全部 1- 101- 201- 301- 401- 最新50

【殺し合いは】バトルROワイアル 六冊目【止められない】

1名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/15(火) 20:00:01 ID:7Pz7HE8g
ここはどんなスレ?

各職男女と無作為に選ばれたROのキャラクターが
生き残る為にバトルロワイヤルする様子を描いた
リレー小説を扱っているスレッドです。


・まとめサイト
ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/

・前スレ
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1131508087/l50

・萌え板全体のルールは此方
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/


書き手のルール

先ず一番最初に。
このリレー小説内では、各登場人物は生きている人間であり、
いきなり投げ込まれた現実に各人様々複雑な感情を抱いている事を肝に銘じてください。
完全に現実的に書く必要は皆無ですが、バトロワの死の気配というものを忘れないで欲しいです。

次に、書く前に纏めサイトで作品の流れを把握してください。
流れの中では先に発表された作品が優先します。
競り負けても泣かない。
但し、荒し煽りはこの中に含まない。
(前触れの無い突然の心臓停止や全員即死等)

もし、執筆を続けていく内で、致命的な矛盾を過去の自分の作品に発見した場合、
スレにて申告の上、速やかに修正作品を仕上げて下さい。
どうしても音沙汰が無い場合は他の書き手が修正せざるを得なくなりますが、
原則として本人がその作品を修正しなければいけません。

それから、一人の書き手が連投を続けるのはイクナイ!!
最低でも三日程待って見ましょう。
止むを得ず連投する場合は、スレで意見を聞いてみると尚goodです。

本文の内容についてですが、RO内の設定と言うよりも、文章での説得力が重視されます。
但し、リレー小説という形式上、何よりもまず、キャラクタ間でのバランスを崩し過ぎないように気をつけてください。

作品の一番最後にはそれに登場した人物の
<氏名、所持品、死亡等の状態>及びに死亡者が出た場合<残り○○人>という表記をお忘れなく。
任意規定ですが、登場した人物については1)これまで描かれたプロフィール、2)これまで描かれたスキルを
下記の書式で記入していただけると更にgood.

<例:♂アコ>
1…描かれたプロフィールをその都度追加
 ・髪:呪いのカツラで逆毛に変更<023話>
 ・口調:wWw<023話>
 ・性格:少々潔癖、説教癖、不幸<071話>

2…描かれたスキルをその都度追加
 ・ヒール<065話>
 ・殴りアコ<071話>

最後に書き手の方は、現段階ではコテハンを名乗る事はご遠慮ください。
2名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/15(火) 20:00:58 ID:7Pz7HE8g
読み手のルール

叩き荒しはスルー推奨。反応は彼等の栄養源です。放置して枯死した後で削除依頼を。
又、過剰な擁護やNG議論も荒しの同類です。出来る限り自重していただけると幸いです。
もし、読み進めていく内に、作品内に矛盾を発見した場合、遠慮なく速やかに申し出てもらえると幸いです。

面白い、と思ったときには積極的に感想を。
首を捻った時には積極的に批評を。
又、暇だなーと思った時なんかは遠慮なく雑談を。
勿論、イラスト、まとめテンプレ、まとめサイト編集さん。
それぞれ大歓迎です。

感想は書き手の活力に、批評は書き手の技術向上に、
雑談は常にネタに飢えている書き手にとって格好の息抜き(兼、ネタ探し)になります。

勿論、読み手から書き手への転進も歓迎です。
その際の留意点は書き手のルールを参照してください。
3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/15(火) 20:01:41 ID:7Pz7HE8g
◆◆バトルROワイアル2 ルール◆◆

登場人物

ノービス+一次職+二次職(スパノビ含む)の男女四十名+特別枠十名
以上の五十名。

但し、以下の規定があります。
一次職、二次職、ノビ、スパノビは固有の名前をつけないこと。

特別枠は良識の範囲において、
ゲーム内部、萌え掲示板、LiveROのどんなスレ、場面からでも出演者を選出してよい。
余りにチョイ役の名無しや知名度の低すぎるキャラクタ、盗蟲、ポリンなど知能を明白に持たない者、荒し目的の出演者は含まない。
但し、出来うる限り前回のバトROワに未出演の人物である事が好ましい。
NPCもこの範囲に含む。
出典はNPC、mob、小説、スレを問わないが
スレ、小説の場合は同じ出展元からは原則二人までの出演とする。
また、特別枠十名の内訳はNPC枠、その他枠(mob、他小説・スレキャラ)にそれぞれ三名分の最低人数確保枠を設ける。
残りの四名分はどちらのものとして消費しても構わない。

それぞれの出演者で通常の冒険者については、髪形、外見などについては最初に執筆した人物の選択による。
但し、ピクミン、おにぎりetrなどと言った叩き目的が客観的に明白である場合、
執筆した者はその事に対しての異議へ正当な反論をする事を要す。
それをしない場合は、その話で語られたキャラクタの外見はNGであるとして無効であるものとする。
但し、作品を通じてその反論とする事も可能だが、その場合は相当程度の説得力が必要であるとする。

追加事項として、同じ髪型は原則として大量に氾濫してはならない。目安としては最大で三名まで。
イメージが被る為に同系統の職、例えば騎士-クルセなどでは別の髪型が望ましい。
更に、ドットの髪型は基本的に参考程度であり、執筆による説得力とスレ内部の同意が得られれば、
モヒカン、スキンヘッド等も可である。但し、その取り扱いには注意を要す。
また、ストーリー上の髪型の変更も可である。但しこちらも、その取り扱いは慎重に行うこと。

キャラクターの性格については、話の流れ、及び個々の執筆者に一任する事。
但し、執筆側は、それまでのキャラクタの性格について熟知するべし。

出演者は、前回同様その能力について制限を受けているものとする。
例えば、ヒールは止血や実際の治療の助け程度の効力しか無く、リザレクションは無効であり、
ファイアーボルトやあらゆる大魔法、モンクのスキルについても、それのみで殺害できる程の威力は失われている。
Mobやその他特別枠出演者についても同じであり、更に彼等は超人的能力を有する場合、普通の冒険者と同等程にそれは低下している。

また、カプラさんは、アンソロなどで見られる様な超人的能力を有するのではなく、
一般人、或いは一次職と同等(生涯一次は除く)くらいの能力であるとする。
精錬工の面々については良識に任せるけれども、彼らは直接的に武具を破壊する能力は持っていない。
又、二次職を超える様な戦闘力も持ってはいない。

ポタ、テレポについては参加者は使用は原則不可能。
インティミデイトについても、仕様変更に伴い、テレポート機能は無いものとする。

スキルに関する規定は以上に書かれたものであるとする。


舞台

マップがまとめサイトに上がっている事から、亀島に似ているが違う島である。
上がっているマップ自体にはまだ何も地形や設備が書き込みされてはいないが、
これは、執筆が進むにつれて順次設備などが記載されるものとする。
(例えば、家屋や市街地、灯台、教会、百貨店や廃墟など。但し、進行の都合上自由に出入り出来る地下洞穴は存在しない)
その広さについては、50人の人間が動き回るのに狭く無い程度である。
尚、全力で移動すれば、数時間程度で中央から島の端まで移動が可能である。

魔法発動時の音響については、至近〜やや中距離程度までならば響くが、
島の端など、余りに離れている場所であれば聞こえない。
気候については、書き手の便宜上、元祖バトロワに準じ日本の初夏程度とする。

そして、舞台に伴い放送に付いては、午前十時を基準として朝夜一回づつ放送されるものとする。
又、転職については、そもそも転職の舞台は島の中に存在せず、各職業ギルドの認証も得られない為、不能である。
但し、これはゲームのRO内部で一般的な『ノビ=>一次、及び一次=>二次』といった転職を示す意味での言葉であり、
例えば、各キャラクタの成長を示す演出的な効果における『転職』は含まないものとする。

原則Wis、ギルドチャット等については、これはゲーム内部での便宜的な機能であり、バトROワ内では存在しないものとする。


支給品

開始時手渡される鞄の中身には主に

支給品(武装or防具orハズレetcが入った青箱を模したケース)が二つ。弓の場合は通常の矢も付いている。
水、食料、大まかな地形だけが記された地図(前述まとめサイトの地図参照)、コンパスが入っている。
また、ランダムで5名に特別支給として古いカード帖が配られる。
ただし、当たりアイテムとはいえカード帖の中身も全て有用なカードとは限らない。
各出演者が元々所持していた武器防具や道具等に付いては取り上げられてしまっている。

又、この劇中においては登場人物はどんな武器防具であろうと使用する事はできるが
本職が用いるのに比べれば、扱いなれていない為に、普段使用する武器と異なった種類であるほど威力や命中率は落ちる。
(例:騎士はカタールならば多少は使えるが、弓に関しては鈍器として使わざるを得ない、など)
但し器用さが高い人間については、ある程度まではどんな武器でも使用する事が出来る。
長柄や斧に付いては器用さ以外にも筋力が必要となる。
更に宗教上の理由から殺人者でない、狂っていない、特別な事情の無いアコライト系に限っては刃物で戦闘は出来ない。
防具の効能は現実的に考えて頂けると幸いです。

また、完全にキャラクタ間のバランスを崩壊させる装備については、入手を禁止とする。
(神器全般や有効すぎる廃装備)

カードについては、特別支給のカード帖から得る他に、既にカードが刺さった武器防具か、
特別枠のmobの死亡、殺害によって出現、入手する事が可能である。
但し、後者については作者は進行と流れの都合上、執筆の前に十分な熟考をする義務を負うものとする。


主催

ミッドガッツ王国主体の非人道的イベントであり、国法のもと運営されている。
また、開催に関しては国家の他各職業ギルドも秘密裏に協力している。
詳しくはまとめサイトのプロローグ参照。

彼等が使用しているのは、前回と同じく外せば即死の呪いの首輪であるが
爆発力については、本人のみが死亡する程度である。前回ほどの威力は無い。
開始時には、彼等からルール、目的、勝利条件等が告げられる。
その辺りの細かい規定は第一話の作者とその後の流れによる。
4名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/15(火) 20:05:31 ID:7Pz7HE8g
追記

 【連投規制A】 投下は1日1本(1採用)まで
 【連投規制B】 書いたことのある人物が含まれる話を書く場合は、該当する前回投下日から中2日開けてから
※規制B発動中も、規制Aに触れなければ関係ないパートを投下可能
※NG話、アナザー・番外編については連投規制はA・Bともに適用しない。


議論について

422 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/15(火) 19:13:13 ID:bK71eV2.
議論は薬だ。多すぎると投薬された相手を殺すことになる
だからほどほどにな
5名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 01:22:36 ID:8hXwqTNE
唐突に思いついたのでNGネタ話投下。


NG.スレタイ

♂プリ :殺しあいはとめられない、か。
♂シーフ:何ですか、それ? ♂プリさん(の顔)にしてはずいぶん後ろ向きな考えじゃないですか。
♂プリ :いやいや、ここのスレタイな。…ってお前、今何か小声で挟まなかったか?
♂シーフ:怖いですね…。やっぱりどんどん死ぬ人が増えちゃうんでしょうか。
♂プリ :こらまてごまかすな。
♀ウィズ:(クスクス)みんなあなた達みたいに仲良くできればいいのに。こんな殺し合いは私達の手で止めましょう。
♂プリ :やっぱりそうだよな!何言ってんだ♂シーフ!
♂シーフ:♂プリさんずるい!1人だけいい格好して!
♀ウィズ:2人とも、私を手伝って下さいますか?
男ども :は、はい、喜んで!
♂ローグ:あ?てめえらなに馬鹿いってんだ。勘違いもいいとこだぜ。
♂プリ :出たな殺人快楽狂。
♀ウィズ:あなたがどうあろうと、私達はこのゲームをとめます。
♂ローグ:だからそこがちげ〜んだよ。タイトルは【ころしあいは】【やめられない】って読むに決まってンだろ。
未亡人組:………………。
♂クルセ:なるほど(ボソ)。


新スレ最初の投下がこんなんでいいのだろうか…orz
6名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 01:23:08 ID:VWsKlqMA
>>374
修正おつかれ。
これからの精進を期待してるよ。
7名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 01:34:14 ID:NwcBv1Y6
>>5
ナイス着眼点。
確かに、このスレタイは両面的な意味に取れる罠。
バトROワを象徴するナイスな投下ですよ〜

>>前スレ374
お疲れ様。
このことを糧に、より良いSS作家になってくださいね。
8名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 07:04:56 ID:M02BAU0o
NGとナンバリングズレで話数合ってるか自信ナイけど多分85話目・・?

085.暗殺者への試練【定時放送後〜夜】


――お前はもっと冷徹になり切れ。
   そうすれば、お前は強くなる


月の出ていない夜ってのは、暗殺者の領域の筈なんだがな。自嘲気味に呟くと、♂アサシンは木の下に目をやる。いろいろな事があって流石に疲れたのだろう、ノービスの少女がすうすうと寝息を立てていた。支給された鞄を枕に、まるで緊張感のない寝顔。時々むにゃむにゃと何か呟くが、よく聴き取れない。
・・・やれやれだ。
♂アサシンは、思考の迷宮を彷徨っていた。

無防備だな。本当に。このゲームじゃあ寝込みを襲われたら、その時点でズィ・エンドなんだぜ。
いや何を言っている、俺がいるからに決まってるだろう。俺が傍にいるから、コイツはこんな場所でも安心して眠れてるんだ。
そうじゃねぇ、少しゆっくり考える時間が欲しいからと、寝かしつけたのは俺だ。・・・最も、自分が殺した♀シーフの名を読み上げるあの声を聴かずに済んだのは結果的には良かったんじゃあないか。

・・・だめだ。
俺はいつからこんな、甘い男になった。

マスターが俺に何をさせたかったのか。それは・・・解る。
しかしその♀ノービスは、俺の生きる意志となった。
こいつの為に――ひいては己の為だけどな、俺はあそこで生き延びた。
それを消すということは、俺の何を否定することになるのか・・・・・・?

・・・それも違う。根本的に俺は間違っている。
覚悟など要らなかった筈なのだ。
暗殺者にとって全ては生と死の延長線上に過ぎぬ。
捨て去るべきは感情、死を畏れた事それ自体が過ち。
ならば、その原因を作り出したのは――

間違いない、暗殺者としてこのままではいけない事は解る。
しかし今の俺を作ったのは――とまではいかずとも、確実にこいつに影響は受けているわけで。
俺はこいつを守りたい?
・・・答が出せない時点でスデに暗殺者失格なんだろうが、この小娘が俺の中で少し特殊な存在になろうとしているのは確かなわけで。
こうなることを・・・見越してたのかよ、マスター?
・・・・・・だから俺は、こいつを殺せば・・・こいつを殺すことさえできれば、俺は、暗殺者として――


このままじゃあ、お前はそこで殺される


そうすれば・・・その子供(ガキ)もどうせいずれは、死ぬんだぜ


利用しようと思って生かしてただけなんだろ?


今こそ、手前を生かす為に利用しろよ


・・・・・・ロリコン、ですか?


「違うッ!」

条件反射で叫び。そして、眼が合った。
♀ノービスはたった今目を覚ましたばかりなのだろう、未だ眠そうに薄目で♂アサシンのほうを見つめていた。
瞬間、雪崩れ込む理性と暗殺者としての本能。


――俺は暗殺者こいつを守る殺すのみ護る為に戦う俺はもっと冷徹になれ利用できるんじゃないかこいつは殺す死なれるのは嫌だ


それはどちらも♂アサシンにとってはかろうじて残っていた程度のものに過ぎなかったが、


――殺すなんで俺がこんなガキに血を吸ってねぇな最近生き延びろお前は殺す守り切れる保証はねぇならば俺は暗殺者として俺は殺す殺す殺せ護らせろ


彼の中で一番最後まで残っていた感情は・・・・・・、


――俺は、ロリコンじゃねぇ


<♂アサシン><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)>
<所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2>
<スキル:クローキングLv10>
<備考:暗殺者としてひと皮剥けるべく♀ノービスを殺すか逡巡。そして・・・>
<状態:葛藤>

<♀ノービス><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)>
<所持品:ソード、未開封青箱×1>
<スキル:死んだふり>
<外見:ノビデフォ金髪>
<状態:寝起き>
9名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 08:54:52 ID:Zruu29kc
ロリアサGJ!
なんか、野良子猫に飼う気もないのにエサをやったら懐かれて、買うか捨てるか迷ってるっぽいなw
是非とも彼には、このまま迷いを抱いたまま生き延びてほすぃ。

あと、073話で♀アコが満月を背に〜って描写があるので、冒頭だけちょこっと修正した方が良いかも。
10名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 09:06:23 ID:M02BAU0o
♀ノビの犠牲の上に暗殺者として覚醒させようか、このまま素敵な保護者を気取って貰おうか、
散々迷った挙句・・・・・・次の人に丸投げしました(゚∀゚)アヒャ
そして確かに満月を背に・・・Yes、失念していました。

>月の出ていない夜ってのは、暗殺者の領域の筈なんだがな。自嘲気味に呟くと、♂アサシンは木の下に目をやる。
>いろいろな事があって流石に疲れたのだろう、ノービスの少女がすうすうと寝息を立てていた。

以上の部分を以下に修正願えますかー

月、か。俺達暗殺者の歩く世界には不要の産物なんだがな。
頭上に広がる果てなき闇より己を照らす真円を見上げ、♂アサシンは自嘲した。
視線を落とすと、木の下で横になっている♀ノービスの姿。いろいろな事があって流石に疲れたのだろう、すうすうと暢気な寝息が聴こえてくる。


頑張れアサシン。
Wiki見てて気付いたけど、シーフ系職業はもうスデに女性全滅してるんだなぁ・・w
11名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 09:35:32 ID:vwyFiL7E
>10
Wiki編集したりする人ですが
自分で修正することをお勧めします。
「てめぇのケツはてめぇで持てよっ」って言うんじゃなくて
修正箇所とかNG話がごっちゃになってるんでなかなか細かいとこまでカバーしきれないんです。
だからWikiに上がった時点で確認→直ってないなら直すーってのがいいかと。

ちなみに私は♂アサを踏み台に♀ノビの覚醒という
情けない男たちに拍車をかける展開を狙ってましたw

さて。頭空っぽの状態からどんだけ話ひねり出せるかやってみまずヽ(`・ω・´)ノ゙ゴルァ!!
12名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 09:57:11 ID:V8/ecAqs
>>前スレ412 ♀クルセと♂アルケミの献身な話
遅くなりましたがGJ、激しくGJですよ、オレ号泣。
目立ってなかったこのペアがついに活躍する、のか?


♂アサシン>
マーダー側を活躍させたいおいらにゃ現状はマーダー側不利で
人員も不足しているので♀ノビ死→♂アサマーダー覚醒を期待していたりする。
でも確かに苦悩するロリコンも捨てがたいなぁ、>>10さんの気持ちが良く分かる。
13名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:30:54 ID:8gLEbFRk
中の人が色々アヒャってます。落ち着くまでもうしばらくお待ち下さい。
それは兎も角、忍者と対比しても映えそうだなぁ、と言ってみるtest。
14名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:32:39 ID:oTe.R6uE
ところで、誰も突っ込んでないんだけど、♀WIZは結局、身の上話はしてないはずなのに、
未亡人と♂プリや♂シーフが知っているのはどうなんだろうと思った。
15名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:37:02 ID:oTe.R6uE
確かに未亡人なんだけど外見からはわからないわけで、
説明しないことには、♂シーフも♂プリもそれは知らないんじゃないんだろうか。
と、書き忘れもカキカキ
16名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:48:19 ID:0jV8ITC2
086 誰が為の剣【深夜】


♀Wiz、♂プリースト、♂シーフ。三人の別ベクトルな思考を遮るように入ったGMジョーカーの放送。
固まっていた三人は、禁止区域の放送に慌てて地図を取り出した。

「よかった。幸いここは禁止エリアではなかったみたいですね」
♀Wizは安堵の表情を浮かべた。しかし同時に、少し悔やんだ。
どうしてすぐに話を始めてしまわなかったのだろう。話をするタイミングをまた逃してしまった。

「そ、そうだな」
「ほ、ほんとよかったですよねー」
♂プリーストと♂シーフもそれに答える。そして内心で叫んでいた。
あのピエロ野郎、せっかく彼女とじっくりお話できるチャンスだったのに、と。

「そういえば、気になることがあるんです」
「なんだよ?」
「さっきの放送の合間に、どこかで叫び声が聞こえた気がするんですよ」
♂シーフの言葉に、二人は顔を見合わせた。

「そんなん全然聞こえなかったけどなあ。フカシこいてんじゃねぇの?」
「いきなり疑うのはよくありませんよ。でも、私にも聞こえませんでしたけど…」
「嘘なんかついてませんよ! シーフの聴覚をなめないでください。
 嘘だと思うんなら来てくださいよ。こっちのほうから聞こえたんです!」
二人……いや、♂プリーストに♂シーフは怒りをむけた。
♂プリーストの手をむりやり引き、彼は足音も荒く歩き出した。♀Wizも二人を微笑ましく見ながら、それに続いた。

果たして♂シーフの聴覚に狂いはなかった。
彼が二人を連れてやってきた所には、♂騎士が蹲っていたからである。
巻きつけた包帯も痛々しく、苦しむ彼に♀Wizは慌てて駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
優しく話しかける彼女に、♂騎士はびくりと大きく体を震わせて――
「く、来るな! 俺の傍に寄るなぁ!」
そう叫んだ。その言葉に♂プリーストは眉を顰め、♂騎士に詰め寄った。
「あぁ? 美女に心配されてその態度たぁ、お前ほんとに男か?」
しかし♂騎士はそれが耳に入っていないかのごとく、さらに体の震えを強くした。
「あぁ…そうか、視界に人を入れたくないんなら、こうすれば……」
ぼそぼそと呟きはじめる♂騎士。♂プリーストはその言葉に嫌な感覚を覚えた。

「……っ!」
「てめぇ、何やろうとしてんだ!」
ナイフを握りしめ、それで自らの目を斬り裂こうと持ち上げた♂騎士の腕を、♂プリーストが慌てて掴んだ。
「あ、あぁ……俺は、見たくないんだ。俺以外の人間を、俺の目で……」
がっくりと肩を落とす♂騎士。慣れてきたのか、少し落ち着いたようだった。

「ナイフに、血が……」
取り落とした♂騎士のナイフを、♂シーフが拾い上げた。
「どうします、彼? もしかしたら人を殺してるかもしれませんよ」
♀Wizに問いかける。彼女はしばし思案すると、こう答えた。
「酷い怪我ですし…放っておくのはまずいでしょう。
 それにもし彼が人を殺していたとしても……この怯えようです。悪い人間ではないでしょうから」
「演技だったら……?」
「それはないでしょう。怯えと後悔……彼の表情にはそれが見えます」
彼のような表情をした人間を夢で見たことがある、という根拠が♀Wizにはあったが、それは口にしないでおいた。

「恥ずかしいところを見せてしまってすまない」
♂プリーストによる治療を受け、安心感を覚えたのか、♂騎士の怯えは止まった。
だが彼の表情の陰りは消えていない。…やはりどこかで人に対する恐怖心があるのか。
「まだ傷は完全に塞がってはいないでしょう…今晩は私たちと共に過ごしませんか?
 これからどうするかは、明日話すことにして」
「……」
♂騎士はしばし考えた。人への怯えはまだおさまっていない。
しかし少しでも信頼できる人間と傍にいる以上に、安心感を得られる状況はないと答えを出した。
「……わかった。迷惑をかける」
いえいえ、と優しく微笑む♀Wizに、♂騎士は奇妙な感覚を覚えた。
この状況でなぜそんな表情ができるのだろう、と。

「そういやお前、箱開けないのか?」
あんなことがあったのだから当たり前だが、どうにも寝付けず一人月を見上げていたところ。
見張りの♂プリーストからそう言われるまで、♂騎士は箱がひとつ残っていることをすっかり忘れていた。
もう死んだような身の自分が使うより、♂プリーストたちに使ってもらったほうが有意義な気はしたが。
そう言うとどうにも相手側が不機嫌な顔になるので、仕方なく彼はそれを開けてみることにした。

「……これは」
剣、だなんて。それを振るって守る相手ももはやいないというのに…神は自分に何をさせようというのだろう。
これを振るって♀プリーストにしたように人を殺せというのか?
それをする悪い意味での度胸すら、臆病者の自分にはないというのに。
月の光を受け鈍く光るツルギの刀身を、ぼうっと♂騎士は見つめた。

「おいおい、なにぼーっとしてんだ」
♂プリーストに声をかけられ、自分が相当ぼんやりしていたことに気づき、♂騎士は顔を赤らめた。
どかっ、と隣に座られ、距離を離そうとしたが、ふと何かを思いついたような表情をして彼は体を戻した。

「なあ…あんた、そんなナリしてるけど一応プリーストなんだよな」
「そんなナリ、とか一応、とかは余計だっつの」
そう言って睨んでくる強面はやはりそれらしくは見えない。
「んで何だよ、突然」
当然の疑問だ。♂騎士はそっと目を閉じて答えた。

「懺悔、聞いてくれないか。何だか心に色々なものがたまってて…吐き出したくてたまらないんだ」
「柄じゃねーことさせんなよ…ま、話くらいなら聞いてやるけど」
ありがとう、と呟くと、♂騎士は静かに話し始めた。
17名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:48:59 ID:0jV8ITC2
+++++


俺にはさ、相棒がいたんだ。♀プリーストの。

「いきなりそれか。殴られたいのか、あぁ?」

……おい、なんでいきなり睨んでくるんだ? 顔怖いって、元からだけど。
相棒って言ってもさ、奴隷みたいな扱いされてたんだぜ…情けないことに。そんな相棒でもいいのか?

まぁいいや、本題に入ろう。
このバトルロワイアルに参加させられてポータルで飛ばされたとき、偶然だか故意だか知らないがあいつと俺は近くに降ろされた。
その時さ、やっぱりほっとしたんだ。殺し合いなんかさせられるんだ。見知った顔がいるってのはやっぱり違う。
この時はまだ、俺もまともだったんだよな。人と一緒にいることで安心感を覚えてたんだから。

でも最悪なことにローグの野郎に襲われて、俺はこんな怪我を負っちまった。
幸いダンサーとバードの二人組みに助けられて、あいつも俺も死なずにすんだんだけどな。

目覚めた時に見たのは、眠ってるあいつの姿だ。
それを見て、なんだか胸が痛くなった。
あっさりローグ野郎にやられた情けなさと、最後まで守りきれなかった申し訳なさでさ。

その時ダンサーの姐さんに、あいつのこと守ってやれって言われた。騎士なんだからって。
俺は…なぜか返事が出来なかった。今思えば、その時から俺おかしくなってたのかもしれない。

あいつさ、俺のことずーっと看病してくれてたんだってさ。
いっつも高飛車で、俺のこと奴隷のように扱う嫌な女だったけど、この時は俺のこと心配してくれてたんだって。

でも、そんなあいつを……俺、殺しちまった。

……騒がないんだな。

 「懺悔は静かに聞くもんだ」

案外まじめに聞いてくれてたんだな。感謝するぜ。

ローグ野郎から受けた傷の痛みがはっきりしてきて…俺、急に怖くなったんだ。
俺は今モンスターと戦ってるんじゃない。俺と同じ人間と戦ってるんだってのが、今更、ほんとに今更なんだけどわかって。
見知った相手だって、俺を殺そうとするかもしれない。なんせ同じ人間なんだから。
そんなことを思い始めてた。

その時……赤い、赤い夕陽が部屋に差し込んできて。

目の前で眠るあいつが、何よりも怖くなったんだ。
例えれば魔物に対しての危機感。恐怖。
それと似た思いを、何故かあいつに対して抱いて――

魔が差した、ってこういうことを言うんだろうな。
俺は、抱きついてくるあいつを刺してた。

ああ……夕陽も、あいつが胸から流す血も、真っ赤だったな。

何でなんだろうな。自分が自分じゃなくなったみたいだった。
それでも確かに、そこにいたのは俺なんだ。あいつを殺したのも、確かに俺。
ん……俺、何言ってるんだろうな。おかしなこと言ってごめんな。

その時確かに俺は、恐怖を一瞬忘れることができた。
目の前に自分以外の人間が入らなくなったことに、何より安心してたんだ。

でも、少しして、自分のやったことの恐ろしさに気づいて。
俺は逃げた。あいつから…いやもう死んでるんだけどさ、逃げたかったんだ。

必死で走って、走って、忘れようとした。
忘れる? もちろんそんなことできるわけない。
忘れようとするたびに、あいつの幻が目の前に現れるんだ。
笑ってたり、怒ってたり、死ぬ前のいろんな表情をして。
それを見て、気づいた。最初からわかってたはずなのにな……

俺、あいつのこと好きだった。
わがままなお嬢様だったけど、そんなあいつが愛しかった。

でももう遅いんだ。あいつはもういない。
俺は悔やんだ。悔やんで悔やんで、気が狂いそうになった。
それに追い討ちをかけるみたいに、あのピエロ野郎の放送だ。

言うなっつってんのに、あいつの名前言うんだぜ、あの野郎。意地悪だよな。

あいつの名前を聞いた瞬間、俺は悟ったんだ。
俺はもう騎士じゃなくなっちまったんだって。ただの人殺しなんだって。

だってそうだろう? 騎士は誰かを守るもんだ。
でも俺には、もう……

……あれ、どうしてだろ。今更になって、こんな……

 「ストップ、そこまでだ。泣きながらの懺悔なんて重っ苦しくて聞きたくねえ」


+++++


「ごめん、な……本当になんで今更涙なんか……」
鼻をすすりながら途切れ途切れに話す♂騎士に、♂プリーストは何も言わなかった。

「…軽蔑、しないのか?」
「するかよそんなこと」
んなくだらねぇこと、とぼそぼそ呟いて♂プリーストはごろりと横になった。

「俺は人を、それも相棒を殺したんだぜ? 恐怖に負けて……騎士失格だ」
「騎士がどうたらいってるけどよぉ、お前騎士である前に人間だろうが?」
「……!」

騎士である前に人間。その言葉に、♂騎士は目を見開いた。

「人間誰でも恐怖はある。つーかな、怖さを知らない人間ほど恐ろしいものはねえってな。
 臆病なことは決して悪いことじゃあないんだよ。恐怖をおして前に進める人間が一番の勇者だとはよくいったもんだ」
「でも俺は前に進めなかった。一番楽な解決方法に走っちまった」
「人の慰めを無にするような返し方するんじゃねえ」

ふぅ、と♂プリーストがため息をつく。
彼の隣で、♂騎士は頭を抱えて叫んだ。自分の後悔を全て吐き出すように。

「軽蔑してくれよ! 罵ってくれよ! 女を手にかけた最低野郎だって!
 責められたほうがどんなに楽か。あんたに慰められる度に……痛いんだよ…心が……!!」
泣き叫ぶ♂騎士。見ていられない、といった風に♂プリーストは目を逸らした。

「……じゃあ聞くが、お前はどうしたいんだよ、これから」
「え……」
「死にたいのか? 簡単に命を投げ捨てることは、それこそお前が手にかけた嬢ちゃんの命を無駄にするってことだぜ」

俺が死ぬことが、あいつの命を無駄にすること?
♂プリーストの言動には驚かされてばかりだ、と♂騎士は思った。

「後悔してんならよ、嬢ちゃんの命吸い取った気分で必死に生きてみろよ。
 あいつらみたいに一本スジ通して。命を燃やして、何かのために生きてみな」
静かな寝息を立てて眠る♂シーフと♀Wizを見やりながら、♂プリーストは言った。

「……あー疲れた。説教なんかさせんじゃねえよ。俺は寝る。あとはまかせた」
「あ、ああ……見張りは俺がしとくよ。体は本調子じゃないが、気配に気づいてあんたらを起こすくらいはできるし」
言って少しも経たないうちに、♂プリーストは鼾をかきはじめた。恐ろしいほどの寝つきのよさだ。

「何かのために、か……」
ゆっくりと、♂騎士は月を見上げた。
月は柔らかな光を放っている。まるで照らす者全てを見守るかのように。
「♀プリ…俺どうしたらいいのかな」
一人呟く。彼は答えを決めかねていた。
もう一度、手に持つツルギの刀身を見つめる。

この剣を、何のために振るえばいい? 誰のために振るえばいいんだ?
これは誰のための剣なんだ。俺は誰のための騎士になればいいんだ――

答えは、まだ見つからない。


<残り40人>


<♂プリースト>
現在位置:E-3
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考:殴りプリ 、♀WIZ・♂シーフと同行

<♂シーフ>
現在位置:E-3
所持品:青箱(未開封)、多めの食料
外見特徴:栗毛
備考:ハイディング所持 、♂プリ・♀WIZと同行、盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♀WIZ>
現在位置:E-3
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー
外見特徴:WIZデフォの銀色
備考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフと同行

<♂騎士>
現在位置:E-3
所持品:S3ナイフ、ツルギ
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔
備考:♂プリーストの治療を受け、やや回復 他人への恐怖は少し解消? 未亡人PTに同行するかはまだ不明
18名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:49:08 ID:M02BAU0o
>>11
Wikiに反映される前なので、一応こうゆう話になりましたっと解って貰おうと・・!
Wikiに載せられた時点でまた、キチンと修正しておきますよー。

>>12
そう・・・書き始めた時は殺す気満々だったんですがっ、
殺・・・殺・・・この子殺しちゃっていいのかぁぁ。・゚・(ノД`)・゚・。 ♂アサ、ホントニソレデイイノカ
となっちゃいましてっ・・!


ここから電波
>>11さんの♂アサ踏み台に♀ノビ覚醒 一場面のみお楽しみ下さい

「・・・そうだ・・・それでいい」
己の胸を深々と貫いたナイフ。それを握り締めるは俯く♀ノービス。
「俺の・・・・・・、教え通り、だ・・・やっぱり、お前には・・・、・・・暗殺者の才が・・・ある」
綻んだ口元からは血が溢れ出し、途切れ途切れに紡がれる言葉を邪魔する。
そうだ。俺の中で何かが変わったあの時から、俺は最早生きる事など許されなかった。
♀ノービスを連れてここまで来たのは・・・こうなることを望んでいたから、だったのかもしれないな。
「どうした・・・・・・、褒めてやってる、んだぜ・・・・・。・・・それ、なのに・・・」
ぐらり、傾いだ♂アサシンの身体。自分のカラダが自分のものでなくなった瞬間が、確かに感じ取れた。

(何故・・・・・・涙を流す・・・・・・?)

途切れた言葉に答えるように、♀ノービスはからんとナイフを取り落とし、倒れ込んだ♂アサシンの胸元に顔を寄せる。
そのまま自らが刻んだ傷口より未だ溢るる♂アサシンの血で汚れる事も厭わずに、静かに嗚咽を漏らし始めた。
1916sage :2005/11/16(水) 10:51:01 ID:0jV8ITC2
平日の昼間に失礼します。

第一回のバドスケの懺悔する場面がなんだか印象に残ってまして。
んで、それをぱk…インスパイアしてみましt(劣化してますが)
懺悔場面での「」内のセリフは♂プリーストのものです。わかりにくいかもなので一応。

すごくかっこいいヒーロー的キャラも大好きで憧れるんですけど。
へたれで悩み多き♂騎士が何故か憎めない自分でした。
20名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:52:24 ID:7ryWuwn6
前スレ412にGJ頂いてるようでありがとうございます。
前回のような凛々しい系クルセ子も好きですが、こういうクルセ子もアリかな、と。
心情描写とか苦手なくせにこういうの書きたくなるので、キャラが薄っぺらくないか
不安になるのですが、受け入れていただけたようで一安心。
献身がエロいとか言われるのは予想外でしたが。そうか、エロいのか……。

(´∀`|゜Д゜)つ|)パカッ <これで死別フラグ立てたぜ!
(´∀`||)=3 バタン

>>前スレ374
修正お疲れ様です。いろいろ言われてしまってますがあなたの書く話はすごくいいと
思うんで。頑張って一緒にお話作っていきましょう。

>>5
やめられないとまらない。今後のマーダー側の逆襲に期待ですね。

>>8
ロリコン呼ばわりの♂アサですが、非情になりきれず葛藤する姿に萌え。
覚醒にしろ踏み台にしろ何か見せ場できるといいですねぇ。

月の件ですが、前スレ311の♀Wiz組のお話でも
> 三日月に削った白い玉石(ムーンストーン)。
とあるのでWiki転載時にでも直していただく必要がありそうですね。
私の話も、月が満月だとちょっとは明るいんじゃね?ってなりそうですが、
なんか上手い言い訳考えておきます。
21名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 10:56:45 ID:hQvB.ptI
薬指に銀の指輪をはめているって記載があったから
「人妻」であることはわかるんじゃない?

>>8
ぐっじょぶ!
♂アサシンの思考の乱れっぷりがいいなぁ(笑
22名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 11:17:57 ID:6PXCIfwo
>>16
♂プリの一際輝く兄貴っぷりにGJです!
さすが逆毛の兄貴は紳士だぜ!!

なんか、♂騎士が♂クルセと良い対比になりそうな予感!
23名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 11:21:39 ID:vwyFiL7E
087 ビューティフルデイズ

ホルグレン。
多くの冒険者が知っている通り彼は職人である。
そして同時に、泣きもするし、笑いもする一人の人間である。
だが、ベートーベンやミケランジェロなどの多くの偉大な芸術家と同じように
彼も社会生活を営む上である一つの欠点を持っていた。

ホルグレンは人の話を聞くのが苦手だった。
耳に入ってこないといってもいい。
彼の心にもっともすんなり入ってくるのは太陽のように熱せられた鉄と彼自身のハンマーの叫び。
他の事は彼にとってはたいした問題ではなかった。

7段階まで精錬してくれと頼まれた武器を
没頭しすぎて、8段階にまで精錬しようとして叩き折ったことも一度や二度ではない。
「クホホ…」
がっかりした彼の反応は当然こうである。
どの冒険者もまさかホルグレンが楽しみながら叩き折ったなどとは思わない。
ホルグレン自身も依頼が実は成功していたなどということには気付かない。
彼の妻だけが夫のいつもの失敗を横目で見ては気づかないフリをして
冒険者達に「残念でしたね」と控えめな言葉をかける。
そんなことがあった日の夜には必ず妻の怒声と鉄拳がホルグレンに炸裂するわけだが。

彼の娘がまだ子供の頃、ポリンに襲われて怪我をしたことがある。
ポリンは何とか粉砕したが娘も派手な怪我を負っていた。
妻は当然ホルグレンにそのことを報せに走る。
「大変! あの子がポリンに襲われて怪我をっ」
「なにぃ!?」

彼が娘に走り寄ってまずしたことは


ゴンッ!!

鉄拳制裁であった。

そのあと当然のごとく妻のコークスクリューをくらう彼の言い分は
「だって、おまえ! あいつがまた他所様の子に怪我させたって…あれ!? 言ってなかった?」
「・・・」
「あっ、あれだ! あいつまた紐なしバンジーやってたん――」
彼が記憶を辿ろうとできたのは(正確には想像力を働かせていたわけだが)そこまでだった。
妻の拳がホルグレンの顎にクリーンヒットしていたから。


そんな毎日だったが幸せだったと思う。
叶うことのない願いかもしれないが、また親子3人で暮らしてみたい。
母親似の娘も元気でやっているに違いない。

「だったら、俺がまず生き残らなきゃだな」

そう考えホルグレンは追い詰められたら逃げ場のない灯台を出る。
ハンマーを持つ手にぐっと力を込めて。

職人ではなく父親としての力を込めて。

〈ホルグレン 持ち物:タバコ ハンマー カード帖 現在位置:灯台(J-6)→??〉
(FREE枠 使用)
24名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 11:28:11 ID:vwyFiL7E
ほっとかれがちなホルグレンに特徴与えてみました。
時間かかった…_| ̄|○

>>16
なんか♂騎士いろんな意味でいいキャラになってきましたね〜
♀プリ殺した後ですぐマーダーにやられるかと思ってたのに。

>>18
いい! すごくイイっす(*´Д`)ハァハァ
25名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 11:28:41 ID:V8/ecAqs
島状況チェックリスト(87話終了時点)

A-1 海を見下ろす崖。 ♀ハンタ登場場所。♀ハンタはC-2へ。
*** A-2 *** 禁止区域指定 ***
A-6 断崖絶壁の海岸付近。 ♂マジ登場場所。♂マジはC-7へ。

C-2 ♀ハンタ移動先。♀ハンタはC-3へ。
C-3 見渡す限りの森林。 ♀ハンタvs♂WIZ。♀ハンタ、♀スパノビと出会う→♀ハンタ、♀スパノビはC-6へ、♂WIZはC-3からC-5へ。
C-5 ♂WIZ、この付近を南下中。
C-6 丘の木立を臨める平原。 ♀スパノビ、♀ハンタはそこからどこかへ移動。
C-7 前方には木々が生い茂り、背後には崖と海。森の中には燃え尽きた小屋。 ♀剣士登場場所。♀剣士、♂ノビ殺害。♀剣士はE-6へ。♂マジ小屋を通過しC-6へ。

D-3 海岸。南側に森。 ♂WIZvs♀クルセ、♂アルケミ。♂アルケミ、♀クルセ海岸から森へ移動、E-4へ。
D-5 ♂商人が見た集落?(未登場なため変更可)
D-6 丘の木立。 ♀アサ登場場所→ミストレス、♀アサ殺害。ミストレスはE-8へ。
*** D-7 *** 禁止区域指定 ***
D-8 満月を背に断崖絶壁の上。 ♀アコ、大臣を追っていたらここに居た。何者かと遭遇。

E-3 森。 ♀WIZ、♂プリ、♂シーフ移動先。♂騎士移動先(ただし、怪我で動けない)。→♂騎士、♀WIZ、♂プリ、♂シーフ合流。♂騎士、♂プリに懺悔す。
E-4 森。鬱蒼とした木々。 グラリス、バードと交戦後、ここに移動。♂アルケミ、♀クルセ献身契約。
E-5 急な斜面あり。山頂。山頂から見えるのは島内は東西に1つずつある建物群。真上は少しばかり切り立った壁だったか。凡そ2メートル位。 ♂商人登場場所。♂商人はG-4へ。
   ♂WIZ、♀マジと出会う(こちらは場所変更予定)。
E-6 島の中央部の小さな森の外れ。 ♀ノビ、♂アサvs♀剣士。♀ノビ、♂アサはF-6へ移動。♀剣士はF-7へ移動。
E-7 島の中央部の小さな森。 ♂剣士登場場所。♂剣士はF-7へ。
E-8 森。木々の隙間に隠れる月。 ミストレスが過去を回想した場所。
E-9 大きな木。 ♀ローグ登場場所。♀ローグはF-8へ。

F-1 砂浜の海岸、見渡す限り広大な海。 ♀商人、♂セージ出会う。♀商人、♂セージはF-3へ。
F-2 林から海岸に出る。 ♀WIZが♂シーフ、♂プリと出会う。♀WIZ、♂シーフ、♂プリはE-3へ。
F-3 ♀BSが身を隠した小屋。 民家は少々小さめの山小屋、離れにカートがあった倉庫。 ♀BS、小屋で♂スパノビと出会う→同MAPの民家へ移動→夜にダンサーと出会い3人はF-6へ。
   海岸線から川を見つけ出しそれを遡上するルート。 グラリス、♂セージと♀商人に覗かれる。グラリス、♀商人をWと勘違いする。グラリスvsバード→グラリスはE-4へ、バードはF3のまま。
   島の北部、森、森の中に半ば埋もれる様にして立っていた小屋。 ♂騎士、♀プリ、バード、ダンサー(ダンサーはこの後F-3へ)が休んだ場所。♂騎士、♀プリを殺害。♂騎士はE-3へ。
*** F-5 *** 禁止区域指定 ***
   小集落。 ♀アコ、大臣を見つける。♀アコはD-8へ。大臣はI-5へ。
   倒壊しかけた家屋の中。 淫徒プリ登場場所。淫徒プリはF-6へ。
F-6 草原地帯 まばらな森の木立 膝まである草が生えた草原。 ♀マジ、♀BSにコルドボルト誤射してからここへ移動。♀マジはさらにE-5へ(こちらは場所変更予定)。
   淫徒プリF-5からF-6に移動してきた。
   ダンサー、♀BS、♂スパノビ、F-6に移動してきた。
   ♂アサ、♀ノビ、小さな木の下で夜を過ごし中。
F-7 巨木の頂上、森の頂とも呼べる場所。東南部の森。 ♂モンク、♀騎士と出会う。 ♂クルセの登場場所? ♀セージ、♂剣士と出会う。 ♂モンク、♀騎士vs♀剣士→♀剣士死亡。ヘルファイア放置される。
F-8 南から北にむかって小川が流れている。見通しのいい平野。東にわずかに砂まじりの平野 ♂クルセ、♀ローグを殺害。

G-3 元は漁師小屋か何かだったのか数軒のみすぼらしい小屋が立ち並ぶ浜辺。 グラリス、♀モンクを殺害。グラリスはF-3へ移動。
*** G-4 *** 禁止区域指定 ***
   やや大きく見える東側の集落、村と呼ぶには少し小さすぎる、荒れ果てた集落。林の中に朽ち捨てられた、ぼろぼろになった家の密集地帯 ♂商人、♂ローグによって殺害。♂ローグはH-5へ。
   周囲を木々に囲まれた林の中 ♀WIZ登場場所。♀WIZはF-2へ。
G-7 岩場。広陵とした大地、点在する大小の岩々。 グラサンモンクvs忍者。忍者、悪ケミはH-7へ。グラサンモンクはG-7のまま。
G-8 岩場。砂漠。岩場の天頂から北の方角に密な森林が広がっているのが見える。 ♀セージ登場場所。♀セージはF-7へ。

H-4 海岸から少し離れたところに木立。 ♂シーフ、♂プリ登場場所。♂シーフ、♂プリはF-2へ。
H-5 木々の中を走る獣道 ♂BS、♀ケミペア、♂ローグを見かける。 ♂ローグは♂ハンタ、♀アチャを狙っていた。♂ローグ、♂ハンタ、♀アチャはI-5へ。
H-7 海岸。 忍者、悪ケミ、悪ケミハウス。

*** I-5 *** 禁止区域指定 ***
   小屋から離れた場所にある小さな林。 ♂ローグ、大臣に寄生虫卵入りビスケットを食わす。
   小屋。 ♂ハンタ、♀アチャ、♂アコ、ジルタス森で合流後小屋に移動。小屋に♂ローグ急襲。大臣、室内に放り込まれる。♂ハンタ、♀アチャ、♂アコは逃走、♂ローグvsジルタス。

J-6 断崖絶壁のすぐそばに灯台。 ホルグレン登場場所。ホルグレン移動開始。

不明な場所
砂浜、海岸の岩陰。海岸に程近い家屋で目を覚ます。 ♂アコ、ジルタスの足跡
島の北部、森、森の中に半ば埋もれる様にして立っていた小屋。 ♂ローグに襲われた後、♂騎士、♀プリ、バード、ダンサー(ダンサーはこの後F-3へ)が休んだ場所。

注:1ブロックの端から端までの移動は全力でもおよそ1時間はかかるものとする

現状報告
1. ♀ハンタ、♀スパノビがC-6からどこへ行ったのか謎のままです。
2. カイジ♂マジがC-6を目指したまま忘れられています。
3. D-8で♀アコが何者かと遭遇しています。
4. ♂WIZと♀マジが出会った場所は修正待ちです。
5. ♀商人、♂セージが出番を待っています。
6. バードが出血でピンチです。
7. ♂ローグと大臣の首輪が爆発しそうです。
26名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 11:29:38 ID:hQvB.ptI
>>22
む、電波受信

♂騎士:ここは俺がひきつける。あんたらは先に行ってくれ
♂シーフ:無茶です!あんな化け物相手にどうするんですかッ!
♂騎士:俺は♀プリの命をすすって生きてしまったからな。今度はあんたらが俺の命をすする番だ
♂シーフ:………
逆毛:行くぞ
未亡人:…どうかご無事で
♂騎士:さっさと行け!

♂クルセ:相談は終わったかね?
♂騎士:おまえは俺が止めるッ!
♂クルセ:ふ、ふははは!止める!?その程度の覚悟で私が殺せるかッ!
♂騎士:あぁ、止められるとも…
♂クルセ:ならば付き合ってもらうぞ、地獄の底までなッ

…ダメだ、私の文章力ではこの程度が限界…orz
27名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/16(水) 11:44:58 ID:H65EzD22
もう特別枠はないんでしょうか?
28名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 11:50:53 ID:V8/ecAqs
>>27
ジルタスをペットアイテムとして扱うことで1枠空けることが可能です。
なので1枠だけならフリー枠を使うことができます。
29名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 12:10:38 ID:H65EzD22
なら投下
駄目だったらNGで

C-4に一人の女マジシャンが体育座りしていた。
頭には顔の書かれた装飾用卵殻。
「うぬぬ…やっぱり不安になってきたなぁ…」
強がって参加してみたものの彼女は後悔していた。
まだホードですら苦戦するような殴りマジの彼女が生き残れるはずもない。
「ダメだダメだ!あたしは帰るんだ!生き残ってまたびりーちゃんの所に戻るんだ」
彼女は立ち上がり決心した。生き残るために戦うと…。
彼女の名はちった。

〈ちった 持ち物:装飾用卵殻 s3マインゴーシュ 現在位置:C−4〉
(FREE枠 使用)
30名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 12:44:23 ID:.eel/fIA
>>29
出展教えてたも〜

とりあえずこの子も放送まで動かさないとあかんね
31名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 12:50:14 ID:vwyFiL7E
>>29
えーと…いくつか。
・出典元を記載してください
・タイトルもお願いします
・現在まで何をしていたかあると良かったんですけど…
まぁ、これは次の人に期待ということでもいいかな。
3216sage :2005/11/16(水) 13:10:33 ID:0jV8ITC2
そういえば前スレ312だと未亡人PTってG-8にいることになってるんですよね。
あまりにも大移動だよな〜と打ち間違いだと思って書いちゃいましたが…まだFA出てなかった_| ̄|○
33名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 13:21:43 ID:oTe.R6uE
>>29
NGじゃないの?
出展が不明すぎ。
34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 13:23:25 ID:oTe.R6uE
>>33
後、ちゃんとルール読んでいるとは思えないので、
何度も読み返して、把握してください。
厳しいようですが、それがここのローカルルールなので。
35名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 13:45:04 ID:H65EzD22
ルール難し・・・;;
とにかくちったを出したいので任せます><
出展はRO4コマで作者名は加曾利りあらです
ストーリーNGで構いませんが彼女は出して欲しい・・・
36名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 13:49:33 ID:H65EzD22
ttp://crazy.ciao.jp/illust/gazou/chitta.jpg
絵はこんな感じです
連続投稿すみません・・・・もう書き込みませんから;
37名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 13:51:32 ID:IXSp3KwI
>>33
多分アンソロだね。流石にバレたら危険すぎだと思われるから止めといた方がよし
会社とか同人作家を真正面から相手にするとこのスレじゃ少々分が悪いと思われる
まああの作家さんの人となり知らないけど…やるなら『この人なら絶対に怒らない』くらいの人選んだほうがよいかと
もし出せれば宣伝効果はぐっと上がるかもしれないけど、デメリットもやっぱ大きいだろう
38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 13:59:09 ID:oTe.R6uE
作者さん本人ならともかく、アンソロは版権がうるさいからNGでしょ。
それに、文章に説得力があるならともかく、
「出したいからルール難しくてわかんないけど、書いちゃえ」
って言うのはどうかと思います。
他のルール厳守している人に失礼でしょう?
39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 14:07:55 ID:6PXCIfwo
ググってみたけど見つからなかったが…そうか、アンソロのキャラなのか。
まぁ、>>29氏がこのキャラが好きなんだって気持ちは分かるけどね。
でも、この場合は出場もNGにしておいた方が無難だと思うよ。
>>37-38氏らが言うような問題もあるからね。
40名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 14:13:35 ID:CUBZ47M2
088.夢と悪夢と現実と【定時放送後〜夜】

幸せな夢を見ていた────はずだった


憧れの冒険者になった時はすべてものが輝いて見えた。
騎士様の振るう剣に憧れ、魔法の神秘的な美しさに惚れ、聖者の癒しに心惹かれた。

(私はおっちょこちょいだから商人はちょっとムリそうだな。
 エッチな服は恥ずかしいけど踊るのは好きだからダンサーとかいいな)

すれ違う冒険者を見てはその姿になった自分を夢想した。
まだ何になるかは決まっていないけど、転職のことを考えるだけでドキドキした。
優しいカプラさんや案内のお姉さんに挨拶して、今日もモンスターを倒す冒険に出た。
街を出てすぐ一匹のルナティックが目に止まった。
最初は可哀相で攻撃することが出来なかったルナティックも、今では簡単に倒せる。

(可愛くてもこの子はモンスターだし、自分が強くなるためだもん仕方ないよね)

初心者が扱いやすいように作られたマインゴーシュをえいっと突き出す。
狙い違わず刃先がルナティックへと埋まっていく。
キュともキャともつかない悲鳴をあげてルナティックは倒れた。
そして短剣を引き抜いた傷口から、信じられないほどの血飛沫が上がった。
まだ生温かいそれは目の前を一色に染め上げた。

(…………えっ!?)

驚いて落としてしまった短剣がさくっという音を立てて地面に突き刺さった。
反射的に音のしたほうを見ると、短剣は赤いダガーへと変わっていた。
ぬめりとした赤黒い液体がべっとりと着いていた。
ダガーから目を逸らしたくて元のルナティックの方へと視線を移すと、そこには♀シーフが倒れていた。
胸元がぐちゃぐちゃに切り刻まれた"死体"だった。

(ゎ……わタシ…が……ころシ……………コロシタノ?)

恐怖に叫ぼうとしたが喉が引き攣るばかりで声はでなかった。
膝がガクガクと暴れだし、抑えようとすればするほど動きが激しくなった。
耐え切れず膝を折り地面に座り込むと、今度は体の震えが止まらなくなった。
自分で自分を強く抱きしめることしか出来なかった。


──お前は人殺しだ

(ソ……んな………違っ…・・わたシ………)

──自分の為なら人だってモンスターと変わらない

(そンナつも…り……はッ………いやぁァっ!!)


「違うッ!」

♂アサシンの叫び声に♀ノービスは目を覚ました。
唐突に現実に戻された♀ノービスは、ぼんやりとした目で♂アサシンのほうを見つめていた。
徐々に意識が覚醒していく中、彼女は見てしまった。
彼の、暗殺者の眼を。
♀シーフがしていたのと同じ人殺しの眼を。

(殺ラレルマエニ殺ラナイト)

はっ、と自分の今考えたことに恐怖した。

(違うっ私は人殺しなんてしたくない!)

そう自分に言い聞かせながらも、♀ノービスは近くに置いてあった自分の荷物を引き寄せた。
そして♂アサシンから渡されていたソードの柄に、そっと手をかけた。


<♂アサシン><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)>
<所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2>
<スキル:クローキングLv10>
<備考:暗殺者としてひと皮剥けるべく♀ノービスを殺すか逡巡。そして・・・>
<状態:葛藤>

<♀ノービス><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)>
<所持品:ソード、未開封青箱×1>
<スキル:死んだふり>
<外見:ノビデフォ金髪>
<状態:寝起き、悪夢による恐慌>
41名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 14:17:04 ID:oTe.R6uE
そのキャラが好きなら、この板の別のスレへ書き込んだらどうかしら。
アンソロキャラに萌えるスレもあるから。
42名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 14:27:06 ID:6PXCIfwo
>>40
互いに葛藤!? ど、どうなっちまうんだ!?Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)アワワワワ
すげえよ、すげえGJだよ!!
なんだか>>18氏の電波が現実のものになっちまいそうな予感がー!
43名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 15:04:18 ID:8gLEbFRk
お待たせ。変人&奇少女最終調整したのWikiに上げました。
スレ関係各位にはたびたびのご迷惑申し訳ございませんでした。
平にご容赦願います。orz
44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 15:40:06 ID:V8/ecAqs
089 失った心、取り戻した心 [夜間]

───ずっと答えを探していた

誰かの声が聞こえる。答えを探しさまよう私を呼ぶ誰か。
それが誰であるか分からないまま、私はうたかたの夢から目を覚ます。

目に飛び込んできたのは暗闇、どこまでも広がる黒の世界。

いや、黒だけではなかった。
夜の闇の中でゆらゆらと揺らめく赤銅の光、♂剣士が森の奥、その光を指差しながら私に何かを叫んでいた。

「森が燃えている、だと?」

私は慌てて飛び起き、彼が指差す先にある赤い灯火を凝視する。
遠過ぎてはっきりとは分からないが、それが炎の光であることだけはなんとなく分かった。

肉眼で炎を確認するや、私はコルドボルトの詠唱を開始する。
体に感じられる適度な湿気から山火事が自然発生した可能性は無い。
もし火を焚いているのだとすれば、この状況下であれほど派手にやる人間はよほどの大馬鹿だ。
それとも蛍が光でオスを誘惑するように誰かを誘っているのだろうか。
どちらにせよ、あの火が人によって生み出されたことだけは間違いない。

精神を研ぎ澄ませ、周囲を探り襲撃に備える。
炎が魔法によって生み出されたのだとすれば、一瞬足りとて気を抜くわけにはいかない。
魔法使い同士の戦いでは先手を取った方が圧倒的に有利なのだから。

「♀セージ、僕が様子を見てきますよ」

言うが早いか♂剣士が森の奥へ向かって駆け出す。

いけない、軽率な行動は身を滅ぼすだけだ。そう叫ぶつもりだった。
呪文詠唱さえしていなければ、彼を止めることができたはずだった。
だが、一瞬の遅れに彼の姿はもはやそこには居ない。

私もまた♂剣士を追う。

お前は私を護ってくれるんじゃなかったのか、心でそうつぶやきながら少しだけ目を伏せる。
こんな世界で人を信じてどうする、こんな世界で人を頼ってどうする。
私の闇が私にそっと囁きかける。

それでも私は、答えが欲しかった。

この世界なら、いや、こんな狂った世界でも私を信じ、護るといってくれた彼なら、
彼なら私に答えを教えてくれるかもしれない。

そう思いながら、私は彼の後を追った。

──────

辿り着いたそこに炎は既になかった。
月明かりすら遮る木々の下、ぶすぶすと音をたて燻っている何か。
それが何であるのか、光の届かない森の中で私は思案する。

サイトの炎を使って確認するか。いや、それはマズイ。
それでは自分はここに居ます、狙ってくださいと言っているようなものだ。

「♂剣士、どこだ?」

小声で彼を呼ぶ。しかし返事はない。
彼は私より先にこの場所に着いているはずなのに、どうしたのだろう。疑問が頭の中を渦巻く。
どくんどくんと心臓が鐘を鳴らし、だらりと背中から汗が流れ落ちる。
私は闇に恐怖しているのだろうか。

「♂剣士、どうした? どこにいる?」

少し声量を強めて彼を呼ぶ。しかし彼は答えない。
何者かの襲撃を受けたのか?いや、それならば争う音が聞こえたはず。
だがアサシン相手ならどうだ?夜の住人である彼らなら音無く♂剣士を殺すことなど容易い。

ダメだ、最悪の事態ばかりを考えるな。
自分で組み立てた推測を、かぶりを振り、自分で否定する。

ゆらり

見上げた視線の先に火が灯る。赤い赤い火。明滅する赤い光。
突然現れ出た鬼火にゾクリと体が震え、膝が揺れる。

『サイト !!』

自分の居場所を教える不利よりも恐怖が勝り、私は素早く印を結んだ。
くるくると私の周囲を回る狐火。
闇の衣を剥ぎ取る光が鬼火を照らし、その正体を浮かび上がらせる。

炎の明かりで煌めく穂先、そこから視線を柄本に移す。
槍を力強く握りしめた手、鍛え抜かれた腕、たくましい首、そして───見覚えのある顔

そこにいたのは槍を手に持ったまま呆然と立ち尽くす♂剣士だった。

「居たのなら返事くらいしな───」

声はそこで止まる。正確には止めずにはいられなかった。
突き出された穂先、間違いなく彼が、先ほどまで私と共にいた彼が私を目掛けて槍を突き出したのだ。

どういう、こと?
私の頭が、思考が目の前の現実に追いついてくれない。

尚も私を目掛けて繰り出される両手槍、穂先からは炎が、爛々と眩い焔球が私に向けて放たれる。

その炎を、大きく横へ跳び回避。呼吸を整え、呪文の詠唱を───

彼を、殺す? 私を護ると言ってくれた彼を

───できなかった

『・・・・・・もしも、あなたが僕と同じ考えをお持ちでしたら。
 僕に・・・護らせてくれませんか?―――あなたを』

強い意志を宿した瞳、あの輝きに私は少なからず惹かれていた。
こんな信じることが愚かでしかない島で、嘘をついていたかもしれない私をまっすぐに信じた彼の眼差し。

どうして!?
頭の中で反芻される言葉はただそれだけで、脳は私に他の言葉を使わせてはくれない。

私は・・・お前を・・・
千条の月光が私の体を貫く。
月光の輝きは赤、地獄の業火のような赤。

答え・・・を
私の体が焼ける、熱い、熱い、熱い、熱い、熱、熱、熱。
ただただ焼ける、瞳が、脳が、腕が、脚が、心が。

痛いのかどうかも分からない。熱いと言う言葉だけが脳を、心を侵していく。

私は・・・お前を・・・信じたかった・・・
赤い絶望の中で私が最期に見たものは、槍を私に突き刺したまま壊れたように笑う彼の炎を帯びた黒い瞳だった。

<♀セージ>
現在位置−島の中央部の森(F-7)
所持品−幸運剣、トーキーボックス、支給品
外見特徴−緑色のロングヘアー(csf:4j0i40h2) 、整形美人
口調・性格−沈着冷静、博学。必要なこと以外はあまり口にしないタイプ。過去のトラウマから、感情を殺す癖がある。
備考−高INT 習得スキル フリーキャスト、ドラゴノロジー、スペルブレイカー、全ボルト系(五色セージ) 過去にトラウマ有 ♂剣士と同行
     死亡

<♂剣士>
現在位置−島の中央部の森(F-7)
所持品−手製の木刀、s4ナイフ、熱血鉢巻、ヘルファイア
外見特徴−ノビデフォ髪 (csm:4g022?)
口調・性格−丁寧な口調だが、混乱しやすい。素朴。鈍感。あまり頭は良くない。
備考−JOB45 両手剣剣士 不器用 剣士学校では落ちこぼれだった。ヘルファイアによる人格破壊。

<残り39人>
45名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 15:40:30 ID:vejYX2Ck
089.おやすみなさい【定時放送直前】


―進路変更しましょう。
そう言ったのは♀スパノビだった。
どこかを目指していたはずなのに、突然の進路変更。
♀ハンターは最初にその言葉を聞いたとき、首を傾げた。

『どうして道…を?』
『んー、そっちに行くのは別に良いんですけど…誰か居たみたいな感じだったので…
 ♀ハンターさんの意見で決めますよ〜』
♀スパノビが言うと、♀ハンターは首を横に振った。
あまり人と関わりたくない。
この子以外と関わるのが怖い―

『い、いや!行きたくない!』
『じゃあ、こっちに道を変えましょうかー』
指差したのは先ほど誰かの気配がしていた方向。
こっちの気配は消えましたから、と♀スパノビが言った言葉に♀ハンターは頷いた。
進路変更し、二人は休憩を取ることにしたのだ。

『じゃあ、この辺りで休憩しましょうか。私はちょっと周りの様子見てきますね〜』
『あ…う、うん』
『近くに人の気配は無いですが…万が一何かあれば呼んで下さいね』
頷く♀ハンター。
にこりと笑うと♀スパノビは木の陰へと消えていった。
石の上に座って辺りを見回した♀ハンター。
周りの景色を見ている内に、いつのまにかうとうととし始め…
疲れていた彼女は鞄を枕にいつの間にか眠ってしまっていた。


「…これはさすがに♀ハンターさんには見せられませんね」
―あまりにも酷すぎる。
周りの様子を確認していた♀スパノビは、既に死んでいる♀アサシンを発見した。
この損傷具合は…恐らく魔法でやられたんだろう。
状況から推測するに加害者は魔法を使えるもの。
ウィザード、セージ、マジシャン。大体その辺りだろう。
魔法を使えるものでも、ゲームに乗っているものはいるんだろう。
近くに散らばっているのは恐らく彼女の遺品だ。
その中で♀スパノビの目に留まったのはオリデオコンの矢筒だった。

「これは頂いておきますか」
―いつか役に立つかもしれませんし。
持っていた鞄の中に矢筒を詰め込むと、♀スパノビは辺りを見回した。
木の陰にひっそりと生えていた花を見つけると、その根元をざくりと切る。
彼女はその花を、♀アサシンの元へ備えた。


おやすみなさい。
♀スパノビはそっと呟いた。


-----------------------------------------------------------


「起きてください〜」
ちょんちょんと♀スパノビが、まだ完全に目が覚めていない♀ハンターの顔をつっつく。
寝ぼけ声を上げる♀ハンターを見て、♀スパノビは苦笑して―
♀ハンターのほっぺたを触った。
ぷに。

「わわわっ!?」
思わず声を上げる♀ハンター。
あわてて右手に傍に置いていたスパナを掴み、周りをキョロキョロと見回す。
くすくす、と笑っている♀スパノビの顔がそこにはあった。

「お昼寝休憩は終わりですよ、♀ハンターさん」
その声を聞いたとたん、恥ずかしさと安心さが同時に込み上げてきた。
♀ハンターは顔を真っ赤にさせた。

それから数分後―彼女たちは一回目の定時放送を耳にする。


<♀ハンター 現在位置・・・進路変更→D-6>
<所持品・・・スパナ 古い紫色の箱>
<備考・・・対人恐怖症 鳥と会話が出来る ステ=純鷹師 弓の扱いは???>
<状態・・・♀スパノビと同行。但し、完全に信頼はできていない。♀スパノビ以外の人間は完全に拒否>


<♀スパノビ 現在位置・・・進路変更→D-6>
<所持品・・・S3ダマスカス シルクリボン(無理矢理装着) 古いカード帖(本人気付いていない) オリデオコンの矢筒>
<備考・・・外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型) 集中力向上習得済>
<状態・・・♀ハンターと同行>
46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 15:51:25 ID:vejYX2Ck
っ[090.おやすみなさい][♂マジとニアミス]修正と忘れ物。
♂マジを書きたかったけども口調が…!orz

書き込む24秒前に♀セージさんがお亡くなりに(ノд`)。
ヘルファイアが♂剣士の手に渡ったのは意外だったけど展開的に良いなぁ…GJ。
ロリコンアサ(違)と♀ノビがどうなるのかも気になる…!
47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 17:48:33 ID:V8/ecAqs
>>16
♂騎士いいなぁ、うん、すごくいい。
そして♂プリの男度が上がった!顔は怖いけど。

>>40
♀ノビ、はやくマーダー側に来るんだ。
オレはその日を待ち焦がれている。

>>45
ある意味♀スパノビが一番男前な気がする、いや女性なんだけどさ、カッコいいじゃん。

>>46
ありがとう。♂クルセが持つのが相応しそうなんだけど、彼の強化はまだ早いかな、と。
本当はもう少し♂騎士みたいに狂気に負けてマーダーに転進する人を増やしたいんだけど
今回は早々に2人PTが手を組みまくって心を強く持ってるからなかなか心の隙が。。。隙がー(つД`)
前回の♀商人みたいな小悪党が欲しいっ。
48名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 18:03:15 ID:6PXCIfwo
091.神は何処におわすや


――神よ、答えてくれ。何故、彼女は死なねばならなかったのか、を。


***


「……誰っ!?」
身構えていた♀アコライトの鋭い誰何に答えることなく、♂クルセは茂みを掻き分けて前に走り出た。
宵の空高くに満月が白い容貌を晒し、夜闇に埋もれた島を青白く照らす中を、拳闘の構えを取った少女に向かって駆け寄り、最速最短の距離でシミターを抜き放つ。
♀アコライトの細い首筋めがけて奔った横薙ぎの剣閃は、とっさに彼女が背を反らさねば喉を切り裂いて命を奪っていただろう。正確無比の剣腕をもつ♂クルセもさることながら、それを紙一重でかわした♀アコの動体視力もまた端倪すべきものがあった。
しかし必殺の一撃を避けられたにもかかわらず、♂クルセに動揺はない。あたかも初撃はかわされることを想定していたかのように、振りぬいたシミターを翻して逆しまに斬り上げる。
――手応えはない。
「……ホーリークロスをかわすとは、な」
服が汚れるのも厭わずに横っ飛びに転がって避けた♀アコを横目で追いながら、♂クルセは感嘆を呟きにして漏らした。
「いきなりとは、恐れ入るわね」
見た目にそぐわぬ豪胆な口調で、♀アコライトが吐き捨てる。彼女は主人を心配して寄ってきた子犬を、待てと制して♂クルセを油断することなく睨みつけた。
「見たとこ、クルセイダーさんのようだけど……その様子じゃ、このゲームに乗り気って感じよね?」
同じく神に仕える身の者が襲ってきたことの苛立ちを隠すことなく、♀アコライトは声に鋭利なトゲを含ませて、再び拳闘の構えを取った。
「殴りアコか……」
左腕を一定のリズムで揺する独特の構えを静かに見つめながら、♂クルセが口を開く。
「……で、俺が乗り気なら、どうするのだ?」
「――こうするだけよっ!」
言うなり、♀アコライトは♂クルセに向かって大きく踏み込んだ。
反射的に突き出されたシミターの切っ先を、ほんの少しだけ首を傾けて避け――きれず、肩口が浅く切り裂かれたが、意にも介さず♂クルセの懐へと潜り込み、水月めがけ肘を叩き込んだ。
肉が肉を叩く異音が、断崖絶壁に響き渡る。
だが、それは♀アコライトの肘が♂クルセの肋骨を砕く音ではなく、♂クルセの左肘と膝が♀アコライトの肘を受け止めた音だった。
「……いいセンスだ。拳の間合いに持ち込み、戦いの流れを自分の物にしようとするあたりがな」
驚愕に目を見開く♀アコライトに、♂クルセは彼女のこめかみにシミターの柄尻を打ちつけた。
「だが、まだ甘い。相手が剣を持っているからといって、無手での戦いに慣れてないとは限らん。たとえば、俺のように」
「く……そっ!」
打たれて血を流す頭を左手でかばいながら、♀アコライトは大きく跳び退って間合いを取った。
昏倒しかねない重い一撃を受けたせいか、膝が笑い出して目の焦点が合っていないのだが、それでも彼女が倒れなかったのは、殴りアコとしての矜持からだろうか。
「あなたさぁ……女の子の顔を血塗れにするなんて、ちょっと酷いんじゃない?」
血が入り込んだ左目を硬く瞑り、♀アコライトは皮肉な笑みを見せた。三度、左腕を揺らす拳闘の構えを取って、しかし殴られたダメージが大きいのか荒い息を吐く。
満身ではないにせよ、創痍が激しいのは誰の目から見ても明らかだが、♀アコライトの右目には炯々と輝く闘志が燃え上がっていた。
「言っとくけど、謝るなら今のうちよ。今なら同じ神様を信じてるよしみで、右手一本で許してあげるから」
「……神か」
強気な♀アコライトの挑発に、何がおかしかったのか♂クルセはくぐもった笑いをこぼした。そのあまりに陰気な笑い声に、ギョッとして♀アコライトは後退る。
そんな彼女の様子に気づいた様子もなく、♂クルセは続けた。
「おまえ、神はこの世にいると思うか?」
「なに言ってるの、あなた……?」
同じく聖堂に仕える身――位から言っても、アコライトよりも十字騎士である彼のほうが上である――でありながら、神の存在を疑うとは不敬中の不敬である。予期もせぬ言葉に眉根を寄せて訝しむ♀アコライトに♂クルセは問うた。
「神がいるのならば、どうしてこの殺人ゲームがある? どうして神を信じた者が死に――信じていない、この俺が生き残ったのだ!?」
それは問い掛けと言うよりも、♂クルセの負の感情で彩られた神への呪い。月明かりを浴びてなお黒く、血臭のする闇色に染まった叫びであった。
だが、♀アコライトにはどうでもいいことだったようだ。
「知らないわよ、そんなこと」
彼女は左目の血を拭い捨て、呆れたように言い放った。
「まぁ、知ってても教えてあげないけどね。乙女の柔肌をキズモノにするような人は、わたしの拳で神様のお膝元にブッ飛ばしてやるんだからっ」
威勢良く啖呵を切って♀アコライトが突進した。胴を薙ぎ払うように奔ったシミターの斬撃を、地面に身体が着くほどに屈めてやり過ごし、無防備な♂クルセの足首を滑り込むように蹴り払った。
くるぶしまである丈の長いスカートで蹴りが来るとは予想していなかったのか、♂クルセは足払いをまともに喰らって転倒した。
かららら――と、乾いた金属音を立ててシミターが地を転がる。♂クルセが受身を取りきれぬと悟って武器を手放したのだ。
すかさず♀アコライトは落ちたシミターを蹴り飛ばし、立ち上がりかけた♂クルセの顔面を殴りつけた。己が打ち据えられた箇所と寸分違わずに。
まるで鞭が空を打ったような鋭い音が鳴り響き、♂クルセの左目の上がナイフで切られたかのごとく見事に裂けた。
さらに彼女は、血を噴いて膝をつく♂クルセの眉間に、鼻柱に、顎に、凶悪な黒毒蛇を思わせる左の拳を連続で打ち込む。致命打となりうる三連撃は、しかし♂クルセの顔面に喰らいつく寸前で跳ね上がった肘と掌で全て防がれた。
「甘く見ていたのは……俺のほうかもしれんな」
彼女の拳を掌で受け止めたまま、♂クルセが静かに呟く。
そこには、昏い熱を帯びた神への呪いを吐いていた人物とは思えないほど冷静で、そして♀アコライトが彼と対峙して初めて見た冷徹な意思があった。
(なんなの、こいつ――ッ!?)
間近で見た♂クルセの瞳は、恐怖や狂気といった感情には染まってなかった。こんな地獄のような場所に放り込まれたというのに、彼の目は冬の湖のように澄んでいて、むしろ理知的ですらある。
だからこそ、彼女は戦慄した。
(……や、やだ! 怖い!)
あの血の色をした憤怒を理性だけで押し込めた、この正気の殺人鬼に。
「神に会ったら伝えてくれ。この糞ゲームをとめてみせろ、とな」
怯える少女の腕を捻り上げ、♂クルセは♀アコライトを断崖絶壁の向こうへ投げ飛ばした。


落ちてゆく少女の悲鳴を追いかけて、子犬が絶壁から飛び降りたが、♂クルセが気づくことはなかった。


<♀アコライト&子犬>
状態:断崖絶壁から落下。生死不明。
現在位置:断崖絶壁(D-8)→?
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
備考:殴りアコ・方向オンチ

<♂クルセ>
現在位置:断崖絶壁(D-8)
所持品:s2シミター(タートルジェネラル挿し)
外見特徴:csm:4j0h70g2(らぐなの何か。参照)
49名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 18:15:55 ID:6PXCIfwo
前スレの男キャラ性格まとめだと理性的マーダーとあったので、♂クルセをこんな感じに仕上げてみました。
防御が上手いのは盾スキルの応用ってことで。

てか、調子乗って書いてたら♀アコがはじめの一歩かバキみたいな殴りキャラに……(;´Д`)アワワ
とりあえず、♀アコと犬っころの生死は次の人に丸投げしますw

>>44
男の子に惚れたりすると女の子は死亡フラグ確定ですか!?
意外な展開にGJでございます。
♂モンクと騎士子にさらなるトラウマを植えつけてほしいなあ。

>>45
しっかり者の妹と頼りない姉キター!
俺も寝ぼけた♀ハンターの頬っぺた突きてぇ…(*´ー`)σ)Д`)プニプニ
50名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 18:24:43 ID:mzCGjuXA
>>44
ヘルファイヤによる人格破壊とありますが、そんな効果はなかったはず。
♀剣士の人格破壊は特製アンチペインメントによるものですし。
51名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 18:30:31 ID:mzCGjuXA
…071で出ていましたね。
きっかけがアンティペインメントでしたので勘違いしていました、申し訳ない。
52名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 18:43:52 ID:V8/ecAqs
>>51
つっこまれても仕方が無いと思っていました。
自分なりのヘルファイア解釈を伝え切れてない自分を恥じたい。

理性が壊れて槍にのっとられるか、理性が屈服して槍の呪いに逆らえないかの違いくらいはあると思ってます。
♂剣士視点を書くことで解決するんだろうけど、連投になっちゃうので他の人に期待、しちゃダメかな・・・・
53名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 19:06:00 ID:I1n..Yg2
092.別離

さて…どうしたものか。

彼の思考は晴れていた。
突然降って来た女―――♀マジとの会話も、ある意味での休息となった。
行動を起こすには十分な状態である。
問題は未だ共にいる彼女だ。
確かに、自分をのっけから否定しないところには少なからず好印象を抱いた。
しかし、どうも調子が狂う。
ここに来て最初に聖騎士を襲ったときは、確かに先を予測し、的確な攻撃を繰り出すことが出

来たというのに、この少女のときはそれが出来なかった。
疲れもあった、意外性もあった。だがそれだけでは、この自分の不調の裏づけにはならない。
この少女特有の何かがあるということか。
それとも自分自身が腑抜けてしまっただけなのか。


いつでも彼は自信に満ちていた。
それこそ魔術、学力などは当然のこと。
格闘でさえも、相手の動きを分析し、予測することができれば負ける気は無かった。
身体能力が元々低いわけでもなかったし、そういう意味では確かに才能が優れていたと言える


だがそれだけでなく、彼は見えないところでの努力も欠かさなかった。
その結果の実力なのだが、彼の不器用さがそれをそう感じさせなかった。
「冷たい」「面白くない」「鼻持ちならない」
彼について回る評価は、このようなもの。
陰口などは日常茶飯事。研究の成果をまとめた用紙を、全て焼き捨てられたこともあった。
―全く理解できない。そんなことをしたところで、己を高められるわけでもないのに。
確かに無駄だった。陰口など意に介すことなどなかったし、研究成果は全て頭に入っていた。
だけど、それでも気分を害されるのが人というもので。
表面はいつもどおりでも、苦しさは感じていた。彼は確かにそのとき、人間だった。

いつの日か、彼は他者を見下すようになった。
何の役にも立たないくせに、人の邪魔をすることだけは達者な、無駄な存在。
それが、彼の「人」に対する認識。
無駄なものは出来る限り取り除く。普段の研究でも、効率を上げるために重要なこと。
―だったら私は、一人で良い。
ウィザードになった日を転機に、彼は魔術師の集まる街を出た。
だが、一人になろうとして街を出た彼に、協会に無理を言ってまでついてきた者がいた。

その者は、彼にしてみれば、まるで無駄だらけで。
いつだって結果の分かりきった実験に、真剣な顔で取り組んで。
彼がそれを馬鹿にすると、決まってこう言うのだ。
「自分で確かめないと、信じられないからね」
彼には理解できなかった。
くだらない、と去ろうとする彼に、彼女は続けてこう言った。
「君、嫌な奴って言われてるけど、全然そんな事ないよね。この前、ずっと一人で散らばった

書類まとめてるの見たし、3日前なんて野良犬に餌あげてるの見ちゃった。私も嫌な奴だと思

ってたんだけど、すっかりイメージ変わっちゃったよ」
彼は言葉を失った。
驚いたのもあったし、恥ずかしいと思う気持ちもあった。
「それは、書類が散らばってたら研究の邪魔だからで、犬は…その」
顔が熱くなるのを感じながら急いで言い訳を考える。
だけど、浮かばない。
こんなことは初めてだった。
弁論で負けたことはなかったし、だからこそ彼は余計に嫌われていた。
「犬は…何?」
凄く嬉しそうな顔でこっちを見ている。
全く理解できない。何がそんなに嬉しいのか。
彼が思考をグルグル巡らせていると。
「ほらね。確かめなくちゃ分からないでしょ?」
彼女はそうやって、花のように微笑むのだった。

彼女は変わっていた。
彼の陰口を叩くものがいれば、後ろからど突き倒した。
その後物凄い勢いで説教をしては、その声が五月蠅いと教官から指導され。
彼の書類が焼かれているのを見ると、一緒になって復元作業をする。(実際彼一人の方が効率

が良かったのだが)
彼にしてみればまるで無駄だらけだった。
そのせいで嫌われることもあるだろうに。やりたい事だってあるだろうに。
そう思いながらも、彼女を突き放すことは出来なかった。
何故なら、いつの日か彼は、彼女の存在を必要としていたから。

自分は弱くなったのだろうか。
二人で暮らすようになってしばらくしたある日。
ふと、深く考え込んでしまった。
「また難しいこと考えてるのー?」
頬を突かれて我に返る。そして、五月蠅いなと彼女を押し返す。
いつの間にか当たり前になったやり取り。
もう一度考える。
―私は、弱くなったのか?
答えは、出なかった。
否、必要なかった。
そのとき彼は確かに、幸せを感じていたのだから。

だけど。
幸せというのは、時に無慈悲なほど容易く離れていくもので。
彼女は。彼が受け入れた彼女は。
まるで全てが嘘であったかのように。
この世から、彼の腕から、去って行ってしまった。

自分はどれだけのことを彼女にしてやれたのか。
いつでも私に与え続けてくれた彼女に私は、一体、何を。
浮かばない。いくら考えても浮かばないのだ。
湧いてくるのは、碌に笑うことも出来なかったことへの後悔のみ。
―もう一度彼女に会えたなら、そのときこそ、私は。
ああ。心から笑ってやれるのだろうか。
答えは未だ見えない。だから求め続ける。その答えを手に入れるため、彼は真理を求め続ける。
だから。
―私は、止まるわけにはいかない。


ひとしきり思考を巡らせた彼は、過去の夢から現実へと戻る。
くつくつと、小さく笑いを漏らした。
目の前には不思議そうな顔をした♀マジ。
「どーでも良いけど、やっぱりその飴返してもらって良い…って何いきなり笑ってんのさ。気味悪いよ」
「…そう、私は止まるわけには…」
「あーもうっ!目の前にボクがいるのに一人の世界に入るなー!」
そう叫んだ彼女の視界を、いきなり手の平が遮った。
「…え?」
「良いですか?良く聞いてください。貴方が奪った私のナイフを返していただきます。今すぐに、です」
何が起こったのか、これが本当に先ほどまでヨロヨロしていた男と同一人物なのか、♀マジは理解できなかった。
ただ感じるのは、得体の知れない恐怖。
「それを渡したら、今すぐ私の目の前から消えてください。なかなかに楽しい時間を過ごさせてくれたお礼に、今は殺さないでおいて差し上げます。…言っておきますが、抵抗はしないように。その気になれば、貴方を今すぐ葬ることも可能です」
カタカタと震える手で、コンバットナイフを差し出す。
指の隙間から見た彼の目は、先ほどまでの間の抜けたものではなく、生きているとは思えないほどあまりにも冷たく、全ての時間が止まったように冷え切っていて。
そして、何より悲しそうで。
「良い判断です。…さて、早く逃げた方が懸命ですよ。いつ私の気持ちが変わるか、分かりませんからね」
「―っ!」
♀マジは慌てて駆け出した。
方向感覚なんてさっぱりなかった。それどころか平衡感覚も怪しい。
ただただ駆けた。彼から、恐怖から、死から逃げるために。

♀マジが西へと逃げていくのを見て、♂Wizは一つ、大きく息をついた。
―さて、次からは本気で行くとしましょう。貴重な実験対象に傷がつくのは少々残念ですが、そろそろそんなことを厭っていられない状況です。
モルモットたちを狙っているのは自分だけではない。
下賎な輩が、自分の興味対象を奪っていくのは許しがたい。
「待っていてください…」
呟き、彼はゆっくりと、東へと歩き出す。
空には煌々と輝く月。
それを映して、彼の握ったナイフがぎらりと鈍く光を放った。


<♂Wiz>
現在位置:D6〜C6の境目辺り→D6から東へ
所持品:コンバットナイフ、片目眼鏡、スティックキャンディー
備考:「研究」のために他者を殺害。黒髪。土気色肌。丁寧口調。マッド。

<♀マジ>
現在位置:D6〜C6の境目辺り→C6方面西へ
所持品:真理の目隠し
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
54名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 19:08:27 ID:I1n..Yg2
ぎゃー、メモ帳から貼り付けたら改行がおかしくなってる。・゚・(ノД`)・゚・。
本当、ごめんなさい。以降気をつけますので、どうかお許しを;
55名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 21:00:41 ID:8p7.LEcA
>>53
♂ウィザードの過去話ですね。
これを読むと研究とは
死んでしまった彼女の蘇生法の研究なんだろうか。
ヘタレマーダーの彼のイメージがかなり変化しました。
56名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/16(水) 21:51:35 ID:459kJZmI
>>55
まとめサイトの065 Ice Coffinを読んでみることをオススメするよん♪
57前スレ433sage :2005/11/16(水) 21:57:05 ID:mzCGjuXA
グラサンモンクについて ※原作ネタバレ注意

「雨の日」のあらすじ…
ノービス時代に知り合った♀騎士に転職まで冒険者の基礎を教えられることとなるが、転職も近いある雨の日枝テロが起こる。
騎士として人々を護るために向かった彼女はぼろぼろになりながらテロを制圧する。
だが全滅させたわけではなく、残った"操られたマンドラゴラ"が動けない彼女を襲い、彼に発見され街に戻る間に彼の背中で息を引き取る。

アコライトになった彼だったが、事件のせいか独りでいることが多くなり自然と殴りアコになる。
しばらくして先のテロで救出した♀アコと再会し、以後行動を共にする。
彼はこの時点では誰かを助けたい気持ちが強く、あくまでプリースト志望であった。

しかし、♀アコが♀プリに転職した日にまたも枝テロが発生し、運悪く2人は偶然犯人とその仲間に出くわしてしまう。
まだアコであった彼は彼女を護ろうとするも胸を剣で貫かれ倒れる(右心臓のため生存)。
彼はある組織の♀アサに治療され一命を取り留めるが、既に♀プリは陵辱され殺されていた後だった。
またこの日も雨だった。


復讐を望む彼はモンクに転向。組織に加入し、2人のための復讐が彼の人生そのものとなり数年で著しい成長を遂げる。
だが雨の日には、いつも修行と称した半ば拷問のような狩りをし、帰ってくると必ず2人の悪夢を見る。
目覚めても現状把握に時間がかかり、違法スレスレの半ばドラッグに近い精神安定剤を飲み、
しばらくしてようやく落ち着きを取り戻すほど。←バトROワに参加しているのはこの時点での彼です。

そしてついに復讐の機会が訪れ彼は仇討ちを果たす。
しかし、そのとき作戦に参加していた♀アサは枝で召還された深淵に苦戦しており、彼が駆けつけると大剣で腹部を貫通されていた。
彼女を救うべく大剣を叩き折った彼は、深淵相手にも優勢に戦った。
やがて阿修羅の絶好のタイミングが訪れるが彼は阿修羅を寸止めする。
そこで形勢は逆転し結果的には辛勝したが、その時彼は♀アサ以上に瀕死であった。
だが、阿修羅を撃たなかったのは♀アサを助けるためであり、彼は最期の力を振り絞って♀アサのところまで這い進み、彼女にヒールをかけた。

「……もう、オレの……目の前で、誰かが死ぬなんて……耐えられない。
 多くの人間を……殺して……お前が死んで、オレだけなんて……もう、生きて……いけない……」

彼はそこで死亡し、ヒールにより♀アサは生存する。

身体的特徴…ゲーム内ステータスで表すとSTR>AGI≧DEX>INTのような感じでしょうか、とにかくSTRは高いと思います。
指弾はおろか、手刀や拳でさえ人体を貫き、その拳の連打は短時間で石壁を人が通れるほどに破壊し、
阿修羅に至っては石壁を砕き石礫を引き起こしています。

性格…間違っていても自分の意志を貫くタイプ。普段は静かですが、感情が伴うときはちゃんと大声になるようです。
復讐が目的ですが「悪」に染まったわけではなく、加入した♀アサの組織も裏で活動はしていますが「善」の組織です。
♀騎士、♀プリに対して照れる一面も。一人称は「オレ」。

こんなところでしょうか。一読者の視点で書きましたが少しでも参考になればと思います。

>>52
事前に十分確認したつもりでしたが、大変失礼しました。(>>50-51
時間軸を進めない別視点での投稿なら別にいいかなと私個人は思いますが、
既に書き終えているorすぐ書けそうでしたら>>44に付け加えて訂正するという形が一番無難でしょう。
58名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 22:07:15 ID:DbI5cQiA
093遭遇【定時放送直前】

「この辺りは……平原のどの辺りだろうか………」
右手に見える丘、振り返るとうっすらと見える木々そして正面に広がる草原…。
人を探して森から平原へ黙々と歩いてきた♂マジであったが、
歩き疲れたのか、背の低い草の生える草原にごろりと横になり日の沈み紅く染まる空を眺めていた。
「人に出会うことがこれほど難しいとは……最初に集められた人数を見たときは結構な人の数が居たと思うのだが……」
足が棒になるほど島を歩いたが、結局人に出会うことはできないまま…♂マジは一人孤独であった。
一陣の風が彼の頬を撫で、そして草の葉を揺らし彼の周りを通り過ぎていく。
その様子はまるでここが殺し合いのゲームの会場なんてことを忘れさせるくらい、平和なもので。
思わず現実から目を背けたくなるような日常が、♂マジの前にはあったのである。


だが。
♂マジはローブの中に仕舞っていた、血は既に乾き…所々赤く錆びているスティレットを取り出し空に掲げる。
鉄臭い匂いが♂マジの鼻を刺激し…神経を覚醒させていく。
誰かがこのスティレットの持ち主に襲われて、命を落としたのかもしれない。
あるいは逆にこのスティレットの持ち主は返り討ちにあって、命を落としたのかもしれない。
このスティレットは♂マジに命を賭けた戦闘があったことをその刀身を以て生々しく伝えていた。
そして……彼はこの命を賭けたゲームで、助け合うということを望んでいた。
それは偽善なのかもしれない。
人を殺したくないから、殺すことなんてできないから手を取り合う。
そんなことが可能なのか。相手が自分と同じことを考えている確証などどこにもないというのに。
そして自分は、できるのか?相手をただ信じることなど。
信じて、信じたその先にあるモノまで……自分は信じ抜くことが、できるのか?
「俺は……俺はっ………ぐぐっ…………」
一人で考える時間が長すぎたため……彼はわからなくなってしまったのである。
それが、人を信じるということをわからなくなってしまったことが悔しくて彼は頬を濡らした。
「悔しいっ……俺は何故…どうしてっ……信じなくては……手を取り合うことなんてできないのにっ……!!」
彼は右手の袖で目元を塞ぐことで、流れる涙をなんとか抑えていた。
それが…彼にとって悲しいミスとなった。
今もし立ち上がって辺りを見回したら、
こちらの気配に感づき離れていった誰かに気付くことができたかもしれなかった。
結果はどうあれ、あれほど♂マジが望んでいた人に出会うという願いが成就されるチャンスだったのである。


結局♂マジはその気配に気付くことなく、ひとしきり、落ち着くまで涙を抑えていた。
ようやく落涙の止まった瞳が映したのは満面の星空であった。
スティレットを地面に置いてぼんやりと彼は…これからどうするかを考えることにした。
これからはあまり目の利かない夜間での行動となる。
参加者の中に含まれる暗殺者や狩猟者といったような闇でのスペシャリストに対して
自分は余りにも無力であり、このような隠れる場所の無い平原でそういった者達に遭遇した場合、
…彼らがもしゲームに乗り気だった場合間違いなく殺られるだろう。
そうするとこの平原よりは先程の森に戻った方がいくらか安全だろうか?
それとも下手に動かず気配を殺してここでじっとしていた方が安全か…?
「どっちだ……どちらがより安全で確実………うっ!?」

    ざわ…

         ざわ…

突然♂マジは立ち上がり慌てた様子で辺りを見回し始め、そしてある一点で…♂マジは何かに気付き凝視する。
「何か………来るっ…!?」
何かが猛スピードでこちらに近づいてきている。
夜のせいで目は利かないが♂マジはその 何か に対して警戒態勢をとる。
「もし……敵だとするなら…ゲームに乗った奴だとしたら……俺はやれるのか……?くそっ…!」
狼狽している間にも小さな点は段々と大きくなっていき、人であることが目視できるまでこちらに接近していた。
どうするっ……!どうするっ……!どうするっ……!
♂マジの手が、膝が震えだす。
怖い。冗談じゃない。死にたくない。だったら、だったら落ち着け!対処しろ!
「落ち着けっ……落ち着けっ……ファイアウォールで足を止めてフロストダイバー……
 そしてライトニングボルトで終わるっ……ただそれだけっ……落ち着けっ……!」
相手が地の蹴る音が少しずつ大きくなり影も近づいていく。自分の鼓動も段々と早まっていく…!
やれるっ…!落ち着けばなんてことはないっ……!
「落ち着けっ……落ち着けっ……落ち着けっ……落ちtうごっ!」
「うわあっ!」
決まったっ……!鳩尾だっ……これは痛いっ……急所っ……!
悲鳴を上げながらゴロゴロと転がる♂マジ。どうやら頭突きがモロに急所に入ったようだった。


「だ、大丈夫?顔色悪いよ?」
「元々こういう顔だっ……!」
そんなに怒らなくても、と黒い目隠しをした彼女…♀マジは呟いてしょんぼりと下を向く。
何はともあれ、♂マジはようやく人に出会うことができた。
そして何より…人を殺さずに済んだのである。
そのことに♂マジは心から安堵していた。
まだお互いのことを信用しきっているわけではない……と、思う。
仲間というわけでもない。ただ少し間の抜けた先程の出来事が緊張感を取り除いて今の空気があるだけ。
この命を賭けたゲームで簡単に人を信用することを相手に求めるものではないということはわかっている。
「それでも俺は……もう一度っ……!」
「?」
「いや、なんでもない…それよりお前のほうこそどうしたんだ……?
 あの慌てっぷりは何かあったんだろ……?」
その言葉を聞いて思い出したかのように♀マジの顔が蒼白になる。随分恐い目にあったのだろうか。
小さな体の、小さな膝を小さな腕で抱えて……彼女はカタカタと震えていた。
先程までの和やかな空気が一気に冷えていくように♂マジは感じた。
「落ち着いたら……話してくれ。それまで待っててやるから……」
しばらく間をおいてから、♀マジはコクリと頷く。
その様子を確認してから♂マジは辺りの警戒する。
♀マジが逃げてきた、ということは彼女が逃げていたものがこの場所にくるという可能性はそう低くない。
今怯えた♀マジを守る事ができるのは自分しかいないのである。

まだ仲間と決まったわけでもない。向こうが信頼してくれているわけでもない。
少し間の抜けた出会い方をして、それで何となく一緒にいるだけなのかもしれない。
それでも♂マジは自分がようやく出会った人間だったから。
彼は彼女を守る盾となることを決意したのである。


<♂マジ>
現在位置…C-6
所持品…ピンゾロサイコロ(6面とも1のサイコロ) 3個 青箱1個 スティレット
備考…JOB50 ♀マジと一緒にいる

<♀マジ>
現在位置:C-6
所持品:真理の目隠し
備考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。♂マジと一緒にいる
59名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 22:11:51 ID:tMIW8nyw
>>48
おおおおお間柴〜!
じゃないけどヒットマンスタイル?GJ、楽しく読ませていただきましたw

ただ一件気にするほどでもないだろ自分ってツッコミを。
http://uniuni.dfz.jp/skill2/cru.html?10GXHXbSkAqnakGS1cL
上記スキルシミュレーターの通り、スピアクイッケン10前提ですと盾スキルとHXの両立はやや困難です。
ペコを切ればHX10も可能ですので無理ではありませんが、
文中「神を信じない」とあるので聖属性が乗る(=神の力を乗せている)攻撃には疑問符がつくかも?
60名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 22:14:38 ID:DbI5cQiA
>>53を読んで電波が来たのでカイジ♂マジと♀マジをくっつけてみましたイヤッホウ!
ちょっとカイジっぽくないかもしれないですけど、なんとかいけるだろうと思ったので見切り発車致しました。
これで止まってるフラグがちょっと動いたかな…
61名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 22:33:52 ID:vwyFiL7E
>>59
やったことある職だったりすると
スキル構成も気になってきますよね…

まーでも必要最低限のポイントだけ振るってことなら
大抵の職で殆どのスキルが取れそうな気もしますが。
あ、雷鳥のスキルを除くと。
62名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 23:06:56 ID:dbp3i/zo
>>48
バトロワ名物崖から転落キター!
予想通りの遭遇戦なのに予想以上の展開に萌えました!GJ!

これで書かれていないのは
グラリス、バード、女難の相パーティ+♂ローグに♂セージと♀商人かな?
あ、工務大臣?知らね(マテ
63名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 23:20:35 ID:p3W32dtA
淫徒プリとかミストレスとか書きたいけれど、ネタが思いつかない・・・・っ
64名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 23:23:53 ID:dbp3i/zo
ミストレスは誰が生贄になるか、が非常に楽しみ。
淫徒プリは動き出すと、誰かがエロくて鬼畜な展開になりそうだって言っていたような…
6548sage :2005/11/16(水) 23:37:29 ID:8dTJfrcg
>>53
マッドWIZさま復活ッ!復活ッ!
ヘタレの汚名返上か!?(*゚∀゚)=3 ムッハー

>>57
グラサンモンクのまとめ乙です。
すごく熱いキャラっすね。しかも人生が壮絶だし。
バトROワ二日目とかで、無性に雨を降らせたくなってきたよw

>>58
カイジマジと電波ボクっ子がPTとなっ!?
予想してなかっただけに、すげえGJです!
そういや同職PTってのも初のような気が…

>>59
はうわっ!?
確かに、神を信じてないくせに聖属性攻撃使ってるのは変ですな。
凸セイダーしかクルセを知らないから、こうなるわけか……OTL
Wiki掲載時にでも修正しておきますね。

>>62
そのGJだけでご飯三杯いけちゃうよ!
豪快かつ間柴かつ花山な♀アコをお楽しみいただけたなら本望ですわ。


さーて、次のネタを考えるとするべー
66名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/16(水) 23:41:44 ID:bfTEPfxc
ミストレスはネタがあるが距離の関係上無理(´・ω・)

そういえば、前回のBRと今回のBRは世界が違う模様?
それとも同じなのか?
話の流れ上、別世界の話って線が有力っぽいが。
67名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/16(水) 23:42:23 ID:bfTEPfxc
すまんsage忘れたorz
68名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 00:21:14 ID:CRQFWfRc
前回もなにもアレは全部♀Wizの伏線ですよ
69名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 00:26:27 ID:LyfA49OI
>>66
別世界じゃないー?
きっと
70名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 00:30:36 ID:eTgis3qI
>>66
つ「アナザーで投稿」

似たような内容の歌が昔歌われてたり、似たような夢を見てる人がいたり、
もしかしたら同じ世界かもしれない。でも違うかもしれない。
71名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/17(木) 00:43:03 ID:C7h2wHJg
要はあれだ。
物語に深く影響を与えない範囲でなら、同じ世界のこととして捉えてもOK
そうでない、例えば♀WIZが過去の記憶で首輪解除とかだったら多分NG
ちなみにそういう味付けでニヤリとするからびみょーに出てくる分には俺は好き。
72名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 02:12:52 ID:rieJ7j4Q
094 Past Days【夜間】

ガッガッガッ…

繰り返される硬いものを打ち合わせる音に混じってわずかに水の音がする。
粘り気のある黒い水が振り上げては振り下ろす手と石に絡み付いて離れない。
目線を下に落とすと相貌の判別のつかなくなった"もの"にあたしは何度も石を打ちつけていた。

『ひっ』

掴んでいた石を放り投げてあたしは腰を抜かしたように後ずさる。
あたしが馬乗りになっていたのはカプラサービスの制服に身を包んだ女性。
赤黒くなった顔の近くには砕けた眼鏡があって、彼女がグラリスだったことを思い知らせる。

『あ、あたしが殺したの…?どうしてっ?どうやってっ!?』

訳のわからないまま後ずさり続けるあたしは突然、背中をぶつけて背後に人がいることを知る。
腰を抜かしたまま見上げると、その人は♂セージでいつか見た様に飄々としている。

『あたし、あたし…』
『大丈夫、私は知っています。安心してください』

すがり付こうとするあたしを迎えるように彼は膝をつくと本当にいつもと変わらない調子で言った。

『…貴女が救いようのない殺人鬼だってことは』

え?と思った時には彼の手が伸びていた。
熱い感覚が生まれたことに驚いてそこに目を向けると、胸から短剣の柄が生えている。
それはあたしの血を吸って赤々と輝いて…、全身から力が抜けていく。
あたし…、なんで…、殺…れる…。…セージ…、怖い…。死に…く…ないよ…。


「いやぁああああッ」

がばりと飛び起きた♀商人は額をごちんと何かにぶち当てた。鈍い痛みが額に広がる。
恐る恐る目を開けると、薄い月明かりの下で♂セージが鼻を押さえて悶絶していた。

「……何してたの…?」
「うなされていたようですので、様子を見ていたのです」
「…変なことしてないでしょうね…?」
「ふっ、当然ですともっ。それはあなた自身を買いかぶりすぎというものです。
 男の浪漫というものはもっと、ばんきゅっばんなのでッ!?」

恥ずかしいことを平然と言う♂セージに♀商人は手元の鞄を投げつけて黙らせる。
すると、♂セージは本当に黙ってしまって彼女にとって居心地の悪い静寂が訪れた。
さっきの悪夢、内容は良く思い出せないけれど、その悪夢が再び襲い掛かってきそうで嫌だ。
そんなことを考えながら毛布を身体に巻きつけてごろごろしていると笑いを含んだ声が聞こえた。

「…今の間に寝ておいたほうがいいと思いますよ?」
「眠れない…」
「困りましたねぇ。もうしばらくしたら私が眠るので見張りを万全の状態でしていただきたいのですけど?」
「だったら寝物語に何か、話して。…シモネタ以外」

♂セージから苦笑を含んだ吐息が漏れる。それでも彼は♀商人のリクエストに答えることにしたようだ。

「そうですね、それでは。昔話でも一つ。
 昔々、あるところに二人の兄弟がおりました。
 とても仲の良いその兄弟は一人の女性に恋しておりました。
 幼いころから家族同然に育ったその女性は美しく慈愛に満ちて彼ら二人にとって女神のような存在でした。
 彼らはどちらが果たして彼女にふさわしいか、勝負をするようになります。
 時には腕力で、時には魔力で、時には狩りで。
 じゃれあうように勝負を続ける間に、彼らは相応の名声を得るに至りました」

一端、話をきると♂セージは声色を変えて兄弟の会話を真似る。

『お兄ちゃんずるいっ』『ばぁっか!だまされるほうが悪いんだよっ』
『そんな問題も解けないんだ?』『うるさいっ、俺はおまえほど賢くないんだ』
『こいつ、強い…!』『落ち着け、二人で一緒にやるぞ…せぇのぉっ!!』

まるで本職のバードの様な一人芝居に♀商人は忍び笑いを漏らす。
象牙の塔に篭ってばかりのひ弱な魔法使いだとばかり思っていたが、良く考えてみるとそれは違うのだろう。
この戦場を平然と歩き回るその姿は魔術師というよりは生存術を心得た戦士のものだった。

「名声を得た彼らが都に戻ってみると、恋する人は既にいなくなっていました。
 美しく慈愛に満ちた彼女は、時の王の目に留まり寵を得ていたのです。
 そのことを知った二人は、三日三晩泣き明かしました。
 そして、弟はこう言います」

『僕は諦める。彼女は彼女できっと幸せなんだろう』
『諦めない、諦められない、諦められるものかッ』
『兄さん。彼女は選んだんだよ?それを尊重しないの?』
『おまえが諦めても俺は諦めない。絶対に彼女の役に立ってみせるッ。どんな滑稽な道化になってでも』
『そう、それが兄さんの選択なら、僕は行くよ…健やかでね?』

離別の悲哀を込めて♂セージは謳う。それがまるで彼自身の身に起こったことの様に。

「こうして兄弟は別れ、幾年もの年月が流れました。
 その時の流れの中で女性を娶った王は倒れ…
 悲しみの中で女王となった彼女は狂気の虜となってしまいました。
 彼女はその権能をもって幾人もの人を殺し、殺し、殺しました。
 そして、その傍らにはあの兄弟の兄の姿がありました…。
 ただ、彼自身の愛のため、両手を真っ赤に染め上げた道化師となっておりました。
 その兄の姿を風の便りに聞いた弟は…」

♂セージはそこで話をきると、夜の闇を見つめる。
森の木々にさえぎられてほとんど光の届かないここで目を凝らして何が見えるというのだろうか。

「…ねぇ?終わりなの?」
「ええ、このお話にはまだ終わりがないそうなのですよ」
「まだ?」

小骨が喉に引っかかったような違和感が♀商人を捕らえる。
まだ?道化師?殺戮?女王?狂気?兄弟?
パズルのピースが嵌るように、さっきまで聞き入っていた歌が現実へと形を変える。
だったら、この、目の前の男は…。

「それは違います。貴女の考えは一面の事実にしか過ぎません。
 それは、そう捉えることが出来るというだけです。それに…」

いつもよりほんの少し真面目な声色で♂セージが言う。

「そんな高名な人間が女性の裸を覗き見するわけないじゃないですか」
「…そうよ、ね。あなたのこと買いかぶりすぎよね」
「えぇ、まったくです。というわけで、お話は終わり。これからはお休みの時間ですよ」
「うん、おやすみ」

子供の様に扱われるのはちょっと癪に障るが、就寝の挨拶をして♀商人は思う。
彼がもし本当にその話の弟だったらどれだけ頼りになることだろうと。
もしかしたら、この悪趣味なゲームそのものを叩き壊せるのではないのだろうかと。

そうして殺し合い一日目の夜は更けていく。
森の闇はみなの思いを飲み込んで黒くうずくまる。
恐怖も絶望も、希望でさえも。全ては明日の糧とするために。

<♂セージ>
位置:E3の森で野営
所持:青箱2(開封済みの可能性アリ)
備考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? ファイアウォール習得 GMジョーカーの弟疑惑
仲間:♀商人

<♀商人>
位置:E3の森で野営
所持:青箱2(未開封)
容姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備考:割と戦闘型 疑心暗鬼は解消気味?
仲間:♂セージ
7372sage :2005/11/17(木) 02:16:36 ID:rieJ7j4Q
書いた人の注釈
♂セージがGMジョーカーの弟と決まったわけではありません。
♀商人がだったら頼れそうとそう"思った"だけであります。
よって、今回のお話は♂セージの全くの作り話、という可能性も存在します。

安易に肉親ネタを設定化するのは怖かったので
どっちとも取れるような構成にしましたが
…脳内妄想炸裂な話書いちゃいけないね。くほほ
74名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 05:06:44 ID:83.SQhF.
>>52
>理性が壊れて槍にのっとられるか、理性が屈服して槍の呪いに逆らえないか…
とありましたが♂剣士はまだまだ甘ちゃんそうなんで、ろくに抵抗すらせずに
槍に取り込まれちゃうってのはどうでしょう。ヘルファイアって血を吸う為なら結構
なんでも頑張っちゃうぜ的なイメージがあったもので。
とはいえ厳密には人格破壊じゃない(ぽい)ので、ダメかなぁ。
てかそれ以前に前回の♂アサとネタ的に被るのでその辺よろしくなければNGで…



(095).喪失【夜間】


ふふ、ははは。僕は今、何処を歩いているんだろう。
随分暗い、でも別に寒くはないな。ただあんまり闇が濃くて、自分の声すら拾い難いけど。
しかしさっきまで月が出ていたはずなのに、あは、突然辺りが視づらくなってしまった。。
それどころか、僕の体だってよく目を凝らさないと見えないのは、一体なんでなんだろう。
ともかく、すぐ傍に死体があった。ここは危ない。でも収穫もあったな、あはは、凄いよこれ。
真っ暗でもこれの事だけは分かる、ちゃんと僕の手に収まっている僕のランプ。
だからとにかく早く♀セージのところに、戻らなきゃ、いけないのに。
彼女は一体何処に消えたんだ?さっきもこの辺をモンスターが、うふふ、うろついていたし。
勿論きちんと殺してやったけどさ。


 ◇◇◇


♂剣士が♀セージに先行して発見したのは、既に炎が衰えた後の殺人現場だった。
ただし殺人、と呼んでいいのかどうかに彼は抵抗を覚えたのだが。
炎を燻らせ、吐き気を催す匂いを放っているものは、到底人間の死体とは思えない。

「なんだよ、これ……」

黒い残骸はもはや死体の性別すら判断のつかないほどに劣化していた。
♂剣士が周囲を踏みしめるだけで崩れてしまいそうなそれに、不釣合いなほど凛々しい凶器。
その柄には細かい装飾が彫り込まれ、玉が填められているでもないのに輝いている。
どのような業をもってしたのか穂先はまさしく炎が揺らいだ様をそのまま留めた姿。
全身を紅く響かせる美しい槍は、一介の剣士にとっては文献でしかその姿を拝めない
伝説の武具だった。
一般には知名度が低いものの冒険者の間ではプロンテラ王の御物としてその名を知られている。
但しトリスタン3世の御世において、いかなる遠征にあってもこの槍が振るわれることはなかった。

「まさか、でも……ヘルファイア……だよ、な?」

♂剣士にとって、いや槍を扱える全ての人間にとっての至宝が、彼の目の前に打ち捨てられている。
月明かりをさえぎる林の中にあって尚強く在る魔槍は、まるで自分を呼んでいるようですらあった。
死体のことなどもはや頭に入らず、彼はゆっくりとその柄に手をかける。
地面から抜けた槍はしっかりとした重量感を与えながら、♂剣士の両手に収まった。
近くで見れば見るほど美しい。美術品としての桁外れな価値にも頷けるというものだ。

「あハ……綺麗だなぁ……」

軽く振り上げると、音もなく穂先が闇を滑る。槍の扱いには慣れていないはずの♂剣士なのだが、
不思議と意のままに操ることができた。腕が重さにも慣れてくると、振り回す速度に一層磨きがかかる。
こうしているとマスターみたいだ、と彼は思った。騎士としてその名を響かせた槍使い。
どんなに重量のある槍もその鍛え上げた体で軽々と振り回し、若くありながら
王の行軍でも活躍した人物だ。落第生と罵られ沈んだ日々を過ごしていた彼が首都での
テロに巻き込まれたときに、危険を顧みず助けに入ってくれたあの人。
勇気を出して弟子入りをお願いしに門を叩いた時の不安と、では騎士になるまで、と許して
もらえた時の喜びは昨日のことのように思いだせる。
命の礼をしようとした自分に、誰かを護ることでそれをせよとおちこぼれの僕に道を示してくれた。
そんな師匠も、数ヶ月前に戦地で命を落した。国家の関わる極秘の任務だったらしく
遺体はおろか遺品すら帰ってこなかった、と奥さんが泣いていた。
あの人と、もっと一緒に過ごしたかった、もっと教えてもらいたかった――彼は新しく師を手配
するというギルドからの連絡を断り、納得の行くまで剣士として修行を続けることを選んだのだ。
槍という武器への懐かしさもあり、一通り得物の感触を楽しんでいた♂剣士の耳に、邪魔する
ように草木を踏み分けて近づく何者かの足音が届いた。

「ん?ふはっ、誰だろう」

一瞬体と意識を緊張させるが、すぐに心当たりを思い出す。成る程、♀セージが追いついたのだろう。
死体を前にして恍惚とした表情を浮かべていた♂剣士は、やはり不気味なまでの笑顔を張り付かせたまま
♀セージを出迎えようとし、絶句した。突然現れた鬼光の元に明らかになった影は、人のものではない。
ずる、と醜体を引きずるその姿は、言葉を失うほどにおぞましい異形の化け物であった。

「(いたのなら返事くらい――)」

化け物が自分に向かって口を開いた、目の前の現実に脳を揺さぶられながらも
たった今相手がしたことを思い出し、反射的に槍を突き出す。
魔法を使う敵とろくに相対したことはないが、詠唱さえ完了させなければいいはずだ。
右に左にと意外と素早く槍をかいくぐる化け物を、火球を使って追い詰める。
と、しつこく逃げ回っていた化け物が再び詠唱を始めた。いけない、とにかく止めなくては。
♀セージの助太刀を期待してはいられない。彼が必死の勢いで繰り出した攻撃は、拍子抜け
するほどあっさりと化け物の体を貫いた。

「やった、あはは」

槍が化け物を捉えた瞬間、轟、と凶悪な熱量が穂先から発せられ、♂剣士の目の前に
巨大な火柱が立つ。
燃え盛る炎は化け物を包み、根こそぎ全てを奪おうと手を伸ばす。
異形は尚も♂剣士に寄ろうとするが、圧倒的な炎の前に♂剣士に触れられることなく
崩れ落ちた。

「あは、びっくりした。こんなものがうろついてるなんて、なんて場所だよ」

♂剣士は槍を軽く回し、穂先にすがりついていた化け物の残骸を振るい落とす。
黒く炭化したモノは手近な木の幹に叩きつけられ四散した。

「でも、これさえあれば大丈夫なんだ。僕はちゃんと護ってあげられる、ふふ」

槍を抱え歩き出そうとして、彼は自分の腰につけられたものに気付いた。
取り上げると木を削りだしただけの無骨な木刀が、ささくれだって彼の指を傷つける。
一瞬それに顔をしかめるが、興味を失くしたのかすぐに小汚い木の棒をその場に捨てた。

まだ近くにいるはずの、自分の生きる理由を探して彼は歩く。


 ◇◇◇


あは、マスター、聞いてください。僕はやっと……やっと、人を護ることが出来ます。
ここは人が人を殺す戦場だけど、でも大丈夫。僕の心には今もあなたの教えがあるから。
なんだか暗くて仕方がないけど、ふふは、はは、この槍が今度は僕を導いてくれます。
血みたいな、凄く綺麗な炎が、僕の歩むべき道を明るく照らしてくれるんです。あははは。




<♂剣士>
現在位置−島の中央部の森(F-7)
所持品−s4ナイフ、熱血鉢巻、ヘルファイア(木刀はセージの死体近くに放置)
外見特徴−ノビデフォ髪 (csm:4g022?)
口調・性格−丁寧な口調だが、混乱しやすい。素朴。鈍感。あまり頭は良くない。
備考−JOB45 両手剣剣士 不器用 剣士学校では落ちこぼれだった。
   ヘルファイアによる人格破壊(人間がオバケに見える)
(冒頭部分は、槍に支配され回りが目に入らないだけで盲目なわけではないっす)
75名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 06:00:46 ID:r4hqZM9Q
094 BKの名を掲げて【夜間】

「私としたことが油断したわね……」
このエリアに逃げ延び、まずしたことはメイルを脱ぎ
左わき腹のえぐられた傷を手当てしたことだ。
服を裂いて作った簡易的な包帯で巻いた。
食事を摂取したことにより血は随分と戻ったようだ。
私はこの深い森林で身を隠しながら死んだように眠っていた。
バードとの戦いの時のように簡単に見つかるような
場所で休息をとるというような愚かしいことはもうしない。


「放送から何時間ぐらい眠ってしまったのかしら……」
ここに逃げる途中で放送を聞いた。
矢は当たっていないはずなのだけれど……とヘッドドレスの矢痕をまじまじと眺める。
それほど体が休息を欲していたということなのだと思う。


闇はどこまでも深い。
だけどそれと分かるのは満月が対比させているからであろうか。
「満月……ね。風情を感じるべきなのかしら?」
安っぽい三文小説には満月には人を凶暴化させたり
人間が化け物に変わったりするような力があるという
描写が多々あるが私にはそんなことどうでもいい。

「ただ……私の目的を果たしやすくしてくれるのはありがたいわね」
月光が私の辿り逝く道を示してくれる。
獲物へと続く道を。
実益こそ私にとっての満月の存在理由。

***

まず、私はF-3に戻ることにした。
理由としてバードを始末したかったというのがある。
彼は間違いなく最強クラスのプレイヤーだ。
もちろん甘さと馬鹿な語り癖はあるがここで生かしておいたら脅威になる。

「あいつが故意に矢を外したとは思えないわね……」
ヘッドドレスの傷跡に触れる。
ならば、何らかの負傷をしていると考えるのが自然である。
このメイルオブブリーディングの魔力なのかもしれない。
もしくはスリープアローとあのバード自らがしゃべったのだ。
それによる昏睡なのかもしれない。
何にせよ今がチャンスということだ。

足音を消し静かに忍び寄る。
見覚えのある木が見える。

TBlバスタードソードを片手に持ち、片手で地面を突きながら
地を這うように木ににじり寄る。
神経が恐ろしいほど研ぎ澄まされていく。
満月の光で少しずつ木の周辺が見えてくる。


「な!?」
そいつはバリスタを構え、木の前に居た。


待ち伏せされたか!?
私は思いっきり横に跳んだ。
しかし矢はとんでこない。
わき腹に激痛が走る。
タイミングをずらしているのか!
舌打ちをしさらに地を何回も転がる。
激しい激痛に襲われるが耐え忍ぶ。

しかし矢はまだとんでこない。

「私、焦らす男は大嫌いですわ!」
手ごろな木陰に転がり込むとバードに向かって毒づく。
しかし、返事がない。

「あなたにしては随分と無口ね!一体どうしちゃったのかしら?」
……
相変わらず返事は来ない。
いい加減おかしいことに気がついた。

「まさか……ね」

***

私はスリープアローを拾い集める。
何かしらに使えるかもしれないし
また弓が手にはいるかもしれないからだ。
バリスタは諦めた。
私には到底扱いきれない代物だ。

バードは月明かりを浴びながら静かに事切れていた。
木を背もたれに体育座りの格好であった。
右手はバリスタをひざ上に乗せ射撃体勢をとらせている。
左手は羽帽子を目深におさえていた。
口は何が可笑しいのか不敵な笑みの形でつりあがっている。

「結局、あなたは最後まで道化だったわね……」
地面には夥しい血の跡が見てとれる。
死因は失血であろう。
そして死を悟った道化は私を相手に最後の芝居を打ったというわけだ。

「そしてまんまと私は踊らされたわけね……フフ」
先ほどの滑稽な一人芝居を想像すると思わず噴出してしまった。

「だけど、このままじゃむかつくわね。あなたには仕返しをしないと気がおさまらないわ」
そう言って私は彼の羽帽子を取り上げ
代わりに私のヘッドドレスを彼の頭につけた。

「道化に格好いい死に方はさせてあげない」
そう言って私は彼の血染めの羽帽子を目深にかぶり
微笑しながらその場を後にした。

満月を背に……。

Bloody Knight はまだ血を欲しがる。

後、七人……。


<グラリス>
位置:E4→F3
容姿:カプラ=グラリス
所持品:TBlバスタードソード 普通の矢筒 スリーピングアロー十数本
   案内要員の鞄(DCカタール入り) メイルオブブリーディング
   羽帽子(バードの物)
状態:左脇腹負傷 激しい動きをすると激痛
備考:連弩破壊により喪失 敗北により油断は消えている

<バード>
位置:F3
容姿:BSデフォ白
所持品:バリスタ 普通の矢筒
状態:失血死
備考:死亡
76名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 06:04:40 ID:eTgis3qI
096 狩人と狐

「らァァッ!」
フェイント気味に振るわれた包丁の刃は、しかし分厚い木材で受け止められていた。
バァン!と音を立てて刃が半ばまでめり込み、破片が飛び散る。
「ふっ!」
振り切った体勢でがら空きになっている足元めがけ、ジルタスの脚がしなやかにうなる。
「ぐ……はッ」
「へッ……甘ェんだ……」
しかし体を折ったのはジルタス。♂ローグはとっさに包丁から手を離し、懐に踏み込みざま
肘を打ち込んだのだ。そのまま顎めがけ拳を振り上げる。
「……よッ!」
「……がァッ!」
伊達にジルタスも監獄の女主人と呼ばれるわけではない。
体を捻りつつ、包丁が刺さったままの木材を♂ローグの横っ面に叩きつける。
「がッ……」
「ぐぉッ……」
拳が顎をかすめ、衝撃が頭を揺さぶる。木材が衝撃に耐えかね、
バギン!と真っ二つに割れる。よろけるジルタスと、たたらを踏む♂ローグ。
「「あァァッ!!」」
だが両者とも一瞬で意識を引き戻した。
宙に飛んだ包丁を引っつかむと強引に軌道を曲げて切りかかる。
後方に飛びのきざまバク転の要領で数度蹴り上げる。

「……ペッ」
後ろに数歩よろめくように下がった♂ローグが血の混じった唾を吐き出すと、
カン、と乾いた音がした。折れた歯が何本か床に転がっている。
「ふん……」
床を擦りながら這うように着地したジルタスが体を起こすと、ピン、とワンピースのボタンが
いくつか弾け飛んだ。裂けた布地から覗く肌に赤い線が滲んでいる。
嵐のごとき攻防の後の、つかの間の静寂。
「畜生、2本やられた」
頬の血をぬぐいながら♂ローグが言う。
「あたしだって、ボタンを2個も飛ばされたわ」
切り裂かれた布地のあたりをさすりながら、ジルタスが返す。
「へっ、セクシーになって丁度イイじゃねえか。いつももっと過激なカッコしてんだろ」
「せっかくご主人様がいいって言ってくださった服なのよ。それを傷物にするなんて
許せないわ。……それよりあなた、今の顔のほうが男前なんじゃなくて?」
「くっく、そいつはどうも。だが俺ァ、寄って来る女より、逃げようとする女を力ずくで
モノにするほうが好みなんでな」
「それは悪趣味ねぇ。強引な男は嫌われるのよ、坊や」
軽口を叩きあいつつも、殺気は再び高まっていく。互いにじりじりと距離を取り、
得物を構え、仕掛けるタイミングを計っている。
その時。

ピ、ピ、ピ、ピ……

「なんだ!?」
「なに!?」
聞き慣れぬ音に、緊張が破れた。断続的な人工音。
それは一瞬のことだった。しかし、ほんの一瞬だけ早く、ジルタスのほうが
目前の状況に意識を引き戻した。
「失礼!」
近くの棚に置かれていた壷を鞭で引っ掛けると、♂ローグの顔面に向けて放り投げる。
直前で気づいたものの、♂ローグには避ける余裕はなかった。がしゃぁぁん、と壷が割れる。
「ッ……! てめェッ……!!」
しかしその一瞬の隙に、ジルタスの姿は消えていた。かすかに遠ざかっていく足音。
「逃がすかよッ!」
ジルタスとの格闘戦のため脇に置いていたクロスボウに飛びつき、壊れた窓から構える。
今夜は満月。森へと駆けるシルエットがはっきりと見える。
「バカが! ハンティングの的にはもってこいだぜ!」
背中から心臓をぶち抜いてやる。狙いを定め、引き金を引こうとしたその時。
「ひ……ひぃぃぃやぁぁっ!」
だんっ!
何者かに脚をつかまれた。バランスを崩して矢の狙いが逸れたまま、
クロスボウが発射される。人影は一瞬よろめくが、再び走り出す。
「クソッ! 仕留めそこねた!」
二本目を装填するのは間に合わない。この場はあいつを見逃すしかない。
「てめェが余計なことしやがるからだ! コラァ!」
脚にしがみついて何事かわめき散らす肉塊を蹴り飛ばす。窓から放り込んでやった
豚野郎がいつの間にか息を吹き返してやがった。腹立ち紛れに何度も蹴りを入れると、
その度にカエルが潰されるようなみっともない呻き声が上がる。
ボロ雑巾のようになった大臣は、ひゅうひゅうと息をしながらひたすら繰り返していた。
「あがっ、が……じんでじまう……じ、死にだぐなぃ……」
「ケッ、死ぬ死ぬ言うわりに頑丈な野郎だ。だがテメェといつまでも遊んでんのも飽きたしな、
この辺でいい加減死んどけや」
ごり、と包丁を首筋に当てる。
「ぐび、わっ……くびわが……ば、ばくっ……ひぎゃぁぁぁ……っ」
「ああ!? 首輪だぁ? 今さらんなもん関係ねェだろ。テメェは首切り落とされんだからよ」
77名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 06:07:48 ID:eTgis3qI
……いや。待て。
首輪が爆発する――ここは禁止区域なのだからそれは当然のことだ。だが、放送が聞こえ、
禁止区域が発表されたとき、こいつはどうしていた?俺のスペシャルな拷問フルコースで
気を失ってやがったはずだ。みっともなくクソまで漏らして。
それなのに、だ。
どうしてこいつは、首輪が爆発すると、「ここが禁止区域だと」わかるんだ?

ピ、ピ、ピ、ピ……

この音。さっきから続いているこの妙な音。
「首輪から……か?」
よく見ると、首輪につけられた小さな石も赤く点滅を繰り返している。
なァるほど、警告ってわけかよ。あの道化師野郎のことだ、禁止区域から逃げやすいように
なんて理由じゃない。泡食って必死こいて禁止区域から逃げようとする奴の姿が
見たいだけなんだろうぜ。全く悪趣味だ。
「ま、俺には関係ねェことだがな。丁度いい。時間まで正確にどれだけ残ってるのかは
わからねェが、そのままみっともなく喚いて死にな」
ついでに、どれだけの爆発なのか見ておきたいしな。♂ローグはクロスボウを抱えると、
包丁をぶら下げ小屋を出た。そのまま駆け足で小屋から離れる。
爆発が周囲を巻き込むようなものだった場合――
「巻き添えを食ってお陀仏なんてのァご免だからな」
樹の影で荷物を回収し、ふと小屋を振り返る。まだ爆発の様子はない。

ピ、ピ、ピ、ピ……

「!?」
妙だ。
まだ音が聞こえる。それもはっきりと……すぐ近くでしているかのように。
「まさか……」
視線を落とす。暗い地面に明滅する赤い光。
『あなたには思うまま殺して頂きたいですからね。その首輪、特別製にしておきました』
「く、そが……ッ!」
♂ローグは脱兎のごとく走り出した。
『禁止区域に侵入しても爆発しないんです。隠れ場所にするもよし、罠に使うもよし。
ま、楽しんでくださいな。……あ、言っときますけど他の方々にはくれぐれもナイショですよ?
ひいきだって怒られちゃいますからねぇ……くっく』
「あのクソピエロ……ぶっ殺してやる!」
走りながら荷物を探り、取り出した馬牌を握りつぶす。馬のいななきのような音が響き、
ぐんと体が加速する。
ゴールも、タイムリミットもわからない。
追う狩人から追われる狐になった男は、夜の森を駆ける。

ピ、ピ、ピ、ピ……


<♂ローグ>
<所持品:包丁(血濡れ)、クロスボウ、望遠鏡、寄生虫の卵入り保存食×2、馬牌×3、
未開封青箱×1>
<外見:片目に大きな古傷>
<性格:殺人快楽至上主義>
<状態:禁止エリアより脱出するため疾走中(I-5→?)> ※脱出成功かは後の人に任せます
<備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す>

<ジルタス>
<所持品・・・ジルタス仮面、女王の鞭>
<外見・・・ジルタス+ぴちぴちワンピース(胸元が少し破けている)>
<状態:♂アコたちを追う(I-5→?)、クロスボウにより負傷(詳細は次の人にお任せ)>
<備考・・・♂アコライトのペット>

<工務大臣>
<状態:♂ローグにより虫の息、首輪のカウントダウンにより恐慌状態、
体内では順調に寄生虫の卵が孵ろうとしている>
78名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 06:21:31 ID:r4hqZM9Q
ナンバリングは96でしたねorz
79名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 06:26:01 ID:eTgis3qI
そして私もナンバー等修正
097 狩人と狐[定時放送後30分以内]

戦闘シーンも苦手だけど頑張ってみた。
80名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 07:07:53 ID:eTgis3qI
>>72
いろんなパターンが考えられるしネタにも使えそうですね。
♂セージいい味出してるなぁ……。

>>74
槍に魅入られた♂剣士の演出がすごく(・∀・)イイ!
もし槍の支配から解放されて現実を知ったらどうなっちゃうのかとドキドキ。

>>75
とりあえずこれ置いときますね
つ<残り38人>
なんだかんだでバードの言葉が影響残してるんですかね、グラリスさん。
最期までグラリスに一泡吹かせたバードの死に様もかっこいい。
81名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 09:38:09 ID:IySth4rY
>>72
おいしそうな物語が出てきましたね。♂セージを鍵とするも良し、しないも良し。
どう調理するも書き手さん次第なんて罪なお人♪

>>74
槍剣士誕生秘話イカス!
わたしが書こうと思ってた方向は、自らの死と殺戮者に堕ちる狭間で壊れていく剣士だったんだけど、
全然74さんの方がいいなぁ。うーん、もっと精進せねば。

>>75
死せるバード、生けるグラリスを踊らす展開燃え!

>>76
がんばって走り抜けて♂ローグさま(;´Д`)
君は全てのマーダーにとって希望の光。
82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 14:38:55 ID:x4SvPkZs
>>76
うわ気付いたら競り負けてた…けどこっちは格闘シーンなんて全然ダメダメだし素直にGJ!
でも1つだけ不満がっ。なぜにジルタス様ワンピースボロボロでお着替え再びぢゃないんだうわまてなにをすr

でもって後半部分だけは繋がるのでほぼそのまま投下〜


098.鍵の行方は【〜放送後30分】

ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ……

痛い怖い助けて嫌だ痛い暗い怖い――
誰もいなくなった小屋で、血まみれの肉塊ががたがた震えていた。
かつては工務大臣の位にあり、この殺人ゲームの実施を可能にした、ある意味の天才。
しかし冒険者達と共にこの場所に投げ込まれてみれば無力な一般人に過ぎなかった。
震えているのは恐怖からか、失血によって寒さを感じているからか、それとも両方か。もはやそれさえ分からない。
小屋の窓から投げ込まれる前に、急所を外してさんざん切りつけられた。
両眼も潰され、右脚の腱まで切られて逃げられなくされた。
寒い痛い誰か助けてくれ畜生助けてくれないなら死んじまえ――
死ね…?死…死、死にたくない
ゲームへの参加が彼への制裁なのは分かっていた。
最後まで生き残ったとしてもGMに殺されるだろう。
だから他の奴に秘密を教えて一緒に連れ出してもらおうと思った。
なのに、GMジョーカーは『あなたの首輪は他の首輪と一定距離を一定時間保つと爆発しま〜す♪どれぐらいかはヒ・ミ・ツ』などと言った。
だから逃げ回った。
――嘘だった。
切り刻まれている間、あんなに近くにいたのに爆発しなかった。
畜生畜生畜生嘘つきめ地獄へ堕ちろ
彼は♂ローグを呪いGMジョーカーを呪い女王イゾルデを呪い神を呪った。
島にいる者全員を呪い、世界の全てを呪った。
そして
あの女、あの女だっ!私じゃないのにっ!
彼がこの島へ来ることとなった元凶を呪った。

一ヶ月と少し前。
前回のゲームが開催される数日前、彼は行きつけのバーに立ち寄った。
そして初めて見る顔を見つけた。
隅のスツールで1人静かに飲む女性。
うつむき加減の顔は長い髪に隠れてよく見えなかったが、かなりの美人に思えた。
バーテンダーに目顔で尋ねても軽く肩をすくめるだけの返事が返る。
しばらくちらちらとそちらを気にしつつ、連れでも来るのかと待ってみても一向にその様子がない。
次第に回ってきた酔いに助けられ、彼はついに声を掛けてみることにした。
『一杯おごらせてもらえますか?』
芝居で覚えた通りの、何のひねりもないセリフ回し。だが、
『…ありがとうございます』
思いがけず涼やかな声と哀しげな笑顔が返り、彼の心臓は大きく高鳴った。
酔っていた分と女慣れしていない分を差し引いても、相当な美女だった。と思う。
高まる期待を押さえつつ、徐々に身の上を訊ねると、どうも長いつき合いの友人を失いそうらしい。
恋愛経験の少ない彼にも分かるほどの大チャンスだった。
『相談に乗りますよ』
またも工夫のカケラもないセリフだったが、よほど困っているのか潤んだ目で見つめ、
『でも――』
一瞬離れた席の客やバーテンダーに視線を向けて口ごもる。
よほど人前では言いにくい話らしい。
彼はそこで手を引くべきだった。ワケありにも程がある。仮にも大臣がそんなことに首を突っ込んではいけない。
だが、彼はこう言った。
『個室を用意してくれ』

高級な酒場には密談や密会に適した小部屋がある。
そこを借りた工務大臣は、なかなか事情を話そうとしない女性の手を取って
『必ず力になります』
とこう言った。
その言葉にひとしずくの涙をこぼし、彼女は…友人がBR法の適用を受けたとうち明けた。
あまりの付合に、さすがに返答に窮する。
『やっぱり、ダメなんですね』
彼の絶句に絶望を悟り、女性は打ちひしがれた風情で珠の涙を流した。
そしていつしか彼の肩に顔を埋めた女性を慰めるため、彼はついに口を滑らせた。
『生き残る可能性はあります』

表のルールと隠しルールを説明すると、女性はすがりつくような、尊敬するような瞳で見上げてきた。
その瞳に惹き込まれた彼は、場所をバーの個室から宿のベッドへ移し、腕の中の女に導かれるまま秘密を明かしてしまった。


――首輪に仕掛けられているのはたった2つの呪い、振動リンクとリンク切れ爆破なんだ。
振動リンクって言うのは首輪と対応するジェムストーンが同じ振動をする仕掛けでね。
着用者の喉の振動…つまり声と脈拍を常に伝えている。
もちろんジェムストーンはGMって呼ばれるゲーム管理者が握っているから、迂闊なことはしゃべっちゃいけないし、首輪を着けている限り死んだ振りもできない。
リンク切れ爆破っていうのは文字通りの物だよ。
振動リンクの術が切れた瞬間に首輪が爆発する。
管理者側が爆破したいときはジェムストーンを割るだけでいいし、首輪の方を外したり破壊してもリンクが切れるから爆発する。リンクの効かない距離へ逃げても同じだ。
しかも爆発力は首輪に封じられているわけだから、単純にディスペルしようとするとそのエネルギーが解放されて爆発したのと同じ結果になる。
外すつもりならその順序とエネルギーの逃がし方を考える必要があるね。

え?位置の確認やスキルの封印はどうしたかって?
首輪1つにそこまでいろいろ詰め込めないよ。

位置確認は配られた地図の方に仕掛けがある。
あの地図は常に管理本部の大地図盤と通信して、自分の方向と距離を確認している。
そして同じ魔法で大地図の方にもそれぞれの場所が表示される。
首輪を警戒することはあっても、便利な道具は警戒しないだろう?
万一首輪を外せても、地図を持って行動している限り生きてるってばれるんだ。
それから封印なんてされていないよ。
冒険者の訓練砦って知ってるかい?あの中では、さまざまなスキルが制限されたり禁止されていたんだ。
その装置を四組まとめて仕掛けただけさ。後退阻止機能とか切ってね。
本来はダメージスキルだけを弱める装置だけど、四基もあるからダメージ回復力や人外の能力まで制限してる。
特にその両方に該当する神の力は極端に働きにくくなったらしいよ。
つまり首輪を外しても、島にいる限り力は戻らない。

GM?

ああ、彼らは女王陛下の親衛隊だよ。
今言ったスキル制限を受けないようにする装備を身につけているから、島の中では無敵だけど外に出ればちょっと強いだけの普通の人間さ。
大事なのはここ。装備の能力は有効なんだ。
つまり少々の実力差は装備でひっくり返すことが出来る。
ただ抵抗力なんかも落ちてるから、ちょっとした呪いにも掛かりやすい。いわく付きのアイテムには注意しないとね――。
83名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 14:39:39 ID:x4SvPkZs
酔っていただけにしては随分明確にしゃべった物だ。
あるいは何か薬を使われたのかも知れない。

朝、女性の居ないベッドで目覚めた彼は真っ青になった。
あんな情報が参加者に知れ渡ってはゲームそのものが危うくなる。
いやいや待て待て。
彼は髪をかきむしる手を止めて首を振った。
第三回の参加者はすでに全員捕まるか出頭するかして、伝える時間はもうないはずだ。
なにしろイズルードから護送船が出るのは今日。船で数日掛かる距離なのだから当然だ。
つまり彼女には可哀想だが、友達はおそらく助からない。
そしてリークしたとばれる前に彼女を口止めすれば大丈夫なはずだ。

ところが一週間後、工務大臣の楽観は裏切られた。
第三回のゲームはそれまでの二回からは想像もつかないほど低調な物で、GMが数名の命を直接奪うなどという事態まで起きた。
その結果、何らかの内部問題があったのではないかと密かに監査が行われ…工務大臣の怪しい行動が浮かび上がった。

彼は拷問係が拍子抜けするほどあっさりと口を割った。
ただし、第三回に起きた問題が彼のせいではないことも明らかになった。
第三回の問題はあからさまに逆らう者の多かったことである。彼が漏らしたほどの情報があれば、本当にゲームをひっくり返せたかも知れないのだ。
それが盗聴器に気付いた様子もなく、単に時間切れで終わったのだから伝わっていたはずがない。
そこでその問題についての嫌疑はひとまず晴れた。

しかし、工務大臣の言う女性が参加者に接触しようとイズルードに来た形跡もなかった。
つまり彼女は嘘をついて彼からゲームの情報を聞き出した疑いがある。…何のために?
謎の女性の真意を確かめるべく、捜索が開始された。
だが、彼女の顔を見た者は彼とバーテンダーの2人だけ。
カウンターではずっとうつむいていたためバーテンダーははっきり見ておらず、工務大臣は酔いと時間が記憶を曖昧にしていた。

なかなか進展しないまま時間だけが過ぎ、やっと数日後、モロクでそれらしい死体が見つかった。
工務大臣も検分に連行されたが、それが彼女かどうか確信は持てなかった。
なにしろ蘇生不能なまでに頭部を破壊されていたのだ。顔など判別できるはずもない。
それでも彼はそれが例の女だと言い張った。もちろん保身のためである。
しかし、諜報部の将校は鼻で笑った。
『まあそれが事実としても、この女を使って秘密を聞き出させ、始末した黒幕が居ることになりますな』
ここはモロクだぞ。ただの物取りかもしれないじゃないか。
彼の言葉には冷笑だけが返ってきた。

そして彼はここにいる。

ピ・ピ・ピ・ピピピピピピピピピピ
「死に、死にたくないよ――」
無様にもがき、震える彼に応えるのはどんどん速くなる首輪の音だけだった。
痛みにうずくまり、首の深手の応急処置を考えることもできないまま、
ピーーーーー
三十分が経過した。

ボンッ

誰にも看取られず、一国の大臣であった男は文字通り首を失った。


<工務大臣>
<状態:首輪の爆発により死亡>
<備考:島の秘密について誰かに語ったため島送りになった>

<残り37名>
84名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 14:49:48 ID:x4SvPkZs
ええと>>82-83について。

・キーになるせいで殺しにくくなってる人物殺したった〜。
代わりに誰かが島の秘密知ってるかもよ設定発射〜。
040ではあの女=イゾルデとは言ってないですから、こういうのも有りですよね?
・ごめんなさい寄生虫は生かせませんでした。がんばれ♂ローグ。
・この方法で工務大臣から直接聞けそうな人物は限られます…が。
諜報部将校が言った通り、女性を雇ってやらせたなら男にだって可能です。
その他工夫すれば『実は知っていた』が可能な人物は結構居るのではないでしょうか。
・工務大臣の漏らした情報(設定)は絶対的な物ではありません。
その部分に関してはこれからのレスで相談し、無理があれば変えることも考えたいなと思います。
どっちにせよ秘密が漏れた可能性がある以上、ある程度変えているでしょうが。

…無茶設定好きだな私…
85名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 15:33:46 ID:k1OPeWsc
先生、この首輪の設定だと死んだら振動リンクが切れて首輪が爆発すると思います
86名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 15:50:56 ID:eTgis3qI
>>82-83
>>76はとりあえず全年齢対象版でお送りしました(*´ω`)
そちらの書かれた♂ローグvsジル様も見てみたいです。
アナザー扱いでもいいんで是非……!
死に際の大臣の焦燥っぷりがステキですね。

>>85
死んだらシステムそのものが切れるとか……
いや、それじゃ本当に死んだのかどうか判断する別の仕組みがないとダメかな。
設定そのものはいい線いってると思うんですけどね。
いろいろできそうだと思いついたネタもあるし。
87名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 17:04:16 ID:405sZCDw
>>84
GJっす!
すげえ燃える設定をありがとう!
激しくワクワクして思わずテカテカしちまいそうだぜ!

>>85
プロローグに出てきた「爪角の欠片」には生者と死者を峻別する能力があるという設定があったけど、
それを使えば解決しないかな?

もしくは脈拍だけじゃなく、体温などのバイタルサインも感知しているシステムはどうだろ?
まったく感知できなくなったらリンク切れと判断して首輪が爆発するって感じで。
脈拍と呼吸が停止して脳波が消えても、死んだ直後なら体温は残ってるもんだし。
またSGやFDなどで氷漬けにされて死んでも、0度でも−1度でも首輪の接触面から温度を感知している場合は
爆発しないものとすれば、問題なくなるんじゃないかな?
88名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 19:47:31 ID:4MG/QB9E
>>85-87
早速のレスありがとうございます。&レス遅くなりました。
>システム
結論から言えば死んでも爆発しない…と思います。
常に通話状態の携帯電話を想像して下さい。
首輪=携帯、リンク=通話、ジェムストーン=基地局です。
基地局の破壊・携帯の破壊・受信範囲外への移動で通話は切れますが、
持ち主の生死は携帯の通話状態を左右しません。
やっぱり分かりにくいですか…うううううむむむ;
>投下
イヤモウユルシテクダサイ
アレノアトニミセラレルモンジャナイヨorz
89名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 20:59:29 ID:v6shhU3M
記念すべき100話getは誰だっ!?
などと言いつつ、話とNGを投下

------------------------------------------------------------------------------

 99大五朗夏の夜

 眠れない。少女の長い髪は、と言うとぐったりしたその主と同じく身動ぎ一つ無く。
 とかく、悪ケミ is いんそむにあっくであった。但しグラサンにカードは無い。
 が。やはり彼女は眠れない。彼女達が居る岩陰は、海岸線がすぐ近い。
 ざざん…ざざぁんと外から繰り返す波の音。魔物の遠吠えの様で。
 彼女が居るダンボールの中にも、隙間のあちこちから青い光。

 悪ケミ。彼女には兎にも角にも腕力には自信がまるで無かった。
 当たり前だ。闘いが苦手で、それでも他の誰かに負けるのが許せない。
 見下してきた連中を見返してやりたい。腕力が駄目なら自分に出来る方法で。
 そんな感情の末に行き着いた妥協点が今の彼女なので。
 最も。そんな彼女だからこそ軍の役には立たず、この場に送られてしまったのだが。

 だから、少なくとも負けず嫌いで虚勢を張り続けてきた。と、膝を抱え遠い筈の海を狭い闇に浮かべながら彼女は思う。
 そうしないといけない。悪ケミは強く思う。但し、その先に思考は辿り着かないが。
 (それは弱さの裏返し。強くありたい、そう望む事は弱い自分を認めると言う事実)

 それから。彼女はとりとめもなく思う。
 お母さんはどんな時も私の前には来てくれない。
 ──彼女は母の愛というものを知らない。何故なら彼女は母の顔さえも知らなかったので

 子バフォも、だいぶ前に愛想を尽かしたのか出て行ってしまった。
 ──随分と探したものだけど、結局見つからなかった。一人のご飯は冷たかったし、それから更に意地っ張りになった気がする。
 無理も無い話。たった一人の、全てを打ち明けられる『子分』だったから。体の半分程も失ったような痛みに少女は嘆き叫んだ。
 トモダチかもしれなかった女騎士とは、その頃から会わなくなった。だから、その代りに夢に縋った。

 それに。どうして私はこんな所にいるのか。早く帰りたい。
 訳が判らない。私は。今日も他愛も無いイタズラをしている筈で。
 (イクラによる爆破やフローラ畑、怪しげな薬品の調合が他愛も無いかどうかは別として)
 彼女はそうも思った。他の参加者達の多くと同様に。生憎と愚痴を聞いてくれる彼らも出せない。

 眠れずにいた時に響いた、死の宣告めいた道化の言葉が甦る。
 これだけが死にました。残り後何人。次はお前だ。
 告げながら、あの嫌な顔の道化が悪ケミを指差すという幻想。
 自分が、血塗れで、真っ赤な真っ赤な、夕焼けみたいな、赤く赤くなって地面に冷たく転がる。
 心が裂かれて瞼を閉じれば真っ赤な映像。これで眠れる訳も無い。

 寂しくて、悲しくて、そして余りにも辛くて声を上げて泣き出したい衝動に駆られ、ぐっと口をつぐんで我慢する。
 ──、子分の前で泣き顔なんてみせられる訳ないじゃない!!
 つまり、彼女はただ強がっているだけだった。それが彼女の被った顔。

 ただ、その言葉の通り、彼女には今、子分と呼んでいる奇妙な男が居る。
 最も。膝を抱え、ダンボール箱の中。小さく丸まっている姿では、まさか彼に泣き顔は見えまいが。

 ──宵闇は、人の心を浮かび上げ。月影は人の思考を霞ませる。
 何故なら、心は頭上の満天に輝く星空のようなので。
 胎児の様に膝を抱えた彼女に声をかける者は居ない。
 何度目かになる寝返りを悪ケミは打った。

 但し、ダンボールの壁の向こう。
 闇に溶け込む様にして座り込んだ男なら居る。
 忍者、であった。殺戮の島に不似合いな、穏やかな笑みを顔に浮かべている男であった。
 彼は、月を眺めている。月は彼を見下ろしている。
 月に向けて呟くように言う。不思議と良く通る声だった。

「君は──」
 途切れた言葉を彼は続ける。

「どうして、そんなに強く帰ろうと思うんだい?」
 悪ケミはそれに答えない。

「私は、どうも私が帰れる、何て気がしないんだ。ほら、私は弱いからね」
 ダンボールがごそごそ動く。忍者は言葉を続けていく。波はさざんと唸り、月はすまし顔をしている。

「嘘」
 と平坦な声で悪ケミは言う。忍者が、痩せた顔の眉を僅かに寄せた。
 彼女も、流石に昼間の襲撃者に関しての事実に気づいていたので。
 勿論、普段ならばこんな事は言わない。だが、今は空に月。遠くからは魔物の唸り。
 だから仮面は脱げかけている。

「嘘じゃないさ。私は弱い。元々何一つ持ってはいなかったからね。もしかしたら、未だに失うのが怖いのかもしれないけど」
 ダンボール越しの会話と言うのも奇妙な状況だ、と場違いにも忍者は思った。

「何一つ…?どうしてよ」
 その問いには答えず、忍者は言葉を続ける。

「私はまだ私じゃない。なぜなら託し託され繋げていく者だからね、忍者は。そして、私は託して初めて私になる」
「…良く判らない。はっきりと言ってよ」
「礎ってことさ。私は…忍者になりたくなったんだから」
「石杖…?忍者と違うじゃない」
「字が違うね…少し、言葉の勉強もした方がいいよ」
 うまくはぐらかされた気がして(と言うのも、彼女には僅かに忍者が言葉を飲み込んだ気がしたからだ)
悪ケミはダンボール箱の中から顔だけ出して、彼の方を見た。どうやら理系の彼女は語学は得意では無いらしい。
 痩せた顔。気弱そうに下がった眉と目尻。苦笑している様な口元。
 その癖、その目が何処か彼女自身を見ていない様な気がして悪ケミは不安になった。

「アンタは私の子分だからね」
「そうだね。私は、君の子分だ」
「…何よ、判ってるんじゃない。だったら簡単に帰れないなんて言わないでよ」
 ぷい、と顔を背ける悪ケミに忍者は緩やかに笑う。帽子は脱いでしまっていて、その前髪がそよいでいる。
 サングラスは無い。彼女の赤かった目は、ありふれた黒に。どこにでもいる娘の様に不安に揺れている。

「でも、一つだけ聞いておきたいんだ。君は──」
 いいかけて、忍者は言葉を止めた。

「何?」
「いいや…何でもないよ」
「答えてよ」
「つまらない事だから。気にしなくてもいいよ」
 不安げに言葉を繰り返した悪ケミに忍者は再度首を横に振る。
 彼は、やはり、と一人納得する。きっと、不安そうなこの彼女こそ、悪ケミの本来の顔なのだ、と。
 なればこそ。そんな彼女に、自分にとっても酷な言葉を口にさせる訳にはいかない、と思った。
 即ち。君は人を殺せる覚悟が出来るかい?私には出来ないけれど、と。

 ダンボールの中から抜け出してきた悪ケミがぶすっ、とした顔で忍者を見ている。
 私は──何も無かった私は。礎に。言うまでも無い。皆が生きて帰る為の礎になれるのだろうか?
 忍者は、微笑みの下で思う。判らない。この答えは、きっとYes、それともNoで理解はできない。
 けれども。この娘はきっと希望に程近い、と彼は信じる事にした。
 ──だって、彼女は。苦しみながらも希望を見失っては居ない。

 ぶすったれた悪ケミの顔がまだ彼を見ている。彼は曖昧に笑う。
 怒った様な顔をすると、彼女は。

「明日は灯台の他にも逃げ出せそうな場所探す事になると思うから、早く眠ってよ。手下が足手纏いじゃ困るわ」
 と彼に言う。

「君は寝なくていいのかい?」
「ば、馬鹿にしないでよ!!今までで十分眠ったわよ!!」
「それならいいけれど。何かあったらすぐに起して欲しいな」
「当然でしょ!!」
 怒鳴る彼女に、それから思い出したように忍者は言った。

「それから。疲れたら何時でも代わるから。それじゃあ、お休み」

 私は多分死ぬだろう。でも、彼女は多分生き残る。そしてきっと強くなる。
 それでいいじゃないか。目を瞑ると忍者はなんとなく思った。

 ──本当に殺さないのかい?
 殺さないよ。この子といれば、私の望みも叶いそうだからね。
 囁きにそう答えながら。しかし何処かで誰かが笑うような幻聴を彼は聞いた。

 曰く、君はそうやってこの子以外を見捨てる訳だ、と。


<忍者&悪ケミ H-7の浜辺の岩陰 悪ケミの外見特徴追記 髪型:ケミデフォ 目の色は赤──がスレ設定の筈 その他に変化は無し>
追記:タイトルのヒントは大五郎の口癖と和単語英訳、ネタ元は悪ケミスレの名無しさんによる
  わかる人にはわかる筈。チャァァァァ〜〜ン、summer!!(但し修羅場モードは現時点では実装されておりません)
90名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 21:01:15 ID:v6shhU3M
 無題(NGの為いろいろ省略)


 それは、一言で言うなれば。
 剣を手にした少女の前で、顔を歪めた男が立ち上がった、月の下での出来事だった。
 煌々と満月が世界を照らしていた。

 ──気づけば、彼が立ち上がっていた。
 横たわったまま剣に手を伸ばした私を、冷たく光る目が見ている。
 ああ、この人は──本当はこんなに冷たい目の出来る人なんだ、と少女はもう一度思った。

 次に思い浮かべたのは、彼に、私は殺されるのかもしれない、と言う事だった。
 いいや。剣を握っている以上、殺されると思った方がいい、そんな感覚を♀ノービスは覚えていて。
 怖い。怖い。怖い。けれども、皮肉にも彼女の体は早くも順応し始め。
 それを自覚すると、何故か手の震えかぴたり、と止まっていた。

 少女も又、殺されない為に立ち上がる。不思議と、剣を持った手はもう震えなかった。
 だから、殺せる?いや、それは違う気がする。今ここで、こうしている事そのものが間違いである気がする。
 けれど──殺さないと殺される。けれど、殺しても私は他の誰かにきっと殺される。
 そうしたら帰れない。きっと私は帰れない。帰った所で何がある訳でもないけれど、それでも帰りたい。

 思考の終わり無きループ。ぐるぐると回る、まるで頭上の月の如き無限円を描く。
 (私は目の前の人を殺すかもしれない=>けれど目の前の人も私を殺すかもしれない=>どちらにしろ私は死ぬし人を殺す=>無限円へ)
 これはきっと悪夢の続き。人を物として壊せる悪夢の続き。

 少女は、回る思考で思う。こんな夢、早く覚めてしまえばいいのにと。
 そうすれば、何時もの空。踊り子に憧れる、何時もの私。
 美味しいご飯に。素敵な世界。光に満ちて日の当る、あのプロンテラに。

 ──こんな気が狂いそうなくらい、きれいな月夜じゃなくて。
 ──こんな気が狂いそうになるくらい、真っ赤な手の私が居ない。
 いつもの、まっさらな、ひ。

 それは当然。余りにも当然。殺戮の野が間違いでない人間なぞ、どこにいるだろう?
 だけれども。嗚呼、丸い月は狂気の式を運ぶ。

「──♂アサシンさん」
 と、♀ノービスは言った。その手には鈍く──輝く刃。
 じっ、と彼女は男を見ている。彼の顔には苦悩の綾が刻まれていて。
 少女とは対照的に、震える手で男は一対の凶器を手にしていた。
 その銘はトリプル・クリティカル・ジュル。
 御伽噺の中の武器。きっと少女を切り裂く役に立つ。

 男は、少女を前に言葉を口にする事が出来なかった。
 皺が深く刻まれる。実に、人間的な苦悩だった。
 確認する様に、静かな声で少女は言う。

「これは、夢、ですよね?」
「夢、じゃない。これは、現実だ」
 そうだ。これが、現実だ。だから俺は、目の前の少女一人殺すのにも、躊躇うのだ。♂アサシンは思った。
 殺せるのか、それとも、殺せないのか。
 俺はなんて薄甘い。ほら、見ろよ。目の前のノービスでさえ、俺に剣を向けて震えもしてないじゃないか。
 ──いいや、コイツは混乱しているだけだ。だってほら。彼女は自分の様に心の底から人殺しにはなれていないから。
 その保障はあるのか?皆無。絶無。
 剣を向けてきたのなら、殺せばいいじゃないか。お前は剣を向けない相手に戸惑っていたんだから。
 それにさ。ほら。お前はロリコンじゃないんだろう?
 なら。

 噛み付いてきた子猫は殺せばいい。

 剣を振ったのは、♀ノービスの方が先で。
 それを受け止めたのは、♂アサシンのジュルだった。
 ならばきっと彼らは殺しあう。

 ──偽善はもう、通じない。

<♂アサ TCJげっと その他変化なし>
<♀ノビ 変化なし>
91名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 21:37:40 ID:acHqguv.
・・・・・・絶対NGだと思うんだ(;´Д`)
でも受信しちゃったからには書くだけ書いてみるぜ!


100. 蟲


・・・びちゃ。
月明りの差し込む室内にて。
床に転がる首の無い男。彼の動かない筈の肉体が、血溜まりの中でびくんびくんと何度か跳ねた。
びちゃ。ごり・・・ごり。
何かを貪る様な音と共に、びくびくと跳ねる。その度に未だ乾き切っていない血溜まりは飛沫をあげた。
・・・・・・ぺちゃり。


・・・・・・・・・・・・

・・・ずる。ずる。

・・・・・・・・・・・・


数時間後。
その室内に、首の無い男はもう居らず。彼が転がっていた筈の位置には赤黒い染みの広がりと、骨の欠片と思しき白い破片だけが残されていた。
そして扉の外まで、延々と血の跡。
浜辺には、何かが這い擦ったような跡。


<大臣の腹の中から帰った寄生虫、屍を喰い成長して何処かへ>
<※アルギオペの亜種。特別枠関係無し、BR参加者とは見なされないが、本能のまま人は襲う>
92名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 21:58:26 ID:v6shhU3M
あれだ。雑談的のネタも投下。
今回のBRのトトカルチョでGO!!

マーダーランキング
本命:♂クルセ?
対抗馬:グラリスさん、
93名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 21:59:45 ID:v6shhU3M
ごめん。クリックミスで途中で投稿しちまった…orz
改めて、トトカルチョの予想をしますのでちと待ってつかあさい。
94名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 22:22:23 ID:v6shhU3M
マーダー下馬評by GM森

本命:♂クルセイダー
優勝経験者にして冷徹なマーダー、未だ傷らしい傷を負っていないのも高ポイント。
実力は本島では未だ未知数ながら、相当の潜在的能力を秘めていると思われる。
本物の強者、とはゆっくりと姿を現すのは古来からのお約束。
今後には是非注目されたし。

対抗馬:グラリス&グラサンモンク
両者共に主だったマーダー達の中では、
多彩な経験と強い意志、及びにかなりの戦闘能力を保有する事からこの番付となる。
残念ながら、グラサンモンクは精神的な転向が見られるが、
それもこの島ではよくある事。
けれども一度も滞る事無くゲームが遂行された点に注目あれ。
因みに、このGM森はグラリスよりはモンクを推したい。
なぜかって?私が筋肉が好きだからだ。

ダークホース?:♂アサシン&♀アサシン
意外な事に、両者とも際立った活躍を見せてはおらず、
また、♀アサシンに至っては早々に脱落してしまっている。
♂アサシンも、なぜか未だ人を殺してはいない。
早く殺し屋の本領、というのを発揮してほしい所ではある。

なお、魔法職が外してあるのは意図的なものである。
なぜなら、皆さん知っての通りこの島では、魔法が制限されているからですよ。
それに、筆者(GM森)は余り魔法使い達が好きではございませんので。

追記:掛け金は一口10Mより。
-------------------------------------------------------------------------------

何となくダメダメっぽいけど簡便な。
こういう文章は苦手だと気づいて後の祭り。orz

今回も脱出=>対管理者になるのか、それともたった一人の生き残り出す事となるのか。
楽しみにしつつ筆をおきますです。
でわ。ノシ
95名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 23:22:33 ID:vnESxA0o
101. 覚悟と決意

振るわれたソードを、俺は簡単に避けた。

「うぁぁぁぁぁぁっ!」

♀ノービスは叫ぶ。
何度もソードを俺を狙い振るう。

……俺はコイツを殺すか迷っているのに、コイツは決断出来たらしい。

恐慌状態ではあるが……上出来だ。
俺なんかよりずっと良い。
俺には、出来ない。
先に決めたのはコイツ、俺はノービスよりも殺しに消極的なアサシン。
どんな切っ掛けにしろ。
コイツは俺を殺せる。
そして俺には、もう生きる価値は無い。
アサシンとして生きてきて、アサシンとしてしか生きられない俺には。

「もうイヤッ!こんな所イヤァァァァァッ!」

♀ノービスの剣は俺には当たらない。
避けているから当たらない。
俺が避けるのを止めれば当たる。
だがそうやってコイツに俺が殺されれば、コイツはもう今度こそ戻れない。
俺があの時繋ぎとめたコイツの理性は、今度こそ消えてしまうだろうか。
こんな状態で誰かを殺してしまえばそうなるかもしれない。

俺から離れるにはまだ、コイツは熟していない。

「…………止めろ」

そう言うが、やはりそれくらいで止まりはしない。
まだその剣は俺を斬るべく振るわれる。

「……止めろッ!!」

横なぎに振るわれたソードを飛んで避け、それを思い切り踏み付ける。

「あっ」

♀ノービスの手からソードは取り落とされ、俺はすぐにそれを拾った。
それを見た♀ノービスの顔を俺は見る。

「……泣くんじゃねぇ、武器を無くそうがお前はまだ死んじゃいない」

地面にへたりと座り込まれ。

「……うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

うずくまって泣き出されてしまった。

「勝ち目が無くなったら逃げろ、命のやり取りじゃ泣かれたからって同情なんかしやしない」

聞こえていないだろう。
♀ノービスはわんわん泣き喚き、泣き止む気配が無い。
泣き止ませたいところだがこんな経験は一度も無い。

……面倒だ。

「ぁ、んッ!あ、あ……え?」

うずくまっているのを起こし、俺は。
思い切り♀ノービスを。
抱きしめた。

「心配するな、怖がるな。お前は死なせない」

「え……え?」

「最後までお前は死なせない、アサシンにしてやる。二人で帰る手段を見つけてやる」

「……で、でも……でも、わたし、今……」

「どうにもならないなら最後の二人になった時、俺が死ぬ。お前には生きる価値がある」

「……」

♀ノービスは押し黙る。
やり方が強引過ぎただろうか。

「……えぐっ……ひっく、ひっく」

すすり泣かれる。

「あぁ、クソ……だから泣くな」

客観的に見て何かおかしいぞこの構図は。
年端もいかない少女を抱きしめる男。
そしてすすり泣く少女。

またある単語が浮かぶ。

「……だから違うって、違うんだよ」

そう呟きつつもこの状態は心地良いと思ってしまう。
暫くそんな時間を過ごしていたかった、だが。


ふと見た南方の森の上空に、見覚えのある火球が見えた。
次は火柱も上がった。


「荷物纏めろッ!とりあえず西だ!」

「……は、はいっ!」

♀剣士は先の放送で死亡が報告された。
ならば、今度こそマジシャン系統かあるいはヘルファイアを何者かが手に入れたか。
何にしても、よその戦闘に積極的に関わるのは好ましくない。
とにかくここは逃げる。
鞄を持ち二人で駆け出そうとするが、その前に。

「……いいか?」

「あ……はい」

なんとなく深呼吸。

「お前は俺が護る、絶対に此処から帰す……忘れるな」

「……!はいっ!」

良い返事だ。

にやりと笑い、♂アサシンと♀ノービスは駆け出した。

<♂アサシン><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)>
<所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2>
<スキル:クローキングLv10>
<備考:♀ノービスを生き残らせると決意>
<状態:西へ移動>


<♀ノービス><現在位置:草原地帯、小さな木の下(F-6)>
<所持品:ソード、未開封青箱×1>
<スキル:死んだふり>
<外見:ノビデフォ金髪>
<状態:西へ移動>


<残り37名>
96名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 23:31:59 ID:sv6MrH4E
♂クルセや♂ローグみたく、殺す意思のはっきりしてる人間よりも
♀ケミのような腹の黒い人間が一番こええ…とここ読み返して思ってみた。

現実世界でもそうだなぁとしみじみ。
97名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/17(木) 23:59:22 ID:W1euGBHw
>>95
うおおおお、そこまでお膳立てして殺せんかぁ、このロリコンめっ(笑
ごめん、笑うところではないんだが、笑わせてもらった。GJ
98名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/18(金) 00:01:15 ID:m5SS6UNc
ロリコンアサと♀ノビGJ!
ぜひ頑張って生き延びてほしい
9948sage :2005/11/18(金) 00:01:48 ID:zDW9dac2
Wikiに掲載された『091.神はいずこにおわすや』を一部修正いたしました。
まとめサイトにUPしてくださった方、ありがとうございます〜♪

>>89
忍者も悪ケミもいい味出してますねぇ…GJ!!
タイトルの意味に気づいたら、妙に懐かしくなっちまったよw
NGネタも素敵ですわー

>>91
遊星からの物体Xキター!!(違
赤芋系の虫だったのか…俺はまたペストやネレイドみたいなのが、死体の腹を食い破っ(ry

>>94
なんてナイスなトトカルチョなんだ…GJ!!
せっかくだから俺はグラリスに20M賭けるぜ!

>>95
どう見てもロリコンアサシンです。
本当にありがとうございました。
って感じで笑えたっす。GJ!!
100名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 00:17:13 ID:NgWtb8iY
>>94
♀ノビに10M

>>95
このロリコンがー

そして、フードはSなしですよ
101名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 00:17:10 ID:vVY8i.Ik
あ。

放送のとき♀剣士死んでないや。失礼

♀剣士は先の放送で死亡が報告された。
ならば、今度こそマジシャン系統かあるいはヘルファイアを何者かが手に入れたか。

♀剣士がまた暴れているのだろうか。
あるいは、今度こそマジシャンの類か

に掲載時に修正御願いしますー。


最初は♂アサ殺す気で考えてたけど何だかロリコンがいとおしくなって殺せなかった。
ロリコンだって生きる価値はあると思っている。
10295sage :2005/11/18(金) 00:25:15 ID:vVY8i.Ik
ってID変わってるしこの時間。 101も私なのでー。

>>100
085.暗殺者への試練の状態表示でフードがS付きになってたので
そこでスロットに気付いたと解釈してそのままにしておきました。
103名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 00:31:39 ID:NgWtb8iY
あ、本当だ
085からS付になってる
全く気がつかなかったorz
104名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 00:40:38 ID:9.WzkGEI
とりあえず、やっと前スレ>>335の言ってたみたいに(自分なりにだが)悪ケミについて纏めてみた。

【口調】
性格上、虚勢を張った強気な発言が多い。

【特徴】
よく虚勢を張る。
悪戯好き(ただし心理的に余裕がある場合。真面目な話ではあまり見た事がない。

【性格】
素直じゃない。
結構臆病(虚勢を張って表にはあまり出そうとしない。バレバレだが。
本当は心優しい?(誰か意見よろしく!

【特徴的な備考】
スレを見てきたが、個々の思い描く悪ケミによって、細かい違いがいくつかある。
例えば「サングラスをつけているのは、悪ケミの瞳がバフォ譲りで赤く、それにコンプレックスをもっているから」という考えがあれば、
ただ単に「悪そうでカッコイイからつけている」という考えもある。
つまり言いたいことは、キャラの性格や大筋を外さなければ自由でいいと思われる。
ただし、みんながみんな自由にすると矛盾が生まれてしまうので、ここでは前の文章をよく読み、前の人がどういう悪ケミを書いたのかを読み取るのが重要かもしれない。

何だか自分でもよくわかってないのかもしれないと思った。
わかる人、間違ってる所・足りない所とかあったら修正よろしく(´・ω・)
105名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 00:54:38 ID:DBiXaUJg
だれか、淫徒プリについてもまとめてもらえるとうれしいー
SS倉庫の分は流し読んだんだが…
106名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/18(金) 01:23:19 ID:4IjJu05o
>>91
あァん、記念すべき100話目にギオベさまっ。
そんなギオベさまの今後の活躍を思うと胸が高鳴ります。

>>94 マーダートトカルチョ
♂ローグ「俺様を指名しないなんてのは感心しねェ、な。
       悪いことはいわねェ。 俺に賭けな」
ジルタス「今にも爆死しそうな人に賭ける人なんていませんわ。ねぇご主人様」
♂アコ「ジ、ジルタス、服、服。はだけてる、見えてる、見えてるからっ」
ジルタス「あら、ご主人様ったらそんな熱い視線で」
♂アコ「あぁ、胸がっ。ぎゅって、むぎゅって。か、神様、ボクは、ボクは」
ジルタス「うふふ、ご主人様、そんなに真っ赤になって」
♂アコ「あぁあぁぁぁ・・・・・」

>>101
♂アサシンといい忍者といい、男の暗殺者は惚れた女にとことんつくす人種なのかっ!?
♂アサシン、ロリコンだけど男度高いかもしれん。
107名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 01:50:47 ID:tMVHMNWY
1日空けると長くなる!ハイ!感想レス乱打!
全部言わなくてもいいじゃんとか、言わないでくで…

>>58
♂マジだけはもうどんな場面であっても「例の横顔」が常に脳裏に浮かびますわ…
女の子に 出会えものの 電波系   元が元だけにいい夢見れませんなぁw

>>72
いたぶりがいが…じゃなくて料理しがいのある食材に涎もんもんです。
今日未明、セージが男前ランキングに片足を踏み出しかけて回れ右した瞬間を見ました。

>>76
死なないでー!死なないでローグー!!走りぬけろぉぉ
読んでてもうハラハラでした。緊張感のある書き回しがホント素晴らしかったです。

>>81
も、もしかして52さんですか?(゚Д゚)今更>>57のレスの一番最後に気付いた74です…
加筆修正にしてみてはとの話が出てたのに先走って申し訳ないです。
そして81さんの剣士マーダー記も読ませてくださいませー!

>>82
脂っぽい親父死亡(゚∀゚)!なんか最後まで情けなくてそこが妙に良かったです、大臣。
死ぬ前にベッドシーン書いてもらえるたぁ果報者よのぉ
首輪のリンク云々の部分はちょっとよく分からなかったんでスルー…け、携帯電話?

>>89
こういう生き方を選ぶ人だからこそ、悪ケミと一緒に帰ることは
きっと出来ないんでしょうね……託す相手を見つけてしまった忍者って、せつな過ぎる。

>>91
ぐっグロい!グロいなオイこのタイトr(プピーーーー
NGじゃなくてもいいんじゃないかなぁ、とか思ってしまったわけですが(´∀`*)
アルギオペは強い!大きい!アルギオペは森を守ってる!

>>94トトカルチョ
ローグは、ローグはおらぬのですか(ガサガサ)
♂ローグ「おら見ろ、こういう意見が出てんじゃねぇか。
  今から泣いて謝って書き直すならまぁ、悲鳴3発で許してやらぁな」
ああ、死にそうだからか。納得。じゃぁ♂WIZで。(って♂WIZもなかった)
♂ローグ「ってアァ!?てめぇ何勝手に宗旨替えしてんだ!
  しかもあんな腰抜けに賭けるだあ?てめぇ今までの話ちゃんと読んでンのか!」
え?これマーダラーズ「どこか憎めないアイドル部門ランキング」、じゃないの?
♂ローグ「俺をこのド変態引き篭もりもやし野郎と一緒にするんじゃねぇ!」
♂WIZ「私をこのような殺人快楽者の変態と同列にしないでいただきたい」
案外仲良くやれると思うんだけどねぇ。

>>95
紫のバラの人状態の♂アサシンたまんねぇよう
抱きしめられた時の♀ノビのセリフにそこはかとないエロスを感じてごめんなさい。
男前ランキングのドアを♂アサがこじ開けた瞬間でした。カナリキテルヨー。

>>57,104
キャラ紹介分かりやすいです。悪ケミは(住人じゃないけど)イメージそのまま
上手くまとめられてると思います。グラサンモンクはラストで死んでしまうのか…
グロいけど頑張って読んでみようかなぁなんて。資料目的とか別にしてそんな気持ちになりました。
108名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 05:27:39 ID:v2jUgiDc
初代のWIZぽんスレからの筋金入りの住人が
淫徒プリをまとめてみました。


【基本前提】
書く人によって、それぞれのイメージがあるので、
たくさんのイメージを持っています。
ただし、WIZぽんワールド全体の人物に言えることですが
ストーリーの中では悪人ですが、根本的には悪人になりきれない点もあります。
どこか優しい面もあるんでしょう。


【口調】
基本前提通りですが、CルートのDEXプリバージョンでは
どうやら基本口調は表向きは丁寧らしいです。
自分より格下の相手と会話、または考え事をしているとき(一人称時)などは
口調はぞんざいになります。

【特徴】
基本前提通りですが、CルートのDEXプリバージョンでは
フトモモフェチで、陰謀・策略家。
そして、ややエロい人っぽく。

【性格】
冷静沈着、先のことも予測しながら動く。
そして特徴通りの人です。

【特徴的な備考】
基本前提通りなので、書く人によって少しくらい違っても
問題はないかもしれません。
109名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 07:05:54 ID:6ZDioP6g
Σ(゚ロ゚ノ)ノ ぎ、ギオペ様通っていいのかっ
存分に動かして人襲っちゃってクダサイ。
うじゅるうじゅる。

F-6は現在の注目ポインツですな。
ロリアサペアに♀BS一味、淫徒プリと終結、
さらに付近にはマッドWiz・ヘルファイア剣士と二大マーダーが徘徊中・・・!

これに♂ローグ・王子様ペア・女王様、それにはぐれた♂アコあたりの経過が投下されたら
第2回定時放送流すくらいでいいんですかねぃ・・・?
11053sage :2005/11/18(金) 08:12:47 ID:u.xn1eYc
こっそりWikiのほう修正…|ω・`)
改行他、不自然な部分を直させて頂きました。
見直しの不足、駄文でのお目汚し、本当に失礼致しました。
111名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 10:19:38 ID:6ZDioP6g
む、今更と言われそうですが連投規制について質問。
次の日まで待て、と言うのは・・・つまり
24時間経つまで待て or 日付が変わるまで待て
の・・・どちらなのでっしゃろ(´・ω・`)
112名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 10:23:06 ID:Z/kq58Ys
14行き(NG行き)確定の代物おいておきますね。
とりあえず友情出演プロモ風味、ってことでよろしく。
------------------------------------------------------------------------------
 抗う者共(NG)


 くすくすくす。
 暗い部屋。ほの明るい蝋燭の灯火に照らされながら、その道化は笑っていた。
 ゲームの管理を統括する者、と言っても実際の所、準備が終わってしまえば何がしかの問題が起きない限りは余りする事が無い。
 その為、過去──つまりはこれまでのゲームについて夢想する事が男にとっては最大の娯楽だった。
 思い出すのは、前回のバトル・ロワイアル。開催された中で一番の数の反逆者を出し、道化の片目を義眼にした男を輩出したゲーム。
 あのゲームは本当に面白かった。思わず自らの役割を忘れてしまうほどに。
 最も。それで転生により更なる力を得た者達の参加が禁止とされたのは道化にとって少々興冷めだったが。
 まぁ、仕方の無い事だろうな、とも思う。

「面白い男でしたね」
 顔に傷のある、剣を得意とする赤い髪の男…追い縋る者(チェイサー)だった。
 最初はその男は、さんざ殺しまわる殺人者だろう、と道化は思っていたけれども。
 だが、全く予想の裏を──道化さえも考え得なかった立ち回りを黒い男はこなした。
 その男は、殺すだろうと思っていた者達を守るばかりか、更には脱出に向けて参加者を纏め上げ──
結果として、道化や他の管理役に参加者の討伐令が下る──つまり、主催者側が陥落寸前にまで追い込まれたのはいい思い出だ。
 お陰で、思いがけず、殺人者達を主催者側に引き入れる、と言う思いつきを閃いてしまった程だ。
 (因みにその時の優勝者は、主催者側が肩入れした殺人鬼だった)
 道化の記憶は過去に立ち返っていく。

 ──

『やれやれ。貴方のお陰で今回のゲームは大波乱でしたよ。私共にとって、ですが』
『そりゃ良かったじゃねぇか。こんな幸せゲームなんざ終わっちまうにこしたこたぁねぇ』
『ですが、貴方は最早一人。他の皆さんは──おっと、私共の手駒は別ですが──他の管理者と相打ちにほぼ討ち取られてしまった。
 王手詰み(チェックメイト)──実に惜しかったですが、残念ながら貴方もここまでです』
 にやり、と黒の男は道化を前にしてさえ不敵に笑っていた。片手にはツルギが煌いていた。
 投擲された短剣を走りながら叩き落した男がツルギを振り上げ振り下ろし、道化がそれを受け止める。
 石畳を蹴り、剣戟剣戟剣戟。一歩も引かぬ。しかして一度も斬られず受け流し切り返す。虚実織り交ぜた剣舞。

『本当にそう思うか?』
『勿論。チンピラ如きに負ける道理はありませんよ』
『じゃあ、お前はここで死ぬな』
『どうしてです?』
『お前が目の前の相手を見間違えてるからさ。俺はチンピラなんぞじゃねぇ──騎士だ』

 ──

 結局、その闘いに勝利したのは道化だったが。
 彼は代償に片目と、それから少なくない手傷を負ったのだ。(勿論、その目以外は全て癒してしまったが)
 道化は、男がその片目を貫いた時の言葉を覚えている。
 即ち。『俺がここでくたばったとしても手前等は、いずれ死ぬさ。手前等に向けられてる剣は俺達だけじゃなねぇ』と。
 『生まれる前からの付き合いだしな』とも。
 ──勿論、道化も全土に反体制組織が潜伏している事は、知っている。だが、質実ともに取るに足らない。
 愉快じゃないか。と彼は思う。
 そんな哀れな有象無象如きが、麗しき女王陛下を口にするのだ。

「ですが、結局の所──貴方は私の片目を潰した『だけ』ですよ」
 くくく、と道化は笑う。
 この男にしては珍しい事に──それは勝ち誇った勝者の表情だった。
 有象無象共にしても、既に数多くの者達が処刑されている。勿論、極限までの苦痛を与えた上で。
 所詮はあの男が口にした言葉など、只の世迷言だろう。

「さてさて。此度の喜劇はどのような展開を見せるやら。一人たりとも逃げ出せぬ素敵な素敵な芝居で御座い」
 何時もの言葉を呟き、道化は笑った。
113名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 10:26:08 ID:w8viuZ6g
>>111
連投規制という趣旨からすると24時間後と考えるべきじゃないかと思う。
114名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/18(金) 12:43:11 ID:XwYt4p2k
日付変わるまで待て、だと思っていたなぁ

同一PTに対する連投規制は中2日で正確には72時間でないようだったし。
115名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 12:44:48 ID:XwYt4p2k
すまん、下げ忘れた
116名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 13:06:18 ID:NgWtb8iY
あまり細かくなくていいと思うので日付変わるくらいでいいと思うんだけど
夜10時くらいに投稿して別PTを日付変わって夜1時にまた投稿とかはどうかなとも思うので
大体でいいから24時間くらい間をあける程度の自粛はして欲しいもんだね
117名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 14:31:01 ID:G58slu3c
097 Lunatic【深夜〜日の出前】

 満月の光は、とても綺麗でとても残酷だ。
 月の光には人を狂わせる何かがあると言うのだから。

「……月を司るのは女神。だから、女は魔性……ですか」

 そろそろ、夜の帳も朝の訪れと共に上がって行くだろう。
 それに伴って、この美しい月も西へと沈む。

 仮眠を取った後、♀WIZは見張りに立っていた。
 起こしてくれた♂騎士も一緒に見張りをすると言っていたのだが、♀WIZは負傷している彼を
仮眠もさせないわけにいかないからと寝るようにとやんわりと言って一人で見張りをしていた。


 一ヶ月前のやはり同じ満月の夜。
 自分は狂気の月の光に魅入られたとしか思えない行動をしてしまった。

 夫はすでに捕らえられ、BRに出ることが確定して……自分はどうすることもできずに酒場に
足が向いてしまった。
 夫と出会うまでは、「黒蛇王」という異名を取るほど、酒を浴びるほど飲み自堕落な生活をしていた。
 お酒で悪夢を忘れたくて、飲んでいたからなのだけど。
 自戒をこめて、カウンターの隅でひっそりと飲んでいた時……ヤツが声をかけてきたのだ。
 最初は、当時の私を知る者が声をかけてきたのかと思ったのだが、夫と出会ってからは何年も飲んでいないし、
今の自分の姿から当時の荒れた自分を想像することはできない。もちろん、バーテンも変わっている。
 だから、ありふれたただの誘いだろうと思ったから、お酒はありがたく頂戴した。

 そこで、終わっていれば良かったのだが。

 見てしまったのだ。
 執拗に話しかけてくる男の首にかけられた大臣としての印ともいえる王家の紋章つきのメダルを。

 それから後の自分の行動は、思い出しても吐き気と嫌悪感、そして後悔が湧き出てくる。
 大臣から、寝物語りに聞き出したあの秘密は確かな物とは思えない。
 しかし、夫を救うには一つの光明だった。

 でも、それは間に合わなくて。

 私がイズルートの船着場についた時には、もうすでに護送船は出た後だった。
 そして、彼はジョーカーの手により死んだ。

 あれから、私は死ぬ思いで魔物を狩り続け魔法を極め、オーラの身になった。
 転生はしない。
 転生よりも、ジョーカーを倒すことを私は選んだ。
 このBRにも自分から望んで来たのだ。

 あの話が本当かどうかはわからない。
 それに、今私がしようとしていることも、悪夢の中での贖罪のため。
 でも、それにしがみつくしかないのだ。

 今は。


 しっかりとロザリオを握り締める♀WIZの周りを風が吹き抜け、夜の帳が朝の気配に変わろうとしていた。


<♂プリースト>
現在位置:E-3
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考:殴りプリ 、♀WIZ・♂シーフと同行

<♂シーフ>
現在位置:E-3
所持品:青箱(未開封)、多めの食料
外見特徴:栗毛
備考:ハイディング所持 、♂プリ・♀WIZと同行、盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♀WIZ>
現在位置:E-3
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー
外見特徴:WIZデフォの銀色
備考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフと同行、首輪の秘密を知っている?

<♂騎士>
現在位置:E-3
所持品:S3ナイフ、ツルギ
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔
備考:♂プリーストの治療を受け、やや回復 他人への恐怖は少し解消? 未亡人PTに同行するかはまだ不明
118117sage :2005/11/18(金) 14:31:48 ID:G58slu3c
102 Lunatic【深夜〜日の出前】
でしたorz
119名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 15:45:25 ID:wCQ9yeAQ
>>107
恥ずかしながら♂剣士マーダーとして覚醒の話を書きました、anotherとしてお楽しみいただけたら幸いです、ぺこり。

---
another 本当に護りたいモノ


赤銅色の炎、揺らめく蛍火を目指し♂剣士は暗い夜の森を独り、懸命に駆けていた。

気が付けば、♂剣士は飛び出していた。
森の深層に突如灯った明かり。それを目にしたとき、♂剣士の胸中を得も知れぬ感情が襲ったのだ。
悪魔に手招きされたような、それでいて天使に囁かれたような、そんな相反する感情の撹拌が♂剣士の心を揺らしたのだ。

もし光の先にあるものが自分たちに危害をもたらすものだったら、自分は剣士として、
人を護るためのツルギとして立ち向かわなくちゃいけない。
もし光の先にあるものが自分たちに助けを求めているものだったら、やっぱり自分は剣士として、
人を護るためのツルギとして立ち向かわなくちゃいけない。

そう思うと♂剣士は居てもたってもいられなくなったのだ。

『焦る必要はない。お前はお前の精一杯で、お前が護りたいと思ったものを護ればいいのさ』

♂剣士は走りながら記憶の中にあるマスターの言葉を再生する。
♂剣士が護りたいモノ、それは争いのない世界、そして争いのない世界を求める心優しい人。
♂剣士は胸いっぱいに溢れそうな喜びを抱え、森を走る。

でもねマスター、僕は見つけたんだ。
この島で最初に出会った人、ちょっといじわるだけど、彼女は僕に言ったんだよ。
頼むって、僕に言ったんだ。

嬉しかったな、ホント、すごく嬉しかった。
クルセイダーはよく自分が盾となるに相応しい相手にめぐり合えたとき、
その相手に全てを、自分の血肉、心、魂、その全てをささげる契約をするっていうけど、
僕がもし、クルセイダーだったら僕は迷わず彼女と契約をしただろうな、なんて思ったくらいに嬉しかった。

でも僕は剣士で、だから盾にはなれない。
剣士は、いや、僕が憧れる騎士は人を護るためのツルギなんだ。
だから僕は今、彼女を護るためのツルギとして、こうやって走っている。

──────

♂剣士がその場所に辿り着いたとき、炎は既に消えていた。
焼け焦げた何かが放つ強烈な臭い、そしてその何かが燻っている音。
そろりそろりと近づいて目を凝らしては見たものの、♂剣士にはそれが何であるか、検討もつかなかった。
それが自分と同じ剣士の成れの果てだなんてことに♂剣士は気付くこともなかった。

♂剣士は臭いにむせ返りながらも、慎重に丁寧に周辺を探り始める。
もしここに人が居たのだとしたら、何か残しているかもしれない。
そう思ったのだろう、その両脚で、その両手で、周囲の様子を舐めるように調べた。

その行動こそが、彼の失敗であった。

♂剣士は見つけてしまったのだ、未だ燻り続ける何かの脇に転がっている一本の槍を。
そう、災厄の元凶である槍、ヘルファイアを。

手にした槍はズシリと重く、♂剣士は思わぬ武器の獲得にほんのり口もとを緩め、喜ぶ。
これで木刀よりはマシに戦うことができる、と。
そのとき、突如穂先に灯る炎。輝きも色も先ほど見た蛍火と同じ輝きに、♂剣士は思う。

(そっか、さっき見た明かりの正体はこの槍だったんだ)

槍を両手でしっかりと持ち直し、腰を落とし重心を低くする。
足場を確認し、大地をぐっと踏み締め、えいやっ、と突きを繰り出してみる。
流れるように突き出される槍、そして、自分がそんな風に槍を扱えることに♂剣士は驚く。

(あれ? 僕ってこんなにうまく槍を使えたっけ?)

まるで自分の体ではないみたいに無駄なく美しく動く自分の体に♂剣士は戸惑う。
けれどその疑問は槍を自在に扱えるという喜びを前に、次第に失われていった。

(すごい、すごいや。どうしちゃったんだろう、楽しいゾ、これ)

何かにとり憑かれたように一心不乱に槍を振るう♂剣士の表情に悦が浮かぶ。
いや、このとき♂剣士は既にとり憑かれていた。
地獄の業火、その名を冠する両手槍の悪魔に♂剣士の心はすっかり魅了されていたのだ。

『ナルホド、オマエガ新シイマスターカ』

どこからか聞こえた声に♂剣士は首を横振り、周囲を見渡す。が、そこには誰も居ない。

う、ぐッ──────

♂剣士の頭を突然の頭痛が襲う。
脳をナイフで刺されたような、そして、そのままぐりぐりと抉られたような、痛み。
およそ体感したことのない痛みが♂剣士の頭を襲った。

♂剣士の頭に流れ込んできたのは、何百、何千という死のイメージ。そして、血の渇望。

コロセ、コロセ、コロセ、コロセ
チヲ、ニクヲ、タマシイヲ

あぁぁアああァぁぁァァ───

───♂剣士は声を張り上げ叫ぶ──────叫んだはずだった。

(声が、出ない。 どうして、声が出せない)

できないのは声を出すことだけではない。
先ほどまで羽根のように軽かった手足も、眼球の動きすら、今の♂剣士には動かすことができない。

(息が、息ができない。 苦しい、く、苦しいよ、どうして)

コロセ、コロセ、コロセ、コロセ
ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク

脳を埋め尽くす言葉の奔流に♂剣士の理性が飲み込まれる。
けれど♂剣士はまるで蝋人形のようにその場に固まったまま動けない。
死神に心臓を握られているかのような恐怖が♂剣士の全身を駆け巡る。

(僕は剣士だ。 殺すなんて、できるはず、ない)

コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ
コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ

♂剣士は意識が白く染まっていくのを懸命に耐える。
剣士であるという誇りを胸に、人を護るツルギという信念を心に。

ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク
ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク、ハヤク

狂ったような槍の声に、脳が侵されていく。
瞳は深淵のように暗い黒、焦点はズれ、どこを見ているのか分からない。
口からはぼたりぼたりとよだれがこぼれ落ちる、クスリで壊れてしまったヒトのように。

そして彼は、ヒトを護るツルギであった♂剣士の心は───

『コロサナイナラ、オ前ガ死ネ』

その一言で砕けた。
目の前にはいつの間にか自分を照らす明かりが1つ。くるくる回る狐火が捉える♂剣士の瞳は炎を帯びた黒。
突然現れた♀セージ。彼女の声に♂剣士は約束を思い出す。

───護らなくちゃ、僕は護らなくちゃいけないんだ。

何かを言おうとした♀セージに対し、ありったけの想いをこめて、両手に握った槍を突き出す。
♀セージの体が後ろに、横に、♂剣士の槍を寸でのところで回避する。

───護らなくちゃ、護らなくちゃ

穂先には炎、命を奪う赤い炎。どうか彼女に当たりますように、そう願って解放する。
ざざっと横飛びして焔球をかわした彼女、瞳には僕が映っている。
僕に何かを訴えてるみたいな困惑を湛えた瞳。

その瞳を見て、僕は笑う。笑いながら彼女を串刺しにする。
何度も何度も、彼女の命が尽きるまで、僕は彼女を串刺しにする。
そのとき、彼女の体が炎に包まれた理由を僕は知らない。知りたいとも思わない。

けれど僕は何度も何度も、彼女の体が消し炭になるまで、彼女を刺し続ける。
彼女の右手が何かを求めるように宙に差し出されたけれど、僕はそれを気にも留めず彼女を刺し続ける。

だって僕は自分の命を護らなくちゃ、いけないんだから。
そう、僕はやっと見つけたんだ。

本当に護りたいモノを。
120名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 18:42:07 ID:tMVHMNWY
※♀セージの髪型がWIZデフォになってたので、女性WIZデフォ締め切りです※

>>119
い、いい…!ちゃんとヘルファイアの存在感が感じられて、♂剣士もまさしく
「堕落」状態で、さらに冒頭の「護る」と最後の部分の「護る」の対比が激しくGJっした!
堕ちるシーンも濃密で、ああー余計なことしてもうた・・・と後悔_| ̄|○<精進…
読めて嬉しかったです。ありがとうございます。

>>115
1がsageで立ててるので「age」入れない限りは上がらないそうでござるよ。ニンニン。

>>112
まさか…ロ、ローグ兄さん…?!転生しても死んでる!_| ̄|○

まとめWikiのメニュー欄に、参加の案内モドキを追加してみました。
とりあえず連投規制と第一回とのリンク(ちょうど良いレスがあったのでそのまま転載)
あと元ネタがあるキャラの解説を。
これも入れとけっていうの、追加やアドバイスお願いします。
121名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 19:50:23 ID:w8viuZ6g
>>117
♀Wizさんえろいよ……。大人の雰囲気漂いまくり。

>>119
理想に燃える少年が堕落する様はゾクゾクしますね!(外道
クルセの契約云々は……あのシーンですか?
そうか、あれってつまり♀クルセさんは♂ケミ君のものにな(ry
122名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 21:26:12 ID:v79Vl/J2
>>117
未亡人が聞き出したのかぁ…でも、謎が一つ残った。
蘇生できなくなるほどに頭部を破壊された女性の死体は一体誰だったのか。
あるいは誰が作って放置したのか。
…出来れば偶然で放置しないでもらえるとうれしいな〜
いや、他の人が解決してくれるのかな
123名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:03:09 ID:v7Go8RcQ
♂BSと♀ケミの話を考えてたんだが……
どうしても18禁な方向に突き進むのは、
俺の心が汚れてるからですか?OTL
124名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:10:38 ID:tMVHMNWY
真相を知っているのが男性でも平気なように用意された死体だからね。自分も出来れば他の人の負担に
ならないように>>117の中で書いちゃって欲しいかな…すでに117で大臣との繋がりが書かれてるので
他のところで唐突に死体の部分をフォローするのも手間そうな気がする。
てかあの惨殺死体を♀WIZが殺したのかと思うと結構怖い。かなりみかけによらないぜ未亡人。
鼻の下伸ばしてて大丈夫なのか情けない男PT!

>>123
がんばるんだ、でもここは18禁スレじゃないから書きあがったら該当部分をこっそり隠して投下するんだ。
大丈夫、♀ケミは当初から18禁担当キャラのような気がするから。あなたのIDも後押ししてるじゃないか。
125名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:21:47 ID:KXAZ6bYQ
81話の首輪の爆発に関する♀BSのセリフとその他細かいところを修正しました。
遅れて申し訳ない_| ̄|○

>>123
♂BSと♀ケミにもそろそろ動きが欲しいところなのでぜひ突き進んでほしい…
けど18禁部分があるのか。個人的には読みたいですがw
やはり124さんが言うように該当部分を別投下になってしまいますかね(;´Д`)
126117sage :2005/11/18(金) 23:27:22 ID:v2jUgiDc
ちょっと修正がんばってみます。
死体のフォローも……orz
(ワスレテテゴメンナサイ
127名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:29:11 ID:v79Vl/J2
>>122を書いてから思ったこと。
別に他のキャラが大臣を見張っていたことにして
衝動的な未亡人を見かねてスケープゴートを用意したことにしても良いんだな
その場合、未亡人に接触をとろうとする奴が犯人だっ(違
128名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:31:52 ID:w8viuZ6g
Wikiの画像板に地図が上がってるけど、
♂ケミ&♀クルセペアのとこにハートマークが書いてあるのは
やっぱりあれはそういうことだと思われたんだろうか。
129名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:40:29 ID:v79Vl/J2
位置更新中の人おちゃめだなぁって程度で良いかと思いますよ(笑
で、♂BSと♀ケミの話書いちゃったんだけど、投下していいものなのかな
>>123氏に悪いような気がする…
130名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:43:28 ID:v7Go8RcQ
>>129
いやいや、投下してくだせい。タノンマス…OTL
俺のはどっかのエロパロ板にでも投げ込んだ方が良さそうな展開で
この島じゃなくて別のところでやれやーって感じなのよ。
131名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/18(金) 23:47:33 ID:v79Vl/J2
了解でありますー。
それでは、エロくないけど腹黒い人たちのお話をお楽しみください。

102.QueenBee【夜間/定期放送後】

さてさて、と彼は考える。
こんなところに連れられてしまったのは大失態だ。
この殺し合いの中でプリーストたるこの身では勝者となることは難しい。

それはつまり、生き残れない。それはとてもつまらないことだ。
なぜなら、彼なりの方法で世の華を愛でることが出来なくなるから。
だがこの四日間、生きている間だけは華を愛で続けることが出来るともいえる。
そして、華を愛でるための手段にならば彼は事欠いたことはなかった。
まして、殺しが合法であるこの場だ。少々手荒なことになったところで咎められようはずもない。

(俄然やる気が出てきたわね)

彼は、女性プリーストの姿をした彼は、赤い唇で軽く舌なめずりをする。
思い起こせばここにつれられてきた彼女たちはなかなかの粒ぞろいだったではないか。
そのうちの幾人かは既にこの世の人ではないが、それでも彼のおめがねに適う女性はまだ生き残っている。
そうだ。早く動かなくては他の男どもに美しい華が手折られてしまうではないか。
名状しがたい憎悪が彼の中で渦巻く。許せない、私の女の子に手を出すなんて許せないと。

♀騎士のしなやかに引き締まった太股や、二人いたノービスのパンツからはみ出した健康的な太股。
憂いを秘めた容貌の♀Wizの太股も捨てがたければ、怯え縮こまっていた♀ハンターのそれもまた良い。
白いミニからのぞいていたあの女GMの太股も実にいいものだった。
まだ生き残っている彼女らは私のものだ!そう決意して彼は東へと進路を取る。

(とにかく、私の代わりに戦ってくれる子を探さなきゃ)

まるで本物の女性の様に親指の爪を噛みながら彼は思う。
いつしかまばらに生えた木々の森を抜けた彼は見晴らしのいい砂地の草原へと歩を進めていた。
昼ここを歩くのは自殺行為だろう、しかし、夜間ならば狙撃の心配もない。
流石に大手を振って歩くつもりはないが、距離を稼ぐならば今しかないだろう。

と、その視界の隅に動くものがあった。
あわてて身をかがめじっくりと様子を眺めると、どうやら男。
そこそこに引き締まった身体は頼りない印象とは程遠い。
彼―――♂BS―――は、用を足すと同行者である♀ケミのところへと戻り不寝番を始めた。

(あら、他にも人がいるの?だったら殺し合いに乗り気でないわね)

殺人者同士が同盟を組むことは考えづらい。
いや、私のような子悪党ならあるいはありえるかもしれないが、力のあるものほどそういう傾向は下がる。
彼はほくそえむとゆっくりと立ち上がり、♂BSに声をかけた。


―――***―――


♀ケミは不機嫌だった。
目の前にいる男とそれがつれてきた女を内心で罵ってさえいた。
けれども口に出すのは気遣いの台詞だけ。煮えくり返る腸の一片たりとも見せはしない。

「そうなの…あなたも大変だったのね」
「はい、目を血走らせた男に追いかけられて…。
 魔法のお陰で何とか逃げ切れたのですけど、私、怖くて怖くて」

そう、ハスキーな声でしゃべるこの女はプリーストだ。支援の専門家なら使い道はいくらでもある。
戦力的には強化された、と見てもいい。
前衛に支援がそろったのだ、これに遠距離攻撃を使える職がいれば周りの人間を一掃することも出来る。
その後で同士討ちさせればいい。簡単な話だ。
こいつが女でさえなければ私の虜にしてしまえる分話はもっと早いのだけど。

「ああ、大変だったね。♀ケミさん、ということで一緒に連れてやってもいいだろ?」

つれてきた張本人がそういうのだから私が反対したところで押し切ることだろう。
間抜けそうな面をしている、助平そうだと思っていたけど、それが裏目に出るなんて。
私のほうが道化のようではないか、と♀ケミは思う。
それでも内心で考えていることとは裏腹に彼女は情にあふれた言葉を言う。

「ええ、もちろんです。お互い戦い向きでないもの同士力をあわせて生き残りましょうね」

気に食わないけれど今は素直に喜ぶことにしよう。
ただ、♂BSがこの女の方を気にかけるようになっては不味い。
そんなことになる前に何とか手は打っておかないといけない。
おあずけを食らわせておいたのも今となっては裏目に出てしまった。
さっさと一回くらいやらせてあげればよかったわ、ほんと、なんて世の中なのかしら。


―――***―――


淫徒プリは上機嫌だった。
彼が声をかけた♂BSが友好的だったからだけではない。
♂BSがつれていた太股が、違った人物が見事な太股を持つ♀ケミだったからだ。

♀ケミの心中など知らない彼は心の中でにんまり笑う。
ああ、神よ、神よ。貴方は私を見捨てていなかったのですね。
ああ、神よ、私は感謝します。貴方はなんと見事な太股を与えてくださったのでしょう!

さぁ、明日から忙しくなるぞと彼は思う。
そうして、♂BSの目の届かないところで♀ケミの太股を堪能する算段を建て始める。
と、その前に、当面の問題を解決しなくてはならない。
今晩をどう明かすか、だ。
彼は♀ケミの方をちらりと伺うと、軽くウィンクしてみせる。

「それで、今夜の見張りなのですけど…」

彼と彼女は声を揃えて言った。

『♂BSさんがしてくださいますわよね?』

付記
殺し合い一日目、夜。
各地で多数の女性参加者が断続的にくしゃみをするという事件が起こった。
それぞれ同行者に心配されたりからかわれたりすることになったが、原因は今もって不明である。

<淫徒プリ>
現在地:G6草原地帯
所持品:女装用変身セット一式 青箱
備考:女性プリーストの姿 美人 策略家 Int>Dexの支援型
同行:♂BSと同行、♀ケミにターゲッティング

<♀ケミ>
現在地:G6草原地帯
所持品:店売りグラディウス 青箱
備考:絶世の美女 策略家 製薬ステ
同行:♂BSと同行、淫徒プリとは別の意味で交戦中

<♂BS>
現在地:G6草原地帯
所持品:青箱2個(未開封)
備考:戦闘型BS。ガサツ。むっつりスケベ。楽天家
同行:♀ケミ、淫徒プリと同行。両手に毒花?
132名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 00:02:53 ID:8cwV58BM
>>129
べつに嫌とか言うわけじゃないし、そう思っておきます^^;
自分の意図してないとこでエロいとか思われるとドキドキしてしまうのは何故だっ。

>>131
男BS……(つД`)不憫な奴。
♀ケミvs淫徒プリの化かし合いに期待がかかりますなー。GJ。
133名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 00:18:07 ID:ijrv4jAw
>>126-127
それじゃこんなものも置いておきますね。
つ[アサシンギルドに余った遺体の買い取り依頼]
つ[彼女を捜しながら見つけられなかった大臣派がフォローのため準備]
つ[衣服その他を似た人物に渡しアリバイ工作依頼。殺されたのだけ偶然]
134名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 00:30:20 ID:NdmnbL7c
>>131
こっちを投下してもらってよかったー!GJ!!
俺のなんて、どう見てもただのエロ文章です。本当にありがとうございました。
お礼に電波塔建てておきますね。
つT~~【淫徒プリ×♀ケミ】

>>133
便乗して、俺もこんなのを置いていきますね。
つ【夫の同僚に頼んで、背格好の似た死体を用意】
135名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 00:35:39 ID:8cwV58BM
>>134
どこかに投下orうpを要求するものであります。
136名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 00:36:05 ID:.NanK6ao
同じく要求するものであります
137名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 04:31:19 ID:RHL/iTh6
103.間者【明け方】

諸君はアナベルツ教国をご存知であろうか?
フレイアを信仰している宗教国家であり軍事国家である。
ちなみにミッドガルド王国の主神はオーディン。
シュバルツバルド共和国と神聖ミッドガルド王国が同盟国で
あるなら、アナベルツは敵対国だ。
アナベルツ教国はミッドガルド王国の東に位置する。
まあ、二つの国が対立する原因は色々あるが
一番の理由は宗教の違いであろう。
アナベルツは教国と名がつく通り教皇を頂点とする熱心な宗教国であり
異教国のミッドガルドを討ち果たそうとするのは自然の成り行きであった・・・・・・。

更なる薀蓄を披露することもできるがスペースが足りないことは必至なので物語に入ろう。

***

もうすぐ日の出を迎える時刻。
いつもの霊廟のごとき地下室でGM橘とGM森は密会していた。

「おいおい、どうなってるんだ?♂騎士の奴ヤバイんじゃないのか?」
あらかさまに不満を体全体で表しながら抗議するGM森。

「オーバーリアクションはやめてください。まだ想定範囲内です」
GM橘はうるさそうに眼鏡をクイッと上げる。
ロウソクの光が幽かに二人を照らす。

「しかし、そうは言うがなぁ。もしアイツがリタイアしたら
トトカルチョで俺は破産するぞ」
そう、GM橘が彼に胴元の話を持ちかけ彼はその話に乗った。
そして彼らは本来参加予定の♀プリと♂騎士を極秘裏に処分し
代わりに彼らを無理矢理ゲームに放り込んだ。
そしてGM森は大穴の♂騎士に有り金を全部賭けている。

「大丈夫です。彼には貴方の力を仕込んだでしょう。
これぐらいの怪我なら一晩で回復します」
むう・・・・・・とGM森は唸る。
そう、彼には予めGM森が肉体強化を施している。
これぐらいの怪我なら何も心配することはない。
ところが・・・・・・

「だが、問題は精神の方だ!」
唸っていたGM森が激情を抑えきれず思わず声を荒げる。
男の腐ったような♂騎士に男らしさの塊のような彼が憤りを覚えるのも無理はない。

「落ち着いてください。確かに愛した女の一人も守りきれないどころか
自らの手にかけるとは愚かとしか言えませんがどうせ足手まといだったのです」
本当はその言葉とは裏腹にGM橘は何故、彼がそうしたのかを知っている。
だが、とりあえず彼は慰めるようにGM森の肩に手をかける。

「ええい!やめろ!大体、本当にアイツが苦労して探し当てた条件を満たす者なのか!?」
GM森がGM橘の手を乱暴にはねのける。

「ええ・・・・・・最初から殺人オーラを発している者は徒党を組んだ者達にやられます。
しかし、本来の姿を隠し、一番最後で力を発揮できる♂騎士こそが理想なのです。
現に彼は最強レベルのPTに潜り込んだではありませんか?
さらに彼の潜在能力は著しく高い。
死んだ♀プリの父親が一目置いていたぐらいなのですからね・・・・・・」
GM橘が眼鏡を抑え、ニヤリと笑う。
ロウソクの光が眼鏡の表面で揺れる。

「一つの体に二つの魂か・・・・・・面倒な奴だ・・・・・・」
GM森が渋々納得し、謎めいた言葉を残した。

こうして彼らは各々の部屋に戻る・・・・・・

***

「頼むゼ♂騎士・・・・・・大金をせしめて面白おかしく生きてやるんだからよ!
・・・・・・っておっととと」
GM森は思わず顔がニンマリとするのを必死で手で隠すとズンズンと進んでゆく。

彼は金と己の腕力のみを信ずる・・・・・・。

***

「必ず優勝してイゾルデとの目通しの時、その首をもぎ取ってください・・・・・・。
貴方は聖戦士なのです。猊下のためにその命捧げるのが使命なのですから・・・・・・!
ククク・・・・・・ハハハ・・・・・・アハハハハハ!」

♂騎士にGM森が肉体改造を施したならGM橘が精神改造を施したのだ。
それはどうしようもない恐怖を植えつけることにより
♀プリを殺させる精神改造であった。
それは魂の封印を解く儀式と言えるであろう。

GM橘はアナベルツ教皇のみを盲信する・・・・・・。

***

「哀れな男ですねぇ。しかし、美味なる料理には必ず隠し味が必要といいます。
女王様の舌に適う料理をお作りになられてくださぁい。ふふふふふ・・・・・・」

そして体が異様に熱を持ち、のた打ち回っているその哀れな男を
GMジョーカーはただ、愉快気に観察する。
GM橘はまだ泳がせておこう。
まだまだ楽しめそうなのだから。

GMジョーカーはイゾルデのみを狂信する・・・・・・。

***


明け方、♂騎士は体が灼けるような熱さと闘いながら内なる声を聞いたような気がした・・・・・・。


<♂騎士>
現在位置:E-3
所持品:S3ナイフ、ツルギ
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔
備考:超回復による体全体の発熱。 未亡人PTに同行するかはまだ不明。

<残り38名>
138名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 04:57:44 ID:S15nlJf6
<残り37名>に修正で!
とりあえず43話の伏線を回収しておこう。
139117sage :2005/11/19(土) 07:12:46 ID:Sw/0mmss
104.Lunatic【深夜〜日の出前】

 満月の光は、とても綺麗でとても残酷だ。
 月の光には人を狂わせる何かがあると言うのだから。

「……月を司るのは女神。だから、女は魔性……ですか……」

 そろそろ、夜の帳も朝の訪れと共に上がって行くだろう。
 それに伴って、この美しい月も西へと沈む。

 仮眠を取った後、♀WIZは見張りに立っていた。
 起こしてくれた♂騎士も一緒に見張りをすると言っていたのだが、♀WIZは負傷している彼を
仮眠もさせないわけにいかないからと寝るようにとやんわりと言って一人で見張りをしていた。


 一ヶ月前のやはり同じ満月の夜。
 自分は狂気の月の光に魅入られたとしか思えない行動をしてしまった。

 夫はすでに捕らえられ、BRに出ることが確定して……自分はどうすることもできずに酒場に
足が向いてしまった。
 夫と出会うまでは、「黒蛇王」という異名を取るほど、酒を浴びるほど飲み自堕落な生活をしていた。
 お酒で悪夢を忘れたくて、飲んでいたからなのだけど。
 自戒をこめて、カウンターの隅でひっそりと飲んでいた時……ヤツが声をかけてきたのだ。
 最初は、当時の私を知る者が声をかけてきたのかと思ったのだが、夫と出会ってからは何年も飲んでいないし、
今の自分の姿から当時の荒れた自分を想像することはできない。もちろん、バーテンも変わっている。
 だから、ありふれたただの誘いだろうと思ったから、お酒はありがたく頂戴した。

 そこで、終わっていれば良かったのだが。

 見てしまったのだ。
 執拗に話しかけてくる男の首にかけられた大臣としての印ともいえる王家の紋章つきのメダルを。

 それから後の自分の行動は、思い出しても吐き気と嫌悪感、そして後悔が湧き出てくる。

 あの脂ぎった大臣と共に宿屋でベッドを共にした。
 そして寝物語に、この首輪と島の秘密を聞きだした。

 明け方。

 酒に弱かったのか、まだ眠り続ける大臣を宿に残し、私は古い友人に急いで連絡をとった。
「要するに、また酒で失敗したのか? 結婚したら禁酒するって言ってただろうに……」
 いまだに続く友人の中でも、私の荒れていた黒蛇王時代を唯一知る彼はため息をつきながらも頷いてくれた。
「あんたからの頼みだしな……アリバイ工作なら任せてくれ。その一夜限りの男との関係が
表向きにさえならなければいいんだろう?」
「ええ……お願い……」
 本当は、浮気どころではない。
 しかしそんなことを話す訳にもいかず、私は要領の得ない説明になり、結果的に友人の中では酒で失敗して
行きずりの男と寝てしまったという結論に達したようだった。
「手段については、俺に任せてもらう……ちょうどいいのがギルドに今あるからな」
「……?」
「ああ、気にすんな」
 そして、忙しいギルドの仕事のある彼は朝靄の中に消えていった。

 私は、そのあと急いでイズルートに向かった。
 秘密は確かな物とは思えない。
 しかし、夫を救うには一つの光明だ。

 でも、それは間に合わなくて。

 私がイズルートの船着場についた時には、もうすでに護送船は出た後だった。
 そして、彼はジョーカーの手により死んだ。

 あれから、私は死ぬ思いで魔物を狩り続け魔法を極め、オーラの身になった。
 転生はしない。
 転生よりも、ジョーカーを倒すことを私は選んだ。
 このBRにも自分から望んで来たのだ。

 あの話が本当かどうかはわからない。
 それに、今私がしようとしていることも、悪夢の中での贖罪のため。
 でも、それにしがみつくしかないのだ。

 今は。

 しっかりとロザリオを握り締める♀WIZの周りを風が吹き抜け、夜の闇が、朝の気配に変わろうとしていた。

<♂プリースト>
現在位置:E-3
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考:殴りプリ 、♀WIZ・♂シーフと同行

<♂シーフ>
現在位置:E-3
所持品:青箱(未開封)、多めの食料
外見特徴:栗毛
備考:ハイディング所持 、♂プリ・♀WIZと同行、盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♀WIZ>
現在位置:E-3
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー
外見特徴:WIZデフォの銀色
備考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフと同行、首輪の秘密を知っている?

<♂騎士>
現在位置:E-3
所持品:S3ナイフ、ツルギ
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔
備考:超回復による体全体の発熱。 未亡人PTに同行するかはまだ不明。
140117sage :2005/11/19(土) 07:16:47 ID:Sw/0mmss
■番号がわからなくなっちゃったので、とりあえず訂正番号を103.間者の後にしてみますた。
■古い友人の所属は、盗賊ギルドかもしれないし暗殺ギルドかもしれないし反政府ギルドかもしれないし…後の人に任せてみます。
■黒蛇王=うわばみのイメージですが、なんかびみょう?
■改訂版でレス埋めてしまってごめんなさいorz
141名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 11:18:33 ID:3/kw5E.g
102. 梟【深夜〜明方未明】


ほっほう。
礼には及ばない。ただ教えただけさ。この道を真っ直ぐ進むと、魔術師風の優男と遭遇するだろう、とね。歩みは遅いしこの位置からはどんどん遠ざかっている。出遭いたくなければ君達のほうが歩みを止めればいい。今のところ、ほかには付近に人はいないからね。
何、我々は鳥だ。渡鳥達を伝わるからね、我々の情報網と、その伝達の速さは君達の想像以上なのさ。
ほっほう・・・話には聞いているよ。鷹想いの心優しきハンターがひとり、この島に迷い込んでいる、とね。
だから・・・安心しなさい、夜はわたしのような一部の夜行性の梟達しか活動はしていないが、夜が明けさえすれば。
この島にいるすべての鳥達は、君の味方だ。
我々にできる事など限られてはいるが、せめてその限りの中では君を助けてみせよう。
・・・ほっほう、名前かい。人は皆、相手を理解するために名前を訊くね。
我々は鳥。鳥に名前などないよ。
種族を問うているのならば、見ての通りわたしはただの梟。どこにでもいる、一羽の梟さ。
ほっほ、ほう。鳥ってのは仲間思いなんだ。
君の相棒はまた、君に逢いたがっている。
死ぬんじゃあないよ。ほっほう・・・・・・


どうかしましたか、と尋ねるスーパーノービスの少女にううん、何でもないのと首を振って応えると、♀ハンターは闇の中に静かに一礼した。
日中も活動しなくてはいけないのだから、僅かでも仮眠は取っておいた方が良い。そう提案したのは♀ハンターのほうである。陽が落ちる前にほんの少しだけうとうとしていた彼女だが、疲れから来る睡魔は未だ彼女を襲っていた。
流石に♀スーパーノービスの少女には自分の寝込みを襲うことは無いだろう、という程度までの信頼は寄せていたものの、眠っている間にスーパーノービスの少女がどこかへ行ってしまってたりしたら、ううん・・・そうでなくてももし別の誰かに襲われた時、♀スーパーノービスよりも寝ているあたしの方が先に狙われたら――などといったネガティブな考えが彼女を支配し、不安になっていたために言い出せなかったのだが、先程の梟の言葉から、見守ってくれている人・・・いや、鳥がいるということに安心したことと、それに道を下手に進んで魔術師風の優男――おそらくは自分を襲った♂ウィザードだろう――に遭遇するのも怖かったために、♀ハンターは木々の陰に横になり、暫しの疲れを癒すことにした。
「またそのうち起こすので、交代お願いしますね。私もちょっと、疲れちゃいました」
そう言って承諾した♀スーパーノービスだが、内心に浮かび上がるは先程の♀ハンターの様子に対する小さな疑惑。
(む〜・・・♀ハンターさんは一体、誰と喋ってたんでしょうかね。敵とか、そういうのとは違うみたいだけど・・・起きたら一度、確かめてみますか)


<♀ハンター 現在位置・・・進路変更→D-6>
<所持品:スパナ 古い紫色の箱>
<スキル:ファルコンマスタリー ブリッツビート スチールクロウ>
<備考:対人恐怖症 鳥と会話が出来る ステ=純鷹師 弓の扱いは??? 島にいる鳥達が味方>
<状態:♀スパノビと野営。但し、完全に信頼はできていない。♀スパノビ以外の人間は完全に拒否>


<♀スパノビ 現在位置・・・進路変更→D-6>
<所持品:S3ダマスカス シルクリボン(無理矢理装着) 古いカード帖(本人気付いていない) オリデオコンの矢筒>
<スキル:集中力向上>
<備考:外見とは裏腹に場数を踏んでいる(短剣型)>
<状態:♀ハンターと野営。何者かと言葉を交わしていた♀ハンターに小さな不信感?>
142名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 11:21:02 ID:3/kw5E.g
話数は105. ですね・・・なんで102になんかしちゃったんだろうorz
この姉妹には頑張って欲しいものです。
エエそれはもう個人的な好みで。
143名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 13:41:27 ID:T8OEr/4k
ん。そろそろ二日目入るのかのぅ、と言ってみる。

質問…というか、♂騎士の精神&肉体操作の件で
GMジョーカーの性格と併せて考えて少々もにょったんだが、どうか。
そんな露骨なゲームへの干渉をジョーカーが許すかどうか、ってのも。
それから、GM橘が♀プリの父親を妙に恐れてるみたいだが、この辺の説明も足りない気が。

後、能力制限されてる筈なのに、いきなり自己回復実装されてみたりとかの辺り。
前回の♂BSは殆どマーダーがいなかった事情もあって、受理されたんだが、
今回のそれはどうだろか、と思ってみる。

バトロワでの格好よさってのは、そういう妖怪ちっくな身体能力ではなく、
むしろ精神的かつ人間的なものを最大限活用して目的を達成していくとこにあるんだぞー
とか個人的に思ってみるtest。

後、書き手の愛は全ての登場人物に(一部例外含む)注がれるべきでしょう、とも。
どーも、この書き手さんは妙に♂騎士を贔屓してるような印象を受けますよ、と。
一般的にイメージされる以上の付加要素をくっつけるのは
流れにもよりますが特別枠以外はできるだけ自粛すべきっしょ。

前回の主人公格の全員とて、ほぼ予想される範囲内の能力しか持ってない上で、
あれだけ生き生きと動き回った訳ですし。

感想その他は次のレスに。
144名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 13:45:16 ID:T8OEr/4k
と、いい忘れ。批判だけではアレなので。
GM橘=>どっかの間者、という思考方向はイイ感じ。
ただし、いろいろ設定とかのふくらみ具合を考えると
アナベルツよりはジュノーのがらしいかな、とは思ってみる。
(ex:脱出ルートとなった時の複線に使用とか、後日談への複線とか)

今度こそ感想などをば…
145名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 14:08:11 ID:T8OEr/4k
>>97

いろんな意味で堪らん展開キター。
しかして、なぜか大臣との不倫ではなく、
散々二人して部屋でも飲んだくれてる姿が思い浮かぶ今日この頃。
まぁ、大臣は中年ですし、元気のない日もあるって事で。

後、♀Wizの行動理由は
Hey,姉さん前世の記憶一丁!!と某古典PC伝奇ビジュアルノベルっぽい理由も兼ねてっ。
…勿論冗談ですので気にせずに。

>>119(another)
こう、するっと自然に目的が入れ替わる描写が素敵です。
前回のヘタレな首はね魔剣とは違って魔槍というにふさわしい
ヘルファイアの今後の活躍に期待…アレ?

>>102
昼ドラ的展開キター!!
が、一応今のところは性別の差で♀ケミが有利か?
それとも薔薇が咲き乱れてしまったりするのか?
いろんな意味で次に期待。


さて、自分もそろそろ執筆を始めるとします。
ノシ
146名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 14:11:45 ID:ieYfxVqU
ちょいと気が早いですがWikiに105話まで上げときました。
設定の異論とか出てるようなんでキャラ情報はひとまず保留。
147名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 15:12:20 ID:o1GddISo
Another とあるエンディングの風景

風に揺れる草原を、一人の少女が駆けていく。
一度足を止めた彼女は肩口に切りそろえられた髪を翻してこちらを振り向くと笑いながら手を振った。
それに応えて草原に取り残された男も大きく手を振る。

それを確かに目に入れて♀ノービスは再び駆け出した。
と、男の後ろから彼女を追いかけてきた人物が一人。

「一足遅かったか!」
「どうした?」

少女を見送った男、♂アサシンは怪訝そうな顔をして隣へと走ってきた男を見やる。
息を切らしていた♂セージは深呼吸を数度繰り返すとくたびれた衣装の襟を正し、さも悔しそうに言葉を続ける。

「♀ノービスめ!まんまと盗っていきおって!」
「いいや、あの子は何も盗らなかったぜ?ただ、戦い抜いただけだ」

♂アサシンは彼が思ったとおりのことを言う。
彼自身、彼女に何度助けられたことだろう。彼がここにこうしているのは彼女がいたからに他ならない。
その彼女の戦いは、それは彼から見ても惚れ惚れとするようなものだった。
しかし、♂アサシンの思いを知ってか知らずか♂セージはかぶりを振って言う。

「いえ、あの子はまんまと盗んでいきました…」

怪訝な顔をする♂アサシンを見返して♂セージは真面目腐った顔で続ける。

「貴方の心です」

♂セージの言葉が心に染み渡る。
ああ、そうだったな。
アイツは、俺の…。

「ああ…!」

♂アサシンから自然に笑みが漏れ、肯定の言葉を紡ぎだした。
♂セージはその笑みを見て胡散臭い笑いを返すと一礼する。

「それでは…」

そう言って♂セージは頭を下げると♀ノービスを追って駆け出していく。
♂アサシンはただ笑って駆けていく二人を見送るのだった。
148名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 15:20:46 ID:o1GddISo
♂アサシン、ロリコン確定記念アナザー>>95さんに捧ぐ!
相方役が♂セージなのはそれっぽいコートを着ているのと
ロリキャラ相方に浮いた話が一つも出ないからさっ

>>137さんのお話
一読者として、♂騎士贔屓とは思いませんでした
ただ、>>82のお話で

>GM?
>ああ、彼らは女王陛下の親衛隊だよ。
>今言ったスキル制限を受けないようにする装備を身につけているから、
>島の中では無敵だけど外に出ればちょっと強いだけの普通の人間さ。

となっているわけで、身体強化や精神操作をやすやす行える超人ではないと思うのです
前作なら間違いなくやれたのですけど、話の筋はすっごく好きなので
よろしければちょこっと修正していただけるとうれしいです
149名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 15:29:55 ID:nwnZRRUM
>>144
それぞれの思考の話中ではGM橘が猊下と言っているのだから
シュバルツバルド共和国のスパイっていうことはないんじゃない?
それに同盟国をスパイするのよりアナベルツ教国のスパイとして送り込まれる
っていう方が自然じゃない?
150名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 15:39:09 ID:ieYfxVqU
>>148
改造って言ってもそんなすごいもんじゃなくて、
例えば道騎士のテンションリラックス並みにHP回復するようになってるとか
催眠術みたいなもんとかそういうことなのかも。
151名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 15:50:54 ID:SiXL1gmo
私は逆にだいぶ♂騎士贔屓されてんなぁ、と思っちゃった。
書き手さんにってのはもちろんそうですが、GM達にも。
ローグは面白くなればいいなと武器を渡されたけど、それでも包丁と普通の弓。
対して、この場合♂騎士は「必ず優勝するために」いろいろしてもらえたってことに。
ジョーカーとしては主義に反しそうだし(♂騎士が優勝したらイゾルデを殺す予定なのだろうから)
彼らの行動に気付かないほど抜けてるとも思えないような…泳がせる理由を誰かが書けばいいのかな。
加えて>148氏と同じく、橘と森に改造を施すほどの超常的な能力があるのかにも疑問。

で改造部分について、>150氏みたいにするとしても、というかスキル制限された環境下で
HPRが普通に発動するのも、十分すごいと思うので(LKのスキルについては分からない…)
「これぐらいの怪我なら何も心配することはない」をもっと軽くしてみればいいんでない?

てか、♀プリのお父さん死んでたの?
あ、♀プリの父親が一目置いていた、を言い換えて騎士団長も一目置いていた、にすれば
>>143の「GM橘が♀プリの父親を妙に恐れてる」も解決でない?
上司として部下をちゃんと見てたってだけになるし。
152名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 16:03:31 ID:ieYfxVqU
♀プリの父親が云々はNGになった「親馬鹿の駆け引き」を引きずってるのかと
思わなくもない。
153名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 16:15:03 ID:yFh80ciI
106.種族を超えた絆 [1日目夕方]

…間違いない、アイツだ。俺達の言葉がわかる人間なんて世界のどこ探したって1人しかいねぇ。
最近さっぱり見かけないからどこほっつき歩いてんだと思ってたら…そんなものに巻き込まれていやがったか。
全く世話の焼けるヤツだ、昔から。
「しょおおおがねぇなぁ。めんどくせーがちょいと行って来るわ。なんせアイツはオレサマがいないとなんにもできないヤツだからナ!」
と、アイツの話をしてくれた仲間の鷹に言った。そう、アイツはオレサマがいてやらなきゃだめなのだ。


『ねぇ、あなたのお名前は?』
そんなもんねぇよ悪いか?オレサマはオレサマ、しがない鷹の一羽(ヒトリ)だよ。
『名前ないの?じゃああたしがつけてあげる。んーとねぇ……ファルコンだからふぁるでいい?』
おいおい安直だナ。それにもっとこうオレサマにふさわしいカッコいい…
『じゃあ今日からあなたはふぁるねー。』(ぎゅー)
おいこらやめろっ。オレサマの美しい羽が乱れるだろう!
それに誰もいいなんて言ってな…
『わーい、ふぁるーふぁるー。』

『あ、ヘアバンド落としたよ?やったー!』
ふっ、オレサマに感謝しろよ。オレサマの日頃の行いが良かったからだからナ。
『うん。ふぁるーありがとね。』
そうそう、ちゃんとわかってるじゃねぇか…っておいまてこら、何をする!?
『え?ふぁるにつけてあげるんだよ?』
い、いらん、そんなもの。それに頭に付けたら自分でとれねーじゃねーか!
『遠慮しなくていいから…ほらやっぱりかわいー』(ぎゅー)
だからそれはやめろっていつも言ってるだろう!
『わーい、ふぁるーふぁるー。』

『ふぁるぅ…』
なんだよ、情けない声出してんじゃねぇよ。
『あのね、矢がなくなっちゃったんだけど…どうしよう?』
あのな、オレサマは冗談は好かんぞ。
ダンジョンのど真ん中でそんな下らないこと言ってんじゃねぇ。
『ごめんね、ほんとなの。どーしよ、どーしよー?』
…知らん。オレサマは飛べるし一羽(ヒトリ)でも帰れるから別に困らねぇしナ。
まぁここらの亡者達も新しい仲間ができてさぞかしうれし…
『うう……ぐす……ひっく…』
ああもう泣いてんじゃねぇよ、泣いて助かるんならケーサツはいらねー(!?)っての!
『ぐすっ…えうう』
……ったく、しょうがねーなー。今夜は肉奮発しろよ?
『ぐす…え?』
あのな、次やったらホントに見捨てるが今日は大サービスだ、しっかりついて来いよ!
『う、うんっ』
おーらおらおらー!この嘴のサビになりたくないヤツはそこをどきやがれ!


確かあの後は羽をまた揉みくちゃにされた挙句、そのまま寝やがったからオレサマは晩飯にありつけなかったんだ。
でもまぁ翌日の晩飯は上等な肉だったからココロの広いオレサマは許してやったけどナ。

そんなことを思い出しながらアイツの倉庫を引っ掻き回す。
モンスターの人形やら、大量の白い毛、色とりどりのハーブ、変な耳みたいな飾りがついたヘアバンドなど全くロクなもんがない。
それでも奥のほうにアイツが昔使っていたらしい使い古しの弓があったので、早速それを両足の爪に食い込ませて赤い空に飛び立つ。

せっかくこのオレサマがわざわざ助けに行ってやるんだ!生きてなきゃ許さねぇからな!


<ふぁる 現在位置…フェイヨン上空>
<所持品:+2バイタルシュールドボウ[3]、リボンのヘアバンド>
<スキル:ブリッツビート スチールクロウ>
<備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない。ツンデレ?>
<状態:♀ハンターが行方不明で心配していた。居所がわかり居ても立ってもいられず島へ向かう。
島までの距離=島に着くまでの時間は他の人にお任せします。>
154名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 16:27:16 ID:yFh80ciI
>141読んでたら変な電波を受信。
ただの鳥は自由に島を出入りしているみたいなので許容範囲かなー…と
所持品の弓は、いかにも初心者が作りそうなものを、ヘアバンドは2つ目の回想でつけられたものです。
155名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 16:52:05 ID:o1GddISo
テンションリラックスってこの話だとかなりすごいことだと思うのです
HPRの超強化版のあれは、化け物の逆回し再生のようなものじゃないかと(言い方悪い
ヒールで傷がほとんどふさがらない、リザでも生き返らないのが肝ですので
座っているだけで傷がふさがるって言うのは死の危険性をほとんどなくすようなものです

そんなことになったら、あのバードの失血死が本当に道化になってしまう(泣

あくまでもこの島は装置の範囲内における、特定装備を持たないものを弱体化する結界なわけで
身体強化をしたところで他のキャラクターとトントンにしかならないと思うのです
(それ以前にただの人のGMがそんなこと出来ないが持論ですが)

アイテム性能≧戦術>>>>>>身体能力

がどうも大前提になるようですので。(だからノビでも二次職と対等に戦えるとも言う)
で、この大前提を反故に出来るのは特定アイテムなわけで
そんなものをGMジョーカーが見落とすはずもなしと

というか、それってGMそのものの身を危うくするアイテムですしね
いくらGM橘がアナベルツの狂信者としても、ルーンミッドガルドの中枢にもぐりこむには
相応の犠牲を払っているはずなので、そう簡単に己の身を危険に晒すはずもないと思います
GM森にしても金のためだけに命を危険に晒すほど馬鹿でないと思うのでその手の工作は難しいと思います

駄文の終わりに一つだけ建設的な疑問を一つ
結界を無効化する装備って何なのでしょうね?
GMの象徴であるバルムンなんかが適切?

>>152
そういえばNGにはやはり♂騎士が強化されていたのではという疑問系の話がありましたね

>>153
ツンデレ鷹さんキター!
かぁいい〜
156名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 17:05:37 ID:o1GddISo
あ、追記

イゾルデ暗殺計画ですが
「冒険者を毛嫌いしている彼女が」(それがBR法施行の原因)
「犯罪者への見せしめのゲームの優勝者に」(優勝しても所詮は犯罪者であり冒険者)
「一対一に近い状況で会う」(暗殺の条件)
というのはどうにもおかしい気がします。

普通のBRの終わりとしてはGMジョーカーが優勝者を迎えて

「オ・メ・デ・ト・ウ!君が優勝者だよ!
 さぁさ!君は晴れて自由の身だよ?どうしたんだい?浮かない顔をしているねぇ
 え?なんだって?聞こえないねぇ。ほぅ?殺人鬼?はっはっはっ!
 何を言っているんだい、私は誰も殺してはいないじゃないか
 殺したのは君たち冒険者、君自身を含む冒険者じゃないか?
 私たちを外道とののしるならば、まずは君の血に濡れた両手を見てみることだね!
 ふふふ、はっはっはっ、アーハッハッハッ!」

って感じのほうが刑罰としてふさわしいような気がするのです
157名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 17:15:17 ID:nwnZRRUM
いずれにしろ137の修正に期待で。
面白い展開ではあると思うしね。
ってかアナベルツ教国なんて始めて知ったな。
アナベルツ教皇が弱っているミッドガルド王国を
打破しようと目論んでいるということか。
158名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 19:34:13 ID:TdPdJIOk
 107二人は研究派

 はぁ…はぁ…はぁ…っ。
 な、何なのいきなりアイツっ!?ぶっちゃけアリエナイよっ!!どういう思考回路してるのさっ!!
 何度も転びながら走り続けたボクは、転がるように逃げ込んだ林の中で息を切らせながら走っていた。
 先生の目隠しのお陰で躓いたりする事は無かったけど、随分体をすりむいちゃったりもしたらしい。
 …って何でそんな風に過去振り返り口調で言えるのかって?全く。そんなだから落ちこぼれなんだよっ!!
 いい?このボクが現状を説明してあげるんだから、ちゃんと正座して聞くように!!

 ボクは今現在、何か変な顔の…って、これじゃさっきの○○○○と一緒だよね。
 表現を変えると、ギャンブルで身を持ち崩してそうな嫌な顔の魔術師っていうか。
 …全く。こんなのが同じ職業なんて思うとめまいがしてくる。
 あー、もう。一瞬でも弱気な顔みせるんじゃなかったっ。すぐに冷静さを取り戻したけどさ。
 ともかく、そのギャンブル狂にボクは逃げてる途中に出会ったんだ。
 (幸いにして○○○○は追いかけては来なかった)
 それで、今は──

「くっ…な、何て可哀相な娘なんだ…っ。そう、その胸ぐらいに幸運が欠けている…っ!!」
「うるっ…さぁぁぁいっ!!」
 文脈無視の不心得者には鉄拳制裁!!但し声の音量は抑えつつ。
 ぐあっ、とかなんとか悲鳴を残して♂マジシャンは転がっていった。
 それは兎も角。ボク達は夜の森の中にいる。それから、ちょっと前に放送もあった。
 …なんていうか、一言じゃその時の事を言う事なんて出来ないよ。

 そりゃボクだって、きゃーっ何て可哀相なのー、とか言う事が出来る程褒められる様な性格はしてないけどさ。
 ぐ、ぐくぅ…痛いぞっ…マーダーではない、俺はマーダーでは無いのにどうしてこんな仕打ちをっ…ぐぐっ…、とか
少し離れた草むらから変な声が聞こえてくるけど敢えて無視。
 その代わりに考える事は。

 ──さっきの奴が、どうしていきなりあんな事を言ったのか、と言う事だった。
 それまでは一応会話は色々と成り立ってたのに。
 例えば。まぁ、ありがたくも色々なボクの知らない先生の著書とそのテーマの話とか。
 (因みに、焚書されたとは言っても王立とかゲフェンの図書館の奥深く。そういう保存されてる場所には残ってるって話も)
 どうしてなんだろう?あの豹変が妙に気になってた。

 まぁ。マーダーだから、って言えばそれまでで、あんまり他人の事を勘繰るのは下種な考えなんだけど。
 こうやって色々考えてれば、色々混乱してても少しは気持ちが落ち着くからね。
 とりあえず考えを整理してみよっ。

 …先ず、彼は取り合えずボクと同じく、研究者肌の魔法使いって事。
 それで…悔しいけど、多分ボクよりも知識が多くて賢い。そりゃ認めるのは癪だけどさ。
 で、何か『実験』って言うのを考えてるらしい。多分、人殺しをしないと出来ないような。
 多分人体実験だと思う。や。だって、彼の話を聞いてると節々から理論が実践できない事への不満が見て取れるし。
 辛気臭くて死体みたいでも顔そのものは悪くないんだから、もうちょっと笑えばいいのにさっ…っとこれは余計だね。
 んー…思い出して解るのはこれ位、かな。

 ここからは最初に自分に言い訳をしとこう。
 ボクみたいな、殊に学会や教会から嫌われに嫌われまくってる様な魔術師にとって、禁忌なんて言葉は何の意味も無い。
 だけど。ボクはその上で断言しよう。あの魔法使いは間違っている。
 だってさ。考えてもみてよ。ボク達真理を志す者は、道徳的な意味を排してさえ、どんなに辛くても生き続けなきゃいけない。
 命を投げ出したらその時点で、真理への道は閉ざされてしまうからね。
 だから先生だって、幾ら愛弟子に裏切られても進む事をやめなかった。

 ──だけどアイツは。
 まるで手段と目的を取り違えてしまってる様な危うい感じがする。
 ぶっちゃけて言えば、彼が思ってる『実験』だってボクにとっては真理への階段の一つに過ぎない。
 だけど。あの魔法使いは、真理への手段が唯一の目的になってる…気がする。
 それじゃいけないよ。幾ら知識があっても宝の持ち腐れだって。

 っていうか…うー、危うく殺される所だったのに何考えてんだろ、ボクは。
 あんな奴の事、どうでもいい筈なのに。…何か、動悸が激しい気がする。
 つり橋効果…って奴かもしれない。む──つり橋効果、って確か。
 そこまで考えた所で、ボクは片手で顔を抑えて俯いた。ホント、こんな時に何考えてるんだか。
 だって。つり橋効果って、異常状況下での恋愛感情を指す言葉じゃないか。

 確かにアイツはメチャクチャ危うげでヤな奴だったけど。
 何か妙に捨て置けないっていうか。
 ──はっ!?

「駄目…っ。そんなんじゃダメなんだ…っ!!
 落ち着けっ、落ち着くんだよっ♀マジシャン…っ。そう、こういう時は素数を数えれば──って」
 …これじゃ、まるでそこに転がってる♂マジだよ。口調が感染ったのかも。
 見れば、そいつはすでに起き上がっていて寂しげにピンゾロサイコロなんて一人で弄んでいた。
 ぶつぶつと確率論を呟きつつ、ククク…カカカ…とか含み笑いしてる姿はまるで──

 ふぅ、とコメカミを人差し指で押さえつつボクは溜息を吐く。
 取り合えず現実的な所に考えを移そうっと。何をするにしても、やっぱり生きてなきゃいけない。
 素数を数えるって言う予定は止めにして、取り合えず生き抜くのに必用そーなPTメンバーとの社会的歩み寄りを試す事にする。

「あー、うんキミキミ。さっきの暴言の事は気にしないであげるから。
 この夜を生き残る手段を言うよ。どこに殺し屋が潜んでるかも判らないしね」
「それだっ…俺が求めていたのは正にそれ…っ、さぁ存分に話し合うとしよう…っ」

 電流が走った様に体を震わせつつ言う♂マジを前にしてボクはもう一度溜息を吐いていた。
 どうも、この人と話してると──

「と言うか、キミの物言いだとさっぱり議論が進まないから議論はパスね。次から出来るだけ改める様に。
 取り合えず、あんまり疲れてなさそうなキミが最初夜の番やってよ。ボクは少し眠らせてもらうから」
 と、ボクは真理の目隠しを♂マジシャンに手渡しつつまくし立てた。

「……」
「何さ。何か言いたいの?」
「いや、俺は何も──」
「なら良し。後、寝てるからって変な事したら死刑だからね」
「……被告側の主張は黙殺されてしまうのかっ……?というか、俺だって疲れている…っ」
「性犯罪者に人権は無いのっ。兎も角、ボクは休むから」

 そう言い捨てると、ボクはさっさと眠ってしまう事にした。
 ……ま、少しだけは冷静になれた、かな?

<♀マジ&♂マジ 場所持ち物状態変わらず 一日目夜、放送後>
159名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 19:36:01 ID:TdPdJIOk
色んな意味でフラグ立て。
貴方を追いかけて〜♪

…しかし地獄行く!!

二日目にも色々期待しつつ。
ノシ
160名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 20:38:58 ID:7XIlr/pc
108.砕けない拳 【深夜】

夏だって言うのにイヤに冷たい水が私を包み込む
さっき出来たばかりの傷に塩水が擦り込まれてえらく痛い
投げ落とされたガケはとてもじゃないけど昇れそうに無いほど高く伸びている
なら、ガケの切れ目まで泳いでいくしかない

「速度…増加っ!!」

波に揉まれながら精神を集中して加速の祝福を自分にかける。泳ぐ早さはこれで少しはマシになっただろう
次は崖が短いほうに…北に行くか、南にいくか、ああもっと地図よく見ておけばよかったな畜生
まあどっちだっていい、とにかく死んでなんかやるもんか
アイツを殴り倒して『神様には自分で伝えろ』って言ってやるまで死んでたまるか
水に濡れた服は鉛みたいに重くてスカートが足に絡まって凄く泳ぎにくい
それでもあきらめてやるもんか

『おまえ、神はこの世にいると思うか?』

まあ私だっておしとやかな同僚達に比べればずっと信心は浅いほうだと思う
当然その分神様の加護だって薄いかもしれない

でも、それでも

ただ信じるだけじゃなくて精一杯生き抜いてこそ神様は手を差し伸べてくれるんだって
私は、そう信じているから
この状況から生き残って、アイツにそのことを証明してみせる

でもひと掻きごとに腕の力が盛大に奪われ一押しごとに足の筋が攣りそうになる
波は容赦なく体力を削り海水を何度も飲みそうになる
何よりも先が見えないことで心がくじけそうになる
必死で泳いでいるのに少しも進んでいない気にさえなってくる
でも頑張らないと。心が折れた時に、このまま私は暗い海の底まで引きずりこまれるんだ



どれだけ泳いでも先は見えない。意思は後一押しで崩れて体はそれ以上に限界だ
ああ、先にようやっと崖以外のものが見えた
少し先に見える白い場所は浜辺なんだろうか。でも、畜生め、体が、言うこと、聞きやしない
あと少しだっ、て言うのに、心より先に、くじけた、体が動いて、くれない
私、出来る限り頑張ったのにさ…
やっぱり、神様は、居ないの、かな…






腕を誰かが引っ張ってくれている
ばしゃばしゃと必死で水を掻く音
ああそうだ、すっかり忘れてたよ
アンタを、一人にするわけにもいかないしね…
挫け掛けていた心が、また小さく、でも確実に鼓動を始めた
まだ腕は動く。限界だろうと、動かしてみせる
生きて見せるんだ、絶対に



「ぜーーーーっ…ぜーーーっ…ぜーーっ…」

……そうして、私は子デザの助けもあってなんとか浜辺に泳ぎ着くことができた
ふらふらとおぼつかない足取りで二、三歩進んだところでぐらりと体が前のめりに倒れる
身体を支えようとしても腕が上がらず、私は真っ白な砂の上にうつ伏せに倒れた

「げぼごほっ!!ぐぅぇほっ!!」

倒れた衝撃で塩辛い水がびちゃびちゃと口の中から零れて何度も咳き込む
ああ、ホントに死ななかったのは奇跡かもしれない
神様サンキュー。さっきは疑ったりしたけど、これからはもっと信心深くなることにするよ
その神様の使者だった子デザは私の横でぶるぶると身体を震わせて水気を飛ばしている
はは、同じ距離泳いだってのに…元気なヤツ…若いって良いこと…だ…
身体を限界以上に…酷使したせいで…睡魔が…襲ってきた…
あー…もうダメ…寝たらダメだって…思って…も…眠気に勝てそうに…ないや…
…眼が覚めたら…あのコのエサ…取りに…帰らないと……



<♀アコ:E−9崖の切れ目の浜辺で昏睡>
<所持品は全てD−8に放置>
161名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 20:39:38 ID:Egz2aJyw
これまでのあらすじ?的な現状のまとめを。
ただやりたかっただけというか、自分のためにというか。スレ汚し失礼をば。

マーダー(含マーダー寄)
♂ローグ:殺す為に殺す、それを楽しむマーダーの中のマーダー。窮地、脱するか?
♂ウィザード:研究の為、愛した彼女の為に人体実験材料を求め彷徨う。ヘタレの汚名返上なるか
♂ソードマン:ヘルファイアに操れるが、身体能力の限界を越える薬のあった♀剣士よりマーダーとしての格は多少劣るか
♂クルセイダー:優勝経験者にして、死なない為にルールに則り人を殺す。能力、装備共にバランスが良い
グラリス:元軍人。Wの命を救う為に戦う。現時点、マーダーの中で装備は最も充実している
ミストレス:「器」を求める仮初の肉体ながら、その魔力は侮れない。憎むはジョーカーだが、立ちはだかる者には容赦無し
♀ケミ組:生き延びる為に♂BSを利用しようとしているが、淫徒プリの飛び入りによりひと波乱あるかも?

非マーダー
未亡人組:殺戮ゲームを止めたい♀Wizと、知らず協力しようとす男二人。拾った♂騎士の同行は・・・?
♀BS組:憎めない♂スパノビ、それを護ろうとする女二人。この先の展開に期待
♂セージペア:未だ謎多き♂セージと、成り行きでそれに同行する♀商人。一体♂セージは何を考えているのか
♂モンクペア:互いが互いを護ると決めた、♂モンクと♀騎士。愛の逃避行?の先には何が待つ
♂ケミペア:主人公系キャラながらいまいち目立たない♂ケミ。♀クルセと共に今後の活躍に期待
王子様ペア:妄想姫に振り回されつつも、必死でそれを護ろうとする王子様。なんとか♂ローグの襲撃を切り抜ける事に成功
女王様ペア:ジルタスも♂ローグから遁走。しかし先に逃げた筈のご主人様、♂アコは今どこに
ロリコンズ:♀ノービスを護り抜く、迷いを捨てた♂アサシン。死亡フラグが垣間見えたのは気のせいの筈だ
♀ハンタペア:しっかり者の妹(スパノビ)と、少し頼りない姉(ハンタ)。妹は知力経験戦闘力共に長け、姉には鳥が味方?
マジシャンズ:イロモノコンビ、マジ二人。♂マジはギャンブラー(?)、♀マジは・・・マッドWizに恋心!?
特別枠ペア:悪ケミ・忍者の二人組。ここまで書いてお前等カップル成立し過ぎだろと思えて来た。チクショウ
♀アコ:♂クルセと戦闘。善戦するも、最後は崖から落下。彼女の運命は・・・?
グラサンモンク:過去に心に負った傷。復讐を誓い生きてきた孤高の男。目に映る者達を守る為、ひとり起つ
ホルグレン:家出した娘を想い、生き残ろうと決意するクホ親父だが、その娘がこのゲームに参加している事は未だ知らない

???
ふぁる:♀ハンターの愛鷹。主の危機を知り、颯爽と・・・駆けつける為にバトルゲームの舞台となっているを目指す
寄生虫:大臣の死体を貪り、孵った寄生虫。誰もその存在を知らない、危険因子である
162名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 20:49:59 ID:7XIlr/pc
>>137
色々惜しいと思うから改造云々のところだけ修正に一票ー
あと教国、β以降に重力になかったことされたんでしたっけw

>>153
鷹かわいいよ鷹
確かアチャ転職クエでコンポジかロングボウ作らないといけなかったから弓はそのあたり?

>>156
いいなぁ、ステキなGMジョーカー。悪役萌えw
163名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/19(土) 21:33:37 ID:XPXogyrg
>>137
むぅん。
まーあんまりGMがらみの人間ってのをほいほい出すべきじゃあないですよね。
♂ローグも前回の♂BSもややずるい印象がありますしね。
いち書き手からすると
ちょっと♂騎士の設定を一話に詰め込みすぎかなぁと。
164名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 01:18:17 ID:Sa0N5.a6
あまり「特別扱い」なキャラは出すべきではないかと思います。

次の話で誰かに後ろから突然ざっくり殺される…なんてことを書いたら
NGにされてしまいそうな雰囲気…
165名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 01:38:29 ID:YqOEH9YQ
>>164
ちょっと言っている意味が理解しきれてないかもしれないが
基本的にここの住人は筋が通っていたら
誰が何処で誰に殺されていい覚悟は完了していると思われる

たとえ♂ローグが石にけつまずいて脱臼、禁止区域内で爆死しようと
♂ケミ♀クルセ組が狡猾な♂WizのFW、QM嵌めの前に全滅しようと
♂騎士が未亡人PTをマーダーから逃がすために死のうと
前に書いた人の設定を無視してない限り残念に思っても文句は言っちゃなるまい

というか、>>137に突込みが多いのは>>82の設定を根本的に無視しているからではないか?
リレー小説の場で自分の設定を尊重してほしければ
他人の設定(無論投稿のルールを含む)を尊重するところからはじめないとダメだと思うんだ
166名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 01:39:04 ID:ywz4KDU.
>>162
その通り、ボウ[3]は転職クエのものです。(もし貰えるのがボウ[4]だったらごめんなさい、確認とれなかったので。)
あとは初心者が拾ったカードやプラコンをそのまま使っていったらあんな感じかな?と。
他にも、鷹師ってことで倉庫にこっそりうさみみの材料混ぜてみたりしてます。

また、ふぁるについては>>155さんにもかわいがられていますが、書いた自分でもかわいいと思います。
どうみてもただの親バカです。本当にありがとうございました。
167名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 02:53:19 ID:VUXolyKc
あんまり新規で投稿する意味がなさげと感じたので
NGで「こうかもしれなかった」バードの末期を投下ですよ、と。

-------------------------------------------------------------------------------
 夜空の月(NG)

 世界は、灰色だ。
 銀色って言うには艶が無くて。
 鋼色って言うには強くも無い。
 燃え尽きた、終わってしまった、どうしようもない色。
 男の目の前には、それがある。

 ──痛ぇ…こりゃ、ダメそうだなぁ。

 呟き、彼は血色の息を吐いた。もう一歩も動けまい。
 ごふっ、ごふっ。咳き込むたびに喀血、しかし、それは男の生を認めないとでも言うように、月に彩られて黒い。
 億劫な体をおして顔を上げると、銀色と黒。唇の端を皮肉げに歪めた。

 ──こんなもんかよ、俺は。

 そんな諦めと共に思う。
 …まぁ、初っ端からあんな相手に当ったのが運の尽きだったのだろう。
 そして。いざ本当に死ぬとなったら痛いだけではなく、こんなにも寒くて眩暈が酷いのか、と他人事の様に思った。
 段々と目の前が暗くなっていくのが解る。
 けれども、彼は気力を振り絞り自らの意識を繋ぎ止めた。
 こんなに佳い(いい)月夜なんだから。まだ、死んでしまうのには惜しい。

 ──何馬鹿な事を考えているんだか。今すぐにでも、意識の手綱を手放してしまえば楽になれるだろうに。

 世界は──灰色だ。
 世界は死人装束のローブの様に灰色だ。
 この詩人をして皮肉の一つも浮かばないほどに酷く頭の回転が鈍い。
 代わり彼はに思い出していた。何時かの記憶。懐かしい場所の──

 イズルードの剣士ギルド。
 あれは、冬に程近い寒い日。曇りがちの空。俺が詩人になって暫くしての事。
 俺の妹が剣を振っている。いつものように。
 俺はそれを横目に見ている。いつものように。
 言葉一つ交わさない兄妹の関係。

 俺は詩人で冒険者。魔物を射殺し、詩を歌い糊口を凌ぐ。
 妹は剣士でお嬢様。剣を振り、何時果てるとも知れない灰色の時間を過ごしている。
 俺は皮肉に塗れていて、妹は世界への憎しみに満ちていたんだろう。
 ──ある意味俺達は似ていたのかもしれない。
 お互いに本当の意味ではたった一人でしか無かった、と言う点で。

 グラリスの言葉が甦る。
 『それは誰かを待っていたからに決まっていますでしょう?来るか来ないか分からない人を毎日ですわよ』
 本当にそうだったのかは判らないし、鵜呑みにする程単純でもない。

 だが。

「本当は、そうだった…って信じたいでゲスねぇ…」
 呟くように言う。夜空を見上げて。
 そこには輝く月。灰色の男を木々から零れた銀色の光が差す。
 あの女の言葉が事実だったとしたら、一抹だけでも俺達には救いがある。

 ──この記憶には、続きがある。
 俺が今の今まで。あの女に言われるまで、背を向けていた心の引き出しに仕舞いこまれて。
 酷い皮肉だ。これでは誰が詩人なのか判らない。気づくことさえ忘れていた。
 思考が混乱している。感覚が排除される。腹から随分と血が流れてしまっているからかも。

 イズルードの剣士ギルド。
 あれは、冬に程近い、寒い日。曇りがちの空。雪が降りそうな曇天。
 俺は、剣を振る妹を見ている。いつも時折そうしてきた様に。

 灰色の空。灰色の石畳。灰色の詩人。灰色の──世界。
 背を向けかけたその時に、肩に冷たいものが当った気がしてあの時、空を見上げた。
 銀色。雪だ。広がる曇天から雪が降っていた。

 ゆっくりと降りてくるそれは、白く、まるで灰色の味気ない世界を覆いつくそうとする様で。
 俺の世界を変えようと、いや、まっさらに戻そうとするように白く、銀色で。
 空っぽな妹の心の穴を埋めようと、何処までもしんしんと積もっていく。

 そして馬鹿みたいにじっと空を見上げている内に気づいた。
 妹も又、俺と同じように、同じような顔で空を見上げていた。
 気づいたのも殆ど同時だったらしくて、期せずして目が合っていて。

 ──その時に、何か言ってやれば良かったんだろうなぁ。
 ごふごふ。むせ返る。血は黒い。空は黒にくすんだ蒼と、銀色。

 けれども、俺は何も言えなかった。
 俺は皮肉な笑み。妹は作ったような歪な笑顔。

 雪が酷くなり白が積もる。積もる。時間が経つ。あの時は既に夕方が近くて。
 じっと見ている内、あの季節には珍しく雲は分厚く段々と暗くなってきていて。
 今は目の前も暗い。

 ああ。その時の雪もだんだん灰色になったんだったっけか。

 降りしきる雪が分厚い曇天に染め上げられた灰色の世界。
 白い世界は灰色に染まり空しく。俺達の灰色は何処までも灰色で。
 妹は雪を撥ね退けながら剣を振る事しか出来ず、俺は雪を積もらせながらそれを見ているだけ。

 記憶の中の俺に、一人蚊帳の外の俺は言う。
 もし。お前達がその時言葉を交わしていれば。
 詩人の俺が。後もう少しでも色味のある人間だったなら。
 ──止めよう。意味の無い思考だ。
 だが、果たして全ての末期の思考に意味などあるのか?

 そんな思考に時折、稲光の様に閃くのは凶悪な笑みの女。
 獰猛な笑みの女。手には剣と弓とそれから長い長い針。
 誰かの腹に針を矢を。熱い物が流れ出る。
 流れる。目と腹から。

 空を見上げると綺麗な銀色。灰色じゃない、綺麗な銀色。

「最後まで、引きずられっぱなしの逃げっぱなし、って訳だったか」
 逃げて逃げて自分の不幸に溺れて、喘ぐように灰色の日常に逃げ込んで。
 解決方法なんて、最初から見えていた筈なのに。

 ──しかし。
 言葉とは反対に詩人は不敵に笑った。
 引きずられたままで居られるほど俺はお人良しじゃなかった筈だ、と。
 左の頬を殴られれば、思い切り右の頬を殴り返すのが男の信条である。
 だったら。今の今まで自分を引きずりまわしてきた憎い女だって、何度でも殴り倒せる筈だ。
 殴り倒し殴り倒して、乗り越えられる筈だ。非生産的なニヒリズムから抜け出して、何時かの間違いを正せる筈だ。

 震える手で矢を番えると、膝の上に鋼の塊の様な弓を載せる。
 甦るのは言葉。残った物は求める物。
 『それは誰かを待っていたからに決まっていますでしょう?来るか来ないか分からない人を毎日ですわよ』
 ならば。俺は。もう一度だけ。強い強い力を込めて言おう。

 ──さぁ、来てみな。今度こそ俺は逃げないから。

 ひゅう、と空気が彼の口から漏れて口笛の様に鳴る。
 そして。月が背を大樹に預け、弓を膝の上に載せたまま事切れたその詩人を照らしていた。


<バード 持ち物場所変わらず。死亡>
追記:グラリスと遭遇後暫くの時間が経過している。放送後である。
168名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 03:40:16 ID:GKQO7kX2
103.間者【明け方】

諸君はアナベルツ教国をご存知であろうか?
フレイアを信仰している宗教国家であり軍事国家である。
ちなみにミッドガルド王国の主神はオーディン。
シュバルツバルド共和国と神聖ミッドガルド王国が同盟国で
あるなら、アナベルツは敵対国だ。
アナベルツ教国はミッドガルド王国の東に位置する。
まあ、二つの国が対立する原因は色々あるが
一番の理由は宗教の違いであろう。
アナベルツは教国と名がつく通り教皇を頂点とする熱心な宗教国であり
異教国のミッドガルドを討ち果たそうとするのは自然の成り行きであった・・・・・・。

更なる薀蓄を披露することもできるがスペースが足りないことは必至なので物語に入ろう。

***

もうすぐ日の出を迎える時刻。
いつもの霊廟のごとき地下室でGM橘とGM森は密談していた。

「おいおい、どうなってるんだ?♂騎士の奴ヤバイんじゃないのか?」
あらかさまに不満を体全体で表しながら抗議するGM森。

「オーバーリアクションはやめてください。まだ想定範囲内です」
GM橘はうるさそうに眼鏡をクイッと上げる。
ロウソクの光が幽かに二人を照らす。

「しかし、そうは言うがなぁ。もしアイツがリタイアしたら
トトカルチョで俺は破産するぞ」
そう、GM橘が彼に胴元の話を持ちかけ彼はその話に乗った。
そして彼らは本来参加予定の♀プリと♂騎士を極秘裏に処分し
代わりに彼らを無理矢理ゲームに放り込んだ。
そしてGM森は大穴の♂騎士に有り金を全部賭けている。


「おやおや、彼に特性のプロテインを飲ませたはずでしょ?
それなら何も心配は要らないかと思われますが・・・・・・?」
むう・・・・・・とGM森は唸る。


特性のプロテインというが実はGM森がアサシンギルドから
調達した強力な麻薬の一種だということをGM橘は知っていた。
ハシーシャンと呼ばれる服毒暗殺者が使用している
麻薬をひたすら純度を高める。
そしてその中に企業秘密な物質を混ぜるとできあがる実験的麻薬だ。
どうやってGM森がそれを手に入れることができたのかは不明だが
効果は予測できるだけで反射速度向上、肉体増強、痛覚遮断などであろう。
さらに最初から状態がおかしいことをGMジョーカーに悟られてはいけないから
段々と効果が出るようGM森が調整したものだ。
ただし、どれくらい寿命が大幅に削られるのとかは知ったことではない。
4日間保ってくれればいいのだ。
これぐらいの怪我なら何も心配することはない。


「だが、問題は精神の方だ!」
唸っていたGM森が激情を抑えきれず思わず声を荒げる。
男の腐ったような♂騎士に男らしさの塊のような彼が憤りを覚えるのも無理はない。

「落ち着いてください。確かに愛した女の一人も守りきれないどころか
自らの手にかけるとは愚かとしか言えませんがどうせ足手まといだったのです」
本当はその言葉とは裏腹にGM橘は何故、彼がそうしたのかを知っている。
だが、とりあえず彼は慰めるようにGM森の肩に手をかける。

「ええい!やめろ!大体、本当にアイツが苦労して探し当てた条件を満たす者なのか!?」
GM森がGM橘の手を乱暴にはねのける。

「ええ・・・・・・最初から殺人オーラを発している者は徒党を組んだ者達にやられます。
しかし、本来の姿を隠し、一番最後で力を発揮できる♂騎士こそが理想なのです。
現に彼は最強レベルのPTに潜り込んだではありませんか?
さらに彼の潜在能力は著しく高い。調べたところロードナイトである
死んだ♀プリの父親も彼には一目置いていたらしいですよ?」
GM橘が眼鏡を抑え、ニヤリと笑う。
ロウソクの光が銀眼鏡の表面で揺れる。

「一つの体に二つの魂か・・・・・・面倒な奴だ・・・・・・」
GM森が渋々納得し、謎めいた言葉を残した。

こうして彼らは各々の部屋に戻る・・・・・・

***

「頼むゼ♂騎士・・・・・・大金をせしめて面白おかしく生きてやるんだからよ!
・・・・・・っておっととと」
GM森は思わず顔がニンマリとするのを必死で手で隠すとズンズンと進んでゆく。

彼は金と己の腕力のみを信ずる・・・・・・。

***

「必ず優勝してイゾルデとの目通しの時、その首をもぎ取ってください・・・・・・。
貴方は聖戦士なのです。猊下のためにその命捧げるのが使命なのですから・・・・・・!
ククク・・・・・・ハハハ・・・・・・アハハハハハ!」


♂騎士にGM森がを麻薬を投与したならGM橘が暗示をかけた。
それはどうしようもない恐怖を植えつける暗示である。
スパイとしての特殊訓練を積んでいる彼の特殊技能の一つだ。
もちろん、洗脳というほどのものではないが深層心理に植えつけられた
その暗示は島の異様な雰囲気の中では♀プリを殺してしまうほどの
強大な狂気と化す。


「貴方は本当に優秀な駒です・・・・・・いきなり期待通りの事をしたのですから・・・・・・。
足枷を自ら外してしまいましたね・・・・・・ククククク」


GM橘はアナベルツ教皇のみを盲信する・・・・・・。

***

「哀れな男ですねぇ。しかし、美味なる料理には必ず隠し味が必要といいます。
女王様の舌に適う料理をお作りになられてくださぁい。ふふふふふ・・・・・・」

体が異様に熱を持ち、のた打ち回っているその哀れな男を
GMジョーカーはただ、愉快気に観察する。
残念なことにGM橘の目論見が明るみに出たのは今回の
バトルロワイヤルが始まってからだ。
GMジョーカーとしてはイゾルデ様のゲームを汚されるのは
激しい怒りを覚えている。
しかし、ゲームを中断して♂騎士を連れ戻すのは自らの無能さをイゾルデ様に
曝け出してしまうことになるので絶対に嫌だ。
ならば♂騎士にはせいぜい踊ってもらうだけだ。

「さて、お目通しの時にイゾルデ様を暗殺する計画ですか・・・・・・」
だが、ふと、GMジョーカーは考え込む。
確かにイゾルデ様は勝ち抜いた者を見たいがために
優勝者とだけはお目通りする。
だけど、それは自分も含めて厳重なGM達の警備の中でのお目通りになる。
例え、♂騎士が優勝したとしてもどんなに強者でも一人では暗殺は無理だろう。

「他にも実行部隊が居るということですかぁ・・・・・・一体誰でしょうかねぇ・・・・・・?」
となるとGM橘と♂騎士とその他の戦力で一気に襲い掛かるしかない。
ならば相手方の戦力をなんとか早急に割り出さなければいけない。
GM橘をまだまだ泳がせなければいけないようだ・・・・・・。

「だが!それもいいですねぇ!一網打尽にしてイゾルデ様にさらにさらにお褒め預かろうでは
ありませんかぁ!あーははっはははは!」
GMジョーカーは若きイゾルデの肖画像の前で笑い狂う。


GMジョーカーはイゾルデのみを狂信する・・・・・・。

***


明け方、♂騎士は体が灼けるような熱さと闘いながら内なる声を聞いたような気がした・・・・・・。


<♂騎士>
現在位置:E-3
所持品:S3ナイフ、ツルギ
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔
備考:特殊プロテインによる体全体の発熱。未亡人PTに同行するかはまだ不明。

<残り37名>
169名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 04:01:11 ID:GKQO7kX2
>>167
普通に感動しました。
NGじゃなくてアナザーストーリーのがいいのでは?

すみません。
>>82のGMが女王の親衛隊というのはすっかり忘れてました。
GMジョーカーの惨劇開幕での一撃♀モンクノックアウトや
>>前回、抵抗する人が多かったものですから、
>>私、お仕置きしすぎちゃって参加者減らしすぎて
>>女王様に怒られちゃったんです。
っていうGMジョーカーのイメージが強かったので。

GMジョーカーだけはちょっと強い普通の人じゃないような気がする。
17082sage :2005/11/20(日) 08:08:53 ID:QEifk9NQ
>>168-169
ええ大変失礼をば。
1つの話で設定決め過ぎかとも思ったのですが、それ以上に説明不足を痛感orz
「ちょっと強い普通の人間」って誤解生む書き方ですね…。
ジョーカーについては>>73の話があるので、GM=人間かな、と思いまして。
一般人と言うつもりではなく、前回ROワのような神に近い存在ではない、という程度の意味のつもりでした。

>>167
すごい。その一言に尽きます。
前の話と矛盾があるわけでもありませんし(むしろよくぞここまで活かせるものだと感嘆)、
アナザーで有効希望。
171名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 10:00:38 ID:jDWbwqNY
おおぅ書き忘れ。
>>155
結界無効化装備が何かは後の方が決めることで、私の書くべき事ではないのでしょうが…。
>>82を書いた当時ノーミソをかすめて1人笑っていた(不気味)のは、
『実はピエロ帽がそれ』ってネタでしたw
172名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 14:46:11 ID:2gY/P.EU
>>167
GJ!バードは死んでしまったんだなぁ、と改めて感じました。
せっかくだしNGではなくアナザーにして
バード死亡話の最後にリンク捻じ込むのはどうか

>>169
前回・今回のジョーカーによる暴力は、
参加者の能力が著しく落ちている結果ということでは?
「ちょっと強い普通の人」っていうのは、ただの一般人という意味ではなく
「二次職よりちょっと強いけど普通の"神がかっていない"人間」
と受け取っていました。前回のGMがまさしく神状態だったので。
ここは人により受け取り方の違う表現ではあったけども。

あと修正してもらったところ悪いんだけど、ちょっとまだ足りないと思い。
>>156を見て「女王様はお目通りをしたい」という部分が入ったのだと思うんだけど
やっぱり>>156の指摘を読んだ人を納得させられるほどのものになってないかと。

私としてはお目通り自体ありえないだろうとは思うんですが、あったとしても
お目通りに武器の携帯が許されるはずもないだろうし、今回使用された4日保てば
いいやっていう薬じゃ勝利後の謁見に馳せ参じることすら無理なような。
流石に血に塗れてボロボロの状態の、ゲーム終了直後の冒険者(犯罪者)を
謁見の間に入れることは、臣下も許さないでしょう。
あそこからジョーカーが橘の背後関係に気付くところが凄くいいんだけど、
やはりまだいくらかの矛盾を産んでいる気がします。

そして感想。遅効性の麻薬って随分危険なシロモノを採用したなぁ…森と橘…
♀プリと♂騎士を同じ場所に飛ばせるくらいの操作が可能なら、
ローグからも離してあげればよかったのに。バードダンサーが偶然の
気まぐれを起こさなかったらお前のトトカルチョ速攻潰れてるよ…
しかし最後のほうの子供みたいなジョーカーもまた良いですね。「人」っぽい。

>>171
みんなでピエロ帽争奪戦…実はジョーカーは若ハ…ゲフンゲフン
173名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 18:01:30 ID:GKQO7kX2
>>172
そうかな。
プロローグでは

>>くす、くすくす
>>大臣達が退出し、人気の絶えた会議室。その窓際でイゾルデは笑う。
>>(冒険者たちよ)
>>(あなた達が本当に英雄であるというのなら)
>>(勝ち抜いて勝ち抜いて、その証を見せるがいい)
>>くすくす、くすくすくす――
>>いつまでも、いつまでも、忍び笑いは響き続けた。

とあるように勝った者の姿を見ることぐらいは十分あると思う。

Wikiの方でとりあえずそれについて書きますが。
174名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 18:15:06 ID:9PC9BSo6
109.比翼の鳥【未明】


ねえ、比翼の鳥って知ってる?
違うって。その肥沃じゃないわよ。もうっ、頭悪いわねー。
龍之城に伝わる古い伝承で――む。そんなの知るわけないだろとかウルサイわね。あなたは黙ってありがたく拝聴するの。いい? ほら、返事は?
…………
ん。よろしい。
でね。その古い言い伝えなんだけど、龍之城の近くの山に、一羽につき片方ずつしか翼のない鳥たちがいたんだって。
で、翼が片方しかないから、やっぱり飛べないわけ。
――こら。そりゃ当たり前だろ、とか言うな。
ったく、最後まで話を聞きなさいっての。もし次、話の腰を折ったら、あんたの腰も折るからね!
ほら、返事。へ〜ん〜じ〜っ!!
……ん。分かればよろしい。で、どこまで話したっけ?
うん、そうそう。その鳥が飛べなかったってとこまで話したわね。
やっぱりね、片方しか翼がない鳥だから、一匹じゃ飛べないのよ。
だからね。
一匹一匹じゃ飛べない比翼の鳥たちは、いつもつがいになって飛ぶの。
え?
つがいって、何――ですって?
………………
…………
……待って、少し待って。せめて頭痛に耐える時間を頂戴。あとそれから深呼吸もさせて。
ああ、もうまったく……今日ほど、あんたの頭を憐れに感じたことはないわよ。というか、あんたも騎士ならこれくらいの教養くらい身につけてないと、今後色々と問題があると思うんだけど?
その……色々は色々よ。ほら、舞踏会とか社交場とか、そういう席とかに出るようになった時に品格とか知性とかって滲み出ちゃうものだし。
だぁーかぁーらぁー、俺には華やかなのは似合わないとか言ってる場合じゃないのっ!
あなたの品性と知能が疑われると私が困るのよ。
え?
何が困るんだ――って、その……だ、だってほら……えーと……
ああ、もうっ! 何だっていいじゃない!
とにかく、私が困るんだから、それでいいでしょ!
てか納得しろ! 無条件で受け入れろっ!
…………
ん。よろしい。本ッ当に物分りのいい下僕で助かるわ。
これでもう少し鈍感じゃなかったら、もっと良いんだけどね……
……ううん。なんでもない。なんでもないわよ。
ああ、それでつがいの意味だけど――
…………
……やっぱやめた。なんか癪だし。
ま、どうしても知りたかったら、図書館にでも行って自分で調べてくるのね。

 * * *

赤く燃え出す東の空と、追い立てられたように西のかなたへ沈む月。
中天の星々は深い群青色の空で瞬きを絶やさなかったが、それもいずれは朝日の輝きに姿を消してゆくだろう。
その朝焼けの空に向かって歩みだした♂騎士の背中に、見張りに立っていた♀WIZは躊躇いがちに声をかけた。
「どこへ行くのですか?」
振り返った彼の顔は逆光でよく見えなかったが、いくらか落ち着いていたはずだったのだが、未だ傷が痛むのか、汗をかいて憔悴し切っているようにも見えた。
いや、♂プリーストの治療は的確だった。
赤ん坊がひきつけを起こすような強面で、しかも何の冗談か修道女のヴェールを被ってはいるが、包帯の巻き方や消毒の手法といい、手馴れた感じすらあった。
ちなみに♂プリースト本人は「こんなの、俺の柄じゃねえんだけど」と終始言い張っていたけれど。
彼の処置は完璧だったからこそ、数時間の睡眠で♂騎士の体調が戻っていないことが♀WIZには不可解だった。むしろ、最初よりも悪くなっている気さえする。
ならば別の原因か。
この過酷な環境下で、真っ先に変調をきたすのは身体よりも精神――彼女がよく見る悪夢の中にも、孤独と恐怖から狂気に魅入られた女性がいた――だが、♂騎士にその兆候は見受けられなかった。それは間違いない。
なにせ、彼女自身が見張りを続けるという♂騎士の申し出を断って、渋々眠らせたのだから。
では、もっと別の原因だろう。そう考えた♀WIZの脳裏に、思い当たる節が浮かび上がった。
確かあの大臣は、この島には封印機構があると言っていた。訓練砦と同じ、結界内部にいる人間の能力を著しく低下させる封印が。
「……もしや、具合が悪いのではなくて?」
様々な抵抗力を低下させるとも言っていたはずだ。それは呪的なものに対する抵抗のみならず、体力や免疫などの人間本来が持っている機能すらも低下させているのではないだろうか。
それならば彼の異様な汗や体力が回復していないのもうなずける。傷口から雑菌が入り、感染症による体調不良を引き起こしているかもしれない。
「まだ休まれた方が……その身体では誰かに襲われでもしたら、ひとたまりもないですよ」
「……いいんです」
引き止める♀WIZの言葉を、♂騎士はやんわりと遮った。
「やることが――いえ、やらなきゃならない事が出来ましたから」
「でも……」
なおも食い下がる♀WIZに、♂騎士は申し訳なさそうにかぶりを振った。その顔に浮かぶ痛ましげな表情は、決して憔悴だけから来るものではないと直感的に悟った♀WIZは、言葉を飲み込んで押し黙った。
「あいつを、あのままにはしておけないんです。あんな狭い小屋に置き去りなんて可哀想だから――なんて、この俺が言えた義理じゃないけど。でも次の放送で、あいつのいる場所が禁止区域にならないとは限らないから……」
昇りゆく太陽に照らされ、足元まで伸びた♂騎士の影が半分の大きさになるまで、♀WIZはただ黙って彼の独白を聞いていた。
(こんな目をしてる人、私ごときじゃ引き止められないわね……)
♀WIZには♂騎士の涙に濡れた双眸に、夢の中で出てきた反逆者たちの瞳の輝きと同じものが見えていた。夢の中の彼らと同じ、様々な間違いを乗り越えて得た勇気と決意を。
だからこそ、余計に死なせたくないというのに。
「……どうか、お気をつけて」
だが、言えたのは、ほんのわずかな別離の挨拶のみ。
「ええ。皆さんも……」
♀WIZに深々と頭を下げ――少し離れたところで仮眠をとっている二人の男たちには、騎士団式の最敬礼を向け、♂騎士は朝焼けの方角へ向かって踵を返した。

 * * *

「あんにゃろ。俺たちが起きてたこと分かってやがったな」
「で、でも良いんですか? 彼をあのまま行かせてしまって……」
「……行かせてやれよ。俺は、あいつの懺悔を聞いた。だが、罪をあがなうのは、あいつ自身がやるしかねえ。それに――」
「それに?」
「この位置だとな、ちょうど人妻の魅惑的なヒップのラインがな、こう、キュッときてグッとくる感じで俺様のチャームな逆毛もそそり立――」
少しでも、この聖職者を見直した自分が馬鹿馬鹿しくなって、♂シーフは朝焼けに寝返りを打って背を向けた。


<♂プリースト>
現在位置:E-3
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し)、でっかいゼロピ、多めの食料、赤ポーション5個
外見特徴:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない)、怖い顔
備考:殴りプリ 、♀WIZ・♂シーフと同行

<♂シーフ>
現在位置:E-3
所持品:青箱(未開封)、多めの食料
外見特徴:栗毛
備考:ハイディング所持 、♂プリ・♀WIZと同行、盗作ローグ志望でちょっと頭が良い

<♀WIZ>
現在位置:E-3
所持品:ロザリオ(カードは刺さっていない)、クローキングマフラー
外見特徴:WIZデフォの銀色
備考:LV99のAGIWIZ、GMに復讐、♂プリ、♂シーフと同行

<♂騎士>
現在位置:E-3→F-3
所持品:S3ナイフ、ツルギ
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔
備考:特殊プロテインによる発熱中。F-3の♀プリの死体を埋葬してあげたい。
175名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 18:54:17 ID:2gY/P.EU
>>173
プロローグの
>>(勝ち抜いて勝ち抜いて、その証を見せるがいい)
これがイコールで謁見に素直に繋がるとも思えないんだけど、そうだとしても。
てか私はその部分、「英雄を名乗るなら人間同士の殺し合いすらも生き残ってみせろ」ってだけで、
別に優勝者と対面したいわけじゃないと思う。血で汚れた英雄を侮辱したいってのはあるかもしれないけど、
最初週1でやって欲しかったあたりから、誰が優勝しようがどうでも良さそうな感じがする。
「優勝者以外を殺せと?」「全員でも構いませんよ」のあたりもそんな感じ。
(遠くから優勝者をチラ見くらいはするかなと思うけど…対面まではどうかなぁ)

で、女王の個人的感情とは別として、実際問題、謁見があるのか?ってことなんだけど。
強い者を探してる。とかじゃなくて単純に冒険者が憎くて復讐したいわけで、
さらに言えば優勝者はローグみたいな殺人狂を別として主催者に恨みを持つはず。
そんな奴らにむかって「女王様からのお祝いのお言葉でーす。やーいお前殺人者」
みたいなことするほど馬鹿なのかなぁ、と…革命とかの火種増やすだけでない?
んな危険な機会、やっぱり今の臣下(道義より権力にすがることを選んだ人達)は
阻止しそうな気がするんだけど…万が一にも女王が死んだら今の大司教も地位を追われるだろうし。
護衛のGMがどんなに強くても、ただの女王の私兵じゃ大臣達にも不安があるのでは。

って、そんな真面目に考えなくていいものなのかな…
いずれにせよWikiでの修正待ちでしょうか。
176名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/20(日) 19:29:54 ID:oWH4sF8o
ちょ、おま、今回スゴス。

あ、いえね、今年は受験なもんですからネット立ち…しようと思ったんだけど、
勉強時にGoo辞書とかWikipediaが便利すぎるからROとか趣味のブクマを隔離してたんですヨ。
なもんでROワ2が始まってるなんて110話近くなってから知りました。(旧Wikiも消えてたし)ああ恥ずかしい。
リアルタイムで読みたかったよ…今回書き手の皆様クオリティ高すぎです。尊敬。

♂スパノビと♀BS、♂プリ&♂シフにワクテカしつつ全書き手、読み手の皆様にエールを。
177名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 00:08:41 ID:OA2KlEMA
うーん。
ふと思ったんだが、あまり設定ばかり詰めて行くのに偏っても
スレ的にはちと建設性に欠けるかもしれん、とか思って見るテスト。
や。一つの話にこれまで出てきた複線全部入れるのは不可能だし。

設定でがんじがらめになってもしょうがないし、
頭の片隅に残しつつ展開を進めていく内に徐々に明らかにしていく、
という方向で、今はまだ緩めでいいのでは?
後、使いにくい設定とかは段々忘れられていくのも
ある意味リレーの宿命だし。

で、ここまでで俺が何が言いたいかというと、
お前様方緑ポかコーヒーでも飲んで一旦マターリしる、と。
んで、それから改めてリラックスして進めればよし、と。
根詰めすぎるのも体に毒だぞ。
178名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 01:23:01 ID:R996eBFg
その他明らかにされていない謎・使えそうな伏線一覧
・・・を、まとめようと思ったのですが多すぎてどうも(;´Д`)
私的メモみたいな感じで現時点でもネタに使えそうな一部だけ抜粋。

・各種死体とその遺品(個人的にトーキーボックスは捨てがたい)
・♀アーチャー、弓に怯えの色を見せる?
・♂セージはどういう人物・・?
・ミストレスの探す「器」
・♀マジ、♂Wizに特別な感情?

♀アチャの弓とか覚えてる人少なそうなんでようし何か考えてみようと思ったけど、
私の頭じゃさぱーりいかせなかったぜ・・・・・・ヽ(。A。)ノ
179名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 01:47:18 ID:78V/oDJ6
ちょっと見させてもらって気になった点なんだが。

>>168の物語は特に違和感はない。
んで

>>175氏へそれはあなたの意見でしょ。
見る人によっては他の意見もあるんだから
はっきり言って押し付けに見える。

>>173もホイホイ言われて納得すんなや。
自分自身の意見を守ればええやん。
大体、人の意見を聞いて一々書き換えてたらリレー小説の意味ないがな。
もちろん明らかに修正すべき点は変えるべきだがそうでないなら聞く必要はない。
180名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 01:53:52 ID:FVo97ZNI
110 眠れ、愛しき人よ 【朝方】


森の中に埋もれるようにして建つ小屋。
一度は激情に駆られて逃げ出したその場所に、♂騎士は今一度足を踏み入れた。

「♀プリ……」
床に広がる夕陽のように赤い血。倒れ伏す相棒――愛しい彼女。
中の様子は血が乾いているという違いこそあれ、彼に悪魔が降りた夕暮れのままだった。
転がる彼女の遺品――少女の日記と未開封の青箱。
それを拾い上げ、彼は自分の胸に抱きしめた。

そして、魂なき♀プリーストに視線を戻す。
一人倒れる彼女は、本当に孤独で、寂しそうで――
「ごめんな、こんなところに一人にして。……寂しかったろ」
ゆっくりと彼女を抱き上げる。
氷のように冷たい体が、彼女の死を♂騎士に改めて認識させた。
「……馬鹿だな、俺」
わかっている。殺したのは他の誰でもない、この自分だ。

木陰に遮られることなく、日の光を受けて伸びやかに育った花。
その下に、彼は小さな穴を掘った。
「日陰に墓なんか作ったらお前、怒るだろ。じめじめしたところなんか嫌だ! って」
物言わぬ彼女に語りかける♂騎士。
だが彼女は、死の直前の凍りついた瞳を彼に返すのみだ。
「……俺のせいで、こんな顔で死ぬことになっちまったんだよな。…ごめんな」
見開かれた目を閉じさせる。
まるで眠っているかのように安らかな表情になった彼女を、綺麗だと♂騎士は思った。
「安らかに…眠ってくれよ……」
そっと、♂騎士は彼女に口付けた。

俺は、お前を忘れない。
お前との思い出も、お前への想いも、自分の許されざる罪も、決して――

彼女を思わせる可憐な花を墓標とする小さな墓。♂騎士はその前に跪いた。
目を閉じ、そっと祈りを捧げ。彼は愛しい人への想いに浸った。

そしてしばらくして、感傷を振り払うかのように目を開けた彼を、衝撃が襲った。

「……! う、あぁ……!」
――熱い。体が熱い。
明け方にも感じた体が灼けるような感覚が、彼の体を襲う。
(なんだってんだ、これは……!)
小屋で寝ていた時はこんなことはなかった。この異常な感覚は昨晩からのものだ。
♂ローグの矢に毒が塗られていたのだとしても、ここまで遅効性の毒があるのだろうか。
しかもおかしいのは体だけではない。苦しむ彼に、何者かが囁くのだ。

――殺せ。他の全ての人間を殺し尽くせ。

「…またかよ! 誰なんだよ、お前は!!」
囁く何者かに向かって叫ぶ。返事などあるはずがないとわかっていても、そうせずにはいられなかった。
告げられる言葉が、彼に不快感をもたらすものだったからだ。

――怖いのだろう? 自分以外の人間が傍にいるのが怖くて仕方がないのだろう?
ならば、殺せばいい。あの哀れな少女にしたように、他の人間を一人残らず殺してしまえばいい。
そうすればお前は一人になれる。誰に危害を加えられることもない。お前は自由になれるのだ。

「怖い…怖いさ。だから一度は恐怖に負けてあいつを殺したんだ。
 でも、もうあんなこと二度としないって決めたんだ、俺は……!!」

――ならば死ぬか? 他の人間に殺されて、孤独の中で朽ち果てるのか?
死んでも嘆く者もいない、この島に屍を晒すのか?

「…死ぬ……死ぬものかよ! 俺は……!!」
俺は生きるって決めたんだ。でも、それは他の人間を殺すってことじゃない。
そう、あの男が言ったように――
181名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 01:54:25 ID:FVo97ZNI
『命を燃やして、何かのために生きてみな』
♂騎士が吐き出した澱んだ心の叫びを全て受け止め、道を示してくれた強面の聖職者。
彼の言葉が、何者かの囁きを掻き消すかのように♂騎士の頭の中に響いた。

「周りの人間を殺して生き長らえて――それが何になるんだ!
 俺はあいつの命を無駄にしたくない。絶対にその命に報いた生き方をしてみせる。それしか償う方法を俺は知らないから…!」

――そんな甘い考えが通ると思うか? あの♂ローグのように、お前の命を狙う者がこの島には多くいるのだぞ。
そんな中で、少しの間共に過ごしただけの人間の言葉を信じるのか?
あの♀Wizなど、その気になればお前を消し炭にすることもできただろう。それでも――

「黙れよ。さっきからごちゃごちゃうるせえんだよ。俺を操り人形にでもするつもりか?
 まあいい。お前がどういうつもりだろうと……」
ぐっ、と拳を握りしめる。そして、迷いを全て振り払うかのように叫んだ。

「お前の思い通りになど、なってやるものかぁっ!!」

囁きは返ってこない。ようやく消えた不快感に、♂騎士は大きく息を吐き出した。
だが体の火照りは消えない。おそらく先ほどの不快な声も、これからずっと自分を苦しめるのだろう。
「それでも……俺は折れたりなんかしてやらないぜ」
固い決意。♂プリーストへの懺悔と共に、彼は迷いを全て吐き出していた。

「♀プリ……俺、もう少しだけこっちで頑張ってみるよ。
 それが本当にお前の命を奪ったことへの償いになるかはわからないけど。
 だから、今は静かに眠って……天国で、待っててくれ、な」
もう一度、そっと祈りを捧げ。
♂騎士は彼女の遺品を胸に抱き、その場を静かに立ち去った。


+++++


一方で、そんな彼を物陰で覗く人影がふたつ。
「あ……行っちゃいましたよ」
♀クルセが♂ケミに囁く。その表情は残念そうなような、安堵したような微妙なものだ。
二人は♂アルケミの意見でF-3の集落にやってきていた。
それは♀クルセの怪我を完治させるために医療器具が少しでも欲しいというもので、朝方なら活動している人間も少ないだろうという判断からだった。
民家のひとつで救急箱を見つけ、処置を終え。
集落は隠れるところが多い分危険だとの考えから、他の人間に襲われる前に立ち去ろうとしたところで、二人は♂騎士の姿を見かけた。
♀プリーストの遺体を抱き上げ、悲痛な表情で歩いている彼がどこか気になり、その後をつけたのだったが。

「よかったんですか? 声かけなくて」
「う、うーん…悪い人ではなさそうだけど……
 一人で叫んでるところを見てると…危ない人っぽく思えてなぁ」
「それは……同感です」
頷きあう二人。ふと視線が合うと、♀クルセはくすくすと笑い出した。
彼女の笑顔を見て、♂アルケミも照れたような笑顔を浮かべた。
「うん、やっぱり昨日みたいな泣き顔より、笑ってるほうが可愛いよ」
「え……」
彼の言葉を聞き、♀クルセの顔が真っ赤に染まった。
「え、か、可愛いって…そんな……。で、でもうれしい、です」
(ちょ……そんなに照れられると、俺まで照れちまうって)
たちまち♂アルケミの顔も赤く染まる。
互いに茹でダコのように赤くなった二人。沈黙が流れる。
この殺伐とした状況の中でその姿は滑稽だったが……どこか微笑ましい。

「アルケミストとクルセイダーか……二人相手とは少し厄介ね」

幸せな二人はまだ、彼らを見つめる冷たい視線に気づかない――


<♂騎士>
現在位置:F-3→どこかへ(未亡人PTの元に戻るか、それとも一人で彷徨うかはおまかせ)
所持品:S3ナイフ、ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔。だが、瞳は意志の強さを感じさせる
備考:特殊プロテインによる発熱中。♀プリの遺体を埋葬、生きて罪を償うことを誓う。彼を優勝させようと殺人を誘う声に抵抗

<♂アルケミ>
現在位置:F-3
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
外見特徴:BSデフォ・青(csm:4j0g50k2)
備考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る、ファザコン気味?、半製造型、グラリスに狙われている

<♀クルセ>
現在位置:F-3
所持品:レイピア、青箱(未開封)
外見特徴:剣士デフォロング・黒(csf:4j0270g2)
備考:守る対象を探す(今は♂ケミに同行)、右脇腹に負傷(かなり回復)、
  献身Vitバランス型 ※肩と足の傷は治癒 グラリスに狙われている


<残り37名>
182名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 01:59:18 ID:FVo97ZNI
♂騎士の話続けちゃってすみません。他のキャラを進ませたいんですがどうにもネタが(´・ω・`)精進します

なんだかGMのお膳立てを無にするような展開にしてしまいました(;´Д`)
でも♂騎士にはGMに踊らされるだけじゃなくて、がんがってほしいなぁと……
もちろんこれからGMの思うとおりになっちゃう!って展開もありだと思います。
これから他の書き手さんの手で、どういう運命を辿ることになるのかワクテカですよ。

そしてケミクルセのらぶらぶ献身ペアにこっそり魔の手を。
恋愛には障害がないとつまらないでsy……スミマセン_| ̄|○

>>178
アチャ子複線張った本人ですが何も考えてなかtt…のはともかく、
ちょっとネタが浮かんだけれども規制で投稿できない罠。
それ以前にネタを文章に起こさなきゃですけどヽ(゚∀。)ノ
183名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 02:21:54 ID:FVo97ZNI
今思ったんですが、罪を自覚してる♂騎士が、自分が天国に行けると思ってるのっておかしいですね。
♂騎士パートの最後のセリフの「天国」の部分は「あの世」に掲載次第差し替えます(´・ω・`)
184175sage :2005/11/21(月) 03:05:57 ID:wjABShxw
>>173>>179
そっか・・・ごめん。「他の人もあの部分変に感じてるんだな」って知って
暴走してしまったみたい。一読者としてあまり追求しすぎるのもいけないね。
展開面白いのに細部が惜しいなーと思ってたんだけど、気にしないように努めます。
あ、>>179の後半173氏あての部分のフォローというか・・・
168氏は言うようにホイホイ納得したわけじゃなくて、>173で「そうかな?この辺こういう感じしない?」
って言ってくれただけです。で、「同じ部分で自分はこう思うんだけど、どう?」って聞いてみたかっ・・・って
ここではそれ自体が意味がないことなのか。はぁ。

>>177
お茶ありまと。脳をほぐします。

♂騎士のエピソードが連続して出てきてうはうはですわ。
騎士の記憶の中のプリがめっさ可愛い・・・!
立ち直れた騎士も良かったです。ナチュラルにイチャイチャな二人にも乾杯。
185名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 03:53:38 ID:Z/FFXejw
うんまぁ…どう転ぶか見守りつつ帰宅し 179見て思ったんだけど。

>>179
あんまきつい言い方はどうかね…っつか他人の話聞く必要ないなんて言い方はやめようや。
もちろん言いたい意味は理解できるんだが語調が強すぎて悪い意味に聞こえちまう。
あと自分の意見を持つのは確かに大事だが、一人意固地に進めてもリレー小説の意味ないがな。

で、俺が思うのはどっちもどっち。
>>184氏は押し付けというより、堅い…というかちと細かいやもしれん。
首を捻るのは良く読んでくれた証拠として歓迎する点なんで否定はしないが、
全ての話に細部の説得力を求めるのはここではちっとキツイやね。
って納得してるか。すまん。
意見交換が意味ないとまでは言わないが…やはり書いた者と読む者という立場がつきまとう場合は難しいかと。

そしてその後の返答がないので分からんが、>>168氏も自身へのレス流し読みっぽい予感。
投下話に対して友好的なレスしか読んでなくないかな。
言い換えると即座に修正可能なものしか相手にしてない、というか。
傍から見てるだけの身からしても、「この3つの理由から女王が会うかな?」
という問いに「あいたいなら会うんじゃん?」ってだけの答え(修正)は少々お粗末に写るよ。
あと矛盾云々は別としてロワスレの雰囲気から外れ気味、というのも問題だわな。
186名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 04:44:37 ID:78V/oDJ6
>>もちろん明らかに修正すべき点は変えるべきだがそうでないなら聞く必要はない。

って書いているが?

思ったのはさ、なんでもかんでも一つの話に完璧を求めすぎなんだよ。
他の人がなんで女王は謁見するんだろ?って思って
謁見の理由が不足気味だなって思ったら
他の物語でそれについて補足を書くってのもリレー小説の醍醐味でしょうが。

一つの作者に完璧を求め、全ての辻褄を合わせさせるのって酷じゃないのか?

明らかな矛盾以外は深く追求すべきじゃないと思うんだが?

ってかそんな矛盾が無くて完璧な作品をここでは求めているわけじゃないだろ?

ギュウギュウに要素を詰め込んだ話なんて独りよがりでそんなのとっつきにくくてちっともつまらん。

他の人が料理できるぐらいに作品は留めるべきじゃないのか?
187名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 04:57:43 ID:YGVVLTLw
>>185氏に概ね同意。
あと>168氏の話が何で嫌がられるかってとこに付け足すと
(ロワスレの雰囲気って話にも繋がるわけだが)
・狂った原因をあっさり外部の干渉ということにしてしまった。
・序盤に揉めた騎士をまた特別扱いした。
って二つに尽きると思う。

前者に関しては↑で誰かも言ってたが
特殊な薬の力とか関係無しに苦悩して狂っていくのがロワの一つの醍醐味である
ってとこに引っかかっていくんだと思う。
♂騎士が♀プリを殺したエピソードを読み返しても
そういう薬の伏線は張られていないようだし
純粋にロワという状況に置かれた騎士が魔がさして女プリを殺してしまった話として描かれている。
今、現在、極限状況下に置かれて苦悩するキャラってのが他にいないため
「あーなんか勿体無いなぁ」と私自身感じる。

後者に関しては言いがかりといわれればそれまでなんだろうけど
以前NGになったのと同じような設定にまた組み込まれれば
「おいおい、また自キャラ贔屓かよ」って空気が流れるのは至極当然。
同じ人が書いてるかどうかは別にしても
受け止める側がいい気分がしないのは間違いない。
♂騎士を使いたいというのであればあの時点でいかようにも動かしようはあったはずだし
設定の方を使いたいというならば♂騎士である必要は無かったはず。
まさに「もうすこし雰囲気読んでくれ」という感じでしょうか。

で、結論。
NGにするほどの違反や矛盾は無い。
ただ、書き手さんはこんな議論が交わされたということを心に留めておくべきでしょうね。
188名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 07:34:25 ID:oz0gxs5E
>議論について

>422 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/15(火) 19:13:13 ID:bK71eV2.
>議論は薬だ。多すぎると投薬された相手を殺すことになる
>だからほどほどにな

ってことでそろそろでおしまいにしたほうがいいでしょうね

>>187氏の
>NGにするほどの違反や矛盾は無い。
>ただ、書き手さんはこんな議論が交わされたということを心に留めておくべきでしょうね。

に尽きるかと。最大の矛盾は修正されましたし。
しかし、主人公補正のかかっていそうな王子様PTと♂ローグを誰も書かないのが以外だわ。
189名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 07:52:41 ID:YGVVLTLw
>>188
個人的には主人公補正は♂プリPTにかかっている気がするんですが…
まぁ、おそらくそれぞれのキャラの作りこみが為されているせいで
どのPTも安易に殺せないって苦悩が…w
190名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 09:24:38 ID:R996eBFg
それじゃあ王子様PTをちょこっと。語呂のいいタイトル思いつかなかった・・・orz 不覚
あんまり進展なくてゴメンなさいね・・・この二人こんなんでいいんだろうか(;´・ω・)


111. 妄想渦巻く夜の姫 【定時放送後〜夜】

「はぁ・・・・・・はぁ・・・、多分・・・もう、ここまで来れば・・・・・・大丈夫・・・な、はず・・・」
息を切らせながら、♂ハンターは痛む腕で地図を取り出し、現在位置を確認する。地図の中で一際目立つ赤い輝きは、自分達のいるこの場所が地点G-5であることを示していた。見渡せば砂地交じりの草原が広がっており、ぽつりぽつりとまばらに木々が立ち並んでいる。
見晴らしは悪くないし、こちらには遠くから攻撃ができる武器もある。幸いにして俺もこの子も弓使いだ。研ぎ澄まされた“梟の目”により、夜目は効く。もし近くにゲームに乗り気な奴がいても、襲われる前に手は打てる筈だ。陽も落ちた今、他の参加者達も日中ほど活動は活発ではないだろう。ヘタに動いて誰かとハチ合わせる危険を冒すよりは、こういった視界のいい場所でとりあえず体を休めよう。そう判断し、♂ハンターは草地の真ん中に腰を下ろした。
「王子様っ、大丈夫ですか・・・あたしの、あたしのために・・・・・・」
♀アーチャーはここまで走ってくる道中から、こればかりだ。そこまで心配してくれるのは嬉しいが、傷自体は浅く、痛みも大したものではない。この程度ならば弓を引くにも不自由はしないだろう。それに今は、そんなことよりも他に心配することだらけだ。
既に、忌まわしいジョーカーの読み上げた定時放送から、30分は経過している。♂アコライトとジルタスはうまく逃げることができただろうか。あの時ジルタスがいなければ、俺はあそこでやられていたかもしれないんだ。何とか、無事でいて欲しい。
そしてあの♂ローグはどうなったのか。禁止エリアに引っかかってどうにかなってくれればいいんだが・・・もしあいつも無事だとすれば、この辺りまでやって来る可能性もある。とにかく、接近者には厳重に注意しないと・・・。
ぐるぐると♂ハンターがまとまらない思考を巡らせている時、♀アーチャーのほうも、彼女は彼女で何やら唸りながら考え込んでいた。
「どうしよう、このままじゃ王子様が・・・・・・ううん、今こそあたしが頑張る時・・・、そうなんですね・・・王子様! 見ていてくださいっ」
「はぁ・・・?」
「そう、王子様の傷を治すためにはもう私が魔女のお婆さんからどんな怪我にも効く魔法の秘薬を受け取ってくるしかないわ・・・! でも・・・でも・・・・・・・・・!! お、王子様っ、もし・・・もしあたしが悪い魔女にカエルにされちゃっても、ずっとずっと、あたしの王子様でいてくれますか・・・・・・?」
「あのなぁ・・・俺は腕、怪我してんだから、あんまりツッコミ入れさせないでくれよ・・・」
本気で涙目になりながらそんな突拍子もない事を言う♀アーチャーに、痛む右手で律儀にびしっと突っ込みながら、♂ハンターは言う。
「さっきから言ってるだろ、この程度の怪我なら気にするほどでもないって。それに、支給品の中に赤ぽも入ってたから、あとで塗っとくさ。それよりも・・・はい、ここから大事な話に入るぞ」
空中に横線を引くように両手を動かした。♀アーチャーに伝わったかは定かではないが、妄想cat lineということだろう。
「俺達はこれからどうするか、だ」
「あ、あたしは王子様についていきますっ!」
ささっと草の上に正座しながら答える♀アーチャーに苦笑しつつ、
「だからさ・・・勿論、二人でこれからどうしようか、って話だよ」
♂アコライトやジルタスの安全を確認しに行きたいのは山々だが、一度はぐれてしまった彼等と出会うのは容易ではないだろう。それに♂ローグに出くわす危険性、そして――
(考えたくはないけど・・・もう、やられてしまってる可能性だって・・・)
不安を打ち消すように、♂ハンターはすっくと立ち上がった。
「とりあえず、そうだな・・・もう夜なんだし、君も疲れてるだろう? ちょっと、横になって休んどくといいよ。 見張りは交代で、ってことで・・・先に俺がやるからさ」
「え、でも王子様が一緒に寝てくれないと、あたし眠れません・・・」
「そんな事したら二人とも寝てる時に誰かに襲われたらひとたまりもないでしょッ!」
びしっ、ずきぃ。ツッコミを入れた右手がやっぱり痛む。
「疲れは取れる時に取っとかないと、明日持たなくなるから・・・ね。寝ときなって」
本当は一番疲れてるのは♂ハンターだったが、顔には出さず、代わりに微笑んでみせる。
「でも・・・」
「眠れそうにない・・・?」
「寝てる時に王子様に襲われたら、あたし・・・まだ心の準備が・・・(*ノノ)」
「誰が襲うかッ!」
びっしぃ・・・・・・ずきん。


<♂ハンター> <現在地:G-5(G-6境界付近)>
<所持品・・・アーバレスト、大量の矢、ナイフ>
<外見:マジデフォ金髪 顔に気苦労が滲み出ている>
<性格:お人よしで苦労性 意思は強い>
<備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ >
<状態:右腕に傷、しかし浅い>

<♀アーチャー> <現在地:G-5(G-6境界付近)>
<所持品:プリンセスナイフ>
<外見:アチャデフォピンク(公式どおり) 見かけは可愛い>
<性格:思い込みが激しく電波気味>
<備考:弓の扱いがど下手(弓が嫌い?) 妄想癖あり ♂ハンターを慕う>
<状態:仮眠>
191名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 23:23:40 ID:jtdLMMn2
>>184-188
ほんじゃま揉めた原因の一端を担ったと思われる私が、>>168と整合させられるかどうかどうか試してみましょう。
またしてもびみょ〜な話になってしまったので、とりあえずNG番で。


NG.教皇猊下の工作員

パタン
狭い自室の扉をそっと閉じ、GM橘は寝床に就いた。
そして胸の上で手を組む。

(豊穣の女神フレイヤよ。御身に栄光あれ。また御身が代理人、教皇猊下の上に恩寵あれ。我ら御身が愛と豊穣の教えを遍く地上に広め奉らん。願わくば我らをよしみ賜わんことを)

ここ数年来、決して口に出したことのない祈りを心の中で唱える。
どこで誰が聞いているか分からない。
それは諜報の道を歩んできた彼にとって当然の注意であった。
特に油断のならない相手を近くに置いているときは。

(おそらくジョーカーは私を疑っている)

工作員としての勘…というか人物評であった。
GMジョーカーは明らかに、自身と女王イゾルデ以外の一切を信用していない。
どこまで気付いているかはともかく、同僚である彼らGMメンバーも疑いの目で見ているはずだ。
別に不思議な話ではない。
GMジョーカーに限った話ではなく、親衛隊とか諜報部門の長というものは偏執狂でないと務まらないのだ。

だからGM橘は三流策士の皮をかぶった。
例えばゲームの参加者捕獲にも小手先の策を弄し、うまくいかないと力押しに逃げた。
あるいは歴史故事を持ち出し、現状に無理矢理当てはめて展開を予測した。
他の同僚は彼を鼻持ちならないインテリ馬鹿だと思っているだろう。
それでいい。
底が浅い、こいつは読み切ったと思えば油断するものだ。

(人のことは言えないか)

彼は苦笑した。
自分もGM森のことをただの筋肉馬鹿だと評しているではないか。
あれでも一応イゾルデの抜擢を受けてGMになったのだ。
脳筋も銭ボケも見せかけで、実はクレバーな可能性も皆無ではない。

(…まあ、さすがにそれはないか)

首を振り、ミッドガッツ王国で最後の仕事となるであろう策を反芻する。
この仕掛けが成功しようと失敗しようと、彼はここに居られなくなるだろう。
少なくともGMジョーカーがそれを許さないはずだ。

(ジョーカーとやり合ってまで残る意味はないしな)

GM橘はGMジョーカーを甘く見てはいなかった。
GMジョーカーは彼やGM森のように政府系諸機関から抜擢されたわけではない。
にもかかわらず頭が切れ、腕も立つ。
普通ならば間違っても敵に回してはいけない種類の男だ。

でも、と彼は思う。

(それは奴の弱点でもある)

GMジョーカーは有能な男だ。
だからこそ女王イゾルデの信頼を得ている。
しかしそれは自己への過信と他者への油断を生む。

GMジョーカーは政府出身ではない。
だからこそ冷酷なまでに女王最優先の判断が出来る。
しかしその反面、彼にはコネらしいコネがない。

どんな組織でも、多かれ少なかれ縄張り意識というものが存在する。
そしてそこには表に出ない情報が生まれる。
もちろんGMは全ての政府組織に必要な情報を提供するよう命じることが出来るが、そこにあると知らない物は要求しようがない。
かと言ってあらゆる情報に目を通すなど物理的に不可能だ。

つまり、GMジョーカーには伝わらない情報がある。
そして外務省に籍を置いていた彼にだけ知り得た、小さな情報があった。
もし仮にGMジョーカーの耳に入っていたとしても、取るに足りない情報として聞き流したかも知れないほどの。

『シュバルツバルド共和国のさる老政治家が後継者難』

だからどうした。
普通ならそう考える。
同盟国とはいえ他国の一政治家の話である。口を出すいわれはない。
だが、その話には続きがあった。

『同家系最後の男児は従姉妹筋の甥。誕生後すぐ母親と共に出奔』

もしやと思ったGM橘は本国に連絡を取った。
そしてシュバルツバルドもミッドガッツも掴んでいない彼らの行方を突き止めた。
当然だ。
出奔を手引きしたのが、アナベルツから送り込まれたシュバルツバルド方面工作員…GM橘の先輩だったのだ。
当時権勢を誇っていたその老政治家の力を削ぐために。

残念ながら、その親子はすでに鬼籍に入っていた。
しかし、出自を証明する証拠は工作員の手に残っている。
そこで同時期にミッドガッツに入った移民から条件に合う男子――幼い内に親を失った孤児で、目や髪の色が一致する冒険者――を選び出した。
それが♂騎士である。

GM橘は彼に催眠暗示をかけ、恐怖と共に出自に関する思い込みを植え付けた。
さらにGM森を引き込んで上辺の隠蔽工作を行い、ゲームに送り込んだ。
♂騎士の調査報告には『移民の子、両親死去。係累なし』とだけ記してある。
紛れもない事実なのだ。いくら調べてもそこに嘘はない。

今頃、シュバルツバルド王国には彼の存在を知らせる手紙と、証拠の一部が届いているはずだ。
後継者を失った老政治家は、当然彼を引き取ろうと考えるだろう。
両親もおらず、実力のみで騎士叙勲を受けたほどの甥っ子なら、養子としては申し分ない。

さて、その大事な後継者がこのような殺人ゲームに送り込まれていると知ったら老政治家はどう考えるだろう?
女王イゾルデは、そしてGMジョーカーはどうするだろう?

もし彼が生きて本土に戻ったならば、隣国からやってきた老政治家と共に女王イゾルデに暇乞いの挨拶をすることになるだろう。
普通に勝ち残ったのではあり得ないはずの、近距離での女王との対面が実現するわけだ。
そこで見事女王を討ち取れば文句無しの満点。
もちろんその可能性はそれほど高くあるまい。
失敗して殺されても別に構わないのだ。
その場合も、イゾルデの命を狙ったという事実と後継者を殺されたという遺恨が残る。
あるいは勝ち残ることなく、この島で無惨な死を遂げてもいい。
イゾルデ側に遺恨は生じないが、老政治家の失望と怒りはより大きくなるだろう。

つまり程度の差はあれ、どう転んでもミッドガッツ王国とシュバルツバルド共和国の間に不和の種がまかれる。
両国の不和はそのままアナベルツ皇国の利益となるだろう。

(猊下。御為にこの2国を共倒れさせてご覧に入れましょう)

GM橘はうっすらと笑った。


<GM橘>
位置:不明
容姿:不明
所持品:不明
状態:正常
備考:アナベルツ皇国工作員
192名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/21(月) 23:58:35 ID:yP5/D1vo
宮中陰謀劇楽しいな〜
NGにするのはもったいないくらい作りこまれてると思う
♂騎士の締めるウェイトが大きいといってもここまで設定作りこまれたら
これ以上の設定なんて出てこないと思うし、正式採用してもいいんじゃないかなぁとおもう

ところで、GM橘って♀だとばっかり思ってたんだけど、ちがったのか…
だとしたら、今回名前つきのGMでミニスカートがいないっ(違
193名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 01:16:20 ID:g1u//lZQ
っていうか、今回は設定深いキャラ多いよね。
♂騎士だけに限らず殺しづらくなってる気がする。
まあそれでも殺さないといけないわけでw
皆様の手腕に期待。
もちろん自分も頑張りますが。
194名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 01:56:53 ID:AMxjI0O.
190>>
どんどん王子様が可哀想になっていく、だがそこがいい…!

>>191
お家騒動っていう言葉の響き、大好きっす。というか良く出来ててNGがもったいない。
て、そういえば自分も橘のこと♂だと思ってたけど、もしかしたら例の♀GMのことなのかもしれんのか?

そしてすんません、狐ローグにはまだ禁止区域ボカンで死んで欲しくなかったので、
展開に動きのない内容でめっさ申し訳ないんですが投下…彼に寄生虫食わせたかった人ごめん。
ローグ二日目は頑張ってくれー

>>193殺戮よろ!期待しておりますぞ。
195名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 01:58:40 ID:AMxjI0O.
112.彼の長い夜【定時放送後〜深夜】


――ピ、ピ、ピ

無様に木々の間を疾走しながら、追われる狐は今にも自分の肩を叩こうとしている死の気配を無理矢理に押しとどめる。
大丈夫だ、このエリアは確か陸地が半分もなかった。
こうして海に背を向けてひた走っているのだから、必ず出られるはず、と自身に言い聞かせながら。

――ピピ、ピピ、ピピ、ピ

「ちく……ショオッ!
まだ一匹しか刻んでねえっつーんだよ!」
先程より一段早くなった音の間隔の意味を、狐は本能で察知する。
もうあと10分も猶予があるだろうか?いや、やめよう。残り時間のことを考えている余裕はない。
さっきまで居た小屋が東よりなのか西よりなのかを思い出す余裕もまた、ない。
この区画を抜けられなければ即ち、死を迎えるだけなのだ。
彼はひたすら、南に走る。今はとにかく確実に生き延びることだけを考えろ。

――ピピピピ、ピピピ、ピピピピ

「クソが!カウントダウンのつもりか!」
音が忌々しくて思わず悪態をつく。と、突然体に重力を感じた。さっきまで足裏に伝わっていた固い地面を走る感覚が
途端に砂地を蹴るように重くなり、あまりの変異に足を取られた。このままでは転ぶ。そうして速度を落せば、そのまま死ぬ。
反射的に馬碑をもう一つ握りつぶし、瞬間弾き飛ばされるように加速する自分の体に
猛烈な吐き気と耳鳴りを覚えながらも、ひた走る。走る、走る、走る。

――ピピピピピピピピピピピピピピピピピ

潅木を乗り越えゆるい上り坂を駆け抜け湿った地面をしっかりと蹴りながら。
走れ 走れ 走れ 走れ 走れ
止まるな 止まるな 止まるな 行け 行け 生きろ!
「うらぁぁぁぁ!!」


ボン、と彼には到底聞こえ得ない場所で憐れな男が盛大な最期の声を上げ

――ピ

――ピピピ ピピピ ピピピ

そうして追われる獣の生への執着は、呆れるほどに強い


 

――ピピ ピピ

完全に木立ちから森へと風景が変わった頃、気付けば首元から聞こえる音に切迫した響きはなくなっていた。
それでもやはりどこか恐ろしくてそのまま走り続ければ、やがて音は止まってしまう。
「抜け、た……か…?」
呟きまろぶように足を止め、馬鹿馬鹿しいことに自分の首が繋がっていることをその手で確かめて、
そうして♂ローグはどう、と受け身もとらずにその場に倒れ伏した。
彼の体が発揮できる速力をさらに超え駆け続けたために、
足はおろか上体、腕までも――つまり全身が緊張状態を放棄した結果だった。


***


――ピ ピ ピ

「はーん、近づいても警告音ってわけか」
しばらく突っ伏していた♂ローグが漸く動けるようになったのは、月がその身二つ分傾いてからだった。
まだ体のはしばしに鈍い痛みは残るが、だからといってそのまま転がっているわけにもいかない。
地図で現在地を確認してから、ふと道中首輪の警告音が段々と消えていった事に思い当たり
自分が走ってきた方向に戻ってみれば、やはりしばらく歩くうちに例の電子音が鳴り出した。
どこまで踏み込めば禁止区域なのか、とも思ったが確証がないためこれ以上は近づけない。
こんな場所では死ねない。彼の命は、もっともっと他の肉を陵辱するために今この島にある。
危ない時には音が鳴る、それが分かれば今は充分と探索はそれまでにした。
音が鳴り出す場所より半歩南側に腰を据え、体を休める。禁止区域にほど近いこの場所ならわざわざ
突っ込んでくる馬鹿もそう居ないだろう、と。本来なら殺し合いの場において仕掛けの一つでも用意
しておくべきなのだが、あいにく罠を張って待つ事は彼の性分には合わなかったので採用されなかった。
「普通ならぶっ殺すのは夜、だが…」
せっかく合法で狩りが出来るとあっちゃぁ、断然昼間楽しんだほうが得だよなぁ、呟いて殊更楽しそうに笑う。
第一、寝込みを襲ったところでたいして面白くもないし、あまり暗くては引きつった表情も鑑賞できない。
「やっぱ血は赤くねぇとな」
包丁を拭き、支給された薬品でここまで走る間に負った細かい傷の処置をしていた彼は、
ズボンに付着した中年男の血を一瞥する。月が出ているとはいえ深夜の森の中では
血の汚れはただの黒い染みでしかなかった。あんな豚を嬲ったところで面白くもなんともない。
彼が聞きたいのは、人間の悲鳴だ。人間が殺されるときにその肉から搾り出される、命が上げる悲鳴だ。
逃がした4人はまだそう遠く離れていないだろうし。そして恐らく少なくとも二手に分かれているはず。
これはもう明日にでも殺そう、と♂ローグは口元を歪ませる。
「朝になったら気合入れてハンティングといくか」
196名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 02:00:16 ID:AMxjI0O.
一先ず休息を取り明日の仕事に備えよう、そう方針を決めた彼は、
元々自分の支給品である食料――それを3日分にわけておいたもの――を取り出し渋々頬張る。
これでは4日目の朝には尽きる計算になるのだが、いかんせん4日分で分けていては一食がかなり少ないのだ。
最終日に足りなくなった分は……そこら辺のヘビでもカエルでも捕まえて食べればいいだけのことだろう。
「ぁー。明日から殺す奴はとりあえず食ってみるかぁ?」
禁忌の味であるとされるそれは、筋張ったサベージなどより余程美味いと聞くが、果たして真偽の程はどうなのだろうか。
半ば本気で現地調達する食事の算段を立てながらも、商人と脂肪から奪ったものには手をつけずにおく。
正直、支給された食事についてはさほどに心配することもないだろうと彼は踏んでいる。
このゲームは、曰くイカレた年増の鬱憤晴らしだ。毒を仕込んで参加者を殺すなど
そこらの刑罰と何も変わらないではないか。芸が無いにも程がある。他の参加者にしたって、自分が
死ぬことを想定して毒を仕込むはずもない――とは思うものの、欺瞞と嘲笑の充満する世界で生きてきた
♂ローグにとっては、自身への支給品を口にすることが彼の本能の許す最大限の譲歩だった。
もごもごといかにも居心地が悪そうに干し肉を咀嚼し、無理矢理水を含み流し込む。とにかく食事は終わりだ。

さて、と荷物を見やる。視線の先には子供が持っていた菓子が2つ残っている。
あの豚野郎は特に体調に異常をきたしてはいなかったようだが、しかし。
即効性の致死毒でないことは分かったし、幻覚を見せるものでもなさそうだった。
けれど、たかだか半日のことでこれが無害であるとの断定もできないだろう。
……の前に、あのクソピエロが仕込んだモンがただの食い物なわきゃねぇンだよ。
そうごちて、今更ながらぶつけようのない苛立ちがこみ上げる。
首輪の件もある。あの男とこの島、どこまでがフェイクなのか分かったものではない。
「この地図は…俺が死なねぇところを見ると位置なんかは正確なんだろうがなぁ。
つーかどういう原理だよ、こりゃ」
胸くそ悪い、そう思いながらもこれを捨てるわけには行かない。今後殺し続け、最後にクソピエロもぶっ殺すためには
どうしても必要なものだ、そう自分に言い聞かせて広げた荷物を纏めはじめる。
包丁は厚手の布(元は最初のガキのズボンだ)で包んでおく。食事は自分の分と拾った物を別にして
仕舞い、次は、と手を動かして馬碑に指が当たった。コト、と転げ出たそれは2つ。
その魔力のほどは身をもって体験したが、しかし反動は決して軽いものではではない。
立て続けに二度使用した所為であるかもしれないが、一度の使用で副作用が出ない保証はなく。
いちいちランニングの度に寝っ転がっていたのでは意味が無い、のだ、が。やはりあればあったで何かの役には立つか。
この島では、移動の邪魔にならない限り物を持っていたほうがいいだろう。

荷物の整理を終え腰の高さまである茂みの中に寝床を作る。気配を感じればすぐに覚醒できるよう訓練はされたが、
やはりこのように特殊な環境下では少々不安が残る。ひとまずこの場所ならば、周りの茂みを乗り越えて
近づこうとすれば派手な音が立つだろう。弓を持ち出しても遮蔽物の多さでとても狙えまい。
悲鳴を上げる体を休めながら見上げた空は、彼が疎んだ世界と変わらず星が瞬いている。
ただ、決定的に違う流れる死の気配と漂う血の匂い。それはまさしく日常に厭いた♂ローグが望んでやまないものだった。

全く散々な一日だ、と彼は今日の出来事を反芻する。まずは蝿の止まるほどトロい女からか、とやる気を出したところで逃げられる。
気を取り直して女連れのボケっとした騎士を襲えば邪魔が入る。そうして先程見つけたせっかくの斬りごたえのある獲物を2匹も逃がした。
決して装備に恵まれていないわけではない。だのに、切り刻めた肉はたったの一塊。
ん、一つと半分か?…いや、あの中年は脂肪だらけで嬲り甲斐のない体だったから、やはり一つ、だ。
放送で知らされた内容によれば確か、参加者は残り約40人。すでに彼が殺せる獲物は10近くも減ってしまった。
自分以外にも殺しまわっている奴が居る以上、ここからの殺戮は早い者勝ちになるだろう。
明日から何が何でも始まらせてやるめくるめく虐殺の数々を夢見ながら、彼は眠りについた。


<♂ローグ>
<所持品:包丁、クロスボウ、望遠鏡、寄生虫の卵入り保存食×2、馬牌×2、青箱×1>
<外見:片目に大きな古傷>
<性格:殺人快楽至上主義>
<状態:体が軋む(たぶん筋肉痛)が眠れば問題なさそう?(I-6)>
<備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す>
197名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 02:05:37 ID:AMxjI0O.
ぐぇ長い…っていうかむしろ黒い orz すまねぇ
198名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 02:52:18 ID:V4.cYqXU
>>193
いろんな事情を抱えていろんな考えを持つキャラが志半ばであっさりと
死んでいくのもまたバトロワものの醍醐味ですよ。
「あーこいついいキャラだったなぁ。死んじゃったけど」と思われれば本望。

>>180
♂騎士そのまま堕ちちゃうかと思ったら……。このまま頑張れるのかドキドキ。
そしてなんか別世界な2人。BRでラブラブすると死ぬぞ!
>>190
♀アチャの妄想がどんどんヒートアップしているような。
上の2人とは別な意味で空気が違いますなー。
>>191
こういう陰謀劇すごく好き。
でもどんなキャラも死ぬときは死ぬのがBR。GMといえど油断は禁物ですぞ。
>>195
♂ローグ生きてた!2日目は是非とも頑張っていただきたいです、はい。
というかまだ1日目なんですよね……。今回話が濃いなぁ。
199191sage :2005/11/22(火) 03:18:18 ID:13gYP8wI
>>192>>194
ありがとうございます。
実は私もずっと橘を♀だと思っていて、最初そう書いたんですが…。
投下直前にチェックしたら、043.それぞれの思惑 で
>「はい。私はこのまま、監視を続けます――いえ、そのお言葉、もったいのうございます」
>闇の中、男がうやうやしく頭を垂れる。その先にまるで、敬うべき対象がいるかのごとく。
となっていたので慌てて修正しました。
今回のGM陣男臭いのぅ、とか思いつつw

>>198
むしろジョーカーには見破って欲しいなぁとkげふげふげふ

>>195
よっしゃローグ兄さん生きてたっ。
でも先に♂商人殺してるから『まだ2人』のはず。
ローグ兄さんにまでナチュラルに忘れられてる♂商人不憫w
…それとも大臣=豚なのでカウント外?それもまた哀れw
200名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 03:27:41 ID:13gYP8wI
連投失礼。
最後までちゃんと読んでから書こうよ私。
ちゃんと>>196の最後にカウントの仕方書いてあるじゃん…。
201名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 07:58:51 ID:xmv3r80A
進行がまったりになってきましたのう。昨日は12時間以上も書き込みなかったのか・・・・・・!
各キャラ達もそれぞれの夜を過ごしてるみたいだし、そろそろ定時放送Aカナ?
まだ夜の間に書いときたい話とかあるかすらー?
202名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 09:20:07 ID:tFls6RS.
 113 誰ぞ罪を償うか

 がきぃぃん。
 前触れ無く響いた金属音に♂アルケミストは振り向いた。
 まず最初に彼を襲ったのは剣と剣が打ち合ったその音であり、次は混乱だった。
 なぜなら。そこに居たのは冒険者であるなら誰しも見慣れている衣装の女性──つまり、カプラサービスの職員。
 普段の温厚な眼差しが剥げ落ち、冷たい殺人者の目をしたグラリスが、♀クルセイダーと剣を打ち合わせていたので。
 ♂アルケミの思考が混乱から覚めるのとほぼ同時にぎゃりぃっ、と言う音。滑る刃金に火花が散る。
 彼は、とっさに手にしたマイトスタッフをグラリスの両手剣に叩き付けた。
 ♀クルセイダーの得物は、一対一では両手で扱う剣に対しては余りも不利なので。
 これは不意打ちだったらしく、驚いた様な顔でグラリスが弾かれたバスタードソードを両手で押さえ込んだ。

「…っ!!矢張り少し無茶だったかもしれませんわね」
「っていうか、何なんだよいきなり!!」
 目の端で跳んで後方に下がる♀クルセイダーを確認しつつ、叫ぶ。
 それには答えず女は彼を第一の敵と定めたらしかった。
 ぶんっ、と真横に振られた剣が目の前を掠めるに至って、彼はまだ僅かに残っていた戸惑いを捨てる事にした。

 それはそうか、と思う。なんていったって命が掛かっているのだ。
 例えカプラ職員であっても参加させられた以上必死になるのは道理──

「っどおっ!?」
 だが。激しい痛みが胴に走り、それきり、その思考は途切れた。
 見れば、グラリスの手が妙な形状の矢が一本突き立てていて。
 さっきの横薙ぎの一撃はフェイント。これが真の狙いだったらしい。
 僅かな眩暈を覚えたかと思うと、それがスリープアローだと思う暇も無く♂アルケミストは膝をついた。
 ──要するに、彼はあらゆる意味で油断していたのだろう。

 例えばそう。
 自分が、このゲームで決して殺されない、だなんて心のどこかで思ってしまうほど。
 まるで、自分達は何処かの物語に出てくる主人公なのだ、と。
 しかしながら、それは大きな間違いで。
 天を仰ぐように。晴れた青空を見上げる様に。
 恐怖が競りあがってきて吐き気がしたが、最後の最後まで無様をさらす気にはなれなかった。
 ♂アルケミストは、薄れていく意識の中でバスタードソードを振り上げたグラリスを見上げていた。

 ぎゃりぃぃん。
 横合いから突き出されたレイピアを持ち上げていたバスタードソードの腹で受け流す。
 グラリスは膝を付き一時的に眠った♂アルケミストには拘泥せずに彼から──いや、♀クルセから伸びる線を一瞥していた。
 ディボーション。クルセイダーの技であり、繋がれた者の傷を自らに肩代わりさせると言う奇跡。
 僅かに♀クルセの服には赤が滲んでいる。矢傷を自ら肩代わりしているのだろう。
 麗しい事ね。でも、その状態で退けられる程私は甘くはありませんわ。
 歯を剥いた♀クルセが、猫科の肉食獣みたいなしなやかな動きで突き出す細身の剣を受け流しつつ呟く。

 そして思う。どうやら、この二人の信頼関係は既に出来上がっているらしい、とも。
 幸せな人達だ。思わず羨ましく思うぐらい。自分は後戻りが出来ない。
 だが。だからと言って何なのか。そうして躊躇う事に何も意味は無い。
 グラリスは迷わない。

 カプラ職員であるグラリスは知っている。
 冒険者と呼ばれる人間の内で最も恐ろしい能力は何か、と言う事を。
 個々の能力ではなく、また兵隊として能力でもない。
 本当に恐れるべきは──最も、それは普通の人間にも通じる事だけれども──紛れもない危機に陥った時だ。
 そんな時彼らは何時だって、真っ先に互いに手を組んで対処する。
 常に魔物達と矢面に立ってきたが故に、それは冒険者の本能、とも言っていい特質だった。
 別に、彼らの全員がお人よしであるからそうするのではない。
 それは生き残る為に。

 故に。数を減らすならば彼らの多くが手を取り合う前でなければならなかった。
 このゲームは結局の所、狩る側の方が不利なのだ。
 一箇所に集まられてしまえば、容易には手が出せなくなるどころか、こちらが負うリスクばかりが高まっていく。
 第一、協力者を得られない分だけ、殺人者の方が睡眠や食事などで数多くの制約を受ける。

 ただ。
 最終的には、大人数のグループもたった一つの椅子を賭けて殺しあう事になるのだろう。
 減らない人数。経過する時間。迫る確実な終わり。それは易々と一旦は築かれた信頼を砕く。
 五日だ。たった五日しかないのだ。そして帰れるのは一人。
 余りにもこの事実は重い。

 最も。あの道化が、そんな結末を望んでいるのかどうかは判らない(何故なら、彼にとってはこれは舞台であるらしいので)。
 もしも、もっと劇的な進行を望むなら。
 他にも自分の様な殺人者を管理者側から仕立て上げるかもしれないし、
ゲームの加速を望んだ道化が、何か反吐の出るような提案をするかも知れない。

 ──本当、下種なゲームですこと。

 そうは考えるが、偽りの安穏さに浸っていない分、彼女は現実的だった。
 両手持ちの剣を振り回す。ぎゃりん。受け流されたのを視認すると、片手を離して返礼とばかりに♀クルセの両目へ指を突く。
 それを回避される僅かな間に再びバスタードソードを振り上げ振り下ろす。
 傷が痛むのか、それで受身に回った♀クルセイダーを彼女は追い詰めていった。
 傷と言う事で言えばグラリスも昨夜の矢傷がずきずきと鈍く痛むのだが、大分時間は経過しているし気力で押し留めている。
 冷静に。冷静に。
 レイピアでは彼女のバスタードソードは受け流す以外に無いし、一方を無力化した後の各個撃破はゲリラ戦術の基本である。
 眠りの矢で昏倒した♂アルケミストは未だ目覚めては居ない。
 目覚めたとしても、♀クルセイダーを殺害した上でなら十分勝算はある。
 寡兵である、という点で二の足を踏まなかったのは結果として良い判断だったのだろう。
 グラリスは、そう判断した。
 そして、渾身の力を込めて、一歩後ずさっていた♀クルセイダーの胴体をなぎ払った。

 あっ、という声。
 それから、グラリスの目の前で♀クルセイダーの顔が苦痛に歪んで。くぐもった呻きが漏れる。
 レイピアとバスタードソードの質量差。真正面からぶつかり合えばどうなるかは解りきっていた。
 それは細身の剣を呆気なく叩き折り、レイピアの腹を押さえていた♀クルセイダーの片腕に半ばまで刀傷を負わせていた。
 切り裂かれ、折れ曲がって圧迫された腕から血がしぶく。僅かに見えた白いものは骨だろうか。
 私は──と♀クルセイダーが何事か呟くのをグラリスは聞いたけれども、構わずそのまま両手剣を手前に引く様にして振り切った。
 ハンマーで叩かれたみたいにぐしゃぐしゃに潰れていた♀クルセイダーの片腕が今度こそ刎ね飛んで、切っ先が僅かに脇腹を裂いた。
 浅い。致命傷には程遠い。そして、まだ中程からへし折れたレイピアがもう片方の手に握られている。
 殆ど反射的に身をかがめれたのは、曲がりなりにも彼女が軍人であった故で。
 額からこめかみの辺りに切り裂かれる熱を感じたけれども、
無視して立ち上がりながらバスタードソードの柄の先端を引き寄せると槍の使い手が石突でそうする様に、
普段の様には鎧に包まれていない鳩尾目掛け突き上げた。
 ミシリ、と手に伝わってくる肋骨の軋む感覚が生々しい。
 僅かな後悔がグラリスに忍び寄る。彼女はそれを無視する。悶絶して♀クルセイダーは前のめりに倒れる。
 剣舞の様にそのカプラ職員は頭上高く両手持ちの剣を持ち上げ。

 ばつん。
203名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 09:20:24 ID:tFls6RS.
 丁度、グラリスのかけている眼鏡のフレームを無理矢理折り曲げへしおった様な音が響いて。
 切れ味の悪いギロチンみたいに、叩き付けた両手剣の刃は♀クルセイダーの首の半ばで止まっていて。
 それから、ずるりと刃から引き抜けた♀クルセが呆気なく地面に倒れた。
 とろとろと、傷口からは真っ赤な血が流れ出している。
 即死は免れたのか、未だ繋がったままのディボーションの線に僅かだけグラリスは哀れみめいた感情を覚えていた。

 ──それでも彼女が安堵する事無く両手でバスタードソードを握りなおしたのは、
♂アルケミストが目覚めた訳でも。勿論、首の骨を叩き切られた♀クルセイダーが奇跡的に動けた訳でも、無い。

「どなたかしら?覗き見とは感心しませんわ」
 ぴっ、とバスタードソードから血糊を振り払いながら、グラリスは冷たい声を来訪者に投げた。
 真っ赤な目をした男の騎士が敵意に満ちた目線を向けているのに彼女は気づいていた。

 俺は一体どんな目で目の前のクソッタレな出来事を見つめているのだろう?
 ♂騎士はふとそんな事を思ったが、それが何の意味も無い思考である事は間違いが無かった。
 何故なら、血溜まりの中に沈んだ娘の傍らで、彼にとっても馴染み深い制服の女性がたたずんでいたので。
 その手に一振りのバスタードソードを携えて。彼女の目は吐き気がする位冷たかった。
 とどのつまり、彼の目が憎悪と怒り以外の何かに彩られている筈が無い事は明らかだった。
 滅茶苦茶に感情が高ぶり、ひたすらに罵倒しつくしたい衝動にもかられたけれども、その代りに彼は静かに口を開いた。

「どうして殺した」
 と。僅かに震える声で。最早恐怖よりも、このゲームへの怒りの方が遥かに大きかった。
 だから、彼女の墓を掘るよりも、いきなり聞こえた剣戟に後先構わず走ってきたのだ。
 (最もそれは、先程から聞こえている幻聴のせいで攻撃性が高まった結果かもしれないが)
 答えを期待していた訳ではなかったけれども、意外にもグラリスは彼に答えた。

「仕方が無いのよ」
 と。それから更に言葉を続ける。
 その間に、♂騎士は腰に提げていたツルギを引き抜いた。
 最も、未だ彼の腹の底は沸騰していて、今にもひっくり返って胃袋の中身を吐き出してしまいそうでもあった。

「私はその為にここにいるわ」
 もう少し♂騎士が冷静だったなら、彼女の語調に空しさ、いや悲しみめいた色を探し出せたかもしれない。
 だが。自らの恋人を自ら殺め、そして正体不明の不調に苦しめられている彼は冷静ではなかった。
 手に武器を取っているせいもあるし、目の前に武器を持ったやる気になってる人間がいる事もある。
 少なくとも、もぞ、と二人の背後で誰かが動く音を聞き逃す程度には。
 仕方が無いじゃねぇだろうが!!どうしてこんなクソゲームに乗るんだよ!!、と彼は怒鳴ったが意に介さずグラリスは言う。

「──お喋りもここまでね。それと、貴方はきっと長生きは出来ないタイプですわ」
 ざっ、と♂騎士に背を向けると彼女は一目散に走り去っていった。
 そして、彼は勿論その殺人鬼を追いかけようとしたのだけれど出来なかった。
 少し離れた場所から♂アルケミストの呻きが響き、(因みにそれまで♂騎士は彼の存在に気づいていなかった)
 そして、それが直ぐに呆けた様な声に変わるのを聞いたので。

 振り向くと、♂アルケミストが泣いていた。
 物言わぬ死体にすがり付いて、自らが血塗れるのも構わず泣きじゃくっていた。
 ♂騎士には、それがまるでどこか遠い場所の出来事の様に、思えた。

 この二人が、一体どんな関係だったのかは部外者の♂騎士には解らなかったが、
今の彼には何となく、その二人が自分達──在りし日の、そしてこの島に送り込まれてすぐの──に似ている気がした。
 勿論、顔立ちはまるっきり違っているのだけれど。


<♂騎士 持ち物状態変わらず F-3に戦闘の音を聞いて戻ってきた ♀プリーストの遺体を安置した場所は次の人にお任せ>
<♂アルケミスト 持ち物場所変わらず スリープアローを腹に刺されるが、ディボーションで傷自体は浅い>
<♀クルセイダー 死亡>
<グラリス 持ち物状態変わらず 逃亡先の場所は次の人にお任せ>
204名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 09:23:37 ID:tFls6RS.
とりあえずお約束、という事で。
んでもって、微妙に取り残された野郎二人の行く末如何に。
205名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 10:12:20 ID:tFls6RS.
あ、そうそう。
一つ展開を進めるアイディアを提示しておきたいので連レス失礼。
とりあえず、これからの進行の方向として
某ロワの先例を採用して幾つかのパート(○○編)という形で、
ある程度、物語を内部で分割して進めて行くのはどうだろうか?
バラバラに進めて見敵必殺で淡々と進んで行くのも味気ない気がしますし。

例えば、♂Wiz追いかけて編(♀マジsの)とか♀マジ乗り移りでGOなパートとか
♂ケミ復讐行とか、忍者の管理側施設襲撃編=>脱出へのヒント編とか。

数式で言うと
(パートA+パートB+パートC.....)=バトROワ全体
と、いう感じで。(注:ここではパートごとの時間軸は割愛してます)

発言がとりとめが無くなってきた気がしますが、
うーん、何といいますか、リレーを全体的に見たときに、
ある程度、「幾つかの小さな流れ」が集合して出来ている、
という方向に定めた方が進めやすいし読む側も見やすいかな、と。

今の流れを見るに、とりあえずまだ、物語の進行の上での
大きな道筋、というのが定まっていない様に思われますから。
このままだと迷走しかねないっぽいので、
書き手的には何か流れを一つは作っておきたいかな、と思ってみたり。

や。某ロワの影響受けまくりなのは簡便な。
それと、グラリスさん碌な死に方できないっぽいなぁ、と何となく。
♀商人PTで説得できそうな気もしますが、
既に血を浴びすぎてて立派な永久赤ネームな罠。

つまり、ヘルプガード!!地震だ火事だ飢饉だガード!!
あなたと戦っている暇など(ry、という訳で例の無敵な処刑機械を召喚する勢いです。
ただ…俺の中では何故か爆薬大量にしょった後、
GMの拠点の一つを道連れに自爆している、というビジョンが流れてますが。
206名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 10:14:29 ID:ntvBsDZA
>>202 五日だ。たった五日しかないのだ。

wWw 四日だよな。
(゚Д゚) さすが逆毛さま、その通りでございます。

そして死亡フラグ立ってた♀クルセさん、BAD ENDまっしぐらでしたね。
なむなむ。
次プレイでは♂ケミと出会っても [ ディボーションしない ] を選択しましょう。
207名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 10:19:36 ID:tFls6RS.
追記の追記。
自分の言う『幾つかの流れを集合して全体にする』というのは前回の例で言えば
(♂ローグの兄貴PT&その他PTの流れ+♀セージさんPTの流れ+プロ南対マーダー戦+最終戦)
=バトROワ1全体

ってのを大まかな流れとしてイメージして頂ければ幸い。
…蛇足だけど、今回は誰が男を一番見せるか楽しみ。
208名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 10:30:50 ID:WJCrV6W.
>>205
言いたいことはわかるんだけど
それって全てが終わった後に気がつけばそうなっていたってものであって
あらかじめそういうのを設定してしまうとキャラが動かせなくなるような…
というかそのパートを組み立てた時点でストーリーの大枠が決まる希ガス。
209名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 11:30:50 ID:tFls6RS.
>>206
ああ偉大にしてそそり立つ逆毛殿下!!
愚昧なる私めが間違っておりました、どうか逆三顧の礼でこの間違いを
Wikiで修正する事をお許しください!!

…しかし今回の♂ローグもやはり逆毛殿下が
頭の上に鎮座ましましていらっしゃるのですか?
だとすれば前回と180度半回転した後に更に360度回転して
トラが思わずバターになっちまいそうな変貌っぷりはどうしてなのでございますですか!?

愚昧の臣にどうかお答え下さいませ、そそり立つ逆毛殿下!!

ネタ返答はここまでにして後、真面目な返事を。

>>208
ある程度は『大枠を決める』ってのは重要だと思うんだ。
あー、でも俺の言い方が致命的に説明不足だった。

何ていうかな。
あらかじめ『大枠』って言うのをスレの内部で決めるんじゃ勿論ないです。
それじゃあリレーというより競作作品ですし。

ただ。書き手が作品のリレーして行く上での思考のベクトルとして、
それぞれのキャラクタを一つの島でバラバラに行動させる、というのではなくて、
幾つかのキャラが一つの…何というか、因縁があるとか目的を共にしているとか、
そういった纏まりを持つ複数の集団に分かれる様にする方向に
キャラを手がけた時点でネタとしてでも考えて、
その上で早めにどんどん動かした方がいいんじゃないかなぁ、と。
後、その場合もロワの空気は忘れずに。
や。当たり前の事のようですが、案外忘れがちになりますから。

…なんか、またわかりにくくなってきてすまんが、
要は、個々の因縁やキャラの結末なんかを書き手がネタで考えた上で、
それから演繹的に、つまり、
○○の結論がネタであるから、こういうのも考えられるっていう思考方法で
話を進めて行く途中のネタを導いてく手法はどうよ、
っていう事でつ。

沢山の既存のキャラの話の中から、これから展開のネタを閃くっていう
帰納的思考方法だと、ロワの場合、確固としたネタが出る前に
参加者の数が減りすぎたり、キャラそのものが死んで
にっちもさっちも、という具合になる可能性が十分にあるので、
こういう思考方法はどうよ、という感じで思いついて喋った次第です。ハイ。
210名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 11:50:37 ID:tFls6RS.
…慣れない説明台詞なんぞ長々と書くものではない、と反省しつつ更に補足。
肝心な所を抜かしてしまう己の脳みそのポンコツぶりを呪いたい。

パートは決めるんではなく、流れで決まる物というのは、>>208氏の通り。
けれども、そういう流れに持っていける様に
キャラがどんな風にこれから動くかの予定も
(僕の場合は>>209でだらだら書いてる様な具合で考えてますが)
ある程度は考えて作品書いた方が展開的に都合がイインジャマイカってオチです。

つーか、こんな下らん長文でスレの浪費してスマナンダ.....orz
ウザい場合は脳内スルーしたって下さい。
211名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 12:37:49 ID:3Gr0ipMo
>>202-203
おおっと、競り負けてた。
グラリスさんも♀クルセさんも守る対象があったわけですが、
執念の差が勝敗を分けるんでしょうかね。

まあせっかくなのでアナザー投下してみます。筋は大体同じですけど。


another:守るべきもの [2日目・朝]

襲撃は突然だった。
森の中から飛び出した人影に気づいた時には、すでに懐に入り込まれていた。
がきん、と金属の擦れる音。
「あなたはっ……!」
間一髪で引き出したレイピアでバスタードソードを受け止めながら、♀クルセが
驚愕の声を上げる。突然の襲撃者は、彼らがあまりにも見知った人物であったから。
ぶん、と横合いからの攻撃にグラリスが飛び退く。
「グラリス……カプラ職員のあんたまでか」
驚きから立ち直ったらしい♂アルケミが援護に入ったのだ。
強度のないレイピアでは鍔迫り合いは圧倒的に不利だ。
グラリスは返答の代わりに、剣を振るう。
「くっ……殺し合いには乗り気ってことかよっ!」
重い剣を受け止める甲高い音が立て続けに響く。♂アルケミのほうは学究肌かと読んだが、
意外にやる。強度に劣る杖で、うまく刃を受け流し、さばいている。
(ならば、やはりこれ……!)
一瞬のフェイントを交えて、ぶんと剣を振るう。
「くっ!」
ぎぃん! とその太刀筋をぎりぎりでさばいた瞬間――
「う……?」
ぐらり、と意識が揺れる。腿に突き立てられた細いもの。
(しまった、逆もフェイント――スリープアローか――?)
ごうと耳元で風がうなるのを感じながら、意識が閉ざされる。
「♂アルケミさん!」
♀クルセが叫ぶ。動きの止まった♂アルケミにグラリスの剣が振るわれる。
割って入るのは間に合わないと判断した♀クルセは、その術を行使する。
『契約により、我、汝の盾とならん!』
糸のような光が伸び、二人を繋ぐ。グラリスの刃が♂アルケミを袈裟懸けに切り払ったのは、
その直後だった。
「あ、ぐっ……!」
焼けるような痛み。何度も感じた鈍い衝撃は、肋骨をやられたのだろうか。
ぼたぼたと足元に血が滴る。
212名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 12:44:53 ID:3Gr0ipMo
グラリスも一瞬戸惑っていた。確かに斬りつけたはずなのに、肉を切り骨を断つ感触は
あったのに、傷が浅い。その直後、背後で上がった呻き声に、事態を理解する。
「献身とはね……やられましたわ」
他者の傷を自らの身体に移し変える奇跡にして、クルセイダーでも修める者は数少ない
奥義の一つ。
その場に倒れこんだ♂アルケミにひとまず背を向け、♀クルセに向き直る。
「それに、よもやこの島でそんな奇跡を行使しようなどと考える方がいらっしゃるとは……」
この二人がもともと知り合いだったとも思えない。わずかな時間で、
よほどの信頼関係を築いたらしい。
「私は……この人を守ると決めました」
♀クルセは油断なくレイピアを構えている。だが先ほどの傷がこの娘の身体に刻まれたのなら、
間違いなく重傷のはずだ。それが証拠に、剣先は微妙に震え、血の溜まった足元もややおぼつかない。
「見ず知らずの男を? あなたに何の見返りがあるのかしら?」
このまま攻めれば容易に崩せる。そう判断し、一気に切りかかる。激しい剣戟の音が響いた。
「見返りなんて……求めていません! 一緒に生き残りたいだけです!」
技術はあるようだが、やはり傷が響いているのだろう。たちまちグラリスが押し始めた。
♀クルセはずるずると後退していく。
「いずれ一人しか残れないのに? その時あの方はあなたを襲うかもしれませんわよ?」
同時に言葉でも♀クルセを攻め立てる。この娘の剣には躊躇いがある。この殺戮の島で、
まだ甘い幻想を見続けているのだ。ならば、それを突いてやれば心を崩すのは容易い。
「カプラ職員の……グラリスさんの台詞とも思えません!」
泣きそうな声。そんな仮面にもはや何の意味がある。この場では殺すか殺されるか、
それしか道はないというのに。どこまでも甘い娘。
「……ああ、それとも」
そうだ、この娘の表情には見覚えがある。戦場にもいた愚か者の表情。
「あの方に恋でもしたのかしら?」
一瞬、♀クルセの動きに動揺が走ったのをグラリスは見逃さなかった。
死角から一気にバスタードソードを叩きつける。
ぎぃん!
鈍い音と共に勝負は決していた。半ばから断ち折れたレイピアの刃が宙を舞い、
乾いた音を立てて地面に転がる。
そして♀クルセががくりと膝を突いた。彼女の身体に突き立ったままだったバスタードソードの
刃がずるりと抜ける。簡素な鎧ごと断ち切られた腹部から、どくどくと血が溢れ出した。
(あら、図星だったのね。半分カマをかけたつもりだったのだけど)
こういう手合いは戦場にもいた。だがそういう人間は、ほぼ例外なく長生きは出来ないものだ。
そうした感情は思考を鈍らせ、一瞬の判断を曇らせる。そしてその一瞬こそが、戦場においては命取りとなる。
確かに、♂アルケミの傷を引き受けながら、しかも重量や強度で圧倒的に劣るレイピアで、
ここまで自分と戦ったことは賞賛に値するが、けれどそれだけだ。
熱に浮かされた小娘ごときに後れを取る自分ではない。もうこの娘は動けまい。
彼女に止めを刺し、その後は♂アルケミを始末するだけだ。
そして、一刻も早くWを探さなくてはならない。
「……ど、し……て……」
腹を押さえ、喉にこみ上げる血で激しく咳込みながら♀クルセが呻くように言う。
それは何に対する問いかけなのか。
どうしてあなたは殺すのか? どうして自分の心がわかったのか? どうして自分は勝てなかったのか?
どれでもあり、どれでもないようにも思う。わかったところでグラリスには答えるつもりもなかった。
213名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 12:46:27 ID:3Gr0ipMo
だが、♀クルセに近づきながら、我知らずグラリスは話していた。
「あなたは、あの♂アルケミストを守ると言いましたね」
苦しげに息をしながら♀クルセが顔を上げる。
その首筋にぴたりと刃を当てて、グラリスは続けた。
「ですがあなたは私に勝てなかった。今なら私はあなたの見ている前であの方を殺すことも
出来ます」
♀クルセが辛そうに表情をゆがめる。
あのバードにでも影響を受けたのか。さっきから自分は喋りすぎているとグラリスは思う。
「守るというなら、何をしてでも最後まで守りきるべきなのです。あなたにはその覚悟がなかった。
あなたがここで死んだ後、あのアルケミストも私が殺します。あなたは結局、誰も守れない」
けれども言葉が止められない。それは、半ば自分に向けた言葉でもあったからか。
「そして、私にも守らなければならないものがあるの……だから、死んで頂戴?」
ずっ、とバスタードソードの刃が走る。
♀クルセの首筋から迸った熱い血が、グラリスの顔を濡らした。
「か、く……ぁ……」
♀クルセの唇から発される音はもはや言葉になってはおらず、代わりにごぼごぼと
血が溢れ出るのみ。
それをグラリスは眼鏡越しに見下ろしていた。

「っ!」
背後に殺気を感じ、とっさに頭を下げて横に飛び退くと、さっきまで自分のいた空間を風が薙いでいた。
「あら……王子様のご登場ですか」
そこにはマイトスタッフを握り締めた♂アルケミが立っていた。
「でも遅かったようですわね? この方はあなたを守ると言って死にました」
まだ♀クルセの血に濡れたバスタードソードを構える。
「そしてあなたも……」
「黙れよ」
怒りの声ではなかった。かといって震えてもいなかった。
「それ以上、その子を侮辱するのは許さねえ。俺はあんたには殺されない」
♂アルケミは静かに泣いていた。
けれどその目は、悲しみに打ちひしがれたものではなく、さりとて怒りに我を失ったものでもなく。
その奥の静かな感情は、今のグラリスをして総毛立たせた。
眼鏡の奥の目がすっと細められて。
「いいでしょう……あの♀クルセイダーさんに報いる気持ちがあるのなら、生き延びて御覧なさい」
何かがこの男の中で変わったようだ。もはやくみし易しなどとは思うまい。
グラリスは剣を構え直した。

<グラリス 現在位置:F-3
 TBlバスタードソード、メイルオブリーディング、DCカタール、羽根帽子、スリーピングアロー、普通の矢筒、案内要員の鞄
 左脇腹負傷、激しい動きをすると激痛>
<♂アルケミスト 現在位置:F-3
 マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10個
 腿に矢傷、胸部負傷(ディボーションの効果で軽傷)>
<♀クルセイダー 現在位置:F-3
 レイピア(破壊)、青箱1個
 全身に重傷、瀕死>
214名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 13:07:24 ID:3Gr0ipMo
うが、貼り付けたら意外に長くなった。アナザーのくせして長々と御目汚し失礼しました。
つーか献身クルセなんて死にますって言ってるようなもんだよねぇ。
「守るものがあるなら〜」は♂クルセに言わせた方が良かったかと投稿してから
思ったけどまーいっか。

>>205
でもそれはやっぱり話の方向性を縛っちゃうことになりそうな。
予想外なところで繋がってドラマが出来ると言う楽しみもありますし、
話に深く関わりそうなキャラが殺しにくくなっちゃうとかもありそうかなと危惧します。
215名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 13:48:57 ID:rqnclocA
>>202
一応110話で墓を掘って♀プリは埋葬したつもりでした、花の下に_| ̄|○ワカリニククテスミマセン
♀プリ埋葬→声が聞こえる→抵抗→どっかに行く って流れのつもりだったのですががが。
すいません、土に埋めて墓を作る描写ちゃんと入れときます(´・ω・`)
でも別に剣戟の音を聞いて戻ってくる分には問題ないですね。
216名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 15:41:24 ID:igp5UqUg
>>208>>214
確かに>>205氏の書かれたことはよく分かりませんが…。
大幅な推測を交えて言い換えてみると、
「そろそろ大きな目的意識を持つ話を投下してやってみませんか?」って意味じゃないかと。
例えば今のところ、どの非マーダーPTも「積極的には戦わない」ってだけで、「ゲームを壊す」って統一的な行動はしてないんですよね。
それに一番近いはずの♀WIZ組でさえ^^;
集団ごとの最終目標とその為の行動がはっきりすれば、あとは自然に流れが出来てくると思います。
んまあスレでその内容を決める物ではないと思いますが。
217名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 16:02:56 ID:neOr0OfU
>>216
確かにそういうことなら各キャラの行動を決める話がそろそろ欲しいかもしれませんね
何時までもそこいらでらぶらぶやってたら死のフラグが全部一斉に降りかかるか分かりませんしw
で、>>208>>216の言うスレで決めることではないというのは「言いたいことはコイツ(作品)で語れ!」ということですよね?

ところで>>134のエロ文章投下マダー(AA略
218名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 16:18:02 ID:kAbWxNxo
蛇足かなとは思いつつ、♀クルセ嬢の鎮魂として捧ぐ。

114 Devotion

私は、弱かったんだろうか。
薄れてゆく意識の中で、♀クルセは思っていた。
喉からひゅうひゅうと空気が漏れ、熱いものが流れ出していく。
私はここで死ぬんだ。
あなたを守ると言ったのに。
暖かな血と共に、命が流れ出していく。氷のように冷たい死が、全身を犯していく。
あの夜の底よりもなお暗い闇が、自分を飲み込もうとしている。
怖い。
鼻歌を歌いながら、道化師がやって来る。
怖い怖い怖い
9人分の死体をぶら下げて、後ろに4人を引っ立てて、鎌を担いでやって来る。
怖い怖い怖い怖い怖い
そしてゆっくりと告げる。さあ♀クルセさん、お迎えに上がりましたよ。
怖い助けてこんなの嫌お父様お母様どうして死にたくない誰か――!!

ぽつ、と胸に熱が広がる。ぽつ、ぽつ。
闇に包まれていた私の意識が一気に開けた。
♂アルケミさんが泣いている。私を抱きしめて、泣いている。
夜とは逆みたいだと、私は思った。
ああ、駄目。そんなにしたら、血で汚れてしまいます。
(ごめんなさい、私は、あなたを守れなかった――)
断ち切られた私の首はごぼごぼと血の泡を溢れさせるばかりで、それをなかなか言葉にはしてくれない。
私の胸元に涙を滲ませながら、♂アルケミさんが言う。
「俺は……俺はっ! 君を守ってやれなかった……!」
そうか。
なんて私は馬鹿だったんだろう。
私は誰かを守ることで頭がいっぱいで。他の人だって守るものがあると頭ではわかっていて。
私だって誰かに守られていたのに。私だって簡単に死んではいけなかったのに。
それに気づいていなかった私が、あの人に敵うはずがなかったのだ。
あの人は、例えばあの魔術師のように、狂ってはいなかった。
あの人の目は、何かのために戦っている人の目だ。覚悟をした人の目だ。
何て強くて、そして何て悲しい目。

冷たくなってきた体は、全然言うことを聞いてくれない。
でも、それを必死で動かして、♂アルケミさんの手をそっと握った。とても暖かかった。
もう祈りの言葉は要らない。
私の魂はすべてこの人のものだから。この人の苦痛も、罪も、すべて分かち合おう。
私はあなたと一緒にいます。
だから、お願いです。生きることを諦めないで。憎しみに囚われないで。
そしてあの人を、グラリスさんを、止めてあげて。
この悲しいゲームを終わらせて。
もう、目が良く見えない。
最期に♂アルケミさんの顔が見られないのは、残念だなと思う。
でも、そう。
笑った顔が可愛いよ、とあなたは言ってくれたから。
私は精一杯、笑顔を浮かべた。
私は、ここにいます。


どうか、かみさま。このひとに、ごかごを――

<♀クルセ 死亡>

<残り36人>
219名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 16:30:53 ID:ntvBsDZA
まぁ、確かに前回の首輪解除へ進んだ流れみたいに脱出への光明を用意しないといけないかなとは思いますが
前回も首輪の解析が終わったのって152話なんですよね。

それでもゲームからの脱出を目的とするPTはそろそろ何らかの手がかりを求めはじめるだろうし、
とりあえず2日目はそのまま各PTの流れに任せてみてはどうでしょう?

少なくとも♀WIZは首輪のリンクシステムを把握しているし、♂セージはGMジョーカーと面識があるのかもしれない。
忍者悪ケミは脱出への手がかりをつかむかもしれないし、GM側の内乱が生じるかもしれない。

起承転結なら承の部分に当たる2日目ですし、転じる前の下ごしらえということで
物語をあまり一気に進めずに奥行きを深めるのが良いのではないかと思うであります。

どうやって脱出するかを考えたり、それ用にネタを仕込まなければならないかな、とは思う。

脱出に関して私は、島全体がギルド戦用のシステムを使ってスキルを弱体化させているので、
△△△による□□□への☆☆☆みたいなのを利用してなんとかできないかなー、なんて考えてます。

首輪のはずし方はそもそもはずすという考えをせず、
リンク切れ爆破のために首輪に封じられているエネルギーさえなんとかすればいいはずだから
首輪に○○○、×××を確定させて●●●とか妄想しております。

各自、いろいろ脱出策は練っているんじゃないかなぁ。
220名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 16:50:51 ID:kAbWxNxo
・脱出への流れ
まだパーツ持ってる人が個人でバラバラ(♀WIZも話してない)なので
流れを作るにしてももう少し仕込みの必要はありそうですね。
各PTが行動方針を決めるような話を誰かが書かないとならんってことですが。

・首輪はずし
リンク機能にさえ気づければ何とか出来そうな気はします。
普通、外そうとしてるのに気づいた時点で爆破されそうだけど
ジョーカーの性格だと面白がって放っておきそうな予感も……。
今ネタ帳見返してたら
> ジョーカー、反抗的な言動が見られるものから処分者を出す→♂ケミ
> とっさの献身で♀クルセが身代わりに死亡。♂ケミ結果的に首輪から自由に。
とか書いてあったり。
221名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 18:16:39 ID:ntvBsDZA
島状況チェックリスト(114話終了時点)

───────────────────────────────────────────────────

A-1
  海を見下ろす崖。
   [♀ハンタ]登場。[♀ハンタ]C-2へ。

A-2 *** 禁止区域指定 ***

A-6
  断崖絶壁の海岸付近。
   [♂マジ]登場。[♂マジ]C-7へ。

───────────────────────────────────────────────────

C-2 [♀ハンタ]C-3へ。

C-3
  見渡す限りの森林。
   [♀ハンタ]vs[♂WIZ]。[♀ハンタ、♀スパノビ]PT結成。[♀ハンタ、♀スパノビ]C-6へ。[♂WIZ]C-5へ。

C-5
   [♂WIZ]付近を南下。

C-6
  丘の木立を臨める平原。右手に見える丘、振り返るとうっすらと見える木々そして正面に広がる草原。
   [♀ハンタ、♀スパノビ]D-6へ。
   [♂マジ、♀マジ]PT化。

C-7
  前方には木々が生い茂り、背後には崖と海。森の中には燃え尽きた小屋。
   [♀剣士]登場。[♀剣士]♂ノビを殺害。[♀剣士]E-6へ。
   [♂マジ]小屋を通過しC-6へ。

───────────────────────────────────────────────────

D-3
  海岸。南側に森。
   [♂WIZ]vs[♀クルセ]。[♂ケミ、♀クルセ]PT結成。[♂ケミ、♀クルセ]海岸から森へ移動、E-4へ。

D-5
  ♂商人が見た集落?(未登場なため変更可)

D-6
  丘の木立。
   [♀アサ]登場。[ミストレス]登場。[ミストレス]♀アサを殺害。[ミストレス]E-8へ。
   [♀ハンタ、♀スパノビ]夜営。[♀ハンタ]梟と会話。
   [♂WIZ、♀マジ]PT結成。[♂WIZ、♀マジ]PT解消。[♂WIZ]東へ。[♀マジ]C-6へ。

D-7 *** 禁止区域指定 ***

D-8
  満月を背に断崖絶壁の上。
   [♀アコ]大臣を追っていたらここに居た。[♀アコ]vs[♂クルセ]。[♀アコ]崖から転落、E-9へ。[♂クルセ]移動先不明。

───────────────────────────────────────────────────

E-3
  森。
   [♀WIZ、♂プリ、♂シーフ]と[♂騎士]出会う。[♂騎士]♂プリに懺悔。[♀WIZ]大臣との関係を回想。[♂騎士]F-3へ。
   [♂セージ、♀商人]夜営。

E-4
  森。鬱蒼とした木々。
   [グラリス]バードと交戦後、ここに移動。[グラリス]夜に再びF-3へ。
   [♂ケミ、♀クルセ]献身契約。[♂ケミ、♀クルセ]明け方にF-3へ。

E-5
  急な斜面あり。山頂。山頂から見えるのは島内は東西に1つずつある建物群。真上は少しばかり切り立った壁だったか。凡そ2メートル位。
   [♂商人]登場。[♂商人]G-4へ。

E-6
  島の中央部の小さな森の外れ。
   [♂アサ、♀ノビ]PT結成。[♂アサ、♀ノビ]vs[♀剣士]。[♂アサ、♀ノビ]F-6へ。[♀剣士]F-7へ。

E-7
  島の中央部の小さな森。
   [♂剣士]登場。[♂剣士]F-7へ。

E-8
  森。木々の隙間に隠れる月。
   [ミストレス]過去を回想。

E-9
  大きな木。崖の切れ目の浜辺。
   [♀ローグ]登場。[♀ローグ]F-8へ。
   [♀アコ]崖から転落後、浜辺まで辿り着き昏睡。

───────────────────────────────────────────────────

F-1
  砂浜の海岸、見渡す限り広大な海。
   [♂セージ、♀商人]PT結成。[♂セージ、♀商人]F-3へ。

F-2
  林から海岸に出る。
   [♀WIZ、♂プリ、♂シーフ]PT結成。[♀WIZ、♂プリ、♂シーフ]E-3へ。

F-3
  ♀BSが身を隠した小屋。 民家は少々小さめの山小屋、離れにカートがあった倉庫。
   [♀BS、♂スパノビ]PT結成。[♀BS、♂スパノビ]同MAPの民家へ移動。[♀BS、♂スパノビ、ダンサー]PT結成。[♀BS、♂スパノビ、ダンサー]F-6へ。
  海岸線から川を見つけ出しそれを遡上するルート。
   [グラリス]、[♂セージ、♀商人]に覗かれる。[グラリス]♀商人をWと勘違いする。[♂セージ、♀商人]E-3へ。
   [グラリス]vs[バード]。[グラリス]E-4へ。[グラリス]バードが死んでいたことを知る。
  島の北部、森、森の中に半ば埋もれる様にして立っていた小屋。
   [♂騎士、♀プリ、バード、ダンサー]PT結成。[バード]、[ダンサー]PT離脱。[♂騎士]♀プリを殺害。[♂騎士]E-3へ。
   [♂騎士]♀プリを埋葬する。[♂ケミ、♀クルセ]vs[グラリス]。[グラリス]♀クルセを殺害。

F-5 *** 禁止区域指定 ***
  小集落。
   [♀アコ]大臣を見つける。[♀アコ]D-8へ。[大臣]I-5へ。
  倒壊しかけた家屋の中。
   [淫徒プリ]登場。[淫徒プリ]F-6へ。

F-6
  草原地帯 まばらな森の木立 膝まである草が生えた草原。
   [♀マジ]♀BSにコルドボルト誤射してからここへ移動。[♀マジ]D-6へ。
   [淫徒プリ]F-5からここへ。[淫徒プリ]G-6へ。
   [♀BS、♂スパノビ、ダンサー]F-3からここへ。
   [♂アサ、♀ノビ]小さな木の下で夜営。[♂アサ]ロリコンとして覚醒。

F-7
  巨木の頂上、森の頂とも呼べる場所。東南部の森。
   [♂モンク、♀騎士]PT結成。[♂モンク、♀騎士]vs[♀剣士]。[♂モンク、♀騎士]♀剣士を殺害。ヘルファイア放置される。
   [♂クルセ]登場?
   [♂剣士、♀セージ]PT結成。[♂剣士]ヘルファイア入手。[♂剣士]♀セージを殺害。

F-8
  南から北にむかって小川が流れている。見通しのいい平野。東にわずかに砂まじりの平野。
   [♂クルセ]♀ローグを殺害。[♂クルセ]D-8へ。

───────────────────────────────────────────────────

G-3
  元は漁師小屋か何かだったのか数軒のみすぼらしい小屋が立ち並ぶ浜辺。
   [グラリス]♀モンクを殺害。[グラリス]F-3へ移動。

G-4 *** 禁止区域指定 ***
  やや大きく見える東側の集落、村と呼ぶには少し小さすぎる、荒れ果てた集落。林の中に朽ち捨てられた、ぼろぼろになった家の密集地帯。
   [♂ローグ]♂商人を殺害。[♂ローグ]H-5へ。
  周囲を木々に囲まれた林の中。
   [♀WIZ]登場。[♀WIZ]F-2へ。

G-5
  砂地交じりの草原。
   [♂ハンター、♀アチャ]G-6境界付近で夜営。

G-6
  草原地帯。見晴らしのいい砂地の草原。
   [♂BS、♀ケミ、淫徒プリ]PT結成。

G-7
  岩場。広陵とした大地、点在する大小の岩々。
   [グラサンモンク]vs[忍者、悪ケミ]。[忍者、悪ケミ]H-7へ。[グラサンモンク]はG-7のまま。

G-8
  岩場。砂漠。岩場の天頂から北の方角に密な森林が広がっているのが見える。
   [♀セージ]登場。[♀セージ]F-7へ。

───────────────────────────────────────────────────

H-4
  海岸から少し離れたところに木立。
   [♂プリ、♂シーフ]登場、PT結成。[♂プリ、♂シーフ]F-2へ。

H-5
  木々の中を走る獣道。
   [♂BS、♀ケミ]♂ローグを見かける。
   [♂ローグ]♂ハンタ、♀アチャを狙う。[♂ローグ]、[♂ハンタ、♀アチャ]I-5へ。[♂BS、♀ケミ]G-6へ。

H-7
  海岸。岩陰あり。
   [忍者、悪ケミ]悪ケミハウスで夜営。

───────────────────────────────────────────────────

I-5 *** 禁止区域指定 ***
  小屋から離れた場所にある小さな林。
   [♂ローグ]大臣に寄生虫卵入りビスケットを食わす。
  小屋。
   [♂ハンタ、♀アチャ、♂アコ、ジルタス]森でPT結成。[♂ハンタ、♀アチャ、♂アコ、ジルタス]小屋に移動。
   [♂ローグ]小屋を急襲。[大臣]室内に放り込まれる。
   [♂ハンタ、♀アチャ、♂アコ]逃走。[♂ローグ]vs[ジルタス]。[大臣]爆死。[ギオベさま?]誕生。
   [♂ハンタ、♀アチャ]G-5へ。[♂ローグ]I-6へ。

I-6
  木立ちから森。
   [♂ローグ]夜営。

───────────────────────────────────────────────────

J-6
  断崖絶壁のすぐそばに灯台。
   [ホルグレン]登場。[ホルグレン]移動開始。

───────────────────────────────────────────────────

フェイヨン上空
   [ふぁる]出陣。

───────────────────────────────────────────────────

不明な場所
  砂浜、海岸の岩陰。海岸に程近い家屋で目を覚ます。
   [♂アコ、ジルタス]の足跡

───────────────────────────────────────────────────

注:1ブロックの端から端までの移動は全力でもおよそ1時間はかかるものとする
222名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 21:22:22 ID:0T6NwBLk
115 Land Seeker

放送後の島の最南端…
海を見下ろす岬の先端に、闇色の半径4メートル程の球形が形成されていた。
月光が皓々と辺りを照らす中、周囲の闇より遙かに暗いそれは、見方によっては底が見えぬ穴のようにも見えるだろう。

そしてあまりに不自然な『それ』の中心に、

「むう、こんなものかの」

やや不満げに眉を顰ませる女性…ミストレスはいた。
背の薄く光る蜻蛉のような4枚の羽と赤く輝く双眸は、彼女が人外であることを物語っている。

リーン…リーンリーン……

波の音に混じって流れる高周波音…羽から発する震動音にあわせるように闇色の何かは形を変える。
時には空に浮かぶ雲のように、時には海底の砂泥のように。
…変幻自在なそれが何なのか語るまでもないだろう。
苦手な者(例えば♀ローグ辺り?)が間近で見たら卒倒すること請け合いである。

ヴンッ………

やがて一際大きな羽音が鳴り響くと共に霞は拡散し、後には彼女と僅かばかりの羽虫と波の音だけが残った。

「…まったく人の身とは不便なものじゃ」

がっかりと肩を落とすその仕草は、本人は意識してないが妙に人間くさかった。

そう、人間的なのだ…なにもかも。
ここに来てから魔術的な後天的感覚はおろか、生まれながらの五感に至るまで人並みなのだ。
闇夜を見通す目と犬より鋭い嗅覚を持っていた彼女には考えられない愚鈍さである。
加えて糸も切れている現状で自力で器を見つけることは不可能、と早々に見切りをつけ、今に至る。

(さて、妾も往くか…)

何も言わず、ただ心配そうにまとわりつく羽虫達に苦笑するとミストレスは歩き始めた。

彼女は考える。

(妾は人間共の殺し合いになど興味はない
 だから、器と道化師の命だけ受けとって帰らせてもらう)

…つもりだった。放送を聞くまでは。

(だが、そうも行くまい)

あの悪意ある放送を聞き確信した。
道化師が糸を引いている以上、殺し合いは必然であり、避けられないだろう。

(何故なら…器と道化師、どちらか片方に妾の指がかかりそうな時、奴は島の全ての冒険者を妾にけしかける気であろう)

無事に返す気など更々無いのだ。

(バフォメット殿の忠告に耳を貸すべきだったか)

数日前、森の迷宮の主から使いの者が来た。王国の何某が焦臭いとか何とか。
最近頓に盛りが付いてるようなので「親父が媚び売ってキモッ」程度に思い、同時に使いが気の毒でハチミツを持たせて追い返したのだが…

(…余計なことばかり頭を過ぎりよる)

自分でも弱気になっているのが分かる。
今の彼女は裸の女王なのだと、ここに至り思い知らされた。

…しかし、このまま奴の思い通りになるのか?

(簡潔に考えよう…妾自身に問いたい。問い正したい。
 踊る道化師と踊らされる妾、どっちが無様か?)

答えは要らない。
そう、彼女は女王、自然の支配者。
今こそ王たる者の吟味を見せるときなのだ。
彼女が怒れるのなら其れ相応の報いを受けるのが自然の必然。
自分の心に魂に鞭を打ち、畏怖も恐怖も須く噛み砕き飲み干すまで。

(仲間内では知的で温厚であると評判の妾(注:と自分では思っている)もいい加減、限界であるぞ?)

(クク、うふふふふふふ………」

そして、思考の中で積もり積もった感情が怒りに変換され頂点に達し、ヒスって暴れだす5秒前。
察して慌てて逃げ出す羽虫達と入れ替わりに、偵察の蠅数匹が状況報告に戻ってきた。


「…コホン。なに?人間が倒れているとな?」


<ミストレス>
現在位置・・・(島最南端の岬)E-10
容姿…髪は紫、長め
所持品・・・ミストレスの冠、カウンターダガー、カード帳
備考…虫を操り、器の捜索と島全域の調査(時間経過と共に少しずつ情報が集まる)
備考…E-9の♀アコを発見、バフォメットと面識がある(つまり…)
目的…「器」を探す・ジョーカーを殺す
223名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/22(火) 21:42:02 ID:0T6NwBLk
お目汚し失礼しました。見落としなど無ければよいのですが…

さて、リンク云々があるなら、ジョーカーって島にいないかも?と思う今日この頃。
前回の冒険者の反撃とか踏まえるとありえそうな。

あと、寄生虫って「虫」に分類されるのかな…
って、その時の書き手任せでいいですね?
(羽は無いけどアルギオベの変種なら彼女に従う可能性があるかも?)
224名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 00:24:50 ID:LeIZ86LQ
>>223
GJ〜
バフォメット云々って週間BOSS通信かな、かな?

電波と一緒で電波塔みたいな発信用の魔法装置がどこかにあるとか?
それだと発見>破壊で終わってしまいそうな予感
やはり、監視者、強行手段の実行者としてのGMさまは必要かも
だって、そのための特殊装備でしょ(それはきっと違う
225名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 09:18:54 ID:IDPTcKcU
116.払暁の茜


初夏とは言え朝方の平原は少々冷え込む。
丈の低い草に覆われた平地で夜を明かしたのは、必ずしも最良の選択とは言えなかったかも知れない。
ダンサーは踊り子用の薄いマントを体に巻き付けた。

散在する木立に寄らなかった理由は簡単だ。
彼女達の中には忍びの技に長けた者が居ない。
ダンサーにはアーチャー時代に鍛えた野山の勘があるが、その後を街で暮らしすぎた。
悪意のある相手が寄って来た場合、お互いに身を隠しやすい木立の中ではどちらが先に気付くかわからない。
そしてそういう相手は平地より誰かが隠れていそうな木立から調べるだろう。
つまり木立の中はかえって危険かも知れない。
夜中ならば平原でもじっとしている限り見つけにくい。特に少しでも窪地になっている場所なら。
逆にこちらは動く物にさえ気をつけていればいいのだから、確実に先に見つけられる。

そしてその効果は確かにあった。
白々と明けつつある東の空を背景に、近寄ってくる集団を見つけたのだ。


また女だ。
♀アルケミストはヒステリーの1つも起こしたくなってきた。
危険なローグを避けるため、淫徒プリを説得して日が昇る前から西に向かった。これはいい。
草原から身を起こした三人組に敵意はないように見える。少なくとも不意打ちをしない程度には。これも素晴らしい。
しかしその編成は彼女が遭遇を願っていた物とほとんど逆方向だった。
BSにダンサー…そして最後の1人はあれでスパノビなのだろう。
ごっつい男が1人に、豊満な肉体を強調した女が2人。
見たところダンサーは弓を持っていないようだし、スパノビも体格からして短剣型だろう。
つまり遠距離攻撃力は無し。
これでは何かの呪いかとも思いたくなる。
だが、今は弓を持っていなくても後衛職を逃す手はないし…すでに♂BSは鼻の下を伸ばしていた。
まったくこいつは。女に甘すぎるのも考え物だ。
とは言ってもここは一旦合流して大所帯になるに任せた方がいい。
その上で不要になれば仲違いを起こさせれば済む話だ。
そこまでをほとんど瞬時に計算した彼女はおそるおそる――を装った口調で――話しかけた。
「皆さんはこのゲームに乗ってない、と考えていいですか?」

ざん

また女だ!
淫徒プリも大声を上げて走り回りたくなるのをこらえていた。
もちろん理由は♀アルケミストとは正反対である。
ちなみに彼の脳内辞書では女と書いてふとももと読む。
できればもう少しバラエティーに富んでいると楽しかったのだが、いずれも劣らぬむちむちっぷり。
是非とも水浴びをご一緒したいところである。
いやいや今はそんな妄想にひたっている場合ではない。
まずはそれを実現するために、何としても彼女たちと合流しなくては。
彼は両手を軽く広げて前へ進み出た。
「見ての通り私達に戦う意思はありません。と言うか、♂BSさん1人しかちゃんと戦えないのですけど。できればご一緒しませんか?」

ざん、  ざん

女の子…ねえ?
ダンサーは首を傾げた。
三人連れならまず殺し合いには乗っていないでしょう、と声を掛ける提案をしたのは自分だったのだが、何かが引っかかる。
ちょっとは長く女をやってきた勘だ。
敵意や害意ではないのだが…なんだろう。何か隠しているような、底意のような物を感じる。
本当に一緒に行動して大丈夫かしら。

ざん、ざん、ざん

BSかあ。
♀BSもまた腕組みし、首を傾げていた。
それによって強調された胸の谷間に視線を感じ、♂BSを睨み付ける。
実のところ視線は二つあったのだが、淫徒プリのそれには気付かなかった。
ダンサーの言葉は正解だったみたいだけど、なあんかこいつあたいとかぶるし、視線も気になる。
…けど支援プリさんが居れば♂スパノビの負担も軽くなるし、この三人なら斧や鈍器使えるからARやOTも入って悪くないんだよねえ。
そこまで考え、彼女はあることが気になった。
「えっと、一応確認したいんだけどさ。彼、武器持ってないみたいだけど…万一の場合本当に戦えるのかな?」

ざんざんざんざんざんざん

「ぼ、ぼず…?」
「ん、なんだい?ちょっと待って」
四人の女性達がお互いに自分の関心事に気を取られ、♂BSもにわかハーレム状態に心を奪われていたため、それに気付いたのは♂スパノビただ一人だった。
しかも彼は愚直に♀BSの会話が終わるのを待ってしまった。
「ああ…。そういやまだもらった箱開けてなかったな」
「だめじゃん」
指摘された♂BSが箱を開けようとし、五人の目がその手元へ集中する。
こうして致命的な、あまりにも致命的な数秒が消費された。

ざんっ!

「ぼず、あぶねえっ!」
「ちょっと何…」
♀BSを押し倒す♂スパノビの分厚い肩越しに、高々と跳躍した人影が目に映った。
その影は手に持った長い竿状の物を空中で振りきる。
その先端に赤々と燃える火球が生まれ、ごぅ、と音を立てて飛来した。
まだ薄暗い中、♂BSの箱から出る物を見ようと集まっていたことが災いする。
火球は彼らのど真ん中ではじけ、六人すべてを巻き込んだ。

「きゃっ」
「あっちいいぃっ」
炎の熱、それ自体の威力はさほどでもなかった。
全員いくらかの火傷を負ったに過ぎない。
しかし夜闇から次第に明け行くこの時間、目は必死に光に慣れようとしている。
爆炎に灼かれた視界は刹那の間白く焼き付いた。

たっ

着地音。
そして

「マグナムブレイク!!」

地に突き立てた槍の穂先を中心に、同心円を描いて衝撃波が走る。

噴き上がる土砂と共に化け物どもは四方にはじけ飛んだ。
なんて僕はついていないんだろう。
木立の下で一晩を明かし、話し声が聞こえた気がしたので♀セージさんかと思って急いで来てみればまたこれだ。
6対1。
普通なら危ない数だけど、うまくまとめて吹き飛ばせた。
あは、思ったより簡単だ。
『数が多いときは範囲攻撃で散らし、弱った奴から確実に減らせ』でしたね。
頑張りますマスター。みててください。

奇襲をまともに受けたのだと悟ったあたいは、チカチカする目をしばたかせて反撃に立ち上がろうとした。
どんっ
「っぐう」
妙な衝撃。そしてうめき声。
♂スパノビが強く抱きついていてうまく立ち上がれない。
「ちょっと、放しな」
強く押しのけると、その巨体がぐらりと横倒しになる。
その向こうに燃えさかる槍を手にした♂剣士。
突き込まれる穂先を反射的に振り上げた右手で受けた。
がぎんっと鈍い音。
こんな場合にも武器を放していなかった修練の力にちょっとだけ感謝する。
斧を改めて構え直すが、槍を引いた襲撃者は目標を変えた。
それより子分の容態は?
「大丈夫!?プリさん!こいつにヒールを!」

倒れた2匹からと思ったけど、片方はひどく手応えが硬かった。
これに手間取ると危ないよね。他のからやろう。
1匹は下がった。1匹は向かってくる。もう2匹は立ってるのに動きが鈍い。
あ、鈍いのの片方が背を向けた。
やっぱりあれからだよね。

冗談じゃない。
最前線に立つのは向いていないと昨日思い知ったばっかりだ。
衝撃の余韻でふらふらする足を叱咤し、後ずさりしようとしたところで奴と目があった。
やばい。
♀アルケミストは身を翻した。
「助けて!」
大丈夫。♂BSが守ってくれる。

「速度減少! レックスディヴィーナ!!」
もう全員に支援魔法を掛けるには間に合わないと見た淫徒プリは、ヒールを求める声を無視して素早く2つの弱体化魔法を唱えた。
敵は剣士一体。自慢できるぐらい的確で辛辣な判断だった…はずだ。
なのに予期した効果がない。
「うそ、効かない!?」
その間に♂BSが襲撃者と♀ケミの間に割って入った。
226名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 09:19:42 ID:IDPTcKcU
青箱から出たのは短剣。これではあの大槍は受けきれない。
そう見て取った♂BSは♂剣士が振りかぶった瞬間に一歩踏み込んだ。
短剣を届かせるためにも間合いを縮めなくてはいけない。
がつん、と柄で肩を強打されたが、刃でなければなんとかこらえられる痛みだ。
さらに深く踏み込んで槍を振るう間を殺しつつ、短剣を振るう。
避けやがった。が、下がる暇はやらねえっ!
空いた左手で槍を掴み、強引に体を引き寄せて刃をねじ込む。
しかし同時に
「バッシュ!」
♂剣士も右手を放し、彼のこめかみへ強打を放った。

私は…なんてことを…っ
脳震盪を起こし、動きの止まってしまった♂BSを炎の刃が貫く。
松明のように燃え上がる姿を視界に収め、ダンサーは歯がみした。
MBを受けた瞬間、彼女はそれに逆らわず大きく飛んで距離を取っていた。
結果、♂スパノビを守るにも、そして♂BSをフォローするにも間に合わなかった。
子供達と同様♂スパノビも守る。そう誓ったのに、最後の瞬間に自分が生き残ることを選んでしまったのだ。
後悔と焦燥に灼かれ、彼女は間合い一杯で鞭を振った。

あはは、うふふ。
やられちゃった。痛いなあ。
でも2匹殺したし、残ったのは弱そうなのばっかり。
なんとかなるよね。
あれ?
槍が動かないや。
…なんか化け物の触手が絡んでるよ。
やんなっちゃうな。
気持ち悪いし、仕方ないか。

ぎりぎりの間合いで振ったがために、ダンサーの鞭は♂剣士の体には届かなかった。
代わりに♂BSから引き抜いた槍に絡まり、動きを封じる。
強く鞭を引き、彼女は叫んだ。
「♀BS、今よ!」
♂スパノビは気になるが、目前の敵を倒さないことには手当もできない。
彼女の叱咤に♀BSがのろのろと反応した。
「早く!」
ちらっと様子を見る。
と、突然手応えが軽くなった。
綱引き状態だった鞭をいきなりゆるめられ、後ろ向きに転がりそうになる。
何が、と驚く彼女に向かって燃える刃先が迫った。
「くっ」
♂剣士が槍を放したのだと気付くより早く、身をよじり、のけぞって必死にかわす。
そむけた顔のすぐ上を炎の槍が通り過ぎた。
よけきっ――
とす
倒れ込むダンサーの体に、冷たく硬いものが差し込まれた。


<♀BS>
位置:F-6(まばらな木立のある草原地帯)
所持品:ツーハンドアックス
外見:むちむち 、カートはない
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷
備考:ボス、筋肉娘

<♂スパノビ>
位置:F-6
所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり
外見:巨漢、超強面だが頭が悪い
状態:瀕死

<ダンサー>
位置:F-6
所持品:ロープ、カード帖
外見:美女
状態:瀕死
備考:子持ち、母性本能大

<淫徒プリ>
位置:F-6
所持品:女装用変身セット一式 青箱
外見:女性プリーストの姿 美人
状態:軽度の火傷
備考:策略家 Int>Dexの支援型

<♀ケミ>
位置:F-6
所持品:S2グラディウス、青箱2個
外見:絶世の美女
状態:軽度の火傷
備考:策略家 製薬ステ

<♂BS>
位置:F-6
所持品:青箱、?短剣
外見:
状態:死亡
備考:戦闘型BS。ガサツ。むっつりスケベ。楽天家

<♂剣士>
位置:F-6
所持品:s4ナイフ、ヘルファイア、熱血鉢巻(木刀はセージの死体近くに放置)
外見:ノビデフォ髪 (csm:4g022?)
状態:死亡
備考:JOB45 両手剣剣士 不器用 剣士学校では落ちこぼれだった。
   ヘルファイアによる人格破壊(人間がオバケに見える)

<残り35名>
227名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 09:34:27 ID:IDPTcKcU
しまった時制書き忘れ。
116.払暁の茜[日の出前後]
でお願いしますです。

…いやまぁ死ぬの早すぎるかなぁとか、決着まで全部書いたけどそりゃ進めすぎだよなぁとか、いろいろありまして。
えらく中途半端なところでぶった切ってみましたよ〜っと。

そしてトトカルチョのトップが魔槍ヘルファイア様になりそうなヤカン。

と、まあいいわけはおいといて。

>>223-224
GM達の居場所については
第1話でGMジョーカーが圧倒的に強い=参加者はすでに能力制限を受けている=島内?
またジョーカー自身も「ここは絶海の孤島にして脱出不可能の大舞台」と言っている。
ってのがあるんですよね。でもジョーカーのセリフを100%信じるわけにはいかないし、エリア内の海上(船上)と言う可能性もあるかな?
…ジョーカーがひたすら強いだけ、って可能性もあるのかw
228名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 10:29:11 ID:kp5upqZo
色々と素敵な展開に…GJ。
♀ケミと淫徒プリのやりとりとか、♂BSの最後とか(ノд`)。
死亡人数と残り人数が合ってないみたいなのでそこだけ気に。
恐らく♂剣士死亡はコピーミスかな?
229名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 12:04:46 ID:eFK6KEco
>>225
♀ケミや淫徒プリ、2人の策士が善良PTに紛れ込んで今後のどろどろ展開に期待が持てそう。

ところで、2匹殺したって♂剣士は言ってるけど♂BSともうひとりは誰? それとも♂スパノビを殺したと思い込んでるってこと?
あと、ダンサーはヘルファイアを避けたけど何かに刺されたってこと? 誰が刺したかは続きを書く人に任せるってことなのかな。

良く分からないので詳細ぷりーず。


あと、ここからは個人的な感想。
視点となる人物がぐるぐる目まぐるしく変わるのが前半部分の演出的なところだとうまくはまってるんだけど
後半の戦闘部分になると逆に読みづらいし分かりにくい。
誰かの視点に統一して書くか、第三者視点で書いた方がいいかなと思う。

特にこの場合だと♂剣士の心理とかはあえて書かない方が、より狂戦士っぽく演出できるのではないかなーとか、
♂剣士視点は次回以降に任せてみる方が良いんじゃないかなーとかとか。

ストーリーが素晴らしいので、そこにさらに書ききらないで想像させる巧さなどを加えてもらえたら本望です。
230名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 12:23:25 ID:73XlkjBk
熱い展開に興奮が隠せませぬ。
堅くて刺さりそうな小さい物を持っているのは…おやおや…
ってことで想像掻き立てられまくってました。GJです!
後半の視点変更について自分の場合は、特にダンサーと剣士の部分で混乱が。
急にてごたえがなくなった?ダンサー鞭離したのか?と思ったら剣士のほうだったり。
二人っていうのはセージがカウントされてるのかな。

ミストレスの方もナイスです。
冒頭の虫の塊を「女の人が苦手→ゴキ?」とか想像してごめんなさい。
ギオペも従っちゃうかもしれませんね、ミョルニル仲間で。
一つ気になったのは一人称が変わっていることですか。
ちなみに「妾(わらわ)」は女性のへりくだった言い方だとか。
妾?わらわ?意味 で検索かけると字本来の意味も分かって結構面白いかもしれません。
231名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 12:40:52 ID:u2.KoVeQ
わらわって昔読めなかったなぁ…
めかけ、めかけって読んでて「ん?」と首をひねっていたものですorz

>>225
ダンサー刺したのってやっぱりあいつなのかしらん?
しかし、6人もの人間を一網打尽にしようなんて思うのは
さすがヘルファイア様としか言いようがないなぁ、マーダーランキング上位に食い込みそう
232名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 12:48:29 ID:73XlkjBk
やる気(やらせる気)満々のヘルファイア様の事だから、剣士遣い潰して死んでも
♀BSかスパノビあたりの戦闘職が拾えばいいやとか思ってそう。
槍修練ない剣士であれなんだから基本戦闘力ありそうな♀BSでも大して…むしろより強くなりそうな。

あ、あと今気付いた。ミストレスの持ち物にカード帖が復活してます。
233名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 14:14:29 ID:DN0ogBgg
>230
ミストレスの一人称は「我」(われ)だったよね
234名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 14:19:16 ID:IofRe/Ek
では、突然ですが勝手にマーダーランキング。

【1位】
グラリス 殺害数:4
現時点で文句なしのマーダートップ。Wへの思いが彼女を走らせる。
バード、♀クルセなどフラグ保持キャラをがんがん撃墜して絶好調。
充実した装備と経験で今後も独走か?

(魔槍ヘルファイア) 殺害数:4(♀剣士含む)
剣士系キャラを次々魅了し血をすする影のマーダー。
その威力と悪意で今後も皆にトラウマを植えつけまくるのか?

【2位】
♂剣士 殺害数:2
ヘルファイア2代目所持者。魔槍に取り付かれた天然系マーダー。
自らの行為を知った時、理想に燃える少年はどうするどうなる。

♂ローグ 殺害数:1(+1)
快楽系マーダー。しかし今ひとつ乗り切れない印象。
ジョーカーの裏切り発覚で慢心も消え、本領発揮なるか?

【3位】
♀ノビ 殺害数:1
ロリアサ保護下で印象が薄れているが実は立派なキルマーク保持者。
混乱のうちに♀シーフを殺害。流れによっては今後覚醒も?

♂クルセ 殺害数:1
過去を抱えたクールなマーダー。優勝経験者の経歴も光る。
天の巡り会わせか今回は不調気味だが、天然系♀ローグを躊躇なく
殺害する手腕は本物を感じさせる。今後の活躍に期待。

ミストレス 殺害数:1
誇り高き山脈の女王も現状に戸惑い気味。
現時点では積極的マーダーではないが、「器」の確保がなれば
怒涛の進撃の可能性あり。

♂騎士 殺害数:1
狂気に負けた悩み系マーダー。現状は立ち直ったかに見えるが
GM軍団の陰謀を跳ね返せるか?

♀剣士 殺害数:1
ヘルファイアの最初の所持者。
♂ノビを殺害するも♂モンク♀騎士ペアに敗北。

♀シーフ 殺害数:1
♂アチャに襲われ正当防衛で殺害するも♀ノビにめった刺し。
かわいそうな人。

【番外】
♂モンク&♀騎士ペア 殺害数:1?
正当防衛とは言え自らの手を汚した♂モンクと笑えない♀騎士。
♂ケミペア同様死にフラグの危険も迫る2人の明日はどっちだ。
235名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 16:59:31 ID:0yZBg/eY
 不適合と思われる場合はNGで宜しく。
 いろんな意味で反則ブッチ気味の物体投下。

-------------------------------------------------------------------------------
 助祭の失敗〜拝啓何某様リターンズ<一日目 深夜>

 拝啓神父様。
 何となく何処かで聞いた事のあるような文句でごさいますがお加減如何でしょうか?
 ♂アコライトです。
 先に襲撃者によって離れ離れになった同行者達との合流も果たせず、また彼らの安否も容として知れない事に
僕自身も苛立ちを覚えるばかりでありますが、そもそもからしてこの殺人ゲームに巻き込まれると言う悲運に見舞われ、
また僕一人では何一つ出来る事とて無く只、夜明けと皆を待ちながらじっとしているのみでした。

 ところが。
 突然がさりと僕の前の茂みがなったかと思うとそこから思いもかけなかった来訪者がやってきたのです。
 一瞬、先に出合った珍妙な弓手二人か、はたまた僕の下僕などとお名乗りになられた美しい人かとも思いましたが、
もしその方々であれば、まさかむさ苦しい顔で筋肉で張らし切った服を着て、しかもクホホホホ…などとは言いますまい。
 やんぬるかな。
 目の前にいる物件は、日がな一日冒険者の武具を叩き壊し、奇声を上げる事を生き甲斐としているあのホルグレンでありました。
 随分と歩いて疲れ切ったのか、目の前のホルグレンは随分とくたびれておる様子でしたが、
無粋を承知でジロジロ眺めてみると、特に返り血を浴びていると言う様子も無く、取り合えずは一安心と言った風情で御座いました。
 恐らくは、ここ最近というもの動員令のせいで精錬所が閉鎖されてしまったせいでありましょう。
 ひっきりなしに響き続けていた嘆きと歓喜の混沌の坩堝は閉じられ首都には一時ながら平穏が訪れていたのであります。

 そうこう考えている内に、クホグレンは坩堝じゃないぞ、ツルボだ、いやいやウツボかなどとのたまって居りますが、
つうか貴様は凶悪な面構えの海産物の名前を言うとる暇があるなら国語を勉強しろウツボ君。
 しかしながら、何時までも目の前のint1の破壊神に会話の主導権を任せていたのでは進む会話も進みません。
 嫌々ながら、一体何がどうしたのか、どうしてここにいるのであるか、と尋ねてみた所、
彼はいきなりくわっ、と目を剥いたかと思うと僕の肩を掴み、わっしわっしと揺さぶりながら。

「そうだった。おいお前、俺の娘を見なかったか。筋肉が俺よりも満載された素敵な娘だ。おおっと貴様にはやらんぞ。
 探してるんだ。俺は確かに集められたときこの目で見たからな。つうか武器を壊したくて壊したくて禁断症状が…ウッ!?」
 ジャンキーか?貴様は精錬ジャンキーなのか?
 そんな蕩ける様な目で人を見るな。叩 か な い か、ウホッ、とかいうな。ハンマー片手ににじり寄るな。
 いい加減にしないと柔らかくて窓の無い真っ白い牢獄に閉じ込めるぞこのヒューマンロストがっ!!
 あたかも、伝説に聞く世界の管理者の様にっ!!いや、そうであたかもしれない!!

 …閑話休題…カンカンカン、クホホホホ〜

 こうして。
 どうやら娘を探しているらしいクホグレンは、残った青箱から出てきたメイスを舐める様な視線で見ながら
白痴の様にそれをぐりぐり弄りまわしている訳ですが、神父様はお加減如何でしょうか?
 嗚呼。同行者達の安否が気になって気になってたまりませぬ。
 後、この破壊神の娘、という麗人が何となく気の毒な気もします。
 神父様もどうか風邪や体調など崩さぬようご自愛下さい。

 僕達、まだまだ死ぬつもりはございません。
 けれど何とはなしに、逆毛とか北方にある肝臓英訳(訛り含有)の幻影が見えるのは気のせいと思いたいですが。

<♂アコライト 状態変化無し 持ち物:もう一つの青箱からはメイス 場所H-6>
<ホルグレン 状態変化無し 持ち物:ハンマー タバコ カード帳 メイス 場所H-6>

 追記:改悪ゴメンナサイ
236名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 18:56:00 ID:Gdo8TzhE
117 花【二日目早朝】


今日もつき合わせちゃってごめんね。

あぁ、彼女の声が聞こえる。

私はまだ半人前だけど……お祈りだけは忘れたことがないんだ。

そう言う彼女の笑顔はとても清らかで。

いつか……立派なプリースト様になれるといいんだけど。

大丈夫、君なら慣れるさ。その清らかな笑顔を持つ君なら。

あは、でも君と一緒ならきっと出来そうな気がするよ。

そう、君の笑顔は人に安らぎを与えるんだ。

なんでだろ……君といると、安心する……。

なのに何故―

天の神様、どうか今この私の願いを聞き届けてください―

何故君が―

私の心の中にいる全ての人物をどうかお救いください―

どうして君が―

そして……どうか彼の願いをかなえ―

そんな奴に殺されなければならない―


彼は朝日が出る少し前に目覚めた。
鞄の中から食料を出し軽く食事を取り、腰に挿していたシミターを抜きさる。
暫く眺めた後、鞘をベルトから外すとシミターを収めゆっくりと前傾姿勢になる。
そして剣を抜いて、切って、また鞘に収める。
また剣を抜いて、切って、鞘に収める。
幾度となく剣を抜いて、切って、鞘に収める。
彼は剣を抜いて、切って、鞘に収めながら考える。

(今俺のいる場所は島の最西端から少し南にそれた位置)

剣を抜いて、切って、鞘に収める。

(ここにくるまでに出会ったのは♀ローグ、そして♀アコのたった二人)

剣を抜いて、切って、鞘に収める。

(わずか二人……か。♀ローグは死に……♀アコは生死不明……か)

剣を抜いて、切って、鞘に収める。

(何故だ……何故俺は確実なる止めを刺さなかった……)

剣を抜いて、切って、鞘に収める。

(まだ……甘い、か……)

剣を抜き、両手で持ち、目の前にある小枝に向かって剣を振るう。
スパッという心地よい音の後甲高い爆発音が響いた。

(この性質はおよそ理解した……。一定の規則性もなく完全なまでのランダム)

(これを当てにする事はできない……が、相手に悟られていなければ十分に効果はある)

彼は剣を鞘に収めると足元に生えていた花を摘み始めた。
全部で8輪、夜の定時放送で自分が殺した♀ローグを除いた人数と同じ数。
彼はその花を崖から海に向かって放ると、また剣を抜いて、切って、鞘に戻した。
その一閃で花は全てパラリとわかれるとそのまま海へと落ちていった。
彼の、彼なりの死者への手向け、何故そうするのかは彼以外の誰も知りえない。
彼は花が見えなくなるのを見届けるとゆっくりと北東に向かって歩き出した。

(この上のエリアは禁止区域……そこから西は恐らく崖だろう……)

(ならば脱出する方向は東へ取る……はずだ、恐らくだが……)

死神はゆっくりと島の中心部へと向かっていった。


<♂クルセ>
位置:D-8→D-7を避けるようにしながら北東に移動中
所持品:s2ブレストシミター(亀将軍挿し)
外見:csm:4j0h70g2
237227sage :2005/11/23(水) 19:07:24 ID:phGccRzw
ぎゃあ。遅くなりました。
>>228-230
あい。♂剣士死亡はコピ−修正ミスです。
文章途中で切っても誰殺すつもりだったかヒント残しちゃ仕方ないよママンorz。
彼が殺した(と思っている)人物は♂BS+♂スパノビです。
ヘルファイアに寄る即死=炎上って現象はまだ知らないはずですから。
誰がダンサーを刺したか…はここで切った意味が無くなるので許してPlz。

んで視点についてですが…なるほど分かりづらいですなぁ。
♂剣士視点を混ぜたのは↑でバラしちゃった通り彼も死ぬ話を書いていたと言うことと、
その時点でヘルファイアを手放してるからゴニョゴニョ、ってのをやる為の対比だったんですね^^;
ぶった切った以上不要ですし、Wikiではもう少し読みやすくすること考えますぽ。
238名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/23(水) 23:35:14 ID:vXkTnRvM
♂ローグも♂アコライトも競り負けたが、まぁNGとして投下しておく

NG 誰がための【放送後:夜間】

「はぁはぁ…はぁ…」

息が、苦しい。
視界が、暗い。
脚が、縺れて。

転んだ。

「ヒヒヒ、もうおしまいか?坊主?」

声と同時に矢が♂アコライトの頬を掠めて砂地に突き立った。
弄ばれている。そんな事は分かっている。けれど、それでも、逃げなきゃいけない。
♂ローグの雰囲気は年端もいかない♂アコライトを威圧するには十分すぎるものがあった。
それ以前に、彼は絶望的なまでの戦力差を知っている。だから、迷うことなど一切なく、逃げ出した。

それは不幸な出会いだった。
いや、♂ローグにとっては幸運な出会いだったかもしれない。
禁止区域から辛くも逃げ出した♂アコライトは他の三人とははぐれてしまっていた。
足跡を探そうにも来た道は禁止区域に続いておりそれを探ることも出来ない。

このとき、彼はすぐに場所を移動するべきだった。
しかし、彼は自分自身を助けれてくれたジルタスを待とうと心に決めてしまった。
それが、最大の不幸であったというほかない。
十数分の静寂の後、森を突っ切って現れたのは彼が頼りにする人ではなくて、最も出会いたくない男だった。
そう、鬱憤晴らしの出来る相手を探していた♂ローグはまさしく腹をすかせた肉食獣のようなものなのだから。

「オラオラァ!早くにげねぇと、喰っちまうぜぇっ!」
「あ、ぐぅっ!!」

背中に鈍い痛みが走る。何度目だろう、きっと投石だ。
再び、投石。今度は太股に鋭い痛みが走って、♂アコライトは前のめりに倒れこんだ。
脚がしびれて起き上がれない。それでも♂アコライトは這ってでも進もうとする。
初日、神父さまに誓ったように、生きることを諦めないために。
その見苦しくも見える♂アコライトの手を踏みつけて♂ローグは言う。

「いよぅ、坊主。お遊びはおしめぇだ」

全身を苛む投石の鈍い痛みに耐えながら、それでも、自分を殺そうとする男を♂アコライトは見据える。

「おぃ、なんだその面」

嬲りものにしようと考えていた獲物の顔が予想とは全く違うものであることに♂ローグは顔をしかめた。
ムカツク、と思う前に身体が動く。全体重を踵にかけて♂アコライトの左手を踏み潰す。
嫌な音。手の骨が数本折れた感触が♂ローグの溜飲をほんの少しだけ下げた。

「くそ!ムカツク坊主だ!しもべともども生意気だな、ぉい!」

♂アコライトの柔らかい栗色の髪の毛を鷲づかみ、血まみれの包丁を首筋に当てながら毒づく。

「テメェのしもべにおまえの生首、拝ませてやったらどんな顔をするだろうなぁ?」
「なんだ、ジルタスさん、生きてるんだ…」

荒い息の下で♂アコライトは、安堵の表情を浮かべる。
なんてお人よしなんだろうと、彼自身も思う。
しかし、それ以上に♂ローグはその態度が気に入らなかったようだ。

「安心したところでとっととおっちねや」

首筋に当てた包丁に力をこめて、横に…。
引かれなかった。
代わりに♂ローグは獲物を放り出してその場を飛びのく。
♂アコライトの目の前では地面が連続ではじけた。

「ヤル気満々だなァ!誰だッ!」

暗闇の中、♂ローグを狙い撃ったのはサングラスを掛けたモンク。
彼は、♂ローグの言葉などまるでないかのように♂アコライトに声をかける。

「少年、逃げろ」

太く、しっかりとした強い意志をこめた声。
その声に突き動かされるように♂アコライトは立ち上がり駆け出す。
♂ローグはそれを追わない。否、追えない。
目の前の強敵に隙を見せることは出来ないからだ。

「おいおい!テメェもナイト気取りかよッ!!ケタックソワリィ!!!」
「なんとでも言え、外道。この拳はあのような者ためにある」

ざっ、と構えを取るグラサンモンク。

「こっち側の人間の癖に何言ってやがんだ!テメェがやってきたことを忘れやがったかッ!?」

同様に油断なく包丁を構える♂ローグ。
暗夜の死闘は今始まったばかりだ。

<♂アコライト>
所持品:未開封青箱×1
外見:アコライトデフォ(公式どおり)、14歳
備考:支援型
状態:打撲多数。左手を骨折
所在地:♂ローグから離れるため逃走(H5から南東へ)

<♂ローグ>
所持品:包丁(血濡れ)、クロスボウ、望遠鏡、寄生虫の卵入り保存食×2、馬牌×3、未開封青箱×1
外見:片目に大きな古傷>
性格:殺人快楽至上主義>
状態:グラサンモンクと交戦中
備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す
所在地:H5(草原)

<グラサンモンク>
現在位置:岩場(G-7)
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス
外見的特徴:csm:4r0l6010i2
備考:特別枠
  右心臓
  ヒール、気功、白刃取り、指弾、金剛、阿修羅使用可能
  助けを求める人達を守りたい
  ♂ローグと交戦中
所在地:H5(草原)

参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
    作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)
239222sage :2005/11/24(木) 01:00:03 ID:1Yd0wtQ6
>>230-233

うわ、ミスが結構ありますね…すみません。
お手数ですが、ミストレスの所有物にご注意下さい。

変に時代がかった言葉使ったら今度は分かりづらく!
一人称の読みは「わらわ」です。(あと「奴」は「きゃつ」)
こちらも好ましくないなら「我」に一括変換ですね
240名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 03:05:43 ID:qNPw13OM
※丁寧に描写できたわけではありませんが、少々グロ注意かもしれません。

118.そして夜は明けて【日の出前後〜早朝】


よく狙いをつけて手を離したつもりだったけど、槍は触手野郎に当たらなかったみたいだ。
残念、腕が痛いけどもう一度。今度は当たるように。間違いなく、殺せるように。

――腰の後ろにくくりつけていたナイフを逆手に引き抜き、後ろに倒れこむ化け物に追いすがる。

はい、マスター。小さい刃物でもちゃんと使えば十分武器になるんですよね。
大事なことは狙いをきちんと…あ。困ったな、急所ってどこなんだろう?
人だったら…頭とか喉とか、心臓なんだろうけど。
あ、化け物に追いついた。もういいや、とにかく頭だ。魔物には心臓がないやつもいるらしいから、確実にいかなきゃ。
うん、日が昇ってきたかな?あいつの肉に覆われた頭部が少し狙いやすくなった気がする。

――少し開いた口(中に歯と舌が見えるから口なのだろう)にナイフを捻じ込む。
――そうして突進した勢いのまま、内部で刃先を頭のほうに突き上げる。

ごっぎ、うわぁ嫌な音。あと、手が痺れる…それにこの手ごたえ、ナイフ駄目になっちゃったかも。
でもまぁいいよね、これで死んでくれたみたいだし。うん、死んで、死ん、いや、まだ終わってない。

――ずる、と女の頭から刃の曲がったナイフを抜き出し、それを手の中でくるりと回して柄の尻を頭部に叩きつける。
――がつ。がつ。ごつ。痙攣する体に跨り何度も何度も叩きつける。

まだ終わってないぞ、頑張れ、僕。しっかり打って、打って、叩いて。
ああ、嫌だ。もっともっとちゃんと打たなきゃ、潰さなきゃ。これじゃまだ分かる。
 ねぇ、もう平気じゃないの?ほら、ピクリとも動かないよ。
ううん、まだだめ。まだ、だめ。

――ついに柄の部分もひしゃげた。ナイフは投げ捨てて適当に掴んだ石を振り上げる。

だめ、だめ、だめ。ちゃんと潰して、ちゃんと壊して。
 ねぇ、そんなに心配しなくても、それはもう死んじゃったよ。
だめ、だめだってば。ちゃんとわからないようにして。

――片手に余る大きさの石を両手でしっかりと握って、頭の上まで持ち上げるとそのまま勢いを付けて降ろす。
――あああ、ああ

早く壊れて。早く早く、辺りが明るくなるまえに。
 ねぇ。
だめ、お願い見せないで。違う違う違う。早く壊れて。壊れて、壊れて。別のものになって。

――彼女の腹に馬乗りになって、一心不乱に打ち付ける。一心不乱に。打つ。どこを、なにで。
――わああ、わぁ、ああああ。

こんなものは違う。こんなものは、こんな、これは違う。いいやこれは。


 ねぇ、それは、人間のあたまだよ。


「ひっ、うわぁぁぁ!!!」

人じゃないか、人じゃないか人じゃないか人じゃないか!!
赤い血が髪について、散らばった長い髪の先のほうだけ金髪が残ってる。
顔がぐちゃぐちゃに潰れた、赤い女の人の死体。死体!?
死体だ!でもどうしよう、手が止まらない。石を振り下ろすのを止められない。
どうして、どうして。どうして僕はこんなことをしてるんだ。
どうしてこんなものの上に乗っている。こんなものを見てる。
あああ、どうして、こんな。


ぼくが人を殺したなんてそんな護るって誓った決めたんだあの剣で誰も傷つけたりしないって
護る 何を  誰かの命を あの人の事を  護る誰か 誰が 誰
 護る  あの人 どこ   僕あの人を   護 る   護った そう護った

僕が護ったのは

    僕の   命


「あああああ、ああ、ああああああ!!」


お願い、早く――


 ◇◇◇


彼らは、生き残った彼らはただ呆然と眼前の風景を見ていた。視界に入れていた、というほうが正しいか。
宿の主人からややこしい商売の話を聞かされる時のように、その様子は彼らの頭の中を駆け抜けるだけだった。
数分前までお互いに疑いを抱きつつ相手を品定めしていたのが嘘のような惨状。
信用できるか、どこかに嘘がないか、もしや何か企んでいるのか、そんな思考が全て馬鹿馬鹿しいほどの。
突然の襲撃者は男二人を打ち倒し、今は絶叫を上げながらダンサーを殺している。
いや、先刻までダンサーだったものを執拗に石で打ち嬲っている。
あまりの光景に彼らは我が身可愛さに逃げることすら忘れ、また負傷者の手当ても忘れていた。
しばらくして襲撃者の剣士が上げる叫びが咆哮から悲鳴の色へと変わると、弾かれたように一人が我に返る。

「神よ、力をお借りします!ホーリーライト!」
「ひあぅっ!」

短い言葉と共に淫徒プリの手の平から生まれた光弾が平野を走り、ばしいっ、と狂ったように叫ぶ少年のこめかみを打つ。
その衝撃でダンサーに馬乗りになっていた♂剣士はぐらりと体を傾けた。そして倒れた姿勢のまま、泣き叫ぶ。
試した事などないが、この術は人間の頭にまともに当てれば首があらぬ方向に曲がるはず。それが力任せの平手打ち程度の
威力しか出ていないことを確認し、彼女は歯噛みする。しかし。例えスキルが通じなくてもチャンスは今この時だ。
座り込む♀BSと呆けた顔で動かない♀アルケミ、そしてろくに戦力を持たない自分。
残った者の構成では、相手が混乱している内に何としても排除するしかない。
それが出来るのは、今この中で彼女だけ。

「攻撃スキルも駄目とはね…!♀アルケミさん、こちらに来て私の後ろへ。
♀BSさん、立てますか?私が援護するのでアレを倒して下さい」

声を掛けてもただ立ち尽くす♀アルケミには、もうこの際構っていられない。離れていればさほどの危険もないだろう。
敵の殲滅を優先して♀BSに駆け寄り、気休め程度にブレッシングを唱えて送り出そうとする。しかし彼女は動かない。

「何をしているんです、早く立って。貴女、死にたいの?」
「あんた…なに、言ってんの。それより早くコイツ治してよ……ねぇ、もう」
「いいから立ちなさい!何をですって?アレを殺せと言ったんです!」

剣士はまだ転がって何かを喚いている。早く始末しなくては。
淫徒プリは♀BSを持ち上げ無理矢理立たせると、未だ斧を握ったままの彼女にさらに呪文を唱えた。

「この者は我らが父の兵にしてその剣、イムポシティオマヌス!」

呪文の発動と同時にぐ、と♀BSの両手に力が入り、彼女の態度とは裏腹にぎりりと斧を握りこむ。

「おい、アタイに何をした…!」
「そして御身の盾となる者!キリエエレイソン!」
「やめろって!そんなことより…ああ、くそっ!」

ありったけの戦闘補助呪文を浴びせられて、♀BSの意に反して彼女の足はひとりでに動き出す。
淫徒プリがそれを見届けて速度増加を唱えると、とうとう♀BSの体は神の敵を打ち殺すために駆け出した。

「ひ、いぃいあ、僕は、僕、あぁぁぁ」
「ああ、畜生ぉッ!うわああ、ああああっ!!」

♂剣士はダンサーの死体の脇で頭を抱えてうずくまり、彼が持っていた石に頭を打ち付けている。
そこに咆哮と共に斧を構えた♀BSが突っ込み、もはやどちらの叫びとも付かぬ大音声の中彼らはぶつかった。



一つ目の夜が完全に明けた。地にしがみ付いていた闇は駆逐され、天上の神の恵みが島を包む。
朝日を受け光の中に暴き出された♀BSの足元には、無残に殺されたのダンサーの遺体と
首を飛ばされた♂剣士の体が転がった。


<♀BS>
位置:F-6(まばらな木立のある草原地帯)
所持品:ツーハンドアックス
外見:むちむち 、カートはない
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。やや混乱。
備考:ボス、筋肉娘

<♂スパノビ>
位置:F-6
所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり
外見:巨漢、超強面だが頭が悪い
状態:瀕死
241名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 03:08:19 ID:qNPw13OM
<ダンサー>
位置:F-6
所持品:ロープ、カード帖
外見:美女 ダンサーの公式外見
状態:死亡
備考:子持ち、母性本能大

<淫徒プリ>
位置:F-6
所持品:女装用変身セット一式 青箱
外見:女性プリーストの姿 美人
状態:軽度の火傷
備考:策略家 Int>Dexの支援型

<♀ケミ>
位置:F-6
所持品:S2グラディウス、青箱2個
外見:絶世の美女
状態:軽度の火傷
備考:策略家 製薬ステ

<♂剣士>
位置:F-6
所持品:熱血鉢巻(ヘルファイアはダンサーの遺体近くに)
外見:ノビデフォ髪 (csm:4g022?)
状態:死亡
備考:JOB45 両手剣剣士 不器用 剣士学校では落ちこぼれだった。

<残り35名>
242名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 03:29:55 ID:qNPw13OM
微グロ…だろうか…ともかくダンサーもぬっころし、痛み分けで剣士も死亡…
237の槍を手放したというヒントとNGの剣士話を参考にさせてもらいました。インスパイアー
♀BSの体が勝手に動いたのはIMの効果としてみたのですが、分かりにくかったかも。
Wizぽんスレまとめ見てきたのですが、淫徒プリがイマイチまだ掴みきれてません。スレ住人の方ごめんなさい。
変なところとか矛盾点あったらお願いします。

>>237
ダンサーを刺した人物はもしかしてケミやプリだったりするのか!とも思ったのですが
心情的にも立ち位置的にもルールの縛りでも二人じゃ無さそうだったんで何の捻りもなく♂剣士にしました…
本当は誰の予定だったんだろう?ま、まさかアサシンとかか。

>>238
衝撃の事実!ローグ兄さんとグラサンモンクは知り合いだった?!
て、どうなんすか実際!

>>222、239
GJでございます。70のミストレス書いたものです。続き書いてもらえてホッとしましたorz
分かりづらい言葉使わせててすみません(´д`;)
実は自分も70で一人称を「わらわ」にしようと思っていて、しかし登場話で「われ」だったので修正したのです。
でも>>230氏のレスの通り調べてみたら「妾」って謙遜した意味(さらにあまり良い意味じゃなかった)なので
BOSS同士の会話でもないと使わないかもしれませんな。「わらわ」って偉そうで好きなんですけどね。
でも検索で字の如く「めかけ」や、「刺青を入れた奴隷女」等の意味が出てきちゃった日には。もう。
ちなみに「きゃつ」は「彼奴」と書くのが一般的かなと思います。
243名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 03:43:04 ID:fz5gSceY
数日見られないと進行が早いね……。
そして、バトロワなんだから当然と割り切ってたつもりだけど
お気に入りのキャラが死んでると結構ショックだ。
頭冷やして現状飲み込んでまた書くぜー。
244名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 05:59:37 ID:rwRCGKj.
>>235
超ワロタwwww
イイヨイイヨ!
245237sage :2005/11/24(木) 06:01:17 ID:t2xWeCq6
>>240-242
いやお見事。私の切り捨てた物と展開がほぼ一致しています。
ってかすごいよママン。同じ展開でなんでこんなに密度違うんだ凹んじゃうよパパン!
>237であんな書き方したのは、いろいろ想像して下さってるようなので否定も肯定もしたくなかったからです。
…でも結局展開が一致したってことは、状況動かす余地が小さかったってことですかね?
いい事じゃないなぁorz

自虐はここまでにして。
最初一読してIMで操れちゃマズイんじゃないかな?とも思いましたが、あれは
IMで戦意を向上させて「♀BSの敵に立ち向かわせた」であって「淫徒プリの敵に立ち向かわせた」わけではない。
ってぐらいの理解でおけですか?
246名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 08:04:35 ID:rwRCGKj.
119.全てを抱えて【早朝】

「何を呆けているのですか!一緒に診て下さい!」
淫徒プリは必死に♂スパノビにヒールをかける。
敵は倒した。ならば次は負傷者の治療だ。
精神力を総動員して淫徒プリは頑張っていた。
しかしながら淫徒プリの努力とは裏腹に
♀BSはダンサーと♂剣士の死骸の前で呆然と俯いている。
♀アルケミはただ座りながら放心している。
・・・・・・だめだこの二人。
そう淫徒プリは心の中で毒ついた。
しかし、協力してもらわなければ。そう決心する淫徒プリ。

「まだこの人は助かるのですよ!お願いですから手伝ってください!」
傷は最初の火炎球による焼けどが少々。
そして♀BSをかばったときに受けたのであろう
マグナムブレイクによる衝撃波のダメージが主であった。
治療すれば助かる。
「お願いします!どうかこの人と話して勇気づけて!」
大声で悲壮に叫ぶ淫徒プリ。
その声に思わず♀BSはブルッと体を震わせた。
そして意を決したようにこちらに近づいて来る。


「ぼ、ぼず・・・・・・お、おでがんばった・・・・・・」
ヒールを受け弱々しく♂スパノビが呟く。
「ああ、表彰もんだよ!本当にあんたはアタイの最高の子分さねぇ・・・・・・」
そう言いながら♀BSは優しく♂スパノビの髪を撫でる。
初めて人を殺したのであろう動揺も・・・・・・また一緒に行動してきた
ダンサーの非業の死も・・・・・・全て抱え込んでいくらかの逡巡でまた
決意を漲らすことができる♀BSを淫徒プリは素直に強くて美しいと思った。
だけれど戦闘中にも仲間を思いやるその優しさは悪くないがいつか命取りになるとも思えた。


「ぼ、ぼず・・・・・・お、おねえさんはぶじなの?」
心配気に♀BSに問いかける♂スパノビ。
その質問は再び彼女の心の傷をえぐったのであろうか彼女の顔に一瞬、影がよぎる。
しかし次の瞬間には
「ああ、もちろんじゃないかい!」
とびっきりの笑顔で答える。
なんだか胸を締め付けられる風景に淫徒プリは自然と嗚咽と涙があふれでるのを感じた。

「よ、よかった・・・・・・そ、それじゃ・・・・・・お、おですこしやすむよ・・・・・・ごめん・・・・・・」
ほっと安堵したのか、それとも傷ついた時の自己回復という本能か、♂スパノビはすやすやと眠った。
♀BSは♂スパノビの頬を撫でる。我が子を守る母のように。
まるでダンサーの魂が乗り移ったかのように・・・・・・撫でた・・・・・・。

♀BSは淫徒プリと♂スパノビを後にすると♀ケミのところでしゃがんだ。
「辛いのは分かるけどあんたを庇って死んだ♂BSのためにも
アタイ達は前に進まなきゃいけないんだよ・・・・・・」
そう言って♀BSは♀ケミを優しく抱擁し背中をゆっくりと撫でた。
「うううう・・・・・・うあ・・・・・・うぐうぐ・・・・・・う・・・・・・う・・・・・・」
その抱擁により美しい顔を歪ませた♀ケミはひたすらに己の感情を外に出した・・・・・・。


早朝の静謐な空気の中で二人は各々の同行人を埋葬する。
♀BSは今は見るに耐えなくなった美しかったダンサーを回顧しながら・・・・・・。
♀ケミは最後まで自分を守り、自分を疑うことなく死んでいった♂BSに懺悔するように・・・・・・。

二人の墓にはそれぞれ遺留品が捧げられた。
♂BSの墓にはヘルファイアにより燃えて何の短剣なのかも最早分からない名も無き短剣を・・・・・・。
ダンサーの墓には今わの際まで決して放さず握り締めていた血染めのロープを・・・・・・。

ともに守りたい人を守るために燃えても、血に染まっても決して最後まで
諦めなかったであろう二人の想いがそれらの武器にはこもっていた・・・・・・。

「さて・・・・・・行こうかねぇ・・・・・・」
♀BSの声に♂スパノビの治療を一段階終えた淫徒プリと埋葬し終えた♀ケミが頷く。
二人にもこのエリアがあまりに襲撃されやすいということが分かっていた。
♀ケミが連続して魔法力を行使した疲労困憊の淫徒プリの手を引く。
そして♀BSが生命の危機を脱した眠っている♂スパノビを背負う。
一向は東に向かった。


「っとその前にやることがあったさねぇ・・・・・・」
怪訝そうに振り返る♀ケミと淫徒プリ。
そういうと♀BSは地面に落ちている魔槍に近づいた。
「その槍はこれから役に立つと思いますし私は持っていくのがいいと思いますが・・・・・・」
♀ケミがそう言う。
淫徒プリは頭の中でその槍を手放した後の♂剣士の様子がおかしかったことに
引っかかっていたが確かにその槍の能力は魅力的であったので何も言わなかった。

そして♀BSは魔槍を・・・・・・。

「アドレナリンラッシュ!オーバートラスト!ウェポンパーフェクション!せいやああああああ!」


ごぎ。
断ち割った。

そして二人に向き直り。

「でもアタイは仲間の血を吸った武器は使うのは嫌さねぇ!」
そう言いながら豪快に笑った。


<♀ケミ>
位置:F-6から東に向かい始める
所持品:S2グラディウス、青箱2個+青箱1個(♂BSの物)
外見:絶世の美女
状態:軽度の火傷
備考:策略家 製薬ステ ただし♂BSの死により善に転向の兆しあり。

<♂剣士>
位置:F-6
所持品:熱血鉢巻(ヘルファイアは♀BSにより断ち切られた)
外見:ノビデフォ髪 (csm:4g022?)
状態:死亡
備考:JOB45 両手剣剣士 不器用 剣士学校では落ちこぼれだった。

<♀BS>
位置:F-6(まばらな木立のある草原地帯)から東へ進路をとる。
所持品:ツーハンドアックス カード帖(ダンサーの遺品)
外見:むちむち 、カートはない
状態:負傷箇所に痛みが残る。軽度の火傷。決意に漲る。
備考:ボス、筋肉娘

<♂スパノビ>
位置:F-6
所持品:スティレット、ガード、ほお紅、装飾用ひまわり
外見:巨漢、超強面だが頭が悪い
状態:瀕死状態から脱出。眠っている。

<ダンサー>
位置:F-6
所持品:ロープ(墓に供えてある)
外見:美女 ダンサーの公式外見
状態:死亡
備考:子持ち、母性本能大

<淫徒プリ>
位置:F-6
所持品:女装用変身セット一式 青箱1
外見:女性プリーストの姿 美人
状態:軽度の火傷 魔法力の連続行使による疲労困憊
備考:策略家 Int>Dexの支援型

<♂BS>
位置:F-6
所持品:短剣(墓に供えてある。なんだったかは分からない)
外見:
状態:死亡
備考:戦闘型BS。ガサツ。むっつりスケベ。楽天家

<残り35名>
247名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 08:09:42 ID:rwRCGKj.
♀ケミの青箱は最初から二個あったのですが一つでS2グラを出したから
多分一つなんだろうって思うけど一応前の人に合わせて2個にしておきました。
248名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/24(木) 08:49:13 ID:4jmdnjfQ
>>240
♂剣士がいつのまに刃物を って思ったけど
♀セージの幸運剣を拾っていたということにすれば良いのかな、かな。
なんにせよ、GJ。
あとはヘルファイアをどうするかと、瀕死の♂スパノビをどうするか、だね。

ちなみにわたしは♂BSが死んで錯乱した♀ケミがダンサーを刺した、ってのもありかなと思ってました。
♂BSの後ろにいた♀ケミが♂BSと♂剣士の交戦中にダンサーまで近付いたとかで。
以下、妄想。


「どう・・・して・・・」
「あは、私でも殺せる。殺せるのよ。ほら、こうやって刺せば人は死ぬの。なんて簡単だったのかしら。
     だから生き残るのは私。みんな殺して生き残るのは私なのよ」

心を繋ぐ糸が切れたのか、♀ケミは血塗れた刃を見つめながらけらけらと笑った。
そして彼女は、ダンサーの傍らでまるで自分を手にしろとばかりに緋色に輝く一本の槍を手に取る。
轟、と穂先にともる鬼火が、
今まさに地平線から顔を出そうとする太陽のように♀ケミの白い雪肌を赤く照らす。

すとん

ダンサーの胸に深深と突き刺さるヘルファイア。爛々と業火に包まれるダンサーの肢体。
それを見て♀ケミは再びけらけらと笑った。

「あ、あぁ・・・」

誰かが絶望にも似た声を漏らす。体全身を使ってようやく絞りだせたのであろう、うめくような男の声。
♀ケミは♂BSを見る。彼は既に消し炭。
♀ケミは♂スパノビを見る。彼は既に瀕死。

───それじゃ、このは声はいったいどこから

そう思った♀ケミの目が次に捉えたのは、
崩れ落ちたかのようにその場に膝を着き、震える両手を見つめたまま何かを呟いている♂剣士の姿であった。

ギリ、と歯を食いしばる音が聞こえる。
ググっと槍を両手で握り締める音が聞こえる。
怒りと憎しみの感情が誰の目にも明らかなほど、彼女の全身から溢れ出す。
そしてそれを更に上回る圧倒的なまでの殺意が♂剣士に向かって放たれる。

「最初に殺したのは貴方よ!」

叫びながら♀ケミは地面を大きく蹴りだし、ヘルファイアの穂先を♂剣士の左胸部に目掛け突き出す。

ガギンッ

鈍く響く金属音。槍の穂先を両手斧の刃が弾いた金属音。
斧を手に♂剣士をかばったのは、全身に筋肉という鎧をまとった女、♀BS。

「アンタだって、ダンサーを殺した。おんなじじゃないか。
 いいや、やっぱり違う。おんなじですらないね、アンタのやったことは裏切りなんだから」

「そんな理由でそこの♂剣士くんを助けるっていうの? さっきまで私たちを殺そうとしてた彼を!」

「そういう問題じゃないんだよッ」

♀BSがひときわ大きく、声を荒げて叫ぶ。眼光は鋭く♀ケミを射抜き、ふたりの間の空気がぴりぴりと張り詰めていく。

「アタイはアンタが許せないって言ってるのさ」

言って♀BSは両手に握った斧を横に大きく振りかぶり、♀ケミの槍の間合いの内側へ入り込もうとする。

「わかったわ、それなら先に貴女を殺してあげる」

♀BSの動きに対し、♀ケミは軽く後ろへ跳び、穂先に炎を出現させつつ、♀BSの動きを待つ。
♀ケミの舌が紅色に色付いた上唇を、獲物を見つけた狩人のようにゆっくりとなぞる。

「どうしたらいいっていうのかしら」

突如始まったふたりの戦いを見守りながら淫徒プリは口こぼす。
けれど、彼は頭の中で、この場から生き残るための策を練っていた。
冷たく冷たく、冬の湖のように冷たく思考を研ぎ澄ませ、彼だけが生き残るための策を考えていたのだ。
249名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 09:53:22 ID:rwRCGKj.
>>248
♂剣士の過去の物語をちゃんと読みましょう。ナイフを使って木刀を作っていましたよ。

それと書きたいならちゃんとNG物語と銘打って書きましょう。

なんか一人よがりな感じがしますよ。
250名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 10:54:13 ID:rRrZbRoU
放送なんかはどうなるんかな?
ボスのPTのいざこざが終わった後くらい?

そろそろ忍者sを始動させようかと妄想しつつ質問。

>>249
お前様も良く見れ。妄想とレスの中にしっかり注記してある。
251238sage :2005/11/24(木) 10:56:52 ID:cYTQP4I2
>>249
以下、妄想ってあるんだしそんな目くじら立てなくてもいいっしょー
というか、私も忘れてたんだよね、木刀を作るためのナイフを持っていたってこと
だから、ついつい、♀ケミがさくっとやっちゃったんじゃないかと思ってた
私が書いたとしても、あーんな感じになったんじゃないかなぁ

>>240,246
お見事、7人いて約半数死亡か
これでヘルファイアのキルカウント7、♂剣士のキルカウント3で
マーダーランキングが大いに変動するね、両方とも亡くなっちゃったけど

>>242
正義の裏結社(何か矛盾を感じる)に所属している腕利きのようだったので
♂ローグはグラサンモンクに狩られる側として知っているかな…と脳内妄想〜です
まぁ、NGなんで設定追加ってことはないっしょ

それではななしにもどりますー
252248sage :2005/11/24(木) 11:17:25 ID:4jmdnjfQ
>>249
いや、ナイフの存在忘れてたのはすんませんと思うけど
一人よがりまで言われる筋合いはアンタにはない。
つーか、そこまで言うんならアンタは今までにどの話を投稿して
どれくらい立派な文章だったのか教えてもらいたいもんだ。

いつからそんなギスギスしたスレになったんだ、ここは?


その他のスレのみなみなさま、お目汚し申し訳ありません。

250>>
放送はそろそろ入れた方がいいだろうね。日が昇ってしばらくしたあとくらいになるのかな。
忍者sの活躍に期待してますー。
253名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 11:51:58 ID:YmkobVpQ
>>252
煽り返さずにスルーしておけ
そんなこと言い出してたら本当にギスギスしたスレになっちまうって分かるだろ?
レスはいらないから煽られたと感じてもスルーしてくれよ
254名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 11:54:06 ID:cYTQP4I2
ギスギスしていると言ったら本当にギスギスしてしまうミステリー

>読み手の人へ
書き手の人も人間です。多少のミスは突っ込まないのも優しさです
突っ込む時は丁寧に
校正業者のつもりでチェックを入れると誰も書こうなんて思わなくなってしまいます

>書き手の人へ
読み手の人も人間です。突っ込みたくなるのも人情です
突っ込まれた時はおおらかに
何様のつもりだ、なんていってしまえば誰も読む人がいなくなってしまいます

>当事者になってしまった人へ
度が過ぎるようなら他の人が突っ込んでくれます
もし、突っ込んでくれなかったら?
それは、自分の行いを一度振り返ることをお勧めします
修正することも勇気です

>みなさんへ
書き手も読み手も持ちつ持たれつです
ディスプレイの向こうには他人がいます
投稿するときは、バファリンの薬剤成分以外をお忘れなく

P.S. 長々と駄文スマン。だが、私は萌え談義のほうがしたいんだ…
255240sage :2005/11/24(木) 12:03:58 ID:qNPw13OM
うはおk。言い訳が多くなるのは描写力不足として反省いたします…

>>245
動かす余地が小さかった、なんてことは全然。むしろ私は貴方に上手い事妄想を乗せてもらった感じです。
刃物を使えないプリーストと、ひたすら打算的に楽して生き残るために行動してきたケミだと
両方とも狂わない限りはダンサーに向かいそうにもないし、自分としては(あくまで個人的にです)あの程度の惨状では
まだ狂う・変わるに至らないのではないかなと。ケミとか過去が結構裏世界で根が深いっぽいし、
二人とも自分の命を最優先に行動できる人だと思ったので。

>IMで操作(分かりやすく数行修正いれられるように考えてみます)
お察しの通り使用者の意のままに操る効果ではないです。まずIMの効果って「武器ATKが一定時間上昇」ですが
いくら魔法でも小説の中で斧の切れ味が急に増す、とかは無茶すぎるかなと思い(誰が砥いでるんだ、小人さんか)
「戦闘補助」として武器ではなく人に効果が現れるとしてみました。力が出る!体が軽い!勇気百倍!アンパ…みたいな。
(もっとぶっちゃけていうと、十二○記の…戦闘補助の…ゼリー妖怪のような…ゴニョゴニョ)
で、スキル制限の中につっこむと効果は戦闘に積極参加くらいかな、と。脳内設定使いまくりでごめんなさい。補足します。
あの場面では、淫徒プリの思惑通りに淫徒プリにとっての最優先事項を処理する、という結果から
ある意味彼女に操られてるみたいなもんだと思います。あの時点での♀BSの脳内は、
「スパノビ死んじゃった」でCPU使用率100%だと思うので。それを無理矢理敵に立ち向かわせる、と。
プリの支援って結構エグいですよねぇ…

>>246
あれ!?スパノビが生き返っとる!
…と思ったら自分がいろいろ忘れてただけでした。失礼。しかし彼が生き残るのもまた、熱い。
(本当は「早く治してよ……ねぇ、もう(「息が」、を入れるかどうかで迷い)」で既に呼吸停止のはずだった)
ダンサーの死を告げられなかった♀BSはどうするのか…ドラマのような展開ですね。

伝説クラスの武器を未精錬2HA程度でヤれるものか?とも思いましたが
フ…柄を折っただけならどうとでもなるだろうよ…奴は魔槍だしなぁ…クククッ なんつてマーダー思考。
つーか青箱の数だとかは変に合わせないでおかしいと思ったら修正してくださいよ…orz いや注意が足りずごめん。

>>248
別バージョンの展開が読めるのは一書き手としても読み手としても嬉しいかぎりっす!
生き残る気持ちが強いケミだからこそヘルファイアに呼ばれるっていうのもいいっすね
最後の「おいらはどうしよっかなーん」な淫徒プリも魅力的です。策士VS筋肉の宴。

>>249
>>250-252 (てか一人よがりってどこのことだろう)

>>251
涎でましたわ、その設定。こっちは刑事ドラマみたいで、燃え。
256名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 12:15:44 ID:g2Vjy9tM
〉〉252さんが怒るのも無理ないと思う。
だって〉〉248さんって〉〉246書いた人で、
つまり今まで散々♂騎士優遇とかグラリス軍隊言葉でつっこまれてた人でしょ。
……。が独特だから分かるんだけど、今までの自分を棚にあげてよく言ったもんだ、この書き手さんは。
257名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 12:27:13 ID:PDEC7XK2
↑それもそうなんだけど、249の発言単体で見てもありゃ「校正」ですらない、ただの叩きだよ。
ナイフを忘れてたのは240に対しての感想、248の文章では決定的なミスにならない。
NGとして出さなかったのは「俺はこんな風にも考えたよ」ってだけなんだと思うんだわ。
突っ込みじゃなく叩き(しかも作品に対してだぜ)じゃそりゃスルーもできまい…
258名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 12:36:51 ID:cYTQP4I2
まて、これは孔明の罠だ!

当人のいない場所で、叩きか校正か突っ込みなのかを議論させて
書き手に新しい物語を投下させないための罠に違いない!

荒し・叩きに反応したら、反応した人も荒し・叩きの仲間入りだぜー
無論、反応している私も貴方もあなたもなー
259名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 13:21:32 ID:wAp4EIdQ
しかし一人よがりと言われたからといっても
人のことをアンタと呼ぶ神経が俺には考えられん

部外者だがな
260名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 13:58:44 ID:g2Vjy9tM
>>259
君のそれだけをわざわざ書き込む神経も理解されないと思われる。
言われたことが問題じゃなくて散々スレで問題を起こしてた人物に言われたことが問題なんだと思う。
正直またこいつが原因かよと、泣きたくなるね。

どっちが良い悪いかとかはどうでもいいけど、トラブルメーカーな人は1週間くらいネットから離れて猛省して欲しいよ。
261名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 16:12:02 ID:sm.wuT3w
(´・ω・)つ旦<まぁまぁここは、お茶でも。

個人的には、女BSさんに惚れそうです(*ノノ)カコイイ
262名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 16:41:14 ID:4jmdnjfQ
120 再会 [早朝]

それは東の空が黒を白く塗り替え始めた二日目の早朝の話。
森から僅かに外れた木々がまばらに生えた丘の上を、1組の男女が歩いていた。

男の方は頭からフードを被っているため、髪型は分からない。
けれど身につけている服の様子から男がアサシンであることは明らかであった。
周囲を探る眼光の鋭さから、彼が数々の修羅場をくぐってきたアサシンであることも想像に難くはない。

一方の女はというと、金髪を美しくなびかせた絶世の美女、からはほど遠いが、一般にはかわいい系に分類される顔立ちである。
冒険者が一度は袖を通す服、ノービス服を着ていることから彼女がノービスであることは間違いないと言えよう。
真剣に辺りを見回し、突然の外敵に備え警戒している♂アサシンの表情とは正反対のあどけない表情が、
彼女が女性というより少女と表現すべき年齢であることをなんとなく教えてくれる。

「帰って来た時に理由は分かる、か」

♂アサシンのすぐ横を、しっかりとした足取りで前を一歩一歩確かめるように歩く♀ノービス。
その淡い褐色の瞳を横目にちらりと見、それから再び視線を前方へ戻し、♂アサシンは小声でそう呟いた。

───お前には生きる価値がある

♂アサシンはこの島に来る前にマスターから言われた言葉を、そして草原地帯で♀ノービスに言った言葉を思い返していた。
生き残ることができるのは、たったひとりだけ。つまり、♀ノービスを生かすということは自分が死ぬということである。
それでもそんな言葉を♀ノービスに告げてしまった自分と、その自分を信じた♀ノービス。
生粋のアサシンとして生きてきた今までの自分の人生を根本から否定してしまった自分の行動に、
♂アサシンの頭の中は、これでいいんだという確信と、これで良かったんだろうかという不安が未だ、ぐるぐると回っていた。

もしかして俺って本当に───

そこまで考えてから♂アサシンはぶるぶると首を横に振る。
そこから先の言葉を考えなくて済むように、傍らを歩く♀ノービスの反対方向に顔を背け、視線を上にあげる。

「空がだいぶ明るくなってきた、な」

浮かんだ言葉を無理矢理口にすることで先ほど脳裏を掠めた単語を消したいのであろう、♂アサシンはぽつりとそんなことを言った。
よほど恐ろしいのか、♂アサシンは尚も言葉を続ける。

「そういえば青箱、開けてなかったよな。すっかり忘れてたぜ。
 武器もないし、今すぐ開けて中身を確認しておいた方がいいよな」

隣りを歩く♀ノービスを全く見ることなく、♂アサシンは勢い良くまくし立てた。
今までの彼を知るものが見たら思わず噴き出して笑うであろう醜態である。
けれど、♀ノービスはそんな♂アサシンの様子を気にすることもなく、ニコニコと朗らかに笑う。

「そうですね、それじゃあそこの木まで行ってから開けませんか?」

言って♀ノービスは30mほど先にある木立付近を指差した。

ふたりは周囲を警戒しつつ、目標とした地点へ足を進める。
が、付近まで来たふたりはそこで何かに気付いたのか一気に走り始め、一本の木の下に駆け寄った。

「♂アサシン・・・さん・・・」

震えている♀ノービスの肩を右手で抱きながら、♂アサシンは眼下に横たわっているソレを見つめる。
僅かに憂いを含んだ瞳に映っているのは、ひとりの女性の亡骸。自分と同じ組織に属していた女のナレノハテ。
そう、そこには見るも無残な姿の♀アサシンが物言わぬ形で横たわっていた。

GMジョーカーの定時報告を♂アサシンは聞いていた。だから♂アサシンは♀アサシンの死を知らなかったはずはない。
ただ、それでも実際に彼女の死を、事実を目の当たりにした♂アサシンの心は平常心ではいられなかった。
だからお前は甘いんだ。マスターが今の♂アサシンを見たらきっとそう言うだろう。
少女ひとり殺せず、仲間の死に対し冷静さを失うなんてことはアサシンにとっては問題外のことである。

それでも♂アサシンは♀ノービスの肩を抱き締めながら、♀アサシンの亡骸をずっと、見つめていた。

「知ってる人・・・ですか?」

♀ノービスの声で我に返った♂アサシンは、そこでようやく自分が♀ノービスを強く抱き締めていたことに気付いたのか、
慌てて彼女から手を放し、♀アサシンのすぐ側へふわりとしゃがみこむ。
すっと両目を閉じ、ゆっくりと息を吸い、そしてふうっと息を吐き出す。

「あぁ、何度か一緒に任務をこなしたことがあった。ただ、それだけの関係だったけどな」

───それだけには見えませんでした

かすかに発せられた♀ノービスの声。
その声に気付かなかったのか、気付いていないフリをしたのか、♂アサシンは土を掘り起こし、♀アサシンを埋葬し始める。
♀アサシンの脇に備えるように置いてあった一輪の花を目にすると、それを手にとり、一緒に埋めた。
263名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 16:41:40 ID:4jmdnjfQ
「さて、時間を無駄に使ったな。早く青箱の中身を確認するとしようぜ」

振り返り、♀ノービスを見ながら話す♂アサシンの瞳に先ほどまでの憂いはない。
きっと触れない方がいいんだろうな、とでも♀ノービスは思ったのだろうか。彼女は何も言わず♂アサシンの横にちょこんと座った。
鞄からゴソゴソと青箱を取り出し、ふたりはお互いの顔を見、それから視線を青箱へと移し、青箱を開けた。


<♂アサシン><現在位置:丘の木立(D-6)>
<所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2>
<スキル:クローキングLv10>
<備考:♀ノービスを生き残らせると決意、♀アサシンとは顔見知りだった?>


<♀ノービス><現在位置:丘の木立(D-6)>
<所持品:ソード、未開封青箱×1>
<スキル:死んだふり>
<外見:ノビデフォ金髪>
264名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 16:50:08 ID:cgOGHpXo
Another 命を食らうもの

我が名はヘルファイア
神々の時代より数多の命を食らいし魔槍なり
長きにわたりトリスタンV世の手で封印されてきたが
ジョーカーの手により送られたこの殺人喜劇の中で再び命を食らっている

先の女剣士は狂気という点ではすばらしかった
体の限界を超え 自ら進んで我に命を捧げようとした
しかし 力を使いこなせなかったが故 早々に食らってやった

今回の剣士は幻覚を見せてやることで自らの正義に乗っ取り
積極的に我に命を吸わせた 良き持ち手だった
しかし 我が止めるより早く 戦術により我を手放してしまい
我が手を離れ人を殺したことに気づいた故
罪の意識により自壊してしまった

まあ良い 長きにわたる退屈な日々は終わり
我は殺し合いを求める絶海の孤島にある
人は弱きもので 恐怖を消しさるための力を欲し
自らが危機に瀕すればあらゆる物をためらいなく奪う
すぐに 我に命を吸わせてくれる持ち手は現れる

我が名はヘルファイア 命を食らう魔槍なり
265262sage :2005/11/24(木) 16:56:40 ID:4jmdnjfQ
売り言葉に買い言葉で場の雰囲気を悪くして申し訳ありませんでした。

>>253>>259
本当に申し訳ない、深く自省します。

>>255
そう言ってもらえて助かります、善人にシフトする絶世の美女♀ケミも捨てがたいけど、
悪のままの♀ケミも捨てがたかったもので妄想させてもらいました。


というわけで♂アサ♀ノビです。
♂アサが素手のままだとやばいから青箱を開けないとな、と書いてみたら
結局青箱を開けられないまま終わってしまった私を許して。
♂アサと♀アサがどういう関係だったのかについては想像におまかせしますー。
266名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 17:05:49 ID:4jmdnjfQ
>>264
ヘルファイアさん、あなたはもう・・・(つД`)
でもGJ、素敵でした。
267名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 17:06:53 ID:WFKcP2eI
文も面白いし、ちゃんと謝ってる。
悪い人じゃない。それは分かるんだが…
すまん、言わせてくれ。

連投規制違反だ…!
268267sage :2005/11/24(木) 17:08:43 ID:WFKcP2eI
申し訳ない。本当申し訳ない。
謝るしか出来ないけどマジゴメンナサイ。

何処が違反なんだ自分…orz

しばらく正座してます。
269名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 17:11:37 ID:YmkobVpQ
>>262
♂アサ♀ノビは北へ移動中のE-6地点で♀剣士に襲撃されてF-6へ移動したんだけど
何でD-6へ移動したんだろうとちょっと疑問に思います
ちょっとだけ説明か補足してくれると嬉しいです。
270名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 17:25:45 ID:4jmdnjfQ
>>269
101話でF-6夜営中、南方の森から炎(♀セージ死亡のやつ)を見て西に移動し始めるシーンがあったので、
そのまま西に移動してたら夜明け頃にD-6くらいじゃないかなと。

確かに♀剣士に襲撃されたE-6をもう一度通るのはどうなのか?とは思いましたが

他の禁止区域分布から考えてE-6は禁止区域にならないと♂アサシン推測

炎の元凶がいる島の南東よりも北西に居た方が良いのでは?

夜の間にE-6を抜けて北西側へ行こう

なんて考えたかどうかは知りません、がそんな感じで移動したってことにもできるなぁ、と。
こんなところでどうでしょう?
271名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 18:09:59 ID:YmkobVpQ
>>270
説明どうもです
ついでに、ちょっとした矛盾なら自分で話書いて辻褄合わせちゃえばいいなと思って
こんな感じかなと簡単に書いちゃったのを投下
NG扱いでよろです


*****

「あの、♂アサシンさん、こっちって昨日の道ですよね? 何で戻ってるんですか? あの人もいるかも知れないし・・・」
まだ眠そうな目をこすりながら歩いてる♀ノービスはふと、感じた疑問を口にした。

「地図を見てみろ、F-5、G-4、I-5・・・立ち入り禁止地域が島の東側に集まってるだろ
 このままG-6周辺が禁止地域に指定されたら動けなくなるし、禁止地域を避け移動してくる奴らに出会う確率も高くなる。
 だから、このまま西へ移動し北西方面へ行く。その方が都合がいいだろうからな。
 あの♀剣士にまた会うかも知れないが、大丈夫、次は負けない」
♂アサシンは♀ノービスの疑問に簡単に答えた。

「あ、はい分かりました。頑張りましょう!」
♀ノービスは小さくガッツポーズをして♂アサシンの後に歩き出した。

何を頑張るんだか・・・
♀ノービスに分からないように苦笑し♂アサシンは歩き続けた。
272名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 20:08:42 ID:eISHqaWY
どの話が、というのは書きませんが

一つの話の中で最初と途中or最後で語句が
「意図的でなく」変わっているものが合った場合は
どうしたらよいのでしょうか?

単純な語句の間違いがあった場合、
勝手にまとめサイトを修正してもいいのかどうか迷いました。

|ω・`).。oO(間違いとかあると急に現実に引き戻されちゃうんだよね…
273名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 20:14:02 ID:r3GuKyDY
その「語句」が何なのかによるんじゃ…ってかそんなのスレで作者さんに聞けば良くない?
せっかく連絡(?)とれるんだから。いまさら聞けないほど多いの?
出来れば勝手に修正するよりも作者さんに伝えて本人に修正してもらったほうがいいと思うよ
274名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/24(木) 20:20:27 ID:r3GuKyDY
なんかつんけんした口調になってしまった・・・
つまりまとめサイトに転載したあとで、「この部分ミスだったら直して下さい」
ってのをスレかどっかで呼びかければいいんでないかな。
275名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 01:02:05 ID:RMcNP1Cg
皆、何度か出てる2回目定時放送の話題をことごとくスルーしてるが・・・
そろそろ要る頃合でないかい?
276名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 01:18:57 ID:KsEmdxMI
>246で♀ケミの備考が「♂BSの死により善に転向の兆しあり。」
ってなってるけど、俺としては悪女のままって方向性で話書きたいんだけど
備考欄無視はまずいかな?♀ケミは身体能力は低いわけで、善に転向しても
大した活躍は見込めないんじゃないかと思って。本家BRの光子的活躍を期待。
277名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 01:33:28 ID:YWaMagrY
>>276
いいほうにいこうかなと思って行動するもやっぱり悪のほうに転向するって話を
周囲が納得いくように書けば無問題かと。
そういう心の葛藤って好きだわ〜と期待にワクテカってます
278名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 01:53:22 ID:KsEmdxMI
>276
いやそうじゃなくて♂BSの死にも「使えない男ね」程度にしか思わない
完成された悪女って方向性はやっぱりもうNGなのかなーって。
今までの♀ケミの行動は自分の身を守るための演技、もしくは設定通り
白昼夢を見ていたため戦闘中に動かなかったり♂BSの墓の前でぼーっとしてた
(ように見えた)とか、そういった心理描写がいるだろうけど。駄目っすかね。
279名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 01:57:18 ID:smjKvwXM
文中で心変わりが明らかなわけではないから、行動の解釈や心理描写の補完で
そういう方向に書けるならいいんじゃないかと俺は思う。

定時放送はそろそろあってもいいとは思うけど……誰が書くかお見合いになってるのか?
280名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 02:10:25 ID:Sh7pc/jU
定時放送少し早くない?朝10時かぁと思うとなんとも、と思いスルーしてた。
まだ1日目のキャラ結構いるような気がする。
ケミはちゃんと経緯なり書かれてれば悪女復帰でもいいんじゃない?
しおらしくしてたのも実は縁起でした、とか理由つけて。
281名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 03:12:27 ID:YWaMagrY
一日目のキャラは書くほどのこともなく一日が終わりました、でいいと思うんだけどなぁ
無理に書こうとすると枷にしかならないと思うのです

人工密集地帯だからであわせてしまえ、ということで投下。

121 Encount!

「うぅー、お腹が痛いー」

後ろから聞こえてくる情けない声を無視して♂セージは森の下生えを踏みしだき枝を払う。
手にしているのは支給品のソードブレイカー。本来はこんな山刀のような所業に使うものではない。
武器に魂があるならば泣いていることだろうが、そんなものにまみえる機会があれば謝っておこうと結論付けた。
形跡が残るような歩き方はしたくないのだが、後ろの♀商人の体調を考えると致し方ないか、とも思う。

「ぅうーー」

朝食を食べて歩き出してしばらくしてから続いている重低音のうなり声の原因は全くの自業自得であった。
とはいえ、見捨てていけるほど♂セージは冷血漢ではなかったようで、いつもより多少険しい顔をしつつも
彼女を気遣って道を作り作り行軍することになっているのだ。

「たーすーけーてー…」
「自業自得です。その腹痛は、寄生虫でもなければ病気でもなく、食べすぎですよ」

主に"食べすぎ"という語句を強調して♂セージは言う。
休憩しようよ、と半ばなみだ目で見上げながら懇願する♀商人を無視し♂セージは一定の歩調で歩き続ける。
と、突然♂セージが歩みを止めた。
身をかがめるように♀商人に身振りで伝えると彼自身もゆっくりと身をかがめる。

「また水浴び?」
「違います、強力なパーティです。前衛、後衛、支援とバランスが取れています」

よほど根に持っているのか昨日の行状を揶揄する言葉に苦笑を交えながら♂セージは見たままを伝える。
彼と彼女の目線の先には男性二名、女性一名のパーティがいる。

一人は、おとなしい髪形をした少年。軽装であることから盗賊か剣士かもしれない。
一人は、長い髪の女性。これも同じく軽装ではあるが、肉付きからして肉弾戦は得意ではないと見える。
そして最後の一人。長身強面の男性。修道女のベールをかぶって一人異様な雰囲気をかもし出している。

「…殺人者、じゃないよね?」
「んー、一見変態のようでもプリーストがいますからね。
 この状況でマーダー同士の同盟だとしたら、プリーストがいるとは思えませんし
 いや、殴りプリだとしたらそうでもないですね。でもやはり、他者に支援を行使するとは思えません。
 ならばメリットの薄いプリーストが参加するのも変なので、マーダー同盟ではないと見るべきでしょう。
 それ以前に、あんな間抜けな格好をしたマーダーに殺されるのだけは嫌です」

一通りの評価を口に出して説明し、♂セージは♀商人を振り返り問う。

「それで、どうします?」
「ぇ?」
「ゲームにのるかそるか、という話です。
 もうすぐ定時放送がかかるでしょうから、その隙を狙えば不意を打てますよ?」

意地の悪い選択だ、と癖毛を弄りながら♂セージは思う。
勝利を匂わせる発言で♀商人の本音を知ろうというのだから、我ながら救いがたい人間だ。
約一日間付き合っていたが、この辺りでそろそろ本音を知っておきたいのも人情である。
彼は目の前のパーティを襲撃するつもりはないし、彼女がマーダーの道を選んだとしても対処をいくつか考えてある。

(その道は選ばないと思いますが、万が一は何にでも存在しますし…)

その微妙な想いの矛先である♀商人は一瞬、脅えたような顔つきをすると、大きくかぶりを振って答えた。

「いやっ」
「奇遇ですね、私もそんなことはしちゃいけないなと思っていたのですよ」
「…本当?」
「考え付くことと実行に移すことは全くの別物です。
 そこには超えることの出来ないモラルの壁があります。
 そして、私のモラルは山よりも高く…海よりも深いのです」

怪訝な表情で問い返された♂セージは、一切の悪びれもなく答えた。
その答えに♀商人は吹き出す。
胡散臭いことこの上ない台詞だが、それでも信じてみようと思う魅力がこの男にはある。
♀商人の表情に満面の笑みで応えた彼は一人立ち上がると彼女に指示を出す。

「では、ちょっと交渉してきますから、合図をするまでここで待っていてください」
「二人で行かないの?」
「んー、私の人物鑑定が間違っていた場合、逃走のフォローがほしいので別行動にしましょう」

保険をかけようという意図に♀商人はおとなしく肯く。

「おっけ、わかった」
「では、幸運でも祈っていてください」
「誰に?」
「そーですね、ここでは神に等しいジョーカー様にでも祈っときますか」
「うわ、最悪ぅ」

二人して忍び笑いを漏らし、♂セージは歩き出す。
しばらく歩くと、向こうも気づいたらしく誰何の声がかかった。
それに応えて♂セージが両手を上げ、戦う意思のないことを示す。

茂みに身を隠している♀商人にとってはたったそれだけのことでも10分くらい経ったのではないかと思う。
半ば戦闘態勢の三人に囲まれるようにして♂セージは身振りを交えて状況を説明しているようだ。

♀商人はふと思う。もし今、わたしのほうがマーダーに襲われたらどうなるの?と。
背筋を悪寒が駆け上がる。
周囲をぐるりと見渡して誰もいないことを確認する。
視線を♂セージに戻すが、説明に手間取っているようだ。まだ合図はない。

周囲をもう一度見回す。
誰もいない。
なのに、ただ小鳥のさえずりだけがするこの森が怖い。

(怖い怖い怖い…怖いよ…。まだなの?隣にいてくれてたら心強いのに、一人にしないでよ…)

理屈で保険をかけることに同意したものの、一人で待つということに感情はついていけない。
一人でいる恐怖に耐えられない。そして、いつの間にか♂セージに頼り切っていたことを♀商人は自覚する。

誰かの視線を感じたような気がして、再三周囲を見回す。
誰もいない。
けれど、暗殺者や悪漢のなかには隠れたまま歩くことの出来る技を習得しているものがいるという。
だとしたら、こうして身を潜めている間にも背後に忍び寄って冷たい刃物を振りかぶっているのではないか…?
両目をぎゅっとつぶって想像力によって膨れ上がった恐怖をかみ殺す。


トン、と肩を叩かれた。


悲鳴をあげようにも喉が引き攣ったようになって声が出ない。
死にたくないと思うのに身体はこわばって動かない。
何とかしなきゃと思うのに頭は空回りをして働かない。

どうしようもなく死の瞬間を待っていると、声がかかった。

「何、しているんです?」

聞こえてきたのは冷酷なマーダーの声ではなくて、聞きなれたのんきな声。
ゆっくりと目を開けると、♀商人の前には確かに♂セージがいる。

「合図しても来ないから、迎えに来たんですけど…。
 いや、ちょっとまってなんて顔しますか貴女は!
 そっちの人たちも笑ってないで何とかしてくださいよっ!
 …ああ、もう、泣かないでください。ほら、これで涙を拭って」

差し出された意外にも綺麗なハンカチで♀商人は涙を拭う。
へたり込んだまま♂セージを見上げると、困ったかのように頬をぽりぽりと掻いている。
その様子がなんだか、今まで見てきて来た彼とは別人のようで、♀商人はいつの間にか微笑っていた。

<♂セージ>
位置:E3
所持:ソードブレイカー 青箱(開封済みの可能性アリ)
容姿:マジデフォ黒髪
備考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? ファイアウォール習得 GMジョーカーの弟疑惑
仲間:♀商人+未亡人PTと合流

<♀商人>
位置:E3
所持:青箱2(未開封)
容姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備考:割と戦闘型
仲間:♂セージ+未亡人PTと合流

未亡人PTに変化はなし
282名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 05:20:43 ID:.H0KURBE
>>278
それでぜんぜんかまわないと思う。
っていうかそういう葛藤が出てくるのもBRの醍醐味かと。

かといってまったく別方向へ行くのもぜんぜんありだと思う。
(善とか悪とかじゃなくて別方向へ)
それはこれからの書き手さん次第ということでOKだと思うぞ
283名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 06:03:50 ID:UuC5bxKk
む、そう言えば定時放送は午前午後とも8時ぐらいに修正しないかって話があって、結論出ていなかったような?
8時ならそろそろ、10時だと昼に近い感じなのでもうちょっとあとになるんでしょうが、どうしますかね?
私個人としては8時に修正(=そろそろ放送)説を推しますが。
284名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 07:35:16 ID:K6pKm6JE
>>281
♀WIZはLV99だから、オーラ見えると思うんだけど。
ソコだけなんとなくつっこみたくなった。
285名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 07:56:38 ID:ImNdOw0U
私も定時放送午前午後8時を推します。
つまりもういつ定時放送を投稿しても良いんじゃないかな状態。

書ければ書きたいんだけど、
素敵なGMジョーカーさまを書けそうな気がしないので待つしかない私・・・
286281sage :2005/11/25(金) 09:15:45 ID:Kt5b9kww
朝の定時放送といえば
「あった〜らしぃ〜あさがきた〜♪きぼうのあさ〜だ〜♪」
…ってそれじゃ、GAN○Zですね

放送の時刻については私も午前8時で良いのではないかと思います

>>284
そういえばそうでしたね
驚かれていたのは最初だけだったのですっかり失念しておりました
Wikiのほうに掲載されたら修正させていただきます
287名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 11:10:21 ID:jguYANGw
助祭の失敗〜拝啓何某様リターンズ を有効にするとナンバリングがずれて 122 Encount! ということになります。
次の書き手さんは123からお願いします。

それから残り人数は33人です。
あと、1点。 もともと50人には特別枠10人が含まれていたのですがジルタスさまには首輪がないため1人分のズレが生じます。

総勢は49人だった or 実はまだ1人登場させていないから50人であってる

のどちらかを決めなければいけません。
288名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 11:59:02 ID:RMcNP1Cg
>>287
どうしても決まらないようだったら、はじめ言われてたカプラWあたり
特別枠参加者に持ってきてもいいんじゃないかしらーとか思ってみたり。
ラストでジョーカーが「ひとり足りない? いいえそんな事はない、私が50人目の参加者です」
とかいうのも考えてみたケド・・・
289名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 13:45:28 ID:NAmhm/Uw
ジルタスの問題の解決として書いてみましたが、ちょっと反則かもしれないので
問題がありそうならNG行きで。


イレギュラー [1日目深夜]

ジョーカーは、島の南東部に広がる岩場の上にいた。
「おやおや……こんなことになっていたとは」
切り立った岩の並ぶ中に、地面が赤く染まった一角がある。天に向けて鋭く突き立った
岩の中ほどに、その首輪の持ち主は百舌の早贄のごとくぶら下がっていた。
ゲーム開始時点から一度も動いていなかったその反応が先ほど消え、不審を抱いて来てみれば
この有様だ。万に一つの偶然、と言うしかない。ランダムで開いたポータルの先は不安定な岩の上。
状況を把握する間もなくバランスを崩し、そのまま少し下の岩にグサリというわけだ。
音声記録には悲鳴と衝撃音、その後には苦しげな息遣いだけが残されていた。鋭い岩に体を貫かれ
身動きもとれず、ただ死を待つだけだったのだろう。この時間まで生きていたのは、急所だけは外れていたからか。
「まあ、50名のうちには違いありませんし、進行上問題はないのですが……どうも、華に欠けますねえ」
殺し合いの結果でも、絶望のあまり自殺したわけでもない。こんな死に方をされるのは彼の美学に反する。
かと言って既にユミルの爪角の影響下にある以上、復活させてもう一度などということも出来ない。
「さて、どうしたものやら……ん?」
視界の隅に何かが映る。眼下に広がる背の高い草地の中を進む影。
「ああ……すっかり忘れるところでした。丁度良いイレギュラーがいらっしゃったではないですか」
薄く笑みを浮かべると、ジョーカーの姿はかき消すように消えていた。

「一体、何の御用かしら?」
突然現れた白装束の男に、ジルタスは油断なく構えながら声をかける。足を負傷したぶん、
周囲への警戒は怠っていなかったはずなのに、この男はいつの間にか背後にいたのだ。
「これは失礼。あなたにはお初にお目にかかるのでしたね。私、この大会の司会進行を勤めさせて
いただいております、監視者の――通称GMのジョーカーと申します」
慇懃な口調で一礼する。
「あら、そう。あなたが黒幕というわけ?」
ジルタスの口調が剣呑なものに変わり、手が腰の鞭に伸びようとする。
「いやいや、滅相もない。私なぞはただの雇われの身でございますよ。しかし、頂いた仕事は
きちんと全うさせていただくと、それだけのことでございます」
「ふん……よく言うわ」
攻撃をためらったのは、そんな弁解を聞いたからではなく、むしろこの男が底知れない実力を
隠していると感じたからだ。
(まあいいわ。考えようによっては、そのおかげでご主人様と会えたのだものね)
「それで、私に何の御用があるのかしら? 見ての通り私は首輪をはめていない。
私は参加者とやらじゃなくてよ?」
「ええ、ええ。わざわざあなたの元に参りましたのは、まさしくそのことでしてね」
ジョーカーと名乗る男がごそごそと懐から取り出したのは、まさしくその首輪であった。
「私も忙しい身ですので、手っ取り早く申し上げますがね。あなたにもこの首輪を付けて頂きたいのですよ」
「あら、どうして? 人数は揃っているんじゃないのかしら?」
「ええ、そうなんです。そうだったんですがね――少々、手違いがありましてねぇ。
どうしてももう一人、参加者が欲しいと、こういうわけなんですよ」
「ふうん――運営者とやらも、随分無能なのね?」
ジョーカーは、いかにも大げさな手つきで頭を叩く。
「いやはや、手厳しい。確かにその通り、私どもの落ち度でございます。しかしここは一つ、
私の顔を立てると思っていただいて――」
「その首輪をつけたら、このゲームとやらに参加しなければならないんでしょう?
そんなのは御免だわ。それにね、私に首輪を付けさせられるのは、ご主人様だけなの」
290名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 13:46:21 ID:NAmhm/Uw
はぁぁ、と大きなため息が聞こえてきた。男はくるりと背を向ける。
「左様ですか。ならばいたし方ありませんねぇ。実に残念だ」
そのまま、とぼとぼという様子で数歩歩き出す。
「ところで――」
ちらりと顔だけを向ける。
「あなたのご主人様、ご無事だといいですねぇ?」
「――どういうこと?」
ジルタスの声が低くなる。しかし殺気のこもった視線にも動じることなく、道化の言葉は続く。
「いえ、なに、大したことではありません。ただ、この首輪には少々仕掛けがありましてね」
くるくると手の中で回してみせる。
「私どもの意思で、いつでも爆発させられる、と。ただ、それだけのことで御座いますよ」
くくく、と含み笑いを漏らす道化の目は、もはや笑ってはいなかった。
ジルタスは全身が一気に冷えるような感覚に襲われる。声が震えるのを押し隠しながら、
その言葉を口にした。
「――首輪を、よこしなさい」
「おや……無理なさらずとも結構で御座いますよ? 私どものほうで何とか……」
「猿芝居は止めなさい、ジョーカー。私が首輪をつけるのが望みなんでしょう? さあ!」
ジョーカーが差し出した首輪を、もぎ取るように手にする。かちりと音を立てて、
ジルタスの首にそれは嵌められた。それを見てジョーカーは満足げに頷く。
「いやいや……大変よくお似合いで。それでは、心配事も片付いたところで、私は失礼いたしますよ。
あなたとご主人様の健闘をお祈りいたします……くっく」
光の渦に包まれ、笑い声のみを残してジョーカーの姿は消える。
忌々しげにその空間を見つめていたジルタスは――しばらくして、ゆっくりと歩き出した。
彼女の主人を探すために。


<ジルタス 現在位置:G-6 所持品:種別不明鞭、ジルタス仮面
 首輪を付けられる>

<残り33人>
291名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 14:18:37 ID:Sh7pc/jU
あっ、見直してる間に競り負けてた。
>>289
く、首輪ジルタス様に萌える!ジル様、♂アコはちゃんと生きてるYO!
…けど変態と一緒だから早く助けにいってあげてくれ!
そして名無し参加者哀れなり…(あの世で書いてもらえるといいね…)

んではNGで投下。
Wやっぱり拉致られてたVer.〜後で島内に開放すれば参加者ですよね♪〜

NG.定時放送2(朝8時の場合)

「さぁさ皆様、起きてくださいまし!お寝坊さんはいらっしゃらないでしょうね?
楽しい楽しいバトルロワイアル、二日目の始まりですよ!
しかし良い朝ですねぇ。これはまさしく皆様の日ごろの行いが報われたということでしょうね?
何せ前回のバトルロワイアルなど、開催期間中ずーっと雨模様でございましたから。
私どもも気が滅入ったものです。やはり雨が4日も続きますと皆様……ああ失礼、脱線してしまいました。
きちんとお仕事しなくては、ですね。ではお先に死亡者を読み上げますよー。

♀剣士さん
♀セージさん
バードさん
♀クルセイダーさん
♂BSさん
ダンサーさん
♂剣士さん

そして我が国の工務大臣殿!不甲斐ないですねぇ、早速のリタイアですか。
というわけで朝までの間に8名が亡くなられました。残り33名です。
良いですね、なかなか順調なペースで御座いますよ。今日も皆様張り切ってくださいま」

と、急に放送が騒がしくなりジョーカーの声がブヅンと切れる。
間際に何か別の声が混じっていたような気もしたが。
朝の風景に不釣合いな忌々しい騒音は、しかしそう長く待たずに再開された。

「と、失礼いたしました。ちょっと猫が暴れ出しましてね。
お次は危険区域の発表です。厳正なる抽選の結果、今回の禁止区域は…
C-5…G-7…F-2……B-6……あともう一つは…ええとはい、D-3でございますね。
これより30分の後、以上5つの区域への進入が不可能となります。
どうぞお気をつけくださいませ。それでは、皆様ごきげんよう!
ご存命であればまた今夜、お会い致しましょう♪」

慣れた手つきで放送のスイッチを切りジョーカーは椅子に体を預ける。
そのまま椅子を後ろに回し、マイクとピンボール(厳正なる抽選を行う装置)を背に
沈黙の魔法を掛けられソファに固定された猫に向き直った。

「やれやれ……せっかく貴女をレディとして扱い、せめて声を奪うのはやめて差し上げたのに。
いけませんよ?先程のように突然喋ろうなどと考えては。
お姉さまにもう一度会いたければ…ね、そこまでお馬鹿さんではないでしょう?
ここでずっとお姉さまを見守り続けてきましたものね。
妹として彼女がもう少し殺してまわるのを、応援してさしあげなくては。ねぇ?Wさん」

ずらりと並ぶ音声機器の光を背に、ジョーカーが心底楽しそうに震える猫を見やる。
首輪をつけられ繋がれた猫に許されるのは、ただただ赤く腫れた目でジョーカーを睨みつけるのみ。
既に涙は出しつくし喉は枯れ、元より魔法で封じられなくともまともに罵ることすら出来ない。
その光景を愉しむ彼の薄い目の代わりに、ピンボールの銀玉が後ろでキラリと輝いた。


<GMジョーカー>詳細不明
<カプラW>
位置:不明
所持:不明
容姿:公式通り
状態:疲労困憊、LD掛けられ中。
備考:カプラ職員。グラリスへの人質として連れてこられた。
彼女が10人殺し終わったあと開放されるとの約束だが、果たして…?
292272sage :2005/11/25(金) 15:59:21 ID:vMdcW8ks
273+274さんお返事ありがとうございました。

見つけた場合はここで連絡を待ってみたいと思います。
間違い(と思われる部分)を見つけたのが初めの方だったので
どうしたらよいのか迷っていたのです。
293名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 16:16:47 ID:8eDKPbU2
 素敵な朝を


 朝日に急かされて、私は目を覚ます。
 何時もの一日がまた始まる、って心のどこかで信じながら。
 けれど。この悪夢はまだ覚めていないらしい。
 開いた眼に移るのは、プロンテラの町並みじゃなくて。
 私のしたぼく──、子バフォでも無くて。
 痩せた、黒い頭巾に半ば包まれた顔。
 それから、朝日と海から吹く風に揺れている遠い木々だった。

「やあ、お早う」
 と彼が悪ケミに言う。

「ん…おはよ」
 寝ぼけた頭で答え、それから自分が見張りの途中で眠ってしまっていた事に悪ケミは気づいた。
 さっ、と顔が青くなり、続いて言い訳が幾つも電光石火に閃いて、けれども自分が言い訳がとても下手だと言う事に思い至った。
 頭がぐしゃぐしゃして──実際、手入れもせずに一日動き回ったのだ。どのような惨状になっているかなんて考えたくもなかった。
そこの所は貧乏極まるとは言え悪ケミもオンナノコである──兎も角、慌てふためいてしまう。

「あ、あああアンタっ!!な、何人の寝顔見てたのよぅっ!!失礼でしょうが!!」
 結局出てきたのはそんな言葉のみ。ぽかん、とした目の忍者が彼女を見ている。
 やがて、なんとも可笑しそうに僅か、彼は笑みを零した。

「元気そうでなによりだよ。兎も角、起きたのなら色々やりたい事があるんだけど、いいかな?」

 それから。
 支給されていた保存食と水で簡単な食事を採り、忍者と悪ケミはこれからの方針について話し合うことになっていた。
 (余談だけれど、保存食は冒険者にもお馴染みの干し肉と乾パン。大変に味気ない代物だった)
 開けないまま手元に残っていた忍者の青箱を開け──それは、二振りのグラディウスという時代がかった短剣だった。
 互いにその短剣を一振りづつ配分し、これからについての論議が始まった。勿論、生き残る為、脱出する為に。
 先ず悪ケミが考え付いたのは、勿論昨日発見した灯台に向う事。

「やっぱり灯台が気になるんだけど」
「そうだね。確かにその通りだよ。私もそれを考えてた」
「でしょー。やっぱ私冴えてるわ」
 などと、得意げに言う悪ケミにしかし、忍者は真顔で。

「いや、でも出来るだけ気をつけた方がいいと思うんだ」
 と切り返し、更に言葉を続ける。

「ほら、ここから灯台までは結構ある。それに、灯台って言うのは目立つからね。
 人が集まってくるかもしれないし、それが私達と同じような人とは限らない」
 すると、むっとした顔で悪ケミが、「何よ臆病ね」と言った。
 それに忍者は「時には臆病になる事だって必用さ」と冗談っぽく答えたけれども、一転して真面目な顔をして。

「灯台までは出来るだけ安全に行きたいんだ。ほら、私は弱いからね。
 それに、仮にあの灯台が、この島に幾つかあるだろう管理側の施設だったとしたら、まずそこに居る人たちとは戦闘になる」
 『幾つかある』その言葉を聞いて、悪ケミは忍者に質問で返した。

「幾つか、って言ったわよね」
「うん。その通り」
「どうしてそんな事がわかるのよ?こう言うのは…ちょっとアレかもしれないけど。
 私が主催者だったら、絶対この島の中には居ないわ」
 それはそうだろう、と悪ケミは自らの答えに自分で太鼓判を押す。
 考えてみれば──彼女にだって解るぐらい単純な理屈だ──参加者の中には、
かなり強力な武装を手にしている者だっているかもしれない。
 どうせ死ぬと解っている以上、そんな彼、もしくは彼女が死に物狂いで反抗を試みないとも限らない。
 だから自らに危害を加えられる危険を冒してまでこの島に居る利点は少ない。
 その反抗をさせない為の首輪なのだろうが、どうせ死ぬのであれば些細な差だ…と思う。
 しかし忍者は。

「うーん。百点中五十点、かな。半分は合ってるけど満点には遠いね」
「な、なによう」
 これでも一応は錬金術師で理論畑では優秀だった悪ケミちゃん様、かなり手厳しい採点に些かブルー。

「こう考えてみよう。君は、この島に居る管理者こそが諸悪の根源だ、と思ってる。
 が。実際のところ彼らだって、ある意味で言えば使い捨てなのさ。
 幾ら管理者が叩かれた所で実際このゲームを主催した只一人の女王は尻尾切りするだけ。
 それに、このゲームは──胸が悪くなる話だけどね、私が知っている限りじゃ島の中で監視する人間が絶対に必要なんだ」
「ど、どうしてよ?」
「このゲームはBR法に基づいて施行されてる──ここまでは誰だって調べれば解るけど。
 だけど、ほら。元々が悪法だから私や君みたいな反対している人間だって少なくない。
 私には無理だけど、情報漏洩は完全に防止できない以上、この首輪を無力化できる人間が居たとしても不思議じゃない。
 本当に腕のいいアサシンやローグなら機密文書を盗み出す事だって、あるいは出来るだろうし、
何処かで誰かが秘密を漏らしてしまっているかもしれない、既に漏れてしまっているかもしれない。
 第一、これは刑罰なんだから看守が居ない筈が無い。それも複数ね。
 だからこそ、もしもの保険に参加者を管理側から迅速に排除できる様にしてある筈だよ」

 彼は、酷く冷静な男だった。人殺しが出来なくなったアサシンにその特質が何の意味があるのかは兎も角として。
 まくし立てる忍者にぽかん、と口を開ける悪ケミ。
 それを見て、ぽりぽりと頬を掻いて忍者はわかり易く翻訳する事にした。

「兎も角、この島の中には管理側の人間が絶対に居て、それでそこに入ろうとしたら確実に戦闘になるから。
 だから、それまでに余り大きなリスクを負いたくないんだ」
 そう言うと悪ケミは一応は納得した様だったけれども、直ぐに新たな疑問を彼に投げかけてきた。

「でも。ちょっと待ってよ。確かに管理者側の人がここにいるのは解ったけど、
それは根本的な解決になってないんじゃないの?ほら」
 ちゃらっ、と悪ケミの指があの忌まわしい首輪に触れて、金具が鳴った。
 忍者は不安げな彼女をたしなめる様に苦笑いすると、言う。

「まぁ、確かにその通りだね。臆病なゲームマスターなら、今の話を聞いていただけで私の首が飛んでいたかもしれない。
 期せずして──今の会話は一種の賭けだったかもしれないね」
 さっ、と悪ケミの顔が青ざめるのを忍者は見ていた。
 失態だったかもしれない、と思う。だが、彼は更に言葉を続けた。

「ごめん。今のは私のミスだったよ」
「こ、今度からは気をつけてよね」
「でも、会話は必要だよ。この首輪って言うのは──」
 彼もまた、悪ケミがそうした様に自らの首に嵌った首輪をぴぃんと弾いた。

「只、違反者を殺すんじゃなくて、もっと精神的なものも束縛する面があるみたいだね。
 よく出来てるよ。余り同意はしたくないけどね」
 悪ケミは、と言うと彼の言葉に反吐が出そうな顔をしていた。
 無理もない、と思う。世の中の全員が全員、自分みたいに薄汚れた世界の出身者では無い。
 いかんともしがたい事実であり、また喜ばしい事でもあった。
 この国全体がそうなっていたとすれば、とっくの昔に群雄割拠の戦国時代に陥っていたに違いない、と彼は思う。

「さて、兎も角出発しようか」
 その忍者の言葉に、悪ケミはうん、と頷き、そして彼らは出発したのだった。

<忍者&悪ケミ クホの居た灯台へ移動開始。
忍者の青箱を消費し、一人一本s無しグラ獲得>
294名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 16:17:43 ID:8eDKPbU2
ナンバリング忘れ。123:素敵な朝を、でよろしく。
295名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 17:24:42 ID:Oaako/0g
124.相棒


すれ違う同族達にアイツの居場所を聞きながら、オレサマは進んでいた。
場所を知っているヤツの方が少ないのは仕方なかったが…。
偶然にも、アイツが居る島に知り合いが居たヤツに会えた。

『今は何だか物騒らしいよ』
『危ないらしいから、君までそんなトコ行くことないって』
『人間がそんなに−大事かい?』
揃いも揃って耳が痛くなりそうな事言いやがって。
だが…だがな。
この世にな相棒が大事じゃないヤツなんていやしねぇ。
アイツを見捨てるなんてオレサマには出来そうにない。
なんたって、アイツはオレサマの子分だからな!
ん?さっきは相棒って言ったって?
…オレサマは細かいことは気にしない性分だ。

聞いた話だと、この速さで飛び続けていれば後数時間で島に着く。
誰にも−殺されるんじゃねぇぞ、相棒。
…じゃねぇ、子分だ子分!


<ふぁる 現在位置…島まで後数時間の上空>
<所持品:+2バイタルシュールドボウ[3]、リボンのヘアバンド>
<スキル:ブリッツビート スチールクロウ>
<備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない。ツンデレ?>
<状態:♀ハンターが行方不明で心配していた。居所がわかり居ても立ってもいられず島へ向かう。>
296名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 19:07:19 ID:FmGMqShU
>>293
任意だから義務じゃないんですが、まとめ時や続き書く時に便利なので
次から他の人のようにタイトル横の時間と最下部の状態欄付けてもらえたらやりやすいなと思います。
逆にF6惨劇部隊のように大人数の場合はその時だけ簡潔に書いてもいいかと。
297名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 22:03:35 ID:MWrIax9Q
>>291
ええとNGに突っ込むのは我ながらどうかとも思いますが…。
ちょっと禁止区域の設定に関するご相談を兼ねて。

この島の場合、禁止区域の完全ランダム設定は問題がある気がするのですが、どうでしょう?
少しでも陸地に掛かるブロックが(D−9やH−3を含め)66しかないのに対し、禁止区域は四日間で最大35にもなるんですね。
島の過半がランダムに禁止されると、禁止区域に囲まれて動けない場所があちこち出来ると思います。
291でもB−6とC−5が禁止されたことで、西の半島の先端3ブロックが死んでますよね?
そこにもし参加者がいたら30分で脱出はほぼ不可能です。
もちろん参加者が閉じこめられたら選び直し、とかすればいいわけですし、実際に居なかったわけですから>>291の配置を否定する物ではありません。
ですが、それぐらいなら最初から意図的に配置するのではないかと考えます。
具体的には『島の端から追い立てる』『禁止区域で分断せず1ブロックは通路を残す』って辺りでいかがでしょう。

……いやその、話を書く上で移動できない場所が増えすぎちゃうのは困るなぁとかそんな思惑もたっぷりどっぷりありますけdげふげふげふげふ。
298名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/25(金) 22:53:02 ID:RT4HMD62
>>297
いやいや、いい意見かと思われます。
本当に最後まで殺し合いをさせる気ならば、
某爆弾男のゲームの様に時間が迫るたびに周囲を埋め立てていったほうが
スリリングであり、避けられない接触がおきやすいかと思います。

にしてもGMの拠点はこの島にあるのか外にあるのか。
この島にあるのなら一体何処にあるんでしょうねぇ…
謎解き系に強い人の降臨を待つしかないかな?
299291sage :2005/11/25(金) 23:57:29 ID:Sh7pc/jU
>>297-298
そうなんですよね、禁止区域って考えるのかなり難しい。
今回は「島の何箇所かにGM側の装置がある」って設定なので余計に。
(どうせNGだから、と今回は出してしまったところがあるのですが)
中々放送流れなかったのはその所為もあるのかな?と思います。
具体案の通り爆弾男のサドンデス風にする!と決めちゃうのが一番楽で無難かと思うのですが、
ただ定時放送1がそうじゃないんでどうしたもんかなぁ・・と。
ジョーのことだから、「よほど綿密に計算した」か「テキトーに面白く」の二極かなとは思い、
>291では面白がってバラバラに、爆発では死なないよう、しかし殺し合いがはかどるように
参加者が閉じ込められない程度にわざとデッドエリアを増やしてみたりしました。
マーダー思考ですみませんorz 禁止区域の方針は早めに決めちゃったほうがいいと思います。

追記:>297の一番最後、その手の思惑はじゃんじゃん注ぎ込んだほうがいいと思いますでげす。
300名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 00:37:07 ID:ehjTweHY
第1回の定時放送書いた者だったりするのですが。
禁止区域勝手に決めちゃったのはよかったのかな・・・なんてもう今更ですが。
とりあえず、始めなのであんまり話には影響出なさそうなトコ(A-2、D-7)
淫徒プリさんの動きがなさそうだったから動かしてみようかな、とF-5、
個人的に展開が楽しみで禁止区域にしたI-5と、最後G-4は・・正直適当に決めました。
んーと折角だから死体のあるエリアあたりひとつくらい禁止にしとくかな、みたいな・・。
F-5とくっついちゃって、島を左右に分断するカタチになってしまったのは書いてから後悔orz

皆で話し合って決めるのは流石に楽しみが減りそうだけど、ある程度は考えて禁止区域設定要りますよね。
あんまりヒトがいる区域ばっかり設定しまくってもすぐに移動範囲狭まっちゃうので、
島の端や誰も寄りつかなさそうな辺り(例...H-9等)を1,2箇所設定したりして、
あとはバラけるように禁止区域の書き手さん次第、ってトコですかねぃ・・・?
301名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 06:15:09 ID:H8.quh6.
> 「島の何箇所かにGM側の装置がある」
これを前提に、反抗・脱出の可能性を残そうとすると
重要そうな場所は禁止区域に出来ないというのもありますね。
ジョーカーの性格からすると、ぎりぎりまで希望を残させつつ
「はい、残念でした。頑張ったのに惜しかったですねー(ギャハ」
とかそんな感じかなと思うんで。
302名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 10:56:48 ID:e6fYr.Mo
あれだ。
言うまでも無いけど一度状況の整理が必要になってきた予感。
今後の進行の上で必要な事とか色々と。

ほら。前回見たく流れがハッキリしてないから
ちょくちょく確認作業しないと混沌とする悪寒がひしひしと。
リレーを書き手同士でリレーとして続けていくのは本当に難しい…

ルール読み返して見たんだが、
「毎回禁止区域を指定する」とは明記されてないから、
いっその事一日一回に半減してみるとか。>禁止区域
それと、禁止区域指定はできる事なら、
なるたけ既に踏破されて地形がわかってる場所を、と提案してみる。
未指定の場所をつぶしてしまうと、管理側の拠点が
決めずらくなっちまうか既に踏破された地域から選ばなければならなくなる悪寒。

後、管理側の拠点は…うーん、今の時点では多分島内にいる筈と思われ。
看守役の面々も、首輪の管理装置も。
だって、ここは絶海の孤島で、んで先に首輪は携帯の通話みたいなものって感じの
設定が出てましたが、いくら何でも青ジェム通信機の通話範囲が
「絶海の孤島=本土間」って訳じゃないでしょうし。
それに、天候不順で機材が影響を受けやすい帆張りの船の中、という訳でもない。
嵐で青ジェム乗せた船が転覆して全員死亡なんて、ジョー曰く興ざめでしょうし。
もちろんジュノーじゃあるまいし、空の上に居るという訳でもない。
ならば残る管理側が潜んでそうな場所は島の中一点張りかと。

や。単にそっちの方が面白そうと思っとるだけやろ、というのは禁句で。
303名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 11:31:49 ID:wbGTBEqc
皆いろいろ考えるなぁ
自分はGMは島にいるかいないかなんて気にしてなかった
坂持は分校に兵士と一緒に居るもんだと思ってたし
そこで盗聴やらしてんだろなと

禁止区域は地形が判明してない場所から、は賛成
いつかあのが地図完成するのも楽しみなんで
でもルールに明記されてないからって、禁止区域一日一回はバトロワ的につまんなそう
減らすくらいなら一回で増える数調節するのは?
第一回が5個だから、増えるのは一日5箇所(朝3個夜2個)で
一日目は一回しか放送がないから5箇所一気に増えたとかは?
304名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 12:15:18 ID:4tWa2UFY
もし管理側が島の中に居るのだとすれば、自分たちの居場所は早々に禁止区域にするような気がする。
でもシーズモード効果を与えている装置は分散されていなければならないはずなので、
それらの発見が鍵になってくるのかな。

なんにしても首輪のシステム解析→リンク爆破解除の流れを作らないと脱出無理っぽい。
ただ、無理矢理そっちの方向に持っていくのも急ぎすぎなので、
♂WIZの狂気に満ちた秀逸な頭脳とか♂マジのカイジばりの閃き、♀WIZの大臣からの情報を利用して・・・

♂WIZによる人体実験→陰から見ていた♂マジが首輪についてなにか閃く→♂WIZに見つかる→♂マジ逃げる→♀マジ、♂WIZ説得を試みる→♂マジ、♀WIZたちと合流→♂WIZのところに戻るもすでに♀マジは…

なんていうストーリーが浮かんだ。
えぇ、そうです、私は♂マジに

「他に手はない………紙細工のような理でも、もう、これに乗るしかねえんだっ…!」

とか言わせたいだけです、ゴメンなさい。

漕ぎ出せっ! 勝負の大海へっ!
生還するんだっ! 終わらない悪夢からっ!

なんか♂マジ動かすためにカイジ語録調べてたらコイツなら土壇場ですごいことやってくれそうな気がしてきた。

参項URL
ttp://mio.lowtech.ne.jp/books/kaiji.html
305名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 12:25:23 ID:zWtkNSTc
ふと考え付いたのだけど、管理側の拠点並びに結界施設は、
【建物自体がクローキングしている】ってのはどうだろう?
前回のROワみたいな暗示ではなく、光学迷彩やらステルス迷彩みたいな感じで。
これなら、誰かが一度通ったエリアでも気兼ねなく設置できるんじゃないかな?


スキルは弱体化されているから、ルアフやサイトでは発見は不可能。
でも、あのアイテムとあの人なら……

ってな電波塔置いておきますね。つT~~
306名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 12:58:35 ID:54uufA4M
>>298-304
おお、つまらぬツッコミに真面目な回答ありがとうございます。
やっぱり皆さんいろいろ考えているんだな〜と安心するやら感心するやら。

>>300
第一回放送で中央に一列並んだのは、あれはあれでいいと思います。
1ブロックだけの「通らざるを得ない場所」を作って、そこに追い込むのが遭遇率を高めるには最上でしょうから。
以後の禁止区域設定も周囲から潰すだけでなく、E−6のような場所を少しずつ増やせば…
…って>>291の配置がそうなってるし。
私が余計なこと考えるより普通に書いてもらったほうが早かったんじゃないか。。。orz

>>302>>303
なるほど禁止区域の指定数が明示されていないことには気付きませんでした。
ただ混乱を避ける意味からすると、減らすなら昼夜を一律同じ数(3ブロック?)にするのがいいような?
なるべく地形が判明してるところから、というのには私も賛成です。

管理拠点については、当然あるべき遭遇をすっとばしたNGネタを。
こんな考え方もありますよっと言う程度に。
307名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 13:00:25 ID:54uufA4M
NG.灯台もと暗し

「おっそーい!」
飄々と灯台から出てきた忍者に悪ケミがふくれっ面をしてみせた。
危ないかも知れないからと1人で外に残したのだが、それが気に入らなかったようだ。
「ああ、ごめん。ぐるっと中を見てきたからね」
「で、どうだった?誰かいた?」
笑顔で謝ると悪ケミは急に小声になって囁いた。
誰かいたなら忍者がこんな戻り方するわけもないのだが、灯台に来る前に管理者について脅されたことが随分きいているらしい。
「いいや、残念ながら何もなかったよ」
「…ほーら。私が50点ならあんたなんか0点じゃないのー」
「はは、ごめんごめん」
首を振ったとたん元気になってふんぞり返る悪ケミに、忍者は頭をかいて見せた。
今は何も口に出すわけには行かないから。

彼が見て回った限り、灯台の中には何もなかった。それは事実だ。
しかし、灯台とは毎晩必ず明かりを灯さなければならない物である。
そのために灯台守という職業が存在し、彼らは灯台の中で生活する。
なのに、その生活の跡がなかった。
なぜか。
この灯台が急に造られた物であるか、昔からある灯台だとしても生活の痕跡が隠れるほどの改装をしたからではないか。
つまり、ここには何かがあるのだ。

忍者は地面をじっと見つめた。

「どうしたの?」
「いや、何でもない。ちょっと休んだら他へ行こうか」
「えー。この中に居た方がいいんじゃない?」
「さっきも言ったけど、ここは目立ちすぎるからね。それに隣のI−6を塞がれると大変なことになるよ」

地下だ。
彼は確信していた。
ジョーカーと名乗った男のいたあの部屋。あそこは地下なのだ。
あそこは本土ではない。
本土からこの島へ転送できるなら、わざわざ数日も掛けて船で護送するはずがない。
あそこは船上ではない。
揺れていなかったし壁は石壁だった。内装でごまかしても壁が薄ければ反響音で分かる。
あそこは地上ではない。
自分たちの本拠がこの島の上にあるなら、反撃を防ぐためゲーム開始時に禁止区域にするのが当然だ。
つまり、奴らは島の地下にいる。

実のところ、そこまでは最初から見当をつけていた。
問題はどこの地下か、だったのだ。
忍者は管理者の立場で考えた。反抗する人間が出た場合、迅速に対処するにはどこが都合いいか。
考え方は2つ。
距離的にどこへも近い島の中央付近か、移動しやすい海岸近くにいて遠くへはポータルを利用するかだ。

彼は後者だと結論した。
まず、このゲームは女王イゾルデの戴冠からわずか一ヶ月で開催されている。
つまり施設建設の時間的余裕はわずかだったのだ。海岸沿いの方が建設は容易だろう。
そしてゲームを運営する上での安全性。
どうやら島全体に分散した参加者に殺し合いをさせるため、禁止区域で島を狭め、遭遇を加速するつもりらしい。
だが、そうすることで本拠地近くに大勢が集まれば、何かの偶然で見つかってしまう危険もある。
ならば参加者達を集めることで、逆に本拠から離れるよう仕向ければいい。
つまり島の端に本拠を置き、中央へ向かって追い立てればいいのだ。

だから昨日から海岸沿いに歩いて来た。
そしてついにここを見つけた。
だが、まだ地下を探るには早い。せめて首輪を何とかしないことには。

「次はどこ行くの?」
「そうだねえ」
悪ケミの問いに彼は首をひねった。
首輪を外す手段を思いつきそうな人物など、どこに行けば会えるだろう。
「じゃあ――」
少しだけ考え、彼は行く先を決めた。

彼はまだ知らない。
この島に設置された管理施設が、GM達の潜んでいる場所だけではないことを。
ここにあるのはギルド訓練砦から移設された減衰装置かもしれないことを。

〈悪ケミ>
現在位置:灯台(J-6)
所持品:店売りグラ、バフォ帽、サングラス、黄ハーブティ、支給品一式
外見特徴:不明
思考:脱出する。まずは海岸に向かう
備考:悪ケミハウスで就寝
参考スレッド:悪ケミハウスは三箱目

〈忍者>
現在位置:灯台(J-6)
所持品:黄ハーブティ、店売りグラ
外見特徴:不明
思考:悪ケミについていく。殺し合いは避けたい


参考:043.それぞれの思惑
308名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 13:07:33 ID:Nyjr29GI
NGに突っ込むのは無粋なんだが、ちょっと確認
忍者と悪ケミが持ってるのは、店売りグラじゃなく、BSが製造した時に出来るようなSなしのグラだよな?

それによって、微妙なネタが使えるか使えないかが決まってくるので、できれば誰か意見plz
309名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 13:16:37 ID:54uufA4M
あ、sなしってそう言う意味もありましたね。
よく考えないで書き換えちゃったいorz
>>293氏どっちのつもりだったか判定お願いしますです。
310名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 14:44:57 ID:ehjTweHY
014にこう書いてるのだが・・・(;´ω`)
>>GMジョーカーと名乗ったピエロ男が、その力の一端として作った空間である、石造りの広間

>>そ の 力 の 一 端 と し て 作 っ た 空 間

(;´Д`)ドウシマショ
311名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 15:04:35 ID:4RXlLs5g
「その力」をイゾルデから与えられた権限
「空間」をBR参加者を集めるための場所と解釈してみる
ちょっと苦しいかな・・・
312名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 15:42:34 ID:xAVJp/aU
>>311
賛成〜

というか、GMを人外魔境に設定してしまうと
人界の一領主に過ぎないイゾルデに付き従っている理由が必要になってくるし…
いやジョーカーだけなら思慕の念で片付くのだけど、
他のGMが従う理由がないですしね〜。

折角アナベルツの工作員も出てきたことだし
人として、権力の象徴として作った部屋という意味で良いんじゃないでしょうか
313303sage :2005/11/26(土) 19:50:16 ID:zfyuVriI
>>306
書いたけど、禁止区域の数を午前午後調節、揃えるにしても第一回が5個なのね
だから変更する場合はなんでもいいけど何か理由がいるのよね
「混乱」する対象が書き手なら明示、訂正すればいいと思うし、キャラのほうを言ってるなら
今回はぶっちゃけ放送聞いてなくても、ウッカリ爆死は防げるのでどうだろう…
いや揃えたほうが綺麗だなとは思うよ
一回ずつの個数にしても一日単位での個数にしても、だけど
もちろん区域については一日一回の選択肢も残ってるし、なんもいじらないで進める可能性も

>>309
これからも「sなしグラ」と表記していけばいいのでは?
使いたいネタに合わせればいいでないの

>>311
後の話でGMは普通の人間、ってなって皆納得したぽいし
NOT人外魔境でよいかと思う
314名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/26(土) 22:55:35 ID:TZe7eWso
自分のPCに問題があるのかもしれませんが、まとめサイトが見れません
自分だけなのか他の方もなのか教えてください
315名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/26(土) 23:08:09 ID:EMQgBYfg
>>314
理由はわからんけど、私も見れない
鯖でも落ちたかな? 少し時間置いて様子を見るとしましょう
316名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 01:42:51 ID:NouFIAog
125 プライベート・レッスン?  [2日目・早朝]


G-5に位置する、砂地交じりの草原。
そこにまばらに生える木の下に、♂ハンターと♀アーチャーは座っていた。
だがその様子はいつもと少し違っている。
いつも過剰なほどに♂ハンターにくっついている♀アーチャーが、珍しく彼に背を向けて座っているのだ。
不機嫌そうに頬を膨らませながら。

「なぁ、いいかげん機嫌を直してくれないか」
「王子様が悪いんですよ! 嫌がるあたしに無理矢理あんなことさせるからっ」
「えーと…誤解を招く言い方はやめてね……」


+++


事のはじまりは今から少し前。
危険区域のこともある。定時放送が流されるまで下手に動かないほうがいいだろう、という考えから二人は未だにG-5にいた。
「荷物の確認も、弓のメンテナンスもした。
 他に、放送を待つ間何かすることはないかね。……そうだ!」
ぽん、と手を打つ♂ハンター。
満面の笑みを浮かべ、手には愛用のアーバレスト。
そして、それを……♀アーチャーに手渡す。

「弓の練習、しようぜ」
「……え?」
「付け焼刃かもしれないけどさ、何もしないよりましだろ。幸い今のところ他人の気配もしないし」
「い、いやです! 王子様、あたしの弓の腕前知ってるでしょう!?」
渡された弓を突き返す♀アーチャー。だが、♂ハンターは受け取ろうとはしない。
「だからこそだよ。俺だってさ、いつまで君を守れるかわからないんだぜ。
 死ぬまでいかなくても、怪我をして弓を引けなくなるかもしれない。今回は幸い浅かったけどな。
 非常時のために、君も自分の身を守れるようにしたほうがいい。俺だって…君を死なせたくはないからさ」
真摯な♂ハンターの瞳。
本気で♀アーチャーのことを思って言っているということが嫌でもわかる。
いつも我が道を行く彼女だったが、それを見ては彼の言葉に従わざるを得なかった。

木の幹に、がりがりと大きな×印を彫る。
「これを狙って矢を射るんだ。なーに、真ん中に当てろなんて言わないさ」
×を指差し、明るく声をかける♂ハンター。
対する♀アーチャーの表情は、暗い。

一本目。
×の彫られた木を大きく右に反れ、別の木の真ん中に突き刺さる。
♂ハンターは指導のため、彼女の様子をよく観察していた。
(姿勢はいいし、構えも問題ない。むしろ綺麗すぎるくらいだ。
 基本ができてないわけじゃないんだな。しかしどうしてこの撃ち方をしてあんな所に飛ぶんだ?)

二本目。
×印の遥か上を目指して一直線。
(狙いをつける瞬間に、手が震えてるな。
 力が足りないとかそんな震え方じゃない。まるで何かに怯えてるみたいだ)

三本目。
今度は大きく左に反れ、後ろの木の群生地行き。生い茂る葉の中に突っ込み行方不明。
(……と、いうか。撃つ瞬間に目を瞑ってるじゃないか。
 今まで手のほうばかり見てて気がつかなかったけど)

「……なぁ」
思わず声をかける。びくり、と体を震わせる彼女。いつもとは別人のようだ。
「何か、怖いものでも見えるの?」
「……!」
妄想家の彼女のことだ。幻が見えてもおかしくない、と思っての言葉だったが。
それに対する彼女の反応は、いつものお姫様を気取ったハイな妄想の中にいるとは思えないものだった。
「うーん…ま、いいや。続けてくれ」
「は、はい……」
再び矢を射始める♀アーチャー。相変わらず何かへの怯えをその瞳に残したまま。
(なんとなく、わかった。彼女は技術が無いわけじゃない。というより元は良かったのかもしれない。
 何か、精神的な問題だな。これは……直すのは難しいかもしれない)
そう結論付け、♂ハンターは大きな溜息をついた。

そして。結局×印の真ん中どころか近くにすら撃てないまま弓の訓練は終わり。
「……だから、嫌だって言ったのに。王子様のいじわる」
♀アーチャーは完全に機嫌を損ね…というより鬱になり、今に至るのだった。


+++


「なぁ、謝るからさ……ほんと、機嫌直してくれって」
このままじゃあ守れるものも守れないじゃないか。
「……じゃあ…あたしのお願い、ひとつ聞いてくれたら許してあげます」
「……俺にできることならするけど…なに?」

「あたしをぎゅっ、て抱きしめて。『愛してるよ、姫。もう離さない。君は俺の宝物だ』って言ってください」

「……へ?」
頭の中が真っ白になる。
――いま、なんていいました?
「言ってください、王子様」
(何で俺がそんなことを。ていうか俺は王子様じゃなくて、しがない狩人ですが!)
もう今までに何度も思ってきた、本当に今更なことなのだが。そう心で叫ばずにはいられなかった。
「言ってくれますよね? 王子様♪」
ずいっ、と詰め寄られる。すさまじい威圧感に、思わず後ずさる。
魔物すら超えるんじゃないかこれは。彼は本気でそう感じた。
「……わかったよ! 言えばいいんだろ、言えば!」

(しょうがないじゃないか。こうしなきゃこれからの行動に支障が出るわけで。
振り回されてるだけであって好きでこんなことしてるわけじゃ!)

ぎゅっ。
「あ…愛してるよ…姫。……もう、離さない。君は俺の…た、宝物、だ」

――完全にパニックになっていた頭の中は、周りの気配なんか気にする余裕なんかなくて。
そう、いつのまにか近づいていたあの人に、見られてるなんて俺は全く気づいてなかったんだ。

「あら、お熱いじゃない」
「きゃぁ、お母様! ええ、あたしたちラブラブなんです♪」
――ああ、監獄の女王様。
生きていたんですか、とかその首輪どうしたんですか、とか色々言うべきことはあるんですが。
あまりのショックに――よりにもよって知り合いにこんな所を見られた衝撃で、言葉が出てきません。
「お邪魔しちゃったかしら?」
しかしあなたは少しも動じることなく、色っぽい笑みを浮かべるんですね。
というか、少しは動じてください。

「い、いえ……めっそうもない」
――うぅ、ターコ。俺、今……すっごい死にたい。


<♂ハンター>
現在地:G-5(G-6境界付近)
所持品・・・アーバレスト、大量の矢、ナイフ
備考:極度の不幸体質 D−A二極ハンタ
状態:右腕の傷はほぼ塞がっている。ジルタスと再合流。現在本気で凹み中

<♀アーチャー>
現在地:G-5(G-6境界付近)
所持品:プリンセスナイフ
備考:弓に対する怯えがあり、うまく扱えない 妄想癖あり ♂ハンターを慕う
状態:ジルタスと再合流。現在いつもに増してハイテンション

<ジルタス>
現在地:G-5(G-6境界付近)
所持品:種別不明鞭、ジルタス仮面
備考:首輪を付けられている
状態:王子様ペアと再合流。ご主人様を探している


<残り33人>
317名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 01:49:16 ID:NouFIAog
久しぶりに王子様ペア書いたら、すごく楽しかった件について。
しかし色々やりすぎた気もします(゚∀。)

六冊目も400KBを超えたところで、こっそり個人的に期待するキャラを語ってみる。
ずばり私は♀ケミさんに期待ですよ。善玉になるのか、お色気系悪女を貫き通すのか気になりまする。
しかし悪を貫くとして…♂BSが死んだ今、ケミ子の色香に惑わされそうな男キャラって誰がいるだろう。
(いや、淫徒プリはあれどっちなのか微妙だし)
今いる男キャラってすでにパートナーがいたり、彼女に先立たれた悲しい過去持ち(♂騎士とかケミとか)だったりで難しそうだなぁと。
318名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 02:20:34 ID:NouFIAog
追記。
最後のジルタスへの心の中での敬語口調はパニクってたからでふ。
(拝啓お母様…みたいなふざけたノリのつもりだったけどわかりにくい気がして言い訳)
確かジルタスに対して敬語じゃなかったですよね、♂ハンタって。

でも『生きていたんですか』『その首輪どうしたんですか』っていうのは
『言いたいこと』なわけなので敬語表記はおかしい気がしてきたので直しときますorz
投稿した後に限って直したいところが見つかるのは何故だ…何度も読み直ししてるのになぁ。
319名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 02:23:06 ID:knZUhSJM
>>317
彼女に先立たれた悲しい過去持ち、を慰め癒すふりをして・・・とかだと素晴らしい悪女に(゚∀゚)
320名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 03:55:00 ID:qPkpCOaY
>>317
♂ケミのは別に彼女だったわけでは
とか言ってもあれじゃ説得力無いなと思った。
321本で読みたい ◆FaHONDuRUUsage :2005/11/27(日) 10:58:15 ID:um84raNk
こっちに質問するべきか迷ったんですが、
以前にも質問した方はいたけど
その後何もなかったようなので。

第一回のリレーを紙媒体で読みたいのですが
同じように紙媒体で読みたい方はいませんか?
即売会等で販売するつもりはないので、
いらっしゃるようでしたら、印刷原価+送料で
分けたいと思っています。

計画的には下記のような感じです。

サイズ:A5
表紙:単色(または二色)
P数:まだ計算してませんが120〜140くらいではないかと推測
冊数:50冊を予定(そんなに欲しい人もいないでしょうし、余った事も考えて)
印刷:オンデマンドかオフセット
装丁:表紙は文字のみのデザイン。小説二段組。

印刷所は、すでにいくつか目星をつけています。
値段については、(印刷代[雑費含む]÷冊数)+送料になると思います。
(140Pで計算してみたところ、600円前後+送料になるみたいです)
詳しくは、後ほどこれについてのサイトを立てたいと思っています。
もし、これがまずいようでしたらあきらめますが、どうでしょうか。
322名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 11:04:27 ID:qPkpCOaY
>>321
以前、座談会でも本に出来ないかっていう話はあったけど、
誰が音頭を取るのかとか校正しなくちゃいけないとか絵もあったほうがとか
いろいろの理由で流れてたのよね。
本の形で読みたいと言う人はそれなりにいると思うので、
音頭をとって進めてもらえるならそれも悪くないのではと個人的意見。
323名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/27(日) 16:19:27 ID:FthaQscI
>>321
もし作るなら1冊欲しいですね
校正要員としてなら協力できそうです
324名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 16:22:11 ID:CCuiS9ys
本媒体になるなら挿絵も欲しいねぇ。
せめて表紙だけでも。誰か描いてくれないかなぁ。
325名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 16:32:01 ID:zi02f3XM
>>321
ムッハ!自分も欲しいであります。
サイト出来たら校正等の要員募集してくだされば
微力ながら協力致します!
今の段階で要望なんて出してよいものか分かりませんが、
丁度映画版のパンフ見てたので、地図(禁止区域の変遷と戦闘発生ダイジェスト)と
参加者の支給品つきの一覧とか載せて欲しいっすなぁ、なんて。
326名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/11/27(日) 17:00:57 ID:bCV8zbuE
とても欲しいです
技術力がないので手伝うことはできませんが
サイトができたら教えてください
327名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 17:30:47 ID:fB6ylYcE
>>321
製本されるなら欲しいです。出来れば通販で…
ただ、もし出資等も自分でするつもりなら赤字は覚悟しておいたほうが良いかも
最近は同人のROジャンル自体に陰りが見えてきてますし
で、↑で赤字かもとか言っておきながら50部は少ないんじゃないかなーとも思ったり
上等な製本となると50よりももうちょっと多いほうが対費用がいいかもしれない。そのへんの詳しいことはよくわかりませんけど…
後は宣伝等々で在庫出ないように努力です。どこか有名なサイトで取り上げてもらえればいいんですが
認知度さえあがれば絵師の人も此処に寄ってくれるでしょうし

まあなんだかんだぐだぐだ続けましたがとにかくがんばってください
328本で読みたい ◆FaHONDuRUUsage :2005/11/27(日) 18:39:28 ID:um84raNk
とりあえず、欲しい方がいらっしゃるようなのでサイトを作り始めますね。

>322さん>324さん
自分から言い出したので、最後まで面倒は見るつもりですー。
挿絵はさすがに、絵師さんをまず探さないといけなくなるので断念かなあと思ってます。
私自身は絵がかけないので、表紙も文字のデザインになっちゃいそうです……。

>323さん>325さん
校正の手伝いをしてくださる方がいらっしゃるのは嬉しいです。
とりあえず、詳細が決まりましたら募集させてもらおうかと思います。
>325さん
>丁度映画版のパンフ見てたので、地図(禁止区域の変遷と戦闘発生ダイジェスト)と
>参加者の支給品つきの一覧とか載せて欲しいっすなぁ、なんて。
これは、私も載せたいなあと思っているので、作りたいですね。

>326さん
次はサイト告知をこちらにさせていただきますね。

>327さん
元々赤字は覚悟です。同人していた時も赤字でしたし(´∇`)
対費用で考えれば100冊以上(200前後?)がいいんですけど
同人活動はやめてしまったので即売会での頒布は無理ですし、
内容が内容なのでショップに置いて貰えるとも思えません。
それで50冊と微妙な数字を掲げてみました。
とりあえず、まずはサイトからがんばってみたいと思います。

と長くなってしまったですが、今回と次のサイト告知で、
また名無しに戻りますので御容赦下さいです。
329名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/27(日) 21:32:02 ID:qPkpCOaY
ハカロワは書店委託大々的にしてたけどあれはサークルのツテもあったからかな。
校正はやるなら漏れも手伝うよ。
330名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 01:27:44 ID:WCT7Vgsk
そろそろ決めようか。
定時放送は朝8時、そろそろいい加減流す。
禁止エリアは3箇所を設定、進行ルートの極端な封鎖等はなるべく避けて。
ジョーカー達の拠点はとりあえず書き手さん任せ。
OK?
331名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 06:47:41 ID:vweXOyNE
ok
332名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 07:35:05 ID:85awigEQ
OK
333名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 11:08:54 ID:ix553IYw
校正?というよりか細かい疑問をちょこちょこ。

>一日目夜の♂ハンターと♂ローグ(111話&112話)
「支給品の赤ポ・薬」を使っていますが、支給品に赤ポ・薬は含まれていないようです。
修正で消すも加筆で持ってることにするもどちらでもいいとは思います(青箱・特別扱い・小屋で拾ったetc)
ただ赤ポが欲しい・薬(処置)が必要との発言が前に出ているのでそのままだとちょっと変かなと。

>二日目朝のセージ(122話)
1日目の朝に放送はなかったので、「そろそろ」定時放送の時間というのは
分からないはず…ジョーカーの放送・禁止区域についての説明も「朝夕」とだけですね。
あれが朝11時くらいで、「もうそろそろ(昼になるし)いい加減流れるだろうよ」という場合は別ですが。
334333sage :2005/11/28(月) 11:15:44 ID:ix553IYw
っと…ごめんなさい、ルールではなくプロローグに赤ポ支給、とありました。
111話、112話の作者様、失礼致しました。
335名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 17:50:07 ID:flHXzlTc
だがそうなると今度は、020.白馬の騎士で
「ポーションか、せめてハーブでもあれば…」
という♂アルケミのセリフに矛盾が生じてくるので、こっちの修正が必要になりますね。
336名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 18:35:33 ID:/N/hyJBY
>>330
おけおけ。
ただ>>313のような意見もあることですし、禁止ブロックの数はいっそジョーカーがサイコロで決めていることにしては?
平均3.5箇所、書き手さんの都合で減らすことも増やすこともできて都合がいいような。
337名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 19:44:35 ID:WCT7Vgsk
127. 定時放送A


 あー、あー・・・こほん。こもった低い声が島全体を包む朝靄に混じる。すぐにその声は、悪意に満ち満ちた聴き覚えのある男の口調に変わった。

「はい皆様、素敵な朝をお過ごしでしょうか? お早うございます。流石にもう覚えられましたよね? ジョーカーです。まだお目覚めになっていない方もおられるかもしれませんが、早く起きて頂かないと、大切な情報をお聞き逃しになってしまわれますよ?」

 参加者達の反応を窺うように、ジョーカーの声はそこで一旦止まった。そのまま二度と声が聴こえなくなってくれればいいと、果たして何人の参加者がそう思ったことか。

「さて、まずはここまでの死亡者の発表ですね。いやですね、夜とはいえ全っ然誰も死んでくれなかったので、柄にもなく焦っちゃったんですよ、私。最終的には何とか、そこそこの人数には達しましたがね。
 では、読み上げますよー」

一拍置いて、

「まずは・・・♀剣士さん。
 続きまして、♀セージさん。
 バードさん。
 我が国の工務大臣様。彼は非常にこのゲームに参加したがっていたので、女王様が特別に参加を許したのですがね。もう少し頑張って貰いたかったものです。
 ええ、さらに続きます。♀クルセイダーさん。
 ♂ブラックスミスさん。
 ダンサーさん。
 ♂剣士さん。
 ・・・・・・(あ、この方は違う、確かジルタスさんが代わりに入ってくれたんでしたね)ええと・・・じゃあ、以上8名ですね。そうそう、工務大臣様の死因もこれに関係してるんですが、禁止区域に踏み入りかけてた方が何人かいらっしゃいましたよ。くれぐれも、気を付けてくださいね〜」

くっくっくっと喉の奥から漏れる笑いを隠そうともせず、ジョーカーは続けた。

「では次に、禁止エリアの発表に移りたいと思います。あ、先に弁明しておきますが、この禁止エリアの決定基準については全く、私個人の意志は働いておりません。ダーツによってランダムに決定されておりますゆえ・・・いやあ、確かにそのダーツを投げているのは私なんですがね。恥ずかしいんですがこれがまた私、ヘタでヘタで・・・。外しちゃった本数が結構多くてですね、今回の禁止エリアはたった3箇所なんです・・・申し訳ない。
 さ、それでは地図の方を御覧下さい。今、禁止エリアを示しますので・・・」

 真っ黒い血が湧いてくるようにじわじわと、闇の色に変色した3つのエリア。
 A-5。
 F-2。
 H-8。

「・・・お判りになりましたか? もし御自分の現在位置が禁止エリアに重なっていたら。・・・時間は30分ですよ、早く離れないとっ。
 さぁさ、実は私も寝起きでしてね。ちょいと顔でも洗って参りますかね。それじゃあ皆様、今日も一日元気に、頑張って殺し合いましょう!」

 そうして途絶える道化師の声。
 陽の光に晒される孤島に、再び静寂が戻った。

<残り33名>
338名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 19:47:52 ID:WCT7Vgsk
とりあえず定時放送を流してみたけれど、これでいいのカナ?
@のカタチをそのまま使ってみたのは兎も角、
中身にダウトがあればどんどん突っ込みを・・・!
339名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 21:28:25 ID:UYNbcm8Q
>>336
数変動案に賛成

>>337
乙〜そいや夜の放送は10時のまま?

禁止区域の決め方はその回により自由、てのは駄目かなぁ。
サイコロで決めるジョーカーやらNGのピンボールやら、
他のいろんな方法(娯楽施設)も見てみたいw
340名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/28(月) 23:14:44 ID:ix553IYw
>>335
あ、本当ですね。自分が「?」と印象受けたのはその辺りの話からかもしれません。
別のセリフにするか、もしくは彼が欲しかったのは黄以上のハーブで
赤ポでは薬として不足である、等フォローをすればOKかな?
他にもありそうな気がしますが、作者さまの自主的な修正に期待、ですか。

>>339
個人的にはいいんじゃないかと思います、その辺は。(他の人はどうでしょうね)
♀ケミさんの時とはまた少し違いますが、書き手さん次第で遊んでいい部分では、と。
夜の定時ですが、こちらも10時じゃ遅いとのことで、8時に変更が妥当だと思います。
341名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/29(火) 03:20:26 ID:Od/f4dc6
こんばんわ。
とりあえず、騎士&♂ケミのつなぎですよ、と。
原作と違い、殺されてからがコミュニケーションの始まりだ、と開き直りつつ
お送りします。
…ってか、ここ書き手に一定水準以上のLv要求してるよな悪寒。
でも気合の乗る内に頑張って書き上げていきましょう。
書かなきゃできあがらない。それは何時も変わらない事実ですし。
-------------------------------------------------------------------------------

 128:Don't cry for lady and....


「うあああああああっ」
 ♂アルケミストが泣いている。彼の目の前で、死んでしまった名も知らない少女の為に泣いている。
 それを見て♂騎士は知らず、叫びだしたい様な衝動に駆られていた。
 どうにかそれを押し留める。自分はそれはしてはならない事だ、と思った。
 しかし、だからと言って目の前で泣いている男にかける言葉が見つかるという訳ではなかった。
 なぜなら。泣いている彼がどんなにか辛いのかを♂騎士は知っていて。
 まさにその時に、慰める言葉なんてたった一つも存在しない事も知っていたので。

「♀クルセッ…♀クルセ…っ!!どうして…お前、俺を守るって…そう言ったじゃないか!!
 だったら、何でこんな…っ。畜生…畜生ぉぉぉぉぉぉっ!!」
 ああ。♂アルケミストよ。♂騎士は思う。
 お前も、俺と同じになってしまったのか。
 このクソッタレな島で、自分の大切な人を失ったのか。
 泣き叫ぶ彼を見ながら騎士はそう確信していた。

 彼のその考えを証明するかのように、首が半分千切れかけた♀クルセイダーの亡骸は、赤く。ただ赤く。物言わぬ。
 虚ろな瞳。何処も見ていない。それは死体。紛れもない死人。
 泣くな。ここで泣いたら嘘だ。と、♂騎士は自分に言い聞かせた。
 目の前の少女を自分は知らない。ならばその涙は♀クルセの為ではなく。
 だから泣けない。泣くわけにはいかない。

 だが。泣けないなら、一体何をすればいいと言うのか?
 今ここで♂アルケミストを説き伏せる?まさか。
 誰もが誰も聖人みたいに悟りを開いている訳ではない。
 なら、背を押すか?今さっきの、仇をとる為にカプラ職員を殺せと。
 冗談じゃない。それは余りにも薄汚い。
 答えなんて、出そうも無い。だから結論は保留して、少なくとも男が泣くのに♂騎士は任せた。
 もしもの時の為に、一応はツルギの鯉口に手を走らせていたけれども。

 やがて、真っ赤に泣きはらした顔で♂アルケミストが立ち上がった。
 そこで初めて♂騎士の存在に気づいたのか、振り向きながら睨みつける。
 慌てて騎士は手を振りながら♂アルケミストに言葉を投げた。

「俺はやる気じゃない。勘違いしないでくれ」
 それを見ながら、しかし尚♂アルケミストは胡乱げな目で♂騎士を睨んでいた。
 信用できないに違いない。マイトスタッフを握りなおし、油断無く身構えている。
 ♂騎士は思う。確かに、アレで殴られたらきっと痛いだろうが、それでも俺はそれなりに剣技には自信が──っと。
 良くない。この思考は良くない。どうして、こう、殺し合いの方に思考が向いているんだ?
 殺しは俺には向いてないし、殺して後悔だってした筈だろ?だったら、今やることは判ってる筈だ。
 …もっとも、殺しあう、その思考は幾分熱を持った頭のせいかもしれず。
 しかし、彼はそれを押さえ込んで、マイトスタッフを握った♂アルケミストの前で、ツルギを投げ出した。

「降参だ。俺には本当に、殺し合いをするつもりなんて無いんだ」

 こうして、♂騎士は♂アルケミストの捕虜となった訳である。
 何処かの家から調達してきたらしいロープで縛られて転がされている。
 勿論、支給品を全部取り上げられた上で。
 …念のために言っておくと、彼の趣味ではない。

 そして、♂アルケミストは休息の為に♂騎士共々、幾つかある家屋の一つの中に居た。
 (火を付けられる危険で言えば、余り賢明な選択とはいえないのかも知れないが、疲れた彼の精神は自然にその選択を選ばせていた)
 さて。一体どうしたものであるか、と♂騎士は思う。
 彼はと言うとSMまがいの格好で床の上に投げ出され身動きが取れないし、
♂アルケミストはと言うと、泣きはらした目を隠そうともせず、ぼんやりと窓の外を見ている。
 傍目にも放心している事が見て取れる様な有様だった。

「ええと、スマン。取り合えず、このロープを解いて欲しいんだが」
「…悪ぃ。信用できないんだ」
 精神的に完全に崩壊してしまっている、と言う訳では──このように返事も返ってくるので──無かろうが、酷く危うげに見える。
 (♂騎士には預かり知らぬ所であるが、こういった症状は手酷い心理的な傷を負った人間特有の所作である)
 溜息を一つ。
 むやみに冷静さを取り戻してしまっているのは、きっと♂アルケミが♂騎士には少し前の自分みたいに見えているからだう。

 取り合えず、♂騎士が思った事は。
 矢張りこのロープを解いて欲しい、と言う事で。
 その為に必用なのは間違いなく相手の信頼であり、それを築く会話のキャッチボールが何より不可欠なのであった。
 とは言え。果たしてこの状態の♂アルケミストとまともな会話が成り立つものだろうか。

 ──無理、だよな。そりゃ。

 果たして。時間だけが解決するだろう傷跡を癒せるのは自分ではありえまい、と♂騎士は思う。
 それはどちらかと言うと優しい女性の役目である。薔薇は咲かない。
 脳裏を光速で過ぎて行く例外は、数時間ほど前まで同行していた逆毛の聖職者だが、
自分に今すぐ彼の様な役回りが出来る、とも思えない。
 結局自分に許されている事、と言えば拘束された上に地面に転がされているだけで。

 ──八方塞がりかぁ。でも。♀プリースト、間違っちゃいないよな、俺?

 そう自分に尋ねてみる。
 答えは返ってこないが、不安じみた感情もわいてはこなかった。
 上等だ、と思う。現状に不安を覚えていない。今はそれで十分だ。
 時間が過ぎれば、やがて状況は嫌でも動き出すだろう。
 彼は未だ見ぬ未来をぼんやりとシュミレートし始める。
 例えば、♂プリースト達が後を追ってくるとか、もしくは♂アルケミストがもう少し落ち着きを取り戻す、とか。
 ここは楽観的に考えておく事にした。

 丁度、そんな時だった。
 遠く、幾分ラジオノイズの混じった、あの忌まわしい道化の声が聞こえてきたのは。


<♂騎士 持ち物状態変わらず F-3に戦闘の音を聞いて戻ってきた ♀プリーストの遺体を埋葬した場所は次の人にお任せ>
<♂アルケミスト 持ち物場所変わらず ♀クルセイダーの死に心理的に大きなショックを受けている>
追記:♂騎士&♂ケミの放送後の行動については次の人に。
342名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/29(火) 03:38:21 ID:Od/f4dc6
あ、追記追記。
>>忍者sのs無しグラは普通に店売りグラのつもりでしたが、
表記してなかったんで、鍛冶師(BS)作かどうかは書き手さんの判断に任せます。

個人的にはホル&♂アコが気になっていたり。
今回はギャグが極端に少ないから彼らの今後に期待。
…ちゅーか、頑張ってくれないと作品の空気が重苦しすぎて死にそうでつ。
女王様と栗毛きゅんの単純なカプールという訳には行かなくなったので、
ぜひとも前回のwWw&♂ケミの意思を継いで頑張って欲しいなぁ。

>>製本について。
第二回が始まっている以上、ちと加筆修正とかがキツい悪寒。
前回からの引継ぎで書き手やってる椰子限定ですけど。
343名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/29(火) 06:59:16 ID:Gk75bJq2
>>340>>335
はい、その書き手です。
申し訳ない。赤ポが支給されているのを見逃していました。
その辺少し修正しておきます。

>>341
♂ケミが立ち直るのか、このまま人間不信でマーダー化とかなのか。
彼の今後に期待が膨らみます。♀クルセのためにもしっかりしろ!

(ここから電波受信~~~~~)
大切な人を失った二人。♂騎士の説得に♂ケミは徐々にその心を開き、
やがて二人は(電波が強制切断されました)

すみませんすみませんもう言いません。
344名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/29(火) 07:40:16 ID:YMnPBaZ2
>341
薔薇は咲かないか…!
345名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/29(火) 20:13:06 ID:UoazlmMc
>>343-344
笑わせないでおくれ(笑
346名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/30(水) 17:41:47 ID:dpoEuFzo
 129会談から夢語りへ

 
 ある日の森の中。その二組の男女は出合った。但し、ビックフットは勿論居ない。
 勿論、エドガもバターになっちゃいないし、キメラはがおがお言いつつ火炎を吐き散らしたり手足を振り回してもいないし、
どこぞの転生者の噂の如くごつい鎧の女性との逢引を津々浦々の手管で失敗していたりもしない。
 (例えば声をかけたはいいが、とある聖職者にジャイアンツぶん回しされたりとか、ある賢者の実験台にされたりとか。
 挙句の果てには魔法使いのLovの大爆発で吹っ飛んでみたり、浮気疑惑が持ち上がり女性とその姉に半殺しの憂き目にあったりとか。
 勿論、ロリコン疑惑とかそういった要素も実装済み!!奥さん、こりゃお買い得な弁明の余地無し感Deathヨ!!
 兎も角。只の一度も己の手管が成功せず、誰一人にして、そのやり方を理解されない。そういう哀れな男がかつていた──)
 はぁっ、それ!!まーわーせっ!!まーわーせっ!!miss!!miss!!miss!!miss!!&自己スタン!!
 そして逆毛の浮気者兼不埒者を大聖堂の屋上から投げ捨てろっ!!
 …余計な言葉が多くなったけれども、ともかく話を進めよう。

 彼ら──その内訳は、♀ウィザード、♂プリースト、♂シーフ。
 そして前記の三人の元に訪れた♂セージに♀商人であった。
 丸い切り株をテーブル代わりに、ぐるりと輪を描くようにして座っている。
 その中で一番渋い表情をしていたのは♂セージだった。
 ひとしきり互いに自己紹介を済ませ、敵意が無い事を確認しあった後で彼は、
目の前の人々に対しての認識票を脳裏に浮かべていた。

「ったく、殺し屋かと思ったじゃねーかよ。悪気が無いなら正々堂々、重要なのはこれだぜ?」
 曰く、逆毛の♂プリースト。
 本人の考えは兎も角正義感は強いらしいが、どうにも抜けた所があるような気がしてならない。
 言うなれば二枚目半、といったキャラクター。
 隠形を見破る機能があるという話だが、頭にのっかっているヴェールのせいでまるで芸人が仮装している様な感じである。
 とはいえ。
 ──撲殺型破戒僧である。役に立つ事は間違いない。

「そうですね。でも、いきなり喧嘩腰で食って掛かる♂プリーストさんにも問題があるような」
 こちらは、何処か弱々しげな印象の──シーフにしては珍しいが──ある少年、♂シーフである。
 ♂プリーストとは凸凹もいい所だが、どうやら互いにかけた要素を補い合ってもいるらしい、と♂セージは結論付けた。
 寧ろ、年齢の割りには思慮深げな横顔はアコライトやマジシャンの方が向いているだろう。

 そして。今一人は。

「──すみません、♂セージさん…で宜しいですよね?」
「ええ。構いませんよ、綺麗なご婦人殿。まぁ、見ての通り…私と彼女、♀商人は同行しています。
 何を話されるのかは解りませんがそれを考慮に入れて頂けると幸いですね」
 最も、♂セージの同行者は、と言うと食べすぎが未だに尾を引いて机に向いながらも目が虚ろなのだが。
 それは兎も角、その女性──♀Wizは。どうにも、一言で言い表せない雰囲気の持ち主だ、と彼は感じていた。
 秘密主義者という訳でもなく、何処か内気な様にすら見える。
 事実。

「いえ…私は、その…」
 ♂セージが問いかけてみても、そう遠慮がちに受け流すのみ。
 その癖、その瞳の綾はと言うと彼をして推察が出来ぬ程に深く静かであった。

「ああ、いいですよ。無理はなさらないように。兎も角、一旦事態を整理しましょう」
 とんとん、と♂セージは自らのコメカミを指先でつつき、言った。
 そう。彼らは今、一体この島で一体何をすべきか、という傍からすれば哲学的に聞こえなくも無い問題を討議していた。

「んなもん、決まってるだろ」
 逆毛の聖職者は力こぶを作る様な仕草をし。

「取り合えず、当座の方針は襲ってきた奴だけ身を守る為に殺して生き残る。死ぬ訳にゃいかねぇしな」
 ♂シーフもそれに同意し。

「ええ。僕も基本的には♂プリと同意権です。…もっとも、ちょっと単純すぎかな、とは思いますけど。ですよね?」
 若干の疑問を付しつつ、自らの同行者達と来訪者二人を順繰りに見つめつつ言う。
 沈黙がわだかまり。

「…ええ。その通りですね。私達は生き残らなければならない」
 と、♂セージは先ず同意を示した。

「ですが。真っ先に心に留めておかなければならない事がありますね。
 まぁ──こう言うのも何ですが、この人数で十分に互いを信頼した上でゲームに消極的態度で臨めば、
私達以外の全員が倒れるまで十分持ちこたえられるだけの戦力にはなる、と思います。
 何しろ、前後衛に援護も一通り揃っていますしね。マーダーは最後の最後まで殆どは一人で行動する筈ですし」
 しかし、そこまで反論を述べると唐突に顔を曇らせた。
 それはそうだ。彼には悪意は無いが、この島自体が悪意によって練り上げられている。なぜなら。

「しかし。マーダー達もそうである様に、私達も結局は…帰れるのは一人、と言う事です。
 『幸い』にして、私達の中のたった一人だけが生き残れる『かも』しれない。
 ですが、結局の所──」
 そこで言葉を切った。ここから先は言う必要など無い。
 ♂セージが顔を上げると、益々気分を害した♀商人の姿が見えた。
 溜息を一つ。

「つまり。私達は例えて言えば──古代の闘技場で死ぬまで戦う剣闘士という事ですか」
 代りに結論を下したのは、♀Wizだった。

「改めて聞かされると、何ともけったくそ悪い話だな。だったら、チンピラや鼻ツマミだけ集めりゃいいのによ。
 そこの商人の子がそんなになってるのも無理ねぇや。大丈夫かよ?」
「……ごめんね。やっぱ気分悪い…」
「横になってな。無理して付き合うこたぁねぇ」
 と、ぐったりして♀商人は地面に横たわっている。
 ♂セージには、それが野戦病院の患者の様に一瞬見えた気がした。

「そう。私達だけでも逃げ出す。或いは管理者──ジョーカーを打倒し、このゲームを引っくり返してしまう。
 それしか、皆が皆生き残る方法は無い、と言う事ですよ。
 それが嫌ならば、あるいは出来ないなら最後の一人まで殺しあう他無い。
 最も。少なくとも私は貴方達──まぁ他の参加者にしてもそうですが。
 それを全員皆殺しにしてしまう様な度胸も無ければ自信も無いですし」
 残念ながら、と幾分暗い声で♂セージは言った。

「けど、この忌々しい首輪があるし第一相手はルン・ミドガッツ──あの王国だぜ?
 ここに閉じ込められた時点で、カウンターパンチをかますのは難しくないか?」
 顔に似合わず──いや、剛毅そうな顔に相応しい物言いをしつつ、眉を潜めていた。

「方法は──無いわけじゃないと思います」
 そこに、♀Wizの声が響いた。
 ♂セージはぱちくり、と驚いたように目を開閉させ彼女を見る。
 それから。その短剣貸して頂けないでしょうか、と言ってソードブレイカーを手に取ると、
かりかりと机代わりに囲んでいた切り株に、悪戦苦闘しながら何事か刻みつけ始めた。
 曲がりなりにも名工に鍛えられただろう武器で。
 (何となく、その瞬間♂プリーストは『彼』の魂の悲鳴が聞こえた気がしていた。
 エーイ、てやんでぇバーローめっ!!俺様を鉈代わりに使った挙句今度は筆記具代わりかよ!!
 カムバーっク、俺様の武器としての尊厳ーっ!!という具合に)

「ふむ…なるほど。なるほど。実に興味深い。取り合えず一つの事が解りました」
 数行も書かれていないそれを見て、♂セージは何度か頷きながら呟く。
 ぎょっ、とした様な周囲の人間を置き去りに彼は一言。

「先ずは紙とペンが必要だ、と言う事です。うんうん。研究は記録されてこそ意味がある。
 そして記録されても、それが置き去りにされては意味がありません」

 ──シカして、ぼそりと♀商人が一言。

「何か急に活き活きしてない?」

 ──のっそりとクマみたいな動きで♂プリーストが一言。

「研究、って言葉が出てきた辺りからだな。…ひょっとして、アレか?マッドサイエンティストか…?」
「死神セージという奴ですか…クワバラクワバラ」

 ──それに冗談っぽく♂シーフが答えて。

「えーと、あーと……うーん」
 そこで♀Wizはと言うと、どう反応していいものか困っていた。
 因みに♂セージは聞こえているだろうに、まるで聞こえていないような様子を見せている。
 彼女は溜息を。どうも、真剣な話が続いていたせいで張り詰めていた緊張感が解けてしまったような錯覚。
 ここは殺人の庭だと言うのに。
 むやみやたらに平和な気がして。

 だからつい、彼女は。
347名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/30(水) 17:43:50 ID:dpoEuFzo
「あの人は、あの人達はここでどんな事を思ったんでしょうね…」

 ぽそり、とそんな事を呟いた。
 その言葉は導火線に似ていて、思い出し始めると記憶が錯綜して混濁する。
 一瞬、それを揉み消そうとするが既に遅かった。
 夫と、それから幾人もの。何十人もの姿が浮かんでは消えていく。
 イメージ。例えば。

 大きな広間で。
 森の中で。
 砂漠の真ん中で。
 草原で。
 そして、鏡の砦の中で。

 彼女が、瞬き一つせず。ノービスの娘ヲ、キリコロす光景だったリ。
 震える者達が、イルダロウ、森に、ワラいナガラ、死者の名をツげていたり。
 思考にノイズが走る。ざっ、と言う幻聴。酷い頭痛。
 この先。自分はどうしたんだったか。
 あの、夢の中で。
 私を殺したのは黒。いや、白?それとも、刃物の様なものに突き刺されたんだっけ?
 惑う。
 殺される。白い服を着た私が、殺して殺される。
 誰を殺した?誰に殺された?
 わたしは、だれに。
 又、ノイズが走る。ざ、ざざざざざざざ。音が聞こえる程。
 
 話は変わるが、幻視痛と言う言葉がある。
 過去に失い存在しない体の部位の痛み。
 いや、♀Wizの場合は存在しない傷に感じる痛み、と言うべきか。
 それは時には腹部を貫く痛みであり、また真っ二つにされた様でもあり、全身を焼かれた様でもあった。

 ──私は。いや、これは何時もの悪夢だから。この痛みも何時もので。
 ♀Wizは思う。『もっと』具体的に思い出そう、と。
 明確に、私があの私を語れるぐらいニ。
 なぜならば。私はこの島で、きっと自分が知っている事を語らなければならないので。

 じじじ、と脳裏に電流が走る様な錯覚。
 ジッ、がしゃん。そんな音がして、ボウガンの弦の様に意思が『立ち上がる』。
 或いは落下したかもしれぬ。どちらにしろ大差は無し。
 そうしてトランスに陥った彼女はゆっくり記憶の糸を辿る──

 そう。夢の私の目は。何時かのこのゲームの主催のそれから見ていた筈だ。

「…どうかした?顔色悪いけど」
 ぱちくり、とそれを聞いて目をしばだたせたのは♀商人だった。
 その視線に気づいて、男達も彼女の方を向く。
 期せずして四人分の視線が彼女の元に集っていた。
 その顔を見て、一度は陥りかけていた場所から急に現実に引き戻された。

「……………ええと。えっと。これは…その」
 気まずくなって、どもりながらもどうにか言葉を口にする。
 視線が泳ぐ。やがて♂セージがふぅ、と息を吐き出して告げた。

「まぁ、それは後でしっぽりと語ってもらいましょう。…勿論、無理にとはいいませんがね。
 私は近くで紙が調達できないものか確かめてきますので。失礼」

 しばしの時間が過ぎる。
 三十分程経って、♂セージは出て行った時と同様に飄々と戻ってきた。
 手には何も持っていない。何処か残念そうな表情を見せていた。
 きっと、近くに民家が見つからなかったのだろう、と彼女は結論付けた。

「すみませんね。どうもこの辺りには民家らしき物は無いようです。
 移動する、となれば時間もかかりますから。…さて」
 言って、彼は♀Wizに向き直った。
 彼はどうしたものかと思案顔で彼女を見ている。

「まぁ、今の所確たる目標がある訳でも無し。暇つぶしがてら、♀Wizさんのお話でも聞きましょうか。
 今この現状では恐怖に凝り固まった心を解すのが何より効果的ですし」
「だな。俺も気になるし」
 答えて♂プリースト達も♀Wizの方を向いていた。

「…解りました。ですけど、余りはっきりとした話じゃないわ」
「それで構いませんよ。そもそも、雑談に余りはっきりした筋が通っていたらそれは既に雑談じゃありません。
 雑談と言うのは紆余曲折を経て、最終的には訳がわからなくなるからこそ雑談といえます」
「…あなた、実は単純に人の身の上話が気になるだけじゃありません?」
「いえいえ。決してその様な事はございませんよマドモワゼル」
 にっ、と笑い道化みたいに明るくちっちっ、と♂セージは人差し指を振る。

 語る彼女の夢。
 それは、自らが白い装束の女である所から始まった。
 先ず、記憶の始まりは裏切りだった。
 その裏切りとは、『殺しあう事』を彼女の上司に命じられた事であった。
 理由は至極単純に、神の使い──この世界ではGMと呼び習わされるそれの、余興として。
 ミドガッツ中の腕利きの戦士達を集め、神々の領地、ヴァルハラの闘技場にて戦わせる。
 戦う事を嫌っていた彼女はしかし、それが故に自らもまた闘技の場に借り出される事となった。

 勝ち抜いた彼女は、自らを奸計よって殺し合いの場に向わせた音を殺した。
 勝者には望みの品が与えられる事になっていた戦い。
 白い女は自らを裏切りった白い男の首を求めたのだ。
 望みは叶えられ、女神フレイヤとその兄はその場で彼の御使いの首を刎ねた。

 だが──それで、彼女の心は満たされるものではなかった。
 闘技場で行われた戦い。即ちバトル・ロワイアルは到底美しいものとは言えず。
 飛び交う罵声と悲鳴。断末魔。剣戟と血。
 今まで憎しみなぞついぞ知らず育った彼女には、それが耐えられず。
 その出来事が、決定的に彼女の在り様を変質させた。

「…驚いた。貴方が見ていた夢はまるで神話の写しみたいですよ。
 正直、魔術師よりも司祭の方が向いていたのでは?」
「いえ。私には司祭は向いていませ──」
 そこまで言葉を紡いでから、ちらりと♂プリーストを見て。

「──性格が向いていたのかどうかは兎も角として、私には決定的にあの場所が我慢できなかったんです」
「それは解りましたが、貴方はその夢を何時から?」
「幼い時分から──ですか。これまで語った部分は、主に子供の頃に見ていました。
 今だから言えますが癇癪持ちで神経質な子供で、両親には手間だったと思いますよ。
 …と言うよりも、あの人に出会うまでは今の私とは正反対、と言った感じでしたね。
 何せ、酒場で付けられた綽名が黒蛇王ですから」
「…げっ。あの人…って事はアレかい?♀Wizさんって、旦那さんが居るとか?」
 ♂プリーストの言葉に、♀Wizは一瞬口ごもると直ぐに笑って。
 (とは言っても、目には見えないほどの憂いをそれは含んでいたけれど)

「ええ。♂プリさんには残念でした?」
「…畜生、何時も好みの女性に出合った途端これだ…っ。星の巡りで女性運は最悪なのか…?」
「まぁ、ヤローの色話はさて置いて…♀Wizさん、話を続けてもらえます?」
「ええ。解りました」

 そこからの話は、これまで白い女がそうだったのとは一変する。
 花を摘み、書を愛でていたその手は血塗れた剣を。
 微笑み、明るかったその顔は侮蔑を湛えた嘲笑を。
 そして、その口は狂気を湛えたあの忌まわしい遊戯を発案した。
 ──即ち、バトルロワイアルである。
 その変質にいかなる葛藤があったのかは彼女は語らなかった。
348名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/30(水) 17:44:16 ID:dpoEuFzo
 そこから、♀Wizの話はにわかに饒舌さを欠き、語られる内容も断片的なそれになっていく。
 例えば。
 幾人もの仲間に支えられ、愛しい誰かと死に別れながら一人生き残ったノービスの娘であったり。
 誇りを胸に巨(おお)きな剣を執り、最後まで戦い続けて狂った遊戯に勝利した鏡の魔王であったり。
 悲劇のまま踊り続けた花嫁と花婿の悲劇であったりした。

「そうして、何度となくゲームを繰り返していた夢の中の私も、結局は討ち取られました」
 語る♀Wiz。
 どのような夜にも朝は来ると言う事か。
 狂気のゲームの善悪とは別に、それは真理として在ったという事だろう。

「……」
 どこか躊躇いがちに、回復した♀商人が彼女を見ている。

「ね、ねぇ。ここから先って聞いてもいいのかな?
 その…ほら、夢の中の事でもあんまり気分がいいとはいえないし」
「ですよね。その…アレな話ですし」
 と、こちらは夢にしては妙に生々しい♀Wizの話にぐったりとしている♂シーフが♀商人に答えていた。

「いえ…その。ここで区切るのも歯切れが悪いですし」
「ですね。…少々苦い話とは言え、途中でうやむやにしてしまうのも何です。
 ほら、物事は中途半端でやめるのが一番良くないと言いますし」

 促され、♀Wizは話を続ける。
 何時も見ていたあの終焉に向って。

 幾人もの。いや、何十、何百も血と涙が流された後──
 彼女が刺され。射殺され。或いは焼き殺されたその時へと。
 夢に漂う。全てを亡くした彼女はしかし。
 …いや、それは『未だ』決まっていなかったのかもしれない。
 既に決まっていたとしても、それは平行たる事象。
 結論なぞ出はしない。白い娘が悪魔と化し、最後の参加者達に討ち果たされた、と言う事実以外は。

「つまり、貴方は夢の中でこの幸せゲームらしきものを主催していた、と言う事ですか」
「え、ええ。そう言う事になりますね。…所詮夢の出来事ですけど」
「面白い話ではありましたが──まぁ、そう言ってしまえばそれまでですね。
 確かに、夢は夢。現実ではありえません。ですが──」

 にやり、と実に面白そうに♂セージが笑った。

「どれほど莫大な数の分母でも、それに等しい数の分子を当てはめてやれば答えは一ですよ。
 ああ、ここからは小難しい話になりますが、聞いていただければ幸い」
「ええ。それはいいけれど。何が言いたいの、貴方は?」
「言った通りですよ。無限の分岐が許されるなら、どのような荒唐無稽な想像でも存在しうると言う事です。
 ファセット。シャード。それにサーバー。呼び習わす方法は幾つもありますが、
要は私達の知っている世界と始まりは同じでも、平行して少しずつずれている世界──言い換えれば、植物の枝みたいな構造ですね。
 その様な別世界、異世界が存在すると仮定すれば、夢で見ている貴方も存在しただろう、と言う事です。
 これは──まぁ、異端と言うか、技術的な難点が無数にありすぎて、率直な意見を言えば現実離れした机上の空論ではありますが」
「…私は絶対的に罪人だった、と?」

 落胆した様子で言う♀Wizにしかし♂セージは答える。

「まさか。私が言いたいのはその反対ですよ。それにどのような空想も問答無用で許可してしまうんですから。
 私がある朝起きたら大きな芋虫になってただの、獣耳の少女が尻尾を揺らしながら街中を闊歩するだの、
ジュノーがホムンクルスの軍勢に攻められ墜落、或いは首都下水道から魔物が溢れてプロが陥落しただの可能性も了承されます。
 まぁ、仮定の上では確定しても意味の無い想像上の出来事だと思っていただければ」
「…仮定の割には妙に具体的だな、オイ。それに回りくどい割には結局、夢だから意味が無いってのと同じ事じゃねーか」

 ♂プリーストの反論をさらりと無視すると♂セージは言葉を続ける。

「要するに。この島からの脱出、ひょっとすると♀Wizさんが重要な役割を担う事になるかもしれません、と言う事ですよ」
「えっと、出来れば根拠も聞かせて頂きたいですが…」
「勘です。私のね」

 そして、あっけらかんとした顔で、日陰臭い学び舎の講堂みたいな空気に顔を顰めていた一同に彼はそう言ったのだった。

<♂セージPT&未亡人PT 持ち物状態場所変わらず>
備考:筆談用紙を求めて移動の可能性あり
349名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/30(水) 17:45:53 ID:dpoEuFzo
長くなって申し訳ない。
兎も角、♂セージ&未亡人sの繋ぎを投下しましたよ、と。
350名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/11/30(水) 18:23:43 ID:dpoEuFzo
後追記で空気読めない型月厨発言を許されたし。
ランサーを眺めていると、何となくローグ兄貴が奴とダブって見える罠。
んーん。青いペンキを頭にぶちまけちまえば一緒かもな、とか思ってみる。
351名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/01(木) 01:06:22 ID:gWr.faH6
123 Encount!指摘の部分、修正させていただきました。一報までに。

さて、随分と生きてる人間の数が絞られてきたけれど、次は誰を書いたものだか。
いや、それ以前にネタ!ネタをぷり〜ず!
352名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/12/01(木) 01:18:48 ID:KMjFiJCc
ネタになるかわからない上に話に関係ないけど気になったので書きます
♀マジって一応異端なんですよね?♂マジはそういうことは気にしないのでしょうか?
353名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/01(木) 11:38:52 ID:uD0VHPsc
20話「白馬の騎士」の指摘部分を修正しました。
114話「Devotion」にも128話を参考に一部加筆。128話の作者様、台詞の一部お借りしました。

>>351
修正乙です。
ネタの仕込みをしてる途中であっさり死ぬ可能性もあるので油断なりませんな。

>>352
まだ♂マジにははっきりとは言ってないような気もしますがどうなんでしょうね。
魔術協会としては異端として排斥対象なんでしょうけど、実際付き合う上でどうかというのは
個人の考え方次第で差があるんじゃないかと思ったりしますが。
それにこういう状況ですと大事の前の小事ということで、気に食わない奴だけど
とりあえず協力する、という可能性もあるんではないかと。
354名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/01(木) 13:39:35 ID:q.v1HR1w
♂マジの登場時の独白からみて、本人自体そんなマジとして真面目な働きをしてなかったみたいだし
そんな気にしないんじゃないでしょうかね。
「こ・・こいつ異端児じゃないか・・・っ!?・・・・いや・・いやいや・・・俺も・・・そうかわりない・・っ!!」
みたいな
355名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 00:58:27 ID:rnNU1drE
ネタかぁ…

ねたというか今書けるもの、仕込みが必要なものとかを考えるのもアリかと。
とりあえず、現在進行上だと忍者&悪ケミの灯台調査作戦とか、
♂ケミ&♂騎士のやりとりとかが真っ先にシーンから入って書ける予感。
後は…とりあえず、要繋ぎですか。
進めたい方向性に合わせて繋ぎの話を書くのが建設的ですね。
♀BS達とかは一旦事態の整理をするか、
誰かが発狂or逃げ出すとかしないとまともに動けないでしょうし。

♀マジは♂Wiz追いかけるってのが普通っぽいかな?
その途中でスパノビ達に出会ってショック受けたりとか。
まぁ、彼女の様なナイス少女?(戦闘経験などから童顔&身長の低いお姉さんやも)なら
或いは、♂Wizについて♀マジから聞いて腰を上げるかも。
でもその場合は、♀ハンタが足枷になる悪寒。

しかし、そこで言い返せないor説得できない女性陣に対し、
なんと見事に説得してみせるカイジ♂マジとかも素敵かも。
356名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 01:16:19 ID:Pbm8J82s
ミストレスとか♂クルセとかで考えてる話はあるけどそこまで持っていけるか疑問。
357名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 01:48:25 ID:po2Ku68Q
書き手減少は師走の影響ですかねぇ
まあアレとかアレの影響かもしれませんけど
とりあえずお目覚めの話を書いたはいいもののキャラ違う気がorz
358名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 02:19:18 ID:a6QFkMvc
>>357
まぁ、書いたんですから、落としていきましょう

のほほーんとした話を書いちゃっていいなら一本がんばってみましょうか
…リアルで時間が取れるならorz
359名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 08:21:01 ID:1a./mTxw
>>357
風邪と仕事のダブルパンチで書く時間が取れなく・・・
キャラの違いはそのキャラの意外な一面ということにすれば、いけるかもしれない。
まずは落としてみるんだ、それを楽しみに待っている。

>>358
のほほーんとした話も待ち望んでいるよ、がんばれー。
360名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 09:31:33 ID:WFbgyA/k
130.GMの疑念[放送直前]


『つまり、貴方は夢の中でこの幸せゲームらしきものを主催していた、と言う事ですか』
『え、ええ。そう言う事になりますね。…所詮夢の出来事ですけど』

「ふむ…」
文書化された盗聴記録を読み終え、GMジョーカーは切れ長の目をゆっくり閉じた。
椅子に深々と背を預け、机に脚を乗せて天井を振り仰ぐ。
そのまま長い沈黙が流れた。
「どうしました?彼女が疑わしいのは間違いないと思いますが」
記録文書を持ってきたGM橘がせっつく。
しかしGMジョーカーは視線を下ろそうともしない。
「これで全部ですか?」
「全部とは?」
「彼らの会話ですよ」
何か物足りなそうに言うジョーカーに、GM橘は少々いらだたしげな顔をした。
これだけあれば充分ではないのか。
「前半は分かりません。私が聞いたのは報告があってからですから。それ以前の部分については盗聴担当の記憶によります」
「それ以降であなたが聞き落とした可能性は?」
「…5人同時ですから無いとは言い切れませんが、重要な部分は聞き落としていない自信があります」
「あなたが重要と思う部分は、でしょう。文章では細かいニュアンスまでわかりませんし…直接聞きたかったですねえ」
「それはどうも」
言外にお前の能力を100%信頼してはいないと言われ、GM橘は今度こそ憤懣を表情に出した。
口には出さなくても『じゃあ自分1人で24時間監視してくれ』と瞳が語っている。
「…で、どうしますか?彼女が何か知っているのは間違いありません。起爆しますか?」
「いえいえ待ってくださいな。ルール外の爆破は本当に最後の手段ですよ」
GMジョーカーは首を振り、GM橘の差し出したジェムストーンを押し戻した。
このゲームは冒険者同士で殺し合わせることが重要なのだ。
前回直接手を下しすぎてイゾルデに叱責を受けたジョーカーとしては、そのほとぼりも冷めない内に二の轍を踏むわけには行かない。
「♀Wizさんはまだ決定的なことは口にしていません。それに彼女が工務大臣閣下からあれこれ聞き出した当人だとしたら、盗聴についても知っているはず。にしては不用意な発言だと思いませんか?」
「それはまあそうですが…」

彼らも工務大臣の情報漏洩については調査報告書を読んでいる。
そしてその中に♀Wizの名もあった。
犯人の女が『友人がBR法に』と言ったため、第3回参加者の友人知人は全て調査対象になったのだ。
大臣の証言とは髪の色も印象も違い、事件前後にゲフェンに居たことやカプラサービスを利用していないことも立証されていたが…容貌は染色や化粧で何とでもなるし、カプラ転送に頼らない移動法もある。
つまり彼女を疑うだけの理由はあった。
だが。
(それじゃあ犯人像が一致しないんですよねえ)
GMジョーカーは椅子を揺らしながら天井の石組みを眺めた。
彼女が犯人だとすると、あらかじめ変装をし、しかも偽の死体まで用意して周到な計画を実行したということになる。
にもかかわらず、『友人がBR法に』などと正体を明かすようなことを言った?
おかしい。矛盾する。
なまじ頭の切れるジョーカーは偶然の積み重ねという考えを切り捨ててしまった。
実のところ♀Wizが髪を染めていたのも厚化粧していたのも、酒場に行ったのと同じ偶然――自暴自棄と気分転換だったのだが、そこまで考えが及ばない。
(大臣閣下がもう少し役に立ってくれればはっきりしたんですが)
彼は心中ため息をついた。
工務大臣をわざわざゲームに参加させたのは、なにも処刑だけが目的ではない。
万一彼から情報を聞き出した者が潜入していた場合、それを見分ける手段として期待していたのだ。
しかし最初の顔合わせから、大臣は怯えるばかりで他の参加者を見ようともしなかった。
それどころか縮こまりすぎて、彼の存在に気付く者さえわずかだったようだ。
そして何の役にも立たないまま1日で死んでしまった。
(陛下に背いたあげく役立たずとは。恥を知りなさい)
中空に想像で描いた大臣の首をGMジョーカーは絞めあげた。

「…何やってるんですか」
GM橘は呆れ声を出した。
ずっと黙っていた上司がいきなり誰かの首を絞めるパントマイムを始めれば、普通は呆れる。
「結局♀Wizは放置でいいんですか?この会話もただの妄想と言うことに?」
「いえいえ」
GMジョーカーは空想上の工務大臣にとどめを刺してから答えた。
「彼女が何を知っているのか、やはり気に掛かります。盗聴役には彼女たちの動向を重点監視させましょう。あなたもなるべく直接聞くようお願いしますよ」
「…あなたは?ジョーカー」
「できればぜぇんぶ私が確かめたいのですけどねえ。残念ながら忙しすぎてそうも行かないのですよ」
嘘ではない。そのことはGM橘もよく知っている。
だが腹は立った。
「そうですか。では会話のニュアンスは報告書の行間から読みとって下さい」
「はいはーい。ついでに森君にも言っといて下さい。もしかしたら出番があるかもって」
せめてもの仕返しに言い捨てるGM橘の背を、まったくこたえた様子のないセリフとヒラヒラ振られる手が送った。
その当人は天井を見上げたままの姿勢を崩さない。
だからGM橘は気付かなかった。
白く塗られた道化師の顔が、いつになく厳しいことに。
(今回も不確定要素は少なくない、ということですかね)
前回、彼をあわやと言うところまで追いつめた男の声が、GMジョーカーの脳裏に蘇る。

――手前等に向けられてる剣は俺達だけじゃねぇ

一度はあざ笑ったそのセリフが、今は妙に重い。
「…いいでしょう。やれるものならやってみてください。何度でも叩きつぶして差し上げます」
天井を睨み、GMジョーカーは誰にともなく呟いた。


<GMジョーカー>
位置:不明(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
外見:ピエロ
状態:正常
備考:女王イゾルデの意向を最優先

<GM橘>
位置:不明 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:銀縁眼鏡、インテリ顔
状態:正常
備考:

<残り33名>
361名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 09:36:52 ID:WFbgyA/k
>>346-348
首輪の盗聴機能知ってる割には♀Wizしゃべりすぎじゃないかと感じたので、GM側反応とペナルティ投下。
彼女と同行者の発言・行動は監視が厳しくなります。
でも逆に他の参加者についてはチェックが甘くなるかも?

ただし全部ジョーカーに聞かれてたとすると危険すぎるので、システムが急造で録音はできなかったことにしてみたw
特に♀Wizの「(反撃の)方法はある」発言と♂セージの「紙とペンが必要」発言は聞かれなかった感じに。その2つ聞かれてたらいくら何でも…。

>>112アナザー「抗う者共」からセリフ流用させていただきました。
ただし例のヒトのJOBとかジョーカーの受けたダメージとかは「?」付きなのでごまかして放置(ぁ

それから備考欄書こうとして迷ったのですが…。
GM橘=アナベルツ皇国工作員ってのは有効なのでしょうか?
362名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/02(金) 17:49:49 ID:rnNU1drE
とりあえず、動きの無いキャラクタの外堀埋めるのは必要っぽいかも。
や。単に、PTと遭遇させるだけでもいいけど、
そろそろマーダー側の一方虐殺ではなく善良参加者の逆襲も見たいし。

脱出かそれとも修羅endか。
どっちに転がるやら。
363名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/03(土) 23:31:40 ID:Nz67sruk
131 進め、生きるのならば [放送直後]


何処からか響く道化の声。
告げられる死者の名の中には、もちろん『彼女の名』も含まれていて。

――♀クルセイダーさん。

♂騎士はその名が聞こえた瞬間、彼の前で慟哭する青年へと視線をやった。
少しだけ落ち着いてきていた♂アルケミだったが。その肩が、再び震えだす。
(あぁ、♂アルケミ。本当にお前は俺と似ているな)
もちろん死んだ大切な人のために泣くとはいっても、二人に違いはあったが。
♂騎士は、手にかけてしまったことへの後悔。♂アルケミは、ただ虚ろに絶望する。
共通する感情は――この理不尽なゲームへの怒り。

慰めの言葉もかけてやることができずに。ただ、ほとんど見知っていない少女の為に祈りを捧げる。
♂アルケミがこんなに大切に想う娘だ。きっといい娘だったのだろう。
♂騎士はぼんやりとそんなことを考えていた。

「っ!」
ばしり、と頬を打たれ。♂騎士は目を見開いた。
彼の前には、マイトスタッフを手にした♂アルケミが立っている。
(……何か、おかしい)
衝撃こそあれ、不思議と頬はほとんど痛くない。
自分の体に疑問はあったが、それどころではない、と彼は思考を戻した。

震える手で、♂アルケミは杖を何度も振り下ろしてくる。
その顔に浮かぶのは、恐怖。
(おいおい、これじゃ本当にSMじゃないか。そんな趣味はないぞ)
こんな状況で♂騎士が妙に冷静でいられたのは、痛みが何故かほとんどないせいもあったが。
それよりも、♂アルケミの表情にこれ以上ないほど見覚えがあったからだ。

「お前、俺が怖いんだろ」
彼がそう呟くと、♂アルケミの手が止まった。
そして、震える声でこう呟いた。
「どうして…抵抗しない? 今あんた、俺に殺されそうになってるんだぞ」
「抵抗しないようにお前が縛ったんだろ」
「そうじゃなくて! 叫びもしない、暴れもしない。あんた何か怖いよ!」
♂アルケミの言葉に、♂騎士は笑みすら浮かべながらこう返した。
「そんなことを考えられるんだ。お前はあの時の俺よりよっぽどましだよ。
 お前を俺なんかと一緒にしちゃいけないのかもな」
♂騎士の脳裏には、あの夕方――悪夢の情景が浮かんでは消えていた。
「あの時…って、あんた一体?」
当然の疑問だ。♂騎士は、静かに覚悟を決めた。
彼を慰めることなど自分にはできはしないが、自分の話が何かの役に立つかもしれない。
「確かに…自分のことを何も話さずに、信じろってのも無理な話だよな。
 わかった、話そう。俺がこのふざけたゲームで何を考え、……何をしてきたか。
 俺をどうするかは…その後お前が自由に決めたらいい」
364名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/03(土) 23:33:10 ID:Nz67sruk
♂騎士は全てを話した。
♂ローグに突然襲われ、人間が怖くなったこと。
湧き上がる恐怖に耐えられず、愛していたはずの♀プリーストを手にかけたこと。
罪の意識で彷徨う中♂プリーストと出会い、彼の言葉に罪を生きて償う勇気を貰ったこと。
そして今。♂アルケミを過去の自分と重ねているのだということ。

「怒ったか? 人殺しなんかと一緒にすんじゃないって。
 それとも笑ったか? 聖職者を殺した俺が、聖職者に導かれたなんて」
「……そんなことしないよ」
「まぁ…これからお前がどういう風に生きるつもりかは知らないが、復讐はやめとけよ。
 それはこの腐ったゲームに乗るってことだ。そんなの悔しいだろ。
 復讐なんてあの娘だって望んでない、なんて綺麗なことを言うのは簡単だが…それができない人間なもんでな、俺は」
♂騎士の言葉を、♂アルケミは黙って聞いている。
「さて、どうする?
 さすがにまだ死にたくはないが、お前が俺を怖く思って、殺したいってんならそれでも……」
するり。
解かれたロープに、♂騎士は目を丸くした。

「おいおい、どういう風の吹き回しだ? …本当にいいのかよ」
「いいんだよ。今のあんたの目、人殺しのものじゃないし。
 それに、なんだか急にあんたが怖くなくなった。なんか、背中預けられるかもって…思ったし」
そう呟く♂アルケミの表情に嘘はない。
思っていた形とは違ったが、コミュニケーションはとれたらしい。♂騎士は胸を撫で下ろした。
「背中預けられるって……まさかお前、俺に惚れたか? 悪いけど俺には大切な人が……」
「ばっ…! 頭おかしいのかあんたは! 俺にだって♀クルセっていう惹かれてた人が! …って、あ……」
「ふーん。やっぱりそうだったんだな。危険の中で生まれる愛か。青春だねえ」
「う、うるさいな! また縛るぞ!」
少し前にはまともに言葉を交わすことすらできなかった二人。
そうとは思えないほど打ち解けることができたのは、このギリギリの状況でどこかがおかしくなったからなのか、それとも……。

「で、これからどうするんだ?」
「どうするって。まずやることは決まってるだろ」
「え?」
きょとんとする♂アルケミ。本気で思いつかないらしい。
「あのなぁ。あのクルセイダーの娘をあんなとこに転がしとくつもりかよ」
「あ……」
彼の言葉を聞き、♂アルケミは俯いた。
――どうして忘れてしまっていたんだ。あんなに彼女が悲しんでいたのに、俺はなぜ。
「可哀想ってのもあるけど…これは、お前が前に進むために必要なことだと思う。…俺もそうだったから。
 頑張って生きてみようぜ。あの娘の分まで、さ」
「そう…だな」
彼女もそれを望んでいるだろう。♂アルケミはなぜかはわからないが、そう感じた。
大好きな♀クルセ。きっと彼女は全てを。そう、魂まで自分にくれたのだろう、と。

「ま、お前があの娘を埋葬してやってる間、俺が守っといてやるから安心しとけ。
 背中預けてくれるんだろ? 俺はその娘の代わりになんかなりゃしないけどさ」
そう言って♂騎士は笑ってみせた。
「あぁ…頼むよ」
それを見て、♂アルケミも笑顔を返した。
傍から見たら薔薇が咲いているようにしか見えないのはきっと気のせいだ。

♀クルセを失い、止まっていた♂アルケミの歯車。
それが再び……彼と似た過去を持つ男の手によって、今動き出した。


<♂騎士>
現在位置:F-3
所持品:S3ナイフ、ツルギ、S1少女の日記、青箱1個
外見特徴:憔悴しきり、陰りのある顔。だが、瞳は意志の強さを感じさせる
備考:プロテインの効果で痛覚を失いつつある。♂ケミと共に行動

<♂アルケミスト>
現在位置:F-3
所持品:マイトスタッフ、割れにくい試験管・空きビン・ポーション瓶各10本
外見特徴:BSデフォ・青(csm:4j0g50k2)
備考:BRに反抗するためゲームからの脱出を図る ファザコン気味? 半製造型 ♂騎士と共に行動
   ♀クルセを埋葬しにいく。ケミ騎士ペアのその後の行動はおまかせ


<残り33名>
365名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/03(土) 23:42:21 ID:Nz67sruk
131話 SM〜そして芽生える愛〜

ごめんなさいふざけすぎましt(しかも本文中で薔薇ネタひきずってごめんなさいy=ー( ゚∀゚)・∵.)
とりあえずケミと騎士の気まずさをなんとかしてみました。
んでもって♂騎士のプロテインもただ苦しむだけじゃなんなので、103話を参考にいじり。
でも逆に痛覚がないって怖いですよね。
自分の体の危険度がわからずにいくらでも無理できちゃうってことですし。
第一回のローグ姐さん(札貼った後)にもそんなところがあったし。

ところで♂騎士って外見設定ないですよね。
ふつーにデフォ姿で想像してましたが実際どうなんでしょ。
366365sage :2005/12/04(日) 02:13:48 ID:4E0z1OG.
げっ、今見たら誤字発見。下から14行目_| ̄|○

あんなに彼女が悲しんでいたのに、俺はなぜ
→俺はあんなに彼女の死を悲しんでいたじゃないか…それなのに。
に修正しておきます。
彼女(♀クルセ)が悲しんだことになってるのはなんでだ(;´Д`)ゴメンナサイ
367名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/12/04(日) 14:14:36 ID:QF3aFZQ2
非常にGJ
SMと薔薇の気配がナイスでしたw
368名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/04(日) 23:03:55 ID:dLueCekc
大丈夫だ、彼らはまだ自分たちの関係に気付いていない。
まだ友情だと信じて突き進めるはず。

♂騎士と♂ケミの未来に幸あれ。
369名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/05(月) 18:51:56 ID:iMB/kW1g
WIKIが全然更新されてないけど何か進行上解決しないといけない問題があったっけ?
無かったら後でちょっとずつやっておくけど
370名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/05(月) 23:30:57 ID:ZrlwgPRs
>>369
まとめ人さんも忙しいだけじゃないかねー。
自分も忙しくて表現の修正とかしたいのにまだ出来てない…
年の瀬って怖いぜフゥハハァー!

しかしそんな状況でも第一回の製本計画に動きがないかと
スレのチェックにだけは来てしまう…あちらさんも忙しいのかな。
371名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/06(火) 08:13:12 ID:0M9tm5Q.
>>287
仕事で忙殺されてますorz
もうちょっと待っててください。
ウワーン年末調整のバカー
372名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/06(火) 12:18:24 ID:3pn6Qnvc
>>369さんじゃないけどWiki更新しておきました。
修正したい書き手さん、どぞー。

あと目次の時間に関しては明記のないものは適当に書いたので
書き手さん側で違うぞ、と思ったら直しておいてください。


あぁぁーーー、書きたい。
師走ってやつは本当に恐ろしいぜ、ヒャッハー。
373名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/07(水) 02:37:40 ID:eF3Wpp06
132 人殺し達の戦い

青箱に手をかける♀ノビを♂アサが止める。
怪訝そうな顔で口を開きかける♀ノビの口を、♂アサは手で塞ぐ。
「……人が来た。お前はここで待て」
そう小声で言って、すぐにその場を立とうとする♂アサの動きが止まる。
♀ノビが♂アサの手を握ったままで居るからだ。
一瞬振り払おうと思った♂アサだったが、すがるような表情の♀ノビを見て考え直した。
『……くそっ』
心の中だけで舌打ちしながら、♀ノビの手を握り返す♂アサ。
「良く聞け。お前はそこの茂みに隠れて、俺が合図するまでその場を動くな」
「は、はい」
「そして俺が『貫け』と叫んだら、その場から真っ直ぐ前に向けてソードを突き出せ。腰の高さでソードを両手に持ち、体当たりする要領で全力で突っ込め」
その指示の内容に驚く♀ノビ。
「それがお前の役目だ。それさえ果たせば最悪の事態も回避出来る。お前はそれだけを考えて茂みに潜め。いいな?」
いきなりの事に動揺する♀ノビ。
「で、でも……」
しかし♂アサはぴしゃっと言い放つ。
「復唱しろ。お前は何をする?」
「え、えと……茂みに隠れて、♂アサシンさんが『貫け』って言ったらソードを突き出す」
「どうやって突き出す?」
「腰の高さで、ソードを両手に持って、体当たりするように……」
そこまで聞くと、♂アサは立ち上がる。
「よし、質問は無しだ。お前はただそれをやるだけでいい。絶対にビビるな、それ以外の事は全て俺が整える。いいな?」
時間が無い、それは♂アサの様子から♀ノビにも理解出来た。
だから、♀ノビは真剣なまなざしで肯くと、何も言い返さずに茂みに潜んだ。
そんな♀ノビの様子を見て、笑みが零れかける♂アサ。
『やる事さえありゃ不安に潰されるって事も無いだろ』
何時来るかわからない者に怯えて待ち続けるというのは、想像している以上に苦痛な事だ。
せめてもやる事を与えておけば、それ以外の不安な懸案を考えずに済むだろうという♂アサの配慮であった。
そしてすぐに表情が変わる。
彼方に見えた人影は、もうすぐそこまで近づいていたのだ。

人影は♂アサに言う。
「……お前は殺し合いに乗っているのか?」
♂アサシンは相手の姿を見て、眉を潜める。
「おい、お前は神に仕えるクルセイダーじゃないのか?」
その男、♂クルセは表情一つ変えずに応える。
「そうだ」
♂アサシンは♂クルセを睨み付ける。
「なら、なんだっててめえは人殺しの目してやがんだ?」
やはり♂クルセは無表情で応えた。
「流石にアサシンなだけあって、人殺しには敏感だな」
腰を低く構える♂アサシン。
「そうだ、俺はアサシンだ。だから無駄な期待なんざしてねえで、殺し合いに備えな」
♂クルセはシミターを抜く。
「人殺しの目か……よっぽどお前の目の方がそれらしいぞ」

♂アサは♂クルセの真正面から飛び込む。
♂クルセは袈裟懸けに右から斬りつけるが、それを頭を低く屈めて、左に一歩大きく踏み込む事でかわす♂アサ。
すぐさま♂クルセも手首を返して、低い位置の♂アサに向かって、今度は左から斬り返すが、それを♂アサは右足の膝で♂クルセの右手を押さえて剣を止める。
♂クルセの剣が止まったその僅かな間に♂アサは攻撃に転じる。
右手の親指を♂クルセの目に向かって突き出すと、♂クルセは仰け反りながら体ごと大きく♂アサから離れるよう後ろに下がる。
しかし♂アサも逃がさずとばかりに更に踏み込む。
そんな♂アサの腹部に下がりながら剣を当てる♂クルセ。もちろん勢いが無いのでその状態のままで斬る事は出来ない。
しかし、そこから全力で剣を引けば♂アサの横腹は斬れる。
時間の猶予は僅かだ、その間に♂アサは♂クルセの襟を左手で掴み、その頭部を引き寄せながら顔面に頭突きをかました。
頭突きをくらいながらも剣を全力で引いた♂クルセも見事だったが、それ以上に♂アサは巧みであった。
頭突きの直後、剣を引く速度に合わせて体を半回転させ、剣での傷を最小限に押さえながら左の肘打ちを♂クルセに見舞ったのだ。
肘打ちが当たった事を知った♂アサは全速でその場から離れる。
そのすぐ後に、肘打ちを喰らった♂クルセから間髪入れずの反撃の突きが来たが、♂アサはそれを読んでいた模様。
そこで二人の距離が少し離れる。
♂アサは舌打ちをした。
『タフだな。それに……思った以上に手練れだコイツ』
頭突き、肘打ちの二発もまともに入ったのに、♂クルセの動きにはまるで乱れが無い。
周囲に邪魔者の気配は無い。
ならばまだしばらくは♂クルセとの戦いに集中出来る。
どうやって♂クルセを殺すか? それだけを考えていられるのだ。
この時、♂アサシンは確実に殺し屋であった。
374名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/07(水) 02:37:51 ID:eF3Wpp06
♂クルセは♂アサシンの動きに警戒を強める。
武器を持っていない事は、♂アサシンの戦闘力を下げる理由にはなりえない様だ。
しかし♂クルセは焦らない。
持久戦こそがクルセイダーの最も得意とする戦いだ。
確実かつ正確に対応し、時間をかける。
♂アサシンの疲労を待つのももちろんだが、時間をかける事で誰かに見つかったとしても、その職柄から♂クルセに味方する可能性も高い。
間違っても殺し屋の目をした今の♂アサシンに、味方する者は居ないだろうという読みであった。
♂クルセはその読みに従って、剣を正面に構え、静かに♂アサシンの動きを待つ。
♂アサシンはいつの間にか拾っていた小石を、指の動きだけで♂クルセに放つ。
狙いは僅かにそれて、♂クルセの頬に石が当たる。
しかし♂アサシンから目を離さなかった♂クルセは、♂アサシンがクローキングでその場から消えるのを確かに見た。
すぐさま後方にある林の中に駆け込む。
林の一番外側にあった木を背に、襲い来る♂アサシンに備えた♂クルセ。
しかし、♂アサシンは予想外にも♂クルセの間合いから少し離れた場所に姿を現した。
そして大声で叫ぶ。

「貫け!」

見事、そう♂アサシンは思った。
♂クルセはいきなり側面からナイフを脇腹に突き立てられたにも関わらず、僅かに体勢を崩しかけただけですぐに持ち直し、それを仕掛けた相手に剣を向けたのだ。
『相手が俺じゃなきゃ、お前は死なずに済んだぜ』
振り上げた剣を振り下ろす間も無く、♂アサシンの跳び蹴りが♂クルセに命中する。
転倒し、林の中に転がり込んだ♂クルセは、立ち上がり様に剣を右下に構える。
♂アサシンがまた姿を消したのにも気付いていたようだ。
そのままの姿勢で目線をゆっくりと動かし、聴覚だけでなく、視覚でも周囲を探る♂クルセ。
その視界が♀ノビを半分程捉えた所で、その時は来た。
右下に下げた剣からは、ちょうど♂クルセの体を中心に正反対側に当たる左後方から♂アサシンは襲いかかった。
♂アサシンの踏み込みの音と同時に♂クルセの左腕が♂アサシンの首元に突き出される。
その反応の早さは、それこそこの♂アサシンの動きを読んでいたとしか思えない程であった。
『読まれた!? だがっ!』
その太い腕が♂アサシンの首を掴み、動きを制する。
すぐさま剣を突き込もうとする♂クルセであったが、それは♂アサシンの予想の内であった。
「くっ!」
♂クルセをもってしても、二度目の痛撃は流石に声を殺しきれなかった。
いつの間にか♀ノビからソードを奪い、♂アサシンはこの瞬間に♂クルセの脇腹に突き立てていたのだ。
そしてすぐ右腕を♂クルセの突きだしている左腕に絡ませ、体重を乗せる。
その動きで♂クルセの剣は空を切り、代りに♂アサシンは♂クルセの腕をとったままでその体を地面に押し倒す事に成功した。
左腕を、取った♂クルセの左腕に添え、完全にその動きを封じる♂アサシン。
♂アサシンもこれ以上動けないが、こちらには♀ノービスが居る。
♂クルセの胴に刺さったままのソードを彼女が抜き、その首に突き立てればゲームセットだ。
しかし、幾多の戦場を戦い抜いた♂クルセもこのままでは終わらなかった。
左腕を取られ、地面に組み伏せられた状態のまま、右の手のひらを地面に向け、バッシュを放った。
その衝撃で♂クルセの左肩が外れ、♂クルセは地面に押しつけられたままで半回転。
バランスを崩した♂アサシンに、♂クルセはその勢いを利用した右肘打ちを叩き込んだ。

両者はすぐに立ち上がるが、形勢不利と判断した♂クルセは身を翻してその場を走り去る。
♂アサシンは目線で♀ノビに合図した後、すぐに追撃に移るつもりだったが、止めた。
ふっと軽く息を吐いた後、♀ノビに歩み寄る。
「……そんな顔すんじゃねえよ」
そう言いながら左手を上げる。
♀ノビはびくっと体を震わせるが、♂アサシンはゆっくりとその頭に手を置き、優しく一撫でしてすぐに手を離す。
「これがプロ同士の殺し合いだ。感想はどうだ?」
♀ノビは♂アサのこの問いに答える事が出来なかった。

そんな二人にジョーカーの癇に障る声が響く。
それを聞く♀ノビの表情を見た♂アサシンは心の中だけで呟いた。
『……限界か。これ以上はこいつには耐えられないかもしんねえな……』


<♂アサシン><現在位置:小さな森(E-7)>
<所持品:フード[S]、レッドジェムストーン×1、未開封青箱×2>
<スキル:クローキングLv10>
<備考:♀ノービスを生き残らせると決意、♀アサシンとは顔見知りだった?>

<♀ノービス><現在位置:小さな森(E-7)>
<所持品:未開封青箱×1>
<スキル:死んだふり>
<外見:ノビデフォ金髪>

<♂クルセ>
位置:小さな森(E-7)から逃亡中
所持品:s2ブレストシミター(亀将軍挿し) (腹部にソードを刺したまま)
外見:csm:4j0h70g2
375名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/12/07(水) 08:11:06 ID:9pubw4pQ
GJ!!
ロリアサ意外とTUEEEEEE!!!
376名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/07(水) 10:53:06 ID:j1Ai/ELo
久々に軽く書いてみる(・ω・)
とりあえず動かしたコトない子をちょこっと


133. ミッシング・マップ [第2回定時放送より30分以内]

ざざぁと静かに打ち寄せる波が、心を落ち着かせてくれる。
海は穏やかだ。晴天にきらめく日差しも心地よい。
隣ではデザートウルフの子供が暢気に、砂浜をごろごろと転がり回って遊んでいる。
その空間だけを切り取るならば、そこはとても平和な空間であった。
しかし。
「・・・・・・困った」
傷はまぁいい、雀の涙ほどの効果ではあるがヒールで多少痛みは和らいだ。強調する部分は「多少」。
いつの間にか昇っていたお日様が、服もある程度は乾かしてくれている。強調する部分は「ある程度は」。
彼女――♀アコライトはたった今、GMジョーカーの定時放送が流れてきたことによって目を覚ましたのだが、問題はその定時放送だった。

新たな禁止エリアが発表された。♀アコライトもすぐに地図を確認しようとしたのだが、そこで地図は♂クルセイダーに投げ落とされたあの崖の上だ、と気付く。いや、下手をしたらあの♂クルセイダーに持ち去られてしまってるかもしれない。
・・・まずいかもしれない。ここは一体どこだろう? 崖から落ちて・・・そうだ、あの崖は地図でいうとどのエリアに当たる場所だった?
・・・・・・覚えてるはずがない。ただでさえ、人一倍方向感覚すっからかんなのに。
ええい落ち着いて考えるんだあたし。
地図がないと、現在地がわからない。そう、たとえあたしのいるここが禁止エリアになるのだとしても。
そうだとしたらすぐにでも移動しなくてはならないのだが・・・しかし、動いたところで現在地がわからなければ同じことだ。動いたその先が禁止エリアになっていたら。
八方塞がりだ。命まで賭かっているのだ、運だけに任せて行動することなどできるはずがない。
そうだ。とにかく、あの地図だ。あの地図を回収しない限り、生き残ることなんてできやしない。
ここでこうしていたって仕方がないのだ、危険なのか安全なのか、自分ではわからない以上、死ぬ可能性も生きる可能性も五分五分だ。
まずは地図を回収する。♂クルセイダーがいるかもしれないし、もうあの場所に地図はないかもしれない。それでも、今この状況から活路を見出すにはまず、あの崖の上まで戻ってみるしかない。もしあの崖が禁止エリアとされてしまっているならば、時間はあと30分もないのだ。そうだ、思いついたら即行動、これがあたしのポリシーだったはずだ。
そうと決まったら崖の上を目指して、とにかく歩き始めるのみだ。自信はないが、今は自分の足と、頼りなくても方向感覚を信じるしかない。
「さ、行くわよ・・・」
立ち上がったその足元に擦り寄ってきた小デザに目を落とすと、そこでふと彼女は閃いた。
・・・・・・あたしの方向感覚よりは信じ甲斐がありそうじゃない?
くぅん?と喉を鳴らす小デザに、♀アコライトは期待をこめた表情で微笑みかけた。
「ねぇ、あんた・・・もしかしてさぁ・・・」

<♀アコライト> <現在位置:E-9(本人はわかっていない)>
<外見:らぐ何コードcsf:4j0n8042>
<所持品:荷物袋・地図等含めすべて崖の上(D-8)>
<スキル:ヒール・速度増加>
<備考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ>
<状態:全身ずぶ濡れ→半乾 体力は“赤から緑になった程度”>
377名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/08(木) 09:20:12 ID:JZ.KUfPQ
>>365
外見設定がない場合はデフォか次に書く人が決めていいんじゃないかな。
378名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/08(木) 09:27:37 ID:Vk2Spkbs
今気付いたぜ!
第1回からそうだけど、wikiの絵板の登場人物達皆・・・・・・
首輪をしていない!( ゚Д゚ )9m

いや、まぁいちいち書く必要なさそうだし激しくどうでもいいんだけどサ・・・
ふと思ったから言ってみただけです・・・(´・ω・`)
379名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/09(金) 04:51:05 ID:mK1qBJIU
>>378
あ、本当だ。
2人除き全員首輪抜け成功してるw
商人死亡の人のやつ、首輪は金属?製のわっか…かな?
自分の脳内では、マタ輪みたいなベルト型のが嵌まってるのを想像してた。
電子音鳴るし金属製以外はないだろうけど、ジョーがジルタス様に
はめに来たとこを妄想すると犬の首輪タイプが…
380225sage :2005/12/10(土) 00:35:21 ID:d2.EVwic
Wikiの方で、「116.払暁の茜」♀ケミの持ち物と本文あれこれ修正しました。
これで少しは読みやすく…なってるといいなぁorz

>>378-379
…首輪無いとは気付きませんでしたw。
まあ本当に電子部品が入ってるわけでもないでしょうし、描写されるまで見かけは各自の好みでいいのでは?
381名無しさん(*´Д`)ハァハァage :2005/12/13(火) 14:01:58 ID:lmQwJO9Q
age
382名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/14(水) 16:28:23 ID:Sn4wtb.E
すっかり過疎化しちゃってますね・・・
毎日一応見てるし、書きたいネタもあるにはあるんだけど・・・後でまとめて見た時に
自分の書いたのばっか並ぶのがイヤで、せめて5話以上は開けてから書きたいのよね・・・
383名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/14(水) 21:33:07 ID:ceDAxz/U
年末だから仕方がないのでは?

…と思う読み手一人
384名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/14(水) 21:44:14 ID:JTB9o3Vk
書いても忙しくて校正まで手が回らない

…となっている書き手一人
385名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/14(水) 21:47:47 ID:GajgWyGc
忙しくて実は読み込み追いついてない、薔薇の詳細を楽しみにしている

…となっている書き手一人
さぁ、作業だ…
386名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/15(木) 00:24:34 ID:e4RYlj/2
来年1月いっぱいまでは忙しくて動けない。
書きたくなっても形にする余裕がなくてストレスが溜まる。

…となっている書き手一人
387名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/15(木) 01:46:40 ID:FuB0rqhQ
今修羅場。つきが変わればマシになるかな

…となっている書き手一人
388名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/15(木) 09:48:45 ID:SMivk0uU
師走マジやべぇ。年末の休みに辿り着ければなんとかなる、かも。
なんだこの11月と12月の忙しさの違いは。

・・・となっている書き手一人
389名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/16(金) 22:07:12 ID:gmLqYaug
卒論と単位落とさないように必死勉強
いつの間にか話が飛びまくってるけどWikiで読み返し間もない

…となっている書き手一人
390名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/18(日) 05:47:01 ID:rpjLiFlk
忙しくても雑談くらいは出来るかな?そういうわけで停滞打破のため雑談ネタふりしてみる

『前回のロワにテーマ曲をつけるとしたら?』

今回じゃなくて前回なのは今回のロワにイメージつけるのはまだ時期尚早だと思うので
曲をつける対象はキャラクター、話、ロワ全体なんでもあり
ネタふりした自分がまずつけるとしたらエンディングに「Wings」(ワイルドアームズ3rdのED)あたりを
『抱きしめた思い出が希望を消さない』ってところが結構ぴったりかなとか

…と緩やかな停滞に耐え切れずネタふりやってみる書き手一人
391名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/12/18(日) 10:20:08 ID:6o7Wgc4w
クリスマスを過ぎればまた勢いが戻ってくる!!

…と思う読み手一人
392名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/18(日) 14:04:15 ID:F0no1HMY
>>390
各種死亡イベント、特に重要なものにELTのフラジール流しても合うカナーとか。
♀Wiz、♀BS、♂ローグetc・・・

出会えた事から全ては始まった
傷つけ合う日もあるけれども
隣で笑っていてくれるのならば・・・(ノд`)
393名無しさん(*´Д`)ハァハァdame :2005/12/18(日) 20:24:30 ID:FnK6f0i6
読んでるよ
394名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/18(日) 22:03:19 ID:1X2IEiuA
♂ローグとローグ姐さんの戦いの所なんかではROのBGMの「TeMP it Up」(多分GH騎士団のBGM、ファイルは44.mp3だったかなぁ)が脳内で回ってました。

あとは、GM秋菜の回想とか独白とか、♂GMと会話してるシーンなんかはログイン画面の音楽かな。
GMのいる場所のイメージがあの音楽だった。始まり(ログイン)なのに終わり(ニブル=死の町)の場所、のような。
395名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/19(月) 19:25:21 ID:nKH5a7VE
Blaze of lifeなんてどうかな
詞のイメージが合うかなと

曲 ttp://www.muzie.co.jp/download/150752/songs260/bol.mp3
詞 ttp://www.gun149.com/~nekonyan/bol.html
396名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/21(水) 19:38:59 ID:OA2KlEMA
書き手はテンションに非常に左右される生き物なので、
この時期はある意味仕方ない希ガス。
冬の祭典とかもありますし。
というか、部屋が寒いと執筆に影響も出ますし。
そう。夏場が生命を謳歌する時節なので、この時期の冬眠はある意味仕方なし。
一月くらいたてばきっと戻ってきます。

で、テンションつながりで音楽をひとつ。
前回の時は、只管にサウンドホライズンのアルバム「エリュシオン」掛け捲りでした。
いい感じにイカレてる具合が素敵です。
個人的には、アップ系統で鬱を吹き飛ばすイカレた曲が聞きたい昨今。

後は、
「出会った時から別れは決まり、記憶は無意味でしかして無価値ではない」
というフレーズを駆け巡らせつつ全開です。
397名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/22(木) 04:56:08 ID:6nLtccow
ラルクのLinkが♀WIZto♀セージとか。

「例えこの体がいくら燃え尽きてもいいさ 君に捧ぐなら
大空へとぼくは真っ白に舞い上がり 守ってあげる」

身を挺して炎へ飛び込んで♀セージを助けたWIZ姐さんの姿が思い浮かぶよ…

『ここから見守ってあげるから、しっかりやりなさいよね。』

曲がアップテンポであのシーンには合わないからエンディングのアニメーションで
このシーンがフラッシュバックされてるイメージで。
398名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/23(金) 22:18:54 ID:H5/HMcJM
では私も話の流れに乗ってみる
♂BSには是非TheビッグオーOP『BIG-O!』で
登場する前にはあの曲中の警戒音みたいなのが鳴るとかー
399名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/29(木) 01:20:43 ID:HprkRSlA
保守
400名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/12/29(木) 15:23:20 ID:dUGrIaYQ
イメージ曲。
バトロワ全体を見ると、B'zの隠れ名曲、「夢見が丘」はかなり合ってるかなーと。
「出逢い 別れ 土に埋もれ 日が沈むように死んでゆく
わずかな時をむさぼりあおう 夢を見続けるこの丘で」
エンディングよりは挿入歌かな。
401名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/01(日) 09:11:10 ID:61FezoNg
藻前等おけましておめでとう
派手に廃れて久しいが、まあ気長に続きを待つとしようじゃないかね
402名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/02(月) 01:46:13 ID:O9O8EfEc
あけおめっす
・・気が向いたらまた書きに来ますよ・・!
403名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/03(火) 01:49:43 ID:8nXlv4Nc
あけおめ。応援かねて描きましたよー
http://moeita.net/subbbs/RO/uploader/icon/20060103014300.gif

1次職意外と個性が強くて好きなのでがんばってほしいです。
時間なくて子デザかけんかったのが悔やまれる。
404名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/03(火) 01:56:01 ID:8nXlv4Nc
ってー画像保管庫あったの今気が付いた。スマソ
405名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/03(火) 03:01:10 ID:xMUpbMP.
>>403
か、かっこええっ!!
ぜひとも彼女には♂クルセと再戦してもらいてぇー!

この絵を見てたら創作意欲が湧き上がったんで、ちと書き殴ってくるよッッ!
406名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2006/01/03(火) 15:34:29 ID:5kZvTVb2
確か♂クルセって負傷してたよね?
407名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/03(火) 15:35:02 ID:5kZvTVb2
sage忘れてた;
408名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/03(火) 19:39:38 ID:/4.a0weQ
妄想ネタどぞー

つ [♂クルセが善良なフリをして♂モンク、♀騎士ペアに近付く]
409名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 12:55:41 ID:dLueCekc
134.数奇な出会い[第2回定時放送後]

2回目の放送で彼女の名前が呼ばれるであろうことはわかっていた。
そのことで♀騎士の笑顔が、また遠いものになってしまうこともわかっていた。
この世界では死んだ人間が生き返ることはない。そして殺したのは他ならない、この俺だ。
だけど───

『まずは・・・♀剣士さん』

なにも一番最初に彼女の名前を読み上げることはないんじゃないかと思った。
おそるおそる顔を♀騎士の方へゆっくりと向ける。
ほら、やっぱり。
♀騎士は出会ったときの今にも泣き出しそうな顔に戻っている。
いや、あのときはたしか、本当に泣き出しちまったんだっけ。

一見勝気そうに見えるつり目がうっすらと涙を湛え、こぼれ落とす準備を始めている。
小さくすぼんだ口がかすかに震えながら、けれど泣き出すことを懸命にこらえているようにも見てとれる。
♀騎士のすらりと伸びた手足も、白魚のように美しい肌も、ふわりと伸びた目を引く紅色の髪も、
そのすべてがひどく儚げで、触れただけで壊れてしまうんじゃないか。そう思えた。

不意にきゅっと俺の法衣の裾を♀騎士が掴む。きっとひとりじゃないことを確かめたいんだと思う。
そのことが分かっていながらも、俺は♀騎士にかけてやれる言葉がない。
こんなことならもう少し女性に対しての接し方なんてのも学んでおけばよかったと内心で愚痴る。

いつからだっただろう、タートルアイランドにこもってただひたすらに強さを求め始めたのは。

「♂モンクさん」

そして気がつけばこのゲームへの招待状が俺に届けられていた。
修道院にとってはどうせ生きてるのか死んでるのかもわからない俺がいまさらどうなったところで構わない、ということなんだろう。
自分にしては珍しくネガティブな思考が頭の中を巡り始めたことで俺は軽くかぶりを振った。

「♂モンクさん!」

そこで俺はようやく隣りに座って身体を休めていた♀騎士がいつの間にか立ち上がっていて、俺に呼びかけていたことに気付く。
彼女は少しだけ怒ったみたいに細い眉をつり上げて、俺の右手を掴み、俺を起きあがらせた。

「どうしたんだ?」

突然の彼女の不自然な行動に戸惑いながらも彼女の目を見る。
と、独特の赤みを帯びた黒色の瞳に思わず吸い込まれそうになる。
それほどに深みのある輝きを彼女の瞳は放っていた。
410名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 12:56:13 ID:dLueCekc
「あっち、あれを見てください。人が…人がいます」

言いながら彼女はひとさし指を使って方向を指し示した。
ゆっくりとその先へ首を向けると、一本の木が、そして木の幹に寄りかかるようにしてぐったりとしているひとりの男がいた。
目を凝らしてよく見ると男の衣服にクルセイダーの装飾があるのが分かる。
どうやら傷を負っているらしく、自分の体に一通りの治療を施したあとといった様子だった。

「怪我をしているみたいですけど…」

「クルセイダーねぇ。常識的に考えれば味方と言えるけど、この島で常識なんてものが通用するかしら」

ふたりして顔を見合いながら、♂クルセイダーを見やりながら、逡巡により時間は流れる。
その間も♂クルセイダーが動く気配はなく、こちらに気がついた様子もない。
それほどの深手を♂クルセイダーは負っているのだろうか。

「♀騎士はどうしたい? 俺は君が思った通りにしてくれて良いと考えてる」

俺の質問に彼女は顔をわずかにうつむけ思案をし始めた。彼女も迷っているのだろう。
この島ではそれが当然だ。信用や信頼なんてものはこの島で不幸な結果に最も近いとも言える。
現に俺も一度は殺戮者に身を墜とすことを考えたくらいだ。
それに刃物を満足に扱えない♀騎士だったからこそこうして気を許しているんであって、
そうでなければ上辺だけの協力しかするつもりはなかった。
ところが───

「♂クルセイダーさんを助けましょう。だって私は……騎士ですから」

まだ不自然さを残しながらも彼女は精一杯の笑顔で俺にそう言った。
本当の笑顔からはほど遠い、壊れそうな硝子の笑顔。
そんな表情を見せられたんじゃ俺も覚悟を決めなければならない。

「分かった。それじゃ俺も精一杯のことはするよ。生臭坊主だから治療の腕前は当てにしないでくれよ」

無造作に伸びた髪をかきあげながら目で彼女に合図する。
そして俺と彼女は♂クルセイダーの元へと歩み寄った。

この選択肢が俺たちにとって最悪の結果をもたらすなんてことを、そのときの俺たちはまだ知る由もなかった。


<♂モンク>
髪型:アサデフォ
所持品:黙示録・四葉のクローバー
備考:諸行無常思考、楽観的 刃物で殺傷 ♀騎士と同行
現在地:E-7 (F-7付近)

<♀騎士>
髪型:csf:4j0i8092
所持品:S1シールド、錐
備考:殺人に強い忌避感とPTSD。刀剣類が持てない 笑えない ♂モンクと同行 赤みを帯びた黒色の瞳
現在地:E-7 (F-7付近)

<♂クルセ>
髪型:csm:4j0h70g2。
所持品:S2ブレストシミター(亀将軍挿し) ソード
備考:最低限の傷の手当て済 重症か軽症かは不明 ♂モンク、♀騎士に気付いているかも不明
現在地:E-7 (F-7付近)
411名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 13:00:49 ID:dLueCekc
間があいちゃったので自信がないけど、書かなきゃ進まないので書いてみたよ!

♂モンクと♀騎士の台詞であれ、こんな口調だったっけとか思う人がいたらゴメン。
それから♂クルセがふたりの接近に気がついているのかどうかが次の人にお任せします。

あー、明日から仕事だよ。しくしく。
412名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 14:23:53 ID:VeILZGtI
うお、我こそが停滞に終止符を…って思ったら先越されてましたね。
>>413、GJです。生臭坊主の活躍に期待しつつ、文字通り人外のお二方です。
413名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 15:00:47 ID:VeILZGtI
135.人ではない者達の遭遇


 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。

 薄い、無臭の粘液を足跡として、蟲は進んでいた。とうに血の後は地や草木にふき取られている。
 獲物を求めてしばらく、奇妙な気配をやや遠くで見つけてからは本能的にそちらへ向い出した。蟲にとっての獲物よりは近い種の王の下へ。

 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。
 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。

 ふと、ただ草木だけが立ち並ぶだけの周囲に小さな異変が起きた。行く匹かの小さな小さな羽虫が、蟲を見つけ観察するかのように遠巻きに回りだしたのだ。
 空中のそれを察知する術を持たないのか、それとも無視しているのか、蟲は変わらず進む。

 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。
 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。
 ずるり。ずる…

「ほう」
 そう声を上げたのは、紫色の長髪を美しく垂らし、女王蜂の冠をのせた一人の魔女。くるり、くるりと持て余すようにカウンターダガーを持て遊んでいた。
 何はともあれと言わんばかりに羽虫を偵察も兼ね遠巻きに纏わせながら疲れも知らずに東へただただ動かしていた足を止めた。
「山脈の先の洞窟の蟲翁まで人間どもの意向で連れ出されておるのか」
 大変じゃとてお互い、と人の喉からは到底発音する事の出来ない奇妙な言語で蟲に話しかけると、長髪を一房指に巻きつけて、また離す。
 羽虫など何の足しにもならないほどと体躯を持った蟲は、草と人を食している。そのため、彼女らの種とは友好不可侵の関係を保っていた。
「おぬしらの仔も山で良くやっておる。こんな所に引きずり出される前まではであるがな。其方の方はどうだ、我が仔らの幾許かが其方の洞窟に棲み始めて長いが……どうした」
 くるくると手の短剣を回しながら近況を淡々と話していた口を止めて、彼女は不審げに眉根を寄せた。
「おんし何故喋らぬ。洞窟の蟲翁は我らを知らぬようになったとでもいうのか」
 憤慨する彼女に、弁解するように体を震わせて否定を示す蟲。特殊な方法でつむぎ出す言語を蟲はまだ使いこなせない。
「…嗚呼、成る程。蟲翁は蟲翁でもまだ児であったか。大方人間らが卵でも捕って来たのか」
 人の腹から孵化する様子はなかなか見物であるな、と昔見た光景を思い出して忍び笑いを漏らす。

「おんし、私の言う事は分かるな。簡単でよい、答えよ」
 肯定。
「もう一つ、私に似た…つまり器の気配が近くに或るのは分かるか?」
 肯定。
「場所の特定はできおるか」
 否定。
「ふむ…まあ私に出来ぬのにおんしに出来るわけがなかろうて。近づけば器の判別は付くな?」
 肯定。
「分かった。おんしは自由に獲物を探して這い回れ。ただし、私の器を喰うな。そして器を見つけたら私に教えろ」
 肯定と疑問。
「何、力一杯体を震わせて叫べばよい。人間どもには分からずとも私や羽虫や…まぁあとは動物共も分かるだろう。良いな」
 肯定。
「私は禁止区域とやらの影響を受ける様子だから、これから北に向う。おんしは何事にも縛られず自由にせい。ただし器の事は忘れるな」
 肯定。

 奇妙で一方的な会話が終わると、彼女は北へ体をむけた。蟲は一礼するように体を曲げて、すれ違うと何処へと動き出す。

 ずるり。ずるずる。
 ずるずる。ずるり。

 (禁止区域、とやらに器が取り残されていた場合、自らが入って行けない上に動かせる羽虫だけではどうにもならないと危惧していたのだが、あの蟲がいれば平気であろう。複

数の人間と同時に対峙すれば危ないが、一対一ならばたとえ孵ったばかりでも負けやしないだけの力が蟲にはある)
 そう、独白して、人間の魔女に仮の身を置いている女王蜂は歩き出した。


<ミストレス>
現在位置・・・G-8、これから北へ
容姿…髪は紫、長め
所持品・・・ミストレスの冠、カウンターダガー(♀アサの遺品は拾わず)
備考…仮初の身(見た目はWIZ)だが、時々ミストレスの翼が背に現れる
備考…飛ぶ虫を操れる。蟲と話せる。器探しの協定?を結ぶ。
備考…GMの用意した体に入った(首輪ついた)ことで、各能力減退。
目的…「器」を探し出し、ついでにジョーカーを殺して山に帰る。

<蟲>
現在位置…G-8から獲物(人)を求めてどこかへ
備考…寄生虫。孵ったばかりだが力はそれなり。
目的…獲物を食べる。ミストレスの器を見つけたら知らせる。


寄生虫のイメージが、アルギオペの亜種という事でしたのでどうせなら強く…と、LADの青いアルギオペにしました。(…決まってなかったからいいんだよね?
RO内では召還として赤のギオペ二匹を呼び出せますが、今回は特殊状況下としてできないのか、まだ孵ったばかりで分からないのか、この先できるようになるのか、既にできるの

か…は状況と他の書き手の皆様にお任せします。
414名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 16:31:21 ID:dLueCekc
>>412
ハハハ、2006年の書き初めは頂いた!

>>413
蟲同士のやりとりとかすごく素晴らしいと思います。
某オームのように喋れないけど感情だけを伝えるギオベさま萌え。

ただ115話で夜の間にミストレスは羽虫によって♀アコを発見しているのでその辺の整合性をとらないといけない予感。

115話だとミストレスが夜に海岸で倒れている♀アコライトを発見。

器ではなさそうだったので無視。

朝になって♀アコライト移動。

ミストレス、ギオベさまと出会う

って感じになるのかな。それとも♀アコライトの体にミストレスがなにかをした後だったりとか・・・わくわく。
415名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/04(水) 17:04:49 ID:G0hFg1Ho
136.上等な肉


灯台の頂点。
今そこには、一羽の鷹がいる。
その鷹は弓を提げ、辺りを見回す。

―――さぁて、聞いた話しに間違いがなけりゃアイツが居るのはこの島だ。
とっとと行ってやりてぇのは山々だが、流石のオレサマも手掛かり無しじゃぁ見つけられん。
……そうだな。
島に残ってる物好きな同族から、色々聞いて回るとするか。

そして、鷹は灯台から西に向け飛び立ち。
一刻ほど飛んだところで、それに気付いた。

ッ!?

風を切る音。
聞こえた瞬間その鷹はそれが何による音かを直感し、それをわずかに視認するとすぐに回避行動を取る。
少しばかりの痛みが走り、頬を浅く裂いたのは一本の矢。


♂ローグは茂みの中から空に向けて弓を構える。
空には一羽の鷹。
正確に狙ったつもりだったが、その鷹は避けた。
自分の狙いが甘かったのかもしれないが。

「タダの鳥肉じゃねぇな……ハンターの連れか?」

朝から運が良い。
まともな肉にありつけるだけじゃなく、おまけに多少狩り応えもありそうだ。

「逃がしゃしねぇ……」

そう言い♂ローグは今度は矢を二本構え、引き絞る。


矢を放った者を鷹は見つける。
そいつがまた矢を構え、自分を狙っているのも。

戦る気か野郎ッ!
上等、オレサマに傷を付けやがった落とし前はつけさせてもらうぜッ!!

鷹はその者がまた矢を放ったのを見ると、急降下していった。
普段から矢は見慣れている。
ダブルストレイフィングであろうが、避けることなど造作も無い。


<♂ローグ>
<位置:I-6>
<所持品:包丁、クロスボウ、望遠鏡、寄生虫の卵入り保存食×2、馬牌×2、青箱×1>
<外見:片目に大きな古傷>
<性格:殺人快楽至上主義>
<備考:GMと多少のコンタクト有、自分を騙したGMジョーカーも殺す>
<状態:捕食目的でふぁると戦闘>

<ふぁる>
<位置:I-6>
<所持品:+2バイタルシュールドボウ[3]、リボンのヘアバンド>
<スキル:ブリッツビート スチールクロウ>
<備考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない。ツンデレ?>
<状態:不意打ちに憤り♂ローグと戦闘>
416名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 00:13:14 ID:4DtjN7MQ
412です。日付変わっちまった…。
>>414
すいません…115話の存在をすっぱり無視してますね…。
師走に書けなかった分話を忘れてると思って最初から読み直したはずなのに。
これからなんとか補完話を書きたいと思います。(多分414氏の流れになるけど)
もちろん、どなたか補完話を書いて頂けたらそれを135話とし、元の135をそちらとナンバーとっかえる形でも。
前回の話を無視してしまったのは私の方なので、135をNGでも良しです。

それから、持ち物にC帳追加ですねー。あと一人称を妾に修正…(この辺はWikiで)
新年早々アホミスすみません。指摘ありがとうございます。
そして、すっぱり飛ばして書いてしまった115話の書き手さんに謝罪を。

>>415
ふぁる頑張れ!♀ハンターのためにも!
前回の♂ローグには(♀クルセと私が)メロメロでしたが今回の悪漢っぷりもまた良し。
417名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 01:24:03 ID:x1.6R7Gk
つかさ、115話の後で133話で♀アコ何事も無かったかのように目覚めてるやん
それを考えるに単純に>>416だけのミスとも思えず……
つー事でこんなの考えてみたテスト

ミストレスは虫たちに言った。
「妾が探しておるのは人間ではなく器じゃ」
心なしかしゅんとしたように見える虫達。
「まあ良い、気にする出ないわ。さて、いつまでもこうしていてもしたかあるまい。先を急ぐとしよう」
てくてくと歩き出すミストレス。
歩き行く先に何やら人影が見える。
器の気配はしない。

てくてくてくてくてくてくぶしてくてくてくてくてくてく

さりげなく倒れている♀アコの顔を踏んでいるのだが、いっそ感動的な程にスルーするミストレス。
「空を飛べぬというのは不便な事よのう、足の裏とかに変な物とかついておらぬか?」
他の虫より一回り小さな虫がぶんぶんと返事をする。
「はっはっは、人菌えんがちょーだと? まったく何処でそういうのを覚えてきたのだお前は」
何が楽しいのかからからと笑いながらミストレスは歩き続けるのであった。
418本で読みたい ◆FaHONDuRUUsage :2006/01/05(木) 01:32:56 ID:u9DL33KY
>412
>417
ミストレスの一人称は我ですよー。
最初の登場でも我でしたから。

妾は、へりくだった言い方で対等と思う相手(ミストレスならバフォクラス?)でないとしないはずですし。
419名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 01:33:42 ID:u9DL33KY
・・・名前欄は見なかったことにして下さい。
420名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 01:38:07 ID:x1.6R7Gk
了解♪ まー私の方はただのネタなので内容に関してはするーっとスルーしてください

……す、するーっとするー(ぷっ、ぷぷっ)
421名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 07:57:24 ID:F282J/KU
>>416
まとめサイトの登場人物一覧の一番下を見てくれー
カード帖をミストレスは持っていないんだー。持ってる設定の方が誤植なんだー。

>>417
容赦なく踏みつけるミストレスさまに惚れた。
器以外は興味無いのね!
422名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 16:59:05 ID:KvqjWYTE
七冊目も目前ですね。

>>417
もうそれ135の前にくっ付けちゃって良いんじゃないか!
踏みつけるミストレス様が素晴らしすぎる。
423名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/05(木) 18:05:57 ID:xaD3t9sA
新スレ立てました、以降文章投稿はそちらへどぞー。

【殺し合いは】バトルROワイアル 七冊目【佳境へ】
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1136451356/


というわけでこちらは恒例の雑談コーナーと化します。

先日Google先生で バト-RO-ワ と検索をかけたところあの絵師さんを発見してしまいました。
♂商人のあのシーンを描いてた絵師さんです。
他にも描いてる人、いないかなぁ。
424名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/06(金) 17:26:37 ID:BdHg8//U
流れぶった切ってごめんけど、今のバロROワは何ゲーム目の、何スレ目から始まった話?
話書いてみたいんだけど、過去スレ全部読み直すのは骨が折れるので、
今回の話だけ最初から読んで現状把握したい。
425名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/06(金) 17:33:59 ID:BdHg8//U
そしてごめん、まとめWikiを侮っていた…ここ読めば十分じゃないか orz
とりあえず読んで来る、参加するか見送るかはソレから考えるので、
俺のことはいなかったものとして以後どうぞ
426名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/07(土) 03:39:54 ID:Fa13ayx6
ところで…まとめサイトのバナー広告にRMTサイトが含まれてるのはどうにかならないのか?
427名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/07(土) 04:38:17 ID:t.fuUpI.
>>426
対応方法は幾つかあるが非現実的(はちょっと言い過ぎだが)なので、
無理と思った方がいい。

言わなくてもわかると思うが、
Googleの広告はそのページに書いてある文字列から関連してそうな広告を自動で表示する。
で、このGoogleの広告は、wiki管理人がつけてるんじゃなくて、
atwikiと言うレンタルサービスを使用しててそのatwiki側がGoogleと契約してる。

そういう状況なので、解決策として
1. atwikiから別のレンタルサービスに変える
2. atwikiへRMT関連等の広告を表示しない設定にしてもらう。
3. GoogleへRMT関連の広告主との契約を破棄してもらう。
4. ROやRagnarokの文字列を使用しない。
以上の方法が上がってくる。

一番現実的なのは1か2で、
1については、移動先に寄ってはwikiのフォーマットが違ってて手間がかかったりする。
2.については、ECOのwikiで使用している所では、
報告すると報告された広告を表示しないように設定してもらえたりするが、
atwikiがそうしれくれるとは限らない。

3は言わなくてもわかるだろう。
4はページの編集に手間がかかる上に、「バトル RO ワイアル」等での検索に引っかからなくなる。

我慢するしかないだろうな。
428名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/07(土) 14:02:12 ID:UTcjF/Sc
広告文字列脳内自動削除機能が(長年のネッサで培われて)ついてるので気づかなかったよ。
>>427氏の言うとおり我慢する、が最善の予感。
429名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/08(日) 00:58:42 ID:W5VNp5Zk
>>426
自分も広告見てなくて気づきませんでした。
ちょっと酷いですね。選択肢2が可能かどうか、atwikiに質問してみます。
無理だった場合、そしてどうしても違法広告が気になる様だったら移転でしょうか。
一応使ってないライブドアのpukiwikiもありますが…あれは見た目があまり好きではなかったり。

>>423
wikiの「リンク元」からも結構探せますよ。ほとんどブログなどの紹介記事ですが…
430429sage :2006/01/08(日) 01:19:57 ID:W5VNp5Zk
と、意気込んでみたものの残念な報告です。
atwikiの要望板を見た所、やはりオンラインゲームのwiki管理者さんの中で
違法広告関連で既に運営側に行動した方がいたのですが、その方の結果は
運営側「排除しない方針、直接Googleと交渉してほしい」
Google「ウェブスペース提供者(=atwiki)に問い合わせてくれ」
とのことで…見事なたらい回しループが。
おそらくその後話は動いてないようなので無理そうです。すんません。
431名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/12(木) 11:11:56 ID:pYZ6QxuI
>>417はまとめサイトの番外編に追加しておきましたー
本編も137まで更新完了しましたので修正されたい書き手さん、よろしくお願いします。

寒さで筆が進まないかもしれませんが、がんばっていきましょー!
432SiteMaster ★sage :2006/01/12(木) 22:28:30 ID:???
>>431
お疲れさまです。

そろそろ、このスレ落として次スレに移行します?
それとも埋まるまで待った方が良いですか?
433名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/13(金) 22:38:08 ID:aHa2y2eY
埋めついでに私がROワ第一回が続いている当時に、「アタシも最初から参加したかったよチクショウ」って書いたモノを上げてみてもイイですか?
キャラ初登場モノなので何が何でもNGです。
…ちなみにROワ2始まったら投稿しようと思ってたらファイルをどこに置いたか忘れて、年末のPCデータ整理で発掘されたものです。
434名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/14(土) 09:30:17 ID:VbDDcIJQ
>>433
無問題っしょ?
投下を希望いたしますぜ。
435名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2006/01/17(火) 08:05:08 ID:MIOekKBY
>>434
ありがとう、落とすなら今!


 冗談じゃねぇ…殺し合いなんか!
 最初、告げられた時からずっとそう頭の中で悪態をついていた。
 彼は拳で戦うもの、モンクだったが、生粋の騎士・クルセイダーやアコライト・プリーストのように平和でないといけないと思っているわけではない。まったくもって。
 人が倒れるのを見ていたくなくてアコライトになり、弱い力・防御ゆえに後ろで守られるのが嫌になって鍛え、モンクになったのだ。
 なので、PvPやGvGで殴りあったりするのはキライじゃない(向いているタイプではないが、好きだ)し、モンスターを倒すのは生業だし倒してきたからこそかなり高レベルにまでになったのだ。
 職業アサシン(暗殺ギルドやPvPナイトメアルーム常連ギルドに所属する人達)に狙われた事もあったが、返り討ちにして殺さずに生きてきたのだ。

「あーあ…GMなんぞの意図に乗るのも癪だが…だからといってあっさり殺されるのもなあ」
 仲間を見つけてアコライトのように支援するもよし、なにか信条があって行動しようとしてるヤツに付くのもいいだろう。……この状況でそんな行動をしようとしているやつがいるかどうかは別として。
 誰かと接触するまでにいろいろ考えるとして、とりあえず支給品を開けるためにも落ち着ける場所……というか、この砂漠特有の強い日差しをしのげる場所にいこう。
 実世界と同じならば、すこし東へ移動すればフェイヨンの周りに続く森の北の方にでるはずだし。
 と、思いながら東へ歩いて30分も立たないうちに、涼しげな森が見えてきた。
 ほっと一息ついたその瞬間、

「あ…あの!」

 声をかけられた。
 ギクリと見をよじって後ろを振り返りつつ距離をとるように三歩後退、移動前に練っていた気孔がすでに四散しているのを見て直ぐに出そうとしてよく相手をみると、
 ♀ノービスだった。
 戦闘体勢を取られたのをみてかビクッと身を縮ませているのを見て、ほほえましくなって緊張を解く。

「あー、っと。ごめんごめん」
 そう言って体裁を繕う。
「あの…あなたは、コレに乗ってるひと、ですか?」
「まさか!」
 ♂モンクがありえないというように力強く即答するのを見てか、♀ノービスはほっとしたように肩の力を抜いた。
「仲間みたいなものでも見つけようかと思ってる所でね。とりあえず日陰にいかないかい?ここは暑くて…」
「あっ、はい」


 手ごろな窪地を見つけ、二人して腰を下ろす。
 冒険者になるのが遅かったのだろうか、目の前の♀ノービスは一般的なノービスよりもやや年上に見える。成長の早い冒険者ならそろそろ二次職になれるほどの力をつけているくらいの歳に見えた。
 ♂モンクよりは結構下ではあるが……つまり、思春期すぎくらいの若い子だった。体のくびれもしっかり出ていて、頭につけた子供っぽい感じの紫色の小さなリボンとノービスの衣装がアンバランスだ。
「そのリボンは、箱から出たのかい?」
「そうなんです。もう一個の方はワンドが入ってて…装備ならできるけど、マジシャンじゃないから上手く使えないし、すぐに折れちゃいそうだし…まだあんまり力も鍛えてないし」
 見れば、腕の筋肉のあたりも同年代の町娘とほとんど変わらないように見える。体力・持久力もまだとくには鍛えてないのだろう、避け型のようなすばしっこい感じがする。

「そう、俺はまだ空けてなくてね、砂漠に落とされたからこっちの方に着てからあけようと思って」
「私も、♂モンクさんより少し北のあたりに落ちたみたいです。砂漠の真ん中だったけど…何していいか分からなくて開けてみたんですけど」
「まあ、そこで装備できないような高位武器とか両手剣がでるよりはまだ運がよかった方だって」
「うふふ、じゃあ、♂モンクさんも運試しですね」
「ああ…刃物は出ないといいんだがなぁ」
 そう言ってまず大きい方の箱を開けた。

「スマッシャー、か。使えるけど…なんかマイナーな鈍器だな」
「でもほら、使えない物よりいいじゃないですか〜」
 先ほど♂モンクが言った事を繰り返し、食料の袋に手を伸ばす。
「砂漠って、あんまり来たこと無かったんですけど…水分欲しくなっちゃいますね。水筒も入っててよかったあ」
「ああ、これからどこに移動するにしろこっからだと砂漠を通るルートが多いから、あんまり飲みすぎると…」
「あっ…そうですよね。やっぱり経験積んでる人って、強いだけじゃなくてそういう事も分かるんですよね…」
 ふう、とため息をつく姿は、経験の浅い自分が上位職に勝てるわけが無いと思っているように見えた。
 ♀ノービスが横倒しになっていた食料の袋に水筒を入れたとき、反動でか林檎が飛び出てころころと転がる。
「あっ!」
 あわてて手を伸ばすも一瞬遅く、そのまま♂モンクの横を横切って後に転がって止まった。
「あ、とるよとるよ」
 腰を浮かせた♀ノービスを静止して後を振り返り手を伸ばす。

「よかった、草の上しか転がって無いから皮をむ…」

 どごっ、と鈍い音がして、すぐ後に木が折れるようなバキッという音がした。
 同時に頭にものすごい痛みが走って♂モンクは拾った林檎を握ったまま崩れ落ちた。

 薄れ行く視界と意識の中で、最後の力を振り絞って首をねじると、殴られた頭から全身に激痛が走る。
 しかし、そのかいあってか自分を殴り殺してた人物の顔を見ることができ、そして意識は完全に堕ちた。

「エタノビ、なめんなよ」

 ♀ノービスは、今のたったの一撃で折れて使い物にならなくなったワンドを投げ捨てて、舌をチョロりと出した。

 …そもそも。
 かなりの高レベルであった♂モンクが背後からとはいえ、声をかけるまで気がつかれないなどありえない。
「アタシの方が少しレベル高いみたいだけど…魔力も鍛えたり、当てるため以上…詠唱のために技を鍛えてるようなアンタとは力だけじゃなくて素早さも違うのよ。
 ああ、スマッシャーなんて出してくれてアリガト〜。ワンド壊すまでに新しい武器が欲しかったけど…一発目からなんて、ほんとアタシってついてる」
 そう言ってこときれた♂モンクの頭を足で小突き、スマッシャーを腰にかけ、♂モンクの食料袋から自分のと合わせて二人分に見えないだけ…やや多めに入っていた程度に見えるくらいに抜き取る。
「さ、ちょっと移動して…この開けてない箱でも開けようかな」

 手早く荷物をまとめた♀ノービスが去った後には、中身の減った食料袋と折れたワンド、そして♂モンクの死体だけが残っていた。
436512KB :Over 512KB data
このスレッドは512KBを超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

全部 最新50
DAT2HTML 0.35e(skin30-2D_2ch) Converted.