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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え1冊目◆

1名無しさん :2002/11/07(木) 08:28 ID:IxmHCbDM
このスレは、♂萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない、
萌えな自作小説の発表の場です。
・ リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ エロ小説は『◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第1巻◆』におながいします。

▼リレールール
--------------------------------------------------------------------------------------------
・ リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
・ 主人公は命の危機に遭遇しても良いですが、殺すのはダメでつ
--------------------------------------------------------------------------------------------
※ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。
2名無しさんsage :2002/11/21(木) 23:28 ID:CoyZRq3w
どのキャラとどのキャラのからみがいいですかね?
現在アサと栗毛アコきゅんで脳内で半分くらい出来上がってるんですが
どうなんでしょう?
3聖職者たる者、こうあって欲しいものだsage :2002/11/22(金) 03:17 ID:rwW0Ynb6
萌えではなく燃えなですが、そのうえ単発モノですが、どうぞ。

     *      *      *      *

 あるところに一人のプリーストがいた。
 職業柄、他人の支援になる能力を持つ者が多い
プリーストの中では彼は異端だと言えるかもしれない。
 メイスの修練を積み、グランドクロスを片手に
アンデッドや悪魔をなぎ払う彼は、さながら聖騎士とでも
言えるほどの攻撃的な能力を備えたプリーストである。
 しかしこのプリースト、性格に少々問題があった。

「あぁ? 神様? 居るに決まってるだろ。
もう、なんつーの? ごっどサマ激ラヴよ」
 信心深いと取れなくもないのだが、まず、
いかんせん口調が粗悪だ。

「ヒールだぁ? 男はポーションでも飲んでろよ」
 そして男女差別も激しい。

「今からマグナス・エクソシズムの詠唱に入る。
てめぇらしっかりサポートしろよ!」
 更に人使いも粗い。

「一人で狩りもできないような強さで、こんな
アンデッドの巣窟に踏み込むんじゃねーよ。邪魔だ。消えろ」
 こんな粗雑な物言いは、とてもプリーストとは
言えないだろう。教会の上層部の人間も、彼を
破門とするかどうか幾度と無く審議したという。


 しかし、彼を破門にするという判決は、
とうとう下ることは無かった。


 なぜなら、彼の周りには自然と人が集まったからだ。


 あるブラックスミスの女性はこう言っていた。
「あいつ見てると神様ってのも気さくな奴なんじゃ
ないかって思えてくるんだよね」

 ある騎士の男はこう言っていた。
「ポーション飲めとか言いながらも、ヤバイ時は
きっちりヒールしてくれるしな」

 あるハンターの女性はこういっていた。
「モンスターが大量発生する予兆があると、
大魔法で皆を守る準備をしてくれてるんだよ。
彼にはそれが解かるらしいし、外れたことも無いしね」

 あるアサシンの男はこう言っていた。
「奴の言う事はもっともな事だ。あの時の俺は
弱かったからな……言い方はプリーストとは思えなかったが」


 そうして今日も、あのプリーストの罵声が響く。
「おらぁ! てめぇの身はてめぇで守れよ!
戦場じゃ誰も助ける余裕なんて無いんだからな!」
 しかし、周りの者は知っている。
 危機に追い込まれたものを見れば、駆け付けて助けてくれることを。
 戦闘が一段落すると、彼が聖域の法術で皆を癒してくれることを。
 口先だけの聖職者よりもよほど聖職者らしい、愛すべき男だということを。
43sage :2002/11/22(金) 03:25 ID:rwW0Ynb6
改行見にくくてゴメン(´・ω・`)
5名無しさんsage :2002/11/22(金) 07:39 ID:.uPBI2mw
はー・・・・グッジャブ( ´∀`)b

どっかにこういう格好いいプリーストの旦那いないかねぇ・・・。
6名無しさんsage :2002/11/22(金) 09:03 ID:CLaV.IuU
彼はいつも危険なダンジョンの中で店を開く。
決して街中やダンジョンの入り口前といった場所では売らない。
彼曰く
「ダンジョン内で回復薬が切れて倒れてしまう方をみると切ない
からなのです。回復薬さえあれば生き残れたはずなのにね」
満面に笑みを浮かべ、穏やかにそう語ったという。
「まー、街中じゃ商売敵多い・・・というのも理由ですが」
照れながらそう付け加えたらしいが。

彼はその穏やかで誠実な性格と、商売のスタイルが人気を呼び
有名人となっていた。

今日も彼の露店の赤POTやニンジンが飛ぶように売れる。
その度に彼はにこやかに
「頑張って下さい! ありがとうございました!!」
とお客に手を振っていた。

でも、彼の店を利用する客は「ある何か」を目的に訪れる客が
殆どであったのを彼自身は知らない。

----

「はぁ、にんじんなくなっちまった・・・」
ため息をつきながら一人のシーフがダンジョン内でへたり込む。
「ニンジン買いに街まで戻るのがめんどくせぇな・・・」
と、何気に首を巡らすと、彼の目に例のBSの露店が飛び込んできた。

そのBSは悠然と座りながら、カートのアイテムの整理をしていた
ところだった。
シーフは目を輝かせ、彼の露店へと歩み寄る。
本当はモンスターに襲われないように、慎重に行くべきだったのだが
砂漠で見つけたオアシスに駆け寄る旅人のように、彼の目には
露店の看板しか見えていなかった。

「すみません。ニンジンを・・・」
露店が数メートルまで近付いたとき、シーフはBSに声をかけた。
BSは彼の声に気付くと彼に向かって満面の笑みを浮かべ・・・・

ザシュ!!

その時事件は起きた。
すっかり油断していたシーフの背後からモンスターが持っていた
武器を振り下ろしたのだ。
天性の敏捷さと感で、なんとか致命傷を食らわないように回避するのが
手一杯だった。
その上彼は度重なる戦闘で疲れ果て、ただ為すすべなく地面に転がる
しかなかった。

モンスターは好機と見るや、素早くとどめの一撃を足元に転がる
シーフに食らわそうと武器を振り上げた。

シーフは何とか動いて生き延びようとするも、腕を上げるだけの
力さえも出ない。彼は自分の最後を覚悟した。
振り下ろされる武器の風切り音がやけに近くで聞こえた感じがした。
彼は諦め、目を瞑った。
7名無しさんsage :2002/11/22(金) 09:11 ID:CLaV.IuU
ギィン!

だが次の瞬間発した音は、彼の肉を切り刻む音ではなく、甲高い
金属音であった。
恐る恐る目を開けてみると、先ほどのBSが仁王立ちで、しかも
片手で持った鈍器のみでモンスターの渾身の一撃を受けていた。

見上げた顔にはちらりとみえた人の良さそうな笑みはなく、代わりに
見る者の背筋を凍らせるような恐ろしい鬼の形相が宿っていた。

BSは胸ポケットから器用に片手だけでタバコを取り出し、火をつけて
ゆっくりと吸い込み、
「手前ぇ・・・俺の客に手を出そうなんざ」
煙と共にゆっくりと深く吐き出し、にやりと悪魔のような笑みを浮かべ
たその時、彼の全身から紅いオーラが湧き上がる。
「100年はえぇんだよ!!」
そう言い放つと同時に、モンスターの持っていた武器を弾き飛ばし
電光石火の速さでモンスターを鈍器で攻撃する。

勝負は一瞬だった。
無様に壁に吹き飛ばされたモンスターは、ゆっくりと灰に変って行く。
それを見届けたBSは、おもむろにタバコを消し、倒れこんだ
シーフの元へ駆け寄った。

「わー! うわさは本当だったんだ!!」
「おお、すっげ〜」

気付けば彼等の周囲にはかなりの人だかりが出来ていた。
そう、彼のお店の常連客ばかりだ。

「いや〜すごい豹変ぷりっすね〜 まさに別人格?」
「言ったとおりだったでしょ?」
「おお、毎日通っただけの事はあったぜ」

などと勝手に盛り上がっている。
一方の当の本人はというと、すっかりいつも通りの笑顔をたたえ
何事もなかったかのように
「皆さん、どうかなさったんですか?」
と、言った。
8名無しさんsage :2002/11/22(金) 09:17 ID:CLaV.IuU
実は2です。
短編だけど読み物を書いたのは2年ぶりくらいかな(´・ω・`)
2で発言した内容のものは、ちょこっと長めな感じですけど
あまりここが流行らないようなら書いてしまおうかと思ってます。

駄文失礼しました。
9名無したん :2002/11/22(金) 10:18 ID:yOBhkFus
>>6-8
狂墨キタ━(゚∀゚)━!!
洩れは製造系でOT取ってないし、煙草吸わないから真似はできないけど激しくカコイイです、ハイ
御馳走様ですたm(_ _)m
10名無しさんsage :2002/11/23(土) 02:10 ID:JTtBLlno
剣士&マジのお話あぷします。
萌えも燃えもしないうえに微妙に長いですが許してくだされ。
11彼らの距離が近づくまで 1/4sage :2002/11/23(土) 02:10 ID:JTtBLlno
「……あ」
また、やってしまった。
マジシャンという職業は、他人とターゲットが被ることなど日常茶飯事だ。
おかげで僕が一日で一番多くいう言葉は「ごめんなさい」だ。
まぁたいがいの人はそれで許してくれるんだけど、たまにそうじゃない奴もいる。
たとえば、今目の前にいる剣士みたいな。
赤い髪をしたその剣士は、明らかに憎悪のこもった目で僕を見ていた。

「てめー横殴りしてんじゃねーよ、このヘッポコ魔術師!!」
……僕って意外とキレやすいんだよね。
「誰が横殴りだって!? あんただって僕が魔法唱えてんの気づいてなかったじゃないか」
だいたい先にモンスターに気づいたのは僕なんだぞ。
「はぁ!? 知るかそんなの。 だいたいオレはマジシャンって奴が気にくわねーんだよ」
「僕だって剣士の顔なんか見たくもないね。敵に突っ込むしか脳のない野蛮人」
「てめー……言いやがったなぁ?」
「先にケンカ売ってきたのはそっちだろ? バカがうつるから向こうに行ってくれよ。話もしたくない」
「オレだってごめんだぜ。モンスターにやられてのたれ死んじまえ!!」
そう言って剣士は去っていった。

……剣士ってのは短気な奴が多いから困る。それにマジシャンへの偏見もあるし。
まぁ、偏見に関しては僕も剣士に悪印象を持ってるから一緒かもしれない。
この二職業が犬猿の仲ってのは本当のことだ。人格の問題かもしれないが、
僕があの剣士と仲良くなるなんてことはまずないだろうな。
それに、二度と会うこともないだろうし。……会いたくもないしね。
12彼らの距離が近づくまで 2/4sage :2002/11/23(土) 02:11 ID:JTtBLlno
って、思ってたのに。
次の日、視線の先に昨日の剣士を見つけてしまった。……最悪だ。
でも今日彼は誰かと一緒にいた。あどけない顔のその少年は、どうやらノービスらしい。
レベル上げでも手伝うんだろうか。意外と面倒見がいいんだな。
「んじゃ、バッタ連れてくるからちょっと待ってろよ」
彼がその場を離れていくと、ノービスがそわそわしだした。
「ぼく一人で倒せるかなぁ……?」
そうつぶやくと、ノービスはロッカーの前まで走っていき、斬りかかった。
バカだ、こいつ。あいつが連れてくるまで待てばいいのに。
腕を試したいのはわかるが、おとなしくポリンでもつついてろよ!!
「うわぁ〜!!」
案の定ボコボコにやられている。僕はとっさに詠唱を始めていた。
「ファイアーボルト!!」
僕の放った火の矢がロッカーを消し炭にした。少しやりすぎたかな……。
ぺたん、とその場にノービスが座り込む。
いまさらながら僕は、彼の髪の色があの剣士と同じ赤だということに気づいた。
「間一髪だったね」
「あ、ありがとうございます……」
「それじゃ、僕はこれで」
「えっ、行っちゃうんですか? お礼がしたいのに」
お礼なんかいらないし、何よりあいつが戻ってきている。鉢合わせになるのはごめんだ。
僕は赤ハーブの束をノービスに投げてよこすと、その場から去ろうとした。
少しだけ後ろを振り向くと、あの剣士がこっちを見ていた。
目が合いそうになり、僕はあわてて背をむけて走り去った。
ノービスが事情でも言ったんだろうか。彼の顔は、驚いているように見えた。
13彼らの距離が近づくまで 3/4sage :2002/11/23(土) 02:12 ID:JTtBLlno
ファイアーボルト!!」
今日の僕は絶好調だ。このダンジョンにいる敵に負ける気がしない。
アクティブもいるけど、うまく身をかわして詠唱の早い魔法でもぶつけてやりゃあいい。
でも、僕はわかってなかった。そんな油断こそが死を招くってことを。
一瞬気を抜いた瞬間に、僕の視界が回転していた。
視線の先は天井。それでやっと僕はモンスターにおさえつけられているのだと気づいた。
あまりの痛みに視界がかすんで、相手が何なのかすらわからない。
「う……ぐ……」
僕はここで死ぬんだろうか。ローブに食い込むモンスターの爪か何かの感触を感じながら、そう思った。
だんだんと、意識が薄れていく。
朦朧とする意識の中で、僕の耳にあの剣士の声が聞こえた。
なんでだろう。こんな時にあんな奴のことを思い出すなんて……
助けに来てくれるなんて思ってるんなら、僕はバカだ……。

「バッシュ!!」
ふいに体の上の重みが消えた。僕の体の上に乗っていた何かが倒されたのだ。
「立てるか? ヘッポコ魔術師」
「あ、あんたは……」
目の前にいたのは、あの日の剣士だった。そいつが、僕に手を差し出してる。
ちょっとしゃくだったがその手を掴み、僕は立ち上がった。
「あんたが僕を助けてくれたのか?」
「……これであいこだろ」
「は?」
「……オレは好きでてめーを助けたんじゃねーよ!! ……ただ、弟が助けられたって聞いてな」
「弟? ああ、あのノービスか」
「ただ借りを返しただけだからな」
そこまで言うと、彼はうつむいて黙ってしまった。
14彼らの距離が近づくまで 4/4sage :2002/11/23(土) 02:13 ID:JTtBLlno
彼はしばらくして、ぽつりと言った。
「……あのさ、オレ…マジシャンってずっと嫌な奴だと思ってて……
 それだけで嫌ってたんだけどさ。でも…考え直したよ」
彼はにっ、と笑って言った。
「てめーはいい奴だ」
……なんてナチュラルに恥ずかしいことが言える奴なんだろう、こいつは。
「……バーカ」
剣士…とくにこいつは大嫌いだったはずなのに、今は不思議と憎くない。
「こっちこそ…見直したよ。どうもありがとう」
こんなダンジョンの中で、男二人が顔を赤くしてうつむいてるって光景はきっと奇妙だろうな。
「おい、行くぞ。ヘッポコ魔術師」
「は?」
「前で壁になってやるって言ってんだよ」
「…それってパーティー組むってことかい?」
「…さーな」
素直に言ってくれりゃいいのに。まあ、あんたらしいけど。
「…簡単に死んだら承知しないからな」
「オレをなめんなよ。てめーみたいなもやしじゃねーんだ」

気がついたら、僕には仲間が一人できていた。
性格も何もかも違う男だけれど……
なんだか誰よりも、彼とは長く一緒にやって行けそうな…そんな気がした。
15名無しさんsage :2002/11/23(土) 02:15 ID:JTtBLlno
以上でおわりでつ。お目汚しスマソ。
なぜか三つ目の一行目のカギカッコが抜けてるけど気にしないでくだちい。
16名無しさんsage :2002/11/23(土) 03:05 ID:J2k8jx6c
>>15さんお疲れ様です。
ほんわかした気分になれました。
17名無しさんsage :2002/11/23(土) 03:17 ID:J2k8jx6c
転職したての栗毛の彼。
同期のアコライトは大勢いたが、彼はとても内向的な性格で
頼まれた事を断るという事がどうしても出来ない。
なので今日も大聖堂の女性用のトイレの掃除を任されてしまった。

掃除はキライではないけど、やはり場所が場所である。
素早く終わらせてしまいたい気持ちで一杯であったが、手抜きを
すれば、即大目玉だ。
しかも生来のおっちょこちょいも手伝って、床に置いたバケツを
倒したり、洗剤をかけすぎたりしてしまう。
掃除の時間はどんどん長くなる一方。
でも、のんびりとやっている訳にはいかないのだ。
何故ならあと30分もすれば、午後のお勤めを終えた女性陣が
この大聖堂へ戻ってくるからだ。

彼は一生懸命きれいにしたり、逆に水や洗剤をぶちまけながら
作業に励んだ。
18名無しさんsage :2002/11/23(土) 03:31 ID:J2k8jx6c
頑張ったかいがあって、何とかほぼ掃除は完了した。
彼は一息ついて、額の汗をぬぐった。
その時、遠くの方から声がかすかに声が聞こえる。
彼は掃除に夢中で気が付いていなかったが、あれから40分近く
経過していたのだ。
徐々に近付く女性の声。どうやら3人みたいだ。

彼は慌てて外に出ようとしたが、思いとどまった。
(今出れば鉢合わせになってしまう)
さて、どうしたものかと周囲を見渡すと、清掃用具を仕舞うロッカーが
目に飛び込む。
彼は手にしたモップやらバケツやらを仕舞いこむと、そのまま自身も
ロッカーに滑り込ませ、静かにロッカーの扉を閉めた。
(このままやり過ごせばいいよね)
ロッカーの中は薄暗いが以外に広く、奥行きがあったので閉塞感は
なかった。
狭いところがニガテな彼であったが、何とか耐えられそうだ。

やがて、声の主達が現れた。
(プリーストが二人、アコライトが一人・・・か)
彼はロッカーのドアの隙間から覗き見た。
19名無しさんsage :2002/11/23(土) 03:51 ID:J2k8jx6c
「今日も疲れましたわ」
プリの一人・・・どうやら一番先輩らしい、が洗面台の鏡に向かい、独り言のように言う。
そうですね、と同意しながら残りの二人も洗面台の方へ歩み寄る。
「聞いて下さいな、今日ですね・・・」
などと雑談モードへ突入し出した。

(困ったよ・・・どうしよう)
半ば泣き出しそうになりながら、彼はじっと息をひそめ続けた。
しかし、雑談の内容が恋愛モードに切り替わったとなると、話は別だった。
「新しく入ってきた男の子達はどう?」
「そうですね〜」
「あ、あの子がかわいいかも」
恋愛に奥手な彼であったが、こういう話には密かに興味があった。
知らず知らずのうちに、ロッカーのドアに耳をはりつけて会話がもっと
よく聞こえるようにと身を動かしていた。

カラン

その時に、ついつい足が何かに当たってしまい、乾いた音が妙に
大きくトイレ内に響いた。
(しまったぁ・・・)
彼はその場で凍り付いて動けなくなってしまった。
自身の心臓の音がやけに耳にさわる。
どきん、どきん、どきん・・・

でも、幸いな事に彼女達は気にしてないようで、そのまま談笑していた。
その様子を恐る恐る確認した彼は、ほっとため息を密かについた。
おちついた所為か、再び彼女達の話題が耳に飛び込んでくる。
「あ!そうそうわたくしですね、思い出したんですけど」
一番先輩と見られるプリーストがぽんと手を叩きながら言う。
「皆さん覚えてらっしゃいます? あの栗毛の新人君」
「あ、せんぱ〜い。もしかしてその子の事狙ってるんですか?
ダメですよぅ、わたしも狙ってるんですからね」
「待って下さい、あの子はわたくしが・・・」

(栗毛の新人?)
彼は活動を再開した脳で、その人物を思い出そうとする。
(!?)
思い出した瞬間、彼は飛び上がっていた。
(それって僕!? 新人で栗毛は僕だけじゃないか!?)

「誰かいるんですか!」
20名無しさんsage :2002/11/23(土) 04:03 ID:J2k8jx6c
その声に我に返る彼。
どうやら無意識のうちに辺りに立てかけていたモップをなぎ倒して
いたらしい。
その盛大な音で、プリーストたちが気付いてしまったようだ。
(しまった! どうしよう)
彼は慌てふためいて隠れ場所を探してみたが、ロッカーの中に
隠れる場所があるはずもない。
「そこに誰かいるの?」
追い討ちをかけるように声がする。
益々パニックになる彼。
(ああ、神様お助けを!)
彼は涙を流しながらロッカーの隅に座り、頭から布を被って
ガクガクと震える。
(布?)
思わず手にした布を彼はじっと目を凝らして見てみた。
よくみれば、それは女性用のアコライトの制服ではないか。
『お前は女みたいな顔してるからよ』
などと言われ、女性用のアコライトの制服を無理やり着せられ
プロンテラの大通りをつれまわされた記憶が蘇る。
あの時は恥ずかしさで泣きたくなっただけだったが、よくよく思い出せば
誰も彼の事を笑ったり指差したりはしていなかった。
(もしかして)
彼は大慌てで着ていた制服を脱ぎ、女性用のアコライトの制服を
着用する。

ガチャ

その時ロッカーのドアが開けられ、同時にまばゆい光が彼の姿を
照らし出した。
21名無しさんsage :2002/11/23(土) 04:15 ID:J2k8jx6c
「ど、どうかしました? こんな場所で」
彼女等は驚いたが、誰も彼を男性だとは気付いていないようだ。
「すみません、ちょっと急に気分が悪くなって」
彼はうわずったつくり声でそう答えた。
「休んでいましたらよくなりましたので、自室に戻って休みます」
そう言いながらふらふらと立ち上がり、心配そうな彼女達の
横をすり抜ける。

いつもはなで肩でひょろっとして色白な自分の体つきを呪ったりしたものだが
この時ばかりは自分の体つきに感謝せずにはいられなかった。
(神様・・・ありがとうございます!)
彼は心の中で神にも感謝するのを忘れない。

だが、彼の幸運はここまでだったようだ。
「お待ちなさい」
その声と共に背後からぐっと肩を掴まれる。
彼の心臓は飛び上がらんばかりになったが、精一杯の冷静さで
「わたくしですか?」
と、うつむきながら答えた。
女性用の制服を着て、うつむきながらしゃべっていれば、よほど注意を
払っていない限り、彼を男性とは見抜けないだろう。
だが、相手が同職となれば話は別だった。

「あなた、何故男性用のシューズを履いてますの?」

この後、3人によって弄ばれてしまうのですが、それはいつかまたの
機会という事で。
22名無しさんsage :2002/11/23(土) 04:20 ID:J2k8jx6c
リアルタイムで書いてみました。なんと1時間掛かってますね(´・ω・`)
前回(ここの6〜7)も半分リアルタイムで書き込みましたけど。
>>9さま、レスいただき感謝です。

駄文失礼しました。
23名無したん :2002/11/23(土) 08:01 ID:Ftkojwjo
(゚д゚;≡;゚д゚) カ・・・カミ コリーン??
24名無しさんsage :2002/11/23(土) 08:58 ID:RhhuUMkg
>>11-14
(・∀・)イイ!!
こういう関係から始まる関係ってものすごくすきでつよ
25213sage :2002/11/23(土) 10:25 ID:bzTsm74M
>15
熱い男の信頼関係がカッコいいです〜。
正反対な性格だからこそ長く付き合える典型的な例かも知れませんね。

>22
キターーーー(゚∀゚)ーーーー!!
如何にして弄ばれたのか激しく気になりまつ。
このアコたんの後日談は何処に行けば見れまつか?
26名無しさんsage :2002/11/23(土) 17:31 ID:WXmTsLDE
>>25
れすありがとうございます。
実はエチィな方で公開する予定だったのですが、漏れのない頭をひねっても
エチィなワードが出てこなかったので、断念してこちらになったのです。
先輩プリが登場しているのはアコキュンを熟練のテクニックでどうにか
してもらうつもりだった・・・の、なごりです。

ところで、単発ばかりで申し訳ないような気もするんですが、リレー
でタプーリな方が宜しいですか?
別に単発でも構わないのなら、今日か明日あたりにでもお目汚しなやつ
を書いてみようかなと思ってますが。
27213sage :2002/11/23(土) 17:50 ID:bzTsm74M
>26
単発でもリレーでも両方とも読みたいと思うのは我が侭でしょうか…。
……私も♀×♀で書いてる身ですが、>26さんの書きたいものを書きたいペースで書いて頂ければ一番良いなぁ、と思います。
1人の読み手としての意見ですが、参考になれば幸いです。
2815sage :2002/11/23(土) 23:52 ID:LMm9gzhc
16、24、25さんレスありがとうございます。
感想もらえることほど嬉しいことはないです。
また駄文あぷするかもしれませんがその時はよろしくお願いします。

3さんのプリ旦那も2さんの黒墨さん&栗毛たんもみんな萌えだー。
ある程度小説がたまったらどこかにまとめるといいかも。

ちなみに、私も単発もリレーもどっちも読みたいです。
萌えのままに書きたいものを書きましょ。
2926sage :2002/11/24(日) 00:22 ID:LnlJhc96
213(>>27)さま、15(>>28)さま、貴重なご意見ありがとうございます。
リレーに関しては、自分ばかりぼこぼこ投稿するのもなにかな〜って
思ったもので。しかし、まだこの板自体の小説系の書き手が不足している
みたいなので、リレーは発展しないのかな・・・とか思ってみたり。

とか言いつつ、百合スレでまた投稿してみたあふぉでした。

書きたいように書く、それが一番ですよね。
3027みなさん良い仕事してますねsage :2002/11/24(日) 19:51 ID:JxPSwCL6
>28
自分の書いた物に感想を頂けるのは、書き手として最大の報酬ですよね〜。
自分はまだまだ稚拙な物しか書けませんが、感想を頂くと『読んだよ〜』と言う事が直接わかるので、次に書く活力になりますね♪


>26
百合スレの方も読ませて頂きました。
そ う き ま し た か (笑)
こちらで感想を述べるのも何ですが、新しい視点からの文章、有難う御座いました!

26さんに触発されて先輩の♀1次職に弄られる♂アコの小説とかを書いて見たいのですが、先輩の♀キャラはどんな職業が良いでしょうか……。
皆様意見があればお願いします〜。

……ってそんなものを♂萌えスレで書いちゃ駄目ですかね…。
3126sage :2002/11/24(日) 21:15 ID:TWdUua62
>>30
意見・感想などは最大の報酬ですね。
漏れもみなさまから活力を頂いているから書けるのです。

百合の方は序盤に「冒険者なりたて」とネタふりしてあったので
結末は分かりやすかったかな、と。つまり、「冒険者は」成り立て
かもしれないけど、決して人生経験が少ないという事ではないと。

先輩キャラについては 同 職 が 萌 え で し ょ う
しっかりと理由を書くと、スレ違いになってしまうので簡潔に述べますと
聖なる職業に身をおきながらの熱い萌え・・・という感じです。
3230幸せ者め〜sage :2002/11/24(日) 22:18 ID:JxPSwCL6
>>26
聖なる職業!
ですが同職だと、♀プリ様×♂アコたんという>>26さんと同じ物になってしまいますが、宜しいでしょうか?
ちょっと弱気な♂キャラでアコたん以外が出てこない自分は駄目っぽいです…。

そうだ! ノ ー ビ s (鯖キャン
33リレーしてみる26sage :2002/11/24(日) 22:23 ID:TWdUua62
「気がついたか?」
ぶっきらぼうな男の声で俺は目を覚ました。
反射的に相手を押さえ込もうとベッドから跳ね起き、素早く相手の背後へ
回り込んで右腕をガッチリと相手の首に巻きつける。
「・・・動くな・・・下手な真似をすればへし折る」
男の耳元に思いっきり冷酷な声で言ってやる。
だが、男は無精ひげの生えた口元を不敵にゆがめ、この俺を軽々と
元いたベッドの上へと叩きつける。
その瞬間、不覚にも俺は全身を襲う激痛に耐え切れず、うめき声を
上げてしまう。

その無様な俺を見て、男は大げさにゲラゲラと笑い
「ははは! その様子なら、怪我の治りも順調なようだな」
「怪我?」
そう言われて思い出した。
俺は任務中だったのだ。
ターゲットの男を追跡して砂漠を渡り、ピラミッドまでやって来たのだった。
俺がアサシンギルドの男から聞いたところによると、ターゲットは
相当なイカレた野郎なようで、酔った勢いで依頼者の夫を殴り殺して
しまったらしい。
・・・ま、それはどうでもいい。
ターゲットが善であろうと悪であろうと、依頼された任務をこなせるのが
一流のアサシンだ。
俺は一流のアサシンだ。今まで任務失敗はない。
だから仕事に困る事もない。
だが今回はどうだ。ターゲットがピラミッドに入ったと聞き、俺も
やつの後を追ってピラミッドに入ったまではいいが、情けないことに
途中で大量のモンスターどもに遭遇し、そのまま倒れた・・・

俺の中に急激に苦々しい思いが湧き起こる。

「どうした?急にしおれて。怪我が痛むか」
そんな様子を見た男が、俺に声をかける。
「お前はピラミッド内で拾った」
一呼吸おいてから、男はゆっくりと口を開いた。

男の話によるとこうだ。
ピラミッドで倒れた俺を担いで、ここまで運んで手当てしたのがこの男らしい。
「何故だ? 何故俺なんかを助ける?」
男の話を一通り聞いた後、俺は男に尋ねた。
すると男は全身を覆っていたボロを外し、
「ご覧のとおり、これでも聖職者でね。例え相手が腐れ外道の暗殺者であっても
見捨てる事はできねぇのさ。神様の愛は偉大だからよ」
胸元にさがる銀の十字架をにぎりしめた。

「ここはどこだ? 俺はどのくらい気を失ってた?」
ふと頭をかすめた疑問を男・・・プリーストにぶつける。
「ここはモロクのちいせえ教会だ。小汚ねえけどよ。で、お前は
2日ほど気を失ってた」
2日・・・
俺はベッドから起き上がり
「俺の荷物はどこだ?」
と、男に尋ねる。
「おいおい、お前どうする気だ? まさか今から仕事にいくつもりかよ?」
苦笑いを浮かべながら男は呆れた、というようなポーズをする。
「荷物はどこだ?」
もう一度だけ俺は言ってやる。
「待て、お前はあと3日は安静にしてなきゃダメだ。お前の荷物は
誰もとったりしねぇから安心しろ」
男は歩み寄り、俺の両肩を押さえ込み、強引に座らせようとする。
「・・・目・・・お前のその目は何言ってもきかねぇガキみてえだな」
俺より背が高い男は、俺の顔を覗き込んでそう言った。
「だが、大人の言う事はきくもんだぞ?」
「ふざけるな!」
「威勢だけはいいな・・・でもな、お前の顔、真っ青なんだがな」
「じゃあ、貴様! 俺に回復の魔法を使え!」
「バカだな、ヒールは生命力を増幅するものなんだよ。怪我を一瞬で治す
もんじゃねぇ・・・そしたら医者が廃業になるだろ?」
「貴様にはもう頼まん!」
そう言って俺はベッドに座り込む。
とにかく悔しかった。
一流の暗殺者の俺が遅れをとっただけではなく、この男が言う事が
全く持って正しいからだ。
正直言えば、立っているのもやっとだ。
満足に武器を振るえる力はない。今出向いても返り討ちにあう可能性もあるし
ターゲットに辿り着く事すら難しいだろう。
だが、俺はアサシンだ。
任務が遂行できないアサシンはゴミだ。死んで当然だ。
だから・・・俺は行かねばならない。
命を落とす事になっても、ここで安穏と過ごしているよりは100倍もマシだ。

「ほらよ」
ドサリという音と共に、俺の荷物がベットの上の俺の横に置かれる。
俺はおぼつかない足取りで立ち上がり、装備を身につける。
ま、聖職者から見れば、暗殺者はやっかいこの上ないやつだ。
勝手に出て行って勝手にくたばってくれりゃ、やつらとしても都合もいいだろう。
俺はそう考えながら装備を整える。
「だが、ひとつ条件がある」
装備を整え終わるまで無言だった男がふいに口を開く。
「俺もついていく・・・これが条件だ」
3430sage :2002/11/25(月) 23:18 ID:LYjWumNY
俺は耳を疑った。
この男が言う意味を瞬時に理解できなかった。
「条件……だと?貴様!俺を馬鹿にしてるのか!」
俺は力の限り怒鳴った。体が本調子でない分、気迫は普段よりも劣るものがあるが、それでも俺は紛いなりにもアサシンだ。
他人を怯えさせる事には充分な力がある……筈だった。
「馬鹿にしたつもりはねぇよ」
だがこいつは微動だにせず、こっちを睨み返してきやがる。
唯でさえ、俺は任務の途中で失敗してそのままおめおめと生き延びている身だ。
アサシンとしてこれ以上の恥辱は無い。
「……聖職者の貴様に…俺の何が分かる!」
俺は男に吐き捨てる様に言った。
だが男は俺に構う事無く、外に出る用意をしている。
「聞いているのか、貴様っ!……っ!」
再び俺は怒鳴った。だが、今度は叫びと同時に体が悲鳴を上げた。
ボロボロの体がバランスを崩し、床に倒れる。
「そら、無茶だと言ったろうが」
男は用意を止めてこっちに近づいてくると、俺の手を肩に廻してひょいと持ち上げる。
「くっ!俺に触るな!!」
俺は男を睨み、その手を解こうとする。
「じたばたするなよ。傷口が開くぞ」
だが、男は暴れる俺に構う事無く先ほどのベッドに腰かけさせた。
……無様だ。
俺はこの上なく悔しく、自分が情けなくなった。
「殺せ!無様な俺を殺せ!!」
俺はこれでもかと喚き散らす。
死にたい。
今すぐに死にたい。
恥辱に塗れた生よりも名誉ある死を、これが俺の信念、最後のプライドだ。
それすらも許されない。
今の俺は自分自身すら自由にできないのだ。
「殺せ殺せと五月蝿いガキだな」
男は睨みつける俺に動じる事なく軽く受け流す。
「貴様に何が分かる……!」
「何も分かりゃはしねぇよ」
さらりと受け流した台詞に俺は間髪いれず、反論する。
「なら、何故……!!」
−−−俺を死なせてくれない−−−
だが、俺が最後まで言い終わる前に、男は襟を付かんで睨んできた。
「ガキが……全てを悟った様な事を言うんじゃねぇよ。」
静かだが力のある男の声。俺はその声と迫力に呑まれていた。
「俺ら聖職者っていうのはな、テメェみたいな自分勝手に死にたがるガキを殴ってでも止めるお仕事なんだよ。」
男は静かに言葉を続ける。
「それにな……折角助けた奴が目の前で死なれたら気分が悪いだろうが?」
3515sage :2002/12/06(金) 13:15 ID:3yYbMGiQ
停滞しとりますな……やっぱ住人さん少ないのかな?
自分はリレー小説を書くのがどうにも苦手なので……。
その代わりといっちゃなんですが、また駄文を書いてきたので
ヒマな人は見たってください。
36師弟というもの 1/4sage :2002/12/06(金) 13:17 ID:3yYbMGiQ
「ししょ〜〜〜〜!!」
他の町とは少し違った雰囲気を持つ町、フェイヨン。
その街角を、まだ幼さを残す金髪のシーフが走っていた。
彼の名はバット。師匠と崇めるアサシンのユウに憧れ、最近勝手に弟子入りしたばかりだ。
「ししょ〜、どこですかぁ〜〜〜!!」
「やかましい」
「いてぇ!!」
彼の頭にふいにチョップが決まる。
「ヒドいっすよ師匠。出会い頭にいきなりこれなんて。ただ呼んでただけじゃないですか〜」
「勝手にはぐれておいて何を言っている」
ユウは冷たく答えた。彼もまだ青年と言っていい歳である。
「だ、だって師匠歩くの早いんですもん」
「知るか」
そう言ってユウは歩き出した。
「うわ!! ま、待ってくださいってばぁ〜」
また置いていかれてはたまらないとばかりに、バットは彼の後を走って追いかけた。

「お!! シンじゃねーか、久しぶりだなぁ〜」
宿屋に入った瞬間、一人の青い髪のプリーストがユウに声をかけてきた。
プリーストといっても、彼の口には煙草が咥えられており、聖職者として正しい姿かどうかは疑問だ。
「師匠、このうさんくさいプリさん誰っすか?」
「うさ……!!」
プリーストが顔を引きつらせる。
「ユウ……お前んとこのガキは躾がなってねーようだな」
「……口をつつしめ、バット」
「はーい」
そう言いながらあまり反省がみられないのは、バットの性格だろうか。
「俺のとこの弟子みたいに、礼儀正しく育てろよな」
プリーストは彼の後ろに控える栗色の髪のアコライトを振り返りながら言った。バットと同じくらいの歳の少年だ。
「……俺はお前のように教育熱心ではないからな」
「あー、そういやお前は昔からそうだっけ」
「……で、結局誰なんすかこの人」
バットが面白くなさそうに言った。
「……性悪プリーストのシンだ。俺の幼馴染でな」
「性悪プリとはなんだこらぁ!!」
シンが声を荒げて叫んだ。プリーストとは思えないほどのガラの悪さだ。
37師弟というもの 2/4sage :2002/12/06(金) 13:18 ID:3yYbMGiQ
シンと別れ、ユウは宿の自分の部屋に入った。
モンスターとの戦いから離れ、唯一精神を休ませることができる場所だ。
「そういえば、師匠」
「……なんだ」
「師匠って任務とか受けたりしないんですか?」
「連絡がくれば受ける時もある」
「今度任務を受けたら、オレも連れてってくださいよ〜」
バットのその一言に、ユウの表情が変わった。
「駄目にきまっているだろう!!」
「……えっ」
ユウが怒鳴ることなど珍しい。初めて怒鳴られたバットは、驚きを隠せなかった。
「俺の仕事は暗殺だ!! 遊びじゃないんだぞ!!」
「そ、そんなことわかってます!! でも、弟子としてオレは師匠の仕事が見たくて……!!」
「俺はお前を弟子にした覚えなどない!!」
「…………!!」
バットは傷ついた表情をして、部屋を飛び出していった。

「あ〜あ、かわいそうに。すげー傷ついてたぜ、アレ」
「……覗きとは趣味が悪いぞ、シン」
「あんな大きな声張り上げてたら嫌でも気になるっつの」
シンが部屋の中に入ってきた。どうやらドアの隙間から見ていたらしい。
「お前ってバカだよな」
「帰れ」
「ほんとにバカだよ、お前。なんで素直になれないのかね〜」
「……なんの話だ」
「本当はわかってるんだろ」
「ハイディング」
「ルアーフ」
隠れようとしたユウの姿を、シンの魔法が浮き上がらせた。
「そうやって自分の気持ちから逃げようとするのがお前の悪い癖だぜ、ユウ。
 このまま逃げてもいいのか? あのバットとかいうガキを失ってもいいのかよ」
「………」
シンの言葉に、ユウはうつむいた。
38師弟というもの 3/4sage :2002/12/06(金) 13:18 ID:3yYbMGiQ
沈黙が続き、やがてユウが口を開いた。
「……俺はあいつをアサシンになどしたくはないんだ」
「……そうだろうな」
「あいつは明るい。そして…優しい。あいつは人殺しなんかには向いていないんだ。
 俺の存在があいつをアサシンへの道へ駆り立てたのだとしたら…俺は神に何度懺悔しても許されない罪人だ。
 人を殺す以上に…あいつを殺しへの道へ引き込んでしまったのが俺は苦しく、つらい」
ぽつりぽつりと自分の本当の気持ちをユウはシンに告げた。
「あいつは、お前を師匠に選んで後悔してないと思うぜ」
「…お前に何がわかる」
「あんな単純なガキの気持ちくらいわかるさ。俺は人を癒すプリーストだぜ?
 心のケアもお手の物ってやつだ。お前は信用しないかもしれないがな」
「…………」
「アサシンを目指すことは、あいつの選んだ道だ。お前がどうこう言うことじゃねぇ。
 あいつの気持ちを束縛する権利なんかお前にはないはずだぜ、ユウ」
「だからといって……!!」
「どうしても止めたいんなら、さっきお前が俺に言った言葉、全部あのガキにぶつけてこい!!
 こんな所でぐずぐずしてる場合かよ。そんなのお前らしくないだろうが!!」
「……そんなこと、お前に言われなくてもわかっている!!」
シンの言葉に弾かれるように、ユウは部屋を飛び出し、夜の街を駆けていった。
「……そうだよ。それでこそお前だろうが」
一人残されたシンは、微笑みながら言った。
39師弟というもの 4/4sage :2002/12/06(金) 13:19 ID:3yYbMGiQ
「昨日は世話になった」
次の日、ユウの隣にはバットの姿があった。
「あのガキはどう答えた?」
「……俺に憧れてアサシンになったのは自分の勝手だと…こればかりは譲れない、と言った。
 俺が思っている以上に、あいつの決意は固かった」
「そうか」
「もう俺はあいつを止めない。あいつが一人前のアサシンになるまで、見守っていこうと思う」
「……お前もそんなことが言えるようになったんだな〜」
ユウの鋭く冷たい瞳の奥には、今までは無かった優しさがうかがえた。
「ししょ〜、行きましょうよ〜」
「ああ、今行く」
バットは昨日あんなことがあったにもかかわらず、元気である。
「じゃあな…縁があったらまた会おう」
「おう、今度会った時にあのガキの成長ぶりを楽しみにさせてもらうぜ」
そう言うと、シンは背を向けた。
「シン!!」
「ん?」
「……ありがとう」
早口でそれだけ言うと、ユウは走り去っていった。
「……あいつも変わったもんだ。これもあのガキの力ってやつか」
いつも無愛想で、誰にもそっけなかったユウ。その彼が、いま自分に礼を言ったのだ。
背をむけて去っていく、おそらく真っ赤であろう彼の顔を想像して、シンは少し笑った。
4015sage :2002/12/06(金) 13:22 ID:3yYbMGiQ
お目汚し失礼いたしました。
これで少しだけでもここが活気づけば本望であります。

名前を付けるのは本当は嫌なのですが、ないとわかりにくすぎて……
そんなわけで、名前が適当すぎても許してやってください。
41名無したんsage :2002/12/06(金) 19:18 ID:sFHkjS8o
>36-39
激しくグッジョ(*´Д`)b
師弟に萌え、不良プリ様の説教に萌え、無愛想なアサシンのありがとうに萌え、
おそらく顔真っ赤であろうアサシンで萌やし尽くされますた。

(゚∀゚*).。oO(リレーの続きも気になるよママン…)
42名無したんsage :2002/12/07(土) 12:31 ID:ZeDCP7gM
>>36-39
|-`).。oO(ルアフされるの分かってるだろうにハイドしちゃうシャイな師匠萌え。)
4315sage :2002/12/12(木) 00:50 ID:L3bWngCA
しばらく来てなかったらレスがついてる……

41さん、42さんレスどうもです。
自分は剣士とマジの犬猿の仲以外にアサシンとプリ様萌えなもので、
その萌えを全面に押し出してみますた。
読んでもらえて感謝です。
44名無しさんsageノビとウィズ :2002/12/21(土) 23:45 ID:ceaAY5jw
一人の男ウィザードが首都を駆けていく。
何故か人通りの多いところを通りながら。
しかし、人を探しているようでもない。わき目も振らず、彼は駆けていく。
そのまま町の門をくぐりぬけて、ようやく彼は立ち止まった。
「ここまで来れば……」
街を振り返りながらそう呟き、彼は目の辺りまで伸びた赤い髪をかき上げた。
しばらく人ごみを見つめ続けていたが、何もない事を確認したらしく、元の方向を向いて歩き出した。
「あー、先輩、遅いじゃないですかっ!」
前方から聞こえた声に、彼は固まった。
声の主は、ボサボサの金髪のノービスである。
「何で貴様がここにいるっ!」
焦ったようにウィザードが叫ぶと、金髪の少年は得意げな表情を浮かべた。
「やだなー、魔法バカの先輩より、俺のほうが足が速いに決まってるじゃないっすか」
「吹き飛べ!」
遠慮ないウィザードの念力によって、ノービスは吹き飛ばされた。
45名無しさんsageいつかの祭のヤツ :2002/12/21(土) 23:47 ID:ceaAY5jw
無言で歩き続けるウィザードの後ろに、ノービスがついて行く。
「先輩ったら、遠慮ないなー」
呑気に呟くノービスの声にも、彼は振り返らなかった。
―どうにか振り切らんと……。
ウィザードが歩く速度を上げるのだが、ノービスもやはり、早足でついてくる。
軽く走れば、やはりノービスも走る。
周囲が珍獣でも見るような目で、二人の無言の追いかけっこを見ているのだが、ウィザードはそれにも気付かない。
ついには全力で走り出したが、ノービスはそれにも平気な顔をしてついてくる。
ウィザードが体力の限界に来て座り込んだところで、ようやく無言の追いかけっこは終わった。
「……っ、どこまで、ついて来るんだ」
息も絶え絶えなウィザードに、対照的に平気な顔をしたノービスが答える。
「そりゃもう、先輩の行く所どこまでも♪」
「バカか貴様は!」
声を荒げて、ウィザードは咳き込んだ。
「もー、体力無いくせに走るからー」
ノービスがそう言いながら座り込み、彼の背中をさすった。
その手をウィザードは力なく振り払う。
ノービスは困ったような顔をして、自らの金髪を乱暴にかき上げた。
「ホント、意地っ張りなんだから」
反論したいのだが声の出せないウィザードに睨まれて、彼は軽く肩を竦めた。
46名無しさんsage勝手に廃ノビですが :2002/12/21(土) 23:48 ID:ceaAY5jw
ウィザードと背中あわせになるように、ノービスは座りなおした。
「あの時だって、先輩が意地張ってたから死にかけてたんじゃない」
独り言のような呟きに、息の整ったウィザードがこたえる。
「意地なんか張ってない。それに、私は貴様の先輩になった覚えも無い」
「えー、何で?」
「貴様の方が強いだろう」
呟く声に、悔しげな感情が宿っているのに気付いて、ノービスは笑いをかみ殺した。
彼らが出会ったのはそれほど前ではない。
魔物を仕留め損ねて窮地に陥っていたウィザードを、(世間では廃と呼ばれる)ノービスが助けたのだった。
大丈夫かと声をかけようとした彼が見たのは、
赤い髪からのぞく、全てを拒絶するようなウィザードの瞳だった。
「てか、相手が強いって思うならば、赤ポ全部渡そうとしたりする?」
「またその話か」
ウィザードは溜息をついた。
助けられたあと、彼は礼を言って、持っていた赤ポーション全てを渡して去ろうとしたのだった。
「助けてもらったんだから、礼としては当然だろう」
「自分の方が体やばくても?」
「当然」
ためらいも無く言い切ったウィザードを振り返り、ノービスは彼の赤い髪を撫でた。
「先輩、やっぱり意地っ張りー」
当然のように、彼はウィザードに殴られた。
47名無しさんsage :2002/12/21(土) 23:49 ID:ceaAY5jw
あの時、ノービスが引き止めなければ、彼はボロボロの体のまま去っていただろう。
どうしても、ウィザードは赤ポーションを受け取らなかった。
それが彼のその時の持ち物の中で、最も価値のあるもののようだった。
ポーション無しでは、どう考えても街に戻る前に死ぬ。
彼の様子から見て、代償も無しにワープポータルやヒールを頼む事も無いだろう。
結局ノービスがウィザードを無理矢理背負って街まで戻ったのだが、
その間、彼は「降ろせ」以外の言葉は何ひとつとして話さなかった。
「あの時、俺は先輩に何かして欲しくて助けたんじゃないんですよ」
殴られた頭を押さえてノービスが呟いた。
「そんなのは分かっている。だが、私は納得行かない」
ウィザードはそう言い、赤い髪をかき上げた。
「助けられても感謝すらしない奴らというのは、どこにでも沢山いる。
別に、助け合いが当然という考えに文句は言わない。
けれど、自分ばかり楽しようとする奴には腹が立つんだ」
赤い髪からのぞく目に、怒りが見えた。
48名無しさんsage :2002/12/21(土) 23:50 ID:ceaAY5jw
ノービスは軽く微笑んで、ウィザードの目を覗き込んだ。
「何だ?」
不思議そうな顔をして、ウィザードが聞いた。
「先輩って呼ぶ人は、自分より力がある人じゃなくって、自分が尊敬する人だと思うんですよ。」
満面の笑みで言うノービスに、ウィザードは首をかしげる。
「俺先輩より強いかもしれないけど、先輩より物知らないし。
それに先輩みたいにはっきりした自分の考えもてないし。
だから、俺ムチャクチャ先輩の事尊敬してるんですよ」
「尊敬してるならついてくるな」
「尊敬してるのと従うのは違いまーす」
ノービスの答えに、ウィザードはがっくりと頭を下げた。
49名無しさんsage :2002/12/21(土) 23:51 ID:ceaAY5jw
確かに、彼はウィザードの生き方を尊敬していた。
しかし、同時に彼の生き方が心配であった。
ウィザードが言う通り、自分第一の人間がこの世には溢れている。
こんな世界では、真面目すぎる生き方が、自分自身を傷つける。
そして、いつか命を落とす原因になる。
―きっとこの人は、俺よりも長生きできないな。
初めて逢ったときに感じた印象は、日増しに強くなるばかりだ。
それだけは避けたかった。
ウィザードが、誰にもその思いを理解されずに、
他人を拒絶する目のまま死ぬような事は、絶対に避けたかった。
50名無しさんsageおしまい :2002/12/21(土) 23:52 ID:ceaAY5jw
「もういい。好きにしろ。けれど私はお前なんか気にせずに進んでいくからな」
顔を伏せたままウィザードが呟く。
「だから手助けもしなくていい、っていうんでしょ?」
「ああ。勿論私もお前の助けなんかしないぞ」
口では冷たい事を言っているが、きっと彼は、
自分が危険な目に遭ったら命をかけてでも守ろうとするだろう。
例え彼のほうが弱っていようとも。
「元より承知です」
その考えを外に出さないようにして、ノービスは答えた。
「じゃあ、さっさとゲフェンまでいくぞ」
「はーい」
体力を回復したウィザードが立ち上がり、ゲフェンに向かって歩き始めた。
その後ろ姿を見ながら、ノービスは願った。

どうか、いつまでもこの背中を追い続けられますように。
51名無したんsage :2002/12/22(日) 13:31 ID:vhb1jCDw
(゚д゚;≡;゚д゚) モ、モレノ デムパ ガ セイブン カ サレテル!!??

なるほど、Wiz様を助けたのは廃ノビだったのですね。
妙に納得ヽ(´ー`)ノ
52名無しさんsage商人とマジとお姉様 :2002/12/25(水) 02:19 ID:KZgKj7pk
人通りの少ない裏路地で、彼は露店を開いていた。
「もーお姉様最高、ステキ! おまけにこれもあげちゃう!」
そう叫んで、商人の青年は自らの懐からポリン人形を取り出した。
「あら坊や、いいの? これだって貴重な収入源でしょ?」
彼の目の前に立っていた修道女がそう言うと、彼は大きく首を横に振った。
頭につけているゴーグルがカチャカチャと音を出す。
「いえいえ、俺から貴女へのクリスマスプレゼント。
それに、お姉様に会えた事を考えりゃ安いモンですよ」
ささ、うけとって、と彼は修道女の手にポリン人形を押し付けた。
「かわいいわ」
「んでしょ、これ苦労したのよ。俺がポリンを見つけては割り、見つけては割り……」
「ああ、これじゃなくて貴方の事よ」
修道女は艶然と微笑むと、彼の頬に口付けした。
しばらく呆気に取られていた青年だが、
事態を理解すると、ガッツポーズで飛び上がった。
「もう、お姉様ってば、そんな分かりきった事言わないでよ!」
彼は頬を大事そうに押さえながら、修道女に向かってウインクした。
彼女も笑ってウインクを返すと、自らの荷物袋にポリン人形を詰め込んだ。
中には大量の空き瓶が詰まっている。
「また買いに来るわ。ところで、今からでもいいから大通りに行ったら?
クリスマスなんだし、結構売れるはずよ」
修道女が立ち上がってそう言うと、商人は首を横に振った。
「俺みたいな美男子が大通りに行ってみなさいよ。
周りのお嬢様方が全部俺のところに来ちゃうじゃない。
他のヤツの商売を邪魔しちゃ悪いでしょ?」
「それもそうね」
真面目な顔をして答えた商人に、修道女は笑って頷いた。
「じゃあ、良いクリスマスを」
「ハイハイ、お姉様もお仕事頑張って!」
修道女の背中に向かって、商人は立ち上がり、大きく手を振った。
その背中が小さくなり、建物の影に隠れて見えなくなったところで、
彼はやっと手を振るのを止めた。
53名無しさんsage :2002/12/25(水) 02:20 ID:KZgKj7pk
商人は少しゴーグルをいじると、大きく溜息をついて、元の石畳に座り込んだ。
恐ろしく冷たかった。
「あ〜……クリスマスなんか嫌いだぁ」
これ言ったの今日だけで何回目だっけ? と彼は首をかしげた。
街中でいちゃつくカップルを見たときに一回。
露店の多い通りで互いのプレゼントを選ぶカップルを見たときに一回。
二人仲良くサンタ帽を被っているカップルを見たときに……もうやめよう。
ともかく、こういう行事のある日ほど、独り者の自分が惨めに思えるのだ。
「さっきのお姉様、とってもステキだったんだけどなぁ」
何しろ修道女、しかもプリーストである。クリスマスは忙しいに決まっていた。
もう一度溜息をつき、彼は足元に転がっていた石を指で弾き飛ばした。
―こんなんだったら、この間のあの子と仲良くしておくんだったな。
「おい、目を開けたまま眠っているのか?」
臨時パーティで一緒だった弓使いの少女を思い出していると、頭上から急に声をかけられた。
顔を上げると、見慣れたマジシャンの衣装に、長めの赤い髪が目に入った。
商人の青年はまた溜息をついた。
「何だお前か」
「いきなり失礼な奴だな」
つまらなさを隠す事無く呟く商人に、マジシャンの青年は顔をしかめた。
54名無しさんsage :2002/12/25(水) 02:20 ID:KZgKj7pk
商人はカートからリンゴを幾つか取り出して袋に詰めると、マジシャンの青年に渡した。
「……毒リンゴ?」
「違えよ、クリスマスプレゼント」
途端に、マジシャンが気味の悪いものでも見たような顔になる。
「何よその顔」
「お前が男にプレゼントって……天変地異の前触れか?」
「そうそう。俺みたいないい男が彼女もなくクリスマスにお店開いてるんだぜ。
どう考えても天変地異の前触れだろーが」
そこまで言うと、彼はゴーグルを外し、手袋を外して、
背中辺りまで伸びた紫の髪を乱暴に掻き毟った。
「つーか路地裏寒い。マジ寒い。ねぇそのマント貸してくんない?」
「誰が貸すか」
遠慮なく言い放ったマジシャンのマントを、商人が掴んだ。
「んじゃあさ、俺も入れて」
「誰がそんなみっともない事するか」
「いいじゃん誰も見てないし」
「そういう問題じゃないだろ。いいから離せ」
「けちだねー」
商人はそう呟くと、マントを軽く引っ張った。
「う、わっ」
バランスを崩したマジシャンが、商人の上に倒れ込むような姿勢になった。
「あら、言葉の割には大胆」
「お前のせいだろっ!」
半ば抱きしめるような形で支えた商人に、マジシャンは怒鳴りつけた。
55名無しさんsage :2002/12/25(水) 02:22 ID:KZgKj7pk
「大体、寒いならば町の中央で店を開けば良いじゃないか」
そう言いながら、マジシャンは商人の横に座り直した。
商人は退屈そうに足元の石を投げた。
「クリスマスにあんなところで店開けるわけ無いじゃん」
「それもそうか。確かに、酷い混み様だったし……」
「あー違う違う」
納得するマジシャンの横で、商人は首を横に振った。
「どこを見ても幸せそうなカップルばかり。
たまに一人で歩いてる美女を見かけたって、恋人の為のプレゼント探しの途中だったりするし」
あんな所で店なんか出来るか、と呟く商人に、マジシャンは溜息をついた。
「阿呆」
「ほっとけ」
商人はそう言うと、カートの中を漁り始めた。
安価な回復アイテムや、消耗品ばかりが残っていた。
「んー、今日はもう売れなそうだな」
いつもだったらこれからが勝負なんだけど、と心の中で呟いて、彼は立ち上がった。
太陽はちょうど傾き始めたところだった。
「あー寒い。お前昼飯食った?」
「いや、まだだけど」
「じゃあ食いに行こう」
そう言って、彼は広げていた商品をカートにしまい込んだ。
56名無しさんsage途中にもうひとつあったけどおしまい :2002/12/25(水) 02:24 ID:KZgKj7pk
マジシャンも立ち上がった。
「いいけど、どこの店も恋人や友人同士で溢れかえってるぞ」
何気ないその言葉に、商人が途端に嫌そうな顔をする。
「それ独り身の奴に対するいじめじゃない?」
「ああ、そうとしか思えない」
マジシャンも頷く。
商人は軽く舌打ちすると、外していたゴーグルを被り直しながら呟いた。
「飯ぐらい楽しい気分で食わせろよー……って、ああ、そっか」
急に彼が手を叩いた。
「お前、一緒に食事する奴探してたのか」
「はぁ?」
思わず間抜けな声を上げてしまったマジシャンをよそに、商人は一人納得する。
「そっか、お前人付き合い悪いと思ってたけど、下手なだけだったんだな。
かまって欲しけりゃ、さっさと言ってくれれば良かったのに」
そう言って、彼はマジシャンの頭を撫でた。
「馬鹿かっ、何一人で勘違いして……」
「照れるなって。ほれ、行くぞ」
嫌がるマジシャンの手を掴み、商人は町の中央へ向かって歩き出した。
商人は手袋をつけていない。
「お前、手袋つけないのか?」
「つけてる間にお前逃げそうなんだもん」
「……逃げないからつけろよ」
見てるこっちが寒い、とマジシャンが呟いた。
商人は笑って、彼の手を離した。
「やっぱりかまって欲しかったんだ」
「黙れ」
57名無しさんsage :2003/01/12(日) 02:45 ID:oWBG/A6Q
52-56の続きを激しくキボン
58名無しさんsage :2003/01/12(日) 15:26 ID:z.Rs1iCc
>57
時期ずれちゃってるから、続きは厳しいのでは…。
もしシリーズ物としての続きって意味だったらゴメソ。
59名無しさんsage :2003/01/18(土) 00:24 ID:gN2oPI9A
そうでつね。
時期ずれちゃってるでつね...。(´・ω・`)

58さん、レスありがとでつ。
60名無しさん :2003/01/22(水) 22:35 ID:Hg.XHH9A
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi?bbs=ROMoe&key=1036625739
の212-213でちと妄想爆発したので書いてみます。導入が悪かったらすまん。

--------------------------------------
彼はもう何十分も露店の前に座り込んで一本の剣をじっと見つめている。
身に余るような剣を腰にズルズルと引きずる様子は確かに剣士なのだが、
剣士が良くつけているプレートもなく、ヘルムもないその姿はまだ初心者に毛の生えたようなものだ。

剣士がじっと見ているそのカタナはどこぞの武具店で転がってるありふれた剣とは違っていた。
風の妖気を涼やかに放ち、その切れ味は今まででは思いもよらないような迫力を感じさせる。

「ウインドカタナ 400K」

一流の「騎士」と呼ばれる者たちにとってはそう購入は難しくない物かもしれない。
実際街中で「カゼバッソ」とか言われるこれより上級のものだってあるらしいことも聞いたことが有る
しかしかけだし剣士である彼には永遠に手の届きそうにない金額に見えるのだ。
彼は手持ちのアイテム袋の中身をじっと眺める・・・どう考えても1桁、いや2桁違う。

「こんなの買う奴がいるんだよな・・・俺もこんなの持てるようになるのかな」

思わずぼやく剣士はそろぉっと手を伸ばし、ウインドカタナにそっと近づけてみる。
目の前のブラックスミス・・・おそらくこの剣を鍛え上げたものであろう・・・は
おそらく連夜の徹夜の作業が祟ったのだろう、ウトウトと名剣たちの前で舟をこいでいる。
触ってみるなら、そして振ってみるには今しかない。

とうとう剣士はその剣を握ってみた。
いつか、いつかこんな名剣をもって世界中を旅してみたい・・・。
しかしそのとき。ブラックスミスが自らの剣の不信な挙動に気づき目を開けたのである。

「剣士の兄ちゃんよ・・・その剣買うのかどっちなんだよ。盗る気なら、俺にも考えはあるぞ」

目を覚まし、手をジーンズのポケットに入れたまま剣士を睨みつけるブラックスミスは
かけだしの剣士よりずっと逞しく、自らも歴戦の勇者であることを物語っている。
すっかりおびえた剣士の目からボタボタと大粒の涙がこぼれおちた。

「あ・・・あ。あの、あの・・・ぼ、ぼくは・・・かえない・・・です。ご・・・めんなさい」
61とりあえずここまでかく。sage :2003/01/22(水) 23:14 ID:Hg.XHH9A
ブラックスミスはそんな子犬のような剣士の姿を見て手を腕組みし、
眉を八の字にして困って見せた。

「お、おいおいおい・・・大通りのど真ん中でそんなに泣くなよ〜。
商売人がお客泣かせてちゃ、俺が困っちまうだろ?」

そう言っても、剣士はまだヒクヒクとしゃくりあげる。
「しかたないなぁ。これじゃ商売上がったりだぞ」
そういってブラックスミスは店を畳むとグズグズ洟をすすっている剣士を
街の南東へ連れて行く。商人以外はあまり人のとおらない場所だ。

「とりあえず、これでも飲んで落ち着け。」
剣士は渡されたリンゴジュースをゆっくりとずず、と吸い込んだ。
彼らは普段は実にだらしない座り方をするくせにこの剣士に限って
やたら神妙なのがブラックスミスにはほほえましく思えた。

「どーせなんか事情でもあるんだろ?俺に全部話してみな。
どうせぜんっぜん売れねえしとことんまで聞いてやろう。」
ブラックスミスのふぁぁ〜とノビをしながらの問いにコクン、と剣士はうなずき、
ウインドカタナについてどう思ったかを率直に、素直に話す。

剣としての美しさ、人を吸い付ける力、そして自分がいつかこの剣がもてるような
立派な騎士になれるかどうか、とんでもない不安を持っていること。
だからつい買えもしない刀に手を触れてしまったこと。

「ほほぉ〜。たかがウインドカタナ一本でそこまで感動して
びーびー泣く奴がいるとは鍛冶屋冥利につきるねこれは。」
ブラックスミスはオノレの限界を知っている。
自分の作っているウインドカタナは世の中の同業に比べワンランク下の武器に過ぎないこと、
たかがカタナに失敗しやがってと馬鹿にされることもよくある。
そんな騎士どもに比べ、このつたない剣士のなんと真摯なことか。

「なんなら、まけてやるぞ?コイツだってな、お前みたいな奴に
愛してもらうのが一番の幸せだと思う。」
「でも・・・たぶん・・・無理だと思う。俺のアイテム袋こんな石ころしか入ってないし足りないもん」

ごろごろごろ。剣士は戦利品をあけて見せた。
あきびんとか、かえるの水かきだとか、商人の頃を思い出すような安い品々ばかりだった。
こりゃさすがに・・・足りないな。ブラックスミスもそう思った。

しかし、その中にキラキラと緑色に光る石がかなりあるのを見つけた。
「おい、おまえ、今何と戦ってるんだ?」
「ハチ・・・」
「はっはっは!お前いいもの持ってるじゃねえか、幸せ物!」
これはウインドオブヴェルデュール。少々であるがウインドカタナと同じ性質を持つ原石だ。

「鉄鉱石も随分あるな。重くて大変だったろうに」
「落ちたアイテムは全部拾わないとノーマナーだぞ、と地下水道で商人さんが教えてくれました」
「そ〜かぁ。いいアドバイスもらったな。」
「どういうことなんですか??」
きょとんとしている剣士のオデコをぴん!とブラックスミスははじく。

「なにをぼけーっとしてんだよ。喜べ。これだけあれば、お前に作ってやれるからな」
「えっ、何を?」
「お前がずーーーーーーーっと、見てた、剣にきまってるだろが。」

目の前のこのわけのわからない石ころたちがあのウインドカタナになるの?
その過程を想像するだけで剣士には訳がわからないし、夢のようである。
実際にはあと亡者の牙がいるのだが、まぁそのくらいはこいつのために出してやろう。
刀は愛されてこその刀だ。このさい利益などは考えまい。そうブラックスミスは思った。
62(´д`*) :2003/01/23(木) 15:46 ID:CNYnltiE
で、デムパが…デムパのせいでつ……

 抜けるような青空の下、人々は皆明るい表情で行き交うと言うのにこのプロンテラの街のとあるベンチに座り込む転職を目前としたノービスは一人浮かない顔でベンチに座り込んでいた。
「ハァ…」
 小春日和の陽気の中で、彼を暗い表情にさせるのは「転職」の二文字であった。
 彼はまだどの職業に就くのか決めかねていた。

「レン」
 と、そんな彼に声をかけるものがいた。
 レンとよばれたノービスが聞きなれた声に顔を上げると、そこにはやはり見慣れた顔が真新しい魔法士の衣装を纏って立っていた。
「ディー」
 名前を呼ぶと、ディーは陽光を照りかえりたかのような自分の金の髪をぞんざいに書き上げながらレンの隣に座り込む。
「なぁにシケた顔してんだよ?」
 それに対して些か気弱な表情でレンが微笑み返すと、今度はレンの顔を半ば隠すように伸びている栗色の髪をぞんざいに、しかし優しい手つきで掻き揚げる。
「まだ、悩んでるのか?しょうがねえ奴だなあ」
 そんなことを言いながら、ディーの口調は責める物でなく優しいものだった。
「僕は父様のように騎士になる素質もないし、お爺様のように魔導師になる資質も無いし…」
 レンがポツリと呟く。
 ディーはそんなレンの頭を優しく撫でながら
「何も魔導師や騎士だけが仕事じゃねえ、お前にはお前の適職が絶対にあるさ、だからゆっくり探すといいさ」
 と、言葉をかける。
 レンは頭にかかる自分より少し大きな手に、心地よさ層に目を瞑りながら頷く。
「ありがとう、ディー」
 ディーのぶっきらぼうだが、優しさの籠もった言葉にレンの沈んだ心がゆっくり浮上していく。
 そんなときだった。

「あぶねえぞ〜〜!」
「古木の枝が暴走した〜!!」
 と、ざわついた街の中からそんな声が聞こえた。
 古木の枝、それは年を重ねた老木から稀に取れる特殊な枝で、それを使うとモンスターが呼び出されるという。
 その言葉にディーが腰を浮かせる。
「やばそうだ、離れよう」
 促すディーに頷き、レンガ腰を浮かそうとした刹那
 目の前の空間が歪み、そこから凶暴な唸り声とともにグールが姿を現した。
「レン!逃げろ!!」
「……っ!」
 ディーの叫び声がレンの耳に届いたかどうか…
 しかし、レンは恐怖と驚愕に動き出す事が出来ず息を呑むだけだった。

「レン!早く逃げるんだ!!…ファイアーボルト!!」
 ディーはレンをグールから守るため、覚えたばかりの魔法をグールにぶつける。
 だが、最近転職したばかりのレベルの低いディーの魔法では、アンデッドの中でも高位なグールに深い傷を与える事は出来ない。
 ただ衝撃で、数瞬足止めをさせられただけである。

 それでもその隙を突いて、ディーは動けないでいるレンとグールの間に割り込み、自分の体を盾にするようにグールから守るように、レンの体を抱きこむ。
「ディー!」
 漸くそれに気づいたレンは、慌ててレンを引き剥がそうとする。
「危ないよ!!ディー逃げて!!」
「やかましい!逃げるならお前と一緒だ…ぐっ!!」
 レンの叫びに怒鳴り返したディーの肩を、グールの毒牙が抉る。
「ディーーー!!!」
 苦痛に歪むディーの顔を間近に見ながら、レンはそう叫ぶ事しか出来ない己を呪った。
 それにさらに追い討ちをかけるべくグールが手を振り上げる。
63(´д`*) :2003/01/23(木) 15:47 ID:CNYnltiE
もうだめだ!
 そう絶望したとき。

「神の威光を…リカバリー」
 低く通った声が、神聖魔法を唱えた。
 それは違うことなくグールに振りかかり盲目状態に陥れる。
 盲目になったことで、攻撃目標であるディーたちを見失ったグールはうめきながら次の獲物を探そうとする。

「神の裁きを…レックスエーテルナ。……セツ、いまだ」
 低い声はさらに弱体化魔法を唱えると誰かに声をかける。

 レンはその様子をディーの肩越しにかすかに見て取った。
 黒い神官服と、そこに並ぶ高位魔導師のみが待とう魔導衣。
 魔導衣を纏った人物―ウィザードが神官服を纏った男―プリ―ストに促され青く煌く石を捧げ持ち宣言した。
「…ファイアーピラー」

 その瞬間、グールを業火の柱が包み込み断末魔を上げさせる間も与えず灰燼と帰した。

 グールが灰の中に崩れ落ちるのを呆然と見ていたレンだったが、自分を抱きこんだままのディーが上げる苦しそうな声に我に帰った。
「ディー!」
 崩れ落ちそうなディーの体をなんとか支えると、先ほどグールを浄化した二人組みがこちらに駆けて来た。

「大丈夫か?けが人はこちらだけだな?カイン!」
 先に到着したセツと呼ばれていたウィザードが、レンとディーの状態を確認してついで駆けつけたプリ―ストに促す。
 カインと呼ばれたプリ―ストは軽く頷き、半ば意識の無いディーの傷口を聖水で清め、癒しの魔法を唱える。
「ヒール。…一応ブレスもかけとくか」


 カインの手当てが終わる頃にはディーの顔色はだいぶ良くなっていた。
「ありがとうございました」
 ベンチに横たわるディーの枕もとに座り込みレンが礼を述べると、カインとセツはなんでもないという風に首を振る。
「礼はそっちの魔法士に言いな。そいつがお前を守ったんだ」
 聖職者にしては些か乱暴な言葉づかいのカインが―実際態度も柄も悪そうであるが―ニッと笑みながら言う。
 その言葉に、いかにも魔導師といった知的な物腰のセツが頷く。
「彼は自分の手に余るモンスターでも、怯まず闘おうとしていた。立派だよ」
 その言葉に頷きながら、レベルの高い高位魔導師と司祭に褒められるディーに、レンは誇らしさと小さなうらやましさを感じた。

「気をつけて」との言葉を残し、肩を並べて去っていったカインとセツを姿が見えなくなるまで見送ったレンは再びべBB地に腰を下ろしディーの目覚めを待つ。
 安らかな表情で眠りこむ相棒の目覚めを待ちながら、レンは先ほどのことを思い出していた。

 自分を守り傷ついたディーに何もできなかったこと。
 カイン―プリーストの唱えたヒール。
 そして、グールに対する神聖魔法。

 攻撃力を誇るわけでもない、しかし…確実に相棒であるウィザードのサポートをしていたし、ディーを癒した。

   聖職者

 レンの頭に一つの選択肢が浮かんだ。
 モンスターを倒すだけが戦いじゃない。
 もとより闘いを苦手とするレンは直接モンスターと対峙するより、ディーのサポートをする方が自分の性格的にも向いてる様な気がした。

「こういう守り方もあるんだよね…」
 呟いたレンの声には明確な意思が籠もっていた。

 『聖職者になる』

 ディーが目を覚ましたらそう告げよう。
 そして大聖堂に行って神父に会おう。
 レンの表情は、抜けるような青空と同じように晴れ渡っていた。


だ・・・ダメだ・・・・・・
駄文過ぎる(涙)
マジ男×ノビ太(アコライト予定)…頭に浮かんだ萌えと何かが違う(´д`)
こっそり出てきたプリ男×WIZ男のほうが気になってしまったからかもしれない(つд`)
長くてヘボくてスマソ_| ̄|●
64(´д`*) :2003/01/23(木) 15:48 ID:CNYnltiE
もうだめだ!
 そう絶望したとき。

「神の威光を…リカバリー」
 低く通った声が、神聖魔法を唱えた。
 それは違うことなくグールに振りかかり盲目状態に陥れる。
 盲目になったことで、攻撃目標であるディーたちを見失ったグールはうめきながら次の獲物を探そうとする。

「神の裁きを…レックスエーテルナ。……セツ、いまだ」
 低い声はさらに弱体化魔法を唱えると誰かに声をかける。

 レンはその様子をディーの肩越しにかすかに見て取った。
 黒い神官服と、そこに並ぶ高位魔導師のみが待とう魔導衣。
 魔導衣を纏った人物―ウィザードが神官服を纏った男―プリ―ストに促され青く煌く石を捧げ持ち宣言した。
「…ファイアーピラー」

 その瞬間、グールを業火の柱が包み込み断末魔を上げさせる間も与えず灰燼と帰した。

 グールが灰の中に崩れ落ちるのを呆然と見ていたレンだったが、自分を抱きこんだままのディーが上げる苦しそうな声に我に帰った。
「ディー!」
 崩れ落ちそうなディーの体をなんとか支えると、先ほどグールを浄化した二人組みがこちらに駆けて来た。

「大丈夫か?けが人はこちらだけだな?カイン!」
 先に到着したセツと呼ばれていたウィザードが、レンとディーの状態を確認してついで駆けつけたプリ―ストに促す。
 カインと呼ばれたプリ―ストは軽く頷き、半ば意識の無いディーの傷口を聖水で清め、癒しの魔法を唱える。
「ヒール。…一応ブレスもかけとくか」


 カインの手当てが終わる頃にはディーの顔色はだいぶ良くなっていた。
「ありがとうございました」
 ベンチに横たわるディーの枕もとに座り込みレンが礼を述べると、カインとセツはなんでもないという風に首を振る。
「礼はそっちの魔法士に言いな。そいつがお前を守ったんだ」
 聖職者にしては些か乱暴な言葉づかいのカインが―実際態度も柄も悪そうであるが―ニッと笑みながら言う。
 その言葉に、いかにも魔導師といった知的な物腰のセツが頷く。
「彼は自分の手に余るモンスターでも、怯まず闘おうとしていた。立派だよ」
 その言葉に頷きながら、レベルの高い高位魔導師と司祭に褒められるディーに、レンは誇らしさと小さなうらやましさを感じた。

「気をつけて」との言葉を残し、肩を並べて去っていったカインとセツを姿が見えなくなるまで見送ったレンは再びべBB地に腰を下ろしディーの目覚めを待つ。
 安らかな表情で眠りこむ相棒の目覚めを待ちながら、レンは先ほどのことを思い出していた。

 自分を守り傷ついたディーに何もできなかったこと。
 カイン―プリーストの唱えたヒール。
 そして、グールに対する神聖魔法。

 攻撃力を誇るわけでもない、しかし…確実に相棒であるウィザードのサポートをしていたし、ディーを癒した。

   聖職者

 レンの頭に一つの選択肢が浮かんだ。
 モンスターを倒すだけが戦いじゃない。
 もとより闘いを苦手とするレンは直接モンスターと対峙するより、ディーのサポートをする方が自分の性格的にも向いてる様な気がした。

「こういう守り方もあるんだよね…」
 呟いたレンの声には明確な意思が籠もっていた。

 『聖職者になる』

 ディーが目を覚ましたらそう告げよう。
 そして大聖堂に行って神父に会おう。
 レンの表情は、抜けるような青空と同じように晴れ渡っていた。


だ・・・ダメだ・・・・・・
駄文過ぎる(涙)
マジ男×ノビ太(アコライト予定)…頭に浮かんだ萌えと何かが違う(´д`)
こっそり出てきたプリ男×WIZ男のほうが気になってしまったからかもしれない(つд`)
長くてヘボくてスマソ_| ̄|●
65(´д`*) :2003/01/23(木) 15:49 ID:CNYnltiE
むう、UPに失敗(´д`)
同じの二重書き込みスマソ(滝涙)
66名無しさんsage :2003/01/23(木) 17:30 ID:kA6q4ti2
>>62-63
good job >▽<b
成長した男どものかっこよさに書きながら
心揺れたりするのは♂萌えの性っしょ。

60-61と書いて続き書こうとしたら
これから出てこようとする殴りプリとクリアコに
物語を引きずられそうになって
うまくかけないでおる奴もいるこっちゃし(自爆)
67名無しさんsage :2003/01/24(金) 01:23 ID:oK5PI3.I
し、知らないうちに沢山の文神様が!
アリガタヤアリガタヤ。

続き待ってますヨ。
お暇なときには是非……。
68(´д`*) :2003/01/24(金) 02:08 ID:JExyEu2s
>>60-61

そう言っていただけると嬉しいです(感涙)
やはり、ヲトナのみりき(魅力)には惹かれますよね?よね?

60-61さんの続きもごっつ気になります(・∀・)b
BSと駆け出し剣士君……怪しい(・∀・)というか萌え(´д`*)
69名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/01/24(金) 23:43 ID:QvkHBs.M
街角のウインドカタナを食い入るように見つめているかけだし剣士の
真摯な心に打たれたブラックスミスは彼のために打算抜きで
自分の技術をかける事にしたのだが。

そんな前編 >>60-61
------------------------

剣士は小雪の舞うルティエでブラックスミスをまっている。
別にどこで鍛造しても構わないようなものだが、
「俺だって準備ってものがある。つれてこなきゃならん奴もいるしな!」
そう彼に言われたのだ。

人気のない雪の街に二人っきり・・・
そう、剣士もまた友人のアコライトを連れてここに臨んだのだ。
彼の栗色の髪には剣士と地下水路に挑んだときに手に入れた紫色のリボン。
それを寒さにカクカクと揺らせていた。
「腕のいい、信頼できる奴をつれてこいよ!」
そういわれている。たしかにこのアコライトは剣士にとってはかけがえのない友だが
所詮は駆け出し剣士の相棒。果たして役に立つのかどうか・・・。

不安を抱えた二人の前にブラックスミスが現れた。
「いよう!」
昼間見たときとは違うジャケット・・作業服だろう・・を着て、手には作業用のグローブをはめている。
本気なのだな。剣士はその気合に頭が下がる思いだ。

「よろしくお願いします!」
だが、ブラックスミスはにぱっと歯を出して笑うと剣士の頭越しにアコライトの頭をくしゃくしゃといじった。
「こいつがお前の相棒か〜?なぁかなか可愛らしい子だな♪」
「ぼ・・・僕男ですっ!」
「わかってるって。俺の相棒だって昔はアコライトだったんだから。」

渋いカオをしていたアコライトの顔が興味を帯びる。
「プリーストさまをお連れになられるのですね?」
アコライトは彼一人でこのような友人の儀式に臨む事に大きな不安を持っていた。
もし実力不足でカタナが手に入らないなんてことがあったら僕のせいだ・・・。
でももう不安はない。プリーストは彼には使うことのできない神がかりの幸運を呼ぶ力がある。

だがしかし、ブラックスミスは頬をポリポリと困った顔をしてかく。
「ん〜。そこのアコライト君。君が想像してるような聖人を
あの生臭坊主に期待するときっとがっかりすると思・・ぐぇ。」
そのとき、その頭の上から一人の男が振ってきて肩のうえにのしかかって彼の話しを止めてしまった。

確かにプリーストの服は着ている。がアコライトの想像してたものと彼は余りにも違っていた。
逆立てられた緑の髪には妖しげな剣が刺さっている上に、ブラックスミスと同じサングラスをかけ、
タバコをプカプカくゆらせて彼を押しつぶしている男は想像を越えていた。

「こら、そこの破戒坊主!何遍俺の上にポタするなと言った。降りやがれ!」
「そんな所に座るお前が悪いんだこのヘボ鍛冶屋が〜。今日はうまく行くのかよ?」
プリーストがそういいながらブラックスミスの肩をばんばん力強く叩くと、
その口を左右に引き裂くように横に引っ張って反撃する。
「あれはお前がばててグロリア止めたからしくじったんだろうが。ちったあ聖職者らしく勉強すればどうだ?」
「ひっはま〜(言ったな〜)」
登場するなりいきなりつかみ合いをする相棒で大丈夫なんだろうか・・・
剣士はブラックスミスとプリーストのつかみ合いの喧嘩に大きな不安を覚えた。
二人とも見事な筋肉してるのでこんな男二人に暴れられてはとても止められない。

ところがその間に割って入ったのは非力を絵に描いたような彼の相棒、アコライトだった。
「ブラックスミスさん!プリーストさん!神の御名のもと、敬虔な仕事の前に争っている場合ですかっ!」
目に涙を貯めて懸命に二人を引き剥がそうと努力したが、もとより力ではどうにもならない。
彼の武器は言葉と真摯な思いだ。彼の武器はあっさり通じたようである。

「あ、あ。えーとな。その、悪かった。神の御名なんていわれると俺も腐ってもプリーストだから困っちまうわ。なぁ?」
「そ、そうだな。頼むから泣くのはやめて欲しいかな〜とか。・・俺たち喧嘩するほど仲いいから。なっ。」
「お、おう」

つかみ合う手をすぐに握手に変えるブラックスミス達の豹変には剣士も唖然とするばかりだ。
「お、おまえ、意外と度胸在るんだな」
全く関係なく相棒・・・アコライトを誉めるのみであった。
70長いです、まだあります(スマソsage :2003/01/25(土) 00:27 ID:w8Ucm3Kw
とりあえず一息ついた4人はまず作業の確認を行う。

まずは剣士の持ってきている鉄鉱石を溶鉱炉で製鉄する。
これはまぁ一応ブラックスミスという職業のものならソコソコできるから問題ない。
「できれば鉄を何個か余らせたいところだな。一寸した財産になるし」
このくらい余裕がある。

次にウインドオブヴェルデュールを溶鉱炉で溶かし、ラフウインドを作る。
これは先ほどのように気楽ではない。鍛冶屋仲間でもっとも優れたものでも
確実に成功するとはとても胸を張れない。今日の場合は五分五分、今日の山場だろう。

そこまでいけば少し楽だ。あとはラフウインドと鉄を使い、刀を鋳造する。
とはいえ、やはりこれも五分五分に毛の生えた程度。予断は許さない。

「・・・だからそんなに高かったんだな。」
作業のあまりの遠さに溜息をつく剣士。
「大丈夫。できる!欲しいんだ!と思ってればできるよ。僕頑張るから。」
アコライトが下がり気味の剣士の頭をなでて気を落ちかせようとする。

プリーストは相変わらず不機嫌だ。くわえタバコのままアコライトを物色する。
「むー。俺ちょっと不満だぞ。どぉして俺がいるのにアコライトをつれてくる?ブレスできんのかよ。」
「はい!普段から熱心に勉学しておりますので自信があります。」
アコライトは立ち上がり、神に祈りをささげる。
「ブレス!父なる神よ、このプリースト様にその力を与えたまえ!」
そのときプリーストの周りを天使が飛び回った。その様子にブラックスミスは目を見張った。
「ほほぉ〜。いい相棒持ってるじゃんか剣士よ。これならバッソでもなんとかなりそうだな。」
「・・・ぐ、俺とはレベルが違いすぎる。悔しいがお前の力も借りよう。」

早速プリーストとアコライトの二人の援護の下、作業が始まる。
「ブレス!父なる神よ、このブラックスミス様にその力を与えたまえ!」
「グロリア!聖なる神よ、我らにご加護を!」

飛び回る天使たち、赤く燃える溶鉱炉、鍛造の鈍い音。
そして輝きとともに取り出される鉄。
「きれ〜だなぁ・・・・」
こう言うときにじっと見ていることしかできないのがもどかしい。
せいぜいブラックスミスが作業を行いやすいように、
大量の溶鉱炉とできた鉄を綺麗に整理して数えるくらいだ。

確かにアコライトなぞに戯れにもたせようものなら
フラフラになるほどの鉄鉱石ではあったが、実際に鉄になってみると実に軽く美しい。
ここまでくればなんとなくゴールも理解できる。胸が高鳴ってきた。
それに真剣に仕事に取り組むブラックスミスの逞しい背中にも惹かれるのだ。
そして見掛け以上に器用に動いて鉄を仕上げていくその腕にも・・・

「あ、あちっ!!」
突然・・・鉄を取り出すのに失敗したらしくブラックスミスは悲鳴をあげた。
「・・・あ、あははは。名工だってどじるからな。大丈夫。このくらいでは足りなくならないから」
「本番でしくじるなよ〜ったくっ!」
「お前安心して途中でうとうとしてただろぉっ!」
「お、お二人とも喧嘩しないでください〜。僕が、僕が悪いんですぅっ!」
「アコライトっ!お前が責任しょってどうすんだよっ!」

・・・実に騒々しいことだ。

----
(続きは明日。もう眠くてダメポ・・・)
71名無しさん(*´Д`)ハァハァ :2003/01/25(土) 13:31 ID:N9pyw/UU
同じ神の元に集い、いかなるときも共に修行に励んできた俺たち兄弟にもついに別れの刻が訪れた。
兄が今宵、新天地へと旅立つのだ。
ギルドメンバー達に次々に別れを惜しまれる自分と全く同じ顔の兄。
その笑みももう、鏡の前でしか見ることはできないのだろう。

「じゃ、左遷先でもがんばれよ」
「左遷言うな!」
「寂しくても泣くなよ」
「お前こそ。俺は人気者だから問題ない。」

こうした掛け合いもこれで最後。
片割れを失ったまま生きていけるほど強くはないが。
一切の感情を胸の奥に押し込んで俺は笑った。

そして彼だけに届く詞を送る。

「長いことありがとな。兄貴みたいな相棒に会えてよかったよ。
 ・・・変人だが。」

「ん・・・俺もまあまあ楽しかったかな」

意地っ張りな俺らの精一杯の気持ちを込めて。

「それじゃまたな。」

「うむ。」

決して振り返ったりはしない。
これは兄との勝負みたいなものだから。
たとえその先に孤独が待ち受けていようとも・・・


実 話 で す 。
♂プリ様方がこんなメルヘンな別れ方をしたと聞き及びまして。
2人だけのwisでの別れ!萌えますた!!
お目汚しスマソ。
72(´д`*) :2003/01/26(日) 09:00 ID:FYTB2pCY
 リーンゴーンリーンゴーン……

 夕闇に染まりつつあるプロンテラに、夕刻を知らせる大聖堂の鐘が鳴り響く。
 家路を急ぐ人並みを掻き分けるように、一人のウィザードが歩いていた。
 彼の目的地は三日前から滞在している旅館だった。
 彼―セツ―の相棒であるプリーストの、年に一度の大聖堂参拝のために3日前に
プロンテラにやってきたのだ。
 しかし、プリーストの相棒―カイン―と違ってウィザードである彼には参拝の義務は無い。
 なので、カインが大聖堂に行っている間セツは次に赴くことになっている、
イズルードダンジョンについての情報収集や装備、道具などの買出しに歩き回っているのだった。
 今日は、下見のためにそのイズルードまで行っていたので帰りが遅くなってしまった。
 手にした荷物を抱えなおしながら、セツは宿絵の道をやや急ぐように歩調を速めた。
「すっかり遅くなってしまったな…」
 宿に到着したセツは、フロントで既にカインが帰っていることを確認して苦笑する。
 既に夕飯の時間なので、遅くなった事に文句を言われるだろう…
 そう思いながら、部屋に向かう。

 ガチャリ
「遅れてしまって済まない」
 セツはドアを開きながら詫びの言葉をかける。
 しかし、部屋にいるはずのカインからは返事がなく、室内も薄暗いままだった。
 セツが室内を見回すと、窓際の椅子に腰を掛けているカインを見つける。
「カイン?」
 声をかけても返事はない。
 ゆっくり近づいてみると、どうもカインは寝ているようだった。
 いつも人を小馬鹿にしたような表情を浮かべているカインであったが、
こうやって眼を伏せているときは、柄の悪そうな雰囲気はなりを潜めてい
かにも聖職者、といった雰囲気があるように見える。
 しかし、人に隙を見せたがらないカインのこんな部分は相棒であるセツ
以外に見ることは出来ないであろう。
 それを知っているセツは、ふ…と笑みながらカインに向けて手を伸ばす。
「カイン、起きろ。食事に行くぞ」
 そう言いながら説はカインの耳を軽く引っ張った。

 耳を引っ張られたカインは、かすかな痛みに眉を顰め目を覚ます。
「セツ…いてえよ」
 耳を引っ張られてことに文句を言うカインはいつものように言葉も柄も悪かった。
 文句を軽く聞き流したセツは、手にしていた荷物をテーブルに置き、
遠出したために少し埃っぽくなってしまったローブを脱ぎ埃を払うために
再びカインのいる窓際に移動した。
「どうせなら、もっと色気のある起こし方してくれよなぁ」
 カインのブーイングに、セツはローブを窓際ではたきながらにべもなく答える。
「ばか者。私の性格を知っていて、そのような要求をする方が愚かだ」
 味も素っ気もない説の答えを、予想していたカインはまゆを顰めた後
ニヤリ、と笑ってとんでもない事を言った。
「お前がどれほど色っぽいか……俺は一番よぉく知ってるんじゃねえか?」
73(´д`*) :2003/01/26(日) 09:00 ID:FYTB2pCY
バサバサバサ!
「うわあ!!」
「おっと、アブねえなあ!」
 カインのとんでもない言葉を聞き動揺したセツは、危うくローブを窓の
下に取り落としそうになり、それを何とか掴んだは良いが今度は自分が落ちそうになった。
 そしてそれを、セツの腰に腕を回し引き寄せる事でカインが救ったのだ。
「おっ…お前がいきなり変な事を言うからだろう!?」
 図らずカインの膝の上に座るような形になってしまったセツは顔を朱に
染めながらセツが反論するが、カインはニヤニヤ笑うだけだった。
「本当のことを言ったまでじゃねえか?なぁ、セツ?」
 降りようともがくセツを解放する訳は無く、両手をセツの体に絡め更に抱き寄せる。
「カ、カイン!は、離せ!」
 更に顔を赤くするセツに、カインはこの上も無く愉しそうに笑う。
「離せって言われておとなしく離すかよ」
 そう言いながら、ジタバタと暴れるセツを押さえつけ唇の端に軽くキスを落す。
「っ!!〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!カイン!!」
 不意打ちにキスされたセツは完熟トマトもかくや、というくらい顔を染める。
 その様子に、声を上げて笑いながらカインが漸くセツを解放する。
「さて、飯を食いに行こうぜ?」
 立ち上がり軽く伸びをしながらカインはセツを顧る。
「お前のせいで食欲減退してしまった」
 何とか平静を取り戻したセツは、はたいたローブを再び羽織ながら憎まれ口を叩く。
 カインはドアに向かいながらそれを聞くとニヤニヤ笑いながら振り返る。
「ちゃんと栄養つけてもらわねえと困るぜ?お前は俺のデザートなんだからよ」
 そう言うと、さっさとドアを開けて外に出て行ってしまう。
 取り残されたセツは、しばらくローブを羽織る途中の体勢のまま固まっていたかと思うと、
我に帰るや相棒の名を叫ぶ。
「カイ〜〜〜〜ン!!!!」

 扉の向こう側からは、愉しげな相棒の笑い声。

 セツが部屋から出てきたのは、もうしばらくかかりそうだった。


ぐはあ(´д`)
マジ男とノビ男の話に脇役で出たプリ男×WIZ男が気になって気になって気になって(エンドレス)
とうとう続きというか、二人をメインにして書いてしまいました(´д`)
萌えるかな〜〜?
と思いながら書いたところ、思いのほかWIZ男君が可愛くなってしまった(´д`*)
食事の後、WIZ男君はプリ男さんの美味しいデザートになったのは言うまでもないですな(´-`)

でも・・・・・つくづく駄文だね(つд`)
7460-61 70-71sage :2003/01/26(日) 15:20 ID:GU8jzfCc
一人降りるとドンドン文字神が降りてきてますねえ・・・Σd(・∀・)イイ!!
「長いだけのヘタレ」にならないようにまとめる努力しますので(;´Д`)

で、私が思うのはね、
「あっちゃ〜、この子達に名前をつけておいてやるんだった!」
ということだったりするのです。名前があると感覚が全然違う。

一応さ、全員の名前はあったりするんだが
それを思いついたのは61を書いた後(汗

職業で最後までとおすのと
今からでも名前にするのとに迷ってるんだけど
みんなは書くとき名前と職業の使い分け、どうかんがえてるんだろっ。
75名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/01/26(日) 21:43 ID:CjXr7uW2
あの…キャラ単品とか、ノーマルって書いちゃ駄目でしょうか?
男性同士も大好きなんだけど、たまに書きたくなって…。

>74
私は職業で通しています。
いい名前が思いつかないので……。
76名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/01/26(日) 22:06 ID:GU8jzfCc
>>75
単品もの見たいです♪ 自分が書くとドンドン人が増えて収拾がつかなくなる・・・。
あと、>>19-21でノーマルは既出。問題無しでしょう。
77名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/01/27(月) 22:22 ID:wYmuPlvk
街角のウインドカタナを食い入るように見つめているかけだし剣士の
真摯な心に打たれたブラックスミスは彼のために打算抜きで
自分の技術をかける事にしたのだが。
そんな前編 >>60-61

雪降るルティエにていよいよ鍛造の儀式?が始まる。
和気藹々!?と進行するブラックスミスとプリーストに
剣士とアコライトの熱い情熱をまぜてますます盛り上がる
そんな中編>>69-70

---
「さんじゅうに、さんじゅうさん、さんじゅうよん、さんじゅうご!よっしそろった♪」
材料を一生懸命数えていた剣士が歓声を上げた。

「50あってできたのは39・・・か。んー。俺鍛冶屋神に嫌われたのかなあ〜」
少しブラックスミスは不服そうである。自分の腕にしてはちょっとできが悪すぎる・・・
が、そんな不安は無理やり聖職二人が吹き飛ばしてしまうのだ。彼らも随分疲れているのに。

「なぁ〜に。悪い運は、チンケな事やってるうちに出しちまうのがいいんだよ!」
「大丈夫ですよ、神は私たちの味方だと信じています。」

微妙に神が違うような気がするのだが、この際気にするまい。
これからの作業はそんなに気軽ではないのだ。
ブラックスミスはウインドオブヴェルデュールを一つ、また一つ溶鉱炉の中に入れて融解していく。
「いつやっても・・・・緊張する。」
「その割には俺がグロリアする前に取り上げまってしくじるよな。」
「・・・・」
返事をしない。作業に真剣なのだ。剣士にはその横顔の余りにもの精悍さに息を呑む。
この人はモンスターだけじゃない、この一つの石とでも戦える人なんだ・・・。
その戦いの相手は今溶鉱炉の中・・・10のウインドオブヴェルデュールが紅く溶けている。

(いくぞ!頼む!)
その合図とともに神への祈りをささげるアコライトとプリースト。
「ブレス!父なる神よ、このブラックスミス様にその力を与えたまえ!」
「グロリア!聖なる神よ、我らにご加護を!」

「うおりゃっ!」
ブラックスミスは勢い良くその紅く燃える塊を引き出す。
そのとき。銀世界に緑色の風が舞うのを剣士は感じた。
そう、彼の目の前には見事な稲妻型の結晶、ラフウインドが現れたのだ。

「やた〜っ!あんたすげえよすげえよ〜」
剣士は首根っこにしがみついてブラックスミスの首筋にほお擦りした。
しかし、その手を引き剥がして体を思い切り振り払った。
「慌てるなアホっ!」
怪力にたまらずごろんと剣士は転がされる。
「まぁったくだぞ。次でしくじっちゃ、すべてが水の泡だ。」
「で、でも僕も緊張しました・・・・。ちょっと休憩させてください。」
「俺も同感。本番の前に一回休ませてくれよ。」
確かにプリーストもアコライトもずっと神に祈りつづけていたせいか消耗が激しい。

「オッケ。ラフウインドが冷えるまで休憩な。・・・剣士。そういえばブドウ持ってたろ?二人に食わせてやれ。」
「ブラックスミスさん、貴方って人は良く俺のカバンの中身全部覚えてますね。」
「商人はな、人のカバンの中身も最大限に生かすよう努力する職業なんだよ!」

本気なのか大嘘なのかわからないが自信たっぷりな言い草である。
78名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/01/27(月) 22:48 ID:wYmuPlvk
休憩の間に鍛冶屋の道具とか材料とかを物色する剣士。要するにひまなのだ。

「これが亡者の歯、かぁ〜。うえっ、きもちわり〜。」

ブドウの皮をプッ!と吐き出しながらプリーストが反論する。

「きもちわり〜!とはなんだ。俺様が浄化してやったんだからグールでもどうってことねえだろっ。」
「さすがプリースト様はちがいます〜。僕にもいつかそのようなことはできるようになるでしょうか。」
キラキラとした目でアコライトが見つめる。

「でも俺と一緒にボカスカ殴ってたんだがな〜。ちったぁ坊主らしい倒し方すりゃいいのに」
ブラックスミスが茶々を入れる。妙にトゲのあるつっこみだ。
でももうプリーストは今回は彼を殴らなかった。
(喋らないと緊張でつぶれそうなのだろう・・・)
なぜならブラックスミスはリンゴジュースを吸いながらそういっているのである。
体力が減ったわけではない。この寒い中緊張でのどまで渇いているのだ。
(ゴツイ体なのに、可愛い奴・・・)
ブリーストは「ふっ、そうだな」と右唇のみで笑った。

さて、と彼はこの日のために下ろしたというオリデオコンの金槌をもって
先ほどの鉄を熱しては叩き、熱しては叩きし始めた。
鉄を追加し、亡者の歯を追加していく間にその鉄の塊は徐々に長い棒となり、
徐々に刀らしい形になっていく。剣士はウロウロウロウロしながら
「もうすぐ完成なんだ〜楽しみだなあ」
「ま、まだまだ・・・最後に刀に命がうまく吹き込まれなければただの鉄くずになってしまう・・・」
金槌を振りながらブラックスミスが答えた。

そう。ここにカタナ作りの最後の難関が残っている。
鍛冶屋神よ、どうか俺のため、そして剣士のため、そして俺達のために祈ってくれる
二人の仲間たちのために、どうかこのカタナに素晴らしい命を・・・

すべての材料が金敷の上で形となった。
(たのむ!)
目で合図を送るブラックスミスにプリーストとアコライトは目を閉じ、最後の祈りをささげる。
「グロリア!聖なる神よ、我らにご加護を!」
「ブレス!父なる神よ、このブラックスミス様にその力を与えたまえ!」
剣士も目を閉じ、祈りをささげた。何もできないけど。
ブラックスミスはウインドカタナに命をささげるべく最後の一振りを風色の塊に投げ入れた。

カツン!

・・・すべてが、終わった。
剣士はゆっくりと強く閉じた目を開ける。
その目の前にはブラックスミスがあの時見た、風の妖気を放つ刀を持って立っていた。

「ほれ、できたから振ってみろ。俺じゃ良くわからんからな」

作った本人は試し切りできないのが残念そうではある。

「振っただけなら普通のカタナみたい・・・」
「そーかそーか、切らないとわかんないか。しょぉがねぇ、ホルグレンのオヤジに挨拶してくっか。」
79名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/01/27(月) 23:41 ID:wYmuPlvk
「うっわぁ〜。剣士君みてみて!水道とは凄くちがうよねえ〜」

アコライトはバイラン島のダンジョンに入ったとたん
チャパチャパと水の中に走っていく。

「綺麗な水にはしゃぐとはガキだなあ〜」

タバコを前歯で弄びながらプリーストが愚痴ったれたが、次の台詞には流石に息を呑んだ。

「これだけ綺麗だと聖水にできるますよ、プリーストさん」
「・・・一寸認識がちがってたようだな」

「さーて。何から行ってみようかな、と。」
獲物を物色していたブラックスミスはとりあえずその辺をフワフワ浮いているプランクトンを指差した。
「ま、とりあえずそれきってみ。」
こいつなら剣士もアコライトも見覚えがある。結構倒すのも面倒で放置していたものだ。

でもこのウインドカタナはちがいすぎた。
サクッ。まるでポリンでも切るかのようにこのモンスターくらいならみじん切りにしてしまう。
「げっ・・・」
切れ味が全然ちがうので驚くしかできない。

「じゃ、こいつと、こいつと・・・こいつも」
ポコ、ボコ、ボコとそこらのカニだのクラゲだのカエルだの頭を殴って注意をひいては
剣士に試し切りさせるブラックスミス。
「よいしょっ!おりゃっ!このっ!」
・・・流石にちょっと強かったが何とか倒せた。彼らのレベルからすれば大健闘である。

その一生懸命な姿を見ていたブラックスミス。一寸戦闘意欲が涌いたらしい。
「さぁて・・・そろそろ俺も殴りたくなってきたんだが。下に行くか〜?」
プリーストのほうに向き直るとプリーストはおうよ!と腕まくりをする。
素手でも俺たちを殴り殺せるんではなかろうか、と剣士は思った。
「海底散歩だな!俺たちじゃカエルじゃ面白くねえもんな。アコライト君ヒールよろしく〜」
「お前はそれでもプリーストかっ!」

海の中にはかけだしの剣士たちには想像もつかない生き物がいっぱいいた。
剣士とアコライトが二人でマリンスピアを叩いているあいだに
ブラックスミスとプリーストは襲い掛かる生き物たちを次々なぎ倒していった。
「アドレナリンラッシュ!偉大なる鍛冶屋神よ!俺たちに神速の武器捌きをくれっ!」
「キリエエルレイスン!聖なる神よ、我らに偉大なる護りを与えたまえ!」

自分たちには想像もつかない速さ、激しさで殴り倒す二人。
もちろん武器一つくらいではまだまだ太刀打ちできない。
でもいつか二人でここにこよう。そう剣士とアコライトは思った。

「ふー、いい運動になったな。おーい、プリースト。そろそろ上がって休むぞっ。」
「おうよ。久しぶりにウインドチェイン振り回したら爽快だったぞ。」

ダンジョンから抜け、緑の芝生の上、4人はしばし体を休める。
「今日はどうもありがとうございました、俺、いつか恩返しします。制作代金も払えてないし」
「ま、そうだな・・・代金はいらねえな。それより」

精精そのカタナの期待を裏切らないように頑張ってくれれば俺はそれでいい。

そう言おうとしたのだがその相手、剣士は相棒と頭を寄せ合い、
いきなりクゥクゥと眠りにつき始めていた。・・・無理もない。
朝から剣をじっと見つめていて、昼間から剣を作り、ダンジョンに入ってる間に
あたりはもうすっかり暗くなりかけている。

風邪をひかないように二人に上から余りもののジャケットを羽織らせる。
俺もちと休むかな。芝の上に寝転がったブラックスミスの顔をプリーストが覗き込む。

「なぁ。正直にいえ。いわんと神の呪いがかかるぞ」
「なんだよぉ、俺だって眠いんだよ」
面倒くさそうにブラックスミスはごろんと寝返りを打って顔をそむける。

「お前、本当はカタナ作るのしくじったろ」
「ばれたか・・・はは。残骸を始末するのはちょっと大変だったよ」
「こいつらはたまたまそういう儀式知らないからいいけど、演技するの大変だったんだぞ。」

ごろん。もう半回転してまたブラックスミスはプリーストの顔を見る。
「だって・・・あいつらの顔見て『失敗しました〜。』なんてお前言えるか?」
「で、あの売り物のウインドカタナ渡しちゃったってか?・・・お前お人よしだなあ。口裏合わせる俺もそうだがな」

ふふ、とブラックスミスは所在なさげな手を頭の後ろに回した。
「俺は単に儲けたくて武器を作ってるんじゃない。武器に対する思いを形に、そしていつか究極の武器を・・」

そういうお前の夢が好きで、俺は付き合ってやってるんだから。
そのときにお前のそばにいるのはやっぱり俺がいいな。

そんな照れくさいこと言うのを保留する代りに
うつらうつらし始めたブラックスミスの耳元にプリーストはお休みのキスをした。

「今日はお疲れさん・・・俺もな。」

----
(とりあえずおわっとく。)
8060-61、69-70、77-79sage :2003/01/27(月) 23:52 ID:wYmuPlvk
とりあえず長すぎ!でも自分的には書きたい放題書けて満足(汗)

1対1のカプリングの好きな人にとっては不服な内容になっちゃったかも。
実際はプリ×BS、剣士×アコがカプールなんですが
これが思いっきりクロスオーバーしちゃってるので、読み取れないかも。
どさくさに紛れてBS×剣士、プリ×アコのからみも混ぜようとしとるし。

それにしてもね、実は当方が当事者になりえたりするわけで、
やっぱ豪快なINTが非常に控え目な殴りプリ(グロリア付き破戒坊主)の相棒、欲しいでつ。
不良そのものの逆毛グラサン希望、当方工事帽グラサンBS両手剣は2
(相棒スレに逝けっ!)

あともう一つ・・・このマジメで純朴で
厨という言葉とは無縁な剣士君の成長をじっくり見届けたい。
といういらぬ創作意欲が・・・
(もういい加減飽きなさい!)
81名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/01/28(火) 21:44 ID:pPMXRTqc
80さま
素敵なものをどうもありがとうございました。
萌え萌えです
BS×剣士に萌えかけてしまった…

あぁ…さっさと殴りアコ、プリにしたいなぁ…(まだ32才)
お疲れ様でした。

>>といういらぬ創作意欲が・・・
是非!!
82名無しさん(*´Д`)ハァハァsage♀商人と♂アサ :2003/02/01(土) 01:36 ID:kcLmTt46
まずい。非常にまずい。
彼女はカートを引きながら、薄暗い洞窟を走り続けた。
「死人にもてたって、嬉しくないっつーの!」
彼女は大声で叫んだ。
彼女の後ろを、ゾンビの群れが追いかけてくる。
―あそこを曲がればっ……!
速度を落とす事無く、彼女はカートと共に岩陰に滑り込んだ。
荷物が落ちないのは、彼女のドケチ根性のなせる業だろう。
しかし、そこで彼女は、自分の考えが浅はかであった事に気付いた。
「何でここにもいるのさっ……」
岩の陰になって見えなかったのだが、そこにも大量のゾンビが待ち構えていた。
死人は生者よりも足が遅い。
だが、これだけの数のゾンビの間をすり抜けて逃げることは、まず不可能であった。
前も後ろも、獲物である愚かな生者を見逃してくれそうに無い。
一瞬、カートを置いて走れば逃げられるかもしれないと考え、すぐに首を振る。
そんな勿体無い事は出来ない。それに、逃げられる保障だって、どこにも無いのだから。
―あぁ、神様仏様癌砲様、何でもいいからこの薄幸の美少女を助けて。
彼女は覚悟を決めてカートを置き、背中に背負った斧を両手に握った。
息を吸い、飛び出すタイミングを見極める。
後ろから亡者の群れが迫ってくるのが分かった。
―しゃあない!
彼女が斧を構え、飛び込もうとしたそのとき。
目の前にいたゾンビの群れが、粉々になって崩れ落ちた。
「年若いお嬢サンを集団で襲うなんて、近頃のゾンビは教育がなってませんネ」
驚く彼女の目に、長い金髪をひとつに束ねた、暗殺者の背が映った。
83名無しさん(*´Д`)ハァハァsageクールなアサ好きな方、申し訳ございません… :2003/02/01(土) 01:37 ID:kcLmTt46
暗殺者は流れるような動きで、彼女の背後に迫るゾンビに近寄った。
彼女が振り向いたときには、そこにはどろどろとした物体が崩れ落ちているだけだった。
緩いウェーブを描く金髪が、彼の動きにあわせて宙を舞う。
優雅な足運びは、まるで艶やかな舞のようである。
ぼんやりと見つめていた商人の少女は、ようやく我に返った。
―……そう、アタシが求めてたのはこういうのよ! これこそ野望達成の第一歩!
今まで死の淵に立っていたとは思えない呑気さで、彼女は一人頷いた。
彼女の野望。それは、どんな大商人にも負けないような店を構えることである。
そこまでは多くの商人が求めるのと同じなのだが。
―ああいう格好いい男を雇って、金持ちを馴染み客にして、リッチな逆ハーを築くのよ……!
目の前の男は、少し喋り方が変わっているが、声から想像すると美形に違いない。
どうにかして懇意になろうと決意を固める彼女の目の前で、暗殺者は次々とゾンビを倒していく。
「ふぅ、ナカナカ根性のある奴ですネ」
彼はそう呟き、最後の一匹の方を見た。
「けれど、ワタシの方がど根性です」
その言葉が終わるときには、すでにゾンビは地に崩れ落ちていた。
「終わりましたヨ」
「あ、はいっ!」
商人は慌てて背中に斧を背負いなおし、暗殺者の方に駆け寄った。
「お怪我はありませんカ?」
「はい、ありがとうござい……」
お礼を言おうとした彼女は、しかし振り向いた暗殺者の顔に言葉を失った。
優雅な金髪の持ち主は、顔にガスマスクをつけていたのだ……。
84名無しさん(*´Д`)ハァハァsageノーマルカプでもない気が :2003/02/01(土) 01:38 ID:kcLmTt46
口を開けたまま呆然としている商人を見て、暗殺者は首をかしげた。
「ドコか、痛みますか?」
「……え、あ、えーと……」
何て言えば良いのか分からない商人をよそに、暗殺者はポン、と手を叩いた。
「アー、ワタシの戦いっぷりに惚れましたネ?」
ああ、美しいとは罪、と叫び、天―といっても洞窟の天井―を仰ぐ暗殺者に、商人は内心頭を抱えた。
―駄目だ、こいつ。
確かに戦い方は惚れ惚れした。
後姿や足運びは優雅だったし、体つきもなかなか良い。髪の毛もサラサラだ。
だが、ガスマスクを被っている暗殺者の、どこに惚れればいいのだろう。
これじゃあ肝心の顔が分からないではないか。
「本当にダイショブですカ?」
そういって覗き込んでくるガスマスクに、彼女は慌てて首を振った。
「大丈夫です、ちょっと驚いてしまって」
「確かに、あの量は異常でしたネ」
いやアンタのガスマスクだよ、と叫びたい気持ちを必死に押さえて、彼女は笑顔で頷いた。
とりあえず、コイツから早く離れなくては。
彼女はカートに駆け寄り、中からニンジンを大量に取り出して袋に詰めた。
「これ、少ないですけど、助けてもらったお礼に」
必死に笑顔を作り、その袋を暗殺者に押し付ける。
「オー、ありがとうございますっ♪」
そんな彼女の様子にも気付かず、暗殺者は嬉しそうに袋を受け取った。
「あの、ここ危なそうだから、私は街に戻りますね」
商人はそう言って、カートを持ち直した。
「出口までお送りしましょうカ?」
そう言って手を差し伸べるガスマスクに、彼女は首を横に激しく振った。
「いえいえっ、そこまでして頂かなくても大丈夫ですっ!」
そう叫び、彼女は出口に向けて全力で駆け出した。
「遠慮しなくても良いんですけどネー……」
残されたガスマスクはそう呟き、ニンジンを抱え、鼻歌を歌いながら洞窟の奥へと向かった。
85名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/01(土) 01:38 ID:kcLmTt46
人の少ない、日当たりのいい所に露店を広げながら、少女はぼんやりと考えていた。
あのガスマスクを外したら、どんな顔が現れたのだろう。
もしかしたら、綺麗な顔を隠す為にガスマスクを被っていたのかもしれない。
いや、そんなはずない、と彼女は考え直す。
別に顔を隠す利点はどこにも無い。
それにあの言動がある。さっさと別れて正解だったのだ。
世の中には、もっと格好良くて、まともな男が溢れているに違いないのだから。
自分だってそれなりに可愛いし、もう少し大人になれば、すぐに素敵な男性が集まるだろう。
ただ、ちょっと運が悪くて、いい男と巡りあえないだけだ。
そこまで考えて、彼女は溜息を吐いた。
「どっかに、いい男いないかなぁ……」
「ワタシをお呼びですカ?」
「おうあああぁぁっ!?」
突然目の前に現れたガスマスクに、彼女は悲鳴を上げた。
「な、何でここに!」
焦りながら叫ぶ彼女の目の前で、ガスマスクはうーんとうなり、頭を掻いた。
先程は暗くて気付かなかったが、頭には見事なヒマワリが咲いていた。
ただでさえ高い身長が、更に高くなって、相手を威嚇するようである。
いや、身長よりも外見の方が恐怖を感じさせるのだが。
「先程もらったニンジンを食べようと座り込んだら、ムナックに囲まれてしまいましてネ。
 ちょうどコレを外しかけてた時でして、付け直すのに手間取ってボコボコ殴られてしまったんデスよ。
 あんまりにもヤバイから、慌てて戻って来たんデス」
魔物までワタシの美しい顔に惹かれたんですネと付け加え、彼はガスマスクをこんこんと叩いた。
商人は気付かれないように溜息を吐いた。
―やっぱりこいつ駄目だ。
「という訳で、ニンジン売って下サイ」
そう言って、ガスマスクが目の前に座る。
「お金出してヒールしてもらうほうが安上がりじゃないですか?」
そう聞くと、ガスマスクは悲しげに首を振った。
「ソレが、ワタシが近づくと皆逃げてしまうんですヨ」
そりゃそうだ。
そう思ったが、彼女はそうですかとだけ答えて、ニンジンを袋に詰め始めた。
86名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/01(土) 01:39 ID:kcLmTt46
見た目がどうであろうと、客は客である。
大量にニンジンを購入してくれる人は、例えガスマスクでも素敵なお客様だ。
「……はい、ちょうど受け取りました」
ニンジンの代金を数え、商人はガスマスクに営業スマイルでニンジンを渡した。
「ありがとうゴザイマス」
彼はそう答えてニンジンを受け取ると、キョロキョロと辺りを見回した。
「ここで食べててもいいデスカ?」
あまり多くの人に顔を見られたくないのですヨ、と彼は付け加えた。
「どぞ……って洞窟とかではどうしてるんですか?」
「人がいないのを確かめ、壁の方を向いて外すんですヨ」
洞窟で壁に向かって座り込み、ひたすらニンジンを齧る暗殺者。
足元にはガスマスク。
頭に浮かぶ惨めな姿に、商人の中で、暗殺者に対するイメージが音を立てて崩れていった。
―どう考えても、ガスマスクいらないじゃん……。
きっと頭のヒマワリに脳みそを吸われているに違いない、と彼女は思った。
ガスマスクのほうは、さっさと彼女に背を向けて、ニンジンの袋を開けている。
その背中に、彼女は静かに決意を固めた。
「あの……」
「何デスカ?」
振り向いたガスマスクに、商人は勇気を振り絞って言葉を続けた。
「顔、見せてくれませんか?」
ニンジン値引きしますから、と付け加える事も忘れなかった。
隠されていると、余計に見たくなるのが人間の心理だ。これで美形なら儲けものである。
「フム……」
ガスマスクはそう呟き、商人の顔を見た。
暗殺者の目は、ガスマスク越しでよく分からない。
商人が真っ直ぐに見つめ返す。ここで引くわけには行かなかった。
奇妙な沈黙が辺りを支配する。
そよ風が、ガスマスクに寄生するヒマワリの葉を揺らす。
笑わないようにしようとすればするほど、ガスマスクとヒマワリのコンボがつぼにはいる。
とうとう彼女が絶えられなくなり、口を開きかけた時だ。
「モウ、惚れちゃダメですヨ♪」
キャッ、という不気味な呟きとともに、ガスマスクは頬に手を当てた。
―やった……!
彼女は心の中でガッツポーズをとり、無言で頷いた。不気味な呟きは聞かなかったことにした。
暗殺者がガスマスクを外す。
ドキドキと少女が見守る。
「……ふぅ、やはり洞窟の外のほうが気持ちいいデスネ」
軽く溜息を吐いて、暗殺者が商人に笑いかけた。
―お、いい男。
自分で言うだけあって、彼はなかなかの美形であった。
まじまじと見つめる少女に、彼は頬に手を当て、恥ずかしがるような素振りを見せた。
「惚れちゃダメって言ったのに♪」
やはり、キャッ、という呟き付きである。
やっぱりどっか変だ、と商人は思った。
87名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/01(土) 01:39 ID:kcLmTt46
人間というのは都合のいい生き物であり、見た目が変わるだけですぐに打ち解けてしまう。
彼女らの場合も例外ではなかった。
「ウーン、美しいお嬢さんに美味しいニンジン。ワタシは幸せ者ですネー」
幸せそのものの表情でカリカリとニンジンを齧りながら、暗殺者が呟いた。
「そうよね、アタシやっぱり美人よね」
彼の言葉に、商人が力強く頷く。
「エエ、あと数年もしたら素敵なレディになりますヨ」
「そうよねそうよね。でもアンタも格好良いわよ」
「そんな分かりきった事、今更言わなくっても良いですヨ」
そう言いながら、彼は金色の前髪を左手でかき上げ、白い歯を見せて笑った。
―爽やか暗殺者ってのもいいわ……。
うっとりとした表情で、彼女は暗殺者を見つめた。
右手に握られた、食べかけのニンジンは見なかったことにした。
「ってアンタ、そんなに格好いいのに何で顔隠すのさ?」
露店の荷物を並べなおしながら、商人がもっともな質問を口に出す。
「そりゃ、哀れなレディがついてきてしまうからに決まってるジャないデスカ」
自信たっぷりに断言する暗殺者に、商人は首をかしげる。
「いいじゃない、女の子にもてるの好きでしょ?」
「エエ好きですよ」
でもね、と付け加えた暗殺者に、商人が顔を上げた。
途端、空気が張り詰めるのを、彼女は感じた。
彼女の目の前にいるのは、あのいかれた爽やか暗殺者ではなかった。
同じ人間ではあるのだが、その目に浮かぶ色がまるで違う。
生きているものに死の恐怖を与える、暗殺者の目。
魅入られたように硬直する商人に向かって、冷たい目の暗殺者は優しく微笑みかけた。
「狩りの邪魔をされるのは、殺したいほど大嫌いデス」
あくまで優しいままの口調が、余計に彼女の背筋を冷たくする。
どれだけふざけた格好をしていようと、目の前の男は暗殺者なのだ。
しかも彼は、生き物を殺す事に快楽を覚えている。
それだけの事実を、今更ながら思い知る。
「……そう」
商人はそれだけ言うと、自らの仕事に戻った。
手が微かに震えている事に、彼女は気付かなかった。
88名無しさん(*´Д`)ハァハァsageおしまい :2003/02/01(土) 01:40 ID:kcLmTt46
「さて、大分回復したし、また狩りに向かいますカ」
元のふざけた表情に戻って、暗殺者が呟く。
ニンジンの詰まった袋の口を縛り、ガスマスクを被りなおすと、彼は立ち上がった。
「お嬢サンは行かないデスカ?」
暗殺者の言葉に、商人は首を横に振った。
「アタシはもうちょっとお店やってる」
「そうデスカ」
ではお先に、と彼が歩き出す。
「……あのさ」
聞き取れるギリギリの大きさの声で、商人が暗殺者の背に声をかける。
「もし、もしも狩りより女の子はべらすほうが楽しくなったら、アタシに言って。
 アタシ、素敵なレディになる頃には首都に大きなお店構えてるはずだから」
自らの決意を固めるように、商人は言葉を続ける。
「そしたらアンタ、うちのお店で働いてよ。
 アンタの顔なら間違いなく沢山の女性客が来る。
 アンタは女の子にモテモテ、アタシは大金持ちでウハウハ。いいと思わない?」
暗殺者が振り返る。
「それに、アタシの店で働けば、いつでも素敵なレディのアタシに会えるのよ」
そう言うと、商人は飛び切りの笑顔を浮かべた。
「……狩りに飽きたら、アナタに会いに行きマショウ」
暗殺者は中世の騎士のようなお辞儀と共に答え、洞窟に続く道を歩き出した。
「待ってるからねっ!」
商人が笑顔のまま、暗殺者を見送った。
耳の奥で、先程の彼の言葉を想いだした。
優しくて、どこか楽しげな声だった。
「あ、でもうちの店の中でガスマスクは被らないでよ!」
大声で叫ぶと、ガスマスクの暗殺者は振り返って大きく手を振った。
同時に、頭のヒマワリがゆらゆらと揺れた。
結局、何故ヒマワリなのかは分からないままだった。
89名無したん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/01(土) 21:50 ID:BDscQ35w
新作キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!

アサシン=クールでカコイイ というイメージが崩壊…いい意味で。
変な話し方と、ひまわりがヒットしますた(*´∀`)
90名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/02(日) 18:57 ID:nJU2hbzo
>82-88
面白カッタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!

ガスマスクひまわりアサシン……!惚れます。
91逆毛の剣士sage :2003/02/03(月) 00:01 ID:CvMUfa9A
昔、プロンテラにガイアとティナという二人の可愛いカップルがいました。
ガイアは剣士、ティナはアコライト。いつも仲良くとても微笑ましい二人でした。

「オレは強くなる!」
それが誰のためなのか、わかっていないのは本人だけのようでしたが、
ガイアは口癖のようにいつもそう言っていました。
「…うん、ガイアならできるよ」
そう言いながらいつも優しくガイアにヒールをかける姿を、街の人たちはいつも目にしていました。

そんな彼らに転機が訪れたのは二人が背伸びをして、通称兄貴森と呼ばれるところに出かけたときのことでした。

「ぐっ、バッシュ!!」
数えたくないほどの兄貴、オークウォーリアーとゴブリンに囲まれながら、それでもガイアは必死にティナに襲いかかろうとする
ゴブリンに向かって剣を振るう。
ゴブリンがその仮面に隠された目に怒りをたぎらせながら、ガイアに標的を変える。
だが、その間に10を超えるオークたちの攻撃がガイアに叩き付けられた。
「ぐぁっ!」
ウートンメイル越しに鈍い衝撃がいくつも襲いかかり、ガイアは思わず声をもらした。
「ヒ、ヒール!」
ティナは必死になってガイアに癒しをかけるが、それとて限界に達していた。
「…だ、だれか! 助けて」
あまり大きな声とは言いがたいが、ティナなりに精一杯大きな声を出したつもりなのだろう。
だが、戦闘の衝撃音を凌駕できるほど大きな声ではないのは明らかだった。
「……くっ」
もはや、ガイアは半ば意識朦朧としながら、自分に振り下ろされつつあるオークウォーリアーの
斧を他人事のように眺めていた。
(……ティナだけは……守りたい)
それすらかなわぬと思いながら、ガイアは自分の情けなさを恨んだ。
その時だった。

「ボウリングバッシュ!!」
92逆毛の剣士sage :2003/02/03(月) 02:34 ID:CvMUfa9A
あまり大きくはないが、よく通るその声でガイアは意識を取り戻した。
「……あ」
最初に出てきたのは間抜けな一文字だった。
見れば今まで彼をさんざん苦しめていたオークたちの死体が転がっていた。
そして、彼の目の前にはプレート、ヘルムといった頑丈な装備に身を包んだ、騎士の姿があった。
「小僧、大丈夫か」
厳しい表情のまま、騎士はガイアに問い掛けた。
「は、はい」
体が痛むが、出きる限りしっかりとした返事を返すガイア。
だが、大事なことを思い出し、彼は再び平静を失った。
「そうだ、ティナ!」
慌てて周囲を見まわすが、ティナの姿は見当たらない。
「落ち着け、小僧。アコライトの娘ならこいつの上にいる」
騎士の指差す方向には、ペコペコの上で気を失ったティナの姿があった。
「…よかった」
ようやく安堵の表情を浮かべるガイア。だが、騎士は冷淡に言い放った。
「無様だな」
騎士の表情は固い。
「剣士は人を守ってこそ意義がある。そのことをよく考えるんだな」

ガイアは返す言葉がなかった。
「……くそおぉっ!」
ようやく怒りとも悔しさともとれる言葉がでたのは、騎士がティナの手当てをして去った後のことだった。
何が悔しいのか、彼にもわからない。
ティナを守れず、オーク達に完敗し、そして騎士にあきれ果てられ。

彼が、ことさらに強さを求めるようになったのはそれからのことだった。


続きはまた明日。
……眠い。
93雪の街 1/4sage :2003/02/07(金) 02:14 ID:41tFUDXI
「……ここも寂しくなったもんだなぁ」
一年中クリスマスが続くという街、ルティエ。
クリスマスには活気がありすぎるほどだったこの街も、今は人一人見当たらない。
オレも単に露店に置くイグ葉を買いに来ただけで、それ以外の用があるわけじゃないんだが。
誰も居ない街に積もる雪を美しいライトアップが照らす姿は、幻想的だがどこかもの悲しかった。
「なーに感傷的になってんだっつの、オレは」
らしくないな、と苦笑いをし、オレは目的を果たすために歩き出した。
「ん……?」
白い景色に、黒い衣装の男が立っていた。対照的な色彩から、その姿がはっきりと見える。
オレはすぐにそれがアサシンの男だとわかった。
男は何をするでもなく、雪の中で佇んでいた。
「何してんだ、あんた?」
「…………」
男は無言でこちらを向いた。その頬に光るものが一瞬見えた気がして、オレは焦った。
「いや、その、こんな所に来るなんて珍しい奴も居たもんだなって、な?」
「……雪を、見せにきた」
「見せにって……?」
辺りを見回しても、彼以外に人は見当たらない。
「……綺麗なものだな」
オレの問いには答えず、男は空を見上げながら言った。
その瞳はどこか寂しそうで、オレはなぜか彼を放っておけない、と思った。
「お前、なんか事情があるんだろ? オレでよかったら聞くぜ」
オレの言葉に、男は信じられない、と言ったような表情をした。
「会ったばかりの俺に、なぜそんなことをしようとする」
「んー……そうだなぁ」
オレは生来おせっかいなのだ。何でもすぐに首をつっこもうとする、と文句をいつも言われていた。
そのせいで女にフラれることも多数だった。放っておいて欲しい時もあるのよ、とか言われてな。
でもこの性格だけは結局いい大人になった今でも直っていないみたいだ。
「放っておけないのさ。お前みたいに寂しい目をする奴をな」
どう言っていいのかはわからなかったが、オレは彼の問いにそう答えた。
オレの言葉に、彼は溜息を一つついた。しかしその瞳に警戒の色はなかった。
話してくれる気になったのだろう。今のオレの言葉に何を思ったのかはわからないが……。
94雪の街 2/4sage :2003/02/07(金) 02:14 ID:41tFUDXI
彼はぽつりぽつりと、事情を話し始めた。
仲間がいたこと、その仲間も彼と同じアサシンで、二刀流使いだったこと。
カタール使いの彼とは武器こそ違え、いい相棒だったこと。
……そして、その仲間が死んだこと。
彼と別行動をしていた時、モンスターの大発生から一次職の連中を守るために単身突っ込んだらしい。


「モンスターは殲滅したものの……あいつの命は尽きていた。遺体はすでに故郷のモロクに埋葬してある。
 今俺の手に残っているのは遺品の武器だけだ」
そう言って彼は二振りの短剣を取り出した。
「砂漠地帯のモロクに生まれたあいつは……雪を見たことが無かった。俺も同じだ。
 俺は騒がしいのは嫌いだったから、ここが賑わっている時に見に行く気は無かった。
 いつか二人で、誰も居ないこの街で……共に雪を見ようと約束したんだ」
彼の肩が、かたかたと震えだした。
今まで変わらなかった彼の表情が、少しずつ崩れていく。
「今はもう、あいつはいない。だからせめて、この短剣でここにもう一つの墓を作ってやろうと思った。
 あれほど見たがっていた雪を、あいつがいつでも見れるようにな」
そう言って彼は、短剣を握りしめた。
その短剣はモンスターとの戦闘のせいか、ボロボロになっていた。
埋め込まれていたのであろう属性石もひびが入り、欠けている。
「……ん?」
その短剣をじっと見ているうち、なんだかそれに見覚えがあるような気がしてきた。
……もしかして、これは……。
「すまん、ちょっとその短剣見せてくれ」
「……かまわないが」
彼から短剣を受け取ると、オレはすぐに『確認』に入った。
……やっぱり、そうだ。
柄に密かに彫られた名前。それは間違いなくオレのものだった。
「なぁ、せっかく墓作るんだったら、もっと綺麗な短剣のほうがいいよな?」
「あいつの墓だ。あいつの遺品でなければ意味がないぞ」
「問題ない。この短剣を鍛えなおすだけだからな。
 なーに、悪いようにはしない。なにせこいつは、オレの『子供』なんだからな」
……オレのおせっかいの虫が、また騒ぎ出したみたいだ。
95雪の街 3/4sage :2003/02/07(金) 02:15 ID:41tFUDXI
雪を見たがっていた彼の相棒。
勇敢に戦い、命を散らしていった彼の相棒。
その気高い生き様を。
そして、今は亡き友人への彼の悲しいまでの想いを。
それらすべてを、オレはこの壊れた短剣に注ぎ込んだ。
武器に命があるなんて、迷信だと思うかもしれない。
でもオレは今、それを信じていた。
人間の思いがもし分かるなら、きっとオレの『子供』は命を取り戻してくれる。
それを願って、今は磨き続けてきた腕をふるうだけだ。


「…………!!」
オレの持ってきた短剣を見て、彼は言葉を失ったようだった。
短剣は無事命を取り戻した。おそらく、彼の相棒がオレからこの短剣を買っていった時まで。
「……ありがとう……」
そう言って彼は、オレに背中を向けた。その肩は、細かく震えている。
「あいつが死んで……俺は生まれて初めて涙を流した。悲しみなんて感情が俺にもあったのだと、その時気づかされた」
ゆっくりと彼は振り返った。その頬に涙が伝っているのが、今度ははっきりとわかった。
「お前とあいつはよく似ている。そのおせっかいでお人よしなところなんてそっくりだ。
 そしてそれで俺を喜ばせるのがうまい所も、な」
裾で涙を拭くと、彼は蘇った二本の短剣を、雪の大地に突き刺した。
交差して刺された二本の短剣が、雪と共に銀色にきらめく。
オレは彼と共にそれを眺め、ゆっくりと手を合わせた。
96雪の街 4/4sage :2003/02/07(金) 02:16 ID:41tFUDXI
「これからどうするんだ?」
「……わからない」
そう、彼はもう一人なのだ。
共に旅をしてきた仲間を失った経験などオレにはないから、彼の気持ちを完全にわかっているわけではないけれど。
やっぱり彼のことを放ってはおけない、と思った。
「よかったら、オレの仲間になってくれないか?」
「……なっ」
さっき会ったばかりの男にどうしてここまで入れ込むのか、オレにもわからない。
おそらく、オレのおせっかいの虫が彼の相棒と同じように働いてしまっているんだろう。
「なんか、お前みてると危なっかしいんだよ。芯が通ってて強そうに見えるのに、実は弱くて脆そうで。
 ま、平たくいえば放っておけないってわけだ」
「……本当に、そっくりだな」
彼は苦笑しながらそう言った。その表情は呆れ果てた、といった感じだ。
「あいつもそう言って俺を仲間に誘ったんだ」
「へっ……?」
しばらく間が空いた。
「…ぷっ、ははははっ」
次の瞬間、オレは思い切り笑っていた。というか、笑うしかないじゃないか。
性格とかそういうものだけじゃなくて、彼から受ける印象まで同じだなんて。
「で、仲間になってくれるのか?」
「仕方がないだろう。あいつのようなお人よしで強引なバカに誘われて断る理由など無い」
「オレはお前の相棒の代わりにはなれないぞ」
「かまわないさ。あいつはあいつ、お前はお前、だろ?」
「そういうこと! さ、行こうぜ相棒!!」
そう言ってオレは駆け出した。こんな所も彼の相棒に似ていたらどうしよう、などと思いながら。

そしてオレと『相棒』は、雪の街を後にした。
97名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/07(金) 02:18 ID:41tFUDXI
お久しぶりです、15です。
割り込んで申し訳ないと思いつつも投下してみますた。
てか読みにくい……正直すまそ。
98名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/07(金) 02:22 ID:41tFUDXI
しかも間違いを発見……
3つ目の下から三行目の
「裾で涙を拭くと〜」は間違いで「袖で涙を拭くと〜」です。
重ね重ねすみません。逝ってきまつ。
99名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/07(金) 06:51 ID:lKYYMHIw
朝っぱらから萌えまつた
100名無しさん(*´Д`)ハァハァsageアサとマジ :2003/02/15(土) 22:06 ID:G/Mc3vX.
随分と高くなった太陽に、彼は目を細めた。
暗殺者という職の彼にとって、太陽の光ほど邪魔なものはない。
それでも、彼は明るい空が好きだった。
自分や他のものを目で感じられる事が、何よりも落ち着いた。
「だったら、急に背後に出て驚かす必要ないじゃない!」
目の前に立っている、剣士の少女がそう叫んだ。
幼さの抜けきらない顔には、不満と怒りの入り混じった表情が浮かんでいる。
「いや、真面目に訓練してるみたいだから手伝ってやろうと思って」
「だからって、いきなり背後にでてくるなんて、ビックリするじゃないですかぁ……」
悪びれもせず答える彼に、剣士の背後から小さな声の訴えが聞こえた。
彼女の背に隠れるようにして、魔法使いの少女がしゃがみこんでいた。
相当驚いたのか、目には涙を浮かべている。
「あーごめんごめん、そんな驚かすつもりはなかったんだって」
「まったく、こんな可愛い女の子いじめるなんて、おじさん最悪!」
魔法使いを庇うようにして立つ剣士が、手を腰に当ててそう叫ぶ。
暗殺者は顔をしかめた。
「おじさんじゃねえっての。お前と10ちょっとしか歳違わないんだから」
「じゃあおいちゃん?」
「可愛く言えば良いってもんじゃねえぞ」
「お父さーん♪」
にっこり笑って言う剣士に、暗殺者は顔を引きつらせた。
「何歳のときの子だよ……」
「やーね、可愛らしいユーモアじゃない」
それとも心当たりあるの、と聞き返す彼女に、暗殺者は肩を竦めるだけだった。
101名無しさん(*´Д`)ハァハァsage何気に100ゲットしてました… :2003/02/15(土) 22:06 ID:G/Mc3vX.
ふと、彼は顔を上げた。
目の前には、彼女達の所属するギルドが使っている建物がある。
その二階にある一室に目をやるが、そこに動く人間の気配はない。
「あいつどっか出かけた?」
「あ、話逸らした」
剣士の言葉は無視して、彼は魔法使いの少女を見た。
不思議そうな顔の少女が、暗殺者の視線の先を追って、あ、と呟いた。
「えと、先生なら多分、まだ寝てます」
立ち上がってそう答えた彼女に、彼は少し驚いた顔で呟いた。
「めずらし……」
「だよね……」
そう言って剣士の少女も頷いた。
「何か、バレンタインで、すっごい疲れたって言ってました」
魔法使いの言葉に、暗殺者はプッと噴出した。
「どっかのお姉様に食われたんだな」
「えっ……!?」
顔を赤くして絶句する魔法使いをよそに、剣士が話を続ける。
「それはないんじゃない? 昨日もいつも通りの帰りだったし」
「帰って来てからギルドの誰かに、かもしれないぞ」
面白そうにそう呟く暗殺者に、剣士がなるほどと頷く。
慌てて魔法使いの少女がぶんぶんと首を横に振る。
「そういうんじゃないですって!」
「何だ」
途端につまらなそうになった暗殺者を、剣士が軽く睨みつけた。
「何だ、っておじさん何期待してたの……」
「さあね」
彼はそれだけ答えると、ギルドの建物に向かって歩き出した。
「んじゃ俺あいつ起こしてくるから、昼飯の用意よろしく」
当然俺の分も、と付け加える彼の背に、剣士が声をかけた。
「結局昼ご飯たかりに来ただけでしょ!」
「まー気にするな」
そういうと彼は、さっさと建物の中に入ってしまった。
「全く……他の人たち探して来てくれる?」
剣士の問いかけに、魔法使いが頷いて駆け出した。
102名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/15(土) 22:07 ID:G/Mc3vX.
先程見上げていた部屋の前に、彼は立っていた。
軽くノックしてみるが、中からは何の反応もない。
本当に寝てるな、と彼はドアノブに手をかけた。
部屋の中は綺麗に片付いていた。
魔法使いのマントや杖は、すぐ手の届きそうな所にまとめて置いてある。
魔術書らしい分厚い本は、順番どおりに本棚の中で並んでいる。
置き場に困ったらしい、寝台の横に小さく積まれたプレゼントだけが、妙に目立って見えた。
中に入り、彼は真っ直ぐに寝台に向けて歩いた。
「ほらセンセ、生徒が起きて真面目に修行してるのに何してんの」
寝台の上にある布団の小山に向かって、彼はそう呼びかけた。
頭まで布団を被っていて、顔は分からないが、うめく声が本人だという事を教える。
「もう昼だっつーの、ほれ起きろ」
そういって布団の山を揺すると、中からくぐもった声が聞こえた。
「あと5時間……」
「単位違うだろ!」
そう叫んで、彼は布団を剥がした。
布団の中にいた青年は、少女達よりは大分年上で、暗殺者より幾らか若かった。
無防備な表情を眩しそうにしかめて、彼は暗殺者を見上げた。
「おはよ」
暗殺者が声をかけると、青年は目を擦った。
「おはよ……ございます」
まだ寝ぼけたままの声でそう答えると、彼は体を小さく丸めた。
「寒い?」
「ちょっと……」
呟いて体を起こした青年に、暗殺者がマントを投げかけた。
それを上から被って、青年は目を擦った。
「ありがとうございます……」
先程の少女達とあまり変わらないあどけなさに、暗殺者は笑いを噛み殺した。
103名無しさん(*´Д`)ハァハァsage逆毛好きなので :2003/02/15(土) 22:08 ID:G/Mc3vX.
彼は寝台に座り込むと、魔法使いの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「あーすごい寝癖」
魔法使いはその手を軽く払って、彼の目を覗き込んだ。
「元からクセ毛なんだって知ってるくせに……。
 そういう自分だって、すごいですよ。真っ直ぐ上に逆立ってる」
「俺はこういう髪型なの」
吐き捨てるように呟いた暗殺者に、魔法使いは小さく笑った。
その表情に、どこか翳りがあるようだった。
「随分疲れてるな」
「あ、別にそんなことないですよ」
笑ってごまかそうとする魔法使いに、暗殺者は肩を竦めた。
「もてる奴は大変だね」
不思議そうな顔をする魔法使いに、彼はプレゼントの山を示した。
魔法使いの笑顔が、微かに困った感じに変わる。
それを、暗殺者は見逃さなかった。
―またコイツ、一人で考え込んでたな。
相手に気付かれないように、暗殺者は溜息をついた。
「僕なんかの何がいいんだろう」
「ウブっぽいとこ?」
すかさず帰ってきた暗殺者の反応に、彼は頭を掻いた。
「それはあまり嬉しくないなぁ」
「そっか?」
彼は力なく笑うだけで、何も答えなかった。
104名無しさん(*´Д`)ハァハァsage :2003/02/15(土) 22:08 ID:G/Mc3vX.
暗殺者は積み上げられたプレゼントのひとつを手に取った。
綺麗にラッピングされたそれは、開けられた様子がなかった。
「開けねぇの?」
そういって手渡された包みを、魔法使いは困ったような表情で見つめるだけだった。
「お前、それ誰から貰ったの?」
唐突な問いかけに、彼は首をかしげた。
「ええっと、噴水前でたまに見かける商人さんからだけど」
「そんな仲良かったっけ?」
暗殺者の言葉に、彼は首を横に振った。
「何で僕に、ってちょっと困ったんだけど……」
彼はそう呟いて、包みを横に置いた。
「困ったなら受け取らなきゃ良いのに」
暗殺者の言葉に、魔法使いは何も答えなかった。
「別に、相手だってお前を困らせたい訳じゃないだろ」
暗殺者はそう呟いて立ち上がった。
その顔を魔法使いが見上げる。
少しためらったあと、彼は小さく口を開いた。
「受け取るのが困るわけじゃないんですよ」
彼の言葉に、暗殺者が真っ直ぐに見詰め返した。
魔法使いは俯いて、独り言を呟くように呟き続けた。
「相手が何を期待してるんだろう、とか考えちゃうと、どうしていいか分からなくって。
 本当、僕なんかが受け取ってもいいのかなって。
 けど、僕は相手に特別何かをって思えないし……本当、どうなんだろ……」
段々愚痴のようになってくる彼の呟きを、暗殺者は黙って聞き続けていた。
「受け取ることで相手が満足するならそれでいいんです。
 もし、もしそれ以上の事を期待されてて、それに答えられなかったらどうしよう、とか……」
そこまで言うと、彼はふっと顔を上げた。
「すみません、こんなこと聞かせちゃって」
笑顔でそう言った彼の前に、暗殺者はしゃがみこんだ。
そして、先程とは違い、優しい手つきで彼の髪を撫でた。
105名無しさん(*´Д`)ハァハァsageおしまい :2003/02/15(土) 22:08 ID:G/Mc3vX.
不思議そうな顔をする魔法使いに、彼は呟いた。
「お前がそんな事気にする必要はねえよ」
何かを言いたそうな顔をする魔法使いを無視して、彼は言葉を続けた。
「どうしても気になるっていうなら、俺に言え。一緒に考えてやるから」
「そんな、迷惑かけられないし」
慌てて首を振った魔法使いに、暗殺者は優しく笑いかけた。
「一人で抱え込もうとする方がよっぽど迷惑だ」
暗殺者がそう言って、静かに彼の髪から手を離し、その手を頬に当てた。
「少しは人に頼る事も覚えろ」
囁くように呟いて、彼は今度こそ手を離して立ち上がった。
魔法使いは彼の手が触れていたところに手を重ねると、俯いて小さく笑った。
「そんなに親切にすると、甘えますよ?」
試すような口調の魔法使いに、暗殺者は笑って頷く。
「大丈夫、お前はそんな子じゃないとお父さんは信じてるぞー」
「お父さんって……」
「やだね、可愛らしいユーモアだっての」
彼の言葉に、魔法使いは安心した様子で息をつく。
「良かった、遂によそで子供作ってきたのかと……」
「おいこら」
軽く睨みつけた暗殺者に、魔法使いは声をあげて笑った。
「ったく、じゃあ先に下行ってるから」
そういってさっさと部屋を出る暗殺者を見送って、魔法使いは立ち上がった。
着替えようとして、先程寝台に置いた包みに目をやる。
それを元の位置に積みなおすと、彼は優しく微笑んだ。
後で全部開けてみよう、と考えながら。
106馬鹿プリ