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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第5巻【燃え】
- 1名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2004/05/13(木) 06:16 ID:PLOYwC1U
- このスレは、萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない萌えな自作小説の発表の場です。
リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ エロ小説は『【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ【エロエロ?】』におながいします。
・ 命の危機に遭遇しても良いが、主人公を殺すのはダメでつ
・ 感想は無いよりあった方が良いでつ。ちょっと思った事でも書いてくれると(・∀・)イイ!!
・ 文神を育てるのは読者でつ。建設的な否定を(;´Д`)人オナガイします。
▼リレールール
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リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
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※ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。
前スレ【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第4巻【燃え】
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1081146897/
- 2スレルール :2004/05/13(木) 06:17 ID:PLOYwC1U
- スレルール
・ 板内共通ルール(http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi?bbs=ROMoesub&key=1063859424&st=2&to=2&nofirst=true)
▼リレー小説ルール追記--------------------------------------------------------------------------------------------
・ 命の危機に遭遇しても良いが、主人公を殺すのはダメでつ
・ リレーごとのローカルルールは、第一話を書いた人が決めてください。
(たとえば、行数限定リレーなどですね。)
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- 3どこかの166 :2004/05/13(木) 06:21 ID:PLOYwC1U
- 新スレついでに反則シリーズ追加。
バトスケに説教するアコきゅんな話。
- 4どこかの166sage :2004/05/13(木) 06:27 ID:PLOYwC1U
- 「できないんですかっ!
貴方にはできないんですかっ!!
貴方バードでしょう!
ならばっ、何で貴方はその楽器を持っているっんですかっ!!!」
衆人環視の中、目の前のアコきゅんに楽器を持って迫られて俺は何もいえなかった。
「花を!花をあげてちょうだい!」
「花嫁に祝福を!」
「幸せになりやがれ!このやろー!!」
コモドで行われていた結婚式はいまや大きな祭りとなって、旅人や冒険者を巻き込んでにぎやかに行われていた。
それを俺は隅の方で眺めていた。
幸せそうな花嫁の顔。
照れている花婿の顔。
「顔……か」
いつだっただろうか?顔を無くしたのは。
顔だけではない。髪も肉も無くし、骸骨だけになった俺は気づいてみたら時計搭で人間達を敵として射る事で暮らしていた。
そのまま長い長い時を過ごしていた俺に変化が現れたのは……アラームのおかげだろう。
気づいてみたら、俺だけじゃなく周りのやつもあいつの笑顔の為に戦っていた。
たとえ、楽園が幻だとしても俺には、俺達にはアラームこそが楽園そのものだった。
だから気づかなかったのかもしれない。
時というのは永遠に続くものではないという事に。
止まっていた時計搭の時間はアラームのおかげで動き出し、俺は新たな世界へと歩き出した。
けど、そこで俺の時間はまだ止まっている。
見るものが新しい、そして懐かしい。
にも関わらず、俺は失った何かを取り戻せずにいる。
歌を歌う。
多くの人はその歌に酔ってくれる。
だが、俺は満足できない。
「芸術家ねぇ。あんた」
意外そうな顔で平然と言ってのけたのが、バフォメットの情人たるママプリ。
酒場で見つかってそのまま彼女の酒宴に巻き込まれているが今回の神父役とか。大丈夫なのだろうか?この結婚式は??
「時計搭にいる時は世界が単純だった。
ただ戦えばいい。
最初はただ敵を排除するため。
いつのまにか、アラームを守るため。
だが、こっちにきてから途方にくれている。
そうだな。砂漠の真ん中に立って、どっちにいけばいいのか途方にくれている感じだ」
何が悔しいといえば、今の俺は悔しいという事を顔で表すことができない。
「ふぅ〜ん」
さも楽しそうにこちらの苦悩を楽しんでいる。
「ねぇ?「ひと」ってなんだと思う?」
ふとそんな事をのたまうママプリ。プリーストの衣装がほどよく崩れ、豊満な胸やスリットがちらちら見え、ガーターベルトが周りの男どもを発情させている。
「そんなもの……はるか昔に捨てちまって分からんよ」
「そうかしら?
私に言わせたら、今の貴方ほど「ひと」っぽく見えてるけど?」
きょとんとする俺に構わずに、話を続ける彼女。
「悩んで、迷って、失敗して、後悔して……
そのくせ、笑って、泣いて、怒って、人生楽しんでいるじゃない♪」
「楽しんでる?」
よほどおかしな声だったのだろう。けらけらと楽しそうにママプリは笑う。
「ええ。思い通りにならないからこそ、人生って楽しいのよ」
「……あんた。時々聖者っぽい事いうな」
「……じゃあ、今までどんな目で私を見てって聞くまでも無いか」
くるりと周りを見るママプリ。聖女というより性女として席を立ったら男達が群がってくるのだろう。
で、それを拒もうともしないあたりママプリのママプリたる所以か。
「あんた、人生楽しんでいるのか?」
「あたりまえじゃない♪
貴方は人生楽しんでいるの?」
その問いに答えられない俺がいた。
気配が一つ。
酒場からついてきている影がいる。
その後、ママプリは席を立って男達と共に部屋に篭っていった。
俺は、別に宿に止まるわけでも、眠るわけでもないのでなんとなくコモドの街中をうろうろしていた。
敵か?
かといって、襲われる覚えが無い。
俺を襲うよりママプリを襲ったほうが、魔族に取ってはダメージはでかい。
「誰だ?」
裏路地に入って、弓を引き絞ってそいつに声をかける。
出てきたのは以外にもアコきゅんだった。
当然初対面。人懐っこい顔しているがはてさて。
「あのっ、お話いいですかっ?」
相手には殺気は無い。弓を下ろしてそいつを改めて眺める。
人畜無害で虫も殺せないような容姿だが、目は腐っていない。
「こんな夜に男の二人で話す趣味はないが?」
「すぐ済みます。
貴方の背後にある運命の糸のことです」
聞きなれない言葉を聞いて思わずそいつに聞き返した。
「なんだそりゃ?」
「貴方がとらわれている運命についてです。
貴方はその運命の重さに押しつぶされかけています。
それを僕は助けたいんです」
仮面ごしに胡散臭そうな視線をそのアコきゅんに向けると狼狽するアコきゅん。
「いらん。自分の人生だ。自分でなんとかする」
「なんとかなっていないじゃないですかっ!」
即答でしかも痛いところをついてくるアコきゅん。
つくづく顔が無くてよかった。
きっと怒るか、図星の顔をしていただろう。
「いいですか。
人は幸せになれるんです。
すごく簡単な事をすることで」
「聞こうじゃないか。
どうすればいい?」
若干の怒気を含んだ声で質問した俺にそのアコきゅんはちょっと胸を張って言ってのけた。
「師匠の受け売りですけどね。
人の中に入っていけばいいんですよ」
- 5どこかの166sage :2004/05/13(木) 06:33 ID:PLOYwC1U
- 「汝、この者を花嫁とする事を誓うか?
汝、この者を花婿にする事を誓うか?」
ママプリの神聖な声が場を支配する。
「誓います」
同時に聞こえる新郎新婦の声。
「神の祝福があらんことを……
さぁっ!堅いことはここまでっ!お祭りを始めるわよっ♪」
一斉に聞こえる歓呼の声。
花火が上がる。音楽が鳴り、あちこちで宴が始まる。
それを俺は遠くから見ていた。
楽しそうな人の笑顔。
幸せそうな花嫁。照れている花婿。
聖女から性女よろしくフェロモンを振りまくママプリ。
楽しそうに騒ぐみんな。
その場に入れない俺はその祭りを眺めている。
「ん?」
ちょっとした異変が起こったのはそんな時だった。
宴会を仕切っていたママプリに裏方として動いていたカプラさんが何かを耳打ちする。
一瞬だけどママプリの視線が曇る。
何かをカプラさんに耳打ちしてさりげなく裏方に引っ込むママプリ。
よく見ると、カプラさんや関係者らしい人が少しずつ裏方に引き上げてゆく。
宴会は何事も無く続けられているが、何かがトラぶっている。
俺は何も考えずに裏方に走った。
何故走ったのかは俺も知らない。
「どうした?何があった?」
いきなり仮面をつけたバードが裏方に入ってきて緊張するカプラさん達だが、その緊張をママプリが手を振って解除させる。
「ちょっとトラぶってね。式を盛り上げるために頼んでいたバードが洞窟内でモンスターに襲われているのよ」
「何で、カプラ転送サービスを使わなかったんだ!?」
「相手のバードに聞いてよ!
とにかく、救出隊を編成するんだけど、場つなぎのバードを探して……」
ママプリの不意の沈黙に周りのみんながその意味を把握する。
「頼むっ!メインのバードが来るまででいいっ!
会場の場をつないでくれっ!」
一人の騎士が俺にすがりつく。あとで聞いたら、結婚式をしていたカップルの所属しているギルドのマスターらしい。
裏方から会場を覗く。
今は、食べ物と飲み物でもっているが、たしかに場がだれてきている。
やっと気づいた。
二人の為に集まったみんなに最高の思い出をとママプリや裏方のみんなは一生懸命やっているのだ。
みんなの視線が俺に集まる。
何の縁も無い俺なのに誰もが俺を見ている。
瞼が無いのが恨めしい。こういうときに目を閉じてしまいたいのに。
「できないんですかっ!」
いきなりの声に皆が振り向くと昨日のアコきゅんがいた。
「できないんですかっ!
貴方にはできないんですかっ!!
貴方バードでしょう!
ならばっ、何で貴方はその楽器を持っているっんですかっ!!!」
まったくの第三者に言われた正論に誰もが言葉を失う。
だが、俺は顔が無いことがこれほど悔しいと思った事はなかった。
「……そうだな」
こんな時ニヒルに苦笑する事すらできやしない。
「たいしてレパートリーも無いぞ。さっさとバードを救出してこい」
騎士とそいつの周りにいた連中が黙ってダンジョンに向かってゆく。
「はいはい。みんな注目〜〜〜♪
飛び入りだけど、謎の仮面のバードさんが二人を祝福しに着たわよ〜〜♪
二人のらぶらぶ幸せ光線をさらに強める仮面のバードさん!どうぞぉ!!」
カプラさんからマイクを奪って即興のアドリブで俺を紹介してくれたママプリの声と共に裏方から楽器を持って会場に現れる。
俺に足りないものが分かった。
持っていた楽器をふと鳴らす。
音楽は聞かせるためにある。
聞かせる人がいない音楽など音楽じゃない。
皆の視線が俺に集まる。
「二人のこれからの祝福を祈って……」
ゆっくりと思うままに俺は音を紡ぎ出していった。
「なんとなく分かった気がする」
宴の後、喜ぶアコきゅんに俺はぽつりとつぶやいた。
「一人で考えていた。
人は、一人では幸せにはなれないんだとな」
「それを運命と人の世界ではいうんですよ。あちゃすけさん」
「……知っていたのか?」
「私は、ママプリさんの行き方を許容できません。
けど、人として運命に押しつぶされそうになった貴方を見捨てることもできなかった。
それだけです」
そういってアコきゅんは笑った。
「甘いな」
俺の皮肉交じりの苦笑にアコきゅんは胸を張って答えた。
「甘いですよ。あまあまです。
きっと師匠に怒られて今夜の晩御飯は抜きです。
けど、見ましたか?
あの二人の幸せそうな顔。あのギルドの本当に喜んでいる姿。
それが見たのならば、晩御飯なんて我慢できますよ」
「そうか。俺にまで結婚式の残りの肉やケーキをくれたんだが俺は食べれないしなぁ」
「うっ……買収しようとしても」
豪快に腹の虫がどこかから聞こえる。骸骨の俺はそんなもの飼っていない。
「……もったいないからもらっておきます」
「そうしろ。がんばれよ。聖者さま
俺以外にも迷った子羊達の運命を導いてやってくれ」
そして俺達二人は顔を見合わせてたまらず笑い出した。
親愛なるアラームへ
元気か?いつものように機械を壊していないか?
おまえは運転する時に左右の確認が遅いからちゃんと確認するんだぞ。
俺は時計塔の世界を出てから風の吹くままに旅をしている。
世界って広いぞ。地底の中にある街で結婚式の宴会芸に呼ばれたり、通りすがりのアコきゅんに人生語られたりする。
だが、そんなことをひっくるめて世界は広い。
いつか、おまえが世界に出た時にお前の為に俺が世界をいろいろ見聞しておいてやるから安心して冒険者をやっつけてくれ。
風邪をひくなよ。勉強は忘れるなよ。時計塔のみんなによろしくな。
アチャスケ
- 6どこかの166sage :2004/05/13(木) 06:44 ID:PLOYwC1U
- というわけで、新スレ第一弾でした。
アチャスケは時計塔スレから、アコきゅんは萌え小説スレ三巻14氏原案のアコきゅんとモンク師匠からです。
ではっ
壁】)=3 ピュー
- 7名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/13(木) 20:07 ID:MBzxqqUw
- >どこかの166さん
新スレ立て+新作アップお疲れ様です。
毎度自他共のキャラクターの使い方がとても上手で今回も楽しませていただきました。
ちなみに前278での某スレとはグロスレのことですね。
- 893@新スレの容量をいきなり削る!sage :2004/05/13(木) 20:57 ID:.HpFMQls
- 少女と、騎士、そしてローグが去った後。ゴーストリングは一人、主の想い人を守るべく漂っていた。周囲に気を配り、ややあって、眼下の聖女の様子を伺う。それから、周囲にまた気を配る。その、繰り返し。万が一敵が現れた場合、非力な彼では彼女を守りきる自信はない。それでも、身を挺して庇わねばならぬ価値が、この女性にはある。
人と魔との間に立つ者が存在し続けること…即ち、共存という概念を世界に掲げ続けること、その意義を彼はこの数十分で実感していた。あの少女も、自分も、この女性と魔王の関係があればこそ、…魔と人が、分かり合えるという前例が目の前にあればこそ、歩み寄ろうと考えることが出来たのだから。そう考えてから、また周囲に気を配る。
「……あっちばかり…見て…るじゃない」
『…オ目覚メカ?』
慌てて漂っていった先で、聖女は熱さに耐えかねたように己にかかっていた掛け物を剥いでいた。彼女の常は白い肌に、朱が差している。
「薬…なんて、無粋ね…」
意志の力だけで、彼女は肉の反応を捻じ伏せ、立ち上がろうとした。が、手足にはさっぱり力が戻らない。ローグが植えつけて行った催淫麻薬は、俗に言う『処女でもよがる』等という甘いレベルの物ではない。彼女がまだ正気を保っていられるのは、乙女と正反対の異常な経験の豊富さゆえ、であった。
「…あ…ん。駄目…ね。動けない」
とろんとした呂律の回らない声で言う聖女に、ゴーストリングは眉…のあたりに皺を寄せた。悪魔的な倫理観は肯定していても、思念体の彼では彼女の疼きを慰める事もできぬ。巨大ウィスパー達が送ってくる情報は、切迫していた。急がねばならぬのに、歯がゆい。
「…いいわ…イって。わたしは…慣れてる…から。ン!」
肉付きのよい、それでいて締まった脚がぴく、ぴくと跳ねる。湿った音と、甘い香りが漂いはじめた。
「いきたいん…でしょ? ふぁ…あの子の…ところに」
今、敵が現れたら。匂いでも、音でも、声でも、聖女の居場所を突き止めるのは造作もないことだろう。そして、彼女は今、余りに無防備。
「大丈夫…よ。とおりがかった男でも…ふぅっ…女でも…人…でも、動物でも…食べちゃうから…。ゃうっ…行きなさい…、貴方も…貴方のするべき事を見つけに…ね…あの子…も……」
自分の為すべきこと。部下のウィスパーが送る映像が脳裏に写る。ゴーストリングはもう一度だけ躊躇いを見せてから…、最後の跳躍をした。
愕然。闇の王の虚ろな目に宿った感情はまず、それだった。ついで、憤怒。取るに足りないゴミに、手に入れていた力を寸前で奪われた事。人を捨て、魔に転じてより幾星霜、この日、彼の受けた屈辱程のものは記憶にない。
『人! 人! 魔ノ力無キ脆弱ナ存在ガ…身ノ程ヲ知ルガ良イワ! 我ハ王ナリ!』
彼の周囲に、巨大な魔力方陣が開いた。
『星界ヨリ我呼ブ…禍ツ星ヨ…来タレ』
「なっ…早い!」『いけない!』
バックステップで下がるアサシンの動きよりも早く、詠唱は進む。人の身には不可能な速度で編まれる最強最大の攻撃呪法。詠唱を妨害すべく、深淵の騎士が投じた手槍はそれ自体が意思を持つ魔杖に噛み砕かれ、ダークロードには届かない。老司祭が、深淵の横で立ちすくむアコライトの腕を引き寄せる。反対側には、自分の役割を心得たらしい妖精耳のプリーストがさっと寄り添った。
「…力を貸すのだ、囁け、詠唱を…祈り、念じよ! Sanctissimi…」
『ファファファ…ソノ術ハ1000年前ニ既ニ見タワ!』
聖体降福の条件は、三人の聖職の神への祈り。闇の主は詠唱を続けながら、一番ひ弱そうなアコライトの少女めがけ魔杖を投じる。
「……先輩っ」
思わず目を閉じた少女の髪を、ふわり、と風が揺らした。
『Meteor Stor…』
「……Sacramenti!!」
老司祭の声が闇の王のそれよりも一瞬早く響きわたる。三体の天使が大空に舞い上がり、落ちてきた巨大な隕石を…砕いた。少女がつぶっていた目を、おずおずと開けると、頭上からぽたり、と何かが垂れ、反射的にかざした手が染まる。……青黒く。
「…おちびちゃ…ん?」
『……齢800年…初メテ出来タ相棒ヲ守ッテ死ス。良イ死ニ様デ…アル…』
魔杖の軌道を自らの身で逸らしたゴーストリングが、浮遊する力を失って彼女の頭上に落ちた。少女が両手で受け止めたその身がうっすらと透き通っていく。
「……嘘…そんな、なんでここに…あなたが」
その答えはわかっている。弱い彼女を守る為。あの青年の代わりに、戦いを止めようと言いながら…、その実、死ぬつもりだった彼女の身代わり。
「駄目…まだ…助かるから。逝かないで」
精一杯癒しの奇跡を祈る。ゴーストリングの燐光を放つ目が、彼女を見た。
『…相棒ヨ…オ前モ…自分ノ為スベキコトヲ…探セ…。先輩トヤラノ代ワリデハナイ…オ前自身ノ…望ミヲ』
『低級魔ノ分際デ…邪魔ヲシオッテ!』
震える少女の頭上に再度振るわれた杖は、古城最強の騎士の黒剣に阻まれていた。
『…ゴーストリング。貴様の名、胸に刻もう』
巨馬が静かに鼻を鳴らす。
『ノワール・ケニッヒよ…。お前もまた、あやつの死を悼むのか。責めはせぬ』
戦場に感傷は禁物だがな、と続けて…深淵の騎士は愛剣“漆黒の処刑人”を槍に転じ、構えた。それは、騎士の持つ最強最大の技…。
「…Brandish Spearか。確かに、聖体降福が切れるまでの時間で奴を倒すには…あれしかあるまい」
深淵の騎士の隙の無い構えを見て、騎士が唸る。勝負の時間は呪文妨害が切れるまで…。次の聖体降福の儀式は、もう不可能なのだ。アコライトの少女が未熟であった分だけ術にかかる負担が大きかった妖精耳のプリーストは、気を失い、相棒のクルセイダーの腕の中だった。
「だが、Brandish Spearは大技ゆえに隙がある。懐に飛び込まれると避けられる事もあるらしいが…」
言いながら、援護に入ろうとした暗殺者を騎士が制する。
「黙ってみている方がいい。あの角度を崩さなければ…隙は出来ない。問題は、魔杖と処刑人。武器としての格…だけだな」
- 993@新スレの容量をがりがり削る!sage :2004/05/13(木) 20:58 ID:.HpFMQls
- 首都中央通りでは、意思無き存在と人との激戦が続いていた。最初はばらばらに戦っていた冒険者達だったが、今はすべて三々五々集まった即席PTやら顔見知りやらで戦っている。集まっているもの以外は各個撃破されたという言い方もあるわけだが。
「16! 17! 18! 19! ほら、気張る!」
ここでも、やたらに元気な女アサシンに率いられた一団が、効率的ではないが、息のあった連携で、路地に篭っていた数体の敵を粉砕して通りに戻ってきた。
「17! 18! 19! 手を休めるな変態ども!」
その正面の路地でも、同じような声が聞こえ、ずたずたにされた魔獣が大通りにたたき出されてくる。後を追うように、やはり女アサシンが顔を出した。ちょうど、二人の目が合うようなタイミングで。
「……そっちも……19? …また同じ!?」
「……やるじゃない? ふふふふふ」
ぎらぎらとした目で、口元には余裕の笑みを浮かべつつそんな会話を交わす二人。その背後では、一方の連れらしい実直そうな騎士と他方の連れらしい無口な聖職が頭を下げたり、気にするなと目で返したり。可愛らしいアコライトが律儀に鐘を鳴らしていたり。誰が始めたのか知らないが、この鐘のお陰で出会い頭の同士討ちが結構減っていたりするのである。
「姐さん! こっちにハーピー!」
舞い降りた悪魔が飛び去りかけるのを、ブラックスミスが素早い連打で抑えながら悲鳴を上げる。この枝テロで呼び出された連中は皆、狂ったような赤い目をしていたが、それもそうだった。
「頑張りな!」
「…ちっ! 次は負けないから!」
予期せぬ激励にちょっとだけ頬を染めつつ、捨て台詞と共に一方のアサシンが背を向けると、騎士がその横を抑えるように妖鳥めがけて突っ込んだ。最後に歩くアコライトの娘が支援の合間に少し振り返って残る面々に頭を下げる。
「うわ、俺に気がある? あの子」
「……(またはじまったか、という顔)」
「…へらへらするな、この馬鹿! ……あ、あの牛野郎だ! あたしのカツ丼を返せ!」
食事中をテロに巻き込まれたらしいもう一方の集団も、やけに悲しい叫びを上げながら別の路地に突き進んだ。
が
「うわ、強ぇぞ、こいつ!」
「しかも…早い! 姐さん…ここは俺が食い止め…」
「勝手に悲壮感出してるんじゃないっ! 広いところまで下がるんだよ!」
路地に入ったときと同じか、それに勝る勢いで転がり出てきた一同の向こうからは、真紅の肌の巨大なミノタウルス。
「さっき食べてたのはサベージベベカツ丼だってのに、何で牛がそんなに怒るんだよ」
「……(こっちに聞かれてもわかるわけが無い、という顔)」
などとドタバタしつつも、広いところに出たらさっと散開して敵を包囲するあたり、熟練の冴えをを見せる一同。どの敵を狙おうか、牛頭の巨人が迷って足を止めた瞬間。
二つの轟音と共に、その姿は煙の中に消えた。
「かーっ…ぺっ…。老人を酷い物に乗せるのう…。それに、人の街のど真ん中とは…」
「…あれ? スーツの中…で寝ちゃってたんだ? ここは…」
「! ……目が覚めたなら早くどきなさい。レディたるものがはしたない」
自分のお腹に幼い少女を乗っけた状態で、急に威厳溢れる教師モードになっても欠片も説得力がないわけだが、そこは普段からのしつけが物を言うのか、少女はおとなしくスーツのハッチをあけ、外に出た。その後を、髭の公爵閣下(人間形態)が這い出る。
「………(何か凄いものをみてしまったという顔)」
「……あ」
その様子を、偶然正面から見てしまったごついプリーストが彼らの前で固まっていた。…一方その頃。
「あーーー! この仮面詩人! いつか時計塔に可愛い女の子がいるとか大嘘言ってやがっただろ、おい!」
「何! …あれは嘘だったのか! じゃあ、あの時売ってたこの下着も偽物なのか!?」
細身の詩人を小一時間問い詰めそうな表情で締め上げるローグの横で、小さな布切れを手に、モンクがあらぬことを口走っていた。更にその後ろには…
「…あ! 姐さん! こ、これは可哀想なその子に返してやろうと思って買っただけで…っ」
「あのWIZ娘さんをたらしこんで毎日時計に篭ってた訳はそれか。ふーん…」
「おう! 信じてくれたか!(ぐっ)」
「…あんたにロリっ娘趣味があるとは思わないけど腹が立つから蹴る!」
殆ど一呼吸で言い放つと同時に、形のよい脚が一閃した。どこを蹴られたのか、ぐはぁ! などと悲壮な声を上げて悶絶するモンクをよそに、ローグは詩人の仮面を引っぺがそうと綱引きを始めている。やれやれ、とばかりに向き直ったアサシンの視界に、何故か子供と老人を連れた殴りプリがクレーターの奥から戻ってくるのが見えた。
「で、牛は?」
「……牛?」
ちょっと斜めになった仮面を必死で抑える詩人が、アサシンに答えた。その裾に、よほど懐いているのか10歳過ぎくらいの少女がぴとっとはりついているのが微笑ましい。
「…それについてはワシが確認したところ、あのでっかいのに潰されておったな」
彼の指し示す“でっかいの”こそ自分達が乗ってきた砲弾な訳だが、無口な聖職者が彼らの事を告げない限り、自分達の素性を教えることも無い、と魔族の公爵は考えた。その辺、さすがに魔界の貴族だけ合って計算高い側面を持つお爺ちゃんなのである。バースリーとお茶を啜っている姿しかみていないと想像しがたいことだが。
「あー…まぁ、あんたら良くあの爆発で平気だったなー、とか思うところはあるわけだけど。とりあえずここは危ないから、とっととその辺に隠れ…」
ローグがその辺を手で示そうとしたが、あたりはテロに加えて謎の爆発のせいで見る影もない。
「…る場所もないからアタシ達についといで。守ったげるから」
「……うん」
気分によってはいくらでも優しい表情になれるアサシンが、視線を落として少女に微笑みかける。それを、前かがみになったままのモンクがちょっぴり羨ましそうにながめていた。その足元がずしん、という音と共に揺れる。
「へ?」
「何じゃ?」
『モォォォーーーー!』
牛巨人の雄叫びと共に、巨大な砲弾がめり込んだ地盤ごと宙に舞い上がった。梟公爵が驚愕の声を上げる。
「なんじゃと!」
「あー…年度末の手抜き工事で下の地盤がスカスカだったって訳か」
冷静に解説するローグだが、避けるだけで精一杯。赤いミノタウロスは通常の三倍(ローグ調べ)位の速度でごっついハンマーをぶん回し、当たるを幸い、次から次と周辺の建造物…の残骸に止めを刺していく。
『家を壊すモゥ!道を壊すモゥ!』
調子に乗りまくった牛人の前に、普段よりもマジな顔になったモンクがすぅっと割り込む。
「そこまでだ! 喰らえ! 究ゥ! 極ゥ! ……白刃取りィィィィ!」
「……攻撃技じゃないのかよ!」
「よっしゃ! よくやった! あとはアタシに任せな!」
身動きが取れぬミノタウロスに、素早い連撃を叩き込むアサシン。が、その横合いから、雄叫びに呼び寄せられたらしい新手のミノタウロスがハンマーを振りかざした。それを最小限の動きで回避する。耳元を、唸りを上げて巨槌が通り過ぎた。
『…ぶちかますモゥ!』
「…不意打ちなんて十年はや…、あら、あらあらあら…なによコレ!?」
それまで優雅なステップを踏んでいたアサシンの脚がもつれる。
「ぬう、アレは…煩魔放留!」
「知ってるのか、爺さん!」
「三半規管を衝撃で揺らし、余りの煩さに気を放散させる魔の技じゃ…まさか、まだあの技を使う牛が居ったとは!」
弓が残骸の中に埋まってしまっていた為にすっかり役立たずの詩人と、人間形態では呪文も撃てぬご隠居モードの公爵が、雷電月光モードに入る間にも、ミノタウロスは次の一撃を放とうとしていた。モンクの声が悲しく響く。
「あ…姐さーーん! さーーーん! さーーーーーん!(エコー自前)」
- 1093@新スレの容量を容赦なく削る!sage :2004/05/13(木) 21:00 ID:.HpFMQls
- 首都を見下ろす鐘楼は、女聖職者の目論見どおり…、敵に囲まれていた。最初のうちこそ軽口を叩く余裕のあった面々も、休む間もない連戦に声も無い。鐘楼の表口に矢が飛び、剣が閃き、そして鷹が舞う。女プリーストは気がくじけそうになるたびに、街の中から響く鐘の音に励まされてアンゼルスの祈りを唱え続けた。
「…ちっ…まずいな」
裏口に回った約二名の実力者にはまだ余裕があったが、彼らにしても、情勢がよろしくないことは重々わかっている。この場に必要なのは、青い光を放つ極めた暗殺者よりも、広範囲の殲滅力を持った魔法使いなのだ。
「なぁ、知り合いに魔法使い…おったか?」
「いないな。いてもここまでは来れないだろう」
そう返す暗殺者の眼下には、細い街路をうめつくすような鎧の兵士の群れ。もともと人間味の無い外見のレイドリックだが、頭部がぼうっと赤く輝くその連中がブロンテラ市内にうろついている図は、古城で見られる以上に不気味だった。
「…待て! あそこ…誰かおるぞ!」
一段高いところで斧を振っていた赤逆毛のブラックスミスが大声を上げる。
「…見えない」
「確かに…女聖職者三人と…魔法使いみたいね。…そっちのレイドの群れの後尾に捕まってるみたいだけど」
更に階段の上にいた女ハンターが、射撃の合間に横目で確認したのを聞き、裏口の二名は考えるより早く行動に移っていた。
「2分持ちこたえてくれ」
「…あいよ!」
サングラスを指でくぃ…とあげるとブラックスミスが武器を上段に構える。レイドリックを倒すのではなく、その動きを封じる打撃を彼が繰り出し、目をくらませたらしいレイドリックの隙間を、銀光と化したアサシンが踊った。熟練した動きで敵の死角をつきながら、入り組んだ路地の影際を縫うように走る。細い路地を曲がり、瓦礫を飛び越え…、幾らか進んだ後で、何か武具を打ち合わせる様な音がすぐ前の角の向こうから聞こえてくるのに気がつき、咥え煙草のまま、彼はほっとしたようにほんの少しだけ笑った。間に合ったらしい。そのままの勢いで背後を向けているレイドリックアーチャーを蹴り倒し、中に踊りこんだ。
「Fire Wall! Meteor Storm!」
ぽとり、とアサシンの咥えていた煙草が地面に落ちるまでの、僅かな間で…、その魔法使いは恐ろしく速い詠唱を終えていた。暗殺者の今までの長い戦いの経歴でも、魔法支援も無しにこの速度で大魔法を放つ魔法使いは見たことが無い。世界は広い、ということだろう。しかし、彼が愕然としたのはそれが理由ではなかった。
「ありがとう あなたの ☆愛☆ を感じるわぁ〜」
「頼むから感じないで…」
「いやぁぁん! Wiz様ぁ〜助け…」
「…Fire Wall!」
曲がり角の向こうにいたのは、泣きそうな…いや、訂正、既に全泣きの魔法使いと、熟達した支援の合間にきゃあきゃあと黄色いダミ声を上げている二つの物体。その後ろで、なんとも言いようの無い表情でレイドリックを殴り倒すアコライト。
「……あ、すまん…。取り込み中だったか」
とりあえず回れ右をして戻りかけるが、その裾をがしっと魔法使いが掴んだ。
「た…助けてくれ…」
「…間に合っている」
何が間に合っているのか、意味不明の押し売り撃退用の言葉をもごもごと呟きながら、アサシンは滅多に無い量の冷や汗を流していた。
きっかり二分の後、鐘楼付近のモンスターは一時的なこととはいえ殲滅された。しかし、勝利の凱歌はそこに響かなかったという。
『…ダークロード…覚悟! Brandish Spear!!』
『……ファファ…』
黒光が閃き、嘲笑をあげるダークロードを土煙が覆う。タイミングは完璧。斜めではなく、水平に突きこまれたその技には死角も無い。だが…、
『…くっ!』
深淵の騎士の巨馬が、大きく背後に跳ねた。直前まで騎士のいたところに、巨大な穂先が刺さる。黒き処刑者、魔界でも屈指の武具は、その根元から叩き折られていた。
「…武具相手に…必中攻撃かよ」
交差した瞬間を正確に捉えていたのは、速さを極めたアサシンだけだった。突き出される黒い槍。その根元に、十字と円の組み合わさったような物が一瞬浮かび、それをなぞる様に魔杖が動いたのだ。まさに、魔技。
『…深淵ヨ、引ケ。…武器ガ折レテハ戦エマイ。我ガ…』
癒しの術ではすぐには治らないらしい足を引きずりながら、それでも魔王の威は消えず。彼の最強の雷術方陣を編む。闇の王にそれが通じると期待してのことではない。むしろ、目をくらませ、隙を作ることこそその目的だった。
『ファファファ…逃ゲに転ジルカ? 魔王バフォメット…汝ノ生命ガ代償ナリ!』
それに気づいた闇の王が嘲笑する。その身が黄色い燐光に包まれた。魔法が通じずとも、闇の王には恐るべき神速の剣術がある。魔王の鎌と、闇の主の杖と…、片方の傷を見れば勝敗は明らか。
『閣下! 囮ならば私が…』
いいかけた、騎士の眼前にあのアコライトの顔が浮かんだ。
(…ここで死にたくは無いだろう。魔王に時を稼がせれば、この場は君は助かる。最後の時を、愛しあう二人で過ごすことが、できるよ…)
青年は笑顔で語りかける。
(そうやって、どこまでも逃げ続ければ、いつか二人で結ばれ…)
『下らぬ児戯はやめろ、幻影!』
騎士は、篭手に包まれた腕を笑顔の青年に叩きつける。叫び声と共に、その姿は揺らぎ、ドクロを模したような奇怪な頭巾姿に変じると砕けて消えた。
『…私はあの者に言った。騎士である私と同じ強さを見につけろと…。騎士の強さは心にある』
今頃になって、気づく。職業は聖職者でも、彼はナイトだったと。彼女を受け入れ、二人で共に歩むことを望む、と言った日から…、彼の魂は常に、強かった。深淵の騎士が巨馬を撫でると、忠実な馬は嬉しそうにいななく。敵に背を向け逃げ延びるよりも、主と共に前を向いて死すことこそ、この漆黒の巨馬の望みゆえ。
『…騎士は、武具によりて戦うにあらず!』
騎士の脳裏に、もう一度最愛の青年の顔が浮かぶ。その顔は、少し怒っているような、困っているような。けれども、その目は彼女の決断を祝福しているように、笑んでいた。
(…もう一度、会いたかったかもしれない。その時には…)
『ダークロードよ、我が最期の一駆けを貴様の目に焼きつけよ…!』
“良く言った…気に入ったぞ。汝を認めよう”
轟…と戦場に爆音が響いた。
- 1193@新スレの容量をまだまだ削る!sage :2004/05/13(木) 21:01 ID:.HpFMQls
- 『…』
拡散した意思を、何かが呼ぶ。青年は、抵抗した。
(もう…疲れたんだ…)
『……人間、オ前ハ蛆虫ダ。ミッドガルズデ最下等ノ生命体ダ』
聞き覚えのある声に、青年の意思が収斂した。目の前が白く、波打つ。数秒考えてから、巨大な布の悪魔がすぐ前にいるのだと理解した。彼らの名はウィスパー(ささやき)。元来意思薄い思念ゆえ、一度焼き付けられた強い思念を繰り返しているのだろう。
「…そうか、本体が失われたのか」
青年の中の一部がそう断じた。ゴーストリングシステムという名の、この連携した偵察悪魔の群れは、一匹の思念体が他の全ての見た映像や音声を解析するらしい。解析に特化した中枢と、情報収集に特化した端末。中核を失った端末は、このように抜け殻になるのだろう。振って沸いたようなその知識を、彼は疑念もなく受け入れた。しかし、何故…彼の元にその悪魔がいるのか。
『……先輩っ』
右から、別のウィスパーが声を上げた。彼の良く知っている、あの少女の声だ。聞いた事のないような切迫した声に、反射的に動きかけて…停まる。
(ゴースト損傷度大…回復の為休眠モードに移行を提言する)
脳裏に、別の声が響く。さっきの、悪魔についての知識を告げたのと同じ声だ。自分は、とうとう狂ったのだろうか、と青年は考える。
(これが私=貴方の本来あるべき正常な状態である)
ならば、と青年は自嘲した。ならば、彼は狂っているのだろう。それが、彼のあるべき姿だったのかもしれない。
(否。創造者の望んだ私=貴方のあるべき姿とは、魔界の門。されど、創造者は失敗した。師より秘伝を受けなかったが故)
彼の中に、様々な情報が書き込まれていく。彼が、作られた存在であること。失敗作として放棄されたこと。そして、彼の心が目の前のウィスパー同様の抜け殻として作られていたこと。
「…そうか。俺は…虚無だったんだな」
目覚めた時、はじめて話しかけた人に、冒険者の訓練を受けるように言われて修練所に向かった。その中で言われたとおりに右往左往して、性格診断を受けたとおりに商人になろうとした。あの女性に会ったから、聖職者にすることにした。聖堂に勤めてから後は、命令にただ従っただけで日々が過ぎていった。そんな自分だから
「…あの闇の王に言われたから、そのままになったのか」
『許せよ…』
左から、老司祭の声がする。許しを請うべきは自分なのに。青年の本質が虚無であろうとも、彼を受け入れ、繋がりを保ってくれていた彼らを、死地に追いやったのは自分の弱さなのだから。そこまで考えて、彼は気がついた。周りに、白の霊が集まっているのは…
「…そうか、俺に繋がる“糸”を辿ってきたのか…俺を、呼ぶ声を拾って」
全て切れたと思っていた“糸”は…まだあった。そう知覚すると、自分に無数の“糸”が繋がっているのが感じられる。たまたま隣に座って言葉を交わしただけの“糸”。日曜の懺悔当番で悔恨の言葉を聞いた相手からの“糸”。細い糸の多くが、彼の知覚する先のほうで何かを叫んでいる。その声の後ろ、耳を澄ませば、聞こえるのは
「…鐘?」
首都の大聖堂で初めて聞いたときに、震えたあの音。そういえば、彼が自分で決めたことがあったような気がする。
(僕は、お姉さんのようなプリーストになりたいんです)
そう。その想いがある限り、彼は虚無ではない。虚無でいる事は、出来ない。
(私=貴方の状態は赤。これ以上の活動は存在の危機に繋がる)
頭の中の声は、淡々と事実だけを述べる。そう、彼は今日死ぬかもしれない。けれども、決然として立った。行くべき場所は、彼の手にある“糸”が導いていた。闇の王に通じる太い糸が。よろめきながら、一歩目を踏み出したその背中を、四つめの白い悪魔の声が押した。
『…行きなさい…、貴方のするべき事を見つけに…ね』
どこか、遠く。横座りのまま、膝の上の細かいモノを眺めていた管理者は、男の残滓を手ですくい、そっと口元に当てた。
「私も…いかなければ」
闇の君主とその軍勢を、今、残った者が止めなければ…世界は終わる。彼女もまた、愛していた世界が。
「管理者として命じます。空間位相…シフト。Gv空間を展開…範囲…極大」
世界を守る…守備側の者への攻撃を逸らす大規模な空間構造の転換。その書き換えに使うだけの力は、既に彼女には無い。不足を補う為に自らの身体を削り、術式は進行していく。彼女の肩から、胸から、全ての傷口から光が溢れ、世界中に散っていった。
「いつか。私が罪を償うことができたら…また、会えるでしょうか…。いえ、きっと…探してくれますよね…どこにいても」
光の中、誰に見られることも無く消えた管理人の最後の表情は、晴れ晴れとした笑顔だった。
鐘は鳴る。宿屋近くでは、寄り添う双子のアコライトの手で、髭面と優男の二人の騎士に守られながら。
「結局…BOT狩りしてるのな、俺」「星の巡りだ。諦めな、坊主」
「あの、二人とも…」「喧嘩しないでよ。大人気ない!」
鐘は鳴る。大通りの中央に決然と立ち、あたりを睨む精悍な槍騎士の、背後に寄り添うように立つ聖職者の手で。
「なぁ、たまには夫婦でハードなのも悪くないだろ?」「貴方と一緒なら、どこでも、ね」
鐘は鳴る。黒髪の少年の横に並んで立つ、一見、気の強そうな…でも、人一倍優しい蒼髪の少女の手で。
「貴方と組んでるとっ…厄介事…ばかりっ…」「え? 何!?」「飽きなくていいわねって言ったの!」
鐘は鳴る。旧剣士ギルド前の植え込みで、口元を引きつらせたアサシンを濡れた目でみつめているプリーストの手で。
「あ、野外エッチでエンゼラスって刺激的じゃない?」「…何馬鹿なこと言ってる(戦闘中)」
「鐘の振動が…ね、想像するだけで濡れてきちゃった」「………人の話を聞けよ…(戦闘中)」
そして、鐘は、鳴リ続ける。首都の中央広場でも…、
ごぉぉぉぉん!
「……(あれ、鐘を打った覚えは無いけど? という顔)」
『がお…!』
物凄くいい音と共に、ミノタウロスのハンマーをその身で止めていたのは、巨大な機械仕掛けの魔物だった。時計塔以外では姿を見られることも少ない、その名は。
「アラーム! …この馬鹿!」
『……がお(だって)』
詩人が駆け寄る。その横で、気を散じてしまったモンクの白刃取りが崩れ、赤い巨体が動き出そうとしていたが、…いきなりの雷光に撃たれて崩折れた。
「…やれやれ…もう姿を偽る必要もないですのぉ…」
魔界の公爵、オウルデューク。その、静かだが圧倒的な威圧感に反射的にローグが身構え…かけるのを、裏拳一発で制圧したアサシンが、自分を庇う姿勢のままで動きを止めたアラームに声をかける。
「…ありがと、お嬢ちゃん」
『……がお!』
アラームが元気な声を返した。
時折襲い来る魔物や魂無き兵士を共闘で殴り倒したりしつつ、その間に詩人が今までの経緯をかいつまんで話す…というか、歌う。
「…げ…、あれの中に人…ガセじゃなかったのか…」
「……(事実は妄想より奇なり、という顔」
途中からは、寝ていて事情を知らなかったアラームが、一人でも皆を助けに行く、というのをなんとか宥めたりすかしたりしながら、詩人の語りは終わった。なんとなく、一同に気まずい沈黙が走る。
「アルデバランもここと同じような状況かぁ…」
「くそっ…そう聞いたら助けにいきたいけどよぉ…」
彼らのような少人数ではついていっても当然のこと大局に影響はないのだが、さりとてこのまま放っておいて別れるのも何だか気が進まない。彼らの上に線描きの雲がうにょうにょと漂い始めた頃。
[もう時計塔に狩りにいけない奴の数(1/20)]
路地の裏に、なにやら吹き出しが現れた。
[もう時計塔に狩りにいけない奴の数(20/20)]
即座に数字が増える。どうやら、こそこそと隠れた連中がいつの間にか周囲を取り囲んでいたらしい。どおりで悠長に会話できる程度の敵しか沸かないわけだ。
「…あ、気にしないでください。俺達、バドスケさんの歌を聞きにきただけなんで」
「ただの時計塔マニアですから」
その他、方々からも声が上がる。自分の座っていた瓦礫のすぐ脇からも声が上がり、ぎょっとしたように公爵がその辺を見た。
「……俺、バドスケさん追悼記念で時計塔行ったんすよ…元気そうで良かった」
「95%回避の癖に俺の前に座り込んで朝までずっと泣いてたのは…あんたか!」
『…がおがお、がお!(喧嘩は駄目!)』
ハイド中で見えない相手を殴り倒さんばかりの詩人を、AMスーツのでっかい手が止める。それまで時々鐘なんか鳴らしたりする以外、ぼーっと見ていた殴りプリが、閃いた、という顔をするとおもむろに座り込んでチャットを立てた。
[とっとと鎮圧して時計塔を救いに行きたい奴の数(1/20)]
あっという間に、20まで数字が増え、あぶれたらしい連中により、そこここにチャットが乱立し始める。
[荒武隊体験入隊! や ら な い か(12/20)]
[時計塔ツアーいくよ!(9/20)] [時計特攻部隊(16/20)]
[実はライドねーさんハァハァ→(18/20)]
「……お前ら、最高!」
誰かがニヤつきながら口にした一言が、プロンテラの歴史を通じて最大級の祭りの開会を告げた。
- 1293@これで終わり!sage :2004/05/13(木) 21:03 ID:.HpFMQls
- 戦火やんだ古城を悠然と歩む、深淵の騎士。魂無き戦士たちの猛攻を受けた夜が明け、いつもと変わらぬ日差しが彼と城を染める。結局、連中は隊列を組んだ騎士団の敵ではなかった。しかし、思い出しても血が踊る…、最後の突撃。深淵の騎士団が集結したのは、1000年ぶりのことか。
「さすが…お強かったですねっ」
一人、あと片付けを続けるアリスが声をかけてくるが、それにも彼は慢心しない。自分より強い“戦士”が世界に5人はいる、と答えるとアリスが興味津々の目でその内訳を聞いてくる。ぬかった、と思いつつも答えた。
騎士団最強の少女と、その姉。まぁ、それ以外にまだ見ぬ己以上の強敵が3人はいるだろう、と。
いてもらわないと困るのだ。その出会いへの望みがあればこそ、彼は虚ろな空洞に騎士の魂を宿して在り続けるのだろう。そういえば、やはり長く生きるあの剣は出会いの望みを果たせたろうか。真の遣い手との出会いを。
「ぶるるぅ」
黒の馬が考え込んだ主人に不審そうな嘶きを向けたのに、騎士は我に返った。今晩あたりはきっと祝宴だろう。難しい事を考える必要はない。せいぜいジョーカーの姐御に酔い潰されないように気をつけねば。
その向こうでは、珍しくあの娘から褒められたらしいレイドリック兄弟が、慣れぬ祝宴衣装でうろうろしている。あのセンスは梟閣下か…。なむ。
「…剣の」
「ああ、弓の」
「「…戦士でよかったー!」」
がしがしと暑苦しく抱き合う連中に、何故かいつになく親近感を抱く深淵の騎士であった。
「また、挨拶もせずに出て行くの? あの子、また泣くわよ?」
仮面をつけた詩人の後ろから、本の精が言葉を投げた。
「…そういえば、お前は一滴も飲めはしないよな…。潰れてるはずはないか」
荒武隊の連中と、首都から来た人間達の祝宴…むしろ、狂宴は丸一日続いた。肩を叩き合う、魔物と人。明日になればもとに戻るのだろうが…
「このまま、ここに残ればいいじゃない。管理人だって嫌とは言わないわよ。あの子も喜ぶし、それに…」
続きを逡巡する本の精に、仮面の向こうの目は優しく微笑む。
「楽園計画の為にな…」
「え?」
「俺達が昔、夢見ていたはずの楽園。いつの間にか見えなくなってたものを、今日、見せてもらったからな」
彼が守っているはずだった少女のお陰で。…彼女があの時、あの人間を助けなかったら、今はなかっただろう。
(楽園計画は継がれねばならぬ。その心はな)
管理人は、確かに本質を見抜いていたらしい。傍で少女を見ていたはずの詩人よりも。過去の計画がどうであれ…、今はただ、彼女の見る夢こそが、楽園。その夢が叶うときまで、どれだけかかろうとも…。
未来は、きっと明るいから。
「だから、その実現の為に…俺は、もっと外で歌わなければならない。この歌を」
「……そう」
しばしの沈黙。それから、少しの間。
「不便ね。この身体…」
泣きそうな声の本の精に、詩人はあくまでも優しく。
「…そうだな。でも、それも悪くない」
『憎まずとも戦えるのだ、闇の君主よ…我はそれを人から知った』
「…無償の愛は…許し…か。吾子より教えられたわ」
『再び野心もって挑むならば、私は改めて貴方に槍を向けよう。この世界への愛ゆえに』
暴走した隕石の落下で燃える森の中。闇の君主は地を這い、惨めに炎から逃げていた。魔力源の殆どを破壊され、分身も失った以上、まだ強大とはいえ、…彼は一体の魔物でしかない。世界にとっては無力な存在だった。このまま一介の魔物として狩られるか、それとも地下に潜むか。あるいは魔界に戻るか。そのいずれかしか先の無い彼を、奴らはそのまま放逐した。…この、人の世界を知れと、告げて。
彼は人の事など知り尽くしている。かつては人の頂点を極めたのだから。だが、敗れたのはその取るに足らない人の群れのせいだった。理解できぬ。不合理だ。
『何故ダ…何故我ガ…敗レ…』
炎の途切れた小さな広場にたどりつき、力なく呻く彼の前に一人の男が立った。あまりに豪奢な黄金の髪以外はとりたてて見るべきところの無い男だ。だが、彼を見て…闇の王は驚愕した。
『…何故貴様ガココニ…。イヤ…ソレハイイ。我ニ力ヲ貸セ…貴様ノ力ガアレバ…』
「残念だがね、私に力を貸すのは君のほうだよ…悪魔の王」
『ナニ…ウ…ウボァァァァッッ…』
迷宮の森は、全てを飲み込み…燃え続けていた。
(どこかに続く。とか無責任に投げつけてみるテスト)
「…もう、教会に戻る気は無いのか?」
少女は無言で頷いた。首都の北門の前で、老司祭に別れを告げようと決めていたのだ。
「そうか。理由は聞かぬ」
彼にはわかる。あの場での出来事。人と魔が分かり合えるなどということは、教会にいては口にも出来ない。若い少女が飛び出すというのなら、今の彼はそれを止める気にはなれなかった。どこにいくのか、それも聞かない。この門を過ぎれば、少女とは追う側と、追われる側になるのだから。
「……では」
振り向く少女の肩に、老司祭の紫衣がかけられた。
「…汝を紫衣を纏う聖職者として任ず。達者でな…サリア」
そのちょっと後。どこか遠く。暗い部屋で、青く輝く水晶球を前に、フードの男が何やらぶつぶつと呟いている。
「……くくくっ…やはり失敗作でしたよ、あれは。今回の件は文書にも残らないでしょうね。…はい。……いえ、まぁ。……そうです」
なにやら叱責されている様子。あーあ、可哀想に。
「……ふん。闇の王を捕らえられなかったって? そんな非難を受ける筋合いは…」
途中から、一歩引いていた彼にはそのチャンスはあった。しかし…、二つに一つ。どちらかを取ることしかできなかったのだ。何故、闇の王の捕獲を優先しなかったのか、不明瞭ではあるが。
「……まぁ、ホムンクルスの蘇生など、そうできることではありませんしね…」
見上げた彼の目の先には、あのプリーストの青年がいた。
「……くくくっ…完璧です。これ以上の仕事は現代では誰にも出来ないでしょう。まぁ、あの状態からの蘇生で意識に多少の混乱はあるでしょうが…」
どこかの誰かに向かって説明口調で続ける魔術師を見ながら、青年がぼそり、と口にする。
「…俺は…誰だ?」
「名前? さぁ。どうでもいいじゃありませんか。貴方は生きている」
「……そうだなぁ…」
(……壊せ……犯せ…奪エ…)
考え込むその脳裏に、闇の王の残滓が語りかけた。
- 1393@……なんか一個抜けてる_| ̄|○sage :2004/05/13(木) 21:07 ID:.HpFMQls
- ・・・・・・12の前にこれが…
天空より飛来した巨大な砲弾は、その運動エネルギーの大半をもって闇の主の結界を撃ち貫き、その役を果たしていた。その荷は…、魔王の鎌を打ち払い、優雅な曲線と共にその首を打ち落とさんとした一撃を、微かに蒼味がかった刀身で止めている。その柄を握る者はなく、孤剣の主はそれ自身。
『……貴様…ミストルテイン…!』
“其れこそ我が名…地獄に堕ちても忘れるなかれ、堕落王”
ぎぃん…と音を立てて、噛み合っていた二つの武具が別れた。今度は魔杖に微かなヒビが入る。
『ガァァ!?』
“私を甘くみないことだ”
魔剣は己の認めた遣い手の下へと宙を舞った。
“さぁ…行くぞ。騎士”
『…ああ。行こう…魔剣よ』
自然体で巨剣を下げ、馬が歩むままにゆっくりと間合いを詰める彼女に、隙はない。闇の王が唸る。
『……ヤハリ…グラストヘイム城最強ノ騎士ニ…剣デハ…勝テヌカ…ダガ』
彼の声無き命に従い、魔杖が砕けた。その破片、一つ一つが写し身に変じる。…否、戻る。魔杖の正体、それはダークロード自身の魂を鍛えた物だった。
『ファファファファ…最後ニ笑ウハ我! 傷ツイタ貴様達ニ…我ラハ止メラレヌワ…!』
杖の影から無数に現れた闇の幻魔、ダークイリュージョンが主と声をそろえて狂笑した。その数と同じだけの魔法円が周囲に開く。そのすべてが、一撃必殺の大魔法…隕石の招来だった。そして、魔術防御に対する神の加護は既にない。
『…深淵ヨ…雑魚ハ我ガ刈ル。本体ヲ堕トセ!』
魔王の死をもたらす鎌が閃くたびに、ダークイリュージョンが哄笑を放ちながら裂けていく。バフォメットが戦列に作った間隙を埋めようと、残った分身が殺到する足元に、老司祭の聖十字方陣が開き、更なる幻魔達が閃光に消えた。
『ファファファ…』
幻魔は勢いを減じもせず、老司祭の術後の隙を狙ってその身を伸ばす。だが、
「はいはい、そこまでっ」
振って沸いたような災厄の影に砕かれ、消えた。驚く老司祭の横を、聖女が固める。交差した視線を下げたのは、司祭のほうだった。
「…お前が、正しかった」
「人が為す事は何も正しくない、神様じゃないんだから間違いは当然。…って、貴方が教えてくれたのよ」
ソードメイスを薙ぎながら、何事も無かったように返す聖女の笑顔を見て、老司祭は寂しく笑った。それは、遠い昔のこと。
「ようやく、俺たちにもできる仕事が出てきたか」
不敵な表情で、アサシンがカタールを構える。その横で騎士が無言のまま、両手槍を握りなおした。ずれてもいない軍帽を片手で直したクルセイダーが後ろに続く。その後ろでは、妖精耳のプリーストを優しく草の上に横たえたもう一人のクルセイダーが巨大な盾を地に刺し、何故か幸せそうな表情の詩人が矢筒に手を伸ばしていた。そんな彼らを導く突撃の合図を軍帽クルセが叫ぶ。
「…皆さん、存分にやっておしまいなさい!」
戦い続ける皆を、必死に支える少女にも幻魔が迫る。もう、彼女を守る相棒はいない。相棒の血で青く染まった髪を一振りする。…蒼も、悪くないな、等とらちもないことを考えながら。先輩は…、来ないだろう。ただ、一瞬でも多く…支援を。世界の為にではなく、自分の為に。自分に戦うことができる限り。
「…そう、気に入らないから、戦うの」
静かに呟きながら、近づく敵を見切り、もう一歩下がろうとした彼女の退路を樹齢数百年の大木が遮った。
「……っ」
目は…つぶらない。自分に迫る死を、最後まで睨みつける。戦うことを自分の意志で決めたから、もう、逃げない。…腐臭漂う幻魔は両手を彼女の細い首に伸ばし…そこを、強力な矢弾に勢いよく吹き飛ばされた。更に迫るもう一体を飛び込んできた鎧武者の剣が弾く。助かったことに驚く暇も惜しむように、少女は彼らに次々に支援魔法を飛ばした。
「…なぁ、剣の! たまには燃えも…」
「おう、弓の…悪くないな!」
戦う一同が目指すのは、ダークロードの本体への通路を切り開くこと。彼女の為に。
『……』
だから、騎士は目を据えて、ただその瞬間を待っていた。闇の王の詠唱が完了するまでの、永劫に等しい一瞬の間、その一点が開くのを待つ。
『…力を! この一撃に! Maximize Power!』
ミストルテインを掲げた漆黒の剣士が赤く闘気を発した。それを受ける闇の王も、黄金の気を発する。
『ヌゥウウウウ! TwoHand…Quicken!』
闇の王なればこそ、無手ですら放つ神速の剣技。そして、深淵の騎士の腕に、必中を表す黒い十字円が浮かぶ。
“武器破壊が無理ならば、それを持つ腕か…姑息、とはいえまいな”
『……だが、腕を砕かれようとも…』
“肉を切らせて骨を絶つ、か。文字通り”
天空彼方に流星のきらめきが見えた瞬間…、道は開いた。巨馬の目には、その道しか見えない。止まったような時の中を駆ける。星が頭上に落ちるよりも速く、敵の元に騎士を届ける為に。時間が重く、空気が粘る。一歩、一歩がやけにゆっくり感じられるのは、騎士の体内に駆け巡るアドレナリンのせい。全てが無彩色に見えるのは、一瞬の為に呼吸を止めたから。この一撃に、全てをかける。
「契約者として、命じる。止まれ…ダークロード」
突然響いた声にみしり、とダークロードの動きと、詠唱が止まった。全ての分身たちもそれに習う。動き出した時の中で、無防備になった闇の王の腹に、ずぶり、と魔剣が突き立った。魔力による誘導を失った流星が、森のそこかしこに、落ちる。
「…先輩っ!?」
湧き上がった火炎に照らされたアコライトの少女の目が、信じられないものを見るように大きく見開かれた。
「もうやめよう、闇の王。君には…この世界を壊すことなど出来ない」
『ヌウア…何故…意思ナド消エタ筈ッ…ダ』
「…消えないよ…人である限り。糸が繋がっている限り。心は何度でも蘇る」
青年はよろよろと、力なく歩を進める。深淵の騎士が、何かに気圧されたように青年に道を明けた。ミストルテインを引き抜かれた闇の王の傷跡から、どす黒い血が吹き出る。人ならぬ身にとっても、小さくない傷だった。
『…貴様…人デモ…魔デモ無イ身デ…何ヲ言ウカ』
ゆっくりと、自らの目に映る“糸”を手繰りながら青年が歩む。闇の君主の前へ。
「人とか…魔とか。その違いは…重要じゃない」
「譲れないものの為に…人も、魔も、神も…、そして俺も、戦う。自分の本当に譲れない…大切なものの為に。それは皆同じ…だから、敵になっても…分かり合えるはず…だよ」
幾人かが、他の誰かの顔を見る。
『何故ダ…何故…!』
「裏切って…裏切られたり…見失ったり…それでも手放せない…大切なものがここに…あるから」
アコライトの少女が、涙にぬれた顔をあげて青年を見た。
「…だから、それは戦う理由になる。俺は…大事な物を守る為に…ダークロード、貴方に挑むと、決めた」
『ヤメロ…ソレ以上ソノ口ヲ開クナ! 契約ナド飾リニ過ギヌ! 今スグ殺…』
闇の君主が片手で青年の胸元を掴み…水平に構えた反対の手を引く。それに目もくれずに、青年は自分の手から、世界に溢れる鐘の音に乗せて、“糸”に向けて語りかけていた。聖堂の仲間、街ゆく人々、狩場で交わした挨拶、見知らぬ誰かのレベルアップを祝った声…。
「俺は…今でも…。この世界が、好きです」
桜の散る頃。跳ねるポリン。そして、木の下のあの優しい微笑み。
自分の為に泣いている、少女の顔。
「…貴方達は…まだ」
無防備な青年の胸に骨の手刀が根元まで食い込んだ。一瞬前のめりになった首が勢いよくのけぞり、そして血を吐く。だが、彼の声は音を介さず…静かな森に、この世界に生ける存在全ての心に響いた。さながら鳴り止まぬ鐘の音のごとく。
『…この世界を、愛していますか?』
『…馬鹿ナ。無垢ナル者…苦痛ヲ感ジロ…死ノ苦痛ヲ我ニ、ヨコセ…』
闇の君主が吼える。その声に、もはや張りはない。静謐な青年の死を取り込むことは負の感情を糧とする闇の王にとって苦痛そのものだった。
『……殺セ…我ヲ憎メ! 憎メェェェェッ』
両手で顔を覆う闇の君主。彼の周りを囲む生ある者からの憎しみが感じられない。闇の君主は転生を果たしてより初めて孤独を感じていた。そして、それを否定するように…高く笑う。
『…ソウダ。我ニハマダ糧ガアル…貴様ラノ希望ヲ砕キ…絶望ヲ喰ラオウ』
再び思念映像を開く。周囲の強き意思の持ち主に、燃え落ちた古城と、瓦礫と化した時計塔、死臭漂うプロンテラを見せ付ける為に。
『…ファファファファ…人ノ都ヲ焼キ、神モ魔モ人モ…コノ世界ヲ等シク無ニ返シテクレル。…サァ…ドウダ。コレデモ我ヲ憎マズニ居レルカ? 居レマイ! 居レマイガ!!』
…映像から響いてきたのは、鐘の音。そして……無数の人、魔のあげる勝利の歓声だった。
- 1493@死して屍(略…sage 申し訳ない… :2004/05/13(木) 21:10 ID:.HpFMQls
- と、いうわけで。知人曰く、珍速物書きこと93な人です。
最後の最後で大ボケを…。多分、読んでくださった方は物凄く不快だったんじゃないかと…。
ごめんなさい、ごめんなさい…。
色々な皆様のキャラクターで好き勝手に遊ばせていただきまして、私はお腹一杯大満足です。
一瞬だけ顔お借りした皆様とかも含めると、結構な数に…。本当は、首都防衛戦で悪ケミ隊
(なんじゃそりゃ)と577氏のアコたんアチャさんケミたんの邂逅とかやりたかったんですが!
タダでさえ長すぎるので自粛しました。あー、時計スレ系も、深淵スレ系も…もっと色々やり
たかったんですけど! あ、そういえば…(以下エンドレス
以下、18歳以上の人にだけ、ネタばらし。嫌いな人は飛ばしちゃってくださいね。
18禁6スレの304の話を書いた後に、作中のぶち切れ性殖者が
「…俺様にだって純な若い頃が合ったんだよ! ていうか俺様、純すぎて壊れたんジャン!?」
とか脳に囁きだしたので、えー! とか思いながら出だしを純なノビくんっぽく書いて見たの
が最初で。続き書いていいよって言ってくださった皆様、ありがとうございました。
で、本編はというと、その時々の電波状況で枝葉が一杯ついて。いつの間にかノビたんと
アサくんの前世話に中盤の重点がシフトしてしまいました。
すみません、166様。うちの脳内ではGMたんは失恋してないです…ヨ。ちょっと転生で記憶が
飛んでたり、罪を一部身体で償ったみたいですけど(酷
もしもいつか、性殖者がジルタス様に搾り取られて更正した後にサリアに尻に敷かれる話とか、
GMとローグ改めノビたんアサくんのいちゃいちゃとか書くことがあったら、93と名乗りますね
(18禁スレいくかもしれないけど…)。あ、感想いただいた時のレスとかも…。
それ以外は名無しに戻ります。最後に、長いの全部見ていただいてありがとうございました!
えーと。とりあえず、以上!
…一部コピペミスとかあるのは、保管所で直した分をあげることにします。
- 15201sage :2004/05/14(金) 01:48 ID:TcNGjZoE
- >>1
スレ立てもつカレー&新作?GJ!
アコきゅんも良いがモンク師匠の更なる活躍を願う!
>>8
コラボ完結もつカレー
いやもう・・・思わずにやりとさせられる人々にメロメロだ。
思わず口調が普通にになってしまう程感動した。
くどいかもしれないがお疲れ様。そしてありがとう。
・・・一応続き書いたんだが・・・
自分で読み返して「ホントに面白いかこれ?」とか思ったんで書き直して出直してくるわ・・・
(文神作品の直後に出すとへたれさが500%増になるから嫌なだけかも知れん・・・)
下水リレー参加してないけど座談会やるなら顔を出してみたい奴(1/20)
・・・ここの存在知ったの2月だったから入れなかったんだよ・・・(TT)
- 16一個前の201sage :2004/05/14(金) 01:50 ID:TcNGjZoE
- ・・連書き申し訳ない。一個前の201な・・・
ちょっと喉笛掻っ切って来るわ
- 17('A`)sage :2004/05/14(金) 02:12 ID:FS0wtwhc
- >>93さん
コラボ、本当にお疲れ様でした。
あまり多くを語れませんが…いい話でした。面白かったです。
なんという珍速…遅筆でヘタレな私には羨ましく…うぁ。
まぁ、私もさっさと書かないと駄目なんですが…。
下水リレー参加してないけど座談会やるなら顔を出してみたい奴(2/20)
…参加してないというよりは、ヘタレ過ぎて出来ない奴の戯れ言…。
- 18名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/14(金) 02:36 ID:7mQp1d5E
- 「村の奥にある洞窟は、死んだ子供を埋葬する事ができなくて、遺体を洞窟に捨てていた時代がある。
今でも洞窟の奥では、成仏できぬ亡霊が彷徨っている……」
−とある村のお話−
あたしが目を覚ますと、目の前に見た事も無い黄色い動物が座っていた。
「目を覚ましたわね……」
黄色い動物は、あたしに喋ってきた。
「人間の大人が、まだ生まれて間もないあなたをこの洞窟に捨てに来たのよ。
死んだと思って捨てたか、育てられずに捨てたかのどちらかだけど…」
「そっか…おとうさんもおかあさんも、あたしを捨てたんだね」
「まぁ…そうなるわね」
言葉というものを口に出して言うには、まだ発育途中でできないけれど、
言いたいコトは頭に浮かんできて、黄色い動物には伝わっているみたい。
あたしが喋っても、それは「おぎゃあおぎゃあ」としか周囲には聞こえないわけで。
じーっとあたしを見ている黄色い動物さん。
「あたしを食べたりしないの?」
「……人間なんて食べないわ。美味しくないしね」
「おいしくないって知ってる事は、食べた事あるの?」
「もう、そうじゃないわよ。この子達を目の前にして、人間を食べられる?」
黄色い動物さんが横を振り向くと、そこには赤い服を着た女の子が立っていた。
女の子は、あたしをぐっと掴むと、そのままピョンピョンと跳ねだした。
「あなたと違って、この子は死んでしまってるけど…元は人間の子。
赤ん坊のあなたを見て、妹だと思ってるみたいね……」
女の子の顔は、死人のように青ざめて表情はないけれど、なんか嬉しそうなのはわかった。
あたしも、なんか嬉しい。
青い服を着た男の子や、青い色をしたガイコツさん、ふわふわ浮かぶ青い玉に、
着物を着たお姉さんが集まってきて、あたしを持ち上げたり、あやしたりしてくれた。
ここは死んじゃった人達のお墓なんだと思ったけど、不思議と恐くなかった。
捨てられた事に対しても、別にどうでもよかった。
この人?達が、これからあたしの家族になるんだから。
黄色い動物さんが、あたしを抱きかかえてくれた。
暖かかった。
それから何年もすぎて、あたしも大きくなった。
たまーに、人間がやってきたりするけど、みんなが追い払っていた。
それでも、段々と人間がやってくる回数は増えていって、ケンカの日々。
あたしも何かしないとなーと思って、色々と考えてみた。
「ねぇねぇお母さん、お寺の鐘って使ってないよね?」
「使ってないと思うけど…何に使うの?」
「この鐘を、こうやってこうして……じゃーん、武器の出来上がり!!」
使われて無い鐘を棒にくっつけて、鈍器の完成。
「……痛そうね」
「あとね、コレ。お母さんの顔にそっくりな帽子も作ったんだよ」
お母さんの顔に似せて作った、小さな耳の付いたかぶりもの。
「あらあら。あなたに良く似合ってるわよ」
「へへ」
なんだかあたしは照れくさくなって、頭をぽりぽり掻いた。
と、そこにソル太郎さんとアチャ助さんが血相(骨だけだけど)を変えて走ってきた。
「あ、姉さん大変ですゼ!!す、すぐそこまで廃人間の連中が攻め来てますワ!」
「カタブツのホロンも役にたたねぇ!トンデモな連中でっさ!ど、どうしましょう!?」
あたしはさっき作った鐘を手に取った。
「……行くのね」
「うん。丁度、気晴らしでもしたい時間だから…それに、奴らが狙ってるのはあたしだろうし」
「よ〜し、あたしがボッコボコにしてやる!!みんな、行くよ!!」
「オッス!!よぅし、お前らも姉さんに続けェ!!」
あたしのお家を荒らす人達に、ちょびっとお灸を据えてあげるのだ。
−おしまい−
時計とか城ばっかでフェイヨン行ってないなぁ〜
- 19名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/14(金) 10:35 ID:xao1A1Ew
- |Д゚)<コソーリと上水道リレー魔物サイドの話を置いてみる
|Д゚)<初めて投下するので、短かったりヘタレてたりします
|Д゚)<続きを一応書いてますが、ウザかったらスルーよろしく
|彡サッ
- 20上水道リレー 魔物たちの長い夜の始まりsage :2004/05/14(金) 10:37 ID:xao1A1Ew
- 「オークヒーロー様、迷いの森のバフォメット閣下から伝令が届いております」
バフォメットからの緊急伝令を、オークヒーローは自らの寝床で受け取った。
「ふむ、何の用事で伝令など寄越したのか…よし、読み上げろ」
「はっ、では読み上げます」
諜報・伝令担当のオークレディが早口で読み上げる。
「本日深夜、プロンテラ上水道にダークロード閣下と所属不明の部隊の進軍を確認、
現在所属不明部隊の殲滅に、プロンテラ騎士団と多数の冒険者の出動を確認、
そちらの救出にバフォメット閣下以下プロ北迷宮部隊が、ダークロード閣下と所属不明部隊の救出に出動予定、
我らの軍に、戦闘支援を乞う。
なお、ダークロード閣下との通信は途絶中との事 以上です」
「それは我らの軍だけか?他に動く部隊は?」
「はい、出動要請されている部隊は、ゲフェン、GH、そして我らの部隊です」
「よし、了解したとバフォメット閣下に伝えよ。それからオークロード殿を会議室へ呼び出しておくように」
「はっ、了解しました」
「ダークロードが通信機を切ったままにしておくとは考えられぬが…まぁ,良いか」
「ふふん、久しぶりの大規模戦闘になるやもしれん。楽しくなりそうだ…」
オークヒーローは、そう一人つぶやきながら戦闘装束を身に付けてゆく。
そして、約10分後、会議室にオークヒーローとオークロードの姿があった。
「ヒーローよ、伝令から聞いたが、これからプロンテラ近辺まで兵を進めるつもりだろうな?」
これから始まる戦闘の予感からか、鼻息も荒くオークロードがまくし立てる。
こちらはちょっと冷静に、オークヒーローが口を開く。
「もちろんだ、ロード殿。だがその前に一つ相談をしておきたい事があったのでな」
「ん?なんだ、ヒーローよ。我らに作戦など要らないのではないか?"見敵必殺"これ以外に何かあるのか?」
「無論"見敵必殺"が我らが隊の基本よ。だがしかし考えても見よ。今上水道にはダークロードのアホゥが居るではないか」
「それがどうした?何か問題でもあるのか?」
オークロードの頭の上にハテナが飛びかう。それを見てオークヒーローは(やれやれしょうがないな)という顔をして、話を続ける。
「ここで、我らがダークロードをうまく救出してみろ。あ奴に恩を売ることが出来るではないか」
「おぉ、頭が良いなヒーローよ。だがしかしどうやって我らが上水道まで入る気だ?あそこは今騎士団と冒険者が出張っておって、我らではとても無理だぞ?」
「おぉう、それは盲点だった。 …では、どうするかだな。ロード殿も共に考えてくれ」
「むむぅ、我に頭を使えというのか、ヒーローよ…」
オークの2大巨頭が、雁首並べて考え込んでもなかなか良い案は出てこない。そうこうしている内に灰皿の中に吸殻が溜まるばかり。
「むむぅ…」
「………おぉ、そうだ!良い案が出たぞ、ロード殿よ」
頭の上に、「/あはは」エモを出しつつ、オークヒーローが自分の考えを口に乗せる。
「今回の出動には、ゲフェンとGHの部隊も出るのであろう?そこでだ…ちょっと耳を貸せ」
「なんだ?ヒーローよ………ふむ、その案も悪くは無いな」
同じく頭の上に「/あはは」エモを出しつつ、オークロードも頷いている。
「よし、ではその作戦で行こう。 通信兵!!至急GH、ゲフェン両部隊と直通WISをする!!準備を!!」
「はいっ、直ちに」
担当仕官がWISの準備をするのを横目で見ながら、オークヒーローは遠い目をしてつぶやく。
「これから、長い夜になりそうだ…」
- 2193@屍sage :2004/05/14(金) 11:58 ID:q4j3LmnA
- >>前スレ246|゚ω゚)様
遅くなりまして申し訳ないです。貴方の文体は真似も出来ないのですが、騎士さんかこいーのでちびっとだけ
使わせていただきました。時計スレとか深淵スレネタが多すぎる最後のほうの私のですが、多分あっち在住歴長
の246様には楽しんでいただけたようで…幸いです。
>>166様
今更ですがスレ立ておつかれさまです。旧スレが容量的に怖くて投下を見合わせてたのでありがたかったです。
旧14様の設定を綺麗に使ってモンク師匠とアコきゅんもしっかり活かしつつ、ママプリの話を描く166様こそ、
コラボの偉い人ですね。それに比べt(略
あと、GMたんとローグさん、初出は166様だったのですね…だからAbyssさんがああいってたのか…
申し訳ない! 素で間違ってました…とりあえずしばらく吊ってます。
>>一個前の201様
ドジっ子仲間ー(勝手に仲間にするな えーと、待ってますよう。自分的には、どんなに長すぎて嫌になっても
ちゃんと毎回最初から読み直した方がよかった…、と後悔中なので、その決断もありだと…。自作で司教がいつの
間にか司祭になってるのに気づかずスルーしていた愚か者がここにいます…
>>('A`)様
ねぎらいありがとうございます。それと、シメオンさんが別人になってすみませんすみません。ライカセさん
絡みとか、陛下絡みのうちの勝手な妄想も黙殺してくださいまし_| ̄|○ ('A`)様のキャラとかをいじってると、
楽しかったんだけど…未完で続行中の作品で色々するのは難しいな、と思いました。
- 22名無しさん(*´Д`)ハァハァsage 感想は名無しで…っと :2004/05/14(金) 11:59 ID:q4j3LmnA
- >>18様
月夜花だー。見たことも無いんですけど、可愛いらしいですね。フェイヨンツアーに行ったつもりになって何か
書こうっと。 【脳内鯖】 λ.... λ三 <吊ルッテイッテタダロガ 【吊場】
>>20様
会議の席でも煙草な兄貴族イイ。でも、彼らの代名詞のハァハァが一回も出てこないのは…いちいち書くと
ハァハァだけで文章が埋まるから脳内補完しろって事デスネ。あにきー
- 23一個前の201sage :2004/05/14(金) 17:26 ID:zd5.hkKI
- 無理矢理テンション上げて書き直して来たんで投下させてくれぇ。
>>93氏
仲間がいると心強い・・・
いやいやをれみたいなヘタレと氏は決して同列では在り得ない。
多分周回差ついて並んでるんだきっとそうだそうにちげぇねぇ。
つか、めんどくせえしコテにすっかなぁ・・・良い名前も思いつかねけんど
- 24一個前の201sage :2004/05/14(金) 17:33 ID:zd5.hkKI
- おにいちゃん・・・
『次の任務で・・・バフォメット討伐隊に加わる事になった。』
行かないで・・・
『今回はいつもの様に生きて戻ると約束は出来ない。』
あたしを置いて行っちゃいやだよ・・・
『俺は・・・お前にとって良い兄で・・・良い保護者であれたかな?』
いやだよ・・・そんな事言わないで・・・
『当然、生きて帰るつもりではあるけどな。お前が大きくなって嫁ぐ日まで死ねないし。』
『つっ・・・ガラにも無いけど緊張してるのかな。食器を落とすなんて・・・いてっ』
おにいちゃんの指先をそっと口に含む・・・小さな頃は、こうやって傷を直していたよね。
『お前ももう小さな子供じゃないんだから、それは止めなさい。』
おにいちゃんが居てくれないと大きくなんてなれないよ・・・だから・・・
『ふぅ・・・育て方を間違えたかな・・・』
ちゃんと、帰って、来て・・・
頬を濡らす涙で夢から醒めた。
それは家族で過ごした最後の幸せの時。
両親はあたしを生んですぐの頃に事故で死に、年の離れた兄があたしを育ててくれた。
兄は優秀な騎士だった。優秀であった為にバフォメット討伐隊に選ばれて、そして帰って来なかった。
あたしは、騎士団から兄の訃報が届いた時に誓った。いつか、必ず、バフォメットをこの手で討つと。
そしてあたしは冒険者への道を歩み出した・・・それでフェンと出会って・・・死にかけてた筈?
ようやく頭がはっきりした。
掛けてあった毛布を剥がしながら、がばっと跳ね起きる。
うっ・・・寒い・・・
あたしは、改めて毛布に包まりながら周囲を窺う。
薄暗い部屋。火の入った暖炉。ベッドに寝かされていたみたい。
ドアと窓は閉まっていて外の様子はわからない。
毛布を被り直してベッドから降りる。床の冷たい感触が素足に響く・・・すあし?
うん・・・靴、履いてないね・・・
いやーな予感がして、改めて毛布の中を覗いてみる。
服着てないじゃんあたし。寒い筈だよ・・・っじゃなくて!いや寒いんだけど!なんで裸なのさ!?
改めて部屋を見渡しても服は見つからない。
ってゆーかここどこよ!?
とりあえず目に入った窓に駆け寄ってがたん、と乱暴に窓を開ける。
一面の白・・・降り積もり続ける雪。白い熊と青いポリン。
びゅおっ・・・と雪混じりの風が吹き込む。・・・めっちゃさむ!!
慌てて窓を閉める。・・・今の一瞬で凍り付くかと思っちゃったよ。
今も寒いんだけど外と比べたら天と地の差があるわ・・・暖炉燃えてるし。風ないし。
次にドアに向かう。ノブに手を伸ばして・・・あ、こっち側に引くんだね。よい・・・『ごんっ』
・・・っ・・・!!・・・??・・・!?
目の前で火花が散ってお星様がくるくる回る・・・あたま、いたい・・・
ひとしきり転がり回って悶え苦しんでから、開けようとしたドアがあたしの頭を直撃した事を悟る。
涙で霞む目を凝らして、ドアの向こう側に立っていた人物を見上げる。
濃紺のふわりとしたエプロンドレスと、なんて言うのかな?頭にはひらひらの付いたカチューシャ。
・・・えーと・・・召使いさん?
首を傾げて何やら考え込んでいたらしいその召使いさんは、あたしの頭の所に屈みこんで。
「何をなさっておられるのですか?」
なんて聞いてきた。
正直、怒鳴りつけたかったんだけど・・・状況がわかってないんだからもっと様子を見ないとね。
冷静に、冷静に・・・
「・・・あなたが開けたドアがあたしの頭を叩いたのよ・・・」
「まぁ、それは大変失礼致しました。」
申し訳無さそうな顔だけどちっとも済まなさそうに聞こえない声で、深々と頭を下げる。
「・・・で、あなた誰?」
「わたくし、自動人形のアリスと申します。マスターよりササメ様のお世話を仰せつかりました。」
「えーっと、聞きたい事が結構あるんだけど・・・答えてくれる?」
「お答え出来る事でしたら返答させて頂きます。」
「ふーん・・・じゃあまず、なんであたしの名前を知ってるの?」
「マスターに伺いました。」
「マスターって誰?」
「申し訳ありません。その質問には返答致しかねます。」
「答えられる事なら答えてくれるって言ったじゃない。」
「はい。ですからその質問には答えられません。」
「ふぅん・・・内緒って事ね・・・じゃ、次。あたしの怪我を直したのはあなた?」
「はい。生命維持に支障を来す損傷でしたので治療させて頂きました。」
そう、一応気付いてはいたんだ。
背中だから確認した訳じゃないけど、動き回っても少しも痛くないのは治療済みなんだろうなって。
「お礼を言っておくね。ありがとう。」
「礼には及びません。マスターの指示ですので。」
「そのマスターっていうのはここにはいないの?」
「はい。マスターは現在こちらにお姿を出せる状態ではありません。」
「ここはどこ?」
「ルティエ南の雪原です。」
「・・・で、あたしの服はどこ?」
「ササメ様のお召し物は傷みが激しかったので処分させて頂きました。」
「・・・っ勝手に処分しないでよ!着る物なくなっちゃうじゃない!」
「ですから代わりの衣服をお持ちしました。」
あ・・・確かに、手には何やら衣服の類を抱えてる。
「寒いから早く着たいんだけど。」
「はい。お一人では装備し辛いと思われますのでお手伝い致します。」
「へ?一体何を着せようってゆーの?」
「お任せ下さい。」
「いやあのだから答えてってば。」
ベールアイテムが装備できました。
目隠しアイテムが装備出来ました。(ちなみにあの超高級品ではなくて単なる布)
猿轡アイテムが装備出来ました。
ウェディングドレスアイテムが装備出来ました。
足鎖アイテムが装備出来ました。
マタの首輪アイテムが装備出来ました。
手錠アイテムが装備出来ました。
ちょ、ちょっとちょっと!それダウト!色々間違ってるって!
猿轡なんて存在してないしマタの首輪装備出来るレベルじゃないし手錠は装備アイテムじゃないし!
あとそれ除いてもツッコミどころ満載な装備なんだけどそこんとこどうよ!?
あ・・・あ・・・手錠と首輪と足鎖の鍵掛けないでってば!しかも手錠は後手ってきっついんだけど!
だからそういうコトやりたいんなら
【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 七冊目【エロヽ(`Д´)ノ!!】
でやれっての作者!これがあんたの趣味なのはわかってるんだからね!
え、じゃー今からでもそっちに引っ越そうかって?
いやいや、ほらあたしじゃ色気とか全然無いしさ、止めといた方が良いって絶対。
なに、そういうのが受けるかもしれないじゃないか?・・・やめてくださいおながいします(TT)
・・・どうしてこうあたしの頭は飛んじゃうと訳のわからない事を考えるんだろう?
っていうかあたし今誰と喋ってたのかな?
と、とにかく状況の改善に努めないと・・・
「もがもぐむぐふみゅっ!」
「喋りたいのですか?」
こくこくぶんぶんと頭を縦に振る。猿轡が外された。
「・・・もふっ・・・なんでウェディングドレスなのよ!?」
「ササメ様はマスターの花嫁となられるお方ですから。」
「・・・はい?」
この人は何を言っているのでしょうか?あたしののーみそは理解する事を拒否してるよ。
「ササメ様は幸運にもマスターに選ばれたのです。」
「いやあのえーと・・・あたしの意思は?」
「必要ありません。」
「ないわけあるかぁ!それにこの拘束具は何の関係があるのよ!?」
「この事を申し上げましたら恐らく逃げようとするだろうとマスターが仰せになりましたので。」
「あたりまえでしょーが!」
「ですから拘束させて頂きました。とてもお似合いでございますよ。」
「いや・・・誉められても全然嬉しくない・・・」
(このままエロスレに持っていきたいくらい・・・いえわたくしの場合百合エロでしょうか?うふふ・・・)
・・・はっ・・・今何か聞こえた様な。意味はわからないけど何だかヤバイ言葉な気がする。
き、きっと幻聴だよね、うん。そうに違いないよね。(ガクガクプルプル)
「服以外の・・・剣とか盾とか鞄とかは!?」
「わたくしがササメ様の元へ伺った時にはありませんでしたよ。」
「何でよー(TT)」
「何故と申されましてもわたくしには分かりかねます。
さて・・・では、マスターをお呼びする準備をしなくてはなりませんので、わたくしは席を外しますね。
ササメ様はどうぞこちらでおくつろぎになってお待ち下さい。」
「これでどうやってくつろげってゆーの!?ってか待って待ってもう少し質問があるんだけど。」
「何でしょう?」
「そうは見えなかったかもしれないけど、ローグはどうしたの?一緒だったと思うんだけど。」
「現在別室で休息中です。」
「ローグがあんなになったのはあなたと何か関係あるの?」
「はい。マスターより預かった薬を渡しました。」
「どうして、そんな事をしたの?」
「マスターの指示です。」
「望んだら、あたしにもその薬くれる?」
「何故です?」
「バフォメットを倒したいから。」
アリスの、くすりと笑う声が聞こえた。
「おかしなササメ様。そんなものは必要ございませんでしょう?」
- 25一個前の201sage :2004/05/14(金) 17:41 ID:zd5.hkKI
- 「・・・は?」
「あら・・・意味がお分かりにならないのでしたらどうぞお忘れ下さい。」
そこで露骨に明後日の方向を見ないでよー・・・
「いやめっちゃ気になるんですけど・・・?」
「気にしてはなりません。よろしいですね?」
「よろしくない。(きっぱり)」
「・・・ササメ様、五月蝿いです。静かにしていて下さいませ。」
「ちょ、ちょいタンマ、何する気よ・・・むぎゅむぐ。」
・・・また猿轡?もういや・・・(TT)
「ささ、こちらに椅子も準備しておりますから。ずずいとお進み下さい。」
って言いながら人を荷物みたいに抱えるなよぅ・・・うあ・・・鎖を椅子の間に通したっぽい・・・
「それでは失礼致します。それほど時間はかかりませんのでご安心を。」
どうやって安心しろってゆーのよぅ・・・
ってゆーか展開が急すぎてついていけてないし・・・
アリスは部屋から立ち去ったみたい。
おーけい、状況を整理しなくちゃ。
目隠しのせいで視界はゼロ。周囲の状況は音で推測するしかなさそう。
助けを呼ぼうにも猿轡で大声は出せない。
動いてみようとしたけど手足は殆ど動かせない。予想通り椅子に括られてるみたい。
あたしは鎖を引きちぎれるマッチョガァルじゃない。
自力脱出はほぼ不可能。つまり要救助。
さっきちらっと見た感じで言うなら、今あたしがいるこの家はかなりはずれの方にあるらしい。
時間は・・・太陽なんて分厚い雲で見えなかったから判別し辛いけど結構遠くまで見えたから朝か昼。
でも・・・通りすがりの救助なんてのに期待は出来ない。
ちなみにあたしが居なくなって困る人は誰もいないし、居なくなった事に気付いてるのはフェンだけ。
・・・激しく絶望的な状況だと思うのはあたしだけだろーか?
このまま謎のマスターとやらに嫁がされるのかな。勘弁してほしい・・・
あのフェンがわざわざあたしの事を救けには・・・来てくれないだろうしなぁ。
なんて考えてたら、がちゃり、とドアの開く音。アリスが戻って来たのかな?
いや、足音がもっと重いし、音が固い。アリスじゃない。
その足音はあたしの真正面にまで近付いて・・・突然浮遊感、続いて衝撃。息が詰まる。
椅子ごとひっくり返すなんて無茶してくれるよ。これがマスターとやら?
大きく固く冷たい手が両肩にかかる。
あ・・・今の衝撃で目隠しと猿轡がずれた。首をぶんすか振り回して目を覆う部分を外す。
目に入ったのは・・・ストームナイトの顔。しかもどアップ・・・思考停止。ちっ、ちっ、ちっ・・・ぽーん。
思考再開。顔が恐怖で引きつるのが自覚出来る。
あたしの怯えを見て取ったらしく唸り声を上げる・・・んー・・・よし、ここは一発命名、ストームローグ。
(そのままじゃねーか!とかセンスねぇ!とか言わないでよわかってるよそんな事(TT))
「WYHUUU・・・」
え、と・・・不思議なんだけど、やっぱりストームローグが言っている事が何故かわかる気がする。
俺を見て怯えるなって言ってる・・・唸り声が頭の中で言葉として再構築されている感じかな?
怒り・・・憎しみ・・・後悔・・・絶望・・・孤独感・・・恐怖・・・悲しみ・・・怯え。
そんな感情が伝わってくる気がする。そうしたら、あたしの中の恐怖が薄れていった。
それにはストームローグの姿も関係あったかも。
最後に見た時よりも傷が増えて全身はボロボロ。最初に相対した時の力強さが全く感じられない。
緩んだ猿轡を一生懸命舌で押し出して・・・あぐあぐ・・・よし、舌の自由の確保。
「あのねぇ、縛られてる女の子を押し倒したりしたら普通は怯えるんだからね?
例えそれがどんなにカッコイイ男だったとしてもだよ。だから・・・
怯えるなって言うなら外見を気にするより先にまず優しく接しなきゃ駄目に決まってるでしょ。
目隠しされたままで縛りつけられた椅子ごとひっくり返されるのってすっごく怖いんだからね?」
あ・・・目が鼻みたいにまんまるになった。次に信じられないって表情・・・或いは感情?その次に驚愕。
「GYHRRRR・・・」
これは『俺の言葉がわかるのか?』って聞いてる。
「多分、聞こえてると思うよ。理由はわからないけど、うん。言ってる事、わかるよ?」
あー・・・無駄に長くなっちゃうから以降はあたしが直に通訳しちゃうね。
「確かにおめぇにはオレの声が聞こえてるんだな。」
「だからそう言ってるじゃない。」
ひょいっと倒された椅子を元通りにしてから、がばっ・・・と抱きしめられた。
えーと・・・あたしには拒否権なしっすか、これは。
ってゆーか、言っちゃ悪いのかも知れないんだけど、固いし痛い(TT)
「ちょ、ちょっと・・・痛いし・・・苦しいってば・・・離してよぉ。」
離れてはくれないけど力は抜いてくれたからちょっと楽になった。
・・・あれ、震えてる?・・・首のあたりにぽたりぽたりと液体の感触。
な、涙だよね、きっと、うん。よだれじゃないよね・・・ちがうよね、お願い涙と言って(TT)
「どうして・・・こんな事になっちまったんだ・・・」
まるで迷子になった幼い子供の様な頼りない声。
「じゃあ・・・聞かせてよ。何がどうしてこうなったのかを。」
そうしてストームローグはやっとあたしから離れてくれた。
あたしが聞いた話は・・・あ、状況説明は以前なされてるみたいだね。なら省略。
あたしが気絶してる間の説明の方がいいかな。
短距離転移技で逃げたストームローグ、名前はベックって言うんだって。
ベックは混乱したまま転移先で蝶の羽を使っちゃったんだ。
その結果、アルデバランの街中に出現してしまって、そこでも人々に追われたらしい。
それであたしが最後に見た時よりも傷が多くなってたんだね。
追い詰められてもう駄目だって思った時にアリスが現れてここへ連れて来たんだと。
「オレは・・・もうどうしたらいいのかわかんねぇ・・・」
「多分・・・何もかも元通りって訳にはいかないとは思うんだ。
でも、力を望んだらその姿になって、力が発揮できたんだよね?
それって、その力が人の形に収まりきらなかったからなんじゃないかな。
だから、力よりも、元の姿を望めば人の形に戻れるって可能性もあるんじゃない?」
「とっくにそう思ってるさ・・・けど駄目だ。戻らねぇんだ・・・」
「うーん・・・見た所怪我相当酷いよね?」
「あぁ・・・これでもアリスの治療を受けたんだがな・・・直りが遅え。」
「その怪我のまま人の形に戻ったら体が耐えられないから戻れないとかは?
もし人がそれだけの怪我をしてたら何回か死んでお釣りが来そうだよ。」
「・・・はっ・・・そうだな・・・」
そうだったらいいと願う様な、そんな都合良くいく筈がないと諦めた様な、そんな声でベックが答えた。
それから、しげしげとあたしの顔を眺めて。
「面白い奴だな、おめぇ。」
「どうだろ、そうなのかな?」
顎に手を掛けられて上を向かされる。
「欲しくなった。決めた。貰う。」
「・・・はい?」
貰うって・・・
「あたしは物じゃないぞー(><)」
「オレぁ悪党だからな。人だろうが物だろうが欲しくなれば貰う。駄目っつわれても奪う。」
あたしを拘束する鎖に手を掛けて・・・
「ササメ様を連れていかれるのは困りますね。」
何時の間にかベックの後ろにアリスの姿。
「邪魔すんじゃ・・・ねぇ!」
振り向きもせずに裏拳を振るうベック。屈んで避けるアリス。
「言葉で言っても聞いて頂けないのでしたら実力行使あるのみです。」
手に持っているブラシの先端部分が『ヒュゴッ』という音と共に火を噴き、弾かれたように動き出す。
アリス自身を支点として、円の軌道を描き・・・
「ブースト・ブラシ!」
『ガゴッ』と鈍い音を立ててベックの頭に炸裂するブラシ。もんどりうって壁に激突し動かなくなるベック。
・・・ゴ○ディオンハンマー?いやベックは光になったりはしてないけど。
「いかに貴方がわたくしより強くても、その死にかけの体の貴方には負けません。
重傷患者はおとなしくそこで寝ていて下さい。」
重傷患者って・・・張り飛ばしてしかも放置しておいてそれもかなりヒドイ言い草だと思うんだけどね・・・
アリスはパンパンと裾を払ってあたしに向き直り。
「お待たせ致しました。準備が整いましたのでこちらへどうぞ。あ・・・その前に。」
ご丁寧に目隠しと猿轡を着け直してくれました(TT)
- 26一個前の201sage :2004/05/14(金) 17:48 ID:zd5.hkKI
- そうして座らせた時と同じようにあたしを軽々と抱え上げる。
状況が変化しようとしている。脱出のチャンスが生まれるかもしれない。
あたしは、その瞬間を見計らう為に集中する。ふ、と肌に感じる温度が下がった。
あちらこちらに冷たい雪の感触。アリスがあたしを家から連れ出したのだろう。
とりあえず、服のおかげか寒さは耐えられない程ではない。
少し場所を移動してから降ろされた。アリスが後ろにまわり、左手側の手錠を外した。
その瞬間を狙って力一杯腕を振り回してアリスの手を振りほどく。
左手で目隠しと猿轡をむしり取りながら振り向き、遠心力を乗せた右の拳を水月に叩き込む。
アリスの体が九の字に曲が・・・らならなかった。
妙に固めの手応え。一瞬の戸惑いをアリスは見逃さずに突き出しているあたしの腕を掴んだ。
そして次の瞬間あたしが見たのはすぐ目の前にまで迫ったアリスの背中。浮遊感。世界が反転する。
反射的に空いている左手で受身。背中と左手に柔らかくて冷たい感触。
アリスは受身に使ったあたしの左腕を素早く掴み、右腕と合わせて手錠を掛け直す。
そこでやっとあたしは背負投げされた事に気付いた。
あたしを見下ろしながらアリスがにこりと笑った。
「残念でしたね。」
うっわーめっさムカつく・・・効いてないのねこんちきしょー。
アリスが改めてあたしを抱え上げて、立っている柱の傍まで引きずって行く。
両の二の腕を掴まれて上げさせられ、万歳をしているような姿勢を取らされる。
上に伸び切っても力を加えられ続けて、足が地面から離れた。
そしてその柱の上の方に付いている鉤の部分に手錠の鎖を引っ掛けた。
その高さには遊びが全く無くて、ちょっと爪先立ちになってる。
・・・逃げられない状況にはやっぱり変わらなかった(TT)
しょーがないから周囲を観察してみる。薄暗い、がみるみるうちに暗い、になっていく。多分黄昏時。
あたしが繋がれてる柱を中心に二重円と内部には向きが逆の三角形が重なるように描かれている。
二重円の間とか三角形の脇とかにはよくわからない文字らしきもの。って、これ、魔法円・・・?
「えろいむえっさいむ、えろいむえっさいむ、われはもとめうったえたり〜。」
アリスが呪文を唱え始める・・・待てコラ世界が違うだろーが。12使徒でも召喚するのかあんたは。
あんたのマスターって悪魔かいな?とゆーかあたしがここの配置で悪魔召喚ってさー・・・
はっ・・・花嫁ってまさか別名『生贄』だったり!?いやまさかそんな事ないよね・・・
アリスの呪文が続いている。魔法円が光り、黒い霧のようなものが染み出すように現れ、増えていく。
その黒い霧はあたしの目の前で朧げながらも人型を形成しはじめる。
うっわー・・・生贄説が濃厚になってきた気がするよ・・・
(・・・め・・・さ・・・さ・・・め・・・さ・・・さ・・・め・・・さ・・・さ・・・め・・・さ・・・さ・・・め・・・さ・・・)
目の前の黒い人型が喋ってる?・・・あたしの名前を連呼してるように思える。
人型が明確になるにつれて発音も明瞭になっていく。こわいよぅ(TT)
腕の部分があたしに向かって伸ばされる。
(ほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしい)
あたしはついに堪えきれなくなって固く目を閉じて叫んだ。
「い、いっやー!!」
ついでにがしゃがしゃと鎖を鳴らして暴れてみる。戸惑ったように黒い人型の動きが止まった。
次に感じたのは圧迫感。まるで心臓をゆっくりと握り潰されていくみたいで・・・息が止まった。
これは・・・怒気・・・かな・・・?あたしが拒否したから?でもどうしてあたしが怒られなきゃいけないの?
もう、訳が分からないよ・・・どうしてこんな事になってるのよ?
黒い人型が再び動き出す。伸ばされた腕があたしの頬に触れた。触れられた部分がひやりと冷える。
その時、初めてあたしは自分が泣いていた事に気付いた。
涙の跡をなぞるように腕が動く・・・けど、霧状の手はあたしに触れられている感触を与えない。
ただ、ひやりとする感触が頬を伝っているのが感じられるだけ。
その動きに何か優しさのようなものが感じられた気がして、あたしは思わず目を開けた。
目に入ったのは、物質として形成しつつある黒い霧と、その向こうの空を飛んでいる白熊。・・・え?
くまって空、飛んだっけ?
とか考えている内に白熊が巨大化していく・・・んじゃなくて、近付いて来てるんだって。
より正確に言うなら、こっちめがけて落下してる。
その白熊は手足をバタバタ動かしながら・・・あたしを飛び越えて魔法円の端の辺りに墜落した。
魔法円が放っていた光が炸裂し、目の前の黒い人型がバシュッ・・・と音を立てて霧散した。
白熊は黒熊になってふらふらしてる。あ、頭の上にお星様が舞ってる。
「きゃああ!」
呪文を詠唱していたアリスも吹き飛ばされて悲鳴を上げた。結構離れた位置にどしゃ、と落ちる。
詳しくは知らないけど、儀式魔法の中断による反動とかそーいったものなのかな。
上半身を雪原に埋めて下半身を直立させた姿は犬○家の一族・・・じゃなくて。いやそっくりだけど。
その脇を音もさせずに歩いて近付いて来るのはあたしが期待はしてたけど予想はしてなかった姿。
フェンが・・・こっちに向かって歩いて来る。
何となく信じられなくて凝視していたら、フェンの後ろにゆらりと立ち上がるアリスの姿が見えた。
短剣を抜き放ち、掛け出す。フェンの背中目指して。
「フェン、左へ!」
あたしの声に反応して左へ移動するフェン。その後ろから振るわれた刃が頬を掠める。
そのままの勢いであたしのすぐ隣にまで来るアリス。ふらりとよろめくフェン。
刃が掠めただけでフェンがふらつくなんて・・・ただの剣じゃなさそうね・・・って。
「ササメ様。彼への助言は無しに願います。」
またあたしに目隠しと猿轡を装備させるアリス。実況中継すら出来なくなっちゃうからやめてよね。
ただでさえあたし役立たず主人公道驀進中なのに・・・
「オーガトゥースか・・・確かに厄介だが。お前にそれが扱えるのか。魂持たぬもの。」
「使用者の魂を汚染するこの剣は人には扱い切れません。
ですが魂の無い人形のわたくしになら扱えます。
武器も持たずにわたくしと相対するのは自殺行為であると申し上げておきます。」
「その魔剣にもそう引けは取らない武器を所有している。気にする事はない。」
「そうですか。では遠慮無く。」
・・・みんなごめんね。音で判断するしかないんだよ。
他に出来る事もないからちょっと頭飛ばした解説していい?・・・暇なんだよー(TT)
- 27一個前の201sage :2004/05/14(金) 17:50 ID:zd5.hkKI
- 『でっ・・・でっ・・・でっ・・・ででっ・・・ちゃっ・・・ちゃちゃっ♪』
あ・・・これは緊迫感を持たせる動画版竜玉の音楽ね。
大体睨み合う二人がアップで交互に映ってるんだよね。このまま宣伝か次週持ち越しー、みたいな。
『ズシャッ』これは多分アリスがフェンに跳びかかったであろう足音だね。
『ズズズズズ・・・・』という謎の(段々コマが拡大表示されていく時の)J○J○バリの擬音。
『ズキューンッ』という謎の(何かが姿を表した時の)J○・・・以下略。
まぁ・・・漫画版スク○イドみたいに『ヤマネェェェェン』って擬音じゃないだけ良いかも。
『ボンッ・・・キュインキュインキュイン・・・』ん・・・これは竜玉で超化して金色に光る時の効果音?
『シュタタタタッシュンッガキンッ』・・・アリスが掛け寄って、激突した瞬間?
『ヒュンッシュシュシュシュッ・・・ズザッ』忍者物みたいに一瞬の攻防の後、距離を取って着地かな?
『ザ・・・ザ・・・ザ・・・』こっちに近寄ってくる足音。
「逃げるのですか?」
アリスの声
「お前は既に動けない。」
あ・・・すぐ隣からフェンの声。一瞬『お前は既に死んでいる』に聞こえちゃったのは内緒だよ。
「はふぁふほへはふひへぇ〜」
「・・・『早くこれ外して』でいいのか?」
こくこくぶんぶん。
「ぷはぁっ・・・フェ、フェン・・・目隠し取って、目隠し。」
「わかった。」
その言葉と共に視界が開けた。まずフェンの武器・・・って、もう仕舞っちゃったのかな?素手だ。
ちぇ〜・・・またフェンの武器、わかんなかったよ・・・
視界をアリスに転じると、剣を握るアリスの両腕が肩からごとり、と重たい音を立てて落ちた所だった。
そしてゆっくりと仰向けに倒れる。両の膝から下を残して。
最後に、倒れた上体から首が外れてころりと転がる。
切断面から血が出ていない事で、アリス自身が言っていた通り人形なんだと実感する。
・・・めちゃめちゃシュールな光景なんだけど。
首だけになったアリスが不思議そうに口を動かす。
「イツノマニ・・・ワタクシハ・・・」
「その剣は魂を汚染するだけではない。汚染した魂を力へと変換する機能を備えている。
人形のお前には制御は可能でも、真の力は発揮されない。それでは、俺には勝てない。」
「ソウデスカ・・・ジカイヘノキョウクントサセテイタダキマス・・・」
フェンが拘束具を引きちぎりながら言う。
「プロンテラに戻る。」
あたしはベールと目隠しを放り捨てながら肯いて、二人でプロンテラへの道を歩き出した。
「ねぇ、フェン。」
「なんだ。」
「どうして、たすけに来てくれたの?来る筈ないって思ってたよ。」
そう問い掛けた時、きゅるるるぅぅ・・・って音が。・・・あたしの腹の虫だよ悪いかこんちくしょう(TT)
何だかんだでまたごはん食べれないで丸一日以上過ぎちゃったんだからしょうがないじゃない。
ほんの少し、フェンの唇の両端が持ち上がった気がした。・・・もしかして、笑った?
「食事。」
「え?」
「まだ馳走になっていない。」
「あ・・・うん・・・そっか。おごってあげるから早く戻ろ?」
「わかった。それと、これが落ちていたから拾っておいた。」
あたしの+10ブレイドだ。受け取りながら尋ねる。
「え、どこで?」
「ストームナイトが転移した場所に転がっていた。」
「ほ、他には落ちてなかった?盾とか鞄とか・・・」
「いや、なかった。」
「あぅ(TT)・・・そっか。でも、拾っておいてくれてありがとね。」
「気にするな。」
食事ってフェンなりに気を効かせた冗談だったのかな。
冗談でも本気でもいっか。なんでだかちょっと嬉しくて、楽しい気分になれたから。
「ぐっぐっぐっ・・・えらぐ不便ぞうな姿になっだな・・・」
「・・・オオキナ・・・オセワ・・・デス・・・アナタニ・・・イワレタク・・・ナイデス」
「あぁ?ごうじで喋れるようになるまで戻れだんだ。オレば完全に元の姿に戻ってみぜるぜ。
で、でめえばなんだっであの小娘に執着ずるんだ?」
「マスターノ・・・ノゾミコソガ・・・ワタクシノ・・・ノゾミデスカラ」
「オレばぞぐばぐざれるづもりばない。ずぎにざぜでもらうぞ。」
「リョウカイシマシタ・・・ヒトツ・・・ウカガッテモ・・・ヨロシイデスカ・・・?」
「あん?」
「タマシイ・・・トハ・・・ナンナノデショウ?」
「ざあな・・・探じでみだらどうだ?」
「・・・ソウスルコトニイタシマショウ・・・」
アルデバランにて。
やたら周囲の注目を浴びるなー・・・とか思って、はたと気付いた。あたしこの服のまま・・・しかも。
「あー!!お財布!!あたしの全財産があああぁぁぁ!!」
お財布はアリスに処分されちゃった服の中で、鞄と盾は行方不明。
首輪と足鎖と手錠はフェンが破壊したし、ベールは目隠しに使ってた布と一緒に投げ捨てちゃったし。
あたしの現在の資産ってこの服と剣だけ・・・服を売ってお金に換えて装備買い直すべきだよね。
でも、現在無一文。売ってから買うまでの間、着る物なし・・・売れないよ。剣は売る訳にいかないし。
目立つ事この上ないけど、暫くはこのままで行かなきゃいけないかな・・・
- 28一個前の201sage :2004/05/14(金) 17:56 ID:zd5.hkKI
- 無理矢理なテンション上げでおかしくなっちまったんじゃねぇか?と脅えつつ。
ずっと同一の一人称で続けると飽き(られ)やすい気がするけど、どうだろう?
まぁ・・・ともあれまたしても板汚しスマンかった
- 29名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/14(金) 18:19 ID:q4j3LmnA
- >>前スレの201様
いいタイミングで帰ってキター。話が凄そうになことになってるー。
ササメさんが極めて順応性の高い性格だから、一人称でも結構回ってるのかなーとか
思ったり。飽きたりしないけど、書きにくかったら三人称混ぜるとか、別の人視点を混ぜるとか?
なんとなく、現実世界のアニメとか漫画ネタが一人称なのに満載だると違和感あるかも。
それも味ですけどw
ローグさんって…なんだか幸せになれない人が多いですねぇ…(他人事のように。577氏が
下水リレー後に全国の悪党スキーを救って下さることを期待しようっと…。
あ、すごーくどうでもいいけど“。」”は “」”にしたほが世間様の受けがいいかもしれません。
- 30名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/14(金) 19:51 ID:YrYFHvpw
- >>15,>>17
座談会に出たいのなら書けばいいんじゃないカジャラ
- 31名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/15(土) 10:44 ID:ZBNCcgfQ
- >>30
ほぼ話の大筋が立ってしまっているので、下手にキャラ入れてバランス崩れるのが怖いんだと思われ。
漏れもその一人だけど。
下水前カプラと道具商人の視点から書くと面白いかもしらんけど、絡ませ方がわからん。
- 32名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/15(土) 11:24 ID:e/hrjHyM
- >>31
電波がががが…
歴史の裏で、DIO様と延々戦うカプラたんファミリー…
「正確に言おう!カプラサービスに恐怖しているのではない!
カプラの萌えはあなどれんということだ!」
……とかいうネタ方面は却下ですかそうですか…。
最初思いついたネタは
「このダークロードの肉体が…完璧になじむには
やはり王家の血が一番しっくりいくと思わんか?
みんなのアイドルトリスたん3歳は 血を吸って殺すと予告しよう」
ダッタンデスケド これ以上混乱させてどうするかと。
【JOJOスレ】 λ....
- 33名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/15(土) 11:59 ID:9a8tpsVA
- >>31,>>32
既存のキャラを使って書けばいんじゃないカジャラ
- 34名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/15(土) 17:31 ID:e/hrjHyM
- >>33
それが難しいんですよ。人様のキャラさせられないことも結構あるしー。
わかりやすい例で言うと、他シリーズからお借りしたキャラって、殺したりできないじゃない?
(酷い例だけど。
リレーオリジナルのキャラは、この作品でどう扱われても大丈夫ってコンセプトだろうから…
どうあってもいいんだろうな、とは思うけど。オリジナルのほうが圧倒的に少ないのよね
…と泣き言を言ってみるてすと
- 35名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/15(土) 17:43 ID:dPcViU1k
- そこで短編で攻めてみるのも手ですぞ
- 36名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/15(土) 20:06 ID:dPcViU1k
- >>18です。どうやらわたしゃ、短編の方が得意かもしれない…
−−−−−−−−−−
日も暮れ、時間は夜。雲行きも怪しい。
プロンテラ中央噴水より、やや東に行った所に一軒の酒場がある。
…そこに、男ウィザードが一人、酒を飲んでいた。
薄暗い店内、客は誰もいない。
静かにグラスを傾けるウィザード。
と、一人の騎士が店中に入ってきた。
ウィザードと目が会うと、何も言わずに彼の隣に腰を下ろした。
最初に騎士が口を開く。
「……どうしたんだ、急に飲もうなんて言い出して。お前、あんまり飲むタイプじゃないだろ。
それに、ほら、嫁さんに酒、止められてるんだよ、近々子供も生まれるしな」
ウィザードは「ふぅ」と一息入れた。
「……巨大な両手剣を振り回して、騎士団でも屈指の荒くれ者と言われたお前も、教会の司祭と知合い、
そして結婚……もうすぐ一児の父か。時間の流れはゆっくりな様で、速いな」
そう言うと、酒を一気に飲み干し、グラスを置く。
「……おい、どうしたんだ?今日のお前は随分と飲むな…?」
「……。マスター、もう一杯だ。隣のこいつにも頼む」
「だから俺は飲まないって……」
グラスに酒が注がれ、二人の前に置かれた。
ウィザードは俯きながら、静かに言葉を発した。
「俺の友達が…魔法でも治せない病に冒されている……」
「……病?」
「ガンなんだ……」
騎士は、ハッとウィザードの方を向く。
「お前……!」
「……」
長い沈黙が訪れた。
幾許かの刻の後、騎士が口を開いた。
「俺、負けねぇよ……絶対に……」
「ああ……」
二人はグラスを合わせると、注がれた酒を飲み干した。
……外は、雨が降り始めていた。
−−−−−−−
駄文にお付き合い、有難うございました。
- 37一個前の201sage :2004/05/16(日) 05:30 ID:efPUKVp.
- >>29
感想サンクス。
一応飽きさせない為の努力というか試行錯誤の一環ってな感覚だったんだが
違和感があったなら以降はやめておくんで大目に見てもらえるとありがたい
あ、それと・・・をれローグは職として結構好きな部類だぜ・・・っと
フォローにはならんけど書いておこう。
>>31
>>34
全く持ってその通りなんだなこれが・・・
もしくはいっそ参加しそびれた者達で
全く別のリレーを開始して並走させるってのも手段の一つかも知れねぇけどさ
・・・いややっぱ下水リレー完結まで待つ方がええね
次で多少物語が進行する(筈な)んで
をれの方でもあの人を借りなきゃならんのだが
らしく書く自信は全くない。さてどうしたもんか・・・
- 38名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/16(日) 15:17 ID:xPeRfIUA
- 29だったり32だったり34だったり93だったりした奴なのですが、泣きごとばかりじゃ始まらないので! とりあえず、自分だったら書きやすくなるだろうな…という方向に余計なものをつけるべく努力してみます。
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計画は概ね金髪の男の予定通りに進んでいた。だが…概ね、というところに「不安」が残る。彼が1000年を生き抜いていたのは、魔力や身体能力以上に、その完璧主義に寄るところが大きい。不安感といえば。究極生命体となるまでの時間で「ミスリル銀」に気づく存在がある事は想定されていなかった。計画発動後、これだけ時間が過ぎて尚、地下深くに生き残る者がいることも。無論、個々人の資質、勇気は賞賛するべきことだ。いずれ役に立つ存在である故に、排除するのは惜しい、が…。
彼は「油断」を克服することが「生きる」ことだと思う。世界の頂点に立つ者は!ほんのちっぽけな「油断」をも持たぬ者。
「不安」には早急に手を打たねばなるまい。彼にはその為の手足が必要だ。それも、すぐに。そう決断すると、部屋の奥に並ぶモノに目をやる。一見するとただのドロの塊にしか見えるそれこそ、1000年前に服従を誓ってより彼と共にある者達。その、残骸だった。外見も性別も、種族すら問わず、ただ、彼へ奉仕する喜びだけが共通する価値観である忠実な兵士達。
男は、玉座から立ち上がるとすっとその塊達に向かって右の手を伸べる。招かれるように、数個の塊が浮き上がり、玉座の下まで滑り来た。
「誰か他のヤツの血で、わたしの計画は完成させるとするよ。……わたしの血で甦るがいい……」
彼が右手を一振りすると、青い血が数滴、その塊達に飛んだ。
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と、いうわけで。皆様の見せ場の為に各個撃破されたり、得意げに色々語って秘密を漏洩したり、ロマンスやら同情やらの末にDIO様を裏切ったりできるような、名前と人格とがある敵幹部を出せる素地を置いていくテスト。
ワニとか手首とかしか敵にいないとそろそろ演出がしんどいかな、とか思ったので。
つ【今日の気分:やらぬより、やってから後悔】
- 39名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/16(日) 16:40 ID:d1HG/SoU
- >>38
そう来たか……の前にちょっと質問。
ヴァニラ's(仮称)は人間型?それともモンスター?
モンスターだとしたらどの辺りのやつなのかも教えて欲しい。
- 40名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/16(日) 16:44 ID:d1HG/SoU
- と思ったら種族を問わないって書いてあった……難しいな
- 41えべんは@リレーリレーsage :2004/05/16(日) 19:27 ID:IaXk53kA
- Spirit of chivalry
鈍く瞬くのは槍の穂先。銀の軌跡は剣の切っ先。
漆黒の鱗を持つ毒蛇を仕留めた騎士。彼の背後から、数匹の毒蛇が飛びかかる。
食いつかれ、食い破られ、倒れた騎士へとさらに毒蛇が群がった。
魂が抜き取られるような耳障りな音が連続し、
その騎士は、断末魔もろとも黒い帳に飲み込まれた。
惨劇に気づいた騎兵が槍を振り回して、騎士だった肉塊に食らいつく毒蛇を蹴散らした。
しかしその騎兵も、数秒後には愛騎もろとも赤い蝿の群れによって穴だらけになった。
「くそっ!」
ガードとマフラーごしの一撃が、セージの体力を奪う。
彼は毒づきながら、何体目とも知れない魔物を凍結させた。
高耐性マフラーは爪は通さないものの、衝撃エネルギーまでは吸収しきれない。
本来ならば、前線で戦うのは彼の役目ではなかった。
「なんだって僕が──」
頭脳労働ならまだしも、このような殲滅役はウィザードの領分ではなかったか。
セージは緑色の光を纏う。
と同時に、彼の眼前で赤い蝿を相手取るアルケミストの足元に円陣が浮かんだ。
ひどく早口の詠唱。キャスティングタイムは、ほぼゼロに近い。
「激震をともないて大地の怒りを示せ──ヘブンズドライブ!」
セージのスペルに呼応し、
地より来たる土槍がハンターフライを打ち、刺し、貫き、荒れ狂い、
血の色をした蟲の群れを残らず地に叩き落した。
振り向いたアルケミストが、明るい顔をして言う。
「教授、ありがとうございます!」
先ほど意識を失ったセージは、ようやく起きれるようになったらしかった。
険悪な目つきと眠そうな彼は、動きに精彩を欠いていた。
目のしたに色濃く隈を作ったセージは、
しかし間隙を挟まずに先ほど作りあげた氷塊に向き直る。
「雷光刃となりて我が手に集え──サンダーストーム!」
放たれた雷光によって、レイブオルマイが氷の棺ごと砕かれ、飛散した。
そして、連続詠唱のディレイがセージを苛む。
普段はこの程度の連続詠唱では、どうということはなかった。
起きぬけという事と、事前の神経摩耗が響いている。
「いったいどういうことでしょうか……」
数体のサイドワインダーをカートで轢き潰しながら、アルケミストはセージに訊ねる。
のほほんとしている癖に、さり気なく戦闘能力が高い。
「さてね。今更なにが起きても不思議じゃないが、ただひとつ確実なのは、
このままだと明日の朝日は見れないだろうということだ」
詠唱レベルを抑えたヘブンズドライブが、再びアルケミストの周囲に具象化する。
「そんなあ……」
悲痛な声をあげながらも、アルケミストは正確にビッグフットの急所に海東剣を突き刺した。
地底から涌いたように、大量の魔物が騎士団の駐留する西門前に殺到していた。
古木の枝によって召喚された可能性も考えられるが、それにしては種族が揃っている。
プロンテラ北に広がる迷宮の森。侵攻してきたのは、そこに生息する魔物ばかりだった。
皮肉なことだったが、騎士団の腰の重さが現在の魔物から王都を守った。
拙速を尊んでいたならば、西門はあっさりと抜かれていたに違いない。
しかし、未来の魔物の襲来時刻は、刻一刻と刻まれている。
事態はなにひとつ好転していなかった。
「教授、なんとかなりませんか……?」
「ならないね」セージは断定した。
「このままここで足止めを食っていたら そうならざるをえない。
奴を止めない限り、上水道が『溢れる』のは必至だからね。もっとも──」
奴を止められるかどうかは、甚だ疑問だが。
「もっとも、なんですか?」
「いや……」セージはらしくもなく逡巡する。
「この襲来が『奴』の手による策なら、大した戦略家だと思ってね」
対応するためには、戦力を分散せざるをえない。いや、それすらも叶うかどうか。
先ほどの侵攻の規模は極めて大きい。
出撃前のわずかな緩みを突かれたとはいえ、
騎士団の半数以上が出撃しているこの部隊が、そのまま押し流されかけたのだ。
「うう……教授ぅ……」
哀れっぽい目をしたアルケミストの背後から、一騎の騎兵が向かってきた。
「全部隊、隊列を整えよ!」
大声を張り上げる騎兵。プロンテラ騎士団団長、ヘルマンだった。
「学者先生、ご無事か」
「ええ、なんとかね」
そうか、とヘルマンは安堵の吐息をついた。
「団長殿、現在の状況は?」
「ひとまず小康状態といったところだ。こちらにも相当数の被害は出たが、
掃討はほぼ完了した」
「そうですか」
かがり火が、満月めがけて火の粉を噴き上げる。風が、強くなってきた。
「学者先生、なぜ迷宮の森から魔物が侵攻してくるのか──」
「わかりません」セージは悔しげに顔を歪める。
「枝を使ったのか、別の方法なのか。ともかく、この地に魔を呼ばれるのは非常にまずい。
不本意ながら、事態の主導権は『奴』の手の中にあります。
恐らく先ほどの魔物は第一波。
あと数時間ほど時を稼げば、『奴』の目的は達成されるでしょう。
続く波を捌いているうちに、僕たちの命運は尽きます」
ヘルマンは沈黙した。
- 42えべんは@リレーリレーsage :2004/05/16(日) 19:27 ID:IaXk53kA
- 夜風が火の粉を吹き散らし、薪の爆ぜる音が妙に響く。
隊列を整える騎士達の具足が、金属質の音をたてる。戦死者に捧げる祈りの言葉が聞こえる。
「……学者先生」鎮痛な声をヘルマンは吐き出す。
「私は──私達は、詳しいことはわからない」
「完全な理解を求めているわけではありませんし、理解を促す時間も、もはやありません」
セージの突き放したような態度に、ヘルマンは寂しげな笑みを浮かべる。
「手厳しいな。……だが、残念ながら、……騎士という人種はそういうものだ。
学者先生のように先を見通す術を知らない、十四年前の事件も知らない、
隠蔽工作を幇助していたことを知らない。
……そして、十四年前に散っていった者達を知らない」
セージはこの時、はじめてヘルマンの眼を見た。
「私達にできることは、斬ることだけだ」
灰色の瞳が、彼を見据えていた。
「学者先生、助手先生。
上水道に、入っていただけないだろうか。この地は、プロンテラ騎士団が支えよう」
「……なんですって?」
そもそもセージは許可があろうとなかろうと入るつもりだった。
意識を失ったために機を逃していただけだ。
しかしヘルマンの言葉は、そんな彼にも少なからぬ驚きを与えた。
「僕の見立てでは、そう時をおかずにオークやゴブリンもこの地に押し寄せますが……」
上水道に外から魔物を侵入させるわけにはいかないし、
王都に侵入させることも許すわけにはいかない。
ここに残るということはつまり、死を意味していた。
「流石だな、学者先生。たった今、斥候のWhisが届いた。
オークどもが行動を開始した。ご丁寧に『王』と『英雄』もセットらしい。
北の森でも、先に倍する魔物が確認された」
遠雷のような地響きが、かすかに聞こえてくる。
倍だって? セージは軽い絶望感を抱く。
魔を倒すだけなら、倍でもなんとかなるだろう。
しかし、王都の死守を前提としたらどうなるか。
結果は、考えたくなかった。
「学者先生」
「……わからないことは答えられませんよ」
「我々の命、これより貴殿らに預ける。そして我々は、命ある限りこの地を守ろう」
彼らに賭けると、ヘルマンは言っていた。
そのための盾になろうと、障害を切り払う剣になろうと。
遠雷は、一秒ごとに大きくなっているようだった。
「ミスリルは、既に上水道内に進入している騎士団特務部隊が確保している」
既に、セージから視線は外されていた。
騎士が見据えるのは北の彼方だった。
騎士団団長ヘルマンは、愛用のサーベルを高々と掲げる。
切っ先は夜空を睨み、鏡のような刀身がかがり火を受けてきらりと光る。
「プロンテラ騎士団団長ヘルマンより全軍に通達!」
満月はいつの間にか、雲に隠れて見えなくなっていた。闇夜にヘルマンの声が木霊する。
「これより我らはこの地に留まり、魔を討ち倒す!」
堂々たる騎士の姿。ヘルマンは整然と隊列を組んだ麾下の騎士団を睥睨する。
「忘れてはならない者達のことを思い出そう、史実に埋もれさせてしまってはならない者達を。
十四年来のあやまちを、正す時が来たのだ」
ヘルマンはサーベルを一振りして、風を斬った。
「敵は強大である! 我らも、忘れられた同胞の一人になるかもしれない」
先に倍する迷宮に巣食うもの、英雄と王を擁した鬼人の群れ。
彼我の戦力差は、比べるのもばかばかしい。
「しかし。我らは騎士であるまえに、剣士だ!」
遠目に、死を運ぶものどもが見えつつあった。
地鳴りに負けない響きを伴って、騎士団長の声は夜を伝う。
「我らが墓標は剣ぞ、槍ぞ。
身を削って戦い続け、朽ち、砕けた鎧のように打ち捨てられ、
永遠と誓った友情が錆びついた剣のように忘れさられようとも!
残された墓標を! 剣槍に託した技を! ──我らは、忘れはしない!」
サーベルを両手で保持。
「死と栄光のためではない」
眼前に掲げ、
「ミッドガルドのために、我らの後ろの人々のために」
戦士の咆哮を。
「抜刀!」
盛大な鞘走りの音が後方より響いた。天に掲げるは剣槍は、水を打つようだった。
誰かがここを、守らなければならない。それでもセージは問わずにはいられなかった。
「……死ぬおつもりですか、ヘルマン殿」
しかしヘルマンは、にやりと不敵に笑ってみせた。
「そのような顔をなされるな。我らは、戦いに行くのだ」
足の速いハンターフライどもは、視認可能な距離にまで迫っている。
兜のフェイスガードをおろしながら、騎鳥を進ませ、ヘルマンは二人から離れた。
「成すべきことを、成すべきものが。お頼み、申し上げる」
それで、最後だった。
「いざや往かん!」
掲げた武器を構え、横隊は突撃体勢をとる。
「一匹たりとて抜かせるな!」
ヘルマンは言いざま、騎鳥を駆った。
響き渡るは鬨の声。バーサクの反動が地を揺るがし、
半数ほどの騎士が山吹色のオーラを纏った。
大地を蹴立てて、騎士達は、死地へと躍りこんだ。
その場に残された者は人だった物と、セージとアルケミストだけだった。
「教授……、どうするんですか?」
地鳴りのような戦闘音の只中で、アルケミストは不安げにセージを見つめた。
「決まっているだろう?」
彼は覚悟を決めたように、大きく息を吐いた。
「ミッドガルド最高の頭脳の持ち主は誰か、奴に教えてやる。行くぞ、ケミ」
- 43名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/16(日) 19:31 ID:IaXk53kA
- 今回の投稿は以上です。
- 44名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/16(日) 20:26 ID:S/FOfjXs
- 指輪物語のアレみたい。カコイイ!
- 45名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/16(日) 23:13 ID:7KNgeLao
- 熱い展開になってきた……と同時に複雑にもなってきたな……
- 46名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/17(月) 02:02 ID:cw8MFndk
- 俺がタバコを吹かせてぼぉっとしていると、後輩がやった来て叫んだ。
「先輩事件です」
「やかましい」
うるさかったので即答した。
「せ〜〜ん〜〜ぱ〜〜い〜〜」
後輩の声が怒っています。
「あしゅらはおーけんいってもOK?」
「用件はなんでしょうか?」
きみのあしゅらはおーけんは痛いです。マジデ。
「そうでした。先輩、事件です」
「だからなんだ?ホテルで密室殺人でも起きたか?」
俺はタバコの火をもみ消すと後輩を見た。
顔を赤くして、拳を握り締めて、それにキスしていた。
「冗談です、冗談です。話を続けてください・・・・・」
マジデあしゅらはおーけん2秒前でした。
「そうでしたね、ではあらためて。下水にてモンスターの謎の大量発生が確認されました」
ほぉ〜
「枝が?」
「枝にしては粒がそろっているとゆうか種類がまとまっています。それに・・・・かなりの数になります」
??
「種類は?」
「こちらの確認したところ、スティング、アクラウラなどのGHクラスのモンスです」
まさかな・・・・
「お前の結論は?」
「世界率(システム)が外部介入(ハッキング)されてる?ですか?」
「そうかもな」
俺は改めてタバコに火をつける。
「お前は現地に行って対処して来い。出来るだけ隠密でな」
「ひとりでですか?」
不満そうだな。
「モンクゆうな。非番で、稼動してるのは俺とお前だけだ」
「先輩は?」
俺か?そうだな・・・・・。
「俺は・・・・世界率関係(システム)のほうとか、お前のバックアップとかさぁ」
「楽してません・・・・・?」
「いいから行け。GM0x8.hena」
そういって俺は後輩を追い出した。
「了解です。GM0x1.json」
「あと報告は出来るだけしろ。危なそうだったら援軍を出す」
「どうやって?」
・・・・・・えっとだな・・・・・・・。
「非番の奴らに緊急事態いって呼び戻す。どうせキムチパーティーでもやってんだろうからな」
「キムチパーティーって、キムチをおかずにご飯を食べる会ですか」
いや言葉のあやとゆうかそうゆう奴だから、まじめに受け答えないで・・・・。あとわびしい会だね、それ。
「そんなことはまぁどうでもいい。行け」
「了解しました。後でキムチパーティーしましょうね」
そういって奴は下水に向かった。
キムチパーティーの意味・・・教えるべきかねぇ?
- 47名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/17(月) 13:37 ID:NCwxjixw
- こんにちは。アコたんがどうなったかの行間を埋めつつ、ネタを
投げていきます。
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「……ぜぇっ…ぜぇっ…」
気がついたら走っていた。大聖堂についてすぐ、あの異端者が目を開けて、
あの偉そうな口調で「西門へ向かえ!」と指図して…それから、どうなった
んだっけ?
考え込むように、口元に手をあてた。……塩辛い。下ろした目の先は、赤。
「おねーちゃん。泣いてるの?」
突然かけられた声に、びくっとして上げた目の先には花売りの少女がいた。
私に差し出された小さな、幼児特有の丸みを帯びた手の先には、一輪の花。
いつもなら周りで談笑している冒険者達も、兵士達もおらず、閑散としている
ここで、この少女は何をしているのだろう。何が起きているのか知らないほど
鈍いのだろうか。
「泣かないで。ね…花、どうぞ。さぁびすしちゃいます」
にこっと笑う。その手の微かな震えが、私の手に伝わってきた。
「…これが戦いだ」
声も出ない私に、あの異端者が詠唱の合間に言った。目の前の惨状を見ても、
会議室の中での口調と何も変わらない。偉そうに…、自分が何でも知っている
ような顔をして。しゃがみこんで震えている私をさぞ、無様だと思っているん
だろう。
「偉そう? 不本意だな。こんな状況くらい、既に予想済みだったから今更驚く
までもない、ということだよ」
「教授〜ごめんなさい。そっちにいっちゃいましたぁ!」
図鑑でしか見た事のない、真っ赤で巨大なチョンチョンが襲ってくるのを
見て、私の喉がゴクリ、と鳴った。その赤は、体色だけではない。
「逃げたければ逃げるんだね…。ただ、覚えておくこと」
地面から生えた土槍が虫の生命を砕く。粉々になった虫の首がごとり、と私の
目の前に落ちて何かを吐き出した。ばしゃり…と胸元に真っ赤な血がかかる。
それと、虚ろな目をした騎士の首。その目玉が内側から真っ白な蛆に食い破られ、
「……これが現実だよ、ポンコツ君」
見る影も無い騎士の頭部を、駆け込んできた別の騎士の騎鳥が踏み潰した。
「……現実…か」
少女から受け取った花を、髪に挿す。あの異端者と、あいつについていった
ばかりに死地に向かう羽目になった馬鹿な騎士団の人たちに捧げる為に、…この
花は、外さない。この事件が終わって、どこかのお墓に供えるまで。
「…ありがとう、お嬢さん」
私は走り出した。大聖堂に。あそこには…魔との大戦に備えて動かない聖騎士団の
本隊がまだ残っている。私なんかより、ずっと教条主義で頭の固い、でも、ずっと
力のある人たちが。
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- 48上水道リレー 魔物たちの作戦会議 1/2sage :2004/05/17(月) 15:22 ID:YPZVOBDs
- 起動したWIS装置の上に、ドッペルゲンガーとブラッディナイトが浮かんでいる。
その2人に向け、オークヒーローが切り出す。
「ドッペル殿、血騎士殿、出撃準備中に呼び出してすまぬ。」
「なに、構わぬよ。何か作戦があると聞いたのだが、そちらのほうが気になる」
悠然と構えているように見えるブラッディナイトだが、作戦の概要が気になるようである。微妙にそわそわしている。
「そうだな、私も気になる。おぬし達は力押しの作戦しか思いつかないと思っていたからな」
何気に酷い事を言うドッペルゲンガー。
しかしオークヒーローは、そんなドッペルゲンガーの台詞を気にも止めずに、話を続ける。
「うむ、では私の考えた作戦案を聞いてくれ」
そう前置きをして、オークヒーローは語りだした。
「ふむ、それも良いかも知れぬな。だが、いいのか?その作戦だと、そちらの部隊に被害が出ると思われるが…」
軽く眉をひそませ、ドッペルゲンガーが意見する。
「それもあるが、その作戦では、我らの部下がかなりの危険に晒されると言う事をわかって言っておるのか?」
渋い顔をしたブラッディナイトが、そう続ける。
「だがしかし、我らでは冒険者に行く手を阻まれるであろう。例え目的が同じでもな…」
「うむ、ゆえにこうやって協力を要請しておるのだ。血騎士候、ドッペル殿、どうか頼まれてはくれぬだろうか」
そう言って頭を下げるオークロードとオークヒーロー。
わずかな逡巡の後に、ドッペルゲンガーが口を開く。
「わかった、そなたら2人の頼みであればこちらも嫌とは言えぬ。その作戦乗ってみよう」
その返答を聞き、ブラッディナイトも軽く頷きながら答えを返す。
「ドッペル殿が動かれるのならば、こちらもその作戦に乗ろう。では、早速準備に取り掛かる」
2人の返答を聞き、顔を輝かせているオークヒーロー達。
「おぉ、ありがたい。それでは、こちらも準備があるのでまた後ほど連絡をしよう」
「うむ、では私も準備をするとしよう。久々に腕が鳴るよ。楽しくなりそうだな、ヒーロー殿」
軽くニヤっと笑ったドッペルゲンガーと、ブラッディナイトの映像が掻き消える。
映像が消えたのを見届け、軽く「ふぅ…」と一息ついた後、オークヒーローが声を張り上げる。
「よし、では出陣準備だ。通信兵!各支部隊長に収集命令!5分で集結させろ!!全員戦闘装備でだ!!」
「Sir Yes,Sir!!」
「さて、ロード殿よ、先に出て所定の位置で待機しておいてくれ」
「では先に出ているぞ、あまり遅れるなよヒーロー」
そう言い置いて駆け出していくオークロードを見つめながら、オークヒーローがポツリと呟く。
「ロード殿を行かせたのが吉と出るか凶と出るか…それは『管理者』も判らない…か」
…そして5分後、オークヒーローの前には数十人のハイオークが整列していた。
「よーし野郎供、よく聞け!」
オークヒーローの大声が、ハイオーク支部隊長達の間に響き渡る。
「現在、プロンテラ上水道内に所属不明の部隊が突出、騎士団と交戦中である!
その所属不明の部隊には、ダークロード閣下も参戦されておる!
我らの任務は、その所属不明部隊の救出に向かうプロ北迷いの森部隊の支援である!
存分に冒険者と騎士団の連中を血祭りに上げようぞ!」
「「「Sir Yes,Sir!!」」」
ハイオーク支部隊長達の返答が唱和する。
「では各員、15分後に第一種戦闘装備でオーク村入り口に集合!以上解散!!」
オークヒーローの命を受け、支部隊長達が駆け足で会議室を出てゆく。
後に残ったのは、オークヒーローとオークロード、そして通信担当のオークレディのみである。
「よし,ではまずゲフェン,GH両部隊に連絡を取る。通信兵、頼む」
「はい、ゲフェン、GH両部隊との通信開きます」
ブゥンという音と共に、WIS装置の上部に映像が浮かび上がる。
「はいよ、こちらゲフェン方面部隊所属ナイトメアだ。どうした?何の用だ?」
「はい、GH騎士団通信担当アリスです。ご用件をどうぞ」
「こちらはオークD駐留部隊副指令オークヒーローである。先ほどの作戦で話したい事があるゆえ、
そなたらの上官を呼んではくれまいか?」
「「了解しました」」
ナイトメア、アリス双方の声が唱和した後、映像が切り替わる。
「こちらブラッディナイト、作戦準備は完了しておる。人員は現在所定の位置に向かっておる。
騎士団の出動にもう少しの時間が掛かりそうではあるが、作戦の進行に問題は無い」
「こちらは、ドッペルゲンガー司令官より指揮権を委譲されたドラキュラです。ドッペル司令官は現在準備を終えて
所定の位置へ移動中、なおゲフェン方面部隊の出動準備は完了。いつでも出れます」
ブラッディナイト、ドラキュラ双方の連絡を聞き、オークヒーローが軽く頷き、話し出す。
「こちらオークヒーロー、現在オークロード殿が所定の位置へ移動中。オークD駐留部隊の集結はほぼ完了、
ではこれよりバフォメット閣下に作戦案を進言する。血騎士候、ドラキュラ伯、宜しいか?」
「こちらはいつでも構わんよ」「了解です、いつでもどうぞ」
ブラッディナイトは鷹揚に、ドラキュラは生真面目に答える。
「よし、ではこれより通信を開く。通信兵、プロ北部隊のバフォメット閣下との直通回線で頼むぞ」
「了解しました」
きびきびと手際よく通信準備をするオークレディ。さほどの時間も無く、プロ北部隊との通信が開く。
- 49 上水道リレー 魔物たちの作戦会議 2/2sage :2004/05/17(月) 15:24 ID:YPZVOBDs
- 「どうしたのだ?オークヒーローよ。まさか今更出撃できぬという訳ではあるまい?」
映像が映し出されるなり、開口一番オークヒーローに問いただすバフォメット。自慢の得物"クレセント・サイダー"を肩にかけ、
背後に赤いオーラを漂わせて、戦闘態勢に入っている。
「オークD駐留部隊の出撃準備はほぼ整っておる。ゲフェン、GH両部隊も同様だ。いつでも出られる」
並みの魔物なら、対峙しただけで萎縮してしまいそうな魔気を軽くいなし、オークヒーローはバフォメットに告げる。
「ならば何の用だ?我は今忙しい。我が部隊の第一陣が、騎士団と戦闘状態に入ったのだからな」
「早いな、聖女殿に嫌われるぞ?」「ウルサイダマレコロスゾ」
にやりと笑い冗談を飛ばすオークヒーローと、それを真面目に受け止めるバフォメット。
一転真面目な顔になり、オークヒーローが語りだす。
「ふん、冗談は置いておこう。一つ案がある。聞いてもらえるか。いや、聞かなくても聞かせるぞ」
「忙しい事は忙しいが、作戦案を聞けないほど忙しい訳ではない。話してみよヒーロー殿」
「了解した。では我が案だが、上水道に強行偵察隊を送り込む。なおこの案はゲフェン、GH両部隊も賛成しておる。
オークD・ゲフェン・GHの3部隊より腕の立つものを選び出し、すでに派遣済みだ。そろそろ指定の合流位置に到着する頃だろう。
何かあるなら今のうちに聞いておくぞ」
矢継ぎ早に報告を済ませるオークヒーロー。流石にバフォメット抜きで話を進めた事を多少後ろめたく思っているのかもしれない。
背中には冷や汗が浮いている。
「ふむ、確かに今は情報が少なすぎるしな。偵察部隊を出すのも悪くない。で、偵察隊には誰が出たのだ?」
あごひげを扱き、考えをめぐらせながらバフォメットが質問を返す。
「オークD駐留部隊からはオークロード司令官が出た」「ゲフェン駐屯部隊からはドッペルゲンガー殿が出ております」
「GH騎士団からは深遠の騎士を出したぞ」
驚きで目を丸くしつつ、バフォメットはオークヒーローを問いただす。
「各部隊の司令官級を出して大丈夫なのか?プロンテラの騎士団は我が部隊と対峙しておるが、いまだ大聖堂の聖騎士団は無傷で居るのだぞ?」
「聖騎士団の本隊と冒険者達は我ら3部隊で相手をしよう。何も問題は無い。まさか我らの敗退を考えたのではあるまいな…」
絶対の自信をにじませて、オークヒーローは言い放つ。
「ふん、万が一にも敗退する事はありえぬよ。プロンテラの西方面は任せておけ」
ブラッディナイトが軽く鼻で笑う。
「これだけの部隊が集まれば、首都を落としトリスタンの首級を上げる事も出来るでしょうな」
ドラキュラが口の端を持ち上げニヤリと笑う。
「よし、ではその作戦案で行く事にしよう。作戦名は"ダインスレイフ"、作戦概要としてプロンテラ上水道地下4階まで潜入、
最深部に居ると思われるダークロード卿と接触、情報を入手、後離脱。なお上水道内での戦闘は部隊員の判断に任せる。
ただし情報の入手が最優先であることは言うまでも無い。以上だな」
矢継ぎ早に指示を出すバフォメット。そしてそれに答える3人の魔物。
「「「了解」」」
「通信は以上だな。では改めて支援を要請する。頼んだぞ」
最後にそう言い残して、バフォメットとの通信が切れる。そして残された3人は目配せをして頷きあう。
「血騎士候、そちらに居る赤の司祭殿を偵察部隊との連絡役に置いてもらってよいか?バックアップ人員はこちらで用意しよう」
「了解した。そちらに司祭殿を送ろう。それではそろそろ我らも出撃するとしようか」
ブラッディナイトがそう言って席を立つ。
「では我らも出撃します。御武運を」
ドラキュラもそう言って腰を浮かせる。
「よし、では我が部隊も出るか。お二方ともプロンテラ西口前で会おうぞ」
「なるべく早く着くようにしよう。獲物が居なくなっても困るしな」
「では、また後ほど。戦場でお会いましょう」
ブゥンという音と共に、ブラッディナイトとドラキュラの映像が消える。
オークヒーローは煙草を取り出し火を付けると、深く息を吸い込み紫煙を吐き出す。
煙草を半分ほどの長さまで吸い、もみ消した後に声を張り上げる。
「各員戦闘態勢は整ったか!!」
「すでに整っており、ヒーロー様の御声がかかるのを皆待っております」
「よし、各員に伝達!!これより我らオークD駐留部隊はヒト共の首都プロンテラへ進撃する!!
Order only one "Search and Destroy" over」
「Sir Yes,Sir!!」
マントを翻し、紫煙に煙った会議室をオークヒーローは足早に後にする。
その背は、これから始まる戦闘への期待に満ち溢れていた。
- 50名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2004/05/17(月) 15:28 ID:YPZVOBDs
- 上の2つは20の続きという事でよろしくっす。
相変わらずヘタレています…_| ̄|○
そこらへんはご勘弁を モットショウジンセントナァ
- 51一個前の201sage :2004/05/17(月) 17:00 ID:sMmu4c8s
- >>38
ここまでしてもらって黙っていられるか?
いや、出来まいっ!
(三文にもならん)へたれ文士の名にかけて!!
つー訳でリレーに乱入
一応読み直してから書いたんだが
もしどっかと競合しちまうようならスルーしてくれ・・・
- 52一個前の201@リレー乱入sage :2004/05/17(月) 17:07 ID:sMmu4c8s
- 共に生きようと誓った筈なのに。
俺達は確かに愛し合っていた筈なのに。
彼女は奴に連れ去られてしまった。
俺は奴の館に乗り込み、奴の駒を薙ぎ払い、奴の部屋に乗り込んだ。奴はそこにいた。
外で起こった騒ぎなど耳に入っていないかの様に
乗り込んだ俺の存在すらも目に入らぬかの様に
静かに、右腕に抱く彼女を見つめていた。
「うおおおおぉぉぉぉ!」
奴に飛びかかる。二つしか無い筈の拳が残像で数十にも見える。まごう事なき俺の全力の拳打。
その速度で振るわれた両の拳はしかし、全て奴の左の掌にて受け止められた。
驚愕に眼を見張る。一瞬の隙。奴の左の手刀が無造作に振るわれる。
反射的に左腕で防御する。がしりと受け止める感触はなく、かわりに冷気が腕に食い込む。
ぞわり、と悪寒。一歩退く。左腕の手首の辺りがごとり、と音を立てて落ち、胸からは鮮血。
奴はこちらを向く事すら無く、左腕一本でそれだけの事をしてのけた。
・・・退かなかったら体も両断されていた。それは確信。背筋を這い上がってくる激痛と恐怖。
俺は、奴に勝てない。それでも、逃げる訳にはいかない。彼女を奴の餌食にはさせない。
奴は気絶し力無くのけぞる彼女を右の腕に抱き、その露になった細い首筋に顔を近付けて・・・
「ちっくしょおおおおぉぉぉぉ!」
ありったけの力を篭めた右の貫手。それをがら空きになった首に向けて―――
奴の左手が閃いた。瞬時に俺の右腕を掴む。
ぐしゃりと嫌な音を立てて握り潰され、同時に上向きに途方も無い力。
腕の関節と肩の関節がごぐっ・・・と鈍い音を立てて砕け、投げ飛ばされた。
受身を取る事も出来ずに地面に叩きつけられる。
落下の衝撃で肋骨が折れて肺に刺さったらしい。口からも血が溢れた。
そして・・・やっとの思いで顔を上げた時には、全てが終わっていた。
ゆっくりと、彼女が眼を開く。奴が高らかに宣言した。
「これで、汝は我が物となった」
「あぁ・・・ありがとうございます。貴方に永遠の忠誠を誓います・・・ご主人様」
彼女が・・・奴を見上げて嬉しそうに言った。そして・・・跪いてその足に接吻する。
「やめろ・・・やめてくれ・・・そんな奴に・・・」
精一杯声を張り上げようとしても痛めつけられた体からは囁きに等しい程度の声しか出ない。
奴が彼女を支配し、絶望が俺を支配する。俺は間に合わなかった。
・・・奴が、初めて俺の方を向いた。
彼女は奴の斜め後ろに控え無感情に・・・地面に這いつくばる俺をただ見ている。
「ひとつ、尋ねたいのだが・・・」
奴が俺を見下ろして不思議そうに言った。
「君は、何をしにここに来たのだね?」
それはまごうことなき本気の言葉。
無力感。絶望に染まった俺に追い討ちをかけるように。
世界最高峰の拳法家とうたわれた俺の全力は、奴に邪魔と認識させる事すら出来なかった。
そう悟らされた。
「お・・・俺がわからないのかよ・・・」
俺は奴の傍に静かに控える彼女を見つめながら声を絞り出す。
「ふむ、彼は君の何だね?」
奴が彼女を振り返り尋ねる。
「はい。ご主人様。彼は私の婚約者であった男です」
改めて俺に目を落とす。
「成程、すると君は私からこれを取り返しに来たという事か。その行動力には感服するが・・・」
そして一拍置いて
「無様だな」
言い切った。
「く、くそっ・・・」
返す言葉も無い。大切な者を奪われて、目の前で失った。
それを妨害する事も出来ず、妨害と思わせる事すらも適わなかった。これ以上の敗北は無い。
「さて・・・これ以上私の寝室を汚されるのも困る。消しておこうか」
奴が右手をかざす。手の中に収束していく魔力。
敗北に打ちひしがれる俺には既に避けようと思う気力は残っていなかった。
奴が手の中の魔力を俺に向けて放つ。
先程の言葉から鑑みて俺の体を消し飛ばす程度の威力はあるだろう。
俺はせめて愛した女の顔を目に焼き付けてから逝こうと彼女を振り仰ぎ・・・
仮面を貼り付けた様な無表情。けれどもその頬を涙が伝う。
彼女は完全に奴に支配された訳ではない。俺はそう信じた。
まだ終わっていない。彼女を取り戻す可能性が残っているのなら、諦めたりはしない。
腹の底から湧き上がる力。
瞬時に五個の気功球を展開、一つに収束して放つ。奴の光線と激突し、拮抗する。
奴がほんの僅か驚きの表情を浮かべ、篭める魔力の量を増やす。
だが・・・俺の方が早い。
俺は既に次の五個の気功球の展開、収束を終えて放っていた。
俺と奴の間で留まっていた気功弾と合わさり倍加して光線を打ち払い、奴の右手に着弾、炸裂する。
「ほう・・・無様と言ったのは訂正しておこう。君の度胸だけでなく、実力も感服に値する様だ」
光が収まった後、二の腕より先が綺麗さっぱり無くなった右腕を眺めながら奴が言う。
「殺すには惜しい・・・私に仕えるつもりは無いかね?」
「冗談じゃねぇ・・・誰が貴様などに・・・」
「私の手を取れば失いし腕も戻り、より強き力を手にし、永遠にこれと共に在れるぞ?」
奴がちらりと彼女を流し見る。彼女の頬を濡らした筈の涙は既に見えない。
あれは錯覚だったのかも知れないと思える程、彼女は無表情だった。
「ふ・・・」
ふざけるな、俺は貴様を倒して彼女を取り戻す!
言おうと思った。確かに両腕は既に使い物にならないが、奴も片手を失った。まだ戦える、そう思った。
奴の右腕が再生す