうと思いましてね、それで待っていたわけです。」

死んだ?本体?私?♀マジは固まった頭に色々な内容が追加されるが、なんとか柔軟性を取り戻し、元来の理解力の良さで整理して質問しまくった。

「キミが死んじゃったのはなんで?で、キミは何者?本体ってどういう事?」

ふむ、と♂WIZは考え、整理し、順番に答えていった。

「まず、私が死んだのは魔術を行使している間に後ろから攻撃されたためです。まあ、警戒を怠った私のミスですね。
次に私は『本当』の私ではありません。本当の私は既にとある『川』を渡っています。
ここにいる私は、なんと言いますか、例えて言うなれば粘土に石を押し付けて、粘土に出来上がった石の表面というか、仮初めの存在なのです。私が使った魔術であなたの魂に私の魂がくっついた時にできたもの。ですので、本当の私の魂とは別の存在です。」

♂WIZは一度話を区切り、間を空けてからまた続ける。

「で、初めに私が時間切れと言うのは、私を模っている『あなたの魂』があなた自身の形に戻ろうとするため、私という存在が無くなることなのですよ。まあ、本来の状態になるだけですので、何も問題はないですけどね。」

♀マジはまたも突拍子も無い話に戸惑いながら頭の中を整理する。

「えと、つまり、キミは♂WIZを模したボク自身って事?」

「ええ、大体その解釈で合っています。強いて言えば、あなたの中の私ではなく、私の魂から写した私ですので、当人以外には違いなど分らないくらい模しているというところですね。」

「でも、キミは死んじゃったんだ・・・。」

「ええ、まあ。不本意ですが。」

落ち込んでいるように見える♀マジを不思議そうに見ながら♂WIZは続ける。

「ですが、それに何か問題が?私が言うのも何ですが、そのおかげであなたやあなたの友人も助かっているのですよ?」

平然とのたまう♂WIZ。自分が死んだことや、彼女達を殺そうとしたことなどは特に問題ではないらしい。
293282sage :2006/10/09(月) 02:32:59 ID:oG7snRME
「う〜ん・・・、それはそうだけどさあ、何か引っかかるんだよ。なんだろう・・・。」

「まあ、思い出せない内容など、大抵たいしたことではありません。気にしない方が・・・。」

喋っている♂WIZを遮って、♀マジが叫んだ。

「思い出したっ!!キミのことを矯正しようと思ったんだ!!」

「・・・・、矯正・・・、ですか・・・。」

話を遮られたあげく、出てきた言葉は『矯正』。今度は♂WIZが唸った。

「初めて会った時、キミは色々とダメだったから、ボクが鍛えようと思ったんだ。」

ダメ出しまで喰らって、目頭を押さえ難しい顔で考え込む♂WIZ。「まあ、それは、次の機会に・・・。」なんて歯切れ悪く受け流す。まあ、彼に次なんてものはないのであるが。


「さて、そろそろ時間ですね。」

♂WIZは自分の手を見ながらそう言った。つられて♀マジも見てみると、右手が透けてきている。

「それでは最後に。私が被っていたとんがり帽子を持っていきなさい。あなたの助けになるでしょう。
それと、あなたがこの島から抜け出したいのであれば、♀WIZを探しなさい。彼女と戦ったときに、この島を抜け出す方法があると言って取引を持ちかけてきました。偽りかも知れませんが、全くの嘘とも言えません。」

だんだんと消えていく♂WIZ。もう両腕両足も透けてきている。

「まあ、未練があるとすれば、もう一度♂セージと戦いたかったですね。いくつか作戦も練ったのですがねえ。残念ですね、それだけは。」

大して残念そうでも無い口調で言う。

「それではお嬢さん、精々足掻いて下さい。くれぐれも私の『本体』のいるところには来ないように。では。」

最後の方など一方的に言うだけ言って♂WIZは消え去った。
広大な草原に一人残される。少しするとだんだん辺りが明るくなってきた。この感覚は覚えがある。自分が目覚めるときにこうなることが多い。♀マジはついさっきまで♂WIZがいた場所を眺めた後、ゆっくり目を閉じた。
294282sage :2006/10/09(月) 02:33:57 ID:oG7snRME
「お、やっと起きた。あんたねえ、あんまり心配かけさせないでよねぇ。」

♀マジにそう言ったのは♀アコだった。♀マジは体を起こすと辺りを見渡した。気を失っていた間に移動したらしく、♂WIZと鉢合わせた場所ではなくなっている。それに見慣れない人もいる。サングラスをかけ、バフォメット帽を被っている♀ケミらしき人。

「気が付いた?気分はどう?」

悪ケミが♀マジに尋ねる。♀マジは戸惑いながらも、大丈夫と答える。で、視線で♀アコに「この人は誰?」と尋ねた。♀マジの視線の意味を感じ取った♀アコが端的に答えた。

「悪ケミさんと今はいないけどもう一人グラサンモンクさんがいるわ。この二人が私たちの窮地を救ってくれた恩人よ。・・・で、はい、これ。」

そう言って♀アコは緑色の帽子を差し出した。戸惑いながらも受け取ると、

「あんたが一生懸命手を伸ばしてたから、一応持ってきたわ。あんな奴でもあんたは顔見知りみたいだったし・・・。あんまり持ってきたくはなかったけどね。」

「そっか、ありがと・・・。」

♀マジは恐る恐るとんがり帽子を被り、自分の中に意識を向ける。もう♂WIZは存在しないが、彼が残した言葉は残っている、そのほとんどがたわいも無いものだが、最後に重要なものを残してくれた。♀WIZに会え。この島を出る手段を知りうる人物。

(ありがとう。そして、さようなら・・。)♀マジは心の中でそっとつぶやいた。


<悪ケミ>
<現在位置:E-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<♀アコライト&子犬>
現在位置:E-7
容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-7
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
 褐色の髪(ボブっぽいショート)
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し ♀アコに蹴られて気絶 気絶中にグラサンモンクの治療を受けた 気絶復帰

<グラサンモンク>
<現在地:不明>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:♂ローグを警戒、負傷は治療、悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチを追跡中 ただし立場上そんなに遠くまでは追わない>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)>
295名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/09(月) 04:24:01 ID:Hs5YQ7QY
『学園ラグナロク 第四話 居残り勉強の死闘』

♀ハンターは半泣きになりながら机に向かう。
その対面には厳しい顔をした♀スパノビが居る。

「さ、後は数学の問題だけです。さっさかさーっとやってしまいましょう」
「ふえーん、お姉ちゃんのいじわるー」

いつもは優しい♀スパノビの表情も、今日は厳しさを無くさないよう意識して笑わないようにしている。

「合宿行けなくなってもいいんですか? みんなで海に行くんですよね?」
「う〜〜〜頑張る」

唸りながらも何とか問題に向かう♀ハンター。
そしてその隣の席の♂プリはというと、完全にグロッキーで机に突っ伏していた。

「……俺もーぎぶ。♀ウィズ、後頼む」
「ダメです。♂プリさんまだ三問しか解いてませんよ」
「鬼」
「はいはい」
「悪魔」
「何とでも」
「魔女、バーバヤガー、運命の三醜女、貞子、オークレディ」
「…………」

机の周りに魔方陣が描かれた瞬間、飛び上がって鉛筆を手に取る♂プリ。
♀ウィズはそれを見て頷く。

「わかればよろしい」

教室内にはその二組四名しか残っていなかったが、そこに新たな人間が加わる。

「ん? 貴様らまだ残っておったのか?」

ドアを開いて入ってきたのはミストレス先生だ。

「別に残るのは構わぬが、間違っても校内で騒ぎなぞ起こすなよ」

四人は素直に頷くが、それを聞いてなかった者がその言葉と同時に騒ぎを起こしに来た。

『おっせーぞお嬢! 今日は学校早く終わる日じゃねーのかよ!』

と、鷹語で喚きながら教室の窓ガラスを突き破ってふぁるが飛び込んできたのだ。
鷹の不始末は飼い主の責任。
ミストレスは青筋たてながら♀ハンターを睨む。

「わ、わわっ! ふぁるー、ダメだよ教室に入っちゃー」
『うっせ、これ以上待ってられっか。今日は狩り行く約束だったろーが』
「ででででも、宿題しないと合宿行けないし」
『めんどくせーなー。んなもんは宿題出した奴倒しちまえば済む事じゃねーか』

ふぁるが何を言っているのか♀ハンターは一瞬戸惑う。
しかし、その飛び方の気配から、♂プリだけはふぁるの次の行動を読みきった。

「おおっ! やる気かケダモノ! ならば……」

速度増加とブレスにキリエまでふぁるにかけてやる♂プリ。
直後ふぁるは、容赦なく、ためらい無く、ミストレスに向かって突貫していった。

「何?」

ハンターの飼う鷹である。まさか飼い主の意思無しで勝手に人を攻撃するなぞ露ほども思わないミストレスは、それを見ても全く反応すら出来なかった。


どっかーん!


「ふぁっ! ふぁーるー!」
「あやや〜」
「おっしゃスマッシュヒット!」
「……やっちゃいましたね」

見物人四人はそれぞれに感想を述べるが、ふぁるは反転すると更なる目標を狙う。

『だーれがケダモノだエロ坊主!』


どかどっかーん!


吹っ飛ばされて机ごとひっくり返る♂プリ。

『ざまー見ろ。大体てめーみてえな間抜けがお嬢の近くに居るなんざ百年早ぇんだよ。身の程をわきまえやがれ』

♂プリは倒れかかってきている机を振り払いながら起きる。

「……このクソ畜生が……もう懺悔こいたって許してやんねーからよ……」
『誰が許してくれって言ったよ。おら、ケリつけてやるからかかってきな!』

一人と一匹の間で飛び交う火花。
♀ハンターはおろおろするばかり、♀スパノビも♀ウィズも諦めたような顔である。

「相変わらず喧嘩っぱやいですね〜、ふぁる君も♂プリさんも」
「止めるだけ無駄ですね。一段落するまでほっときますか」

だが、二人はここで是が非でも止めておくべきだったのである。


「……そうか、貴様らそんなに死にたいか……」


底冷えするような声、MVPモンスターに相応しい迫力全開でそうのたもーたのは、とことん無視されていたミストレス先生であった。
喧嘩っぱやい二人組、当然場数も踏んでいる。
そんな二人、というか一人と一匹は、当然危機を感知する能力にも長けていた。

「やばい」
『げ、やりすぎた』

ミストレス先生が動いた瞬間、♂プリとふぁるは同時に反対方向に向かって飛ぶ。
即座に飛ぶJT、机を影にして何とか射線から外れた二人は難を逃れるが、目標は♂プリかふぁると決め付けていた♀ウィズは反応が遅れた。

「へ?……っきゃー!」

その高い抗魔力でダメージこそ抑えたが、勢いで吹っ飛ぶのまでは止められない。
窓ガラスを突き破って外まで放り出されてしまった。

「逃げるな卑怯者めが!」

二発目。

「え? わたし違っ……っきゃー!」

三発目。

「ふぁるー、逃げちゃだめ……っきゃー!」

三人が窓の外に放り出された頃には♂プリもふぁるも教室から逃げ出していた。

「逃さぬ! 地獄の底まで追い詰めてくれるわ!」


既に♂プリもふぁるも逃げる足を止める事、適わぬ状況となっていた。

「やべえ……これミストレスだけじゃなくて♀ウィズもマジギレしてる、絶対」
『ぐあ〜、お嬢絶対怒ってる。♀スパノビもミストレスじゃなくて俺に怒る。ピンチだオレ様』


「♂モンクさん、じ、じつは私、夏合宿用に……その……」
「ががが、がっしゅくがっしゅく、どしたの♀騎士?」
「あ、新しい水着が欲しいなって。だから……明日一緒に……」

「ええい、いい加減観念せぬかー!」

「MYGOD!」
「♂モンクさん!? ああっ! アフロが二倍にまで膨れ上がって……って気絶するなんてひどいです。せっかく勇気を振り絞って私が……」


「お・う・じ・さ・ま♪ 今度の合宿同じ部屋にしましょー」
「ちょっ! そういう無茶をまた君は……だから、引っ付くのは良くないって!」
「えー! だってせっかくの一つ屋根の下なんだから、二人で夜抜け出してロマンチックな星空見上げながら、蛍に囲まれて夜を空かすのは基本よ〜」
「だからそういうつもり無いって何度も……」

「ええいちょこまかとっ!」

「……やっぱりさ、こういう時、何の問題も無くまず僕に当たるのって、ひどいと思うんだ……がくっ」
「ああっ! 王子様がこげ王子に! 許せません! ……けど先生にやり返すのは恐いから、逃げてる二人に制裁をっ!」


「あ、あの! ♂クルセさんは……合宿には……」
「……全員参加だからな」
「だ、だったら! わ、私と一緒の……班に……その……」
「ん? なんだ♀ローグ。言いたい事があるのなら早く言え」

「ユ・ピ・テ・ル・サ・ン・ダー! いいかげん当たらぬか!」

「……神様のバカ」


次の日、ふぁるはみんなに掴まって校舎の屋上から逆さまに吊るされてしまいました。
私はちょっとかわいそうだなって思ったんだけど、お姉ちゃんがじごうじとくって言うので、そうなのかなって思いました。
でも♂プリさんがパンツ一枚で同じように逆さに吊るされているのを見た時は、びっくりしました。
♀ウィズさんはそれを見てとても嬉しそうにしてました。
ちょっと恐かったです。
それと校舎がそこかしこ黒こげになったので、みんなで掃除しました。
いつもは掃除を絶対にしないミストレス先生も一緒に掃除したので、すっごく楽しかったです。
ミストレス先生も最初は凄く落ち込んでたけど、私とお姉ちゃんと三人で並んで窓拭きしてたら、すぐに一緒に笑うようになりました。
でもミストレス先生、話しして笑うっていうか、屋上見て笑ってたような気が……
296名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/10(火) 13:32:00 ID:kq6vn22M
まとめサイトが見れませんな・・・私だけ?
297名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/10(火) 19:20:36 ID:/A2nbD/E
同じく、さっぱり見れませぬ…
298名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/10(火) 22:54:49 ID:tSRQMuaQ
私も見れない・・・
見れるまではとりあえずここを再利用かな?
つ【ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/pages/615.html
299名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/12(木) 17:11:55 ID:p5J9OEo2
対応が遅れました。現在では見れるようになっていると思います。
おそらくHOMEの更新時のミスか不具合によるものかと思われます。
300名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/15(日) 01:54:01 ID:.CoAmpxg
Wikiの使い方がわからない・・・(´・ω・`)
そろそろ次の執筆の参考に、参加者一覧・状態を更新したいのじゃが・・・!
301名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/15(日) 02:47:22 ID:HSS9QpFo
>300
歓迎です!
ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/pages/713.html
掲示板の作り方がお絵かき掲示板しかなかったんだが…読んでもらえれば…!
302名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 15:11:52 ID:P208R7xw
順調だねえ。いや、遥か昔の、今は自分の人生に精一杯な元書き手なんだが。
303名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 15:52:52 ID:P208R7xw
 で、♂騎士の主観のみに注目して久しぶりに書いてみる。
 まとめの方にも改行は反映してもらえると幸い。

 252 この魂に哀れみを

 おれ いったい だれだったんだっけ。

 俺は 一体 誰だったっけ。

 俺は。そうだ。俺は、騎士だ。


 ──何もかもが曖昧に見える。
 はっきりと見えるのは自分だけ。
 そのくせ、「それ」が一番醜いとくる。
 大切な人を殺した。(この手で。この剣で)
 何一つ叶えられなかった。(例えば、誰かを信じ切ると言うことさえ)
 沢山のものに騙された気分だった。(ほら、今だって)


 もういい。終わらせてくれ。

 何も見えないんだ。

 人が何か。

 俺には。

 わからないのに。


 ──その剣は。その腕は。そうであるならば。


 収めて仕舞えばいい。逃げ出してしまえばいい。
 おれよ。お前が何度も何度も繰り返したように。
 巻き込みながら転がり落ちた先が、お前のよく眠れる寝床だ。


 ──その心は、一体何の為に?


 だが。そして。
 尚、それでも。
 俺よ。
 お前がその剣を振るうならば。


 ──「あいまい」なもやが晴れる。


 近づいてくるのは、紫の髪。
 足を突き動かすのは、遠い記憶。

 この魂に 哀れみを。
 この愚かな魂に 哀れみを。


 ──君よ。


 ならば俺は、あらゆる業さえ弾いて見せよう。
 それこそが、信じる者の 光の鎧ならばこそ。

 <♂騎士> 249と変わらず。
304名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 16:34:12 ID:rSos7YOM
>>303
>>4
変化なくたって登場人物一人なんだから状態欄書きましょうよ。
ただ面倒臭がってるように見えてしまいます。
それと、文を読めば分かることとはいっても、皆さん書いてるんだから時間も書きませんか。
最近書いてないから、追ってないから気付かなかったってのはナシでしょう。
保管のことを気にしてくれるならその辺も気にして欲しかったです。

詩的な書き方で♂騎士復活だ!カッコヨス!
…なんですが、本人視点&抽象表現GO!のため実際に起きてる現象がわかりません。
もやが晴れて♂騎士は個体認識異常状態を脱したのですか?
それとも信念を取り戻すことで心の中の♀プリ(かな?)がハッキリ見えるようになったというだけ?
249と変わらずってことはまだ状態異常なままなのかな。
305名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 19:45:39 ID:P208R7xw
ええと、取りあえず。
状況の方は悪気は無かったけど、
即興+書いた当時時間が無かったせいでつい端折っちゃったんです。
以後、書くことがあれば気をつけます。

固体認識機能については、単に心情の移行を表現しただけなので、
まったくそのままです。
色々、頭の隅っこで回想しつつ、
走って、接近してるから、遠くではぼやけたミストレスの顔が再び、
はっきり見えるようになった、てだけで。
VSミストレスの♂騎士視点の未来視、見たいに考えてもらえると。
306名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 20:19:51 ID:C40hgKx6
アナザー 52人目


夜が明けようとする少し前。
月光の射し込まぬ、石組みの壁に囲まれた薄暗い部屋で。
白い衣をまとった男たちがそれぞれの表情で顔をつきあわせていた。

「面倒なことになってきましたね」
「そうですかあ?おもしろいじゃないですか」
「なにがだ?」

橘は眼鏡の奥に陰険な目つきを隠し、貼り付けた笑みを消す様子もないジョーカーから隣に立つ筋肉の塊へ視線を移す。

「単純に戦闘力の高い者が多く残ってるんです」
「そりゃそうだろう。殺し合いなんだからな。弱い奴から死ぬさ」

森は何を言ってるんだと言わんばかりに鼻を鳴らした。
その態度に橘は一瞬苛立ちを感じたが、すぐに気を取り直して説明を続ける。

「一次職についてはその通り。今までも同じでした。ですが二次職の生き残りは明らかに偏っています」
「…そうか?」
「騎士、モンク、プリースト、ハンター、ウィザード、アルケミストが2人ずつ残っています。その一方で盗賊系二次職は1人も残っていません」

もちろんこの残り方は単なる偶然と、そしてモンク・プリ・ケミに追加の参加者が居たことによる見かけの偏りにすぎない。
だが、こうして列挙してみると確かに消えた職業と残っている職業がはっきり分かれており、何かの意図が働いているかのようにも見える。

「しかもこの内2/3は誰も殺しておらず、複数を殺した者は♂騎士だけです」
「つまり…どういうことだ?」
「殺し合いに熱心でなく、しかも高い戦闘力を持つ者が残っている。つまり前回のように反抗を企てる、あるいはすでに企てている可能性が高まってきたと言うことです」

橘がそう言ったところでそれまで黙って聞いていたジョーカーが手を挙げた。

「はいはーい。アルケミストの戦闘力は高くないと思いまーす」
「確かに両名とも製薬系という報告ですから戦力としては微妙ですが、女性でしかも知力の高い人物です。例の工務大臣から秘密を聞き出した者かもしれません」
「ふうむなるほどなるほど」

道化師の化粧をした男は大げさに頷いてみせる。

「おっしゃりたいことはわかりました。けどね?明確な証拠もなく憶測でBANするわけにも行かないのですよ。それはあなたもよ〜っくわかってるはずじゃあないですか」
「では放置せよと?」

不服そうな橘には答えずジョーカーは続けた。

「もうちょっとはっきり言ってしまいましょうか。反抗が現実となっても私達が直接手を下すことはなるべく避けなければならないのですよ」
「攻撃されても黙って見てろと言うのか!?」

橘が唖然としている間に森が大声を上げる。
ジョーカーはわざとらしく耳をふさいだ。

「いえいえ。我々に許されたルールの範囲内で対処できるでしょうと言っているのですよ」
「どうやってですか」

やっと気を取り直して尋ねるとジョーカーはにんまりと意地悪な笑みを浮かべた。

「あなたにはアイデアはありませんか?」
「無いから聞いているんです」

橘は憮然と答える。
ジョーカーはやれやれ仕方ないですねとばかりに気取った仕草で肩をすくめた。

「まず禁止区域を使う方法がありますね。禁止箇所の設定は私達の裁量の範囲ですから」
「参加者のいるブロックをどんどん禁止していくのですか?」
「それではあまりに芸がありません。ですが例えば全員を禁止区域で囲み、その内部も次回禁止する、と宣言するとどうなるでしょう?」

生き残りの者は全て島の中央付近に集まっている。
今なら禁止区域で閉じこめることも容易だろう。
だが橘は顔をしかめた。

「制限時間を実質12時間にしてしまうわけですか。確かにそれなら反抗する余裕などなくなるでしょうが…それでは期間を4日間と定めた女王陛下のご意思に反するのでは?」

日数などの基本的なルールはイゾルデの決めたことだ。
それを勝手に変えてしまうのはやはりまずいだろう。

「いえいえ。12時間で決着しなければ囲んだ範囲の一部だけ禁止すれば済む話です。第一この方法を実行するとはまだ決めてませんよ」

朝の放送時刻までに状況がどう変わるか分かりませんから。
ジョーカーは笑った。

「他には…そうですね。グラリスさんと同じ話を皆さんに聞かせて差し上げるのも面白いかも知れません。まあ今から10人殺すのはどう考えても無理ですから、5人と言ったところでしょうか」
「そんな言葉を信じますかね?」
「それはまあ私が言っても信じないでしょうねえ。でもね」

彼は廊下へと続く扉へ視線を送った。

「彼女ならどうでしょう」

****

小さな音を聞いた気がしてWは泣きはらした目をこすった。

自分のために望まぬ戦いを続けていた姉が、相討ちとなって死んだと伝えられたのが半刻ほど前。
それを彼女に伝えた道化師は言った。

『相討ちでなければお相手の♂クルセイダーさんで5人目。ぴったり裏ルール適用で生還できたのですけどねえ』
『……』

涙目で睨む彼女の眼をどう取ったのか、その男は得々と続けた。

『本来生き残れるのは1人だけなんですけどね。自らの手で5人以上殺した猛者は使えますから配下の特殊部隊に入ることと引き替えに助命してるんですよ。もっとも彼女はその権利をあなたに対して使うつもりだったようですが』

あなたでは特殊部隊に入ってもらっても役に立ちそうにありませんしねえ。
そう言って首を振った男の顔を思い出し、彼の立っていた戸口を睨む。

「……あれ?」

何か違和感があった。
少しの間じっと見つめてからちょこちょこと駆け寄る。

「え、開いてる…!?」

扉の鍵は外され、少し隙間が開いていた。
そしてその隙間に一枚の紙と小箱が挟んである。
おそるおそる拾ってみるとそれはどうやら島の地図と青箱を模した物のようだった。
地図には肉筆でこう書き加えられていた。

『私はこの制度に反対する者です』
『ここから逃げて島にいる皆さんに伝えて下さい』
『殺し合わなくても助かる方法はあります』

さらに裏面にはさまざまな秘密や裏ルールについて記されていた。

島の制御装置は五基に増やされ、そのうち一基はGMの本拠地下にあること。
本拠の防衛をかいくぐりGMルームまで入れば勝利と見なされること。
ただし歴代のゲームで5人以上殺した殺戮者達が助命され、本拠を守っていること。
GMが送り込んだ偽の参加者が居ること。しかも彼らの首輪は爆発しないので時間切れを狙う可能性もあること。

(大変、みんなに教えてあげなくっちゃ!)

Wは部屋を飛び出し、精一杯の忍び足で廊下を駆けていった。
ここへ連れて来られたとき見かけた転送装置の所へ。

****

「頑張って下さいねWさん」

Wがポータルの青白い光の中へ消えるのを見送ってジョーカーが姿を現した。
全ては彼が仕組んだこと。Wの地図に書かれた情報は全て嘘八百である。
だが参加者があれを読めば…さて、どうなるだろうか。

「さあさ道化師諸君、精一杯踊って下さい。美しく、激しく、愚かしく。我らがイゾルデ陛下の御為に」


<GMジョーカー>
位置:不明(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
外見:ピエロ
備考:女王イゾルデの意向を最優先

<GM橘>
位置:不明 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:銀縁眼鏡、インテリ顔

<GM森>
位置:不明 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:逆毛、筋肉質

<カプラW>
位置:不明(島内のどこかへ転送)
所持品:青箱1つ、偽情報の書かれた地図
外見:カプラW
備考:首輪なし、食料等の入った鞄なし


マーダラーが減ってることに気付かないほどGMも無能じゃないでしょうし、直接手出しせずに殺し合いを加速しようとすればどうするかなとこんな物を。
ただいろいろとアレなのでとりあえずアナザーでお願いします。
307名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 21:54:03 ID:n7ZaNLDc
あ、書こうとしたらいっぱい書き込みが(笑
まだ夜が明けてないなら一本書いていいかなぁ
308名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 22:50:46 ID:Tsu2SaJ2
>>303
人として善悪に揺れる♂騎士が好きだったので、残念でなりません。
249話でも一抹の不安を覚えていた♂騎士がとつぜんポエムを吐いて正義に目覚める理由がわかりません。
それまでの流れがばっさり斬られた気がするのですが、書き手の人はこれまでの流れをしっかり読んでるのでしょうか?
読んでいたとして、♂騎士がこうなったのだとしたら、とても残念です。
309名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 23:02:42 ID:S4YnK6sk
>306
むしろGJ。
ここ暫く夜明け前で色々やってたけど、
この話でとりあえずは進行が加速しそうな気はする。
あとピエロの性格とWの立ち位置を上手く生かしてると思った。

>307
夜が明ける前に!さぁ!はやく!
310名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/16(月) 23:29:20 ID:P9It.MWU
原作BRのヲタとしてはGMがあれこれ策略働かせすぎるのは感心しないな
参加者同士が敵同士、っていう大前提が参加者vsGMにしかならなくなると陳腐化する
311304sage :2006/10/16(月) 23:56:04 ID:rSos7YOM
>>305
即興だったから、ですか……
そんでもや?が晴れて見えるようになったのは女王蜂だったんですね。
思い切り読み間違えてました。申し訳ないです。とすると愚かな魂や「君」もミストレスなのかな?
あと未来視というのは何でしょう?これから起こることの予知?調べてもイマイチ分からず、教えてもらえると嬉しい。
難癖付けたいわけじゃないんですが、短い+詩的+一人視点のトリプルコンボで
ギリギリで「なんか♂騎士は頑張ろうとしているらしい」ことしかわからんので読むのに困るんです…

>>306
戦場をひっかきまわすW、オイシイ…!
これは設定的に矛盾が無ければ本編に組み込めるのか?
でも310のような意見もあるしアナザーが無難なのかなぁ…

>>307
いまのうちにGOだ!まだ夜が空けてないPTもいる!
アンタの力で朝日を少し止めるんだッ!
312名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/17(火) 03:56:07 ID:j8.U5P3g
Wikiの人物一覧の現在の状態のみ、更新してみました。
初めて編集とかしてみたのでどこか抜けてたり間違ってたりしそうな、びくびく。
313306sage :2006/10/17(火) 20:08:28 ID:2EKYf4jw
>>309,311
ありがとうございます。ですがひとまずアナザーと言うことで。
>>310
言いたいことはよく分かります。
だからこそアナザーとして投下したわけですしね。
ただ何か参加者同士の不和の種がないと、それこそ現状の流れは参加者vsGMの展開にならないかと思ったんです。
314名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/17(火) 21:37:54 ID:.7CTMY06
>>313
>現状の流れは参加者vsGMの展開
その流れでいいと思うけどな。
そろそろ終わりが見え始めてるんだし、逆にその流れの方が書きやすいから。
そんな1書き手。
315名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/17(火) 22:05:28 ID:VQHa0BoQ
まだ19名残っている上に現在の所マーダー1名(ミストレスのみ)だから
少し参加者側でごたごたさせたほうがいいと思う。
敵がBR1と違って3人いるからこれはこれでいいのかも知れないけどね。
316名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/17(火) 22:13:03 ID:ew6F5fic
>>305
内容自体は好みで分かれそうだから置いておいて。

>ええと、取りあえず。
状況の方は悪気は無かったけど、
即興+書いた当時時間が無かったせいでつい端折っちゃったんです。
以後、書くことがあれば気をつけます。

こんな言い訳書く余裕あるんなら状況書けよ。
態々指摘までされてるのに書かないってのは何か理由があるのかな?
特に理由も無いのなら、コノスレは貴方には合わないんだと思うから別スレ行った方が良いと思うよ。
317名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/18(水) 08:06:14 ID:uR3Frhvc
GMとの戦いの中で殺して行ってもいいんじゃないかなと思う書き手。
GMと戦いたいキャラ多いみたいだしさー…
318名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/18(水) 14:26:38 ID:9RyVsIOk
304はNG?保留?続行?
状態も書いてないし、305での説明も曖昧だしで繋げ難いんだけど…
どうせ書くならキッチリして欲しいなぁ…
319名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/18(水) 14:28:33 ID:hdK9jL/w
ところで現在の残り人数は19名じゃなくて18名なんだけど、どっかで数え忘れかな?
いや、Wを入れるとしたら19になるけど。
320名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/18(水) 14:31:52 ID:alXYLssI
Wはアナザーでしか出てないし参戦も未定なんじゃね?
321256sage :2006/10/18(水) 17:40:38 ID:tFZwyLoI
>>319
タブン私からだ…申し訳ないorz
322名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/24(火) 09:24:25 ID:BCeoQf8M
wikiが見れないYO!
ここだけでなくほかのwikiも最近不安定な気ガス
323名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/28(土) 09:05:20 ID:OiWjkAKU
HOMEがまた死んでるっぽいね。
298のアドレスからなら一応入れる。
324名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/29(日) 22:30:32 ID:mZG/j5Q6
故意か悪気はないのかはわかりませんがページを殺されてしまうので、
HOMEを凍結させました。ここんとこWIKI重いですよね…引越しなんだろうか。
325名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/30(月) 19:58:36 ID:wsfRG6F2
307さんマダカナー(・ω・*)
326名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/10/31(火) 02:59:58 ID:4/47177s
カナー(・ω・*)
327名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/10/31(火) 12:34:28 ID:rqzv5MVQ
An どうでもいい惨事

♂セージはふと目を覚ました。
近くで何かが動く気配がしたからである。
周囲はまだ仄暗く、闇に紛れた襲撃者である可能性も考慮する。
しかし、動いたのは近くで眠っていた♀Wizのようである。
見張りをしているはずの♂シーフの姿は見えない。
いや、見張りを交代する時、彼は少し離れたところで見張りをすると言っていた。
だが、周囲に気配はない。
自分の感覚は余り鋭敏とは言えない。だが、認識できないのならばいないのかもしれない。
そこまで考えたところで、♀Wizが立ち上がった。
♀商人と淫従プリは起きていないようである。
最も、後者のほうは彼と同じく寝たふりをしているだけかもしれないが。
それを確認すると、♀Wizは北側の木々の陰へ消えて行った。
この状況で、彼女を一人歩きさせるのは余り好ましくない。
ましてや平時ならともかく、彼女は未だ体力が回復しきっていない。
そう考え♂セージが身を起こすと、淫従プリと目が合った。
視線で♀商人を任せると、彼は♀Wizを追った。

♂シーフは少し焦っていた。
自分はこのゲームに参加してから守られてばかりである、と思っていたからだ。
彼とて男である、守られるよりは守る側にいたかった。
だが、戦いで守るには彼の実力は全く足りなかった。
だから彼は、別の方法で皆を守ろうと思った。
彼は気配を消すことを得意としていた。それを利用して、少しでも広い範囲を見張れないかと考えた。
♂セージとの交代の際、それを告げた所、彼は無理をしないように、と念を押した上で承知してくれた。
だから、彼は張り切って見張りをしていたのだが、ふと気づくと皆が寝ていた辺りを誰かが移動しているようだった。
誰かが来るのを見逃したのか、まさか皆襲われたのかと青ざめたが、先に移動している人物を追って誰かが移動している。
休んでいた場所に戻ってみると、♂セージと♀Wizの姿が見えない。が、残る二人は特に外傷もなさそうである。
ならば、と彼は立ち去った人物を追った。


♂セージは手こずっていた。
体力が少ないとはいえ、♀Wizは身軽である。そして道は悪い。
彼女が舞うように木々の間を抜けて行くのを追う彼は、少しずつ離されて行った。
先程後方で誰かが動いたようだったが、あれは♂シーフだろう。
でなければ、気配を消したまま残した彼女らを襲うはずだ、と思われる。
頭の隅でそう考えつつ、彼は姿の見えなくなった♀Wizを追った。

♂シーフは考えていた。
二人分の気配は、おそらく♀Wizと♂セージで間違いないだろう。
が、何故二人が離れたのかがわからない。どこかに行くならば一緒に行けばいいのに、と思うのだが。
ひょっとして、どちらかが一緒に行けないような理由を持っているのか。
だが、そんな理由は思いつかなかった。そこで思考が振り出しに戻ってしまう。
終わらぬ思考を繰り返しながら、彼は二人を追った。


♂セージと♂セージは隠れていた。
ついさっき、♂シーフが♂セージにようやく追いついたのである。
そこから彼らは二人で♀Wizを追っていた。
つい先程、♀Wizが小さな集落に入って行ったのを確認したのである。
「……思うんですけど」
ぽつりと♂シーフが言う。
「何で僕らは隠れてるんですか?」
「いや、別に隠れているわけではなかったのだがね?」
何故か小声で返す♂セージ。言動が矛盾している、と♂シーフは思う。
「いや本当だよ?単に声をかけ損ねたらどんどん引き離されただけだ……体力には、少し自信があったんだがね……」
と、少し落ち込んだ様子の♂セージ。
「じゃあ声をかければいいんじゃないですか?もう追いついたんだし……」
「とは言っても、ここに入った後に見失ってしまっただろう?ここ全体に聞こえるような声を発するわけにもいかないしね。」
「あ……そうですね。他の人がいたら、♀Wizさんも危険に……」
「だから探さないといけないんだが、誰がいるとも限らない。ある程度は身を隠すべきだろう。」
「なるほど、わかりました。」
こそこそと小声で交わしつつ彼らは移動する。正直、怪しい。
そのとき、♂シーフの視界の隅を人影が過ぎった。
慌てて振り向くと、♀Wizらしき影が大きな家の中へ入って行くところだった。
「♂セージさん、あそこに!」
「ですね、追いかけましょう。」
と言いつつもやはりこそこそと移動する彼ら。怪しすぎる。

家の前まで辿り着いてみると、そこはかなり大きな家だった。
集落の長の家だったのだろう、他の家の数倍はある。
「彼女はここに入ったんですね?」
「だと思います。でも、この家、凄く広そうですね……」
「手分けして探しましょうか。しかし、彼女は一体何をしに来たんでしょうか。」
そう言いつつ、手近な部屋に入る♂セージ。
自分はどこを探そうか♂シーフが迷っていると、奥で物音がした。
そこにいるのだろうか。彼は物音のした方向へと進む。
家の奥、居住空間である。
彼が歩いて行くと、少しだけ開いた扉があった。
そこから微かに光が漏れているようである。
扉を開けようとして、先程の♂セージの言葉を思い出し、扉の隙間から中を覗く。

♀Wizが水浴びの真っ最中でした。

まずい。非常にまずい。
バレたら怒られる、どころか半殺しにされるかも。
ああでも♀Wizさん綺麗だなぁ、肌とか真っ白だし、胸大きいし、それなのに腰とか細いし。
凄く色っぽいなぁ、柔らかそうだなぁ。
っていやいやいや、僕は何を考えてるんだ覗きとかしちゃダメじゃないか。
ああでも……

「どうかしたんですか?」
「うわぁっ!?……あ。」
唐突に後ろから♂セージに声をかけられ、彼は驚いて姿勢を崩す。
その結果。
「………………」
「………………」
「………………」
扉が開いて、視線が交錯して。
そして爆音。


淫従プリ曰く、戻ってきた♂シーフと♂セージは何故か煤まみれだったそうです。


ごめんなさい。
328307sage :2006/11/03(金) 01:07:30 ID:0qIioMvA
ごめんなさい、307は仕事に追われてしばらく字を書く時間が取れそうにないです(泣
書き上げれたらアナザーかNGで投稿しますので、ざっくり時間を進めてください
329名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/09(木) 23:04:28 ID:NDi/KaTY
253.はいずるもの[3日目朝]


ぱり ぱりぱりっ

乾いた不吉な音が響き、白い曲面に刻まれた裂け目から色の薄い表皮が覗く。
なめし革のような質感の、柔らかそうな表皮が。

「ふふ、よい仔じゃ」

ミストレスの子は芋虫の姿をしていた。
少女の腕に抱けるほど小さく、動きも鈍く、硬い殻も毒針も持たないその姿は――

「なんだ、ファブルか?」

緊張していた♂プリがかすかに気の抜けたような声を出す。
だが。

「No!イッツァ…」
「ゆけ」

♂モンクの言葉とミストレスの命令が重なる。
蟲はたわめた体をびんっと反らし、気絶している一人と一羽へ飛びかかった。

「させるかよっ」

一瞬油断していたとは言えそこは殴り。直前で♂プリは体を割り込ませることに成功した。
幼虫は彼の胸に衝突する。
そして、その一抱えもない蟲に彼の方がよろめかされた。

「がっ!?」

石の塊を叩きつけられたような衝撃に♂プリのあばらが嫌な音を立てる。
♂騎士はとっさに横から剣を突き出してその蟲を払い落とした。
この相手だけははっきりモンスターだと、敵だと分かる。戦える。
だが、その手には異様な感触だけが残った。
ファブルを切る柔らかいそれではなく、棒で砂袋を叩いたかのような重くて固い手応え。

「イッツァ、キャタピラー!」

♂モンクが叫ぶ。
どさりと重い音を立てて落下した薄茶色の芋虫は、斬りつけられたダメージなど微塵も感じさせずに触角を振り回した。
ぼんぼり状の重りがついた先端が思いも掛けないほどの速さで♂騎士のすねを払う。

「っ!」

避けきれない。
重い一撃に足を取られたところへさらに触角が振り下ろされ、♂騎士は転がって逃げた。
そしてすぐには立ち上がらず足の様子を確かめる。
痛覚が無いというのは恐ろしい物だ。例え骨が折れても分からない。
――大丈夫。動かすのには問題なさそうだ。
その間に胸を押さえた♂プリが彼を庇って前に出ながら毒づいた。

「くそっ、なんだこいつぁ」

キャタピラーはプロンテラ砦地下にのみ生息する珍しいモンスターである。♂プリが見たことないのも当然だった。
ただ、キャタピラーは本来それほど恐ろしい存在ではない。
動きは遅く、眷属も呼ばず、厄介な特殊能力も持たない。
砦の地下に住むモンスターの中では最もくみしやすい相手と言える。
しかし、スキルが制限され装備もないという条件がキャタピラーの頑丈な体と打撃力を脅威に変えていた。

「あぶねっ。速度増加っ。やってやるぜこん畜生っ」

♂プリはフレイルのように振り回される触角をジャンプして避けながら速度増加を唱えた。
そしてマイトスタッフを構える。

「葬らん!」
キィッ

自分めがけて飛んできた重りを何かの球技のように打ち返す。
跳ね返ったそれは狙い過たずキャタピラーに命中したが、分厚い表皮に弾かれてダメージは判然としない。

「よっしゃばっちこーいっ」

うまくいったことに気をよくして次の「一球」も打ち返そうとする。
だがこのボールには柄がついていた。
打ち返される直前にキャタピラーは触手をひねって打点をずらす。
それでもマイトスタッフは柄に当たったが、しなやかな触手はそこから曲がり、角度を変えて♂プリの腕を打った。

「うあ痛っ」
「いけない・無理する・固いヤツ・俺っち・やるぜ・wait a moment」

♂モンクは♂プリとキャタピラーを挟み撃ちにしようと回り込む♂騎士へ歌う。
彼の体を覆っていた気の鎧は霧散し、気脈が元に戻っていた。スキルが使える。
急いで気を練り直しながらキャタピラーの背後へ滑り込む。
腰を落とし、引きつけた両掌へ集めた気を溜め

「発け…」
「愚かじゃの」

バチバチバチバチバチッ
発勁を叩き込もうとした瞬間に♂モンクは紫電に弾き飛ばされた。
それを見た♀騎士が悲鳴を上げる。

「♂モンクさんっ!」
「おんしもじゃ」

♂モンクの後を追うように♀騎士も地面に叩きつけられる。
ミストレスは自分を邪魔した者を許すつもりはなかった。

「我を無視するとは余裕じゃのう」

冷たく言い、とどめを刺すべく両手に紫電を集める。
♂プリと♂騎士はキャタピラーが邪魔になってすぐには動けない。
しびれる体を無理矢理動かし、♂モンクが体を起こす。
次の瞬間、彼の体は大きく後方へ跳ね飛ばされた。

「…何のつもりかの?」

両手に紫電を蓄えたまま、ミストレスはゆっくり振り返った。

「…君の相手は僕だ。違うかい?」

そう言いつつ♂ハンターは♀騎士もチャージアローでミストレスの射程外へ逃がす。
仲間達がこうも一方的に傷ついたのは自分のせいだ。
♂モンクも♀騎士もミストレスを無視したわけじゃない。
彼との約束があるからこそ「♀アーチャー」には手を出すことが出来なかっただけだ。
だから♂ハンターは言った。

「みんな、ありがとう。あとは僕にまかせて逃げてくれ」


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♂ハンタ、♂モンク、♀騎士と一時的に同行 ♀ハンターを治療中
状態:心身の疲労はやや回復、打撲傷複数

<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ ♂モンク、♀騎士、♂プリーストと一時的に同行
状態:背中に少し深い傷を負う。♀アーチャーを救いたい

<♂モンク>
位置:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTにより麻痺中

<♀騎士>
位置:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように
状態:JTにより麻痺中

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い
   ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状態:JTによる負傷で気絶中

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど 正気を保ってはいるが、未だ不安定
    個体認識異常(死亡した人間、人間でないものは判断可能。中身だけが魔物のミストレスは近くに寄ればわかる程度)
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から、人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 体と心の異常を自覚する
    ♂ケミのところに戻りできるなら弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走 ♂ハンターたちに協力したい

<ミストレス>
現在地:E-6
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー、(キャタピラー)
備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。
    ♂ハンターの誘惑と♀ハンターへの報復、両方実行中。卵は孵化。


いきなり成虫で生まれるのもなんだし幼虫かなあ、ってことでひとまずキャタピラー。
成虫になるかどうかは知りません。
あと252話はちょっと活かし方が分かりませんでした。。。
330名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/10(金) 16:15:49 ID:LsE2UHeA
羽化してクリミフィアになってテレポで飛んでって一同ポカーンな展開wktk
331名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/12(日) 02:12:58 ID:e6p.thpI
>>329
GJ! 女王様編はどんな結末を迎えるのやら…wktk
しかしひとつだけ。♂ハンタの一人称は俺ですぞ。
確かに僕でも違和感無いキャラはしてるけどw(王子様だし)
332329sage :2006/11/12(日) 09:55:43 ID:e/jqx6VA
Σ(´Д`;)シ、シマッタ
wiki掲載後の訂正でいいですかorz
333名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/13(月) 20:57:05 ID:LnIQ/WnU
254.北へ、東へ[3日目朝]


♂プリさんはどこまで行ったんだろう。
足元から顔を上げ、♂シーフはため息を吐いた。
ここまでずっと人の通った痕跡を探していたのだが、足跡一つ見つけられなかった。
「どうですか?」
「…何も見つかりません」
尋ねる♀Wizにそう答えるしかないのが悔しい。
こういう作業こそ自分の出番だと思ったのに手掛かり一つ見つけられないなんて。
悪い想像が頭をもたげる。
夜明け前に♂騎士だけが戻ってきた。まさか♂プリは彼に…。
「♂シーフさん」
そんな♂シーフの心の内を読んだかのように♀Wizがおだやかな声をかけた。
「もっと先まで行ってしまったのかもしれません。北へ行ってみましょうか」
それは予定通りの提案でもあった。
調べる岬の分担は♀Wiz達が北と西、♂セージ達が南と東。
♂プリが去った方角から考えて♂シーフは北へ向かうのが自然だし、判明している殺人者も島

の北半分にいるのはグラリスと♂クルセ。南へ行った♂Wizや♂ローグに比べ♀Wiz有利

の相手だ。
さらに♂セージはこう指示していた。
『まず北から。あちらの方が遠いですが、E−1からE−4までのいずれかを禁じられるだけ

で入れなくなります』
もちろん封鎖されても地図を預けて入る手はある。だがその間は単独行動することになる上に

GMから見れば不自然に会話が途切れることになる。
特に半島の根本近くを封鎖されればその沈黙は半日近くにも及ぶだろう。
それで疑われないはずがない。地図を預ける時間は可能な限り短くしなければいけないのだ。
ただし、幸いと言ってはなんだが♂シーフたちには♂プリを探すという名目がある。
行き止まりの半島に踏み込むこと自体はそれほど不自然ではない。
(その意味じゃ♂プリさんはすぐに見つからない方がいいんだよなあ)
そう考え、♂シーフはすぐに自己嫌悪を感じた。
おそらく♂セージや♀Wizはとっくに同じ事を考えつつ口に出さないだけなのだろうが。
彼が悩んでいると♀Wizは彼の肩に手をかけて微笑んだ。
「なに考えてるのかしら?」
「いえ、その別に」
口ごもる彼の顔を覗き込んで♀Wizは思案顔になり、すぐにいたずらっぽい笑顔で言った。
「…♂シーフ君のエッチ」
「ええええっ、なんですかそれっ!?」
落ち込んでいるどころではなくなった♂シーフは焦った声を上げて頭を抱える。
♀Wizはさらに諭すように続けた。
「こんなおばさん相手に変なこと考えちゃだめよ?もっと若い子みつけなさいね」
「ぜぜぜ全然おばさんじゃないですよっ。じゃなくて変な事なんて考えてませんっ。それより

っ」
何かを振り払うように頭を振り、♂シーフは無理矢理まじめな顔をつくった。
「かすかに血の匂いがしませんか?」


同じ頃、東へ向かっていた♂セージが立ち止まった。
「何か聞こえませんでしたか?」
「え?」
足を止めて♀商人は耳を澄ます。
「気付かなかったなあ」
「人声のような気がしたのですが。淫徒プリさんはどうですか?」
「さあ?私も気付きませんでした」
♀Wizの聖書を読み直していた淫徒プリは小首を傾げた。
嘘ではない。だが計算高い彼としては聞こえていても聞こえなかった振りをしただろう。
余計な危険に首を突っ込まれるのはいやだからである。
特に島の南側には彼が見捨てた元「仲間」が居るはずだ。
彼らと会ったら面白くないことになる。
「鳥でしょうかね」
2人に否定され、♂セージも珍しく意見を翻す。
論理はともかく感覚にはそれほど自信を持っていないし、何より彼もこれ以上時間を浪費した

くなかった。
2箇所の半島を確認してまた♀Wiz達と合流するにはほぼ丸一日掛かる。
しかも北ほどではないが、H−6やI−6のように禁止されると困る場所がこちらにもある。
ジョーカーが意図的に選んでいるなら半島を封鎖しても不思議ではないし、ランダムならラン

ダムでタイミングを誤ると閉じこめられる恐れがある。
朝の放送には間に合わないが、夜の放送にまでかかることは避けたかった。
だが。
「えーと、見に行く?」
気をきかせた♀商人がそんなことを言い出す。
♂セージはまずいことを言ったかなと後悔しながらも、表情には出さず悲観的な意見を口にし

た。
「どちらから聞こえたかも分からないのですが」
すると♀商人はさらに提案する。
「じゃあ探してみよっか?」
♂セージは思わず額を押さえた。恐るべきは天然。
どうやら遠回しな説得では逆効果のようなのでストレートに言うことにする。
「言い出しておいてなんですが、人の声とは限りません。それに誰かの悲鳴だとしてもギリギ

リ聞こえる距離では今から行っても間に合わないでしょう。殺人者と顔を合わすだけ損ではな

いでしょうか」
「誰か襲われてるかも知れないの!?」
彼のセリフが終わると同時に♀商人が叫び、淫徒プリの顔に「あ〜あ」とでも言いたげな表情

が浮かんだ。
「じゃあ急がないと!」
「いえ、やめておきませんかと言ったのですが…」
本当に彼女を説得出来るのだろうか。♂セージはちょっと自信が揺らぐのを感じた。


<♀商人>
現在地:D-6→東方面
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が……?
   ♂セージ・淫徒プリと同行

<淫徒プリ>
現在地:D-6→東方面
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 島の秘密を書いた聖書
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
   ♀商人・♂セージと同行

<♂セージ>
現在地:D-6→東方面
所持品:ソードブレイカー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり GMジョーカーの弟疑惑 誰かの声を

聞く?
   ♀商人・淫徒プリと同行

<♂シーフ>
現在地:D-6→北方面
所持品:多めの食料
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い 血の匂いを嗅ぐ?
   ♀Wizと同行

<♀WIZ>
現在地:D-6→北方面
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタ

ール入) 口紅
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行
状 態:全身にSGの傷跡が残る。HPはようやく緑っぽく


♂セージ陣移動開始。♂セージも♂シーフも本当に何か見つけたかは疑問てことで。
334名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/13(月) 21:00:22 ID:LnIQ/WnU
うわしまったメモパッドで書いたのそのまま貼ったら変なところで切れまくってる…
335名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/13(月) 22:08:33 ID:Fdu7jmR2
>>334
241.言霊 の冒頭で
>とりあえず朝の放送を聞いてから動くともう一度決めた後、交代制で見張りに付くことにして、まだ体力が本調子ではない♀WIZのサポートに淫徒プリは付いていた。

ってあります。
朝の放送まだのはずなので動かせないはずですよー。
336名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/14(火) 01:15:13 ID:YE75uU6A
そういや♀商人は♂騎士の事情をみんなに話さないんだろうか
識別異常のこととか、まだ狂ってないこととか色々わかったと思うんだが
337333sage :2006/11/14(火) 19:33:31 ID:3XJYBm8w
>>335
あれ?見落としてました。
じゃあひとまずこの254話は取り下げて白紙に。
338名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/21(火) 00:52:01 ID:Y7LeBKBc
なかなか更新されないからスレ覗きに来た。
どうやら煮詰まってるみたいですね。
文才があれば書くんだけどな。
気長に待ってるよ、頑張れ!
339名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/28(火) 22:55:28 ID:8uwvs0GQ
254.それぞれの魂[3日目朝]


「んなことできるかっ!」

逃げろと言った♂ハンターに♂プリは怒鳴り返した。
だが♂ハンターは譲らない。

「そっちの倒れてる子達はどうするんだ。あんたしか連れてけないだろ」
「そりゃそうだが…うおっと」

キャタピラーの振り回す触角から跳び下がって♂プリは苦々しげな表情になった。
確かに気絶した♀ハンターを連れて逃げられるのは彼と♂騎士だけだ。
彼はちらりと♂騎士の顔を窺った。

「俺じゃ駄目だ。連れて行っても傷を治せない」

雰囲気を悟ったのか♂騎士が先手を打つ。
それに一度別れたらまた♂プリ達も見分けられなくなるだろう。そんな彼が連れて逃げても別の危険に巻き込む恐れが高い。

「だからしんがりを受け持つ。♂プリが連れて行ってくれ」

♂騎士は背中で♂プリを押しのけてキャタピラーと対峙した。
そして強打を見舞う。
刃は半分も食い込まない。

「プロボ…」

あまりの固さにプロボックを使おうとして♂騎士は首を振った。
プロボックは諸刃の剣だ。充分な防具と回復剤があるときならいいが、今は受けるダメージが怖い。
躊躇する間に振り回された触角を受け止める。
がつん、と剣を跳ね飛ばされそうな衝撃。
このままでも自分のバッシュ並みの威力だ。これを強化なんてしたら…。

「早く行ってくれ。俺もあとから逃げる」

湧き上がろうとする恐怖を押し殺して彼は剣を構えなおした。
少し持ちこたえるだけならまだ方法はある。

「……わかった、頼む。すぐ戻るからな!」
「戻らなくていい」

♂プリの声が離れるのを背中に聞きつつ、♂騎士は呼吸を整えた。
剣を上段へ、左手を前に。
次に来る攻撃に神速の一撃を合わせるため、全身の筋肉を引き絞り集中力を極限まで高める。
オートカウンター。
近接攻撃をはじき、同時に反撃するこの技術なら確実に持ちこたえられる。

「ほんに人間とは愚かよのう」

極限の集中により狭まった視界の外で誰かが笑った。
視界の隅に薄紫の光が灯り…キャタピラーの攻撃はいつまで経ってもやってこない。

引き伸ばされた時間の中、♂騎士は破滅を予感した。

◇◇◇◇◇

「やめてくれ」

♂ハンターは紫電を放とうとするミストレスの前に立ちふさがった。

「これ以上♀アーチャーに人殺しをさせるな」

すると邪魔されたにもかかわらずミストレスは艶やかに微笑んだ。

「ならば王子様が我に代わりて他の者共を皆殺しにしてくれるのじゃの?」
「なっ…そんなこと出来るはずが…」
「さもなければ我も、ひいては♀アーチャーも死ぬるのじゃ。この島を生きて出られるのは1人だけなのじゃぞ」

♂ハンターは一瞬返答に詰まった。
それは今まで深く考えずにいたことだ。
ここで♀アーチャーを取り戻せたとしても、その先の考えがあるわけではない。
むしろ彼女の命を救うことだけを考えるならミストレスの方が正解に近いのかも知れない。
彼が答えられずにいるとミストレスは少し真剣な眼つきで言った。

「誰も死なせぬなどと都合の良い答えはありはせぬ。我が手にかけずとも明後日には皆死ぬのじゃ。ならば我らだけでも生き残る途を取るべきではないかえ?」
「そっ…そんな…」

それは筋の通った理屈に聞こえた。
思わず真剣に考えそうになってしまい、♂ハンターは慌てて頭を振る。
間違っている。詭弁に乗せられちゃいけない。反論しないと。

「…矛盾してるだろ。1人しか生き残れないなら俺と君も殺し合わなくちゃいけないってことになる。僕が君を手伝う理由にはならない」

苦しい反論を彼が口にした途端、ミストレスは満面の笑顔を浮かべた。

「それは共に生きる途ならば受け入れるという意味かや?」
「え?」

輝くような笑顔に♂ハンターの胸の奥がぎゅっとうずく。
出会った頃の♀アーチャーと同じ笑顔だったから。
しかしその表情は一瞬で消え、ミストレスは媚びを含んだ笑みを作って彼に近づけた。

「我はおんしの魂を喰らいて雄蜂に生み直すつもりじゃ。我が眷属ではあるが、記憶も意思も多くは残るぞよ」

♂ハンターの首に白い両腕を回され、甘い息を吐き掛けながら耳元で囁かれる。

「しかも衣食の世話は他の者共がする。王子様は毎日毎夜我とつがい、我を孕ませ、我に子を生ませることのみ考えればよいのじゃ。どうしてもと言うのであれば♀アーチャーの姿と心で抱かれてやっても良いぞ?」
「う…」

言葉と共に細い肢体が彼の下腹へ押しつけられた。
オスの本能をつかむ手管に長けた言葉と仕草に脳髄がしびれてゆく。
♂ハンターの両手が夢遊病のようにミストレスの背に回された。

◇◇◇◇◇

♂騎士は襲ってくるはずの痛撃をひたすら待っていた。
不吉な薄紫の光は消えたが、まだ視界外に消えたキャタピラーが残っている。
必殺のオートカウンターも背後に回られてしまうと脆い。
あの虫にそんな知恵があるとは思わなかったが、ミストレスが命令でもしたか。

(やるなら早くやってくれ)

背中から襲われる恐怖に雑念が湧いた。
それによって集中が切れる。
そして振り返ろうとした彼の背に、とん、と何かが触れた。

「うわああああああああああああっ!?」
「っ!」

恐怖に駆られて振り回した剣の切っ先が何かを浅く切り裂いた。
キャタピラーではない。
人だ。
それに気付いた瞬間♂ケミの事を思い出した腕が勝手に縮こまり剣を止める。
薄茶の芋虫は人影の向こうで触手を振り上げたまま動きを止めていた。
彼に背中を向けたまま、その誰かは早口に告げる。

「はやく、構え直して。後ろは私が守ります」
「あんた誰だ。♂プリじゃないよな!?」

返答はない。
そしてキャタピラーはじりじりと2人の周囲を回り始めた。
なのに人影は蟲に向き直ろうとしない。
いや、動けないのだろう。
その人物のとった「型」は彼もよく知っているものだったから。

「…オートカウンター…?」

つまり、この何者かも騎士だ。
その事実に気付き、それによって相手の行動の意味も理解した。
無防備な背後を襲われようとしていた彼を助けるため、背中合わせにオートカウンターの構えを取ったのだ。
それで双方の死角が消え、キャタピラーには打つ手がなくなる。

(騎士だ)

彼の胸に泣きそうな思いがこみ上げた。
誤って背中を斬りつけられても文句1つ言わず、再び彼を守ろうとするその姿。
剣は人を守るために。その言葉を具現化したような。
これこそが騎士だ。

(俺も…こうなりたかった)

♀騎士の背負った迷いも苦悩も知らない♂騎士は彼女をまぶしい思いで見つめる。
そして彼は無言で♀騎士と背中合わせに立った。
集中を高め、全身の筋肉を引き絞る。

♂プリと♀ハンター、そして背中を預けてくれた騎士を守るために。

◇◇◇◇◇
340名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/28(火) 22:56:30 ID:8uwvs0GQ
「Hey guy!」

ズドンッ!
気の爆発する衝撃が大気を震わせた。
その衝撃に頬を張られて♂ハンターは正気を取り戻す。
気付けば♂モンクが会話できる距離まで戻ってきていた。
受けた電撃のダメージは浅くないはずだが、むしろそれを吸収したかのようにバチバチ閃く気の流れをまとっている。
爆裂状態と言う奴だ。さっきの衝撃はこれだろう。

「するんだ・告白・すたるぜ・男が・言われて・ばっかじゃ・カッコイクナイ」
「あんた…逃げてくれって」

つぶやく♂ハンターへ♂モンクはチッチッチッと指を振った。

「イッツァ・no way・問題外・俺っち・逃げるよ・after you try」
「…ああ、そうだよな」

♂モンクの言葉を完全に理解できたわけではなかったが、何も試さずに引き下がるなと言われているらしいことは分かった。
確かにそうだ。♀アーチャーの心を呼び覚ましたいならミストレスと言い合っても仕方ない。
彼女の命まで救えるかどうかはあとで考えよう。
♂ハンターは腕の中の少女を強く抱きしめた。

「聞いてくれ、♀アーチャー。俺は君が居なくなって初めて気が付いたんだ」
「…王子様?」
「俺は君の明るさに助けられた。こんな島に放り出されて、俺1人だったらきっとすぐに死んでいた。不幸さなら誰にも負けない俺が初めて手に入れた幸運が君なんだ」

決して口の上手い方でない♂ハンターはそれでも必死に言葉をつむぐ。
腕の中の少女は妖艶な表情を消し、揺らぐ瞳で彼の顔を見上げた。

「君が好きだ。そばに居て欲しい。…帰ってきてくれ」
「……」

少女は目を閉じ、切なげに息を吐いた。
そして真紅の瞳を開く。

「――残念じゃの」

その声は零下の響きを持っていた。

「我の夫となるを望まぬのであればただの眷属となるがよい。おんしの魂を食らうはもはや既定の事実じゃ」
「♀アーチャー!」
「呼んでも無駄じゃ。我はこれまで幾度となく肉体を換えてきた。今さら宿主の魂に押し負けるなどあり得ぬ」

冷たく微笑んだミストレスは♂ハンターの体に手足を絡め押し倒そうとする。

「力を抜くがよい。悦楽ののち我が内で愛する娘と会えようほどに」
「そう言うわけにはいかな…っ!?」
「Boo shit!」

首筋に弱い電流を流し込まれ、♂ハンターの脚から力が抜けた。
それを見た♂モンクは気球を集めつつ一気に駆け寄る。

「Wawa悪いなbrother・デキナイ傍観・優先順位は・save your life!」
「おそいわ」

飛び込んでくる♂モンクにミストレスは片手を向けた。
接触する前に弾き飛ばせばモンクの技はほとんど意味を持たない。
だが、その時。

ギイッ!
「何じゃ?」

ミストレスの背後で蟲の悲鳴が上がり、彼女は振り返った。
今までになく深々と切り裂かれた芋虫がのたうち回り、身を丸めている。
女王の注意が♂モンクに向いた分だけ支配がゆるみ、本能にしたがって勝手に攻撃を仕掛けてしまったのだ。
しかしオートカウンターを放った♀騎士も唇を噛んでいた。

「まだです!」

積み上げた修練通り、カウンターは防御の最も薄い箇所を正確に貫いた。
だが彼女の手にした錐という武器は敵の鎧が厚ければ厚いほど威力を発揮する。
皮の薄いところに打ち込んだのではスティレットにも劣る威力しかない。

「おのれ!」
「きゃあっ」
「うわっ」

キャタピラーにとどめを刺そうとする騎士達を二条の電光が弾き飛ばす。
直後、両手の雷を使ってしまったミストレスのもとへ♂モンクがたどり着いた。

「――しもうた!?」
「撃つぜ・今こそ・覇鳳の・拳は・ASURA!」

ドンッ!
炸裂音が響き、圧縮された気の塊を叩き込まれた肉体は瞬時に壊死を始める。
だが必殺の一撃を放った者とその標的となった者、双方ともに愕然と動きを止めていた。

「No……Why……」
「王子…様?」

♂ハンターがミストレスにすがりつくように立ち上がり、自身の体で必殺の拳を遮っていた。
その背に深々と埋まっていた拳がずるりと抜け、体が膝から崩れる。

「…………」

かすかに唇を動かし、しかし声は出せないままに♂ハンターは倒れた。
誰に対し、そして何に対して言おうとしたのか。
唇の動きは「ごめん」と読めた。

「あ…ああ……」

少女の口から言葉にならない声が漏れる。
動揺しながら視線を上げた♂モンクは目を見開いた。
長くのびた少女の髪が激しく波打ち、紫と赤に忙しく色を入れ替えている。

「ああああっ、あああっああああああああああああああっ!」

絶叫。
紫の光が爆発するように膨れ上がり、少女の体を埋め尽くした。
それは2本の細腕から閃光となって噴き出す。

「!!」

至近距離から雷光をあびた♂モンクは声も出せずに吹き飛んだ。


<♂プリースト>
現在地:E-6→?
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♀ハンターを抱え逃走中
状態:心身の疲労はやや回復、打撲傷複数

<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ ♂モンク、♀騎士、♂プリーストと一時的に同行
状態:死亡

<♂モンク>
位置:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾

<♀騎士>
位置:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように
状態:JT2発目被弾 背に切傷

<♀ハンター>
現在地:E-6→?
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、♂プリに連れられ逃走中
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖い
   ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中

<ふぁる>
現在地:E-6→?
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇 ♀ハンターごと♂プリに運ばれている?
状態:JTによる負傷で気絶中

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:深い赤の瞳
状 態:痛覚喪失、体力は半分ほど 正気を保ってはいるが未だ不安定
    個体認識異常(死者、人外のものは判別可能。中身だけ魔物のミストレスは近距離ならわかる)
    ♂ケミを殺してしまった心の傷から人間を殺すことを躊躇う それでも生きたいと思う自分をあきれながらも認める。
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
    できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走 ♀プリ達に協力するもJTで弾き飛ばされる

<ミストレス>
現在地:E-6
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー
備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。キャタピラーを配下に
状態 :♂ハンターの死に触れ狂乱中

<キャタピラー>
現在地:E-6
備考 :ミストレスの命令に従う
状態 :負傷して丸まっている
341名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/30(木) 00:38:01 ID:wcM8poPc
王子様(ノД`)


ひとつ気になったんですけど>340♂騎士の備考
>♀プリ達に協力するもJTで弾き飛ばされる
ってなってますけどこれって♂プリのほうですよね?
342名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/30(木) 01:02:06 ID:0nI1ze06
>剣は人を守るために。その言葉を具現化したような。
>これこそが騎士だ。

ここで万感こみあげてくるものがあった。
不幸体質な♂アチャのたったひとつの幸運にも涙。

なにげに♂モンクって殺すことにためらいがありませんよね、♀剣士のときといい、今回といい。
そのへんも達観しちゃってるのかしら。
343339sage :2006/11/30(木) 02:18:04 ID:Ll0ad2gU
>>341
…………♂デスorz
344名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/01(金) 00:49:45 ID:HLIZyYdc
久しぶりに覗いてみたらマーダラーほとんど消えてるw
残りは暴走状態♂騎士と女王と♀ケミと淫徒?

書き手さん達は最後何人生き残らせる青図を書いているんだろか
345名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/01(金) 01:24:35 ID:.H2E15PQ
♂スパノビも上手くすればマーダーにできるかな、あくまで♀BSは生き残れとしか言わなかったわけだし
まあいっそ三人もいるんだしこれからはGM戦で減らしてもいいんじゃね?
346名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/01(金) 05:50:00 ID:/QiMUwu2
GM戦で減ってくほうが色々とあと腐れなくていいなあ。
淫徒プリは改心しそうだし、♀ケミもそうだし。
わざわざマーダー増やさなくても。
347名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/01(金) 12:18:23 ID:YKzR0HTc
♂スパノビがマーダーになる展開はいいと思う。
まあ…何はともあれ作戦は

皆→みんながんばれ
俺→ぶんさいみがけ

orz
348名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/01(金) 15:03:00 ID:BBncnXY6
♂騎士もなんか安定してきてるし、暴走させるのはなかなか難しそうだ。GMが絡んでる時点で理屈は通用しないかもしれないけど。
♂スパノビのマーダー化、考えたこともなかったが不可能じゃなさそう?
♀ケミさんは改心の兆しがあるとはいえ、波乱を巻き起こす要素ありかな。

でも誰をマーダーにするにしても、説得力のある文書くの難しそうだなぁw
いっそGM戦で減らすのもありか。
何にしても私も文才を磨けということか…orz
349名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/12/01(金) 19:11:52 ID:CZrMdLXQ
なんで♀ケミだけ「さん」付けなんだろうw

♀スパノビ死亡で♀ハンターとかも暴走の余地はありそう。
♂スパノビは229話で「仲間を探せ」って言われてるし、239話、244話とかの
流れを考えると、無理じゃないかな。
350Bahamasgop@com.com :2006/12/01(金) 23:35:59 ID:FMyyrth6
zithromax [
351名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/07(木) 12:12:36 ID:eGHMub8g
『外伝 カプラW』

森の中で腰を下ろして休むグラリス。
Wは未だ見つからず、さりとて約束の殺害人数は遠く。

不意に強い風がグラリスの頬をなでる。
胸元まで伸びた髪が揺れ、グラリスは慌ててそれを手で押さえる。
同時に聞こえる草を踏む音。
グラリスははっとなってそちらを見ると、そこにはWが居た。

「久しぶりです」

守りたくて、傷つけたくなくて。
そう思い続けていたWを遂に見つけたグラリスは、しかし声をかける事が出来なかった。
彼女の背中に、彼女の身長を大きく凌駕する真っ白な翼が生えていたから。

「……あ……」

あまりの事に、驚き大きく目を見張るグラリス。
Wは自らの翼を優しく撫でる。

「W、私の名前です。Wingって意味なんですよ」

そう言うとグラリスを掴み、Wは大きく羽ばたいた。
一瞬で上空高く舞い上がる。

「しっかりつかまっててね」

グラリスが何を言う間も無く、Wはその翼を羽ばたかせ、一気に海を越える。
大陸が見えたかと思うと、あっという間に懐かしきプロンテラの街が見えてきた。

「ほら見て、みんなもあそこに居る」


図書館の前にはソリンが居た。

「ちっちっち、そんな攻撃じゃ私には当たらないわよ」

ウィザードに囲まれる彼女は、しかし全ての魔法をかわしていた。

「私の名はソリン、逃げも隠れもするけど嘘は言わない。魔法は私には当たらない!」

そして手に持った大鎌で次々と敵をなぎ倒していく。


「……ハイドで魔法をかわしてる? あの子そんなスキル使えたかしら?」


騎士団の前にはビニットの姿が見えた。

「カプラナック隊全軍射撃かいしー!」

カプラの扮装をした筋骨隆々たる大男達が合図に合わせて射撃を開始する。
それで前面の騎士、剣士をなぎ払うと、ビニットは両手につけたカタールのような物を振りかざして切りかかっていった。


「キモッ!」


大聖堂の側ではテーリングが敵を睨みつけていた。

「私の行く道を塞ぐなんてね。迷子になる研修生より愚かよあなた達」

テーリングの手から炎の柱が伸び、大聖堂はあっという間に炎に包まれた。


「て、テーリングまで……ああっ、何か手が伸びてるし」


ディフォルテーは十字路のど真ん中に立ち、四方から迫り来る敵に対し、いつもの穏やかな笑顔を見せる。

「ごめんなさい、全弾発射です」

全身からバルカンやらミサイルやらビームやらレーザーやらが雨嵐と降り注ぎ、その様はまるでふぁいなるべんとでえんどおぶわーるどな世界の終わりすら思わせる壮絶無比さである。


「謝ったからってきっと許してくれないわよディフォルテー」


一々一人づつに律儀につっこんでいたグラリスを、Wは建物の屋上に静かに降ろす。

「見ててね、これがこの国に打ち込まれた五つの流星最後の一つ。カプラウィング!」

Wの手に長大なライフルが現れる。
Wはそれを持ったまま上空に舞い上がり、その強大な火力を城へと放った。
グラリスはうさんくさそうに周囲を見渡す。

「カプラデスサイズにカプラサンドロックにシェンロンカプラにカプラヘビーアームズ? 誰よ、こんな事考えたの」

上空のWが手に持ったライフルを真ん中から二つに分け、両手に持つ。

「……Wよね、あれ撃つの。あの子の事だからきっと……」

ぐるぐる回りながらそのライフルを放ち、プロンテラを火の海に変えるW。
最初の内は見事に敵のみをなぎ払っていたのだが、段々と回転の仕方が不安定になる。

「あー、やっぱり目を回してるわね。だぶりゅー! いいからそろそろ降りてきなさーい!」

グラリスの声が聞こえたのか、Wはふらふらしながらもグラリスの方に降りてくる。

「ちょ! あなた銃の引き金から指を離しなさ……っきゃーーーーーーーー!!」


がばっと身を起こすグラリス。
そして冷静に思考をまとめる。

「今のは私の夢だった。つまり……アレを考えたのってば……私?」

疲れている、そう心の底から実感した瞬間であった。
352名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/07(木) 20:03:31 ID:1TQn6HO6
イミワカンネ
353名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/12/08(金) 08:15:05 ID:50zgGJqw
最近あまりにも過疎ってるから盛り上げようとしたのか?
354名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/08(金) 08:17:23 ID:hDx.yNKA
ガン○ムWだろうか。
大鎌はデュオ?
355名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/09(土) 02:14:18 ID:rbS.0atw
深い意味はないネタだろうw
とりあえず当のグラリスさんは何にあたるのか気になるぜ
356名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/12(火) 08:29:04 ID:e6p.thpI
255. とどく想い [3日目朝]


嫌、もうやめて。
みんなを、あの人を傷つけないで。
もう殺したくないの。あたしを王子様のところに返して。

少女は叫ぶ。
しかしその声は、誰にも――女王蜂のもとにすら届かない。

「君が好きだ。そばに居て欲しい。……帰ってきてくれ」
――ああ、王子様。あたしも、あなたが……
少女は愛する人の顔を見つめながら、ただひたすらに思う。
「――残念じゃの」
しかし唇を開いて出た言葉は、少女の望むものではなかった。

今まで少女は深い意識の底で、いくつもの命が散るところを見ていた。
彼女と女王蜂はいまやひとつの存在である。
故にそれは女王蜂が消したと同時に、彼女自身が消した命でもあった。
彼女の体の下で、快楽の中で魂を吸われた魔術師。
身を挺して妹を守った少女。
そして今。彼女を庇い、最愛の人の命が散った。

心を占める絶望に、少女は絶叫した。
彼女を包んでいた女王蜂の意識が弾ける。
その時初めて少女の叫びが、外に届いたのだった。


+ + +


「♂モンクさん!」
吹き飛ばされた♂モンクを見て、♀騎士が叫ぶ。
命に関わらないにしても、JTの直撃を受けては鍛えられた体も無事ではすまないだろう。
(いくら、♂ハンターさんの大切な人でも、これ以上は……!)
力なく倒れた♂ハンターを視界の端に捉えながらも、怒りに彼女は唇を噛む。
「……っ!」
「待て!」
♂モンクを攻撃した少女のもとへ駆けようとする♀騎士の肩を、何者かが掴んだ。
振り向くと、彼女と共に弾き飛ばされた♂騎士の姿があった。
彼の瞳は♀騎士ではなく、少女を見ていた。
いや――彼には、それが少女だとわからなくなっていた。
「あの子は、人間だ……」
♀騎士は、彼の漠然とした言い方に疑問を覚えた。
だが彼女には、ミストレスの体がかつて♀アーチャーだったというそれに思い当たる知識があった。
改めて彼女は少女を見る。……少女の髪は、桜色をしていた。

力なく、♀アーチャーは♂ハンターの傍に座り込んだ。
彼自身が吐いた血に汚れた唇を、震えた手で拭う。
彼は微笑んでいた。それに気づき、♀アーチャーの瞳から涙が零れた。

あたしを信じていたから。
だから、あたしを守ってこの人は死んだのだ。
それなのに、あたしはこの人が望んだように、生き続けることさえできない。

今表に出ている自分の意識が永遠でないことが、彼女にはわかっていた。
この時間が終われば、自分の意志が女王蜂を上回ることが二度とないだろうことも。
胸を貫こうと、短刀の切っ先を自らへと向ける。
それきり動かない腕に、早くも自由を奪われつつある体に、少女は絶望した。

ふらりと立ち上がった♀アーチャーを、二人の騎士が見つめる。
何の言葉も、二人はかけることができなかった。
「あたしを、……殺してください」
搾り出すように紡がれた言葉に、二人は目を見開いた。
涙を零しながら、少女は言葉を続ける。

「あたしがあたしのままでいられるのは、あと少しだけなんです。
 王子様が死んでしまった今、ミストレスはあなたたちを殺すことだけに意識を向けることになるでしょう。
 その前に、どうか……、くっ……!」
少女の左手に、紫の光が宿る。
光が電撃へと変化しようとした瞬間、♀アーチャーは右手に持った短刀で自らの手を貫いた。
「……これでわかるように、あまり時間はありません。自分で命を絶つ自由がもうあたしにはない。
 勝手なことを頼んでいるってわかってます。……でも、あたしはもう、人を殺したくないんです。
 あたしを救おうとしてくれたあなたたちを、殺したくない」
はぁ、と♀アーチャーが苦しげに息を吐く。
♂騎士はそんな彼女から目を逸らすことができなかった。
苦しむ少女の姿が、少しずつ認識できるようになっていた。これまでにない感覚だった。

「……でも、♂ハンターさんは♂モンクさんの拳を受けてまでも、あなたを守ろうとした。
 それは、あなたに生きていてほしいからではないのですか?」
♀騎士の言葉に、♀アーチャーは首を振った。
「それはわかってます。でもせめて、あたしがあたしであるうちに。人間として、大好きな王子様のそばで死にたいの。
 どちらにしても、♀アーチャーという人間は死ぬんだから」
♀アーチャーの意志は曲がらない。
♀騎士は固く目を閉じた。瞼の裏に、かつて彼女が殺した罪のない人々の姿が映る。
錐を持つ手が震える。頭がずきずきと痛い。心の傷は、彼女が思っていた以上に深かった。

♂モンクの意識がはっきりしていれば、彼は苦しみながらも拳を振るっただろうか。
きっと彼はそれができる人間だろう、と♀騎士は思う。
少女の願いを叶えるために、そして生きるために自らの手を汚せる強さが彼にはある。
そんな彼が傍にいたからこそ、殺せない自分が生きていられるのだろうと♀騎士はわかっていた。

「……わかった」
隣で呟かれた言葉に、♀騎士ははっと目を開いた。
♂騎士が、少女を見つめたまま剣を抜いている。固い表情からは、うまく感情が読み取れなかった。
♂プリーストから聞いた話では、彼はかつて仲間を殺したのだという。
その時彼はどんな思いだったのか。そのようなことをしておきながら、人を殺すことが平気なのか。
♀騎士は、彼の内面がわかるほど彼のことを知らなかったし、それ以上に彼の事情は複雑すぎた。

「……この子を殺せるのですか。平気……なのですか?」
「全然、平気じゃない」
固い表情のまま、♂騎士が引き攣った笑みを浮かべる。
ああ、格好悪い。彼は心の中で自分に毒づいた。
「でもこの子の言うこと、俺にはよくわかるんだ。
 ♂ハンター……だと思う奴も言ってたしな。♀アーチャーにこれ以上人殺しをさせるなって」
そこまで言って、♂騎士は目を閉じた。
「……殺したくなんて、なかったんだよな」

(そう、殺したくなんてなかった)
♀プリースト、♂アルケミスト。
♂騎士が殺した、彼を愛してくれた恋人と友人。
殺したくなどなかった。しかし自分でない自分が殺してしまった。
誰かに乗っ取られていたわけでもなく、見知らぬ人間だったわけでもない。
だから、自分の罪は♀アーチャーよりずっと重いとわかっている。
それでも♂騎士は少女に、自分と同じものを感じていた。望まぬまま人の命を奪った者として。

「こうすることでしか救えないんなら、この子を開放してあげたいって思う。
 ……あんたみたいな『騎士』が手を汚す必要はないんだ。俺がすればいい。どうしたって拭えやしない手なんだから」
(あ……)
♀騎士は、剣を握る彼の手が、自分と同じように震えているのに気づいた。
この人も、自分と同じように強くはない人間なのだ。
そう思いながら、彼女は震える自分の手を見つめた。
357名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/12(火) 08:29:49 ID:e6p.thpI
「ごめんなさい。あたし、最後まで迷惑を……」
「いいんだ」
少女の呟きに、♂騎士は緊張した声で答える。
この子を殺すことでまた……自分が自分でなくなったら。
湧き上がる恐怖。それを振り払うかのように、♂騎士は汗ばんだ手で剣の柄を固く握り締めた。
その手に、横から白い手が添えられる。
はっとそちらを見ると、♀騎士が俯きながらその手を伸ばしていた。

「あなただけを苦しませることなんてできません」
♀騎士は顔をあげ、驚く♂騎士の顔を見つめた。
「私の手も、汚れていますから」
そう言って、できるようになったばかりの笑顔を浮かべてみせる。悲しげにしかならなかったけれどせめて、と。
彼女の顔にかかる靄のようなものが、少しずつ晴れていくのを♂騎士は感じた。
少なくとも、彼女が笑ってくれているのはわかったし、それを彼はありがたいと感じた。

自分は愚かだと♀アーチャーは思う。
せめて彼らの心の傷にならないように、幸せに逝きたいと二人の騎士を見つめながら彼女は願った。
ぐらり、と意識が揺れる。
体が強張っていく。指一本を動かすのも難しくなっていく。
遠ざかっていく意識の中、彼女は全力で動いた。
鋭い刃が、自らの胸を貫く。
ぼやける視界に、二人の騎士の姿が映った。
「……ありがとう」
震える唇で、それだけを呟く。彼らのおかげで救われたのだと、どうしても伝えたかったから。

意識が薄れてゆく。
その中で、自分のほうへ手を伸ばし、微笑む♂ハンターの姿を少女は見た。
――王子様、これでずっと一緒に……
♀アーチャーは彼に微笑み返す。そして、あの時返したかった言葉を紡いだ。
――大好きです、王子様。
声にはならなかったが、♂ハンターに確かにそれが伝わったと感じ、♀アーチャーは涙を零した。
そこで、彼女の意識は途絶えた。

「……愚かじゃの」
胸を貫かれたまま、少女が呟く。
はっと彼女を見つめる二人の騎士に、紫の光に包まれた少女は笑みを浮かべた。
「いや、あのような小娘の意志に負けるとは……ほんに愚かじゃったのは我ということかの?」
笑いながら、少女は唇の端から血を流す。
魂が剥離しはじめているのか、その髪は桜色のままだった。
「くくっ……愚かじゃが、愉しいものじゃ。……おぬしたち人間というものは。
 道化よ。あまり遊んでおると、足元を掬われるぞえ? ふ、ふふ……」
どこかで聴いているのだろうジョーカーに向かい、ミストレスは皮肉る。
そして鋭い瞳で彼女を睨む騎士たちに、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「愉しかったが、やはり少々口惜しいからの。置き土産をさせてもらうぞえ」
少女の体を包む紫の光が拡散し、いずこかへと消えてゆく。
そのいくつかが、地に転がるキャタピラーのもとへと吸い込まれていったが、二人はそれに気づかなかった。
光が消えると、少女はそれきり動かなくなった。
それと同時に、彼女が身につけていたミストレスの冠が、光の粒となって消えた。


+ + +


♀アーチャーの遺体を、♂ハンターの隣へと寝かせる。
静かに眠る二人が、♂騎士には幸せに見えた。それが救いだった。
(もう俺は、騎士とはいえないほど手を汚してしまった。馬鹿だから、誰も守れなかった。
 でも……俺は生きたい。そして、俺と同じように生きようとしてる奴らを守ってやりたい。
 殺すことへの恐怖は消えないだろうけど、きっと誰かを守るためなら、人とも戦える)
彼は固く目を閉じた。心の中の靄が晴れた気がした。
振り払おうとすることしかできなかった♀プリーストと、♂アルケミストの幻を、今なら正面から見つめられる。

「これで、よかったんですよね」
隣で呟く♀騎士に、♂騎士は目を開けて視線を向けようとし――違和感を覚えた。
どこか、暗く視界が狭い。
いつのまにか目に傷でもついたのだろうか。何せ痛みがないから、と彼は思わず手で目を覆った。
「どうしました?」
「いや――」
手を外し、理由を説明しようと彼は♀騎士を再び見る。
しかし、その視界に変わりはなかった。気のせいだろう、と♂騎士は先ほどの感覚を切り捨てた。
なんでもない、と♀騎士に言いかけたところで、初めて彼は彼女が認識できるようになっていることに気づいた。
赤い髪、白い肌。解るようになってしまえば、今まで彼女を『そう』見ていたような気がする。
「……♂騎士さん?」
呆然とする彼を、♀騎士が訝しげに見る。
彼女は自分の事情を知らないのだ。改めて説明するのも混乱を招くかもしれない。
そう考えた♂騎士は、何も言わずに首を振り、確認のために気絶したままの♂モンクを見た。
(……なんつー頭だ)
今まで解らなかったことを疑問に思うくらい、奇抜な外見をした♂モンクに、彼は苦笑いを浮かべた。

(しかしこれでやっと、人間が解る。不安になることもないんだ。……人間……?)
そこで♂騎士は何かひっかかるものを感じ、辺りを見回した。
「……キャタピラーはどうした?」
彼の言葉に、♀騎士ははっとキャタピラーが転がっていた場所を見た。
続いて♂騎士と同じように周りを見るが――どこを見ても、この場所から幼虫の姿は消えていた。


<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、やや心を強く持てるようになる。刀剣類が持てない 笑えるように
状態:JT2発目被弾 背に切傷

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識を失っている

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
状態:痛覚喪失、体力は半分ほど 精神は安定してきてはいるが、アンバランスな部分は残す
   個体認識異常を脱するが、体に変調?
   快方の傾向にあるが、未だ人間を殺すことに恐怖心は残る

<ミストレス/♀アーチャー>
現在地:E-6
外見 :♀アーチャーの姿を取り戻す
所持品:カウンターダガー
備考 :本来の力を取り戻すため他人を積極的に殺しに行く。キャタピラーを配下に
状態 :死亡

<キャタピラー>
現在地:E-6→?
備考 :ミストレスの力の一部を受け継ぐ
状態 :負傷から回復?
358名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/12(火) 08:31:07 ID:e6p.thpI
♂騎士を心境の変化とともに回復させてみたけど、ご都合かもなあ。
GM側の工作が有利になるだけじゃまずいので、代わりに体の不調フラグを立ててはみたけれど(寿命を削られる薬らしいし)
問題あるようだったら、その部分を削ってもいいと思ってます。
キャタピラーがどこ行ったかとかどの程度強くなってるのかとか、姿形はどうなってるのかとかはおまかせで。
359名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/12(火) 22:28:57 ID:ScvJkXzk
とりあえずこれで夜組は全部終わりかな?放送挟んで3日目に突入?
360名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/20(水) 20:11:55 ID:bIGOT05Q
256.女王の娘[3日目朝]


ごんごろごんごろごろごろごん

身を丸めたキャタピラーはまるでアクラウスのように転がっていた。
もちろん自力で転がる能力はないのでひたすら斜面を下へ下へと。

ごろごろごろごろごろごろ……どしん

やがてその回転は大木の根本に激突して止まった。
そうなって改めて姿形が分かる。
ミストレスから受け取った魔力のせいだろうか。体格は二回りもふくれ上がり、表皮がパンパンに張りつめていた。
その厚い表皮に刻み込まれていた錐の傷が激突の衝撃で広がる。

ぴし、ぱしり

裂け目はすごい勢いで広がっていった。
だがそこから体液がこぼれる様子はない。
代わりに大きく開いた裂け目の間から何かが伸び始めた。
羽だ。
しわくちゃに折り畳まれていた羽根が朝日に乾かされながらゆっくりと立ち上がる。
菫色と桜色に彩られた、鮮やかな蝶の羽。
キャタピラーから羽化するならクリーミーフィアーだろうか。だが……大きい。

「あいたたたたたたあ…」

さらにどこからか人の声がした。
薄茶の表皮が内側から一気に引き裂かれる。

「んも〜。人生最初の朝がこれ〜?」

蟲の皮の中から白い手が、そしてどこか♀アーチャーに似た容貌が現れた。
ただその頭の上には真紅の触角と複眼がついている。
ちょっと肉感的な女性の体に蝶の羽。
パピヨンだった。

「母さまもさ〜、も〜ちょっといいトコに産んでよねえ〜」

母とは♀アーチャーとミストレスどちらのことなのか。
双方の色を羽に乗せたパピヨンは首を振る。

「この体はいいかんじだけど〜」

脱ぎ捨てた殻から触角をちぎり取り、両手でぶんと振り回す。
即席のフレイルは狙い過たず木の幹を打った。だが中身の抜けた触角の殻はあっさり砕けてしまった。

「ちぇっ、役に立たないの〜」
ひゅばしっ

新しい真紅の触角が鞭のようにしなりのび、古い触角の残骸を粉々にうち砕く。

「まいっか〜。なんとかなるよね〜」

彼女はひとつ大きく羽ばたいて宙に舞い上がり、無邪気な笑顔を浮かべた。

「さぁ〜って、誰から血吸おっかな〜」


<キャタピラー> → <パピヨン>
現在地:E-6→?
備考 :ミストレスの魔力を一部受け継ぐ、脱皮
状態 :脱皮時に全快

素直にクリミフィアで「いつテレポしてくるか分からない」ってのも怖くていいなと思ったのですが、やっぱりしゃべって欲しいのであれこれ微妙にイヤ〜な能力持ったあのヒトを。
361名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/20(水) 20:28:27 ID:eev5dxoU
まずはGJ!!
純粋無垢な子供って感じだな。
最初に誰に会うかで彼女の今後の運命が決まりそうな気がして
おらわくわくしてきたぞ!!
362名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/21(木) 04:12:29 ID:ynb6sIfY
♂キャラとの悶絶的死闘wktk
363名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/22(金) 14:15:15 ID:IhFkqreI
なるほど。こういう形でマーダー増加ですか。
GJとしか言えませんな。
364名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/22(金) 18:37:23 ID:selu2mHc
でもパピヨンってタフなだけで超柔らかい気がっ。
あと必要HITが高いんだよねー・・

桃樹狩り中にも当たらなくて厄介だったよ。
倒せそうで倒せないって、凄くいい気がするz
365名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/12/28(木) 11:57:30 ID:bpYJl2Lg
カイジマジ登場あたりで読むのをやめてたけど、ふとここのことを思い出してやってきました。
一回目と比べてのんびりペースですね(死者の数的に)。ここからの展開も楽しみです。
366名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 14:37:52 ID:N2fEe1QA
書き手の方々は新年で忙しいのだろうか…
367名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 20:23:38 ID:hPVAplBc
257. 表裏一体 [3日目朝]


終わった。
顔にはめられた望遠鏡を外し、♀ケミはひとつ息をついた。
彼女は♂ハンターたちとミストレスの戦いを、肉眼では到底捉えられない距離から見ていたのだった。
事情を知らない彼女からすればその状況には不可解な点が多々あったが、目的には関係の無いことだ。

ハンターの所在を男女両方とも確認できたのは幸運だった、と♀ケミは思う。
♀ハンターは♂プリに背負われて逃げた。ということは、死んではいないということだ。
♂ハンターは……どう考えても生きてはいまい。

――ご立派な考えや意志を持ってたところで、死んだらどうにもならない。何の意味もないのよ。

かつて見た、悲壮な決意に満ちた♂ハンターの瞳を♀ケミは思い返す。
彼がどんな思いや目的を持って戦っていたのか、彼女は知らない。知る必要も無いと考えていたし、興味も無かった。

「……さてと」
♀ケミは自らの肩に刺さった矢に視線を向ける。続いて意識を失い、微かな呼吸を繰り返す♂スパノビを見た。

この傷を利用し、他のPTに取り入る。
相手が♀ハンターを知らないこと。これは絶対条件だ。
そうなると、♀ハンターと共に行動している♂プリはもちろん、男女両騎士と♂モンクたちも候補から外れる。
もちろん彼ら以外の人間が、♀ハンターと面識があるという可能性もゼロではない。
だが、そうであっても現在行動を別にしているのだから、別れた後に♀ハンターがマーダーになったなどといくらでも理由はつけられる。

第二に、できるだけ♀ケミ自身とも面識がないことが望ましい。
彼女がかつて混乱に乗じてPTを抜けたことから、不信を買いやすいからだ。
もっとも、一番まともな戦力の♀BSが命を落としているのだから、あの時別れたメンバーのどれだけが生き残っているかは怪しいものだが。

あとは、男性が多ければ言うことはないが、あまり贅沢も言っていられないだろう。

――♀ハンターが♂プリと一緒に行動しているのが少しやっかいね。
……そうね、PTの中に潜りこんで、信用させたところで殺す卑怯で恐ろしい女だとでも言おうかしら。

そこまで考えて、まるで自分のことのようだと♀ケミは苦笑した。
だが、卑怯だとの謗りを受けたとしても、臆する気持ちはない。
命がかかっているのに、信じるだの仲間だの、綺麗事を言っている連中が馬鹿なのだ。

♀ケミの視界の端に、その『馬鹿』な理由だけで彼女を庇った♂スパノビの姿が映る。
彼女の施した治療で、か細く命を繋いでいる彼を睨むように見ながら、♀ケミは唇を噛んだ。

「……そう、馬鹿なのよ。私は絶対に、そんな風にはならない」
♂スパノビから視線を外し、♀ケミは自らに言い聞かせるように呟いた。
そして、再び望遠鏡を目にあて、辺りを見渡しはじめた。取り入る人間たちを探すために。

しばらくして、鋭い瞳が望むものを捉える。
「う、う……」
順調な事の運びに唇の端を吊り上げたところで、背後から聞こえた呻き声に彼女は慌てて振り向いた。

「♂スパノビさん、気がつきましたか」
声をかけるが、♂スパノビからの返事はない。
まだ意識が朦朧としているのか、視線もどこかおぼつかなかった。

ある程度処置はしたとはいえ、♂スパノビの傷は深い。
放送の時間が近い状況で、わざわざ向こうが移動するかどうかは怪しい。
そんな相手が近づいてくるのを待っていては、衰弱が酷い彼は保たないかもしれない。
そうなれば……そうなれば?
……取り入る際の説得力が欠けることになる。だから自分は彼を助けようとしている……それだけのこと。
心の迷いを振り払うかのように、♀ケミは思考を打ち切った。

♂スパノビに無理をさせて移動するのは賭けだが、待っていては♂プリに先に接触されるおそれもある。
彼が向かっていった方向からして可能性は低いだろうが、万が一ということもあるだろう。
――それに、取り入るための道具として使うなら、向こうと接触するまで保ってくれればいいのだ。

「……立てますか?」
そう聞くと、♂スパノビは立ち上がろうと体を動かした。
その瞬間ぐらりと彼の体が揺れ、慌てて♀ケミはその体を支えた。

「あまり大きな動きをしないで。傷が開きます。ゆっくり……」
♀ケミに肩を貸されるというより、ほぼ圧し掛かるような形で♂スパノビはやっと立つことができた。
もちろん自身も怪我をしている上に、巨体を支える♀ケミの負担は並大抵のものではない。

「……いたい」
「私の分の支給品だけでは、♂スパノビさんの怪我は到底治せないんです。
 私は、命がけで庇ってくれたあなたを死なせたくありません。
 動くのは辛いでしょうが、他の人の力を借りにいきましょう。仲間を増やして生き残ることは、♀BSさんの望みでもあるはずです」
呻く♂スパノビを、♀ケミは優しい声で励ます。

――あなたに死なれては困るのよ。私が生き延びるための駒のひとつなんだから。
同時に、彼女は心の中で妖しく笑う。

その表と裏の行動を、♀ケミはいつもの人を騙す謀略からくるものだと信じている。
どちらも自分の本心などとは、思いたくなかった。


<♀アルケミスト>
現在地:F-6(E-6付近)→?
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外見:絶世の美女
性格:策略家
備考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビと同行 他のPTに接触するために動く
状態:軽度の火傷、頬に浅い切り傷、肩に矢

<♂スパノビ>
現在地:F-6(E-6付近)→?
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀アルケミストと同行 他のPTに接触するために動く
状 態:HPレッドゾーン、傷に応急処置はしてあるが、まともに歩けない

<残り16名>
368名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 20:26:16 ID:hPVAplBc
どこか迷いを持ちながらも、簡単に善には走れないのが♀ケミさんだと思っております。
それまでの自分の生き方を、なかなか否定はできないだろうし。
彼女が接触しようとしている人間は任せますが、PTが残り少ない今、選択肢はほとんどないかもorz

そろそろ放送かな。そうすれば動けるPTも増えそうだ。
369名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 22:50:27 ID:9w6xP6WQ
257.♀スパノビの遺した物[3日目朝]


「夜間死者数は9名でいいですね?…なに、3名増えた?誰です?生死確認は?死亡状況報告急ぎなさい」
薄暗い地下室にGM橘の神経質な声が響く。
彼らGMも夜は交替で眠っており、その間の状況は報告で知るしかなかった。
橘は何枚もの手書きの報告書を読み合わせ、バラバラの情報から経過をまとめようとする。

そんな彼の手元へピエロ帽を乗せた頭が突き出された。
「ほほう。一気に半分近く減りましたか。どなたか頑張りましたかねえ」
ジョーカーは殺気立った室内の様子もどこ吹く風とのんきな顔で言う。
起きてさほど間がないはずなのに、その化粧には一分の隙もない。
まさかこの顔のまま寝たんじゃないでしょうね、とか思いつつ橘は上司の頭を押し戻した。

「いいですからあなたはダーツでもサイコロでも用意しててください。きちんとまとめてからお見せします」
「心配ご無用、準備は万端。本日は遙か遠国フィゲルより取り寄せたる、ビンゴ抽選マッスィーンの登場でえす。はい、拍手ー」
「…そこ、拍手してないで仕事に戻りなさい」
釣られて手をたたいた兵士を睨みつけ、橘は新たな3通の報告書を受け取った。

「死者は♀スーパーノービス、♂ハンターと…ミストレス?」
「おやおや。あの方死んじゃいましたか」
「力を過信したのでは?」
橘は適当に返事しながら報告書相互に矛盾や欠落がないかチェックする。
そして問題がないのを確認すると、報告書の束を時系列順に並べ直し要旨を添えてジョーカーに手渡した。
「今夜も何名か倒していますが、最後は5名以上相手に戦闘を挑んで果てたようです」

「ふむう」
要旨を斜め読みしてジョーカーは何か考え込む様子を見せた。
ふざけた顔つきが一瞬鋭くなる。
「何か不審な点でも?」
先に読んで特に問題を感じなかった橘は首を傾げた。

「ミストレスはその5名以上と同時に戦ったのですか?」
「どうなんです?」
橘は報告書をあげた兵士を振り向き、ジョーカーの質問をそのまま流す。
兵士は直立不動で答えた。

「は。彼らは必ずしも共闘しておりません。戦闘終結前に逃げた者もおりますし、彼らの内♂ハンターは同士討ちで死んでいます」
「ではミストレスおよび異なる意図を持つ複数集団が同時に遭遇したのですね?」
「は。そう考えます。ミストレスは双方を噛み合わせようとして失敗したようです」
「なるほどなるほど」

「…それで、何が問題なのですか?」
1人納得顔をする上司を橘はじれったそうにせっついた。
ジョーカーはいつもの人を食ったような笑顔で答える。
「いえいえ、もう解決しました。こちらの気付かない戦力や連絡手段があるのかと心配しただけですからね」

「……ああ、そういうことですか」
少し考え、ようやく橘も理解した。
この島では個人の戦闘力は制限され、その分だけ戦力差も小さくなっている。
ミストレスが5人以上もと真正面から戦えたとすればその制限を破った疑いが濃い。
また逆にこれまで別行動していた者達がいきなり協力してミストレスを襲ったとすれば、何らかの手段で連絡を取りあった疑いがある。
ジョーカーはその点を疑ったのだ。

「その戦闘で他に不審な行動はありませんでしたか?」
橘は念のため兵士に問いただす。
「♀スパノビが死の直前、こちらの位置に気付いたような言葉を発しました。ですが誰も聞いた様子はありません」
「ふむ…どう思います?ジョーカー」

「そうですねえ。そろそろここも禁止区域に設定しておきましょうか」
橘の問いには直接答えず、ジョーカーは抽選機のスイッチを入れた。
大きな透明カプセルの中に入れられた色とりどりのボールが勢い良くかき回され始める。
それをしばらく見つめていたジョーカーの鋭い目が、E−5と書かれたボールをロックオンした。

「とうっ」
カプセル横の投入口から素早く突き込まれた手がボールをつかむ。
「――おや?G−10でした」
「…海上じゃないですか。意味のない番号は抜いておいてください」

◇◇◇◇◇

「♂プリさん、どこまで行ったでしょうか」
♂モンクを介抱しながら♀騎士が不安そうに言った。
外傷が小さいので油断したが、電流が体内を貫流したのか♂モンクの容態はよくない。
考えてみれば暴走するミストレスの魔力を至近距離で受けたのだ。死ななかっただけでも幸運なのかも知れない。

「俺が探してこよう」
♂プリを呼びに行こうと♂騎士が立ち上がった。
だが♀騎士は一瞬だけ考えて首を振る。
「…いえ。もう朝の放送が流れてもいい頃です。結果を聞けば♂プリさんも戻ってくると思います」

「え?あ、ああそうか」
♂騎士は足を止めた。
放送では最初に死者を公表する。
ミストレスが倒れたと知れば♂プリも帰ってくるはずだ。
あてもなく探し回るより待った方が確実だろう。

だが、立ってしまったものをもう一度座るのも何だか妙な気がする。
だいいち彼が♂モンクの横についていたところでこれ以上何ができるわけでもない。
彼は他にすることはないかと辺りを見回した。
そして少し離れたところに横たわる♀スパノビの遺体に目を止めた。
そう言えば彼女にも謝らないといけない。

「あの子を弔ってくる」
「はい」
ちらりと視線を上げた♀騎士はかすかに気遣わしげな表情を見せた。
自分はまだどこか思い詰めた顔をしてるらしい、と♂騎士は思う。
そうかも知れない。
直接手を下したわけではないが、♀スパノビが死んだ責任の一端は彼にある。
簡単に吹っ切れるはずもない。

だがそれでいいのだろう。
人の死を軽々しく吹っ切ったりしてはいけないのだ。
罪は罪として背負って行かなければならない。♀プリのことも、♂アルケミのことも。
その上で死者に恥じない行動をしよう。

(すまない。俺が言えた義理じゃないが安らかに眠ってくれ)
遺体に歩み寄った♂騎士は手を合わせる。
(君の仲間はきっと何とかする。簡単には受け入れてくれないかも知れないけどな)
彼は相手の顔も知らないが、♂プリが一緒にいるし、確か女性のハンターだと聞いた。
♀スパノビの遺体を整えたときだ。

その時の様子を思い返してふと思う。
(そう言えばこの子達、おかしな格好で倒れてたんだな)
JTを受ける寸前、♀スパノビは仲間を庇って覆い被さった。
なのに駆けつけたとき2人は仲良く並んで倒れていた。
そのまま一体で弾き飛ばされたなら折り重なっていそうなものだし、引き剥がされるほどの衝撃を受けたならもっと離れているのではないか。

どちらかが動いたのだろうか。
不思議に思って遺体の周囲を確かめる。
と、♀スパノビの鞄から何かが覗いていることに気付いた。

「これは…カード帖?」
最後の力を振り絞ってこれを仲間に渡そうとしたのかも知れない。
だとしたら何としてでも届けるべきだろう。
一緒に渡すべき物がないか、もう一度♀スパノビの遺体を調べようと手を掛ける。
その時
『さあさあ皆さん朝ですよ』
ジョーカーの声が全参加者の耳に響いた。

「!?」
死体が突然言葉を発したように感じて♂騎士は思わず跳びのいた。
その拍子に♀スパノビの体を軽く突き飛ばしてしまう。
少女の頭が揺れ、その下に隠されていた平べったい箱から落ちた。
そして、仕掛けた♀スパノビも予想していなかったほど大きな声が箱から流れた。

『GMの拠点は地図のE−5…山頂付近』
370名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/08(月) 22:52:05 ID:9w6xP6WQ
◇◇◇◇◇

「何ごとです!?」
「まあまあ落ち着いて」
騒然となった地下室でジョーカー1人が落ち着き払っていた。
もちろん放送のスイッチは♀スパノビの声が入った直後に切り、それ以上余計な声が入らないようにしている。

「どう落ち着けと言うんですか!今のは…」
「参加者の声ですね。あの大きさでは放送にも入ってしまったでしょう」
「では何とかしないと…!」
「んー。今の声が誰か分かる人?」
ジョーカーは盗聴していた兵士達を見回す。
1人が挙手した。

「♀スパノビの声だと思われます」
「だ、そうですよ。彼女はもう死んでいます。今さら処罰も出来ません」
「ですが!」
「まあまあ。それより参加者の騒ぎが下火になったら教えて下さいね」
「ジョーカー!?」
「ぐー」
橘の抗議を無視してジョーカーはたぬき寝入りを決め込んだ。

数分後、参加者の混乱が一段落したと知らされてジョーカーは放送のスイッチを入れた。
「さあて皆さんお騒がせしました。もう分かっちゃったと思いますが、放送中に大っきな声で叫ぶとその声も流れちゃいます。――で・も」
あえてシステムの問題を認めたジョーカーは声の温度を一気に下げて続けた。
「システムバグの悪用はチートと言って処罰対象なんですよね。今後放送中に大声出したら運営妨害でBANしちゃいますから気を付けて下さい?もちろんさっきの声の人ももう死んでます。それじゃ静かに聞いて下さいねー」


<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、やや心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発被弾 背に切傷

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
状態:痛覚喪失、体力は半分ほど 精神は安定してきているが、アンバランスな部分を残す
   個体認識異常を脱するが、体に変調?
   快方の傾向にあるが、未だ人間を殺すことに恐怖心は残る

<GMジョーカー>
位置:E-5(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
外見:ピエロ
備考:女王イゾルデの意向を最優先

<GM橘>
位置:E-5 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:銀縁眼鏡、インテリ顔


久しぶりにUP。
とりあえず定時放送Cをパターン通り流せる状態に〜。
371名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/09(火) 19:31:27 ID:nquwpPvI
久々にみたぜ、みんな超GJすぎ。

>>370 ♀スパノビの想いが届いて個人的に超うれしい。
その後の、
・JKが言っていること
・(♀スパノビが)死亡していることの表明
・明らかにGMに知られる手段でBANの危険性を冒してまで全員に知らせたこと
から、聞いたプレイヤーは、拠点のコトはまず本当の事、と察するだろう。
これからの展開の変化が超楽しみ!!
372名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/27(土) 07:14:43 ID:gqwKLkWk
アナザー:最終回?

♂騎士「チクショオオオオ!くらえGM橘!新必殺ボウリングバッシュ!」
GM橘「さあ来い♂騎士!オレは実は一回刺されただけで死ぬぞオオ!」
(ザン)
GM橘「グアアアア!こ このザ・フジミと呼ばれるGMの橘が…こんな小僧に…バ…バカなアアアアアア」
(ドドドドド)
GM橘「グアアアア」
GM森「GM橘がやられたようだな…」
GM1(仮)「フフフ…奴はGMの中でも最弱…」
GM2(仮)「人間ごときに負けるとはGMの面汚しよ…」
♂騎士「くらええええ!」
(ズサ)
3人「グアアアアアアア」
♂騎士「やった…ついにGMを倒したぞ…これでGMジョーカーのいる拠点への扉が開かれる!!」
GMジョーカー「よく来たな♂騎士…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
♂騎士「こ…ここがGMの拠点だったのか…!感じる…GMジョーカーの魔力を…」
GMジョーカー「♂騎士よ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに首輪の解除が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
♂騎士「な 何だって!?」
GMジョーカー「そして他の参加者はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた あとは私を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
♂騎士「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある このオレに生き別れた妹がいるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
GMジョーカー「そうか」
♂騎士「ウオオオいくぞオオオ!」
GMジョーカー「さあ来い♂騎士!」
♂騎士の勇気が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!


ごめんどうしてもやりたかったんだ
それはともかくWIKIのメニューがおかしくなってる気がするんだが自分だけ?
373名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/27(土) 09:30:49 ID:jAHHfDZk
そういえば、人気投票してみたいなー。
皆好きなキャラってどのキャラ?

自分は、
1 ♀WIZ
2 淫徒プリ
3 ♀スパノビ
次点 GM橘

♀WIZにはGMジョーカー戦で死んで頂きたいなとか思っちゃってる
(結局死ぬのかよ)
どうせなら旦那の恨み晴らしてほしいしねぇ……
淫徒プリは、途中からすごい頭の切れるキャラとして書かれていったから、
クールな悪役好きの私にはたまりませんでした(*´Д`)
(のわりには♂WIZが好きキャラに入ってないが、それは♀WIZのが好きだから)
♀スパノビ…死んじゃったけど、大好きだったよヽ(`Д´)ノ
おねーさんなおこさまは大好きです。
GM橘は、そのクールな悪役面をもっと見たいので、もっと活躍を期待してます(*´Д`)
374名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/27(土) 18:57:20 ID:H9HvPe3k
>>372
ソードマスター♂騎士ktkrw
自分もメニューおかしくなってる。左に変なURLがある(;´Д`)

>>373
1 ♂騎士
2 GMジョーカー
3 ♂プリ
次点 ♂ハンター

♂騎士はダメな男wなんだけど、本当に色んな意味で強くなったなぁと。
トラブルメーカーかつ悩み多い人で、真っ当なヒーローじゃないんだけどそこがなんか好きだ。
ジョーカー以外のGM(橘とか)に縁がある唯一のキャラでもあるんでそこにも期待。

GMジョーカーは、こういう食えない悪役が大好きなんでw
将来的には♂セージとのドラマがありそうでwktk

♂プリはなんといってもその兄貴っぷり。
怖い顔でもその心意気に惚れる人間は男女問わず多そうだ(変な意味でなくw)

♂ハンターは、♀アチャ込みで初登場時からは想像もできない道を行く人になったなぁ。
こんなに愛に生きる人になるとは。天国でお姫様と幸せにな(つД`)

その他には♀WIZや♀ケミ、♂セージなんかも好きだなぁ。
自分の好みがよくわからなくなってきたw
375名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/27(土) 19:37:38 ID:zx1sPS1M
メニューは spammer にいじられたな
376名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/27(土) 22:02:42 ID:dbfj3jU.
RO関連てことでアカハックも有り得るから要注意
377名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/28(日) 11:54:27 ID:IL9Y.LcA
・・・・・・変なURL、クリックしてしまったんだがどうすればいいのか
378名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/01/28(日) 12:16:42 ID:DJRbQDiQ
アカハク被害報告スレ4
ttp://gemma.mmobbs.com/test/read.cgi/ragnarok/1164984508/
テンプレをよく読んでからオンラインスキャン、他PCでパス変更してみては?
379名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/01(木) 00:41:10 ID:kGnt9FX2
258.定時放送C[3日目朝]


孤島に静寂の時が流れる。
青く冴え渡る空に響くのは小鳥のさえずりのみ。
放送の声は一呼吸置かれていたが、警告が効いたのか大声を上げる者は誰も居ない。

「はい皆さん私のお願いをよくご理解いただけたようで大変結構。では改めて定時連絡を続けましょう。
まさかまだ寝てる方なんて居ないと思いますけれど、そんな方が近くにいましたら可哀想ですからそのまま永眠させて差し上げて下さいね」

悪意に満ちたジョーク。
のどを震わせる笑い声が続いたが、本当に面白がっているのか、それとも参加者の神経を逆なでするためにわざとやっているのか判然としない。

「まずは夜間に亡くなった方のお名前を読み上げます。
何だか皆さん急にやる気を出していただいたようで、なんと12人!いやいやいい調子ですねえ。今日中に決着がついちゃうかも知れません」

読み上げられた名は順に♂アコライト、♀ノービス、♂マジシャン、♂アルケミスト、♂クルセイダー、グラリス、♀ブラックスミス、♂ウィザード、♂ローグ、♀スーパーノービス、♂ハンター、そしてミストレス。
長いリストを聞き終え、参加者達はそれぞれの反応を示した。

♂セージ達、特に♂シーフは安堵を隠せなかった。
淫徒プリと教えあった殺人者が軒並み消えた一方で♂プリの名は告げられていない。

その♂プリは治療していた♀ハンターを背負い直した。
ミストレスが倒れ、仲間達が生き残ったなら急いで戻らないといけない。

逆に元の仲間達がほぼ全滅したと知って♀ケミは心中ニヤリとする。
これで面倒が1つ減った。
ただ、探すべき仲間を失った♂スパノビの様子だけが気になった。

もう1人のアルケミスト、悪ケミは爪を噛んでいた。
仲間になる可能性はゼロに等しかったとは言え、スティールを使える参加者がまた減った。
もう♂シーフを確保するしかない。でもどこにいるのだろう。

そして生まれたてのパピヨンはひらひら飛んでいた。
首輪のない彼女はGM達に何も聞かれない代わりに放送も聞こえない。
もっとも聞こえたとしても気にしたかどうか。

「それではお待ちかね禁止区域の発表です」
参加者達の悲喜こもごもをあざ笑うようにジョーカーの声は続く。

「本日は私の腕に関係なくランダムな目が出るよう、ビンゴ抽選機を用意してみました。とんでもないところが禁止されても私のせいじゃありません。機械作った人怒って下さいね?」

誠意のかけらもない言葉の背景にウィンウィンゴロゴロと何かの機械音が混じり始めた。

「ハズレも半分ぐらいありますのでちょっと多めに十回抽選しましょう。まず最初は何が出るか…おっとC−6、危険な位置ですねえ」

いきなり最初の選択で禁止区域に囲まれた逃げ場のないブロックが2つ出来てしまった。
参加者達の間に緊張が走る。
息を詰めて待つ内に全ての番号が出揃い、地図上へ黒い表示が現れた。

C−6
H−10
D−1
B−3
C−1
G−9
G−5
F−2
B−4
A−8

「残念、海や既に禁止されてる場所が多かったですね。
まあいいでしょう、禁止区域で爆死なんかして頂くのは本意ではありませんから。
あ、でもE−5は追加で禁止させていただきます」

島の中央に黒いマスが追加され、南北をつなぐ回廊がさらに細長くなった。
それだけでなく島の北半分は1ブロックの隘路だらけになり、危険性が飛躍的に上昇している。
偶然にせよ意図的にせよ、移動範囲は一気に狭められたと見ていい。

「それではいよいよ後半戦、残るはわずか16名。もはや覚悟の定まった方しか生き残ってないことと思います。
その覚悟を、そして神々の目にも留まるような素晴らしい戦いを見せて下さい。
私はそれを見届けましょう。いかなるサーガにも謳われることのないその戦いを」

あたかも神の言葉を伝える神官のように朗々と宣言して放送は終えられた。
その言葉通りに、だがその意図とは異なるそれぞれの覚悟を抱え、島での3日目が始まる。



<ジョーカー>
現在地:E-5?(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
容 姿:ピエロ
備 考:女王イゾルデの意向を最優先


・試しにダイスプログラム使って実際に振ってみました。不都合な目は調整するつもりでしたが、案外島の内部は出ないもんですね。
・パピヨンを含め残り17名のはずですが、まだGMには把握されてないので発表人数からは除外。
380名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/13(火) 07:45:43 ID:nFj9q82I
初代35なんだが、今更かも知れないが、ここまで続いた事に感謝する事しかり。
今ではすっかり読み手だが、完結する事を気長に待たせてもらいます。
381名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/20(火) 09:43:50 ID:RLJ986pI
260.分岐[3日目午前]


『今の放送どう思いますか?』
放送が終わるとすぐ淫徒プリは地面に文字を書いた。
「ふむ」
♂セージは少し考え込み、同じように地面へ書く。
『同じ質問を口でもう一度』
それを読んだ淫徒プリはさすがに意外そうな顔になった。
意図がつかめず一瞬どうするべきか迷うが、それでも要求通りにする。
「今の放送、どう思いますか?」
♂セージは何もなかったように答えた。
「うーん、まず分かったことが1つ。おそらく私たちの声は聞かれています。放送のためだけのシステムならこちらの声が混じるはずなど無いのですからね」
「…そうなりますね」
淫徒プリは♂セージの意図を悟って頷いた。
どれだけの参加者が同じ結論にたどり着いたかは分からないが、彼らにとっては難しくない推論だ。それをしなければGMに裏を勘ぐられる恐れがある。
♂セージはすでに知っていることをあえて「推測」してみせることで、他にもあれこれ♀Wizから聞いていることを隠したのだ。
ただ、もちろん問題がないわけではない。
『今後は筆談も疑われますね』
♀Wizが文字で指摘した。
♂セージの発言がなくてもジョーカーはその可能性を警戒しただろう。だがこれで「盗聴されていると知っていることをGMは知らない」というアドバンテージが消えた。
本拠地の情報と引き替えとは言え地味に痛い。
淫徒プリは厳しい顔で頷きつつ話題を進めた。
「それで本拠地の話については?」
「事実かどうかはまだ五分五分と考えるべきでしょう」
そう言いつつ♂セージは地面に『8:2』と書く。
実際には事実の可能性の方が高いと踏んでいるらしい。
「嘘かも知れないと?」
「ええ。私たちには割り込んだ声の主を特定する材料がありません。あれがGMの演技であれば、あるいは参加者だとしても誤認や嘘があれば、それ以降のGMの言葉は全て本拠を誤魔化すための嘘と言うことになります。放送を再開するまでに時間がありましたからその間にシナリオを書けましたしね」
「そんな事をしてGMに意味がありますか?」
「本拠が誰かに見つかりかけていたのなら阻止できます。それにE−5近辺で遭遇を促進できる可能性もありますね」
『ではなぜ8:2?』
淫徒プリは割合の根拠を筆談で尋ねた。
今度は♂セージも同じく文字で答える。
『本拠は禁止すれば済みます。また死者の増えている今、促進策が必要とは考えにくいです』
死者の増加はこの殺戮ゲームの進展を意味する。
彼らの知る危険人物も多数死んでいるので殺人者は一見減ったように思えるが、彼らを殺した何者かが必ず存在するのだ。
それはもっと強力で狡猾な殺人者かも知れない。
あるいは襲われた者の反撃の結果かも知れないが、その反撃した誰かが殺人を犯したことに変わりはない。
今後時間的にも空間的にも追いつめられて行けば、殺人という一線を越えた人間が次の決断に踏み切る可能性は決して無視できない。
GMとしては慌てる必要はないのだ。
「でも今までのGMの行動に比べて作為が過ぎませんか?もっと放置されていた印象があるのですけど」
♂セージが答えを書いている間、不自然な間が出来ないように♀Wizが反論を口にした。
淫徒プリへの返答を書き終えた♂セージは♀Wizへの答えを急いで考える。
とりあえずため息を吐いて時間を稼ぎ、その間に答えをひねり出した。
「そう信じたいのであればどうぞ。ですがもう忘れましたか?ついさっきまでGMに声を聞かれていることも知らなかったのですよ。彼らのやり方を分かってるつもりになるのは高慢だと思いますが」
思い切り嫌味っぽい口調で言って地面には短くひとこと。
『口論を』
するとそれまで年長者3人のやり取りになんとかついて行こうとしていた♂シーフが自分の出番だとばかりに口火を切った。
「そんな言い方ないでしょう♂セージさん!」
ほとんど反射的に♀商人が言い返す。
「何よ。♂セージさん間違ったことは言ってないでしょ」
「間違ってなくても言っちゃいけないことだってあるだろ」
「ふーん。例えばあんたがチビだとか?」
「誰がチビだよっ。僕の背は友達の間じゃ普通だしまだ伸びてる!」
「そう。類は友を呼ぶって言うわよね」
「言ったな!」
「まあまあ2人とも」
そのままただの口喧嘩になってゆく2人とおざなりな仲裁をする淫徒プリの声にまぎれて♂セージは長めの文章を書き始めた。
『さて朗報です。本拠が判明したので装置は2箇所も見つければ充分になりました。今日中に再合流まで可能かも知れません』
♀Wizの話では装置は全4基。昨晩まではその全てを回ろうとしていたが、それは本拠もどれかと一緒にあると考えていたからだ。
装置を停止させるだけなら全部見つける必要はない。
小さく頷いて♀Wizは返答する。
『では私たちで1つ探します。見つけたらすぐ壊すべきかしら?』
『いえ。装置を破壊すればGMも黙っていないでしょう。反撃の準備を整えてからでないと危険です』
『首輪を外す方法とかですね?』
『ええ。一案はありますが、周到な準備が必要な手段です。今説明してアイデアを制限しても良くありませんし、長くなりますから聖書へ書いておきましょう』
♂セージが返答する間にも♀Wizは矢継ぎ早に質問を続けた。
『合流の場所は?』
『ここで。地形を見慣れてますしほぼ中間です』
『夜の放送でここや隣が禁止されたら?』
『我々が再合流したと知ればGMも真意に気付きます。なので地図を持ったまま合流することは出来ません』
地図を持たずに戻るのであればどこが禁止されていても大差はない。
そこまで読みとって♀Wizは再び頷いた。
もちろんその際に地図をどうするか考えなくてはならないが、それは別の問題だ。
誰かがまとめて持ったまま残るか、安全な場所に隠すか。状況を見て決断するべきことで今決められることではない。
382名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/20(火) 09:44:13 ID:RLJ986pI
聞くべき事を聞き終わった彼女は口喧嘩する年少組と仲裁する淫徒プリに視線を送った。
それに気付いた淫徒プリは話に加わる。
「ああもう、めんどくさい。貴方がたも見てないで何とかして下さいよ」
♂セージは大げさに肩をすくめて立ち上がった。
「止める必要がありますか?このままとっとと分かれるとしましょう。もう充分長居しすぎました」
半分本気で口喧嘩していた♂シーフと♀商人もそれで我に返る。
「はーい」
「そうしてくれるとさっぱりします」
「ふんだ。で、あたし達はどっち行くの?GMのとこ行ってみる?」
「どうせ近付けませんし殺人者も集まって来るかも知れません。中央からは離れるべきでしょう。とは言え北は狭くなりすぎましたし、南へ抜けてなるべく島の隅を目指しますか」
♂セージは♀商人の質問に答えて半島へ踏み込む口実を作る。
対して♂シーフは島の北半分に残る口実を口にした。
「僕は♂プリさんを捜しに行きます」
「ご随意に」
口では冷たく言いながら♂セージは少年に右手を差し出す。
一瞬不思議そうにその手を見た♂シーフもすぐにその意味に気付き、少し照れくさそうに右手を差し出した。
魔法職としては意外なほど力強い♂セージの手がその手を固く握る。
『たのみます』
唇の動きだけでそう伝える彼に♂シーフはしっかりと頷き返した。
その間淫徒プリは♀Wizにヒールを数回掛けていた。
「約束でしたから」
「ありがとう。借りにしておきます」
「返済は当てにしてませんよ」
感謝の言葉にはひねくれた答えを返しつつ、淫徒プリは数奇な縁で結ばれた女性に目礼する。
そしてやや芝居がかった口調で言った。
「では、いつかヴァルハラでお会いしましょう」
そのまま照れ隠しのように背を向けた淫徒プリの背へ♀Wizがさらりと返す。
「あら。ニブルヘイムかも知れませんよ」
淫徒プリの背がぐらりと傾き、残りの3人は笑いを噛み殺した。
そして彼らもそれぞれに別れを告げる。
「じゃあね。二度と顔見せないでね」
「そっちこそ。次は知らないぞ」
「まあせいぜい頑張って下さい」
どうか無事でと言う言葉を飲み込み、後ろ髪引かれる思いを振り切って。
彼らは二手に分かれて歩き出した。



<♀商人>
現在地:D-6→南か東の半島を目指す
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    ♂セージ・淫徒プリと同行

<淫徒プリ>
現在地:D-6→南か東の半島を目指す
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・♂セージと同行

<♂セージ>
現在地:D-6→南か東の半島を目指す
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
    ♀商人・淫徒プリと同行

<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す
所持品:多めの食料
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行

<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入)
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPはまだ半分以下
383名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/20(火) 09:45:27 ID:RLJ986pI
ひとまず♂セージ組再始動。
257話が重複していたようですので番号飛んで260話に。
384名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2007/02/20(火) 22:13:17 ID:E99cO.yI
久しぶりに新しい話がキター
でも書き手の人とか何人くらい残ってるのかな

ところでマーダーが大分減ってるようですけど、今後はどうなるんでしょうね…
A.本格的にGMとの決戦の流れになる
B.まだなんとか参加者同士の殺し合いをさせる
C.その他
ってところでしょうか
自分は話が進むならAでもいいと思ったり
385名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/23(金) 22:18:59 ID:rlvBLZUk
とりあえず読み手は毎日確認してる暇人がここに一人はいます
386名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/25(日) 13:23:22 ID:1tH/8SN.
書きたいけど時間がない書き手(1/20)
3月に入ればまとまった時間も取れるから書けそうだけど、
流れを掴めてないから、少し時間がかかりそう。
387名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/27(火) 20:56:37 ID:JQcB6TW.
261.表裏背反[3日目午前]


ひゅっ

「む」
デビルチを探して付近を見回っていたグラサンモンクはかすかな矢音を聞きつけて反射的に身を低くした。
そして素早く周囲を見回す。
人影は見あたらない。そしてどうやら彼に向かって矢が飛んでくる様子もない。
となると…狙いは仲間達か。
彼は舌打ちして全速力で駆け戻りつつ怒鳴った。
「伏せろ!」
♀アコと♀マジはとっくに身を低くしていた。
だが悪ケミだけは彼女たちの様子を笑いながら1人のんきに座っている。
彼は駆け寄りざまに押し倒した。
「あ、ちょっと。こらっ!したぼくがこんなコトしていいと思ってるのっ!?」
当然のように彼女はとても分かりやすい勘違いをした。
グラサンモンクは必死になだめる。
「待て、勘違いだ。暴れるな」
「したぼくが命令するな〜っ!このこのこのっ」
覆い被さった彼の頭が下からポカポカ殴られる。
「痛くはないがやめろ、誤解だ。敵が居る。伏せててくれ」
「このこのっ…え?敵?」
だだっ子のように拳を振り回していた悪ケミは周囲をきょとんとした顔で見回す。
とっくに伏せていた♀マジと♀アコがこくこく頷き返す。
「うん。矢が飛んできたよ」
「全然外れたけどね」
2人の視線を追うとかなり離れた場所に矢が刺さっていた。
「えーと」
悪ケミは少し考える。
そして
「えい」
グラサンモンクの目に向かってチョキを突き出した。
「うお!?」
目つぶしはサングラスの表面に当たってかつんと軽い音を出しただけに終わり、実害はない。だがグラサンモンクは思わずのけぞった。
その隙に彼を突き飛ばして悪ケミは起きあがる。
「何をする」
「なにをする、じゃないわよ。あんた達バカじゃないの。弓矢で狙われてるんならにゅーま使いなさいよにゅーま」
彼女はやたら偉そうに胸を張って♀アコとグラサンモンクへ指を突きつけた。
「そっか。アコ系にはそんな魔法もあったね」
納得して♀マジも体を起こす。
だが♀アコは頬を掻いた。
「あ、ごめん。あたしニューマ覚えてないの」
「実は俺も、な」
「え」
指を突きつけた姿勢のまま悪ケミは硬直する。
「ほら、あたしモンク志望だから。ヒールとブレスと速度増加覚えるとそっちまで手が回らないのよ」
「ヒールか速度諦める手もあったんだがな」
「…ええーっと…」
しばらくふらふらと指をさまよわせた悪ケミは、やがてその指をグラサンモンクにビシッと突きつけた。
「たてになって」
「盾か。まあ構わないが」
グラサンモンクは悠然と悪ケミの前に立つ。
不意打ちにしては初撃の狙いは大きく外れ、ドタバタの間にいくらでもできたはずの追撃も来なかった。どうも真剣に彼らの命を狙う気はないらしい。
とするともしかして矢文か何かだったのか?
そう思って矢を確かめに行こうとしたその時。
「助けて!」
女性の悲鳴と共に茂みが鳴った。

♀ケミは茂みを掻き分けてよろよろと走り出す。
自分が矢を放ったところは見られなかったらしい。
最初の勝負所を乗り越え、次が本番だった。
わざとらしくない程度に疲労を見せ、緊張も隠さず表に出す。
「助けて!♂スパノビさんが――」
そう叫んだところで思いがけず下草が足に絡まった。
「きゃっ!?」
土煙を上げて倒れ込む。
ほとんど街暮らししか経験のない彼女は、ここまでの野山歩きで思っている以上に疲労していた。
「大丈夫!?」
「な、なんとか…」
怪我の功名と言うべきか。派手に転んだことで目前のグループに動きが生じる。
真っ先に駆けつけた♀アコが彼女を助け起こした。
「怪我してるじゃない…ってうわ」
「え?そんなひどいですか?」
顔を覗き込むやいなや奇声を漏らされ、♀ケミは思わず頬を押さえた。
肩に刺さった矢より♂ローグの矢がかすっただけの顔をひそかに気にしていたらしい。
そんな彼女を無視し♀アコは拳を固く握って言った。
「くっ…なんかすごく負けた気がするっ。女としてっ」
「…あの?」
正直、♀ケミは女性から敵意に近い妬みの視線を受けることには慣れている。
だがまさかこんな場合に、これほど真っ向から批評されるとは思ってもみなかった。
(ずいぶん余裕じゃない。まさか見抜かれてる?)
♀ケミは動悸を押し隠して他の面々を見回す。
だが次に近寄ってきたマジシャンらしき少女もなにやら真剣な顔で彼女の胸元を見つめたかと思うと、
「本物、だよね?」
「きゃっ!?」
両手で彼女の胸の膨らみを鷲掴みにした。
そして真顔で考え込む。
「どうすればこんなに育つのかな?」
「あの、それより…」
「だいじょーぶっ」
困惑を深める彼女を遮って、少し離れて見ていた少女が無駄に偉そうにふんぞり返る。
「おんなの勝ちは顔でも胸でもないわ!だいじなのは知性と強要のかしもだすこーきなびぼーよ!この私のよーにっ」
「……」
♀ケミはもはや何と言っていいのか分からなくなって絶句した。
『知性と教養のかもし出す高貴な美貌』が大事だと言うのなら、それは女は顔だという意味ではないのか?それとも自分には分からない何かの符丁なのだろうか。
何かひどい間違いをしでかしたような気がして彼女は肩を落とした。
その様子をどう思ったか、最後の1人が重々しく口を開く。
「落ち着いたか?何があった」
「あ、そうなんです!」
救いの神とばかりに♀ケミはその言葉に飛びついた。
どうやら常識的な会話の通じる相手のようだ。
「助けて!矢が、♂スパノビさんが!」
パニックに陥っている人間らしく不十分な説明をわめきながら男にすがりつく。
案の定彼は意味を取り違えた。
「♂スパノビ?そいつにやられたのか」
「違います!私をかばってくれたんです!早く!」
♀ケミはこのモンクこそが少女達を率いているのだと思って腕を引く。
だが彼女の言っていることを先に理解したのはそれまで女の価値がどうのと騒いでいた少女達だった。
「弓矢で襲われて、そいつがキミを逃がすために残ったんだね?助けに行こう」
「うん。流れやが飛んできたぐらいだもん、そんなに遠くないはず」
「わかった」
的確で素早い推測と判断。
どちらかというとモンクの方が彼女たちに従っている感じもする。
(まさか、ね)
驚きと警戒の必要を感じながらも♀ケミは彼女たちを案内しに走り出した。

「♂スパノビさん!?」
♀ケミが♂スパノビの所へ戻ったとき、大男は苦しげに目を閉じて横たわっていた。
呼びかけにもすぐには反応がない。
歩くのもつらそうだったし、演技中に本当のことを言われても困るので残したのだが、もしや本当に死んでしまったかと背筋を冷たい物が走る。
「待って、動かさないで。まだ息があるわ」
♀アコが彼女を押しのけ、♂スパノビの傍らにしゃがみ込んだ。
そしてその体に突き刺さった矢を無造作に引っこ抜く。
「っ!」
開いた傷口から鮮血が噴き出し、見ていた♀ケミは一瞬顔をそむけた。
「あの、もうちょっと優しく」
「ヒール!ゆっくりやっても一緒よ。なら早い方がいいでしょ」
「それはそうですけど…」
♀アコの豪快な治療に難色を示す♀ケミ。だが
「待ってよ。心配なのは分かるけどさ、今は急がないと」
♀マジが♂スパノビから抜いた矢を渡しながら真剣な顔で言う。
「コレが毒矢だったら一刻を争うだろ」
「毒?」
♀ケミは素早く反応した。
血まみれの矢ではよく分からないというフリをして、近くの地面に刺さった矢を引き抜いて見比べる。
もちろん後から抜いたのは彼女があらかじめその辺りに数本撃ち込んで置いた内の『本物』だ。
彼女は小さくうなってみせてから二本ともアルケミストの少女へ渡した。
「どう思いますか?」
「…うん。どくね」
悪ケミは一瞥して顔をしかめ、鼻を近付けて匂いを嗅ぐとすぐに頷いた。
「たぶんあさしん特製のきっつーい奴。ま、こうゆー反応のはげしい薬ってくーきに触れてるとどんどん効果が落ちちゃうから、私なら毒矢には使わないけど」
(はい、よくできました)
道具も文献もないこの状況でどこまで分析できるかは完全に当人次第だ。
はっきり言って♀ケミにも布に染み込んだ毒の種別まで見分ける自信はない。
だがこの少女はそれをやってのけた。
しかも危険な毒だが効果がなくても不思議はないという印象評価まで付けて。百点満点に近い。
心中含み笑いしていると♀アコが声を上げた。
「終わりっ。とりあえず傷ふさいだだけだけど、たぶんもう大丈夫」
「ありがとうございます」
演ずるまでもなく安堵のため息が漏れる。
そんな彼女に、振り返った♀アコは何か獲物でも見つけたような笑顔を向けた。
「次はあんたね」
「え?…あ。わ、私は大丈夫です」
♀ケミは今見た荒っぽい治療を思い出して思わず後ずさる。
その肩が背後から捕まえられた。
「ハイハイ。わがまま言わない」
「だいじょーぶ。ずっと前にともだちが『いたいのは最初だけ』って言ってたし」
「あの、それ使いどころが違…」
両脇を固められた♀ケミに♀アコがじりじりと近付き
「いったぁ〜〜〜〜い!」
数秒後、辺りに悲鳴が響いた。
388名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/02/27(火) 20:57:28 ID:JQcB6TW.
「痕跡はあったがもう誰も居ない。相手はどんな奴だ?」
彼女たちを置いて少し先まで警戒に行っていたグラサンモンクが質問した。
♀ケミは返答する前にちょっと涙目で治療跡を押さえ、上目遣いに見ながら拗ねるように言う。
「…あなたに治して欲しかったです」
色気ビーム発射。
実際♀アコの治療は痛かったのだし、堕とすための伏線はいくら張っておいても損はない。
黒いサングラスに隠れて表情はよく分からなかったが、グラサンモンクの首が少し揺れる。多少は動じたようだ。
それでひとまず満足し、深追いは避けて質問に答える。
「ええと、女性のようでしたけどはっきりは見えませんでした。こちらの矢が届かない距離から射すくめられまして」
ここへ来るまでにいろいろ考えて決めた説明がこれだった。
彼らが♀ハンターと面識がある可能性があるので名前は直接出さない。
代わりに誤導するためのヒントはあれこればらまいた。
そして頭のいい少女達はそのヒントを確実に拾ってくれる。
「弓の射程伸ばす技術もってたんだ」
「それに毒には詳しくないみたいだからとーぞくじゃないわね。はんたーかな」
♀ケミは心中ほくそ笑んだ。
多少なりとも警戒している者を作り話で騙し切ることは難しい。
だがそれが用意された話ではなく自分で導き出した結論である場合、頭のいい人間でも結構簡単に信じ込んでしまう。
たとえそれが間違った前提に基づく結論であっても。
誰しも他人の誤りには気付けても自分の誤りは認めたくないからだ。
彼女はもう一押しする。
「ハンターさんなら昨日の夕方、遠目に見かけました。でも違うと思うのですけど…」
「どうして?」
「1人じゃなかったんです。男女のハンターが1人ずつに、確かスーパーノービスの女の子が一緒でした」
「あのね」
♀マジが首を振る。
「♂ハンターと♀スパノビなら死んでるよ?放送は死んだ順で言うみたいだし、多分ほとんど同時に死んだんじゃないかな」
「ええ、可哀想に…」
「じゃなくてさ、ちょっとは疑おうよ。この島でハンターが2人居たら怖い相手なんて居ないだろ。それにボクならスパノビなんてほっといてハンターを狙う」
「はあ」
言っている意味がよく分からないという顔で曖昧な相槌を打ってみせると、グラサンモンクが説明するように呟いた。
「仲間を装って不意打ちか。あり得る話だ」
「そんな…」
ごく控えめに、ショックと言うよりは落胆の表情を作る。
少女とは言え女が3人もいるのだ。馬鹿だと思われるだけならいいが、カマトトぶっていると思われると以後の演技がやりにい。
特にこの子達はかなり頭が切れるようだし、と彼女たちの顔を見回す。
するとずっと黙っていた♀アコが突然しゃがんで子デザに話しかけた。
「ごめんよパトラッシュ。あたしにはもうよく分からないよ」
「ワフン」
例外は居たらしい。
♀マジが何やら達観した顔で♀アコに説明する。
「つまり女のハンター見たら要注意。誰かと一緒でもね」
「ん。わかった」
本当にそれでいいの、と逆に♀ケミがツッコミを入れたくなるぐらい素直に♀アコが頷く。
さらになぜか悪ケミまでうんうんと大きく頷きながら話し出した。
「じゃ、こっちの番。まずじこしょーかいね。私は悪ケミ。でそっちがしたぼく二号とその他おーぜい」
「ヒトの名前勝手に省略するな!」
「いーの。そこは大事じゃないんだから。でね…」
♀マジと♀アコの文句や自己紹介をBGMに、悪ケミと名乗った少女はマジックのキャップで地面に文字を書き出した。
最初は何を始めたのかと思った♀ケミも、次第に書かれる内容の重要さに引き込まれて行く。
盗聴。爆破の仕組み。位置確認の方法。そして反撃の手段。
(これは…すごいわ)
彼女は身体が震えだすのを止められなかった。
今後の選択の幅が一気に広がり、その選択権は彼女に与えられたのだ。
最後の1人になる可能性より反撃が成功する可能性が高いならそれに荷担してもいい。
上手く行きそうもないなら裏切ってもいい。
しかも戦闘力のない彼女が彼ら自身を殺す簡単な方法まで教えてくれた。
地図を奪い、クロスボウで禁止区域へ撃ち込むだけでいいのだ。
「ありがとう。私は♀アルケミスト、彼は♂スーパーノービス。よろしくお願いします」
彼女は心の底から新しい『仲間』達に感謝した。


<♀アルケミスト>
現在地:E-7
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外見:絶世の美女
性格:策略家
備考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪だくみ中
状態:各軽傷や矢傷は治療済

<♂スパノビ>
現在地:E-7
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲間を見つけたい
状 態:HPレッドゾーン、ヒールを受けてやや回復?意識は朦朧としている

<悪ケミ>
<現在位置:E-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<♀アコライト&子犬>
現在位置:E-7
容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-7
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
外見:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し

<グラサンモンク>
<現在地:E-7>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:負傷は治療、悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチ・♀ハンターを警戒>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)>

<残り16名>
389名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/03/04(日) 16:53:10 ID:j6me3H/o
チャプチャプと船底を水が叩く音が響いている。
ギィギィと船頭の漕ぐ小船は小砂利ばかりの川辺へと近づいていく。
男はフ、と一つ息を付くとジャリと音を立てながらその地へ降りた。
再びチャプチャプと静かな音を立てて小船は遠ざかっていく。

「死神も死んでしまえば只の人、か…」

♂クルセは自嘲気味に軽く笑うと自分の掌を見つめる。

「この手は汚れすぎている……願わくば…いや、叶わぬ夢か…」

死して尚、彼は救われる事はないのだろうか。
最愛の人の死。
救えなかった自分。
最後まで清らかだった彼女。
そして、最後の瞬間まで残酷だった神。
現世で死神と呼ばれた男は決して神に愛される事は無かった。
彼もまたその神を信じる事は無かった。
否、信じたくはなかった。

「神と言うのはどこまでも残酷だな…」

♂クルセイダーの頬を一筋の涙が通った。
現世では決して流れる事の無かった雫。
最愛の人は今如何しているのだろうか。
もう自分にはそれを知ることすら叶わなくなってしまった。
無力な自分とそれを知った現実に彼はただ涙した。

「ち…らしくない…らしくないな…」

♂クルセイダーはぐいと涙を拭うと彼方を見据える。
小砂利の川原に突き刺さっている一本の槍、それは彼が現世において相棒として扱っていた槍だった。

「さて…冥界の門とやらを叩きに行くか…」

死して尚、死神は戦い続けることを決意する。
神を許さない為に。
また、最愛の人に会う為に。

クルセイダー。
神に近しい存在であり、神に敬愛を受ける騎士。
神の啓示を代行し、また、来るべき聖戦へと備えるもの。
彼は最も神から遠いクルセイダーであり。
また、神に一番近いクルセイダーだったのかもしれない。
390名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/04(日) 16:55:33 ID:j6me3H/o
ものすごいお茶にごしを…。
特に題名は決まってないです、はい…。
色々と滅茶苦茶ですね…。
391名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/04(日) 22:18:26 ID:GdgL9Uos
とりあえず燃料投下しておきますね。

262 置土産、疑念、偶然(三日目・午前)

♂プリは走った。
負傷し、気を失っている♀ハンターとふぁるを担ぎながら。
元々は、♀ハンターとふぁるをミストレスから遠ざける為に逃げていたのだ。
だが、放送によりミストレスが死亡した事を知ると、安全だと判断して元いた場所に急

いだ。
(ミストレスが死んだんなら、あそこは安全なはずだ。早く戻ろう!)
度重なるヒールの使用、戦闘により疲労は溜まっているが、そんな事を言っている場合

はない。
少しでも安全を確保する為に、急ぐ必要があるのだ。
人数がかなり減ったとは言え、まだマーダラーが息を潜めているかもしれない。
その可能性を考慮すると、怪我人を抱えたまま単独行動をするのは危険と思ったのだ。

その意味では、♂プリの判断は賢明だろう。いや、正解である。
逃げる方向にマーダラーがいないとは限らないし、元いた場所が安全だと分かれば戻る

べきである。
しかも、彼が逃げる方向―南の方向に進んでいけば、ハンターを敵とみなしたPTがその

先にいるのだ。(もちろん、それを♂プリが知る由も無いが)
しかし、まだ誰も―GMですら知らない事実があった。
ミストレスの魔力を受け継ぎ、ミストレス程ではないが基本能力が向上しているパピヨ

ンがいるという事実を。
そして、そのパピヨンが高速で移動する人間の匂いを嗅ぎ取っていたことを。
そして、その対象が♂プリ・♀ハンター・ふぁるであったことを。
誰も予想など出来るはずもなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「北に向かいましょうよ?」
♀ケミの提案であった。
『さっきの放送から考えて、あの付近には何か秘密があるかもしれない』
『少なくとも襲撃されたF7には行きたくない』
この♀ケミ二つの意見と、
『J-6に怪しい灯台があって、調べてみる価値はある』
と言う悪ケミの意見である。
尤も、悪ケミの意見には♀ケミが猛反発したのだが、じゃあE6に行ってから考えよう、

ということで決まった。
尚、モンクのスキル『気奪』を利用して首輪を無力化する、という悪ケミの考えは危険

極まりない、という皆の猛反発にあって見送りである。
動けない♂スパノビは、グラサンモンクが担いでいる。

♀ケミは完璧に騙したと思っていた。
そして、♀ケミは自分の信用を得た、と思っていた。
しかし、実際は違ったのだ。
事実、悪ケミが筆談によるこの首輪の仕組みを説明している間も、♀マジやグラサンモ

ンクは♀ケミの様子を窺っていた。(尤も、♀アコや悪ケミは完全に彼女を信用してい

たようだが?)
平常時の♀ケミならば、自分が疑われているということを見破れたかもしれない。いや

、ほぼ確実に見破っていたに違いない。
だが、♀ケミは自分の信用を得、更に悪ケミの筆談の内容に引き込まれていた為、そん

な事は微塵にも思っていなかったのだ。
つまり、♀ケミは信用されているというのは彼女の単なる思いこみで、悪ケミ達を騙そ

うとして逆に騙されている、ということになる。
しかし、グラサンモンクも♀マジも思惑が一致しているわけではない。
事実、悪ケミは♀マジから新たに得た情報を元に、突破口をひたすら思案している。(

そのせいでよく石につまずいている)
グラサンモンクは彼女の雰囲気に疑問を感じ、本当に信用していいのか悩んでいる。(

しかし、表情には見せていない)
マジは移動中にしきりに♀ケミの胸やお尻辺りをじろじろ見ている。(♀アコにレズ疑

惑を持ち掛けられる)
少しずつ、突破口という光が見え始める一方、その光を不信・不安という影が覆い始め

ている。
392391sage :2007/03/04(日) 22:18:43 ID:GdgL9Uos
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
……びちゃ……びちゃ
…………ぐちゃっ!
気味の悪い、嫌な音が響く。
しかし、その音は誰にも聞こえることなく、虫や鳥たち鳴き声に混ざって不気味な協奏

曲を奏でるのみ。
死体を貪り、ただ本能のままに餌を食す。

ぐちゅ……ぐちゅ……

紫色の体に、無数の触手を生やしたそれは、寄生『虫』とは到底呼びがたい。
どちらかと言えば、寄生『磯巾着』というべきであろう。語呂は悪いが。

………ずるずる…ずるずる……

だが、陸上を問題もなく―ゆっくりとはいえ―進んでいることを考えると、両生類に改

良されているのだろう。
極めて成長が早いのだろう。一時間ほどで既に成体―と呼べるかどうかは怪しいが―へ

と成長していた。
死体に肉が無くなったところで、その生物は活動を開始する。
新たな餌を捕食するために。

偶然とはよく言ったものである。
まさか、♂ローグが痛みでのたうち回っている途中で寄生虫入りの保存食が少しだけす

り潰されていたとは。
そして、それが本人の微かな裂傷から入り込み、卵が孵化できる状態にあったとは。
しかも、その生物が餌の集まる西へ進路を取っているとは
なんとも皮肉な偶然であろう。


<♂プリースト>
現在地:E-6(E-7寄り)
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイト

スタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♀ハンターを抱え交戦地点へとUターン
状態:ヒールによりまた心身疲労、息切れ激しい、打撲傷複数、とりあえず根性で

<♀ハンター>
現在地:E-6(E-7寄り)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリ

デオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブ

ルストレーピング
備考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、♂プリに連れら

れ交戦地点へとUターン
状態:♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん、でも知らない人達ちょっと怖


   ミストレスと遭遇、JTによる負傷で気絶中

<ふぁる>
現在地:E-6(E-7寄り)
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点

を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇 ♀ハンターごと♂プリに運ばれてい


状態:JTによる負傷で気絶中

<パピヨン>
現在地:E-6
備考 :ミストレスの魔力を一部受け継ぐ、人間の匂い(♂プリ・♀ハンター+ふぁる)

を嗅ぎ取って追跡中、ノーマルより強い?
状態 :全快

<♀アルケミスト>
現在地:E-7
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ

) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外見:絶世の美女
性格:策略家
備考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪

だくみ中 E-6へ移動中
状態:各軽傷や矢傷は治療済

<♂スパノビ>
現在地:E-7
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲

間を見つけた? E-6へ移動中
状 態:HPレッドゾーン、ヒールを受けてやや回復?意識は朦朧?or気絶?

<悪ケミ>
<現在位置:E-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフ

ォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用? E-6へ移動中>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<♀アコライト&子犬>
現在位置:E-7
容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用? E-6へ移動中
状態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-7
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
外見:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに疑念 レズ疑惑 E-6へ移動中
状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し

<グラサンモンク>
<現在地:E-7>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓 したぼく二号 ♀ケミに疑念 E-6へ移動中>
<状態:負傷は治療、悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチ・♀ハンター

を警戒>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグ

ラサンモンクと表記)>

<寄生虫(寄生磯巾着?)>
現在位置:F-6
外見:大きい紫色のヒドラっぽいもの(ペノメナ?)
備考:♂ローグから孵り、捕食 両生類? 西へ移動中
状態:全快
393391sage :2007/03/04(日) 22:20:07 ID:GdgL9Uos
改行がとんでもないことになってますね_no
ほんとごめんなさい_no<もっと落ち着こうよ自分
394名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/05(月) 04:28:35 ID:jF4pa6ec
んやんや。面白いよGJ

最近動きが無かったから書き手もだいぶ減ったんだろうねぇ。
この機会に俺m(ry
395名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2007/03/05(月) 14:48:23 ID:mvzX68Ak
>>395
期待age
396名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/05(月) 21:42:45 ID:hBIMAKfA
>>395
期待sage
397名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/06(火) 00:15:46 ID:P39hVZz6
>>395 じゃあおいらも期待sage
398名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/06(火) 01:17:23 ID:3sOSsdaU
>>395 自分に期待するのか!w
とりあえず期待sage
399名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/06(火) 08:37:47 ID:iP5kswAA
とりあえず次ぎのスレどなたかお願いします
400名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/06(火) 09:16:06 ID:CeFs57/Q
立てておきましたよ。
【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1173139809/

では恒例の雑談タイムへどうぞ。
401名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/09(金) 10:09:11 ID:ISHxftYU
スレ立てお疲れ様です。

昨日WIKIで編集済みの作品を読んでましたが、♂アサと忍者と♂セージが
かっこいいなあ、と思っちゃいました。まあ、♂アサはロリの疑惑がありますが、
そこは目を瞑るとして、実は忍者抹殺の任務も与えられていたのかなあとか、
いまさらのように考えてしまっています。
♂セージはまだ生きているので、どうなるかは分りませんが、飄々としていて
ほしいですね。いわいるカッコいいではなく、味のあるキャラでいてほしいです。

最近全然書いていなかったですけど、そろそろ誰か書こうかなぁ。
402名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/09(金) 14:33:32 ID:VVcqN7Qg
>>401
超期待してます

今のところマーダラーはパピヨンと寄生虫?だけですかねえ。
候補に♀ケミ、♂騎士、♀ハンター辺り?
キャラの一点集中も見所かも?そしてそこから遠ざかっていくであろう未亡人+♂シーフ君コンビにも期待。
403名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/10(土) 00:48:53 ID:71gdGHZw
♀ハンターが目覚めた時どうなるかが期待・・・!

>>391
そういえば今更だが、寄生虫卵入りの食料は♀ケミが回収してるから、
♂ローグのとこに残っているのはおかしくないか?
404名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/03/10(土) 01:03:59 ID:Y.Ed6HQ6
>>403
「少しだけすりつぶされて」ってなってるから形はほとんど残ってたって事でいいんでないかな?
まあ♀ケミが持ってる中の最低一個は少し潰れてる&汚れてる&卵が入ってないって事になりますが。
…そしてWiki読み返して思った。
実は♀ケミって卵入り保存食のこと単に「菓子包み」としか認識してないっ!?
405名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2007/03/17(土) 01:54:50 ID:MoD68HRY
404は不吉な気がするのでage
406名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2007/05/11(金) 18:58:08 ID:aqULSV0Q
過去ログの4冊目のリンク先が
407SiteMaster ★sage :2007/05/14(月) 03:56:23 ID:???
>>406
修正しました。

全部 最新50
DAT2HTML 0.35e(skin30-2D_2ch) Converted.