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【お子チャマは進入禁止】みんなで創る18禁小説Ragnarok ♀×♀ 第4巻【百合】

1名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 23:21:32 ID:vCU9QxKU
このスレは、各スレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない、
萌えでなおかつえちぃ描写の含まれる自作小説の発表の場です。
・ リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してます。
・ このスレでの『えちぃ』基準は、「手淫」(オナーニ)だとか「目合い」(セクース)だとかのレベルです。
・ どのジャンルの文神様でも大歓迎!書いてて百合になった小説は是非こちらへご投稿ください。
・ あえて許容範囲を大きくしてあります。読者様もおおらかな気持ちで受け入れてください。

▼小説内容に関して
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・ ♀×♀の絡みをメインに据えた小説でお願いいたします。
・ 特殊ジャンルは苦手な人もいるということを考慮してやってください。
・ 話の流れ上どうしても必要なら主人公を殺すのもアリとします。ただし描写はソフトに美しく!
・ 話の流れ上どうしても必要なら♂との絡みが入ってもOKとします。ただしあくまでも百合がメインで!
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▼リレールール
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・ リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
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※ 読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようご協力をお願いいたします。
※ 文神様を拒絶・萎えさせるような発言はご遠慮くださいますようお願いいたします。


前スレ「http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1106844767/l50
保管庫「http://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php
♂×♀スレ「http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1134766236/l50
2名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/01/04(水) 23:21:52 ID:vCU9QxKU
とりあえず
3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 05:21:20 ID:/ew.4KCk
新スレ立て乙です
4名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/14(土) 07:16:11 ID:Xe6U8NsY
今さら4get

旧スレで良いもの見つけた、ごちそうさま。
5前スレ407sage :2006/01/23(月) 22:10:12 ID:aKeqCUkk
すみません、やっと復帰できたので、新スレ第一号に続きをはっときます。
6レーニャとチェリム (2)sage :2006/01/23(月) 22:21:36 ID:aKeqCUkk
彼女と旅を始めた時のこと、鮮烈に覚えている。
私はいつものようにアルベルタで亀の島に向かう船を待っていた。気を練り、気を爆裂させ、内部から破壊する、修道士(モンク)が生涯学びつづけるべき基礎を、私は飽きもせずむしろ楽しんで続けていた。
アルベルタには休憩にのみ訪れ、あとは延々と亀の住む洞窟にこもり、甲羅の内側を撃つ。
いつしかチャンピオンと認められてもなお、私はその戦いをつづけていた。
アルベルタに週一回おとずれる、蚤の市の日。
いつも以上ににぎやかな一面を見せている。でも私はまるでそのような環境には無縁に、夜の帳があたりを覆い、安らかな時を求めてアルベルタに宿をとっていた。
私の身はお湯の中で一切の緊張を解きほぐして、安穏の湯気と温熱に至福を得ていた。
いつまで続くかしれない、いつかは退かなければいけない、そんな日々。
感慨にふけり、湯船に顎を沈めながら、ぼうっとさまざまな抽象を思い巡らせる。なんで戦っているんだろう。なんのために修行しているんだろう。なんのために、強くなろうとしているんだろう。
いくら考えても堂々巡りなのに、それを考えてしまう性(さが)は、一生私に付きまとうのかもしれなかった。
そう、その循環した思考に浸る私の孤独に割ってはいる足音がぴちゃぴちゃとした。
思えば、ここは大衆浴場。宿に備えついているのはシャワーだけで、こういう広い湯船を持ってはいない。好きでここにいる、というのもある。
でも、本当は自分が見られるのが恥ずかしいけれど、同性愛の女に生まれてよかったと心から思うひとときを得られる。
気に入った女性のあられもない姿を、公然と観察できるから。
でもそのときばかりは何かが全然ちがった。
頭にタオルを巻いてアップにあげた髪以外に、布を巻くことすらしないなりの少女。
友達だとおもわれる少女が2人、どちらも申し分くらいにタオルを手にたずさえて体を縮めているのに、彼女だけは恥じらいすらなくその身をさらしてた。
大きくないけれど、つんと主張してる先端を映えさせるに十分な乳房。手にさわったらさぞなめらか。手に揉んだらさぞ張りのあるやわらかさ。
見た目細身なのにけして肉付きは甘くなくて、腰のくびれは驚くほど明確だった。自然と揺らめくお尻に、手をなでたらどんなふうに思うだろう?
整えられて、申し分程度にそろう陰毛に包まれるような、彼女の大事な部分。
愛らしさと艶かしさを兼ね備えてる。
そう、すごく、可愛い。それに、きれい。
でも、じっと見ているのは怪しまれそうで、私はすぐ目をそむけて湯船に体ごと深く浸かる。沈ませる顎は唇すら隠した。
「あはは、それでね、彼ね」
聞こえてくる話し声は、やはり異性のこと。この声の主は誰なんだろう。
きっと、あの近くにいた女の子の誰かだ、うん。
「えー、また別れちゃったの〜?」
「違うよ〜、彼は好きとかそういうんじゃなかっただけなの」
「ひどーい、彼かっこよかったのにー」
「え〜、そうかなぁ? でも、結構いいのもってたよ。うん、女泣かせタイプのいい素質ある男だったな」
「信じられない、それなら別にキープしてもいいんじゃないの?」
「ん〜、なんとなく合わなかったんだ。いくらうまくても相性ってあるでしょ」
「そういうもんかなぁ。はぁ、私の彼氏あんまりうまくしてくれないからなぁ」
「そういうときは女もがんばんなくちゃ。ねぇ、してもらうときってえっちな気分になってる?」
「そんなのわかんないよ……あなたじゃないんだし」
「じゃあ教えてあげてごらんよ。自分のここがかんじますよーって感じにさ、ほら」
「やだー恥ずかしくてできない〜」
私も恥ずかしい。
こんな誰が聞くともわかんないような場所で大声でする会話じゃないでしょうが。
それに、私としては一秒でも聞いていたくない話題。男とするなんて別にどうだっていい。
一生関わらない話だろうし……ね。
「”私、こうやって胸を上に寄せてあげるように揉んでもらうと感じるの……あ、すごい、上手”とか、”乳首いじるときは、周りをなぞってときたまはじいてみて……”とかね」
「どーしてそんなこと平気でいえるかねぇ」
「慣れだよ、慣れ」
う、あ。
なんてことを。
胸を寄せて、上げて、揉む。
それが本当に気持ちよさ倍増なのかはわからないけれど、不思議と彼女が話す言葉がもつ力は、私の想像以上に惹き付けられるものがあって。
気がつくと湯船から体を持ち上げられなくなっていた。
限界をとうに越えていたのだと思う。
彼女らが取り留めの無い話をやめて湯船を見たとき、私は浴槽に鼻血をたらした状態であお向けに打ち上げられたようになっていた。
7レーニャとチェリム (3)sage :2006/01/23(月) 22:24:28 ID:aKeqCUkk
「だいじょーぶ?」
「ん……」
私は脱衣所の近くの、風通しのよい場所に仰向けになっていた。気を失って倒れていたところを、彼女ら3人が助けてくれたらしい。
「う、ん?」
「あ、気がついた」
「ここは……」
「びっくりしちゃったよ。のぼせたの?」
「え、ああ、うん……」
それしか言えなかった。
口を開くのも重いほど、頭の中がまだ空の状態だった。
「そっかぁ。うん、いくら気持ちよくても眠っちゃダメだよ」
別の方向で解釈してしまっていたらしい。普通はそうなんだろうけれど。
「別に、私は……いえ、何でもない。運んでくれてありがとう」
素直にお礼を言う。彼女は恩人だ。
「別にいいよ〜」
私の裸身の上には簡単にバスタオルが乗せられているだけだったけれど、熱を持ちすぎた体にはこの時折流れる風が心地よくて、私は目を閉じて、脇や、太ももへの流れに感じ入っていた。
私をここまで運んでくれたということは、私の何から何まで全部見られた、ってことだよね?
別に女同士だからいいか、という妥協と、やだ、じゃあ見られていた? というとまどいとが交錯して、それをどう処理するか悩んでいた。
「はぁ、胸おっきいな……いいなぁ。揉むと大きくなるなんて嘘だよね。私いっぱい揉んで貰ってるのに全然おっきくないし」
「ねー、大丈夫そう?」
「あ、うん、今気がついたところだよ」
枕もとで話し掛けている少女は、さっき隠さず裸をさらしてた子だ。今は浴衣だと思うけれど、ラフな衣装を身に着けてる。
そのゆるやかな布地からこぼれて見える、首筋、鎖骨に、胸元。流線型は理想の美のような曲線で、見入っても見入っても飽きなかった。
彼女に呼ばれた友達二人が、私の枕もとに寄って来る。
「あれ、この人聖堂で見たことある」
そのうちの一人が私を見るなり反応した。
多分、彼氏持ちの人かな。声が似てる。
「ほんとだ。あれ、チェリムは知らない?」
「うん、私初めて見るよ」
いつの間にそんなに有名人になっているんだろう。
「誰なの?」
「女好き(がーるずらばー)のレーニャさん」
……。
私は一切の将来を、心ないチェリムの友達に奪われてしまったような気がした。そういうこと知られるのがどんなに辛くて苦しいかわかる? 無神経っ。
「え〜、そうなの〜?」
「本当は違うと思うんだけど、女同士でキスしてたの見た人がいて、そのひとりがこのレーニャさんだったんだって」
デマ。
確かそういう話はあったけれど、私はキスしてなんかいない。私とそのこの二人で物置に荷物運んでいたとき、振り向いた彼女が足もつれて転びそうになって、支えたときの私と彼女の顔の位置が、丁度後ろから見るとキスしたみたいに見えて、それを見た誰かがそういう二つ名つけてくれたのよ。
……まあ、そのこが好みだったらうれしかったんだけど、ちょっとね。
女性を好きになるのは本当のことだったけれど、話したく無いことを言わされたようで傷ついた。
彼女は、冤罪キスのもう一人の当事者はもっと傷ついた。同じように女好き(がーるずらばー)っていわれてショックで、聖堂やめて田舎に帰ったんだ。
じきにその名前も下火になっていったんだけど、あのこがどうしてもかわいそう。
でも、あのあと残された私にレズレズ言って、陰湿にいじめるやつが出てきた挙句、聖堂から同性愛者であることを理由に私はあちらに突き放されてしまったんだ。
あのときが一番、辛かった。
多分、人と接するときにある程度距離を置くようになったのも、あのころからだ。触るか触らないか、けして深く入り込まないように、そう思うことで、自分を擁護してきた。
「ちがうよ〜、そういう言いがかりつけちゃだめだよ。えっと、レーニャさん、っていうんだよね?」
「そう……レーニャ」
「レーニャさん、私はチェリム。友達がひどいこといってごめんね」
「あー、チェリムいいこぶりー」
「そんなんじゃないよ〜」
私の頭もだいぶ楽になってきた。体起こしても多分平気。
「ありがとうチェリム。でも私は平気だから」
頭を起こして、チェリムを見つめる。
……すぐ目をそらしてしまった。
真っ直ぐなんてとても見られなかった。またのぼせてしまいそうなほど、心拍が高鳴って頭がぼうっとしてきて、顔がとても熱かった。
「そんなぁ、それじゃあレーニャさんかわいそー」
「いい。大丈夫だから。ねぇ、彼女を許してあげて」
なんだかほうっておくとチェリムが友達に見放されてしまうのではと思って、口添えすることにした。
手でタオルを抑えながらで、あまりしまりのよい姿とはいえないけれど。
私の申し出を二人ともしぶしぶながら承諾するように、うなずいてくれた。
とてもうれしい。
チェリムを守れたことがうれしかった。
なぜそうしたか、なぜチェリムをかばったか。
あのときにはもう、どうしようもないほど彼女に恋焦がれていたんだ。
8レーニャとチェリム (4)sage :2006/01/23(月) 22:29:02 ID:aKeqCUkk
だから彼女が他の男に腰を振るのは胸が焼け焦げそうなほどに辛いんだ。
それなのにチェリムは男に抱かれる。
今だって息絶え絶えに何度も気をやってる。
チェリムが男好きだってことは、あのお風呂場の会話の中心がチェリムであったことからすぐに知った。
ノンケのごく普通の女の子で、だいぶ股の間への男の侵入を許す度合いが甘いこ。
彼女の目はうつろに上の空を仰いでいて、今にも意識を飛ばしてしまいそう。
なんであんなに気持ちよさそうにしてるんだろう、あんなふうにくわえ込んで……。
やだやだ、見てたら何言われるかわからない。
ユグドラシルの幹を包む夜の闇の中に開けた焚き火の残り火の向こう側で、毛布に包まってうつぶせに突っ伏して眠ってる私の様子を見計らってか、チェリムが男二人と濡れ場を作ってしまった。
こんな夜更けに草を刈りにくる旅人もおらず、ここにいるのは私たちだけ。
だからって。
私が寝たらえっちするって、本当に節操なし。
最初はまあ、チェリムがよさそうなのを見ていてどきどきしたけど、起きていると気がつかれて、よもや「興奮してるの〜? レーニャさんもまざる〜?」なんて聞かれた日にはもう、逃れられない。
そりゃ、ね、奥の手までいかなくても、指弾や発勁連打すればあの二人撃退できるだろうけど、せっかく仲間としてパーティ組んでるのにそれはだめでしょう、やっぱり。
私はあえて寝返りを撃って後ろを向くことで見てないふりをした。
モロバレだと思うんだけど、深く考えないことにする。
でも。
「ぁん、い、い、あ、あぁ、ぁぁ、イク、いきそうっ、いっぱい、きて、きてぇっ!!」
仕上げとばかりに、男性二人に挟まれて前後を嬲られ、声も絶え絶えにねだるチェリム。
別に男とやってる場面なんかで興奮なんかしない。
してるのは……チェリムの艶のついた悶え喘ぐ声に。
あぁ、ぅぅ、ちぇりむ、そんな声聞かせないで、私のほうがおかしくなりそう。
でも、鎮めようとあそこに指伸ばしたら、絶対巻き込まれる。耐えないと、耐えないと……。
その晩の私は、2時間と睡眠をとることが出来ず、収まらない自分の秘内の疼きを堪えたまま朝を迎えることになった。

目が重い。
体も冴えない。
気をちゃんと練れるか心配だ。
そういった心配をしている私をよそに、すっきり元気一杯でいるうさ耳プリーストの少女。
「レーニャさん、今日はがんばろーねっ」
闇に沈んだ秘境の村をひたすら奥へと進む私たちの、今日の始まりを告げるかのような清々しさで私に話し掛けたチェリムは、先頭をペコを繰って歩く騎士のワクーレク、後ろを守る私とアサシンのグラビットに守られるように真ん中にいる。
時折襲ってくる黄泉の住人を難なく蹴散らしながら、ひたすら一番奥を目指し、午後までに私たちは目的地に到着。
いよいよ本格的に立ち向かうことになる。気を引き締めて歩む中で、さっそく出くわすことになる血塗られた怪人。前方からの襲撃、グラビットがその包丁にも似た巨大な刃をやりすごしながら、聖水の加護を受けたジュルで応戦している。相手の腕もけしてなめたものではなくて、グラビットの迅速な攻め手も難なくやり過ごしているようだった。
体内にめぐらせた気を、大きく吐き出すつもりで私はやつの懐にもぐりこむ。刹那にも反応できるかということなど杞憂、私の掌は、怪人の腹部に届いた。
「はぁっ!!」
息を爆裂に見立てて吐き出す。
掌から暴ぜた気が、怪人の腹部から私の手に突き返すような衝撃を受け、これを止めてさらに撃つ。
さんざん、亀の甲羅を打ち貫いてきた発勁は、ダマスカスの刃すらもたやすくはじくような硬質の肌もまったく意に介すことなく、怪人の口元からだらしなく血液が雪崩落ち、追い討ちに発勁を幾度か入れると、力の抜けた怪人は正面に倒れ伏した。
再び、体内の気を集めなおす。
「ひゅう、やるねぇ」
グラビットの感嘆も、私にはいつものことをしただけであまり実感がわかない。いつもはチェリムがこれでもかというほど騒いで私のこと誉めるんだ。
眠りは浅いけれど、体はいつものことを繰り返すだけでなんとかなりそうな感じだ。
「そうだよ〜レーニャさんは砦狙いのギルドからいっぱいお誘いあるんだから」
ブラッディマーダー倒しただけでやけに緊張がほぐれているように思えたけれど、チェリムの口調は余計に緊張感に薄い。いつものことだけれど、このチェリムに心から助けられてる。
「へぇ。俺も早くアサクロになりたいよ」
「……よた話はあとだ。次くるぞ」
「へいへい」
別にそういうつもりはないがまあしかたないとでも言わんばかりに、寡黙なワクーレクの指す指先に現れる樹木に人骨を下げたような魔物、闇が人形に乗り移ったような魔物、幽霊そのもの、それから……
私は掌を合わせて気を練りこむ。
ジビットは私が気づくより早くにグラビットのジュルの閃きの渦に巻き込まれ、ハイローゾイストはワクーレクのプロボックに寄せられて彼と交戦。幽霊そのものはすでにチェリムの癒しの奇跡に消されて。
私が相手するのはその奥から、三日月に乗って現れた幼い闇の少女か。
そのまま練った気をぶつけたものの、三日月をちょっとのけぞらせるくらいにしか効いていないか。
私は手に巨大を倒すために特化したチェインを携えて、三日月の少女との間合いを詰めた。

結果は上々。
プロンテラの公園で、私たちは戦利品を広げていた。
黒猫の人形やエルニウムなどの貴重品は山分けし、あとは換金して配分することに。
「レーニャってすごいよなぁ。ロリルリ3体来ても平気であしらってるし」
「別にすごくない。グラビットはもっと早いうちにできるようになる」
誉められてちょっと照れ隠し。
石畳の上に下地を敷いて座りながら、穏やかな日差しの中での雑談、か。
「謙遜すんなって。俺としては、チェリムよりかはレーニャのほうがいいんだけどな。こいつは逆らしいけど」
「……そんなこといっていない」
「嘘つけ。昨日チェリムと寝ていたくせに」
「していない」
「はいはいはい、けんかはめー、だよ」
この変なテンションはなんなんだろう。
気候がお互いのゆとりにつながるような、安穏としたものだからだろうか。
何気なく流れる、清算の流れの中で。
「そんなお堅いこというなよ。昨日はあんなに乱れていたくせにさ」
「やん、日の出てるときの外はだめだよぉ」
グラビットが、チェリムの肩に体を寄せて抱きついてる。何を求めようとしているか、肌でチェリムは感じ取ったらしくて、振りほどいてグラビットの両肩を押して退けたのだけれど。
「じゃあこれから宿屋の部屋でまたしよーぜ。な」
「うん……いいよねレーニャさん」
「いいよねって……まあ、いいか。チェリムをよろしく。でもちゃんと大事にしなかったら、分かっているよな」
「わかってるって、そんなににらむなって。ワクーもくるだろ?」
「ああ」
「じゃあ決まりだ、4人で楽しくいこう」
よ、にん……
ちょっと話の流れを思い返してみる。
”うん……いいよねレーニャさん”
”いいよねって……まあ、いいか”
”じゃあ決まりだ。4人でた”
そこまでで十分だった。
とんでもないミスをしていたことに気づく。話の流れがいつの間にか、私まで加わっての4人プレイになっている。
あくまで私の想定だけれど、グラビットが誘う->チェリムが受ける->チェリムにいいよね? と断りを入れられる->承諾する->チェリムの誘いに応じたものと解釈したグラビットが都合よく話を進めた。
……いやだ。
巻き込まれる前に避難する。
私は残像だけその場に余韻として、姿をくらました。
9レーニャとチェリム (5)sage :2006/01/23(月) 22:30:41 ID:aKeqCUkk
「で結局逃げてきちゃったのね」
話を聞いてもらって、うなずく私。
露店に備え付けた簡易の作業机で、私から今引き取ったエルニウム結晶を、指で押してぐりぐりと転がしているのは、私がよく利用してるエルやオリの買取業者のブラックスミス。青いショートカットを綺麗に切り分けた、きりっとした目が余計にひきたつ麗人。まだ年は18前後だと思うけれど、若い容姿に見合わずしっかり者。
「そうなの。なんでかな? 本当に男とはだめなの?」
「当たり前。私はチェリムに恋してる」
「やっぱりレズってそういうもんなのかねぇ。よくわからないけど、本当に男はだめ?」
「だめだ」
彼女の名前はホーミラっていった。
ホーミラもチェリムと同じノンケだけれど、私の趣味ちゃんと理解して真剣に悩んでくれる。一歩間違うと彼女にも気を持ってしまいそうなほどかわいいけど、そんな不誠実は絶対嫌。
「そっかぁ。いい男の知り合いいっぱいいて、レーニャくらい美人なら誰かと絶対上手くいきそうだったんだけどなぁ。みんな毒男だしさ、まあ彼女いない歴とか生まれた時からって人でもいい人けっこういるのよ?」
「そんなことは別にどうでもいい」
「はぁ、つれないつれない。もうお姉さんはお手上げですわ」
「そうか……じゃあまた品物入ったら来る」
「あう。もちょっとお話していかない? せめて次のお客様くるまでさぁ」
「悪いけどあんまり時間ないんだ」
「そう〜? 狩りの帰りで体は空いてるんじゃないの?」
なんでか、自分によい方向にもってこようとすると途端に屁理屈多くなる人だった。
しかも、私がどうしても避けられないような心境に追い込んでくれる。
今回だって。
「う……しかたないな」
「はい、じゃあもちょっと付き合って。っていうか、最初に話付き合わせたのあなたじゃん」
「そーでしたね。すみませんでした」
「そーそー、素直なのはよいこと。でさ、でさ、チェリムとはまだ何にも無いわけ?」
結局彼女のペースに飲まれたわけだけど。
「ああ……一緒にお風呂とか、何度かあったくらいだけど、そんなの女同士だったから」
なんか、プライベートを掘り下げられているような。
「ふうん。じゃあキスとかペッティングとかもまだまだなんだねぇ」
「あのね、私とチェリムは狩りの相方、部屋一緒だったりするけど、一定の距離を保ってやってる。だいたいそういうので関係壊したくない」
「怖いの? レーニャらしくもない」
揚げ足をとられた。
「らしくないって、これが私の恋への態度なんだって」
「そんなんじゃあ、いつまでたっても先に進めないよ。……実際、彼女とえっちしたいよね?」
「……それは、まあ、うん、いつも思う……」
しかもなんで正直にこんなこと言わないといけないんだ。
私、馬鹿がつくほど正直者なのかも。
「じゃあめちゃくちゃ溜まってるんじゃん。だったらその毒抜かなくちゃ、どこかで破裂して襲っちゃうって。いい方法、教えてあげる」
私は己の正直さを心から呪った。だから、ホーミラの入れ知恵は半分くらいしか真剣に聞かなかった。


ベッドに突っ伏してる私。
ホーミラに話してかえって疲れてしまった。
いろいろ相談に乗ってもらおうと思ったのに、聞けばもう私のできる範囲を越えたことばかり。
あんなこと、チェリムにできるわけない。やったらたぶん、恋破れる。
そう、絶対そうってわかりきってるのに、ホーミラがあのとき話した行為のひとつひとつは、具体的に私がこれから取るべき行動を指し示してくれていて、それらひとつひとつがとても魅力的なことばかり。
……やってみようかな。
そう、心に決めてみると、緊張からか、それとも期待からか、はては体が性に高ぶるからか、鼓動が強く早く私の耳に伝わってくるのがわかる。
柔らかなシーツに顔を沈める。
やりたい。やりたくてたまらない。
そう……チェリムとえっちしたくてたまらない。
「ただいま〜」
部屋に、チェリムが帰ってきて強く心臓が跳ねた。
「おかえり」
顔だけチェリムのほうに向ける。きっと今の今まであの二人に抱かれていたんだと思う。
ダブルにベッドを取っているこの部屋で、私がうつぶせになってるもう片方に、チェリムが近づいて腰をおろす。
「はぅ、あの二人タフだよ〜3回戦とか4回戦とかよくだよ……しばらく腰立たなかった」
よくいってくれる。私が今どんな気でチェリムに接そうとしてるかも知らずに。
その言葉尻は落ち込むどころかむしろ喜んでいて、浮かれ具合が手にとるようにわかる。よほどよくしてもらったんだろう、相当声が上ずっている。
「でもさぁ、私が失神したと思ってひどいこというんだ、レーニャさんとしてみたいって。レーニャさんってほら、男の人とそういう関係になるのすごく嫌いじゃない? レーニャさんが嫌がるようなこと私したくないし、絶対だめっていったんだけどね」
「もしかして、近くに来てる?」
なんだかそんな悪い予感がすることをさらっていってのけてくれたチェリムのほうに私は顔を向けた。
「ん? ううん、いないよ。ただそんなこといってたから、レーニャさん気をつけたほうが……あ、でもレーニャさんくらい強ければ別に大丈夫かな」
「あの二人結構腕たつほうだ。私ひとりで二人はきつい」
「ふええ、そうかなぁ。ペア組んで長いけど、レーニャさんくらいしっくりきて強い人いなかったなぁ」
この上ない微笑みを浮かべているチェリムは、私の癒されない心に明かりを照らしてくれる天使のようだった。
私はこの天使の羽をむしり落としたいのか。
……むしってやりたい。チェリムは、私の気などお構いなしに男といちゃつき体重ねてるんだ。
……だめ。チェリムは私なんかなのにとても優しくしてくれた人。そんなひどいことできない。
うさ耳がチェリムの歩く振動で揺れる。体に密着する法衣が、チェリムの幼く見える細身を強調するようにまとわりついてる。
心臓が高鳴って仕方なくなっていた。チェリムが好きなのは可愛いとかえっちさの隙だらけだとかそういうだけじゃない。底抜けに優しいんだ。
チェリムの姿を真正面に見られるように、私はゆっくり体を起こす。
「チェリム、私はそんな強い女じゃない」
「謙遜は、やー、なの。レーニャさんはとっても凛々しくて、かっこよくて、強いんだ」
「かいかぶりだって」
「いつもありがとうね、レーニャさん」
「え、え」
突然お礼を突きつけられて、私は返答にとまどった。
それがチェリムとの誉め謙遜ループにケリをつけるための切り返しと気づくのにそれほど時間はかからなかったが、チェリムは私のベッドのほうにお尻を下ろして、すぐ近くに息遣いを感じられるほどに顔を寄せてきた。
「ねーレーニャさん、どうすれば胸大きくなるのかな」
む、ね。
もう顔の火照りが止められなくなっていた。むねという単語に対して私の体が異常に熱を持って、ばくばくと強く脈動する心臓の音がチェリムにまで聞こえているのではとすら思うほどになっていた。
「男ってみんな大きなおっぱい好きなんだもん。乳首にあそこ擦らせながら扱いたげても、やっぱ挟んでもらえるほうがいいとか言われたことあるし。はぁぁ、その点絶対レーニャさんの胸って男の人のイカせるまで挟めそう。うらやましいな」
話の内容は虫唾が走る嫌悪のものだったけれど、まるで自分の胸をチェリムに揉んでもらっているような錯覚にもう自分の頭の中の大半が真っ白なもやに包まれてしまっていた。
「チェリム……」
「でもそんなこといっちゃだめだよね。レーニャさんだっておっきなおっぱいで苦労してそうだし。チャンプみたいに動きが激しい職業だといろいろ大変だよね」
サラシとか巻くのは胸が大きすぎてムリだったりしたっけ。
はぁ、いろいろ気がついてやっぱりチェリムは優しい。
って、これってチャンスじゃない? ホーミラ、あのときこういっていた。

”胸とかのおさわりなんてスキンシップみたいなものよ。そこをがばーっといっちゃったらどう? えっち好きな子なら、感じさせてあげればいくとこいけるんじゃない?”
10レーニャとチェリム (6)sage :2006/01/23(月) 22:34:36 ID:aKeqCUkk
チェリムがうらやましがってる胸を触ってもらって、代わりにチェリムの胸を私が揉む。
で、そこからチェリムを……ああして、こうして。
妄想はもう、彼女を気遣うというレベルをとうにこえていた。
……天使の羽をむしりとることにした。
「女同士で揉みあえばいい。そうすればじきに大きくなる」
「え、え? そうなの?」
「私がそうだから」
ありえないほど馬鹿なでまかせを言ってると分かっていた。でも、さんざん私をその気にさせたチェリムが、いけないんだ。
「う〜ん……」
「触ってみて、ほら」
ちょっと悩みがちなチェリムの手を取ってやや強引にその掌に私の乳房を触れさせた。
勢いにひしゃげた柔肉は、胸筋の延長の弾力ですぐに元通りになり、私の乳房はチェリムの掌を布地越しに感じてた。
「う、わ、レーニャさんなにを」
思い切り当惑したチェリムの体が安定するように、私はチェリムのすぐ隣に自分のお尻を移動した。
「私の胸大きい?」
いうまでもないことだ。チェリムの掌は私の乳房を半分くらいしか覆っていなかった。
「うん……見る以上に大きいな」
掌がゆっくりと撫でられる。私の乳房に淡いくすぐったさが流れる。
「あ、はっ」
「ほんとに女同士だと大きくなるの?」
そういえば、そんな主旨だったっけ。でももういいや。
私はチェリムと肩がぶつかり合うほどに近づいた。
「ああ。私もチェリムの胸大きくしてあげる」
胸のことを相談なんかするから、いけないんだ。
私は、罪も無いチェリムのせいにして、彼女の乳房に手を伸ばし、体を覆ってる薄紫の法衣の上から、掌を覆いかぶせた。
悩むほどチェリムの胸は小さくないかもしれない、けれど、見たとおりの小ぶりにあった乳房だった。
「や、だ、だめだよレーニャさん、私こういうのやっぱり」
「じゃあ胸小さいままで馬鹿にされてていいのか? そのままだと後悔絶対する」
「あうあうあうあうあう」
チェリムは対処の方法に迷い、私の肩を左手で押す。でもその力はか細く弱くて、私を突き放すには程遠い。
「チェリム可愛い……私の胸のがチェリムのだったらきっともっと仲良かった」
「いいよぉ、レーニャさん私こんなつもりでいったんじゃないの、だからいいのに〜」
「遠慮しないで好意は受け取っておくものだ」
やんわりと手に握力を込める。
思う以上に彼女の胸はやわらかくて、指先が簡単にチェリムの乳房に沈む。
揉むと、癖になりそうな弾力で応えてくれた。
「も、もんでるよぉ、ほんとにいいの、そんなにもまれたら、あ、ぅ」
「チェリムの胸柔らかいよ。私のと違う。なぁ、私のも揉んでいいから……」
「うぅぅ、はぅぅ」
上気した息を吐くチェリムの、その上気した頬に顔を近づけた。
彼女の息が顔に吹きかかってる。直にその湿りを感じて、私は今のこの状況に陶酔してる。
だんだん、チェリムの息に悦の声がくぐもってきた。
「やぁ、もう、いいからぁ、レーニャさん、感じちゃうってば」
「いいんだ。感じるくらいやらないとだめなんだから」
止められてやめる気なんか毛頭ない。こんな機会、めったにないから。
彼女と真っ直ぐ目の合う位置に、至近距離で見つめ合えるように、チェリムの肩を抱いて寄せ、しきりに乳房を弄んだ。
もう、チェリムは目も潤んでて、性感に頭を支配されかけているってすぐにわかる。自分勝手に進めるなんてひどいかもしれないけど、でもいつもチェリムの腰や首筋や、その柔らかな唇を見てると、たまらなく欲しくなってたんだ。
そのたびに……。

私はチェリムの唇に自分のを重ね合わせた。

「んんっ!!?」
やや冷えて湿った、滑らかな唇をしてた。押し付けるとすぐに、私の頭の中にも心地よい甘味がとろけ出してきた。
「ん……」
淡く、距離を測るようなキスを続ける。舌を、入れずに、ただ優しく彼女に何かを伝えるように。
閉じた目の奥に、この官能の行き着く先の先までが延々と流れてるみたい。
このまま、その結末までいってみたい。
本当に念願が叶うときがきた歓喜に酔い、そのままベッドにチェリムを寝かせるように体を翻した。性感に脱力したチェリムが、静かに横たわる。
ゆっくり、唇を離す。
「チェリム……」
「や、だ、だめだよ、レーニャさんに襲われて抜け出せるわけ無いよ……」
「私が、チェリムを? 別に、本当にやめてもいいんだけどな」
襲う、といわれて、正直気が引けてしまった。
よほど恐怖感を与えるような責めを私はしていたのか。いや、私とチェリムの腕力差を比べてのことか。絶対嫌とつっぱねるのか、それとも性感を高めるための拒絶なのか。
たぶんと思って、私はチェリムの乳房を解放してやった。
両手を押して身を起こし、いつでもチェリムが抜け出せるように膝立ちに彼女をまたいだ。
「あ……」
赤い顔を私からそむけて、膝をきゅっと閉じて何かを堪えようとしていた。
身を縮こませて、深呼吸して。
……ちょっと早かったかな。
チェリムの唇を、指でなぞってやる。人差し指を、中央から、端へすべらせる。
「っ……はぁ」
「こんな唇しちゃって。こんなにほっぺた真っ赤にしちゃって」
もう片方の手で、チェリムの乳房を撫でる。
法衣の布地の上からなのに、掌に突起のようなものを感じる。
「それに、乳首こんなに勃ってるよ」
「いわないで、ちがうの、これはその、あの」
「なんで? 何がちがうんだ?」
突起だけ、指先で押しやる。
「んはぁぁぁんっ!」
チェリムの声が甘さだけを吐き出した。
「チェリム感じてるんだ。えっちチェリム。女同士なのに」
「そ、そんなこといわないでよぉ、ひどいよぉ」
「ふうん、ひどい、なんてよくいえたもんだ」
「な、なんで?」
「……やっぱ今はいいや」
ワンピースの法衣の、うなじのボタンを手早くすべて外す。たぐりよせるように肩口をはだけさせ、私の股の下をくぐらせるように法衣の布地を送り、上下の下着をあらわにした。
純白で、質素なブラに、まるで小さな女の子が穿くようなレースとリボンのついたパンティ。
チェリムは確か、勝負用下着とか持ってるって話聞かない。男遊びはよくするくせに、そういうところだけまじめなのか。それとも知らない、だけかな。
「い、いやぁぁぁっ」
「胸大きくするならもっと感じなくちゃだめだ。私がそれを教えてやる」
「そ、そんなの、何も服脱がせなくても」
「服脱いだほうがいっぱい気持ちよくなれるだろ」
「ふええええん」
私と、正反対。
だから私チェリムと気が合って、もう半年もけんか一つ無くやってきたんだよな。
でももう、だめかもしれない。抑え利きそうに無いんだ。
無造作にチェリムの胸をブラの布地の上から揉みしだく。寄せて、あげるように、けして強すぎず、まったりと。
「はぅぅ、ああ、あぁぅ」
「チェリムのおっぱい揉むのきもちいい。癖になりそう」
「レーニャ、さぁんっ、ああん、はぁあん」
もうチェリムの声からは抵抗が感じられない。声だけじゃなく、体もまぐろに力抜いちゃってる。
胸を揉みながらチェリムと唇重ねる。
チェリムの暖かいのいっぱい感じたいと、すぐに舌を伸ばして唇をつついた。すべすべで荒れ一つないチェリムの唇をなぞってく。端、中央、また端へ。
「んん、ふぅ、んん」
「ん……チェリムの唇とキスすると頭がとろけるんだ……いつまででもしてたい……んっ」
唇への語りかけを押し込むように、重ねた唇へ舌を割り込ませた。
最初もなにもなく、チェリムは深い接吻を受け入れるように、唇で私の舌をはさみこんだ。私の舌先が、彼女にちろちろと舐め撫でられる。
私のほうで何かが始動する。痺れるような陶酔が脳内を支配する。
唇の裏を舐めようと伸ばした舌、掌だけで撫で倒す、チェリムの乳首。チェリムが、私の舌に自分の舌をからめてきた。
……思えばこれ、私のファーストキスだった。
はぁ、なんて官能的なファーストキスなんだろう。
チェリムが応じるようになった、そのことだけで燃えたぎる何かを猛らせて、チェリムをさらに制してしまいたくなってた。
11レーニャとチェリム (7)sage :2006/01/23(月) 22:37:37 ID:aKeqCUkk
両手を、チェリムのブラの布地の下へ、すべらせる。
生の、チェリムの肌、生の、チェリムの胸に、乳房に、乳首に触るんだ。
張り付くような、なめらかできめ細かい、チェリムの乳房への直な愛撫は、親指と人差し指の間に乳首をはさみこむように、始める。
指を沈ませるとおもしろいようにやわらかく弾む。
指の間になった乳首が、踊らされるようにくねった。
「はぁん、あん、ああん、あぁん」
唇に吹きかけるようにチェリムの声が吐き出された。
「そういえば、チェリムってどうすれば胸感じるんだ?」
ふと、私は初めてチェリムに出会ったときの会話を思い出した。知っているけど、地獄耳と思われるのはいやだ。
「あぁぁん、そんなの関係ない、よぉ。はぁ、触られると、きもち、いいもん……ナマで触られたらもう変になっちゃうよ」
「へぇ、変になるんだ」
「や、やだ、もう揉まなくていい、の、揉んだら、わ、私、わたしぃ」
思うような返答が返ってこなくてなんだかちょっと気分悪くて、チェリムに逆らって半ば乱暴に乳房を揉み揺らした。
「うぁぁぁぁっ!!」
首を横に振るチェリムの声が、ややうめくようなくぐもりを含む。なんだか、なにか我慢しているみたい。
「そんなに堪えなくてもよくしてやる」
乱雑に動かす手を、優しく寄せて持ち上げる。
形を面白いように変えて、私の手にしがみついて離したくないように、なめらかな肌が吸い付いてくる。
「ふあぁん、れー、ニャ、さぁんっ」
「聞いてることに答えて欲しい。でないとわからない」
弾力に任せて位置を戻し、またたくし上げ、また戻す。
「はぅぅん、はぁ、あぁん」
チェリムは全然答えてくれない。だからといって、乳房への愛撫をやめたくない。
「答えろ。チェリム」
「あぁ、はぁ、はひ、いま、れーにゃさん、がしているように、してぇ」
「しているように? こうか?」
いじわるだな、と自覚しても、それを甘受してる自分をそのままに、チェリムの乳房を思い切り握力のままに握った。
「いっ、あ、いた、いたい、ち、ちがう、それ痛いのっ」
「ん〜、じゃあこう?」
ひねくれ者じゃないか? と自問しても、ホーミラが”ちょっといじわるしたほうがいいよ”といってたのを自答にして、指をかぶせるようにただすべらしてやった。
「ひぁ、ひ、ち、ちが、はぅぅ、それも違うの」
「チェリム、だったら私にわかるように説明して」
「うぅぅ……寄せて、上げるようにしてもらうといいの」
「よせてあげる? こう?」
言われるままに寄せてあげるように、チェリムの胸をまとめる。
でも、思い切り乳房の柔らかみを押しつぶすように体重をかけてやった。
「おも、い……ちがうのぉ」
「寄せて上げてる。ちがうのか? 違う違うばっかりでどうすればいいかわからない。ちゃんと私の手を取って説明してくれないか」
わざといらだった振りをした。
チェリムがやや困ったようなふうで私に横目で視線を向けると、私の手を掴んだ。
説明できるように、乳房の圧迫を解放すると、チェリムは私の手を誘導し、私がさんざんチェリムにしていた動き、寄せて、上げて、弾力のまま戻すように動かす。
「こうやって、胸を上に寄せてあげるように、揉んでほしいの……はぁん」
招かれるままに、手の動きを再現していく。
「よくできました。チェリム」
ちょっと苛めすぎた。
良心が痛い。もっと優しくしてやりたくて、チェリムに唇を重ねた。
ゆっくり、またゆっくりと動きを弱めながら、また大きく手を回す。
チェリムが次第に、次第にその理性を失っていくような、大きく深い吐息をしはじめる。
唇を離して、私は胸を攻めたまま、チェリムの唇を舌先でなぞった。
「はぁぁあ、あああん、やぁぁ、胸だけじゃ、やぁ」
「だめだ。胸でまずイカないと大きくならない」
「やぁ、いいの、もう胸大きくは、いいからぁ、もう欲しい、の」
……欲しい、といった。
チェリムは私の首の根を抱いたまま、しきりに不自由な下半身を揺さぶっていた。
「ふうん、誰の何が欲しいんだ?」
「れー、にゃ、さぁん、グラビか、ワクー、ううん、男の人なら誰でもいいから呼びたい……いれて、もらいたいの」
いれて、もらいたい。
チェリムはそういって、私の手の動きを振りほどこうとしていた。
自分の想像をはるかに上回るほどに感じ高ぶらせているチェリムが、なぜそんなことを口走ったのか、予測がつかない。
そんなにあそこにぶちこまれたいのか。
私がどんな思いして、いつもチェリムがえっちされてるさまを見てきているのかも知らずにしゃーしゃーと言ってくれるものだ。
「嫌だ。私自身もいやだけれど、なにより男が入ると胸大きくならない」
「あぁん、ほんとにもう胸はいいからぁ、ほしいの、ほしいのぉ」
なんだかものすごく腹が立った。
心ここにあらず、私を突っぱねてまで、そんなに男との交歓が欲しいのか。
どんなにしてやっても私が男に及べない無力感なんかよりも、チェリムにそんなものが必要ないくらい感じさせてやるという、経験のけの字もない私にはあまりにも無謀な考えが、私自身の中で強く主張していた。
胸を大きくするという大義名分がもう、存在を小さく縮めてきていた。それどころか、胸を大きくすることは手段でしかなかったんだ。
私はチェリムの下の下着、パンティに手をすべらせると、けしてその量少なくない秘毛の先に、指を伸ばした。生暖かな、しめった感覚が触れて、ぬめりがその中を支配していた。
なんとなく馬乗りのままだとやりにくかったから、私は彼女の上から降りて、チェリムを横から抱きかかえて上体を起こした。
「あ……」
「チェリムのここ洪水になってる」
「はぅ、あんなにレーニャさんがよくするからだよぉ。ねぇ、もうもどかしいことはいやぁ」
すべらせる中指が、チェリムの秘壷の入り口をなぞった。指先が、潤沢な愛液にすべる。
指に液をからめるように、チェリムの襞をこねるように弄び、私は彼女の耳に口を押し当てた。
抱きしめる手を長く伸ばして、脇の下からチェリムの胸を揉む。
「ひぁあ、耳、だめぇ」
耳、私も攻められたらどうにかなっちゃいそう。
「チェリムは耳も感じるんだぁ」
あえて初めて知ったふりをした。
「だって、そこ、一番弱いとこだよぉ」
「そうなんだ、じゃあもっと攻めてやる」
耳たぶに下を這わせる。弾力のある耳組織が、私の舌先に淡く抵抗してる。
耳の、表面に見える全ての場所にゆっくり舌を這わせながら、乳房を撫で、そして、指先をチェリムの花芯に擦らせた。
「ひ、っ、ああああんっ!!」
その、一斉の攻めにチェリムの体が強くこわばったようになった。
「ん?」
「ぁうぁう、いっきにされたからイッちゃったよぉ。レーニャさぁん、もう、だいじょうぶだからぁ」
大丈夫という言葉は、今の私には届かなかった。
12レーニャとチェリム (8)sage :2006/01/23(月) 22:38:06 ID:aKeqCUkk
半端に中指と薬指でチェリムの蜜口を撫でながら、耳に語りかけた。耳まで、チェリムは赤く染めていた。その赤味を味わうように、唇に含み、舐めた。
そのたびにチェリムの声は上ずって、幾度も体をこわばらせては私の腕の中に力なく身をあずける。
一度、イクようになってしまった体への責めは、際限なく彼女をオーガズムに貶めていた。
秘部をなぞらせる指を、ためらうことなくチェリムの中に押し込んでいく。
「うぁ……」
思わず声が出てしまうような、未知の領域だった。
指先を強烈にチェリムが圧迫する。粘液が私の指にまとわりついて、粘膜が私の指を押し出そうとうねってる。
ゆっくり、奥のほうに押し進めてみる。圧迫は思うほど抵抗にならず、わりとあっさり指二本を最奥に届かせてくれた。
「はぁ、あ……」
「チェリムの中、熱くてぬるぬるしてる……」
「違うよぉ、なんで、アソコに、れーにゃさ……はううんっ」
中で指を曲げてちょっと指を動かしたのに対して反応した。どのあたりが感じるんだろう。本当は自分で試せばいいんだけど、まだ処女を破りたくない。半ばエゴにも聞こえるような理由を押し込むような気持ちで、私は指先をぐりぐりとチェリム内に押し付け、回す。
「あ、はぁ、はあん、あん」
動かせば動かすほど、チェリムの中からとめどなく愛液があふれ出る。私が自分でしたときなど比較にならないかもしれないくらい、秘部の周りが浸るように思えるほどに。
「チェリムよさそう……こんなに濡らしてさ」
「よく、ないよぉ、だって、こんな、はぁんっ」
「チェリムは、ここにどれだけたくさんの男のを入れたんだ?」
「はぁ、そ、そんな、の、ああっ」
耳元で問いかけながら、私はぐいぐいと最奥を押し上げる。奥を奥を突くとなお私の指に膣内がはりつきまとわりついてくる。
「いっぱい男をよくしてあげたんだろう? ここで、あの赤黒いのをさ」
「はぁ、そう、だけ、そうだけ、どぉ、あぁ」
「そうだけど、何?」
耳たぶに甘く噛み付いた。
「ひぁああああんっ!!」
チェリムがまた、体を強くこわばらせる。
「チェリムの中って気持ちいいんだろうな。あの二人に限らず、パーティーに男さそっては私が寝るの見計らってしてたの、私知ってた。あなたの中って、よほど具合がいいんだって、あなたを抱いた男がいってたな」
「あ、あっ、やあ、もう、ゆびじゃ、ゆびじゃぁ……」
私の言葉が耳に届いているんだろうか。
オーガズムに飲まれたチェリムの頭に、私の言葉は断片とも残っていないように思えた。
「嫌だ。私の気も知らないで、私の寝静まるの見計らって、よくしゃあしゃあと男と結合してるよな」
「どお、して……どおして、だめ、だめなの? はぁ、わたし、が、私が誰と、しても、いい、で、はぁ、しょお」
何とか言葉をつむぎ出してるチェリムの中を指先でこねまわし、かき混ぜるように回してやった。
不自然にひしゃげ、捻じ曲がる内部が余計にチェリムを悦に硬化させてた。
「やぁ、レーニャさん、もう、もうやめてぇ」
「あなたが、あなたが男としてるの知ってから、あなたが男誘ってしてるの考えるだけで、心が焼けそうなんだ。どんなにだめって思ったって、止められないんだよ」
「そん、なぁ、そんなこと、やぁ、はぁぁ」
なんかもう、半ばやけになってた。
どうせ逃げ出せないなら、突っ走ってしまうしかない。いずれはいうつもりだった言葉だ。
「チェリムを愛してる。私、同じ女のあなたに恋してるんだ」
「れー、にゃ、さ……い、あ、あ」
言った言葉をかき消したくなるような居座りの悪さを、激しく手を突き動かすことでごまかそうとした。
指を強く強く突き上げられ、ポルチオを振るわされたチェリムの声が、上ずり詰まってきていた。
「イキそうなんだ? あんなに男じゃないとだめみたいだったのに」
「ち、ちが、ちがぁ、はあ、あ、だめ、イク、イキ、そう……」
チェリムが一番高いところにイクところを見てみたい。
思い切り私の腕で体をしならせるところを見てみたい。
「いっちゃえ」
二本の指で彼女の奥、子宮を叩きながら、空いてる手で、ずっと責めずにおいたチェリムの乳首を摘んだ。
「ひあああああああっ!!!」
耳をつんざきそうなチェリムの声が響いて、身をよじらせしならせて、力なく私に寄りかかる。
荒れたチェリムの甘い息が、しばらく収まることはなかった。

チェリムのアソコの愛液を拭ってから、服をちゃんと着せてあげた。
もっとチェリムにいろいろしたくなっていたけれど、今のぐったりとした彼女を見るとその気も起きない。
ぴったりの法衣にまた包まれて、チェリムはベッドの上で未だに気を失い痺れたように体を痙攣させていた。
私は何をやっていたんだろうと思い返したが、もうすべては終わってしまったことだ。
……チェリムと交わった。
私は、このあどけない天使の羽を、一枚残らずむしり取った。
チェリムが未だに余韻の中にいるのを見る。
彼女が他の男に抱かれるのを寛容に見られなくて、取り返しのつかないことを押し付け、押し通して、私は。
部屋を飛び出して、廊下からロビーに出ると、待合室のベンチに座って壁にもたれた。頭を、冷やすつもりで。
もう遅いとはいわれそうなこの状況で、ひたすらチェリムに何を言えばいいだろう、なんとお詫びすればいいだろうと、延々とそんなことばかり考えていた。
考えても考えても答えが浮かばない。
答えなんか浮かぶんじゃないと気づくまでにはかなり長い時間がかかっていて、激しい空腹にうつむく私に、その小さな人影が話し掛けた。
「ガールズラブのうわさは本当だったんだ」
いたす前と対して変わらない、きっちりと法衣を着こなしているといったふうのチェリムだった。その顔に私をなじりにきたような嫌悪は感じられない。
「そうだよ。胸のことうんぬんで私はチェリムを襲うような女なんだ」
顔を上げたが、チェリムをじっと見ていられなくて、またうつむく私。
「顔、上げて。私別に、レーニャさん嫌いになってないよ」
「嘘。レイプしたんだぞ、半分、いや完全に」
「どうしてそう自分だけで考えちゃうの? 私結構良かったんだよ。それに、レーニャさんすごく溜まってたんでしょう?」
馬鹿チェリム、そんなムリをしなくていい。
「だからってあんなことしていいわけない」
「確かにちょっと無理矢理だったなぁ。それはだめだめだよ」
堂々巡りを察するのが異様に鋭いチェリムに、また先回りされてしまった。私は、うつむいたまま答えを出すことができず、口を閉ざしたままでいるしかなかった。
「だめだめだけど、私怒ってないし、レーニャさん嫌いにもなってないよ。でもね、その、恋とか、愛とかで、レーニャさんはどうしても見ることができないんだ。あくまでもいい友達でしかなくて」
私の心に追い討ちをかけてる。チェリムの答えがノーであったことが、余計に悲しかった。
「そう、だ、な……」
「だからせめて、レーニャさんの次の恋人を探したいな。女性のプリーストで女性大好きって人結構いるし、ひとりひとりお見合いしてみよーよ」
「チェリム……」
それは、彼女の精一杯の償い。できるかぎりの誠意。
本当に優しすぎる人。あなた以上の人を探すほうが難しい。
「ね。レーニャさんならきっと引く手あまただよ。綺麗だし、胸大きいし、ちょっと筋肉っぽいけど気になるほどじゃないし」
「ありがとう。でも今は私、そういう気分じゃないんだ。フラれた相手に見つけてもらうのも、ちょっとみじめだからさ」
立ち上がって、見下ろす形にチェリムを見る。こんなに身長差あったのかなと、改めて思い直してしまうほど。
「それに筋肉っぽいって結構気にしてるんだけど?」
「でも、その分鍾乳石(メガリスやスタラクタイトゴーレム)を発勁1発とか2発で破壊できるし、眠れる砂(スリーパー)も一発でしょ? 亀は1階にいる分なら全部2発だし……」
「そういう問題じゃない」
「でもその分、エルニウム成金してるもんね」
「それも違う」
「感謝してるんだよぉ。レーニャさん強いもんね」
「私の強さはチェリムのおかげ」
「謙遜はなし、だよ」
その身長差に、一切私たちを隔てるものはなかった。チェリムが、壁を作ってなかったから、私は容易に踏み込める。
「でもさぁ」
「レーニャさん、お腹すかない? お昼も食べないでえんえんとえっちしててお腹ぺこちゃんなんだよね」
「ぺこちゃん、って……」
「あ、レーニャさんお腹鳴ったよ? 今日はペコ肉のメニューがお勧めなんだって。いこ」
「お勧めって、チェリム……」
チェリムが私の手を掴んで食堂のほうに引っ張ろうとする。チェリムの指や掌は、私が想像するよりふわふわしているようだった。
「早くいこーよー、ねー」
「チェリム待て。私まだちゃんと言ってないことがある」
引っ張られる手をひきつけるように、チェリムの足を踏みとどまらせた。
チェリムのペースで忘れそうになっていた。本当に彼女が心で平気だといっていても、私はそれをすんなり納得できない。
けじめをつけないといけない。
「何かな?」

「ひどいことしてごめん……そんな私を許してくれてありがとう」

私は、ありのままさらりとチェリムに伝えた。
13前スレ407sage :2006/01/23(月) 22:39:00 ID:aKeqCUkk
以上です。
ちょっと長めで申し訳ないですが、やっとアップできました><
14名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/24(火) 20:25:14 ID:kBd.gOUs
ぐっどじょぶ・・・
15名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/25(水) 06:32:31 ID:pi0fLeyQ
か、悲しい・・・けどいい話でした。
あと2,3行後はどうなってるんだろう。
16前スレ407sage :2006/01/29(日) 10:05:13 ID:DQbCFM26
>15
この直後については考えてなかったりします。
いちおう続き考えてますけど、そこにも書いてませんし……

感想ありがとうございました。
17名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/29(日) 12:15:21 ID:vLtUpjDs
フォルダ整理してたら書きかけのSSが出てきたんだが、
中身がちょいと人体改造風味(搾乳、ふた、etc・・・)なんだよね
相応のスレってあるかな?
18名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/29(日) 12:54:37 ID:DRUKSX4Q
>>前スレ407さん
まさか続き期待してイイってことですか!
チェリムたんがえろくていいわー。わくてかしながらまってますYO!

>>17
キャラが♀×♀ならここでいいんでは。
もともと追い出されてできたスレだから本スレよりは寛容だと思います。
というかそうじゃないとこの板の中じゃもう行き場がないw
19名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/29(日) 12:58:53 ID:DRUKSX4Q
書き忘れ。投下するなら「こういう作品なんで」と先に断っとけば
スルーする人はスルーするだろうし、そんな叩かれることにはならないかと。
20名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/29(日) 18:03:53 ID:06CGGHKg
グロだと思うなら「グRO」スレがあるし、投下する場所は投下側の裁量次第じゃね?

個人的には♀×♀ならなんでもアリだと思ってるけど前ふた投下した人がKittyGuyに噛み付かれてたからなー
百合原理主義者というにはあまりにもテンプレ過ぎる言動だったしただの嵐だとは思うがもう此処を見ていない保証はないし
21名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/29(日) 21:26:28 ID:vLtUpjDs
>>18-20
意外に寛容な意見が出てちと嬉しい(つД`)
登場人物的には、騎士♂・ケミ♀(乳改造)・プリ♀(ふた)の3人
ケミプリに限っていけばここで出せるのかな・・・

まあ新二次実装時期くらい古い奴なんで、かなり手直しが要りそうだけど。
一応本スレでも聞いてみようかな・・・
22名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/30(月) 06:14:16 ID:Qc7vVY0w
三人でってことなら本スレでもいけそうだね
改造の具合がどれくらいなのか…それによってはグロに見えることもあるかも
どうせ手直しするなら、どこで発表したいかで手直しするのもありかも知れない
23名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/31(火) 00:02:51 ID:k286W.XM
えろだにアップロードするのはどうだろうか?
「スレ違い!!」
と言われる事もないだろうし、フタナリスレを個別に立てるのもどうかと思うし

あくまで提案なので>>17氏の判断に任せますが。
ちなみに自分はふたなりOKだけどそれで荒れるのは勘弁なので提案してみました。
24名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/02/01(水) 16:47:32 ID:EGx58hIY
男が絡みに入る時点でこのスレに投下は赤信号だと思うぞ
男が絡みに入るのなら向こうのスレだと思うな
25名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/02/02(木) 02:24:56 ID:.CBW0yeo
ふたが♂か♀かその他は見解が別れるとこだろうな。
話の内容にも依るだろうが、ここは避けた方が要らぬ騒ぎを引き起こさないんじゃなかろうか。
26名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/02/02(木) 16:40:44 ID:BmHj7Qkc
前もそんな話無かったっけ?

過去スレを参考にしてみたら?
27名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/02/02(木) 17:41:52 ID:W6dKEFh6
>>21を見た感じフタだけでなく純男(?)が出るようだから本スレが無難ってことだろう
某巫女のソの人みたいな役割ってわけでもないだろうし
28名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/02/02(木) 18:06:44 ID:zjGBwaX6
以上のやり取りを参考に最終投下場所は文神さまでご判断の程を。
なに、書き込まれてからうだうだケチをつけるような奴ぁ、ここにはいやしませんぜ。


……と、久しぶりに覗きに来たROMが勝手な事を呟いておく。
2917sage :2006/02/02(木) 18:55:38 ID:smlSTwH.
ようやくまことの投下場所にめぐり合い申した
迷走の日々 今は悔ゆるのみ
添削が終わり次第、本スレに投下させていただきたく・・・


ご意見ありがとうございました。
仕事が立て込んでるのでなかなか進みません&遅筆ですが、
早く仕上げて投下したいと思います。
30名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/02(木) 20:16:05 ID:UPKcBeyA
256だか259の作品をみてぇ
31名無しさん(*´Д`)ハァハァsage ちなみに259ですよ :2006/03/02(木) 23:01:55 ID:BmHj7Qkc
だか、って…
失礼やのう。

まぁ毎日寝る前にでも祈ってなさい。
32名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/03(金) 03:59:52 ID:0kyqcSXI
226とか259の作品をみてぇ
33名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/06(月) 18:15:31 ID:jc//K09Q
>>31
名前つきで細かいことに反応しないほうがいいと思うんだが
34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/07(火) 00:38:21 ID:bDm6G6xM
反応するのはいいが、「なさい」ってのがねぇ。
35名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/07(火) 00:42:06 ID:YTG0qFIE
こういう掲示板ではよくあることだけど、無視決め込むのが一番ってことかな
確かに30は失礼だと思うけど、この程度ならよくいるし
36名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 01:44:44 ID:191IHpB.
今はえろくないけどこれからえろくなる予定な上にたまに♂が絡んでくる予定の文ってここでいいでしょうか?
あまりにも内容バラバラでどこに投下したらいいものか…
37名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 01:46:48 ID:XMQr0Wds
>>1をよく読んで判断してください。
基本的に女同士がメインならここで構わないかと。
38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 18:54:09 ID:n6sfDwP2
男の登場がスパイス程度なら問題ないんじゃないかと
男との行為まで入ってくるようだとまずいかなぁ、と個人的には思うですよ
39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 21:04:45 ID:2FCZEMcQ
突然ですが
今から勇気を振り絞りまくって作品投下を試みようと思う
なにぶん初めて書いたもので、日ごろ楽しませて貰っているお礼になるかどうかわからないが
ひとつお手柔らかに頼む
40名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 21:11:57 ID:2FCZEMcQ
あのノービスがあと少し、遠くに走れば、私も離脱できる。
目の前でにやにやと笑う、馬鹿にでかい短剣を見据えながら考える。
もっと早く、リーゼを呼ぶべきだった。
礼拝の時間だからと遠慮したのがまずかった。
だが幸いにもここは教会から目と鼻の先、あと二分、あと二分耐えればリーゼ

が来る。
「はっ、あ…!」
踏み込んだ右足を軸に半回転、その勢いを利用して、両手に握りこんだ短剣を振るう。
「いーかげんくたばれ!こん、のっ…!」
致命傷をもういくつも負わせてはいる、しかしまだ倒れない。
大きさに見合わない速度で振り下ろされる刀身をぎりぎりでかわし、短剣を叩

き込む。追い掛ける左手で、もう一度。
崩れゆく、その瞬間。オーガトゥースの目が強く光る。
「くっそ…!」
悪態を付いて飛びすさるが遅い。
八連撃のいくつかをかわし、いくつかを受けながら、私の意識は途切れた。


「ステラ!ステラ、なんてこと…!天の息吹、再びの栄光、救い手はここに―

―」

ああ、リーゼの声だ。
リザレクション?私はそんなにぼろぼろなのか。
そういえば左手の感覚がない。脇腹もざっくりやられた気がする。
リーゼ、抱きしめてくれるのは嬉しいけど、そんなことしたら私の血で服が


「……う?」
見慣れた天井、窓から射す紅い西日、堅いベッド。
「ステラ!ああ、よかった…」
耳に馴染んだ相方の声。
「生きてる…いや、まさか夢?」
気だるい体を起こして軽く頭を振る。
少し離れた椅子に、剣帯と共に体に巻き付ける布やら腰の布が掛けてあった。
そして安堵したのか、はあ、と息をつく相方。
「馬鹿なこと言わないで下さい。その傷塞ぐの、大変だったんですから」
言って、指差した私の腹部にはきつく包帯が巻かれていた。
「法力が底をついてあなたを白ポーションまみれにする羽目になったんですか

らね…まったく」
恨めしげに言って、私のベッドに腰掛ける。
「…リーゼのえっち」
「なっ…もうなんとでも言って下さい。あなたが目を覚まして気が抜けました

…ベッド、お借りします」
宣言して、ぽす、と私の隣に横になる。
ふわりと舞った淡い金の髪が、西日に煌めく。
「うん、ありがとうリーゼ。ゆっくり休んで」
もそもそと体勢を整えるリーゼに毛布をかけてやる。
「ステラ」
リーゼの手が、私の手を強く握る。
「絶対に私を呼んで下さい。どんな状況でも、すぐに」
責めるように、リーゼが更に強く握る。
「ん、約束する。次からはすぐリーゼを呼ぶ」
「約束ですよ」
私の答えに満足したのか、リーゼは安らかに寝息を立て始める。
大方、近くにいた負傷者も治療して回ったんだろう。ざっと六人は居たから、

疲れて当然だ。
「心配かけてごめんね」
少し躊躇してから、起こさないようにそっとリーゼの髪を撫でる。
ゆるいくせのある、柔らかな金の髪。
その手触りを楽しみながら、白い頬に指を滑らせる。
これが私の物になれば、いいのに。
今は瞼に隠された蒼い瞳、穏やかに上下する胸。
この頬に、あの唇に口付けたらどれほど――
「っ……」
意識を引き戻して手を離す。
一服でもしようと、サイドテーブルの煙草と灰皿を取ると、開け放した窓に座

って火を付ける。
「…馬鹿にも程があるよねぇ」
細く息と煙を吐く。
彼女を愛しているのだと、自覚したのはいつだったか。
所属するギルドが同じだったという出会いは、ありふれたものだ。
リーゼとは気が合った。
よく行動を共にし、親睦を深め、マスターが冒険者をやめた事で所属していた

ギルドが解散した今も、こうして二人でいる。
最初私がリーゼに抱いていた好意は友情の類でしかなかった。そこに別の感情

が混ざり始めたのがいつからか、はっきりとはわからない。
行動を共にするようになって大分たった頃、傷を癒そうと腕に触れたリーゼの

指。もう幾度となく繰り返してきたそれに、しかし私の胸は高鳴った。
その感覚は何かに似ていた、むしろ同じだった事に私は戸惑った。
まさか?ありえないし、あってはいけない。
けれどそれ以降、私はリーゼの表情や仕草にいちいちどきりとした。
そんな自分がひどく後ろめたかったが、私がリーゼに抱いているこれは、恋なのだろうと気付いてしまった。
41名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 21:15:58 ID:2FCZEMcQ
そして、リーゼに触れたいという願いさえ抱いている。
許されないことだ。
煙草の火を灰皿に押し付けて消す。
その灰皿と煙草をサイドテーブルに戻し、眠るリーゼを起こさないようにベッドの縁に座る。
反対側の、本来はリーゼが使うはずの空いているベッドに。

そういえば。
何故リーゼは私のベッドに横になったんだろう。
安宿のベッドなど、二人で寝るには狭い。
当たり前のような態度のリーゼになにも考えずに対応してしまったけれど、
「まさかね」
淡い期待を振り払う。
「ステラ」
なのに何故、そんなに寂しそうに私を呼ぶのか。
「ごめん、起こしちゃった?」
リーゼの蒼い瞳が私を捉える。
「いえ……ステラのベットはこちらですよ?」
「二人じゃ狭いよ」
単にリーゼは、昼間の事で不安なだけだ。
それ以外にはありえない、はずだ。
「私が好きですか」
ありえない、はずだった。
「好きだよ」
「どういう意味で、ですか」
即答した私に返すリーゼの言葉は、確信を秘めていた。
「…やっぱり、わかってたの」
観念して息を吐く。
「ええ、なんとなく。それに」
立ち上がり、リーゼ傍らに歩み寄る。
「それに?」
情けないことに声が震えた。
「私も、あなたが好きです」
リーゼが、真っ直ぐに私を見た。私も、その深い感情を湛えた瞳を真っ直ぐに見つめた。
「こんなことはありえないと思ってた。でも」
こうであって欲しいと願っていた。
「隣、入れて」


リーゼが私の手首を掴んで引き寄せる。
されるがままベッドに上がった私は、そのままリーゼに押し倒された。
「っと…最初は、きっと逆だろうって思ってたのに」
驚きと戸惑い、そして、微かな期待。
「そうですね、でも」
くすくすと笑いかながら答える。
「ずっとあなたに触れたいと、思っていました」
「うん」
頷いて彼女の首に腕を回すと、唇を塞がれる。
「ん…」
触れるだけの口付けから、もっと、と次第に深くなってゆく。
「ふっ…は…」
リーゼの掌が首筋を降りて、私の胸元をはだけていく。
「ん…ぁ…」
露になった胸を緩やかに揉む。
壊れ物に触れるかのようだったそれは、徐々に強くなってゆく。
「は、あっ……」
ぎこちなく動く、少しつめたい手はしかし、確実に私の熱を引き出して。
「あっ、く」
「ふふ」
先端を転がされて声が跳ね、同時に腹の奥に火がともるのを自覚する。
熱に侵されてゆく私を、リーゼは嬉しそうに見つめていた。
そして、
「ん、んんっ、ぁ…」
まちわびたように、私の胸の先端を口に含む。
「ん…ふ…」
微かに頬を染めたリーゼの口元から、時折ちゅ、と濡れた音が響く。
その音と、ちらりと覗く赤い舌が、どうしようもないほど私を高ぶらせた。
「は……」
しゅる、と腹に巻かれた包帯がほどかれる。
清潔に白い布の下には、脇腹から腰骨へと走る、薄い傷跡。
かなりの深手であったそれは、彼女の奇跡によってほぼ跡形もなく癒えていた。
「え、いやちょっと待ってぇくんっ、ひぁっ…!」
制止の声は間に合わず、リーゼがその傷跡を慈しむようにつぃ、と舐めあげる。
「も、もしかして痛かったですか…?」
すぐさま顔を上げて不安そうに尋ねてくる。
頼むからそんな泣きそうな顔しないで下さい。
「痛くない。そういう意味じゃ全然平気だけど、そうじゃなくて…」
「ここは嫌ですか?」
そっと腰骨に掌で触れる。
「っは…、嫌じゃないけど、そこ、その…ね?」
「どういう…?」
言いながらつつつ、と人指し指で傷跡をなぞる。
「〜〜っ!こら、分かっててやってるでしょ…!」
「ふふ、ごめんなさい。なんか、可愛くって」
くすくすと笑いながら、再びそこに口付け、ついばむように軽く吸う。
「あ、んぅっ、だめそんなしたらっ」
歯止めが効かなく、なってしまう。
「や、あっ!リー、ゼ…!」
てろりと傷跡を舐める、濡れた舌先の感触に、体の奥が甘くうずく。
「下、脱がせて…早く」
半分無意識に言葉が滑りでる。
リーゼはふわりと微笑むと、私の下着を下ろして行く。
「あの……」
「大丈夫、だから。ごめん、とっくに捨てちゃった」
気遣う様な表情を察して言う。
泣きたくなった。彼女に捧げられたらどれほど幸せだっただろうか。
「そんな顔しないで下さい」
「だって、ふ、んうぅ…」
探るように、慎重に侵入してくる細い指。
それがリーゼの物だと思うと、愛しさで涙が出そうだった。
「私は、こうしてあなたと触れ合えて十分幸せです」
「うん、ありがと、は、んっ!」
ゆっくりと指を動かされ、その度に甘い痺れが背中を走る。
「あ、ふっ…んんっ」
拙い指と、彼女の熱を孕んだ呼吸。
もどかしい。
「あ、リーゼ、んっ、もっと激しくしても平気だからぁっ」
私の言葉にリーゼは頬を染めながら、差し入れる指を二本に増やし、慎重だった指使いは突き上げる様な動きへと変わってゆく。
「ん、あっ、ああっ!」
ぞくぞくと、背中を波が駆け上がる。
「愛して、います」
「リーゼっ、ん、あぁぁ!」
紫の法衣にしがみつきながら、甘い声と幸福に、私の意識は溺れて行った。


「…ステラ」
「んー?」
まだ少し気だるい体で窓枠にもたれ、煙草に火を付けると、金髪のプリーストが背中にすりよってきた。
「その、ステラの初めての人って、やっぱり男の人だったんですか?」
「あー…、うん」
「素敵な人でした?」
少しすねた様な彼女の声に、くすりと笑う。
「いや、全然。なんせ少女趣味の貴族のおじさまだし?」
「…え?」
「つまり、私の純潔はねぇ…確か12だったかなあの時。向こう一ヶ月の晩御飯と引き替えになったの」
「なっ…そんな…」
「…軽蔑した?」
細く煙を吐きながら聞くと、後ろから抱き締められた。
「いいえ、まさか。じゃあ恋人とかは…」
「リーゼが初めて。満足?」
「はい」
くすぐったそうに答えるリーゼ声が愛しい。
と、
「リーゼ」
私が鋭く名前を呼んだ瞬間、彼女の手には愛用の杖が握られていた。
「テロだ。南十字路から南門、隣のバカWIZカップル叩き起こして!」
言い終わる前にリーゼがドアから隣の部屋に駆ける。
私に祝福と風の奇跡を施すのを忘れないのは流石としか言えない。
手早く小さな鞄に薬や雑貨を詰め、武器を腰に吊ったところでリーゼが戻って来る。
後ろには、馴染みのウィザードが二人。
「準備、大丈夫です」
全員に奇跡を施しながら言うリーゼを抱きかかえると、私は二階の窓から、夕焼けのプロンテラへと跳躍した。
42名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 21:18:48 ID:2FCZEMcQ
以上です
前編、改行失敗した(´・ω・`)ごめんなさい
43名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/12(日) 21:33:01 ID:n6sfDwP2
>>42
GJであります!!
ROらしさもあり、心情描写もあり、でバランスよく楽しく読めたでありますよ!
44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:08:28 ID:Zenj983o
一本書いてみましたので、投下します。
むかーし某所に書きかけを上げたものです。

ご存知の方も、そうでない方も楽しんでいただければ幸いです。
45名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:08:51 ID:Zenj983o
通い慣れたグラストヘイム監獄1F。
テレポートで着地、囚人を発見して炎を展開、誘い込んで一気に焼き尽くす。
後に残った腐った包帯を、アイテム袋に放り込む。
視界には自分ひとり、珍しく周囲には誰も居ない。
さっきから魔法を連打して少し疲れてしまったので、身長より少し長い杖を寝かせてぺたりと地面に座り込む。
杖の名はスタッフオブソウル。
自分で手に入れたものではないが、ある経緯から手に入れたものだ。
素晴らしい魔力強化能力、敏捷性の増強、程よい重量、そして強靭な材質。
杖は私の持つ力を伸ばし、私もこの杖を活かす使い方をしている。
手鏡を取り出してMHを掃討したときにずれてしまった黒のねこみみを直し、小さい丸眼鏡をくいっと上げる。
このねこみみ、作り物なのに良くできていてお気に入りだったりする。
眼鏡は…暗い所で本を読みすぎたせい。

「…ふぅ」

もう何度目かも忘れてしまった溜息をつく。
テレポートで飛び回り、囚人を業火で焼き尽くし、リビオは炎と氷の地獄へ招待する。
体に染み込んだ動き。

足止め用に沼を張り、化物の群れに突っ込むときの興奮。
魔法を詠唱しながらリビオの攻撃をギリギリで避ける緊張感。
氷の檻に群れを閉じ込め、一気に消し飛ばす快感。
そして、掃討したあとにエルの塊を見つけたときの喜び。


でも、何か空しい。
どんなアイテムも、どんなモンスターも、私を満たしてくれない。
他の誰でもない、私が一人で歩むと決めたはずなのに。
寂しさだけが、私の心を満たしていく。
…いつだろう、私が詠唱速度よりも避けながら詠唱する生き方を決めたのは。

知り合いが、枝で出たモンスターを避けながら華麗に魔法を叩き込む姿に憧れていた。
でも、これは理由の一つ。

いつか、自分だけで世界中を旅してみたいと思った。
これも、理由の一つ。

けど、一番の理由は…
他人に守ってもらうなんて、性に合わない。
そう思ったからだ。


自分で寂しがりやだと、わかっていたはずなのに。
誰かに心を守ってもらわないと、生きていけないと知っていたはずなのに。
後悔しても遅いことは、身に染みてわかっている。
どんな職の人と組んでも、どこかがすれ違ってしまう。
一応はギルドに所属している身、ギルド狩りに顔は出してはいるものの…
やることと言えば、沼を張る。詠唱のない魔法で援護。以上。
耐える前衛が居れば、支援すら要らないこともある。
はっきり言って、これぐらいであればマジシャンでもできる。

ギルド狩りですらこの状態、臨時などもってのほか。
最近は、街中以外ではギルドの人としか話していない気がする。


…いけないいけない、こんな状態で襲われたら危険すぎる。
とりあえず、暗い雰囲気を追い出すために猫の鳴き真似でもしてみよう。

「…にゃぁ〜」

…アホだ、この女。
誰かが鳴き真似してるところを見たら、私だってそう思うだろう。
さっきはだれも居なかったはず…と今更慌てて周囲を見回す。


次の瞬間、表情どころか全身が凍りつく。
少し離れたところに、休憩しているのか座っているセージの子と目が合ってしまったのだ。
私の間抜けな鳴き真似で、こちらを向いたのだろう。
金髪のロングヘアにうさみみ、腰には短剣の鞘を下げている。
どこかで見たことがあるような気がするが、恐らく街ですれ違っただけだろう。
火の属性を付与されているのか、真紅に光り輝く見慣れない形の短剣が彼女の傍に置いてある。
どうやら、近接戦も視野に入れたタイプのセージらしい。

今更、恥ずかしくて顔が熱くなってきた。
鏡を見たら、耳まで真っ赤になっているだろう。
…流石にそこまで間抜けではないが。

ものすごく気まずい空気が二人の間で流れる。
あちらも、こちらをじっと見ている。

さっさとテレポートしてしまおうかと思ったが、なかなかタイミングが取れない。
さて、どうしたものか…と思った瞬間。

恐らくインジャスティスであろう、鎖の動くような音が物陰から響いてくる。
はっとそちらを向き、杖を支えに立ち上がる。。
彼女も短剣を手に取り、物陰に視線を注ぐ。
物陰から現れたインジャスティスが彼女のほうへ向かってゆっくりと歩いていく。
どうやら手近な彼女を目標と定めたようだ。
彼女のほうへ目を向けると、詠唱を始めながら短剣を構えて突っ込んでいく姿が見えた。
連続攻撃を全段かわし切るつもりなのか、魔法で足止めして追撃というパターンではないようだ。
インジャスティスは両腕を振り回して標的を仕留めようとするも、彼女にはかすりもしない。
逆に彼女は短剣を華麗に操り、展開した攻撃補助の術で発射される火炎と共に確実にダメージを与えていく。


さて、どうしたものか…
敵はインジャスティスだけではないらしく、囚人もさっきの物陰から這い出してきた。
いつもならこの隙にテレポートで逃げてしまうのだが、今日はそんな気分にならなかった。
さっきの間抜けな鳴き声のせいだ…と勝手に自分で思い込み、杖を構える。

追いついた囚人が彼女に襲い掛かるも、素早く飛び退いてその攻撃をかわす。
そして、彼女が飛び退いた少し先にもう一匹の囚人の影。
よくあることではあるが、タイミング悪くあの世から蘇ってしまったようだ。
「あぶないっ!」
叫んで、彼女の背後の囚人にダッシュで突っ込む。

私の声で敵に気づいたのか、彼女は私のほうへ飛び退いて背後からの攻撃をかろうじてかわす。
私は彼女を通り越して囚人に杖を振るう。
伊達に両手杖を使っている訳ではない、自分の体重と杖の勢いを乗せた一撃で囚人の足を狙い転倒させる。
「何やってるの!?」
詠唱完了した炎の雨でインジャスティスを消し炭にしながら、驚いたように声を上げる彼女。
詠唱時には聞こえなかったが、ちょっと子供っぽい外見に反して意外と艶のある声をしている。


確かに、普通のウィザードはこんなことはしない。
けど、私は一味違う。
「こいつは私が抑えるから、そっちを!」
囚人の攻撃を杖で受け流しながら、彼女へ向かう囚人の足元を沼にして動きを鈍らせる。
「こんなのぐらい…っ!」
抗議するも、敵は目の前。
囚人の振り下ろした腕をかわし、走りぬけざまに短剣を一閃。
さらに振り向く前に背中に一撃、同時に魔法の詠唱を始める。
振り向きざまの一撃を身を引いてかわし、踏み込んで短剣を突き入れる。
その瞬間二発同時に発動した魔法が、まさに炎の豪雨となって囚人の頭上から降り注ぐ。
すぐさま短剣を抜いて、私のほうに突っ込んでくる。
ゾンビとはいえそれなりに素早い一撃をかわし、杖で受け流していた私は彼女の突撃に合わせて一旦後ろへ下がる。
彼女の振るう烈火の如き攻撃の前に、哀れなアンデッドが火葬されるまでたいした時間はかからなかった。
46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:09:17 ID:Zenj983o
「…何のつもり?」
腰に手を当てて私の前に立ちふさがる彼女。
…気のせいじゃない、やっぱりどこかで会ったことがあるはず。
「う〜ん…」
思い出そうと、腕を組んで唸りながら彼女をまじまじと見つめる。
「ちょっと、聞いてるの?」
さらに詰め寄る彼女の顔をじっくりと…
「あぁっ!」
記憶の糸が繋がった瞬間、思わず声を上げてしまった。
「な、なに!?さっきから何なのあなた!?」
思わず後ずさる彼女。
「やっぱり!」
そう、間違いない。


私がマジシャンに転職した頃、ゲフェンで出会った金髪の女の子。
「私、マジシャンになるの!」
そう言って私の後に続くようにマジシャンに転職したっけ。
私も駆け出しだったから、一人より二人…とよく一緒に勉強した。
私も彼女も生まれはゲフェンでなく、節約のために二人で一緒の部屋に住んでいた。
もちろん、よく喧嘩もした…というか年中喧嘩していた気がする。
それが、8年前。
私が16歳、彼女が15歳の頃だった。


そして、5年前。
私と彼女がマジシャンギルドを卒業する日。
魔力を求める私と知識を求める彼女は違う道を歩まざるを得なかった。
私は自分の魔力の限界を試すため、ウィザードギルドの門を叩いた。
そして彼女は世界の全てを知るために、セージキャッスルの門を叩いた。
…結局最後まで喧嘩してたっけ。
彼女がジュノーへ移り住むための引越しも終わって、最後の一夜まで。

結局、私も彼女も一緒の道を歩みたかったんだと思う。
好きな食べ物も一緒、好きな場所も一緒。まるで双子みたいに。
体型もそっくりだったから、一緒の服着てたりしたっけ。
…マジシャンの制服は、微妙にあわなかった気がするが。
でも、歩む道だけは譲れなかった。


はっと気づくと、彼女が怒りの表情でこちらを睨んでいる。
どうやらまだ気付いていないようだ。
無理もない、5年も会っていないのだから。
ここは一つ、気付かせてあげるしかない。
一番派手に喧嘩したときの…そうだ。
「私のホットケーキ…」
食べ物の恨みは恐ろしいのだ。
この後一週間、周囲を巻き込んだ血みどろの戦いを繰り広げたのも今となってはいい思い出だ。
「…えっ?」
もう一押しだ。
「た〜っぷりシロップかけてぜ〜んぶ食べるつもりだったのに…」
呟いて、猫耳と眼鏡を外し、髪をかき上げる。
「なんのこと…って、まさか…!?」
はっと彼女の表情が変わる。
「お久しぶり、5年ぶり…かしら?」
信じられないといった顔で彼女が続ける。
「今まで何してたの!?」
失礼な、夜外出してた子供じゃあるまいし。
「あなたこそ、今までどうしてたの?」
どうやら私と同じく一人前にはなれたようだが…
「見てのとおり、セージになって修行中だけど…」
そんなことは、見ればわかる。
…問題は、彼女がどの段階まで修行を積んでいるかだ。


5年前まではいつも一緒だったからお互いの力はわかっていた。
そこから先は…私と彼女の努力と資質次第。
強力な魔法を使えないセージの修行は、私達ウィザードよりも辛いものになると聞く。
逆に、蓄積されている知識や書物の量はセージのほうがはるかに上であろう。
ジュノーの大図書館に比べれば、プロンテラやゲフェンの書庫など学校の図書室レベルである。
私も何度か足を運んだことはあるが…まさに宝の山、素晴らしいの一言に尽きる。
中にはウィザードが触れることが許されていない書物も存在する。
ギルド同士の抗争、もしくは国家間の確執なのか…いや、そんなことはどうでもいい。
そこに隠された知識を得るために、セージの知り合いを作ったりもした。
どこの世界にも変わり者はいるもので、セージでありながら強大な力を求めるものも居る。
私も自分で編み出した技術と閲覧できない知識とを交換したことがある。
無論バレると双方処罰の対象になり得る訳だから、こっそりと。
…いろいろとオマケはあったのだが、ここでは伏せておこう。


…しまった。
放っておかれたせいか、鬼のような形相で彼女がこちらを睨んでいる。
眼鏡をかけていないので細かくは見えないが、威圧感はなかなかの物。
「そ、それにしても…久しぶりだ…ね〜」
…あぁ、こわいこわい。
早いところお怒りを鎮めねば。
「………。」
やばい、無言ということは…
平手の一発ぐらいは覚悟しておこう。
「…んぱい…っ、たの…よ…」
ん…?
とりあえず、ひっぱたかれる覚悟をしてしたから見上げるように顔を近づけて…
「心配してたのよ!?あなた、私がどれだけ心配してたか…っ!」
いきなり肩を掴まれ、ものすごい剣幕でまくし立てられる。
「わ…えっ…?」
突然のことで困惑し、訳がわからず目を白黒させてしまう。
「一体どこ行っちゃってたのよぉ…どれだけ心配したと思ってるのよぉ…」
さっきまでの勢いはどこへ行ってしまったのか、今度は泣きそうな顔で。
どこへ…?まさか…!
「あ…私、引越…し…」


丁度別れた次の年の今頃だろうか。
ウィザードになって資金的にも余裕ができ、資料も増えて少々窮屈になって私が借りていた部屋を引き払ってしまったのだ。
自分の資料が生活スペースを圧迫してしまうウィザードが多いゲフェンには、資料室のある部屋もある。
しかし、そういった部屋は上級のウィザード向けなのか家賃が高めな傾向がある。
きちんとした書庫や書斎というのは非常に惹かれるものがあるのだが…
その差額すら惜しい場合は、私のように2〜3人向けの部屋を借りて、空き部屋を資料室にしている。
結局喧嘩別れした形になって、彼女とはそれ以来連絡を取っていなかったのだが…
気にしてはいたのだが、一年間連絡がなかったのでそのままフェードアウトしてしまった。


私の思考を中断するように物が落ちる音がし、次の瞬間彼女が抱きついてくる。
そのまま押し倒されるように尻餅をつき、ふと下を向くと地面に落ちた私の眼鏡と彼女の短剣。
そして漏れてくる嗚咽。
「うぁっ!?な…っ…」
思わず呟いて、とっさに彼女の体を抱き抱える。
とりあえず泣き止んでもらわないと、このままでは話にならない。
なだめるように頭を撫で、背中を軽く叩く。
「ごめんね…私…」
どうしよう。
ひょっとして、ずっと私のことを…
なんで今まで彼女と連絡を取ろうとしなかったんだろう。
そもそも、この子こんなに寂しがりやだっけ…
ぐるぐるぐるぐる、思考の堂々巡りが始まる。


そして思考を断ち切るように彼女が顔を上げる。
泣きはらし、赤くなった目。
これでは可愛い顔が台無しだ。
指先で涙を拭い、できるだけ優しく声をかけてみる。
「一度戻ろう?ここだと…」
その瞬間、彼女の手が地面に伸び短剣を手に取り…
「やだ。はなれたら刺す…」
脅しとはいえ、泣き顔で言われると妙に迫力満点だ。
これではまるで浮気した夫婦ではないか。


私が構えていると、そのまま持っている短剣を押し付けられる。
「それ、ちゃんと返してよね。絶対だからね!」
そう言い放って彼女は私の杖を拾い上げ、くるくる回してみせた。
「ちょっ…それ、私n」
「いいじゃない。私も使えるんだから。」
と、杖を構えてみせる。
そういう問題ではない。
短剣も使えないことはないが、やはりあの杖と比べると天と地の差がある。
私はあの杖でないとダメなのだ。
「そうじゃなくて、それじゃ…」
必死に言葉を投げかけようとするも、頭と口が回らない。
あぁ、私の悪いクセだ。


とにかく、杖を返してもらわないと…
慌てる私を余所に、さっきまでの涙はどこへ行ったのか彼女が楽しげに答える。
「じゃあ、明日の昼に私達が住んでた部屋の前で会いましょ。部屋にも遊びに行かないとだし。」
そう言い放ち、彼女は蝶の羽を握り潰す。
「あ…っ…」
手を伸ばすも、彼女に届くはずがない。
彼女が消え去った光の柱を呆然と見つめる。
「あー…もう…」
頭を抱え、軽くため息をつく。
ここでこうしていても仕方がない、まずは行動だ。
彼女の短剣をしまい…しま…い…
鞘がない。
仕方なくむき出しの短剣をマントの中に隠すように持ち、蝶の羽を発動させる。
光に包まれる瞬間、もう一度大きなため息をついた。
47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:10:11 ID:Zenj983o
美しい夕日に照らされた塔が中央に鎮座し、一種独特の街並みと城壁が囲っている。
そろそろ秋口になるだろうか、街路樹もほんのり黄色ががっている。
私が帰還したのは壁沿いにある噴水のベンチ近く。
これから訪れる夜闇を照らすために、魔術師達が灯りをつけて回っている。
街中の街灯は駆け出しの魔術師達が修行の一環として灯しているのだ。
私も彼女と同じ地区を担当していた。
ちょうど今住んでいるあたりだろうか…
そんなことを考えながら足早に家路につくことにした。


早足というよりは小走りに近い感じで路地を進んでいく。
2〜3分ほど歩いただろうか、3階建てのレンガ造りの建物が見えてくる。
横に突き出ている階段を昇り、廊下を歩いていく。
一見大きな建物に見えるが、実際はそうでもない。
普通の部屋であれば1フロアに5家族は住めるであろうが、実際は私を含め4人しか住んでいない。
私達のような魔術師向けに色々仕掛けがあったり頑丈だったりするぶん、余計に面積を取ってしまうのだ。
自分の部屋のドアが見えてきて、軽く肩の力を抜く。
ドアの前に立ち片手を軽くかざすように動かすと、かちゃりという音とともに鍵が外れる。
物理的な鍵では冒険中に落としてしまう恐れがあるため、私は自分自身を鍵にしている。
勿論物理的な鍵も使うことはできるが、今まで使ったことはない。


ねこみみを片手で外しながら部屋に入り、扉を閉め鍵をかけたところで大きく溜息をつく。
「はー…」
まったく、これでは犯罪者か何かではないか。
それとも、気が抜けただけだろうか。
とりあえず、マントの留め金をはずしながら寝室へ向かう。
このマントは暖かいのだが、地味に重いので帰ったら真っ先に脱ぐことにしている。
ずるずるとだるそうに進みながら、途中のキッチンの椅子にねこみみとマントを放り投げる。
念のために鍵をかけてある寝室の扉を開け、そのへんにあったタオルをひっつかんで短剣を見つめる。
落としたりしてどこか傷がついたらまずいが、こうしておけば大丈夫…だろう。
短剣をくるみながら、ふと彼女のことを思い出す。
明日、かぁ…
明日の予定を記憶の底から探しだす。
そういえば、明日皆でどこかに遠征するとか言っていた…気がする。
皆には悪いが、後で溜まり場に顔を出して謝っておこう。


とはいえ、今から食事の支度をする気力も残っていない。
いや、気力がないのではない。
彼女のことが気になっているのだ。
今まで連絡を取らなかった自分を責めながら、何を今更偽善者みたいに…という考えが脳裏をよぎる。
重い体を引きずりながら、本や服でまるで地獄の底のように混沌の様相を示している部屋を進む。
ベッドに座ってブーツの留め金を外し、そのままごろりとベッドに倒れこんでベルトを外し、また大きく溜息をつく。
寝てしまわないように枕元の本をめくりながら、まとまらない思考をだらだらと繰り広げていく。


しばらく…30分はごろごろしていただろうか。
徐々に空腹が私の思考を邪魔しにかかってきた。
どうせまとまらない考えだ、とりあえず食事をしに行こう。
ギルドの溜り場は大通りから少し外れた酒場の隅にあるので、そこで何か食べることにする。
本を枕元に戻し、寝転んだままもぞもぞと上着を脱ぐ。
「ん〜…、よっし」
軽く体を伸ばして頭をすっきりさせて、一気にベッドから起きた。
レオタードを脱いで頭の上からベッドに放り投げ、本をまたぎながらクローゼットの前まで進みクローゼットを開ける。
面倒臭いという単語で頭の中を埋め尽くしながら、適当に服を引きずり出す。
茶色のスカートに白いブラウス、ジャケットも茶色…あー…めんどくさいこれでいいや。
さっさと着込んで軽く髪を梳かし、そのあたりに転がっていたサンダルを突っ掛ける。


お金の入っているカバンを引っつかみ、部屋を出て玄関まで来たところで扉を閉めていないことに気づいた。
面倒なので手を扉のほうへ突き出し集中すると、勢いよく扉が閉まり鍵がかかる。
こういう時に念属性の魔法を極めていると便利である。
魔術師達の中にはこういう使い方を快く思わない者もいるが、私はそんなことは気にしない。
玄関の扉を閉め、夕暮れの町を歩いていく。
そろそろ風が冷たくなってくる時期だ、肩をすぼめて襟元を押さえ、足早に進んでいく。
思ったよりも冷える、もう一枚着て来ればよかった。
「う〜、冷えるなぁ…」
つぶやいているうちに、大通りから少し離れたところにある酒場の前に着く。
頭の中を研究者である魔術師からギルドメンバーの一人としての魔術師に切り替える。
一見寂れているように見える建物の扉を明け、暖かい室内に転がり込む。


「さむさむさむ…やふぉ〜、マスターいつもの一杯!」
慌てて扉を閉め、手をひらひら振りながら酒場の隅に陣取っている冒険者の一団の元へ向かう。
ぐびぐび呑んでいる者、ひたすら肉を貪る者、ゆったりとグラスを傾ける者、様々である。
挨拶が飛び交う中、いつも座っている席に腰を落ち着ける。
「ふぃ〜、冷えるねぇ今日は」
と、向かいに座っているプリーストの女性に声をかける。
燃えるような赤い髪をショートにまとめ、十分美人に入る端正な顔立ちは…
いや、完全に酔っ払っているのでこれ以上は言及しないことにしておく。
最近流行りの天津酒をとっくりとかいう小さい壷に入れ、おちょこという小さい器で飲んでいる。
やはり天津の食べ物があうのだろうか、魚を並べて切ったおさしみというものがつまみのようだ。
こちらには生魚を食べる習慣はないのだが、これも流行のひとつというやつだろうか。


「だねぇ、今日私服?」
酔いを帯びた声で彼女が答える。
「うんー、なんかだるくってねぇ」
本当の理由を言うわけにもいかず、曖昧な答えを返す。
そうこうしているうちに、店の娘がお酒を持ってきた。
こちらも天津の品で、焼酎という少々強いお酒だ。
こちらのお酒にはない香りに惚れ、よく呑んでいる。
食事は…食欲が沸かないので、軽いものにしておこう。
お酒に口をつけながら、鮭のムニエルとスープを頼む。
出来上がるまでおつまみがないのは寂しいので、適当に調達するとしよう。


「ちっとおつまみ調達してくるわ」
と言いカバンを置いて席を立つ。
他のテーブルに顔を出すことにしたのだ。
明日顔を出せない旨も伝えなくてはならないが…どうしたものか。
軽く見渡すと、仲間が座っているのはテーブル4つ。
まずは肉が大量に積み上げてあるテーブルに顔を出すことにした。
座っているのは10代後半の少女と20歳前半の女性、年端の行かぬ少年が一人。
まずは亜麻色のロングヘアに私と同じような黒いねこみみをつけているダンサーの少女。
細身の体に詰め込むように、まるでリスか何かの如くせわしなく肉を頬張っている。
女性は美しい金髪のショートヘアに、せわしなく肉を運ぶ巨大なうさみみを乗せているプリースト。
動くうさみみというのはまるで怪異だが、いつものことなので誰も気にしない。
そして一見酒場に似つかわしくない茶色の髪の少年はサイズがないのかややだぶっとした騎士の制服を着ている。
まるでいくら食べても足らぬといった風に、フォークとナイフを操っている。


「ちょっと貰うよん。」
と声をかけ、フォークで肉を一切れ取ろうとした瞬間。
私のフォークと2つのフォーク、そしてうさみみが音を立てて交錯する。
…どうやら戦場に突っ込んでしまったようだ。
いつもなら受けて立つのだが、今日はそんな気力はない。
一旦フォークを引き、端切れを何個か頂く。
どうやらさっきの一切れをまだ奪い合っているようなので、軽く礼を言ってそそくさとテーブルを後にした。


次のテーブルは…食事が終わってデザートだろうか。
紅茶やフルーツのジュースと共に、色とりどりのチョコレートが皿に盛り付けてある。
そこを囲っているのは少女が三人。
さらっとした黒髪をまとめたセージの少女、一応成人しているようだがお世辞にもそうは見えない。
他の二人にものすごい勢いでまくし立てている。
その言葉を打ち落とすように辛辣な言葉を投げかけるのは茶色いショートヘアの同じくセージの少女。
10台中盤だろうか、可愛いらしい顔に涼しい表情を浮かべている。
もう一人はハニーブロンドのロングヘアを揺らしながらくすくす笑っているアコライトの少女。
柔らかい表情をしてはいるものの、二人の間に挟まれて圧倒されているようだ。


「チョコ、貰うよ?」
と声をかけると同時に生チョコをフォークでつつく。
瞬間、暴風の勢いが私に向けられる。
「あーーー!それ!それ私の!」
「だったら取っておけばいいじゃないですか。」
「うるさい!今食べようと思ったんだよ!」
全く、口を挟む間もない。
これでは話どころではない。
あっという間に睨み合う二人を尻目に、いくつかチョコレートをお皿に載せる。
先手必勝というやつだ。
若干取り残され気味のアコライトの少女に断りを入れ、軽く手を振りながらテーブルを離れる。


次のテーブルで明日のことを伝えられなければ、書置きでも残しておこう…
そう思い次のテーブルを訪れる。
このテーブルは、大分雰囲気が違っているようだ。
座っているのはアサシンの男性とプリーストの男性
二人とも20代前半だろうか、他のテーブルの喧騒を肴に呑んでいるようだ。
アサシンのほうは赤い髪を後ろでまとめ、楽しむ風にグラスを傾けている。
プリーストのほうは黒髪を撫でつけ、ちびちびと味わうように酒を進めている。
48名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:11:13 ID:Zenj983o
「やほー、おつまみ調達にきたよ」
お皿を置いて椅子を引き、軽く腰掛ける。
そしてくつろぐようにお腹の辺りで手を組み、背もたれに体を預け足を組む。
ここなら大丈夫そうだ。
二人も少し持って行けという風にハムやチーズが乗ったお皿をこちらに寄越してくる。
軽く礼を言い、少し皿に取りながら口を開く。
「明日ねー、ちょっと行けなくなっちゃったんだ」
できるだけ軽く、何気ない用事である風に装う。
プリーストのほうがグラスを氷で鳴らしながら私に言葉を投げかける。
「うん?何か用事でも出来たのか?」
そう、用事だ。確かに用事だ。そう自分に言い聞かせる。
頬杖を突いて彼ほうを向き、だるそうに答える。
「まー、そんなとこかな…悪いねぇ、急に。」
申し訳ないのは本当である。
仲間との交流は大事、というのはわかっているのだが…


伝えることを伝えて安堵したところでふと自分の席を見る。
いつの間にか湯気の立つお皿がテーブルに置かれているではないか。
「持ってきたなら一言ぐらい言ってくれればいいのに…」
と渋い顔で呟く。
さっさと戻らないと、せっかくの料理が冷めてしまう。
「んじゃ、そういうことでよろしく!おつまみありがとv」
礼を言って席を立ち、私を待つ料理の元へ向かう。
空腹は最高のスパイス、というがあながち間違ってないな…と思いつつ席につく。
「ただいまん」
「ん、どーだった?戦果。」
「まぁ、上々…かな。食べる?」
他愛もない会話をしながらお皿を差し出し、私はスープに手をつける。
温かいスープをゆっくり喉に流し込みながら、ふと考えを巡らせる。


彼女は今頃どうしているだろうか…
まさか、一人で寂しい思いをしているのだろうか…
そう思うと、だんだん心配になってくる。
彼女が明日にした理由は何なんだろう…
考えを巡らせていると、目の前から声がかかる。
「どしたの?何か考え事?」
「うぁっ!?」
瞬間、はっとして思わず悲鳴をあげながらスプーンを取り落としてしまう。
小さい音を立てながらスープ皿に沈むスプーン。
酔っ払って赤らんだ顔が怪訝そうにこちらを見つめている。


「あー…ごめん、ちっと考え事してたわ…うわー…」
スープまみれになったスプーンを指先でスープの海から救出し、ナフキンで柄のところだけ拭き取る。
「なになに?なんかあったの?」
当然ながら突っ込みが入る。
どう答えたものか…と思い、考えを巡らせる。
あーだのうーんだの生返事を続けながら、再びスープを喉に流し込む。
次の一言が決定打となった。
「あー、オトコ?そうでしょ!」
「ぐっ!、げほっ、げほ…」
半分飲み込んだ後だったので吹き出すことはなかったものの、図らずも再びスプーンをスープまみれにしてしまった。
「何よその反応、図星?」
「ちがっ…けほっ、びっくりさせないでよ…」
再び指先で救出作戦を展開し、スプーンを私の手元に取り戻す。


何度か咳き込み、落ち着いたところで手元のグラスを呷る。
「そんなに驚かなくてもいいじゃん…」
と彼女は不満そうに言うが…いや、考えるのはやめよう。
考えるのは帰ってからにしようと心に決め、今度はナイフとフォークを手に取る。
「ごめんごめん、いきなりだったからさー」
言って付け合せのジャガイモを頬張り、鮭を切り分けにかかる。
「で、どこまで行ったの?」
ん?どこまで?
意図の読めぬ問いを訝しみながら、怪訝な顔で鮭を切り分け…
「ほら、デートとかその先とか!」
ナイフを持つ手に思わず力が入り、皿とナイフが鈍い音を立てる。
いつの間に私が男を見つけたことになったんだろう…
「いや、そっちじゃないから…」


とりあえず研究か何かのことにしておこう。
「今ちょっと詰まっててね、いろいろと。」
全くの嘘という訳でもない、個人的な研究で軽くスランプに陥っているのは事実だ。
大した研究ではないのだが、数少ない私の悩みの一つと言える。
「ん〜、研究?」
「うん、まぁ大したことじゃないんだけどさー…」
彼女も察してくれたようなので、この話題はここで打ち切って次の話題に移るとしよう。
酔っていても聡明なのは助かる、そう思いながら食事を進める。
今日は早く帰ることにして、さっさと片付けてしまおう…


他愛もないお喋りをしながら鮭のムニエルを口に運ぶが、なかなか減っていかない。
会話が弾んでいるのもあるが、何度も脳裏にあの泣き顔が浮かんでくるのが気になって仕方ない。
一旦ナイフとフォークを置いて軽く伸びをし、姿勢を崩してグラスに口をつける。
「ん?もうおなかいっぱい?」
おさしみがなくなって物足りなそうな彼女が問いかけてくる。
「ん〜、ちょっとね…食べる?」
皿を彼女のほうへ差し出し、デザート気分で生チョコを口に放り込み下の上で転がす。
「いいの?全部食べなくて。」
ゆっくり食べ過ぎたのか、だんだん食欲がなくなってきた。
「んー、なんか今日調子出ないなぁ…スープだけ飲むわ」
スープを片付けたら今日はさっさと帰って寝てしまおう。
「ありゃ、大丈夫?」
「うん、ありがとー」
しばらく二人とも静かに食事を進める。
食器の音と周囲の喧騒の中、半ば無理やりにスープを喉に流し込んだ。
49名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:11:41 ID:Zenj983o
「ふー…ごちそうさま」
背もたれに斜めに寄りかかって足を組み、大きく息を吐く。
「お、もう終わり?」
地面に置いていたのか、天津酒の大瓶からとっくりに移している彼女が問いかけてくる。
高級品である天津酒や焼酎は、通常は手に入れることが困難だ。
割と手軽に天津に行ける私達冒険者は、個人的に購入して酒場にボトルキープしたり自宅に置いたりしている。
「うん、手伝うよ」
体を起こしてとっくりに手を伸ばし、酒を注ぎやすいように傾ける。
注ぎ終わった彼女が瓶を足元に置き、おちょこに手をかけたので一杯薦めることにしよう。
「まま、ぐぐっと一杯」
「お、わるいねー」
器ギリギリまで注ぎ、とっくりをテーブルに置く。
「これ空けたら今日は帰るかなぁ」


口を尖らせてお酒を啜る彼女に言い、私もグラスを手に取る。
「んー?今日はえらい早くない?」
「うん、ごはん食べにきただけだから。」
肉をひとかけら口に放り込み、残り少なくなったグラスを一気に傾ける。
「ふー…だるいと作るのも面倒だしねぇ」
コップを置き、かばんを漁って少し多めの額を取り出す。
「だねぇ、今日は早めに休んだら?」
「ん、そうするよ」
お金を彼女に手渡しで渡し、席を立つ。
「んじゃそろそろ帰るわ、ありがとん」
椅子をテーブルに戻し、マスターに声をかける。
「ごちそうさまー、また来るよー」
肩越しに振り返ると彼女が手をひらひら振りながら挨拶を投げかけてきた。
「ん、じゃねー」
「うん、またねー」
私も手を軽く振り、扉に向かって歩き出す。


扉を開けると空はすっかり闇に覆われている。
街灯の下をだらだらと歩き、考えを進める。
敢えて彼女のことではなく、研究のことを。
この研究はやはりウィザードの領域ではなく、セージの領域なのだろうか。
協力を得るにしても、あまりにも漠然としている。
ギルメンの二人に手伝ってもらうにはあまりにも個人的な上に彼女達にメリットがなさすぎる。
セージの協力…協力…
やっぱりあの泣き顔がちらつく。
彼女にも研究があるだろう…そう思いながら頭を振る。
いつの間にやら部屋を通り過ぎていたのだ。
後ろを向いて少し進み、薄暗い部屋の前に立ち鍵を開ける。


真っ暗な廊下に灯りを投げ、足早に進んで行く。
少し休んで片付けでもしよう…そう思いながら扉を開ける。
カバンを机の上に置き、サンダルを脱ぎベッドに転がりこむ。
そのままごろごろしているうちに、だんだん眠くなってきた。
体も心も疲れている、少し休んでしまえ。
そう思い眼鏡を枕元へ置き、全身の力を抜いて目を瞑った。
50名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:12:19 ID:Zenj983o
「ん…」
まぶしい…
反対向きに転がる。
ちょっとさむい…
腰のあたりまで被っていたシーツを引っ張り、肩口まで引き上げる。
柔らかい布の感触が心地よく足にまとわりつく。
日が差しているということはまだ朝、もう少し…
「ふぇ!?」
思わず飛び起きる。
少し寝るつもりが、朝まで眠ってしまったようだ。
あくびをしながら頭をくしゃくしゃかき回す。
服も昨日のまま、部屋も昨日のまま。
流石にこのままではまずいので、部屋を片付けることにする。


ベッドに腰掛けながら寝起きの頭を軽く振り、眼鏡をかけて精神を集中させる。
ゆっくりと一冊の本に手を向け、念力で持ち上げ、本棚へと入れる。
よし、今日も調子がいい。
立ち上がり、ジャケットとスカートを脱いで洗濯物を入れているカゴに放り込む。
明日洗濯屋にでも持っていくことにしよう。
ついでに手近な服も放り込み、本を片付けにかかる。
研究所から普通の本、あんな本やこんな本…
分類別に本棚に差し込んでいく。
「ふ〜…おわりおわりっ、と」
軽く伸びをしてブラウスと下着もカゴに放り込み、眼鏡をと交換に大きめのタオルを引っつかむ。


シャワールームに片手を突っ込んで念力で蛇口を回し、水が温かくなるのをぼうっとしながら待つ。
そうだ、短剣を忘れないようにしないと。
そんなことを思いながら中に入り、頭から気持いい温度のお湯を浴びる。
「ふ〜…ん〜v」
大きく息を吐き、伸びをする。
水の勢いを弱め、軽く体を洗っていく。
あまり時間はないので手短に済ませ、体を拭く。
髪をタオルでくるみ、寝室に入りベッドに座る。
髪を拭きながら、机の上の短剣を見つめる。
そろそろ行かなくては。


まだ乾ききっていない髪に櫛を通し、髪を軽く振る。
クローゼットからウィザードの服を取り出し、身にまとう。
マントは…キッチンだ。
眼鏡をかけ短剣を掴み、キッチンへ向かう。
キッチンでマントの中を漁り、ねこみみは…今日はやめておこう。
寝室の扉を今日はきちんと閉め、マントを羽織る。
さぁ、どうなることか…
玄関の扉を閉め、約束の場所へと向かった。


約束の場所、私と彼女が昔住んでいた部屋の前。
彼女は既に私の杖を携えて待っていた。
賢者の服に青い光をたたえる宝玉をあしらった杖。
なかなか様になっている。
軽く手を振り彼女に声を掛ける。
「おまたせ〜、遅れちゃったかな〜」
彼女も気付いたようで、大きく手を振りこちらに向かってきた。
「ううん〜、ちょうどいい感じ!」
どうやら遅刻したわけではないようだ。
軽く安堵しながら短剣を取り出し、彼女に差し出す。
彼女も杖を私に渡し、二人とも各々の武器を身につける。


目的を果たし一段落し、彼女に私の家を教えることになった。
今度彼女の家にも遊びに行くことにしよう。
彼女を連れてゲフェンの町並みを歩いていく。
露店で飲み物を買い、二人で飲みながら歩く。
昔もこうやって歩いたっけ…そう思いながら。
積もる話もあるし、今日はゆっくり二人で話そう。
そう思っているうちに、私の部屋の前に着く。
「ここ、私の部屋。」
「はぁ〜、おっきいねぇ…」
心底感心したように彼女が言う。
確かに私の年齢でこの部屋は大きいと思うが、そこまで感心するほど大きいとも思えない。
そう思いながら扉を開け、彼女を部屋の中に案内する。
51名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:12:40 ID:Zenj983o
「でも、なんで教えてくれなかったの?」
ベッドに腰掛け、彼女がふと思い出したように問いかけてくる。
「あ…うー…ごめんね…」
少しぎくりとしながら、杖を立てかけ隣に座り言いにくそうに返す。
「いっぱい心配したんだぞー?」
肩で私をつつきながら彼女が続ける。
「うん…」
言葉が出ない。
心配してくれたのが嬉しく、そんな彼女に酷いことをしてしまった私が情けない。
そんな私の心情を察してくれた、というのは都合のいい考えだろうか。
彼女が何か閃いたように、手を叩く。
「よーし…じゃあ、ちょっとだけ私のおもちゃになって!」
「お、おもちゃ!?」
何かするつもりなのだろう。
それとも、何かさせられるのだろうか。


そう思った瞬間、肩を押されべッドに押し倒される。
「な…なっ…?」
口をぱくぱくさせながら、わけがわからず混乱する。
「あなたで遊んじゃう…」
艶のある美しい声。
誘惑するような、低く囁くような声。
「え…なに…っ!、んっ…!」
問い返そうと口を開いた瞬間、唇で口を塞がれる。
唇…柔らかい…
段々高鳴る胸の鼓動。
舌が動き、私の唇を舐める。
思わず唇が緩み、そこに半ば無理やり彼女の唇が入り込んできた。


「…っ!、ふ…んっ…!」
何故か抵抗しようという考えに至らない。
口の中で舌が動く。
私の舌も…動く。
私の口の中で動き回る舌を求めるように。
耳の先が熱っぽい…恥ずかしいのかな、私。
そう思いながら、私も彼女もお互いの唇を求めていく。
言葉のない、しかし濃厚な時間。
段々無理矢理から、甘く優しくとろけるように。


瞬間、唇が離れる。
「ふぁ…ぁ…?」
やだ…はなれちゃ…
そう思い顔を彼女に近づけ、再び甘い時間に浸ろうとする。
彼女も唇を触れさせ、同時に首筋を指先で撫でられる。
ぞくっとした感触。
「ぁ…っ…」
思わず声が漏れる。
そして再び塞がれる唇。


舌を絡められ、撫でるように胸を触れられる。
「んふっ…ふぁ…っ!、ゃ…」
そこまでされると思わず、いやいやをするように首を振り少し体を強張らせる。
力の入らない腕で彼女を押し戻そうとするが、彼女の一言が私を凍りつかせた。
「おもちゃが動いちゃダメじゃない…」
このまま、彼女のされるままに…
そう思うと、わずかな緊張と共にだんだん胸が高鳴ってくる。


そんな私の体をほぐすように、優しく胸を揉み始める彼女。
「キス…しないんだ…?」
まただ。
誘うようなあの声。
次の瞬間、彼女が私の首に顔を埋める。
舌のざらっとした感触が私の首筋を這い上がり、耳たぶを弄ぶ。
「…っ、は…ぁ…v」
目を閉じて我慢したつもりが、軽い喘ぎ声が口から漏れる。
「ん、いいんだぁ…これ…」


彼女が唇を動かすたびに唇が、そして吐息が私の心を弄ぶ。
「だっ、てぇ…、はぁっ、くっ…v」
思ったよりも甘い、搾り出すような声。
いつの間にか、胸も揉みしだくように大きく動かされている。
そう気付いた瞬間、全身が脱力して心がとろけそうになる。
気持ちいい…そんな私の心を見透かしたように、彼女が唇を動かす。


「胸…きもちいでしょ…、もっとしてあげる…v」
そう言い、胸の谷間に手を入れ胸を引きずり出す彼女。
「ひぁっ!?」
急な刺激に敏感になっていた乳首が擦れ、思わず情けない声をあげる。
息を荒げ、すがるように彼女を見つめる。
そんな私の心を察したのだろうか。
それとも、元からそうするつもりだったのか。
彼女が音を立てて胸に吸い付く。


「くっ…は…んぅぅっ…v」
声が出そうになるのを、必死に我慢する。
ぴりぴりして、我慢できないぐらい気持ちいい。
力、入らない…
反対側にも指先が掛けられ、刺激が始まる。
「はっ、ふぁ…ぁっ…、はぁっ…ぁ…v」
舌の感触と指の感触が私を弄び、私をさらに喘がせようとする。
もう、我慢できそうにないのに。


そんな私の体をさらに責め立てようと、彼女の手が私の足を撫でる。
「ぁ…ふぁっ、くぅんっ!、あ…はっぁ…v」
ぞくっとして、思わず体をくねらせる。
そのまま手は足の付け根へと動き、さらにその間へ…
「っや、そこぁ…っ、っやめぇ…」
言葉にならない言葉。
布越しに伝わってくる、撫で回されるような感触。
胸から口を離し、彼女が私の心を煽る。
「ここ、どうなってるかなぁ…?」


そんなこと、言われなくてもどうなっているかなんてわかっている。
どうして欲しいかもわかっている。
彼女もわかっているのだろう、レオタードを横にずらす。
「は…っ…v」
ひんやりとした空気が敏感なところに触れる。
そして、彼女の指も。
繊細な指を絡めるように、音を立て動かす彼女。
「はっ、あっ…はぁっ、は…v」
細く、絞り出すような…それでいて艶の入った声。
私の出している…声…


蠢く指に、皮の上から硬くなっているところを触られる。
「っく、ぁうっ!v、ふっ、くぅっ…」
体が言うことを聞かない。
腰が引け、背筋を反らせる。
足がじっとりと汗ばみ、ぞくぞくとした快感が背筋を走り抜ける。
時折皮がめくれ、指が直接触れる瞬間鋭い感覚が私を襲う。
「んぁっ、ひゃ…めぇっ…そこぁっ…v」
喘ぎ声交じりで呂律が回らない。
「こっちだめなんだぁ…じゃあ、こっちv」


刺激がぴたりと止まる。
そのくせ、頭の中はどんどん回らない…
「やめちゃっ…ゃ…だぁ…」
すがるように、おねだりする。
指が、入り口を押し広げるように入ってくる。
余程濡れていたのか、さしたる抵抗もなく指が入ってきた。
中で動かされ、一気に頭の中が白くなる。
もう…頭、考えられない…


「くぅっ!、あんっ…くんっv、あぅぅぅ…v」
こえ…でちゃぅ…v
ちくび…すわれてる…っ
「ぁっ…っ!v、はんっ、ぁふ…ぅっ、あぁぁ…v」
そこ、きもち…いいよぉ…v
もっと…きもちよく…
「足広げちゃって…そんなにいいんだぁ…v」
「ぁはぅっ、もっ…してぇ…v、そこぉっv」
だめ…もう…いっちゃ…
「ふぁっv、くっ!、くぅぅぅぅんっ!v」
52名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:13:01 ID:Zenj983o
ん…?
頭がぼうっとする。
寝てたっけ、私…?
ベッドに座ってるのにシーツかぶって…
体を起こすと、ひんやり…胸出してる…っ!
「ふぁっ!?」
慌てて足を抱え、シーツで胸を隠す。
「あ、起きた〜?」
椅子に足を組んで座り、暢気に声を掛けてくる彼女。
彼女に、私は…
「な、ななななな…」
されたことを思い出し、恥ずかしさで耳まで真っ赤にする。


確かに、おもちゃにされてしまった。
文句を飲み込み、胸とレオタードを戻す。
俯きながら盗み見るように彼女に声をかける。
「これで満足した…?」
「うん、心の広い私は昔のことは水に流してさしあげちゃう!」
どうやら、許してくれるつもりのようだ。
まだふわふわする頭をに手を当て軽く振り、彼女に苦情を言う。
「まったく、とんでもないおもちゃにされたもんだわ…」
「あんなにイイ声出してたのに?」
肘を手で支え、頬杖をつきながら彼女が強烈な一言を話す。


表情が凍りつくのが自分でもわかる。
「なっ…なにっ…いって…!」
シーツを丸めて、彼女に投げつける。
「うぁっ!?」
思わず体を縮め頭をかばう彼女。
肩で息をしながら、白い塊を睨みつける。
耳の先まで熱い、たぶん真っ赤になっているだろう。
「ん〜ふふ、行い次第でヒミツにしておいてあげるv」
シーツを盾にするように上から顔を出し、とんでもないことを言う彼女。
どうやら、恐ろしい貸しを作ってしまったようだ…これから気をつけねば。


「で、これからどうするの?」
肩の力を抜いて腕を組み、彼女に問いかける。
「部屋空いてるみたいだし、私も一緒に住んでいいよね?」
思わず目を丸くする。
開いた口がふさがらない、というのは正にこのことだ。
なんでこの娘はいつも唐突なんだろう。
断るわけにもいかない、何を言われるかわかったものではない。
これからどうしたものか…と溜息をつく。
どっちにしろ、明日から退屈とは無縁の生活が送れそうだ。


                          つづく
53名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/14(火) 02:15:49 ID:Zenj983o
以上です。
容量制限に引っかかってしまったので、話の区切りあたりで適当にちぎってあります。

えちーなのとは限りませんが一応続く…予定です。
どう続くかは今のところ全く考えていませんが。

では、またお会いする時まで。
54名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/15(水) 04:05:19 ID:QEwaR9V6
なんていうか…
ストーリー性のあるえっちぃのが大好きなのでこういうのは;


大好物ですΣd(・∀・)
続き期待しております〜
55名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/24(金) 15:22:06 ID:RzJrBunA
唐突に失礼します
過去ログ飛んじゃったんですが、倉庫で探してもどうも見つからない・・・
プリ(ふた)×アコの話だったんですが誰かタイトルor検索語句おぼえてませんかorz
56名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/25(土) 18:46:05 ID:RR7Sf/WY
>>55
(´・ω・)っ[Fうまスレ]
57名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/28(火) 22:30:40 ID:JxO6EqA2
55とは別の者です。
Fうまスレという単語は他でも見かけたのですが、その所在がつかめません(消滅?)

どなたか詳しく教えていただけないでしょうか?

PS:55の小説は「Forbidden DOOR」というサイトの[Online game]の項にあります。
5856sage :2006/03/29(水) 00:28:27 ID:H5rGIp0Q
google先生に聞いてみるとわかる>Fうまスレ

For略のOnline略項の 某所に投げた略 のリンク先が↑のFうまスレ
59名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/03/30(木) 16:58:55 ID:uz.F/yYc
そこがFうまスレというキーワードの終着点だったのですね;
失礼致しました、解説どうもです。
60名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/21(金) 04:16:57 ID:Q5H.S7pQ
新着こっそり待ち
61名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/23(日) 15:42:47 ID:TXHmOHuc
>>53
だいぶ遅レスだけど……すごすぎた
ギルメンの設定もいろいろ深くあるみたいで、もうすでに他所やHPで作品書いてあったのかな?
研究とセージの関係とかギルメンのこととか伏線はりまくってある感じなので
ものすごく続いて欲しいところw

それにしてもここ久しぶりに来たけど微妙に過疎ってる?
62名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/04/23(日) 16:32:52 ID:OuVltkKQ
他のところでは書いてません。
sagewizあぷろだ80.txtに書きかけを出したのですが、当時はえちーでなかったので…

次回もえちーくするかどうか悩んでます。
いつ書けるかわかったもんじゃありませんが…


で、いい感じに過疎ってますね。
6361sage :2006/04/23(日) 16:48:44 ID:3zeF8rO.
おお…作者さんが(´▽`*)

文の書き方がすごく好きなので、ぇちくなくても個人的には満足なので(スレ的にはまずいかな?
続きがんばって欲しいです〜
64名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/05/25(木) 01:26:09 ID:Mwi58wvY
カンコカンコ
65名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 00:18:04 ID:qBYcbDBo
誰もいない…書き逃げするなら今のうち
66名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 00:18:12 ID:qBYcbDBo
週に一度の安息日が空けた。
街には様々な声が溢れているが、今週は特にこんな声が多い気がする。
「レモン安い!!こらたまらんね!!」
「これでもうSPには困らない!」
そんな、喜び?の声。
だが、一部ではため息が零れていた。聞こえないようにひっそりと。
私も、そんなため息を零す一人。
「はぁ…これでもう、お役御免かなぁ…」
そう。
私は、プリースト。
それも、俗に支援型と言われる、仲間を支え助ける奇跡だけを身につけたプリーストだ。
様々な奇跡があるが、その中でも特に力を持つ奇跡に、精神力の回復力を大幅に向上させるものがある。
装備、アイテムの大幅な強化に伴い、じわじわと私たちの存在価値がなくなりつつある昨今、
この奇跡がある意味拠り所とすら感じていた。
そこに来てレモンの格安販売。
私の最後の拠り所は、もろくも崩れ去ってしまった、ような気がした。
さらに悪いことに。
私と共に魔物と戦ってくれる、いわゆる相方と言えるその人は…
ヒールの奇跡で身を癒し、聖十字…グランドクロスの御技にて敵を屠る
クルセイダーなのだ…。
「…捨てられちゃうかなぁ…」
そんな言葉をつぶやく。
クルセイダーである彼女は、その名に恥じぬ誠実さと潔癖さを持つ。
だから、そんなことはない、ない、と思いたい、のだが…。
悲しいことに、豹変して捨てられた人を何度も見たりもすると、揺らぎが少し生まれてしまう。
一番悲しいのは、こんなことで揺らいでしまう弱い自分なのだが。
「私…ミリアに捨てられたら…この世の終わりだよ…」
そんなことをつぶやいてしまう。
それほどに。
私にとって彼女…ミリアは大きな存在になっていた。
だから、揺らいでしまう。
だから…今日、軽く三桁に届いたため息を、また、こぼした。
67名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 00:18:33 ID:qBYcbDBo
「シア?どうかしましたか?」
ふと背後からかかった声にびくりと小さく跳ねてしまった。
「みっミリアっ」
「はい?私ですが…ほんとうにどうかしたんですか?」
慌てて振り返った私の顔を、ミリアが覗き込んでくる。
「ななっ、なんでもないっ、なんでもないからっ!」
ぶんぶんと擬音がつきそうなほどに手を振る。
いけない、自分でもわかるくらいに顔が赤い…。
なんでこんなタイミングでひょっこり現れてくれるんだろう。
動揺する自分を誤魔化すように心の中でぼやく。
「そんなに顔が赤いのに、なんでもないはずないでしょう。風邪かな…」
つぶやくように言いながら、私の額にそっと手が伸びる。
触れられた、それだけでどきんと心臓が跳ねて鼓動が早くなるのが自分でもわかってしまう。
「大丈夫、ほら、私キュアあるし!!」
そう言いながらなんとか後ろに引いて手の平のぬくもりから逃れた。
…我ながら、何をやっているのだろう…混乱する自分の隅っこでまたため息。
「キュアが万能じゃないことはシアが良く知ってるでしょう。まったく、風邪は万病の元なんですよ?」
嗜めるようなミリアの声。ああ、呆れられてる…。
しょぼん、と肩を落とす私に、追い討ちがかかった。
「ああ、丁度良かった。風邪に効くと言いますし、これ、どうぞ」
そういって彼女が差し出したのは…
「なんでこんなの持ってるのよ…」
私には、ほとんど必要ないもの。
「いえ、なぜかやけにあちこちで売っていて。見ていたらシアのことを思い出したものですから」
そう、それは。
「…なんでこんなので私を思い出すのよ!!やっぱり私はそうだったの?!!」
差し出されたそれを、私は思わずはたき落とした。
ころころと、『それ』が床を転がっていく。
「シア?一体何を言って…」
「だってそうでしょ?!レモンなんて!精神力を回復するための道具じゃない!!
 私もそうだっていうんでしょ!!」
困惑するミリアの声にかぶせるように、そう、叫んでしまった。
けれど、理性のたがのはずれた私には止めることができない。
「街でみんな言ってるわ、これでもうプリーストは用無しだって!
 私なんて精神力を回復することしか、それしかないじゃないっ!!
 こんなっ、こんな煩い女よりレモンのほうがずっといいわよ!!」
何を言っているのだろう。そんなこともわからないままに言葉がほとばしる。
そんな私の滅裂な言葉を黙って受け止めていたミリアが、言葉が途切れた僅かな間に口を開いた。
「そんなことを思っていたんですか」
「違うっていうの?!」
「ならばいい機会です。私もあなたに伝えなければいけないことがあります」
静かな彼女の言葉に、びくん、と身が竦んだ。言葉が、出てこない。
そう、わかっていた。私は不安で不安で仕方なかった。
だから、あんな心にもない言葉をまくしたてていた。
そんな虚勢とも言えないような勢いは本当の言葉の前では力をなくしてしまう。
何も言えない私の目の前で、ミリアが口を…開いた。
68名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 01:40:58 ID:qBYcbDBo
「シア。あなたのレモンを私にください」
………。
「…はい?」
予想外の言葉に、私の唇から妙な声が漏れてしまう。
そんな私におかまいなしに、ミリアの静かな声が続く。
「知りませんか?ファーストキスの味はレモンの味がすると」
「…え、え、や…え??」
そういえばそんなことを聞いたことがあるようなないような?
混乱のあまりそんなことを口にすることができない、そんな僅かな時間の間に。
逃げようとしていた私の目前へと、ミリアが迫ってきていた。
いや、気がつけば腰の後ろに腕が回されている。
抵抗なんてする間もなく…私は、抱き寄せられていた。
「私はキスの経験がありません。だから、これがファーストキスになります
 だから、シアのレモンをください」
頭の中がまだ整理されない。
だけれど…真剣なミリアの瞳を見つめるうちに。
その瞳がゆっくりと近づいてくるうちに。
…その香りが、唇が間近に感じはじめたせいで。
私は、そっと瞳を閉じた。
わずかな刹那の後、唇に感じた、のは…
「…嘘でしたね」
そうミリアがささやいたのを聞いて、私は思わず小さく頷いてしまった。
こんなレモンは絶対にない。少なくとも私は味わったことがない。
「うん…だって、だって…レモンはこんな味しないよ…これは…」
レモンの酸っぱさなんてどこにも感じない、甘い、甘い、これは…
「幸せの味、でした…」
夢見るようなミリアの声に、ぼん、と顔が真っ赤になったのがわかる。
だって…
「い、言わないでよ、そんな恥ずかしい言葉!」
「しかし、本当にそう感じたものですから。…シアは違ったのですか?」
ミリアの言葉に沈黙する。
だって…だって、それは本当に
幸せの味がしたから。
私は、小さく頷くことしかできなかった。
69名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 01:41:17 ID:qBYcbDBo
「よかった」
幸せそうなミリアの言葉に、耳まで真っ赤になる。
「な、何がよかったのよっ」
「だって、私はこんなに幸せなのにシアは違ったら不公平じゃないですか。
 ミリアも一緒に幸せになってくれたら、こんなに幸せなことはないです」
…真顔だよ…真顔でこういうこと言う人なんだよ、ミリアは…。
直球の恥ずかしさと嬉しさと照れくささで、私は言葉を紡ぐことができない。
そんな私を幸せそうな笑顔で見つめると、ミリアはまた顔を近づけてきた。
「…私はとても、幸せです。…もっと味わっても…いいですか…?」
そんな囁きに…私はまた、小さく頷く…それでも、はっきりと。
頷いて、見せる。
「ありがとう…大好きです、シア…」
「わ…私も…大好き、ミリア…」
聞こえただろうか?
自分でもわかるほどかすれた声に不安になる。
が、次の瞬間に杞憂だとわかった。
私を抱きしめる腕に一層力が篭る。
その心地よい戒めに身を任せてしまえば、感じるのは甘いぬくもりだけ。
酔いしれるように瞳を閉じれば、次の瞬間に訪れる、一番幸せな甘いぬくもり。
二度目なせいだろうか?
それとも、少しは落ち着いて受け入れたからだろうか?
一度目よりもずっとずっと甘く感じる、柔らかな唇。
ミリアの唇の形、その柔らかな造詣一つ一つがわかってしまうほど鮮明な感覚。
体が痺れてしまうような。
そんな言葉が浮かんで…消えた。
誰かから聞いた言葉なんてどうでもいいほど、私は今、幸せだったから。
70名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 01:41:32 ID:qBYcbDBo
そんな感覚に完全に酔いしれていたからだろうか。
私の唇は溶かされ、解かれていった。
吸い上げられる。と、湿った音がした。
はしたない、とどこかで思って…すぐに、消えた。
そんなことがどうでもいいくらいに、幸せだから。
…気持ち、よかったから…さらに唇が、緩んだ。
その隙間に、さらに甘いものが侵入してきたのを感じて、体がびくんと震える。
「んぅっ!…ん……んぅ…」
始めは、驚いてしまって。
それから、その気持ちよさに…幸せさに。
言葉も心も…体までも。
緩んで、しまう。
甘く、蕩けてしまう。
口の中に侵入してきたものの正体は、わかった。
疎い私でも聞いたことくらいはある。
でも。
聞くと体験するとでは違いすぎた。
舌と舌が触れ合った、たったそれだけで体中に電気が流れたような衝撃。
いけないこと、と思いながら…もっと、と思ってしまう。
そんな心そのものにためらいがちな舌の動き。
…それも程なくして溶かされてしまう。
求めるように動いてしまう舌…いいえ。
求めているのは、私の心。
ミリアが欲しい…そして、ミリアから求められたい。
そんな我侭な私を、ミリアが受け止めてくれる。
求めるままに、与えてくれる。
そんな幸せな時間に、私はひたすらに甘え…
気がつく暇もなく。幸せな白さに包まれて…くたり、体から全ての力が抜けてしまった。
71名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 01:41:55 ID:qBYcbDBo
「…シア、シア!」
どこか遠くからミリアの声が聞こえる。
…もしかしたらこれは、体を揺すられているのだろうか?
ぼんやりとそんな風に思う自分をどこか愉快に感じながら、ゆっくりと目を開けた。
「シア…びっくりしました、急にぐったりするから…」
「ごめんね…幸せすぎて…気を失っちゃった…」
ほっとしたような、申し訳なさそうな。
そんな顔のシアへと…微笑むことができただろうか?
まだ夢見心地な私は、そんなことすらわからない。
ただただ、幸せな…酔いにも似たこの感覚に身を任せる。
「そんな、シアが謝ることではないです、私が…その…」
口ごもるミリアを見て、くすくす、と笑みが漏れた。
ああ、やっぱりミリアだ…そんなささやかなことでも安心して…幸せになれる。
「じゃあ、ミリアも謝らないで?私…ほんとうに、幸せなの…」
ささやくと、ちょっと困ったような、でも隠せないほどに幸せそうな顔。
うん…私は
「あのね…ミリアが…好き…大好き…」
力の入らない腕をそっと伸ばす。
ミリアの首に絡め、抱き寄せ…られない、まだ力の戻らない腕に、でも今はもどかしさも感じない。
「ずっとね、大好きだったの…でも、言っていいかわからなかったから…」
こうして、触れ合っているだけで。
彼女の一番近くにいられるだけで。
「ミリアから求められて…本当に幸せだった。
 …ううん、今も本当に幸せ…ごめんね、ずるいよね、私…」
そう謝っても、緩まない腕がここにあるから。
私は、本当に、本当に
「わっ…私も…私も…っ
 ずっと、ずっと…シアのことが大好きで…その…その…」
口ごもるミリアが愛しい。愛しくてたまらない。
少しだけ力の戻ってきた腕で、抱きしめる。
「…も、もっと…もっと欲しい、です…っ」
…そんな彼女の言葉に、一瞬だけ硬直してしまったけれど。
「…いいよ…」
ささやいて、今度は私から唇を求めた。
72名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 01:42:09 ID:qBYcbDBo
「ふぁっ!」
求めた唇、その甘さを味わって…数瞬、だろうか。
自分でも恥ずかしくなるくらい甘えた声を出しながら、私は背筋を反らした。
ミリアの指先が首筋をなぞった、たったそれだけのことで。
「シア…シア…」
私の名前を呼んでくれる、それだけで体が熱くなる。
指先で呼び起こされた熱を、唇が吸い上げた。
さらに高い熱が、体の芯から沸き起こってくるのを感じて、身震いすらしてしまう。
その元凶の指先は…ぷつり、小さな音を立てて私の衣服の戒めを解く。
そうしていながら、胸元へ…流れて、いく。
「あっ…だ、だめ…そんな…恥ずかしい…」
「だめです。それに、恥ずかしいことなんてないですよ…こんなに綺麗なのに…」
きっぱりと。…そして、うっとりと。
本当のことだけを伝える言葉に、私はどうしていいのかわからなくなる。
「ミリア…あなただけよ…?あなただけ、見て…こんな私を…」
「もちろんです。私だけ…例え我らが主であろうとも、見せません…シアの、こんな綺麗な姿…」
綺麗?どうなのだろう。
くたりと力なく横たわった私は、すっかり着崩れていた。
胸を覆う下着はずれあがり、恥ずかしい膨らみが衣服の隙間からのぞいている。
その膨らみはミリアの指先で弄ばれ、形を変え…そのたびに、私は悦びの声を上げていた。
びくん、と体が跳ね、身をよじり…スカートのスリットから、さらに乱れて…足の付け根まで露になる。
その乱れをたどるように、ミリアの指先が滑り、遡る。
「やっ、そこっ…ああっ!!」
拒絶…ではない。形だけなのはよくわかっている。
私も…ミリアも。
だから、止まらない。
もう、胸元はあられもない、どころではない。
唇が咲かせる紅の花は咲き乱れ、柔らかな膨らみは悦びに震える。いや、震えて悦びを産む。
そうして、悦びの根源の泉へと彼女の指が訪れれば
「あっ!!あ、ああっ!ミリアっミリア!!!」
私は、彼女の名前を何度も何度も叫んで…
本当に、真っ白な真っ白な…そして幸せな。
今まで知らなかったどこかへと、飛ばされてしまった…。
73名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 01:42:31 ID:qBYcbDBo
「…シア、シア!」
…既視感を感じる場面。声。
違うのは、ミリアの上気した顔、私の…その…
「あう…ミリア…」
少しだけ冷静さが戻ってくると、やっぱり恥ずかしい。
彼女の腕の中、もじもじと身を捩りながら乱れた自分の体をなんとか隠そうとする。
「シア…その…」
「謝ったらだめ」
何か言おうとしたミリアをさえぎる。
…目をぱちぱちとさせる彼女を見ると、小さく噴出してしまう。
「謝らないで…私も…ううん、私はずっとこうしたいって思ってたの」
「シア…あの…わ、私も…私も、そう、です…」
たどたどしい言葉、さっきまでの積極性はどこへやら。
でも、そんなところもミリアらしい。
彼女の言葉を待つ間、私はずっとくすくすと笑っていた。
「そ、そんなに笑わないでください…」
困ったような顔を見ていると、押さえられない。
少しだけ、体を起こして。
「…キス、したくなっちゃった…」
ぽそりと、宣言。
驚いた顔のミリアを楽しむ前にその唇を堪能する。
「…んぅ…シア…あ…シアっ…」
びくん、とミリアの体が震えた。
「ミリアにはしっかり味あわれちゃったんだもの…だから、今度は私の番よね?」
「そ、それは…あぅ、だ、誰か来るかも…」
慌ててわたわたと周囲を見回すミリア。
さっきまでの積極性はどこに行ったのだろう、とくすくす笑ってしまう。
「誰に見られたって構わないわよ。
 ううん、神様が見ていたって構わない」
慌てているミリアは、思いのほか簡単に組み伏せた。
…なんの抵抗も感じないのは気のせいだろうか?
「私の全てを、心も全て見せるのはミリアにだけ。
 だから…私にも、全てを…見せて?」
ささやいて。
体を重ねた私を、ミリアがぎゅっと抱きしめてくれた。
74名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 01:43:15 ID:qBYcbDBo
という感じで終了です。
突発的に浮かんだネタですので、荒いところもかなりあるとは思いますが…
楽しんでくださった方が一人でもいらしたら幸いです。
75名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 03:28:45 ID:Q5t85rKY
(*´Д`)アマー
こういう甘い話大好きです。
76名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/08(木) 05:06:20 ID:RxFQfhG.
実はリアルタイムで見ていたり。
他にも見てる人居るには居るみたいですね。
77名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/09(金) 02:04:55 ID:fhChrFi.
おながいだから、「もうちょっとだけ続くんじゃよ」っていってくださいorz
78259の人sage :2006/06/09(金) 21:31:22 ID:qXTzjIII
むちゃくちゃお久しぶりです。
一本書いたんですが、アフォみたいに長いのでえろだ借りました。
ネタは前スレの263さんからいただきました。
いつの話だよ。って感じですが、書き始めたのはその頃なのです。
いろいろあって途中で放置してたのを完成させてみました。

お楽しみいただけたら幸いです。
と思ったんですが、えろだって直リンOKなんだろうか・・・。
トップページならOKですよね、たぶん。

ttp://archer.s1.x-beat.com/main.shtm

↑から入って適当にそれっぽいのを落としてくださいませ。
79名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/10(土) 01:20:24 ID:sqtBdVvE
面白かったです
表現の質や量とか、一人称での書き方とか、自分に近くて
でもずっと上のレベルで描かれているので、読んでてこう……
やっぱり259の人さんの作品が一番好きです

まだ小説書いていらっしゃったんだなってわかったことも嬉しかったり
あとプリ大好き。騎士子好きの人には譲れない
80名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/10(土) 05:02:41 ID:QzhBvAns
>>78
最高ですた…
81名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/10(土) 08:47:31 ID:btRT3LwQ
>259 村上春樹好きじゃね?
82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/13(火) 10:40:10 ID:sSN4OWGY
どちらの作品も素晴らしかったです、ハァハァ
83226たんsage :2006/06/15(木) 16:18:17 ID:rDjrh2tQ
どーもお久しぶりです。
触発されまして、書きかけの作品をなんとか仕上げてきました。
意図的にいつもと作風を変えた短編です。練習のつもりで。
84226たんsage :2006/06/15(木) 16:19:23 ID:rDjrh2tQ
 ぽふ。
 微かに埃を舞い上げ、たっぷりと空気を含んだ布団が少女の体重を受け止める。
 グランペコの羽毛で作られた布団は、ここアルデバランの名産品だ。
 少女はしなやかな手足を伸ばす。
 布団から溢れる太陽の香り。
 解かれた髪から立ち昇る、汗と草の香り。
 リラックスするままに鼻腔はそれを吸い込んでいく。
 瞼がすうっと閉じていく。

 彼女はシーフ。
 生まれはリヒタルゼン東市街。通称貧民街。
 口減らしと出稼ぎを兼ねて、今はルーンミッドガッツで冒険者として生活している。

 生来怠け者である彼女だが、この日は珍しくモンスターを狩りに出かけた。
 ルティエのおもちゃ工場で、日がな一日おもちゃの化け物と取っ組み合い。
 もっとも、彼女の場合は戦っているよりも座ってキャンディやケーキを食べているか、
走り回って遊んでいる時間のほうが長いのだが。
 この日の特別な出来事といえば、おもちゃ箱に入って遊んでいたらミストケースと間違えられて
自動人形に追い回されたことくらい。

 理由はともかくとして、彼女は疲れていた。
 ここは国境都市のそのまた外れに位置する、地酒と料理のおいしい小さな旅館。
 彼女が狩りへ出かけたのは、このお気に入りの店に泊まるためだった。

 うとうとしていた彼女が、はっと顔を上げる。
 時計の長針が指す数字が2つ進んでいた。危ないところだった。

 大きな口をあける。
 大きな欠伸。思わず涙が漏れる。

 口を閉じると、口の中は微かに苦い。
 夕食のグランペコ照り焼きの薬味の味。刻み緑ハーブの味。
 付け合せにはレモンが添えられていた。
 ある商人が大量に流通させたため、そこかしこでレモンを使った料理を見かける。
 彼女は不満だった。酸っぱいだけで甘くない果物など認められない。
 味覚が幼い彼女は、甘いものが好きだった。

 筋肉を弛緩させて、疲労からくる爽快感を楽しむ。
 ゆっくりと流れていく時間。
 たまには、疲れるのもいい。

 もそもそと身体を蠢かせて服を脱ぎ、足の指で摘んでベッドから放り出す。
 行儀はよくないが、彼女はそんな細やかな躾がされているほど育ちが良くはない。
 羽織っただけの上着と、ゆったりとした厚手のパンツ。寝転んだままでも簡単に脱ぐことができる。

 下着だけになり、布団へ潜りこむ。
 猫のように喉を鳴らし、羽毛布団の肌触りをさらさら楽しむ。
 足を伸ばす。気持ちがいい。
 膝が抜けそうなくらい身体を伸ばす。

 身体中を血が巡っていく。
 教養に疎い彼女は、解剖学の知識など無いが。
 それでも、循環する流れを感じることができる。

 しばらくそうして、身体を甘やかしていた。

 そんな気だるいまどろみの中、ふと何かに気づく。
 いや、彼女は知っているのだ。

 疲れているときは、身体が正直になる。
 休めばそれはもう気持ちいい。
 気持ちいいが。

 …エッチなことをしても、とても気持ちいい。
 教養に疎い彼女も、それを良く知っている。

 まして、ここ一週間ご無沙汰している。
 機会はいくらでもあるのだが、しばらく控えていた。
 彼女が慎み深いわけではない。むしろ逆だ。
 我慢したほうが気持ちがいいから、我慢していたのだ。
 ケーキ・バイキングへ行く前日、食事を抜くのと同じことだ。
 少なくとも彼女の感覚では、それと同じこと。

 つまり、この宿へ泊まったのも、狩りへ出かけたのも。
 そう。最初からそういうつもりで計画していたのだ。


 手を伸ばしてワインの瓶を取る。
 シュバルツ・カッツ。ルーンミッドガッツではあまり見かけない銘だ。
 瓶から直接口に含み、瓶はベッドの下にそっと立てる。
 熱く甘い。
 目を閉じて嚥下すると、ぽうっと喉が熱くなった。
 教養に疎い彼女でも、旅情を楽しむことはできる。


 お酒を飲むと胸元が苦しい。そう彼女は思った。
 別に苦しくはないのだが、とにかくそう思った。
 胸を覆う布地を、器用に取り除く。そのまま、ベッドの脇へ落とす。
 さも息が苦しかったかのように、大きく息をつく。

 息をしながら、手のひらを胸元に当てる。
 息をする。

 部屋には彼女一人。
 誰に遠慮することもないのに。
 それでも偶然を装って、胸に置いた手をそっと揺らす。
 鼻にかかった息が漏れる。
 そっと手のひらを浮かせ、乳房の先端の桜の実を擦り転がす。
 掠れた長い息が、心地よく引っかかりながら鼻筋を抜けて行った。

 教養に疎い彼女は、欲に対して素直だった。


 今夜の彼女の身体は、甘い甘いケーキの山。
 今日の出来事はすべて、彼女自身が甘く美味しく食べるための演出だった。
 最初に食べるのはいつも、チェリーを乗せたプディング。

 柔らかなプディングをそっと包み、優しく味わう。
 ため息が漏れる。
 うっとりした表情で天井を見上げる。
 なんて幸せなんだろう。
 教養に疎い彼女は、本当に素直にそう思った。

 酔いが回っているのだろうか。
 夕食から数えて、それなりの量の飲酒をしている。
 思考がはっきりしない。
 酔っている。
 甘ったるい幸せに身を任せてしまう。
 でも意識ははっきりと、今夜を覚えていてくれる。
 忘れてしまったら勿体ないから、そう計算してあった。

 火照った身体。柔らかい洋菓子のような膨らみ。
 洋菓子はミルクで作るから柔らかい。
 だから、彼女のミルクプディングはやはり洋菓子の柔らかさ。

 彼女はこれが大好物。
 手の込んだ下ごしらえをした日は、とろけるほど甘く仕上がるのだ。
 大きさは普通か、歳の割りには大きめ。
 彼女には、そんなことはどうでもよかった。甘くて美味しければそれだけで良いのだ。
 下ごしらえは上々だ。今日のケーキは、とても甘い。

 指先で右のチェリーにそっと触れる。
 ひくっ、と身体が震えた。息が喉で詰まった。
 唾を飲み込み、息を吐く。酒と欲に酔った熱い息。
 瞳が潤んでいくのが解る。震えた息が喉から鼻へ。まだ熱い。

 もっと。身体が訴える。媚びる。
 男女の別なく虜にするほどの媚態。
 湿った熱い吐息。見上げる濡れた瞳。火照った頬。
 だがここには彼女しか居ない。誘惑する者も、される者も。どちらも彼女自身。

 再び触れる。そっと指先だけ。
 喉が震える。熱い息が鼻へ抜けてゆく。
 自分の声の悩ましさ、色っぽさに、彼女は満足した。

 興奮でくらくらしている。
 気を抜けば、今すぐにでもこの甘味に溺れてしまいそうだった。
 せっかくここまでに仕上げたのに、がっついては台無しだ。
 今夜は、食べきれなくなるまでじっくり味わう。
 彼女は、そのためにここに居るのだった。

 薄く触れたまま、ゆっくりと転がす。
 かすれた声が漏れる。
 腿がぴたりと閉じ合わされ、触れても居ない腰が引けていく。

 顔をしかめ、息を呑むような酸っぱさ。
 それを押し流す、信じられないほどの甘さ。
 彼女が最も好むフルーツは、彼女自身の身体。
 感じやすい身体は彼女の自慢。それを引き出す技術も自慢。
 教養に疎い彼女は、それを恥とは思わない。
85226たんsage :2006/06/15(木) 16:19:45 ID:rDjrh2tQ
 胸の前で両腕を交差させ、自分の身体を抱くようにして。左右のチェリーを、両手でそれぞれ摘む。
 少しずつ力を加え、優しく磨り潰していく。
 喉を逸らし、腿を擦り合わせ、我慢できなくなると息を漏らす。
 身体が驚いても、手は止めない。身体が急かしても、強くはしない。
 最高のケーキが食べたい彼女の意思は強かった。

 このままずっと、小さなさくらんぼを味わい続けていられたら。
 きっと幸せなのだろう。この甘味はそれほどまでに心地良い。
 時折ぴくんと跳ねながら、身体がもぞもぞと動く。布団がさらさらと擦れる。

 うつ伏せになる。布団に胸のふくらみを押し付ける。
 我に返ると、自分が興奮しているのをかえって強く自覚してしまう。
 まだ頭の中に火花が散っている。視界の中で、白い枕が左右に揺れている。
 長く熱い呼吸を繰り返す。犬が甘えて鳴いているような声。

 恍惚の中で、高まる期待。唯一残った下着に手をかける。
 熟れた苺の乗ったショートケーキ。その包装は、漏れ出た蜜で酷い有様だ。
 手付きがたどたどしい。腿で引っかかり、丸まっていく。もどかしく思いながら、乱暴に取り除く。
 投げ捨てる。

 小刻みに息をつく。苺に手を伸ばす。シロップに濡れて艶光る苺。
 指が触れた。

 枕に顔を埋めた。ほんの僅かに触れただけで、内腿ががくがくと痙攣している。
 震えは全身に広がり、刺激の強い酸味と、心をも溶かす甘味を運んでいく。
 うつ伏せのまま上体をベッドに埋め、彼女は最高のフルーツの味に酔いしれた。

 小刻みに、指先でつつくように刺激する。
 視界が光で染まる。瞼の裏で火花が弾ける。
 身体は別の生き物のように揺れ、跳ね、くねる。
 こんなことを続けたら、頭がおかしくなる。彼女の正常な部分が辛うじてそう思った。

 意思を振り絞って、手を止める。顔を上げる。
 涎が枕との間に細い糸を引いた。
 熱気を吐き出すように荒い息をつく。
 このまま続けていたら窒息していたかもしれない。そんなことを思った。

 下ごしらえが良すぎて、苺は危ない。
 そう思った彼女は、背中越しに脚の間に右手を入れた。
 左手は顎の下に肘を置いて、上体を支える。その指先で、右のさくらんぼをそっと摘む。
 背中越しに通した右手の親指を、そっとケーキへとあてがう。
 このために、彼女の手の爪はいつも綺麗に切り揃えられている。

 クリームを味わいながら、親指を奥へ進めていく。
 胸を摘む左手にも自然と力が入る。喉が逸れ、顔が上がる。
 右腕に引っ張られるように、上体が逸れる。
 髪が肩と背中を滑り落ちて、くすぐったい感覚を残していく。

 逸らせた喉を通る甘い息。親指が根元まで飲み込まれた。
 親指をそっと曲げる。彼女の内側が、身体の前、苺の根元へ向けて圧迫される。
 脇が締まる。じわりと汗が滲む。

 彼女の親指は、コインほどの大きさの丸い窪みにぴたりとはまっていた。
 鳥の皮のような、ざらつく感触。親指を曲げると、指の腹がここに当たる。
 彼女のケーキでもっとも、甘い部分だった。

 まだ強くは圧さない。ぴったりと当てるだけ。
 うつ伏せのまま、腰が高く上がっていく。引っ張られるように、さらに上体が逸れる。
 根元まで飲み込まれた親指は、抜けることはない。
 喉が渇く。自分の汗の匂いが解る。焦れていく。

 親指を曲げる。当たる部分が奥へ引っ込んでゆく。
 いや違う、入口が締まったのだ。そうして出来た丸い空洞。
 入口が力強く親指を固定して、最も甘い場所に正確にあてがう。
 掌と親指で、自分の腹を挟むように。

 自分の息遣いに耳を傾ける。泣いて懇願するような響き。
 早く、そこを擦って欲しい。
 背中越しに回された自分の手は、まるで他の誰かの手のようだった。

 絞るように、胸の小さな実を転がす。
 少し前は満足できた甘味が、今ではもう物足りない。
 蕩けそうなくらいに甘いのに、もっと欲しい。渇く。

 親指をそっと曲げる。甘い部分が圧される。
 胸をベッドに押し付けて、腰を上げる。
 全身の水分が汗と蜜に変わって、流れ出していく。
 苺に触れたときと違って、苦しいような酸味はない。
 ただとても甘くて、いくらでも味わっていられそうな幸福感があった。

 掲げた腰が左右に揺れる。
 もっと擦り付けたくて、勝手に腰が動く。
 しかし、締めて固定された親指はぴたりと付いたまま。
 ケーキは少しずつ味わうべきだと言わんばかりに、ゆっくりと圧迫していく。
 それに合わせて、彼女の身体は柔らかなベッドへ沈んでいく。
 ずぶずぶと、どこまでも沈んでいくような錯覚。

 枕を噛む。
 親指を曲げたまま、前後に動かす。
 窪みを指の腹で掻く。

 発情した動物が鳴くように、布地を噛み締めたまま喉を鳴らす。
 ただ右手だけは冷静に、同じペースでそこを掻き続ける。
 スプーンで甘いケーキをすくい、食べる。繰り返し味わって食べる。

 甘すぎた。

 彼女の堤防はすぐに壊れた。
 掻くだけではなく、圧す。抉る。震わせる。回すように圧しこむ。
 膝の力が抜けて、がくがくと震え出す。
 気持ちよくなるための我慢は終わり、思うままに甘い感覚を貪り尽くす。

 いや、思うままではない。彼女はもう何も考えていない。
 勝手に動いて快楽をくれる自分の身体に、全て委ねている。
 水分だけでなく、何もかもが汗と蜜になって溶け出していく。
 それは肌から滴り、身体の中のある一点に集まっていく。

 親指を固定していた掌が離れ、指ではなく腕が動き出す。
 曲げた親指の先が、乱暴に前後して掻き回す。
 胸のチェリーを食べつくした左手が、苺を味わいに伸びてくる。

 苺をこりこりと転がしてやると、甘い叫び声が部屋中に響いた。
 親指は大きくすくい取る動きをやめない。
 いつの間にか彼女は、声を抑えることが出来なくなっていた。
 それに気づくこともできず、ただ気持ちいいとだけ、感じていた。

 絶頂らしき波は、もう何度もあった。
 その程度では収まらない。収まってくれない。
 あまりに甘すぎて、やめることができない。
 痺れる。何かが溜まっていく。弾けてしまう。

 うつ伏せから腰を高く上げすぎて、横に倒れた。
 そのままベッドの上で、数回転がる。
 横を向いて寝たまま、言葉にならない声を上げて悶え続ける。

 辛うじて、自分が溺れている自覚はあった。
 彼女は幸福だった。
 朧な意識の中で、いつまでもこうしていたいと心から願った。


 だが終わりは来る。
 どんな大きなケーキも、いつまでも食べていることはできない。
 ケーキがなくなるか、食べきれなくなるか。

 抑えることなど考えもせず、鳴き声を上げて。
 蜜でぬめる苺を捻るように摘み上げながら、親指の先で中から押し上げて。

 天界の神が嗜む酒よりも甘い菓子。その味を噛み締めて。
 彼女は天に昇った。

 彼女の意識が溶けた蜜が、圧し出され迸るのを感じて、彼女は心地よく目を閉じた。


 翌日。
 寝坊した彼女は、宿の主にそのままの姿で叩き起こされ、シーツを弁償した。

 軽くなった財布に気落ちした様子もなく、愛用のコワードを持って出かける。
 相手の攻撃を受け流すための形状をした短剣。
 いつも遊び回っては逃げ回っており、真面目に戦うつもりのない彼女らしい武器だった。

 たまにはリヒタルゼンに帰ってみようか。
 まずは歩いてアインブロックを目指してみよう。

 教養に疎い彼女は、道中の凶暴なモンスター達を知らなかった。
 それはまた、後の話となる。
86226たんsage :2006/06/15(木) 16:22:02 ID:rDjrh2tQ
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お題は「セリフ禁止」でした。難しいですね。
厳密に♀×♀ではないですが、一応こちらで…
ストーリー性はほとんどありませんが、新シリーズの導入として考えています。
次持ってこられるのもいつになるか解りませんが、気長にお待ちくださいませorz
87名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/15(木) 16:42:09 ID:Q8xCwssw
描写力SUGEEEE!! 台詞抜きなのは途中で気づいたけど、読んでて引っかかる所が全然なかった。
スレに神が多すぎて、百合適応がないのにこのスレ巡回から外せない漏れダルシム
88名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 04:43:09 ID:Eftf4ARU
大きく溜息をつき、ペンを机に置いて両手をおでこに当てる。
手櫛で梳くように髪を持ち上げ、そのまま後ろに放り投げる。
手を組んで大きく伸びをしながら、椅子の背もたれに体重を預ける。
肩と背中がばきばきと音を立て、体の疲労を知らせてくる。
そのまま手を頭の後ろで組み、背筋を反らして深く息を吐いた。

研究の論文というよりは、軽いまとめのようなものを作成するために朝から机に向かっているのだが…
一向に完成する気配が見られない。どういうことだねこれは。
この間転がり込んできたセージの彼女は、手伝わされることを察知したのかどこかへ出かけてしまった。
兄に呼ばれたとか言っていたが…どうだか。
彼女の助力で研究は大きく進んだのはいいが、いつも肝心なところで姿を消してしまうのだ。
まぁ、私自身の研究なのだから蹴りをつけるのは当然と言えば当然だが。


別にどこかに提出するわけでも、誰かに見せるわけでもない。
個人的な資料というやつだが、どこかでまとめておかないと忘れてしまうものだ。
意地でも今日中にまとめようと意気込んで始めたものの、どうにも進まない。
足を投げ出し、両手を肘掛の外にだらりと垂らす。
そのままずるずると椅子から滑り落ち、ぺたんと尻餅をつく。
ひんやりとした床が気持ちいい。

このままずるずる時間だけを浪費するのも勿体無い。
椅子に寄りかかって窓の外を見ると、既に真っ暗になっている。
今日中に完成させることを半ば諦めながら、両手で体を持ち上げぺたりと椅子の上に戻る。
頭の中でぐるぐると知識の渦を発生させながら、力を抜いて頭を垂れる。
足を開いて隙間から椅子の縁を掴み、足をぶらぶらさせて椅子を揺する。
そこでふと思い立ち、両腕で胸を挟んで持ち上げてみる。

出かけるつもりもないので、シャツにショーツだけというあられもない姿。
セクシーポーズであのヒトもイチコロ!
指先でシャツの裾をつまんで持ち上げてみる。
せくしーぱんちら、うふ〜んv
自分で言っていては世話ない上に非常に空しいのが現実の悲しいところである。
89名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 04:43:38 ID:Eftf4ARU
だんだん馬鹿馬鹿しくなってきたのでおバカ劇場に幕を引き、椅子から立ち上がってもう一度伸びをする。
椅子を足で机に突っ込み、ベッドの上に転がっている抱き枕を手をかざして引き寄せる。
研究成果その1、すごいジャンプ。
抱き枕を両手で抱きしめて意識を集中し、勢いよく地面を蹴る。
同時に念力で体を持ち上げ、勢いよく弾き飛ばす。
空中で一回転して今度は勢いを殺し、羽毛に包まれるようにベッドに着地する。
このまま研究を続けていけば、空でも飛べそうな勢いだ。

そう思いながら抱き枕を足元のほうへ投げ、空中で静止させる。
大の字に寝転がり、浮かんでいる枕をこちらへゆっくりと引き寄せる。
足の先から太股へとフリルの擦れる感触。
少しくすぐったいが、それが心地よく感じる。
少しぞくっとして身をよじると、抱き枕は浮力を失って足の間に落ちた。
そのまま息を吐きながら足をもぞもぞさせる。
足をくすぐる感触を心地よく感じるが、少し物足りなくもある。


気分転換…そう、いい気分転換になるだろう。
そう自分を正当化して、ゆっくりと胸に触れる。
そのまま息を吐いて力を抜きながら、ゆっくりと撫でまわす。
胸を包むようにシャツが擦れて、心地良い震えが全身を巡る。
ほんのりと硬くなってきた胸の先を意識して、指の谷間をなぞるように動かしてみる。
ゆっくりと理性の枷を外し、全身の力を抜くいていく。
緩慢に手を動かし、感触と快感に浸る。

だんだん胸の先が指先のほうへ移動してくる。
硬い感触を指先で弄び、押したり擦ったり。
甘い溜息を漏らしながら、ゆっくりと爪で触れる。
長くゆっくりした呼吸が乱れ、はっきりとした鋭い快感が駆け抜ける。
漏れそうになる声を溜息にして抑えつけ、爪で引っかくように擦り始める。
快楽にとろけていく身体と表情、それに理性。
指先だけがまるで別の生き物のように身体に快感を注ぎ込む。


快感を求める身体に従って、足を擦り付けていた抱き枕を掴んで引き寄せる。
熱を帯びたところへ抱き枕を押し付け、刺激に背筋を反らせて切ない声を漏らす。
足で枕を挟み、抱きしめながら再び爪で擦り始めた。
自分でもわからないうちに腰を押し付けはじめ、貪るように三点を刺激する。
弱い刺激では物足りず、足を広げて右手で枕を押しつけてみる。
左手の爪がシャツの上から胸を刺激し、腰をくねらせゆっくりと首を振る。

どれぐらいそうしていただろうか、いつの間にか声を出していたことに気付く。
普段なら理性がストップをかけるのだろうが、今はそんな考えにはならなかった。
むしろ逆に、切ない声をあげて鳴いてしまっている自分の身体をさらに責めたてようとする。
目尻に溜まっていた涙を指先で拭い、乱れた前髪を整える。
息を荒げながら抱き枕を下敷きにして、肘と股で身体を支える。
足の位置を変えながら腰を振って押し付け、胸を支えるように指先で弄ぶ。


さらに強い刺激を求めて、ショーツのバックを掴んで引っ張る。
急に引っ張りすぎて上ずった声をあげながら、背筋を反らせて腰が後ろに下がる。
動いていたせいで外れかけた眼鏡を外して、枕元のテーブルに置いておく。
よく見えないほうが集中できるので、このほうが快感に浸れるのだ…少なくとも私は。
抱き枕とショーツの間にも手を突っ込んで、前も引っ張り擦れるようにする。
腰を振るたびに甘く深い快感に弄ばれ、ぞくぞくが広がっていく。
欲望が求めるままに身体を動かし責めたてるうちに、かくりと身体の力が抜ける。
息を弾ませてしばらく思考を止め、仰向けになる。

枕の腰を押し付けていたあたりを見ると、見事に染みができていた。
そのせいではないだろうが、再び欲求が首をもたげてくる。
枕を頭の下に敷いて、横に転がってショーツを脱ぐ。
指先の普段とは違う湿った感触が、先ほどの行為の効果を物語っている。
こんなに反応があると、もっとこの身体を苛めてみたくなってくる。
普段はこれぐらいでやめてしまうのだが、今日はもう少し愉しんでみることにした。


ゆっくり胸に触れながら、どうやって苛めてあげようか?と自分に問いかけてみる。
普段やらないような…心のマゾな部分を責めるような行為。
自分で自分を縛るほど器用でもないし、縛るようなものもない。
せっかくこんな気分になったのだから、普通に済ませてしまうのもなにか勿体無い。
どうして欲しいの?この変態女…
そう思いながら染みのついたショーツを弄び、心の中で自分を罵る。

とりあえずそれらしいことをしてみよう、そう思い落ちていた洗濯ばさみを胸の先につけてみた。
瞬間、痛みで飛び上がりそうになる。
流石に痛いのに悦ぶほど調教されてはいない…そう思い、今度は手中の布を口に捻じ込む。
布自体にはあるはずのない味と匂いに、軽く頭がくらっとした。
私の味…ここの味…そう思いながら、指先で体中を撫で回す。
鼻にかかるような甲高い喘ぎ声が、口を塞がれたせいでくぐもった呻き声になる。
消音されているので室外に声が漏れる心配はないのだが、雰囲気というものがある。
これなら声を上げて喘いでも大丈夫…そう重いながら、足の付け根をくすぐる。
90名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 04:43:52 ID:Eftf4ARU
早く欲しいと自分の身体におねだりされ、変態だの淫乱だの罵りながら弄ぶ。
意外と燃えているのか、だんだん我慢ができなくなってきた。
ゆっくりと指を中に入れ、少々大袈裟に喘ぎ声をあげる。
普段している行為なのに、気分が乗ると違うものなのだろうか?
そのあたりの追求はきっと誰か研究しているに違いない…そう思いながら手を振るように動かす。
感じるままに声をあげ、指を出し入れする。
しばらく続けていると、だんだん絶頂が押し寄せてきた。

久々だからなのか、いい感じに満足感が得られている。
求めるままに自由に指を動かし、身体と精神を追い立てていく。
もう味わうのも限界、我慢できない。
そのまま意識を放棄し、快楽に溺れ絶頂を迎えた。


口からショーツを引っ張り出して、指を拭って枕元に置く。
そのまま終わった後のけだるさに任せるように、落ちていたシーツを引っ張り込む。
完成は明日でいいや…そう思いシーツにくるまって今度は睡眠欲に身体を明け渡した。
たまには、気の向くままもいいかな…そう思いながら。
91名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/17(土) 04:44:07 ID:Eftf4ARU
>>45-52の続き…と言うわけではありませんが。
本当は次のお話を書いていたのですが、詰まってしまったので気分転換にノリと勢いで書いてみました。
次の話はえちーなしなので、ここに投下していいかどうか…


今更新して気付いたのですが、226さんと同じ感じに…
偶然というか、なんというか。

では、またお会いしましょう。
92名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/20(火) 13:23:47 ID:62fmMWbU
物凄い久しぶりにここのスレを思い出してきてみれば、226たんが現役で、その上神も多いよ…っ!!
でもやっぱり百合は人気ないのかなorz

>>91さま
OKではないでしょうか。
個人的には読みたい。すごく、読みたい。
93名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/20(火) 15:06:27 ID:QTLkPrAk
無理矢理とか痛さの描写の強いレイプ物が苦手だ
気持ちよくなくてはいかん
恋愛に傾きすぎるのも好かん

特別百合でなくてもいい。

私は我儘だが、このスレは天国だ
94名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/20(火) 16:36:44 ID:TKun7PxA
ROを現役引退してから早数ヶ月…
ここだけは毎日見ている俺がいます
95名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/21(水) 00:22:27 ID:lOdtXQqI
259たんまだ?(チンチン
9692sage :2006/06/22(木) 00:43:06 ID:2BsThG.Y
触発されて私も書いてきました。
受け入れられるか不安ではありますが、まずは出してみないとわからない。
チャレンジ精神万歳(`・ω・´)
9792sage :2006/06/22(木) 00:43:52 ID:2BsThG.Y
思えばあんな値段で売られてる時点で気づくべきだった。
特質さで名高いこの武器に秘められた、悪魔のようなこの魅力。
嵌ってしまえばなかなか抜け出せない。
そして私も、その魅力にどっぷりと嵌ってしまったようだった…


人で溢れかえる首都プロンテラ。
そのメインストリートは様々な物を売り出す露天商や、掘り出し物を探す商人、鉱石やレア物を買い取るバイヤー、それらを眺めながら歩く人々で埋め尽くされている。
かくいう私も特別欲しいものがある訳でもない。彼らと同じようにただぶらついて、露店を冷やかしてはそれを楽しんでいた。
すれ違う人たちも様々で、カップルとおぼしき男女もいれば、臨時パーティを探す人も居る。まだ商人になりたてであろう女の子が、重そうにとことことカートを牽いているのも微笑ましい。
たまに見かける顔見知りに話しかけてからかって、笑いながらまた歩き始める。
狩り中の緊張とは程遠い、安穏で平穏なこの空気が私は好きだった。
そんな散歩の途中、とある物を私は見つけ、立ち止まった。

「売)村正 値段は言い値で結構です」

村正って、あの村正…!?
切れ味の鋭さ故にでるクリティカルの嵐、見た目は他の両手剣と違いがあるわけでもないのに信じられないほどの軽さ、そこからくる攻撃速度向上の恩恵…
いわゆるクリ騎士である私にとって、村正を手に入れる事は一つの目標…いや、夢だった。
しかしその性能から、普段無駄遣いの多い私にはおいそれと手をだせる代物じゃなかった。
それが…言い値だなんて…
そこまで考えた所ではっとする。周りから視線を感じたのだ。
彼らの見ているものは当然私じゃない、その立てられた看板だった。
悩んでいる時間はない、誰かに持っていかれてしまうその前に、看板を立てた人に私は話しかけた。


「すいませーん」
「は、はいぃぃっっ!」
びくっと体を震わせると同時に、その人が叫ぶ。
「あ、あの、ななな、なんでしょうかっ!!」
目の前で、しかも予想もしていなかった大声に耳がキーンとなる。相変わらず何かを叫んでいるようだがまったくもって聞こえない。
仕方なく手だけで落ち着いて、とジェスチャーをすると意味がわかったのか、とりあえず叫ぶのをやめてくれた。
一瞬ダンサーなのだろうかとも思ったが、よくよく見れば彼女も騎士だった。
上から下まで眺めてみる。
手入れが行き届いてるだろうその黒髪は、艶やかで、そして、美しい。ややおっとりとした印象をうけるのはわずかに垂れた目のせいだろう、そこがチャームポイントとも言える。
プロポーションは女の私から見ても抜群で…特に、鎧に包まれたその上からでもわかってしまう大きな胸。
ひんにゅーな私にとって、最後のは羨ましすぎる。ちょっとくらいわけてくれないだろうか…ああ、神様ってなんて不公平。
「あ、あの…」
「ふぇ?あ、あぁ、ごめんなさい、ついじろじろ見ちゃって」
いつのまにか、聴力は元に戻っていた。気づかない私も間が抜けている。
「いえ、大丈夫ですよ」
そういうと彼女はふんわりと笑う。
可愛い人だな、と素直におもった。
「それで、ええと村正ってやっぱりあの村正ですよね?」
「ええ、そうです。妖刀なんて呼ばれてるときもありますけど」
「ですよねぇ…ホントに言い値でいいんですか?相当な値打ち物じゃないですか」
「それは…その、あんまり手放したくないんですけど、でも、その………あれは……やっぱり恥ずかしいし……」
フェードアウトするように彼女の声が小さくなっていく。最後の方はよく聞き取れなかった。
あまり触れられたくない事情でもあるのかもしれない。
そう判断した私はとりあえず希望の額を提示してみた。
「えっと…じゃあこれくらいじゃどうですか?」
指を四本立てる。
かなりギリギリだけど…やっていけない事もない。それに村正が手に入るのなら貧乏生活だって苦にはならない筈。
通らなかったら…うーん、どうしようかな。
「あ、はい、いいですよ」
「いいの!?だって相場の半値くらいですよ!?」
「でも言い値で結構です、と書いたはずですけど…」
「や、それはそうなんだけど…」
自分で言い出しておきながら、なんとなく釈然としない。裏があるんじゃないか、とか考えてしまう小心者な私。
「……?」
黙り込む私に小首を傾げる彼女をみて、そんな考えは消える。
失礼だけど。
彼女はどうみても、騙すより騙される方だ。間違いなく。
「まぁいいなら全然オッケーです。それじゃ交渉成立って事でいいかな…はい、これお金です」
「いち、にい、さん………はい、確かに。それじゃあどうぞ」
そういって取り出した両手剣を私に渡す。
うわぁ…ほ、本物の村正だ!すごい、信じられない!
お礼もそこそこに、一目散にカプラサービスのところに駆け出す。
少しでも早く、これを使ってみたい気持ちで一杯だった。


「ありがとうございます、それじゃあまた!」
「はい、頑張ってくださいね」
「うん!」
駆け出す背中はとても元気で、村正を手に入れた嬉しさでいっぱいに見えた。
私はといえば…あの子への罪悪感と、少しの未練。
本当に、頑張ってくださいね。
そこまで考え、頭の中を戦いへと切り替える。
攻城戦の日まで、あと少しだった。
9892sage :2006/06/22(木) 00:44:33 ID:2BsThG.Y
狩場に着いた私は、愛用しているトリプルクリティカルバッソをしまい手に入れたばかりの村正に持ち替えた。
買ったばかりなのに、長年使い込んだように手に馴染む。
軽く振り下ろしてみた。
フォンッ!!
風を斬るような高い音とともに、自分でも信じられない程の速度で振り下ろされる。
これは…思った以上に凄いかも…
わくわくしながら、獲物を探しに走り出した。


―数分後。
一匹の魔物を倒した私は、村正の性能に驚いていた。
今の自分には少し厳しい位の狩場を選んだつもりなのに、まったくそれを感じさせない。
武器一つ変えただけ…あまりの凄さに声すらでない…そんな時だった。
ゾクッと。
不意に背中を妙な感覚が走る。
「誰!?」
村正を構えなおし、ばっと後ろを振り返る。
「あいたっ!」
え…?
今聞こえたのは、間違いなく女の子の声だった。
視線を下に下げると、
「あたた…もうっ、いきなり振り返るんだもの。ぶつかって転んじゃったじゃない」
痛そうにお尻をさする、黒装束の女の子が座り込んでいた。
えーと…
「………どちらさま?」
正直見覚えがない。知り合いに子供がいるなんて話も聞いてないし、当然自分に妹もいなかった。
「どちらさま、とは失礼じゃない?今貴方が手に持っているっていうのに」
手に持ってるって…あれ?何か重大なことを私は忘れてないだろうか?
「村正。その前に妖刀とつく事があると思うけど。あれってなんでか、知ってる?」
「確か…その使い手には死神が取り憑くとかそんな事聞いたことある、けど……って、まさか、貴方…!」
「そ。そのまさか」
私は死神だ、と―彼女は言い放った。


世の中には多くの村正が溢れている。
確かに村正は多く存在しており、その性能は確かに高い。
だがしかし、オリジナルと呼べるものは私が手にしているこの一本それだけである。言ってみればこれ以外の村正などただのコピーに過ぎない。
「ずいぶんまぁ、ぼろぼろに言うのね…」
「当たり前じゃない。この世に村正は私ひとりだけ、他の物に村正とついてるだけで嫌なの」
「でも性能は近いんじゃないの?」
「それが性質悪いのよ。想像してみて、貴方と同じ顔で同じ背格好、同じ職業で同じ名前だったら…」
「…ごめん、確かに嫌だわそれ」
でしょう?とため息をつきながら彼女は肩を竦めた。


それにしても、まさか私が買った村正がオリジナルだなんて。しかも見た目は少女とそう大差がない死神つき。
もっとも、少女と大差ないというのは身長くらいなもので、他は違う。
白い髪に赤い瞳、肌の色は透き通るように白く、身にまとう黒い服のおかげでそれが更に強調されている。
見た目だけじゃない。口調も大人びた感じで、まるで年上の人と話している感じがする。
それと…やや私より大きそうな胸。
こんな、こんなちっこいのに胸の大きさで負けてる…神様はやっぱり不公平だ。
悔しいから顔には出さないけど。
そんな事を考えていたとき、何かを考えていた彼女が口を開いた。
「さて、こんなところで契約の話をさせてもらってもいいかしら?」
「契約…?」
「契約。相対する二人以上の合意によって成立する行為。これで分かる?」
「いや、聞きたいのは契約っていう言葉の意味じゃなくて、契約の中身なんだけど…」
わざとなのか素なのか。ちょっと判断に困る。
「あ、そうよね、ごめんなさい。契約の条件よね……また間違っちゃった…」
またって…素なのね。
シュンとしたのも束の間、すぐに表情を切り替える。
その真剣さに、思わず息を呑む。
「私からの条件は一つ、貴方の精気を頂く事」
「…それだけ?」
「それだけだけど、どうして?」
また何か間違ったかな、と泣き出しそうな表情を浮かべる。
「あ、いや別にどうということはないんだけど…だってほら、死神なんじゃないの?だからてっきり私は命をとられるとか、そんなのかなぁって」
思わずあたふたとする私…ってなんでそんなに慌ててるんだろう?
命をとる、という言葉に反応し、泣き出しそうな顔から一転キッと強い視線で睨みつけてくる。
「命をとるなんて、そんな事しないわ。だってそんな事を繰り返していたら、危険なものだって指定されて、どこだか分からない所に閉じ込められちゃうじゃない」
「まぁそうだろうけど、それじゃあ死神なんて名乗らないほうがいいんじゃないの?印象悪くなると思うよ?」
途端、言葉に詰まってしまう。おろおろとしながら
「う…で、でも他に良い言葉なんてないし、それに、その…そうでも言わなきゃ格好つかないし…」
「?」
何のことかよくわからなかったけど、とりあえず条件はわかった。相変わらず彼女は何かを呟いている。話を進めるために、私から質問をなげかけた。
「で、私はいったい何がもらえるの?契約、というからには何かしら対価があるのよね?」
「と、当然。貴方から精気を貰う代わりに、私は貴方の戦いの支援をしてあげる。実際使ってみて分かったでしょう、私がいかに優れた武器であるかっていう事が」
ふふん、と胸を張る。本人に自覚はないだろうけど、大きさを強調されたみたいでまた悔しかった。
…そ、それはとりあえずおいといて。
彼女の出した条件は魅力的だ。確かにあれだけできると自分自身思っていなかったし、あの調子ならもう1ランク上の狩場も狙えそうでいいかもしれない。レアな物も狙えるようになれば、貧乏生活から早く抜け出せる。
「うん…わかった、契約しよう!」
「ほ、ホント!?やったぁ、これからよろしく!」
えへへー、と抱きついてくる彼女。あまりの勢いに思わず私も倒れてしまった。
「あいたた…コラコラ、嬉しいのは分かったからいきなり抱きつかないで…」
名前を呼ぼうとして、そこで気づいた。
「そういえば自己紹介してなかったよね、私はリン、貴方は?」
「ん?んー…今までの人は皆テキトーに呼んでた。だからリンも好きに呼んでいいよ」
適当に、ねぇ…うーん……
「じゃあ、村正から一文字づつとって、サラでいいかな」
「サラ……」
確認するように自分で名前を言っている。やがてその名前が気に入ったのか、とびきりの笑顔を浮かべ、
「うん!!」
と、本当に嬉しそうに頷いて、スリスリと頬を私に摺り寄せる。
妹が居たらこんな感じかな……サラの頭を撫でながら私はそう考えていた。
9992sage :2006/06/22(木) 00:45:33 ID:2BsThG.Y
今日の所はとりあえず帰ろう、と私たちは帰ることにした。
道すがらサラから聞いたのは、見えるようになったり逆に見えなくなったりするようにできる事と彼女の姿は私にしか見えないという事。
最初のはともかく、後のはちょっとショックだった。
だから…変な目でみられてたのね…
そうと知らないサラは肩を落とす私に「大丈夫?」と聞いてくる。彼女に罪がないとはいえ、もうちょっと早く教えて欲しかった…
狩りをする時は、ひと目につかないところでしよう。
そうこうするうちに、私の家が近くなってきた。
今まで消えていたサラだが、もう少しで着くと伝えると一緒に歩く、と姿を見せた。
夜の路地に人影は少ないが、一応周りを見渡してからサラに話しかけた。
「ね、自由に姿を消せるって事はその間の移動ってどうなってるの?やっぱり村正の中に入ってるとか?」
「ううん、そんな事ないよ。消えてる間も私は歩いてる」
「そうなの?じゃ、なんで姿見せてくれたの?」
ん…、と少し黙ってからサラは口を開いた。
「リンと一緒に歩きたかったから。消えててもそうだけど、やっぱりこうしてた方がいいでしょ?」
暗がりの中でもサラの頬が赤くなっているのが分かる。
素直に向けられる好意が、こんなにも暖かいものだということを初めて知った。
「そうだね、その方が一緒にいるって気がするし。うん、ありがと」
「…えへへ」
はにかむサラの顔を素直に可愛いと思った。


家についてから、まずは一緒にお風呂へ入った。
今まで全然気づかなかったけど、私は意外と世話焼きな方らしい。
一人で洗えるというサラの言葉をしっかりと聞き流して、丹念に髪を洗ってあげた。
白いなと思っていた髪はどちらかと言えば銀に近く、細くてしなやかで、とても綺麗だった。
サラも始めこそ嫌がっていたけど、人に洗ってもらう気持ちよさに気分をよくしたのか、流す頃には鼻歌まで歌っていた。
ところが、お風呂をあがってから一つの問題に気づく。
サラの服はどうしたものか…
とりあえずクローゼットを漁ってみたら剣士時代に着ていた服があったので、それを着せてみたところぴったりのサイズだった。物持ちの良さが意外な所で役に立つ。
「ねぇリン、これちょっと胸のところ窮屈だよ」
…お願い、それは言わないで……
ちょっと…いや少し…ホントはすごく、ショックだったのは内緒…しくしく。
それから、今ある食材で夕飯を作る。
大した腕前じゃないけれど、それでも歓迎の意味も込めてありったけのものを作った。
しばらく味わっていない、誰かと一緒に囲む食卓はいつも以上に楽しくて、ちょっと多かったかなと思うような量も二人で一緒に食べきった。
片付けは一緒にやりたいと言うサラの言葉に嬉しくもなった。
今度は作るほうも一緒にやってみようか、と言うと嬉しそうに頷いてくれる。
家に居て、こんなに楽しいと思ったことは無かった。


夜も更け、私たちはベッドに向かった。
一人暮らしだから当然ベッドも一つしかない。ちょっと狭いけど一緒に寝る事にする。
「ねぇ、サラ。貴方は私の精気をもらうって言ってたけど…具体的にどうするの?」
ベッドに入ったところで、サラと契約を交わしてから気になっていた事を聞いてみる。
少しサラの顔が翳ったような気がした。
「ん…その、ね。普段リンが私を使っている時に少しづつもらってるの。だけど…」
「だけど?」
「ホントはそれだけじゃ足りなくて…だから違う方法でもらわないとダメなの…」
そこまで言ってから、誤魔化すように笑う。
「あはは、でもやっぱりいいや。まだ大丈夫そうだし。うん、だからまた後で説明するね」
「…嘘でしょ?」
今日一日一緒にいて、分かったことがあった。
サラは素直な子だ。だから表情がころころとすぐに変わる。
もちろんそれは見ている私には楽しいのだけど、それはサラが楽しそうな時だけだ。こういう辛い気持ちを抱えて、暗い表情を浮かべているサラは見ていたくない。
そんな気持ちが思わず口をついて出ていた。
「私はそんなサラ見たくないよ」
「え……?」
出てしまった以上もう止められない。
不安そうに私を見るサラの視線を受け止めて、真剣に見つめ返す。
「いかにも無理してますっていう笑い方をしてるサラ。私が好きなのは、もっと楽しそうに笑ってるサラ。私の言葉に怒ったり、笑ったり、拗ねたり、嬉しそうにしてるサラがいい」
「………」
だから話して欲しい。
敢えてその言葉は口にしなかった。口にしなくても分かってくれると、私は信じていた。
「やだ…言いたくないよ……だって、言ったら絶対リンは私の事嫌いになる。リンに嫌われるくらいなら…このまま、消えたほうがいい…」
「っ!バカな事言わないで!!」
思わず出した大声に、ビクッと、サラは体を震わせた。
ゴメン、と謝ってから小さな体を抱きしめる。
「お願いだから、そんな簡単に消えるとか言わないで…」
「リン…泣いてる、の……?」
サラの言葉で涙を流していた事に気づいた。手で目元を拭って、なんでもないと答える。
「私も…そんなリンは見たくない」
「サラ……」
「私が見たいリンは、もっと元気で、強くて、素敵な、そんなリン。空元気でなんでもない、なんて答えるリンは嫌い」
まっすぐな瞳で私を見つめてくる。
あぁ、そうか。
私が惹かれていたのは、きっと……
「あのね、リン…違う方法っていうのは…」
10092sage :2006/06/22(木) 00:48:43 ID:2BsThG.Y
ごめんなさい、実はここまでですorz
オチはすでに出来てるのですけど、そこに繋がるまでが書きかけです。
バイトから帰ってきたらすぐにでも書き上げて、速攻投下します。

それではまた朝に( ・ω・)ノ
101名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/22(木) 02:33:55 ID:rzaGex0s
うああああああ、そこで止めるのかYO!?

続き楽しみにしてます
10292sage :2006/06/22(木) 10:44:49 ID:2BsThG.Y
今バイトから帰ってきました…六時で変わる人がこない上に十時の人も遅刻ってどういうことだorz

頑張ります(`・ω・´)でも期待シナイデネ
103名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/06/22(木) 10:51:57 ID:zWLrfHKE
どうみてもFate式魔力供給ですwwwwww
104名無したん(*´Д`)ハァハァdame :2006/06/22(木) 11:01:13 ID:5.1I6sf6
激しく期待……!
あと上がってたんでdameときますね
10592sage :2006/06/23(金) 00:06:42 ID:kqaS6R82
ごめんなさい、やっぱり終わりませんでしたorz
小出しで本当に申し訳ないですが、少しでも続きをどうぞ(´・ω・)っ
10692sage :2006/06/23(金) 00:08:05 ID:kqaS6R82
「もう、落ち着いた?」
「…うん」
狭いベッドの上で、サラが泣き止むまで私はずっと頭と背中をなでていた。
少しでも彼女の不安を取り除けたらと思っていたけど、どうやら杞憂にすんだらしい。
髪の間から見える泣きはらして真っ赤になった瞳は、もう悲しみや辛さから開放されていた。
「ねぇリン」
「なぁに?」
なるべく優しく答える。
「お風呂の時から思ってて…今こうしてみたらはっきりわかったんだけど…」
「?」
「胸、私より小さいよね」
「な、なななななななっ!!??」
「あ、やっぱりそうなんはっ!?」
「そんなことを言う口はこれか、これなのかーっ!!このっ、人が、人が一番気にしていることをーーーーっっ!!!」
指をサラの口につっこんで、左右に引っ張った。加減はしてるから痛くはないはず。
「はふぅっ、ほへんははいほへんははい!!」
ごめんなさい、と言っているらしい。ちょっと涙目になってきたところで解放してあげた。
「うーっ…まだ変な感じするぅ…」
「自業自得よ。でもまだ許してあげたわけじゃないんだから」
指を鎖骨のあたりに置く。
そこからつ、つ、つ、と。
首を通り、喉を撫で上げ、顎を指でつかみ、そのまま上へ少し持ち上げる。
サラはまだ涙目のまま私をみつめている。その視線が、これからイケない事をするように感じられて、どうにもとまらなくなった。
「悪いことする口には、おしおきしないと、ね?」
吸い寄せられるように、私はサラの唇を奪った。


―ファーストキスが甘いと言ったのは誰だったか。よく覚えてはいないけど、的を得ていると思う。
そう思うほどにサラの唇は甘く、それだけで私はとろけそうになってしまった。一度覚えた蜜の味を手放せるほど私は大人じゃない。軽いくちづけのつもりが、段々と、確実にヒートアップしていく。
まだ足りない、もっと、もっと欲しい…!その思いだけで、舌をサラの口の中へとねじ込んだ。
既にとろん、としているサラの瞳が一瞬正気に戻る。それでも私は気にしない。今はただ、サラを味わいつくしたい…
歯肉をなぞるように左上から右上へ、右上から右下へと下ろし、右下から左下へと移動させる。
その動きを繰り返すうち、また瞳の焦点がぼやけてきた。そしてゆっくりと、歯の間からサラも舌を差し出してくる。
挨拶のように軽く触れただけで、舌を引っ込めてしまう。でも私はそれを許さない。向こうがこないなら、こちらから出向くまで。
始めこそ硬く閉じていた歯と歯の間だが、今はもうその戒めも緩くなっている。歯の間を縫うように、私は舌を差し入れ、彼女の舌を探り当てる。
こちらにおいで、と誘うように舌の上を舐めあげ、それから下に挟みこんで持ち上げる。
やがてゆっくりと…本当にゆっくりと、サラの方からも動きがあった。始めは軽く絡ませるだけ。次第に早く、彼女からも求めるようになってきた。
それに応えるように、私は口の中に溜まっている唾液を彼女の方へ送り込んだ。ゆっくりと私の舌を伝いサラの方へと流れ込む。
やがてそれは全てサラの中へと収まり、コクン、と喉を通っていくのが分かった。
そこまで確認したところで、一度口づけを離す。
「は……ぁ……」
うっとりとした彼女の顔を見た瞬間、頭の中で何かがはじけ飛ぶような、そんな感覚があった。
「サラ…これからどうして欲しい?」
本当は今すぐにでも彼女の全てを奪いたい。私だけのものにしたい。
だけどそれは私のわがままだから。
「う、ん…えっと…リンのやりたいようにしてくれていいよ…リンになら、何されてもきっと気持ちいいもん…」


どうしようもなく、甘い。
彼女の言葉が、仕草が、身体が、心までも。
それは私の全てをとろかせて余りあるほどに。
確かに彼女は死神だ。
残りの人生全てを彼女に捧げても惜しくはない…心の底からそう思ってしまうのだから。


サラをベッドに寝かせ、ボタンを一つづつ外す。サラの視線は私の手の動きだけに向いていた。やがてボタンの全てを外し終え、ゆっくりと服をはだけていく。
服の下にさえぎる物は何もなく、直に見る双丘に頭がクラクラする。
さっきのサラの言葉がフラッシュバックする。
―やりたいようにしてくれていいよ
あぁ、でも、きっと。そんな言葉がなくても、私はもう自分を抑えることなどできなかっただろう。それほどまで私は、彼女の肢体に見惚れてしまっている。
腰の辺りへまたがるように座り、手が二つの丘へと伸びてゆく。頂上にあるそれは、これから与えられる快感への歓喜と期待で打ち震えてるように見えた。
さするように軽く触れてからゆっくりと揉みしだく。信じられない程にそこは柔らかく、すぐに私は夢中になっていった。
ん…、と甘い吐息がサラの口から漏れてくる。その漏れる吐息さえ私は逃したくなかった。
もう一度サラの唇を奪う。絶え間なく溢れてくる唾液を与えては飲ませ、同時に丘の頂上へと指を這わせる。そこへたどり着いた瞬間、サラの体が大きく震えた。
唇の戒めを解き、額をくっつけてサラの瞳を見る。潤みきったそこからすぐにでも涙が溢れそうだった。
その表情に、ぞくぞくっと背徳的な快感が私の中を駆け抜ける。
「ここ、気持ちいい…?」
サラは何も答えない…いや、答えられないのだろうか。ただ瞳だけが「続けて欲しい」と訴えている。
指の間に挟み、軽くそれを引っ張った。
「んあっ、やっ、あぁぁっ!!」
静かだった部屋にサラの喘ぎ声が響く。切なそうなその声をもっと聞きたくて、私は更に続けた。
引っ張って、戻して、離して軽く押しつぶして…思いつく限りの方法を試す。その度に嬌声があがった。
「ふぁっ、あぅ…あっ、あ、はぁぁ…んっ!」
断続的に送られる快感を逃がすかのように、サラは髪を振り乱して頭を振る。彼女の乱れてゆく様が私にはたまらなかった。恥も外聞もなく、他の何を捨ててでも構わないと、今ある快感に身を委ねるその姿が、とても。
ふと気づけば、もぞもぞと彼女の足が太腿どうしをこすり合わせるように動いている。
手は休めずに、耳元でささやく。
「もう我慢できないのかな。足、動いてるよ…?」
「っ!!」
きっと無意識のうちに動いていたんだろう。これ以上ないってくらいにサラの顔が赤くなった。
「ちがっ、ちがう…ちがうのぉ」
そう言いながらも足は止まらない。
「やっ、恥ずかしいのに…なんで、止まらない…よぉっ!あぅ…ひぁぁっ、あぁぁっ!」
一度意識してしまえば止めようがない。自分の体が誰かに操られているような、そんな感覚だろう。
「ふふっ、サラはえっちな子なんだね」
「うぅ……リンはこんな子、きらいかな…」
今すぐにでも泣き出しそうなサラの顔。手を止めて、頭を撫でながら優しく言葉をかけた。
「嫌いだなんて、そんな事ある訳ないじゃない。こんなに可愛いのに、どうしたら嫌いになれるっていうの?貴方が嫌って言っても離れてなんかあげないんだから」
そして唇に軽いキス。それだけで泣きそうだった顔が幸せそうな笑顔になる。
「あは…うん、それは私も一緒だよ…ね、リン。ぎゅってして?」
そういって手を私に伸ばしてくる。あぁもう、この子ったら本当に…!!
それからしばらく、私たちは抱き合って離れなかった。
10792sage :2006/06/23(金) 00:37:05 ID:kqaS6R82
―時間は少し戻る。これはサラから精気の渡し方を聞いたときの話。

少し黙った後、サラはゆっくりと口を開いた。
「精気をもらうには直接的な身体の接触が必要なんだけど…その、ひらたく言えばえっちな事をすれば私相手から精気をもらえるの」
なんとなく、頭でそうじゃないかとは思っていた。そして、それを打ち明けるのに相当な勇気がいっただろう事も。
「皆最初は私を受け入れてくれた。少しづつ精気をくれるのもいいって言ってくれた。でも、こっちの方を言うと皆断って、私を手放した…」
だけどリンは…そう前置いてからサラの話は続く。
「今まで会った人の中で一番優しい人だって、きっとリンなら受け入れてくれるって思った。本当はすぐにでもリンが欲しかった。それでも…やっぱり断られたら、って…怖くてどうしようもなかった」
じわりと。サラの瞳に涙が浮かぶ。
「リン以上に優しい人がはきっといない。そうしたら私はもう本当に一人きり……目の前を誰かが通るのに、誰にも気付いてもらえないって、どんな気持ちだと思う?」
私をまっすぐに見つめる。つぅ…と一筋、雫が流れた。
「もういい、もういいよサラ。辛いならそれ以上は…」
私の言葉をさえぎるように思い切り頭を振った。私に聞いて欲しい、と。そう言っていた。
「怖くて、辛くて、誰か助けてって叫んでも、絶対に届かない……あんな世界には戻りたくない…ううん、戻れない。だって私は…リンの、貴方の優しさを知ってしまった。人に甘えられる暖かさを知ってしまった。それを失って、あんな世界に一人きりなんて耐えられない…っ!もう嫌なの、一人はいやぁっ!!」
孤独に怯える小さい体は、死神でもなんでもない。一人きりにさせられた、ただの幼い少女だった。
「サラ……!!」
抱き寄せて、力を込めた。
今貴方は一人じゃないと。そう伝わるように。
「大丈夫、サラ。私がずっと一緒にいるよ」
こわごわと顔をあげて、じっと。今聞こえた言葉はなんだったのかと、確認するように。
「ホント…?ホントに一緒にいてくれるの?私、わがままだからきっとリンにいっぱいいっぱい迷惑かけるよ?それでもいいの?」
今もサラの瞳からは絶えず雫が零れ落ちている…ぽろぽろ、ぽろぽろと。
片手で抱きしめながら指で拭っても止まらなかった。
「貴方はずっと一人だったんでしょう?私もね…小さい頃からずっと一人だった。だから貴方の気持ちが分かる。世界にたった一人きりで、何をすればいいのかわからないよね?」
だったら、止まるまでずっと。もう悲しい涙は流さなくてすむように。
「私が…お姉ちゃんが一緒にいてあげる。サラ、今から貴方は私の妹よ」
「いも…うと…?…うっ…うえ…うわぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!!」


それから一夜明けた。私たちは場所を変え、狩りをはじめる事にした。
それまでの私には敷居が高かったミノタウロスでさえサラのおかげで苦もなく倒す事ができ、狩りの収穫もなかなかよかった。この調子なら本当に早いかもしれない。
それにしても、と狩りからの帰り道、私は前を楽しそうに歩くサラを見ながら考える。
今のサラは口調も、雰囲気も、年相応の少女となんら変わりがない。目が合えばにこーっと笑顔を返してくるし、私の傍からくっついて離れようとしないのもとても可愛らしい。すぐ私の腕に捕まって甘えたがるのはちょっと困ったものだけど。
一番最初に見たサラは、きっとサラの強がりな部分だ。本当は弱い自分を隠すための嘘で固めた鎧。
でも今は違う。無理をして嘘の自分を見せる必要がなくなったから、素直に本当の自分を見せてくれる。
私の自慢な可愛い妹。惜しいのはそれを他人に見せられない事だけど…それもいいと思った。本当のサラを知ったらきっと今までの持ち主は後悔するはずだ。どうしてこんなに可愛い子を放っておいてしまったのか、ってね。
だけど私は絶対にそんな事しない。そうだ、絶対に手離してなんかやるもんか。
そこまで考えて気づく。これもまた初めて知ったけど、私は独占欲が激しいのかもしれない。
でもまぁ、きっとそれも悪くない。


先を歩いていたサラが、いつのまにか私の前で立ち止まっていた。頭二つ分は小さいサラは、自然と私を見上げる形になる。
「ね、リン」
「ん、なに?」
「んっとね、ずっと…本当にずっと、一緒にいてくれる?」
「ん…ん〜どうかなぁ〜?」
「もう、リンったら!真面目に聞いてるんだからちゃんと答えて!」
言葉で隠してはいるけれど、気持ちが表情に表れている。素直すぎて、本当に可愛い。
「仕方ないなぁ…うん、それじゃしょうがない」

茶化したりしてゴメンね、と謝りながら。

ぎゅっと彼女を抱きしめて。

きっと私は最高の笑顔で。

「ずっとサラと私は一緒だよ」

彼女の耳元で、そう、ささやいてから。

ほっぺたにそっとキスをした。
10892sage :2006/06/23(金) 00:41:39 ID:kqaS6R82
どうにか書き終わりました。
とはいええち薄いので暫定版、ということで。
完全版はえろだのほうに出来たらうpしますね。

おにゃのこ同士のキスシーンってえろいと思いませんか?
私は大好きです。
そんな描写ができたらいいな、と思ってましたがまだまだ精進が足りませんようでorz
後日談ももやもやと妄想中、需要があるようでしたら再登場させたいな、と思っております。
それではお付き合いいただきありがとうございます。
109名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/06/23(金) 08:11:29 ID:Yg5pyS3.
>>108
全面的に同意しようッ!
完全版や後日談も期待してますぜ。
110259の人sage :2006/07/02(日) 21:00:05 ID:eTNLGuio
>>92さん
おにゃのこ同士のキスシーンはえろいです。
もう、たまりません。
完全版期待しております。キスシーンパワーアップも含めてっ!

なぜかあんまり間を空けずにやってきた259の人です。
前回読んでくださった方ありがとうございました。
レスいただけると本当に嬉しいです。ありがとうございました。
ちなみに村上春樹はまったく読んだことがありません。

続き物の一話みたいな感じですが一つ。
むかしそんな事言って投げた奴を完全に放置してる私ですが
アレは黒歴史にしていただきたく(つд`)
ふたなりなのでえろだ行きにしました。
ttp://archer.s1.x-beat.com/main.shtm
↑から入ってそれっぽいのを落としてくださいませ。
111名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/03(月) 05:43:22 ID:abfIcJZE
>>110
これは……確かに耐性無い人にはきついかも。
だが俺は耐性があるので楽しめました。
これはいいものだ!
112名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/03(月) 18:11:24 ID:QfqG7L7o
>>110
なんだかんだで♂×♂さえときにはいけしてしまう守備範囲の広さを悔やむべきなのかどうなのか…
楽しませていただきましたぜ。
途中でどっちがどっだか分からなくなりかけましたが。

パッシブスキル「続き物放置」はそのうちカンストしそうですね!(MAX10ってことで!
113名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/04(火) 15:45:27 ID:tjFC7cXA
薬、もしくはテクで焦らされて堕とされる系が読みたい
114226たんsage :2006/07/05(水) 01:33:16 ID:iZNN7kpY
>>110
やられた!
これはやられたよ!!

こういう屈折した人大好きですはい
115名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/06(木) 16:09:02 ID:IpHDwqGU
226たんも期待sage
116名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/08(土) 16:32:01 ID:cpB3tJgY
プリーストの彼女、ユキが今日かぎりで冒険者を辞めるという。
私のギルドは彼女の為に盛大な送別会を開いた。

ユキは相方のwiz、ツキトの隣で楽しそうに笑っていた。

「ふぅ・・・」
昼から始まった宴は日が落ちた今も衰えることなく、
バードのジョークにダンサーの踊り、ケミは酒ピッチャーと叫びながら
ギルドマスターに酒を浴びせている。

(飲み過ぎたかな。)
アルベルタの街の会場から少し離れた森の中でゴロリと横になる。
酒で火照った体に冷えた土と森の空気が気持ちいい。

私は男の衣装をまとったモンク。
だが、れっきとした女だ。
サラシで胸をきつく巻き、ウェストにはタオルを巻いて、
ダブダブの上着である程度の体格を隠している。
理由は簡単で、女だと変な男がよってくるから。
面倒だから最初から寄られない手段を選んだんだ。

(今日で最後なのか〜)
冒険を辞めたものは日々危険な場所を旅続ける現役冒険者と会う機会がなくなる。
実際、私たちのギルドも明後日からは未踏の地、アビスレイクに長期冒険に出る。

(ふふ・・・。あの子も立派なプリーストになったものだ)
とりとめのない思い出や感想を頭に浮かべながら、
酔いが醒めるまで、ぼうっとすることにした。


「トウヤ!」
可愛らしい声に我に返る。「・・・ん」
けだるげに体を起こすとユキがいた。
「なに〜?」
「も〜。その酔っ払うとふらり放浪する癖なんとかしてよ〜。」
プリプリと文句を言いながら私の隣に座る。
「いいのか〜?主賓がこんなとこいて。」
「その主賓をほったらかしにして涼んでるトウヤを捜しに来たんでしょ!」
「あはは〜。それもそうか。ゴメンゴメン。」
またゴロリと転がる。
「ちょっと酔っただけ。
もすこししたら戻るから、先いっててな」
でもユキは立ち去る気配がない。
それどころか私の右手を持ち上げ、指をいじって遊んでいる。
「ん?どしたの」
「銀の指輪してるね。」
「あぁ、覚えてないのか〜?
ユキがくれたんじゃないの。
マミーを倒したら初めて出た!って喜んでさ。
ツキトが欲しがってたのに、トウヤのほうが似合うからって。」
サイズもぴったりだったし、ツキトには悪いけど貰ったものだ。
「そうだ、お礼じゃないけど、コレをあげよう」
ポケットにつっこんであった『金の指輪』
「ツキトには内緒だよ?」
寝転がっているから、彼女の背後に大きな月が見える。
ツキトに見られてる感じだな。
でも彼女の嬉しそうな顔が見れてよかった。
117名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/08(土) 17:02:25 ID:E/zq4pdQ
私がトウヤに会った時、彼女はすでに男の格好をしていた。
最初こそ、変な人だ、と感じたけれど、彼女はとても優しくて、ギルドに入りたての私をいつも気遣ってくれた。
私はすぐに彼女と打ち解け、好きになっていった。

だけど、格好だけ男なだけで、決して男になりたいわけじゃない。
同性が好きになったなんて、怖くて言えなかった。

そんな時、ツキトが付き合ってほしい、と告白してきた。
『同性愛者じゃない』って思いたくて彼と付き合った。
けど・・・。

想いは押さえきれなくなっていった。
いつだって彼女の声が聞きたかった。彼女に触れたかった。

私は彼女と冒険する資格がなくなってしまっていった。

「そうか、冒険を辞めるのか」
トウヤに相談したときの悲しそうな顔が辛かった。
「頼りにならない先輩でごめんね」
抱き締めて、泣いてくれた。
私の大好きな人。
悲しませてごめんなさい。
愛してしまってごめんなさい。


//携帯の電池がなくなったので続きはのちほど〜!
118名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/09(日) 10:14:19 ID:Glgfxv8o
wktk
119名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/12(水) 01:03:31 ID:0.C1TPgI
送別会の夜、トウヤがいなくなった。
あまりお酒に強いほうじゃないから、ふらっと酔いを覚ましに行ってるのだと思う・・・。
ギルド入団時に装着する簡易発信機で彼女の位置を特定する。
『トウヤ、あまりお酒強くないのにたくさん飲んでたから心配なの』
ツキトにそう告げて、席を立った。

本当は、トウヤのそばにいたかった。
最後の夜くらい、一緒にいたかったから。
ごめんね、ツキト。ごめんね。

トウヤは森の中で寝そべっていた。
木々の間から漏れる月明かりがトウヤに降り注ぎ、
彼女を幻想的に演出していた。
「トウヤ!」

「いいのか〜?主賓がこんなとこいて。」
トウヤがのん気に聞いて来る。
「その主賓をほったらかしにして涼んでるトウヤを捜しに来たんでしょ!」
お酒に強くないトウヤ。
だけど薦められるままに呑んでしまう、意志の弱いトウヤ。
彼女が男の恰好をしている理由は、彼女があまりにも弱くて、
言い寄る男を突き放す手段を持っていないからだって知ってる。
もし私が、強く言えば私を好きか嫌いかとか関係なしに、
彼女は拒むことは出来ないかもしれない・・・。


「なんだ、そんなに喜んでもらえるならもっと早く渡しておけばよかったね。」
いけない、顔に出ていたかな。
優しく微笑んでるトウヤが凄くいとおしい。
「アクセサリー好きだもの。」
それなのに素直じゃない自分が憎い・・・。

気付くと彼女の瞼が閉じかけてる。
「ちょっと、トウヤ!そのまま寝る気!?」
「ん・・・ちょっと眠い・・・」
手が暖かかったからそんな気はしたけれど、
さすがにここで眠らせるわけには・・・
「もう!だったら宿泊施設にいきなさいよ!」
手を握って無理矢理体を起こさせる。
「んー・・・でも寝ちゃったらユキの送別会出れないし・・・」
「だったら、一緒に宿泊施設にいてあげようか?」
胸が高鳴った。
繋いでいる手が汗ばんでるのがわかる・・・。
「ほら、私もちょっとお酒に酔っちゃったからさ、休みたかったのよ!」
「・・・ユキ未成年じゃないの?」
「ノンアルコールでも酔っ払うのよ!」
「・・・???そっかー。じゃあ、少し休みにいこーか。
積もる話もあるものね。色々話でもしようか。」
あぁ、神様ありがとう。
120名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/12(水) 01:04:10 ID:0.C1TPgI
そんなに呑んだつもりはなくて、
足元もしっかりしていたけれどユキが肩を貸してくれた。
でも、ユキのほうが身長低いからあまり支えられてる感じはしない・・・。
(ユキは身長低いこと気にしてるからなぁ・・・。ふふ・・・)
「何笑ってるの?」
「ん・・・、いやいや、ユキはかわいいねぇ、って。」
「な、何を言ってるのよ!・・・これだから酔っ払いは・・・」
ブツブツと文句を言ってるけれど、顔が真っ赤だ。
ユキもコッソリお酒呑んだんじゃないのかなぁ・・・。

淡い栗色のロングヘアー。
それに合わせたように瞳も淡い茶色。
透き通るような白い肌。
黒にも見える紺色の法衣との調和が美しいと思う。
ユキは誰から見てもかわいい女の子だ。

このギルドにユキが入ってきた時、彼女はとても怯えていた。
それも当然だとおもう。
仲間になるとはいえ、今さっき紹介された見知らぬ男たちと寝食を共にするなんて、
13〜15の少女には耐えられるものとは思えない。
「私はトウヤ。こんな格好をしているけれど、女なんだ。
わからない事とかあったら気軽に話してくれればいいよ。」
仲良くなるのにそんなに時間はかからなかった。

「もう、気味が悪いわね、さっきからずっとニヤニヤして。」
「あぁ、ごめんねぇ。
ホラ、今日でユキとお別れじゃない。
そう思うと昔のこととか思い出しちゃってね。」
あれから3年。
ユキもみんなと打ち解けて、今じゃ怯えるどころか私にしょっちゅう世話を焼いてくれてる。
悪態もつくけれど、かわいい女の子に言われる程度じゃ嫌な気もしないかな。

ホテルについて、私は上着を脱いでサラシを外す。
いつもそうしている。結構苦しいんだ。
自分のカバンから簡単な上着を取り出し、それを着ると自分のベッドに倒れこんだ。
その間にもユキは水を準備している。
「もー、ほら、お水飲んでー」
私は体を起こし、ベッドに腰掛けているユキからコップを受け取った。
水を飲んでいる間もユキは私の方をじっと見ている。
緊張するなぁ・・・。
「ぷはー。水が染み渡るね。」
コップをベッドの隣にある小さな机に置く。
ユキのほうを見るとやっぱり私をじっと見ている。
「そ・・・そんなに心配しないでも、もう酔いも覚めてきてるよ。大丈夫だよ。」
「ねぇ、トウヤ。トウヤってキスしたことある?」
121名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/12(水) 01:04:56 ID:0.C1TPgI
私たちのギルドの宴は生半可のものじゃないから、
一度始まってしまえば滅多なことじゃ終わらない。
全員が酔いつぶれてその場で寝るまで終わらない。
酔っ払ってその場で始めてしまうギルド内カップルだっているくらい
下品な宴になることもある。
トウヤはそうなる前に私を涼みに連れて行ったり、宿泊施設に戻したりした。
今回は私が主賓だから連れ出さなかったんだろうけど・・・。
「ユキが見るもんじゃないよ。」
いつもそう言って私を置いて宴会に戻る。
じゃあ、トウヤは見ていいのかな。
そんなのよりも私のことを見ていてよ。私の傍にいてよ。

今は、私の傍にいる愛しい人。

整った顔立ち。
ショートカットがよく似合ってる黒髪の女性。
スタイルだっていいのに、それを隠しているなんて勿体無い。
でも、他の男性になんて言い寄られて欲しくない。
その唇だって、他の人とキスしてるなんて、信じたくない。

「ねぇ、トウヤ。トウヤってキスしたことある?」

「ん・・・?キス・・・。」
トウヤの顔が曇る。
「そうだね・・・。そんなロマンチックなものじゃなければ。」
悲しそうに微笑む彼女。
あるんだ・・・。ショックが隠せない。
トウヤが男装をしている理由が言い寄られるのが嫌ってことなら、
その前は言い寄られてたんだもの、しょうがないのかもしれないけど・・・。
「ど、どんな感じだった?」
できるだけ悟られないように。冷静に聞いたつもりだった。
「はは、興味津々だね、ユキ。どうしたの?突然。」
「わ、私だってもう年頃の女の子なんだから、ちょっと知りたかっただけ!」
慌てて顔をそむける。顔が熱い・・・。多分真っ赤になってると思う・・・。
トウヤはそんな様子を気にもせず、再びベッドに倒れこむ。

「さぁ・・・どんな感じなんだろうね。よくわからないよ。
特に恋愛感情があったわけじゃないから。
一方的にやられてるだけだったし。
あの頃は今よりももっとずっと弱かったからね。」
「え?」
「ん・・・、まぁいいじゃない。何?ツキトとキスでもするの?」
「そ、そんなことはまだ・・・」
「ツキトも可哀想だなぁ〜。付き合ってるのにキスもさせてもらえないんだものね。」
ははは、と笑う彼女。
人の気も知らないで!

「じゃ、じゃあ、練習に付き合ってよ!始めてで失敗したら恥ずかしいじゃない」
「はは・・・は・・・?」
私はトウヤに覆い被さると、そのまま乱暴に唇を合わせた。
ガチっと、歯が当たる。痛い・・・。

「いたた・・・。こら、ユキ!」
「な・・・何よぅ」
筋力の差がありすぎる・・・。強引に引っぺがされてしまった。

「何よぅ、はこっちのセリフだよ、ビックリするじゃない。
あと、ファーストキスくらい大事にしないとダメでしょ!」
「大事にしていたもん!ファーストキスはトウヤとするんだって!」
私の気持ちに全然気付いてくれないトウヤに苛立って、
ついムキになって口が滑ってしまった。

トウヤの表情が固まる。
あぁ・・・やっぱり拒絶されちゃうのかな。
失敗したかな・・・。このまま何も言わずに別れた方がよかったのかな・・・。
「ふむ・・・」
何かを決意したようなトウヤは私の頬に手を添えて、引き寄せた。
さっきとは違う、穏やかなキス。
トウヤの唇。
ほんの数秒、唇を合わせただけのキスなのに、何時間もそうしてるような錯覚に陥ってしまう。
嬉しくなって・・・涙がこぼれた。

「わ、わ・・・、ゴメンユキ!嫌だった!?」
ちが・・・
122名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/12(水) 01:06:05 ID:0.C1TPgI
私がまだアコライトだった頃。
あの頃はまだ普通の女性用の衣装を纏っていた。
今よりもずっと非力で、身を守る術もなかった時代。
力でも精神でも勝ち目のない私は男たちのいい餌だった。
優しい男もいたのだけれど、所詮は性欲処理の為の存在に成り果てる。
その後はずっと男装をしていたのだから、キスなんてしてもいない。
だから、ユキが望むような答えは到底答えられない。
できればユキはロマンチックなファーストキスを経験してほしいので、
こんな汚れた話はするべきじゃないだろう。

誤魔化そう。

「ん・・・、まぁいいじゃない。何?ツキトとキスでもするの?」
「そ、そんなことはまだ・・・」
「ツキトも可哀想だなぁ〜。付き合ってるのにキスもさせてもらえないんだものね。」
うん、いい出来だ。
きっとユキはムキになって「じゃあ、ツキトとキスしてくるもん!」って言い返すだろう。
最後くらい、キスしてあげてもいいんじゃないかな。
いや、あまりいいことじゃないけれどね。お姉ちゃん的存在として生きてきた私としては。
大丈夫だ、ツキトならきっといい演出をしてくれるに違いない。多分。

「じゃ、じゃあ、練習に付き合ってよ!始めてで失敗したら恥ずかしいじゃない」
「はは・・・は・・・?」
そ、それは予想外だ。
ユキも成長したね、私の読みを外させるとは。
有無を言わさずユキが襲い掛かる。
だ、ダメだユキ、それでは歯が当たる!というか、目をつぶりながら来たら目測が立たないだろう!

・・・痛い。
が、仕方ない。私が煽った結果。私が蒔いた種だ。

女性にキスを迫るような節操の無い子にしてしまったのは私の責任だろうか。
しかし、このキスの方法ではひ弱なwizのツキトでは歯が折れるんじゃないか。
折れないにしても痛みに弱いツキトじゃ逃げ出すかもしれない。

「ふむ・・・」
そんなに上手ではないけれど、こうすれば痛くないってことくらいは私でも知ってるからね。
どんな男とキスをするよりも、ユキの唇は柔らかく暖かかった。
ふと、私の頬に水滴が落ちる。
あぁ・・・ユキの涙だ。いけない、やりすぎたかな。

「わ、わ・・・、ゴメンユキ!嫌だった!?」
慌てて唇を離させ、そのまま顔を胸に抱く。
ユキが胸の上で首を振る。
「ちが・・・う。ちがうの・・・。嫌じゃない・・・」
すすり泣きながらユキが言う。
泣かないで、お願いだから。ユキが悲しいのは私も悲しくなるんだ。
腕の力を緩めると、ユキは首を上げ、私を覗き込む形になる。
綺麗な髪が私の顔にかかる。
「ね・・・もう一度して。」
「え?」
「もう一度キスして。」
突然なことに思考が回らない。
まさか、ユキをそっちの方向に目覚めさせてしまったか。
「してくれないなら・・・私からするんだから!」
今度はユキから、優しいキスをする。
あ、ダメだ。お酒のせいかもしれないけれど、このままだと私の理性が。
ユキは可愛すぎる。

私はユキの唇を割って、舌を侵入させる。
「ん・・・んん・・・」
上あご、歯茎の裏、ユキの咥内を私の舌が蹂躙する。
くぐもった声が聞こえる。
「・・・ん・・・ぷは・・・ぁ」
唇を離すユキ。熱に浮かされたような、そんな表情をしていた。
多分、私もそんな表情をしてるんだろうね・・・。
123名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/12(水) 01:07:00 ID:0.C1TPgI
トウヤのこんな表情、初めて見る。
艶やかな大人の表情。
いつだって見たかった。いつも想像して一人でしてた。
今も・・・下腹部がうずいてる。
ただキスをしただけなのに、あそこが湿ってきてるのがわかる。
ねぇ、トウヤ・・・。
最後まで進んでもいい?抑えられないよ。

サラシを外したトウヤの胸。
私の手ではちょっと溢れるくらいの大きさの、形のいい胸。
「あ・・・ちょっ・・・」
シャツのお腹のほうから手を入れ、トウヤの胸の突起に触れる。
ピクンっとトウヤの体が跳ねる。
「あは・・・。トウヤって敏感なんだね・・・」
「・・・っ。そこ触られて感じない人なんていないよ・・・!」
シャツを胸の上まで捲し上げ、トウヤの胸があらわにさせる。
片方のピンク色の突起を口に含み、舌で転がす。
「ひゃ・・・っ・・・ちょっ・・・ユキ・・・!
なんでそんなこと・・・」
「うふふ。だって私だって女だもん。
キスは一人じゃできないけど、胸とかは一人でも触れるし、
優しく触ったら気持ち良いこと知ってるよ?」
「う・・うぅん・・・はっ・・・ぁ・・・」
トウヤの体は私の動作に連動してピクピク跳ねる。
聞いたことの無い声で喘ぐトウヤ・・・。
もっと聞きたい。もっと見たいの。

ズボンのボタンを外し、ファスナーを下げる。
腰に巻いたタオルを取り除くと、トウヤが腰を上げてくれた。
私は、わざと下着ごとトウヤの衣服を脱がした。
「やっ・・・ユキ・・・!」
「クスクス・・・。だってどうせ脱がしちゃうんでしょ〜?」
「ロマンがないよ・・・!」
「あは、男の格好しててもやっぱりロマンが大事なの??
ねぇ、女のトウヤはココ触ると気持ちいい?」
トウヤの敏感な芽に触れる。
「あっ・・・ふぁっ・・・いじ・・・わる・・」
あぁ、今まで以上の嬌声が聞こえる。
気持ち良いんだね、トウヤぁ・・・。
指でトウヤの芽と、窪みを往復させるように擦る。
「あっ・・・ひゃん・・・ぅ・・・」
トウヤの愛液が私の指を濡らし、クチュクチュと音を立てさせる。
「ね・・・トウヤ聞こえる?クチュクチュって・・・。
トウヤのあそこ、すごい溢れてるの。
ほら・・・突起もこんなに大きくなっちゃって。
エッチな体・・・」
「いや・・・やぁ・・・っあ・・・
ゆ・・ユキぃ・・・んっあっ・・・」
はっはっと苦しそうに息を吐くトウヤ。
無意識のうちなんだろうけれど、腰を動かしている。
気持ちいいところをもっと擦りたいって、訴えてるみたいに。
トウヤの卑猥な姿、匂い、行動に私の意識は朦朧としていく・・・。

==========================
止めなきゃ・・・。
止めさせなきゃ。
ユキにはツキトがいるのだし、私とこんなことをさせちゃいけない。

あぁ、ダメだ、私はユキのこと好きなんだ。
ずっと見守りつづけてきた可愛い女の子。
好きだから、させちゃいけない。この子に、残酷な道を歩ませちゃいけない。

だけど・・・飛びそうなくらい気持ちいい。
小さい頃からずっと植え付けられてきたこの快感からはそう簡単には逃れられない。
相手が男じゃなきゃダメってことは、ないんだね。
ユキの細くてやわらかい指で弄られるのは、男が触るよりもずっと気持ちいい。
多分、同じ女だから・・・気持ちいい場所もすぐに探し当てられる。
「ユ・・・キ・・・だめ・・・
も・・・はっ・・・やぁ・・・」
呼吸が落ち着かない。言葉にならない声しか出ない。
「ダメ・・・?トウヤ気持ちよくさせちゃダメ・・・?」
ダメ・・・なんて・・・いえない・・・
ユキがニヤニヤしてるのが・・・見えた。
「だ・・・ダメじゃないけど・・ダメっ・・・あんっ」
私の一番敏感なトコロ・・・クリを・・・
なめちゃ・・あっ・・・

「あはっ・・・ここっ・・・んっ・・・
やっぱ・・気持ち良いんだね・・・ちゅ・・・
わかるぅ・・・?舌でなめるとねっ・・・ふっ・・・
トウヤの・・ココ・・・ヒクヒクって・・・。
欲しがってる・・・」
やっ・・・あ・・・はぁっ・・・
なか・・・ほしいよぅ・・・ユキぃ・・・

「コレ、いれてあげるね・・・」
124名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/12(水) 01:10:01 ID:0.C1TPgI
かわいいトウヤ・・・。
快感に喘いでる・・・興奮するよぅ・・。
もっと・・・気持ちよくさせてあげるね。

私はトウヤの道具袋からスタナを取り出すと、
柄の部分に聖水をかける。
男の人のソレに近い太さ・・・だと思う。
浄化・・・アスペルシオ!!

月明かりに反応するかのように淡く光る魔法。
そのまま、トウヤの秘所にあてがう。

「ひゃっ・・・」
聖水をかけてほのかに冷えたスタナに反応して跳ねる。
そのまま、馴染ませるように割れ目にそって動かすと、
すぐにトウヤは順応してくれた。

もう、トウヤの秘所の唇はスタナを咥えたくて仕方が無いみたい。
こんなに反応するの・・・トウヤは処女じゃない。
中に入れられることが気持ちいい事だって知っている証拠。
私はためらわずにトウヤの中に沈めていった。

「ふぅ・・・んっ・・・んぁぁぁぁ!」
十分に濡れそぼった秘所は、ズブズブとスタナの柄を咥え込んでいく。
何かに満足するような、そんなトウヤの声・・・。
トウヤ・・・気持ちいい?
「あっぁっあっぁぁっんぅぁ!」
激しく出し入れする度に湿った音がする。
ニュチュっニュチュッっていう音にあわせて喘ぐ。
かわいいよぅ・・・。もっと・・・聞かせて・・・。
「ユキッ・・・んぁっあっ!
ユキぃっ・・・」
目も虚ろで、手を前に出して・・・
私を探している。
「ちゅっ・・・ここにいるよ・・・
トウヤ・・・大好き。」
キスをして・・・トウヤに抱きかかえられて・・・
幸せ・・・幸せ・・・。

「うぅんぁぁっはっあぁっ
ユ・・・き・・・もっ・・・イキそう・・・
はっ・・・あんぁっ・・・イっちゃうよぉっ・・・!」
「いいよっ・・・イって、私の手で・・・
イって・・・お願いっ・・・」
トウヤの足首が反り返り、私を抱く手に力がはいる。
大きく跳ねると・・・少し痙攣して、力が抜けていった・・・。

「すご・・・い。スタナーの柄、こんなに咥え込んでて・・・。
ホラ、締め付けちゃってるの。」
「やっ・・・ユキ・・・はずかしいから・・・」
イった後もなお咥え込んで離さないトウヤの膣・・。
きっと、男の人のモノも同じように咥えてたのだろう。
胸のあたりがズキっと痛んだ。


「ねぇトウヤ・・・。
私、変かな・・・。トウヤのこと好きなの、変なのかな。
でも、好きだからって、トウヤを犯したの、間違いだったのかな。」
二人でシャワーを浴びたあと、同じベッドの中に潜りこんだ。
「ん・・・。どうだろ・・・。」
トウヤは私を引き寄せて抱きしめてくれた。
「好きなのは・・・多分それは恋心じゃなくて・・・。
ユキくらいの年齢の子なら、同性に憧れたりするのはよくあることだから。」
「違うっ!そんなんじゃない・・・」
聞きたいのはそんな言葉じゃなくて・・・。
でも、出てきたのは一番聞きたくない言葉だった。
「・・・ねぇ、もし私がユキのことを好きだって言って、
今日のことは嬉しかったよ、って言うことはすごく簡単なんだ。
でも、そうしたらユキはこの先茨の道を一人で歩くことになるんだよ?
もうそう簡単に会えなくなる二人が、世間では認められない愛を心に秘めながら生きなきゃいけないんだよ。
ユキ、私のことは忘れて、素敵な男性と恋をしなよ。」
拒絶の言葉・・・。
涙が出そうになる・・・。嘘、泣いてた。
だけど、トウヤは私を抱く力を強めて、小さな声で言った。
「でも、私は忘れないから。ユキのこと。
ユキが私のこと好きでいてくれたこと、私がユキを好きなこと、忘れないから。」
そうして、二人で涙が枯れるまで泣き続けた・・・。
125名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/07/12(水) 01:11:35 ID:0.C1TPgI
長いです、ごめんなさい orz
ちょっと経験値ためて
もう少し短くまとめられるスキルを覚えてきます。
126名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/15(土) 03:34:00 ID:CuKNLm22
だがそれがいい。

二人のその後は…やっぱり想いを殺して生きるのでしょうね。
切ないなあ…
127名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/07/21(金) 08:52:41 ID:lOdtXQqI
とても いい
12892sage :2006/08/05(土) 22:51:23 ID:wAJ4.TDo
こんばんは、92です。
同じような物をまたこっちに投げるのもアレなので、完全版をえろだにupしました。
ttp://archer.s1.x-beat.com/main.shtm
お楽しみ頂ければ幸いです。
129259の人sage :2006/08/15(火) 00:36:25 ID:c7s3cBCs
>>128(92さん)
おいしくいただきました。
おにゃのこ同士のキスはステキですよやっぱり!
(*´Д`)ハァハァ

前回読んでくださった方、レスくださった方、ありがとうございました。
>>110の続きを投げに来ました。
ふたなりです。苦手な人は注意してくださいまし。
ttp://archer.s1.x-beat.com/main.shtm
↑から入ってそれっぽいのを落としてくださいませ。

ではでは、久々に見たので!♀×♀スレばんざーい!
130名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/19(土) 23:52:59 ID:ijoUCtDo
\(^o^)/ほしゅ
131名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/21(月) 02:42:24 ID:qdSZ8BwU
ちょっと質問。
習作として短いらぶえちモノ書こうとしたんだが、受け攻めの組み合わせに悩んでる。

受けは最近可愛いなーと思ってきたハンターにするつもりなんだが、攻めのヴィジュアルイメージが全然湧いて来ないんだ。
なにぶん弓手はやったことが無く、ハンターとのペアってゲーム的には(プリを除いて)どの職がいけるんだろう?
反映というほどでもないけど参考にさせて欲しい。

どうか教えてください、優しくてエロい人!
132名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/21(月) 03:00:37 ID:IEQ2RJcI
モンクでニュマ持っていれば騎士団、昔の沸きのペノ湖でも結構どこでも行ける
AGI型前衛となら亀島地上とかニブルも行ける。ペアである必要薄いけどね
あとポーションピッチャのケミとなら城2も行けなくもない。ただ難易度と稼ぎが全く釣り合ってませんが(;´−`)
133名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/21(月) 03:16:55 ID:UXSUZpC.
話的に、ではなくてゲーム的に、なのか…
134名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/21(月) 04:09:42 ID:qdSZ8BwU
>>132
結構なんとかなるものなんですね。貴重なご意見をありがとうございます。
>>133
無粋なこと書いて申し訳ない。
ただ大まかな設定と流れは考えてたんで、どうしてもイメージが沸かないなら現実味がある組み合わせを使ったほうがいいのかな、と卑小な考えに至りまして……目の覚める思いです。

創作スレだけに「言葉で語るな拳で語れ」ということだと改めて気付きました。
一人前へと精進し、作品が完成したらまた戻ってまいります。
こんなしょうもない質問にお答えいただき、どうもありがとうございました!
135名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/21(月) 09:35:35 ID:zraWWtag
転生職相手ならたとえジオ園お座りペアでも未転生二次じゃ受けに回らざるを得ないっしょ(・∀・)

って鷹が言ってた
136名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/21(月) 18:24:09 ID:hqdProGM
ソウルリンカーなんてどうだ
137名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/08/30(水) 06:59:50 ID:FP4CgCNY
レーニャとチェリムの人もういなくなったのかなー
続きが読みたい人(1/20)
138sage :2006/09/01(金) 15:03:00 ID:9XrV04QU
注意:救いのないエロ話です。苦手な人は覚悟してください。
   汚いお話です。苦手な人は覚悟してください。
   薬で無理矢理〜が嫌いな人も、覚悟してください。
   駄作です。覚悟してください。


短編駄作:『Alchemy Doll』1/9

×一/邂逅×

 アサシンの少女――メリルは、ここ数日珍しくひとりで西オーク村を訪れていた。
 伸ばした前髪が目元をすっかりと覆い隠しており、素顔の美貌が台無しである。十四歳という年齢の割に発育が悪く、
 低い背丈と相まって、よく2つは年下に見られてしまう。実際、その身体は細いというより薄いと形容すべきであり、ずいぶんと幼さを残したままだ。
 いつもはノービス時代からの『師匠』と一緒にペアで狩っているのだが、数日前からその師匠にアサシンギルドからの勅命が下され、急遽モロクへ帰
還してしまったのだ。一月以内には戻るそうだが、詳しい日時は分からない、とのこと。
 そのため、メリルは久方ぶりにソロ狩りをすることになった。
 つい最近アサシンになったばかりで、ハイオークを倒せるレベルではないメリルのために、師匠は「トリプルクリティカルジュル」を貸してくれてい
た。おかげで殲滅力のケタが繰り上がり、そこそこの効率を出すに至っている。
 しかし複数匹を同時に相手できるわけでもなく、まだ被弾も多い。メリルは休み休みゆっくりと狩りを続けていた。
 ある日、メリルはひとりの少女と出会った。
 エレノアというアルケミストの少女だ。年齢はメリルのひとつ上で、大人っぽい仕草と身体に子供のような性格と声をしており、ハイオークに囲まれ
て右往左往しているメリルを助けてくれたのがキッカケだった。
 金色の長いストレートヘア。十四歳の自分よりひとつ上とは思えない、女の子な身体をしていた。引き締まったスリムな身体だが、出るべきところは
出ている。なのに顔は童顔で、その声は年相応の子供のよう。身体だけに限れば、『流麗なライン』と表現すれば少しばかり聞こえがよくなる程度のメ
リルとはまさに対照的だった。
 メリルは、エレノアに何というか、不思議な人という印章を抱いた。大人のような身体と仕草なのに、顔も声も性格も年相応に子供らしい。外見から
すでにギャップを抱かせるからなのだろうか。ともかく、なにかがずれているような感じを覚えずにいられない。
 年が近く、同性という事もあるのだろうか。やがて狩場で出会う回数が増えた二人は、いつのまにか出会うたびに会話をする友人同士になっていた。
「メリルは普段ソロなの?」
「えっと……その……いえ、普段は、師匠と……」
「師匠?」
「はい……私がノービスの頃に拾ってくれた人で。とても優しくて、格好良くて、いい人なんです」
 メリルは顔を綻ばせながら言った。師匠は自分にすべてを与えてくれた人だ。冒険者としてのすべて。人としてのすべて。アサシンになることを反対さ
れたけれど、私は師匠みたいな強いアサシンになりたいと思った。
 エレノアはそんなメリルの様子を見て、頭上に黒い電球を光らせた。ぴこーんと。
「ふぅん、そう……。ねえ、その人のことスキ?」
 突然、なにを言い出すのかこの人は!?
「ふぇ!? や……、あの、え、あぅ、……チ、違い、ますデス、よ……あくまで、師匠として、慕っているだけで……」
「わかりやすい。私はそのヒトが男なのかどうかも知らないのに」
 はめられた。と思ったときにはすでに遅い。エレノアはイタズラっぽくウインクしながら、微笑んでいた。
「こんな前髪で素顔を隠してちゃ駄目じゃないの。その師匠って、あなたの素顔見たことあるんでしょうね。もう。せっかく可愛い顔をしてるんだから、
女の子らしく可愛い格好して、女の子らしい幸せを手に入れないと駄目よ……ねぇ?」
 エレノアがパサリと、メリルの前髪を掻き分けて素顔を覗き込んだ。
「ひゃ! わ、あわ……!」
「こぉんなに可愛い顔してるのに……隠しちゃうなんて、勿体無い……じゃない?」
 一瞬。メリルの顔を見つめるエレノアの瞳に怪しい光が宿った。
 舐るような、
 弄るような、
 ひどく加虐的な視線だった。
 しかし、彼女はあまりにも純粋で、人を疑うということを知らなかった。

-to next-
139sage :2006/09/01(金) 15:05:44 ID:9XrV04QU
短編駄作:『Alchemy Doll』2/9

×二/篝火×

 見たこともないくらい大きな、ふかふかのベッドを珍しげに眺めていたら、エレノアに「まあ適当に座っててよ」と言われた。メリルは申し訳なさげ
にベッドの縁にちょこんと座る。
 首都にあるホテルの一室。その豪華絢爛ともいえる内装の数々に慄きながら、メリルは恐る恐ると尋ねた。
「あの、本当にいいんですか……? こんな高そうなお部屋に、ご一緒させてもらって。宿泊費とか……二人分だとかなりの額になるんじゃないでしょうか……」
 宿の予約を忘れてしまって途方に暮れていたメリルに、相部屋でよければご一緒しないかと、エレノアが提案したのである。

 その宿泊費を半分出そうと、財布の中身を心配するメリルに、
「大丈夫よ。ここは本来一人用の部屋で、今日は私しか泊まってないことになってるから、宿泊費も変わらないわ」
 エレノアはくすくすと笑いながら、備え付けのデスクの椅子に座った。
 冒険者なのに宿の料金システムの裏道も知らないらしい、純粋すぎるメリルが可笑しかったようで、しばらくエレノアはメリルを見つめて微笑んでいた。

「喉渇かない? 飲み物でもどう?」
 エレノアが立ち上がって、備え付けの冷蔵庫に移動した。ごそごそと、中に収められている飲み物をあさる。
「そんな、悪いです……そこまで……」
「気にしないの。私達、もう友達でしょ? はい、これなんてどう? きっと美味しいと思うわ」
「あ、ぅ……あの、ありがとうございます……」

 メリルは差し出された、透き通る青い液体に満ちたコップを受け取った。ちょっと、綺麗だと思った。
「いいの、いいの。わたしは――これにしようかしら」
 エレノアは冷蔵庫の扉の裏に並ぶコップを手に取り、手馴れた手際でボトルを開封すると、黄金色のアルコールをなみなみと注ぎ込んだ。
「あ、エレノアさん! まさかそれ!」
「なぁに?」
「未成年なんだから、お酒は駄目なんですよ?」
 メリルの発言にエレノアはきょとんとした。……まさかそんなあってないような法律を、真顔で聞かされることになろうとは。そんな顔だった。信じられ
ないという顔だった。

「これもまさかアルコールとかいってないですよね……」などと、コップを色々な方向から観察するメリルに、とうとう耐えられなくなったのか、エレノア
は大声で笑い出した。
「あなたって子は――本当に――あは、あはははははははは!」
「な、なんですかっ! なんでそんなに笑って、あー! 飲んじゃ駄目ですって、エレノアさん! 駄目ですってばぁ!」
 にぎやかに、夜が更けてゆく。

-to next-
140sage :2006/09/01(金) 15:11:32 ID:9XrV04QU

短編駄作:『Alchemy Doll』3/9


×三/開始×

 ……あれ?
 いつのまにか眠ってしまっていたようだ。シャワーを浴びた記憶はない……から、エレノアさんとおしゃべりしている間に眠ってしまったのだろう。
 メリルの視界には暗いオレンジの照明に照らされた天井があった。眠気が残っているのか。目が霞んで、ぼんやりとしか見えない。頭もなんだかぐらぐら
と重い感じがする。思考が鈍いというのだろうか、メリルにとってこの異常は、生まれて初めてだった。
 噂にきく二日酔いという奴だろうか。師匠がよくやってるやつだ。頭が痛く、重くなって、一日中うんうんと唸り続ける恐ろしい病。だとしたら、やはりエ
レノアに出された飲み物にはアルコールが含まれていたに違いない。

 そういえば、エレノアはもう寝たのだろうかと、メリルは思った。そもそも今は何時なのだろう。背中から伝わる柔らかい感触から察するに、ここはあの
豪華なベッドであると思われた。大きなベッドだ。二人並んで寝て余るほどだ。エレノアが寝ているなら、左右どちらかを向けばいるはずだ――。
 メリルはまとまらない思考で、どうもダルイ身体(これも二日酔いの症状だろうか)を動かそうとしてみた。首から下が……というより手足が動かせない。
恐るべし、二日酔い。

 仕方がないので首だけを回してみる。右。エレノアはいない。左。エレノアはいない。
 ……ということは、エレノアさんはベッドの上で寝ていないということですか?
 ぼうっとする頭でそう思い、「だったらベッドで寝るように注視しないと」と起き上がろうとしたときだった。
 明らかな異変に、気が付いた。
 ぎしり。ぎっ。ぎぃぃ。ロープを締め付けるような音。

「……? あれ、なんで……、え――――なに、これ?」
 手足が動かせない理由。それは二日酔いのせいなどではなかったのだ。
 ベッドに仰向けで「大」の字を描くように寝そべるメリル。その両手は――その四肢は、ベッドの四脚から伸びる植物の蔦のようなもので、しっかりと拘束
されていたのだった。
「え、な、なんです……これ。や、やだ、なに、外れない……?」
 流石に眠気など一瞬にして吹き飛んでしまったが、にも関わらず身体はぐったりとダルイままで、頭は相変わらず重く、鈍いままであった。

 ……そうだ、自分がこうなら、エレノアはどうなっているのだろう。もしも無事なら、早く逃げるように言わなければ。メリルはそう思った。なんだかよく
分からないけど、この状況はとてつもなく不吉だった。理由なく怖気が背筋を走るような薄ら寒さがある。
「え、えれの……エレノアさん! あの、そっちは大丈夫ですか!」
 エレノアの場所がわからないメリルは、室内にいることを信じて大声で名前を呼んだ。
「なんだか、植物の蔦みたいなのが……! もし無事なら、なんだか危険な気がします、逃げてください! エレノアさん! エレノ……!? んぐ! ん、
んんんん……!」

 メリルの呼びかけは、突如口を防がれ、途切れてしまった。
 いきなり目の前に現れたエレノアが、メリルの唇に自分の唇を重ねたのだ。
 それはキスなどと呼べるものではなかった。唇を割り進み、歯を突き進み、言うならば『侵略』という言葉がもっとも適切だった。エレノアの舌にそって、
何か冷たい液体が大量に、メリルの口へと注がれる。反射的にすべて飲み干してしまうが、その間にもメリルの口の中はエレノアに侵され――犯されていた。

 舌が、うねる蛇のように絡まり、うごめき、唾液を吸い、逆に満たしていく。
「ふ……! んぁ、んんんん……ふく、ふぅ……んんー!」
 水飴をこねるような淫音。メリルは自分の身体がなぜか火照り、意識が薄くなっていくのを感じた。最初のうちこそ抵抗していたが、自分の口内を踊り狂
うエレノアの舌にあっさりと絡め取られ、なされるがままになっていた。
「ん……、ごちそうさま」
「ぷはっ……んぁ……はぁ……はぁ……は……」

 口元に唾液の筋と、唇の離れ際に短く細い唾液の糸を残しつつ、エレノアはようやくメリルの口を解放した。ようやく呼吸を赦されたメリルは、荒い呼吸
で肺に空気を送り込む。
「あら? もしかして、キスの間の呼吸の仕方も知らなかった?」
 この。異常事態で。エレノアは嬉しげに目を細めて、当然のようにメリルを見る。
 つまり、それは。この身動きが取れないという状態も全部、エレノアが犯人ということになり――。
「え……れの、あ、さ……。これ……ど、う、いう……こ……」

 メリルは呼吸の合間に尋ねる。これはいったい、どういうことなのかと。
「どういうことも何も。そういうこと……かな。バイオプラントって便利と思わない?」
 息も絶え絶えのメリルを、至福の笑顔で眺めながら、エレノアはベッドの縁に腰を下ろした。


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141sage :2006/09/01(金) 15:15:06 ID:9XrV04QU
 短編駄作:『Alchemy Doll』4/9

 ×四/炎上×

 エレノアの手には、メリルの師匠の、トリプルクリティカルジュルが握られていた。いつのまに取られたのだろう。オレンジの証明を反射して、ぎらぎら
と凶悪に輝いている。
「ささ、まずは問答無用にご開帳しましょ♪」
 この瞬間のために自分は生まれてきたのだ。そういわんばかりの笑顔で、エレノアはメリルの喉元にジュルを突きつけた。そしてそのまま服一枚分にだけ
切っ先を沿えて、縦に。縦に。縦に。滑らせる。

「ひっ……!」
 メリルは短い悲鳴を上げたが、エレノアは無視。
 喉から、鎖骨の中心。
 胸の谷間の中心。
 みぞおちから、へそへ。
 へそから下腹部。
 女の大事な場所を、すらりと、するりと、通り抜けた。
「ひぁ……!」
 局部に通り抜けた金属の冷たさが、メリルの身体に電撃的な何かを走らせる。
 クリティカル。というのは冗談になるだろうか。

「くす。かわい♪」
 前面をすっかり二分されたアサシンの衣装を、エレノアはゆっくりと、焦らすように左右に広げていく。当然、メリルはその白い裸身を徐々に、晒していった。
「やぁ、やめ、やめてください。え、エレノアさん……そんな……やめ……」
「思った通り……。処女雪みたいに白くて、すごく綺麗よ、メリルちゃん……」
 羞恥に顔を背けるメリルとは対照的に、エレノアは恍惚とメリルの裸体を観察した。
 緩い曲線。流線型。無駄のない、美しさ。毛もない。
 未成熟で、未発達で、未完成。だからこその美。

「なにをするつもりなんですか、エレノアさん。こんなことをしなくたって、一緒にお風呂でも入れば……いい話じゃないですか……」
 的外れにして見当違いなメリルのセリフに、エレノアはだけど微笑んだ。……この子はここまで純粋なのか。この状況を見れば誰もが思い浮かぶ言葉、同性愛。
 そういう言葉の意味も、忌みも、知らないほどに。ならば私はなんて最上の獲物を手に入れたのだろう。エレノアは野獣のような笑みを思わず浮かべた。
「メリル……あなた、最高。最高の素材だわ……」
 エレノアはそっとメリルの頬を撫でた。

 メリルはもう何が何だかわからない。目が覚めたら拘束されていて、それはエレノアさんが犯人で、なぜか自分にキスをして、服を切って、裸を眺め……ぁう……。
 身体が。急速に熱を帯びていく。胸が熱い。乳首が焼けるようだ。……割れ目の中心が、じんじんと、痺れて……く……エレノアさん。私に、さっき、なにを。
「エレノアさ……ぁ……ひ、ぁあ……っく、え、えれのあ、さ……ぁぅ、ふぅうう……ぁ……はぁ……は、エレ……はぁああ、うぁうう、わたひ、にぃ、な、にゃ、
なに、ヲ、ふぁ、ふああ、ぁああ、ひぁあああああ!」

 わたしに何をしたのですか。
 疑問の言葉を向けようとして、メリルは内側から燃え上がる炎に、脳髄まで焼き尽くされた。
「ぁああああああああ、ひあああ、う、んぐぅ……! ふぐ、ふぃ、ひぃ、ひぁああああ! ふ、ひ、ぃ、あああああ!」
 突然、感極まったような嬌声を大音量で発したメリルの口に、その首に巻かれていたマフラーがねじ込まれる。エレノアがジュルで薄くスライスしたマフラーの
布を、詰め込んだのだ。

「危ない……。舌でも噛んじゃったらどうするつもり?」
 甲高い嬌声はくぐもった呻き声に変わったが、ボリュームが下げられたというだけで、大した違いはなかった。
「くすくす。すごいでしょう、その薬。えっちぃノベルとかドラマとかによく出てくる、快楽を増幅する作用の薬っていうありふれたものだけど、少し私のオリジ
ナルが混じっているのよ。まあそれは後で説明してあげる。大丈夫、絶頂だけはしないから。ずっと最高の快楽を楽しめるよ。だから――」

 今は、その快楽をタノシンデ――?

 それから三時間。エレノアはベッドの脇に椅子を運んで、痴れ狂うメリルを鑑賞した。
 片手でストレートロングの髪を弄りながら。片手を自らのスカートに差し込み、弄ぶ。
 彼女は恍惚の笑みを浮かべながら、過ぎた快楽に身をよじらせるメリルを眺め続けた。

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142sage :2006/09/01(金) 15:17:05 ID:9XrV04QU


短編駄作:『Alchemy Doll』5/9

×五/侵食×

「ぅ……ふ、ふぅ……ふひ、ひぃ……ふぁ、ぁあぅ…ぅぐう……!」
 高級なベッドの上で、メリルは身体をくねらせていた。
 目元を覆う長い前髪が乱れ、熱病に浮かされたような焦点の合わない瞳が覗いている。
 両手首と足首には緑色の蔦が絡まり、メリルをベッドの上に縛り付けていている。すでに痣になるほど力を込めて引っ張っているのだが、まるで千切れる様子
はない。
「……ひ……ひゃ、ひぁ……ふ、ふひぃ……ひゅ、ぁあぁあ……!」

 口には首を巻くマフラーの裾がねじ込まれ、発言を赦さない。くぐもった、声にならない声を上げさせるのみだ。だらだらと流れる涎が淫猥に落ちていく。首
もとシーツはすでに涎で染みができていた。
 もう随分と長い時間、このベッドの上で身体を震わせていた。
 メリルの毛に覆われてもいない幼い股間の亀裂から、まるで湧き水のように止め処なく、粘度のある透明の液体が少量ずつあふれ出していた。少女の、まだ未
成熟な「女の部分」も、痛々しく反りあがっている。それは首元の涎の比にならない、大きな染みをシーツに描いていた。

「ひっ、ひぃ、ひぐぅ……あぁぁぅ……ぅあ、は、ふぅ……ひぁあ……ぐ……!」
 瞳から涙を。口元から涎を。そして秘裂から藍液を垂れ流しながら、メリルは体内を渦巻く膨大な快楽に身を震わせる。
 思考を溶かして、理性を焦がして、知性を削りきるような快楽。
 甘く、甘く。甘く甘く甘く。これまでのどんな喜びよりも悦ばしく、気持ちいい。
 心が汚される。心を犯される。魂が薄れていくような快楽。
「ぅああああ……あ、あぁあ……ひぅ……ぅあ、ひ、ふぃ……ふぅ……!」

 股間が信じられないくらいに熱を帯びている。じりじりと、まるで電流でも流されているかのように、痺れが、痺れが痺れが痺れが……。すでにずっと突起化
している両胸の乳首にも同じように、熱と痺れが宿っている。その熱と痺れは、メリルの身体に渦巻く快楽を催促するように、少女の身体をじんじんと、刺激し
続けるのだ。
(ぁああぁぁあう……ぁうああああ……ひ……も、も、ぉおおお……耐えられ……な、い……! こわ、こ、……壊れ、るぅうううう……! 狂うううう……!)
 メリルは今や、快楽に溺れようとしていた。

 彼女には心砕かれそうなほどの快楽を延々と与えられ、なのにただの一度も絶頂を迎えさせられていない。
 気が狂いなほどの欲求不満。行き場のない快楽は、少女の体内に蓄積され続け、少女を苛み続けるだけだ。痺れが。甘みが。痛いほどに反りあがる女の部分が。
脳髄へ淫液を注ぎ満たすように、心を削っていく。理性が、削られていく。

 自我が、薄れていく。
 とぷとぷと、股間から愛液を垂れ流しながら、それは満足の印ではないのである。
 それはまさに、悪魔の焦らし。
 メリルが未だに完全に壊れる事も、発狂もしていないのは、奇跡だった。
 もっとも、もうかなり壊れかかっているのだが。

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143sage :2006/09/01(金) 15:19:57 ID:9XrV04QU

短編駄作:『Alchemy Doll』6/9

×六/瓦解×

「んん〜。大分いい感じに壊れてきたかなぁ……?」
 ベッドの隣の木製椅子に座るエレノアが呟いた。
 金髪のストレートヘアを指先でくるくると弄りながら、視線を興味深げにベッドの上へと――痴態を演じさせられているメリルへと向けていた。頬を僅かに紅
潮させて、空いた手でスカートをまさぐっている。
「ねえ……、いま、どんな気分……?」

 エレノアは妖艶に瞳を潤ませながら、熱っぽい息と共に尋ねた。
 ベッドの上のメリルは、四肢を封じられ最小限に動作制限された身体を、快楽に操られるがままくねらせているだけだった。返事はない。否、できない。それ
どころではない。
 そうと分かっていて、エレノアは尋ねたのだった。
だから、返事を待たずに言葉を続ける。

「んふふ。言わなくても分かってるわよ……。夢見心地ってこういう気分なんだってことを、思い知ってくれているのよね……? 自分って存在が、意識が、思
考が、思慮が、理性が、知性が、どろどろに溶けて、とろとろに溶け合って、何もかもどうでも良くなるような快楽と一緒に、そのままどこかへ流れて消えてし
まいそうなくらい――ああ、もう言葉では言い表せないくらい、気持ちいい。そう……だよね?」
 そこでエネノアは言葉を区切り、自らの股間を弄る手を止めた。

 粘液の糸引く指をスカートから引き抜く。
 椅子から立ち上がり、ベッドへ、メリルへと近付いていく。


「気持ちいいでしょ……?」


 言葉の続きを投げかけた。その指先をメリルの秘所に宛がい、往来させる。
「……は、はふ、ふ、ふ、ふひぃ、ひぃ……ふぁ、あ、ぁあぁ、ひあ、ふぁあぅ……!」
 無論、そんな言葉が、今のメリルに届いていたはずもない。両胸と秘裂から発せられる、抗いようのない快楽への抵抗に精一杯で、外からのアプローチに処理
を割いてなどいられない状態なのだから。
 だが、その快楽に蕩けた、くぐもった嬌声こそが、正しい返答に違いなかった。

(ぁあああああああああぅぅううぅああ、ひああああああああああああ、ぁああああうううううあああああああ……!! わ、た、わ、らひぃ、わたし、は、が、
ああ、とっ、とけ、溶けるうぅ……ぁ、ふ……ふぅ、ふわ、こわ……壊れ、ふ、ふあ、はああああ、ひあああああああああ!!)
 メリルの身体が、びくんっと仰け反った。勿論、四肢を拘束されているためか、その身体の反り返りは相応に浅い。だが、その身体は仰け反った姿勢のまま、
もはや痙攣じみた速度で、がくがくと振動を繰り返している。
 エレノアの愛撫は止まらない。絶頂の気配を感じ取り、即座に秘裂から離れる。
 獣の咆哮のような悲鳴も、病的に過剰な痙攣さえもまるで気にしない。

 左手で脇腹を。胸を。
 右手で太腿を。腹を。ヘソを。その下を。撫で回す。
「ひっ、ふぅ、ひいいいぁああああああああああああ! ふあああ! ひぅぁあああああああああ……! ああああ………うう……あああ……!」
 掠れ、くぐもった嬌声が発せられる。メリル背骨が折れるほど大きくブリッジをしながら、秘裂から蜜をだくだくと流す。淫気に満ちた湧き水だ。
口に詰め込まれたマフラーが、涎をしみこませていく。

「どう……? 最高でしょ? んふふ……、そろそろ教えてあげる。わたしの薬はね、五感のうちの『触覚』に働きかけて、段階的に『性感帯』に変えていくの。
つまりぃ、少しずつ、身体全体が性感帯になっていってね……」
 薬。この部屋に連れ込まれ、そして飲まされてしまったもの。
 エレノアの言うとおり、メリルの身体は、少しずつ全身を性感帯に侵食されつつあった。

 仰け反り、身体をくねらせ、シーツや下敷きにしているアサシンの衣装に皮膚が触れるたび、尋常でない快楽が全身を迸っていく。
(ぇ、ぇあう……ふぁ、ひぃあああああ! ふぇ、ふえな、背中、あ、あううう! ふひぃああ、ひゅ、ふあああ、ぉ、お尻ぃ……ふぁ、ふ、触れ、触、ふれ、
ふわあああ! ひ、ひぃ、ひもひ、気持ち、い、いああ、い、ひ、ひぁ……ひゃあああああああ!)
 真っ白く染まりつつあるメリルの意識が、少しずつ剥がされていく。


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144sage :2006/09/01(金) 15:22:08 ID:9XrV04QU

短編駄作:『Alchemy Doll』7/9

×七/融解×

 エレノアの愛撫は続く。円を描くように腹を撫で、そのまま螺旋を描くように、小さく膨らむ胸をなぞり、上っていく。乳首には触れないように気をつけて、
同じ道を辿り腹へと指先を返す。
 エレノア指先が移動するたびに、メリルは痴れ狂った。身体を浮かせ、暴れ狂い、シーツに身体を埋めては、その触感にまた痴れ狂う。もはや触覚は半分ほ
ど、性感帯に置き換わってしまっているようだった。

「こんな風に、どこをどうしても。なにをどうされても感じるのよね……。最終的には動いたときの空気との摩擦でさえ、極上の快楽を味わえる……。ふふ、
あなた、きっと世界で一番の幸せものかもしれない。普通に暮らしていたって、こんな快楽を味わうことなんて絶対にないんだもの。壊れるほど気持ちいいで
しょう……砕けるほど気持ちいいでしょう……? それが女の子の幸せ。それこそが女の幸福。小さく可愛く愛しいあなた……ああ、見たい。見てみたい。見
てみたいわ。見てみたいの。幼くて。幼くて。幼くて、無垢で無邪気で純粋で純真で純潔で処女で始めてで、世界の汚さも穢れも怖さも恐ろしさも恐怖も何も、
何も、何も知らないあなたが、快楽に溶けて消えるのを。悦楽に壊れてしまうのを……!」

 ベッドに寄り添うエレノアは、狂気すら感じさせる言葉を紡いでいた。
愛撫を続ける傍ら、再び空いた手で自分のスカートの中をかき乱し、恍惚に身体を震わせる。
「ふぅぁ……! あぐぅ……ひぃ、ひぁああああ、はぁぁあ! ……ひぁあぁ……!」
 熱と欲と苦痛と悦楽に満ちた、途切れ途切れの喜声。エレノアはそのメリルの声を聞くたびに、自分の身体もまた悦びに満たされていくのが解る。
 エレノアは思う。賭けてもいい。メリルは自分を慰めたことはおろか、そういう使い方があることすら知らないだろう。だから必然、絶頂という生理現象も
知らないのだろう。

 普通なら。泣き叫んで「犯して」と懇願するだろうに。
「ねえメリル……? 触って欲しい……? 弄って欲しい……?」
 指を、メリルの痛ましく充血する亀裂の突起すれすれに、近づけ――触れない。
 メリルが腰を浮かせる。
「こことか――こことか――」
 亀裂で両断された左右の丘を、歯がゆく、歯がゆく、指で通過した。
 メリルが身体をむちゃくちゃに震わす。

「ふぁああ……ひいいいい……ふ、ひぃ、ふぁあ、あっ、はぁあっ、ふぁあああ……!」
 メリルが、びくびくと、痙攣を繰り返しながら仰け反る。亀裂から愛液と潮がどぽどぽと溢れ出した。涎が滝のように流れ落ちていく。
「んふふー……。だめだめ。まだまだ……逝かせてあげない……」
とろんとした瞳で、エレノアは言った。
「あなたは、そのままで、このままで、快楽に焦らされて、溶かされて、融かされて、壊されるの……。綺麗なお人形さんになるの。もう決まってることなの。
だから、だめ」
 マダ、イカセテ、アゲナイ。

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145sage :2006/09/01(金) 15:30:46 ID:9XrV04QU

短編駄作:『Alchemy Doll』8/9

×八/肉塊×- a

 それからさらに二時間が過ぎた。
「……ヒ、ぁあ、あぅああ……。ふ、ふゥ……ひぁ、ふぁ、ふああああ……!」
 身体のほとんどの触覚を性感帯に変換させられたメリルは、身じろぎをひとつするだけで、気を違えてしまうほどの快楽に襲われた。
 決して絶頂を迎えさせない焦らしの陵辱、強力無比な快楽の波。その淫獄に体力を奪いつくされ、精神をすり減らされたメリルは、徐々に、呼吸と発音だけ
を行う肉の塊になりつつあった。
 四肢が自由だったなら、メリルは本能の赴くままに自分の身体を慰めたことだろう。身体に溜まり、濁り、澱んでいる快楽をすべて、絶頂の噴出にのせて吐
き出せただろう。

 しかし――それをさせないために、エレノアはメリルの四肢を封じている。
 小刻みに全身を痙攣させながら、ぐったりとしているメリル。いまや存在しているだけで、あらゆる『接触』から快楽を与えられ、理性を焼き尽くされよう
としている肉人形と化している少女を、エレノアは心底楽しそうに愛撫する。
 エレノアは、全裸になっていた。着ていた服は椅子の背にかけている。
 焦点の合わない瞳で天井だけを眺めて消え入りそうな嬌声を発するメリルの右隣に寝そべり、お互いに股間の亀裂から洪水のように愛液を垂れ流している。

「メリル……どう? 多分あなた、今天国に一番近い場所にいるかもだよ……?」
 言いながら、エレノアは慈しむように、愛しむようにメリルの身体を舐る。
 手で。腕で。その豊満な胸で。舌で。足を絡めて。すべてで。メリルを侵食していく。融解していく。
(ぁ――あぅ――ぅ――ぁあ―ひ――ひぁあ――あ、あぅ、うぁ―あ――さ、触ってええええええええええ……もっと……ひがう……そこ、違うぅぁ……胸え
ええ……もぉ……あ、あそこもぉ………触って――弄って……めちゃふひゃにして…くらふぁい……――あ――あッ。あ、ああああああ、ひぁう、あああああ
ああああああああああッ、はぁあっ、あ、あああああああああああああああああ!)

 メリルは前髪を振り乱し、空になった体力を搾り出して身体を痙攣させる。絡まる人肌の温もりが、肌を這う湿った舌の感触が、すべてが極上の快楽に変換
され、不完全燃焼の温度のままメリルを炙る。疼きだけが無限に増幅されていき、思考がもうただひとつ、この身体の昂ぶりを沈めることだけにしか、働かな
くなっていく。
 ……もう駄目。もう、もう耐えられない。誰でもいいですから。何でもいいですから、何でもしますからどうにかしてください。この身体の熱と疼きと高ぶ
りを、鎮めてくれるのならなんだってしますから。だから……だからぁ……。

 がくがくと、狂ったように痙攣し、身体を捻りくねらせるメリル。
 エレノアはその口から、マフラーを抜き取った。ぎゅぽっ、という小気味のいい音。口の中に溜まって池と化していた涎が、どろりと溢れ出す。
「っはぁ……あぅ、ふひぃあ……! はあああああん……ッヒぃあああああぁぁあぁ、ふわぁ、ふひ、んっ……はぁ、あ、ああぁああッ…ぁあああ!」
 篭っていた熱を吐息と共に吐き出したメリルが、艶やかな声で絶叫した。

「っぃ、ひぃ、ひゃふぅ……! ふ、くぁあああ……はぁ、あぅ、ッ、ああああ! あああああああああああああああああ! ひぁああ、ふく、ひぃいぁ、あ
ん…あふ……ひゃ、あああああああああああ! ぁぁぁぁああああぁぁああ! さ――さああぁあ……さわ、触ってええええええええええ――もっとぉ……も
っと、触って、なで、な、なでてぇ! 熱い……熱、ぃんでふ……! かぁ…らだがぁ……ふぁぁあああああ……熱ぃんで、すぅ……! くぁああぁあぁあぁ
……ぃぃ、ふ、ふひぃゃぁああああ! ……ねがい、です……らひぃいを、むひゃくちゃにひてくださいいいいい………ぃあ、あぅ、あッ! あああぁぁあぁ
ぁああぁああ!」

 もうそこに、メリルという少女はいなかった。
 それこそまさに、ひたすら快楽を求める、意思のない肉人形。
「ん……完成……かな?」
 嬉しそうに呟くエレノア。メリルの隣で身体を起し、椅子にかけてある服のもとへ。ポッケをまさぐって、白く、怪しげカプセルを取り出した。

 -to b-
146sage :2006/09/01(金) 15:32:35 ID:9XrV04QU
短編駄作:『Alchemy Doll』8/9

×八/肉塊×- b

 エレノアはカプセルを口に入れて、噛み砕き、そのまま絶叫するメリルの口元へ近付く。
「ごちそうさまでした……と♪」
「あぁあぁあぁ……ひぁぁああ! あぁ! ふあぁあ! あ、ひ……ん、んんんん!」
 強引に唇を奪って、そっとカプセルの中身を、口移した。自分が飲まないように慎重に喉の奥へと流し込む。誘導する。
 こくり。二度三度ほどメリルの喉が動いて、エレノアは名残惜しげに唇を解放する。
 すぐに、メリルの身体に異変がおきた。

「…………あ」
 メリルが、ぽっかりと口を空けて、発音した。
「ああ…あゥ、ゥあああ…ひ、ぁ……あっ…あふ……ふぁ……」
 連続で痙攣していた先ほどまでとは違い、陵辱当初のように、がくがくと、断続的に痙攣を繰り返す。
 メリルのその肉の内側で、今まで蓄積された数時間分もの快楽が、鳴動を起していた。
 絶頂を迎えることなく、ただ垂れ流すだけでは外に出し切れなかった悦の奔流。その源泉に蓋をする何かが、取り払われようとしていた。
「ぁ――あは―ぁあ――ふっ―あ、あぁ―あっ――はぁ――はっ――」

 最後に残っていた。ほんの小さな、ひとかけらの理性が。消える。
 人間としての尊厳の、残りの一片が、砕けてなくなる。
 知性。すでに踏みにじられたそれの、残骸までもが、熔けて、溶けて、融けてゆく。
 エレノアはメリルの様子を観察したが、やがて満足のいった顔で頷いた。
 そしてベッドで痙攣し続けるメリルに手を伸ばす。指先かヘソの周囲を撫で、メリルがびくりと身体を強張らせた。

「今まで意地悪して、ごめんね」
 エレノアは、天使のような悪魔の笑顔でそう言うと、
 指を秘裂にまで走らせた。反り返る突起を人差し指と親指でつまんで――
「もう逝っていいからね?」
 そのまま思い切り捻り上げた。
「―――――――ッ、アアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
 堰が破られた。
 快楽の奔流と共に、メリルがメリルであるための全てを支えていた堰が。

「それじゃあ、私、シャワー浴びてくるわね。ごゆっくり〜♪」
 ひらひらと手を振りながらシャワールーム消えていくエレノア。
 メリルはその身体に蓄積され、薬に増幅された、数千回分の絶頂を。
 終わりなどないのではと思うほど、間断なく、休みなく、ひたすらに繰り返した。

 夜が明け、太陽が宙天に昇る頃。ようやく快楽のるつぼから、メリルという名前の肉塊は解放された。
 記憶も感情も理性も知性も思考も何もかもを代償にして。
「……ぁ………ふ……ぁ……………」
 黒かった髪を一晩で白く染め上げ。喉からもれるのは言葉ではなく、ただの音。
 全てを失った肉人形は。ちょろちょろと、その秘所から黄色い液体を垂れ流していた。
「……………………ん………あ………ぁ……」

-to last-
147sage :2006/09/01(金) 15:37:29 ID:9XrV04QU

短編駄作:『Alchemy Doll』9/9

×九/人形×-a

「そいつか? ずっと目をつけていた素材ってのは。もう手に入れてたのか」
 首都プロンテラ西広場。花に囲まれたベンチに座る男が、向かいのベンチに座る少女に話しかけた。
 ばさばさとした黒髪に、強面を隠すようなサングラス。加える煙草からは紫煙が立ち上っている。服装から職業がブラックスミスであることは解るが、
異常なことにカートを引いていないようだった。
「ええ、そうよ」
 ブラックスミスの正面には二人組みの少女が座っている。話しかけられた方の少女が、にこやかに微笑んだ。
十五歳前後のアルケミストだった。金髪のストレートロングヘア、年の割に発育のいい身体をしている。にこにこと笑顔を貼り付けて、ブラックスミスと
向かい合っていた。

 奇妙な光景だった。
 明らかにカタギじゃない、文字通り「ブラック」なスミスと、まだ二十年も生きていないだろう少女達が向かい合っている。
「どうした。えらく機嫌が良いな」
 ブラックスミスは口の端を持ち上げながら、皮肉っぽく言った。煙草を一旦口から離して、煙を吐き出す。そして再び煙草をくわえた。先端がじりじりと
赤く燃える。
「普通に考えてさ、ずっと欲しかったモノが手に入ったら、喜ぶもんじゃないの?」

 アルケミストの少女はそう言いながら、自分の隣に座る少女に頬ずりをした。決めの細かいすべすべ感。絹で顔を拭いているような感触だ。
「……ぁ…ぁは……ぁあ……ね、姉さ……、あ、まぁ……」
 頬ずりをされた少女は、焦点の合わない瞳をアルケミストの少女に向けて、消え入りそうなか細い音を発した。白い肌を紅潮させ、もじもじと、居住まい
を正し始める。
 ほとんど全裸に近い服装の少女だった。一晩で真っ白に染まってしまった前髪で、目元までをすっかりと覆っている。薄い黒革のベルトを無造作に、幾重
にも素肌へ巻いているという、とんでもないを通り越してあられもないファッションだ。かろうじて、本当にかろうじてだが、首に巻かれた紫のマフラーで、
元アサシン……だろうか? くらいにアタリを付けられる。

「んふふ。ちゃんと『お姉さま』って言えたね。偉い、偉い」
 その際どいファッションの少女の白い頭を、アルケミストの少女は撫でた。
 どちらかというと、熱病患者のうわごとめいた発音だったが、アルケミストの少女にして見れば、これでも随分とマシになった方なのである。
 人形にするときにヤり過ぎたせいで、ゼロから情報を入れるのも大変なのだ。これは彼女にとってちょっとした誤算であったが、ペットに調教を施すのだと
思えば楽しいものだ。

「……ぁ……ぁ、ぁっ……はっ……あふ……おね…ふ、ぁ……ま……」
 ベルトの少女は、頭を撫でられるたびに顔を痙攣させた。顔はもう真っ赤に染まっており、その口からはつぅ、と涎が垂れている。虚ろに揺れる瞳が潤み始めた。
「駄目よ、まだお仕事中なんだから。はいスイッチオフ。また後で」
 アルケミストの少女は、やれやれと言わんばかりに苦笑する。そして財布でも取り出すような自然な動作で、右手をベルト少女の股へと差し込んだ。湿っぽ
いその空間をまさぐって、突起を見つける。つまんでぐちゅりと捻った。
「……ぁ、ぁ、あはぁ……あ、ふあっ! アッ! ……は、はふ……ひくぅ……」
 まさぐられている間、艶のある嬌声を短くあげていたベルト少女は、アルケミストの少女が突起をひねる――スイッチオフ――すると、びくりと大きく痙攣し、
前髪の向こうで潤む瞳を恍惚に細め、ずるずると横に倒れ、ぐったりと動かなくなった。

「……相変わらず、趣味が悪い事だ」
 ベルト少女の股から引き抜いた指に付着した粘液を、満足げに舐め取るアルケミストの少女を見て、ブラックスミスの青年が笑った。
「ヒース、人の趣味を笑うもんじゃないわよ」
「そりゃ、すまなかったな。つい本音が」
 ヒースと呼ばれたブラックスミスが、肩をすくめて笑った。
「……しかしその年齢にしちゃ難儀な性癖だよな、エレノア。女を快楽漬けにしてぶち壊すときにしか、欲情できないんだってな。同情するぜ」
「違う。『壊すとき』と、『壊したあとの人形とするとき』だけよ」
 エレノアと呼ばれたアルケミストの少女は「失礼な!」とでもいう風な口調で言った。

-to last-
148sage :2006/09/01(金) 15:39:36 ID:9XrV04QU

短編駄作:『Alchemy Doll』9/9

×九/人形×-b

「かわらねえよ……同情するぜ」
「同情される覚えはないわよ」
「誰がお前に同情するか。金持ちに同情なんかしねえよ。お前の犠牲者に同情するんだ。お前が『したくなった』ときは、可愛い女の子は全員失踪候補に挙がる
んだからな。たまったもんじゃねえ。おまけに一度ターゲットにされたらストーカーのようにしつこいからな。その新しい人形、どれだけ粘ったんだっけか?」
 ヒースは煙草の吸殻を、胸ポケットから出した携帯用灰皿に叩き込んだ。すぐさま、新しい煙草に点火して口に加える。
「ほんの一月前からよ。ねえ……あなた子持ちなの? 人様の子供を心配するなんて、珍しい」
 エレノアは意地悪っぽく尋ねた。

「あのな、俺だって人の子さ。お前の都合で丸まる人生潰される女の子達を、哀れむ気持ちぐらいはある。お前が前に持ってた人形の末路、教えてやろうか?」
「結構よ。……っていうか哀れむ気持ちがあるのに、私から人形を買ってよそに売るっていうのはどうなの? あなたも人の人生丸々潰してない?」
 エレノアが言った。
「お前が潰した人生が金になるなら、それに越した事はねえだろう。リサイクルだよ」
 ヒースが答えた。
「外道」とヒース。
「畜生」とエレノア。
 お互いに言って、失笑しあう。

「そういえば、ほら。この前の人形の代金の分け前」
 ヒースは今気付いたという風に手を打つと、ベルトに下げたバッグから、札束を3つ取り出して、エレノアに向かって投げた。
 エレノアはそれを鮮やかにキャッチすると、
「いち、に、さん。ん♪ 確かに」
 と、札束にキスをして自分の鞄にしまった。
 どうやらこの二人、お札を一枚二枚と数えるような、低レベルなことはしないらしい。

「……ああ、そうそう。なんかな、捜索願を出してるアサシンがいるんだと」
 わざとらしくヒースが言った。口が皮肉に笑っている。
「ふぅん」
「数週間前から、弟子のアサシンが行方不明になって探してるんだそうだ。写真を見たが、随分と可愛い女の子だったよ。是非小耳に入れといてやろうとね」
 ヒースの視線は、ベルト少女に向けられていた。
「まあ行方不明ですって……。怖いわぁ。ねえ?」
 わざとらしくエレノアは言って、傍らの寝そべる「スイッチオフ」された少女に問いかけた。
「…………いい性格してんな、おい。まあいいけどな。今日の用事は金の支払いだけだ。俺はそろそろ寝る」

 ヒースはタバコを携帯灰皿に入れて立ち上がると、背を向けて歩き始めた。
「お疲れ様、また頼むわね」
 その背中に、エレノアが手を振る。
 ヒースはゆっくりと振り返ると、
「そいつで遊び飽きたら連絡くれ」
 とだけ言って、また歩き始めた。
「残念でした。この子はしばらく非売品なんですー」
 舌を出すエレノアに、
「そういうのは非売品っていわねえんだよ、バカ」
 ヒースは聞こえないように呟いた。

 短編駄作:『ALCHEMY DOLL』――了
149名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/03(日) 04:42:40 ID:pU1TkqCY
(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル
だがそれがいい。エレノアたんの活躍をまた見たいなあ…!
150名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/03(日) 18:17:54 ID:sLIrzC6E
次は師匠の手元に人形がもどって、エレノアが死んでしまう時でしょうかね…

壁|)ミサッ
151名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/04(月) 12:58:35 ID:cmAuACN6
レーニャとチェリムの続ききぼんぬ!(*´д`)
152名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/04(月) 18:52:44 ID:1zsFxYPY
ぎんろうかいきふぁいるおもいだした
153名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/05(火) 22:22:45 ID:kEtgETOk
無情な世界観はROにぴったりだねえ。
154名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/09/15(金) 01:15:36 ID:IYescP0I
実に素晴らしい。
続編を楽しみにしております

師匠の復讐でエレノアさんが
最後に因果応報な結末を迎える事を望む自分は甘いのか・・・

「そんなに人形が好きなら、自分が人形になれば良かろう」とか?
155表と裏。dame :2006/10/07(土) 11:11:28 ID:7/eQKC76
ここの板に触発されて初めて百合っぽいのを書きました。
最初に言っておきます。作中に出てくるルイはユカリと同一人物です。
お間違えなきよう・・・

===================================
 「結婚・・・するんだってね・・・おめでとう。
・・・さようなら・・・」


私は、手紙を書き終えると今まで何度となく使った
伝書鳩に最後のお仕事を与える。
「コレで最後、あの人に届けてね」
鳩は、クルックーと一鳴きしてばさっと飛び立っていった。
茜色の空に真っ白い点が消えていくまで私は見届けていた。

ここは、首都プロンテラ。首都であり、最大の商業都市でもある。
道行く人は、露店を見たり露店の商人さんたちと
値段交渉すらしてる人もいる。
さっきまで茜色だった空も、今は夕闇に落ちようとしていた。
そんな中でも、外から賑やかな声が上がっていた。
そんな、露店街のそのすぐ脇に、私"達"の家はあった。
「一人暮らしにはちょっと広いよね・・・」
ぽつんと一人で部屋の中を見回す。今まで楽しかったことが
走馬灯のようにめぐっていた。
そんなちょっとセンチメンタルな気分になっていた時
バタン!と勢いよく玄関のドアが開いた。
「そろそろ来る頃だと思ったよ」
私はドアに背を向けていた。だが、そこにいるのが誰かということを
私は知っていた。
「この手紙はなに?」
声に怒気が感じられた。
「その言葉そのままだよ」
私はゆっくりと後ろを振り返った。
「さよなら・・・って」
後ろを向くと、年のころ20歳くらいの若い男のウィザードが
息を切ってこちらを睨んでいた。
「なんでさよならなの?」
「ほかの人と結婚するんでしょ?だったらさよなら・・・でしょ?」
「誰が、私達の結婚破棄するなんて言ったの?」
「その人といたほうが、きっと幸せになれるよ・・・」
「それは私が決めることだ。マリーが決めることじゃないでしょ?」
私の名前はマリー。支援プリースト。今すごい顔して睨んでいるのは
ウィザードのルイ。私の"旦那"様。
ルイは、バタン!と玄関のドアを閉めると近くにあったいすにどかっと座る。
「どうして、こういう手紙を送ったのか。ちゃんと説明してくれますか?」
口調は丁寧だが、そうとう怒っている。
「さっき、ルクナーから聞いたの」
私は、その時の事をぼんやりと思い出していた・・・
156表と裏。dame :2006/10/07(土) 11:13:04 ID:7/eQKC76
 昼下がり。私はギルドのたまり場に顔を出していた時の事だった。
「おひさ〜マリー。」
私に向かって片手を上げて返事をしたのは、このギルドを紹介してあげた
ハイウィザードのルクナーだった。
「珍しい、ルクナーがいる。明日は大雪?」
「あのねぇ・・・マリーがほとんどいないんでしょうが」
「あれぇ?そうだっけぇ〜?」
しらっとすっとぼける私。
「そういや、マリー・・・」
ルクナーが私に問いかける。
「なぁに〜?」
そばにいた、ギルドのメンバーのホムンクルスと戯れていたとき
私はそれを聞いてしまった。
「俺さ・・・ユカリと結婚することになった」
照れたように頭をかいていたルクナー。手に持っていた
ホムンクルスのえさを誤って落としたのも気づかないくらい
ショックを受けた私・・・
「そ・・・そう。でも、ルクナー。あなた奥さん何人目よ」
私は、話題をしれっと別方向に向けた。
ユカリトケッコンスルコトニナッタ・・・
私は、急いでその場を離れたくて急用を思い出したといって
その場から急いで逃げ去った。
考えないようにしよと、別のことを考えようとすればするほど
頭の中に、嬉しそうに話すルクナーの顔が浮かんでは消えていた。
私は、自宅へ戻り自分のベッドで声を殺して泣いていた・・・


 「私がいらなくなったんでしょ?」
こういう言い方をすると相手の神経を逆なでするって解ってても
私は言わずにはいられなかった。
「誰がいらないなんて言った?」
「ほかの人と結婚するのは、ほかに理由がないじゃない」
「マリー、時々考えが暴走する癖直したほうがいいよ?」
「そんなの今は関係ないでしょ」
「関係ある。私は、マリーと別れる気なんてないからね」
「ユカリのバカ!!!もう知らないっ!!!」
私は、そう吐き捨てると自分の部屋へと直行してカギをかけた。


 解りづらいかもしれないから、解説しますね。
私の旦那様、ルイは実は女の人なんです。
最初2人が出会った時は、まだ女性同士でルイ(女性の時の名前ははユカリ)
が少し年上だったこともありお姉さまと慕っていました。
その慕う気持ちがどんどん膨れ上がってしまいまいた。
そして、いつだったか男装して私の目の前に現れたとき
思わず好きですって口に出してしまったのです。
きっと嫌われると思っていたが、意外にもルイはOKを出した。
それから1ヶ月後私達は結婚式を挙げていた。
小さいながらも、プロンテラに家を買い2人での生活をしていた。
時々、男装に飽きると女性に戻って何日も家に戻らないこともあった。
でも私は平気だった。ユカリを好きでいられることが
最大の幸せだったのだから・・・
157表と裏。dame :2006/10/07(土) 11:14:12 ID:7/eQKC76
 ふと、目を覚ます。
「・・・泣きつかれて・・・寝ちゃったのか・・・」
私は、ユカリから逃げるように部屋に戻りわんわん大声を上げて泣いていた。
そして泣きつかれていつの間にか寝てしまっていたみたいだ。
「最初で最後の大喧嘩が離婚なんて・・・なはは・・・」
私達は、喧嘩をしたことがない。私がわぁわぁ何か言っても
ユカリは優しく一つ一つに答えてくれた。そんなユカリが大好きで
これからもずっと一緒にいられると思ったのに・・・
「・・っく・・・ふえぇ・・・」
また、知らず知らずのうちに涙があふれて来た。私だって、別れたくない。
でも、ほかの人と結婚するなら私がいないほうが言いと考えるのは
おかしいのかな?
「ユカリの・・・・ばか・・・・」
ぽつっと、つぶやいた。本人に届くことも無いだろうけど・・・
その時ふと、片方の手にぬくもりがあるように感じられた。
なんだろうと見てみると・・・
「?!?!?!??!?!?!」
部屋にいないはずの、ユカリが私の手を握って眠っていた。
私が、ごそっと動いたのに気づいたのかアカリが目を覚ます。
「おはよう、マリー」
アカリは、にっこり笑って(るように見えた)私に挨拶をした。
「なんで・・・ユカリがここにいるの?!私カギかけたはず・・・」
と言った時、ユカリが私の目の前に金色に輝くものをちらつかせた。
「合鍵♪」
そうなのである。いつ大変なことが起こるかもしれないと、私達は
ありとあらゆるカギのコピーを作っていたのだ。
「マリー、聞いてくれるかな?」
「ヤダ」
私は駄々っ子のように即座に否定した。
「駄々っ子には、お仕置きが必要だね」
そう言うが早いか、ユカリは私に急に口づけをした。
「んんっ?!」
最初は、唇を押し当てるだけだったが段々舌が口の中へ入ってくる。
「ふぅぅ・・・んっ」
ユカリは、知っている。私がキスされると途端に抵抗できなくなることを・・・
「んんっ!!」
抗議のためにぽかすかと背中を叩くも、ユカリは全く意に介さず
深い深い口づけをしていた。
「んはぁっ・・・・はぁ・・・んはぁ・・・」
それから、どれだけの時間口付けをしていたのだろうか・・・
私は、もう完全に力が抜けていた。
「まだまだだよ、駄々っ子さん♪」
ユカリはなぜか嬉しそうだった。
「ちょ!!ちょっと待った!」
私がそれに待ったをかける。
「なに?」
「なんで、その・・こういうことするの!今喧嘩中でしょ!!」
「だから、駄々っ子にはお仕置きって・・・」
「お仕置きとこれは関係ないでしょ!!」
私が抗議の声を上げてる間も、ユカリは嬉しそうに私の服を脱がしていく。
「マリーは私がどれだけ傷ついたかわかってない。だから直接体に教えてあげる♪」
「激しく遠慮させていただきます(滝汗)」
「で・も・・・マリーはここでスイッチ入っちゃうんだよね・・・」
ユカリは私が最も弱くて、そしてどんなにシラフでも途端にえっちぃモードに
入ってしまう場所を知っている・・・
「や・・・ちょ・・・!!ユカリぃ、だめぇぇ!」
それは、背中なんです。背骨に沿って優しく指が上下するだけで
私は途端にえっちぃモードに入ってしまう。
「コレが好きだよね・・・マリー?」
つつぅー・・・と触るか触らないかのタッチで背中を愛撫し続けるユカリ。
「あぁっ!だ・・・だめなのぉ・・・ふあぁっ!」
私は弓なりに背中をそらせて快感に耐えている。
ユカリはそれを見るのが楽しみとでも言うように背中全体に指を滑らせていく。
「ひゃぁ・・・あぁぁっ!」
背中から発生する熱が身体を、そしてマリーの理性すら
焼ききっていこうとする。
「僕だけのマリーなのに・・・」
ぽそっとユカリがつぶやいたが、快感にのた打ち回るマリーに聞こえていようはずもなく・・・
「ユ・・・・ユカリぃ・・・も・・・もうだめぇ・・・だめなのぉ!!」
「マリーは、背中だけでイっちゃうようなえっちな子なんだね」
耳元でささやく様に、卑猥な言葉を投げかけていく。
私はM嗜好が強く、言葉で攻められるとそれだけで快感になってしまう。
「ち・・・ちが・・・あぁぁっ!!」
必死に抵抗してみるものの、私はほんとにイく寸前だった。
「いつもだったら、イかせてあげるけど・・・今日はイかせてあげない」
そう言うと、ユカリは背中からぱっと手をどける。
「えぇ・・あぁ・・ユカリ・・・なんでぇ・・・?」
「イかせちゃったらお仕置きにならないしね。それに、見てみたかったんだ。
マリーがすごく乱れる姿をね」
やばい・・・こんなユカリ見たこと無い・・・私、どうなっちゃうんだろう・・・
「い・・つも・・・乱れてる・・・でしょぉ・・・」
「壊れるくらい、乱れてる姿見てみたいんだ」
「ヘンタイ・・・」
「どっちがヘンタイさんかねぇ・・・?」
と言って、ユカリはいきなり下半身の付け根の表面をさぁっと撫でた。
ただ、それだけなのに私の身体は過剰に反応してしまう。
「うあぁっ!!」
イきそうになるも、快感がそこまで強いものではなかったため
やはり寸前でとどまってしまう。
「ここも・・・弱いよね・・・」
内股を、指が触れるか触れないかのタッチで上下する。
指が動くたびに、私はひくひくっと反応する。それが楽しいのか
アカリは指を上下するのを暫く続けていた。
「ひゃぁ・・・あぁぁ・・・んあぁぁ・・・」
もう、あえぎ声しか上げられなくなってる私。
ユカリの与えられる快楽に、ただただ反応してるだけ・・・
「マリーが悪いんだよ、私の話ちゃんと聞いてくれないから・・・」
「ゆ・・・かりぃぃ・・・・も・・・イか・・・せて・・・」
なんとかつむぎだした言葉はなんとも心細かったか
ユカリには充分に届いたようだ。
「仕方ないなぁ、えっちなマリーにはコレが限界か・・・」
そう言いながらユカリは、私の足をM字に開かせる。
「マリー、いっぱいイっていいよ」
そう前置きして、彼女がパンツを一気に脱がしアソコを外気にさらさせる。
「ゆかりぃぃぃぃぃ・・・おねがぁぁぁい・・・いかせてぇぇ・・・」
理性も何も無い私ははしたないお願いもすらすら言える。
「大好きだよ、マリー」
彼女はそう言うと、アソコにむしゃぶりつく。
「うあぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっ!!!」
やっと与えられた快感は、じらされた分だけ増幅していた。
ちゅぶぅ・・・ちゅぅぅ・・・ぐちゅ・・・
アソコから奏でられる音は、とてもいやらしい。
「イくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
ユカリの頭をアソコに押し付けながら、私はもっと快感を得ようと
自分で胸まで揉み始めていた。
「ほら、イっちゃえ!!!」
ちゅぅぅぅぅぅぅぅ!!ユカリがこれまでになく、クリを吸い上げる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!」
私は、びくびくと痙攣しながら深い深い絶頂を味わった。
158表と裏。dame :2006/10/07(土) 11:15:14 ID:7/eQKC76
 それから、私はしばらく気を失っていたらしい。
「う・・うぅん・・・」
まぶたをこすりこすり目を覚ますと、目の前にユカリの顔があった。
「オハヨ、マリー。もう少し寝ててもよかったのに」
ユカリが、ちょっと乱暴に頭をくしゃってなでた。
私はユカリにかしっと抱きつくと
「ごめんなさい、ユカリ。昨日は・・・勝手にまくし立てて・・・」
「私もナイショにしてたし、おあいこかな?」
くすっとユカリが笑った。
「笑い事じゃないよぉ・・・私がどれだけ心配したと思ってるのさ!」
「あのね、マリー。ちゃんと話を聞いて欲しいんだけど」
「私はいつだって、ちゃんと聞いてますよ(時々)」
ぷっ、とユカリが吹いた。
「ちょ!ひどぉーい!!!」
私はユカリの胸にぽかぽかとこぶしをぶつける。
「わ、ちょ、痛いからやめてよマリー。ちゃんと事情を話すから・・・ね?」
一瞬ふてようかとも思ったが、ここは素直に話を聞いておこうと考え直した。
「あのね、実は・・・」
言いにくそうにしている、ユカリ。
「何よ、早く言ってよぉ〜」
「ルクナーね、最初はマリー、貴方と結婚しようかな〜って言ってたのよ」
「・・・・・・はぁ?」
素っ頓狂な声を上げる私。
「私としては、マリーは誰にも渡したくないわけ。」
「でも・・・」
「で、それを阻止する為に私が変わりに結婚してやろうと。」
未だ現実をつかめてない私・・・
「結婚して、経験値稼ぐだけ稼いで転生して、さよーならーしてやるんだ!」
「をいをい(汗)」
「私のかわいいマリーを横からさらって行こうとしたやつが悪い!」
「時々思うんですが・・・ユカリって考え方過激な時あるよね(汗)」
「それだけ、マリーを愛してるってことよ♪」
そう言って、ユカリがおでこにキスをした。
「も、もう・・・私の涙はなんだったのよぉぉぉぉ!!」
「マリーがちゃんと私の話聞かないからでしょ♪」


そうして、私たちはまたいつもの生活に戻っていった。
ただ、アカリは転生するためにほぼ毎日ルクナーをこき使って
狩りに出ている。まぁ、この分ならルクナー本人が
嫌がって離婚しそうな気配ですけど(苦笑)
そうして、私はまた、プロンテラの街の一角で
好きな人を待ち続けるのでした。
159表と裏。dame :2006/10/07(土) 11:16:39 ID:7/eQKC76
柱|・)一部、誤字がありますが生暖かい目で見てやってくださいorz

感想などいただけたら嬉しいですm(__)m
160名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/10/16(月) 11:10:22 ID:Gy76PBc6
しゅっ田〜
161226たんdame :2006/11/03(金) 05:11:10 ID:dR6m5LvE
ちょっと書き方を変えてみた新シリーズ、投下してみます。
あまりいつものようにえろくないけど内容がマニアックなので、アレに思う方はガチスルーでお願いします。
リヒタルゼンの躍動感あるNPCたちに、あふれる愛を。
162226たんdame :2006/11/03(金) 05:12:44 ID:dR6m5LvE
 それは、人造生命体――ホムンクルスという存在がまだ知られていなかった頃の話。

 シュバルツバルド共和国、リヒタルゼン。大企業レッケンベル本社はそこにある。いや、レッケンベルがそこにあり、それ故そこにリヒタルゼンができたと言ったほうが適切だろう。そうした性質から、企業都市の二つ名で呼ばれる都市、リヒタルゼン。そして世界最大の企業、レッケンベル。企業史の研究に熱心な者でなくとも、この企業の興りについて知っている者は多い。
 ゼニット・ゼルテルリヒタル研究所。レッケンベルの前身となったのはその、当時世界有数の業績を挙げていた研究所だった。初代社長ゼニット氏はこの研究所を発展させ、現在の大企業レッケンベルを創設したと言われている。
「どうじゃ」
「先生。…はい、異常はないようです。ただ…」
 レッケンベルは様々な業種を扱うが、いわゆる商社ではない。前身が研究所であるように、様々な研究を行う会社である。そのレッケンベルの最重要施設は『レゲンシュルム』と名付けられた、世界最大の研究所である。本社敷地内にあり、昼夜を問わず厳重に警備がなされている。
「ただ?」
「まだ変化がありません」
「そうか。まあ、気にするほどのことではないよ」
「ですが…!」
 レゲンシュルム1階の研究室。そこで向き合う初老の男と若い女。そして女の傍らに寄り添うようにして居る、緑色の髪の少女。
「良いかね。その子、リーフは我々の娘」
「ええ」
「わからんか? その子に、お前の望むような成長をする義務などないんじゃよ」
「ですが!」
 男はアルケミスト。女もまたアルケミスト。彼らはレゲンシュルムの研究員だった。
「ですが、何だと言うんじゃね」
「いえ…何でもありません」
 『私は、役立たずを作るために研究を重ねたんじゃない』彼女はその言葉を飲み込んだ。
「お前は勘違いしておるよ。…その到達者の光が、お前を眩ませておるのかもしれん」
「私の浅知恵など、ケルラソス先生には及びも付きません。それは重々承知ですから」
 彼女は自らの身体を包み込む光を、鬱陶しそうに手で払った。冒険者として最高位の存在であることを示す光を、彼女は纏っていた。
「どうじゃろうな。…まあいい、その子のことはお前に任せるよ」
「…率直に申し上げますと、手に余ります」
「可愛かろう?」
 リーフと呼ばれた緑の髪の少女は、赤い目を怯えたような色で染めて女を見上げた。
「…?」
 若葉のような髪を揺らし、細い腕で女の脚にしがみ付く。
「わかりません。…これがもっと有能なら、そういう感情も湧くものかもしれませんが」
 リーフは世界初の人造生命体、ホムンクルスだった。現在の主である女と、ケルラソス、そして数人の研究員によって産み出された。研究室は長年の悲願が叶った喜びに沸きに沸いたが、調べていくうちに分かったことがあった。リーフは喋ることができない。調査では人間に匹敵するか、あるいは上回るほどの高い知能と、発声器官を備えているのだが、言語を発することができない。また、知的な活動を行って見せることもなかった。力は、人間の子どもにも劣る。特別有用な能力があるわけでもなかった。…つまりリーフは、無能だった。
「そう言うな。その子はお前を慕っておる。お前に任せるしかないじゃろう」
「私は好きになれるかどうか。…失礼します」
「!」
 女は形だけ頭を垂れ、研究室を出た。無造作に閉められるドアに、リーフが慌てて駆け込んだ。


「まったく、面倒なことになったものだわ」
「……」
 殺風景な自室のソファに腰掛けた彼女は、床に座らせたままのリーフを一瞥すると、大げさに溜め息をついた。
 一方のリーフは、己の主を寂しそうに見上げるばかり。ソファに座りながら組まれた、主の足が揺れるのを眺めている。
「ほら、何とか言ったらどうなの」
 ちょい、ちょいと足でしゃくって見せる。リーフは何も言えない。
「まったく、どうして貴方みたいなのが…っ!?」
 ぺちゃっ。
 視線を逸らして吐き捨てたと同時に、足の先に濡れた感触を感じ、身を震わせる。
「……ぺちゃ…ぺろ…っ」
「…ちょ、ちょっとっ!? 何をしてるの!」
 リーフは、自分に突き出された主人の足を舐めていた。両手をそっと添えて、小さな口で。
「く、くすぐったいわ…」
「…ちろ…ちゅ、れろ…」
 リーフは行為を止めない。赤い瞳を細めて、湿った息と舌で主人の足をくすぐり続ける。
「っ、や、やめなさい!」
「…!」
 その一言で竦み上がったリーフは、申し訳なさそうに手と口を放して主人を見上げた。
「はぁ…貴方、本当にバカなのね」
「……」
 ホムンクルスの愚かな行為。呆れたものだ。だが主である彼女の態度は、幾分穏やかなものになっていた。愚かな行為の裏にあるのは、親愛と忠誠。彼女はそれに気付かないほど愚鈍な主人ではなかった。
「わかったわ。どこまで貴方がバカなのか、確かめてあげる」
「…!」
 その言葉に、リーフの表情がぱっと華やいだ。


 トン、トン。タタン。指で机を叩く音がする。
「お腹が空いたの?」
 リーフは頷く。そう、これは主との間で決められたサイン。リーフは、彼女が考えていたほどには愚かではなかった。発声こそできないものの、指で机などを叩く音と、その長さの組み合わせで意思表示をすることができるようになった。また、主人である彼女の言うことを聞き、理解することもできるようだった。
 もっとも、それだけである。何か役に立つことができるという訳ではなかった。人間の子ども程度の知能と身体能力を持つ、それだけの存在だった。
 ――ま、進歩した方よね。
 そう思いつつ、リーフの食事を用意する。鼻歌が漏れそうになり、慌てて顰めっ面を繕う。
 リーフはそんな主人の様子を、幸せそうに眺めていた。

「リーフ、これは何色?」
 赤ポーションを手に取って見せる。
 リーフはそれを見て…タタン、トン。 赤、と決めた通りのリズムを打つ。
「よし、偉い。それじゃあ…」
「……」
 こくり。とリーフの首が傾いた。
「あら、眠い?」
 タン、タン、タン。
「そう、眠いか……そうね、私も疲れたわ」
 タタン、タタン。
「リーフも疲れたって? バカね、貴方より私のほうが大変なのよ」
「……」
「そんな顔しないの。よいしょっと。ほら、おやすみ」
 リーフを抱え上げ、彼女の寝床に運んでやる。若草の匂いがする髪を梳いてやると、すぐに寝息を立て始めた。

「…変なの」
 リーフの寝顔を眺めながら、社給品の紅茶を淹れる。カップを傾けながら、自分の穏やかな気持ちに苦笑する。何もできないリーフだけれど、できないなりの反応を見せてくれる。いつの間にか、それがたまらなく嬉しく、可愛く思うようになってしまったのだ。
 研究者として良いこととは思わないながらも、知らないものを知ったような気分になっていた。
 ピピピッ。
 電子音がして、来客を映すモニターに研究服の男が映る。
「…ボルセブ?」
「キヒッ、邪魔していいか。キヒヒッ」
「今うちのホムンクルスが寝付いたところなの。場所を変えてもらえる?」
「そんなモノに遠慮するこたないさ、キヒ」
 相変わらず、嫌な男。だがレゲンシュルム全体を探しても、このボルセブを超える研究者は我が師、ケルラソスしか居ないだろう。だがそれも身内贔屓というもので、このボルセブの研究はモラルに欠けている分、大きな功績を挙げている。狂っているのではないかとは専らの噂だが。
「悪いけど、貴方みたいな汚い人に部屋に上がって欲しくないの。談話室へ行きましょう」
「キヒヒッ…」

「それで、何の用事。私は疲れているんですけど」
 フワッと音を立て、到達者のオーラを揺すって見せる。そんなもので気後れするような男ではないと解ってはいるのだが。
「キヒヒ…お前の預かってる小娘の話だよ」
「リーフの? 悪いけど、あの子を貴方の玩具にさせる気はないわ」
「キヒャヒャッ…そう言わず聞けよ。お前、奴の無能っぷりに呆れてただろう?」
「…まあ、ね」
「い〜い話を持ってきたのさ。あの小娘の調査を見せてもらったぜぇ…キヒヒヒ」
 息、臭い。
「何でも、本当は色んなことできるらしいナァ。キヒッ、何にもできないみたいだがよ…」
「大きな、お世話よ…」
 自分でそう罵っていたはずなのに、何故こんなに腹が立つのだろう。
「そこでだ。話じゃあの小娘は、『脳手術』で能力を高められるって言うじゃないか、キヒヒ」
「ああ、そういうこと。おあいにくさま、あの子はまだレベルが足りないわ」
「キャハハハ、お前、バカじゃねえのカァ?」
 …疲れる男ね。
「俺様を誰だと思ってんだぁ? ボルセブ様だぞ、キヒヒ…」
「つまり、手術させろって言ってるの? おとといいらっしゃい」
「つれねえなあ…ほれ、企画書だけくれてやるよ。キヒヒヒヒ」
「そう、わざわざありがとう。おやすみ。もう来ないでね」
 妙に小奇麗な紙の束を笑顔で受け取り、私は部屋へ戻った。
「キヒヒヒ…」
163226たんdame :2006/11/03(金) 05:13:38 ID:dR6m5LvE
 パサ。机の上に紙の束がひと綴り放られる。
「……あの男」
 なんてことを考えるのだろう。なるほど、確かに研究者としての才能は一流らしい。
 ボルセブが寄越した『企画書』には、理路整然と彼の計画が並べられていた。リーフに関する情報はどう調べたのやら完璧。手術の方法、使用機材、そして効果。末端の研究員でも解るような丁寧さで、腹立たしいほど明瞭に書かれていた。
 結果として得られるであろう効果は、言語の獲得。魔道方面への才覚の開花。身体能力の向上。植物としての能力を活かした、特殊な身体機能。など。
 そのいずれもがリーフの価値を飛躍的に高めることが予想され、また説得力のある形で書きまとめられていた。

「リーフ…」
 時間は既に明け方。彼女は幸せそうに眠るリーフに視線を落とした。胸の奥でちくりと何かが痛んだことに、彼女は気付かない振りをした。

「あぁ〜? 手伝うってェ?」
「そうよ。私はこれでもリーフの開発班の、チーフなの」
 手術台に寝かされたリーフ。薬で眠っている。ケルラソス先生には知らせていない。作業に当たっているのも私と、ボルセブだけ。
「キーヒヒヒッ、お前程度がいたって邪魔! 邪魔! 邪魔なんだよォ」
「ふん…そりゃ、貴方ほどの腕じゃあないけどね。可愛い娘を貴方に任せるわけにはいかないの」
「キヒャヒャ…可愛い娘ねェ。良く言うぜよォォ」
 本当。こんなことをしようって言うのに良く言えるものだと思う。だけれどこれは、リーフのためになることだから。
「始めるわ。先に言っておくけど、余計なことをしようとしたらただじゃ済まさない」
「キヒヒヒ…大丈夫だよ。今回は企画書の通りさァ。俺にしちゃ珍しくな、キヒヒヒッ」


「…おはよう、リーフ」
「あ……ふ…あ?」
 声を出した。ああ、リーフが声を出した。喋った!
「き、気分はどう…? おかしいところ、ない?」
「ぁふ…ん」
 いつも通りぽけっとした顔で、私を見る。意味のない言葉でも、リーフが喋った。ボルセブが言った通り、成功だ。
 タン、タタンタン。
「…元気、そう、元気なのね? 良かった」
「…ん、ふ」
 今は上手く喋れなくても、言葉を聞いて、指で会話ができるリーフのことだ。きっとすぐに言葉を覚えるに違いない。
「リーフ、あー、って言ってみて」
「ん…あ、あぁー…」
 やった、やった!
 リーフは喋れる。私どころかケルラソス先生までバカにしていた研究員達に、今すぐ見せてやりたい。
 今回ばかりはボルセブに、感謝だ。
 そうだ、先生に。ケルラソス先生に見せに行こう!
「…ぁ…?」
「…そうだ、どうやって説明しよう…」
 先生は、こういう研究は嫌いなはずだ。研究室のメンバー全員、先生に生命倫理についてみっちり叩き込まれた。ましてボルセブとは犬猿の仲。
 …タンタン。
「ん、喉渇いたの?」
「…ん…」
「ご飯はどうする?」
 ボトルの飲料水を渡しながら、ペットフードを見せる。リーフは首を横に振った。


 数日が経った。
「リーフ、ご飯…今日も要らないの?」
「…ん、んく…」
 リーフは手術の日以来、水ばかり大量に飲んでいる。主食だったペットフードは一口も受け付けなくなっていた。水に栄養剤を溶いて与えたこともあるが、吐き出した。
「ぷぁ…」「わっ」
 水を飲み終えると、抱きついて頬擦りしてくる。幾分痩せたというのに、すごい力で。あれ以来声は出せているが、言葉は一向に覚えなかった。
「リーフ…」
 確かに手術はうまくいったようだった。しかし、何かがおかしい。このままで良いのか、誰かに相談するべきではないか。
 ボルセブに? …ケルラソス先生に?

 彼女が思案していると。
 ピピピッ。
 電子音。また来客があった。…モニターにいたのは、ケルラソスその人だった。
「先生…!」
「入っても構わんな?」
「は、はい…」
 ロックを解除しながら、彼女は何を話せば良いかを必死にまとめていた。

「ぁ…」
「ふむ、リーフは元気なようじゃな。不自然なほどに」
「…せ、先生」
「解っておるな。私も、残念じゃよ」
「は、い…」
「お前から、スキル『生命倫理』を剥奪する。破門だ」

 ――。


「…ふぅ…ぁぅ」
 …タンタン。…タンタン。
 喉が渇いた。リーフは繰り返す。主の彼女は呆然と、ケルラソスの言葉を噛み締めていた。
 ケルラソスは全て知っていた。
 破門とされてなお、リーフは彼女の許に残された。ケルラソスにとっても愛娘と言えるリーフ。ケルラソスは決して、娘を見捨てたわけではない。

「ああ…」
 こんなことになっても。まだ、リーフは、ケルラソス先生は。リーフの主は私と認めてくれているのだ。
 冷蔵庫の飲料水のボトルは切らしてしまった。取りに行かなければ。だけどその前に、私はリーフを強く抱き締めた。
 手術の前に、私は先生に相談をしなかった。止められることが解り切っていたからだ。止められると解っていて、私はボルセブの甘言に乗せられたのだ。いや違う、私自ら選んだのだ。


 研究室への出入りを禁じられて、さらに数日が経った。ボルセブが連絡を取りにきたこともあったが、彼女は一言も掛けることなく追い返した。
 リーフが飲む水の量は日増しに増えており、しかし食事は一度も摂らなかった。

 …タンタン。…タンタン。

 彼女の部屋にはいつも、同じリズムの音が響いていた。昼夜を問わず。
「…ぁ…ぅ…ぁ」
「リーフ…ごめん、ごめんね…」
 リーフは渇いていた。いくら水を飲んでもそれは癒えることがなかった。喉が渇いた、と一日中訴え続けた。限界を超えて水を含み、体調を崩そうが吐き出そうが、訴え続けた。渇いていた。
 リーフの頭、若草色の髪。それは以前と少し様相を異にしていた。丸くなり、螺旋を描き…後頭部に花の蕾のような形を作っていた。

「リーフ、ご飯…作ったよ。食べやすいように、ほら、ペーストにしたの…」
「ぅ…ぁぅ」
 …タンタン。…タンタン。
 喉が渇いた。リーフはただそう繰り返す。部屋の床には飲料水のボトルが散乱している。
「リーフ…私が間違ってたから、お願い、元に戻ってよ…!」
 リーフは水と光を好むようになった。彼女は気付いている、リーフが日増しに植物の身体に近づいていることに。そしてその変化に、リーフ自身がついて行けていないことに。
 どうしてこうなったのか、彼女は解らなかった。
 ――あのボルセブも解るまい。これはきっと罰。
 代償が、決して癒えない渇きだった。リーフは主よりもずっと、苦しんでいた。

 …タンタン。…タンタン。

 喉が、渇いた。
「…ぁ…ぁ…」
「ごめんね…ごめん…ね…」
 どうして水をくれないの、と訴える眼差し。床に転がったボトルを舐める姿。リーフの仕草全てが私を責める。
 自身の小水すら舐め啜るようになり、トイレはすぐに片付けなくてはいけなくなった。
 そんな地獄が数日続いた。


 そしてある日のこと。
「ぁ…っぅあっ、あ、ああ、あぁう」
 リーフががくがくと身を揺すりだした。明らかに只事ではない様子で、苦しそうな表情で涙を零す。
「リーフ、リーフ、どうしたの!?」
 憔悴して眠っていた彼女だが、リーフに駆け寄ってそう尋ねる。
「あっ、んぁう、あぁぁ、あああああっ」
「え、…っ! な、なに…?」
 眩暈がした。視界に突然飛び込んだ赤。鼻腔をえぐる尋常ならざる香り。
「ぁっ…は…ぁっん」
 リーフの頭に作られていた蕾が、大きな花を咲かせていた。リーフの瞳に良く似た赤の、大きな花だった。
「は、花…? リーフ、大丈夫!?」
「ぁ…ふ、ぁは…」
 リーフはとても満足げな表情で、微笑んでいた。渇きに苦しんでいる様子はない。
 ――良かった。
 あの異様な渇きの症状は、この花のためだったのか。
 彼女がそう思ったときだった。
「…っ」
 再び眩暈が襲った。

 ――何、この、香り…?
 花のものとは思えない、ひどく不躾な香り。ああ、そうだ。私は似た香りを知っている。
 有機溶剤や、ガスの匂いに近い。
 …頭がくらくらする。考えがまとまらない。
「…りー…ふ…」
 きっと、この香りの作用は、あれだ。
 ……興奮、幻覚、譫妄。
164226たんdame :2006/11/03(金) 05:14:22 ID:dR6m5LvE
 …ズキン。
 ――頭が、痛い。

 視界がモザイク・インで広がった。一面に咲いては消える赤い花。得体の知れない何かで空中に拘束された自分。私を見上げるリーフの、陶酔した顔。
「ぁ…ふ、はぁぁ…」
 うっとりした顔で、ぶるぶると震えるリーフ。どこまでが現実で、どこからが幻覚なのかわからない。

 彼女は囚われていた。強い力で服のあちこちを千切られ、全裸に近い格好で何本もの弦に絡められて宙吊りにされていた。
 飢えと渇きに苛まれた植物モンスターは、目の前に現れた熟れた肉体を、獲物を拒めなかったのだ。
「…う…あ。く…」
 彼女は、リーフの花の香りに当てられたことは解っていた。正常に思考はできそうになかった。
 ――解る事は…リーフはおかしくなっている。私は捕らえられている。このままではリーフに、文字通り食べられる。
 …あと、身体が熱い。…すごく気持ちいい。
「…ぁ、ぁ…」
「ひっ、あ、や…っ、んっ…!」
 異常に流された思考を取り戻す暇を与えられず、弦が彼女の乳房に巻きついた。嬉しそうにそれを眺めるリーフ。胸から湧く感覚に、思考を根こそぎ奪われる。
 彼女の感覚は狂わされていた。獲物…最も近い、極上の獲物から養分を搾るために、リーフに備わった機能だった。
「ぺろ…れろ、ちゅ…」
「ひっ、ああっ、あ、ふあ、あ…っ」
 リーフは、目の前にあった彼女の足を舐めた。丹念に、垢のひとかけらごとが砂糖菓子であるかのように、生きるための純粋さで丁寧に舐めた。
 かつて同じようにされたときとは全く質の違う感覚に、彼女は引き攣るように震えた。くすぐったい感覚が頭の中で跳ね回り、視界を白と赤に明滅させる。
「ちゅう…ちゅぱ、ちゅぷ…ちろっ…れろぉ…っ」
「…っくぅんっ! ひ、ひっ、んっ、んくっ」
 胸を緑の弦で捏ねられ、足を味わい、舐められながら、彼女は呼吸を許されずにいた。リーフが視線を上に移すと、待ち焦がれた甘露が滴っていた。
「…ぁ…ん…」
「っくぅぅんっ」
 リーフの口元がだらしなく緩み、身震いすると…獲物に絡みついた弦も、同じように震えた。
 そのまま、弦が彼女を浮かせ、リーフの…少女の顔の前へ移動させる。
「…は、ぁ、はぁっ、んっ!?」
 花に近づいたと同時に、彼女の呼吸は解放された。胸いっぱいに花の香りを吸い込み、彼女の思考はさらに濁った。視界が一面の赤い花に占領される。
 それは彼女から、快楽への耐性が剥ぎ取られた証だった。
「ぴちゅ…ちゅ、ちゅうう…ちゅぱ、ちゅば…」
「ひ、あ、あっ、あ、ひっ、ひあああああああっっ!!」
 リーフは迷わず、そこへ吸い付いた。蜜の滴るヒトの花弁に。水よりも、栄養剤よりも、食物よりも、日光よりも…そして恐らく、他の誰かの同じ蜜よりも。その甘露はリーフに馴染み、美味だった。
 遠慮なくむしゃぶりつかれた彼女は、宙で身体をくねらせ、激しく痙攣した。正常な思考はおろか、ヒトとしての自覚をも舐め取られていた。

 溜まっていた蜜を吸い尽くしたリーフは、彼女を持ち上げる弦を下げた。ひとりと一株の顔が並ぶ。リーフは自らの両腕で、主を…獲物を抱き締めた。
「ぁ…ぁふ…」
「あ…っく」
 強い香りを間近で嗅がされ、彼女は再度頭痛を覚えた。しかしすぐに、それはどうでも良くなった。視界が極彩色に染まる。
「ちゅ…ちゅうう…」
「ん、ふ、んふ…!」
 口腔に溜められた涎に目をつけたリーフは、直接それを啜った。口腔と鼻腔が花の香りで満たされる。いつしかそれは甘く感じられるようになっていた。
 唾液を舌で掬い、舐め、啜りながら、リーフは主人の乳房に掌を当てた。リーフの小さな手には余る大きさの、形の良い膨らみ。そこには弦が巻きつき、絞られた形のままだった。
「ちゅう…ちゅ…ぴちゅ…ちゅるる…ぷぁ」
「〜っ! ん、んぅっ、んぅぅぅっ!!」
 彼女は確かな歓喜に震え、リーフの舌をすがるように迎え入れる。リーフは弦を緩めて、乳房を捏ね回しながら唾液を吸い上げる。唇を離すと、リーフは美味しそうに主の涙を舐め取った。
「んふぅぅぅ…はぁぁ…はぁぁぁぁぁあん」
 彼女の知的活動能力は既に失われ、もどかしそうに腿を擦り合わせている。たくさん蜜を出せば、また舐めてもらえる…そんな因果関係だけは、考えられるようだった。
「あむ…っちゅば、ちゅ、ちゅぶ…」
「…ひぅっ、ふぁっ、ひ、り、りーふっ…!」
 乳房に目をつけたリーフは、その先端に吸い付いた。そこからも養分が採取できるのではないかと思い、舐め、舌と唇で擦り上げる。反対の乳房は弦を操って搾らせる。妊婦でもない彼女が乳を出すはずはないのだが、何も出ないからこそリーフの責めは執拗だった。
「…ああああっ、や、やめてぇっ、き、きもちいい…っ」
 唯一自由になる頭をぶんぶん振って、精一杯快感を逃がそうとする。リーフは柔らかな乳房を諦めきれず、反対側にも吸い付いた。今まで吸っていた方は、指で扱きながら。
「ちゅううう…ちゅぶ、ちゅぶ…じゅるる…」
「っふああああっ、だ、だめっ、で、出ないからっ…そこ、だ…めっ!」
 幾分か発声がはっきりしてきても、嬌声と懇願しか口に出来ない。頭を振り、腿を震わせて涙を流す。

「…ぷあ。…ぺろ、ちゅ…」
「あっ…あ、あ、ふぁ…リーフぅ…んぅ」
 ようやく諦めてリーフが唇を離すと、涙と涎で蕩けた顔を舐め始めた。それだけでゾクゾクとした快感が走る。リーフの方も、主のあらゆる体液がとてつもなく甘く感じ、舐めることを止められない。
「あぁん…リーフ…舐めてよぉ…おいしいよ…こぼしちゃうよぉ…」
 くらくらと眩暈がする中、確かに彼女はそう言った。リーフの香りに慣れ、そして溺れた。
「あ、はぁっ…んふぅああああっ」
「ちゅう…じゅるるるるるっ」
 弦が再び彼女を持ち上げ、腰をリーフの眼前へ持ってくる。リーフに捧げる為にぴっちりと閉じ合わされていたそこをこじ開けると、どろりと蜜が零れ落ちそうになった。リーフの唇がそれを受け止め…無遠慮に吸い上げた。
「じゅるる…ちゅううう…」
「ひっ、あっ、ひぅあああああんっ」
 リーフにとってそれは最上の食事だった。狂おしい飢えと渇きを魔法のように満たす甘露だった。それ故に、搾り出すために懸命だった。一滴も無駄にするものかと、吸い上げた。
 吸われる側にとってのそれは、配慮も何もなく乱暴に悦楽を与え続けられる責めだった。絶頂などとうに通り過ぎ、薬物に犯された脳を好きなように焼いていた。
「ふひゃあっ」
 弦が大きくうねり、身体を締め上げる。上下逆さにされて、リーフの目の前に花弁をさらけ出す。そして…彼女自身の目の前にも、リーフのそこが濡れ光るのが見えていた。
「り、リーフぅ…はぁぁああん…」
 吸い込まれるようにそこに口をつける。喩えではなく、そこから滲んでいるのは蜜だった。強い甘味と、依存性を持つ物質を含んだ蜜だった。リーフが彼女の為だけに調合し、分泌した蜜。リーフは主人を捕食する為に、進化していた。
「はむ…ん、ちゅ、れろ、ぴちゅ、ぴちゃ…」
 一心不乱にそれを舐める。他の事は何も考えられなくなる。自分の秘所が火のついたように疼いて、液を垂れ流していることにも気付かなくなる。
「ちゅう、ちゅるる…ちゅ、ちゅぱ…」
 リーフはそれを美味しそうに啜る。弦で主人の身体を締めつけ、乳房を絞り上げ、大好物の甘露を舐め取る。自分の蜜を舐められる感覚に身を捩り、最高の養分に酔っていた。

「んぅぅん、ぺろ、ぺろ…んはぅ、んぅぅぅんっ」
 彼女は吊るされたまま、ぶるるっと身体を震わせた。蜜の作用で、身体が弛緩している。
「ちゅ…っ」
「…あっ…あ、あ、あ、あ…っ」
 リーフは小さな突起に唇を当て、舌先でそこをつつき始めた。これから何が起こるか、捕食者の本能が知っていた。
 進んで身を差し出した獲物には、それを止める術は無かった。
「ああっ、あ、あぅんっ、あ、ふぁ、あ、あ、あ、あああああああああっっ!!」
「ちゅ…ちゅううう…ごく、こく、こく…こくん…こく、こく…」
 感電したような激しい痙攣を、弦が強く押さえ込む。舌で強く押さえられた突起、その隣の小さな噴出孔。そこから勢いよく溢れた液体を、リーフは零さずに飲んだ。
165226たんdame :2006/11/03(金) 05:15:51 ID:dR6m5LvE
 ――。

「あ…っ、ん。は…っ」
 既に体力も失われ、体液の殆どを搾取された彼女。リーフの蜜を舐めながら、彼女は音を聞いた。

 …タタン、タタン。
 …タタン…タタン。
 ――つ、か、れ、た。

「…あ…え…?」
 その小さな音は、一定のテンポで聞こえていた。
 きっと、花が咲いてからずっと、聞こえていた。

 タタン、タタン。
 ――疲れた。
 …疲れた。

 暴力的に伸びる弦のうち一本が、力なく床を叩いていた。

 …タン…タン…タン。
 ――ね、む、た、い。

 タタン、タタン。
 ――疲れた。

「あ…あああっ…」

 タン、タン、タン。
 ――眠い。

 ――つかれた、よ。
 ――もう、眠いよ、マスター。


 枯らされたはずの涙が溢れ出した。リーフが初めて喋ったような気がした。壊されたはずの意識が、容易く一つに纏まった。
「り、リーフ…リーフ…っ」
「…ぁ…ふぅ」
 涙を舐め取ろうとするリーフの顔に、両手を添えた。
「リーフ…っ、ごめん、ごめんね…っ!」
 どんなに渇いても、雫の全てを舐め取られても、涙だけは残っていた。
 資格を剥奪されても。ひとつだけ。たったひとつだけ。
 私にもまだ、残されていて良かった。このスキルが、まだ使えて良かった。
「リーフ…、っ、さよなら」
「…あ…、ん…」
 リーフは、頷いたように見えた。


「――安息 !!」


 翌日、研究者ボルロブの手によって、薬物に犯され自我を失くしたアルケミストの身体が発見された。
 それはある研究員のものであり、身体の水分の殆どを失い、肉体的にも死に瀕していたと言う。
 生体研究部によって、研究材料として利用されるはずのその身体は、ある日忽然と姿を消した。
 厳重に管理されていた、小さなエンブリオと共に。


  続く。


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リヒタルゼンシリーズです。三部作予定ですがどうなるかわかりません。
はい、続き物なんてやったことありませんっ!

こんなアレな作品でも読んでくださる皆様に感謝を。
166226たんdame :2006/11/03(金) 05:26:54 ID:dR6m5LvE
あ。最後名前間違ってるし!失礼しましたああああああ
167名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/03(金) 06:20:27 ID:BsbYQNpM
こゆの好きですよー
続き期待♪
168名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/11/04(土) 09:49:26 ID:1wznz8/6
226たんきたぁぁぁ!
とても美味しく頂きました(´¬`*)続きのんびりお待ちしております。
169名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/04(土) 20:40:34 ID:pPkKAiQU
226たんファイルの中身がまた一つ増えました、
続きのったりお待ちしております。
170226たんdame :2006/11/05(日) 00:25:55 ID:NXExKoA6
はいこんにちはお久しぶりですウソですずいぶん早かったですこんにちは。
テンションの上がるに任せて続編を書いて参りました。感想下さった皆さん、原動力ありがとうございます。
171226たんdame :2006/11/05(日) 00:26:41 ID:NXExKoA6
「いーやっほーいっ、すすめーっ!」
 アインブロックフィールド、人気の無い野原。少々場違いな一次職…シーフのの少女が駆けている。アルデバランの宿を出立した彼女は、アインブロックへの道程を徒歩で消化しようとしていた。
 昼寝をしていたデーモンパンクに触ってしまい、慌ててバックステップで逃げ出したりもした。スリーパーの群れをハイディングでやり過ごしたこともあった。命がけの旅路を、アトラクションでも楽しむように彼女は歩いていた。
 そんな彼女だが。現在は唸りを上げる金属の球体…メタリンの背に跨っている。おろむろにポケットからゼロピーを取り出すと、彼女は前方へそれを投げた。ギアの軋む音を立て、メタリンはそちらへ移動する
「ほら、がんばれっ、遅いぞっ。次はジャルゴンだよ、ほらっ」
 のそのそと前へ進むメタリンを叱咤し、緑色の鉱石を手の中で躍らせる。ぶしゅるるる、と音を立ててメタリンは口から蒸気を吹いた。構わず、彼女はジャルゴンを投げる。
「どーしたの、ほら、前っ…とと、うわわっ」
 メタリンの奇妙な光を放つ瞳が、背に乗った迷惑なイキモノを睨みつける。そして再び、蒸気を吹いた。急に速度を上げ、メタリンは前へ走り出す。
「わっほーい、いいぞいいぞーっ」
 少女ははしゃいで、メタリンの額から生えているチューブに捕まってバランスを取る。
「って、こらっ、そっちじゃないっ! あ、危ないっ!?」
 メタリンはジャルゴンの投げられた方向から少し外れ、茂みの奥に生えているジオグラファー目掛けて走っていた。植物の餌にされるのはごめんと、彼女は身体を傾ける。

「うわわわわわーーーっ!?」
 その勢いでチューブが抜け、彼女は勾配のある草叢を転げ落ちていった。


「いたたた…」
 葉の堅い草の茂みを転げたせいで、あちこちに細かな切り傷ができている。それでも袖の長い服に助けられていたが。土埃を払って前を見ると、そこには大きな影が横たわっていた。
「――ひっ!?」
 『ウンゴリアント』
 教養に疎い彼女はその巨大な昆虫の名は知らないが、その複眼に宿る只ならぬ気配…殺意はすぐに理解できた。
「…っうわあああああっ!?」
 ガシイッ!
 尖った爪を持つ前足が振り下ろされる。右手に握った短剣の柄でそれを右へ殴り飛ばし、身を捩って左へ転がる。体を起こすと、煙が見えた。乾いた火山灰でできた土が砕け、爪が突き立てられていた。
 ――やばい。
 バックステップを利用しようにも、背は崖だ。この魔物は尾に見えていた部分も頭になっているのか、先程とは別の複眼が彼女を睨む。凶悪な形状をした顎が大きく開かれる。捕まれば胴体が真っ二つになりかねない。
 手にした短剣はコワード。大きく特殊な形状の柄が拳を護り、敵の攻撃を受け止めることができる短剣。それを素早く腰の鞘に収め、彼女は別の短剣を抜く。
 真珠色に煌く見事な刀身。およそ実用には適さないであろうほどの見事な装飾。戦場の幸運を約束する剣、フォーチュンソード。武器としてよりも、護符、アミュレットとしての価値が高い宝剣。
 貧しい暮らしをしており、冒険者としてもさほど大成していない彼女にはおよそ似つかわしくない、高価な品だった。
「く…」
 普段は使うことのない、彼女の取っておき。それを握り締め、隙を窺った。

 ――。


 ――トリス。私はリヒタルゼンには戻れない。
 …お姉ちゃん。どうして?


 彼女、トリスはリヒタルゼン東市街…貧民街の出身だった。苦しい家計を助けるため、まだ幼いうちから、冒険者としてルーンミッドガッツへ稼ぎに出ている。とはいえ出稼ぎと言うよりも口減らし、捨て子の類に近い。リヒタルゼンを出るときなどは、ルーンミッドガッツ国へ宛てられた貨物の箱に詰められての旅路だった。と言うのも、リヒタルゼン東市街は封鎖政策が敷かれており、通常の方法では外へ出ることができなかったのだ。
 それでも彼女の姉よりは幾分恵まれていたと言える。トリスには姉が居たのだが、トリスがリヒタルゼンを出るよりも以前に、リヒタルゼンを牛耳るレッケンベル社に売り渡されていた。
 無論シュバルツバルド共和国法を違えているが、そんなことは問題にならない。リヒタルゼン市内では、レッケンベル社が良いということは、良いのだった。そのまま消息の知れない姉に比べれば、トリスはまだ恵まれていたと言える。

 トリスはシーフになった。孤児同然の彼女が生きてゆくにはそれが一番の道だった。真面目とは言い難い態度で盗賊としての技能を学んでいく中、トリスはシーフギルドである噂を聞いた。
 優れたアサシンがいるということ。最初は、こんなところまで名を知られるアサシンなど、どうせ自分のようなおっちょこちょいなのだろうと思って聞いていたトリスだったが、そのアサシンの名を知ると顔色を変えた。
 ヒュッケ。そのアサシンの名はそう言った。特徴的な黒い猫耳に淡い金の髪。そのいずれにも全く覚えがないが、滅多にある名前ではない。
 そう、かつてレッケンベルに売られたトリスの姉。その名は、ヒュッケバインと言った。

「トリス、これをあげる。きっとお前を護ってくれるよ」
「ヒュッケお姉ちゃん…」
 僅かな希望を辿って面会したアサシンは、本当にトリスの姉、ヒュッケバインだった。再会を喜んだ姉は彼女に幸運の剣を託すと、意外なことを言った。
「会えて嬉しい。だけどさようならだ。トリス、お前は私に近づくな」
「どうして? 一緒にリヒタルゼンに帰ろう。お金は私も少しなら…」
「私は帰れない。リヒタルゼンに帰れない仕事をしている。…トリス、お前もあの町には近づくな」
「…どうして?」
「どうしても、だ。私にも近づくな。お前に、危険が及ぶ」
「お姉ちゃん、でも!」
「大丈夫。それを大事にしていろ。きっとまた会える」


 ――。

「…お姉ちゃん」
 フォーチュンソードを握り締めたまま、彼女…トリスは目を覚ました。見慣れない空間。入口に鉄格子が閉まっており、冷たい壁に包まれた部屋。埃っぽいベッド。
「牢屋…?」
 そこは一見して牢、それも独房だった。トリスは混乱する。自分は確か、アインブロックフィールドにいた筈だ。巨大な昆虫の魔物に対峙して、それから…逃げることが出来ず、敗れた。
 そこからの記憶が無い。目が覚めたら、この牢だった。
 なぜ牢にいる? 誰に囚われた? 囚われたのだとしたら、なぜ武器を持ったまま?
 疑問が積み重なる。ふと腕に注意をやると、そこには鈍い銀色に光る腕輪が着けられていた。
 『Huckebeun=Triss=Original』。腕輪にはそう刻まれていた。
「…ヒュッケバイン=トリス=…オリジナル? ヒュッケお姉ちゃんの名前が、なんで…」

 コッ、コッ、コッ。
 足音が、トリスの思考を中断させた。
「誰!?」
「キヒッ、お目覚めかい? キーッヒッヒ」
 金髪の怪しい男が、鉄格子の前に現れた。レゲンシュルムきっての研究者であり、狂人と噂される男、ボルセブ。トリスはその名をまだ知らない。
「だ、誰? ここ、どこなのよ!?」
「あぁ〜? ここはだなァ、レゲ…ん〜ンダメだ、教えねェ」
「…何なのあんた。頭平気?」
「し…ッつれいな小娘だなァオイ。俺様の頭は平気も平気、冴えまくりだぜぇ」
 …どうやら疲れる男らしい。そう思ったトリスは、黙って喋らせておくことにした。が。

「懐かしいなァ、お前の姉もそんな目してたぜェ…キヒヒッ」
「な…っ」
「ヒュッケバインの妹…合ってるよなァ、トリスちゃぁん」
「…それがどうしたって言うの。ここ、レッケンベル社内ってこと?」
「キヒヒ…合ってるならいいんだァ。邪魔したな、キヒヒヒ。まさか今更になって見つかるなんてなァ」
 コッ、コッ…。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 何なの!? 説明しなさいよーッ!!」
 …それだけ言って、怪しい男は来た方へ戻ってしまった。

「…はあ…どうしたっていうのよ、お姉ちゃん…」
 考えよう。あいつはヒュッケお姉ちゃんのことを知っていた。ということはつまり、ここは多分、お姉ちゃんが売られたレッケンベル社に関係のある場所。
 今更になって見つかるなんて、とか言ってた。つまりあいつは私を捜してて、あそこで倒れてるところを見つけた? 捜してたって、一体なんで?

「…頭痛い」
 教養に疎い彼女は、理論的に考えることに慣れてはいなかった。

172226たんdame :2006/11/05(日) 00:28:31 ID:NXExKoA6
 ガチャ。キィ…。
「!?」
 鉄格子を蹴飛ばすのに疲れ、ベッドに伏して休んでいると、鉄格子が音を立てた。錠が開けられて、人が入ってくる。脱出には絶好の機でありながら、トリスは動けなかった。入ってきた人物の異様な気配に目を奪われていた。
 剣士の姿をした少女だった。青なのだろう、長い髪を下ろした姿だった。鍵を持って牢の中に立っている。奪い取るには絶好の機であり、武器も手にしている。それでもトリスは動けなかった。
 青『なのだろう』髪。はっきりと青だとはわからなかった。彼女は髪、体、服…手にした剣に至るまでが、『透けていた』。
「な、何、あんた…」
 不気味だった。少女の身体から立ち昇る異様な気配、読み取れない表情。少女の身体越しに透けて見える、開けられたままの鉄格子。異様だった。
 トリスと目が合うと、少女はくすりと笑って背を向けた。そのまま鉄格子の外へ。扉は開けたまま。
「…っ!」
 フォーチュンソードを握り締める。持ち前の素早さを活かし、滑り込むように開いた鉄格子へ突進する。
 ドッ。
「…がッ…!」
 トリスの身体が紙細工のように飛び、折れ曲がった。壁に背を、床に尻をしたたか打つ。腹に鈍い痛みを感じた。剣士の姿をした少女が、異常な速さでトリスを牢の中へ殴り飛ばしたのだ。
 少女は無言で、牢の中へ歩いてくる。トリスは恐怖に思わず目を瞑った。
 ……。
「…え?」
 一拍置いて、目を開けると。剣士姿の少女は、笑顔で食事を載せた盆をトリスに差し出していた。


「…ごちそうさま」
 律儀にそう言って、食器を盆の上に揃えるトリス。少女の異様な運動能力を目の当たりにした彼女は、早々に脱走を諦めていた。腹の痛みが引くのを待って口にした食事は上等なもので、疲れていたトリスは飲み込むように食べた。どんな状況でも食欲だけは忘れないのは、貧困生活の賜物である。笑顔で盆を受け取り、持ち帰ろうとする剣士姿の少女。
「待って」
 言葉は解るらしく、立ち止まる。
「何者なの、あんた。めちゃくちゃ強いし、速いし、無口だし、ワケわかんない」
「――」
 少女は少し考える素振りを見せた後…
 チャラ。
 腕を出し、トリスが着けているものと同じ造りの腕輪を見せた。
 ――『Ignithem=Senia=Original』。
「…イグニゼム?」
 少女は首を横に振る。
「セニア、でいいの?」
 こくり、と少女…セニアは頷いた。
「そっか。…何だかわかんないけど、よろしく、セニア」
「―?」
 セニアは不思議そうな顔をして、差し出された手を握った。彼女なりに加減しているのだろうその握り方は、トリスにとってはやや痛いものだった。


「ふあ…」
 すっかり馴染んでしまったベッドで目を覚ます。この牢に囚われてから数日が経った。具体的に何日かははっきりしない。トリスは具体的に日数を数えるほど繊細ではなかった。
 ふと部屋の隅の容器に目をやる。排便に用いる物だ。それは毎日新しいものに取り替えられていた。
「…セニアがやってんだよね、やっぱ…」
 セニア以外の者がここに来たのは、初日の怪しい男のみ。ならば恐らく、自分が眠っている間にセニアが片付けているのだろう。恥ずかしいような気味が悪いような心持ちがしたが、トリスはそんなことを赤面して恥らうほど純真ではなかった。
 ガチャ。
 鉄格子に目をやると、セニアが来ていた。毎朝、トリスが起きるとこうしてセニアが来る。一抱えもある大桶に湯を張って、重さも感じさせず運んでくるのだ。何故か足音もせず、気配もない。こうして鉄格子を開ける音がするまで気付かないことが殆どだった。
「はむ」
 セニアが差し出した温度計らしきものの先を咥える。何度目かになるので、トリスも勝手を解っていた。セニアは毎朝、こうして体温を測りにくる。
 そして、二人の日課は他にもあった。

「――ねえセニア。前も言ったけどさ、身体くらい自分で洗えんだけど」
 セニアは懸命に力を加減してトリスの身体を洗い、手桶で湯を掬って、トリスの肩からかける。トリスが自分でやると言っても、やめる気配は無かった。仕方なく、トリスは裸で立ったまま身を任せる。流された湯が牢の隅の排水溝へ流れていくのを眺めて。
 セニアは隅々まで、丁寧に洗う。髪、肩、腕、脚。そして胸。
「ね、ねえセニア、やっぱ今日もそこ洗うの…?」
 取り合う様子も無く、湯と石鹸に浸した布が脚の間に入ってくる。止めても力ずくで洗われるだけなのを知っているので、トリスは何もしない。セニアはただ丁寧に、前、後ろと清めていく。
「…毎日毎日、朝から微妙な気分だわ」
 恥ずかしさを誤魔化すために、トリスはそんなことを言った。

「セニア、洗濯もあんたがやってるの?」
 綺麗に洗濯されたシーフのコスチュームを着ながら、尋ねる。セニアは首を横に振った。
「ふーん。でもこれ、同じ服の着替え用意してくれてるよね。誘拐犯にしちゃサービスいいんだ」
 セニアは首を傾げる。良く解らないらしい。
「ま、いいわ。ほら、採血でしょ、さっさと済ませて」
 腕をまくって差し出す。ここに来てからの毎朝の日課には、血液を採られることが含まれていた。何に使われるのかトリスは知らないが、抵抗して痛い思いをしても仕方ないと諦めていた。
 チクリと痛みがして、注射器に赤い液体が吸い上げられる。セニアの膂力を目の当たりにしているトリスは不安に思っていたのだが、なかなかどうして、器用にやっていた。
 反抗や抵抗さえしなければ、セニアは物言わずとも、トリスに優しかった。この半透明な友人に、親身に身体の心配をされているような気分すらしていた。


「…ヒマねえ。セニア来ないかな」
 身体がなまらないように、と言うよりは単に暇潰しのために、柔軟体操をするトリス。これもすっかり日課になっていた。暇を持て余している場合ではない筈なのだが、教養に疎い彼女は、相応に図太かった。
「ふあぁぁ…」
 ベッドに寝転がって身体を伸ばす。気持ちがいい。アルデバランの宿でこうしたのを思い出す。だが、もう一つの日課を始めるにはまだ大分早い。昼寝をしようにも、毎日規則正しく充分に寝ているのだから、いくら時間を持て余してもそうそう眠れるものではない。やはり日課にかかろうか、そう思ったときだった。
 ガチャ。
「あ、セニア」
 待たれたる来訪者に、トリスは嬉しそうに鉄格子の方に顔を向けた。セニアは時折こうして、用がなくても訪ねてくれる。口を聞かない、いや恐らくは口が聞けないセニアと会話を楽しむことは難しいが、それでもトリスは彼女と居る時間が好きになっていた。

「ヒマね、セニア。あんたはどーなの?」
「―?」
 直立姿勢のままで首を傾げるセニア。質問の意味を理解しかねているようだ。
「ううん、いいや。ねえ、何か面白いことってない?」
 セニアは中空に視線を漂わせ、何かを考えるような素振りを見せた。そして突然回れ右をすると、牢の入口の方へ歩き始めた。
「…あ、帰っちゃうんだ」
 残念そうにそれを見送るトリス。鉄格子の前に立ったセニアは、トリスの方を向いて立ち止まる。
「――ごめん。何もしなくていいから、まだ居ない?」
 面白いこと、の要求を撤回して引きとめる。面白いことどころか、こんなに早くセニアが帰ってしまっては困るのだった。
 セニアは鉄格子の前から動く様子もなく、トリスを見ている。相変わらずの不気味な気配を立ち昇らせて。
「…どしたの?」
 セニアはトリスに向かって手を突き出して、手首から先をぷらぷら揺らした。どこか滑稽だが、手招きに見えなくもない。
「え、外に来いってこと!?」
 予想外の事態に驚くトリスに、セニアは文字通り透き通った笑みを返した。

173226たんdame :2006/11/05(日) 00:29:38 ID:NXExKoA6
「…つまり、脱走はさせてくれないけど、所内見学くらいならいいよってこと?」
 こくこくと頷くセニア。2人は独房の立ち並ぶ廊下を歩いていた。トリスの武器は、相変わらず持たされたままである。無用心極まる管理体制だが、トリスがどう頑張ってもセニアを退けて脱走することは出来そうにない。そうした裏付けがあってこその余裕なのだろう。
「でもセニア、こんなことしていいの」
 平然と首を横に振るセニア。職務に忠実な子だと思っていたセニアのその仕草に、トリスは思わず吹き出した。
 周囲に注意を配る。あちこちに何に使うのか解らない設備や、山積みの書類の束などが転がっている。獄だと思っていたこの施設は、実は研究所か何かなのかもしれない。だとしても、この階層は放棄されているらしかった。何故?
 教養に疎い彼女は脳が焼け付く前に思考を打ち切り、セニアの背を追った。
「…え?」
 すると、セニアが通り過ぎた。前を見る、セニアの背中。後ろを見る、セニアの背中。
「セニアがふたり…?」
 混乱しながらも、歩みを止めないセニアに付いて歩いていく。すると、ある部屋…廊下から階段で降りて入るらしい、床の低い部屋の前でセニアは止まった。
「ねえセニア、どういうこ…っ!?」
 絶句した。巨大な昆虫の魔物の前に放り出された時でも、いきなり牢に囚われていた時でも、ここまでの驚きは無かったろう。
 …その部屋には、処狭しと幾人ものセニアがひしめいていた。

「…ひッ」
 透き通ったいくつもの瞳が、一斉にトリスへ集中する。音もなく不気味に、大剣を握り締める十数人のセニアたち。トリスは敏感に殺気を感じ取り、セニアの…トリスを牢からここまで連れて来たセニアの陰に身を隠した。
 そのセニアの表情と、腕でトリスを庇う姿勢を見て、セニアの姿をした少女たちは剣を降ろした。これは侵入者ではない、という意思が伝わったのだ。
「…セニア、これどういうこと?」
 かすかに膝を震わせて、トリスは尋ねる。セニアは、一番近くに居た『セニア』を手で招き寄せた。表情をまるで見せずに、その少女はトリスたちの前まで歩いてきた。
 セニアはその腕を掴み、やはり着けられている腕輪をトリスに見せる。
 ――『Ignithem=Senia』。
「…あれ?」
 前に見たセニアの腕輪と、刻印が違う。それを知ってかセニアは、自分の腕を突き出し、見せた。
 ――『Ignithem=Senia=Original』。


「――つまり、えっと」
 牢に戻るまでの道で、戻ってからはベッドに座って、トリスは先程見せられた光景の意味を考えていた。
「私とセニア、あんたにはオリジナルの印がついてる」
 こく、とセニアは頷く。
「そんで、あの子たちにはない…セニア、あんたはあの子たちと違う?」
 また頷いた。
「よくわかんないな。…ねえ、私少し怖くなったんだけど」
 セニアはくすっと笑い、鉄格子の方へ歩いていった。どうやら今度こそ、帰るらしかった。もしかしたらあの、セニアが大勢いる部屋に。
 トリスはベッドに身体を倒し、寝返りをして背を向けて、見送った。
「またね、セニア」
 ガチャン。鉄格子が閉まる音がした。錠の掛かる音が、背中から妙に大きく響いた。


「…っは…ん」
 ベッドに横になったトリスの喉から、喘ぎが漏れる。異常な状況に立たされて夢見にうなされているという訳ではない。
「…んっく…は、…くぅん」
 彼女は日課に耽っていた。身体を横に倒し、膝を曲げ、布団の下で腰をもぞもぞと蠢かせる。就寝前の彼女の日課。自慰行為だった。
 就寝前の日課と言っても、就寝前にしかしない訳ではなく…牢での退屈を持て余せば、日に二度三度と重ねることもあった。
「…っはぁ…っふ、ん…ッン」
 控えめながらも、歳の割に整った乳房を捏ねる。洋菓子のように柔らかく、甘い。トリスの自慢だった。ここ2、3日、トリスは月経周期が近づきつつあり、『日課』の回数が増えがちになっていた。そんな中で今日のこの日課はまだ一度目。トリスは存分に蕩け、感じていた。
「はぁ…っ、すごい…っふ、ンぅんっ…!」
 わなわなと手が震える。触れたいのを我慢して勿体振る気持ちと、身体を縦に貫く衝撃が震えを呼ぶ。この日課は、彼女の最大の趣味であり、牢獄でも問題なく行える都合の良い暇潰しだった。
「はあ…っ、ふ…はぁ…」
 湿った息を吐き、左胸を押さえる。心地良いリズムを感じる。恐ろしい体験をした日ほど、その日の晩は昂ぶるのだった。
「…セニア…」
 本来、トリスは自慰に耽る際に他の誰かを思い浮かべることはしない。この行為を趣味と断じ、自信すら持っている彼女にその必要はなかった。
 しかし、この日の異様な体験のせいだろうか。剣士の姿をした不思議な少女、その薄ら透き通った身体。その想像はトリスの芯をびりびりと震わせた。
「っく、ぁっ、ふ、あっ…ン、ふぁ…っああぁあん…!」
 親愛。困惑。感謝。疑念。憧憬…そして恐怖。様々な感情が交錯し、絡み合い、情欲という新たな形へと変わって行く。
「だっ、だめ…っあ、んっく、セニア…ァ、あ、ひぅンっ」
 気付けばトリスは、両の手を脚の間へと伸ばしていた。右手は乱暴に押し付けられ、まさぐり、掻くように…そして左手はそれを掴み、懸命に押し留めるように。
「ぁっ、い、いっ…ぃや、ダメ…っだめ、セニあァ…っ」
 …そうして体力を尽くして眠るまでの間。トリスの意識はここにはなかった。

174226たんdame :2006/11/05(日) 00:30:33 ID:NXExKoA6
「ん…あ。朝、かな…」
 窓がないので解りかねるが、恐らく朝なのだろう。どうやら昨晩は、『日課』の途中で眠ってしまったらしかった。自分が目を覚ましたということは、じきにセニアがやってくる。トリスは頬が赤くなるのを感じた。
 自慰をして果てた翌朝に身体を洗われる、それ自体は何度もあった。…いや、毎日のことだった。だが、昨夜はセニアを想ってしてしまったのだ。あまつさえ、セニアの妄想で意識を失うほど激しく果ててしまったらしいのだ。
「うわぁ…」
 常人から大きく逸脱した感性を持つトリスにとっても、それは赤面するに値する事態であった。

 ガチャ。鉄格子が開く音に合わせて、トリスの肩がびくりと竦んだ。壁の方を向いてベッドに寝たまま、必死に表情を繕う。
「ひ、わっ…あ」
 セニアはトリスから布団を剥ぎ取ると、体温計を差し出した。

「……」
 口に体温計を咥えたまま、セニアと見詰め合う。気にすることはないと解っているのに、長く視線が合わせられない。
 ――可愛い子だな、こうして見ると。
 後ろの景色が透けているのに最初は戸惑ったが、慣れてみればセニアは可愛らしい顔をしているのだった。表情も思いの外豊かであり、何を考えているのかはまるで解らないが、少なくともトリスを悪く思ってはいないようだった。
 …きっと、あの部屋に大勢いたセニアたちはこんな顔はしないのだろう。

 いつものように部屋の真ん中に立って、セニアがじっと見詰める中で服を脱ぐ。今までは何とも思わなかったのに、手が重い。顔が熱い。上着は早々に脱ぎ捨てたものの、胸当てを取る段階で躊躇っていた。自分の胸とセニアの顔を交互に見て、照れ笑いを浮かべる。トリスは些か混乱していた。
「…あ、ちょっ、やだっ!」
 その様子に焦れたセニアは、トリスの腕の下に両手を通し、自ら胸当てを外しに掛かった。トリスが自分の仕事に協力的でない場合、力ずくで進めるのがここでのセニアのやり方であった。
 そうしてセニアは抱き付くような格好になり、肩越しに背の結び目を覗き込む。トリスの顔はポリンのように真っ赤になっているのだが、幸いセニアからは見えなかった。程なくしてトリスの乳房は露にされる。
 一瞥もくれる様子もなく、セニアはトリスの下半身…麻の丈夫なパンツと、その下の布地をまとめて剥がしに掛かった。
「…っ、いいよセニア、自分でやる…」
 疑いの目で見上げるセニアを手で制して、トリスはてきぱきと…何度か身体に引っ掛けながら、下着まで脱いでいく。
 ――あっやだ、匂う…。
 自慰をした翌朝にこうしてセニアの前に晒すのは、何度もあったことだが。何の始末もしていないあまりか、行為の最中に眠ってしまったのは初めてだった。そこが外気に触れると同時に、明らかに『それ』と解る匂いが漂った。
「…せ、セニア。汗かいたから、まずお湯…いい?」
 耳まで真っ赤にしながらそう言ったが、セニアは取り合わずにトリスの髪を洗い始めた。

 そうだ。別に恥ずかしいことじゃない…って言うかどうしたって言うの、私。
 息を吸うと、つんと鼻につく匂い。…別にこんなこと、恥ずかしくはない。普段から人前で趣味を公言して憚らないのに、何を今更。
 ――ただ、『セニアでしてしまった』ことが恥ずかしいんだ。
 そんなことは黙っていればばれるはずがないし、第一セニアはそんなこと考えもしないに違いないのだ。セニアは今も規則正しく、いつもと同じようにトリスの身体を洗っていた。
 だから自分もいつも通り、微妙な表情で洗われていればいい。トリスはそう考えた。

 いつものように胸を洗われながら、トリスは心の中だけで唇を噛んだ。不自然に視線が泳がないように意識して、不自然なほどにセニアの手を見詰めていた。
 セニアの手が下へ伸びる。くん、とセニアが鼻を鳴らしたような気がした。…気のせいだ。セニアの手付きはいつも通りで、綺麗にそこの汚れを拭き取っていた。
 ただ、拭き取る回数が2回、いつもより多かった。

「――っ!」
 そのことに気付いた瞬間だった。バックステップのスキルを使ったかのような勢いで、トリスはベッドへ飛び退いた。湯が滴る身体で座った為、冷たい染みが出来る。セニアは気付いていた、トリスが昨夜したことに。その行為の意味も含めて知っている。トリスが恥じらっている核心…夢心地に想い浮かべていた人物がセニアであること、そこまでは知らないにせよ。恥を噛み締め震えるトリスは、何故こんなに恥ずかしいのか自分でもまったく解らなかった。
 一方のセニアは首を傾げるばかりで、何故急に逃げ出したのか解らないという風だった。

「せ…セニア」
 そこでトリスは思いついた。この奇妙な恥ずかしさを上手く昇華する方法。
「…ま、前から思ってたんだけど、私だけ裸なんて不公平じゃない?」

 セニアはしばし考える仕草を見せたが、とぼけた顔で剣士の具装を脱ぎ始めた。不思議なことに、薄暗く透けていたそれはセニアの手を離れると、ごく普通の装備品として色を取り戻した。丈の長いアドベンチャースーツまで脱ぎ、簡単に畳んで大桶の脇に重ねる。下着も無造作に取り去ると、さらに上に重ねた。
 トリスはその光景を、呼吸も忘れて見詰めていた。目の前に立っていたのは、幽霊のように透けた裸身に、人懐こい笑みを浮かべたセニアだった。
「セニア、あんたずっと立ったままでしょ…こ、こっちきて座りなさい」
 ベッドに座っているトリスは、自分のすぐ右隣を掌で叩いて誘った。セニアは少し不服そうな顔を見せた。
「お仕事急がなくったって、どーせ時間はいっぱいあるでしょ? たまには言うこと聞きなさいよ」
 渋々といった様子で、セニアはトリスの隣に腰掛けた。考えてみればセニアはいつも直立姿勢で、こうして座った姿を見るのは初めてだ。ましてや、裸身を見るのも初めてだった。
 そこでトリスは、セニアの肩を抱き寄せた。
「―!」
「…ちゅ…ちゅ…ん、ちゅ」
 半透明の少女の唇を奪う。もしセニアが驚いて抵抗すれば、下手をすればトリスの首の骨が折られるだろう。教養に疎い彼女は、そんな細かいことは考えていなかった。
 挨拶代わりとばかりに手短なキスを済ませると、セニアを見詰めて言った。
「…セニア、しよ。毎日ヒマすぎて、おかしくなっちゃった。…遊ぼ?」
 かちん。トリスの頭の中で、スイッチが切り替わった音がした。そう。恥ずかしくなくなる魔法はすぐ目の前にあったのだ。

175226たんdame :2006/11/05(日) 00:31:15 ID:NXExKoA6
 ちゅ、ちゅぷ。ちゅ、ぴちゅ。ちゅ…っ。
 断続的に水音が繰り返される。トリスがセニアに顔を被せ、キスを続けている。セニアの唾液はさらさらしていて無味だった。
「ちゅ…っぷあ」
「―」
 セニアは不思議そうな顔をする。それを見て苛ついたように、トリスはセニアの乳房に掌を被せた。自分のものより少し小ぶりだろうか。その膨らみを撫で擦り、下から上へと揉み上げる。セニアの眉間に皺が寄ったのが解った。
「…こうしたら感じるんでしょ、あんたも」
 セニアの背後に身体を移し、背中越しに両手で、セニアの両の乳房を覆う。掌を窪ませて、頂点との間に空間を作った。そのまま擦る。半透明ながら色の付いていた突起が、転がされ擦られる。
「―!」
 セニアを見ると、しきりに口をぱくぱくとさせていた。話す事ができない彼女だが、込み上げる声なき声を抑えることもできないらしい。
「ほ、ほらぁ…ばっちり感じちゃってんじゃん。澄ました顔して、バカじゃないのあんた」
 かつてない昂奮に押され、トリスは息を熱くしてセニアの胸を転がし続ける。自分の髪からは石鹸の匂い。セニアの髪からも同じ匂い。
 トリスは思った。この子は半透明だし、口が聞けないし、異常に強いけど。この子は…セニアはちゃんと女の子だ。
「何よコレ…? 硬くなってきてるよ、ぷくぅって…」
「!!」
 トリスはそう言って、両の先端を摘み上げる。意地悪くそれを引っ張り、揺すってみせる。セニアは喉を逸らし、体重を背に預けた。
「ほらほら、黙ってたって解るんだからね。こうしたら、もうたまんないんでしょ」
 摘んだ指を前後させ、すり潰すように乳首を捏ねる。セニアはトリスを吹き飛ばしかねない力で身悶えする。
「ったく、危ないなー…ほら、こっち来なさいよ、セニア」
 セニアの顔を覗き込む。暗く透き通った瞳は、今までにセニアが見せたことのない…トリスのよく知っている感情に潤んでいた。声にはならないながらも、音がするほどの湿った息を繰り返し、吐いていた。
 満足げに笑って、セニアをベッドの上へ引き上げる。膝を掴んで脚を開くと、すかさず掌をそこに当てた。四角い牢によく響く水音がした。
「…うっわあ。ひどい有様ね」
 そう言われたセニアは涼しい顔で、動じた様子はない。ただ、吐息は蒸気のようだった。そんなセニアの仏頂面がたまらなく可愛く思えて、トリスの背筋は震えた。

「ねぇセニア」
 左手の掌でくにくにとそこを刺激しながら。トリスは微笑んで言った。
「私が毎晩ひとりでしてるの、知ってるよね。あんた」
 漏れ出るセニアの雫を指に取り、円く塗るようにして。
「知ってて澄まし顔で、拭いてくれてたよね、ここ…?」
 ぴちゅり。トリスは右手でセニアの手を取り、自分の、セニアが触られているのと同じ場所に当てた。先刻綺麗に拭われたはずのそこは、セニアに劣らず濡れていた。
「あんたってほんと最低。何考えてんの? ねえ、何考えて拭いてたのよ」
「――ッ!」
 セニアに掌を強く押し当てる。狙いは、肉の皮を被ったままの小さな豆粒。指の関節で押し潰す。
「何も知らないお子ちゃまじゃないよねぇ。こんなにしてんだからさぁ」
 セニアは頭を振り乱す。やはり透けた長い髪が、ばさばさと揺れる。トリスは手を放し、脚を組み替えて、ベッドの上で向き合って座ったまま…セニアのそこを踏みつけた。
「―、!」
「私さ。昨日ついにあんたでしちゃったよ、セニア」
 意味が解らない、という表情をするセニア。足に力を入れるトリス。セニアの膝が震える。
「ひとりでしてたら、あんたの顔が浮かんだの。そのまましたらめちゃくちゃ良くって。寝ちゃった…ってか、気失っちゃったんだね」
 足をぐりぐりとにじりながら、声は優しく。トリスは語り掛ける。セニアがしっかり聞けているのかは怪しいようだが。
「こんなとこ閉じ込められて、おかしくなっちゃった。あんたのせいで」
 涙目で見上げるセニアを気にせず踏みつける。
「何よ、痛かないでしょ? 気持ち良いんでしょあんたは」
 踵を押し当てて圧迫すると、セニアは背筋を逸らして臍を突き出し、唾液を飲み込んで顔を逸らした。
 トリスは足を退けると、セニアの臍に、軽く人差し指を突き立てた。セニアの腰がびくんと跳ねた。
「責任取りなさいよね」

176226たんdame :2006/11/05(日) 00:32:00 ID:NXExKoA6
 ベッドの上で向かい合って座り、お互いに膝を立て、大きく脚を開いた姿勢。互いの脚を膝の上下で絡め合い、恥ずかしい所を見せ合う姿勢。
 もっとも、今となっては恥ずかしがっているのはセニアだけだった。
「ほら、いいんでしょここ。セニアはやらしいもんね」
 中指をセニアの中に突き立て、指先をくいくい曲げながら言う。トリスの言う通り、セニアは湧き上がる感覚を持て余していた。
 トリスは右手の指をセニアの中に突き入れ、セニアはトリスの両肩を掴み、下を…自分のそこを見せられている。
「目逸らすんじゃないわよ。入ってるの見えるでしょ? あんた透けてるもの、中の指まできれーに見えるよ」
「――。」
 セニアが言われるままに目を落とすと、そこには危険な光景があった。半透明に透き通ったセニアのそこは、中に咥え込んだトリスの指が丸見えになっていた。曲がり、前後し、震え…トリスがどう動かしているかまではっきりと見て取れる。
 見えたままの感覚に襲われるセニアはたまったものではなく、トリスの両肩を掴んだ手に力が篭る。
「力入れちゃダメ。あんた力ありすぎなんだから、弁えなさい」
 つぷ。薬指が添えられ、セニアの中へ沈められた。その様子を間近に見ているセニア。手の力を抜こうとしているうちに、腕が、肩が、全身が痙攣を始める。
「な、なによ…セニアあんた、やらしすぎじゃない。ヤバいよあんた…」
 は…はぁ…はぁ…。声が出せないセニアの熱い吐息。トリスの手に水滴が結露するほど、蕩けた息を吹きかける。
 透けて見えるトリスの指は、鉤状になってセニアの中から蜜を掻き出す。
「―、――…っ」
「そ、そんなに感じてるってわけ。あんたみたいなのにあそこ拭かせてたんだ、私は。ふ、ふーん、屈辱だわぁ…」
 責めるトリスも興奮を隠せない。ぴちょん。音がしてトリスの腕に水滴が落ちた。半開きのセニアの口から垂れた、涎だった。
「やっだ、汚い…何してくれんのさ…っ!」
「――ッ!」
 ぷじゅっ。空気が漏れる音を立てて、セニアの膣が歪められた。角度をつけたトリスの指が抉ったのだ。突然の感覚にセニアの腰が跳ね上がる。たまらずセニアの手にも力が篭る。
「いった…痛いって…! ちょ…っと、離して!」

「はぁ…ほら、セニア。何ボケっとしてんのよ」
 中に入れたままの2本の指を交互に動かして、桃源郷へ飛びかけていたセニアの意識を引っ張り戻す。
「責任取ってもらうって言ったでしょ。あんたもしなさいよ、ほらぁ…っ」
 怯えたような、当惑したような顔をするセニア。自分より遥かに上手であるはずの相手のその顔に、トリスは鳥肌が立つほどの昂奮を覚えた。
 左手でセニアの右手を握って、自分のそこへ導く。互いに右手を差し出して、慰めあう体勢になる。
「できないとは言わないよね。あんなに感じてんだから、どぉせ自分ので慣れてんでしょ・・・ッ」
 ぐにっ…。トリスの親指がセニアの小さな突起を無遠慮に捻った。右手をトリスの腿の間に突き、セニアの身体は前に崩れた。トリスの肩に凭れ掛かる。その拍子にトリスの指が抜けてしまうが、トリスはすぐに差し直す。セニアの背中越しでも自分の手元を透かして見ることができるのだ。
「ね、セニア。私はやらしいあんたの方が好きだよ」
「――。」
 そう言ってトリスは、優しくセニアの内側を撫でた。セニアはゆっくり身を起こすと、トリスに右手を宛がった。

「…っは…ぁっ、何よ、あんた…ンぅ上手いじゃ、ない…」
 セニアの指は触感だけで、トリスの弱点を探り当ててしまったようだった。うねるような締め付けを意にも介さない力強さで、そこを何度も擦り始める。
「…ふあ、あ、やっ、同じとこ…ばっかりぃ…っンッぅん」
 ごくりと唾を飲み込み、セニアの中を再び責める。セニアの執拗に一点を責める動きに対抗してか、大きな動きで全体を擦り上げるように。
「―っ」
 はぁぁぁ…、と長い息を吐くセニア。喉を突き上げる喘ぎを噛み殺すトリス。
「っふ、や、やっぱあんた…ドスケベ、なんじゃないっ…こんな…っくああァぅっ!?」
 トリスの発言が癪に障ったのか、セニアは先程されたように親指で、敏感な突起を捻り潰した。身を逸らした勢いでトリスは、指を奥へ突き込んでしまう。顔を背けて腋を締め、反撃に耐えるセニア。
「あ、あんたね…っ、ぁ、うン…い、いいよ…私、も、ヤバ…ッん」
 じゅぷ、ぢゅぶるっ…。トリスの指は大きく前後に動かされ、セニアの中を蹂躙している。スムーズにそれができるほどセニアの中は蕩けていた。幾度も掻き出されたその液は、ベッドに大きな染みを作っている。セニアの身体は指が入り、また出てゆく様をふたりに見せ付けていた。
「―…ッ―」
 抑えきれない身体の痙攣さえ指に乗せて、トリスの急所をくすぐり続けるセニア。何度も摩擦するうちにそこは膨れ、セニアの指に返す感触を微妙に変えていた。
「あ…ッダメだっ…も、来る、せ、セニアぁンッ…! っせにあぁ…っああああぁぁっ!!」
「―――っ―」
 絶頂の間際トリスは奇妙な感覚を覚え、一瞬後に透明な液体をセニア目掛けて噴出させた。それを浴びながら、高い能力を持つ身体が持て余す程の快感に跳ねるセニア、思いの丈を放出しきったトリス。互いに左手で抱き合って、歓喜に心と身体を震わせながら、登り詰めた。

177226たんdame :2006/11/05(日) 00:33:11 ID:NXExKoA6
「…セニア、またね」
 また会おう、なのか、またしよう、なのかはトリスにも解らない。行為の後セニアは、脱いだ服を着てから汚れたシーツを取替え、事務的にトリスの採血を済ませた。いつも通り笑いはするが、いつものセニアだった。
 ガチャン。鉄格子は閉められ、やはり錠も掛けられた。
「――ま、いいか」
 貧民街に生まれたトリスは、衣食住に加えて浴まで保障された生活につける文句を持っていなかった。退屈を紛らわす手段にも不自由しそうにはなかった。
 教養に疎い彼女は、適応力だけは人一倍に持ち合わせていた。


  続く。


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うまくまとまれば、次作で解決編になります。
書いててテンション上がってしまって、ずいぶんえろしーんが伸びました。そんな日もありますね!
178226たんdame :2006/11/05(日) 10:16:23 ID:NXExKoA6
あーすみません。テンション上がるに任せて、一気に解決編まで書いてしまいました。
スレ汚し失礼致しました。では、投下。
179226たんdame :2006/11/05(日) 10:17:12 ID:NXExKoA6
 ――。


 神殿。その場の第一印象はそれだった。
「…え。どこ、ここ?」
 自分は確か…ズキン。頭が痛む。上手く思い出せない。
 状況が理解できないが、彼女は前へ歩いた。前、というのも他に道が無かったからだ。この神殿の印象を持つ空間は、青空の上に浮いた石畳で構成されていた。

実際に空なのかどうかは落ちてみれば解るのかもしれないが、彼女でなくてもここでそれを試す者は居ないだろう。

 石畳の道を歩いた先は、伝説に聞こえる神族、女神ヴァルキリーが佇んでいた。
「…あっはは。私の夢にしてはシャレが効いているわ」
 彼女は笑った。自分は死んだのだろうか、眠っているのだろうか。どちらにせよ冗談の苦しい夢だと思った。石畳を歩く中、響く靴音が積み重なるように、彼女は記

憶を取り戻していた。
 彼女は神を信じた覚えもなければ、こうして招待される覚えもなかった。
「ようこそ、到達者」
「お招きありがとう。それで、この下らない冗談はどうしたら終わるのかしら。そこから飛び降りれば良い?」
「止めるつもりはないけれど、勧めませんよ、到達者。我々も苦労したのですし」
 呆れ顔でメガミサマはそう言った。こみ上げる笑いを抑えるのに必死だった。
「そうね、貴方は一見して女神のようだけれど。実のところどなた? ウケ狙いかしら」
「…神界は貴方から受けを取る為に画策するほど暇な組織ではありませんよ、到達者」
「そう。じゃあアレかしら。私はこれから、地獄の釜に放られるのかしら。それなら一人、ペアで招待したい奴がいるんだけれど」
 狂科学者ボルセブ。あんな奴と死んでからも一緒したくはないけれど、生かしておくのはもっと嫌だった。
「ふふ。貴方は現世の振る舞いを見たままの人物のようですね。褒められたものではありませんが、興味深いことです」
「どうあっても貴方はメガミサマなわけね」
「ええ。貴方のような方にも神学の知識があると知って、安心していますよ」
 なんという皮肉屋の神様なのだろう。不謹慎にも、彼女は心底楽しんでいた。

「いいわ。貴方が本物だと言うなら願ってもない。…私の娘、リーフの消息を教えなさい」
「その前に、貴方がここへ来た理由から説明したいと思います。よろしいですか、不信心な到達者」
「ええ、構わないわ。是非聞きたいもの、慇懃無礼のメガミサマ」

 ――この女神が語るところに拠れば。
 レゲンシュルムの研究員であった彼女は、ホムンクルス・リーフの暴走事件…現在レッケンベル社内で『ハザード』と呼ばれている機密事件。それ以来薬物による重

度の中毒症状にあった。
 知的活動は不可能、外部呼吸器と栄養素の点滴により生命維持は辛うじて可能。ただしそれも、長くは持たない見込みだった。
 廃人、植物人間。そのように称される状態にあった彼女の身体は、生体研究部に素体として提供された直後、忽然と姿を消した。それはこの女神ら、神界の者

が行ったことなのだという。

「――説明になってないわよね?」
「おかしいですね。解らないところがあれば、なんなりと」
「どうして私なんかを拾ってきたのか解らないって言っているの。私のやったことは、貴方たちの基準からすれば最悪の罪になるはずだけれど」
 リーフという生命に対して不正に手を加えたこと。いや、そもそもヒトが生命を造ることからして咎であるはずだった。
「ええ、貴方は咎人ですから。懲罰を与えるのが筋というものですね」
「そう、やっぱりそういうこと。気を持たせないでさっさとそう言いなさいよ」
「ところが神の世は筋通りに行きません。人の世でもそれが道理ではありませんか?」
「…むしろ、神の世とやらの俗っぽさにビックリだわ」
「失礼な到達者、貴方は英雄として我ら神族の剣となるべき資格を与えられました」
「帰るわ。出口は後ろかしら?」
 女神の話を信じかけていた彼女だったが、この時ばかりは冗談であると即断を下した。

「お待ちなさい到達者。貴方の物理的な肉体は既に機能していません、貴方に帰る処は無いのです」
「言うわね。じゃあ、どこから冗談なのかだけ説明してもらおうかしら」
「冗談も嘘も言いません。私は魂を導く立場なのですよ、出来の悪い到達者」
「神界の人材…神材かしら? その辺の事情が逼迫してるのは良く解ったから、私の立場をもう一度解るように説明してもらえる?」
「到達者、貴方は認められました。今二本の脚で立っている、二度目の生と新たな肉体を与えられました。大いなる力を行使して善を行うことが望まれます」
「笑うところ?」
「いいえ。物分りの悪い到達者、貴方に与えられる力、そして二つ名は」

 『Creator』

 空に浮いた神殿に、場違いなヒトの笑い声が響き渡った。
「あっはは…はは…、せっかくの新しい命、イキナリ笑い死ぬかと思ったわ。いいわね、嫌いじゃないわよそういうの。やってくれるじゃない」
「お分かりになりましたか、到達者。この力を受け取るに相応しきは、貴方」
「クリエイター…造物主、ね。どうせ断ったって押し付けられるのでしょう、カミサマ」
「咎持ちし到達者、活躍を期待します」
「こんな屈辱、生まれる前から数えて初めてだわ…!」


 ――。


180226たんdame :2006/11/05(日) 10:18:41 ID:NXExKoA6
 ガチャン。
 ある晩。トリスの牢をセニアが訪れた。夜、就寝前の時間にセニアが来るのは、些細だが異例な事だった。セニアはトリスの自慰愛好癖を知っていたため、この時間帯に訪問する事は無かったのだ。
「どうしたの、セニア。…ふふっ、相手してくれるの?」
 意地悪く微笑んで言うトリスに対し、セニアはいつになく硬い表情を見せた。そしてセニアは、牢の内側から鉄格子に鍵を掛けた。これもまた異例な事で、そんなことをしなくてもトリスの脱走は不可能なはずだった。
「セニア?」
 様子がおかしいと思ったトリスだったが、訝しげな顔で成り行きを見守る他はない。どんなにふてぶてしい態度を取ってみたところで、トリスが囚人であることに変わりはないのだ。
「――、―!」
 目を閉じ、手を掲げるセニア。その傍らに光の柱が現れた。これは力ある存在が従者を招く、召喚の術だ。トリスはそうした知識を持ち合わせていないが、何となく意味は理解できた。セニアは何者かを、呼んだ。牢に内側から鍵をかけて。

「…う」
 予想は出来たはずだった。しかしいくらトリスといえど、それは一時目を背けたくなる光景だったらしい。
 ――やっぱり。
 光の柱から出現したのはシーフの服を纏った少女。半透明に景色を透かす身体を持つ、トリス自身だった。


「――なんかさ、ついにきたー、って感じかな。これ」
 ベッドに座って二人の少女を眺めるトリス。片方はセニア。もう一人は、恐らくは生まれたてであろう『トリス』。二人は並んで直立を保ち、落ち着き払った風であるトリスを見詰めていた。
「そんでセニア、この子どうするの? 紹介に連れて来ただけ?」
「――。」
 セニアに背を叩かれ、『トリス』はトリスの前に歩み出た。そして、右手を突き出して手首に着けられた腕輪を見せる。
 ――『Huckebeun=Triss』。
「いいよ、見なくたって解る。よろしくね、私はトリス」
 複雑な面持ちで微笑んで見せると、トリスは突き出された手を握って返した。握ったその手が小刻みに震えていることにトリスは気付く。
 思わず『トリス』の腕…そして腕輪を良く見ると、トリスが予想していた刻印とは微妙に異なっていた。
 ――『Huckebeun=Triss=Beta』。
「…ベータ?」
 刻印は腕輪の金属板のうち、中央よりも右に寄っていた。自分の『Huckebeun=Triss=Original』の印はそんなことはない。教養に疎い彼女でも、その意味を理解することができた。もとは『=Beta』の刻印は無かったのだ。これは後から刻まれたのだ。
「あんた、『ヒュッケバイン=トリス』の試作ってこと?」
 表情を見せない『トリス』に代わって、セニアが頷いた。
「ふうん。ね、紛らわしいからさ、ベータちゃんって呼んでいい?」
「―」
 セニアは首を傾げたが、今度は『トリス』当人…ベータが頷いてみせた。
「よろしく、ベータ。私がオリジナルのトリス。ヒュッケバインは、私のお姉ちゃんの名前なんだ…」
 優しく手を握られて、ベータは完全に予想外とばかりに、半透明な目を白黒させた。
「あんたさ、お姉ちゃんの面影があるよ。きっとあのキヒヒ野郎が、お姉ちゃんのエッセンス…なんかよくわかんないけど、使ったんだね」
 トリスは微笑んで、ベータの頭を撫でてやった。


 しばらく三人は、談笑を続けていた。と言っても口が聞けるのはトリスだけで、他の二人は押し黙るのみなのだが。
 またそれでなくとも、今日のセニアは表情が硬かった。ベータはにこりともせず、もじもじと居辛そうにするだけだった。
「ベータ、笑おうよ。ほら、せっかくの美人が台無しじゃん」
 自分でそう言ってけらけら笑うトリス。ベータは笑わない。いつもなら微笑むセニアも、目を伏せるのみだった。
「ねえベータ…あんた、身体の調子が悪いの?」
 ベータの手は震えていた。最初にトリスが握ったときから、いや、それより前…セニアがここへ召喚する前。トリスは知らないが、ベータが生まれてすぐその時からだった。治まる様子はなかった。
「…え?」
 急に、無造作にセニアが動いた。トリスの背後に。トリスはそれをあっけらかんと眺めていた。
「え、ちょっ、何? 脱げって?」
 セニアとベータの二人掛かりで、トリスの衣服を引き剥がそうとする。トリスはさほど嫌がる様子もなく、多少困惑しながらも着衣を剥ぎ取られるのに協力した。
「つまりセニア、今日は三人でするの? セニアったら早く教えてくれればいいのに、水くさい」
 トリスの軽口にセニアは、相変わらずの沈んだ表情を返した。トリスを全裸に剥いてしまうと、セニアはスカートをたくし上げてその背後に付く。トリスの正面には、屈んだベータが居た。
 ベッドの端に腰掛けたまま、二人に挟まれたトリス。只事ではない空気を感じ取りながらも、色事ならば別に構わないと思っていた。

「…うわっ、ちょっとセニア!」
 背後からトリスの膝を掴み、力任せに左右に開く。当然、その部分がベータに丸見えになる。さすがのトリスも驚いたようだ。
 しかし開いたトリスの脚は、背後から伸ばされたセニアの脚に引っ掛けられ、固定されてしまう。無理な姿勢なのに、どんなに力を込めても動かせなかった。
「そ、そんなことしなくても、見たかったら見ていいのに…っんっ」
 セニアはその姿勢のまま、背後から両手を回してトリスの乳房をまさぐりだした。黙って見ていたベータは、身を乗り出して、トリスの性器をかぶりつく様に見詰め出す。
「や、ちょっとこらベータ、やめなさい!」
 両手でベータの頭を押し退けようとするが、力では到底及ばず、ぴくりとも動かせなかった。
 自分と同じ顔の少女に、自分の恥ずかしい処を遠慮なく覗き込まれる。さすがのトリスも羞恥に焼かれる気分だった。
「やぁ…ちょ、ちょっとセニアぁ…胸、やめ、て」
 トリスのスイッチを切り替えることに専念しているセニアは、まだ芯の通わぬ柔らかさのままの乳首を摘み、丁寧に捏ね回していた。
「…っふぅぅン…っ、ベータ…あんたも、そん、な…見ちゃ、ダメ…ぇ」
 掌でそこを覆い隠そうとするが、ベータの震える手に掴まれていとも簡単に取り除かれてしまう。セニアたちの底知れぬ力に、トリスは改めて小さな恐怖を覚えていた。
 セニアに摘まれた部分に、急速に血流が集まる。トリスが止めようとしても無駄で、またトリス自身、止めようと考えては居なかった。
「っはぁぁ…っセニアぁ…あんた、同じところばかりしすぎ…っ」
 集中的に乳首だけを捏ね続けられ、上体を揺すって悶えるトリス。既にトリスのスイッチは、完全にオンになってしまっていた。
 それを確認したセニアは、背後からトリスのうなじに舌を這わせる。トリスの長めの髪が鼻や口に入るが、意に介した様子もない。くるくると舌先を回すようにして、首筋をくすぐる。
「…ふゃ、ひゃぁぁぁん…っせにぁっ、く、くすぐった…っンぅん…っ!? ひっ、あっ!」
 目先を変えた責めに、ついにトリスは水門を開いた。ベータが今か今かと見ていたそこから、とろみのある液を滲ませる。その瞬間、ベータはそこに口をつけ、強く吸い上げた。
「っいあっ、ひ、んぅぅぅっ…っッベータ! だ、だめだって、な、なにして…っああああっ」
 異様だった。じゅるじゅると音を立てて、唇をそこへ押し付けるようにして、舐め啜っていた。飛び上がる勢いで身体を揺するトリスだが、セニアの脚に固定され、腰が微かに揺られる程度だった。
「ちょ、ちょっとベータあぁぁああっ、だ、だめ、飲み物じゃないって、っふっくあぁァあっ」
 両手をベータの頭に突いて、全体重で押し退けようとする。全く動かない。その突いた手で身体を支え、突起や花びらをねぶり回される感覚に耐える。
 ベータの勢いは尋常ではなかった。トリスの愛液を舐め尽せば、再び滲むまで感情の篭らない愛撫を休みなく繰り返す。
「んふっ、く、せ、せにあぁ…セニアもなんとか言ってよぉ…ッ」
 もちろんセニアが言えるはずもなく、逆にトリスを感じさせる手伝いをする。トリスの形の良い胸を掌で包み、揉み潰す。
 トリスが喉を逸らしながら腰を僅かに突き出すと、ベータの舌が膣内へ侵入した。遠慮なくそこを舐め回し、美味しそうに溜まっていた液を啜り出す。
「っひっ…べ、ベータ…そ、それ、そんなにおいしいの…っ?」
 ベータの頭が沈み、頷いたように見えた。液を啜る為の動きだったのかも知れない。だがトリスは理解した。
 ――この子は、本当に私のお汁を飲みたがってるんだ。

「べ、ベータ…っ、い、いいよ、あげるからっふぁンっ…ん、そんなにがっつかないで…ね…っ?」
 それは異常なことだった。なぜそんなものをそんなに舐めたがるのか。それを考えたとき、トリスは『=Beta』の刻印のことを思い出した。
 後から刻まれた試作の印。それは最初、この子は試作として作られなかったことを意味する。出来上がってから、『試作ということにされた』存在。
 『Huckebeun=Triss』の腕輪が用意されていたということは、この子は本来『Huckebeun=Triss』になる筈だったのだ。つまり―

 ――失敗作。

181226たんdame :2006/11/05(日) 10:19:09 ID:NXExKoA6
「…せ、セニア。この子…ベータって、もしかして…っ」
 首だけで後ろを向き、セニアに尋ねる。セニアは皆まで聞かずに頷いた。トリスはそれを確認すると、視線をベータに落とした。…ベータの手の震えは止まっている。
「…っい、いいよ、ベータ…す、好きなだけ、飲んでよ…っふぃ、ぃ、いっぱい、出してあげるから…っ!」
 トリスの察した通り、ベータはレゲンシュルム生体研究部の失敗作だった。オリジナルの遺伝情報が多く含まれる体液…血液や汗…そして今舐めている液。これらを渇望し、断たれれば飢え、崩壊にすら至る。調整を失敗した試作体だった。
 …セニアはベータを哀れみ、ここへ連れて来たのだった。それをトリスは理解した。
「あっ…んっ、あ、そう、そう…ンぅ…あふあぁん」
 トリスが快感を受け入れ出すと、セニアは責めを再び胸の先端へ移した。左右それぞれを人差し指の腹で、ころころと転がす。
 ベータは、力を抜いて差し出された膳を一心不乱に貪っていた。
「そ、そう、上手だよぉ…っあァンっく…っあ、やぁ、飲まれてるっ!」
 ベータの頭を撫でてやりながら、括約筋を収縮させて、ベータの好物を搾り出してやる。そしてベータは、それを嬉しそうに舐め取る。そうされるのはトリスにとっても、とても心地の良い愛撫だった。
 胸からも痺れる感覚が送り込まれる。いつの間にか、セニアは再びトリスの首筋を舐め、そこに接吻を繰り返していた。
「はぁぁう…っ、セニアぁ、それきもちぃ…っ! やぁぁあん、吸われるの、感じるよぉ…っ!!」
 もっと感じて、もっと濡らして、もっと舐めさせてやらなくては。そう考えたトリスは、誰にも遠慮することなく快楽をかき集め、愉しんでいた。
 無機質な愛撫を繰り返すベータのことを哀れむ前に愛しく思い、トリスは己の身を捧げていた。
「んっふぁァんッ…せにアぁっぅッ…せにぁあ…キス、しよ…っ」
 乱暴な快感に膝を震わせ、ベータの頭を撫でながら、トリスは顔を後ろへ向けた。手を添えて、セニアが唇を重ねてくる。
「…っちゅ、んンっん…っんぅ…」
 窒息しそうなほど溜まっていた唾液を、セニアの口中へ押し付ける。セニアは目を細めてそれを飲み、トリスの歯茎を内側から舐めに掛かった。合わせて左手は、トリスの左胸を優しく揉む。
 無意識に閉じる力が加わって震えていたトリスの膝。そこから力が抜け、より無防備にベータに舐め、吸われる。トリスは幸福すら感じていた。
「はぁっ、あぁぁあ…っふぅあァん」
 唇を離して、視線を下へ落とす。ベータの頭越しに透けて、緩み切ってひくつく花弁が目に入った。不思議と、トリスは恥ずかしく思わなかった。
 暗く透ける手がそこへ伸びてゆく。背から腰へ回されたセニアの手だ。
「あ…セニ…アぁぁああっんぅ!?」
 セニアはなんと、爪の先をトリスの突起にずぶりと埋め込んだ。完全に出来上がっていたトリスには痛みはなく、ベータの好物を大量に吐き出した。
 くすりと笑ってセニアは、両手をトリスの胸へ当てなおす。
「はぁ、はァぁあッ…んっ、あ、や、ベータぁァんっそこぉぉぉっ!」
 セニアが刺激して見せた部分を、ベータは唇で吸い上げた。そうしながらトリスを上目に見上げる。自分と同じ顔の少女にそんなことをされ、背筋を何かが走るようだった。
「っベータ…っそう、そこもっとしてっ、あぁァッん、中も、ンぅん外もしてっ! 吸って…っ!!」
 トリスは自ら手を腿に当てて、左右に開いてベータへ差し出す。それはベータを満たしてやるためよりも、自分が愉しむ為の行動だった。
「はぁぁあっう、そ、そう、セニアもぉっ、もっッ、と強く、おっぱいぃッふあっ、そ、そうぅンふぅっ!」
 全身をがくがく震わせて、胸を突き出すように背筋を逸らす。
「あっふ、ァ、い、っくぁぁぁ、飲んでェ…っ! いっぱい…出るぅっっあああああァっっ!!」
 喉を転がす獣じみた声で鳴いて、トリスは絶頂した。ごぼっ、と音がするような粘液の塊を吐き出す。口を押し付けてそれを啜り上げたベータは、口の中を転がしてから、飲み込んだ。


 一幕終えて、トリスはまた一人、いつものように部屋で…牢で休んでいた。考えるのはベータのこと。というよりも、今後の『ヒュッケバイン=トリス』のことだった。
「…どうなるんだろ、私」
 きっとこの研究所は、ベータのような問題を持たない『ヒュッケバイン=トリス』を造るのだろう。それも大量に。以前見た、大量の『イグニゼム=セニア』のように。
 ――そして私は、どうなるんだろう。
 自分と同じオリジナルの印を持つセニアは、ああして半透明の…化け物のような力を持った個体として存在している。自分もいずれああなると言うのだろうか。一体何をどうしたなら、あんな存在になるのだろうか。
「頭痛い」
 特に頭痛がした訳ではなかったが、トリスはそう言って思考を打ち切った。教養に疎い彼女だが、考えない方が良い事に対しては敏感だった。

 ――そんな時だった。
 ドガァァンッ。そんな爆発音がしたかと思うと、トリスの牢が揺れた。いや、施設そのものが揺れたのだ。
「え? なに!?」
 それから先は、爆発音も警告音も、何もなかった。ただパっと一斉に廊下の天井の照明が灯る。色は朱。恐らくその意味は緊急事態。
 ――事故!?
 ここが研究所らしい事は、以前セニアと外へ出たときに知っていた。研究所で起こる緊急・非常事態と言えばまず思いつくのは研究事故だった。
 例えばセニアのような力を持つ『何か』が、暴走して外へ出たなら。それは囚人であるトリスまでもが震える思いをする、非常事態だ。
 トリスはフォーチュンソードを握り、いつでも動けるように構えることにした。

「…そこに居るのね!?」
「えっ!?」
 何日ぶりかに耳にする、他人の声。牢の隣の部屋から、壁越しに聞こえた。
「話は後。この壁から離れて丸くなって、耳を塞ぐ! 急いで!」
 トリスは言われるままに、声がする反対の壁へ付き、頭を抱え込んで耳を塞ぎ、背を丸めた。
 ドガァァァンッ!!
 ――先ほど耳にした爆発音はこれだったのだ。
「…けほ、けほっ…大丈夫?」
「げほっ…な、なに…?」
 隣の牢との間の壁に開いた穴から、見慣れない服装の女が現れた。髪は金。顔は…鉄板を無骨に加工した、溶接マスクで覆っている。
「助けに来たわ、トリス。逃げるわよ」

182226たんdame :2006/11/05(日) 10:19:42 ID:NXExKoA6
 警報は事故ではなく、侵入者を表す物だった。尤も侵入者というほど上品なやり口ではなく、強襲者とでもいうべきだろうが。
「トリス、こっち。ここならしばらく見つからないわ」
「は、はぁっ…はい」
 謎の女に連れられるまま研究所内を走り、迷うことなく人気のないエリアへ到着した。
「お姉さんは何者なの」
「貴方を助けに来たの」
「どうしてそんな。どうして私の名前を?」
 解らないことだらけだった。この女に付いて行っても良いのか、トリスはまだ判断できていなかった。
「私がレッケンベルの敵だから。不満?」
「…お姉さんの名前を」
「名前は無いわ。組織での名は『リーフキャット』。リーフでいいわ」
「私はトリス。よろしく、リーフさん」
「よろしく。長い付き合いをするつもりよ」
 鉄板の仮面越しに、リーフと名乗った女は瞳を細めた。
「脱出経路を決めるわ、組織と連絡する。敵が来たら教えて」
「…はい」
 怪しい女だったが、トリスには従う他に無かった。

「応答を。こちら『リーフキャット』、ポイントナイン・フォーより」
『受信。こちら『ポイズンスポア』、ポイントゼロ・ツー』
 リーフは懐から取り出した通信機…実はこれもレッケンベル社による製品なのだが…を使い、組織とやらの仲間と連絡を取り出した。
 この通信機はリーフの組織で用いられ、『ウィスパー』の名で呼ばれている物だった。
「ちょっとガルシュタイン、何が楽勝って言うのよ貴方! ゼロツーは無理。途中にあるアレ、イグニゼム・タイプの詰所じゃないの。他に経路はないの!?」
『おいこらリーフ!? 敵地で味方の本名呼ぶ奴があるか! そこはお前のほうが詳しいだろ、経路を指定しろ!』
 どうやら、あまりしっかりとした『組織』ではないらしい。トリスは早くもリーフへ付いて来た事を後悔していた。
「わかったわ。やっぱゼロゼロで行きましょう、確保を頼むわ。あと『ワイルドローズ』をゼロツーに。騒ぎを起こしといて」
『ラジャー。『レモン』はほどほどにしておけよ、リーフ』
「大きなお世話。今日のレモンは火力が違うわよ。じゃあね」
 リーフは通信機を仕舞うと、トリスに向き直る。
「トリス、逃げるわよ。付いて来なさい」
「…わかったわ」


「はっ、はっ、はっ」
「くっ…思ったより相手の反応が早いようね」
 リーフが睨んだ方に目をやると、斧を抱えた商人の娘が三人こちらへ走ってくるのが見えた。全員が同じ顔、背の景色が透けている。
「トリス、言う通りになさい」
 フォーチュンソードを逆手に構えたトリスを制して、リーフは丸い瓶を3つ、軽く投げた。とたんにそれは膨れ上がり、マリンスフィアーによく似た丸い何かに変化する。
「奴らに向かって蹴って!」
 そう言ってリーフは丸いそれを蹴り出した。トリスも同じように蹴る。リーフが残る一つをさらに蹴った。
「耳塞いで逃げるっ!」
「は、はいぃっ!?」
 目指していた方向へ急なダッシュで走り出すリーフ。慌てて走り出すトリス。耳に手を当てる。
 ドゴォォォンッ!! 背中越しに爆音と熱風が吹き荒れた。どうやら壁をぶち抜いたのはこの爆弾だったらしい。
 リーフたちが言っていた『レモン』とは、爆弾の隠語だったようだ。

「…トリス、見つかったわ」
「えっ!?」
 そりゃあれだけ爆弾使っておいて見つからない方がおかしいだろう、と思ったトリスだったが、今それを言っても仕方がないと飲み込んだ。
 リーフの視線の先を追う。そこに居たのは意外な顔だった。
「ベータ!?」
「…ヒュッケバイン・タイプ。もう量産化してたのね」
 トリスと目が合うと、ベータはトリスの方へ走ってきた。リーフは腰のポーチから二本の瓶を取り出す。右手に透明な瓶、左手に深緑の瓶。
「トリス、目を瞑りなさい」
「リーフさん! その子はダメ!! ッあっ!」
 シュッ。全く気に止めた様子もなく、リーフは二本の瓶を投げた。
 閃光。言う通りに目を閉じていなかったトリスは、光の中で起きた光景を目の当たりにした。
 ボゥン。ボッ。ボボボボボッ、ドゥンッ。
 瞬間的に起こった幾つもの爆発。それが半透明の身体を粉々に引き裂くのを。その破片が灰になり、空気の中へ溶けるのを。

「あああぁぁぁぁぁ――ッッ!!」
「うるさいわ。見つかる」
「あ、あんた、あの子は…っ!」
「ここの試作体…いいえ、失敗作でしょ。貴方は面識があったようね?」
 リーフは淡々と語る。そしてベータの居た方へ駆け寄ろうとするトリスの服を掴み、引き留める。
「放して…! 放しなさいよ!」
「あれは貴方の体液を欲しがるタイプかな。違う?」
「え」
「合ってるようね。なら良かったわ、躊躇わなくて」
「…なっ、何言ってるの…!」
「貴方は彼女の飢えを理解できる? 救われない彼女の想いを解ってあげられる?」
「え?」
「私も解らないけど、貴方よりは解るわ。だからこれで良かった」
 ――何、言ってるの、この人は。
「彼女が最後に欲しがるのは、貴方の血。イノチ。知ってた?」
「…っ、だ、だからって! ベータはそんなんじゃ…!」
「後ね、ここの子たちは嫌でもそうなの。さっきあの子は、短剣を構えて貴方に向かって来た。見たでしょう」
 トリスは、ベータが居たところを再び見る。マインゴーシュが落ちていた。
「トリス、貴方長生き出来ないわ。ここに関わった人間は、自分の写し身を手に掛けるくらいで揺れてはいけないの」
「……」
「行くわよ。私はトリスちゃんを助けに来たの、命がけでね。邪魔をするのはよして」


 タッ、タッ、タッ、タッ…。
 リーフの背を追って、トリスは走っていた。不服や不平は大いにあったが、リーフはそれを許さないプレッシャーを放っていた。
「…リーフさん」
 走りながらトリスは問いかける。
「なあに…?」
「はっ…どうしてあんなに、ベータたちや…ここのことに詳しいんですか」
 タッ、タッ、タッ、タッ…。
 しばらくの間、二人が走る靴音だけが響いた。
「私がレッケンベルの敵だからよ」
「でも」
「後はね。…馬鹿なアルケミストが昔、ここに居たからよ」
「……」
 トリスは口をつぐんで、アルケミストに似た技を使う女の背を追った。

「もうすぐワン・スリーを回る…あと一息よ」
「…はい」

183226たんdame :2006/11/05(日) 10:20:05 ID:NXExKoA6
 ――その角を曲がった時だった。
「――。」
「……っ」
 一番会いたくなかった相手。出来るなら、このまま別れを告げずに去りたかった相手。その相手がそこに居た。
「イグニゼム・タイプ…いいえ、違うようね」
「セニア…っ!」
 そこに居たのは、間違いなくあのセニア…『Ignithem=Senia=Original』の刻印を持つ少女だった。

「トリス、下がりなさい。アレは危険な相手だわ」
「嫌っ! セニアだけは、あの子は違うの! あの子は…っ!!」
「――私と同じなの、って?」
「…っ!?」
 トリスは黙り込んだ。トリスの予想では、そしてリーフの反応から察して、恐らく事実も。『Ignithem=Senia=Original』の少女は、かつてトリスのように…普通の人間だったのだ。
「解っているわ。だから危険なの、貴方も解って。オリジナルから造られた個体は、能力が二桁違いなの」
「だ、だからって…!」
 ビュン。
 セニアが剣を構えた。切っ先に紫電を纏う大振りの剣、サーベルと言うにはあまりに大きなその剣。シュバイチェルサーベル。またの名をシュバイツァーが帯刀、ロシュ・セイバー。
 剣先を、敵と認めた証をリーフへ、そしてトリスへと向ける。

「イグニゼム。元ルーンミッドガッツ王国クルセイダー第3中隊第1小隊第3分隊所属。謀略の犠牲となった後、その遺体は闇から、レゲンシュルムの深闇に消えた」
 ぴくり、とセニアの帯びた剣先が揺れた。トリスには何の話だかまるで解らなかった。
「イグニゼムの記録を抹消する為に消された血縁者。第3中隊長レベイレブとレッケンベル社の暗黒の取引。妹の名はセニア」
 セニアの剣先が、震えている。トリスには何の話だか解らないが、どうやらセニアがまだ人間だったころの話らしい。

「…残念な話ね。――いいわ、その業買いましょう。カミサマに詫びるのは私がやるわ」
 リーフは赤い印章を握り締めた。二度目の生を歩むその中で得た印、The Sign。腰のポーチからボトルを引き抜く。左右の手指の間それぞれに4本、透明な瓶と深緑の瓶。同時に1本ずつ投げつけた。
 声のない叫びを上げたのはトリス。閃光と爆風の中、一直線に走ってきたのはセニア。
「さすがオリジナルね。トリス、離れて。危ないわ!」
 トリスを突き飛ばし、その反動で横に跳ぶリーフ。それと同時に、二人がもと居た場所を縦に切り裂く紫電の刃。身を泳がせながらも投げられた二本の瓶が、空中ぶつかって砕ける。混ざって弾ける。セニアはその爆風の中をさらに走った。
「…しぶといわねっ」
 リーフの行動は、二人が離れていればセニアはトリスを狙わないと読んでの物だった。そしてそれは正しく、セニアは一直線にリーフへ斬り掛かっていった。


「このっ、鈍感娘っ! 一体レモンいくつ食べてくれるって言うの!?」
 並以上の魔物でも一撃で絶命する連鎖爆発。その中を幾度も駆け抜けてなおセニアは生きていた。研究所の壁を易々と切り裂く斬撃をやり過ごし、逃げ回ってはボトルを投げつけるリーフ。
 何発めかの爆風が直撃したとき、セニアがようやく体勢を崩した。膝を突く。リーフはすかさず追撃を構える。――喉に冷たい感触がした。

「リーフさん、そこまでよ」
「――何のつもりよ」
 溶接マスクの下、喉に当てられたフォーチュンソード。そこでリーフは、トリスの姿が見えなくなっていたことに気付く。ハイディングで潜んでいたのだ。
「セニア、座っていいよ。無理しないで。…何のつもりか聞きたいのはこっちよ。あんた、私の友達に何てことしてくれんの?」
「何てことも何も、私はトリスちゃんを助けて帰る。それだけ」
「じゃあ私残る。一人で帰ってよ」
 トリスは自分でも何を言ってるのか、解らなくなっていた。ただ目の前の光景を見て居たくなかった。
「良いの? いずれ貴方もああなるわ。ここに居れば」
「――そうね。そうなったらセニアを守ってあげられるかも。…ふふっ、あはは」
 ああ、どうやら本当に自分はおかしくなった。そう思うと、笑いが止まらなくなった。

「まいったわ、降参。ごめんねセニアちゃん、これで許して」
 リーフは両手をひらひらと上げると、セニアに向けて小ぶりの試験管を一本投げた。ふわりと気化したそれは、セニアの傷をいくらか癒す。
「それじゃリーフさん、元気で。次会うときは敵かもね、私透けてるかもしんない」
 トリスはそう言うと、セニアの手を取って引き起こした。薬品に焼けて縮れた髪を手櫛で梳いてやる。

「ちょっとお待ちなさい、トリス」
「何ですか。セニアが大人しくしてるうちに帰ったほうがいいですよ」
「――貴方、その子を救いたい?」


184226たんdame :2006/11/05(日) 10:20:25 ID:NXExKoA6
「おかえり、爆弾魔。お疲れだったな」
「ありがとう、毒殺屋。痛み入るわ」
 『リーフキャット』と『ポイズンスポア』の挨拶。この二人はこれで仲が良いのだろう。
「そしてトリスちゃん。ようこそ、『秘密の羽』へ」
「…よろしく」
「そう恐縮しなさんな。ここを知られたからには足抜けはもうできないんだから、仲良くやりましょう」
 そう言って笑う『ポイズンスポア』こと、ガルシュタイン。一見して普通の男だが、これで中々のやり手なのだそうだ。

 ここはリヒタルゼン近郊のとある場所。反企業組織『秘密の羽』先遣アジト。
 『秘密の羽』とは、レッケンベル社による政治支配を良く思わないシュバルツバルド大統領が組織したレジスタンスなのだそうだ。
「それで、ガル。トリスは政治とか興味あるわけじゃなくて、単にレッケンベル潰しを手伝ってくれることになったの」
「ふむ。お前さんと同じか、リーフ」
「まあ、そうね。トリス、それでいいわね」
「…それでセニアが救われるなら」

 あのセニアを救うと言うこと、それはつまり。彼女たちを束縛しているレゲンシュルム研究所、そしてレッケンベル社を根本から破壊してしまうことだった。
 リーフの話の荒唐無稽さに最初は呆れたトリスだったが、教養に疎い彼女は、そういう話は嫌いでは無かった。気楽にしてはいたが絶体絶命の窮地に居た自分を、こうして救出してしまう力も目の当たりにしていた。
 何よりもセニアが、あの不思議な(リーフが言うには不気味な)笑顔で手を振って送ってくれたのが、彼女の背中を強く押した。

「心強いわ、トリス。私を止めたあの機転、中々だったわよ」
「…リーフさんも、あの会社を潰したい人なの?」
「ええそうよ。それにね、泣くまでお尻叩いてやらなきゃいけない男がいるの。それと、そいつに預けた物を取り返さなきゃいけない」
「預けた物?」
「ええ、大切な人をね。貴方はセニアを迎えに行かなきゃいけないんでしょう? 同じね」
 そう言ってリーフは笑った。溶接マスクに篭った笑い声が、少し不気味だった。

「それじゃあ、早速トリスの通り名を決めましょ」
「あ、それなら…」
 『秘密の羽』では構成員の身元が割れにくくなるよう、モンスターの名前から取った二つ名で呼び合う慣例がある。
 トリスの脳裏を姉の顔が過ぎった。姉のイメージをモンスターにするなら、決まっていた。
「…『ワイルドローズ』がいいな」
「残念、『ワイルドローズ』はもう居るんだよ。リーフ、決めてやれよ」
「あらそう? じゃあ『盗蟲』で行きましょう。黒髪ですばしこいからぴったりよ」
「嫌あああああああああああああああああああああっっっ!! 私やっぱ抜けるっ!!」
「ガル、そういえば『ワイルドローズ』はどこに行ったの?」
 この作戦に一緒に参加していたはずのメンバーが一人、この場には抜けていた。
「奴は今、エンゲル=ハワードの護衛に行ってるよ。知ってるよな、リーフ」
「ええ、あの偏屈鍛冶でしょう。ボルセブの奴、あんな大物まで狙い出したのね」
 ハワードは大陸最高と名高い鍛冶師だった。『ワイルドローズ』が行ったということは、ハワードはレッケンベル社に狙われているらしい。
「さっき入った情報なんだけどな。他に回そうと思ったら、『ワイルドローズ』の奴が買って出た」
「…照れ屋なのね、あのバカ」
「違いねえな」

 トリスは話の輪に入れぬまま聞いていたが、ふと口を開いた。
「…そういえば。二人はどうして『リーフキャット』と『ポイズンスポア』なんですか」
「俺? 俺は毒物…じゃない、薬が専門なのさ」
「私は…そうね。アシッドボトルの隠し味に、レモン汁を使っているの。そういうことにして?」
 微妙に歯切れが悪いリーフの言葉だったが、トリスは問い詰めないことにした。

「ところでリーフよ、その奇天烈な面は取らないのか」
「あら、忘れてたわ。ガルも早く言ってくれればいいのに」
「いや普通忘れないぞ、そんな大仰な物」
 かぱ、っと溶接マスクを外す。トリスが思っていたよりも幼い顔をしていた。金髪が汗で張り付いて台無しだ。
「…あれっ」
「どうしたの、トリス」
「リーフさんの顔が、どこかで見たような気がして」
「…気のせいよ。それよりもよろしくね、『盗蟲』ちゃん」
「ええええええええええええええええっ、決定なのおおおおおおおおおおおおっ!?」
 教養に疎い彼女でも、そんな不名誉な二つ名は嫌だった。


 ――。


「私が転生する顛末は理解したわ。本題、リーフのことを教えて貰える?」
「到達者、我々は貴方に謝らねばなりません」
「ふん、要するにボルセブが持っているのね。リーフのエンブリオは」
「聡明で結構です、到達者。忌み子に我々の加護は及ばなかったもので」
「…あの会社を潰したら、次は貴方たちを転覆させようと思うわ」
「毒を持って毒を制すのも、神の業ですよ。毒持ちし到達者」
「じゃあ、拳骨を磨いておくわね。また会うときは鍋でも被っておくといいわ」

「到達者、もう一つお知らせしておかなければならないことがあります」
「その作り顔からして碌な事じゃなさそうね、メガミサマ」
「到達者。貴方の肉体の回収ですが、充分に行えていません。咎人どもが手がかりとし得る痕跡を、あの邪悪な施設に残しているかも知れません」
「貴方たち、給料泥棒って言われてるでしょう。オーディンとかいう奴に」
「不信心者に我々の加護は充分に及ばなかったもので。お詫びします、信心薄き到達者」

「見逃してあげるわ。それじゃ現世へ戻して? またノービスからなのかしら」
「健闘を祈ります、Alm」
「その名を呼ばないで。捨てる名だわ」
「あら。それは何故ですか、到達者」
「決まっているわ。研究員名簿にその名があるからよ」

「了解しました。健闘を祈ります、咎人アルマイア=デュンゼ」
「ありがとう。…クソ食らえだわ、カミサマ」


 ――。


 頂光都市異聞、完。
185226たんdame :2006/11/05(日) 10:21:36 ID:NXExKoA6
--------------------------------------------------------------------------------
冒頭の改行が壊れました、すみません。
大分前からあたためていたネタ、吐き出しました。満足です。おやすみなさい!
186名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/05(日) 15:37:53 ID:imDRmiYo
グッジョブ!
エロ云々抜きでも純粋に楽しめました(*´д`*)
欲を言えば、秘密研究所は後々潰れるわけですが、そこにいたるまでの話を
またまた書いて欲しかったり。
設定も話もいい感じなので、これで終わりにしてほしくないという
一愛読者の嘆願ですw
187名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/05(日) 20:07:11 ID:fu2pBhPQ
面白かったです!
リーフを私の娘、と言うあたりアルマの想いが伝わるなー。
同じくリーフ育てた人間からするとその気持ちは大いに分かりますがw
完結しているみたいですけど、希望としてはリーフとアルマのらぶらぶな続きが読みたいですよ。

RO本家でもフィゲルで追加されたクエでは、いくら爆弾で研究所壊したりしますが、
これもアルマが裏で関与してそうw
188名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/05(日) 21:40:40 ID:17mWDtT.
ちょ・・・スゴイ
これは、もうこのまま公式設定にしていいんじゃない?


えろいけど。
189名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/05(日) 23:16:16 ID:dMMIA.ug
すげぇ、すげぇよ226たん!
トリスはやっぱりちょっと前のセリフ禁止で出してたあの子なのかしら。
美味しく頂きました、ありがとう!
190接近に失敗しました接近に失敗しました :接近に失敗しました
接近に失敗しました
191名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/06(月) 00:12:33 ID:vCGoJbpI
>ここに関わった人間は、自分の写し身を手に掛けるくらいで揺れてはいけないの

このセリフ、あとで見ると良い味出してるね。グッジョブ!
192名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/06(月) 04:39:06 ID:JV3pVOwM
本当にすげーものを見ると言葉が出ない。すげえ

だが>>190氏よ、ネタバレに気を使ってもらいたい。アルマの名前はまずくね?
193226たんdame :2006/11/06(月) 08:40:39 ID:oAWIjSts
うっわ、大反響ありがとうございます。感動であります。皆さん本当にありがとう。
浅ましい書き手なので感想が大好物と言うか、ヤギみたいにもっさもっさ食べます。

ttp://archer.s1.x-beat.com/cgi-bin/iconxb/20061105123450.zip
えろだを借りて装丁を整え、あとがきと設定資料を添えてUPしました。
…こうして考えるとスレ汚しでしたね。しょぼん。

>>186さん
そこまで辻褄を合わせられるでしょうか!?
続編は今のところ形になるネタを持っていませんが、やらないとも限りません。
書いててこの子たちを好きになってしまいました。

>>187さん
そんな面白いイベントがあったんですか。フィゲルクエストはあらすじ調べただけなんですよねえ。
チケ切れてて時間も無くて、できていません。今度やってきます。
らぶらぶなんて高尚なテーマはわたしは書けないと思います。ヨゴレです。

>>188さん
ありがとうございます、でもさすがにそこまで言ってもらうにはムチャ設定してるとこが!
えろいのは、えろくしないとROのSS書けない身体なので仕方ないのです。

>>189さん
その教養に疎い子で合っています。すごいって普通こういうとこで言わないだけに、なんか余計に嬉しいですね!

>>190さん
新手の羞恥プレイがまた。嬉しいけど恥ずかしいので適当なとこで線引いて黒歴史にしておいてくださいっっ
あと>>192さんが言ってくださったようにできればアルマイアの名前はナシで…!

>>191さん
よくお読みになられていただけて嬉しい限りです。
「爆弾は便利よ。何人の『アルマイア』を殺しても、手に感触が残らないから」
元ネタ内緒。

>>192さん
すげえお気遣い感謝します。そうなんです、第一部では頑張って隠したんですよねえ。
194名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/06(月) 09:13:29 ID:sA6HO9kE
いやはや、朝からすごい物を読ませていただいた…
題材は違えど当方も駄文書き(ROは読み専です)、大いに刺激されました。
なんというかそのね。表現力を鍛えたいって思いましたよ。
もし続きがあるのなら是非期待したいです。心からのGJを。
195名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/06(月) 22:34:10 ID:PBlm.sM6
190削除依頼出してまいりました。
消費は気がかりですが、負けず嫌いな私は修正して挑戦します
★226たん作品集
 01. 一冊目61(ぅぃぅぃιぃ)(アチャ×ハンタ&プリ&WIZ)
 02. 一冊目219〜226(ここでも怪しげなキャンディが!/「226氏」が定着しはじめたのもこのころ)(GM×プリ)
 03. 一冊目251〜258(娼婦話なのに綺麗。相思相愛がテーマだそうです)(アチャ×騎士)          →03、※1、05、13
 ※1. 一冊目337(誰が書いたかわからないけど251〜258のアチャのアナザー作ったらしい)(アチャ×アサ)

 04. 二冊目23〜30(えろ寄りとのこと。エロ寄りではないのがミソ)(剣士×アサ)          →04、11、12
 05. 二冊目47〜51(今度は玩具系。「226たん」が固定ハンドル化)(ハンタ×おもちゃ)           →03、※1、05、13
 06. 二冊目456〜463(キャラチェン)(アコ×♂剣士)

★三冊目で♀×♀とノーマル(?)でケンカし、♀×♀専用スレ設立。

 07. 専用一冊目18〜25(専用スレ記念。電話えっちならずWisえっち)(WIZ×商人)                  →07、10

 08. 専用三冊目3〜12(お久しぶりの新作。今度はイシス)(セージ×イシス)
 09. 専用三冊目14〜19(ゴブ娘×オーク娘)(ローグ×モンク)
 10. 専用三冊目113〜119(Wisえっちのふたりがメイン)(Hiマジ×BS)                        →07、10
 11. 専用三冊目153〜159(剣士アサ師弟コンビが送る、サキュバス前編)(サキュ×剣士&アサ)    →04、11、12
 12. 専用三冊目306〜313(剣士アサ師弟コンビが送る、サキュバス後編)(サキュ×剣士&アサ)    →04、11、12
 13. 専用三冊目328〜335(あのアチャが帰ってきた!)(ダンサー×バード)                →03、※1、05、13

 14. 専用四冊目84〜85(リヒタルゼンシリーズ第零部:書き方変更試み中、セリフ無し…教養に疎い彼女)(シーフ)      →14、15、16、17
 15. 専用四冊目162〜165(リヒタルゼンシリーズ第一部:最初のリーフ。)(リーフ×ケミ)            →14、15、16、17
 16. 専用四冊目171〜177(リヒタルゼンシリーズ第二部:トリスとセニア…教養に疎い彼女)(シーフ×セニア)     →14、15、16、17
 17. 専用四冊目179〜184(リヒタルゼンシリーズ第三部:トリスとセニア、…レモン)(シーフ×セニア&トリス)   →14、15、16、17
196226たんdame :2006/11/08(水) 11:11:22 ID:XICfrxNU
つい調子に乗って外伝を一本。どうしてこの子たちはこんなに書きやすいのだろう…。
重度に変態的です。予めお断りしておきますが、気分が悪くなっても責任は取れません。

>>194さん
うわあ、嬉しい感想です。ありがとうございますー
表現力…自分もまだまだかと思います。頑張らないとなあ

>>195さん
修正ありがとうございます。黒歴史はもう諦めようかと思います。うわん
試みはとても嬉しいのですが、そんなわざわざまとめてもらうような作品でも…
197226たんdame :2006/11/08(水) 11:12:01 ID:XICfrxNU
―Stray Cats〜頂光都市異聞、外伝


 ――サク。

 刃先を下に、空中から落とされたマインゴーシュ。空中で一回転し、柔らかな土に突き刺さる。
「お休み、ベータ」


 リヒタルゼン郊外、区画の上では辛うじて西市街に収まる街外れに小さな墓地がある。黒髪を揺らしたシーフの少女、トリスは密かにそこを訪れていた。護身用に作られたその短剣は、軽い武器を左手に持って扱う二刀使いや、駆け出しの冒険者、盗賊に好んで使われる。
 あの脱出劇の際に、レゲンシュルム地下の廊下で拾ったものだった。
「助けてあげられなかったけど、もう、苦しまないよね…?」
 一度は己に向けられた刃に、慈しみの視線を投げかけるトリス。ベータと呼ばれたマインゴーシュの元の持ち主は、ヒュッケバイン=トリス試作型。欠陥を持つ個体であり、オリジナルであるトリスの体液を摂取し続けないと体組織を維持できなかった。彼女は、レゲンシュルム地下でトリスを助けに来た女によって殺された。
 女、『リーフキャット』は言った。これで良かったのだと。
 ベータは何を思って、トリスに向かって来たのだろう。脱走を阻止する命令に従い、止めに来たのだろうか。トリスの白い首筋に刃を立て、甘い血液を啜る欲に勝てなかったのだろうか。それとも単に、再会を喜んで駆けて来たのだろうか。

「ダメだな、私」
 『リーフキャット』…リーフの言うことは頭では理解できた。けれど、トリスはここに立っていた。


 キィ。腐りかけた木材にペンキだけは真新しいベンチ。トリスの体重に軋む音を立てた。ふと思い直したトリスは、マインゴーシュを引き抜いて路肩のベンチに腰掛けた。墓地が一望できるが、トリスの他に誰が居るわけでも無かった。
「…ベータに私ができること、かあ」
 まだ朝も早い、東に傾いた太陽に刃を透かす。美しい曲線が光と影を分かつ。刃こぼれ一つ無いその刃先は、元の持ち主が誰をも殺めて居ないことを示していた。
「スロットつき、か。使ってあげるのがいいのかなー」
 独り言。だがトリスは、刃に映った自分の顔と会話をしていた。そこに居るのはあの、ベータだった。手首で刃先を揺らすと、光を弾いて眩しい。トリスは刃の中の自分と笑い合った。
 三本の短剣をベンチに並べる。一本は愛用のコワード。一本は姉から賜った幸運の剣。そして一本はベータのマインゴーシュ。妙なもので、こうして並ぶと何となく嬉しくなるトリスなのだった。
 ――この三人と、あとはセニア。四人で暮らせたらな。
 もっとも、あの長大なロシュ・セイバーはこの短剣の中で似つかわしくなかろうが。トリスは自分の右手首を見る。そこには『Huckebeun=Triss=Original』の刻印をもつ囚人の腕輪があった。今となって着けている必要は全くないが、トリスはこの腕輪を外さない。外すとセニアに会えなくなるような気がしたのだ。
 トリスは自分の短剣を鞘に収め、トリスは考えていた。
「私が、ベータにしてあげられること…」
 そういえば、ひとつだけあった。出会った時から、それはひとつしかなかったのだった。
 ごく。唾を飲む。きょろきょろ。周囲の様子を窺う。
「えへ…」
 マインゴーシュに、照れ臭そうに笑いかける。刃の中のシーフは、いやらしい顔で笑っていた。


「ん…っふ、ァん」
 思いついてしまったのが運の付きだったのだ。トリスは自分がベータにしてやれることは、したいのだから。ましてやそれがこんなにドキドキすることならば。
「ぁ…ん、やだ…ァっぅ」
 ――ほんと、やだ。
 最近の私は、スイッチが緩いわ…ぁ――
「…っはぅン…見つか…っちゃう…っ」
 そう、トリスがベータにしてやれたこと、してやれること。それはひとつ。
 ――どうせなら、お汁まみれにした方が…きっとあの子は喜ぶよね。

 ベンチの木材の隙間にマインゴーシュの刃を落とし、柄を立たせる。脚を大きく開いたトリスの下半身は既に露。腿の間に短剣を立て、ベンチに深く座っている。脱ぎ捨てた麻のパンツは、トリスの尻の下に敷かれている。
「ふふ…っ、いっぱい、出るかなァ…ん」
 暖かな日差しの中。トリスは既に没頭していた。教養に疎い彼女にとって、他人に見咎められるなどとは些細な問題だった。

「はぁ…ふゥ…ん、あ、これ…気持ちぃい…わ…」
 右手は膝の上。胸当てを臍の上まで擦り下げ、乳房を外気に晒す。左の先端を、左手の指で摘み転がす。他には何もしない。ただ、左の乳首だけを転がし続ける。芯の通ったコリコリとした感触。
「…ふぅん…ッはぁぁ…我慢…できなぁい…っくふっ」
 身体をくねらせ、歯軋りをして悶えるトリス。閉じようにも閉じられない脚がもじもじと動き始め、右手が膝を強く握る。時折、ぴくり、と動き出す。
 限界を感じたトリスは、左手をそっと離し、右手で右の乳首を摘む。
「ッひっく…っァ…ャバ…っふうぅぅぅ…ッんっ」
 まだ小さく柔らかいそれが平たく潰されると、トリスは目の前の景色が白く、狭くなったような気がした。興奮がかけるフィルター。トリスがスイッチと呼ぶそれが一段高まった。
 まだ柔らかい。こんなに柔らかかったのがあんなにコリコリになっていたのだ。胸を離れた左手が膝に爪を立てる。触れられるのを待ち望んでいた右の先端は、見る見るうちに手触りに芯を通わせていく。
 脚にくすぐったい感触がする。汗の玉が浮いたそこを、一匹の蟻が這いまわっていた。
「…っふ、見られちゃった…ァはぁ…」
 惑うように膝へ上り、好き勝手に這い回る蟻を見て…トリスは細い目で笑っていた。こりこりと一箇所だけを刺激し続けながら。
「はぁン…いい感じ。さ、たんとおあがり…」
 笑ったままトリスは、腰を浮かせて前へ出した。慌てた蟻がベンチへ逃げ出す。トリスは、目の前に突き立てたマインゴーシュの柄に…熱く蕩け出していた部分を擦りつけた。
 サッ。トリスの視界がまた、白くなる。意識にフィルターがかかる。トリスはこれが好きだった。いやらしさが気持ちよく、恥ずかしさがゾクゾクに、切なさまでが昂ぶりに変わるフィルター。こうなった彼女はもう、止まらなかった。
「…っくァっ、ひン…っふぅぅぅぅうっ」
 動物のような声。トリスは感じ始めると、声が甘く、喉と鼻を犯すようになるのだった。そしてやはりトリスは、自分のそうした声が好きだった。
 唾を飲み込み。喉を逸らし、そこから漏れる声は猫のよう。ごろごろ、ごろごろ。トリスは自分に媚びていた。
「…はぁァ…んッ…ぁイ…ッい…っ」
 大きく開いた両足と、ベンチの背凭れに預けた背中、そしてベンチに突いた両手で身体を支える。腰を浮かせ、マインゴーシュの柄に押し当て、擦り上げる。
 柄の装飾は殆どなく、僅かに段が彫られているのみだった。トリスはそこにぴたりと押し当て、上下に何度も擦る。
「…くァう…ひっ、うまく…ぅ動かなァ…っぃいッ!」
 腰をくねらせる動きは制御しにくく、ましてトリスの膝は酔ったように震えていた。加減もできず、不規則に押し当て、擦り上げられる。膝の震えはたちまち大きくなった。
「ふァぅ、ひっ、く、あふゥ…っ、い、いィよぉ…ッッかフぁッ!?」
 かくん、かくん。朝の日を反射してぬめり光る短剣の柄に、大雑把な動きで擦り付ける。叩き付ける。柄の先端が膣に引っかかり、無理な形で引き抜ける。喉を転がった息が、掠れて鼻を抜けていく。
「は…ひッ、は…っン…っひゅ…ッくぁン…」
 腰を落とし、乱れた呼吸を建て直しながらも、緩やかに擦り付けることを止めない。押し当てて左右に揺する。トリスはこれを止められない。

198226たんdame :2006/11/08(水) 11:12:25 ID:XICfrxNU
「――あらあら。おいたも程々になさいね、『盗蟲』ちゃん」
「ひ、えッ…!?」
 びくっ。ベンチが跳ねるほどの勢いで驚くトリス。いつからか、背中から女に覗き込まれていた。
「ふふ、さすが『盗蟲』ちゃんね。繁殖力は人一倍かしら?」
 くすくす笑いながら、ベンチの背凭れに手を突き、見下ろす女。
「…り、リーフ…さん。ど、どうし…て…?」
 あまりの驚きに、かちかちとトリスの歯が音を立てた。心底楽しそうに微笑んで、リーフはそれを見下ろしていた。
「貴方を捜しにきたの。…どうしたの? トリス。まだ腰が動いているわ」
「…ッふ、だ、だってぇェ…っはァん…気持ち…いいッ…からァ…っ」
「見れば解るわ。そんなにぐしょぐしょにして…うふふ、とんだ雌ゴキね」
「…ッ! そ、そんなんじゃ…! っはァ…っん、ふァ…っ」
 休んでいたはずのトリスだったが、再び腰を浮かせ擦りつけ始めていた。自分の意思で理性を蕩かせてしまっていたトリスは、この状況さえも興奮に変えてしまっていた。
「そう? それじゃすぐに止めなさい。私達がリヒタルゼンに長居するのは危険だわ、帰るわよ」
「…ぁはッ…ぃッ…い、嫌ぁ…っ…も、もっと、きもひッ…よく、なるぅ…っ」
「じゃあ貴方は雌ゴキだわ。ふふ…こんな所で耽らなくても、あの会社がたくさん貴方の子を作ってくれるわよ…?」
 ぶるるるっ…っと、トリスが震えた。それを見てリーフは、意地悪そうに微笑んだ。
「…っひンっ…な、なんでもいぃのぉ…ッふ…ぅん、わたひ…っもっと、するぅ…っ」
「ぷ…あははっ。貴方、バカでしょう。バカ、バカだわ…あははっ…。そんなにしたいなら、私も手伝ったほうがいいかしら?」
「は…っあ、あ…り、リーフさぁん…ッ」
「…なあに?」
「…ッし、してぇ…っ私にっ…いやらしいことぉ…っ手伝ってぇ…ッ」
 脚を締めて、短剣の柄を挟み込み…擦り合わせながらトリスは懇願した。

「ふふ…鏡が無いのが残念だわ。トリス、貴方今どんな顔してるか解るかしら?」
「はぁ…ッやらしぃかおぉ…っバカみたい、かも…ッ」
「ええそうよ…涙と涎流して、あら、鼻水も出てるわ。まんまバカね。自分のこんな顔見たら、私なら死にたくなる。耐えられないわ」
「…ッは…ふ、そ、そん…なぁっ」
「トリスは平気よね。だって雌ゴキだものね」
「――ッ!」
 両膝をぶつけ合うように閉じ、口をつぐんで…それでも腰は懸命にくねらせるトリス。
「卑しい…顔が汗で脂まみれよ。本当に盗蟲の羽みたい。汚らしい…ねえトリス、貴方私を何だと思ってるの?」
「はァっ…んふゥ、ぇ…?」
「…私は到達者。カミサマにすら届いた者…バカな貴方に解るかしら? 貴方、その私に何させる気で居たの?」
「…ッいっ…やらしぃ…ことぉ…っ」
「ふうん…つまりなあに?」
 むんずと、背中越しにトリスの乳房を掴んだ。
「…ッあふぁ…んぃ…いっ…くぁァァッンっ、ぁあァッ! あくァああああっッ!?」
「こういうこと? 貴方の汚い身体に、こうして?」
 そのまま乱暴に揉み解され、身体を縦に跳ねさせるトリス。強く握って爪を少し食い込ませ、そこで解放。リーフはゆっくりベンチの前へ回った。ぐったりとしているトリスを、笑ったまま見下ろす。引いていたカートを、ベンチの脇に停める。
「トリス、貴方イッたわね」
「…ぁ…ふぁい…」
 腿を閉じ合わせ、もじもじと擦り合わせ…柄を味わいながら。トリスはびく、びくと断続的に震えていた。
「貴方みたいなゴキブリが、私に触られてイッたのね…ふうん。いい身分だわね、トリス?」
「…ひぐッ、あ、ァァっ…っだ、ダメぇ…っ」
 リーフは無造作に、トリスの乳首を摘んで正面へ引いた。たまらず身を起こすトリスの震えは、また激しくなった。

「――その短剣、あの失敗作の物かしら」
 トリスの胸から手を放し、リーフは言った。
「…はぁ…っん、ふあァ…ッひ」
「質問しているの」
 トリスの髪を掴み、顔を自分の方へ上げさせる。
「…は、はい…ベータ、の…」
「呆れた。貴方、余程その失敗作に舐められるのが気に入ったのね」
「…そ、そん…」
「そうじゃないなら何? 弔いに来たとでも言うの」
「…は、い」
 リーフの瞳は睨むようで。トリスの答えを聞き、更に鋭く尖ったようで。
「…くあッああああっ」
 すっ、とトリスに合わせて身を低くしたリーフ。すぐさまトリスの…短剣を挟み込んでいたそこに、指を突き入れた。
「ふふ、だから貴方はバカ。解る? 貴方、これから何人のヒュッケバイン=トリスを殺めるか。解る?」
「ひンっ、や、だメぇっ…イッ…たばかり…っふァぁっ!」
「十人、百人、解らない。その度に貴方は祈るの? その度にここへ来るの? バカ?」
 全く遠慮の無い動きで、乱暴にトリスを責め立てる。
「あの会社の街よ、ここ。貴方捕まったらどうするの? アジトの場所を黙秘できる?」
「っくふゥんっ…は、あぁンッ、で、できるゥンっ…ふぁァん」
「バカね。できないわ、貴方。…そうだわ、貴方セニアと寝たでしょう」
「…ぇ…? そ、そんなことッ…ふぁンぅっ…!」
 リーフの指の動きは、ただ乱暴にかき回すものから変わっていた。トリスの感じる場所を、ゆっくりと優しく刺激していた。
「正直に話しなさい。さもないとやめてしまうわ」
「…や…やぁ…っあ、や、やあああ…」
 そこで、リーフの指が止まる。トリスの中、慣れ親しんだ気持ちのいいところにぴたりと当てたまま、動きだけが止まる。懸命に腰を動かそうとするトリス。
「質問をしているの。バカでも解るわね?」
「…は、い…ッ寝まし、た…しました…っセニアとぉ…」
「そう、いい子ね。それで? 何回したのかしら。気持ちよかったのでしょうね」
 指の動きは止めずに、立て続けに問う。
「に…2回ッふ、1回は、ベータも…ッふぅンっ! き、きもち、よかった…です」
「そう、そうでしょうね。…ねえトリス、解ったわよね。貴方、バカだわ」
「…は…い、私っふぁ…バカ…かもぉ…っン」
「ええ。貴方、ここを触ったらなんでも教えてくれるのよね」
「…っふぅゥん…ッはぁぁあ…」
 トリスは陶酔した目で、リーフを見ていた。
「それだけじゃないわ。セニアにしても、あの失敗作にしてもそう…貴方、セックスで情が移るのよね」
「…ッち、ちが…っ!」
「違わないわ。…そうね、私もトリスともっと仲良くなろうかしら」
 くすっと微笑んでリーフは言った。
199226たんdame :2006/11/08(水) 11:12:56 ID:XICfrxNU
「――犯してあげる。貴方マゾヒストよね」
「…ッち…が」
「それは運が悪かったわね。私はサディストなの」
 リーフはそう言って、トリスに差していた指を抜き…トリスの口へ差し入れた。
「…ンぅっ!? ん、んぅぅっ…」
「ほら、早くさっきのバカ面をなさい。得意よね?」
「ん…っふ、ん、ちゅ、ちゅぱ…」
 指で口腔をくすぐられると、トリスはすぐに抵抗をやめた。リーフの指を舐め、吸い、味わおうとする。
「あの失敗作が好きなお汁よ、味わうといいわ」
「…ッ、ん、ちゅ…ちゅば…」
 屈辱が焼くのはトリスの理性。自ら壊したそれは、もはや灰も同然になっていた。
「ねえトリス。貴方、私がああしなければ…ベータちゃんのために死んでいたと思うわ」
「…! っぷぁ…んふぁッ!?」
 リーフは指を引き抜き、再びもとの位置へ戻した。少し触れていなかっただけのそこは、充血して厚くなり、早くも待ちきれないと囁いていた。
「貴方は卑しいもの。ここを舐められて逆らえるはずがないわ。ねえ、雌ゴキ」
「…ッあっふ…あぁァん…ひもひぃ…」
「…私が叩き潰してあげる。強くおなりなさい、害虫のように」
「あッふ、あ、んッン」
 リーフは右手の動きは止めず、左手でトリスの右手首を掴んだ。
「ねえトリス、この腕輪は何よ。どうして外さないの、私が助けてやったのよ?」
 命がけで。一人で潜入して、化け物どもを掻い潜り。封じた記憶を痛めながら。悪になることも厭わず。
「そ、それはァ…っせにぁ、セニアと…ッん」
「ふうん。貴方、研究所に残りたかったのね」
「…っあッふ…、え…?」
 急に、指の動きが弱くなった。
「そうでしょう? セニアと一緒に、ベータちゃんと一緒に…人間をやめてでも、枯れ果ててでもいいから居たかったんでしょう。いいわよ、私を恨んでいるのでしょう、貴方」
「ち、ちがう…そんなの」
「それで貴方は幸せなんでしょう。それで相手も幸せだと思っているんでしょう。おめでたいわ」
「…リーフ、さん…」
「その名を今呼ばないで」
 リーフと呼ばれるたびに、思い出される記憶。全て奪われ、全て捧げ、朽ち果てて。一時、それで良かったとさえ思った日の記憶。
 『リーフキャット』は、トリスを責める指を再び動かした。
「…ッふあ…や、考え…ッぁ」
「考えなくていいわ。強くなりなさい、トリス。貴方もこちらへ来るの」
「…ぇ…?」
「私、卑怯者って嫌いだわ。つい苛めたくなるもの」
 ぐっ。リーフは、親指でトリスの突起を捻り…皮を剥き、潰した。
「…ーッくァあああぁああァぁンッ!?」

 その拍子だろうか。トリスのそこに異変が起こった。
「…あッふ、ひン、あ、あれ…ッ、あ、止まら、な…ッ」
「…ちょ、ちょっと、何よコレ…? …血!?」
「う…ぁ…う」
 血塗れになるリーフの右手。トリスの性器から突然、出血があった。
「…トリス、まさか貴方」
「…せー…り、きちゃっ…た…あは、は…」
 …経血だった。
「あ、あのねえトリス。貴方、本当にバカなの…? 仕方ないわ、帰るわよ」
「…や、だ…」
「…は?」
 左手でカートから布を探していたリーフだったが、予想外の言葉に振り向いた。
「…やだ…もっと、したい…」
「…トリス…?」
「わ、私…こうなったら、収まらないのぉ…もっと、イきたい…まだ、イけるのぉ…っ」
 血のついたそこを短剣で拭うようにしながら、トリスは常軌を逸した願いを口にした。
「あ、貴方…呆れるわ、本当に」
「…一回下りたら、しばらく出血しない…から、大丈夫…」
「貴方の体調が心配よ」
「平気よ…それより、ダメなの…い…いじめられたい…! おかしくなった、私…」
「…は…? こ、この…あ、貴方ねぇ…」
 トリスを見下ろすリーフ。何やら、感情を持て余しているような…曖昧な表情。トリスは期待と怯えを視線に乗せて、リーフを見上げていた。
「ッいいわ…覚悟なさい、雌ゴキ娘…ッ」
 トリスに向き直ると、手についた血をマインゴーシュの柄に擦り…トリスの袖で拭き取る。
「…あッ」
「何よ、文句あるの…?」
「…い、いえ…」
 リーフは自分のカートから手袋を取り出した。薄い樹脂性の、薬品を扱うための手袋。それを右手にはめた。
「…一度だけよ。一度、イかせてあげるわ。感謝なさい」

 リーフは、手袋をはめた右手を…トリスのそこへ宛がった。
「…その、手袋は…?」
「こういう、ばっちい物に触るときに使うモノよ。こんな風に」
「…っ」
「な、何よコレ…血なんかもう無いじゃない。貴方、おかしいんじゃない…?」
「…ふァあぁぁ…、き、きもち…ぃ」
 リーフの言う通り、そこは別の液で洗い流されてしまっていた。
「ふ、ふうん…おねだりしてたらこんなに濡れちゃった、ってこと。…病気ね、貴方」
「はァ…っふ、はぁぁ…っんっふぅ…ン」
「普通、こんな状態で感じられないわよ。ねえトリス、貴方狂っているわ…」
「だ、だって…ェ…こんなに、きもち…ッふァん」
 リーフはトリスを心配することをやめた。手袋をはめた指で、乱暴にかき回す。爪で中を傷つける心配がない分、動きは激しいものだった。
「…ぁ…ッく、っン、ァぁんっふぅン…ひゃぅンっ」
「こんなのが組織の同僚だなんて、恥ずかしくて涙が出るわ…やだ汚い、跳ねさせてるんじゃないわよ…っ」
「はァァん…りーふさぁん…」
「バカっ…バカよ貴方…呼ぶなって言ったでしょっ!」
 リーフはベンチに左脚を乗せ、左手でトリスの胸を掴んだ。
「ァふぅ…はぁァン…ひぅぅゥンッ」
「だ、大体ね、前から言おうと思ってたのだけれどッ!」
「はァァ…ッ、ひもちぃ…くふゥゥンっ」
「そ、その声よっ! 慎みなさいよ…ッ、そんな、動物みたいな声出して…!」
 吐き捨てると、リーフの左手の人差し指と中指が…トリスの乳首を挟み、捻った。
「ふァあああッん…っ! ふぅゥんっ、ンぁぁ…」
「ど、どうあっても動物なのね、貴方…い、いいえ、虫よ、貴方なんか…!」
 摩擦抵抗の強い手袋が、何の抵抗もなく出入りする。差しているのは中指と薬指。二本を別々に動かして、トリスの中を捏ね回す。

「…あは…、トリス、気付いた…?」
 胸と膣を愛撫する手を止めて、ひっそりと言うリーフ。
「はぁ…ふぁン…、ぇ…?」
「私達ね、見られているわ」
 びくっ。トリスの身体が震えた。リーフの指が動きを再開する。
「ひッ、ぁ、ダメぇッ…っふっくァぁンっ!」
「…ふふふ…気にすることはないわ。猫よ、猫…」
「…っあンっ…ね、ねこ…ぉ?」
 ほっとしたのか、トリスの身体から力が抜ける。
「そう…黒猫。羨ましそうに見ているわ…薄汚い黒猫」
「はァうぅん、どこぉ…?」
「トリス…見て、って言ってごらんなさい。イヤらしく」
 一定のリズムで、トリスの気持ちを煽るように、大きな動作で愛撫を繰り返す。トリスには黒猫の姿は見えないが、視線を感じるようになっていた。
「は、ふぁい…み、見て…ッ! 私の…っふァっ、やらしいとこ…ぉッ」
「そう…うふふ、とても羨ましそうにしているわ。見せ付けてやりましょう」
「はぁン…り、リーフさぁン…っ」
「物分りが悪いわね、今はそう呼ばないで…!」
「…ッあぁァっ、だ、だってぇェ…」
 きゅっ、と上下の敏感な突起を捻られる。トリスの声が砂糖漬けになる。
「そうね…Alma…いいえ、やめましょう。…そうだわ、お姉様と呼んでもらおうかしら」
「…お、ねぇ…さま…っぁぁっ!?」
「ええ。あの猫にも聞こえるように、呼んでごらんなさい」
「ふぁぃ…お、おねぇさまぁ…っお姉様ぁっ」
 リーフはそう呼ばれると、口が裂けたような厭らしい笑みを浮かべた。
「なぁに、トリス」
「キス…して…ぇ…っ」
「駄目よ。貴方なんかが私の唇に触れようだなんて」
 くすくす笑いながら、徐々に愛撫の手を強めていく。
「ぃあァン、い、イッちゃッ、あぅぅン」
「でも、私の唾液が欲しいなら…特別に、あげてもいいわよ」
 リーフはそう言うと、体勢を変えた。トリスの顔を上から覗き込む。
「口を開けなさい…私の唾液で、イッてしまえばいいわ」
「ぁぁン…あ、あァ…お姉…様ぁ…っあ…」
 大きく口を開けるトリス。リーフはそれを見て、指の動きを激しくする。
「はぁ…ん、くちゅ…」
「ぁ、ぁァ、ンぁ、あッ、あぁァ…ッ」
「くちゅ…ん、ぷぁ…」
 とろり。白く濁った唾がトリスへ垂らされた。同時に、トリスの膣内も手首を使って掻き回される。
「ァッあぁ、ん、あ、あむ、ン、こく…ンっふ、あ、あ、あァあぁぁあぁぁッッ!!」
 透明な糸で唇を繋いだまま、トリスは腰を浮かせ、リーフの指を味わい…胸を自ら揺すり、果てた。

200226たんdame :2006/11/08(水) 11:13:13 ID:XICfrxNU
「――結局、また出血したじゃないの」
「す、すみません…」
 リーフがカートから出した透明な布を当て、トリスはパンツを履いていた。
「とにかく、それでしばらく大丈夫だから。帰ったらちゃんとしなさいね」
「はい…私、ああなると抑えが効かないの。ごめんなさい」
「そうよ。貴方、本当に頭大丈夫? あれは普通じゃないわ」
「そこまで言うことないじゃない…ちょっとその気になりやすいだけ」
 流石に恥ずかしいらしく、視線を外すトリス。
「大体リー…、お姉様だって。サドったって何なのあれ、ヤバいでしょ」
「貴方とは相性が良いようだったけれど。またの機会を楽しみにしているわ」
「…たまになら。いくら私だって、あんなのが癖になったら困るんです」
 何気なく外したトリスの視線の先には、ベンチの上のマインゴーシュがあった。リーフもそちらを見る。
「その短剣も、凄いことになったわね…。でも、そういえばその方が、あの失敗作は喜ぶわね」
 その短剣は、トリスの露と血にとっぷりと浸されていた。
「…いえ、持って帰りますよ。汚いけど、洗って使おうかなって」
 トリスはきっぱりとそう言った。こんな弔い方をしてもベータは喜ばない、ふとそう思ったのだった。
「あら、そう。ふふ、勝手にすればいいわ…ところで、トリス」
「はい?」

 リーフは、ベンチに腰掛け…膝を立てて、ベンチの上に足をついて、座った。
「お姉様を満足させずに帰る妹なんて、許されると思う――?」


 ――。

「お、お帰り二人とも。どこ行ってたんだ」
「うふふ、ちょっとね。『盗蟲』ちゃんを苛めてきたわ」
「…リーフさん」
 憮然としたトリスだが、以前ほど嫌がることは無くなった。今日の一件で諦めてしまったのだろう。
「ところでリーフよ、『ワイルドローズ』から言伝があるんだが…お前さん、何やった?」
「あら〜。さあね、心当たりないわ」
 不安な面持ちのガルシュタイン。とぼけた顔のリーフ。

「『リーフキャット』は泥棒猫。私は、怒った!…だとさ。伝えたぞ」
「…そういえば、『ワイルドローズ』さんまだ会ったこと無いんですけど」
「そうね、そのうち顔出すと思うわよ。盗み返しに」
「どういう意味ですか…」
「どっちでもいいわ、私は」

「わ…っ!?」
「おい…?」
 リーフは、トリスに軽くキスをした。

「いつまでも隠れている気なら、私が貰うだけの話よ」


 ――。


 Stray Cats、完。
201名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/08(水) 13:04:33 ID:4yQPVMoc
おっ…おねっ…!?

こ れ は 回 避 不 可 能 だ !

それにしてもトリスのベータに対する感情は…切ないなあ(つД`)
202名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/09(木) 00:02:19 ID:VOtlqo.k
久々に実に着たら何だこの怒涛の大連チャンはっ!

>>226
個人的に足を舐めるのがそのまま発展してくれたらと思ってしまいました。
背中とか首とかわき腹とか。あぁ挙げてると切りがない…

しかしひたすらに濃いですねっ!

>>全ての文神さまへ
感想文書くの苦手なタイプなんで(言い訳)良いこと書けませんが
要するに
読んでます!応援してます!
です。他の小説系スレもちびちびみてるんですがどうも下火ですよねぇorz
203名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/09(木) 01:55:32 ID:D/wGqQtA
>>226
失礼を承知でお尋ねしますが…サイトはお持ちではないのでしょうか?
もっと貴方の作品を読みたいです。
204名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/09(木) 03:27:50 ID:GITeuH/U
あぁもう226たん最高です(*´д`)サディスティックなお姉さまらぶぃ

しかしこの流れをぶったぎって投下するのはヘタレ物書きには辛いものがある(´・ω・)
205レーニャとチェリムの人sage :2006/11/09(木) 21:23:46 ID:X..4fP8Y
お久しぶりです。
つか、226氏がすごすぎで、私なんか霞んでしまいます。
私の拙い作文でよいなら、接続復旧次第あぷしますが……
206名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/10(金) 01:13:25 ID:8PLIGeZg
レーニャとチェリムの人キタアアアアア
ずっと待っておりました
いくらでも投下してくださいましおねがいします
207名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/10(金) 14:14:53 ID:mwoNk84U
みんなそう言わずどしどし上げてくださいよ!?

他文神様方が萎縮することなんか226たんは望んでないはずだ!
むしろ専用スレみたいになると萎縮しちゃうのは226たんの方じゃないだろうか。
208名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/10(金) 18:11:47 ID:CbXrmnv2
萎縮してモジモジする226たんを優しく解きほぐしてあげてもっと大胆に投下させるスレはここですか?
209名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/11(土) 13:23:44 ID:2oXyqDTk
思ったのだが、黒猫ってワイルドローズさん=○ュッケたんだよな。
てことは本当の姉の前でアレを・・・・
お姉さまあああああああああ
210名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/11(土) 14:24:02 ID:7n/uvQKo
>>レーニャとチェリムの人

おひさしぶりです!!!
チェリムのエロかわいさをまた見たいとずううううううううううっと思っておりました!
ワクワクテカテカしながらお待ちしております(*´д`*)ハァハァ
211名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/11(土) 23:18:31 ID:7n/uvQKo
レーニャとチェリムの人
まだこのスレ見ていてくれたんだと大感激
個人的に大ファンなので、あのレーニャとチェリムの話
212226たんdame :2006/11/12(日) 10:02:53 ID:AsFbWbcY
毎回全レスは鬱陶しかろうと思うので控えめに行きます。皆さんありがとう!
今回の外伝は本編で不完全燃焼したえろ成分を放出ということで。

>>203さん
申し訳無いですが、サイトはありません。と言うよりもここしばらく、このスレ以外での執筆活動をしてません。
今日は某同人弾幕ゲーのSSを遠くに投げて来ましたが、昨日まではRO以外の物を書いていた訳でもなく。

>>204さん
そんなこと仰らず是非こうずずいと!

>>208さん
忙しさから逃げているような身なのです。あまり焚き付けられるとリアルが背水であります。

>>209さん
ご明察の通りです。だからわざわざ呼ばせるんですよっ!

>>レーニャとチェリムの人
レーニャさんの百合成分が恋しいです。期待dame!
213名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/14(火) 00:37:26 ID:JZXFwTQ6
ほ、保管庫が!
214名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/15(水) 15:12:08 ID:YVfnvA/k
ア・アッシマーが!

レーニャとチェリムの人をワクワクテカテカ待ち
215名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/18(土) 00:20:51 ID:oN4VnQrY
空気→からけ?
な感じで1つ投下。初めてエロSS書いたよママン。
というわけでここはひとつ、お手柔らかに。
エロは少なめです…。
216215-1sage :2006/11/18(土) 00:21:37 ID:oN4VnQrY
───ストームガスト!!

可能な限り早口で唱えた、ストームガストが発動する。私の体が背筋が凍るような冷気に包まれる。
生者を本能的に襲おうとこちらに近づいてくるゾンビプリズナーやインジャスティスが、
その腐肉を凍てつかせ、破片をまき散らしながら形を為さなくなっていく。

私は油断無く吹雪に飛ばされる敵と接触しないように、敵とした存在以外を害することは決してない
魔法の吹雪の中で立ち回る。
程なくして吹雪が止み、感じていた冷気も消える。それと同時に、元々ぼろぼろだった体を更にぼろ
雑巾のようにした敵が崩れ落ちる。

「ふぅ…、そろそろ帰ろうか」

汗で額に張り付いた前髪をかきあげ、相方のハイプリーストに言う。

「はぁい。るりっち、お疲れ様ぁ☆」

薄暗い監獄の中で真っ赤に自己主張をしている法衣を身に纏ったハイプリが、脱力しそうな声で言う。

「あのな…『るりっち』はやめろと何度も言っているだろう。私はルリナだ」

本当に何度目になるか分からない指摘を、半ば投げやり気味になりながらも義務のように口に出す。

「ぇ〜、だってぇ、『るりっち』のが可愛いじゃない?」

「だってもへちまもない。可愛くなくていい。ちゃんと名前で呼べ。ケーナ」

「やだやだぁっ、あたしのこと『けーちゃん♪』って呼んでくれなかったら、あたしも
 るりっちのこと『るりっち』って呼ぶのやめないもんっ」

さすがにいい歳をして、人をちゃん付けで呼ぶなど、恥ずかしすぎてできるわけが無い。
これも何度も交わされた会話だ。

「む…やはり平行線か。とにかく帰るぞ」

「うんっ♪」

とびきりの、子供のような笑顔を見せながらケーナがワープポータルを開く。この笑顔のせいで、
ケーナにきつく怒ることができないのだと改めて自覚させられ、苦笑しながらポータルに飛び込む。



「ふむ…なるほど…」

プロンテラ戻った私達は収集品を売り払い、借家に引き上げた。私は愛用の安楽椅子に腰掛け、
読みかけの文献の続きを読む。薄めの辞書ほどの厚さのハードカバーの背表紙には、

『ゲフェニア文明の興亡』

とある。ゲフェニア文明とは遥か昔、現在とは比べ物にならない程魔法が発達していた
時代に栄えた文明だ。今までその所在を示す文献はあったものの全く見つからず、学会の中でも
眉唾物として扱われてきた。
しかし、最近になってその遺跡が発見され、調査団が何度も送り出されており、ゲフェニア文明の
研究が一気に進んだ。
この本はその調査団に参加した考古学者のうちの一人が出版した本だ。
魔術を志す者としては非常に興味深い内容が書かれている。

「るりっちぃ〜…」

視界の端にある赤い物体が何か音を発しているが、無視することにした。それよりも最近発見された
ゲフェニア文明遺跡からの出土品の考察が気になる。

「るりっちぃ〜…ひぃ〜まぁ〜…」

「ん…」

適当に相槌を打ちながら、続きを読みふける。

「どこかいこぉ〜よぉ〜…」

「あぁ…」

うるさいな。私は今、ゲフェニアで忙しいんだ。

「るりっち、ちゃんと聞いてる〜?」

「あぁ…うん、それで?」

魔術師なら、並列的な行動をすることなど、お手のものだ。適当に相槌を打ちつつ、本の内容を
自分なりに咀嚼するなど造作もない。

「あのさ、ゲフェニアいこっ、ゲフェニアっ♪」

「うむ…ゲフェニアはいいものだ」

「ほんとっ?じゃあ、いこっ!」
217215-2sage :2006/11/18(土) 00:22:18 ID:oN4VnQrY



何故私はここにいるのだろうか。手入れされず伸びっぱなしになり、鬱蒼と茂る草木から、
青臭いが漂ってくる。今にも腐り落ちそうな吊橋に、底が全く見えない谷間。
そして、辛うじて建物があったと思わせるような残骸が各所に点在している。
そう、つまりゲフェニアだ。
適当に相槌をしている内に、ここに来ることが決まってしまったらしい。
普段なら、即却下なところだ。何故なら…

マジッククラッシャー!!
──マジッククラッシャー!!
────マジッククラッシャー!!
──────マジッククラッシャー!!
────────マジッククラッシャー!!
──────────マジッククラッシャー!!

マ ジ ッ ク ク ラ ッ シ ャ ー ! !

「はぁっ…はぁっ…」

肩で息をしながら、マジッククラッシャーをフェイクエンジェルに連打する。
鬼のような形相をした天使が飛ぶ力を無くして地面に落ち、溶けるように消える。
ここに出る敵は、すこぶる魔法の効きが悪いのだ。そのせいで魔法に頼りすぎたゲフェニア
文明が滅びたとも言われている程で、そんなところに魔術師が前衛もなしに来ること自体が
そもそもの間違いなのだ。魔力よりも、杖を振り下ろす体力の消耗の方が激しい。
マジッククラッシャーは自分の魔力を直接ぶつけるので、印や詠唱、契約の儀式などは
必要なく、魔力を変換する際に少し集中しなければならない程度だ。
しかし、不可視の物理エネルギーを敵に発射する際に、杖、或いは短剣を振って
飛ばさなくてはならず、連発するとそれを振るだけでも体力の無い魔術師は疲れてくる。

───マグヌスエクソシズム!!

一瞬だけ、従者の天使を従えた大天使が召喚され、聖なる光がミニデモとインキュバスを
焼く。ここでの攻撃力はケーナの方が上だ。魔法の効き辛い悪魔にも、この破邪の魔法は
極めて有効だ。
悪魔たちは最期にわずかでも抵抗しようとするが、すぐに塵に還っていく。
しかし、マグヌスが効かない敵もいるわけで、さっきのフェイクエンジェルのように
かなりゴリ押しで、魔術師らしい知的な戦い方など欠片もあったものではない。

「ケーナ…」

意外なほど疲れている自分の声に自分で驚きつつ、ケーナを呼ぶ。

「なぁに? るりっち♪」

いつものやり取りをする気すら起きず、要件だけを口に出して伝える。

「そろそろ帰ろう。いい加減、私は疲れた」

「いいけどぉ…」

何か言いたそうにもじもじとしているケーナにまだ残りたい理由があるのだろうと察して、
聞いてみる。

「けど、なんだ?」

「あと1匹だけサキュバスさん倒してからでもい〜い?」

そうだった。ゲフェニアに来たのは、ケーナがサキュバスの角を欲しがっていたせいだ。
目的のものはまだ出ていない。中々出ないからこそ、価値が高いのだろうが。
聖職者のくせに悪魔の角をつけたがるなんて、私には全く理解できない。
しかし、ここでそれを却下しても、水掛け論になるだけだ。ケーナの性格的に、一旦折れて
おいた方が話が早い。

「分かった。あと1匹だけな。それ以上は蝶の羽を使ってでも私は帰るぞ」

「うん♪るりっち、大好きだよっ」

ケーナに抱きしめられ、幼い見た目には不釣合いな(羨ましい)大きさの胸が私の体に押し付けられる。
長い髪からシャンプーと甘い香水の香りが微かにただよってくるが、私にそっちの趣味はない。
至ってノーマルなはずだ。…男性経験はないが。

「分かったから抱きつくな。暑苦しい、疲れる、離れろ」

「むぅ〜」




───ストームガスト!!

───マグヌスエクソシズム!!

二人の魔法が同時に発動し、吹雪の中で聖なる光に焼かれるという、悪魔にとってはたまった
ものではない同時攻撃でサキュバスが倒れ、他のモンスター同様に溶けるように消える。

「何も…出なかったな」

「うん…しょぼーん…」

「約束は約束だ。帰るぞ」

「うん…また来ようね」

『お断りだ!』と思わず口に出そうになったが、そこは大人の対応。

「そのうちな。それじゃ、ポタを頼む」

「うん…あっ!るりっち、後ろ!」

「しまった…いつのまに…っ」

振り返ると、すぐそばまで別のサキュバスがこちらに向かってきている。私は素早く印を結んで、
魔術を発動させる。

───クァグマイア!!

サキュバスは瞬時に魔術で造られた泥濘に足を取られ、上手く動けなくなる。
その間に私はサキュバスとの間を取り、間髪入れずケーナの支援が入る。

───ブレッシング!!
───サフラギウム!!

───ユピテルサンダー!!

サフラギウムにより、魔法構築に補助が入り、本来よりも遥かに少ない詠唱で、最大威力の
ユピテルサンダーが発動する。
サキュバスに球電が当たり、茂みの向こうに吹き飛ばされる。しばらく待ち構えていたが、
戻って来る気配はない。どうやらこちらを見失ったようだ。

「ふぅ…危なかった。さてケーナ、帰え…」

「あ〜〜〜っ!」

こちらが言い終わる前にケーナが、サキュバスが吹き飛ばされた方を指差して、大きな声をあげた。

「どうした?」

示された方を見ても、敵の気配はない。

「これ…サキュバスさんの角だぁ♪」

駆け寄って地面に落ちているねじれた角を拾い上げ、子供のように喜ぶケーナ。
その姿を見て思わず頬が緩んだが、気になることがあった。

「おかしいな。倒してはいないはずなのに、なんでそれが落ちているのか…」

「そんなのど〜でもいいよぉ〜♪ わぁい」

欲しい物が手に入って、私の警戒心など全く意に介さず無邪気に喜ぶケーナ。
まぁ、仕方が無い。戻ってから調べることにしよう。どうせ怪しいから捨てろと言っても、
ケーナは絶対に聞き分けないだろう。
ただ気になるのは、魔術を放って吹き飛ばした時、サキュバスがこちらに向かってゾクっと
するほど妖艶な笑みを浮かべていたのがやけに印象に残っていた
218215-3sage :2006/11/18(土) 00:23:30 ID:oN4VnQrY



「さて、どうしたものか…」

散々駄々をこねるケーナをなんとか宥めすかし、角を借りてきた。元々ケーナの欲しがって
いたものなので、金銭など要求するまでもなく危険がないことを確認できれば、やるつもり
でいたが、

『二人で出したのだから、半分は私の物だ。半分ずつに
 することは出来ないから、代わりに研究に今日一日
 貸してくれたらケーナに残り半分はあげよう』

と言って、やっと渋々だが納得してくれた。だが、あの様子だと1日以上はどうやっても無理だ。
確かに角からは一定の周期で魔力が放射されてはいるものの、それは知り合いから借りてきた別の
角と並べて比べても殆ど大差はない。
形にも不信な点は見当たらず、角のねじれ具合も個体差の範囲内だ。
しかし、どうしても納得がいかない。倒してもいない魔物や悪魔がアイテムを、それも自分の
体の一部を落として行くなど、考えられない。
これの価値を知らない者などゲフェニア文明が広く知れ渡った現在ではまずいないし、それを
知った上で捨てて行くこともまずありえない。
知り合いの教授に調査を依頼しようかとも思ったが、時間が掛かりそうだし、私の杞憂で
済めばそれに越したことは無い。
私は最後に、自分の魔力を直接サキュバスの角に照射して、返ってきた魔力の残響を見てみる
ことにした。これで何も無ければ忘れよう。私は角に手のひらをかざし、目を閉じて集中する。


───
─────
───────

…何も不信な点は、ない。残響する魔力は一定周期で大きくなったり小さくなったりしているが、
それは角自体が放射する魔力の周期と一致する。

「考えすぎ、か…」

腑に落ちない点はあるものの、今出来ることはすべてやった。恐らく大丈夫だろう。
そう考え調査が終わったことをケーナの部屋に行って伝える。

「ほんとにっ!? ほんとにもういいの?」

満面の笑みを浮かべながら、何度も念を押すケーナに苦笑しながら言う。

「あぁ、もう調査は終わった。好きにしていいぞ」

文字通り飛び跳ねて喜ぶケーナにサキュバスの角を手渡す。

「んふふー♪ ねぇねぇるりっちぃ〜、似合う?」

サキュバスの角を頭に着けて、くるりと回転しながら聞いてくる。よく見ると、あどけない
顔で笑顔を浮かべ、小さな体に大人のメリハリがあるケーナの体には、サキュバスの角は
似合いすぎるほどよく似合っていた。
サキュバスはモデルのような長身の体型だが、ケーナが着けていると、まるでサキュバスの
子供のようだ。悪魔に子供が出来るのかどうかはさておいて。

「あぁ。とてもよく、似合っているぞ」

私が首肯して誉めると、瞳を輝かせて喜び、

「ありがとーっ♪ 友達にも見せてくるねっ」

早速友達にも見せに行くみたいだ。

「もう夜なんだから、早めに帰ってくるんだぞ。私は疲れたから、
 先に休むことにするよ」

当然、狩りや調査で疲れきっている私にはケーナに付き合う余力は無い。

「はぁーい。おやすみなさぁぁぁぃぃぃぃ…」

速度増加を自分に掛けて、加速しながら家を飛び出して行くケーナの後姿に、呆れながらも
微笑を送り、

「おやすみ、ケーナ」

と、聞こえていないだろうが、呟く。



「文献には何も無いな…」

私は寝るつもりでいたが、シャワーを浴びた後、ついついケーナに中断された文献の続きを
読みふけってしまっていた。
忘れようとは思ったが、角のことが気になって眠れなかったというのもある。
自分なりに納得のいく結論が出ればそこで終わりにするつもりではあったのだが、そこまで
辿り着けていない。
自分の興味を追及している時に眠くなったことなど、今まで殆ど無かったが、さすがに今日は
かなり疲れているらしく、睡魔が襲ってくる。

「ふあぁ…はぁ……ぁ」

誰も見ていないことをいいことに、大きな欠伸をひとつ。眠くなって瞼の下がってきた目を、
ごしごしと擦って本の続きを読む。
219215-4sage :2006/11/18(土) 00:24:11 ID:oN4VnQrY



「はぁ…ふぅ……」

熱い。寝苦しい。そう思ったことで、いつの間にか眠ってしまったことに気が付く。
しかし、おかしい。今は冬のはずなのに、熱い。
体の芯から、特にお腹の辺りが熱くて、その火照りが毒のように全身に回っていく感じがする。
何か、生理の前にくる火照りに似ている。
しかも、こう…股間の辺りがモゾモゾと…

「えっ、何!?」

私のあそこが誰かに触られているのに気づき、飛び起きる。

───ごん

「痛っ…」
「いったぁ〜い…」

鈍い音ともに、額に激痛が走る。だが、その痛みのおかげで、意識が完全に覚醒した。

「…ケーナ、どういうことだ。説明しろ」

額を抑えながら聞き覚えのある声の主を見ると、やはりケーナ。今回のはいたずらや冗談の
領域を遥かに越えている。火照る体を慰めたい生理的な欲求を理性で押さえつけ、私は
意図的に低い声で問い、ケーナを睨み付ける。

「あたしはるりっちが好きなの。だからエッチなことしたいの」

驚いた。長い間ケーナと共に過ごしていたが、そのような素振りは一度だって見せたことは無い。
ケーナに性的な悪戯をされた怒りよりも、ケーナの真意の方が気になってきた。私は極力冷静に
なってケーナに更に問う。

「私はノーマルなんだが。よしんば同好の志だったとしても、順序というものがあるだろう?
 何故寝込みを襲うようなことをする」

「今までずっと我慢してきたの。るりっちが普通なの、知ってたから…。でも、もう我慢できないの!
 …るりっちは、私のこと嫌い?」

と、いまいち要領を得ない返答。すがるような目でこちらを見つめるケーナに思わず情に流されそうに
なるが、それはお互いの為に良くない。例えここで私がケーナに体を許したとしても、それは偽善で
しかないからだ。

「嫌いなら、今の今まで、一緒にいないだろう? 好き嫌いで言えば好きだが、それは恋人の
 ようなものではなく、家族や親友に対するものと同じだ」

私は、ケーナに抱いている思いを正直に告げる。

「それじゃ嫌なの!」

声を荒げて、かぶりを振るケーナ。

「私はルリナが好き。愛してるの。ルリナが全部欲しい。それ以外何もいらない。誰にも渡したくない。
 私だけを見て欲しい、私だけを愛して欲しいの!」

久し振りに名前で呼ばれ、ドキリとした。同性と言えどここまで求められるのは、決して悪い気分ではない。
今まで相方として共に歩み、一緒に暮らしてきたケーナなら、なおさらだ。
しかし、私には恋人としてケーナを好きになるつもりはない。情に絆され後で裏切ることになるより、
今ここで傷ついた方がいい。

「残念だが、私はその気持ちに応えることはできない。すまない…ケーナ」

それを言ってしまったら、もう戻れない気がした。だが、ケーナの為にも
私の為にもこれでいい。それでケーナが相方を解消すると言うのなら、
それも仕方がない。

「…そっか。ルリナはどうしても…あたしのことを愛してはくれないんだね」

「そうじゃない。好きだからこそ、きちんと正直に言った方がいいと思ったんだ」

「ううん、いいの…。もう…いいの」

下を向きながら、今にも泣き出してしまいそうなか細い声で言うケーナ。
だが、恋人として愛せないのに、気休めを言って期待させても、返ってかわいそうだ。

「そうか…わかって…」

くれたのか。そう言おうと思った瞬間、ケーナが顔を上げて、私を見つめる。
目がすわっている。こんなケーナを見るのは初めてだ。まずい…

「もう…嫌われてもいいの。あたし、ルリナが欲しい…っ」

「んんっ…!」

キスされた。キスなんて当然、男ともしたことがない。ファーストキスだ。
混乱している私を余所に、ケーナは構わず舌を入れてくる。

『んっ…ちゅ…くちゅ…ぴちゃ……』

ランプの明かりだけが灯る薄暗い部屋の中で、二人の吐息と唾液が混ざり合う水音が響く。
舌と舌が擦れ合い、二人の唾液が混ざる。その音がする度に、頭の中が痺れそうになる。
そして、口の中が甘い。ただの唾液のはず。ただ、唇同士が触れ合うだけなのに。
ただそれだけのはずなのに、甘い。

「んっ…ふぅ…ケー……ナ……んちゅっ……」

私は自分の舌でケーナの舌を追い出そうとするが、ケーナは逆に私の舌を絡め取り、擦り、
舌で歯茎をなぞった上に、唾液といっしょに吸い上げ、それを嚥下していく。
それをされる度に、ゾクリと背筋を走る…快感。
同性とすることで感じるなんて、思ったこともなかった。認めたくない。だが、私の体は
正直に告げている。気持ちいい、と。

それでもまだ、ケーナのキスは続く。今まで我慢していた鬱憤を晴らすかのように。
いつのまにか私は抵抗をやめて、ケーナの成すがままになっていた。
抱きしめられて感じるケーナの体温、キスの合間に漏れる熱い吐息、そして、口を塞がれている
息苦しさでさえも快感に変わっていた。

「ふぅ……ルリナとキス、しちゃった…」

ようやくキスが終わり、ケーナと私の唇が銀色の糸で繋がれ、切れる。
頭がぼーっとする。キスをしたくらいでこんな風になってしまうのか。

「ふふ…、ルリナ、今とってもエッチな顔してるよ…? キスで感じちゃったの?」

妖しい色を瞳に浮かべて、ケーナが微笑む。

「誰の…せいだ……」

辛うじてそんな言葉を口に出すが、今のケーナの前でそんな強がりは通用しなかった。

「ルリナのエッチな顔も好きだよ…。もっと、あたしで感じて?」

そんなことを言いながら、ケーナの手が私のあそこに触れる。

「やめ…あぁっ…あぁぁぁぁっ!」

あそこに触れられた瞬間、背筋を電流のようなものが走り、視界が白く染まる。

「ルリナのエッチ。まだ、ほんのちょっとしか触ってないのに、もうイっちゃったんだね」

「あ…ぁ……」

これが、イクってことなのか…。独りでする時とは全然違う。気持ちいい。これを味わったら
もう、自分で止めるのは無理かもしれない…。

「気に入ったみたいだね…。いいよ。いっぱいイかせてあげる。ルリナのエッチな声、
 もっと聞かせて?」
220215-5sage :2006/11/18(土) 00:25:14 ID:oN4VnQrY




「はぁ…はぁ…ケーナぁ…ふあぁっ…あんっ…」

何回イったんだろう…。あれからずっとケーナにあそこや胸、首筋に耳に背中に脇腹にふともも、
お尻の穴でさえも弄られ続け、どこでもイってしまうようにされてしまった。
すでに夜が明け、空が白んでいる。
もう同性だとか、今までの私とケーナの関係などどうでもよくなってしまい、私の方からケーナを
求めるようになっている。

「ふふっ…ルリナって…ほんとは淫乱だったんだね。どれだけイっても、全然満足しないんだもん…。
 いいよ。淫乱でも、あたしはルリナを愛してるから…」

「ケーナぁ…ケーナぁぁっ…あっ…あぁぁっ! イク…またイクぅぅ…んっ…」

ケーナの頭には、昨日まではなかったサキュバスの角。
でも、もうそんなことはどうでもいい。
ケーナと、この身に与えられる快楽さえあれば…。

-終-
221215sage :2006/11/18(土) 00:27:00 ID:oN4VnQrY
こんな感じで。お目汚し失礼しました〜。

|ω・)ノシ
|彡サッ
222名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/18(土) 03:52:09 ID:jvmnqat6
-終-が-続-に見えた件。
いやホント続きお願いします(´¬`)

しかし最近のラッシュはすごいですね(*´Д`)
223名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/18(土) 20:58:25 ID:q/hvtChs
同じく-続-に見えたw
微妙に食い足りないので後日談があれば是非!
224レーニャとチェリムの人sage :2006/11/19(日) 10:10:33 ID:KMsYVmio
作品は来週までにあぷできるとおもひます。
チェリムをェロカワイク仕上げられたか、レーニャの百合百合な熱い想いを表現できたか心配ですが、そのときをお楽しみに。
226氏をはじめ、多く皆様のご声援まことにありがとうございます。

それと、>>221ぐっじょぶです。
WIZ娘はまいふぇいばりっとなので特に……
225名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/19(日) 18:15:43 ID:o7P.cjic
>>221
サキュバスイイヨイイヨー

>>224
うpとても楽しみに待ってますね!
226226たんsage :2006/11/19(日) 18:41:55 ID:xxsBuW3Q
今だ、226ゲットォォォォォォォ!!  いや、すみません。

現在、259の人の
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php?%BB%E4%A4%CE%B5%EF%A4%EB%BE%EC%BD%EA
↑のキャラ達を預かって三次創作を行っております。多分、今日中くらいにお持ちできます。

>>215
えちしーんの導入がとても良かったと思います、はぁはぁ。
もっと全貌を見せて欲しかったっ!!
227215sage :2006/11/19(日) 19:37:49 ID:BXK5GaBo
|゚、。)コソコソ…コンバンハ。

あれで終わりのつもりだったんですが、リクエストがあったので、
調子に乗って続き投下。短時間で書き上げたので、続きはしばらく
お待ちください。

|彡サッ
228215-6sage :2006/11/19(日) 19:38:06 ID:BXK5GaBo
「ほらぁルリナ、ちゃんと歩かないとバレちゃうよぉ?」

「あぅ…はぁっ……く…ぁ…」

「あはは、全然聞こえてないね。よっぽど気持ちいいのかな?」

私はあれから、ケーナの虜になってしまっている。与えられる快楽。それと引き換えに、
どんどん堕とされている。
でも、もうそれに抗うことなんて、出来ない。これさえ、この快楽さえあれば、
あとは何もいらない…。
ケーナは他の人に体を見せない為と言って、私の大事なところにピアスをしてしまった。
ラビアのピアスには鍵が掛けられ、その鍵はケーナが持っている。
乳首とクリトリスに着けられたピアスには、ネックレスに使うような細い鎖を通され、
繋がれている。歩く度に鍵が揺れ、鎖がピンっと伸ばされて、引っ張られる。

「ルリナ、あっち見てみなよ。マジシャンの女の子が、ルリナが何されてるのか
 気づいちゃったみたいだよぉ?」

「嘘…だっ…んっ…あぁっ…」

「そんなこと言って、ほんとは嬉しいんだよね? 見られてるって聞いた瞬間に、
 びくってなって、お汁が溢れてきたもん♪」

「そんな…ことっ…」

ない。とは言い切れない。ルリナに囁かれて感じてしまったのは事実だ。

「ない、なんて言わないよね、ルリナ?」

私の言いたいことを見透かしたケーナが、そう言いながら私の体を軽く抱きしめる。
当然、そんなことをされれば、服の中で鎖が引っ張られて…

「ひあぁぁっ!」

「だめじゃない、ルリナ。そんなエッチな声出したら、ほんとにバレちゃうよぉ?」

それとも、バラして見せ付けたいのかな? と笑いながら囁いてくる。
その提案に、それもいいなと思ってしまっている被虐的な自分に気づいて、
もう本当に戻れないところまで堕ちてしまったのだと、改めて自覚させられた。

「ほらぁ、感じてばっかりいないで、ちゃんと敵に集中してよねっ」

「ん…ぅ…」

そう言われて、ここが監獄なのだと思い出す。快楽で霞む視界の中、なんとか
敵を探し、ファイアウォールの魔法を詠唱する。

「ハイウィザードなんだから、ちゃんとしないと恥ずかしいよぉ?」

「ふぁぁっ…ファイア…ウォール!! …あっ…ん…」



229226たんsage :2006/11/20(月) 02:24:55 ID:uTueUVwc
完成。元ネタは259の人の「私の居る場所」(↓)
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki3/pukiwiki.php?%BB%E4%A4%CE%B5%EF%A4%EB%BE%EC%BD%EA
読んでからじゃないといろいろとわからないと思います!
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―私の居たい場所〜私の居る場所、三次創作


「どうぞ、散らかってますけど」
 そう言って私を部屋へ迎え入れる女性。黄昏時の宿を頼りなく照らす明かりの中でも、長く背まで伸びた黒髪は艶を失わない。着ている服は冒険者向けのシルクローブ。確かに彼女の黒髪によく似合っているのだが、『普通の服』と言ってロッダフロッグカードを差した装備品を着てくるのは、実用主義が過ぎないだろうか。彼女が言うには、ハイプリーストの法衣の隣を、街娘のような格好では歩けないのだそうだが。
「それじゃ、お邪魔するわね」
 私が扉を潜り終えるまで、戸を支えて待っていてくれる。私が歩いて彼女の隣を過ぎたところで、彼女はにっこりと笑って、部屋の戸を閉めた。
「騎士団で教わるの?」
「え? 何がです」
「ううん、何でもないわ。有難う」
 目の前の彼女は、装いは軽いがロードナイト。騎士団で礼節でも叩き込まれているのだろうか、と思ったが、良く考えてみればナイトが皆こうではないし、彼女はナイトでなくともこうだろう。つまり、彼女の人柄だ。
「とりあえず、お茶にしましょうか。ネネコさん」


「おいしいですね」
 淹れてもらったお茶を飲んでいると、彼女がそう言った。ちょうど私も同じようなことを言おうとした、そんなタイミングだったので、きょとんとした顔を見せてしまう。そもそも普通、ご馳走する側が『おいしいですね』とは言わないものだ。なのにそれを嫌味なく言ってのけるのが、彼女の魅力なのだろう。
「そうね、アリサ。おいしいわ」
 なので、私は恥ずかしくない精一杯の笑顔で、そう答えた。お茶はここの宿屋で出される雑品と違い、本当に美味しい。黄ハーブをブレンドしたヒナレ茶だろう、落ち着きのある味だった。一緒に出されたクッキーも、甘さが抑え目で、私の好みに合っていた。
「って言っても、実はお茶のことなんてよく知らないんですけどね。ネネコさんに呆れられたらどうしようって思って、お店の人にいろいろ聞いて」
「私だってそんなお上品な人じゃないわ。アリサも知ってるでしょうに」
「でも、なんだか楽しいんですよ。ネネコさんと飲むお茶を選ぶと思うと」
 ダメだ。この子は素で言っているのか、私を悶えさせる為に言っているのか解らない。たぶん素なのだろうけど。慣れない専門店でうんうん言いながら、両手の茶葉の包みを見比べているアリサなんか思い浮かべたら最後、私の頬なんて緩みっぱなしになるに決まっている。
「ありがとう、本当においしいわよ」
「よかった。困ったんですよ、あんなに種類があるなんて思わなくって。何書いてあるのかもさっぱりで」
 そうだろうなと思う。冒険者なんて得てして、そうした趣味とは無縁なものだ。私はきっと、アリサが淹れてくれたお茶なら、どんなものでも美味しく感じてしまうのだろうが……せっかく頑張って選んでくれたアリサに悪いので、それは黙っておいた。
「アリサ、今日はありがとう。デートに誘ってもらった上、素敵なお茶までご馳走してもらっちゃって」
「私こそ、今日は楽しかったです。無理言って部屋まで付き合ってもらってなんですけど、今もすごく嬉しい」
 ああ、どうしてこの子は、こんなに笑顔が素敵なんだろう。なのにどうして私は、こんなに嬉しくって楽しいのに……少し不機嫌そうな顔を作ってしまうんだろう。プライド、かな。今までハイプリーストとして、他人との距離も縮めようとせずに、格好ばかり付けていたせい。アリサが言うところの、壁。
「私もよ、アリサ。今度は私が誘うわね」
 恥ずかしいかも知れないレベルで、思いっきり笑顔をやってみた。今のところ……いや、向こう一年、もしかしたら一生――この顔は、アリサ専用だ。

「……ところで、アリサ。お姉さんは?」
 部屋に招かれた時から胸にあった疑問を投げかけてみる。本当ならあまり話したくない話題なのだけれど。
「アイシャさんなら、今日は帰りませんよ」
「あら」
 アリサには姉がいる。それも相当質の悪いお姉さまが。アリサが実の姉であるアイシャさんのことを名前で呼んでいるのは、アイシャさん本人の言い付けのせい。アイシャさんは重度のシスコンで、人前でアリサとべたべたするために、姉妹であることを隠すようアリサに言い付けている。そのくせ、二人きりのときはお姉さまと呼ばされるそうだ。
「投げナイフの買出しにアサシンギルドまで行ってます、モロクで一泊して帰るみたいで。誘われたんですけど、断っちゃいました、荷物持ちも癪ですし」
「なるほどね」
「どうしたんですか?」
「私を部屋に誘ったのは、そういうことだったんだなって」
 紅茶のカップを口元へ運んでいた姿勢のまま、アリサが固まった。カップをそっとテーブルへ戻す。持ち上げて口元まで運んだのに、結局口をつけていない。
「そ、そういうことって」
「結構強引だったわよ、アリサ。今日は絶対泊まってもらいます、って」
「そ、それは」
「私だけベッドに座らせたのも、そうなのね。椅子は二脚あるのに」
 小テーブルを挟んで、アリサは椅子、私はベッドに座っているのだ。誘ったのはともかく、私がここに座ったのは自分からだったと思うが、この際それはどうでもいい。赤くなって必死に言葉を探すアリサが可愛くて、つい悪戯心が芽生えてしまう。
「このお布団、アリサの匂いがするわ。わざとここに座らせたんでしょう、アリサったら」
「え、ええっ? そんなんじゃないですったら」
「いい匂いよ」
 アリサの布団にうつ伏せになって、身体の力を抜く。冗談でやっていたのだが、本当にいい匂いがして、気持ちがいい。目を閉じて息を吸い込みたい衝動が頭をもたげるが、さすがにそこまでやってしまっては変態になってしまう。
 そこで不意に、ベッドが軋む音を立てた。不意にと言うよりは、予想した通りに、一人分の重量が新たに加わったのだ。
「ネネコさん、私、我慢できなくなりますよ――?」
「そう、それじゃ……言ってみようかしら。――アリサ、好きよ」
 アリサに顔を向けてそう言うと、滑り込むようにアリサの顔が迫って来て、キスをされた。唇の狙いは、びっくりするほど正確で、音も無いほど静かだった。

230226たんsage :2006/11/20(月) 02:26:41 ID:uTueUVwc
「私も大好きです。だから、そんな顔されたら、止まれませんよ?」
「どうせ、最初からそのつもりだったんでしょう」
 そう、初めて身体を重ねたあの日、私たちは恋人同士になったはずだ。迷惑なお姉さまのせいで、こうして二度目のデートをするまでに、曜日が一巡してしまうほどの間が開いてしまったが。
「ネネコさんこそ、そんな感じでしたよ」
「それはね。ずっとお預けだったものだから」
 少しだけ恨めしそうな素振りで言ってやった。私の幼稚なお誘い、解っているだろうにそれにことごとく乗ってくれるアリサは、肌触りの良いローブ姿のまま身を寄せてくれた。
「ネネコさん、顔赤い。お酒は飲まなかったと思うんですけど」
「明かりのせい、よ。それよりアリサ、貴女こそ目がちょっと変よ」
「はい、興奮してるかも。嬉しくて仕方なくて」
 手で上半身を支えて私を覗き込む姿勢、衝いた両手で私の肩を挟む形。唾を飲み込んだのか、アリサの喉が小さく動いたのが見えた。熱っぽい瞳で覗き込まれると、その熱が私の身体に染み込んでいく。
「忘れてたけど、シャワーがまだよ、アリサ」
「後にしましょう、どうせ汚れちゃうんですから。言ったじゃないですか、止まれませんよ」
「な……」
 あっけらかんと、とてつもないことを言ってくれた。まともに言葉を返せないうちに、再度唇を奪われてしまう。ああ、キスというものは、相手の反論をうやむやにするために最高の効果があるらしい。アリサに唇を塞がれてしまえば、喋れないだけでなく、他が何もかもどうでも良くなってしまうのだった。

 ふかふかの掛け布団の上に組み敷かれた形のまま、長いキスを楽しんでいた。どれくらいの間だったかはよく解らない。どうやら、部屋のドアを潜ったときに、時間の感覚を綺麗さっぱり置き忘れて来たらしい。交互に互いの舌を突き出して、押しては引き、引いては押してを繰り返して、舌で唾液を掬い取って自分の口に移そうとする。物足りなくなって、二人ともが互いの舌を迎えようとするものだから、終いには舌同士の深いところでがっちりと絡み合うようになっていた。
 布団と私の間に、まるで体重なんか無いみたいにして、するりとアリサの手が入ってくる。前回した時も思ったことだが、武芸者だからなのだろうか、アリサは身体の使い方がとても上手い。私も真似をして、アリサの肩を両腕で抱いてみると、手の甲をさらさらした髪に撫でられた。キスをしたまま身動ぎをすると、右へ左へとくすぐられるのが解る。アリサの黒髪の感触と意識すると、私は瞬きしてから目を閉じて、さらにアリサの唇に夢中になっていった。
「……大丈夫ですか?」
「そう、見える?」
 答えた声は自分でも赤面するくらい甘くて、何かの演技に見られやしないかと不安になった。
「あんまり、見えませんね」
 鼓動はどうかしているほど早く、口腔の甘い残滓が私を酔わせている。キスをしただけだというのに、いや、だからこそ切なくて、もどかしくてたまらない。今まで男性と恋愛をして抱かれたことはあったけれど、こんな気持ちになったことはなかった。アリサのキスはとても上手くて、でもそれだけではなく――。
 私はやっぱり男より女が好きで、それどころか――いい歳をしながら、目の前の黒髪のロードナイトに、恋をしてしまっているらしい。
「アリサ、好き。……したいんだけど、いいかしら」
「私も、我慢できない。――ネネコさん、好きです」

231226たんsage :2006/11/20(月) 02:26:53 ID:uTueUVwc
「ねえ、アリサ。今日は、私からしてもいい?」
「はい。……、え?」
 アリサは目を丸くしている。さぞ意外なのだろうと思う。言っている当の私ですら、こんな言葉が自分の口から出ることが不思議なのだから。単に、アリサに全部任せてしまうのも、自分だけこれ以上おかしな気分にされてしまうのも、何だか癪だったのだ。更に、既にショーツの中に湿り気を感じていて、それをむざむざ見せるのも悔しいからだ。
「駄目かしら」
「も、もちろんいいですけど、どうしたんですか?」
「今日のお礼がしたいの」
 驚きを隠せないままのアリサの身体に、腕で横へ力を加える。軽く力を入れただけなのに、私より少しだけ背の高い身体は滑らかに私の下に滑り込んできて、体勢がさっきの反対になった。シルク生地が肌に擦れて気持ちがいい。アリサの上に軽く体重をかけると、滑らかな生地の向こうから熱を感じた。
 自分からすると言ってみたものの、どうしたら良いのかまるで解っていない。ローブ姿のアリサを組み敷いて、アリサの腰からお腹、腋、腕と撫でていく。絹の向こうは柔らかいけれど、その更に向こうはしなやか。この綺麗な腕から、強大なモンスターと切り結ぶ力が出るのかと思うと、少しだけ創造主を讃えたくなる。
 柔らかい布地を押し上げる二つの膨らみが、じっと見ないようにしているのに視界から離れない。何故かとてもそこに触れたくなっているのに、恥ずかしいので我慢して息を飲み込む。アリサは私の顔を見つめているけれど、私は恥ずかしくて見られない。
 そうしてアリサの身体を撫でている私の手に、アリサの手が重なった。そのまま手を掴まれ、思わずアリサを見ると、笑っていた。――掌に柔らかい感触。
「アリサ……っ」
「だって、ネネコさん、意地悪なんですもん」
 過剰に柔らかいシルク生地越しに、レースの凹凸が感じられる。柔らかい膨らみを、私の右手が押すように包んでいた。アリサの左手が上から押さえ付けているそこから、速くなっているらしいアリサの鼓動が伝わってくる。
「意地悪なんて、してないわ……、第一、意地悪だったのは、アリサじゃない」
 服とブラの上から、大きな円を描いて揉んであげると、私の手の甲に重ねられた掌は離れた。結局、アリサにリードされている。何だか悔しくて、左手も左胸に乗せてやった。
 こうして仰向けに寝ても、アリサの胸は潰れることなく上を向いていた。胸筋がしっかりしているからなのか、大きさは同じくらいでも自分はこうは行かないのではないかと思う。羨ましいけど妬ましくはなかった。
「ん……、もっと、好きにしても、いいんですよ」
 妬ましくないのはきっと、私がアリサの恋人になったと思えるようになったからだ。だって、アリサの肌も胸も、全部私の物なんだから。妬むどころか、自慢したいんだ、きっと。
 全然そんな風に思っていなかったけれど、もしかすると私は独占欲が強いタイプなのかもしれない。
 『アリサの恋人』としての自分に無理矢理自信を持つことにして、鷲掴みにして揉んでみる。きっとアリサにとっても恥ずかしい揉み方に違いない。
「んふ……ネネコさん、かわいい」
「な、なな、何が、よ」
「ううん、何でもないです」
 そうしてアリサに人懐っこく笑われると、どうにも弱い。かわいいのも意地悪なのも、絶対アリサの方だ。
 アリサが背を逸らして胸を持ち上げ、私を見ている。ブラを外して欲しいということだろう、先程から余程焦れったい思いをさせているらしい。アリサのシルクローブは二枚になっており、ワンピースの上にゆったりした服を羽織っているような形だ。先に脱がせたほうがいいのだろうか。
「ネネコさん、袖からできますよ」
 言われてみれば袖口が広く、そこから手が入る。右手をアリサの服の中に入れて、アリサの背中に触れながら、背に結ばれたホックを見つける。
「アリサ、暑い?」
「いいえ? もしかして、汗かいてましたか」
「これ、外すわね」
 右手でホックを外すと、左手で服の上からブラを摘んで、カップを剥がす。そのまま右手で、するすると引き抜いていく。アリサが引っかからないように身体を動かしてくれたお陰で、苦労せずに袖から可愛らしいブラジャーを引っ張り出せた。
 ブラを汚さないようにテーブルに置いて、アリサの胸にもう一度掌を被せた。私を散々惑わせた今までの感触も、実は全然氷山の一角で――グラストヘイムに喩えるなら、門の前でプティットと追いかけっこをしていた程度のものだったらしく。厚い布のカップを取り除いたアリサの胸は、とてつもなく衝撃的な感触だった。グラストヘイムに喩えるなら、スティングに渾身のデコピンをされたくらい。
「…………」
「んぅっ……、どうしたんですか?」
 呆けてアリサの乳房を揉んでいると、心配そうに声を掛けられてしまった。私がどんな顔をしていたのかは考えたくない。滑らかな布地越しに触れる二つの膨らみは、私の精神に深刻な変調をもたらすらしい。以前にしたときも触らせてもらう機会はあった。あったけれど、こんなくらくらするような思いはなかったはずだ。
「ぁ……アリサ、ねぇ……」
「はぁ……は、はい」
「好き、アリサ……大好きよ」
 『好き』と口に出さずに居られない。正直言って、自分でもヤバいんじゃないかと思うほど、私はアリサに夢中になっていた。アリサの胸の柔らかさ、布地越しに触れる小さな硬い感触、私の手の動きに合わせて漏れる甘い吐息。そのどれもが私を、頭の後ろがジンジンと痛いくらい、夢中にさせる。もう私は、まともじゃない、ちょっとアブない人になっている気がする。
「ネネコさん……、ネネコさんてば」
「……あ、な、なにかしら」
「私も大好きです、ネネコさん」
 ごくりと喉が鳴ってしまったが、飲み込むほど唾は無かった。さっきお茶を飲んだのに、喉がカラカラだ。実は、何か一服盛られたんじゃないかと思うほど――トリップに近いくらい、アリサに狂ってしまっている。
 そんなことをしたら不味い、そうわかってはいるのに、たまらなくなった私はアリサにキスをしてしまった。
 喉の渇きを癒すために、アリサの唾液を吸って、遠慮なく飲む。頭はそれなりに明晰で、自分のしていることが理解できてしまって、余計に大変なことになる。アリサの唾を美味しいと感じている自分に驚く。
「んっ……ネネコさんって、焦らすのも、好きなんですね」
「も、って何よ」
「あは、いいですよ。んふぅ……私も、好きですから。……きゃふっ!?」
 布越しに両方の乳首を、両手の親指と人差し指で摘んであげた。要するにアリサは、私が焦らされるのも好きだと言いたいらしい。無性に苛めたくなって、摘んだ指を緩めて、シルクの布地で擦ってやる。きっとこれも、アリサの思うようにさせられているのだと思うけれど。
「あっ、ぁ、んくぅ……」
「面白いわ、こうするとむくむく膨らんでくるのね。どこまで膨れるかしら」
 私の指でアリサが感じて、可愛らしく鳴いて、乳首を硬くしている。頭の中をそればかりがぐるぐる廻って、もっとぷっくりさせることしか考えられなくなる。
「ひゃ……っはぅん……ぁ、ふあ」
 どうやらアリサは、この布地の感触が大層お気に入りらしい。執拗に繰り返していると、だんだんアリサの肩や腕が、ぷるぷる震え始めた。身を以って覚えがある、焦れったくて胸やあそこが疼きまくっている時だ。それと一緒に思い出して、爪の先で布越しに乳首を引っ掻いてあげた。
「くぁっ、ネネコさん……それっ、ダメっ――ぁ、あっ、くふぅっ」
「はぁ……すごいわよアリサ。服の上からでもはっきりわかるわ……」
 言葉を裏付けるように、アリサが動いても狙いを外さずに、爪でひたすら擦り続ける。引っ掻いて、押して、転がして、たまに摘んで。自分がこうされた時は、そう――。
「ぁ、ひぁう、ネネコさぁんっ、ひぅぅっ」
「立ってるわね、これ。……もう下も、疼いてたまらないんじゃないかしら」
「そ、そんなことっ、くぁ……っ」
「そんなこと、あるわよね」
「ぁ……、だ、って、ぇ……」
 そう。
 こんな風に、弱々しくなってしまったのだった。

232226たんsage :2006/11/20(月) 02:27:40 ID:uTueUVwc
「――いつから、こんなに濡らしてたのよ」
「わ、わかりませんってば」
 アリサの脚からショーツを抜き取る。べっとりと染みが付いたそれを、テーブルの上に重ねる。濡れていることをあげつらって言う人は、デリカシーがないと思っていたけれど、考えを改めた。こんなのを見せられたら、どうしても言いたくなる。
「だって、まだキスして胸触っただけなのよ。相当我慢させちゃったかしら」
 実を言うと自分も相当なことになっているのが解るのだけれど、それは隠しておく。あのアリサをこうして苛められる機会、存分に活用したかった。
 同性だからこそ、こんな風になっている時はどんな気持ちかよくわかる。だから早く触れてあげたいし、もっと我慢させて苛めたくもある。
「もう。こんなにしてたら触れないし、乾くまで待とうかしら」
「え、やっ……ネネコ、さん、あの……っ」
 腿をもじもじさせて、私の顔と自分の脚の間を見比べようとして、慌てて私の顔を見つめるアリサ。瞳は泣き腫らしたみたいに潤んでいる。腿は閉じようとするものの、閉じたら触ってもらえないと思っているらしく、おずおずと開く。アリサの仕草一つ一つが、味わったことのない甘い興奮を、こつこつと私に植えていく。
「どうしたの?」
「や、ホント、焦らさないで……私、もう」
「焦らすって、何のことかしら」
 本当は今すぐ触ってあげて、アリサの可愛い声を聞かせてもらいたいのだけれど。我慢して意地悪を言ってみせる。アリサにされた意地悪のお返しのつもりだった。
「はぁっん、ネネコさぁん……お願い、です」
 アリサの右手が、おずおずとローブの裾の中に沈められていく。
「なあにアリサ、自分でしちゃうの?」
「だって、ネネコさんが、して、くれないから……っあぁん」
「しょうがないわね……してあげる、わよ」
 アリサの様子に満足した私は、アリサの手を退けると、半身で覆い被さるように左隣に横になった。右手を伸ばしてローブの裾を潜り、アリサの中心を探る。腿まで湿らせて欲求不満を訴えているらしい器官を見つけて、アリサが動いても外れないように、掌の底の部分をアリサの茂みの上に宛がった。自分以外の女性器を触るのは、生まれてからまだ二度目だ。
「ふひゃっ、はぁっ、ん、ネネコさぁん……」
「な、何よ。まだ、手、当てただけじゃない」
「ふぁっ、ダメ、触ってるだけで、気持ち、いいんで、す、っ」
 嘘ではなく、私を見つめる瞳が快感に染まっているのがわかる。そんなアリサが、どうにも可愛くて仕方がない。あまり苛めても可哀想なので、包皮の上から蕾に触れてあげる。優しく叩くようにする度にアリサの腰が跳ね回り、狙いが中々定まらない。
「ひぁうんっ! やっ、ちょっ、ダメで、っふぁうっ!?」
 そうしてノックするだけでアリサの身体が面白いように跳ね回る。自分で自分に同じように触れたときだって、今のアリサほど感じることはなかった。つまり今のアリサは、私が今までにしたどんな自慰行為よりも、気持ちよくなってしまうのだ。私が、アリサをそんな風にさせたのだ。熱いのか冷たいのかもわからない何かが、噴出するように背筋を昇って、私の頭の中を染め上げていくのを感じた。訳もわからず気が逸って、心臓が爆発しそうになる。
「ね、ねぇ、アリサ……気持ちいい? 気持ちいいのよ、ね」
「だ、ダメぇっ、きもち、よすぎっ、ネネコさぁんっ!」
 アリサが性感に飲み込まれていくのに合わせて、私も違う何かに飲み込まれていく。アリサが好きで、アリサが欲しい、苛めたい、可愛がりたい。愛情という名のラベルのついた、強烈な欲望。煮えたように熱いそれは、水飴みたいにとろりと甘くて、私を飲み込んで溶かしていった。

 もっと気持ちよくなって欲しい一心で、アリサの割れ目を探り、中指を一本つるりと潜り込ませる。
「――っくあぁっ!?」
 一本だけの指をゆっくり前後させて、溢れ出ているアリサの蜜液を指にまぶしていく。充分に濡れたら、少しずつ根元まで挿し入れていった。かくれんぼの鬼が数を数えるような、ゆったりとしたテンポで、指を曲げるのを繰り返す。
 ――5、6、7、
「はぁっ……ふぅぅぅっ……」
 ――8、9、10……。
「はぁぁぁぁあ……んくぅぅぅっ」
 大きな動きで、今までよりもゆっくりと。
 ――もう、いい、かい、?
「ひぅぅ……ん、っく、ふはぁぁぁ……」
 どうやら、まだらしい。このやり方は、せっかちな私が、一人遊びで間を取るために考えた方法。ゆっくり数字を数えてから、身体の様子を観察して、身体が『まーだだよ』と言っていたら、もう一度。身体が本当に我慢できなくなるまで、粘って楽しめるようにするやり方だった。普段あまり自慰をしない私は、こうでもしないとうまくコントロールができないのだ。
 ――9、10……もう、いい、かい?
「かっ、ふ、ひぅぅ……っ、はぁ、はぁっ、ん……っ」
 『まぁ、だだ、よ』。アリサの身体はそう言っているようだった。喘ぎを漏らすのに混ざって、歯がかちかち当たる音が聞こえてくる。とても気持ちよさそうだけれど、アリサはもっと感じられると思った。
 ――8、9、10……。
「ひっ、かふっ、んっく……ネネコ、さぁぁんっ」
「どうしたの……?」
 ――もう、いい、かい、?……指が抜けそうになるほどの大きな動きで、問いかけてみた。
「やぁぁぁっ、ダメ、ダメぇぇっ、んっく、っはぁぁぁっ」
 『もう、いい、よ』。思ったよりも早く、OKの返事が返ってきた。アリサは足をベッドに衝いて、膝を暴れさせていた。ブリッジをするように腰は浮き上がり、大きく震えている。このくらいが限界だと思い、薬指を一緒に挿し入れる。身を起こして、左手の人差し指と中指で、すっかり膨れた蕾を撫でてあげる。咲き掛けの蕾は、皮をつんと持ち上げていた。
「ふあっ、ひ……っ、くっ、ん、ひっ、くぅぅぅ――!」
 腰を持ち上げた姿勢のまま、アリサの脚が引きつったのが見える。ガクガクと擬音が耳に聞こえた気がしたほど、アリサは激しく達した。


「はぁ……っ、はぁ、ふぅ……ネネコさん」
「なあに、アリサ」
「気持ち、よかった、です」
 馬鹿な話。私はそんなことを言われて、心の底から嬉しくなってしまっているのだ。余韻を楽しませてあげたくて、中の指を優しく蠢かせる。
「ん……ネネコさん、前より全然上手で、びっくりしました」
「別に、してみようと思ってたことしか、してないわよ」
「ネネコさん、一人でするときってあんな感じなんですね。意外にマニアックでしたよ」
 いつものにこにこ顔で、アリサは唐突に、そんなことを言い出した。あまりの言い分に、言われたことを脳が認識するまでに一瞬のラグがあった。
「だってネネコさん、女同士はこの間ので初めてですよね。一人エッチの仕方しか知らないはずじゃないですか?」
「な、そんな、こと」
「私のこと、気持ちよくさせようとしてくれて、自分がした時に一番気持ちよかった方法でしてくれたんですよね?」
「――っ」
 すぐに否定できなかった。言い淀んでしまった時点でお終い、もう何を言っても説得力はない。そして確かに、アリサの言う通り、私は自分のオナニーを反芻してアリサを愛撫していた。意味に気付いて愕然とした、私はアリサ相手に『自分はこれこれこういうオナニーが大好きです』と実演して見せていたことになる。私の顔はきっと、赤面を通り越して蒼白になってしまっていた。
「ネネコさん、すごくかわいい。私のことしながら、かなり来ちゃってますよね、もう」
「ち、ちが……」
「嘘つくときの顔、ネネコさんはわかりやすいですよ」
 そんなにバレバレだったろうか、とはっとして見せて、気付いた。今私は、嘘ついてましたとアリサに教えてしまったことになる。もう嫌になる、何から何まで、アリサの手玉だ。
「ネネコさん、大好き。最高です」
 耳元でそう囁いて、私の動きを止めたアリサは、いつの間にか寝そべった私を見下ろしていた。掌が太腿に当てられている。アリサにかかってしまえば、私のように『私からさせて』なんて恥ずかしいセリフは、言う必要もないらしい。
「アリサ、大好きだけど……最低よ、貴女」
「そうかも、しれませんね」
 私の脚を滑るみたいにして、とっくに緩み切ってしまっている秘唇を確認するみたいに、アリサの指が踊る。熱と湿り気だけ確認すると、すぐにその手は抜き取られてしまった。もう諦めている、どうせアリサのことだ、素直にはしてくれるはずがないのだから。きっと私が、もう駄目になるくらい、気持ちよくさせられてしまうのだから。
「でも、こんなかわいいネネコさんが大好き」
「残念だわ――私も、やっぱりアリサが好きよ」


233226たんsage :2006/11/20(月) 02:28:14 ID:uTueUVwc
「……はぁ……ん、っく、あ……っ!」
 アリサが達する声を聞きながら、自分の秘所をまさぐり、壁に尻を押し付けて静かに震えた。軽く達した時に得られる、口当たりの良い快楽に震えながら、緩い刺激を自らに送り続ける。
「は、ぁ……ん」
「――気持ちよくさせようとしてくれて、自分がした時に一番気持ちよかった方法でしてくれたんですよね?」
 耳に細く、アリサがネネコちゃんを嬲る言葉が聞こえる。我が妹ながら露骨な苛め方をする、傍で聞いている私までが気恥ずかしさに震える。それが心地良くて、自分の秘所を弄る手が止められない。

「――はぁぁ……ふぅ……」
 アリサの部屋のクローゼット。観音開きの木扉で部屋から区切られたその空間に、私はいる。扉の合わせ目を覗くと、ベッドの端が覗ける。どうやら、アリサが責めに回って、まだまだ続けるつもりらしい。
「ネネコさん、自分でどれだけ濡れてるかって、わかります?」
「普段はあんまり、だけど、今はわかるわ……」
「責めてるだけでこんなにして、切なかったんじゃないんですか」
 アリサ達に聞こえないように歯軋りをする。このクローゼットはベッドのすぐ近くだから、アリサ達の話は嫌でも聞こえてくるのだ。
 アサシンの私は、ベナムナイフの買出しにモロクへ行くつもりでいた。ところが、宿の近くの露店商がまとまった数のナイフを販売していたので、渡りに船とそれを利用することにした。モロクまで行く目的はアリサと旅行がしたかったからであって、断られたならわざわざ行かなくてもいい。カプラ倉庫にナイフを預けて、合鍵をもらっているアリサの部屋をゆっくり物色していたところ――こともあろうに、我が最愛の妹は、彼女連れで帰って来たのだった。
「ね、ねえ……アリサ、胸元が苦しいのだけど」
「いいですよ。触って欲しいなら、ブラ取っても」
 慌てて部屋のクローゼットに隠れて、出るに出られなくなってしまったという経歴であった。確かに私はシスコンだけど、何故か衣装室に隠れて、妹のエッチを覗いて、不毛な行為に耽っていた姉という経歴は致命的すぎる。飛び出してあの生臭プリを亡き者にしてやりたいのは山々だけど、アリサに嫌われるのは嫌だった。幸か不幸か、修行をサボっていた私ではハイプリーストは倒せない。
「――ふぁっ、くぅっ……」
「ネネコさん、本当に好きですよね、胸されるの」
 ネネコちゃんに嫉妬しても始まらないとわかってはいる。わかってはいるのだけど、妬ましかった。
 二人の声に背中を押され、自分で胸を触ってみる。アサシンのコスチュームの下にブラはしていない。服の底をずらして露にしていた秘所は、そっと元通りに隠しておいた。
「ア、アリサっ、貴女また……!」
「いいじゃないですか、好きですよね? 服の上から乳首こするの」
「ふぁ、ん、くぅん」
 ネネコちゃんの嬌声を聞きながら、アリサにされているのを想像して、ぴったりとした布地の上から両方の乳首を擦る。扉の合わせ目から二人を覗き、アリサがしている触り方を真似る。アリサは背中越しにネネコちゃんを抱いて、両胸の先端に人差し指の先で様々な攻撃を加えているようだ。
「は……っ、ふ、はぁ」
「好きだから、私にもしてくれたんですよね?」
 アリサの指を食い入るように見つめ、自分の乳首を転がし、揉み、掻く。自分でするならとっくにたまらなくなってやめているか、もどかしくなって下に触れてしまうかという愛撫。私とネネコちゃんの上体がくねり出す。アリサも人が悪い、こんなことを続けられて正気でいられる女なんか、居ない。
「ふぁ、っ、くぅ、アリサ、ぁっ、もう……っ」
「もうおねだりしちゃうんですか?」
「っち、ちがっ……ぁ、い、いいえ、そうよ……悪い?」
 ネネコちゃんの気持ちも良くわかる。特に私は声を出すわけにいかないので、喉を切ない息が掠れて、くすぐるのだ。このままアリサの思うようにされるくらいなら、早々に音を上げてしまった方が賢いのだろう。
「ダメです。ネネコさんがしてくれたくらい、ここをびんびんにさせてからですよ」
「くぁっ……ちょっと、アリサ、ぁっ」
「もう、苦しそうなくらいになっちゃってますけどね」
 アリサに言われて、今擦っている所が腫れ上がったみたいに膨らんでいることに気付く。本当にこの狭い部屋をアリサに見られているような気がして、焦燥と興奮の波に、意識が持っていかれそうになる。訳もなく落ち着かなくて、じっとしていられない。
「ネネコさん、洗濯は私がしますから、許してくださいね」
「え? ……ひっ、あぁんっ!? や、やぁぁっ!?」
 何をしたのだろうと思って覗き込むと、アリサは法衣の上からネネコちゃんのおっぱいに口をつけているらしかった。私の胸に火が灯る。欲望と嫉妬が混ざった熱が急に水位を上げる。見たくない光景なのに、目が離せなくて、一人で真似することもできない。服の上から乳首を噛み、吸い上げているらしきアリサと、戸惑いと悦びで泣き叫ぶネネコちゃんを見つめる。
 どれくらいの時間か全くわからなかったけど、しばらくアリサはネネコちゃんの胸を味わって、反対側に口を付けた。
「いや、アリサぁ、染みになってる……ふあぁっ」
 染み、つまりアリサの唾液の染み。想像してしまうと止まらなかった。私の胸の先をアリサが愛しそうに吸って、唇を離すと細い糸が引いて、私のアサシンのコスチュームの、胸の先に色の変わった部分ができる。想像したら腕と膝が震えだした。物音を立てないよう、そっと壁を背に体重を支える。麻薬じみたその想像は、私のすぐ側で実際に行われている。なのに――アリサの相手は、私ではないのだ。
「はぁっ、くふ、ん、はふぅ」
「ちょっと歯を立てるとぴくって震えるんですね。すごく可愛いです、ネネコさん」
 『ネネコさん』。そう聞こえたとき涙が零れた。そう、私が誰よりも愛しているアリサが愛しているのは、私じゃない。今までにもアリサに彼女が居たことはあったけど、その時はこんな気持ちにはならなかったのに。この扉の向こうでアリサに愛されている女性が私じゃないことが、今は無性に悔しかった。

「――ネネコさん、このショーツもう、染みどころじゃないですよ」
「い、言わないで、よね……」
「水浸しって感じ。脱がせるの大変ですよ、これ」
 扉越しに覗くアリサは、ネネコちゃんの法衣の裾に手を入れていた。意識していないのに私の手も動き、コスチュームの底、クロッチが縫われている辺りに触れる。アリサの言う通り、染みどころではない状況になっていた。アリサが私に言ったのではないとわかっていても、恥ずかしさが身を締め上げる。
「脱がせるの大変だから、脱がさないでおきますね」
「え、それって――やっ!?」
 何をしているのかはっきりとは見えないけど、恐らくアリサはネネコちゃんのショーツを、横にずらしたのだろう。私の指も再び、布地を横に退け、秘唇を空気に晒す。指で触れるとどうかしてる位に熱く、布地が堰き止めていた粘液が溢れ出てきた。
「ネネコさん、一人でして見せてくれませんか?」
「な……いや、よ、そんな」
「見たいんですもん。私が裸になりますから」
 アリサがシルクローブを脱ぎ始めた。下着は既にネネコちゃんに抜き取られているから、すぐに肌が露になる。アリサの裸を見るのは初めてではないけど、汗ばんだ背中に黒髪が引っかかり、落ちていく、その姿に目を奪われた。
「アリサが脱いで……それで、どうするのよ」
「ネネコさんが興奮してくれるといいなぁって。魅力、ないかもですけど」
 アリサはシルクローブを丸めるように畳むと、テーブルに乗せたままの下着を取って、立ち上がった。
 ――まずい!
 立て付けは良くないらしく、蝶番が軋む音を立ててクローゼットの扉が開いた。私の視界に、黒髪も眩しくアリサの裸身が飛び込んでくる。

234226たんsage :2006/11/20(月) 02:29:07 ID:uTueUVwc
「ネネコさん、どうしても嫌なんですか?」
 全裸のアリサがローブと下着を、クローゼットの中の衣装カゴへ放り込む。用が済むとそのまま、扉は閉められた。
 ……数秒様子を見て、私はハイディングを解除した。
 寿命が縮むとはこのことだ。九死に一生を得た私は、アリサ達に聞こえないように深呼吸をした。
「アリサ、お願い。……して」
「嫌ですよ、せっかく脱いだのに。まるで私に魅力がないみたいじゃないですか」
 私の秘所も蕾から花弁、蜜穴まで空気に晒されたまま、収まらない疼きを訴えてくる。アリサにして欲しくて、たまらなくなっている。自分でするのではダメで、アリサにしてもらわなくては収まらない。きっと、ネネコちゃんも同じ気持ちなのだ。
「ネネコさん、手貸してください。手伝ってあげますよ」
 身を起こして覗くと、裸のアリサが法衣姿のネネコちゃんの手を取り、法衣の裾の中へと導いていた。絵になると言えばあまりにも絵になりすぎる光景。題はさしずめ、悪魔の囁き。ネネコちゃんの手首を掴み、動かすアリサ。その手にはきっと、見た目よりもずっと強い力が篭っているのだろう。
「あふっ、や、あ、アリサ、だめ、よ……っ」
「ダメですか? でもネネコさん、自分で指を気持ちいい形にしてますよね」
 アリサの手は扉越しに私の手も掴んでしまったようで、抗い難い力で勝手に自分を慰めてしまう。指の付け根を蕾に擦り付けられ、アリサの言うように指を自分で曲げてしまう。秘唇の全体を上下に撫でるように、私の手は蠢き始めた。これを動かしているのはアリサだという妄想は、自制などお構い無しに私を犯していった。
「……っ、は……ん」
 下唇を噛んで声を抑える。アリサに支配された私の手は、声が漏れないように配慮などはしてくれない。指が二本、中へと侵入すると、アリサは手首を前後に動かすのだ。遠慮なくリズミカルに、抽送を繰り返される。
「ふぁ、はぁん、んっ、くぅ、アリサ、ぁ、もっと……っ」
「はい、ここまでです。ネネコさん、後は自分でして見せてください」
 アリサがネネコちゃんから手を放すと、私の手の動きもぴたりと止まった。受け入れて気持ちよくなって、もっと欲しくなったところで、手を放してしまった。アリサはやっぱり、悪魔だと思う。
「っ、アリサ、最低」
「だって私、悪い奴ですもん。ネネコさんが最高にかわいいのが悪いんです」
「……ふ、あぁぁぁ……っはぁぁん」
 ネネコちゃんが長い喘ぎ声を披露し始めるのと、焦れ切った私の指が私の意志で秘唇を捏ね始めるのは、ちょうど同時だった。二人とも完全にアリサの術中に嵌っていて、気持ちよくなりたくて仕方ないばかりか、アリサに恥ずかしいことを言われたいと思うほど、おかしくされていた。
「ネネコさん、ゾクゾクするほどかわいいです。今度自分でする時は、鏡見たらいいんじゃないです?」
「自分で、なんか、し、しない……わよ、そんな」
「してるじゃないですか。もうそれしか考えられないって顔してますよ」
 まるで自分の顔を見られていて、それを指摘されているようで。間違いなく自分は今、そういう顔をしているのだから始末に終えない。掠れた悲鳴じみたネネコちゃんの喘ぎ声を聞きながら、私は喘ぎを噛み殺して喉だけ鳴らす。手の動きは間違いなく自分でしているのに、緩めることができそうにない。
「あ、っ、アリサ、ぁっ、だめ、だめ……っ」
「ネネコさん、気持ちいいのはわかりますけど、もっと私を見てくださいよ」
「ふぁん、アリサぁ……んぅ、アリサ、綺麗……すごく、綺麗よ」
 私も身を乗り出すようにして、扉の隙間に顔を押し付け、アリサを見る。扉が軋む音を立ててしまい、慌てて身体を離す。二人は気付いていないようだった。アリサは本当に悪魔なんじゃないかと思うほど綺麗で、私には背中を向けて、ネネコちゃんの方を向いて座っていた。私はアリサを見ているけど、アリサは私を見ていない。

「せっかく脱いだんですから、もっと見て、触って。私で興奮してください、ネネコさん」
 言われるままにアリサに抱きついて、キスをしながら自慰を続けるネネコちゃんが見えた。あまりに綺麗過ぎて、見たくないのに凝視してしまうのが嫌で、私は扉から身体を離した。
 落ち着こうと再度深呼吸をすると、この狭い空間にこもる匂いに気が付いた。……もちろん、自分の性の匂いとは別に。
「はぁ……っ、アリサの裸、ほんとに綺麗……っ、ん」
「ネネコさんも、そうしてると素敵ですよ」
 そう、アリサは脱いだ。足元の衣装カゴに放られたのは、つい先ほどまでアリサが着ていたローブと下着。ごくりと喉が鳴った。いけないと思う暇もなく、シルクローブを手に取る。まだ温かいその布地からは、嗅ぎ慣れたアリサの匂いと、覚えの薄い香水の匂いがした。ネネコちゃんの香水だ。
 アリサに狂わされたままの私は、ローブの布地に顔を埋めた。胸いっぱいに吸い込まれるアリサの香りと、それを邪魔するネネコちゃんの香り。左手でローブを顔に押し付けながら、右手は秘所を弄り続ける。声が漏れないように、唇を内側へ巻き込んで、シルクの布地を噛んだ。口をきつく結ぶと、息をするたびに鼻からアリサとネネコちゃんの香りを吸い込むことになる。
「ネネコさん、いって見せてくれます?」
「はぁぁ……んくっ、ふぅ、はぁぁ……」
 声だけ聞こえてきて、どういう風に二人がしているのかはわからない。ただ、二人の匂いを吸い込んでしまった私の指は、私を満足させるまで鎮まりそうになかった。
 ネネコちゃんの甘い声が勝手に耳に入って来る。匂いも声も気に入らないのに、それらは私を妙に興奮させていた。自分の声をローブの中に噛み殺して、指は蜜まみれになって蕾を捉え、遠慮のない動きで擦って潰す。アリサの服を嗅ぎながらオナニーをしてしまった経験は、密かに何度かあったけど、こんな余裕のない気持ちになったことはなかった。自分がどうなってるのか、悦んでるのか泣きたいのか、本当に気持ちいいのかすらよくわからない。
「……っぐ、ひぐ……っ」
 わからないまま、私は泣いていた。アリサの匂いもネネコちゃんの匂いも、頭の芯が痺れるほど甘い。悔しくて、でもどうやら、それが気持ちいいらしくて、私はわけがわからないまま泣いていた。指は何度も弾くようにして蕾を転がして、何でもいいから私を追い詰めていかせてしまうつもりらしかった。
「いきたい、ですか?」
「は、ふ、あっ、アリサ、ぁっ、もう、私っ」
「ぷるぷる震えてますね。声、そんなに我慢しなくてもいいのに。……いっちゃって、いいですよ」
「わ、わたしぃ、は、っ、ふっ、く、くぅ――っ」
「……っふ……ぅ」
 喉で無理矢理食い止めたような、甘ったるい喘ぎ声が聞こえて、私もアリサ達の匂いを一息吸い込んで、今日で二回目になる絶頂を迎えた。もはや敏感過ぎる突起を押さえたまま、勝手に指が震えて、暗く狭い空間に光が瞬いたように見えた。

235226たんsage :2006/11/20(月) 02:29:46 ID:uTueUVwc
「ネネコさん」
「は、ひ……、アリサ……」
「かわいい声で、いって見せてくれたから。……約束通り、してあげますね」
「えっ……、ひぅっ、ひあぁんっ!?」
 背中を壁につけて余韻に浸っていると、ネネコちゃんの嬌声が耳に飛び込んだ。そっと扉から覗くと、なんとアリサがネネコちゃんを組み敷いて、達したばかりのそこに指を宛がっていた。なんてことを、と思いながらも目を逸らさずにネネコちゃんを見る。息も絶え絶えのところに追い討ちをされて、ネネコちゃんの女の部分は悲鳴を上げている。でも、それを見る私の瞳は。
「ひゃあうっ、アリサっ!? だめぇっ!」
「感じすぎますか? もう一回、いかせてあげますよ」
 私の瞳は、情欲と嫉妬に融けきっているのだろう。羨ましすぎるその光景からは、どうしても目が離せそうにない。少しでもアリサを近くに感じたくて、私は衣装カゴに残った下着を掴んだ。踏み止まる理性はとっくに、アリサがボロボロに壊してしまっていた。
「アリサぁぁっ……ひぅっ、気持ち、いい――っ」
 扉の向こうで狂い咲くネネコちゃんのように、私はもう、踏み止まれそうにない。私たち二人、アリサの虜だった。私の手はアリサの手になって、敏感なままの私の秘唇を押し開く。指が侵入してくると、今度こそ我慢できずに、声が漏れそうになった。
「ん、っく――っ……!」
 顔を、口元を、左手で押さえつける。左手にはアリサの下着を、上下まとめて握ったまま。声は辛うじて抑え込んだものの、危険すぎる香りを吸い込んでしまう。眩暈がした。
「ネネコさん、乱暴なほうが好きみたいですね?」
「ふぁうっ、ひっ、し、知らない、わよっ」
 ――なんでよ。
 また涙が溢れてきて、止まらずにぼろぼろ零れる。そのくせアリサに操られるまま、手は乱暴に指を突き入れて、中で蠢かせてくる。自分でしているなら絶対これ以上できない状態なのに、止まる気配も見せてくれなかった。
「ひっく……ぐすっ……ん、っふ、ひぐっ」
 扉の合わせ目からは顔を離して、アリサの下着に顔を突っ伏したまま泣きじゃくる。
「ネネコさん、大好き。乳首だけじゃなく、ここもぷっくりさせちゃって」
「ひあぁうっ!? だ、だめっ、感じすぎ、っ、くあっ」
 ――なんで、よ。
「なんで……っ、なんでよぉ……アリサぁ」
 口を下着に押し付けたまま、か細い声で私は呟いた。アリサがネネコちゃんにしているように、真珠のように膨れた蕾を指で転がしながら。
「なんで、ネネコなのよぉ……っ、どうして、私じゃ……ダメ、なの、よぉ……っ!」
「――ふぁあっ。アリサ、ぁっ、また、ぁ、あっ」
 アリサに無遠慮に愛されて、我を忘れるほど乱れているネネコちゃん。姿を見せることもできず、妹の下着を嗅ぎながら、息を殺してオナニーをしている自分。なんでこんなに違うのだろう。どうしてこんなに惨めな思いをしなきゃいけないのだろう。涙が止まらない。こんなにアリサが好きなのに。誰よりもアリサを愛してあげられるのに、ネネコちゃんより、絶対。
「ネネコさん、またすぐいっちゃいそうですね。どうです?」
「だめっ、だめ、アリサっ、おかし、くぁうっ」
「……はっん、く、っ、ん」
 自分ももう、すぐに達してしまいそうだった。声を完全に抑えることはできそうにないけど、ネネコちゃんが大声で鳴いてるから、きっと気付かれない。何だかもう、気付かれてしまったらそれでもいいくらいの気持ちだった。『アリサの手』に女の芯をメチャクチャにされて、アリサの匂いを胸いっぱいに吸い込んで。あそこに居るのが私じゃないのなら、精一杯アリサの夢を見せてもらおう。
「ネネコさん。苛めちゃったけど、大好きです……!」
「あぁっ、くぅんっ、あっ、くぅ、ぁ――っ!」
「……っ、ふ、っく、ん、くぅ――っ!」
 目を閉じて、アリサの幻に抱かれながら、アリサの匂いに包まれた。気が付くと、声を殺したまま、何度も身体を引きつらせて震えていた。


236226たんsage :2006/11/20(月) 02:30:20 ID:uTueUVwc
「アリ、サ……やりすぎ、よ」
「すみません、つい……」
 ネネコちゃんがようやく回復したらしく、扉の向こうから声が聞こえた。私はクローゼットの中を元通りにして、静かに様子を窺っている。気だるい身体を壁に預けて立っている。
「……アリサは、エッチのとき性格変わりすぎよね」
「そ、そういうネネコさんも、結構変わりますよ。かわいいですもん」
「貴女ほどじゃないわ。というか、アリサのせいよ」
 羨ましい会話だと思う。だけど、妬ましいとは思わないようにした。本当は毒でも盛って殺してやりたいほど妬ましいけど。
「ねえ、アリサ。ちょっと変なこと聞いてもいいかしら」
「なんですか?」
「アリサって、お姉さんのこと、好きなの?」
 ……私の、こと?
 こんな姉、嫌われているに決まってる。まさか、私が隠れていると知ってて、当てつけているのだろうか。
「アイシャさんですか。嫌い、って、言って欲しそうですね」
「ええ。これ以上嫉妬したくないもの」
 嫉妬しているのは、私。アリサに愛される恋人のネネコちゃんは、そんなこと考える必要はないはずだ。こんな話は聞きたくない、耳でも塞いでしまおうか。
「すみません、好きです。アイシャさんのことも」
 そう。好きに決まってる……って、え?
「……悪い女ね、アリサ」
「そ、そんなんじゃないですったら。……そりゃあ、あの人ってシスコンで、変態で、絶対頭おかしいですけど」
 ……耳でも塞いでしまおうか。
「そうそう、お揃いの下着買ってくれたことがあるんですけど。嫌な予感がしたんで、小さな刺繍をして目印を付けてたんですよ。そしたら、毎週洗濯してから乾くまでの間に、必ずアイシャさんのとすり替えられてるんです。気にしないことにしてたけど、何に使ってるんだか」
「それ、嗅いでると思うわよ、絶対……」
 不覚だった。まさか目印を付けているとは思わなかったし、気付いていながら黙っているとも思わなかった。
「あはは、やっぱそうですよねー。でも、そんなのはいいんです、今に始まったことじゃないですし」
「私からすると、看過したくない事態だわ。でも、それで?」
「お姉ちゃんは、変態でシスコンで頭おかしくても、いいお姉ちゃんなんですよねー……」
 お姉ちゃん、と呼ばれたのは数年ぶりだったと思う。ずっと『お姉さま』か『アイシャさん』を使い分けさせていたから。『お姉ちゃん』と呼ばれていたのは十年近く、下手すればもっと昔だった。
「もうお姉ちゃんって呼ばせてもらえませんけど。私はまだ、お姉ちゃんとして、好きなんです。ダメな姉でも」
「はいはい、はいはい。アリサは悪い女だわ」
「そ、そんなぁ。ネネコさんは恋人として、大好きですよ!」
 もう私には、二人が何を話しているのかよく聞こえていなかった。ただ止め処なく溢れてくる涙を持て余して、声を上げて泣きたい衝動を押さえつけるのに、必死だった。


237226たんsage :2006/11/20(月) 02:30:44 ID:uTueUVwc
 あの後二人は仲良くシャワーに行ったらしく、私はクローゼットの牢からひっそりと脱出することができた。クローキングのスキルを駆使してアリサの部屋を離れ、宿から少し距離のある安酒場で一人、飲み明かすことにした。
 夜の街を女一人で歩くにはいろいろ危険な臭いを発散していると思うが、腐ってもアサシン、さしたる問題はなかった。
 飲み明かしたらモロク帰りの顔をして、アリサに二日酔いの看病をさせよう。ネネコちゃんの仏頂面が目に浮かぶようで、愉快だった。


 安酒場の喧騒の中、安物の焼酎をでたらめな量の水で割って呑む。何杯目か忘れたけど呑む。はっきり言って不味い。
「親父さぁん、コレ不味いんだけどぉ」
「おいおい、お姉ちゃんが一番安いのって言ったんじゃねぇか」
「っるっさいわねぇ、気安くお姉ちゃんとか呼うんじゃないわよぉろ」
 ……あ、ヤバい。結構酔ってる、そろそろダウンかもしれない。
「はいはい。それでお姉ちゃんよ、潰れる前に一旦清算しちゃくれねえか」
「らぁ? なぁによほるぁ、釣りはいりゃないからぁ。呑ませなふぁいよぉん」
 財布から適当な高額紙幣を叩きつける。こういうのはいつやっても気分がいい。
「あぁ、いいよこれだけありゃあ。好きなだけ呑んで勝手に倒れてくれ。死ぬのと吐くのはナシで頼むよ」
「ぶぁ〜……」

 カウンターに鼻の頭をくっつけていると、他の客の騒ぐ声が聞こえてくる。
「あーっ! こらミル、あんたそれ私のソーセージセット!?」
「うー、いいでしょー、半分こ」
 うるさい客がいる。頭がガンガンするから、静かにしてもらいたい。
「ダメよダメ! 欲しけりゃ自分で頼めばいいじゃない」
「ユイちゃんのケチー。はい、ユイちゃんの好きなミックスピザ、半分こー」
「う……しょうがないわね。半分こ、しよっか」
 ……うるさい客の声も物ともせず、私の意識は泥酔という混濁に沈んでいった――。


「ただい、ま……」
「あ、アイシャさんお帰りなさい。モロクはどうで……ってお酒くさっ!?」
「アリサぁ……愛してるわぁん」
「いやちょっと、臭い、臭いですってば!?」
「アリサをね〜……ネネコちゃんとぉ、半分こぉっ、こボッ」
「う、うわああああっ!? ネネコさーん! バケツ、バケツ取ってえええええええっ!」
 ……もう今更、いいお姉ちゃんには戻れそうにないから。

「も……ダメ」
「ま、待ってアイシャさん! 我慢してっ! ネネコさーん、助けてえぇぇっ!!」
「え? ちょ、貴女アリサに何してるのよっ!?」
 私は一生、ダメなお姉さまで居よう。アリサの心の中に、無理矢理陣取っていられるくらい、強烈に。


  私の居たい場所、完。
238226たんsage :2006/11/20(月) 02:39:47 ID:uTueUVwc
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キャラ・設定を貸していただき質問にも応じていただいた259の人にマリアナ海溝より深く感謝を。
預かったキャラを変態パウダー漬けにして憚らない226たんです、こんにちは。
頑張って文体を似せようと試みたのですが、半々くらいで自分の文体になり、いつの間にか226臭に染まってた感じです。
自分解釈のえろかわいさが出たのでまあいいかということにします!

そして保管庫、リヒ三部作を回収してくれた方がいらっしゃったので、ちょっと自分も回収に参加してみました。
また暇があればいくつか回収しちゃおうと思います。
作家の方は、自分の作品は自分で回収しちゃうのが保管庫充実の早道かも!?
特にレス番名前の人や無題の作品は、小人さんが回収しにくいですから。

ところで…。また座談会とか、いかがでしょう。
259の人と相談した結果、急な話ですが今週、25日の土曜日、20時からという案が出ております。
鯖はSurt、場所は前回の座談会でも使いましたアルベルタ船内、船室を予定しております。
来られる方おられましたらぜひ!
239名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/20(月) 10:37:39 ID:Ocs7TaoY
元の作品から好きだっただけに心からのGJを!
違和感無く続編として楽しませてもらいました。
アリサかわいいよアリサ。
普段弱気でえちのときSってイイネ。

って、さりげなくケミ2人も出てるしw
この2人も好きだったからちょっと嬉しかったり。
240名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2006/11/20(月) 10:40:59 ID:TgSJ3ORs
最近のこのスレは特にすごい!
215さん上手だと思います、続きとか次作品とか期待。レニャチェリの人も超期待
226たんはやばい、同じ人の作品って言っても通じそう
主人公が交代したら急に226たんっぽい感じ

一番すごいのは226たんと259たんはお友達?最強タッグだ・・・
座談会は一読者でも参加okでしょうか?
241レニャチェリの人sage :2006/11/20(月) 11:31:12 ID:TxcTCQNI
座談会までには復旧するので、キアイ入れて課金して、参加させていただきまふ。

あとは、226氏すごすぎです、GJのサムズアップ10000本追加増産中です。
原作から目を通させてもらわないと……
242名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/20(月) 13:54:48 ID:fdjRLjmc
くそぅ、見たいけどこれから仕事だorz
帰ってきたらじっくり読ませていただきます、はい(´¬`)

ところで座談会の話はじめてきいたんですが、いつやるんでしょう?ぜひ参加したいなー、と。
243名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/20(月) 14:13:43 ID:OqqUFFog
保管庫作業された方、出来れば作業報告を上げていただきたいです。
もう1年近く作業していない私が申し上げるのは大変恐縮ですが、
出来る限りすべての作品の保存を目指しております。
作者様自ら対応していただけるのは、タイトル付けの観点からも大変助かります。
作品をアップされる際にタイトルがついていればそれを利用させていただきます。

大変図々しいお願いではありますが、ご対応いただければ幸いです。
タイトルで30分とか考えるかつての保管経験者より。
244名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/20(月) 23:15:53 ID:8f0r/IBg
萌え死にそう…(;・ω・)
GGGGGJJJJJ!!!1
245226たんsage :2006/11/21(火) 08:11:02 ID:s.CeQ3OY
みなさん感想ありがとうございます。原作が良すぎて不安でした・・・!
座談会元締め名乗り出ちゃったので、全レス失礼。

>>239
いや、続編なんて恐れ多いですよ。アホケミはさりげなく、おいしいです。通ですね!

>>240
お友達なんてそんな、ちょっと義姉妹の契りを交わして心も身体も深く通じている程度の関係ですよ。
主人公が交代したあたりで、文体を真似るのが不可能になりました。それまではだんだん226臭になりつつも頑張ってたのに。
座談会はもちろん読者様の参加もOKです、というか是非お願いします。

>>れーちぇのひと様
座談会は新垢1dayやお試しIDまじおすすめです。あ、259の人の原作まじおすすめです、是非。

>>242
25日の土曜、20時から、Surtアルベルタ船内、船室です。是非!

>>243
ありがたい方だ! 自分が触ったのは自分の作品と259の人の作品をあるだけ全部。
保管庫1で抜けてた作品があったのでそれをさっと保管しましたが、連作だったので直さないとなあ。
ファイル名の変更がパス無いとできないようで、新しい名前で作って元のを消すのが良いようです。

>>244
一緒に死にましょう、ありがとうございます。
246名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/21(火) 12:38:30 ID:cgXDH7ZU
>義姉妹の契り

な、なn(AAry
247名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/22(水) 03:27:16 ID:nQVRRurM
なんなんだ…ここ最近の神な進行は…

ところでスレ違いは平にご容赦いただきたいのですが、
> 某同人弾幕ゲーのSS
もしや幻想郷デスか!? あの女の苑で、226たんの、SS…!
もしそうなら、(えろいかどうかに関わらず)読んでみたいのですが、
この願いはどうにか聞き入れて頂けないもんでしょうか…?
248レーニャとチェリムの人sage :2006/11/22(水) 06:33:12 ID:SmVg2OWU
回線復帰しましたです。
とりあえず、レーニャとチェリムの続編をあぷさせていただきますね。
249レーニャとチェリム その2(1)sage :2006/11/22(水) 06:34:47 ID:SmVg2OWU
その日は雨だった。
とても狩りに行くという気分ではなく、私は宿の部屋のベッドにうつぶせに体を沈ませたまま、ぼうっと窓に打ち付ける雨音に耳をそばだてていた。
ぽつ、ぽつ、ぽつ。
断続的な音は静かで穏やかな響き。聞いているだけでうつらうつらできそうなくらい。
失恋した。
わかりきったことだったんだ。チェリムはもともと、ノンケな人、もしかしたら、女同士で体を重ねるくらいはどうってこともないのかもしれないけれど、好きあう、という感情を同性にもてる訳無い。それは、私が男に恋愛する可能性に等しいのだ。
新しい人を見つけなければいけないのだろうか。
気持ちを切り替えて、いい人を見つけないと、チェリムに辛い思いをさせてしまわないだろうか。
チェリムは私を同性の友人として、親しく私の側にいてくれる。私が同性愛者だなどという偏見も何もなく、ただ純粋に私を慕ってきてくれているのだ。
それだけは、うれしい。
でも、だから、もうチェリムに迷惑をかけないためには、私もチェリムをただの友人として見て、好きな人は別に探さないといけないんだ。
いけないんだけれど。
でも……
「レーニャさんっ、レーニャさんっ、レーニャさんっ」
ばたばたと扉の外でけたたましく足音を響かせて、ばたんと部屋の扉を開けた、この雨でも底なしに元気なチェリム。
重くなっていた顔を持ち上げて彼女を見ると、雨に濡れて、そのいつもぴっちりと着込んでいる法衣がさらに彼女の体に張り付いていた。
このこは、雨傘くらいさせばいいのに。
うっすらと映る下着のラインに、自分の中に興奮の火がついてしまう。
「チェリム……どうしたんだ?」
「あのね、今日聖堂にいってたんだ」
「聖堂に?」
「うん。聖堂って、男女別で修行とかするでしょ? だから、どうしても同性愛に目覚めちゃう人が多く出ちゃうんだよ。男同士、女同士。でも、知られちゃうとやっぱりいい顔されないし……レーニャさんもそうだったもん」
「それはそう」
「でもねでもね、そういう人たち同士で連帯を作っているっていう話があるって聞いたから、少し聞き込みしてたの。もちろん、その人たちが聖堂の中の誰なのかとか、どこで集まっているのかとかは私みたいな人が聞くのは悪いから聞けなかったんだけど……レーニャさんなら教えてくれると思うんだ」
チェリムの気持ちが痛かった。
チェリムが私の心を知らずに持ちかけていないのはすごくよく分かる。
だから、”自分で探す”という言葉を体現するような努力を、私にさせようとしているのだ。
でも。
チェリムの心遣いは嬉しいけれど。
「ごめん、チェリムの気持ちはうれしいけど、今はそういうつもりはないんだ」
今はそれがとても重く苦しかった。
「そっか……でも、レーニャさんの今の姿を見ているのはすごく辛いよ。本当は私がレーニャさんのことをそう思えればいいのかもしれないけれど、同性愛ってわからないから……ごめんね」
「チェリムは悪くない。だから、あやまらないで」
それに、そんなふうに落ち込んだ顔をされると、私が悪い返事を出したみたいだもの。
チェリムは、遠慮がちに二歩、三歩、あとずさる。
どこか気まずい空気がある。チェリムは、そこに何を悟ったのか、また部屋を出て行ってしまう。
「チェリム?」
「ごめんね、WISきちゃった」
「それって……」
そう。改めて聞かなくてもわかってる。チェリムはこのお誘いを断るなんてできない。そのことで、たとえ私との間柄が少しこじれているのを悟っていたとしても。
彼女はそういう人だから。そういうことを素直に楽しんでる人だから。
「うん……察しのとおりだよ、レーニャさんの」
「そっか……」
私はそれ以上、何もいえなかった。
そっと部屋を出て、扉を閉める、いや、閉めかけるチェリム。
「どうした?」
「ううん。レーニャさんとは、ずっと仲良く組んでいたかったな、って」
わかりきっていた結末だった。
フラれたらどうなるかくらい、わかりきっていたのに。
チェリムはそっと、もう半分を完全に閉じた。それはひととき、どころじゃない別れの予兆にも思えてならなかった。
だめだ、吹っ切らないと。チェリムは同性愛者じゃないんだ。私の身勝手で、私のためにチェリムに迷惑をかけちゃいけないんだ。
じゃあどうすればいい? 短絡的に考えれば、チェリムとは距離を置くしかない。
だったらそうすればいい。別れて、別にいい人を見つければいい。同じ同性愛の人なら、その人と結ばれることができるなら、その人を唯一と思えれば、きっとチェリムとのことはいい思い出になるから。
そう、割り切ればいいのに。
なんでできないんだろう。
なんで今の今になっても、あの告白からだいぶたった今になっても、チェリムとつかず離れずでいるんだろう。
枕が悲鳴をあげそうなくらい固く抱き潰されていた。
私は、することのない雨の午前、ぼうっと、雨が打つ窓ガラスを見つめながら過ごしていた。
チェリムのことについては、その答えをだいぶ後まで保留にしてしまいそうだった……
250レーニャとチェリム その2(2)sage :2006/11/22(水) 06:35:49 ID:SmVg2OWU
午後になって、空腹を適当に膨らませる。
雨足はだいぶゆるくなったように見えたけれど、今日はひさしぶりの休日みたいに、何もせずにぼんやりと過ごしていた。
ほぼ毎日のように狩りにいったり修行したりしてきたから、こういう日もたまにはいいだろうか。時間だけ、先へ進む中で、私は何をするでもなくベッドに横になっていたりした。
チェリムはこの雨の中でも、どこかの男を引っ掛けて……るんだろうな。
WISが来るって言えば、それくらいしか思い当たらない。性欲は気象に関係しないのだろうか。
チェリム、そうして誘われた相手と狩りに出かけたりもする。その相手が男なら大抵決まってエッチしてくる。狩らずに即エッチのときもあった。チェリーボーイさんだったんだよ〜とか、今日はすごく濃くってしばらく腰立たなかったよ〜とか聞いたこともあったから、経験の濃薄は問わないんだと思う。
そんな性生活だけれど、チェリムの膣はそこまで荒れすさんでいないように見えた。きっと、その辺はチェリムも気をつけているんだと思う。そう、妊娠することについてだって。
私は、きっと子どもを産まない。
もしチェリムの赤ちゃんが父親知らずになりそうだったら……そのときは、私が片親に名乗り出ていいかな?
って、それはでしゃばり過ぎだ。だいたい、二人の親が両方母って、子どもにどんな影響がでるか。
それに、私はチェリムとは、結ばれないんだから。そんなことを夢見たところで、ただ無駄で虚しい時間を過ごすだけなんだから。
割り切るのは儚かったけれど、それが今の私におかれた現実だった。

チェリムとは、微妙に距離が遠ざかった。
告白してから、チェリムとは友人同士ではなく、性愛を考慮しなければならない人と人として付き合わなければならなかったから。特に、お風呂を一緒することが無くなったという点については、どこかチェリムが意識しはじめたのだろうと思う。
そういった部分から、着替えも、洗濯物も別々にするようになった。
昔はよく私に甘えるように抱きついたりもしてきたけれど、今はほとんどそんなふうなマネはしない。私が、チェリムの羽をむしりとった日のことが、どこか引っかかっているんだと思う。
あとは、昔のまま。
一緒に食事もするし、狩りもまったりしてるし、チェリムが今みたいに、どこかの男とつるむのも今まで通り。
たまにパーティに男がくれば、やっぱりその味を確かめてる。
でも。
今の今まで、そうやって体をたくさん重ねてきているチェリムだったけれど、1番という人の話を聞かない。
それだけ多くの男の人に出会ってきて、ひとりくらいは意中の人が現れたっていいんじゃないかと思う。それとなく、チェリムに聞いてみたけれど、よくわからないよと結局うやむやになったまま。
はっきりさせるつもりはないけれど、でも、告白するまではずっと、チェリムとセックスできる男がうらやましく、妬ましく思えた跳ね返りで、チェリムがすごく心配。
どこかで性病を患ったりしないか。
させてくれたからと本気になってしまい、チェリムにつきまとったりしないか。
耳年増というには少々年上な私だけれど、チェリムのおかげで出来上がった交友の中、聞いてきた話や知識が、チェリムに対しての多くの警鐘となっていた。
ベッドのシーツは私の寝返りでさんざんに皺を増やしていた。
昼下がり、どうせ寝ていたところで何か気がまぎれるでもないからと、自室を出て体を動かすことにした。

露店商人たちはこんな雨の中でもへこたれずにお店を開いてる。
雨の日はあまり出歩かないから、改めて彼らの根性に敬服する。
そんな、大通りの真っ只中を私は雨をさえぎる傘の下、歩く。これも、街を少し歩くくらいの気持ちだったから。
チェリムと別行動するのは今に始まったことじゃないし、もともとひとりだったし、むしろこれを気楽と考えれば安い。露店を見てまわるけれど、めぼしいものはない。目移りするものもなく、もしあってもそれは自分の資産をはるかに超えた額のものばかり。
結局物色も無駄になるだろうからと、真っ直ぐみんなの集まっているであろう通りに出る。
そこには、色とりどりのパラソルがテーブルの上にさされていた。
多くの冒険者たちが集い、憩い、時には旅先のための仲間を募る場所。
旅先に役立つアイテムを販売する露店商人たちも集まってきて、プロンテラでは大通りとはまた別のにぎやかさだ。
パラソルにはたまに、旅先の指定を書いたテーブルが置かれていたりするが、別にそういう興味もなく、私は適当に空いたテーブルに座った。
これを設置したのが誰なのかは分からないけれど、冷たい床に座るよりだいぶマシだったし、こういう雨の日は特に助かる。
晴れの日にはオープンカフェになっていることもあるけれど、今はそういうふうにはならない感じ。
なんとなく、周りを見物しながら何か気を紛らわす方法を模索する。ぼんやりと周りで談話する声や姿を耳に目にしつつ、のんびりと時間を過ごしてた。
「暇……」
つぶやいて、テーブルに体をしなだれる。
「すっごくひまそうじゃない? どうしたの?」
「ああ……こう雨の日だと、出歩いたって何もすることない」
「どこかでモブの巣を片付けてきたっていいんじゃないの? あなたの腕を欲しい人はいくらでもいるわよ」
「それでも気分ってものがある……って」
こうなんとなくスルーしてしまうのは、昔馴染みだから、なんだろうか。
赤いジャケットを羽織る姿は、悪漢などという意味をもつ言葉の職業とはとても思えない格好の良さを着て歩いている感じだった。
相席などを望んでいるわけじゃないし、ここ数ヶ月は顔も合わせてない。
その時間は私がチェリムに出会って、彼女と組んで旅を始めたから。
それでも、彼女が私と同じテーブルにつくのを拒めなかったのは、それだけなじんだ相手だから。
「もう、久しぶりの再会なのに、なんでそんなにくっらーい顔してるの?」
「暗いのは今に始まってないだろ」
腰に下げた鞘は3本、いずれも用途に応じて抜き変えているもの。
その扱いと体躯をすることのできるローグは、このプロンテラに何人いるだろう?
「また女の子にフラれた?」
「……」
「もう、そんなふうにだんまりしないでよ。あなたのような美人なら、男は選り取りみどりなのに、もったいない」
「…………」
「って、ごめん、そうむくれないでよ、そんなつもりじゃないんだから」
251レーニャとチェリム その2(3)sage :2006/11/22(水) 06:36:29 ID:SmVg2OWU
名前はセーテス。
私の初恋の人。でも、彼女もやっぱりノンケ。
年齢は私に比べてだいぶ上かなと思うけれど、いつか聞いたときに1つ2つくらい上としか言ってなかった気がする。
いい年して、まだまだ誰かのお膝には乗らない、などとうそぶいていた気がするんだけれど、それは別に私の気にすることじゃない。
「ふうん」
「何をどう納得したの?」
「別に、納得とかそういうわけじゃないけど……あなたがこうして雨の日にも関わらず出歩くっていうのが、ちょっとね」
なんとなく、私の行動パターンの多くを見透かされているのは、付き合いの長さというか、彼女の観察力の鋭さというか。
「私だってこういう日はある」
「そう力説されちゃってもねぇ。レーニャって、雨の日は絶対部屋で、瞑想して気を練ってるか、ベッドで寝てるか、誰かさんを思って慰めて……」
「セーテスっ」
「おーおー、赤くなっちゃって。いいじゃない、私だってひとりでする日はあるよ?」
「そうかもしれないけど、こんな人前で……」
「さすがに、あなたの相方さんみたいに、男を手当たり次第は食べないよ」
しかも、いつのまにセーテスは、チェリムのことを知ったんだろう? まだ一言も彼女のことを口にしていないのに。
「そんなふうにチェリムを言わないで。それになんで知ってるの?」
「いえ、別にそういうつもりじゃないのよ。それより……いつのまに強くなっちゃったの? 転生してたいして時間たってないのに、もうグラストヘイムの2階に3、4人で行ってるんでしょ?」
居合をたしなむしゃれこうべだの、鎧だけが意志をもって動いているものや、大魔術師の亡霊、精鋭の英霊、はては闇に囚われたまま城を守護する騎士。
たんに比喩するならそれほど難しくは無いけれど、いずれもグラストヘイムの呪いに蝕まれて、優しい心をもっていたころに比べて格段に高い能力を得た強者ばかり。普通の冒険者が好奇心に任せて突撃するなら、あっさり彼らの餌食になってしまうだろう。
今でこそ、生体化学研究所、タナトスタワー、アビスレイクという人知を超えたような、神格的な存在を抱える場所がミッドガッツの知るところとなったが、それまでは高位の実力者を計る物差しは、このグラストヘイムの2階だった。
「大げさだって。でも、3人くらいでなら行かれるかな。私と、チェリムと、もう一人。大抵はウィザードが多いけれどね」
一帯を凍りつかせながら、私が一体ずつ指弾なり発勁なりでしとめていくという戦術で大抵は何とかなるし、凍らない不死者はチェリムのターンアンデッドで潰していける。
模索する戦術にイレギュラーへの対処をするだけで、割とやっていかれた。
「それでもちゃんとやってこれてるんじゃない。やっぱりあなたの生真面目さと資質には驚くことばっかりだわ」
「別に誰かに称えられたいわけじゃない。そうしたいからそうしているだけ」
「それがすごいのよ。普通はできないことだもの」
雨音に、私とセーテス以外の声は聞こえない。
セーテスの声は大きいけれど、きっと私たち以外の人は私たちの声は聞こえていないだろう。
「で、実際のところ、なんで雨の日なのに出歩いているの?」
世間話から、本題に入った、らしい。
その切り替えに、セーテスへ相談することをためらう私がいた。彼女がローグという職業を選ぶ背景には、やはり彼女がこうしたことを生業にするだけの人格的な理由があるからだ。
もっとも、善良に人様に迷惑をかけない、アイテム収集がしやすいなどの理由からローグになる人間もいるのだが、大半は、セーテスのように、自分の思うままに生きる連中ばかり。
初恋が破れたのは、そうしたセーテスの一面に幻滅して、自然と私から恋愛の熱が冷めたから。
でも、チェリムに出会うまで、私は彼女と物別れにはならなかった。こうして、私を気遣ってくること自体、セーテスの面倒見の良さからくるものだから。
人見知りするタイプの私でも、セーテスには心を割ることのできる安心感があったのだ。
ためらいを押しのけたのは。
「……」
「ねぇ、ためこむと辛いわ。ぱーっと話して、すっきりしちゃいなさい」
「チェリム」
まだ、好きだったから、その想いをどうにかしたかったから。
「ん?」
今の一言は、セーテスに聞き返されるほど小声だったらしい。
「チェリムに、振られたから」
「んー、フラれたって、絶交しちゃったの?」
「違う、チェリムはいいこだし、そんなにひどい喧嘩もしてない。その……チェリムのこと」
「あーあーあーあー」
セーテスは、何かを納得したように私の言葉をさえぎった。
もちろんだが、セーテスは私の同性愛を知っている。
「なるほど、あのとき、レーニャがあのこと組みたいって、あなたらしくもないくらい熱烈な思いを聞いたのは、そのせいだったのね。相方さんできてから音沙汰なくって、ちょっと私寂しかったんだからね」
「それは別に、私とあなたはそこまでの関係じゃないはずだけれど」
「まーねぇ、そこまで深いつながりはないけれど、それでもあのころはよくあなたと組んでたじゃない。そのよしみは大事にして欲しかったな」
「……ごめん、セーテスがそんなに私とのこと」
「もう、以外にあっさり降参しちゃったね。別に謝ってもらいたかったんじゃないのに」
頭を下げないといけないと思ったのに、なんだか損をしてしまったような気分。
こういう振り回しがセーテスらしいけれど、それが一緒にいて心苦しい点でもあったんだ。
「その、失恋の傷が痛々しいレーニャは、私を頼りたくてついつい出てきちゃったわけなのね。はぁ、それならそうと早く言ってくれればいいのに」
「別にあなたになんか」
「そういうときはぱーっと、気分転換しよ。久しぶりにどこかいかない?」
「どこかって」
「もちろん、デート」
252レーニャとチェリム その2(4)sage :2006/11/22(水) 06:37:24 ID:SmVg2OWU
「でっ……」
いや、冗談だとは思うけれど。
デートという文字を突きつけられて、はじけそうになるほど心臓が跳ねてしまう。
その高鳴りのせいなのか、自然とセーテスを見つめなおしていた。綺麗に切り揃ったセミロングの髪、露出の高めなローグ衣装の、半袖から伸びる腕や生足の滑らかさ、そのむっちりという言葉の似合いそうな太もも、胸を被うパットの合わせ目に覗く乳房の……
「ふうん。レーニャって結構いやらしいよねぇ」
視線に気づいて、セーテスが逆に軽蔑の視線をつき返してきた。
「っ、別に、そういうつもりなんか」
「そういうえろーい視線ってほんと男みたいよね、だから修道士(モンク)になったのかも」
「いいかげんにしろ、本当は違うんだろ」
「ふふふ、まあいいじゃない。もちろん冗談よ」
私の先の先を読まれるような鋭さに、やっぱり心が落ち着かない。チェリムもそういう冴えはあるけれど、すごく心地いい。
大きすぎる差だった。
「で、どこにいく? コンロンで枝狩りも気分転換になると思うけれど、あそこ一人でもいけるしなぁ」
「コンロンでいい、あんまりきついところは逆に疲れるから」
「でもレーニャの持ってるポータルにもよるけどね」
「コンロンはたまに行ってるから、それは問題ない」
資産のためなら、チェリムとだけか、あと一人二人組んでグラストヘイムやニブルヘイムに行ったほうが運用の目処は立つ。
コンロンに行かざるを得ないのは……チェリムが男をひっかけて手が離せなくなっているときなんか。特に今日はミッドガッツ全域が雨だと聞いたから、同じように一人だけのときに行く亀島は、気が引けた。
「それじゃあほんとに決まりね」
別に狩りに行きたいというわけではないこの雨の日だけれど、そんな雨でもアクティブになれる人間の元気を分けてもらうのは、きっとこのことを解決する糸口になってくれる。そこに確証はないけれど、狩りに誘ってくれたセーテスのせめてもの心遣いなのだと思うなら、付き合ってみるのもいいかなと思った。
いったんそれぞれの拠点に戻って準備を整え次第、ここに来て出発するように取り決めた。

今日1本目の古木の枝が落ちていた。
セーテスはすでに枝をくすねていたらしく、私にそれをもたせてくれた。
折ればモブを呼び出せるからと、露店でそれなりの値で取引されている。
ただ、モノになる枝はこのコンロンの洞窟内に生えている人面桃樹にもそう多くは生えてない。
セーテスの短剣捌きも、その桃樹から投げつけられる桃を交わす体躯もさることながら、その紐を切る手もあざやかだった。ローグになると決めた人間であるから、盗み取ることになんのためらいもない。
時折桃をそらすニューマの柱を立てながら、桃樹をなぎ倒していく。熊もどきや蝶女は、お互いが無理のない範囲で請け負う。
チェリムと来たときは彼女を守るために自らを盾にする必要があるけれど、セーテスはそうする必要が無い。背中を預けて、背後をカバーしてもらうように戦えばよかったから、気が楽だった。
セーテスが私の拙いヒールをあてにしていないことも、それに付け加えて気楽だった。回復力の低さについて言われるのはややおもしろくなかったけれど、これはこれでやむをえなかった。
それなりの数を打ち伏せたころ、休憩をセーテスに申し出られたので、深く息をついて練った気を落ち着かせた。
狩り場の真っ只中、お互い立ったままで背を合わせていた。
「こうして背中合わせるのも久しぶりね」
「ああ……」
懐かしさに心の奥がじんわり熱くなる。
「ちょうどあなたがモンクに成り立てだったころだったかしら。職業に慣れなくてすごくやりにくそうだったのを覚えてるわ。それが今じゃ、ここの敵があなたの手にかかったら子ども扱いだもの」
切っ先から火の粉が焼け付いていたのを見るあたり、セーテスは火属性の短剣を振るっているように見えたけれど、桃の樹はやはり樹である。どこかやりにくそうに見えたのは気のせいではないと思う。
「セーテスも、前より動きが素早くなってる。目で追うのも難しいくらい」
「大げさよ、レーニャの強さには足元にも及ばないわ。真正面からやり合ったら、いつか阿修羅で消し飛ばされるもの」
「あれを使うのは、本当に必要なときだけ。しばらく体をまともに動かせなくなるから」
阿修羅覇王拳、いずれは必要になると覚えた修道士究極の拳。己のすべてをかけて、目の前の敵を砕く一念そのもの。
ただ、そのすべてを引き出すという肯定のためにかかる肉体への負荷は計り知れないもの。
背中合わせが暖かいけれど、息遣いから何まで聞こえる距離だった。
お互いそれほど大きくない声で、淡々と会話していた。
洞窟は、桃の樹が天を突けないほど高い天井だったけれど、岩盤は声をきちんと響かせた。日の差さない暗闇は、まるでルアフを常に焚きつづけているかのように明るかった。
「ふうん、例えば大好きな彼女と絶体絶命、ってときに」
「時と場合によるけれど」
「なるほど。やっぱりここに連れて来て正解だったかしら、今のあなたすごく活き活きと動いているもの。昔から変わってないわ、何か気落ちするようなことがあっても、狩りに引っ張り出すとじきに良くなっていくし」
「それは」
セーテスはよく私を見ている。
私は自分のことすらちゃんと見れていないのに。いや、他人のことだからよく見ているのか。
「チェリ……相方さんに振られて、しょげてるあなたも儚げで綺麗だけれど、今のあなたの方が数段素敵だもの」
「セーテスっ……」
「私が男なら絶対手放さないぞっと、そういいたくなる人だしね」
時折心を暖かくしてくれる。
こういうときのセーテスの優しさは、普段の強引さを差し引きゼロにする魅力に溢れてた。
でも、チェリムの包み込むような感じとは違う。
「相方さんのこと考えていた?」
「!?」
「当たりかぁ。今すごく難しい顔しているんじゃないかって思ったの」
253レーニャとチェリム その2(5)sage :2006/11/22(水) 06:38:07 ID:SmVg2OWU
今、私とセーテスは背中合わせだ。いくらなんでも、見ていないものまで悟れるほどセーテスが鋭いとは思えないんだが。
でも、ついセーテスとチェリムを比較してしまう、チェリムのことを忘れられないでいる自分も真実だった。
別に、話す必要なんかないかもしれないけれど、話さないで勝手なことを言われるのも癪だ。
「フラれたのはすごく悲しくて心痛いけれど、次の人見つけちゃえばそんなの吹き飛んじゃうでしょ」
「口で言うほど簡単じゃないだろ」
「んー、純情を地でいくレーニャには難しいかなー? でもね、失恋はいつかどこかで吹っ切らないと、絶対損するわよ? 落ち込む時間が長ければ長いほどね。それに、引きずって未練がましくすると、相方さんに二度と相手にしてもらえなくなるかも」
吹っ切ること。未練がましいこと。嫌われること。
言われれば言われるほど、考え付いていたチェリムとのことの悩みを指摘される。
「失恋なんか、もう何度したかな」
だから、私は反論したくても、こんなことしかいえなかった。
「ふーん、何度もね。じゃあ心の整理をつけるのはそんなに時間かからないじゃない」
そういうものなのだろうか。
失恋自体はたくさんしたけれど……チェリムは、今まで出会った人の中で、もっとも心の清らかな人だった。
確かにちょっとえっちが度を過ぎている気がしなくも無いのだけれど、昔はそれが身を焦がれるほど妬ましかったけれど、今はそういうチェリムが可愛く見えた。
今は、すでにある程度距離を置けているのかもしれないけれど、でもどこか、どこかで、チェリムと恋人同士になりたい想いを、期待を抱いている自分を、改めて実感する。
もしそうでないなら、なぜ私は今の今になってまで、チェリムの近くにいるのだろう?
その説明のほうが難しかった。
「それは、すごく長い時間がかかる」
「どうして? 失恋回数多いなら、そのときそのときの失敗を教訓にできるんじゃないの?」
「それは……」
「それとも、何か吹っ切るためのきっかけがないとか?」
「きっかけ?」
そんなに無理をして吹っ切る必要があるのか、と聞かれても、それははいともいいえとも答えにくいこと。
「このままだと、二人の間柄が険悪になって別れることになっちゃうかもしれないじゃない」
「そんなこと」
いや、即答で「いいえ」だったのかもしれない。
実際、物別れで終わるのは私とセーテスのほうかもしれない。
チェリムとは……もうしばらくつかず離れずのほうが、気持ちが楽だと思う。
「そうかもしれなくても、やっぱりまだすぐにはチェリムを突き放せない」
それが、私の今の正直な答えだった。
「そっか。じゃあ私からはもういうことはないわ。でも、たまには声かけてね。結構ひとりで狩り歩いてるから、たまに寂しくなるの」
「考えておくよ」
話し込んでいた私たちの周りの気配を察知して、セーテスは話を切り上げたんだと思う。
会話の一段落が、休憩の終わりの合図だった。
私も、その手に炎の魔力を携えた鈍器を握り、体中の気を練り集めた。

結果は上々、だった。
手に入れた枝10本、ローヤルゼリー17個、ハチ蜜16個etcを分配する。
成果はそれなり、といったところだろうか。
セーテスと再会を約束して別れた私は、雨の降る首都の大通りを、真っ直ぐ拠点の宿へ向かった。
もうすっかり夜の闇に包まれて、街灯がその闇の中にうっすらと街並みの建物を映し出していた。雨は衰えなかったけれど、いたるところに照らされた灯りに、壁面や地面は歪んだ水鏡となって、淡く輝きを反射させていた。
その幻想は、夜、雨、街灯の3つがなければ作りえない美術。
もっとも、私自身そんなことをいちいち観察していられたのは、狩りの充足からくるもの故なのだろう。
宿に入り、適当に更新手続きをしてから、自分の部屋に戻る。
「ただいま」
そう、声をかけて入る。
「おかえり〜」
こないだとは立場が逆に、チェリムがベッドに突っ伏して返事をしていた。
「どうしたの? またしすぎた?」
「うんー、ちょっとねー休憩中」
この様子だと、今日も相当シテきたようである。なんとなく淡い精液臭を感じるのも、今に始まったことではない。
「はぁ、男の人って中出し好きだよね……お薬飲んでなかったら今ごろ大きなお腹抱えてたよ」
「気持ちいいからじゃないのか?」
「うー、それはそうだと思うけど……レーニャさんはどこに行ってきたの?」
「昔の友達に会ってね、ちょっと気晴らしっぽく狩りに行ってきた。お金は後で分ける」
「いいよ〜それはレーニャさんが持ってて」
丁重に断られてしまった。告白する前は、額だけでも聞いて判断していたのに。
そのやりとりだけで、距離が離れてしまったことを実感させられてしまう。
その場にいづらい空気が流れている気がした。このままチェリムのそばにいたら、自分の心が寂しさで狂ってしまいそうだ。
「わかった。じゃあ、先にお風呂貰う」
「うん、いってらっしゃ〜い、はふぅ」
チェリムはどこか安心しきっているのか、それともただ図太いだけなのか、私がいつ襲い掛かるともしれない状況にあるにも関わらず、緊張感のかけらもない、イキボケをベッドに寝かせるように私を送っていた。
何も考えてないとか、何も感じていないわけではないと思うけれど、経験の豊かさと、元来のえっちさが、あのときのことなどなかったかのように振舞える礎なんだと思う。本当は、そのことを歴然の差と悲観して、さらに気持ちが落ち込むものなのに、私はそれすらも、チェリムの一面と受け入れてあげられそうだった。
プラスも、マイナスも。
私はチェリムのことが、今でも好きなのかもしれない。
254レーニャとチェリム その2(6)sage :2006/11/22(水) 06:39:04 ID:SmVg2OWU
降りつけるシャワーの湯の中、これからの自分の身の振りについて、さまざま考えなければならないことをまとめる。
セーテスはきっかけがないからじゃないのか、と言っていた。
あるわけがない、と言い切ってしまえれば楽だろうけれど、どこかそう断ずることのできない何かがひっかかっているような気がした。
それは、チェリムへの捨てきれない未練などとは程遠い、いや近いものかもしれないけれど、なにかとても大事なことのはず。
湯が私の体を伝って排水溝へ流れ込んでいくのを、ぼうっと見つめていた。狩りをするために動き回った体は熱く、汗ばんでいた。シャワーに打たれている体が心地いい。
適当に体を洗い流して、チェリムと交代しようか。いくらなんでも、いつまでも生臭い精液臭を漂わせたままではいられないはずだから。
「ふぅ」
コックをひねって、シャワーを止める。
大浴場というわけでもなく、浴槽もこぢんまりしているもの。確か、湯をためて使うものではなかったはずだけれど。
チェリムとのことは、無理にどうこういじる必要は、本当は無いはず。
周りの観察からチェリムのことへ思考を戻す。
吹っ切れている、わけがないのは確かだ。チェリムのことをほうっておけないから、チェリムを大事に思うから、チェリムのことが……好きだから。
フラれたならいつまでもつきまとわず、チェリムのことを解放してやらなければいけない。
チェリムを好きなら、恋焦がれるならなおさら、チェリムの幸せをかんがえないと。
でも、実際、チェリムは私をどう思っているんだろう? 好き? 嫌い?
嫌いなわけはない。嫌いなら、とうに別行動しているはずなんだから。
かといって……好き、なのか。
それも、恋とかそういうんじゃない、友人とかそういう意味での好き、だと思う。
でも、私はこないだのあれで、チェリムが私のことを友人として慕っていた昔を、壊してしまった。
それだけは、間違いない。
だからもう、私を好きでも嫌いでもなんでもない。ただ、一緒にいるのが気楽だから、とか。
でも、それはそれで、ちゃんとしたチェリムの意志を汲んでいないようにも思える。
チェリム、今朝私に、私の心の傷を彼女なりに癒す方法として持ってきたあれは、チェリムが私に彼女を卒業することを暗黙のうちに訴えているものじゃないのか。
それが今の、チェリムの気持ちの答え、なんだろうか。
もしそうなら、もう私はチェリムの側にいてはいけない。
好き嫌いだとか、一緒にいて気楽とか、そういう言葉を通り越している。チェリムのほうから投げかけた訴えを、無視なんか、できない。
そうしないと、チェリムを悲しませる、だけ。
悲しませるだけなのに。
胸が痛い。喉下が、目頭が熱い。
「っ、……ぅ、っ」
気づいたとたんに、涙腺が緩んでた。涙を抑えられなかった。嗚咽が自然と、もれていた。
「ぅ、っ、ぅぅぅ……」
無理矢理抑え込もうとするあまり、変な唸り声のように響いてしまってる。だめ、泣いたり、するようなことじゃない。
もう、これきりに、しないといけないんだから、次の人を探さないと、いけないんだから。

こつ、こつ。

不意に、浴室の曇りガラスをノックする音が聞こえた。
ノックの主はチェリムしか考えられない。でも、今チェリムにこの顔見られたら、絶対チェリムの決心を鈍らせてしまう。
あのこは底なしに優しいから、絶対、絶対私のことほうっておけないって、ずるずるついてくる。
それだけは、それだけは避けないと。
でもなんで、チェリムが今この私が入っているここに来て、私の顔を見るかもしれないことを危惧しているのか。
答えは、簡単。
曇りガラスの向こうに見えたチェリム……髪の色以外、肌色のシルエットだったから。
すぐシャワーの取り付けられた壁に顔を向けて、顔を見せないように背を向ける。
そのままシャワーのコックをいっぱいにひねって、ぐしゃぐしゃの涙を流し洗い落とそうとした。
「レーニャさーん、お風呂入るなら誘ってほしかったなぁ」
ささやくような声だけれど、すでに浴室のエコーを含んでいる音は、チェリムがここに入って来たことを示す証。
しかも、チェリムの気配を側にしたとたんに、彼女をごまかすために慌てて取り乱して頭がそれで一杯になって忘れていた涙が、また、新しくあふれそうになっていた。
嗚咽を思い切り飲み込んで我慢する。
誘うなんて、できるはずもないことを。いえ、本当はとてもしたかったことだけれど、チェリムはそれを嫌かもしれないと思うと、持ちかけることすらためらわれたのに。
気づかれてはだめ、気づかれたら、チェリムに、チェリムに心配をかけてしまう、から。
足音がそっと近づいてくる。それほど広くない浴槽、すぐにチェリムは私の真後ろに立った。
「っ……っ……」
「レーニャさん……?」
私がちゃんと応じないことを案じて、チェリムが私の顔を覗き込もうと、体を寄せてきた。
私の背中に両手をついて、ぴったりと自分の胸をのしかけてくる。手に包んだ小ささは、私の背中で押しつぶされて、その中にやや固めの突起を感じた。
「レーニャさん私のことむししてるー?」
「違う……そうじゃ、ないんだ」
思わず答えてしまった声、震えてる。涙に、濁ってる。
「……?」
「っ!?」
チェリムに、気づかれたかもしれない。
気づかれたら、きっとチェリム、この理由、とことんまで聞いて、自分も泣きそうな顔、してくる。
そんなチェリムの悲しそうな顔は、見たくないのに。
私はなるべく、チェリムに今の顔を見られないようにそむけた。
チェリムは、そんな私に対抗するように、反対側、反対側へ追って、私の顔を見ようとした。
追う追われるのおいかけっこに、私は壁に顔を押し付け隠すように、腕で表情をかばった。
「レーニャさん……」
自らにこもった私に、チェリムは私の顔を見ようとするのをやめた。私を呼ぶ声は、か細く悲しく響いて聞こえた。
そっと、チェリムは私から体を離した。
今は、そうしてチェリムには離れていて欲しい。悲しみに顔を歪めた、涙につぶれた私のこと、できれば、おさまるまで放っておいて欲しい。
彼女の気配がそっと、私から離れることを望んで、しばらくじっとそのままでいたのだけれど。
「もー、そんなふうに無防備にしたらだめだよ〜? ふふー、おっぱいキャッチっ」
「っきゃっ!?」
255レーニャとチェリム その2(7)sage :2006/11/22(水) 06:40:07 ID:SmVg2OWU
突然乳房に、暖かな掌が覆い被さって、しかも……揉むように指を沈ませられてる。
握力が断続的に、私の胸をひしゃげさせてる。
「や、やめ、チェリム、いきなり何をするんだっ」
「落ち込んで、しかも両手持ち上げて見せびらかしてるんだもの。もっと揉み揉みしちゃうからね、そんなふうに落ち込んでたらっ」
ふにふにという擬音を合わせるのがあっているように、私の胸がチェリムに弄ばれてる。
「ちぇ、チェリムっ、だめ、だめだって」
チェリムの手、離さないと、いけない、からっ。
チェリムの両手首を掴んで、彼女を振りほどこうと試みる。腕力の差は圧倒的なんだから、引き剥がすくらい、簡単。
簡単なんだから……っ。
「はぁ、っ、だめ、だって……」
「レーニャさんの胸、思ったより固めなのかな。でも、もみもみできるくらいやわらかいなぁ。それに、すっごく大きいし……いいなぁ」
「チェリムっ、だめ……っ」
なのに、チェリムの手を、なかなかどかすことができなかった。
不意なチェリムの行動だったことに遅れた対応、それに、あのときはただ責めるばかりだったことで、自分が感じることがなかったせいだと思う。チェリムの手に揉みしだかれる乳房の感じを、そのまま、もっと、欲しくなっていた。
自分が、おかしい。
心が快感に溶かされはじめてる。
「レーニャさん胸弱い? まだ揉み始めたばっかりだよ? 確か、女同士で胸を揉みあうと、おっきくなるんだよね……」
「チェリム、なんで、あなたは……」
「うん、恋愛できる相手は男の人だよ」
「じゃあなんで……」
「レーニャさん、それじゃ私が、えっちする相手全員を恋人にしてるみたいだよ? そりゃ、好きな人にだけ体を捧げないのがはしたなさすぎるのはわかるけれど……えっちするの、たまらなく気持ちいいから」
手が、乳首をつつみこんでる。
さっきまで、絞りひねるような手の位置だったから、乳首はただ勃たされるだけだった。その、固さを増してた乳首が彼女の掌に潰されて、淡く擦られてるせいで、どんどん息が熱くなってる。
「だめ、チェリム、手がいやらしい……」
「いやらしくしているんだよ。だって、レーニャさん悲しい顔まだそのままだから」
「ぁっ……」
変な声が、口を突いて出てしまった。
「レーニャさん、どうされると気持ちいい?」
「っ……!?」
そのときのチェリムの声が、ものすごく妖艶な、淫魔の誘惑に聞こえた。
このまま手の感触に酔ったら、きっと、戻れなくなる。
「はぁ……はぁ……私、よくわからない」
「オナニーで、もみもみしないの?」
「するけれど、あまり、じっくりしな……って、何を、聞くんだっ」
「恥ずかしかった?」
受けのチェリムの可愛らしさが、全然ない。
いたずら心といじわるな快感に酔った、淫らすぎるチェリムの素顔、なんだろうか。
たぶんえっちするとき、こういう感じでたまに、男を挑発して篭絡するのかもしれない。
今まで見た事無い、チェリムだった。
「あたりまえだ。それに、今日のチェリムどこか変だぞ、なんでこんなこと急に」
「理由は、レーニャさんが悲しそうだったからだよ? それに、今日はちょっとし足りなかった感じだし……」
えっちしてきた後愚痴をこぼしてるチェリムが、その晩ずっとオナニーしているときがある。でも、欲求不満をぶつけるのに、私を襲ったことは、一度も無い。
私がチャンプをやっているせいなんだろうか、と一時期思ったこともあったけれど、たんにノンケだったせいかもしれないとも思ったこともある。
「だからって、なんで、ぁ……っ!?」
掌をずらして、乳首がチェリムの指の間にはさみこまれた。急にきた敏感な感覚に、言葉が止められてしまう。
「だって、女の人でぶつけても、よくなんかないって思ってたから。でも……こないだ、レーニャさんにされて、女同士でぶつけあってもすごくいいんだって、わかったから」
「でも、私はこんなふうにされるのは」
「私もあのときは、無理矢理だったよ? なしくずしだったよ? だから、レーニャさんも無理矢理なしくずしえっちで、イクまでやめてほしくなくなっちゃうくらい気持ちよくしてあげるんだから。さぁさぁ、レーニャさん、どうすればおっぱい気持ちいいかいってよ〜」
「っ、そんなこと、っ」

”私、こうやって胸を上に寄せてあげるように揉んでもらうと感じるの……あ、すごい、上手”
”乳首いじるときは、周りをなぞってときたまはじいてみて……”

不意に頭に浮かんだ言葉があった。チェリムと初対面の前に、チェリムが言ってた方法。
でも、この言葉、言ったら。
確かこの言葉は、えっちな気分に自らなろうと努めるセリフ。
だから、言ったら、言ったらきっと、戻れなくなってしまう。
256レーニャとチェリム その2(8)sage :2006/11/22(水) 06:40:34 ID:SmVg2OWU
「はぁ……はぁ……チェリム、手、離して、私、あなたと」
「レーニャさん、ふにふに」
最後の意志力、に感じた。
理性のひとかけらを搾り出すような思いで、チェリムの手、引き剥がそうとしたのに。
全然、思い通りにならなかった。
いえ、思い違ったことを正しくしたいと、体が心に働きかけてて。
「チェリム、っ……」
理性、とびそう。
揉む手をさえぎり、たく。
「ふうーっ」
ない。
耳に、吹きかけられた息に、理性を吹き飛ばされてしまったようだった。
「はぁ、あ、っぁぁっ」
なんて恥ずかしい声なんだろう。なんて気持ちのいい掌なんだろう。
「教えて、レーニャさん、どうもむと気持ちいいの?」
「はぁ……あ、はぁ……っ、胸を、上に寄せてあげるように、最初は、そっと……少しずつ、強く」
何もかもをかき消したいように息を吐き出して、そのひとことを紡いだ。
それに、私の言葉が終わる前に、チェリムの手が、私の豊満を上に寄せて、たくしあげて……手の内のまま重さを解放するように、指を離した。
その動きを、何度も、何度も。
「っ、ぁ、あぁ……」
「レーニャさん、声大きくなってきてるよ。すっごくえっちなあまーい声」
「やぁ、言わないでっ」
私の胸、性感そのものになってきた感じがする。
掌に撫でられるだけで、乳房の滑らかさをたどる指先、指の腹の感触、声を出さないと、我慢できなくなる。
「それに、その揉み方私とおんなじだよ? レーニャさんもそれで、気持ちいいの?」
「ふぁぁ、そう、そうなんだ、チェリムにそう、揉まれると……気持ちよさが、っぁ」
「おっきくて、形も綺麗で、敏感だなんて、男の人だったら絶対、レーニャさんの虜になっちゃうだろうなぁ」
「やめて、男となんか、絶対しな、っぁあっ!!」
思わず声を張り上げてしまった。
チェリムの、突然の乳首への責め、声を、張り上げなかったら、おかしくなりそうだった。
ものすごく、突き上げるような快感が、頭のてっぺんにぶつかったみたいに。
「うん、わかってるよ。それに、揉んでいるのが私だから、すごく感じてるんだよね。……今でも好きなんだ?」
「……っ、ぁ、ふぁ、あ」
言葉を、答えをいわないといけないのに、言葉を出すより甘い声が出てしまう。
チェリムの手が乳房を弄ぶたびに、胸の芯から、気持ちよさがどんどん溢れてくる。体の奥に、どんどん熱いのが溜まって、はりつめてる。
「す、っ、っぁ、あ、ふぁ、あ……っ」
好き、という言葉がいえない。いえないから、私は首を縦に振って答えた。
その答え、を、理由をいわないと。
「好き、すきぃっ、ぁあぁっ、好き、チェリムを、今でも、今でもっ」
なのにただ想いをぶちまけることしかできない。それに、そうしただけで、せつなさが吹き上げて、そのせつなさが、チェリムの掌への感覚をもっと膨れ上がらせてる。
やば、すごく、すごく大きな何か、口から出てきそう。
「レーニャさん、無理はしちゃだめだよ……今朝、あんなことしてごめんね、あれから考えたんだ、レーニャさんと、本当に今すぐ離れないといけないのかって」
「ぁ、やぁ、いわない、っ、で」
聞いては、いけないような気がするのだけれど、その言葉を告げるのも難しい気がする。
息、大きく吐き出すように気持ちよさを声にしないと、もう、私、チェリムの手に、一番の性感をこねられて、だめになりそう。
「私、レーニャさんと離れたくないよ……一緒に狩りしてたいよ、お話、おばあちゃんになってもいっぱいしていたいよ。だって、レーニャさん好きだから。恋は、無理だと思うけど、レーニャさんは私の大切な人には、かわりないんだから」
「っぁあ、ぁ、ぁ……っ」
「レーニャさん、近くにいていいから、でももし、もっといい人いたら、その人のところにいくのは拒まないから」
「はぁ、はぁぁ、ちぇり、むっ」
「だから……ひとりにしないで」
きゅっと、チェリムの指が、固く、勃った先端を両方、摘み、ひねった。
「っあ、あああっ、っ……ふぁあああっ!!」
白い光景が視界を覆ったかのように、私は体を強くこわばらせて、チェリムの責めにオーガズムの熱を口から吐き出した。

チェリムはとっても優しいこだった。
道に咲く花にすら思いやりを欠かさなかった。
不条理なことを許さない気丈さもあったけれど、とにかくどこまでもお人良しだった。それに甘えているうちに、一目惚れの気持ちは度を増して強まっていってた。
彼女と出会ってすぐに誘うことはなく、私も、チェリムも、初対面から2ヶ月以上、別々の行動をしていた。
その実力差のせいで狩る場所も違っていたし、彼女と私のそれぞれの築いた社会もまったく異なっていた。
不思議だけれど、好きになった想いが強くなればなるほど、彼女のことをもっと、もっと知りたいという気持ちを強め、気がつけばチェリムのことを観察するようになってた。
チェリムと一緒にきていた二人が、いつのまにかいなくなっていたのはいつだっただろう?
理由を聞くことは結局できなかったけれど、いつのときだったか。
なんとなく、私が誘ったときの彼女は、何かを隠すように私から背中を向けていたような気がするんだけれど……
257レーニャとチェリムの人sage :2006/11/22(水) 06:41:32 ID:SmVg2OWU
なんとなくこの辺でいったんお休み。
続きは早いうちにあげます。
258名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/22(水) 07:40:04 ID:o3JzVKIE
神スレ。

>>247
ttp://necho.touhou-storm.com/468.html
探してみたらこれだと思う
スレ違い失礼

>>226たん
3人ともカワイイです。三次創作してますって書いてたときから楽しみにしてたけどここまでするなんて・・
次回作は226たんと259さんの百合展開で(アシッドデモンストレーション
上のURL問題だったら叱ってください

>>レーニャとチェリムの人
せ、せつない・・・このシリーズ大好きです
259名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/22(水) 09:31:28 ID:tyzDAZII
Myキャラにかぶって切ないorz
260226たんsage :2006/11/22(水) 13:33:11 ID:nVeBcaRA
保管庫報告。作者別リスト表示をメニューから行えるようにしました。
作品が保存済みの作家さんは全員登録。その際装丁も統一されるよう整えました。
それと、流れのままにレーニャとチェリム1&2、回収しました。

>>246
うふふふ。

>>247
多分それで合っていると思います。

>>258
あ、いきなりばれた。よく見つけますねぇ…。
259の人のキャラはもともとかわいいので私が何かするまでもなかったです。気付けば変態になりましたが。

>>レーニャとチェリムの人
百合成分満載で大好きです。応援しております!
上記にもありますが作品回収しましたー。
261名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/22(水) 15:19:44 ID:MmNZOB9c
>>レニャチェリの人
すばらしい!GJです!

常識や理屈では別れないといけない、と思ってるレーニャだけど
心はやはり偽れないって所が素直かつ羨ましいですねー・・・

チェリムは、男漁りをすごくしてる事について
単純に遊び人ってだけじゃなく、精神面や心の面でも
彼女なりに何かありそうですし続きがとても楽しみですね

楽しみにお待ちしてます(*´д`*)
262名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/23(木) 01:52:27 ID:QqX7ZQWU
>>258氏thx!
おお、幻想郷に226たんの華が咲いている…!
スレ違いなので手短ですが、素晴らしい、さすがです、と。
幻想郷の住人も、226たんの手にかかればみんな変態なんだぜ――?(褒

>>レニャチェリの人
ちゃんとキャラの心情が描けるのが羨ましい…
チェリってば男漁りしてるけど、不思議と嫌な感じはしないし
レニャっちも純情でいいわあ
エロものはエロけりゃそれでいいみたいな流れもあるけど、
レズものはやっぱりエロ以外にも心の動きが描かれると
一味も二味も違ってきますよね!
263名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/23(木) 17:34:43 ID:gXqtOlS6
はじめまして。226の人と雑談してたら半ば拉致られてきました。
PCの奥底からSSを取り出してきて改修してみました。
それゆえ、時代背景が古いですが(2年くらい前…?)容赦ください(;´Д`)人
なお、成分として「ふたなり」を含みますのでご注意ください。
264H×Bsage :2006/11/23(木) 17:36:50 ID:gXqtOlS6
-Happy×Break-≪RagnarokOnline's ShortStory≫


 ──あのひととずっといられるなら、どうなってもいいと思った。
            例え、大聖堂の教えに叛いて破戒僧となろうとも──


---

いつもより早く目が覚めた。昨晩はなかなか寝付けなかったのに頭がすっきりしていた。
顔を洗いながら見る鏡に映る顔がにやけている。やっぱり私は現金なのかな、って思ったけど
とりあえず置いておこう。考えてもきりがないし。
軽く朝食を食べ、いつも通り朝のお祈りをして家を出た。

昨日溜まり場で雑談してた時、ふいにあのひとから尋ねられた。
「ドローテア、明日空いてる?」あまりに突然だったから「へ?」としか答えられなくて。
「いやさ、明日ドローテアが暇だったら二人で狩ろうかなって思ったからね」
「あーなるほどね、OKだよー」「あいあい、それじゃ明日の朝ここで集合ね」「ほいよ〜」
なんとか平静を装れたみたいだったけど、膝ががくがくしてたっけ…。
なにせ、あのひとと二人だけで狩りに行くのなんて…はじめてだし。

あのひと…アイビスっていうのが名前で。長く伸ばした紅髪が綺麗なハンター。
魔法都市ゲフェンの一角にある溜まり場の人気者で、
元気で明るいから結構ファンが多い…私もその一人だけどさ。
でも誰よりも早くビス姉の魅力に気付いたのは私だ、間違いなく。
そしてその時から…ビス姉に恋していたから。
きっと、誰も知らない私の秘密。想いが暴走しそうなのを留めてるのが現状…。

---

待ち合わせ時間より早く着いたのに、ビス姉は溜まり場にたたずんでいた。
いつもだったらお日様が真上に来るまで寝てるくせに…どういう気の回し方だろう。
でももちろん、嬉しくないはずがなくて、今日一日が幸せで満たされるような気がした。
「おはよう〜」って声をかけると、ちょっとうつむいてた頭が何かに殴られたかのように
"がばっ"と持ち上がって、そしてこっちを向いた。肩で静かに止まってた鷹がばさばさっと空へ逃げる。
「んぁ…おはぁ」寝てたんですか。やっぱりビス姉はいつも通りだなぁ、それでこそと笑う。
「ビス姉眠そうだね…だいじょぶ?」と尋ねると
「ん、早く来たからぼーっとしてたんだよ」なんて照れくさそうに笑った。
「それならいいけどねー」ってお互い笑い合うとそれはもう、至福で、あまりににへらとしてたら
「なんだよー」の言葉と軽いチョップを頭に浴びせられた。
「な、なんでもないよ?そうだ、今日はどこに行くの?」
「そうだなぁ…グラストヘイム城2Fの広間でどうだろ?」
できれば色々考える暇も欲しくなかったし「それでいいよ〜」って答える。
「それじゃ、倉庫に行って準備してくるね」と言いながら『速度増加 "Increase Agility"』を唱える。
遅れて「私も行k」と言いかけてるビス姉に同じく速度増加をかけて、二人して倉庫へダッシュ。

(ブルージェムストーンと聖水と…あとは予備の銀矢を持っていこうかな)
持っていくものを吟味していると胸元で緑魔石板(Green Gem Plate)が"ぶるる"っと震えた。
『こっちは用意できたよ』ビス姉からwisが来た。
この板があると遠距離にいながら会話が可能になる。
魔術師ギルドと錬金術師ギルドの共同研究の賜物だそうで、便利な世の中になったとつくづく思う。
まぁ、たまに…混線したり不通になったりはするけども。
『うん、すぐ行くよー』って返して、急いで荷物をまとめ、倉庫を出る。

---
265H×Bsage :2006/11/23(木) 17:37:40 ID:gXqtOlS6
ゲフェン西の大きな橋を渡り、コボルド平野を越えて。
頻繁に通ってるはずなのに何故か景色がいつもと違って見えたような気が、した。
モンスターは出たものの、私達の相手ではなく日暮れ前にはプティ草原を抜けられた。
そして眼前にはグラストヘイム城の正門がそびえ立っている。
普通の人なら夕陽とのコントラストに見惚れるんだろうけど、仮にも私は聖職者だ。
溢れんばかりの瘴気を感じずにはいられなかった。夏が近いのに寒気までする。

元々、この城は1000年前に巨人族と人間が戦争を繰り広げた場所で、
劣勢だった人間側の王が悪魔と契約した挙句、欺かれて人間・巨人族共倒れの結果になってしまった。
それ以来、この城は悪魔がはびこる場所になってしまったとの言い伝えだ。
数日前、プロンテラ大聖堂所属の有望なプリースト及びクルセイダーを召集してここの一斉浄化を執り行う、
という内容の手紙が届いてた。私もそのメンバーに入っていたけど、行く気はない。
「女が女に恋している」という罪を犯している聖職者"まがい"は神の子ではないと思うから。

(あーやだやだ、また嫌な癖が出てる)頭を軽く左右に振り、門をくぐったビス姉について駆けていく。

---

薄暗くぬるい風が流れる庭を二人並んで歩いていると、ふいにビス姉から尋ねられた。
「ドローテアってさぁ…彼氏とかいないの?」
その言葉で頭は真っ白に。片想い中のひとなら…すぐ隣に…。
「えっ…ああ…いや…いっいないよ?!」
ビス姉はにやにや笑っている。
「そういうビス姉こそどうなのさ?結構惚れてる人もいるみたいだよ?」
「へぇ…そうなんだ…知らなかった」意外や意外。結構鈍感なのかもなぁ。
でも、次の言葉が私を凍らせた。
「だけど、わたしは好きな人いるしさ。その人以外はどうでもいいや」

─ワタシハ スキナヒト イルシサ    ソノヒトイガイ ドウデモイイヤ─

その言葉は残響音となって頭の中を駆け巡る。くらくらして思わずしゃがみこむ。
「ホントはか弱いのに、気丈に見せてる強がりが好きかな…って、ドローテア!どしたの?!」
「あ、うん…なんでもないよ?」立ち上がりはしたものの、くらくらは治らなくて。
「肩貸すから、とりあえず城の中まで行こう」ビス姉の華奢な腕が回される。
「ごめん…」
思いがけずビス姉の体に触れられたけど、ドキドキもしなければ、触れたところが熱くなる事もない。
ただ、鈍いけど鋭く、冷たいけど熱い痛みが体中を支配してるだけだった。

次の瞬間、ビス姉の動きが急に止まる。
「どうしたの…?」何がおきたのかわからず聞くと
「やばい…深淵だ…」小声でそっとつぶやいた。
深淵の騎士…グラストヘイム城に常駐している、悪魔に憑りつかれた黒衣の騎兵。
その能力は強大で、槍を一凪ぎすれば一個大隊が吹き飛ぶとさえ言われている。
もちろん、私が普通だったら何とかなるかも知れないけど…分が悪すぎる…。
それでも、私は…同じ「死」なら支援して死んだほうがいい…それが私の仕事だから。
握っていた杖を支えに立ち上がり、
迫り来る深淵を迎え撃っているビス姉に支援をかけるべく、集中し、祈りを解き放つ。
『神の息吹を与えよ!ブレッシング!"Blessing "』
『豊かなる風を!速度増加 !"Increase Agility"』
『守護の聖盾を与え給え!キリエエレイソン!"Kyrie Eleison"』
しかし…魔法たちは一つも発動する事はなかった。
私はただ「ビス姉!魔法が…でないよ…!!」と叫び、また崩れ落ちるしかなかった。
「ぇ…」ビス姉はちょっと躊躇しながらも、私に駆け寄り、そして抱きかかえた。
「ちょっと捕まってて!」口早にそう言うとポーチから紫色の小物…クリップを出し叫ぶ。

『テレポート!"Teleport"』

--
266H×Bsage :2006/11/23(木) 17:38:23 ID:gXqtOlS6
「で、どういうことか説明してもらおうかな」壁に寄りかかり、私を見下ろしながら問う。
─ここはグラストヘイム城の修道院内部にある一室。
テレポの着点が修道院前だったから、休憩を取るため、ここまで来た。
以前はVIPルームとして使われていたらしく、豪華なベッドや上質な調度品が並んでいる。
いずれも朽ち果てる、まではいかなくてもかなり劣化していたけど。
「どういうこと…って…わかんないよ…」私は頷いたまま呟いた。
…理由はわかっていた。神が私を見放したのだ。
「女が女に恋する」という聖職者あるまじき行為はやはり許される事ではなかったんだろう。
もう、ビス姉はおろか、誰も私を狩りに誘ってくれることはないだろう。
なぜって?
──「使えない」から。
もはや…神力の使えないプリーストなど、ノーヴィス未満…冒険者として生きられない。
空虚感と絶望感、そして…ビス姉への想いがごっちゃになって。
「ビス姉、蝶の羽持ってる?悪いけどそれで帰ってくれるかな?」無気力に言い放つ。
本当は思い切りビス姉の胸で泣きたい、甘えたい。でも、そんなことはできなくて。
自分を痛めずにはレゾンテートルを維持できなかった。

─私が悪い。
  私のせいだ。
  私さえいなければ。
  私が、私が─。

途端、胸倉を捕まれて座っていたベッドから立ち上がらせられる。目と目が合う。
「なんで…なんでそんなこと言うのさ!どんだけ心配してるかわかってる?」
私は…それでも。
「いいよ…心配してくれなくても。スキルロストしたプリなんて使えないしさ。」卑屈に笑う。
ビス姉が息を飲むのがわかったけど、無視して続ける。
「それよりも、私なんかより好きな人いるんでしょ?そっちにいったら?」
もう、"私"ではない"私"がこの体を乗っ取っている。狂気は止まらない。
でも、なぜか、そんな状況が心地良かった。
頬に衝撃と熱い痛み。ビス姉が荒い息をついて睨んでいる。
「ドローテアを結構見込んでたんだけどな、わたしの見当違いか…」
もっと罵ってください、もっと卑下してください。私がビス姉を忘れられるくらいに。
「じゃあ言うけどね、私だってビス姉の良さ、誰よりも早く知ってた。誰よりも早く好きだった。
でも、でも!好きな人がいるって言うビス姉をこれ以上想う事なんて出来ないよ!今は一緒にいるだけで辛いから…。」
言ってしまった。もう終わりだ。もう楽になれる。
そう思うと気がすーっと抜けて、私はベッドにへたり込む。
そして沈黙。それは刹那とも永遠ともとれる長さで。

口火を切ったのはビス姉。
「………ドローテア…言っていいかな?」
さっきまでの口調とは違い、やけに静かな言葉で。
「うん?いいよ…もう何言われてもも怖くないから。」これも本音。
「あの、さ。わたしの好きな人って…ドローテアなんだよ…」
「え?」何を言われたのかわからなくて、聞き直す。
「だから、ずっとドローテアのことが好きだった。今日はそれを伝えるために誘ったんだよ。」
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃。何をどういえばいいのか解らない。
それじゃあ…じゃあ…私は…私は…。
「たとえ、ドローテアがどうなってもドローテアのままなら、ずっと側にいたいと思う。だから、わたしの側にいて欲しい」
ビス姉はぽろぽろ涙を流して泣いていた。泣き顔なんてはじめて見た。
私も…次から次へと溢れ出る熱い涙を止める事なんて出来なかった。
「でも、私はビス姉を傷つけた、それに、もう一緒に狩りになんて行けないし…。」
「ドローテアと一緒にいられるならそれ以上は何も望まないよ。
二人で一緒にノーヴィスからやり直してもいいしさ。ね?」
愚かな私でもこれほどまでに必要とされてる。
ただただ嬉しくて、切なくて、私はただ、涙を流し続けるしかなかった。
ビス姉が隣に座り、私の背中に手を回す。片手で頭を撫でながら呟く。
「愛してる」
その声には、揺るぎない自信と決意と、想いがあった。
私は、無意識にビス姉の唇を塞いでいた。
今まで、ビス姉に触れても感じなかった鼓動の動悸や体温さえも今なら感じられる。
想いの奔流が氾濫しそうなのを止めることが出来ない。つくづく現金だな、と頭の片隅で思う。
そして、その体勢のまま舌で唇をこじ開ける。
はじめは驚いていたビス姉も、舌を絡め合わせてくる。
熱い吐息と熱い想いとが合わせ混じる空間は淫靡で、でも純粋に思えた。
ぷはっ、と荒い息をつき、お互い見つめあう。思わず微笑みがもれる。
さっきとは違う意味で、もう何も怖くない。このひと…ビス姉とだったらどこまでも歩んでいける。そう思った。
もう一度口づけ、今度は軽く。
「私も愛してる」その言葉にも揺るぎない自信と想いを込めて。

--
267H×Bsage :2006/11/23(木) 17:39:20 ID:gXqtOlS6
「ビス姉、しよ?」
ビス姉をベッドに横たわらせ、後ろ手に法衣のジッパーを下ろし、下着姿になる。
「ぃぁ、ちょ、ちょっと…!こっ、心の準備が…」
「私とするの…いや?」
「いや…あのさ…んむっ…ん…」抵抗する唇を沈黙させる。この先は言葉なんていらないから。
さっきまでの友達関係を超え、女同士を超え、人間すらも超えて今はただ、情欲に狂う二匹の獣でありたい。
…神の存在しない今だから思えること。
唇を離すとようやく大人しくなる。恥辱に赤面したビス姉もとても美しくて、
まるで美術館にある芸術品をそのまま持ってきました、と言っても過言ではなかった。
額・頬・首筋・髪・耳…あらゆる所にキスをしながら剥き出しになっているわき腹をさする。
「んぁ、あっ、やぁ…んふ…あっ!」
ビス姉が鳴くのを聞いていると、私のあそこの潤いが満ちてくるのがわかる。
なだらかなラインを上へ上へとなぞりながら空いている片手で
胸部…ご丁寧に乳房の上下の位置に装飾されているベルトを緩ませ、シャツをひきあげる。
私のそれと比べてかなり大きい、青いブラに包まれた豊かな乳房が姿を現す。
「ビス姉の…大きい…」羨ましいなぁ…。
「んちゅ、ん…ぁ、だめぇ…ゃだ…」腕で顔を隠し、いやいやをする。可愛いすぎていじわるしたくなる。
「じゃあ…やめようか」唇と手を離し、あくまでも素っ気無く言い放つ。
「ぇ…えっ?!…やだ…ゃめないで…」
目を潤ませながら抱きつき懇願してくるビス姉の唇を貪り、「よくできました♪」と耳元で囁く。
そして、両の手で乳房をブラ越しに撫でると
「ひゃぅっ…はぁ…ふぅ…ゃ…」と身悶えする。
そのままフロントホックをはずすと、日に焼けていない白い二つの塊がぷるん、と弾けた。
大きいだけではなく、形も張りも良く、頂点に位置する淡いピンクの二つの突起は固く隆起していた。
その乳首を指でこりこりとつまむ。
「あぁっ!やっ!んはぁ…んん…」びくびくと揺れるビス姉。それを見て、私は我慢できなくなっていた。
「ビス姉…私も気持ちよく、して…」手を、ブラを外した胸に引き寄せる。
唇と舌を重ねながら互いの胸を弄ぶ。やだ…ビス姉…上手い…。
弓師だけに手先は器用だからなんだろうか…私の性感帯にフィットするように動いてる。
思わず、動きが疎かになり、ビス姉のなすがままにされてしまう。
「あっ…ぁぅ…んゃ…にゃぅ…」胸を弄られるだけでイキそうで、体をよじる。
「ビスっねぇっ…うまいっよぅ…きもちぃぃ…ぁ…ひゃ…」
あそこの水気は留まるところを知らず、一層溢れそうで。
「下も…お願い…」そう言いながら、糸を引くショーツを脱ぎ捨て、いわゆるシックスナインの型になる。

「ん…はあっ…ぁ…やんっ!」
ビス姉…手だけじゃなくて舌使いも上手い…。
舌と手でクリトリスやあそこのまわりを触られるとすべての感触がどろどろに溶けていく感じ。
私も負けじとスカートのベルトを外し、汗ばんだスパッツに手をかける。
「や…待って…待ってぇ!」腰を捕まれて引き剥がされる。
「ん?どうしたの?」
「ぁのね…ぁのね…わたし…あるの…」弱々しい声で呟く。
「あるって…何が?」ちょっと苛々しつつも問う。
「あの…その………おちんちんが…」…マジですか。手がかかったままのスパッツを脱がす。
途端、"びんっ"と跳ね上がってきた…陰茎。そして下部には愛液が湧き出している割れ目。
なるほど、ふたなりってやつかぁ…。
しばし、眺めていると異形なコレさえもビス姉の一部なのが感じられていとおしくなり、
私はそれを舌で愛撫し始めた。
「は…づきち…だめだ…ょあんっ!」
カリから裏すじ、根元までを、モロクで食べたアイスクリームのように丹念に舐め回す。
その度にビス姉はびくんびくんと痙攣し、はぁはぁと荒い息をついている。
カリの先から滲み出てる粘液を舐め取りながら
「ビス姉、どう?気持ちいい?」と尋ねると
「ひゃ…いぃっ…ぃぃのぉ…気持ちよすぎるぅ…」頭を縦に大きく頷かせながら喘ぐ。
唾液を口に含み、じゅぽじゅぽ、といやらしい音を立てながらその硬く尖った陰茎を咥える。
口の中でそれは、ますます大きくなり、暴れた。
「ん…んふ…んむぅ…じゅ…」というくぐもった息とじゅぶ、じゅっ、という水音、
遅れてはぁ、ふぅ、という、荒く短い喘ぎとも声ともつかない音がこだまする空間。
そこから感じられる熱がたまらなく…狂おしい。
「ぃゃ…ぁはぁ…だめ…だめぇっ…んぁぁ…ゃばっ…」
そう言うとビス姉は、ちゅぽん、と口から陰茎を引き抜いた。
「イキそうだったんなら口の中に出しても良かったのに」少し残念に思って聞くと、
「いあ…ドローテアと…ドローテアと一緒に気持ちよくなりたいから…」と起き上がる。
その言葉がたまらなく嬉しくて…やっぱりビス姉を好きになって、愛してよかったと思う…。
今日した中で一番長く、そして熱いキス。互いの心を絡め取るかのような舌の動き。
銀色の糸が二人の体の間を伝い、落ちていった。

「アイビス…きて…」ベッドに横たわり、両手を差し出して迎え入れる。
「行くよ」私の肩に手をつき、陰茎をあそこにあてがい、ぬぬっと挿入した。
ぶちっ、という鈍く熱い痛みが広がる。
「あぐ…っあ…んあ…ぅっ…ったぁ…」耐え切れず悲鳴をあげてしまう。
私は伸ばした手をアイビスの背中に回し、力いっぱいしがみつく。
全身の毛穴からどっ、と脂汗が出てくるのがわかる。
でも、心は、アイビスとひとつになれた、という充足感で溢れていて。
「ドローテア…もしかして…初めて…なの?」悲鳴を聞いたアイビスが心配そうに顔を覗き込んでくるけど
「んっ…だ、大丈夫だよ…はぁっ…気持ち良くぅっ…なろぉっ…」と返す。
「わかった…それじゃゆっくりいくよ」アイビスは目を合わせたまま呟く。
破瓜の痛みよりも、アイビスと離れたくない想いの方が強くて、ぎゅっと抱き締めたままで。
「あぅっ…んんっ…っ…はぁっ…」
次第に、波が返すように、快感が広がってきた。徐々に、徐々に。
「アイビスぅ…もう…ぁん…激しくでも…ぃぃよ…ぁ…」
もちろんまだ痛かったけど、押し寄せてくる気持ち良さには抗えない。
その言葉を受けてピストンのスピードが加速してくる。ベッドがぎしぎしと軋む。
「んはぁ…いぃっ…奥まで…きてるっ…」
「ドローテアっ…そろそろ…ぅんっ…ぁっ…」
アイビスがずにゅ、ずぶっ、と突き上げてくるのと同じタイミングで
私の中のゆらぎが大きくなってきて、私を飲み込んでいきそうだった。
「中にっ…中に出してぇ…!私も…イきそ…っ!」
快感が放電しそうなのを抑えきれなかった。思わず足をアイビスの腰に絡め、さらに力強く抱き締める。
「ぁ…イッちゃうっ!イくっ…ゃあぁぁぁぁっ!」
「はぁ…ああっ…んんぅっ…!」
視界がフラッシュバックし、真っ白になる。
びくんびくん、と私の体が痙攣すると同時にアイビスの精が私の中で爆ぜた。
二人並んでベッドに倒れこみ、抱き締めあう。
はぁはぁ、と息を切らしている私にちゅっ、とアイビスがキスしてきた。
そして、『愛してるよ』の言葉が同時に出て、同時に吹き出し、同時に、熱いキスをした。




 ──アイビスが隣にいてくれるなら、立ち上がれる、歩ける、走れると思う。
                           例え、神に見放されようとも、ね──
268H×Bsage :2006/11/23(木) 17:41:30 ID:gXqtOlS6
長い沈黙を破ったのは私。
「さて…もう一回、しよか?」
「…え」


夜は終わらない。


--

次の日…とは言っても朝が来るまで交わってたから…お日様が真上に昇ったころ。
二人でプロンテラ大聖堂に懺悔に来た。
本当だったら、アイビスは来なくてもいいんだけど「ドローテアとわたしは同罪だよ」って譲らなかった。
中に入るだけでもちょっと躊躇するけど、二人でいれば大丈夫だよね、きっと。
マルコス神父に今までのことをかいつまんで懺悔する。もちろん、"しちゃった"ことは抜いて。
「なるほど…でもドローテアさんからは神力は失われてませんよ?」と優しく微笑む神父様。
「え…?どういうことですか?」驚いて尋ねる。そこに、別室で懺悔をしていたアイビスが戻ってくる。

「我々聖職者は、神の加護を発動者に降ろし、魔法として撃ち出す訳です。
これはアコライトの実習で習った事と思いますが。魔法が発動されないと言う事はつまり、
発動者に神降ろし出来ないほど精神力および集中力、つまりSPが不足していた訳です。」

「な、なるほど…。」呆然としつつ、アイビスを見つめる。
…ってことは…ただのSP不足だったのか…なーんだ…
「それに、今の世界は自由愛です。性別や身分などで神罰を受ける訳がないでしょう。」
神父様が余計に付け加えてくれた。
「そうでしたかー」とアイビスが感心したように呟き、尋ねる。
「今回魔法が出なかったのは、神罰を受けるとびくびくしていたこの子の勘違いって訳ですか」
「ええ、そういうことになりますね。はっはっは」バカ神父が豪快に笑う。

スキルロストではなかったという安堵と、
神罰が勘違いだったという気恥ずかしさが半々でため息をついていたら、
腕が"がしっ"と捕まれてそのままずるずると引きずられる。
「え?え?ちょ、ちょっとーっ」何がどうなるのかわからず慌てふためていると、
「ドローテアっ!早くいくよ!」と急かされる。
「いく…って、どこに?」今日は特に他の用事はなかったはずだけど…。
「ぴーぶいぴー。心配かけた罰に、わたしの的になってもらうからね!」
PvP。正式名称は"Player vs Player" のこの場所は、
殺人が禁止されているミッドガルド王国で唯一人を殺せる、娯楽施設とは名ばかりの無法地帯。
そこに連れて行こうというのか。
「わわわっ、ま、待って!確かに私が勘違いしたのが悪いけd」「問答むよーうっ!」
私を引きずる手が片手から両手に増えて、その光景は駄々をこねている子供とその母親のようだった。
いつも通り賑わっているプロンテラの露天商や通行人とすれ違うたびにくすくすと笑われているのがわかる。
私はもう観念して、
「やるならやってみなさいよ!ヒールとキリエで耐えるから!」挑発する。
「よーし言ったなぁ?ドローテアが負けたら今晩覚悟してね!」ここまでアイビスが熱くなると止まらないのは知ってる。
「…(負けても、いいかも)…」こっそりと呟く。
「何か言った?」いぶかしげにこっちを睨むアイビス。
「いやいやいやいや、何も何も?」
ぶんぶんを首を振っておこう。アイビスをいじめるのは夜でいいや、とにんまりしながら。
「それじゃ、PvP受付前で集合ね!」と、
私を掴んでいた手を離して一人駆けて行こうとするアイビスの手を力いっぱい握る。
「そう簡単に逃がしませんよーだっ」ありったけの笑顔でアイビスを見つめ、頬に軽くキスをする。
「(人が見てるって…)」そう呟きながらも耳たぶにお返しのキス。
二人とも顔を真っ赤にしながら笑いあう。
手を繋いだままダッシュする。鷹が置いてきぼりを食ってたまるかと必死についてくる。


「離れたらやだよ!」「わかってる!絶対離れない!」『愛してるよっ!』


─ミッドガルド王国首都プロンテラ、今日も快晴。今日も一日幸せで満たされますように。


-HappyEnd?
269名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/23(木) 17:45:29 ID:gXqtOlS6
緊張しつつぺたぺた。
拙い作品だとは思いますが、楽しんでいただけたら。
現在構想を練ってますので、完成の暁にはまた投下させてもらいます。

そんな感じでどうか。。・゚・(ノ∀`)・゚・。
270名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/23(木) 20:02:15 ID:5c5r1s3M
いいねぇ
このマッタリした雰囲気とかなつかしく感じる
ぐっじょぶです(*´д`*)b
271名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/23(木) 21:48:36 ID:DhnkjXhQ
>>263さん
くう、また新たな神が!
226たんと話していたと言うことは義姉妹の方ですね、うらやましい
272名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/23(木) 22:21:22 ID:gXqtOlS6
ありがとうございます。・゚・(ノ∀`)・゚・。
投下してから心臓がスフィアーマインだったんですが何とか落ち着けました。

>>271さん
義姉妹とか…そんなこと言おうものなら
それこそここにすら書けないような…((((゜Д゜;))))
273名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/24(金) 03:28:34 ID:ueDYsFvw
なんなんだ…なんなんだあんたら……神すぎる!
俺も触発されて書いてみようかなあと思っちゃうじゃないか!

ところでスレのサイズが483kbなわけだけど、新スレはどうなってるのかな?
274226たんsage :2006/11/24(金) 03:55:48 ID:5480sN7Q
作品来てから慌てるのもイヤなので、新スレ立てました。
もちろん先に現スレを消費でお願いします。
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1164307704/l50

保管庫、2スレ目まで格納+感想等の一行コメントページをつけました。

>>262
ありがとうございますー。
以降、あっちの話はあっちでしましょう。きっとまた投げます。

>>263たん
お疲れ様です。初めてとは思えない内容ですよっ!


最後に改めて告知。

■■第2回百合スレ座談会〜突発企画で何が悪い〜■■

日時:11/25(土) 20:00〜
サーバー:Surt
場所:アルベルタ船内、船室
用意するもの:心に百合の花束

新垢1dayかなんかでノビ作って集合ですかね!
275名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/24(金) 18:42:39 ID:1xBTCU1A
一時期の過疎化が嘘のようだ…!!
百合スキー多い事を改めて実感しますた、文神さま達に心からのGJを。もう大好きです皆さん

問題は座談会が家につく頃既に解散してないかと言う事orz
276名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/24(金) 21:54:26 ID:ueDYsFvw
こちらではほぼ読み専なんですが、座談会に参加しちゃっても大丈夫でしょうかね?
277名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/24(金) 21:57:18 ID:VVCxER5E
いいに決まってる、そのための座談会だろ?
278226たんdame :2006/11/25(土) 02:52:22 ID:hn9Wjjkk
保管庫、既存1〜4スレの全作品(たぶん)回収完了しました。
無題作品には仮題を極めて適当に貼り付けています。願わくば作者様の添削を。
変更の際には同内容で別名のファイル作成して元のファイルを真っ白に編集すればOKです。
わからない・めんどくさい方は保管庫のコメントで言っていただければ引き受けます。
ハンドルネーム変更なども大歓迎です。レス番だとわかりにくいので…
そういう自分がレス番コテですが、もはや今更変えられません。愛着。

>>273
作品期待しております。

>>275
多分結構遅くまでやっていると思います。

>>276
■■座談会は誰でもウェルカム■■
強調させていただきました。ただし、空気をぶち壊す方を除きます。
279259の人sage :2006/11/25(土) 18:12:51 ID:AFW4YJuQ
>>レーニャとチェリムの人
すばらしいです。はぁはぁ。
相変わらず百合百合汁(?)がたくさん出てますね! 大好物です。
危ういキャラとかも出て、おおそれで最後はこの人とするのか!
って言うのがなんだかもう、参りました。ごちそうさま。

>>263さん
あああああ、まともな聖職者さんだ!
このスレでこんな聖職者聖職者した聖職者さんを見たのはいつ振りでしょうか。
逆に新鮮です。話もツボでした。不覚にもうるうるしてしまいました。ごちそうさま。

埋めネタ投下。えろしーんはありませんと先に断っておきます。
280259の人sage :2006/11/25(土) 18:14:03 ID:AFW4YJuQ
 私にはある友人がいる。
 明るくて強くて仕事も早い、胸が小さいのはご愛嬌――そんな人だ。
 概ね満足のいく良い友人なのだが、一つだけ大いに困った点がある。
 それは――。

「ねえさまああああああああああ」

 これだ。


 ちょっと厄介な仕事を請け負ってしまった私は、晩御飯を取る時間がかなり遅い。日付が変わる頃になってしまう事もしょっちゅうある。営業時間の問題から必然的に夕食をとるお店というのは限られてくるわけで、今いるここは、プロンテラでも数少ない深夜二十四時を回っても温かい食事を出してくれる『酒場でない』料理店だ。
 この時間にもアルコールを出さずに営業するのは見上げたポリシーだが、はっきり言って客入りはよくない。別に料理自体もそれほどおいしいわけではないから、いるのはせいぜい私のほかにニ三人、同じく仕事あがりらしい人だとか、これから夜勤に行く警備隊の人だとか、そういった人たちが離れた席にぽつんぽつんと座っているというのがこの店のいつもの風景だった。
 そこにこの人が――。
「ねえさまああああああああああ」
 と言ってやって来る。
 そろそろ冬も近づいてきた今頃、こんな時間になってしまっては私などハイプリーストの法衣でも寒いというのに、彼女は露出度の高めなアサシンクロスの衣装で閑散とした店内に現れては、元気良く向かいの席に座るのである。上位二次の中でもさらにトップに近い位置にいるはずの前衛職がそんな事をしても甚だしく信憑性に欠けるのだが、いつもはあはあと少し息を上げているから、ひょっとすると走り回って体が温まっているのかもしれない。
 まあ、その辺はあまり気にしていない。暑かろうが寒かろうが、真実疲れていようが疲れているポーズをしているだけであろうが、本人の中で完結している間は何ら問題はないのだ。本当に些細でどうでもいいことである。
 それよりも。
「結局、『ねえさま』は確定なんですか」
 問題はこれだ。
 あまりにも強硬にそう呼ぶものだからいつの間にか普通に返事をするようになってしまっていたが、ふと冷静になってみると『ねえさま』はないだろうと思う。この人と私とはは姉妹でもなければ恋人でもない、ただの友人同士である。そう呼ばれる理由がない。
 至極当然と思われる私の問いかけに、対面の女性はきょとんとした顔を見せた。
「ねえさまと私は義姉妹の契りを交わした仲じゃないですか」
 何を言っているんですか、と当たり前のことのように続けてくる。
 ――が。
 何を言っているのかと聞きたいのはこちらの方だ。
 義姉妹の契りなど交わした覚えはない。
 断じて交わしていないと言い切れる。
 絶対に交わしていない。
 私の認識では『義姉妹の契りってナニ? 何かするの? 杯を酌み交わしたりとか?』というレベルである。交わせるはずがない。
 よって義姉妹の契りなる物を交わしていないのは間違いないのだが――日常的な行動を何か特別な観点から見た場合にそれが成立するのだ、とかいう屁理屈をこねるのであればそんなものは当然無視である――『ねえさま』と呼ばれて返事をしてしまう私は確かに存在しており、そこだけを取り上げれば傍目には姉妹というか、なにやらアヤシイ関係に見えてしまうこともあるのかもしれない。
 ……実はこの『傍目』というのが曲者なのである。
 私は元々馬鹿馬鹿しい遊びをするのが好きな人種で、彼氏持ちの女の子に公然と色目を使ってみたりだとか、人妻さんをデートに誘ってみたりだとか、そういうことをよくやる。本当に彼女たちとどうにかなりたいというのではなくて、ただ単に周囲の人間のリアクションを楽しみたいだけ、という自分でも結構あまり褒められたものではないとの自覚がある悪趣味な遊びだ。
 私のことを『ねえさま』と呼ぶこの友人とする義姉妹ごっこは、これに通じるものがある。それで人目がある時などは特にホイホイと簡単に返事をしてしまうのだ。
 他方、ひとけの無いところではふと我に返ってしまうこともあって、丁度今の状態がそれに当たっていた。最近では二人っきりでも「ねえさま」「なんですか?」の間柄になってしまったが、これは私の中では飽くまでも遊びのつもりであるということを強調しておきたい。この子もそのつもりでいるのだろうけれど、近頃は物陰から覗いているだとかアヤシゲな素振りが増えてきたので一応。
「まあ呼ぶのは構いませんけど、義姉妹の契りなんて交わしてませんから。そこのところ勘違いして勝手に変なこと吹聴しないでくださいね」
「はあい」
 素直に返事をしたかと思うと、次の瞬間彼女はあからさまに表情を一変させた。器用に瞳をうるうるさせながら、胸の前で小さく手なんか組んだりして。これが小柄なこの人にはなかなかに似合う仕草なのだ。
「――ねえさまに喜んでいただけるのなら、私何だって言う事聞きます」
 これだ。
 唐突に変な小芝居を始めるのがこの女性である。真意の測りきれないこういった類の行動を、私は挑戦状だと受け取る事にしている。余裕があるのなら受けて立たねばなるまい。幸か不幸か会計も済ませて今はダラダラとお茶を飲んでいるだけだった。
「あらあら、貴女は可愛い事を言うのね」
 そっちがその気ならこっちはきちんとお姉さまやってやろうじゃありませんか。
 店内に人がいようが関係なくわけのわからない芝居に突入できる辺り、自分でもかなりダメだと思う。というか実際は周りの人に止めて欲しい気持ちが溢れんばかりにたぎっているわけだが、大抵わかってもらえない。第三者に突っ込まれれば両者痛み分けでスッキリ終われるというのに。
「か、かわいくなんか……」
 愛すべき我が友人殿は言葉とは裏腹にかわいらしく俯いて、あまつさえ頬を染めてさえいた。技巧派である。
「いいえ、貴女は可愛いわ。もっと自信を持ちなさい。私が認めているのだから。ね?」
 私は静かに立ち上がり、テーブルを回って彼女のそばまで移動した。
「で、できませんそんな事。第一、ねえさまのほうがずっと!」
 友人殿はがばっと勢いよく顔を上げて言葉を詰まらせる。私はその顎に手を掛け、真正面から視線がぶつかるように、こちらを向かせた。
「仕方のない子ね、じゃあ自信を持てるようにおまじないをしてあげるわ」
「おまじない…? え、あっ」
「可愛くない子にはこんな事しないのよ? 私は」
 唇を近づけていく。殊更にゆっくりゆっくりと。相手に逃げる時間を与えるために。
 この遊びは先に素に戻ったほうが負けなのである。少なくとも私個人としてはその基準でやっている。ちゃんとルールを協議したことは――ない。
 頭の中では「逃げろ! 逃げろ!」と必死になって連呼していた。なにしろ今までこの人とキスしたことなどなかったのだ。だからこそここで確実にストップが掛かるだろうとの目算があった。
 のだが――。
 妙にかわいらしくなってしまった友人は驚いたように目を見開いたまま動かず、降参の意を表明するはずだったその唇はしっかりと合わさっていた。
「良い子ね」
 息が掛かるほどの距離になって、私は言った。
 最後通牒である。ここで嫌がらなければ本当にキスをする。私は酔っ払うと誰彼構わずキスしたくなる人間だし、そのままする事も多々あるので、口付けに対する抵抗というのはほとんど無い。
 果たして彼女は――じっと固まったままでいた。
 私は、軽く唇を触れさせた。
 すぐに離れるつもりでいた私が顔を引くよりも早く、接触の瞬間に相手の体がびくりと震えて、元から短い予定だった口付けはさらに短い一瞬で終わった。
 ……なんというか――この女、やる。
 常日頃の態度を見る限り、この人がキスの一つや二つでどうにかなってしまうようなタマではないことはわかりきっている。この初々しい反応は演技なのだ。
「どう? 自信持てそうかしら?」
 ほのかな温もりの残る唇を耳元に寄せて、私は囁いた。
 キスをした時に遠くのテーブルから聞こえた、うおっという呻きか何かの声は意識から締め出した。重要なのはこの勝負に勝つことであって周りの反応ではない。
 キスまでしたのだからちょっとやそっとのことで負けるわけには行かない。そういう気分になってしまっていた。それは虚空を眺めて呆然とした様子を演出している友人殿にしても同じだろうから、これはひょっとするととんでもない長丁場になるかもしれない。
「貴女は可愛いの。自信を持ちなさい」
「あ……っ、は、はいっ。ねえさま……。ありがとう……ございます」
「いいえ、どう致しまして」
 真っ赤になって言う友人ににっこりと笑いかけながら、私はこの先の長期戦を予感して無駄に負けず嫌いな性分をした自分を小さく呪ったのだった。
 ……ああ、疲れてるっていうのに。私の馬鹿。
281259の人sage :2006/11/25(土) 18:14:41 ID:AFW4YJuQ
 ――結局。
 我ながらこれは巧みだ、と内心で自画自賛せずにはいられないような素晴らしい――要するに返答に窮するような――振りやら、ここで諾と言えばお互い引き分けということで綺麗に終了できそうな、ちょっと譲歩した振りやら色々と繰り出したものの、意地になっているのか、友人殿はそれらのことごとくに『ねえさまに憧れる純情な少女』としての仮面を外すことなく完璧に応じ、挙句ズルズルとここまで来てしまった。
 というわけで、所変わって私の部屋である。
 道中に頭の隅で少し検討してみた、連れ込み宿かもしくはもっと突拍子もなくいきなり娼館に連れて行くという案は、こんなアホなことにお金を使うのも馬鹿らしいとの理由から却下された。加えて、万が一それでも乗ってくるような事態になれば馬鹿の上塗りである。
「ねえさまの部屋――ぇ、えっと……素敵、です……」
 感極まって言葉を見つけられなかった風を装っている友人は、おそらくは素でリアクションに困ったのだろう。
 私の部屋にこの人を招待するのは初めてだ。というか私は相手が誰であれ滅多に知り合いを自宅に上げない。こんな機会でもなければ友人殿を招き入れることは一生無かっただろう。
 我が城――と呼ぶのには少々の躊躇いが混じる収入の割りに手狭なワンルーム――は有り体に言って殺風景である。最低限生活に必要なもの以外はほとんど何も無い。クローゼットは壁に埋め込まれているから、床の上に乗っているのは本棚も兼ねたスマートな食器棚と一人用のテーブルセット、そして空きスペースを豪快に占拠するゼミダブルのベッド。以上である。
 過剰に装飾された冒険者の住まいというのも珍しいだろうが、物が無さ過ぎる住みかというのもまた、珍しいのだろう。ともあれこの人が想像していた私の部屋というのがもっと色気のあるものだったのだろうことは間違いないようだった。
「どうしたの。ぼうっとしちゃって。熱でもあるのかしら」
 手のひらを額にあてると、彼女はぎゅっと目を瞑った。一時は通常に戻っていた頬の色も今はまた綺麗に染まり始めていて、こうして触れてみると確かに熱い。……大丈夫なのかこの人は。いろんな意味で。
「本当に熱いわね。帰った方が良いのではなくて?」
「い、いいえ。大丈夫……ですから。心配かけて、済みません……」
「あら、可愛い貴女のことですもの。心配させてもらえなかったら悲しいわ。でも、そうね。帰りたくないと言うのならとりあえず」
 私はにやりと――いう気分で、しかし表面上は徹底的に上品に笑いかけ、振り返って視線でベッドを指した。
「横になって休んではどうかしら」
 こんな強引な展開がアリか、と自分に突っ込みを入れたくなる。が、こういう小技は必要なのだ。「そんなのありえないよ!」と噴き出しても負けは負けなのである。私ルールでは。
 友人殿は丁寧にも息を呑む素振りを見せてから、小声で「は、はい」と言って部屋の奥へ向かった。さすがに小技には引っかからない。
「手甲とかすね当てとか、くつろげないようなものは外してしまいなさい。テーブルに上げておいていいから」
 何の抵抗もなさそうにいそいそと装備を外していく友人を眺めながら、私は少々思案した。
 こんなに簡単に服を脱ぎ始めるあたり、この人はもう何があろうと自分から降りるつもりは無いのではないかと思える。不毛だ。不毛である。私にも引くつもりがないのだから全くもって不毛である。このままでは互いに不毛なやり取りを繰り返して最終的に行くところまで行ってしまうのではないかと、馬鹿のような結末が脳裏に描かれた。キスすらさっきが初めてだった私たちが体を重ねたことなど、当然ながら無い。
 しかしながら。
「――ねえさま?」
 こう、勝ち誇ったように――とこっちが受け取っているだけで、見た目は清純そうに――問いかけられると、なにがあっても降伏してやるものかという気分になってしまう私がいるのである。
 なので。
「ずっと着けているからかしら。やっぱり外すと少し汗の匂いがするのね、と思って」
 外された装備類を一瞥してカウンターパンチ。
「――っ!」
 友人殿は真っ赤になって唇を噛んだ。
 これは表面上羞恥心を煽るような言葉であるが、実は違う。この人はニオイフェチの変態さんなので、この振りにはねえさまの匂いも云々かんぬんと食いつきたいに違いない。だが『ねえさまに憧れる純情少女』はそんなヘンな性癖を持っていないだろうから、言うに言えなくてこの反応なのである。おそらく。なかなかかわいいところがあるではないか、我が友人よ。
「ごめんなさい、変なこと言ってしまって。でも悪くない香りだと思ったわ」
「あ、ありがとう、ございます……」
 友人はもごもごと不明瞭に口を動かした。この攻撃は効いたらしい。
「止めてしまったわね。遠慮しないでベッド使いなさい。悪くなったら良くないもの」
 私が勧めると、ありがとうございますともう一度言って、靴を脱いだ友人は掛け布団の退けられたベッドに上がった。そして横になるとすぐに――あろうことか枕に顔を埋めてくんくんと匂いを嗅ぎ出したのである。
「ちょ、あ、貴女……!」
 本物の可愛らしい少女がやったのであれば微笑ましく眺められたかもしれない行動も、相手がニオイフェチの変態さんなこの人となっては平静には見られない。のだが、先ほどと全く同じ道理で『お姉さま』の私にはそんなに強く咎める事が出来ないのであった。
 隠れて拳を握り締める私の目の前で、友人殿は幸福そうに枕と戯れている。
「うふふ、ねえさまの匂いがします……」
 くんかくんか。くんかくんか。
「そ、そう……。それは、良かったわね……」
 良くない。まるで良くない。何を口走っているのだ私は。
 ここの一幕は完敗だ。私は心にマイナスポイント一を刻み、早々に立場をひっくり返す努力を放棄した。
「それよりも貴女」
 寝台に身を乗り出して顔を近づける。
「さっきよりも赤くなっているように見えるわ」
 出任せである。どうせ自分の顔など確認しようがないのだから言った者勝ちだ。よしんばアサクロのこの人が自らの体温を完璧に把握する術を身に着けていたのだとしても、このベタな芝居を続けようとする限り強く突っ込む事など出来はしない。
「もしかして――ベッドに上がって厭らしいことでも想像したのではなくて?」
「そ、そんな、こと……! ただ、ねえさまの匂いが気持ちいいから……」
 まだ言うかこいつは。
「じゃあ、私がそばに行ったらもっと赤くなった貴女が見られるのかしら」
 言いながら体をベッドの上に乗せる。靴は先に脱いでおいた。
 まだ隣に座っただけだったが、ここでようやく友人殿は枕を陵辱するのを止めてくれた。彼女の瞳は私の視線をがっちりと受け止めて、その顔には朱が上っている。やはり引く気はないのだろうか。
「ね……さま……」
「やっぱり赤くなったわ。可愛いわね」
 熱くなった頬に触れる。私は体を屈めてもう一度顔を寄せていった。
「私は」
 囁く。
「想像しているわ。厭らしいことを」
 友人は口を小さく開いたまま、言葉もなく私を見つめている。
「もう一度聞くわ。――厭らしいことを、想像したのではなくて?」
 ここでの回答とこの先の展開との相関関係を考えてめまぐるしく思考を回転させているのだろう、頭の良いはずの友人が珍しく十数秒間停止していた。
「……し、しました。私、ね、さまと、したら、って……」
 ぽつぽつとしゃべる。
 そうだろう。ここで否定されたら、私にはこれ以上はこういう方向に持って行く気にはなれない。この人も察してくれたようだった。となれば、部屋にまで連れ込んでおいて何もせずにだべってるだけなど、考えるまでもなくグダグダ感の漂うのがわかりきっている。
「なら、両想いだわ」
 ……私たちはこうして、友人同士でありながらノリと勢いとプライドだけでそういった行為に突入してしまえるという素敵にステキな馬鹿馬鹿アホワールドへの切符を手にしてしまったのであった。
282259の人sage :2006/11/25(土) 18:17:19 ID:AFW4YJuQ
 おしまい!
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はい。出オチネタです。
226たんがわけの判らないことをしゃべっていたので違うと一言言いたかったのです。
でもなんだかそれだけのために出てくるのもアレですし
>>258さんがなんだかえろいことを言っていたので乗ってみようと思いまして。
でも無許可でやってるのでここまで。続きは脳内補完かなにかでお願いします。
あ、フィクションです。もちろん。

座談会楽しみにしております。
283名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/25(土) 18:50:57 ID:OZG.nexs
せんせ、話書きかけで別の話投下するのありですか?
あと、えちシーン書き上げるだけで完成なんですが…。
okなら家帰ったら書き上げて投下します。orz
284レーニャとチェリムの人sage :2006/11/25(土) 19:48:44 ID:4BJyDTQU
皆様、感想ありがとうございます(ぺこり。
その2の続きをあげるのはもちょいおまちください。
お返事レスもそれをあぷした後に行ないますので……

座談会はまったり参加させていただきますね。
285名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/25(土) 20:24:23 ID:sfI2VnnQ
座談会、まったりと進行中です从・∀・从
お暇な方はおいでませー
286名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/26(日) 08:04:25 ID:bVlrDg4U
うわーん続きが気になる
287謎の参加者sage :2006/11/26(日) 13:19:29 ID:CeHCTUH.
途中で眠りこけてすみません。
処で、ぐっすり眠って目が醒めたらメルアドゲットしたんですけどどうしましょ(ぉぃ
288書き手予定者sage :2006/11/26(日) 15:21:18 ID:0V9q9vNQ
座談会お疲れ様でした。またの機会がありましたらよろしくお願いします。

>>287
適当に扱うといいかと思いますよ(・ω・)
289名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/26(日) 23:13:43 ID:1g2793jA
携帯から保管庫見えにくくないか?
290名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/27(月) 01:20:33 ID:zx1sPS1M
>>289
Wiki使ってるから、携帯では見れないと思った方がいいと思う。
291名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/27(月) 02:28:59 ID:k1hpL8CI
携帯対応のもあるけどあっこのは違うやつだからねー。
読めるだけ御の字だよ。
292保管庫管理の人sage :2006/11/27(月) 03:53:01 ID:SGftYWdM
使ってるのはVer1.4.3だから読むだけなら読めるらしいですよー。i_mode.ini.phpとかいう設定ファイルもあるし。
3年前から愛用の私の携帯にはそんな機能が付いておらず、検証できないので放置してるんですがorz
29392sage :2006/11/27(月) 14:05:18 ID:qsSuA2iM
座談会おつかれさまでしたー。非常に濃ゆい話でもうたまらなかったです(´¬`)
259たんのお話からインスピレーションいただきました。埋めついでにどうぞ|ω・)ノ
29492sage :2006/11/27(月) 14:06:00 ID:qsSuA2iM
「ねー」
無視。
「ねーねー」
無視ったら無視。
「ねーってばー」
なんど話しかけられても意図的に無視。
なぜかって?それはもちろんあの子が身体の一部分をネタにして話しかけてくるからだ。
私がそれを気にしているのを知っていて仕掛けてくるのだから余計にタチが悪い。
「むー、完全に拗ねてる……えいっ♪」
「っひゃ!?」
後ろから唐突に胸を掴まれた。
「ちょ、ちょっといきなり何するのよサラ!!」
「だーってぇ、リンが無視するからー。私はさっきから質問してるだけなのにー」
ふにふにと手を動かしながらしゃべり続ける。ちょっと気持ちいいかも…て、そうじゃなくて!
サラの手を掴んで離し、ため息をついた。
「…はい、そんなサラに問題です。その質問は、今ので何度目でしょうか?」
「え?うーんと、毎日質問してるから…今日で七回目!」
顎に一本ちょこんと指を当て、にへら、と笑いながら答えを返してくる。
「一 週 間 も繰り返すなばかあぁぁぁぁぁ!!!」
「ヒドーい!!聞いてもちゃんと答えてくれないの誰よー!!」
ぎゃあぎゃあと喚きながら口げんか。
仲が悪いんじゃなくて、一つのスキンシップ。一人きりの時には出来なかった、毎日の楽しみ。


とは言え、何度も繰り返されるといい加減やり返したくなってくるのは当たり前な話で。
「はぁ、じゃあ答えてあげるからリン先生に話してごらん?」
なんて、教師の真似事をしてみたり。
「あのね、先生…」
そこでノってくる辺り、サラも手馴れてるものだ。
「最近、私…お胸が痛いの」
「お胸が?どんな風に痛いのかな?」
「何かにぶつかったり、触ったりするとすごく痛いの…ねぇ先生」
瞳をうるうるとさせながら上目遣い。
「私…ヘンなのかなぁ?」
ここまで来ればあとはノリだ。自棄が半分、本気モード半分で変な小芝居を続ける。
「そんなことないのよサラちゃん。それは女の子なら皆経験するとっても大事なこと。先生にだってあったんだから」
「そう…なの?」
「えぇ、勿論。治し方だって知ってるわ」
「ほんと!?」
目線を同じ位置まで下げた。身長が大分違うので、自然と私はしゃがみこむことになる。
「今まで私がサラちゃんに嘘ついたこと、ある?」
ふるふると首を振る。
…ダメだ。可愛すぎて私のスイッチがONになる。こうなってしまったらもうとまらない。
「いい子ね…それじゃあ、まずはお胸を見せて?」
「うん…」
服の裾を手に持ち、そろそろと上げていく。自分から見せることに抵抗があるのか動きはゆっくりとしていた。果たしてそれが扇情的な動きであるという事にサラは気づいているだろうか?
それでも勝手に燃え上がった欲情をぶつけるにはまだ足りない。もっと我慢してからの方が良い事を私は知っている。我慢すればするほど、それをぶつけたときの、とても甘い、全てがとろけるような甘さは増すのだから。
今すぐに押し倒したい気持ちをぐっと抑え、顕わになるのを待つ。
「こ、こう…?」
小ぶりな、成熟しきっていない果実のような胸と、仄かに広がる甘い香り。恥ずかしそうに背ける頬は薄く紅が差している。原因は緊張か、不安か、はたまた期待なのか。
もっとも、そのどれをとっても私のブレーキは利くどころかますます壊れていく。心底サラに溺れている事に気づきながら、それを心地よいと思う自分はどこかおかしくなったのだろうか。
まだ半分位残っている理性がそんな事を考えても、壊れはじめたブレーキはそんなものをどんどん頭の片隅へ追いやっていく。
「うん、いいわよ。ちょっとそのまま…ね」
片手を背に回し、こちらへと引き寄せる。その勢いのまま、小さな乳首へと吸い付いた。
「んぁっ!」
今強く揉んでも間違いなく痛いだけだ。だから軽く、指先と口だけで突起をいじる。指の先、腹、爪……全てを使い、唇、舌、あふれる唾液をまぶし、塗りたくる。
私がアクションを起こすたび、サラの口から押し殺すような声が漏れる。本当は口に手をあてて塞ぎたいのだろうが、両手は服をきっちり握っている。きっと我慢をしようとして、それでも我慢しきれない…そんな所のはず。
そんな声を聞きながらゆっくりと動きを繰り返すうち、その部分が徐々に硬く、ピンととがってきた。
「あら…もしかして、サラちゃん気持ちよくなってきたのかな…?先生はただ治してあげようと思ってるだけなのに」
わざと意地悪な質問をぶつけてみる。俯く顔がますます紅潮していくのがはっきりと分かった。
「そ、そんなこと!…ない…よ…」
「そう?じゃ、こんな事しても平気よね」
とがっているその先の片方を指でつまみ、くりくりと捻る。それと同時に空いているもう片方をでこぴんをするように、ちょっと強めに弾いた。
「ふぁっ!…ぁ…」
一瞬の隙に出る大きな声。手を止め、ここぞとばかりにサラを攻め立てる。
「ふふっ、サラちゃん、今ウソついたでしょう?本当は気持ちいいんだよね?そうじゃなきゃ今みたいな声、でないもの。正直に話してくれれば、もっと気持ちよくしてあげられるんだけどなぁ」
「…ぅ…ぁ…ごめん、なさい…私、先生にいじられて、すごく気持ちいいの…でも、先生は私の事心配して、治してくれようと頑張ってるのに、そんな事言ったら…ぐすっ…嫌われ、ちゃうって、おもっ、て…」
言葉尻は泣き声で、掠れるようにしか聞こえない。まさか泣き出すとは思っていなかったが、それすら興奮の種にしてしまう自分がいた。
指で涙を拭い、両手でサラの顔を包んで、正面から顔を見る。
「泣かないでいいのよ…私はサラちゃんの事が大好きなんだから。それくらいで嫌いになんかなるわけないじゃない」
「せん、せぇ……ありがとう、私もせんせぇのこと大好き!」
さっき泣いたカラスがもう笑う。つられる様に微笑んで、思い切り抱きついて、唇を重ねた。そこから先はいつもの如く。

冬の夜は、まだまだ長い。


翌朝。
「で、結局質問に答えてもらってないんだけど、なんで?」
「…………うるさい」
「?」
「うるさぁぁぁぁぁぁい!!私より胸大きいのに、なんで、まだ、大きくなるのよーーーー!!!うわーーーーーん!!!!」
「わわわっ、リンがついに壊れた!ほら、あの、なんていうか…」
「ぐすっ……なによぅ」
いじける私にかかった、サラの一言。きっとフォローのつもりで言ったんだろうけど、それはとてつもなく大きな地雷を踏む発言で、私の心にひどく突き刺さる致命的な一言だった。
「胸の大きさだけが女の子の魅力じゃないよ?」
「まだ大きくなる貴女に言われたくないぃぃぃぃぃ!!うえーーーーーーーーん!!ぐれてやるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「あ、ちょ、ちょっと落ち着いてよお姉ちゃんってば!!」
バタバタと部屋を駆け回る私をサラがあわてて追いかけてくる。
最終的には隣の部屋の住人に「朝っぱらから何騒いでるんですか!!」と叱られた。他人にサラは見えないから、きっと私は頭がおかしくなったと思われているだろう。正に泣きっ面に蜂。
まぁそれでもいい。他の誰かに何を思われようと、私はサラがいれば十分幸せだから。
私たちはそんな日々を、毎日懲りずに送っている。
29592sage :2006/11/27(月) 14:10:16 ID:qsSuA2iM
えち薄いですね、ごめんなさい。
でもこゆく書くと埋めじゃなくなるんで勘弁してください。

タイトルつけそこねた事に書き込んでから気づいた92でした。ではまた次作で|ω・)ノ
296名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/27(月) 20:53:35 ID:tXlcDqmM
書きあがったので投稿しようと思ったのですが、こちらが残り3kbyteという事で
5スレ目の方に投下します。
どうぞよしなに。
297某読み手sage :2006/11/27(月) 21:48:21 ID:kx/p9uDI
|ω・)bワーイ サラたんキター
ほんわかした風味でGJです!
298名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/28(火) 12:34:17 ID:kD/hcp2M
なんか保管庫古くなってない…?
299名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/11/28(火) 18:56:52 ID:.IiXFutY
過去の登録されてないSS保管されて古いのが更新情報の上に上がってるだけでなくて…ですか?
300保管庫管理の人sage :2006/11/28(火) 20:59:41 ID:7WiprqII
申し訳ない。作業のミスで巻き戻してしまってました。
本来なら、バックアップを毎回取っておくべきなのですが作品以外を
激しく読み飛ばしていたため、226たんの報告を見てなかった
まさかこんなに更新されてたとは……orz
大変申し訳ありません。226たんには直でお詫びしておきます。
あと、できれば作業時は保管庫掲示板にも一言入れて置いて下さいおねがいします。
301レーニャとチェリムの人sage :2006/12/01(金) 06:29:42 ID:oNnNFFLg
やっとレニャチェリその2の続きがあがりました。
次スレにあげておきますのでどうぞ。

全レスは時間のあるときに……><
302226たんdame :2006/12/03(日) 03:37:21 ID:dR6m5LvE
そうか、ふたなりものは埋めに使えばいいんだ。というわけで初ふた。
------------------------------------------------------------------------------
「あっ、く。ちょっと、やめなさい」
「ははぁ、これはホンモノねー」
 掌に返る感触が見る見るうちに確かなものになっていく。彼女はギルドメンバーのアサシン、そのタイトな服の上から、私はある一部に触れている。
「ちょっと…どういうこと、これは!」
「さあ、どうなんだろ…魂の主が男だったんじゃないかなあ?」
「何い? 聞いてないよ、そんなこと…っ! こら、触るなっ!!」
 蒼い光に包まれた彼女が私の手を払い退ける。非力なソウルリンカーである私は、容易く彼女から引き剥がされた。
 ここはゲフェンに在るギルドアジト。私は珍しい術を扱う職業として、戦力強化と銘打ってこのギルドに勧誘された。
 先日交流が可能になった、アサシンの魂、それを降ろす実験を旧友の協力で行っていたところだ。
「と、とにかくだ。休んでれば治るんだったね、これは」
「なにさー、いけず。面白いから触らせてよ」
「ば…っ、何でそんなことを!?」
「実験中は言うこと聞いてくれる約束だよ」
 実はそんな約束はしていないが、実験に付き合う以上そういうふうに認識しているはずだ。ということは先にこう言ってしまえばきっと信用する。この子、素直だから。
「か、勝手にしろ…っ!」

 ――。

「――ねえ、大きくなってるよ。すごく硬い」
「は…っ、く……な、何? 何か、言ったか」
「ねえ、貴女……女の子よね? 絶対、女の子なのよね?」
 砦の一室のベッドに座らせて、開かせた脚の間に身体を潜り込ませ、『患部』を覗き込む。服の上から撫でさすると、まるで茄子か何かが服の中に入っているような、硬くしっかりした感触。
「当たり前だ! お前の変な術のせいだろうが、これは…っ」
「そう、わかった」
 衝撃魔法『エスティン』。
 何故か人間に対しては一切殺傷力を持たない魔法で、服のみを切り裂く。
「なっ!? 何をする、おい!? …くはぅっ」
「服の御代は持つわ。ほら、見せなさい」
 妙に力の入らない両脚を押し開いて開け、天を仰ぎ反り返った『それ』を掴む。先端がにゅるりと滑る。それは、紛れもない男性器だった。
「あら…立派じゃない。ね――?」
 先端に張り付いていた服の切れ端を剥がし、彼女の男性器を少しだけ強く掴んで――私は、アサシンの魂を再度召喚、持続時間を延長した。

 ――。

「くふ、ふぁ、っく、やめ、ろ、ちから、が」
「力、抜ける? 不思議ね、女の子だからかしら」
「はぁぁ…っ、やめ、ろぉ…。く、っこら、攻撃するぞ、っふぁ」
 上半身をベッドに投げ出して、私におちんちん擦られて、女の子の方までとろとろにさせて。
「……説得力ないなあ」
「はぁあ…っ、やっ、そこぉぉ…っ、はぁ、な、何だ? 何か言った?」
「いいえ、なんにも」
 上下に擦りながら、親指でおちんちんの腹を撫でてあげる。ぷくりと膨れた柔らかい筋が通っており、きっとここはいろいろな液が通る管なのだろうとわかる。そこを親指で上へ圧迫すると、先端から透明な粘液が滲んでくる。それを指に取り、くりくりと指先で、大きな宝珠を擦ってあげる。
「ひっくぁぁあっ、や、やめてぇ…っ、それ、きつっ」
「あらそう? 良さそうな顔してるのに」
 ひとしきり彼女の悶える顔を観察して、上下の動きに切り替える。形をなぞって指をまとわりつかせるように、ゆっくりと、そしてだんだん速く。
「ふぁっ、く、やっ、なっ、なにか…」
「なあに? 何か出そう?」
「あぁぁっ、うん、そう、なにかがぁ…っ!」
 どうやら、射精もするらしい…。切なく喘ぐ彼女を見て、悪戯心に火が灯る。
「そう、精液出るのね。やっぱり男の子なんじゃない、口調も荒っぽいしねー」
「ち、ちがっ、女っ、ぁああぁっ、こすらないで、で、でちゃうぅっ」
「ん、わかった」
 ぱっと手を放してあげる。彼女は驚いて顔を上げてこちらを見る。
「な、…」
 何でやめたの、と言いたいのはわかる。恥ずかしくて言えないのも、よーくわかる。
 そこで、手を下にずらして、女の子の秘唇にそっと指を当ててあげる。
「んっ、ふぁ」
「ほら、女の子なんでしょ。こっちでしてあげる」
「や、えっ、ひぅっ」
 素早く指を2本入れて、中の様子を触診。とろとろのひくひく。お豆は大きいコレのせいで無くなったけど、これなら中ですぐ達してしまいそう。
 女の子の気持ちいいところで一気にしてあげようと探ると、そこには変な瘤のように盛り上がった感触。
「や、やぁぁっ、だめ、だめだ、ひあああっ」
 なるほど、おちんちんの裏側あたりになっているから…もしかして、普段より感じてる?
 瘤を目印に押したり、撫でたり、揉んだりしてみる。指の腹で圧迫すると、おちんちんの先に水滴の玉が膨らんでいく。
「ふあああぁぁっ、や、だめぇ、出したい……っ」
 水滴はみるみる膨らんでいく。粘性が強いのでなかなか落ちてこない。おちんちんがびくんびくん震えて、水滴は形を歪めて広がっていく。
「男の子みたいに出したいの? 女の子はこっちだけで満足できるものよ」
「やあああっ、私、女……だけど、くぅんっ、だ、ださせてぇ…っ」
 苦しそう。だけど触ってあげない。そしてこの子はきっと、自分でこれを触るなんて、知らない。なんて可愛いんだろう。
「じゃあ、こっちだけでいかせてあげるね」
 音を立てて指を出し入れして、中の瘤を擦り、引っ掻くくらいに苛める。激しく、速く。爪で怪我をさせないように。
「やあああっ、やだ、やだああっ、ああああっっ!」
 指に圧迫を感じると、彼女の手がおちんちんへ伸びた。私の手がそれを掴み、止める。彼女の目はおちんちんの先を切なげに見つめている。
 水滴はとっくに崩れて、先は随分大きく赤く張り詰めて、びくびく前後に跳ねている。ああ、私にはこんな物ないのに、切ないってわかる。
「ほら、女の子でいっちゃえ」
 触りたくて仕方がないのを我慢して、中の指でぐいっと押し上げてあげると――。
「ひっ、くああっ、ん――っ!!」
 ――足と肩を支点にブリッジをして、新しい水滴を作り、すぐ崩しながら、彼女は喉を鳴らして達した。


「――まだ、出したいままだよね?」
「あ…っあ、はあ、ん」
 ……さあ、どれだけ、苛められるだろう?


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さあ、埋まるかな?
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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