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【絶望と希望の】バトルROワイヤル 八冊目【狭間で】

1名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 15:06:28 ID:8Rm192NE
ここはどんなスレ?

各職男女と無作為に選ばれたROのキャラクターが
生き残る為にバトルロワイヤルする様子を描いた
リレー小説を扱っているスレッドです。


・まとめサイト
ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/

・前スレ
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1132052401/

・萌え板全体のルールは此方
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/


書き手のルール

先ず一番最初に。
このリレー小説内では、各登場人物は生きている人間であり、
いきなり投げ込まれた現実に各人様々複雑な感情を抱いている事を肝に銘じてください。
完全に現実的に書く必要は皆無ですが、バトロワの死の気配というものを忘れないで欲しいです。

次に、書く前に纏めサイトで作品の流れを把握してください。
流れの中では先に発表された作品が優先します。
競り負けても泣かない。
但し、荒し煽りはこの中に含まない。
(前触れの無い突然の心臓停止や全員即死等)

もし、執筆を続けていく内で、致命的な矛盾を過去の自分の作品に発見した場合、
スレにて申告の上、速やかに修正作品を仕上げて下さい。
どうしても音沙汰が無い場合は他の書き手が修正せざるを得なくなりますが、
原則として本人がその作品を修正しなければいけません。

それから、一人の書き手が連投を続けるのはイクナイ!!
最低でも三日程待って見ましょう。
止むを得ず連投する場合は、スレで意見を聞いてみると尚goodです。

本文の内容についてですが、RO内の設定と言うよりも、文章での説得力が重視されます。
但し、リレー小説という形式上、何よりもまず、キャラクタ間でのバランスを崩し過ぎないように気をつけてください。

作品の一番最後にはそれに登場した人物の
<氏名、所持品、死亡等の状態>及びに死亡者が出た場合<残り○○人>という表記をお忘れなく。
任意規定ですが、登場した人物については1)これまで描かれたプロフィール、2)これまで描かれたスキルを
下記の書式で記入していただけると更にgood.

<例:♂アコ>
1…描かれたプロフィールをその都度追加
 ・髪:呪いのカツラで逆毛に変更<023話>
 ・口調:wWw<023話>
 ・性格:少々潔癖、説教癖、不幸<071話>

2…描かれたスキルをその都度追加
 ・ヒール<065話>
 ・殴りアコ<071話>

最後に書き手の方は、現段階ではコテハンを名乗る事はご遠慮ください。
2名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 15:07:26 ID:8Rm192NE
読み手のルール

叩き荒しはスルー推奨。反応は彼等の栄養源です。放置して枯死した後で削除依頼を。
又、過剰な擁護やNG議論も荒しの同類です。出来る限り自重していただけると幸いです。
もし、読み進めていく内に、作品内に矛盾を発見した場合、遠慮なく速やかに申し出てもらえると幸いです。

面白い、と思ったときには積極的に感想を。
首を捻った時には積極的に批評を。
又、暇だなーと思った時なんかは遠慮なく雑談を。
勿論、イラスト、まとめテンプレ、まとめサイト編集さん。
それぞれ大歓迎です。

感想は書き手の活力に、批評は書き手の技術向上に、
雑談は常にネタに飢えている書き手にとって格好の息抜き(兼、ネタ探し)になります。

勿論、読み手から書き手への転進も歓迎です。
その際の留意点は書き手のルールを参照してください。
3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 15:08:15 ID:8Rm192NE
◆◆バトルROワイアル2 ルール◆◆

登場人物

ノービス+一次職+二次職(スパノビ含む)の男女四十名+特別枠十名
以上の五十名。

但し、以下の規定があります。
一次職、二次職、ノビ、スパノビは固有の名前をつけないこと。

特別枠は良識の範囲において、
ゲーム内部、萌え掲示板、LiveROのどんなスレ、場面からでも出演者を選出してよい。
余りにチョイ役の名無しや知名度の低すぎるキャラクタ、盗蟲、ポリンなど知能を明白に持たない者、荒し目的の出演者は含まない。
但し、出来うる限り前回のバトROワに未出演の人物である事が好ましい。
NPCもこの範囲に含む。
出典はNPC、mob、小説、スレを問わないが
スレ、小説の場合は同じ出展元からは原則二人までの出演とする。
また、特別枠十名の内訳はNPC枠、その他枠(mob、他小説・スレキャラ)にそれぞれ三名分の最低人数確保枠を設ける。
残りの四名分はどちらのものとして消費しても構わない。

それぞれの出演者で通常の冒険者については、髪形、外見などについては最初に執筆した人物の選択による。
但し、ピクミン、おにぎりetrなどと言った叩き目的が客観的に明白である場合、
執筆した者はその事に対しての異議へ正当な反論をする事を要す。
それをしない場合は、その話で語られたキャラクタの外見はNGであるとして無効であるものとする。
但し、作品を通じてその反論とする事も可能だが、その場合は相当程度の説得力が必要であるとする。

追加事項として、同じ髪型は原則として大量に氾濫してはならない。目安としては最大で三名まで。
イメージが被る為に同系統の職、例えば騎士-クルセなどでは別の髪型が望ましい。
更に、ドットの髪型は基本的に参考程度であり、執筆による説得力とスレ内部の同意が得られれば、
モヒカン、スキンヘッド等も可である。但し、その取り扱いには注意を要す。
また、ストーリー上の髪型の変更も可である。但しこちらも、その取り扱いは慎重に行うこと。

キャラクターの性格については、話の流れ、及び個々の執筆者に一任する事。
但し、執筆側は、それまでのキャラクタの性格について熟知するべし。

出演者は、前回同様その能力について制限を受けているものとする。
例えば、ヒールは止血や実際の治療の助け程度の効力しか無く、リザレクションは無効であり、
ファイアーボルトやあらゆる大魔法、モンクのスキルについても、それのみで殺害できる程の威力は失われている。
Mobやその他特別枠出演者についても同じであり、更に彼等は超人的能力を有する場合、普通の冒険者と同等程にそれは低下している。

また、カプラさんは、アンソロなどで見られる様な超人的能力を有するのではなく、
一般人、或いは一次職と同等(生涯一次は除く)くらいの能力であるとする。
精錬工の面々については良識に任せるけれども、彼らは直接的に武具を破壊する能力は持っていない。
又、二次職を超える様な戦闘力も持ってはいない。

ポタ、テレポについては参加者は使用は原則不可能。
インティミデイトについても、仕様変更に伴い、テレポート機能は無いものとする。

スキルに関する規定は以上に書かれたものであるとする。


舞台

マップがまとめサイトに上がっている事から、亀島に似ているが違う島である。
上がっているマップ自体にはまだ何も地形や設備が書き込みされてはいないが、
これは、執筆が進むにつれて順次設備などが記載されるものとする。
(例えば、家屋や市街地、灯台、教会、百貨店や廃墟など。但し、進行の都合上自由に出入り出来る地下洞穴は存在しない)
その広さについては、50人の人間が動き回るのに狭く無い程度である。
尚、全力で移動すれば、数時間程度で中央から島の端まで移動が可能である。

魔法発動時の音響については、至近〜やや中距離程度までならば響くが、
島の端など、余りに離れている場所であれば聞こえない。
気候については、書き手の便宜上、元祖バトロワに準じ日本の初夏程度とする。

そして、舞台に伴い放送に付いては、午前十時を基準として朝夜一回づつ放送されるものとする。
又、転職については、そもそも転職の舞台は島の中に存在せず、各職業ギルドの認証も得られない為、不能である。
但し、これはゲームのRO内部で一般的な『ノビ=>一次、及び一次=>二次』といった転職を示す意味での言葉であり、
例えば、各キャラクタの成長を示す演出的な効果における『転職』は含まないものとする。

原則Wis、ギルドチャット等については、これはゲーム内部での便宜的な機能であり、バトROワ内では存在しないものとする。


支給品

開始時手渡される鞄の中身には主に

支給品(武装or防具orハズレetcが入った青箱を模したケース)が二つ。弓の場合は通常の矢も付いている。
水、食料、大まかな地形だけが記された地図(前述まとめサイトの地図参照)、コンパスが入っている。
また、ランダムで5名に特別支給として古いカード帖が配られる。
ただし、当たりアイテムとはいえカード帖の中身も全て有用なカードとは限らない。
各出演者が元々所持していた武器防具や道具等に付いては取り上げられてしまっている。

又、この劇中においては登場人物はどんな武器防具であろうと使用する事はできるが
本職が用いるのに比べれば、扱いなれていない為に、普段使用する武器と異なった種類であるほど威力や命中率は落ちる。
(例:騎士はカタールならば多少は使えるが、弓に関しては鈍器として使わざるを得ない、など)
但し器用さが高い人間については、ある程度まではどんな武器でも使用する事が出来る。
長柄や斧に付いては器用さ以外にも筋力が必要となる。
更に宗教上の理由から殺人者でない、狂っていない、特別な事情の無いアコライト系に限っては刃物で戦闘は出来ない。
防具の効能は現実的に考えて頂けると幸いです。

また、完全にキャラクタ間のバランスを崩壊させる装備については、入手を禁止とする。
(神器全般や有効すぎる廃装備)

カードについては、特別支給のカード帖から得る他に、既にカードが刺さった武器防具か、
特別枠のmobの死亡、殺害によって出現、入手する事が可能である。
但し、後者については作者は進行と流れの都合上、執筆の前に十分な熟考をする義務を負うものとする。


主催

ミッドガッツ王国主体の非人道的イベントであり、国法のもと運営されている。
また、開催に関しては国家の他各職業ギルドも秘密裏に協力している。
詳しくはまとめサイトのプロローグ参照。

彼等が使用しているのは、前回と同じく外せば即死の呪いの首輪であるが
爆発力については、本人のみが死亡する程度である。前回ほどの威力は無い。
開始時には、彼等からルール、目的、勝利条件等が告げられる。
その辺りの細かい規定は第一話の作者とその後の流れによる。
4名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 15:09:23 ID:8Rm192NE
追記

 【連投規制A】 投下は1日1本(1採用)まで
 【連投規制B】 書いたことのある人物が含まれる話を書く場合は、該当する前回投下日から中2日開けてから
※規制B発動中も、規制Aに触れなければ関係ないパートを投下可能
※NG話、アナザー・番外編については連投規制はA・Bともに適用しない。


議論について

422 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/15(火) 19:13:13 ID:bK71eV2.
議論は薬だ。多すぎると投薬された相手を殺すことになる
だからほどほどにな


サブタイトル横の時間表記と最下部の状態欄について

296 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/11/25(金) 19:07:19 ID:FmGMqShU
>>293
任意だから義務じゃないんですが、まとめ時や続き書く時に便利なので
次から他の人のようにタイトル横の時間と最下部の状態欄付けてもらえたらやりやすいなと思います。
逆にF6惨劇部隊のように大人数の場合はその時だけ簡潔に書いてもいいかと。
5名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 15:38:49 ID:NrGcmEMo
スレ立て乙
6名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 21:33:19 ID:JLPsCPY6
>>1
前スレのアドレスが六冊目のアドレスになってるな。
特に問題は無いと思うが。
7名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 22:39:13 ID:AzzqvA9w
スレたて乙
前スレッド340氏のレス転載しておいたほうがよくない?
8名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/19(日) 23:03:33 ID:Jxot2ArU
前スレ340氏のまとめ

あるキャラ(およびグループ)の話のみが進むことで問題になるのは、
・そのキャラに対する他のキャラからのリアクションが制限される
ex)夜の時点で無傷なキャラに、昼の話として戦闘で負傷させることはできない
・同様にそのキャラの行動を通じて他のキャラの状態が制限される
ex)あるキャラが夜に♂Wizと出会ったとしたら、♂Wizは夜まで生存しなくてはならず
  しかも夜にはその場所にいなくてはならない
・特に定時放送をはさむ場合は死亡者および禁止区域の問題で整合性が取りにくい

上は極端な例を挙げたが、時間軸の整合性が絡むと大抵問題が発生する。
しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。

明確に制限事項とするのではなく、自粛事項程度にしておくのがいいのではなかろうか。
・物語全体の時間軸の整合性に配慮して、特定のキャラの時間を進めすぎないこと。
・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
 制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。
・この物語に明確な「主人公」は存在しない。えこひいきとならないよう配慮すること。

以上のこともWikiに追加しておきます
9名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/21(火) 10:26:58 ID:WSdM1HCM
185 紫色と桜色 [2日目夕方〜夜]


「……答えを、出せぬか?」
女王蜂の囁くような声が、どこか遠くから聞こえてくるように♂ハンターには思えた。
何もかも甘く融かされるような感覚。それに溺れてしまえればどんなに楽か。
だが、♂ハンター自身にもわからない何かが、彼の心をなんとかその場に留まらせていた。
「ここまでかたくなな男がおるとはのう。ただ単に純情なのか。
 それとも……あの娘への想いが強すぎて、我との情交に抵抗を感じているのかや?」
ミストレスの言葉に、♂ハンターは何も返すことができなかった。
♀アーチャーと再び会えるかもしれないのに、彼女を拒む理由。それが彼自身にもわからないのだから当然だった。
もっとも、甘い感覚の中で、微かにミストレスではない誰かの声が聞こえた気はしていたのだけれど。
そのおぼろげな『誰か』が、自分を引き戻してくれたのだろうか、と彼は思った。
「面白い男だのう。我の誘惑に応じなかった者などはじめてじゃ。
 その実直さ、ほんに愚かじゃが……嫌いではないぞ……?」
しなやかな腕が♂ハンターの体から顔に伸ばされる。
次の瞬間、♂ハンターは唇に触れる柔らかな感触に目を見開いた。

自分がわからなくなりそうだ、と彼は思った。
舌が絡みつく感覚は、そのままミストレスという存在が自分に絡みついているようで。
唇を重ねたまま、彼女が甘い声を漏らす。それは脳を痺れさせるような感覚を彼に覚えさせた。
しばらくして唇が離れる。目を見開いたまま固まる♂ハンターの前で、彼女は濡れた唇を妖しく舐めた。
「ふふ……我もおぬしに恋をしてしまったのかのう?」
「ふざけたことを…っ」
♂ハンターは苛立った。彼を嘲るかのように笑うミストレスも、動揺を隠せていない自分も嫌だった。
彼の険しい表情にひるむことなく、彼女は艶やかに彼を見つめた。
赤い瞳が彼に問う。本当は我が――この娘が欲しいのだろうと。

「ふざけたこと、か。ふふ……あながち冗談でもないぞえ? おぬしの気が変わるのを楽しみに待っておるぞ」
ミストレスが彼に背を向ける。紫の長い髪が、ふわりと風に舞う。
それを見て、♂ハンターは意識を引き戻した。目の前の少女はミストレスであって、♀アーチャーでは決してないのだと。
「お、お前……!」
「心配せずとも、またおぬしの望むときに巡り会えようぞ。なにせ、おぬしは我の王子様なのじゃからのう。
 まあ、死ななければの話じゃがな。我を――あの娘を愛しく思うのなら、生き延びてみよ。ふふふ……」
美しい髪を靡かせながら、ミストレスが歩きだす。♂ハンターはただそれを呆然と見送った。

立ち尽くす彼の前に、突然桜色の髪の『彼女』が現れる。
彼女はむっとした顔で、唇を指差す。慌てて唇を拭う♂ハンターに、彼女は柔らかな笑顔を向け――消えた。

しばらくして、♂ハンターは力が抜けたかのように木の下に座り込んだ。
焼きついたかのように、♀アーチャーの幻影が頭から離れない。

――俺、何やってるんだ。
せっかくミストレスに追いつけたのに、あいつに振り回されて終わるなんて。
あいつの誘惑に乗れば、♀アーチャーの心を、一時的に開放してくれる、だって?
馬鹿な俺。俺が望んでいたのはそんなことじゃなかったはずだろう。
少しの間だけでも会いたいとか、そんなんじゃない。彼女をミストレスから救い出すことだったはずだ。
……俺は、♀アーチャーがどうやったら戻ってくるかなんて、何も考えてなかった。
だからミストレスの誘惑に堕ちかけたのか?

そんなの、単なる言い訳だ。
ああそうさ、俺が男だからだ。♀アーチャーの顔で、あんなことされたら流されるに決まってる。

そこまで考えて、♂ハンターはひとつのことに気づく。
「……俺、あの子のことこんなに好きだったのか」
他の人間が聞いたら何を今更、と言われるようなことを彼は呟いた。
だが彼は今まで、危険を冒してまでミストレスを追う理由とも言うべきものを図りかねていた。
王子を気取っておきながら、彼女を守れなかったことからくる後悔からか。
それとも、いつしか彼女に惹かれていて、純粋に彼女を取り戻したいと願っていたからか。
(馬鹿だな、俺……)
雨はとうに上がり、茜色だった空もいつしか暗く日を落としはじめていた。
涙のような雨といい、この空は自分の心を代弁しているつもりなのだろうか、と彼は苦笑した。
彼が力なく、大木に背をあずけようとしたその時だった。

「♪Hey boy! キミキミ・ひとりで・Why Why? ずぶぬれ・風邪ひく・Bad Bad!♪」

暗く沈みかけた彼の思考は、突然聞こえてきた謎の言葉によって遮られた。


+++++


……俺は、ジルタスを殺したモンクを探していた。
そして、今目の前にいる人間は、気弾を身に纏っていることからしてモンクだろう。
……だけど、なぁ。これは違うだろう、いくらなんでも。

立派なアフロを頭に乗せたモンクを、♂ハンターは呆然と見つめていた。
彼が呆気にとられているのに気づいたのか、アフロの男の傍に立っていた騎士の女性が慌てて口を開いた。
「あ、あの。♂モンクさんはですね。こんなところで、ずぶ濡れでひとりでいるなんてどうしたんだ、と言ってます」
「い、いや。そうじゃなくて……彼、何?」
「♪何とは・失礼……」
「♂モンクさんは少し黙っててください」
口を開きかけたのを♀騎士にぴしゃりと制され、♂モンクはしょんぼりと肩を落とした。
(あー、やっぱこの人たちじゃないだろうな……)
殺伐とした状況の中で、場違いともいえるほどほのぼのとした二人。
そんな彼らを見て、♂ハンターは二人がジルタス殺害に関わっているかもしれないという考えを、改めて無くしはじめていた。
10名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/21(火) 10:27:49 ID:WSdM1HCM
「はあ、なるほどね……」
落雷に打たれたらまともに喋れなくなり、このようになってしまったという事実。
それは現実離れしすぎていて、にわかには信じられないものではあったが。
まじめそうなこの騎士の女性がそう言っているのなら事実なのだろう、と♂ハンターはそれ以上深く考えるのをやめた。
「♪そ・れ・で・Why・君は・ひ・ひ・ひとりで♪ し・し・死ぬかも・Dead or Arive?」
「一人でいたら死ぬかもしれないのに、どうしてわざわざ一人でいて、これまで生き残っていられたのか教えてくれって言ってます」
「うん……俺も、彼の言いたいこと大体はわかってきた。通訳できる君はすごいと思うけど」
二日目も夜になろうとしているこの時間に、ただ一人で生き残っているということは普通ではありえない。
仲間と共に行動していたが、死に別れたか。あるいは――殺人者であるか。何にせよ選択肢は少ない。
普通の人間なら、雨の中行動するということはあまり無い。疑われるのも無理はない、と♂ハンターは思った。
事実、はじめに彼に近づいてきたときも、ふざけた口調ながら♂モンクは警戒を怠ってはいなかった。
外見や口調とは裏腹に、彼は冷静で用心深い人物であるということだろう。

「はじめから一人だったわけじゃないよ。仲間がいた。でも色んなことがあって……今は一人になった。
 それから俺は、ある人物を探していた。……雨の中でもね」
そこで一旦言葉を切ると、♂ハンターは顔を上げ、二人の瞳をしっかりと見た。
「俺は殺人者じゃない。誓ってもいいよ」
はっきりとした彼の言葉に、二人は顔を見合わせた。
「私は……信じていいと思う。♂モンクさんはどう?」
しばらく♂モンクは考え込む。が、彼は自分の勘を信じることにした。
♂クルセイダーの時感じた不安を、♂ハンターには感じない。何よりも、嘘をついている目ではないと思えた。
「……♪OK! 澄んでる・瞳に・Believe you!♪」
どうやら信じてもらえたらしい、と♂ハンターは安堵した。
二人ともお人よしだな、とも思う。もっとも彼の場合、人のことは言えないのだけれど。

和やかな雰囲気に♂ハンターは気を緩めかかったが、心にひっかかったものがあるままではそれはできなかった。
あまりしたくはなかったが、それでも聞いておかなければならないことが彼にはあった。
もちろんそれは――ジルタスの死亡に彼らが関わっていたかどうか、だ。

「一応…こっちも聞いておきたいことがあるんだ。……仮面を被った女性と会ったことはあるかい?」
「ない…と思います。私たちは島に送られたすぐ後くらいから一緒にいますけど、私たちが会った人はあまり多くありませんから。
 クルセイダーの男性と……剣士の女の子の二人だけ、ですね。その子も仮面なんか被っていませんでしたし」
剣士の女の子。その言葉を口にしたとき、♀騎士は顔を曇らせた。
♂モンクも苦い表情をしている。その髪型には似合わない表情ではあったが、それを笑えない雰囲気がどこかにある。
(♀剣士は、たしか放送で呼ばれていたな。この様子からして、彼女の死に二人が関わっているのかもしれない)
だが二人の表情を見れば、それは望まぬことであったのだろうとは♂ハンターにもわかる。
(ジルタスにはモンクがつけた傷以外の外傷はなかった。つまりジルタスを殺した時点で、モンクは一人だった可能性が高い。
 二人はその前から一緒にいたようだし、嘘をついてる様子もない。
 何より、人を殺したことでこれほど傷を負ってる人たちが、進んで襲ってくるわけでもないジルタスを殺すなんてことはできないだろう)
結論――二人はジルタスの死亡に関わっていない。♂ハンターは俯き、ため息をついた。
犯人を見つけたわけではなかったことを残念に思う気持ちと、好感を持ってしまった人間が犯人でなくてよかったという安堵。
その両方が、彼の心中にあった。

「もしかして、その女性を捜されてるんですか?」
♀騎士の言葉に、♂ハンターははっと顔を上げた。
「いや、そういうわけじゃないんだ。……よけいな誤解を招く前に言っておくよ。
 俺は二人の人間を捜していて――その一人が、仲間だったその女性を殺した犯人だった。
 大丈夫、もう疑っちゃいないよ。むしろ、少しでも君たちを疑ったことを許してほしい」
「や、やめてください! 私たちもはじめ、あなたを殺人者じゃないかって疑ってたんですから」
彼が頭を下げると、♀騎士が慌ててそれを上げさせた。
「♪So-So! 俺たち・お互い・Summer!♪」
びっ!と親指を立てながら、♂モンクが言う。思わず♂ハンターも笑みを零した。

「あの……私たちと一緒に行動しませんか? 人捜しのほうもお手伝いできると思いますし」
遠慮がちに問う♀騎士に、♂ハンターは残念だけど、と首を横に振った。
「俺が探す相手は普通じゃないから……危険が伴う。俺は誰も巻き込みたくないし、そのために仲間と別れてきたんだ。
 だから目的を達成するまで、誰かと一緒に行動する気はない。でも、君たちの気持ちは嬉しいよ。ありがとう」
「……でもせめて、夜の間は一緒にいたほうがいいと思うんです。一人では危険ですから」
「そうだな……俺も、今日はこれ以上探しに行く気はないから……」
ミストレスと遭遇しながらも、何もできなかったという事実は♂ハンターを打ちのめしていた。
♂ハンターの暗い表情を見て、♀騎士は思う。
何があったのかはわからないが、きっと彼は今、何よりも自分自身を憎み、その思いに沈んでいるのだろうと。
自らも同じ思いを抱いたことのある彼女には、それがわかった。

(俺には、もう少し時間が必要だ。ごちゃごちゃした頭の中整理して……また、しっかりしなきゃな。
 このままの情けない俺じゃ、♀アーチャーを取り戻すことなんてできやしないだろうから)
あいかわらずのおかしな口調で♀騎士に話しかける♂モンクと、わかりにくい言葉を、うまく噛み砕いて返している♀騎士。
そんな微笑ましい様子をぼんやりと眺めながら、♂ハンターは思った。
腰に下げた短剣に視線をおとす。姫の名を冠するそれは、♀アーチャーの遺品とも言うべきものだ。
♂ハンターの脳裏に、紫色の髪の女王と桜色の髪の少女が、交互に浮かんでは消える。

♀アーチャーが消えたとき、あんなに悔やんだのに――俺はまた、何もできなかった。
彼は静かに拳を握りしめた。憎いのはミストレスではなく、自分だった。


<ミストレス>
現在地:E-6から移動
容姿:髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー
備考:本来の力を取り戻すため、最後の一人になることをはっきりと目的にする。つまり他人を積極的に殺しに行くことになる。
   なんらかの意図があって♂ハンターを誘惑。その理由は不明

<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ
状態:麻痺からそれなりに回復(本調子ではない) ミストレスと、ジルタスを殺したモンクを探すために動く。
   後悔に苛まれ、やや混乱している

<♂モンク>
位置 :E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見 :アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊
備考 :ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 ♀騎士と同行

<♀騎士>
位置 :E-6
所持品:S1シールド、錐
外見 :csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考 :殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えない ♂モンクと同行
119sage :2006/03/21(火) 10:36:54 ID:WSdM1HCM
8冊目一番乗りはいただいたぜ!(σ゚∀゚)σ
色気のない私の文章で、エロミストレス様を書くのは無謀だった気がします。
♂ハンタとミストレス様の(ryを見たかった人はごめんなさい(このスレじゃどっちにしろ無理だけど)
アフロモンクのラッパー口調もムズカシイヨー

まだあまり進んでないのはレバ刺しグラリスさんと、雨宿り場所を捜してるスパノビハンタ姉妹かな?
グラリスさんは傷のこともあるし、その場で休息をとってるのかもですが。
12名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/21(火) 11:28:34 ID:IussnOvw
Rapperキター!!
ぐっじょぶです
13名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/21(火) 11:55:17 ID:KsV6D9hU
女王様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!
むしろミストレス様に恋をしてしまいそうだよ…
14名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/21(火) 13:47:38 ID:mySy.cGo
スパノビハンタ組も、次の描写を見つけた雨宿り場所からにすれば話は進められるかな。
個人的にはそろそろ定時放送入れてもいいようなタイミングだと思う。

それはそうと♂ハンタに主人公補正かかってきた?(*゚∀゚) =3
応援してた彼だけにちょっと嬉しい、♂ハンタがんがれ超がんがれ
書き手様GJ!! DaDaDa
15名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 04:28:30 ID:KTeJWp7c
 目の前には死に体を晒した一組の男女がいる。
 一人は僕の父。
 もう一人は僕の母。
 僕にはどちらかしか助けることは出来ない…。

185 The Cold Equations

 目の前には死に体を晒した一組の男女がいる。
 一人は、以前出会いながらも道を違えた♂騎士。全身に無数の傷を負って血の海にその身を横たえている。ちょっと見ない間に痩せこけた頬も、細かく震える紫色の唇も彼が逃れられない死神の手につかまっていることを明白に示している。それはいくら止血をしても換わらない事実なのだろう。
 もう一人は、この島に来てからずっと一緒に行動してきた♀ウィザード。♂プリーストの手によって止血されたとはいえ手足に走る裂傷が痛々しい。が、それ以上に痛々しいのは全身をくまなく覆う無数の凍傷だ。間違いなく
冷却系の大魔法ストームガストによるものだ。こちらもどうして生きていたのか不思議なくらいの惨状を呈している。
 そこまで考えて、♂シーフは思考の方向を変えた。逆に生きていたほうがつらい現実というものがある。縁の深い人間は死ぬとわかっていても治療に手を尽くさなくてはならない。そして死に水を取るまで、あるいは埋葬をするまでその場に残らざる得ない。最高の足止めだ。
 惨状を目にするなりへたり込んでしまった♀商人はもとより、手当ての終わった♂騎士のそばから離れようとしない♂アルケミストも、♀ウィザードの手当てに翻弄される♂プリーストも何らかの決着がつくまでは決して動けないだろう。ただ一人、この男を除いては。

「♀ウィザードさん、なにか、伝えておかなくてはならないことはありますか?」

 麻痺してしまった感情の中で♂セージの声が無情に響く。この人は、この状況でも感情を動かしていない。片膝をつき、口付けを交わせるような距離まで顔を近づけても眉ひとつ動かさない。死に逝く女からただ情報だけを引き出そうとしている。
 逆にその感情を一切はさまない態度を信頼したのか♀ウィザードは無理やりに笑みを作ると、彼女の戦いの顛末を言葉少なに語った。

「…♂騎士さんの相手…♂クルセイダーは、何とか、撃退…しました」
「ええ、知っています。あなたの相手は、ウィザードですね?誤解されたのですか?」

 ♂シーフたちが♂プリーストに追いつき帰りが遅い♀ウィザードを探し始めたとき、彼女を最初に見つけたのは♂セージだった。だから、戦闘のあった場所の様子からある程度何が起こったか気づいていたのだろう。
 荒い息の下で♀ウィザードは軽くかぶりを振る。

「……いいえ…あの人は、…決して諦めない…そして、決して…相容れることも…できません…」

 ♀ウィザードは何を思い出そうとしているのかいったん目を閉じる。その様子に肝を冷やした♂プリーストが治癒の呪文を唱えるが、声には覇気がない。♂シーフと、♂セージと、そこに横たわっている♂騎士と、♀ウィザードと。今日一日ですでに四人。能力が制限されるこの島で、四人もの人間の治療は殴りプリである彼にはかなり荷が重いはずだ。その証拠に額には脂汗が浮き出ているし、顔色だって青いを通り越して土気色になっているではないか。
 自身のことを省みずにヒールを続ける♂プリーストを慈しむような目で♀ウィザードは見つめて、胸元からロザリオを取り出すとその無骨な手に握らせる。それで、♂プリーストはもうヒールを使えなくなった。♀ウィザードがもう助からないことを実感しまったのだ。
 ♀ウィザードは深く息を吸ってはっきりとした言葉を口にする。まるで最期の言葉のように。

「♂ウィザードは彼の目的のために殺人を犯し続けます。
 けれど、その道は修羅の道です。何とか、とめてあげてください…」

 ほぅ、と息をつくと彼女は消え入りそうな声で言う。

「…少し、…眠たいの…。寝かせて…もらっても……いい、かしら?」
「ええ、どうぞ。眠り姫の不寝番は私たちでしますから、どうぞいい夢をみてください」

 こんなときにも軽口を叩く♂セージに感謝しながら彼女はゆっくりとまぶたを閉じる。まぶたを閉じながら最後まで彼女が見つめていたのは、顔や態度は似ても似つかないくせに一本気なところは夫とそっくりな♂プリーストの姿だった。

「♂セージ、♂アルケミスト!何とかならねぇのか!」

 ヒールの乱打に疲れ果てた♂プリーストが怒鳴る。まだ生きている、だのに手の施しようがない目の前の現実に牙をむくように怒鳴る。

「凍傷や火傷、失われた血液、それに自身の力で治してしまった傷跡がヒールではどうにもならないのは、
 貴方が一番よく知っているでしょう?そういったものを治すのはアルケミストの領分です」

 今にも暴れだしそうな勢いの♂プリーストをなだめつつ、♂セージは♂アルケミストへと話を振った。

「できるものならやっている!俺だってもう目の前で人にしなれるのはいやだ!
 この人だってあんたらにとっては大切な人なんだろう?助けられるもんならとうの昔に助けてるさッ!
 俺には何もないんだ…、白ポーションも白ハーブすらない…。
 ポーションがなくちゃ俺には何もできないんだ…。こんな傷、イグドラシルの実があれば一発だってのに…」

 はたと、顔を見合わせる一同。それは盲点だ。
 神の奇跡で癒されない傷でも世界の中心たる世界樹、その実という最上級の神秘ならば簡単に癒せるだろう。

「♂プリーストさん、貴方、箱の中身は」
「ゼロピと頭の上のもんだ。そういうてめぇはその短剣となんだ?」
「非常に無粋なものですよ」

 そう苦笑交じりにいって♂セージは自身の荷物から麻袋を取り出すと♀商人の前に放り出した。おずおずといった動作でその中身を確かめた♀商人はその本能から一瞬顔を輝かせ、すぐに泣き出しそうな表情になる。

「これ、このゼニー一体いくらあるの?」
「途中で数えるのやめました。100万ではきかないでしょう」
「……この殺人島で大量の金たぁ、GMもやることがえげつねぇな」
「…ああ、使えもしない大量の金を抱えて死ねってことだろ…
 どうやったらそんな悪趣味なこと、考え付くんだ?」

 首都を主な戦場にしていた♂アルケミストも♂プリーストの言葉に同意する。けれど、♀商人はこの金の使い道について心当たりがあった。だから、言う。

「このお金、わたしが預かってもいい?ほら、動きの邪魔だし、わたしにはカートもあるし…」
「どうぞ、貴女が一番有…」
「ああ、そんなこたぁどうでもいい!♂アルケミスト、お前はどうなんだ?」

 ♂セージの答えも待たずに♂プリーストは荷物検めの矛先を♂アルケミストに向けた。

「馬鹿かあんた!俺がそんなもの持っていたら真っ先に使ってるだろ!」
「あ。すまねぇ……」
16名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 04:29:09 ID:KTeJWp7c
 喧騒の中、♂シーフは呆然としていた。
 これは、なんて悪夢だろう。
 彼は思い出す。自身が両親と死に別れた日のことを。その日は天気のいい日だったと思う。母と二人で父の帰りを待っていた彼は突然、母にベッドの下へと押し込まれた。家への闖入者は一人、その男は母を切り刻むと運悪く帰ってきた父も切り刻んだ。そして、家の中を探し回り彼を見つけると下衆な笑いを浮かべてこう言った。

『坊主、親父は好きか?おかんは好きか?だったらこの実を使って傷を癒してやりな』

 小さかった手に渡されたのはずっしりと重いイグドラシルの実。

『ただし、助けられるのはどっちか一人だけだ、よぉっく考えな!』

 そういってその男は、殺人鬼は去っていった。
 後に残されたのは♂シーフと瀕死の両親。そのどちらかの命をつなぎとめることのできる万能の傷薬。
 彼は、
 考えて…。
 考えて考えて…。
 考えて考えて考えて…。
 そして、どちらともを殺してしまった。
 両親は彼がどちらを助けるべきか考えている間に息を引き取ってしまったのだ。
 歳以上に聡い彼だからこそ陥った罠ともいえる。彼の精神年齢がもっと低かったのならば、感情に任せてどちらかにイグドラシルの実を使っていただろうからだ。

「おい!おい♂シーフ!しっかりしろ!お前の青箱の中身はなんだったんだ!?」

 ♂プリーストの切羽詰った声とがくがくとゆすぶられる感覚が彼を現実へと引き戻した。
 ああ、悪夢じゃないのかと思い、そして、震える唇を動かして何とか現状を動かす言葉を口にする。

「…あります、あるんです、イグドラシルの実」

 実は♂シーフはこのゲームが始まってすぐ青箱の中身を確認していた。それが武器や防具でないことを確認して、♂プリーストに発見されるまでずっと隠れていたのだ。

「すげぇぞ、おい!
 だったらなんでもっと早くいわねぇんだよ!♀ウィザードも♂騎士も助けられるじゃねぇか!」

 満面の笑みで肩をバンバン叩く♂プリーストと視線をあわせるにあわせられず♂シーフはぽつりと言う。周囲のみなもきっと安堵の吐息を漏らしていることだろう。だけど、言わないわけにはいかない。

「…………ないんです…」
「なんだって?」

 かすれるような声がよく聞き取れなかった♂プリーストがもう一度♂シーフの言ったことを聞こうとする。全員の視線が集まる中、♂シーフは血を吐くような声で叫んだ。

「一つしかないんですッ!!」

 目の前には死に体を晒した一組の男女がいる。
 一人は♂騎士。
 もう一人は♀ウィザード。
 僕にはどちらかしか助けることは出来ない…。

<♀WIZ>
現在位置:D-5(集落)
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー 案内要員の鞄(DCカタール入)
    島の秘密を書いた聖書、口紅
外見特徴:WIZデフォの銀色
備考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフと同行 ♂クルセイダーを殺そうと、彼を追う
状態:重度の凍傷により瀕死

<♂プリースト>
現在位置:D-5(集落)
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考:殴りプリ ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
状態:極度の疲労

<♂シーフ>
現在位置:D-5(集落)
所持品:青箱(開封済み)、イグドラシルの実、多めの食料
外見特徴:栗毛
備考:ハイディング所持 ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
   盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♂セージ>
現在位置:D-5(集落)
所持:ソードブレイカー
容姿:マジデフォ黒髪
備考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? ファイアウォール習得 GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行

<♀商人>
現在位置:D-5(集落)
所持:青箱2(未開封)店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
   ♂セージに少し特別な感情が……?

<♂騎士>
現在位置:D-5(集落)
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
備考:♂アルケミを真の意味で認める 時々GMの声が聞こえるが、それに抵抗する
状態:痛覚を完全に失う 傷はふさがっているが失血により瀕死状態

<♂アルケミスト>
現在位置:D-5(集落)
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状態:やや混乱状態 右肩に浅い傷 必死に♂騎士の傷を塞ごうとしている
備考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型 メマーナイトなし?
1715sage :2006/03/22(水) 04:35:32 ID:KTeJWp7c
新スレ二発目はおいらがもらった!
定時報告前に♀ウィズPTのその後をつらつら
状況がよくなったようで悪くなった気がするのは、きっとBRが悪意の塊だからに違いない。

そして、状況を設定するだけ設定して他人に冷たい方程式を解かせてみる
…いやいや、話かけば書くほどにどいつもこいつも殺せなくなるのは困ったもんだ。

ご指摘、ご感想ありましたらよろしくお願いします。
18名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 07:59:47 ID:gP0WXs.g
>>15
♂シーフの選択がどうなるのかドキドキですよ。

ただ、タイトル前に文章を挿入することが気になるのと、その文章を全体で3回使ったのはでちょっとくどいかなと思いました。
これまで誰もタイトル前に文章は入れていないんですが、これをやっちゃうと、果ては文章の最後にタイトルやら出てきそうで、
ちょっと嫌だな、と個人的には思う。
リレー小説だけにそのへんだけは統一性が欲しいと思うのだが、ほかの人はどうなんでしょう?
19名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 08:20:09 ID:7Nmg6.uQ
文頭は統一した方がいいかなぁ、と。
ほら、やっぱ見栄えと見易さの問題もあるし。
そこだけは一寸修正入れた方がいい希ガス。でも、ほかは全然問題無し。
徹底的に苦悩したりして、♂シーフにも確固とした個性が出る絶好のチャンスだしね。
20名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 09:04:27 ID:m8KtBCKo
186 製薬と誓約と

「それなら、半分ずつ使えばいいじゃない」

♀商人は、ぼそりと呟いた。

「一個全部使えば、全快する。でも、半分なら半分は回復するんじゃ……?」
「それは、盲点ですね……。普通は一個全部使うことを考えますから」

♂セージが♀商人の言葉にため息をついた。

「でも、どうやって? 」

♂シーフは実を持ったまま涙目で♀商人を見る。

「実は一つしかない。分けたら、効果がないかもしれないじゃないか」
「あ、そっか……」

イグドラシルの実は全部口にすることで、効果がある。
半分しか口にしないとどんな効果があるかわからない。
♀商人は♂シーフの台詞に少し首をかしげて、自分の荷物をあけはじめた。

自分は、青箱二つを開封していない。
少しは、役に立つ物が入っていてくれればいいけれど。

中身は……

「乳鉢……と……マステラ……」

どこに入っていたのかというほどの乳鉢が箱の中から現れその場に溢れ、もう一つの箱からはマステラの実が数個。
どちらも、今は必要ないものだ。

「最悪……」

がっくりと肩を落としてふさぎこむ彼女の前から、♂ケミは乳鉢とマステラを拾い上げた。

「乳鉢があるなら……イグ実とマステラをすりつぶして半分にできるかもしれない。やるだけやってみるしかない」

イグドラシルの実を♂シーフから預かると、乳鉢で丹念にすり潰した。
マステラもそれに加えて、中にある種もしっかりとすり潰して、一つの液体を作る。
そして、それをポーション瓶に詰めて♂シーフに渡した。

「……なんで、僕に……」
「マステラと乳鉢は♀商人さんからだけど、ベースとなるイグドラシルの実はあんたの持ち物から出てきた。つまり選択権はあんたにある」

使用する判断は、元々の持ち主の彼に委ねたのである。
そして♂シーフはそのポーションを持ったまま苦悩した。

半分使えば理論上は確かに半分回復し、危機は脱出することはできるかもしれない。
しかし、実際に半分しか使用しなかったら、効果はないのではないのだろうか。

自分の選択に二人の命がかかっている。
父と母の時と同じように。
悩みすぎてはいけない。
それで、自分は大切な人を亡くしたのだから。

あの事件はその後、自分がローグを目指すきっかけになった。
犯人がローグの若い男だったから、同じローグになれば何か手がかりが見つかるかもしれないと思った。

でも、ローグになる前に自分はここに放り込まれた。
きっと向いてなかったんだろう。
性格判断からだと、マジシャンの方が向いてるって言われていたから。

そんなことよりも。

今、しなければいけないこと。
この二人のどちらにこれを使うか。

「おい、♂シーフお前が使わないなら、俺が使うぞ」

♂プリが、ポーション瓶に手をかける。

「……わかりました。じゃあ、二人に半分ずつ使って下さい。それでどちらも助けられなかったらその時はその時です。僕にどちらかを選ぶなんてできませんから」

そうだ。
どちらを選んでも、きっと後悔する。
それなら、少しの望みにかけよう。
それで後悔しよう。


* * * * *


その場所は、大きな川が流れていた。
川原に♀WIZは佇んでいる。
全身を苛んでいた傷はなく、痛みも疲れもない。

「……何で、ここに私は……」

ふと、気がつく。
ここは死者が最後に渡るという、生者と死者との別れを意味する場所ではないか。

「……」

やはり死んでしまったのかと、苦笑すると川原を歩き出す。
きっとどこかに、川を渡る場所があるのだろう。

「……あれは……」

♂騎士が、川の中を歩いていくのを見つけた。
♀WIZは慌てた。
彼が死んでしまったら、あのアルケミストが……

「ダメです、行ってはいけません」

♂騎士に追いすがり、手を引いて引き止める。

「離してくれ。あそこに♀プリが……っ」

♂騎士が指差す方向を見ると♀プリが、対岸に立っている。

「俺は、あいつに謝らなきゃいけないんだ。あんな顔のままにしておけないんだ!」

そう、♀プリのその表情は暗く、悲しむような瞳でこちらを見ていた。

「あれは……あなたは死ぬべきじゃないと言ってるんですよ」

♀WIZは、♂騎士の手を引き岸に戻る。

「あなたは、守る人がいるでしょう。だから、お帰りなさい。その人があなたを待っていますから」
「しかし!」

頑として聞かない♂騎士に♀WIZは言葉を荒げた。

「……騎士なら、しっかりしなさいよ! 騎士は人を守る者。死んだ人はもう守れないわ。生きてる人を守ることを考えなさい。あなたはこの川はまだ渡ってはいけないのよ」
はっとした表情を騎士は浮かべると薄くなって消えていく。
ホッとして、♀WIZは川を歩き始めた。

彼は、たぶん意識が戻ったのだろう。
これで思い残すことは……

「……お前も帰れ」

川の向こう側で、見知った声がした。

「♂アサ?! どうして」

古い友人の♂アサが対岸から、苦虫を噛み潰したような表情で帰れ帰れと手を振る。

「そんなことはどうでもいい。お前のことを待ってるやつもいるだろう。だから帰れ」
「ちょ……」


* * * * *


目の前には傷が半分癒え、寝息が穏やかになった二人の身体。
♂プリーストはそれを見てホッとした直後に、♀WIZの隣で豪快に眠ってしまった。

よかった。
選択は間違っていなかった。
これでいいんだ。
あのときの自分も同じようにしていたら……きっと、こんなに後悔しなかっただろう。

一つのことにこだわらずに、柔軟な発想が大事なんだ。

「なんだか、吹っ切れてますね?」

♂セージの台詞に♂シーフはただ、笑って何も言わなかった。


<♀WIZ>
現在位置:D-5(集落)
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー 案内要員の鞄(DCカタール入)
    島の秘密を書いた聖書、口紅
外見特徴:WIZデフォの銀色
備考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフと同行 ♂クルセイダーを殺そうと、彼を追う
状態:身体のあちこちにまだ傷は残る。瀕死からは脱出

<♂プリースト>
現在位置:D-5(集落)
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考:殴りプリ ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
状態:極度の疲労

<♂シーフ>
現在位置:D-5(集落)
所持品:多めの食料
外見特徴:栗毛
備考:ハイディング所持 ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
   盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♂セージ>
現在位置:D-5(集落)
所持:ソードブレイカー
容姿:マジデフォ黒髪
備考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? ファイアウォール習得 GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行

<♀商人>
現在位置:D-5(集落)
所持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行
   ♂セージに少し特別な感情が……?

<♂騎士>
現在位置:D-5(集落)
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
備考:♂アルケミを真の意味で認める 時々GMの声が聞こえるが、それに抵抗する
状態:痛覚を完全に失う

<♂アルケミスト>
現在位置:D-5(集落)
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状態:やや混乱状態 右肩に浅い傷 必死に♂騎士の傷を塞ごうとしている
備考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型 メマーナイトなし?
21名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 12:14:43 ID:ntvBsDZA
まとめWiki編集中です。
恒例のナンバリングずれが発生しています、次の人は189を使用してください。
投稿前のリロード、忘れないで。

それから編集のためのお願いが1点。
これは文章にかかわってくるため注意してください。
今使っているWikiでは ****** や ++++++ を使用すると、自動で特殊タグと見做されてしまいます。
こちら側でまとめる際に修正すれば良いのですが、
手間を防ぐためにできれば全角の ****** や ++++++を使用してくださると助かります。

ではひきつづきバトルROワイアル2をお楽しみください。
あ、スレタイがついにバトルROワイ"ヤ"ルになってしまったのは僕らだけの秘密でお願いします。
2221sage :2006/03/22(水) 12:19:49 ID:ntvBsDZA
すみません。******もダメでした・・・・・・
++++++ か ◇◇◇◇◇◇ が良いみたいですね。
2315sage :2006/03/22(水) 12:35:06 ID:Ybn8d0uo
ご意見、ご感想ありがとうございます。
くどいほど強調して次の人に二択しかないんだーっと
思い込ませようとがんばったのですがイマイチ効果が薄かったようです。
用は済んだのでWiki掲載時には謹んで削除させていただきます。

>>21
Wikiの人お疲れ様です。
字書きの一人として快適にものを書くために非常に活用させていただいておりますので
今後ともよろしくお願いいたします。
24名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 13:37:16 ID:193Xz58Y
折角投下された話に批評するのは非常に辛いのですが…。

ヒールで治せない重傷者2人→イグ実の神秘の力ならなんとかなる?
までは納得いったのですが(イグ実があったのはだいぶ都合良いけども、まだ不自然ではないと思う)マステラとイグ実を合わせて万能薬完成(乳鉢付き)は強引すぎる展開な気が…。
No,179の筆者のコメントやNo,182の「細胞の壊死〜」、No,185の「世界樹〜」の辺りの説明が生きてこないのは残念な気がしました。

完全に現実的に書く必要は皆無ですが、バトロワの死の気配というものを忘れないで欲しいです。と思いました。
辛口な批評すいませんです。
25名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 15:13:29 ID:pxQaaDao
そうだなぁ。このまま何もなく、二人ともがあっさり治っちゃうと
命懸けて♂クルセと戦った♂騎士と、
似ているけど相容れない♂WIZと相対した♀WIZの場面がちょっともったいないかも。
特に♀WIZのほうは、♂WIZに「助からない」とまで言われちゃってるわけだし。
人の死に関する場面で、安易に奇跡は起こしちゃいけないと思うなあ。
♂シーフがイグ実を持っていたこと自体がすでに奇跡だしね。
二人とも生きのびるっていう展開が気に食わないんじゃなくて、話の流れがちょっと無理あるかなと思った。

まぁ、他の人の意見待ちかな。
26名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 15:46:22 ID:7RcWYcvg
同じように二つに分けるのを考えていたよ。
別にいいんじゃないのかな。
こういう展開も
27名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 15:52:34 ID:ntvBsDZA
>>20
批判的な意見も出ておりますが、私は二者択一の命じゃない三番目の選択肢ということで、楽しく読ませていただきました。
♂騎士と♀WIZがニ人とも助かるのは多少都合の良い話ではありますが、
そのへんは書き手の人もそう思いつつ、やはり両者とも生かしたかったんだろうなと推測。

♀商人を使って三番目の道へ導いたのも、なかなかうまいなと思いましたし、
話として矛盾をはらんでいるわけでもないので、普通にOKではないでしょうか。

個人的には川に転落して、
♀WIZが駆けつけたときには浮かんでもこなかった♂クルセが生きてるほうがよほど不思議なのですが・・・・・・
雨の後だったのでものすごい濁流になってて、あっというまに流れていってしまったんだと納得することにしました。
28名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 18:17:02 ID:ntvBsDZA
189.デバッガー [2日目午後〜夕方]

森の頂ともとれるその場所には、一本の巨木がそそり立っていた。
木は樹齢がどれほどなのか検討もつかないほど雄大で、多少の雨風ではびくともしそうになかった。
木根の太さも半端ではなく、それがうねるように地面を這っているさまは、誰が見ても圧巻であり、自然の力というものを肌で感じずにはいられない光景だった。
根っこが作った天然のうろもやはり相当に大きく、人が二人はいってもまだお釣りがくるほどの空間となっており、
雨をやり過ごす二人にとってこれ以上の避難所はないと言って良かった。

♀スパノビと♀ハンターの二人は紆余曲折の末に、最初に雨避けをしたこの場所までもどっていたのだった。

雨宿りのために他の誰かがこの木に近づいて来る危険は考慮しないでもなかったが、むやみやたらと歩いて回れるような天候ではなかった。
♀ハンターの鳥と会話ができるという能力のおかげでこの場所が雨をやり過ごすには一番良いということもわかっていたし、
いざとなれば危険は鳥たちが知らせてくれることだろう。♀スパノビはそう判断したのだった。

降り続く雨の音を聞きながら腰を木の根に乗せ、動かずにじっと座っている二人の間を流れる空気は、いささか重たかった。
雨という天気が人を憂鬱にさせるということも理由の一つだったが、
どうしようもなく気分が重いのは、先ほど二人が♀セージの変わり果てた姿を見てしまったからだった。
もちろん二人はそれが♀セージだったことなど知りはしないのだが、
それでもかつては人だったものが黒い炭のようになっていたことは、♀ハンターにショックを与えるのにじゅうぶんだった。

♀スパノビにとっては初めて見た死体ではなかったこともあり、
さらに彼女は見かけとは裏腹にちょっと普通ではない人生を歩んできていたので、別段落ち込んだりすることはなかったのだが、
となりに座る女の子はとても♀スパノビのように達観していられない様子だった。
ぼんやりと地面をながめる瞳は冬の空のようにかげり、少しの覇気も感じられない。
背中を丸めこむようにして座っている姿からは、隠し切れないのか、不安という感情があふれだしていた。

仕方がないことですけど、とちらりと彼女を見やって♀スパノビは思った。

それにしても前途は多難だった。雨で足止めをされていることなど問題にならないほどに、未来への糸口は見つかっていない。
実際、機転さえ利かせればどのような難関ですら突破してきた経験のある♀スパノビがため息のひとつでもつきたいと思ったのは、これがはじめてのことだった。

どんなゲームだって人が作ったものならバグがつきものだ、とはじめのうちは楽観的に考えていたものの、
さすがに過去に三回も行われているだけあって、デバッグはかなり進行しているようだ。

(知識は悪ではない。使う者によって善悪がわかれるのだ)
(なんて言葉を昔どこかで耳にしたことがありますけど、いやはや、こうなってくると知識そのものが悪であるような気がしてきますね)

ため息を無理矢理に抑えこんで、♀スパノビはもう一度彼女の様子を心配そうにうかがった。
♀ハンターは小声でなにかを言っているようであった。
彼女の小さめの口から鳥のさえずりに似たきれいな音がこぼれ、♀スパノビの耳を撫でた。
はじめて聞いたその音は、春風のようにやわらかで、晴れ渡った日の草原に寝そべっているような安らぎを与えてくれる音だった。

「その歌はなんです? なんだか心がとってもあたたかくなりましたよ」

にこりと笑いかけた♀スパノビを見て、♀ハンターは嬉しかったのかほんのり頬を赤く染めた。

「昔ね、あたしが泣いてると、おかあさんいつもこうやってあたしを安心させてくれたの。
 落ち込みそうになったら思い出して真似してみるんだけど、むずかしくて」

ぼそぼそと恥ずかしそうに小声で話す♀ハンターを見て、♀スパノビは彼女のことがとてもかわいらしく思えた。
そして、これほど純粋で無垢な彼女をこのゲームに送りこんだハンターギルドのことが憎らしく思えた。
気がつくと♀スパノビは彼女がここに送りこまれた理由を尋ねていた。

「♀ハンターさんはいったいどうしてここに連れてこられたんですか?」

「えっと・・・・・・白い服を着た人たちに無理矢理・・・・・・」

「それだと理由がさっぱりわからないですね。うーん、まぁ、私も似たようなものでしたけど、ひどい話ですよね」

不満そうな顔をわざと作ってみせてから♀スパノビはまたにっこりと笑った。
♀ハンターの歌声に力をもらったその笑顔は、初夏の日ざしのようにまぶしい笑顔だった。

「そうです、うじうじしてる場合じゃありませんでした。私たちはなんとしてもここから脱出しなければいけません」

両手で握りこぶしを作って自分自身と♀ハンターを励ますような動きを見せてから、♀スパノビは立ち上がった。
雨が止んでいたことに気がついたからだったが、それ以上にあらためてがんばろうと強く思ったからだった。

「島中の鳥さんにお願いして聞いてくれませんか? 白い服を着た人たちを見たことがあるかどうか。そして見たことがあるならどこで見たのか。
 もしかしたら、なにかがわかるかもしれませんよ」

その言葉に、♀ハンターはうなずき、鳥のようにさえずりはじめた。

「人間が見つけられるバグはないかもしれません。
 だけど鳥さんなら人では見つけられなかったバグを見つけられるはずです。私はそう思います」

自信に満ちた顔つきで、♀スパノビは木々の隙間からのぞく夕焼けの空を見上げていた。


<♀ハンター 現在位置・・・F-7>
<所持品:スパナ 古い紫色の箱 設置用トーキーボックス フォーチュンソード>
<スキル:ファルコンマスタリー ブリッツビート スチールクロウ>
<備考:対人恐怖症 鳥と会話が出来る ステ=純鷹師 弓の扱いは??? 島にいる鳥達が味方>
<状態:びしょ濡れ。♀スパノビを信頼>

<♀スパノビ 現在位置・・・F-7>
<外見:csf:4j0610m2>
<所持品:S2ダマスカス シルクリボン(無理矢理装着) 古いカード帖(本人気付いていない) オリデオコンの矢筒>
<スキル:集中力向上>
<備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)>
<状態:びしょ濡れ。♀ハンターの生い立ち、鳥との会話能力を知る>
29名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 22:09:50 ID:37rnOmTk
正直俺も「二人とも生き残るのかよ!」って突っ込みそうになったけど、>>27氏の言うように矛盾は無いわけだし、
>>24-25氏のような意見もあるってことを、次から頭に置いておく感じで良いのではと。
30名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 22:44:07 ID:cP1EjhcU
矛盾は無いんだけどね。
確かにご都合主義な感じは否めない。
今後の展開次第かなー。一晩明けたら♂騎士も♀WIZも元気一杯とかだとちょっとなぁ…。
3115sage :2006/03/22(水) 22:56:37 ID:1eCzXEx6
イグ実出すんじゃなかったかとちょっと後悔。
せめてもの罪滅ぼしにThe Cold Equationsのもう一つのオチとして考えていたネタも投下。
いや、これギャグにしかならないもの

NG.口付けの行方

 満面の笑みで肩をバンバン叩く♂プリーストと視線をあわせるにあわせられず♂シーフはぽつりと言う。周囲のみなもきっと安堵の吐息を漏らしていることだろう。だけど、言わないわけにはいかない。

「…………ないんです…」
「なんだって?まさか一つしかないってことはないだろうな!」
「大丈夫ですっ!大丈夫ですっ!だからそんなに肩をゆすぶらないでください!傷が開きます」
「おっと、すまねぇ。だったら何が問題あるッてんだ?」

 ♂シーフは道具袋からイグドラシルの実を二つ取り出すと♂プリの目の前に突きつける。

「この大きさの固形物、意識のない人間にどうやって飲ませるつもりですか?」

 沈黙が周囲を包む。答えはわかっているのだが、男どもはなぜか気後れしてしまって口に出せない。その沈黙の中、♀商人が口を開いた。

「噛んで含んで、口移しじゃない…かな」

 しゃべっている間に妄想が膨らんでしまったのだろう、どんどん声のトーンが落ちて行き最後には蚊の泣くような声になっていた。

「嬢ちゃん、頼むからあんまり恥ずかしがらないでくれないか?こっちまで恥ずかしくなっちまう」

 おそらくこの面子の中で一番恥ずかしい格好をしている男がその強面をわずかに赤らめて言う。あんたに羞恥心なんてものあったのか?という視線を♂アルケミストが投げかけているのは黙殺する。

「兎に角!ことは一刻を争います!誰がこれを噛んで含んで、く、く、く、くく口移しで与えるかです」
「俺は、ダメだぞ!応急手当の方法なんて習っちゃいないからな!
 それに、んなことやっちまったら今後まともに顔を会わせられねぇ!」

 大柄な身体を大いに動揺させて♂プリーストは拒否する。意外に初心なのかもしれない。
 ならばと、♂シーフの視線は♂アルケミストを通り過ぎて♂セージへと向かう。スルーかよ!という抗議はやはり無視される。

「私ですか?問題ありませ…」
「だめーーーーー!!!」

 問題ありませんよ、と言う言葉の途中までを聞いて安堵した一同の耳を高音域の悲鳴が打ちのめした。今回はつくづく言葉の途中でさえぎられる役回りらしい。さえぎった主は言うまでもない♀商人である。

「だめったらだめ!キ、キ、キスなんて絶対だめなんだからっ!」

 小さな肩を怒らせて主張する彼女はいっそ愛らしくもあるのだが、口移しという方法を彼女自身が提案したということは黙っておいたほうがいいだろう。
 この分ではきっと♀商人に振っても拒否されるに違いない。ならばと、♂セージが口を開く。

「わかりました。では♂シーフ君、君がしなさい。
 もともとそれは君の持ち物ですから、それで丸く収まります。」

 一同頷く。しかし、♂シーフだけは首を縦に振らなかった。

「僕、♀ウィザードさんにする分にはいいんですが…♂騎士相手にも冷静に出来る自信ありませんよ」

 ぐっ、と詰まる♂プリーストと♂セージ。美女の♀ウィザードのことばかりに気を取られていたが、野郎の看護となると話は別だ。そう、男は悲しい生き物なのである。
 その一瞬の間隙をついて♂アルケミストは♂シーフの手からイグドラシルの実を奪い取ると高らかに宣言した。

「♂騎士は俺が助ける!」

 手にした黄色い果実を一息に噛み砕くと随分とやつれてしまったの♂騎士の顔に顔を近づけていき…

*** じしゅきせい ***

 その後、意識を取り戻した♂騎士は四者四様の冷たい視線に晒されることになるが、それはまた別のお話。
32名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/22(水) 23:02:49 ID:I47kldJU
確かに二人とも生き残るのは、以外だったけど、
まあ、それも有りかなと。現に二人ともここで死ぬには、
やり残しがありそうだしね。♀WIZも多少は慎重になるでしょ。
33名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/22(水) 23:22:25 ID:eQdejec2
>>31
わろたw
お前等人の命かかってんのになにっやtt(ry

それはそうと♂ハンターを描いてみたのですがサイズオーバーであげられないorz
他のあpろだにあげてURL貼り付けという形でもいいんでしょうか?

・・・いや、そんな大した絵じゃないケド(ゴニョゴニョ
34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 00:20:12 ID:SXMf//zw
>>33 とりあえず何でもいい
    晒 せ
35名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 04:55:06 ID:KOXNAjcA
イグ実とマステラのサポートがあるとはいえ、傷を治すってのには相当なエネルギーがいるものです。
ということで、お二人さんにはしばらく昏睡してもらえばいいんじゃなかろうか。
新しい展開できるんじゃない?
36名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/23(木) 08:03:37 ID:6kA0Xugg
実は完全に癒しきれておらず、延命処置に過ぎなかった…なんて。
37名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 08:03:48 ID:UnXVG6Zk
ま、直前の流れを無視してしまっているのは何ですが、決定的な矛盾はない以上採用でしょうってことで競り負けた話をNGで投下〜
38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 08:05:39 ID:UnXVG6Zk
NG.交錯する殺意[2日目夕方]

選択肢は2つ。それは不変の事実。
「半分ずつ使えばいいんじゃないの?」
♀商人が言った。
けれど、それは叶わぬ望み。
「…無理ですね。一般的な食物と違い、イグドラシルの実の効果は『実に凝縮された世界樹の生命力を受け取る』という多分に魔法的な物なんですよ」
ジュノー魔法大学卒業時にイグドラシルを卒論として選んだ♂セージが首を振る。
「治癒魔法を分割することができないように、その生命力を分割摂取することはできないんですません。…考えてもみて下さい。イグドラシルの実を切り売りしていることがありますか?」
彼は重いため息混じりに問いかけた。
イグドラシルの実の『体力・気力共に全快』という効果は案外使い所が難しい。
体力が残っている内に使うのはもったいないが、あまりにギリギリまで待っては死んでしまう。また、そんなギリギリの線を見極める余裕があるなら白ポーションやヒールでも間に合うだろう。
だからイグドラシルの実という物は、回復が間に合わないほどの強敵と闘う際に体力の7〜8割を失ったら使うのだ。
逆に言えばその程度の回復力があれば充分であり、効果を分割できるのなら余分な2割ほどは切り取って別に使った方がいい。
それをしないのは効果が分割できないからに他ならないのだ。
それに、と♂セージは♂ケミに視線を向けて続ける。
「2人とももう何か食べられるコンディションじゃありません。本来用途外のポーションピッチャーで無理矢理にでも使うしかないのですが…ポーション以外を投げてどの程度効果があるか分かりますか?」
「…分からない。少なくとも試してみたことはない」
♂シーフの手に握られたイグ実をにらみ付けながら♂ケミは声をしぼり出した。
奪い取ってでも♂騎士へ使いたいのを必死にこらえている様子がありありと見てとれる。
「それじゃ、どうすりゃいいんだよ」
魔法の使いすぎで青ざめ、力の入らない声で♂プリが毒づいた。
♂セージはつとめて冷静に答える。
「私の結論は1つです。――どちらかを生かし、もう一方は見捨てる」

「てめえ…っつ…」
反射的に立ち上がろうとした♂プリが立ちくらみを起こし、座り込んだ。
「ああ、もう無理しないの」
その背を支える♀商人の手を振り払い、♂プリは座り込んだまま怒鳴る。
「んなこと言ってる場合か!てめえ♂セージ、言っていいことと悪いことの区別もつかねえか!」
♂セージの出した答えは誰もが意識しつつ、口には出さなかった答えだった。
彼に非難の視線が集中する。
しかし♂セージは引き下がらなかった。
「いいか悪いかなんて関係ありません。そうする必要があるんです。――さもなければこのまま2人とも死ぬんですよ!」
「…くそぉっ!」
♂プリの拳が地面を叩く。
彼とて分かっていたのだ。命を選択しなければならないことを。
さらに♂セージはたたみかける。
「多数決なんていい加減なことはしたくありません。どちらを助けるべきか、理詰めで決めましょう。…誰か意見は?」
「そんなこと言ったって…」
真っ青な顔を見合わせる♀商人と♂シーフ。
特に♂シーフの混乱は酷かった。
かつてと同じく自分に嫁せられた選択。
今度は過去のあの時とは違い、2人とも言ってしまえば赤の他人だ。
しかも付き合いの深さにははっきりとした差がある。
感情のままに選ぶのならば♀Wizを助けるだろう。
だが、盗賊としてはあまりに真面目な彼の性格はそれを卑怯と感じ、またその選択を正当化するだけの理由も見いだせなかった。
「俺には…選べねえ」
「……」
♂プリが首を振り、♂ケミもじっと唇をかみしめる。
多数決になれば。あるいは持ち主の意思を優先するならば。間違いなくイグ実は♀Wizに使われていただろう。
♂セージの言は最大限の譲歩なのだ。
だが、自分には♂騎士を♀Wizより優先させるべき理屈も、彼を見捨てる決断もできない。
誰もが沈黙し、ただ無言の時が流れた。

ゆっくり30数えるほどの時間が経っただろうか。
「意見がないのでしたら私から。私は♀Wizさんを助けるべきだと考えます」
♂セージが切り出した。
「え…」
「おいおい」
♂ケミが瞬時に青ざめて♂騎士の服を握り、♂プリ達は気まずそうな顔つきとなる。
「理由は2つあります。まず単純な戦力として見た場合、どちらがより強いか」
「いや、それは…」
♂ケミが顔を小さく左右に振った。
実際に闘ってみたわけでもないのに戦闘力をそう単純に比べられる物ではない。ましてこの島ではスキルの効果が薄く、瞬間的な破壊力では騎士の方が上回る可能性も高い。
しかし♂セージは片手を立てて反論を遮った。
「むしろ問題は次です。…選択された命だという事実に、耐えられるのはどちらか」
「っ!」
「う…あ……」
♂ケミと、そして♂プリが慄然とする。
今までの2人の行動を見ればそれは明白だ。
♀Wizであれば事実を重く受け止めつつも歩みを止めようとはするまい。しかし♂騎士は♀プリを殺してしまった事実に押しつぶされ掛かっていた。新たに背負わされる重荷には耐えきれない可能性が高い。
「以上が理由です」
「……」
♂ケミはうつむいて肩を震わせた。
♂セージの言っていることは正しい。
だが、正しいと言うだけで感情が納得するなら苦労はない。♂騎士を見捨てることは――
「ま、それなら2人とも助けられる可能性だってあるわけだしな」
「……え?」
苦悩する彼の肩を♂プリのがっしりとした手の平が叩いた。
♂ケミは目をまたたかせる。
「♀Wizさんと♂騎士とじゃ体力が違う。効き目わりぃったって自己治癒力も他職に比べりゃ高え。俺のヒールとありったけの赤ポ使や、まだ死んだと決まったわけじゃねえだろ?」
そう言って彼はここまで共に来た仲間達…♂セージと♂シーフ、♀商人の顔を見渡す。
「ってことで悪いけど俺はここに残るわ」
「え、でも、それだったら僕たちも…」
自分も残ると言いかけた♂シーフを♂セージが制する。
そして赤い印が打たれた自分の地図を彼に突きつけた。
「あ…」
自分たちにはやらなければならないことがある。
ここでせっかく助けた命を無駄にしないためにも。
彼は強く頷いた。そして握った鮮やかなイエローの果実を♂ケミへ差し出す。
「…お願いします。使って下さい。僕も♀Wizさんを助けて欲しいです。…けど、あなたが♂騎士さんを選んでも恨みはしません。それで1人は助かるんですから」
過去を、悪夢を振り切った少年のまっすぐな瞳。
それは♂ケミの惑う心に強く響いた。
知らず、涙がこぼれる。
「…卑怯だろ……そんなこと言われて…裏切れるかよ……」
彼は震える指先をイグドラシルの実へ伸ばした。
「わかったよ…♀Wizさんを……」

ボンッ

鈍い爆発音が上がった。
39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 08:05:53 ID:UnXVG6Zk
「何をするんですかGM森!!」
どことも知れない、石壁に囲まれた陰鬱な地下室で。
白い制服に身を包んだ巨躯の男が3人の兵士にしがみつかれ暴れていた。
彼らの脇では整然と並んだジェムストーンの上にペンと紙束が散乱している。
「貴様らが命令通りジェムを割らんからだっ!」
白衣の男――GM森がわめき立てる。
「理由がありません!それに爆破の命令はGMジョーカーが直接出すと…」
「いいんだっ!あれは島の秘密を盗み出し、陛下に逆らおうとしていた大逆犯なんだっ!」
彼のその叫びは事実を正確に捉えていた。
しかしもちろん彼がいきなり爆破を行った理由はまったく関係ない。
彼が大金を賭けた♂騎士が死にかけ、助ける手段とその正当な理由――と彼が短絡的に思いついた物――がそこにあった。だから実行したに過ぎない。
「貴様らこれ以上逆らうなら反逆罪で…!」
「あなたが、ね」
GM森のがなり声を制したのは、静かな、あまりにも静かな声だった。
蒼然と振り返った彼らの目がピエロ姿の男を捉える。
「――とんでもないことを、しでかしてくれましたね?」
珍しく、GMジョーカーの顔は笑っていなかった。

「うがあああああぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
喉も張り裂けよと天に吠える♂プリ。
そんな彼を誰も止めようとしなかった。
「そんな…そんなのって…」
「こんなのやだっ。なんでよっ。助かるんじゃなかったの!?」
首が半ば千切れかけ、直前まであったかすかな命のかけらすら失った♀Wizを前に、♂シーフと♀商人が涙を流す。
苦労して黄色い実を投げやすい形に削っていた♂ケミは呆然とするしかない。
「何、が…何で…」
自分は♀Wizを助けるのではなかったのか。
なぜ彼女が死んでいる?
混乱するその肩を、ぽん、叩く手があった。
「……事情が変わりました。それは♂騎士さんに」
それは♂セージの声だった。
「あ、ああ…」
「おい。♂セージ。てめえ…」
この期に及んで冷静な判断をやめようとしない彼を♂プリがにらみ付ける。が
「……いや、いい」
♂セージの顔に何を見たのか、即座に口調を改め矛を引いた。そして♂ケミを振り返る。
「言ったとおりだ。あんたはそれを相棒に使ってやれ。わりいが俺は結果を待ってられねえ」
言うが早いか彼は荷物をまとめだした。
「どこへ、行く気だ…?」
「決まってんだろ。あのジョーカーとか言うスカした野郎をぶっ殺しに行くんだよ」
「そういうことです」
♂セージも同じように荷物をまとめ、♀Wizのふところから聖書を取って赤い文字の書かれたページを破り取った。
それを♂ケミに押しつけ、♂プリと共に足早に歩き出す。
「待ってよ!」
「僕も行きます!ごめんなさい♂ケミさん。頑張って下さい」
彼らの後を追って♀商人と♂シーフが駆けだした。
少年少女が追いついて来る前に、♂プリは♂セージへと押し殺した声で囁く。
「あの野郎を見つけたら教えろ。俺がこの手で引導を渡す」
「それは、無理ですね」
答えはそっけなかった。
そして続けられた声の気温はさらに低かった。
「自分で言い出したルールも守れないクソは、私が殺します」
♂プリは唇の端をつり上げ、獰猛な笑みを浮かべた。
「じゃあ競争になるな」

慌ただしく行ってしまった♂プリ達を見送り、♂ケミはやっと気を取り直した。
釈然としない物は残っているが、ともかく急がなければ行けないことがある。
削り終わったみずみずしい果実を彼は強く握りしめた。
40名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 08:18:32 ID:kDgAjAto
>20
♀WIZファンなので、生き残ってくれてうれしい(1/20)
二人ともやり残したことは多いですものね。
私はこういう、三つ目の選択というのが好きなので楽しかったです。
41名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 12:59:10 ID:kQUAJPaY
そろそろ夜20時の定時放送もいけると思いますが、今回お亡くなりの方は5名と少ないですね。
生き残り28名の状態とコメントなんかをあげてみましょう。

♂クルセ
立つこともできずにD-3でHP回復中。さすがクルセ、瀕死からでも回復力が尋常ではありません。
左目を失ったことで戦闘力の大幅な低下が予想される彼の死に場所はどこだ!?

♂WIZ・デビルチ
♂アサシン・♀WIZと立て続けに金星をあげたはずだった♂WIZも、♀WIZの生還は知らない。
その事実は彼の秀逸なる頭脳を狂わせるイレギュラー因子となりえるか!?♀マジ→♂WIZ→♀ノビ な追いかけっこの先に待っているものはなんだ!?

♂ローグ
忍者を容赦なく殺ったことでマーダラーとしての勢いがさらに加速中。
ふぁるに飲まされた煮え湯を♀ハンターを狙うことで癒そうとするのか、それとも悪ケミを執拗に追うのか。彼の次なる標的は誰だ!?

グラリス
レバ刺し食べて体力回復中。グラリスさんってば医食同源ですね、さすがカプラサービス職員は伊達じゃない。
でもねグラリスさん、気がつけば周囲に誰もいなくなっちゃってますよ。

ミストレス
マーダラー五人衆の最後の一人は見た目は♀アチャ、色気は女王蜂。なにこのギャップ。
♂ハンタを篭絡しそこなった彼女だが、そんなことは気にしない。だってはたらきバチの候補はまだまだいっぱいいるんだもん。

♂マジ
♂WIZとの知能戦はバトROワ屈指の名勝負。生き抜いた彼は胸に秘めた思いとともに♀マジを探してます。
恋愛経験のない彼は島からの脱出も忘れ、片思いの恋という沼に気がつけばはまっている。すでに泥中。首までっ・・・・・・。あぁ、まさにバトROワ黙示録。

♂ハンター・♂モンク・♀騎士
一夜限りと♂ハンタが身を寄せたのはアフロでラッパーな♂モンクと、トラウマもちの美女である♀騎士。
いつのまにか通訳ができるようになっている♀騎士がステキです。巻き込まれキャラである不幸な♂ハンターの明日はどっちだ!?

♀アコ・♀マジ・子デザ
殺伐としたバトROワ世界の清涼剤である彼女たち。
♀アコは♂クルセと、♀マジは♂WIZと面識がありつつ生き延びているという強運の持ち主でもあったりするが、かたや神に遣える方向音痴、かたや異端のボクっ子。
あぁまさに凸と凹。ぽっちゃりとナイムネの未来に幸あれ。

悪ケミ・グラサンモンク
したぼく1号は永久欠番という名台詞に涙を流したことも記憶に新しいニューコンビ。
ついにねんがんの気奪モンクをてにいれたぞ、というちゃんさま悪ケミと、ちゃんさまに癒されてしまった雨の日のモンク。首輪はずしは果たして成功するのか!?

♀BS・♂スパノビ・♂アコ・♀ケミ・淫徒プリ・♀ノビ
不協和音がここまで聞こえてきそうなほど崩壊寸前なこのパーティ。♂アサを失って生き抜く決意あらたな♀ノビの新加入は吉と出るか、凶と出るか。
バトROワ1の名シーンいただきますの再現に最も近いこのパーティに希望は見えるのか!?

♀ハンタ・♀スパノビ
序盤の♂WIZ戦以外では戦闘らしい戦闘もなく、ひたすらにサバイバルな道を行く彼女たち。信頼も厚く、ある意味では一番安心して見ていられるパーティかもしれない。
鳥を使った戦略で島の秘密にどこまで迫れるのか? そしてふぁるとの再会はあるのか?

♂プリースト・♂シーフ・♂セージ・♂ケミ・♂騎士・♀商人・♀WIZ
♂騎士・♀WIZ、どちらかの死亡フラグもなんのその。奇蹟はいつだって起こるべくして起こるのです。
最強パーティは個別に崩れるというありがちなパターンすらも見事に耐え抜いた彼らこそ、このゲームを壊す現段階での最有力候補。
戦闘力も胸もない自称戦闘型の♀商人。いまならメマーナイト装填完了、もうお荷物だなんて言わせない!?
42名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/23(木) 13:44:43 ID:HUdaxBRs
>>34
了解しますたΣ(・ω・ノ)ノ
http://tamago.donburi.org/src/up1489.jpg

なんかでっかくなっちゃtt
43名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 14:01:44 ID:sVhjjsw.
 190 あの世だよ全員集合リターンズ


 ──ここは、一体どこなのだろう?
 解らなかった。手のひらを、目の前に翳し見る。
 ♀Wizは、それが自分のものだと理解する。
 その癖、周囲は真っ黒だ。それらを総合して、それから最後の記憶を総合して。
 今自分が、恐らく夢めいたものを見ているのだと理解する。

 あの時、私は。♂クルセイダーを殺す為に。
 悪夢を終わらせる為に。償う為に。

 ──自嘲したい様な気分だった。
 意気込んで、一人背負い込んで。それでこの様だ。
 このまま私は死ぬのかもしれない。不思議と怖くなかった。
 夢の中の全ての殺された者達は私を笑っているだろう。

 ♀Wizは知らぬ間に何人かの幻を見ていた。
 それは、見る間に増えていく。しかし、その全員が彼女を見ていた。
 構図を述べるならば、衆人監視の中に引きずりだされた死刑囚。
 ──言いたい事は解っている。恨み言に違いない。どうせ私は罪人だ。
 嗚呼、でも残念だ。どうせ、こうやって死ぬのなら。
 せめて、貴方達に殺されたかった。彼女は思う。

 ──不意に、一人の男が彼らから歩み出る。
 赤毛の逆毛。ローグの衣装を纏い、腰にツルギを提げた彼は、進む度衣装を換え。
 何時しか、真っ黒い衣装と赤い髭を供えた壮年の男に代わっていた。
 彼女の現実的な知識は彼が♂チェイサーだと告げ。
 夢から得た知識は彼が自分が殺した、そして自分を殺した者達の一人だと理解する。

「──貴方達なの」
 ♀Wizは呟く。見れば、その背後から更に何人かがやって来る姿が見えた。
 パラディンの女、ロードナイトの女、プロフェッサーの女、高位司祭の男。
 かつかつと、靴が床を叩く硬い音。
 一番遅れて──、一際年寄りの詩人の男が現れる。その姿だけは彼女は見ていない筈なのだけれど。

「ごめんなさい──また、私殺されちゃった」
 これは全て幻影の筈で。ならば、多少愚痴になっても構うまい。♀Wizは言う。
 不意に、♂チェイサーが顔を歪めるのが見えた。それから、少しして口を開く。

「秋○よぅ。こうしてお前に会うのも久しぶりだけどよ」
 そこで一旦言葉を区切ると、思い切り顔を歪ませて息を吐いた。煙草があったのなら、咥えていただろう。
 なんとなく、♀Wizにはそんな気がした。

「手前ぇは相変わらず嫌な女だな。シケた面しやがって」
 ぺっ、と唾を地面に吐き捨てる。彼の言うことは最もだ。彼らには本当にすまない事をした。
 萎縮して肩を縮ませる。♂チェイサーは、赤い顎髭をさすり眉根を寄せる。

「──手前、今でも俺達の事をすまなかったと思ってんのか、ええ?」
「───!!」
 当然じゃないか。彼らは。彼らは私が殺してしまったのだ。だから、それを償うのは──

「正直な。んなのじゃ迷惑なんだよ。ほれ、こいつらも──後ろの連中もだ。見てみろ」
 はっ、として顔を上げる。目。目目目目目目………無数の目が、♀Wizを見ている。
 喉が引きつる。上げ様とした悲鳴さえ、途中で詰まって上ってこない。
 いやいやと、子供の様にがぶりを振って後ずさる。

 フラッシュバック。殺した殺した。私が殺した!!剣で矢で炎でもっともっと醜いモノで!!
 当然だ!!自分は何を勘違いしていた!?許される!?今、こうやっていた事で償いでもしていた積もりか!?
 お前は許される筈など無いのだ!!所詮、自慰にも似た卑しい行為だ!!
 あの突進だって。何処か、後ろめたい思いからだったじゃないか!!

 かつりかつり。
 顔を上げる。♀プロフェッサーがそこにいた。

「逃げるな」
「───ヒッ!?」
 がしり、と肩を捕まれる。悲鳴も無い。喉が乾いてヒリヒリする。その癖目頭は酷く熱くて、今にも泣き出してしまいそうだった。
 睨み付ける様な、目が。

「解らないか?私は、逃げるなと言ったんだ」
 足がまるで動かなくなる。体は木偶みたいだ。今にでも滅茶苦茶に暴れだしてしまいたいのに。
 嫌だ。私を見るな!!そんな目でそんな目で私を見るな!!
 そんな強い目で私を見るな!!そんな……そんなまっすぐな目で、そんなまっすぐな目で私をみるなぁっ!!

「解らないなら言ってやろう」
 少し、変わった──長いスカートの♀ロードナイトが言う。
 背に提げた巨(おおき)な剣と、黒を基調とした服装。真っ赤な目が特徴的だった。

「貴様には覚悟が──『これから』を生きる意志が足りん。だから、我等への償いをするなどと戯けた事が未だに言えるのだ」
「あああああ……」
 呆然とした顔の♀Wizは、言葉にもならぬ言葉を漏らしながら聞いていた。
 意思が定まらない。思考がめちゃくちゃに暴走して、少しも落ち着かない。

「──そして、その甘えは。自覚していなかったとしてもそれは、危うく共に歩く者を殺す所だった。
 『そんな者』は何も成さぬし、何もなせぬよ。私がそうだったようにな」
 厳然と、女騎士は言う。

「でも──だって、私はっ!!貴方達を、貴方達を殺して──」
「──ああ、確かに」
 高位司祭が口を開く。

「確かに、俺達は殺されたよ。けど、それはあんたがこれからする事とは別の事だ」
「──えっ?」
「第一、本当にお前が○○だと言う確証も──」
 言いかけて、彼は♂チェイサーをジト目で睨んだ。
 見れば、♀パラディンも同じような顔をしている。

「その確証も無い。だけど──」
「貴方には、その覚悟が無い。何より生きようと言う意志が無い」
 ♀パラディンが歩み出て、♂ハイプリーストの言葉を引き継いだ。

「これからを生きる意志──?」
 ♀Wizは呟く。自分などに、これからを生きる権利など無い。ならば、そんなものは持つ権利など無いだろう。
 何も、答えることなど出来はしない。彼女は只、口を閉ざす。

「お嬢さん。恐れてはいけない。口をお開きなさい」
 静かな、されど歌う様な声で年老いた詩人が彼女に言う。

「で、でもっ!!私は……私はっ!!」
 そうだ。♀Wizは繰り返す。

「殺したですよ!?何人も、何十何百人も!!なのに……っ、なのにどうして私にそんな辛い事を言うんです!?」
 老人は、軽く息を吐く。

「落ち着きなさい。そんなじゃ、出来る事だって出来はしないよ」
 柔和な笑み。周囲を見れば、歩みでた者達は、その詩人と♀Wizを苦笑しながら見ている。
 彼女は、まるで自分がだだをこねる子供の様な気がした。
 目元を軽くこする。それで、自分が泣いていた事に気づいた。

「あ、貴方は──?」
「ふむ──説明すれば長くなるね。だから、自己紹介は簡便してくれないか?」
「──別に、構いませんが」
「有難う──」
 ふと、♀Wizには老人の雰囲気が変わった気がした。

「これも何かの因果か。まさか、貴方がこんな事になるとは」
「……因果応報、ですかね」
「かもしれませんね」
「───」
 詩人の返答に、♀Wizは口をつぐむ。

「ですがね。私はこうも思います」
「──?」
「罪とはね。許される為にあるものなのですが──私が、いいえ。私達が貴方に求める罰は一体何だと思う?」
「───」
 解らない。♀Wizには、彼らが一体何を求めているのかが理解できなかった。
 自らの死ではない、と彼らは示した。彼らを申し訳ないと思う事が償いでは無いと彼らは言った。
44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 14:03:26 ID:sVhjjsw.
「───私は誰にも忘れられた時が人が本当に死ぬ時だ、と思ってる」
「貴方は一体何を──」
 しぃっ、と人差し指を立てて口に当てた♂チェイサーが静かにする様に示す。
 いきなりの話の飛躍に戸惑いながらも、♀Wizはその話の続きをじっと待つ。

「貴方が死んでしまったら、『私達』を覚えている者は誰も居なくなってしまうんじゃないですか?それに──」
「幾つになっても回りくどいな、君は」
 苦笑しながら、♀プロフェッサーが言う。貴方には敵いませんよ、と詩人も笑った。

「それにね。罪が許されるべきものなら、許された先も貴方は紡いでいかきゃいけない。
 償って、それで全てが終わる訳じゃないからね」
「で、でも……」
「貴方は、まだ気にしているようだね。でも、私達は───」
 詩人は、しわくちゃの顔を更にしわくちゃにして笑った。
 とても、とても穏やかな笑み。不思議と、♀Wizは己の瞳を見開いていた。

「もう、いいんだ。貴方を責めてはいない」
「え──!!?」
「確かに。怖かった。貴方の事が憎かったし、怒りを感じてもいた。
 だがね。貴方にも、今はあの時の私たちと同じように『やらなければならない事』がある筈だ。
 なら、自分の命を粗末にしてはいけない。それに固執してもいけないけれどね」
「やるべき……事?それに、矛盾しています……粗末にしてはいけないのに、固執するなだなんて」
「──良く考えなさい。貴方にも答えは解る筈だ」
 答えを待つように、彼らは♀Wizを見ている。

「ま、解らねぇならそれまでだし、適当に言われても困るんだけどよ」
 ♂チェイサーが軽口を叩く。二人の騎士は腕を組み、♂ハイプリーストはじっと彼女を見ている。
 簡単に答えなど出る筈も無い。だが、酷く詩人の言葉が胸にひっかかる。

 考える。先ず、最初に浮かんだ事は愛していた人の事。
 次に浮かんだのは、一緒にここまで歩んできた仲間達の事。
 ──そういえば、彼らは今頃どうしているのだろう?
 私が居なくなって、どうしてるのだろう?
 人が本当に死ぬ時は、誰もがその人を忘れてしまった時だ、と彼らは言う。
 ──私は、私は。たとえ、それが償いになるのだとしても……

「貴方が再び、今度は参加者としてゲームを終わらせる為舞台に立つ──」
 ♀クルセイダーが口を開く。

「これも定め、かな?」
 黒衣の♀ロードナイトが、答える様に呟いた。

「死ぬ事って言うのはさ。あれだよ。どんな事があっても恐れていいんだ。でも、死ぬ事を当然と思っちゃいけない」
 ♂ハイプリーストが言う。

「そりゃそうさね。その言い方だと、手前ぇの命もそれに連なる俺達の命もつまんねー理由で失われた事になっちまう。
 そう簡単に投げ捨ててもらっちゃ困るわな」
 ♂チェイサーは又、赤髭を弄っている。

 口々に告げられる言葉に、♀Wizは瞳を閉ざし俯く。
 その目からは涙が零れていた。
 私は──どうすればいい?思う。
 死にたくは無い。本当は、彼女だって死にたくなんかない。
 だけど、許せない。自分が許せず、目の前の者達が理解出来ない。

 じっ、と。彼女を見ていた詩人が不意に目を閉じる。

 ───ぱぁん。

 そして、次の瞬間に乾いた音が響き渡っていた。
 ひりひりとした痛みに、♀Wizは閉じていた瞳を開ける。
 詩人が、酷く厳しい目で彼女を見ていた。

「逃げるな、目を逸らすな──アンタはまだ生きているんだ!!全てを──逃げて全て無駄にしてしまうつもりか!?」
「ぁ───」
 発した声は、その実意味ある言葉ですらない。だが。
 その瞬間。確かに、確かに♀Wizはかちり、と。パズルのピースが嵌る音を聞いた。

 そう──だ。
 死ぬわけには。死ぬ事なんて出来ない。だって、無駄になってしまうから。
 いいや、無駄になんかする訳にはいかない。♀Wizは思う。
 だって──そんな事したくない。そんな事は、出来ない。
 それじゃあ。そんなのじゃあ。幾ら償ったとしても、自分自身を許せない!!

「私──は」
 顔を持ち上げる。はっきりと詩人を見据える。古い歌の一節が聞こえた。
 ──贖いは遥かに。例え、死者の道を往くとしても迷わず。嘆かず。

「もう迷わない。貴方達に、そして生きている限り誓います。私は、その罪深さの故にこの命、粗末には扱わないと」
 気高くあれ。例え傷つくとも、勝ち取るべきものがある故に。捨てべからざるものがある故に。
 ♀Wizは一礼する。彼の英雄とでも呼ぶべき者達への敬意と感謝を込めて。

「──答えは得たかい?」
「はい──もう、迷いはありません」
 紅く。紅く。命燃え、見事に散り逝くとも忘れぬ限り星の如くに。

「その顔なら、安心だ。何時か又会おう」
 戦う友よ。定めの人よ。その涙を堪(こら)え給え。祈りを紡ぐ命を絶やさぬ為に。時を越え、その名を胸に刻む為に。
 詩人は言う。彼らは♀Wizに背を向けた。♂チェイサーが片手を挙げて、♀パラディンに小突かれる。

「ありがとう──ございました」
 立ち上がれ。雄雄しくあれ。定めを受けた者。運命に抗うべく、その身を堅き覚悟で鎧い給え。
 礼を言う。やがて、光が見える。目が覚めるのだろうな、と何故か解った。

 余談だが──或る名前の、歌詞の無い歌がある。
 それが示すのは即ち、「Battle Royale」である。

<♀Wiz 場所変化なし 状態:昏睡から復帰。ただし、完全治癒では無く瀕死=>歩行に支障程度>

<詩人他 Unkown──詳細不明>
45名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 14:05:18 ID:sVhjjsw.
微妙にスーパー系なのは仕様です。
これで♀Wizが多少能動的になるといいなぁ。
46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 14:07:48 ID:sVhjjsw.
訂正。
ただし、完全治癒では無い。
瀕死=>最大限治癒したとしても歩行に支障程度。運が悪ければ、死亡もあり得る。
47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 15:28:35 ID:1EcokZi6
一箇所だけ伏せ字になってないけど、あれは故意?
前世での個人名はあくまでも明らかにならないままの方がいい希ガス
48名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 15:58:50 ID:4aNEmqXI
個人的な意見だけど、>>47さんと同じで名前は出さない方がいいと感じる。
「──よぅ。こうしてお前に会うのも久しぶりだけどよ」みたいに言われてるけど、
理解はできてないって感じのほうがいいかと・・・

♀WIZが自分の過去を理解しちゃうと、それにそったストーリー展開に
固定されてくる恐れがでてくる気がする。


♀BSと愉快なの話が思いつきそうで思いつかない・・・誰かパワーをおくれ・・・orz
49名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 16:12:34 ID:kQUAJPaY
>>48
つ [淫徒プリが♀ノービスにちょっかいを出す]
つ [ポイズンナイフを♀ケミが口八丁で自分のものにする]
つ [♂アコきゅんと♀ノービスがダークサイド同士で協調する]
50名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 17:31:23 ID:sVhjjsw.
ふむ。それじゃ、その案に従いましょう。
伏字つきのは全撤去したりした修正物をちょっと書いてきま。
51名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 18:51:12 ID:2S2bUmWw
>>50
WIKIに乗せるときに修正してくれればイイヨー
52名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 19:15:23 ID:sVhjjsw.
つ(♀ケミがこのPTに見切りを付ける)
つ(♀ノビが淫徒プリの女装に気づく)
つ(♀ノビが不信の原因になり、♀ケミがそれを利用する)

>>51
了解。
53名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 19:29:40 ID:DqcgMgUg
つ[♂スパノビの独白]
つ[♀ケミが♂スパノビを篭絡しようとする]
つ[♀BS出来心でヘルファイアを修理]

それはさておき、前スレの締めに♂アサと♀アサのアナザーが投下されておりますな
本編ではいいところのない♀アサでしたが、かっこよかったよー
微妙に追憶の彼方の設定も引いているのね

休ませとくのもなんだし、グラリス書きたいんだけどこっちもネタが思いつかないなぁ
54名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 22:12:40 ID:4aNEmqXI
191:麗しき毒女[2日目宵の口]

----

「さて、これからどう行動していきましょうか・・・」

♀アルケミストは淫徒プリに言葉を軽く聞き流しながら考える。
最優先は自分だけが生き残ること。
他の人間がどうなろうと知ったことじゃない。
他者は私に利用されるためにある。
そして現状のPTは何処かしら危険な雰囲気だ。
生き残るためには、このPTに居続けることと離れることの損得を考えねばならない。

「♂アサさんは♂WIZに殺されて・・・私はなんとか逃げ切って・・・それで・・・」
「それじゃ♂WIZは危険ってことかねえ」
「おで・・・こわいんだな・・・」

♀ノービスが自分にあった出来事を語っている。
♀BSと♂スパノビがそれぞれの反応を示している。
気になるのは♀BSの声に覇気がないことだが、父親が死んだことだしそんなこともあるだろう。
そんなことはどうでもいい。問題なのは・・・

(♂WIZは危険なマーダーの可能性が高いのね・・・)

しっかりとその言葉を心に刻み付ける。
他に自分の見た人物の中でマーダーの可能性があるのは♂ローグ。
最低でも2名のマーダーがこの島にいることになる。
ただ2名だけと考えるのは危険だ。
他に1名、もしくは2名はいると考えた方がいい。
ただ他の全員がそうだという可能性は少ないだろう。
その可能性もあるが、それでは行動することすらできないので除外する。

(そして・・・)

♀ノービスと情報交換をしているPTを視線を動かし見渡す。

現在のこのPTには暗い影が差している。
復讐に狂いそうな♀BS、♂アコ、♀ノービス。
彼らの精神状態をうまく使えば自分の利になるか・・・それとも・・・

(だめね・・・リスクが大きすぎる)

その狂気がいつ自分に降りかかるかわからない。
それではダメだ。
そして淫徒プリーストはこのメンバーの中で一番落ち着いているようだが、
どこか気の抜けない感じがする。
ある意味では一番の危険人物かも知れない。
♂スパノビは・・・どうとでもなりそうなので放って置くとして・・・

(どうすれば一番安全かしら・・・)

PTを離れればマーダーに殺される可能性が高くなる。
ただ復讐に狂い掛けているかもしれない今のメンバーと一緒にいるのも危険か。
仮に離れると仮定しても、理由なく離れるのは怪しまれる。

(それなら夜寝静まった時に全員殺して去ろうかしら・・・けど・・・)

成功すれば全員分の食料と武器と箱が手に入るがリスクが高すぎる。
一人や二人なら気づかれずにいけるだろう。
しかし全員となると難しい・・・いや不可能と言っていい。
一度でも騒がれれば残ったメンバーに殺されてしまう。

ただ去るにしろ、このまま残るにしろ、全員始末するにしろ・・・

「・・・それはもう博打じゃない・・・」
「そうですね・・・何の指針もなく動きだすのは、やはり危険ですからね
・・・しかし動かないというわけにはいかないですし・・・
まぁ・・・定時放送を聞いて考えましょうか」

ドクンと心臓が跳ね上がる。
つい考えを口に出してしまったようだ。
偶然これからの行動指針の話し合いをしている時だったから良かったが、
次はないと考えておいたほうがいい。
しかし・・・

(博打・・・博打ね・・・)

荷物の中の小さな青い箱――
それを開けた結果で喜ぶものもいれば、絶望するものもいる。

(もしも・・・1つ開けてこの状況を打開するものが出れば・・・)

ここにいるメンバーを皆殺しにするためのもの・・・
一人で行動してもマーダーから逃げきれるためのもの・・・
そのあたりのものが出れば、行動するためのリスクが大きく減る。
碌なものが出なくても、元々どうせ♂BSのものだ。
自分のではないから、気にすることはない。
次に何かのチャンスがあるのを待てばいいだけだ。
幸い皆話し合いに集中していてこちらは見ていない。
気づかれぬようにそっと自分の荷物の中から小さな箱を取り出し開ける。

「―――!!」

♀アルケミストは信じてもいない神に感謝した。

(神様・・・今だけは貴方を信じてあげるわ・・・)

口元を小さく歪める。
入っていたのは小さな赤い小瓶。
アサシンクロスだけが服用を許される速度増加薬。
その正体はあらゆる毒を超える究極の毒薬だった・・・

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

だが♀アルケミストは知らない。
殺戮を楽しむための道具がいくつかジョーカーの手によって仕掛けられていたことを・・・
・・・あの・・・ヘルファイアのように・・・


<♀ケミ>
現在地:F7
所持品:S2グラディウス、毒薬の瓶、青箱2個、カード帖(ホルグレンの遺品)
外見:絶世の美女
備考:策略家。製薬ステ。やっぱり悪 皆殺し計画中?
状態:軽度の火傷。


<♀BS>
現在地:F7
所持品:ツーハンドアックス カード帖(ダンサーの遺品)
外見:むちむち。カートはない
備考:ボス、筋肉娘
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。父(ホルグレン)の死にショックを受け精彩を欠く。
  肉体的ダメージよりも、精神的なものが色濃い。


<♂スパノビ>
現在地:F7
所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり
外見:巨漢、超強面だが頭が悪い
状態:瀕死状態から脱出。眠りからは覚めている。


<♀ノービス>
現在地 F7
所持品 ポイズンナイフ
スキル しんだふり 応急手当
外 見 ノビデフォ金髪
備 考 どろだらけ。 姉御チームと合流


<注記:姉御チームの結束力低下>
55名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 22:17:05 ID:4aNEmqXI
♀ケミの行動に気づいているものが実際にいないのか?
計画は本当に成功するのか?

そのあたりは次の人に任せます。

悪女は書いてて楽しいなぁ・・・
56名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 22:21:18 ID:4aNEmqXI
連投失礼・・・

皆!! パワーありがとう〜!!ヽ(`Д´)ノ
57名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/23(木) 23:36:17 ID:DqcgMgUg
これで動いてないのはグラリスだけになっちゃいましたね
傷を癒すために休憩中でも問題ないし、
定時放送入れちゃったほうが動かしやすいかもですね

>>54
淫徒プリと♂アコが抜けているのはデータ変更がないという方向でいいのかな?
5854sage :2006/03/24(金) 00:33:21 ID:wlU6ASLY
申し訳ありません。
すっかり失念していました。

前回の話からほとんど時間は過ぎていないので、
♀ケミの所持品が変化したこと以外は他に変化はありません。

問題であるならば修正版をつくって投下しておきます。
5954sage :2006/03/24(金) 00:42:55 ID:wlU6ASLY
191:麗しき毒女[2日目宵の口]

----

「さて、これからどう行動していきましょうか・・・」

♀アルケミストは淫徒プリに言葉を軽く聞き流しながら考える。
最優先は自分だけが生き残ること。
他の人間がどうなろうと知ったことじゃない。
他者は私に利用されるためにある。
そして現状のPTは何処かしら危険な雰囲気だ。
生き残るためには、このPTに居続けることと離れることの損得を考えねばならない。

「♂アサさんは♂WIZに殺されて・・・私はなんとか逃げ切って・・・それで・・・」
「それじゃ♂WIZは危険ってことかねえ」
「おで・・・こわいんだな・・・」

♀ノービスが自分にあった出来事を語っている。
♀BSと♂スパノビがそれぞれの反応を示している。
気になるのは♀BSの声に覇気がないことだが、父親が死んだことだしそんなこともあるだろう。
そんなことはどうでもいい。問題なのは・・・

(♂WIZは危険なマーダーの可能性が高いのね・・・)

しっかりとその言葉を心に刻み付ける。
他に自分の見た人物の中でマーダーの可能性があるのは♂ローグ。
最低でも2名のマーダーがこの島にいることになる。
ただ2名だけと考えるのは危険だ。
他に1名、もしくは2名はいると考えた方がいい。
ただ他の全員がそうだという可能性は少ないだろう。
その可能性もあるが、それでは行動することすらできないので除外する。

(そして・・・)

♀ノービスと情報交換をしているPTを視線を動かし見渡す。

現在のこのPTには暗い影が差している。
復讐に狂いそうな♀BS、♂アコ、♀ノービス。
彼らの精神状態をうまく使えば自分の利になるか・・・それとも・・・

(だめね・・・リスクが大きすぎる)

その狂気がいつ自分に降りかかるかわからない。
それではダメだ。
そして淫徒プリーストはこのメンバーの中で一番落ち着いているようだが、
どこか気の抜けない感じがする。
ある意味では一番の危険人物かも知れない。
♂スパノビは・・・どうとでもなりそうなので放って置くとして・・・

(どうすれば一番安全かしら・・・)

PTを離れればマーダーに殺される可能性が高くなる。
ただ復讐に狂い掛けているかもしれない今のメンバーと一緒にいるのも危険か。
仮に離れると仮定しても、理由なく離れるのは怪しまれる。

(それなら夜寝静まった時に全員殺して去ろうかしら・・・けど・・・)

成功すれば全員分の食料と武器と箱が手に入るがリスクが高すぎる。
一人や二人なら気づかれずにいけるだろう。
しかし全員となると難しい・・・いや不可能と言っていい。
一度でも騒がれれば残ったメンバーに殺されてしまう。

ただ去るにしろ、このまま残るにしろ、全員始末するにしろ・・・

「・・・それはもう博打じゃない・・・」
「そうですね・・・何の指針もなく動きだすのは、やはり危険ですからね
・・・しかし動かないというわけにはいかないですし・・・
まぁ・・・定時放送を聞いて考えましょうか」

ドクンと心臓が跳ね上がる。
つい考えを口に出してしまったようだ。
偶然これからの行動指針の話し合いをしている時だったから良かったが、
次はないと考えておいたほうがいい。
しかし・・・

(博打・・・博打ね・・・)

荷物の中の小さな青い箱――
それを開けた結果で喜ぶものもいれば、絶望するものもいる。

(もしも・・・1つ開けてこの状況を打開するものが出れば・・・)

ここにいるメンバーを皆殺しにするためのもの・・・
一人で行動してもマーダーから逃げきれるためのもの・・・
そのあたりのものが出れば、行動するためのリスクが大きく減る。
碌なものが出なくても、元々どうせ♂BSのものだ。
自分のではないから、気にすることはない。
次に何かのチャンスがあるのを待てばいいだけだ。
幸い皆話し合いに集中していてこちらは見ていない。
気づかれぬようにそっと自分の荷物の中から小さな箱を取り出し開ける。

「―――!!」

♀アルケミストは信じてもいない神に感謝した。

(神様・・・今だけは貴方を信じてあげるわ・・・)

口元を小さく歪める。
入っていたのは小さな赤い小瓶。
アサシンクロスだけが服用を許される速度増加薬。
その正体はあらゆる毒を超える究極の毒薬だった・・・

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

だが♀アルケミストは知らない。
殺戮を楽しむための道具がいくつかジョーカーの手によって仕掛けられていたことを・・・
・・・あの・・・ヘルファイアのように・・・

<♀ケミ>
現在地:F7
所持品:S2グラディウス、毒薬の瓶、青箱2個、カード帖(ホルグレンの遺品)
外見:絶世の美女
備考:策略家。製薬ステ。やっぱり悪
状態:軽度の火傷。


<♀BS>
現在地:F7
所持品:ツーハンドアックス カード帖(ダンサーの遺品)
外見:むちむち。カートはない
備考:ボス、筋肉娘
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。父(ホルグレン)の死にショックを受け精彩を欠く。
  肉体的ダメージよりも、精神的なものが色濃い。


<♂スパノビ>
現在地:F7
所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり
外見:巨漢、超強面だが頭が悪い
状態:瀕死状態から脱出。眠りからは覚めている。


<♀ノービス>
現在地 F7
所持品 ポイズンナイフ
スキル しんだふり 応急手当
外 見 ノビデフォ金髪
備 考 どろだらけ。 姉御チームと合流


<♂アコライト>
現在地:F7
所持品:ジルタス仮面(ジルタスの遺品) メイス
外見:公式通り
備考:支援型
状態:ジルタスの死のショックにより狂気を帯びる。


<淫徒プリ>
現在地:F7
所持品:女装用変身セット一式 青箱1
外見:女性プリーストの姿 美人
備考:策略家。Int>Dexの支援型
状態:軽度の火傷。
魔法力の連続行使による多少の疲労は休憩により多少の回復。(但し全開とはいえない)


<注記:姉御チームの結束力低下中>
6054sage :2006/03/24(金) 00:47:33 ID:wlU6ASLY
・・・問題があるならばといいつつ修正版投下します。

次回から気をつけます・・・申し訳ない・・・
61名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/24(金) 01:09:30 ID:8WFO3bBQ
事務的な内容で失礼します。

>>50
>>44のような状態欄が<前回から変化なし>と簡略Verな投稿があるけれど
Wikiに載せるときにこちらで「前回の状態」を探して付け足してしまっても構わないものかな?
いや、勝手に足してもいいだろうと思ってたんだけど、>>44は♀WIZ一人分だし
スレの容量節約のため、ってほどのデータ量でもなさそうなんで、
書き手さんによってはフッタ部分も己の文章の内という解釈もあるのかなぁと。(=いじられるとイヤかな?と。)
最近気になったことで、ちょうどタイムリーな投稿というだけの理由で聞いてるので
そこんとこ申し訳ないっす。

>>54>>60
修正乙です、が、内容に大幅な変更が無い限りは修正Verの全文投下は必要ないと思います。
スレの容量を削ることになってしまうしね。前のほうのスレでも出てたと思うけど、
どうにも書き換えたいミスを発見して表現や文章を変えたり付け足したりした場合は、

○○話○○行目(>>???) ←レス番号があるといくらか親切かと思う
修正前)○○△△××
修正後)○○□□××

のように修正箇所のみを抜き出して記述するか、展開に関係ない部分(一般的な誤字脱字とか)は
Wikiで修正してから事後報告(もしくは事前に報告してから速やかに直す)で充分です。
あ、そして大事なのがWikiの修正は書いた本人が行うのが望ましいです。この場合の修正箇所報告は
まとめ人さんへの伝達という意味ではなく他の書き手さん・読み手さんへの連絡という意味で受け取ってください。
そして最後に、3行目は「淫徒プリ"の"言葉を」ではないかと思うのですがッどうでしょうッ
6254-60sage :2006/03/24(金) 01:35:47 ID:wlU6ASLY
>>61
全文投下するべきか、修正した所のみ投下するべきか
迷ったのですが以前全文修正版を投下していた方の
記憶が残っており、そうするものなのかなと誤解していました。
容量もありますし、修正箇所だけでよかったみたいですね。

誤字の方はwiki掲載時修正させて頂きます。
そういえば3行目の他に最後の淫徒プリの説明の箇所。
全開じゃなく・・・全快でしたね・・・(素で間違えてた)

以下名無しに戻ります〜
63名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/24(金) 01:45:34 ID:vIRcabRg
>>61
いえ、俺個人の<前回と同じにつき以下略>、な理由は単純に不精からです。
むしろ、まとめ側でやってくれるなら心強いですね。
…というか、いわれて初めて気づいた。申し訳ない。
64名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/24(金) 02:10:39 ID:8WFO3bBQ
>>62
あぁ、最近のでまるっと修正投下は♂クルセの人かと思いますが、
あの場合は、修正によって全体的な文章がほぼ別の物になってましたからね。
そんな貴方さまには、お茶をお勧めいたします っ旦~~
次回は10分といわず半日〜1日くらい反応を待ってみてはいかがでしょ。

>>63
早速回答いただきありがとうございます。了解しました。
ただ多くのまとめ人さん達の中の小物が言ってることですので、あまりアテにしないでくださいな。
(そして氏の作中の♀WIZのセリフに、未亡人から萌えキャラになっている箇所が。その後の詩人も脱字かも)
65名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/24(金) 09:40:45 ID:9SA1GXv6
まとめサイトのanotherに追憶の彼方(18禁該当箇所編集済み)が掲載してあったのですが、
これは投稿されたスレにて書いた人に掲載の確認をした方が良くないですか?
編集側で18禁該当箇所を削れば載せていいだろうと判断されたのかもしれませんが、気になったのでツッコミ。

たしかにバトROワのanotherとして書かれた作品ですけど、
一応18禁として書かれたものですし、あつかいが非常に難しいと思うので、
書き手さんの了承を得られるまではリンクから外しておくことを提案します。
66書いた人sage :2006/03/24(金) 11:51:45 ID:HNKuAylw
載せてもらえてヒャッホーだったあれを書いた人です。
該当箇所削除までしていただいたようで、どなたか知りませんがありがとうございます(=゚ω゚)ノ
欲を言えば、ラストのギルドの会話も入れて欲しかったのですが、そこは後で自分で編集でも……。
というわけで、全然問題ないですよー。
67名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/24(金) 13:46:01 ID:A7t3IFkU
wikiの「参加の注意」に、61氏の修正に関してを+αして追加しました。
適宜改良、追加点あればお願いします。

それと先日の「謎の24時間ルール」ですが、誤解された方により参加の注意ページでこのルールが明文化されちゃってたので削除、修正しました。
(経緯は該当ページのバックアップ一覧をご覧ください)
規制についてをまとめてwikiに載せた本人なのですが、言葉が足りず誤解を生んでしまったようで、申し訳ありません。
長々とした説明はそのうち削除致します。

>>66
任務完了!ついでに最後の「ヤ」を「ア」に修正しました。
68名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/24(金) 19:52:25 ID:HNKuAylw
192 策士vs策士

「さて、これからどう行動していきましょうか……」

 淫徒プリは、額に手を当てて呟いた。
 PTに対して言っている様だが、実は自分に言い聞かせているのである。

 最優先は、己の命。
 次に優先すべきことは、自分の楽しみである。
 他の人間がどうなろうが、本来であれば関係ない。
 他者の行動が自分の行動及び、理念の邪魔とならなければ。

 このPTにいて、果たして己は生き残ることができるのか。

 現状を振り返ってみる。

 唯一の戦闘力の♀BSは父の死に放心し、使い物にならなさそうだ。
 彼女の連れである♂スパノビは、傷から回復したものの足手まといにしかならないだろう。
 ♂アコ……は、恐らく支援タイプだが、目に狂気を帯びている気がする。
 新しく加わった♀ノービス。♂WIZに殺された♂アサに保護されていたらしいが……♂アコともども復讐に狂いそうなのは間違いない。

 最後に♀アルケミ。

 ♂BSが亡くなった時に見せた涙は確かに美しい物だった。
 だが心のどこかで、彼女に対して危険を告げるシグナルが鳴っている。
 何故かはわからないが……あえて言うなら、自分と同じ「 香 り 」がするのだ。
 美しい薔薇にはトゲがあるように、このケミには用心した方が良い。

 少なくとも、このPT残るというのは良い選択ではないだろう。
 では、このPTを離れるのは、決定事項として次の問題がある。

 それは、ゲームに乗っている者。
 つまり殺人者側がどれほどいるかということ。

「♂アサさんは♂WIZに殺されて……私はなんとか逃げ切って…それで……」
「それじゃ♂WIZは危険ってことかねぇ」
「おで……こわいんだな……」

 ♀ノービスの言葉に、♀BSと♂スパノビが反応を返す。
 やはり、思ったとおり♀BSの声には精彩に欠ける。
 これでは頼りにならない。

 ♂WIZは間違いなく殺人者側だろう。
 そして、定時放送で殺された人数から考えるに彼一人で殺せるわけが無い。
 ジルタスの死体の傷跡は、モンクがやったものだとして……更に一人。
 その彼等の他に2人ないし3人はいると考えた方が良い。
 それ以上の人数が殺人者側であるなら、死者の数があの程度で済んでいるのはおかしい。

 つまり……多く見積もっても、5人。

 それをやり過ごして、他のPTに紛れ込むことができるかどうかが生き残るための鍵となりそうだ。

 そして、このPTを抜けるにはどうすればいいか。

 闇にまぎれて消えるか……
 寝静まったあとに、皆殺しにするか。

 レックスディビーナで、一人一人黙らせて始末すれば騒がれることも無いだろう。
 ♀ノビのあの健康的なふとももは捨てがたい物もあるが、今は自分が生き残ることを考えねばならない。
 問題は、途中で別の者が目を覚ましてしまったら、逆に残った者に殺されるのは自分だ。

 どうしたものか。

 どれを選んでも……

「……それはもう博打じゃない……」

 ♀アルケミの言葉にゾクリと背筋が冷たくなる。
 まるで自分の心の中を読まれたかのようで。

「そうですね……何の指針も無く動き出すのは、やはり危険ですからね……しかし、動かないというわけにはいかないですし……まあ…定時放送を聞いて考えましょうか」

 偶然、これからの行動指針の話し合いをしている時だったので、平静を装い咄嗟にそう返答する。
 やはり、この♀アルケミは油断ならない。
 話し合いに集中する振りをしながら、淫徒プリは♀アルケミを視界からはずさないように気をつけることにした。

 やがて、♀アルケミは口元をかすかに笑うようにゆがめた。
 視線を……頭を動かさずに、目だけをそのまま彼女の手元に向ける。
 手元に一瞬見えたのは赤い小瓶。
 しかし、すぐに隠して何食わぬ顔で♀アルケミは話に加わってきた。


 あの小瓶は……

 あの小瓶は、アサシンクロスの毒薬……。
 あれを彼女はどうするつもりだ?

 誰も気がついていないと思っているようだが……

 まさか……


 表情を変えずに思考だけを加速させる。
 おそらく、♀アルケミは自分と同じことを考えているはずだと思いながら。


<♀ケミ>
現在地:F7
所持品:S2グラディウス、毒薬の瓶、青箱2個、カード帖(ホルグレンの遺品)
外見:絶世の美女
備考:策略家。製薬ステ。やっぱり悪
状態:軽度の火傷。


<♀BS>
現在地:F7
所持品:ツーハンドアックス カード帖(ダンサーの遺品)
外見:むちむち。カートはない
備考:ボス、筋肉娘
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。父(ホルグレン)の死にショックを受け精彩を欠く。
  肉体的ダメージよりも、精神的なものが色濃い。


<♂スパノビ>
現在地:F7
所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり
外見:巨漢、超強面だが頭が悪い
状態:瀕死状態から脱出。眠りからは覚めている。


<♀ノービス>
現在地 F7
所持品 ポイズンナイフ
スキル しんだふり 応急手当
外 見 ノビデフォ金髪
備 考 どろだらけ。 姉御チームと合流


<♂アコライト>
現在地:F7
所持品:ジルタス仮面(ジルタスの遺品) メイス
外見:公式通り
備考:支援型
状態:ジルタスの死のショックにより狂気を帯びる。


<淫徒プリ>
現在地:F7
所持品:女装用変身セット一式 青箱1
外見:女性プリーストの姿 美人
備考:策略家。Int>Dexの支援型
状態:軽度の火傷。
魔法力の連続行使による多少の疲労は休憩により多少の回復。(但し全開とはいえない)
♀ケミの毒薬に気がついているが、口にも表情にも出さない。
69名無したん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/25(土) 02:51:07 ID:izExyG2c
 193 勇気 [2日目夜]


♀ハンターは♀スパノビと連れだって歩いていた。
なんとはなしに繋いだ手が、なんだか心地よい。
薄暗くなった道も、♀スパノビと二人ならあまり恐くは無かった。
ふと空を見上げると、彼方から声が聞こえてきた。
それは♀ハンターにしか聞こえない声、ずーっと昔からこの声に支えられて生きてきたのだ。

『白い服の人は、塔、そしてお墓の下に入っていったよ』

数羽の雀はそれだけ伝えると、空の彼方へ飛び去って行った。
♀ハンターは♀スパノビの手を引き立ち止まる。

「はい? どうしました?」

♀ハンターはぼそぼそと下を向きながら言う。

「……えと……さっきの……塔と、お墓の下だって……」

一瞬きょとんとした♀スパノビだったが、聡明な彼女はすぐに♀ハンターの言いたい事に気付いて笑顔になる。

「そうですか、お見事です♪」

♀ハンターは褒められたのが照れるのか、頬を赤く染めて更に下を向いてしまう。
不意に♀スパノビが♀ハンターに覆い被さってくる。
♀ハンターはその勢いに体を支えきれずに地面に倒れる。
何か気に障る事でもしてしまったのか? ♀スパノビは険しい表情で立ち上がって♀ハンターに背を向ける。

「あ……あの……」

悪いことをしたのなら謝ろうと声をかける♀ハンター。
しかし、♀スパノビは♀ハンターに背を向けたまま、珍しい強い口調で言った。

「敵です。備えてください」

♀スパノビの視線の先には、♂ローグが立っていたのだった。
♂ローグは心の中で一人呟く。
『まったく、当たらねえ時はてんで当たらねえのに、出る時ぁまとめて出てきやがるぜ』


♀スパノビは♂ローグを一瞥しただけで、それを殺人者と断じた。
漂う血臭、いやらしい悪意に満ちた笑い。
問わずにはいられなかった。

「あなたは、一体どれだけの人を殺したのですか」

♂ローグは笑って答えた。

「そりゃココに来てからの話か? それともココ来る前の分も合わせての話か?」

最早語るべき何も無い。♀スパノビは全身全霊を込めて、この男の意図を阻止せんと構えた。
♂ローグはすたすたと歩き、無造作に♀スパノビの攻撃圏内に入る。
即座に♀スパノビがダマスカスを振るう。
それを包丁でいなす♂ローグだったが、♀スパノビは手首を回転させてすぐさま第二撃を振るう。
同じく手首の回転で包丁の向きを変えた♂ローグはそれを受け止める。
絡み合う包丁とダマスカス。♀スパノビは♂ローグが包丁に力を込めるより一瞬早く、ダマスカスごと一歩前に踏み込む。
高い姿勢であった♂ローグは、不覚にもその♀スパノビの動きで僅かに体勢が崩れる。
その隙に♀スパノビは♂ローグの短剣を払いのけ、返す手で♂ローグの顔を狙う。
のけぞってそれをかわした♂ローグは数歩後ろに下がるが、♀スパノビは果敢にも更に前へと踏み込んでいった。


♀ハンターは二人の戦いを震えながら後ろで見ていた。
恐い、♂ローグの殺意が恐い、♀スパノビをかすめる包丁が恐い、♀スパノビが居なくなってしまうかもしれないのが恐い。
必死に自分の鞄を漁る♀ハンター。
中からはトラップと短剣が一つづつ。
短剣がぶんぶん振るわれる場所は恐いので、遠くから何か出来る事は無いか考える。

『えとえとえとえと、どどどどどうしよう、どうしよう……』

混乱しながらも、準備を整えると、二人が戦う場所に一歩、一歩と近づいていく。
恐くて恐くてどうしようもない、しかし、それ以上に何かをしなければならないような気がした。
それをしなければ、♀スパノビが居なくなってしまうような気がしたのだ。
ある程度の距離まで近づくと、トラップを置き、そしてその隣の地面に短剣を突き刺した。
すぐに走って後ろの方に下がる。
そして、二人の戦いを食い入るように見つめた。
♀ハンターにとって、これが精一杯の勇気だったのだ。


♀スパノビにも、♀ハンターが何かをしていたのはわかったが、何せ後ろでやっているので何をやっているのかわからない。
それに、この♂ローグの強い事。一瞬でも気を抜けば一撃で喉笛をかき斬られそうだ。

『スキル使う余裕与えたら負けですね。このまま競り合っても体力差で負け……では』

短剣を振るいながら、ぼそぼそと呟く♀スパノビ。

「……わたしの声が聞こえますか?……倒す為……わたしに……」

僅かに聞こえてくる♀スパノビの声に、♂ローグは彼女の意図を察する。

「てめえっ! ふざけた真似してんじゃねえ!」

言葉を止めるべく突き出された♂ローグの右腕と包丁、♀スパノビはこれを待っていた。
しゃがみながら思い切り懐に踏み込み、包丁をかわしざまに♂ローグの右腕を取り、♂ローグに背を向ける形になりながら、下から肩を使って全力で突き上げる。
完全に逆腕を取られた♂ローグは短い悲鳴と共に、包丁をその手から落してしまう。
♀スパノビはここぞとばかりにダマスカスを♂ローグの脇腹めがけて突き出す。
しかし、相手は悪鬼♂ローグであった。
♂ローグは落した包丁の回転に合わせて右足を上げ、包丁の柄の部分が足の甲に乗り、かつ包丁の刃が足の甲に対して直角に位置するように足で包丁を受け止める。
体を捻りながら♀スパノビのダマスカスをかわし、同時に右足を振り上げて♀スパノビの腹部目がけて包丁の刃を蹴り上げる。
体勢と包丁のバランスの関係上、深手を負わせる事は出来なかったが、♀スパノビの脇腹には包丁による切り傷が刻まれた。
これにより、♂ローグは遂に♀スパノビとの距離を取る事が可能になる。それは♀スパノビの敗北を意味していた。
だが、♀スパノビは先ほど♂ローグに背を向けた時、微かな勝利の可能性を見付けていたのだ。
♂ローグが距離を取った後でトンネルドライブに入ろうとしたその時、♀スパノビは♀ハンターが地面に突き刺したフォーチュンソードに飛びついていた。

『こう見えても私、運試しには自信があるんです』

転がりながらフォーチュンソードを♂ローグに向かって投げつける♀スパノビ。
♂ローグはトンネルドライブに入る直前だった事もあり、反応が遅れる。
それでも剣を左腕で弾いたのは見事であったが、その先は♂ローグにも予想外であった。
運悪くフォーチュンソードの柄が♂ローグの服の袖にひっかかったのだ。
そこを起点に、半回転しながらフォーチュンソードの刃が♂ローグの顔面に迫る。
刃は振り上げた腕を起点にしていた為、♂ローグのちょうど両目の高さであり、彼が全力で振るった左腕の反動を味方につけていた。


♀スパノビは空気が変わったと感じた。
戦闘には流れというものがある、彼女は幾多の経験からそれを悟っていた。
♂ローグの顔前に浮いているフォーチュンソード。
その刃を右手で握る♂ローグ。

幸運を悪意が凌駕した瞬間であった。

♀スパノビは大声を張り上げる。

「♀ハンターさん! 逃げてください! この男はもう止められません!」
70名無したん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/25(土) 02:51:24 ID:izExyG2c
♀ハンターの反応は予想出来たが、それでも一縷の望みに賭けたかったのだ。
だが、現実は♀スパノビの予想した通り、♀ハンターは震えてその場に蹲るだけであった。
それでも諦めたり絶望したりするのは♀スパノビの信条に反する。
♀スパノビは頭に巻いたシルクリボンを一挙動で外し、その端を左手で握る。
♂ローグは右手に持ったフォーチュンソードをゆっくりと落す。
フォーチュンソードと一緒に♂ローグの右手から血が滴る。
♀スパノビが一足飛びに踏み込み、ダマスカスの間合いの外から♂ローグの虚を突いて左手のシルクリボンを振るう。
ダマスカスより間合いの遠いそれで♂ローグの目を狙ったのだが、♂ローグはそれをトンネルドライブでかわす。
咄嗟に振り返る♀スパノビ。
♂ローグはちょうど包丁を拾い上げている所だった。

『最後のチャンス! 間に合って!』

♂ローグに斬りかかる♀スパノビ。
しかし、♂ローグが包丁を振り上げ、それを受け止める方が先であった。
お互いの短剣がぶつかり合って止まり、二人の中間点で震える。
僅かでも力を抜いた方がその短剣に差し貫かれる。
力の差は歴然である。
苦悶の表情を浮かべる♀スパノビに、♂ローグは珍しく静かに、しかし確実に短剣を突きだしていく。
逆転の手を数多浮かべながらも、無表情の♂ローグにはその全てが切り返されると思われた。
少しづつ、少しづつ♀スパノビの胸に近づく包丁の刃。
もうこれ以上もたない、そう思われた時、♀スパノビが思い浮かべた最後の生存の可能性は、恐怖に打ち震え、茂みの影でその様を見ているだけであった。

「……あっ、あっ、あっ、あああああっ」

包丁は吸い込まれるように♀スパノビの胸に突き刺さる。
ダマスカスが地に落ち、彼女はゆっくりと地面に倒れ伏した。
余りの激痛に、焦点の合わない♀スパノビの目が、再度♂ローグを捉える。
彼は、何かを彼女にしようとしているようだったが、♀スパノビは胸を襲う激痛のせいで視界が狭くなり、彼が何をしているのかわからなかった。
すぐに更なる激痛が♀スパノビを襲う。
そうしてようやく♂ローグが何をしているのか理解出来た。

いや、何をしているのかはわかったが、何故そんな事をするのか、どうしてそんな事が出来るのかは理解出来なかった。
最初に見た時同様、薄汚い下卑た笑いが♀スパノビのすぐ目の前に見える。
信じられない程の悪意、邪気、それが今、自分に向けられているのだと考えると、♀スパノビは生まれてこの方味わった事の無い恐怖を感じた。

「いやーーーーーーーーーーっ!!」


行為が終わる頃には、♀スパノビは完全に動かなくなっていた。
そしてゆっくりと♂ローグは振り返る。
震えのせいで、前がまともに見えなくなっている♀ハンターを、♂ローグはせせら笑う。

「仲間を見捨てたな。ご立派だぜ、ハンター様よぉ」

一歩一歩と近づく♂ローグ。
不意に足下から叫び声が聞こえた。

『わーーーーーーー!!』

トーキーボックス。その中の声は♀ハンターの大声であった。
最初、その意図を計りかねた♂ローグであったが、眼前の♀ハンターの腰抜け具合から、一つの可能性に思い至る。

「よお、お前まさか……この声でびっくりさせて隙作ろうとか思ってたんじゃねえだろうな……」

♀ハンターは♂ローグの言葉にびくっと体を震わせる。
その反応を見て、♂ローグは♀ハンターが本気でそう考えていたと確信し、耐えきれずに大声で笑い出した。

「ぶわーーーーーっはっはっはっは! お前バカだろ! 頭悪いにも程があんぞ! だーーーっはっはっは、こいつは傑作だ!」

腹を抱えて笑い転げる♂ローグ。
だが、♀ハンターはただただ恐怖するだけである。

「こんな間抜けが相棒じゃこいつも浮かばれねえなぁ。良い腕だったがよ、こーんなバカ連れてたんじゃどうしようもねえや! ぶはーっはっはっは、腹痛ぇぞちくしょうめ!」

その言葉は、♀ハンターが一番聞きたく無かった言葉であった。
一生懸命支えてくれてたのは♀ハンターにもわかっている。
だからこそ、♀ハンターも頑張って彼女とうまくやろう、彼女の力になろうと思ったのだ。
でも、やっぱり♀ハンターは役立たずで、♀スパノビは死んでしまった。
♂ローグは笑いを収めながら、♀ハンターに近づく。

「いや〜、マジで笑った。こんだけ笑わせてくれたんだ、いつもなら生かしておいてやる所だが、今はそうもいかねえんでな」

ゆっくりと包丁を振り上げる♂ローグ。

「抱くのはもういい、次は斬り刻んで楽しむとするぜ」

見上げた先にある♂ローグの笑う顔。
♀ハンターはこの顔に見覚えがあった。
劇場に引きずり出された時、会場を埋め尽くす人々が見せる顔。
どんなに綺麗な人でも、こうやって笑うととっても醜く見える。
でも、みんなとても楽しそうだった。

『ねえ、ふぁるぅ、やっぱりあたしっておかしいのかな? おかしいからみんな笑うのかな』

♂ローグの包丁が全身に突き刺さるが、♀ハンターは全然別の事を考えていた。

『おかしいよね、ふぁるもおかしいと思うよね。あはは、あたしもおかしくなってきたよ。楽しいね、ふぁる……ねえ……ふぁるは、私を見て……笑う?』

♂ローグの哄笑に合わせて定時放送が聞こえてくる。
ギリギリでの追加だ、GM達が慌てる様が想像出来て♂ローグは少し愉快な気分になれた。

既に息絶えた♀スパノビが倒れている。
彼女の倒れたすぐ隣、上から覗いては見えない場所、ぬかるんだ地面が乾きかけたそこに、明らかに自然の物と違う傷がある。

傷は『塔と墓の下にGMが居る』と読めた。

恐怖に震え、自らの生存が絶望的なその時でさえ尚、彼女は戦う事を止めなかった。


<♀ハンター 現在位置・・・F-7>
<所持品:スパナ 古い紫色の箱 設置用トーキーボックス フォーチュンソード>
<スキル:ファルコンマスタリー ブリッツビート スチールクロウ>
<備考:対人恐怖症 鳥と会話が出来る ステ=純鷹師 弓の扱いは??? 島にいる鳥達が味方>
<状態:びしょ濡れ。♀スパノビを信頼、死亡>

<♀スパノビ 現在位置・・・F-7>
<外見:csf:4j0610m2>
<所持品:S2ダマスカス シルクリボン(無理矢理装着) 古いカード帖(本人気付いていない) オリデオコンの矢筒>
<スキル:集中力向上>
<備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)>
<状態:びしょ濡れ。♀ハンターの生い立ち、鳥との会話能力を知る、死亡>

<♂ローグ>
現在位置:I-6
所持品:包丁、クロスボウ、望遠鏡、寄生虫の卵入り保存食×2、青箱×1
外見:片目に大きな古傷
性格:殺人快楽至上主義
備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す
状態:全身に軽い切り傷。
71名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 03:31:10 ID:sDCy5ykU
うわー、姉妹PT壊滅か…感想を借りてご冥福を祈ります
それにしても今回は女性キャラがよく死ぬなぁ
ああ、最後に残った一人が今回のヒロインなのね。たとえそれが♀BSでも。

素直な感想、♂ローグいつかはやるんじゃないかと思っていたがついにやったかぁ
保有戦力でもグラリス抜いた可能性が高いし島の東部は暗黒地帯になったかもしれないな
で、外でも殺しやってたってまさか♂シーフのあれの関係者じゃなかろうな?

ともあれGJ、お疲れ様です

……って現在位置ずれてる!
I-6なのかF-7なのかせめてそこだけでも補完ぷりーず!
72名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 06:02:04 ID:Qx2EbnS2
いきなり物言いじみてて申し訳ないが「マーダーは勝ってor生き残って当然」って雰囲気がなんか嫌だな
マーダーが減ると盛り上がらないからって事なんだろうけど、それじゃ出会ったPTが負けるパターンばっかりだし

殺意全開で頑張ってたのにあっけなく返り討ちになっちゃいました、てへっ☆みたいなマーダーキボンヌ
73名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 06:06:46 ID:Qx2EbnS2
グラリスは瀕死のまま放置、♂クルセも瀕死のまま放置、♂ローグなんて禁止地域も強敵も何のそので好き放題
ちょっと書き手に守られすぎてる気がするな・・・なんて書き殴ったところで反省して半世紀ROMってくる
74名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 06:49:39 ID:VyX.S34M
>>71
ああまた女ッ気が減った…もったいないw
一つだけ気になるのはなんで♀ハンター(というか鳥達)が♂ローグの接近に気づかなかったのかな?ってことが
実際に殺してるのを鳥に目撃されてるだろうしそんな相手の接近を教えない可能性っていうのも低い気が
まあどうせ聞いていたとしても実際に戦闘になれば結果は変わらないんでしょうがw
トンドルしてたとか、そういう描写加えた方が自然じゃないかなーと
あと地面の文字って死体発見した人が気づくかなぁ。上から見てわからないんじゃ気づく可能性低いかも?
……とまで書いて一つネタ思いついたので久しぶりに書き殴ってみようと思う
75名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 06:50:44 ID:VyX.S34M
のぅレス番間違えてるよorz
上は>>70当て
76名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 07:20:02 ID:vKThOxbY
>>73
♂ローグが禁止区域でも平気ってのはジョーカーのフカシだったけどね
77名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 09:25:18 ID:39VAyYoo
>>68
♀ケミとの対比でおもしろかった。いよいよどうなるんだ、BSとゆかいな仲間たち。

>>69
♀ハンターと♀スパノビが死ぬのは、まぁ、しかたがないんだけど、
なんていうかROである必要があまりない戦闘描写だったのが残念かな。
あと♂ローグさんがハイブリッド型なのにいきなり接近戦を挑んだ理由も不鮮明。

♀スパノビがどんなスキルを持っているのか、結局わからないまま死んじゃったのがカナシス。
78名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 10:56:32 ID:39VAyYoo
194.定時放送B

黄昏時を過ぎ、空が月と星を夜空に浮かべたころ、男の声が島中に響きはじめた。
聞き覚えのある嫌らしいまでに慇懃な彼の声は、参加者全員にとって忘れることなどできようもない。
GMジョーカーの3回目の放送がはじまったのであった。

「・・・・・・はい、皆様、2日目はいかがお過ごしだったでしょうか。ジョーカーです。
 さて、私がこれからなにを伝えるか、聡明な皆様方でしたらもうご存知かと思われます。
 それでは以前の放送からここまでの死亡者を読み上げさせていただきますよ。
 そのあとで禁止区域の決定も行います。どうかお聞き逃がしのないよう、よく耳を傾けてお聞きになってくださいませ」

参加者もこのときばかりはGMジョーカーの声を聞くしかない。
禁止区域は自分がいる場所かもしれないし、参加者の誰が死んで誰が生き残っているかを知ることは、
これからを生き抜く上での貴重な情報なのである。

「では、死亡者リストを取り出しまして──────はい?」

そこでGMジョーカーの言葉が止まった。どうやらいささか問題が生じたらしい。
その問題がなにであるかは、参加者の誰もわからなかったが、
すぐにGMジョーカーが放送を続けたことから、たいしたことではなかったようである。

「失礼いたしました。申し訳ありません。
 どうもいまちょうどこの時間に、死亡者リストに追加しなければならない人が増えてしまったみたいなのです。
 たまにあるんですよ、こういうの。え? すぐに追加も含めて発表してくれ? はいはい、おまかせください」

GMジョーカーはトラブルすらもどこか楽しんでいる様子であった。

「残念ですが1分ほど時間がかかるそうです。
 そのあいだ皆様方をたいくつさせてしまうのも申し訳ありませんので、先に禁止区域を決定しましょうか。
 前回まではダーツでやらせていただいていたのですけれども、前回の放送では3箇所だけだったでしょう。
 次もそんなことになっては、目も当てられませんからね。そこで今回は別のものを用意させていただきました。
 なんだと思いますか?」

静寂が10秒ほど。もちろん誰かが回答するなどということはない。

「今回は確実に5箇所が選ばれるように、ビンゴにしたんですよ。
 いや私ね、昔からビンゴゲーム大好きでして。
 なんと言えば良いのですかね、この揃うのか揃わないのかドキドキしながら待っている時間がもう格別でして・・・・・・」

ガラガラガラというたくさんの玉が混ぜられ、当たり合う音が響いた。

「では、いきますよ。ガラガラガラガラガラっと。
 はい、5つ出し終わりました。
 地図への反映は死亡者の発表後に行いますが、今回はサービスということで先に禁止区域を読み上げましょう」

こうしてGMジョーカーが読み上げた禁止区域は5箇所。

D-3
D-8
G-8
H-4
J-5

「どこもリーチにすらなりませんで、非常に残念です。明日の朝に期待するとしましょう。
 さて、お待たせいたしました。死亡者発表の準備ができました。
 2日目というだけあって残っていらっしゃる皆様方もなかなかお強いですね。
 誰も死ななかったらどうしようかと、心配で肝を冷やしました。
 それでは読み上げますよ」

そこで一呼吸が置かれた。

「まずは・・・・・・ホルグレンさん。
 精錬工を代表して彼にも参加していただいたのですが、やっぱり殺し合いは向いてなかったみたいですね。
 続きまして、♀アーチャーさん。
 ジルタスさん。
 ♂アサシンさん。
 忍者さん。ええと忍者さんというのは自称ですね。特別にアサシンギルドから出場していただいておりました。
 それから先ほど急遽追加されました方がお二人。
 ♀スーパーノービスさん。
 ♀ハンターさん。
 以上7名です」

事務的な死亡者の発表が終わった。
あるものはそこに大切な名前が挙がったことに嘆き、
あるものは殺した相手の名前に喜んでいるのかもしれなかった。
けれどGMジョーカーが名前を読み上げたことで死が決定するわけではない。彼らはとっくに死んでいるのである。
GMジョーカーは死んだ人間が誰であるかを告げただけにすぎない。

「これで残っている方は全部で26名となりました。およそ半分ですね。順調な経緯に私も嬉しく思います。
 それから───当然ですが、勝ち残る最後の1人以外の方はあと2回しか太陽を見ることができません。
 あと2回だけですよ。きれいごとや道徳心なんていうものは通用しませんからね。
 騙して、殺して、あがいて、生き残った1人だけがこの島から帰ることのできるただ1人の人間だということを、
 くれぐれも忘れないように、素敵な夜をお過ごしくださいませ。
 それでは、禁止区域を地図に反映させて、放送を終わらせていただきます、失礼」

こうしてGMジョーカーによる3回目の放送は終わった。
夜の帳に包まれて、島は眠っているように静かであった。
もっとも、その静寂はかりそめにしか過ぎないのではあるが。

<残り26名>
79名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 11:12:28 ID:Ur.uFX26
スパノビのスキルを書こうという気すら感じさせなかったな。
ハンターもせっかくおいしい複線があったのにまったく利用してないし。
ローグは理由付けもなく鳥レーダー回避して相応しくない戦いかたで勝利。
コンビ相手にいきなり特攻は不自然過ぎ。
動かしにくいPTを扱いやすくて便利なキャラで処理しただけにしか見えん。
80名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 11:40:22 ID:vjxjwR.Y
言いたいことは分かるけど、もっと穏便に行こうぜ。
わざわざ荒れそうな書き方するのはちょっと考え物だよ。
神様に話しかけるスパノビ特有の物を書こうとしてるところもちゃんとあるぞ?
そんな貶されるような出来じゃないと思う。少なくとも俺は楽しんで読めた。
一時期懸念された、一分の過ちも許さない雰囲気に持って行きたいわけではないだろう?
以前の議論でもあったように、伏線作って活かされないまま死んでも泣かないってのは、リレーやる上での暗黙の了解だったはず。
だからある程度は仕方がないのでは…と。まあそれでも突っ込みたい気分は分かるけどな。
とりあえず作戦「ふんいき だいじに」と。
81名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 11:46:39 ID:SA5iCXjY
確かに、危険を告げる鳥達が機能せずに♂ローグの接近を許してしまったことに関しては
多少違和感を感じる節がありますねぃ。
伏線を回収し切る前に死亡してしまうのは仕方のないことだと思いますが。
雨が止んでから定時放送までどれくらいの時間があるかはわかんないけど、
F-7とI-6ってそこそこ距離あるし、どちらのPTにせよ先に会うのは
悪ケミグラサンモンクペアが妥当じゃないかなぁ?とか。
まぁ確かにこの辺は迂回とかで書き手さんの自由だし、他にもよくやってるからいいんですが。
位置がどちらかわからないので何とも言えませんが、「森が♀ハンターの領域」とまで言われてた以上、
彼女達がわざわざ森を出て見晴らしのいい島の東部を目指す理由が見当たらないかもしれません。

・・・・・・定時放送の時間って、目安で決まってましたよね・・・確か。
AM・PM各8時でしたっけ・・・?
82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 11:49:20 ID:CxyZFs/2
>>79
それは言いすぎ。
満足行かないならアナザーなりNGなりで補完するのが
良識あるバトROワ読みってもんでしょー

>>80
スパノビって色々特有のスキルあったんだよなぁ
スキルツリーにばっかり目がいっていて全然気づかなかったぜ

さて、♀スパノビ追悼するか…
>>74も何か書いているみたいだし地面の文字には極力触れないように行こう
……ん?あー、反則技思いついた。NG覚悟で書いてこよう
83名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 11:51:40 ID:CxyZFs/2
ごめん連投

>>81
鳥が気づかないのは日が暮れて目が利かなくなっているから、という可能性もある。
鳥に頼りすぎたのが敗因かねぇ
84名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 11:55:01 ID:xikPO9bc
いいじゃない、真っ当な疑問ですら
・鳥はなにをしてたんだ(渡り鳥とかは夜目も利くそうだし)
・地面の文字って見えるか?(あとそのうち消えるんじゃ…)
・ローグがなぜいきなり(♀ハンターという遠距離職が居るPTに、おそらく開けた場所で)
 接近戦を挑んでいるのか
・そしてなぜ♀ハンターが無力だということを了解しているのか
・81の移動の理由
と午前中だけでここまで出てきたので、書き手さんはココ見たら、
全部完璧にしろとは言わないが せ め て 一つくらいは、補完を希望したい。
そろそろ他の誰かが補完話書けばいいじゃない、的なノリから脱出してほしいな…
85名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 12:03:21 ID:39VAyYoo
>>F-6とI-7
そうでした。自分もたしか♂ローグvs♀スパノビ・♀ハンターを書こうとして、
それで169話Murderer's showdownを読んだ時に、夜の帳が降りる中で♂ローグが笑ってるってところを読んで
あぁ、これはさすがに♀スパノビ・♀ハンターとの戦いを放送前に実現させるのは無理だなぁ、と思って書くのを諦めたんでした。
すっかり忘れて、しかも♀スパノビ・♀ハンターの死を受け入れた定時放送を書いてしまっておいてなんなのですが、
やはり>>69のバトル実現は難しいのではないでしょうか?
86名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 12:28:26 ID:Gfu7veRQ
描写がないとはいえ、レイプ展開は不愉快過ぎて気分悪いから勘弁してくれ・・・
殺し合いはここの主旨だからどうとも思わないが、これだけは絶対に理解も納得も我慢もしたくない。
ぶっちゃけスパノビの代わりに書き手が氏ねとすら思った。
87名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 14:50:39 ID:j8N/rgLM
少し展開に無理がありすぎると思う。
話の流れとしては島の秘密を調べることにした♀ハンターと♀スパノビが
鳥からの情報を頼りに怪しい灯台に向かいその周辺にいた♂ローグに出会ってしまい
殺されるというのは、個人的にありだと思うけど・・・

F-7とI-6の地点に夕方の時点でいる3人を定時放送までに出会わせることができるか?
♀ハンターの能力を知っている♀スパノビが何故わざわざ鳥達の目が見えにくくなる
危険な夜に森という♀ハンターの領域を離れて行動をしたのか?
そもそも3人が出会った場所は何処なのか?

一番の問題はF-7とI-6にいる彼らが定時放送前に出会うのはほぼ不可能だと思う。
互いに全力で走ればいけそうな気もするけど、それをする理由がないし、
展開に無理があるんじゃないかなぁ・・・

矛盾や疑問点が多すぎるから>>69が加筆修正するか、NGにするか、補完作品を
投下するか何かしらしないと今後ストーリーがおかしくなってくると感じる。
88名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 14:57:50 ID:tSaeZL6Y
とりあえず、思いつく理由をつらつらと。
>>ローグが何故、いきなり接近戦を挑んだか。
暗くなってきた事で、鳥が文字通り遠目で発見しにくくなっていた。
更に、ローグはdドルをしていた可能性アリ。

>>鳥達は何してた?
同上。そして、移動している最中に、常に友好的な鳥を引き連れている訳でもない。
それだったら、烏に乗って移動する鬼太郎の如く、1km先からでも一発で解る筈。

この二つは説明大体可能な様に思われる。
♀ハンタ無力と言う理由は、♂ローグ側の誤解やら先走りなんかで何とか…
ただ、問題は、これまでの一応慎重な行動から一転して、
♀スパノビが夜間、明らかに危険と思われる移動をするだろうか、と言う点に尽きるかと。
夜間はほぼ場数を踏んでる以上♀スパノビは動かないだろうし、
臆病な♀ハンタは動きたがらないようにこれまでの動向を見る限りでは察する事が出来ます。

そして、前の人があげているように、移動距離の問題です。

後、マーダーが保護気味、と言う事ですが──
確かにそろそろ、マーダー対マーダーの死闘が見たいですね。
8969 :2006/03/25(土) 15:27:48 ID:izExyG2c
えーっと、場所はごめんなさい、私はH7での出来事と考えておりました

・鳥はなにをしてたんだ(渡り鳥とかは夜目も利くそうだし)
♂ウィズとの再接敵、♀スパノビとの遭遇時もそうですが、鳥が常時張り付いて常に警戒を発し続けている訳でもなかったと考えます

・地面の文字って見えるか?(あとそのうち消えるんじゃ…)
乾きかけたぬかるみに刻んだ文字、すぐ側には風よけ(♀スパノビの遺体)がある事から
例えばそれが次の朝までとかだったら保存可能と思ってます
もちろんこれを誰も見付けない可能性も、あります
ただ、善意ある人間が二人の遺体を見付けたとしたら、その文字に気付く可能性は高いと考えます

・ローグがなぜいきなり(♀ハンターという遠距離職が居るPTに、おそらく開けた場所で)接近戦を挑んでいるのか
ハンターが弓を持って無いから。戦力としては低いと判断した。弓を鞄に入れている、弓を隠して持っているというのは、あまり現実的では無いと思います
そしてもう一人はスパノビ。忍者と悪ケミのPTに挑んだ♂ローグが、以上の条件の二人に挑まないのは不自然と思われます
どちらも集中力向上等でトンドル封じの可能性もあったが、武器を用いた単純な斬り合いならば、確実に♂ローグのが上かと
その辺の戦闘描写は♂ローグでなく、♀スパノビの視点で書いたので、♂ローグの思考を一切表記してなかったのは良くなかったかなと今更ながらに思います

・そしてなぜ♀ハンターが無力だということを了解しているのか
二人とやりあうつもりで挑んで、片一方はロクに動きもしなかった為、腰抜けと断じたのかと
戦闘前にそれを知っていたわけではないと思います

・81の移動の理由
♂ローグの最後の場面が夜のとばりが降りる中(つまり薄暗がりという風に受け取りました)、♂スパノビと♀ハンタの移動が午後から夕方にかけて(夕焼けを見ていた)
私はこれを見て、移動に不自然さを感じ無かったのですが……
時間に関して、夜中の20:00に定時放送という事ですので、それまでの時間に移動し、接敵したと考えてました
元々の移動方向も、♂ローグ(悪ケミ追い)♀スパノビ達(西から東へ)とぶつかる方向であったと思いますし
何故南に下り方向転換して東に向かっているかの文章にも記憶が無いので、その森に関する辺りは特に漢敢えてませんでした

ただ、今改めて時間と移動距離の事を考えると、確かに無理に思える部分もあります
この話を採用とするには、定時連絡絡みの文章を消し、定時連絡後に接敵なるとした方が良いかもしれません

・これは余談ですが、一般的な近接型スパノビはDAや回避向上、剣修練等のローグとかぶるスキル取りが多くみられます
この事から、描写として♂ローグと正面から斬り合えると判断しました。もちろんHPの差で、殺されるのは時間の問題だとも思いますが

>>86さんの言う事が、正直一番私が気にかけた事だった
展開もそうだけど、この二人の無惨極まりない殺され方は、抵抗があるんじゃないかなって
そんな中での戦いこそがバトルロワイアルと私が考えている部分を、こうして表現してみたのですが
時間と移動距離の事もあり、スレ住人の意見の上でとの事でしたら、上記の私の書き込みをNGと処理していただきたく
90名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 15:51:06 ID:tSaeZL6Y
>>89
とりあえず、突っ込みどころも多いけど、
上げてしまった以上はNGよりもむしろ修正加筆を進めてみる。

後、あの世だよ全員集合リターンズの修正加筆がとりあえず終了。
91名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 16:09:03 ID:yo3ZpCe6
疑問についての「こういう解釈ができるでしょう?こんな風に考えましたよ?」を語ってくれるのはいいんだけど、
どれも「話を良く読めば分かること」じゃないんだよね…
良く考えてよ、って呼び掛けられてもあなたの脳内予想がひとつも文章に出て来てないから無茶な話で。

たとえば例をあげると、鳥の助けは確かに常時期待できるものではない、それは皆大体分かってる、
でも聞きたくなってしまうのは、直前に鳥と会話してる場面があるから「あれ?」と思われちゃうのですよ。
そんだけあなたの文章を読んで尊重してんです。

(>>89のレスについてのみの内容ということでよろしく)
92名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 16:45:04 ID:39VAyYoo
>>89
夜の帳が降りるってのは=闇に包まれたですよ。
ただ、緯度がわからないので初夏だからといって何時ごろに真暗になるのかはわかりませんが、少なくとも19時前後であると考えられます。
そこからI-6に♂ローグ 19:00 移動時間は1時間。
夕方F-7に♀ハンター&♀スパノビ こちらを17時前後としましょう。こちらの移動時間は3時間となります。
たしかにこれなら3時間の移動が♀ハンター、♀スパノビにできてギリギリ20:00にはH-7に辿り着けるかもしれません。
ただし、限りなく急いでH-7に向かった場合に限ってですよね。

問題はその理由になってくると思います。
通過することになるG-7近辺は砂漠地帯ですので、あえてそこを進む理由も必要になってくるのではないでしょうか?
ちなみに♀スパノビたちが巨木の下に向かったのは、そこが一番安全であろうという判断からだったはずです。

その辺の問題がクリアにできるような加筆が行われないと難しいのではないでしょうか。

あと忍者、悪ケミに挑んだときには♂ローグは弓矢で先制していますよ。
だからこそ普通に考えれば弓矢でしかけると思うので、仕掛けない理由も必要かなと思います。

自分はOKだと思うけどほかのひとがダメというならNGにしてくださいというのもあんまりよろしくないです。
可能な限り加筆して、納得のいくものとしてしあげるか、自分自身でNGとする。
そのどちらかをあなたが選ぶべきではないでしょうか?

私は加筆をがんばって欲しいなぁ。
9382sage :2006/03/25(土) 16:45:58 ID:CxyZFs/2
>>90
お疲れ様。193の非NGには同意。

>>91
まぁまぁ、カリカリしなさんな。
言葉足らずだった事については良くわかっただろうし。

>>89
>91の言うとおり言葉足らずなんだろうと思う。
でもそういうのは数書かなきゃわからないとも思う。
だから、意見に耳を傾けて何が足りなかったか考えてみるのもいいんじゃないかと
基本的にいい人ばかりだからあなたのことが嫌いで諌言してるわけじゃないしね。

で、私の意見として、ローグ視点を加筆したらもっと説得力が出るんじゃなかろうかと思う。
あと、加筆修正する分量によって、こっちにアップするかWikiで修正するか報告してもらえると
Wikiの人も後に書く人も助かると思われ。
最後の問題については、まぁこういう悲劇があるのがバトロワさね。

さて、本題。スパノビ追悼で書いていたらとんでもない話に。
読者諸氏、こんなバグは許せますか?

195.Bug[夜間〜深夜]

 右胸に熱い痛みが灯る。そのまま突き倒されるように仰向けに倒れた♀スパノビは霞む視野の中で冷静に考える。

(肺を貫かれてしまいました。息を吸うのも苦しいです。これでは、もう動けません。
 窒息死か失血死ですか、もう少し、ほんの少し楽に死にたかったのですが…)

 妙に詳しい医学知識を動員して自己の状況を分析する。助からないことに納得して、次の手を考える。

『塔と墓の下にGMがいる』

 こんな場所で、こんな男に握りつぶされるにはあまりに惜しい情報。だから、彼女は残された時間を使って誰かにこれを伝えることにした。しかし、♂ローグはなかなか彼女から離れようとしない。激痛の中でひたすら機をうかがっていた♀スパノビは眼前に突きつけられた醜悪な顔とその手つき、そして程なくして始まった新たな痛みからこの男の趣味嗜好を完全に理解した。

「いやーーーーーーーーーーっ!!」

 叫んだつもりだったが声はほとんどかすれて、口からあふれ出るのは鮮血ばかり。悪意の塊のような男の言動に酷い風邪をひいたときのように背中がぞくぞくする。けれども、取り乱したのは一瞬だけ。彼女は気がついたのだ。これは、彼女の土俵であるということに。

 彼女の生まれはフェイヨン。ただし、表の街ではない。その色町である。物心ついたころには男女の情交の後を掃除し、そういったことを生業にする女を姉さん姉さんと呼んで慕っていた。だから、年上であろう♀ハンターに義姉さんと呼ばれても動じないどころか、一種懐かしみをもっていたのである。

 本来ならば一生を色町で送るはずの彼女が、なぜ冒険者になってしまったのか。それは戦争の所為であるともいえる。男の多くが兵役として戦線に駆り出された為ではない。貧乏人の男が戦争に駆り出されようとも、一部の特権階級はいつも以上に多くの金を落としていくのだから、商館の経営事体には全く問題がなかったのだ。問題は、彼女の同僚が起こしたのである。こちらの世界に足を踏み入れて日の浅い彼女は客である変態趣味の聖職者に手を上げてしまったのだ。日の浅い彼女を無理矢理指名した客も客だったのだが、そのことを棚上げして聖職者は激怒した。有形無形の圧力がかかり程なくして商館は店じまいを迎えることになったのである。

 戦線へと新たな客を求めるもの、入魂の仲になった者のところへ嫁ぐもの。義姉妹がちりぢりになる中で彼女は冒険者の道を選んだ。もともと運動神経も達者であったし、寝物語に聞いた冒険者たちのいう外の世界にも興味があった。なにより、彼らから学んだスキルを実践で試してみたくもあったのだ。ありがたいことに、初期投資に見合うだけの資金はあった。そんな経緯で彼女は冒険者となったのである。
 戦争のために冒険者の道を選んで戦争のためにBR法の犠牲になる。なんとも波乱万丈な人生である。まっとーな人生を歩んでいない、ともいう。

 彼女に近しい人物がこの島にいるとするならば、それは♀ケミだろう。しかし、たどり着いた場所は同じでも、その本質は全くの反対である。
 彼女の場合望んだ結果としてそこにたどり着いたわけではないし、まして彼女は搾取の記憶の代償を常に求め続けてきた。一方の♀スパノビは当然のこととしてそこにいたし、当然のこととしてそこにたどり着いた。そこに一片の悔いもなければ、搾取されたという意識すらない。後に、冒険者となってからどうにも自分の常識がずれているらしいことに気づいたが、幼いころから染み付いた常識ともいえるものは決して消えなかった。

 自身の一生に思いをめぐらせて♀スパノビは耐える。
 耐えるといってもコツがある。特に今は時間との勝負だ。自分自身が耐えるだけでなく早く隙を作ってもらわなくてはならない。だから、適度に拒絶の態度を見せてやることで、相手に自分が俎板の鯉であることを知らしめ安堵させる。それがこの手の嗜好を持つものにはたまらないことを彼女は経験から知っている。
 苦しげなうめき声をあげながら彼女はふと思った。

(このひと、今私が微笑みかけて首に手を回したらどんな顔をするのでしょう?)

 嘲笑うのか狼狽するのか怒り狂うのか気にも留めないのか。

(う〜ん、難しいところですが、怒り狂うに一票入れておきましょう)

 いずれにしろ、ほんの少しでも余力が在ることを悟られるのはいけない。好奇心に駆られてつい実験してしまいたくなる気持ちをぐっと押さえ込む。
 なんといっても彼女は百戦錬磨なのだから。
 そんな彼女は一人思う。

(私、♂ローグさんも好きですよ。だって…)

 思っている間に彼女の待っていたチャンスが到来する。

(だって男の人って、とっても無防備になっちゃうんですから…)

 素早く正確にトンネルドライブを恐れて使えなかった集中力向上使ってまで、伝えなくてはならないことを♂ローグの死角に記す。気づかれていない。そして、この男は死体に興味はない。やがて息絶える私の身体で隠せば決して気づかれない。それには絶対の自信がある。しかし、これに気づく者が果たしているのだろうか。そのことに思いを馳せ、それはきっとカードが出るくらいの確率、とロマンチックな思いに浸る。
 さっきより、さらに視界が暗くなっている。死が近い。彼女は残された時間を妹のことを思うことで費やす。

(♀ハンターさん…、どうか…逃げて、ください。
 叱っても…護っても…あげられないお姉ちゃんを…、許してくださいね……)

 まどろむように瞳を閉じる。
 その目から一筋の涙が零れ落ちた。♂ローグは絶望の涙と見て狂喜する。♀ハンターは失望の涙と見て涙ぐむ。ただ彼女だけは知っている。それが、不甲斐ない自分自身への悔恨の涙であることを。
 とくとくと耳障りなほどに脈打っていた鼓動が薄れていく。
 底なし沼に沈んでいくような脱力感の中で♀スパノビは意識を手放した。
9482sage :2006/03/25(土) 16:48:05 ID:CxyZFs/2
 軽い浮上感。水中から浮き上がるような感覚に目を開けるとちらちらと瞬く星空があった。手のひらを目の前に翳してみる。血の匂いは濃厚にするが、確かにこれは彼女自身の手である。

「……生きていますね。ありえません」

 呟いてありえないはずの事実を確認する。軽く周囲を見回して♂ローグがいないことに安堵し、不用意でしたと一人ごちる。そして、そっと胸に手を這わせてみる。傷は跡形もなくふさがっていた。そして血も綺麗に乾いている。下着が肌にへばりついて気持ち悪いが今はそんなことに構っている場合ではない。

「よいしょ…うん、正常…不思議です?」

 上半身を起こして自問自答する。全くありえないことだった。ありえないことにはさらにありえないことが付きまとう。パチリと乾いた音が鳴って、♀スパノビの命を握っていた首輪が外れたのだ。
 予想外の出来事に♀スパノビの動きが止まる。彼女の知る事柄を全て突っつき合わせて何が起こったかを推察しようとする。わからない、けれど、一つだけ思い出したことがある。
 ある御伽噺だ。それを思い出して彼女は自分が生きている理由にだけは合点がいった。

「ああ、バグを探しても見つからないはずです。私自身がバグでしたか…」

 煙るような金髪に手をやってため息をつく。
 それは、スーパーノービスの間に伝わる御伽噺。さっき♂ローグ相手に鎌を掛けた時の天使様の加護とかそんなちゃちなものではない、正真正銘本当の御伽噺。
 曰く、スーパーノービスは勝手に生き返る。
 笑い話である。死んだ人間が勝手に生き返るわけはない。だというのに、この御伽噺はスーパーノービスの間で延々と伝え続けられていた。あるものは使命が生き返らせるのだといい、あるものは愛の力だといい、あるものは宿命だという。ただ、スーパーノービスたちはそれを事実として受け止めていた。
 事の真偽を確かめようとジュノーのセージキャッスルが調査に乗り出したこともあったが、条件が条件であるために頓挫したという。当然だ。死ぬのには痛みが伴うし、すぐに蘇生が出来るとはいっても、蘇生には脱力感が付きまとう。そんな実験に我が身を捧げようなんて酔狂なスーパーノービスは一人としていなかったのだ。当然、人倫を擁護する大聖堂からの批判もあったらしい。
 結果、公式としてはスーパーノービスは生き返らない(はずである)という常識に則った、学者らしからぬ結論がまかり通ることとなった。ならば、GMたちがそれを見落とすのも道理である。

 ♀スパノビの復活という奇跡が初期開発時点から見逃されていたものであるならば、首輪が自動的に外れた事は改良を加える間に追加されたバグであった。もともと、首輪は再生利用される計画であったのだが、第一回のバトルロワイアル終了後、死体を回収する際に兵士の不手際から誤爆が多発し多くのけが人を出した。実働部隊からの突き上げを食らった公務大臣は心拍が停止するとジェムストーンとのリンクが自動的に切れるように改良し、さらにはその魔力を自動的に抹消するようにしたのだ。もし、これが第一回のバトルロワイアルであったならば、♀スパノビの復活はすぐにGMの知るところとなり、バグが一つ消えることとなっていただろう。

 自分の身に起きた奇跡に得心が行った♀スパノビはふらりと立ち上がり、周囲を見回す。そして、ばらばらに解体された義妹の遺体を発見した。やはりと思う自分とどうしてと思う自分がせめぎあう。えずく様に身体を丸め、ばらばらになった義妹も身体をかき集める。その中に、うその様に傷ついていない彼女の頭部を見つける。嘲笑うように歪んだ唇、見開いたまま瞳孔が開ききった瞳。おどおどとしながらも生命力にあふれていた生前の彼女を知る♀スパノビとしては見るに耐えない表情。
 ♀スパノビは義妹の頭をそっと地面に置くと散乱した二人分の荷物を漁りだす。食料は残されている。水も残されている。薬品も目減りはしているけれど残されていた。けれど、地図は血にまみれて使い物にならない。周りは屠殺場もかくやというような惨状だ、当然といえば当然である。古く紫色の箱もフォーチュンソードもオリデオコンの矢筒も奪われている。意外にも残されているダマスカスとスパナに♂ローグの思考を察する。

(メインとサブに遠距離武器。その他の余分な武器も食料も要りませんか。機動力重視ということですね)

 彼女は使えるものの中から水袋を手に取ると幸いにして血に濡れていなかったショートパンツの残骸を水に濡らし血と恐怖にまみれた義妹の顔を拭う。それが、義姉としてのせめてもの義務であるかのように。
 どれほどの時間がたったのだろう。名残惜しそうに♀スパノビは♀ハンターの前髪を撫で付けると荷物をまとめ始めた。当面必用なものを自分の鞄に詰め、♀ハンターの鞄はダマスカスで解体して即席のスカートにする。ソーイングセットの一つでもあればもっとうまく繕って見せるのにとも思うが、ないものねだりをしても始まらない。
 身繕いを済ませた♀スパノビはもう一度名残惜しそうに♀ハンターの頭部を抱き上げると一言。

「おやすみなさい」

 そういって♀スパノビは冷たくなってしまった義妹の額にそっと口付けをし、月明かりの中、西へと続く♂ローグの足跡を避けて歩き出した。

<♀スパノビ 現在位置・・・H-7から南へ>
<外見:csf:4j0610m2>
<所持品:S2ダマスカス シルクリボン(無理矢理装着) スパナ>
<スキル:集中力向上>
<備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)>
<状態:血まみれ。♀ハンターの生い立ち、鳥との会話能力を知る>

スパノビの特殊能力としてBaseExp99%の際死亡すると低確率で全回復して復活することがあります。
………んなもん、成功したことなんてねーよ!
95名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 16:53:54 ID:Qx2EbnS2
問題有りだと指摘されてる書き手を必要以上に擁護する、その風潮もどうかと思うよ。
どんな矛盾や無理があっても早い者勝ちを奪い取って後から都合良く加筆修正すればそれでお咎め無し、なんてのは何のリレーにもなってない
9682sage :2006/03/25(土) 16:56:57 ID:CxyZFs/2
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
スパノビファンの人も余計な設定くっつけてごめんなさい
カリカリしてるところにさらにとんでもない話突っ込んでどーするんだとorz

今までの話の筋とゲームシステムを拾って破綻だけはないように書いたはずだけど
…はっきりいって反則。
死者生き返らせるのは反則だよなぁ…
あまりにバグ、バグいっていたスパノビと状況が
似あいすぎてたんで書いてしまった反省している

ただ、ありえない話ではないので住人の裁可だけは仰いでみたい。
前半だけでも採用してもらえるとありがたい。
97名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 17:07:52 ID:39VAyYoo
>>95
最初から上手く書ける書き手なんて、どこにもいないんだよ(涙)
だからこそ、みんな優しくて、厳しいのさ。
ただ、あなたのような批判も当然出てくると思います。これはもう、申し訳ないとしか言えない。

>>96
スパノビ蘇生話ですけど、個人意見は後半部分はanotherとしてならOK、本編としてはNGですかね。
砦で死んでその場再生はできないのと同じで、普通の世界では生き返る可能性があっても、島では無いということにしないと、いけないかなと。
死んじゃったけど、生きてることにしちゃいました。という行為自体が前の書き手さんへの冒涜でもあるからとも言えますが・・・・・・
98名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 17:34:45 ID:bUhQmwJw
個人的には、193-195含めてNG仕切り直しがいいと思います。

大体、みんな書き手が少ないから擁護しようって言うのはおかしくない?
折角書いた物だからとか。
突っ込みどころが多すぎるのなら、もうNGにしないと。
じゃないと、全然読み込みもしない人が、このキャラ殺したくないから〜って
適当に書いて、後からフォローするって形になっちゃうよ。

書き手も読み手も対等。
少なければ、読み手から書き手になればいい。
叩かれた書き手も、どこが悪かったのか良く考えること。
最初のころのNG書きさんだって、たぶん今は良くなってる・・・・はず。
だけど……どうも、その人と、オーバーラップするのは、私だけでしょうか。

それはともかくとして、とにかく、擁護するのは、書き手のためにもなりません。
成長するどころか、慢心の材料です。
99名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 19:54:47 ID:SA5iCXjY
気になった点だけちょっと思うとこ。

>>♂ウィズとの再接敵、♀スパノビとの遭遇時もそうですが、鳥が常時張り付いて常に警戒を発し続けている訳でもなかったと考えます
私は、その時点と「梟」の話以降で♀ハンタの鳥達に守られてる度合が全然違うと思ってたのですが・・・
今はほぼ常時、友好的な鳥さん達に守られてるんじゃないのかな?

>>移動方向
彼女達の場合、森の中を他の人を極力避けていた結果、東から西へという移動になっていただけで、
ただ森を移動しているだけである彼女達ならば180度の方向転換は別におかしくなくても
森から出るって行動はやっぱりおかしいのではないかなーと。

NGにする必要はないと思いますが、加筆・修正は確かに必要かと。
それが難しい・出来そうにないなら、NGも止むを得ないのではないでしょうか。
いずれにしろ、選択権は>>69氏にあると思うですよ。
100名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 20:05:19 ID:D6GvnZQA
NGを避けたがるリサイクル精神は立派だと思うけどね
これだけ矛盾点を指摘する人が多い中で、加筆修正だけでまともな作品になると本気で思ってる訳?
役者の生死が関わる大事な場面でんなご都合展開されると、真面目に続きを考える意欲が無くなっちまうよ
101名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 20:13:47 ID:GjHNNMhA
これだけ揉めてるんだし、一回仕切りなおしした方がいいと思うんだが・・・
矛盾点の指摘も多いわけだし
加筆修正すればいいって言うのは確かにそうかもしれないけど、とりあえず先に書いて後で修正すればいいって流れを作るのもよくないし
102名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/25(土) 20:30:04 ID:T0.kXH5g
まぁ69がNGじゃないなら93もOKって理屈になるな
103名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 20:34:44 ID:T0.kXH5g
わり、あげちまった
104名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 21:12:12 ID:j8N/rgLM
>>93
展開は反則的だけど「天使の加護の力」と「ユミルの角の力」の
関係を示す布石みたいなものになりそうだし個人的にはいいと思う。
ただ何らかのリスク(第一回で言えば死んだはずの♀ローグが反魂札で復活
したが、身体が崩壊していってしまう等)を与えないと「なんでもあり」に
なっちゃうんじゃないかな。

それと♀スパノビって♀アルケミストに会ってない気がするから♀アルケミストが
自分と同じような存在と気づくのは無理があるんじゃないかな。
個人的には展開よりこのことが気になったかも
105名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 21:59:04 ID:/x75XORQ
>>104
そこは神様視点の三人称部分っしょ。
スパノビの前向き(?)さを表してるんだと。
106名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 22:35:43 ID:/LRAFsfY
私は>>69についての問題は位置と時間についてのみと考えます。
他は矛盾と言うにはあたらず表現不足なだけではないでしょうか。
ただ、位置と移動時間についてはROワ1中盤〜後半で揉めに揉めた経緯があり、
それを避けたいからこそROワ2では細かく決めたと理解しています。

ですからこのままで通すわけには行かないでしょう。
ただし「不可能な移動」ではない以上、合理的説明が可能なら即NGも乱暴だと考えます。

そこで提案ですが。
>>69の採用不採用は一旦サスペンドし、義姉妹組・♂ローグの移動遭遇について説明が付くよう修正してもらう。
その間、他の書き手も義姉妹組・♂ローグについて書いて構わない。その結果>>69が後出しとなればNG。
ってとこでどうでしょうか?
要するに「仕切り直しだけど>>69の修正投稿もありよ」…ぁぁこう書く方が早かったかorz

でもってちょびっと前向きに。
義姉妹組を♂ローグが数q先から見つけた可能性について。
つ[鳥山]
つ[望遠鏡]

>>93後半については正直に面白いと思いました。が、
「爪角の欠片」の設定がある以上、それが使われなかったか効果がなかった理由付けが必要になりますね。
復活阻止効果は独立した物で、GMが自動復活を見落としていても無関係でしょうから…。
107名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 22:55:12 ID:Qx2EbnS2
再利用厨だなんてにゅ患的な言い方して煽ったらBANされますか
108名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 23:10:28 ID:bUhQmwJw
>>106
とにかく、今回は今後こういうことを起こさないためにもNGとするべきだと思います。
今後のためを考えるべきではありませんか?
再利用することばかり考えては、書き手のためにもスレのためにもなりません。
109名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 23:42:42 ID:39VAyYoo
>>108
106さんは暗に仕切りなおしに賛同しているのだと思いますよ。
つまり、一旦リセットをかけて、あらためて問題を修正したバージョンの>>69が投稿されるも良し、他の人が先に投稿するも良しってことかと。
わたしもそれで良いのではないかと思います。

たしかに色々と矛盾点がありつつも先出しが有効になってしまうシステムに問題はありますが、
ある程度はこうやって相談しながら決めていくしかないのではないでしょうか。

というわけで193〜195は無かったことにして仕切りなおしに賛成しておきます。
さすがに定時放送Bをもう一度書く気力は出ないので、定時放送Bは他の書き手に託すぜ、よろしく。
110名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 00:08:52 ID:GjjuOmUU
>>104

> (第一回で言えば死んだはずの♀ローグが反魂札で復活したが、身体が崩壊していってしまう等)
あれは反魂札を貼ることによってアンデット化して首輪判定を狂わせるかもしれないという予測からの賭けなので正確には復活ではないですね。
や、どうでもいいツッコミですg

♀アルケの話は地の文のことだと思いましたが、前後は♀スパ視点なのでちょっと不自然…。


とりあえず私は仕切りなおしに一票投じますね。
土曜中に書きこめてたらIDで分かったんだけど今回のことに関して初カキです。
11182sage :2006/03/26(日) 00:27:57 ID:MCShzYO2
つ バトROワを読むにも書くにも大事なこと

・お気に入りのキャラが死んでも受け入れること(泣くのは可)
・よほどのことでもない限り、先出しが有効なこと(泣くのは可)

ちょっとした危惧もあってきついこと書くかも知れないが、許してもらえるとありがたい。

ここのところもめている時って♀Wizの時といい
今回といいキャラクターが死んだときなんだよな。
一方で♀Wizと♂騎士が両者とも助かった時は
安易だと言う意見があったにもかかわらずここまでの反発はなかった気がする。

何が言いたいかっていうとバトルROワイアルってのは人が死ぬ話だってこと。
♀スパノビを蘇生させる話を書いた私が言えた事じゃないんだが、
蘇生ってバトロワで最大級の禁忌だぞ?
正直、>>97>>104,>>106みたいに反発がもっとあると思っていたんだわ。
こと後半は文章の体裁を整えて伏線の回収はしたけれど技術考察まできっちりやったわけじゃなかったし。
きっちりペナルティかけろというのも頷ける話だしな。
前提となるものがNGかどうかあやふやな>>69にあるってのも一端だとは思うんだが
それにしてもちょっと反応が鈍くないか?

冒頭に書いた「バトROワを読むにも書くにも大事なこと」の二条を
書き手も読み手も徹底しないとこの先誰かが死ぬたびにグダグダになりそうで怖い。
特に今回はどのキャラにも相応の背景が出来てしまって
機会があればこういう展開にもって行きたいって書き手は多いだろうし、
誰かの固定ファンとしてこのスレッドを読んでくださっている方も多いんじゃなかろうか。

でもな、バトルROワイアルってのは人が死ぬ話なんだ。

どれだけの背景を背負っていても、どんな目標を持っていても死んでしまう話なんだ。
その死に様で何かを伝える、その死に様に何かを感じるのがバトルROワイアルなんじゃなかろうか。
だから、感情的になってキャラの死にケチをつけるのは
この島で生き抜こうとしたキャラそのものを貶める行為になるんじゃないか、といいたい。

一応、念のために言っておくが矛盾点があってもいいとか
適当に書いていいとか言っているわけじゃないぞ。
こと後者はその状況を用意した書き手への最大の侮辱だし、
>>67に関しては加筆修正は確実に必要になるくらい矛盾点が多かったのも事実だ。

当然のこととして、書き手は書き手として前の人の話を無視するような事をしちゃいけないし
読み手は読み手として感想まで消化していない自分の感情を書き手にぶつけちゃまずいでしょ。
それを守って初めて書き手と読み手が対等な立場に立つんだと思うが、いかがか。

>>106
今回、テーマ(強姦)と結果(義姉妹PT死亡)と表現(矛盾点の多い文章)が
三者三様に反発を招いてこんがらがっているから仕切りなおしも仕方ないかもしれない。
>>67氏の再投稿があれば一番なんだがね。
まぁ、移動距離の関係でその前にジョーカー様の定時報告が必要か。

長文すまんな。最後まで目を通してくれた人ありがとう。
もうちょっとだけ書き手としてのありがとうを言わせてくれ。

レスくれた人、議論の最中空気を読まずに投下した文章にしっかりと目を通してくれてありがとう。

>>97
いや、反則だなぁと思ったから投下を躊躇したわけだし、まっとうな意見だよ

>>104 >>110
「なんでもあり」にしちゃたしかにまずい。
次の機会はないかもしれないが次があればその辺も深く考えてみる。
♀ケミとの対比についてだけど、神の視点と♀スパノビの視点がごっちゃになっているかもしれないのか。
書いてて全く気づかなかった。ご指摘ありがとう。

>>106
ちょっとずらした着眼点だけで書きはじめた話だけに面白いと言ってもらえて一安心。
正式採用にも程遠いということが分かってもう一安心している。
112名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 00:45:05 ID:Tz7BCw0o
>>111
いや…まぁもちつけ。
あなたの話に対して「OKじゃね?」ってレスが付かなかったから、わざわざよってたかってNGだと発言されなかった。
ただそれだけのことだよ。
本人が反則だと書いていたので、自分なんか最初から後半はアナザー扱いで読んでたしね。
113名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 00:57:03 ID:A5pa184M
>>82
最初っからNG大前提の「まったく問題外」な話だから議論の対象にすらしてない。
大体自分で反則だって言ってるものを他人がどう評価しろっつーんだよ。
ファビョって長文書く前に滝に打たれて落ち着いてきてくれ。
114名無しさん(*´Д`)ハァハァdage :2006/03/26(日) 01:12:12 ID:ZnjVljAw
雰囲気を読まない発言ですまん。
前スレ355を読んでたら、

【♀アサは自分が♂アサより経験豊富だと思っている】
【でも、実は♂アサは♀WIZのお相手で鍛えられている(by追憶の彼方)】
【ふふふ、ベッドの上でもあたしが鍛えて――えっ? ちょ、ちょっと、ソコは……はぅんっ!?】
【あっ……や、やぁ……そ、ソコだけは……ソコは、か、堪忍してぇ……】

って電波を脳髄で受信したんですが、エロスレでブチマケてきた方がよろしいでしょうか?
115名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/03/26(日) 01:13:21 ID:ZnjVljAw
ご、ごめ……dameちまった……
116名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 01:17:17 ID:S4/fN1Fw
>>114
いますぐエロスレで投稿するように!
117名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 01:46:32 ID:bgc/zCYo
>>111
今回の場合は生死うんぬんより、距離や今までの♀ハンターや♀スパノビの
行動から予想されるキャラの行動理念に、少し無理があったのが大きかったと思う。
私も読んでみたけど何故そうなったのか想像できなかったしね。
そういう意味で♀WIZと♂騎士復活は安易だと私も思うけど、反発が少なかったのは
まだイグ実を半分食べれば半分程度の回復はするんじゃないかなという想像が
できるからじゃないかな。

バトROワではキャラがその世界で生きているという前提があるから、
今までの話の流れからみて、そのキャラがそう行動するか? そういう出来事があるか?
その話が出たときそれが無理なく想像できるか否かで反発されるかされないか変わると思う。

私個人としては全体の物語として美しくなるように各自が書いていけば、
別にそれでいいと思うけどね。
118名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 02:05:25 ID:bgc/zCYo
連投失礼。

業務連絡
私の書いた191ですが、過去に♀アルケミストが仲違いをさせてPTを壊滅させると
考えていた発言をしていたのを見落としていたので、
『彼らの精神状態をうまく使えば自分の利になるか・・・それとも・・・』の部分を
『彼らの精神状態をうまく使えば彼らを仲違いをさせることができるか・・・それとも・・・』
に修正したいと思います。

無修正でもそういう意味にも伝わるかなと思ったけど、客観的にみていきなり
そういう結論になるのはおかしいかなと、思ったので一応wiki掲載時に修正して
おきます。

もしこのままでもOKor元のままのほうがいいという意見が多くあれば、
そのままにしておきますが・・・

それと>>68さんナイスです!!
同じ状況でも視点変わるとこうも違うものなんですね。
11969sage :2006/03/26(日) 02:26:50 ID:Ss1/GA3g
修正を勧めてくれ、私の話を尊重しようとしてくれた方々には頭が下がる思いですが
修正は更なる困惑を招く結果にもなりかねず、193話はNGとしましょう
それに合わせて続きを書いてくれた方には申し訳ありませんが……
大きく物語が動く(人が死ぬ)以上、周辺の矛盾解決には特に気を配るべきでした

追記
>>98
>>最初のころのNG書きさんだって、たぶん今は良くなってる・・・・はず。
>>だけど……どうも、その人と、オーバーラップするのは、私だけでしょうか
君、マジスゲェ。ハハッ、久しぶりに復帰して、二回目でこのザマだよ
こんだけやって、変化無しってな俺にはうまくやれないって事なんだろうな

みんなへ、また迷惑かけて済まない
だが、悪意は無かった事だけは信じてくれ、そしてまた俺は読み手に戻るとするです
120名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 02:41:50 ID:2XtrZxbg
ぶっちゃけみなさん、矛盾とかよりもあんまり面白くなかったから
書き直して欲しいorNGヨロってことでしょ?少なくとも俺はそう。

個人的にはNGより書き直してほしいところ……。
じゃないと今までにNGになった良作品への冒涜な気がする。
気に入らなきゃgdgdすれば書き手がNG出す風習もキモイ。

>>69 まぁあまり気にするな。書きにくくて書き手が避けてた
キャラを書こうとした姿勢だけでも評価できると思うぞ。
121名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/26(日) 03:13:13 ID:52YjFgzQ
オーラポリンが出てきて島が消滅する展開でいいよ
122名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 03:16:14 ID:hGC4zcHI
>>119
スパノビ固有の特殊スキルを使うという案は面白かったです。
戦闘の内容も近接型のスパノビとしては理解出来ましたし、
キャラの特徴もそれなりに出ていたと思うので、
機会があればまた同じシチュエーションで書き直してみて欲しいです。
123名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 04:23:38 ID:0.H2/8lQ
んでは193話はNGとなります。194、195話も同様に。
次の話のナンバリングは193。ようやく本編再開ですかね。
>>119は指摘された問題・矛盾点をきちんとクリアした納得いく作品を
かけたならば、同じストーリーでの再投下も勿論可能、でいいのかな?

で、雑談をふるわけだが…
「誘惑・色仕掛け」は大いにアリだけど「レイプ・強姦(死姦)」は
勘弁してほしい、なんて思ってしまった。上のほうでもあったけど、
自分もROワスレで死体レイプネタが出るだろうとは覚悟してなかったから。
♂ローグポジションの人物の行動としてはもの凄く納得できるんだけど、
納得は出来ても気持ち悪いよ orz
でもBRには付き物のネタなのかなぁ?
読み飛ばしが出来んだけにキツい…。>>93前半みたいに
実は♀キャラが一枚上手だったりすると、なんとか楽しめるんだけど。
124名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 05:14:44 ID:hGC4zcHI
自分はある程度のレイプもBRらしくて歓迎ですが、
吐き気を催すほど拒絶反応を起こす人がいるのなら避けた方が無難でしょうか。
125名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 05:57:55 ID:O8zgNUoE
さて、スレの流れを読まずに妄想投下。
皆さんは、キャラの年齢はどれぐらいだと思いますか?
自分的脳内ではこんな感じ。

GMジョーカー
28歳くらい。実はもっと若いとか?

GM森
30歳くらい。絶対30は超えてるはず。

GM橘
24〜26歳くらい。意外と若そうな気がする。

♂ローグ
28〜30歳くらい。まだ若いといえる位の年齢。♂シーフの両親殺したのもこのローグじゃなかろうか。

♂クルセイダー
25〜28歳くらい。♂騎士よりは年上そう。

♂WIZ
32歳くらい。絶対、ミストレスを除いて最年長だと思う。

ミストレス
外見はアチャ子だから17歳くらい。中身についてはノーコメンツ

♀ハンター
18歳くらい。なんとなくまだ成り立てなきがするし。

♀スパノビ
見た目は15歳くらい。でも本当は20超えてそう。

♀BS
20歳。むちむちぷりん

♂スパノビ
ごついけど、実は16歳とか。なんかえらく若いイメージがある。

♀ノビ
14〜16歳くらい。ロリだし

♀ケミ
20歳〜24歳くらい。でも、この人を考えると某雑誌モデルで有名なもえさん(26歳だけど)が頭から離れなくなります。

淫徒プリ
22〜25歳くらい。V系バンドみたいな中性さがありそう。

♀WIZ
24〜26歳くらい。当初は28歳くらいかと妄想していたが、追憶の彼方を読んで♂アサより年下らしいとのコトでこの年齢に落ち着く。
(♂アサは絶対26〜28前後だと思う)

♂プリ
28歳。魔法使いまではまだいってない気がする。

♂セージ
25歳。

♀商人
15歳くらい。♂シーフよりは年下っぽい

♂シーフ
16歳くらい。♀商人よりは年上っぽい

♂騎士
20歳。かなり若造な気がする。

♂ケミ
19歳。♂騎士よりは若そう。

♀アコ&♀マジ
17歳。同い年な予感。


(触れてない人は特にイメージしてなかったりします)
126名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 09:57:43 ID:S4/fN1Fw
>>123,124
というかですね、そもそも18禁スレじゃないわけなので
過激な表現自体がダメだと思うんですよ。
色仕掛けや、行為を匂わせる程度までは良くても実際にそれが起こるなんて文章は
あきらかに18歳未満の方に良くないわけで。

もしそういった内容を書きたいのであれば、18歳未満禁止スレにしなければならないと思います。
127名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 12:17:43 ID:A5pa184M
強姦死姦と人肉食はいくらBRでも避けた方が良い展開だと思
リアルに考えればあり得ない事じゃないかもしれないが、読者に不快感を与えてちゃ娯楽にならんし
128名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 12:50:13 ID:wZ2YXkyY
難しい話だと思いますけれど、どうとでも取れるような書き方にすればいいと思います。
体を重ね合わせたとか、抱きついたとか、合体!!!とか。
…最後のは露骨でしたすみません。

さすがに強姦などについて>>127がいいと思います。

それ以上を具体的に書くって人は18歳未満の人によろしくないので
18禁スレにご案内ではないでしょうか。

>>125
♂Wiz以上の年齢の人は今は亡き工務大臣と一児の父クホルグレンでしょうね
特にクホルグレンはあんな大きな娘がいて30代だったら詐欺ですよ
ティーンエイジャー以外、もう2,3歳上だと思っていました
129123sage :2006/03/26(日) 15:23:54 ID:mt6nTIa2
そう、参加者が中学生じゃないパロディBRなら強姦レイプもあって不思議じゃないんですよね。
そこは頭で理解できる…

>>126
自分の場合は嗜好の問題でただの我が儘なのかな、とは
思ったんですが、そういえば18禁ってどこまでなんだろ

>>127
グROスレが18禁なことだし、常軌を逸した猟奇系は18禁のが良さそうねぇ。

でもお色気成分はあって欲しいと思ってしまう現金な住人でごめんなさいorz
130名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 15:26:11 ID:dhWPWO7Y
さて、そろそろ続きを書きたいのだが。
今回はNGで話を進めるとして、定時放送はどうすればいいかな?
禁止区域諸々、194話の中身を踏襲するのか、それとも次の書き手がまた勝手に決めていいのか?
すちゃちゃっと決めちゃいませう
131名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 18:51:26 ID:zYkDRZfs
禁止区域とかは踏襲する方向でいいんじゃない?
新しく考える必要性もないし。
死亡者発表をちょい改変すればOKと思われ。
132名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 19:08:17 ID:O8zgNUoE
とりあえずまとめてNGにして、書き直しのが今後のためにはいいです。
と思うのです。
133名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 19:21:11 ID:zYkDRZfs
む…解った。蒸し返すのもアレだし、>>131の意見は取り下げます。
134名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 21:15:14 ID:UjPjLg/Y
書き手の好きにすべし。
特にこだわりがなければ同じ場所でもいいし。
こっそりな思惑をさりげなく練り込むもよし。
ジョーカー様になりきってダーツとか始めるもよしだ!
(もちろん禁止区域になって差し支えないマップをエントリーさせて)
135名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 22:56:16 ID:NhXdxRvs
人死にで問題が出るのも確かだけど、それ以前にバランスの取り方も
各自バラバラなんだよね。リレーだから仕方ないんだが。
最初の頃、いいアイテムがぽんぽん出るんで、これでバランスは大丈夫なのか
不安になった。
あとは明らかに特定のキャラへの優遇が見えちゃってるとかね。

まあこの辺は書き手のスタンスに関わることで、どういうのが正しいとか
こうだから悪いとか一概に言えるもんでもないし、話が進行してる途中で
あまり言うことでもない気がするので、終了後に座談会ででもゆっくりと。
136名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/26(日) 23:23:19 ID:GjjuOmUU
>>125
♂スパノビ16才以外はなるほどって感じでした。結構容姿とかを明確にイメージして読まない人だからかもだけど。
だって♂スパ♀BSより実は年上だったら萌えるじゃん?
…いや、実際の私のイメージは田舎の中高一貫の男子校に通い引っ込み思案なまま高校卒業した18歳男子です。

>>135
座談会といえば、前回って第一回座談会も終了後だったっけ?
と思いながら過去スレみてみたら終了後でしたね。まだ200話手前ですけど生存30名弱だし、まだまだ遠そうだなっと。
といいつつ座談会やるならせっかくのPK鯖だしウルドでやらないかと気の早い話を提示してみる。
137名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/27(月) 10:51:02 ID:Wumhbm1w
               。   。
||             。/V⌒V\。
||           ←ヽ(´く_,` )ノ  <パージェーロ!パージェーロ!
|               (へ )
                 >

禁止区域選ぶ様子ってこんな感じ?
138名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/27(月) 15:04:22 ID:lLweBDug
>>137
ココア噴いたwwwww
139名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/27(月) 20:39:36 ID:EC2TDkrg
おい……あたしゃ今スパゲッティ喰ってたんだぞ?しかもミートソース。
そこんじょらの赤ん坊とちがって白い服きてたって何にも怖くないわけよ。>>137がいなかったらな…!どうしてくれる!


ボードにはちゃんと「たわし」、ありますよね?
140名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/27(月) 21:27:30 ID:qwNMPmgY
たわしに当たったらどうすんだろう?
141名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/27(月) 21:50:19 ID:Px/B4Bk2
GMジョーカー様が直々に支給して回ります。彼は決して自分を曲げない!
142名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/27(月) 22:26:20 ID:yJD5hELY
>>137から>>141の流れで定時放送できたらどうしよう!
143名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 06:45:04 ID:OvuyQ...
193  夜空に輝くもの  二日目 夜〜定時放送前

「おや・・。あのお嬢さんと♂騎士は生き残りましたか・・・。」
すっと左手でとんがり帽子のつばを持ち、帽子を被り直す。
「キキキー、主人ヨ、当てが外れたナ。」
いい加減重いので下ろしたデビルチが、♂WIZの反応が楽しみだとでも言うように、
見上げながら言ってきた。♂WIZはふぅ、とため息を漏らし、彼女たちがいる民家を見る。

「まさか、イグドラシルの実とは・・・。しかも半分にして使うとは・・・。
 全く予想していませんでしたよ。あの状態で生き残れるとは・・・。
 詰めが甘かったですね。やはり止めは刺すべきでしたか。完全に私のミスです。」
♂WIZはめずらしくも自らの非を認める。デビルチは何度かうなずくと、
持っているトライデントで、件の民家を指した。

「反省もヨイガ、主人ヨ、これからドウするのだ?生き残ってはいるが、
見てきた限りデハ満足に動けなさそうだったぞ。」
♂WIZはデビルチを見る。確かに好機ではある。戦力として数えられるのは、
♂セージと♂プリースト、♂アルケミスト位だろう。♀WIZと♂騎士は行動不能、
♂シーフと♀商人は戦力外として、問題はなさそうだ。

だが、♂セージが問題である。デビルチの見聞きしてきたことを整理すると、
♂セージがかなり厄介である可能性が高い。技能、知識もそうだが、指揮能力が良い。
♂シーフと♀商人を戦力外としたが、♂セージの指揮能力如何によっては、
立派な戦力となりうる。そうすると、3対2ではなく、5対2となり、
♀WIZと♂騎士を殺せないばかりか、逆に追い込まれる可能性がある。

「あの♂セージをどうにかしなければ、誰も手に掛けられないでしょう。」
「それほどの者ナノカ?あの男ハ?」
「元々セージとは相性がよくありません。私は魔力をもって魔法を引き起こしますが、
 彼らは魔力でもって魔法を打ち消したりできるのです。解りますか?相手は
 私が魔法を用意している間に、魔法を打ち消せるのです。打ち出した魔法を
 吸収したり、魔法を発動させるために貯めた魔力を奪われたり、魔法の影響を
 受け付けない空間を作れたりするのですよ。」
♂WIZが説明すると、デビルチは民家に向けていたトライデントを、普通に持ち直した。
「確かにソレデは、相性が悪いナ。」

♂WIZはデビルチの言葉にうなずいて、民家を見ながら言った。
「それに相性とは別に、♂セージは厄介なのですよ。」
その言葉にデビルチは♂WIZを見上げる。
「ほう・・・、まだ何かアルのか。」
「ええ、そうです。あの♂セージ冷静に合理的な判断を下しています。
あなたが聞いてきたように、仲間から反発されることも、
 必要ならばあえて言っているようですし、それで誰も反論できないでいるのですから、
 ♂セージの発言力と説得力の高さがうかがい知れます。よって、私は厄介な相手と
 判断しているのですよ。」

♂WIZは思案している。どうやって戦うか・・・。改めて件の民家を観察する。
屋根は板張りで、風で飛ばないようにレンガが置かれている。
壁はレンガで作られているが、経年劣化なのかそれほど頑丈ではなさそうだ。
平屋で部屋の数も2つもないだろう。似たような家がいくつかはあるが、
どこも質素な作りをしている。元々ここで暮らすための家ではないのかもしれない。

(さて、どうしますか・・・。♂セージをどうにかしたいですが、まず無理でしょうね。
 かといって、そのまま襲撃しても、♀WIZと♂騎士は倒せないでしょうし、
 ♂セージと♂アルケミスト、♂プリーストを相手に勝負も無謀ですね。)

♂WIZは片眼鏡をはずして、両目をきつく瞑る。そして上を向いてつけなおす。
もう日が落ちきっており、空には雲が無くなって、代わりに星が見えている。

(もう夜ですか・・・。先ほどの雨を降らせていた雲も、もう随分遠くに行きましたね。
 星が随分出てますね。星?・・・、星・・・・。)

「そうですか、星ですか・・・。これは盲点でした。なにもわざわざ襲撃する必要は、
 無かったのですね。満足に動けない人が二人もいるのですから、その方が安全ですね。」
♂WIZの突然の発言にデビルチは怪訝そうな顔をする。

「主人ヨ、何を思いツイた?」
デビルチの問いに対し、♂WIZはこう答えた。
「いえ、相手が出てこないのならば、出てこざるを得ないようにしてしまえば、
 良いのですよ。しかも相手は二人も重傷者がいます。その者の移動の補佐でやはり
 二人は戦力から外れますから、多くても三人、少なければ一人と戦うだけで済みます。」
「具体的にはドウするのだ?」
「まずは場所を移動します。付いてきてください。」
そう言って♂WIZはデビルチと供に闇の中へ静かに入って行った。
144名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 06:46:09 ID:OvuyQ...
♂セージは状況を確認している。
まずは、♀WIZと♂騎士の容態。♂騎士のほうは元々の体力のおかげか、
意識は戻っていないが、安定している。このままいけば、問題はないだろう。
一方♀WIZの方は、時々うなされたり、ひきつけを起こしたりする。
予断を許さない状態である。♂プリーストは彼女に付きっ切りで看病している。

次に♂アルケミストと♂プリースト。♂アルケミストは♂騎士の方を看ている。
ハーブやポーションは底をつき、イグドラシルの実やマステラの実なども、
使い切った今、できる事と言えば、汗などをふき取るくらいだが、健気にやっている。
に対し、♂プリーストは相当疲労している。元々殴りプリなのにヒールを連発しており、
今も♀WIZの容態が悪くなりそうになったら、すぐさまヒールを掛けるという、
かなりハードな看病を要求されており、彼の顔色は大分悪くなっている。

後が♂シーフと♀商人。♀商人は♂プリーストの手伝いをしており、
彼女が汗を拭いたり、ひきつけの時に体を押さえてヒールしやすくしている。
♂シーフの方は部屋の中からではあるが、窓から周囲を覗いて警戒している。

(♂騎士さんはなんとかなるでしょう。だが、♀WIZさんは危険な状態ですね。
 イグドラシルの実を半分にして二人の命を救ったのはいいのですが、
 効能は半分以下ですか・・・。しばらくはここから動けないですね。
 ♂クルセイダーが襲撃してくることはないでしょうが、そのほかのマダラーが
 来ないとは限りません。特に♀WIZさんを瀕死にさせた、♂WIZがもっとも
 危険ですね。)

♂WIZの追撃を考えて、場所を変えたいものの、変えられない現状が♂セージを、
焦らせる。♀WIZの止めを刺さなかった訳、もしかしたら救助に来た我々の場所を
特定するためにわざと生かしておいたのかもしれない。助け出した♂プリーストは、
おそらくそんなことは考えなかっただろう。だがそれも仕方ない。目の前で瀕死の
旅の仲間がいるのだ。助けることで精一杯だっただろう。

(今この場を襲撃されるのは非常にまずい・・・。何とか対策を練らねば・・・。)


♂WIZは深呼吸した。久々に唱えるこの魔法。日々魔法の修練はしているが、
なかなかこの魔法は使う機会がない。それも仕方の無いことである。
元々一人であることが多かった彼は、この魔法を唱える機会が少なかったのだ。

視線を近くに潜むデビルチに送る。デビルチは♂WIZを見て一度うなずき、
ジャベリンを構え件の民家に目を向けた。♂WIZは視線を民家に戻すと、
思い出すように魔法を詠唱し始めた。

「天空に在りし、無数の星よ、我が呼びかけに応じよ。」
本当に星が落ちてくるわけではない。自分の魔力で作り上げた炎の玉を落とす
だけである。
「我は汝らの力を欲する者なり。」
だが、長い詠唱時間と、込める魔力がただの炎の玉では終わらせない。
本物の隕石に近いものを落とさせるのである。
「我と汝らの力をもって、愚かなる者どもを打ち倒さんことを。」
♂WIZの右腕が天空へと向けられ、
「メテオストーム!!」
力ある言葉と一緒に振り下ろされた。
145名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 06:47:03 ID:OvuyQ...
突然の轟音に、♂セージは最悪の事態が訪れたことを悟った。合計5個の隕石が、
この家屋や周囲に落下したのだ。こんなことが出来るのは♂WIZしかいない。
屋根は一撃で破られ、天井も炎に包まれながら、崩れてきた。周囲も炎に包まれ、
一刻も早くここから逃げ出さなくてはならない。崩れてきた天井も大した重量では
なかったようだ。♀WIZや♂騎士をかばった♂プリースト、♂アルケミスト、
♀商人には、多少の打撲や擦り傷はあるものの、命に関わる怪我はなさそうだ。
♂シーフもうまい具合に避けたらしい。物陰から出てきた。

「♂プリさん、♀WIZさんを背負ってください。♂アルケミさん、あなたは♂騎士を。」
 そういって♂セージは出口を探す。
(ドアから出るのは危険だ。狡猾な♂WIZが待ち構えているだろう。
 するとやはり、壁に穴を開けてそこから出て行くのが一番安全ですね。)
♂セージは出口であるドアの反対側の壁に向かってファイアーボールを唱えた。
メテオストームで脆くなっていた壁は一撃で崩れた。なんとか人が通れる隙間ができる。

「♂シーフさん、先行してください。ただ、十分警戒してください。」
「はいっ、わかりました!!」
♂セージに言われ、隙間から身を躍らせる♂シーフ。♂シーフが外に足を一歩踏み出した
瞬間、♂シーフの本能というべきか、『危険』に対する警笛が全身を襲った。

これ以上先に進むな。速やかに戻れ。死にたくなければ、早く戻れ。今ならまだ間に合う。
バックステップしろ。早く早く早く早く早く・・・。

♂シーフは本能に従い、即座にバックステップした。すると、すぐ目の前で大きな火柱が、
上がったのである。設置魔法のファイアーピラーが発動したのだ。
それを見た♂セージは自分の浅慮を呪った。
(まさか、読まれていたとは・・・。)


崩れた壁の位置が読み通りだったのに、♂シーフが弾かれるようにファイアーピラーを
回避したため、♂WIZは内心面白くなかった。だが、ファイアーピラーを当てることが
目的ではない。家屋内部に直接炎を投げ込みたかったのである。

(射線は通っている。ファイアーピラーは中から容易に出られなくするため。
 本当の狙いはこれです!!)

♂セージは♂WIZが何をしたいのか、彼の手から現れた赤い火の玉を見るまで、
想像できなかった。
(くそ、全てが後手後手だ・・・。とにかくあれだけでも相殺せねば・・。)
♂WIZから放たれたファイアーボールに向かってフロストダイバーを唱える。
相殺はできなかったが、炎が直接かかることは防げた。が、♂WIZの手には
またもや、ファイアーボールが用意されている。一刻も早くここから脱出せねば。

「みなさん、ドアから出てください。一刻の猶予もありません。早くしてください!!」
そう言いながらも、次のファイアーボールの威力を抑えるために、
フロストダイバーを唱える。今回もどうにか爆風の向きを変えられた。
しかし、そう何度もうまくいかないだろう。♂シーフが先に出て、周囲を警戒する。
しかし、こちらは何も罠はない。全員が崩れ落ちる民家から脱出する。
♂セージには煮え湯を飲まされたような、苦虫をつぶしたような顔をしている。
が、ここに留まってはいられない。安静にできる場所を探さなくてはならないし、
追跡を逃れなければならない。♂セージはしんがりを勤めながら、
家々の間を抜けていった。


「しかし、主人ヨ。なぜ我をあっちの扉に配置しなカッタノダ?全員逃げてしまったゾ?」
♂WIZとデビルチも燃え盛る民家からはすでに離れている。今は迂回ルートを取りながら
彼らを追跡している。
「そうですね、もしあなたをあちらに配置すれば、何人かは倒せたかもしれませんね。
 ですが、そのときはおそらくあなたも、ただでは済まなかったでしょう。
 ここでは、傷の治療は期待できません。イグドラシルの実などは例外ですが、
 基本的には傷ついたら、傷つきっぱなしなのです。そして、このゲームはMVPが
 出られるのではなく、最後まで生き残った者が出られます。それを考えれば、
 あなたを扉の近くに潜ませなかった訳が理解できるでしょう。」
「ナルほどな、主人は我の身を按テノ事であったカ。」
「窮鼠猫を噛むですよ。余計な怪我はしないに越したことはありません。逃げ道を
 与えつつ、削っていけばいいのです。ばらばらになったら各個撃破で確実にとっていく。
 急ぐ必要はありません。堅実にいけばいいのですから。」

♂WIZは探索の魔術で♀WIZの位置を探る。モンスター情報の魔法で詳細は
採っていないが『オーラ』のWIZはこの島にはさすがに一人しかいないだろう。
生命の輝きこそさほどでもないが、まだ何かを秘めている感じがする。
(そういえば、あのお嬢さんはこのゲームを止めることができるようなことを、
 言っていましたね・・・。もしかしたらその時が来るまで死ねないのかも
 しれませんね。なにせ私のストームガストを生き残ったくらいですからね・・・。)

♀WIZの探索を終えると、♂WIZはデビルチとともに闇の中に消えていった。


<♂Wiz>
位 置:D-5から♀WIZを迂回しつつ追跡している
装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子
    レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア
 ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報
 ストームガスト メテオストーム(10) ソウルストライク
 ファイアーボール
備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド
    ♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害
    デビルチと主従契約

<デビルチ>
位 置:D-5から♀WIZを迂回しつつ追跡している
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約

<♀WIZ>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー 案内要員の鞄(DCカタール入)
     島の秘密を書いた聖書、口紅
外 見:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフ、♂セージ、♀商人と同行 ♂プリに背負われている
状 態:身体のあちこちにまだ傷は残る。瀕死からは脱出 ただし、予断は許さない状態

<♂プリースト>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備 考:殴りプリ ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♀商人と同行 ♀WIZを背負っている
状 態:心身ともに極度の疲労

<♂シーフ>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:多めの食料
外 見:栗毛
備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♂プリ・♂セージ・♀商人と同行
    盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♂セージ>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所 持:ソードブレイカー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボール フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
    ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♀商人と同行

<♀商人>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・♂プリと同行
    ♂セージに少し特別な感情が……?

<♂騎士>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
備 考:♂アルケミを真の意味で認める 時々GMの声が聞こえるが、それに抵抗する
♂アルケミに背負われている
状 態:痛覚を完全に失う 瀕死からは回復 意識はないが容態は安定している

<♂アルケミスト>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状 態:やや混乱状態 右肩に浅い傷 必死に♂騎士の傷を塞ごうとしている
♂騎士を背負っている
備 考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型
メマーナイトなし?
146143sage :2006/03/28(火) 06:50:37 ID:OvuyQ...
一応スキルシュミレータでメテオストーム10が取れるのは確認済みです。
まあ、こんなスキル振りのWIZいるか?といわれると、ごめんなさいするしか
ありませんけどね。
147名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 06:51:55 ID:5qEs/htc
なんか、一人、♂WIZをやたら贔屓してる書き手がいる気がする・・・・・
148名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 07:06:24 ID:2ouDx5p2
ありえないスキル振りなら一応表示させといた方がいいと思う。
納得できない人も多いだろうし。
149名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 08:36:29 ID:bHbiZLsk
取れるならスキル振りはどうでもいいんだが、
魔法の威力がよくないと思う
基本ルールで
>ファイアーボルトやあらゆる大魔法、モンクのスキルについても、それのみで殺害できる程の威力は失われている。
とあるからね
そこの部分だけ修正していただきたい
150名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 08:40:23 ID:bHbiZLsk
ああ、書き忘れ
ファイヤーピラー使うならブルージェムストーン必要なはずだから
この魔法は使えませんよっと
151名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 08:44:08 ID:bHbiZLsk
ごめん、150は取り消しorz
Lv1-5なら必要ないのね∧‖∧
152名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 09:06:36 ID:QzafwluA
とすると、メテオでも家は壊せないよね。
雹の大きいヤツくらい?
153名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 09:24:07 ID:6Vi4iEjE
スキルはこんな感じと推測。
ttp://uniuni.dfz.jp/skill2/wiz.html?10rHdxoafOdDqoeaHxGK

個人的に今後のために確認しておきたいことが一つ。
大魔法とか設置型魔法って詠唱中はゲーム内だと地面に魔方陣出てきますよね。
これが島でも適応されるなら大魔法を気付かれることなく発動させることができなくなるわけですが、
どうなんでしょう?

193話だと魔方陣なしでも発動してそうな気がしたので、そのへん気になりました。
154名無したん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/28(火) 10:55:29 ID:bwuKNbM6
確か前回も♀ウィズがメテオで家吹っ飛ばしてたし、SGMS両方取ってたっしょ
でも、何度見てもサイトラッシャーとFP取ってるのにバロスwwwwwww
しかもモンスター情報とか、もうね、流石異端、最高ですこの人
でもステが問題なだ。INT>AGI>DEXかINT-DEX二極か
いっそ、漢らしく雄々しくもINT-VIT二極のソロ仕様。これオヌヌメ
155名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 10:56:16 ID:/MMyM91k
一発で屋根を破壊するほどとなると、人体に当たれば即死に近いですね。
Lv5以下のFPなら直接踏んでも足を焼けどする程度だと思いますし。

強制的に民家から追い出すアイデアは良かったし、
大魔方の魔法陣が出るにしても民家の屋根の上に出ると思うので問題なさそうですが、
♂Wizの魔法の威力が全体的に強すぎるような?
156名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 11:10:06 ID:/0DyNAe2
キャンディ舐めてたのに♂WIZがLov持って無くてカナシス。
しかし、デビルチって♂WIZの使い魔だったのか……。

>>154
♀WIZに勝ってることから♂WIZはINT>DEX>VIT(微妙にタフ)と予想。
157名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 11:12:23 ID:IpYOalsE
ちょっと全体的に読みにくいのが難点だけど、シーフがすんでのとこで避けたり
はしばしで熱い展開があって良かった。
♂プリの隠形を見破る能力も敵さんには偶然バレなかったし、反撃のチャンスがありそう。
魔法の威力は自分もやや疑問でしたがまぁありかな、という範囲かな?

ただ♂WIZがあれだけセージという職との相性の悪さを語っているのに、
当の♂セージはマジと変わらない応戦しかしてないのが気になったといえば、気になったな…
同じ話の中での軽い矛盾、というか。

あとやっぱ、ゲーム内では誰でも魔方陣見えるし発光もしちゃうし、まったく気付かれずに奇襲が可能なのはずるすぎない?
熟練の近接職が殺気で危険を察知できるみたいな感じで、
魔方陣が可視化されなくてもいいから魔法職は魔法の気配が分かるとかしないと、
この後の♂WIZは奇襲し放題になりそうな…
158名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 11:22:55 ID:MFbRHNUY
他の人が言っていることは任せて、最後のほうに一つだけ疑問。

殺したつもりだった(しかも止めを刺す時間がなかったとまで作中で言われている)♀Wizに
♂カイジにかけた魂の探索の呪文使っていたんだろうか?
狡猾な♂Wizのことだから殺したつもりなら無駄な手間を省くだろうと思う。
というか、魂の探索が乱発できる魔法だと流石に♂Wiz強すぎると思うんだ。

…モンスター情報?いや、モンスター情報ってさ、視界内じゃないと使えないし
場所まで探れる魔法ではないと思うのだけど…どうなんだろう?

>>156
INT=DEX二極かもしれないけど、近づかれたら終わりなステータスなのは確かだろうね
159143sage :2006/03/28(火) 11:35:58 ID:QWGdUcgs
指摘されて改めて魔法の威力を考えると、確かに高いですね。
最大の攻撃魔法でもそれのみでは、人を殺せるほどの威力は無い。
となると、屋根が一撃どころか、全弾命中しても壊れないかもしれませんね。
それと、魔方陣・・・。申し訳ない、完全に失念しておりました。
何のために♂シーフが周囲を警戒してるんだ・・・。

すみません、そこら辺を踏まえて修正したいと思います。
あと、この他にも矛盾点などありましたら、ご指摘いただけますと、
ありがたいです。お目汚し本当にごめんなさい。
160名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/28(火) 11:43:09 ID:r/P.v65s
>>143
まだまだ予断を許さない未亡人PTにwktk
♂wiz vs ♂セージの頭脳勝負の予感。激しくGJですよー。

>>152
十分メテオで壊せるんじゃない?
板張りの天井に劣化した煉瓦。崩れた天井は大して重くない=比較的薄い板と漏れは読んだけど。
板が割れる威力なら人も死ぬだろって意見もあるかもだけど、それはあくまで直撃とかのラッキーヒットの類でしょ。

>>153
魔方陣は有った方がいい希ガス。
wiz系が大魔法で不意打ち出来るのは反則だと思うし…。
193話だと確かに描写されてないけど、室内で気づかなかったとも解釈できる。

そして書き手の一人として更に意見を求めてみる。
「演出」としての高威力な魔法は有りか無しか。
例えば、もはや決着が着いた相手を殺すのに「演出としての高威力魔法で一撃で倒す描写」は有りか、「何度も魔法を打ち込む描写」をするべきか。
ルールを厳密に適用すれば後者かな?
161名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 11:56:43 ID:6Vi4iEjE
大魔法の威力に関しては難しいところですねぇ。
本来の大魔法は複数の人間すらも一斉に殺せるくらいの強烈な破壊力を持っているわけで、

これが島だと
・威力が抑えられているけれど、発動すれば1人くらいは殺せる or 大ダメージ
・発動しても殺せないほど著しく威力が制限されている。
のどちらかにしなくてはいけない。

発動に長時間詠唱、しかも魔法陣で詠唱バレなどのリスクが伴うようなら大魔法くらいは高威力でもいい気がするけど、
ルールに従うなら一撃で殺すことはできないということになって、大魔法がしょんぼりに・・・・・・。
このへんは書き手まかせになっちゃうのかな。
阿修羅覇凰拳もそうだけど、大技をどうあつかうかがなかなか悩みどころですね。

かといえばジルタスvsグラサンモンクみたいに鉄拳で一撃みたいな場合もあるから、
やっぱり書き手次第ということに・・・・・・。
162名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 12:10:37 ID:/MMyM91k
実際のゲーム中でも大魔法はそんなに強くないです。
SGは多段Hitの魔法なので、一〜二発当たっても死なない事もあります。
MSも隕石一つ二つなら当たっても大抵死にません。
完全な威力でそれなので、5分の一となると致命的なダメージを与えるのは難しいと考えます。

自分の主観ですが、BRでの大魔法は高威力よりも
範囲と自然的な影響力の高い魔法と言った扱いが丁度いいのではないかと。
つまり、完全な状態で発揮されれば対象を窮地に追い込む事が出来る代わりに、
一瞬で相手を瀕死に追いやるようなものではない、みたいな。
単なる個人的なイメージですが^^;
163名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 12:25:00 ID:/MMyM91k
うまく伝えられなかったかもしれないので例を…。

例えば、動けない相手の周りの空気を凍えさせ、
その中である程度の時間吹雪に晒されれば凍傷で瀕死、或いは致死状態になるでしょうが、
動ける相手に発動しても、範囲から逃げられてしまいそれだけでは瀕死にするのは難しい。
MSも全て命中させれば熱と火炎で殺せるが、自由に動ける相手には隕石を交わされてしまうので
MSを発動させただけで相手を動けない状態まで持って行くのは難しい…など。

作中のメテオの扱いは面白かったのですが、
朽ちているとはいえ一軒の家の屋根を破壊するほどの威力というのは、
ヒットさえすれば一発で行動不能に近い状態に持って行けるように思われます。
164名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 12:28:25 ID:QTb6RqME
書き手のオリジナル技だから細部までわからないのは当然だけど、これって乱発するとかなりまずくね?
いつの間にか相手に設定してて不意打ちしまくりpgrって展開ばかりになって♂WIZが無敵化しちゃうよ。
つーかまぁ既に何でも有りの悪の主人公補正かかってるが・・・

どうせなら♂ローグを相手に魔法で華麗に翻弄する素敵展開に し て み な い か
165名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 12:36:24 ID:QTb6RqME
メテオは
・当たればかなりの傷を負わせられる
・しかし詠唱が長くて普段は使えない
・魔法陣も目立ちまくるから "普通の状況では" まず不意打ちには使えない
・発動しても範囲から逃げられたらそれだけで終了

当たればいいけど当たらないから使えない博打スキルって事でどうかとw
前BRで♀WIZが建物破壊できたのは対象が動かなかったから、って事後設定にもなるかもしれない
書き手次第だけど、都合良すぎる使い方にならなければある程度の威力があっても悪くない気はす

何かの間違いでGMの重要施設に隕石が落ちる展開まだー
166名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 12:38:48 ID:6Vi4iEjE
194.定時放送B [2日目夜]

初夏の太陽が人々にひとときの別れを告げ、役目を受け継いだ月と星が、夜の地上をうっすらと照らした。
喧騒も、焦燥も、殺意も、狂気も、すべてを飲み込むように空は青みを帯びて黒い。
殺戮ゲームがはじまって、二度目の夜が来たのであった。

どこからか人の声が聞こえた。
それは否応なく癇にさわる声であり、参加者の全員が聞きたくもない声であった。
男の声は笛の調べのようにきれいで、それでいてどこまでもつめたい。
GMジョーカーの3回目の放送がはじまったのである。

「島での2日目をいかがお過ごしでしょうか。ジョーカーです。
 もし寝ている人がいたら起きてくださいね。これから大事な大事な死亡者の発表と、禁止区域の地図への反映を行いますよ。
 万が一、寝過ごしてしまうと大変です。そこが禁止区域だったら猶予は30分ほどしかありませんからね」

GMジョーカーはいつも通りの口調である。
楽しそうなのに、すこしも楽しそうではない。聞く人によってどちらともとれる、ひどく矛盾した声音であった。

「それにしても前回の放送からの皆様には、いまひとつやる気が感じられませんね。これではいけません。
 この島から無事に帰ることのできる人間は、たったひとりだということをちゃんと理解しておられますでしょうか?
 私の説明が足りなかったのですかね。もしそうだとしたら、私、女王陛下にしかられちゃいます」

こまったこまった、などと言いながらも、GMジョーカーのひとり芝居はつづいた。
参加者は皆、憮然としつつも閉口するしかなかった。
なにを言ったところで聞き入れられるはずもないことが、すでにわかっているからである。

「さて、不満は残りますが、仕事は仕事。死亡者の名前を読み上げるとしましょう。
 まずは───」

そしてGMジョーカーが読み上げた死亡者は、5人であった。
ホルグレン。♀アーチャー。ジルタス。♂アサシン。忍者。
ホルグレンの名前が読み上げられたことに、彼の参加を知らなかったものはずいぶんとおどろいたかもしれなかった。
また、モンスターであるジルタスが参加していたことは、彼らにそれ以上のおどろきを与えたのかもしれない。

ただ忍者という名前にだけは、反応できるものがわずかにしかいなかった。
それもそのはずで、彼の存在を知っているものは、この島において、数人しかいなかったのである。
さらに言えば、本当の意味で彼を知っている人間は、悪ケミひとりだけであった。

GMジョーカーの放送は、さらにつづいていた。

「それでは続きまして禁止区域を地図に反映させます。地図をよくご覧ください。
 ダーツはあいかわらずへたなんですけどね。今回は皆様のためにがんばりましたので。
 なにせ禁止区域が広がらないことには、皆様が積極的に殺し合えませんからね」

地図をにらみつけるように広げているもの。傷ついて見ることができないもの。地図をどこかへなくしてしまったもの。
彼らはそれぞれに禁止区域がどうなるかを待っていた。
もちろんけっして歓迎していたわけではないが、生き抜くためには見逃すことなど許されなかった。

やがて地図は5箇所の禁止区域を、あらたに表示させた。

D-3
D-8
G-8
H-4
J-5

「さてさて、かなり禁止区域も増えたことで、皆様方にもいろいろと思うことが増えたはずです。
 あとおよそ2日で27名、もしくは28名全員が帰らぬ人となるわけですが、そろそろ人を殺す覚悟は定まりましたでしょうか?
 もし、まだ皆が助かる道があるのかもしれない、なんてことを考えている人がいるとしても、
 そんな人も含めて、私はすべてのかたを応援しておりますよ。どうぞがんばって、最後まで生き残ってください」

それでは、と締めの言葉を告げてGMジョーカーの放送は終わった。
島はかりそめの静寂につつまれて、まるで眠っているようであった。
次なる惨劇を予感させる、嵐の前の静けさであった。

こうして2日目の夜がはじまったのである。

<残り28名>
167名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 12:55:58 ID:QTb6RqME
定時放送で気付いたけど、♂WIZはどうやって瀕死の二人が生き残った事の詳細を知ったんだ?
生死は放送を聞いて判断したんだろうと勝手に思ってたけど、タイトル読み直したら放送前だったようだし

イグ実を半分ずつなんてのは監視か盗聴でもしてなきゃ知るのは不可能だと思うが
監視してたとすると、死亡確定扱いで一度は放置した奴を改めて監視してたその理由が必要になる
魂スキルで盗聴もできますって話になるとそりゃ強すぎ便利すぎ修正しるでFAだし

で、もしイグ実の話を知らなかったって展開に修正された場合の事も考えてみたんだが
理由はわからんけど超回復しちゃってる不気味な奴らを相手に単身特攻するだろうか?って懸念が
168名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 13:01:42 ID:QzafwluA
♂WIZの目的って確か♀ノビじゃない?
何で、♀WIZたちを見張ってるわけ?
倒したと思った辺りで移動してるだろうし、深追いしないと思う。

そっちのが理不尽なきがするわ。
169名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 13:52:16 ID:bwuKNbM6
例えばさ、スタンして身動きが取れなくなってる相手に、ナイフ一本あれば殺せるよね
でも、ゲーム的処理だと、何回も刺さなきゃなんない
んでMdefが高いキャラ相手に、建物が崩壊する程の魔法撃ち込んでも、大して効かないっしょ
その辺、ゲーム的な不条理ってあるじゃないですか
大体HP高いって何よと。HPも何も急所に刃物刺されりゃ誰だって死ぬぞと
そういうゲームと物語との整合性はSSにする時、ルールで決めずらい部分と思われ

んで、♂ウィズが♀ウィズ達の近況を知ったのは、デビルチが偵察に行ったからかと
170名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 13:52:58 ID:NlP7r4Fw
>>153
それだとFDが
ttp://uniuni.dfz.jp/skill2/wiz.html?10rEGKoafBdDqohnGXGK
どうしても2pほど足りないんだよね
IWはFWに近い時間だろうから2か3だろうし
うーん隕石5個ってことでMSが10なのか気になるとこだけど
しっかり書かれてるしな

>>154
INT>AGI>DEXにしたらAGIWIZで♀WIZと完全に被っちゃうよ
詠唱はやめだし普通の2極なんじゃないかな
171名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 14:14:48 ID:bHbiZLsk
169も言ってるけど
・♀WIZが生きてたと分かった理由
→先に♂WIZがD-5の民家に潜んでいたら後から♀WIZPTが近くの民家に来たので
 デビルチをこっそりと偵察いかせる
こうすればいちおう辻褄は合うかな
>デビルチの見聞きしてきたことを整理すると
って表現もあるしね
♂シーフに見つからなかったのは運と言うことで。
まあ、書き手さんが修正するって言ってるのでそこらへんは期待してみる

>>170
スキルはSG10じゃなくてもいいんじゃない?
少しSG削れば大丈夫な気もする

>>160
演出としてならありだと思いますよ俺は。
172名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/03/28(火) 14:14:48 ID:grc/DND2
>>166
D-3とD-8って、そのままだと命の危険がDANGERな人たちが……ッ!!
逃げてー! 早く逃げてーッ!
173名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 14:50:14 ID:QTb6RqME
今更だけどデビルチってどうなんだろうな
子バフォとジルタスの二番煎じだし、ただの使いパシリにしか使われてないから魅力を感じられない
正規参加者じゃないからいずれ処分しないといけないが、戦力だけは高いからそう簡単に殺せないし
飼い主自体色々苦慮するところがあるだけに、尚更扱いづらい
174名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 15:12:01 ID:eB..mp5E
つ[所詮は悪魔]
つ[土壇場で♂Wiz裏切り]
つ[絶望する魂をすする]
175名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 15:36:15 ID:r/P.v65s
デビルチの戦力高いの?
実際のゲーム中では強いかもしれないけど、BR内では♂wizの手を刺した位しか相手にダメージは与えていないと思ったけど。
ゲームの強さを持ち込んだらまずいのは書き手も判ってるんじゃないかな?だからこそ闇JT撃たなかったり残影しなかったり直接攻撃に参加してない訳で。
偵察の辺りが扱いづらいという意味なら鳥使いの方がよっぽど厄介。
176名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 15:54:21 ID:r/P.v65s
>>175に追記
♀ハンターが駄目だと言ってる訳ではないでし。
その場に居るのが不自然なデビルチと違って、自然に存在する鳥と意思疎通できるって部分を知らなければ警戒し様が無い分相手には厄介って意味で。
177名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 16:00:32 ID:QTb6RqME
表現されちゃいないけど、かといって弱い設定にしすぎても不自然じゃん?
悪魔だから♂ローグなんかのdjにも有利だし

強かったり便利だったりするモンスターもそれはそれで良いけど
一度くらいぽいずんすぽあさんみたいな癒し系が飛び出たっていいはずだ・・・って書いてから思いだした子デザごめんまじごめん切腹してくるから許して
178名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 17:02:12 ID:r/P.v65s
>Mobやその他特別枠出演者についても同じであり、更に彼等は超人的能力を有する場合、普通の冒険者と同等程にそれは低下している。
これだね。極端に弱くする必要は無いけど、能力の制限はされてる。さじ加減は難しいけど致命的な強さは無いと思うよ。
まーデビが直接人倒すようだと困り者なのも確か。
今更な話題だけど、改めて書き手は扱いに注意しましょう位でいいと思ふ。

すまんね。>>173氏の物言いがちょっと気になったもんで。
二番煎じとか魅力を感じないとか、中傷にしか見えなかったもんで…。
179143sage :2006/03/28(火) 19:49:47 ID:jqaD7EbE
大変遅くなりました、143です。
これから修正文を出させていただきます。一応内容としては、

1、魔法の威力の修正

2、♂セージの対応の修正

3、魔法陣が表示していなかったことによる対応の修正

4、魂の探索の魔術に有利性を強調する文章の削除

5、♂WIZ贔屓の修正

6、上記に基づく作中の修正

以上の6つです。あと、途中までは一緒なので変わりだすところから、
掲載いたします。よろしくお願いします。
180143sage :2006/03/28(火) 19:52:29 ID:jqaD7EbE
(今この場を襲撃されるのは非常にまずい・・・。何とか対策を練らねば・・・。)

♀WIZの首に巻かれていたマフラーを見る。今は看護のために外されている。

「♂プリさん、♀WIZさんのクローキングマフラーをお借りしたいのですが、
 よろしいですか?」

また、少し♀WIZの容態が落ち着いたため、自分の汗を拭う♂プリーストに、
♂セージが尋ねる。♂プリーストは怪訝そうに言った。

「なぜだ?これは♀WIZさんの物だぞ?どうするつもりだ?」

過度の疲労のためだろう、ひどく棘のある言い方をする。♂プリーストとしては、
♂セージの申し出は納得がいかなかった。まるで、形見分けかのように聞こえたからだ。
♂セージは一瞬考えたが、あえて現実を見据えながら♂プリーストに言う。

「彼女が持っていても意味が無いからです。それに今まともに戦えるのは、
 私だけでしょう。そのため一人で戦う状況が出てこないとも限りません。
 そのときの離脱用の手段は必要です。」

そう言われた♂プリーストはカッとなってしまった。が、すぐに現状を理解する。
♂セージの言った事は残念ながら正しいのだろう。♂プリーストは度重なるヒールの
行使によって、極度の疲労状態になっているし、♂アルケミストも武器は持っているが、
そんなに戦闘が得意ではない。♂シーフも土壇場になればやってくれるとは思うが、
元々争いは好きではないし、♀商人にいたっては、本人は戦闘型とは言ってはいるが、
『戦い』というイメージすら無い。そうなると現状では♂セージしか満足に戦えない
ということになる。
♂プリーストは一度大きく深呼吸すると、いつもの口調で言った。

「わかった、確かにあんたしか、自由に戦えるのはいねえな。だが、後で必ず
返してくれよ。」

そう言って差し出されたマフラーをもちろんです、と答えて♂セージが受け取る。
と、その時外を警戒していた♂シーフが声を上げた。

「あっ!?あれは・・。♂セージさんっ!!外を見てください!!
何か魔法陣みたいなものが・・・。」

♂セージが急いで窓から外を見ると、闇の中でも浮かび上がる白い魔法陣が描かれている。
規模は大きい。大魔法には間違いないだろう。♂WIZがストームガストを使えるのは
知っているが、状況から考えてそれの可能性は低い。となるとメテオストームか、
ロードオブヴァーミリオンだろう。

(く、放って置くと、動けない♂WIZさんと♂騎士さんは死んでしまう。
 ここから動かざるを得ないようにし、実際に動ける戦力を削ぎに来ましたか。
 たった一人に背後から襲撃するかと思えば、この大人数に堂々と挑んでくる。
 かなり強かですね・・・。)

♂セージは手早くマフラーを身に着けると、次に起こすべき行動を考えていた。
181143sage :2006/03/28(火) 19:53:32 ID:jqaD7EbE
♂WIZは深呼吸した。久々に唱えるこの魔法。日々魔法の修練はしているが、
なかなかこの魔法は使う機会がない。それも仕方の無いことである。
元々一人であることが多かった彼は、この魔法を唱える機会が少なかったのだ。

視線を近くに潜むデビルチに送る。デビルチは♂WIZを見て一度うなずき、
ジャベリンを構え件の民家に目を向けた。♂WIZは視線を民家に戻すと、
思い出すように魔法を詠唱し始めた。白い魔法陣が民家の周辺に現れる。

「天空に在りし、無数の星よ、我が呼びかけに応じよ。」
本当に星が落ちてくるわけではない。自分の魔力で作り上げた炎の玉を落とす
だけである。
「我は汝らの力を欲する者なり。」
だが、長い詠唱時間と、込める魔力がただの炎の玉では終わらせない。
本物の隕石に近いものを落とさせるのである。
「我と汝らの力をもって、愚かなる者どもを打ち倒さんことを。」
♂WIZの右腕が天空へと向けられ、
「メテオストーム!!」
力ある言葉と一緒に振り下ろされた。


断続的な爆発音が屋根の方から聞こえてきた。すごい砂埃が天井から降ってくる。
なんとか持ちこたえた屋根ではあるが、どうやら火が点いてしまったらしい。
屋根から紅い光が地面に照らされてるのが、窓から見える。もう一度メテオストームを
落とされたら、炎と一緒に天井が崩れてくるだろう。速やかにここから退去しなければ
ならない。そして、急かすように現れる魔法陣。もはや一刻の猶予も無い。

「♂プリさん、♀WIZさんを背負ってください。♂アルケミさん、あなたは♂騎士を。」

そういって♂セージは出口を探す。

(ドアから出るのは危険だ。狡猾な♂WIZが待ち構えているだろう。
 するとやはり、壁に穴を開けてそこから出て行くのが一番安全ですね。)

♂セージは出口であるドアの反対側の壁に向かってファイアーボールを唱えた。
メテオストームで脆くなっていた壁は一撃で崩れた。なんとか人が通れる隙間ができる。

「♂シーフさん、先行してください。ただ、十分警戒してください。」

「はいっ、わかりました!!」

♂セージに言われ、隙間から身を躍らせる♂シーフ。♂シーフが外に足を一歩踏み出した
瞬間、♂シーフの本能というべきか、『危険』に対する警笛が全身を襲った。

これ以上先に進むな。速やかに戻れ。お前が踏み出した場所から早く戻れ。
今ならまだ間に合う。バックステップしろ。早く早く早く早く早く・・・。

♂シーフは本能に従い、即座にバックステップした。すると、すぐ目の前で大きな火柱が、
上がったのである。設置魔法のファイアーピラーが発動したのだ。
それを見た♂セージは自分の浅慮を呪った。

(まさか、読まれていたとは・・・。)

しかし、すぐさま♂セージは冷静さを取り戻し、頭を切り替える。

(私が作った出口に待ち伏せていたということは、逆にドアの方は手付かずのはず。)

外の魔法陣も消えた。もう間もなく2回目のメテオストームが降り注ぐだろう。
新たに出口を用意する時間もない。♂セージは皆をドアから脱出させることを決め、
自分は別行動をする事に決めた。
182143sage :2006/03/28(火) 19:54:12 ID:jqaD7EbE
崩れた壁の位置が読み通りだったのに、♂シーフが弾かれるようにファイアーピラーを
回避したため、♂WIZは内心面白くなかった。だが、ファイアーピラーを当てることが
目的ではない。家屋内部に彼らを押し留め、家屋ごと彼らを倒すことであった。
死なないにしても、深手を負わせられれば、今後が大分有利になる。
敵は彼らだけではないが、敵であることに変わりは無く、減らせるのなら、
できるだけ減らしておきたい。

2回目のメテオストームが民家に降り注いだ。燃え出していた屋根は、
かなり脆くなっており、隕石が3個ほど着弾すると、音をたてて民家の中に崩れていった。
が、その前に一人、壁の出口から飛び出てきた。姿からして♂セージのようだ。

(まあ、こういう可能性も想定していましたからね。5対2が1対2、上出来でしょう。)


♂セージは崩れそうな民家から飛び出した。♂WIZの姿はすぐにわかった。
魔法は一定の距離を離れすぎては使えない。大魔法とて例外ではない。

(あれが♂WIZですか、♀WIZさんを一度倒しただけあって厄介そうですね。)

♂セージはすばやく遮蔽物に隠れると、魔法を唱え出した。自身の戦闘力を強化する、
オートスペルである。だが、それを察知した♂WIZが即座に反応し、射線をずらして、
ソウルストライクを放ってきた。♂セージは間に合わないと判断し、オートスペルを
キャンセルして、マジックロッドを発動させる。2体の英霊が♂セージに吸い込まれる
ようにして消えた。

(く、オートスペルを使わせる暇も与えませんか・・・。)

喰らえば当然魔法は中断されるし、キャンセルしてマジックロッドを発動させたが、
吸収されても、さほど問題ないレベルに抑えられたソウルストライク。
つい先ほど大魔法で家屋を攻撃していたとは思えない、繊細な魔法選択。

一方の♂WIZも相手の反応に予想以上のものを感じていた。こちらの魔法に対し、
素早い対応と、当然のように吸い込まれたソウルストライク。1対2と楽観視していたが、
考えを改めねばならない。メテオストームで炙り出されたはずなのに、この冷静さ。

(さすがに一人で出てくるだけの事はありますね・・・。)
183143sage :2006/03/28(火) 19:55:12 ID:jqaD7EbE
♂セージが移動しながらソウルストライクを放ってきた。♂WIZも負けじと、
ソウルストライクを放つ。中空で衝突しお互いのソウルストライクが消滅していく。
今度は♂WIZがフロストダイバーを放つ。♂セージはぎりぎりまで近づいてから、
マジックロッドで吸収する。じわじわと詰められる間合い。♂セージの手には、
ソードブレイカーが握られている。近接戦で仕留める気のようだ。
ユピテルサンダーで間合いを広げようとするが、スペルブレイカーで完成前に妨害される。

(ぐっ、なんて冷静に攻めてくるんだ・・。これでは♂セージを倒すどころか、
 デビルチに協力させることもできない。)

♂セージはフリーキャストという技術を用いて、死角に回り込みながら、
魔法を唱えてくる。♂WIZも相殺したりしているが、立ち止まらないと魔法が使えない
ために徐々に間合いを詰められる。そして、♂セージの近接間合いに入った。

魔法の撃ち合いから一変し、コンバットナイフとソードブレイカーとが火花を散らす、
近接戦となった。緩急つけて攻撃してくる♂セージに、相手の攻撃を予測して何とか
凌いでいる♂WIZ。なんとかしてクァグマイアを放ちたいが、それすら許さぬ斬撃。
ふと♂セージの口元が動いているのに目が止まる。斬撃を凌いでいた♂WIZが、
♂セージの詠唱に気が付いたときには、もう魔法は完成していた。

「ファイアーボルト!!」

4本の火の矢が♂WIZを打ち抜く。威力が落ちていて、♂WIZ自身が魔法に耐性が
あるとはいえ、動きを止めるには十分だった。♂セージのソードブレイカーが、
♂WIZの心臓を狙う。遅れてコンバットナイフで受け止めるが、もはや♂セージの
思惑通りになってしまった。受け止めたコンバットナイフごとソードブレイカーで、
押し込まれてソードブレイカーの先端が左腕に突き刺さる。そしてそのまま
コンバットナイフを絡め捕り、♂WIZの手から奪い取ってしまったのだ。すっぽ抜けたコンバットナイフ。破壊されなかったのは、♂WIZの力の無さゆえか。

ソードブレイカーを振るい、遠心力でコンバットナイフを脇に飛ばす♂セージ。
返す刃で♂WIZの首元を狙う。♂WIZはなんとか仰け反ることで回避するが、
バランスを崩して後ろに倒れこんでしまう。♂セージはすばやくソードブレイカーを、
逆手に持ち替え止めを刺そうとした、その時である。耳障りなキーキー音が
聞こえてきたのは・・・。

それがデビルチの使う闇の魔法だと気が付いたときには、♂セージは弾き飛ばされていた。
ダメージこそ大してないが、2〜3mほど弾かれる。すぐに身を起こすと、
物陰から出てきたデビルチがトライデントを構えてこっちを見ている。
♂WIZも倒れた場所から転がりながらデビルチの方に移動して起き上がろうとしている。


(まさか、デビルチが潜んでいたとは・・・。♂WIZも倒し損ねましたが、
 手傷は負わせました。すぐには追跡してこないでしょうし、時間も十分稼ぎました。
 間合いも開いたことですから、ここは一旦引きますか。)

「♂WIZさん、もしまた付け狙うのでしたら覚悟しておきなさい。」

そう言って♂セージはその場から立ち去った。左腕を押さえながら、♂WIZが立ち上がる。
デビルチが拾ってきたコンバットナイフを受け取ると、黙って鞘にしまう。

(ここから移動しなければ・・・。私が引き起こしたこととはいえ、
この場は目立ちすぎる。どこか休める場所に隠れなくては・・・。)

♂WIZの体はファイアーボルトに打ち抜かれた火傷と、ソードブレイカーで刺された左腕、
そして、なすすべなく追い込まれたという敗北感に打ちのめされる。

「主人ヨ、たしかにセージとは相性がワルかったな。」

デビルチの皮肉に、♂WIZは何も言えなかった。


<♂Wiz>
位 置:D-5
装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子
    レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア
 ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報
 ストームガスト メテオストーム(10) ソウルストライク
 ファイアーボール
備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド
    ♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害
    デビルチと主従契約 軽度の火傷 左腕に刺し傷 ♂セージに対する敗北感
    安全なところに移動したい
<デビルチ>
位 置:D-5
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約

<♀WIZ>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)  案内要員の鞄(DCカタール入)
島の秘密を書いた聖書 口紅
外 見:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂プリ・♂シーフ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行
♂プリに背負われている
状 態:身体のあちこちにまだ傷は残る。瀕死からは脱出 ただし、予断は許さない状態

<♂プリースト>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行
♀WIZを背負っている
状 態:心身ともに極度の疲労

<♂シーフ>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:多めの食料
外 見:栗毛
備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♂プリ・♀商人・♂アルケミ・♂騎士と同行
    盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♂セージ>
位 置:D-5
所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
    ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♀商人と同行していたが、現在は単独行動中
    他のメンバーと合流しようとしている。

<♀商人>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♂アルケミと同行
    ♂セージに少し特別な感情が……?

<♂騎士>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
備 考:♂アルケミを真の意味で認める 時々GMの声が聞こえるが、それに抵抗する
♂アルケミに背負われている ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂アルケミ・♀商人と同行
状 態:痛覚を完全に失う 瀕死からは回復 意識はないが容態は安定している

<♂アルケミスト>
位 置:D-5から安静に出来る場所へ移動中
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状 態:やや混乱状態 右肩に浅い傷 必死に♂騎士の傷を塞ごうとしている
♂騎士を背負っている
備 考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型
メマーナイトなし? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♀商人と同行
184名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 20:14:54 ID:QTb6RqME
FCAS型カッコヨス
デビルチにも見せ場ができてて(・∀・)イイヨイイヨー

最後の一覧を見てふと思ったけどDCカタールはもう使い手がいないんだな
アサシンは男女ともやられてるし忍者も永久欠番だし(´・ω・`)
185名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 20:17:09 ID:alPRcBUI
♂セージかっこ(・∀・)イイ!!
♂WIZ渋いよ(*´Д`)
デビルチステキ過ぎ(*´Д`)アアン
186名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 20:33:40 ID:JOucGZeY
ふぉおおおおお
鼻血吹いた!!

魔法使いの知能戦堪能させていただきました。GJ
187143sage :2006/03/28(火) 20:45:13 ID:jqaD7EbE
すみません、あとメテオストーム(10)と表記しているところを
ただのメテオストームに変更してください。よろしくお願いします。
188名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 20:50:03 ID:Ow9o0uqY
>>184

3のルール参照。

♀スパノビがダマスカス使えたのと同じく、本職には落ちるけど使用可能。
189名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 21:40:14 ID:eO/D7oDo
>>181から
GJGJ。近接職同士の対決はよくあるが
魔法職VS魔法職はあんまし見れないから鼻息荒くなっちゃったよ。

>>184
あと道具としての扱いは可能だからねえ。
ゲームと違うんだから、仕込みに使ってもいいわけだし。
どう使うかは書き手と持ち主次第。
190名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 22:31:25 ID:/MMyM91k
GJです〜。知能戦いいですね。
魔方陣が地面に投影される設定も臨場感があって良かったです。
191名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 23:43:32 ID:bHbiZLsk
>>181
GJです
しかし、1箇所だけ・・・
>ジャベリンを構え
これはトライデントの間違いですよね?
WIKIに載せる時にこっそり修正するのがよろしいかと。
192名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/29(水) 03:32:43 ID:wJGC2EOI
定時放送もあったのだし、ここらで一旦状況整理が必要な予感。
結構、各PTの状況も変化しましたし。
193名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/29(水) 12:21:33 ID:qEOuRzng
知能戦テラカッコヨス(*´Д`)

DCカタやTBLバッソみたいな特化系の武器って
効果が描きにくい感じがありますね
ブレストシミターのようなスキル発動型のものならわかりやすいですが。
そこで、例えばTBLバッソに切られた人間の傷は出血が止まらない等の
独自仕様があれば面白かったかもと妄想。
名前もブラッディですしw

非常に今更ですがねorz
194名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/29(水) 13:11:28 ID:2/bBzQhw
元がヒドラカードなだけに、催淫効果があって斬られた敵は身体がうわなにをするやmtjshg
195名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/29(水) 15:37:45 ID:kxRwNEdo
>>194
エロス
196名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/29(水) 16:14:42 ID:v9IHmuRw
>>194
♀クルセたんは実はあの時別な意味で大変なことにとか想像して
ドキドキしちゃったジャマイカ
197名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/29(水) 18:58:20 ID:rUUtOy7g
195.死神の世界 [2日目夜 定時放送B後]

『これ、やるよ。この指輪には魔法がかけてあるんだ。
 どんなときだってお前をまもってくれる、とっておきの魔法だよ。
 だからがんばって強くなって───いっしょに転職しような』

記憶は繰り返される。飽きることもなく、記憶は繰り返される。
いっそ改竄されてしまえば、すくわれるのに。
そう思えるほどに俺の記憶は俺にからみついたままで、けして俺を放そうとはしてくれない。

『ゴメンね。あなたに指輪のひとつもあげられなくて・・・・・・こんな風に自然に咲いてるお花くらいしか、あげられるものがなくて・・・・・・』
『気にするなよ。それにさ、こうすれば、花だって指輪になるだろ。ほら、きれいな花の指輪になった。
 いやだって言っても、いっしょに転職するからな』

薬指に銀の指輪をはめた少女の左手と、少年の右手がからみあう。
薬指に花の指輪をはめた少年の左手と、少女の右手がからみあう。
永遠を誓った、アコライトの少女と、剣士の少年。
忘れられない、記憶。

繰り返されるのは、あの日までの記憶で、そこで俺の時間は止まる。
ずぶりと鉄の塊を口の中へ刺しこまれた彼女と、なにもできなかった自分。
かけがえのない命を失った彼女と、命以外のすべてを失った自分。
止まった時計が動き出すことは、ない。

それからの自分がどうやって生きてきたのかは、自分自身ですらよく覚えていない。
気がつけばクルセイダーになることを許されて、気がつけばこの島にいた。
別にBR法の適用者に志願したわけでもなければ、強要されたわけでもなかった。
ただ俺にすがるように泣きついてきたクルセイダーの頼みを、聞き入れただけだった。

今にして思えば、俺はそのときにはすでに、壊れはじめていたんだろう。
生きる目的なんてなにもなく、死ぬ理由もない。
彼女の分まで生きようとする強さも、彼女のもとへ行こうとする弱さも、俺にはなかった。
からっぽだった。
なにもない、からっぽの俺。どうしようもないほど、空虚な俺の心。
善も悪も、その判断も、世界を憎むことも、世界に絶望することも、なにもできない、伽藍洞。

けれどそんな伽藍洞な俺を、悪魔というやつは放っておかなかった。
忍び寄ってきた悪魔は、かつて彼女が着ていたアコライトと同じ服装で、にこやかな笑顔で俺にこう言った。

『よかった。クルセイダーならこんな殺し合いに乗っていたりしませんよね。
 あぁ、本当によかった。やっぱり神様は、ちゃんと私たちを見ていてくださるんだわ』

そのとき俺は、うまれてはじめて自分の心が壊れる音を、聞いた。
それは、憎悪の波が、俺の心をこなごなに打ち砕いた音だった。
黒々とした炎が、打ち砕いた心ごと自分のからだを燃やし尽くす音だった。

───神さまなんて、この世にはいないとおもった

左手が赤い。女の血で左手が、べっとりと赤い。
彼女との約束も、指輪のあった薬指も、俺のからだも、握り締めた剣の刃も、俺が見る世界も、すべてが赤い。
ぬぐっても、ぬぐっても、洗い落とせない赤。

目の前にはアコライトの少女が同じように全身を赤く染めて、横たわっていた。
かつて少年の時間を止めた少女と同じように、口に鉄の塊を突き入れられて、少女は生き絶えていた。

『おめでとうございます、♂クルセイダーさま。いやはや鬼神のような闘いぶりでした。
 あなたが優勝でございます。どうぞ、生き残ったものとして、これからも生きつづけてくださいませ』

ジョーカーと名乗ったGMが、俺を笑っているゴブリン仮面のような顔で迎え入れた。
それが死神としてのはじまりだった。
俺のことを祝福されし死神と、人は言う。
神など信じないこの俺を、神に祝福された死神だと、人は呼んだのだ。

生きる理由が見つかった。死ねない理由が見つかった。
神を信じているものがいる限り、どうして死ぬことができるだろうか。
神に願うものがいる限り、どうして死ぬことができるだろうか。

こうして他者の信じる神を否定することが、俺のすべてとなった。

神はすくってくれなどしない。神はなにもしてくれはしない。
人々に絶望を与えることが、俺のすべてとなった。

───そのためにはこの島こそがふさわしい

だから俺は、もういちどこの殺戮ゲームに参加した。迷いなどない、はずだった。

『うそつき』
嘘じゃない。俺は本当に、心から神を否定し、神を信じるものを絶望の淵に叩きこむことだけを願っている。

『うそつき』
嘘じゃない。俺は本当に、心から神を信じているやつを、憎んでいる。

『うそつき』
嘘じゃない。俺は本当に、心からお前をすくってくれなかった神を───


◇◇◇◇◇◇


目覚めた俺の頬は、なぜだか濡れていた。どうやらいつのまにか、深く眠っていたようだった。

(誰にも殺されず、生きているだけでも感謝しなければならんな・・・・・・)

───誰に?

ズキリと背中が痛む。痛いのは背中だけではない。
開かない左目も、焼けただれた顔も、切り裂かれた脇腹も、痛みは少しもひいていなかった。
耳まで壊れているらしく、奇妙な音が頭の中をこだましていた。

不意に♂クルセイダーは右目を大きく見開いた。奇妙な音が本物であることに、気がついたのである。
痛むからだを無理矢理に動かして、♂クルセイダーは身に背負いつけていた荷袋から、しわくちゃになった一枚の紙を取り出した。
紙は水に濡れていたが、どういうわけかすこしもにじんではいなかった。

右目の視線を紙にぶつけて、記されている情報を読み取った。
地図上でD-3を示す場所が黒く変色しており、そしてときおり赤くなり、黒と赤を交互に表示していた。

ピピピ ピピピ

その奇妙な音は、♂クルセイダーの首から聞こえてくるようであった。

(祝福された死神も、いまやただの死神というわけか・・・・・・)

苛立たしく歯噛みして、♂クルセイダーはよろよろと立ち上がった。
助かるかどうかはわからない。
けれど彼は神さまに祈ろうとは思わなかった。
そんなことは絶対にしないと心に誓って、彼はがたついたからだを引きずるようにして東を目指し、歩きはじめた。

おそらく自分は助からないだろう。
そう思いながらも、彼は歩いた。
自分が生きつづけることだけが、死んでいった少女への慰めだと信じて、彼は歩きつづけた。

神さまに殺されるべき自分が死ぬことは、神さまがいることを認めることであり、
それではあの日、神さまは彼女を見捨てたということになってしまう。
♂クルセイダーにとって、それだけは、耐えられないことであった。

あれほど神を信じた少女が、神に見捨てられたはずがない。
だから神は存在しない。
♂クルセイダーは歯を食いしばって叫んだ。

「神などいない! だから俺は死なない。死ぬものか!」

夜空に浮かぶ無数の星々が、♂クルセイダーをあわれむように、またたいていた。


<♂クルセイダー>
現在位置:D-3から東へ
髪型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し) ナイフ(背中に刺さったまま)
状態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身
  精神不安定
198143sage :2006/03/30(木) 00:44:41 ID:Cgph1Yo.
143です。

wikiにて下記の内容を修正しました。

1、ジャベリンを構え〜→トライデントを構え〜

2、行間を適当に空けて読みにくさを改善

3、♂WIZ一覧のスキル メテオストーム(10)→メテオストーム

以上、3つです。よろしくお願いします。

では、名無しに戻ります。 ありがとうございました。
199191話を書いた物体Asage :2006/03/30(木) 01:22:10 ID:s4ESutuk
私も便乗してみる。

いくつかの誤字を修正。
また♀アルケミストがPTが自分の利になるか?と考えるシーンを
彼らを仲違いさせることができるか?と表現方法を修正しました。

「全開」淫徒プリもそれはそれでいいネタだったかも・・・(今更
200名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/30(木) 06:24:45 ID:c6tBKogU
>>198
(く、放って置くと、動けない♂WIZさんと♂騎士さんは死んでしまう。
この部分を修正しておきました。

正しくは
(く、放って置くと、動けない♀WIZさんと♂騎士さんは死んでしまう。
ですよね。
201名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/30(木) 19:45:54 ID:/QhwTnO.
196.タイトロープ [定時放送B前後]

「あー、もうっ。ダメっ。ぜんぜんダメっ」
 星明りの下で悪ケミとグラサンモンクが、なにやら相談をしていた。
 地面にがりがりと文字を彫りつつ、カモフラージュのために会話も同時に行うという、難業だった。
 夜のためか、二人ともサングラスを外しており、あらわになった悪ケミの赤い瞳が、苦悩をたたえていた。
 地面に書かれた文字を通してグラサンモンクに伝えられた内容は、以下のものだった。

1.振動リンクというシステムを使って首輪に内蔵されたジェムストーンと管理側のジェムストーンが同期していること
2.その同期によって会話内容、首輪の持ち主の生死が管理側に送られていること
3.それぞれのジェムストーンには、わずかの力を与えても砕けてしまうほど、エネルギーが蓄積されていること
4.首輪の持ち主の生死判定は首輪が行っていること
5.首輪が持ち主の死を認識することで、振動リンクの機能が停止すること
6.5以外の条件で首輪を外す、または島の外に出るなどの行為を行えば、振動リンク切れによってジェムストーンが砕けること
7.振動リンクが機能している限りは、首輪側と、管理者側、どちらのジェムストーンが砕けても首輪が爆発すること
8.ジェムストーンに蓄積されたエネルギーは、気奪でなくしてしまえること

 そして9番目の内容としてグラサンモンクに知らされたのは、1〜8がすべて仮説に過ぎないということだった。
 悪ケミの苦悩はそれだけではない。忍者が教えてくれたこの島に複数存在している訓練砦の制御装置、それがいくつあるのか。どこにあるのか。首輪を管理側に気づかれないように無力化するためには、どうすればよいのか。この島からどうやって脱出するのか。脱出したところでそのあとどうやって生きていくのか。
 それらすべての問題が、未解決のまま山積みになっていた。

 問題に優先順位をつけるとするならば、なにより優先されることは首輪を無力化することだ。しかし単純に首輪のジェムストーンのエネルギーを気奪を使って吸い取っただけでは、管理者側のジェムストーンのエネルギーも同期してしまい、首輪が爆発しないようにしたことが、GMジョーカーにすぐにばれてしまう。
 それなら先に首輪を無理矢理に外して振動リンクを切ってから気奪を行えば良いのだが、リンク切れによってジェムストーンが砕ける前にエネルギーを吸い取れるという保障は、どこにもない。
 つまり首輪が爆発しないようにすると同時に、異変を知って駆けつけてくるだろうGMと戦って勝てない限りは、どうにもならないということだった。
 もちろん制御装置によって力を大幅に抑えこまれている冒険者たちには、GMに対抗する手段などあるはずもない。
 ようするに、ここにきて悪ケミの頭脳は、難問にぶち当たっていたのだ。
 モンクを見つけさえすれば首輪をどうにかできる。
 その考えは、溺れているものがわらにだってしがみついてしまうのと一緒で、見通しの甘いものだったのだ。

 そんなさなかに聞こえてきたGMジョーカーの定時放送は、苦悶していた悪ケミにとどめを刺すのにじゅうぶんだった。
 死亡者の発表で聞かされた忍者の名前に、悪ケミの両目は涙でにじんでいた。
 グラサンモンクも忍者とは一度戦っており、うすうすは感じていた子分1号の死に、表情を暗くした。圧倒的な技量でグラサンモンクを一蹴した忍者でさえ、殺されてしまったのだ。

 自分は子分として、目の前の少女をまもりきれるだろうか。裏の世界の住人でしかない自分に、誰かをたすけるなんてことができるだろうか。あの人とあの子によって生かされた自分は、いったいなにができるというのだろう。

(復讐しか考えていなかったオレに……できることなんてあるんだろうか……)
 力ない瞳でグラサンモンクは、同じようにしょぼくれている悪ケミを見た。悪ケミはいまにも泣き出しそうな顔だった。グラサンモンクが声をかけただけで、涙をこぼしてしまいそうな顔だった。
 だけど彼女は泣かなかった。きゅっときつく口もとを引き締めて、哀しみをぐっとこらえ続けていた。

 年ごろの少女が見せる表情ではなかった。
 例えば戦場で、死を乗り越えてでも民のために勝利を目指そうとする、気高い王のようだった。
 そのときグラサンモンクは、少女の中にあの人がいるような、そんな気がした。最期の瞬間まで誰かのために生きて、誰かをまもろうとしたあの人の面影を、少女に見た気がした。

「オレが絶対にまもってやる。だからあきらめるな。大丈夫。大丈夫だ」
 気がつけば、グラサンモンクは悪ケミの小さな体を抱きしめていた。
 突然のことでどうすれば良いのかわからず、さらにグラサンモンクのぶあつい胸で呼吸困難におちいった悪ケミが、両手をばたつかせてあばれていた。
 あまりにも悪ケミがあばれたことで、ようやく彼女が苦しがっていることを知って、グラサンモンクは彼女を開放した。
202名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/30(木) 19:46:05 ID:/QhwTnO.
 当然といえば当然だが、グラサンモンクの横っ面に悪ケミの平手がとんだ。人を叩きなれていないのか、ぺちりと弱い音を立てて、悪ケミの右手がグラサンモンクをはたいたのだ。

「な、なんてことするのよ、したぼくのぶんざいで! 酸素が足りなくなったら脳は死んじゃうのよ。わかる!? 世界せーふくのために大事な大事な私の脳がおばかになっちゃったら、どうしてくれるのよっ!!」
 怒っているのか、なんなのか、顔どころか耳の先までも赤く染めて、悪ケミがまくし立てた。ものすごい剣幕だった。

「ゴメン。あ、いや……ゴメンなさい。悪かった。なんていうかあまりにも知り合いに似ていたんで、つい」
「そんなことで許されるわけないでしょ。だいたいね、知り合いに似てたなんていう先時代的ないいわけが通用すると思ってるの? いままで出会ってきた脳のゆる〜い女の子には通用したかもしれないけど、私は天才なんだから、そんなの通用しないんだからねっ」
「う、嘘ついてるわけじゃなくて、口からでまかせを言ってるわけでもないんだ。本当に似てたんだからしかたがないだろ」
「だったらなんで、そこでどもるのよっ!!」

 押し問答は、らちが明かなかった。グラサンモンクは困り果てて、話をもとにもどした。これからどうするのかをあらためて悪ケミに確認することで、事態の収拾をはかったのだ。
 とりあえず悪ケミが沈んだ様子から立ち直ってくれたことは、素直にうれしいと思った。

「ごまかそうとしないでよ。それにこれからどうしたらいいかなんて……言われ……ても……」
 思案するような声を出しながら、悪ケミは地面に文字を書きつづった。書かれた文章はこうだった。

『したぼくはGMに勝てる?』
 悪ケミからペンを受け取って、固いキャップを外さずに、グラサンモンクが返事を書き込む。

『最初に集められた場所での♀モンクのやられ方を見る限り、無理だ。悪ケミの言うように訓練砦の制御装置が───』
 そこまでを書いて、グラサンモンクは合図するように悪ケミを見た。なにか気になることができたらしい。土を耕すようにさっきまで書いていた文字を消して、新たに文字を書きはじめた。

『どうしてGMには制御装置が働いていないんだ?』
 読んだ瞬間に悪ケミの目がかっと見開かれた。ひったくるようにグラサンモンクからペンを奪い取った彼女は、しきりにうなずきながら地面に文字を彫った。

「とりあえず夜はあぶないから、動くにしても明日の朝よね。ダンボールハウスの出番だわ」
『自分たちにだけ制御装置を聞かなくさせるなにかがあるのよ! それさえこっちのものにできれば』

「オレが見張ってる。だからゆっくり休むといい」
『首輪を気奪で無効にして、不審に思って駆けつけてきたGMからそのなにかを奪い取るということか?
 そんなことできると思うか?』

「当然でしょ。あなたは私のしたぼくなんだから」
『できる、できないじゃなくて、やるしかないの』

 二人は会話で今夜のことを、文字でこれからのことをそれぞれに話し合った。
 希望がどれほどわずかにしかないか、二人にはわかっていたが、迷う気持ちはなかった。

「それじゃ、寝るといい。大丈夫だ。こういうのは慣れてる」
『GMから戦闘中に物を奪おうと思ったら、オレたちじゃ無理だ。シーフのたぐいが仲間になってくれれば良いが』

「私のために、しっかりと働きなさいよ」
『これまでの放送で、残っているのは♂シーフと♂ローグ。♂ローグに協力は期待できない』
 ペンを握る悪ケミの手がふるえた。その様子にグラサンモンクは、あえて何も聞かなかった。忍者を殺した相手は♂ローグなのだろうと、グラサンモンクは察した。

『だから♂シーフを探すわ。これはもう博打だと思うけど、それしかないのよ』
 そう書いてから悪ケミは素早くダンボールハウスを組み立て、中にひきこもっていった。

「大丈夫だ」
 自分に言い聞かせるように、グラサンモンクはつぶやいた。悪ケミとなら希望を見失わないですむ。グラサンモンクはなぜだかそう思った。

「忍者も同じことを思ったのだろうか……」
 顔を伏せ、ささやくように小さな声を出してグラサンモンクは、後ろ髪をかいた。
 ダンボールの向こうで悪ケミがあっというまに眠りについたのを感じとって、グラサンモンクは少しだけ口もとをほころばせた。
 自分が悪ケミのことを殺そうとした相手であるにもかかわらず、彼女がそんなことを気にも留めず、無償の信頼をよせてくれたことが、グラサンモンクには泣きたいほど嬉しかった。


<悪ケミ>
現在位置:G-7
所持品:グラディウス、バフォ帽、サングラス、黄ハーブティ、支給品一式、馬牌×1
外見特徴:ケミデフォ、目の色は赤
思考:脱出する。
備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<グラサンモンク>
現在地:G-7
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭
外見的特徴:csm:4r0l6010i2
所持スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 金剛 阿修羅覇王拳
備考:特別枠 右心臓
状態:負傷は治療、悪ケミを護る
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)
203名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/30(木) 20:05:07 ID:/QhwTnO.
そんなにあっさりと首輪が解除されても盛り上がらないと思ったので、引き伸ばしてみた。
悪ケミにはこのままどんどん仲間探しを続けてもらいたいと思った。

気がつけば全員がしたぼくに! そんな世界を夢見ている。
204名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/30(木) 22:49:11 ID:ftZ9ITPI
ジョーカーをしたぼくにして王国を乗っ取る悪ケミ様
205名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 01:37:33 ID:l.Tk/zQM
>>202
超GJです。
全てが仮定にすぎないとしても夢がひろがりんぐな内容でした><b
206名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 14:28:40 ID:gm5vGxYA
197. 加速する悪意 [定時放送後〜深夜]


もし俺が死んだ後、生き残りたければこれだけは覚えておけ。

忌まわしいGMジョーカーの定時放送から、どれだけの時間が流れただろうか。地図を確認し、とりあえずこの場所に留まるということで意見は一致した。それから、誰も、一言も話さない。それぞれ思うところがあるのだろうが、合流してまだ時間の浅い♀ノービスに、彼等・彼女等の考えを読むことなどできない。
♀ノービスは、頭の中で亡き暗殺者の教えを反芻する。

人に気を許すな。
弱みを見せるな。
機を見て敏となれ。

彼の言葉は、♀ノービスの頭の中で鮮明に再生することができた。忘れない、一言一句を頭の中に焼き付けている。

人から食べ物を貰うな。
一人で行動している奴には近付くな。
複数で行動している奴等に付いて行け。但し・・・見限るタイミングは見紛うな。

その教え通り、とりあえず一団に潜り込んではみたものの。♀ノービスは言い知れぬ不安を感じていた。
団結力がどうとか言う問題ではない。このパーティは互いが互いの隙を窺いあっている、そんな気がする。少なくとも、彼女にはそう感じた。
だがしかし、それは逆に♀ノービスにとって、己を冷酷に徹させる、いい舞台でもあった。
今なら、と♀ノービスは震える。勇気を出すために、決意を形にするために。
あたしはあの人にも認められるような、アサシンになる。

最後に・・・
殺す時は躊躇うな。


  *  *  *


♀アルケミストは思案する。
手中には毒薬の小瓶。これを、どう使うか。
飲めば、人は死ぬ。これを自分ではなく、もっと心に絶望を飼っている者――例えば今の♀BS(やはり彼女にとってそれは理解し難いものではあったが)などが手にしていたのであれば、その中身を一気に飲み干してこのゲームから降りる、そんな使い道も浮かぶのかもしれない。が、勿論♀アルケミストはそんな馬鹿な真似などせず、他人に分け与えるつもりでいた。本来の用途としてはそれしかあるまい。
とは言え、まさか美味しい水ですよと言って渡したところで、毒々しい赤紫色にご丁寧に髑髏の柄まであしらったそれを飲んでくれる者はまず居まい。・・・いや、あのスーパーノービスなら解らないか。
(ま、使うんなら・・・)
食料、若しくは飲物に混入する、か。それもやはり、簡単ではないだろうが。
・・・・・・・・・・・・


  *  *  *


淫徒プリは思案する。
先程皆で地図を確認したところ、とりあえずこの場所から動かないのであれば、禁止区域とやらに引っかかる心配は今のところ、無い。不安なのは近場の禁止区域(この位置だとG-8がそれにあたる)に誰かがいた場合、移動してくるそいつとはちあわせる可能性があることだが・・・このパーティと言えども、敵との遭遇には自分の命を守るために協力して戦うだろう。その時はその時、考えるとして・・・・・・。
今現在、注意すべき相手。♀アルケミストは、危険だ。彼女の所持品に気付いているのは自分だけなのだろうか。もしそうなのだとしたら、自分だけはそれに気を付けていさえすれば。リスクを冒さずに、この今や安心して身を置く事の出来ないパーティを決壊させることができるのではないか。
勿論、その後のことまで考えなくてはならないが。
・・・・・・・・・・・・


  *  *  *


そして、各々にとっての機は訪れる。
♀BS、そして♂アコライトは、それぞれ別の人物ではあるが、定時放送で呼ばれた名前に再度近しい者の死を確認し、少なからずのショックを受けていた。そのことに寄る昂ぶりからなのか、茂みの向こうから近づいて来る人影をはじめに視認したのは♂アコライトだった。
暗がりの中から、向こうも♂アコライト達の一団に気付いたらしく、さらに歩を進め、その姿が影ではなくなった時、

見、つ、け、た

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

その華奢な体躯のどこから絞り出せるのかというような絶叫を上げると、♂アコライトは茂みを飛び越え、その先に向かって駆け出した。
突然のことであったため、♀BSをはじめとする同行者達は彼を止める間もなく、咄嗟にできたことと言えば、彼の向かうその先に何があるのかと視線を巡らせるのみ。
闇の中、うっすらと月明りに照らされて、驚愕の表情を顔に貼り付けた、モンクとアルケミスト。
淫徒プリは何が起こったかを瞬時に把握する。
♀BSは未だ状況を捉え切れていない。
♀アルケミストは何も言わず、ただ行く末を見守る。
♀ノービスは♂アコライトの事情を知らないため、何が起こっているのかを理解しようと頭を回転させる。
♂スーパーノービスはわけがわからずうろたえるのみ。


奇声と共に走り来る♂アコライトを前にし、驚愕の表情を浮かべたモンクの男の口からぽつりと零れる。
「その仮面は」
その言葉だけで十分であった。
そして、その言葉は♂アコライトの耳に届いた。
こいつは、仮面の主を知っている。
こいつは、こいつが、
「お前が、お前がジルタスさんをぉぉぉぉおおおおおおおおオオオオオオ怨怨怨怨怨!!!!」
ひっ、と悪ケミが息を飲む。
グラサンモンクはただその前に佇む。彼女を庇うように。
あの時、俺の行動次第で、こうなることはなかったのだろうか。だが今となっては、もう。
「すまないな。結局俺が救えるものなど、ほんの僅かだった」
眼前に迫った♂アコライトの持つ、
「ここはそういう場で・・・俺が選んだのは守る道で」
狂気を伴ったメイスが唸りをあげて、
「俺が殺した事実は頑なに確かだから」
グラサンモンクの脳天へと、
「俺はもう迷わない。ただ、守り続ける」
瞬間、衝撃。
発勁。
「・・・すまない」
暗転。
207名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 14:29:02 ID:gm5vGxYA
  *  *  *


♀アルケミストがいない。
淫徒プリがいない。
♀ノービスがいない。
♂アコライトがいない。
「ぼ、ぼず、ぼず」
泣きそうな声の♂スーパーノービスがおろおろとしているが、♀BSの頭の中は状況の把握だけで精一杯で、次の行動に移すことを許さなかった。
モンクとアルケミストと思しき二人組が現れた。
♂アコライトが吠え、向かって行って、吹き飛ばされた。
誰かが――淫徒プリであったように思う――逃げろ、と叫び、気付けば誰も――♂アコライトも、モンクとアルケミストの二人組も、いなくなっていた。
・・・その間、自分は何もできず、ただ突っ立っていたと言うのだろうか。
もう一度、辺りを見回す。騒動があった跡など何も残っていない。まるで狐に化かされたような錯覚を覚えた。確かに今の今までそこには♀アルケミストがいて、淫徒プリがいて、♂アコライトがいて、♀ノービスがいたのに。
ぽつりとやっと一言、♀BSにはそれだけを言うのが精一杯だった。
「・・・一体、どうなってるってんだい?」


  *  *  *


月の光におぼろげに照らされて、♂アコライトは地面に膝を着き、嘔吐を繰り返していた。
涙が止まらない。
呼吸がままならない。
痛い。
痛い――が、生きている。
なぜだ。
なぜ、殺せなかった。
奴は、神の裁きを受けるべきであるというのに。
裁かれねばならぬ存在であるというのに。
この僕が、神罰を与えなければいけなかったのに。
どうして――
とす、と屈み込んでいた♂アコライトが背中に感じた妙な感触に気付いたのは、ぐらりと意識が暗転するその直前だった。
暗転。


  *  *  *


やってしまった。
とうとう、やってしまった。
恐怖と、ほんの少しばかりの後悔と。そして、達成感にも似た感慨が押し寄せてくる。
不快なその感触に、これにも慣れなくてはと♀ノービスは再びポイズンナイフを握る手に力を込め、ずぶりと引き抜いた。

殺す時は躊躇うな。
チャンスがあれば声も出さずに殺せ。

これ、毒が回ってるんだよね、今頃。
もう、このアコライトは死ぬ。
♂アサシンさん、見ててくれた? あたし、また、人を殺した。
もうあたし、立派なアサシンだよね。ひとを騙して、殺して。
あたし、アサシンになれたんだよ。

ああ、俺の見込んだ通りだ。
お前は立派なアサシンになる。

自分に向かって手を伸ばす、♂アサシンの姿が、閉じられた瞼の裏に映った、そんな気がした。
暗転。


  *  *  *


「お子様が遊ぶにゃ、ちぃと危険過ぎる玩具だぁな」
首元に包丁を突き立てられた♀ノービスの手から引き剥がした紫色の禍禍しい刀身に、視線だけで人を殺せるのではないかと思うほどの鋭い殺気を放つ瞳を映し、♂ローグは満足気に笑む。そのままいつもの癖でそれに舌を這わせようとし、慌てて引っ込めた。
「へへ・・・危ねぇ危ねぇ。っかし、あのアルケミストのお嬢ちゃん追いかけて来てみりゃ、思わぬ収穫だぁな。こいつぁ俺様にぴったりに代物じゃねぇかよ」
ひとしきりポイズンナイフの輝きを鑑賞すると♂ローグは、物言わぬ♀ノービスに目を落とし、しかしすぐに興味無さそうに背を向けると歩き出した。
「もう必要ねぇからよ、餞別にそれはくれてやらぁ」


<♀アルケミスト>
<現在地:F-7→?>
<所持品:S2グラディウス 毒薬の瓶 未開封青箱×2 古いカード帖>
<外見:絶世の美女>
<性格:策略家>
<備考:製薬型 やっぱり悪>
<状態:軽度の火傷。騒動に乗じてPTを抜ける>


<♀BS>
<現在地:F-7>
<所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖>
<外見:むちむち カートはない>
<備考:ボス 筋肉娘 >
<状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。 ショックに次ぐショックで、軽い放心状態>

<♂スパノビ>
<現在地:F-7>
<所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり>
<外見:巨漢 超強面だが頭が悪い>
<状態:瀕死状態から脱出。おろおろ。>

<♀ノービス>
<現在地:G-7(F-7境界付近)>
<スキル:しんだふり 応急手当>
<外見:ノビデフォ金髪>
<備考:どろだらけ>
<状態:死亡>

<♂アコライト >
<現在地:G-7(F-7境界付近)>
<所持品:ジルタス仮面 メイス>
<外見:公式通り>
<備考:支援型 ジルタスの死により狂気を帯びる>
<状態:死亡>

<淫徒プリ>
<現在地:F-7→?>
<所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱>
<外見:女性プリーストの姿 美人>
<備考:策略家。Int>Dexの支援型>
<状態:軽度の火傷 魔法力の行使による疲労は休憩によりほぼ回復 騒動に乗じてPTを抜ける>

<悪ケミ>
<現在位置:G-7→F-7→?>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<グラサンモンク>
<現在地:G-7→F-7→?>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:負傷は治療、悪ケミを護る>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)>

<♂ローグ>
<現在地:G-7(F-7境界付近)>
<所持品:ポイズンナイフ クロスボウ 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2 未開封青箱>
<外見:片目に大きな古傷>
<性格:殺人快楽至上主義>
<備考:備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す>
<状態:全身に軽い切り傷>

<残り26名>
208名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 15:14:31 ID:hUNBD1Tk
おおおお!この大PTを、お疲れ様です。
毒薬の瓶の中身が、服用しないと効果が無いとともかく、PPの要領で投げて当てるだけで肌が焼け爛れるとかあれば♀ケミの切り札になりそうですね。
209名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 15:23:05 ID:SxFY2NPU
惨劇最高! ♂アコも♀ノビも黒くてイイ死に様だぜ。

気になったのは、
寝てたはずの悪ケミがもう行動していたことかな。
軽い睡眠だけで、♂シーフ捜索を急いだとかの理由があればいけるとは思うけど。
210名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 16:01:23 ID:gm5vGxYA
へへ、姐御とゆかいな仲間達を分解してやったぜ( ゚∀゚)

>>208
大人数動かすのは大変だけど楽しいー。
そして毒薬にそういえばそんな使い道もΣ(゚ロ゚;)ケミ姉KOEEEE

>>209
こうか、こういうのがええんか( ゚∀゚)
あ、いえ、調子に乗りました(´・ω・`)
時間的には定時放送が8時らしいから、深夜ということで一応3〜5時間くらい経ってるつもりですが・・・す、睡眠時間足りないか。
次の書き手様が悪ケミペア書くならそこでフォロー入れて下さっても構わないですが、とりあえずまとめサイトに載った時に補整しとくですよ、ハイ。
ついでにローグが♂アコとかの所持品を漁ったけど使えそうなものないから捨て置いた、って部分も描写ないと解りづらいならその時追記。
211名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 16:10:05 ID:Z2mopHgo
♀ノービスが♂アコ殺したときゾクゾクしたのに
その瞬間♂ろーぐにやられるとかもう失神しそうなぐらい興奮しちゃったぜ
とにかくGJ!
212名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 16:22:03 ID:rR89aU.2
8割方GJだけど>>209の件がどうにも気になるな
前の回の最後で休憩に入って、その後一話も挟まずに動いてるのは修正してもちょっと不自然かもしれん
とか書きかけで放置してたら>>210が書かれてて(゚∀。)

あとこれは私感な上に>>206への苦言でもないんで誤解しないで欲しいんだが
NGになった話も含めて、なんか♂ローグが都合のいいように動かされすぎじゃね?
いつも急にどこからか沸いて出てきて美味しいとこだけもってくのが引っかかる
マーダーとはいえ♂クルセやグラリスと比べると中身薄っぺらなのに活躍しすぎな気がしてしまう
213名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 16:50:49 ID:oB0bbaFo
グラサンモンクは185話で
>>「出来ることなら俺を殺して少年に亡骸を…」
と発言するくらい後悔していたにも関わらず
躊躇いなく♂アコライトを攻撃したところに違和感を感じた。
守ると決めた悪ケミが攻撃されそうになったなら別だろうけど。

あとカモフラージュの会話とはいえ196で悪ケミが
>>「とりあえず夜はあぶないから、動くにしても明日の朝よね」
と言って寝ているのですぐに動いたことが気になる。

その場を動いていない♀BSと♂ノービスのところから
♂アコライトが消えているのはなぜだろう。
多少距離が離れていたとしても、茂み側から吹き飛ばされているということは
見える範囲に倒れているほうが自然だと思う。
地面に膝を着き、嘔吐を繰り返している♂アコライトが這って移動した?
呆然としてい突っ立っていたる♀BSを♂ノービスが引っ張って移動した?

もし場所を移動していたとしても、そう遠くへは移動できないだろうし
近くに人がいるとわかっている状態で♀ノービスは殺すだろうか。
同じ理由で♂ローグが突然出てくるのもおかしい。


とりあえず疑問点を書いてみた。
大人数が崩れるのは見てて楽しいんだけど、
場面が飛び飛びすぎて不明瞭な点が多すぎるというか・・。
214名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 18:41:19 ID:mt3Vp5cA
グラサンモンクが♂アコの攻撃をためらわずに迎撃したのは
守らなくちゃいけない人ができたからでいいんじゃない?
悪ケミに出会う前とは心理状態も違うし。
それに、それでも♂アコを殺さなかったわけだし。
215名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 20:36:50 ID:gm5vGxYA
む、突っ込まれてますな。

>>グラサンモンク
まさに>>215さんの通りな訳ですが・・・っ。
グラサンモンクの台詞と、微妙に♂アコの生きているも強調したつもりだたのですがっ・・・。

>>悪ケミ睡眠不足
あれは私は本当にただのカモフラージュと受け取っていた(´・ω・`)
前述の通り、まとめサイトの修正でフォローするつもりです。

>>♂アコの移動
移動手段は想像に任せますが(私もイメージは這ってでしたが)、その通りです。
恐らくは這って、遠くまで移動しているわけではないです。展開的に移動場面を挟むのは文章として蛇足であると判断しましたが。・・・ワカリニクイカ(´・ω・`)
少しだけ移動した、って意味で、状態を示す部分の現在地をG-7(F-7境界付近)にしてるんですケド。

>>近くに人がいる状態で
淫徒プリも♀ケミも、PTを離れたがっていたからには、ある程度様子を見て他の人と遠ざかるように逃げるでしょう。
♀ノビは二人とは別方向へ逃げるように隠れ、瀕死の♂アコに止めを刺そうと狙ってたつもりです。
♀ノビは故・♂アサに認められるアサシンになるため、マーダーとは違う目的で人を殺そうとしていました。
よって、ぱこーんとダメージを受けて無防備な♂アコはチャンスだったわけです。
・・・一応、冒頭の♀ノビの決意を表すシーンが伏線だったりするのですが。
読み取って貰いたかったですが・・・これも不明瞭過ぎたのかなぁ。

>>♂ローグ
♂ローグは何があったのか知りません。悪ケミ追いかけて来たらたまたま♂アコを殺す♀ノビの場面に立会っただけです。
読み取り方が自由なこういった場面は、ある程度可能な解釈も選択して欲しいです。
216名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 20:47:53 ID:gm5vGxYA
あ、あと>>210さんの言う♂ローグ都合主義展開ですが。
今回の場合は普通に♂ローグが悪ケミ追いかけてきてこうなったんですが、物語的な展開のさせ方というものもあります。
私はこの「殺した瞬間殺される」という見せ場を作りたかったためにマーダーを登場させたかったのですが、近くにいて理不尽に人を殺す駒として使えそうなのは彼だけでした。
リアリティも重要ですが、皆でそれぞれのキャラクターの動きを話し合いながら動かすのでなくてリレー小説として、書き手は展開の自由というものがあるんじゃないかなぁと思う私。
確かにあんまり同じようなパターンが続くようだとちょっと、とは思いますが。

それと、♂ローグの強さの位置的には♂ローグってそんな弱そうに見られてるのかな?(;´・ω・`)
私のイメージだと実力的にはグラリス他のマーダーと十分肩を並べる強さだと思ってたんですがっ。

最後にモヒトーツ(゚Д゚) 8割方のGJでも10割以上の気力とする私をナメルナ
(*´▽`) ソノヒトコトガ カツリョクゲン

>>211
言っていただけるともう書いた甲斐があるってもんで失神しそうなくらい興奮しちゃったぜ
ありがとうございますだー○」乙
217名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 20:49:36 ID:gm5vGxYA
何度もスレ汚し失礼prz

>>リレー小説なのに → リレー小説なんだから
218名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 20:55:51 ID:Vdv2166A
>>216
そうはいっても、ちゃんとルールを守らないのは守ってる書き手に対して失礼ですよ。
書き手の裁量に任せるのはあくまで理不尽でない程度。
ツッコミが多いのは理不尽だからじゃないのかしら?
219名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 21:46:30 ID:GyY2mguY
何だか最近の流れは粗捜しというか、過度の指摘というか…
そういうのが多過ぎるように感じるがね。
俺は理不尽だとは思わなかったし、>>215の説明でも十分納得できると思うんだが。
220名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 22:35:38 ID:KXRtWUu6
>>216
面白かったです。いつ割れるかとハラハラしていた風船が、見事に破裂してくれました。
しかも♂ローグさんがポイズンナイフゲットしてて心の中でガッツポーズ。
で、いろいろ出てるツッコミですが、皆さん八割がた書き手(216)の望む解釈で
読んでいるんだと思います。でも、読み手として&以降に続く話を書くかもしれない書き手として
線引きをしておきたいのではないかな、と思います。
後半の場面転換が頻繁な部分、過程(♂アコ這って移動等)が無くて結果だけしかないのは、
後日談的にフォローを付け加えられる通常の小説なら上手い魅せ方になるのですが
リレー小説ではあまり良ろしくないと思います。
(良く言って想像の余地があり、悪く言って細かい所は他の書き手に丸投げなので)
蛇足ではないと思うので、リズムを殺さない程度に移動場面等の状況描写を補足して
もらえたら、後からまとめのほうで読む人にも親切と思うのですがいかがでしょうか。

>>219
とはいえ話の展開の幅に対して文中での描写が不足気味だったのは事実。
説明で納得できたということは、イコールで説明がないと納得しづらかったってことでもあるのかも。
ある程度物語が進んできてるので、仕方がない部分もあるのでは。
221名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 22:40:33 ID:velvagU6
疑問をもった所は指摘をしたり説明を求めておかないと後々混乱するだけだよ
俺はそれを過度の指摘とは思わない
俺も>>215の説明がなければ>>213と同じような疑問を持ってたよ
何で♀BSと♂スパノビは♂アコに気がつかなかったんだってね

全員が全員同じ感覚で書いたり読んだりしてる訳じゃないんだから
どんな文章でも疑問や指摘された所は、
ある程度の説明してくれないと分からないことも多いよ。

最後に>>216GJ
そして、♀アコ南無(つд`)
222名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 22:41:45 ID:velvagU6
いや、♀ノビだったorz
223名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 23:00:00 ID:gmSCDswM
>>206,207の話は話の長さの割に人数が多すぎて、
各自の行動の流れがまとめきれてないように見える。
しっかりキャラの心理を入れんといけない所が入ってないから、
その辺りを修正しないと少し読んでてきつい感じ。

具体的に言えばこの話の中で「何故、彼(彼女)はそう行動したのか?」の
説明が足りない。
ある程度予測して欲しいと言うけど、それは最低限の説明があってこそのもの。
視点も変わりまくってるし、はっきりいって予測しづらい。

それとwikiのまとめで修正ってつもりらしいけど、各主要キャラの感情と行動の表現の追加、
場合によっては、キャラを減らす等、大幅な修正がいると思うから、修正作品ができたら、
一回こっちにあげたほうがいいんじゃないかな?
今の感じだとwikiまで通らない気がする。

>>219
>>215の説明内容が文章に入ってないから・・・
224名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/03/31(金) 23:02:45 ID:pnO0doUo
悪ケミ達は♂ローグに執拗に付け狙われて移動してきたのかな?
それですぐ♂ローグが追ってきたのかな?とか想像できて面白かったです(´∀`)
ちょっとくらいの粗は読み手の妄想力でカバーしましょうぜ!
225名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/31(金) 23:04:26 ID:pnO0doUo
すまんあげちまったorz
226名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/03/31(金) 23:12:49 ID:b0J894tE
>>206
俺も八割方GJだと思う。
今後の展開を想像するだけでギュンギュン電波が渦巻いちゃうよ。
ただ、♂ローグの登場が唐突だなーと思ったのは確か。せめて冒頭に一文だけでも

血生臭さを漂わせた男は、雉狩りに駆り出された猟犬のごとく四つに這って、逃がした獲物の痕跡を探っていた。
「ククク……この俺様から逃げられると思ってンのかァ? 足跡が残ってンぜェ、ド素人がよォォ〜」
馬牌の力は確かに凄まじいが、使い終わった後にはそれに見合った代償を支払わされることを♂ローグは身をもって体験していた。
「筋肉痛でオネンネのとこを、ゆっくり解体(バラ)してやらァ……ク、クク、クカハハハハッ!」

とか書かれていれば、姉御PTと悪ケミ&したぼく2号の修羅場に♂ローグが遭遇して漁夫の利――って展開が分かりやすかったかも。


壁|-`)<んじゃ、俺は♂アサ×♀アサの続き書いてくるわー

壁|ミ
227名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 00:27:45 ID:TXvq6VTM
なんかハードル高くしすぎじゃないか?段々書き手さん達が困らないか?
NGなのは前後の辻褄が合わないところであって、自分の想像力が働かないところじゃないぜ。

久々に混沌としたROワ読めた(*゚∀゚)=3
もっと!もっとカオスを!
228名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 00:33:20 ID:xYmIIs56
ハードル低くして雰囲気だけ優先してちゃ整合性が取れんし
リレーだからこそ細かいとこちゃんと話し合って整理すべきであって、書き手の保護ばっかり言ってたらgdgdんなるよ
229名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 00:46:00 ID:iYpJLSxk
>>227
ツッコミいれてるの読み手よりおそらく書き手だと思う。
自分ならこうするってのがあるから、読み手になった時にツッコミを
いれちゃうんじゃないかな?

>>226
期待してますよ!!
230206sage :2006/04/01(土) 00:46:04 ID:o0XekSPM
説明不足との指摘がやはり多く、自己完結していた部分が多かった事に関しては重々お詫び申し上げますprz
取り合えず指摘の多い二点、♂ローグと♂アコの行動について、以下のように修正・追加したいと思います。


     ・
     ・
     ・
そして、各々にとっての機は訪れる。
♀BS、そして♂アコライトは、それぞれ別の人物ではあるが、定時放送で呼ばれた名前に再度近しい者の死を確認し、少なからずのショックを受けていた。そのことに寄る昂ぶりからなのか、茂みの向こうから近づいて来る人影をはじめに視認したのは♂アコライトだった。
「・・・早く、こっちだ。追い付かれる」
「待って、誰か、誰かいるってちょっと、前見て前!」
暗がりの中から、向こうも♂アコライト達の一団に気付いたらしい。足を止め、様子を窺うように瞳を凝らすしているのが分かった。
「しかし早く逃げないと、あいつは君を・・・」
♂アコライトはそこで、月の光に照らされた接近者の姿を確認する。

見、つ、け、た

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

その華奢な体躯のどこから絞り出せるのかというような絶叫を上げると、♂アコライトは茂みを飛び越え、その先に向かって駆け出した。
突然のことであったため、♀BSをはじめとする同行者達は彼を止める間もなく、咄嗟にできたことと言えば、彼の向かうその先に何があるのかと視線を巡らせるのみ。
闇の中、うっすらと月明りに照らされて、驚愕の表情を顔に貼り付けた、モンクとアルケミスト。
淫徒プリは何が起こったかを瞬時に把握する。
♀BSは未だ状況を捉え切れていない。
♀アルケミストは何も言わず、ただ行く末を見守る。
♀ノービスは♂アコライトの事情を知らないため、何が起こっているのかを理解しようと頭を回転させる。
♂スーパーノービスはわけがわからずうろたえるのみ。

奇声と共に走り来る♂アコライトを前にし、悪ケミは悲鳴を上げる。
その隣でグラサンモンクは迫ってくる人物を視認し、歯を噛んだ。
「その仮面は」
♂アコライトにはそれだけで十分であった。
ちゃんと聴いた、この耳で。
こいつは、仮面の主を知っている。
こいつは、こいつが、
「お前が、お前がジルタスさんをぉぉぉぉおおおおおおおおオオオオオオ怨怨怨怨怨!!!!」
ひっ、と悪ケミが息を飲む。
グラサンモンクはただその前に佇む。彼女を庇うように。
あの時、俺の行動次第で、こうなることはなかったのだろうか。だが今となっては、もう。
「すまないな。結局俺が救えるものなど、ほんの僅かだった」
眼前に迫った♂アコライトの持つ、
「ここはそういう場で・・・俺が選んだのは守る道で」
狂気を伴ったメイスが唸りをあげて、
「俺が殺した事実は頑なに確かだから」
グラサンモンクの脳天へと、
「俺はもう迷わない。ただ、守り続ける」
瞬間、衝撃。
発勁。
「・・・すまない」
暗転。

     ・
     ・
     ・

恐怖と悔しさで、無我夢中で地面を這うようにグラサンモンクの前から逃げ出した♂アコライトは、騒動のあったそれより少し離れた茂みの裏で地面に這い蹲り、嘔吐を繰り返していた。
自分が惨めで仕方がなかった。わなわなと、全身が震える。みしみしと体の中が鳴る。どうにかすると破裂してしまうんじゃないか、と思う。
涙が止まらない。
呼吸がままならない。
痛い。
痛い――が、生きている。
なぜだ。
なぜ、殺せなかった。
奴は、神の裁きを受けるべきであるというのに。
裁かれねばならぬ存在であるというのに。
この僕が、神罰を与えなければいけなかったのに。
どうして――
とす、と屈み込んでいた♂アコライトが背中に感じた妙な感触に気付いたのは、ぐらりと意識が暗転するその直前だった。
暗転。
231206sage :2006/04/01(土) 00:50:48 ID:o0XekSPM
書き手さん達はROワを自分達の手で作り上げていくことを重視した意見をぶつけてきてるんですね。
私は読み手を楽しませようという部分が多かったから、ある程度展開を重視して想像力に任せた部分が多過ぎたんですのう。
ROワについての書き手としての意識をもう少し勉強してきますm(__)m
232名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 01:05:38 ID:xYmIIs56
説明不足が多いのは否めないけど、内容は全然面白いから超頑張れ
ついでにつっこむと「暗転。」てのは別になくても大丈夫かもしんない
233名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 01:46:16 ID:BFllzVbI
10の書き手がいれば10の表現があって10の考え方がある。
疑問に思ったところは指摘すればいいと思うし、
今回の件ではその指摘されたところにちゃんと説明がつけられてるからいいと思う。
バトROワっていう1個の作品のなかの部品を丹精篭めて書き上げたわけで、
それを大事に、責任を持って公表できるのは素晴らしいと思うのですよ。
2回目だからこそ、1回目よりも完璧なものを作りたい気持ちは分かりますが
もうちょっとまったり行きましょう、まったり。

書いておいてちょっとした指摘で「じゃあNGでいい」って言われるのは物凄く不快だっていう独り言
234名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 03:42:50 ID:Q.pu0fkg
>>231
話の内容そのものは面白かったです。悪ケミたちが移動した理由も付いたので、
よりわかりやすくなりました。♂ローグの出現もこれで解決ですね。
最後に…展開重視でもちろんオッケー!なのですが、それはきちんとその展開に
説得性を持たせられた場合のみでは。自分は2では読み手参加ですが、
どんなにオイシく熱い展開でも、そこに無理があれば読み手は楽しめません。
想像力を掻き立てられるのと、想像して脳内補完・解決せざるをえないのとは紙一重。
オイオイどうなっちゃったんだ?!と、あれ?こいつは何をしてんだ?は別のもの。

いやはや、指摘を受けてもめげずにきちんと修正してくれる書き手さん達には頭が下がります。
今回のは結構まったりなツッコミの流れだと思ったのですが、そうでもなかったのかなぁ。
235名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 09:26:30 ID:HRCO1DWM
>>231
書き手さんだから、読み手さんだから、というのはあまりないと思う。
それぞれの人がバトROワに何を期待しているか? ということであって、期待から外れれば文章のうまい下手関係なく批判されるはず。

想像して補うことで楽しめる文章と、どう想像すればこうなるのかわからないという文章は違うと思う。
たとえば今回の修正で、悪ケミとグラサンモンクの会話から、♂ローグの襲来を想像すること。これは楽しめる想像で、
逆に♂アコがその場でグラサンモンクにやられてたはずなのに、どうして♀BSや♂スパノビの視界の外に移動してたんだろう? となってしまうのは、後者。

想像力に任せたというよりは、>>223さんの指摘の通り、想像させるための材料が足りなかったに尽きるのではないかと思います。

ROワだから、書き手は他の書き手のことも意識しなくてはいけないのではないかとのことですが、私は違うと思う。
どんなときでもやっぱり文章を書く人は、読む人に面白いと思ってもらえるものを目指すべきで、その努力の結果が良い作品になるのだと思う。

ようするに、みんなで切磋琢磨して、いいものを作りあげていこうぜということだ。
236名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 10:45:21 ID:DC/vw/3I
他の書き手が「おいおいこの後どーすんだよ」ってならない程度には
意識した方がいいかもしれないけどね。
相手が取れそうな範囲で球を投げる、と。大暴投を超絶テクニックでキャッチ、
ってのはたまになら面白いけどいつもだと疲れる。
237名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/01(土) 23:00:49 ID:WnhosUno
完全に読み手側の一意見ですが、最近のすぐNGだの修正だのの流れは正直萎える・・・
読み手も前以上にレベルの高い物を要求しすぎな感じもするし、
早い者勝ちっていうせいかもしれないけど焦って投下している書き手さんも多々いる気がする。
文章だから時間軸がわかりにくいのは仕方ないけど、両者もう少し落ち着いてから文投下してほしい。
238名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 00:16:13 ID:bdZrUsuY
NGは必要以外言わなくてもいいだろうけど修正は可能な限り指定してほしいかな
見逃した歪みが後になって露呈→すでに修正不可→大議論→終了ってパターンはカンベンしてほしいし
239名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 00:21:19 ID:IHMcPJUc
>>238
前作じゃそれでエライ騒ぎになったからな……覚えてる奴ぁ多少神経質にもなるだろ
240名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 01:10:28 ID:HOEmgnTs
197の補正になるかなと、悪ケミ&グラサンモンクネタ投下してみる。

たぶんこれで繋がると思うけど、ツッコミあったら指摘plz!
241名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 01:11:06 ID:HOEmgnTs
198.涙[2日目深夜]

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「どうしてあんなことしたのよ・・・」

ぽつりと悪ケミストがつぶやいた。
大きなパーティーに出会えたときは運がいいと思った。
しかしその中の♂アコライトが、こちらに血相を変えて向かってきたのには、にわかに信じられなかった。
♂アコライトをグラサンモンクが発勁で倒し、自分はその彼の手を引っ張ってその場から逃げ出した。
その時の少年の叫びから、自分のしたぼくが本当に「うらみ」を抱かれていることを知ってしまった。
いや知っていた。出会った時からそんなことわかっていた。
出会った時グラサンモンクは言っていたはずだ「護るつもりが殺してしまった」と・・・
「自分を殺し少年に亡骸を渡せ」とも・・・
あの♂アコライトがあの会話の時の少年なんだろう。
気づくべきだった。安易に動くべきではないと気づくべきだった・・・

(こんなの主人失格じゃない・・・)

何かで「うらみ」を抱かれ、それを晴らすでもなく受け容れるでもなく、ただ死を選ぼうとしたグラサンモンク。
彼を「したぼく2号」にしたのは、生きることを放棄してその楽な死を選ぼうとした態度に、
腹が立ったからではないのか?
それなのに・・・


『よし! 今から♂シーフ探索にいくよ!!』
『夜は危険だ。視界も悪く動きづらい。それに朝まで待つんじゃなかったのか?』
『そう考えてたんだけどね。軽く寝て考えたんだけど、単体行動の多い夜ならマーダーも動きを潜めてるはず。
ある意味昼より安全かも知れないでしょ?』
『それも一理あるが、少し身体を休めておいたほうがいい』
『大丈夫、大丈夫!』


そうだ。普通に考えてこの殺戮の行われている島で、視界も悪く、動きづらい夜に動くことは自殺行為だ。
だが、誰も動かないであろう夜だからこそ、安全に動けると踏んだのだ。
しかしそれは、今思えばタダの浅はかなな、思いつきだった。
グラサンモンクは「そんなことよりもっと休んだほうがいい」と何度も指摘した。
それなのに主人である自分は判断を誤った。

忍者が死んだことをあの定時放送で実感してしまった。
ダンボールの家の中で、ずっとそれを考え続けていた。
それを忘れたいためにとにかく動きたかった。
何でもいいから、とにかく何かをしていたかった。
安全とか安全じゃないとか、そういう理屈とか関係ない。
ただ・・・動いていたかったのだ。

「すまない・・・あれはオレの過ちだ・・・」

隣に座っているグラサンモンクのほうから声がする。
見るとその表情はサングラスに隠れ、わからなかった。
しかし悪ケミストには彼が泣いているように思えた。
涙を流しているワケではない。
声が落ち込んでいるようなワケではない。
ただ、淡々としている声。
それがどことなく泣いているように思えたのだ。

「なにいってるのよ! 今のは独り言!! 第一したぼくのクセに責任感じてんじゃないのよ!!
したぼくはご主人の命令を聞く義務があるの! そして主人には責任を負う義務があるの!!
人の仕事を取るんじゃないわよ! したぼくのクセに!!」

悪ケミストは叫んだ。叫ばずにはいられなかった。
そうだあれは全部自分の責任だ。
忍者が死んだ実感から、気を紛らわせたくて移動を望んだ。
そのせいで、グラサンモンクは「うらみ」を持たれている♂アコライトに出会った。
自分をまもるためにグラサンモンクは♂アコライトを攻撃した。
攻撃するべき敵ではないのに、攻撃することになってしまった。
昼でも出会う可能性があるとか、グラサンモンクが過去に何か間違いを犯していたとか関係ない。
自分の浅はかな考えで、こうなる可能性をあげてしまったこと、それ自体が許せなかった。

「・・・全部・・・私の責任なんだから・・・」

そう・・・自分の責任だ・・・
しかし、グラサンモンクはかぶりを振り、

「違う・・・それでもオレの過ちなんだ。
あの時オレは気絶している少年を護るために拳を振るった。
そしてあの少年の大事な人もオレがあの少年を護るために力を振るった」
「それでどうしてあんたが恨まれるのよ・・・護ったんじゃないの? あの子を助けて護ったんじゃないの?
それなのに・・・」
「あの少年の大事な人は倒れている少年をオレが殺したと思ったんだと思う。そしてオレは向かってくる
彼女を・・・ジルタスを敵だと思い込んで・・・」

悪ケミストは定時放送で流れた一人の女魔族を思い出した。

「それじゃ本当にただの誤解じゃない!! あんたは別に悪くないじゃない!! ただ護ろうとしただけじゃない!!」
「それでもオレが悪いんだ。オレがジルタスを殺した・・・それは事実なんだ」

悪ケミストはすぐに言葉を返せなかった。
そのまま黙っているとグラサンモンクが頭をぽんぽん、と軽く叩いてくる。

「・・・大丈夫だ。オレはさっきの戦いであの少年を殺していない。
そして君の子分になったからには君を護るため戦う。
君は死を選ぼうとしたオレに生きる意味と価値を教えてくれた・・・だからオレは生きるために戦う・・・!」

だから、とグラサンモンクは続ける。

「オレは君のおかげでオレ自身の間違いを受け容れて生きることに気づいた。
だから君はオレのために泣かなくていい。主人だからと言って、部下の責任を全部背負うことはないんだ」
「・・・え? あんた何を・・・?」

頬に触れてみるが別に涙は流れていない。
改めてグラサンモンクのほうを見ると、彼は口元に微笑を浮かべながら言った。

「君は君自身のために泣くべきだ。『せかいせーふく』をするものとしてのプライドも大事だが、
その前に一人の少女として泣くべき時には泣くべきなんだ」

その言葉を聞いた瞬間、悪ケミストの目から涙が溢れてきた。
一つ、二つと雫がこぼれ、とめどなく溢れて止まらない。

「・・・な・・・なによ・・・なんで涙が・・・私には泣いてるひまなんか・・・止まりなさいよ・・・私の涙・・・!」

グラサンモンクは泣きながら喚いている悪ケミストの頭を優しく撫でる。
その行為に完全に悪ケミストの理性は完全に消え去った。
変わりにに感情だけが滝のように溢れてくる。
悪ケミストは泣いた。もう嗚咽を隠しもせず、グラサンモンクの胸でひたすらに泣き続けた。

◇◇◇◇◇◇◇

「眠ったか・・・」

気づくと泣き疲れたのか悪ケミストは眠ってしまっていた。
グラサンモンクは悪ケミストの頭を優しく撫でながら、君のプライドを崩すようなことを言ってすまない・・・と小さく呟いていた。


<悪ケミ>
<現在位置:F-7>
<所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1>
<外見:ケミデフォ、目の色は赤>
<思考:脱出する。>
<備考:サバイバル、爆弾に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す>
<したぼく:グラサンモンク>
<参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目>

<グラサンモンク>
<現在地:F-7>
<所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭>
<外見:csm:4r0l6010i2>
<スキル:ヒール 気功 白刃取り 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳>
<備考:特別枠 右心臓>
<状態:負傷は治療、悪ケミを護る>
<参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】>
<作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)>
242241sage :2006/04/02(日) 01:15:50 ID:HOEmgnTs
現在位置を迷ったんですが、G-7からF7方面に進んでいたら時間的にF7の
どこかに落ち着くかとこうしてみました。

・・・そしてさっそく誤字発見・・・
・・・推敲したはずなのに・・・orz
243名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/04/02(日) 01:37:26 ID:vvc0s0Ug
>>241
>止まりなさいよ・・・私の涙・・・!
このセリフにグっときた。気丈に振舞おうとする悪ケミが愛しい。
GJ!
244名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 02:09:07 ID:jTKyK/bw
>>241
単体の話としてはすばらしく面白いです。

ただ197の修正前ならつながったのかもしれないけど、197の修正で二人は♂ローグに追われているはずなので、そのへんのつながりが少し気持ち悪いかな。
197のグラサンモンクの「しかし早く逃げないと、あいつは君を・・・」の台詞から
追ってきた相手が♂ローグだとわかっているor相手が悪ケミを狙っていることはわかっているはずなので、
とても♂アコとの戦闘後で泣いてたり、眠ってたりする余裕はないような気がする。
245名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 09:23:34 ID:WnPUwhh2
♀ノビ関連の行動でローグは足を止めてるから、追ってきてない事に気付く行でも追加すれば問題ないかな
それに気付いたからってすぐに安心するのも変だが・・・まあ可能な限り逃げ切ったって事にするとか
246241sage :2006/04/02(日) 14:00:05 ID:HOEmgnTs
>>244&245
ツッコミサンクス。自分でもちょっと気になっていたけど、多分大丈夫かな?と
思っていたのですが、やっぱダメでしたね!
ということで・・・

『その場から逃げ出した』ということですでに逃げ切っているという表現をしたのですが、
わかりにくかったようなので以下のように冒頭を修正します。

------------------------------------------

「どうしてあんなことしたのよ・・・」

ぽつりと悪ケミストがつぶやいた。
運悪く♂ローグに出会い、追われるはめになったが、大きなパーティーに出会えた時は、まだ運が残っていたと感じた。
しかしその中の♂アコライトが、こちらに血相を変えて向かってきたのには、にわかに信じられなかった。
♂アコライトをグラサンモンクが発勁で倒し、彼は呆然としている自分の手を引っ張ってその場から逃げ出した。
深い森に入り、木々の間を抜け、闇の中にその身を沈めていく。
彼は濡れた土を避け足跡を残さないように、湿った草や落ち葉の多い道を選び、逃げ続けた。
背後の気配が完全になくなったことを、グラサンモンクが確信するまで、こちらの息が切れかけるまで、森の中を走り続けた。
走り続けながら「なぜ?」と考えた。「どうして?」と疑問に思った。
なぜ、♂アコライトが攻撃してきたのかわからなかった。
どうして、グラサンモンクが♂アコライトを辛そうに撃退したのかわからなかった。
違う、走っている間は酸素不足で脳がきちんと動いてなかっただけなのだ。
こうして落ち着いて考えてみれば、すでに答えは出ていたのだ。

悪ケミストは考える。
あの時の少年の叫びで自分のしたぼくが本当に「うらみ」を抱かれていることを知った。
いや知っていた。出会った時からそんなことわかっていた。
ただ忘れていただけなのだ。忘れてしまっていただけなのだ。
出会った時グラサンモンクは言っていたはずではないか「護るつもりが殺してしまった」と・・・
「自分を殺し少年に亡骸を渡せ」とも・・・
あの♂アコライトがあの会話の時の少年なんだろう。
気づくべきだった。安易に動くべきではないと気づくべきだった・・・

---------------------

また、グラサンモンクが♂ローグを警戒している状態を表現するのに最後を以下に修正。

---------------------
「眠ったか・・・」

気づくと泣き疲れたのか悪ケミストは眠ってしまっていた。
グラサンモンクは悪ケミストの頭を優しく撫でながら、君のプライドを崩すようなことを言ってすまない、と小さく呟く。
彼は闇の中を見つめた。悪ケミストの眠りを・・・命を護るという強い意志をそのサングラスに隠した視線に秘め、
ただ闇を見つめ続けていた。

-----------------------------

最後にグラサンモンクの表記の<状態:負傷は治療、悪ケミを護る>を
<状態:♂ローグを警戒、負傷は治療、悪ケミを護る>に変更します。
(これはしなくても大丈夫かな?)
247名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 14:10:53 ID:jTKyK/bw
全然関係ないけどROワ応援どころな人の♂セージ絵にアルスラーン戦記のダリューンさまが重なって激モエス
♂セージ派じゃなかったけど、今日から♂セージも応援します
248名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 21:21:17 ID:WnPUwhh2
今回の♂ローグはPK特化っぽいから、ポイズンナイフでの傷を治療しようと思ったら解毒とってなくてそのまま・・・なんて展開を想像した
前回の♂ローグが解毒で仲間を救ったのと対象になってこれいいんじゃね?!とか一人で興奮した
が、自分で書くには能力不足だった上に肝心のナイフがローグ自身に渡ってしまったw

誰か気が向いたら活用してみないか λ....
249名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/02(日) 22:33:34 ID:SzlaMC7A
そのローグだけど今放送やってるチャーリーズエンジェルフルスロットルの
シーマスがそれっぽいなあと思った。自分の中でイメージはあんなだな〜。
250名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/03(月) 00:30:43 ID:S/qF9gJY
ここで突然学園バトルROワイアル!!!!!!!!!111

広い校庭に予鈴が響く。
私の学校生活がここから始まるんだと思うとわくわくしてくる。
私の名は♀ローグ、トレードマークは頭につけた金の鈴♪
どんな人達が居るんだろう。たくさん友達が出来たらいいな。
そんな私に向かって、駆けてくる人が居る。
私はその人の顔を見るなり、凍り付いた。
見るからに悪党顔、しかも毛が逆立ってる。
そしてその人の後ろから追いかけてくる人。
その人も明らかに堅気とは思えない形相をしている。
「てめーくそ♂プリ! 調子に乗ってんじゃねーぞ!」
「知るかばーか。朝っぱらからイジメとかけったくそ悪い事してる♂ローグが悪いんだよ」
二人が猛ダッシュでこちらに向かってくる。というか、何故にこちらに?
そして二人と私を挟んで正対する位置に眼鏡をかけた女の人が居る。
こちらも恐い。冷めた目でこちらを見ながら、そのスカートの中に無言で手を入れ、なんと驚くべき事に、そこから剣を引っ張り出す。
わ、私入学初日から通り魔にあって無惨に惨殺ですか? あまりといえばあまりな結末じゃありませんか神様ー!
そんな私の真後ろから突然声が聞こえる。
「ふむ、肉付き、健康状態も悪く無い……」
驚いて振り向くと、そこにはデビルチを引き連れた不健康そうな男の人が居た。
「あ……えっと……」
「どうかね、我が魔導研究会に入らないかね……きっと……」
そこで男の人が手を伸ばし、私の顎、そして頬を撫でる。
「楽しいと思うよ……くっくっくっくっく」
私は全身総毛立ち、恐怖のあまり、身動きが取れなくなってしまう。
「ふむ、よい子だ。では……ん? おっと、ここは危ないか」
そう言ってその場を離れる男の人。
私は安堵の吐息を漏らしたが、そこで男の人の言葉の意味に気付いた。
「校則を守れない人は私が手ずから斬りますと……言いました!」
そう叫んで突進してくる女の人。
そして相変わらずこちらに向かってくる893顔の二人。
もうだめ!
そう思った私はふわりと宙に浮いた。
そして、気がつくと……
えっ! えっ! えーーーー!!
わ、私お姫様だっこされてます!?
えっと、その…………
私を抱えた男の人は全く表情を変える事無く言いました。
「怪我は?」
「あ、えとだ、だだだ大丈夫です!」
それを聞くと私を下ろしてその人はすたすたと歩いて行きます。
わたしは混乱してた事もあって、その人の名前を聞き忘れてしまいました。
後になって、級友に聞く事が出来た彼の名前は……

 ♂ ク ル セ さ ん ♪

なんででしょう、私の胸がどきどきして止まりません。
もしかしてこれって?

       『続かないっ!』
251名無したん(*´Д`)ハァハァ :2006/04/03(月) 00:31:38 ID:S/qF9gJY
思いつきでやった。全然後悔はしていないっ!
さらばだ皆の衆! 私は反省の色も見せず、しかも投げっぱなしで去るっ!
252名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/03(月) 02:21:08 ID:iTxis7QA
上記のWIZは先生でしょうか?それとも生徒でしょうか(゚∀゚)
253名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/03(月) 09:18:07 ID:wUup89XM
ワラタけど実際はこいつら殺し合いしてる間柄なんだよなって思ったら泣けた
254名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/03(月) 14:49:53 ID:R2YlIhIM
ROワ2を楽しませてもらってる間にこんな事をはじめてみました。
自分が完成させられなくても、他の人が掬い上げてくれるかもしれぬ、と
他力本願寺な精神で現在1の校正作業をやってみてます。
ただ、一人だとまさしく独りよがりなモノになってしまうので、宜しければ
チェック等ご協力ください。目指せ本化!

ttp://www10.atwiki.jp/brobook/
255名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/03(月) 17:32:02 ID:6tYfxBXA
何時かの本の話し出した人?出来た分まで乙カレー
でも本にするなら縦書きのほうがいいんじゃないかなとか言ってみる
顔文字とかどうするんじゃって気もするけど…ハカロワだとそのへんどうなってたのかな?
256名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/03(月) 22:00:31 ID:R2YlIhIM
>>255
乙あり!本で読みたいの人とは別でござる。あの時校正で手伝うよーっ!と意気込んだ者です。
縦書きにする予定っすよー。まとめて読むには縦のほうがいいでしょうし。
Webでは縦書きだと読みづらいだろうと思ったので
(というかそれ以前にWebでの縦書きのやり方わからなかった…)横のままですが。
orzとか騎士男の(´Д`*)とか悩みどころなのですがとりあえず文章部分だけでも直そうかなーと。
半角カタカナも、らしさが出るのでそのまま使いたいところですが無理かな…
ハカロワ出版企画で見れるPDF見本には顔文字は無かった…orz
257名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/03(月) 23:22:43 ID:tnPEn8P.
>>254
オフセ刊行にこぎつけてほしいなぁ!(今までに二人くらい本出ししようって頑張ろうとしてた感じでしたが)
私自身は同人面でサークル側に回った事が無いのでお手伝いできる事はそれこそ校正くらいですけどね。
あとは買うくらいしかっ…!

URL先で書いてあったけど台詞前後の一行空けの削除は必要かな。
紙媒体で一行空けとなると小さな場面転換っていう扱いのはずだしそっちのが読みやすいし。(あくまで紙ならっ)
258名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 04:49:16 ID:pWKMz/yo
なんか、二番煎じって気がしないでもないが、
書いてみたので投下。まあ、どうせアナザーだし。

アナザー せめて夢の中では


ここはどこだろうか・・・。どこかの川原のようだが・・・。
辺りを見渡すと、不思議なことに夜でもないのに、辺りが闇に包まれている。
だというのに、かわらに咲く花々や川を泳ぐ魚などは、昼間のようにしっかりと見える。

・・・、なんだか一度は来た気がする。川を挟んだ両岸だけが、はっきりと見えて、
それ以外が静かに闇に閉ざされている場所・・・。

・・・・、そうか私はまだここに出入りできてしまう容態なんだ・・・。
一度は帰ることが出来たはずだが、まだ完全にはここから離れられないらしい・・・。

あれ?対岸に人影が見える。誰だろう・・・。なんだが見覚えがある・・・。
あの銀髪・・・、あの身のこなしは・・・、♂アサ・・・?
ああ、そういえば前に来たときも、♂アサに追い返されたっけ・・・。
私、また追い返されちゃうのかな・・・。

―――お前はまだ来なくていい。俺が迎えに来たのはお前ではない―――

遠くの方からかすかに聞こえてくる。では、私以外に誰がいるのだろう・・・?
私がそう思っていると、すぐ脇を走り抜けていく誰かがいた。そちらを向くと、
金髪の少女が川をバシャバシャと渡っていき、♂アサの胸に飛び込んだ。
へぇ・・・、いつの間にか、随分小さい子を面倒見るようになったのねぇ・・。

―――♂アサシンさん、私やりました。初めて自分の意思で人を殺めました。
   どうですか?立派なアサシンになれますか?―――

―――ああ、よくやったな。やっと自分の意思で一歩を踏み出したな。―――

♂アサを見上げてうれしそうに報告する少女。それに対し、やさしく頭をなでる♂アサ。
その姿にやましいものは何も感じられない。アサシンとは思えない慈愛に満ちた表情。
褒められた少女はまた、♂アサの胸に顔をうずめる。正直そこまで信頼できる少女が、
羨ましい。私にはまねできない。

―――さて、俺はもう帰るが、お前はまだいる気なのか?まあ、そこにいる分には
   かまわんがこっちには来るなよ。お前にはまだやるべきことがあるからな。―――

そういって少女と闇に消えていく♂アサ。古い友人のこっちに来るなという言葉に、
改めて彼が死んでしまったということと、あの少女も同じく死んでしまったことを、
思い知らされる。だが、何もできない・・・。
259名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 04:50:43 ID:pWKMz/yo
また、対岸に人影が見えてきた。腰まで伸ばした綺麗な銀髪。同性でも羨む見事な体つき。
はじけ飛ばないのが不思議な夏物のワンピースを着ている。以前に監獄で見かけた事が
ある。ジルタスという女主人だ。あそこにいるということはやはり彼女も・・・。
そう思っていると、後ろの方から怨嗟のうめきが聞こえてきた。ジルタスもきいたの
だろうか、少しつらそうな表情をしている。

―――僕は、僕は・・・、何も出来なかった・・・。折角ジルタスさんの仇を
   見つけたのにっ!!何も出来ずに、何も出来ずにっ!!―――

いつの間にか川原に少年が現れていた。跪き、それぞれの手で、川原の砂利を握り締める。
そんな少年を見て、ジルタスは優しく声を掛けた。

―――ご主人様・・・、いいのです・・・。ご立派でした・・・。そこまで私のことを
   思ってくださったのですから、それだけで十分です・・・。―――

―――でも・・、僕は、僕は・・・。あなたに何もして上げられなかった・・・。―――

―――いいえ、ご主人様・・・。あなたは沢山のことを私にしてくださいました。
   ですから、そんなに悔やむことはありませんよ。・・・さあ、参りましょう、
   これから先はもう、決してご主人様と離れることはありません。―――

ゆっくりと立ち上がった少年は静かにジルタスの待つ対岸に渡っていく。胸が痛い。
あんな健気な少年すらも死んでしまうのか・・・。

やがて対岸に渡った少年をジルタスが優しく抱きしめる。自分のために泣いてくれる
少年を、もう2度と放したりはしない。そんな想いが伝わってくる。
そして、ゆっくりと二人が足元から闇の中に消えていった。


やがて、周囲が暗くなっていく。暗闇だった周辺もそうだが、はっきりと見えていた、
川原が薄暗くぼやけてきた。と同時に、揺られる感覚と、胸や腹部に感じる温かい何か。
聞こえてくる荒い息づかいは、何かの重労働でもしているのだろうか・・・。
時折、体に活を入れてくる暖かい手のひらと力強い言葉。ああ、そうか。やっとわかった。
彼は見かけに反して、とてもやさしい。今も自分のことを省みず私のために必死になって
くれている。ああ、私は夢を見ていたのか。ならば、次見る夢にはあの人が出てきてほしいな・・・。
あの人なら私を追い返したりはしないだろうし、その時には私も役目を
終えているはずだから・・・。私はおぼろげな意識の中でそんなことを考えていた。
260名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 07:15:13 ID:Nqukl2zg
199.鳥使いと虫使いと[2日目放送後]

「…え、なに?」
日も落ち、視線の通らなくなった森の中。
野営の支度になるべく乾いた落ち葉を探していた♀ハンタが突然声を上げた。
木の枝で周囲をカモフラージュしていた♀スパノビも即座に立ち上がり、辺りへ警戒の視線を飛ばす。
その耳に遠くでギャアギャアと複数の鳥が鳴き交わす声が届いた。
「鳥さんですね?何か居ますか」
「…ううん。それが…よくわかんないの」
♀ハンタは虚空へ向かってちちち、と舌を鳴らすような声を出し、首を傾げる。
「なんだか、怖いモノ?があっちにいる…らしいんだけど」
彼女は北を指さした。
「殺人者ですか」
「うう〜ん」
♀スパノビの問いに♀ハンタの首の傾きが深くなる。
「たぶん…違うと思う。…細かい質問は難しいからよくわからないけど…」
「なるほど」
鳥の言葉が分かると言っても限度はあるんですね、と♀スパノビは心の中でメモを取った。
おそらく人間との会話のように共通の言語でしゃべっているわけではなく、お互いの意図を読みとっているのだろう。
しかし彼女と鳥とでは知識や解釈力に大きな差があるので、どうしても鳥の言葉を聞くだけの一方通行になりやすい。そういうことではないか。
♀スパノビは質問の方向を変えてみることにした。
「では人間以外で野鳥が怯える物というと何が考えられますか?」
「一番は鷲なんかの猛禽です」
今度は即座にはっきりした答えが返る。
「夜は蛇やイタチも天敵になりますけど、あそこまで大騒ぎすることはあんまり」
「ふむう。けれど夜中に大型鳥類という可能性は低くないですか?」
鳥目という言葉があるぐらいで鳥類は暗さに弱いはずだ。♀スパノビは常識的な疑問を口にした。
♀ハンタは顔を左右に振る。
「そうでもないです。フクロウの仲間は夜の方が得意だし、ダンジョンへも連れて行くファルコンは…」
そして声が尻すぼまりに小さくなった。
「ファルコンですか」
『その可能性』を♀スパノビは考えてみる。
ファルコンという、おそらくこの島では見なれない種類の鳥。しかもほとんどの鳥は暗くて細部を確かめられない。夜中に飛ぶ鷹など小鳥にとっては理解不能の怪物でしかないだろう。
つまり鳥たちの説明があやふやな説明はつく。
問題はこの島にファルコンが居る可能性それ自体だ。
♀ハンタがそうだったように、♂ハンタもその鷹は奪われたはず。となれば自力で大陸から飛んできたか、GMが連れてきたかのどちらかしかない。
「…なるほど」
彼女は頷いた。
♀ハンタが不安そうに見つめている。
ファルコンが居るという可能性に思い至ってしまった以上、彼女にとってそれを無視することは難しいだろう。忘れさせようとしても逆効果だ。
「♀ハンタさん。ファルコンが居るという可能性に賭けてみましょうか」
「え?…うん!」
「ただし、です」
満面に喜色を浮かべて立ち上がった♀ハンタを♀スパノビは一旦押し止める。
「気をつけて下さい。あなたのふぁるである可能性はあまり高くありません。一番ありそうなのはGMの仲間にハンターが居て、そのファルコンという可能性です」
「あ…」
たちまち♀ハンタの意気がしぼんだ。
♀スパノビは
「もっともそれはそれで彼らの居場所を見つけられるので構いません。むしろ気をつけるべきは他の参加者に武器として支給されていた場合です」
「♂ハンターさんが敵かも知れないから…ですか?」
「いえ。どの職業でもです。あなたのように自在には扱えなくても、支給したのであればある程度誰にでも従うよう訓練されているでしょうから」
「そんなあ…」
そこまで否定的な材料を並べた♀スパノビは、しょんぼりしてしまった♀ハンタを元気づけるように明るい声を出した。
「けど貴女の力は誰も想定してないでしょう。友好的ならもちろん、敵対的でも手なずけられるかも知れません。それにふぁるではないと決まったわけでもありません。行ってみる価値はあると思います」
「…ただし、しっかり気をつけて。ですね」
「はい。その通りです」
理解の早い『妹』へ♀スパノビはにっこりと笑いかけた。

◇◇◇◇◇

なま暖かい風が吹く。
その風はかすかに焦げ臭いにおいを帯びていた。
「これは…まずいかもしれませんね」
♀スパノビは呟いた。
あえて♀ハンタには言わなかったが、『怖いモノ』が人間でも鳥でもない可能性も当然あった。どうやらそちらの方だったらしい。
戻るように言おうと♀ハンタの方を振り向く。だが♀ハンタは別の方向を見て口を覆っていた。
「どうしましたか」
四方へ視線を配りながら訊ねる。
しかし♀ハンタは答えずにふらふらと歩き出した。
「待って下さい、危ないです。どうかしたんですか」
「あれ…あれ……」
震える指が指し示す先には黒く焼けこげた鳥の死骸があった。
まだ新しい。臭いの元はそれのようだ。
「まさか、ファルコンですか?」
♀スパノビも少々危惧を覚える。これがファルコンであれば訓練された鷹を手もなく殺せる脅威が近くに存在し、しかもこちらは有望な戦力を失ったことになる。
だが♀ハンタは首を小さく横に振った。
「…たぶん夜鷹だと思います」
「夜の鷹、ですか?ファルコンとは違うのですか?」
今度はこっくりと頷く。
「鷹と言ってもずっと小柄で、夜中に飛んでる虫を食べるおとなしい鳥です」
「そうですか」
♀スパノビは少しだけ胸をなで下ろした。
危険には違いないが、最悪の結果ではないようだ。
だが鳥を友とする♀ハンタにとってはかなりのショックだったらしい。
「…いったい誰がこんなことを…」
震える声で呟く。
♀スパノビもそれは気になっていた。
食べるためならまだ分かる。だがその様子はないし、食用にはもっと適した野鳥が居るだろう。
また死体が焦げるような攻撃では、近くに誰か居れば夜目にはっきり映ったはずだ。
よほど自信過剰な参加者か、それとも参加者ですらないのか。

「やれやれ。人じゃと言うから戻ってみれば、おなごではないかえ」
突然の声に驚きつつ♀スパノビは素早く振り返った。
さっきから警戒はまったく緩めていない。にもかかわらず声の主は先に彼女たちを見つけたようだった。
ややあって少し先の茂みが揺れ、弓手の姿をした娘が現れる。
「アーチャー…さん?」
「おんしらに用はない。消えよ」
「違うようですね」
口調とそこに表された強烈な自負に、ただの弓手ではないと判断して♀スパノビは後ずさりする。おそらく彼女が夜鷹を撃ち落とした『怖いモノ』なのだ。
そして♀ハンタもそのことに気付いてしまった。
「…あなたが…あなたが、鳥さんを殺したんですか!?」
「そうじゃが?」
「♀ハンタさん」
♀スパノビは抑えた声で黙らせようとするが、♀ハンタは人が変わったかのように怒りを隠さない。
「どうしてこんなことを!」
「愚かにも我が眷属を喰らいおったからじゃ。おんしらとて部下やペットを殺されれば怒ろうが」
(眷属?)
普段あまり聞くことのない単語を耳にして♀スパノビは眉根を寄せた。
その間にも弓職2人の会話は続く。
「この子達は虫しか食べません!」
「その虫よ。仮初めとは言え、我が座所に虫を喰らう異種族は要らぬ」
「鳥さんが虫を食べるのは自然の摂理です。そうやって木々が食べ尽くされないように保たれてるんです!」
「やかましい小娘じゃの」
弓手の娘の声に苛立ちが混じった。
そして感情の高ぶりと共に薄紫の光がその体を包み、ゆっくりと背中側に集まってゆく。
その瞬間、♀スパノビの脳内でパズルのピースが1つに組み上がった。
「いけません、♀ハンタさん。逃げますよ」
「弱肉強食の理ごとき、我とて知っておるわ。じゃがマンティスやアルゴスがおれば釣り合いは保たれる。鳥など要らぬのじゃ」
彼女の背に集まった紫色の光は透き通った美しい羽を形作る。
「それはアーチャーさんではありません。羽虫の女王、ミストレスです」
「…え?」
♀ハンタは我に返る。
その目前でミストレスの体から放たれる微光が今度は両手に集まり、圧縮されて強い光を放ち始めた。
「遅いわ。おんしら、ここで死んで行くがよい」
言葉と共に紫電の光球が打ち出される。
♀スパノビはとっさにダマスカスを投じた。
バヂバヂバヂッ
凄まじい音を立てて短剣がはじき飛ばされる。
直撃を受ければただでは済むまい。
これまでにスキルの直撃を受けたことも与えたこともなく、魔法で殺された♀アサの死体を見ただけの彼女はそう考えた。
261名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 07:16:11 ID:Nqukl2zg
「こっちへ」
♂Wizから逃げ切ったときのように、♀ハンタの手を引いて立木をミストレスの射線に挟む。
そしてお互いの位置関係を考えながらそのまま逃げようとする。だが
「逃がさぬ」
次弾が次の盾と考えていた樹に先に着弾した。
経路を読まれ、先に射撃位置を取られたらしい。そう気付くと即座に位置を計算し直し、別方向へ走ろうとする。
「今度はこちらかえ」
バリバリバリッ!
「わっ」
「きゃっ」
飛び出そうとする鼻先を雷光がかすめた。
動きを完全に読まれている――?いや、それ以上だ。
背にした太い幹でこちらからはまったく見えないのに、ミストレスにはこちらの動きが見えているらしい。
だが、いかに虫種族といえど障害物の向こう側まで見通す力はないはず。
(いったいどうやって?)
焦ろうとする心を必死になだめ、相手の様子を思い出す。
何かおかしな所はなかったか。
(!そういえば、現れたとき…)
人じゃと言うから戻ってみればおなごではないか。ミストレスは確かそう言った。
つまり彼女を呼んだ何者かが居るのだ。
そしてその何者かはどうやら人間の男女をうまく区別できていない。
つまり、虫だ。
ならば。
「ニューマ!」
声と共に吹き上げる風が♀ハンタ達を取り囲んだ。
いつもなら矢はおろか投げ槍や銃弾までそらしてしまうほどの強風が取り巻くのだが、今はごく普通のつむじ風程度に過ぎない。
その威力の弱さに♀スパノビの眉根が寄る。しかし、それでも期待していた効果は得られたようだ。
♀ハンタの手を引いて囁く。
「走ります。速度増加!」
「あ…うん」
ここまで温存していた魔法を使い、木陰を飛び出す2人。
今度は機先を制されることはなく、次の木に隠れた後になって雷球が放たれる。
「おのれ。小賢しい」
ミストレスの苦々しげな声が届いた。
「何したんですか?」
♀ハンタが不思議そうに訊ねる。
「ニューマで羽虫を吹き払ったんですよ。こちらの動きを知られていましたからね」
問題はどうも魔法の効き目が悪いことです。♀スパノビは胸の内で呟いた。
ニューマが弱かったのは何かの間違いかと思ったが、速度増加もほとんど効果が実感できなかった。
完全ならそのまま逃げ切れたかも知れないが、目算が狂ってしまったのが痛い。
近くには隠れられるほどの大木が少なく、無理すれば狙い撃ちになるおそれがあった。
考えている暇もない。
「♀ハンタさん、お願いがあります」
彼女は苦衷を面に出さず振り返った。
「なに?お姉ちゃん」
「森を起こして下さい」
「…え??」

ミストレスは2人の隠れた木を大きく回り込む。
配下の虫達が吹き払われたところで彼女の優位は毛ほども揺るがない。
魔力は大幅に制限されているが、ユピテルサンダーと同じ特性を持つ雷球に一度捕らえてしまえば♀アサのように完封できる。
「さっさと出てこぬか」
彼女は幹をかすめるように右手から紫電を放ち、左手を構えてその逆方向へ回り込んだ。
しかし飛び出しては来ない。
接近戦に賭ける気か。ミストレスは嘲笑を唇の端に刻んだ。
人間の魔法使いが使うユピテルサンダーとは違い、彼女の雷球に呪文詠唱は必要ない。接近戦でも充分使えるのだ。
右手に魔力光を凝縮しながら今度はまっすぐ木に近付く。
その時。
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
幹の向こうから引き裂かれる鶏のような叫びが上がった。
「…なんじゃ?仲間割れか?」
ミストレスは思わず立ち止まる。
そして、森が目覚めた。
ギャッギャッギャッキキキキキフィッフィッフィッ
バサバサバサッ
騒々しい鳥の鳴き声と羽ばたきが空気を満たす。
「ルアフ!ニューマ!」
ポッ
さらに♀スパノビの声と共に薄明かりが灯った。
鳥の一部が光に驚いて飛びたち、逆に羽虫達は光に引かれてニューマに吹き飛ばされる。
「おのれっ」
耳に響く鳥の大合唱、そして脳裏に直接響く虫達の悲鳴。
ミストレスは耳を押さえて顔を歪めた。
普段、彼女たち虫種族が地中の相手を見つけられるのは、聴覚や嗅覚といった視覚以外の感覚情報に敏感なためである。
しかしそれが今は障害になっていた。
「……!」
かすかに何か声が聞こえ、闇の中を青白い光が離れて行くのが見える。
「逃さぬ!」
ミストレスは左右の雷球を連続して放った。

バヂバヂッ
「くあっ」
「お姉ちゃん!」
逃げる♀ハンタの横を2発の雷球がかすめ、一方に触れた♀スパノビがはじき飛ばされた。
駆け寄ろうとする彼女を♀スパノビは厳しい表情で止める。
「いけません。逃げて下さい」
こうなる危険性も承知でルアフを用いたのだろう。
だが♀ハンタはそのまま駆け寄った。
「お姉ちゃんを置いてけないよお」
自分でも情けないと思う声が漏れる。
駆け寄ったのも♀スパノビの身を案じてと言うより1人にされることを恐れての反射的行動だった。
それでも♀スパノビは気丈な笑顔を作って見せる。
「次が来ます。走って」
そして痺れが解けた手足を奮って立ち上がった。
「終わりじゃ」
後方ではミストレスが両手に雷光を集め終わろうとしていた。
はじき飛ばされたおかげで距離が開いたこと、そしてミストレスが左右双方の雷球を使っていたことで立ち上がるまでのわずかな時間は稼げた。だが、もはや逃げる余裕はない。
「歯を食いしばって下さい。わざと跳ね飛ばされますよ」
「…はい」
彼女たちは覚悟を決めた。
直撃を受けてまた立ち上がれるかどうかは分からない。それでもやるしかなかった。
ミストレスの右手がまっすぐに2人へ向けられる。
バリバリバリバリッ
「え?」
衝撃は来なかった。
発射の瞬間何かがミストレスの右腕を叩き、方向を逸らしたのだ。
「ええい、邪魔するかおんし!」
ミストレスが上空を舞う「それ」へ向かって左手の雷球を放つ。
「それ」はあざやかに宙返りを決め、木の枝を盾に魔法を避けた。
♀ハンタは叫ぶ。
「ふぁる!」
ぴーぃ
ふぁるはひと声鳴き返し、尾羽を振った。
『よう、でっかい声だったな。敵ってのはそれか?』


<♀ハンター>
現在地:E-5南端
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ
備考 :対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いは不明、島にいる鳥達が味方
状態 :びしょ濡れ、♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇

<♀スパノビ>
現在地:E-5南端
外見 :csf:4j0610m2
所持品:S2ダマスカス(未回収)、シルクリボン(無理矢理装着)、古いカード帖(本人気付いていない)オリデオコンの矢筒
スキル:集中力向上、ニューマ、速度上昇
備考 :外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)
状態 :半乾き?♀ハンターの生い立ちや鳥との会話能力を知る、JTにより負傷

<ミストレス>
現在地:E-5南端
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー
備考 :本来の力を取り戻すため、最後の一人になることをはっきりと目的にする。つまり他人を積極的に殺しに行くことになる。なんらかの意図があって♂ハンターを誘惑。その理由は不明

<ふぁる>
現在地:E-5南端
所持品:+2バイタルシュールドボウ[3]、リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考 :なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
262名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 07:19:43 ID:Nqukl2zg
ぁ♀ハンタの状態欄だけ書き換え損ねてた…
びしょ濡れ→半乾き?でお願いします。
263名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 09:45:17 ID:cgGJ8Doc
よかった、よかった。やっと合流できたのか。
姉妹PTはあっさり殺されちゃったりしてたから、
ふぁると合流できるか、心配だったんだ。
しかし、これでやっと安心できるよ。

宙ぶらりんのまま、死んじゃったりするのは、
個人的には余り好きではないからね。
264名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 10:25:18 ID:VKWBD8nA
(*゚∀゚)=3ムハー
ミストレスが不気味すぎて姉妹PTが心配だけどGJ!
265名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 12:11:14 ID:FecLllII
ふぁるううう!かっこいい…

でもミストレス様を応援する
266名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/04(火) 22:00:12 ID:1G2pTKpU
姉妹PTきたよきたよ。応援するよ。

でも

♂ハンタとふぁるの接触を書いてたのでちょっとしょんぼり。
267名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 01:47:22 ID:M7A5HhyI
くおぉふぁるカッコよい!俺様が来てやったからには感が出ていて素敵!
しかし自分もミストレスさまを応援する。というか姉妹PT+鳥が逃げ切れるとイイナ…

ところで。皆様アチャとかの「弓手」ってどんな風に読んでますか。
じぶん、「きゅうしゅ」って読んでたんす。でも一発変換できなくて変だなと思ってたんです。
でもこういう単語はあるよな…?と校正ついでにGoo辞書に聞いてみたらナント。
正しくは「ゆんで(ゆみて)」、しかも「弓の使い手」ではなく「弓を持つほうの手」、つまり左手…left hand…
ショックを受けた深夜の出来事でした。ROワに直接関係無くてごめんなさい。
(RO系というかRPGファンタジー系の中では皆意味が分かってる
言葉と思うので特にどうってわけじゃないんですが)

>>257
オフセ……頑張ります!校正のお手伝い大歓迎です。
やっぱ紙媒体にしたい…のでセリフ前後の一行空け削除、参考にさせて頂きました。
268名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 17:59:04 ID:NBGrFPdY
>>267
「弓の使い手」って意味で「ゆみしゅ」って読んでた人 (1/20)
269名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 18:36:22 ID:Rv0TgO0.
この間ラグナロクのネットラジオを聞いてて、そのパーソナリティが、弓手村のことを「きゅうしゅむら」と読んでいたよ
ROでの弓手のことは「きゅうしゅ」と読んでいいんじゃないかな?でも変換するときは「ゆんで」だけど

それよりも「角弓」の読みの方が気になる人(1/20)
270名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 19:25:08 ID:rc0Im6Mg
カッキュン
271名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 19:55:43 ID:3pn6Qnvc
広辞苑より
角弓 [つのゆみ] つのを使った弓。

弓手 [ゆんで] 弓を持つ方の手。 ユンデ、即ちユミノテ

調べて自分が勉強になった!
272名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 20:00:11 ID:c18oILPE
「つのゆみ」より「カッキュン」のほうがいいwwwwww
273名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 22:03:48 ID:NBGrFPdY
か、かっきゅん!?
それはショミミだわ。

とりあえず、アーチャーやハンター、雷鳥系を人くくりにして弓手というのは間違いか。ひとつ賢くなった。
274名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 22:22:12 ID:rc0Im6Mg
kakkung

これを見た瞬間から角弓をカッキュンと読んで愛用して来た
275名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 22:24:03 ID:M7A5HhyI
>>268
ゆみしゅ ってなんか可愛い

>>269
あ、公式単語としては「きゅうしゅ」でいいんすね。情報thx!
「角弓」は自分、カッキューと読んでおりもうした。
そうか冷静に読んでみればツノユミか…

>>273
ROの中では誰でも了解してるけど、外では通じないかも知れないっすねー
ちなみにArcherの和訳は「射手」でしたよ。 銃…?

>>274
カックン…ング!
276名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 22:35:39 ID:3tzUrGZE
>>275
銃は「撃つ」なんじゃないかーと言ってみる。
馬鹿にするなって怒られるかも知れんが、「射る」で「いる」って読む。
弓は射るものだから射手でOKなのでは。

角弓はちょっと前まで深く考えずに「かくゆみ」って読んでた…何で重箱読み…orz
277名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 22:59:17 ID:M7A5HhyI
>>276
あ、そうか。「射」はいて座で弓矢か! 銃は射撃の「撃」のほうですね。
「魔弾の射手」で勝手に銃っぽいイメージを持ってました。
オリジナルのオペラの内容は恥ずかしながら知らんのですが、「弾」と来たら銃かなぁなんて。
278名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 23:00:19 ID:z0VnMREM
>ちなみにArcherの和訳は「射手」でしたよ。
よくよく考えてみると、射手座(いてざ)っていう星座がある位なので
アーチャーを直訳すると「射手(いて)」と読む(和訳する)のは正しいのかも。
でも、RO内で一般的に広まってるのは、弓手で「きゅうしゅ」ってのが一番しっくりくるかなー
地味にスレ違いっぽくなってきたのでこれにて。
279名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/06(木) 23:03:53 ID:z0VnMREM
うわ、モロ被りorz
280名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/07(金) 01:21:53 ID:I0SN9.lQ
「射る」は弓を放つ動作のほか、放った後の矢や弾が物に命中する事をさすので
弾が当たることのみならば「射る」でも銃のときは使えるそうな。
打つが転じて撃つ(射つとも書くらしい)は矢や弾を発射する、殺傷することとな。

Archerは射手のほか弓術家なんて言い方もあったのか・・・
スレチ失礼
281名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/07(金) 01:34:10 ID:I0SN9.lQ
何でこんなことになったのか疑問に思っていたらどうも重力語っぽいね。(弓手村が・・・)
弓手でググってもROの事ばかり、またはオンラインゲームばかり。
たまに違うところがヒットしてもそれは人名や地名としての「ゆんで」の方しかなかった。
だれも不思議に思わなかったから今まで弓手で通ってしまったのかもしれない。
連投スマソ
282名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/07(金) 10:54:08 ID:UhxnG0Mw
もうアイオロスって呼べばいいんじゃね
283名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/07(金) 16:30:24 ID:t8arwgAY
それなら普通にアーチャーって呼べばよかろう(笑
284名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/09(日) 19:38:31 ID:zoc6MRhg
止まってるみたいですね;
バトROワ3が出たら自キャラの♂騎士参加させようかなと
(もちろんそのキャラだけを長々と書いたりしませんよ)
書き手の皆さん頑張ってくださいね
続きを楽しみにしてます〜
285名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/10(月) 08:30:40 ID:faQ09K0c
むしろ最近騎士動かしてると♂騎士とオーバーラップする。
相方の女プリが引退したとこまでそっくりw
286名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/10(月) 10:53:06 ID:FgW0U3hA
キャラの基本部分は自キャラから持ってきた
身びいきになると嫌だからそのキャラの話はあまり書いてない
287名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/11(火) 01:06:05 ID:dTHBM8uQ
超絶意味不明スペシャルッッッッッッッッッッッッ!!

♀ハンタ「ふぁる!」
ふぁる「勢いで飛び出した。今は後悔している」
♀ハンタ「ほえ?」
ふぁる「良し! 今だご主人様! 俺のケツにフリスクを突っ込め!」
♀スパノビ「アナリスクかよ!」
♀ハンタ「なんで……ふぁるの言葉わかるの?」
ふぁる「黙れ雌豚! 俺が一番嫌いなのはお前みたいなそそり立つクソの発言を聞く事だ!」
♀スパノビ「さー、ふぁるさー」

ミストレス「……放置プレイktkr」

ふぁる「良しご主人様、お前みたいな愚図に出来る事は俺の為にエールを送るぐらいだ、さっさとやれ」
♀ハンタ「は、はい。一万年と二千年前からえーりんえーりん助けてえーりんこなああああゆきぃいいい」
♀スパノビ「テラカオスwwwwwwwwwwwww」
♀ハンタ「つよきすきす! 負けないでごー! きゃっちまいはーと、べりーめろん。ぶるぁああああああ! EDF! EDF! 生麦生米EDF!」
ふぁる「いいぞぉ……うっ! さんだあああああああああ!!」

ミストレス「……このまま後十分で発言が100越えたらおっぱいうp」

ふぁる「ksk」
♀スパノビ「ksk」
♀ハンタ「えとえとえと……ksk」
ふぁる「ksk」
♀スパノビ「ksk」
ふぁる「ksk」
♀スパノビ「スペックkwsk」

ミストレス「うはwwwwwwwwお前等釣られすぎwwwwwwwスペックは秘密wwwwっwうぇ」

ふぁる「オス乙」
♀スパノビ「氏ね春厨」
♀ハンタ「ksk」
♀ハンタ「ksk」
♀ハンタ「ksk」
ふぁる「……ご主人様必死杉」

ミストレス「↓のセリフをピエロGMにメールする」

ふぁる「貴方の普段のお言葉、まるで引きヲタニートがモニター前で奇声を上げているようなその声は聞くに堪えません。以後必要事項はメールにてよろしく」
♀スパノビ「⊂二二二( ^ω^)二⊃VIPから来ますた。光る風を追い越したら〜 」
♀ハンタ「……うわ、ふぁるってばミストレスさんヤる気満々」

ミストレス「おけ把握した。メールする」

♀スパノビ「勇者ktkr!!」
ふぁる「無茶しやがって(AA略」
♀ハンタ「お姉ちゃん、ふぁる。そろそろ普通に戻って〜……」

ミストレス「はいはい、姉妹スレワロスワロス」
♀スパノビ「妹がやたら添い寝したがる件」
ふぁる「妹の年齢plz」
♀ハンタ「私の事っ!?」
ミストレス「スレバレテラハヤスwwwwwwwww」
ふぁる「選択肢しるっ!」
♀スパノビ「1:妹に三角木馬 2:ぎっぷる 3:妹うp」
ふぁる「3してから1しながら2する様を実況しる!」
ミストレス「3してから1しながら2する様を実況しる!」
♀スパノビ「シンクロ率高杉wwwwwwウチの妹クオリティ低スwwwww1したらみんな引くwwwwww」
♀ハンタ「ひどいよお姉ちゃ〜ん(;_;)」


ジョーカー「(ビキビキビキィ)……全員首輪爆破おk」

ぼっかーん
288名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/11(火) 01:10:14 ID:dTHBM8uQ
俺の脳が今ヤバ気である。今日は寝て、明日コレを見て自ら恥じ入るとしよう
絶対に誰も思わないだろうが、これは本編じゃないぞとwwwwwwww
289名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/11(火) 01:37:27 ID:babz4Iqo
大丈夫、あまりに理不尽な死だからNG扱いになる
しかしVIPネタはあまり公の場に出すべきではなかったかもな・・・
グロのように不愉快になる人がいるのも事実

私はVIP大好きだけどなwwwwwww
290名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/11(火) 02:05:26 ID:.e5pB4io
VIPネタはVIPだけでやるのがVIPPERの正義
他の場所で垂れ流すのは背後から撃ち殺されても文句は言えない

漏れもVIP大好きだけどなwwwwwww


↓以下何事もなかったかのようにどうぞ
291名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/12(水) 12:16:10 ID:FUy4dCWA
べりーめろんの辺りで噴いたwwwwwww

↑以上何事もなかったかのようにどうぞ
292名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/14(金) 20:24:17 ID:GbK3XEAk
おーい生きてるかー?
293名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/14(金) 22:29:05 ID:t53TnrMw
書き手の皆様は新たな年度で忙しいのだろうか。
294名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/14(金) 23:39:00 ID:MHsiT6Vk
ハッ!
ゴメン、寝落ちしてますた!
…ってのはさておき、間が開いたので無理矢理サービスシーン投下っ!
295名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/14(金) 23:40:29 ID:MHsiT6Vk
200.野良犬は牙を研ぐ[2日目夜放送後〜深夜]

ジョーカーの声で目を覚ましたグラリスはすぐに西へ向かった。
海岸沿いの狭いルートが閉じた以上、袋小路になってしまった場所で眠るのはあまりに危険だったからだ。もし明朝の放送でF−3が禁止区域に設定されたらまず助からない。

(つくづく癪に障る男ですこと)
彼女はジョーカーが禁止区域を無作為に選んだとは信じていなかった。
なにしろダーツを使って選んだというのだ。あの男が百発百中の腕を持っていたとしても誰も驚くまい。

自分を追い立て、他の連中と戦わせようと言うのだろう。
休むな。戦え。さもないとWが…と言うわけだ。
だが今のままでは難しい。
最初に遭遇する可能性が高いのは彼女に重傷を負わせた例の五人なのだ。
おそらく戦力を減じてはいまい。

おそらく、と言うのは彼女が放送で目を覚ましたためである。
当然最初の方…つまり誰が死んだかを聞けなかった。
ただ残りは28名と言っていたので、昼間死んだのは5人だけと分かる。
たったそれだけの中にあの集団の面子が含まれるとは考えにくいし、もし含まれたとしてもせいぜい♂シーフか♀商人だろう。
だとすれば手強さはほとんど変わらない。

(となると弓が欲しいですわね)
彼女が魔法職と戦って勝つのは不可能ではない。
スリープアローを当てて眠らせられればいいのだ。
しかしあれだけの人数相手では近付くことすら容易ではないし、首尾良く眠らせても即座にとどめを刺せなければ仲間に起こされてしまう。
最低限、遠くから先制の一撃を当てられる必要があった。

(猟師小屋を探しましょう)
武器を作る技術がない以上、どこかで見つけるしかない。
だが今まで行った場所の多くでは他の参加者と出会った。
そんな場所に何か残っているとは思いにくい。
彼女は進行方向を少し変え、行ったことのない辺りを探してみることにした。

◇◇◇◇◇

「あら…」

東と南を禁止区域にふさがれた場所へ足を踏み入れたグラリスは小さな嘆声を漏らす。
月を映し込む穏やかな水面が目前に開けていた。
周囲を密集した木々に囲まれていて遠くからは気付かなかったが、かなり広い。
見たところブロックの半分ぐらいを占めているのではないだろうか。

「池…と言うよりはもう湖ですわね」

よく整備された岸辺。近くには木造の桟橋もある。
この近辺の生活用水にもなっているのだろう。沼地化しておらず、水も比較的澄んでいる。
グラリスはほとんど空になった水筒の栓を抜くと古い水を捨て、湖の水を汲んだ。
(毒が入っているとは思えませんし)
こんな大量の水に混ぜて効果が出るほどの毒など参加者には用意しようがない。
かといってGMがそんな罠を掛ける意味もない。連中は参加者同士の殺し合いを望んでいるのだ。

それでも念のため水を口に含み、変な味がしないことを確かめてゆっくり飲み込んだ。
濾過していない水はかすかに青臭い。しかし
(染み渡るとはこのことですわね…)
仕事のあとに傾ける一杯の酒でもなかなかこうはいかないだろう。
まだ初夏とは言え日中動き回れば汗をかく。そして多量の出血。
体は水を文字通り渇望していた。
半ば飛び込むような勢いで湖面へ顔をつけ、思うさま飲み続ける。

「っぷはぁ」

もうこれ以上は飲めないと言うところまで存分にのどを潤し、グラリスは顔を上げた。
(こんなことなら水筒に海水を詰めて来るんでしたかしら)
応急処置法の講義で学んだ知識がちらりと頭をかすめる。
血液には海水の4分の1ぐらいの塩分が含まれている。だから多量の出血や発汗の後には水だけではなく塩分も取った方がいいのだ。

(でも、まあ仕方ありませんわ)
彼女は肩をすくめた。
今さら戻る気にはなれないし、♀モンクから相当量摂取できたはずだ。
眠りに落ちる前にしたことを思い出す。
そしてふとあることに気付き、水面に映った自分の体を見下ろした。

「あら」

あごから首、エプロンドレスの胸元にかけてが黒ずんでいる。
長い髪も一部が黒く固まっていた。
もちろん♀モンクの血だ。
ここへ来る前も目があっただけで子供が泣くなどと言われてきた彼女だが、今なら出会った瞬間に気絶させることだって出来るのではないか。
もちろんこの島にそんなヤワな人間が残ってるはずもない。

少し考え、彼女はカプラの制服を脱ぎ始めた。
幸いと言っては何だが、ここは2つの禁止区域に接し袋小路に近い形になっている。好きこのんで近寄る者はそう居ないだろう。
(この島に来て2度目の水浴びですわね)
彼女がこの島で一番清潔にしているのではないだろうか。
そう思うとちょっとだけおかしくなる。

やがて傷だらけではあるが均整の取れたみごとな肢体が月下にあらわになった。
彼女はそれを無感動に見回す。
(傷口は――大丈夫そうですわね)
歩いている内に開いてしまった傷口がないことを確認してゆっくり水に入り、顔と上半身についた血をきれいに洗い落とす。
そしてすぐに水から上がると傷口回りを丁寧に拭った。
やはり少ししみる。それに傷口に泥が入ったまま放置すると破傷風になる事があるのだ。
それだけは気をつけろと古参の兵士に口を酸っぱくして言われた。

その古参兵はこうも言っていた。
『勇敢なのは騎士だけでいい。あたしら兵士は臆病なぐらいでちょうどいい』
その時は兵士だって臆病では務まらないだろうと思った。
だが、今になってその意味が分かった気がする。
騙し討ち、裏切り、不意打ちに罠。何でもありの戦場では、自身を、他人を、そして状況を見誤った者から死ぬ。
ここで慎重すぎると言うことはない。

(だからこそ弓が欲しいのですけれど)
血のこびりついた服を洗いながらグラリスは考える。
弓での先制攻撃ならば予想外の事が起きても逃げやすい。
だが付近に家は見あたらないし、対岸へ探しに行くのは禁止区域に踏み込む危険性が大きすぎる。

(集落がこちら側にも広がっていてくれましたらよかったですのに――)
そう思いつつ、裸身に洗い上がったエプロンだけを纏って桟橋へぶらぶら歩き出した。
桟橋があると言うことはそれを使っていた誰かの家があるかもしれない。
そして家があれば他の参加者と遭遇する可能性も上がる。服をすべて身に着けないのは、万一の場合濡れた服を着ていたのでは遅れをとるからだった。

やがて案の定、小さな木造の小屋が見つかった。
湖側に大きな両開きの扉があり、窓や煙突は見あたらない。
住居というよりは納屋らしい。
(ボート小屋…ですかしらね)
森を見ると西へ向かって山道らしきものが通じている。
つまり西方にも集落があり、そちらの住民が湖を利用するために建てたのだろう。

鍵は掛かっていなかった。
注意を怠らず、大扉をゆっくり引き開ける。
そして一歩下がり、剣を構えたまま気配を探った。
(…誰も居ないようですわね)
小屋の中は月明かりのある外より一層暗かったが、梁の上に伏せられたボートの他はがらんとしており隠れられそうな物陰はない。
流れ出した冷たい空気にも体温や匂いといった人の気配を感じられなかった。

(ですけど、これは何もなさすぎやしませんこと?)
小屋に踏み込んだグラリスは腰に手をあてて嘆息する。
2,3棒きれが転がっている他は本当に何もない。
ボート小屋なら整備の工具か小刀、もしかしたら投網でも手に入るかと思ったのに。
彼女は天を仰いだ。
そしてひびの入った眼鏡をかけ直す。

頭上、ボートの船底に不自然な焦げあと。
視線を下ろしたグラリスは少し考え、小屋の中をもう一度くまなく調べなおした。
すると見つかる、かすかに黒ずんだ土間。刃の食い込んだ跡の残る柱。
きれいに掃除されてはいるが、ここで殺し合いがあったのだ。

「…考えてみれば、当然でしたわね」

殺し合いがあったのは昨日今日ではない。おそらく1ヶ月かそれ以上前。
つまり前回かそれ以前のゲームだ。
この処刑ゲームは毎回同じ島で開かれているのだから、ほとんどの家屋には誰かが入ったことがあると思っていい。そして使える物は持っていっただろう。
海岸の小屋であれこれ見つかったのは幸運だったのだ。

彼女は武器を探すことを諦め、転がった棒きれを手に取った。
火をおこして服を乾かそう。幸いこの小屋に窓はなく、灯りが漏れる心配は少ない。
そして手に取った棒の正体に気付いた。
(私のツキはまだ失われてない)
それは先端を引き抜かれた銛の柄だった。
誰かが金属部分だけを短剣として使うために持っていったのか、あるいは他の理由か。
何にせよこのままでは棍棒の役にも立たない。だが、彼女には最高の武器になる。

グラリスはスリープアローを数本取りだし、矢尻から3分の1ほどの所で切り落とした。
そして服の裏打ちを詰め物にして銛の先端、刃が引き抜かれた穴に固定する。
これで飛び道具が手に入った。
銛は投げることも出来るように作られているのだ。
先端が抜けやすいのも問題ない。どのみち毒は一回で効果を失うし、換えの穂先にする矢はまだある。

彼女はできあがった「睡眠銛」をひと振りして満足げに頷き、火を焚くためにボートを破壊し始めた。


<グラリス>
現在地:F-4(ボート小屋の中)
容姿:カプラ=グラリス
所持品:TBlバスタードソード、普通の矢筒、スリープアロー十数本とそれを穂先にした銛
備考:
状態:裂傷等は治療済みだが、体力はまだ半分以下。


<残り:28人>
296名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/14(金) 23:52:26 ID:O9jgQaTM
正しくサバイバル。すごいよグラリスさん。
何か世界崩壊後の世紀末でも元気に生きてそうだ。
297名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/15(土) 03:40:44 ID:l3ydU5HE
>裸身に洗い上がったエプロンだけを纏って
>裸身に洗い上がったエプロンだけを纏って
>裸身に洗い上がったエプロンだけを纏って
298名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/15(土) 06:56:26 ID:E0yTfMGA
201.何も考えずに走れ!<第二回放送前〜放送後>


「ん、あったあった」
「わん!」

定時放送が鳴るほんの少し前
♀アコと♀マジ+1匹はなんとか荷物のあった海岸に辿り着いていた
方向音痴の♀アコがそこに辿り着けたのは♀マジという比較的普通の方向感覚の持ち主が同行していたのと、海岸という地形上、北か南の二択で済むということもあったのかもしれない

「こんなところから落とされて生きてたの…?」

子デザと一緒に無邪気に喜ぶ♀アコの後ろでは♀マジが断崖絶壁の高さに目を回している

「まー、ちゃんと受身が取れれば意外と生きていけるモンよねー」
「そういう問題じゃないと思う…」

♀マジが頭痛がするのを感じながらこめかみを押さえたその時

『島での2日目をいかがお過ごしでしょうか。ジョーカーです。』

定時放送が鳴り響いた
まず死者の名が告げられる。♀マジは知った者が居ないことに内心ほっとしながら、続けて放送されるであろう禁止区域の放送に備えて地図を広げる
そして禁止区域が告げられ始めた
D-3
D-8…

「……ココって、D−8じゃないの!」

放送で告げられた地区に慌てだす♀マジ

「ふーん、でも私は首輪壊れたから大丈夫なのよねーほほほ」

それに対して子デザを抱え上げて余裕のポーズの♀アコ
だがしかし

ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ

お互いの首輪から警告を表す電子音が流れ始めていた

「……アレ?直ってる?」
「アレ?じゃないよこのINT1バカ!早く逃げないと危ないんだよっ!」
「うう、なんで?さっきまで大丈夫だったのに…」

♀アコはぶちぶちとモンクを言いながら二人(+1匹)に加速の祝福をかけ、一同そろって全速力で禁止区域から逃げ出すために駆け出す
絶壁沿いにひたすら南へ、生き残るためにひたすら走る
警告音が少しずつ早くなり、それから来る恐怖に心臓がどくどくと鳴る
そんな時に事件は起こった

「あっ!?」

雨で滑った草に足を取られて♀マジが転んでしまったのだ
それを見た♀アコ+1は急ブレーキをかけ駆け足で駆け寄る

「バカ!何やってるの!」
「あんたにバカ呼ばわり…ッ!!」

何時もどおり返答しようとした♀マジの顔が苦痛に歪む
よく見ると捻りでもしたのだろうか、♀マジの足首が僅かに赤く腫れていく
その足では歩くことは出来そうでも走ることは無理そうだった。そして、歩いていては恐らく脱出は間に合わない

「……先に…行って!」
「は?」

♀マジの口から漏れた思いがけない言葉に思わず素っ頓狂な声を上げる♀アコ

「このくらいならボク一人でなんとでもなるから、さっさと先に行けって言ってるの!!」

警告音さえかき消すほどの大きな声で♀マジは怒鳴っていた
だがその目は涙で潤み肩も小さく震えている
死ぬかもしれない、でもこの相手にだけは絶対に弱みは見せたくない……そんな強がりの姿だった
その♀マジの姿に一瞬ぽかんとした後、♀アコはにやにや笑い

「OKOK、そこで『たすけてー』なんてか弱く言われたら見捨てて逃げてただろうけど……そうまで言われちゃねぇ」

そう言い屈みこむとタックルするように♀マジの腹に肩を当てて、

「よっ……せぇ!!!」

そしてそのまま一気に力を込めて♀マジの体を肩に担ぎ上げた
自分の予想を上回る行動に♀マジは慌て

「な、何してるの!!人間を担いで走れるワケ…」

そんな♀マジへ♀アコは

「だいじょーぶ!コレでも体力には自信があるっ!それにね…」

絶望のカケラも感じさせない不敵な笑みでこう言った

「多分神様だって言っていた、『汝、隣人共々助かるべし』ってね!」

後は言葉を交わす余裕さえないと♀アコは猛然とダッシュを始めた
ひたすらに走り、走り、デッドラインを超えるために魔力を全て速度増加に注ぎ込みとにかく走る
残念ながら奇跡は今回は期待できない。ならば自分の力で生き残るために全力で走るしかない
首輪の音が更に早くなる、♀アコの頭の中にこのまま自分ひとりが助かるために♀マジを放り投げて逃げてしまおうかという思いが一瞬浮かび、すぐに消えた
そんな格好悪いことをすればあの時強がった♀マジに対して負けを認めるようなものだ
ゴールはまだ見えない、首輪の音は更に早くなる
やがて度重なる酷使に限界を訴えはじめた♀アコの足はガクガクと震えだす
♀マジは死に晒された精神が壊れそうになるのを必死で押さえる
もう限界だとばかりに首輪の音が早くなり……





そして消えた



<♀マジ、♀アコ死亡>





















「……なんて事態にならなくてよかったわね、あっはっはっは!」
「ぜぇ、ぜぇ、わ、笑い事じゃないよ……マジヤバかったんだよ!?うぷ……」

地面に倒れ込んで大笑いする♀アコに対して♀マジは胃の辺りを押さえながらうつ伏せに倒れていた
なんとか、首輪が爆発する前に安全地帯まで逃げ切ることが出来たのだ
最も、その代償として♀アコは魔力と体力をごっそり失い、♀マジは胃に潰瘍を作る結果となったわけだが

「あははは、まー結果オーライってことで」
「な、なんて図太い神経…信じられない…」

♀マジはそこまで言うと気が抜けたのかそのまま気絶してしまった

「こらちょっと、私だって疲れてるんだから休みたいのに何先にヘバって……おーい」

ぺちぺちと♀マジの頭を♀アコは叩くがもうさっぱり反応しない

「ふぅ、仕方ない……私も寝るから、ちょっとの間見張りお願いね……」

ちゃっかりと先にゴールしていた子デザに見張りを頼み、♀アコも大の字になると今大会二度目の眠りへと落ちていった


<♀マジ足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し>
<♀アコ体力SPすっからかん、完全回復までは暫く時間が>
<現在地:E−9>
299名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/15(土) 07:01:09 ID:E0yTfMGA
なんかあまりにも書き込まれないので久方ぶりに一筆、これでキャラあってるかは自信なし

>>295
覗きにいきt(スリープアロー
300名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/04/16(日) 09:27:00 ID:OGiZcNbE
>>295
二度目の水浴びだなんてグラリスさんはサービス精神たっぷりですね(*´Д`)ハァハァ
GJ!

>>298
間に合わなかったのかー!?と思わせる文章構成にGJ!
このコンビには頑張って生き抜いて欲しいなあ……
301名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/16(日) 15:35:07 ID:9fyHHYjw
202.死神対死神<放送後>

「ふざけるな……ふざけるなよ……!」

ピピピピという嫌な音は徐々に早く、徐々に大きくなっていった。
♂クルセは敏感にそれを感じ取った、死神が自分へ近づいてきていることを。

「俺は死なない!死ぬはずがない!」

吼える様に喉から搾り出された声も、掠れた声にしかならなかった。
相当体にダメージは残っている。意志と反し体は遅々として進まない。
ずるずると半身を引きずるようにして歩く。

(俺はこの島に死ぬために来たのか?いや、違う!)

(俺は生きる溜めに、今ここにいる)

(死ぬ直前まで諦めない奴もいた。死ぬ直前まで他人を案じる奴もいた)

(死が背後に迫っているというのに、それを感じさせない奴もいた)

(そうだ…奴に出来たんだ…そう、奴には出来た、ならば―)

「俺に…俺に出来ぬはずはない!」

♂クルセは吼えた。
魂が震えるほどの狂気の雄叫び。それは海岸中を響き渡った。
バリリと音が鳴るほどに歯を食いしばると♂クルセはユラリと体を前に傾けた。
ふっ、と力を抜き倒れるかのように前のめりになるその瞬間。
♂クルセは足を取られる砂場をまるで整地された地面であるかのように歩き出した。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

(動け、動け俺の体!走れ俺の足!)

更に加速する♂クルセ、しかしその耳に変わらず張り付く嫌な音。

ピピピピピピ

最早かなりの速度で鳴り響くその音に苛立ちを覚えながらも♂クルセは走った。
その表情は吼えていた時とは打って変わって、静かな瞳を湛えていた。
表情こそは穏やかなままに、内面から溢れ出る狂気をむりやり抑えているかのような無機質な表情。

(死神よ…そこまで俺の命を取りたいか…だがそれは無理だ…)

(何故ならば、俺こそが死神だからだ…)

ふいに♂クルセが何かに気付いたかのように首に手をやる。既に首輪の音は鳴り止んでいた。
♂クルセはゆっくりと減速するとその場に膝をついた。

「ぜっ、ぜぃ…はぁはぁ…はぁ…」

激しく肩で息をする。不思議と痛みも、疲れも感じなかった。そして、思考すらも沈黙していた。

「ふ…ふふ…まだ、生きている、か…」

ぶるぶると震える自分の手を見つめる。
不思議と顔に笑みがこぼれる。
ふいに喉の奥から何かがこみ上げてくるのを感じ口を押さえた。

「ぐぇ…がはっ、おぇ…ぐぁっ、はぁ…」

胃から逆流した嘔吐物、一欠けらも物が混じってない液体。
そしてそれに混じって出てくる赤い液体。
そして次々に襲い掛かってくる疲労。そして痛覚。

「ぐぁぁ!っが!あぁあ…!」

海岸でまるで腹痛を我慢するかのように丸くなり呻く♂クルセ、次々に覚醒していく感覚に体が耐え切れないその代償。
狂気によって全ての感覚を封じ込め、その狂気がさめた時。それまでの全てがその者に降りかかる。
耐え切れない痛みに浜辺を転げるようにのた打ち回る。
そして、背中に刺さったナイフが傷をえぐった。

「がぁ!く、かぁ…うあああああああああ!」

背中に手を回し乱暴にナイフを引き抜くとそのまま投げ捨てる。
痛みは引かない、しかしもう転げまわることもなくなっていた。
痛みで体がびくびくと痙攣する、しかし体は動かない。
仰向けのまま苦悶の表情を浮かべたまま、時折びくりと思い出したかのように動く体。
死神と死神との死合はまだ終りそうにもなかった。

(俺は、死なない!死ぬもんか!死んでたまるか!)


<♂クルセイダー>
現在位置:D-4にはいってすぐ
髪型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し) ナイフ(近くに投げ捨ててある)
状態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身
   吐血 嘔吐 オートバーサークによる反動
302301sage :2006/04/16(日) 15:38:32 ID:9fyHHYjw
オートバーサークの効果が大きくかわっちゃいましたけどまずかったでしょうか・・・
一応痛覚や疲労を感じなくかわりに切れた時にそれらを自覚し大変な事に的な・・・
ってぐお、投稿した後に誤字発見・・・

俺は生きる溜めに、今ここにいる

の溜めには為にですね、すみませぬ・・・
303名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/17(月) 15:40:55 ID:IySth4rY
>>301
がんばったな、♂クルセ。
おいらはこのまま失意のそこで死んでいくかと思っておりましたよ。

位置に関してつっこみ。195話でD-3から東へとなっているので、D-4ではなくE-3ではないだろうか?
304名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/17(月) 17:22:14 ID:IySth4rY
203.ふぁると♀スパノビだけがともだちさ [2日目夜]

これは夢? それともまぼろし? ううん、そんなことない!
ほかの誰にもわからなくたって、あたしにはわかる。
空をすべる大きなつばさも、するどい鉤型のくちばしも、切り裂く爪も、強靭なあしゆびも、すぐに思い描ける。
どんな闇夜だって、たとえ目が見えていなくたって、声さえ聞けば、あたしにだけはわかるの。
だからあたしは、おおきな声で大好きな彼の名を呼んだ。

「ふぁる!」

あぁ、ふぁる。やっぱり来てくれたんだ。来てくれたんだね。それもこんなところまで。
つばさや尾羽が、あんなにぼろぼろになってるのに。そうまでして、来てくれたんだね。
だったらもう、あたしもがんばるしかない。覚悟は決まったわ。
相手が鳥を嫌う羽虫の女王なら、あたしはその虫を食べて生きてきた、猛禽の娘よ!
ふぁるとふたりなら、できないことなんてなにもないんだから。

そう、それはまるで、ふぁるがあたしの勇気を運んでくれたみたいだった。
ぽっかりと胸にあいたままで、苦しかったあたしの淋しさは、ふぁるのひと鳴きで埋まったのだ。
あたしってほんと、あきれるくらいに単純だ。
ごめんね、お姉ちゃんも大好きだけど、いまはまだ、ふぁるの方が大切みたい。

ぴーぃ、とのどをふるわせて、彼の声があたしの耳に届いた。
人間にはわからないだろうけど、あたしには彼の言いたいことがはっきりと理解できる。
女王蜂を前に、ふぁるはあたしにこう言っているのだ。

『目印でもないと、ねらいがつけられないぜ?』

ワシタカ類は昼行性猛禽類、フクロウ類は夜行性猛禽類だ。
一部の例外をのぞいては、ふぁるのようなファルコンは夜目が利かない。
つまり、さっきはミストレスが右手に雷をまとっていたから、うまく狙えたみたいだけれど、今は無理だということ。

ぴーぃ。
今度はあたしが指笛でふぁるに意志を伝える。
あたし以外にもうひとり味方がいること。戦う相手が女王蜂であること。
そして───

(だいじょうぶ、あたしには昼を見るワシの目も、夜を視るフクロウの目もあるんだから)

───あたしがふぁるの目になるってこと

予期しなかったふぁるの出現に、取り乱したミストレス相手なら、あたしにもなんとかなるかもしれない。
ううん、なんとかするしかない。
きつく両方の眉をつり上げて、あたしは彼女の正確な位置を笛の音にのせた。

同時にふぁるがミストレスのおよその位置めがけて爪をくりだした。
紙一重のところでミストレスはふぁるの攻撃を回避した。
ほんとうに紙一重だったから、彼女は横転してしまったのだけど。

絶好のチャンス到来に、あたしは集中力を高めていく。
いままですっかり忘れていたけど、あたし、集中力を向上できるんだった。

「♀ハンタさん、だいじょうぶ? 私になにかできることがありますか?」

お姉ちゃんのあたしを案ずる言葉を聞いて、あたしはますますやる気をみなぎらせた。
あたしひとりだけじゃない。ふぁるとふたりだけでもない。三人もいるんだ。

「お姉ちゃんは支援にまわって。あたしとふぁるに速度増加を。
 だいじょうぶ。あたし、全力でやってみるから。ふぁるもお姉ちゃんもいっしょだから」

あたしのしっかりとした物言いに、お姉ちゃんはすこし、いや、かなりおどろいているみたい。
いままで見たこともないくらい、目が大きくなっちゃってる。
でも、それも無理ないかな。あたしだってまさかこんなことで、勇気がわいてくるなんて知らなかったから。

「小娘が。我に土をなめさせるなど、許されると思うてか!」

真っ赤になってミストレスは怒ってるみたい。だけどね、こっちだって怒ってるんだから。

『ふぁる! ミストレスが起き上がるまえに、はやく!』
『そのまえに、こいつを受け取りやがれ、このうすのろ! 重いんだよ』

そうして、ふぁるの左足からあたしの手の中に見覚えのある弓が放られた。
以前にあたしが使ってた、持ってるだけで体力がみなぎる不思議な弓だ。
ふぁる、持ってきてくれたんだ。

「♀ハンタさん、それ弓ですね! それならこれを使ってください」

つづいてお姉ちゃんまであたしになにかを投げてきた。受け取ったのは矢筒。
中に入っているのは青白い鉱石”オリデオコン”を鏃につけた、オリデオコンの矢だ。
すばやく矢を2本引き抜いて、あたしは弦を絞った。

起き上がったミストレスは、両手にまばゆい閃光をまとわせていた。
バチバチと爆ぜるような音が、ミストレスの魔力のすごさをあらわしてるみたい。
だけど、それはふぁるにとっても、あたしにとっても絶好の的だった。

『ふぁる!』

あたしのダブルストレーピングと、ふぁるのブリッツビートの方がはやいんだからね!

そのことにミストレスが気づいていたのかどうかはわからない。
ただ彼女はぼそりと一言こう洩らした。

「口惜しや」

けっきょく彼女はあたしにも、ふぁるにも、お姉ちゃんにも雷を放ったりしなかった。
彼女が狙ったのは地面だった。
ズドンとものすごい音をたてて、ただでさえ見通しの悪い夜の世界が、ほこりにまみれてなにも見えなくなった。
いくら夜目が利いてもこれでは弓は撃てそうにない。

これでよかったのかどうかはわからないけど、ひと通り落ち着いたころにはミストレスはどこにもいなくなっていた。
安心したのか、はりきりすぎたのか、あたしはすとんと腰をぬかしてしまった。
お姉ちゃんはそんなあたしを見て、安堵のほほえみを浮かべていた。

そしてふぁるは、

『アハハハ、やっぱりおまえはオレサマがいないと、なんにもできねぇんだな』

すぐ近くの木にとまって、おなかをふるわせて大笑いをしていた。
うぅ、ひどいよふぁる。


<♀ハンター>
現在地:E-5南端
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ
備考 :対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり、島にいる鳥達が味方
状態 :びしょ濡れ、♀スパノビを信頼、ふぁると遭遇で勇気りんりん

<ふぁる>
現在地:E-5南端
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備考 :なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ?GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇

<♀スパノビ>
現在地:E-5南端
外見 :csf:4j0610m2
所持品:S2ダマスカス(未回収)、シルクリボン(無理矢理装着)、古いカード帖(本人気付いていない)
スキル:集中力向上、ニューマ、速度上昇
備考 :外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)
状態 :半乾き?♀ハンターの生い立ちや鳥との会話能力を知る、JTにより負傷

<ミストレス>
現在地:E-5南端→?
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー
備考 :本来の力を取り戻すため、最後の一人になることをはっきりと目的にする。つまり他人を積極的に殺しに行くことになる。なんらかの意図があって♂ハンターを誘惑。その理由は不明
    戦略的撤退
305301sage :2006/04/17(月) 17:41:57 ID:BztXOsiM
>>303
おうあ、ほんとですね・・・
まっすぐ右にぬけてるんだからE−3のはずで・・・
自分も地図でそれ確認してなぜ下に・・・
E−3に修正で・・・
306名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/18(火) 16:49:26 ID:Q87CpBtM
204 ひとりだけの世界 [深夜]


――いつから、こうなった?
暗い夜道を、取り憑かれたように♀BSはただ歩く。♂スパノビはおろおろとしたままそれに付き従う。
方向などわからない。消えた仲間がどうなったかなどということも、最早どうでもよかった。
いや、はじめから仲間などではなかったのだろう、と♀BSはぼうっとした頭のまま思う。
♀アルケミストも、淫徒プリも、加わったばかりの♂アコライトと♀ノービスも――ただ自分の望みを叶えることだけを考えていた。
その望みが、みんなで生き残るなどという甘いものではなかったことははっきりとわかる。
♀BSはあまり思慮深いほうではなかったが、それだけは本能で感じ取っていた。

「お前はどうして何も言わずに、あたいについてくるんだい?」
やや後方を歩く♂スパノビに問いかける。まともな答えを期待してはいなかったのだが。
「よ、よくわかんねえけど……おで、ぼすをひとりにはできねえ」
「……そうかい」
この男がこんな風体で、こんな頭でなければさぞかし甘い言葉になっただろうに、と♀BSは思った。
しかし同時に、常人よりも馬鹿で純粋だからこそ、酷く荒んだ状況の中でもこのような言葉が吐けたのだろうとも思われた。
彼の言葉には嘘はない。それ故に、ただ嬉しかった。
「人数だけは多かったけど、あたいたちははじめから二人だったんだね」
♀BSがそう呟くと、♂スパノビは悲しそうな目で彼女を見つめてきた。
彼女の言葉の意味はよく理解してはいないだろうが、彼なりにボスが悲しんでいるのはわかったのだろう。

二人か。本当にはじめから、ずっとそうだっただろうか。
前方に視線を戻すと、見たことのある風景が広がっていた。
深夜ということもあり、はっきりとわかるものではなかったが――鞭と短剣が供えられた二つの墓には見覚えがあった。
「なあんだ、またここに戻ってきちまったのかい。同じところをぐるぐると、バカみたいだねえ」
おかしそうに笑いながら、♀BSはダンサーの墓の前に座り込んだ。

はじめから今まで、ずっと二人ではなかった気がする。
少なくともあの踊り子には自分は気を許していた。
♂スパノビを見つめるあの優しい瞳は、どこか自分の母親に似ていたし、父親にも――少しだけ似ていた。
もっとも歳が違いすぎるし、そんなことを彼女に直接言ったらおばさん扱いするな、と怒られただろうけれど。
会ったばかりの♂BSも、確かにスケベそうな男だとは思ったが、悪い人間には感じなかった。
彼はすぐにダンサーと共に旅立ってしまったけれど、付き合いが長ければ信頼できる仲間になれたかもしれない。

でも、今はどうだ。
仲間はまた一番はじめに逆戻り。心を許せる人間は♂スパノビ一人。
(それも、心を許せる、だなんて言って――)
♂スパノビの幼さを利用して、自分の不安を鎮めようとしているだけだ、と彼女は自嘲した。
(結局、自分の心の中にあるのは、自分ひとりのことだけ。あたいも結局、身勝手なのか)
♂スパノビがもし彼女の心中の言葉を聞くことができたなら、それをはっきりと否定してくれるだろう。
♀BSは確かに、彼のことを思いやることができる優しい人間なのだから。
しかしあまりに変わりすぎた状況の中で、♀BSは暗い考えを持つことしかできなくなっていた。

いつから……あたいは、こうなった?
もう一度、♀BSは自分自身に問う。この島に送られたばかりのときは、自分はこんなにも弱い人間ではなかったはずだ、と。
ダンサーが死んで、♂BSが死んで――父親も、死んだ。姿の見えない元仲間の誰かも死んだかもしれない。
一度に色んなことが起こりすぎて、人が死にすぎて。いつから自分が駄目になったのかはわからない。
ただ、すぐにでも自分が彼らのようになるかもしれないという、この狂った世界の怖さが痛いほどわかっただけだ。

♂スパノビまで死んでしまったらどうなるだろう。彼女の頭の中に、かつて振り払った思考が蘇る。
この狂った世界の中で、ひとりになったら――自分はどうなる? この世界に溶け込むように、狂ってしまうのだろうか。
自分が死ぬのと、ひとりきりになるのと、どちらが辛いのだろうか。

「ぼ、ぼす! あれなんだ!?」
「なんだい、騒がしい……」
♂スパノビの声に、墓から視線をはずすと、暗闇にぼんやりと浮かび上がる光があった。
(……綺麗)
それは揺らめく炎のようで、彼女を惹きつけて離さなかった。
(何か、見覚えがある気がする。でも、なんだったか……)
まあいいか、と思考を打ち切り、♀BSはゆっくりとその光に近づいた。
「ぼす! な、なんかそれ、こわい……」
♂スパノビが怯えた声で♀BSを止めようとするが、彼女は構わず進む。
がくがくと身を震わせながら、それでも彼女をひとりにはできないと思ったのか、♂スパノビも結局は彼女の後に続いた。

そして――♀BSの目の前に、かつて彼女自身の手によって真っ二つに断ち切られた、一本の槍が現れる。
もう槍としての機能は失っているはずなのに、なぜかそれは生きているかのように輝いている。
仲間を失った苦い記憶が♀BSの頭によぎり、彼女は目を逸らした。

しかし、空虚になりかけた心が、その強すぎる光を求めるように揺れ動く。
暗く揺らめく光に、手を伸ばすことも、背を向けることもできずに――♀BSは、ただ立ち尽くしていた。


<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖
外見:むちむち カートはない
備考:ボス 筋肉娘
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。ショックに次ぐショックで、軽い放心状態。ヘルファイアに半分魅了されている

<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり
外見:巨漢 超強面だが頭が悪い
状態:瀕死状態から脱出。おろおろ。ボスが心配。
307名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/18(火) 16:55:10 ID:Q87CpBtM
ヘルファイア折れてんのにまだ中の人(?)生きてるのか!とかはまあ……魔槍様ですから。
粉々くらいになったらさすがに死ぬかな? 折れてるのに使えるかどうかは謎。
誘惑を振り払えるのか、飲まれちゃうのか、それとも別の展開が!?……は、他の方の大きな想像&創造力におまかせです。
しかし♀BS、登場したばかりのときはパワフルなキャラだったのに、最近すっかり悩める女になっちゃいましたね。

>>304
♀ハンタとふぁるの絆に燃え、悔しがるミストレス様に萌えw
308名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/20(木) 09:42:20 ID:T9Q8dytc
いままで姉妹PT応援してたのに……

悔しがるミストレス様萌え(2/20)
309名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/20(木) 16:37:38 ID:/A30U3BQ
wikiの登場人物一覧を更新したので、ついでに詳細の方も更新しようとして、あまりの作業量にやる前から挫折。
すまん、俺には根性がなかった。詳細の方は1人でやるもんじゃないな。分担してやらないと、大変過ぎる。

そして、ようやく200話超えして、参加者も残り26名とおよそ半分が消化といったところだろうか。
バトROワ1のときは200話だとあとはもう終局へ一直線みたいな流れだったけど、今回はまだまだ終わりそうにないな。

というところで、祝半分到達と勝手に決めつけて、ここまでのお気に入りエピソードをあげてみる。
ものすごい主観評価なので、不快な人がいたらごめん。


第3位 プロローグ
今回のバトROワ2における殺伐イメージを見事に作りあげた素晴らしいプロローグに俺脱帽。
ここでのイゾルデなくしてバトROワ2は語れないと思う。それくらい好きだ、イゾルデ!

第2位 電波少女
つり橋効果かなんなのか、男女ペアの多いバトROワ2の中で俺的に今後が読めないカップルNo1の♂ハンターと♀アーチャー。
そんな二人のはじまりがこの話。もうね、この二人がどうなるかがすごい楽しみなんですよ。
ミストレスさま込みで。もちろん性的な意味で。

第1位 Murderer's showdown
もう言葉はいらない。忍者の生き様に泣け。悪ケミとの絆に泣け。
託された悪ケミと、したぼく2号なグラサンモンク。思いを託された二人がどう生き抜くのか。ワクテカが止まらない。


どう見てもただの♂ハンターと忍者好きです。本当にありがとうございました。
310名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 03:09:41 ID:C.l8yQw6
205.隠し味[2日目深夜]

トクン。 トクン。
血流にのって薬効が全身を巡る。
黄色い果実に秘められた世界樹の生命力そのものが。
傷ついた全身の細胞が癒合し再生して行く。
シュワシュワ、プチプチと音が聞こえる気がするほどの早さで。

(う…)
♂騎士はうっすらと目を開けた。
そして薄目のままゆっくりと周囲を見回す。
周囲に数人分の気配があった。
「あ、いま♂騎士さん動きませんでしたか?」
聞き覚えのない声。
とっさに目を閉じる。だが、そのことで却って動きが生まれてしまったようだ。
「♂騎士!よかった、気が付いたか!」
誰かが飛びついてくる。
反射的に振りほどこうとし、彼は全身に走る痛みにうめいた。
「ぐ…」
「無茶するな。まだ完治したわけじゃねえ」
また別の声がする。
少なくとも3人に囲まれているようだ。もはや目をつぶっている意味はないだろう。
彼はもう一度慎重に目を開けてみる。
暗くてよく分からないが木立の中のようだ。近くに2人、横になっている者が2人、さらに少し離れてもう1人居た。
どうやら5人もの大所帯らしい。
今声を掛けたのは…誰だろう?
「どうした?」
「ああ、いや…」
誰にせよ、今のところ害意はないようだ。
むしろ♂クルセにやられて死にかけていた自分をここまで運んでくれたのだろう。
彼らが何者にせよ、助けてくれたのだとすれば幸運としか言いようがない。
だが、今は彼らの正体よりまず気になることがある。
「教えてくれ。♂ケミはどうなった?」
「…なに?」
彼の言葉に目前の人物が絶句する。
他の面々も困ったように顔を見合わせた。
まさか、自分が意識を失っている間に殺されてしまったのだろうか。
恐ろしい想像が脳裏をよぎる。
やがて目前で絶句していた人物がため息混じりに言った。
「おいおい、何言ってんだよ。そりゃ俺だろ」
「助けられといて悪いが、冗談聞いてる暇はないんだ。青い髪をしたアルケミストの男を見なかったか?」
「だから俺がその♂ケミだっての!忘れたのか!?」
「そんなはずは…」
記憶の中の♂ケミをなるべく正確に思い出し、目の前の人物と比べる。
髪の毛の色。容貌。衣装。そして声。
そのどれもが似ているようにも、似ていないようにも感じる。
だが少なくとも、どこが違っていると指摘できるほどの差も見つからなかった。
「お前…♂ケミか?」
「だからそうだって言ってるだろ!」
「そうか…よかった」
安堵のため息を吐く彼を♂ケミが揺さぶった。
「よかったじゃないぜ!どうやったらこんな短時間で俺の顔忘れられるんだよ!」
「いや、そう言われてもな」
なんだか妙に痴話喧嘩くさい文句だよな、と他人事のように思いつつ♂騎士は頭を掻く。
♂ケミの顔をはっきり見分けられないせいか、微妙に親近感が湧かないのだ。
そんな2人を見比べて、離れている人物が不思議そうに言った。
「もしかして記憶喪失とかじゃないですか?」
「ああ、なるほどな」
近くにいる2人の内、♂ケミではない方が同意する。
♂騎士はその意見と自分の症状にかすかなギャップを感じたが、うまく説明もできないので黙っていた。
少なくとも記憶喪失という説明は彼にとっても分かりやすい。
「そうか、まあ思い出せたみたいだしいいけどさ」
「ここがどんな所か、とかは憶えてますか?」
少々不満げに口を尖らせる♂ケミに続いてそんな質問が投げ掛けられた。
♂騎士は欠けた記憶がないか、島に来る前後のことを思い出してみる。
GM森と名乗った男。最初に遭遇した♂ローグとダンサー・バード。刃を交えたグラリスや♂クルセ。そして目の前で死んでいった♀クルセと…♀プリのこと。
「……ああ。ここがイゾルデの作った殺人ゲームの舞台だって事も、俺が死にかけた理由も憶えてる」
ただ、島に来てからのことを思い出してみるうちに別の不安感がわき上がってきた。
今までは敵味方がはっきりしていた。
少なくとも外見でどんな職業か、どんな戦い方をするかが推測できた。

なのに、今ここにいる奴らの正体が分からない。

(おい、♂ケミ。どうしてお前は平気でいられるんだ)
助けられたにしても、こんな正体不明の一団を信用していいのだろうか。
♂ケミが騙されているとしたら?
助けてくれたのは♂ケミで、他の連中は居合わせただけだとしたら?
…そしてその♂ケミは本当に本物なのか?
疑念はとどまることなく広がり続けた。


この場に♂セージが居れば適切な質問を重ね、彼の症状を正確に診断したかも知れない。
また♀Wizが意識を取り戻していれば冷静に自身の状態を判断し、♂騎士も同じだと気付いたかも知れない。
だが♂セージはまだ合流しておらず、♀Wizは高熱こそ引いたものの体力を消耗したまま昏睡しており、震える体を♀商人が添い寝して温めている。
だから♂騎士が自分の異常に気付くことはなかった。
彼は個人を区別できなくなっているのだ。
フィールドに群棲しているポリンを一体ずつ区別できないように、他人をすべて『人間』としか認識できなくなっているのである。
もちろん落ち着いて観察すればペットのポリンのように多少の区別はつく。♂ケミに対してやっているのはそういうことだ。
しかし何人もが激しく入り交じって動き回り始めたらたちまち分からなくなるだろう。
彼は敵味方が判別できないという極めて危険な状態にあった。

異変の原因は、さしもの♂セージも焦りの余り見逃した一つの事実にある。
『参加者の死を目的としたゲームの支給品に、なぜイグ実やマステラなどという強力な回復薬が混じっていたのか』
もちろん生命線となるイグ実を奪い合って争いが起こる可能性はあるだろう。
だがそれなら食料や水の支給量を減らしてもいいし、マステラという中途半端な回復薬にそこまでの意味はない。
ではなぜGMジョーカーはそんなものを準備したか。
すべては次の一文に集約される。
――殺戮を楽しむための道具がいくつかジョーカーの手によって仕掛けられていた。
311名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 03:10:18 ID:C.l8yQw6
「…もう少し眠らせてもらっていいか?」
そう言って♂騎士は横になった。
「わかった。早いとこ体調を取り戻してくれよ」
少し気の抜けた♂ケミは軽く答える。
しかし♂騎士は実際には眠りにつかず、そのままじっと聞き耳を立てていた。
信じたい気持ちと疑念とが心を半々に占めたまま。
そんなことは予想だにせず、♂プリは♂ケミとひそひそ声で話し始めた。
「これで♂騎士の方は一安心か」
「ああ。あとはそっちだけど…大丈夫なのか?」
「まだ油断できねえ。けど、絶対に何とかするぜ」
声を潜めているのはもちろん♂騎士と♀Wiz、そして♀商人を起こさないようにという気遣い以外の何物でもない。
ただ、それは♂騎士から見れば密談のようにも見えた。
「あんたも少し寝た方がいいんじゃないか?」
一方♂ケミは♂プリに横になるように促した。
ヒールの連打で顔色が悪いにもかかわらず、♀Wizを助けようと気負いすぎているように見える。
見たところ♀Wizの容態も安定したようだし、様子を見るだけなら♂騎士の目覚めにも真っ先に気付いた♂シーフが居る。♂プリまで起きている必要はない。
だが♂プリとしては必死になるだけの理由があった。
♂セージか♀Wizが居ないと、残った者だけでは島のシステムを破るのは難しい。
それを説明するために彼は一冊の本を取りだした。
「その前にこいつを見てくれ」
「何だそりゃ?説教なら間に合ってるぞ」
聖書を押しつける♂プリに♂ケミは怪訝な顔をみせた。
「いいから」
♂プリは有無を言わせずページを開いて見せる。
そこに口紅で書かれた赤い文字を見つけて♂ケミは言った。
「…よく見えない」
「…そりゃそうか。ま、頑張ってくれ」
月明かりがあっても夜中は夜中である。
文章の印刷されたページに重ね書きされた文字など読みにくくて仕方がない。
♂ケミはあれこれ首と聖書を傾け、月光がよく当たる角度を探しつつ苦労して読み進めた。
やがて低くうなり始める。
「これは…う〜ん」
これは本当なのか?そう聞こうとしてなんとか思いとどまる。
書かれている内容がすべて真実という保証はないが、会話を盗み聞きされているというのはありそうな話だ。
彼は黙って読み続けた。
暗闇にページをめくるかすかな音だけが響き、♂騎士が居心地悪げに身じろぎする。
GMに聞かれないための筆談も、事実を知らない者には誰に聞かせたくなくてそんなことをしているのかという疑念の材料でしかない。
やがて、長い時間を掛けて読み終わった♂ケミは数ページ戻った。
そして『喧嘩別れしましょう』の一文に目を落とし、考え込む。
この内容が事実なら彼としてもぜひ手伝いたい。そしていま♂ケミに出来る最大の助力は、まだ目を覚まさない♀Wizに代わって岬を調べに行くことではないか。
彼は深呼吸し、ツバを飲み込んで言った。
「じゃあさ、動けない奴は足手まといになるし…置いて行かないか?」
それは♂ケミとしては♀Wiz1人の事のつもりだった。
♂プリ達はごく自然に彼女を擁護するだろうから、自分と♂騎士は追い出される形で別行動を取れる。そう考えたのだ。
だがそのニュアンスは充分に伝わらず、♂プリは『動けない奴』に♂騎士も含まれると考えてしまった。
返答する声にそのとまどいが表れる。
「おいおい。そりゃいくら何でも薄情なんじゃねえか?」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。俺達の命も掛かってるんだ」
「ってもなあ…」
♂ケミが別行動のために喧嘩を演じようとしていることには気付きつつ、♂プリは彼が単独行動するつもりだと思いこんだ。
♂シーフ、♀Wizと単独行動をとって危機に陥った仲間を立て続けに見てきた♂プリとしては素直に応じにくい。
「せめて起きるのを待とうぜ」
「俺達は最善を尽くした。あとは当人次第だろ?」
話の前提が微妙にずれていながら会話そのものは成立してしまったこと、そして筆談するには暗すぎたことが彼らの不幸だった。
うまく口喧嘩に乗ってくれないことに業を煮やした♂ケミは一歩踏み込んだ発言をする。
「俺はもう怪我人のお守りはごめんだよ」
もちろん♂騎士の存在を忘れてはいなかったし、会話を聞かれる可能性も頭の隅にはあった。
しかし♂騎士を信頼するからこそ、誤解されても聖書を見せれば大丈夫だと思った。
♂騎士が正常な状態であればその通りだっただろう。
しかし彼はジョーカーの仕掛けた悪辣な罠の影響下にあった。
2人の「密談」を漏れ聞くうちに不信感だけがどんどん膨らんで行く。

コイツハ、ダレダ。ホントウニ、♂ケミナノカ。
疑念は恐怖を呼び、恐怖はGM森の暗示を呼び覚ました。

「危ない、よけて!」
たった1人異変に気付いた♂シーフが叫ぶ。
襲撃か。とっさに♂ケミは♂騎士を守ろうと覆い被さり――
その胸を下からツルギが貫いた。


<♂騎士>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
備 考:♂ケミを真の意味で認める、GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、
混乱して♂ケミを殺害
状 態:痛覚を完全に失う、体力は赤ゲージ、個体認識異常(FF型混乱)、恐慌状態

<♂アルケミスト>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状 態:死亡
備 考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型
メマーナイトなし? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♀商人と同行

<♀WIZ>
現在地:D-6(丘の木立)
状 態:瀕死から脱しやや容態安定、意識不明、個体認識異常(FF型混乱)?

<♂プリースト>
現在地:D-6(丘の木立)

<♂シーフ>
現在地:D-6(丘の木立)

<♀商人>
現在地:D-6(丘の木立)

他は同じため省略(前出193話>>143-145および修正>>180-183

<残り27名>
312名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 03:16:54 ID:C.l8yQw6
…♂ケミ殺しちゃいました。薔薇カップルを応援してた方ごめんなさい。。
都合よくイグ実やマステラが出てきた理由考えてたらこんなことに。
あとROでの混乱は本来「思った方向へ進めない」ってだけの効果ですが、
それでは当人が死にやすくなるだけで面白味に欠けるのでFF的効果に。
まずかったでしょうかね?
313名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 04:08:23 ID:ek.lwtSI
うあーもったいない・・・
ケミが生きる死ぬは別として
♂騎士は♀プリを手にかけた事に相当自己嫌悪の念をもっていた上
「♂プリに罪を生きて償う勇気を貰ったこと」とあるので
そう簡単に仲間かもしれない人物に剣を向けることもないでしょうから
もう一踏みほしいです。

識別異常はいい要素なのでほんともったいない。
314名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 05:50:36 ID:pxQaaDao
♂騎士は♂クルセ=殺人者のようにはならない、と宣言してるわけで。
自発的に殺人に走る理由が弱いかな、と感じた。それも「♂ケミかもしれない」人間だし。
識別異常とか意外な展開でいいと思いつつ、なんか引っかかった理由はそこかな。
不安と恐怖に負けて殺人を犯した償いをすると言っておきながら、結局同じことをしてるのも気になる。
色々あったせいもあって、♂騎士って結構心の強い人間になったように感じたので。

色々書いたけど、アイディア自体はすごくいいと思うんだよなー。
イグ実とマステラに何か仕掛けてあった、ってのはすごく意外で面白いし。
とか書いてたら、313さんと似たようなレスになってしまったorz

あと、それとは別件で。
「痛みにうめいた」って表現がありますが、♂騎士は痛覚無くなってますよん。
315名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 08:14:37 ID:ijUuSlx2
>>313>>314
ぬぁなるほど。
論理構造に気を取られる余りその辺が弱すぎましたね。
原因や結果を変えずに理由なり表現なり考えてみます。
…でも今日明日はお出かけだったり。

そして痛覚欠落…見落としってあるなぁorz
316名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/04/22(土) 09:39:08 ID:193Xz58Y
まぁNO,103でGMに「恐怖心」を深層心理に刻み込まれてる訳だから、ちょっとした不信感・疑念がトリガーになって暴走しても違和感は無いかなーと思う。
確かじわじわ効いてくる仕掛けだから、本人が乗り越えたつもりでも、それは何時顔を出してくるか判らない。って解釈でいいかと思う。

イグ実・マステラに仕掛けがしてあるのは面白いと思った。
よくよく考えてみれば、殺し合いをさせてるのに只の回復アイテムが出てくる事の方が不自然だしね。
317名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 09:39:39 ID:193Xz58Y
うは、やっちまったorz
318名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 10:34:26 ID:dyxiU50.
>>311
♂ケミをここで死亡断定しない方がいいんじゃないかな?
ツルギが刺さって書き手さん的にはたとえ次回に100%死に至る予定だとしても、ここで死亡を断定する必要がない気がしました。

あと、こっちは確認なんだけど、この個体認識異常は♀WIZも目覚めれば個体認識不能になっているという解釈で大丈夫だよね?

最後、生き残りは♂ケミを死亡とすると25人ですんで、よろしく。
グラリスさんの話の28人は♀ノビ、♂アコが入ってませんので。
319名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 10:54:59 ID:dyxiU50.
あ、もうひとつ。
個体識別異常な話で♂騎士が疑心暗鬼でふたたび狂うまでにまるまる1話もしくは2話くらい使っておくと、
読み手さんに、うわー、どうなっちゃうんだ♂騎士、っていう感情が生まれて、楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
>>313さんのもったいないっていうのはその辺を言ってるのかなと思いました。
320名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/22(土) 11:34:10 ID:193Xz58Y
>>318
前の書き手にほぼ死亡と断定されたキャラが、次の書き手によって生き残った例もある。
殺せと言ってる訳じゃないけど、書き手が「死んだ」と判断したら死亡で良いと思う。

310氏が書き直す予定みたいだから、むしろ死亡がハッキリと判る描写を入れるといいかな?と思った。
321名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/23(日) 09:17:26 ID:fZaGhS32
そういや昨日でバロROワ一周年だったね
記念に何か……やることもないかw
322名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/23(日) 14:23:31 ID:aOm22wxY
>319さん
それもそうなのですが、疑心暗鬼状態で♂騎士を次の書き手に回せば
書き手も読み手もワクテカできたのではーとか
個人的燃え場面ですが刺してしまった♂ケミとの最後のやり取りが〜とか
そういうのもあったらこの先の展開もいろいろ派生するだろうし、
♂騎士の株(?)もあがったのではないと思って「もったいない」だったのですよ。
せっかくのいい要素投下をスッパリ切ってしまったかのように取れたので。
ただそこまで書いてしまうと310氏の内容否定にもなりかねないので
極々気になった点と一言だけ添えさせていただきました。
でもここで書いてしまっては意味無いですね。すいません。

>321さん
記念ということで1つのケーキをめぐって取り合い。
323接近に失敗しました接近に失敗しました :接近に失敗しました
接近に失敗しました
324名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/23(日) 23:25:45 ID:PkZO64G.
>>321
まじか。土曜日普通にすごしちまったぜ!
記念に第一回読み直してくるわ
325310sage :2006/04/23(日) 23:28:00 ID:ll8pixs6
ただいま帰りました。
そして…心理を正確に読まれまくってるorz
確かに死亡ほぼ間違い無しのキャラが最近立て続けに復活したこと、
そして私自身、以前「死に様かっこよく書いて下さいね」というつもりでパスを出した結果、
同様の結果になったことが気になってました。
(あ、The Cold Equationsとその前後の話は私ではありませんです。念のため)
それで「また生き残ったことにされちゃたまらない」とばかりに死亡したことにしてしまいました。
リレー小説としては良くなかったですね。申し訳ない。
状態欄の「死亡」は「致命傷を負い虫の息」でお願いします。
…ついでに残り人数も26名でお願いしますです。(ツイデッテナンダ

それでは気張って書き直しま〜
326名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/24(月) 06:50:06 ID:n/lB0/L.
>>325
単純に死を望みすぎてるだけかと。
死に様を美しくはわかりますけど、書き手が生き残らせた理由がわからないのは残念ですね。
327名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/24(月) 07:43:45 ID:n/lB0/L.
206.思い出した志

 暗い森の中を息を殺すように歩く。
 ルアフで、足元を照らしたいところだがPTを組んでいるわけではない今、それは危険だ。

「やれやれ……振り出しに戻りましたか……」

 先程の喧騒の最中、淫徒プリは喧騒に乗じてあの場から離れた。
 PTから離れるという目的は達せられたものの、これではゲームが始まったばかりの時と変わりようが無い。
 PTがいたならば、弱々しい♀プリーストを装って潜り込めば良い。
 当初こそ何を考えてこんな女装セットなどを用意していたのかと思ったが、疑いを持たれることなく潜り込むのには最適である。自分の華奢な容姿を今回ほどありがたく思ったことは無い。

「参りましたね……」

 地図で場所を確認しながら、歩き続ける。

 殺しと薬に手を染めることこそしなかったもの、その他の犯罪と呼ばれることは一通りしている。それゆえ、その手のいざこざから起こる凄惨な風景は見慣れている。
 とんだ聖職者だと言われそうではあるが、神の奇跡である治療と身体強化の魔法が使えるのだから全ての神から見放されているわけではないらしい。仮に彼を守護しているのが、邪神であったとしても。

「何にせよ、できるだけ人数の多いPTを見つけなくては……」

 人が多ければ、それだけそれぞれの信頼が厚い可能性がある。
 その中に入れば当座は大丈夫だろう。
 その仲間もまた裏切らなければならないのだが。

 そう、所詮人間は最期は一人。

”人は一人で死んでいくのではありませんよ”

 唐突に、師の言葉が思い出された。
 ……プリーストを志した頃は、人を救う信頼される聖職者になりたいと思っていたが……何故こうなってしまったんだろうか。

 ふと、頭を過ぎったその想いを頭を振って消し去り、淫徒プリは歩き続け――やがて、森から林へと周囲は変わっていった。


+ + + + +


「どこまでいったんでしょうか……」

 ♂セージは別れたPTを心配していた。
 周囲はすでに闇に包まれている。月明かりではやや心もとない。

「無事であればいいんですが」

 思わず呟きながら、なおも進む。
 気がつくと、周囲には木々が増えていく。

 この辺りのどこかに彼らがいればいいのだが……。

 だが残念なことに♂セージは別の人物とここで出会うことになった。

「……おや? プリーストの女性でしょうか……?」

 木立の中を周囲を警戒しながら歩く、きれいな長い金髪の女性プリースト。

「一人だけで行動とは……」

 PTからはぐれたのか?
 それとも、プリーストで実はマーダーなのか?
 不審に思いつつ、♂セージは彼女にコンタクトを取ってみようと試みた。


+ + + + +


 淫徒プリは、困惑していた。
 この♂セージは今まで出会った中でも、一番掴みにくい。

 いきなり「こんばんは、お嬢さん」などと挨拶された時は、心臓を掴みあげられたかのように驚いた。
 思わず、上ずった声で返事をしてしまったが、変装を見破られていたりはしないだろうか?
 にこやかに挨拶されたものの、この♂セージがマーダーではないという理由がない。
 用心して、いつでも逃げられるようにしておかなくては。

 そんなことを思いつつ、淫徒プリは♂セージに対峙する。

「それ以上近寄らないで下さいね。あなたが殺人者側ではないという安全がありません」

 数メートルの距離を取り、効き目が薄いもののかけないよりはましである速度増加を自分にかける。

「それは、こちらも言いたいことですよ? 単独行動し、いまだに生きているというのはマーダーか、PTからはぐれたかどちらかだと思いますが」

 ♂セージが淫徒プリに対して、そう言う。

「私はPTからはぐれたのですが……あなたもそうなのですか?」

 淫徒プリは、掴みきれない飄々とした印象の♂セージをじっと睨みながら呟くように答える。


+ + + + +


「……なるほど、そういう事情ですか」
「……そういうことですか。それなら合流しないといけませんね」

 互いに距離を取ったまま会話をし、事情を説明し納得がいった所で二人は近づくことにした。

 淫徒プリは喧騒の最中、PTとはぐれてしまったこと。
 ♂セージはマーダーとの戦い後、PTとはぐれてしまったこと。

 淫徒プリは、心の中でほくそえんだ。
 話を聞く限り、♂セージがいるPTは最大の規模のようだ。
 この中にいれば少なくとも安全だろう。
 気がかりは怪我人が二人いるというだが、自分はまがりなりにも支援を名乗るプリースト。
 死なない程度に回復させてやれば、すんなり仲間に入れてもらえるだろう。

 ♂セージは、ほっとしつつも淫徒プリへの違和感が拭えない。
 見た目はほっそりとして華奢な美人のプリースト。自称DEX型らしいが、実際先ほどの速度増加の素晴らしい詠唱速度を見る限りその言葉に偽りはないようだ。
 支援型らしいので、あの二人の治療を任せられれば♂プリの負担も減り、万歳なのは間違いない。
 しかし、違和感は別の箇所。
 それは声。低いハスキーな声といえば聞こえはいいが、男性が高めの声を出そうとしている時の声とよく似ている。無論、そんな声の女性がいないなどといえば嘘になるが。

「そちらのPTに私も合流させていただいてもよろしいでしょうか? 怪我人の治療もいたしますから」

 淫徒プリは、なるべくにこやかに♂セージに切り出した。

「それはかまいませんが……その前に、PTの皆さんを探さなければならないのですがね」

 苦笑しながら♂セージは答える。
 そして、その時だった。

「……危ない、よけて!」

 どこからか、叫び声が聞こえた。

「え、今のは……?」

 淫徒プリは周囲を見回す。
 ♂セージにはその声に聞き覚えがある。
 ♂シーフの声だ。

「声は……こっちです!」

 ♂セージはその声の方向に向かって走り出す。
 淫徒プリも、その後を追いかけた。


<淫徒プリ>
現在地:D-6
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
外見:女性プリーストの姿 美人
備考:策略家。Int>Dexの支援型
状態:軽度の火傷 昔の師の言葉を思い出し少々センチ

<♂セージ>
位 置:D-5
所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♀商人と同行していたが、現在は単独行動中
   他のメンバーと合流しようとしている。
328名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/24(月) 12:16:40 ID:9SA1GXv6
>>327
淫徒プリは放送後にG-7境界付近のF-7に居たので、放送前にD-5でPTから離脱した♂セージがPT合流前に彼と出会うのは少し苦しい気がする。
ただ、♂セージがPTとさっぱり合流できず、さらに淫徒プリがD-6まで歩いてきた理由がうまくはまれば、問題ない気もする。
問題は>>310氏が修正を宣言しているので、その修正できる範囲が制限されてしまう or >>327もあわせて修正が必要になるかもしれないというところか。

先出し優先だけど、先出し→修正となるパターンが増えているので、なかなかむずかしいね。
修正するならてばやく、あまりに修正が遅いならNGということにすればいいんだろうけど、それも問題がありそうだ・・・・・・

それから、♂セージにはクローキングマフラーをうまく使って欲しかったなぁというのは感想。
329327sage :2006/04/25(火) 22:19:07 ID:u6OJppq6
全面的に書き直しました。
書き直しがいつになるのかわからない205とは個別にお読み下さい。
時間軸的には205と同じくらいの時間ということで一つ。
330327sage :2006/04/25(火) 22:21:01 ID:u6OJppq6
206.信頼の意味

 暗い森の中を息を殺して早足で歩く。
 ルアフで、足元を照らしたいところだがPTを組んでいるわけではない今、それは危険だ。

「やれやれ……振り出しに戻りましたか……」

 先程の喧騒の最中、淫徒プリは喧騒に乗じてあの場から離れた。
 PTから離れるという目的は達せられたものの、これではゲームが始まったばかりの時と変わりようが無い。

「さて、どうしましょうか……」

 地図で点滅する自分の位置を確認すると、現在地はE−6、E−7の境界付近らしい。
 あの危険な毒花の♀アルケミや復讐に燃えている三人からは離れたい。
 殺しと薬に手を染めることこそしなかったもの、その他の犯罪と呼ばれることは一通りしている。
 それゆえ、その手のいざこざから起こる凄惨な風景は見慣れているが、あくまで自分は蚊帳の外から見るからこそ、その光景も所詮他人事と風景として無関心で居られるのだ。
 渦中に投げ込まれるのは御免である。

 その一心で速度増加をかけ、歩き続けたせいだろう。

 とんだ聖職者だと言われそうではあるが、神の奇跡である治療と身体強化の魔法が使えるのだから全ての神から見放されているわけではないらしい。仮に彼を守護しているのが、邪神であったとしても。

「何にせよ、できるだけ人数の多いPTを見つけなくては……」

 PTがいたならば、弱々しい♀プリーストを装って潜り込めば良い。
 当初こそ何を考えてこんな女装セットなどを用意していたのかと思ったが、疑いを持たれることなく潜り込むのには最適である。自分の華奢な容姿を今回ほどありがたく思ったことは無い。

 人が多ければ、それだけ信頼が厚い可能性がある。
 その中に入れば当座は大丈夫だろう。
 その仲間もいずれは、裏切らねばならないのだが。

 所詮人間は最期は一人。

”……人は一人で死んで行くのではありませんよ”

 唐突に、プリーストを志した頃に師と仰いでいた人物の口癖が頭を過ぎる。
 ……プリーストを志した頃は、あの人のように人を救う信頼される聖職者になりたいと思っていたが……何故こうなってしまったんだろうか。

 ……違う。
 死ぬ時は一人なのだ。
 信頼など一時の気の迷いに過ぎない。

 そう自分に言い聞かせて淫徒プリは歩く。


+ + + + +


「どこまでいったんでしょうか……」

 ♂セージは別れたPTを心配していた。
 夜の闇の中、月明かりだけでは心もとない。

「無事であればいいんですが」

 心配しつつ、なお進む。
 気が付くと周囲には木々が増えていく。
 しかし、どこまで行ってもPTは見つからない。

「……方向音痴なわけではないのですがね」

 思わず地図を見て彼は呟いた。
 この辺りのどこかに彼らがいればいいのだが……。
 だが、残念なことに♂セージは別の人物とここで出会うことになった。

「おや……? プリーストの女性……?」

 木立の中を早足で歩く、きれいな長い金髪のプリースト。
 まだ、こちらには気が付いては居ない。
331327sage :2006/04/25(火) 22:21:54 ID:u6OJppq6
「一人だけで行動とは……」

 PTからはぐれたのか?
 それとも、実はマーダーなのか?

 不審に思いつつ、♂セージは木立に紛れるようにしてクローキングを使用した。
 彼女の様子をうかがうために。


+ + + + +


 足が痛い。
 速度増加を何度もかけなおし、かれこれ1時間以上歩き続けている。
 ここまで誰にも会わなかったことは、幸運なのか不運なのか。

「この際……幸運だと思いましょう」

 思わず呟いてから休憩を取ることにした。
 この足の痛みは、靴のせいもあるかもしれない。
 女性物の靴はどうしても見た目重視の華奢な作りで健康上はあまりよろしくない。
 荷物の中から飲み水のボトルを取り出して口に含み、月明かりに地図を晒す。
 現在地はD−6。ずいぶん遠くまで歩いてきたものだ。

「……生き残りは28人……」

 考えをまとめるために、地面に小枝でメモを始める。
 周囲に人がいればこんなことはしないのだが、現状彼は一人であり思考を邪魔する者はいない。
 もちろん、あまり思考にふけると周囲への警戒が薄くなるので最小限度に留めるのは忘れない。

(さて……)

 ♂WIZは殺人者として断定。地面の走り書きの上に印をつける。
 先程まではモンクも殺人者側と推測していたが、どうやらジルタスを殺したらしいあのモンクはアルケミの少女とPTを組み、彼女を守るような行動を見せたから二人は恐らく殺人者側ではない。

「……すると生き残りの中で殺人者は誰か……推測の域を出ないのが痛いですね」

 この悪趣味な制裁ゲームは、冒険者の各職ギルドからの男女の生贄とその他の無作為による選別からの数人で成り立っていると昔聞いた事がある。しかし、当時は自分が実際に選ばれるとは思いもしなかったから、その話が同僚達の間から出た時にまともに聞いていなかったので確証が持てないのが悔やまれる。

 あの広間に集められた際、目にしたものを思い出して見る。

 GMジョーカー、銀縁眼鏡の♂GMと筋肉質の♂GM、それからアシスタントの♀GMたち。
 他に目に付いたのは……

(……我ながら、女しか覚えていないのは……こういう時に役に立たなくて困ります)

 思い出せた人物は強烈な印象だったGMたちを除いて、ほぼ全て女性だけだったのだ。
 しかも、ノービス、スパノビ、WIZが二人、ハンター、プリ、騎士、アルケミ……とふとももがまぶしく、好みの職ばかり。
 だが、そんな記憶でも役に立つ物はあった。

 WIZが二人?

 記憶を手繰ると片方は尊大な雰囲気を漂わせていたとがった耳と赤い瞳のWIZ。
 もう片方は憂いを帯びた雰囲気の銀色の長い髪が印象的だった……「オーラをまとった」WIZ。
 定時放送には、名前は呼ばれていない。つまりどちらも生きている。

「……WIZが一人で生き残るとしたら、よほど単身能力として特化しているもので無ければ無理ですね……」

 恐らく、どちらかはPTを組んでいる。そして、どちらかは殺人者ではないか?
 淫徒プリは、暫定的にではあるが地面の走り書きの上に印をつける。
 さらに、残っている職とわかる限りの人数も書き出してみた。

 一次職でいまだに生き残っているのは、間違いなくPTを組んでいるだろう。
 殺人者側の可能性も捨てがたいが、それでは推測よりも数が多すぎるので除外する。

 残った者の中で殺人者側として単独行動できそうな者。
 ♂騎士、♂クルセ、♂ケミ、♂セージ、♂ローグ、♂ハンター、♀騎士、♀ハンター、♀スパノビ。
 他にも無作為に選ばれた者がいるはずだが、自分は確認できない。

 この中で隠密行動に一番向いているのは♂ローグ。
 悪漢というぐらいだから、よほど風変わりでなければ殺人者側に回るはず。
 他に気になるのは……♂クルセイダーと男女どちらも残っている騎士とハンター。
 全員、戦闘のプロ。誰か一人は間違いなく殺人者側だろう。

 そんなことを考えながら、メモに印を付けていく。

「そういえば……彼には申し訳ないことをしましたね。♂アコのことを頼まれたのに……」

 悲壮な眼差しで去っていったいった♂ハンター。
 保護するように頼まれていたのに、結局♂アコは件のモンクに突っ込んで行き、そのまま返り討ちにされたかもしれない。
 一部始終を確認する前に、自分はあの場所を離れてしまったのでそれはわからないけれども。
 少し心が痛む。自分を信頼して預けていったのに、こういう結果になってしまったのだから。


+ + + + +


(……このプリーストは、何を書いているんでしょうか……)

 次々と足元に書かれる職と、その上に付けられる印。
 近くで、その様子を見ながら♂セージは思考する。

 時折ボソボソと呟く言葉を耳にし、少なくともこのプリーストは殺人者側ではないことはわかった。
 だが、このプリーストに対して違和感を拭いきれない。
 見た目はほっそりとして華奢な美人だが、低いハスキーな声といえば聞こえはいいが、高めの男性の声をとよく似ている。
 無論、そんな声の女性がいないなどといえば嘘になるが。

(なるほど……殺人者側、ゲームに乗っている人物を推理しているのですか)

 いくつか付けられた印から、♂セージは判断した。
 当たっているもの、当たらずとも遠からずなもの、はずれているもの。
 時折呟く言葉の端々とメモに、このプリーストの冷静な分析力が垣間見える。

 それに感心してつい油断してメモをもう一度よく覗き込もうと移動した時、クローキングが解けてしまった。

(しまった……!!)

「……なっ?!」

 突如現れた♂セージに淫徒プリは動揺した。
 周囲を警戒していたつもりだったが、考えることに集中しすぎておろそかになっていたのだろう。

「驚かせてしまって、申し訳ありません……が、少しお話をよろしいでしょうか?」

 ♂セージは、とりあえず話を切り出した。


<淫徒プリ>
現在地:D-6
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
外見:女性プリーストの姿 美人
備考:策略家。Int>Dexの支援型
状態:軽度の火傷 師の言葉を思い出し少々センチ&現在の状況に動揺

<♂セージ>
位 置:D-5
所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♀商人と同行していたが、現在は単独行動中
   他のメンバーと合流しようとしている。
332名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/26(水) 08:27:23 ID:sD.4TGYQ
>330-331
♂セージとあったのはD-6についてからだよね。
ずっとクローキングして後付けてたわけじゃないだろうし。
そこがちょっと読みとりにくかったけど。

ところで、淫徒プリが何故か無謀と慢心の精霊に取り付かれた某黒い耳のエルフに見えて仕方ない。
なんでだろう。
333sage :2006/04/26(水) 10:15:45 ID:EknqN38c
>332
ちょ、白粉とつけ耳ですかw
言われるとそんな風に見えてきた・・・w

>330-331
個人的にクロークがとけるのナイスだとおもた。
あと
「高めの男性の声をとよく似ている。」→「高めの男性の声とよく似ている。」
かな?
334名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/26(水) 10:27:50 ID:VFz9.VvY
>>330のおかげでつかみづらかった淫徒プリがすこしたしかな存在になった気がする。GJ。
ここから♂セージの舌がどう動くのか楽しみだ。ビバ道化対決。

地図のことで1点つっこみ。
068定時放送@より、地図で自分の位置はエリアごと赤で表示されているのがわかるので、細かい場所まではわからないはず。
335名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/26(水) 12:54:14 ID:VFz9.VvY
207.交尾 [2日目深夜]

敗走、それは気高き女王である彼女にとって、けしてあってはならぬことだった。
たとえ自らがどれほどの窮地に置かれたとしても、女王とはそれを高らかに笑い飛ばし、最後には勝利のさかずきを右手に敗者にあわれみの情をかける存在のはず。
ならばなぜ、我はこのような醜態をさらしておるのじゃ!

すこしの怒りも冷めやらぬまま、彼女は森の中を、つややかな紫の髪をはげしくゆらして走っていた。
四枚の羽で宙空を自在に飛びまわっていた昆虫族の女王としての威厳は、見る影もない。
ファルコンつきのハンターていどに遅れをとったことに、彼女の自尊心は大いに傷つけられていた。
騎士が剣士に決闘で土をつけられたようなものだった。いや、そんなものでは済まない。
ノービス相手に完膚なきまでに叩きのめされた。それくらいの屈辱だった。

とめどなくこみ上げてくる憤りに、彼女の目は瞳孔、虹彩のみならず、結膜にいたるまで真っ赤に染まっていた。
月明かりでもはっきりとわかるほどに目を赤く輝かせる彼女の容貌は、もはや女王蜂というより、妖魔かあやかしのようだった。
生来の♀アーチャーを知っているものがいまの彼女を見たとしても、とても同一人物とは思わないだろう。
それほどにミストレスは怒髪天を衝いていたのだった。

そんな状態の彼女の前に立ち塞がるものがいたとしたら、その人物はよほどの痴れものか、それとも大胆不敵な存在か、どちらかだろう。
そして♂マジシャンは前者に該当した。
彼は身を隠していた自分に気づくことなく近くを走りぬけようとしたミストレスが♀アーチャーのいでたちをしており、さらには弓をもっていないことを見てとって、つい呼び止めてしまったのだ。
♀マジシャンに関する情報のひとつでも聞き出そうと思ったのだろう。
まったくもっておろかとしか言いようのない行動だった。
もちろんそれは、はた目には♀アーチャーにしか見えない彼女の正体を知っているものからすればの話であり、ともかく♂マジシャンは声をかけてしまったのだった。

呼び止められてからのミストレスの行動は、♂マジシャンの予想できる範囲をはるかに超えていた。
刀剣類を手に襲いかかってくる可能性くらいは片隅に持っていたのだが、相手がまさか自分には唱えることすらできない高位の魔法を使ってくるなどとは、古いカード帖からゴーストリンcが出てくる確率ほども考えていなかったのだ。

はげしい白光とともに♂マジシャンははじけ飛び、大木に背中を強打されてうめき声をあげた。
そのときの♂マジシャンの心理を表現するとこうなる。

馬鹿な・・・・・・なぜ・・・・・・どうして・・・・・・
相手はアーチャーのはず・・・・・・こんな・・・・・・ありえるのかっ!?

擬音にすると当然こうなる。

   ざわ・・・・・・


          ざわ・・・・・・

話をもどそう。
ボーリングバッシュで撃たれた魔物のようにすっ飛んだ♂マジシャンだったが、さすがマジシャンだけに魔法への抵抗力はそれなりにあるらしく、気絶することはなかった。
状況が理解できずに頭の中は混乱したままだったが、つづく雷球を回避することだけはできたようだった。
どちらかというと狙って避けたというよりは、偶然当たらなかったていどなのだが、とにかく体勢を立てなおすことには成功した。
もちろん彼女の攻撃が、それで終わるはずはない。

♂マジシャンはその瞬間が悪い夢であることを願ったに違いない。
いっそ、島に来てからのすべてが夢であってくれと思ったかもしれない。
それというのもマジシャンでもウィザードでもなさそうな彼女が、怒り狂ったミノタウロスのような真っ赤な目で、ユピテルサンダーを乱発してきたからだ。
♂マジシャンは胸中でひどい悪態をついた。ほかの誰にでもない、自分自身にだ。
目に見える情報だけを鵜呑みにして、警戒を怠った自分を呪わずにはいられなかった。
けれど、どう考えても手遅れだった。

夜空に浮かぶ星の数には到底いたらなかったが、両手両足を使っても数え切れない回数のユピテルサンダーを浴びた♂マジシャンは、ぐうの音もだせずうつ伏せに倒れた。
虫の息ではあったが、それでも死んでいないのだから、なかなかの魔力の持ち主と言えよう。
順調にウィザードへの転職を果たしていれば、もしかするとかなりの大魔法使いになれたのかもしれなかった。

そこまで相手をぼろぼろにして、ようやくすこしは怒りがおさまったのか、ミストレスはたおれた♂マジシャンに近づいた。
彼がまだ生きていることにおどろきつつ、蹴りをいれてうつ伏せからあお向けにさせると、顔をのぞきこんだ。
陰気そうな顔立ちであったが、ぶさいくではなく、やるときにはやるといった強さを秘めているように思えた。

(これは・・・・・・使えそうじゃ・・・・・・)
本来の器を取り戻した自分の手加減ない魔法を死ぬことなく耐え切った♂マジシャンの肉体に、いったいどのような興味をもったのだろうか。
ミストレスは♂マジシャンの衣類をすばやく剥ぎ取ると、自分の上着の止めひもに手をかけた。
しゅるりと音をたててミストレスもまた一糸まとわぬ姿となった。
これが♀アーチャーの肉体でなく、島に来た当初の器であれば、さぞや男性を喜ばせる光景だったに違いない。
しかし今のミストレスの肉づきは、どちらかといえば貧粗なもので、それでも色づいて見えるのは女王蜂の内面的なものが多少外に出ているに過ぎない。

「う・・・・・・」

♂マジシャンがかすかな声をあげた。夢心地とはまさにこういうことを言うのだろう。
目を覚ましたら見目うるわしいはだかの女性がいて、そしてこともあろうに自分と肌を重ねていたのだから夢としか思えない。
ただ残念なことに魔法によってぼろぼろにされた手足は動かすことができなかった。
それでも痛みどころか自分のからだが溶けてしまいそうなほどの快楽を感じ、♂マジシャンは恍惚の表情を浮かべた。
いま起こっていることを含めて、いままでのことが本当に夢のように思えた。

♂マジシャンが気を取り戻したことを知り、ミストレスはうれしそうに口もとをゆるめた。

「とびきりの快楽をやろう。光栄に思うのじゃな。我のために果てるのじゃからの」

それが♂マジシャンが生涯で聞いた最後の言葉となった。
ことを終え、ミストレスは横たわったままの♂マジシャンを一瞥し、ふたたび衣類をまとった。
どくんと下腹部から全身に力がみなぎってくるのをたしかめて、にたりと満足そうに笑んだ。

「気持ちよかったじゃろう? 死ぬほどにの」

そしてミストレスは静かにその場をあとにした。
用済みの死骸には、もはやなんの感慨を示すこともなかった。
いまの彼女が考えることはただひとつ。それは♀ハンターへの報復だった。


<♂マジ>
位置 :E-7
所持品:ピンゾロサイコロ(6面とも1のサイコロ) 3個(内1個は割れている)
   青箱1個 スティレット
外見 :長髪 顔色悪い
状態 :死亡 ただし全裸で
備考 :JOB50 ♀マジとはぐれ捜索中 カイジ


<ミストレス>
現在地:E-7
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー
備考 :本来の力を取り戻すため、最後の一人になることをはっきりと目的にする。つまり他人を積極的に殺しに行くことになる。なんらかの意図があって♂ハンターを誘惑。その理由は不明
   ♂マジから魔力を奪った! ♀ハンターに報復したい!


<残り24名>
336名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/26(水) 17:51:27 ID:6LW/Hr0g
>335
設定としては面白いけど、ミストレスがサキュバス的能力を持っている理由付けが欲しいかも
なんか当たり前のように魔力を奪っているので……
337335sage :2006/04/26(水) 18:36:02 ID:VFz9.VvY
えっと、女王蜂と雄蜂の生態のお話になるんですが、
ミツバチなんかだと、女王蜂と交尾できた雄蜂は精子袋を女王に奪われてしまうため、死んでしまうんだそうです。
また、女王蜂のお腹の中は精子を貯蔵できる構造になっており、一度の交尾でとてつもない数の卵を産むことができるんだそうです。

そのへんから、女王蜂と交尾→死、精子の貯蔵→魔力の貯蔵、という内容にさせてもらいました。
338327こと330sage :2006/04/26(水) 20:01:09 ID:6pgEFIIw
ROワに参加している淫徒プリは冷静沈着な策士らしいので、
こういう冷静な分析もするんじゃないかと書いてみました。
淫徒プリの説明に書く人それぞれのイメージがありますってあったのと、
WIZぽんスレの雰囲気的に悪人でも悪い人になりきれないとあったので、
悪人に完全にはなりきれない優しさも残る人として見えればいいなと思います。

それと、修正が遅れれば遅れるだけ周囲に迷惑になるので、
修正が1日ないし、2日以内にない場合はそれはNGとするとかそういう決まりが
あったほうがいいかと思います。基本的に先出しルールですが、最近修正が
あまりにも多い割りに修正が遅すぎるので、期限は切るべきだと思うのです。

あとROワは人が死ぬ物語ではあるけれど、私はそれだけではないと思っています。
いかにその境遇から人が死なずに抜けられるか。脱出劇のおもしろさもあると思うのです。
(私自身、人が死ぬサマよりも脱出劇としての面白さの方に焦点を当てて見ているので)

>332
ああ、その通りです。D−6で淫徒プリを♂セージが見つけて後をつけてきたって所ですね。
そして、誤字発見。♂セージの居場所が間違ってます。WIKIでは直しておきますね。
……言われて見ると確かに、スイフ○ーっぽい。
女好きのスイ○リー?!

>333
あああああ、すみませんすみませんi||i_| ̄|○i||i
(´・ω・`)っを ←これは、WIKIでは修正しておきます。申し訳ありません。

>334
エリアごとに赤く表示されるので、たぶん境界線辺りだと両方がうっすらと赤くなるんだと思っていました。
違うのかな(´・ω・`)
339名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/26(水) 20:57:15 ID:2Ll2RnMI
>>335
ミストレス様エロス、カイジ(´・ω・)カワイソス&ウラヤマシス
全裸な死体って、他の参加者からしたら変態にしか見えないんじゃw

325の修正から、♂ケミは(一応まだ)死んでないので、残り人数は25名かな?
書き直しがくるまで何とも言えませんががが。
340名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/26(水) 20:58:36 ID:0.H2/8lQ
>>338
いろいろ議題でてるけどとりあえずすぐ返せそうな地図問題について
禁止区域画像のようにきっぱりタイル分けされて色が着くもんかなーと思っていたのと
爆発ペナルティの関係で微妙な位置は分からないのではないかなーと思いました。
境界付近だということを(読者に)自覚させたいだけの狙いならば、今まで見てた地図の赤表示が
急に次のエリアに切り替わった、とでもしておけばいいんでは?
341310sage :2006/04/27(木) 01:23:02 ID:o4d8yUdc
はい大変遅くなりました。
全文再掲載は何ですので修正部分のみでお許し願います。
342名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/27(木) 01:24:00 ID:o4d8yUdc
205.隠し味[2日目深夜]


反射的に振りほどこうとするが、体が思うように動かない。
力を込めると硬直していたあちこちの骨と筋がばりばりと音を立てた。

◇◇◇

「…もう少し眠らせてもらっていいか?」
♂騎士は疑念を抱いたまま横になった。
問いつめて真偽を確かめようにも彼は弁の立つ方ではない。
相手が本気で騙すつもりだったら逆に言いくるめられる不安がある。
ならばもう少し観察した方がいい。
「わかった。早いとこ体調を取り戻してくれよ」
♂ケミらしい人物は軽い口調で答えた。
もちろん♂騎士は実際には眠りにつかず、そのままじっと聞き耳を立てる。
信じたい気持ちと疑念とが胸中を半々に占めたまま。
「…これで♂騎士の方は一安心か」
ややあって。彼のたぬき寝入りに気付いた様子もなくひそひそ話が始まった。
「ああ。あとはそっちだけど…大丈夫なのか?」
「まだ油断できねえ。けど、絶対に何とかするぜ」
――なぜ、声を潜める?
まず湧き起こったのはそんな疑問だった。
もちろん寝ている自分達を起こさないためだろう。理性はそう告げた。
しかし疑いを持って聞けば密談のようにも思える。
当たり前に受け取れば容態を心配しての言葉以外の何物でもないが…うまく騙せているという意味にも取れないか。
彼がさらに悩む内に♂ケミはもう1人に言った。
「あんたも少し寝た方がいいんじゃないか?」
それに対して相手はすぐに答えず、何やらごそごそと探る物音がする。
「その前にこいつを見てくれ」
「何だそりゃ?説教なら間に合ってるぞ」
「いいから」
何か取り出したようだ。
薄目を開けてそっと様子を窺うと♂ケミが黒っぽい…書物だろうか。四角い物を受け取る所が目に映った。
そして2人の会話が続く。
「…よく見えない」
「…そりゃそうか。ま、頑張ってくれ」
それはそうだろう。月明かりがあっても夜中なのだ。
少なくとも♂騎士の位置からではまったく判別できないし、手に持っていても読みにくいことに違いはあるまい。
案の定♂ケミは月光に向けあれこれ本を傾けていた。
そしてつぶやく。
「これは…う〜ん」
それ以上何も言わない。
暗闇にページをめくるかすかな音だけが響き、♂騎士は居心地の悪さに身じろぎした。
――おかしい。
疑念が膨れ上がる。
読み進むペースは明らかに遅いし、なるべく月光に照らそうとしている。
そこまでは暗くて読みにくいのだから当然だ。
だが、それほどまでに読みにくいのなら口で説明するのが親切という物ではないか。
読みにくいと分かっているのにそれでも直接読ませる意味は?
答えはすぐに出た。
内容を聞かれたくないから。それしか考えられない。
全身に嫌な汗がにじんだ。
――聞かせたくないのは一体誰に対してか。
俺か。
……いや。
彼はその不吉な考えをうち消そうとした。
起きている3人は除くとしても、眠っている者が他に2人いる。そのどっちかかも知れない。
それに聞かせたくない理由も、例えば誰かが助からないといった「言いにくいこと」だからかも知れない。
♂騎士は明るい材料を探そうとした。
それでも胸の奥の方で暗くよどんだ物が蠢き出すのを完全には止められなかった。
――疑え。憎め。殺せ。
そのどす黒い想念は彼に囁く。
それが生き残る道だと。
違う!俺は♂ケミを信じる。
――本当に?
当然だ。
――あれが♂ケミでなくても?
あれは♂ケミだ。
――本当に?
やがて、長い時間を掛けて読み終わった♂ケミはなぜか数ページ戻って沈黙した。
♂騎士が祈るような気持ちで聞き耳を立てる中、ツバを飲み込む音が届く。
そしてもう1人に向けて言った。
「じゃあさ、動けない奴は足手まといになるし…置いて行かないか?」
――!
♂騎士は一瞬呼吸を忘れた。
――動けない奴ってのはお前のことじゃないのか。
違う。寝てる奴は他にも2人いる。
――じゃあそいつらのことだとして、あの♂ケミがどうしてこんな事を言うんだ。
それは…。
次第に、次第に。胸の内のどろりとした声と、理性のもたらす答えとが近付いて行く。
――あれは偽者だからだ。
「おいおい。そりゃいくら何でも薄情なんじゃねえか?」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。俺達の命も掛かってるんだ」
「ってもなあ…」
会話を聞けば聞くほど疑念は深まった。
♂ケミだと思っていた奴より相手の方がまだましな反応をしている。
「せめて起きるのを待とうぜ」
「俺達は最善を尽くした。あとは当人次第だろ?」

♂ケミの苛立たしげな口調に♂プリは口ごもった。
彼がGM達の本拠を探すため喧嘩別れしようとしていることは分かる。
だが、彼1人で送り出すのは自殺行為だ。
実のところ♂ケミの言う「動けない奴」は♀Wiz1人のつもりなのだが、♂プリはそれに気付けない。
そして♂ケミにとっては自分と♂騎士との同行が当然過ぎて、誤解を生んでいる可能性に思い至れない。
前提が微妙にずれていながら会話は成立してしまったこと、そして筆談で真意をただすには暗すぎたことが彼らの不幸だった。

♂騎士は流れる沈黙に身を固くした。
荒い呼吸や言葉未満のうなり声から双方の苛立ちと当惑が手に取るように分かる。
冗談でやってるようには思えない。
これは本気だ。
――やっぱり、こいつは♂ケミじゃない。
♂騎士の心の天秤が疑いの側へ大きく傾いたその時。
「…だったらさ」
同意しない相手にしびれを切らせたのか、♂ケミだと思っていた誰かは吐き捨てるように言った。
「どうせ死ぬんだ。俺が楽にしてやってもいいぜ」
アリエナイ
コイツハ…ダレダ
疑念は恐怖に満ちた確信へと変わり、恐怖はGM橘の暗示を呼び覚ます。
――そうだ、殺せ。
無意識に手が動き、ツルギを鞘から抜く。
それでも、彼は必死に抵抗した。
恐怖をおして前に進めと♂プリに言われたから。
ゲームには乗らないと♂ケミに語ったのだから。
だが。

「危ない、よけて!」
たった1人、♂騎士の異変に気付いた♂シーフが叫ぶ。
襲撃か。とっさに♂ケミは♂騎士を守ろうと覆い被さり――
♂騎士は飛び掛かってくる「♂ケミの偽者」から身を守ろうと、ツルギを突き出した。
そして
刃は♂ケミの胸をまっすぐに貫いた。


<♂騎士>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
備 考:♂ケミを真の意味で認める、GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱し♂ケミを刺す
状 態:痛覚を完全に失う、体力は赤ゲージ、個体認識異常(FF型混乱)

<♂アルケミスト>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状 態:致命傷を負い虫の息
備 考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型
メマーナイトなし? ♀WIZ・♂シーフ・♂プリ・♂騎士・♀商人と同行

<残り26名>
343名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/27(木) 19:46:01 ID:G.z69Lvg
208 重なる友の記憶 [2日目深夜]


急激にその場に満ちる混乱の気配に、眠っていた♀商人も目を覚ます。
視界に♂騎士と、彼の剣に胸を貫かれた♂アルケミストを認めると、彼女はどうして、と喉の奥で声を漏らした。
♂アルケミストと♂騎士の信頼関係からして、一番ありえないことのように思えたからだ。
しかし、異なるGMの異なる思惑が絡み合った罠は、♂騎士がそれまで築いてきたもの全てを打ち砕いてしまった。

(……え?)
ずるり、と胸に刺さったツルギが引き抜かれるまで、♂アルケミストは自分の身に何が起こったのか理解できなかった。
目の前には、今まさに彼の胸を貫いた♂騎士の顔がある。
(ああ、怖いんだな――)
その表情を見て、彼は思う。
♀クルセイダーが死んだときの自分も、このような顔をしていたのだろうと。
(俺があんな演技をしたから、誤解したんだろうか)
それだけではないような気もする。♂アルケミストの知る♂騎士は、そんなに浅慮な人間ではなかったからだ。
しかし現に、♂騎士は♂アルケミストを攻撃した。
何とか誤解を解きたい。♂アルケミストは自分の体の状態に構わず、そのことばかりを考えていた。

♂アルケミストの胸から血が溢れだす。
自分にはもう傷を癒す余力は残っていない。いや、残っていたとしても心臓をまともに貫かれては、手の打ちようがない。
♂プリーストは、♂アルケミストがもう助からないことを悟ってしまった。
「♂騎士! てめえ何を――」
信じられない行動を起こした♂騎士に、♂プリーストは怒鳴りかけ――恐怖に引きつった彼の顔を見て息を飲んだ。
(……まともじゃねえ)
すっかり血の気の引いた顔の中で、彼の赤い瞳だけが鮮やかに光っている。
悪魔を連想させるようなその赤い光の不気味さに、♂プリーストは寒気すら覚えた。

半分身を起こした♂騎士に、覆い被さろうとした体勢のまま、♂アルケミストが寄りかかるように倒れこむ。
♂騎士は思わずその体を支えた。♂アルケミストと名乗る目の前の『人間』が怖くてたまらないはずなのに、何故か手が出ていた。

「あんた……俺が怖いんだろ……?」
(……この、言葉は)
罵倒の言葉を覚悟していた♂騎士は、その言葉に目を見開いた。
♂アルケミストの言葉。それは、♀クルセイダーの死に衝撃を受け、恐怖に震える彼に♂騎士がかけたのと同じものだった。
♂騎士の瞳に映る、誰かもわからないぼやけた顔が、ピントが合うように少しだけ定まる。
「怖いさ……だってお前は、俺を殺そうと――」
♂騎士の言葉に、♂アルケミストは苦笑いを浮かべた。
「ごめんな……あんなの聞いたら、信じられないかもしれない。でも……あれは」
演技なんだ。♂アルケミストは唇だけを動かしてそう言った。それを見て、♂騎士は顔を強張らせた。

演技、だって?
何のために、そんなバカなことを?
――でも、それが本当だったら? 俺が勝手に誤解して、勝手に混乱していただけだったとしたら?

――違う! こいつは♂ケミなんかじゃない。違うんだ!
だって、そうじゃなかったら。俺の、したことは――

「そんな……そんなことが信じられるかよ! 俺には、わからない……そうだ、わからないんだよっ!
 お前たちが何者なのか、お前たちが本当に味方なのか。――お前が本当に♂ケミなのか!」
「馬鹿だなあ、あんた……。俺だったら、あんたの顔がわからなくなっても、怖がったりしないってのに……」
体が冷たくなっていく感覚を覚えながらも、♂アルケミストは無理に笑顔を作ってみせた。
「信じて……くれないか、俺のこと」
「……」
♂騎士は答えない。彼の瞳はまだ、♂アルケミストを『人間』としか映すことができなかったからだ。
しかし、彼の心臓はバクバクと早鐘を打っていた。

――まさか、こいつは、本当に……
なんとか否定したかった。そうしなければ、自分のしたことに押し潰されて壊れてしまいそうだった。

は、と苦しげに息を吐き、♂アルケミストは♂騎士の顔に手を伸ばした。
「ほんと……なんて、顔してんだよ、あんた……」
「俺の顔……そんなにひどいか?」
声を震えさせながら、それでも♂騎士は答えた。
俺の次に男前だけどな、などと軽口を叩き、♂アルケミストは言葉を続けた。
「♀クルセが死んで、呆けてた俺に……人を信じることを思い出させたのは、あんたじゃないか……
 だからそんな、人が怖くてたまらないなんて顔、やめてくれ。あんたに諭された俺が、馬鹿みたいだろ……」
「あ……」
♂騎士が小さく声を漏らした。血に濡れたツルギを握る手が、ぶるぶると震えだす。
ゆっくりと、そして確実に、♂アルケミストの意識が遠くなっていく。
――もう、喋らせてくれないのか。神様も意地悪なもんだ。彼は自らの死を悟ったように、もう一度微笑んだ。
「♂騎士……俺、は……」
最期に、♂騎士にだけ聞こえるように何かを囁き、彼の震える手に自分の手を重ね――♂アルケミストは、静かに息絶えた。

今、目の前で天へと旅立った青年の顔が。
♂騎士の記憶の中の♂アルケミストと、重なる。

「あ、ああ……」
♂騎士は識別能力を失っているはずだった。だが、確かに今♂アルケミストを、彼だと認識できる。
(どうして、なんでこんなことになった? 俺は、何を……)
彼の視界に、血に染まったツルギと自分の手が映る。
(真っ赤だ……あのときと同じように、俺の手が、俺の仲間が、大切な人が……赤く、染まって――)
――俺はまた、同じことを。♂騎士の視界が、眩暈でも起こしたかのように揺らぐ。
互いの背中を預け、信頼しあった仲間の命を再びこの手で奪った。あんなに後悔していたはずなのに。
(♂ケミ……ごめん……ごめんよ……)
♂騎士の視線が宙を彷徨う。その様子はさながら廃人であった。

しばらくして、♂騎士は♂アルケミストをそっとその場に横たえ、ふらりと立ちあがった。
「おい、どこ行くつもりだよ」
そのままどこかに去ろうとした彼に、♂プリーストが慌てて声をかける。
彼は振り向くと、♂プリーストの顔を見つめた。しかしやはり、『人間』にしか見えなかった。
「お前たちは本当に……俺の知る♂プリーストたち、なのか?」
「だからそう言ってんだろうが。……お前の懺悔を聞いてやった、ありがたい俺様の顔を見忘れたとは言わせねーぞ」
♂騎士の問いに、苛立った口調で♂プリーストが返す。だが♂騎士は苦い顔をして俯いた。
「だめだ……やっぱり、見分けがつかない」
(……見分けがつかない、だって?)
♂騎士の症状を記憶喪失だと思っていた♂プリーストは、今の♂騎士の言葉に違和感を覚えた。
「お前の言ってることが本当なら……頼む、ひとりにさせてくれ。
 また人が怖くなって――おかしくなって、なくすくらいなら……ひとりがいい」
「馬鹿、お前……何言って――」
♂プリーストが♂騎士の肩を掴むと、彼は俯いた顔をあげた。
間近で見た彼の瞳に、♂プリーストは言葉を失った。
「これ以上仲間を殺すのは……いやだ……」
震える声で呟くと、♂騎士は♂プリーストに背を向け、先ほどまで寝込んでいたとは思えない様子で走り去った。
その瞳は、先ほどのような不気味な光こそ消えていたが――ただ、虚ろだった。
344名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/27(木) 19:46:41 ID:G.z69Lvg
+++++


「なんで……こんなことしたんでしょうね、♂騎士さん……」
息絶えた♂アルケミストの傍に座り込み、♂シーフが呟く。
(なんか、気になるな……。見分けがつかないって、どういうことなんだろう)
やりきれない思いに胸を支配されながらも、彼は静かに♂騎士の言葉の意味を思案していた。
♂セージに感化されたのか、などと♂プリーストならば言うかもしれない。
「……怖い目、してたね」
♀商人が、♂シーフに続けて呟く。その声は微かに震えている。
これまで明確な殺意を持つ人間からしか襲われたことのない彼女にとって、味方が味方を殺すという事態は衝撃的だったのだろう。
(……あの人、無事かな。はやく……帰ってきてほしいな)
この場にいない♂セージのことを、♀商人はただ思う。
その胸の中にある、小さな想いに彼女は気づいているのだろうか。

♂プリーストは、それに返すことなく黙っている。
♂アルケミスト亡き今――仲間と呼べる存在の中で、最も♂騎士との繋がりが深い人間は彼だ。
かつて恐怖に負けて♀プリーストを殺したことを、♂騎士が深く後悔していたことを彼は知っている。
だからこそ同じことを繰り返して、壊れていく♂騎士のことが気になっていた。

――く、来るな! 俺の傍に寄るなぁ!
――これ以上仲間を殺すのは……いやだ……

かつて♀プリーストを自らの手で殺し、錯乱していた♂騎士。
そして今、♂アルケミストまでも殺し、去っていった♂騎士。
二つの♂騎士の姿が、♂プリーストの頭の中で重なる。

(お前は……俺に懺悔して、お前なりに答えを見つけたんじゃなかったのか。
 守りたい奴――♂ケミのために、命まで懸けて戦ったんじゃなかったのかよ!)
俺があいつにできることは何だ。♂プリーストは考える。
できるなら♂騎士を追って、一発思いきり殴るでもして目を覚まさせてやりたい。
♂アルケミストを殺したことを責めるわけではない。生きる気力を失ったように見える♂騎士がただ苛つくからだ。
一人でいたいという♂騎士の言葉は、♂プリーストからしてみたら馬鹿なことだとしか思えなかった。
(人は元々、一人じゃ生きていけない。しかも人が殺しあう状況で、あんな不安定な精神状態じゃぶっ壊れちまうっての)
しかしここには、意識を失ったままの♀Wizがいる。容態は安定しているとはいえ、心配であることには変わりなかった。
(置いてくわけには……なあ)
♀Wizのほうへと視線を向ける。その時♂プリーストは、彼女の声を聞いた気がした。

――私は大丈夫。だからあなたは、自分のやるべきことをしてください。

自分の都合のいい幻聴かもしれない。しかし♂プリーストはそれを彼女の意思だと信じたかった。
♀Wizが意思を伝えることができたなら――彼女のことだ、そう言うに違いなかったからだ。
(すまねえ……すぐ戻るから)
心の中で♀Wizに詫びると、彼はその場から立ちあがった。

♂プリーストは、♂アルケミストが所持していたマイトスタッフを拾いあげ、静かに歩き出した。
それを見て、慌てて♂シーフが声をかける。
「ちょっと、♂プリーストさん! どこへ行くんですか!」
「あのバカを追いかける」
「な、なに馬鹿なこと言ってるんですかっ!?」
「♀Wizさんなら心配ない。容態は安定してきてるから、このまま安静にして、体さえ冷やさないようにしておけば大丈夫だ」
「そうじゃなくて! 一人で行くってのが馬鹿だって言ってるんです! 行くんなら僕も行きますよ!」
♂シーフの言葉に、馬鹿はお前だとばかりに♂プリーストは彼の頭を小突いた。
「お前がついてきたら、♀Wizさんを守れるのがあの嬢ちゃんだけになっちまうだろうが」
あ、と♂シーフが声をあげる。♂プリーストは呆れたようにため息をついた。
「♂セージと俺が戻ってくるまで、二人を守ってやれ。女を守るのが男の仕事だ」
「……考え方が古いですよ」
「うるせ、生意気なこと言ってんな。……いいから返事は?」
「……はい」
その返事に満足そうに頷き、♂プリーストは再び歩き出した。
「絶対戻ってきてくださいよ! いいですねっ!」
♂シーフが、遠ざかっていく背中に叫ぶ。♂プリーストはその言葉に返すように、背を向けたまま手をあげた。


<♂騎士>
現在地:D-6(丘の木立)から移動
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:虚ろな赤い瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は赤ゲージ、個体認識異常(♂ケミ以外)、精神不安定
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害

<♂アルケミスト>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
状 態:死亡
備 考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型 メマーナイトなし?

<♂プリースト>
現在地:D-6(丘の木立)→♂騎士を追う
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ ♂騎士を追いかけ単独行動
状 態:心身ともに極度の疲労。根性で体を動かしている

<♀WIZ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)  案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅
外 見:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフ・♀商人と同行
状 態:瀕死から脱しやや容態安定、意識不明、個体認識異常?

<♂シーフ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:多めの食料
外 見:栗毛
備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♀商人と同行 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♀商人>
現在地:D-6(丘の木立)
所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフと同行
    ♂セージに少し特別な感情が……? 少し不安に苛まれている

<残り24名>
345343sage :2006/04/27(木) 19:49:39 ID:G.z69Lvg
思った以上にケミと騎士が薔薇っぽくなってしまった。今は反省している。
ケミの最期の言葉は想像におまかせします。
似たもの同士ペアの今後が見れないのは残念だと思いつつ、新しい展開に期待。

GMの思惑に振り回されまくる♂騎士(´・ω・)カワイソス
346名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/29(土) 07:52:18 ID:uSNrcW8k
一番安定してたPTが崩れ始めてきてるね。ドキワク(*゚∀゚)=3
347名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/01(月) 13:24:19 ID:kYGk/fQg
ちょっと遅レスで申し訳ないのですが
>>337
>336の疑問についてのミツバチの生態による説明、なるほどそういうことか!と納得できたので、
なんとか作中にその部分を説明できる描写を入れて補足修正できないでしょうか。
Wikiだけ読む人には相変わらず「なぜかミストレスの特殊能力がサキュバス状態」
と感じてしまうんではないかな、と思い。
348名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/02(火) 23:43:01 ID:nDltgKfM
>>335>>347
ならいっそこんなのどうかと書いてみました。
どんなに魔力を取り込んでもその分強く能力制限受けるだけでしょうし、
実は自分の魔力を上げるためではないのではないかと。

******

209.営巣[2日目夜]

さく、  さく、
少女は柔らかい腐葉土を踏みしめて進む。
夜闇を見据える赤い瞳には力がみなぎり、口元には満足げな笑みを浮かべ。

「ふふ」

その足取りが止まり、下腹を優しくなでた。

「よい魔力じゃ。これならば夜明けには産めよう」

彼女は女王蜂。
その本質は人の王のように「他者を支配する」ことではなく、
「子を産み、その子らを統べる」ところにある。

眷属たる巨大昆虫がおらずとも、
魔力によって召喚することを封じられようとも、
男の精と命を取り込むことで子をなすことはできるのだ。

召喚に比べれば手間と生み出せる数において大幅に劣るが、質において劣るものではない。
そして生物としての本質である以上、魔力を封じたぐらいで奪える物でもない。

朝方に卵を産めば、昼前には孵化するだろう。
彼女にのみ従う、戦う力と多少の知恵を持つ子が。

「ふふふ、鷹ごときに負けるでないぞ?」

下腹に命の胎動を感じつつ、彼女は冷たく笑った。


<残り24人>

*****

ちょっといいわけ。
産まれる眷属に知恵があるように書きましたが、そこらの虫よりマシというぐらいの意味で。
あとやっぱり卵で生まれた眷属も能力は制限されるんですよね^^;
349名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 00:42:44 ID:VFRiEm/Q
静かだ…晒すなら今のうち?

ttp://www.fileup.org/fup81125.swf.html
受信PASS→br2
(他あpろだ

某企画のパクリネタですが…
ソース公開終わってたので力不足全開ですゴメンナサイorz
・゚・(ノ∀`)・゚・アクションスプリスト? 何それ?
350名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 01:33:20 ID:bC6V6AXI
>>349
GJ 創作意欲を駆り立てられました。
ダイジェストをうまく作るとはげしく魅力が増しますな。
351名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 01:48:32 ID:IfLPwFlM
>>349
GJ! すごくかっこよかった!
自分の書いたセリフが採用されてると妙に嬉しいものが。
しかし・・クルセの部分がたぶんハンターの絵になっているところがッ惜しいッ
3回くらい見ました(ノ∀`*)
352名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 02:05:48 ID:KHKQcXs.
>>349
なんか凄いのきてるー!GJ!!
353名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 10:46:09 ID:KAW9Bizw
フラッシュお見事。そして久しぶりに絵を色々見てみたら学園ROワがあってバロスwwwww
354名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 12:46:15 ID:3OtZo.N6
おおぅ、受難シリーズか!お見事!GJ!
ネット環境復活したらまた書きたくなるね!
355名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 18:50:29 ID:3T7DTCg2
見れなかった
356名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/05(金) 23:49:38 ID:sQ.Q99x2
フラッシュ、WIKIか萌え板のうぷろだの方にUPして欲しかったなあ・・・・
流れはやくて、ちょっと見ないと見れなくなっちゃって見れなくて激しく残念・・・・。
357名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/08(月) 00:06:46 ID:pmY3W5iI
俺も見れなかった。orz
くそう。PC家に置いて来た弊害か。
358349sage :2006/05/08(月) 02:03:24 ID:WnJ25oi2
よ、よかった。受け入れられた・゚・(ノ∀`)・゚・ありがとう!
少しでもROワに貢献できたなら幸いです。

>>355 356 357
うあああすいません!
保存件数の多い別のうぷろだに上げてきました…!

ttp://upld3.x0.com/upload.cgi?mode=dl&file=5545
DLKey:br2
359名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/05/08(月) 11:37:06 ID:nbsA73eE
フラッシュ格好ぇえ!

…と思ったら押すとこ勘違いしてうぷろだから消しちゃった俺様が来ましたよo..../rz
ホント申し訳ない、興奮しすぎました。
349様、良ければもう一回…住民の皆さんもスミマセン。
360名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/08(月) 15:03:19 ID:zMvUxkz2
さて、家に帰ってフラッシュ見ようと思ってたら又消えてた俺が着ましたよ、と。orz
仕方ないので久しぶりに続きを考えてみる一方で、再うpしてもらえる事を願っています。
361名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/08(月) 19:00:56 ID:6Y7OT58I
>>359
あはははこのうっかりやさんめぇ
( ´∀`);y=ー(゚д゚)・∵. ターン
362349sage :2006/05/08(月) 20:42:48 ID:WnJ25oi2
Σ(゚ロ゚;ノ)ノ
しまった暗証考えるの面倒くて受信パスと削除パス一緒にしたことがバレty=ー・(゚∀゚)・∵ターン!!

>>359
いえいえ明らかに自分のミスです! 教えてくださりありがとうございます。
・゚・(ノ∀`)・゚・お手数おかけして申し訳ないです

ttp://upld3.x0.com/upload.cgi?mode=dl&file=5567
DLKey:br2
363名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/08(月) 20:55:28 ID:zMvUxkz2
観たよー。ニヨッたよー。やっぱり文章の力って偉大だな、と思ったね。うん。
受難シリーズと構成一緒なのに全然印象が違うんだもんよ。

GJ!!
364名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/08(月) 21:28:16 ID:a.NsMtJ6
210.打算と信頼と

 淫徒プリは、困惑していた。
 なんだ、この♂セージは……。

 思わず上ずった声で声を上げてしまったが、変装を見破られていたりはしないだろうか?
 考えをまとめるために呟いていた独り言も聞かれたのではないだろうか?

 しかし、その一方ですぐに頭を切り替え状況を判断する。

 突然隣りに現れたは、ハイディングかクローキングの効果があるカード挿しの装備のおかげだろう。
 消えていたにもかかわらず、自分を襲ってこなかったので十中八九は殺人者側ではない。
 だが、それがこの♂セージが絶対にマーダーではないという保障にはつながらない。
 用心して、いつでも逃げられるようにしておかなくては。

 そんなことを思いつつ、淫徒プリは♂セージに対峙する。

「ああ、御安心下さい。私は殺人者側ではありません。もし仮にそうであるなら、消えている間にあなたのその美しい細い首筋をこの剣で一突きにすればよかったわけですから」

 ♂セージは不審がる淫徒プリに、♀商人が聞いていたら足を蹴られそうなことを言いながら腰に身につけたソードブレイカーを指差した。

「あなたの分析力には感嘆致しました。ついては、ぜひ意見の交換をしたいのですが」

 あえて♂セージは地面のメモには触れない。

「……私が殺人者側ではないという根拠はあるのですか?」
「一応、そう思っています。推測ではありますが」

 そう言いながら、♂セージは小枝を拾い上げて地面に書き込む。
 淫徒プリは、この隙に走り去ろうかとも考えたが、どうせこの瞬間逃げても相手はまがりなりにも魔法職である。
 少しの距離では意味がない。それならば、話に付き合ったほうが賢い。

『口頭の会話はGMに盗聴されています。筆談ならわかりません』

 書き込まれた言葉に淫徒プリは目を丸くする。にわかには信じられない話だ。
 だが、悪趣味な制裁ゲームなのだから、それくらいはやっていてもおかしくない。

 プレイヤー側がGMに逆らった場合も首輪は爆発する。
 それをどこで判断するのか?

 そのために盗聴しているのだろう。

『この件の詳しい話はまた後程。とりあえず、口頭での会話を続けさせて頂きます』

「殺人者側として私が認識しているのは、♂WIZ・♂クルセ・グラリスです」
「グラリス……カプラサービスの彼女もこの制裁ゲームに参加しているのですか……」

 淫徒プリがそう呟いた時だった。

「……よけて!」

 遠くで叫び声が聞こえた。淫徒プリは思わず周囲を見回す。
 ♂セージにはその声に聞き覚えがある。♂シーフの声だ。

「失礼、どうやらこの辺りに私がはぐれたPTがいるようですね」

 ♂セージも、周囲を見回した。

「私は彼らを探そうと思いますが……あなたはいかがしますか?」

 ♂セージの言葉に、淫徒プリはまた考えをめぐらせる。

 彼はPTを組んでいる。そして、自分は一人である。
 このまま一人でいる場合、殺人者に会わないという保障はない。
 しかし、彼のPTに入り込んだとして利になるとも考えにくいが……。

「あなたについていってもよろしいでしょうか。一人でいるのも心細いですから……」

 淫徒プリはついて行くことを選択した。
 死の危険のある安全性よりも、生存できる打算を選んだのだった。

+ + + + +

「……静かだね」
「静かだね……」

 座り込む♀商人の言葉に♂シーフが答える。

「♂プリさん、♂騎士さんに追いついたかな……?」
「どうかな……そういえば、♂セージさんも……大丈夫かなあ」

 不安そうに夜空を見上げてから、周囲を警戒する。
 ♀WIZの容態は落ち着いているとはいえ、いまだに意識は戻っていない。

 こんな時に、誰かに襲われたら……。

 そう考えて、思わず身震いする。

 ガサ……

 藪をかきわけて歩く音が近づいてくる。
 途端に、♂シーフの顔はこわばった。

 誰かこちらに来る!

「誰か近づいてくる……」
「え……」

 ♀商人の顔もこわばった。
 しかし、♀WIZを守ることができるのは自分たちしかいない。
 近づいてくるのが敵ではない可能性もあるが、そうでない可能性もあるのだ。
 その場合、自分たちで彼女と自分たちの命を守らなくては。

「……大丈夫。お金がこれだけあれば、メマーだって使えるし……カートレボリューションだってあるんだから……」

 自分に言い聞かせるように♀商人は呟く。

「がんばらなくちゃ……」

 ♂シーフも自分を奮い立たせるように呟いて周囲を見回す。
 やがて、藪から現れたのは見知った顔と……一人の女プリースト。

「♂セージさん、無事だったんですね!」

 ♂シーフが喜びの声を上げて、♀商人が泣きそうな顔で彼に抱きつく。

「やあ……なかなか見つからなくて、迷子になっていましたよ」

 ♂セージは二人に対して柔らかな微笑を浮かべた。


<淫徒プリ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
外見:女性プリーストの姿 美人
備考:策略家。Int>Dexの支援型
状態:軽度の火傷 師の言葉を思い出し少々センチ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行

<♂セージ>
位 置:D-6(丘の木立)
所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行

<♂シーフ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:多めの食料
外 見:栗毛
備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♀商人と同行 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♀商人>
現在地:D-6(丘の木立)
所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフと同行
    ♂セージに少し特別な感情が……? ♂セージと会えて少し不安解消

<残り24名>
365359sage :2006/05/08(月) 22:08:48 ID:nbsA73eE
どうもホント失礼いたしやした( ;´Д`)もー殴るなり蹴るなり心行くまでどうぞ
改めて362氏GJっす!

♀商人達が合流出来てほっとしました。続き楽しみです。
366名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/09(火) 02:55:54 ID:LgaXM2nQ
211.鋼の意思


♀BSはその輝きの中に炎を見た。
追い詰められ、全ての進路に深い闇を置かれて立ち尽くしていた♀BSには、その光に惹かれて歩み寄る事しか出来なかった。
それは緩やかに、穏やかに、同時に熱く、激しく♀BSに問いかけていた。

『……いらないのか?』

♂スパノビが何かを言っているが、良く聞こえない。

『力が……欲しくないのか?』

欲しい。ずっと欲しかった物だ。

『力が無いから悩み、迷い、苦しむ。違うか?』

その通りだ。あたいはずっと……そう、思ってきた。

『全てを手に入れる力、欲しくないか?』

声は心なしか、♀BSの師の声に似ていた。

『強ければ、何も失わない。さあ、この力を手に取れ』

そう囁きかける声は父の声にも似ていた。
♂スパノビがうろたえた様子でこちらを見ている。
見てな、あたいが一番強くなってやるよ。そうすれば、もう誰も……

『千の炎を纏い、万の屍を超え、おまえは誰よりも強くなる……』

ああ、わかってる。あたいは強くなる。
いや……そうだよ、あたいは……強くなるんだ。ずっとそう思ってきたじゃないか。
ずっとそうやって鍛えてきた、なのにあたいはそれを使ったのか?

試して無いし……失敗したら…………怖い、恐い。

……恐い? あたいが? 脅えてる? この、あたいが!?
ちょっと冷静になろうよ、脅える? 女扱いされなくたって必死に体鍛えて、狩場で暴れて、さんざん危ない目にあって、そんだけしといて恐い?
脅えてる弱虫だから力を貸してやろうって? それをこのあたいに言ってるの?

もしかしてあたいこのクソ槍に…… な め ら れ て る ?

へし折れた槍の穂先を両手でしっかりと掴む。

「ぼ、ぼす! それは危ないんだな!」

♀BSは♂スパノビを睨み付け、怒鳴る。

「アンタはすっこんでな! こいつは……」

あたいとこのクソ槍との勝負なんだよ!

掴んだ両手から、ヘルファイアの意思が♀BSへと流れ込んで来る。

『そうだ、全てを燃やし尽くせ』
「ごめんだね! あたいはずっと鍛えてきた! 強く、誰よりも強くなりたいからだ!」
『我を受け入れよ、そしてその感情に全てを委ね……』
「小難しい事言ってんじゃないよ! あんたが勝つか! あたいが勝つかだけだろう!」

ヘルファイアの穂先である刃の塊を素手で掴み、力任せにひん曲げにかかる♀BS。

『逆らうな、苦しみが増すだけだぞ』
「それが強くなるって事だろ! 楽して強くなる道なんか何処探したってありゃしないんだよ!」

両の腕に血管が浮き出る。
刃は嫌な音を立てて歪み始めた。

『力が、欲しくないのか?』
「あんたから貰うまでもないね! 力なら売る程余ってんだ! そいつがあんたに通じなかったら、その時は煮るなり焼くなり好きにしな!」

ヘルファイアが、赤黒く輝きを放つ。
それは♀BSの手を焼くが、それ以上に♀BSの心の中に炎を吹き付ける。
しかし、それは♀BSの心の奥底には決して届かない。
♀BSは既に思考を閉ざしていた。

『悲しくないのか? お前の友、そして父を奪った者達への怒りは無いのか?』
「今あたいは! あんたをへし折りたいだけなんだよ!」

ヘルファイアの黒い意思が♀BSの心に見た物は、圧倒的な敵意、愚直なまでの勝利への信念のみであった。

『悲しみ、苦しみ、怒り、全て……忘れるのか? 忘れられるのか?』
「あたいは! あんたを! へ! し! 折! る!」

両腕に込めた力、それは他に何の取り柄も無い♀BSが唯一他人に誇れる物。
師が、そして父が褒め称え、認めてくれた唯一の物。
そしてもう一つ。
この力を得る為にあたいがいつもやってきたやり方。
賢くも無く、器用でもない。だから、その時その時で自分が定めた標的ただ一つだけを敵と見定め、それだけを見て必死に戦ってきた。
痛み、苦しみ、悲しみ、そして……自分を相手にこうして戦い、勝利してきたのだ。

「やると決めた時のあたいは神様だって避けて通るんだよ!」

『……貴様は……愚か者だ…………』

ヘルファイアの声が遠くなる。もう、それは知り合いの誰の声にも似ていなかった。


ゴキンッ!!


ヘルファイアが鈍い音を立ててへし折れた。
それは中ほどから完全にねじ曲がり、美しい光沢を見せていた刃の背の部分には醜く亀裂が走っている。
♀BSは鋼の塊となったそれを地面に放り捨て、自分の両の手の平を見てみる。
火傷の痕は無かった。

「愚か者ね……それでもあたいは、あんたみたいなクソに負けるのだけは絶対に嫌だ」

そう呟く♀BSに最早迷いは見られなかった。
固唾を呑んで見守っていた♂スパノビは、♀BSの勝利に歓喜の声をあげる。
そんな♂スパノビの頭を軽く叩きながら、♀BSは苦笑いする。

「悪いね。こんな事したって無駄に危険なだけなんだけどさ。それでも……」

♂スパノビはみなまで言わせず、全力で首を横に振る。

「ぼ、ぼぼぼぼす! すっごいかっこよかった! ぼす強かった!」

感動している♂スパノビにその後の言葉を続け損なった♀BS。

「そうかい。じゃ、行くとするかい」

♀BSの言葉に♂スパノビは怪訝そうな顔をする。

「え? ど、何処へ?」

それを聞いた♀BSは、ここに来て、おそらく一番の笑みを♂スパノビに見せた。

「決まってるじゃないか、はぐれちまった連中を探すんだよ。あいつら心細くて泣いてるかもしんないからね!」

この場に淫徒プリや♀アルケミが居れば♀BSの心理状態を冷静に見てとれたかもしれない。
自信を取り戻し、そして戦いへの覚悟を決める。そのためのこれは彼女なりの儀式であった。
そして、神器と呼ばれた魔槍ヘルファイアもまた、この地にある力を封じる何かの影響を受けていた事にも気づいたかもしれない。
しかし、♀BSには途中経過や為しえた事の理屈なぞどうでもよく。
やらなければ前へ進めない、そう感じた事に挑み、勝利した。それだけであった。


<♀BS>
現在地:F-6
所持品:ツーハンドアックス 古いカード帖
外見:むちむち カートはない
備考:ボス 筋肉娘 覚悟完了
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。


<♂スパノビ>
現在地:F-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり
外見:巨漢 超強面だが頭が悪い
状態:瀕死状態から脱出。


<残り24名>
367名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/09(火) 13:21:28 ID:1w8FNYWQ
212.宿り木 [2日目深夜]

彼女はギャンブルというものが嫌いだった。
かつて彼女をかどわかした男が、無類の賭博好きだったからかもしれない。
それとも彼女自身が、賭け事のたぐいで損をした経験ばかりだったからかもしれない。
いずれにしても、良い思い出がないことだけは、たしかであった。

だから彼女はこれまで古いカード帖を開封したことなど、ただの一度もなかった。
自分の運のなさは青い箱や、紫の箱で懲りていたし、自分が開けたところで、どうせろくなものしか出やしないと決めつけていたのである。
露店にならべ、色目を使って気を惹いた男たち相手に高値で売りつけるのがせいぜいであった。
もちろん売ったのは古いカード帖だけではなく、金払いの良さそうな男はたらし込み、骨の髄までしゃぶり尽くした。
そうやって彼女は、所属するギルドのメンバーには内緒で、こっそりと私腹を肥やしていたのである。

ただ、こといまにおいては、話が違った。
仮に古いカード帖を露店にならべたところで、この島では買ってくれる人間などいやしない。
追いはぎのように奪っていくものならいるだろうが、それなら自分で開けたほうがマシというものである。
それと、この島に送られてから開封した青い箱に、落胆するようなものが入っていなかったのも、彼女を勇気づける一因となった。
カード帖からカードを取り出す決心をした彼女は、生まれてはじめての一大イベントに、すこしだけ心をおどらせた。
まったく経験のない男に、色事を教えるときの高揚感にどこか似ている気がした。

(あなたはどんな色音を洩らすのかしら?)

すっとつまみ出したカードの絵柄を確認して、彼女は唇のはじをひきつらせた。
期待していたのは、携帯している唯一の武器であるグラディウスに挿すことのできるカードであった。
ところが出てきたカードに描かれていたのは、白髪を彼女の髪と同じくらいに伸ばした、時計の形をしたモンスターだったのである。

(最低・・・・・・)

彼女はやはり自分が運のないことを知らされ、ぼやいた。
時計台に巣食うモンスターであるクロックの力を宿したカードは、鎧にしか挿すことができない。
そんなことはアルケミストである彼女にとって、常識である。
せめてロングコートかシルクローブでもあればと思った。

そう、クロックカードそのものは、けしてハズレではない。
冒険者にとって必需品とまでは言えないが、危険に身をさらしたときに一定確率でオートガードを発動してくれるという効果自体は悪いものではなかった。

(まって・・・・・・まだ・・・・・・あきらめるには、はやいわ・・・・・・)

それから彼女はゲームのはじまりに、管理側から渡された鞄から古くて青い箱をひっぱり出した。
自分に配給された2つの箱のうちの、1つである。
もうひとつはグラディウスであったから、うまくいけば防具が出てくるかもしれない。

なかなか開ける機会がなかったのだが、もうそんなことは言っていられなかった。
ここでカードスロットのついた鎧が出ないようでは、運は完全に彼女を見放したといっても良い。
どのみちこのままの装備で、しかもひとりでは、生き延びられるはずもないのである。
つやのある睫毛をまぶたごと伏せて、それから彼女は意を決したように目を見開き、青箱の蓋をずらした。
箱から出てきたものを確認し、瞳がきらきらと輝いた。

こんな小さな箱の中に衣類が入っているのだから、まるで魔法である。
ところが、箱に納まっていた服をあらためて眺めた彼女の瞳からは、さきほどの輝きは失われていた。
だからといって、失望しているわけでもなさそうである。

理由は単純であった。
彼女がつまみ上げている服が、サイズも大きく、肩幅も広い、男性用の礼服だったからである。
それはフォーマルスーツという代物であった。

フォーマールスーツをしげしげと見て、彼女は深いため息をついた。
カードスロットのついている鎧が欲しかったのだから、むしろ小躍りするくらい喜ぶべきことなのではあるが、すなおには喜べなかった。
それというのも、このスーツを着るという行為が、彼女の最大の武器である女体というものを包み隠してしまうからである。
悩ましいことこの上なかった。
クロックカードを挿したフォーマルスーツを着ることで、いざというときに助かるかもしれない。これは自明である。
けれど、男性用の服を着ることで、官能的なからだのラインは失われてしまう。これも自明であった。

(神さまがいるとしたら、神さまはよほど私のことが嫌いみたいね)

いらついたのか、彼女は愛すべき髪をくしゃくしゃとかき乱した。
フォーマルスーツが出てきたことが、よほど腹立たしかったのであろう。

(明日で3日目よ・・・・・・私の色仕掛けにだまされるような男がいるとして、果たしていままで生き残っていられたかしら・・・・・・)

彼女は思考を生きるという1点に集約させた。いまは名誉も富もいらない。
ただ生き抜くというためになにができるのかを考えなければならない。

(カードスロットさえ使えれば・・・・・・いいのよね・・・・・・それなら)

なにを思ったのか、彼女はフォーマルスーツをグラディウスで切り裂きはじめた。手馴れたものである。
あっというまにカードスロットらしき部分を残して、フォーマルスーツはただの布くずとなった。
うすく笑みを浮かべて、彼女はそのスロットにクロックカードを挿しこむと、腰帯に挟んだ。
つまりはカードの効果を利用しつつ、肉体を武器にすることもあきらめなかったのである。
つくづく女という生き物はしたたかである。

(夜は寝たほうがいいわね・・・・・・すべては明日・・・・・・宿り木になってくれそうな男を見つけるのも、明日)

そして彼女は森の中で、身を隠すことのできる寝床にちょうど良い場所を見つけた。
偶然にもそこは、♀ハンターと♀スーパーノービスが雨宿りとして使っていた場所であった。


<♀アルケミスト>
<現在地:F-7 ♀ハンターと♀スーパーノービスが雨宿りをしていた木のうろ>
<所持品:S2グラディウス 毒薬の瓶 ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) 未開封青箱?>
<外見:絶世の美女>
<性格:策略家>
<備考:製薬型 やっぱり悪>
<状態:軽度の火傷。騒動に乗じてPTを抜ける>
368367sage :2006/05/09(火) 13:32:08 ID:1w8FNYWQ
♀ケミの青箱の数が、116話で♀ケミ1個、♂BS1個
ところが119話ではなぜか♀ケミ2個(♂BSの?)
さらに120話で♀ケミ3個(♂BS込み)となっていて、よくわからなかったのですが、1個よぶんな気がします。

いちおう所持品には未開封青箱?ということで残してありますが、
わたしの見落としでなければこれで♀ケミは青箱全開封だと思うのですが、読み落としているかもしれないので弱気です。

それにしても♀ケミの魅力にまどわされる♂キャラがいなくて寂しい。
♂プリと♂モンクくらいだけど、♀WIZと♀騎士がいるのが問題だ。
369名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/09(火) 22:23:45 ID:oeGI8JXc
つ[おびき出されるBS森]
370名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/05/10(水) 02:04:40 ID:r29DxIo.
ドット絵で見る限りじゃケミってそんなにエロく見えないんだよね
だからあんまり色仕掛けやってる姿が想像できないw
371369sage :2006/05/10(水) 04:10:45 ID:wfvx4/Po
…駄レスはともかくBS森って何だBSって…。
GM森ですねorz
372名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/10(水) 15:44:00 ID:ulZ5Wx5o
213.異端 [2日目夜〜深夜]

最初に起きたのは、♀マジだった。
♀マジを背負いながら、騎士を乗せたペコペコさながらの疾走を披露した♀アコはよほど疲れたのか、いまだ轟沈していた。
ともかく先に起きた♀マジは、痛む片方の足を気にしつつ、先ほど急に直った♀アコの首輪について一考するのだった。

どうにも引っかかることがあったのである。
それは、この首輪がそう簡単に壊れるだろうか? ということ。
首輪は現在島で行われている殺し合いを殺し合いとして成立させるための、なによりの鍵だ。
壊れてしまいました、では済まない。
それに、この殺戮ゲームが過去に何回も行われているということから考えても、変だった。
管理側から渡された地図を見るに、自分たちの現在地が管理側に情報として送られていることは間違いない。
とすると、♀アコが禁止区域に入って無事だったことが伝わっていないはずがない。
こういった大掛かりな仕掛けを要する舞台では、ささいな綻びからすべてが台無しになってしまうことは数多い。
もし♀アコの首輪が壊れていたとしたら、管理側がそれを放置しているなどということは考えられないのだ。

つまり管理側は♀アコの首輪が壊れていたことに気づいていなかったことになる。
しかし、それはおかしい。
どう考えても位置情報がつつぬけであるのに、禁止区域を通ったことが気づかれていないはずがない。
そこである仮説が浮かびあがった。

もしかすると管理者側に送られていた♀アコの位置情報が間違っていたのではないか?

突然に直った首輪、禁止区域、地図、送られる位置情報。
それらの事柄が♀マジの中でひとつの解を作りあげるのに、時間はかからなかった。

───位置情報を送っているのは首輪じゃない

瞬間、♀マジに電流走るっ………!

   ざわ…


          ざわ…

「ちっがーーーーう! それはボクじゃなくてアイツのすることだよ!」

思わず叫んでしまった。とにかく♀マジはある結論に至った。
すなわち、位置情報を管理側に送っているのはこの地図であり、
首輪もまた地図から送られてくる位置情報によって禁止区域かどうかを判断しているということだ。
すべては♀アコのおかげである。
♀アコ以外の誰が自分にとっての生命線である地図を手放しての行動など、取れただろうか。

胸のつかえがなくなった♀マジはあらためて♀アコをゆすり起こした。
さすがに見通しの良い場所にこれ以上とどまる危険性を考慮したのだろう。
寝ぼけまなこでぽんやりとする♀アコに、♀マジがまくし立てた。

「ちょっと、ボクの実験につきあってよ」

唐突な♀マジの言葉に、♀アコはもう一度寝なおそうと思った。
どうやらこの場の危険を考えたわけでもなく、ただ単に首輪に関する検証をしたかっただけらしい。
さすがに胸はまな板でも異端学派の魔導師だ。

ふたたび船を漕ぎはじめた♀アコをたたき起こすと、♀マジは首輪と地図の考察を語った。
♀アコは講釈の最中に、何度落ちそうになったかわからなかったが、ともかく一応は耳に入れた。
入れているそばから反対の耳から出ていったことは、言うまでもなかったが。

「どう? ボクの言ったことわかった?」
「ゴメン、もっとわかりやすーく説明して」

このやりとりと講釈が1セットで都合3回ほど繰り返されたのだから♀マジも不幸としか言いようがない。
もちろん、聞かされる側の♀アコも不幸だった。

「どう? わかった?」

4回目の説明を終えて、♀マジの声がとげとげしい。
あきらかにこれ以上を要求することは、アコライトの身で単身ゲフェンダンジョンに突入するくらいデンジャーである。
♀アコはどうにか理解できたことだけを、あげつらった。

「OKOK、ようするに地図を持って禁止区域に入ると首輪がどかんなわけね」

赤点ぎりぎりの回答だったが、♀マジが怒り出さなかったので、どうやら追試はまぬがれたようだ。
♀アコはほっと胸をなでおろした。あやうく知恵熱を出して寝込むところだったのだ。

さっそく首輪と地図の検証実験が開始された。
♀マジは♀アコに自分の地図を渡して、自らは禁止区域におそるおそる近づいていった。
ところがどこまで歩を進めても、首輪はなんの反応も示さなかった。
♀マジの推察はどんぴしゃりだったのだ。
高額で売れるカードでも拾ったみたいにうれしそうな顔をして、♀マジが帰ってきた。
そこへ♀アコが冷静なツッコミをいれた。

「それで、そのことがわかっていいことあるの? あんまり意味なくない?」

♀マジは言葉に詰まった。むむむとうなって、なにかを考えているようだ。

「どちらかに地図をあずけておけば、もう片方は自由に行動ができるよ」
「なにか役立つの?」

うなりかたが、むぐぐに変わった。

「禁止区域からボクが魔法を使えば、ボクは安全なところから攻撃できるよ」
「あたしがちっとも安全じゃないじゃない」

♀マジは今度はくちびるをとがらせた。

「そうだ、勝てそうにない相手の地図を奪って禁止区域に投げこめば、どんな相手にだって勝てるよ!」

ものすごい名案を思いついたように、ぺったんこの胸をそらした♀マジに、♀アコはひややかな視線を送った。

「その勝てそうにない相手からどうやって地図を奪うっていうのよ」

ぷちん、と♀マジのなにかが切れる音がした。

「うるさい、このINT1の自称ぽっちゃり型! せっかく人が首輪の謎に一歩近づいたんだから、すなおに喜べばいいんだよ!
 もしかしたらすっごい役に立つかもしれないじゃないか」

これに♀アコが黙っているはずがない。

「胸にいくはずの栄養がぜんぶ脳にまわっちゃったマジシャンは、かわいそうよね。
 いくらすごいことを思いついたって、役に立たなければ、なんにも意味ないわよ。
 ほんと、天才ってかわいそうよね、紙一重で」

ばちばちと視線がぶつかり合って火花をとばした。
例によってたわいもないふたりの舌戦と呼ぶにもおそまつな闘いが開始されたのである。
いい加減慣れたのか、子デザはというと、♀アコの鞄からペットフードを引っぱりだして、はむはむと美味しそうに食べていた。
373名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/10(水) 15:44:29 ID:ulZ5Wx5o
決着はやはり毎度のことながら引き分けだった。
ぜぇはぁとお互いに息を切らして地面にへたりこんだ二人は、それぞれに再戦の約束をして大の字に寝ころがった。

「ここから脱出できると思う?」

草の上に仰向けのまま星の満ちた夜空を見て、♀マジがぽろりとこぼした。

「ワープポータルでも使えれば、なんとかなるかもね。でも、大陸にもどったところでどうせ動員令に逆らったおたずねものだろうけど」
「それはボクには関係ないかな。もとからおたずねものだもん」

さすがに♀アコの声色が変わった。

「どういうこと? すねに傷を持ってるようには見えなかったけど?」
「ボクはマジシャンギルドの連中いわく異端学派だからね。もっともボク自身は異端なんて思ってない。
 世界の真理を追究することのどこが異端なんだかさっぱりわからないよ」

♀マジはあっさりと答えた。あまりにもあっさりとそう告げられたので♀アコはおかしくて笑ってしまった。

「なるほど。異端な人っていうのは、自分が異端なことに気づかないってわけね」
「じゃあ、どこが異端で、どうしていけないことなのか教えてよ」
「そんなのは無理」

♀アコもまたあっさりと答えた。
ところが文句を言おうとした♀マジの言葉をさえぎって、♀アコは話を続けた。

「あたしの話をちゃんと聞きなさいよ。ここからが肝心なんだからね。
 いい? あたしはね、世界の真理とかそういう難しいことはどうでもいいし、それを求めることが悪いことだなんて思わない。
 だってあたしは神さまに仕える身分だからね。そういうところ、神さまは平等なのよ。
 ただ神さまを信じて、自分の行いを信じて、まっすぐに生きていればいいわけ」
「なんだかずいぶん適当な考え方じゃない?」
「世の中は不公平だと思う。どんなに神さまを信じていたって、こんなところで殺し合いに巻き込まれちゃうんだからね。
 あんただって世界の真理を求めることが異端でさえなければ、責められもしなかったでしょ。
 でも、世の中ってそういうものだと思う」

そんな達観してなんていらるはずがない。♀マジはそう言おうと思った。
けれどその前に、♀アコがさらに話を続けた。

「すべてを決められるのはけっきょく自分自身なのよ。神さまじゃない。周りでもない。
 自分だけが自分の進む道を決められるの。だからあたしは世の中ってやつが好きだわ。
 ほかの誰でもない、自分さえこうだと信じて進めば、進むことができるからね」
「なんだかまるで神さまを信じてないみたいだ」

♀マジがたまりかねて笑った。

「神さまはね、あたしが信じるかぎりちゃんといるのよ。でも手を差し伸べてくれるかどうかは別ね。
 自分のちからで精いっぱいがんばって、がんばって、その先に、もしかしたらすこしくらいは手助けしてくれるのかもしれない。
 神さまってのはそれくらいしかしてくれないと思ってる」
「神さまってのはあんがい薄情なんだ?」
「ううん、違う。そうじゃなくて、神さまはね、人間が精いっぱいがんばるために、手を貸さないようにしてるのよ。
 だってそんなに簡単に神さまが力を貸してくれたらなまけちゃうでしょ」

随分と変わった考えをするアコライトもいたものである、と♀マジは思った。
いや、もしかするとアコライトやプリーストたちはみんな、こういう考え方なのかもしれない。
みんなこうやって日々を懸命に生きているのかもしれない。
だからこそ、神さまは彼らに奇蹟を使う資格を与えてくれるのだろう。

「だからね、迫害されても逃げたらいいわ。おたずねものになっても逃げたらいい。
 それこそ王国から逃げ出して、どこか別の国に行ったってかまわないわ。
 だって神さまは信じているかぎり、ちゃんとあたしを見ていてくれるから」
「うーん、キミのほうがよっぽど異端なんじゃない? キミがここに送られてきた理由がわかった気がする」

♀マジはくすくすと笑いながら、そう言った。
これには♀アコもきょとんとしてしまった。自分ではその理由がわからなかったからである。

「どういうこと?」
「教えない。教えないことに意味があるから」

言えるはずがなかった。♀アコの答えに自分が救われたなんてことは、ぜったいに言えないことだった。
きっと彼女はあまりにもまっすぐで、あまりにもまぶしいから、この島に送られたんだろう。
どこにいても輝かずにはいられない、人を惹きつけずにはいられない彼女の存在は、いまの王国にとって危険以外のなにものでもない。
だからこそ、♀マジはかたくなに言葉を濁した。
異端派とさげすまれた魔術師としての自分が、どうしてそんなことを告げられようか。

「だけど、あと2日しかないよ。なんとかなると思う?」

しかたなく、苦しまぎれを口にした。

「あと2日しかないんじゃなくて、まだ2日も残ってるの。
 それにさっきの首輪の情報は、かならずどこかで役に立つわ」

さっきは意味ないって言ったくせに。♀マジはそう思ったが、すぐにあらためた。
どちらかというと、こっちの答えが彼女の本音だと思ったのだ。

「知性のかけらもない体力ばかのくせに・・・・・・」

そうつぶやいて、眠りに落ちていった。
♀マジは最後に心の中でそっと彼女にお礼をした。ありがとう、と。
♀マジにとって♀アコは、異端である自分を肯定してくれたはじめての人だった。


<♀アコライト&子犬>
現在位置:E-9
容姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:体力SP赤ゾーンから緑へ


<♀マジ>
現在位置:E-9
所持品:真理の目隠し
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
 ♂マジを治療できる人を探すことはすっかり忘れている。褐色の髪(ボブっぽいショート)
 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し
374名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/10(水) 16:02:32 ID:ulZ5Wx5o
本当はE-10まで動かして、♀マジが真理の目隠しで制御装置を発見するとか書きたかったのだが、
首輪と地図の関係に気づくところを書くのに精一杯で、とてもそこまで至れなかった。

この二人と悪ケミ、グラサンモンクが合流して、♀WIZたちと双璧をはれる脱出有力候補になるのを期待しているのだが、
一次職なだけにミストレスあたりにさっくりと殺られてしまうこともありえるので、ガクブル
ひいきキャラが1話で死んでしまうのも当たり前、ほんま、バトROワはおそろしいところやで。
375名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/10(水) 18:46:22 ID:1jJo0T9k
少し気になるのだけれど♀マジと♀アコの会話は当然盗聴されてるのだよね?
376名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/05/10(水) 21:07:42 ID:X3/IlxJg
結局首輪のことを逃走云々じゃなくてゲームの進行にどう役立つかにしか話ていないから問題ないって判断したんじゃない?
脱出のことは直接は首輪云々には繋がってないわけだし。そのへんに色々フォローが欲しいところでもあるけど
しかしそうすると肝心なところがヌケてるよな、♀マジ

ついでだからちょっとageますよっと
377372sage :2006/05/10(水) 21:53:15 ID:Pb.ISEPM
♀アコと♀マジの会話はとうぜんGM側に聞かれてると思います、はい。
GM側がそのことについて、どう動くかはわかりませんが。

さすがに首輪の謎に迫る全員が全員盗聴に気がつくのもバランスが悪いので、
あえてこの二人には少し抜けてるところを用意しました。
逆にそのことでGMたちも盗聴が気づかれていないんだと油断する材料になりますし、
盗聴されてたことに気づかなくて大ピンチな展開も好むところであります。

まぁ、個人的にはGMジョーカーがこのていどで首輪を爆破させるとは思いません。
彼はむしろ感嘆の声をあげて♀マジの推察力をたたえるんじゃないかな。
GM森だったらわからないけど、彼は♀アコと♀マジの会話を一度聞き流してるからなぁ。
378名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/05/11(木) 18:07:50 ID:04xP4ZRU
>>362
フラッシュ見てから曲が脳内でエンドレスに流れ続きます!
フラッシュかっこよすぎます!!
あと遅い感想ですいません・゚・(ノ∀`)・゚・
379名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/13(土) 11:37:31 ID:zSxH.a7c
またまた学園バトルROワイアル!
第二話 『マジで漫画にしてるのに大笑いしたのでやった、やはり後悔はしていない』

「♀ローグですっ! よろしくお願いします!」
転入したばっかの私、私の取り柄は元気な事だけだし、それでめいっぱいアピールして早く新しいクラスに慣れないと。
すっごく緊張したけど、なんとか最後まで言い切れました。
みんな、受け入れてくれるかな?
「ああ? てめぇローグかコラ!」
……いきなりの否定的なご意見ありがとー。国のお母さん、私もう挫けそうです。
良く見ると朝のヤクザ顔の人です。睨んでます。こっち見てます。物凄い逆毛です。私が何したっていうのー!
そんな私に救いの手を差し伸べてくれた人が居ました。
「♂プリーストさん、彼女は関係ありませんよ、そんなに怖い顔したらいけません」
凄い綺麗な女の人です。ヤクザ顔の人も窘められてこちらを睨むのを止めてくれました。
きっと、あの女の人がこのクラスの大ボスなんです。この人に逆らったらきっとさらわれて、あり地獄で延々空き瓶集めとかさせられるんです、ひいいいいい。
何かおーらというかそんな気配が出てます。
……というか、普通にオーラが出てます。人間の極限を極めた人が何故今更学校に居るのでしょう。
そんなこんなでまとまったと思ったのか、担任の忍者先生がのほほんとした顔で言いました。
「ん〜、じゃあ君の席は……そこの♂プリースト君の隣がちょうど空いてるし、そこでいいね」
わーたーしーにーしーねーとー。
おっかなびっくり席につく私に、♂プリーストさんが声をかけてきました。
「あー、悪ぃ、ローグにはあんまり良い思い出無いもんでな、つい」
少し照れくさそうにそういう♂プリーストさん、もしかしたら良い人なのかな?
じゃあ、もしかしたらすんごく疑問に思ってるコレ、聞いたら教えてくれるかな?
「あ、あのー。一つ聞いていいですか?」
「おう、なんだ?」
「……この机に書かれた落書きの山は一体なんなんですかー」
そう、私の机一面にびーっしりと『殺すぞ』とか『この売女』とか悪口雑言の数々が書かれていたのです。
転入前からいじめターゲット確定なんてあんまりです〜。
「ああそれね。おまえの前にその席座ってた奴がどうしようもないクソ不良でな。敵も多かったせいだろ」
♂プリーストさんの前の席に居るさっきのオーラな女の人が振り向きました。
「あらあら、何を言ってるの。その半分はあなたが書いたんじゃない」
「けっ、あの留年クソ♀ローグが気に喰わなかったんだよ……っと、お前の事じゃねーぞ、前の奴だからな」
ひーどーいー、私関係ないのにー。
「と、いう事だから♂プリーストさん、あなたが次の休み時間に綺麗にしてあげてくださいね」
「へいへい、仰せの通りに」
やっぱり女王様としもべさんみたいです。でも女王様は優しい方みたいでちょっと安心です♪
突然、真後ろから怪しげな気配を感じた私は振り返りました。
すると、私の後ろの席の人、帽子をかぶっててわからなかったその人の顔が見えました。
「また会ったね。私達はきっと縁がある。だから君は私の実験台に……」
朝の悪魔連れた変人さんです……今日はてんちゅーさつです、きっと。
いきなり私の前の席の人がこちらに声をかけてきました。
「YO−! オレサマモンク! ♂モンク! 今日からよろしくプリティローグ!」
なんか座りながら踊ってます。
神様ー! 私に何か恨みでもあるんですかー!! なんで回り中こんな変な人ばっかりー!

とんとん

私の肩を叩く人が居ます。
♂プリーストさんとは逆側の隣の席。
「初めまして、♀スパノビです。よろしくお願いしますね」
小さい女の子、でも少し大人びて見えるその子はにこっと笑いながらそう言いました。
よかった〜。やっと普通の人が居てくれました。
「こ、こちらこそよろしくね」
「はいっ、一緒に勉強頑張りましょう」
か、可愛い♪ ♀スパノビちゃんは、授業が始まると一生懸命黒板を見ながら、ノートを書き始めました。
よーし! 私も学校に入れたんだし頑張って勉強しよう!


「♂モンクさんのアフロ大きすぎて、黒板見えないよ……」

私の学園生活は前途多難です。
380名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/14(日) 02:39:54 ID:IDGWjnCo
しつこく学園ROワイアル!
第三話「スクランなんか見るんじゃなかった、殺伐なシーンがまるで思いつかん!」


♀ローグです。私がこの学園に来て一週間が経ちました。
この間に色々と学園の事もわかったし、友達も出来たんですよ。
まずは♀スパノビちゃん。小さくて可愛いんですよ〜。でも頭が良くてしっかり者なんです。
次に♀ハンターちゃん。この子は人見知りが激しかったんだけど、今ではもう慣れたもので、私を見ると嬉しそうに駆け寄って来てくれるの。もーその姿の可愛い事可愛い事。
お昼や休み時間はこの三人で一緒に居る事が多いんです。
それと、私達のクラスの担任の忍者先生。この人が怒った所はまだ学校の誰も見た事が無いんだって。

忍者は科学室のドアを開けると、挨拶をする。
「やあ悪ケミ先生」
中に居た悪ケミは機嫌悪そうにそちらをじろりと睨んだ。
「何よー! また来たの!? ここは私の城なの! 入るのにも私の許可がいるんだからね!」
「はいはい」
わめき散らす悪ケミに適当に答えながら、慣れた手つきでビーカーを取り出し、お湯を沸かす。
「ビーカーに入れたお茶ってのがまた中々乙でね」
「じじむさいのよアンタ! 私は大事な実験中なんだから邪魔しないでよね!」
「うん、なら私はここでいつもどおり見学させてもらうよ」
悪ケミはぶちぶち文句を言いながら、実験を再開する。
しかし、邪魔しないと言っておきながらも忍者は悪ケミに平然と話しかける。
「そろそろこの教室に寝泊りするの止めたらどうかな? 君も年頃の女の子なんだし」
「うるさいわね! 私はここが気に入ってるのよ! それに変な奴が来ても私には無敵の悪ケミハウスがあるから全然大丈夫なんだから!」
科学室の奥には、ダンボールで作った吹けば飛びそうな掘っ立て小屋のような物がある。
どうやら悪ケミはここで寝泊りしてるらしい。
忍者は苦笑すると、それ以上の追及を止めた。
それからしばらく、二人は無言で部屋には悪ケミが実験資材をいじる音だけが続いたが、すぐに新たな侵入者が現れる。
「なんだ、来てたのか忍者」
ドアを開いて入ってきたのはグラサンモンクである。
「やあグラサンモンク先生。コーヒーでいいかい?」
「ああ、頼む」
悪ケミの機嫌が氷点下まで下がっているのも意に介さず、新たにビーカーにお湯を注ぐ忍者と勝手知ったる様子で椅子に腰掛け寛ぐグラサンモンク。
「ん、相変わらず良い豆を使っているな。香りがここまで漂ってくるぞ」
「そりゃもう、味に煩いのが二人も居ますからね。豆、茶葉の選択にも気を遣いますよ」
穏やかに談笑する二人。
至極あっさりと悪ケミがキレた。
「なーーーーにをくつろいでるのよ二人そろってー! いいかげんにしなさいよ! ここは私の城なの! あんたらこの部屋に入るんなら私のめーれーにしたがわなきゃいけないのよ!」
忍者とグラサンモンクの二人は顔を見合わせると同時に肩をすくめる。
「はいはい、じゃあ私は何をすればいいかな?」
「へ? ん〜〜〜、じゃあアンタはお茶でも煎れなさい!」
「わかったよ、いつものでいいね」
言われるままに悪ケミの分のお茶を用意する忍者。
「俺はどうすればいい?」
「アンタはそこの棚からぽーしょん箱ごと持ってきなさい! あんな重い物私に持たせるんじゃないわよ!」
「ああ、わかった」
同じく言われるままのグラサンモンク。
その後も二人は、悪ケミがぎゃーぎゃー喚きながら何やら指示するのを文句一つ言わずに聞いていた。
そのほとんどが悪ケミのその場の思いつきだったり、無駄な作業だったりするのだが、そんな時間を二人はとても楽しんでいるように見えた。

私達三人は、お昼ご飯を食べ終わると、晴れた日は決まって日向ぼっこに出かけます。
お日様が気持ち良い〜。♀スパノビちゃんも♀ハンタちゃんもこういうのわかってくれるのがとっても嬉しい♪
中庭のベンチに三人並んで座りながらおしゃべりするのが何よりの楽しみなんです。
「YO・YO・YO! GIRLS並んでHAPPYかい?」
踊りながら、現れたのは♂モンクさんです。
悪い人ではないみたいなのですが、正直、ついていくのがとても難しい人です。
「そそそそれでも今日は♪ やめときな♪ 今日の神様とってもご機嫌ナナメだぜ♪」
言い終わらない内に、男の人が一人、私達の前を通りかかりました。
そう、この学園で最も近づいてはならない危険な存在、学園の暗部と呼ばれたその人は……

「おい、俺は今暇なんだ。お前らで遊ぶが構わねえよな?」

♂ローグさん、ケンカがめっぽう強くて、しかも狡賢い、その上他人を虐めて楽しむ癖があるとの事です。
硬直する私達三人。♂モンクさんはすっと私達の前に立ちました。
「Hey♪ 寝言は寝てから言うもんだ♪ あんまり調子こいてると♪ てめえのファッキン尻の穴、俺の腕でフィストファックだ!」
♂ローグさんの表情が変わりました。
そして、中庭の奥で、何かがぼてっと落ちる音。
「そ、そんな……♂モンクさん……」
見ると♀騎士さんが、手に持っていたお弁当箱を落したみたいです。
落っこちてるお弁当箱が二つある辺り、こう非常に興味深いというか、こんな時じゃなきゃ色々と聞きたい感じです。
「♂モンクさん、全然気づいてくれないと思ったら……♂モンクさん男色の毛が……そんなのって……」
♂ローグさんとは別の意味で♂モンクさんの表情が変わってます。
そして私はというと、♀スパノビちゃんに手を引かれて避難を終えました。
「ひどい! あんまりです!」
私の目がどうかしちゃったのかな? そう叫ぶ♀騎士さんの姿が何故か三人に増えてみえます。
「NO! NO! ぷりーずびーくーる!」
♂モンクさんの悲鳴は聞こえないみたいです。
三人になった♀騎士さんは、腕を振り上げると離れた位置で三人同時にそれを振り下ろしました。
その腕からなんとびっくり、なんか謎衝撃波が飛んでいくじゃありませんか。
♂モンクさんは三発ともまともに食らっちゃいました。
隣の♀スパノビさんが叫びます。
「まだです!」
そう、分身はもう一体居たのです。
四体目の♀騎士さんは衝撃波と同時に♂モンクさんへと踏み込んで行き……
「♂モンクさんのばかーーーーーーーーー!!」
強烈なビンタを放って泣きながらどこかに走って行ってしまいました。
♀スパノビちゃんは真面目な顔で言いました。
「これぞ騎士の奥義、ブレイクダウンタイフォーンです!」
♀ハンタちゃんはおずおずといいました。
「……それ、騎士違い」

そんな大騒ぎがあった後でも、お昼休みが終わって教室に戻ると♀騎士さんも♂モンクさんも仲良さそうに話してました。
う〜ん、♂モンクさんが何を言って♀騎士さんの機嫌をとったのかすんごい気になる。
でも、それを聞いたとしても、♂モンクさんの言葉理解する自信が無いので、聞くのは止める事にしました。


その頃、容赦なく巻き込まれた♂ローグは中庭の木から逆さづりになって身動き取れなくなっていた。
「俺にゃフォロー無しかよ……」

(うはwwwwwマジゴメッwwwwwwこのぐらいにしとくwwwwww)
381名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/14(日) 19:13:22 ID:t53TnrMw
>>379-380
うはwwwww超癒されたwwwwwwwwありがとwwwwwww
382名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/14(日) 19:20:28 ID:U17KHVic
>>380
騎士子がそっちの騎士で
殺人に抵抗がなかったら余裕で優勝だなwwwwwwww
383名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 01:01:26 ID:C017q6AE
214.♂プリーストの一人上手劇場

全速力で走る♂プリ。
しかしIAを使う余力は残っておらず、体力も限界である。

「だけどなぁ、ここでアイツを一人にする訳にゃいかねーんだよ! ここ一番の俺様無限大パワー見せてやらあ!」

息が切れる、足に感覚が無くなってくる。苦しい、痛い、何も考えられなくなる。
そんな♂プリの目に光が見える。大きく輝いたそれを見た後、そこは真っ白な世界になっていた。

「♂プリーストさん……」
「♀ウィズ? お前……向こうでひっくり返ってたんじゃ……」

♀ウィズは♂プリにしなだれかかる。

「……好きに、して、ください……」

♂プリの脳が凄まじい勢いで活性化する。

『待て! 好きにって、好き放題って事っすかー! もー欲望の赴くままに理性を解き放ったりしちゃったりしてもおーるおけー? 夢のパライソ遂に来た!?』

♀ウィズの服が落ちる音が聞こえる。

『マジっすか! 人生最大のビックチャンス!? 人妻万歳、女性が最も美しいのは余計な物ぜーんぶとっぱらった瞬間だと昔から強く主張してきた甲斐があったぜ! そう! 今こそ……』


がばっと目が覚める♂プリースト。

「夢だって事ぐらいわかってたさ! それでもなあ! 例え夢でも後少しだけ……それでも俺ぁ……俺ぁ……うぅぅぅぅ」

両手を地面について跪きながらの漢泣き。
どうやら、木に激突して気を失っていたらしい。

「やべっ、こんな所で妄想してる場合じゃねえ。♂騎士の奴を追いかけねえと」

すぐに立ち上がるが、膝に来ているらしく、足ががくがくと震える。

「だからってアイツを見捨てられっかよ!」

登り坂だというのに、理屈とは別のなにかを燃料に走り出す♂プリースト。

「さーーーーらに加速っ! なんぴとたりとも俺様の前は走らせねえ!」

気を失っている間に僅かに回復したSPを惜しげもなくIAに費やし、猛スピードで坂を駆け上がる♂プリースト。
丘のてっぺんを超え、下りになるとその速度は更に増す。
そのあまりに早すぎる速度は、勢いあまって飛び込んだファイアーウォールを突き抜けてしまうほどであった。

「だーーーーーーー!! あっちーーーーーーー!!」

僅かに予定からずれたが、慌てず騒がず♂プリの周辺にQMを放つ♂ウィズ。

『さて、次の逃げ場所は隣にある木でしょうね』

♂ウィズは♂プリから比較的近くにあった木の傍にファイアーピラーをしかける。

「くそっ足が重い! ええい、だったら手を使うまでだ!」

しかし、♂プリは馬鹿であった。
足が動かないならと、両手を地面について逆立ちで移動しはじめたのだ。
さしもの♂ウィズもあまりの行動に面食らってしまう。
無論、それ以上の効果なぞありはしないのだが。

「むう、やっぱり無理があったか」

天と地がひっくり返った視界の中で、さかさまのデビルチが♂プリに向かって駆け寄って来る。

「やべっ! だが、そんな槍が俺に通用するかよ!」

地面にごろんとひっくり返って片膝をつく♂プリ。
立ち上がる前に片をつけようと槍を突き出すデビルチ。

「食らえクソチビ! 必殺! 真剣白羽取り!」

顔目掛けて突き出された槍を両手で挟み込もうとした♂プリだったが、僅かにタイミングがずれた。

「あぶねっ!」

顔をそむけて紙一重でかわす♂プリ、一応タイミングはずれたが、両手で槍を挟み込む事には成功している。
冷や汗をかきながらも、反撃に移る♂プリ。

「こんのチビチビチビチビチビチウンコがーーーーー!!」

槍が抑えられているせいで、動きがとれないデビルチを全力で蹴り飛ばす♂プリ。体重差のせいかおもしろいようにすっ飛んで行った。
これまた予想外だったのが♂ウィズだ。
デビルチが押さえている間に高レベルボルトを打ち込むつもりで詠唱を始めたのだが、あっさりとデビルチを放り出されてしまった。
そして♂プリはその詠唱の声で♂ウィズの位置を視認する。
即座に視界から外れ、術の効果を無くす。
自分も使う術と似通った効果のある術ぐらいは流石に知ってるらしい。
そこで♂プリは少し悩んだ。
♂騎士を探しに行くか、♀ウィズをあんな目に遭わせてくれたコイツをボコボコにぶちのめすか。
後者はその後の「ありがとう♂プリーストさん、あなたってとっても頼りになるわ、素敵、好きにして」妄想なども含めて非常に魅力的な案であったが、辛うじて♂騎士への使命感が勝った。

「しかたねえ……おい♂ウィズ! てめぇは後でぶっ飛ばしてやっからな! 忘れんじゃねえぞ!」

そこで気づく、足元に広がる巨大な魔方陣。
QMの効果がある今の内にという事であろう。そして♂ウィズのその判断は誤っていなかった。
慌てて逃げ出す♂プリであったが、QMのせいで効果範囲から逃げ切る事は出来そうにない。
そこで♂プリは閃いた。

『下り坂の加速を利用すれば!』

♂プリは下り坂の急な斜面を選んで駆け下りた。
詠唱は続いている、そして魔方陣もまだ♂プリの足元だ。

『まだだ! もっと早く! もっと急な斜面を! 今こそ♂プリースト下り最速理論を証明する時!』

偶然、その周囲数キロの中で最も急な斜面がそこにあった事は幸運であったろう。
しかし、♂プリはその偶然をとてもじゃないが喜ぶ気にはなれなかった。

「ふざけんな! これ斜面っつーか最早崖だろ!」

自分で飛び込んでおいて自分でツッコム♂プリースト。
直角と呼んで差し支え無い程の斜面を、体が大地とほぼ平行になりながら駆け下りる♂プリースト。
♂ウィズが選んだ術がSGであった事も幸いし、術の範囲から逃れる事は出来たが、止まれる気がまるでしない。

「てめえちくしょう♂ウィズ! 覚えてやがれーーーーーーー!!」

叫びの語尾にドップラー効果を引きつれ、♂プリーストは♂ウィズの前から姿を消した。
蹴り飛ばされたデビルチは戦闘は終わったとばかりに♂ウィズの傍に来てつぶやく。

「主よ、アレは一体なんだったのだ?」
「知りません。ああいうのを規格外品とでもいうんでしょうかね……最早怒りすら覚えませんよ」


「ん? アレは何じゃ?」

周囲を飛び交う虫の群れにそう尋ねるミストレス。
土煙をあげながら悲壮な表情で駆け抜ける一人の男が見える。
ミストレスは少し悩んだ後、あっさりと決めた。

「ふむ、取りあえず撃っておくか。これで仕留められれば重畳」

やる気無さそうに術を唱えて、ユピテルサンダーを放った。


『ヤベエ、マジで死ぬ。つかいい加減速度も落ちてきたし、俺もそろそろ止まってもいいんじゃねーの?』

そんな事を考えていた♂プリの後ろから轟音が聞こえてくる。

『……ハハハ、コヤツメ。俺にまだ走れと申すか』

走りながら振り向いた♂プリは、真後ろから追ってくるイカヅチの塊を見たのだ。

『なんで俺ばっかこんな目に遭うんだよ! だがっ!』

不敵に笑う♂プリースト。

『こんなトロくせえ魔法なんざ振り切ってやらぁ! スピードisGOD! スピードisSoul! 俺の魂の走り、とっくり拝みやがれ!』

直後、ユピテルサンダーは♂プリの背中ど真ん中に直撃した。
もの凄い勢いで吹っ飛ばされながら♂プリは思った。

『……ごめん、俺、強がった、魔法と追っかけっことか絶対ぇー無理……』

宙をくりんくりんと数回転。

『着地決めるのは流石に無理か、それでも受身だけでも取れればこのぐらいの勢いなんて事……』

不意に眼前に木の枝が見えた。
♂プリはとっさにその枝を掴んで回転と吹き飛ぶ勢いを殺す。
そして枝の耐久度が限界を超える直前にその手を離し、地面に着地。
敵が居るのは確実。♂プリは着地した勢いそのままにまた走り出した。
384名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 01:02:14 ID:C017q6AE
そうしてしばらく経った後。

「も……ダメ……俺、こっから一歩も動けね…………」

完全にバテきった♂プリは大地にひっくり返っていた。
♂騎士も見つからず、こんな遠くまで一人で来てしまった。
今更ながらに思うが、まっすぐ走った結果♂ウィズと遭遇した時点で、♂騎士は既に別のルートを移動していたって事だ。
なら、♂プリのそれからのダッシュはただひたすらに♂騎士との距離を遠ざけていただけに他ならない。
止まる訳にもいかない事情はあったが、こうして必死に走った事が無駄だったと思うのはやはりショックであった。
そしてマーダーに見つかったら即アウトという現状。今の♂プリは大の字にひっくりかえったまま微動だに出来なかった。

「あの……」

声が聞こえる。これまでの流れから誰にも見つからないなんて幸運は期待できない事ぐらいわかっていた。

『俺様も年貢の納め時って事か……悪ぃ♂ケミ。♂騎士の事、俺にゃ無理だったわ……』

♀ウィズの悲しそうな顔が浮かぶ。

『そんな顔すんなよ、いくら俺だってこんなヘロヘロじゃマーダーの相手なんて……』
「あの、大丈夫ですか?」

もしかしたらこいつはマーダーじゃ無いのかも。そんな淡い期待を持ちながら顔をあげる♂プリースト。
そこに居たのは、♀ウィズに勝るとも劣らない程の美人、そしてスタイルと色気では僅かに♀ウィズを上回っていた。
驚いて上半身を起こす♂プリにその女は笑顔で言った。

「良かった、大丈夫なんですね」

♂プリのハートに火がついた。

『おっしゃーーーー! エンジェル光臨! 俺の旅は無駄じゃあ無かった!』

がばっと立ち上がると顔と足とに残った力をかき集め、顔には笑みを、足には踏ん張る力を振り分ける。

「あんた、そうやって相手を心配するって事はこのゲームに乗ってる人間じゃ無いみたいだな」
「はい、ですが仲間とはぐれてしまって……」

♂プリはにかっと笑う。

「そうかい、俺も似たようなもんだ。どうだい、良ければしばらく一緒に動かないか? あんた一人ぐらいなら俺でも守ってやれるぜ」

その女、♀アルケミは嬉しそうに答えた。

「是非お願いします。助かりました、私一人で心細くて……」
「そうだろう、そうだろう、俺に任せておけって。あんたの仲間もきっと見つけてみせるからさ」

眩い笑みで頷く♀アルケミを見て、♂プリは心から神に感謝したのだった。

「では、夜も遅いですし、今日は休みましょうか」

♀アルケミはそう言いながら♂プリーストの上着に手をかける。

「なななななな! 何事!?」

慌てふためく♂プリに♀アルケミはきょとんとした顔だ。

「汗で服がびしょ濡れです。濡れた服を着ているのは体に悪いですよ」
「お、おお、そっか。そうだよな。うん、それはその通り」

♂プリが納得したので、♀アルケミは♂プリの上着を脱がしにかかった。

『ぐ、ぐおっ、なんだこの良い香りは! ふぇ、ふぇろもんが! この子のふぇろもんが漂ってくるー!』

服が肌に擦れる音が、妙に生々しく聞こえてくる。
上半身裸で♂プリはその場に座る。その間に♀アルケミは♂プリの上着を木にかけた。

『やばひ……俺の理性が……鉄壁を誇る俺の理性に亀裂がー』

戻ってきた♀アルケミは♂プリの隣に座る。

「寒いですか?」
「い、いやそうでもない」

努めてクールを装う♂プリ。
♀アルケミは♂プリにしなだれかかり、その腕に手を回す。

「無理しないで下さい。ほら、こうすれば暖かいですよ」

そのまま体重を♂プリに預ける。そして、♂プリの腕に絡めていた手を♂プリの腰に回す。
♀アルケミが体重をかけてきた事で少し♂プリのバランスが崩れるが、♀アルケミの体の位置がちょうどいいせいか、空いた♂プリの腕を♀アルケミの肩に置くと姿勢が落ち着きそうであった。

「お、おい、どうしたんだよ」

こう言えた自分を褒め称えてやりたい、♂プリはそう思った。

「寒いのは私の方なのかもしれません。こんな……会ったばかりの人に……」

体を捻って♂プリと上半身を正対させ、顔をあげて見上げる♀アルケミ。
潤んだ瞳、切なさに満ちた表情、そして腰に手を回しながら♂プリの顔を見上げるという事は、両者の距離はほぼゼロに等しいのである。

『当たってる! 当たってるっすよ姉さん! なんだこのましゅまろ風味は! しかもマジでけーっつーの!』

最早言葉で何かを言う段階ではなかった。
そして、♂プリにはこれを押し返す余力も残っていなかったのだ。
無理な体勢がたたって、そのまま♂プリは仰向けに倒れ、その上に♀アルケミが覆いかぶさる形になる。

『……体力が残ってない? この場でこういう事するのは不埒だ? ♀ウィズはどーすんのよ?』

『知った事か! 俺はヤる! 男子の本懐ここに極まれり! 我が人生に一片の悔い無し! 今俺はこの世界に最大級の賛辞を述べたい! 俺とこの子をこの世に産み出してくれてありがとーーーーーー!』

そこで、今まで意志の力でねじ伏せてきた、♂プリーストの体が、最後の反逆を試みた。


脈絡も無く容赦なく爆睡する♂プリの隣で、♀アルケミは大きく頭をたれていた。

『普通あーいう状況でいきなり寝る!? どーなってんのよコイツはーーーーー!!』

この島に来て以来、絶望的なまでに下がった自らの男運を呪ってやまない♀アルケミであったが、それなりの好感触は得られたようなので、それそれで良しとするのであった。


<♂プリースト>
現在地:F-7
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外 見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備 考:殴りプリ
状 態:心身ともに極度の疲労。根性で体を動かしていたが、遂に限界が来て寝る。


<♀アルケミスト>
<現在地:F-7 ♀ハンターと♀スーパーノービスが雨宿りをしていた木のうろ>
<所持品:S2グラディウス 毒薬の瓶 ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ)>
<外見:絶世の美女>
<性格:策略家>
<備考:製薬型 やっぱり悪>
<状態:軽度の火傷。騒動に乗じてPTを抜ける>


<♂Wiz>
位 置:E-6
装 備:コンバットナイフ 片目眼鏡 とんがり帽子
   レッドジェムストーン1つ 血まみれのs1フード
外 見:黒髪 土気色肌
スキル:サイト サイトラッシャー ファイアーピラー クァグマイア
ファイアーウォール フロストダイバー アイスウォール モンスター情報
ストームガスト メテオストーム ソウルストライク
ファイアーボール
備 考:「研究」のため他者を殺害 丁寧口調 マッド
   ♀ノービスに執着(実験体として) ♂アサシンを殺害
   デビルチと主従契約 軽度の火傷 左腕に刺し傷 ♂セージに対する敗北感
   安全なところへ移動したい
<デビルチ>
位 置:E-6
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 ♂WIZと主従契約


<ミストレス>
現在地:E-6
外見 :髪は紫、長め 姿形はほぼ♀アーチャー
所持品:ミストレスの冠、カウンターダガー
備考 :本来の力を取り戻すため、最後の一人になることをはっきりと目的にする。つまり他人を積極的に殺しに行くことになる。なんらかの意図があって♂ハンターを誘惑。その理由は不明
   ♂マジから魔力を奪った! ♀ハンターに報復したい!
385名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 02:46:21 ID:WpiNwYeU
>>383
うーん、アルケミの誘惑効果を使うためだけに、無理矢理♂プリの人となりが歪められてる感がしました。
異様なまでのハイテンションッぷりにも前回ラストとのギャップを感じます。
これが♂プリじゃなく♂モンクあたりなら、セリフ・行動とも違和感なさそうなのですが。
個人的にはそこんとこだけいじってほしいなぁと、一意見として。

♀アルケミとの出会い&オチは面白かったっす。
♂プリは馬鹿(いつのまにそういうキャラになったんだ…)とのことだけど、彼女のほうが
近くに魔法職マーダーがいるかもな危険性について気付きそうだし。
386名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 20:20:35 ID:SMivk0uU
215.強攻 [2日目深夜]

『OKOK、ようするに地図を持って禁止区域に入ると首輪がどかんなわけね』

「───なるほど」
文書化された盗聴記録に目を通し終えても、GMジョーカーは微笑の表情をすこしも崩さなかった。
切れ長の目はいつも笑っているように見えて、奥にある瞳はけして笑ってなどいない。いつも通りの表情だった。

GM橘はもはや気にしなかった。
接する時間が長くなれば長くなるほど、考えていることがわからなくなる。
GMジョーカーという男は、そういったたぐいの人間である。とにかく本心を隠すことに長けているのだ。
彼の口にする言葉や態度、表情、しぐさ。そのすべてを信じてはいけない。疑ってもいけない。
なぜなら彼は仮面の下で舌なめずりをしながら、相手がどのように反応するかを覗き込んでいるからだ。
たとえるなら巣を作り、獲物がかかるのをひたすら待ちわびる蜘蛛である。

GM橘は眼鏡のブリッジを、すっと押し上げた。

「それで♀アコと♀マジについては、どのような処置を行えばよろしいでしょうか?」

GM橘も無表情を繕った。とくに意見を言うこともせず、上司の反応を待った。
本音を言えば、わずかでも自分の計画を脅かす危険性のある存在など即座にBANしてしまいたかったが、胸のうちに留めた。
せっかく手ごまが思惑通りに動きはじめたのだ。ここは我慢のときだと判断した。

GMジョーカーはいかにも考え込んでいるという姿勢をとっていた。どこかの彫像で見たことのある姿勢そのままだった。
どこの誰の作品だったかまでは思い出せなかったが、それにしてもわざとらしい。
相手の感情を揺するためだけの行為であることは、間違いなかった。GM橘は胸中で毒づいた。
まったくもってGMジョーカーは癪に障る男だと。

殺せるものなら、いっそ。何回そう思っただろうか。
そのたびにGMジョーカーの、♀モンクを一蹴したあの凶悪なまでの強さを思い返し、ひややかな汗をかいた。
いくら自分たちGMが制御装置の影響を受けていないとはいっても、
残影を駆使してきた♀モンクに対してあれほど余裕のある対応をとれたのは、ひとえにGMジョーカーの実力と言える。
1対1で戦っても勝てない。それだけはどうしようもない事実として認識していた。もちろん歯噛みするほどくやしかった。

無反応なGM橘をつまらないと思ったのか、それとも別の思慮があるのか、GMジョーカーはようやく返答した。

「どうしたらよいと思います?」

GM橘はあやうく癇癪を起こすところだった。
さんざんに人を待たせたあげく、質問に質問で返してくるのだから性質が悪いことこの上ない。
人を怒らせて、本音をさらけ出させようという考えが見え見えなだけに、腹立たしかった。
このまま返事をしたのでは声が震えてしまうので、GM橘はとりあえず眼鏡をはずした。
レンズの汚れを拭くことで、落ち着きなおそうと考えたのだ。
当たり前だが、レンズは汚れてなどいない。几帳面な彼は、レンズをいつも一滴の曇りもない状態に保っていた。

GMジョーカーはにやにやと顔だけで笑っていた。GM橘は眼鏡をかけなおした。

「私は、彼女たちはそのままにしておいた方が良いと考えます。
 ひとつの理由は、彼女たちが盗聴に気がついていないことです。
 なにかを企んだところですべて筒抜けですから、今は放置しておいて問題ないでしょう。
 逆にそのおかげで他の参加者の嘘を見抜けるかもしれません」
「とすると、参加者の一部は盗聴に気がついていると考えているわけですか?」
「♂セージあたりが気がつく可能性はじゅうぶんにあると思われます。
 なにしろ家系的にも優れた血を持っているようですから」

眼鏡越しのGM橘の視線がGMジョーカーを鋭く刺した。GMジョーカーはあいかわらずのうすら笑いを浮かべた。

「そしてもうひとつの理由ですが、いたずらに制裁を加えることは、女王陛下の楽しみを削いでしまうのではないかと危惧しました。
 せっかくここまで順調に進んでいるのですから、最後のひとりになるまで、できればなにもせず見守りたいというのが私の考えです」

話を聞き終えて、GMジョーカーは小さく拍手をした。顔はよろこびに歪んでいる。

「すばらしい。あなたの考えは、私とまったく同じものです。実にすばらしい。はなまるをあげましょう」

GMジョーカーは立ち上がり、その場でくるりと回転した。手のひらを顔の前で合わせて、いまにも踊り出しそうな陽気さだ。

「そうです、大切なのはいかに滞りなくこのゲームを進めるかということです。
 したがって私たちは、どうしようもなくなるぎりぎりのところまで手を出してはいけません。
 もちろん細工をするなんていうのは、もってのほかです」
「細工の疑いがあるのですか?」

GM橘の反応にGMジョーカーは首を振った。

「いえいえ、そのような様子は今のところ見られません。ただ、今後起こらないとも限りませんのでね。釘を刺しておくに越したことはないということです。
 間違っても故意に誰かを勝たせようなどとしてはいけませんよ」

いやらしい笑みを作ってGMジョーカーはくつくつと笑った。
その様子にGM橘は、自分の企みがGMジョーカーに、すでに嗅ぎ取られていることを確信した。
心音が、目の前の男に怯えるように高鳴った。どうすれば良いか、考え付かなかった。

「肝に銘じておきます」

そう言うのがやっとだった。
逃げ出すように退室したGM橘を見送り、GMジョーカーは笑いの仮面をはずした。ひとりの時間には必要ないからだ。

「橘もなかなか辛抱強い。ですが、これで嫌でも動かざるをえないでしょう。さて、共謀者は誰でしょうね」

氷のように冷たい目をして、GMジョーカーは机の上に転がっていたダーツの矢をひとつ取り、投げ放った。
矢はすとんと音を立てて、壁に突き刺さった。
壁には参加者の名簿が貼られており、GMジョーカーが放った矢は♂騎士のところに突き刺さっていた。
387名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 20:32:28 ID:SMivk0uU
参加者だけで崩すのも大変なので、内側にもほころびを入れてみた。
GM橘がんばれ。
388名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 22:37:02 ID:XJxMnsI.
>>383
むぅ面白い。面白いだけに…やっぱり♂プリの性格変化が気になりますねぇ。
どうしたもんでしょ。
>>386
これまた何故か不覚にも笑えましたw
ジョーカーラブ。橘ガンガレ。GJ。
389名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 22:50:56 ID:IXPd5TbE
>>383
デビルチの口調もちいと気になります。
♂プリにしてはいやにハイテンションだなぁ…話としては面白かったんですが。

>>386
GJ!
ダーツにこっそり笑ったのは俺だけじゃない筈だ。
390名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/15(月) 23:26:43 ID:hKYSH/pQ
パジェロかw
391名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/16(火) 02:39:37 ID:eTBQ0gDw
>>390
ちょ、思い出させんなwww

>>383
まあ他の方が言ってるように、♂プリってここまで脳筋じゃないと思った。
そこらへんをうまく修正できたらいいんじゃないかな。話の流れ作るのが難しいかもだけど。
392383sage :2006/05/16(火) 03:41:59 ID:d1ZPkyVU
え? え? え?
♂プリってGS横島系妄想キャラじゃないの? 男の性シリーズとかそちらへの流れ期待されてたんじゃないの?
たまたまPTメンツ多くてシリアス多くて出来なかっただけじゃないの?
俺だけ? そんな事考えてたの俺だけ? マジ? おーれーだーけーかー

……そうか、俺だけか_| ̄|○
393名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/16(火) 09:53:07 ID:V8/ecAqs
>>392
GS横島系妄想キャラという的確な表現にフイタ。
いままでは場合が場合だったからシリアスにならざるをえなかっただけだと思うし、私は許容範囲かな。
というか勢いがあって面白かったよ。

問題があったとするならば、その妄想一直線モードを使うタイミング。
なまじシリアスに♂騎士を追いかけていった直後だっただけに、違和感を覚える人が多かったんだと思う。
♂プリーストは普段は馬鹿キャラ、だけど決めるときには決める。
そして多分今回はどちらかというと決めるときだったんだと思う。♂騎士の懺悔を聞いたのは、他ならない彼だからね。

それでも>>383のような展開もありだとは思う。面白いってことは大事だ。
394名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/17(水) 16:52:15 ID:IySth4rY
216.狂気の瞳 [2日目 丑三つ時]

人には縁というものがある。出会いも別れも、人と人とがつづきあっているからこそ生まれる。
あるものはそれを偶然とし、またあるものはそれを必然とした。
それもそうだろう。この広い世界では、たとえ天寿をまっとうできたとしても、生涯に出会うことのできる人数など知れている。
出会いを縁と呼ばずして、なんと呼ぶことができるだろうか。
偶然であろうと必然であろうと、そんなことは関係ない。ただ出会ったことに、意味があるのだ。

では彼と彼との再会にもまた、なんらかの意味があるのだろうか。

 ◇ ◇ ◇

傷だらけの男───♂クルセイダーは近づいてくる足音に、笑いだしたくなる気持ちを抑えた。
日が落ちてから、すでにかなりの時間が過ぎている。自分の手足が動かせるまでに回復したことから考えても、それはわかっていた。
それでもオートバーサークの反動からか、肉体は万全という状態からは程遠かった。だからこそ♂クルセイダーは、森に身を隠していた。
そこへ♂クルセイダーの事情など知る由もなく、何者かが近づいてきたのである。♂クルセイダーはこれを好機と捉えた。

日中ですら薄暗い森の中である。まして今は月と星の明かりがわずかに差しこむだけの夜。音がなければ相手の存在に気づけるはずもない。
当然♂クルセイダーは、わずかの音も立てなかった。息を殺して不意打ちの機会をうかがっていた。

足音が、相手がたった一人であることを教えてくれた。

その相手が自分のすぐ脇を通り抜けようとしたところで、♂クルセイダーは意を決した。
わずかの躊躇もせず、すばやい動作でシミターの刃を暗闇へ刺しこんだ。とても傷を抱えた男とは思えない、見事な動きだった。
とうてい避けようのない一撃だった。

♂クルセイダーは、自分の一刀をかわされたことが、にわかには信じられなかった。
潜んでいることを感づかれた覚えはない。反応できるはずもない。はっきりと殺せたと思っていた。
しかし、現実は違っていた。

相手は♂クルセイダーが襲いかかったまさにその瞬間、まるで獣のように殺意を感じとり、即座に横とびしたのだ。
♂クルセイダーの剣は空を切り、襲撃は結果として失敗に終わった。

こうなると不利なのは♂クルセイダーの方だった。
怪我のせいで余力は乏しい。1対1とはいえ、苦戦は必死である。
初太刀を外すとは夢にも思っていなかった彼は、やむを得ずに相手の出かたをうかがった。

相手は背格好からして、男だった。刀剣を構えた姿勢から、剣士騎士のたぐいであることがわかった。
まっすぐで綺麗な構えだった。

「生きて、いたのか?」

こぼした♂クルセイダーの声に、男はぴくりと反応した。
顔は見えなかったが、♂クルセイダーは、やはりあの♂騎士だろうと思った。
それにしてはすさまじい回復である。
♂クルセイダーが知っている彼は、およそ一日で回復できるような傷ではなかった。
先ほどの動きにしても尋常なものではない。
疑問はつきなかったが、♂クルセイダーはさらに声をかけた。

「♂ケミはどうした? なぜひとりでいる。おまえは人をまもる騎士だろう」

おそらく♂騎士であろうその男は、なにも答えなかった。

「そうか、ではまもれなかったのだな。つまりおまえも、騎士にはなりきれなかった男というわけだ。俺と同じだな」

苦笑する声が洩れた。男に失望したのかもしれなかった。
男なら自分とは違う道を、騎士としての道を貫いてくれると信じていたのかもしれない。いや、信じたかったのだろう。
神を否定し、醜く生きるしかない自分とは違う世界で、男が騎士として死ねることをうらやましいとさえ思っていた。
うらやましかった。

───自分には二度と手に入らないものだったから

「・・・・・・ぁ・・・・・・・ぉ・・・・・・」

男の声がかすかに聞こえた。力ない、いまにも力尽きて倒れてしまいそうな、かぼそい声だった。
反して剣をにぎる構えには力が溢れていた。隙らしい隙も、微塵も見当たらなかった。声と姿勢がつり合っていないように思えた。
死にたいのに死ねない、アンデッドのような魔物とどこか重なる気がした。

男のただならない様子に、♂クルセイダーは背筋が寒くなったのを感じた。
久しく感じたことのない恐怖というものだった。

「どうした? 俺がわからないわけでもあるまい。それとも、友の死に正気を失ったとでも言うのか?」

言葉を口にして、♂クルセイダーは一歩後ろに下がった。意識して足を動かしたつもりはなかったが、本能がそうさせた。
気がつけば声を荒げていた。

「こたえろ! ♂騎士。おまえはどうしてここにいる!」

男は変わらず、ぼそぼそと口ごもるようになにかを喋った。
しかし♂クルセイダーは耳を澄ませ、今度ははっきりと聞いた。

「・・・・・・・だれだ?・・・・・・おまえ?・・・・・・」

冷や汗が背中をだらりと流れたのを感じながら、♂クルセイダーは目を凝らし、暗闇の中にいる男の顔を懸命に見た。
ぎらりと男の目がきらめいたのを見てとって、大きく後方へ跳んだ。
伝わってきたのはとてつもない殺意だった。
その瞳は血のように鮮やかな赤色で、♂クルセイダーを映していた。

人が持つ瞳のかがやきではなかった。


<♂クルセイダー>
現在地:E-4
髪型:csm:4j0h70g2
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し)
状態:左目の光を失う 脇腹に深い傷 背に刺し傷を負う 焼け爛れた左半身
  オートバーサークによる反動


<♂騎士>
現在地:E-4
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外 見:虚ろな赤い瞳
状 態:痛覚を完全に失う、体力は半分ほど、個体認識異常(♂ケミ以外)、精神不安定
備 考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害
395名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/18(木) 01:35:19 ID:DxxRNhF2
このスレ、まだあったのか……途中から入るのきつ……みんながんがれ(つ
396名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/18(木) 06:33:02 ID:VortmZwI
>>394
自分は♂騎士って狂ったわけじゃないと思ってたんだけど、どうなんだろ。
不安定なのは確かだろうけど、前回は♂プリと会話できてたからさ。

>>395
途中からはきついかもしれないけど、大歓迎ですよ(・∀・)
397394sage :2006/05/18(木) 08:37:49 ID:ObYAW6LE
♂プリたちとわかれてから数時間経過していることからの変化として書きました。
ただ♂騎士視点ではなく、あくまで♂クルセ視点です。
それから♂騎士は心は狂っていない、ただし肉体は狂っているというのが私の思うところです。
GM橘と森のしかけが本領発揮ということで。

タイトルが♂騎士が完全に狂ったんじゃないかと思わせてしまう悪いものでしたね、ごめんなさい。
♂クルセにはそう見えただけで、♂騎士が実際にどうなっているのかは他の書き手さんの好きで良いと思っております。
398名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/18(木) 16:46:51 ID:wCQ9yeAQ
217.その男、凶暴につき [2日目深夜]

その男、♂ローグはめずらしく悩んでいた。
片目にある古傷を隠すように手をあてて、口をへの字に曲げている。
よほどなにかを考え込んでいるらしい。
それでも目からは時おりぴりぴりとした視線が放たれ、周囲への警戒を忘れた様子はなかった。
さすがに命のやりとりを日常としているものと言えた。
適度な緊張を肌にまとわせながら生活することに慣れているのだろう。

しばらくして♂ローグは、思いついたようにクロスボウの調子を確かめはじめた。
クロスボウは遠距離からの攻撃を可能にしてくれる、♂ローグにとっての生命線である。
いついかなるときであれ正確な射撃ができる状態にしておくことは、優先すべきことだった。

月明かりしかなかったが、♂ローグは手近な木を見定め、その木を目掛けてクロスボウの矢を撃ちこんだ。
初撃が狙ったところから逸れたのは問題なかった。逸れた分だけ狙いを修正し、もう一度矢を放った。
どんぴしゃり。矢はするどい音を立てて木の幹に突き刺さった。
♂ローグはこうすることで、今の時点でのクロスボウのクセを体に覚えこませたのである。

なぜいま急にそんなことをしたのか?
理由は単純である。♂ローグはこれから朝までの時間を、勝負の時間と考えていた。

全部で4日あるはずの殺し合い。すでにその半分が過ぎていた。
♂ローグは先ほどの思索の中で、今後の予定を建てていたのである。
残っている28人から自分を除いた27人にどうやって消えてもらうか。そのことを考えていた。

自分ひとりですべての人間を殺すことは、とうていできないことだった。
となると、人を積極的に殺そうとするような人間には"まだ"生き残っていてもらわなければならない。
自然、♂ローグが優先的に殺さなければならない相手が浮かびあがってきた。
そう、彼が何よりも殺さなければならない相手、それは2人でいる者たちだった。
3人以上のパーティを除外したのは、自分の手にあまるからではない。
♂ローグは人の心というものが、極限に置かれた際にどう転がるのかを、よく知っていた。

♂ローグが生きてきた世界は、光あふれるところではない。彼が生き抜いてきたのは、暴力と欲望に色塗られた世界だった。
そこで♂ローグは絶望の淵に立たされた人間を、何人も見てきた。
狂乱するもの。腹を据えるもの。最後まであらがうもの。自ら命を絶つもの。
人によって行動は違えど、二つ確かなことがあった。
それは、人を信じたものが救われたためしなどないということ。そして、人は裏切るものだということ。

その点で、2人という協力体制は実に合理的である。
なぜなら相手が裏切ったところで1対1に戻るだけであり、それは有利とは言えないまでも、けっして不利なわけでもない。
また2人ならば、相手の行動から目を離す機会が少ないというのも大きい。
ところが3人以上ではそうはいかない。
自分の目の届かない場所で誰がなにを考え、どう行動しているかなど、わかったものではない。
気がつけば毒入りの食事をとらされていた、なんていうのは笑うにも笑えない。

「3人以上で徒党を組んでる連中なんてのは、どうせしまいにゃ、お互いがお互いを信じられなくなってくる。
 それに、誰が腹んなかに悪魔飼ってるかもわかんねぇこんな島じゃ、ひとりの方がましってもんだ」
♀ノービスを始末したときに頂戴したポイズンナイフの刃を見つめながら、♂ローグはひとりつぶやいた。

「けど、2人でいるやつらは案外やっかいだ。とくに強固な信頼関係なんて結ばれた日にゃ、目もあてらんねぇな」
誰に聞かせるわけでもなかったが、声を口に出すことは、頭を整理するのに都合が良かった。

「だからこそ今殺す。ここで全力で殺さねぇと、4日目がきびしくなっちまうわ」
♂ローグはそれほどに2人のパーティを危険視し、そしてこの2日目の夜というものを重要視していた。
たとえこの夜に限界まで動いて、3日目の日中を寝て過ごすことになったとしてもかまわないとさえ思っていた。
それだけではない。
4日目は死力を尽くさなければならない。ならば少しでも活動できるために、3日目を休息にあてるのは当然の考えである。

♂ローグはさらに考えた。
禁止区域の状況におけるE-6周辺の重要性である。
現在、島の東西をわける唯一の区域がE-6だった。それはつまり人を呼ぶ場所ということでもある。
E-6、E-7、F-6、F-7。この4つの区域こそが、おそらくは最後の戦場になるであろう。そう推測した。
禁止区域の広がり方は、すべての参加者を島の中央に集めるためと考えて間違いない。
GMジョーカーのやり方としては、ひどく納得のいくものだった。

「俺がGMだったら間違いなくそうする。そしてそれを読めるようなやつは、E-6には近づかない。
 E-7かF-6、あるいはF-7に陣取って、ぎりぎりまでやりすごすはずだ」
そこまでを声にして、♂ローグはいやらしく笑った。どう動くかが定まったからである。

「まずはF-6。そこからF-7、E-6と回らせてもらうぜぇ」
小さな声でつぶやいて、♂ローグは気配を闇に溶けこませた。隠密行動はローグにとって、造作もないことである。
こうして♂ローグは、夜は自分の時間とばかりに行動を開始した。

狙うのは二人でいる連中。そいつらをどうやって殺してやろうか?
想像しただけで下半身に血がたぎりそうになる気持ちを静めつつ、♂ローグは駆けはじめた。
血走った瞳が快楽を求め、かがやきを増していた。


<♂ローグ>
<現在地:G-6→F-6へ>
<所持品:ポイズンナイフ クロスボウ 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2 未開封青箱>
<外見:片目に大きな古傷>
<性格:殺人快楽至上主義>
<備考:備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す>
<状態:全身に軽い切り傷>
<思考:2人組を狙う 3人以上は放置>
399名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/18(木) 16:57:16 ID:wCQ9yeAQ
執拗に悪ケミを追う♂ローグさんにするか、誰でもいいから殺すぜ♂ローグさんにするか迷って、聡い殺人鬼シナリオを選択。
安眠なんてさせないぜ、とばかりに暴れてくれるとうれしい。
400名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/18(木) 18:38:51 ID:NKzfbf/k
悪賢い♂ローグ描写お見事。
元々殺すための努力は惜しまないタイプっぽいのでこれでいいかと。

ただ、夜間の遭遇には限界があるので実質手当たり次第になる気も。
月夜の山中だと視界は暗黒状態に近いと思うので、
休息中=移動音がない敵を発見するのは大変ではないでしょか。
401398sage :2006/05/18(木) 19:19:21 ID:wCQ9yeAQ
ゴメン、台詞で一箇所致命傷ががが。
「まずはF-6。そこからF-7、E-6と回らせてもらうぜぇ」 → 「まずはF-6。そこからF-7、E-7と回らせてもらうぜぇ」

>>400
そうか、このシナリオ選択で良かったんだ。ありがとう。
とりあえずF-6は草原だからまだ見えるけど、F-7,E-7はたしかに遭遇戦になりそうだだだ。
相手の隠れそうな位置を予測してとか、相手が会話、もしくは火とか起こしてくれたりすれば、チャンスなのにっ。

フクロウの目がローグにもホシス
402名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/05/18(木) 22:31:31 ID:zawl00zQ
展開的には二人組みを狙ってる設定だろうけど、続きを書く人はあまりそこにこだわり過ぎないで欲しいな
ローグの考えとは裏腹に単独のマーダーと遭遇なんてのも燃えるし
403名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/19(金) 02:56:57 ID:lh4TfYoY
>>394
いや、それよりも。♂プリは♂騎士とは全く反対方向に走ってったって事で……
そうやって考えたら死ぬほどワロタ。愛おしい程にバカだ♂プリwwwwwwwwww

ここはひとつ、♂プリが気を失ってる間に♂騎士はあらぬ方向に向かってたって事で
404名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/20(土) 01:08:45 ID:puMnbe22
218.誇りある魂 [定時放送B後]

GMジョーカーによる定時放送が終わった。
自分たちの居場所が禁止区域には含まれていないことを確認し、ほっとした3人だったが、その後のしばらくは沈黙の時間が続くことになった。

沈黙の中で♀騎士は♂ハンターを様子見したが、彼の表情は、どうにも重かった。
放っておいたら、地面に沈みこんでしまうのではないかと心配に思ったほどだ。

感情というのは、周囲に伝わるものである。
誰かが嬉しそうに笑っていれば、自然と周りにいる人間も心がはずむ。
哀しみに身をまかせ、暗い表情をしていれば、同行者も似た気持ちになってくる。
そして今のこの重苦しい空気を作っているのが、顔を伏せ気味に膝をかかえて地べたに座っている、♂ハンターだった。

出会ったときもどこか淋しげで、悲壮感すらただよわせていた彼だったが、今はそのときよりも酷い。

♀騎士は、先ほどの定時放送で耳にしたジルタスの名前が原因であろうと考えていた。
♂ハンターは、仲間であった仮面の女性が殺されたと口にしていた。
その女性がジルタスであったかどうかを判断する材料は、♀騎士にはない。
けれど♂ハンターの様子から、おそらくはそうなのだろうと推察した。
仲間だったものの死に放送が追い討ちをかければ、落ちこんでしまうのも無理のないことだと思った。

実際は違っていた。
いや、♂ハンターの殺された仲間がジルタスであるという点に間違いはないのだが、
あくまでもそれは彼が鬱々としている理由のほんの一端に過ぎず、大もとの理由は別にあった。
彼はGMジョーカーが宣告した♀アーチャーの死に心を痛めていたのである。

ミストレスが♀アーチャーの肉体を奪ったことは、他ならぬ彼が一番よく知っていた。
ただそれでも彼は、♀アーチャーが死んだとは思っていない。
♀アーチャーの肉体にはなんの損傷もない。ミストレスが♂ハンターを王子様と呼んだことから、記憶も消えたわけではない。
それなら彼女はミストレスという箱の中で、生きているはず。彼はさっきまでそう思っていた。

それをGMジョーカーは、♀アーチャーは死んだと判断したのだ。
♂ハンターは悔しさに顔を両手で覆い、唇をかみ締めながら体をわななかせた。
♀アーチャーを奪ったミストレスが、♀アーチャーを死んだと処理したGMジョーカーが、そしてなにより、なにもできない自分が許せなかった。
憤怒、憎悪、後悔の感情がぐるぐると、心の中をかき乱した。

さすがに見ていられなくなったのか、♀騎士が♂ハンターの肩にそっと手を置いた。
なぐさめることは余計なことかもしれなかったが、せめて話を聞こうと思ったのだ。
誰かに話すことで、まぎれるものもあるからだ。
こんなときに笑うことのできない自分というものが、彼女にはとても恨めしかった。

それでも♀騎士は、精いっぱいの笑顔を作ろうとした。
どこかいびつで、どこか憂いを含んだ表情ではあったが、今の彼女にできる最大限だった。
♂ハンターはその面持ちを見て、彼女もまた人には言うことのできない苦しみを抱えているのではないかと感じた。

ところが♀騎士は、いつまでたっても話を切り出そうとはしなかった。
♂ハンターの肩に手を乗せたまま、いじらしく彼の言葉を待ったのである。
先に声を発したのは、♂ハンターだった。

「なにも聞かないんだな」
「はい。でも話したくなったらいつでも聞かせてください。それで楽になることも、あるかもしれません」

心に傷を持っている人は、相手の心の傷にもまた敏感なのかもしれない。
このあたりが♂モンクと♀騎士の大きく違うところだった。
もっとも♂モンクは、ラッパーである自分の出る幕はないと判断したのか、声の届く範囲にはいたが、ただ踊っていた。
場にそぐわないことはなはだしかったが、とくに害もないので二人は♂モンクを放置した。

優しい沈黙だった。♂ハンターの機微に無理に触れようとするでもなく、おざなりにするわけでもない。
彼女の柔和な心が♂ハンターの心に、波立てず注がれているようだった。
惹かれあうなにかがあったのかもしれなかった。

やがて♂ハンターがふたたび、閉ざしていた口を開いた。これまでのいきさつを語ったのである。
その内容は、♀騎士、♂モンクの二人をひどく驚かせるものだった。
この島に羽虫の女王、ミストレスがいること。ミストレスは転生期だったこと。転生のための器が♀アーチャーだったこと。
そして、♀アーチャーはミストレスに肉体も、精神も奪われてしまったこと。
すべてを語り終えて、♂ハンターは声の調子を落とし、弱々しくこぼした。

「ほんとうのところ、自信がないんだ。たったひとりでなにができるんだろうとも思う。
 でも、それでも、助けたいって思うんだ」

♀騎士は彼のただよわせていた悲壮感、その根源を知った。
おそらく彼は、あきらめている。自分が生き抜くことも、彼女を取り戻すことも、できないと思っている。
そのことが、♀騎士には良くわかった。あきれるほどに自分と似ていた。

騎士として生きられなかった自分。ふたたび剣をにぎることもできない自分。生きることさえあきらめてしまいそうな、自分。
それでも死ねないのは何故か。♀騎士にもわからないことだった。
死ぬことが怖いから。それだけなのかもしれなかった。

「Hey, Hey, Boy? ユーは信じる? 彼女のHeart?」

突拍子のないラップのはじまりだった。何を思ったのか♂モンクが口を挟んできたのだ。
もちろん♂ハンターには♂モンクの言わんとすることがわからなかったが、♀騎士が通訳した。

「えっと、♂ハンターさんは♀アーチャーさんを助けられると信じているか? って言ってます」

♂ハンターは、表情を曇らせた。即答できないことも含めて、沈黙が答えだった。

「ファッキンBoy! ウェウェウェ、ウェイカップ!」

声とともに鈍い音がした。♂モンクが♂ハンターを殴り飛ばしたのだ。
頬に強烈な一発を食らった♂ハンターは体勢を崩して地面に手をつけた。
突然のことに、何をされたのかわからないといった表情をしていた。困惑が顔に出ていた。

♂モンクは一発だけでは済まさなかった。
へたり込んでいる♂ハンターの胸倉をつかみ上げると、さらにもう一発、右こぶしを叩きこんだ。
あまりのことに呆然としていた♀騎士は、我に返ったのか、あわてて♂モンクを止めようとした。
♂モンクはそれすらも振りほどいて♂ハンターを殴った。

三発目のこぶしもきれいに入ったところで、ゆらゆらと後退した♂ハンターは殴られた頬を押さえた。
手が触れた頬は、じんわり熱かった。

「どどどどうしたyou, guy, かもんかもん♪」

ラップの調子に乗せて、♂モンクは指で♂ハンターを誘った。かかってこいというわけである。
パニックになっていた♀騎士は、その仕種を見てようやく、♂モンクが手加減をしていることに気がついた。
よくよく考えれば、なんてことはない。♂モンクが本気でないことはあきらかだった。
なぜなら彼はあの阿修羅の技の遣い手である。本気で3回も殴りつけていれば、♂ハンターが立っていられるはずもないのだ。
それなら♂モンクはなぜ、♂ハンターを挑発したのだろう?
さっぱりの行動だった。
405名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/20(土) 01:09:44 ID:puMnbe22
♂モンクの猛攻が続いた。正確には彼は本気を出していないので猛攻とはいえないが、手を休めたりもしなかった。
さすがに♂ハンターも、いつまでも殴られっぱなしになるわけにはいかないと思ったのか、仕舞いこんでいた短剣に手を伸ばした。
プリンセスナイフ。彼女の遺品でもある。

けれど、♂ハンターはナイフを手にとらなかった。なんとなくではあったが、彼もまた♂モンクが全力でないことに気がついたのである。
♂モンクの意図はわからなかったが、それでもナイフを使うことはためらわれた。
しかたなく♂ハンターは自分もまた素手で戦うことにした。殴り合いなんていうのは随分と久しいことだった。
少しだけ、血が騒いだ。

♂ハンターは♂モンクの右ストレートが当たる瞬間に、左手で弾いて逸らした。
♂モンクが手加減をしていたせいもあり、集中力を向上させればこの程度は、たやすいことだった。

「さきにやったのは、そっちだからな!」

吼えてから右こぶしを、力いっぱい♂モンクの顔面に向けて放った。♂モンクは微動だにせず、そのこぶしを顔面で受け止めた。
こぶしが頬にめり込んで顔の形が変わっていたが、口端をつり上げ、不敵な笑みをこぼした。

「You got it now! それがmost大切なことだぜ、young guy♪」

歌って♂モンクはぐらりと地面に倒れた。どうやら♂ハンターの一撃は、わりと的確に真を捉えていたらしい。
♂ハンターは肩を上下に揺らしながら、ロッダフロッグのように伸びた♂モンクを見下ろした。
呼吸を落ち着けようとしたが、頭の中はさっぱり落ち着かなかった。
殴られた部分はズキズキと痛み、口の中は血でいっぱいだった。苦い味に顔をしかめた。

♂モンクのしたことは♂ハンターの理解できる範囲を大きく超えていた。
もしかすると♀騎士なら何かに気づいたかもしれない。そう思い、♂ハンターは♀騎士に期待の視線を送った。

♀騎士は目を大きく見開いて、肩を震わせていた。やはり何かに気がついているようである。
♂ハンターはふらふらになりながらも♀騎士に近づき、力ない声で聞いた。

「なぁ、♂モンクはなにがしたかったんだ? 本気出してなかったよな」

♀騎士はこくんと頷いた。けれどなかなか話をはじめなかった。
とりあえず立っているのも限界だったので、♂ハンターは腰をおろした。♀騎士にも座るよう促した。

♂ハンターは顔をゆがめていた。頬はしだいに腫れあがってきており、見るからに痛々しい。
けれど♀騎士はそんな♂ハンターを心配することもなく、ぼうっとしていた。
言葉を選んでいるのか、それとも別の理由があるのか。ともかく♂ハンターは♀騎士が何かを喋ってくれるのを待った。

しばらくが過ぎ、♂ハンターの顔がぱんぱんにふくれ上がった頃になってようやく、♀騎士がぽつりと洩らした。

「♂モンクさんが最後に言った言葉でわかりました。
 ♂モンクさんは、後ろ向きな気持ちのまま前に進もうとすることを止めたかったんだと思います」

怪訝な表情をする♂ハンターに、♀騎士は続けた。

「♂モンクさんの行動にこめられていた想いはこうです。
 やられっぱなしで立ち止まるな。今は迷うときじゃない。迷えば迷うだけ、失うものが───増えていく」

どうやったらあの殴り合い込みのラップからこんな意図が汲み取れるんだろうか?
♀騎士のラッパー通訳性能の高さに驚きながらも、♂ハンターは♀騎士の、いや、♂モンクの伝えたかったことを復唱した。

「立ち止まるな。迷うときじゃない。迷えば迷うだけ、失うものが───増えていく」

ふと♀騎士を見れば、彼女は瞳に涙をなみなみと浮かべていた。いまにもこぼれ落ちそうだった。
そして、案の定そのまま泣き崩れた。
♂ハンターはますますもって、混乱した。混乱のきわみだった。

しどろもどろになりながらも♀騎士をなだめて、♂ハンターは思った。やっぱり俺は不幸な星のもとに生まれたに違いないと。

 ◇ ◇ ◇
406名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/20(土) 01:11:56 ID:puMnbe22
♂モンクが気を取り戻したときも、♀騎士はまだ泣いていた。
それでもどうにか落ち着きはじめたのか、少しずつ話をしはじめた。♂モンクもさすがに大人しく座り、♂ハンターの横で彼女の話を聞いた。

「昔話ですけれど、聞いてください」

二人は無言でうなずいた。

「私は貴族の家に生まれました。下級貴族でしたけど、良い両親を持ちました。
 父は強くたくましい、騎士の鑑のような人で、母は美しく、とても気のきくやさしい人でした。
 どちらかと言えば父の背中を見て育ったので、騎士になる夢を持ったのですけれど」

♂ハンターも、♂モンクも自分たちが殴り合いをしたことはどこへやら、お互いの存在を忘れるほどに♀騎士の話に耳を傾けていた。

「そして私は夢をかなえました。父も母も、それはそれは喜んでくれました。だけど───」

わずかにためらいが見られ、そこから♀騎士の声音に暗い響きが混ざった。

「私は罪を犯しました。それも子供を母親ごと切って捨てるといった大罪を、です」

聞いていた二人は思わず息を呑んだ。彼女がそんなことをするようには、とても思えなかった。

「もちろん望んでしたことではありません。戦争でしたから、避けようがなかったのです。王国からの命でもありましたし。
 ですが、私が罪もない人を手にかけたということには変わりありません。殺したのは私です。私が自分の意志で、殺したのです」

♀騎士は、のどから絞り出すように声を出した。やっとのことで口にできたことだった。

「それからの私は剣をにぎることができなくなりました。耳を塞ぎ、目をそむけ、罪と向き合うこともせず、逃げ出したのです。
 私は自分が犯したことに、耐え切れませんでした。卑怯な私は剣がにぎれなくなることで、結果的に自分を守っていたのです」

怒り、憎しみ、そして後悔。おそろしいまでの自責の念が、今の彼女を作りあげていた。
♂モンクも、♂ハンターも、わずかに唸ることしかできなかった。

「♂モンクさんのさっきの言葉は、♂モンクさんが♂ハンターさんに伝えようとしたものです。ですが、私は───、
 私には───、その言葉がまるで私を突き刺すように聞こえたのです。
 迷うときじゃない。迷えば迷うだけ、失うものが増えていく。
 ♂モンクさんの真意を知ったとき、私は胸がはり裂けそうになりました。だって私は、ずっと迷い続けていたから。
 今までずっと、どこにも進めずに、後悔という池の底深くで傷が開かないように、じっとしていることしかできなかったから」

悲痛な叫びだった。どこまでも自分を苦しめる、懺悔だった。
♀騎士が悪いわけではない。そう言ったところでおそらく彼女には、なんのなぐさめにもならないだろう。
それに、彼女が罪のない人々を殺したということは、確固とした事実だった。
未来永劫消すことなどできない、事実だった。

「ごめんなさい。私が勝手に取り乱しただけなのに、話しこんだりして。つらいのは私だけじゃないのに」

涙をぽろぽろと落としながら、♀騎士はそう言った。
♂ハンターがそっと近づいて、指先で涙を優しくすくい取った。

「いいさ。つらいのが君だけじゃないのと同じように、俺だけがつらいわけでもないよ。きっとみんなつらいんだ。おんなじだよ。
 でも、ありがとう。俺は君の───、いや、君と♂モンクのおかげで目が覚めたよ」

♂ハンターが微笑した。顔は殴られたせいでお世辞にもきれいとは言えなかったけれど、やわらかな微笑みだった。

「俺は怖かったんだ。もう二度と♀アーチャーには会えないんじゃないかって。もう手遅れなんじゃないかって、怖かったんだ。
 だけど、怯えてる場合じゃないってことが、よくわかった。
 可能性はゼロかもしれない。それでも助けられるって信じて前に進むしか、ないってことなんだよな」

はっとして、♀騎士が♂ハンターを見た。彼の瞳には、いつのまにかあの悲壮感が消えていた。

「バカでも、なんでもいい。誰に笑われたってかまわない。俺は、俺にできることをやってみるよ。
 ♀アーチャーにもう一度会ったら、呼びかけるよ。何度だって呼びかける。彼女がミストレスに抑えこまれていたって、声が届くように。
 彼女はきっと、俺を待ってくれていると思うから。自惚れかもしれないけど、そう思うから。だから信じてやってみるよ」

♂ハンターは照れくさそうに頬を掻こうとした。
ところが自分の頬が腫れていることを忘れていたらしく、触れたことで痛みが走ったのか、ビクッとして手を放した。
♂ハンターは、はっきりとした口調で続けた。

「俺さ、彼女がどうしようもなく好きなんだ。どうしてももう一度、会いたいんだ。
 会って、気持ちを伝えて、抱きしめて、キスしたいんだ」

恥ずかしい台詞が怒涛のように口から出てくる♂ハンターに、♂モンクは開いた口が塞がらなかった。
それでも♂ハンターは真摯そのものだ。
そして♂ハンターの話を聞く♀騎士もまた、ひたすらにまっすぐな表情をしていた。
心を打たれたらしく、瞳などはふたたび潤んでいた。

♀騎士はまぶたを閉じた。

実際に♀騎士は、♂ハンターの変化に内面をはげしく揺さぶられていた。
彼女は思った。私は本当に騎士だったのだろうかと。
島の外でも逃げて逃げて、あげく島に送られ、それでも逃げて。自分はいったい何をしているのだろうと。

今までの自分は形だけの騎士に過ぎなかったのではないか?
職位としてだけの騎士。格好だけ騎士の姿をした、騎士とはとうてい呼べない人間だったのではないだろうか?

だとすれば騎士とは、なんなのだろう。
騎士として生きるというのは、どういうことなのだろう。

目の前の彼が、答えをくれた気がした。

騎士とは人そのものなのではないだろうか。そんな風に思った。
そうだとすれば、騎士になるために必要なものは剣の技術でもなければ、国への忠誠でもない。
必要なのは誇るべき魂。くじけそうになっても迷っても、あきらめずに前に進むことのできる不屈の闘志。
騎士とは彼のように、悔しさも悲しさも、そのすべてを受け止めて、力に変えることのできる人を指す言葉ではないだろうか。

♀騎士が憧れた騎士は、そんな人だった。だからこそ♀騎士はがむしゃらに、父の背中を追いかけたのだ。

目を開けた♀騎士は、昂ぶろうとする自分の感情を静めるように、息を吐き出した。
♂ハンターを見つめ、いままでにない力強い声で告げた。

「私にも♀アーチャーさんの救出を手伝わせてください」

♂ハンターはおどろきつつも、ていねいな口調で断った。

「それはダメだよ。君たちは君たちで、生きるために戦うべきだ。俺は俺のために行くんだから」

♀騎士が首を振る。

「私も同じです。私のために、あなたについていきたいのです」

強固な意志を持った瞳だった。

「死ぬかもしれないよ」
「たとえ死ぬにしても、私は騎士として死にたい。誇ることのできる魂を持った騎士として───そのために、どうか」

♀騎士は♂ハンターに頭を下げた。
そうまでされては♂ハンターも、彼女の意志をむげにすることはできなかった。
承諾して♂モンクを見やった

「俺たちゃ仲間、いつでも一緒さ。Don't worry, I love you guys♪」

♂ハンターは、あやうく泣き出すところだった。
いままでの自分は不幸だったけど、もしかしたら幸運をつかめるかもしれない。そんな気がした。
ラップなんて音楽には興味がなかったけれど、好きになれそうだと思った。

「ありがとう。俺は♀アーチャーを、必ず取り戻してみせるよ。どんなことがあっても必ず。必ずだ」
「なんだかお姫さまを助けにいく、王子さまみたいですね」

♀騎士の言葉に、♂ハンターはこう返した。

「当然だよ。だって俺は王子さまだから」

それを聞いて♀騎士は笑った。気がつけば自然に笑えていたのだ。そもそも笑顔とはそういうものである。
無理に笑おうとする必要など、どこにもなかったのだ。

♂ハンターの返しがよほど面白かったのか、♀騎士はくすくすと笑った。
その笑顔は、♂モンクも♂ハンターもいままでに見たことのない、愛らしい笑顔だった。まるで天使のような笑い顔だった。


<♂ハンター>
現在地:E-6
所持品:アーバレスト、ナイフ、プリンセスナイフ、大量の矢
外見:マジデフォ金髪
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ
状態:麻痺からそれなりに回復(本調子ではない) ミストレスと、ジルタスを殺したモンクを探すために動く。
  ♀アーチャーを救いたい


<♂モンク>
位置 :E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見 :アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊
備考 :ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷


<♀騎士>
位置 :E-6
所持品:S1シールド、錐
外見 :csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考 :殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えるように
407名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/20(土) 01:24:15 ID:puMnbe22
無駄に長くてごめんなさい。
♂ハンターが前向きになるまでを考えていたら、♀騎士も心変えさせたくなってしまい、結果として文章量が増えまくってしまいました。

それにしても♂モンクは、台詞が難しい。
408名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/20(土) 08:52:07 ID:hkDDPcUU
>声の届く範囲にはいたが、ただ踊っていた。
想像すると激ワロス
409名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/20(土) 10:10:23 ID:Jfd8QEec
gj、とても真面目な話でドキワクするのに所々で笑わされちまったぜ!
410名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/21(日) 03:24:17 ID:bt7ydxcc
ついに♀騎士微笑った〜〜
ありがとう、まっていたよ、GJ!
411名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/21(日) 15:55:27 ID:mWR0Vdk6
どうでもいいことだけど、登場人物あれこれ作ってくれてる某人。
髪形決まってないキャラの外見を暫定でも表示するのはどうかと思うよ。
そのイメージで固まっちゃうから。
決まってないキャラは、できたら表示をはずしてください。
412名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/21(日) 17:57:00 ID:2xXN.95M
>411
いわんとすることはわかるんだけど、
もうすこし柔らかい言い方をした方がいいと思う。
413名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/21(日) 22:37:47 ID:u1V6Tdcw
>>411
序盤はともかくここしばらく誰も外見を決めてないんですよね。
ですからむしろこのスレで確定してはいかがでしょ?
特に外見が決定されないまま死んだキャラはこれから先書かれることがないので、
消しただけではデータベースの作者さんも参考にする方も困るかと。
414名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/21(日) 23:58:23 ID:WSdM1HCM
私は設定ないキャラは基本デフォで考えてた。
絵描きさん的には設定あったほうがいいのかな?
でも自由に想像したいって人もいるかもしれないんだよね。
そろそろ次スレだし、そのへん話し合うにはちょうどいいかも。
415名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2006/05/22(月) 00:54:50 ID:MwLUeSmA
もうここまでで決まってないキャラはデフォってことで進めていいと思うけどなぁ
デフォ以外にしたいなら外見イメージだけ出してもらって早出しした人のイメージを優先してそのキャラの外見としてみるとか?
とりあえずあんまり一人で決めすぎるのもなんだろうしひとまず一人2限で、とか
416名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 00:57:22 ID:MwLUeSmA
ageじゃNEEEEEEEEEE!!!!orz
417名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 01:54:54 ID:gMbFsDFo
話をぶった切って。

|-゚)今ROわの紹介フラッシュを作ってます。
  実は初めてフラッシュを作るので試行錯誤して作ってるのですが、できあがったら持ってきてもいいですか?
  全部のキャラを入れようと思って、参加者50人+GM3人+女王+ファル+でびるち+子デザという膨大なファイル数と格闘中です
  特にミストレスと淫徒プリ!! お前ら二人分のファイルが必要で大変なんダヨ。・゚・(ノД`)・゚・。

で、作りかけの自分のファイルを見ると……
決まってないキャラで、デフォルト以外で表示してるのは下記キャラくらいかも。

淫徒プリ→♂時ポニテ ♀時ハイプリデフォ
ミストレス→♀剣士デフォロング
ハンター→ハイプリデフォ

後は、ほとんどデフォルト表示。
まだ手をつけてないキャラとかもあるけれど、たぶん決まってなければ自分の好み優先にしそうだなあ。
418名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 02:03:02 ID:nB8K1YCc
ルールに従った上で髪型を決定したいのであれば、
そのキャラの関わる話を書くときに描写すればいいわけであって、
それがないうちは無理に決めるべきではないと思う。

既に死亡している場合は……デフォにするのが妥当だと思うけど、
それでもどうしてもこれがいいという希望があるのなら、容姿の表現を含んだ番外を書いてもらうとか?
419名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 02:12:45 ID:pxQaaDao
決めるか決めないかわからないけど、とりあえず未決定のキャラを並べてみる。
参考はwikiの詳細情報とか(見落としあるかも)。髪の色とかが出てる人は表記しました。

♂ノビ、♂スパノビ
♂マジ(長髪、というかカイジ)、♀マジ(薄い褐色の、ボブっぽいショート)
♂アチャ、♀ハンタ、ダンサー
♀プリ、♀モンク
♂騎士(銀髪)
♂アサ、♀アサ、♂ローグ
♂BS、♀BS、♀ケミ
忍者、淫徒プリ(ロングのかつら)、ミストレス(紫の長い髪)

>>417
wktkして待ってる(*゚∀゚)
420名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 02:13:16 ID:481F6UrI
髪型・髪色をなにかの伏線に出来るかもしれないしね。
今無理にきめなくていいし、絵描きさんやらで外見を描写したい場合は
好きにやっちゃっていいんでない。勿論書き手さんはそれに引っ張られる必要はない。
と、思いながら勝手に描いてますよ。
死亡キャラも然り。

>>417
完成したら投下を…!
外見未設定なキャラは好きなのでいいと思いますよー
後から外見が設定されたら、FLASHを作り変えてしまえばよいかと。
421名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 02:19:18 ID:mjgpYLa6
私は髪の色とか瞳の色とか肌、その他風貌容姿を文章に書きたい派なんですけど、
いまさら勝手に決められても、みたいな意見が出てくるんじゃないかなとビクビクしてしまい、外見に関してはなるべくぼかして書くようにしています。

作品内で最初に書いた人に決定権があるのなら、今でも書いてかまわないはずなんですけど、
ここまで進んじゃうと、各人の頭の中にそれぞれのイメージができあがってるんじゃないかなと思うんですが、どうなんでしょうね。

ただ髪や瞳の色を出さないと書けないわけでもないので、どうしても決めないといけないようなシチュエーションでもない限りこのままでもいいかなと。
逆に必要なら書いて良いと思います。
422名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 02:31:48 ID:MwLUeSmA
ふと一つ思ったんだけど、絵だって一つのROワに関わる『作品』じゃない?
だから絵として書かれた外見イメージはそれをベースにしてもいいんじゃないかな?って思った
個人的には♂ローグとカイジの外見がまだ決まっていなかった事実にびっくり(某所の絵のイメージでもう固定されてたので)
423419sage :2006/05/22(月) 02:39:37 ID:pxQaaDao
案の定♀剣士見落としてた(´・ω・`)
424名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 07:21:35 ID:4fgUbIq2
応援所の人も考えてくれているみたいだし
未決定髪型キャラについてはこのあたりでやめにしてもいいんじゃない?

私は、想像力が貧困だから未決定キャラを考えるときは
ついつい保管所の絵と公式設定の姿が頭に浮かんじゃうけどね

それはそうとこれを見てくれ
ttp://aoi-depart.com/ragu.html

なんでROワ2の♀商人がフィギュア化されているのかと思ったら
アレと同じ髪型だったんだな…
425名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 07:26:05 ID:gMbFsDFo
>>419
アナザーで出てる分+文章中に出てる分を足すのと
以前髪型表を作ってくださった方がいた(http://b3.spline.tv/battleROyale/?command=GRPVIEW&num=51)ので
それを参考にしつつ憶測を並べてみます

♂ノビ
♂スパノビ
♂マジ(長髪、というかカイジ ということはチェイサーデフォのあのぼさぼさ?)
♀マジ(薄い褐色のボブっぽいショート 騎士デフォだろうか)
♂アチャ(髪の色、ピンクって文章が出てたはず。たぶん、アチャデフォ)
♀ハンタ(黄色って文章見た気がする)
ダンサー(ダンサーデフォルト。文章中にもあるみたい)
♀プリ
♀モンク
♂騎士(銀髪  たぶん、髪型ナンバー08)
♂アサ(銀色が砂漠の日差しに焼けて銀灰色らしい アナザーより。おそらくアサデフォ)
♀アサ
♂ローグ
♂BS
♀BS
♀ケミ
♀剣士
忍者
淫徒プリ(金髪ロングのかつら。文章中に表記あり)
ミストレス(紫の長い髪)
426名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 09:15:59 ID:kvTvR4.s
>>424
あのアニメかwそういやそうだな。

>>425
ご苦労様、でもピンクなのは♀アチャだと思いますぜ。
後GMジョーカーの髪型も決まってないような。
427名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 22:13:00 ID:WGQEEh3k
>>426
GMジョーカーはピエロの帽子を被ってるから髪型は見えないのかと思ってた。
…前にこのスレでURLの張られていたバードかクラウンの公式絵(確か壁紙サイズ)が原因に違いない
428名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/22(月) 23:16:38 ID:nxQiThYc
>>427
実はジョーカーのあれは帽子じゃなくて、ああいう髪型なのかもっ!

いやまあはっきりピエロ帽と書かれてますがw
429名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/23(火) 11:26:01 ID:CfFI2hzs
容姿な話題にねじこんで登場。
Wiki更新、>>383について作者の意思表示がされてないので214話は未回収です。

>>383さん
修正して欲しいとの声多数ですが、結局するのか?しないのか?が分かりません。
ついでに言うと自分としては 《妄想キャラ》 と 《脳みそ筋肉》 はまた別だと思います。
もしWikiで掲載後に修正される予定だったのでしたら、
1.目次から<214>をクリック→2.ページを作成→3.テキストエリアに214話を入力
→4.テキストエリアすぐ下の部分、チェックボックスのチェックを外して更新
とやってくだされば、後の整形はこちらでやりますので。
430383sage :2006/05/24(水) 00:17:48 ID:HTI0JlpE
ふむ、あの話では逆立ちの場面だけがいわゆる「脳筋」である
その上で「妄想キャラ」が是で「脳筋」が非であるのなら、あのシーンを直すだけで済む
もし「妄想キャラ」が非であるのなら、それはおそらく話を根本から変える変更になるので、その場合はNGとした方が無難な程の修正量となるね

私はあの♂ウィズとの戦闘シーンを若干修正したうえで、本編採用を考えたく
みなさんの意見を請う
431名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/24(水) 02:29:03 ID:Y/THmB0A
>>430
前の回とのテンションの違いも指摘されてましたね。
妄想・脳筋とかよりは熱血絶叫キャラとでもいいますか。
戦闘シーン全体のギャグっぷりと最初の絶叫テンション少し落してもらえれば
自分としては平気だと思います。

さらに自分の感じたところは
・妄想キャラは是!だがしかし>>383のプリはちょっといきすぎ感が。
 横島クンのハイテンション時が話の間中ずっと続いてる感じ。
 でもこれは戦闘シーンのノリのせいかもしれない。修正されれば平気かも。
・脳筋というかただの下品小学生かもしれないところも気になる(デビルチへのセリフとか)
・ついでに…♂プリが♀WIZを呼ぶときはさん付けの様子。
432名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/24(水) 04:37:11 ID:.jcms7Dk
>>430
>>431氏もおっしゃってますが、私も行き過ぎたハイテンション部分が修正されればいいんじゃないかなと。
具体的に言うとセリフがガキくさすぎちゃったりするところが一番気になります。
ついでにデビルチの口調も直して欲しいなと(・∀・)注文だらけでゴメンヨ。
433名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/24(水) 05:22:21 ID:cVhXxhA2
>>430
あるいはどうしてもあのテンションに持ち込みたい、
またはその部分を全部訂正すると時間が掛かりすぎると言うのであれば、
今までの比較的シリアスからああなるまでの変化を冒頭でもう少し書き込んでは?

具体的には6〜7行目
『息が切れる、足に感覚が無くなってくる。苦しい、痛い、何も考えられなくなる。
そんな♂プリの目に光が見える。大きく輝いたそれを見た後、そこは真っ白な世界になっていた。』
の辺りでだんだんハイになっていく感じをもう少し書くのと、
『周囲がシリアスで出せなかった部分が出た』という>>392での説明ですね。
今のままではいきなり別人になったようにも見えるので^^;
434名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/25(木) 19:13:22 ID:fIy8/clw
216.希望の灯火

 ♂シーフと♀商人は♂セージに、♂騎士の起こした惨劇を語る。
 その間に淫徒プリが♂アルケミの遺体はそのままにしておくのは……と血を彼自身のマントで拭い、簡易的ではあったものの弔いをした。

「ふむ……そんなことが……」

 話を全て聞き終わり、考えにふける♂セージ。

「……状況から判断するに……もしかすると、あのイグドラシルの実に何か仕掛けられていたのかもしれません」

 ♂セージの言葉に、一同は顔を見合わせる。

「元々、このゲームは制裁として殺し合いをさせるためのもの。それなのに回復剤……しかも強力な回復剤であるイグドラシルの実が、箱に入っていること自体不思議だったわけです。恐らく、恐慌状態か識別不能になりやすい薬か何かが入っていたのでしょう」
「そんな……」
「悪趣味なゲームですから、それぐらいしていてもおかしくないです。全く……気が付かずにいた私の落ち度です」

 ♂セージは深い溜息を付いた。

「♀WIZさんが目を覚ました時に同じ状況になる可能性があります。薬での恐慌状態か識別不能であるなら恐らくは解毒か、キュアーで治療できるのではないかと思いますが……効果が薄くなっている現状確実に治療できるかわかりませんがね」

 淫徒プリと♂シーフを見て、♂セージは頼んだ。

「ん……」
「……あ! ♀WIZさんの目が覚めたみたい」

 ♀商人が、♀WIZの側に座りこむ。
 ♀WIZは起き上がると、ぼーっとした表情で♀商人を見て周囲を見回した。

「……ここは……?」
「良かった、目が覚めたんですね。ここは、地図上ではD−6の地点です」

 ♂シーフが、地図を広げて見せる。
 地図上の赤い点はD−6地点を示していた。

「♀WIZさん、私達がわかりますか?」

 ♂セージがゆっくりと♀WIZに声をかけた。

「……?」

 ♀WIZが面食らったような表情を浮かべた。
 ♂セージが「やはり……」と言いかけたところで、♀WIZが口を開く。

「……何を言ってるんですか? ♂セージさんですよね? それから……♂シーフさんと♀商人さん。えと……そちらのプリーストの方は、見覚えが無いですけれど」
「ふむ……識別不能にはなっていないようですね……。とすると、私の仮定は間違っていましたか……」

 思わず♂セージは呟いた。
 だが、彼の仮定は間違ってはいない。実際にイグドラシルの実には仕掛けがあったのである。
 その量は一個摂取すれば効果を及ぼす量だったのだ。
 つまり、半分の量を摂取した場合は全く効果を及ぼさない。
 イグドラシルの実を半分の量で使用するなど全くの想定外だったのである。
 それが、♂騎士に如実に効果が現れたのは、GMたちが彼に仕掛けた薬の効果の相乗作用だったのだ。
 だが、当然♂セージはそんなことも露知らず、仮定は間違っていたのだと判断したのである。

「そういえば、♂プリさんと♂騎士さん……それに♂ケミさんはどうしたんでしょうか……?」

 見回したところで、人数が少ないことに気が付き、♀WIZはその形の良い眉をひそめた。

「♂プリさんは♂騎士さんを追いかけていきましたよ。♂ケミさんは……」

 ♂シーフの視線が、やや離れた場所に手を組んで仰向けに寝かせられた♂ケミの亡骸に行く。

「……え……?」


+ + + + + +


「それは……やりきれませんね」

 淫徒プリのヒールを受け覇気がやや戻った後、話を一通り聞き♀WIZは思わず呟いた。

「思いあう仲間同士が殺しあうなんて……悲しすぎるよ……」

 ♀商人が涙を目にいっぱい溜め、やっと搾り出すような口調でそれに続けた。

 ――――思いあう同士が殺しあう

 ふと、何故か♀WIZの脳裏に一組の男女の姿が浮かんだ。
 それは夢の一場面。
 腕の良い鍛冶師と彼に憧れる鍛冶師を目指す少女。
 二人を裂いたのは他ならぬ自分。鍛冶師に施した精神操作と改造によって。

(ごめんなさい……)

 それが平行世界の事実であれ、単なる夢であれ、胸が痛む。
 友情と愛情の違いはあれど、思いは同じ物であるはずだ。

 ♂ケミを殺してしまった♂騎士は、心を閉ざしながら狂気に走って行くのではないか。
 それはまるで、精神操作が解けかけても殺人者として走り続けたあの鍛冶師のように。

「……止めないといけませんね……こんな不毛なこと」

 目を伏せて溜息を♀WIZはついた。

(……セージとオーラWIZ、商人にシーフ……ですか)

 話を聞きながら、淫徒プリは♂セージから渡された聖書を月の光にかざしながら読んでいた。
 赤い口紅で書かれたそれは読みにくく、更に文字の上に書かれているため解読が困難だ。
 何とか読み取れたそれは、驚くべき内容だった。

(ふむ……うまくいけば生きて帰れるわけですね。これは……)

 聖書を読み終えると、淫徒プリは深く息を吐いた。
 この振動リンクは以前暇つぶしで読んでいた、あの新聞に連載されていた工務大臣の話とも繋がる。
 首輪に込められたエネルギーを吸収できれば、爆発で死ぬことはない。

 問題があるとするなら。

 それはこの場にはモンクが居ないということと、訓練砦と同じ装置が働いている間は少なくとも自分たちはGMに対して無力であると言うこと。

 淫徒プリは、この計画をGMに知らせれば自分は恩赦してもらえるのではないかとも一瞬考えた。
 しかし、すぐにその考えは打ち消した。
 なぜなら、そんな計画を知っている自分を果たしてGMは生きて返すか? ということである。

 答えは否。

 口封じに処分してしまう方が、今後のためにもいい。
 少なくとも、自分がGMの立場であれば間違いなくそうする。
 結果として、自分もこの計画には協力せざるを得ない。少なくとも、現状のままよりも生き残れる可能性があるのだから。

「ところで……私があなた方を裏切らないと言う保障はありませんよ?」

 パタンと聖書を閉じると、誰に言うわけでもなく淫徒プリは静かに呟いた。

「それは承知しています。ですが、少なくとも現状あなたは誰も殺していないでしょう? むしろ殺人者を避けようとしている。協力を仰ぐのは間違いではないはずです」

 ♂セージは、そう呟きに答えて地面に落ちている小枝を手に取る。

「最期に裏切ったとしても? 所詮、人間は最期は一人ではありませんか?」
「……人は一人で死んで行くわけじゃありません。何かを残したり、後に続くもののために死んで行くものだそうですよ」

 淫徒プリの言葉を♀WIZが否定した。
 その言葉に、淫徒プリは驚愕した。
 師の言葉そのままだったからだ。

「……大切な人が言っていた言葉で……受け売りでごめんなさい」

 微笑を浮かべた彼女の顔を淫徒プリは固まったまま見つめていた。


<淫徒プリ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
外見:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備考:策略家。Int>Dexの支援型
状態:軽度の火傷 師の言葉を思い出し少々センチ ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・♂セージと同行

<♂セージ>
位 置:D-6(丘の木立)
所 持:ソードブレイカー ♀WIZから借りたクローキングマフラー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
   ♀WIZ・♂シーフ・♀商人・淫徒プリと同行

<♂シーフ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:多めの食料
外 見:栗毛
備 考:ハイディング所持 ♀WIZ・♀商人・♂セージ・淫徒プリと同行 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♀商人>
現在地:D-6(丘の木立)
所 持:乳鉢いっぱい、店売りサーベル、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♀WIZ・♂シーフ・♂セージ・淫徒プリと同行
    ♂セージに少し特別な感情が……? ♂セージと会えて少し不安解消

<♀WIZ>
現在地:D-6(丘の木立)
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)  案内要員の鞄(DCカタール入) 島の秘密を書いた聖書 口紅
外 見:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 淫徒プリ・♂セージ・♂シーフ・♀商人と同行
状 態:容態は安定。ただし、全身の傷は傷跡として残る。
435名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/26(金) 01:23:57 ID:3sKsrIDY
>>434
なるほど、そうきましたか。
思わずニヤリとさせられましたよ。
436名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/26(金) 01:41:03 ID:2Ll2RnMI
>>434
未亡人がついに目覚めた(*´∀`)
識別異常になってないのは意外だったけども。
淫徒プリの師匠って……そうだったのか。うん、予想外の展開だw

500KB超えたし、そろそろ次スレかな?
437434sage :2006/05/26(金) 06:41:56 ID:s4vqGy/c
投稿する時に寝ぼけていたようで……
ナンバーが間違っています_| ̄|○

>434
219.希望の灯火

でお願いします_| ̄|○
438名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/26(金) 21:36:06 ID:GjjuOmUU
>>436
今回の事で、イグ実に操作をしていないのなら他の箱からのアイテムも手を入れてはいないはず、とりあえずは安心できる…
と誤解して何か起こっちゃう展開が待ってるんですよきっと…どきどき。

これからモンク二名と合流できるのやら。
439名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/05/27(土) 17:43:00 ID:vxjdxssI
>>438
♂セージの仮定は
**♀Wizには当てはまらなかったけど、♂騎士には当てはまっているので
イグ実になにか仕掛けられている、かもしれないが♀Wizは何故か何事もないようだ。
仮定は間違っていたのかと思いつつも、♂騎士には明らかに変化が見られているので、**
彼ほどの頭なら、100%平気とは考えず警戒は強めるのではないでしょうかっ
440名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/27(土) 18:42:26 ID:/BQaIIKA
そこまで見抜く可能性もあるし、
彼も常に完璧に洞察ができるわけではないということで誤解しているかもしれない
すべては(続きを書く)神のみぞ知る
441名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/28(日) 19:01:34 ID:S6hb/fHc
そろそろ次スレの季節の予感
442名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 06:57:22 ID:PwS8auMU
あと8KBか、作品投下するにはちと少なそうだね
新スレ立ててこっちは雑談で埋める?
443名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 12:08:20 ID:6QZOjyQA
それがいいと思う

というわけで>>444新スレよろしく!
444名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 13:19:36 ID:yKHlxjzA
九冊目
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1148962367/

新スレ立てたよー ひねりのないタイトルですまない。
というわけで作品投下は新スレにてお願いします。
コッチは埋め立てませう。
445名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 21:49:24 ID:ergMAP6I
?「バトルROワイアル恒例……あの世だよ全員集合2の時間です」(棒読み)
?「こ、殺されちゃった負け犬さんも、惜しくも死んだ英雄さんもっ! 血まみれの殺人鬼さんまで皆和気藹々と語りましょう」(自棄気味)
?「司会進行は……影が薄いままヘルファイアで貫かれて焼かれて殺された私……♀セージ(以下サゲ子)と」(棒読み)
?「どうやら前世がらみがありそうだったのに殺人者側になった最初のヘルファイアの持ち主の♀剣士(以下剣士子)がお送りいたしまーすっ♪」(自棄)

 ++++++

 ちなみにこの場所はあの世といわれる場所らしい。
 ユグドラシル根源に広がるフヴェルゲルミルの泉を源とするエリヴァーガル川を挟んであの世とこの世がつながる場所だ。

サゲ子「……というか。何なんだ。この台本は」

 思わず、持っている台本を地面に叩きつける♀セージ。

剣士子「まあまあ。本来ならカプラさん用の台本らしいので、私達向けじゃないのです」

 もう、ヤケになっているので怖いものがない♀剣士。

サゲ子「ところで。死ぬと精神操作は解けるようだな、♀剣士よ」
剣士子「ええ。ここでは呪いを受けても呪いとして効果を出しませんから。いたって普通にしゃべれるようです」
サゲ子「ほう……それはなかなか面白い。精密に検査を……」

 ジリジリと近寄る♀セージから、やはりジリジリと♀剣士は後退しながら

剣士子「コホン……そ、それじゃ。始まりですー」

 カメラ(どこ?)に向かって、スマイルを浮かべて逃げに走ったのだった。

 ++++++

剣士子「とりあえず、最初は私からですか」
サゲ子「そのようだな。死んだ順番で回ることになっているらしいが」
剣士子「で、何を言えと?」
サゲ子「読者からの手紙が届いてるわけだが……それについて答えてもらおう」

『ヘルファイアの使い心地はどうでしたか?』(16歳男性剣士)

剣士子「……意外と普通の質問なんですね。身構えちゃいましたよ」
サゲ子「変な質問ばかりなら、私が読み上げたくないので安心しろ」
剣士子「えっと、使い心地は覚えてません。精神壊れてましたしー。むしろ、あの特性アンティペイメントが全ての元凶だと思うのですがどうでしょうか」

『あなたは、前世は誰だったの? まさか♀プリ?!』(28歳女性モンク)

剣士子「それは、神のみぞ知るだと思うのです」
サゲ子「あいまいだからな。あくまでも」

『エターナル一次職にはあこがれませんか? 剣士スカート萌ぇ』(36歳男性エタノビ)

剣士子「なんか、別の意味で魔法使いみたいな人から質問が……」
サゲ子「最後の部分に心の叫びを感じたので取り上げてみた」
剣士子「変な質問ないって言ったのに……まあ質問内容は変じゃないけど……興味は全くないです。騎士になりたかったんだもの」

 ++++++

サゲ子「次は、私だな」
剣士子「そうですね。やっぱり、読者から手紙が届いてますので答えてもらいまーす」
サゲ子「といっても、二通しかないではないか」
剣士子「やっぱり、影が薄いせいじゃないでしょーか」

『整形前の写真が見てみたいです』(19歳男性アルケミスト)

サゲ子「やはり来たか……」
剣士子「私も気になります。どんな顔だったんですか? 今はすっごい美人ですけど」
サゲ子「……見て驚かないように」(そっと写真を見せる)
剣士子「!? ちょ、これは放送できません!!! 編集さん、カットしてー!」(涙目で訴える)
サゲ子「だから、言ったのだ」

『裏切られて……とても可愛そうでした。僕が守ってあげたい!』(24歳男性クラウン)

剣士子「外見からして王子様からの告白ですね。イケメンなクラウンの写真が入っていたし」
サゲ子「ちょっとまて。心の準備が……」
剣士子「ただ、この人は歓楽街でホストとして働いてるみたいです」
サゲ子「……」

 ++++++

剣士子「次は……バードさんですね」
サゲ子「グラリスとの激戦の漢だな」

 ユグドラシルの根の元で、ボーっとした表情で川岸を眺めているバード。

剣士子「あ、いたいた。こんにちはー」
バード「お、やっと来た。[あの世だよ全員集合]でげすね」
サゲ子「わかってるようで助かる。では、ちゃっちゃと進めようか」
剣士子「読者からのお手紙が届いてますので(ry」

『最後出血死だったのが残念です。それなら、グラリスと相打ちして欲しかったな』(17歳女性アーチャー)

バード「出血死でも、死に様は凛としていたはずでげす」
剣士子「さり気に死ぬこと前提での意見ですね」
サゲ子「さり気に酷いな。内容的に」

『過去話が泣けました……でも、どうせなら、もっと酷い虐めを受けていてもらった方が過去的にもステキです』(21歳女性プリースト)

剣士子「これもさり気に酷いですね」
サゲ子「でも、他の手紙もさり気に酷いのばかりだったようだが」
剣士子「とりあえず、残りの手紙は置いて行きますので読んでくださいねー」
サゲ子「次に行こう」

バード(俺のファンて……こんなのばっかりなのか……)

 ++++++

剣士子「次はー……工務大臣さん?」
サゲ子「この島を作った元凶だな」

 体育座りで、川面に石を投げる寂しそうな背中の工務大臣。

剣士子「こんにちはー、工務大臣さん」
工務大臣「な、な、なんだっ」(まだ怯えてる)
サゲ子「早速だが読者からの手紙が(ry」

『人妻の味はどうでしたか?』(32歳男性ローグ)

剣士子「ちなみにこの質問は、ほぼ同じ内容で手紙の大半を占めます」
サゲ子「す、ストレートだな……」
工務大臣「おぼえてなどいるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
剣士子「まあ、そんな物ですよね。アルコールで酔いつぶれていたわけですし」
サゲ子「下手すると、寝てすらいないかもな」
工務大臣「Σ(゚Д゚)」
剣士子「じゃ、次行ききましょう」

 ++++++

サゲ子「次は、♀クルセイダーだな」
剣士子「♂ケミさんを守っての死でしたねぇ」
サゲ子「死にフラグというものを立てていたから、それに違わぬ死に様だったな」

 川原に並ぶ二人の姿……♂ケミと♀クルセ。

剣士子「ちょっと……これは、まずくないですか?」
サゲ子「声をかけづらいな。今回はやめておくか」

 突然♀クルセが泣きながら、♂ケミを殴る。

剣士子「痴話げんかですか?」
サゲ子「どうやら、♂騎士に♀クルセがやきもち焼いているようだ」
剣士子「あー、どうみても薔薇な雰囲気でしたからね」
サゲ子「ああ泣きながら、♀クルセが走っていく」
剣士子「あ、♂ケミさんが追いかけていきますよ」
サゲ子「仲直りできると思うか?」
剣士子「サア?」

 ++++++

剣士子「気を取り直して、次は♂BSさんですが」
サゲ子「見当たらないが……どうしたものか」
剣士子「他の人先に行きますか」

 木陰で眠る♂アコライトと膝枕しているジルタス。

剣士子「……いましたけど、これもまた声かけづらい」
サゲ子「幸せそうだから、ほっといてやろう」

 ++++++

剣士子「あ、♂アサシンさんがいます」
サゲ子「♀ノービスもそばにいる見たいだな」

 短剣の使い方を♀ノービスに教えている♂アサシン。

剣士子「こんにちは、ロリコンアサさん」
サゲ子「ごきげんよう、ロリアサ」
♂アサ「だから、ロリコンじゃないとっ」
♀ノビ「説得力ないですよー」
♂アサ「……」
剣士子「まあ、読者からのお手紙が届いてますので(ry」

『単刀直入に。♀WIZのことは今でも忘れられませんか?』(25歳女性チェイサー)

♂アサ「……これ、答えないとだめなのか?」
サゲ子「ノーコメントも可能だが」
♀ノビ(ジーっと♂アサを見つめる)
♂アサ「じゃあ、ノーコメントで」
剣士子「じゃあ、次のお手紙」

『♀アサとの関係をkwskお聞きしたいです』(30歳男性アサシン)

♂アサ「……これも答えないとだめなのか?」
サゲ子「ノーコメントも可能だが」
♀ノビ(ジーっと♂アサを見つめる)
♂アサ「じゃあ、ノーコメントで」
剣士子「じゃあ、次のお手紙」

『結局は、ロリコンだよね? ♀ノビ迎えに来てたし』(12歳女性ノビ)

♂アサ「だから、ロリコンじゃないと何度言ったらっ」
サゲ子「まあ、ずっと言われ続けるな」
剣士子「運命です。残念でしたっ♪」
♀ノビ(ジーっと♂アサを見つめる)

♂アサ「俺は、ロリコンじゃなーーーーーーいっっっっっっ」(エコーがかる)

 ++++++

剣士子「と、そろそろ時間がなくなってきました」
サゲ子「では、残りの人物はまた後でインタビューしよう」

剣士子&サゲ子「では、皆様ごきげんよう」
446名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/30(火) 21:51:27 ID:ergMAP6I
いうわけで、埋め立てあの世だよ全員集合でしたっ
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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