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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第8巻【燃え】
- 1名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/05(火) 00:50 ID:6/iKH5h.
- このスレは、萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない萌えな自作小説の発表の場です。
リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ エロ小説は『【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ【エロエロ?】』におながいします。
・ 命の危機に遭遇しても良いが、主人公を殺すのはダメでつ
・ 感想は無いよりあった方が良いでつ。ちょっと思った事でも書いてくれると(・∀・)イイ!!
・ 文神を育てるのは読者でつ。建設的な否定を(;´Д`)人オナガイします。
▼リレールール
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リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
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※ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。
前スレ【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第7巻【燃え】
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1092183870/
スレルール
・ 板内共通ルール(http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi?bbs=ROMoesub&key=1063859424&st=2&to=2&nofirst=true)
▼リレー小説ルール追記--------------------------------------------------------------------------------------------
・ 命の危機に遭遇しても良いが、主人公を殺すのはダメでつ
・ リレーごとのローカルルールは、第一話を書いた人が決めてください。
(たとえば、行数限定リレーなどですね。)
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- 22スレ52sage :2004/10/05(火) 00:52 ID:6/iKH5h.
- 自分ので前スレ完全に埋まってしまったので立てました。
とりあえず、ノビと悪クルセぶつけてみましたが……
なんかいつもにもまして滅茶苦茶な気が _| ̄|○
ツッコミどころ満載ですが、よろしくお願いします。
- 3名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/05(火) 01:43 ID:KWKzvW6Q
- >>魔剣戦争記
続きキタァアア!!
新キャラふたり。また個性的なやつですね。
楽しみにしてますよ続き。ファルカたんのサービスシーンにハァハァ
>>2スレ52
むちゃくちゃどころかかっこいいですよ。
ここならよし、の所で往年の傑作、寄生獣のあのシーンを思い出した…
- 4上水道リレーSSsage :2004/10/06(水) 01:26 ID:Z5L5SzOM
- 「などど本気で思うような輩は狂信者とカテゴライズされるわけだが……」
もとの淡々とした口調に戻って、男は喋りつづける。
「せいぜい『かわいそう』と思わせるくらいが関の山だ。違うか? むしろ『自分じゃなくて
良かった、助かった』と思わせられる者が大半だろう」
彼は何か、嫌な感じがした。後ろめたいような、目をそらしてしまいたくなるような、居心
地の悪さ。男は言葉を切って、すべてを見透かすような透徹した目をもって、彼を見据えてい
る。
「なにが……、言いたい?」
こらえきれずに、彼は訊いてしまった。
「私は君を『スカウト』しているのだよ。なるほど、確かに君は私の敵ではない。だが、人間
の到達できる限界点に居た聖騎士を晩餐に並べられる鳥類のように屠殺した私に立ち向かって
きた、君の精神力とでもいうべき『力』を、私は欲しいのだ」
「なに……?」
「果たしてこれ以上、私と敵対することにメリットはあるだろうか?」
「……」
唇を噛んで、暗殺者は呪った。納得しかけていた、自分を。
「あの聖騎士に対する義理立てならばもう済んだじゃないか。君自身、ぼろぼろになるまで戦
った。彼も満足して成仏できるに違いない。むしろ自分の死に殉じるように君が死ぬようなこ
とは、あの聖騎士殿自身、望んでなどいないはずだ。何故、君だけが聖騎士殿の命に感化され
なければいけない? 素直に『助かった、自分じゃなくて良かった』と思ってしまえばいいじ
ゃないか。私は有能な人材に対しては寛容だぞ? 既存の世界を打ち倒すまではいいが、私だ
けで新たな世界を再構築するのはさすがに骨が──」
「……うるさい」
金髪の男の言葉を遮って、暗殺者は吐き捨てた。眉をあげて、男は彼の肩に手をおいた。
「おや、なにかお気に召さないことでも言ったかな? 君にとっても魅力的な、悪くない話だ
と──」
「うるさい、黙れ」
男は手をどけて、肩をすくめた。やれやれ、とでも言いたげに。
「やはり理解に苦しむな。どうして君たちは、私に『敵対しつづけた』のか……」
「黙れ!」
暗殺者が叫ぶ。
「てめーの御託なんざ関係ねえ! 俺が戦うのはてめーみてえなクソ野郎があいつを殺したか
らだ! 許せないんだよ! てめーが存在していることがムカつくんだ!」
暗殺者の怒号に、金髪の男は満足げに微笑んだ。急に喉を動かしたものだから、呼吸に血の
味が混じっていた。それでも彼は、言わずにはいられなかったのだ。
「あいつを……、俺らを……、過去形で語ってんじゃねえっ!!」
「……君の言いたいことは、よくわかった」
跪いた姿勢の暗殺者に、男の手が伸ばされた。彼が精一杯振り払ったジュルも、届くことな
く地に落ちた。
「もはや私がすることはひとつだけしか残されていないようだ」
そして冗談のように、金髪の男は膝を折った。口の端から垂れる紅の、一筋の流れ。
「……んん?」
不可解なことに遭遇して困惑しているように、男はおそるおそる口元に手をやった。 途端
にごぶりと、男は真っ赤な液体を吐瀉した。
(まさか……)
わずかな希望を、暗殺者は感じた。
「ば、馬鹿な……っ!」
金髪の男はうめき声をあげながら顔に片手をあてた。顔面を握りこむように指を食い込ませ
ながら、周囲に漂う紫煙の残滓を振り払おうとするように、闇雲にもう片方の腕を振り回す。
- 5上水道リレーSSsage :2004/10/06(水) 01:27 ID:Z5L5SzOM
- 軋む頭蓋の音すら聞こえそうな、凄絶な苦悶。先刻までの、ある種の畏敬すら抱かせるほど
の威圧感も、消失している。金髪の男は見えない何者かと戦っているようにローブを振り乱し
て、闇をつんざくような呪詛を吐いた
「……おのれえええっ!」
暗殺者はパイプに寄りかかりながら立ち上がって、ポケットを漁った。確か、いくつか残っ
ていたはずだ。震える指が、数枚の白いハーブをつかみ出す。一気に口に含んで、彼は必死に
咀嚼した。彼の目は、おぼつかない足取りでふらふらと彷徨う金髪の男を見据えている。まる
で盲いた狂人のようだと彼は思った。
(ざまぁみやがれ、クソ野郎)
確か、スペードの3だったか。
どうやらジョーカーに、カウンターを喰わせることができたらしい。暗殺者は男の狂態に幾
ばくかの溜飲を下げながら、硬い葉筋ごと白ハーブを飲み込んだ。いくぶん、身体に力が戻っ
てくる。
間違いなく、状況は逆転していた。しかし相手は、あの聖騎士ですら敵わなかった人外だ。
まだ、油断してはいけない。
暗殺者は右手に対人用のグラディウス、左手に命中精度向上用のマインゴーシュを構えた。
放っておいても、心筋や呼吸器系が麻痺すれば事は終わる。だが暗殺者の勘が告げていた。こ
の場で確実に、容赦なく、完膚なきまでに、この手で──息の根を止めなければならない。
紫煙の猛毒は、布石にすると彼は決めた。二刀を構えたのも斬殺するつもりではなく、一撃
で仕留めるため。男の一挙一動を鋭く観察しながら、暗殺者は必殺の機をうかがう。
「ぐううっ……、この……、私がっ!?」
遂に、というべきか。ようやく、というべきか。いや、効きはじめるまでの時間を考えれば、
ようやくなどという言葉では足りないほど、彼は待っていたのだ。全身を小刻みに震わせる男
から、隙間風のような呼吸音が聞こえてきた。
金髪の男の膝が、がくりと地に落ちた。
先刻と真逆。ちょうどひざまずいた体勢で、金髪の男はげひげひと咳きこみつづけていた。
赤い液体が汚水に混じる。首の付け根の透けるような白い肌を見て、暗殺者はらしくもなく唾
を飲んだ。
(てめーのようなクソ野郎は……)
暗殺者は注意深く、逆手に握った短剣を引いた。
毒に汚染された目標、それ自体を触媒として発動させる、毒使いの奥義。その毒に汚染され
たものは絶命の瞬間、毒を撒き散らしながら弾け飛ぶ。
(粉微塵になって──)
「死ね」
ずびゅ、と腹の底に響くような感触がした。
何度体験しても決して慣れることのなかった、嫌な感触だ。
「……?」
びくりと身体を痙攣させて瞳を見開き、視線を動かして傷口を見る。
暗殺者の腹部に、金髪の男の腕が突き立っていた。眼前の男が、自信たっぷりの悪魔的な笑
みを浮かべている。短剣の切っ先を見ると、二本の指に挟み込まれて止まっていた。
吐き気がした。
「なかなか演技派だっただろう? んん?」
体内で男の手が捻られる感覚。こみあげる吐き気。内臓が引っ張られるような気色の悪い感
触。真っ赤に染まった男の腕。
こらえきれずに、暗殺者は吐いた。
腹に刺さっていた支えを失って、暗殺者はびちゃびちゃと吐血しながらくたりと崩れ落ちた。
奥歯を噛み砕きそうなほどに食いしばって、彼は痛恨の失策に打ちひしがれた。
「ちなみにこれは」
男は口元の赤い液体を指さした。
「赤ポーションだ」
「っンの……、野郎ぉぉぉ……!」
暗殺者は取り落とした短剣に手を伸ばそうと、腕に力を込めた。
しかしまったく動かない腕。
すがるように伸ばされた指の先で、短剣が踏み砕かれた。見開かれる彼の目から、力が失わ
れて、どんよりと濁った。
「残されたひとつのこととは、こういうことだ。すなわち、希望を抱かせてそこから突き落と
すこと。その方が、味がよくなるのでね」
「畜生……、畜生……」
金髪の男は腕の汚れを気にするように払いながら、優越感を隠そうともせずに暗殺者を見下
ろした。
「さて、そろそろ融合の時が迫ってきたようだ。君との語らいはなかなか楽しかったよ」
男はふたたび手を伸ばして、暗殺者の頭部を掴んだ。抵抗しようにも、彼の腕も、脚も、ぴ
くりとも動かなかった。やすやすと暗殺者を吊るし上げらた男は、手の甲を眺めながらつぶや
いた。
「凡て、暗澹たるが如く」
- 6えべんはsage :2004/10/06(水) 01:32 ID:Z5L5SzOM
- 残り容量も考えず誘導もせず、前スレ消費してしまってごめんなさい。
今回投下分は以上です。
あんまりうろつかれるとミスリルが届く前に 遭遇→全滅 の憂き目を見かねないかと思いまして、
DIO様にはひとまず退場していただきたく。
- 7名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2004/10/06(水) 03:35 ID:qkkqyZcE
- 「凡て、暗澹たるが如く」
金髪の男は黙祷をささげるかのごとく目を伏せる。
ぼちゃりと足元に水音を立てて落ちた。
「・・・・・・・・なに?」
一瞬何が起こったのかわからなかった。
目の前から暗殺者が消えた。
正確に言おう。目の前からずり落ちたのだ。
自分の腕ごと・・・・・・・・・・・・。
なにがおきた?
暗殺者をつかんでいた腕が切り落とされた。つまりはそうゆうことだ。
考えて一瞬。
金髪の男は背後に跳んだ。
視界の端で白いものを見たからだ。
烈風。
それだけで服は切り裂け。胸は浅く斬られた。別段どうとゆうことではないが。
「ワーオ、すごい。よくよけたね」
白いものはそう言った。
それは白い衣服を着た人影で、
手には柄のついた鉄塊・・とゆうべき槌が握られていた。
なんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれなんだあれ
金髪の男は戦慄を覚えた。本能と呼べるものから来る戦慄を。
私がおびえている打と、この私が・・・・・・・
一息つく。そしてその戦慄を隠すように今までどうりの口調で言う。
「なにものだね」
「あ・・・・・・こちら、GM0x8.hena。現地で変なもの見つけましたどーぞ」
その問いをもう思いっきり無視してどっかに報告を入れる白い服を着た人影。
彼女は光に纏っていて、五つの光球が周りに浮いていた。
「おい」
何か内より沸き出でるものがあった。これはたぶん怒りとゆうやつだろうか。
「・・・・・はい、・・・・はい・・・え〜」
「私を無視・・・・・」
次の瞬間視界が傾いた。
そして吹き飛ばされる男。
何が起こった?
「とりあえず。あなたを抹消させていただきます。そうゆう指令ですんで・・・・・・・・・・・ごめんなさい!」
そしてぺちゃりと音がした。
音のする方向を見れば、壁に何か赤いものが付着していた。
そして自分の腹を見ると・・・・・・・・・・・・・・・・抉れていた。
そして烈風が3回。
ぺちゃ、びちゃ、びち
続けて4回の烈風
肩が、腹が、腕が、抉られ、体から切り取られてゆく・・・・・・。
彼女の持つ槌があまりにも速く振るわれるがゆえに視認できず、
その重さと速さと威力で持って、触れるもの皆、粉砕され、抉り、切り取られてゆくのだ。
さらに一撃。
何が起きているのか、どうしてこうなっているのか、理解できぬまま金髪の男は吹き飛び後ずさる。
「光に・・・・・・・・・・・・・・・・なれ〜」
そういって振るわれた槌は金色に見えたかもしれない。
そして、地震。
揺れる大地。
波立つ水面。
そして、その場で仁王立ちでいる女。
彼女の周りには光の弾はない。
「えっと、とりあえず、そこのアサシンさん・・・・は、生きてるね」
女はそうゆうと、アサシンに光が包む。
ヒール。
それも最高クラスの癒しの力を持つヒールだ。
目を覚ます暗殺者。
「おれは・・・・・・・」
「はい、よく聞いて、アサシンさん」
死んだと思ったはずなのに、生きていて、混乱真っ盛りの暗殺者の唇に
指を当ててその白い服の女はそういった。
「要点だけ言います。ここから退避して頂きます。
もう少しいけば民間の有志で組織された救出隊がこっちに向かっているようですので、そこまでいかれれば大丈夫かと。
よろしければポタを出しますが」
「あんた・・・・・管理人か」
「はい。管理人がんばってます」
ふざけたくらいな笑顔だった。スマイルマスク真っ青なくらいに。
- 8名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2004/10/06(水) 04:04 ID:qkkqyZcE
- 「とりあえず、この場から離れましょうか」
管理人GM0x8.henaそういって暗殺者を起こす。
「その前に・・・・・・・・・・・・・・・」
さっき金髪の男を粉砕した場所に、無数の氷の柱が立つ。
「封鎖完了。これでしばらく持つかな?」
この氷の壁の向こうには誰もいない。
あるのは死体だけ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終わったのか?」
「いいえ。たぶんまだ」
暗殺者のつぶやきに即答する女。
あいつのことだ。たぶんさっき自分がやったときのように影だったのかもしれない。
あるいは復活を果たすのかもしれない。
なんにせよ、あいつは常識外れで、何があっても不思議じゃないんだ。
また再来る。
「さて、どうしますか?ポタで一気に地上に行きますか?それとも歩いて帰りますか」
「歩いてゆく・・・・先に逃がした奴が気になる・・・・」
「では私はこの辺で・・・・・・・・・・・・・・・」
そういって彼女は圧断した奴の腕を拾った。もって帰る気なのか?
「管理人、がんばってます
・・・・・あ、ヒールしたこととか私が助けたこととかは内緒にしといてください。
特定個人へのえこひいきは私たちの規約ではホントはやっちゃいけないんで・・・・・」
「じゃあ何で助けたよ」
「それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
暗殺者の問い、管理人はこう答えた。
「結構好みだったから」
そういって、いたずらっぽく笑った彼女の顔は、結構魅力的たっだ。
「では」
そして管理人は消えた。
テレポートでもしたのだろう。
「いつの間にかけたんだよ」
気がつけば、速度増加と祝福の魔法が暗殺者にかかっていた。
そして暗殺者は、数十分前のよりもはるかによくなった状態で走り出した。
「おぼえたぞ」
何かがつぶやいた。
- 9名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/06(水) 14:48 ID:G0Ur6vyg
- 滑り込みの一桁ゲットしつつ、保管庫座標を貼り付けだ。
ttp://cgi.f38.aaacafe.ne.jp/~charlot/pukiwiki/pukiwiki.php
ttp://moo.ciao.jp/RO/hokan/top.html
- 10名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/06(水) 17:50 ID:DQYqY/SU
- あたかも子供が玩具を落として壊した時の如く、あたりに広がる肉片。
各部自分そっくりのモノを見下ろしながら、金髪の男は可笑しくてたまらないといった
表情をうかべて、傷一つない身体でピンと立っている。
マントのすそで清潔な手を、習慣でぬぐうと彼はそのままかがみこみ、
バラバラ死体の上に手をかざすと、もう耐え切れなくなったのか
上水道中にに響き渡るような大声で笑いはじめた。
「アハハハハハハハハハ!・・・はあ・・・ハハハハハハハハ!
これが笑わずにいられるかね!?・・・ねえ・・・バラバラになった私!私だよ!ワタシイイイイイ!
・・・アハハハハハハハハ!」
涙を流して笑いながら、途切れ途切れに死体に話し掛けると
また堪えきれずに肩を震わせ、金髪の髪がそれにつられてふわりと左右に流れる。
普通ならばその光景は美しいと表現してもよいのだろうが、彼の
笑みの裏に張り付いた残忍さが、辺りをつつむ禍々しい気が
その場所魔界の入口のごとき冷たさに変え、男はそのまま
しばらく笑いの発作をつづけると、ようやく可笑しさが薄れたのか
笑みを浮かべたままで足下の肉片と・・・自分そっくりの水に半分浸かった首にむかって、
噛んでふくめるように何が可笑しいのかを説明しはじめた。
「なあキミちょっと耳が浸かって聞きづらいかも知れないが
聞いてくれたまえ・・・クククッ、GMってのは暢気だよなあ、
肉人形だって感知できるその存在を私が感知できないとでも思うのかねえ?
しかも制約を超えた力をこちらに向かって使用した---
こちらが、私があの存在に対する対処方法を知らないとでも?
そんなものは“世界制服マニュアル”の一ページ目に既に
記載させてもらったよ、キミ・・・。」
指先で落ちた顔をつつっと撫ぜる。
愛撫のような手つきが、玩具をもてあそぶ指先に変化し、突付いて顔を転がす。
首は半回転し、男から首をそむける格好になった。彼はそれを
濡れた髪の毛を掴んで持ち上げると、こちらに正対させ
話を続けた。
「あのちっぽけな存在をそこまでして救いたかったのかね?、でも彼女は
オツムが足りないと思わないかね?キミ、昔お母さんに
「外で変なものひろってきちゃだめです!」って怒られた事がないのかねえ?
しかもこちらは決定的瞬間を記録させてもらった・・・もしかしてそれを公表すれば
彼女は“BAN”かね・・・クックックックッ。」
背中を震わせながら、立ち上がり通路の壁に寄り掛かると彼は足元の自分の顔を軽く蹴って転がす。
出来事を回想しているのだろうか?目を瞑るとまた一息、吐き出してこめかみを叩き、
男は子供の質問に答えるように下を向くと、無口な兄弟に講義をはじめた。
「え?、GMがBANしてきたらどうするって?、ふむ・・・・・・いい質問だ兄弟
特定の命令にはそのコマンド特有の現象、転移による空間の歪み、生体抹消による
根源物質(マナ)量の一時的増加といったことが起こる、そこでだ・・・私のような存在を
ソコラにいる肉人形と同じように抹消しようとした場合は。。。わかるだろう?兄弟、
エネルギー量が多すぎるのだよ、難しいことは省略するがまず間違いなく
この大陸は人間が住める場所ではなくなるだろうな・・・。」
「え?じゃあ私が無敵かだって?・・・とんでもない、私は公平な人間でありたいと思うのでネ、
人とは思えないかもしれないが・・・クク、もしも正々堂々と冒険者が向かってくるのなら
討てないことはないのだよ、“出切れば”だがね。」
そこで言葉を切ると----彼は笑みを引っ込め唇をかんだ、まるで過去を思い出すように
額の中心を人差し指でこつこつ叩くと、眉間に皺をよせ、どうも思い出せないといった
表情、腕をくみうなったまま言葉をつなぐ。
「考える魔人」----とでも言おうか。
「昔私を戦闘不能にした者も居たしな・・・フフッ、兄弟よ今度はどうなるかね?占ってみるかね?
そうだな、キミの首を蹴って顔が上を向くか下を向くかで決めよう、上なら“大吉”・・・下なら
“凶”だ、さて行くぞ・・・・・・・・・それ!ククッ・・・。」
首は蹴られ金髪の髪は吸った水をはね散らかしながら壁に当る。
首は再度壁に当り間抜けな音をたてて転がる。
首は水溜りに入りぐぐもったボコッという音をたてて転がり、転がり・・・。
---------そして顔は横を向いて止まった。
「ア---------ッハッハッハッハッハッハッハ!」
- 11名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/06(水) 22:24 ID:hyIQQJ/Y
- すぐに夢を見ているのだと判った。
登場人物はいつもと変わらない。僕と先輩、そして大量の本、本、本。
先輩は結構な実力の魔導師だ。才女だとかなんとか言われているが、言葉から連想されるような冷たさはない。
悪戯好きなのを除けば面倒見のいい、とても親しみやすい人柄をしている。
ほっそりした体躯に、さっぱりとしたショートカット。本を読む時――つまり大抵は眼鏡をしてるけれど、外すと童顔で
可愛らしい。
ロケーションもいつもと変わらない。
ゲフェン塔の談話室。書庫から出て来たばかりの先輩。
魔術師以外は立ち入り禁止のこの一角で、僕は先輩とよくくつろいでいるから、ここまではいつもと変わりはない。
夢と判った決め手は先輩の笑顔。その悪戯っぽい微笑みが僕の肩の上、顔の真横にあるからだ。
いうなれば後ろから抱きつかれた密着状態。
「何赤くなってるのかなー?」
背中に触れるやわらかな感触。明晰夢だと悟っているというのに、馬鹿みたいに僕はガチガチになっていた。
確かに僕と先輩は仲がいい。だけれど、ここまでの仲って訳じゃないのだ、残念ながら。そりゃ固くだってなる。
「年上ってキライかな」
頬に手を添えられて、横向きにされた。真正面からお互い見詰め合う格好。
「――キス、したことある?」
問うておきながら、答えも待たずに額に額がこつんと押し当てられた。吐息がかかる。
「おしえてあげる」
唇がゆっくり迫ってきて。
「あいてっ!?」
がつん、と後頭部が冷たい石畳にぶつかった。頭を抱えてしばらく声が出ない。それくらい痛かった。
夢というか妄想に驚きすぎ挙句、僕は思わず仰け反って、居眠りしていた席から床に落っこちたのだ。それも痛烈な勢いで。
原因と結果があまりに情けなくて、転げたまま憮然としていると、くすくすと忍び笑いが聞こえた。
「なーにしてんの、君」
「う、うわっ、先輩!?」
慌てて跳ね起きる。ところは夢と同じ談話室。先輩は丁度書庫から出てきたばかりみたいだった。
「…寝惚けたんですよ、ちょっと」
顔が赤いのが自分で判る。先輩の夢を見て、なんて口が裂けても言えやしない。
「へぇ。珍しいね。カタブツの君が寝惚けなんて」
先輩は抱えていた紙束を卓に置く。専念していると言っていた論文だろう。
僕が憮然としながら立ち上がって裾を払うと、一層おかしそうに笑った。…まったく、このひとは。
「やーれやれ、書き物って肩凝るよねー」
テーブルを挟んで僕の正面に腰掛けると、首をぐるぐる回して肩をほぐす。
「あのさ、お茶、入れてくれない? 君の、おいしーんだよね」
「はいはい」
紅茶をおいしく淹れるのは僕の趣味でもある。褒められれば素直に嬉しい。
薬缶を取り出し水を入れ、小さく発火の魔法を唱呪。これや他者に思念を届ける“囁き”は、魔術師や冒険者でなくても使い
こなせる、便利な魔術の代表格だ。
「いいよね、君、器用で。私なんか不器用でさー」
ぐーっと手を組んでのびをしながら、先輩。
「いいお嫁さんになるよー」
「僕は男です」
お茶っ葉の用意をしながら言い返すけれど返事がない。ちらりと覗くと、いつの間にか紙片に書きつけをしていた。集中して
いるみたいだし、邪魔するのは止めておこう。そんな事を思った矢先、
「ところでさ、年上ってキライ?」
「…何を言い出すんですか、いきなり」
狼狽を押し殺して返答。あんな夢を見たせいで、おかしな方向に想像が行く。不自然な間が空いたかもしれない。
先輩には気付かれないように深呼吸を繰り返して、それから振り向く。
「んーん、何でもない何でもない」
卓の上で組んだ腕に顎をのせて、先輩もこっちを見ていた。視線がばっちりぶつかる。先輩はこちらへ手を振ってみせた。
一体何を書いているのだろう。どうやら論文ではないようだし。
「で、何を書いてるんですか?」
湯気の立つカップを差し出して、僕。ありがとー、と受け取る先輩。
「ん、手紙」
「また古風な事をしますね。“囁き”でも送った方がよっぽど早いでしょうに」
「でもさー、直接言いにくい事を伝えるのには、これ以上無い手段だよ」
「先輩でも、言いにくい事なんてあるんですか」
このひとなら誰にでも何でも言ってのけそうな気がするけれど。
「そりゃ私にだってあるよー。君だってない?」
問われて考える。大抵の文句や注文は口頭だ。それが出来ない相手なら、最初から付き合おうなんて思わない。
それが交友の少ない理由なのかもしれないけれど、まあそれはそれとして。
「あまりありません。それに手紙なんてまだるっこしい事するなら、直接言いに行きますよ」
確かに重要な事柄には書面が用いられる事もある。だけれど時間やら料金やら何やらを考慮したら、断然直接か“囁き”の方
がいい。それが即時でやり取りできるのに比べ、手紙なんて届くまでだけで1日2日はかかるのだ。
「ふぅん。思ったよりも行動派なんだね」
そこで先輩は意味深く沈黙。
「…本当に、どうしたんですか?」
「あー、いや、だからなんでもないって」
慌てたみたいに先輩は首を振り、その後はいつもみたいになんて事のない話に終止した。
「それじゃそろそろ帰ります」
いい加減夜も深い。僕がそう告げると、
「あ、おつかれさま。引き止めちゃってゴメンね」
「いいえ、そんな事ないですよ。こっちこそ、書き物の邪魔してすみません」
僕は一礼して、先輩は頬杖で手を振って。
「――明日も明後日も、私はこっちにいると思うから」
別れ際、脈絡なく先輩が呟いた。何故か緊張したような雰囲気。なんで予定をいちいち僕に告げるのだろう?
「オッケーだったら、またお茶を淹れに来てよ」
…どうやらそういう事らしい。
先輩が何を書いていたのか判ったのは、翌々日の事。僕のところへ手紙が届いたから。
とにかく、急いで家を出よう。オッケーだったらお茶を淹れに来いと、彼女はそう言っていたのだから。
- 12名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/06(水) 23:45 ID:8zbyAUSc
- ____________
<○√
‖
くく
早く!俺が支えてるうちに先輩のところへ!!
何で読後こんなの思いつくかな、俺_| ̄|○
- 13名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/07(木) 01:29 ID:PfhhNiWA
- >11で萌えて
>12で激しく笑ってしまった
- 14('A`)sage :2004/10/07(木) 01:45 ID:3/Jo7FlE
- Ragnarok Online Side Story "Confrontation of fate"
日が暮れるまで立ちすくんでいた少女はやがて、白い墓石に背を向けて歩き出した。
黄昏に沈むプロンテラの街並みは静かで、時折駆け抜けていく子供達の嬌声だけが聞こえる。
そうして、世界はささやかに、しかし、確実に一日を終え、明日を迎えるだろう。
それを繰り返し、繰り返し。
長い時間が過去から未来へ、少女を導いていく。
哀しい思い出が色褪せ、深く抉られた傷の痛みが和らぐまで。
この時点で、少女は確かに上を向いていた筈だった。
そう、"筈だった"。この時点では。
少女が沈痛な面持ちで使い慣れた台車に手をかけた瞬間、異変があった。
『…を…する』
風に乗って、途切れ途切れな低い声が響く。
「…?」
少女は何気なく、振り向いた。
そこに待つものを知らず、漠然とした気味の悪さに、振り返った。それだけだった。
そして、たったそれだけで、少女の未来は潰えた。
鈍く、僅かに少女の上半身が仰け反る。
錆び付いて腐りかけた肉厚の刃。一振りの古ぼけた大斧が、少女の胸に深く打ち下ろされていた。
「…あ…れ…」
焦点の合わない瞳で、少女は斧を見た。
全く現実感が無かった。人気のない墓場で、どうして斧が自分に突き刺さっているのか。
痛みも、一滴の血の飛沫さえも、無かった。
ぐずり、と湿った嫌な音を立てて斧はめり込む。
やはり痛みは無かった。ただ、自らの身体に何かが入り込む――というよりは、内側から取って
変わろうとしている感覚があった。不快だった。
今度は、音を立てて何かが潰れた。何も分からなかった。
もう、分からなくなっていた。
現在と過去と、現実と夢想が境界を無くす―――
哀しかった。
死んでしまった、愛しい人。
でも、その反面で、嬉しかった。安堵していた。
自分は死ななかったのだ。
助かったのだ。何処の誰かも分からない剣士の少年に、救われたのだ。
死にたくなかったのだ。死んだ方がマシだ、などと考えたこともないのだ。
生きていたいのだ。生きていたかったのだ。それが、叶ったのだ。
感謝してもしきれない。もしもう一度あの少年に会えば、自分は絶対に、一生のうちに知る
であろう謝辞の麗句を全て並べ立て、無心に愛するかも知れない。
彼を失ったのは悲しいけれど、助けてくれてありがとう?
そう言って同情でも誘って、関心を引くだろうか?
違う。それは違う。チガウ。
これは純粋な感謝だ。そんな不純なものではない。生きたいと思うのも至極当然だ。
誰だって死にたくはない。私もそうだ。あの少年もきっとそうだ。
彼も?そう、彼も。死んだ彼も。もう死んだ。もう居ない。
そう、もう居ないのだから、別の誰かを愛してもいいではないか?
チガウ。それはチガウ。今でも彼を愛している。でも救われたいとも思う。楽になりたい。
生きていたい。死にたくない。
シニタクナイ。
なのに、何故―――
見えぬ血を滴らせ、斧は完全に狂った少女の中へ埋没した。
- 15('A`)sage :2004/10/07(木) 01:45 ID:3/Jo7FlE
- 『死んでも永遠に 2/3』
「そこの剣士もそれなりには面白いのですが、生憎と重要なのはそちらのお嬢さんでして」
魔術師、シメオンはあくまで真剣な顔で言った。
ナハトは完全に肩透かしを喰らった形になり、ほっと胸を撫で下ろす。が、すぐにその意味を
理解――もとい、誤解して叫んだ。
「じゃあ、やっぱり軍の…!?」
「違います」
勇む少年に、魔術師は即答する。
「私は誰の配下につく事もなく、誰の命も聞き入れませんよ…二度と、ね」
淡々と言ってのけるシメオンの顔には、まだ若いナハトには想像も付かない凄烈さがあった。
堪らず、少年は怯む。人間としての格が違いすぎた。
しかし、大人しく聞き手に回っていたルイセとサリアの顔色に変化はない。これは当然だった。
むしろ、この状況で未だに迷いを捨て去れずに居る剣士の少年の方が、異常なのだ。
一人取り残された形になったナハトからつまらなそうに視線を外し、シメオンは華奢なモンクの
少女を見る。
「噂には聞いていたんですよねぇ…よくこんな事が出来たものだと感心してしまいますが…」
「シメオン…要点だけを言いなさい」
カップを煽るルイセが、ぴしゃりと言い放った。
その言葉に、陰鬱な魔術師は曖昧でシニカルな笑みを取り戻すと、
「おや、貴女は気付いているものかと」
気付いていない訳がない。魔術師は暗にそう言っていた。
「どういう…事ですか」
またも取り残された黒髪の剣士は、呻くように呟く。
ルイセがサリアの事で何か知っていたかもしれない。それだけで、ナハトの、唯一の心の支えが
崩壊しようとしていた。
絶対的な信頼が、綻びかけていた。
ナハトはルイセを信頼している。心から頼れる。
しかし、彼女にとって自分はそうではなかったのか。
少年は決して優秀ではなかったが、いつだって彼女を裏切ろうとしたことはない。
それなのに。
ルイセは何も語らず、ナハトの疑念を払拭しようともせず、黙って茶を愉んでいる。
「先生!」
…警告は既にしていた。
少年が、得体の知れない少女を助けると口走った時に。
彼は答えた。「分かっている」と。その言葉の重みも知らずに。
あの瞬間から――少年の甘い理想など通用しない――"現実としての戦い"は始まっていたのだ。
サリアが身の上を語らないことに対し、ルイセは確かに『困って』はいた。
自身の口から語らせるのが最上であり、第三者に過ぎない彼女がナハトに告げたところで、何
の進展にも繋がらない。むしろ、逆効果だっただろう。
間接的に知れば、ナハトは絶望し、後悔するだろう。
しかし、直接的に知れば、諦めるだけで済むかもしれない。それさえも、甘い観測でしかない
のだが…。
「…ごめんね」
思考を無理矢理終わらせ、ルイセはカップを置く。
シメオンを見る蒼い双眸に、明確な戦意を宿して。
「そう、気付かない筈がないわ。貴方もよく知っている通り、私の半分は人間じゃない」
纏った強大な気配を隠さず、人外の少女は淡々と言い放つ。
「シメオン…くだらない事を言いに来たのなら、そろそろ帰って頂こうかしら」
「…おやおや…独り占めするつもりですか…何もかもを、敵に回して…」
「"保護"してるだけよ。貴方とは違う」
「それは…残念だ。私としては貴方とは出来るだけ争いを避けたかった」
魔術師は席を立ち、手近に置いていた帽子を被った。
既に安穏な空気は霧散し、魔術師は何処までも黒い、凶悪なまでの魔力をその身に宿している。
「やっぱり敵か!」
「軍ではないと言っただけですよ?」
「屁理屈を!」
迷わず剣を抜くナハト。
この間合いなら、剣の方が速い――筈だった。
次の瞬間、彼の身体は易々と宙を舞っていた。
シメオンが軽く手をかざしただけで、ナハトはまたも吹き飛び、リビングの壁に突き刺さる。
「…愚鈍な」
魔術師は壁に張り付いた剣士を一瞥し、魔力を操る。
一般的な"魔法使い"は魔術――魔法回路の起動に少なからず予備動作と詠唱を必要とする。
単純な構成の魔術でさえ、起動に要する時間は零にはならない。熟練し、それを短縮出来る者も
居るが、決して、無には出来ない。
未熟であれば未熟であるほど、それは顕著に表れる。
それが魔術師にとってのウィークポイントであり、最大の隙だった。
しかし、シメオン――この陰湿な魔術師はそんな"隙"をほぼ無に近づけていた。
複雑な呪文を口走る必要性も、大仰な予備動作も必要ない。
「三人も相手に酔狂で挑んでいる訳ではないのですよ」
魔術師の掌に、拳ほどの炎が出でる。
難なく放たれたそれを、ナハトは絶望的な面持ちで眺め――
炎が爆ぜた。
ただし、少年に直撃したのではなく、僧衣を纏った少女の拳が、叩き割ったのだ。
「…ナハト様、大丈夫ですか?」
サリアは振り抜いた拳をさりげなくシメオンに向けたまま、優しく尋ねる。
割と非常識な芸当を見せてくれたのにも関わらず、綺麗な笑顔。
「あ、ありがとう…大丈夫だよ」
剣士もそれに応え、ソードを構えて起き上がる。
魔術師は想像以上の使い手だ。ナハトの想像では、そこらのマジシャンに毛が生えた程度の認識
だった。しかし、現実には、城で遭遇したウィザードよりも、恐らく――
(…強い…とんでもない奴だ…)
初撃で受けたダメージは「大丈夫」で済ませられるレベルでは無かった。
不可視の衝撃波。恐ろしく速い一撃はナハトの全身を強打し、完膚無きまでに関節を破壊した。
まだ立てたのは、直後にサリアがかけた癒しの術のお陰だ。間に合わなければ、激痛にのたうち
回っていただろう。
それこそ、死んでいたかも――
(…あれ?)
違和感を覚えた。
何故、死ななかったのか。
初撃の衝撃波。もう一度あれを貰えば、確実に死んでいた。
なのに何故、シメオンはわざわざ手間のかかる炎の魔術を使ったのか。
「手加減してるでしょう」
黙して座っていたルイセがようやく口を開く。
「サリアちゃん以外は、殺す気がない…そういう事かしら」
「殺生が好きなわけではないんですよ。そこの剣士には、ちゃんと言った記憶がありますがね?」
「…く、くそっ!ふざけるな!」
嘲笑うシメオンに、激昂するナハト。
しかし、身を乗り出した少年はそのままの勢いで床に転がった。
児戯に等しいその抵抗を、魔術師は冷ややかな目で見やる。
紛れもなく、遙か格下の相手を侮蔑する眼差し。
「…ここまで、かな」
静観していたルイセが、遂に席を立った。シメオンは目だけを動かし、モンクの少女から警戒を
解くことなく、"この場で唯一の絶対的な脅威"を見やる。
「何がでしょう?」
滑稽そうに問う魔術師。金髪の少女は緩やかな動きで、椅子にかけていた刀を取る。
「人間の真似事が、よ」
ずん、と場の空気が重みを増す。
「く…!?」
刹那、魔術師の身体が家具を粉砕し、窓を突き破って外へ吹き飛んだ。
いとも、あっさり。
けたたましい音を上げて撒き散らされる家具の破片の向こうに、少年は見る。
緋色の目をした、美しい化け物の姿。
が、或いは錯覚かも知れなかった。
次の瞬間には、いつもと変わらない愛らしい教師の姿があったのだから。
錯覚であって欲しかった。
流れる重い空気。しかし、当の本人は軽い口調――装ったものかもしれなかったが――で、
「あー、二人とも。ちょうどいいから、私、あの研究キチガイを徹底的にぶちのめして来るね」
そんな台詞を笑顔で言ったものだが、言われた方は内容の迫力に閉口するしかない。
ナハトが立ち直るより早く、ルイセはひょいひょいと粉砕されたテーブルを器用に飛び越え、
そそくさと外へ去って行く。
残されたナハトは、やはり困り顔のサリアと目を合わせ、深く溜息を吐いた。
- 16('A`)sage :2004/10/07(木) 01:56 ID:3/Jo7FlE
- 今晩は。コッソリ駄文投下。
新スレお疲れ様です。
>>前スレ296さん、297さん、298さん
確かに潰れてます。つっこまれるとは思いませんでしたが…。
その辺りはカルマの"生身じゃない部分"みたいなもので、
外見的には普通に完治してる脳内設定です。
いつか色々書きそうですね。
では、また。
- 17名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/07(木) 17:34 ID:o1IuGj0A
- なんか今回のドクオ氏のやつ、最初の文章が怖い・・・
本編はおおっとシメオン君ふっとんだー!なんだけど・・・
- 18名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/07(木) 20:57 ID:k2Zw6RHQ
- >>17 こうですか?(ry
┼─┐─┼─ / ,. `゙''‐、_\ | / /
│ │─┼─ /| _,.イ,,.ィ' ─────‐‐‐‐ゝ;。←>>1シメオンタン
│ | │ | | | イン ,'´ ̄`ヘ、 // | \
__{_从 ノ}ノ/ / ./ | \
..__/}ノ `ノく゚((/ ./ |
/, -‐===≡==‐-`つ/ ,.イ  ̄ ̄// )) / ;∵|:・.
_,,,...//〃ー,_/(. / /ミノ__ /´('´ / .∴・|∵’
,,イ';;^;;;;;;;:::::""""'''''''' ::"〃,,__∠_/ ,∠∠_/゙〈ミ、、
/;;::◎'''::; );マ剣___ @巛 く{ヾミヲ' ゙Y} ゙ >>1ルイセタン
≧_ノ __ノ))三= _..、'、"^^^ \ ! }'
~''''ー< ___、-~\( ,' /
\( ,'.. /
- 19名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/07(木) 20:59 ID:k2Zw6RHQ
- うは、>>1とか残ってる_| ̄|○
ドクオ氏は密かに表現の裾野が広がってるようで相変わらず目が離せません!!
- 20名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/07(木) 21:25 ID:F.s8kcuI
- ええ、ええ。本人がいなくなってからドクオ氏マンセーしてたなんて言いませんとも。
芸風が明らかに増えてますよね。ギャグ畑の
- 21名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/07(木) 23:31 ID:I3Etclwo
- やっぱりドクオ氏は文章がうまいですね・・・
ルイセってホムンクルスなんじゃなかったっけ・・・化け物?
うーん・・・シメオン君とルイセが本気で戦ったらどっちが強いんだろうなぁ・・・
個人的にシメオン君を応援したい。
- 22名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/08(金) 00:07 ID:MMZgi3hA
- ルイセもシメオンもどちらも応援したい・・・・
大爆発で関係者全員アフロとかの辺りで手打ちになって欲しいかなあ。
- 23どこかの166 上水道リレーsage :2004/10/08(金) 06:43 ID:WAtZl31M
- かつてママプリは武装し邪悪なる魂を救済する妹たちにこう言った。
「人の力とは何か?
力では動物に劣り、
魔力では魔族に劣り、
生命力では植物に劣る。
それでも我等はこの大地の覇者として君臨している。何故か?
答えは一つ。
個では無く群をもって環境に適応したからに過ぎない。
簡単に言えば、人は群れた時にその力を最大限に放出するのよ」
その言葉の実証が今、バフォに抱えられた彼女の眼下に現出していた。
「……これが人の力か……」
バフォメットの言葉にも覇気が無い。
当然だろう。
イズルードに到着している各国艦隊の数は二百では収まらない。
イズルード港縁部に停泊していた数十隻の船団が艦隊を組みイズルードを離れてゆく。
「そういえばアルベルタが襲われたとか言っていたわね……」
「救援……違うな。こっちに来るであろうドレイクを潰すつもりなのだろう」
高高度を飛びながらイズルードを俯瞰するバフォメット。寒気がするのは高高度を飛んでいるからだと思いたかった。
次々と上陸しているペコ騎兵。
盾を構えて隊列を組む戦士達。要所にモンクが配され前線を支える緩衝材の役目を負っている。
彼らに守られたアーチャー・ハンター達も大量の矢を持ち待機している。
アコ・プリ・マジ・ウィズも今までバフォメットが見た数では収まらない程多い。
「これが我等を包囲して潰す罠の正体か……」
「人はここまで力を持った。
さて、魔族はこの罠を逃れる事ができるのかしら?」
おしゃべりはここまでだった。
バフォの姿を見た者達が一斉に空に向けて弓矢や魔法を打ち込んで退避しなければならなかったからだ。
ママプリが『クルセイド』の詳細を知らせてくれた事もあり、プロンテラ南門にはジョーカー・ダークフレーム・ジェスター部隊が撹乱工作を行い、撤退支援という事でパンツァーゴブリン機甲師団が出張ってきていた。
撤退の支援と敵援軍の偵察、場合によっては遅滞戦闘まで考慮して最強戦力の一端を配したオークヒーローの指揮は正しかったといえる。
だが、決定的に間違っていた事がある。
敵の援軍の規模だった。
「左右両翼にペコ騎士団展開!両方とも師団規模ですっ!!」
「中央敵主力なおも増大中!イズルードの橋から敵が尽きませんっ!!」
「大量の船団を確認!プロンテラ内部にも情報が伝わった模様!敵士気が回復していますっ!!」
次々と押し寄せる情報の全てが人間の軍隊としての力を見せ付けていた。
パンツァーゴブリン機甲師団を指揮するゴブリンリーダーはもはや汗エモを隠せなくなるほど汗をかいていた。
「支え……きれるのか?」
ゴブリンリーダーとて魔族のエリートとして栄達の道を歩み、野心も才能も結果も十分過ぎるほど出している。
その彼が怯えているのだ。
何に?人に?いや、群れた人に?
組織され統率された人の凶悪なまでの暴力の意思に。
指揮官の怯えは兵に伝染する。
ゴブリンリーダーは必死に怯えを隠そうとするが隠し切れていおらず、声のトーンが否応なしにあがってしまう。
「主力の撤退状況は?」
「全戦力を動員しての総攻撃だけにまだ準備が整っていません!!」
ゴブリン通信兵の声も上ずっている。
「戦闘準備!
主力が撤退するまで我等が人間どもの攻勢を支えるのだ!」
「おぅ!!!」
よく訓練された部隊はこういう時に差が出る。
そして、最精鋭部隊の一つであるパンツァーゴブリン機甲師団もまたよく訓練された部隊らしく戦闘準備に入ると同時に士気を回復させてゆく。
何もせずに怯えるならば、それと戦う為の準備をしている方がまだ落ち着くものである事をゴブリンリーダーは長い戦場経験から知っていた。
「ジョーカー・ダークフレーム・ジェスター部隊を左右に展開させろ!
南門から西門へ人間どもを一歩も通すな!!」
(だが……無理だろうな……)
できるだけ沈着に振舞うよう気をつけながらもゴブリンリーダーの思考は別の事を考えてしまう事をやめられなかった。
(数が違う……我等だけでは敵全てを抑えきれない……南門から街中を通って西門に出られたらどうしようもない……
いや……南にペコ騎士で迂回されたら主力ごと包囲殲滅……まずい……)
沈痛な面持ちでゴブリンリーダーはゴブリン通信兵に最後の命令を告げた。
「作戦参加全部隊にこの情報を緊急伝で遅れ!!!
このままでは我々は援軍とプロンテラ守備軍に挟撃されて殲滅されると!!!」
(……やるべきことは全てやった……後は戦士の責務を果たすだけ)
パンツァーゴブリン機甲師団は最精鋭の一つだった。
彼らは刀折れ、矢尽きてもなお、ここを死守するだろう。
魔族が悲壮な覚悟を決めている今でも人間の陣はあふれる人で膨張し、狩の獲物たる魔族達にその凶悪たる暴力の意思を膨張させつづけていた。
- 24どこかの166 上水道リレーsage :2004/10/08(金) 06:44 ID:WAtZl31M
- だが、ゴブリンリーダーは致命的なミスを犯した。
いや、ママプリが危惧した魔族の組織行動の欠陥がここにきて致命的に露呈した。
同格司令官が多く、誰が最終権限を持っているか分からない為にゴブリンリーダーは全参加部隊にこの緊急伝を伝えてしまったのだ。
かつての魔族たちならば各個に対処し撃破されてしまうが、それは結果として難を逃れる部隊も存在していた事の裏返しでもある。
それを情報によって縛ってしまったならば、一つの意思が全部隊崩壊の危険を孕んでいる事をママプリ以外の魔族側で誰も知らなかった事がこの致命打を決定的にした。
「イズルードに人間の援軍到来!その数は圧倒的!プロンテラ守備軍と挟撃されたら我等は殲滅される!!」
全部隊に最大限に発信された緊急伝が各部隊指揮官の交戦意思を奪うのにかかった時間はたったの数秒。
情報が恐怖を呼び、恐怖が混乱を呼び、混乱が壊走に変わるまで時間も数秒で済んだ。
「人間の援軍が来た!!」
最前線で戦ったオークはその情報を聞いてどどめをささずに去らざるを得なかった。
「敵の圧倒的な援軍が来た!後退しろっ!!」
前線に出て情報と後退命令を出した深遠の騎士は自分の言葉が味方士気の崩壊と人間達の士気回復に繋がっている事すら気づかずに、被害を少なくしようと前線に出で味方に声をかけ続けた。
「プロンテラ守備軍と挟撃される!!我等は殲滅されるぞ!!!」
レイドリックとカーリッツ達はプロンテラ西門側が人間達に圧倒的劣勢かつ戦線崩壊寸前までいっていたのに、誰もが西門から現れるであろうまだ着いていない幻の援軍に怯え西門から離れようとした。
『つまるところ、魔族は戦争が下手だったのよ』
後日ママプリがこう吐き捨てた魔族の一大壊走劇はこうしてはじまった。
隊列を崩し、われ先にと後退する魔族達。
オークヒーロー直属のハイオーク親衛隊など一部の精鋭部隊はまだ隊列を整えて後退しようとしていたが、味方の大混乱に巻き込まれて動くことができない。
「何をしているっ!!それでも闇より生まれし恐怖の代行者たる魔族の名を名乗る者達かっ!!!」
後方で様子を見ていたブラッディナイトもこの醜態に怒りで我を忘れて手に持っていた"カッツバルゲル"を地面に刺して怒鳴る。
『すまぬ……少し遊びが過ぎた……』
通信機の向こうからオークヒーローの悪びれてない声がまたブラッティナイトの怒りを誘うが、通信機に"カッツバルゲル"を叩きつけるような愚かな行為を必死になって自制していたにすぎない。
「……とにかく無事で何より。
彷徨う者遊撃隊、深淵騎士隊を後方に待機させている。
必要なら、後詰としてそちらに回すが?」
『大丈夫だ。我らとてこのまま無様にやられはせぬ。
南門派遣部隊と合流して撤退しきってみせようぞ』
「……」
傍目から見ても、数の多いオーク部隊が突出したまま混乱しているように見えるのだが、通信機向こうでオークヒーローが大見得をきって言っている以上、それに逆らってまで増援を出すつもりはブラッティナイトには無かった。
幸いかな、追撃をかける余力は人間側には無いようで、魔族の一方的な大壊走を見るがままにしている。
元々偵察に対する陽動作戦として始められた魔族のプロンテラ攻撃"ダインスレイフ"は圧倒的に優位に立っていながら、あと一歩で騎士団を殲滅できるチャンスでありながら、千載一遇のチャンスを逃す羽目になった。
無事に上水道に偵察部隊を送り込んだ以上その成果は十分以上ではあった。
だが、その高すぎる代償として大壊走中の部隊に大規模の敵援軍という最悪の取り立てを何とかしなければならない。
『ウィスパー隊より伝令!
聖騎士団が動きました!
プロンテラ各所を制圧しています!!』
悪い時には悪い事が重なるとブラッディナイトはたまらずに頭を抱える。
「……聞いたか?」
『……聞いた。大丈夫だ。無事に……』
『撤退できるわけないでしょうがっ!!この猪武者っ!!!』
よほど我慢できなかったらしい。バフォメットの通信機から女の怒声が聞こえてくる。
『だから、こんなことになるんじゃないかと思っていたら案の定!
何処の馬鹿よ!偵察支援がこんな大合戦になって挙句の果てに部隊壊走?
『よーし、パパ見栄張って味方壊走させちゃうぞ〜』って、小一時間ほど問い詰めたいわっ!!
あんたら、本気で人間に勝ちた……んぐっ!!ん〜〜〜!!!ん〜〜〜〜!!!!』
ぽかんと通信機を見るブラッティナイトとオークヒーローの前に馴染みの声が聞こえてきた。
『あ……迷いの森のバフォメットだ。
少し、何か訳のわからない声が聞こえたような気がするが気のせいだと思ってくれ。
というか思ってください』
何か哀愁漂うほど下手なバフォメットの声に二人とも毒気を抜かれて、必死に笑うのを堪える。
『……いや、通信機の故障だろう。何か言ったか?バフォメットよ?』
「……私も何も聞こえなかったぞ。
とりあえず、そっちに彷徨う者遊撃隊、深淵騎士隊を送るから使ってくれ」
『……援軍感謝する。正直、困っておったのだ』
『彷徨う者遊撃隊、深淵騎士隊の抜けた穴は迷いの森で塞ぐ。ブラッティナイトは混乱して壊走している前線を建て直してくれ』
「分かった。あと、聖女に言ってくれ。小一時間ほどの問い詰め、私もオークヒーローも楽しみにしていると」
『……伝えておく』
バフォメットが通信機を切ってママプリの方に向くと小バフォ達に口を抑えられてもごもごしているママプリがいた。
「……一応、ごまかしたつもりだが、しっかりばれているぞ……」
「ごめん。つい口を出しちゃった」
ミョルニル山脈からこの混乱を脱出したバフォとママプリは再編された迷宮部隊と共に見ていた。
ママプリは本来政治的威圧の為だけの援軍要請なのに大戦闘に拡大してしまったこの大失態を高位魔族達に小一時間ほど問い詰めたい為、怒っている表情を隠そうともしない。
「そう怒るな。われらとてこのままやられるほど落ちぶれてはおらぬ」
「やられないのは分かっているわ。プロンテラ騎士団は動かない……」
静かな怒りと共にママプリは近くの木にソードメイスを叩きつけた。
轟音と共に綺麗に切られた木の年輪が露出し周りが怯えた顔でママプリを見てもママプリは相手にしなかった。
彼女が今相手にしていたのは上水道の地下にいる学者先生だったのだから。
- 25どこかの166 上水道リレーsage :2004/10/08(金) 06:51 ID:WAtZl31M
- 今日のプラグ処理
地上 人間側援軍到着 魔族優位>魔族大壊走
ドレイク迎撃艦隊出撃
魔族側、聖騎士団が動いた事を知る
地上編は結構収束に向けて動いています。
地下上水道にいる文神様ふぁいと!!
文神の技が切実に羨ましいと思う今日このごろ。
- 26名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/08(金) 12:51 ID:YSNpPdWw
- >>18
激しくワロタ
- 2793@下水りれぃsage :2004/10/08(金) 15:19 ID:sO0H06hk
- とりあえず、久々に書いてみる。え? 昼休みは13時まで? 上司には内緒だよ…。
----
恐ろしい速度で部下を皆殺しにした少女に、ヤコブは戦慄を禁じえなかった。魔族の気配は感じない。
しかし、これこそが、魔物というに相応しい。おそらくは、この少女は暗殺者ギルドの使い手なのだろう、
とヤコブは思った。それ以外にこのような魔物を飼っている組織があるとも思えない。
「…あなたは一体どこの…」
問い掛けたヤコブに微笑を返すと、聖騎士団の精鋭をいずれも一撃で葬った少女は、抜く手も見せずに
手にした長剣を投げつけた。
「くっ…神よ、救い給え! オートガード!」
がきん、と長剣を盾で叩き落した聖騎士の視界で、初めて攻め手を防がれた少女が驚いたように目を
丸くし…。それから、嬉しそうに笑うのが見える。捕食者の笑み。例えるなら、ネズミを嬲る猫の表情。
それは、つい数分前に南西の酒場を前にヤコブ自身が浮かべていた笑みだった。
「…く」
少女と目が合う。彼女の目は若き聖騎士に語りかけている。ぺロリと小さな舌が可憐な唇を割り、
滴っていた返り血を舐めた。
『次は二本…その次は…全部投げ終わったら、もっと楽しい事をしよう』
「おのれバケモノめぇ!」
さながら弓手の秘技の如く、重なって飛んできた二本の長剣を盾で受けながら、ヤコブは突進する。
その次の攻め手は微妙に時間差をつけて投じられてきた。
「神、よ!」
掲げた盾に衝撃を感じ、僅かに盾が正面からずれる。まさにその位置に、二つ目の殺気が剣の形を
為すのを、手にしたサーベルで弾き飛ばし、そのままの勢いで、ヤコブは武器を投じ切った少女に迫った。
「バケモノめっ! …バケモノめぇ!」
常のよく回る舌はどこへいったか、同じ言葉をオウムのように繰り返すヤコブの正面で、徒手空拳に
なった少女は、にぃっ、と歯を見せる。無垢な幼子のような、邪気のない笑顔。
……三本目っ!?
瞬時、右に身を投げたヤコブの、つい先刻まで頭部があった場所へ、一振りのツルギが落ちる。
刀身を下にまっすぐに垂れた剣は、聖騎士の左の肩口を貫いた。
「ぐが…ぐ…神…、よ」
自らの血で、白皙の面の左半を染めたヤコブの正面で、少女が天使のような微笑を見せ、肩口に
突き刺さった剣の柄に手を伸ばす。
「げぼっ…が…」
そのまま、柄を水平に引きおろしながら、少女は剣を抜き去った。ぶつり、と切れた白い腱が
真紅に染まる。ヤコブは、笑った。深手とはいえ、即座に死に至る傷ではない。だが、敵を前に
片手が使えぬ状態では、既に命運は尽きていた。
彼に後悔はない。既にクルセイドは綿密な計画通りに進んでいる。彼が死しても、神の名の下の
浄化は間違いなく行われるだろう。今更暗殺者ギルドや騎士団が動いたところでどうなるものでも
ない。大局は、少数では覆せない局面に進んでいるのだ。
クルセイドの完遂を自らの目で見れずとも、ヤコブは自らの勝利を知っていた。だから、いつもの
薄い笑顔を浮かべて、彼は歌う。
「…おお、神、よ。御許に…いざ、我、往かん。おお、神よ…」
- 2893@下水りれぃsage :2004/10/08(金) 15:19 ID:sO0H06hk
- ----
( ゚Д゚)ポカーン
蒼穹に消えていった彼らの主とその伴侶を、ゴーストリングと端末たちは揃って見上げていた。
『…我ハ隠密哨戒ヲ命ジラレテイタト思ッタガ…』
「魔王め…! ええい、ここまで進入を許すかっ。警戒を密にしろ! これ以上魔族を通すな!」
ダラダラ流れる血を拭いもせずに怒鳴る聖堂騎士を冷静に眺めながらも、ゴーストリングはため息を
禁じえない。と、その背に老人の声がかけられた。
「久しいの、小さな魔族よ」
もともと彼の隠形は彼を“敵”と認知するものにのみ、その姿を知覚できぬように働く。範囲魔法を
多用するものが多い魔族の偵察隊がこのような技を磨いたのは、同士討ちを避けるために当然といえる
だろう。とはいえ、この敵地の真っ只中で彼を見る事ができる者がいるのは完全に予想外だったため、
ゴーストリングの返答は常よりも半秒ほど遅れた。
『……我ヲソノ様ニ呼ブハ、アノ者ノ流レカ』
「いかにも。その節は世話になった」
かつてバフォメットと聖女追討の指揮を執り、凄惨な殺し合いをした老人はゴーストリングの横で、
既に小さな粒にしか見えぬ聖女と魔王を目で追う。あの折よりも、老人は少し太ったのではないか、と
ゴーストリングは埒もなく思った。
「……予想よりも少し早かったが、まぁ、あの娘の性格からしてよく辛抱した方じゃな」
『………』
あの娘、というのはゴーストリングの主の伴侶のことであろうか。彼の知る限りでは、辛抱、とか我慢、
といった単語とは非常に遠いところにいるような日々の聖女の姿を思い、ゴーストリングもややあってから
また、ため息をついた。隠密作戦に従事している彼の苦労など、主達には分かるはずもなかろう。
『コノ上ノ偵察モ無意味…。ドウシタモノカ』
「……ちと予定よりも早くなったが。せっかくゆえ、お主にも手伝ってもらうとするかの。魔族を救う為に」
『魔族ヲ…? 人間、ヒトヲ裏切ルカ?』
「裏切るのではない。人と魔族、滅ぼしあう事が定めというわけではないと、ワシはあの時に学んだのだよ。
あの淫乱馬鹿娘のお陰での。……説明する時間はないが、ワシの言うとおりにしてくれれば悪いようにはせん。
……どうじゃ?」
にんまり、と笑った老元司教の声を聞いて、ゴーストリングはどことなく懐かしさを感じた。生れ落ちて
八百年、人と手を組んだのはあの時が初めてだったが、一度も二度も大差はない。
『…足手マトイは勘弁願イタイゾ。モウ滅ビノ手前マデ行クノハコリゴリダ』
「安心せい。ワシは魔族に庇われるほど落ちぶれては居らぬ」
プロンテラ市街。西門の戦闘に多くの冒険者達は出て行ったとはいえ、力に自身のない者、そもそも
戦う力のない者たちが、そこにはまだ大勢残っていた。そこに、どこからともなく声が響く。
『魔族だ! 魔族が城内に!』
男の声が聞こえ、店の扉に釘を打ち付けていた小太りの酒屋の主人は怯えたようにプロンテラ城を見た。
旨い飯を作るのは得意だし、金勘定もそれなりにはできる彼も、こんな時にどうしたらいいのかは全く
知らない。それでも、彼は安心させるように店内の従業員達に笑い掛けた。大丈夫、大丈夫だ、と。
『城は既に落ちたわ! 北のギルド砦もダメ!』
突然外で響いた女の声に、宿で二人、身を寄せ合っていた駆け出し戦士いの少女と見習い聖職の少年が、
お互いの顔を見やる。そこに見えたのは、自分の物と同じ不安。ややあってどこか遠くから響いた叫び声に、
彼らは手を堅く握り合ったまま、不安そうに窓の外に目をやった。
『…魔王だ! バフォメットが大聖堂を…上を見ろ!』
市内を奔走していた自警団の青年は、その声にはっと目を上げる。彼の視界の隅を、緋色の何かが
かすめた。青年はごくりと唾を飲み込んでから、同じように固まっている僚友たちを叱咤する。
彼らの放った矢は、宙を舞う緋色の魔王の遥か下で力を失い、落ちていった。
『…南から敵が来る! 南門を封鎖しろ!』
戦慣れした太い男の声に、首都南の衛兵は反射的に槍を構え、それから南門の向こうを眺めた。見える
のは喧騒、そして砂煙。明らかに大軍がそこにいるのがわかる。不幸にして、“クルセイド”の全容どころか
一端も知らなかった下級兵士の少女は、同じくそこに配されたままのカプラ職員と目を合わせると、
慌てて手近な人に声をかけ始めた。
- 2993@下水りれぃsage :2004/10/08(金) 15:19 ID:sO0H06hk
- 『…コレデイイノカ?』
かつて相棒と呼んだ少女の師の頼みは、ゴーストリングにとっては容易なものだった。
「いや、まだだ。最後にもう一つ」
『西へ向かえ! 首都を一時放棄する!』
男の声に、酒屋の主人は驚いたように金槌を取り落とした。もう一度その声が聞こえると、彼も
後ろを向いて店内に大声を張り上げる。
「おい、急いで荷物を纏めろ! 重いものは置いていっていい!」
「は、はい。マスター!」
『西に行きましょう! 西には騎士団がいるわ!』
不安に震える少女の肩を抱いていた少年は、少女の吐息を耳元に感じた。
「逃げよう…。ここにいても、きっと」
「そうだね。…大丈夫、僕についてきて!」
『総員、西へ! 持ち場を放棄せよ。民間人の誘導が最優先だ。総員、西へ!』
----
青年は、突然聞こえた声に祈りを忘れた。
「西へ…だと? 馬鹿な…誰がっ」
吼えた衝撃で血が吹き出るのを構いもせず、ヤコブは周囲を見回した。クルセイドは首都に敵を
引き入れるのと同時に南方の増援を引き込まねばならない。そして、浄火。全てのタイミングは
完璧だった。それが、崩れる。
市内には指示を飛ばせるような指揮権の持ち主はいないはずだ。そのように細部を運んだのは、
他ならぬヤコブ自身なのだから。にもかかわらず、声は方々から告げる。西へ、と。一人二人では
ない。統一した意思の元、何かが指示を出しているのだ。暗殺者ではない。高く低く、押して引いて
民衆をアジテートする語り口は、彼らのやり口ではありえない。騎士団には、その余力はない。
「止めねば…、止めなければ…私が……止めねば」
呻く青年の肩口から、力が抜け出していく。彼は、寸刻前とは違い、生きたかった。そういえば、
何故、自分はまだ生きているのか…? 止めを刺されていない事の不思議に思い当たり、聖騎士は
虚ろだった目の焦点を苦労して眼前にあわせた。
彼の死神たる少女は怪訝そうな表情を、彼の頭上に向けている。
「……見つけた」
ヤコブがはじめて聞く少女の声は、想像していたような無機質な声ではなかった。むしろ、
日向で遊ぶ幼子のような、無邪気な喜びを声に乗せて、彼女はヤコブの傷ついていない方の肩を
蹴り、その勢いで宙に舞った。
「あが…っ」
衝撃に顔を歪めたヤコブの眼前を、アコライトの姿をした少女が跳ぶ。裾の乱れも気にせず、
目にも留まらぬ速度で振り上げたツルギを、跳躍の頂点で振り下ろした。そのまま反動でくるりと
回り、膝で衝撃を抑えながら着地する。
『……ッ!?』
その頭上で、巨大な白い幽霊が一瞬姿を現し、消えた。聖騎士には気配さえ感じられなかった
存在を一瞬で看破した少女は、不思議そうに首をかしげる。
「…今のは、何?」
その表情のまま、彼女は唇をへの字にする。見えない動くものが、ここには大勢居る。どこか、
気にいらない。ふぅっ、と息を吐くと、少女は見えない者を追って地を蹴った。
気にいらないものは、倒せばいい。そうすれば気分が晴れると、彼女は知っている。
振り返りもせずに走り去った少女の後ろで、神の名の下に全てを滅ぼそうとした男は意識を手放し…、
自らの作った真紅の池の中に沈んでいた。
- 30名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/08(金) 15:20 ID:sO0H06hk
- ----
「……団長! 敵が引きます」
「何?」
既に戦列は崩され、下水前のフリッシュ将軍からの音信も途絶えた今、敵が引く理由はヘルマン
団長には思い当たらなかった。眼前のレイドリックを既に切ることのあたわぬ剣で叩き伏せてから、
周囲に目を回す。
「……何だというのだ?」
「援軍です! …助かった…」
「…馬鹿な。聖騎士団は動かん。他の方面軍もあと半刻はたどりつけんはずだ」
そしてその半刻を持ちこたえる事は、既に絶望的だとヘルマンは思っていた。戦局は最悪だったはずだ。
気力と体力と、全てを賭けて一秒でも長く敵を食い止めるのが、自分達の最期の使命だと腹を据えた矢先に、
事態の急変を聞いた団長は、奇妙なことだが死に所を取り上げられたようで僅かに憤りを感じていた。
「で、ですが背後に…」
指差す部下の目を追って振り返ったヘルマンは、背後の西門を埋め尽くす人の群れを見て、絶句した。
彼らが護るべき市民達、弱者達がそこにいる。
「……何故。…そうか、ニノ達がやったか。きわどい真似をする」
呟いたヘルマンはきっと頭を上げ、朗々たる声を響かせた。
「……伝令兵!」
「…敵が引く、だと? 何故だ」
「後方に民衆。…敵は消耗戦を避けたと思われます」
アサシンマスターの疑問には、音もなく姿を現した鋭い目の男が答えた。激戦の渦中を抜けたとは
思えぬ静かな声だが、ところどころ裂け、血の滲んだ衣装と、根元から折れた片手の武器が彼の奮戦を
物語っている。
「違うな。いいタイミングだ。理由は知らんが敵の士気は緩んだ。その一瞬に新手を見れば、歴戦の兵以外
踏みとどまれん。それを狙ったのだろう。ヘルマンめ…いい指揮だ」
微かに笑ってから、ニノは部下達へ指示を与えるために念を凝らす。
『…市街の隊は現状を維持、市内の隊は引き続き情報を取れ』
『了解!』『お任せあれ』『あいあい』
「全軍に告ぐ。敵は引いた! ……深追いはするな、負傷者の回収を優先せよ!」
告げながらペコを駆る伝令兵達の目は、疲労の中にも歓喜の色を帯びていた。今は、まだ。
今はまだ、全ての敵が何者で、何処にいるかすら、彼らは知らない。
----
とりあえず、人間戦力が今過剰になってると追撃できちゃうので、これ以上の追撃(=地上での
人魔戦争)を続けない理由をくっつけてみたり。力のない人の群れが最後に何かの展開のためにも、
DIO様が暴れるであろう付近に民間人の団体を用意してみたかったデスヨ
個人的には伊豆方面の増援部隊が完全に到着したところでDIO様が地上にドッギャーンと現れて
「ふはははっ ヒトがゴミのようだ!」
という展開を期待。
遥か昔に偵察任務を仰せつかって以来、誰も使っていないので、ゴーストリングをつかってみました。
ついでに拙前作で暴れた元大司教を再び。どうでもいいのですが、聖体降福とマグヌスの両立は
激しくありえない選択のようで…。まぁ、ROニメクルセのようなものと割り切ってクダサイ。
聖騎士隊作戦参謀のヤコブ君退場…。まだ使いたければ、死んだとは書いてないので不死鳥のように
復活させてもらっても結構です。倒れてるのは南西酒場付近でしょうから、某ポンコツアコに拾われても
面白いかも…? 後、地上の悪い大物は聖騎士団長かー。
- 3193@下水りれぃsage :2004/10/08(金) 16:23 ID:sO0H06hk
- 追記説明
177氏の戦闘報告に付随して、南方面は伊豆方面軍の圧倒的優勢。ただし首都内での士気高揚は
家々から溢れる人々を見た偵察隊の誤報ってことで。
増援来るの報を受けて警戒していた西門方面Mob軍が、西門から溢れる人の群れを伊豆からの増援と
誤認し、壊走。されど、実情は西門人間軍はボロボロのままゆえ、追撃はナシ。痛み分けで抑えられる
ように考えてみました。
個人的には、ROのPCの分布バランスとかを考慮するに、首都兵力≒他の全ての都市兵力、位だと
思ってたんですが、177氏のを見ると実は首都以外に物凄い大兵力があったんですね…。今まで
悲壮に書きすぎましたか。
- 32名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/08(金) 19:27 ID:Zd4MFweQ
- ノビは喋れなかったはzゲフンゲフンゲフン
- 3393@下水りれぃsage :2004/10/08(金) 20:23 ID:sO0H06hk
- げふっ・・・読み返しました。喋らないんじゃなく、喋れないんでしたね…。
何時ぞやの狗といい、だめだめぽ。しばらく釣ってきます・・・。
- 34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/09(土) 21:20 ID:/9DDVZUo
- 丸一日書き込みがないだけで何か寂しくなるな。
- 35了解! :2004/10/10(日) 10:27 ID:lXuMH69Q
- 駄文ですが、出来るだけ頑張って書いてみる_〆(・・)
「了解・・・おいスコ。敵が後退をはじめたそうだ」魔物の血肉が混ざり合った辺りを怪訝そうに見回しながら冥がつぶやくように言った。
「こっちも伝令係からWisが来たよ」ホッとしたような表情でScorchが言う。
辺りには二人が殺傷した大量の魔物の残骸で血生臭い空気が漂っていた。返り血を浴びすぎたせいかプレートが赤く染まっているのをScorchは気にしていた。
「これじゃ錆びちまうよ・・・(TT」Scorchがさも深刻そうに嘆いた。
「俺は布製で良かったぜ(フフリ」冥が意地悪そうにつぶやく。昔一緒に狩っていた頃に戻ったように二人はお互いの健闘を讃え合っていた。その頃NEEZは・・・。
「辺りが急に静かになったでござるな・・どうかしたのかのぅ?」NEEZが不思議そうに言う。
「どうやら敵が後退をはじめたようだなw」フリッシュ将軍安堵の表情で答える。
・・・(魔物が後退をはじめた・・。これで一様の終結は迎えるだろうか?まだ何か・・そう何かとてつもない奴が残っているような・・・。)
「フリッシュ殿。ヘルマン騎士団長とは連絡はまだ取れぬのか?」
「うむ。こればっかりは俺でもどうしようもないぜ・・」
「ふむ・・・。ならば拙者がヘルマン騎士団長に報告してくるでござるよ」
NEEZがフリッシュ将軍の返事も聞かずにその場を離れようとしたとき。
「にずっちー!ドゲシッ!!」モロにドロップキックを喰らったため彼は2bほど吹っ飛んでしまった。
フリッシュ将軍が含み笑いをしている。
「あたしを置いていこうなんて随分薄情じゃないのさ(フフリ」透がニヤニヤしながら言っているのをNEEZは吹っ飛ばされた状態のまま聞いていた。土埃を払いながら不機嫌そうに彼は言った。
「・・・。ではフリッシュ殿拙者はこれにて失礼候。」何事も無かったかのように彼は歩き始めた。
「了解。御武運を祈るぞ武士さんよw」先ほどのことがよっぽどおかしかったのかいつまでも笑っていた。
プロ西から聞こえてくる衝撃音が少し弱くなったのを聞きつつ彼は歩き始めた。
「ぁー!シカト?シカトデスカー?」透がふざけながらついてくるのを内心ホッとしてはいたがあえて表情には出さなかった。
なぜなら常に気を引き締めていなければいつおそわれてもおかしくはないのだから・・・。
「・・・しまった!スコの事をすっかり忘れていたでござるよー!!」そう言い終わらないうちに全速力で走り出した。
透はブーブー文句を言い続けていたので、唐突に彼が走り始めたのを逃げようとしているのと勘違いして・・・
「ぁー!待てばかにずー!!」などと言いながら走り出すのであった・・・。
「なぁ・・・誰か忘れてないか?」Scorhがつぶやく。
「あぁ俺も今言おうとしてたところだ。」冥も思案しながらつぶやく。
・・・しばらく立ってから二体分の足音が聞こえてきた。
「誰かお客さんだぜ?」冥がカタールを構える
「そのようだなっと。」Scorchもツーハンドソードを前に尽きだし腰に重心を置いて構えた。
足音はドンドン迫ってきた。冒険者ならこういう事態はよくあることなので多少の慣れという物はあるが、
先ほどの戦闘で消耗が激しい二人にとってはどんな魔物でも驚異になるであろう・・・。いよいよ肉眼で確認出来る距離まできたようだ。
心臓の鼓動が速くなり口の中が次第に乾いていく
来るならこい・・。とScorchが心の中で言った瞬間にその二つの影は草陰から飛び出した!
「だーかーらーふざけることができるほどまだ事態は落ち着いてはござらぬと言っておろうg・・・」激しい金属音が響く。
NEEZが草陰から飛び出した瞬間にツーハンドソードが眼前まで迫ってきたので、反射的にヘルムに当てて防いだのだった。しかし、衝撃が激しくフラフラとそこに倒れてしまった。
「にずっち!?大丈夫!?」透がそこにのびているNEEZを起こしながら言った。
・・・一瞬の刹那
「ってNEEZかYO!バッシュ思いっきり打っちまったぞ!?」Scorchが倒れている彼の元へかけよった。
冥はのびているNEEZと必死に彼を起こそうとしている透を見てScorchの不注意にあきれていた。
「ったく・・。ちょっとは確認してから打てよな・・・」そう言うと冥もNEEZの所へかけよった。
こうして昔の仲間は集ったのだった。
駄文投下だ〜・・OTZ。取りあえず自分の使う人は集めておきました。次からは聖騎士団団長と対決or和平の流れにしようかと思ってます。
- 36名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/11(月) 00:28 ID:6PpcLVho
- ・・・下水道リレーネタなら、そう書いて欲しいな・・・
- 37接近に失敗しました。接近に失敗しました。 :接近に失敗しました。
- 接近に失敗しました。
- 38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/11(月) 09:45 ID:dAnXJX32
- ↑なんじゃこりゃ?
- 39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/11(月) 09:59 ID:Jy4rT39s
- >38
チャHかチャオナかは知りませんがそれ+名前の晒しによる荒らしでしょう。
無視して削除依頼が一番かと。
- 40義を持つ者 :2004/10/11(月) 16:12 ID:OJCwU51I
- 36殿すみませぬ・・OTZ書き忘れますた( ´・ω・`)
追伸 荒らしイクナイ
- 41sagesage :2004/10/12(火) 00:03 ID:UmP8CxxE
- >>7
GM専用装備ってミョルニルじゃなくてバルムンクじゃなかった?
強さから言えばどっこいかもしれないけど。
- 42名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/12(火) 15:37 ID:.sQQSsOw
- >>42
俺に記憶が正しかったらバルムンクじゃ無くてバルムンだったかも。
どっちも変わらん?
あの公式ガイドに自慢の為に載ってる全職業装備可能のやつな;;
- 4341sage :2004/10/12(火) 19:46 ID:UmP8CxxE
- 某情報サイトではバルムンクだった。
重力語かなとか思ったけど、
実物なんかお目にかかれるはずも無いから真偽は不明。
ていうか俺すっごい間違いしてるのな_| ̄|〇
名前欄にまでsage入れとった。
- 44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/12(火) 23:41 ID:YaAQP1hI
- 月が好かったので、秘蔵のを引っ張り出して飲む事にした。
無論あいつにも連絡を入れる。聖職の癖に無類の酒好きだから、バレたらいつまでもぐちぐち煩いに決まっているのだ。
「こんばんはーっ」
夜空が一番大きくなる見える窓の脇に座を整える。席を設けられるような庭もないから、せめて空に近い場所がいいだろう。
グラスを出してさて肴でも、と思ったところにあいつが来た。
「遅くに一体何かと思っちゃったよ」
言いながら俺に紙包みを押し付ける。洗い立てなのだろう。まだ少し濡れている長い髪から、香料が香った。
「何だ?」
「おつまみ詰め合わせ」
さすが呑み助、用意がいい。
グラスを彼女のものと触れ合わせる。ちん、と澄んだ音。左隣の彼女はそれから、いただきます、と口に含んだ。
酒好きにもピンキリがある。憂さ晴らしのように流し込む酒場の連中とは違って、こいつは実に大事そうに、味わって飲む。
「おいしいねぇ」
こくりと喉を鳴らしてひと呼吸。心底嬉しそうな顔で微笑む。多分こういうのが本当の酒好きなんだろう。
「秘蔵のヤツだからな。感謝しろよ。あと月も見ろ」
月は変わらず好い風情だ。少しばかりある雲が上空の早い風に流されて、空の高さがよく知れる。
「うん、見てる見てる」
嘘つきめ。
思ったが言わずに、俺はつまみに手を伸ばす。出がけにさっと作ってきた、と言っていたが、なかなかしっかりしたものだ。
程よいサイズにスライスされたチーズに魚肉のマリネ、セロリとニンジンのサラダ。
「おいしい?」
「ああ」
「ん、よかった」
空になったグラスに注ぎ足してやる。ありがとー、と細めた目元が紅潮して艶っぽい。
「でもね」
「ん?」
「フェイヨンの月の方が、絶対綺麗」
そういやこいつ、生まれはそっちだったな。
「何言ってんだ。月なんかどこで見たって同じだろ」
要は誰と見るか、だ。
「違うよ」
「違わない」
「違うってば」
「違わねぇよ」
むーっと不満げに口を尖らし、
「じゃあ、今度うちまで見においでよ。竹林からの眺望ってかくべ…」
「――それは『両親に挨拶に来い』って事か?」
言い募る彼女を遮って言うと、ぽかんと口が開きっぱなしになった。
やがて意味が沁みてきたのか、その顔が酒精ばかりでなく真っ赤になる。
ことん、と肩に預けられる重み。
「わたしは嬉しいよ、挨拶だと」
丁度月は雲に隠れた。俺は彼女を抱き寄せる。
「泊まってくか?」
「ん」
かすかな虫の音。夜はとても静かだった。
- 45名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/13(水) 01:23 ID:NTL6uTy.
- >44
あぁ……いいなぁ。
二人を祝福して、一杯あおりたい。
- 46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/13(水) 18:35 ID:w8zfXao6
- >44
なんだかとてもいい雰囲気の二人に自分も幸せな気分になりました。
彼女の親御さんにいつ挨拶に行こうかと悩んでる所だったので
背中をそっと押して貰えたような、そんな勇気を貰いました。
ありがとう
- 47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/13(水) 19:34 ID:8tQfIk7o
- >46さん
頑張ってください
- 48名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/15(金) 23:28 ID:ZeYk7xhw
- 止まってるなぁ
- 49丸いぼうし@がんばれ異端審問官sage :2004/10/19(火) 00:07 ID:vsOSWOIQ
- 2スレぶりに続きを投下。忘れられても仕方ない間があいてしまった。
--
落ち着いてはいたもののやはり警戒態勢の街、日が暮れると街のあちこちには篝火がたかれた。
木と土で出来た建物が怪しげに揺らめき、街はなんとも不思議な様相を呈していた。
亡霊でも出そうと言えば出そうかもしれない。アリシアが人通りの少なくなった通りを歩いていると、
向こうから誰かが歩いてくる気配がした。篝火で黄昏れ色の街の中、具足が地を打つガシャガシャと
いう金属音を響かせて角から一人の長身の男が現れた。
くすぶったような銀の鎧に漆黒のマント、鎧には黒い十字架が染め抜かれ、男が聖騎士であること
を示していた。黒くて長い前髪は、憂いのある貌を半分隠し、どこか陰鬱で幽鬼じみた印象をアリシアに抱かせた。
「あ、あの…」
書類によれば先に派遣されているのは聖騎士、酒場で待っているはずだが、何しろ時間には多少遅刻している。
酒場を出てきた帰りという可能性もあるため声を掛けざるを得ない。
が、男の恐ろしさにあてられたのかアリシアは声を掛けるタイミングをはかり損ねた。
そのため、すれ違った後に呼び止めるような形になってしまった。
「なんだ?」
退屈そうに男は振り向いた。振り向くとき前髪が揺れ、隠されていた貌の半分を露わにした。
醜い傷痕が、男の額から頬に走り、その左目を完全に潰していた。
「ケネス・ディアフィールドさんですか?」
震える声で先に来ているはずの聖騎士の名を口にする。
だが、黒い男の声は素っ気なかった。
「いや、人違いだ」
「そうですか、失礼しました」
人違いであったことに少々ホッとしながらアリシアは街を歩き、酒場ののれんをくぐった。
この地方では扉の代わりに布を使うのか、という新鮮な感動とともにアリシアの目に飛び込んできた
光景は、アリシアの想像していた酒場とは違った。昨日彼女がご乱心に及んだ酒場と違って
落ち着いた雰囲気、いや、ムーディーであるというよりはむしろ事務的であった。
机の上には整然と書類が積まれ、奥の席ではなにやら眉間に皺を寄せた男達が額を付き合わせて
話し合っている。
本来ならタペストリーでも掛かっていそうな壁には急ごしらえの黒板が下げられ、白墨で様々なことが
箇条書きになっていた。
そう、これは酒場と言うより…
「オフィスみたい…」
「そりゃそうですよ、ここ、臨時の対策事務所ですからね。」
突然背後から声を掛けられ、アリシアは危うく荷物を取り落としそうになった。
振り向くとそこには金髪を真ん中で分けた、いかにも柔和そうな顔立ちの男が立っていた。
特にその男の背が低く、アリシアと同じ位置に顔があったのでアリシアは二度ビックリした。
- 50丸いぼうし@がんばれ異端審問官sage :2004/10/19(火) 00:08 ID:vsOSWOIQ
- 「わ、わわ…」
「遅かったですね。アリシアさん。」
突然名前を呼ばれた状況が飲み込めないまま、アリシアは男の頭からつま先までをまじまじと見つめた。
足にはいかにもな編み上げ靴を履いているのに、男は鎧でなくうす紫色の長衣を羽織っていた。
握手でも求めようかと半端な角度で差し出された手はいかにも華奢で太さも白さもアリシアと同程度。
いかにも都会風の顔の上には気取っちゃったメガネみたいなものを掛けている。
まるで、騎士のお父さんからもらった靴を履いている学生(しかも相当のおぼっちゃま)がごとき風貌
のこの男、はたしてその首にかかった金色の教皇十字を見たときのアリシアの驚きがいかなるものであった
かは想像に難くない。それこそ、思わず声がスクラッチっぽくなってしまうほどであった。
「も、もももしかして、あなたががが」
「ええ、僕が聖騎士ケネスです。宜しくお願いします。」
ここで、それこそ将来を考える審問官なら態度を一変させ、もみ手をして、あるいは急に姿勢を正して
上官に向かうものだが、アリシアには残念ながらそのような器用さはかけらもなかった。
驚きを隠せないまま、二の声が接げずにいるアリシアに、ケネスは軽く笑いながら問い掛けた。
「うーん、さては僕のこと、頼りないとか思っていませんか?」
「あ、いえ、そんな、ははは」
「事実ですよ。よく言われます。デスクワークが主ですから戦闘は得意じゃありません。」
そう言えば大聖堂で十字架を掛けてくれたオッサンはとても強そうには見えなかったじゃないか、
それもこれもデスクワークが主だというなら割り切れる。妙に納得しながら、アリシアはケネスの後について
隣の部屋に移った。
部屋、と言ってもそれほど高くないついたてで隔てられただけのコンパートメントだ。
そこを通りかかったとき、辛らつな一言がアリシアを捕らえた。
「最近の若い子…じゃなかった、臨時採用の田舎者は、上官と会ったときに挨拶さえ出来ないのかしら?」
何事ぞ、と横を見たアリシアの視線の先に、こんな寂れた町など似合わぬような美女が挑戦的な目つきをして
座っていた。各パーツが黄金比を維持しつつ配置されたような顔は、百人のうち九十八人は美しい、と感じる
だろう。彼女の長い髪は深海のごとき深いブルーでつやつやと光り、その頭上には純白の羽を戴いていた。
すっ、といすから立ち上がる動作もきわめて洗練されていて、この酒場がまるで一流の社交場であるかのよ
うに見えた。
いすから立ち上がった彼女の姿に、同じ職なのにどうしてここまで違うのかとアリシアは圧倒された。
かぎ裂きなど認められようもないビロードの艶を持った法衣、それに包まれているのは豊満なプロポーション
をもつ体。首下に下げられた白金の教皇十字も、権威の象徴のみならずアクセサリとして機能し、彼女の美し
さをさらに高めていた。
- 5193@生存報告sage :2004/10/21(木) 01:12 ID:fc.tXKpU
- えーと、万が一待っていてくれる人の為に。
現在リアル多忙が半分、ROでレベル上げしなきゃいけなくなったのが半分で
執筆とまってます。つーか、保管作業も止まってます。ごめんなさい。
書くのをやめたわけじゃないので、気長に見ていてください…orz
シメオンたんの足がひょっとして不随で滑るように動いてるのかっ!? と疑心暗鬼で
自分のの続きが書けなくなってるのも2割くらいはありますがががっ
- 52名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/21(木) 21:14 ID:dsn9Mb9c
- ROでもしながら気長に待とう。
- 53名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/26(火) 23:43 ID:3nV23YrU
- 最近よく止まるなぁ
てか、こんな書き込みするぐらいならなんか書いた方がいいな、自分。
- 54名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/27(水) 08:15 ID:OUjSu9oQ
- うーむ。
カプラさんを目指す話を読んでみたいとか言ってみる。
- 55名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/27(水) 16:26 ID:SfTYX8iQ
- ヽ(`Д´)ノ長編の続きマダー!?
- 56名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2004/10/27(水) 18:04 ID:hHQCOCPc
- 最近、鍛冶屋の話がなくてさびしい(;つД`)
催促したらダメなんだろうけど、執筆中かどうかだけでも知りたいなぁ・・・
- 57保管庫「腰低商人×鼻高WIZ子」後日譚sage :2004/11/03(水) 03:15 ID:hG8OmMRc
- かん、かん、かん。雷神の子が振るう鎚の音が、石造りの室に轟く。炉にて盛る業火に当てられ、
灼熱を宿す刀身を一心に見詰める男の額からは、大粒の汗が幾筋も垂れていた。仏心が疼いたのか、
鍛冶に精出す男から一歩退いたところに佇み、腕を組んでいた魔導師然たる女は、懐の拭布に手を触れ
近付こうとした。が、鬼気すら帯び始めた今の男に近寄ることは、何人たりにも許されぬ所業であるように
感じられた。暫し女は軽く唇を噛むと、再び腕を組み直した。
時は、流れた。不乱に鎚を振るい続ける鍛冶師の男の名はオズワルド、その様を魂なき眼で見詰める
魔導師の女の名はヴァルトルート。
正しく雷の如き金の音を背に、女は暫し魅入る。その碧玉の先には、今や鍛冶師となった男の横顔があった。
女は思う。早すぎたのだ。商人ではなく、鍛冶師として魔導師たる己と並んだ今、想いを告げられていたのなら、
女は笞を振るう先をなくしていただろう。向きは異なるとは言え、同じ一道を直向に歩む同士として男を認め
果たして、そうだろうか。魔導師たる己の矜持が驕慢と化して自らを縛り上げる限り、幾等でも笞を振り下ろす
先を定められたに相違ない。
要は、愚かだったのだ。今も尚。
「……よし」
女の思考を遮るかの如く発せられた呟きと共に、男は額の汗を拭った。目前の金敷には、今正に形を成した
ばかりの一振りの剣が置かれ、鋭い光を放っていた。ブレイド。威力こそ少ないものの癖なきこの剣ならば、
冒険者の道を選びて日がない者でも容易に扱える。
己の銘が柄に彫られた剣を手に取ると、男は右手で柄を握り、額の上から振り下ろした。と、刃の軌跡をなぞる
かのように、真白の冷気が虚空を裂いた。唯の剣ではない。材である鋼に氷を封じた石を加えこしらえた作である。
その刀身は冷気を宿し、水を天敵とする数多くの魔物にとって、絶大なる驚異と化す。
「良かったわね」
「ああ。……けど、未だだ」
静かなる女の労いを受けつつも、熱を帯びた男の眼は霜を宿した刀身に向けられていた。
「今はたった四種しかないけど、いつか全ての属性を制するのが夢なんだ」
まだ熱を帯びる剣を手に大それた夢を語る男を、凍れる笑みすら浮かべず女は鼻先であしらう。
「所詮は夢ね」
「酷いなあ」
取り付く島なき言に男は眉を下げれども、女の手は緩まない。
「聖や毒なら、今でも付与出来るじゃあないの」
「あれは一時的なものに過ぎないさ。それに闇や念は未だ誰も達成してない。だからこそ、やり甲斐がある」
「呆れた。とんだ道楽ね」
当然ながら、鍛冶は如何せん材を要する。随分と物要りな夢に肩を竦めた女は、ふと口を開いた。
「……如何すれば、魔力を武具に封じられるのかしら」
「やっぱり、属性石だろうね。術はあるんだ、その魔力を結晶化さえ出来れば……」
「聞いたことがないけれど」
首を傾げる、だがその瞳は真剣に何かを思案していた。
やがて顔を上げた女は、一つの案を呈ずる。
「今度、ゲフェンの魔術師ギルドの書庫を当たってみたら?ただ、一般人でも閲覧出来る書物は限られているけど」
「成る程……如何するかな」
「……手伝ってあげても、いいわ」
唐突なる驕慢な申し出に、男は俯いていた顔を上げた。心なしか頬を恥に染めているかのように見えた女の様を
知ってか知らずか、剣を金敷に置き男は笑んだ。
「そうか、有り難う」
なれど相も変わらずの悪癖で、女は礼物を受け取れぬ。恥を隠すべく即座に言の笞を振り上げた手が、止まった。
「丁度研究課題が欲しかったところなの」
ともすれば早まる舌と情を懸命に抑える、されど視線のみは未だ交わすこと叶わず、つい逸らしてしまう。
常ならば、もう二、三は雑言を加え、戯言を抜かす男を容赦無く笞で打ち据えていた筈だ。自身の変化に戸惑いつつも、
女は更なる言葉を紡ぐ。
「ジュノーにも文献があるかも知れないわ。時間もあるし、……付き合ってあげなくもないけれど」
「本当!?助かるよ」
夜、寝台の上、もしくはすべやかな足の下で女を崇める不気味さを露とも感じさせぬ屈託なき笑みを浮かべる男を
見遣るにつれ、女の心に仄かな火が灯る。
それでも、微笑む男に手を伸ばせぬ。今手を伸ばせば、巻き起こるであろう風が、女の細い指先ほどの火を消して
しまうやも知れぬ。
その手を以って、女は弱々しい火をそっと胸に抱いた。長い睫に縁取られた両の碧玉を伏せる。
日が沈めば、望むがままの嬌態を演じて見せよう。なれど、せめて、日が沈むまでは。
- 58ある鍛冶師の話sage :2004/11/04(木) 18:08 ID:taRZydWc
- ふいに、街中で名前を呼ばれたような気がして振り返る。
賑やかな声、沢山の人、行き交う波の。
ただ一人街の片隅で立ち尽くして、声の主を探す。
昼下がりの首都噴水広場前には、ひしめき合う露天商達の威勢のいい声で、
活気に満ち溢れている。この場所は俺のものだ、誰のものだと争う声が稀に聞こえては、
その仲裁に入る首都警備兵達もそれがいつものことだと言わんばかりに笑い声が聞こえる。
平和、そのもの。
その中で聞こえたような気がした声は、忘れられるものではなく。
咄嗟に、探してしまった。
「・・・シャイレン?」
赤い髪を肩につかない程度にまっすぐと切りそろえ、几帳面に前髪も直線にしている、
年のころならまだ成人になるかならないかの、騎士装束に身を包んだ少女がそう小さく声に出した。
その名前を呼ばれ振り返るはずの人は今目の前には居らず、
かわりに少女の身に付けている少しだけ使いふるされた甲冑には、
それよりも尚使い古された赤い外套が翻る。
外套の、丁度少女の背の部分にあたるところには赤い月が金糸の縁取りで刺繍されており、
ところどころに解れた様な跡を幾つも手直ししているのが窺えた。
夏終わりに空へと白い光を放った俗に言う「グラストヘイムの解放」により、
多くの死者が街へと溢れかえった。それというのも、グラストヘイムの魔力の解放により、
活発化した各地の魔物・・・特に首都北に位置する迷いの森経由での攻撃には、
一時首都陥落かとまで言われたほど凄惨たるものがあった。
秋を経て、まだ生々しい跡が残るものの、
人々は逞しく日々の生活へと戻ろうとしている。
呼んだ名前の返事がないことにリツカ、そう呼ばれている赤い髪の騎士は苦笑いを浮かべた。
眉を寄せて、少し空を見上げ、もう一度だけ街中を見回して、
小さくさらにもう一度だけ名前を呼んで。
返事がないということ、もうそこには居ないということ。
ギルド赤月華(せきげつか)の創設者であり、英雄と言われたかの騎士は、
夏終わり秋初め、首都での攻防戦においてその命を落とした、
そう記録には書かれている。
「・・・・・嘘だ、この世界は全て」
否定する言葉を誰にも聞こえないほど消え入るような声で、
リツカは口にする。失われたものが帰るはずもないのに、
ただその一言で否定してみせると、昼間の喧騒から逃げ出すように、
リツカは赤い外套を翻し駆け出した。
- 59ある鍛冶師の話sage :2004/11/04(木) 18:09 ID:taRZydWc
- カンカンカンと響き渡る音は、熱い熱を持ち刃へと形作っていく。
赤い色を放つどろどろに溶けた金属は、鍛冶師の手によって新たな命を与えられていく。
ゲッフェンの街外れにある工房に、白い髪の鍛冶師がいる。
街の指折りに数えられるその鍛冶師の名は、ジェイ、という。
製造工として鍛えた体はとてもではないが実戦向きとは言い難い、
とは言え彼がついこの間のグラストヘイムの一件でただ一人の騎士を守るためだけに、
作り上げた剣の噂は尾ひれがついて今ではちょっとした伝説になっている。
その騎士というのは、今彼の目の前で苦笑いをうすらと浮かべたまま、
年には不釣合いの疲れた表情をしてみせる赤い髪の少女だ。
彼女の腰に下げられている鞘は二本、一つはひどく細身の僅かに湾曲しているもの、
もう一つは真っ直ぐと伸びている幅広のもの。
前者は体力、持久力特化の彼女には僅かに扱いずらい型のもの、
・・・・かの英雄の剣だ。
もう一方は折れてしまった彼女の元々の剣の代わりにジェイが作り上げた、
彼にとっては初めての闘うための剣。
あの頃とは違い、短く切りそろえられた白い髪が汗でべたりと額にはりつく。
その度にジェイは手の甲で額を拭いながら、目の前のリツカには一瞥もくれずにただ、
ひたすら槌を下ろす。
甲高い金属の響く音の中、金属を水につけた際蒸発する勢いであがった、
水蒸気が何度目かのジュゥという悲鳴のような音を響かせる。
やがて、一段落ついたとばかりにジェイがふらふらと壁ごしまで歩くと、
溜め息とともに壁ごしにずるずると座り込む。
訪れるのは沈黙だ。
「リツカ・・・・・、」
敬称をつけず名前を呼ぶのは付き合いが深くなったからではない。
ただ帰る家をなくした子供のように、ギルドマスターの印である赤い外套を羽織る少女は、
酷く頼りなく今にもどうにかなってしまいそうだったからだ。
彼女は、あの後、亡き英雄の代わりにギルドを引き継いだ。
そうせざるを得なかったと言うのが事実なのかもしれないが。
「ジェイ、俺は、まだシャイレンが死んだとは思えないんだ」
水につかる真新しい誰かの為の刃を見つめながら、
リツカは一歩壁ごしへと振り返る。
ジェイは言われた言葉に瞠目しながら、
かの英雄のことを思い出す。
風変わりな、けれど確かに英雄といわれるに足りる、
酷く人間的な人であったと思う。
弱さを兼ね備えていたということを知ったのは、
惜しくも死ぬ間際だったのかもしれないが。
振り返った少女がゆっくりとした足取りで鍛冶師の下へと辿りつく。
座り込む自分へと向けられた赤い目が酷く暗い色をしていることに、
ジェイは居たたまれなくなったように目線を反らした。
「俺は、英雄にはなれんし、
・・・・せやかてどうにも、」
できないと叫ぶように言葉を飲み込んで、
リツカが苦笑いばかりを深めて、大丈夫だよ、俺はとジェイの目の前に座り込む。
鍛冶師が作った剣は、少女を騎士にはしたし、
英雄にすることがあるかもしれないが、
こうやってその代わりに何かを奪うのかもしれなかった。
「初めてシャイレンから剣をもらったとき、
剣を振るうことで誰かの何かを奪うことで、
その逆もあるということを覚悟はしていた。
・・・・だから、否定をしたのは逃げじゃない、
ただシャイレンが、死んだなんてことは絶対に」
少女の唇が、ないと言いかける前に、強引に顎に指をかけて引き寄せて、
塞ぐ、音が意味となり響く前に。
先ほどまで振るっていた槌の熱にあてられたまま、常よりは体温の高い指が赤い髪へと伸ばされる。
指先に赤い毛を巻き取りながら、少し強く引き寄せて。
苦笑いを浮かべていた少女の瞳に、
戸惑いの色が揺らぎやがてそれが諦めへと変わる頃には、
鍛冶師ジェイが唇を離し、立ち上がり、
頭一つほど下にある少女の背を遠慮なしに抱き寄せる。
「英雄はもう、何処にもいない」
言い切る鍛冶師の言葉に、リツカは小さく否、と答えた。
「だって、死体が見つからないじゃないか」
「それは」
「あの状況で、あの場所で見つからないなら生きているかもしれない」
「けれど死んでいる可能性のほうがたか」
「言い切れるのか?」
「・・・・、リツカ」
「言い切れないだろう、言い切れるわけがない、言い切れるわけが」
首を横に振りながら、口から出るのは英雄の死を否定するただ一人の少女の言葉だ、
きりきりと引き絞られた糸のように張り詰めた、
今にも泣き出してしまいそうな。
もし少女に逃げ切れるだけの、捨てられるだけの強さがあれば、
きっとこの鍛冶師の元へと来たまま、騎士装束を捨てることだってできただろう、
もし少女に立ち向かうだけの勇気があれば、
きっとかの英雄が死んだ事実を受け止めて、騎士であることもできただろう。
少女は強く、されど勇気もあり、
けれど決して勇敢ではなく、英雄でもなかった。
リツカという少女は何処までもかの英雄の背を追いかける少女のままであり、
英雄にはなりきれないままの、ただの騎士でしかなかった。
・・・・それを証明するのは今の彼女の状態であろう。
「・・・探しに行きましょうか」
ジェイに言えたのはただそれだけの言葉。
少女の全てを受け止められるほど、鍛冶師とて万能ではなかった、
さりとて少女を見捨てられるほど、そんな生易しい感情のやりとりではなくて。
「・・グラストヘイム解放の影響で、イグドラシルへの道が開かれたそうです。
その先に、天国に一番近い場所の先があるという話を聞きましてね、
・・・・・もしかしたら、死者の国へいけるかもしれない」
御伽噺のような言葉を、ジェイは真剣にリツカへと話し掛けた。
死者の国といわれ、リツカは僅かに視線にかつての赤い光を宿しながら、
ジェイの目を見返す。
この目は、鍛冶師の好きだった彼女の目だ。
「面白そうだな」
好奇心と、その奥に見える希望を見つけたときの、表情。
少し幼さを残す表情が凛々しくも見える。
「・・・・せや、ろ?俺もそろそろ工房篭りの日々は飽きてたところやから、
一緒に、・・・・・行ってみますか」
子供に言い聞かせるように、優しく鍛冶師は言葉を向けてみせて。
リツカはそのことに気づいたのだろう、鍛冶師を小さく睨みつけると、
「お前がどうしてもと言うならな」
唇を尖らせそう言って目線を明後日へと反らす。
無論、このやりとりは英雄が居なくなったあの日以来何度も繰り返したものだ。
「ええ、どうしてもお願いします」
強がりを強さへと変えて、ただ前へと歩こうともがこうと。
「・・・・・わかった、喜んで一緒させてもらおう」
照れ交じりの表情を交えて言葉を聞いた鍛冶師は笑う。
失うものが多すぎたけれど、この腕の中の温かさだけは確かで。
秋終わり、赤い髪の騎士と白い髪の鍛冶師の二人きりの旅の話がはじまる。
- 60ある鍛冶師の話sage :2004/11/04(木) 18:11 ID:taRZydWc
- 拝啓、皆様お元気デスカ?
久方ぶりにお邪魔をしてみたら、なんだかピタリと止まっているようで。
お久し振りです、知りきれトンボ逃げるように話をまとめきれず、
あのような終わり方をしてしまいましたが、四苦八苦しつつ続きを書こうと。
少しでも楽しんでいただけたら、幸いです。
- 61保管庫のひとsage :2004/11/09(火) 21:20 ID:ch6IA5H.
- お久しぶりです。先日生存報告をした後で身内が倒れてネット巡回どころじゃない! といいつつ、
PCが繋げる少ない時間はROってる保管庫の中の人です。いかがお過ごしですか。
先日、aaacafeさんより通知があったりしまして、保管庫のアドレスが
http://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki/pukiwiki.php
になったので告知っ。
なんか、続きをかけるほどまとまった集中力が維持できない環境です。当方の作品をお待ちの方は
もしもいたらごめんなさい…orz。いえ、年を越してくれる方が嬉しいんですが。
- 62名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/10(水) 05:01 ID:fZieqPVc
- ああ久々に来てみれば、鍛冶師のお話が。ジェイ君は優しい奴だな。
空白の間に何があったのか、それが埋まるのを楽しみにしています。
- 63名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/10(水) 05:05 ID:fZieqPVc
- 「よし、行こうか」
立ち上がった彼がズボンの後ろをぱんぱんと払って、休憩の終りを告げた。
場所はゲフェンの北東。獰猛な魔物も危険な魔物もそうそう居なくて、私達のような駆け出しのいい修行場になっている。
「ええっ、もう大丈夫なの?」
「ああ。剣士は回復力が売り物だからな」
そう言ってガッツポーズを作る彼の体には、最前の傷なんてどこにも見当たらない。
私が治癒術を施したのもあるのだろうけれど、それは彼の言うように、剣士達が身に宿す超恒常性に負うところが大きい。
本来なら喜んで安堵すべき事なのに、私の心にはかすかな不満が生まれてしまう。それを鋭く読み取ったのか、
「どうかした?」
「なら施術しなければ良かった、って」
「うわ、そりゃひどいな」
思わず零れた言葉に、大仰に仰け反ってみせる彼。私は慌てて言い募る。
「あ、違うの。怪我が治らない方がいいって事じゃなくて。えと、それならもっと休憩してられたから…」
――もっとあなたと、話していられたから。
でもそんな事、とても言えない。口に出来ない。
「冗談だよ。わかってる。そんな必死にならなくても大丈夫だって」
なおも弁解を続けようとした私に手を振って微笑み、それから真顔になって、
「きついなら、もう少し座っていこうか?」
こちらの気力を案じてくれる瞳に、私は首を振って応えた。
「ううん、大丈夫。わがまま言ってごめんね」
私も裾を払って立ち上がる。頷いた彼が、数歩先で私を待っている。
旅路は長い。時間はきっとずっとある。だから。
小走りに追いついて、横顔をちらりと盗み見る。
――いつか、言えたらいいな。
歩調を合わせてくれる彼の隣に、私は幸福な気持ちで並んで歩いた。
- 64名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/10(水) 05:06 ID:fZieqPVc
- 不変のものなどありはしないと。そう知っていながら。
私はそれを永遠のように思っていた。
あの頃は、世界にふたりきりみたいな気がしていた。貴方と、私と。
ふたりだけで閉じていて、他に何も要らなかった。
少しだけ年上のひと。優しくて、とても優しくて。私はただその優しさに溺れていた。甘えていた。
きっとそれが負担だったのだろう。彼にだって疲れた日はあったのだ。
けれど私はその腕にぶらさがるばかりで、少しも心を汲まなかった。
ふたりの心の距離はいつのまにか遠くなって、現実の距離がさらにそれを押し広げた。
「俺は子守じゃない」
そう告げて、彼は去ってしまった。ふたりだけの世界から、貴方はいなくなってしまった。だから。
だから私は、世界にただ独りだけになったのだ。
それでも。
「どうした? おいて行くぞ?」
どこかへ出かけようという時、いつも言われた台詞。
支度の遅い私は、いつも貴方を待たせてしまって。貴方は微笑みながら、私を待っていてくれた。
今でも夢に見てしまう。聞いてしまう。その笑顔を。その声を。
夢が記憶を呼び覚ます度、私は飛び起きて、そして泣くのだ。この世界に独りきりなのだと思い出して。
闇の中、私を抱く腕。すすり泣く私を包む腕。
――どうして、貴方ではないのでしょう?
軋む寝台。陽光に思い返せば後悔ばかりが身を裂く行為。
それでも夜が訪れれば、どうしようもない空虚を埋めたくて誰かを求めてしまう。
知らず涙が零れる。それすらも闇の底に飲まれて消えた。
不変のものなどありはしないと。そう知っていながら。
私はそれを――永遠のように思っていた。
- 65名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/11(木) 02:37 ID:duASIQ8c
- それまでの調査は順調だった。
彼――ジュノーを出てから知り合った騎士だ。フィールドワークが好きなわりに自衛能力の低い私の護衛に、いつも
付き合ってくれる――は「暑ぃ、蒸し暑ぃ、くそ暑ぃ」と愚痴ってばかりいたけれど。金属鎧こそ避けてきたものの、
湿気と熱気がやりきれないらしい。
少し悪い気はするけれど、対して私は涼しい顔でいる。魔術師には便利な術がある。エナジーコート。私の体を包む、
青白い光。これのお陰で、ウンバラの亜熱帯めいた気候も、さほど気にはならない。身の回りに魔力による防護壁を張
り巡らせるこの術は、害虫や湿気など、鎧では防げないようなその他を遮断してくれるのだ。
予想外のアクシデントが起きたのは、もうすぐウンバラの町に着くという頃になってだった。
ぽつぽつと密林の葉が鳴ったかと思った直後、篠を突く様な激しく重い雨粒が落ちてきた。
とんでもなく、急で激しい雨だった。
ウンバラは熱帯だから、こういった夕立も考慮には入れていた。けれどこの激しさは、正直私の想定外。
「おいおい、こりゃすげーな」
掌を天へ向けて、彼も思わずそう漏らす。
「どこか、雨宿り出来そうな場所を探しましょう」
「おうよ」
と言っても、視界は黒く遮られている。獰猛な猿人も凶暴な甲虫も、今ばかりはなりを潜めているようだった。
そうして数十秒後。よい具合に張り出した崖下に潜り込んで、私達は雨宿りをしていた。
驟雨は待てばそうかからずに止むだろう。けれど荷物は思いの他に濡れてしまった。
書き物の類は用意の油紙に包んだから、多分大丈夫だろう。でも流石に多少は滲んでしまうかもしれない。
「あーくそ、こりゃダメだな。帰ったら全部分解して手入れだ」
時間潰しとばかりに愛用の両手剣の具合を見ていた彼が、盛大にため息を吐き出した。
「――すみません」
武具の構造なんてまるで判らないけれど、それはきっと大層面倒な事なのだろう。
調査だなどと言ったところでそれはどこからの依頼でもない。ただ私の知的好奇心充足の為であって、一銭にもならない。
メリットなどないだろうに、頼めば嫌な顔ひとつしないで同行してくれる。都合良く利用してしまっている罪悪感があっ
たから、私は思わず頭を下げた。
「いいって事よ」
すると彼は微笑んで、ぽんぽんと軽く頭を叩く。身長差が意識されて若干悔しいので、この癖は止めて欲しいと思う。そ
れからなんとなくで私の装束の輪を引っ張るのも。
「でも…」
「だから気にすんなって。好きだからやってるんだ」
「――」
…このひとは大らかで、それで私にも付き合ってくれているのだから。誤解しないようにしないと。
自分に言い聞かせたその時、轟音が轟いた。落雷だ。
「っ――!」
思わず両耳を押さえてしゃがみこむ。雷は大の苦手なのだ。昔から。
「…」
「…」
そろそろとおっかなびっくり目を開けて、そしてはっと気付く。
彼が愉快そうにこっちを眺めていた。面白い玩具を見つけた時の、子供の表情。
「べ、別に雷なんて怖くないですからっ!!」
意地を張って立ち上がって、そういった途端。視界が真っ白く染まった。
今度のはかなり近かった。私は悲鳴を上げて彼に飛びついてしまい――慌てて離れようとした腰を抱かれて引き戻された。
「いいい」
「『いきなり何をするんですか!?』、か?」
抱き寄せられた勢いで、自然体が密着する。彼の腕の中で、私はただこくこくと頷く。
「こここ」
「『これじゃまるで恋人同士じゃありませんか』?」
こくこくこく。
雷鳴よりも、鼓動がうるさい。また、近くに落ちた。再び白く染まる視界。
びくりと震える私の体を、強い腕が包み込んだ。髪をそっと撫でられた。
ふっと私を護る青光が失せた。護りが解けた。
かっと顔に血が昇るのが分かった。気を緩めたのが、心を許したのが、ばれてしまう。
「大丈夫だ。オレが守ってやるよ、お姫様」
「――はい」
いつものからかう調子だったけれど、低い囁きは真摯だった。だから、素直に頷けたのだろう。
頬が熱い。動悸が早い。でも心は、不思議なくらい穏やかだった。
彼が鎧を着けていなくてよかったと思った。温度だけではない何かが伝わってくる気がして。
雷はまだ遠くならない。もうしばらくは、このままでいられるようだった。
- 66名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/13(土) 22:52 ID:OSluORQw
- なんでこのスレすぐ止まるの?
- 67名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/14(日) 00:01 ID:V28LitwQ
- 神様がね、去っちゃったからだよ(´∀`)
- 68名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/14(日) 19:42 ID:Y6ndsjII
- 本スレの(下水道リレー以外の)作品を保管庫におさめさせていただきました。
タイトルのない作品には、漏れなく私のセンスないタイトルがついております。
作者様には、ぜひご確認いただけたら幸いです。
>保管庫の中の人様
不備等ございましたら、適宜訂正、変更をよろしくお願いいたします。
かえってお手を煩わせることになりましたら申し訳ありませんでした。
- 69どこかの166sage :2004/11/16(火) 03:36 ID:EefOvV8w
- |∀・) 駄文だよ〜
|∀・) 今回は本気で駄文だよ〜
|∀・) けど本人は三ヶ月かけてなんとか形にしたのでけっこう満足している。
壁|つミ[ヤンマーニなママプリ]
|彡サッ
- 70どこかの166sage :2004/11/16(火) 03:38 ID:EefOvV8w
- まぁ、えてして悲劇というのは些細な事から始まるものである。
そして、喜劇というのは悲劇が拡大する過程で生ずるものである。
だから、こんな喜劇…もとい悲劇も生ずる訳で……
そして、関係者が口を閉じて忘れようとするから、喜劇ですら伝説となる。
今日はそんな伝説の喜劇を語ろうと思う。
「前々からお主に聞きたかったのだが、お主の奥方はどう強いのだ?」
GH某所。みかんの皮が敷き詰めた和室の真ん中でコタツに入りみかんをひたすらほうばる魔族の二大巨頭二人。
ダークロードが何気に尋ねた一言に、バフォメットは顔をしかめて答えた。
「分からぬ」
「分からぬって、お主、何度か戦っているのだろう?
それで、分からぬというのはどういう事だ?」
意外そうな顔をするダークロードにバフォメットは考え顔をしたままみかんを口に入れる。
「いや、本当に分からぬのだ。
考えても見ろ。今こそ人ではないが、あの当時人であったあいつに完膚なきまでに負けたのだ。
我らの力を持ってすれば我らを仕留める力を持つ人間はまだ少ないし、神の力を使うプリ―ストとて直接攻撃で我を沈めるのは神の力あってこそ。
あいつに負けた時、あいつは神の力を使っていなかったのだ」
「……むむ。なんか聞けば聞くほどお主が負けた理由が分からぬぞ」
「分かっていれば苦労はせぬ。
そもそも、あいつの強さが分かればもう少し夫婦喧嘩の勝率が向上するのだが……」
駄目親父ぷりを暴露するバフォメットがため息をついてみかんを口にほうばる。
興味深そうに聞いていたダークロードの頭に電球のエモーションが出てきたのはそんなときだった。
「どうだ?秋のレクレーション企画を考えてくれとアリスに言われていたのだが、GH武闘会なんぞを開いてママプリの強さを研究しては?」
「この間、二人で考えた『どきっ♪女だらけのブルマー運動会』は没になったのか?」
「提出前に娘に見つかって小一時間説教をくらって出せなかったのだ。
これならば、イリューも『父の尊厳が無くなるから止めてくれ』と泣いて説教する事もないだろう」
「……」
まぁ、こんな果てしなく軽い感じのノリでGH武闘会は企画され、真相を知らないイリュー達も「たまには真面目な事を言うものだ」と感心してGOサインを出したのだった。
それがどれほどの衝撃を呼ぶかをまだ誰も知らずに……
- 71どこかの166sage :2004/11/16(火) 03:44 ID:EefOvV8w
- というわけでGH武闘会はめでたく休日であるメンテナンスの日に開催されたのだが……
当初の予定どおり、特別ゲストというか対抗チームを作ろうという話となりバフォが迷いの森のモンスターを引き連れて参戦。
ここにママプリをメンバーとして放り込んだ。
舞踏会は個人戦でトーナメント形式。
当然各個人の力量が試されるのだが、この手の武を争うものに深淵の騎士達や彷徨う者達のやる気まんまんさ加減に対し、迷いの森のモンスターの面々はその力量を知っているだけに参加者すらいない。
「なんだなんだ?誰も出らぬのか?」
「父上。格が違います」(あんたが出ろよ<内なる声)
子バフォの声は迷いの森のモンスター全員を代弁していた。これもバフォの予想の内。
ママプリ自身はただの応援要因としか考えていないのだが、そこは萌え奸智に長けた魔族二大巨頭。
「頼む。迷いの森チームの協力をしてくれぬか?」
と、旦那に頭を下げられ、
「まぁ、子供ばかり作って戦場に出ていないので無理を言っては駄目だぞ。バフォよ」
とダークロードに挑発されては引っ込みがつかず結局出る羽目になった。
一戦目 VS アリス
「貴方も大変ねぇ……」
「お相手よろしくお願いします」
ほうきとソードメイスを構えて相対するママプリとアリス。
アリスとて彷徨う者に稽古をつけてもらっているゆえ、自信はあるつもりだ。
ほうきを構えたままアリスは目の前のママプリを見る。
(……普通に戦えば負けるとは思えない……けど、あのお方はバフォメット様を沈めた御方……)
アリスは考えるのを止めた。
ほうきを持つ手に力が入る。
彼女の戦闘スタイルはあくまで「掃除する」に固執する。
その結果、「はく」事が中心となる。要するに人間をゴミと認識する事が大前提となっている。
結果、彷徨う者から抜刀術を覚えたアリスは下段から神速で相手を「はいて」しまう事が戦闘スタイルとなる。
「行きます」
「どうぞ」
勝負は一瞬だった。
「きゃあ!!!」
黄色い悲鳴をあげてエプロンで体を隠すアリス。
ママプリはたった一閃でアリスの服を切り裂いて見せたのだ。
それでいて、下着とエプロンは残すという高等芸術。
「もっ萌え〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
素直に口に出した剣と弓を深淵の騎士子がいつものように封じたが内心動揺が隠せない。
「速い……」
「うはwww速すぎwwwみえないwwwwwww」
「バフォ殿を沈めたという話、あながち嘘では無いのかもしれん」
深淵の騎士・内藤・騎士子は皆、一応に感心するが、所詮はプリとたかをまだ括っていた。
「おい?見えたか?」
「アリスのほうきが下段から突き出される前に飛んで、そのほうきのえに手をかけて一回転、背後に落ちる時にソードメイスで一閃」
流石に付き合いの長いバフォの解説に納得行くダークロード。
「あの速さが強さなのか?」
「いや、あれだけならば勝てるよ……」
興奮気味のダークロードに目が真剣となるバフォメット。
(あいつ……まだ全力をだしていないな……)
- 72どこかの166sage :2004/11/16(火) 03:47 ID:EefOvV8w
- 二戦目 VS 彷徨う者(禿)
「今日は負けないよ」
「私も負けませんから」
(……勝ってからいえよ)
と、GH二階所属の面々は心の中で一致して突っ込んでいたが、禿と馬鹿にされようとその能力は禿の同僚がアリスに武道を教えるぐらいだから優れているはずである。
妖刀村正の柄に手をかけ抜刀術でママプリを葬る体制に入る彷徨う者(禿)。
構えは中段抜刀。しゃがむにも飛ぶにも対処が難しい位置からの攻撃にママプリは速度増加の呪文をかけてソードメイスを中段に構える。
「あのメイスで村正の斬撃を防ぐつもりか!?」
「うはww禿w舐められてるwwwww」
「たいした自信だ。抜刀術は初手が全て。それを防いで見せたら彷徨う者には勝利は無い」
「…流石に温厚な僕でも怒っちゃうよ」(ぷんすか)
「お気にせずに全力でどうぞ」
場が凍る。ママプリの回答では無く、そのママプリの声の低さに。
喘ぎ声が高く甘いママプリの声では無く、冷徹な人(魔族)殺しの声に。
「いくよ〜」
怒っているのにふぬけた彷徨う者(禿)が攻撃を宣言。姿が消える。
流石に禿はげ馬鹿にされても彼とて彷徨う者の一人。その速さは抜刀術を行うにあたり十分な脅威になるはずだった。
「アマツの剣の達人の言葉をご存知?」
コマ送りに迫る彷徨う者(禿)の耳に低く聞こえるママプリの言葉の意味など考えない。
ただ、己の修練の果てに会得した人切りの極意、無心でママプリとの間合いを確認して妖刀村正を叩きつけ……
彷徨う者(禿)の思考が止まる。それは修練の果てに会得した極意の中に含まれていないファクター。
村正を鞘から出す為の右手の小手に踊るソードメイス。ママプリとの間合いは変わっていない。
(????馬鹿な?彼女の中段の構えは、村正を受けるためでは無くて、ソードメイスを投げる為に!?)
ママプリが中段の構えから押し出すように投げ出されたソードメイスは重力に従い垂直で彷徨う者(禿)の小手のあたりで踊っていた。
(よけても弾いてもタイムラグが出る!!)
完全にパニックに陥った彷徨う者(禿)はこの一瞬でママプリが彼の間合いに入ったことに気づかなかった。それが決定的な敗因となる。
速度増加で加速したママプリの肘撃ちが大きすぎる彷徨う者(禿)の顎に直撃。
ゆっくりと彷徨う者(禿)の巨体が崩れ落ちる。ついに抜かれることが無かった妖刀村正とそれを邪魔したソードメイスと共に。
「刀に拘る様では、剣とは言えぬって…聞いてないか……」
「ぴ…ひっちゃ〜でに〜〜」
誰もがあまりにも速く圧倒的な勝負で言葉を出さない中、
「倒れる前に言えよ……」
謎の言葉を残して昏睡する彷徨う者(禿)に突っ込んだのはお約束を忘れない剣と弓のレイド兄弟だった。
- 73どこかの166sage :2004/11/16(火) 03:56 ID:EefOvV8w
- 三戦目 VS 深遠の騎士子
「貴方と戦える事を誇りに思います」
「試合とて遠慮はいりません。その剣、遠慮なく私に突き刺しなさい」
もはや、レクレーションとは言えないほどの大番狂わせを起こして会場は興奮の坩堝に落ちていた。
その伝説のヴェールを脱いで「バフォを沈めた」力をGHの武人達に解放したママプリ。
そしてGHの武人としてその力量で誰にも負けぬ深遠の騎士子。
興奮しないわけが無い。
「ママプリにエル塊5つ!!」
「深遠の騎士子たんに妖刀村正一つ。今度は負けないよ」
「もういやだ…この禿……」
かくしてなし崩し的に賭けが始まり、エル石、村正、アリスのエプロン、バフォ秘蔵ぷりたんSS集「聖女達の微笑み」等の商品が乱れ飛ぶ。
ゆっくりと持っている槍を構える深遠の騎士子。かえって邪魔になると考えて徒歩姿で槍をママプリの心臓に構える。
流石にママプリも本気らしく、速度増加だけで無くグロリアとキリエエレイソンにエンジェラスまでかける。
槍は突く為にある。
その攻撃線は先端を中心に直線に動く形となるからかわしやすい事は否めない。
それでも槍が武器として進化を続けてきたのはそのリーチの長さにこそある。
更に馬上槍ともなれは馬のスピードが加速され破壊力は桁違いに上がる。
馬から降りても深遠の騎士子の槍は何度もレイド兄弟のおしおきに利用された事からも分かるとおり威力が衰えるという事は無い。
だが、確実に馬から降りたデメリットとメリットを深遠の騎士子は自覚していた。
(馬上からのリーチ、馬上突撃による威力増加は惜しいが……彷徨う者(禿)戦で見せたママプリのあの速さ……馬上で突いてそれをかわされたら懐ががらあきになるデメリットを考えたら徒歩姿の方がまだやりやすい)
既に深遠の騎士子の頭の中ではいくつものママプリとの仮想対戦が繰り広げられている。
己の槍の一撃に自信があるが、それが外されたら?その疑念をどうしても深遠の騎士子は振り払う事ができなかった。
徒歩での槍の一撃。かわされても槍を手放して剣に持ち込むのならば、鎧をつけている分最終的な打撃戦ではこちらが勝つ自信があった。
ましてや彼女は殴りプリ。いくらヒールで回復してもその回復量が全快になるとは思えない。その回復量との差が埋まる前に剣での連続攻撃で仕留めるつもりだった。
(…まてよ…槍の攻撃が外れる事を想定?……しまった!!)
仮面の中で己の愚かさを呪う深遠の騎士子。ママプリの策に既に捕われている事に気づいてしまったからだ。
ママプリが避けたかったのは馬上からの槍のリーチ。いくら彼女が槍を交わしてもそのリーチ内に入るのは馬上姿である限り難しかったのだ。
ソードメイスを捨てて速度増加の肘撃ちで彷徨う者(禿)を沈めた事すら今思えば策なのだろう。
彼女は己の武器を捨てて何をしてくるか分からないというイメージこそが最大の武器だったのだ。
いまさら馬に乗るなどプライドが言い出せない。
(考えろ……深遠の騎士子…お前はGHを守る為に戦うのだろう?ママプリに負けるようではGHなど守れぬではないかっ!)
失った優位を埋めるため、己のプライドを守るため、GHを背負う誇りの為に必死にママプリに勝つ策を考える。
ほぼ確信があった。
(ママプリは私の槍をかわす。もしくはかわす何かを準備している。
そうでないと私を馬から降ろした理由が見つからない)
はたと気づく深遠の騎士子。つまり、私もママプリも槍の一撃が外れた次で決める腹なのだ。
(一撃で決めないと、馬上攻撃なみに槍の威力を増す手は……)
一個だけあった。槍の威力を挙げる禁じ手が。
ゆっくりと心を集中させてゆく。手が決まれば迷いは不要。
「参ります」
「来なさい」
瞬間の勝負。二人の姿がぶれた。
観客の目に映った瞬間の映像にはママプリの左肩に深遠の騎士子が投げた槍が根元まで突き刺さり、仮面が外された深遠の騎士子の呆然とした姿がさらけ出されていた。
からんと乾いた音が響く。
深遠の騎士子の仮面が彼女の後方で音を立てて割れた音で皆がわれにかえる。
深遠の騎士子には全て見えていた。
ママプリが深遠の騎士子が投げた槍をよけずに自らに突っ込んできた事を。
投げられた槍の進行方向とは逆に速度増加で突っ込んでくるママプリ。
血と肉が飛び散り、肩の骨が砕けてもなお前進を止めず、そのソードメイスを繰り出してきた。
驚き、呆然として、いや、正直に言えば深遠の騎士子は平然と命をかけて突っ込んで来るママプリ本当に恐怖したのだ。
だから、その対処が遅れた。ほんの少しだけかわし切れずに仮面がソードメイスに捕らえられたのだ。
槍を投げた後に次手として用意した剣も柄に手が残ったまま動けない。
肩に槍で貫かれた藍色のプリ服は深紅に染まり、噂として聞こえていたハイプリーストを想像させ、ママプリの視線は殺意を残したままソードメイスをまっすぐ深遠の騎士子に向けている。
どこにそれだけの意思があるのだろう?己の命すら賭けて獲物を仕留めるだけの意思。
深遠の騎士子は恥ずかしかった。心のどこかにあった「たかが試合」という意識。それがママプリに対する最大の侮辱であるという事に気づかずに。
「私の……負けだ……」
絞るように声を出したのは深遠の騎士子だった。
- 74どこかの166sage :2004/11/16(火) 03:58 ID:EefOvV8w
- GHの控え室、ママプリはベットにその体を横たえていた。
槍の傷は己のヒールで治せるが、失った血に再生した体細胞の活性化にともなう貧血から次試合を棄権せざるをえなかったのだ。
「傷はどうか?」
「深遠の騎士子たんは凄いわ。
久しぶりよ。血肉はおろか骨まで持っていかれたなんて……ね……」
横たわったままバフォに向けて微笑んでみせるママプリ。血を大量に失ったこともありその笑みは妙に青白かった。
「ポーションはもう飲んだのか?」
「まだだめ。体が受け付けきれない。
少し眠ってから飲むわ」
そのまま、心地よい沈黙が続いたが、口を開いたのはママプリだった。
「で、分かった?」
「何が?」
「私の強さ?」
「な、なんの事だ?」
バフォの笑みが凍る。汗エモが出ているかもしれないと思いながら必死に話を逸らそうとするバフォにママプリは微笑むばかり。
「一つだけ、教えてあげる。
男は女には絶対に適わないのよ」
「そ、そうかもしれないな……」
その狼狽ぶりがおかしいのだろう。微笑んだままゆっくりとママプリは瞳を閉じて安らかに寝息を立て始めた。
「で、結局分かったのか?」
部屋の外で待ち構えていたダークロードがバフォに問いただす。
「『男は女には絶対適わない』だそうだ」
「なんだそりゃ」
たまらず笑い出したダークロードにバフォは憮然として吐き捨てた。
「知るか」
結局何も分からずに、おおいにGHと迷いの森を盛り上げたこのお祭りはとりあえずこういう形で終わった。
後にママプリは子バフォにこっそりと語っている。
「『強い』ってのは誰でも出来る事なのよ。
何か守る者があるのならば生命(いのち)はいくらでも強くなれる。
私は、ちょっと他の人より守る者が大きいだけ」と。
- 75どこかの166sage :2004/11/16(火) 05:21 ID:EefOvV8w
- というわけで、今回はただ「ヤンマーニなママプリ」を見たいがために作った駄文をやっと投下。
色々足りないところがあるけれど、最近スレそのものが停滞気味なのでこれを機に、「お前の駄文なんぞ俺が超えてみせる」という文神さま光臨祈願。
で、いつものように参考スレを。
彷徨う者と共に苦難を乗り越えるスレ
http://enif.mmobbs.com/test/read.cgi/livero/1100390337/l50
深遠の騎士子たんスレ
http://enif.mmobbs.com/test/read.cgi/livero/1089828659/l50
で、これの製作途中に知った巷で大流行の某「ねこみみもーど」で受信した電波。
ママプリ「バフォ角も〜ど♪」
誰か絵神様が書いてくれないかなぁ……そうしたら喜んでえろえろに……
【18禁スレ】д・)ノシ
- 76SIDE:A 城に集う者達(1/2)sage :2004/11/17(水) 03:07 ID:PgNrTDoI
- 時間ができたからスレ纏めせにゃーと思ったら、既にこちらも有志の方がして下さっていたり。
ホント、ありがとうございます。
お詫びにもならねど、昨日から無い知恵しぼって書いてみました。
----
ギルド“黄金の暁”が保持している砦は2つある。一つは首都プロンテラの北面にあり、王城の守りの一端を
担っていた。そしてもう一つは、ブリトニアにある。首都にあるそれがギルドの表の顔だとすれば、ゲフェン
郊外にあるそれは、ギルドの裏の顔であった。
「……こっちに来るのは久しぶり、だな」
左右を見ながら、フレデリックは感慨深げに呟いた。国家に反逆し、隣国までも巻き込んだ騒乱を起こした
あるギルドの持ち城であったここは、若き聖騎士が初めて手に入れた城砦でもあった。城門へと歩を進めると、
門衛が直立不動のまま、彼の来訪を大声で告げる。
「『皇帝』フレデリック卿、帰城!」
そして、その声にあわせるように観音開きに開いた大扉の向こうには、車椅子姿の男がいた。白髪白髯の、
一見して老人に見まごう容貌だが、よく見ればまだ壮年といえる年齢だとわかるだろう。芝居がかった仕草で
大きく両手を開き、男は満面の笑みをたたえて青年を迎えた。
「ようこそ、『皇帝』。我等がギルドマスター。『吊られし男』は心より歓迎いたしますぞ」
「そんな言い方はよしてくれよ、ラオ」
フレデリックはこのモンクが好きではなかった。好きではない、というのは言い過ぎとしても、苦手だった。
とはいえ、ギルドが大所帯になっても問題なく動いているのはこの男の尽力によるものだと、彼にもわかっては
いる。この男が回復し、ギルドに加わってから“黄金の暁”は明らかに強くなった。
しかし、かつて「仲間」だったギルドメンバーがいつしか互いを「同志」というようになったというような、
微妙な変化がフレデリックには寂しかった。聖騎士は、ギルド内ではラオと名乗っている彼の前歴を知らない。
ここを落城させた後、数日して庭に倒れていた瀕死のモンクを見つけた時には、素性など詮索する気も無かった
から。
そして今は、詮索するのが恐ろしい。何かに憑かれた様にギルドの為に尽くす彼からは、何か異質な物を
感じるのだ。時々、フレデリックは思う。この修道僧の言葉はいつも、彼を別の“誰か”、…あるいは
“何か”を基準に試しているのではないか、と。
じっと見つめる若者の視線に、モンクは落ちつきはらったままでまた、笑った。
「…はて、私に何か?」
「いや。シメオンさんはいるかな?」
言って、フレデリックは手にしていた剣を鞘ごと男に見せる。そこからはもう、受け取った時にあった禍々しい
妖気は失せている。鞘から軽く引き出して見せた刀身は赤錆がうっすらと浮いていた。
「……失敗、ですか?」
「そのようだね。魔剣は魔が去ればただの剣、ということかな…」
「ふむ。残念ですな。彼は先ほど戻りましたが…」
そこで言葉を切ったモンクの口調に、聖騎士は心得たように首肯した。
「研究室にいるのか。じゃあ、また寄らせて貰うよ。これは…」
「は、何かの資料にするのかもしれませぬからな。お預かりいたしましょう。ファナ」
修道僧の声にあわせて、小柄な少女が手を伸べてくる。魔法使いに良く似た、それでいて動きやすいように洗練
された服装はジュノー学院の賢者のものだった。見覚えない顔だ。青年の物問いたそうな様子がわかったのだろう、
ラオは受け取った剣を抱えるようにして下がろうとした少女を引き止めた。
「…? 何?」
怪訝そうにラオを見る少女の髪からは、ぴょこりと猫のような耳が突き出ている。明らかに飾り物のそれは、
年端も行かない少女には良く似合っていて、フレデリックは微笑した。
「君は、誰かな。ギルド名簿には目を通しているはずなんだけど…」
「ああ、“金”に昇格したのはつい先ごろでして。私の娘でございます」
ラオの何気ない口調の返事に聖騎士の微笑がこわばる。
「娘…? あなたの?」
「まぁ、実の娘ではないのですが。“金”への昇格試験に手心は一切加えておりませぬゆえ、ご心配なく」
まだ、目をぱちくりさせている若者に、少女は勢いよく頭を下げた。
「ファナでス。よろしくおねがいしマス」
- 77SIDE:A 城に集う者達(2/2)sage :2004/11/17(水) 03:07 ID:PgNrTDoI
- その奇妙な魔術師と、“黄金の暁”の関係は、一般的な構成員とギルドの関係とは異なっていた。構成員という
よりは、むしろ協力者というべき立場のその青年は、加盟に際していくつかの条件をギルド側に課している。その
ひとつが、彼が研究室に篭っている間…、研究中には一切の邪魔をしない事であった。週に一度、国王の名のもとに
行われる砦の所持権利を巡る模擬戦にも、彼はこの特権を思う様に活用して参加してはいない。ただ一度だけ、ここ
ブリトニア砦の彼の研究室まで攻め側が踏み込んだ折に侵入者をまとめて叩きだした事があるだけだ。
古参、新参を問わず、その青年の特権を知る者は、彼を快くは思わない。ギルドというものに関わる奉仕の義務と、
参加の恩恵のうち、魔術師は恩恵のみを享受しているようにしか見えないのだから。青年が“黄金の暁”に負って
いる義務は唯一つ。砦地下に残されていた魔法装置の管理と維持のみであった。
シメオン=E=バロッサというその若い魔術師が、どれほどの力をこのギルドにもたらしているかは、22名の
上位ギルドメンバーの中でもごく一部にしか知られていない。
“砦”に通常もたらされる収穫は、その砦に本来ある魔法的価値…、すなわち、かけられた豊穣の呪力の蓄積に
のみ依存する。週に一度、宝物の間と言われる部屋に、その成果がもたらされる仕組みは、この機構が利用される
ようになってずいぶん経つ今となってもなお、多くの者にとって未知の物であった。
かの魔術師は、その秘密を知る少数の側にいる。地下の魔法装置から汲み出された魔素は宝物の間へと送り込まれ、
ここ、ブリトニア砦の収穫をおそらくは国家全体に匹敵する規模にまで高めていた。
「ククク…私の居ぬ間にまたネズミが入りましたか。懲りない連中だ」
細い廊下を滑るような足取りで歩んでいた魔術師は、彼の研究室の扉の数歩手前でぼそりと呟いた。呟いただけで、
青年はそのまま歩みを止めない。規定では砦を攻めるのは週末のみ、となってはいるがそれは所有権の移動が目的の
大規模な戦に限ってのこと。それ以外の日々が平穏かといえばそうでもない。アサシンやローグといった連中に
とっては、むしろ平日の方が戦だ。城につき物の隠し通路や、防衛での人員配置などを探るために、この砦にも
しばしば身の程を知らない連中が潜り込んでいる。
軽くかざした手の動きにあわせるように、扉は軋みもなく開いた。目深に被ったフードを取りもせず、室内を
見回した青年の口元がへの字に歪む。
「…私は荒っぽいことが嫌いなんですがねぇ」
彼の視線の先には、三本足の丸椅子の上に何故か正座をし、落ち着き無く前後にゆすっている小柄な姿がいた。
薄い茶色の髪の上には、可愛らしい猫の耳。凹凸の少ない体を薄い衣装に包んだ少女は、青年の声に顔を上げると、
にぱーっと笑う。その仕草にあわせて動く肩口の金の紋章が青年の目に映った。刻まれた名は『魔術師』。
「おかえりなさい、センセ」
「…どちら様で?」
読めない表情で問う青年に、少女は笑みを絶やさずに答えた。
「ボクはファナ。よろしク。センセが血生臭いことは嫌いだって聞いたから、頑張ったヨ。褒めて褒めて」
とんっ、と椅子から降りた少女は音を立てて両手を打ち鳴らした。青年は、首だけを少女の右へと回し、やや
あってため息をつく。彼の視線の先にあったのは、恐怖の表情も濃い、盗賊風の男達。魔法のみが生み出しうる
巨大な氷塊の中に埋もれた彼らはまだ生きているような生々しさで、しかしながら、明らかに事切れていた。
その死体をわざわざ目に付くところに並べて、その猫のような少女は明らかに褒められるのを期待した視線を
青年に向けている。
「3人だヨ。懲りないよねェ」
「…貴女はどうも理解力が足りないようですね。私は血の匂いが嫌だといったわけではありませんよ」
「…うン?」
きょとんと首を傾げる少女に、青年は相も変らぬつまらなそうな声音で続ける。彼を知っているものでなければ
気づかぬ程度に、フードの奥の目が微かに狭まっていた。
「私は、無駄な人殺しは好かない、と言っているのですよ」
「……でも、ここに入ってきて嗅ぎ回った人はやっつけてもいいんでショ?」
「そういう事になってますね、確かに。単なる私の好みですよ…」
「………? わかった、今度から追い払うヨ」
今度から、と自分の研究室にいつくかのように言う少女に、青年は小さくため息をついた。目線は少女に
向けたまま、室内の暗がりにいる、もう一人の影に問う。
「で、彼女はどちら様で?」
「私が苦労して探してきたお望みの助手を、どちら様とは心外だな、シメオン」
声と共に暗がりから姿を現したのは、車椅子に乗った僧服の男、ラオだった。
ジュノー学院の教授、そしてあの市井の錬金術師から提供されたデータをもとに“ある目的”を果たすために、
自分以外にもう一人の詠唱者が必要とわかったその時から、彼はラオに一つの要求をしている。彼が要求したのは、
シンプルではあるが実現はきわめて難しいことだった。すなわち、青年と同調して儀式を遂行できる助手、である。
しかし、彼と同じ速度で正確に術式を練ることのできる術者など、そうはいない。いたとして、青年の助手と
しての立場に甘んじ、目的を詮索しようとしない者となると更に少ないだろう。実力と野心は大方において、
不等号で結ばれた片思いの関係にしかなりえない。彼がそうであったように。
フードから覗く青年の口元が皮肉っぽく歪んだ。
「……試してみても?」
「構わんよ」
モンクの返事を聞くか否か。青年の足下に巨大な魔方陣が現れる。屋内であれ、室外であれ場所を問わず、無数の
雷で目標を打ち据える、彼の得意とする魔法だ。その破壊力は絶大。
『緋色の魔王バフォメットの名において…』
もしも目の前の少女が彼の要求した基準に満たない実力しか持っていなかったならば、研究室はおろか砦自体にも
被害が出るであろう。おそらくは人間として速さを極めた青年の詠唱が、暗く湿った地下室に響く。
そして。
少女がちろり、と上唇を舐めた。
「ごちそうさま、センセ」
- 78SIDEの中の人sage :2004/11/17(水) 03:20 ID:PgNrTDoI
- ぷはー。こんな時間ですがおやすみなさい。
作中でシメオンたんの名前を出したのは、いつまでもせこく逃げを打っているのもなんだと思ったからです。
はい。番外のintermissionと、これで連続二回ほど主役サイドが顔を出していなかったりしますが、
以前、主役にスポット置けよ! って意見があった鍛冶師さんとことちがって主役に存在感がないから
きっと脇固めしても平気…! かなぁ、とドキドキものです。
新キャラ二名出すのは今更ですが、ラオの人は前からというか、書き始めから構想にいたので省けず。
ファナの方は、あれです。シメオンさんの助手兼、(私の思うところの)彼のYmirの時からの変化を浮き出させる
役を作りたくなったので…。若者の才能に嫉妬しつつ歯噛みする老人とか、ごっついフランケンの怪物風大男とか
妖艶な謎めいた美女、とかイロイロなキャラ候補の中からこれにしてみました。
老人が実は脳内最有力候補だったのですがラオと被るので…orz
以上。らいなーのーと風味にいらん作者のあれやこれやを書いてみたり。
いつもなら書く他の皆様への感想は、まだ未読なのでごめんなさい。明日にでも印刷してって読みます。
- 79名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/17(水) 13:21 ID:JBkR9K4s
- >>69-75
|・・・・・・・
|・`)ニョキ
|´・ω・)ノミttp://nekomimi.ws/~asanagi/cgi-bin/ragnarok/source/20041117131752-mamapuri2.jpg
|ω・`)ばふぉ角モードじゃなくてごめんね
|ミ
- 80名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/17(水) 23:18 ID:vxtRMSM2
- 上水道リレー保管してるHP閉鎖しちゃったけどこれからは何処が保管場所
になるの?
- 81名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/18(木) 00:20 ID:oKlHBlJw
- >>80
マジだ、まいったなぁ……
とりあえず、倉庫から引っ張り出せることは出せるけど、自分のページ持ってないからなぁ
- 82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/11/18(木) 03:03 ID:rt/LJt.w
- >>68
63-64です。保管作業お疲れ様です。
えと、作業をしておいていただいて少々申し上げにくいのですが、頂戴したタイトルを拝見しに行った折に気付いた事が。
実は63と64はまるで無関係な別話だったりするのです。
ただ小さい話をふいと思い付いたので、肩慣らしがてらにまとめて書き上げただけの代物でして。
判別しにくい真似をしてしまって、申し訳ありません。
そしてPukiWikiの知識がまるでないので、付け焼刃でページいじるのを躊躇してしまう俺。チキン野郎と蔑んどいてくれ。
>>70-74
GH側の戦闘術色付けが良いな、と思いました。特にアリス。正に掃き捨てる訳ですな。
コミカル一色で終わらせないところもまた流石、と。
>>76-