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【殺し合いは】バトルROワイアル 三冊目【尚続く】

1名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/06/14(火) 13:15:05 ID:GoRhZSK2
ここはどんなスレ?

各職男女と無作為に選ばれたROのキャラクターが
生き残る為にバトルロワイヤルする様子を描いた
リレー小説を扱っているスレッドです。

ルールってあるの?

書き手と読み手に対するお願いならあります。
以下、まとめサイトから要点抜粋+α。

・登場人物

登場人物は各職男女一名+特別枠13。
スパノビ及び、転生職は除外で。
出演者は、全員GM謹製呪いの首輪をつけています。
特別枠の残りは二人です。

それから、特別枠に付いては
基本的に何でもあり、ですが
ボスmobなど、余りに一般職とかけ離れた能力の方は
首輪によって能力が、一般参加者と同程度まで落ちています。

・書き手編

書く前に纏めサイトで、作品の流れを把握して下さい。
次に流れの中での作品の位置づけは、
基本的に早いもの勝ちとします。
競り負けても泣かない。
但し、荒らし煽りの類はこの中に含みません。
(何の前触れも無く心臓麻痺など)
それから、一人の書き手が余りに連投を続けるのはイクナイ!!
暫くの間、誰かが書いてくれるのを待ってみましょう。

そして、本文の内容についてですが
RO内設定というよりむしろ、文章での説得力が重視されます。
但し、リレー小説という形式上、何よりまず
キャラクター間でのバランスを登場する物品などで
崩し過ぎないようにしていただけると幸いです。

又ヒール、サンク及び魔法の類は、その効果が制限されています。

最後に、書き手の方は、
登場人物を一人の人間として扱っていただけると幸いです。
また、現段階ではコテハンを名乗るのはご遠慮ください。

・読み手編

(以下、まとめサイトからのコピペ)
叩き荒らしは華麗にスルーをお願いしたい。
釣られる事なかれっ。

面白い、と思ったときには積極的に感想を。
読み手の活力になります。
これまでの粗筋、キャラクタ状態を纏めたテンプレや、
妄想爆裂の書き込み、絵等、ポジィティブな物は大歓迎です。

もちろん、読み手から書き手への転進も歓迎します

・まとめサイト
ttp://wiki.spc.gr.jp/battleROyale/

・前スレ
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1115984857/l50

・萌え板全体のルールは此方
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/
2名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/14(火) 17:04:18 ID:U8CBbVo.
華麗に2GET
3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/14(火) 18:52:03 ID:suKjcMy.
スレ立て乙です
そして華麗に3GET
4名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/15(水) 00:52:30 ID:eU/U5zD2
書き手として、新規に参加したいと思いの方は「まとめサイト」のルール等を熟読お願いします
それでは、がんばっていきましょう。
5名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/15(水) 01:24:49 ID:XHZ4q6P2
スレ立て乙カレ様ですー
華麗に5GETして今日は引っ込みまs
6名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/15(水) 02:06:57 ID:ORGEFLwM
新スレ一発目、色々あったけど新作投下を考えてますが……
その、よろしいでしょうか?
先に解決すべき問題、残ってましたでしょうか?
7名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/15(水) 12:11:14 ID:6aMAxUbw
多分、差し替え版で♂プリの進行方向に関する問題は解決した筈…

後、書き手の皆さんにこれは提案なんですが、これから先、
各キャラクタは大まかな動きだけ示して、
余りマップを過剰に意識しないことにした方がいいかも、と言ってみる。
8名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/15(水) 21:51:42 ID:ORGEFLwM
186 二律背反

♀騎士とドッペルゲンガーの二人は一路プロンテラを目指す。
そこにGMが居るという根拠は何一つ無い。だが、他に何も手がかりが無い以上、人の集まりやすい目立つ場所を目指す以外のやり方を二人は思いつけなかったのだ。
二人ともそもそもおしゃべりなタチではない。ましてやあのような事があったばかりだ。
砂漠を歩きながら話す話題は、自然と実用一辺倒な内容となる。
「ドッペルゲンガー、今残っている人間の中でこのゲームに乗っている人間はどれほどいると思う?」
「そうだな、あのハンターをしとめた者。これで確実に一人。残りは予想に過ぎないが……」
指折り数えるドッペルゲンガー。
「直前の放送で殺された9人の内、三人はハンターが、そしてハンターを殺した者が一人。残る五人が前々回の放送からの間で殺害されたという事であるから……」
♀騎士が考え深げに口を開く。
「ハンターともう一人が残り五人を全て殺したと考えるのは不自然か……少なくとももう一人二人ぐらいはいそうだな」
そこまで言って微笑を浮かべる♀騎士。
「もちろんハンターが戦いを挑んで破れた可能性もある。その者がゲームに乗っているか否かはまだわからない。楽観する気は無いがな」
ドッペルゲンガーは深く肯く。
こんな話をしながらの旅であるが、実は快適とは程遠い旅であった。
容赦なく照りつける日差しに、熱せられた砂を踏みしめながらの移動。
特に砂漠の砂の異常な高温には、二人とも口には出さないが随分と消耗させられていた。
だが、だからといって油断していた訳では決してない。
単に、予想すら出来なかっただけである。

突然砂漠の砂の中から手が伸び、♀騎士の足を掴んだ。
「何っ!?」
その手の主は♀騎士の足を掴んだまま砂中から立ち上がり、逆さ吊りになっている♀騎士を力任せに振り回した。
よもや、熱せられた鉄板もかくやという熱砂の中に人が潜んでいるなぞ想像の外だ。
ドッペルゲンガーが何をする間も無く、♀騎士は砂丘の下へと放り投げられる。
ツヴァイハンターを構えてドッペルゲンガーはそいつを睨む。
「……ブラックスミスか。ハンターを殺したのも貴様か?」
全身に熱傷を負っている♂BSは置いてあったブラッドアックスを拾うと、咆吼を上げてドッペルゲンガーに襲いかかった。

♀騎士は勢いよく砂丘を転がり落ちる。
「くっ! ……おのれっ!」
全身砂まみれになりながらも両手を伸ばして回転を止め、すぐに立ち上がると砂丘を駆け上がる。
砂に触れた素肌が焼けるように熱い。
「あやつ正気か!? あの状態でいつから私達を待ち伏せていたというのか!」
無形剣を抜き、砂丘を登りきるとそこでドッペルゲンガーは♂BSと対峙していた。
既に♂BSの斬撃を受けているドッペルゲンガーは息も荒く、その体から流れる血が足下の砂を黒く染めていた。
♀騎士は♂BSに駆け寄り、背後から無形剣を振るう。
♂BSはまるで背後に目でもあるかのごとく、その攻撃を体捌きだけでかわすと振り向きざまに♀騎士にブラッドアックスを振るう。
それを無形剣で受け止める♀騎士。
『なんだこの力はっ! 本当にこれが人間の力か!?』
体勢を崩されないでいるので精一杯の♀騎士。
そんな♀騎士にドッペルゲンガーが苦痛に耐えながら言う。
「……気を付けろ、そやつに剣は効かぬ」
♀騎士は♂BSと鍔迫り合いをしながら、♂BSを観察する。
『ドッペルゲンガーの剣がきかない? ……ロングコートに何かカードでも?』
しかし考えている余裕は無かった。
かみ合った無形剣とブラッドアックスを♂BSは手首の回転だけで簡単に外し、♀騎士の肩口目がけてブラッドアックスを振り下ろす。
♀騎士はそれを一歩下がってかわそうとするが、かわしきれずにブラッドアックスの先端が♀騎士をかすめる。
しかし、♀騎士もやられっぱなしではない。
振り下ろされたブラッドアックスを上から足で踏みつけてそこに体重をかけて地面に埋め、自身はその状態から♂BSの頭頂目がけて剣を振り下ろす。
♂BSは♀騎士の足の下にあるブラッドアックスを半回転させながら真横に抜き、♀騎士の体勢を崩しながら左によける。
かわしざまに♂BSは♀騎士の足めがけて低くブラッドアックスを斜め上に振り上げる。
剣をかわされた♀騎士は、そのまま流れるようなスムーズさで無形剣を自身の足下に持っていき、ブラッドアックスの斬撃を受け止める。
瞬時にブラッドアックスの持ち方を変える♂BS。
柄の真ん中を持ち、斧ではなく柄の先端の方を♀騎士の胴に叩き込む。
『ぐっ!?』
一瞬息が止まる♀騎士。
♂BSは短くもったおかげで振り上げの早くなったブラッドアックスを肩の高さまで円を描くように振り上げ、♀騎士の肩口に撃ち込む。
今度こそその斬撃は♀騎士を捉え、♀騎士の肩から血が噴き出す。
しかし、♂BSはすぐに♀騎士との距離を取る。
♀騎士も同時に♂BSから距離を取り、両者の間で数メートルの間合いが開く。
♂BSは自分の体を見下ろすと、腹部側面から出血している事に気付いた。
♂BSの斬撃と同時に♀騎士の剣も♂BSの体を捉えていたのだ。
突然、♂BSは喜びの表情を見せる。
「……俺を……殺してくれる……お前なら……」
念属性の無形剣はゴーストリングカードの効果を受ける♂BSにも効果的な攻撃が可能なのだ。
しかし♀騎士は戦慄を禁じ得なかった。
『なんたる膂力、そしてなんという技量とスピードか……まともに打ち合っては勝負にならぬ!』
たったの数合打ち合っただけだが、彼我に工夫のみでは越えられぬ技量差がある事に気付く♀騎士。
♀騎士は戦い方を変える。
無形剣を中段に構え、♂BSの一挙手一投足に全身の神経を集中させる。
そんな♀騎士の様子にも♂BSは構わず、全力の打ち込みを挑む。
上段から振り下ろされるブラッドアックス。
♀騎士はそれをフットワークで横にかわしざまに、上から振り下ろされるブラッドアックスに向かって無形剣を振り下ろす。
驚異のスピードを誇る♂BSの打ち込みではあるが、得物の重量差のせいかその振り下ろしの速度は無形剣の方が速い。
甲高い音を立ててブラッドアックスに当たる無形剣、そのせいで目標を失っているはずのブラッドアックスは♂BSの意志とは裏腹にそのまま振り下ろされてしまう。
そしてその跳ねた反動を利用して♂BSの首を横凪ぎに狙う♀騎士。
首をよじって、かわそうとする♂BSだったが、その切っ先は頬を深く切り裂く。
顔面の右側、そして歯の数本ごとえぐり取られる♂BSだったが、痛みを感じていないのか、そのまま攻撃を続ける。
今度は真横からブラッドアックスを振り抜こうとするが、♀騎士は無形剣をブラッドアックスの刃にひっかけて、その力の向きを器用に斜め上に向けると自身は軽くしゃがむだけでそれをかわす。
そしてブラッドアックスを跳ね上げたその状態の無形剣を♂BSの首に向かって突き刺す。
攻撃を避けるのと攻撃とがほぼ同時に行われているのだが、♂BSはそれを身体能力の高さを駆使してなんとか急所直撃だけは避ける。
代りに深く肩を突き刺され、流石に怯む♂BS。

オートカウンター。これは騎士に伝わる技術で、極限まで集中力を高め、訓練に訓練を重ねた型を無意識になぞる事で本来の技量では受け切れぬ攻撃を捌き、同時に攻撃をしかける技だ。

しかしこれには莫大な集中力を要する為に、この状態をいつまでも続ける事は出来ない。
そして♀騎士は既にその限界が近くまで来ている事を自覚していた。
『これ以上は保たぬっ!……ええい、ドッペルゲンガーは何を……』
ちょうど♀騎士の視線の先、♂BSの背後にドッペルゲンガーは居た。
地に倒れ伏し、夥しい出血で意識も失っているように見えた。
♂BSと対峙してるせいで動けない♀騎士は念話にて確認を試みる。
『どうしたドッペルゲンガー! 傷が深いのか!?』
僅かな間の後、ドッペルゲンガーから返答が来る。
『……私は最早これまでだ。逃げろ娘よ……そして同胞を集め、復讐を…………』
そこまででドッペルゲンガーからの念話は途切れた。
♀騎士は考える。この強敵相手では逃げ出す事すら難しい。
そしてすぐに♀騎士の思考はいかにして逃げるかの策を考え、そして結論を出す。
ドッペルゲンガーに最後の力を振り絞らせ、♂BSがそのトドメを刺している間にこの場を去る。
瞬時にそこまで考えて♀騎士は愕然とする。
『ばかなっ!? 何故私がこのような事を……魔の血の影響か!?』
残った人としての感情と魔物としての理性が争う。
9名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/15(水) 21:52:32 ID:ORGEFLwM
その頃、♂BSもまた自らと戦っていたのだ。
『俺は死にたいんだ! なのに何故刃をよける!? 何故有利に戦おうとするんだ!?』
だが、♂BSの心の底からわき上がってくる声。
『コロスコロスコロスコロスシニタクナイコロスコロスコロスシニタクナイシニタクナイ……』
それはいつからか見知らぬ誰かの声ではなくなっていた。
『なんでまだ死にたくないんだ! もう俺は生きていたくないんだ!』
『シニタクナイ、シニタクナイ、シニタクナイ、シニタクナイ……』
それは動物としての本能。理性が歪められ、感情はその発露を妨げられ、その下に残ったそれが♂BSの行動を支配する。

♀騎士からの念話が飛ぶ。
『ドッペルゲンガー。それで最後ならば、その場に立ち、私が逃げるまでの時間稼ぎをしろ。出来るか?』
ドッペルゲンガーは即答する。
『了解した。娘よ、幸運を祈るぞ』
ドッペルゲンガーが王の誇りを支えにその場に立ち上がる。
凛とした顔でツヴァイハンターを構え、息を大きく吸い込む。
「下郎! このドッペルゲンガーが貴様の相手だ! 命を賭けて向かって来るが良い!」
王の気概、瀕死の淵にあってなお衰えないその気迫を、♂BSは無視する事が出来なかった。

ドッペルゲンガーの方を振り向く♂BS、それを見た♀騎士は膝が震えるのが自分でもわかった。
そして♀騎士の理性は、最後の最後で感情に負けた。

「嫌ーーーっ!!」

♂BSに後ろから斬りかかる♀騎士。
それは♂BSを斬り捨てる事が目的の斬撃ではなかったので、簡単に避けられる。
そのまま♂BSの横を駆け抜け、ドッペルゲンガーに抱きつく♀騎士。
それを受け止める力はドッペルゲンガーには残っておらず、二人は重なり合ってその場に倒れた。
「何をっ!?」
「もう嫌だっ! 絶対に嫌だっ! あなたが死ぬのなんて私は嫌だっ!」
「馬鹿な! 私はもう死ぬのはお前にもわかろう!」
「私が守る! こうして抱きしめて、もう誰も殺させたり……」
♂BSのブラッドアックスが♀騎士の背中に突き立つ。
「あうっ! ……ほら、死なない……私は案外にタフ……」
二度目の攻撃。
「はあっ! …………やっぱり、死なない……だから、大丈夫。……今度……アイツを連れてくるよ」
三度目。
「っ!! …………馬鹿だし、ロクな事言わないが、根はすごい良い人……」
次の一撃で♀騎士の命は尽きる、そうドッペルゲンガーは判断した。
そしてドッペルゲンガーは最後まで王たらんとする。
王は決して勝利を諦めない。
「……ごめんなさい…………おとうさ」
♂BSの四撃目、それをドッペルゲンガーは覆い被さった♀騎士の体を持ち上げながら受け止める。
ブラッドアックスが♀騎士の肩胛骨を砕き、胸骨で止まるのを確認すると、♀騎士の腕から無形剣を奪い♂BSの腹部に突き立てた。
まともに急所に入った♂BSは、よろめき、後ろに倒れ込む。
「命を賭けろ……そう私は言ったぞ」

『シニタクナイ、シニタクナイ、シニタクナイ、シニタクナイ……』
♂BSは懐から最後のイグドラシルの実を取り出し、口にする。
『頼むっ! もう俺を死なせてくれーーーー!!』
♀騎士、そしてドッペルゲンガーが死力を尽くして与えた傷が癒えて行く。
『みんな殺されるような事何もしてないじゃないか! 何よりあの人をこの手で殺した俺が、なんでこうまでして生きていられるんだよ!』
それでも体は起きあがって武器を持つ。
『頼む……もう止めてくれ……頼むよ』

ドッペルゲンガーはそんな♂BSを前にしても怯むそぶりすら見せない。
王の矜持を胸に、剣を手に、♂BSを睨み付ける。
そして異変に気付いた。
「……何故、泣くか人間?」
ブラッドアックスを降ろし、涙を流しながら♂BSはかすれる声で言った。
「俺を、殺して、くれ」
全身を震わせ、何かを堪えるようにそう言う♂BSを見て、ドッペルゲンガーは静かに言う。

「すまんが、ちと遅かったな……」

その言葉を最後に、ゲフェンの魔王は誇り高く剣を構えたその姿勢のまま、長い生涯を終えた。


<DOP 死亡 現在地/砂漠の分岐 ( moc_fild01 )所持品/ツヴァイハンター・小青箱 備考:♀騎士と魔族での血縁関係となる。打倒♀GM秋菜>
<♀騎士 死亡 現在地/砂漠の分岐 ( moc_fild01 ) 所持品/無形剣(念属性、敵の精神を崩壊させると言われている)・コットンシャツ・ブリーフ 備考:DOPと魔族での血縁関係となる。♂騎士の仇、♀GM秋菜を討つ目的を持つ 精神的に♂騎士に依存>
<♂BS 現在地/砂漠の分岐 ( moc_fild01 )所持品:ブラッドアックス、ゴスリン挿しロンコ、♀BSの生首、スマイルマスク→破損>
10名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 00:09:15 ID:QGporO1c
7氏
過去スレ読み返して、場所を意識しない問題が、どんなのだったか。
それを認識した上で「あまりMAPを意識しない」なんていうなら
これからMAPの全ての不具合修正をやってくれな。
今回の修正騒ぎだって、書き手がMAP確認しなかったから起きた問題なのに、
日も浅いうちによくそんなこと言えるな・・・・・?
11名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 08:12:05 ID:bi2/f4Gc
>>10
7氏に対しての意見には同意だが
>今回の修正騒ぎだって、書き手がMAP確認しなかったから起きた問題なのに
全面的に書き手が悪いような言い方をしているがそれには同意しかねる
今回の修正騒ぎはたしかに書き手のミスかもしれないが、ここまで騒ぎが大きくなった要因は10日以上もその問題点が浮き彫りにならなかった点にもあるのではないか?
書き手にそれ相応の物を求めるのであれば読み手もまた感想なり矛盾点の指摘なり投下された作品に対して真摯であるべきではないのかね?
1210sage :2005/06/16(木) 10:20:58 ID:QGporO1c
あまりなこと言ってるから、ちょっと言い方がきつくなってしまったね。それは謝る。すまない。

個人的事情であれだけど。前スレにも書いたけど。しばらく一週間強スレを見れなかったんだよ、オレ。
そしてやっとスレを見れるようになって、楽しみに開いたらあの騒動がすでに始まってたんだ。
10日以上放置されていた間、ここを見てないので。そういう意味では口を出すべきじゃなかったのかな。
137sage :2005/06/16(木) 10:50:57 ID:ogvDG4Gc
いや、貴方は悪くない。
俺が口に出した事は責められるのが当然であって、貴方が気に病む必要は無い。
俺の方が引っ込めばそれですむから。

前スレ562を見て脊髄反射してしまった俺が責任とればいいだけだから。
どうか、気にしないで欲しい。おながいします。
14名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 12:10:59 ID:ya3/VYKQ
まとめWikiのストーリー更新しました。細かな確認とメンバー情報は帰宅してから。

PC修理に出していた間に大きな騒動があったみたいで…。
トホ
15名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 14:17:45 ID:RO5Tam4U
>>8
なんとか♂BS倒せそうな有力候補PTが!しかもあの化け物様体力全快してるしどーなっちゃうんだろう
でも最後に昔の♀騎士が見れてよかたよー可愛いよー

でも気になったのが…イグ実ってもともと1個しかないんじゃなかったっけ
「最後の」ってのは?他にもいろいろあったの?
16名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 14:44:52 ID:IfAwx2iU
>>15
確か、モンクが阿修羅二回は撃てるって言ってたから二個もってるってなったのかも?
そういやゲーム内ステータスだとゴスリンCって念いくつになるの?
ヘタに念4とかだったら誰かが無形剣拾わない限りマジで誰もBS倒せなくなる…

あと書き手の人で遭遇→死亡まで書ききる人がちょっと多い気がする
遭遇→小手調べくらいまででいっぺん止めて次の結果は他の書き手に任せてみるとかしてもいいんじゃないか?
前スレでも誰か言ってた気がするけど、書きたいことの半分くらいでぐっとこらえて

それと前スレ う め な い か
17名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 16:23:58 ID:3QU8A21c
カード効果の属性Lvは1だと思った
それと、ゴスリンが強いって言っても属性攻撃なら普通にダメ与えられたりするかと
無属性攻撃も効かない訳じゃないので書き手次第で♂BSは沈むでしょ、たぶん。
18名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 16:35:02 ID:gmLqYaug
そのための伏線のクリブルも忘れないでください(´;ω;`)
19名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 16:41:33 ID:TZtPemnk
>>8-9
良い戦いを見せて貰いました。GJ

イグ実は確か2個有りました。
♂BSに関しては体力的には全快してても明らかに消耗してきてる部分は有ると思う
腕が無くなったりあちこち損傷してきてる筈だし。
あとGM側の精神操作にも限界が有る様にも見えるし(>>9
その辺をどう生かして倒されるのかが非常に楽しみだったりします。
もしくは倒されないで生き残っちゃうのも一興。
20名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 17:51:55 ID:ogvDG4Gc
投下する前に纏めサイトを拝見中、♀クルセの持ち物に、
♂ローグにわたったはずのスチレがまだ混じってたので、削っておきました。
21名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 18:16:39 ID:ogvDG4Gc
185 再び、道の上を〜side ♂プリースト

「無茶をしやがって…」
 昏睡から立ち直った♂プリーストは、彼と入れ替わる様にうつぶせに地面に横たわった♀セージを見ながら、一言そう言った。
 赤い。♀セージの状態を一言で言うなら、そんな状態だったからだ。
 背中には真一文字の傷跡。よくああも平気な顔で歩いていられたものだ。
 素人目に見ても、随分深く切り裂かれているように見える。

 幸い、先程のなけなしのヒールが功を奏したのか出血はもう止まり、かさぶたになって張り付いている。
 しかし、もしあのまま誰も気づかなければ遅からず手遅れになってしまっていただろう。

「すまない」
「いや…構わないよ。あんたが、一体何考えてたのかも判ったしな。
正直言うと…俺、あんたの事疑ってた」
 舌の上に、何となくばつの悪さを転がしながら、♂プリはそう答えた。
 弁明が出来なかった訳だ。疑っていた自分が恥ずかしくなってくる。
 最も、それで♀アサシンの死という事実が変わる訳では無いが…それは、今は引っ込めておこう。

「疑わない方がおかしいだろうさ」
 ほんの少し、陰りを横顔に浮かべながら、♀セージは言った。
 しかし、それも一瞬。伏せたまま居住まいを正すと、言葉を続けた。

「何をじっと見ている。傷の手当をするんじゃないのか? 汚れを拭いて包帯を巻くだけだろう」
 そうだ。幾ら、ヒールで傷口は半ば癒着したとは言え、そのまま曝しておくわけにも行かない。

 …何となく、悪戯っぽい顔なのは気のせいだろうか?
 フフリ、と♀セージは笑う。いいや、気のせいでは無い。

 一瞬、彼が苦悩していたその時だ。後頭部に軽い衝撃が走り、♂プリーストは前のめりにつんのめった。
 振り向くと、軽蔑一割、嘆きが一割、憤激が…ともかく、そういった感情がない交ぜになった表情でクルセが此方を見ていた。
 手には海東剣の鞘。…どうやら、それで小突かれたらしい。

『服の袖を寄越せ。私がやる』
 もう片方の手で、♂プリに示した記帳には、そう殴り書きが記されていた。
 何となく顔が赤い。彼とは違って、生真面目な性分らしかった。

「わ、わかったわかった。直ぐに巻いてやるよ」
『OK、クルセさん。言い分は判ったから、小突くのは止めてくれ』
 ♂プリは地面にチェインの柄で返事を書きつつ、一方の口には、てんでちぐはぐな事を喋らせる。
 そうして、後をクルセに任せると、少し離れた場所に座っている♂アーチャーの方へと歩き出した。

 …

「あ…」
 一瞬口を開きかけた弓手を片手で制すと、♂プリーストはどっか、と彼の隣に腰掛けた。
 手にしたチェインで、石畳が剥げ、土の露出した地面に文字を書く。

『俺は今、セージの手当てしてるって事になってるから』
 ♂アーチャーは頷き、それから鞄から矢を一本取り出すと何事か書き始める。

『うまくいくんでしょうか…』
 その手が、震えていた。
 不安そうな顔で、♂プリーストを見ている。

『そりゃ、お前。巧くする他無いだろ』
 さらさらと書くが弓手は納得しがたい顔で。

『でも、俺は今まで何も役には立てなくて…正直、不安なんです』
 そこまで独白を聞いてから、♂プリーストは少し考え込む様な顔をする。

『…どうしたんですか?』
『あー、いや、な。お前がどうしてそんな事考えてるのかについて考えてたとこ』
『なっ…俺、別に変な事考えてたりはしませんって』
『それはそうなんだろうけどな』
 溜息交じりにしみじみと言う。

『俺は説法が得意じゃないから、手短に言わせてもらうぜ?』
 弓手は、憮然とした顔のまま返事を返さない。

『例えば、だ。冒険者が組むPTってのは、誰か一人が活躍してりゃいいってもんでもないだろ。
一人が活躍したけりゃ、ソロでやりゃいい。でも、俺達はこうしてPTを組んでる訳だ。それはどういう訳だ?』
『生き残るため…?』
『OK,方向性はあってる。でも、それだけじゃ足らない』
 ♂プリの言葉に、再度アーチャーは首を捻りながら考える。

『…判りません。それに、それが俺の考えてる事に何の関係が?』
『俺の予想は大当たり、って感じだな』
『あんた、何が言いたい?』
 ずれた回答に、苛立たしげな視線を弓手はプリーストに向ける。
 しかし、構わずプリーストは言葉を続けた。

『俺達それぞれが出来る事なんて限られてるってことだよ。俺も、セージの奴もクルセさんも』
 そこまで言ってから、じっと弓手を見据える。

『勿論、お前もな。──多分、自分の無力さを悔やんでたんだろ?』
 図星だったのだろうか。反論が無い事を確認してから、更に言葉を続ける。

『ま、かく言う俺もいろいろと、な。悔やんだり悩んだりしてるからよ。
その時々で、状況に対して無力だったりするのは何もお前だけじゃないぜ。ええくそ。何言ってるのか良く判らないな…兎も角』
 ぐしゃぐしゃと頭を掻いた。

『そんなに気に病むなよ? こいつは俺の自論なんだが…PTってのはさ。それぞれのメンバーが、
最大限自分に出来る事をやってる限り簡単には瓦解しないもんさ。俺は、お前が出来る事を精一杯やって欲しいのさ。
…俺はお前の事、頼りにしてるからな、アーチャー』
 そう言いつつも、脳裏には一つの風景が浮かんでいた。
 あの時だ。♀アサシンが死んだあの時。俺は…自分の言葉通りに行動出来ていたのだろうか?
 自問すると、自分の言葉が酷く説得力を欠いているようにプリーストには感じられていた。

 俺に、本当にこんなことを言う資格があるのだろうか…?
 そんなことを考えていた、その時だった。考え込んでいた様子だったアーチャーが顔を上げる。

「プリーストさん。俺は…」
 しまった。表情に出ていたのか?
 声を出して会話をしようとする弓手を咎めるより早く一瞬、そんな事を考える。
 しかし、予想とは裏腹に、迷いが晴れたのか晴れやかな顔で弓手は彼を見ていた。
 …プリーストはその様子に、浮かんでいた考えを振り払う。
 そして、人差し指を立てて口に衝立を掛けるようジェスチャーを示した。
22名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 18:17:26 ID:ogvDG4Gc
 しぃっ、言いたいことがあっても喋っちゃいけない。
 心にスティレットを突き刺したら、そいつは墓の下まで持っていかなきゃいけない。
 喋ったら、きっと心が弱くなっちまうからな。

 ふと、好きでよく読んでいた小説の一説を思い浮かべる。
 こんなことだから不良坊主と呼ばれるんだ。
 けれども、そんな冗談めいた事を思い浮かべていると幾分気が晴れた。

 ゆさゆさ、と袖を引っ張られる感覚。…知らない間に自己陶酔していたらしい。
 プリーストが後悔する間も無く、案の定不審げな顔のアーチャーが見ていた。
 まさか、そんな事を一々説明するわけにもいかない。
 ♂プリは、どうごまかしたものかと一瞬考え、チェインの柄を地面に走らせる。

『や ら な い か』

 その場の空気が、寒いジョークの如く一瞬にして凍りついたかと思うと、続いて暗雲が垂れ込めるのを彼は確かに感じた。
 「じょ、冗談でしょう?」筆談をするのも忘れ、真っ青な顔をして弓手は後ずさる。
 貞操の危機を感じているらしかった。

「可愛い子猫ちゃん。幸せにするよ、さぁ…」
「ひ、ひぃ…」
 上ずった声。薄らと涙も浮かんでいる。

「さあさあさあさあ…俺の熱いパトスを受け取ってくれぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
「止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 目を野獣の如くぎらぎらと光らせながら、♂プリーストは弓手にルパンダイヴで飛び掛り…しかし、勿論冗談だ。
 軽々と、尻餅を付いた格好の弓手を飛び越えると、前転の要領で一回転してから、地面に着地する。
 そして、視線を上げると…

「…お前達、一体何をしているか」
 鳩尾の当りに、法衣の袖を包帯代わりに巻きつけた呆れ顔の♀セージが、そこに居た。
 その後ろには、似たような表情を浮かべている♀クルセ。
 一方、♂プリーストの後ろには怯えたような表情の♂アーチャー。

「あー…、そのだな。うん。気にするな」
「…全て聞こえていたが?」
 退路はもう無いようだった。

「冗談だって。それからな、そこの弓手君? 怯えつつも、んな汚らわしいものを見るような目で俺を見るな!!悪かったよ」
「……」
「やれやれ、元気のいいことだな?」

 ♀セージは笑ってそう言った。その後ろでは、♀クルセが苦笑している。
 まぁ、いいか。♂プリーストは、二人の笑顔を見ながらそんな事を考えていた。
 この二人は笑ってる。(残り一名は不貞腐れてるが)ならば、馬鹿をやった甲斐もある。

 ちらり、と視線を動かして、♀クルセが腰に吊った刀を見る。
 この場に似つかわしくない、陽炎の様に空気を揺らめかせる妖刀。
 …しかしながら、ここでその刃は人を切るのではない。
 『それ』を鍛えた人物にしてみれば甚だ不本意だろうが…

「さぁて、休憩は此処までにしようぜ。♀セージさん、歩けるよな?」
「ああ。良好だ。…そろそろ、行こうか」

 軽薄を装って発した♂プリの言葉に、♀セージが答える。
 と、歩き出そうとした所で、賢者が足を止めた。

「どうしたんです?」
「すまない、手向けを遺しておこうと思ってな。…何か、刃物を貸してくれないか?」
 ショックから立ち直ったらしい弓手の問いかけに、セージは答えた。
 無言で、クルセがずい、と自らの海東剣を差し出す。
 それを受け取るとセージは、こめかみ辺りの髪の毛を一房、切り取った。
 彼女はそれを焼け落ちた建物の前に供える。
 膝を突き、目を瞑って何も彼女は喋らなかった。
 その必用は、最早無いのだろう。

「…行こうか」
 透徹な瞳。しかし、その内には確かな意思が。

「ああ。やってやろうぜ」
 そんな彼女に♂プリーストは、心底満足すると、そう答えを返した。


<Int's PT 現在地、持ち物変わらず。状態=>♀セージの怪我の経過は良好? 結束を新たにした模様。ブリトニアに向け出発>
23名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 18:21:52 ID:ogvDG4Gc
取り合えず、ブリトニア進入の前に、InT's PTの結束のインフラ整備してみたとです…
24名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/16(木) 18:34:36 ID:ogvDG4Gc
それと、番号が185になってるのは、纏めサイトの方にあわせたからです。
それじゃあ、引っ込んで続き書きますです。
25名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/18(土) 00:51:19 ID:.fklWGm2
186 プロンテラ

プロンテラに北側から入った♂ローグ、バドスケ、アラームの三人。
「………?」
突然眉をひそめる♂ローグを見てアラームが訊ねる。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「あ、いや……なんでもない。それよりアラームはプロンテラに来た事あるのか?」
そう言って話を逸らす♂ローグ。
一瞬得体の知れない違和感があったのだが、それを説明しきる自信が無かったのだ。
アラームはうきうき顔で答える。
「ううん、だからすんごい楽しみっ♪」
相変わらずのアラームに肩をすくめる♂ローグ。
『もっともあの鬱陶しいぐらいの賑やかさは欠片も無いだろうがな』
♂ローグの予想通り、プロンテラはひっそりと静まりかえっていた。
街道を埋め尽くす露店も無ければ、カプラサービスに群がる冒険者も居ない。
だが、そろそろ食料も尽きかけて来た。ここでそれらを得られればと思ってのこのルート選択だ。
人が居ない事をいいことに、そこらの屋敷に勝手に入って物色する♂ローグ。
バドスケもアラームも他人の家に勝手に入る事に若干抵抗があるが、♂ローグにはもちろんそんなものはない。
物色する様が余りに堂に入っているので、バドスケは呆れて言った。
「お前慣れてんな〜。って、おい。なんだってそんな物集めてんだよ」
♂ローグは食料よりも先にタバコを補充していた。
「男の嗜みだ。銘柄にも拘るのが真の男ってもんだろ……おし、こんだけありゃ当分保つだろ」
やはり呆れてバドスケはアラームの方に目をやる。
「わ〜これ可愛い〜♪ あっ! これJrちゃんのぬいぐるみだー!」
山ほどのぬいぐるみを抱いて喜色満面のアラーム。
バドスケは溜息をつきながら、床下の食料貯蔵庫を片っ端からあさり始めた。

♀ローグは一人にやついていた。
「みーつけたっと♪」
♂ローグ達の姿を見つけた♀ローグ。彼らがヴァルキリーレルムに入っていくのを慎重に追う。
そして門をくぐった時、♀ローグは肌にまとわりつくような不快感を覚える。
「……なんだい? これは……」
周囲を警戒するが、誰も見えない。
そう、居るはずの♂ローグ達の姿も見えないのだ。
すぐに入り口周辺を策敵するが、特に何も見つからない。
しかしその策敵の時間で♀ローグは確信する。
『ここはヤバイ……何がどうなってるのかわかんないけど……とにかくココに何時までも居るのは絶対にヤバイ』
全身に鳥肌が立っている。
勘でしかない、何の根拠も無い。だが、♀ローグはこの手の直感には絶対に逆らわない事にしているのだ。
すぐにヴァルキリーレルムを出て、林の中に戻る。
「見えなかったヴァルキリーレルム、そしてこの悪寒……」
このゲームを支える根本的な何か、それに近づいたと♀ローグは思った。
「首輪も取れた。ザコGMも殺った。……なら、あの忌々しいGM秋菜も……殺れるかねぇ?」
このままゲームに乗るか、それともこのゲーム自体をぶっ潰すか。
ゲームを潰しにかかる場合、一人では無理だ。仲間がいる。
「となると、あの♂ローグ、アラーム、バドスケ、後は……♀アサシンとその仲間が居たねぇ……あいつらが邪魔になる」
あの連中は今更ゲームを降りたと言っても信用しないであろう。
「いや、違うね……GM秋菜殺るのなんざどうだっていい。要はあいつを如何に出し抜いて元の世界に戻るかだ」
ここで判断を誤る訳にはいかない。
慎重になりながら思考を進める♀ローグ。

『・・・あんた、私をここから元の場所へ戻せる?』
『無理だ・・・ここは秋菜しか好きに扱えな――』

♂GMの言葉だ。
♀ローグはまんじりともせず、考え続けていた。


アラームは少し不機嫌そうに♂ローグ、バドスケの後をついて歩いていた。
ぬいぐるみを持って行こうとしたところ、二人がかりで止められたのだ。
代りに後ろに背負ったバッグには、食料が山ほど詰め込まれている。
数時間かけてめぼしい場所は調べ尽くしたが、それでも手に入ったのは三人のバッグに収まる程度の量しかなかった。
深刻そうな顔をする♂ローグ。
「こりゃ……思ったよりもヤバイな。GMの奴が長期戦させるつもりでいるんなら、すぐにこの世界の食糧尽きちまうぞ」
プロンテラでこのザマなのだ。他の街も似たような状況であろう。
バドスケも肯く。
「人数は減っているが、このペースじゃ確かにまずいな……どっかで狩りとか出来ないのか?」
「魚が獲れる所はあったが、道中見る限りじゃあそこぐらいか……それも何時までも獲り続けられるかどうか」
湖での漁の後、あの湖以外でも魚が獲れるのかどうかを確認する意味でプロ北の川で見てみたのだが、そこに魚の姿は無かったのだ。
バドスケ自身は食料を必要としない。だが、アラームはそうはいかない。
舌打ちするバドスケ。
「……こういう形での時間制限付けるか。やってくれるぜクソGMが」
「ま、こいつを用意してくれた事だけは褒めてやるがね」
陽気にそう言いながら、ちゃっかり見つけていた火打ち石を鳴らしてタバコに火を付ける♂ローグ。
口からぷかーっと煙を吐き出す様を見てバドスケは言った。
「……ローグってな、どうしてこう、どいつもこいつも緊張感が無いんだよ」
そんな事を話しながら、三人はプロンテラ南門を抜けて行ったのだった。


<♂ローグ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )プロ南門を抜けた所 所持品:ツルギ、 スティレット、山程の食料>
<アラーム 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )プロ南門を抜けた所 所持品:大小青箱、山程の食料>
<バドスケ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )プロ南門を抜けた所 所持品:マンドリン、アラーム仮面 アリスの大小青箱 山程の食料 備考:特別枠、アラームのため皆殺し→焦燥→落ち着き>

<♀ローグ 現在地/プロ北(prt_fild01)ヴァルキリーレルム直前 所持品:ダマスカス、プレート→♂クルセの死体そばに放置、ロザリオ、ロープ、大青箱→返魂の札→自分に使用して復活>
26名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/18(土) 09:03:35 ID:.fklWGm2
時に……30話において、深淵の騎士子が言ってるGM橘との戦いってなんだかわかる人居ます?
27名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/18(土) 11:34:29 ID:aGw2trQw
>>26
深淵スレに投下されたSSで古城の面々vsGM橘というのがあった
たしか深淵あぷろだのほうに保存されてるはずだが、現在その肝心のあぷろだがサーバーダウンでえらいこっちゃになっているため確認出来なかったりする
28名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/18(土) 22:13:43 ID:.fklWGm2
>>27
うぅ、古城倉庫探したけど見つからなかったからもーどーしよーかと思ってさ_| ̄|○
なんか調べれば調べる程に、わけがわからんくなるぞ深淵の騎士子さんは

設定にFA無しと明言してる事だし、気にせず続けるのが吉ですなコレ
29名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/18(土) 22:22:59 ID:9pjwqH82
んー、取り合えず深淵さんは
古城倉庫で過去ログあさって、雰囲気掴む程度に抑えるのが適当かと。

ついでに、これは毀れ話。
GM秋菜は実は、GM橘の苗字でなく名前の方を記憶違いで書いた物だったりしたり。
…それはともかく、書き手に戻りますねっ。
30名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/18(土) 23:54:40 ID:9pjwqH82
 186 暗い森の終わり

 森の中を進む二つの大きな影。
 ペコペコに跨った深淵の騎士子と、漆黒の巨馬に跨る♂アルケミである。

「…お前に乗ってやれ無い事はすまないが、あんまり拗ねるな。その御者もそう悪い奴ではないぞ?」
 先頭を進む深淵の騎士は、おっかなびっくりといった様子で跨る♂ケミを背に乗せた自らの愛馬に、苦笑しつつ、言った。

「深淵さん深淵さん。そうは言うものの…こいつ、メッチャ目付き怖いんですが。うわっ、また俺のこと睨んだぁっ!!」
「へそを曲げておるのだよ。…とは言っても、このペコは私しか乗せぬしな。気位の高い奴だが…まぁ、よろしくやってくれ」
 その言葉に答える様に、ぶるる、と人間ならば憤慨に当るだろう嘶きを黒馬が発する。
 びくん、と臆病そうに震えた♂ケミに、深淵はさも愉快そうに笑った。

「……」
「不満か?」
 ジト目を向ける♂ケミに、深淵は言う。
 殊、物騒な表情の馬面を覗けば不満などある筈も無い。

「へっ、ねーですよ。こぉのワタクシ、♂ケミめは、深淵閣下にご自身の馬を下付されましたからね。ったく…って、っどわぁっ!?」
 が、突如、それまでは大人しく背を預けていた黒馬が弾かれたか様に。

「うぎゃーっ!止まれ!!止まれ!!」
 前に。

「のわーっ!!お願いですから止まってぇぇぇぇっ!!お馬様、止まって下さいぃぃぃぃっ!!つーか止めてお願いぃぃぃぃぃぃっ!!」
 後ろに。暴れ馬そのままの様子で跳ね回る。
 彼は馬の背中で翻弄され…しかし、絶妙の調子で馬の背中をシェーカー代わりに激しくシェイクされつつも、一行に振り落とされない。
 振り回されてはいるが、むしろ、その体は馬上の一転で安定している様にも見える。

「くくくっ…っ。あはははっ。あはははははっ。もう、それくらいにしておいてやれ、クロ」
 その様子に我慢し切れなくなったのか、笑いながら深淵が言う。
 彼女の言葉を聞き取ったかのように、暴れていた馬はぴたりと動きを止める。
 そして、細波ほど馬体を揺らしながら、前進を再開した。

「ああ、言い忘れてたが…そ奴は、人の言葉も理解する。余り、その様な事を言ってやるなよ?」
「そ、そういう事は早くいってほしかったでゲスよ…っ。うげぇ、気持ち悪ぃ…」
 その言葉に、馬の背にぐったりと倒れ込みながら、呻くような調子で♂ケミが言った。
 青い顔には、死人の様に生気が見受けられない。

「……大丈夫か?」
「少し目が回っただけ。大丈夫…と思いたい」
 ぶひぃん、と馬が彼の言葉に答えた。何を言いたいのかは判らない。

 …さくさくと、木々の下草を蹄とペコの足が踏む音だけが響いている。
 
「…なぁ」
「何だ?」
 声を掛けられて、深淵の騎士が振り向く。

「いや…本当に、♀セージさんと出会えるのかな、とか考えてると不安になってきたというかなんというか」
 ♂ケミは、何処か複雑な笑みを浮かべながら、言った。

「何を言ってる、馬鹿」
「いや、そりゃ確かなんだけどというか…いや、俺ホム待ちだからintだけは高いんだけどっつーか」
 要領を得ない言葉を二言、三言続けると複雑な溜息を付く。

「何か、不安でなぁ。…正直言うと、人が集まりそうなプロの方行って見ようってだけで、他に何も手掛かり無いし」
 確かに、博打の感は否めない。
 しかし、その言葉に、振り返っていた深淵は睨み付ける様な目。
 ♂ケミは、気圧されて思わず上体を逸らした。
 一方の深淵の騎士はペコの速度を緩めると、彼女は黒馬の隣に並ぶ。

「…私はお前の選択を信頼しているぞ?」
 明瞭な声。じっ、と黒い甲冑の騎士は♂ケミを見つめる。
 整った鼻筋。薄い色の小さな唇。紛れも無く可愛らしい要素が揃っている癖に、そこだけはとても気の強そうな瞳。
 けれど、僅かばかりの弱さを残している様に、その目じりは赤く今だ腫れぼったい。

「だから、お前もおまえ自身の事を信じろ」
 幽かに、表情が緩む。彼女はたおやかに微笑んでいた。

 まるでそれは魔法のようだった。
 湧き上がっていた不安が、泡の様に溶けては次々消えていく。
 もし…一つ不満を上げるとするなら。

 …どくん、と何故だか心臓が大きく鼓動するのを彼は聞いた。

「……」
「……どうした。 私の顔に何か汚れでも?」
 その言葉にはっと、♂ケミは一気に現世に帰還する。

「あ、いや…うん。ありがとな。迷いなんて吹っ飛んじまったよ。んー、もうバンジーOK。バンジー牧場って感じだな」
「バンジー牧場とやらが何かは判らないが…ならばいい。これからは気をつけろよ?」
 得意そうな表情をすると、彼女は再びペコの速度を引き上げた。
 彼がふと、視線をずらすと…馬が。

「いや、そこそこ。今にも俺を食い殺さんとするGDのお馬さんが如き形相は止めて。お願い。すげー怖いから」
 ぶひぃん。一際強く、主を守護する従者の表情で黒馬が嘶く。
 正確に言うと馬に表情は無いが、オーラを発する背中と、暴れだそうとする両足がそう雄弁に語っている。

「はぁ…」
 彼自身の中の悪い空気を皆吐き出すように、大きく、息を一度吐く。
 そして、次に吸い込むのは明瞭に頭脳を働かせる為の新鮮な空気だ。

「ま、俺達が出来るのは…今はプロに向う事だけだって。そう、心配するなよ」
 馬に呟きながら、彼は視線を前に向けた。
 一番出会う確立が高そうだ、という可能性だけで決めた進路だが、案外悪くない選択なのかも知れない。
 もし間違っていたら、もし♀セージがマーダーだったりしたら。
 …でも、まぁその時はその時だ。俺は、俺に出来る事をやろう。
 その事が、あいつの望みにも、深淵さんの誓いにも繋がる。
 そんな事を考えている。

 ふと、森の木立の終わりが見えた。
 その先には大きな砂漠が広がっていた。
 プロンテラまでは、まだもう少し掛かりそうだった。

<深淵&♂ケミ 現在位置 モロクフィールド13 装備 深淵の愛馬と再会 他は変わらず プロ方面に向けて移動中>
31名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/19(日) 13:43:39 ID:aI48X3j.
しまった…186ではなく、187でつ。
ナンバリングミス。
32名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/19(日) 21:54:19 ID:0OuzmVQI
♂ケミの喋り方にスゴイ違和感があるのは
ボクダケデスカ?
33名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/21(火) 16:59:37 ID:gu00QN8E
昨日一日誰も書き込んでない…
書き手の人みんな飽きたのかな?
34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 01:34:24 ID:phAlUqXU
飽きたって言うよりは、複雑になってきてうかつに手を出せないといったところじゃないか?
軽い気持ちで出して間違いや拙いところがあると、また修正とか議論とかそういう展開になるしな。
って、そんなチキンは俺だけですかそうですか・・・orz
35名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 04:01:33 ID:jN0K0HHQ
普通に忙しくて全然書けてない。
じっくり時間掛けないと書けないタイプなのorz
36名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 04:08:43 ID:KFnNGNQI
188 それぞれの殺し屋事情

♂BSは自らの首にブラッドアックスを当てる。
自ら鍛えた力ではないが、自分の力量は既に理解している。
全力でこれを引けば、簡単にその首は落ちる。
「…………あああぁぁっ!!」
腕に力が篭る。
しかし、その腕が動く事は無く、♂BSの首もそのままであった。
「死なせてくれよ……俺もう……嫌だよ……」
そしてまた歩き出す。行き先も、目的も無いままに。

散々考えたが、結論は出ない。
♀ローグはひょっとこみたいな顔になると、立ち上がる。
「どっちにしても、あのローグだけは生かしちゃおけないわねぇ」
同職だけにその手の内は良く知っているであろう。
ならば♂ローグは決して♀ローグを仲間にしようとは思うまい。
下手に他の連中に変な事言われる前にさっさと仕留めるのが吉だ。
そう考え、プロンテラ南へと先回りを試みる♀ローグ。
ヴァルキリーレルムを迂回して渓谷の橋、プロ西、バッタの巣へと抜けてプロ南へと至るルートを選択し、足早に走り出す。
「子連れなら私の方が早い。今度は……完璧に待ち伏せした方が良さそうだね」
前回の戦いで、♂ローグが油断ならない敵だという事はよくわかった。
だが、♂ローグが足手まといを本気で守る気なら打つ手はいくらでもある。
「……昔は多かったんだけどね、あの手のローグ。今でもまだ居るなんてね〜」
悪党としての腐りきった生活の中で、それでも魂だけはぴっかぴかに輝いている奴。
「嫌いじゃないよ、あんた。でも……死にな。薄汚いクソみたいに、のたうち回って悲鳴を上げながら」

♂BSは砂漠の分岐を抜け、プロ南へと辿り着く。
そのまま歩き続けると次第にプロンテラの城壁が見えてくる。
そこで不意に♂BSは進路を変えた。
プロンテラ、そしてそこから続くヴァルキリーレルムは今の彼にとっては近づきたくない場所であるようだ。
そこからバッタの巣へと抜けて、道なりにプロ西に入る。
特に何か考えがあって北を目指しているのではない。
ただ、南には自分が殺した死体が多すぎる。
そのまま北に向かい、渓谷の橋に辿り着くとそこに水場があった事を思い出す。
今まで全く乾きも空腹も感じなかった♂BSだが、水場に向かい、そこで水を飲んだ。
いつも飲んでいた水なのに、久しぶりのせいか妙においしく感じた。
こんな状況なのに、おいしい水を飲めて嬉しいと思う自分が、とても嫌だった。

引きつった顔で♀ローグは草原に伏せていた。
『なんだってまたあのBSに会うのよっ!』
プロ西からバッタの巣へ抜ける途中で人影に気付いた♀ローグは、慌てて生い茂る丈の高い草むらに隠れた。
以前に出会った時は、なんでかわからない理由で捕捉された事を思い出し、緊張した面もちで♂BSを見守る。
だが、当の♂BSは♀ローグには全く気付かずに覚束ない足取りでそのまま通り過ぎて行ってしまった。
『チャンス……なんだけどね〜。あのゴーストリングCなんとかなんないのかい』
彼我の戦力状況を考え、仕掛けるのは止めた♀ローグ。
『湖にでも叩き込むか? ……いや、あいつに挑むにはまだこっちの装備が整ってないね』
二度も見逃す事をいたく不満に感じながらも、その判断を下し、それに従える自分の理性を感じ、少し安心する♀ローグであった。


<♀ローグ 現在位置/プロ西 ( prt_fild05 )所持品:ダマスカス、プレート→♂クルセの死体そばに放置、ロザリオ、ロープ、大青箱→返魂の札→自分に使用して復活>
<♂BS 現在位置/渓谷の橋 ( mjolnir_09 )所持品:ブラッドアックス、ゴスリン挿しロンコ、イグ実1個、♀BSの生首、スマイルマスク→破損 備考/GMの精神支配から限定的ではあるが解放>
37名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 12:33:14 ID:LvylJ.Hk
まだ特別枠アリですか?
38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 12:47:45 ID:LypQZfpA
ロザリオって前に何処かで捨てなかったっけ?
39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 17:16:13 ID:1uW9GKPY
>>37
今回の特別枠は既に締め切られてしまったので
次回バトROワでの登場をご検討ください
ただし舞台の外(94話あたりの流れ)でなら出せない事もない?
>>38
そういえばアンデッドになったときにロザリオ捨てたような気がする…
182.デッドマンウォーキングで捨ててますね

>>33
書きたいキャラは既に皆亡くなっているので意欲がわかない
でも楽しみにここを見ているのは変わらないので何かネタが降りてきたら書くかも

あー、ストーリーラインだけ書いてかっこいい描写を上手い人にお願いしたいわ
40名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 20:56:37 ID:Msv5lsgI
>>36
イグ実は使ったからもう無い筈。
41名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/22(水) 21:19:25 ID:lE.ORmpg
深淵の騎士子と♂ケミの現在位置のモロクフィールド13は既に禁止エリア
4230sage :2005/06/22(水) 21:59:57 ID:qYhY9vvU
ぐわ…ごめん。修正入れるわ。
4336sage :2005/06/22(水) 22:22:21 ID:KFnNGNQI
ツッコミありがとう
アイテムコピペして、確認し損ねてました_| ̄|○
44名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/23(木) 01:49:57 ID:kjl.cLmg
一つ書き上げたけど、これを一晩置いてみようと思う
んで明日再度確認して、OKだったら書き込みます
先越されても泣かないです

……もう、ミスるのは嫌だー(´;ω;`)
4530sage :2005/06/23(木) 02:24:32 ID:.uvlR4Ds
俺は、修正より先に課題がまてーたよorz
46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/23(木) 09:46:55 ID:K2NEGnsw
♂BSって人を発見する機械かなんか持ってるから、ハイドもトンドルも全部見破るって話だったんじゃなかったか?
だんだんしゃべるようになってるのは、精神操作が時間と共に解けてきた、で通せるけどさ。
47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/23(木) 11:19:18 ID:.s.fAkH2
ふと思ったんだけど、次回のバトROワを今回のと結びつけるとしたら
ラストが限られてこない?GM倒しちゃうと次回開催する人がいなくなる気がする。
まぁ、次回のが今回と全く関係なし、パラレルパラレルならなんの問題も無いけど、ちょと気になった
48名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/23(木) 15:09:52 ID:6H8iDl86
>>46
少なくとも自分の首に斧を当てるだけの自由はなんとか手に入れてるみたいだし
その装置を使わないことも自分の意思でなんとか可能なんじゃないかな?

>>47
基本的に第二回とかがある場合はパラレルが基本みたい
代価が効かないキャラを殺して続いていたことにすると前回で死んだキャラが使えなくなるし
こういう実質名無しのキャラを作っていくタイプでは続きでもいいかもしれないけど
でも続きだと脱出、抵抗の場合の手順が難しくなる気もする
49名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/23(木) 21:03:59 ID:kjl.cLmg
>>30
前回位置から考えるに
大きな橋 ( moc_fild02 )
と勘違いしたって事かな? だったらそのまま場所をこれに変えるだけでおっけーかと思われます
5030sage :2005/06/23(木) 21:25:24 ID:.uvlR4Ds
>>49
と、いうより、moc_13が禁止エリアであることを見落としてました。
只、方向性としてはプロ方面に向わせる積りだったんで、
修正したら、どの道そうなりますね。

さーて、課題がまだ終わらないから、裏方に戻ります。
51名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/24(金) 00:09:10 ID:ZP5bMHYQ
拙い出来ですが、あれでも結構頑張ったんです
たまには画像保管庫に貼り付けた地図の事も思い出して下さい(´・ω・`)
5230sage :2005/06/24(金) 18:57:25 ID:u58Dard6
課題終わりました。
修正の方ですが、改めてみると49氏の案で問題なさそうなので
チュンリム湖経由、moc03に移動、の方向で決定したいと思います。

さて…それでは名無しの書き手に戻ります。
53名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/26(日) 01:50:40 ID:CHB2ux0A
♂BSの精神が戻ってきてるのも、無形剣で斬られたことによって、
マーダーとしての精神が崩壊してきてるとか、そんな感じ?
というよりも、♀騎士がブリーフを最後まで履きつづけて死んだことに、
ちょっと笑ってしまった。
54名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/26(日) 06:13:12 ID:iPZfBr0Q
>>53
じゃあ何かい、君は♀騎士が何も履かなかったほうがよかったのかい?
…うん、俺もはいてない方が良かったな
55名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/06/26(日) 17:19:23 ID:5qk6wB8o
ぶった切って悪いんですが、♂BS。
イグドラシルの実はいつの間にかどこかに消えちゃった??
56名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/26(日) 17:42:25 ID:iFl27RYU
>>55
♂BSのイグ実の変遷って
36話 ♂モンクから1個奪う(1個…と14話には書いてある)
184話 ♀騎士、DOPとの戦闘で1個使う
で、普通に使い切ったんじゃない?
♂モンクから以外にも取得してたことあったっけ?
5755sage :2005/06/26(日) 18:20:32 ID:5qk6wB8o
>>56
ゴメン、自分文盲だったorz
184で使ってましたね・・・・
しかもageちゃってるし。

でも、ちょっと検索してみたら、なぜか番外編でも♂BSが落としたイグ実を使っちゃってるけど、これってアウトっぽくないですか??

すみません、今日初めて1〜184までぶっ通しで読んだもので、、、、
58名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/26(日) 18:37:23 ID:iFl27RYU
>>57
確か、番外編が書かれたときに最初っからNG扱いだった気がするからええんちゃうかな?
よう頑張った(笑 >ぶっ通し読み
59名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/27(月) 01:52:34 ID:NQMFHjTo
ものっそい停滞風味だが、自分で書いていて思った
状況が煮詰まってくると、今までみたいに勢いでばしばし書くって無理だな絶対
一時期は一日一本を目標に頑張ってたが、どーしたって無理だこれ_| ̄|○

とりあえず>>52氏へ
修正ってのは、187話を全部書き直すって意味かな?
それとも、舞台だけを変えるって意味?
いやさ、そこが気になって深淵の騎士子&♂ケミPTの所が進めらんないのですよ
60名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/27(月) 03:37:33 ID://i7WKEQ
>>59
49氏のいってる通りってことだから多分場所だけ変えるってことじゃないですかね
話の大筋自体は多分変わらないんだと…多分ですが

ちなみに私も最初の頃は一日一話を目標にしてたんですが…
どうしても色々間違って叩かれると思うと書き出せないんですよねorz
もうちょっと間違ってもOK修正で乗り切ろうな雰囲気を出して欲しいです

あと前スレもうちょっとだから妄想か何かで埋めませんか?
61名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/27(月) 03:50:47 ID:sxtoySOM
提案なんだが、だいぶ佳境に入ってきたし、修正OKの方向で行かないか?
出来る限り無いに越したことは無いのは分かる。
でも日常生活でだって、他人に言われなきゃ気づけないことってあるだろう?

ってことで俺は、修正に怯えて滞るよりも、ちょっとばかり間違っても元気に話を進めていくことを勧めるよ。
あ、でも、だからって見直しも何もする気無いってのは勘弁な?
修正入れなきゃならねえ文出すなっていう貴方は、代わりに完璧な文を書いてくださいと。
そんなところでどうだろうか?あくまで提案な。
6252sage :2005/06/27(月) 12:34:25 ID:Q9DkAFvM
舞台だけ変える、という方向でお願いします。

後、僕も61氏の意見に賛成です。
書かなきゃ進まない、これは絶対の真理ですし。
…こんなこと言ってる僕は、執筆にハッスルしすぎて現在進行形で単位の危機ですが。orz

ま、I shall りたーんの精神で頑張ってきます。
タイミング見計らったかのように、原稿入りのPCが壊れてますしね。
63名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/27(月) 13:08:11 ID:NQMFHjTo
189 絆

♂ケミ、深淵の騎士子はそれぞれの乗馬(?)に乗り、砂漠を行く。
突き刺すような日差しが容赦なく照りつけるが、ベコ、そして黒馬はそんな環境にもビクともせずに歩を進める。
流石に駆け抜けるとはいかないが、おかげで騎乗している二人は会話を行う事も出来た。
「なあアルケミよ、私は……間違っていたのであろうか?」
突然、深淵の騎士子がそんな事を言いだした。
♂ケミは深淵の騎士子が何を言いたいのかすぐに察する。
「ドッペルゲンガーさん達の事?」
「ああ」
深淵の騎士子は憂いを含んだ顔で正面を見続けている。
即答出来ない♂ケミ。
「…………」
少しの無言の後、深淵の騎士子は更に言う。
「少なくとも奴らは敵ではない。むしろ同じ志を持つ者達だ。そういった存在はここでは貴重なのでは無いのか?」
言葉にした事で、心の中で渦巻いていた物が具体性を帯びる。
「……もしかしたら私は取り返しのつかない事をしたのではないのか?」
ふっと♂ケミの方を見る深淵の騎士子。
「埒も無い……忘れてくれ」
♂ケミも同じ事を考えていた。そして、出た結論も同じだ。
「もしかしたらあの人達の力抜きでは僕達は戦い抜けないかもしれない。もしあの人達と一緒に戦っていたら僕達は捨て石にされて死んでいたかもしれない」
そう言って苦笑する♂ケミ。
「本当、埒も無いよね」
答えなど出るはずもないのだ。
ならば考えてもしょうがない、だが……
深淵の騎士子もつられて苦笑する。
「お前に偉そうな事を言っておいてこのザマだ」
そういう深淵の騎士子に、♂ケミは今度は苦笑ではなく本当の笑みを見せる。
「あははっ、お互い様って事か〜」
それがどんな思いであれ、それを共有出来る相手が居るというのは、心和む事であった。
砂漠を行く二人が、ドッペルゲンガーの姿を見つけたのはそのすぐ後の事である。


お父さん、お母さん、僕は深淵の騎士子さんの事を誤解してたみたいです。
深淵の騎士子さんは勇敢な騎士で、決して後悔などしない人だと思っていました。
でも、ドッペルゲンガーさんと女騎士さんの遺体を前にした深淵の騎士子さんは動揺を隠せず、ただその場に立ちつくしたままで居るのです。
動揺の理由は痛いほどわかります。僕も同じ思いだから。
でも、深淵の騎士子さんの動揺の程は度を越してます。
立ったまま、足下の地面を黒く染めて絶命しているドッペルゲンガーさん。
無惨に切り刻まれ、左の肩口から胴体までが引きちぎれている女騎士さん。
僕も始めにこれを見た時は震えていたと思いますが、すぐ隣でそれ以上に狼狽え、震える深淵の騎士子さんを見て、逆に僕は落ち着きを取り戻しました。
これをやった敵に怯える? 違います。深淵の騎士子さんはきっとそういうのは恐くないような気がします。
僕には心当たりがあります。
だから、僕は深淵の騎士子さんを無理矢理引っ張ってその場から引きはがしました。
「わ、私は……」
まだ震える深淵の騎士子さん。
僕はその両肩を掴んで言いました。
「君のせいじゃないよ」
しかし、深淵の騎士子さんは首を横に振るだけです。
だから、僕は続けて言いました。
「違う。君だけのせいじゃない……この意味わかる?」
動揺している深淵の騎士子さんは僕の言う意味がわからないみたいです。
そして、僕もそろそろ限界でした。
「僕達のせいだ。僕も悪いんだ……僕達が間違ったんだよ」
ごめんなさいドッペルゲンガーさん、ごめんなさい女騎士さん。
僕達が間違ったせいで、あなた達が死んでしまいました。
アコが、そして兵士さん達が死んだ事にも懲りずに、僕達はまた間違ってしまいました。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……


♂ケミが深淵の騎士子の肩を掴んだまま堪えきれずに涙を流すと、深淵の騎士子もタガが外れたのか、♂ケミの胸に飛び込んで泣き出した。
死を悼む、そういった気持ち以上に、自責の念で押しつぶされそうで。
二人ともきれい事を言っている余裕なんて無くて、自分の事だけで手一杯な中。
抱き合ってお互いを支え合って、激情の荒らしが過ぎ去るのを待っていた。
同じ咎を背負った者同士で。


二人はドッペルゲンガーと女騎士を埋葬すると、それぞれに形見として二人の剣を持って行く事にした。
深淵の騎士子はドッペルゲンガーのツヴァイハンターを、♂ケミは女騎士の無形剣を。
黒馬に乗る前に♂ケミが言った。
「また……理由出来たね」
「重いな。とてつもなく重いぞ……」
「持ちきれないかな?」
深淵の騎士子が悲しそうに、それでも笑顔で言う。
「……二人なら、なんとかなりそうだぞ」
期待してた答えが返ってきた事で、♂ケミも笑みを返す事が出来た。


<♂アルケミ 現在位置/砂漠の分岐 ( moc_fild01 )所持品/ハーブ類青×50、白×40、緑×90[騎士子の治療時に使用]、それ以外100ヶ、すり鉢一個 石をつめこんだ即席フレイル、無形剣>
<深遠の騎士子 現在位置/砂漠の分岐 ( moc_fild01 )所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:アリスの復讐>
64名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/27(月) 14:50:39 ID:fdo1oR3k
そういえば黒馬に持たせてた大槍って♀ハンター戦でDOPが使った後に
深遠の騎士子は回収しなかったのかな?
65名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/27(月) 17:59:42 ID:B9qfqN02
もしかすると、へし折れて使い物にならなかったのやも
66名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/27(月) 21:21:59 ID:iBEj2/e6
どっかですり鉢は潰された気が・・・
67名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/28(火) 14:58:54 ID:HuqR1kv.
>>65
どんな場面だったか覚えてる?探してみる

まとめWikiの状態表をいじろうにも迂闊に手が出せない…
6867sage :2005/06/28(火) 14:59:35 ID:HuqR1kv.
すまん、アンカーミス…>>66
69名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/28(火) 15:36:10 ID:D7LkLyPc
>>68
騎士子が♀ハンタを見つけて斬りかかったときに、割って入った♂ケミが無形剣を受け止めるのに使ったのがすり鉢だったはず…。
何だか文がおかしいかもしれないが、とりあえず147話のところだね。
でも「弾き飛ばされた」って書いてあるだけで、潰れたかどうかは明記されてないと思う。
でも剣受け止めたら潰れそうだよねw
潰れてないなら回収してるかもしれないし、してないかもしれない。
もしその後の話に書かれてたらお許しを;
70名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/28(火) 18:24:49 ID:HuqR1kv.
>>69
本当だ。乳鉢「ごと」弾き飛ばす、ってのがどこまで乳鉢が存命かがわからないってのはあるけど、
(無形剣がどんなものかわからんにせよ)フツーに剣受け止めたら陶器なんて砕けるねぇ…

潰れてる・潰れてないどちらになるかは分からないけど、潰れてることにするなら
まだ派生した話で乳鉢が使われた描写がないから、今なら持ち物リストから削除するだけでいいかと思う。
乳鉢使いたい書き手さんが居たら回収したことにすればいいんでは。自分としては潰れてるほうが自然だとは思うけど。
71名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/28(火) 21:25:44 ID:scb6fyBQ
大槍も乳鉢も最後に登場したのが♀ハンター戦なんだね
両方とも具体的な描写で壊れたのかどうかまではないから
使いたい人がいたら回収、特にいないなら破損→廃棄ですかね
大槍は壊れたかどうかちょっとわからないので書き手の好みで
回収か廃棄のどちらでもいいと思うけど、乳鉢は描写的には
壊れてもおかしくない感じですね
でも一応無限使用可能の特需品でしたっけ?
実はものすごい頑丈でしたみたいなオチでもいいとも思う
ようするに、書き手の人が使いたいなら回収した事に、壊れてた方が
自然だと思うなら壊れたことにする小話をちょこちょこっと書いて
出しちゃえば、先出し原則のルールから認められる事に!
ああ、はい。滅茶苦茶言ってるなーって自覚してますすいません…
72名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/29(水) 04:01:33 ID:EtqOPWN6
190 理由

「ふわぁあ〜」
玉座に座りながらGM秋菜は欠伸をした。
人数も大分減ってきたら当然の事なのだが、各々がチームを作り極力戦闘を避けている。
裏切りや絶望・恐怖・狂気に駆られる者を見るのが楽しいのに、これでは少し興ざめだ。
ゲームが始まって既にかなりの時が経っている。
自分も少し休息を取っておかなければ。
ここぞという時に疲れて眠ってしまっていては面白くない。
GMの一人に何か食事を持ってくるように言いつける。
しばらくしてコンコン、と言うドアを叩く音の後に
「はい…るよ?」
と遠慮がちに、しかし友人に話し掛けるような口調の後に一人の♂GMが入って来た。
年齢は彼女と同じ位だろうか。
しかし優しそうな瞳と幼げの残った顔は青年と言うよりも少年と言った方がしっくり来る顔立ちであった。
GM秋菜は顔を上げて彼を見ると何か気まずい事があるかのように一瞬暗い顔をした。
そして彼をムスッとした表情でじっと見つめる。
♂GMはその視線を受け止めながらも、ゆっくりとGM秋菜へと近づいてサンドイッチの乗った皿とポットに入った御茶をさしだした。
「はい。ありあわせの物で作ったからあんまり美味しくないかもしれないけど。」
そう言い彼女の近くにあった机に皿とポットを置いていく。
GM秋菜は彼の方を見ようとせず依然ムスッとした表情のままでそっぽを向いていた。
二人の間に気まずい沈黙が流れる。
「秋菜…」
ふとその沈黙を破って♂GMが彼女の名前を呼んだ。
「もう止めようよ…こんな事をしても…」
「…ッウルサイッ!!!」
♂GMの言葉をGM秋菜の叫び声がかき消した。
♂GMが少し脅えた様な表情を見せたのを見てGM秋菜は自分の戸惑いを隠すように再びそっぽを向いた。
再び二人の間に気まずい沈黙が流れる。
今度はその沈黙を破ったのはGM秋菜であった。
「…食事は後で食べます…何か目立った動きがあったら起こしてください…」
そう言い残すとGM秋菜はツカツカと歩いて行き奥の寝室へと姿を消した。
「秋菜…」
♂GMは消えて行く彼女の背中をみてそうつぶやく事しか出来なかった。

彼は彼女の働いていた部署の同僚であった。
当時彼女の明るい笑顔のおかげで何人もの人達がつられて笑顔になった事だろうか。
そんな彼女に彼は密かに恋心を抱いていた。
ある日、彼は彼女に自分の思いの内を打ち明けていた。
彼女はテレながらも顔を赤らめて、そしていつもの用に笑って「嬉しい」と言ってくれた。
それから彼女と色々な所へと行ったりした。
その中でも彼女は一緒に時計塔の鐘の音を聴くのがとても好きだった。
自分もテレながらも二人で結婚式場の鐘の様だ等と言って笑いあっていた。
しかしある日、ある事件を境に彼女の笑いは優しく暖かい笑みから冷たく氷の様な笑みへと変わってしまった。
ソレハスベテヲウラギラレタカラ
ソレハスベテニゼツボウシタカラ
それ以来彼女はこのゲームをするようになった。
始めは彼も気づかなかったがある日彼女の行為に気がつき、それを止めようとしてから彼もこの首輪を付けられていた。
その後も幾度となく彼女にゲームを止める様に言っても大体この調子だ。

彼は今までの悲しそうな瞳をグッっと何かを決意したかのようにひきしめると机に置いてあった紙にペンで文字を書き始めた。
そして5枚程同じ文面の手紙を書き終えると彼はひとつの行動に出た。
このゲームを終わらせて戦っている人達を救出する方法は彼にはわからない。
しかしこのゲームを終わらせる方法は確かにある。
前に彼女が確認の為か独り言を言っているのを聞いた事があった。
なんと言っていたか…はっきりとは思い出せないが魔術触媒がどうこう言っていた記憶があった。
それと彼もただゲームを傍観していた訳ではない。
彼女がエミュ鯖を使って世界と同時にアイテムを創造しているのを彼は見逃さなかった。
彼は彼女と同じ手順を使い5個の大き目の古くて青い箱を創った。
そしてその中に自分が考えうる限りでこのエミュ鯖から脱出、ないしエミュ鯖を壊す事が出来そうな物と見た感じ高価そうな物、そして最後に自分の思いを書き連ねた手紙を入れて首都に近く、まだ禁止領域になっていないMAPへと転送した。
こんな事をした事が秋菜に知れれば今度こそ首輪を使い殺されるかもしれない。
むしろ今まで何度も彼女に意見して殺されなかった方が奇跡なのである。
それは彼女がまだ自分の事を想ってくれているからなのか、それともただの気まぐれなのか。
彼の思いを乗せて5個の古くて青い箱が転送されていった。
誰がこれを見つけるのだろうか。
そのまま誰の目にも止まらずにいるかもしれない。
そんな箱の中に入っている手紙の文頭はこのように始まっていた。
「御願いします。誰か秋菜を救ってあげてください…」

GM秋菜…睡眠中 / ♂GM…プロ周辺MAPに「エミュ鯖破壊に使えそうな物・高価そうな物・手紙」を青箱に入れて5個転送
7372sage :2005/06/29(水) 04:04:05 ID:EtqOPWN6
読んでて面白そうだったから投稿してみる。
もしこんな設定ダメだとか矛盾やらあったらサクッと削除したりダメダシ御願いします。
74名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/29(水) 19:34:22 ID:q4xwDHvU
73さんまでのお話をまとめWikiに追加、メンバー情報を更新しました。


また間が空いてしまった…
75名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/29(水) 20:14:45 ID:0hVpimWA
191 覚醒

男はとても器用だった。
自我のいう名のジグソーパズルは確実に完成に近づいている。
男はとても運が良かった。
肉体的にも精神的にも苦痛にしかならないものがパズルの進行を加速させていた。
そして… ついに♂BSはGM秋菜の支配から解き放たれた。


♂BSは♀BSとただ一度だけPTを組んで狩りをしたことがあった。
その精算の場所だった首都西下水入り口、そこは彼の思い出の場所である。
はからずも♀ローグの後を追うように♂BSは首都西に引き返し、下水入り口前に移動した。
そしてカバンの中から♀BSの生首を静かに取り出した。
♂BSは大切そうに、そしてかなり辛そうに生首を地面に置く。
無言のまま斧を地面に叩きつける様に掘っていく。
そして生首を埋める。
「なんだよこれ…」
いつの間にか顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「なぁ…」
からだ中のチカラが不意に抜け四つん這いに倒れ込む♂BS。
「なぁっ! なんなんだよこれはよっ!!」
絶叫。


倒れこんだまま一時間ほど♂BSは少しも動かなかった。
その効果が抑えられていたのかイグ実では回復できず、隻腕のままの♂BS。
しかし肉体改造によって戦闘BSなみのSTRが漲っている。
しかも片手で両手斧を振るうのにも支障がないほどの漲り。
さらに製造BS特有の器用さと運のよさも自我の復活により完全に取り戻しているように思える。
もう涙はない。逆にその両眼には鋭い活力が漲っている。
♂BSは自らを奮い立たせて立ち上がる。
「ごめんな」
ふと顔に優しさが溢れる。だが次の瞬間には鋭く凛とした顔になっていた。
(俺は最後までこのゲームをやってやる、そしてあの♀GMにもう一度会うんだっ)
♂BSは再び殺戮のゲームの中へと歩き出すのであった。

<♂BS 現在位置/現在位置/プロ西 ( prt_fild05 ) 所持品:ブラッドアックス、ゴスリン挿しロンコ 備考/自我復活、ゲームに勝ち残りGM秋菜への復讐の一撃が目標に>
7675sage :2005/06/29(水) 21:15:30 ID:0hVpimWA
ごめんなさい。
いろいろ見直してたら繋がりに違和感がTT
↓の四行を 絶叫。 の前につけ足させてください。

死にたいとしか考えられなかった支配された精神が開放され、
殺戮しか求められなかった支配された肉体に自由が戻った。
自分を取り戻した♂BSは一気にさまざまな感情にのみこまれていく。
そして…

あと最後の現在位置ってとこも被ってしまいました。申し訳ないorz
77名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/30(木) 01:46:40 ID:eL8wVSLE
192 声

♀セージ一行は、ブリトニアまで何の障害も無く辿り着く事が出来た。
そんな僥倖を指して♂プリ曰く、
「わざわざこんな狭っくるしくなった土地に来ようって馬鹿もいねえだろ」
だそうである。
北側からブリトニアに入った一行だが、いくつかの城門は完全に封鎖されており、侵入は簡単に出来そうも無かったが、橋をいくつか渡った先にあった城門だけは開いていたので、そこから砦へと侵入する事にした。
砦内部の構造には皆疎かったが、そもそもそんなにややこしい構造でも無い上に、妨害も全く無かったので簡単に奥地までたどり着く事が出来た。
通称エンペルームと呼ばれるそこに辿り着いた一行は、台上に燦然と輝くエンペリウムに見惚れ、そして思った。

『こんなデッカイ物どーやって持っていくんだよ!』

モンスターが時々隠し持っているエンペリウムとは比べ物にならない程の大きさだ。
♂アーチャーは嘆息しながら言う。
「そもそも、この部屋から持ち出せないだろこれ……」
そんな一同を無視して♀セージはエンペリウムの置いてある台座へと歩み寄る。
それを見とがめた♂プリは期待を込めて聞いた。
「おい、何か良いアイディアでもあるのか?」
しかし♀セージは♂プリーストの言葉を無視してエンペリウムに近づいていく。
そして、♀セージがエンペリウムに触れた瞬間、彼女の周囲の景色が変わった。
「!?」

石造りの建物も仲間達も全て消え失せ、そこにあるのは漆黒の闇のみ。
そして、♀セージの前方には何やら蠢く物体があった。
「……呼んでいる? 私をか?」
全てが闇の中、♀セージはその物体へと歩き出したが、それに近づくにつれてその物体の異様が明らかになっていく。
二本の腕に二本の足、頭部と思しき物に、背中から生えた角の様な物。
近くに寄って見ると、その全身が爛れている様がわかる。
角の様に見えた物は、かつては翼であったのだろうが、今その背中に残るのは白い骨格部分のみで、それが肉の支え無しに背後に向かって伸びている。
その腕にはひしゃげた杖のような物を持ち、今まで見たことも無い程の醜悪な顔を♀セージに向ける。
「……ッ……テ…………」
余りの嫌悪感から、いきなり魔法を唱えたくなるのを自制してその言葉に耳を傾ける♀セージ。
その物体は、かすれた声で、顔らしき部分から何かの液体を垂らしながら言った。
「……コロ……シ……テ……コロシテ……」
険しい表情で問い返す♀セージ。
「お前は誰だ? 何故死にたい?」
しかし、その物体は同じ言葉を繰り返すだけだ。
♀セージはアプローチの仕方を変えてみる。
「ふむ、ではどうすればお前は死ぬ?」
その物体が言葉を止める。
顔が変形し更に醜悪な顔になり、そして♀セージは光に包まれた。

「おい! どうした♀セージ!」
耳元でそう叫ぶ♂プリーストの言葉に♀セージは我に返る。
「……私は今どうしていた?」
♂プリーストは怪訝そうな顔をする。
「どうしたもこうしたも……そのエンペリウムはどーしたんだって聞いてるんだよ」
「エンペリウム?」
言われて気付いたが、♀セージの手の中に手乗りサイズになったエンペリウムが乗っかっていた。
「お前がエンペに触れた途端、いきなりぴかーってな感じで光って小さくなりやがった。お前一体何したんだ?」
♂プリーストの言葉にも、♀セージはじっとエンペリウムを見つめているだけだ。
♂アーチャーの方を向いて肩をすくめる♂プリースト。
そして、その♂アーチャーも何やらみっともなく大口を開いていた。
「なんだ? 今度はお前……」
みなまで言わせず大声で叫ぶ♂アーチャー。
「逃げろっ! 崩れるぞ!」
彼の視線の先では、天井を支えていた石柱が今にも倒れようとしていたのだった。

回廊を駆け抜け、階段を上り、所々崩れ始めている城壁を抜けるとなんとか外にたどり着く事が出来た。
♂アーチャーはその場に座り込んで、大きく息を吐く。
「ぷは〜。速度増加がなきゃどうなってた事か……」
砦は轟音を立てて崩れ落ち、吹き上がる粉塵が宙を舞う。
全員それに巻き込まれ、激しく咳き込む事になるが、瓦礫の下敷きになるよりは遙かにマシであった。
粉塵が収まり、一同が落ち着いた所で♀クルセが何やら難しい顔をしながら地面に文字を書き始めた。
『♀セージ、♂プリースト、♂アーチャー、♂ローグ、♀アーチャー、アラーム……一人分足りなくないか?』
そう、一つのエンペリウムでは五人までしか首輪の開封を行えない。
しかし、この様子では残った四つをここで手に入れるのは不可能であろう。
ブルージェムストーンを使えば、ちょうど全員分となるが、いずれにしてもエンペリウムが一つだけでは、これ以上仲間を増やす事が出来なくなる。
♀セージは正直に認めて、地面にこう書いた。
『最悪でも二つ手に入れるつもりだったからな。計算が狂ったのは事実だ。だが、これが誰の仕掛けかはわからないが。チュンリムにもこれが仕掛けられている場合、ローグ達が危ない』
そう書かれてその事実に気付いた♀クルセの顔が蒼白になる。
『一刻も早く、ローグ達と合流する必要がある。エンペリウムは今は一つだけで良しとすべき……』
そこまで書いた♀セージの腕が止まる。
崩れ落ちたブリトニアが、再び振動を始めたのだ。
78名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/30(木) 01:46:54 ID:eL8wVSLE
全員姿勢を低くして振動に耐えるが、その振動は今までのそれとは何かが違った。
最初に気付いたのは、♂プリーストであった。
『なんだ? ……声?』

「……ッ……テ…………」

すぐに♀クルセも気付く。

「……コロ……シ……テ……コロシテ……」

『なんだこの声は……地の底から響き渡るような……』
突然、崩れ落ちた砦が爆ぜた。
飛び交う瓦礫に、全員が顔を庇ってその場にしゃがみ込む。
そして、再び顔を上げたそこに居たのは、先ほど♀セージが出会った醜悪極まりないバケモノであった。
♂プリーストが顔を引きつらせて言う。
「……なんだありゃ……」
♂アーチャーも同じ様な顔をして言う。
「……知るか……あんなデカイ化物ミドガッツに居るなんて聞いた事も無い……」
♀セージ達が侵入した砦の半分ほどの大きさのその化物は、一歩、また一歩と♀セージ達に近づいてくる。
♀クルセは、即座に剣を抜き、皆の前に立つと早く逃げるように促す。
だが、その隣をすいっと抜けて、♀セージはすたすたとその化物に近づいて行った。
「おいこら♀セージ! お前何する……」
慌ててそう叫ぶ♂プリに、振り返りもせず♀セージは言った。
「そこで待っていろ」
唖然としたまま♀セージを見送る三人。
そして、すぐに違和感を覚える。
♀クルセは眉をひそめて地面に文字を書く。
『……遠近法という物を知っているか? 近くに寄るにつれて、段々と大きく見えてゆくあれだ』
♂プリは頷く。
そして言った。
「だよな〜。あの化物、外見が常識外れなだけじゃなくて、世界の原理原則からも外れてってやがんの」
徐々に近づいて来る化物。だが、その姿は一向にその大きさを変えない。
つまり、近づくにつれて縮んできているのだ。
そして、♀セージの前に辿り着く頃にはほぼ人間と同サイズにまで縮んでしまっていた。
そんな化物を前にして♀セージは恭しく跪いて言う。
「……何かご用でしょうか?」
化物は何も言わず、その手に持っていたエンペリウムを♀セージに手渡した。
意図がわからず、無言のままの♀セージ。
そんな♀セージに向かって、化物が言った。
呪詛を込め、全身から黒い液体を吹き出しながら、憤怒の表情で。

「ワガイカリ……オモイシルガ……ヨイ……」

そのまま化物の全身は溶け落ち、地面へと吸い込まれて行った。
その言葉が♀セージに向けられた物でないと直感しながらも、♀セージはその身が恐怖に震えるのを止める事が出来なかった。

余りに不可思議な出来事であったが、予定通りエンペリウムを二つ手に入れた一行は先を急ぐ。
なんとは無しに無言になる一行であったが、突然♀セージが口を開いた。
「以前読んだ本に、こんな一説があった」
歩きながら、全員が♀セージの言葉に耳を傾ける。
「世界は神なり。故に神は世界なり……そういう学説があったらしい」
三人共意味がわからず首を傾げる。
「神は世界を治めるでもなく、見守るでもなく、ただ世界は神と共にある。ああ、つまりは世界は神と同意義。つまりこの世界全てこそが神なのだと。なればこそ、世界の意志はつまり神の意志になるとな」
余りに突拍子も無い話しに、一同唖然として話を聞き続ける。
「であるとすれば、作られたこの世界にも、世界が作られたと同時に神も存在している理屈になる……あくまで理屈の話だぞ」
最早完全に異次元のお話と化した♀セージトークを、三人はナチュラルにスルーする事に決めた。
「そ、そうだな! お前もそう思うだろ♂アーチャー!」
「はははっ! そうだよな! 俺もそう思うよ」
しゃべってはいけない事を良い事に、♀クルセはしらんぷりを決め込んでいる。
そんな三人を見た♀セージは驚いた顔をする。
「もしかして……私の話はわかりずらかったか?」
全力で首を縦に振る三人。
それを見て本気で悩み出す♀セージ。
「そうか、すまない。私の表現力不足だったか……次はもう少し努力してみるとしよう。私もまだまだだな……」
やたら真顔でそう言う♀セージが何やらおかしくて、ついつい♂プリーストが吹き出すと、残った二人も釣られて笑い出してしまった。
そんな三人を見て、♀セージは苦笑する。
そして、最後に思いついた事を口にしようとして止めた。
『もしくは……秋菜がこの世界において、神まで作りだそうとしたか……』
自分が居た世界が、どのようにして『安定』を得て存在していたのか、それは♀セージにはわからない。
世界を構築、維持するのにもしかしたら『神』の存在が必要だったのかもしれない。
自分はプリースト達の様には神を信じて居ない。だが、学問を修める者として神を学ぶ事も怠らなかった。
なればこそ、神話、伝説として語り継がれてきた彼らを作り出すという不遜極まりない行為に、♀セージは嫌悪感を覚えずにはいられなかった。


<♀セージ 現在位置/カタツムリ海岸 ( gef_fild09 )  所持品/垂れ猫 クリスタルブルー プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)、筆談用ノート、エンペリウム2個>
<♂アーチャー 現在位置/カタツムリ海岸 ( gef_fild09 )  所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個>
<♀クルセ 現在位置/カタツムリ海岸 ( gef_fild09 )  所持品/青ジェム1個、海東剣>
<♂プリースト 現在位置/カタツムリ海岸 ( gef_fild09 )  所持品/チェイン、へこんだ鍋>

<備考:ブリトニア崩壊、ブリトニア砦はエンペリウムを二個喪失>
79名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/30(木) 01:55:00 ID:eL8wVSLE
リレー小説において、書いた後に色々言うのは少しルール違反な気もしますが
誤解の無いように、一つだけ……
今回のこれは、あくまで演出的な意図がメインで、神様に頼って何かしよーとかそんな事は考えて無いのです

まあそうは言ってもリレーですので、次に書かれる方次第な事に変わり無いのですが
私の書いた事に気を遣って神様の出番等を考えてくださる方が出ないとも限りませんので
敢えて今回だけは、こうして書き込みの後に注釈を付けるような真似をさせていただきました

駄文失礼致しました
80名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/30(木) 22:15:48 ID:uhKoJMg2
>>79
ここでなんとなく、漂流教室を思い出した俺が着ましたよ、と。
いや、俺が読んだのは「あずまんが」が接頭語でくっつきますが。

ついでに、書き手さんが拾ってくれる事を祈ってパーツをおいておきますね…

つ(正気に戻った♂BS)
つ(けれど、結局生き残るために葛藤しながらもマーダーを選択)
つ(生き残り組二次職の疑い深さ故の失敗)
つ(BSを巡る純粋な一次職と大人な二次職との対立)
つ(♂BSが最狂のマーダーだったということは、生き残り全員の周知の事実)

…早く書き手に戻りたい。PC、早く修理から戻ってこないかなぁ。
81名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/06/30(木) 23:29:58 ID:OZ77Xm2Q
193 笑顔の不死者

♀アサさん、
♀クルセさん、
♀WIZさん、
♀ローグさん、
♀騎士さん、
ドッペルゲンガーさん
以上の6名で〜す♪
五度目の定時報告が流れた。

♀騎士、ドッペルゲンガー、この2人の名前に深淵の騎士子の心は酷く痛んだ。
隣にいる♂ケミが不安気な視線を送る。
重い沈黙。
そしてそれに耐えられなくなったのは深淵の騎士子だった。
「ドッペル殿の傷はおそらく斧だろうな…」
「そうするとたぶん♂BSかな」
驚いたことに♂ケミはすぐに犯人の検討をつける。
深淵の騎士子は訝しげな表情で何故そう思う?と聞いた。
「最初、全員が集まったとき、各職業の男女が揃ってたんだ」
♂ケミは今までの考察のまとめるかのように語りだした。
「そしてこれが今までに死んだ人のリスト」
一冊のノートを懐から覗かせる。
「あいつは3回目の放送で残り25人っていってるんだ、そして4回目、5回目で15人が死んでいる」
おもむろにノートをパラパラとめくる♂ケミ。
そしてあるページを指さして深淵の騎士子に見えるように掲げた。
「今生きているのは♂アチャ、♀アチャ、♂プリ、♂BS、♀セージ、♂ローグ、♂ケミってことになるね」
確かに男女対に羅列された各職業で取り消し線がないのはこの7人だ。
「計算ではあと3人いることになるな…」
深淵の騎士子はペコペコの進行を止めてノートを眺めながら呟いた。
「そう、キミを除くとあと二人なんだ」
♂ケミが乗る黒馬も深淵の騎士子が止まったので当然のように動きを止めた。
ちょっと釈然としない思いにかられながらも♂ケミは話しを続けた。
「全員が集まったときアラーム仮面のバードっぽい人と小さな少女がくっついてたんだ」
観察と考察はアルケミストの分野だと自負してる♂ケミは少し得意げな調子でいった。
そしてこんな時に調子にのった自分に軽く自己嫌悪しながら結論をだす。
「その二人とも斧を扱えるような人には見えなかったから、だから♂BSの可能性が高いんだ」
「…なるほどな」
また沈黙が続いた。
「正直驚いたぞ。私はこの現状にただ感情的になって翻弄されていただけかもしれないな…」
深淵の騎士子は目から鱗が落ちたという例えそのままに♂ケミに見直したといった表情を見せた。
(私などアリスの仇をとる、ドッペル殿の仇をとる、それだけで思考は止まっていた)
自分を恥じるとともに♂ケミが急に頼もしく思えてくる。
二人はそれぞれ思考を巡らせ現状を思う…そしてその刹那。
「うわあああっ」
アルケミの悲鳴に深淵の騎士子の表情が凍りついた。
黒馬の上から転げ落ちた♂ケミはハーブを撒き散らして倒れこんでいる。
わき腹を押さえ込んでいる手が血に濡れていた。
「何奴っ!」
深淵の騎士子は♂ケミを庇う様にペコペコの上から♂ケミの隣に飛び降りる。
そして周りをすばやく見回すとその視界に低い姿勢でダマスカスを構える♀ローグの姿が映った。
「♀ローグ、死んだはずでは!?」
深淵の騎士子は少し驚きつつもツヴァイハンターを構える。
「ふふふ、楽しそうなPTだねぇ」
♀ローグは楽しそうに何処か壊れた笑顔を見せた。

<♂アルケミ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100、石をつめこんだ即席フレイル、無形剣>
<深遠の騎士子 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:アリスの復讐>
<♀ローグ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品:ダマスカス、ロープ 備考:首輪無し・アンデッド>
82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 02:00:35 ID:1GeJwNec
194 嵐の前の首都南

空はどこまでも青く高く。
港の都市アルベルタは定期的に行われる蚤の市に賑わっていた。
蚤の市用に港が露店用に開放されている。
♂BSは街と港の境界に位置する大階段に一人座り込んでいた。
太陽の輝きにウミネコの声と行き交う人の話し声。
♂BSの心もそわそわと浮き立つ。
2日前に隣りに露店をだしていた♀BSの横顔を思い描く。
「2日後、蚤の市みたいね…」
「あ、ああ。 蚤の市か…」
「なんか楽しそうだよね」
「そうだな。ちょっと露店だしにいこうかな」
「あ、私もだしたいなー」
「…もしかしたら会えるかもな」
「そうだねっ」
「…」
「…」
たったこれだけで終わった蚤の市の話し。
別に約束したわけでもないのに♂BSは♀BSの姿を無意識に求めていた。
「テロだーっ!」
突然の怒号。
湧き上がる不安に我を失うほどの焦燥感。
♂BSは露店と人ごみ、そしてごった返したモンスターの群れの中に走り出す。
―アドレナリンラッシュ!!
♂BSが唯一習得した戦闘用のBSスキルを発動させる。
人と古木の枝で召喚されたモンスターの群れとの戦闘が激しく展開されている。
突然♂BSはモンスター・ガーゴイルのチャージアローで戦闘エリアから弾き飛ばされた。
情けないことに♂BSの体力はもう尽きようとしていた。
そして♂BSを追いかけて本の上級モンスター・ライドワードが襲い掛かかってくる。
(これまでかっ)
♂BSはが転んだ体制のまま最悪を予感したそのとき、間に♀BSが割り込むのが見えた。
その瞬間♂BSの脳裏に忘れかけてた記憶が蘇る。
口下手な♂BSが商人時代に学んだスキルは露店関連とメマーナイトだった。
その事を聞いた♀BSは嬉しそうに笑いながら護身用につけとくものよと1kコインをシャツの裏側に縫い付けたのだ。
その記憶が思い浮かぶとともにからだが勝手に反応した。
強引にシャツの裏側に縫い付けられた1kコインを掴むと♀BSの前にと飛び出した。
「メマーナイト!!」
叫んだのは♂BSと♀BSほとんど同時だった。
その破壊力の前にライドワードも手負いなこともあって耐えることができなかったようだ。
力尽きて地にバサリと落ちるライドワード。
そしてBS二人はなんとなく照れ笑いを浮かべる。
「こんにちは」
テロもほぼ鎮圧されたようだった。


―♂BSは自我を取り戻す前の自分に反抗するように南を目指していた。
次々と湧き上がる思い出にブラッディアックスを握る拳から血がにじみ出る。
シャツの裏側の1kコインがやけに重く感じる。
(必ず、必ずかなわなくても一撃、俺のすべてを込めてっ…)
そして♂BSは首都プロンテラの南にはいった。

<♂BS 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 ) 所持品:ブラッドアックス、ゴスリン挿しロンコ 備考/目的はGM秋菜への復讐の一撃>
83名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 10:38:12 ID:eYiOG.So
 195 肉入り

 風に揺られる草が、寝転んだ♂BSの頬をなでていた。
 彼は、なんとなくそれが、飾り気の無かった♀BSの手に似ている、そんな事を考えていた。
 空だけが、彼と違って相変わらず人工的に青いままだ。

 打倒秋菜を目指すに当たって間違いを彼はひとつ犯していた。
 それは地図を見返して気づいた簡単な、見落としだった。
 つまりは、プロンテラ城が禁止エリアでない筈は無い、という事実。
 これまで、正気を失っていたが故だが、このまま進めば空しく爆死する所だった。

 しかし、自分は一体どうすべきか。
 一気に突き落とされたかのような気分がした。
 そんなどん底から見上げてみると、冴えた方法は初めからたった一つしかなかった。

「殺そうか」
 彼はつぶやいた。
 そうだ。殺そう。
 再び秋菜に会い、殺すためにはそうするしか。

 復讐を遂げる。その為だけに二十人近くもの人間を殺す。
 ♂BSは、その事実に笑った。それは、乾いていた。
 結局、やることは変わらない訳だ。
 本当は、正気に戻ったふりをしているだけなのやも。

 だが他に選択肢は無い。
 自らの命を絶って、全てを終わらせる程彼は潔くもなかった。
 そして、それを選択しうる力が彼にはあった。
 それにBSは人を殺しすぎたから。
 生き残り達は、決して彼を受け入れないだろう。
 他の参加者の善意(それがあったとして)は、最早期待できない。

 殺す為だけに殺す。そうで無くなっただけマシなのだろうか。
 だが。

 ずきり、と酷く頭が痛むのを彼は感じた。
 皆殺しを考える一方で、善意の生き残りとの共闘を期待する自分がいたからだ。

「今更どうやって?」

 そんな事は無理な相談だ。

 ──殺そうか。例え、それがどんな結末になろうと。

 結局、それだけが彼の知りえて、理解しうる唯一の選択であり、真実だった。
 それを肯定する様に、頭痛は波が引くようにいつの間にか消えていた。

「往く、か」
 例え、何もかもが失われ、あるいは既に無くなっていたとしても。
 持ち上げた彼の顔には、迷いが無い。

 そうする事でしか、このゲームを自分が生き残った上で終わらせられないなら。
 こんな馬鹿馬鹿しいゲームは、この手でもう終わりにしてしまおう。
 レクイエムを歌いながら。既に死んだ人達と、これから殺す、あるいは死ぬ人達の為に。

 心を定めると、立ち上がり彼は更に南に下り始めた。
 さっき、自分を避けて、南へと逃げていった♀ローグの事を覚えていたから。

 まずは、彼女から殺そうか。
 彼は、そう考えていた。

<♂BS BOTマーダー=>肉入りマーダーに 持ち物は変わらず。体力復帰
プロ南から、♀ローグを求めてさらに南下>
84名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 10:42:45 ID:eYiOG.So
何となく♂BSの方向転換ですよっ、と。
確信犯だけに更に質の悪いマーダーに進化、と。
やっぱり彼にはマーダーが似合うと思うのです。

後、193に突っ込みですが
♀ローグは先行の♂ローグsを追っていたはずで
彼らを無視しての深淵PTへの遭遇は不自然かと存じます。

提案ですが、♀ローグではなく♂ローグに遭遇の相手を変えてみるのは如何でしょうか?
85名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 10:53:20 ID:eYiOG.So
うわ…ごめん。訂正。
二十人近く=>十人近くに脳内修正お願いします。orz
86名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 10:57:46 ID:eYiOG.So
後、更に連続投稿ですまないが、
前スレより、死体&生存者位置のマップが発表wikiの画像板にうpされてるので
それを告知しておきます。

画像板:ttp://b3.spline.tv/battleROyale/

…六月〜七月は皆テストやらなんやらで忙しいんだろうなぁ、など考えつつ
レスの筆を投げ捨てます。そいでわ次の人宜しく頼みますです。
87名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 11:21:45 ID:WoSL7Vrs
【重要】
死亡放送が流れたけど禁止区域の発表はしていません

193以降の話のナンバリングを1つずつ増やし193を正式に
GM放送の話にしませんか?
88名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 11:40:33 ID:eYiOG.So
死亡放送と禁止区域の発表は必ずしも同時でないような…
薄い記憶をたどってみた限りでは、そんな指定は無かった…筈。
間違ってたら、ごめん。
89名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 12:21:59 ID:H/LXi.ng
えっと、もう一つ
192話においてエンペリウム1個につき五人首輪解除が出来るよーな計算しておりますが
これ、エンペ一つで四人の間違いです
152話筆談にて、♀セージがそう言っているので間違いないです
ですから、若干文章の変更が必要になってくるです……ごめん
これ書いたの私_| ̄|○ 単純に、♀クルセのセリフと、その下の文の数字変えるだけなので
wikiに上がった時、これ修正します

>>87 >>88
禁止区域は死亡放送と同時に行われておりました
そして、今までは定時放送はそれだけで一話を取るスタイルでしたね
ルールとして明記されてる訳では無かったですが
この方が後で見直すのに、やりやすいという理由で皆今までそうしていたのだと思います
と、いうわけで。
私は>>87氏の意見に賛成します
90名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 15:08:18 ID:b7ti44XE
193 定時放送5

定時放送時刻です、と♂GMに起こされたGM秋菜は、渡された報告書(死亡者リスト)を一瞥し、
手元の水晶を模したものを覗き込む。
「ふーん、そろそろ少なくなってきたわね♪
 ただ、ちょーっとプロンテラ周辺に固まりすぎかなぁ〜。いけない人たちですねっ
 ♀セージさん達と♂ローグさん達は再び合流の可能性もあるし、う〜ん」
現在位置を見つつ、世界地図を参照しようと手を伸ばすと、♂GMの作ったご飯が目にはいる。
「……ふんっ」
仮眠を取ってやや回復していた気持ちが落ち、反抗的に食べ物を押しやる。
「みんなみんな、さっさと死んでしまえばいいのよ」
生存者の現在位置を再確認すると放送を流すために立ち上がった。
その瞳に映る真意は分からない。

絶望か、高揚か、狂気か、それとも他の何かか。
瞳からは、冷たい色だけがうかがい知れる。

そして、世界中に場違いな音楽が流れ出し、放送が始まる。


「みなさ〜ん、殺し合い、続けてますか?
 そろそろすくな〜くなって来ましたが、どんどんやっちゃいましょう♪

 まずは死亡者です☆
 ♀アサさん、
 ♀クルセさん、
 ♀WIZさん、
 ♀ローグさん、
 ♀騎士さん、
 ドッペルゲンガーさん
 以上の6名で〜す♪

 それでー、禁止区域の発表です!
 ゲフェン北東
 砂漠の分岐
 バッタ海岸
 GH古城
 クリーミーの野道
 の、五つですぅ〜。
 あんまり残ってるとBANしますから、早く移動して殺し合いを続けてくださいね♪
 以上ですっ☆」


世界に響くその声からも、何を思い何を考えているのか聞き取ることは、できない。
参加者たちは、ただいつも通りであると感じるだけ。
「放送は、あと一回くらいかなっ
 それ以上長くかかると秋菜困るな〜」
そう言いながら、唇を激しく舐め、クスクスと笑った。
91名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 16:49:23 ID:Wt2HLiQM
あれ、195話だけどプロって禁止じゃなかったはず……
92名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 17:54:08 ID:hDIqd5b.
>91
♂BSが禁止エリアと思い込んでるだけなのでは?
正気じゃなかったから放送は聞こえてなかったとかそんな感じで。
93名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 18:08:46 ID:yIRseDMc
193話で♀クルセってあるけど生きてる・・・よね?
94名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 18:52:17 ID:QSQTO5UU
197 再会のために

♀ローグが足早に去って行くのを見届け、一息ついて手の怪我を治療していたところ
忌々しい黄ばみ文字…もとい、GMからの定時放送が流れた。
子バフォと一緒に放送を聞いていた♀アーチャーは、思わずその場に凍り付く。
あの胸くそ悪い声に読み上げられた名前は、一体どういう意味をもつんだったか?
不器用な♀クルセ、聡明そうだった♀WIZ、どちらも自分より遥かに頼もしいはずの
二次職が、まさか…まさか、死んでしまったなんて。
そして何より、一番驚いたことは♀ローグの死亡報告がされたことだった。

「あいつが死んだ?つまり…この先にとんでもない化け物が居るってこと?」
「その可能性が大きいのだろうな。奴はプロンテラに入ったものの、何か
不都合があって行き先を変更、西に向かったが強敵が居て殺されてしまった…」
とんでもない化け物…その形容から想像される人物には心当たりがある。
あの、常軌を逸したオーラを放つ♂BS。奴もまだ生きているのだ。
そして、もし予想通りこの先にあの化け物がいるのならば、自分達には万に一つも勝ち目はない。

「どうしよう、とにかく、ここから離れたほうがいいわよね」
♀ローグを殺した相手が、こちらに向かってこないとも限らない。
「うむ。♂ローグ殿はまだ存命だ。早々に合流しなくては」
「そう、そうね。…あいつは、♂ローグは、まだ生きてるんだよね」
クルセの死に動揺を隠せないアーチャーを見て、『それに』と子バフォが地面に文字を書く。
『♀クルセ殿、♀WIZ殿両名も、死んでしまったとは限らない』
え、と声を上げる♀アーチャーを手で制して、子バフォは続ける。
『彼女らは首輪解除のために動いているはず。
元々クルセ殿が触媒を所持していたこともあるし、2人は解除に成功したのかもしれん。
自由になったものが生きていては不都合があるので、GMを欺くために死亡したことにしているのかもしれんぞ』
子バフォの言葉に、♀アーチャーの顔がみるみる明るくなる。それはもう、ぱあっという擬音まで聞こえてきそうなほどに。
隠された怪力の持ち主である彼女は、感極まって子バフォを絞め殺さんばかりの勢いで抱きしめた。
「子バフォ、あんたって…!」
「苦しい!♀アーチャー殿!」
絞殺、いや圧殺されそうになりながらも、少女が希望をもてたようでよかった、と安心する。
そう思いつつも、しかし子バフォはもう一つの疑念は明かさなかった。
……触媒は3つ、今の話での解除者は2人。計算が合わないが、一つは失敗したのだろうか?
いいや、GMに気取られないよう首輪を外すには、失敗などありえてはならない。
そして世界がそれほど優しいものではないことを、人より遥かに長く生きた彼は知っている。

気を取り直した2人は、地図を広げる。そうなれば、ここはやはりプロンテラに向かうべきだろう。
当初からの目的でもあるし、禁止区域から考えてもここから北に向かう意味はない。
「じゃぁ…プロに入るためには、こっちから回ったほうが懸命かしらね」
しばらく思案した後、つい、と♀アーチャーの指が地図上をすべる。
それは、プロンテラに東から迂回して入るルート。
北側、つまりここからプロンテラに入って、何故か慌てて出てきた♀ローグ。
何があったのかは知らないが、北には何かあるのだろう。
♂ローグ達がいたのかとも思ったが、♀ローグが引き返してきたのは入ってからすぐ。
つまりは獲物ではなく、彼女が引き返すほどの脅威があったと考えるのが自然だ。
そこで西から迂回したのだろうが、その結果が死だ。あの女が禁止区域で爆死するなんて
間抜けな死に方はしないだろうから、西側にはまず間違いなく強敵がいるのだろう。
そうすると、残るルートは東からの迂回路しかない。
そこにあるのは迷いの森。自然が作った、天然の迷宮だ。
それこそは、おそらく♀ローグが迂回路を西にとることにした理由。
「迷いの森…我らが棲み処には及ばぬとはいえ、この森も相当に入り組んだ造りときく。
無事に抜けられるであろうか?」
珍しく弱気な子バフォに、♀アーチャーは不敵に笑ってみせた。
「あたしに任せて。伊達に弓使いやってない。
フェイヨンを出てからは、ここが私の狩場だったんだから」


[不惑の目PT] 現在地→プロ北(prt_field01)から迷いの森、プロ東を通りプロを目指す

♀アチャ
(所持品:グレイトボウ、矢、小青箱)
(現在地:プロ北(prt_field01)
(備考:実は怪力?!
   手の怪我は泉の水で治療、あと1時間くらいで治る
   ♀ローグは死んだと思っている)

バフォJr
(所持品:小青箱1個(♂ローグから渡された)、クレンセントサイダー(Jrサイズ)
(現在位置:プロ北(prt_field01)
(備考:ローグに合流する。
   その後でセージ達に『要』と『アルデバラン』についての情報を伝える
   ♀アーチャーには、ヴァルキリーレルムの話はしていない(ややこしいから)
   ♀ローグは死んだと思っている)
95名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/01(金) 19:06:44 ID:yIRseDMc
そうか首輪はずしたんだったか 勘違いすまんorz
9694sage :2005/07/01(金) 19:13:05 ID:QSQTO5UU
>>87氏をうけて、ナンバリングを1つずらしておきました。
ゾンビローグを見送った後の定時報告なので、2人はローグは死んじゃったと思っています。
あと、アチャが本当にマンドラゴラを序盤の主食にしてるのかどうかは分かりませんので突っ込みお待ちしていますorz

>>84氏 告知サンクスです
ついでに現時点(>>83)までの予想図もあげてみました
ttp://b3.spline.tv/battleROyale/

>>93
実際には生きてるけど、GM側には首輪はずしがばれないように、♀クルセは死亡したってことになってるよー
9794sage :2005/07/01(金) 19:14:09 ID:QSQTO5UU
>>95
Σ( ゚д゚)ごめっ!リロード忘れた!
98名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/02(土) 01:25:31 ID:6iWC15Eo
いかん……プロ南の嵐がすんげー事になってもた
登場人物多すぎだもらー!ヽ(`Д´)ノ
全然書き終わんねー!ヽ(`Д´)ノ

今日はもう_。私は寝ます……ゴメソ_| ̄|○
99名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/02(土) 01:27:27 ID:6iWC15Eo
198 激闘プロンテラ南フィールド 前編

深淵の騎士子はベコから飛び降りると、一足飛びに踏み込んで♀ローグに斬りかかる。
その予想以上に鋭い踏み込みに、♀ローグは大きくその場から飛ぶ事にした。
そして、ツヴァイハンターが振るわれるが、その軌跡を見て♀ローグは自らの判断が正しかった事を知る。
『早いっ! それにこんな巨大な剣振っておきながら、全く体勢崩れないなんざ大したもんさね』
しかし深淵の騎士子は逃がさぬとばかりに、大剣を横凪ぎに振るう。
それを♀ローグは深淵の騎士子の方に踏み込みながら思いっきりかがんでかわしにかかる。
『猪口才な!』
深淵の騎士子はその卓越した技術と腕力で、無理矢理剣の軌道を低くする。
予想していた剣筋よりも低く剣が襲ってきた事で♀ローグは即座にやり方を変える。
『こなくそっ!』
ダマスカスでなんとかそれを受け止めるが、ツヴァイハンターの重量に深淵の騎士子の腕力が加わった一撃を受けきるには、荷が重すぎた。
受け止めたダマスカスごと後ろに吹っ飛ばされる♀ローグ。
『こーりゃまずいね。このお嬢ちゃんとんでもないわ……んじゃこういう手はどうかしらね?』
すぐに立ち上がると、深淵の騎士子に向かい数歩進む。
深淵の騎士子はツヴァイハンターを真後ろに持っていき、剣を♀ローグから見えないようにしつつ、一撃の重さを最大限まで引き出せるよう構える。
そこで不意に深淵の騎士子の視界から♀ローグが消え失せる。
『何っ!?』
『残念、相手はこっちよ』
♀ローグはバックステップで倒れ伏している♂ケミの方に向かっていたのだった。
すると、♀ローグの真横から巨大な影が襲いかかる。
いななきと共に両の前足で♀ローグに襲いかかったのは深淵の騎士子の黒馬であった。
それをかわしながら、♀ローグは更に♂ケミの側に駆け寄ろうとするが、今度はその真正面からベコベコの嘴が襲いかかる。
『っだー! なんなのよこのアニマル軍団!』
体を捻ってなんとかそれもかわすが、黒馬も更に攻撃をしかけんとしている事から、一度この場から少し距離を取る♀ローグ。
そこに、深淵の騎士子が駆け寄ってくる。
「卑怯者が……貴様程度の浅知恵なぞ我々に通用するものかっ!」
二匹は♂ケミの側に立ち、♀ローグを威嚇している。
そして、♂ケミも自らの治療の為にもぞもぞと動き始めていた。

にらみ合う一同、そこに雄叫びと共に突撃してくる影があった。
その人物を見た♀ローグは顔を引きつらせる。
『ブラックスミス!? なんてタイミングで出てくるのよこいつは!』
その突撃の先に居たのは、誰あろう♀ローグ。
形勢不利と見た♀ローグだったが、ちょうど♀ローグを挟むようにして、深淵の騎士子と♂BSが位置している為、とても逃げずらい。
それでも背後にどっちかを抱えるのは、精神衛生上とてもよろしくないので、開き直って逆に♂BSの方に向かって駆け出す♀ローグ。
『一発勝負っ!』
♂BSは左腕しか無い。ならば得物が斧ならば向かって右上からの斬り降ろしが一番最適かつ、効果的な攻撃になる。
♂BSの攻撃をそれと決めつけて、その瞬間を計る。
幸い♀ローグの読みは当たったようで、♂BSの斧が♀ローグの右肩口に向かって振り下ろされる。
その瞬間、♀ローグは移動の歩幅を更に大きく取り、一気に♂BSの左側を駆け抜ける。
本来ならば、♂BSの膂力があれば通り抜ける♀ローグを右腕であっさりと捕まえる事も出来たであろうが、片腕の♂BSには無理な芸当であった。
そのまま転がって♂BSの背後に回り込むが、♂BSは♀ローグには構わずに、今度は更に奥に居る深淵の騎士子に斬りかかる。
「ぬうっ! 見境無しとは……やはり貴様がドッペルゲンガー達を!」
真横から振るわれるブラッドアックスに、ツヴァイハンターを叩きつける深淵の騎士子。
派手な激突音が響き、双方の武器が弾かれる。
♂BSは弾かれた位置から再度反動を付けて、深淵の騎士子の頭頂目がけてブラッドアックスを振り下ろす。
深淵の騎士子も全力で下からツヴァイハンターを振り上げる。
長い刀身を器用に扱い、剣の柄に近い所でブラッドアックスをはじき返す。
そして、ツヴァイハンターの刀身を器用に空中で半回転させ、勢いを付けるとそのまま♂BSに真横から斬りかかる。
対する♂BSも同じようにブラッドアックスを振るって勢いをつけながら、ツヴァイハンターにそれを叩きつける。
火花を散らす二本の武器。
その様を見ていた♀ローグは、冷汗が止まらなかった。
『うっわ。あの♂BS相手に全然力負けしてないじゃないあの子……でもね』
♀ローグも指をくわえて見ている気は無い。
『どっちも邪魔なのよ!』
深淵の騎士子の側面に回り込んだ♀ローグは、♂BSが斬り込むのと同時に深淵の騎士子に斬りかかる。
頭頂を狙い大上段に振り下ろされるブラッドアックス。そして真横から脇腹を狙い突き込んでくる♀ローグ。
ツヴァイハンターを振り上げている余裕は無い。
深淵の騎士子は、ツヴァイハンターから片手を離しながら♂BSに向かって一歩踏み込み、振り上げられたブラッドアックスの柄を真横かた手でひっぱたく。
それで軌道を変えきれた訳ではないが、なんとか肩の先を削られるだけで済んだ。
そして、軌道変わったブラッドアックスは、真横から襲いかかる♀ローグへと振り下ろされる。
♀ローグは慌てて突こうとした手を引っ込め、♂BSは予想外の場所にブラッドアックスが振り下ろされた事により、♀ローグ側へと体勢を崩す。
深淵の騎士子は、片手に持っていたツヴァイハンターを真後ろに思いっきり引く。
両足で大地を強く踏みしめ、剣を握った左腕に筋肉が漲る。
腰は既に限界まで捻りきってある。
「ブランディッシュスピアッ!」
ミドガッツ広しといえど、この技を剣にて行える者は数える程であろう。
それ故に、♀ローグは完全に深淵の騎士子の動きを見誤った。
そしてそれは♂BSも同様であった。
まともに喰らい、吹っ飛ぶ二人。
余りの衝撃に、♀ローグは少しの間ショック状態に陥る。
しかし、深淵の騎士子は慎重で執拗であった。
「とどめだっ!」
吹き飛び倒れる二人に向かって駆け寄ると、再度ブランディッシュスピアを放つ。
朦朧とした視界の中、しかし♀ローグは深淵の騎士子のその癖を一発で見抜いていた。
『ここっ!』
ブランディッシュスピアを放つ瞬間、ほんの僅かだが深淵の騎士子の動きが止まる。
その瞬間に♀ローグはバックステップで転がるようにその場から逃げ出す。
辛くも逃れた♀ローグ。だが♂BSはまたもまともに喰らい、その場から吹っ飛ぶ。
そして、♂BSは今度は倒れたりはしなかった。
「なんだとっ!?」
驚きの声を上げる深淵の騎士子。
♂BSはそんな深淵の騎士子に、ブラッドアックスを振るう。
その一撃を受け損なった深淵の騎士子は、斬撃こそ剣で受けたものの、その勢いを止める事は出来ずに地面に叩きつけられる。
激しく胸部を打ち付けた事で、一瞬呼吸が止まる。
そこに振り下ろされるブラッドアックス。
ごろごろと横に転がってそれをかわすが、♂BSはそんな深淵の騎士子を全力で蹴飛ばす。
今度は背中を強打され、小さく悲鳴を上げて倒れる深淵の騎士子。
♀ローグはその様子を見て確信した。
『勝負あったね。切り札が効かないんじゃどうしようもないさね……さて、私は残った連中片づけてさっさと退散するとしますか』
ゴーストリングC持ちをなんとかする手段は未だ手元に無い。
この場で♂BSを仕留めるのは不可能と考え、♀ローグはこいつを利用しつつ他の連中を殺す事にした。


「彼方に響く、剣激の音〜♪ っとくらぁ」
とんでもなく嫌そうな顔をした♂ローグが言った。
相変わらず不真面目な♂ローグの態度に顔をしかめながらも、バドスケはマンドリンを用意する。
「行くか?」
「行くっきゃねえから、腹が立つんじゃねえか。くそっ……どうしてこう厄介事ばっかかねぇ」
「アラームはここに居るんだぞ」
バドスケは優しくそう言うと駆けだした。
後に♂ローグも続く。
残ったアラームもつられて後に続く。
瞬時につっこむ♂ローグ。
「って、だからお前は残ってろって!」
「あれ? 違うの?」
その間にそれなりに走ってしまっているバドスケが叫ぶ。
「おい何やってんだ! ……って嘘だろ? ありゃローグ姐さんじゃねえか!」
その言葉に♂ローグも走り寄って戦場を確認する。
「げっ! なんつーしぶとい……死亡放送までされといてよくもまあ……しかも♂BSまで居やがるよ」
バドスケは既に走り出している。
♂ローグも後を追いながら言う。
「おいっ! とりあえずの敵は♂BSと♀ローグの二人でいいな!?」
「おう! だが深淵の騎士子にゃ注意しろよ! あれまで敵だったら俺達の手にゃ負えなくなるぞ!」
「そん時ぁインティミでてめぇ連れて飛んで逃げるさ!」
駆け出す二人、そしてアラームはその更に奥に居る動物達、そして傷ついて倒れる♂ケミが目に入った。
「た、大変! あの人凄い怪我してる!」
アラームはすぐにその場所目指して駆けだしたのだった。
100名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/02(土) 01:28:11 ID:6iWC15Eo
♀ローグがアニマルコンビに近づく。
二匹は嘶いて威嚇するが、深淵の騎士子は身動きが取れない。恐れる事なぞ何も無いのだ。
「さて、さっさと片づけますかね」
油断はしない。確実に、そして迅速に処理すると決めて二匹に襲いかかろうとする♀ローグ。
「そいつは俺とのケリがついてからにしてくれよ」
振り向く♀ローグ。その視線の先では、♂ローグが首を鳴らしながら♀ローグに向かって歩み寄ってきていた。
「あんた……こいつら助ける気かい?」
「知らねえな。アンタにゃ借りが山ほどあるんでそいつを返したいだけさ」
「ふん。私が生きてる事、驚かないんだね」
「悪党はしぶといって相場が決まってんだ。……心当たりが無いでもないしな」
そう言って♀ローグの首輪を確認する♂ローグ。案の定♀ローグの首輪は外れていた。
「頭の良い男は嫌いじゃないよ……どうだい? 私と組む気無いかい?」
「いいねぇ。悪党同士、手に手を取って愛の逃避行とでも行くか?」
スティレットを構える♂ローグ。
「この期に及んで冗談たー気が効いてるね大将。本気で気に入ったよ、今晩にでもヤらせてやろうか?」
ダマスカスを構える♀ローグ。
「生憎、死体とヤル趣味はねえんだよ!」
スチレで♀ローグの首を狙って突く♂ローグ。
♀ローグはダマスカスでうまくそれを絡み取って狙いを逸らす。
スチレをはじき飛ばすつもりでそれを仕掛けたのだが、♂ローグはすぐさま斬り返して♀ローグの顔面を切り裂かんとする。
それを仰け反ってかわすと、♀ローグは♂ローグの胴にダマスカスを突き立てようとする。
ダマスカスの届くぎりぎりの距離を見切って♂ローグはそれを、簡単に身をよじるだけでかわす。
しかし、♀ローグの攻撃は尽きない。
胴、頭部、四肢を問わず、隙あらば何処にでも斬りつける♀ローグ。
♂ローグはそれを体捌きだけで全てかわしてみせる。
『ちっ、なんてすばしっこいんだい。それにさっきの突き。稲妻みたいな速さじゃないか!』
♂ローグは神経を研ぎ澄まして♀ローグの隙を見つけんと目をこらしているが、攻撃をかわすのに手一杯でそれ以上の事を考える余裕が持てなかった。
『なんなんだこいつの突きは!? くそっ! 動きがまるで読めやしねえ!』

咳き込む深淵の騎士子。
それでも♂BSから目を離すような真似はしない。
『コヤツ……一体何をした? 何故私の攻撃が効かぬか!』
以前と同じ無表情の♂BS。それが僅かに曇った。
深淵の騎士子の横から、バドスケが近づいてきたからだ。
「よう深淵の。モンスター繋がりだ、良けりゃ手伝うがどうだい?」
深淵の騎士子の意志はまだわからない。バドスケなりにそれを探る意味でも問いかけであった。
「……貴様は?」
「アーチャースケルトンバドスケ。俺は殺し合いにゃ乗ってねえよ」
相手が二人に増えた事で、♂BSは警戒して踏み込む事が出来ない。
深淵の騎士子はじろっとバドスケを見る。
「こやつには私の攻撃が効かぬ。貴様には何か手があるというのか?」
「なるほど……♂ローグの言ってた通りか。なら、俺にもあんたにもなんとかする手はあるわな」
「何?」
「こいつはゴスリンC使ってやがる。早い話、属性攻撃しかけりゃ当たるって事だ」
深淵の騎士子は厳しい顔で言う。
「それが真実なら、私は貴様を信用してやっても良い」
「そいつは何より」
深淵の騎士子が正面から♂BSに斬りかかる。
ツヴァイハンターの重い一撃を、♂BSはブラッドアックスを勢い付けて叩きつける事で受け止める。
横目でバドスケが♂BSの横に回り込もうとしているのを見るなり、♂BSはブラッドアックスを真横に大きく振って二人同時に牽制する。
それを深淵の騎士子は大きく仰け反ってかわしながら、片手を♂BSに向け、闇属性攻撃を放つ。
黒い障気の塊が♂BSを襲う。
それが♂BSを包むと、♂BSは苦悶の声を上げる。
すぐさまバドスケも障気を放つ。
深淵の騎士子とは違うが不死属性攻撃をバドスケも放つ事が出来るのだ。
二種類の障気に包まれ、苦痛を覚えた♂BSだったが、それは耐えられない程の物でもなかった。
雄叫びをあげながら、バドスケに斬りかかる♂BS。
それを深淵の騎士子の剣が受け止める。
「良かろう、貴様を信じよう」
バドスケは想像以上のブラッドアックスの勢いに冷汗を掻きながらも、なんとか笑い返す事が出来た。

背後に♂BSの悲鳴を聞いた♀ローグは、形勢が変わった事に気付いた。
『隙ありっ!』
待ちに待っていた♀ローグの隙、それを♂ローグは見逃さなかった。
吸い込まれるように♀ローグの喉を切り裂く♂ローグのスチレ。
♀ローグは驚きに大きく目を見開くが、片方の腕で自分の頭の上を押さえ、同時に♂ローグにケリを見舞う。
虚を突かれた♂ローグはまともに頭にハイキックを食らい、もんどり打って倒れる。
「っちゃ〜。なんて事してくれるんだい、頭取れちまう所だったじゃないか」
頭を振りながら起きあがる♂ローグ。
「お前何した?」
♀ローグはくるくると丸めて髪で隠していた反魂のお札を軽く叩いてみせる。
「……マジかよ。つーかお前とっくに死んでんじゃねーか! んな奴が平然と夜の相手申し出るんじゃねー!」
♀ローグは腰をくねらせる。
「ん〜。い・け・ず♪ まあ趣味が合わないんじゃしょうがないわね〜」
そう言うといきなり後ろを向いてその場から逃げ出す♀ローグ。
この動きは読めなかったのか、一瞬反応が止まる♂ローグだったが、慌ててその後を追う。

アラームが♂ケミに駆け寄ると、黒馬とペコペコがその前に立ち塞がるが、すぐに道を開ける。
「大丈夫ですか! わっ、血がたくさん出てるよぅ〜」
そう言ってわたわたと慌てるアラーム。
自ら怪我に治療を施していた♂ケミは苦痛に顔をしかめながら、アラームの方を向く。
「君……は?」
「あ、アラームですっ! 治療手伝いますっ!」
アラームの言葉から悪意は感じられない。
なればこそ黒馬もペコもアラームを通したのであろう。
「ごめん、助かるよ。そっちの包帯を……背中に回してくれないかな? 一人じゃやりにくくって」
だから、♂ケミもアラームを信用する事にしたのだった。


<♂ローグ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:ツルギ、 スティレット、山程の食料>
<アラーム 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:大小青箱、山程の食料>
<バドスケ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:マンドリン、アラーム仮面 アリスの大小青箱 山程の食料 備考:特別枠、アラームのため皆殺し→焦燥→落ち着き>
<♂BS 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 ) 所持品:ブラッドアックス、ゴスリン挿しロンコ 備考/目的はGM秋菜への復讐の一撃>
<♂アルケミ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100、石をつめこんだ即席フレイル、無形剣>
<深遠の騎士子 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:アリスの復讐>
<♀ローグ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品:ダマスカス、ロープ 備考:首輪無し・アンデッド>
101名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/03(日) 13:02:08 ID:TGxYGg0k
 199 死ぬ訳にはいかない

 幾度目かの属性攻撃が、♂BSを弾き、地面へと投げ出していた。
 跳ね起き、深淵とバドスケから距離をとった♂BSは、荒い息を吐きながら考えを廻らせる。
 相手は二人。一人は強化を受けた自分にも比する手練れ。もう一人は未知数。
 しかも、どういう訳か…物理攻撃を軽減するコートを突き抜けて届く一撃まで持っているらしい。
 幾ら、力を得たといっても彼の本領は製造だ。
 根本的な部分で、戦闘は余り得意でない。(少なくとも先程、突撃した際にアドレナリンラッシュを発動し忘れる程度には)
 強化によって五感と反射は飛躍的に増加したけれども、それに関する知識の不足から元々戦術の引き出しは少ないのだ。
 黒い騎士の娘の相手は楽な状況、とは言えなかった。

 だが、やるしかない。
 ♂BSは唇を真一文字に引き結ぶ。
 俄かに血液が沸騰するのを感じていた。
 アドレナリン・ラッシュ&マキシマイズ・パワー。
 戦鬼の様に体が徐々に赤く染まっていく。

 おれは、まだ死ぬ訳にはいかない。
 おれは、まだ死ぬ訳にはいかないんだ。

 自分に言い聞かせる様に繰り返す。
 目標には未だ遠い。この二人は殺されなければならない。
 そのエゴを押し通さなければならない。
 それを途中で曲げるわけにはいかない。
 チャンスを与えられながら、望みが全て叶わなくなる。

 しかし力押しで殺せるか?この二人を。
 一瞬考えて、答えはYes。確かに属性攻撃は痛いが、他は軽減できる。
 それに幸いながら、自分に効果のある攻撃の威力はさっきのBds程でも無かった。
 ツベコベ考えず、豪腕で押し切る。それが一番の正解の様に彼には思えた。

「るぅおぉぉぉぉぉっ!!」
 考えを定めた彼は、咆哮し、地を蹴った。
 深淵とバドスケには、牙を剥き吼えながら突っ込んでくる彼が怒り狂ったオークロードの様に見えたに、違いない。

 バドスケが何事か叫んだ気がしたが、BSにはもう聞こえなかった。
 片腕でブラッドアックスを振り上げ、柄の最下端を握って水平に薙ぎ払う。
 がぎん、と硬い金属が打ち合う音。
 見れば、ツヴァイハンダーの横腹を深淵は盾にしていて。
 成程。馬鹿みたいに幅広の刀身は横にすればそのまま大盾の役割も果たすことが出来るらしい。
 それを認めた瞬間、ごぼう抜きに重力の沼に嵌った斧を引っこ抜いて、力任せに振るう。
 しかし、同じく振られていたツヴァイハンダーとぶつかって、弾かれた。

 ガギッ、ガギン。ガチン、バチン、ギャリッ。
 荒れ狂う荒れ狂う荒れ狂う。斧と大剣の剣風が空間を支配。
 知覚が、感覚が加速している。騎士の流れる様な剣舞は、しかしはっきりと彼には視える。
 赤い──鬼が。血みどろの復讐鬼が。最悪の殺戮者が。赤い斧を手に。
 それを荒れ狂う暴風の如くに振り回す。
 剣風が、回転を更に増していく──

 このまま押し切れば。
 殺せる。手ごわいだろう相手だったが殺すことが出来る。
 ♂BSは、確信を抱く。

 女の、滝の様に流れている汗の臭いがする。
 酸欠によって紅潮している肌が見える。
 ぎしぎしと軋む筋肉の音が聞こえる。
 目の前の相手の限界は、もう近い。

 沸騰するような意識とは裏腹に、妙に冷めた調子でそんな事を♂BSは考える。
102名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/03(日) 13:02:39 ID:TGxYGg0k
「深淵!!」
 それは、突然横合いから響いた爆音の様な弦の音と叫び声、それが引き連れてきた鈍い衝撃にかき消された。
 爆音を間近に聞き、音が彼の世界から消える。
 一瞬、BSの体が重量級モンクの体重が乗った一撃を貰ったように宙を舞っていた。
 声の方にいた筈の者は──バドスケ。
 成程、これはそいつの技能か。
 BSは衝撃の正体を理解する。
 だが、その隙を相対した深淵が見逃すはずも無く。
 弾かれた反動を利用して、大上段に構えたツヴァイハンダーの刃が、黒いもやを纏って揺らめいていた。

「せりゃぁぁぁぁっ!!」
 騎士の裂帛の気合。瞬間的に思考が弾ける。
 勢いも構えも何も無い。その一撃を回避する為だけに、ブラッドアクスを遮二無二に振る。
 一際大きな音。金属と金属がぶつかり合う。火花が咲く。衝撃が手首を這い登ってくる。
 正確にどうやったのかは、当人にも判らない。
 加速された感覚の中、スローモーションが掛かったような具合で迫ってくる剣目掛けて斧を打ち付けた、と表現するほか無い。
 只、結果だけを述べるなら♂BSは、本当なら彼の頭蓋を真っ二つに砕くはずのそれの回避に成功していた。
 手にした斧には刃の上部に大きな罅が入り、おまけに片方の耳を大きく裂かれていたけれど。

 アドレナリン過多で耳の痛みは感じなかった。素早く身をかがめながら獣の様に飛び退くと、再び騎士と対峙する。
 彼女は、荒い息を吐きながら、彼を見据え、こう言った。

「…まだ、こんな所で死ぬわけにはいかないのだ!!」
 奇遇だな。おれもだよ。
 彼は呟く。恐らくは誰にも聞こえていないのだろうけれど。
 正面には騎士。横合いには詩人。結局のところ、三人の関係は振り出しにもどった訳であった。

 しかし、状況は確実に進んでいる。
 幾分手傷を負いながらも♂BSは詩人のスキルと属性攻撃を掻い潜りながら、深淵を殺すのは難しい事を悟っていたし、
深淵は先程の剣舞に疲弊し、そして、バドスケは復讐者の化物じみた動きと膂力に歯噛みしていた。

 そうだ。
 三竦みの様な状態に考えあぐねたBSは、再びあの言葉を繰り返す事にした。
 まだ、おれは死ぬ訳にはいかない、と。
 きっと、目の前のこいつ等も一緒なんだろう。
 それは様子を見ただけで判る。
 それでも、今は死ねない。
 おれには目の前のこいつ等よりも、目的の方が大事だ。

 けれど、それが本当に最善の選択なのだろうか?
 その疑問は、まだ猟犬の様にしつこく彼に追い縋る。
 彼は、邪魔だからその犬を寂しそうな顔をしながら鞭で叩いた。
 大きな体躯を持ち、本当なら彼の行為にしぶとく吠え掛かる筈のそいつは、しかし
一度きゅうん、と彼を見て悲しそうに鳴くと、意外なほど素直に臥せてしまった。

「──おれも、まだこんな所で死ぬ訳にはいかない」
 騎士に睨まれ、詩人に狙われながらも彼は不意にそう言った。
 これまでの不気味な無表情でも、先程までの凶暴な横顔でもなく、ただ静かな顔で。はっきりと。
 その『静』は穏やかさではない。決意の裏に潜んだ、良心への諦観だった。

「何を今更!!」
 騎士が叫ぶ。当然の反応だ、と彼は思った。

「そうだな。そうだよな」
 言われて思い出すのは、赤い風景。
 惚けた様な顔をした、恋人の生首。
 悲鳴を上げて逃げ惑うひと。
 それを無表情に狩りたてている、隻腕の自分。

 そんな自分が、本当ならこれ以上生きてちゃいけないという事ぐらい、彼自身にもよく判っていた。

「でも、おれは死ねないんだ。
結局、狂っていてもいなくても…あれ、何て言うんだろうな、こういうの」

 詩人さん、と不意にBSはバドスケに声を掛けた。

「きっと冴えた言葉、知ってるんだろう? できたら教えてくれないか」
「…知らねぇよ、そんなの。自分の言葉ぐらい自分で探せ」
 顔を向けずに放った言葉には、何故だか戸惑うような返事が。
 BSは自分の顔を覗かせていたかもしれない感情を、心のもっと深い淵へと追いやって、そこにある引き出しに仕舞う。
 それ以上の必要は無かったから、彼は言葉についても考えるのをやめた。
 少し、残念な気がした。気がしただけで、それ以上は考えない事にする。

「どうしてだ…何故お前がそんなにも悲しそうな顔をしている?」
 ふと、意識から外れていた深淵の困惑混じりの声が聞こえた。
 どうやら、知らない間にそんな顔をしていたらしい。
 さっき引き出しに仕舞ってしまったと思ったのだが。
 成すべき事は一つだから答えなくても良かったが、気紛れに彼は貧弱な語彙から言葉を探してみた。

「歌を詠わなきゃ、ならないんだ」
「何を…訳の判らぬことを」
「それから…全てを、終わらさないといけないから」
「終わらせる…?」
「そう、理由はそれだけだ」

 二度目の問いには、そうとだけ答えた。
 そして、その歌は今まで死んだ人たちとこれから死ぬ人達の為で。
 そんな事を考えるからには、彼は実際のところ酷く人殺しが嫌いなのかもしれず。
 けれど♂BSには、その一番嫌いな物しか手段として残されていない。

 ──死ぬ訳にはいかない。
 他の奴には、きっとあの女は殺せないから。
 けれど、あの女だけは殺さなければならない。
 復讐する為だけじゃない。
 もう、このゲームを本当の意味で終わりにしてしまう為に。

 なら、その為にはどうすればいい。
 手に、血塗れの斧を握り。足で、血と屍を踏みしだく。
 つまり、血まみれのロングコートを、やはり生臭いままにさせておけば、それでいい。
 それこそ、全てが終わるまで。
 終わり…終わったら、おれは。
 いや、それは判らないし、知ったことじゃなかった。
 その時こそは、安心して自分の首でも刎ねれるだろうか、などと考えかけて、かき消す。
 そもそも、失敗する可能性もかなりあるだろう。
 だからこそ一番堅実で確実な方法を採ろう。
 それが、思いつく限りの最善だった。
 そして、目的を果たすには、最善を尽くすのが一番だ。

 この思考も実のところは単なるエゴかもしれない。
 (誰が、彼が心の奥底でさえ自己保存を考えていないなどと洞察できようか)
 だが、それでも──

 ──おれは、まだ死ぬ訳にはいかない。

 ♂BSはブラッドアックスを、硬く硬く握り締めた。


<♂BS 場所及び状態:変わらず 装備:血斧に罅 目的:肉入りマーダー&秋菜への復讐とゲームを終わらせる為に、皆殺し>
<バドスケ&深淵 主な変化無し。但し、戦闘による消耗は適宜考慮願いたく>
103名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/03(日) 13:04:11 ID:TGxYGg0k
とりあえず、198の直後辺りをBS視点で書いてみたとです....
104名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/03(日) 23:15:20 ID:Z6.G1doc
うむ、とりあえず次の書き上げたっ
だが、問題点が……

>>200 激闘プロンテラ南フィールド 中編
↑ココ

マジごめん。記念すべき200話が中編って何よと_| ̄|○
105名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/03(日) 23:16:11 ID:Z6.G1doc
200 激闘プロンテラ南フィールド 中編

♀ローグは目標目がけて一直線に走る。
それを少し遅れて追う♂ローグ。
その行き先に気付いて♂ローグは♀ローグの真意を測りかねた。
♀ローグの走る先、そこには♂BSが居たのだった。
♂BS、そして対する深淵の騎士子もバドスケもかなり消耗しているように見えた。
♀ローグはそんな♂BSに向かって駆け、その足音に気付いたそちらを見もせずに当てずっぽうでブラッドアックスを振る。
もちろんそんな甘い攻撃の通用する♀ローグではない。
スライディングの要領であっさりとそれをかわして♂BSの横をすり抜ける。
♂BSにとってはそれだけで済んだ。
だがそれだけで済まないのは深淵の騎士子だ。
♂BSの体が邪魔になって♀ローグの姿は完全に死角になっていたのだ。
『♀ローグだとっ!?』
スライディングから立ち上がり、勢いそのままに深淵の騎士子に斬りつける♀ローグ。
ツヴァイハンターを盾代りになんとかその一撃を受け止めるが、すぐに打ち込んだ短剣の軌道が変化する。
それはなめるようにツヴァイハンターの表面を滑り降り、深淵の騎士子の膝を切り裂く。
『ぐっ!』
ツヴァイハンターをその位置から力任せに振るって、♀ローグを振り飛ばそうと深淵の騎士子は試みるが、既にその位置には♀ローグは居なかった。
懐深くまで踏み込んだ♀ローグは、深淵の騎士子の肩に手を置くと、信じられない脚力で宙に飛び上がっていたのだ。
そして、振るわれるツヴァイハンターの柄の部分に足を置き、その動きを制する。
あまりの芸当に、深淵の騎士子も驚愕に目を見開く。
しかし、体は同時に動いてくれた。
ツヴァイハンターを全力で振り上げ、後ろに向けて♀ローグを放り出そうとする深淵の騎士子。
♀ローグはその動きを読んでいたのか、振り上げられる勢いを利用して、深淵の騎士子の肩に置いた手を起点に、更に高く逆立ちの要領で足を振り上げる。
この隙に残った左手で短剣を振るえれば、深淵の騎士子も容易く討ち取れたのであろうが、左腕はバランスを取るのに手一杯でそれ以外の事は流石に出来なかった。
そして空中で半回転し、♀ローグが手を置いた肩とは逆の肩に着地すると、すぐに深淵の騎士子をその足で蹴飛ばしながら飛び上がる。
更にその先にも目当ての人物が居たのだ。
「バドスケーーーーッ!!」
空中から飛び降りざまにダマスカスを突き立てる♀ローグ。
バドスケはマンドリンを盾に、♀ローグの体重ごとそれを受け止める。
♀ローグはマンドリンに弾かれた勢いと重力にその身を任せて、体を後ろに倒しながら片手を地面につく。
そして無防備なバドスケの下半身に、低い体勢から足刀蹴りを食らわせた。
ほんの一瞬、♀ローグが♂BSの脇から飛び出してからほんの一瞬で、深淵の騎士子、バドスケの二人は♀ローグに張り倒されてしまったのだ。
蹴飛ばされ、よろめいていた深淵の騎士子も体勢を整え♀ローグに対するが、既に♀ローグもダマスカスを構えた状態で、その場に立ち上がっている。
バドスケもすぐに立ち上がり、♀ローグを二人で囲むように位置するが迂闊に踏み込めないでいた。
『バケモノかこやつ……』
『人間じゃねえよこの動き……』
♀ローグは、視線の片隅で望み通りの展開が繰り広げられている事に満足しつつ、なんとかこの二人を押さえる方法を考えていた。

真横をすり抜け、深淵の騎士子に向かっていった♀ローグの姿を一瞬視界隅に捉えた後、♂BSは振り向き、その視線の先に居る♂ローグに狙いを定めた。
♀ローグが♂BSを簡単にスルーした事に驚いた♂ローグは、♂BSの動きに反応が遅れる。
ブラッドアックスの魔力を活かし、驚異のスピードで♂ローグに迫る♂BS。
そこから繰り出されるブラッドアックスの一撃は、小手先の技なぞ不要である。
ただ全力で打ち降ろす。それを繰り返すだけでよほどの手練れでも無い限りあっさりとカタがつく。
ましてや得物が短剣しかない♂ローグなぞ、物の数ではなかった。
ここにきて♂ローグは♀ローグの企みに気付く。
『あのクソ女! 対戦相手の交換たーやってくれるぜ!』
相性のより悪い♂BSを♂ローグにぶつけ、自分は時間稼ぎでもして♂ローグが殺され、形勢が変わるのを待つつもりなのだ。
♂BSもあの深淵の騎士子を♀ローグが抱えていてくれるというのであれば、文句も無い。
「やべぇな……こりゃ」
♂BSの間合いに入らぬよう、ブラッドアックスを捌きながら後退する♂ローグ。
足の速さは相当な物だが、それでもいざ攻撃を仕掛けようとする時は前進が止まる。
そのタイミングを外さなければ、攻撃の瞬間に間合いの外に逃げる事も可能だが、それは♂BSの動きの速さ故、とんでもない労力を必要とする作業であった。

♂ケミはアラームの手伝いのおかげで、なんとか包帯を巻き終える。
「ありがとう、二人だと簡単に出来たよ」
♂ケミの感謝の言葉に、アラームは照れた笑いを浮かべた。
そして♂ケミはすぐに立ち上がると、黒馬とぺこぺこの二匹に向かって言う。
「僕達も行こう! 深淵の騎士子さんを助けるんだ!」
駆け出す♂ケミに二匹は付いていく。
「はいっ!」
そして何故かアラームも後をついていった。
根がとても素直に出来ているらしい。

じりじりと、距離を詰める深淵の騎士子とバドスケ。
それを見ながら心の中で呟く♀ローグ。
『それが必要なら手段を選ぶな……あんたにはそう教えたよ』
♀ローグはバドスケに向かって言う。
「なんだいあんた。人殺しは嫌だのなんだの言っておいて、私の事はエラクあっさりと殺してくれたもんだね〜」
憎しみの篭った目でバドスケは言い返す。
「あんたがアラームに手を出すからだろうが! 大体姐さんばりばり元気炸裂パワーじゃねえか! どうなってんだ一体!」
深淵の騎士子に油断の無い目線を送りつつ♀ローグは答える。
「ふ〜ん、じゃあその勢いで他の連中も殺したらどうだい? あんたが最初に言ってた通りじゃないかい。無抵抗のノビ君もアリスちゃんも、そして私も殺したんだ。まだまだイケるよあんた♪」
「ふざけんな! それはアラームの為にならないって俺はわかったんだよ! あんたがそう教えてくれたんじゃ……」
「待てっ!」
バドスケの言葉を遮って深淵の騎士子が叫ぶ。
♀ローグはそれを見てほくそ笑む。
『ん〜。やっぱり前からの仲間じゃないんだね〜。なら、バドスケが無抵抗の人を殺したって聞いて心穏やかじゃいられないだろうね〜』
にしても、バドスケが深淵の騎士子を説得するまでの間だけの話であろうが、それで♀ローグには充分な時間稼ぎになる。
そう考えていたのだが、事態は思わぬ方向に進み始める。
「お主……今アリスと言ったか?」
♀ローグに訊ねる深淵の騎士子。
♀ローグは肩をすくめる。
「ああ、言ったさ。バドスケが殺した相手って聞いてるけどね……知り合いかい?」
深淵の騎士子は憤怒の表情でバドスケを見る。
「……それは真かバドスケよ?」
バドスケは、アリスを殺した事を罪と自覚していた。
そして出来ればそれを償いたいと考えていた。
そんなバドスケが、この言葉に偽りを吐けるはずが無かった。
「ああ、そうだ。アリスは……俺が殺した」
突然、激昂した深淵の騎士子がバドスケに斬りかかる。
バドスケはマンドリンでそれを受け止めるが、深淵の騎士子の力にマンドリンごとはじき飛ばされる。
「貴様……アリスは無抵抗であったと? それを貴様が殺したというのかっ!?」
今の一撃から欠片の容赦も感じ無かった事から、深淵の騎士子はこの件を血を見ずに済ませる気は無いとわかった。
しかし、それでもバドスケは嘘はつけなかった。
「そうだ。俺は……無抵抗のアリスを殺したんだ……」
罪の意識はバドスケの心の奥底に根ざしている。それは理屈ではどうにもならない部分であった。
「外道めがっ! 死して償えっ!」
深淵の騎士子の言葉は納得の出来る事だ。バドスケもそうするべきだと心から思っていた。
だが、体はそうは簡単に納得してくれない。
必死になって身をよじり、ツヴァイハンターの重い一撃を辛うじてかわす。
冷静さを欠いている深淵の騎士子の剣は深く地面をえぐり、その隙にバドスケは立ち上がってマンドリンを構える。
「待ってくれ! 俺はそれでもアラームを……」
「これ以上貴様は何もしゃべるでないわーーーーー!!」
♀ローグは仕掛けた罠が思わぬ効果を発揮した事に内心で喝采を送っていた。
『ここまで都合の良い事態は考えて無かったわね〜。こりゃ、しばらくほっといても平気そうね。んじゃー私もローグ君殺しに参加するとしましょうか』
コレ幸いと♀ローグはこの場を二人だけにして、♂ローグと♂BSを追う。
♂ローグは♂BSと交戦しながら、とうの昔にこの場から後退していたのだった。
106名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/03(日) 23:16:37 ID:Z6.G1doc
♂ケミ、黒馬、ペコ、アラームの二人と二匹が現場にたどり着いた時、二人の決着はつかんとしていた。
マンドリンを跳ね飛ばされ、大地に両手両膝を付くバドスケ。
立ち上がろうともがくが、打ち据えられた全身はまるで言うことを聞いてくれない。
そんなバドスケを冷ややかに見下ろす深淵の騎士子。
「地獄でアリスに詫びよ。ゲスめがっ!」
♂ケミはバドスケが何者なのか知らない。ただ♀ローグが居ない事を不思議に思っただけだ。
だが、アラームはそうではなかった。
「バドスケさんっ!」
つい先ほどの話だ。
アラームの目の前で大事な人が殺されそうになった。
ここでは、アラームの知らない理由でいきなり大事な人が死んでしまうかもしれないのだ。
幼いアラームにもその時、その事がわかったのだ。
だから、今回もこのままであったなら、きっとバドスケは死んでしまう。
そうアラームは考えて、走った。
深淵の騎士子は加減も隙も無しの一撃を振り下ろす。
駆け寄るアラームに気づけなかったのは、それが復讐を成す最後の一撃であったからかもしれない。
この時、深淵の騎士子の脳裏には無惨に殺されたであろうアリスの悲しそうな顔と、惨めに倒れ伏すバドスケが粉々になる姿しか無かったのだ。
そんな深淵の騎士子の視界にアラームが飛び込んできたのは、ツヴァイハンターがバドスケを捉えるコンマ数秒前であった。

バドスケは自分の名を呼ぶアラームの声に顔を上げる。
一直線にこちらに向かうアラームに、バドスケは声を上げて言いたかった。
『来るなっ!』
だが、その声は打撃による衝撃と疲労のせいで音を作らず、ただ掠れた空気の擦過音にしか成り得なかった。
そんなバドスケに抱きつくアラーム。
直後に襲ってきたツヴァイハンターによる衝撃は、予想していたよりも遙かに小さい物であった。
二人で抱き合って転がり、それが止まるなりバドスケは体を起こし、アラームを抱える。
「おいアラーム! お前なんて事を……」
そこでバドスケの言葉が止まる。
アラームの脇腹から湯水のように血が噴き出している事に気付いたから。
慌てて傷口を上に向ける。
「アラーム! おい! なんてこった……ちくしょう!」
アラームは必死に振るえる手を上げる。
すぐにそれに気付いたバドスケはその手を握った。
「バドスケさぁん……死んじゃヤだよう……バドスケさんが死んじゃうのはヤだよぅ」
それだけ呟くと、アラームの全身から力が抜けた。
バドスケは振るえる手で、アラームの手を握り返す。
「おい、アラーム。何言ってんだよ……なあ、何寝てんだよお前……」
二人の様子を見た深淵の騎士子は、何かに圧されるようにその場から後ずさる。
その音を聞いたバドスケは、アラームを大地に横たえると、数歩先にあるマンドリンを拾う。
そして抑揚の利かない調子で深淵の騎士子に言う。
「なあ、アラームがお前に何をした?」
マンドリンを片手に持ち、それを引きずりながら一歩づつ近づく。
「アラームが、お前に、何をした? って聞いてるんだよ。答えろクソ野郎」
深淵の騎士子はツヴァイハンターを構え、バドスケをにらみ返す。
「飛び出してくるそやつが悪い。文句でもあるか屑」
「アラームが悪いだぁ? 言うに事欠いてこの野郎が……殺してやらぁーーーー!!」
疲労と怪我で動かなかったはずのバドスケが、鬼気迫る勢いで深淵の騎士子に迫る。
対する深淵の騎士子も、先ほどから微塵も怒りが消える様子は無い。
そして二人は激突した。

♂ケミには事態が全く飲み込めない。
だが、深淵の騎士子が傷つけたこの子に罪があるとも思えなかった。
だから、♂ケミはアラームに駆け寄り、微かな可能性に賭けて治療を始めたのだ。

もう十回目になろうか、バドスケは深淵の騎士子のツヴァイハンターに跳ね飛ばされて、すぐに飛び起きる。
今のバドスケには深淵の騎士子しか見えていない。
そんなバドスケだったが、跳ね飛ばされ転がる間に見えた物の中で、とても見過ごせない物を見つけてしまった。
そいつは事もあろうに、倒れたアラームに何やらしているのだ。
「何してんだてめーーーーーー!!」
突然振り返ってアラームの治療に務める♂ケミに駆け寄る。
それを見た深淵の騎士子は頭から冷水をぶっかけられた様に我に返った。
アリスと同じくらい大切な♂ケミに危険が迫っている。
最後まで残って一緒に居てくれる大事な仲間に、バドスケは武器をかざして走り寄っているのだ。
「ま、待て! 逃げろアルケミ!」
悲鳴にも似た叫び声をあげる深淵の騎士子だったが、バドスケは止まらない。
♂ケミもそんなバドスケに気付くが、その場から逃げようとしない。
奥歯をぐっと噛みしめて、大地に足を伸ばして待ちかまえる。
そうして振り下ろされたマンドリンは、♂ケミの頭部に叩きつけられるが、バドスケが全力で振るったそれを、♂ケミは頭で受け止め、全身で堪える。
再度マンドリンを振り上げるバドスケを♂ケミは怒鳴りつけた。
「治療の邪魔をするな! 今僕が動けないのが見えないのか!」
怒鳴り声もさる事ながら、言葉の内容に動きが止まるバドスケ。
その背後から深淵の騎士子が駆け寄ってくる。
大きくツヴァイハンターを振り上げ、バドスケを狙う深淵の騎士子に、やはり♂ケミは怒鳴った。
「深淵さん! そんな事は後にしてこっちを手伝え! 何よりも優先するのはこの子の命だろう!」
♂ケミの怒鳴り声に、深淵の騎士子はびくっと身を震わせてその場に止まる。
それを見計らって♂ケミは指示を出す。
「深淵さんは水筒から水をありったけ持ってきて! そこの骨さん! あなたはリュックからタオルの代りになるものをなんでもいいから山ほど用意して!」
考える事が多すぎて、いきなり行動に移せない二人。
そんな二人を更に怒鳴りつける♂ケミ。
「さっさとしろ! この子が死んでもいいのか!」
有無を言わさぬ迫力に、二人は同時に♂ケミの指示に従って行動を始めたのだった。


<♂ローグ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:ツルギ、 スティレット、山程の食料>
<アラーム 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:大小青箱、山程の食料 備考:瀕死の重傷を負う>
<バドスケ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:マンドリン、アラーム仮面 アリスの大小青箱 山程の食料 備考:特別枠、アラームのため皆殺し→焦燥→落ち着き>
<♂BS 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 ) 所持品:ブラッドアックス(罅あり)、ゴスリン挿しロンコ 備考/目的はGM秋菜への復讐の一撃>
<♂アルケミ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100、石をつめこんだ即席フレイル、無形剣>
<深遠の騎士子 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:アリスの復讐>
<♀ローグ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品:ダマスカス、ロープ 備考:首輪無し・アンデッド>
107名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/04(月) 00:20:41 ID:lFucFiZo
前編・中編……とつけてるのは、先の展開まで予約してるってことなわけで
リレー小説としてはちょっとずるいんじゃないかと思わなくも無い。
まあこのところ全然進んでないし、俺自身忙しくて全然書けてないから
あまり糾弾するつもりは無いけど。
108名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/04(月) 00:31:44 ID:gmVtm1MU
うん、まさしく私もそれを考えていた
……これさ、ここから先を他の人に委ねるって形にした方が良いかな?
一応、その覚悟は決めて、前編にしても中編にしても、規定の書き方で末尾に現状を書くようにはしてたのです

でも、ここまで大騒ぎしかけておいて投げっぱなしジャーマンってのが他の書き手の方に申し訳なく……むう(´・ω・`)
実際途中で一話居れてくれてる人も居たしね
109名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/04(月) 01:30:33 ID:gmVtm1MU
っと、一つ忘れてた
>>103氏へ
こういう戦闘の演出の仕方は驚きでした
内面描写の仕方もすんごい捻ってあって、凄いな〜と思いました
色々と参考にさせてもらいますっ(`・ω・´)
110名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/04(月) 10:46:57 ID:JV07L8dg
どのみち、マーダーとの決着はつけないといけないし、
展開を進める為にも、
108氏がここらで雌雄を決するというのは悪い選択ではない悪寒。

てなわでここは、数日程待ってみて、誰も展開進めれないなら
108氏がメインの流れを書きつつ、
他の書き手はそれのサブに回るって感じにイピョーウ。

ただ、個人的にはここまで書いてるのを
なげっぱジャーマンでほかの人が巧くつなげれる、
と考えるのは少々見通しが甘い気もしますから108氏が続き書いた方がいいかも、
などと思っていたりもします。
111名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/04(月) 20:03:00 ID:p1uWTbG6
107みたいな意見があるってわかっていて
当人も108みたいに思ってるなら
110の第三段落の意見に同意します

109と同じで戦闘描写なんかはかなり参考に
なるのでもっとやれーとかも思ったり。
112名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/05(火) 15:15:37 ID:eW/cfSOw
時に皆の衆。前スレ埋まったから、ログとるなら今のうちかと。

それと番外編のネタ、おいておきますね。
つ(子バフォやらアラームたんやら悪魔プリやらがいなくなって慌てる該当スレの面々)
違った視点からロワを見る事ができそうなネタ、と思っていただければ幸いでつ。
文章力ないので妄想だけしておきます…
113名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/05(火) 23:23:23 ID:XQ2r1nCg
>>前スレ584

アカウントを増やせばい・・・ヘックシ!
もう一回。
アカウントをヘックシ!!!ちきしょうめ!

機械♀クルセを許してはならん!
あれだ、♀BSの言葉を借りれば、♂BSを殺せば私のものみたいに。
機械♀クルセを通報してBANすれば、おまえのものだ。
114名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/07(木) 09:16:01 ID:9XWXcuHw
つ(駄文)

ミ サッ
115名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/07(木) 09:17:20 ID:9XWXcuHw
201 撤退戦

 滝の様な汗が服の下を流れている。
 鬱陶しいことこの上無いが、それを拭っている余裕など全く無い。
 彼の手には手には、スティレットから持ち替えたツルギ。
 短剣で、必殺の殺傷領域に潜るよりはマシだからだ。

「クソッタレっ、少しぐれぇ疲れやがれ!!」
 ♂ローグは、よく訓練された猟犬の様にしつこいBSに毒づいていた。
 状況は少しも好転しない。僅かに、BSの移動速度が落ちている位だ。
 彼は復讐者を背に少しでも距離を離そうと、それが歩きづらいだろう道に逃げ込んでいた。
 『戦術的な判断で』だ。

 1つ。彼等が先程までいた場所には、遮蔽物が全く無い。
 2つ。その状態で正面から切り結べば、まずもって勝ち目は無い。
 3つ。重要なのは、当面の危機を回避する事であって、難敵を仕留める事ではない。
 現状と自己と対象の能力を鑑みるに、PTから引き剥がすのが一番であろう。
 不幸中の幸いだが、♂BSは今も自分を狙っている。

 以上三点より、以下現状の撤退戦に続く、である。
 びゅおん、とブラッドアックスが唸りを上げて、彼の後ろを掠めた。烈風が、後頭部に吹き付ける。
 もしも殺人者がすぐ背後に居たならば、それは彼の脳天と逆毛を泣き別れにしていただろう。
 冗談じゃない。赤いのはコートと逆毛だけで十分だ、と♂ローグは内心辟易する。

 そう。まともに得物で切り結んでも♂BSには勝てまい。
 揺るがし難い事実として、それはローグの上にのしかかっていた。
 最大の問題はゴーストリングcだ。それが、関係を完全に決定づけていた。
 勝機があるとすれば急所への一撃だが、元々心臓を潰しても動きそうな手合いの上に肝心の胴体はコートの下。
 唯一残されている急所は頭部だが、残念ながら彼は夢想家では無い。
 戦なら白旗を揚げるか尻尾を巻くべき所だが、相手が狂人で、しかもどうやら腐れ縁かもしれぬとなれば、それもやんぬるかな、だ。
 (ローグの輪切り風タタキ。路地裏の盗蟲さん達たんと召し上がれ、美味ですよ、そんなイカレた状況は真っ平ご免だ、と彼は考える)

落ち着け。落ち着け。落ち着いたか? …良し、OKだ。
今は大丈夫だ。獣道での移動速度なら、まだ俺に分がある。
注意を払っておけば、追いつかれない。

 彼は自分にそう言い聞かせつつ、思考を開始する。

どうするべきだ? ここでcoolで、冴えたやり方ってなどんなのがある?
考えろ…あいつに、何処でもいい。何か付け入る欠点は無いか…?
それから、俺は何のために何処に向っている?考えろっ!!

 ──彼は、プロ南に点在する木々の生い茂る場所に向っている。
 林、森。取り合えず、そういった場所なら何処でもいい。
 何故、木を彼は欲するか?
 最悪、逃げ切る為にも確実に身を紛らわせる物が欲しい。

 ここまではよい。彼は、今もそこに向ってる。
 ふと…彼は、とある事を思い出した。鍛冶師の持っている武器は、確か巨大な斧ではなかったか?
 生い茂る木立の中で、果たしてその得物はまともに振る事が出来るのだろうか?
 そこまで考えてから、彼は不意に口の端を吊り上げた。
 生まれる余裕。彼を見放していた冷静さが、掌を返したかのように擦り寄ってくる。

全く…丸くなるってのも良し悪しだな?
ケンカの基本じゃねーか。こんな単純なこと忘れちまってたなんてよ。

 これまで、その不敵で凶暴な笑みを忘れていた。
 それから無謀とも取れる度胸と博打打ちも悪漢の専売特許だ。
 (最も彼の場合は、更にチェスが自称専売特許の一つに含まれる)
 化物を殺す。その為には、後手に回ってはいられない。
 今まで、ローグがそうだった様にあれを不利な状況に嵌めてやればいいのだ。
116名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/07(木) 09:17:42 ID:9XWXcuHw
材料は揃っている。
 只、あれ相手には単純な状況だけでは足らない。
 化物を仕留めるには…罠だ。罠が、必用だ。大穴の自分を本命に化けさせる、罠が。
 ポーンは、クイーンにも成れる。その事を教えてやる。火は、煌々と灯っていた。
 冷静さと言う尻軽女が彼に、進め、と急きたてつつも燃料を心の炉に投げ込み続ける。

──誰が、手前なんぞに殺されてやるか。生き残るぞ、大馬鹿野朗が!!

 戦う、という結論は、導かれた。もう、迷いも焦りも無い。
 先ずは、下準備(スリコミ)をしなければいけない。
 奴の武器は長柄。そして、両手で使うはずのそれを隻腕で用いている。
 相変わらず化物じみた腕力と動きだけれど、確実に両手よりは質が落ちているだろう。
 彼は手近な木に向って、走る向きを変え、僅かに速度を落とす。
 背後の気配が徐々に迫って来ている事を確認しつつ、慎重にタイミングを測る。

「ワン・トゥ…」
 カウント・ダウンを転がす。既に目前に迫った立木へと、走り込む。
 瞬間、真後ろの空気が乱れた。壮絶な悪寒が襲ってくる。逆毛をモーセの海割りの如く烈風がかき乱し始める。
 だが、ギリギリだ。既に身を捻りつつも、まだ待つ。これ位ギリギリで無いと、完璧とは言えない。
 怯えるな、恐れるな、迷うなクソッタレ、此処で死んだら盗蟲のディナー以下だぞチクショウめ、そう自己を叱咤する。

 ローグは、命がけの賭場に立つ事を、その刹那に決めた。
 こいつは。この化物は。誰かの命を賭けなければ殺せはしないだろう。
 ならば、それは一番安売りが利くのが丁度いい。

「スリィッ!!」
 その瞬間。斜め前に地面を思い切り蹴って飛び出す。
 ちりっ、と一瞬頭が痛んだ。風が皮を裂いたのか。それとも、刃がほんの少し触れかけていたとでもいうのか。
 思考に空白が進入してくる。迷いが又、蛇の様に鎌首をもたげる。一瞬が永遠に引き伸ばされる。
 そして、僅かな痛み。ちりちりと、焼け付くようで、針を刺したかのように鋭い。
 ローグの頭蓋が真っ二つに割られたか、それとも──

 しかし、次の瞬間響いた生木を叩き割る音に、そんな疑問は一瞬にして蒸発する。
 飛び出して、空中で体を捻り、立木の真横で半回転して、地面を滑りながらも体を強引に向けなおす。
 コンマ数秒、あるか無いか。一瞬の交錯。豪腕の起した烈風が未だ逆毛を嬲る。
 しかし。それで十分だった。目的は、果たされた。

 四つんばいになって、無理矢理に勢いを殺したローグの目の中には、BSの姿が。
 そいつは、半ばまで木に埋まった斧を、片腕で握ったまま立ち尽くしていた。

「それじゃあ自慢の斧も振れねぇなぁ!!」
 ローグの体が瞬時に跳ね起きる。
 BSが、それに反応して彼に視線を向けた。
 しかし、遅い。隻腕では、木は両断出来ない。
 そして、長柄の斧を引き抜くのにも僅かな時間が必要だった。

「大人しく…食らっとけぇぇぇぇぇぇっ!!!」
 生じるべくして生じた隙。攻めの一手。ローグの怒号。起き上がり様、唸りを立てて、ツルギが疾った。

「……!!」
 一閃。赤だ。BSの頬に、こめかみに、外の眉尻に、なぞる様に深々と走った一筋の朱。
 だらり、と血が垂れる。斧を引き抜きかけたそいつが、幽かに何事か呻いた。
 もし、護符が無ければ骨までも削り、頭蓋まで割っていただろう一撃は、しかし彼の頬に傷を刻むだけだった。
 大穴の当りは、予想以上の高レートだったらしい。
 しかし、一方のローグは、その一撃に拘泥せず、脱兎の如く走り去り、罵声を投げる。

「ハッ、ザマぁねぇな糞スミ!! 大層な装備ひっさげといて、その木は手前ぇ様のハンガーか? トロいんだよ鉄バカが!!」
 それが通じるとは思っていないが、要は腹いせだ。
 ふと、耳に届く異音。メキメキと、と盛大な音を立てて斧が引き抜かれてる。
 彼が後ろに僅かに目を遣ると、先程の木の胴に冗談の様に大きな風穴が開いていた。メキメキと音を立てて木が斜めに傾いだ。
 まるで大砲だ。今更ながら良くタタキにならずに済んだと冷や汗が噴出してくるが、これでいい。

 恐らくは、こちらの思惑は今の『それ』だと思うだろうが、それも仕掛けの為の囮である。
 木立でBSの動きを妨害するのではなく、木立は動きを阻害するものだと刷り込み、その思い込みに付け込む事が彼の策。
 考え方が制限されていれば、その裏を掻く事は然程難しい事でもない。それを利用して、逃げ回りつつ手傷を与える。
 (最も、この鍛冶師が、それを理解できる理性が残っていれば、だが。)
 罵声とは裏腹にローグの胸中は、今も必死に勝算をより確実にすべく、案を編み上げようとしていた。
 策が外れた場合の次善案、逃走のための手段、他にも多数。
 命を博打の抵当に入れたのだ。後などある筈も無く、それ故に失敗してもらっては困る。
 (もっとも、彼は自分の命に然程高値はつけていなかったけれども。そして、それは仕方の無い事でもあったけれども)

細工は流々…後は、さっきので糞スミが乗ってることを期待しつつ、仕上げを御弄する、だな。
ブチ殺しとくに越した事はねぇが…出来るだけあいつ等から引き離してから逃げれればいい。
セージ連中と子バフォが、あいつ等に合流すれば、奴と言えどもチェック(王手詰み)だ。
それまで逃げ切れれば──俺の勝ちだな…っと、いけねぇ。

 そこまで考えて、彼は苦笑した。
 ふと知らぬ間に、あの連中の事を考えている自分に気づいたからだ。
 今の自分は、悪党の思考をしなければならぬというのに。
 そうでなくては、生き残れまい。悪党としては自己犠牲など真っ平だった。
 このBSに、安っぽい命さえ絶対にくれてやるものか。

喧嘩の作法って奴を思い出した俺は、あの糞スミもビビる悪党だ。そうさ、憎まれっ子世にはばかるっていうしな。
そういう事にしとこうぜ。なぁ…

 道を走りながらローグは心中でそう呟き、一人、誰かに向けた笑みを浮かべていた。
 彼自身気づいていなかったが、それは自称大悪党には余りに似合わない笑顔だった。

 だが、彼も未だ、幾つかの事実については知らない。
 そもそも、材料が無いのだ。神ならぬ彼には知りうる筈も無い。

 それは、非常に、非常に残念な事であった。


<♂ローグ 状態装備変化無し プロ南の木々のある場所へ♂BSを引き連れている(実際の大きさに直すとアレでも結構広い筈…多分orz)>
<♂BS 装備変化無し 状態 深淵戦の傷+頬に傷 ♂ローグを追跡>
117名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/07(木) 09:20:04 ID:9XWXcuHw
 202あの日へと続く道

 夢。夢を見ていた。
 道を、歩いている夢だ。
 少女の周りには、幾人もの人が。
 それは、クルセイダーの女で、弓手の少女で、ペコと黒い馬を従えた薬師で、鎌を持つ小さな山羊で、赤毛で逆毛の悪漢であった。
 そして、coolな(悪漢直伝の形容である)魔導師であり、慧眼を持つ賢者であり、優しい目の弓手の少年でもあった。
 彼等は笑っている。進む先は時計塔。少女が独断で招いたからだ。少女ほどの年齢に特有の我儘とも言う。

 少女の名誉の為に述べておくなら、普段滅多にそんな事は言わないし、
今、そうしているのも、その滅多にない事、が実際に起こったからである。
 (多分、困った顔をしながらも、笑って心臓が止まるほどに心配していた住人達は少女の提案を呑むだろう)

 軽い足取りで、道を歩きながら、少女は思う。

 あの場所に戻ったら沢山話そう。
 色々な事を。一日では足りない位。
 皆でいっしょに。少し、言いつけを破って夜更かしをするかもしれないけれど。
 きっと、とても心配しているだろうから、後で怒られるかもしれない。
 ──でも、なんとなく怒られても構わない、そんな気がするから。
 今は、只、色々な事を話したかった。理由は良く判らないけれど、それが一番優先しなければいけない事の様に、感じていた。

 仮面の詩人は、一足先に塔に戻ると言っていた。
 少し、用事があるのかも知れなかった。
 それが何なのかは判らなかったが、少女は彼の詩人の事を信頼していたから疑わなかった。
 (そして、彼女は疑う、という事を知らなかった。良くも悪くも周囲の状況が彼女をそう育てていたからだ)

 悪く言えば、幼さ故の愚鈍。良く言えば何者にも染まっていない純粋。
 とかく少女はそういう性質(タチ)だった。だから、詩人を信じていた。
 勿論、時計塔の皆も、そして今共に歩く人たちも。
 何時もの様なあの日、皆の居る場所で、自分達はきっと笑いあえる。
 人と魔物の垣根を越えて。

 ふと、思う。これは夢だ。夢だから、自分はこうして歩いている。
 ならば、現実は。本当の世界は。
 一体、どうなったのか。

或いは、少女がそんな事を考えた──自身の世界を疑った。この瞬間。

 さて──愛する事は、ある種信じる事だ。
 逆は必ずしも真たり得ないが、一方向においてそれは是だと証明される。
 そう。少女は、彼等を愛していた。幼い愛だ。求めることを知らぬ愚かな愛だ。与えることしか知らぬ純粋な愛だ。
 彼女は疑いを知らない。故にこそ聖女の様に周囲の世界を愛し、盲人の如く周囲の世界を愛す。
 恐怖はすれども嫌悪はしない。だからこそ少女は聖女であり、盲人でもあった。
 行為が、少女の存在を規定していたのだ。
 かつて、死に損ねた、残された、人だった機械達の作り上げた、願いを持つ魔物達の作り上げた、人の知らぬ聖女であり、盲人だった。
 夢は。彼女が、今見ている世界は、少女を愛し、また軽蔑もしていた。

 ずきり、と痛みが走る。世界が、歪んだ。瞼の黒がそれをかき消す。所詮は夢。その外よりの痛みに耐えられる筈も無く。
 夢は、彼女を愛していたから幸せな風景を見せたけれども、軽蔑していたから足早に去っていった。
 聖女は聖女。盲人は盲人。その矛盾は破綻を生む。破綻は破滅を生む。そして、破滅は終わりだ。
 終わりが招いた死神が密やかに、確実に忍び寄っていた。鎌を手に彼は棺桶のサイズを測っている。
 (曰く、お嬢さん貴女の体は小さいから、サービスも含めて、随分と安く済みますよ、云々)

かくして少女の矛盾は死に絶え。

 少女は目を開く。黒が瞬時に駆逐される。彼女の世界はあっけなく死んだ。
 相変わらず、皮肉屋な空が見える。彼を背に、自分を見ている者達の姿も。
 感覚が戻ってくる。初めにやってきたのは、全身を砕かんばかりの痛みだった。
 脇腹から、それは滾々と湧き出している。
 死神は名残惜しげに見つめながらも、寸法に間違いを見つけたのか棺桶のサイズを測りなおしていた。

「……ぅぅ!!」
 自然に口からは呻きが。

「大丈夫、大丈夫だから。絶対に助ける…だからっ!!」
 薬師が、その声を聞いて答える。見上げれば、彼の頭からは血がだらだらと流れ、顔の半ばまでを汚していた。
 自分を先に治療すればいいのに。一瞬少女はそう考えたが、走る痛みは圧倒的権威をもってそれを否定していた。

 痛い。傷?どうして?わたしはわたしは。バドスケさんは?くろいよろいのひとのせい?
 でも、そのひともばどすけさんもわたしをいまみていて。そういえば、ろーぐのおにいちゃんは?
 くるくるとあたまがまわる。なにもかもよくわからない。わからないけれど──

盲人は歓喜の声を上げ、聖女は断末魔の悲鳴を上げた。

 いたいのは、いやだ。もっともっとやさしいひとといっしょにいたい。
 みんな。みんなでいっしょにかえりたい。わらいあってくれるひとがほしい。いっしょにいたい。
 ──わたしは、しにたくない。

 つぅ、と知らず頬を涙が伝った。
 少女は。根本的な部分で与える事しか知らなかった少女は。
 知ってしまったのだ。心のそこから、何かを求めるという事を。
 即ち、それは欲望だ。

されど、誰がその聖女の堕落を責める事が出来ようか。それは、盲人にとっての救いでもある。
そう。純然の聖女たる事は盲人たる事でもあるのだ。求めることを知らぬ彼女の、なんと眼の曇っている事か!!
(その逆も又然り。欲深い盲人に一体何を見ることが許されようか!!)

「泣かないで。泣かないで。僕は絶対に君を助ける。死なせはしない。絶対に…死なせてなんかやるもんか!!」
 涙で濡れた目で、少女は自らも泣き顔の薬師を見上げた。
 仮面の詩人が、黒い鎧の女性が。彼と同じ心を宿した顔で、見ている。
 彼は、彼等は少女を助けたいと欲している。少女は彼女に助けて欲しいと欲している。
 互いを求め合っている。

かくて、聖女は人に堕ち、盲人は瞳を開け人と成った。
だが、足らない。求めるものは、まだ足らないのだ。

「おにぃ…ちゃんは?」
 震える唇は、鉄で出来ているように重かった。
 弾かれたかの様に、騎士と詩人が顔を上げる。
 蒼白の顔と、ずれたのを正すことすら忘れられた仮面。

 ──涙が、又一つ零れた。

「……」
 何故悲しいのかは、判らなかったけれども。
 少女は思った。動揺している二人が、憎いと。
 そして、その事を咎めもしない薬師が憎いと。
 じっと、見上げる。責める様に。
 痛みが、愚かだった彼女を今も苛む。
 それは、堕ちた彼女を今責め立てていた。

「……ここは、僕に任せて。もう、貴方達に出来る事も無いし」
 言葉を発したのは、薬師だった。

「相判った。…頼む」
「…ああ」
 弾かれた様に、そうとだけ答えて二人は走り出す。
 薬師に痛む身を任せ、小さくなっていく二つの背中を見送りながら、少女は思う。

 わたしは、今は歩けないから。
 だから、何もできない。だから、あの二人に代りに叶えて欲しい。
 歩いていこう。皆で。あの日に続く道を。
 だから、わたしはそうして欲しい。
 そうしてほしい。

 少女は、只々それを欲した。
 もう、聖女ではない。盲人でもない。
 その選択は間違っているかも知れないし、第一知らないことも実に多くあるだろう。
 全てが疑わしく、同時に全てが輝かしい。
 その存在は酷く生き難く、酷く愉しくもある。

 詰まり、少女はその行いによって人になった。
 だからもう、それを求める事を止めはしなかった。

 曰く、歩こう。あの日に続く道を、と。

<アラーム 状態装備、場所は変わらず。但し治療は多少進行した模様>
<深淵&バドスケ 状態装備変わらず ローグの元に救援に>
<♂ケミ 状態装備場所変わらず アラームの治療中>
118名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/07(木) 09:24:48 ID:9XWXcuHw
連投の上グダグダくさくて、もうダメポ…orz
105氏、又は他の文神諸氏…続きをどうかおながいします。orz
119名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/09(土) 23:06:01 ID:6DaChUm.
今更だけど>>72はNG?OK?ずっと前に秋菜と♂GMがいなくなったって騒いでた話があったけど、その時は>>72の♂GMについては触れられてなかったし
けど居なくなった♂GMの人数も言われてないし二人♂GMも居なくなってたって騒いでたことで良いのかな?
とりあえず一読者として激闘後編の投下を心待ちにしてます
120名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/10(日) 00:17:15 ID:DZckOT7Y
>>119
うまく話に入れる事が出来ればと頭をひねっておりまする……
ごめん、もーちょっと待って_| ̄|○
121名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/10(日) 11:16:42 ID:e6a.I2.U
195までwiki整理しました。
しかし次の話しと195の話しがなんとなくつながり噛み合わないような気が・゜・(ノД`)・゜・
なので「嵐の前の首都南」と「肉入り」を逆転させてほんのちょっとだけ弄らせて頂きました。
ご指摘あればよろしくお願いします。
122名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/07/10(日) 16:51:28 ID:LQsQehKA
まとめサイトを見た。
♂アサシンだけ妙におかしいと思ったのは俺だけだろうか。
話の前後に微塵も脈絡が無く面白くもなんともない。
123名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/11(月) 18:34:46 ID:Jzj6GtaI
>>119 死んでない♂GMに名前を付けて差別化する、というのも手かと。

>>120 自分は、原作のオマージュで、GM側の紹介しつつ入れようかなーと、立案中です。
    折角だからぁっ、俺はぁっ奴の口から喋らす事にするぜぇー(C・越前風に)
    まぁ、事の経緯とか、いきさつとか色々と。

>>122 こんにちわ。コチラ矛盾した♂アサ書いた人ですスネーク。orz
    確かに、自分でも今にして思えば正直無茶をやった感で一杯ですが、
    それとは別に評価、有難く受け取っておきます。

    具体的に、問題点があげれば、思いつく限りでは以下の様な感じでしょうか。

    1:当初の目的からいつの間にか脱線している。
     つーか、最初狂ってなかったやん。

    2:解決の仕方が安直。♂BSのアイディアそのまま拝借したんですね、コレ。
     特別枠を使うにも、キャラ立ちが確立していなく、
     扱いが困難な人物増やすよりは、いっそ洗脳と関連付けて
     ♂アサの認識自体を歪めちまえー、と。

     そうしたら、あら不思議。
     彼が到着当初から狂ってたなら、集合時に幻覚見ても不思議はなくなったぞー、と

     結論言うなら、完成後、修正加筆でGOの一言なんですが、
     納得取り付けるべく、言い訳開始。

     一言で言うなら、扱い辛い存在になる事を予想したからです。
     書き辛いことこの上なさそうな人物を下手に残すと厄介だろう、と。
     当時は、書き手の数も少なかったですしね。
     今から考えれば、彼を動かしてハカロワが序盤の橘氏や英二氏の如き役回り
(再開の為奔走も、他者混乱させるだけさせて死亡な展開)
     をさせていればよかったんですが、後の祭りでワショーイ、という訳です。orz

     ぶっちゃけ自分の力量不足以外の何者でもないんですが。
124名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/12(火) 03:14:36 ID:ooByyHK6
203.秋菜

「おめでとう秋菜! 君が優勝したんだね、おつかれさま!」

―ナニコレ…

「ん? まだちょっと混乱してるかぁ? でももう大丈夫だ、ゲームは終わったんだ」

―ゲーム… ナンノコト…

「やっぱゲームマスターは強いよなぁ、あはははは」

真っ白い景色に黒い人影。
その人影は笑っている。
そしてわたしの手には血に塗れたバルムン…


ゴーン…
時計塔の鐘の音が響く。
鳩が翔び、街に冷たい空気を運ぶ水の音。きしんだ音を立てる風車。
ゴーン…
そしてまた時計塔の鐘の音。
わたしはいつのまにかまたここに立っていた。
冒険者としてこの世界に降り立ち、そして仲間が集いにぎやかになっていった場所。
国境都市アルデバランの時計塔を見上げわたしは懐かしむ。
GMとして再びこの世界に降り立った後も仲間とともに笑い、怒り、哀しみ、そして楽しんだ。
その仲間の輪の中に新しく入ってきた先輩ゲームマスター。
彼が来てからなんとなくおかしくなり、そして…

「さー、この特別に用意した世界でみんなで殺し合いをしよー」

最初のゲームが始まったんだ…


ゴーン…
また時計塔の鐘の音がなりわたしは我に返る。
ひさしぶりの昔の記憶…
「あはは… 久しぶりに血が騒ぐわ…」
わたしは声にだしてそう言った。
ヤバイわこれ、もう止まらない。
「まずは死んだはずの♀ローグさん」
顔が歪むのを感じる。たぶんわたしは歓喜の表情。
「まさか青箱から返魂の札とは予想外っ びっくりしちゃった〜♪
 さ〜て、ちゃんと後始末はしないといけませんね〜」
からだが熱い。またわたしはゲームに参加したがっている?
「秋菜いきま〜す! ワープポータル♪」
この狂った世界でわたしだけが使える転移スキルが発動する。
思考もそろそろ限界。そしてわたしは…


―激戦の地と化している首都プロンテラ南。
転移スキルの光の柱が天に昇る。その光の中から現れるのはもちろんGM秋菜。
秋菜の右手には冷たく輝くバルムン。左手にはこれも冷たく輝く呪いの首輪。
「う〜ん、♀ローグさんここらへんにまだいると思うんだけどな〜」
風に揺れる緑の草原に立ち、首輪を持ったままの左手を額にかざしキョロキョロと首を振る。
そして殺し合いの暗く淀んだ世界とは思えないほどにあっけらかんと歩き出した。
「なんかわくわくしてきちゃう♪ …ってあらぁ?」
草原に青箱が無造作に転がっている。
「いえ〜い青箱一個獲得っ」
秋菜は嬉しそうに青箱をひょいと拾って何も考えずに開けてみた。
中に入っているのは手紙。そして神器ミョルニール。
秋菜は無言のまま手紙を読んだ


―御願いします。誰か秋菜を救ってあげてください…
 あなたが憎んでるだろうゲームマスター・秋菜もこのゲームの被害者なんです。
 このゲームを最初に始めたのは秋菜ではありません。秋菜は最初のゲームの優勝者です。
 そして最初にこのゲームを始めた糞GMは秋菜がすでに殺したと思います。
 しかし何故かそこから秋菜は狂ってしまったのです…
 どうやれば秋菜を救えるのか、残念ながらわかりません。
 でもこのようなゲームを続けっぱなしでいたんではいけないとは思うのです。
 箱に入れたアイテムはこの世界を破壊するには十分な威力を備えています。
 それで世界を壊してください。
 世界が壊れた瞬間、必ず元の世界に戻してくれる救いの手が現れますので。
 そして壊す方法ですが…
 ここはヴァルキリーレルムに置かれた特殊エンペリウムの力でつくられた世界です。
 いいですか、ヴァルキリーレルムです。
 恐らくここは霧がかかったように曖昧な状態になってるはずです。あなたの記憶が、です。
 強化ガーディアンと記憶操作で二重に守られている重要施設なのです。
 逆に言えば迂闊に禁止区域にもできないはずです。
 特殊エンペリウムはヴァルキリーレルム全体を占領してるとても大きなものなのですから。
 何かの間違いで禁止区域状態時に首輪が爆発したら特殊エンペリウムに傷がつきますからね。
 傷によって世界がどう変わるかは秋菜にもわからないことなので禁止区域は避けるはずです。
 あなたの無事とこの作戦の成功を祈っています。
 どうかこのゲームを終わらせて下さい。不本意ではあるでしょうが秋菜のためにも…
125名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/12(火) 07:41:20 ID:r94omve.
秋菜が参加するのは、最終戦に持ち込める布石として良いかと思った。

だが、秋菜を助ける(倒す)ためのアイテムを、自身が拾ってしまうのは、話がこじれてきてどうかと思った。
たしかに、参加者が拾ってそれで打倒というのは王道過ぎるかもしれんが。
126名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/12(火) 11:56:24 ID:xW0y/rsc
早く書かないとローグ姐さんが殺されてしまう
127名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/12(火) 13:36:52 ID:4gMPmFRg
OK、簡潔に。
ここでの秋菜参戦は難しいと思われ。
現時点で複線処理で一杯一杯だし、マーダーとの決着も未だですし。
それに全く複線も無しにこの展開はちょっとなぁ、と。
これまでのプロ南の流れをまるっと反故にしかねない流れは賛同できません。
反魂の札にしたって、今更気にする位なら最初から行ってる筈です。

更に、重箱の隅突付くなら、手紙の中の
特殊エンペ云々〜の描写はこれまでの流れに真っ向から食い違いますよ。
詰る所、これはNGのが無難ではないか、と。
納得できる理由付けが提示されれば、この流れでもいいですが。
128名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/12(火) 15:12:35 ID:VSxq7Kec
秋菜参戦ってーアイデア自体は面白いかもしれないが
もっと早い段階で不和の種を蒔く役割(別の参加者に変装して痛めつける程度の辻斬りを繰り返す)とかもうちょっと後で王道的なラスボス(マーダー全滅後最後のマーダーとして参戦)みたいな感じでだったらいいと思ったけど
今このタイミングで参戦はどうかな。と思った
129接近に失敗しました接近に失敗しました :接近に失敗しました
接近に失敗しました
130名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/13(水) 02:31:35 ID:G7FAKKPk
106です
本当ごめんなさい、えらく手こずってます_| ̄|○
今日明日ぐらいには、なんとかケリつけますゆえ、どうかご容赦を〜
131名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/13(水) 13:00:30 ID:B4.4WDfA
>>130 楽しみに待ってます。俺もサブの書き物仕上げます故
132名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 02:25:41 ID:ORGEFLwM
とりあえず>>124どうしましょう?
現状、これによる影響の出ない形で話を進めますか?

……というか、この上これまで入れたら後編の文章量がとんでもない事になるっす
いや既に結構な量にはなってるのですが_| ̄|○
これを書いた方の意見をお伺いしたい所です
秋菜も加わってのバトルという事ですと、後編の後にもう一本入れるぐらいの量になりそうなのですが
ここは某菊池ひでゆ(略の例にならって後編の後に完結編とかにするってのはどうかなっ

ごめんなさい、とっても冗談です_| ̄|○
133名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 03:40:59 ID:ORGEFLwM
204 激闘プロンテラ南フィールド 後編

八回目の打ち込みを回避する♂ローグ。
最初に遭遇した場所からは随分と離れてしまっていた。
すぐに九回目が襲いかかる。
それを斧の届く距離から離れながらスチレで弾き、体勢を崩させつつ更に逃げる。
これを延々と繰り返して時間を稼ぐ♂ローグ。
『くそっ、なんだってこープロ南にゃ木が少ねえんだよ!』
♂ローグはそう愚痴りながらも、最善を目指す。
城壁側には確か木々が茂っていたはずだ。そこまで騙し騙し引っ張って行くしかない。
深淵の騎士と♀ローグとの相性はお世辞にも良いとは言えない。
これにバドスケのサポートが入れば、♀ローグは倒せない相手ではないであろうというのが♂ローグの読みだった。
もちろん♀ローグも同じ事を考え時間稼ぎをしているだろうが、♀ローグは足止めの事も考えなければならない。
バドスケと深淵の騎士子が一緒になってこちらを追ってきたら、三対一対一となり、圧倒的に♂ローグ達が有利になる。
『……まあ、あの深淵の騎士子が敵じゃなけりゃの話だが。見た所、モンスターっつーワリには、そんなに性悪にも見えなかったしな』
よっぽど♂BSや♀ローグの方がタチ悪い。
バフォメットJrといいアラームといいバドスケといい、この場においてはモンスターの方が人間より信用出来るのではないのか。
そんな気がしてならない♂ローグであった。
そして都合十回目の斬撃を、なんとかしゃがむこんでかわした♂ローグは、フェイントをしかけて右に行くと見せかけて左側面から懐を抜け出す。
『思ってた以上に戦闘経験が少ないなこいつ……小技に弱いのか?』
♂ローグはその引き出しにまだまだ技を隠し持っているが、♂BSの攻撃パターンはそれほど多くも無いようだ。
そうと気付いた♂ローグは、走りざまに足下の砂を掬い、振り返ってこちらに向かってくる♂BSの顔面めがけて投げつけた。
すぐにバックステップでひょいっとばかりに距離を取る。
ちょうど♂BSがまかれた砂から目を斧で覆っているタイミングだ。
♂BSが斧を降ろした時には、既に♂ローグとはかなり離されてしまっている。
『神経すり減るぜ全く』
「♂ローグ!?」
突然すっとんきょうな大声が聞こえてくる。
草原の先にその声の主を見つけた♂ローグは、歓声を挙げた。
「おお! ナイスタイミングだ♀アーチャー!」
すぐ側には小バフォも居る。勝った、これで時間稼ぎはいつまででも出来る。
そう思った♂ローグの真後ろから声がした。

「残念。ぎりぎりアウトよ」

背筋が凍り付いた。
振り返る間も無く激痛が♂ローグの背中を走る。
「バイバイ♪」
そう言って思いっきり♂ローグを蹴飛ばしたのは、♀ローグであった。
♂ローグが蹴飛ばされ、怪我の痛みによろめいたその先に居たのは♂BSであった。
『マズッ! かわしきれ……』
「チャージアロー!」
弓手の技術により、突き刺す力以上に跳ね飛ばす力を備えた矢を放つ。それがチャージアローだ。
正に今この時の為の技術であろう。
その判断の正確さに♂ローグは助けられた。
舌打ちしながら♂ローグに斬りかかろうとする♀ローグだったが、すぐに真後ろに向けてダマスカスを構える。
「こちらは我に任せて一度下がれ♂ローグ殿!」
小バフォが小柄な体に相応しい俊敏さであっという間に距離を詰めていたのだ。
そして鎌を振るうが、それは♀ローグのダマスカスに受け止められる。
「誰を誰に任せるって?」
「貴様を我にだ。文句あるか人間」
「こういう時の文句は口で言うもんじゃないわねぇ」
鎌を力任せに跳ね飛ばすと、♀ローグはダマスカスを小バフォに振るう。
それを鎌の柄の部分で弾き、弾いた瞬間に一気に下がって距離を取る小バフォ。
その目線が自分の右腕へと落ちる。
「……何時の間にもう一撃を……」
小バフォの右腕が薄く切り裂かれていたのだ。
♀ローグは酷薄に笑う。
「逃げたのは正解よ。あそこで踏み込んでたら首が飛んでたわね〜」

焼ける様に熱い背中の傷を無視して立ち上がる♂ローグ。
敵は二人、♀ローグに♂BS。それに対するこちらは♂ローグに小バフォ、♀アーチャーの三人。
『やべぇ! 絶対勝てねえ!』
進退窮まる♂ローグ。
小バフォに♀ローグと近接戦闘をさせるのは荷が重すぎる。
かといって♂BSの相手が出来るかといえば、それも否だ。
どちらも♂ローグが押さえ無ければならない相手で、二人を同時に押さえつつ、小バフォと♀アーチャーを守る術を♂ローグは思いつけなかった。
インティミでどちらかを拉致るにしても、どちらを残しても小バフォと♀アーチャーの命は無い。
相手はブラッドアックスに、バックステップ持ちなのだから。
『なら……その前提から崩すまでだ!』
チャージアローによって跳ね飛ばされた♂BSは立ち上がる。
♂ローグは、スチレを構えて♂BSに向かって突っ込む。
「こらローグ何すんのよ! さっさと逃げなさいってば!」
『だーから逃げる段取り組んでんだっての!』
と心の中だけで反論した♂ローグだったが、突然視界が斜めに傾く。
『おろ?』
地面が、垂直に立ち上がる。
横にある壁に顔が押しつけられる。痛い。大して勢いついてないように思えたのだが、結構痛かった。
『なんだって壁? ……俺は……』
♀アーチャーの悲鳴で♂ローグの意識は覚醒する。
「ローグッ!」
チャージアローで再度吹っ飛ばされる♂BS。
矢を放ちながら駆け寄る♀アーチャー。
ようやく自分が倒れた事に気付いた♂ローグだったが、立ち上がろうにも手足に力が入らない。
♂BSのプレッシャーに耐えながら、ひたすら防戦に徹する。
それは、♂ローグが考えている以上に自らの体に負担を強いる作業であったようだ。
加えて背中からの出血も夥しい。
『俺……死ぬのか?』
♀アーチャーの三回目のチャージアロー。
彼女は倒れ伏す♂ローグの前に立ち、♂BSを前に弓を構えて昂然と胸を張る。
「死なせるもんですか!」
♂BSはそんな♀アーチャーに走り寄り、ブラッドアックスを振り上げる。
同時に放たれた四度目のチャージアローは、♂BSが反射神経だけでかわしてみせた。
「♀アーチャー殿!」
そう叫んだ子バフォが♂BSに向かって鎌を投げつける。
それは、♂BSにとっても不意打ちであったようで、鎌が当たった♂BSの上半身が後ろに揺れる。
「わーーーーーーーーっ!!」
♀アーチャーは、弓を放り投げ、♂BSに体当たりをしかけた。
自暴自棄になっての行動ではない。
♂BSのベルトを両手でしっかりと掴み、重心の高くなっていた♂BSを低い姿勢から全力で押し続ける。
たたらを踏む♂BS、そして体勢を立て直すべく軸足を大きく後ろに伸ばすが、そこには地面が無かった。
♀アーチャーの狙い通り。急な丘陵を二人は重なり合ったまま転がり落ちていった。
「がはっ!」
♂ローグの背後から悲鳴が上がる。
胴体中央部を♀ローグに刺し貫かれた子バフォは、その場にゆっくりと崩れ落ちた。
鎌も無く、♀ローグに真後ろを見せた子バフォを♀ローグが見逃すはずも無かったのだ。
それは、子バフォにもわかっていたのだろう。
だが、彼はあの二人の危機を見逃せなかった。
子バフォにとって、理由はそれだけで充分であった。

丘陵がなだらかになるにつれて、♀アーチャー、♂BSの二人の転がる速度が落ちていく。
転がりながら、ブラッドアックスを♀アーチャーに振るう♂BS。
♀アーチャーはそれを左の肩に受け、小さい悲鳴を上げる。
ブラッドアックスが欠けていたおかげで、その程度で済んだ。
その勢いで二人の回転は止まり、同時に立ち上がる♀アーチャーと♂BS。
ブラッドアックスを振り上げる♂BS、矢筒から矢を取り出してそれを振り上げる♀アーチャー。
『私は絶対に負けないっ! あんたなんて恐くもなんともないんだからぁ!』
134名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 03:42:49 ID:ORGEFLwM
♀アーチャー、そして子バフォの最後。それらは♂ローグが倒れた時に、彼が自分で予期していた結末であった。
だが、♂ローグは自分で考えている以上に衝撃を受けている事に驚いていた。
じりじりと近づいてくる♀ローグ。
『くそっ! 動けよっ! 頼むから動いてくれよっ!』
痺れの取れない腕を、それでもと力を込め続ける♂ローグ。
♀ローグは真顔で、♂ローグの様子を観察しながら近づく。
この状態の♂ローグ相手でも一切油断の気配は無い。
『……そうだよ。違うだろ、俺』
一度全身の力を抜く♂ローグ。
手足の先は、まだ何も感じない。
『あいつは俺が動けないと思ってる。なら、狙うは急所一点。こっちは倒れてるから一度姿勢を低くしなきゃならん』
肘の辺りに、痛みが走る。
『ダマスカスを逆手に、膝を落して、真上から……』
手足の先に暖かさを感じる。
『狙うは心臓。一番よけにくいここを一発で狙ってくる』
すぐに、手足から凄まじい痺れと痛みを感じる。
『腕一本、くれてやらあ!』
♀ローグが♂ローグの心臓目がけてダマスカスを振り下ろす。
♂ローグは、それを胸元まで振り上げた左腕で受け止めた。
上体を上げ、♀ローグの襟首を掴みながら、♂ローグはインティミデイトを放った。


走り出す深淵の騎士子とバドスケの二人、そしてそれを見て安心したのか、アラームは一度目を閉じた。

びくん! びくん!

突如、痙攣を始めるアラーム。
「なっ!? 安定してたのにっ!」
♂ケミはアラームの体を必死に押さえる。
「まずいっ! なんとか……」
異変に気付いたのか、すぐに二人が戻ってくる。
「おい! どうしたアラーム!」
しかし、アラームは白目を剥いたままで何も答えない。
呆然とアラームを見下ろす深淵の騎士子。
「ばかな……つい、今ままで落ち着いて……出血も止まって……」
♂ケミが必死の声で言う。
「二人ともアラームを押さえて! これじゃまた傷口が開いちゃう!」
バドスケは慌ててアラームの両手を押さえ、深淵の騎士子もその両足を押さえる。
それは、子供の力とはとても思えないような力で、バドスケも深淵の騎士子も変わり果てたアラームの様子に驚きを隠せない。
そんな二人を勇気づけるように♂ケミは言う。
「痙攣はすぐに収まる! それまでなんとか傷口が……」
そこまで言って、♂ケミは最悪の事態の到来を知る。
アラームの傷口を覆っていた包帯からは、赤い物がにじみ出していた。
絶望、そんな言葉が脳裏に浮かんだが、首を横に振ってそれをうち消す。
『ここで僕まで見捨てたら、誰がこの子を救うっていうんだ!』
青ハーブをアラームの口元に持っていき、その香りをかがせる♂ケミ。
すると、すぐにアラームの痙攣は収まった。
安堵するバドスケと深淵の騎士子だったが、そんな二人に言い放つ♂ケミ。
「傷口がまた開いた! 今すぐ水と綺麗な布を集めてきて!」
それを聞いた深淵の騎士子はすぐに言い返す。
「なんだと!? 無茶を言うでない! これ以上の治療はこの娘には耐えられ……」
「出来るさ! 僕達が信じないでどうするんだ!」
♂ケミの言葉に、バドスケははっとして、地面に落ちていた水筒を拾い上げる。
「水だな! すぐに用意する!」
それを見た深淵の騎士子もバッグをあさりに向かう。
その間に♂ケミは包帯を外し、傷の具合を見る。
開いたのが肉の傷口だけであるのなら、出血のみが問題となる。
「……ちっくしょうっ! 神様は僕達が嫌いなのかよ!」
しかし、傷口を確認すると、出血は体内の奥底からしている様であった。
思いっきり息を吸い込み、そして意を決するとアラームの腹部側面に出来た傷口に白ハーブを持ったまま手を突っ込む。
慎重に、そして迅速に、出血箇所を手の感覚だけで探る。
「頼むっ! 頼むっ! 見つかってくれ!」
♂ケミが以前に見た人体の研究書、その記憶だけが頼りだ。
指先に微かな反応があった。それが鼓動なのか、それとも出血による物なのかの判断しかねたが、これ以上は無理と考えた♂ケミはそこに治療を行う。
最後の赤ポーションの栓を、手慣れた手つきで片手で抜く。
「ポーションピッチャー……」
♂ケミの手に持った赤ポーションが、少しづつ減っていく。
その治癒の力は、♂ケミが白ハーブで押さえたアラームの傷口へと伝わり、そして傷口を完全に癒しきった。
そこからの出血を感じられなくなった所で、♂ケミはアラームの体内から手を引き抜いた。
すぐにバドスケのくんできた水を傷口にかけ、そこにハーブを敷き詰めると、深淵の騎士子の用意した布を包帯にして治療を終える。
アラームは依然として青白い顔のまま目を閉じている。
沈黙に耐えきれずバドスケが♂ケミに聞く。
「なあっ! アラームどうなったんだよ!」
「……傷口は塞いだ。後はこの子の体力次第だよ……」
素人目に見ても、アラームが既に流した血の量は並大抵の物ではないとわかる。
だが、それでもバドスケは、すがるような気持ちでアラームを見つめていた。

♂ローグは、インティミ後に動き出せるタイミングを熟知していた。
だからこそ、まともに動いてくれない体でもインティミ到着地にたどり着いた刹那、♀ローグを投げ飛ばすなぞという芸当が出来たのだ。
舌打ちしながら、起きあがる♀ローグ。
「本当に往生際が悪いね〜あんたは」
同じく、ふらつきながらも立ち上がる♂ローグ。
「言ったろ。悪党はしぶといもんだって……それにな」
この景色を♂ローグは覚えている。
ふって沸いた♂ローグを見て、目を丸くする深淵の騎士子、バドスケ、♂ケミの三人を見ながら♂ローグは不敵に笑う。
「悪運の良さも大したもんだろ」
アラームの事に気を取られながらも、♀ローグを見るなり戦闘態勢に入れたのは、この世界での生活が長かったせいかもしれない。
深淵の騎士子はツヴァイハンターを構え、♀ローグを睨み付ける。
しかし、バドスケはこの場を動こうとはしなかった。
一瞬♀ローグを見た後、すぐにアラームを見つめるバドスケ。
そんなバドスケを見た♂ケミの胸が痛む。
深淵の騎士子は後ろでアラームを見守る二人を置いて、♀ローグに歩み寄る。
「♂ローグはすっこんでいろ。今の私は……とても不機嫌だ」
一足飛びに自らの剣の間合いに♀ローグを捉えると、ツヴァイハンターを縦に振るう。
♀ローグは後ろに飛んでそれをかわすが、ツヴァイハンターを地面に当て、そこから跳ねる勢いを利用しつつ、すぐに深淵の騎士子は二撃目を放つ。
掬い上げるような一撃を、今度は横に飛び、ツヴァイハンターの剣の腹をダマスカスで叩きながら、その方向を逸らす。
深淵の騎士子はその叩かれた勢いに逆らわずに、剣を跳ね上げさせ、それが重力に引かれて落ちるタイミングで力を込め直して更に三撃目を振り下ろす。
これらが、幅広の両手剣で行われているのだ。♀ローグは踏み込むどころか、とにかく剣の間合いから離れるので精一杯である。
『っちゃー、まずったね〜。♂ローグがそこにいなきゃもう少しやりようもあるんだけど……』
深淵の騎士子の命じるままにその場に立っている♂ローグ。
だが、彼が何の策も無しにただ突っ立っているなぞ♀ローグは欠片も信じていなかった。
♂ローグの神速の突き、そしてこれにバックステップを組み合わせれば、間合いも何も無い所から必殺の一撃を放つ事が出来る。
♀ローグはそれをも警戒し続けなければならないのだ。
135名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 03:43:51 ID:ORGEFLwM
それはどれほどの時間であったのだろうか。
数時間経っていたのかもしれない、ほんの数秒の間だったのかもしれない。
アラームに変化があった。
それを見た♂ケミは、血相を変えてアラームの目を片手で開く。
そしてすぐに、震えるその手でアラームの瞳を閉じ、言った。

「アラームは、死んだよ……」

覚悟を決める時間はあった。それでも尚、そのショックは耐えうる物ではなかった。
俯き、両肩を震わせるバドスケ。
♂ケミはそんなバドスケの肩に手を置く。
その手に自分の頭を乗せ、バドスケにもたれかかる。
♂ケミの腕づたいに、頭が静かにずり落ちて行く。
肘の部分にひっかかると、そのまま腕から外れた頭はバドスケの懐に向かって落ち、完全にバドスケに体重を預ける形になってしまう。
「……ほっといてくれ」
そう言って♂ケミを振りほどくと、♂ケミは力無く地面に崩れ落ちる。
「……?」
バドスケは♂ケミを見下ろす。
彼は荒い息を漏らしながら、うなされるように何かを呟いていた。
「……何? 何も見えない……深淵さん? 深淵さん何処?」
♂ケミの頭部の出血は既に止まっている。
だが、背中の傷口は開いたままになっており、そこからの出血で♂ケミの背中は真っ黒に染まって居た。
慌ててバドスケは♂ケミを抱え起こす。
「おい! どうしたんだよ! 傷痛むのか?」
「目がチカチカして、何も見えないんだよ……。深淵さん! 深淵さん何処っ!」
アラームの死を嘆く暇も無い。今度は♂ケミの意識が危うい状態になっていた。
医療の心得の無いバドスケは最初狼狽えるが、すぐに♂ケミの希望通りにするのが一番だと考えた。
立ち上がってマンドリンを拾いながら深淵の元に走る。
「深淵! 早くこっち来い! アルケミがヤバイ!」
バドスケの叫び声に、深淵の騎士子は顔中蒼白にしながら♂ケミの方に駆け寄ってくる。
当然、交戦中であった♀ローグは背中を見せた深淵の騎士子を放っておくような事はしない。
バックステップで瞬時に回り込むと、隙だらけの深淵の騎士子にダマスカスを突き立てようとする。
同時に♂ローグが動いた。
♀ローグの真横から跳び蹴り一発で彼女を跳ね飛ばす。
深淵の騎士子は後ろも見ずに駆け抜けていく。
入れ違いにバドスケが♀ローグに相対した。
「悪いがここは通せねえぜ姐さん!」
「あーもうなんだってんだい! やる気あんのかあんた達!」


♂ローグと♀ローグの二人が消えた後、♂BSは深淵の騎士子達の居た場所へと移動を始めた。
「勇敢な……娘だったな」
惜しい、そう思える程の勇気の持ち主だった。
それでも殺すが定め。ここはそういう場所なのだ。
最早落ち込む事すらない、力強い足取りで歩を進める♂BS。
「……?」
そんな♂BSの前に、手の平大の光の塊が現われた。
それは、少しづつ形を成し、最後には古くて青い箱となって光が消える。
いぶかしさを感じながらも、それを開く♂BS。
そこには五個のイグドラシルの種が入っていた。
そして、その種の一番上に一枚の紙がある。
『御願いします。誰か秋菜を救ってあげてください。彼女の暴走を止め、元の優しい彼女に戻してあげてください。その為に……』
そこまで読んで、♂BSはイグドラシルの種もそのままに手紙を青箱に戻す。
そして、憎しみを込めてブラッドアックスを振り上げた。
『戻す? 止める? ふざけるなっ! 絶対に許さん! 藻掻き苦しみ、絶望の中で死ぬがいい! この世に生を受けた事すら後悔させてやる!』
♂BSは何度も何度も青箱に斧を振り下ろす。
箱ごと叩き割られたイグドラシルの種から汁が零れ、それが触れた草花が急激に成長を果たす。
♂BSにとってはそれすら憎しみの対象だ。
バラバラに切り刻み、全てを完膚無きまでにたたき壊す。
それが済むと、♂BSは何事も無かったかのように先を急ぐのだった。


♂ケミの側に駆け寄り、その手を取る深淵の騎士子。
「アルケミ! どうしたしっかりしろ!」
その声を聞いたアルケミは焦点の合わない目で、それでも嬉しそうな顔になる。
「……ああっ、深淵さん無事だったんだ……良かった。君まで倒れたら僕……」
「もちろん無事だぞ! ええい……くそっ! わ、私はどうすれば良い!? 私には医療の知識は無いのだ!」
深淵の騎士子はそう言ったが、♂ケミにはあまり聞こえていないのか、うわごとのように呟く。
「ごめんね……アラーム救えなかったよ……ごめんね。深淵さん、きっと気にしてると思ったから頑張ったんだけど駄目だったよ……ごめんね」
「ば、馬鹿を言うな! お前は一生懸命やった! 最高の治療であったぞ!」
背中の血はゆっくりと、しかし確実に♂ケミの命を奪っていく。
深淵は身も世もない声をあげる。
「誰か! 誰かアルケミを助けてくれ! 頼む! 私はなんでもするからこのアルケミだけはなんとか助けてやってくれ!」
その声を聞いたバドスケはマンドリンを真横から振るい、♀ローグに叩きつける。
♀ローグはそれを軽く後ろに下がってかわす。
バドスケは更に踏み込む事はせずに、そのまま叫ぶ。
「深淵! 今の俺達に治癒の手段は無い! 馬を使ってプリーストを探せ! まだ生き残りがいるはずだ!」
アリスの仇、にっくきバドスケの言葉。
だが、今の深淵の騎士子にはそれを考える余裕すら無い。
跳ねるように立ち上がると、♂ケミを抱えて黒馬に飛び乗る。
♂ケミを自分の前に乗せ、深淵の騎士子は後ろから手綱を握った。
走り出す前に、バドスケに向かって何かを言おうとしたが、少し迷った後、結局何も言わずにその場を走り去るのだった。


「おい♂ローグ! お前もちったー手伝え!」
♀ローグが繰り出す嵐の様な短剣捌きを、マンドリンで受け止めながらのバドスケの泣き言にも♂ローグは動かない。
より正確に言うと動けないが正しい。
体力は限界に近く、背中の傷からの出血もある。
少しの間ならば全力で動く事も出来るが、今の状態で正面きって♀ローグとやりあったら、それこそあっという間に殺される。
もう少し、体力を回復する時間が必要だった。
だが、動きを見ていると♀ローグの動きにもキレが無くなってきている。
後一押しだ、その為にも今ここで動く訳にはいかなかったのだ。


深淵の騎士子は馬を走らせながら、♂ケミに話かける。
「しっかりしろ! プリーストを見つけるまでの辛抱だぞ!」
♂ケミも、かすれた声ながらもなんとか返事をする。
「……うん」
「大丈夫だ! すぐに良くなる! ええっと……そう! 良くなるぞ!」
こんな時、どんな話をすれば良いのかわからない。
それでも、何かをしていなければ深淵の騎士子自身が押しつぶされてしまいそうで、とにかく話しかけ続けていた。
「……それでな、カリッツ候と来たら……」
深淵の騎士子に出来るのはグラストヘイムの話だけ。
それでも♂ケミは、苦しいながらも相づちを打ち、そして時に笑ったりもした。
深淵の騎士子はそれが嬉しくて、思いつく限りの話をした。
その話は、♂ケミからの返事が無くなり、黒馬が早足で駆けるのを止めてゆっくり歩き出しても、いつまでも続くのだった。


チュンリム湖を目指す♀セージ達、最初に異変に気付いたのは♂アーチャーであった。
「待った。……この辺、血の匂いがする」
全員に緊張が走る。
程なくして周辺の草木が乱れる様に気付き、遂にそれを発見した。
♀クルセが声にならない悲鳴をあげる。
右の首の下から、左の脇の下までを真っ二つに切り裂かれ、怒りの表情のまま倒れ伏していたのは♀アーチャーであった。
震えながら♀アーチャーの遺骸の側に膝をつく♀クルセ。
♀セージは♂プリーストの方を向き、小声で言う。
「大剣か斧だな。重量のある武器を使わなければこうはいかん」
「ひでぇ……知り合いか?」
肯く♀セージ。感傷を振り払うように首を振ると、♂アーチャーと♂プリに声をかける。
「殺されてまだ間が無いようだ。私達で周辺を探るとしよう」
何処までも冷静な♀セージ。しかし、♂アーチャーも♂プリも最早それを見て冷酷と取ったりはしない。
敵は近くにいる。それでも尚♀クルセには何も指示をしないのが、彼女なりの優しさであると気付いているのだ。
三人がその場から散った後、一人残された♀クルセは♀アーチャーの瞳を閉じる。
ネガティブな言葉が頭の中を駆けめぐる。
だが、それに溺れる訳にはいかない。それはわかっている。
しかし、感情はそう簡単に整理する事は出来なさそうだ。

「……クルセ殿か?」

草むらの中から今にも消え入りそうな小さな声が聞こえる。
はっとして振り返ると、そこには憔悴しきった子バフォが居た。
「子バフォか! お主よくぞ無事で……」
そこで言葉に詰まる。
子バフォの胴体から流れ出る血に気付いたのだ。
絶句する♀クルセ、しかし子バフォは喜びの声をあげる。
「おおっ、首輪を外したか……これぞまさしく天佑なり」
「子バフォ! そこにおれ! 今すぐプリーストを呼んでくる!」
「ヴァルキリーレルム! そこにっ……」
最後の力を振り絞ってそれだけ言うと、子バフォは息絶えた。
余りにもあっさりと、二人の仲間の命が失われた。
♀クルセは怒る事すら出来ずに、ただ呆然とするのみであった。
136名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 03:44:25 ID:ORGEFLwM
♂プリーストが警戒の声をあげる。
「おい! 何かこっちくるぞ!」
それぞれに別れて偵察を行っていた♀セージと♂アーチャーもすぐに♂プリーストの側に集まる。
漆黒の馬に深淵の騎士子がまたがり、その前に座らせた♂ケミの死体に何やら楽しげに語りかけている。
そんな異常な光景に、三人共絶句する。
ふと、深淵の騎士子が三人に気付く。
彼女は、笑いながら涙を流して言った。
「アルケミが、返事をせぬのだ……なあ、何故返事をしてくれぬのであろう? プリーストに頼めばアルケミは返事をしてくれるであろうか?」
♂プリが一歩前に出る。
「この世界じゃ、リザレクションは効果が無いらしい。済まないが、もうどうする事も出来ない」
「それでは……アルケミは、死んだのだな」
「そうだ」
「それでは、私はもう独りぼっちになってしまったぞ」
自分の前に居るアルケミを後ろから抱きしめる深淵の騎士子。
「他に何もいらぬ。だから……皆を……返してくれ。皆、私の大切な仲間なのだ……頼むから皆を返してくれ……」
余りの痛々しさに見ていられなくなり、目を閉じる♂プリ。
♀セージはそんな♂プリの肩を叩きながら深淵の騎士子に言う。
「質問に答えてくれ。♂ローグ、アラーム、子バフォ、♂BSの四人の内の誰かの居場所を知らないか?」
深淵の騎士子は黙ったまま、一方を指さす。
♀セージは♂プリに言う。
「このアルケミの傷も新しい。ならばまだ間に合うかもしれない」
それを聞いた♂プリは怒りを隠そうともせずに肯き、言う。
「♂アーチャー! この子と♀クルセを頼む! 俺達はこれをやったクソ野郎をブチ殺す!」
「わかった。気を付けろよ」
二人は返事も待たずに駆けだした。


♂ローグは黙って時を待つ。
確実に♀ローグをしとめられる一瞬。
その前にバドスケが限界を迎えたらアウトだ。そうなる直前にバドスケを抱えてインティミで逃げなければならない。
ここは見通しの良い草原だ、♂BSが現われてもすぐそれとわかるだろう。
『♀ローグ、バドスケ、そして♂BS……どいつが一番早い?』
1/3は分の悪すぎる賭けでは無かったつもりだが、相変わらず運命さんとやらは♂ローグに容易い人生を与えてはくれないようだ。
♂BSが姿を現し、♂ローグめがけて駆け寄ってきたのだ。
想定内の事態だ。♂ローグはバドスケに向かって走り出したが、急遽、その方向を翻す。
バドスケも♂ローグと同じ事を考えていただけに、♂ローグの急な方向転換に驚く。
「おい! お前何する……」
♂ローグが動いた。それは♀ローグにとっても転機であった。
背中を見せた瞬間に動く。それは♀ローグにとっても一瞬のチャンスであったのだ。
バドスケのマンドリンに短剣を叩きつけると同時にトンネルドライブをしかけ、背後に回り込む。
そう決めて短剣を振るった♀ローグだったが、実はマンドリンはバドスケ以上に消耗していたのだ。
♀ローグの一撃で、遂にマンドリンのネックの部分が砕け、弦がバラバラにはじけ飛ぶ。
それは偶然であったのだろう。
その弦の一本が♀ローグの目の上に当たったのだ。
そのせいで、僅かにトンネルドライブに入るのが遅れる。
バドスケにとって、マンドリンの限界は予期しえた事であった。
だからその時は絶対こうやって最後の足掻きをしようと心に決めていたのだった。
砕けたマンドリンから手を離し、左手で自らの肋骨を掴むと、力任せに引き抜き、♀ローグに向かって突き出す。
一瞬バドスケの体が光に包まれる。
胴の中央を狙った肋骨の一撃は、♀ローグが今までバドスケに受けたどの一撃よりも素早い攻撃であったが、♀ローグは目を細めながらも体を捻ってそれをかわす。
肋骨は、わずかに♀ローグの左の脇腹を薙いだだけにとどまった。
『やるねぇ……でもまだまだ甘いんだよ!』
左手を大きく振り上げ、ダマスカスを振り下ろさんとする♀ローグ。


ぼたぼたぼたっ


そんな音と共に♀ローグの動きが止まる。
「あ……あれ?」
急に軽くなった我が身を訝しんで見下ろすと、肋骨により開いた傷口から何やら山のような肉塊が飛び出している。
それを止めようと左腕を降ろすと、更に中から肉の塊が飛び出してきた。
「なん……だいこれ?」
落ちた肉は、全て♀ローグの内臓であった。
体内からこぼれ落ちたそれを拾おうと身をかがめると、背骨が♀ローグの体重に耐えられなくなったのか、真ん中から真っ二つにへし折れる。
「ごぼふっ……うぇっ」
突然の事にバドスケも反応出来ない。
地面に倒れた♀ローグは、その時の衝撃で原因に思い至った。
「そ……っか。とっくに私の体限界だったんだね……どうりで腹が重いと思ったよ……痛く無いってのも善し悪しだねぇ」
もう動く力も残っていない♀ローグに、バドスケは砕けたマンドリンのボディ部を拾って振り上げる。
「そんなになる前に……どうして普通に生きられなかったんだよあんたは! あんた俺には良い人だったじゃねーかよ! んな外道みたいな事なんてしなくたってあんたなら……」
バドスケは、マンドリンを振り下ろせずにいた。
そんなバドスケを見て♀ローグは晴れやかに笑う。
「……私はねぇ、そんなのいらないんだ。普通の生活、仲間、正義……そんなん無くたって……」
バドスケはマンドリンを振り下ろす。
『私は今、こうしてここに、生きているんだ。私にはそれで充分さね……』


急な方向転換で♂ローグが♂BSの方に向かってくる。
♂BSにとっては望む所である。
♂ローグの短剣程度の攻撃力では、ゴーストリングの力を抜く事は出来ない。
だから、振り上げたブラッドアックスよりも素早く♂ローグのスチレが♂BSの左腕に伸びた時も、彼は全く意に介さなかった。
振り下ろされるブラッドアックス。
それは、♂BSの意志に反してまっすぐ真下に落ちた。
「あ……」
♂ローグのスチレに魔法の輝きが見える。
それが、この短剣にゴーストリングの効果を失わせる力があったようだ。
♂BSの左腕は、完全に切断された。
呆然とする♂BSに炎の矢が降り注ぐ。
慌てて頭を庇おうとするが、庇う為の腕が二本とも無い。
「ひっ……ひぃぃ!!」
突然の事に混乱し、そして恐怖する♂BS。
今の自分が寄って立つ圧倒的な力の源を失ったのだ。
覚悟は決めていた。しかし、それでもなお明確に眼前に示された死への恐怖は失われない。
踵を返して逃げ去ろうとする♂BS。
炎の矢は尽きる事無く♂BSに降り注ぎ、その衝撃で両腕を失いバランス感覚の欠けた♂BSはあっさりと倒れる。
すぐに立ち上がろうとするが、絶え間なく火の矢が降り注ぐ中、両腕を失った状態では立つに立てない。
そうこうしている間に、炎の矢が♂BSの足を捉える。
それで、立ち上がる事はほぼ絶望的となってしまう。
「お、俺にはやらなくちゃならない事がっ……」
♀セージは、炎の矢を止めない。
「俺はここで死ぬ訳にはっ……」
復讐、♀セージはそんな事を考えていた訳ではない。
ただ殺す目的で、それに最適な行動をとり続けているだけであった。
「ちくしょう……仇を討たせてくれよっ……頼むよ……」
♂BSの末期の言葉は、降り注ぐ炎の矢の轟音にかき消され、誰の耳にもとまる事は無かった。


<♂ローグ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:ツルギ、 スティレット、山程の食料>
<バドスケ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:マンドリン、アラーム仮面 アリスの大小青箱 山程の食料 備考:特別枠、アラームのため皆殺し→焦燥→落ち着き>
<深遠の騎士子 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:アリスの復讐>
<♀セージ 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品/垂れ猫 クリスタルブルー プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)、筆談用ノート、エンペリウム2個>
<♂アーチャー 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 ) 所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個>
<♀クルセ 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品/青ジェム1個、海東剣>
<♂プリースト 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品/チェイン、へこんだ鍋>

<♀アーチャー 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品/グレイトボウ、矢、小青箱 備考:実は怪力? 死亡>
<子バフォ 現在地/プロ南 ( prt_fild08 ) 所持品:クレセントサイダー(jrサイズ)小青箱 死亡>
<アラーム 現在地/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:大小青箱、山程の食料 死亡>
<♂アルケミ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100、石をつめこんだ即席フレイル、無形剣 死亡>
<♀ローグ 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品:ダマスカス、ロープ 備考:首輪無し・アンデッド 死亡>
<♂BS 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 ) 所持品:ブラッドアックス(罅あり)、ゴスリン挿しロンコ 死亡>
137名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 05:42:03 ID:q2.a2xnc
人が死んでいくのはリレー小説の性質上基本的に問題ないと思いますが、この部分はどうかと

>♂ローグのスチレに魔法の輝きが見える。
>それが、この短剣にゴーストリングの効果を失わせる力があったようだ

何でいきなりスチレがこんな効果持ったのか疑問です
この戦闘の部分は多少の修正が必要かと思います
138名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 07:28:44 ID:KMBdGkHU
つ[パーツ]
・♀セージ
・クリスタルブルー
・属性付与
136時点では説明不足と思うけど次の話で言及するんじゃない?
139名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 08:28:01 ID:1g7EnnVI
124はとりあえずNGの方向で。
ただし、単純なNGでは後々しこりを残しそうですし、
ここの♂GMの放送、及び、託した品に関すること(ミョニルと限定せずに)を
この後の展開で補填する案というのはどうでしょうか。

後、スチレ云々の描写については137氏と同じ方向で。
とりあえず、スチレには毒が塗られてた筈で。
そこを考慮すれば、特に特別な効果を持たさなくとも
「毒が体に回り、眩暈などがして云々」などといった描写の挿入で代用は効くと思います。

いや、特別な効果ってのは後々複線として回収しないといけなくなるかもしれませんし、
書き手としてそれが余計な手間になりゃせんかと不安で…ゲホゲホ。
それに、元の持ち主の♀商人が毒の事も忘れないでくださいと後ろでいじけてるのです。

ともかく。ここまでつらつらと余計なこと口走りましたが、一言。
完成おめでとう、そしてお疲れ様。俺もがんばります。
このレス書いてる時点では時間がなくて本文スチレ描写の部分しか読んでないけど、
じっくりしっかり読みたいです。

…後、数レス前で言ってたサブ物の駄文置いておきますね。
132氏の作品あがってから最後の辻褄あわせする予定でしたが、
まだそれしてないんで、矛盾点とかあれば、遠慮なく申しつけプリーズ。
ただ、どちらかといえばアナザー的な要素が濃いかもしれませんのでご了承。
好評でしたら、後日矛盾などを加味した推敲後の物を再度上げます。
140名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 08:29:11 ID:1g7EnnVI
 205(仮) 木立にて

 幾度目になるだろうか。
 地面を転がり、大斧の一撃を避けた♂ローグのツルギが、浅くBSの体を裂いた。
 さて。ローグは、心中で呟く。思惑通り、か。奴は、策に嵌っている。
 (但し、寸での所で避けた斧が、逆毛の長さを不揃いにしていた)
 回避回避回避。だが体捌きだけで避けられるものでは無い。
 殺傷圏の長期滞在がそのまま即死に繋がる様な太刀筋だ。
 筋力。体術。勘及び先読み。そして、策による範囲の予測を確定。
 一度だけではない。二度、三度。今に及ぶまで、十数合余り。
 有らん限りの要素と閃きを駆使し、木立の中を駆ける彼は奇跡の様に鋼の暴風を避け続けていた。

 只、体力にも限界がある。気力、その他諸々も然り。
 勝負は、BSが策に嵌って尚、7:3でローグが不利と思われた。
 何時までも、この状態は続かない。

 ──これは一種篭城戦の様なものだ。
 援軍はまだか。まだ来ないか。確実にそれは期待できるが、城内の資源には限りがある。
 それでもやってくるまでは、持ち応えるしかない。
 だが、先程からの撤退戦に加えて、この戦闘だ。
 BSの斧は、その一撃ごとがローグの心身を削る。
 余裕など既にある筈も無く、刻一刻と限界が近づきつつある。

 轟、空気が臓腑を抉られ死ぬ音。意識の向きを瞬間的に変更。
 戦鬼が、斧を。それは木立の合間を抜けて。せせこましい小細工の向こう側から。

 一方のローグは既に刃は見てはいない。第一、見ようとした所で視えはしない。
 相手の位置と木立の隙間の具合から、瞬間的に太刀筋の範囲を予測。
 腕を振り上げた時点で反応し、跳ぶ。
 刹那の差で、居た地面は破裂。
 しかし彼は1m程も無造作に飛んでいて。
 直ぐ横の木の腹を蹴り、それからBSの後ろ頭を思い切り蹴りつけて勢いを付け、身を縮めながら更に跳躍。
 伸びた太い枝に手を。勢いを殺さないまま、ヨーヨーの如き運動でベクトルを捻じ曲げ、BSから背を向けて飛びずさる。
 そして、着地も早々に又走る。斧の間合いから逃げる為に。

 足音は。まだ、後ろに。
 ざっ。ざざざざざ。ざっざざざざっ。ざっ。
 それは。追っている。追ってきている。落ち葉を、下草を踏みしだきながら。
 ざざざざざ。ざっ。

 心臓は、無理な機動に既に金切り声を上げていた。
 (彼は、もう一体何秒走り続けている事だろうか?)
 人体のフレームが軋む。後何分耐えられる?判らない。
 壁が、そう限界は無常に近づいてきている。
 だが。
 神様が人をあざ笑うこの悪意の場所で。かく危機に陥るも尚。

 ──それが一体どうしたってんだ、と彼は唇を吊り上げていた。

 ローグは。その男は。                嗚呼、煙混じりの血が流れる心臓の拍動が聞こえる。
 極限状態では、人は潜在的な力を発揮するだとか。   痛む体に鞭を打つ。削れた心を焚きつける。
 そんなゴシップはどうでも良かった。         後ろを見遣ると、BSはイラついた様な顔で。
 限界は、限界として在るんだろう。          無表情なだけじゃねーんだな、その表情につまらない事を彼は思う。
 だが。浮かぶ貌は。幾つもの見覚えのある貌は。    俺らしくもねぇが…ま、乗りかかった船だ。嘯いて、笑う。
 彼に──まだだ、と繰り返す。            そうさ。俺が死んだら、あいつ等が泣くしな。

 ──ったく…おちおちヘコんでもいられねぇ!!
 そう。彼は獰猛に笑う。

「がっ…は」
 呻き。ちかちかと、走る彼の目の前に光の粒が舞う。ぎしぎしと筋肉と骨が纏めて軋む。
 酸素が足らない。疲労が酷い。軋みを上げる体を休ませるべきだ。生物としての本能がそう訴えている。
 だが。まだだ。背後の足音は絶えない。時間はまだ満ちていない。
 動け!!動け動け動け動け!!動け!!早く、もっと鋭く!!
 血液が沸騰する。体温が上昇する。
 火神(ヒノカミ)の加護を受けたかの如く、魂の一滴に至るまでが赤熱。

 ざっ。ざざざ。ざっ。ざっ。

 足音と勝機は、逃げ出さない。
 勿論、そいつ等を逃がすつもりは全く無かった。
 彼は、追いかけ、追いすがり、追い詰めていく。

 手にはツルギを。心には火を。そして背には。

「来やがれ、化物っ!!」
141名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 08:29:41 ID:1g7EnnVI


 まただ。また、避けられた。
 ♂BSは、振りぬいた斧を地面に突き刺したまま、その眼を宙を飛ぶ♂ローグに向けていた。
 この男は、何故こうも己の一撃を避けうるのか?
 己に問う。判らない。否定的な答えが帰ってくる。
 だが。それでは駄目だ。先の二人がやって来るまでに、この男は殺さなければ。
 (そして彼も又、余り余裕があるとは言えない。連戦の疲労は徐々に忍び寄っていた)

 木を盾にした一撃。♂ローグはそれを狙っているのだろう。
 ちりっ、と頬の傷に引き攣るような痛みが走った。

 付け加えて、彼はそこらに潜んでいるらしい女の幽かな息遣いをも聞いていた。
 殺人者、という立場こそ同じだが、だからこそ友好的である筈もなかろう。
 虎視眈々と機会を狙っているのだろうか。今は動かないが…狙いは明白だ。
 あの立ち回りといい、油断のならない相手、と認識札をBSはぺたり貼り付けた。

 ──状況を、整理しよう。
 己の手段は手にした斧と、爆発的に増加した。護符の貼られたコート。
 対する♂ローグは、ツルギと短剣、あの身のこなし。しかし、随分と疲弊しているらしい、と彼の耳と眼は伝えている。
 それから、今も潜んでいる♀ローグ。
 状況と現実の差が示す所は一つ。
 把握できていない要素がある。
 それが何なのか見当が付かないが、足は止められない。

 騎士と詩人に加えてこの男。それでも勝機はあるだろうが、潜む♀ローグが問題だ。
 いかなBSとて、あの二人に加えてこの男を相手には大変な消耗を強いられるだろう。
 だが、仕損じれば。そこから先は、♂ローグ達の勝利か、はたまた♀ローグが漁夫の利を得るかのどちらかだろう。

 考えながらも、走る走る。
 木立の中を逃げていく男を彼は追いかけている。
 「来やがれ、化物っ!!」ローグがそう叫ぶ。
 化物。なるほど的を得た言葉だ。BSは一瞬そんな事を考える。
 確かに、この歪な体は異形と呼ぶに相応し──瞬時に剣戟に移行し思考は中断。

 ♂BSは追いつき、すぐ目の前に迫った♂ローグ目掛け、斧を振り下ろした。
 毀れが目立つ刃先が木々の合間を縫って、垂直に男に迫り、しかし寸でのところで回避される。
 それは斧の内側方向に軽く飛びずさり、かと思うと驚いた事に彼に対し、更に踏み込んできた。
 長柄の刃は地面に。そして、BSは隻腕だ。迎撃は不可能。
 重力から斧を引き抜いても間合いが詰まりすぎて切り付ける事もできない。
 斧から手を離すか?BSは一瞬考える。
 だが、その拘泥を突く様に、先程逃げながら逆手に持ち替えて居たらしいツルギが逆しまの三日月を描いて顎に迫った。
 一瞬の判断、彼は片足を後ろに下げ、腰を捻って体を半身に逸らす。
 鋭い風切りの音を残しながら♂ローグは後ろに残していた足を半歩前に、
振り切りかけたツルギは、空いていたもう片方の手に、順手に持ち替える。
 そして、その僅かな隙に踏み込み、そうして十分に撓んでいた足のバネを一気に弾けさせた。
 BSは、引き抜いた斧をその背中に叩きつけようと振りかぶり、しかし斜め上から飛来する打ち下ろしの刃を知覚する。
 即座に、手首を捻るとそれが狙う顔面辺りに斧の腹を翳した。ギャリッ、と鋭い音。蛍の様な火花。
 前を見れば、前方に跳び、振り向き様にその一撃を見舞ったローグが彼を見て、にやりと笑っていた。

 どくん、と心臓が跳ねた気がした。
 押しているのは自分の筈だ。そもそも自分は、こと戦闘に関しては圧倒的な優位に立っていたはずだだ。
 なのに、何故この男は笑う?あの獰猛な笑みは得物のそれでは断じてない。むしろ、狩る側の笑みだ。これでは、己はまるで。
 『罠に嵌められた獣のようじゃないか』と。
 そこまで考えて、初めて♂BSはその可能性に気づいた。

 そう──罠。何か判らないが、自分は嵌められているのではないか、と。

「おいおい…以外だな。手前ぇ、んな憎憎しげな面も出来るのか。まぁ、悪役にゃぴったりか」

 その言葉に彼は答えない。
 只、ローグを睨みつける事で彼は答えた。
 そして、言葉の代わりに。
 轟音。BSの傍らの木に、深々と斧が。
 力の限り振られたそれが、木の腹を打ちぬいていた。

 こんな所で立ち止まってはいられないのに。
 だが、現実はどうだ?どうなのだ、♂BSよ。
 お前は、そんな力を与えられながら、随分と間抜けじゃないか。

 そう。憎かった。♂ローグが。いや、あの女の用意したこの場所の全てが。
 それは、彼の願いを妨げる障害でしかないのだ。
 だから壊さなければならない筈だ。
 なのに何故、あの二人を殺さなかった?今更だろう。

 憎い。己はなんと偽善に塗れた真似をしているのか。
 血を吐くような思いで埋めた、♀BSのあの顔を忘れたのか。
 お前は、与えられたじゃないか。豪腕を。斧を。護符を。
 それなのにお前は。血に濡れた。腐りかけた。酷い顔だけになってしまったあの娘を忘れたのか。
 余計な算段ばかり廻らせるお前は…結局全てを逃す気か?

 ──否。
 ──断じて、否。
 己は全てを逃さない。逃す訳にはいかない。
 顔が眼に焼きついている。
 女の顔。愛しい顔。男の顔。歪んだ顔。知らぬ者達の顔。そして白い顔。
 殺さなければならない。止めなければならない。終わらさなければならない。

「誰が、誰が逃すか」
 知らない間に、下がっていた顔を上げると、その言葉に胡乱げな顔でローグが彼を見ていた。
 アドレナリンラッシュ&マキシマイズ・パワー。既に臨界を越えつつある脳内麻薬に、視界が白く染まっていく。
 憎しみは、既に憤怒に変わりつつあった。
 ローグにではない。それは、理不尽に対する怒り。

 殺さねばならない。それを成したとしても死んだ者はもう帰らないのに。
 あの女だけが、今も安穏と。
 しかし、そこに至る道も又、易くは無いようだ。
 男が、女が、騎士が、詩人がその路の途中に。

 白。白白白白白。噴出する麻薬に全てが白に。意識が白く。白く染まっていく。
 その因は、怒りだ。つまらない算段の全てが、漂白されていく。
 低い、獣の唸りが聞こえる。己の声だ。成程、言葉通りにやはり化物という形容こそは己に正しい。

 罠など最早知ったことではなかった。
 この化物は、そんな物は容易く踏み砕いてお前の喉を食い破るぞ。
 そうだ。己は、おぞましい理不尽が使わした、おぞましい理不尽を食い破るべき化物だ。
 お前程度に、太刀打ちできる相手と思うな。

 獣の咆哮。走り出す。♂ローグの姿が見る間に近づいてくる。斧を振り上げる。
 白い世界の中で。その男は一転して驚いた様な表情を浮かべていた。斧を振りぬく。
 轟音。血の飛沫が舞う。その一撃は♂ローグの上着の左の肩当てをその下の肉ごと吹き飛ばしていた。
 痛みに顔を歪めた男に彼は、獰猛に笑い、そして言った。

「往くぞ、おれは、化物だ」



 少し、離れた場所で♀ローグはその戦いを傍観していた。
 どちらもが、目の前の相手に手一杯らしく、彼女に意識を向ける様子は無い。
 丁度良い休息だった。片袖を千切ってきつく固定した首の事もある。

「さてさて、お手並み拝見、と行きましょうかね」

 只、しいて不満があるとすれば、この手で♂ローグを殺せないことだ。
 が、あの殺陣に考えも無くいきなり飛び込むのは、リスキーに過ぎると思われた。
 下手を打てば、二人ともを敵に回しかねない。
 ♀ローグの目標は相変わらず生き残る事だ。

 木に背中を預け、彼女はこれからのプランを考える。
 取り合えず、あの二人のどちらかは倒れるだろう。
 彼女自身としては、♂BSに軍配が上がる方が都合が良かった。
 あの化物は、この後もかなりの人数を捌いてくれるだろう。
 取り合えずは、黒い鎧の女だけでもそれで片付くなら十分だ。
 (生き残りの中では、♂BSに続いて殺すのに手間取りそうなあの女である)

 だが仮に、♂BSが敗れたなら…どうしたものだろうか。
 続く良い手が浮かばない。ぐしゃぐしゃと頭を掻く。その間にも遠く、BSの斧を振る音が聞こえてくる。
 ぴん、と留め金が外れる様に、一つの案が思い浮かんだ。
 ♂BSが、♂ローグを確実に殺せる様に仕向ければ、それでいいのだ。

 考えを定めると、立ち上がり、慎重に気配を殺しながら戦いの現場へと歩き出す。
 女は、艶やかに笑うと、一人呟いた。

「♂ローグ、あんたもとうとう年貢の納め時だねぇ」


<♂ローグ 肩に傷を負う(程度は不明) 装備は変わらず 木立の中をBSと戦いながら移動中>
<♂BS 状態 アドレナリンラッシュ&マキシマイズパワー 装備変わらず。 木立の中を♂ローグと戦いながら移動中>
<♀ローグ 状態装備変わらず ♂BSを勝たすべく、二人の追跡開始>
142名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 08:45:55 ID:ORGEFLwM
>>137
♀セージの持ち物からクリスタルブルー減らすの
わ……す……れ……て……た……⊂⌒~⊃。Д。)⊃
>>138フォローありがとう、そういう事でした
143名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 11:33:24 ID:6Pibqa9I
>>139-141
…番外編だよね?
144名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 12:07:04 ID:weMNj1Ks
>>143ですね。後で見返したら矛盾があるし。
まあ、退屈しのぎのアナザーになれば幸いです。

後、132さん。改めて読みました。
言いたい事は沢山あるけれど、とりあえずGJと。
この流れなら、今の今まで暖めていたネタが使えますし、
そのせいもあり、一番のヤマを越えたのもあり
感謝感激雨霰、と言った調子で小躍りしてます。
145名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/15(金) 21:27:21 ID:1.XGAIFg
うん、素直に凄いと思った。
こんな人達と一緒に話を作ってるってだけで何だか嬉しい。
146名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 12:20:20 ID:7se.3Soo
>136
なんでバドスケは光に包まれたの?♂プリがアスペしたとしたら
アチャスケ、つまりアンデッドのバドスケにはダメージだろうし…?そもそも聖水ないな。
光に包まれたのが♀ローグだったら♂プリのヒール砲かTUかなって思ったんだけど。
わからん、解説求む。
147名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 15:01:04 ID:OCDouGDk
ゾンビ系mobの必中攻撃のような希ガス。
148名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 20:37:37 ID:hq5S0H2.
 204 紛い物の騎士


「大丈夫か?」
 ♂BSに一撃を放った後、そのまま地面に倒れこんだ♂ローグの耳に、聞き覚えのある声が聞こえていた。
 痛む体に強いて、首を捩ると声のした方向に向ける。

「…あんたか」
 見上げれば、♀セージがじっと彼を見ていた。
 冷たい様な瞳で。けれど、彼はその後ろに泣き顔を見た気がした。
 身を起し、立ち上がる。そこに刻まれているだろう傷を見たのか、彼女の氷が僅かに揺らぐ。

「今、プリーストを呼ぶ。少し…」
 待て、と言いかけた♀セージを、♂ローグは片手で制した。
 行かなければならないし、聞かなければならない事があった。

「子バフォと、♀アーチャーはどうした?」

 彼を見ていた冷たい瞳が、溶けて零れた。
 潤んだ瞳を隠しながら、彼女は首を横に振る。

「子バフォは判らない、でも♀アーチャーは…」
 ♂ローグは、そうか、とだけ答え、背を向ける。
 彼女は知らぬと言ったが恐らくは、子バフォも又。
 もう♀セージから言葉はなかった。
 ありがとう。彼は、心の中でだけ小さく礼の言葉を言う。

 ──足は重く、短い距離が酷く遠く感じる。
 バドスケのくぐもった声が彼方から聞こえる。
 見れば、泥だらけの服を着た小さな塊が、草を赤く濡らして彼の前に横たわっていた。
 歩を進める。近づいてくる♂ローグの足音は聞こえているだろうに、バドスケは彼の方を向かない。

 ぽたり、ぽたりと何処からか雫が滴る音が。
 少しして、それは頬を伝っているらしい、と気づいた。
 血か?♂ローグは思う。それにしては、少しも痛みは感じない。
 只、熱だけが。熱だけが、後から後から頬を顎を伝って落ちていく。

 アラームは。詩人の腕に、きつく抱かれて、眠っていた。
 口の端からは血が。包帯が幾重にも巻かれた腹も、真っ赤だった。
 眠っている様にさえ、見えた。死に顔は、眠る様に安らかだった。
 苦しまずに死ねたのか。そんな事が脳裏を光の速さで過ぎ去っていった。

「…よぉ」
 ♂ローグは、何時もの笑みを無理矢理浮かべながら、眠りこけるアラームにそう呼びかけた。
 熱。熱い雫が、幾つも幾つも。
 漸く、ゆっくりと詩人が男に向き直る。
 仮面が外れ、骸骨の素顔が露になっていたが、それさえ既に気にもならない様子だった。

 言葉を忘れているらしい詩人の横に、男はどっかと座る。
 煙草を懐から取り出し、かちかちと中々思い通りに着火しない火打石を打ち鳴らす。
 その僅かの間に、彼は思った。

 皆、死んでしまった。
 あっさりと。自分が護れてさえ居れば。
 そんな事を思う積りは毛頭なかったが。
 けれど。けれども。

 ──漸く火の付いた煙草を咥え、紫色の煙を吸い込む。
 少し吸い込み過ぎたか、ごほごほと♂ローグは咳き込む。

「アラーム」
 そうしてから、空いた手で、♂ローグは、くしゃくしゃと少女の頭を撫でる。
 それが、彼の知る中で、一番優しい振る舞いだった。
 詩人は何も言わぬ。少女もまた。只、男だけが喋っていた。

 彼は、今更ながらに。

「俺は、お前等と、一緒に、居たときな」

 声は、震えていた。

「知らない間に、俺は、お前等ん中に、なりたかった俺を見てた」

 振るう剣は弱者の為に。
 そんな願望。だが、夢が既に果てている事は他ならぬ彼自身が一番良く知っている。
 手にしていたツルギは、かつて一人前になった剣士が手にする物だったが、これほど彼に似合わない武器もあるまい。
 だから、共に居た時は何時も、それを考えないでいた。

「馬鹿みたい、だろ? 俺みたいな、糞悪党が、騎士になりたかった、なんてよ」
 言って、ローグはとんだ笑い種だと笑う。悪党は騎士になれない。
 片手の煙草から、溜まった灰が地面に落ちた。
 彼は根元まで燃え尽きた煙草を投げ捨てる。

「でもな、それでもな」
 彼は気づいたのだ。

「俺は、嬉しかった」
 嬉しかった。例え、自分は悪党に過ぎないとしても。
 男には、誇れるものなど何も無かった。あるのは只、惰性と怠惰、そして悪徳で過ぎていくだけの日々。

「だって、お前等は、俺に、大切な物を、くれたもの」
 あの♀プリーストに、そして彼等に出会った事が彼に命を吹き込んだのだ。

 もう一度、物言わぬ少女の頭をくしゃり、と撫でる。
 熱。熱が。先程よりも、より多く頬を伝っていく。
 顔をふと上げると、詩人が彼を見ていた。
 その視線に、自らの頬をに手を触れ、初めて彼は自分が泣いている事に気づいた。

 眼を瞑る。
 泣いてはいけない。悪党に涙は似合わない。
 死など見慣れていた筈だった。
 しかし、溢れる涙は止まる事無く。

「ありがとう。ゆっくり、眠ってくれ」
 だから、彼は笑った。大輪の笑みで。眠る少女を安心させる様に。
 既に死んでしまった、大切なものを彼に与えた者達の為に。
 彼は、自らの胸の内。未だ形を成さない何かを、強く強く誓った。

 ──どれ程、そうしていた事だろう。

「…?」
 何だ。男は、詩人は。眼前の少女の体に何かを見た。
 形容しがたい。しかし優しい何か。

 淡い、光が。始めは、何処からか注いでいるかとも思ったが、そうではなかった。
 それは、少女の体から発せられた光。
 彼等が、その正体を考えるより早く、淡い光に包まれた少女の体が縮んでいった。
 服、そして包帯。少女が身に着けていたそれだけを残して、ぱさり、と軽い音を残して何かが地面に落ちた。

 男が、詩人がそれを見る。
 涙が、再び流れた。
 奇跡だとか、そんな陳腐な表現はどうでもよかった。
 只、目の前にあるそれに、男は自ら誓いを立てた。

 所詮は、紛い物に過ぎないとしても、強く強く彼は誓った。

「…なんだよ、アラーム。お前、笑ってるんじゃねぇか」
 何時もの笑みを浮かべ、呟いた♂ローグ。滲んだその視線の先には、一枚のカード。
 一人の少女が、その内で、優しげに笑うカードが、草の上に落ちていた。

 『アラームc、一枚獲得』

 がんばって。背中を押すアラームの声を、その瞬間彼等は聞いた気がした。


<♂ローグ アラームc(効果は不明)一枚獲得 その他は変わらず>
<バドスケ 状態場所装備変わらず>
149名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 20:40:09 ID:hq5S0H2.
番号は>>124を飛ばして付けた物です。
暖め続けたネタを出せて当方大変満足です。
では、次の人よろすくお頼みもうします。
150名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 21:06:36 ID:hq5S0H2.
連レスで申し訳ないが、今スレ中で
一回目バトロワ完結しそうな予感な訳ですが、
その後、一旦座談会を開く、というのはどうだろう?

次回の事とか、前スレで出てた製本化の事とか
一度リアルタイムで話してみるのもいいかなー、と。
151名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 21:43:26 ID:yFLgf53o
>>146
ごめん、わかりずらいとは思ったんだ♂ローグの付与にしても
ただ、あんまりストレートに書くのはあざといかなって思ってああいう感じに……
ええと、私はあれは速度増加のつもりで書いてました

厳密に言うと、命中率上げるにはブレスなんだけど
演出って意味では速度増加のがらしいかなと
無くてもいいっていえばいい演出なんだけど、♂ローグに付与する♀セージ、バドスケを支援する♂プリ
ってな感じだと綺麗かなって思ってああしました

>>149
以前にDOPC二枚刺しなんつーネタ考えて、DOPCは二枚刺しても効果重複しないっぽいので挫けた私が来ましたよ
それ以来カードネタは諦めてたんだけど、こういう手もあったか
カードの効果云々じゃなくて、演出に使うのはうまいと思いました

ちなみに

アラームカード
物理ダメージを受けた時、オートスペル[サイト] Lv 1発動
MAXHP + 300, VIT + 1
装備個所:靴
接尾語:オブ シーカー

こういう情報も未実装スレに上がっているので、一応参考までに
いやまあまだ未実装なんですけどね

>>150
座談会はおもしろそうですね、やるのなら参加したいです
でも今の所私はこれをきっちり締める事だけ考えていようかなって思ってます
152名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 22:03:51 ID:Qc7nRr/c
>>151
バドスケを支援する♂プリは、あの状況じゃありえ無いのでは?
バドスケに♂ノビ殺されてるの知ってるし、♀アサに窘められていた事も有ったけど
それでも納得できていないだろうし、むしろ見たら即敵と判断されてもおかしくは無いんじゃないかと

あとバドスケにブレスかけたら弱体化、アンデットだし
153名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/16(土) 22:58:27 ID:yFLgf53o
>>152
ごめん、その通りだ。気付かなかった

あの時点で♀セージ、♂プリ視点だと
♂ローグがどちらを味方とみなしているのかわからない
♂ローグが♀セージ達の味方って事は、記述は無いけど、♂プリに説明されていたとしても不自然ではないけど、バドスケの事は♀セージも知らないし
♀ローグは♂プリにとっても敵だけど、バドスケも条件は同じだね
『一瞬バドスケの体が光に包まれる。』
この一行を完全に削除して、♂プリからの支援が無かったとするのが良い形かな

ありがとう、こうしてツッコんでくれると本当に助かる
154名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/17(日) 08:48:35 ID:1m4PSDkU
今さらかもだけど>>136の♂ローグ、♂BS、♀セージの戦闘のほうはそのままでいいと思う。
毒が体に回り云々じゃ♀セージいらないじゃんか。
クリスタルブルー使ってフロストウェポンでスチレに水属性付与。ゴスリン鎧撃破。
完璧な流れだと思う。クリスタルブルーもそろそろ使っておくべきだと思うしさ。

バドスケ、♀ローグ、♂プリのほうは>>152でも言ってるけど♂プリの介入を無くせば
一応解決するだろうけど、それだと味気なくなるよな。
♂ノビのことやアルケミの傷が鈍器の傷だったこともあって(実際犯人はバドスケだし)、
バドスケを敵だと見なし、♀ローグに支援のブレッシング、しかし♀ローグはアンデッド故に
ブレスカースが発動し、動きが鈍くなり、結果上記の話に繋がるとかどうだろうか。

ごめん、俺は話考えるとかダメなんだ。最近ここを知ったこともあって初カキコは>>146なんだけど、
ここでのやり取りは楽しいからこれからも突っ込み専門で参加させて欲しい。
155名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/17(日) 11:42:22 ID:cWJZwCxE
雌ローグに支援はないと思うなぁ…
介入無しが、味気ないにしても一番いいと思う
光ったのは…どうしましょう、死属性攻撃じゃ通りませんしねぇ

凄い念を混めて自分の骨で念矢を作ってミュージカルストライクをした…とか無理やりすぎかなorz
156名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/17(日) 18:42:14 ID:1m4PSDkU
ああそうか、♂プリと♀ローグは初対面だと思ってたけど、
♀アサ通じて確執があったね。ごめん。
頭に血が昇ってる状態でバドスケを発見し、諫める♀アサもいないことで
衝動的な行動にでたってのは…後に繋げにくくなるし無理あるか。
♂プリとバドスケの絡みは(♂ノビ関連・アラーム関連の話で)あったほうがいいかと思ったんだけど。
157名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/17(日) 22:27:12 ID:v6shhU3M
>>光ったの
つ(終了後バドスケ転生ネタの複線)
…ごめんなさい、何でもないですハイ。
冗談ですから。気にしないで下さい。

>>154 ですね。毒の案は没の方向で。

>>155 支援、と聞いて文章での支援と勘違いした俺がきましたよ、と。

あと、151さん。アラームcではありません。アラームたんcです。
そこんとこお願いしますです。

さて、自分はマーダー二人がやってきたあの世を気にしつつ、
お話の人間関係のインフラ整備頑張ります。
ほかの書き手諸氏も頑張ってください。

あ、それと座談会開催されれば自分もでます。
それでわ。
158名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/18(月) 07:52:06 ID:YWCS7.0s
本家バトロワみたいな感じで、♀セージチームは♂ローグチームと合流できずに全滅、
って展開を予想してたんだけど無事合流できてよかったよかった。
…いや、逆に♂ローグチームが全く無事じゃないけどさ。
これでマイラヴァー♀セージヒロイン説も有り得なくなくなってきたぜ!
書き手さん達アンタ達超最高だ。次も期待してるぜGJ!
159名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/18(月) 23:59:05 ID:q/A.0wXI
 205 それぞれの幕間

 彼が、そこに来て一番初めに見たのは、淡い光だった。
 ヒールの光ではないが、何処かそれに似ている、と彼は思った。
 それに続いて、酷い傷を負った男が、何かを呟くのを聞く。
 傷の男…♂ローグの声音は、酷く暖かげで。その隣では、彼の見覚えのある詩人が、肩を震わせていて。
 そのせいか、♂プリーストは、その場からじっと、♂ローグと詩人を見ている事しかできなかった。

 もぞ、と懐に何かをしまい込んだ男が立ち上がる。
 振り返ったその男と、眼が合った。
 最も酷い片腕からは、只々赤。だらり、と深く抉られた腕の傷からは血が。
 更には大小様々な傷を負いながらも、男の眼は、自らの前に立つ彼を睨みつけていた。
 声もかけずに背後に立ち尽くしていた♂プリーストは、その行為で男の不信を買ってしまったらしい。

 一瞬♂プリーストは、余りに剣呑な光を宿した眼に気圧され、腰の得物に手を遣りかけたが、
それより早く、彼の素性に気づいたらしいローグが似つかわしくないほど静かな声で言った。

「♀セージの姐さんに言われて来たんだろうが…俺の治療は、後回しにしてくれ」
 まだ、行かないといけない場所があるからな、と男は続けた。
 何を馬鹿な事を。ローグの傷は、急所こそ外していたけれども、十分に深手だった。
 血を流しすぎれば、どんな人間だって死ぬ。
 この男が、どれだけ主張しようが、認める訳にはいかない。

 そんな彼の内心を知らぬげに立ち上がった男は、這うような足取りで歩みだす。
 矢張り、その体力が限界に達しているらしい。
 だが。何故だか、ローグの血まみれの背中を押し留める言葉が、彼の喉をついて出なかった。
 少なくともそれに足るだけの圧力が、その赤い背中にはあった。
 しかし唐突にプリーストを縛っていた圧力が消えたかと思うとぐらり、と男の体が傾いだ。
 一瞬も無い。どう、と音を立てて♂ローグが前のめりに崩れ落ちる。

「おい、あんたっ!!」
 漸く呪縛から解かれたプリーストは、隣の詩人を捨て置いて、ローグの元に駆け寄った。
 うつ伏せに倒れた男の隣にしゃがみこむと、手首を取って脈を調べる。
 この期に及んで、悪漢の心臓はしぶとく血液を送り続けていた。
 まだ生きている。その確信をも置き去りにして、彼はヒール、と叫ぶ。
 白い光が灯る。流れる血が僅かに勢いを減ずるが、一度ではそれだけだった。
 立て続けに、癒しの方術を行使するが、足らない。

 彼は、振り返ると呆然とその光景を見ていたバドスケに叫ぶ。
 一瞬、過去の記憶がプリーストに去来したが、それはねじ伏せる。
 幸いなことに、目の前で血まみれの男が臥せっているという事実。
 そして、その男の手当てを♀セージに頼まれていたという事実が彼の感情に暴走を許さなかった。

「何ぼさっと突っ立ってやがる!! 赤ポ持って来い!!」

 その言葉が詩人の空っぽの頭蓋に染み渡るのに、一秒ほど掛かった。
 そいつは、地面に落ちている服の近くにあった、ぱんぱんに中身のつまったバッグを拾い上げると、彼の元に駆けて来る。

「寄越せっ!!」
 手渡される時間が惜しい。引っ手繰るように詩人から鞄を奪うと、乱暴に蓋を開けた。
 極彩色。蓋を開けた途端、一瞬自分の目を疑ったが、僅かなタイムラグの後、それがハーブだと気づいた。
 名も知らない鞄の持ち主に彼は、祈った事も数少ない神への祈りにも比する感謝を捧げる。
 有難う。あんたのお陰で、どうにかなるかもしれない。
 呟きながら、その中で、数枚の青色のハーブを鷲掴みに取り出すと、乱暴に自らの口に突っ込み、飲み込んだ。
 既に尽き掛けていた精神力が、僅かばかり身体に戻ってくる。

「ヒール!! おい手前は赤ハーブをこいつの傷に張れ!!」
 詠唱。そして叫ぶ様に指示を飛ばすと、詩人が首を縦に振る。
 そいつは自分の片袖を千切り、頭巾を外すとそれも千切ると、
特に深い片腕に、僅かに残っていた白ハーブを貼り付けると、即席の包帯を巻きつける。
 じわり、と濃い色の布に黒い色の染みが広がっていく。
 再び尽きかけて来た精神力に、もう一度青ハーブをプリーストは口に含む。
 丁度、モロクのマミーの様に、全身の傷に包帯を巻かれていくローグに、彼はもう一度ヒールを唱える。

「畜生、もう包帯に出来る布が切れた!!」
 その言葉に顔を向けると、既に服の大部分を千切り去った詩人は、青い骨を白日に曝していた。
 一瞬、その姿にプリーストは眼を見張るが、直ぐに目の前の男に戻す。
 そんな事は、些細なことだ。この狂った戦場で、今更日常に縋る気にはなれない。
 出血は、既に止まりつつある。だが、幾度と無く癒しを繰り返して尚、傷口は一行に癒着しない。
 或いは、それが行使できる限界であるのかもしれなかった。

 結局、詩人と彼が成した治療はヒールと包帯での応急処置だけである。
 後は。

「…後は、こいつの体力次第だな」

 彼は、つい先程この場で、一人の少女を廻って同じような言葉が交わされていた、という事実を知らない。
 一方の詩人は、漸くずれていた仮面を正すと複雑な表情でローグを見下ろしていた。

「──おい、手前。名前は?」
 不意に、プリーストが言う。
 唐突さと口調の乱暴さに今更ながら少々面食らうが、詩人は素直にその問いに答えた。

「バドスケだ。アーチャーをやっていた」
「OK、じゃあバドスケ。少し離れた場所に、♀セージさんがいる。彼女にこいつの事を知らせてきてくれ」
160名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/18(月) 23:59:25 ID:q/A.0wXI



 丁度、バドスケが駆け出した頃だろうか。
 ぱちぱちと、音を立てて両の腕を失った♂BSの体が燃えている。
 地面に座り、ぼんやりとそれを眺めていた♀セージの元に最初にやってきたのは、♀クルセだった。
 道すがらに泣いていたのだろうか。目元を腫らしている彼女は手に、小ぶりの鎌と、大きな弓を持っていた。
 やはり、子バフォも死んでいたのか。冷静に考える自己を嫌悪しながらも、そう考える。
 言葉には、出さないでおこう。使者への批評を口に出すのは学問の徒と言えども最低の行為だと思われた。

 じっ、と燃える死体を見ている♀クルセに、セージは懐から紙の束…記帳である、を取り出し筆を走らせた。
 書き上がったメッセージを、クルセに向けて示す。

『♂BSは仕留めた』
 首肯が帰ってくるのを確かめてから、彼女は再び筆を執る。

『♂ローグは向こうだ。行ってやって欲しい』
 再度提示した紙には、指先で一つの方向を示す、というおまけを付けた。
 それを見て、クルセはもう一度首を立てに振る。

 ──偽善者だな、私は。

 軽く頭を下げ、礼の言葉に代えたクルセを見送りながら、セージは思う。
 彼女は、一つ大事なことを伝えなかった。
 ♀クルセイダーと、♂ローグ。その二人を除いた彼等の最後の同行者。
 アラームが、既に死んでいるという事実を。
 否。伝える事が出来なかった。
 ♀Wizの死。♂ローグの貌。そして、最後に残されているだろう秋菜との戦い。
 彼女の背中は、それらだけしか背負えなかったのだ。
 その上、♀クルセの哀哭を背負うことなど、彼女には出来なかった。

 一瞬、先程彼女の言葉を遮って、死者の元に向った♂ローグの背中が脳裏を過ぎる。
 自分は。傷だらけの男に自分の背負えないような物を背負わせる人間なのだ。
 セージの自分には、似つかわしくも無い感情論だ。
 だが、幸いながら今はそれを考えるだけの時間があった。
 ここまで、道を急ぎすぎた気がする。少し休むのも悪くは無いだろう。
 …それが自分への言い訳に過ぎない、とは判っていたが。

 ──少しぐらいなら、こういうのも構わないか。♀Wiz、私は間違っていないよな?

 そこまで考えて、彼女は一時の感情的な思考の海へ埋没していった。





 ♀セージの元へ、二組目の客…深淵の騎士と、♂アーチャーが訪れる少し前まで時間は遡る。
 ♂アーチャーは、彼方で黒い煙が上がるのを確認すると、歩き出す事を決めた。
 あれは、♀セージの魔法だろう。少なくとも、この場で火を焚けるのは彼女だけだ。
 (彼の味方を皆殺しにした殺人鬼の仕業という可能性もこの時点ではあったが、彼はそれまでは思い至らなかった)

 顔を横に向ける。馬上で、錬金術師の死体に縋る様に、深淵が泣いていた。
 声を掛けるのは正直躊躇われたが、ここで只立ち尽くしている訳にも行くまい。
 男だろ、俺? そう自分に言い聞かせてみるが、同時に嫌な想像も脳裏に過ぎる。
 女性の様子を見るに、錬金術師と彼女はそれなりに親しい間柄だったのだろう。
 (最も彼は、それを余り現実味を帯びて感じる事は出来なかった。感覚が既に麻痺をきたし始めているのかもしれない)
 で、だ。どういう意味でかはさておきとして、弓手は大切な人を失った人に声を掛ける訳である。
 傍目に見れば、女性の悲しみに付け込んで言い寄る間男に見えなくも無い。

 がぶりを振る。その思考は、良くない。
 未だそんな事を考える自分は意外だったが、同時に強く恥ずべきだ、とも彼は思った。
 それから自己嫌悪が羞恥に遅れてやって来る。お前はこの場で一体何を考えてやがる?

「ええと…すまない、名前が判らないけど」

 だから、彼は汚名を返上すべく、女性にそう切り出した。

「俺は、取り合えずこの先で♀セージさん達と落ち合おうと思う。
その…アルケミストの人の事もあるけど、出来たら俺と一緒に来てくれないか?これからの事もあるし…」

 けれど、その言葉にも黒い騎士の女性はぴくりとも反応しない。
 只、嗚咽だけが聞こえる。そもそも彼の言葉が届いているのかどうかさえ怪しかった。
 さて、困った。勇気を振り絞って発した一言はものの見事に失敗である。
 首を捻るが良策は出ない。そもそも彼は、♀セージなどとは違ってそういった事は苦手であった。
 仕方ない。殺人者はほぼもう居なくなった、という予感はしたが、かといって放置したまま立ち去る訳にも行かない。
 彼は、黒く大きな馬の手綱を取った。

 一瞬、黒い馬がまるで人の様に躊躇する様な表情を見せたのは気のせいだろうか。
 だが、♂アーチャーが手綱を引くと、黒馬はあっさりとそれに従った。

「お前のご主人様の為だからな。素直にいう事聞いてくれよ?」

 その言葉に、何事を思ったのか知れぬ嘶きを、馬は一度発していた。


<♂ローグ 昏倒、治療中 その他は変わらず>
<バドスケ ♀セージを呼びに向う その他変化なし>
<♂プリースト ♂ローグの治療中 ♂アルケミストの鞄(ハーブ入り)を渡される その他変化なし>
<♀セージ ♀クルセを♂ローグに会うよう促す(但し、昏倒した事実は知らない) 物思いにふけっている その他変化なし>
<♀クルセ ♂ローグの元へ その他変化無し>
<♂アーチャー 深淵の馬を引いて♀セージの元へ その他変化無し>
<深淵の騎士子 ♂アーチャーと共に♀セージの元へ ショックはいまだ抜け切っていない その他の変化は無し>
161名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/19(火) 00:03:43 ID:eIoS84Yo
とりあえず各登場人物の指針&状態を示してみました…
タバコをふかしながら、一日中小説書いてた不健康者ですこんばんわ。

ほかの書き手諸氏の手助けになれば幸いです。
でわでわ。
162名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/19(火) 21:32:14 ID:LhgH7fXY
唐突に次回作について1つ案を。

「♀剣士が優勝した回のバトROワ」を舞台にするというのはどうでしょう。
結末が見えているから反対という声も挙がりそうですが、
ノビ時代の♀剣士が転職して首輪を外したというのと♀剣士が優勝したという事実以外はわからないし、
結果がわかっていながら、如何に過程を考えるかというのも面白いかなと思いました。
163名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/19(火) 22:27:21 ID:T2g7Hg4c
二回目をやるにしろやらないにしろちょっと間を置いた方がいいと思うけどね
だいたいまだ第一回が終わってないし。後はGMとの決戦残すのみみたいだけど
とか言っておいて舌の根も乾かぬうちに↑に続いて終わったらやってみたいイベント

*1行ロワ
 一行一殺、殺し合いというよりいかに理不尽に面白く自爆をさせるかなロワ
 例→♂クルセ:GXで調子に乗りすぎて自爆
 といった具合に。内容が偏見だの職業叩きだの硬いことは禁句
*紙媒体化
 乗り越えるべき壁は多いけど一度はやってみたい企画
 資金、主な製作者、版権の許可etcと前途は多難
*座談会
 RO内部で筆者や読者が顔合わせ?をしてみる。一番実現が簡単
 ROでやるとしたら問題は開催する鯖と引退者が参加できないこと
 チャットなり借りてやったほうがいい?
*第二回
 癌呆が新たに実装するMAP『バトルROワイヤル』
 実験のため孤島のMAPに拉致された数十人のプレイヤーたち
 GMホリン:これからみなさんに殺し合いをしてもらいまーす
 GMハヤシタ:優勝者には賞金1Gと一つだけ好きな願いを適える権利をあげよう
 生き残るため、復讐のため、優勝商品のため、愛する者を守るため、今彼らの戦いが始まる!
 注意:上記の会社、人名は現実の会社、人名とは一切関係ありませんのでご了承ください

自分が考えているのは以上のような感じです
それでは筆者の皆さんは完結まであと一息。がんばってください
164名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/20(水) 03:27:57 ID:/YSFjEo2
>>163
>実験のため孤島のMAPに拉致された数十人のプレイヤーたち
RO世界の住人でなく、現実世界のROプレイヤー数十人がROの世界に閉じ込められて
殺し合いをさせられる……なんて電波が脳内を駆け抜けた。
これだと職業間の性能差とかが無くて、支給アイテムの特性や知恵に頼る戦いになるのかな。
最近はスクロールみたいなアイテムも実装されてきたし、ただの人間じゃスキルが使えないから派手さに欠ける……なんて事もなさそう。

あ、勿論服はROキャラクターのコスプレで。
165名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/20(水) 20:04:24 ID:VUXolyKc
一書き手としてまず意見。
製本化するなら、まず加筆修正やりたいです。
ここまで、執筆かなりの強行軍だったですし…

後、次回やるなら、何人書き手集められるかがポイントになりそーですね。
それと、最初から最後まで参加してくれる根性座った書き手もいればbest。
さすがに、今回頑張ってた人が次回も頑張るってのは体力&時間的に…orz
完璧に放置かました勉強を再開しないと…
いや、書き手として携われて後悔は全くないですけどね。

前回の♀剣士編は、本人の回想、
という形で本家バトロワ漫画版の川田みたいな感じでいいのでは?

後、製本化するなら絵師さん探す必要が出てきますね…
厚さにもよりますが、全体で8枚くらいの押し絵と表紙とか加えて
絵は10枚と少しくらいになるでしょうか。
166前スレ567sage :2005/07/20(水) 22:54:43 ID:/Uc8LmfY
紙媒体にするなら漏れが仕切ろうかと思うんだがどうよ?
但し、最低30人集まってなおかつ約半数が予約という形で印刷費前払いしてくれ、漏れがやるという事に反対がなければだが。
因みに最低の30人でオフセット本にしようとしたら恐らく一人1000円ぐらいかかる。たけぇ。誰か売ってくれる人がいるならもうちょっと部数も増やせるのだが。
同人誌という形になるだろうから版権等の関係は問題ないとおもわれ。書いた人=スレ住人というだけの扱いになってしまうが…。
絵はいっそ無しでいいんじゃまいか?その方が本家ロワっぽい雰囲気が出る気がする。
もしマジでやるんなら別スレたてて話し合ったほうがいいと思うがどうだろう。
とりあえず完結まとうじぇヽ(´ー`)ノ
167名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/21(木) 04:25:48 ID:OA2KlEMA
完結かぁ…感慨深いものがある…
俺、達成感で泣いてしまうかもしれん。
168名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/21(木) 07:31:27 ID:q3VarOlA
>>167
まだ終わってないって。ちょっと気が早いよ。
169名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/21(木) 10:56:48 ID:dcqgGV3k
本家にはなかったような、
随所に死体位置や禁止エリアの乗った地図があるとわかりやすいかなー

大きく5章ぐらいにわけてその合間合間とかでも(笑
170名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/23(土) 09:33:59 ID:z4xfdW8E
 206 殺し屋達の挽歌 〜♀ローグ

 あーあ、ここでお終いかい。
 馬鹿みたいに青い空を見上げながら、呟いたつもりだった。
 けれども、もう、彼女の喉は潰れてしまっていて。
 ひゅう、と掠れた様な音が、その代わりだった。

 自分の有様がどうなってるかなんて、考えたくも無かった。
 脳味噌が頭からはみ出たり、ぶちまけられた腸の中に沈んでたりするんだろう。
 大体、少し離れた場所には網タイツを穿いた見慣れた足が、内臓だかなんだか良く判らない肉をぶちまけて転がってる。
 もちろん、アタシのだ。

 ったく。末期の瞬間でも、意識だけははっきりと澄んでるなんてね。
 神様ってクソは、このアタシに最後の最後に懺悔でもしろっていうのかねぇ。
 何処までいったって悪党は悪党だっての。
 懺悔でもしろっていうなら、せめて最上級の煙草ぐらい用意して欲しいよ。
 あのクソアサシンにスラれてから、一回も一服してないんだから。
 そういえば、そいつも、ぶっ殺す前に誰かに殺されたんだっけか。

 傍らには、壊れたマンドリン。
 その持ち主は、もう彼が護りたかった少女の元に行ってしまった。
 まぁいいか、と思う。逝くとしたら、一人で逝くにちがいなかった自分の事。
 壊れた楽器でも道連れがあるだけ、未だマシだ。

 瞳孔拡大。黒が、視界を塞いでいく。
 もう、限界が近いのかね。溜まりに溜まったゼニーの収め時って訳だ。
 ま、糞汚れた、生きてるんだか死んでるんだかわからない命一つが、自分が殺した連中に吊り合うとは思わない。
 だから、クソったれな神様の取立てを、最後の最後でもあたしは踏み倒した訳だ。
 そいつは悪党の最後にゃ、この上無い位相応しい。

 なんとなく眼だけを動かすと、ぱちぱちと音を立てて燃え盛る死体が見えた。
 (奇跡だ。この耳はまだ音が聞けるらしい)
 化物みたいなアイツかい。死んじまったか。ま、あっけないもんさね。
 焼ける死体は、かっ、と眼を見開いて、前を向いていた。
 何故だか、崩れかかったそれが酷く悔しそうな顔に見えて。
 その死体には既に両手はなかったけれど。
 もし、まだそれがあったなら、何かを掴むように真っ直ぐ前に伸ばしていたんだろう。
 勿論、届かないけど。

 …ったく。未練たらしいったらありゃしないね。
 後悔する位なら、ハナっからすんなっての。
 ま…アタシも無い訳じゃないけどね。
 無けりゃあ、直ぐにでも眼を閉じる筈だし。

 視界はどんどん黒く染まっていく。
 走馬灯、っていうのはちっとも過ぎりゃしない。
 元々、自分のムカシになんて何の執着も無かった訳だし。
 でも。

 ──アンタは、何でそんなに悔しそうなのかねぇ。
 焼けていく死体を思い、そんな言葉を浮かべる。
 少し、そいつが羨ましい気がして、同時にそんな事を考えた自分に驚いた。
 同時に、あの男の事も思い出す。自分には無いものを持っていただろうそいつがやっぱり、少し羨ましかった。
 初めて気づいた。取り留めの無い思考が死に掛けた脳味噌の中を走っていく。

 ──もし。もしも、アタシが最初に、あの娘を殺さなかったなら。
 自分にも、そいつらみたいな貌が出来ていたんだろうか。
 必死な顔で、自分の事なんて忘れて。我武者羅に走って。
 そんな自分の姿を思い浮かべると、やっぱりそいつも羨ましかった。
 だから、自分は嘘つきだけど、これは珍しく本当らしい。

 らしくもないね。
 唇の端を僅かに歪めるイメージ。
 本当に、苦笑できてるかどうかなんて知らないけれど。

 アタシは、悪党だ。
 悪党は悪党らしく。
 嘲笑って、嘲笑って。自分すらも嘲笑って死ぬのが一番お似合いだ。
 黒が。黒がどんどんと。
 終に意識の中にまで入り込んでくる。
 ここまで、だね。

 ──…、 、…、  。

 そう思い体の力を抜いていると、ふと、声の無い歌が聞こえた。寂しく、悲しいハミング。
 でも何処か懐かしい。聞いたことのある──けれど思い出せない。
 勿論、それは幻聴には違いなかった。もう、何も聞こえない筈だ。

 …ああ、そういえば。
 最後に、本当に最後に。
 一つだけ、残念な事があったんだっけ。

 挽歌が、聞きたかったんだ。
 ほら。道連れは居るけど。
 こういうときは、そういうものって相場が決まってるじゃないの。
 送り出される時には、どんな奴でもやっぱり歌でシメなくちゃね。
 あんな事を呟いてみたけど本当に最後の最後には、やっぱり嘘はつけないものらしい。
 幻聴でもいいや。贅沢は言えない立場だもの。
 でも、ありがとう。ありがとね。

 そして、黒が溢れた。


<♀ローグ 死亡 その他変化無し>
171名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/23(土) 09:34:56 ID:z4xfdW8E
 207 殺し屋達の挽歌 〜♂BS

 熱い。熱い熱い熱い。
 焼けていく。焼けていく。
 目の前は、赤。炎の朱。ああ、おれが焼けていく。

 おれは、おれは。
 まだ、こんな所で死ぬ訳にはいかないのに。
 あの女を殺さなければならないのに。
 ここで死んでしまうなら。
 何の為に今まで殺し続けてきた。
 勇敢な少女を。操られるままに殺し続けた人々を。
 ──おれの、愛するひとを。

 思い出すのは。遠く彼方の日常。
 笑い会う彼と彼女。何時もの露店。眩しい日差しが照らす街頭。
 花嫁と花婿。笑いさざめく友人達。その数は、彼女の方がずっと多かった。
 おれは、鍛冶仕事しか出来なかったけど、彼女はそうじゃなかったから。
 何時の事だったろう。蚤の市で、テロに会って二人で切り抜けた事もあったっけ。

 思い出すのは。血みどろの時間。
 叫ぶ男を切り倒し、逃げる女を叩き潰し、誇り高き男も殺し、その傍の女も殺し、勇敢な娘を断ち割った。
 おれは泣きながら、狂いながら、おれに愛を囁くひとを殺して、首を切り取った。
 おれは、狂っていて。ああ、今も狂っているのかも。

 ちくしょう。
 そう叫びたかったが灼けた空気が喉を焼いていて。
 声帯がもう千切れたのだろう。声は全く出なかった。
 それでも。おれは。
 死ぬ訳には。死ぬ訳には。

 筋が焼け切れつつある体で、火の中を前ににじりだす。
 おれは。おれは。おれは。
 体が少ししか動かない。筋肉がどんどんと焼き切れていく。
 やがて、芋虫の様に這うことも出来なくなる。
 熱に弱い眼球が溶けて、流れ出していく。
 赤が、黒に変わっていく。

 死ねない。死ねない。死ねない。死ねない。
 ちくしょう。ちくしょう。ちくしょう。

 おれは。おれには、かえるばしょはもうなくなったんだ。
 おれは、もうしんでいくひとなんてみたくないんだ。
 しんでいくひとなんて、おれと、きみらと、しろいおんなだけでいいんだ。
 おれは、すべてをおわらせてしまいたいんだ。

 ──彼を焼く火は、許し。
 全てを平等に消し去る許し。
 遍く罪人は火に焼かれ、火に清められ、火に浄化されて、煙となって天に上る。
 それは、煉獄だ。

 けれど、彼は彼女を拒む。
 地獄の如き生を望む。
 だが、彼にそれはもう赦されない。
 絶対の権威を以って、火は彼を赦す。
 炎は、彼を抱きとめ熱いキスをした。
 それは、何時か見た愛しい人のようで。

 ──おれは。

 既に赤は、黒だ。

 ──おれは。あいするひとの、しんでいくひとのために。

 それは、彼には赦されない。
 罪人に赦されたるは、只その罪を償うこと。
 黒い死神が。彼に、手を差し伸べる。

 彼は、最後の力を振り絞り、顔を持ち上げた。
 届かない場所に向って、手を伸ばそうと──しかし、彼の両腕は既に無く。
 ぱちぱち、と体が焼ける音だけが頭蓋骨の振動を通して脳に伝わってくる。

 ああ、ちく、しょう。ち、くし、ょう。ち、く、し、ょ、う。
 お、れ、 は あ い する ひと、の。
 あい あい あいする あいするひとの。ために。た、めに。

 思考が途切れていく。
 彼を誘う最後の闇。その中でさえ、ぱちぱちと己を焼いていく火の音の挽歌を聞きながら。

 ちくしょう。おれは、すべてをおわらさないと、いけないのに。

 最後に、そんな叶わない思いを、願った。


<♂BS 死亡 持ち物は、全て焼けて使い物にならなくなっている>
172名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/23(土) 09:36:39 ID:z4xfdW8E
連投ごめんね…でも、二つのパートでひとつのお話だから、間空けたくなくて。
ともかく、殺人者の末期、ここにおいておきますね。

壁lつ○
173名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/23(土) 20:18:46 ID:GXgivk5E
>>170-172
ぐっじょぶ!
ローグ姐さんと♂BSの対比がめっさイイ!
♂BSのゴスリン焼けて無かったら、それを奪って♀セージさえ殺してしまえば勝利も可能?なんて思っちゃったり…。
ご一行には妥当GMで頑張って欲しいものですが。
174名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/23(土) 22:08:30 ID:kjl.cLmg
208 懺悔

♂アーチャーが深淵の騎士子を連れて♀セージの所に辿り着いた。
既に燃えかすとなっている♂BSを見た♂アーチャーは、戦闘の終了を悟った。
不意に今まで全く無反応であった深淵の騎士子が、♀セージを見るなり声を上げた。
「お主……セージか?」
「ああ」
「そうか。学術に長けたお主なら、この忌まわしい首輪を外す術を知ってるかもしれぬとアルケミが言っておってな」
「……」
「お主を捜しておったのだが……最早手遅れだ。今更この首輪を外したとて……何も変わらぬ。誰も帰っては来ぬのだ」
絶望し全てを諦めた深淵の騎士子に、二人は何かを言うべきだと思ったが、どんな言葉も今の深淵の騎士子には意味を為さないとも感じた。
♀セージは穏やかに言う。
「とにかく今は体を休めよう。かまわないな深淵?」
深淵の騎士子は全くの無反応だったが、それを了承と無理矢理受け取り、二人は手綱を引いて♂プリーストの居る場所へと向かった。


駆け出すバドスケ、しかし一度足を止めて振り返ると♂プリーストに向かって言った。
「おい、お前深淵と♂ケミに会わなかったか?」
♂プリーストは表情を硬くする。
「知り合いか? ……会ったぞ」
その言葉にバドスケは勢い込んで問いかける。
「で!? ♂ケミはどうなった!」
「死んだ。手遅れだった」
それを聞くなり、バドスケは傍目に見てわかるぐらいに落ち込んでしまった。
大きく溜息をつき、呟く。
「……俺のやる事為す事、何もかもうまくいかねえのな……」
とぼとぼと♀セージの居る場所を目指し歩き出すバドスケ。
不意に、草を踏みしめる音がしたかと思うと、バドスケの前に♀クルセが現われた。
いきなりの事に、♀クルセは目を丸くする。
そしてバドスケはバドスケで、驚き振り返って言った。
「なんだ、お前達の仲間にクル……」
振り返ったバドスケの眼前に♂プリーストが迫っていた。
「神罰テキメン! ゴーッドブレスユーーーーーーーーーー!!」
ついでに迫っていた拳がまともにバドスケの顔面に入り、バドスケはもんどり打って倒れる。
倒れるバドスケを見下ろしながら、♂プリーストは拳を眼前に握りしめて言う。
「神の祝福があらん事を、そうあれかし。余計な一言は死を招くと知れいっ!」
♀クルセは呆然としつつも、心の中でつっこむ。
『……最後の一言以外、全然意味も脈絡も無いぞそれ……』
呆れる♀クルセであったが、そんな感想も地面に横たわる♂ローグを見ると一気に吹っ飛んだ。
「っ!!」
それでも声を出さずに済んだのは、クルセイダーとして日々鍛え上げた自制心の賜であったろう。
♂ローグに駆け寄り、その状態を確認した後、今にも泣き出しそうな顔で♂プリーストを見る。
♂プリーストは地面に文字を書く。
『大丈夫、怪我はひどいが気を失ってるだけだ』
その言葉に大きく安堵する♀クルセ。
そして、♂ローグの側に座り込んでその場から動かなくなってしまった。
おそらく♂ローグが目覚めるまでは彼女はそこから動く事は無いであろう。
そう♂プリーストは思い、そのままにしてやる事にした。
起きあがるバドスケが、非難の声をあげるが、理由を地面に書いて説明するとすぐに納得した。
バドスケは♂ローグの側に居る♀クルセの表情を見て、♂プリーストが敢えてああ書いた理由も察した。
「……あんた、結構良い奴だな」
何やら状況が和んできたせいもあって、そんな事を言うバドスケ。
だが、♂プリーストにはバドスケに糾さねばならない事があった。
♂ローグの顔にも赤みが戻ってきている事から、♀セージにこれを知らせるよりも、こちらの糾弾の方を優先させる事にした。
「お前、何もかもうまくいかないって言ったな?」
「ん?」
「それには、♂ノビを殺した事も含まれるのか?」
バドスケも忘れてはいない。
初めて♂プリに出会った時、バドスケが♂ノビを殺したと知った♂プリは激怒してバドスケに襲いかかってきているのだ。
「俺さ、深淵にもあんたにも殺される理由充分にあるんだわ……んでさ、ついさっき、それを拒否する理由も無くなっちまった」
♂プリは黙ってバドスケを見ている。
「深淵も俺を殺したいと思ってる。どっちが俺殺すか話し合って決めてくれ。俺は……抵抗はしねえよ」
沈んだ声のバドスケに、相変わらず険しい表情のまま、♂プリーストは言う。
「おいバドスケ。俺は聖職者だ、わかるな?」
「なに?」
「聖職者の仕事には、罪を犯した者の告白を聞く懺悔ってもんがある。お前、今から懺悔しろ」
「……懺悔?」
「そうだ。お前がやってきた事を神の御名において嘘やら誤魔化しやら抜きでぜーんぶ白状すんだ。さあやれ」
「おいおい、いきなり何言い出すんだ……」
「神様は寛大だから何言われても許すらしいが、俺は了見が狭くてな。てめえをどうするかはそれ聞いてから決める。とっととやれ」
何やらデジャブを覚えるバドスケ。
「お前、その押しの強さローグ姉さんそっくりだぞ」
「…………俺は聖職者だから、どんな事言われよーと、例えクソッタレな殺し屋と同じに扱われようとも懺悔の最中に相手を殴り飛ばすよーな真似はしねえんだ」
「わかった、お前は寛大で公正な聖職者だ。だからその震える拳をしまってくれ。俺が悪かった」
♂プリーストはどっかとその場に座り、♂ローグのバッグを勝手に開ける。
「ほれっ」
中から薫製肉を取り出すと、バドスケに向かって放る。
バドスケはそれを受け取ると観念してその場に座り、今まであった事を話し始めた。
「俺はアラームを救いたかったんだ……」
175名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/23(土) 22:08:44 ID:kjl.cLmg
バドスケの懺悔は続く。
「アリスを殺した時、思ったよりも、簡単に死ぬんだなって……それで、すぐに吐きそうになった。吐く物も無いのにな」
♀セージ、♂アーチャー、深淵の騎士子も合流して、静かにそれを聞いている。
「なんであの子はあんな所にぼーっと突っ立ってたんだろう。そんな事を延々延々考えてた……」
深淵の騎士子も馬を降り、アルケミを側に横たえて聞いている。
「きっとさ、あの朝焼けが見たかったんじゃないかなってさ。それが結論だった。綺麗だったな……あの子も朝焼けも……」
意識を取り戻した♂ローグが身を起こす。
♀クルセが慌ててそれを止めると、♂ローグは素直に言うとおりにしながら二人でバドスケの話に聞き入っていた。
「♂ノビはさ、すげぇ根性あって頭良くてさ、かっこいいな〜って思った。俺じゃ勝てねえなって……」
♀ローグとの出会い話に行くまで、バドスケはほぼ無表情を崩さなかった。
そこで、少し顔を緩ませ、そしてアラームとの再会、♂ローグ達との交流、最後にアラームとの別れ。
全員、ただバドスケの言葉に耳を傾けていた。
ある物は失われた命を思い出し、ある物は自分が出会った境遇と比べ、またある者は自分がバドスケの立場であったならどうしたかを考えた。
そんな様々な思いを抱きながら、バドスケの意外に流暢な話口調に聞き入っていた。


「以上だ」
バドスケがそう言って締めるが、しばらくの間誰も口を開こうとはしなかった。
なんとも重苦しい沈黙。それを破ったのは♂プリーストだった。
「おし、良くわかった。んじゃ俺は今日はもー寝る。流石にへばった」
そう宣言すると、さっさと毛布を持って少し離れた所に陣取り、そっぽを向いたまま横になった。
そんな♂プリーストを見て、♀セージも皆の睡眠を促す。
誰しもが疲れ切っていたので、これに逆らう者はいなかった。
各々がそれぞれに寝床の準備を始める。しかしバドスケはその場に座ったままだ。
♂プリーストの態度をどう受け取った物か困惑しているのだ。
♀セージはバドスケの前に立ち、言った。
「バドスケ……だったな。聖職者が何のために懺悔を行うか、その理由を知っているか?」
「いや」

「赦す為だ」

バドスケに毛布を渡し、♂プリーストの方を見る♀セージ。
「♂プリーストは感情を堂々と表に出すタイプだ。だからこそ、整理に時間がかかるのだろう。だがな……」
「……」
「奴なら大丈夫だ。きっと目が覚めたらいつも通り、何事も無かったかのようにお前に話しかけるだろう」
「……俺にも……それ出来るか?」
「お前次第だ。さあ寝ろ、それだけ疲れていれば悪夢を見る心配も無いだろう」
そう言う♀セージをまじまじと見るバドスケ。
何処までが本気で何処までが冗談なのか、終始真顔の♀セージの表情からは良くわからない。
「そうだな……確かに疲れたよ……」
そう返事をすると、すぐにバドスケは暗い闇の中にその意識を落していった。


全員が寝静まった頃を見計らって、一人身を起こす深淵の騎士子。
半身だけを起こしてじっと横になっているバドスケを見る。
♂ローグが、♀セージが、♂プリーストが、♀クルセが、♂アーチャーが、そしてバドスケもがその気配に気付いていた。
寝たふりをしながら、深淵の騎士子の動きを待つ。
深淵の騎士子は怒りでもなく、憎しみでもなく、感情を表に出さない硬質な表情のままバドスケを見つめ続ける。
彼女の内面で様々な葛藤があったのだろう。それは容易に想像出来た。
いつまでもそうし続けていた深淵の騎士子の側で、草木の鳴る音がした。
「……くぇ……」
そう言って深淵の騎士子の顔をなめたのは、ペコペコであった。
他の者を起こさぬよう静かな声でいななくペコを、深淵の騎士子は愛おしげに撫でる。
そして、結論が出たのか深淵の騎士子は毛布をかけ直して再び横になった。
深淵の騎士子が苦しんでいるのは皆がわかった。
しかし、その苦しみの一端でも理解出来たのは♂プリーストだけであった。
♂プリーストは仰向けになるよう寝返りを打って、空を見上げる。
『そうだよな。殺すのも殺されるのも、もううんざりだ』


秋菜は彼らが睡眠に入る前までの声を一通り聞くと、機嫌の良さを隠そうともせずに♂GMに話しかける。
「さあこっから長期戦よ〜。今回はこのパターンになったわね〜。うんうん、一番楽しいパターンよねこれ♪」
♂GMは悲しそうに目を伏せるだけだ。
上機嫌の秋菜は♂GMの作った鍋をつつきながら言う。
「食糧難、徐々に迫る禁止区域、遅々として進まない打倒私対策、まともな奴が狂う様ってのはいつ見ても愉快な物よね〜」
やはり無言の♂GM。
「意志が強いだのなんだのいっても、人間は誰でも一緒♪ 結局自分が一番可愛いのよ。そりゃね、考える時間がほとんどない場合なら他人を庇う事もあるわよ?」
そこでいやらしい顔で笑う秋菜。
「それでもね、確実に迫る死を前に何日も過ごすなんて状態になったら……最後は誰もが負けちゃうの。何せ他のみんな殺したら自分は生き残れるんだから、そんな誘惑を蹴れる人間なんて居やしないわ」
鍋の底の汁をご飯にかけて、おいしそうにそれを平らげる秋菜。
彼女はまだ、希代の天才♀セージと♀ウィズの知恵と知識が首輪開封の術を見つけた事を知らなかった。


<♂ローグ 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:ツルギ、 スティレット、アラームたんc(効果は不明)、山程の食料>
<バドスケ 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品:アラーム仮面 アリスの大小青箱 山程の食料 備考:特別枠、アラームのため皆殺し→焦燥→落ち着き>
<深遠の騎士子 現在位置/プロ南 (prt_fild08)所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:アリスの復讐>
<♀セージ 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品/垂れ猫 プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)、筆談用ノート、エンペリウム2個>
<♂アーチャー 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 ) 所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個>
<♀クルセ 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品/青ジェム1個、海東剣>
<♂プリースト 現在位置/プロ南 ( prt_fild08 )所持品/チェイン、へこんだ鍋、♂ケミの鞄(ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100 注:HP回復系ハーブ類は既に相当数使用済)>

<GM秋菜 現在位置/ヴァルキリーレルム>
<♂GM 現在位置/ヴァルキリーレルム>
176名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/25(月) 23:22:21 ID:h5IDKlZ.
えっと、>>124はまとめサイトにもあがってるけど
これは採用する方向なの?
>>124投稿直後の流れと>>139での提案から、私は不採用って受け取ってたんだけど
もし採用となるなら、ごめん、>>174>>175は修正しなきゃなんない
177名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/26(火) 07:24:03 ID:Xn.SWIno
採用しない方の予感
178名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/26(火) 19:16:11 ID:Fevl.c.k
多分更新した人がうっかり入れちゃったんだろう
話の流れ的に>>124は入れないことで決定してたっぽいし
179名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/27(水) 15:45:25 ID:ON9z3aXM
 209 それぞれの幕間〜[最後の一人]

 さて。
 最後に今一つ、語らねばならない事が残っている。
 とある愚かな白い男の事だ。

 男は、GMと呼ばれる存在であった。
 彼についての説明は、この一言に全てが集約される。
 命じられるままに仕事をこなす。そんな存在だ。
 彼は善良で忠実であったが、それ以外には特に取り柄も無い男だった。

 男が、その女と出会ったのは、もうずっと昔の事だ。
 彼自身、その当時の場所が何処だったか良く覚えていない。
 ただ、はっきりと覚えている言葉が、一つだけある。
 『私は、この世界が大好きなの』確かに彼女はそう言った。

 時計塔の鐘。大きく大きく世界に鳴り響いている。
 それは、祝福だった。世界は、あの日確かに二人にハレルヤを歌っていた。
 青い空。まるで細雲の様に鳥が透き通る青に舞う。
 冒険者だった彼女がまだ世界を歩いていたあの日。その女は、よくそこで笑っていた。
 美しかった。まるで女神の様に。
 深く、深く彼の魂にそれは刻み込まれている。
 二度と戻る事は出来ないから、過去の残滓は何処までも眩しい。

 しかし彼は。嗚呼、彼は。
 愚かにも神の使いでありながら、その女に恋をしてしまった。
 不確かな愛が世界で一番尊いだなんて、本気で信じていた。
 そのぐらい、幸せだった。
 ──それが、男の運の尽き。

 思い出の引き出しを開けよう。
 そこに、全ては転がっている。

 少し昔々の話をしよう。
 恋を知ってしまった白い男が、彼の仕える神様に言いました。
 曰く、私はひとを愛してしまいました、と。

 神様は、答えを返します。
 出来ぬ。人と天使は違うから。

 男は、その言葉に更に返して言いました。
 ならば私は堕ちましょう。そして全てを捨てましょう。私はそれでも構わない。

 神様は、真摯な男の言葉に、けれど首を横に振りました。
 しかし、何か思い出した様な顔をすると男に問いかけました。
 お前は、その為に全てを捨てるも構わぬか?

 男は、首を縦に振りました。
 例え私は堕ちようと、彼女と共に在れるなら、何一つ決して厭いはしません。

 神様は、ゆっくりと頷いて言いました。
 ならば私は試練を課そう。貴方達は、私の使いであると同時に友であるから。
 だから、女に試練を与えよう。その者を、私の友となさしめんが為に。

 男は愚かにも、その言葉を聞いて喜んだ。只、疑うことも無く首を縦に振った。
 まだ何も知りはしない。彼は、この瞬間重い重い罪を背負った。

 ──そして、彼は。
 神様と、他の白い人々に導かれるまま、狭い部屋に鮨詰めになった人々の前にいた。
 不安そうな顔、顔、顔。その中に、彼が愛した女も。
 彼は、命じられるままに手渡されたページを読み上げる。

『貴方達には、これから殺し合いをしてもらいます』
 ──それが即ち、男が嬉々として受け入れた、試練。

 狭い部屋に立つ男の前には、顔。動揺し、困惑し、怯える顔。
 彼の良く知る女が、裏切られたような、泣き出しそうな顔で彼を見ていた。
 違う。これは。違うんだ。私は。君が。君が只、本当に大好きで。
 男の言葉は届かず、女の顔は、どうして、と彼を苛んでいた。

 男は忠実に仕事を果たす。無機質に読み上げられていく言葉。
 立ち上がり、理不尽へ怒りを露にしたばかりに殺されていく参加者。
 他の白い人の気紛れで、何の意味も無く殺されてしまった参加者。
 白い人を愛し、愛されたばかりに、裏切られた女。
 泣きながら、怯えながら、怒りながら、絶望しながらポータルの光に飛ばされていく人、人、人。

 嗚呼。その白い男は。人を愛してしまったばかりに、彼女を死地に追いやってしまった。
 その罪は、誰が赦すことが出来るだろうか?
 彼は、ひたすら後悔する事しか出来なかった。
 自らの罪に繋がれている。その鎖は誰にも断ち切れない。
 それは彼が望み、彼が叶えた願いだ。
 最低の。害虫にも劣る。出来損ないの──
 そう、その愚かな男はそんな道化だった。

 やがて、彼が彼女のバックに入れた神剣(バルムン)を手に、血みどろになって女は彼の元に帰って来た。
 白い、白い女が。試練を潜り抜け、全てを無くした愚かな道化の元に。
 女は、笑っていた。嗤って男を見ていた。何も言わなかった。
 その瞳は、男の心にまるで杭の様に突き立っていた。
 その杭には、鎖が幾重にも巻き付いている。

 そして、彼が愛した女の名は、秋菜と言う。
 ──今も道化は、彼女と下手糞な舞いを踊っている。

<秋菜 過去のお話>
<♂GM(二人目) 過去のお話>
180名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/27(水) 16:14:06 ID:ON9z3aXM
あるいは、>>124の差し替え版的なお話としてこんなものを書いてみました。
出来、不出来については僕個人はノーコメントで。
181名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/28(木) 07:28:14 ID:i9Rab18s
 210赤色の蛍


 よう、俺だ。♂ローグだ。
 っていうか、この喋りも久しぶりだな、おい。まあ、そりゃいい。
 で、だ。俺は今、情けない事に、全身包帯巻かれて転がってる。
 別に拘束されてる訳じゃ無い…いや、拘束されてる、といえばされてるんだが、兎も角身動きが取れねぇ。

 一体全体どんな状況なのかって?
 それは…まぁ、察してくれ。え、判らない?
 …………しかたねぇな。正直、余り…つーか、物凄ぇ言いたくねぇんだが。
 俺は、そのだな。ごほん。
 看病してくれてたらしい♀クルセの奴が、俺に圧し掛かるようにして寝ちまってるから、身動きがとれねぇんだよ、畜生。
 あ゛ー、クソッタレ。引くなそこっ!!
 別に疚しい事してた訳じゃねーよ。…あの時は、傷の痛みも酷かったし、色々あった後だしな。
 ま、もし普通の状況だったら煩悩の一つや二つぐらい沸いてたのかもしれねぇが、生憎と今はそんな気分じゃない。
 (第一、クルセイダーの普通の格好がどんなのかぐらい、知ってるだろ?)

 第一全く眠れやしないから、真っ黒い空を仰いで物思いに耽ってた、って訳だ。
 正直、アルデバランを離れてから色々あり過ぎたしな…
 ったく、情けねぇ。俺ともあろうものがよ。
 結果を…否定するつもりは、全然ねぇけどよ。
 だーっ、止めだ、止め。こんな事やってても、どうにもなりゃしねえ。
 後悔先に立たずっていうしな。あいつ等に生かされちまった命だ。
 いくら、俺が糞悪党だからって、もう粗末にしちゃいけねぇな、こりゃ。
 死んじまったら、どうにもならねぇ。なら、せめて俺はそいつ等の遺志に応えるべきだ。

 …って、おい。♀クルセ、身を捩るなってんだ!!傷に触るだろうが。
 あー、糞。ん…?何やら、掌に誰かの指が走ってやがる。これは…文字書いてるのか?
 確認するまでもねぇな。クルセだ。ったく、こういう時に首輪外してると不便なもんだな。
 掌に神経を集中して、文字を判別する。
 ローグにとっちゃ、盗みは呼吸するのと同じくらいの事だからな。大して苦でもない。

『どうして、人は死ぬのだろうな』、クルセは、そう言いたい様だった。
 俺は、直接言葉をかける訳にも、彼女は俺の様に掌で文字が読めるとも思わなかったから、独り言の様にして返す事にした。

「運の悪ぃ奴、人を信じすぎた奴、馬鹿な奴、弱ぇ奴…まぁ、色々だわな」
 ちゃんと独り言になってるだろうか、ほんの僅かに不安感が芽生えるが、無視して続ける。
 ぎゅっ、とクルセのもう片方の手が俺の腕を掴む。

「どうしたもんなんだろうなぁ。良く解らねぇ。答えなんざ、ねぇのかもな」
 その誰かが死んだ個々の理由ってのは、まぁ色々ある。
 だが、何故人間は死ぬのか、っていう根本的な理由なんざサッパリだ。
 聖職者なら、天命だとか、そういう事だと言うのかもしれねぇが、それだと俺が生き残ってる説明がつかねぇ。
 奴が好きそうな良い奴から先に死んでいくってんなら、神様って野朗はローグもびっくりの糞悪党だ。
 理不尽で、絶対的で、どんな奴だろーと逆らえねぇし。
 …思考が暗ぇ。俺が神様の事なんざ考えてどうするってんだよ。

 答えを待ってるだろうクルセに、碌な事も言えないまま取り留めの無い思考ばかりが脳裏を過ぎ去っていく。

『♀アーチャーは、子バフォは…アラームは、弱かった、のか?』

 …いけねぇ。言葉を間違えたか。

「んな俺が強かったら、今頃あいつらだって生きてただろうけどなぁ」

 代わりに、俺は死んじまってたかもしれねぇけど。
 只、そっちの方が、少なくとも俺個人としては、ずっとマシな気がする。
 ──結局のところ、結果論なのかね。
 色々やってきたつもりだったが、結局生き残ったのは俺の方だった、て訳か。
 つーか、あいつらが死んで、あの輪の中で俺達二人だけが生き残って、すべきこともある、って理解してた筈なんだけどな。
 つまり、まだ納得はできてなかったって訳だ。気づかなかったけど。
 あーあ、これじゃアラームの奴や、アジャ子、子バフォに笑われちまう。

 それきり、クルセが黙っちまったんで俺は空いた手で懐を探った。
 煙草を一本抜き出し、クルセを押しのける様に上体を起すと、そいつに火打ち石で火を付けた。
 ぽう、と暗闇の中で、煙草の光だけが蛍みてぇに灯る。ありゃ緑の灯火だがな。
 考えに詰まった時にゃ、一服するのが一番だ。
 傷に紫煙がしみたのか、ずきりと体が痛んだ。

 …ああ、そうか。
 それで気づいた。俺は、後悔してるんだな。

「死なせたか、なかったさ」
 あいつ等には。まだまだ先があったのに。
 アラームなんざまだ毛も生えてなさそーな年のガキだぜ?
 半ば燃えカスみてぇな俺よりも、ずっと輝かなきゃいけねぇってのに。
 それこそ俺みたいな、クズの大人の背中を踏みつけてでも。
 何が、俺はお前等ん中に夢を見てた、だよ。当たり前じゃないか。
 ──あいつ等に、自分の夢の、幸せな部分だけ、託すべきだったんだから。

 あいつ等みたいな奴は、生き残らなきゃいけなかった。
 俺は人間の燃え滓だからこそ、その為に命を尽くすべきだった。
 炭屑に出来る事なんて、それくらいだ。

「俺はくたばろうが知ったこっちゃ無いが、あんな連中には生き残って欲しかったさな」
 あーあ情けねぇ。自分の言葉が自分に突き刺さる、なんて初めてだ。
 ぷかぁ、と煙を盛大に吐き出す。
 そして再び、掌を指がなぞる感触。

『私も、だ』

 馬鹿言ってんじゃねーよ。
 俺からしてみりゃ、そうやって何でもかんでも手前一人で背負い込む様な奴もガキの範疇だっての。
 覆いかぶさってる奴もガキだから掌を伸ばして、くしゃりと髪を撫でてやる。びくっ、と一瞬クルセの体が震えた。
 …ったく、悲壮ぶりやがって。

「辛けりゃ泣けよ。構わねーよ」
 但し、手前も死ぬんじゃねーぞ、その言葉は隠して呟いた。
 掌越しの言葉は絶え、泣き声を殺したすすり上げるような音だけが聞こえる。
 こんな時まで手前の役目忘れろっての。しかし…涙ってしょっぺぇ筈なのに、何で傷にしみねーんだろうな。
 そんな下らない事を考えながら、俺はもう一度紫煙を吐き出していた。

 少し、時間が経った。
 今、出てった足音は…多分深淵か。闇になれた眼でシルエットを判別し、結論付ける。
 すすり泣きは、もう聞こえない。
 その代わりに、再度俺の掌を指が撫でた。

『煙草、一本もらえないか?』
 突然の申し出だったけれど、特に断る理由も無い。
 抜き出すと、俺が咥えていた煙草で火を付けて渡してやる。
 少しの間隙。一瞬、大きく煙草の朱が広がったかと思うと、げほげほと咽る様な声。
 …初めてなんなら、いきなり肺に入れるんじゃねーよ。それも、そんなに沢山。

 赤が、闇夜の宙を飛ぶ。
 どうやら、むせ返って煙草を口から離したらしい。
 ややあって、掌に言葉が書かれる。

『煙いだけじゃないか…どうして、こんな物を平気で吸える?』
「さあねぇ…どうだろうね」
 少し可笑しくなって、俺はどうとでも取れる言葉を返してやった。
 しかし、クルセは何を考えたのか、俺の懐に手を伸ばすと、もう一本煙草を抜き出す。

『けど、もう一本だけ私に預けてくれ』
「へえへえ…」

 ったく。仕方ねーな。
 苦笑いを一度残し、俺は再び地面に身を横たえた。


<♂ローグ 場所等変化無し>
<♀クルセイダー 煙草一本獲得 他変化無し>
182名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/29(金) 18:44:11 ID:Od/f4dc6
211 よりよい首輪の外し方

「どうしたものかな…」
 もう直ぐ訪れるだろう夜明けまでに、彼女には一つ考えなければならない事があった。
 自分の首に嵌った首輪を弄ぶ。つまりは、そういう訳だ。
 この首輪を、一体どうやって秋菜に知られず外すか。

 考えてみれば、意外に難しい話だ。
 ♀クルセイダーの時の様に──とはいかないだろう。
 首輪越しのラジオドラマの脚本を少し考えて、♀セージは首を横に振った。
 人数が少しばかり多すぎる。
 第一、あの時だって確実に、こちらの思惑通りであったかは判らないのだ。
 もし、位置までも特定できるなら、時間をかければこのトリックを暴かれるやもしれない。

 ♀セージは、首輪の爆破の原理については、それなりに理解が進みつつあった。
 だが、肝心の根本的な仕組みについてはまだ理解が足らないのが実情であった。
 例えば、この首輪が一体何処までの情報を秋菜側に吐き出しているのか。
 声は漏れている、と考えた方が無難。
 それを無視してこちらの計画が漏れてしまえば、全てが水泡に帰してしまうかもしれない。
 爆破機能。無理に外すか、或いは秋菜の恣意でこの首輪は爆発する。
 そして生死判定…これも確実だ。恐らくは、首の血液の脈拍か何かを測定しているのだろう。
 位置を特定する発信機は…どうだろうか。
 前述した三つについては、これまでのゲームの進行と管理側の都合でほぼ確定だろう。
 だが、後者については…

「ん…?」
 考えを纏めている最中にほんの僅か、引っかかりを感じる。
 自分は、何か一つ見落としをしているのではないか?
 少し、考えてみる。
 そう。生きている者が首輪を外したならば、首輪は爆発する。
 ならば、死者が外した首輪はどうだろうか?
 ……少しはなれた場所に転がっているであろう、♀ローグの死体の事を思い出す。
 そして、真っ先にすべきであったのに、今の今まで忘れていた事も思い出す。
 矢張り、自分も疲れていたのだろう。

 既に夜は更けている。だが、焚き火でもすれば筆談自体は可能だ。
 そうだ。戦闘に立ちあった者からの情報か欲しい。
 あの場での生き残り。♂ローグか、黒い鎧の騎士か、それとも詩人か。

 …♂ローグか。あの場で、一番冷静に証言が出来るとすれば彼だろう。
 怪我の後に無理をさせる事になるが…致し方ない。

 決断の後の行動は直ぐだった。
 歩き出すと、間も無く煙草くゆらせている♂ローグを発見する。
 その隣には、♀クルセイダー。こちらは、看病に疲れ切ったのか、身を丸めて眠っている。
 ♀セージに気づいたらしいローグが、顔をこちらに向けたのが判る。煙草の先の赤色が、闇の中で動いたからだ。

「よぉ、姐さん。何の用だい。まさか夜這いって訳じゃねーだろ?」
「………そうだ。少し、聞きたい事があってな」
 相変わらず軽薄なローグに面食らいながらも、用件を切り出す。
 ああ、と頷くと、傷が痛むのか、はたまた煙草を吸いすぎたのか彼はよろよろと立ち上がった。
 ♀セージの後に続いて、少し離れた場所まで歩く。
 火の明かりや音で、寝ている人を起さない為の配慮だ。

「火を起す。薪を集めるのを手伝ってくれ」
 そうとだけセージが言うと、ローグは手早く辺りを探り始める。
 セージも又、彼の後に続いた。
 ややあって、持ちにくそうに両手一杯に薪を抱えた♂ローグ。
 そして、♀セージも戻ってきた。
 一本の薪を踏み砕いた木屑を焚き付けに♂ローグが火打石を打ち、ささやかな炎が闇夜に灯る。

「で、一体何だ?」
「ああ。だが…」
 ♀セージは、懐に手を遣ると記帳とペンを取り出してローグに示した。

『秋菜に聞かれると不味いからな』
 そして、筆談でそう続ける。

『成程な、判った。で、聞きたい事ってな?』
『プロ南での戦闘の詳細だ』
『どうして、んな事を?』
『少し引っ掛かる事があってな。首輪の事もある。ゴタゴタ続きで忘れていたが…事態を一度整理しておきたい』
 成程、と顔相応の字を書いていた♂ローグが頷く。

『先ず、殺人者と死亡者の状況を教えて欲しい』
『殺人者の方は、♀ローグと♂BS…ま、こっちは姐さんも知ってるか。それから、死んだのは…』
 言葉を区切った♂ローグの貌が、一瞬曇る。

『アラーム、♀アーチャー、子バフォ、それから♂BS、♀ローグ…これは俺も後から知ったんだが、♂アルケミ。以上だな』
『そうか…』
 ほんの一日前までは、ああも元気にはしゃいでいた人が、今はもう死んでしまっている。
 アルデバラン前での出来事を思い出し今更ながら、酷い虚脱感が♀セージに這い上がってくる。
 …余りにも唐突過ぎて、今まで現実味を帯びて感じられなかったのかもしれない。
 溜息を一つ。

『…随分、死んだのだな』
『そうだな』
 ♂ローグは、短く、そうとだけ答えた。

『死んだ人達の中で、何か気になる事は無かったか?』
 ♀セージは、早々に後ろ向きの話題を切り上げ、質問を続ける。

『♀ローグ』
『♀ローグ…何か覚えている事が?』
『反魂の札って知ってるか?』
 生きている者を死んでいる者に。死んでいる者を生きている者に変える──
平たく言えば、使用者をアンデットに変える札だ。

『ああ。だか、それがどうかしたのか?』
『♀ローグは、そいつを使ってアンデットになってた。それから、首輪を外してたな』
 思わず♀セージは手にしたペンを取り落としそうになった。

『何だと…? 首輪は、青ジェムを使ってしか外せない筈だぞ!?』
『まぁまぁ、落ち着いてくれ姐さん。俺の推測だが、♀ローグの奴が首輪を外せたのは多分…』
 殴り書きにペンを走らせた♀セージを宥める様に♂ローグが続ける。
 ピン、と彼は自分の首に嵌った首輪を指で弾いた。

『こいつは、一度死んじまった奴から外しても、爆発しないんだろうな。
覚えてるだろ?最初、ノビが秋菜にぶった切られた時だ。あん時も、首輪は真っ二つだったのに爆発しなかった。
反魂の札で一度死んじまったから、♀ローグの奴にはこの首輪が外せたんだろ』
 成程。♀セージは、♂ローグの推理に頷いた。
 確かに言われてみればその通りで、最初の部屋で、真っ二つに切られたにも関わらず、♀ノービスの首輪は爆発しなかった。
 自分達は、当初から真っ向からの首輪外しを考えていたから、この可能性は見落としていた訳だ。
 死んだならば爆発しない。ならば、既に死んだ者から首輪を外しても爆発はしない訳だ。

 それから、自分は首の血液が生死判定の基準ではないか、と考えたがそれも間違いらしい。
 人体における心臓は、基本的に首を刎ねられても少しの時間は血液を送り続ける、と言う話を聞きかじったことがある。
 頭蓋を断ち割られた時点で生死判定が作動しなければ、♀セージも秋菜や他の参加者諸共爆死していただろう。
 正直、その原理は全く予想がつかないが、重要なのは致命的な一撃を受けた瞬間に生死判定が作動する、という事。
183名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/29(金) 18:44:36 ID:Od/f4dc6
『そうそう。俺からも質問して構わねぇか?』
『ん…ああ』
『♀クルセから、あんたが首輪を外せるって事だけは聞かされたんだが…そいつぁ、一体どうするんだ?』
 ああ、それから難しい話は勘弁な、出来るだけ噛み砕いて頼む、と続けたローグにセージは答える。
 思考を中断して、質問に答える事にした。

『そうだな…考え方自体はそんなに難しい訳ではない。
先ず、この首輪は呪物な訳だが、そもそも呪物とは、それ自体で一つのベクトル…つまりは力の方向性だな…を持っている訳だ。
只、呪いというののそれは面白い事に所謂一般的な力学の言う様なベクトルと違って、極めて大まかで同じベクトルに親和性を持つんだ。
まぁ、判りやすく言うとそれらは属性武器の属性の様なもの、と考えてもらっていい。
それらの方向は、主に運勢、状態異常を含んだ身体…我々が普通に言う呪いやこの首輪はこれだな。
そして精神、今後新しいベクトルが発見されるかも知れないが今は、この三つに分かれている。
強さの違いはあっても、同じ方向性の呪いならば、その呪いの反発が少なくてすむ訳だ。
但し、便宜的にベクトルと呼んではいるが各方向性の位置は完全に正反対ではないから、呪い同士で打ち消しあう事は出来ない』
『良くわかんねーけど…要は、ファイアーボルトが火4の相手にゃ全く通用しねぇのと同じ事か?』
『その程度の理解でも十分。ここからは詳しく話すと長くなるから多少省略するが…
呪物、というのにも色々あってね。例えば、触れた者に被害しか齎さない物もあれば、
普段は切れ味なりなんなりで封じられた物品に力を貸している物もある。
今重要なのは後者の方で、幸いにも村正が手に入っている。偶然ではあるが…僥倖に感謝したい気分だ』
 他に代表的な物は魔剣一般だな。最も極普通の武器でも第三者に呪物にされる事はあるが、と♀セージは続けた。

『で、その呪物がどうかしたのか?』
『ああ。後者の様に普段は呪いを発揮しないような物なら、我々はそれを通して他の呪物に親和する…言い換えれば介入する事が出来る。
呪いは確かに掛かっているが普段それは発揮されない。その点を突くわけだ。
勿論、先程言ったベクトルが同じである事、というのが大前提だがな。
同じベクトル同士なら方向がずれる事も無いし、普通は牙を向かない呪いであるなら解除の際にこちらが使う呪物の呪いも受けない。
その性質を利用して、首輪の呪いとの橋渡しにする訳だ。まぁ、ここから先は呪い、というより魔術学やプリーストの領域だがね』
『…それじゃ青ジェムが必要じゃねーじゃねーかよ』
「まだ話の途中だ。人の話は最後まで聞け」
 憮然とした顔でへいへい、と言って真っ黒になっていく記帳を見つめるローグにセージは何故か得意顔で更に続ける。

『青ジェムが必要になってくるのはここからだ。
幾ら介入の際の橋渡しになるとはいっても、首輪側の呪い自体は健在だからな。
そのままだと、首輪に込められた爆発という呪いがそのまま解呪する人間に流れ込んできて、爆発してしまう。
ジェム類は、本来魔術において、魔術が実世界に現れる際、必要以上の負担が掛かる術の反動を保護する役割を負う。
ああ、ついでに言っておくと魔術…魔法だな。
これは、我々が今現在いる世界とは別の世界に先ず現れ、それを元に実行される訳だ。
術の負担は、その側で起こった現象が、実世界でどれだけの情報量になるか…つまり、どれだけ実現が難しいかによって決定される。
正確に言えば、奇跡なんてプリーストが呼ぶ魔術は、
現実に現れる際何らかの場所を経由しているらしいのだが、そのあたりはまだまだ研究不足なのが実情だな。
例えばストームガストなんかだと──』
『…何か話が、えっらく横道にずれてるのは俺の気のせいか?』
 ごほん、と♀セージは一度咳払いをする。

『あー、すまない。兎も角、呪物による呪い、と言うのは、早い話が魔術行使の過剰反動と同じでね。
呪詛返し、なんて言葉があるがあれは全く別の代物だな。
この辺りは、お前なら魔導師ギルドから追放された様な輩が、稀に暗殺目的で呪物を作成したりする事があるらしいから解ると思う。
本当は青ジェムに関しても色々と面白い話はあるが──つまりは、その呪いを肩代わりする役割で青ジェムが必要になる
ただ正直、私はエンペリウムが青ジェムと同様の効果がある、と言われた時不信に思った。
我々が知っているそれは、単にギルド結成の為の道具だったからな。
ここに来る道すがら試しに幾らか実験をしてみたんだが…驚いた事に、少しも問題が無くてな。
見た目が少し違うから特殊な精製が必要なのかもしれないが…新しい発見だ。
ひょっとすると、ジェムは成分として幾らかエンペリウムを含有しているのかもしれないな』
『青ジェムやエンペに呪いを流し込む、って訳か』
『その通り。只、流し込む際の手順は魔術に通じている者かプリーストでなければ無理だ。
前者は魔術を行使する手順で、後者は奇跡を行使する手順でそれぞれ呪物を介して呪いを流し込む回路を精製できる』
『OK、つまり…
1.呪物というのは、属性と同じく大まかな方向に分かれているが、同じ方向性であれば反発を受けずに介入できる。
2.介入した後は、俺達が持ってる村正を通じて魔術や奇跡を使える人間がジェムに受け流す事が出来る。
3.俺達が手に入れたエンペリウムは何故かジェムと同じ役割を果たす事が出来る…って訳か?』
『大まかにはその通りだな。顔に似合わず物分りがいいじゃないか』
『………うるせぇよ、放っとけ』
 ふぅ、と喋り終えた♀セージが一度息を付く。

「…と、いけないな。肝心の事を忘れていた」
「学者先生だからなぁ、あんた」
「少し学んだ者は少々衒学臭く、多く学んだものは多分に衒学臭い…私もまだまだだよ」
 ♂ローグの皮肉に、苦笑して返す。
 ぱちり、と火花が弾けた。

『…ともかく、その首輪外しを全員分どうやって終えるかで少々悩んでいてな。
首輪の見落としていた点は判ったが、結局やらなければならない事は変わらなかった。
これだけの人数がいるとなると、一人づつ悠長に外していたのでは秋菜に感づかれるかもしれない』
「一人づつ消していって、しかも感づかれない完全犯罪が思いつかねぇ、って訳か」
 ローグの言葉に、頷く。
184名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/29(金) 18:45:11 ID:Od/f4dc6
「余り不信感を煽る訳にもいかない。知恵を貸してくれないか?」
「ったく…ローグ相手にその話題は洒落にならんぜ? オイ」
「…確かにな。誰かに見られていないといいのだが」
 言われてみれば、確かに傍目からは悪巧みをしている様に見えなくもないだろう。
 と言うよりも、むしろそのようにしか見えまい。
 少し離れた位置を選択したのは正解だった。

「俺なら、まず信頼できる奴と共謀して一人づつ誘い出すな。
一人でやるにゃキツいし、どうせ、もう誰も疑いはしないだろ。
数は俺と姐さんを除外すれば五人。あと一人、♂プリの奴は安全策として、言い包めて引き込んでおくべきだと思う。
奴に勝手に動かれちゃ、計画が台無しになるかもしれねぇしな。ま、姐さんならイケるだろ」
「成程…信頼を逆手にとる訳だな?」
「その通り。俺は元々嫌われもんだしな。ってか…あんたも意外とイケる口じゃねぇか。俺らの側に転進してみねぇか?」
 へっへっへ、と厭らしい笑みを♂ローグは浮かべてみせる。

「世辞はいらない。方針はそれでいいが、具体的にはどうする?」
「そうだな…先ずは、深淵の騎士子だな。さっき、一人で離れてったから他の連中には気づかれないだろ。
心理的に参ってるだろうし、やるなら今のうちだ。
それに、♂プリーストの件を終えた後でも十分行って戻ってこれる。
ゴトは時間との勝負だが…ま、トリック考えねぇでいいだけ気が楽だ」
 そこで一旦言葉を区切って、紙とペンを取る。

『俺はその間に♀クルセをふん縛ってでも勝手に動けないようにしとくよ。
あいつぁ、正義感強いし、皆を引っ張る資質もある。放っとくと、事がやりづらくなるかもしれねぇ』
「ふむ」
 ♀セージが頷く

「んで、その後はバドスケだな。奴は俺やアンタを完璧に、疑い用もなく信用はし切れねぇだろうし。
最後まで残しとくと、ひょっとすると錯乱するかもしれねぇ。死にもの狂いで襲い掛かられちゃたまんねぇよ」
「最後に残すのは、♂アーチャーか」
「一次職だしな。バドスケよりゃ始末が楽だろ。多分」
「…多分とはいい加減な奴だな」
「こういうのには幾らか運って奴も絡んでくるのさ。それに博打は嫌いじゃねーんでね」
「私は嫌いだ。それに運任せとは感心しないな」
「へっ、面白いのによ。損してるぜ? っと、煙草吸っても構わねぇか?」
「ああ」
 胸元を探って、♂ローグは一本煙草を抜き出す。
 焚き火に翳して火をつけると、旨そうに紫煙を吸い込んだ。

「んで、その後にプリーストを始末する、と。それで終わりだ」
 言って、紙を取った。

『んで、最後に残すのは俺にしてくれ。あんたじゃ、秋菜の前に立った時困るだろ。
それから、あの糞女に言ってやりたい事もあるしな。ま、首輪外しのシナリオはこんなもんだな…っと』
 何か思いついたかの様な様子をローグは見せる。

『最後に、今までの話が嘘っぽくならねぇ様に演技をするから付き合ってくれ。
──それからな。これは全部演技だぞ。絶対そうだぞ。間違っても勘違いするな。
勘違いしたら、俺は絶対切れるからな。悪党だから何するか判ったもんじゃねーぞ。そりゃもう情け容赦なく。
つーか、全力で埋める。穴掘って埋めて土被せてやるからな。忘れんじゃねーぞ』
『演技…? 判ったが、何だ?』
『俺に言わせる気かよ…とにかく、それっぽい台詞返してくれりゃそれでいいから』
 何故か酷く動揺しているらしく殴り書きで益々読みにくくなった文字に、♀セージは眉を潜める。
 しかし、一方のローグは立ち上がると、一度咳払いをして♀セージの方に向き直った。

「…よぉ、俺が何だって、ここまでしてアンタに協力してやるか、判るか?」
「いや? 知らないが」
「俺が、アンタに惚れちまったからだよ」
「…は?」
 思わず、酷く間抜けな答えを♀セージは返す。
 続いて、腹筋が引き攣り、笑いがこみ上げてくる。
 ♂ローグの顔は、酷く気まずそう、かつ疲れ切ってる癖に、その声だけは甘く囁くようで。
 率直に感想を述べるなら表情と言葉がアンバランス極まりない上に、全く♂ローグに似合っていない。
 噴出しそうになるのを必死でこらえながら、セージは答えを探した。

「…成程。それで私の為なら死ねる、と?」
「ああ」
「本気か?」
「本気だ」
「一目惚れ、という奴か?」
「悪いかよ。 出会った時からだぜ、セニョリータ」
 必死で笑いを堪える♀セージを尻目に、ローグは努めて声のトーンを変えない。
 いや、彼の表情は諦観という絶望に彩られているのだけれど。

「いいや、悪くない、悪くないぞ…ふふ」
「本当なら今すぐ押し倒しちまいてぇぐれぇだが…それだけの時間なら最後にあるだろ」
「そうだな。全てが終わったら、先に地獄で待っていてくれ。私もいずれ逝く」
「ああ」
「…くっくく」
『……頼むから。笑わないでくれっての』

 演技は終わって火も消えて。
 その場には不機嫌そうに煙草をふかす♂ローグと、腹を抱えて、必死で笑い出すのを堪える♀セージだけが残された。
 ──箱庭の夜明けは、もう近い。

<♀セージ 他PTメンバーから少し離れた場所 他変化無し>
<♂ローグ 同上>
185名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/30(土) 03:42:21 ID:eL8wVSLE
>>「…成程。それで私の為なら死ねる、と?」
(゚∀゚)ラヴィ!!

ってのはさておき、良く考えたな〜
呪い解きの理屈だけじゃなくて、うまい事次のシーンに繋げてるのも見事って思った
186名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/31(日) 14:54:50 ID:9K8H609A
 212 金色の黎明


 夜明けはもう近い。けれど、未だ暗い夜。
 本来なら、プロンテラから明かりが漏れて来てもいい筈だが、当然この場所ではそんな物は無い。
 夜は、彼女の領域だ。余り、その事実をはっきり認識した事は無かったけれども、今はありがたかった。
 深淵の騎士子は、背中に♂アルケミストの死体を乗せ、一人皆の輪から外れる方へ歩いていた。
 ペコペコと馬は、あの場に残してきた。たった一人で、やりたかったから。

 彼女の背中に、力なくしなだれかかっている遺体。
 何時までも、彼をそのままにしておく訳にはいかなかった。
 結論は付いたのだ。だから、♂アルケミストにはもう安らかに眠って欲しい。
 只、何時までもずっと泣きながら抱きとめている事は、きっと容易いのだろう。
 腐っていく死体を前に、ゆっくりと自らも狂っていく。
 甘美な想像だった。涙も未だ枯れた訳ではない。
 絶望に溺れれば、或いは狂気に陥れば。
 きっと、この現実から逃れる事も出来るだろう。

 だが。
 自分の甘えを全力で否定する。それでは駄目なのだ。
 まだだ。私は、私には──命の灯火が、まだ見える。
 それが、導き出した結論。悉くが零れ落ちたこの手に唯一残ったもの。
 この眼が涙で霞もうと。足に絶望の枷を嵌められようとも。
 徒に間違いばかりを繰り返し、悲しみが心を打ち砕こうとも。
 ──それは、まだ。煌々と輝いている。

 思い出せ。
 私が愚かで盲目だとしても。
 (嗚呼、私は恨みに我を忘れ、そのせいで♂アルケミを死なせてしまった。それは私の罪だ)
 そう──あの詩人は、決して私を許さないだろう。
 自分だって彼に対する蟠りが消え去ったわけではない。
 今は、そんな事をしている場合ではない。そう理解していてさえなのだ。
 だから、彼がもう私を許しているなどと、薄甘い期待は出来なかった。

 だが、それでもいいと思う。私は、責任を果たすべきだから。
 全てが終わった後でならば、仇を討たせてやるのも悪くは無い。心底、そう思う。
 あの少女を傷つけたのは、殺したのは私だから。
 私は、この手で、詩人が愛していただろう彼女を殺した。
 何時果てるかも知れない命だけれど、生涯、その罪を忘れまい。
 けれど、今は。

 ♂アルケミストが、それに殉じたまま逝った様に。
 忘れてはならない。騎士の誓いは、絶対だ。
 ならば、どうして涙を流したままでいられるだろうか?

 ──私は、誓いを。
 涙は、止めなければならない。
 迷いは捨てなければならない。
 私は、果たさなければならない。

 罪は消えない。間違いは消えない。
 けれども、私は自分が歩いてきた道を引き返せない。
 だから、腕に誓いを、足に罪を嵌めてこれからは歩まなければならない。

 道を歩いていた深淵の騎士子は、♀セージ達の輪から幾分離れた小高い丘の上に漸く辿り着いた。
 少しでも、綺麗な場所に埋めてやりたい、そんな思いからだ。
 頑丈なツヴァイハンダーは、スコップ代わりにも使える。
 丁度、木も無い見晴らしのいい場所を選ぶと、傍らに♂アルケミストを横たえて穴を掘った。
 人一人分で埋まってしまう小さな墓穴。
 彼は、きっとその中には納まり繰らないくらい沢山のものを抱えていたというのに。
 その穴が彼女には酷く小さく見えた。

 振り向けば、眼を瞑り、天を仰いで♂アルケミストが横たわっていた。
 彼女は、ゆっくりと彼に歩み寄る。

「私は…」

 私は、お前達の前で振舞っていた時の様には、本当は強くないから。
 彼女は、死後硬直が始まった♂アルケミの指を一本一本解す様にゆっくり開かせる。
 そして、ツヴァイハンダーの刃を握ると、その柄をアルケミに握らせた。
 掌が僅かに切れて、血が滴る。しかし構わず、彼女はそのまま刃を自分の肩の上に乗せた。
 騎士の叙勲。彼女は、従うべき主を定める。

 ──だから、もう一度誓いの言葉を繰り返そう。

「──今は地に伏し、死したる者は大地に帰り言葉無く。
けれど、その想いは生者の胸にて果てる事は無い。
誓いは決して朽ちず、残された者は、汝らの遺志を継ぐ。
消えぬ灯火をして、私は…それに仕える騎士となろう」

 眼を瞑り、朗々と詠唱を続ける。
 肩に乗った刃の重み。この剣は、こんなにも重かったのか。
 そんな滑稽なことをふと考える。
 当たり前だ。この剣には皆がいる。軽い訳がないのだ。

 叙勲を終え、立ち上がって考える。
 あの詩人は。私を今も憎んでいるのだろうか、と
 彼と話さなければならない。そんな思考が、脳裏で閃いた。

 だが、どうやって?
 大切な人を殺した相手と、未だ冷静に会話が出来るかどうかなど全くわからなかった。
 何もかもが足らない。話しかける勇気も。あの詩人の事も。
 なんて、私は弱いんだろう。
 でも、戸惑う時間なんて多分ありはしない。

 ふと、後ろを振り向くと相変わらず♂アルケミストは、相変わらず天を仰いでいた。
 色を失ったその横顔からは、何一つ表情を読み取る事は出来ない筈だった。
 しかし、じっと彼女は答えを求めるかの様に彼を見つめ続ける。
 もし彼が生きていたならば──きっと。

『何やってるのさ、深淵さん。落ち込んでる暇なんてないじゃないか。とっととあの人と話しつけにいこうぜ』

 今頃、そう言うのだろう。
 本当に、私は弱い。多分、横たわる♂アルケミストより、ずっと。
 剣を持ち、グラストヘイムの守護者たる力を得、それでも尚些細な事に躓き続ける。
 比べて、迷わず躓かず歩み続けた彼らのなんと強い事だろうか。
 彼女に今も、彼らの声は響いている。

 けれど。それでも、もう迷わず歩き出そう。
 深淵の騎士子は、思った。
 背中は、出会った時から皆が押して続けてくれていた。
 私は、一人になってしまったけれど、本当は一人ではなかったのだな。
 少しばかり気づくのが遅れてしまったけれど、それは間違いの無い答えだ。
 彼らは。今も彼女の剣に共に在る。
 ならば。

 彼女は、彼に歩み寄る。
 そして研究者故か、意外なくらい軽いその体を抱きかかえ、ゆっくりと掘り起こした地面の窪みに横たえた。

 土を被せる前に、ふと面白い悪戯を思いついた様な表情を彼女は浮かべた。
 その立場は、男女の配役がまるで逆だったけれど。
 それでも彼女は騎士だったから。自分の役柄に不満は無かった。
 地面に屈み、♂アルケミストの蒼白い唇に、彼女はゆっくりと口付けた。
 僅かに頬を緩める。

 ──私は。
 苦い土の味。彼女の瞳に涙はもう無い。
 人は、死ぬとどうなるのだろうな。
 そんな酷く哲学的な問いが、まだ何処かに蟠っている。
 いや…彼らは死んでしまったけれど。
 もう永遠に彼らには出会えないけれど。
 残された誓いも──また、永遠。
 私が、それを忘れない限り。
 前に歩く。
 後ろ向きなセンチメンタルに浸るのは、ここまでにしよう。

 白。突然、飛び込んできた光に、彼女は手で眼を遮った。
 追うと、遠くミョニル山脈の陰からそれは差し込んでいた。
 ──夜明けだ。
 茫洋と夜の闇が抜け切らない心持でそれを眺める。
 見晴らしの良い丘から見たそれは、ある少女が何時か見たのと同じくらい美しいのだろうか。

 黎明が、彼女の眼に映る全てを、金色に染め上げていった。


<深淵の騎士子 場所はプロ南のPTから少し離れた見晴らしの良い場所 他変化無し>
187名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/07/31(日) 15:02:08 ID:9K8H609A
と…とりあえず、決戦前の各キャラクターのインフラ整備は
これで全部の筈…疲れました。orz
他の書き手さん次よろしくお願いします…
188名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/02(火) 08:10:17 ID:esR319HE
まとめサイトのStoryで見れる197ってどうなったんですか?
189名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/03(水) 01:50:27 ID:Z6.G1doc
編集の問題かと
一話ずれると、それ以後の分をぜーんぶコピペして張り直さなならんくなるから……
結構手間かかるもんで、修正はもーちょいまってくれ〜
190名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/03(水) 02:40:13 ID:Z6.G1doc
連続ですまん
書き手さん達にはわかってもらえると思うが
ここまで来ると、続き一話書くのにもすんげー時間かかる……
延々レスの無い時間が続くが、どうか理解して欲しい。すまんっ_| ̄|○
191名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 00:25:09 ID:Q3vw8Jas
ガンバ!!
192名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 03:07:43 ID:gmVtm1MU
213 反撃

♂GMはヴァルキリーレルム内部にある自身の執務室にて、最後の調整を行っていた。
今回の資料の整理、そして次回改善すべき点と新たに追加する新要素に関する調査資料。
秋菜は毎回何か違った要素を要求してくる。それに応えるのも♂GMの役目だ。
この殺し合いは未だ完成した娯楽とは言い切れない幾多の問題点を抱えている。
外部への公開に踏み切るには、まだまだ改善すべき問題点が多いのだ。
そもそもの趣旨から考えるに、公開する相手も選ばなければならないが、それでも公開がなし得るのなら、他に類を見ないエキサイティングなエンターテイメントとして熱狂的に受け入れられるだろう。
そうして外部の協力を得られれば、組織内部における反対派も完全に封じ込める事が出来る。
それは秋菜の希望でもあり、そして秋菜自身の発言権の向上にも繋がる。
毎回毎回、各部署反対派GMとの調整に追われての開催であるから、この手間が省けるようになるのならば重畳だ。
そこまで考えて、♂GMは資料をテーブルの上に放り出す。
「……なんで僕、こんな事得意なんだろう?」
秋菜は様々な問題解決を含む実務処理と、自らの目的に添わない者を放逐する術に長けている。
そんな秋菜の理論武装を担当しているのが♂GMだ。
こうと決めた時の秋菜の行動力は凄まじい。
その力あればこそ、他GMは上司も含めて秋菜のこれを見逃してくれているのだ。
秋菜と一緒に何かを成し遂げんと懸命に仕事に務めるのは、とても楽しいし満足している。
だが、♂GMには理性も良心も残っている。
執務の最中に不意にこのイベントで死んだ人間に思い至り、恐怖と罪悪感に身動きが取れなくなる事もしばしばだ。
それを誤魔化し誤魔化しやってきたがそろそろ限界だ。
いっそ秋菜と一緒に壊れてしまえばいい、そう何度も考えた。
それでも秋菜を元に戻せるのは自分しかいないと言い聞かせ、その度に思いとどまってきたのだ。
いつかはこれをなんとかする機会があると信じて。
「でも……今回もダメだったね」
先ほど、最後の生き残りである♂ローグが♀セージを殺し、勝利者となった。
秋菜はヴァルキリーレルムの庭園にて他GMを従えて歓迎の準備をしている。

『おっめでとーーーー!! きゃーん、♂ローグちゃんかっこいー! 最後に想い人殺しちゃうなんて私もー痺れたわっ♪ さあ、プロンテラ城にいらっしゃい。そこを抜けた先、プロンテラ北門に辿り着けばそこがあなたのゴールよっ!』

既に首輪の暗示は解いてある。♂ローグもこの秋菜の通信を聞いてプロンテラに入った模様。
「さて、僕達も帰還の準備を……」
そこまで言った♂GMの動きが止まる。
いつの間にか♂GMの真後ろに立った者が、首筋に短剣をつきつけたからだ。
「質問に答えろ」
その声が女の物である事に驚いた♂GM。
「君は……その声は確か♀セージかい?」
確かに死んだはずである。そうでなければ首輪ロストの表示は出ない。
「元の世界に戻る方法を教えろ。もしお前が知らないのなら、秋菜に聞く」
いつも受信機越しに聞いていた声そのまんまの抑揚の少ない話し方で♀セージは言った。
「何故秋菜に最初に聞かないんだい?」
♀セージの意図は別にあったが、ここで馬鹿正直に真実を話す気は無い。
「お前が知っていれば、私は心おきなく秋菜を殺せる」
その時が来た。そう♂GMは思った。
「どうやって君が首輪を外したのかは知らない。でも、もし君が秋菜を止めてくれるというのなら、僕は君への協力を惜しまない」
「質問に答えてないな」
♂GMは悲しそうな顔をする。
「すまない、君たちを元の世界に戻せるのはこの世界では秋菜だけだ」
♀セージは♂GMの言葉に引っかかる物を感じた。
「この世界では?」
「ああ、元の世界に居る他のGMの手を借りれれば……戻る事も出来るかもしれないが、それは現実的ではないよ。連絡の手段も限られるし、そもそも手を貸してくれるGMが居るかどうか……」
♀セージは険しい表情で、仲間の一人に思いを馳せる。
『バドスケ。どうやらお前の推測、誤ってはいなかったようだぞ』


「俺さ、時計塔に行こうと思うんだ」
首輪を外した全員が揃っている場所で、バドスケはそう言った。
♀セージが即座にバドスケの意図を察する。
「外部への通信手段か?」
「ああ、秋菜を締め上げたとしても俺達が元の世界に戻れるかどうかはわからない。それにな……」
バドスケは外套の裾を上げ、自分の胴体をさらけ出す。
そこには剥き出しの骨しか無かったが、その骨には随所に無数の亀裂が走っていた。
「一晩経ってもこのザマだ。再生能力を超える損傷を受けた場合こうなる……元通り戦えるようになるのは数ヶ月先になりそうだ」
あまりの痛々しさに全員が眉を潜めるが、バドスケは陽気に言う。
「時計塔は元々俺の故郷でもあるしな。それにすんげー考えたんだけど、俺はやっぱり深淵とは一緒に居ない方がいい」
深淵はバドスケをまっすぐに見る。
バドスケはそれに気付かないのか、大仰に手振りを交えて言う。
「深淵ってすんげー強ぇんだぜ、あの♂BS相手でも一歩も引かねえしさ。ボコボコの俺なんかよりきっと役に立つさ」
判断に迷う♀セージ。
確かに外部への連絡というのは出来る事ならばやっておきたい。
だが、戦力を減らすリスクに見合う効果が期待出来るのか?
バドスケはその点についても自信満々であった。
「♂ノビが書いた事にさ、内部からこの世界ぶっ壊す事は出来ない、ってのもあったじゃん。その上で外部との通信手段について書かれてるって事はさ、多分外部との連絡って俺達の脱出に不可欠な事なんじゃねえかなって思ったんだわ」
♂ノビの板の信憑性を計る事は出来ない。
だが、これまでの出来事でこの板の内容に矛盾する出来事は無かった。
そして、バドスケのこの申し出は全て理に適っていると♀セージは考えた。
「わかった、お前に任せる。よろしく頼む」
「おうよ!」
そう返事するなり、さっさと出発しようとしたバドスケの前に深淵が立つ。
バドスケも真顔で深淵の出方を待つが、そんなバドスケに深淵は黒馬の手綱を渡す。
「使え、貴様に預ける」
驚き目を丸くするバドスケに、強引に手綱を持たせる深淵の騎士子。
「何をぼさーっとしておる! さっさと乗らぬか!」
そしてやはり強引にバドスケを黒馬に乗せると、黒馬の首筋を撫でる。
「こやつを頼むぞ……さあ行け!」
黒馬は雄々しく嘶くと、バドスケを乗せて駆け出す。
そんな黒馬が白く輝く魔法に包まれると、その速度が更に上がる。
馬上から振り返るバドスケは、口をへの字に結んだ深淵の騎士子と、不機嫌の極みといった顔の♂プリーストに頭を下げたのだった。
193名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 03:08:03 ID:gmVtm1MU
♀セージは質問の方向を変える。
「私に協力すると言ったな? ならば現在秋菜の手元にある戦力を教えろ」
「秋菜の他に、僕とGMが10人。彼らには思考、判断能力が無い。ただ秋菜の指示に従うだけだけど、いざ戦闘になったら彼らは強いよ」
「秋菜自身の戦闘能力は?」
「……あのブラックスミス。彼を思いだしてもらえばいいかな、それに……秋菜はどんな技でも使う事が出来る。君には悪いけど、まともにやりあって勝てる相手じゃないよ」
一度秋菜と戦闘した経験があるという深淵の言葉と一致する。
♀セージは彼が真実を話している可能性を考え始めた。
「何故そんなに簡単にそれを私に話す?」
♂GMは♀セージに聞き返す。
「……君は、僕が放った青箱を拾ったかい?」
「何の話だ? 最初に受け取ったそれしか私は手にしていない」
大きく肩を落す♂GM。
「そっか……それじゃあ……君は僕を見逃してはくれないね」
♀セージは相変わらず抑揚の少ない声で言う。
「お前次第だ。私はお前達とは違って慈悲の心も持ち合わせている。私の知りたい事全てに答えてくれれば殺しはしない。秋菜はどうやって元の世界に戻る?」
「ワープポータル。元の世界に戻る為の特殊なコードを交えた詠唱で出されるそれで帰れる」
瞬時に考えを巡らせる♀セージ。
「……その特殊なコードを交えてテレポートを唱えた場合はどうなる?」
「その通り、秋菜だけならそれで元の世界に戻る事も可能だよ」
この瞬間、秋菜を脅して元の世界に戻るという選択肢は無くなった。
「そして、テレポート制限のある場所でこの手の術を唱える事が出来るのはGMのみという訳か」
「秋菜は決してコードを漏らしたりはしない。である以上彼女はこの世界で絶対なんだ」
不意に話題を変える♀セージ。
「首輪を爆破する方法は?」
「砦内部にある宝玉。これを使う。これは君たちの会話を盗み聞く為の宝玉と、現在位置を知る為の宝玉と、そして最後に爆破の遠隔操作を行う宝玉の三つがある」
「場所は?」
「この部屋を出て、通路の一番奥だよ。勝者の首輪は秋菜自身が外してやるのが通例になってる。庭園で準備してる歓迎式の最中でしかけるつもりなら、首輪を外してから動くという選択肢もあるけど、爆破には宝玉の操作が必要だから、その爆発の範囲の事も含めてその場ですぐにドカンってのはどっちにしても出来ないよ」
これも♂ノビの持っていた情報と一致する。
「……再度聞こう。何故私にここまでの情報を渡す?」
「秋菜を止めて欲しいんだ。僕はもう……限界だよ。次のイベントからは、規模が今までとは比べ物にならない大きさになる。秋菜は公認イベントとして認めさせる気なんだよ。実績ももう充分に作った。この殺し合いの視聴を求める相手も見つけてある。全部彼女の力だよ……」
絶句する♀セージ。
「殺し合いを……見せ物にする気か?」
「……喜ぶ人、多いんだよ。そうなったらもう、僕もそして秋菜も止められなくなる」
そこまで言うと、部屋の床が大きく音を立てて鳴る。
「ん? ……そっか、君だけじゃないんだね、ここにいるのは」
♀セージの後ろで気配を消して控えていた♂プリーストであったが、あまりの話に冷静でいられなくなったのだ。
「腐ってやがる……てめえ正気かっ!?」
「だよね。反対するGMもきっと居ると思う。でも、それを黙らせる方法いくらでもあるんだ……秋菜はもう手段を選ばないから」
♂GMは淡々とした口調で続けた。
「……結局、僕じゃ秋菜を救えなかったよ……」
そう呟く♂GMからは抵抗の意志は感じられない。
♀セージは♂プリーストに♂GMを任せてテーブルの上に置かれた書類を拾い上げ、軽く目を通す。
「これはお前が?」
「そうだよ、僕の仕事だ。これが出来るから僕は彼女の側に居られるんだ」
書類をテーブルに置き、最後の質問をする♀セージ。
「秋菜を止めたいと願うお前が、彼女の仕事を手伝う。矛盾しているぞ……そんなに秋菜が恐ろしいか?」
♂GMは首を横に振る。
「僕が、彼女を愛しているだけだよ」


♂ローグは棺桶を引きずりながらえっちらおっちらとプロンテラ十字路にさしかかる。
そして、そこにある噴水を力一杯蹴飛ばした。
『ばっかやろう! めちゃくちゃ重いじゃねーか! ふざけんな!』
口に出して喚くわけにもいかず、また人一人入った棺桶を引きずり出す。


♀セージが♂ローグを除く全員に簡単な段取りの説明をする。
「まず、私と♂プリーストが先にヴァルキリーレルムに侵入する」
予めヴァルキリーレルムが怪しいという認識が無ければ、天の声が聞こえた時に即座に対応策を練るのは難しかったであろう。
♀クルセが心に引っかかっていた子バフォの言葉、それを♀セージに伝えた。
そこから思考の組み立てだけで、ヴァルキリーレルムの真実の姿に限りなく近づけた♀セージの思考能力に全員が感心する。
というか、推理を組み立てていく思考の回転速度が速すぎて誰もついていけなかったというのが正しいが。
最後に「あくまで推測の域ではあるが、そうである可能性は高い」と言った♀セージの言葉は、最後の最後まで説得力に満ちた物であった。
そんな♀セージプロデュースの作戦。
当人曰く、穴だらけの策であるだけに、各人が正確に状況を把握している必要があり、かつその場その場においての柔軟な対応を期待するとの事だ。
♂アーチャーが難しそうな顔で言う。
「まずい状況になったら自分で考えて動けって事か?」
そうまとめた♂アーチャーの言葉に♀セージが頷く。
深淵の騎士子は♂アーチャーの肩を叩きながら言った。
「以後♀セージの言葉の解読はお前に任せた……奴が何語を話しておるのか、まるでわからぬっ」
ややこしい判断が必要なポジションには、決して深淵をつけないと♀セージは心に決めた。
「♂アーチャーと深淵はヴァルキリーレルムに同じく潜入。所定の配置にて待機。♀クルセが動いたら即座に行動を開始してくれ」
深淵の騎士子はうんうんと肯く。
『へいへい、俺達の切り札であるこの子の面倒は、俺が見ろって事だな』
♂アーチャーがどうやら役割を理解してくれたようなので、♀セージは続ける。
「そして♀クルセだが……私の死体として棺桶に入ってもらう」
「何っ?」
♂ローグが、愛する人物の遺体を大事そうに棺桶に収め、それを引きずりながらヴァルキリーレルムに向かう。
そうしてタイミングを見計らって♀クルセに合図を送り、自身はトンネルドライブ。
そして棺桶から飛び出した♀クルセの放つグランドクロスが開戦の合図となる。
♀クルセが敵に取り囲まれきる前に、♂ローグが♀クルセを抱えてインティミデイトにて一時脱出。
間をおかずに深淵が突撃しBDSを放つ。これで秋菜の周囲に何人が居ようともそれらを一網打尽に出来る。
その後は、♀セージ♂プリースト♂アーチャーが乱入しての乱戦に持ち込む。もちろん♂ローグ達も可能な限り急いで戦場に戻る。
「戦力を一度に放つ事はしない。♀クルセのグランドクロスと深淵のBDSを最大限活用出来る策で行く」
不安要素に関して、♂プリーストも♀クルセも気付いていたが、敢えて口にはしない。
「これは敵の状況がわかってない以上、とんでもない賭けとなる。だから、最初に私と♂プリーストがヴァルキリーレルムに潜入してGM達の配置、他諸条件を確認してくる」
ヴァルキリーレルムに仕掛けてあったからくりは突破が極めて困難故、逆にヴァルキリーレルム内部の監視体制は緩いと読んだのだ。
♂プリーストが代表して♀セージに訊ねる。
「んで、その後の展開ってな無数にあるたー思うが。お前さんの頭の中ではそんな様々なケースに合わせて策は練ってありそうだな」
「一応な……しかし、あくまで予測を元に動く事になる。出来るならば統一した意思の元に動きたいが、現状ではそこまで望むべくもない」
そして皆の顔を順に見る。
「敢えて言うぞ。今は最悪の状況を前提に考えろ。つまり、ここから脱出の策は無く、敵GM全滅は彼我の戦力差から絶望的。そんな中で私達に出来る事は?」
全員が声を揃えて答えた。
『秋菜を倒すっ!』
「それ以外は為し得ないかもしれない。それでも挑むぞ、否やは無いな?」
『応っ!!』
194名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 03:08:15 ID:gmVtm1MU
今まで散っていった者達の無念を晴らす。
どうやらそれだけでは済まなくなってきたようだ。
ここで秋菜を止められなければ悲劇は更に広がり、そしてそれはより洗練された形となり、後進者達に襲いかかるという。
責任の重さに表情が硬くなる♀セージだったが、♂プリーストは不敵に笑う。
「関係ねぇな、俺達は前に進むだけだ。そいつを邪魔するってんなら例えGMだろうと命賭けで来い。相手になってやらぁ」
♀セージは確信した。♂プリーストは絶対、事の重大さを理解してないと。
知らず苦笑が漏れるが、それはどうやら♂GMも同じのようだ。
少し違うのは、♂GMは何か眩しいものでも見るかのように♂プリーストを見ていた事だ。
「君はタフだな。それは何より得難いと思う。僕には……絶対出来ないよ」
そう言う♂GMに♀セージは無表情になり答えた。
「ああ、私もそう思う。お前には無理だ」
それはあまりにも唐突で、起った出来事を♂プリーストが理解するのに僅かの時を要した。
♀セージが、いきなり♂GMの首筋を斬りつけたのだ。
間欠泉のように吹き出す血飛沫。
驚いた♂プリーストが♂GMに駆け寄る。
「おいしっかりしろ! ♀セージ! お前なんて事を……」
治療を行おうとする♂プリーストを震える手で制する♂GM。
「いいんだ……これで……♀セージさんにはわかってるんだ……」
「わかってる? 何をだよ!」
「僕が、最後の最後には秋菜を守ってしまう事……僕は弱いから、絶対に秋菜を……彼女にそれが必要だとわかっても……彼女が苦しむ姿を見てられないから……」
言葉を失う♂プリースト。
「……今の彼女を守って、その先に居る彼女を見るのは……僕にはもう出来ない……したく……ない」
目から光が失せ、完全に動きを止める♂GM。
♀セージは♂ローグから借りたスチレをじっと見る。
「馬鹿な……魔法で殺したのと何が違うというのだ?……これで二人目だぞ?……奴も私も共に必要とした事だ……それなのに何故だ?」
スチレが震えている、それを支える右腕が震えているからだ。
左腕で震えを止めるべく右腕の手首を掴むが、掴んだ左腕も震えていた。
膝が笑い、今にもその場に崩れ落ちそうになるのを懸命に堪える。
余りの不甲斐なさに涙が出そうになる。
「私は……弱いな。仲間達の誰よりも弱い。あの時も……私のこの弱さが全ての原因だった」
♂プリーストは、そんな♀セージを意外とは思わなかった。
「お前はさ、すんげー頭良いし、正直そんなお前と勝負して勝てるとは欠片も思えねえ。でもさ、だからってお前が無敵だなんて事も思っちゃいねーぞ俺は」
そして、力一杯♀セージの後頭部をひっぱたく。
「だから俺達仲間なんじゃねーか! 愚痴愚痴ビビってんじゃねーぞ! あのクソ野郎に一泡吹かせてやんだろうが!」
思い切りひっぱたかれた事で、緊張していた筋肉が一気に弛緩する。
へちゃっとその場に内股座りに座り込む♀セージ。
「無敵な奴なんざこの世にいやしねえよ。んな奴が仮に居たとしたらそいつは仲間を必要としねえ」
♀セージの手を引っ張り、無理矢理立たせる。
「お前はこうして俺を必要としてくれる。そして、俺にもお前が必要なんだ。そいつは俺との関係だけじゃねえ。他の連中みんなとそうだ」
まだふらふらしている♀セージの背中を再度ひっぱたく♂プリースト。
「おらしっかりしろ! 正しいかどうかなんて知らねえけどよ。俺達が前に進むにゃそれだけで充分なんじゃねえのか?」
♂プリーストらしい力業だ、そう♀セージは思った。
「確かにタフだよお前は。勝てる気がしないぞ、まったく……」


<♂ローグ 現在位置/プロンテラ 所持品:ツルギ、 スティレット、アラームたんc(効果は不明)、山程の食料>
<バドスケ 現在位置/時計塔目指して疾走中 所持品:アラーム仮面 アリスの大小青箱 山程の食料 深淵の黒馬 備考:特別枠、首輪無し>
<深遠の騎士子 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:首輪無し>
<♀セージ 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/垂れ猫 プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)、筆談用ノート 備考:首輪無し>
<♂アーチャー 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個 備考:首輪無し>
<♀クルセ 現在位置/プロンテラ 所持品/青ジェム1個、海東剣 備考:首輪無し>
<♂プリースト 現在位置/ヴァルキリーレルム所持品/チェイン、へこんだ鍋、♂ケミの鞄(ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100 注:HP回復系ハーブ類は既に相当数使用済) 首輪無し>

<GM秋菜 現在位置/ヴァルキリーレルム>
<♂GM 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム>
195名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 17:12:55 ID:nyI3yikg
続きの話で矛盾せぬよう野暮と知りつつ指摘
・♂ローグのスティレットは現在♀セージの手に
196名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 21:32:33 ID:oB3SyJHI
次まで時間がかかるなら待つ間雑談でもするというのはどうか。
197名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 22:03:59 ID:o90P1pqU
それじゃあ雑談ネタふり。登場キャラの中で好きなキャラを三人上げてみるとすると?
自分は♀剣士、♂プリ、♀ケミ。
♀剣士は川田的活躍も出来たんだろうけど早々の退場が悔やまれる…
♂プリは単純にゲーム中のビジュアルが好きだから、あと殴りだし。♀ケミは関西弁萌えw

いよいよ最終決戦。どう転び、どんな結末を迎えるのか楽しみにしてます
自分も書ければいいんだけど長文苦手なので…
198名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/04(木) 22:16:35 ID:asWqB73s
自分はドッペル、子バフォ、ときらぐ主人公ですね。
199名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/04(木) 22:22:13 ID:oB3SyJHI
僕は♂ローグと♂ケミ、それからwWwですかねぇ。
♂ローグは初期から手がけてきたってのもありますが。
wWwと♂ケミは僕らに笑いをありがとう、と言った感じですか

決戦後のエピローグとか書きたくてうずうずしてきてます。
初期位置的には♂ローグ、♂ノビ、♀剣士って結構近くにいたのかも。
個人的に、もし♂ローグが最初♀プリと出会えなくて
マーダー化してたらどうなってたかなぁ、とか妄想の種はつきません。

参加者のif,を考えるのも楽しいかもしれませんねー
200名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/05(金) 02:33:19 ID:duax9PRQ
私は♀クルセ、♂プリ、♂ローグが好きですね。
プリは最初微妙かと思ってたんですが、書き手の皆さんのお力か、凄く魅力のあるキャラになったと思います。
ローグは1スレ目545氏の文が離れません。
本編じゃなくて、妄想なんですけどねw
クルセは…すみません、モロにストライクゾーンど真ん中なんですorz
201名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/05(金) 07:04:10 ID:enNCpeBw
♀剣士、騎士s
それぞれゲームでもグラフィックとかが好きってのもあるんだけど、キャラが立ってて良かった。
♀剣士は序盤〜中盤くらいまでの活躍があったし、間違いなくその時点での中心的人物の一人だったと思う。
騎士sは最初お笑い担当かと思いきや、死に際の♂騎士の男気やらDOP化♀騎士やらで燃えまくり。

♂剣士とか♀クルセも捨てがたい…。単に剣士系好きなだけだろって言われたらお終いだけどな!
202名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/05(金) 09:19:03 ID:xaD3t9sA
読み手側ですが、雑談なので参加します、(*´Д`)ハァハァ

♂ローグ、♂プリ、♂ケミが好きです。
特に♂ローグは 昔語り〜まがいものの騎士 → アラームたん死での紛い物の騎士 でぞっこんラブに。

♂プリは設定画だけでもご飯が美味しくいただけるのに、
書き手様方のお力でご飯が3杯は食べれるほどの超素敵キャラになりました(*´Д`)ハァハァ

♂ケミはこの物語の清涼剤です。らぶ。

結末までがんばってくださいませー、応援しちょります。
203名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/05(金) 12:10:46 ID:MlKdgh7I
♀セージとWIZの百合カップル最高じゃないか!
あとはウサシン…もいいけどやっぱローグ姐さんだろう。
204名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/05(金) 12:39:07 ID:3T7DTCg2
♀セージとか♀ケミを好きになってくれる人がいてくれて嬉しかとです(*ノノ)
私もこの二人には特別な思い入れがありますねぇ…
205名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/05(金) 18:23:42 ID:VDtuAT5Q
2スレ目の途中くらいでバトROワを知って、まとめを一気に読みました。
♂Wiz、♂モンク、♂アサ(改竄前)の性格が好きだったのにみんな序盤早々に死んでしまった。(´・ω・`)

初めて最初から読んだときは誰かが死ぬたびに泣いてたよ。
泣きすぎかな?
206名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/05(金) 19:17:42 ID:RpaDnwrA
♂BS・♀BS・♀剣士かな?

♂BSと♀BSは「花婿と花嫁」の話が好き。
♀剣士は、あのりりしさがよいと思います(*´ω`)
207名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/06(土) 03:49:13 ID:dOdr/zCc
 214 狼煙

 先ず最初に♂ローグを出迎えたのは、拍手だった。
 ♀ノービスを切り殺した時と、まるで変わらない衣装の秋菜が、進んでくる彼を見つめながら、手を叩いていた。
 ぱちぱち。ぱちぱちぱち。
 その周囲では、生気の無い顔をしたGM達が同じように、全く同一のリズムで手拍子を打っている。
 ぱちぱち。ぱちぱちぱち。
 耳障りな音だ。ローグは顔をしかめる。
 塗装も無い簡素な木組みの棺を、ずるずると引きずりながら歩く彼は、秋菜の前で足を止めた。

「おめでとーございまーすっ。最後の最後であの大番狂わせ。もーっ、秋菜、惚れ惚れしちゃいましたっ♪」
「んなこたどうでもいい。とっとと、このクソ忌々しい首輪を外してくれねぇか?」
 朗らかに言う秋菜に、♂ローグは窮屈そうに首輪を弄びながら続ける。

「こんなもん着けてると蒸れていけねぇよ」
「ハイハイ。秋菜、わっかりましたぁ♪」
 ぴょんぴょんと、跳ねる様な足取りで女はローグに近づく。
 そして、彼が引いていた棺桶を見ると、初めてそれに気づいた様な顔を見せる。

「それ、♀セージさんですかっ?」
「…ああ」
「やっぱり、人間自分が一番可愛いですもんねー 悪巧みも聞いてましたよっ♪
 君の為なら死ねる、ラヴィ!!って言っちゃったのに殺しちゃうなんて、これで漸くローグの面目躍如って感じですぅ」
「オイオイ…そりゃ俺がローグらしくなかった、ってか?」
 少し、心外そうな顔で応えた♂ローグに、秋菜は満面の笑みを浮かべた。

「勿論ですよーっ。経歴や性格から言っても秋菜予想では、♂ローグさんはかなりの本命だったんですよぅ。
 麻薬密売に窃盗や暴行、果ては人身密売の運び屋から請負殺人…どんどん殺しまわってもおかしくは無いですよっ
 人を踏みつけ踏みつけ生き残る…そうしてたら、私だって♂BS君の小細工、こっちで解いてもよかったかもっ。
 そんな極悪人なのに正直、途中までは人のいいオジサン、って感じでしたからっ」
「そいつぁ光栄だが…俺はこれでもまだ三十路前だぜ?」
「二十越えれば皆オジサンオバサンですっ、でも、わったしは永遠の十七歳っ…っと、話が逸れちゃいました、秋菜失敗っ♪」
 舌を半分程出し、全く悪びれない様子で秋菜は言う。
 一歩のローグは、深い溜息を付いていた。

「兎も角、そんなに♀セージさんの事好きだったんですねっ。でも、残念でしたっ。殺しちゃったらそれまでですからっ♪
 でも、ま、仕方ないですよねっ、これも極悪人のローグさんが普段の悪いんですよっ。
 ほーんと、♀アーチャーさんにアラームちゃんも悪い人には着いて行っちゃいけないって習わなかったんですかねっ」
 ぷんぷん、と擬音付きで怒った様なポーズを女は見せた。

「コブ付きの方が騙し易いじゃねーかよ…それより首輪はどうなった?」
 へっ、と笑いながら♂ローグは言う。
 その言葉に、困った様な薄っぺらい表情を作ると、秋菜は目の前の♂ローグの首に手を遣った。
 何か女が言葉を呟く。それから、彼女の手が動くと、皮の首輪はいともあっさりと外れた。

「よーやく取れたぜ」
 コキコキと、ローグは首を回す。
 それから、振り向いて棺桶を見た。

「あーっ、ダメですよっ。その棺桶はここに置いていって下さいっ。♂ローグさんが殺人罪に問われたら可哀想ですからっ」
「…ま、仕方ねぇ、な。抱く暇が無かったのは残念なんだが…死姦の趣味はねーし。捨てれるモンは、捨てちまおう」
「いい心がけですよーっ、と言いたいところですけど、ポイ捨てはちょっと感心できないかもしれませんねっ。
 ゴミはゴミ箱にちゃーんと捨てて下さいっ…ま、もう箱に入っちゃってますけどねっ」
「せめてもの手向けに、♀セージにこの砦くれてやりたいんでね。俺にだって、そういう気持ちぐらいあるぜ?」
 けらけらと自分の駄洒落に笑う秋菜に♂ローグは言う。
 それから、一度溜息を付いて彼は言葉を吐き出した。

「…なぁ、一つだけ良いか?」
「えー」
「優勝者の特権、て奴で頼むわ、な?」
「仕方無いですねぇ…何ですっ?お任せ下さいっ、GM頑張りますっ♪」
 懐から煙草を取り出し、♂ローグは火を付ける。

「──このゲームの目的ってな、一体何だ?」
「目的ですかぁ…そうですねぇ」
 少し考える様な仕草。
 何処まで話したものか、とでも考えているのだろうか。
 知らず、表情を硬くする♂ローグを尻目に、秋菜はあっけらかんと言い放つ。

「えーいっ、出血大サービスっ。どーせ、一生関わりなんて無いですしっ、ぜーんぶ教えてあげますっ♪
 ほーら、有難うって言って下さいよっ。じゃないと、プンプンしちゃいますよっ?」
「…あんがとよ」
 うんうん、と満足そうに頷き、女は続ける。

「そーですねぇ。一口で言うなら…世界を変え得る者の排除、ですかっ。
 ほら、私達GMは、世界を維持し守る事が使命ですからねっ。
 そんな人は、徹底的に根こそぎ粉砕殺戮排除しちゃうんです。えっへん!!
 殆どの人は、一回の参加で壊れちゃいますしっ。
 まぁ…時には、ドッペルゲンガーさんや♀剣士さんみたいに生き残って帰れても変わらない人もいますけどっ。
 そういう人は、もう一度参加してもらえばいいだけですっ♪
 ま、やり方に私の趣味がたっくさん入ってる事は認めちゃいますけどねっ」
「世界を変え得る者…? 何だ、そりゃ?」
「言葉通りの意味ですよぉ。将来的に見て良くも悪くも、今の世界のバランスを崩しかねない人の事ですっ。
 殆どの人はローグさんみたいにフツーの人なんですけど、何人か混じってるんですよっ。
 例えばアラームちゃんやDOPさん、それに深淵の騎士子さん…まぁ、GHは守備が堅くって、枝に細工して呼びましたけどねっ」
 もー、橘さんがヘマやるからっ、と秋菜は続けた。

「…なぁ。何たって、んな事する必要があるんだよ?」
 その問いに、秋菜はにこやかに、本当に幸せそうに、笑う。
 眼を輝かせ、じっと♂ローグを見つめた。
 それは、『自分』しか見えていない。
 眩いばかりの狂気を孕んだその眼に気圧され、ローグは思わず身を引いた。

「だって私は、私を信じていますからっ。私の夢は、ずっとこの世界がこの世界のままである事。
ローグさんみたいな人じゃなければ人に殺される事も、人を殺す事も無い優しい世界。
そう…自分を信じて、努力をずっと続けていれば…夢は、何時か必ず叶いますからねっ♪」
 気が狂いそうなぐらい美しい笑顔だった。不愉快そうな顔で、♂ローグは咥えていた煙草を吐き捨てる。
 泥で汚れた靴で、それを踏み消した。
 
「そいつぁどうも──クソッタレた考えだなぁ、オイ」
「ええー、酷い、酷いですよっ」
 とって付けた様な、大仰な表情で秋菜は悲しんでみせた。

「俺は手前の考えなんざ知ったこっちゃねぇし理解する気もねぇな」
「んー…ちょっぴり意外かも。♀セージさんなら兎も角、♂ローグさんならそんなに怒る事は無いって思ってたんですがっ」
「さてなぁ、どうしてだろうなぁ」
 その態度に、秋菜は顔を上に向け、何かを考え始める。
 しかし、それよりも早く♂ローグは口を開いた。

「それによ。お前ぇは一つ勘違いしてるぜ? ──俺はよ、まがいもんだが託されちまってるんでな」
 一旦、言葉を切ると男は、秋菜に不敵な笑みを浮かべてみせる。

「──手前をブチ倒せ…ってよ」
 男はもう一本煙草を取り出し口に加えた。
 火打石でゆっくりと時間をかけて、火を付ける。
 すっ、と唇を歪めると、笑みの形を作りながら紫煙を盛大に吐き出した。
208名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/06(土) 03:49:44 ID:dOdr/zCc
「…ま、幸い今は私機嫌が良いですしっ、謝れば許してあげますよっ」
「誰が謝るかよ、クソ女が。それによ、奥の手ってのが俺にはあるんでな」
 喜悦混じりの酷薄な笑顔が、秋菜の顔に張り付く。
 顔が触れ合う程、♂ローグに近づき、囁くように言葉を放つ。

「仕方ありませんねっ。よよよ、優勝者を手にかけるのはこの秋菜、残念至極ですけど…BANしちゃいま…」
 言葉を紡ぎかけた時だ。♂ローグの顔が秋菜の視界から掻き消える。
 バックステップだ。一気に、秋菜との相対距離が離れていく。

 ──そう。全ては生き残る為。そして全ては策の為の芝居。
 彼は、飛びずさりながら、快心の笑みを浮かべていた。
 ♂ローグの奥の手。それは勿論。

「クルセェェェェェェェェッ、今だっ!! やれぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 男の幸運と女の不運。
 それは、時間にして僅か数秒程のタイムラグだった。
 ♂ローグのバックステップを認識するのに0.5秒。
 彼の叫びの意味を理解するのに1秒。
 そして、秋菜が振り向いた先。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
 そこに居た人物の姿と絶叫を認識するのに…一秒。
 僅か2.5sec。しかし、それが全てを決定した。
 運命の女神は、その瞬間確かに微笑んだのだ。

「なっ…アンタはっ!!?」
 秋菜が振り向いた先。そこには、棺を蹴り開けて身を起していた♀クルセイダー。
 一瞬、理解が及ばなかった。だが、女の思考を超越して彼女はそこに在った。
 そして、爆発寸前の光。臨界を迎えたそれは。

「グランド──クロスッ!!」
 即ち──天を焼かんばかりに眩い光。
 そして、それは告げる光でもある。
 衝撃を伴う輝きに、秋菜とGM達の体が包まれ、彼らは身を庇いながら後ずさる。
 やがて光が収まり、♀クルセが♂ローグの元に駆け寄ると、彼らを睨みながら、剣…バルムンを抜いていた。
 応えるように、二人も又、各々の剣を抜き放つ。
 ♂ローグが前に、♀クルセが僅か後ろに。

「ルール違反…ですねっ。これはもうBANしかないですっ♪」
 呟く女の周囲には、焼け爛れた肌を見せながらも、身動ぎ一つしない生ける死者の群れ。
 一方の秋菜は、彼らに身を庇わせたのか、目立った手傷は無い。

 ♂ローグは、しかしツルギから片手を離すと、笑い、煙草を摘み上げる。
 それから肺を一杯に満たしていた紫煙を、ゆっくりと吐き出した。
 貌には、大輪の笑みを。策は、どうやらここまで成功だ。
 その眼には、こちらに駆けて来るペコに跨った一騎の影。数人の姿。
 彼の煙は、やがて大気に溶けて消える。

 そう。希望の灯火は、煙草の朱の様にか細く。
 ──しかし、戦の狼煙は高く天に上っていった。

<♂ローグ 所持品&状態変わらず 場所ヴァルキリーレルム>
<♀クルセ 同上>
<秋菜 所持品 バルムン 状態 ♀クルセのグランドクロスにより軽症>
209名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/06(土) 03:59:33 ID:dOdr/zCc
とりあえず、最終戦風味で。
実際はこの後、二転三転しそうですが、導入だけ。
210名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/07(日) 00:37:02 ID:g2X1KMFc
215 選手交代

「もう私プンプンですよっ。2人ともBANです。覚悟してくださいね。」
秋菜を中心に、徐々に♂ローグと♀クルセを取り囲むように動くGM達。
その目に光はないが、動きに隙はない。2人はあっという間に囲まれてしまった。
合わせて♀クルセは♂ローグと背中合わせに構える。
傍目に見れば2人に勝ち目はない。
「さぁ、この悪い子ちゃんたちをBANしちゃいましょうね〜♪」
目を細めてそう言いながら、秋菜は♂ローグ目掛けて斬りかかった。他のGM達もそれを合図に2人に襲い掛かる。


「光だ!♀クルセのグランドクロスだ。行くぞ!」
3人と一騎が速度増加の白い光に包まれる。
加えて、ペコペコに跨った深淵の騎士子にはブレスとイムポシティオマヌスがかけられた。
「悪いな、さすがに全員にブレスはきついみたいだ。頼んだぞ深淵!」
「任せろ。見ていろGMめ、目に物見せてくれる!」
(BDSを放つために)ツヴァイハンダーを逆手に強く握り締め、ペコペコを加速させる。


「覚悟すんのはテメーだクソ女!」
♂ローグは煙草を足元に投げ捨てて叫んだ。そして、そのままその手を握って♀クルセの横腹を殴りつける。
「インティミディト!!」
目標が突然消えたためGM達の動きが止まる。
秋菜も予想外の出来事が続いたせいか、地面にバルムンを振り下ろす格好で呆然としてしまった。
「え…?」
そのため、接近してくる騎兵の影に気づくのが遅れた。
秋菜が視線を移すと、その目にはペコペコの上からBDSの構えに入っている深淵の姿が映った。
「深淵の騎士子さん!?」
あわてて秋菜が構えようとするが、そこへ深淵の騎士子の渾身の一撃が炸裂する。
「喰らえGM!ブランディッシュスピアァ!!」
秋菜を庇うようにGM達も動いたが間に合わず、結果的にGM全員がBDSを受けて吹っ飛んでいく。
そこへ間髪入れずに♀セージ、♂プリースト、♂アーチャーが飛び出してきた。


<♂ローグ、♀クルセ  インティミによりヴァルキリーヘルムのどこかにワープ>
<深淵の騎士子  機動力&攻撃力UP>
<♀セージ、♂プリースト、♂アーチャー  機動力UP、参戦>
211名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/07(日) 00:43:09 ID:g2X1KMFc
ちょっと短いかもしれませんが書いてみました。
GM側の被害は次の方にお任せします。
212名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/07(日) 07:00:25 ID:UFrf1vuk
番外編 祈り

「そろそろ始まるか……」
先ほど"こちら側"にやってきた♂GMが言うには、生き残った参加者は皆打倒GM秋菜のために動いているということだ
傍らの♀プリーストはじっと祈りを捧げていた
「私は死んでしまったけどあの人だけは……あはっまたあの人に笑われてしまいますね、私最初っから最後まで祈ってばかりです」
「祈ることしか出来ないならばそれが無駄だとしても祈り続けるか……」
辺りを見れば似たように目を瞑っている者が少なからず居る
彼らもまたあちらに友と呼べる者を残してきたのだろうか
「祈りの捧げ方などとっくの昔に忘れてしまったのだがな……」
そう呟くと♀剣士は目を閉じた、妹の無事を願って

<♀剣士♀プリースト他多数 祈り状態>
213名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/07(日) 07:04:41 ID:UFrf1vuk
本格的に戦闘に入る前にちょこっと挟んでみた

書いてて思ったこと
なんだかこう生者死者含めるといつ刺されてもおかしくないようなハーレム状態な♂ローグ君の明日はどっちだ!?
214名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/07(日) 13:01:50 ID:XPCT.RLc
>>210
無粋なツッコミで申し訳ないが
> インティミによりヴァルキリーヘルムのどこかにワープ
ヘルムじゃなくてレルム、な?
215210sage :2005/08/07(日) 13:13:54 ID:g2X1KMFc
>>214
ありがとう。攻城戦実装からずっとヘルムだと思ってました。orz
(レスが早すぎるのは偶然ですよっ)
216名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/08(月) 06:54:22 ID:pmY3W5iI
あー、すみません。
ちょいと一言…
まぁ、ラストバトルな訳ですが。

えーと、どのように転がすか非常に悩んでいる俺がいます。
で、重要なのはここからなんですが。
俺一人の知恵ではどうにも進退極まっとります。
他の書き手の皆さんはどうか知りませんが。
ここで、楽に転がすのは簡単かもしれんけど、それはアレだから。
熱意は迸らんばかりなんですが、形がどうにも定まらなくて。

えーと、単刀直入にいうと。
一度、書き手全員集まって、この戦闘をどう転がすか話してみたいな、と。
どうせだったら、最終戦自分も一行と同じく全力突っ込んでみたいので。

もし賛同ならば、レスお願いします。
それでわ。
217名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/08(月) 08:47:10 ID:/59ifF4s
何をどこまで話しあうの?
どちらが勝利するか、とか誰が生き残るか、とか?
でも後者はそれこそ書き手さん次第だしなぁ。
あまり細かく話し合うと読み手さんにとってはネタバレみたいに
なるかもしれないし難しいところ。
218名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/08(月) 12:21:48 ID:Sv2co1jI
外で動いてる女GMとかもどうするんだと思いつつ…
219名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/08(月) 13:18:00 ID:Ldpf0X9U
ROMですが、はじめてEPROMになります(日焼けするぞ〜
投稿型ですから、どういう風に進めるかを決めて書くのではなく、シーンを細かく
区切って書き、それぞれの作者様がこう来たなら次はこうするのが美しいと、次の
1シーンを書くのが正しいのではないでしょうか。
こう追いつめられたから、GMはこう反撃させるべきだ等、全体の美しさではなく、
シーン毎の美しさを優先し、あまりにも外しているのはNGにすると言うやり方が
正しいと思います。
まあ、これまで通りでいかがですかって事なんですが。
220216sage :2005/08/08(月) 15:44:23 ID:BLIziRRg
>>217

んー、具体的にはどうシーンを転がして盛り上げるか、という感じですか。
今、煮詰まっててネタはあるけど流れの枠が出ない、という有様なのです。

自分が考えてた集まりを持つ、というのは
ネタのキャッチボールなどしつつ、
大まかな流れみたいなものを見出せればなぁ、と言った感じのですか。
掴み掛けてるような感触はあるんですが…イメージが出てこなくて。

唯、これやるとリレーで無くなる罠。
しかし、本気で悩んでるのもまた事実な訳で。

>>218

それに関してのネタなら考えてます。
(本編終了後ネタになりますが)
ご心配なく。


>> 219

美しいシーンを書くにも、私はヘボなんで当たり障りのない上
曖昧模糊とした流れのイメージしか沸かなくて…
それとGMがこうしたらこう反応する、というのじゃなくて、
何と言いますか…ラストバトル、と一口に言いましても

この愚人は例えば、花婿と花嫁シリーズみたく、
そのシーンを象徴する何か、と言うのを見出せないと、
何か今ひとつ自分的に納得のいく物が中々かけない人の上
ラストバトル風味で、と一口に言っても霧をつかむ様なイメージしか浮かばず、
どうしようか悶絶しているのです。

導入部とか(♀セージの策にのった流れ)は大丈夫なんですが、
肝心の秋菜の方の性格作りこみが薄いですから、
書いては見ても描写に納得できる深みが出ないと言うか何と言うか。

それから秋菜を単に策に乗っただけで潰すのは忍びないですし、
かといって、変にトンデモネタを付けると
ラストに相応しい重厚感とバトロワらしさが損なわれますし…
板ばさみやら何やらで悩んでるのです。

それで、知恵を借りつつ外枠を作れればなー、と。

自分の答えはこんな所です。
まぁ、しばしじっくり悩んで見ます。
次なる書き手さんの投稿をひたすら待つのも手ですが、受動的なのは好みでないですし。
221216sage :2005/08/08(月) 15:50:37 ID:BLIziRRg
うわ、肝心のとこの返事わすれてた…

>>217

とりあえず、場所はRO上を予定してみようかと。
後、何をどこまで、というのは
ネタや各自の意見交換で、ラストの大枠の流れを考えたい、という所までですか。

あ、でもどっちが勝利かとか生き残りなんかは、文章の先出し優先原理で決定で。
あくまで、ネタを出しあって、どうラストまで運んでいくのか、
というのの大枠&文章イメージの決定を最優先にしたいとおもっちょります。
222名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/08(月) 20:42:14 ID:Vq8D3ZOw
♂ローグって盗作持ってないのかな?
インティミ持ってるなら使っても違和感無いし、巧いところで使ったら面白くなると思ったんだけど…
…♀クルセのGXとか。


もう遅いか…(´・ω・`)
以下、何事も無かった様に(ry
223名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/08(月) 23:48:26 ID:Jakk1NOY
インティミって今思うと激しくルールに抵触していた気が

>理不尽な蝿逃げ、BOT、会場外逃亡を防止するため、内部はテレポ禁止区域

WikiのRuleより
224名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 00:47:08 ID:RF7MHONo
>>223
アマツDやPvPなどのテレポ禁止区域でもインティミは使えた。
アユタヤパッチで使えなくなったがこのスレの時期的にはインティミアリだろう。
225223sage :2005/08/09(火) 01:02:42 ID:3maATUag
実際どうだったかではなくて、バトROワとしてどうかなってね
結果的に要所でしか出てこないかったからよかったけど、2人PTで多用とかしてたら萎えない?
それはそれで「アリ」ってならばそれまでだけど
226名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 02:21:58 ID:bMHXo3o.
>>216
大まかでも書き手同士で先に流れを決めてしまうのはどうかと
先に書いた人に続けて次の人が書く、普通にそれでいいんじゃないかなかと
ラストだからって今まで以上に盛り上げなきゃーと気負う必要はないと思う
ネタがほしいなら前スレだったか前前スレあたりにそういう妄想があったと思うからそこからアレンジしていけば

>>225
まあ結果的にはそうならなかったから『今回は』アリだと思う
でも次回以降は不可能かな。RO内でも修正があったわけですし

そういえば結局5つの青箱は一個も入手されずじまい?
227名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 03:18:37 ID:Yhu1WQmk
インティミ不可なのはフィールドだけで。
秋菜がいる場所は、テレポやポータルを使えるわけだからインティミが使えてもおかしくはないですよね

とこじつけ
228名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 03:50:21 ID:6zHFyDXQ
切り札は多用するもんじゃないぜベイベー
という冗談はともかく
キャラクター的には運悪く禁止区域に飛び込んでしまったら、という危惧があるだろうから
インティミを多用する動機はかなり産まれにくかったと思ったり
作中でもインティミするのはここぞ!という時くらいでしたし

むしろ次回は転移系の禁止を緩和しつつ
GM「ここの空間はとても不安定なのでテレポートやインティミデイトみたいな転移系のスキルを使っちゃうとどこに飛ばされるか判んないぞ♪」
という風に使うか使わざるか葛藤させるのもいいかもしれないと思う俺バイソン
229名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 09:33:24 ID:uXwBA0G6
むしろ次回は銃実装を目論む輩がここに。
アルケミにもマーダーをっ!!
一次職(特に男)にも愛を!!

…さーて、執筆の続きやるかー
230名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 13:33:34 ID:K07rk9dw
>>222
盗作10持ちローグでな、GX10取るとな


反動だけで死ねるんだorz
231名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 13:53:04 ID:JSxxyPys
>>230 イ` 僕も盗作ログ娘が一人いるさ!!
    何故かスキル欄に盗作砂まきとか入ってるドジっ娘だがなっ!!

それは兎も角投下投下…
232名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 13:53:38 ID:JSxxyPys
 宴のはじまり


「秋菜ぁぁぁぁぁぁっ!!」
 裂帛の気合と共に打ち下ろされる剛剣…ツヴァイハンダー。
 しかし、秋菜はいとも簡単にそれを受け止める。
 ぎり、と刃金が鳴る。火花が散る。

「あれあれあれ〜っ…あなたは確かぁ…」
「間抜けにもお前のゲームに乗り、手を汚し、間違いを繰り返してきた愚か者…深淵の騎士、だ」
「へぇ…それで、お馬鹿さんなあなたは、そんなに叫ぶくらい私が嫌いなんですかぁ?」
 鍔迫り合い。けらけらと、おどけた風に秋菜は言う。

「ああ、嫌いだな。愚かさ故に間違いばかり繰り返してきた私と同じくらい」
「自己嫌悪ですかぁ。それなら大人しくBANされてくれません? 面倒くさいの、嫌いなんですよぉ」
 あなたが嫌いなあなたを直ぐに消してあげますからっ、と続ける。
 しかし、騎士は女を睨む。

 バルムンが真横に滑る。
 質量差など無視しているかの様に、あっさり大剣を受け流した秋菜は、流れる様な体捌きで剣を薙ぐ。
 ひゅおん。涼やかな音と共に宙に軌線が走る。
 寸での所で飛び退いたペコがそれが回避できたのは、偏に黒衣の騎士が軽装となった故だった。

「そんなものは願い下げだ」
 言うと、騎上で剣を構えた。

「どうしてです? お互いの為じゃないですか」
 女は腕を引き絞り、バルムンを握る。
 騎士は答えない。何故なら、一瞬の集中の乱れが命取りになる相手だから。
 会話をすれば、僅かとは言え気をとられる。
 油断無く、騎士は女を睨み据える。

「そんな顔しないで下さいよっ。秋菜、困っちゃいます♪」

 ──答えは既に彼女の中にある。
 間違いは過ぎ去るもの。けれど、償わなければならないものでもある。
 かつての誓い。絶対に生き残る事。それが今も彼女が騎士である理由。
 それは、余りにも大きすぎて彼女にいかなる逃避も最早許さない。

 そして、騎士には剣しかない。

「せあっ!!」
 返答は走り込みながらの斬撃で十分。牽制の一撃。
 女は横に飛んで避け、しかし騎士は逃がさない。
 大きくツヴァイハンダーを振り上げ、二撃目のブランデッシュスピアを放とうとする。

 が、そこで気づいた。余りに簡単すぎる、と。

「くっ!?」
 振り上げたままで騎士は手を止め、ペコは飛びずさる。目の前を何かが掠め、飛び去っていく。
 これは…指弾?
 見れば、バルムンを地面に突き刺している秋菜の頭上には衛星の様な球体が、それも十数を越える数くるくると回転していた。
 人にあらざる者…否、それを圧倒する上位者故に可能な離れ業であった。
 くすくすと秋菜は笑っている。
 背後からは、撃ち漏らした瀕死のGMと♀セージ達が交戦する音。
 足止めか。だが、彼らはきっとやってくる。騎士はそう信じる事にした。

「いい勘してますねっ、あのタイミングで避けるなんてっ。じゃあ、次いってみましょうかーっ♪」
 女は、両の手の指で銃を作る。気の蒼白い輝きが指先に集まった。
 焦燥が騎士の背筋を這い登ってくる。

「レックスデヴィーナ♪ あーんどっ、私はキリエ・エレイソンッ…さーあ、ショウ・タイムですよっ」
 騎士には二つの白い指先が、まるで奈落の様な黒い穴に見えた。
 殺意を孕んだ蒼い指先が、真っ直ぐにその技を封じられた騎士を捕らえる。
 その射線上には…騎上にある頭蓋。

「ーーーっ!!」
 楽しげに、楽しげに。
 この箱庭の全ては女の遊び。彼女の掌の上。
 他のGM等、只の道具に過ぎず、彼女に比する者ではない。
 故に、女は美しく笑い、絶対者の余裕を以って宣言する。

 そう。この戦いすらも、女にとっては只のスリリングな遊びでしかない。

「BAーNっ♪」

 ドウッ、ドウッ、ドウッ。

 くぐもった破裂音に、誰よりも早く反応したのは、騎士のペコだった。
 数瞬前まで騎士が居た地面を、秋菜の指先から放たれる蒼白い光球が打ち砕く。
 一発一発の威力は、通常モンク達が放つ五つの球体が込められたそれよりは低いが、
まるで、高レベルのボルトの様に隙間無く指弾が次々と襲い掛かってくる。
 ましてや、この身は完全とはいい難く、一度でも直撃を貰ってしまえば勝負はそこで付いてしまうだろう。
 殺到する球体をあるものはツヴァイハンダーを盾に防ぎ、あるものはペコが回避する。

 だが。この開いた間合いからでは騎士の剣は届かず、かといってこれ以上接近すれば
ペコの回避速度を越えて指弾が殺到する上、彼女の剣は防壁に阻まれる。
 ましてや、乗騎の体力にも限界がある。考えるまでも無い、騎士が圧倒的に不利であった。
 回避し続けるしか手の無い自分と、鉄の防壁と無数の指弾を放つ秋菜。
 今は未だ拮抗している。だが、徐々に体力を奪われ、傷を増やされれば──

「くっ!? ──あぐっ!!」
 しまった。そう思う暇も無く、騎士は、片腕がはじけ飛ぶかの様な痛みと激しい衝撃を覚えた。
 姿勢が崩れたその一瞬に、何発かの指弾が頬を、足を掠めていく。
 視界が、傾ぐ。見れば、打ち抜かれた彼女の片腕は、その半ばからまるで襤褸切れの様にズタズタに引き裂かれていて。
 ──これでは、もう、この腕で剣は握れまい。
 意識が、一瞬霧散する。気力が根こそぎ消えていく。
 だが、それ程までの痛み故に、走る熱と痛みがギリギリのところで騎士の意識を繋ぎ止めていた。

 何があろうと後続が遣ってくるまでは、なんとしても持ちこたえなければならない。
 自分一人でどうにかなる相手ではないし、もとよりそんな積りもない。
 戦いは未だ始まってさえいないのだ。

「あはぁ。外しちゃいましたっ♪ いけませんねー」
「ぐっ…う」
「痛いですかー? 苦しいですかー? でも、まだ倒れちゃいけませんよっ」
 詠うように──それは異形の歌だ──秋菜は言う。
 地面に刺していたバルムンを再び執り、言う。

「パーティーはまだまだ始まったばかり…だから、まだまだ私を楽しませてくださいねっ」
「……」
 女の言葉は明らかな挑発。
 その貌から余裕は消えない。

「あーあっ、もう本当に可哀相っ。そんなにボロボロで、それに一度私に倒されたのに、もう一度殺されちゃうなんてっ。
 みーんな貴方が駄目なのよっ、もー駄目駄目ですっ。
 さっさと秋菜にBANされてくれないと…♂シーフ君や、アラームちゃんが草葉の陰で泣いちゃいますよっ」
「……」

 騎士は最早怒らない。
 罪があると言うのなら、只墓場までそれを伴侶とするだけだ。
 ペコは嘶き、彼女は手綱をボロボロの片手に縛り付けた。
 激しい痛みが脳を焼くけれど、今は無視する。
 騎上ならば、片腕でも十分な威力が期待できるだろう。
 その目の闘志は萎えない。

「ならば、目を開き良く見ておく事だな」
「どうするつもりですっ?」
「私は、確かにお前が思う通りの罪人なのかもしれない。
 ──だがな。私の罪を購うのは、決して貴様ではありえない。
 それに、判るまい。私は、いや私達は…貴様が思っているよりも遥かに、強いぞ?」

 騎士は、言う。
 死ぬ積りは無いし、この期に及んでの自己犠牲も真っ平だ。
 (何故なら、それは生を諦める事だから。誓いとは真っ向から相反する)
 そして、誓いとは『果たされなければならないもの』だ。

 やれやれ、と女は肩を竦めてみせる。
 聞き分けの無い子供に言うような声音で、ゆっくりと言葉を編む。

「現実が見えない人って、可哀相ですねぇ」
「それはお前だろう」
「どうぞお好きに? 説得力に欠けますけどねっ」
 秋菜は、笑う。騎士は、睨む。
 否定と肯定。何処までも相反し、交わる事は無い。

「──さぁ、始めましょうよっ。こんな楽しい結末はこの秋菜と言えども始めてなんですからねっ」

 そう、宴は未だ始まったばかり。

<秋菜 戦闘開始 BDSによる被害は軽微>
<深淵の騎士子 戦闘開始 指弾により片腕に重症 レックスディヴィーナでスキル使用不能>
233名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 13:54:33 ID:W8jYcVUE
>>222
>>230
是非盗作GXで♀ローグか♂BSを倒したかったんだが(どちらも聖属性有効)
♀クルセと♂ローグが離れ過ぎてていい展開が思い付かなんだ……orz

まあ書いたら間違いなくクルセ姉さん殺してたからいいか。クルセ姉さんラヴ!
234名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 13:57:54 ID:JSxxyPys
ナンバリング忘れorz
216で。

後、>>217-219&>>226諸氏。
結局はこんな感じに落ち着きました。
とりあえず、秋菜の凶悪さと一行の基本姿勢が示せてれば幸いっす。
続きを心待ちにしつつ、カードの複線回収案とか、戦闘後の色々とか考えます。

そいでわ、続きおながいします。
235名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/09(火) 15:15:19 ID:qXNFZ4pc
ヴァルキリーレルムのどこかに没収された各々の装備品があれば
戦闘の幅が広がると思うのですがいかがでしょうか?
クルセの盾スキルが封印状態なのが少し寂しいと感じた読み手専門です。
♀剣士の剣を取って戦う♀クルセなど勝手に妄想してました。
236名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 16:21:31 ID:MbDobEJY
GXの反動?
そんな物、♀クルセによる愛のプロヴィデンスで何とか…


…っていうか軽減できたよな?
237名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/09(火) 20:19:46 ID:bMHXo3o.
>>229
銃を武器として入れるなら
*銃奇兵の銃
 火縄銃。遠距離から攻撃可能だけどリロード時間長い。ある意味ハズレ
*マスケット銃
 クルーザーが持ってるアレ。当たりの部類?
って感じになるかな?少なくともイングラムとか入れるのは何か違うと思う…
あと、次回は装備制限とかも拘らないほうがいいなぁ
聖職者が短剣でマーダーになるとか一生懸命使い慣れない弓を使う剣士とか見たいかも
238名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/10(水) 00:52:23 ID:bpBlGdio
僕も僕もっ、て訳で、次回があるなら、特別枠を大幅に削って
カプラさんsとかクホルダーとか初期面子に加えたい…
今回、特別枠が多すぎた感は否めないですし。
人数的には、やっぱ50〜60くらいが一番安定するっぽいですか。

差別化を図るため、次書き手するなら出来るだけドロドロの書きたいなー
バグダラのマリア(罪深き娼婦)とか、耳に吹く風とか、グラリスさん萌えとか、
グラリスさん燃えとか、クホ暴走?とか、出会った職が信じられなくて…とか、
織田的人物出番です!!とか、今回の職イメージとは正反対とか…ネタは尽きない。

つか、グラリスさん萌えですよ萌え。
なんか知らんが、オネェっぽくて好きだっ。
カプラさんの性格掘り下げという前人未踏の領域を踏み越えたいっ!!

(閑話休題)

それはともかく。
ま、まぁ。一番の問題は、コンスタントな速度維持できる書き手さんを
どれだけ集められるか、なんですが。

少なくとも、十人くらいは書き手がほしいぞなもし…
内、週末とかを使って最低一週間おきにupする人が半分は欲しい…
今回自分はハッスルしたつもりですが、
さすがに次回まではこの速度は維持できそうもないですし…ゲフッ。

…次回への妄想で、次の話upまで雑談つながるといいなぁ。
後、個人的には川の向こうsのお話も書きたいなぁ…

長文しつれい。でわ。
239名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/10(水) 01:39:26 ID:WeFiRxlc
弓手は目を閉じ、ゆっくりと精神を集中させる。

弓を扱う者は決して心を乱してはならない。
どんな技術を持っていようと、射る者の気持ちに迷いがある限り、放たれる矢が目標に当たることは決して無い。
それは空しく空を切るのみに終わる。


目蓋の裏に彼は"最期の笑顔"を思い出していた。
彼は幸いにもこの狂ったゲームに巻き込まれながら、殺し合いに巻き込まれたのは数える程であった。

しかし、本来なら彼は最初のそれで死ぬはずだった。
理由は単純明快。
彼はその時強大な敵に対峙し、そしてとるべき行動を誤った。

戦場に於いて、判断力の欠如は死を意味する。
だが彼は死ななかった。
彼の死を、彼の大事な仲間が庇って、代わりに死んでいったから…。


『あんな過ち二度と繰り返してたまるか! 例え敵わなくても最後まで戦い抜いてやる!』

今一度、心に誓う。
そして

『俺達のこと見守っていてくれ!!』


既に火蓋が切って落とされた最後の戦いを前に、短い瞑想を終え目を開けようとしていた、その刹那

『アチャ君しっかりやりぃよ、またぼーっとしてたら承知せぇへんでっ』


「喰らえGM!ブランディッシュスピアァ!!」
それは、とある古城にて最も恐れられている誇り高き女騎兵――深淵の騎士子から放たれる必殺の一撃であると共に、
自分達の参戦への合図であった。

彼は矢筒から銀矢を二本取り出すと、それを強く握りしめゆっくりと弓に番える。

「「「行くぞ!!」」」

三人のかけ声が重なる。


彼に宿る信念の矢に、最早貫けぬものなど無い。


<♂アーチャー IA+集中力向上、初撃は秋菜へのDSを狙っている>
240名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/10(水) 02:17:38 ID:WeFiRxlc
>>210の終わりで飛び出してくる直前の♂アーチャーです。

なんか生き残った中で彼が一番印象薄かったので。
♀ケミの声は紛れも無い幻聴ですが、彼女もあちら側で祈っていることでしょう。

ところでバドスケの持ち物に「アリスの大小青箱」ってありますが、
開けないまま終わるのが不自然に思い、以下の文章を提案してみます。

―――

…不機嫌の極みといった顔の♂プリーストに頭を下げたのだった。
その時視界に入った自分の鞄を見て、バドスケは大事なことを思い出した。
急いで鞄からそれらを取り出し、最後の戦いを控えた仲間達に力いっぱい放り投げる。

「すっかり忘れてたぜ!使ってくれ!」

一同が飛んでくる2つの物体に気をとられているうちに、バドスケと黒馬はあっという間に見えなくなった。

――― (>>192のラストに付け加えです)

このまま時計塔に持っていくよりも、最終決戦に持って行ったほうが展開の幅が広がったり、
伏線にもなるかなぁって。

スレが混乱するようでしたら、さっくりNGにして>>240をあぼーんしてください。
241名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/10(水) 08:20:34 ID:bpBlGdio
ありがとう…展開考えてたら夜も寝られず脳みそ破裂しそうで。orz
新ネタになりそうなのは本当に助かります…

これで、もしもの時の為に考えてる独自案のGM-♀セージ戦闘は前倒しに出来る…かな。
ラストバトルって縛りが辛くて大変です…
ま、がんばって進めますけどねっ。
242名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/10(水) 13:48:59 ID:Y4Up44/2
便乗して。
私は♀アーチャー、♀騎士、♂アルケミですね。

このスレを見始めたのは♀騎士がDOP化する前あたりだったんですが、
そのころから♀騎士・♂アルケミが好きで出てくると「おお!!」なんて思いながら読んでました。
♂ケミが最初のころのコイントスでマーダー側になっていたら、寿命はもっと短かったんだろうなぁ。
あの「お父さん、お母さん」から始まる語りもよかった。
♀アーチャーは性格が好きで、♂ローグと行動をともにしてるころが一番よかったかなぁ〜。

もう三人とも死んじゃって、月日がたつのも早いもんだなぁなんて思ったり。
243名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/10(水) 16:58:13 ID:Mt6G0hQw
なんか頑張ってる一人か二人の人以外は
今までの書き手の人たちも傍観者モードなのかしら。
244名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/10(水) 23:35:10 ID:B8XNeAdo
あれ、アリスの箱は意外に盲点だったのかな?
自分の案が賛同されるというのは嬉しいものですね。
私はしばらくスレ覗けないので頑張ってください、大きなDIO様。
245名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/11(木) 03:24:31 ID:nidhOtig
時計塔の鐘


黒馬にまたがり一路北へと疾走するバドスケ。
彼は思った。

「めっちゃこえーーーーーーーーーーー!!」

速度増加の加わった黒馬、それも深淵の騎士子の乗馬である。
その身に宿した魔の力、それを余すところなく存分に振るって一直線に駆け抜ける。
もちろんバドスケもこんな速度感じた事も無い。
真正面以外は景色が早すぎてまともに見えないのだ。
「あ、あの野郎……こういう手で仕返しにくるか普通ーーー!!」
もちろん深淵の騎士子に他意は無い。たまたまそうなっただけなのだが、これはそんな愚痴もこぼれる程の恐怖であった。
あっという間にアルデバラン南まで辿り着く黒馬とバドスケ。
そこまで来ると、流石に速度増加の効果は切れるが、やはりそれでも恐ろしいまでに速い。
ふと、バドスケは疑問に思った事がある。
「こんなに速ぇのに、なんだって深淵が乗るとこの馬のろのろ動いてやがるんだ?」
数秒考える。
「……もしかしてあの鎧が重いのか?」
黒馬が嘶いて反応した。
大した理由は無いが、バドスケは黒馬が『そうだ』と答えた気がした。

アルデバランに侵入するなり、即座に敵のお出迎えがあった。
「ソルジャーガーディアン!? なんだってこんなのが……っだー! ぞろぞろいやがる!」
アルデバラン南から時計塔に至るまでの一直線の通路に三体、そして、それ以外の場所にもうようよと居るようだ。
しかし、黒馬はそれが見えないとでもいわんばかりにまっすぐに突っ込む。
迂回も考えた、だがバドスケはこいつを信じる事にした。
きっとそれが正解であろう。この黒馬はGHでも一二を争う凄腕、深淵の乗馬なのだから。
そいつが行けると踏んだのなら、文句を言う気は無い。
「くそったれ! 構う事ぁねえから突っ込みやがれ! 俺の命はお前に預けたっ!」
「ぶひひーん」
なんとなくだが『お前そもそも生きて無いだろ』と言われた気がした。


ヴァルキリーレルム内部の部屋に警報が鳴る。
その音を聞くべき人物は、血溜まりの中に倒れ伏し、既にその呼吸を止めていた。
無機質に、警報は鳴り続ける。
それを止める人間はその場には誰も居なかった。


ソルジャーガーディアンは、その巨体を使って黒馬の進路を塞ぎつつ、正面から斬りかかる。
それを黒馬は急に斜め前方に移動する事でかわし、ソルジャーガーディアンの側面を駆け抜ける。
即座に彼方から矢が降り注いで来る。
そちらを見る余裕は無いが、おそらくアーチャーガーディアンも居るのであろう。
黒馬は当たらないと決めつけて走り続ける。
バドスケはその背にしがみつくので精一杯だ。
二体目のソルジャーガーディアンは、姿勢を低くして、剣を横薙ぎに振るう。
黒馬はそれを信じられない脚力で飛び越えて見せるが、最初にかわしたソルジャーガーディアンが既に戻ってきていた。
後ろから駆け寄りざまに剣を振りかぶる。
真後ろで為されているそれをまるで見えているかのように、黒馬は二体目のソルジャーガーディアンの後ろに走り込む。
一体目のソルジャーガーディアンは二体目のそれが邪魔で剣を振るえない。
そして二体目は、真後ろに位置されているので、同じく剣を振るえない。
数秒のタイムラグ。黒馬にはそれで充分であった。
一気に二体を振り切り、時計塔を目指す。
ソルジャーガーディアンに当たる心配が無くなったアーチャーガーディアンはここぞとばかりに矢を射かける。
数本がまともに黒馬に突き刺さるが、黒馬はまるで意に介さず走り続ける。
三体目のソルジャーガーディアン。
黒馬を手強い敵と認識したのか、慎重に、そして確実に仕留めるべく剣を構え、そしてその剣を突きだした。
正面ど真ん中への突き。これをかわしたとしても即座に右にも左にも剣を振るう事が出来る。
当たりさえすれば、足を止める事も出来る。
後はアーチャーガーディアンの矢で矢襖だ。
そしてそれを読み切った黒馬は、突き出された剣を飛び越してかわす。
剣を横に振る間も与えずに、その剣を蹴って更に高く飛び上がる黒馬。
「マジかお前ーーーーーー!!」
バドスケの悲鳴を無視してソルジャーガーディアンの頭頂を蹴ってその上に飛び上がる。
既に落ちたら無事では済まない高さだ。
そしてそれ以上に危険な物体が眼前にそびえ立っていた。
「ばっきゃろーーーー! 時計塔に突っ込む気かーーーーー!!」
その速度から考えるに、激突時の衝撃は黒馬とバドスケに致命傷を与えるに充分と思われた。
黒馬は最後の仕上げとばかりに体を捻る。
僅かな乱れも許されない、ギリギリの勝負。
黒馬はその一発勝負を見事決めてみせた。

「おわーーーーーー!!」

空中で黒馬が身をよじったせいで、その背から放り出され宙を舞うバドスケ。
その体は吸い込まれるように時計塔2Fの窓に飛び込み、それを見た黒馬は満足気な笑みを見せた。
少なくともバドスケには、そう見えたのだった。
その後、黒馬がどうなったのかバドスケにはわからない。
大きな激突音、そしてその後どうなったかは予想する気も起きなかった。
時計塔内部の床を転がりまわるバドスケは壁に激突してようやく止まれた。
体中がばらばらになりそうな衝撃に、さしものバドスケも意識を失いそうになるが、全身に力を込めてそれを堪える。
そしてすぐに立ち上がると、最上階目指して走り出した。
黒馬は最後に『行ってこい。次はお前が走る番だ』そう言った気がしたから。


以前に公爵が言っていた。
ただ単に時計を動かすだけなら、ここまで巨大な装置は必要ではない。
この時計塔はそれ以外の目的があって建造されたのだと。
そして訊ねた。
時計に時を刻む以外の目的を持たせるとしたら、どんな目的があると思う?
バドスケはいくら考えてもわからなかったが、アラームは簡単に答えた。
よりたくさんの人に時を知らせる事。
公爵は嬉しそうに言った。
このミドガッツ全ての人に時を知らせる。それがこの時計塔の役割だと。
例え地の底、空の彼方に居ようとも、時計塔の鐘の音は万人に等しく鳴り響く。


時計塔はかつて知ったる古巣だ。
階段、針、振り子を伝って最短距離で最上階を目指す。
途中、窓の外に不可解な物を見つけた。
それは視界の遙か彼方、そこに光が見えたのだ。
その光は少しづつ広がっているようにも見えたが、より優先させるべき事の為にバドスケは走った。
時間が無いのだ。
3Fを抜け、本来なら番人の守っているであろう4Fの扉を迂回して、時計塔の住人しか知らない入り口から4Fに入る。
中心部に辿り着いたバドスケはその更に奥へと進む。
246名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/11(木) 03:25:02 ID:nidhOtig
「秋菜、何をしてるんだい?」
♂GMが時計塔の最上階にて不思議そうに秋菜を見る。
「この鐘の音が、聞こえないようにしてるのよ」
「何故? 君はあんなにこの鐘の音が好きだったのに」
秋菜はいきなり癇癪を起こしたように喚き散らす。
「うるさいわねっ! だから気に入らないのよっ!」
鐘の音を聞く度に、世間知らずで愚か者だった頃の自分を思いだし、言いようの無い不快感に包まれる。
♂GMは何も言わなかった。
苦労しながら、この世界に鐘の音が鳴らないように機器をいじくる秋菜。
時計塔ごと壊してしまえばいいのに、秋菜はムキになって鐘の音を消そうとしている。
何度も失敗しては悪態を付きながら、作業を再開する。
♂GMはそんな秋菜を放っておいて、外の景色を見る。
そこから見えるミドガッツは何処か霞んで見えて、自分がとても不安定な土台の上に立っているかのように思えた。
不安になって秋菜を見る。
すると、遂に彼女は目的を果たし、得意気に♂GMを見て鼻を鳴らしていた。
そんな彼女をとても愛おしいと♂GMは思ったのだ。


時計塔最上階最深部、その場所の意味は公爵に教わったが、決してみだりに触れてはならないとも言われた。
「そうは言っても非常事態だ。勘弁してくれよな」
慣れない手つきで機器を操作し、最大ボリュームにセットする。
「世界の果てまで……か。それ以上まで届くかどーかはしらねえが……」
大きく息を吸って、スイッチを入れるバドスケ。
「やってみるさ!」
時計塔が振動する。
無数にある歯車が動き出し、その一つ一つがそれぞれの役割を果たし始める。
最後の部品、時計塔の鐘が少しづつ、少しづつ揺れだした。


ヒャックは♀GMに食事を勧める。
「少し休んだ方がいい。これ以上は体に触るよ」
♀GMは首を横に振って作業を続ける。
とにもかくにもエミュ鯖の位置を特定出来なければ何のアクションも起こせない。
♀GMは不眠不休でそれを探し続けていたのだが、手がかりすら無い現状ではそれこそ雲を掴むような話だ。
ヒャックは肩をすくめる。
「わかった。ここからは僕が作業を引き継ぐよ。だからその間は少し休んで……」
ふと、何かの気配を感じて動きが止まるヒャック。
「すみません、では……ん? どうしました?」
突然何かに取憑かれたかのように機器をいじくりだすヒャック。
「ここだ! 座標が出た!」
一定の波長で、確かにその場所から何かが発せられていたのだ。


「ちくしょう! なんで鐘が鳴らねえんだよ!」
バドスケは機器をめちゃくちゃにいじるが、鐘は鳴らない。
動いてはいるのだ。だが、肝心の鐘の音は全く聞こえてこない。
「ふざけんな! ここまで来て……ちくしょう!」
『……誰か……居るのですか? ……応答……』
中空から声が聞こえてくるが、バドスケは怒鳴り返す。
「うっせえ! 声じゃねえよ! 俺は鐘の音が聞きてえんだ!」
『生存者っ!? 人が居るのですか!』
「だからてめえになんざ用は……」
我に返るバドスケ。
「……マジでどっかに繋がったのか?」
『お願いします! 生存者がいらっしゃるなら応答してください!』
「おい! お前本当に外の奴か!? 俺はバドスケだ! お前俺達をこっから出せるのか!」
『やってみます! 他の生存者の方はいらっしゃいますか!? ……ああ、なんでこんなに信号が弱いの……』
「ばっかやろう! 俺なんてどうでもいい! 他の連中を助けてやってくれ!」
♀GMからの言葉は既に雑音にしか聞こえない程、小さく、弱々しい物になっていた。
しかしバドスケは声を限りに叫んだ。

「♂ローグは最後の最後までアラームを守ってくれてた! ガラは悪いけど、すんげー良い奴だ!」
『俺はさ』
「♀セージはめっちゃくちゃ頭が良い! あいつは元の世界に戻ったらぜってーすんげー学者になるぜ!」
『姐さんと違って』
「♀クルセは♂ローグがぶっ倒れたら、いつまでも側に居てやるような優しい子なんだ!」
『アンデッド歴長いからさ』
「♂アーチャーは一次職なのにここまで生き残ったタフガイだ! あいつなら最高のハンターになれるに違いないぜ!」
『自分の限界はわかるんだよな』
「♂プリーストは絶対許せないはずの俺を赦してくれた! あいつぐらい聖職者らしい聖職者、俺は見たこと無い!」
『だからさ』
「深淵は……最高の奴だ! 強くて優しい! 最高のモンスターなんだ!」
自分の体が崩れていく。
それを自覚してるにも関わらず、バドスケはそれ以上にやらなければならない事の為に、最後の力を振り絞った。
「あいつらみんな良い奴なんだよ! すげー奴なんだよ! 頼むからあいつら助けてやってくれよ!」
立っていられなくなり、しゃがみこんでもバドスケは叫ぶのを止めない。
「俺なんざゴミ屑だ。それでもあいつらは……格好良いあいつらは……生きてなきゃなんないんだよ……あいつらが死ぬなんてあっちゃなんねえんだ」
想いがうまく言葉にならない。
詩人が聞いて呆れる。そう思った頃にはバドスケは最早言葉を紡ぐ事が出来なくなっていた。
『情けない詩人だよな……もっと気の効いた言葉の一つも言えってんだ……』
視界の片隅に、外が見える。
時計塔最深部中央、なのに外が見える構造になってる事を不思議に思う以上に、その先に見えた光が気になった。
『……アラーム。今、そっち行くぜ……』
光は速度を増してバドスケに近づいてくる。
バドスケからは見えなかったが、光はルイーナ砦を包み込んだ瞬間にその速度を増したのだ。
そうして光はアルデバラン、そして時計塔を包み、その領域を広げていった。


ヒャックは座標確定後、忙しなく動いていたが、突然真っ青になって♀GMを呼ぶ。
「どうしました?」
「あの世界が縮んでいる。これは……中で何が起っているんだ?」
「秋菜が何かを? しかし彼女はまだあの中に居ます。まさか世界をどうこうしようなんて……」
「ただでさえ不安定な世界なんだ。あそこで下手なきっかけなんか与えたらすぐに世界全体に影響を及ぼすぞ」
「エミュ鯖とはいえ、最低限の世界維持機能はありますから、いきなり世界が壊れるという事は無いと思いますが、時間はあまり無さそうですね。内部の座標特定に全力を注ぎます」
そう言って♀GMも作業に戻る。
だが、ヒャックは最悪の事態を予想した。
「そもそも、あれだけ大きな世界で目印も無い数人の人間を見つけるなんて不可能だ。秋菜のパスコードが無い限り直接のアクセスも出来ない。これじゃあ……誰も、助けられない……」


<バドスケ 死亡 現在位置/時計塔 所持品:アラーム仮面 山程の食料 深淵の黒馬(死亡) 備考:特別枠、首輪無し>
<♀GM 現在位置/外の世界 エミュ鯖の位置特定なるも鯖内部への侵入不可>
<ヒャックたん 現在位置/外の世界 エミュ鯖の位置特定なるも鯖内部への侵入不可>
247名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/12(金) 01:00:31 ID:9RvjCoAU
219 力対知恵と工夫と下準備


♂アーチャーはDSを秋菜に放つ。
秋菜は苦しそうな顔をする深淵を横目に見ながら、その矢をよけようとして、すぐに止める。
『鋭いっ!?』
空いた手でその矢を二本とも空中で掴み取る秋菜。
矢の先端は秋菜の眼前、数ミリの所で止まっていた。
すぐさま深淵がベコごと踏み込んで剣を振り下ろすが、それを身のこなしだけで簡単にかわす秋菜。
ふと、頬に何かが伝う感覚を覚えた。
戦闘中なので手で確認する事も出来ない秋菜は、舌でぺろっとなめてみる。
鉄の味がした。どうやらさっきの矢は僅かに止め損ねたらしい。
『苔の一念とは良く言ったものね……』

深淵の騎士子の剣を受け止めながら、秋菜は悩んでいた。
深淵とこうして遊んでいるのも悪くないが、ほっとくと他のGMが危険であるようだ。
それで秋菜がどうこうなるとは思わないが、結局最後は自分で全員斬り倒しましたではあまりに芸が無い。
自分が完全に後ろに下がって、前衛GMをフル支援すれば勝利は疑いようも無いが、それもそれで興ざめである。
せっかく色々手配して手に入れたGM達を、こんな簡単に手放すのも惜しい気がする。
『うまい事全員捕まえられれば一番なのよね〜。となると……』
捕まえた時、一番面倒そうな相手を選ぶ。
『知恵袋はやっぱり♀セージちゃんよねっ。この子が無惨に殺されれば他の子も逆らう気、無くなるかな? 彼女抜きなら逆らっても大して恐く無いし♪』
首輪外しは秋菜にとっても驚きであった。
参加者がこの世界にある物だけでこの首輪を、秋菜に知られる事無く外したというのは、もちろん前例が無い。
『今回はテストケースとしても最高の出来みたい♪ うん、んじゃーそのお礼も兼ねて♀セージちゃんに狙いを絞りましょ♪』
秋菜は深淵の剣を力押しに押しきり、僅かに距離の空いた所で、ユピテルサンダーを放つ。
両腕を交差して、その雷の塊を受け止める深淵の騎士子だったが、魔力の勢いに押されてベコごと大きく後ろに下がる。
そうして出来た秋菜と深淵の間に他のGMが割って入る。
即座に秋菜から指示が入り、全GMは秋菜を中心に陣形を組み直す。
同時に秋菜から飛ぶヒールと各種支援魔法。
もちろん♀セージ達も手をこまねいていた訳ではないが、GM達のポテンシャルの高さにどうしても押し切れ無かったのだ。
秋菜の動きがあった瞬間に、♀セージが指示を出し、捨て身の集中攻撃に切り替えたのだが、それで倒せたのは二人までであった。
「ほんとにも〜。♀セージちゃん勘良すぎっ♪ 二人もヤられるなんて秋菜びっくりよ〜」
♀セージはあっさりと決断を下す。
「引くぞ」
恨み重なる秋菜を前に引くのは断腸の思いだが、深淵の騎士子も♂プリーストも♂アーチャーも素直に従う。
♂プリーストが速度増加をかけなおして、次の仕掛けまで一度引こうとした矢先、それは来た。
秋菜が、GM達の隙間をかいくぐって単身で飛び込んできたのだ。
他GMは動く気配は無い。
引くか挑むか。全員の反応が僅かに遅れた。
駆け寄りながら剣を振るう深淵の騎士子の剣を、髪の毛一本の差で見切ってかわし、♂アーチャーが放った矢をバルムンで受け流す。
♀セージは秋菜の背後にファイアーウォールを立てる。
何のつもりかは知らないが、このチャンスを逃す気は無い。
しかし、秋菜は下がる気などハナから無かったのだ。
他の連中には目もくれずに♀セージ目がけて走る秋菜。
ぎりぎりで秋菜の狙いに気付く♀セージ。
「皆引け! 私の事は構わず……」
秋菜は剣を振り上げ、♀セージに振り下ろさんとし、♀セージはその剣筋を見切るべく秋菜の動きに集中する。
「ふぇーいんと♪」
秋菜は右手に持った剣を振り下ろす事はせず、左手で♀セージの腕を掴もうとした。
♂プリーストは、秋菜の攻撃のタイミングに合わせて♀セージを突き飛ばす。
秋菜は言った。
「いんてぃみでいとー!」
戦場から消えたのは秋菜と♂プリーストの二人であった。


秋菜と♂プリーストが消えた中庭、二人が消えるなりGM達が動き出した。
判断に迷う深淵の騎士子と♂アーチャーに♀セージが一喝する。
「例の場所に引く! 急げ!」
三人は砦入り口に向かって走り出す。
それを追うGM8人。どちらにも速度増加がかかっているので、差はほとんどつかない。
一人深淵の騎士子だけがベコに乗っていたので、どんどん差を広げ、門側の城壁の所に先に辿り着く。
目の前にあると、その巨大さは特に際だって感じられた。
「ふんっ!」
気合い一閃、巨大な門扉と城壁との境目に一撃を加えると、その部分がひしゃげ、門扉が微かに傾く。
深淵の騎士子は一度上を見た後、満足気に肯くと、すぐさま♀セージ達と合流する。
駆け寄ってきた深淵の騎士子に、♀セージは笑みを見せ、門扉のすぐ前に立つ。
♂アーチャーは不安そうに♀セージに言う。
「おい、本当に大丈夫なんだろうな?」
「もちろん」
いざ傾いた巨大な門扉の前に立つと、流石に恐ろしいのか深淵の騎士子も不安そうだ。
「これで間違えましたとかぬかしたら許さんぞ貴様」
「その時は三人揃って潰れている。文句はあの世とやらで聞くとしよう」
GM達が殺到する。
♀セージはファイアーボルトを唱えた。
炎の矢は、門扉上端にいつの間にか結んであった鎖を支えていたもう一方の壁面を崩す。
鎖がその限界を遙かに超える重量を支えていた事もあって、壁面は勢いよく弾け飛んだ。
深淵の騎士子の一撃で本来は倒れるはずであった門扉は、この時、このたった一本の鎖だけで支えられていたのだ。
唸るような音と共に10メートル弱の巨大な門扉が倒れ込んできた。
門扉下端を軸に、四分の一回転ほどした所で、完全に安定を失った門扉は、傾くにつれてその速度を増し、膨大な質量と共にGM達に襲いかかった。
5人がかわす間も無く押しつぶされた。
残る3人は位置の関係もあって、なんとか難をしのいだが、直後に襲ってきた土煙によって視界を遮られ、行動を制限される。
そして土煙が落ち着いた頃、♀セージ達が居たはずの場所を見たGMは、彼女達が既に去った後である事を知り、その追跡に移った。


「し、心臓に悪いぞ!」
深淵の騎士子はまだばくばく言っている胸を押さえながら♀セージに文句を言う。
「お、俺当分は門の側に行けそうにない……」
♂アーチャーも青白い顔をしている。
♀セージが計算により導き出した場所には、門扉は決して当たらない。
それを当てにして、その超至近距離であの巨大な門扉が半回転した挙げ句、派手な音を立ててぶっ倒れるのを間近にて見るハメになっていたのだ。
周到な準備を要する門扉倒しの策を、最大限に活用するにはどうしても囮が不可欠。それも囮はなるたけ門扉の側に居る事が望ましい。
大丈夫と言った♀セージを信用してはいたが、改めて眼前でこれを行われると流石に震えが来る。
だが、♀セージはすぐに二人に移動を促す。
♂プリーストの去就が気になるのは深淵の騎士子も♂アーチャーも同じなので、即座に同意した。
『……手遅れ……か? それでも私はっ!』
秋菜と二人で何処に現われようと、あの秋菜相手ではほんの数分も持ち堪えられないであろう。
♀セージの判断はそう言っていた。
それでも♀セージは行く事にしたのだ。
自分では意識していなかったが、その表情はかつて♀セージを救いに燃えさかる屋敷に飛び込んだ、♀ウィズのそれに酷似していたのだった。


♂アーチャーは二人と別れて目的の場所へ向かった。
まだ敵GMも残っていて危険は伴う。しかし♂アーチャーがそこへ向かうのを♀セージは止めたりはしなかった。
信頼の証か、はたまたそれ以外かはよくわからない。
それでも、♂アーチャーが考えた事を♀セージが認めてくれたのが嬉しかった。
城壁上を身をかがめて目立たないようにしながら走り、目的の場所に着くと、それはあった。
城壁外へと向けられたそれを、♂アーチャーは苦労して中へと向ける。
今まで一度も扱った事が無いので、正直に言うとうまく使えるかどうかあまり自信が無かったが、泣き言言ってる余裕も無ければ、言う気も無い。
「見てろよ秋菜! 絶対一泡吹かせてやるからな!」


<深遠の騎士子 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:首輪無し>
<♀セージ 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/垂れ猫 プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)、筆談用ノート 備考:首輪無し>

<♂アーチャー 現在位置/ヴァルキリーレルム内部の城壁側のとある場所 所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個 備考:首輪無し>

<♂プリースト 現在位置/ヴァルキリーレルム インティミにより秋菜と何処かへ 所持品/チェイン、へこんだ鍋、♂ケミの鞄(ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100 注:HP回復系ハーブ類は既に相当数使用済) 首輪無し>
<GM秋菜 現在位置/ヴァルキリーレルム インティミにより♂プリと共に何処かへ>
248名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/12(金) 01:19:23 ID:9RvjCoAU
話数はこれであってるかな?
インティミが話題に上っておきながら、即座に使うのどーよ?
とかあるけど、こういうのも良いかなって思ってやってみました

それと>>239さん、よろしければタイトルをいただきたく……

最終決戦ですが……どうだろ、ネタ合わせは激しくしたい気もするけど
それやってもーたらイカン気もする
ぶっちゃけた話、一番ラスト、秋菜とのケリとかエピローグの所を是非書きたいっ! って思ってるの書き手のみんなじゃないかなとw
もちろん私もそーですしね
ほら、ここまで付き合った物語のラストじゃないですか、それはみんなそれぞれに思い思いのラストがあると思うのですよ
それをどうやって調整するか、どうやってそんな中でこの物語を完結させるか

今の状態でリレーを繰り返すのも手だとは思います
最後までこのスタイルで完結しましたってのも意味があると思うしね

これがベストって手段は今の所私は思いついてません
けど、よりベターって意味では、今のやり方も悪い手だとは思いませんです
249名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/12(金) 12:02:04 ID:6ZNf8frI
俺の場合は、最終戦を盛り上げる方法が思いつかなかったから
打ち合わせをやろう、なんて言ったのさダディ。

それはともかく投下投下。
250名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/12(金) 12:03:34 ID:6ZNf8frI
 219のanother
 
 行く者、残る者

 近くて、遠い。
 軽く嘆息を吐きながら、♀セージは思う。
 前方には、GMが数体。動ける事が不思議とさえ思える手傷を負っているが、その手に握ったバルムンは飾りではない。
 その更に向こうには、深淵の騎士。先行した彼女は、秋菜と戦闘を繰り広げている。
 だが──どの程度持つか。怜悧な瞳を細める。
 ♀セージは、少し考える。考えながらも♂ローグに渡されたスティレットを振った。
 降り注ぐ火矢が、一人のGMを焼く。断末魔。

「せいっ!! クソッタレ、とっとと召されろってんだ!!」
 幾本かの銀の矢が突き立ったGMを、悪態を付きながら♂プリーストが殴り倒す。
 ボロボロの頭蓋が今度こそ、見事に陥没したそれは、悲鳴も無く地面に倒れ伏した。
 その瞬間、GMと一心同体だとでも言うのか、手にした神剣は砂の様に崩れて消える。

 ──どうすべきか。セージには二つの選択肢があった。
 深淵の騎士にこのまま秋菜を暫く任せるか。
 自分達の内一人を援軍に送るか。

「援護に向います!! あのままじゃ深淵さんが持たない」
 しかし、その思考は唐突に途切れた。
 ♂アーチャーが、ダブルストレイフィングをGMの足目掛けて撃ちながら、そう叫んだからだ。

「何か見えたのか!?」
「深淵さんが腕に傷を。秋菜の方は軽症!!」
「…判った。但し、死ぬなよ。お前と深淵だけで勝てる相手ではない。あくまで時間稼ぎに徹しろ、直ぐに向う」
「了ー解っ!!」

 応え、♂アーチャーは走り出す。
 さて、この判断が吉と出るか凶とでるか。
 もともと、自分達は寡兵だ。目の前のGMの残兵に時間を取られ過ぎる訳にも行かない。
 が、かといって深淵の騎士に死なれれば、決定的な打撃力を欠く。
 ──その二つを天秤にかけた結果の指示だった。

「♀セージの姐さん。余り突出しないでくれ!! 各個撃破される!!」
「ああ。が、心配無用だな」
 殴りつける様にスティレットを振るう。
 それに呼応する様に、詠唱も無しにファイアボルトが降り注いだ。
 腕を吹き飛ばされ、片足を抉られ、ゾンビの様でさえあったGMが全身を焼かれ、奇妙な舞いを踊り狂う。
 瞬間的に、それを興味の外から外すと、刃毀れたGMのバルムン目掛けチェインを振るう♂プリーストに振り返りながら、叫んだ。

「サンダーボルトッ!!」
「ホーリライトッ!!」

 叩きつけるような光。それから降り注ぐ雷光。

「後幾つだ!?」
「3人…という所か。BDSの後、直ぐにばらけられたのは痛かったな」
 うまく行かないものだ、と♀セージは思う。
 戦闘とはそういう物だ、と解っているつもりではあるがもどかしい事この上無い。

「貧乏くじ…にならないといいんだけどなぁ」
「そういう風にしないのが私達のすべきこと、だろう?」
 ♂プリーストの愚痴に♀セージは笑う。
 ぐしゃぐしゃとプリーストは、頭を掻いた。

「ま、ここまで来て逃げるって訳にもいかないわな」
「ああ」
「…♂アーチャーの奴、しっかり後方支援出来るのかねぇ」
「信じようじゃないか。私は自分の采配は間違っていないと思うぞ?」

 ぎゅっ、とスティレットを握り締める。
 ♀セージは、じっと、眼前に迫るGM達を睨み付けていた。

<♀セージ&♂プリーストは 重症(but 戦闘は出来る)GM達と戦闘中 その他の変化は無し>
<♂アーチャー 深淵の騎士支援の為、先行 その他変化無し>
251名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/13(土) 03:26:18 ID:1w5tutl6
 220 失敗


 ──失敗とは、どのような人間にもついて回るもの。
 例えば。彼の場合。


 遠く、戦いの音が届く。
 剣戟の音は、深淵の騎士か。それとも、♀セージ達か。
 どちらとも取れるが、すべき事は変わらない。
 急がないといけない。それだけは確かだ。
 ♂ローグは顔を上げ、共に離脱した♀クルセに視線を遣った。

「よう。直ぐ動けるよな?」
「ああ。…問題ない」
 彼女の腕や頬には、反動の衝撃で裂けたのか、幾つもの擦過傷があった。
 だが。彼は、敢えてそれ以上は問いかけるのを止めておいた。
 問題無い、と言うのならば、その意思を尊重する。
 ♂ローグは、そんな風に考えていた。
 全く全く。不釣合いと言うならこれ以上は無い。

 が、これも自分が変わってしまった、と言う事なのだろう。
 完全に彼は、それを自覚していた。
 それも悪くは無い。
 嘘は無い。自分はローグを辞め始めているのかもしれない。
 辞めたからと言って、何になれる、と言うわけでは無いけれど。

 随分と──戦場から距離が離れてしまった。
 後詰めの自分達が追いつくまでには、少し時間がかかりそうだ。

「走るぞ」
 言って、駆け出そうとする。
 だが。

「──♂ローグ、その」
 彼の歩みは、思い出したかの様な♀クルセイダーの呟きに止められた。

「ん、何だ?」
「その、だ」
 言いよどむ彼女に、彼は目線を向ける。

「…んだよ。はっきり言いな」
「約束が、欲しいんだ」
 時間も無い。それは彼女も判っているはず。
 だのに、敢えて切り出すのだから重要には違いないのだろうが、今はともかく時間が惜しい。

「あのな。今、んな事言ってる場合じゃねーだろ」
「す、すまない…だが、それがあった方が…強くなれる気がするんだ。…何となく、だが」
 縮こまり、居心地の悪そうな顔で言う彼女に、♂ローグは溜息を一つ。
 彼の様子と言葉にに、♀クルセは、面持ちを硬くしていた。

「…早く言え。すぐ言え。あんまり待てねーぜ? まだ、終わった訳じゃねぇ」
 呟くような小声で言う。
 呆、とした♀クルセの顔がコンマ数秒ほど、それから彼女は目尻を擦る。
 男は言葉を待つ。じくじくと体中の傷は疼いていたが、何時もの顔ですっかり覆い隠していた。

「約束、してくれ」
「ああ」
「…未だ、話していないぞ?」
「急いでるからな。まず、意思表示だけ、な」
 続きを男が促すと、彼女はやっぱり、お前は変わらないな、そんな事を言って苦笑した。
 男は、笑わなかった。

「ここから帰ったなら──二人で一緒に、街を歩こう?
 それから、アラームや他の皆の為にも、絶対に幸せになってやろう。
 …もう居ないけど、私の姉さんもきっと、そう思ってる」
「幸せ、な」
 想像してみる。ちっとも具体的な像は結ばない。
 只、酷く眩しい──眩しすぎるくらい眩しいという事は、よく判る。
 こういう時は、自分が酷く薄汚れた人間だ、と♂ローグは考えてしまう。

「ああ。それもいいかもしれねぇな」
 だが、そんな言葉がついて出ていた。

「冒険者やローグは廃業かもしれねぇけど、食い扶持ぐらいならなんとかなるしよ。ま、仕事はおいおい考えるさ」
 アラームや深淵の騎士、それにバドスケ。
 そんな連中を知ってしまった以上、どうも今までの様な生活はとてもではないが続けられる自信が無い。

「そうか…なら、私は何をしよう…」
「ミルク売りとか、シスターとかな。ま、冒険者としては無理だろうけど」
「シスターか…」
「そうなった暁には雑用としてでも雇ってくれ」
 冗談めいた口調で言う。

「ああ。考えておこう」
 ふと、♀クルセがまた笑った。どこか嬉しそうに。
 今度は男が苦笑する番だった。
 これ以上話す事も無くなったのか、笑っている彼女を前に、男は思う。
 今は、ここまでだ。帰った後でなら、幾らでも話す事ぐらいできる。
 最後に一つ。言うべき事を言ってしまえばそれでいい。

「ま、俺で良けりゃ、何度でも約束ぐらいするさ…っと、行くぜ」
 そういって、彼は♀クルセの手を取った。
 ──もう刻限に余裕は無い筈だ。
 会話に要した時間は、煙草の先が灰になるかどうか位短いものだったが、急がなければ。

「…すまないな。つまらない事で、時間を取らせた」
「馬鹿言うな。なら急ぎゃいいだけだろ」
 言葉を切り、二人して駆け出す。

 目指すは戦場。即ち秋菜の元に。
 音と血の匂いが示す先へ。
 彼は自分が猟犬にでもなった気がしたが、それ程の体力がある訳でもなかった。
 むしろ、怪我人の♂ローグが♀クルセに遅れている程だ。
 それでも、息が切れる程走り続けると、遠く、しかしどんどんと近くなって来る♀セージ達の姿が見えた。
 そして、炎の壁が立ち上った。

「戦闘続行中、かよ。ま、一筋縄でいかねぇ相手ではあるわな」

 彼。つまり♂ローグは。今、この瞬間まで、自身が間に合う事を微塵も疑ってはいなかった。
 或いは。
 自身の成功を疑いなく信じ切る。その性質こそが、彼の最も特筆すべき点であるのだろう。
 けれど。
 忘れてはならない。失敗は、しぶとい猟犬の様に、常に人に付きまとう。
 それから。
 戦いは、今も続いている。

 幽かに、白い服──恐らく秋菜だろう──が、火の壁を背に数歩、♀セージ達に歩み寄るのが見えた。

「なっ」
 思わず足を止め、声が漏れる。
 いんでぃみでいと。緊張感に欠けた、けれど胸糞の悪くなるあの女の声。
 それを確かに彼等は聞いていた。
 発動の残滓を残して、秋菜の姿が掻き消える。
 それが示す所は。

「畜生、ドジった」
 歯噛みするが、全ては後の祭り。
 今にして思えば、迂闊な判断だったやもしれない。
 煙草の先分の時間を早回ししたところで、どうにかなる距離でもなかったけれど。

 横を向くと、愕然とした顔の♀クルセ。案の定だった。
 そんな彼女に、瞬時に♂ローグは思考を切り替える。

「馬鹿。落ち込んでる暇なんざねーだろ、行くぞっ!!」
 一喝すると、再び彼は走り出す。
 少し遅れて、正気に戻ったらしい彼女が続く。
 鋭い語調は、自らに渇を入れる為でもあった。

 今ならば。きっと間に合う。
 ♂ローグは、自らの希望的観測を信じる事にした。

 ──そう。何時だって、失敗は人につきまとう。
 そいつに目をつけられた人間に取るべき道は二つ。
 食い殺されるか、立ち向かうか。

 彼は、後者を選び、♀セージ達と合流するため、石畳の上を走った。


<♂ローグ 状態装備に変化は無し ♀セージ達と合流すべく向っている>
<♀クルセイダー 同上>
252名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/13(土) 12:48:19 ID:zWaPJimU
ヴァルキリーレルムにいるってことは、砦内の戦闘とかもありなのかね
253名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/13(土) 20:57:01 ID:srssLrkw
つまんない突っ込みで恐縮だけど、
>>250のサンダーボルトはライトニングボルトかサンダーストームの間違いだよね?
もっとも、>>250はNGになりそうな流れなので、関係ないかも知れませんが。
254名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/13(土) 22:24:58 ID:1w5tutl6
ライトニングボルトですね...素で間違えた....欝
255名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/14(日) 00:24:24 ID:LSaSnhrw
207(214 狼煙)の秋菜の台詞で深淵の騎士子を枝に細工して呼び出した、とあるけど
まとめサイトの055によると深淵の騎士子はイレギュラーとなってるから矛盾してないか?
256名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/14(日) 00:44:55 ID:FIY.zbHQ
>>251
すまんっ、その失敗ってタイトル既に私が177話で使ってる

>>255
確かにそうだね
55話では、深淵出て来た事に秋菜驚いてる
となると、細工して呼び出したってのは矛盾してまうか……
秋菜が世界のバランス云々を考えてDOP他を呼んだって所は矛盾してないから
深淵はバランス関係無く呼ばれたって事にして、その部分の深淵に関する所と、橘云々の所削ればおけかな?

>>207の書き手の方はどう思われますか?
257名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/14(日) 17:39:17 ID:EqcRoLkI
うぃ。どうも、失敗を書いた人です。

名前の方は、失敗─>彼らの失敗で。
接頭語をつけただけですけど、「失敗」というのがテーマなので
それをあらわす部分は残しておきたいな、と。

深淵については…うーむ。
確かに256氏の意見が適切ですね。
「枝細工」云々のところを削除すれば辻褄が合うと思います。
あの話は、元々、秋菜の行動理念の一端を示す役割があるんで
その部分さえ削られなければ、ほかの部分は削って問題なしです。

要約すると、タイトルは「彼らの失敗」
細工云々については、この部分だけ削除の方向でお願いします。

お手数かけて申し訳ありませんでした…
それでわ。
258名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/14(日) 23:59:59 ID:5I3rhZzU
遅くなって申し訳ないです、>>239です。
タイトルはちょっと考えてなかったので、後日にでも。

あと読んでていくつか気づいた点を。

@今まで気づきませんでしたが、189絆、198 激闘プロンテラ南フィールド 前編、219 力対知恵と工夫と下準備で、
『ペコ』が『ベコ』になっていますね。

A>>247の最後で♂アーチャーの銀の矢が47本のままですが、初撃のDSとバルムンに弾かれた1本で3本に加え、
捨て身の集中攻撃でGM2人倒しているので、GM1人当たり数本使用していると考えられます。
>>247さんには申し訳ありませんが、銀の矢の残り本数の訂正をお願いします。
259名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/17(水) 05:12:14 ID:vZ43ZMF2
> それから、特別枠に付いては基本的に何でもあり、ですが
> ボスmobなど、余りに一般職とかけ離れた能力の方は
> 首輪によって能力が、一般参加者と同程度まで落ちています。

実は密かに深淵たん元の強さに戻ってたりするのかな?
260名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/17(水) 13:59:32 ID:37TzDrYE
>>259
深淵は元の強さでもたぶんオーラBSとかよりは弱いから
『一般職とかけ離れた能力』ではないんじゃないかな
だとすると首輪してた状態でも大して力抑制されてなかったのかも
あーでもBSが回復アイテム使わなかったら深淵が勝つかな・・・?
DOPの弱体化具合を考えると深淵も弱体化してたって考えるべきだろうか
でもまあそのへんは書き手さん次第だよな
261名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/17(水) 20:05:26 ID:OIJUqz5A
>258
「169.交換」でも♂アチャDS1回使ってるぞ
262名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/20(土) 12:52:17 ID:UkVqowcM
( ゚Д゚)y−~~
263名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/20(土) 18:55:36 ID:14e/B7DI
まぁ、落ち着こうか(;´Д`)y─┛~~
264名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/21(日) 00:44:35 ID:rorVaaHQ
221 激怒

「ごはっ!」
血反吐を吐いてその場に蹲る♂プリースト。
秋菜はそれを冷笑しながら見下ろしていた。
「あらら〜。もう終わりですか〜? せーっかく私が・素・手・でやってあげてるんですよ〜」
即座に言い返したい所だが、腹部を襲う激痛のせいで声が出せない。
インティミの後、砦内に逃げ込んだ所をIWで出入り口を封じられ、その後はひたすら殴られっぱなしである。
出来れば砦の外を逃げ回りたい所だったが、視界が通っている状態だと、秋菜が容赦なく魔法を放ってくるので、とてもではないが障害物無しではやってられなかったのだ。
「もー私は♀セージちゃんとこうしたかったのに、邪魔なんてしてぷんぷんですよっ!」
蹲る♂プリーストを無造作に蹴飛ばす秋菜。
まるで全速で走るペコに跳ね飛ばされたかのような衝撃に、♂プリーストはたまらず地面に倒れ伏す。
「こうなったら、♂プリーストちゃんで遊ぶとしますね〜。恨むんなら、身代わりになった♀セージちゃんを恨んで下さいねっ♪」
もう一度側面から♂プリーストを蹴る秋菜。
鈍い音がして、♂プリーストの左腕がひしゃげる。
「っぐあぁぁぁーーーー!!」
遂に悲鳴を上げる♂プリースト。
腹部を殴られた時の比ではない。痛みの余り、一瞬今自分が居る状況すら忘れ去る程だ。
そんな♂プリーストの右腕を引っ張って持ち上げる秋菜。
何をしようとしているのか気付いた♂プリーストは、必死になって言った。
「よせ止めろ! くそっ! ふざけんなっ!」
「えいっ♪」
またも鈍い音が響き、♂プリーストの絶叫が木霊する。
完全に戦意を喪失したように地面に蹲る♂プリースト。
全身を震わせて、ひたすら痛みに耐える事しか出来ない。
「うんうん、♂プリーストちゃん頑張った♪ でもー、私は全然不満ですー」
ぶーと口を尖らせる秋菜。
「後悔させなきゃね♪ 貴方達全員に♪」
秋菜は♂プリーストの襟首を掴んで引きづり上げる。
顔中に苦痛を漲らせながら、♂プリーストは言う。
「……ふ、ざけんな……後悔なんざしねえよ……」
「わおっ、強情! その方が楽しいんですけどねん」
「……俺はくたばるだろうが、お前の仲間も一人しとめた。……残りは他の連中がヤってくれる。く、くたばるのはてめーの方だ……」
♂プリーストの言葉に秋菜は眉を潜める。
「ほへ? 一人? GMの被害は二人でしたよ?」
「あんなの……仲間でもなんでもねえだろ……砦の中に居た、あの野郎だよ」
瞬間、秋菜の顔から余裕が消えた。
「な……んですって?」
♂プリーストは笑う。
「てめーの仲間は俺が殺したって言ったんだよ! 俺達が首輪を外してから今まで、ぼけーっと何もしてなかったとでも思ってんのか!?」
完全に真顔になる秋菜。
「殺した? 彼を?」
♂プリーストはせせら笑いながら続ける。
「新要素レポートだったか? あのくそったれな紙くずに埋もれてぴくりともしてねーよ! ざまーねえなクソGMが!」
そこまで言うと、♂プリーストは自分の足で立ち、秋菜を足の裏で蹴飛ばした。
♂プリーストの言葉にショックを受けていた事もあり、まともに腹にケリが入る。
「お前も俺達がぶっ殺してやるから、ありがたく死にやがれ!」
たたらを踏んで後退した秋菜の顎を、下から掬い上げるように蹴り上げる。
秋菜の顎が跳ね上がり、後頭部をしこたま地面に打ち付ける。
動揺している秋菜、♂プリーストはその隙を見逃す気は無い。
仰向けに倒れながら真上を見上げる秋菜の、顔面を踏み潰そうと足を振り上げる。
秋菜は、呆然と天井を見上げたまま♂プリーストの足を掴む。
寝ころんだ力の入りずらい姿勢にもかかわらず、♂プリーストはその手を振りほどく事が出来なかった。
無造作に秋菜の手が振るわれると、♂プリーストはまるで紙のおもちゃみたいに軽々と放り投げられた。
数秒の浮遊感、そしてその後地面に激突。
勢いはそれで止まらずに、ごろごろと地面を転がり回る。
その際、地面に何度も折られた腕を擦りつける事になり、その度身をよじらんばかりの激痛に襲われる。
そうして回転が止まった時、♂プリーストは口から泡を吹いたまま、目の焦点も合わずにただ地面に這い蹲る事しか出来なくなっていた。
秋菜はその場に跳ね起きると、転がる♂プリーストを走って追いかけ、回転が止まった所で♂プリーストの上に乗り、馬乗りになって動きを封じる。
仰向けに倒れた♂プリーストと、その上に跨る秋菜。
両腕をへし折られた♂プリーストには、最早抵抗の手段は残されていなかった。
最初の拳が♂プリーストに振り下ろされる。
その一撃で失い欠けていた意識が戻る♂プリースト。
再度拳を振り上げる秋菜を見ると、その動きがとても遅く感じられた。

『なんだ? 随分トロイなこいつ……もっとも、俺も全然動けねえんだけどさ』

体を回転させながら、拳を振り下ろす秋菜。
♂プリーストからは、秋菜の顔が良く見えた。

『へっ、ひでぇ顔してるぜお前。そうそう、てめえにもそうやって本気になってもらわねえとな』

上半身の体重が充分に乗り、腰の回転を加えた拳、それはこの体勢から放てる最大の拳であろう。

『俺達の決着付かないまま、お前に逃げられちゃ締まらねえ』

その威力のせいか、特に大きく見える拳。

『ブチ切れてる奴の方が御しやすいだろ♀セージ……後頼むわ、俺はここでリタイアだ』


二撃目で♂プリーストは意識を失う。
その後は秋菜の気が晴れるまで、♂プリーストの頭蓋骨が砕け散り、頭部が完全に肉片と骨の欠片になるまで、秋菜は♂プリーストを殴り続けた。


<♂プリースト 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム砦内部 所持品/チェイン、へこんだ鍋、♂ケミの鞄(ハーブ類青×50、白×40、緑×90、赤×100、黄×100 注:HP回復系ハーブ類は既に相当数使用済) 首輪無し>
<GM秋菜 現在位置/ヴァルキリーレルム砦内部>
265名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/22(月) 20:43:51 ID:UnbBe4ZE
 222さよならを仕舞って

 生きていて欲しい。
 ♀セージは、只そう思いながら走っていた。
 どれだけ絶望的な確立だろうと、箱から出さない限りは確定しないからだった。

 景色が過ぎていく。道を乗り越える。
 途中でやって来た♂ローグ達を加え、♂プリーストとバドスケを除く生存者全てが集合。
 けれど、彼女の心は落ち着かない。
 集まった誰も彼もが、一言も言葉を喋らない。
 石畳を靴が叩く音だけが響いている。

 ややあって、中に猫が居る箱を、ついに開ける時がやって来た。

 そう、♀セージは♂プリーストに生きていて欲しかった。
 別に、特別、個人的な事情をさしはさまなくても、変わらない。
 只、もうこの箱庭で人が死ぬのが認められないだけだった。

 あんまりにも多くの人が、死にすぎてしまった。
 何の価値も尊厳も無く、只、ゴミみたいに死んで、道端に捨てられた。
 その絶対量は、余りにも重い。

 角を曲る。この砦郡は、それ自体以外には遮蔽物が少ない。
 彼等が、一目で見渡せない方に向って走れば、♂プリーストはそこにいる筈だった。

「あれぇ、遅かったじゃないですかぁ」
 白い服には、斑の赤。

「………ああ、遅過ぎた」
 瞳は、三日月よりも冷たく凍える。

 彼等の姿を認めると、秋菜は、足元の残骸にバルムンを付き立て、持ち上げた。
 ぶちり、と音がする。人並みはずれた怪力で、丁度布を裂くように。

 そいつは、頭の無くなった♂プリーストの死骸を、ゆっくりと、ゆっくりと二つにしていった。

 あまつさえ、バルムンは、ゆっくりと熱を帯び、
やがて、薄く白い光に、からからに黒く枯れた♂プリーストの体はぼろぼろと崩れていった。
 無意味の極み。無残の極み。それは既に炭屑にまで焼け焦げて。
 つまり、プリーストは、そいつに頭を千切られ、体を千切られ、骨までも完全に焼かれた。
 にこにこと、秋菜は笑っている。見せ付ける様に笑っている。
 白いブーツが、少し後ろから塗り広げた、何か柔らかい肉片交じりの血の跡は、いっそ滑稽ですらあった。
 足元に、♂プリーストを捨てると、愉快そうに何度も何度も踏み砕いていく。

 ♀セージは、笑わない。
 ♂ローグも、♀クルセも。

「♂プリースト…さん」
 呆然とした風に呟いたのは、♂アーチャー。
 あの聖職者は、死んだ。何の意味も無く。布の様に引き裂かれ、塵の様に崩れ去ってしまった。

「これが本当の飛んで火に入る夏の虫。…あなた達は、たった一つ致命的な間違いを犯したの」
 そいつの口は三日月より、半月へ。

「あなた達は私を完全に怒らせた」
 そして、早すぎる約束を告げた。
 ♀セージの瞳は、凍っていく。冷たく、硬く。
 心臓の音さえも、いつの間にか聞こえなくなっていた。

 ──彼女に必用なのは、憎悪の炎ではない。

「でも、不思議。あなた達は怒らないですねっ」
 ぐしぐしと、♂プリーストだったものを、秋菜は踏み砕き続けている。
 ♂ローグが、ツルギを抜き、♀クルセが海東剣を抜く。

「俺は──手前ぇをブチ殺したくてたまらねぇけどな」
 ♂ローグが言う。ちらり、と彼は炭に一瞬だけ目をやっていた。
 横顔は。煌々と滾る緋色の炎だ。
 頭痛を催す程の怒りに違いない。

「……最早言葉など必要ではないだろう。憤怒など、全く不要だ」
 ♀クルセが言う。唇を噛み、僅かに悲しそうな顔。
 そして、静かな決意。大地の様に、それは硬い。
 きっと、誰も彼もが諦めても、きっと彼女は望みをすてまい。

「既に怒りなど無い。只、お前を滅するという誓いがあるだけだ」
 深淵の騎士。目は真っ直ぐに秋菜を捉え、離さない。
 目指すべき誓い。黒の様に、それは何にも染まらない。
 それは何よりも純粋で、何よりも騎士を強くする。

 ♂アーチャーが、潤んだ目をそいつに向けた。
 目元を拭うと、矢を弓に番える。

「お前だけは…例え僕が死んでも…絶対に…絶対に許さない!!」
 彼に与えられたのは、覚悟と言う名の弓と勇気という名の矢。
 それは、きっとアーバレストよりも何倍も強い。
 例えば、目の前にいる否定の権化だって覆してしまえる程。

 ♀セージは、静かに目を瞑る。
 冷たい思考が、電流よりも早く頭脳を駆けて行く。
 緋色の火炎。硬い決意。染まらぬ誓い。覚悟の弓と勇気の矢。
 酷く寂しいけれど。そんな事を思う時間も惜しいのだけれど。
 一つが欠けても。その武具は。

 ──今彼女に必用なのは、三日月の様に、冷たく、冴えた頭脳。
 この場所で。♀セージは、それを振るう者だった。

 きっと、それは天をも貫く。
 この喜劇は、ここでお終いだ。

 ああでも。本当は。
 すごく、すごく悲しい。
 短い付き合いだったけれど。
 一緒に帰りたい。冷たく冴えた私でも、そんな風に思える人だったから。

 でも、今は。
 さよならは、仕舞っておこう。

 それは、死を告げる言葉だから。
 言葉と意思と、その貌が。
 この胸で、皆の中で、彼…いや、彼等全てが遺志として生きている今は、言わないでおこう。
 彼は死んでしまったけど、さよならを言うまでは、終わらない。
 それは、他の全ての参加者だって同じだ。
 悲しい気持ちは、さよならを仕舞うと、何処かに行ってしまった。

 ただ静かに、♀セージは秋菜を見る。

「秋菜」
「何ですか? 命乞いなら聞きませんよ? それに、たった五人だけで何が出来るんですかっ」

 目を細める。

「それは、不適当な解だな」
「あなた達だけで私を倒せると?」

 ゆっくりと、♀セージは天を指差す。

「それも間違いだ。私達は」

 そう、さよならは仕舞ってしまったから。

「皆と一緒に、戦っている」
 冷たい脳味噌でしかない自分には余りに不似合いな言葉だったけれど。
 だから、きっぱり、♀セージはそう言い切った。


<生き残り一行 秋菜と最終決戦寸前?>
<秋菜 生き残り一行と最終決戦寸前?>
266名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/22(月) 20:45:25 ID:UnbBe4ZE
対秋菜戦は後2〜3つぐらいで終了予定。
今まで帰省ちゅうでPC使えなかったのよ、ゴメンorz
267名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/22(月) 22:02:30 ID:ab2f5Zig
GJ、ただその一言に尽きる
268名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/23(火) 00:36:57 ID:DuPGQPT2
本当にGJです。
もしここで終わっても悔いは残らないっ
でも、書き手の方たち、頑張ってください!
269名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/23(火) 03:04:29 ID:ZZnbIB3U
GJ!
しかし他の書き手諸氏はどこへ行ったのか。
270名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/23(火) 07:46:58 ID:AaVIaSMo
すっかりROMになった初期書き手ならここに一人
長文書くの苦手なんだよ…

>>後半頑張ってる書き手諸氏
がんばれ。展開にワクテカしながら応援してるぞ
271名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/23(火) 10:44:41 ID:RLSuNDfI
221話で秋菜は♂プリの右手持ってなにしたの?
272名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/23(火) 15:00:26 ID:IbYWpP6E
引き千切ったか思い切り引っ張って脱臼させたものと思われます
273名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/24(水) 00:07:06 ID:Rw6FMZk2
一日で全部読むのは辛かったぜぇ…
何時間かかったことやら。
だけど、一気に読ませてしまう書き手さんの技量にはただ感服です。
書き手として参加もしたいけど、さすがにクライマックスではでしゃばれませんので
次回があればそのときにでもと考えてます。
ラスト頑張ってくだされ〜
274名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/24(水) 22:48:59 ID:ckUiuqCE
だ、誰かまとめの更新を。
275名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/25(木) 02:52:51 ID:VM/dSMQ.
とりあえず何話かと出ている分の題名、あと登場者の欄更新
編集100話くらいぶりだから疲れた……ゴメンこれが限界、寝る
とりあえず217の人、題名だけ後でお願いします
276名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/26(金) 01:56:38 ID:/DK8/gNc
編集してる時に気づいたですけど、219話で何処かに行った(多分砲台っぽいところ?)♂アチャが222話だと一緒にいるような…
この部分はどうしましょう?とりあえずそこ以外は編集完了しましたけど
277名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/26(金) 08:55:46 ID:aX7An47U
>>276
超乙っ!
♂アチャは……これは222話の書き手さんに聞いてみるっきゃないかな
219話の後移動したって形でも、なんとかなりそーではあるけど
278222書いた人sage :2005/08/26(金) 09:58:06 ID:syueFwYg
スマン、♂アチャは単純に見落としてた…orz
♂アチャの部分だけ削るか、それとも無視して話を進めるか…
うーん…すみませーん、♂アチャ関連だけ修正したものを
新しいのと一緒にうpする、という線でOK?
OKならその方向でいきます。

以上、ラストバトル執筆中の222話の人がお送りしました。
でわ。
279名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/26(金) 13:50:28 ID:gJ2827sM
>>212がまとめの方に入ってないけれども何か問題があったのかな?
280名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/26(金) 18:53:58 ID:Z7glsMJY
>>278
ふおー、執筆期待!頑張って〜。

この話は大分終盤になってから知って読み始めたので参加こそしませんでしたけど、
ぜひ二冊目があるなら書き手側に回りたいもんです…。
281名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/28(日) 00:45:12 ID:OE/GI/.k
>>278
おーけい、んじゃ私はここで筆を下ろすとしよう
後は任せるぜ!
ラストバトル書いた人には漏れなく、エピローグ書けるぜ特権あげようぜべいべーとか考えてる微妙に鬼なワタクシでした
頑張ってなーヽ(´ー`)ノ
282名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/28(日) 03:54:23 ID:jYc23p5A
とりあえずアナザー追加。本編に気を取られてすっかり忘れていました(汗
後は各キャラの現状更新……誰かやってくれないかなぁ(笑
283名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/28(日) 21:16:12 ID:Dpk/gHtY
>239です。
大変遅くなってごめんなさい。
タイトルはそのまんまで申し訳ないですが、無難に『集中力向上』にしておきます。
タイトルだけなのでWikiの方も直しておきますね。
284名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/28(日) 21:22:27 ID:YuKlSTYs
うーむ。やはりラストバトルは難しいのか…
ここは一つ、間を持たせる為に、小ネタでも考えましょか。

テーマ:次回のロワの妄想って事で。
脳みその中にあるものを吐き出します。

1:主催者はルーンミドガッツの大手ギルド反対派の大物
 Gvは有害である、というのが彼の座右の銘。

2:集められたのは様々なギルドの中から、
各職業に該当する者を一人づつ。

3:場所は今後実装予定の大規模Gv用孤島。

4:首輪の設定(魔法系制限)は持ち越し

何となく、より黒い雰囲気になりそうな妄想を置いてみる。
285名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/29(月) 07:56:08 ID:HUezVXtU
 223ラグナロク(on a line)


 Dead list(1st jobs+α)

 ♂ノービス ♀ノービス

 ♂剣士 ♀剣士

 ♂商人 ♀商人

 ♀アーチャー ♂アコライト

 ♀アコライト ♂マジシャン

 ♀マジシャン ♂シーフ

 ♀シーフ


 Dead list(2nd jobs)

 ♂ナイト ♀ナイト

 ♂BS ♀BS

 ♂ハンター ♀ハンター

 ♂プリースト ♀プリースト

 ♂ウィザード ♀ウィザード

 ♂アサンシ ♀アサシン

 ♂クルセイダー ♂アルケミスト

 ♀アルケミスト バード

 ダンサー ♂モンク

 ♀モンク ♂セージ

 ♀ローグ


 Dead list(special+α)

 悪魔プリ バドスケ

 ときラグ主人公 ドッペルゲンガー

 ウォルヤファ アラーム

 ペコペコ管理兵(騎士) ペコペコ管理兵(クルセイダー)

 子バフォ 禿ちゃん

 ♂GM アリス

 エクスキュージョナー ♂GM(2nd)

 始まりは五十人。
 けれど、今はたったの五人。

 間違いばかり犯して。
 すれ違う意見で互いに殺しあって。
 それでも、生き残る為に、大切な誰かの為に戦い続けてきて。

 ──さぁ、そろそろ終焉を始めるとしよう。




 白い、気が狂いそうなぐらい白い女。
 そいつは眩しい光を背に、口を裂けそうなほど吊り上げて笑っていた。

「秋菜ぁぁぁぁぁっ!!」
 叫んで、対峙していた♂ローグが叫んで突撃する。
 勿論、これは囮だ。彼にとって、接近する利点は無い。
 迎え撃とうとした秋菜に、黒衣の騎士が背後に、♀クルセが横合いに回りこむ。
 援護射撃。炎の矢が降り注ぐ。

 秋菜の攻撃手段は、数々のスキルとバルムンによる剣技。
 どちらも致命的ではあったが、彼等に勝算があるとすれば、接近戦だった。
 距離が離れれば、遠距離攻撃の手段に乏しいこちら側は一方的になぶり殺しにされる。
 詠唱の隙も与えずに殺す。圧倒的な火力差を覆すならば、それしかない。
 しかし、相手は正しく世界の理の向こう側の化け物。
 それでも、倒せるという保障など何処にも無い。

「ツマラナイですねっ」
 秋菜は、信じがたい事に炎をバルムンで弾き飛ばした。
 一瞬の間。剣を振り上げている僅かな隙に♂ローグのツルギが疾る。

「なっ!?」
 だが、秋菜は動じない。まるで、予め見越していたかのようにツルギを回避。
 そのまま大上段に構えた剣を、ローグの腿を薙ぐ様に振りながら、背後に振り返る。
 鮮血。もし、彼でなければ、僅かに飛び退く事も出来ずに両足を両断されていただろう。
 正しく人外の太刀筋。

 ギリギリの所で飛び退いた彼を尻目に、秋菜は目前に迫る二人を迎え撃つ。
 石畳を蹴り、黒衣の騎士が切りかかる。

「BAN執行しますっ!!」
「シィッ!!」
 裂帛の気合と共に、バルムンが、ツヴァイハンダーが。
 弾かれた様に瞬時に最高速度にまで加速し、ぶつかり合う。
 神の剣は剛の剣の上に在る。大剣の半分程の質量しか無いにも関わらずバルムンは、
人の限界すらも超えた速度で振るわれ、深淵の騎士を転倒させる。
 そして、そのまま体を回転させると、懐に飛び込んでいた♀クルセを掌で吹き飛ばした。

「がはっ…」
 呻いて、♀クルセが膝をつく。
 その口からは、血が。ごほごほと、咽帰る度、滴り落ちる。
 秋菜の一撃ははただの掌打ではない。発剄だった。

「くっ…ブランディッシュスピアッ!!」
「あははっ。あははははっ。あははははははははははははははははははははっ!!」
 哄笑。嘲笑。♀クルセから秋菜を遠ざけるべく、衝撃を伴い、ツヴァイハンダーが走る。
 しかし、最初から秋菜は、♀クルセを無視していて。
 地を蹴り、飛ぶ。

「な……」
 そして、黒衣の女が見たのは。
 迫る三日月の笑み。血濡れの神剣。
 そいつは宙を舞い、彼女の奥義を避け。
 剣を振り上げ、愉快そうに、とても愉快そうに笑っていた。

「さあさあさあさあ。BAN!!BAN!!貴女もこれでお終いですよっ!!
 あははっ、あはははははははははははっ!!」

 慌てて、大剣を引きもどそうとするけれど──それは、余りに遅く。
 そして既に詠唱の時間も無く。

「させるかっ!!」

 ──どずん。

 避けようの無い致命の一撃を阻止したのは、投げ放たれた一本のツルギであった。
 ♂ローグの握っていたそれが、バルムンを振り上げた秋菜の片腕を貫いていた。

「秋菜よぅ…あんまり人を嗤ってると痛い目みんだろ。解ったか?」
 太ももを裂かれ、その痛みに歯を食いしばりながらも、♂ローグは不敵な笑みを浮かべ、言いはなった。
 対する秋菜は、崩れたバランスを空中で建て直し、降り立つと、不快そうな顔をして彼を睨んだ。
 腕を貫いていたツルギを片腕で抜くと、忌々しげに石畳に突き立てると、ひーるっ、と一言呟いた。

 白い光が、ぱっくと赤い傷が咲いた秋菜の腕を包むと、見る間にそれが消えていく。
 やがて、僅かな跡を残して、赤はなくなってしまった。傷が癒えたのだ。

「な……」
 呆然と、♀セージが呟き、♂ローグは腹立たしげな目をする。
 二人は、目の前の女を見ながら、本当に自分達は、この化物を倒せるのだろうか、と考えていた。
286名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/29(月) 07:56:56 ID:HUezVXtU
 走る。砦の中を。彼が目指すものに向って。
 ♂アーチャーは、彼方から響いてきた轟音に、戦いが既に始まっている事を知った。
 急がなければならなかった。
 もし、自分があの場に居たとしても、出来る事は少ない、そう思っての行動だったが、
今にしてみれば、どちらでも構わなかったのではないか、とも思う。

 足を動かしながらも、首を横に振る。
 自分の判断は決して間違いではない。
 例え、秋菜が本物の化物だとしても。
 その体が、城壁よりも硬い、という事はありえない。

 漸く階段を上りきる。砦のテラスは、しかし酷く薄暗い。
 空には、黒い雲。不吉だ、一瞬彼はそう思った。
 けれど。同時に彼は、一片の希望を見つけていた。

 大きな、大きな石弓と矢。
 それは、城攻めに使われるバリスタと呼ばれる兵器だった。
 ♂アーチャーは、一息にそれに走り寄る。

 希望は未だ絶えていないと信じながら。



 秋菜は、♀セージ達の攻撃をいなし続けていた。
 それ故に、既に彼等が正攻法では自分を確実に殺しえない事に感づいていた。
 唯一警戒すべきは♀セージ。彼女さえ殺してしまえば、どうとでもなるだろう。

 所詮は、只の有象無象ですねっ。

 だが。
 彼女とて馬鹿では無い。
 深淵の騎士のブランデッシュスピアや、♀クルセのグランドクロスをまともに受ければ、無事ではすむまい。
 死に物狂いで襲い掛かってくる深淵の騎士や♀クルセは少々目障りではあった。

 少し本気で行きますかっ。

 それは、少々残念な結論ではあった。
 何故かは判らないが、目の前の人間達は酷く秋菜を苛立たせていたからだ。
 出来うる限りの苦痛を。出来うる限りの絶望を。
 目障りな彼等に味わわせてやれないのは、一種悲しくさえあった。

 ──ふと、彼女の脳裏を掠めるのは。
 煩く、秋菜を諌め続けていた一人の白い男。

 白い女は、その想像に唇を歪めた。
 ああ、そんな男も居た筈だ。名前も覚えてはいないのだが。
 煩い、と言えば、そいつもそうだった。
 きっと、自分は彼を殺したかったのだろう。
 目の前の連中と同じぐらい、目障りだったから。

 けれど。
 彼はどうやら、この連中に。

 あはは。あはははは。あはははははは。
 とても、とても可笑しい。
 とても、とても悔しい。

 今更、その白い男が、憎くてたまらない。
 嗚呼、憎い。憎い憎い。憎い。
 憎い憎い憎い憎い──そう、愛しいぐらいに。

 ──あれ?

 秋菜は、可笑しくなった自分の思考を止めて、周囲を見た。
 もう誰でもよかったが、一体誰から殺そうか。
 無造作に火の矢を払いながら考える。

 ♀クルセが剣を杖に立ち上がり、深淵の騎士はツヴァイハンダーを構えていて、♂ローグはスティレットを手にしていた。
 その向こうで、♀セージが睨みながら秋菜を見ている。

 深淵の騎士は。他にまだ生き残りがいる状況では、やや殺しにくく感じられた。
 ♀セージは、遠すぎる。指弾で打ち抜いても良かったが、肉を千切る感覚を味わいたい。
 残された選択肢は二つ。

 男にすべきか、女にすべきか。
 それが問題だった。



 秋菜を取り囲んだ三人の陣形は、微妙に変化していた。
 それぞれが距離を詰め、丁度♀セージの前に壁になる様にして立っている。

「…♂ローグ」
「ん、何だ?」

 囁くような言葉に、ローグは小さく答える。

「秋菜を倒せると思うか?」
「どうだかなぁ…正直、このままだと生き残る事も難しそうだ、ったく」

 短い沈黙の後、表情を変えずに彼は首を横に振った。
 その様子に、♀クルセは少し考え込む様な表情を見せる。
 じり、と秋菜が半歩踏み出した。

 ──残された時間は余りに少ない。

「どうしたんだ? らしくねぇぜ」
「……」
 だから、♀クルセは、黙ったまま何も言わない。
 只、じっと秋菜を見据えたまま、海東剣を握り締める。
 彼女の得意は槍だ。剣も使えない事は無かったが、それで秋菜に十字は刻めまい。

 彼女は、その瞬間。
 少しばかり、残念な気がした。
 何故なら、自分がこれからするべき事は、きっと、男との約束を破る事だから。
 ♂ローグの視線には構わず──じっと、息を潜め、機会を彼女は待つ。

 かつ、かつ、かつ、かつ。
 秋菜が、近づいてくる。

 勝機が今は無いのならば、作ればいい。
 戦い、とはそういう物だ。
 ただ、それは口で言うほど簡単では無いのだけれど。
 傷つき、息も絶え絶えの彼女に出来る方法は限られている。
 例えば。

 ああ、本当に。
 彼と一緒に帰れない事が、♀クルセにはとても残念だった。
 その時は、只単純に、そうとだけ思っていた。

「…っ!!」

 目を見開いて、前に飛び出す。
 決意の剣だけで、彼女は秋菜に勝てる、と思っていた。
 まるで、物語のヒーローの様に、どうにかなると信じていた。
 だけど、それは間違いだ。

 ──今必用なのは、貫く矢。ヒールの暇も無く、秋菜を殺しつくせる捨て身の一撃。

「ああああああっ!!」
 叫んで、誰よりも早く剣を振り上げる。
 但し、これは囮だ──そう、必用なのは、僅か一瞬。
 矢が、秋菜に突き立つ、一瞬だけでいいのだ。

「なっ…!!」
 ♂ローグと、深淵の騎士、そして♀セージが異口同音に、叫ぶ。
 ♀クルセに反応した秋菜が、バルムンを振る。
 ずっ、と言う音。剣を握り締めた両手。その手首に、焼き切れる様な痛み。
 見るまでもない、もう剣は握れないだろう。
 でも。その代わりに。

 彼女は時を手に入れたのだと、思った。

「これで…終わりだ、秋菜ーーーっ!!」
 そして光が。つまり、己すらも焼き尽くしかねないグランドクロスが。
 白が全てを塗りつぶしていく。
 彼女は、それで満足なつもりだった。

 自分は、すぐにでも秋菜に殺されるだろう。
 それでも。決して後悔など無かった。
 だって、私は──

「♀クルセェェェェェェェェッ!!」
 男の叫びが埋没しかけた彼女を、現世に引き戻した。
 どうして、彼女はそう言いたかった。けれど、声は出ない。
 予期していた胸を貫く痛みの代わりに、手の無い腕が、誰かに引き寄せられる感覚。

 ──そして、彼女はずぶり、と誰かの体にバルムンが突き刺さる音を聞いた。

「え…?」
 最初に、彼女の喉を付いて出たのは、惚けたような呟き。
 白い視界に世界が塗り込められていく。

「…ぅ…あっ…」
 嗚咽が、漏れる。
 馬鹿げた絵だった。
 それを信じたくなかった。
 生きて帰って欲しかったのに。
 かみさまは、ざんこくだ、と思った。

「♂…ローグ…っ」

 両手を広げ。グランドクロスに身を焼かれ。
 彼女を庇うために無防備になった腹をバルムンに貫かれて。

 ──そうして、彼は、彼女の目の前に、立っていた。
 何事も無かったみたいに見える背中を向けたままで。


<秋菜 グランドクロスにより重症? 但し、戦闘は続行可能 その他変化無し>
<♂ローグ 秋菜のバルムンに、腹部を貫かれる。重症>
<♀クルセ 両手消失>
<♀セージ&深淵の騎士子&♂アーチャー 変化無し>
287名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/29(月) 07:58:25 ID:HUezVXtU
えらくてこずってる割には分量が少ない罠…
ともかく、取りあえず、終局一直線の代物のお送りしました。

あ、それと、222の差し替え版も…
288名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/29(月) 07:59:01 ID:HUezVXtU
 さよならを仕舞って


 生きていて欲しい。
 ♀セージは、只そう思いながら走っていた。
 どれだけ絶望的な確立だろうと、箱から出さない限りは確定しないからだった。

 景色が過ぎていく。道を乗り越える。
 途中でやって来た♂ローグ達を加え、♂プリーストとバドスケ、それから♂アーチャーを除く生存者全てが集合。
 けれど、彼女の心は落ち着かない。
 集まった誰も彼もが、一言も言葉を喋らない。
 石畳を靴が叩く音だけが響いている。

 ややあって、中に猫が居る箱を、ついに開ける時がやって来た。

 そう、♀セージは♂プリーストに生きていて欲しかった。
 別に、特別、個人的な事情をさしはさまなくても、変わらない。
 只、もうこの箱庭で人が死ぬのが認められないだけだった。

 あんまりにも多くの人が、死にすぎてしまった。
 何の価値も尊厳も無く、只、ゴミみたいに死んで、道端に捨てられた。
 その絶対量は、余りにも重い。

 角を曲る。この砦郡は、それ自体以外には遮蔽物が少ない。
 彼等が、一目で見渡せない方に向って走れば、♂プリーストはそこにいる筈だった。

「あれぇ、遅かったじゃないですかぁ」
 白い服には、斑の赤。

「………ああ、遅過ぎた」
 瞳は、三日月よりも冷たく凍える。

 彼等の姿を認めると、秋菜は、足元の残骸にバルムンを付き立て、持ち上げた。
 ぶちり、と音がする。人並みはずれた怪力で、丁度布を裂くように。

 そいつは、頭の無くなった♂プリーストの死骸を、ゆっくりと、ゆっくりと二つにしていった。

 あまつさえ、バルムンは、ゆっくりと熱を帯び、
やがて、薄く白い光に、からからに黒く枯れた♂プリーストの体はぼろぼろと崩れていった。
 無意味の極み。無残の極み。それは既に炭屑にまで焼け焦げて。
 つまり、プリーストは、そいつに頭を千切られ、体を千切られ、骨までも完全に焼かれた。
 にこにこと、秋菜は笑っている。見せ付ける様に笑っている。
 白いブーツが、少し後ろから塗り広げた、何か柔らかい肉片交じりの血の跡は、いっそ滑稽ですらあった。
 足元に、♂プリーストを捨てると、愉快そうに何度も何度も踏み砕いていく。

 ♀セージは、笑わない。
 ♂ローグも、♀クルセも。

「♂プリースト…」
 呆然とした風に呟いたのは、♀クルセイダー。
 あの聖職者は、死んだ。何の意味も無く。布の様に引き裂かれ、塵の様に崩れ去ってしまった。

「これが本当の飛んで火に入る夏の虫。…あなた達は、たった一つ致命的な間違いを犯したの」
 そいつの口は三日月より、半月へ。

「あなた達は私を完全に怒らせた」
 そして、早すぎる約束を告げた。
 ♀セージの瞳は、凍っていく。冷たく、硬く。
 心臓の音さえも、いつの間にか聞こえなくなっていた。

 ──彼女に必用なのは、憎悪の炎ではない。

「でも、不思議。あなた達は怒らないですねっ」
 ぐしぐしと、♂プリーストだったものを、秋菜は踏み砕き続けている。
 ♂ローグが、ツルギを抜き、♀クルセが海東剣を抜く。

「俺は──手前ぇをブチ殺したくてたまらねぇけどな」
 ♂ローグが言う。ちらり、と彼は炭に一瞬だけ目をやっていた。
 横顔は。煌々と滾る緋色の炎だ。
 頭痛を催す程の怒りに違いない。

「……最早言葉など必要ではないだろう。憤怒など、全く不要だ」
 ♀クルセが言う。唇を噛み、僅かに悲しそうな顔。
 そして、静かな決意。大地の様に、それは硬い。
 きっと、誰も彼もが諦めても、きっと彼女は望みをすてまい。

「既に怒りなど無い。只、お前を滅するという誓いがあるだけだ」
 深淵の騎士。目は真っ直ぐに秋菜を捉え、離さない。
 目指すべき誓い。黒の様に、それは何にも染まらない。
 それは何よりも純粋で、何よりも騎士を強くする。

 あと一人。この場に居ない♂アーチャーは。
 しかし、勝利を導く勇気の矢と、決意の弓だ。
 彼が一体何をする積りなのか、彼女はそれを察していた。

 ♀セージは、静かに目を瞑る。
 冷たい思考が、電流よりも早く頭脳を駆けて行く。
 緋色の火炎。硬い決意と染まらぬ誓い。
 酷く寂しいけれど。そんな事を思う時間も惜しいのだけれど。
 一つが欠けても。その武具は。

 ──今彼女に必用なのは、三日月の様に、冷たく、冴えた頭脳。
 この場所で。♀セージは、それを振るう者だった。

 きっと、それは天をも貫く。
 この喜劇は、ここでお終いだ。

 ああでも。本当は。
 すごく、すごく悲しい。
 短い付き合いだったけれど。
 一緒に帰りたい。冷たく冴えた私でも、そんな風に思える人だったから。

 でも、今は。
 さよならは、仕舞っておこう。

 それは、死を告げる言葉だから。
 言葉と意思と、その貌が。
 この胸で、皆の中で、彼…いや、彼等全てが遺志として生きている今は、言わないでおこう。
 彼は死んでしまったけど、さよならを言うまでは、終わらない。
 それは、他の全ての参加者だって同じだ。
 悲しい気持ちは、さよならを仕舞うと、何処かに行ってしまった。

 ただ静かに、♀セージは秋菜を見る。

「秋菜」
「何ですか? 命乞いなら聞きませんよ? それに、たった五人だけで何が出来るんですかっ」

 目を細める。

「それは、不適当な解だな」
「あなた達だけで私を倒せると?」

 ゆっくりと、♀セージは天を指差す。

「それも間違いだ。私達は」

 そう、さよならは仕舞ってしまったから。

「皆と一緒に、戦っている」
 冷たい脳味噌でしかない自分には余りに不似合いな言葉だったけれど。
 だから、きっぱり、♀セージはそう言い切った。


<生き残り一行(♂アーチャー除く) 秋菜と最終決戦寸前?>
<秋菜 生き残り一行と最終決戦寸前?>
289名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/29(月) 08:07:08 ID:mTflizfY
朝からお疲れ様です。
今から会社行って来るから、夜までお預けかぁ・・・。
290名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/29(月) 16:26:08 ID:jhRnP/p6
WIKI更新、一部誤字があったのも修正
関係ないですが♀クルセの手がなくなったところで「日常生活が不便だろうな」とかちょっとズレた思考をw
♂ローグは川田になるかはたまたそのまま生き残れるか…続きが非常に楽しみです
291名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 08:42:22 ID:FBbKCWbQ
224 死んでも永遠に

「ここはどこだ・・・・・?」
♂プリーストは闇の中にいた
「・・・そうだ、俺はたしか秋葉に殺されたんだ・・・クソッ!!俺もここまでか」
猫がネズミをいたぶるかのように殺された悔しさもあるがそれより♂プリーストは
仲間を残し自分だけ先に殺されてしまった不甲斐なさが悔しかった

「あいつらの為に何かしてやりたい・・・何か・・・・」
♂プリーストは地面に膝をついた

「死んでる場合じゃねぇだろ・・・・?」
急に背後から声がした
声の主はバドスケだった
「バドスケ・・・お前も死んだのか」
「ああ・・・・だが、お前はここで死んでちゃいけねえよ。あいつらにはお前の力が
必要なんだっ」

「でも俺ももう死んでしまった・・・、俺にはもう何もできない。でもあいつらならきっと
 秋葉に勝つさ」

「本当にそう思ってるのか?内心あいつらが心配で心配でしょうがないんじゃないのか?
 相手は仮にもゲームマスターだぞ?」

図星だった、一方的にやられはしたものの秋葉の強さはよくわかったつもりだ。正直
残された連中が心配でならない
「わかってるよそんなことは!だが死人になにができるっていうんだ!?」

「・・・・・目つぶってみな・・・」
「・・・?」

バドスケにいわれ♂プリは目をつぶった
「見えるだろ?あいつらが」

目をつぶると秋葉と生き残った仲間達が戦ってる風景が見えた


秋葉は♂ローグの体からバルムンを抜いた。そのまま♂ローグは地面に膝から崩れさった
地は鮮血に染まっていった
「ローグ・・・・どうして・・・どうしてっ!?」
♀クルセは♂ローグを抱え込んで抱き起こそうとしたが腕がないのでそれすらもままらなかった。
「・・・・・いやなん・・・だよ・・・・」
「・・・・・?」
「これ・・・・以上、・・目の・・・前で仲間が・・死・・・死んでいくの・・は」
♂ローグの口元から血がとぽとぽと流れた
「お・・・・お前、死のうと・・・し・しただろ・・・?い・・・一緒に生き残って
 帰る・・・と・・約束した・・・よな・・・」
「馬鹿!お前が死んだら約束どころじゃないだろっ!」
「ふ・・・お、おあいこだよ・・・・これで・・・」

仔バフォ・・・・アラーム・・・・♀アーチャー・・・・そして♀クルセ。みんな、みんな
いいやつらだった、でももう♀クルセ以外のみんなは死んで・・・・俺にも迎えがきたようだ。
もう二度と会う事もできないんだな・・・そういえば
「あれ・・・?なんで俺泣いてるんだろ・・・・・」

♂ローグの瞳から涙が毀れた

「ごちゃごちゃと五月蝿いですよ」
秋葉が冷たく言い放ち♂ローグの心臓にバルムンを突き刺し止めを刺した

「♀クルセ・・・お前・・・だけ・・・でも幸せに・・・・し・・・・死ぬなよ・・・」

(冗談じゃねえぞ・・・・・)
♂プリはその風景を眺めていた
「立て!ローグ!!!!死ぬなああああああああ!!」
♂プリは叫んだ
(・・・・・♂プリの声が聞こえる・・・・・だがもう寝かせてくれ・・・・
 俺の血はもう・・・・枯れてしまった・・・・・・)

♂ローグはちからつきた・・・・
「う・・・・あ・・・・・うああああああああああああああああああああああああああああああああ」
♀クルセは泣き崩れた、もう何も考えられなかった。悲しさと怒りと・・・・

「まったく・・・・なんなんですかねえあなた達は。雑魚のくせにここまで私をコケにして
 ・・・ヒール!」
秋葉は自分にヒールを唱えるとグランドクロスのダメージすら完全に消えてしまった


そんな・・・・・これでもだめなのか?♂ローグと♀クルセはここまでやったのにっ・・・!!
♂プリは拳を握り締めた、拳から血がポタポタと垂れた。

「♂プリ!!だからお前はあいつらに必要な存在だったんだっ!!!」
バドスケが叫んだ
「・・・・わかってるよっ・・・・でも俺はもう・・・・死・・・・」

「そうだよ・・・・死んでる場合じゃないよっ!!!!」
もう一人背後から声がした。その声は♂ノビだった

「みんなピンチなんだ・・・救えるのはもうプリさんしかいないんだよ?みんなを助けてよっ」
「ノビ・・・・」


「さて、そろそろあなたにも死んでもらいますか、ほんっと目障りですね、グッバイ♪」
秋葉は♂ローグに泣きつき叫んでる♀クルセにバルムンを振り下ろした。
「♀クルセーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
深遠の騎士子は♀クルセを助けに走った、がバルムンが振り下ろされるまでにはとても
間に合いそうもなかった


「・・・・神よっ!!!俺の声が聞こえるか!?あの悪魔をこれ以上のさばらせておく気か!!
 今やられてるあいつらは・・・本当に・・・本当にいいやつらなんだっ!!!
 だから・・・あいつらを・・・・あいつらを助けてやってくれ!!!」

そう♂プリが叫ぶと♂プリの体が輝き出した
「え・・・・?」

♂プリがピカッ・・・と光るとバドスケと♂ノビの前から姿を消した

「・・・・プリさん・・・?」
292名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 08:43:01 ID:FBbKCWbQ
ガキィイイイイイイイイイイン
秋葉のバルムンが♀クルセに振り下ろされた
しかし次の瞬間何者かが♀クルセの前に立ちはだかりバルムンを受け止めた

「・・・・よお・・・・」
「お前は・・・・♂プリ・・・?♂プリなのかっ!?」
♀セージが叫んだ、その男は先ほど殺されたはずの♂プリに瓜二つであった。
プリーストのようであるが何かが違う、白い修道服を身にまとい光輝くオーラを
身にまとっていた

「あなたは・・・・さっき確かに殺したはず、何故!?」

「さあ・・・、俺もよくわからないんだよな。生き返ったのかどうかも・・・、
 だが神様がこういったぜ、お前を・・・絶対許すなとなあああ!!!」

♂プリ(?)は手にもっていた鈍器で秋葉を吹っ飛ばした、すさまじい威力で秋葉は
壁に突っ込みぶつかった壁がヒビ割れてしまう程であった。

もっていた鈍器は神器ミョルニールであった、秋葉の持っているバルムンに負けず劣らず
の強力な武器であった

「♂プリ・・・・・お前なのか?」
♀セージが♂プリに歩み寄った
「ああ、ちょっと待っててくれ」
そういうと♂プリは倒れている♂ローグの胸に手を当てた
「リザレクション!!」
プリはローグにリザを使い起こした
「う・・・俺はいったい・・・・、あ、お前は・・・♂プリ!?死んだんじゃなかったのか!?」
「ああ、死んだよ。でも祈りが通じたみたいでな、神様に最後に力をもらったんだ・・・だが」
♂プリがそういうと♂プリの体がフッと透けた
「どうやら俺に残された時間はあとわずからしいな」
「♂プリ・・・・すまない、私を庇ったばっかりに」
「気にするな、あの時お前がやられてたら全てが終わってた、それよりこの戦い絶対勝てよっ
 俺の後を追うように死にやがったら承知しないからな?」
そういうと♂プリは♀セージの頭を撫でた

「さて、これが俺の最後の力だ、みんな受け取ってくれっ。サンクチュアリ!!」
♂プリがサンクを唱えるとみんなの傷が癒され♀クルセの腕も回復した
「凄い・・傷が・・・」
「さて、そろそろお別れの時間らしいな、絶対負けるんじゃねえぞ?
 死んでも永遠に見守ってるからよ、最後にみんなと顔合わせられてよかった・・・ぜ・・・」

そう言い残すと♂プリはミョルニールを残し消えていった

<秋葉、吹っ飛ばされるもダメージはたいしたことない?>
<全員の傷が回復>
<♂プリースト死亡→ハイプリになり一瞬復活→昇天>
293名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 08:44:22 ID:FBbKCWbQ
ごめん、転生禁止って書いてあったけどどうしても勝利を導き出すのにこれしか
考えつかなかった
294名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 09:26:12 ID:YvVz7.QU
ちょっと物言いを。
先ずヒント(勝利を導くのに戦力不足、と言うのへの反論)

つ(串刺し♂ローグ君の盗作GX10)
つ(騎士子たんの至近距離BDS)
つ(♂アチャ君の城攻め用のバリスタ)

因みに、城攻め、というだけあってバカでかい石弓ですね。>バリスタ
人間大の生物はおろか、城壁にも深く打ち出した弾を突き刺すよな代物です。
まぁ、イメージとしては大砲を思い浮かべてもらえれば。
秋菜と言えど、これで♂アチャに狙撃されれば普通死ぬでしょう。
一応、これらの伏線の上では十分秋菜殺害は可能と思われるのです…

それに、転生はちょっと…個人的にどうかと思われるのですが。
これらの一部取り入れた♂ローグ君死亡話執筆中なので
上がった後で、自分の提言についてご一考願えると幸いでつ。
295名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 09:34:39 ID:YvVz7.QU
あ、誤解を避ける為補足を一つ。
ここで言うバリスタとはROの中の手で持ち運べるそれではなく、
重い台座に取り付けて使う物です。
最も、普段のGvなんかでは危険すぎて使われないでしょうが。

詳しくは
ttp://www.k2.dion.ne.jp/~tactic/balista.html
296名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 10:04:00 ID:/QhwTnO.
転生もNGだけど理由無く転生したりミョルニル持ってたりは
ちょっとご都合主義過ぎるんじゃないかと・・・

せめてアリスの青箱から何か出てきて とかなら分かるんですけどね。

>♂ローグ死亡話

うわーん、死んじゃうんだ (つД`)
297名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 11:25:11 ID:7AzIeGmQ
リレー小説なのに続き書いてる1人の人が都合悪いからっていちゃもん付けるのはどうなんだろう。
ヒーロー物の話なんてご都合主義多いんだし私はいいと思う

> せめてアリスの青箱から何か出てきて とかなら分かるんですけどね。
大して変わらないw
298名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 11:29:06 ID:nXA4uTQU
良し、完成。投下投下っと
299名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 11:29:26 ID:nXA4uTQU
 終わりの言葉


「か…っはっ」
 腹が、焼け付く様に熱い。
 畜生。ドジっちまった。
 呪詛の言葉の一つでも怒鳴り散らしてやりたかったが、どうもそれすら出来そうも無い。
 やられちまったのは、胃袋か、それとも肝臓か。或いは、両方ともか。
 ついでに言うと、下半身の感覚がなくなっちまってるから、脊椎もイカれてるんだろう。

 俺に出来る事と言えば、もう突き刺さったバルムンを支えに身を捩る事ぐらいで。

 ──まぁ、仕方ねぇか。どてっ腹に、モロに刃を食らっちゃよ。
 半分、諦めにも似た気持ちがやってくる。
 けど、熱ももう消えていってんだ。文字通りの死に体だな。

 にしてもよ。
 ♀クルセ。お前はよ。

 僅かに首を捩って、後ろを見る。
 泣きそうな顔で、手の無い腕を宙に突き出した♀クルセの姿。
 ええくそ。何たって、こんな無茶をしやがったんだ。
 お前がそんなんだから、俺は。

「……っ、ねえ」

 そうさ。
 だから、この期に及んだって、何一つ忘れられない。
 自分が最低の人間で、それでも護りたいと思った奴がいて。
 ああ畜生。♀クルセの奴、あんな手じゃ一生剣は握れねぇじゃねぇか。
 俺は、そんな奴だけど。本当に護りたいと思える奴が居て、そいつを初めて、肝心なとこで死なさずにすんだ。
 ああ、紛い物だっていいさ。俺は、きっと今、生まれて初めて騎士って言う役柄を貰ったんだ。

 今にも消え入りそうな意識を、残った力で無理矢理つなぎとめる。

 畜生、しかし不味いなぁ。
 口の中には血の味しかしねぇし、目の前は段々と暗くなっていきやがる。
 恐らく、こいつが俺が味わう最後の味覚なんだろう。
 血で喜ぶのはバンパイアだけなんだが、もうちっと美味けりゃよかったのによ。
 色んな風景が目の前を過ぎてくのは、ひょっとして走馬灯ってのか?

 辛かった事。苦しかった事。こんな生き方しか出来なかった事。人を殺した事。人を犯した事。
 けれど、アラームや子バフォ、♀アーチャー。そして、♀クルセに出会えたこと。
 ここまでの旅路がまんざらじゃなかった事。自分みたいな人間が、心の底から笑えるようになっていた事。

 ──生まれて初めて、騎士の役割を貰えた事。

「よ…お、秋菜」
 体は勿論ガタが来てやがって。
 声を出すだけでも、酷く疲れちまう。
 俺の掠れた声に、目の前の女は俺に目を向けた。

「…死にぞこないが喋らないで下さいよぉ。鬱陶しいです」
「は…はっ、そ…う、言う、なよ。台詞ぐら、い。最、後…まで…いわせろよ」
 喘ぎ喘ぎ言葉を吐くと、振り向いて、♀クルセ達に破顔する。
 秋菜は、俺の事を只の死体とでも思ってるのか、案外あっさりとその提案を呑んだらしかった。
 奴も相当の深手だったんだが…畜生、又、ヒールしやがった。それ故の余裕なんだろう。
 俺は、しっかり笑えているのだろうか?
 心配されねぇようにされねぇと。

 きっと、俺は。ここで死ぬ。
 ローグは嘘を付くのが得意だから、本当の事は言わない。
 けれど、俺は騎士でもあるから。

 嘘を付きながら、本当の事を言おう。

「俺は…騎士…さ。だから、よ。だから、こんな事、ぐれぇ、で。くたばる訳、にゃ、いか、ねぇ…」
 その言葉は、誰に向けた物なんだろうか。
 よく判らなかった。クソッタレ、思考まで死に掛けてきてやがる。

 だが──まだだ。
 思考を走らせる。意識を編み、イメージの形を作っていく。
 十字。白い十字。破戒の悪党が編む、白い光。
 足りない。まだだ、まだ足りない。もっと、もっともっと強く、強く。
 1を十に上げ、式を複雑に。覚えた十字を鮮烈に。
 ついさっき、俺を焼いた、あの光の紛い物を作り上げる。

 切り札は、あいつのお陰だ。
 本来なら、♀クルセ自身がそうするつもりだったんだろうが、俺はあいつに死んで欲しくなかった。
 俺は、そんな女を裏切らなくちゃならない。
 勿論、彼女の心って奴にはいい加減気づいていた。

「なぁ…♀…クルセ」
 げほっ、げほっ、と咽帰ると、血糊が秋菜に降りかかる。
 畜生。喋りにくくていけねぇ。
 くたばっちまうのは、解ってる。もう少しだから、気張れって。

「んな、悲しそうな顔、するなよぅ。黒いのも、姐さんも。あの坊主も。バドスケの野朗も。
 お前ぇ等、は。生き残れよぅ。今の、今、まで。生き残れたんだから。生き、残れる。
 だからよ。全部、忘れて。達者で暮らして、くれ」

 …こいつが、俺の遺言か。
 ったく。この場所に着てから、本当、最後まで俺らしくもなかったなぁ。

 目を閉じ、そして、残された自分に檄を入れる。
 遣り残した事が、まだある。

 俺と秋菜と、残りの連中との距離は、丁度、一直線だ。
 振り向いて、深淵の騎士を見ると、にやりと口の端を歪める。
 そいつは、俺の意図に気づいたのか、こくり、と一度小さく頷いた。
 さっきは、突然の事に反応できなかったみてぇだけど。今度は出来るみてぇだ。

「…? 何のつもりですかぁ」
「…なぁに。盗んでおいた、最後の、切り札…って奴さ」

 さぁ、終わりの言葉を言うとしようか。
 一瞬、秋菜の顔が焦ったような色に変わるが──もう、遅い。
 本当に最後の力を振り絞り、体を秋菜に寄り掛からせる。

「グランド…」

 瞬間、頭の中で、爆薬のピンが外れた様な音が響いた。
 体中が、文字通り砕けていくほんの僅かな時間の中で、俺は。

 俺は、一つの幻を──
300名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 11:29:51 ID:nXA4uTQU
 ──俺は、いつものベッドから、身を起す。
 窓からは、眩い朝の光が差し込んでいる。体の節々が痛むのは、昨日の仕事の疲れが残っているんだろう。
 首をコキコキ回し、背を伸ばし、それから欠伸を一度して、眠気を吹き飛ばす。

 ふと、顔を横に向けると──長く、綺麗な髪のひと。
 俺は、何時だって怖い怖いと言われている顔を、更に怖く見せるだろう、不機嫌そうな顔をした。

「…んだよ、居たんなら、起してくれっての」
「いや…あなたの寝顔があんまり可愛かったのでな、起す気になれなかった」
「可愛いってなぁ…おい」
 俺は、ただでさえ不機嫌な顔を更に不機嫌にして、そのひとを睨む。

「そんな顔をしたって無駄だぞ? お前がそういう顔をするのは照れている時だからな」
「…ちっ」
 …ったく、こいつにゃ敵わない。
 あっさり白旗を揚げると、ベットから降りて立ち上がった。

「朝食の支度は出来ているからな。勤務は早いのだろう?急いだ方がいいぞ」
「ああ、そーするよ」

 俺は、あれから。
 騎士団長に直談判したとか言う♀クルセの口効きで、特例で騎士に認められていた。
 最も、冒険者としではなく、騎士団直下の下っ端団員としてだけど。
 思ってもみない形で騎士になれたのは嬉しかったが、勿論苦労も沢山あった。
 元ローグ、なんて肩書きの男が歓迎される筈はなかったし、勤務も随分窮屈だった。
 人殺し、外道と陰口を叩かれる事はしょっちゅうだったが、それでも我慢して働き続けた。

 もしも──あのひとが居なければ、とてもじゃないが続けていけなかったろう。
 騎士になった幸せよりも、騎士になってからの苦労の方が多かった様な気もする。
 …言うまでも無いが、あのひと、というのは♀クルセだ。

 そう。
 今の家を買う為に、ローグとして持っていた財産を処分する前、俺と彼女はささやかな式を挙げていた。
 見知った顔…ハンターに転職した♀アーチャーや、バドスケ、子バフォと奴の主人と、そのアルケミの連れ。
 それから、バドスケとアラーム、そしてその家族。
 客はそれぐらいしか居なかったが、それから随分と騒いで朝まで明かした日だった。
 ──まぁ、全員でなだれ込んだ酒場の床が酒でびしょ濡れになる様な有様だったから、余り褒められたものではないのだろうが。

「…どうだ?私の料理の腕も中々だろう?」
「…参った。こりゃ旨いわ。また腕上げやがって…」

 俺の前には、クルセイダーの鎧をエプロンに着替えた♀クルセ。
 口にした料理を味わって唸る。
 余り時間が無いのが惜しかった。
 そうだ。騎士団は時間って奴に随分と厳しい。
 俺が、一番最初に思い知った事だ。

 少し残った料理を、一気に喉に流し込んで立ち上がる。
 歯を磨き、顔を洗い、それからまだ新しい鎧に身を包んで玄関に向う。

「……ん、どうした?」
 外に出ようとした時だ。
 背中に、不意にしなだれかかってきた♀クルセに言う。

「…なぁ、ローグ。今日も、遅くなりそうか?」
「あー…どうだろうなぁ。多分、普段どおりに…なる、だろうな」
 言いかけて、♀クルセの顔が不安そうな事に気づいた。
 俺は、にやっ、と笑うと、くしゃくしゃと頭を撫でてやる。

「馬ー鹿、心配しなくても飛んで帰ってきてやるよ」
「う…」
「大体、何だよいきなりよ。変なトコで寂しがりな奴だな」
「む…」
 困ったような声を出す、困り顔の♀クルセ。
 まぁ、そんな所に俺は惚れちまったのかもしれねぇけど。

 さて、そろそろ本当に急がないと不味い。

「俺は、必ず帰ってくるさ。安心しとけっ、それじゃあな! 急がないとヘルマンの親父にどやされちまう!!」
 手をいいかげんに振りながら、言ってやる。
 俺は、石畳を蹴って走り出した。

 見上げると青い、青い空。
 俺が、手に入れていたかもしれない日常が始まるな。
 そう、思った。


 そう──そんな、幻を、見ていた。

「クルス!!」

 幻の中でも、約束を果たさないことは残念だ、と思う。
 痛みは既に無い。けれど、その代わりに思考も鈍い。
 白く染まる視界の中で、深淵の騎士が、氷の様な表情を貼り付け、剣を振り上げて俺の方に走ってくるのが見えた。
 俺は、心底から──良かった、と思う。
 死人は、死んでしまっているから何一つできない。
 けれど、俺の遺言は、どうやら実現しそうだった。

 俺の命を薪にした割には、馬鹿みたいに白い光が、至近距離から秋菜を焼き尽くしていく。

 ならば、俺には、こんな束の間の夢だけでも十分すぎる。
 もしも、他の皆も無事に帰れていたなら、叶っていたかも知れない夢。
 これが、手向けの花の代わりには、十分すぎた。

 俺の意識が消えていく。
 最後の闇が。
 光は余りに眩しくて、でも涙は零れなかったと思う。

 さて、と。出来る事は全てやってしまったから。
 俺はそろそろ旅立つとしよう。

 ──じゃあな。


<♂ローグ 死亡>
<GM秋菜 GXにより重症 目前にまで深淵の騎士子がBDSの構えで迫っている>
301名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 11:30:57 ID:nXA4uTQU
いちお、自分が予定していた物を置いておきます。
それでわー

壁lミサッ
302名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 13:09:37 ID:/QhwTnO.
>リレー小説なのに続き書いてる1人の人が都合悪いからっていちゃもん付けるのはどうなんだろう。
>ヒーロー物の話なんてご都合主義多いんだし私はいいと思う

いや、転生した理由がどこにも無いから
せめてなんらかの理由付けが欲しいなと思っただけなんですが・・・

死んだ人がかりそめの生を得られた理由が
神様の粋な計らいというので問題ないと思われるならそれで良いです。

でも転生職の使用はNGと決めてあるのに今回のを認めちゃうと
今まで書きたくても書かなかった書き手さんに対して失礼じゃないですか?
303名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 14:11:48 ID:FomWbYxg
私も223の続きを書いてたので一応投下しておきます
304名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 14:13:56 ID:FomWbYxg
奇跡

よう、俺だ。♂ローグだ。
俺は今バルムンに腹部を刺され、吐血したところだ。
傷は深いが…致命傷じゃないから安心してくれ。まぁ死ぬほど痛いけどな。
ん? ヒーロー気取りで身代わり? 冗談じゃねぇ。
きちんと計算しての行動だったんだよ。
いかに強い一撃でも予期しない距離では威力が半減する。
加速が乗る前に当たれば必殺にはならないってわけだ。
納得いったかい?
うぐ、そ、そりゃあ…なぁ…♀クルセだからってのはそのなんだ…
あー、うっせーうっせー!
正直、考えるより先に身体が動いちまったんだ! これで満足かよ糞が!
こほん。まぁそれも信頼があっての行動だ。
きっと深淵の騎士子や♀セージがフォローしてくれると思ってたからな。
だが味方のフォローはこなかった。
それだけじぁねぇ、秋菜のとどめの一撃もこねぇときてる。
おいおい一体どーなってやがる…?

目の前には秋菜がサディスティックな笑みを浮かべたまま微動だにせず固まっていた。
振り返ると♀クルセが、文字通り凍りついた表情のまま動かない。
隣にはブランディッシュスピアの構えで前のめりになっている深淵の騎士子。
♀セージはキャスティングの構えだ…たぶん秋菜を止めるためのFWだろうな。
そいつらが全員、止まってやがった。ぴくりとも動きやしねぇ。
こいつぁ何なんだ…?
ふと刺された腹部に目をやると、
バルムンに貫かれ破れた服の合間から血に塗れつつも光を放つ物が見えた。
まさか…お前の力なのか…!?
懐で淡い光を放つもの…それは懐にしまっておいたアラームのカード。
あの少女のカードに時を止める効果があったとは…。
おおっと! 感傷に浸ってる場合じゃねぇ!
バルムンでカードが破れちまってるし効果は長続きしねぇだろう。さっさとやることすませるぜ。
俺は負傷の痛みを堪えつつ腕を上げるとスティレットを逆手に構え、秋菜の喉めがけて突き下ろした!


<♂ローグ 重症 所持品:アラームたんカード/所持者が負傷すると稀に時を止める効果。バルムン貫かれ破れてしまった>
<GM秋菜 時間停止 喉元に♂ローグのスティレットが迫る>
<その他のメンバー 時間停止>
305名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 16:12:55 ID:4Y.X4nw2
> いや、転生した理由がどこにも無いから
> せめてなんらかの理由付けが欲しいなと思っただけなんですが・・・

218の話で色々探してたヒャックたんが、
男プリの叫びで特定できて、出来る限りの手助けをしたとかはどうかな?

残念ながら、文才がないので皆を納得させることが出来るようなものは
書くこと出来なさそうだけど・・・。


それにしても、男ローグかっこいいなぁ。
憧れて女ローグだけど、作っちゃったよ。
こういう話だから、仕方ないけど・・・死んで欲しくないなぁ・・・。
306名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 16:17:03 ID:FlmqcdyE
>>305
仕事から帰ってからちょっと書きたいな。
……22時過ぎになりそうだけどorz
307名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 16:47:58 ID:7w0J/XiE
>>293
ルールの中で書いて欲しい1読者。
無理に勝たせなくてもいいじゃないさ。
全滅エンドだってあるわけだし、

リレーだからこそルール逸脱の前例を作らないで欲しい。
308名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 17:06:42 ID:U2CS5p1Q
根本的に死人を生き返らせるのはどうかと思うんですけどね
一つしかない命が死んだり生き残ったりするからロワっていう形が栄えるものだと思います
前に死人が生き返った話があった時にそういうのはどうかって話になった覚えがありますし
唯一死亡から復活した♀ローグについては「動く死体」状態だったわけですし、まだギリかなーと
この手も次回以降はナシだとは思いますが
いっそ生き返らせるなら

みんなの幽霊出現

オレの身体を皆に貸すぞ!

ここから居なくなれー!

……思いついたまんま書いたらゼータになっちゃった(笑
309名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 17:19:31 ID:qJtz1/UA
個人的には…♂ローグが生き残る可能性があって
アラームの遺したcを使ってる>>304氏のを採用してほしいけれども…
310304sage :2005/08/30(火) 18:02:44 ID:FomWbYxg
>>309さん
ありがとうございます
私は甘めが好きなのでこうなりました

>>299さんの終わりの言葉もローグが輝いていると思います
バトロワとして秀逸なできで読んでいてとても良いと思いました


>>304の誤字を修正しつつちょっと加筆したものを投下して、私のラストバージョンとさせていただきます
311名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 18:07:42 ID:FomWbYxg
奇跡

よう、俺だ。♂ローグだ。
俺は今、秋菜の糞にバルムンで腹を刺されて吐血したところだ。
おまけに♀クルセのグランドクロスの光で焼かれて死にかけてる。
だが安心してくれ。致命傷じゃあない。…死ぬほど痛いけどな。
ん? ヒーロー気取りで身代わり? 冗談じゃねぇ。
きちんと計算しての行動だったんだよ。
いかに強い一撃でも予期しない距離では威力が半減する。
加速が乗る前に当たれば必殺にはならないってわけだ。
納得いったかい?
…うぐっ そ、そりゃあ…なぁ…♀クルセだからってのはそのなんだ…
あー、うっせーうっせー!
正直、考えるより先に身体が動いちまったんだ! これで満足かよ糞が!
こほん。まぁそれも信頼があっての行動だ。
きっと深淵の騎士子や♀セージがフォローしてくれると思ってたからな。
だが味方のフォローはこなかった。
それだけじぁねぇ、秋菜のとどめの一撃もこねぇときてる。
おいおい一体どーなってやがる…?

目の前には秋菜がサディスティックな笑みを浮かべたまま微動だにせず固まっていた。
振り返ると♀クルセが、文字通り凍りついた表情のまま動かない。
隣にはブランディッシュスピアの構えで前のめりになっている深淵の騎士子。
♀セージはキャスティングの構えだ…たぶん秋菜を止めるためのFWだろうな。
そいつらが全員、止まってやがった。ピクリとも動きやしねぇ。
こいつぁ何なんだ…?
ふと刺された腹部に目をやると、
バルムンに貫かれ破れた服の合間から血に塗れつつも光を放つ物が見えた。
まさか…お前の力なのか…!?
懐で淡い光を放つもの…それは懐にしまっておいたアラームのカード。
あの少女のカードに時を止める効果があったとは…。
そういえば思ったより腹の傷は深くない…時間が止まったせいでバルムンが深く食い込むことがなかったんだろう。
ありがとうなアラーム、助かったのはお前のおかげかもしれねぇ。
…!? カードの中の少女が微笑んだような…?
まばたきすると元の表情にもどっていた。
気のせい…俺の意識がヤバくなってきてんのか?
…いいや、♀セージの言う通りなんだ。皆と一緒に戦っている。そういうことなんだな。

バルムンでカードが破れちまってるし、時間停止の効果は長続きしねぇだろう。
さっさとやることすませて、みんなで生きて帰るぜ。
俺は傷の痛みを堪えつつ腕を上げるとスティレットを逆手に構え、秋菜の喉めがけて突き下ろした!


<♂ローグ 重症  所持品:アラームたんカード/所持者が負傷すると稀に時間を止める効果。破れてしまった>
<GM秋菜 喉元に♂ローグのスティレットが迫る>
<その他のメンバー 時間停止>
312名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 19:02:52 ID:00sFV2y.
>>307氏あたりと内容かぶりますが。
ラストバトルの♂ローグを巡って三人の方が書いたわけですが、普通のリレーならば先着ですよね。
ただ、私としてはやはり
[>生き返ること
[>NGだった転生を突然(転生はせず復活だけって変更も可能だし、外のGM達が助力したってのも…?
[>突然神器が出てきたこと(さすがにこれも助力ってのは〜。そもそも神器ミョルニールは鈍器ですが剣士系・商人系のみ装備可能です
という点から>>299-300氏か>>311氏の方がよろしいのではないかと…と思うのですが。いかがでしょ。
各人それぞれの思いを持って書いた訳ですし、読み手側にもそれぞれの思いがあると思いますが、
一人の読み手の一つの意見としてよろしくお願いします。

>>311
アラームたんCの効果と使いどころは泣かせますね。GJ!
>>291-292氏か>>299-300氏が採用されても、ハッピーエンドでも絶滅エンドでもアラームたんCが何らかの登場をしてから終わって欲しいと思う一読者でした。
313名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/30(火) 23:59:15 ID:wO/Y04j6
自分も>312氏とほぼ同意見ですが…
さすがにクライマックスだと伏線を収束させなきゃならんし難しいですね。
エピローグとしてはいくつか存在してもいいとは思うんですがね。。
他の皆さんのご意見はどんな感じでしょ?
314名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 01:16:54 ID:jE6kgRIk
オーラですらなかった♂プリが生き返る上に転生ねぇ…?
しかも神器まで携えリザやサンクまで行使する
もしかしてミストレス挿しまで持ってたりします?
同じ転生して現れるなら♂BSのがまだ可能性的にありそう
それだって激しく有り得ない無茶な展開だけど
死人を蘇生させ転生までさせて充実装備を与える
外部からの助力って言葉でこんなの認めたら話の根本からぐだぐだになるでしょ
全滅でも辛勝でもそれは流れで仕方が無いけど設定無視の暴走はダメだと思うね
315名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 02:16:18 ID:uH9A/626
転生職除外と書いてあるから291はルール無視である以上ボツだろうな。
転生使った理由にしても秋菜に立ち向かえる伏線もいくつかあるわけだしな。
ただ話しとしてはこういう強引な力技は嫌いじゃないんだよな。
転生職というNGを使ってしまった以上291は除外でいいと思う。
ここで採用したら一応ルールに沿ってた他のNG話の作者とかかわいそうだぜ。

んでローグの生存ルートと死亡ルートはどっちもいい話だとは思うんだが…
でも、ま、これは先着順だな。死亡ルート採用で生存ルートはアナザーだろう。
どっちが優れているかじゃなくてリレー小説としてそれが適当じゃないか?
まだ終わりじゃないんだしアラームたんCはこれからこじつけた話を書くとかさ。
俺もいろいろ構想練ったりしてるんだが、それ文章にすると出来がなぁ(笑
316名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 02:22:48 ID:uH9A/626
すまん、ちょっと文章変なったorz
テキトーに脳内でいじってやってくださいTT
317名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 03:37:26 ID:AAaen82k
生存・死亡は難しいところなんだよね

>基本的に早いもの勝ちとします。
これによると死亡なんだけども

>それから、一人の書き手が余りに連投を続けるのはイクナイ!!
>暫くの間、誰かが書いてくれるのを待ってみましょう。
最近は死亡ルートの人が書きすぎてた気もする
これは前の話を書いた人が次の話を書きやすく、早く投下できることへの注意だろうしね

リレー小説ってのは複数の書き手がいてこそなんだし、俺としては生存ルートがいいとおもう
318名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 03:52:06 ID:SzFlfetQ
うーむ。ものの見事に意見が割れてるな。
どうすべきか。
319名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 04:00:58 ID:SzFlfetQ
ちょっと考えてみたんだが、
これは死亡派、生存派双方意見出し合って、
どちらを取るか協議してみる必要がある希ガス。
320名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 04:19:27 ID:SzFlfetQ
ってな訳で死亡ルート書いた人でもある自分の言い分を。

1.♂ローグが、もしこのまま生き残っても、対秋菜は不利になるばかり。
 ならば、対峙してる中で戦局に影響を与えにくい彼に犠牲になってもらおう、と判断。
 更に、このまま参戦してても活躍は難しいでしょうし。

2.もし、強大な的敵と戦い、しかもこちらが不利な場合、
 犠牲無しに物事がうまくいくだろうか、と思考。
 更に、戦闘を中だるみさせない為に、早く切り上げた方がいだろう、と判断。

3.流石にアラームたんcを戦闘に出すのは不味かろう。
 秋菜への決定的な打撃は、特別枠外にやってほしかったので。
 但しこれは個人的な自粛事項。

4.連投については…ごめんなさい、ほっといても中々難しかろう、と思い、
けっこうな量を投げました。

自分の言い分はこんなところ。
後、生存する方の書いてる方に質問。
中々答えにくいかもしれないと思われるのでご注意。

えーと、生存ルートで、秋菜を倒すまでの具体的構想はありますか?
リレーとはいえ、最悪の場合には自分で広げた風呂敷を自分で畳むことも必要なので。
自分としては、生存死亡よりむしろ、この部分の方が気がかりです。
最も恐れているのは、完結目前で頓挫する事態ですから。

しかし…考えてみればなんか贅沢な悩みですね。
いうなれば、プリンと羊羹。おやつをどっちにしようか迷っているよーな。

ともかく、連レス&書き慣れなくて下手な長文失礼しました。それでわ。
321名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/31(水) 04:23:59 ID:EioKmh6o
アラームだから「時」に関する効果で、時間を止める、か。
普通に巧いよな・・・

先着なら死亡ルートだが、連投を避ける意味では生存ルートか・・・難しいね。
322名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 04:47:37 ID:ELDuQfmM
無茶承知で書くぜ
アラームではなくあくまでもアラームたんCってトコに着目
何にも挿さずに単品状態で発動に無理もあるがこの際どうせ妄想Cなので無視する
♂ローグはバルムンにより死亡コース
だが命の最後の輝きに反応したアラームたんCが発動、♂ローグの魂が過去に飛ばされる
そこは始まりの場所
悲壮な未来を知る♂ローグは同じ道を辿らぬように奔走を始める…
果たして未来は変えられるのか?ってなベタ展開
この辺のエピローグが次のセッションのプロローグになる
♂ローグを主役にしちゃ拙いから誰かに後を託して途中退場ってのもあるし
今回敵だったキャラを味方につけられたりする一方で逆に敵に回るキャラが出たり
死ぬはずだったキャラを無事集めて最終決戦は大集団で挑むとかね
この悲劇の後のタイムスリップ2周目物は割とポピュラーな手でしょ
ま、無茶承知の妄想だけどね
323名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 09:11:06 ID:iTBx9HNI
一通り読んだ
ルールに沿おう。リザ禁止だし転生もしかりだ
であるのなら、♂ローグの生存は>>286の段階でとても厳しい物となってると思われ
てーか無理かと
という事で、その直後の>>299を採用として話を続けるべきだと思われ
つまり私は>>315と同意見です

奇跡もうまく作ってある話とは思うけどね
324名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 09:17:24 ID:4YSqn9HY
今回のごたごたは転生だリザだってよりも連投で他の人が書けなくなった縛りのが問題な気がする
325名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 09:26:22 ID:ifNtsHLk
>>322の展開面白そうというか是非読みたいがそこまで込み入ると連投じゃないと収束しなさそうだよなぁ
326名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 09:57:38 ID:gjTSeZRM
♂ローグ生存ルートもアラームたんCの伏線が回収できるのですごーく魅力的なんだけど

それでも先出し有効で>>299が良いのか連投防止で>>311が良いのか・・・
ゴメンなさい、私はどちらかなんて選べません、えぇ、どちらの展開も素敵過ぎるのです。

本当は♂ローグに生き残って欲しいけど、>>299さんの♂ローグが素晴らしい生き様を見せてくれたので
あーーーーーー
327名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 11:21:58 ID:Z2mopHgo
個人的には>>299を採用して、>>322に繋がるのがいいと思ったり
328名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 11:41:25 ID:UeS6fl26
こんにちは、生存ルートの人です

>>320さん
秋菜を倒すまでの具体的構想は考えてありました
倒すための伏線はすでにいくつか用意されていますし、アリスの青箱という保険もありますしね
329名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 11:58:26 ID:Lwx7IkaU
>>299だと、♂ローグのGXで♀クルセも爆死するんじゃまいか。
3人とも移動していないようだし。
330名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 12:06:06 ID:AAaen82k
>>320
他の書き手は別の意見があると思うんだよな
特に1は♂ローグが秋菜撃破の役に立つかどうかは書き手次第だろう
♀クルセのGXのダメージはヒールで回復されてしまったし、
♂ローグのGXのダメージは♀クルセより低そうだ
そこから深淵が連携を狙って動いてるっていうのが223のラストと比較しての進展だが…

連投に関しては222からみて3連投になる上に、
次回も死亡ルートの人が書くとなると4連投
リレー小説としてどうよ?って俺は思ったんで書いた


>>322
過去に戻るってことは登場キャラもある程度は使いまわしになるのが難点だな
331名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 12:25:50 ID:GEoyPk3Q
リレー小説なんだから、書き手はいち名無しとして書いて欲しいってのがいち読み手の意見
文体から「ああ、この人かも」って想像する程度にはいいんだけど、
書体(独特の全角スペース開け)等で察しがついてしまうのもなんだかな、と思ってた
私が書いてるんだYO!ってアッピールしたいのかな、とかね

ある程度の期間投稿がなかったのなら連投も仕方ないだろうけど、
わざわざ連投してるなんて言わなけりゃ分からないんだし、
そのあたりは匿名性をうまく使いこなしてやればいいわけで・・・

匿名掲示板におけるリレー小説で、個人として特定される要素バリバリ含んで連投するくらいだったら、
(執筆予約までして他の人に投稿させられないような雰囲気をつくったり、
 自分の思い通りに話を進めたいのであれば)
自分のサイトででも連載すればいいんじゃないかなと思った次第であります。
332名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 12:42:12 ID:sICay97I
だが連投に関してはその書き手を攻められる問題でもなかろう。
広げてあったものをちゃんと取りこぼしなく包まなきゃならんわけだし
他の書き手だって萎縮して投下が少なくなっていたのが現状。
333名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 12:59:21 ID:GEoyPk3Q
> 広げてあったものをちゃんと取りこぼしなく包まなきゃならんわけだし
広げたものを他の人が包むのがリレー小説なんじゃなくて?
1人で書くわけじゃないんだから取りこぼしもあるだろうけど、
そういうのもリレー小説独特の性質だと思うんだよ

> 他の書き手だって萎縮して投下が少なくなっていたのが現状。
そうならないためにはどうかって問題だと思うんだ。
やっぱりあからさまな連投は避けて欲しいと思うわけで・・・

初回だしなかなかうまくいかないのは仕方ないけど、
次回もやるならこういう点を踏まえてもうちょっとルール定めていってもいいんじゃないかなと思う
334322sage :2005/08/31(水) 13:12:58 ID:wmeXpk02
意外と支持者が居るようでしゃしゃり出て見る
勿論こうしろよ〜的な自説強要は無しで

1周目が悲劇で2周目で覆すと言う手法自体は珍しいものじゃない
まぁ普通はハッピーエンドになるけど再度悲劇でもいいかなと思ったり
続きで進行させるのは長くなり過ぎだし望まない人も多いだろうから
もしあるとしてもやっぱりアナザーになるかな
次回のセッションどうするよ?な話題がちょっと前にあったので可能性として提示してみた
全滅コースも構わないはずだけど流れとしては勝利希望が多くなってない?
ここまで死者が出てる中でハッピーエンドは無理があるし
このままだとキャラ勝利の逆転には結構強引な展開になるのではと
一度全滅コースで幕を引き、パラレルワールド的な話も面白いのではないかとね
過去に戻った♂ローグが何を言おうが誰も信じない
職のせい以前に突拍子も無い話だし
♂ローグもそれは自覚してて孤独に未来を変えようと頑張る
それが却って不自然になって♀クルセの信用を失ったりとか
♂ローグが途中で倒れてもそれまでに誰かの信頼を勝ち得ていれば遺志を継がせるとか可能かな
ただやっぱりこれやっちゃうと主人公が固定されてしまう危険が大き過ぎる
連投や方向性の固定でリレー小説として成立しなくなるね
有志がアナザーで書いてくれたら嬉しいなって俺は思うけど
335名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 13:49:11 ID:HxisxssA
ここまでgdgdなら、いっそ生存派死亡派でバトルロワイヤルして頂いてはw
それぞれ続編を作成して、その内容がどちらがふさわしいかを考えてはいかがでしょう?

ちなみに私は合成派です(マテ
どのみち、時が止まっていてもローグは腹をバルムンで貫かれている状態で秋菜を攻撃
しており、更に高レベルヒールを唱えられる者がいない(クルセがGXヒールなら別だが)
ため、最終的には結局死んでしまうでしょう。
そのため、斬りつけ->GX発動直前にアラームたん効果終了->GX発動->ローグ死亡->
深淵BDS->吹き飛んでバリスタ->ロングボルト->止めにクルセの思いをこめたHX
のコンボも良いかなと。
この問題は、秋菜と言えどあっさり死亡してしまい、完結してしまいそうなのがwww

まあ、文才がない馬鹿の妄想ですが、死亡反対もこの方法では結局ローグが死ぬと言う点と
どうせ語るなら、リレー小説スレなので小説で語ってちょんまげって事です。
336名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 14:55:42 ID:c.0rd1KY
>335さんの
クルセの思いを込めたHX
ってところになんか感動した漏れガイル

でも、生存派・死亡派でわかれてやるとなるといろいろ問題も出てきそうな気がする
そもそも双方を1スレでやるってのは混乱の元でしょうし、かといって新スレを立てるというのもどうかと思いますし
337名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 15:14:30 ID:sICay97I
>>333
> > 広げてあったものをちゃんと取りこぼしなく包まなきゃならんわけだし
> 広げたものを他の人が包むのがリレー小説なんじゃなくて?

まったくその通りなんだが
それまでは包みきれなくても無問題
自分の包みたいのだけ包んで自分の広げたいものだけ広げればよかったのが
終盤にもなるとそういうわけにもいかないでしょ。
良いものを書こうと思うのならなおのこと。

じゃあ連投を防ぐためにどうするか。
結論が「連投しちゃダメ」って言うことだけじゃあないと思うのよ。
収束させなきゃならん部分ではある程度書き手が限られるのもやむを得ないのかなと思うし。
個人的には連投防止で>311ってのもどうなんだろーと思ったわけです。
まぁひとつの意見として。
338名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 15:44:07 ID:2ZbxPKGU
自分は連投縛りではない形の>>311を支持します。
ちゃんと話繋がってるし、死に設定になりかけてたカードもうまく利用してるしね。
それを「俺が書いてたのに!!1!!!」とか「文神様が書いてくださってたのだから」とか
さすがに言いはしないだろうけど思ってる人もいそうなこの雰囲気。

「続き書いてるから」とかは、次の人が書きづらくなるから自粛したほうがいい気がする。
最初の方にもこういう議論ちょこっとあったような?
339名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 16:32:51 ID:Roy.duNM
うちも思いを込めたHXでトドメというのを支持したいけど、
♀クルセ腕がないから、どう打てばいいのかが…
340名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 17:48:27 ID:EioKmh6o
2周目ってのも面白いと思うが・・・
ローグが最初に出会った♀プリと共に行動すれば、
たった一つの変化が今後に大きな影響を及ぼして、アサシンを倒す為に♀剣士さんが死ななくてすむ!!
(その代わり、♀クルセさん救出に間に合わなかったら悲惨な状況になるが・・・)

いや、それはどうでもいいとして・・・
書き手が少ない以上、連投になってしまうのは仕方がないけど、
>>299>>311のどっちか決めろと言われても難しそうだね。
どちらにするか読者が話しても、どちらもそれぞれ言い分があるだろうし、
正しいことだから説得するにもなかなか時間のかかることだと思うよ。
結局は、どちらかが妥協して一旦身を引くしかないのかなと思った・・・
341名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/08/31(水) 22:29:13 ID:my7lZcW.
過ぎた話ですが、アラーたんCの効果を
 『効果範囲の人物達の思い出の記憶を幻影化する(会いたいと願う人物に会える)』
  ※カード単体で発動、やさしい幻影の領域を維持できなくなればカードも消滅
とか妄想してました。
アラームたんの願いが「皆が笑い合える世界」(ちょっと違うか?)でしたので・・・

♂GMが幻影化すれば秋菜も・・・とか構想練ってましたが、まとめ切れない、
俺、文章力なさすぎ・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

全く関係ない事を書いてすみませんでした。
読み流してください。
342名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 23:04:37 ID:iTBx9HNI
私は>>299採用が筋と考え、その話の流れに沿いつつ続き書いてみた
余計混乱するかもしれないけど、決着はつけたつもりです
ああ、299はもちろん私が書いたものではないがっ

連投云々に関してはっ
私は何も言う資格が無いプロ南の嵐な人より_| ̄|○
343名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 23:06:36 ID:iTBx9HNI
旅の果て


秋菜が余裕をかなぐり捨てた雄叫びを上げる。
「ヒール! ヒール! ヒール! ヒール! …………」
口が動く間に、まだ術を唱えられる間に、彼女はこの世界に来て、初めて必死になった。
そのすぐ下では息絶えた♂ローグが倒れ、その後ろに居る♀クルセは、這いずって♂ローグの元に向かう。
無駄に鍛えなければ良かった。そうすれば、♂ローグと一緒に死ねたのに。
でも、ほんの少しだけ良かったと思う事もある。
見事成功した二人の企みを、見届ける事が出来そうだから。

♂アーチャーは遂に、その時を得た。
秋菜が動きを止めるその時を、息を殺し、仲間が傷ついていくのに耐えながらじっと待っていたのだ。
「秋菜ーーーーーーーーー!!」
必殺の意志を込め、♂アーチャーはバリスタの矢を放った。

ヒールは効果を発揮し、徐々に焼けただれた皮膚を癒していく。
それと共に余裕も戻ってきた。眼前に倒れるにっくき男と、その男に這い寄る薄汚い女。
癇に障ってしかたがなかった。
「消えちゃいなさい。この世か……」
秋菜の人並み外れた反射神経をもってしてもこれをかわす事は出来なかった。
長大な矢が秋菜の胴体に突き刺さる。
そしてその勢いは衰える事を知らず、その先にあった砦の壁に秋菜ごと深々と突き刺さった。
「……え?」
信じられない物でも見るように、自らを貫いた矢を見下ろす秋菜。
そんな秋菜に、深淵の騎士子が飛びかかる。
「今こそ皆の仇を!」
ツヴァイハンターを両手に持ち、腰の真横までそれを引きながら駆け寄る。
「この程度で勝ち誇るんじゃないわよっ!」
秋菜は矢に貫かれた状態のまま、両足を大地につけ、バルムンを大きく引く。
「ブランディッシュ……」
深淵の騎士子の両腕に筋肉が漲る。
「ブランディッシュ……」
秋菜の二の腕が、隆起する。
『スピアッ!!』

激突した二本の剣。
地力は上だが体勢の悪い秋菜と、駆け寄り、勢いを付けた万全の体勢で望む深淵の騎士子。
二人の力は僅かの間拮抗していたが、この二人の全力を受け止めきれない物が一つだけあった。
亀裂音が剣を走る。深淵のツヴァイハンターは、わずかに神の剣の硬度に届いて無かったのだ。
秋菜はそれを見て勝利を確信したが、深淵はまだ諦めてはいなかった。
即座に片手を離し、懐から小さい柄を取り出す。
♀騎士の、そして♂ケミの形見となっていた無形剣であった。
『私は絶対に負けぬっ!』
BDSの威力は相殺されたが、既に秋菜の間合いに入っている深淵は突き出されたバルムンを受け止めなければならなかったのだ。
騎士の名に恥じぬ剣捌きで、バルムンを上にはじき飛ばす深淵。
だが、秋菜も超が付く一流の剣士であった。
跳ね上げられた剣が、その絶妙な力加減により、深淵が想像していたよりも遙かに早く振り下ろされてきたのだ。
その剣を真正面から受け止める深淵の騎士子。
「くっ!」
重い、とてもその身を巨大な矢に貫かれているとは思えない動きと力であった。
そのまま鍔迫り合いになるが、その圧倒的な力は深淵を凌駕していた。
「ハンデとしちゃ充分よね……死になさいっ!」
徐々にバルムンを押しつけられる深淵。それは最後のチャンスであった。
『皆……私に勇気をっ!』
突如バルムンを支えていた力が失われる。
秋菜にも何が起こったのか理解出来なかったが、バルムンはあっさりと深淵の左肩口に叩きつけられたのだ。
「私は負けぬと言った!!」
深淵が霊力を送り込むのを止めた為、一度完全に失われた念の刃が深淵の気合いの声と共に蘇る。
そしてその剣と秋菜の間に、最早防ぐ物も、距離も、時間も残ってはいなかった。
『狂ったのこいつ!?』
頭頂目がけて振り下ろされるであろう剣を、秋菜は全力で左に頭をかたむけてかわす。
しかし、深淵が狙うはただ一点。
それは想像以上に手強い手応えであったが、それでも深淵は最後まで剣を振り抜くことが出来た。
多分、みんなが支えてくれたのだろう。そう、深淵は思い、それを最後にその意識は途絶えた。
バルムンを握っていた秋菜の右腕が、剣ごと大地に墜ちる。
秋菜は墜ちた自らの右腕を見ると、絶叫を上げる。
久しく忘れていた感覚、恐怖は今の怠惰であった秋菜にとって、とてもではないが抗し得ない感情となっていた。
必死に残った左腕で、腹を貫く矢を抜こうと試みる。
秋菜の力を持ってすれば、壁を貫く程に深く突き刺さった矢すらも抜き去る事は出来るだろう。
現に秋菜が矢を手に持った時、それは、秋菜にとって不可能な重さではないと感覚的に知ったのだ。
安堵感と、焦燥感がない交ぜになりながらも、矢を引き抜こうと力を込める秋菜。
その腕を上から押さえる人物が居た。
「フロストダイバー!」
手を当てたままフロストダイバーを唱える♀セージ。
彼女は待っていたのだ。
深淵が秋菜からバルムンを奪う瞬間を。
それが為らなければ、♀セージは秋菜の剣技の前に立つ事が出来ないのだから。
♀クルセ、♂ローグ、そして深淵は命を賭して使命を果たしてくれた。
そうやって仲間が戦い倒れる様を、ただひたすらに我慢し、仲間の勝利を信じて待ち続けるのは、♀セージにとって恐ろしいまでの苦痛を伴う行為であった。
だが、最早耐える必要も無い。
己が使命を果たし、次に繋ぐ。必要なのはそれだけだ。
途切れる事なく続く詠唱、必死に振りほどこうとする秋菜であったが、既に♀セージの腕と秋菜の腕は氷を介して繋がり、それは二人の二の腕を登り、肩口まで辿り着く。
秋菜は両腕を奪われたのだった。

恐怖が秋菜を震わせる。絶対の力、無二の力。それが未完成で不完全な者達によって蹂躙されていく。
以前、秋菜が戦った時は、逃げ道などない。自分は最後の最後まで前に走り続けるしか出来る事は無かった。
どんな恐怖に襲われても、どんな力が立ち塞がっていようともだ。
しかし、今の秋菜には、まだ最後の手段が残されていた。
それが秋菜を更に弱くした。
恐怖に抗しよういう意志を奪い去った。
「テ、テレポー……」
信じられない物が見えた。
両腕を失い、全身に大やけどを負い、最早戦力として考えられないであろう♀クルセ。
彼女が、♂ローグのスチレの柄を口にくわえて秋菜の眼前に迫っていたのだ。
『なんでそこまでするのよ! なんなのよあなた達は!?』
スチレは秋菜の口に突き刺さり、♀クルセは駆け寄った勢いそのままに秋菜にぶつかってその場に倒れた。
♀セージは体勢を低くして言った。
「チェックメイトだ秋菜……遺言を聞いてやれないのが残念だが、これも運命だ。受け入れろ」

♂アーチャーが放った第二矢。
これは正確に秋菜の首を捉え、秋菜の頭部が宙に舞う。
すぐさま矢が壁に突き刺さり、その轟音で、首が大地に落ちる音は良く聞こえなかった。


♀GMが装置を叩く。
「なんで崩壊が止まらないんですか!?」
ヒャックは眉間にしわを寄せる。
「内部で崩壊の手助けをしている者が居る……そして、それを止める力を持った者がその力を行使しようとしていない」
「そんな!? 秋菜は何故そのままにしているのですか! このままじゃ自分まで巻き沿いで消え去ってしまいますよ!」
「彼女の考えは私にもわからない。他のGMが早く気付いてくれればいいのだが……」
「そんなの悠長に待ってる時間無いじゃないですか! 私は捕らえられた方々の所在を探します!」
また装置に向かって忙しく動き始めた♀GM。
ヒャックも同じ操作を始めるが、僅かに位置特定の可能性があった時計塔が消えた今、彼らの所在を知らせるべき何者もあの世界には残って居ない事も知っていたのだ。
344名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 23:07:01 ID:iTBx9HNI
矢の衝撃は凄まじく、至近距離で喰らった♀セージはフロストダイバーで氷らせていた右腕を完全に砕かれた。
おかげですぐに動けるようになったのだが。
「♀クルセ……終わったぞ」
そう声をかけて、しゃがみ込む♀セージ。
しかし、♀クルセは譫言のように♂ローグの名を呼ぶだけであった。
残った左腕で♀クルセを抱えて、なんとか♂ローグの元へと引きずっていく♀セージ。
出来るだけ近くに二人を並べると、♀クルセは♂ローグにその腕を伸ばす。
既に息のない♂ローグを、♀クルセは横になったまま抱きしめ、また譫言のように呟いた。
「ああ……聞こえているぞ♂ローグ……お前は勇敢だった……でも……私も捨てたものではなかっただろう?」
何やら肯く♀クルセ。
「ははっ……悪いがもう無理だ。お前が……嫌だと言っても私もそちらに行くぞ……私達は、いつだっていっしょ……だ」
物言わぬ♂ローグと会話していた♀クルセの腕が落ちた。
♀セージは、最早涙も出なかった。
静かに♀クルセの最後を看取ると♂ローグに語りかける。
「男冥利に尽きるな♂ローグ。向こうで幸せにしてやれ」
そう言って♂ローグの肩を叩く♀セージ。

「頑張ってくださいっ! 諦めちゃ……」

不意にそんな声が聞こえた。
聞いたことの無い女の声に、♀セージは周囲を見渡す。
麻痺していた♀セージの脳が突然動き出す。
周囲に違和感を感じる物は無い。
『今のは聞き違いではない。確かに聞いた……何処だ?』
♀セージの脳細胞が再び活性化する。
『会話をしていた? そうだ……♀クルセは新たに♂ローグの思考を紡ぎ出す余裕は無かったはずだ。ならば♀クルセが考えるあの時の♂ローグの返事は肯定か否定かだ。にもかかわらず、会話は別の話題へと移っている』
少しづつ仮定が繋がる。
『私が声を聞いたのは……♂ローグに触れた時!』
♂ローグを凝視する♀セージ。
その懐から微かに漏れる輝きに気づけたのは、この推理あればこそであったろう。
♂ローグに心の中で詫びながら懐の中に手を入れると、脳内に声が響き渡る。
「お願いしますっ……返事を……返事をしてください……」
その輝きの元を抜き取る。
それはアラームの絵が描かれた一枚のカードであった。
「こんなのって無いですよ。やっと救えると思ったのに……二人目だったのに……」
カードを握りしめて♀セージは言う。
「おい、お前は誰だ? 一体どういう事だ?」
「生存者!? 他にもいらっしゃるのですか!」
「ああ、私は生きている。お前は誰だ?」
声の主は嬉々として大声を張り上げる。
「良かった! まだ間に合います! 良く聞いてください!」
「だから私の話を聞け。お前は誰だと……」
「後十数分でその世界は消え去ります! その前にあなたをこちらの世界に呼び戻しますのでそのカードをしっかり握っていてください!」
「何っ!?」
「絶対に離してはダメですよ! 十秒後に転送します!」
言葉の真偽を確認している暇は無い。♀セージはカードを持って駆けだした。
「10!」
砦の庭を駆ける♀セージは、そこで初めて砦の外が全て光に包まれている事に気付いた。
「9!」
それは少しづつこちらに近づいており、その光の先がどうなっているのか、こちらから窺い知る事は出来なかった。
「8!」
♀セージは声を限りに叫んだ。
「何処だ♂アーチャー!」
「7!」
見つからない。決着が着いたのは知っているだろうが、もしかしたらその場で座り込んでいるのかもしれない。
「6!」
だとしたらもう間に合わない。城壁の上に登るだけで20秒はかかる。
「5!」
「♀セージ! 他のみんなは大丈夫か!」
「4!」
そう叫びながら♂アーチャーが城壁下端の扉から出てきた。
「3!」
左利きでは無いが、魔法を嗜む者の常として、両手を扱う訓練もしてきたつもりだ。
「2!」
「受け取れ♂アーチャー!」
「1!」
♀セージが放り投げたアラームカード。それは♂アーチャーの右側数十センチの所にそれていったが、
「転送!」
うまく手を伸ばして器用にそれを受け取った♂アーチャーは、女の声と共にこの世界から消えて行った。


それを確認した♀セージは一息つく。
光は砦全体を包んでいるらしく、どうやら逃げ場は無いようだ。
失われた右腕の切断部分は、氷漬けであった事もあってほとんど痛みを感じない。
何故か恐怖は無い。
「結局、最後まで戦い、勝利しても私には何も残らなかったな」
仲間も未来もそして命さえも、♀セージには残りそうになかった。
「それでも、私は満足している」
光は、城壁を覆い尽くし、♀セージのすぐ側まで辿り着いていた。
「私は、きっといくつかの物を残せたから……」
♀セージを光が包み込み、そして♀セージ達が生きたこの世界は、この世から消滅した。

『こんな私を……褒めてくれるか♀ウィズ?』


<深遠の騎士子 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/折れた大剣(大鉈として使用可能)、ツヴァイハンター、遺された最高のペコペコ 備考:首輪無し>
<♀クルセ 死亡 現在位置/プロンテラ 所持品/青ジェム1個、海東剣 備考:首輪無し>
<GM秋菜 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/バルムン>
<♀セージ 死亡 現在位置/ヴァルキリーレルム 所持品/垂れ猫 プラントボトル4個、心臓入手(首輪外し率アップアイテム)、筆談用ノート 備考:首輪無し>

<♂アーチャー 現在位置/不明 所持品/アーバレスト、銀の矢47本、白ハーブ1個 備考:首輪無し>
345名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/08/31(水) 23:38:00 ID:iTBx9HNI
とまあ私は対秋菜ではこんな事考えてました
……これでも一応ハッピーエンドのつもりな私(´・ω・`)

ずーっとさ、♂アーチャー登場話が気になってたんだよね
あの書き方、♂アーチャーが生存者ってなったら綺麗に繋がりそうだし
>>299から繋げた理由は>>291が転生リザと、ルールに抵触してる事
その上で、先出しのルールに従って>>304よりも>>299を優先したってのが私としての理由かな

最後までロワっぽくしてみようと考えた結果がこれでした
かさねていうがー
私はこれでもはっぴーえんどのつもりじゃーw
346299sage :2005/08/31(水) 23:38:28 ID:k.v1wZdg
うむむ。競り負けた。orz
取りあえず、自分が考えてたラストをアナザーとして後日投下。
(先にネタバレしておくと、結構な人数が生き残ります)
そして、死亡ルートの決着に沿った後日談を平行して進めておきます。

それでは、生存ルートの人も頑張ってください。
自分の仕事が終わってから、又そっちの方も余裕があれば手を出しますので。

ノシ
347名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 00:19:24 ID:OF9kBzII
どーでもいいが、前から気になってた

なんで両手剣でBds撃ってるんだお前さんがたは・・・
348名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 00:37:17 ID:kOmhZcHs
>>347
深淵は普通に大剣でBDS使えるし、GMはある程度法則を捻じ曲げれるからじゃないでしょうか?
それに細かなことを言ってしまえばそもそも騎乗してなければBDSは打てないし〜
等今までの結果でROと違うところがいくつも出てきてるので許容範囲では?

それに1に

そして、本文の内容についてですが
RO内設定というよりむしろ、文章での説得力が重視されます。
但し、リレー小説という形式上、何よりまず
キャラクター間でのバランスを登場する物品などで
崩し過ぎないようにしていただけると幸いです。

とあるんだからバランス崩してるわけでも無いし良いかと
349名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 00:47:23 ID:H/LXi.ng
>>347
深淵の騎士だからっ(ゲーム内グラフィックでは、BDS時剣を振るう)
秋菜は秋菜だからっ(装備スキル制限シカトしてるしこのお方)
まあ、深淵はグラフィックでは槍も持ってるんだが、剣のが演出しやすいし、撃てても不思議では無さそうだったから剣でBDS撃てるーってちょい前に書いてみて、そのまま続けてたです
槍って演出しずらいんですよねこれが……
ああ、そーいえば槍で槍スキル使った奴いねーでやんのw

>>346
すまんっ、バトルがすんげー書きたくなったんだ
350名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 00:48:19 ID:Zlev/b.w
>347
一応前の方で超絶技巧故に剣でBdsも可能と言及してるね
実際のMOBグラフィックでも大剣持ってBdsしてくるでしょ
深淵は特別枠でしかも通常MOB扱いではなく萌えスレ出身ぽいし特例でコンセンサス得ちゃってる
不可にするなら最初に剣Bdsが出た時点で意義唱えないと散々使って来ちゃった今更じゃ遅いよって事になる

♀クルセの損傷部分なんだけど…
両手を失ったってのは両手首?両腕の記述もあるし肩から?
どうも手首から失っただけで腕部が残ってるように書いてあるみたいなんだけど
この辺統一されてた方がいいんじゃないかね
後、攻城戦用のバリスタなんか胴体に受けたら上下に千切れちゃうよ
矢と言うより丸太ん棒が飛んでくるようなもの
ドラキュラDROPのじゃないって注釈ついてた代物だし
351名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 01:19:40 ID:S63ZPctU
>>299
連投について散々指摘されながらまだ投下するつもりだったのですか…
リレー小説というものを理解していないのではないでしょうか
これはあなた一人の物語ではありません

文章がうまいがゆえに細かい情景まで思い浮かんでしまうため
その先の各々の行動が見えてしまうので
次の書き手にとってストーリー選択の自由度が低いのです

書き手それぞれ自分の思い描くストーリーがあります
しかし重要な分岐点をあえて他人に託すことで違うストーリーが出てくる
それがリレー小説の醍醐味だと思います
他の書き手のことも考えてください

思ったことを書いたらまとまりのない文章にorz
352名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 01:21:41 ID:H/LXi.ng
>>350
少なくとも>>299の時点では
>>ずっ、と言う音。剣を握り締めた両手。その手首に、焼き切れる様な痛み。
という記述があって、私はそれに倣う形で腕という表記をしておりました

んでバリスタだけど
そうだね、リアルバリスタはそのぐらいの威力になると私も思う
ただゲーム内のバリスタ(ヴァルキリーレルム内部にある奴)を見てきた感じ、丸太並の木を飛ばすではなくでかい矢を飛ばすって感じに見えたんだ
んで相手が秋菜だから、ああいう威力でどうかなって
そういう意味では、最後の首が飛ぶシーンで、記述が少なすぎたとも思う
胴体ぶちぬくはさておき、首だけが飛ぶって、多分首から下、胸の辺りまで丸々削られてそーだしね

ああっ、なんかこー改めてこーやって書くとホラーな世界だなーコレ
353名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 02:43:31 ID:Jdkvggjo
進行激しくなってきた!
モットヨミタイo(*´д`*)oブンブン!

読み手の私としては、たとえNGになろうと、
大量に投下してあるとうれしいものです。

>>350
IDがNG
354名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 02:44:46 ID:Jdkvggjo
>>352だった…orz
355名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 02:59:21 ID:WaScrmfA
むしろ352はどきどきプリティリーグ

>書き手の皆様
読ませて頂いております
頑張ってくだしゃんせ
356名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:48:33 ID:8GcgsPZE
226 静かな日々の階段

「シャープシューティングッ」

地下洞窟に鋭く響く♂スナイパーの声。
手首のモンスター・スティングが数匹、放たれた矢に貫かれて沈む。

「うはぁ、さすが凄腕といわれるだけあるなぁ」

スナイパーとペアPTを組む♀クリエイターが微笑みをみせる。
♂スナイパーは黙って次の矢を取り出し周囲に警戒の視線を放つ。
♀クリエイターは暇を持て余すかのように白ポーションをお手玉のように放り投げた。

「そーいえば最近ここに篭りっきりだね?」

落ちてきた白ポーションをパシッと片手で弾くように回収しながら♀クリエイターが問う。
♂スナイパーはそっけなく「そんなことはないよ」と答えた。
♀クリエイターちょっと引っかかるものを感じて話題をひっぱろうと考える。
♂スナイパーはそれを見越していたのか珍しく自分から、やや諦めたように会話をなげた。

「昔… まだアーチャーだった頃に幻のような出来事があったんだ」

♂スナイパーは思う。きっと誰かにこの話を聞いてもらいたかったのかもな、ずっと…。

「あんさんの力…うちらに貸してくれへんか?」
♀アルケミストと♀セージに拾われてオレはこいつらと生きて帰る…、そう思った。

しかし生き残ったのはオレだけだった。
そう、生き残ったんだ…。

「ま、ちょっとした因縁てやつでさ…」

♂スナイパーが恐るべき速さで矢を放ちスティングをまた一匹貫いた。

「ちょっとしたヤバイ事に、な」

♀クリエイターは「ふ〜ん、そうなんだ〜、……ってヤバイことって何!?」と疑問を投げる。
♂スナイパーは「さぁな」と短く答えることを拒否する言葉を返す。

―生きろ。

ふと誰かの声が聞こえたような気がした…


<生き残り:♂アーチャー1名>
357名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:52:01 ID:hI976JVc
一つの終わりが完成。
だけど最初からアナザー扱いということで宜しく。
358名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:53:19 ID:hI976JVc
 終わりのソラ 〜 an other end



 この空は偽者で。
 けれど、その色は本物と変わらず何処までも青い。
 そうだ。この狂った戦場は偽者だ。
 それも又、ある一転だけは現実と同じ。
 死ぬという事。それだけが、この箱庭で唯一の真実だった。

 ──それは、平等に訪れる。

 重い。重い。何て重いんだ。
 俺は、大地に鎮座するそいつを渾身の力を込めて、旋回させていた。
 必死の力では足りない。それだけでは、あの女は貫けない。
 俺は自分はもう死んでしまっている事にした。
 呼吸を無視し、悲鳴を上げる筋肉を無視し、押し続ける。

 俺は、今の今まで。悉く死に一番遠い場所に居た。
 今だってそうだ。自分の技量じゃ無駄だ、という理由をつけてまで、秋菜の居る戦場から逃げ出してしまった。
 だから、今は。
 せめて自分で自分の体を壊して、死に対して歩み寄ろうと思う。
 周りかけている砲台を更に押した。

 …さあ、俯角は取れた。
 ぜぇぜえ、と間の抜けた喘ぎ。
 今の今まで、息をする事すら忘れてしまっていた様な気がした。
 縋り突く様に、弦を引き絞る装置に取り付く。クランクを回す。引き絞られる。張り詰める。
 砲弾にも鉄槌にも似た矢を、図太い柱の様な銃身に乗せる。
 次は仰角だ。装置をいじって大体の見当をつける。だが、これでは微妙な狙いがつけられない。
 仕方ない。丁度、切り出したばかりの丸太を担ぐ様に台尻を肩に乗せる。

 ──精神を統一。視界が拡大。
 遥か向こうに居るはずの秋菜が、直ぐ目の前に居るかの様な錯覚を受ける。
 と──二度目の光が。あれは、♀クルセだろうか。
 思わず、目を瞑る。強い光は、目を眩ませるからだ。

「…間に合ってくれよ、頼む」
 当てる自信は十分にあった。
 しかし。その時。俺は、何も知らなかった。

 ──そう、死こそが、この箱庭の真実。



「う…あ…」
 焼け爛れた体で、呆然と言葉を発する秋菜を、黒衣の騎士は馬上から見ていた。
 手には、或る魔王の持ち物だった、ツヴァイハンダー。
 形見とも呼べるそれを手に、滅するべき存在に向けて、ひた走る。

 彼は、何処までも誇り高い男だったのだろう。
 彼女は、今更ながらにふと思う。
 戦い、戦い、戦って。剣を手に構えたまま、最後まで戦う意思を捨てずに、この剣の主は逝った。

 自分は。
 ここに来てやっと、彼の様に、全てを戦いに注ぎ込める様になったのだと思う。
 そう。全てを背負って、全てを飲み干して。
 それは、悉くが毒の様に酷く苦かったけれども。

 心には誓いを。
 手には剣を。
 遺志は、私の意志を加速する。
 私は、進むべき道を往く。

 ぎっ、と彼女は秋菜を睨む。
 圧倒的な力を以って、全ての参加者を蹂躙し続けてきたそいつは。
 一人の騎士が、命と引き換えに放った光に、今やぼろぼろに崩れかけていた。
 ──今ならヒールも間に合うまい。

「…チェックメイトだ」
 さあ、幕に──

「あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」
 ──しかし、耳を劈く様な叫びが下がる暗幕を中段。
 秋菜が、その傷からは想像も出来ないような速度で片手を上げる。
 亡、とその掌が、光りを帯びた。

 瞬き程の間に、それが編み上げるのは、ぐちゃぐちゃに歪んだ…魔方陣。
 ♀セージが、目前にしたならば、余りの出鱈目さに、悲鳴を上げかねない式。
 けれど、それは一つの目的にそって、ありったけの害意を詰め込まれていた。

 そして、その目的とは、深淵の騎士の破壊である。

「殺してあげる殺してあげる一片の肉片も欠片も炭屑も灰も塩も何もかも残らないぐらい徹底的に破滅的に盲目的に絶対的に!!!
 殺して殺して殺して殺してBANしてBANしてBANして───あはは、あはははははははは、あははははははははははははははは!!!!」
 けれど、その言葉は、黒衣の騎士には甲高い悲鳴じみた雄叫びにしか聞こえない。
 何故なら、悲鳴じみたそれは、二つの叫びを、超々高速にて一つの口で発している結果。
 その一つは悪意、またもう一つは詠唱である。
 秋菜は喉から血を飛沫ながら、僅か零コンマ数秒にも満たぬ間に、詠唱を完了。

 深淵の騎士は、背後から、♀セージが叫ぶ声を聞いた。
 だが、彼女は、その声を黙殺した。
 今しかない、秋菜を殺すなら、今しかないのだ。

 そう。それは、この場に居ないもう一人だって判っている筈で。
 自分でも、分の悪すぎる賭けだ、とは思う。
 けれど、一瞬の停滞も無く、冷たく、笑った。
 意識が──冴え渡る。もう言葉など要らない。
 五感以外の、不要な全てが揮発していく。

 目の前の女は、今は、私を殺す事しか考えていない。
 ならば、私には聞こえる、この音も、聞こえてはいまい。

 ひゅるるるるる。

 秋菜の掌が、深淵の騎士に向けられる。
 音と、秋菜と、黒衣の騎士と。その誰にも遅れて、漸く♀セージが式を編み始める。

 ツヴァイハンダーが、衝撃を伴って走る。
 僅かに遅れて、指の先程まで女の術が顕現する。

 ひゅるるるるるる。

 音が、大きくなった。
 真っ黒く、長い影が、視界の隅を掠める。
 それは、一つの奇跡なのだろう。
 そして。

 どずり、と肉を引き裂き、骨を打ち砕く致命的な音が聞こえた。

「あ…れ…?」
 ひゅう、という呼吸音。
 ぐらり、と秋菜の上体が一瞬傾ぐ。
 どずん。低く、腹に響く様な音。

 その時、深淵の騎士の瞳に写った光景は。
 黒い、槍じみた鉄の棒に地面に縫い付けられた、焼け爛れた体の秋菜の姿だった。
 一瞬遅れて発動した呪文が逸れて、何処か彼方へ飛び去っていく。
 さぁ、黒い騎士の大きな剣が、終わりを引き連れてやって来る。

 ──どしゃっ。

 かくて、この長い長い狂った喜劇の幕は、いとも呆気なくその幕を下ろした。




 全てが終わったその後でなら。
 例えば、とある優しい奇跡だって、許される。
 それは、戦い続け、血を流し続けた彼等への、ほんのささやかな贈り物。

359名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:53:49 ID:hI976JVc
 くるくると、手の無い腕に包帯が巻かれている。
 わたしは、呆然とした顔で、それを見ていた。
 目の前に居るのが、誰なのか判らない。
 むしろ、今自分がここにあること。世界の何もかもが嫌になってしまっていた。

 ──きっと、私は、壊れてしまったんだと、思う。

「──っ、───」
 声が、聞こえない。
 私は、気づかないうちに自分で外界の全ての感覚を遮断してしまっているみたいだった。
 やがて、紐で縛り、焼き鏝を当てて強引に止血した切断面を完全に包帯が覆っていた。
 痛みを殆ど感じなかったのは、やっぱり私が壊れてしまったからだ、と思う。
 いや…本当は叫びそうになるぐらい痛かった、のかも知れない。
 でも、それは記憶から綺麗に抜け落ちていた。ああ、やっぱり私は壊れてしまったんだろう。

 大切な人の元に、行きたかった。
 私の中で、その思いだけはまだ正常なようだった。

 虫が這う様にして、のたのたと、目的の場所に向う。
 すぐ後ろで、誰かが何かを言ったけれど。何も聞こえなかった。
 今は只。

 ああ。♂ローグ。
 ♂ローグ。♂ローグ。
 嗚呼。

 私は、仰向けに天を仰ぐ彼に寄り添うように。
 寝転がると、ちらと空を見る。曇っていた筈の空は、いつの間にか透き通るような蒼。
 ああ、きれいだな、と思う。殺戮の庭は、終わったのか。
 でも、それさえ今はどうでもいい。

 彼は、それ程まで私の心の中で、大きく育ってしまっていた。
 でも今は幸せだった。でも、辛かった。辛いはずは無い、と思い込みたいのに幸せで、そして辛かった。
 くるくる回る。くるくる回る。体を回して、傍にある体を見た。

 ──壊れながらにして、こんな残酷な現実を直視できる自分の意思が、憎かった。

 わたしが知っている彼の体は。
 そんな大きな穴は無かった筈で。
 地面の上に、夕日の様に見える赤を散らしてはいなかった筈で。
 つまり、横たわるそれは、私の知っていた彼ではなく。
 タダの死体。

 死者は語らず。
 只、横たわるのみ。

「…っぐ…ひっぐ…うっ」
 気が付けば。涙。
 縋りついて、他の誰もを遮断した世界で、一人泣いていた。

 姉さんが死んで。子バフォが死んで。♀アーチャーが死んで。
 そして、♂ローグも死んでしまった。
 壊れた私は、遅まきに、その事実を飲まされる。

 誰も彼もいなくなった寂しい世界。
 私は。涙を、冷たい骸に落としていた。

「──」
 誰かの、声。
 私には聞こえない。

「───ぃ」
 まただ。
 聞き続けるのが嫌だったから、耳を塞いだ。

「──おい!!」
 がつん。
 …これは、何だろう。
 懐かしい──声?

 誘われて、顔を上げる。

「ひでぇ顔だな。 台無しだぜ?」
「ぁ……」
 ぽかん、と私は大きく口を開けていて。
 目の前の。居るはずの無い人物を見つめていた。

 ──私が閉ざしていた世界が、戻ってくる。
 視界に光が差し込んだようだった。

「♂…ローグ?」
「だな」
「……」
 惚けた様に、目の前の男を見つめる。
 言葉が出ない。涙も止まっていた。

 むにゅり。

「!!!?」
「夢じゃねぇ、だろ?」
 意地悪く笑って彼は言う。
 見れば、にゅっと伸びた手が、私の頬を摘んでいた。

「ど、どうして…?」
 慌てて腕で彼の手を払いつつも、言う。
 ♂ローグは、何も言わず、只笑って真後ろを指差した。

 振り返ると──

 見覚えのある、それぞれの懐かしい人達が居た。
 ♀セージや、深淵の騎士は驚いた様に。そして、やがてそれは泣き顔になって。
 ♂アーチャーは、只、ある人の前で泣いていて。

 私は、只呆然とそれを見ていた。

「──ちぃとばかし、都合のいい奇跡、って奴さ。な、アラーム?」
「うん…♀クルセお姉ちゃん」
 ♂ローグに向き直ると、彼の横に、仮面の詩人に伴われた少女が、柔らかい微笑みを浮かべて立っていた。

「あたし達だって、会いたかったんだからね」
「そうだぞ、クルセ殿」
 ♂ローグが、そう言ってにやにやと笑っている子バフォと♀クルセを腕で制し、一歩私の方に歩み出る。

「♀アーチャー…それに子バフォ? どうして…」
「言ったろ。 これは都合のいい奇跡だっ、てな。
 アラームにゃ感謝しろよ? こいつのお陰で、今の時間があんだからな」
 言われて、目線をアラームに向けると、彼女の胸元には淡く輝く一枚のカード。
 日の光の中に在ってさえ、それは輝く。
 ああ、今の時間は。まるで楽園のようだ、と思った。

「で、でもだな…」
「しーっ、そっから先は言うな」
 言葉を紡ぎかけた口を♂ローグが掌で塞ぐ。

「あらあら、お二人様はお熱い事でございますねぇ…」
「何言ってんだよ、このアジャ子。っていうか、アラーム!!
 別にキスとかしてねーんだから、両手で目を覆うな!! 山羊も笑うんじゃねぇっ!!」
「スタイナー(てんとう虫)のサンバなら演奏できるぜ?」
「るせーよ、この骨!!」
 はあはあ、と肩で息をしながら、ひとしきり♂ローグが怒鳴りちらす。
 …ああ、この人は。やっぱり、こんな時でも変わらないのだな。
 自然に──

「あ…お姉ちゃん笑ってる」
 アラームの言葉。私は、口元を綻ばせていた。
 ♂ローグの様子が、余りに可笑しくて。自然に笑みが浮かんでしまう。
 それを見て、彼も。大輪の笑みを咲かせていた。

「──いいじゃねぇか、おい。やっぱ、笑ってねぇとな?」
「…ああ。私は…私は、笑っているぞ」
 言うと、納得したように彼は頷く。

「何時までも…何時までもな」
 そして、私は気づいていた。
 別れは、もう近いのだ、という事を。

 見れば、♂ローグの姿は揺らめき始めていて。
 バドスケも、もう既に死んでしまっていたのだと判った。
 アラームの胸元にあるカードが、奇跡の終わりを告げる様に明滅していて。
 けれど、悲しみは何処かに消えてしまっていた。

 私は、穏やかに微笑む。

「…最後の最後にゃ泣きつかれるかもって思ってたが…その心配は、ねぇようだな?」
「馬鹿…お前は、卑怯だ」
「ローグだからな」
「騎士じゃなかったのか?」
「ぐ……痛ぇ所付きやがるな。わーってるだろ? もう、お別れなんだよ」
 僅かに、寂しそうな色が。
 そして気が付くと、彼が私を抱きしめていた。
 酷く暖かくて、穏やかだ。
 胸元に顔をうずめたまま、目を閉じる。

「でも、私は」
 叶わないと判っているけれど、そう言わずにはいれなかった。
 私の言葉に、彼はきっと困った様な顔を浮かべているんだろう。
 彼は、こういう我儘にはきっと慣れていないと思う。

「──馬鹿者、離してやれ」
 苦笑混じりの声に、現実に引き戻された。
360名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:54:19 ID:hI976JVc
「姉さん?」
「久しぶりだな」
 あくまで冷静に、しかも簡潔に返される言葉を聞いていると、自分が酷く幼いかの様に感じてしまう。
 ああ、やっぱり姉さんには一生敵いそうにない。
 彼女は、見知らぬプリーストの女性を連れて、私の横に立っていた。

「もう、時間が近い。それぞれ、告げておかなければならない事を話しておいた方がいいぞ。
 …まずは、私からだな」
 有無を言わさぬ態度で、姉さんが言う。

「生きろ。辛くてもな。お前はそれが出来る、と期待させてくれ。全ては終わったのだ」
「…うん」
 この人の前では、どうしても幼い口調になってしまう。
 次に、アラームと、バドスケが歩み出た。

「あのねっ、私、こんな事しか出来なかったけど、お姉ちゃんや、お兄ちゃん達と会えて、とっても嬉しかったよっ」
 そこまで一息に言ってから、にっこりと彼女は微笑んだ。

「それからねっ。私、お姉ちゃんにはずっと、ずーっと幸せでいて欲しいのっ。
 お姉ちゃんのお姉ちゃんが言ったみたいに、楽しいや嬉しい事ばかりじゃないかもしれないけどっ。
 それでも、悲しんでるよりは、笑ってる方がずっと、ずーっと楽しいもん!!」
「ああ。努力するよ。私が生きていたいって思う限りね。そして、ありがとう…本当に、本当にありがとう、アラーム」
 私の言葉に、少女は何時もと変わらない嬉しそうな顔をする。

「アラーム、俺にも言わせてくれよ」
「あ、うん。ごめんね、バドスケさんっ」
 仮面の詩人の言葉に、アラームはにこっと笑って下がった。

「すまねぇ。死ぬつもりはなかったんだけどな」
「……」
 努めて明るく言う彼に、私は言葉を詰まらせてしまう。

「俺は、別に大層な事は言えない。只、頼まれごとをしてくれないか?」
「…ああ」
「アルデバランの時計塔に行って、俺達の事を伝えて欲しい。それとな、外の連中にはしっかり通信しておいた、じき助けが来る」
 彼は簡潔に言う。
 私は、頷いてそれに答える。
 仮面の下の表情は判らなかったが、片手をあげて見せた彼は満足げに笑っている気がした。

「次は、あたし達の番ね」
「うむ」
 子バフォと、♀アーチャー。
 珍しく、緊張した面持ちの二人。

「むー、何て言ったらいいのかなぁ…大体言いたい事はもう言われちゃったし。
 ったく、アタシもこーいう役回りが板についてるわねっ。子バフォ、何かいいの無い?」
「…無いな、弓手殿。我としては、我が主に、ここでの出来事全てを教えて欲しくはあるが」
「あーっ、もう!! 困ったわね」
「…ええとだな、無理をする必要は無いぞ? それで、子バフォ。お前の主は何処に?」
「プロンテラだ。主は何時も騒がしいからな。直ぐに判る」
 笑いながら、子バフォは言った。

「もう、あたしを無視して話を進めないでよ!!」
「むぅ…ならば、言いたい事を言えば良いではないか。それが皆と同じだったとて、何を恥じる必用がある?」
「……そ、それもそうね。ごほんっ」
 子バフォに促され、彼女は居住まいを正して私に向き直った。

「あのね、♀クルセさん。あたしも、考えてる事は皆と一緒だから。その、さ。
 幾ら♂ローグの奴が好きでも、気にやまないでよね。いい男なら、他にも星の数ほどいるんだから。
 あんな趣味の悪い奴より、百倍もいい男見つけなさいよ。いい?」
「あ…うん。判った。努力する」
 怒涛の様な物言いに、少々気圧されながらも、答える。

「…誰が趣味の悪い男だよ、ったく…って、ぐおっ!?」
 ぼりぼりと、頭を掻きながら♂ローグが不満げに呟いていた。
 が、いきなりその背中に、叩きつける様な拳が炸裂する。
 見れば、♀プリーストが彼を私の前に突き出した様だった。

「頼むから、そう怒らねぇでくれっての」
「ふふ…本当に、お前は相変わらずだな」
 薄れていく彼に、私も変わらない笑顔で言う。
 でも。やっぱり別れは涙で飾るもので。
 皆の言葉を聴きながら、いつの間にか私は涙を流していた。

 只──それは、不快なものではない。
 暖かな、最後の大切な瞬間を祝福する雫だった。

 彼と。彼らは消えてしまう。
 けれど、別れは決して悲しみばかりじゃないのだろう。
 私は、彼らの一挙手一投足をじっと心に焼き付けよう。

「♂ローグ」
「今更、言葉なんざいらないだろ?」
「そう、だな。でも」

 彼は。いや、彼らは。只二人、姉さんともう一人の女性を残して。
 ゆっくりと私の前から歩み去っていく。

「ありがとう」
「ああ。また絶対、俺はお前に会ってやるからな…忘れるなよ?」

 そうとだけ言って、ゆっくりと手を振り、まるで空に溶けていく様に、光の塵になって消えた。

「…幸せですか?」
 ふと、殆ど姿も見えなくなってしまった誰かの声がする。
 聞いたことは無いから、きっとあのプリーストの人だろう。

「ああ。私は、とてもとても、幸せだ」
 なら──彼女の最後の言葉は良く聞き取れなかった。
 けれど、きっとそれは、とても優しいものなのだろう。

 幽かな光の残滓も、崩れかけていた一枚のカードも、青い空に溶けて消えていく。

「…生きて、いこう」

 ぽろぽろと、涙だけがとめどなく零れていた。
 そして、胸の内には、確かな温もり。
 きっと。

 ──私は、決して、この奇跡を忘れない。
361名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:55:21 ID:hI976JVc



 僅かな光となって彼女の親友と、豪胆なプリースト、そして快活なアルケミストの少女は去っていった。
 今のは。一瞬考えかけて、この都合のいい奇跡に対する考察を止めて置いた。
 この世界の法則には、未だ人に理解出来ない物もある、という事なのだろう。

 それよりも、今は現実の問題として考えなければならない事があった。
 僅かに残った涙を拭って、顔を上げる。

 どうやって、この箱庭を脱出すべきか。それを考えなければならなかったからだ。
 彼女が考えていると、少し向こうで、最後の別れを告げていた♀クルセがこちらに向ってきた。
 その顔に、先程までの暗い色は無い。

 少し考えた後──♀セージは、彼女に自分が考えている事を話す事に決めた。
 残る二人は──未だ、奇跡の余韻に酔っている。少々時間を空けてやるべきだろう。

「♀クルセ。その、だ」
「ああ、心配ない。私は、大丈夫だ」
 どうやら、彼女は自分が考えていたよりもずっと強いらしい。
 手の無い腕をぶんぶんと振ってみせる♀クルセに、♀セージは心中で安堵していた。

「ならいい。単刀直入に言おう。どうやって、この箱庭から脱出する?」
 その言葉に、彼女はいともあっさりと答えを返す。

「それなら心配は要らない。さっき、バドスケが外部に連絡した事を教えてくれた。じき、助けが来るだろう」
「…そうか」
 さっき、と言う事は恐らくあの詩人もまた、死んだのだろう。
 ふと──声が聞こえた気がして、♀セージは顔を空に向ける。

「ふむ…どうやら、迎えが来たらしいな」
 そこには、あの忌まわしい秋菜と同じ服をした女が居た。
 なるほど。狂ったGMの尻拭いに、同じGMがやって来た、という事か。
 だが、明らかにそれは遅すぎた。

 音もなく地面に、その女は降り立つ。
 彼女の姿を認めるなり、正気に戻った深淵の騎士と♂アーチャーが、それぞれの武器を手に身構えた。

「…よせ、多分敵じゃない」
 言って、彼らを♀セージが制する。

「大丈夫ですか!?」
 そして、その女GMは随分と慌てた──しかし、何故か疑わしく思える──そんな声音の言葉をわめいていた。

「見ての通りだ」
「………」
 黙って、その女は彼等を見渡す。
 そして、ぶるぶると顔を赤くして震え始めた。

「…酷い。秋菜は、どうしてこんな事を」
 どうやら、怒りに震えているらしかった。
 その表情に、僅かな疲れを感じながら♀セージが、彼女に歩み寄る
 どうしても、聞かなければならない事が会った。

「一つ、聞く。このふざけた茶番は、お前達の意思か?」
「…いえ。秋菜の独断です」
 僅かな間の後に、♀GMが答える。

「独断…ならば、何故奴を止めなかった…?」
「私達には、その権限が無かったんです。それに遅すぎました」
 その答えに、♀セージは、冷静さを捨て去ってしまった。

「ふざけるな!! お前は…お前は、この茶番に憤っているのだろう!?
 ならば…どうして…どうして無理矢理にでも割って入らなかった!!」
「……」
 激高に、白服の女は押し黙る。
 きっ、と唇を噛んで、その糾弾を黙って聞いていた。

「貴女の言葉は最もです。ですが、私の申し上げた事も事実なんです」
「…どうしようも…なかったのか」
「…ええ」
 どっ、と嫌な疲れが押し寄せてくる。
 成程、これは本当に只の茶番だった訳だ。
 ならば、これ以上彼女を責めてもしかたあるまい。

「♀セージさん…もう、終わったんです。今は、帰りましょう」
 その言葉に、笑みを造って、♀セージは答えていた。

 やがて、ポータルの眩い光が彼等を包む。

「プロンテラ南の端に皆さんを転移します。今回の事は…本当に申し訳ありませんでした」
 その言葉を最後に、彼らはこの箱庭を脱出した。



 最初に飛び込んできたのは、本物の空だった。
 一色の青で塗りつぶされていない、透き通るような蒼。
 誰からとも無く、その光に溜息が零れていた。
 既に♀GMの姿は無い。そこに居たのは、肉体的にも、精神的にもボロボロに傷ついた自分達だけだった。

 自分達は、あの狂った戦場から帰還したのだ。
 だが、その事で安堵の表情を浮かべている者は誰一人居なかった。
 ふと、あの終わりつつある場所で、残り四十七もの傷つき、倒れた者が消えていく事を思い、悲しくなる。

「──全てが、終わったのだな」
 最後まで握っていたツヴァイハンダーを地に突き立て、よろよろとした動作で深淵の騎士が馬上から降りた。
 そして、その場にゆっくりと腰を下ろす。ペコもまた、主に従って身をかがめた。

「ああ」
 その姿を見ていた♀クルセが、呟くように答える。

「なぁ。俺達は、これから──幸せになれる、かな」
 彼もまた、逝った人達にそんな願いを託されたのだろう。
 ♂アーチャーが、言う。その横顔には、何の色も無かった。

 彼の思いは、当然だった。
 あの狂った戦場を生き抜いてきた者が、必然的に持つであろう疑問。

「当然だ。絶対に…絶対に私達は幸せになる!!」
 しかし──♀クルセは、そんな彼の方を向くと、力強く断言した。
 ♂アーチャーは、一瞬きょとんとしたような表情を浮かべ──

「…そう、だよな。うん…俺は、幸せになってやる」
 ──小さく、しかしはっきりと頷いた。
 それで彼の迷いは切れたのだろう。顔を上げると、礼のつもりか、♀クルセに親指をぐっ、と立ててみせた。

「しかし…今は少し休むべきだぞ。流石に──疲れた」
 ♀セージが、呟いて地面に身を横たえる。

「ああ、同感だ」
 そして、深淵の騎士もまた、その提案に頷いていた。

 遠くからは、活気に満ちたプロンテラの街の雑踏が幽かに聞こえる。
 それぞれの場所に帰る前の、一時の休息。
 誰も彼もが。あの箱庭であった全てを思い出しながら、静かに時を過ごしていた。
362名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:55:37 ID:hI976JVc
 ──そして、全ての閉幕から、しばしの時間が流れる。
 何ヶ月か、何年か。過ぎ去った時間の数は判らない。
 だが。最後に。
 彼らのそれからのほんの一幕だけをお目に掛けるとしよう。


 ──例えば。とある日の当る野辺にて。

「──今日も、晴れかぁ」
 ある男が、横たえた身を起して呟く。
 彼は筋肉質のその体を、通常のそれとは違う狩人装束に包み。
 手には、弩を。日々の糧を得る為の狩りに疲れて、一人休んでいた。

 彼は、腕のいいハンターだったが、モンスターは殆ど狩らない男だった。
 そして、殆どプロンテラに行く事も無く、彼を知る人間は、こぞって力を貸してほしいと言っていた。
 だが、決まってそんな輩にはこう答えたと言う。

 俺は、そういうのが好きじゃないんでね。むしろ嫌いだ。俺は、只ゆっくりと時間が過ごせればそれでいい。


 ──例えば。とある古城にて。

「侵入者か」
 ある騎士が鎧に身を包み、大きく立派なペコに乗って進んでいた。
 彼女は、この古城にやってくる人間は排除しなければならない。
 類稀な剣腕を有する彼女に太刀打ちできる人間は殆どいなかったが、同時にその騎士は、決して人間を殺める事は無かった。

 その師は、そんな彼女を甘い、と咎めた。
 しかし、彼女は何時も胸を張ってこう答えていた。

 師よ。人を殺める事は、私の亡き戦友たちが喜びませんから。私は、託された剣と誓いがある限り、決して人を殺めません。


 ──例えば。とある賢者の都にて。

「…ふむ。成程な。新しい理論だ」
 ある賢者が大きな本を手に、その周りに書籍を山と積み、黙々とその知識を研鑽していた。
 彼女は、只自分に出来る事は考え、研究する事だけだと言い、幾つもの発見を成し遂げていた。
 例えば、エンペリウムの魔術回路における有用性。世界と神との並立関係。人造の箱庭の可能性と、その欠点等。
 周囲の人間はこぞって彼女を賞賛したけれど、決して彼女はそれを気に留める事は無かった。

 又。そんな彼女を妬み、謗る者も少なくは無かったが、誰もその才を超える者が居ないのも、また事実だった。
 彼女は、口癖の様にとある言葉を言い続けていた。

 私は、私の出来る事を出来るだけやり遂げる。それだけが、私が一生を賭けてでも成し遂げたい事だからな。


 そして──とある、孤児院前にて。

「…こらっ!!」
 ぽかり、と両手に義手を嵌めた、精悍な顔の修道女が、悪戯をして逃げていた子供に追いついて、その頭を小突く。
 八の字に眉毛を歪め、怒ったような顔。

「いたっ!! 何すんだよ!!」
「ダメだろう、そんな事をしては。 君だけが困るんじゃない。他の皆だって困ってしまう。
 もし君がそんな事をされても、嫌じゃないっていえるのか?」
「……」
 しゅん、とした顔で項垂れる子供に、シスターはしゃがみこむとその頭を優しく撫でて笑いかけた。
 普段はこんな事をする子では無い。きっと、嫌な事でもあったんだろう
 そう言えば──友達と喧嘩をしていた筈だった。

「馬鹿。そんな顔をするな。ほら、友達と喧嘩したなら、ごめんなさい、といわないとな?」
「……ごめんなさい」
「私にじゃないよ。大丈夫。喧嘩っていうのは、仕掛けたほうも、された方も後悔するものだから。な?」
「うん!!」
 顔を上げると、こっくりと頷き、元気良くその子供は駆けて行った。
 彼女は、その背中を目を細めながら見送る。

 …立ち上がり、義手で頭の被り物を取った。
 私も随分変わったものだ、と正直に思う。

 ここの生活は、今までのそれとは違って、とても穏やかでゆったりとしている。
 ──とは言え、日々の忙しい雑事を抜かせば、という条件はつくが。

 見上げると──眩い日差しの青い空。綿の様な雲が幾つか流れている。
 にんまり、と微笑むと彼女は、とある人たちの事を思い出し、微笑んでいた。

 なぁ。♂ローグ、私は今、お前達の願った通り、幸せでいられているだろうか?

 …その答えは風の中に。
 ざぁ、と勢い良く拭いた風が、彼女の長い髪を撫でる。
 気を取り直して、修道女のヴェールを被り直す。

 今日は、子供達の世話だけではない。
 二組ほど、古いなじみがやって来る。
 時計塔と、アルケミスト。一人や二人では無いから、随分と手間が掛かるだろう。

 風が、再びざぁと吹く。
 それは、もう大丈夫だと、彼女に遠い便りを送り届けていた。

 ──閉幕
363名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 04:58:07 ID:hI976JVc
とりあえず、アナザー版のラストをお送りしました。
これで自分は暫く地下潜伏します。

連投はイクナイ…のですが、これはアナザーということで赦して…
え、駄目?というか、秋菜さん秋菜さん筆者の扱いが酷かったからって
バルムンぬくのは・・・ウワキサマナニヲスルヤメギャー
364名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 05:23:45 ID:rPchZCq.
>>連投池沼
お前は自サイトで小説連載してオナヌーしてろよ馬鹿
365名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 05:49:54 ID:Vd/OkE1o
アナザー版というかすでにもうどれが本当の路線なのかって感じなんだが・・・
>>299 → >>343-344 → >>356
これがメインの流れ・・・でいいの?
366名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 06:37:04 ID:ZPUnq5Ow
>>356は最初からアナザーということらしいっすよ
とりあえずWIKI編集するものとしてはどれが正しい流れかは知っておきたいっす
自分は>>299>>343-344で止まってるものと思ってますが
まあ>>343-344の流れで実は自分もこっそり一本エンディング書いてたりするですが
……絶対本編の人とネタ被ってる。なので完結後にでもひっそり張らせて貰うっす
367名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 06:45:42 ID:m9NqkizE
・・・誤解があるみたいなんで、舌の根も乾かぬうちですが、一応書いた人として。
アナザーなのは、その↓の自分が書いた奴です。
上のは通しだと思われますよ。
368名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 06:54:21 ID:ZPUnq5Ow
あ、ID見てなかった(汗
えーと、じゃあ話的には>>356で完結?だったら書きあがったらアナザーエンド投下しますけど
まだここから更にエンディングが続くのかな?
369名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 06:55:40 ID:lCr6wTX6
生存ルートの人です。このレスを最後にもう名乗りません

このたびの騒動の原因は私が>>304を投下してしまったことです
書き手としては書いたものを読んでもらいたいという欲求があります
しかしながらリレー小説である以上、諦めなくてはいけない部分でした
いい雰囲気だったスレが荒れてしまい、たいへん申し訳なく思っています。ごめんなさい
私の文章を読んでくださった皆さん、ありがとうございました


以下は読み飛ばしてくださって結構です
1スレ住人に戻る前にこの名前でしか吐き出せない事を書きます

>>311以降は見守るつもりでしたので>>320の返答に困りました
伏線がいくつかありましたので、誰かが続きを書いてくれると思っていたのです
ちなみに>>304を書いているとき及び、>>320を受けて私が考えついたのは下記の通りです

○223話にてはっきりと、♂ローグがバルムンで腹を貫かれていることへのフォロー
・♂ローグが時間停止の中、腹にちょっと刺さったバルムン抜いて脇に挟んで抑えておく
 そのままにしておくと動いた時に貫かれるし、完全に避けてしまうと♀クルセに害が及ぶため
 ♀クルセには貫いていたように見えたが実は服だけだったというオチ
 誰かの体にバルムンが突き刺さる音というのは、実際はローグがスチレを秋菜に突き刺した音

○秋菜を倒す方法
・青箱を使う
→赤ジェムかミストルが出る
 秋菜を石化させて動きを止めたところバリスタの矢が命中して粉々に砕け散る

→能力制御の首輪がでる
 秋菜にとりつけてお互いボロボロの状態でガチ勝負

○脱出方法
・世界が崩壊していく中、秋菜の居城で脱出方法を探し出す
 最終的にはヒャックたんに転送してもらう

○エピローグ
・♂アチャがバードになって酒場でこの物語を弾き語っている
 元ネタ:ロマサガ2


それでは失礼いたします
370名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 07:05:53 ID:F8V8hrzY
>>死亡ルートの人
おまえさんの文章は上手いが来るべき場所を間違えたな
普通の小説スレなら神なんだが、ここはリレー小説スレだ
他人の話を聞かずに我を通す人間には向いてない
もう二度と出てこないで欲しい
371名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 07:08:10 ID:m9NqkizE
>>368 いえ、ここで完結です。一応エピローグまで全部つけましたから。

>>369 むしろ騒ぎの元凶は俺なので…そういった自責とかは俺のせいにしちゃって下さい。
    何も言えない立場ですが、取りあえず余り気に病まないで欲しいです。(´・ω・`)

後。連投連投言われましたが、自分が本編に手をかけるのは
>>299がほぼ暫定でラストになると思われるので、どうかご勘弁を。
それでは、地下から這い出してきましたが、皆さんここらでごきげんよう。
バトロワが最後まで無事完結することを墓穴から祈ってます。

ノシ
372名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 07:16:50 ID:m9NqkizE
…ごめん、文章良く読んでなかった…鬱。
一行目は自分の書いたアナザーエンドが358-362で終わり、という事です。
356については、その後の続きを書く人に任せます。

それじゃあ、こんどこそ自分はこれで。
373名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 07:23:23 ID:rPchZCq.
>>370
自分に都合の悪い意見は全てスルーして名無しになるとか言って逃げたようだぞ
374名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 07:32:11 ID:F8V8hrzY
>>373
ドクオが増えすぎて困ってるんだが2^3匹もらってくれないか?

343には悪いが、
今後への戒めもかねて299不採用で311を元に再開がいいと思う人 ノ
375名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 07:43:10 ID:rPchZCq.
>>373
(('('A('A`)A`)`))<アイニクダガ マニアッテル

だが>>374案には賛成票を入れておく
376名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 07:43:30 ID:r0C.VKDU
誰も突っ込んでないのは気づいてないからだろうか?
226の「静かな日々の階段」は解る人はニヤリとするな
377名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 08:14:10 ID:ZPUnq5Ow
某ウォルヤファ話なんかも一人で連投してたけど結局通しになってたわけで
別に299通しで良いと思うんですけどねぇ。ていうかこんな物書きカエレ!!な空気じゃ誰も今後書かないと思う
連投云々言われてた人も途中でほとんど物書きが居なくなった時でもがんばって続けてた人なわけで
(ここについては他の書き手がクオリティタカス→尻込みで居なくなのかもしれない。真実は各書き手の心の中)
どっちにしろあの人たちが連投してなかったら正直完結まで辿りつけてなかったと思うよ?
なんか今更人が一杯湧いてるけど一次の過疎っぷりとかかなりひどかったのにね…
イザ完結となると集まってきて叩くのはどうなんでしょうねぇ

で、結局完結云々はどうなんだろ…なんか死亡も生存も身を潜めるみたいなこと言ってるんだけど
>>344の続きでアナザーエンディング書き終わっちゃったんだけどなー…投下は控えた方が良いかな
いっそ生存死亡どっちも進めるっていう双方エンディングも良いと思うんだけど。先が長いならまだしも残るはエンドだけだし
378名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 09:33:03 ID:ts/aaFpg
とりあえず書き手の人乙!

>>377
もぉ出し切っちゃっていいんじゃないでしょうか?
おれとしては生存ルートの方も読みたいくらいだし。

>>376
えぇ。にやりとしましたともw


ちなみにおれは…
ひとつの終わりが完成
別の終局も含めてバトロワの終わりとしていいと思う人(1/20)

というかさ。
なんで連投に対してそんなだ?
いや、厳しいのはいいんだ。
あんまりやっちゃいけないってルールだしな。
けど、もはや書いてくれた人に対する敬意を忘れた叩きにしか見えん。
読み手としてあるべき態度じゃないだろう。
379名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 10:26:39 ID:fYOBCocs
いっそラストバトルから分岐で良いんじゃないのかな?
今のところ流れ的には3つ?あるし、話の途中から分岐分岐じゃ流石に問題あるが
どの流れも面白いし、ラストバトルぐらいは分岐OKにして
まとめがちょっと大変になるけど、書き手さんたちの苦労を無駄にしたくないし
なにより、どの流れも読みたいって人多いんじゃないかな?
380名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 10:39:51 ID:MOsT.Ktk
書き手側からの意見を一つ
299の人はリレーのバトンをがっちり握り締めた状態に感じる
続きを書きたくても主導権を握られているため
自分なりのストーリー展開に持っていき辛く続きを書かされてる感が否めない
先の話をすでに考えているなら書くのは容易だろうけれど
前の話を読みそこから違和感のないように繋げようとするには書くのに時間がかかる
書き手が複数いるので直前が話どのように終わるかはわからない
漠然とした流れは考えていても細かいところは考え直すのだから当然のこと

確かに流れを作る人がいなければ続かないかもしれない
しかし同じ書き手だけが続けるならばリレー小説ではなく連載小説でいいわけだし
連投は絶対にするなとは言わないけれど
複数の人で書くものだからこそ独走しないで
他にも書き手がいるということを意識してほしいと思うのです

現状についてですが>>299>>343-344>>356を一つの終わりとし
アナザーはいくつあってもいいと思います
生存ルートに関してもアナザーで続き投下もありではないかと
381名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 11:06:26 ID:Vd/OkE1o
しかし、>>344のGMってほんっと話聞かない奴だよな・・・
数十分で世界崩壊と言ってるのに、10秒後に転送させるなんて。
せめてもう少し時間があれば、セージも、アチャも、あと肩を切られた深淵も、
(多分深淵に関してはそれだけで死ぬことはないと思うので)
あとローグもクルセもカードを一緒に握らせておけば、
転送して元の世界でリザできたかもしれないんだよな・・・
せめて、僅かでもいいからもう少し時間があえれば・・・
382名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 11:41:24 ID:qb91koxo
池沼提案の>>335です。
もう古いけど、とりあえずHXは素手でも撃てますよ。

なんか連投連投って荒れている人が数人いるけど、そんな人をまず無視した方が良いかと。
ただ他人を叩きたいだけの様ですし。
連投が問題になったのであれば、それをNGにすれば良いだけで、別に罵倒する必要は
無いはずでしょう。そして、1日に何十件もまとめて書き込むのであればともかく、
2,3日開けてあれば、連投とは言えないのでは無いかな?
連投とは、連続で投稿が本採用される事ではなく、他者が投稿する暇がないペースで
投稿する事なんですから。
まさか、1度投稿したら俺が書き終わるまで次を書くんじゃねぇとか言うおつもり?

さらに最初からアナザー指定でせっかく作った物を出しても粘着する行為こそが、
匿名投稿小説板を腐らせると理解してください漏れ同様な池沼様。
よほど悪意ある投稿でない限り、投稿型小説スレは投稿行為そのものに文句を言うわけには
いきません。そうでなくては、だれも投稿できなくなります。
383名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 11:45:39 ID:bPybV2lI
連投うんぬんの件に関してよりも前に
文神さまへの感謝を忘れてはいけないと思う読み手の一人です。

最後の方になるとそれぞれこれだけは書きたいって思うのも当然のことですし、
連投もある程度は仕方が無いのではないかと。

採用されるされないは別として連投自体が極悪行為であるみたいなのはどうかと。
あくまでやりすぎは良くない、程度で。

>>343
素直に感動しました。
最後に生き残ったのは♂アーチャーで、託されたのはアラームたんC。
ぐっとくるものがありますな。

ラストバトルから分岐とかそういうのはせっかく一つのお話として完結したのに蛇足感が出るんじゃないかと。
アナザーエピソードとしてどうしても投稿したいという人が投稿する程度で良いのでは?

って>>380さんと同じこと言ってますね
384名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 11:47:11 ID:qb91koxo
本題書き忘れたw
アナザーをあらかじめ指定しているのであれば、別ルート話を今から投稿するのも
全く問題ないと思いますけどねぇ。
異聞録なんて良くある話じゃないですかw

>>381
あそこの部分は訂正が必要ですよね。
そもそも、あと数十分で崩壊と言いつつ、一番中枢のはずのバルキリーレノムが崩壊する
まで、ちょっと回顧するだけの時間しかないのですから。
あれば、まだ数十分あるのではなく、数十秒しかないので、GMには中の人の話を聞いている
余裕は無かったとするのが適切では無いでしょうか。
385名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 12:26:52 ID:/w3/Hqog
連投で騒いでる人を無視って
>>331>>351>>380 ここら辺の意見をちゃんと見てますか?

他に書き手がまったく居なくて長期間放置されてる訳でもないのに
リレー小説スレで一人で物語を作ってしまった感がある事が問題なんでしょうに。
386名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 12:28:32 ID:F8V8hrzY
連投だからと否定してるわけじゃない
>>380の人が優しくかいてくれてるが、私物化して他の書き手を締め出してるだろ
「今続き書いてます」なんて予約入れてるのがおかしいんだよ
それと>>320のレスはちょっと酷いと思った
生存ルートの人が考え無しに投稿したんじゃないかと疑ってる節がある
その後も都合の悪いレスは完全スルーしたり自己完結したり
自分が書きたいってのはわかるが、リレー小説には向いてないってことなんだよ
小説スレなら何一つ問題なかったんだがな

>>377
クライマックスだからスレ人口が増えたんじゃなくて夏休みだからじゃないか?
過去に功績があろうが今やってることには関係ないだろう
387345sage :2005/09/01(木) 12:47:35 ID:H/LXi.ng
ちょwwwwwおまwwwwww

十数分ってなんだよwwwwwwwっwwうぇw
秒の間違いじゃねーか私はアホかwwwwwww

分じゃーあのストーリー成り立たねっ!

>>381さん>>384さんご指摘ありがとうございます
すんげーごめんなさい、私のミスでございます_| ̄|○

>>366さん
うん、てーか私はあの後書くとしたら>>369さんの
>○エピローグ
>♂アチャがバードになって酒場でこの物語を弾き語っている
>元ネタ:ロマサガ2
これのつもりだったけど……私自分で思いついたつもりだったのに元ネタあったなんてー( ´д⊂

そして、静かな日々の階段をわからない人でにやりと出来ずにしょぼーんとしてたりする今日この頃(´・ω・`)
388名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 13:03:39 ID:y99Mkydg
アニメ版ドラゴンクエスト(ダイじゃないほう)でもエンディングがヒロインの語り調だったんだよなー
テラナツカシス

なんか荒れてるみたいだけどwiki設置逃げした自分の意見は>>386とだいたい同じかな
例の人は過疎期を支えてくれた功績はあると思うけど、
それが自信から傲慢になっちゃってる感じがする。
彼無しでこの物語がここまできたのは否定しないけど、
ここ数話の意見なり言い分なり見てるとちょっと増長してる感も否めない。

wikiは俺が管理するZEEEEEEEEEEってなっちゃうと一人に任せっきりになって、
みんなで作るってコンセプトから外れそうだったから、
軌道に乗るまで管理して、みんなで管理する形が出来たなと思ったから、
いち名無しに戻ったんだと言い訳してみようw
wikiの人って半固定になっちゃうとIDの問題もあるし、
リレー小説スレで個人がしゃしゃり出てくるのはあんまり好ましくないなというのが、
いち書き手でもあった私の個人的見解。
389名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 13:06:51 ID:H56J/WwQ
もちつけもちつけ。

なんどか出てますか>>299,>>343-344,>>356を一つの終わりとし、
>>299あたりからラストバトル分岐のアナザーが複数…でも私はいいと思うんですがどうなんでしょう?
連投マズイ、ということですっぱりNGにして新たに〜、でもいいかとおもいますがすでにアナザーも出始めてるし…

ただ、もし第二弾をやる時に、「アナザーが進んで、分岐して話を作ってもいい」っていう風潮にならないようにしないといけませんが。
あと「書き手さん>連投しすぎは止めましょう。リレー小説の醍醐味とは〜云々」みたいなのを>>1-2あたりに追加っすかね。
390名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 13:16:14 ID:0Xgm83Sk
>>389
>なんどか出てますか>>299,>>343-344,>>356を一つの終わりとし、
それが一番しっくりくるのかな。なんか釈然としない部分もあるが・・・

>連投マズイ、ということですっぱりNGにして新たに〜、でもいいかとおもいますがすでにアナザーも出始めてるし…
そういう議論がなされてた時に空気読まずに
「書いたんだから投稿させろヴォケ」
とでも言いたげに連投さんがアナザー投稿した挙句、名無しに戻るって言って
議論の都合の悪い部分をぶっちぎって消えちゃったんですが

今のままだと投稿したもの勝ちみたいな風潮であんまり良くないと思う・・・

>あと「書き手さん>連投しすぎは止めましょう。リレー小説の醍醐味とは〜云々」みたいなのを>>1-2あたりに追加っすかね。
これについては大いに賛成
391名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 14:03:22 ID:qw8ctH6g
俺も書き手だったけど、後半萎縮して書けなくなった。
その要因には連投関係で〜ってのもあるけど、文の上手さに遠慮したって方が大きい。

確かに連投云々って話は前から出てたわけだし、決して良い事ではないんだけど。
連投って言ったって間に日も挟んでるし、そこまで責められることかな?
予約は確かに嫌な印象受けるし、投稿逃げもよろしくないとは思うけど、活気が戻った要因に彼が頑張ったっていうことがあるのは否定できないと思う。

とりあえず穏やかに行こうぜ。
折角完結しても雰囲気悪かったら嫌だしさ。
392名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 14:17:26 ID:ZPUnq5Ow
もうすでに連投云々の文はあるからむしろ追加するなら
>あなたが物語を区切りまで書ききりたいのは判ります。しかしここはリレー小説のスレです
>物語の一区切り、その少し手前くらいでぐっとガマンしてバトンを渡しましょう
くらいでいいんじゃないかなーとか
>物語が完成しすぎて居た点について
ただそれでも介入していける箇所はいくらでもあったわけで
結局ほぼ独壇場になったのは傍観して書かなかった書き手の罪もある気がします…
予約については……一切フォローできませんね。今後は注意しましょう(笑
↑を受けての
>先の展開の予約は出来る限りやめましょう
みたいな文も追加でしょうかね

あと投下してもいいんじゃない?的空気もあったので>>344からの続きアナザーエンド投下
なお完全にアナザー扱いなので注意。矛盾もどっさりキャラチガウーなのでアナザーにするしかないのが現実(笑
過激なほどのハッピーエンドなのでそんなのロワの意味ねーよな方も読み飛ばしてください
あと>>358-とも少々どころか多大にネタかぶりしておりますので注意
393名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 14:19:18 ID:ZPUnq5Ow
耳元で誰かが煩く騒いでいる
「くそ!無理な転移のせいか!?君、早く治療班に連絡を…!」
「もうやっています!」
そのはずなのにずっと遠くのことのように聞こえる
「せっかく助けられたんだ、生き残ったんだ!だから死ぬな!」
どんどん声が遠くなる。
「だめです、こんなに…」
「諦めるな!彼らだって理不尽な力を前にしても諦めなかった!私たちが諦めてどうする!」
諦める、な…
そうだ、諦めちゃ、ダメなんだ…
「…!生命力、戻っています!」
「いいぞ!なんとしても君は生き残るんだ!」
諦めない、絶対に…



Episode:FINAL

                 しあわせのうた



「それでは、よろしいですか?」
「ああ、やってくれ」
ヴァルキリーの神殿。道を究めたものだけが入れるその聖地に俺は立っていた
……あの戦いから幾つもの月日が流れ、俺もハンターとなって己を磨き続けた
最初は自分だけ生き残ったことに対して激しい後悔を感じ、何も手に付かなかった
命を捨てることも考えた。だが結局俺はこうして生き続けている
自暴自棄になって自分の命を無駄にすることこそ、俺を生き残らせてくれた彼らへの冒涜だと思ったから
懐にしまってある一枚のカードを取り出し、くるりと手の中で回す
あの場所から唯一つ持って帰ってこれたこのカードを見るたび、彼らのことを思い出す
楽園を駆ける少女の絵。楽園なんてものがあれば、きっとみんな幸せになれたのかもしれない
「…あの、それは?」
ヴァルキリーの問いかけに、俺はふと思考の中から立ち戻った
「これか?お守りさ。大事な仲間達に貰った、な」
「そうですか。きっと、よいお仲間だったんですね」
「…・・・ああ。それより、さっさと転生ってヤツを済ませてくれ」
苦い思い出が蘇える前に、俺は話題を打ち切った
「わかりました。それでは、転生の儀を始めます」
神聖な祝詞が神殿に響き渡っていく
光が空間に満ち、俺の身体を少しずつ書き換えていくのが判る
「♂アーチャーさん」
唐突に女神が俺にそう呼びかけた
おいおい、俺はハンターだぞ?
そう言い返そうと光の中の女神の顔を見た瞬間、俺は言葉を失った
「あなたの行く先には、きっと幸せが待っています。それを忘れないでください」
そう言って微笑んだ女神の顔が、見覚えのある少女のものに見えたのだ
それを問う前に光が視界を埋め尽くし、そして世界が変わっていく
そうして、俺は再びこの世界に生を受けた





ごーん

「くそっ、クロックのやつ散々噛み付きやがって…」
ひどい目にあわせてくれたモンスターに悪態をつきながら時計塔の前の下り坂を下る
やはり転生してそれほど間もなくではまだ思うように体が動かない
昔は余裕で倒せたはずのクロック相手ですら苦戦しているのでは先が思いやられる

ごーん

「……ん?」
考える俺の横をどこかで見たようなアサシンとプリーストが通り過ぎた
だがそんなはずはない。だって彼らはもう居ないはずなんだから
目の錯覚かと目を擦って見直してみると、案の定そこには誰も居なかった
……幻覚を見るなんて、疲れているのかもしれない。そう思い再び坂を下り始める

ごーん

「……けー…」
何にしても焦っても仕方ない。もう少し狩場のランクを低くしてみるのもいいかもしれない

ごーん

「……こらー…」
しかし今日は良く鐘が鳴る、一体何があったのだろうか

ごー

「そこのアホンダラ!ボケっとつっ立っとらんとどかんかぁぁぁぁぁい!!」
ドスの聞いた叫び声に思わず振り向く
が、気づいた時には遅かった
その大質量を伴った突撃の前に、俺は木の葉のように吹っ飛ばされた
全く、今日はありえないことが多すぎる
なんだって、死んだはずの人間に二度も出会うんだろうか?



イズルード、剣士ギルド前
古びた剣士の証をつけた女剣士が海風に長い黒髪をなびかせて誰かを待っていた
数刻の時間を経て、支給されたばかりの剣士の制服に身を包んだ少年がギルドの中から出てきた
暫く周囲を見回し、女剣士を見つけると満面の笑みで腕を振りながらそこへ向かいかけて行く新米剣士
「師匠ー!見てください見てください!」
「わかっている。そんなに騒ぐんじゃない、少年」
「これでボクも一人前ですね!これでもう師匠はボクのこと少年って呼べませんよ!」
「何を言う、私から一本は取って見せろ。話はそれからだ」
「そ、そんなの何時になるか判らないじゃないですか!?」
「ほう、諦めるか?」
意地が悪そうにそう問いかける女剣士に新米剣士は真っ直ぐな目ではっきりとこう答えた
「そんなわけないじゃないですか!どれだけ時間がかかっても、絶対師匠を超えて見せます!」



プロンテラ大聖堂。その中にある孤児のための施設
修道女の帽子を被った女司祭と余り身なりが良いとは言えない男が一人
そのある意味異様な組み合わせの二人が台所で仲良く皿を洗っていた
「済みません。今日は大聖堂のほうで結婚式があってそちらに皆出かけてしまっていて…」
「確かBS同士だったっけか。まあ、結婚なんて俺にとっちゃ縁遠い話だけどよ。……で、皿はこの棚でいいのか?…プリさん?」
「あ、はい……そっちでいいです。でも盗賊さんならきっと良い人が見つかります。私が保証しますよ」
「……なあ、その盗賊さんって呼び方どうにかならねぇか?確かにオレはローグだけどよ」
「す、すみません…つい」
どばーん
その時、遥か彼方から破らんばかりの勢いでドアが開かれる音
「……げ」
その何時もの風景の予兆を聞いた男の顔が少し青くなった
「ふふふ、あの子がまた盗賊さんが来てたのに気づいたみたいですね」
「プリさんワリぃ!煩いやつが来る前に退散させてもらうぜ!」
謝ってからひとつウインクすると、男は窓から外へ飛び出し脱兎の如く駆け出した
「こらーー!!盗人の分際で貴様また…」
背後から掛かってくる怒号に耳を塞ぎながら、彼は路地裏に消えていった

394名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 14:20:13 ID:ZPUnq5Ow
ゲフェンダンジョン最下層、そこに対峙する二組の影
一つは魔馬に囲まれたこの迷宮の主。もう一組は男と女の騎士だった
「さて、こうやって貴様等と戦うのも何度目かな」
「ほざけ魔王、今日こそ完全に滅してやる!」
「ふ、出来るかな?今まで幾度となく返り討ちにしてやったのを忘れたか?」
「貴様こそ何度その身を打ち砕かれた忘れたわけではあるまい!」
「ハァハァ…」
真剣にけん制しあう二人とは全く別の場違いな荒い息遣い
女騎士が視線を背後に向けると男騎士が体操座りで下から女騎士を見上げていた
「騎士子たんのおしりハァハァ」
「お前はなんで何時もそう場と時をわきまえずハァハァとか言いたがるっ!!」
ソバット一閃、さらに追い討ちで男騎士の体を容赦なく蹴る、蹴る、蹴る
「も、もっと蹴って〜〜!」
「……おーい、そろそろ始めてよいか?」
ある意味、この場所は平和そのものだった



グラストヘイム、騎士団
今日も同僚の内藤と一緒に深遠の騎士は見回りを続けていた
と、その時がしゃがしゃと騒々しく鎧を鳴らしながらレイドリックやカーリッツバーグたちが通路の向こうへ向かっているのが見えた
「うはwwwww侵入者wwwwwうぇっwwwwww」
「行くぞ、内藤」
多数の魔物がそこに押し寄せている。よっぽどの猛者が相手なのだろうか
深遠の騎士がたどり着いた時、そこにあったのはある種異様な光景だった
「いいんだ……どうせホムンクルスが作れるなんて夢だぁぁぁ!!それならいっそここで果ててやるぅぅぅぅぅ!!」
「お、落ち着いてください…っ!ああちょっとそこのアナタも彼を止めてっ!!」
錬金術師とアコライトが大騒ぎしていた
レイドリック達やアリスも何が起こったのかと侵入者を撃退することも忘れて呆然とその様を見つめている
「なんだ、こいつらは…」
「うはwwwww自殺志願者wwwwwカワイソスwwwwww」
「このままニート状態を続けるくらいなら死んで家族に詫びるんだぁぁぁ!!その手を離してくれぇぇぇ!!」
「ダメですって!死んだらフリーターにもなれないじゃないですかっ!!」
「……」
唖然とする深遠の騎士
そんな深遠の騎士の横から内藤はゆっくり二人に近づき、ぽん、と錬金術師の肩に手を置く
「うはwwww俺様同情wwwww」
「同情するならホムンクルスを実装してくれぇぇぇぇぇ!!!もしくはいっそ殺してぇぇぇ!!」
「生きていれば良いことがありますって神様も言ってますからほら自棄にならないでぇぇ!」
「でもニートは人生の負け犬wwwwwうぇっwwwwww」
「うわぁぁぁぁぁ!!俺はやっぱりだめなんだぁぁ!死ぬしかないんだぁぁぁ!!」
「待ってー!死なないでー!お願いだからー!」
ぷつん
何かが切れる音がした
「貴様ら纏めて吹き飛べ!ブランディッシュスピアー!!!」
一閃、炸裂、大爆発
人間二人とついでに内藤も壁に人型の穴を開けて外壁にめり込んでいた
「アリス、掃除と……それと手当てをしておいてやってくれ。その人間二人もな」
久しぶりの仕事だというのにいきなりの騒動。なんともツイていない
(だが、少し懐かしいな、この感じは…)



「あーもう!せっかくの商品がパーやないかいこんダボ!どない弁償してくれるねんああん!?」
頭の中が白くなった。言葉が上手く口から出ない。だって、目の前にあるのはありえない光景だったから
「やめないか、騒々しい」
三つ編みを風に揺らしてその女賢者は女錬金術師をたしなめている
「そうよ、元々積載量オーバーしてた貴女が悪いんでしょう?」
少しクセのある金髪をかき分けながら女魔導士がそれに続く

ごーーーーん

「なんで……なんで……」
思わず零れた涙を拭うこともなく、俺はその三人を見上げ続けていた
「ほれみろ、泣いてしまっているじゃはないか。大丈夫か?どこも折れてはいないか?」
「えぇ!?そ、そないに強ぅ当たっとらへんと思うんやけど……ご、ごめんな兄ちゃん?けど考えてみれば美女三人に囲まれるなんて役得

やないか?よかったなぁ」
「……♀ケミ、なんかこの人本気泣きしてるみたいよ」
「みんな……どうして……」
涙が止まらない。二度と会えないと思って居たのに
『あなたの行く先には、きっと幸せが待っています。それを忘れないでください』
女神の言葉が蘇える
ああ、あれはそういうことだったのか
「あかん、すっかり自分の世界に入ってしもとる……ん?」

ごーーんごーーーん……どーーーん

人の感涙を邪魔する様に時計塔の鐘の音が爆音に変わった
「なんだ!?」
坂の下からわらわらと商人や見習い魔術士たちが一目散に逃げていく
「枝テロだーーー!!」
「抜けば珠散る氷の刃!今夜の村正は一味違うよ!(いってやった、いってやった!)」
見ると橋の向こうに多数の魔物が発生していた
遠目で良く判らないが彷徨う者らしき姿まで見える
「テロか…どうする?」
「どうするか、聞くまでも無いでしょう?」
「そこのアーチャー、お前も戦えるか?」
「あ、ああ…!!当然じゃないか!」
もう一度、こいつらと一緒に居る事が出来る
数日間しか一緒じゃなかったけど、それでも最高と言えるこの仲間達と
今度は殺し合いの世界じゃなくて、この本当の世界で
チクショウ、こんなに嬉しくて幸せなことは無いじゃないか
「よし、行くぞぉ!!」
『応!!!』





再び出会い、時間を紡ぎ始めた者達

きっと、彼等なら楽園へ辿り着ける

それじゃあ、私達も行こう。私達が行くべき場所へ

楽園の少女の姿をした女神は、詩人の手を取り歩き出した

眩しいほどに輝く未来へ向かい







アラームたんC
装備箇所:?????
効果:





                          みんなが しあわせな みらいを



395名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 14:27:38 ID:ZPUnq5Ow
以上、ご都合主義にも程があるアナザーお送りしました。今見直すとエピローグが剣士系ばっかりだぁ(汗
ちなみに構成段階では♂GMと秋菜にも幸せになってもらう予定でしたが、そのまんまA○RのEDになったので止めました(笑
まあきっとこのアナザーならどこかで幸せになっているんでしょう、多分
以上、お目汚しで失礼しましたっす
396名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 14:53:47 ID:acRCLbKQ
>>345さん
>そして、静かな日々の階段をわからない人でにやりと出来ずにしょぼーんとしてたりする今日この頃(´・ω・`)

本家バトロワの主題歌について調べるとにやりと出来るはずですヨ

>>393さん
幸せな世界をありがとうです。
これはこれで素敵なアナザーエピソードですね。
みんなが生きてる世界でみんなを知っていながらみんなには知られていない、
そんな♂アチャさんが可哀想といえば可哀想ですが。
397名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 15:56:45 ID:H/LXi.ng
>>393さんへ
こーのタイムベントやろーがー! ちくしょう! 私だってこーいうエンディングは嫌いじゃないやーい!
バトルROワイヤルのテーマソングはきただにの「Revolution」が良いとずーっと思ってたんだいっ

この胸に生まれついた〜♪ 生きる威力を武器に〜♪

>>396
せーんきゅー、ぐぐったぜい♪ヽ(´ー`)ノ

とまあさておき
現状二つの案が上がってる訳ですが
混乱を避ける意味でも、この二つの案どちらを取るか、みなの意見を聞いてみたいと思います
>>311から続ける案
>>356で完結とする案

どちらが良いと思われますか?
ちなみに私は>>356完結案に一票です
398名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 17:27:16 ID:Vd/OkE1o
やっべ・・・>>393の女剣士と元ノビのやり取り見て思わず泣きそうになったw
いいなぁ、こういう終わり方も・・・ジンときちゃうね。
ナイス♪
399名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 20:27:07 ID:0mxax35g
>>393
バトROワ読んでて一番泣いた
400名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 21:18:35 ID:ts/aaFpg
>>397
どちらも本編とするに一票。
だめ?
どっちかにしようとするとたぶんまたgdgdいかなきゃならんし。

でも、>311ルートは完結しないことには
アナザーストーリーにならざるを得んわけだが。
401名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 21:38:56 ID:50GqMuUk
初期に本のちょっとだけ寄稿した人なのだけど、見取りに来てよかったな

私は、至らない字書きだったけれど
ここまで彼、彼女らを書き続けてきた字書きの皆さんと応援していた読者の人に
ありがとうとおつかれさま

最後のグダグダなんて忘れてまたどこかでSSを披露してくださいね
402名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2005/09/01(木) 21:58:41 ID:tLMknOWg
秋菜が生き残るエンドはないのかな〜
プッツンぷちキレ状態のまま、テレポ逃げもせずに最後までいっちゃったから(T_T)
・・・それが♂プリの狙いだったんだろうけどサ。
青箱の中身も気になるし・・・
秋菜は大怪我負って逃げて、生き残りメンバーは崩壊に巻き込まれるとか。

連投に関しては、
 「次章の投下は、現章の最初の投下が行われた○日後よりOK」
ってするのはどうだろう?

一気に書くタイプの書き手さんには悪いけど、私はじっくり読みたいです。
複数の章が投下された時は、特に。

余談だけど、ヒールって怪我の回復だけじゃなくて、欠損箇所の再生もできるんだろうか?
♀クルセの切り落とされた手は一生そのままかしらん?(´;ω;`)
403名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/01(木) 22:13:56 ID:Vd/OkE1o
>>393さんの終わり方いいなぁ。
多分世界のどこかで、バードとダンサーが一緒にいたり、バドスケとアラームがいたり、
♀ローグと♀マジが出会って♀ローグが我武者羅に生きてたりするんだなと思うと、
本気で泣けてくるわ。
素敵すぎるっすよ
404名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/02(金) 00:27:19 ID:IJ3ykdL6
ずっとROMしてた一読み手です。
いや最後のほう色々ありましたが一応完結ということで
書き手の皆さん本当にお疲れ様です。

僕の脳内では>>393さんの終わり方だったんですが、
どのエピローグも素敵に感動的でいいと思います

次に向けての課題も色々あるみたいですが、またいいものができるといいといいですね。
・・・次はちょっと書いてみようかしら。
これから投下されるであろうエピローグの数々も期待してます。

ちょいと長文で失礼しました
405名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/02(金) 04:30:26 ID:72L6MDrM
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406名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/02(金) 04:31:23 ID:72L6MDrM
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407名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2005/09/02(金) 04:40:28 ID:XiLcu5UI
他もかと思ったらここだけかぃ
おはようrPchZCq.
朝から精が出るねぇ
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