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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第1巻【燃え】
- 1黒猫服事 ◆sage :2002/11/06(水) 17:47 ID:7AcypPKc
- このスレは、萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない萌えな自作小説の発表の場です。
リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ エロ小説は『【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ【エロエロ?】』におながいします。
・ 命の危機に遭遇しても良いが、主人公を殺すのはダメでつ
▼リレールール
--------------------------------------------------------------------------------------------
リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
--------------------------------------------------------------------------------------------
※ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。
- 2◆sage :2002/11/09(土) 23:31 ID:Jdk1Ra4E
- 私、シャオアは懺悔室で人々を悩みから救い、助ける仕事をしています。
懺悔室は、私と懺悔なさる方の間に壁があり、その中央ほどに小さな小窓がある、といった具合です。
ちなみに、今懺悔しておられる方は、リンゴを拾われて、誰の物かはわからずに結局食べてしまった、ということだそうです。
さて、次の方は、と・・・。
「どのような罪を犯してしまったのですか?」
「あぁ、シャオアさん、私はダメな男です。」
「なぜ、ダメな男だというのです?」
このように、いつも漠然としたことから話はじめる方がいるので、少しいらだちます。
必要以上に興奮させないよう、ゆっくりと問い掛けるように努めなくてはならないのが面倒です。
「教会に来るたび、いえ、街の中でもどこででも、プリーストの女性をみると、その衣服のきわどいところに目がいってしまい、あげく、押し倒せやしないものか、と考えてしまうのです。」
「男の人の劣情というものは得てしてそういうものです、必要以上に悩まないのが宜しいですよ。また、その悩みを打ち明けたことで、神もあなたをお許しになるでしょう。」
はぁ、最近はこういう男ばかりでうんざりです。
以前はもっとバリエーションがあったのですが。
「それだけではないんですシャオアさん!!今も私はあなたを押し倒したいと!!!」
今の言葉に身の危険を感じた私は天井から吊り下げられている紐を引っ張ってしまう。
ガッコン・・・。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・。」
今日も困ったさんがまだまだいるようです・・・。
- 3##sage :2002/11/10(日) 05:10 ID:4UFPz.Gw
- うへ・・・失敗して(仮)コテハンがトリップになってしまいますた・・・。
タイトルは「プリのとある日常。」ですた・・・。
ちまちまと書いていくつもりですのでよろしくおながいします。
- 4名無しさんsage :2002/11/21(木) 01:13 ID:dUDkTRHc
- 男商人(ご主人様)×女剣士たん(非売品(笑))
の、えろえろものと見せかけて甘々ラブコメSSねたが
脳内鯖で展開中ですが、需要はありますですか?
やっぱアコプリでないとだめですか?(笑)
- 5名無したん :2002/11/21(木) 01:17 ID:dWtiTJrI
- >>4
ここのスタンスは、文神さま各位が書きたいものを書いていただければ良いのです。
むしろ、12/1まで悶々としている住人がいそうなのでよろしくおながいします
- 6通りすがりAsage :2002/11/23(土) 00:12 ID:35zKgeig
- >3
勝手に妄想で続き書いていい?
なんかいいキャラだからつい俺も書いてみたくなったもんで……
- 7##sage :2002/11/23(土) 00:16 ID:cgCyyM.w
- >6
え・・・・?
拒否する理由はどこに?
・・・調子乗りました。スンマセン(;´Д`)人
是非とも書いてください。
あ、ちなみに、次回は青箱をネタに絡ませます。
・・・・どうなることやら。
- 8通りすがりAsage :2002/11/23(土) 00:23 ID:35zKgeig
- 「しゃ〜おあさんっ♪ 冒険に行きませんか?」
「行きません」
即答してやる。この子は剣士の頃から色々面倒を見てきた子なのだが
騎士になって独り立ちしたはずの今になってもちょくちょく誘いに来る。
「え〜、またですか〜」
「何度も言っているはずですよ? 騎士にもなって人を頼るんじゃありません」
「そんな〜、だってシャオアさんいないとヒールする人いないし」
私はヒールだけですか?
「大体あなた異様にタフなんですから自力でどうとでもなるでしょう?」
「そんな! シャオアさんがいないと……えっと……その……」
何やら考え込んでいる。
実際の所理由なぞはどうでも良く、ただ一緒に冒険がしたいだけだというのはわかっていた。
そんなこの子を可愛いとは思うが、私にも仕事がある。
「そうだ! にんじん代がうくじゃないですか!」
…………そうですか、私はにんじん(12z×大体300個ぐらい)と同価値ですか
ガッコン
「なぜ落とし穴ーーーー!!」
知りません。
「あーーーー! なんでこんな所に触手にゅるにゅるがー!」
知りません、いや本気で。
「いやーーー! そこは……あ……ダメ……そこはシャオアさんの為にとっておいた……」
いりません、今すぐそこで散らしてください。
「助けてー!!」
…………ふう、しかたがありません
ぴろりん♪
「何故速度増加!?」
「頑張って走って昇ってください」
「ムリ言わないでくださいーーーー!! あー! 触手ぬるぬるイヤーー!!」
今日も困ったさんの多い事です……
- 9通りすがりAsage :2002/11/23(土) 00:26 ID:35zKgeig
- >7
まさかこんなに早く反応がこよーとは……
早速遠慮なくいかせていただきました〜
へっ……そうっすよ……俺も12/1まで暇なんすよ(TーT)
- 10##sage :2002/11/23(土) 00:37 ID:cgCyyM.w
- 読ませていただきました(・∀・)ニヤニヤ
遠慮なく書いていただいて、シャオアは切れつつも、作者の私は喜んでいます。
何かネタがあったらまた書いてみてください。
オナガイシマス
- 114sage :2002/11/23(土) 01:40 ID:nIGNP5Lo
- え〜お言葉に甘えて書いてみました(笑)>商人くん×剣士たん
脳内鯖から文書への移行って、当たり前ながら難しいです(^^;
少し長めになったので?、あぷろだ↓の方にあげました。
おめよごしですが(^^;
tp://moetaro.virtualave.net/ragnarok/cgi-bin/ss_up/cbbs.cgi
の、63番です
- 12名無しさんsage :2002/11/23(土) 08:37 ID:Dm5pdGpc
- _n
( l _、_
\ \ ( <_@`` ) >>11Good Job !!
ヽ___ ̄ ̄ )
/ /
- 134=11sage :2002/11/24(日) 04:13 ID:ntnN5ySI
- 調子に乗って2話目まであげてみたり...(笑)
どんどこおめよごし、すんまそん(笑)
- 14名無しさんsage :2002/11/24(日) 06:07 ID:4sn4P59E
- _、_
( く_@`` ) n
 ̄ \ ( E) >>13Good Job !!
/ヽ ヽ_//
うっかり者のアチャ娘たん萌え(そっちかよっ!?)
- 15海sage :2002/11/24(日) 23:07 ID:ntnN5ySI
- >うっかり者のアチャ娘たん萌え(そっちかよっ!?)
そっちですかい!?(笑)
って、読んでいただけてありがとうです(^^)
あの娘は今後もうっかりです(笑)マテ
- 16>>2さん、勝手にキャラ使ってごめんなさいっ!sage :2002/11/25(月) 23:19 ID:TkrC4OfM
- 「・・・・ありがとうございました」
「いえいえ、それが私の務めですから・・・」
今日も懺悔室には幾人もの迷える人々がやってきます。(時々、頭の痛くなる方もいらっしゃいますが)
さて、次の方は・・・と。
がちゃっ・・・
扉を開けて入ってきたのは、丈の余った新品同様のローブを着たアコライトさん。
おそらくなりたての新人の方なのでしょう。随分と小柄なかわいらしい方です。
「・・・シャオア様。私の罪を聞いて下さい・・・」
これまた随分と神妙な面もちですね。
「どうぞ」
「・・・私・・・・」
そこで何か言いづらそうに、くっと言葉につまる(多分)新米アコライトさん。
これはまた・・・・なにかよっぽどの事なのでしょうか。
「何か言いづらいことなのですか?」
「その・・・あの・・・」
言いよどむ所から見るに、おそらくそうなのでしょう。
こう言う時は、努めて優しい声でなければいけません。
「たとえ大罪であったとしても、ここで告白し悔い改めるのであれば、神は必ずやお許しになってくれます。告白することもまた勇気ですよ?」
「それは・・・その・・・はい・・・・・でも・・・・」
その表情ははや今にも泣きそうな危ういものとなり、小柄な体をさらに小さく縮こませる少女。
・・・何故か私の方が罪悪感を感じてしまいます。
「どうしました?ここは懺悔室。どのような罪事であっても隠すことなど無いはずですよ?」
「・・・・はい・・・。わかりました・・・・・実は私・・・」
すぅっ・・・はぁっ・・・・
深呼吸ですか。ついこっちまで緊張してしまいます。
「つまみ食いをしてしまいましたっ!」
ずるっ。
「・・・・・・・・ハィ?」
思わずすっこけてしまったじゃないですかっ!!さっきまでの思わせぶりな雰囲気は一体なんだったんですかっ?!
「夕のお祈り前で・・・・とてもおなかがすいていて・・・それでつい・・・・・」
変わらず神妙な表情の少女。
な、なんて些細な・・・・ていうかそれ、ネタですか?
「それも一度だけではありません・・・何度も・・・なんどもっ・・・・!」
・・・いえ、多分本気ですね。これは。
「しかも私の罪はそれだけではありません!おとといなど、つい夜更かしして朝のお祈りを寝坊してしまったんですっ!」
うあ。なんて純粋な。
「そのあげくお祈りの言葉は間違えるし、花瓶を倒して床を水浸しにしたし、参拝の方にぶつかって転ばせてしまうし、それに・・・それに・・・・」
ついにえぐえぐとしゃくり上げはじめる少女。
ううむ・・・今時こんな子が現存するとは・・・・私の同僚達にもこの子の爪の垢を煎じて飲ませたいですね。
「もうその辺でよいですよ・・・そこまで悔い改めて居るのであれば、神も必ずやお許しになるでしょう」
「ヒック・・・・いえ・・・まだです・・・・まだあるんです・・・」
だぶついて余っていたローブの袖で涙を拭き拭き顔を上げ、
「聖職者として、殺生は禁断と知っていながら・・・ありさんをふんでしまったんですっ!」
がっこん。
「きゃあああぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ・・・・」
ごめんなさい。もう限界です。悪気はないんです。(TДT;
「ふぇぇぇぇ・・・・ん!いたいですぅ!くらいですぅっ!!」
「すみません。つい・・・・」
「はぅぅぅぅ・・・ついってなんですかぁ・・・・・っひゃんっ!!?」
ん?どうしたんでしょう。
「シャ、シャオア様っ?!なっ、なんでこんな所に触手が・・・・ぅきゃあっ!!」
いえ、それはホントに知りません。
ていうか、まだいたんですね。
「大丈夫ですか?」
「ひえぇぇぇん!!た、助け・・・っやっ!だめえ・・・・ぇっ・・・っ!」
つぅ・・・
「おっと・・・・鼻血が・・・(とんとん」
「はっ、早く助けてくださぁぁぁぁい!(泣」
・・・どうやら今日は、私も困ったさんの様です・・・・
・・・お目汚し&ネタ汚しスマソ(TT;
- 17名無しさんsage :2002/11/26(火) 01:00 ID:5u8F81NE
- なんてーかシャオアさん大人気……つーかむしろ落とし穴&触手プレ(スピードヒャック)
- 18名無しさんsage :2002/11/27(水) 08:43 ID:jRFKU.hI
- >>11
新作御苦労様です。
相変わらずのアチャ娘たんに(;´Д`)ハァハァ
今頃兄貴共に輪ky=ー(゚∀゚)・∴∵.ターン
ともかく剣士たんと共に幸せになって欲しいです。
課金前に完走できるようにがんがれ♪
- 1911=海sage :2002/11/27(水) 22:50 ID:FYYRGyII
- ↑毎度ありがとうござりまする。
苦難の3話終了で、べたべたの(笑)最終話にむけて
気合充填中です。課金まであとわずかっ!
剣士たんは...べたべたに幸せにしてあげたい所存ですが
あちゃ娘さんははたして....?(笑)
- 20名無しさんsage :2002/11/28(木) 02:06 ID:XQXdA2j.
- 「はい、次の方どうぞ」
最近、私シャオアの懺悔室を訪れる迷える人々の数が、なぜか以前と比べて急に増えているので休む暇も有りません。
これがお店であれば商売繁盛で言うこと無しなのですが、ここは迷える人々が罪を告白する場所、繁盛されても気分が複雑です。
繁盛しているお医者様というのはこのような気持ちなのでしょうか?
新しい方が入って来られました。
「また来たぜシャオアさ〜ん!」
……どうやら今回も困ったさんのようです。いい加減慣れましたけど。
とりあえず、フンス(;・∀・)=3フンスと鼻息も荒く飛びこんできた常連の商人さんに犯した罪を尋ねます。
「嗚呼シャオアさん、罪深いのはむしろ貴方です! ただでさえきわどいスリットから覗く殺人的なガーターベルトの蠱惑にくわえ、今日は看護帽という本気装備だなんてっ!?」
ガッコン。
いつものように皆まで言わせず私は落とし穴を作動させる紐を引きます。
この方には学習能力という物が無いのでしょうか?
「うわーはっはっはっは! そう何度も同じ手にかかる私ではないよ明智君!」
前言撤回。信じられないことに商人さんはマントをたなびかせながらぽっかりと空いているはずの穴の上に立っていました。何故かつけている蝶の仮面が激しく謎ですが。
良く見れば穴の上には器用にカートがつっかえ棒として渡してあり、その上に立っているのでした。
「試練をクリアしたからには我が怒涛の如き懺悔をダイレクトに聞いてくださいプリた〜ん!(*´Д`*)」
そんな約束をした覚えはこれっぽっちもありませんけれど。
第二の紐に手をかける私ですがそれは徒労に終わりました。
「あ、ごめ」
いつの間にか背後に立っていた女シーフさんの足払いでバランスを崩した商人さんは、お腹を空かせた仔犬のような情けない声を上げながらカートもろとも奈落の底に吸いこまれていきました。
「あぁ、シャオアさん、あたしは貴方の許しも無くこの部屋に入ってしまいました」
「神は貴方を全力で許すでしょう」
「懺悔するのはそこじゃねえだろヽ( `Д´)ノウワアアン!」
地の底から聞こえる虚しい叫び声を尻目に、私はシーフさんに即答しました。
「だが、しかぁしっ! いつもいつも触手如きに屈するこの男商人アルではぬわぁいっ! むしろ転んでもヒドラカードを手に立ちあがる勢いでぇっ!! ウェルカム触手! カマーンカマーン!?」
かすかに痩せ我慢めいた台詞が聞こえてくるのが哀愁を誘います。あ、メマー音。
シーフのカリンさんと雑談するうちに、地下からの音が静かになってきました。流石に心配になって声をかけてみますと、
「大丈夫ですか?」
「余裕余裕、物足りないぐらいだぜぃ!」
犬歯を光らせながら父指を立てる商人さん。
「ならも少し増量〜」
いつのまにか取り出だしたる皮袋から落とし穴に向けてどぼどぼとヒドラを注ぎ込むカリンさん。
よく見るとその袋には『すごいヒドラ』と書いてありました。
「あれっ、ねえ、ちょっと? 冗談だろ? 何これ? グラストヘイム特産? はぁ? うわっ、ダメっ、そんなことされたら、ひぎぃぃぃーッ!?」
あとはもう声にならない断末魔の声が。敢えて例えるとするならばAR・OT・WPを重ねがけした越後屋に物凄い勢いで手篭めにされる村娘の声とでもいいましょうか。流石の私も少しだけひどいな、と思いました。エイメン。
あ、リザラックション(LV1)かけてさしあげないと。
---------------------------------------------------------------------
長物の構想が中々煮詰まらないとはいえ駄文失礼。
>>2さんスマソ、キャラ使わせていただきますた(;´Д`)ゞ
- 21##(2)sage :2002/11/28(木) 02:24 ID:8LWaWwcg
- どうも、>>2です。
シャオアがものすごい勢いで一人歩きしてるので驚くことしばしば。
今後下手に書けないですねぇ(^^;
- 2226sage :2002/11/28(木) 04:02 ID:zlU9Ua.w
- 無数のモンスターに囲まれる二人。
じりじりと後退する彼等であったが、無常にも背後が壁にあたる。
「・・・くっ・・・ここまでか」
苦しそうに息を吐くと、彼の横にいるプリーストをかばうように
一歩前に出る。
「あなただけでも逃げて!」
そのプリーストが背後から悲痛な叫びを上げる。
彼女は足に深い傷を負ってしまったらしく、身動きが出来ないようだ。
それに癒しの力を行使出来るだけの気力が残っているようにも見えない。
まさに絶体絶命の状況だ。
「お前こそ逃げろ」
騎士は、持っていた蝶の翼をプリーストの足元に放り投げる。
「いや! わたしだけ逃げるなんて!!」
蝶の翼を拾い上げると、よろよろと彼の手にそれを渡そうとする。
だが、騎士は優しく笑うと
「・・・騎士っていうのは、誰かを守るための剣であり盾である事を
至上とする職業でね」
そう言いながら彼女の手に、再び蝶の翼を握らせる。
「それと、こんな時に言うもんじゃないけど、守るべき大切な人のためなら
何倍にでも強くなれるものなんだよ・・・だから君は・・・君には生きていて
欲しいんだ」
涙で瞳をぬらしながら、黙ってただただ頷くプリースト。
その二人の空気を裂くように、モンスターどもの飢えた声が響く。
じりじりと彼等を包囲する輪を縮めている。
彼はにっこりと微笑むと、次の瞬間には戦う男の顔つきとなり、剣を
両手で構えてモンスターをにらみつける。
そして気合の声と共に、モンスターの群れに飛び込む。
「早くいけ! 僕なら大丈夫だ!」
彼の気持ちは彼女に十分伝わっていたが、彼女はその場を動く事を
ためらった。
- 2326sage :2002/11/28(木) 04:25 ID:zlU9Ua.w
- 何故なら彼が彼の言うほど「大丈夫」ではない状況であると分かっていたからである。
明らかに彼は劣勢で、剣を振るうのがやっとという状態であるのが痛いほどだった。
ガキーン!
「く!」
残った気力で半数以上のモンスターを倒した時に、ついに耐え切れなくなって、剣を弾き飛ばされる。
剣はかなり離れたところまで勢いよく吹っ飛んでいた。
やられる!
彼は思った。
そして彼女は無事に逃げおおせたかも気になったが、きっと逃げてくれていると
思った。
そう思うと、ふいに気持ちが安らいだ気がした。
もう、死んでもいい。
だが、残ったモンスターどもは騎士を乱暴に弾き飛ばすと、そのまま
彼を無視して移動を開始する。
その先には・・・彼女がいた。
何故彼女がまだここにいる?
一瞬そう思ったが、次の瞬間には立ち上がり、彼女目掛けて剣を振り下ろす
モンスターにタックルを食らわせていた。
「なんで、まだ?」
次々に降り注がれる攻撃を巧みにかわしながら、騎士は腰にある予備の
短剣を抜き放ち、応戦をする。
「わたしだって聖職者です。傷ついた人を見捨てて逃げる事は許されないのです」
騎士にメイスで加勢しながら彼女は精一杯の笑みを浮かべた。
だが、そもそも武器の扱いになれていない上、足に深手を負った状態で満足に
防戦できるはずもない。
彼も気力はとうに使い果たしており、彼女を守りたい心だけが彼を突き動かしている
極限状態だ。
残りのモンスターも数匹となったとき、それは起こった。
足の痛みでバランスを崩した彼女に容赦ない一撃が振り下ろされた。
彼は咄嗟にその一撃を阻止しようと動いたが、身体が思うように動かなかった。
モンスターの腕目掛けて短剣を突き刺したが、振り下ろされた武器の勢いを
止めるまでには至らなかった。
彼女の頭部には彼女の転職祝いに彼が贈ったサークレット。
安物ではあったが、彼と彼女には大切な思い出が詰まったものだった。
そのサークレットがモンスターの一撃で変形し、彼女の頭から外れ
床に落ちていた。
その横には頭から出血した彼女が横たわる。
彼は目の前が真っ暗になって、何も見えていなかった。
- 2426sage :2002/11/28(木) 04:41 ID:zlU9Ua.w
- あれからどのくらい時間が経っただろう?
眩しい日差しで彼女・・・プリーストは目覚めていた。
ベッドから上半身を起こすと、頭が酷く痛むのを感じた。
そっと手を当てると、どうやら包帯のようなものが巻かれているようだ。
「わたし・・・一体どうしたんだっけ?」
頭がものすごく重い。
何か思い出そうとすると目の前が痛みで真っ暗になるほどだった。
でも、とても大切な何かを忘れている気がして、彼女は一生懸命思い出そうと
努めた。
その時、ふいにドアがそっと開かれる。
ドアの向こうからは眩しい陽光が差し込む。
彼女は目を細めた。
誰かが滑り込むように入り込んでくる。
その人物もまた、全身の至る所に包帯を巻いた男だった。
「目・・・さめたのかい?」
そっと優しく彼女に微笑む。
「はい」
答える彼女の目には涙が浮かんでいた。
そう、彼女は何もかも思い出していた。
あの時の痛みも、目の前のいとしい人も。
彼女は気付いた時には彼のもとへ駆け寄り、抱きついていた。
「すまない・・・辛い思いをさせて」
「いいの・・・いいのよ」
「それに、サークレット・・・もう修理出来ないらしい」
「でも、そのサークレットのお陰で、わたしはこうして貴方の元へ戻れたんだと思う」
「そうだな、感謝しないとな」
「ええ」
ふいに真剣な眼差しで彼女をみつめる騎士。
「それで、代わりといってはなんだが」
すっとポケットから小さな金属を取り出す。
「これ、受け取ってもらえるかな?」
差し出されたその手には、美しい指輪が光っていた。
「ええ、勿論です」
そう答えるのが精一杯だった。
再びなきじゃくり、声にならなかったからだ。
オシマーイ
- 25名無しさんsage :2002/11/28(木) 05:42 ID:buIRnPdc
- >>20
アルとカリンって懐かしいキャラが来ましたなぁ♪
- 26名無しさん :2002/11/28(木) 10:46 ID:DuThbwW2
- 朝もやが辺りを包む。
体臭の鼻をつく匂いが発ちこめる村の中を、一人の剣士が歩いていた。
腰に下げた剣は、長い年月使い込まれた証。世間で言うところの、「騎士」になっていてもおかしくは無い歳である。
剣士は、胸元から一つの短剣を取り出した。黒く染み付いているのは血だろうか? それもまた、長い年月を感じさせた。
「いよいよだ…」
剣士は短剣をしまうと、村の中心部へと向かっていった。そこに、用のある奴がいる。
時をさかのぼろう。十年ほど前、彼がまだ新米の剣士だったころの話。
「そろそろ、プロンテラも飽きてきたんだ。ちょうどよかった」
剣士の隣には、彼より少し年上の盗賊がいた。意気投合した二人は、盗賊の生まれ故郷であるモロクへと向かう途中だった。
「砂漠はさ、昼間はすごい暑いし、夜はめちゃくちゃ寒い。プロンテラの方が全然いいと思うんだけどよ…」
「そろそろ嫁さんが帰ってこいって言うんだ…あいつ怒らせると怖いしな」
「それに娘の顔も見たい。大きくなったろうな…」
盗賊は剣士に語り掛ける。夜になってしまい、野宿をすることとなった二人は、お互いの身の上を語り合っていた。
と、言っても、剣士は盗賊の言うことを黙って聞いているだけである。時々口を挟むが、それも相槌だけだった。
彼のしゃべったことと言えば、自分が騎士になりたいということ、モロクへは自分の武器を鍛えに行くということぐらいだった。
「お前は家族はいないのか?」
剣士が答えようとした瞬間、獣のような雄たけびが近くから上がった。
二人は急いで火を消すと、辺りの気配をうかがい始める。
どれくらいの時間が経っただろうか? 盗賊のすぐ横に、一振りの大剣が振り下ろされた。
「ちっ…」
辛うじて体勢を整えた盗賊が見た物は、オークの一団だった。
「しまった…」
囲まれていた。オークの狩りの帰りに鉢合わせてしまっていた。
剣士は愛用の剣を抜くと、静かに間合いを計り出した。盗賊も短剣を取り出すと逆手に構える。
二人は背中合わせに敵と対峙していた。
「部が悪いな…。自信はあるか?」
剣士はそれに答えない。答えることが出来なかった。
「だな…。こっちもあんまりねぇや…」
- 27名無しさん :2002/11/28(木) 11:06 ID:DuThbwW2
- じりじりと迫ってくるオーク達。皆狩りの帰りで興奮状態だった。
「いいか、よく聞け。相手の腕を見るなよ…」
何の事か、突然盗賊が剣士に話しかけた。
「あいつらの攻撃を、一発でも食らったら御陀仏だ。避けろ」
「相手の行動を読め。目を見るんだ。自然と次に攻撃する場所は、眼で確認する」
「どこを狙っているかを見極めろ。避けたら相手より早く斬るんだ。わかったな?」
剣士にはした事の無い戦い方だったが、素直に頷いた。
「よし、じゃあ…いくぞ!」
二人はオークの群れに飛び込んでいった。
「何とか…なったじゃねえか」
数時間後、辺りにはオークの死体が転がっていた。
二人の善戦は、オーク達を戦意喪失させるに充分だった。
「だが、これでここにいる訳には行かなくなった。さっさととんずらしようや」
剣士は僅かな自分の荷物をかき集めると、立ち上がろうとした。
そう、実際には立ち上がれなかった。
彼の目に移っていたのは、オークヒーローだった。
「ウソだろ…」
盗賊もそれを見つけていた。オークの中の英雄。オークロードとも呼ばれるそれは、彼らにとって最悪の相手だった。
「親分を呼んできた、って訳か。勝算も無し。はは、ついてねぇな…」
盗賊と剣士は間合いを保つと、静かに後退する。
勝てない
オークヒーローからたち登る殺気のような物が、二人を包み込んでいた。
「おい、お前」
突然、盗賊が剣士を呼んだ。
「足に自信はあるか?」
盗賊の意図を察知したのか、剣士は剣を握り締めると一歩前へ出る。
「バカかお前は!? 生き残る確立で言えば、俺が囮になった方がいいんだ」
盗賊は手短に説明した。自分の方が機敏であること。相手が一匹である以上、二手に分かれたほうが良いということ、そして
「俺には死ぬ理由が無い。嫁さんと娘に会いたいしな」
一瞬だが、剣士は盗賊の目を見た。
信じられると思った。
「じゃあな。また後で会おうぜ!」
二手に分かれると、彼はそう言ってオークヒーローと共に夜の闇に消えた。
彼に遺体が見つかったのは、それから三日後の事だった。
- 28名無しさん :2002/11/28(木) 11:20 ID:DuThbwW2
- たくさんの事があった。修練を積み、騎士の誘いが来た時も、やるべき事があると言って断った。
騎士になる前に、やっておかなければならない事があった。
その日、オーク達の村へとやってきた剣士は、静かに中央の広場へとやってきた。
「お前達の頭はどこだ…」
その問いかけに答えるはずも無く、オーク達は剣士に襲いかかった。
オークの斬撃は、剣士には当たらなかった。襲いかかるオークの攻撃を、いとも簡単にかわす。
相手の目を見て、相手より早く斬りつける。あの盗賊の戦い方だった。
どれくらいの時間が経っただろうか? オーク達の波がひいた。そこに立っていたのは、あのオークヒーローだった。
剣士は無言で大剣を構える。あの時と同じ殺気が彼を包み込む。だが、彼は引かない。相手の両目をしっかりと見る。
動いたのはオークヒーロー。片手で剣士の背丈ほどもある剣を振りかぶる。剣士は右へ飛ぶ。
剣士のいた場所に、剣が突き刺さる。地面がえぐれ、その衝撃は地震と間違えるほどだ。
体勢を立て直す暇も無く、剣士に容赦無く襲い掛かるオークヒーロー。剣士は避けるので精一杯だった。
隙が無い。
やがて、その斬撃は剣士を捕らえ始める。手にした大剣で弾き続ける剣士だったが、剣の方が限界を迎えてしまった。
鈍い音を立てて、剣士の大剣は根元から折れていた。
- 29名無しさん :2002/11/28(木) 11:33 ID:DuThbwW2
- 一瞬、オークヒーローが笑ったような気がした。ゆっくりと最上段に剣を振り上げる。
剣士にはほとんど体力が残っていなかった。次に一撃が避けられたとしても、その次で終わりだろう。だが彼は、敵の目をずっと見ていた。
オークヒーローの剣が振り下ろされようとするその刹那、剣士は動いた。一気にオークヒーローの懐深く走りこむと、自分の懐から何かを取り出した。
あの、血の染み付いた短剣。盗賊の形見だった。それを抜くと、オークヒーローの喉元へ深く刺しこんだ。
あれから何日が経ったのだろう? 剣士はモロクに来ていた。
花束と、酒、そしてオークヒーローの証。一つの墓の前に立ち止まった。そこには真新しい花が供えてあった。
持ってきた物をそこに置くと、彼はもう一つ、自分の懐から取り出した。
短剣だった。新たな血の染み付いた短剣は、さらにどす黒くなっていたが、心なしか、どんな名刀よりも輝いて見えた。
その短剣を墓に立て掛けると、彼は無言でその場を立ち去った。墓の出口で、女の子と、その母親と思われる女性に出会った。
喪服を着て自分のいた方向へと向かう女性を、無言で見送ると、彼は町の外に止めておいたペコペコにまたがった。
モロクの町の門を見つめ、彼は
「ありがとう」
確かにそう呟くと、砂塵の彼方に去っていった。
- 3026 :2002/11/28(木) 11:45 ID:DuThbwW2
- 駄文、長文申し訳無いです。
気に入らなかったら削除して下さい。
感想とか…は別にいいです。
- 31名無しさんsage :2002/11/28(木) 13:10 ID:73fofDfE
- >>26
萌えというより燃えか?こういうときはシンプルに…
(・∀・)イイ!
- 32名無しさんsage :2002/11/28(木) 22:08 ID:rh22U2eE
- >>26-30
燃える話をありがとう。
でもオチに♂騎士たんが未亡人のママンと結婚して男の子を儲けたり。
ママンと互いの傷を舐めあうように激しく ま ぐ わ っ た り !
その後グラストヘイムへ旅立って帰らぬ人となり、また未亡人になったママンは夜な夜な火照った身体を慰めたり。
成長した息子が実は妹と種違いだと発覚して ま ぐ わ っ た り ! !
♂騎士たんの面影を垣間見てママンが息子と ま ぐ わ っ た り ! ! !
そういう展開を読み終わってご飯食べてお風呂入ってるときに考え付いた私は逝ってよしですか?
||
||
_||○___
\_| |_/
(@`ノノ| |)) ぴぃ。
ノハ-|__|ノゝ
.ζ(ヽilヽ
ζ )u u
ヽハノ
-━-
- 33名無しさんsage :2002/11/28(木) 22:14 ID:iyfz03oE
- >>でもオチに♂騎士たんが未亡人のママンと結婚して男の子を儲けたり
このあたりなら漏れも考えたゆえ、イ`
- 34名無しさんsage :2002/11/28(木) 22:14 ID:Qz.IvC1I
- こんばんわ、シャオアです。
あいもかわらず忙しい日々を送っております。
罠が休む間もないくらい、ほんとに、困った...いえ、
迷える方々の多いことです。
あ、また一人来たようです。
「あ、あのシャオア様ですよね? あたしの悩みを聞いてくださいっ!」
そう言って、駆け寄ってくるのは、まだ幼さの残るあちゃ娘さん。
「ああ、走ると危ないですよ。」
べちゃ
...って言ってるそばから、転んでるじゃないですか。
しかも、そこは..!?
がっこん
「なんでこんなところに落とし穴が〜〜〜〜」
穴のそこから、あちゃ娘さんの声がします。
最近酷使してるから、留め金が弱くなっていたのですね。
それにしても、何かする前に落ちられた方は初めてです。
念のため手を伸ばしかけていた紐から手を話して語りかけます。
「今、ロープを下ろしますから。間違っても他の仕掛けにさわらないで
くださいね?」
がっこん
...穴のそこから悲鳴が聞こえてきます。
「シャオアさま! な、なんかいます!! なんか、ハアハア言ってます〜〜〜〜!」
ああ、そういえば触手もワンパターンなので今回は、あれに変えてたんでしたね。
「まだいじょうぶです。くれぐれも他のしかけを...」
がっこん
「シャオアさま〜〜〜〜 た〜すけて〜〜〜〜〜(TT)」
....え〜っと、とりあえず、ブレッシングでも...
穴のそこからばたばたと逃げ回る音が聞こえてきます。
今回私は、何もしていないのですが....
世の中、いろんなタイプの困ったさんがいるものです。
---------------------------
お目汚しすんません。なんか書いて見たくて(^^;
ぜひ、本家2さんも、がんばってください!
- 35名無しさんsage :2002/11/29(金) 12:40 ID:ErmVSgYk
- 初めて書かせていただきます。
当初♂萌えで、アコきゅんと男プリで書いてたのですが、
どうも自分の好きな乙女系の範疇に留まらなかったので
男プリを辞めて女プリに修正しました。
長文で駄文ですが、お許しください。
-----------------------------------
□『大聖堂によくある風景』
銀の燭台にキラキラと色とりどりの光が反射する。
雲ひとつない空の蒼が、ステンドグラスを透かして小さな部屋を照らしている。
賛美歌を奏でながら天空を祝福して周る、純真無垢な天使の白。
大地に息づく全ての生命を称えて揺れる、深い大地と草の緑。
主の生誕に喜びの声をあげ友と祝い合う、信心深い教徒達の黄。
そして人々に糧を、大地に実りを与える、全てを照らす陽光の赤…。
そこは大聖堂の小さな一室。
■
キラキラと美しく色を変える燭台に細い指先が添えられた。
栗色の髪の少年が爪先立ちに背伸びをして、燭台を棚の上から取り出そうとしている。
少年、という表現が最も似合う年頃。
その身を包むアコライトの服は彼には少し大きくて、
背伸びして伸ばした指が、やっと服から覗く程度。
栗色の艶やかな前髪が踊るその仕草からは、性など微塵も感じさせず
衣服から男性…男の子とやっと判断できる程度の未成熟な顔立ちだった。
銀製の燭台は少年が一人で持ち運ぶにはかなり大きく、
見るからにか細い彼の体躯では両手で抱えなければいけない重さ。
やっとの思いで燭台を抱えた少年はよろよろとしながらも、
部屋の静寂を守る様に慎重に、慎重に、息を止めて抱きしめて歩く。
コトンッ
目的の場所に着いて気を抜いてしまったのか、
少年は気を配って静かに燭台を机に置いたつもりだったが
小さな音が立ち反響し、張り詰められていた部屋の静寂が途切れた。
「…あっ…。」
少年は自分の立ててしまった音に驚き、小さな声を洩らした。
それから数瞬して、自分のあげた声が先程の音よりも大きかったことに気がつくと、
顔を赤らめて、咄嗟に指先だけ覗かせた両手で口を塞ごうとする。
子供のような少年の焦りと無邪気な仕草は、更に悲劇を生んだ。
ガシャン!
慌ててあげようとした手が机にぶつかり更なる騒音をたてる。
お世辞にも決して立派とは言いがたい木製の机は大きく揺れて、
机の上の燭台が連鎖的に勢いのよい音を立てて転げる。
「イテッ…もぅ!」
手をぶつけた痛みで更にあがった声と、豪勢に机の上で躍る銀燭台の音。
クワンクワンと部屋に反響する音の中で少年はパニックになっていた。
やっと燭台の動きが止まり静寂を取り戻しつつあるなか、
少年はふと我に返る。
すると今更に己の犯した小さな事故に、
叱咤されることを恐れる子供の様に、目をぎゅっと瞑り赤面した。
部屋にはまた静寂が訪れた…。
数秒…数十秒…息を止めて小さく竦みあがったままの少年には
もっと永い時間に感じられたかもしれない。
沈黙に耐え切れなくなった少年は、ゆっくりと薄目を開けながら顔を上げると
燭台を置いた机の反対側に恐る恐る視線を向けた。
▼
- 3635sage :2002/11/29(金) 12:41 ID:ErmVSgYk
- ■
そこには一人の女性が座っていた。
燭台よりも更に輝いて見える白銀の髪を軽く束ねて、
プリーストの法衣に身を包んだ女性。
年齢はまだ若い。
少年とは威厳も違えば歳も少々離れているが、
それを加味しても年齢に似合わない落ち着きをもった端整な顔立ち。
彼女は木製の椅子に腰掛けて足を揃え、その上に置いたバイブルに視線を向けていた。
何かに畏まっているかのように背筋を伸ばして美しい姿勢をしていたが、
顔を傾けているので、表情を読み取ることは難しい。
ただ、眼下にかけられた小さな読書用の眼鏡をたまに指先で持ち上げる仕草から
バイブルに読み耽っていることだけわかる。
プリーストの厳かな法衣に身を包み、姿勢も正しく落ち着き払っているものの、
その姿は何故か世捨て人を思わせた。
女性は先程少年が起こした些細かつ重大な失敗に気がついているのか、いないのか、
バイブルのページを捲ることも無く静かに視線を落としたまま黙っていた。
「すみませんでした…。」
少年はいてもたっても居られなくなったのか、慌てて頭を下げる。
女性の反応はない。
バイブルに読み耽って、気がつかなかったのだろうか…。
そんな都合の良い考えがふと少年の脳裏に浮かぶが、
すぐに常識から判断して、その可能性を否定し言葉を続けた。
「ボク…失敗ばかり…。
こんなんじゃ…ずっとプリーストになんて…。」
ポツリポツリと少年は謝罪の言葉を口にする。
それでも彼女は無言のまま。
バツの悪くなった少年は一度口を閉じる。
永い沈黙が少年を押し潰す。
耐えられなくなった少年はあげていた顔を再び俯かせると、
そのまま部屋を出ようと扉に向かった。
「……(ふぅ)……。」
部屋を出ようとした少年の耳に彼女の初めての吐息が届く。
呆れる様な溜息。
そう聞き取った少年には、背後から刺さるその溜息は耐え難い苦痛だった。
「…また…ですか。」
溜息の後は、更に少年に呆れ返った様な言葉。
彼女はそれっきり、また黙ってしまったが、
少年には彼女の言葉が重すぎて、もう部屋を立ち去ることすら出来なかった。
▼
- 3735sage :2002/11/29(金) 12:42 ID:ErmVSgYk
- ■
「シスター様、ごめんなさぃ…。」
顔を真っ赤にして俯いたまま少年は口を開いた。
その言葉は先程までの謝罪の言葉とはどこか雰囲気が違っていた。
それ程までに彼女の呆れの言葉が心に響いたのか、
もう少年には怯えの表情すらなかった。
今の出来事を謝罪するというよりも、
まるで自嘲の言葉で自らの心の傷を抉るように。
「…いつも、焦っちゃって。落ち着きなさいって、いつも怒られるの…。」
段々と声を大きく、早口に。少年は捲し立てた。
まるで自分の行いを、性格を、
シスター様を呆れさせてしまった自分の愚かさを悔やみ懺悔するように。
「シスター様に迷惑ばかり! 今日だって、今だって!」
彼女は無表情。
少年の自戒の訴えは止まらない。
「この前だってそうだものッ! ボクがシスター様の言葉に甘えて、
自分の力量もわかんないで、無理に飛び出して、…。」
この沈黙はシスター様の与えた罰なんだ。
シスター様はもう何も仰らないけど、それはもっとも重い仕打ち。
少年の心を支配するのは先程起こした些細な事故ではなく、
もっと前に、心に負った傷。
これは懺悔なんだ。
そう自分に言い聞かせるように、少年は続ける。
「…シスター様に…迷惑を……。
ボクの身代わりに謹慎…なん……て…。」
「女性に…怪我まで負わせて…
き…え、…ない…痕。
償う術すら…な、い。」
言葉にならない。
少年の目にはいつしか涙が流れている。
無邪気な子供が怒られることを恐れた時のそれとは違う。
自分ではどうしようもないことを、世の中を、そして
自分の無力さを知ってしまった者の瞳から流れる涙。
「…ボクは…どうしたら…。
ボクには何も出来ない。
…する、権利すらない、のに…。」
最後の方はもう涙交じりの嗚咽でよくは聞こえなかった。
シスター様は厳しいお方だ。
でも、これはボクの罪。
少年は泣いた。
言葉を終えても泣き続け。
そして…いつしか泣き止んだ。
目を真っ赤にしたまま、頬を引き攣らせて、
少年は笑顔を作っているつもりなのだろう。
「…ボク、諦めます。
こんなことで、ボクなんかが出て行くだけじゃ、
何にもならないかもだけどッ!」
少年は机上の燭台をキチンと置きなおすと、
首から下げた信仰の証、ロザリオをそこに架けて深々と頭を下げた。
「…さよなら。…ありがとうございました…。」
そう最後にもう一度お辞儀をすると、部屋の扉を開けて出て行った。
▼
- 3835sage :2002/11/29(金) 12:43 ID:ErmVSgYk
- ■
パタンッ
軽い木の軋む音と共に少年は後ろ手に扉を閉めた。
修道院で学ぶアコライト達に割り振られた質素な小部屋。
ベットに小さな祭壇、狭い部屋にそれでもなお空間を余らせる程しかない
最低限だけの少年の荷物が隅に転がっている。
少年は黙ったまま自分の私服を適当に見繕いベットの上に並べると、
アコライトの制服を脱ぎ始めた。
トンットンッ
部屋の扉を誰かがノックする。
一瞬、少年は手を止めるが、気に止めずに着替えを続けた。
「…入ります。」
「!!」
先程のシスターの声だった。
少年は服を脱ぎかけのまま、制止の声をかけようとしたが、
既に振り返った時には扉は開けられていた。
慌てて女の子のように胸の前で脱ぎかけの服を手繰り寄せる。
真っ赤になって、先程の涙で眼も腫れた顔をもう見られたくないのか、
無理矢理床に視線を向けながら出来るだけ冷静さを取り繕った。
彼女の方はといえば何を恥ずかしがるでもなく、
そんな少年の行動を表情一つ変えずに見つめていた。
「…なんですか?
ボク、もうアコライトじゃないんです。
お説教も聴く必要なんてないですよ…。」
心にも思ってもいないことを話してごまかそうとする。
そんな見え透いた言葉にシスターは変わらぬ表情で答えた。
「それは…とても残念ですね。
とっておきの御話を説こうと思ったのですけど…。」
「…どんな…?」
「おや、興味が無いのではありませんでした?」
シスターは初めて少年を虐めるような不敵な笑みを浮かべて
片手の指を立てておどけて見せた。
少年は自分がまだ未練を持っていることを見透かされたと感じ、
更に羞恥心をおぼえ頭を振って反論した。
「し、知りませんッ。もぉいいです!」
早く着替えて出て行きたいが、シスターが目の前に居ることで
服を胸の前で抑えることで精一杯だった。
なんとかこの場を誤魔化して早く逃げ出してしまいたい。
恥ずかしい。
相手は女性だけど、ボクより歳も位も全然高いプリーストだ。
何も気にせずに着替えを済ませて、彼女の横を通って部屋を出て。
通り過ぎざまに「サヨウナラ。」と一声かけてやればいい。
そんな簡単なことが、少年ののぼせた頭には思い浮かばなかった。
思い浮かばなかったのか…したくなかったのか…。
指を立てていたずらな笑みを浮かべながら、
腰を曲げて下から少年の顔を覗き込むように歩み寄る。
少年は無意識に後ずさる。
顔を思い切り近くに寄せられて、上目がちに大きな瞳で見つめられる。
数歩近づいて…。
退いて…。
少年の後ろにはベット、これ以上さがる事は出来ない。
トスッ
少年はベットの端に転ぶように座り、
彼女はクルッと少年の隣に腰を降ろした。
▼
- 3935sage :2002/11/29(金) 12:45 ID:ErmVSgYk
- ■
「バイブルには様々な主の教えが示され、
私達がどう生きていくべきなのか、その教訓が記されています。」
手元のバイブルのページをパラパラと捲りつつ、
彼女は再び小さな眼鏡をかけ直すと、語り始めた。
「使徒列伝…詩篇…申命記、創世記。」
彼女は先程バイブルに読み耽っていた時とは違い、
まるで微塵にも興味ないような態度でつまらなそうにバイブルのページを捲る。
そして一通りのページを捲り終えると、
おもむろにバイブルを閉じて眼鏡をはずした。
アコライトではまだ持つことの許されないバイブルから、
説法を説かれると思っていた少年は素直に横に座るシスターを見つめて
首をかしげる。
疑問いっぱいの顔で自分を見上げる少年に、彼女は問いかけた。
「貴方は何でアコライトになったのですか?」
「人々を助け…不浄なる存在を排し、
主のお言葉を人々に知ってもらいたかった…から?」
少年は答える。
日々の主への祈り、
教会の修行で教えられた常識をそのまま口に出して答えた。
わざわざ当たり前のことを聞かれているのだから、
もしかしたら違う答えが求められているのかもしれない。
そう思いつつも、少年には常識として身につけた言葉以外思い浮かばなかった。
「ふふ、優等生な答えですね。」
「…優等生って…な、…ボクは、そう信じてッ。」
からかわれていると思ったのか少年は、癖なのだろう顔を赤らめて反論する。
「そう怒らないで。」
「ぅぅ…。」
「では聞きますね…。
貴方が人を救うのですか?
貴方がアンデッドや悪魔を退治するのですか?
貴方が主の素晴らしさを万人に知らしめるのですか?」
ゆっくりと耳元で囁く様に、しかし凛とした声でシスターは問う。
「それは、ボクでは…まだまだだけど…。
でも、いつか…。」
自分の不甲斐なさを責められているのかと少年は思った。
「それが貴方の仕事?
それが貴方のやりたかった事ですか?」
神父やシスターの様にプリーストになれば、そうするのが仕事だと思った。
「主の御力の代行者のような神父様や、
聖母のようなシスター様になれば…ですか?」
でも、自分ではそうなれないから…諦めようと思った。
自分の頭に渦巻いていたことを全て言われてしまい、少年は黙り込んだ。
「(違うの? だって、だって…。)」
ワケもわからず信じてきたことを責められている自分。
教会で今まで教えられたことが頭の中を反復し、
求められている解答がわからない自分への苛立ち。
少年は…黙ったまま、また咽び泣いた。
▼
- 4035sage :2002/11/29(金) 12:46 ID:ErmVSgYk
- ■
修道院の一室。
壁には小さな窓。
その小さな入り口からあらん限りの輝きで部屋の中に入ってくる春の陽光。
シスターは立ち上がり、窓に近づくと眩しそうに手で日差しを作りながら
外を見つめる。
修道院の裏手には小さな墓地。
今は使用されていない名も刻まれていない石碑達は、
新緑と、薄紅色や鮮やかな黄色の花々に覆われている。
静寂の中、部屋に響く咽び泣く声。
外界と遮断された空間に、突如一吹きの風が舞い降りる。
シスターは一度手を止めて、胸いっぱいに大きく風を吸い込むと、
息を吐き出すようにゆっくりと、全開まで窓を開け放った。
静寂がかき消され、人々の声が遠くからやってくる。
首都の往来を行き交う人々の笑い声、
商売に精を出すものたちの声、
今まさに冒険に出ようという者達の声。
風の音。
いつしか泣き声は消えていた。
少年はやっと落ち着きを取り戻したのか窓の方に向き直る。
そこには、羽織っていた法衣のファスナーを下ろし、
素肌に太陽の光を浴びるシスターの背中があった。
一瞬、少年は焦って目を背けそうになるが、その視線が一点で止まる。
その背中には大きな傷痕があった。
それは不浄なる者に深く傷付けられた、ヒールでも消えることのない傷痕だった。
▼
- 4135sage :2002/11/29(金) 12:48 ID:ErmVSgYk
- ■
大聖堂には主の奇跡を求めて訪れる人々が大勢居る。
あるものは結婚式のために幸せそうな顔で訪れ、
あるものは天に御霊を返すための祈りを捧げて欲しいと、
あるもの達は世に蔓延るモンスターを討伐する為に教会の力を借りに…。
彼女は大聖堂でも一二を争う退魔法術の使い手だった。
しかし、自ら戦いに志願することは殆ど無く、
ここ数ヶ月は祭事を取り仕切る人員として聖堂で職務を果たしていた。
「シスター様、ボクも行ってみたいです!
不浄なものを浄化するところを、
見てみたいです!」」
その少年の好奇心の一言に、最初彼女は怪訝な顔を見せたが
世界を見るのも勉強になるでしょうと、付き添ってくれた。
少年の好奇心が彼女を動かし、
そして一生消えることのない怪我を負わせた。
目的地の討伐も終わり、帰ろうとする一団から抜け出して一人奥地へと進んだ少年。
突如現れた、今までに見たことも無いような悪魔、イシス。
少年を庇って瀕死の重傷を受けたシスター。
祭事を司っている期間中の使用を自ら禁じ、誓いを立てていた法術の使用。
マグヌス=エクソールシスムス…。
悪魔は浄化されたが、彼女もまた癒えることの無い傷を負い、
そして自らの誓いを破った事で、一時的とはいえ聖堂での立場を失った。
「ぁぁ…ぁ…ぁ。」
少年はシスターの背中を一心に見つめ声を洩らす。
『許されない罪を犯した、そしてボクは…罪から逃げようとした。』
ベットの上を這うように、彼女の背中から一瞬も目を逸らさずに近づく。
「ぅ…ぅ…ぁぁ。」
ベッドサイドの窓辺に立ち、こちらに素肌をあらわにして背を向けたままのシスター。
少年は肩から腰まで伸びたその痛々しい傷痕に自然と片手を伸ばす。
その力なく差し伸ばされた少年の腕を、彼女が掴んだ。
「この傷が、悲しいですか?」
悲しいです。
ボクのせいで、こんな体に…。
「…それとも、
この傷が、美しいですか?」
美しい?
何を言っているのか理解できなかった。
「悪魔やアンデッドを浄化し、
その戦いの証であるこんな傷が…。」
「人から感謝はされるでしょう…。
この傷は、私が悪魔を退治した証です。」
「こんなものが、美しいですか?」
気がついた。
シスターの伝えたかったこと、少年が思い違っていたこと、
段々と少年の頭の中で整理が付いてくる。
「力を奮い、不浄を排し、人を助ける…。
その力は私達のものですか?」
そうだ、それは…。
「そんな力は私達には有りませんよ。
全ては主の成せる御わざ。」
そうだ、だから、ボク達は…。
「私達に出来ることは、
そんなだいそれた事なんかじゃない。」
ボク達にできることは…。
「私達がするべきは、
私達のしたいことは…、
こんなことではないでしょう?」
彼女が振り向く。
その首からは彼女自身の物と、
もう一つ少年が銀の燭台に架けて置いてきたロザリオが架けられていた。
ロザリオ…十字架に架けられた御子が最後まで貫いた思いはなんだった?
その意味は、全ての人を『許し』『愛する』こと。
ただ、それだけだ。
彼女は少年の栗色の髪を優しく撫でると、こう言った。
「私に出来ること…。
私の役目は…、
父と子と聖霊の御名によって、
…『貴方を許しましょう』。」
少年の目は涙で濡れていたが、それは悲しさとは違う涙。
相変わらずに上気した赤い顔のままで、少年はそのまま目を瞑り
シスターの胸元に顔を近づけると、ロザリオに涙で濡れたくちづけをする。
「ボクに出来ること…。」
少年は口を合わせたまま小さく呟く、
「父と子と聖霊の御名によって…」
『ボクは貴女を愛します。』
春の麗らかな太陽。
開け放たれた窓から全開で降り注ぐ陽光の赤、
澄んだ空の蒼、
大地に芽吹く草木の緑。
キラキラと美しく色を変えるロザリオに二人の唇が添えられた。
完--------------------------------------------------
やば…アップしてわかる、この長さ…。
申し訳ございませ〜ん(;´Д`)
- 42名無しさんsage :2002/11/29(金) 16:34 ID:75G9Ixfg
- >35さん
…イイっ!
冗談抜いて泣きますた(つД`)
- 43名無しさんsage :2002/11/29(金) 22:14 ID:75G9Ixfg
- プレオープンってことで微妙閑散でせうか。
えーっと、実は萌え本スレ483の者です
本スレ491-492に書いた小説の続きを書いているんですが…
ここに書き込んでも問題ないでしょうか?
正直35さんの後ろに書くのはおっそれ多い気もしまつが(;´Д`)
- 44名無しさんsage :2002/11/29(金) 23:12 ID:jdmrdvYA
- >>35
……段違いの文章力に言葉が出ないです…。
繊細な描写にアコライトとプリーストの会話、文章が更に綺麗なものになってます。
素晴らしい小説をありがとう。そして>>35氏、お疲れ様でした!
- 4535sage :2002/11/29(金) 23:48 ID:ErmVSgYk
- >>42さん
うぅ、有難うございますですよぉ。
スレの趣旨に合うかどうか不安でしたが、
そう言っていただけると心強いです。
また、書こうという意思が沸いてきます〜。
もぉ、こういう萌えスレとか大好きなので、
色々と読ませて欲しいです!
>>44さん
ありがとございましたッ!
読んでいただけるだけで嬉しいですね。
ラグナロクは北欧神話なんでしょうけど、
どうしてもアコプリや聖堂のイメージはキリスト教だったので、
それ風のお話にしてしまいました(;´Д`)
また書かせていただいて読んでいただければと思います。
本業は絵の方なのでホントは挿絵も入れたいけど、
時間がかかり過ぎそうで…色々と模索中です。
- 46名無しさんsage :2002/11/30(土) 15:51 ID:usUOvmRI
- 本スレ483です。
…違っ(´Д`)書いたのは481-482ですた。
幸い反応が頂けたので、書き込ませていただきます。
しつこくなりますが、481-482から続く連載もの?なのでまずはそちらからご覧下さい〜
- 47本スレ483sage :2002/11/30(土) 15:52 ID:usUOvmRI
- 私は♀アサ。普段はクールな司令塔として、熱血漢のリーダーに代わってPTを統率している。
が、今、私の頭の中には「未曾有の危機」という看板が掲げられている。一旦、状況を整理しよう。
先ほど♂騎士に抱きついた後、私はこともあろうに、キ…接吻、を、彼と交わしてしまったのだ。
…あぁ。まだ感触が残っている…。何で、こんなことに。
そして、現在は♀アコに抱き締められて頭を撫でてもらっている。…何でだろう。
前述の通り、私は徹頭徹尾沈着冷静、頼れるPTの指導者であるはずなのだ。
しかし…先ほどの半狂乱、というか暴走。やはり、理性はこのように動いているのだが、思うように体が動かない。
何か、本能のような物に突き動かされ、行動しているのだ。…嫌だ、こんな自分。
「お姉ちゃん…。」
だから誰が言った今のこう何というか鳥肌が立つような猫声!…残念ながら私だ。くっ。
何が何だか本当によく分からない。とにかく私は♀アコに、幼い少女のように甘えている。
うぅ、こんなの、私じゃない!
「という訳で、だ。…今の彼女の状態を説明してほしいんだよな、うん。」
リーダーらしく♂騎士はPTを個室に集め、状況整理を提案した。よし、その調子その調子。
ふと見ると、まだ彼の頬はタラフロッグの如く赤い。私は彼の、いわゆる純情を傷つけてしまったのだ。…二重の意味で恥ずかしい。
「そうさなァ…アサがこの宿屋に戻って来てそんなに経ってねェ頃か。」
テーブルを挟んでリーダーの反対側に位置する♂BSが、頭に指を立ててゆっくりと語り始める。
「いっぺんどっかに消えちまったと思ったら、いきなり俺ンとこ走ってきて抱きついてきたんよな。
そいで、どうしたのかと思ったら、大好き、だってよ。」
「だって…あたし、アナタの事スキなんだもん。大好き。」
っかぁああぁぁぁっ!目を潤ませるなショボンってするな指と指をくっつけてに当ててもじもじするな!私!
♂BSは既に異変に気付いたらしく、思案するような視線を私に向けている。あぁ、不幸中の幸い。
「…えっと。それで、リーダーが帰って来て、アサちゃんが貴方の方へ走ってって…。…ね?」
続いて♀アコが言葉を紡ぐ。私の頭をぎゅうと抱き締めながら。…今の状況を楽しんでいるような。彼女。
…いや、「ね?」って…。
ぼむっ
一瞬何の音かと思った。何かが燃えて、破裂したような音。…音源はリーダーだった。
♂騎士は顔をこれでもかというぐらいに紅潮させ、倒れてしまったのだ。
そして呻き声を上げながらその場で這いずり回る。もしかしたら先ほどの接吻…の感触が蘇っているのかもしれない。
ぁぅぁ…私もなんか唇がじわじわしてきた。
「そんなに嬉しかったのかしら?」
それは違う気がする。だが、改めて思う。彼は、本当に純粋なのだ。
…とにかく、本当に♂騎士には悪い事をしてしまった…もう合わす顔が無い。
「えへへ…そうだったなら、あたしも嬉しいっ♪」
またまた私の放った言葉だ。…ああぁぁぁあぁ、合わす顔が…。
- 48本スレ483sage :2002/11/30(土) 15:54 ID:usUOvmRI
- 私は♀アサ。♀アコに抱き締められながらPT会議の行く末を見守っている。
しつこいようだが、この状態は私にはとても恥ずかしい…。
「媚薬…の一種かもなァ。」
私の荷物から赤ポの空き瓶を見かけた♂BSの最初の一言は、これだった。
この発言に♂騎士もさすがの♀アコも驚きの表情を隠せないようだ。同時、顔も赤くなっている。
私はというと…♀アコの胸に頬を近づけていっている。改めて思うが、危険だ。今の私。ぅぅ。
「見た感じってだけだけど、赤ポで薄めてあるみてェだ。だからこの程度で済んでるのかもな。」
不幸中の、幸い。もし、濃度の高い薬だったりしたら…。考えただけでも恐ろしい。
「とりあえず、俺はダチんトコ行ってくら。錬金術に詳しいヤツがいるんだな。
そいつに聞けば何か分かるかもしらんし。
運が良ければアサの状態を直せる薬を作ってくれるかもしれねェ。」
♂BSはそう言うとさっさと準備をしてとっとと出掛けてしまった。
彼は、そういうせっかちな人間なのだ。昔から、そして、いつもいつも。
「…バイバイ、って言えなかった。」
またしてもショボン、となる私。
たしかに、時間を合理的に使う♂BSは、私が何かを伝える前に消えてしまうことが多い。
今、私の行動を支配している私には、それが寂しくてたまらなかったのだろうか。
…私らしくもない。って、今更だが。
「あの、えと、本当にごめんなさいなんだけど…。」
♀アコが私の頭から手を離し、唐突に口を開いた。
「私さ、ちょっとこれから大聖堂に行かなくちゃいけないのよ…。司祭様に呼ばれててね。」
「え。」
一瞬の沈黙。
「…やだ、やだやだやだやだやだ!お姉ちゃんまで行っちゃやだぁっ!」
彼女の言葉に激しい反応を起こす私。
外へ向かうべく歩き始めた♀アコを抱き締め、離そうとしない。
誰とも離れたくない。寂しい。
今の私は、そんなワガママな感情を全面に押し出しているように見える。
そんな気持ち…とうの昔に捨てたはずだったのに。
「あぁ…と、ほら。アコは忙しいんだよ。でもさ、ちゃんとすぐに帰ってくるワケで。」
「そうそう。ちょっと行ったら、急いで帰ってくるからね。留守番、しててくれるかしら?」
♂騎士と、♀アコがそれぞれの笑顔でそれぞれの言葉を投げかけてくれた。
「ね?や、く、そ、く。」
彼女は、そう言って聖職者らしい美しい笑顔を残して去っていった。
「…うんっ。」
♀アコが約束を破ったことはない。その事を私も分かっているのか、すっかり落ち着いたようだ。
そして、宿屋には私とリーダーの二人が残った。
…ん?
- 49本スレ483sage :2002/11/30(土) 15:57 ID:usUOvmRI
- どこまで続くのか分からなくなって来てしいますた。
そして長くて読みづらいという最大の欠陥が…。
今後は改善しつつ、続きを書いて行こうと思います。
最悪やんけ∧‖∧
- 50名無しさんsage :2002/11/30(土) 18:50 ID:d8psWX2k
- >>49
最 高 で つ (*´Д`)b
- 51名無したんsage :2002/12/01(日) 00:45 ID:znn8I/Pc
- >>49
GoodJob!
- 52名無しさんsage :2002/12/02(月) 15:43 ID:e17KM.CM
- >>49
そうか、これを世の中では
Good Job!!
というわけだな
- 5326 :2002/12/03(火) 10:50 ID:4JmFFP5Y
- そう言えば、もう一年だった。
私は花束と彼の好きだったお酒を持ってあそこを訪れる。
誰も近寄ろうとしない、お墓の一角。ブーツが供えてあるお墓だ。
お酒と花束を供えると、改めてそのお墓をみる。
小さくて、古びているけど、誇らしげな言葉。
『イルファーズ ミッドガルを駈け抜けた男』
そう、彼は文字通り、ミッドガルを駈け抜けた…。
彼と出会ったのは、3年前の事だった。
いつもの様に私は、プロンテラの大聖堂でお祈りをしていた。
「へぇ〜、ここが大聖堂か〜」
無粋な声に集中が途切れてしまった。
「お静かに」
私は少しむっとしながら、その声の人物に注意を促した。
「あ、すいません…」
初心者、だった。どこから来たのだろう?
「あの、アコライトになりたくて」
未来の同士なら、無下にするわけにも行かない。
「こちらへ」
私は彼を神父様の元へと案内する。これから彼が受ける試練の無事を、心の中で祈りながら。
「こんにちわ、シスター」
聞き覚えのある声に振り向くと、少し前に来た彼だった。
「あら、こんにちわ。試練は無事通り抜けた様ですね」
彼は苦笑いを浮かべると、自己紹介をした。
「イルファーズです。よろしく」
「よろしく。未来のプリーストかしら? それともモンク?」
アコライトはその通過点に過ぎない。この質問をすると大抵の人は自分の希望を延々と話してくる。
それを論破するのが私の趣味だ。
でも、彼は違った。
「いえ、もう目的は達成しましたから」
ああ、ポータルで生計を経てるのか。
「これで世界中を走り回る事が出来ます」
この答えにはさすがの私も驚いた。聞けば、彼は見た事の無い地域へ、自分一人の力で行って見たいという。
愚の骨頂だ。今はポータルでどこへでもいけるというのに。
「それじゃあ意味が無いんです」
「この足で歩いて、この目で見て、この耳で聞いて」
「そこに辿り着くまでの事を楽しみたいんで」
笑いながら、そんな小さな夢物語を語った。彼は自分の夢を語ると、さっさと出ていってしまった。
「こうしている時間も惜しいんです」
速度増加をかけながら、彼は走り去ってしまった。
あっけにとられた私は、しばらく彼の出ていった方向をずっと見ていた。
「何だったんだろう…」
- 5426 :2002/12/03(火) 11:00 ID:4JmFFP5Y
- しばらくして、彼が帰ってきた。
傷だらけで、今にも倒れそうだったけど、彼は元気だった。
「いやあ、本当に広いですねミッドガルは」
当たり前だ。さらに北の同盟国と西の敵国、それ以外にもたくさん国はある。
「で、ですね…」
彼は自分の見てきた事を、何故か私に報告しに来たという。相手にするのも面倒なので喋らせておく。
「間違えてオークの村に入っちゃって…」
無茶ばかりしている。彼の実力ではオークに頭蓋骨を叩き割られるだろう。
「命からがら逃げ出してきたんですよ」
そうして、彼はお土産だといって押し花を置いていった。
「モロクで女の子が売ってたんです。きれいだったので」
安い土産だ。口には出さずに目いっぱいの営業スマイルで受け取る。
「それじゃまた」
そう言うと彼はまた出ていった。
今日もらった押し花は、しおりにでもするか。
- 5526 :2002/12/03(火) 11:31 ID:4JmFFP5Y
- それから、彼はプロンテラに来るたびに、私の元を訪れた。
安いお土産と、たくさんの話を持って。
彼の口から出てくる物語は、私も聞いた事の無いような物もあった。
「水の中の洞窟で…」
「宙に浮いてる展望台から…」
「周りの人がみんなで協力して狼を…」
彼の物語は、私にとって知識でしかない物も多かったが、いつしか私も聞きいっていた。
表情にはこれっぽっちも出していなかったけれど。
「で、今回はこれです」
そう言って彼が差し出したのは、大きなリボンだった。
「ロッダフロッグかと思ったら、なんか違うみたいで」
倒すのに苦労していたら、周りの人が手伝ってくれたという。
「その時持ってたやつなんですが、私には似合わないので」
私にも似合わない。というか絶対したくない。やんわりとその事を告げると、
「じゃあ、似合う人にあげてください」
そう言って彼は無理やり私に押し付けて、出ていってしまった。
あのリボンはまだ持っている。だってこれが、彼の形見になってしまったから。
大聖堂で、私は今日もお祈りしていた。多分、彼が来る。いなくても良いのだけど、いなかったらがっかりするから。
別に気になるわけではないけど。彼が可愛そうだからここにいてあげる事にした。
昼になって夜が来て、それでも彼は来なかった。せっかく待ってたのに。
私が寝室に戻ろうとすると、神父様がお声をかけてきてくださった。眠いのに。
「お知らせしなければならないことがあります」
彼が死んだという知らせだった。迷いの森で、ハンターフライに囲まれている人を助けた後、そのまま亡くなったという。
自分だって弱いくせに、何を考えているんだろう。逃げ切れると思ったのだろうか?
「そうですか」
私は一言だけ言うと、自分の部屋に戻った。頬がぬれていた。誰にも見られたくなかった。
正義の味方じゃないのに! アコライトが何をでしゃばってるの? その足で逃げれば良かったじゃない。
いろいろな言葉が出てきた。でも、それを投げかける相手はもういなかった。
彼のお葬式は静かに行われた。知り合いと身内だけ。それも数人程度だった。
最後に、彼の形見が置いてあった。ぼろぼろのマフラー、シューズ。サングラスに愛用のチェイン…。
普通のアコライトの物と違うわけではない。それでも、その風貌は様々な地方を歩いてきた証だった。
私はその中に、気になるものを見つけた。天使のヘアバンド…倒せるはず無いのに、なぜ?
「それは、ですね」
彼の母親が、私の表情に気付いたらしく、近寄ってきた。
「『似合いそうな人がいるから、絶対に持ってくる』って言ってね」
「『いつ渡そうか』ってずっと言ってたの。苦労してとったけど、あの人は笑うからって」
そうか、思い人がいたんだ。
「大聖堂のプリーストさん、って言ってたわ。名前も知らないけど、寂しそうな顔をしてるからって」
声も出なかった。名前も教えてないのに、どうしてそこまでするんだろう?
気があった? そうだとしても、私の雰囲気でわかるはずだ。なぜ?
「世の中に絶望した顔をしている、って言ってたわ。そんなに捨てた物でもないのにって。アコライトの癖に、一人前に説教たれるのよ」
- 5626 :2002/12/03(火) 11:48 ID:4JmFFP5Y
- それから後は覚えていない。他の人に聞くと、私は大声で泣き崩れたそうだ。
パーティーに入って、機械のようにこき使われて、絶望したあの頃。
それ以来、外に出ようなんてこれっぽっちも考えた事なかった。
彼はそれを、否定したかったのだ。そうじゃない。外の世界は希望がたくさんあると。
絶望と同じ位、希望があることを、私に教えてくれようとしていたのだ。
泣き崩れた私を、彼の母親はずっと介抱してくれたそうだ。私はいろいろな事を彼女に話した。
彼の事、自分の事、今までの事、これからの事…。
全て話し終わると、彼女はゆっくり口を開いた。
「それで、あなたはどうしたいのかしら?」
それからすぐに、私は旅に出る事にした。お世話になった大聖堂を後にして、いろいろなところを見て回った。
彼の見たこと、聞いた事、感じた風…
それら全てを自分で感じてみたかった。今ではギルドを作り、小さいながらも仲良くやっている。
もちろん、旅中心のパーティーだ。
そして久々に帰ってきた。彼に旅の報告を済ますと、私はみんなの元へ戻る。
「ごめんなさい。遅くなったわね」
騎士とアサシンがもうそこにいた。ギルドのメンバーである。
「もう一人待ってるんだ。気にすんな」
アサシンがそう言うと、騎士は無言で一人の少女を指差した。最近メンバーに加わったアーチャーである。
私は彼女の肩に手を置くと、微笑みかけながら言った。
「準備は良いかしら? みんな待ってるわよ」
人をからかう癖は、早々抜けない様だ。彼女は慌てて準備を始める。
「自分も遅れた癖に…」
騎士の呟きを聞いた。あいつのヒールはいつもより遅れてだそう。うん。
「あの、準備できました!」
彼女の声を合図に、私達は動き出す。
「あの…突然ですいませんが、聞きたい事があるんです」
彼女の問いに、微笑んで問いかけを待つ。
「その、大きなリボン、どうして付けてるんですか?」
その問いかけに、一瞬躊躇する私だったけど、
「これはね…」
話す事にする。あの人がくれた勇気が、伝えられるような気がして。
旅の素晴らしさ、辛さ、そして、あの人の思いと共に。
私は今日も、駈け抜ける。
- 5726 :2002/12/03(火) 11:50 ID:4JmFFP5Y
- また調子に乗って書いちゃいました。
すいません。
よろしければ感想お願いします。
あと、次回からなるべく短いのにしようと思います。
- 58名無しさんsage :2002/12/03(火) 12:44 ID:5LDnK.bo
- 26さん
気にしないでもっと書いて下さいな〜。
短いのでも長いのでももっと読んでみたいです。
とっても泣けますよぅ(つД`)
- 59名無しさんsage :2002/12/03(火) 13:19 ID:HLBT/zFw
- (;_;)
- 60名無したんsage :2002/12/03(火) 20:09 ID:R/wzBBwc
- イイ…!>>26
- 61名無しさんsage :2002/12/04(水) 00:56 ID:l1TFdnwk
- >>26
悲しくも綺麗な物語をありがとうです!
>>26氏のROの世界観は読み手を引き込んでいきますね…。
百合スレ住人じゃ書けない…。
- 62女鍛冶屋の憂鬱sage :2002/12/04(水) 03:15 ID:Ndppc2hg
- 「いらっしゃいませー、おいもですよー!」
道行く人々に向かって、周囲の商人達に負けじと大声を張り上げる。
今日もプロンテラの南大通りは、雑多な人間で溢れている。
声をあげるのにも疲れて、ぺたん、と地面に座り込む。
「うー・・・何で売れないかなぁ・・・」
溜息ひとつ、ひとりごちる。
隣の露天からはピンク色の髪をした商人の女の子の、ありがとうございました、と可愛らしい客への礼が聞こえる。
やはりブラックスミスに転職したのは失敗だったのだろうか。
制服も可愛くないし、パーティーを組めば姉御とか姐さんとか呼ばれるし・・・
はらはらと眼の前に落ちてくる、空色の髪を鬱陶しげに掻き上げた。
頭の後ろで髪は二つに括っているが、前髪まで後ろに括る事も出来なかったのだ。
「はぁ・・・何で売れないんだろ・・・」
半ば無意識的に、繰り返した。
「似合わないからじゃないですか?」
と。
横から予想もしない、答えが返ってくる。
「・・・・は?」
まさか自分の独り言に返答する者がいるとは思わないものだから、思わず間抜けな声をあげて・・・
声のした方を見た。
見れば、銀髪に片眼鏡のウィザードが座っている。
なかなかの美形で、にこにこしながら・・・
「いやぁ、だって腕力一番!Intは無しよ!みたいなブラスミさんが可愛らしい声あげたって怖いだけですよー。ほら!腕なんか兄貴を素手で倒せるんじゃない!?ってカンジですし!」
・・・毒を吐いていた。
ぶちぶちと血管が切れる音を聞いた様な気がしながら・・・セシリア・・・BSの少女は、立ち上がった。
- 63名無しさんsage :2002/12/04(水) 03:17 ID:Ndppc2hg
- 「んーっと・・・喧嘩売ってるの、カナ?」
にこやかな笑顔で言うものの、目は笑っていない。
・・・更に右手の拳を左手で揉みほぐし、コキコキ言わせている。
「むぅっ、不満でしたか!?」
さも意外そうな顔で、ウィザードがほざいて・・セシリアがキレた。
「当たり前でしょうがっ!乙女に何て事言ってくれるかなあんたはっ!」
怒鳴り散らすセシリアに、ウィザードはうーん、などと言いながら考え込んで・・・
ぽん、と手を打った。
と、セシリアの腰に手を回し、抱き寄せる。
「美しいお嬢さん・・・怒っていては貴女の美貌が勿体ない。貴女にはそう・・・この、氷の薔薇を差し上げましょう。美しい物は美しい女性に似合う。」
ご丁寧にキラン、と歯を輝かせて言う。
まあ、お顔の作りは丁寧なのでサマにはなっている。
「それでは私はこれにてっ、さらばっ!」
HAHAHA、とよくわからない高笑いをあげながらウィザードが走り去って・・・
セシリアは急な事で呆然とし、また言われ慣れない事を囁かれて真っ赤になり、ぽーっとしていた。
手の中の薔薇の冷たさに、はたと気付いて手の中の物を見た。
決して溶けない筈の氷の薔薇が溶けていた。
・・・と言うか、すぐそこの花売りが売っている2zの花をフロストダイバで凍らせた物だった。
「あん・・・・」
うつむき、ぴくぴくと身体を震わせるセシリアに、一連の騒動ですっかり集まっている野次馬がどよめく。
泣くか!?泣くのか!?だの、あのWizのにーちゃんやるなあ、だのBSたんハァハァ、だの。
まあ、そんな野次馬に気付く事もなく・・・セシリアが心のままに叫んだ。
「あんにゃろう、今度会ったらブッ殺す!」
野次馬達は全速力で逃げ出した。
- 64名無しさんsage :2002/12/04(水) 03:18 ID:Ndppc2hg
- セシリア・バーシュレットは全速力で山を駆け下りていた。
カートの車輪がガラガラと悲鳴をあげ、つんのめりそうになりながらも駆け続ける。
後ろから迫るのは、無数のギチギチと言う音と共に押し寄せる、蟲だ。
「ひぃぁぁああああ!死ぬ、死ぬ!マヂで死ぬってば!」
半泣きになりながら駆けていく。
・・・事の起こりは、レベル上げに訪れたミョルニル山脈の東の端・・・いわゆるマンドラ森の北、で・・・アンドレの一匹を叩いた事だった。
一匹なら何とかなるだろうと思い、2HA、両手持ちの斧で殴り始めたのは良かったが・・
同じ種族が襲われていると仲間を救う為に参戦してくる習性が災いして、増えるわ増えるわ。
本来ならばアンドレが大量出現する事など滅多にない。
だが、滅多にないと言う事は、滅多にはあると言うことだ。
不幸な事に、セシリアはあまり幸運とは言えなかった様である。
まあ、そんな訳でカートを引きずりながらセシリアは全力疾走していた。
ぐんぐんと風景が流れていき・・・焦っていたのが災いしたのか道を間違え、先が行き止まりである事を知る。
(も、もうダメだ・・・)
息は荒く、心臓の拍動は休み無く胸を灼く。
喉がヒリつき、声を出す事もままならない。
行き止まりで立ちすくみ、迫るギチギチという節足が擦れる音を聞いて・・・恐怖に、ぎゅっと目をつむった。
- 65名無しさんsage :2002/12/04(水) 03:18 ID:Ndppc2hg
- と。
「原始の精霊、炎の仔。地に宿りて焼き尽くせ。」
言葉が力を持って、大気を渡る。
魔術師の手にした青い魔法の石が、軽やかな音を立てて粉々に吹き飛ぶ。
「Fire Piller!」
力強い結印と共に言葉が放たれ、セシリアの手前の地面が突如、噴火口と化した。
ごうごうと炎を吹き上げ、業火が襲い掛からんとするアンドレを焼き尽くす。
舞い上がる炎と溶岩がアンドレの四肢を吹き飛ばし、ボトボトと残滓を大地へと撒き散らした。
全てのアンドレの息を止めると、噴煙は徐々に穏やかになり、やがてゆっくりと消えていく。
一瞬前までそこに火口が存在していたとは思えない、何ら変わらぬ大地。
そして何の音も聞こえなくなって・・・セシリアが、怖々と眼を開く。
そこには蟲の千切れ飛んだ体節が広がり、体液の焼ける匂いと焦げ臭さが充満して。
銀髪の片眼鏡の魔術師が相も変わらぬ笑顔で立っていた。
「大丈夫ですか?」
笑顔のままに、言う。
「だ、だいじょ・・・・」
大丈夫なハズ無い、と言おうとしてセシリアの視界がぐるん、と傾いた。
地面が傾いてるのではなく、自分が倒れている事に気付いたのは側頭部を地面に打ち付けるごしゃ、と言う鈍い音を聞いてからだった。
そうして、セシリアの意識は闇に落ちていった。
最後に思った。
あいつの眼って、いつ開くんだろう?
- 66名無しさんsage :2002/12/04(水) 03:19 ID:Ndppc2hg
- フィオット・ヘリオドールは非力である。
どこからどう見ても非力な外見であるから、ノービス時代は随分と苦労もした。
もっとも、魔術師になってからというもの、先天的に向いていたのか苦労した記憶は無い。
周囲が魔術書とにらめっこして、やっとファイアーボルトを出せる頃には既にファイアーボールを撃っていた。
友人達がやっと彼に追いつき、火球を打ち出す頃には彼は炎の壁を呪文で作り出していた。
まあ、いわゆるエリート街道を歩んできた彼だが・・・取り敢えず彼は今、今までに無く危機だった。
右肩がパンパンに腫れ上がっている。
はぁ、と溜息を付きながら白いハーブを噛み、肩に貼り付けて布を巻いた。
すっ、と肩が幾分か軽くなった気がする。
司祭にヒールを掛けて貰えば、あっという間に完治なのだが。
「まったく・・・何で貴女はそんなに重いんですか・・・」
ソファに座り、ベッドで横たわるる少女、セシリアに声を掛けた。
返答は無い、期待した訳でもない。過度の疲労と緊張で眠っているのは知っている。
アルギオペ、いわゆる赤芋虫を倒しに行こうと思い、気紛れに遠回りしてみた。
そうして見つけたのは、蟻の大群に追われる空色の髪のBSの少女だった。
見間違うハズも無い。彼にとって彼女は特別なのだから。
露店で買ってきたエールの瓶の栓を抜く。
きゅぽん、と音を立ててコルクを飛ばし、直接喉へと流し込んだ。
ほろ苦いアルコールが疲れた身体に心地よい。
エールを片手に、フィオットは立ち上がった。
ぎしぎしと床を軋ませて、ベッドの傍らに立った。
すやすやと彼女は眠っている。
そっと右手を伸ばし、頬に触れる。
「んっ・・・・」
軽く眉をひそめ、セシリアが身じろぎした。
一瞬、起こしてしまったかと思ったが・・・動かない。
どうやら心配は杞憂だったらしい。
寝顔を見て、優しい微笑みを浮かべて・・・
セシリアの左手を手を取り、手の甲に唇を一瞬触れさせた。
「おやすみ、僕のお姫様・・・」
酔ってますね、とフィオットは自嘲して、ベランダへと出た。
安宿で床は軋むし、すきま風も通るが夜景だけは悪くない。
- 67名無しさんsage :2002/12/04(水) 03:20 ID:Ndppc2hg
- ばたん、とベランダへ続くドアが閉まった音を聞いて・・・
セシリアははぁ、と息をついた。
火照った頬に、冷たいシーツの感触が心地よい。
体中の筋肉が悲鳴をあげているが、構わず左手を引き寄せて・・・
左手の甲に、唇を当ててみた。
(やだ、何してんだろあたしっ・・・・)
半ば無意識に取った行動が、無性に恥ずかしかった。
ぎゅう、と顔を枕に押し付ける。
高鳴る鼓動を感じながら、セシリアは再び眠りについた。
翌朝、宿の一階に降りると彼は既に食卓で待っていた。
宿のおばちゃんがパンと卵とスープを机に置いて、去っていったのを眼で追って・・・
「あ、あの・・・おはよう。」
「おはようございます。」
にこにこと、彼は笑顔だ。彼の場合、笑顔だから裏がない・・・とは到底言えないが。
「あの・・・その・・・き、昨日はありがとねっ」
頬を染めて、一気に言った。
妙に意識しているせいで、目を合わせられない。
緊張するセシリアとは裏腹に、フィオットは焦る素振りすらない。
「いえいえ、お気になさらず。それよりもですね、朝市に行ったら掘り出し物があったのでプレゼントですよー」
「え、ええっ!?」
生まれてこの方、男からプレゼントなど貰った事の無いセシリアがびっくりして顔をあげた。
いや、フロストダイバで凍らせた2zの花もプレゼントに入るならば、その限りでは無いが。
- 68名無しさんsage :2002/12/04(水) 03:20 ID:Ndppc2hg
- 期待と緊張で高鳴るセシリアの前に、フィオットがそれを置いた。
がちゃん。
重々しい鋼鉄に、テーブルが一瞬沈み込んだ。
「・・・・・え?」
視覚情報を一瞬信じられず、セシリアはもう一度それを眺めてみた。
実用本位の無骨なライン。
丈夫さと耐久性、耐熱性を追求した結果、鋼鉄をふんだんに用い、頑丈そうだ。
飾り気の無いデザインは、どこの地方でも変わらないだろう。
もっとも、被っても前が見えなくないように穴は開いている。・・・四角い穴が。
どこからどう見ても、完璧、かつ絶対的に、疑いようもなく溶接マスクだった。
「あのー・・・わたし、まだ調子おかしいのかな?溶接マスクに見えるんですけど・・・」
「大丈夫です、溶接マスクですよ♪」
悪気のカケラも無いフィオットの反応に、セシリアのこめかみにピキッと音を立てて青筋が浮かんだ。
次第、紅潮した頬が静まり、表情がドス黒い笑顔に染まる。
無言でグローブを取り出すと両手にはめて・・・ゆらりと席を立つ。
すたすたと無造作にフィオットに近寄って・・・
「どこの世界に・・・女に溶接マスクを贈る男がいるかぁっ!」
声に乗せて、拳を繰り出した。
ひゅう、と唸りを上げてフィオットの頬に当たるかと思った瞬間・・・ひょい、と避けた。
「くのっ!くのっ!くのっ!」
しゅんしゅんしゅん、とスピードに乗せて拳を繰り出す。
が、それすらも笑顔でフィオットがひょいひょいとかわしている。
「HAHAHAHAHA、当たりませんよ、マイハニー♪」
「避けるんじゃないっ!」
爽やかな笑みで、拳をかわすフィオットの首に巻かれているのは、モッキングマフラーと呼ばれる物だった。
マフラーから溢れる人外の力が、フィオットの動きを化け物じみた物にさせているのである。
「ああ、もうっ!ムカつくぅーっっっ!!」
セシリアの叫びが、安宿の食堂に響いた。
−END−
- 6962(萌えスレ606)sage :2002/12/04(水) 03:23 ID:Ndppc2hg
- 萌えスレで電波を受信して、「可愛いBSたん」を書きたくて書き始めたハズでつが・・
ふと気付いたら激しく女性向けな気がするのは 気 の せ い で す か ?
長文&駄文失敬致しました、それでわ〜(逃走
- 70名無したんsage :2002/12/04(水) 11:21 ID:Kra5YBVQ
- >>69
激しくグッジョブ。
- 71名無したんsage :2002/12/04(水) 20:45 ID:e8eTwhmQ
- >>69 イイ!
- 722さん,20さん、すみませんお借りしました。sage :2002/12/05(木) 05:42 ID:rCfwESOU
- 「次の方、どうぞ?」
「またまた来たぜ、シャオアさ〜ん♪(ALT+4)」
私は『第一声がシャオアさ〜ん♪(ALT+4)の方には問答無用で紐を引くべし』のマニュアル通り
紐を引きました。
ガッコン
―って、落とし穴!? …ここってホントに懺悔室なのでしょうか?
「ふっ、そうそう何度も同じ手には引っかかりませんよ。しかも!今日は邪魔者も出かけてるのは確認済みです。」
…信じられません。足元に落とし穴が開いてるのに、その商人さんは穴の上に立ってます。
あ、良く見るとカートをつっかえ棒にして耐えているようですね。…見上げた根性です。
―ん? 商人さん?
「今日こそは我が怒涛の如き懺悔をダイレクトに聞いてください(*´Д`*)」
ガ ッ コ ン
私は『さらに、それが商人さんであった場合青い紐を引くべし』のマニュアル通り
紐を引きました。
「ぬおぉぉぉぉぉぉおぉおぉ」
懺悔室の床全体が落とし穴へと変わると、商人さんは深い穴の底へと吸い込まれていきました。
…地底からは角突きヘルムと、ハァハァと言う荒い息遣いが聞こえてきたような気がしますが、
細かいことは気にしない事にして青い紐をもう一度引き床に元に戻しました。
「な、何故ここに兄貴が〜〜〜〜〜!」
聞こえません、知りません。きっと邪な思いを抱いたものに対する天罰です。
「シャ、シャオアさ〜〜〜ん。 あっ、そこはっ…そんな激し」
聞こえないものは聞こえません!!
( 閑 話 休 題 )
…失礼、少々取り乱してしまいました(コホン)
最近、懺悔室を訪れる迷える子羊(の皮を被った狼さん)が増え、シャオアさんの休む暇がありません。
そこで今日は私フィーアが代理です。
「次の方、どうぞ?」
「シャオアさ〜ん♪(ALT+4)」
私は『第一声がシャオアさ〜ん♪(ALT+4)の方には問答無用で紐を引くべし』のマニュアル通り
紐を引きました。
ガッコン
―懺悔室は今日も盛況な模様です。 …はた迷惑なことに。
- 7372sage :2002/12/05(木) 05:48 ID:rCfwESOU
- こう言うの書くの初めてなので、お目汚しでしたらスルーしてください。
ちょうど懺悔ネタを考えてたところにこのスレを見て、一気に妄想膨らみました。
だから本題はまた別にあったり。
- 74名無しさん :2002/12/05(木) 10:56 ID:7V/pBuQo
- >>72
本題と全く横道なレスだけど・・・
商 人 必 死 だ な
落とし穴にカートつかって懸命に耐える姿想像して
激しくワラタぞと。
- 75とあるプリの日常 青箱編##の人だったりします :2002/12/06(金) 01:22 ID:Ux/UJAj2
- 今日は友人に「聖書を読んでばかりじゃなくてたまには外に出なさいよ。」と、砂漠の都市モロクまで連れられました。
世間一般では、このような事を拉致、とでも言うのでしょうか。
それで、なんだかんだでメンバーは私、騎士のアルナさん、ウィザードのレオンさん、アサシンのクーレイさんです。
ちなみに、私の友人というのはアルナさんで、彼女は身のこなしが良く、敵からの攻撃をいつも最小限に押さえています。
あと、アサシンのクーレイさんとお付き合いをしてるとかなんとか・・・。
そんなどうでもいい話より、成果の方ですが。
レクイエム、というモンスターが落とした古くて青い箱が5つほど、ほかにも足枷、こうもりの翼など、よくわからないアイテムがたくさん手に入りました。
足枷はともかくとして、今皆さんでこの箱をどうしようか、という話をしているのですが・・・。
アルナさんは、というと。
「全部開けちゃおうよ、面白そうだし。」
続いてレオンさん。
「まぁ、私はどうでもいいな。まかせるよ。」
そしてクーレイさん。
「売っちまおーぜ、良い金になんだろ。」
と、三者三様ですね。
その様子をアホか、と眺めていたところ、急に私にお鉢が回ってきました。
「え、えーと。
うん、一個だけでも十分高いので、一個だけ売って、後は空ける、というのでどうでしょう。」
と、まぁ、こう答えて見ますか。
結果として、私の案が採用され、全員に箱が行き渡りました。
それじゃあ、まず私から、と、アルナさんが箱をあけます。
「何が出るかなー。」
ぱかっ
箱をあけると、アルナさんの顔は氷尽き、中身毎クーレイさんへ投げつけました。
「こんなのいらないわよーっ!!」
と、叫びながら。
中身は何だったのでしょう?と見てみると。
「フード、スロット付きの。」
・・・アルナさんにはこの程度で十分でしょう。
「さて、それじゃ私が開けさせてもらう。」
と、レオンさんが開けると。
「ふむ、ミニグラスか。」
と、取り出したミニグラスをチャッとかけてみると、良くお似合いでした。
「んじゃ次俺なー。」と、今度はクーレイさんが開けました。
「・・・おぉー、目隠しか。」
目隠しを大事そうに取り出しなめるように私とアルナさんを見比べます。
「こらぁっ!!」
ゲシゲシとアルナさんがクーレイさんをたたいたり蹴ったりしていますが
後は私なのでとりあえず明けて見ましょう。
「えーっとこれは・・・ハチマキ、ですね。」
面白いものが箱に詰められているものです。
とりあえず、装備してみました。
似合うのでしょうか?
「とりあえず、4つ開けて後は売るだけなんだけど・・・。」
と、アルナさんが仰ったので。
「あ、私はお金いらないですよ。」
と、答えておきます。
「そぉ?それじゃ私達で分けちゃうね。」とあっさりとした返事が返ってきました。
貴方達で分けるぐらいなら寄付でもしなさいよね。
と、思っていると、いきなりクーレイさんが。
「シャーオアさん。」
と、私を呼びながら足枷と目隠しをつけてきました。
「クーレイっ!!」
ドゴドガバキッ!!グシャッ!! キュィーン バガンッ!! ブスッ。
目隠しをつけたままなので良くわからないのですが、殴打、バッシュ、何か鋭利な物で何かを指した音がそれぞれ聞こえてきました。
まぁ、私にこんなものを装備させるような輩は死んでしまった方が世のためですか。
「さて、そろそろ私は教会へ帰りますね。」
「あぁ、お気をつけて。」
結局返事をしたのはレオンさんだけでした。
ふぅ、やっぱり私には外の世界よりも、教会でゆっくりと聖書を読む生活の方が性に合うようです。
- 76名無しさん>>2の人です :2002/12/06(金) 01:24 ID:Ux/UJAj2
- うー、長ったらしくて申し訳ありません。
あと、こんなのシャオアさんじゃない、と思った方、平にご容赦。
私脳内ではこんなキャラです。
青箱物を、とか言っておきながら結構間があいてしまったことについても陳謝いたします。
また、シャオアを使って書いていただける方。
まことにありがとうございますです。
ではこれにて〜
//次回はどんなの書きましょ?
- 77名無しさんsage :2002/12/06(金) 03:15 ID:TiKRIxY2
- 今日も今日とて懺悔室、迷える子羊に救いの手を差し伸べるのが私の仕事です
「シャオアさん、告白します。俺この間、彼女と肉体関係になれたんですよ!」
自慢ですか、そうですか
ガコン
「シャオアさん、私実はオカマなんです!」
今更カミングアウトされましても、昨晩泣きながら私の所に来た♂アコ君の心の傷は癒えないと思います、永久に
ガコン
「シャオアさん、俺このあいだダチの彼女とヤっちゃったんです」
一昨日その子は先に逝きました。あなたも後を追って下さい
ガコン
「シャオアさん、私……つい出来心で違法アイテムに手を出してしまって……」
通 報 し ま す た
……ふう、やはりハードな仕事です
しかも自分の心が荒んでいくのが手に取るようにわかります
こう毎日この様な相談をうけていてはいくら私でも……
「すみません、懺悔します」
おや? この方は始めてですね、男性の剣士さんですか
「結構前の事なんですけど、俺下水で溜めこみやってたんですよ」
なるほど、あなたはゴキが好みと……
「で、そこで俺通りすがりのアーチャーさんに注意されたんですよ、停止表示板頭に付けた人」
ふむふむ、え〜っとゴキの紐は……
「俺カッとなってその場では口汚なく罵っちゃって」
……緑追加です
「でもですね、良く考えたんですよ。人を注意するってどういう事なのかって」
赤蝙蝠も数匹用意しておくと鬱陶しさアップですね
「そりゃ、怒りに任せてって時もあるんだろうけど、その人は俺がわかりやすいよう、俺が納得しやすい様気を使いながら話してくれました」
部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はできましたか?
「罵られて不快な思いをするかもしれない、相手がわかってくれなくて言い合いで無駄な時間を過ごす事になるかもしれない。それでもその人は俺を注意してくれたんですよ」
ん?
「そう考えたら俺すっげー恥ずかしくなっちゃって」
…………。
「今すぐにでも謝りたいんですけど、もう何処行ったかわかんんなくて。俺どうしたらいいですか!?」
それは、その方を見つけたいという事ですか?
「はい! 色々な所探したんですけど見つからなくて、名前も知らない、顔も……実は良く覚えてないんです」
それでは見つけ出すのはほぼ不可能では?
「はい……そうは思いますけど……俺……」
なるほど、わかりました。では方向性を変えてみましょう
「方向性?」
その人が望む事はなんですか? 無駄にそこら中を探し回られる事ですか?
「…………」
その方の望みはあなたがその方の言いたい事を理解する事ではないのですか?
「はい」
そして、その方が言いたい事はただ下水で溜め込みをしないで欲しいという事だけだったのでしょうか?
「…………俺、頭良くないからわかんないですけど、もっと周りの人間の事を考えろとかそういう事だったんじゃないかなって……」
では、あなたが為すべき事も見えてくるのではないですか?
「…………」
どうしても納得できないというのなら、代わりに私が聞きましょう
二度とあのような真似はしないと、もっと周りの者を思いやれるようになると
さあ、今ここで誓えますか?
「もちろんです! 俺はもうあんな真似は二度としません!」
神はいつでもあなたを見ていますよ?
「関係無い! 誰が見てようが見てまいが俺はやらない!」
ええ、そうやって頑張るあなたを神はいつでも見守って下さいますよ
- 78名無しさんsage :2002/12/06(金) 03:15 ID:TiKRIxY2
- 剣士さんは何かふっきれた顔で帰って行かれました
「あ〜、なんといおうか〜、その〜」
聞きましたね、親切なアーチャーさん?
「う〜、あ〜」
頭に停止表示板付けたアーチャーなんてあなたぐらいです。見つからなかったのは女遊びに忙しくてロクに外にも出てなかったからですか?
「ら〜、た〜」
下のヒドラ部屋から出してあげた理由もわかりますね?
「……しゅみましぇん、ダチにはマジで謝っときます」
彼も自分の探し人が、友人の彼女を寝盗るだのなんだので揉めているなんて夢にも思ってないでしょう
「っだーーーー! 俺が悪かったです! 猛省してますって!」
本当ですか?
「いや、あんな事言われちゃあ……さすがに本気で堪えました。俺、もう女遊び控えます」
あなたが優しい人なのは知っています。そこに女性が惹かれるという事もあるでしょう
ですがそれら全てにその場の勢いだけで応えてしまうのはとても不誠実な事ですよ
「……はい」
では、すぐに行って謝って来なさい…………きっと許してはくれないでしょうけど
「……当然です。そーだよな〜、許してくれる訳ねーよ」
ではどうします?
「どうもしないっすよ。何されたってひたすら詫びるだけっす」
よろしい、せいぜい派手にぶん殴られてくるがいいです
「へ〜い」
翌日、彼、全身打撲でかつぎこまれたとの事です
相手は歴戦の騎士殿です。この程度で済んだのは僥倖というものでしょう
今日も相変わらず困ったさんは多いですが……他人からどう見えるかはさておき、私は結構気に入っています、このお仕事
- 79名無しさんsage :2002/12/06(金) 03:26 ID:TiKRIxY2
- >>8>>77>>78です
シャオアさんは、書いてる自分が和むという素晴らしいキャラクターでして
……なもんでついまた書いてしまいました。ごめんなさい
>>75
目隠しと足枷に看護帽というコンボがワタクシ好みでして(ガコン)
- 8026 :2002/12/06(金) 13:11 ID:sXsfN.fw
- 古くて青い箱。
一部のモンスターもつというそれは、魔力を秘めている。
そう、開ける物を虜にする魔力を…。
「さて、今日はこの辺にしとくか」
彼の名はテイラス。一人の剣士である。今日も今日とて沈没船で狩りを続ける剣士だ。
どうやら今日の狩りは終了らしい。
「?」
と、どこからかカラカラという、おなじみの音が聞こえてきた。パイレーツスケルトンである。
「これでラストか」
彼はしまった剣を取り出すと、再び構えた。それが、彼の長い時間の始まりだった…。
「これは…まさか!」
そう、彼が手にしたのは古くて青い箱。『青箱』の通称で知られるそれは、開ければミッドガル中ににあるアイテムの中からランダムで一つをもたらすという、不思議な箱である。
しかし、それは多岐にわたり、ゼロピーから伝説の魔剣ミストルティンまで様々である。
またそれは高額にて取引され、冒険者の間では、
「青箱一つで家が建つ。五つで土地が、十ありゃ一生左団扇」
と、ちょっとした小唄になっているほどである。
ここで、彼に最大の選択肢が訪れた。
開けるか。売るか。
これは彼にとって最大の選択肢であった。
(売れば、貧乏生活から脱出できる…高い武器防具も買えるし、精錬だってできるし…)
(しかし、開けて出てきたものがあの伝説の魔剣、ミストルティンとかエクスカリバーだったらどうするよ)
彼は震える手を押さえながら、箱の蓋に手をかける。ゆっくりと、ゆっくりと…
(開けるのか? 俺は…)
緊張の一瞬。その時、背後に気配がした。
「誰だ!!!!」
振りかえるとそこには、アコライトの女性がいた。狩りに来たのだろう。
「すいません、おじゃまし…」
しかし彼女はテイラスの顔を見たとたん、泣きそうな顔になった。そりゃそうだ。テイラスの顔を今見たら、誰だって回れ右して逃げたくなる。
「あ…あぅ…」
既に涙目である。
「いや、その、ちょっと…」
なにか弁解しようとするテイラス。かなり必死だ。立ちあがると、アコライトに近寄ろうとするが、
「ひっ!」
彼女は後ずさりを始めた。顔の表情自体変わっていないのだから当たり前である。
「いや、誤解だ!」
まるで浮気を見られた亭主のような言い訳をするテイラス。
「こ…来ないで…」
こちらもこちらでホラー映画のヒロインの様に後ずさりをするアコライト。
その時は一瞬だった。テイラスの手から青箱が滑り落ちた。
『あ!』
二人の声が同時に発せられるのを待つことなく、近くにいたククレがそれをかっさらっていった。
「ああ! 俺の青箱〜〜〜〜〜!」
時既に遅し。ククレはすばやい動きで何処へと去っていってしまった。
言葉もなく立ち尽くすテイラス。アコライトはそのすきに回れ右して一目散に逃げていった。
彼は一週間ほど、宿屋から出てこなかったという。
古くて青い箱。それは冒険者達を虜にする、魔性の箱。
気が付けば、あなたも…。
- 8126 :2002/12/06(金) 13:14 ID:sXsfN.fw
- 重い話ばかりでも何なので、ちょっとライトタッチな物を書いてみました。
私は青箱取った事無いんですけどね…。
- 82名無しさんsage :2002/12/10(火) 21:58 ID:7UcDMHKw
- 今日はシャオアさんは非常に不機嫌なので私「フリート」♀(プリなりたて)が代理を務めさせてもらいました。
シャオアさんから50ページほどの対応マニュアルを渡されているので安心して子羊を落としています。
「シャオアさ〜ん(Alt+4新エモ)」
ガ コ ン
「あ゙あ゙ぁ゙〜、なしてここに激しく凄いヒドラがぁ〜!ギャース・・・」
(あ、紐を間違えてしまいました・・・まぁいいか)
ふぅ、これではシャオアさんの機嫌が悪くなるのも当然ですね・・・
(さて、悲鳴がまだ若干聞こえていますがお茶にでもしますかね)
「たのもー!」
(あらら、誰か着てしまいました・・・って、たのもー!?)
「ここにて悩みを聞いてくれる巫女殿がおられると聞いて参り申した」
(巫女!? 私プリーストですよ? それになんかやたら古風なしゃべり方です・・・)
どんな人かとのぞき窓を使って見てみました。
懺悔椅子に座っていたのは・・・
徘 徊 す る 者 ・ ・ ・
「はははは、はいぃぃぃぃ どどどどどのような悩みでででしょうかぁ?」(半泣)
(シャオアさん。もし、生きて明日の朝日を見れたら・・・
特別手当と称してあなたの躯を要求していいですか・・・・?)
- 8349sage :2002/12/12(木) 19:06 ID:IDV.H6EY
- 皆さん小説上手です。
俺、書きづらいですトホホ。
でもせっかくぐっじょぶ言って頂けたので続きを書かせて下さい。
とうっ。
【以下の小説は萌え本スレ481-482→当スレ47-48から続いている作品です】
- 8449sage :2002/12/12(木) 19:06 ID:IDV.H6EY
- 私は♀アサ。今、非常に困っている。
二人きりになってしまった。リーダーである♂騎士と。宿屋で。
普段ならば、いい。
私が所属するこのPTは恋愛関係とか、そういった物には皆が皆無頓着だからだ。
だが、しかし。今の私は違う。
「…二人っきり…だね。」
私の喉から、甘い、とろけるような声が漏れ出す。
その声色は何かを企んでいるようにも聞こえ、ただそう思っただけように聞こえ…。
何より、リーダーを誘う誘惑の音色に聞こえた。
やめてくれ…やめてくれ、本当に!もう!うわぁん。
やはり体が私の言う事を聞かない。ただひたすら、自分の欲望の一部に動かされ続ける。
媚薬。♂BSはそう言っていた。となると…このままでは危険だ。
「…うぇ?うぇぁあ、そうだなぁ。」
声が裏返った。かっこ悪いぞ。
「えっとね…。んっとぉ…。」
「ん?何?」
何普通に返事してる!リーダー!
さっきの話聞いてれば今の私がどんなに危険な存在か分かるだろうに…。
…いや、わからなかったのかも。リーダーだし。
「あたしね…アナタのこと好きだよっ。ずっと一緒にいたい。」
…もう突っ込む気も失せて来た。ああ、私のイメージよサヨウナラ。
ぼむっ。ばふっ。
二回。彼の顔がまたしても真っ赤に染る。一体どんな心境なんだろうか。不憫だ。
「だから、その、ね?…えぃっ。」
がばっ。
私は掛け声と同時にリーダーの胸に飛びついた。それなりの勢いで。
力の強い、優しい彼はそれを避けることなく受け止める。…今度は三回だ。
私の頬が、胸が、腕が、肩が、鎧を着ていないリーダーの体と密着する。
あたたかいぬくもりと、二人の吐息、鼓動。全てが耳と肌で感じられる。
非常に大きいな彼の胸。
♀アコのしなやかなそれとは違い、太くてごつごつと固い。
リーダーは…こんなに逞しかったか。剣士時代、私に護られていた彼が。
…力強くて、心地良い。
って、っはっ!な、なな何を考えている自分!精神の私が負けちゃったらダメなんだってば!
が、頑張れ!私!
- 8549sage :2002/12/12(木) 19:06 ID:IDV.H6EY
- 私は♀アサ。精神の私の抵抗もむなしく、私は彼に抱きついてそのままだ。
「…抱き返して欲しいの。」
悪いこと言うのはこの口か!この口か!
「…だめならせめて撫でて欲しいな…。」
猫なで声…だから私には似合わないんだってば…。
いつだったか、♀アコに猫耳バンドを付けられた時のことを思い出す。
その時はたしか♂BSに笑われた。当然ソニックブローの刑だ。どうでもいいが。
「…。」
リーダーはひたすら黙っていた。否、カチコチに固まっていた。
無理もない。無頓着とはいえ、私達は男女だ。これだけ長いこと密着していれば…。
…ぅぁぁん、恥ずかしいすぎる。ぅぅ。
「…むぅ。」
私が不満そうに呟く。反応が得られないことがつまらなかったのだろう。
♂騎士と目を合わせるために、私は彼の顔をこちらへ向けた。
彼の、深い緑の瞳が、静かに私へ向けられる。
どくん…どくん…どくん…。
誰の鼓動の音だろう。二人でくっついているため、どちらのものか分からない。
沈黙。
ふだん喧騒に飲み込まれているプロンテラ中央広場も、今日は比較的静かだ。
PTで取った個室に、静寂が流れるには十分な条件だった。
「…えぃっ。」
唇がまた熱くなった。同時に、心も。
静かに、ただ静かに。私とリーダーは二度目の口づけをした。
私より彼の方がはるかに背が高い。少し背伸びをしないと届くはずがない。
事故でも何でもなく、私は意図的に彼と唇を合わせたのだ。
再度空気の流れが耳に入ってくる。長い時間私達はそのままでいた。
鼓動が早くなる。私のも。彼のも。…精神の私も。
時間が止まっていたような気がした。
体が火照る。リーダーを抱き締める力が強くなる。目が潤んできたのが分かる。
今、私はどんな表情をしている?彼はどんな表情をしている?
離れたくない。このままで居たい。ずっとこのぬくもりを感じていたい。
でも、このままじゃ私は…私でなくなってしまう。
…本当に、どうしてしまったんだろう。私は。
恐い。自分が…恐い。
- 86名無したんsage :2002/12/13(金) 21:06 ID:F/R1gJmQ
- >>83
ツヅキ待ッテタヨ
- 8749sage :2002/12/14(土) 01:16 ID:gw6NPPjQ
- >>86
そう言って頂けると書いてる甲斐があるってもんです(つД`)
がんばって続き書きますです
- 88名無しさんsage :2002/12/18(水) 12:46 ID:DvE6gctQ
- >>83
イイ・・・(*´д`)
激しく続きを希望。このドキドキ感がもう・・・
- 89名無しさんsage :2002/12/20(金) 15:08 ID:WVZv64Ds
- マジさんのお話
壁のようにそびえる崖のふもと。
その岩陰に、一人のマジシャンが座り込んでいる。
ここはアルデバランと首都を分断する深い森の中。
旅慣れた冒険者でも進入することをためらう、手強い魔物達の巣窟。
数時間前。
「ファイアーボルトの威力も上がってきたし〜♪」
「やっとワンドも買えたし〜♪」
「マンドラゴラ倒してハーブ集めぇ〜♪」
「もしかしたら四つ葉のクローバーなんかも〜♪」
のん気に鼻歌なんかを歌いながら、
軽い足取りでプロンテラの西門を通り抜けて行くマジシャンの娘がいた。
やや長い髪をうしろに束ね、卵殻をかぶっている。
この可笑しな歌から察するに、どうやらマンドラゴラを狩りに行く様子。
貫禄や威厳のかけらも無い彼女の風体から察するに、まだまだ魔術師としては未熟なのだろうが
これまでにも何度か戦ったことがある相手で、
苦戦する理由もない気楽な探検のハズだった・・・が・・・
続くかも
- 90名無したんsage :2002/12/20(金) 17:03 ID:/gpxq9RI
- >>89
続けてください、おながいします
マジ子タンのその後が気になるよう
- 9126 :2002/12/20(金) 18:51 ID:E2YxwNCI
- プロンテラの外れ、本来なら静かであるその場所に、似合わない音が響いている。
ハンマーが鉄とかち合う音。鉄同士が弾ける音が、何日も続いていた。
寂れた小屋から響いてくるそれは、もう三日の間なり続いていた。
ふと、音が止まる。しばらくの間止まっていた音は、男の声と共に破られる。
「ダメだ! こんなもんではない!」
その怒号が止むと、再び鉄の弾ける音が始まる。
その男、ブラックスミスである彼は、一つの約束を果たそうとしていた。
- 9226 :2002/12/20(金) 19:08 ID:E2YxwNCI
- それはいつもの日課である、自作武器を露店で売っていた時の事だった。
いつもの様に彼の武器は売れない。それは値段のせいでもあるのだが、彼自身愛想のない男であることも関係していた。
店をたたもうとしていた時、一人の女騎士がやってきた。
「主人、物を見せてくれない?」
(着こんだ鎧に新品独特の光がない。歳は若い様だが、激戦を潜り抜けてきたのだろう。常に隙がない。)
彼はそう見ると、奥から自分で材料を吟味して作り出した物を持ってきた。
黙ってそれを受け取ると、彼女はほんの少しだけ眺め、そして一言、
「良い腕ね」
そう言って、一振りの剣を買っていった。
それが、彼にとって運命の出会いだった。
- 9326 :2002/12/20(金) 19:13 ID:E2YxwNCI
- それからしばらく、彼女は彼の露店でいろいろな物を買っていった。
とくに何かを話したわけではない。ただ彼女が店に来て、彼が物を売る。それだけだった。
それだけではあったが、二人は確かに信頼しあっていた。
ある日、騎士は彼に一つの依頼をした。
「剣を、作って欲しいの」
多くは語らなかった。しかし材料を見る限り、最高の、そしてこの世に二つとない物を作れ、と言っているように思えた。
「心得た」
二人の間では、それで充分だった。彼は自分の出来うる限りの腕を持って、一振りの剣を打つことを決めたのである。
- 9426 :2002/12/20(金) 19:21 ID:E2YxwNCI
- 翌日、彼は材料集めにいそしんだ。騎士から貰った物だけではなく、自分で納得できるものを作ろうとしたのである。
材料を充分集め、彼が剣を打ち始めてから五日目のことだった。
「…出来た」
朝日にまぶしく輝くその刃は、彼の魂と言うべき物を打ちこんだ一品となったのである。
さらに数日後、騎士が彼の露天にやってきた。彼は黙って出来あがった剣を差し出す。
剣を眺める彼女。何も言わず、様々な角度からそれを眺め、そして…
一つ、感嘆を込めたため息をした。
彼にとって、それが最高の誉め言葉となった。
剣を受け取った騎士は、受け取った剣を腰に刺す。帰ろうとした時、ある事に気付いた。
「名前。この剣の名前聞いてないわ」
普通なら自分の名前をいれるのだが、彼は一言、呟くような声で言った。
「騎士の剣。ソードオブナイトだ」
- 95名無しさんsage :2002/12/22(日) 23:57 ID:Uzs8SLow
- >26
渋(・∀・)イ
- 9689sage :2002/12/23(月) 20:11 ID:72P.zW1c
- ほんの偶然だった。
いつもよりちょっと浮かれていて、
たまたま見つけた青ハーブを目の前でポリンにさらわれて、
茂みに逃げ込んだポリンを追い掛け回して、
気が付けば自分がどちらに進んでいるのか、どちらに向いているのか
サッパリ分からなくなってしまったのである。
「もぅ…どうしてくれるのよっ、迷っちゃったじゃないの〜っ!」
両腕で抱え込んだ、青ハーブを咥えた小さなポリンに愚痴を言う。
「困ったなぁ…ここはどこなんだろう…?」
あてもなく歩き続けてみても森の出口は現れず、通る人もいない。
と、不意に空気が冷たくなった気がした。
「…何かいる!」
その瞬間、左手の藪の中から黒い塊が飛び出してくる!
「ナパームビート!」
とっさに放った念の爆発は襲撃者を直撃する。
衝撃で1、2回転しながら吹っ飛んだ黒いやつは、あっけなく地に伏せ・・・
るかと思いきや、ひらりと着地して何事もなかったかのように再び飛びかかってくる。
「アルゴス!?」
背筋が凍る。
相手が悪すぎた。
迷い込んだ森はアルゴスとアルギオペの巣食う森だったのである。
さらに続きそう。
- 9789sage :2002/12/24(火) 10:39 ID:wER53peQ
- 現状を理解した今、残された道は2つ。
―― 逃げ切るか、死か ――
足に噛み付くアルゴスをどうにか杖で引き剥がし、走る。
横からさらにもう1匹が飛び出してくる。
その目くらましに足元にナパームビートを叩きつけ、必死で走る。
「はっ、はっ、はっ…はぁっ…っ…」
どれだけ走ったのか自分でも分からない。
敵を振り切れたのかどうか分からないが、もう走れるだけの体力は残っていなかった。
岩陰に座り込むと緊張が解けたせいか意識が朦朧とする。
足には鋭い刃物でえぐられたような傷があり、かなりの出血があった。
何か手当てに使えるものがなかったかと思い道具袋に目をやると
何か袋の中でゴソゴソと動く物が。
「あ、忘れてた」
アルゴスに襲われた際
とっさにあの青ハーブをくわえたポリンを道具袋に詰め込んでいたのだった。
ポリンの体に巻きついた布切れを引っぺがしながら
入れておいたはずの赤ハーブと緑ハーブまでもポリン君に食べられてしまった事に気付く。
どの道この傷の深さではハーブでどうにかなる物ではなかったが。
ひとまずはこの布切れで止血しようとしたものの、腕にうまく力が入らない。
「もうダメかなぁ…こんな所で死にたくないよ…」
たらふくハーブを食べてご満悦のポリン君に話しかける。
ちっとも逃げようとしないところを見ると、どうやらなついてしまったらしい。
- 9889sage :2002/12/24(火) 10:46 ID:wER53peQ
- (ガサガサガサ・・・)
感傷に浸る間もなく逃げてきた方向とは逆の茂みから何かが接近してくる!
もはや逃げることは不可能。捕まる前に叩くしかなかった。
ファイアボルトの詠唱を始めつつ茂みを睨みつける。
(ガサッ)
音がだんだん近づいてくる。
ポリン君を抱える腕に無意識に力が入る。
(ガサガサ・・・ガサっ!)
「ファイアぼr!?」
思いがけない事態が発生した。
そこに現れた黒い影は、蜘蛛の化け物ではなく人間だったのだ!
「避けて〜っ!」
攻撃目標を解除された火炎球はわずかに軌道を変えながらも
慣性のままに流れていく。
『うぉっ!?』
残る全精神力をかけた火炎球は、その人の服の裾をかすめながら空に消えていった。
『おいおい、酷い歓迎の仕方だな』
焦げた法衣の裾をパタパタさせながら男 ― プリーストが言う。
「ご、ごめんなさい…、人が来るなんて思わなかったから…」
すっかり血の気の引いた唇で、マジシャンの娘が謝罪の言葉を述べる。
見れば足に深い傷を負っているが、手当てもされてなければ止血もてんでなってない。
『その有り様じゃ怒る気にもなれないなぁ、ったく…』
プリーストは歩み寄ってくるが、すぐ傍まできてピタっと動きを止める。
『ちょっと失礼』
「え!?何を!?」
次の瞬間、マジシャンの腰に携帯していたナイフをするっと抜き取り
振り向きざまに後ろの茂みに放り込む!
すると、頭にナイフを突き立てられたアルゴスが奇声とともに飛び出してくる。
(「聖職者が…刃物を!?」)
プリーストは、今度は自分のメイスを構える。
アルゴスを迎え討つべくメイスを握るその手元で、何かがカチッと音を出す。
(「!!!」)
なんとメイスだと思っていたその鈍器から、数枚の刃が飛び出したのである。
哀れにもアルゴスの体は、その普通じゃないメイスの一振りでバラバラに四散。
(「私は…ものすごく危険な人に助けてもらっちゃったのかもしれない…」)
薄れ行く意識の中で彼女が最後に見たものは
雑魚を蹴散らし、ニヤリと笑いながら戻ってくるプリーストの顔だった。
___________________________________
さて、これからマジ子さんはどうなってしまうのでしょうか?
以後の展開は皆さん各自のnounai鯖にお任せします。
- 99名無しさんsage :2002/12/26(木) 06:21 ID:bJ4JVtSk
- (;´Д`)えー
- 100名無したんsage :2002/12/27(金) 05:46 ID:ixxqur/M
- 12月22日
初めてルティエという街に行った。年中雪が降っている、不思議な街。
街の中央にはおっきなツリーがあって、その木陰で、何組ものカップルが談笑していた。
街を歩いてみる。
…カップルしかいないのかな、この街は。
でもなんか、みんな幸せそうなので、ちょっといいな、と思った。
お土産屋さんがあった。ちょっとお話したら、なんとビーダマを貰ってしまった。
「ここは雪しか降らないから、時々そらが恋しくなるの。
だから貴方にも、このビーダマをあげる。」
明日も来てみよう。今日のポタコさん、明日もいるかなあ。
12月23日
昨日に比べて、カップルの数が2倍くらいになってる気がする(汗)
みんな、互いのことしか目に入ってないみたい。
私は転職もしてない、ただのちびっこだから、誰も相手にしてくれないよね…
ちょっと寂しくなった。
町外れに、雪だるまとベンチが並んでる場所がある。
昨日は誰もいなかったけど、今日はここも、カップルで一杯だった。
男の人同士とか、女の人同士とかもいるけど、きっと親友さんなんだろうな。
プレゼントの箱を交換しあったり、サンタ帽をかぶせあったりして。
みんな幸せそう。
またちょっと、寂しくなった。
そこに何故か、昨日のお土産屋さんがいた。
街灯の下に、ちょこんと、一人で。
だぶだぶの服にくるまって、にこにこと露店を開いてた。
あんまり、売れてないみたい…。ハットに雪が積もってる。
あいさつ、したいな。
でも、周りのカップルだらけの雰囲気の中を分けいって近づくことが、どうしても出来なくて。
プロンテラの露店街より、ある意味、濃密な空間だったから。
そんな中で商売やってるお姉さんは、すごい人なんだなぁと思った。
商人魂、っていうのかな、ああいうの。
寂しかったけど、頑張る商人さんを見たら、ちょっと幸せな気持ちになれた。
不思議な街、ルティエ。
またこよう。
- 101名無したんsage :2002/12/27(金) 05:49 ID:ixxqur/M
- 12月24日
今日はいつものポタコさんがいなかった。街を見回しても、ポタコさんは少ない。
なんとか、アルデバランまでポータルで行く人たちを見つけることが出来たので、
一緒に乗せてもらった。
「ったく!どいつもこいつもクリスマスデートだなんだかんだと!」
ポタコさんたちは、今日はみんなデートらしい。
そういえば、街で見かけたカップルに、今日はとりわけアコさんが多かった気がする。
パーティのポタコさんを待っていたアサシンさんが大暴れしていた。ちょっと怖かった。
そんなんだから…と口走った魔法使いのお兄さんが、次の瞬間、ぐったりして動かなくなっていた。
言っちゃいけないことを、一つ学んだ気がした。
アルデバランからルティエまでは、サンタさんに送ってもらうんだけど、
サンタさんは忙しいから、村の入口に適当に下ろしてしまうらしい。
そこからは北に歩くんだそうだ。
襲ってくる敵も、いるらしい。でも、サンタポリンもいるんだって。
大丈夫。レベルもちょこっとだけど上がってるし、体力には自信がある。
はずだった。
- 102名無したんsage :2002/12/27(金) 05:56 ID:ixxqur/M
- ルティエ入口と告げられ、サンタさんのソリから、降ろされた。
あたりを見回すと、そこは、かすかに木々が見える、
吹雪に閉ざされた世界。慌てて頭上を見上げれば、
灰色の雲を背景に、粉雪が、わたしをあざ笑うかのように吹き荒れている。
私は、一人…。
どうしようもなく、不安になった。
『ここは雪しか降らないから、時々そらが恋しくなるの。』
ああ、そうなんだ。
この空は、人々の寂しさで出来てるんだ。
だからルティエは、おまつりの街なんだ。
ほんの囁きすら届くことは無い、寂しい世界に、少しでも抗えるように。
『だから貴方にも、これをあげるわ。』
慌てて、リュックサックから、この間もらったビーダマを取り出す。
『ふっふっふ、ただのビーダマと思うなかれよ?
これは…そうだね、ソラノカケラ、かな。』
吹雪のなか、てのひらに転がしたビーダマを、じっと見つめる。
青。ビーダマの青。
でも、この明かりすらないモノトーンの世界じゃ、暗く沈むだけ…
それが明かりのない暗さではなく、巨大な動物の陰であることに気づいたとき、
私は、空に、舞っていた。
- 103名無したんsage :2002/12/27(金) 05:58 ID:ixxqur/M
- 続きは後日。
- 104名無しさんsage :2002/12/27(金) 12:17 ID:2xyFdrcc
- >>100-103
いい感じですね〜
こういう雰囲気好きなのです
- 105ノビ子さん(1)sage :2002/12/31(火) 14:23 ID:iTBx9HNI
- ここはプロンテラ。
私はノービス。
つい昨日のこと。
初心者修練場でのテストをクリアし、私は冒険者としての人生をスタートした。
職業適性診断ではアコライトを目指すように言われたが
そう言われた瞬間、つい笑っちゃった。
アコライト。
それは私が一番なりたくないと思っていた職業。
私のママは現役時代、プロンテラでも5本の指に入るほどの騎士だった。
うちによく遊びに来るママの友人のウィザードさんからも聞いているので、それは確かなこと。
そして父親はプリーストだった。
私が物心つく前に死んでしまったので顔も覚えていない。
たいして強くもない男で、カッコイイのと優しいだけが取り柄(ママ談)だったそうだ。
まぁママの方の一目惚れだったらしいので、カッコイイなんて本当かどうか怪しいもんです。
私が物心つく前に死んでしまったので顔も覚えていない。
一人っ子の私はママの女手一つで育てられてきた。
愛する人を残して死ぬなんて、もっての他だと思う。
私はママのように強くなりたいと思った。
だから「アコライトになります」と嘘をついて配給をもらったけど
本当は剣士を目指しているのです。
初心者修練場で思ったより時間をとられてしまって
プロンテラに送られた時にはもう夕方近くになっていた。
早く強くなりたかった私は街の雑踏を掻き分け外に出て、さっそく戦闘開始!
弱い者イジメは嫌いだけど、まずは自分の力を確認しなきゃ。
手近なポリンに斬りかかる。
1撃では仕留められなかったが、ポリンの反撃をひらりとかわして
カウンター気味にもう一振り。
ちょっと悲しそうな目をしながら、ポリンは崩れてしまった。
ゴメンよ、やっぱり私の相手じゃなかったね。
さてお次は〜…そこの木の根元にいるファブル。
ポリンみたいに可愛くないから容赦しない私。
めいっぱい振りかぶって斬りつけようとしたらナイフが手からすっぽ抜けて
ファブルのいる木の幹に止まっていたチョンチョンにクリティカルヒット!
(Alt+5…はまだ出せない)
ちょっと焦ったけど、チョンチョンはもう動かない。
なんだ、こいつも大したことないのね。
…気が付けば辺りは薄暗くなってきていた。
今日はここまでにして、また明日にでもウィローに挑戦してみようかな。
- 106ノビ子さん(2)sage :2002/12/31(火) 14:24 ID:iTBx9HNI
- 今日は早起きして、
まだ人の多くないクリスマス一色に染まった街の中を歩いてみた。
私の所持金じゃとても手が出ないような高額の商品がいくつも並んでいる。
いつかあんなカッコイイ剣を振り回してみたいなぁなんて、遠い目で眺めつつ
露店街を通り抜け、南門をくぐる。
さぁ、気を引き締めて今日も頑張るぞ〜。
まずは手始めに……???
何だ、あれ?
ポリンが帽子かぶってる。
たぶん街の中のクリスマス装飾に使われているサンタの帽子だろう。
こっちはお金が無くて、欲しい装備があっても指をくわえて見ているだけだというのに
このポリンの幸せそうな顔といったらもう…
なんか腹が立ってきた!(Alt+7…はやっぱりまだ出せない)
のん気に跳ねているポリンの後ろからナイフを構える。
こちらの殺気に気付いたのか、ポリンは初太刀をくぐり抜け
思いがけないスピードで私のボディーに体当たりを仕掛けてきた。
初めて喰らったダメージ、思ってたより響く…。
ちょっと目まいがしたけどポリンごときに舐められるわけにはいかない。
踏み堪えてナイフを繰り出すが、何度振っても空を切るだけで
そのたびに手痛い反撃が襲ってくる。
いくらなんでも無様すぎる!ポリンごときに!
痛さと悔しさで泣きそうになっていた。
と、その時、どこからか人の声が聞こえた気がした。
自分の体に光が降り注いだかと思うと、ポリンにやられたダメージが癒えていく。
何を言っているのか分からないけれど、さらに声が聞こえた。
またしても私の体が光に包まれる。
その光の効果なのか、腕に力が入る。頭が冴える。…ような気がする。
そして最後に、今度ははっきりと聞こえた。
「がんばれ〜!」
言われなくたって!
わざと大きめにナイフを振りかぶり、ポリンに斬りつける。
奴はそれを避けて反撃を繰り出そうとする。予想通りだ。
もう同じ手は通用しないのです。
急いでナイフを持った手を引き戻し、体当たりしてくるポリンと自分の間に構え直す。
サクッと小気味よく刺さった刃をひと息に振り払う。
見事に真っ二つに裂けるポリン。
手強い相手だった。
- 107ノビ子さん(3)sage :2002/12/31(火) 14:25 ID:iTBx9HNI
- 戦利品のサンタ帽子をつかみ、声のしていた方に振り向く。
木立の影にそのアコライトの姿が消える瞬間だった。
助けるだけ助けておいて、礼も言わせずに立ち去りますか!
そんなのは許しません。
急いで追いかけ、呼び止める。
…えっと…何て言えばいいんだろう?
― ありがとうございました ―
なんて照れくさくて言えないよ。
― 援護なんて無くてもあとちょっとで倒せたんだから! ―
いや、違う。こんな強がりを言うほどひねくれてはいない。
そんなことを考えている間に、呼び止めたアコさんがこちらに振り向く。
整った、優しそうな顔立ち。
「良かった、倒せたんだね。おめでとう。」
アコさんの澄んだ青い瞳と視線が合う。
吸い込まれそうな錯覚に陥る。
目をそらせない。
捕食者と被捕食者、蛇に睨まれた蛙のごとく動くことも出来ない。
もう空がどっちで地面がどっちなのかも分からなくなってきた。
むこうはニコニコ、こっちはフラフラ
数十秒のにらめっこの末に、草むらから飛び出してきたポリンの方に
アコさんの視線が外れてくれた。
次に視線が合ってしまったら、もうあの目から逃げるチャンスは無いかもしれない。
当初の「お礼を言う」という目的はどこへ行ったのやら
ゴメンナサイっ、とだけ言って逃げ出す私。
しかし、もう手遅れだった。
踵を返して走り出した直後に視界が歪み、何もない平らな地面でベチャっと転ぶ。
「大丈夫?」
当然のようにアコさんが駆け寄り抱き起こす。
あぁ、またあの悪魔の視線に捕まってしまった…。
そのままブラックアウト。
- 108ノビ子さん(終)sage :2002/12/31(火) 14:28 ID:iTBx9HNI
- うぅ〜ん、よく寝た。
いつもよりちょっとベッドが硬い気がする。
毛布の肌触りが悪い…。
枕があったかい…???
「目が覚めたみたいだね。」
恐る恐る目を開けると、ここはさっき倒れた場所。
やっぱりそこには澄んだ青い瞳が待っていた。
「急に倒れちゃうんだもん、どうしようかと思ったよ。(ALT+5)」
「怪我もしてないし病気でもなさそうだけど
倒れた人を転がしておくのは聖職者のやることじゃないしね。」
私は焦って膝枕から起き上がり
お礼なのか謝罪なのかよく分からない言葉をまくし立てる。
と、その私の唇をアコさんの唇が奪う!
ひとまず思考停止。
「やっぱり師匠の言う通りだなぁ。」
「女の子を落ち着かせるにはコレが一番だって。」
落ち着いたというか、ちょっと違う気がします。
「1人で頑張ってるの?」
「どの職業に進むつもりなの?」
「僕もまだアコライト成り立てなんだよ。」
「一緒に2次職目指そうよ。」
完全にアコさんの主導で話が進み、しばらく保護者になってくれることになりました。
「まずは剣士に転職しないとね。」
「最近では転職の時に試験をクリアしないといけなくなったんだよ。」
「上手く試験に合格できたら、ご褒美あげないとね。(ALT+3)」
落ち着かせるためだけにキスをするような人ですから
ご褒美なんていったら、どうなっちゃうんでしょうか?
ご褒美欲しいです。
頑張ります!
- 109名無しさんsage :2003/01/02(木) 10:55 ID:T602/dBY
- (=゚ω゚)b GJ
ノビ子さんが可愛すぎだ(*´Д`)
- 110名無しさんsage :2003/01/03(金) 08:33 ID:5gGs2C9A
- つーかアコきゅん手を出すの早過ぎ(w
これは密かにノビをストーカーして機会をうかがってたのかも。
しかもアコきゅんは実はノビのパパンの腹違いの子供で、ヘタすると近親相姦!?
とか妄想が膨らんでる別の場所も膨らんでる俺つええ!!もとい逝って良し。・゚・(ノД`)・゚・。
- 111名無したんsage :2003/01/04(土) 06:44 ID:ldw/loXw
- 12月25日
そらが揺れてた。あの灰色のそらだ。
悲しい色のそら。それが、揺れながら、流れてた。
あたまが、ぼんやりする。
からだが、なんだか窮屈だ。
ここ、どこだろう…
「…あ…う…」
声にならない。私、どうしたんだろう。
「…こ、ここ…」
ガタンッ!
そらが、とまった。
「ねえ、ねえ! 大丈夫? 大丈夫なの!?」
そらが、お土産屋のお姉さんになった。
「よかった…気がついたのね…」
お姉さんは、全く動けない私を激しく抱きしめると、頭をくしゃくしゃに撫でてくれた。
あったかい…
「あ、こ、ここは…」
お姉さんの台車の上だった。
私は、あの吹雪のフィールドで、白熊に叩きのめされたらしい。
完全に気を失い、半分雪に埋もれた私を見つけたのが、
商品の補充を終えルティエに向かっていた、お姉さんだった。
「お腹、空いてない? そこにあるにミルクとか赤ポ、飲んでいいよ。」
カートを引きながら、お姉さんは私にいろんなことを話してくれた。
私を見つけることが出来たのは、あのビーダマが落ちていたのに気づいたから、
だとか、ビーダマを売ってるわけ、とか、なんで商人になったのか、とか。
最後のほうはよく分からなかったけど、なんとなく寂しげに思える話しぶりの
お姉さんを見て、ちょっと胸が痛かった。
- 112終。強引矢の如し(T_Tsage :2003/01/04(土) 06:46 ID:ldw/loXw
- 「はい、ついた。」
いつしかカートはルティエ市街に入っていたみたい。あたりに光が溢れている。
やがて、お姉さんはツリーの下にカートを止めると、露店の準備を始めた。
私はただ、その様子をぼぉっと見ているだけだった。
「大丈夫? 具合、悪くない?」
「うん…でも、すごく寒い…」
「そっか、じゃ、1人でおいとく訳にはいかないね…」
ここに座って、と、お姉さんの言うとおりに座ると、
そこは、露店の小物が一杯に見える、特等席だった。
「えいっ! 二人羽織〜」
ばさっ! 不意に、目の前が真っ暗になる。
私は、お姉さんの防寒着の中にすっぽりくるまれてしまったらしい。
いいにおいがする。背中があったかい。首筋にお姉さんの柔らかい髪の毛が触れて…
「ぷはっ!」
視界が開けて、ここがルティエの入口から中央のそり、サンタポリン橋までを一望できる
場所だということに気づいた。雪にけぶる街の灯が、すごく綺麗。
「なかなかいい場所でしょ。今日はクリスマスだもんね。
…あたしだって、誰かと一緒にいたって、いいんだよね。」
耳元でそう囁いたお姉さんは、やっぱり寂しそうだったから。
私は、体の力を抜いて、ふっとお姉さんに寄りかかったんだ。
「うん、今日一日、私もお姉さんと一緒にいるよ…」
ツリーの光を受けたビーダマが、静かに青く、輝いていた。
そっか、今日だけじゃなくたって、いいんだ…
「お姉さん、もし、もしね…お姉さんがよかったら、私…」
きっと、お姉さんも、私も、一人じゃダメなんだ。
だから、私は、お姉さんの輝きを受け止めるビーダマになろう。
一緒なら、きっと楽しいよ。
- 113紅花 :2003/01/09(木) 16:28 ID:ZbxmmzcU
- 「一つ、二つ、三つ…はぁ…。」
人はあんなに一杯いるのになんで私は一人なのだろう…
私の名前は「のな」いつもモロクの片隅で一人いる。
『一人』慣れたって言えば慣れた…しれない、けれどやはり嫌な物には違いないでしょう?
だって寂しいじゃないか。
「そりゃギルドやPTには入ったこともあるけどさ…ぶつぶつ……」
「ふぅん、プリーストも大変なんだネ。」
「そうよみんなには赤pや人参やら回復アイテムの代わりとしか見られないし、
命令しかされないのよ?苦労して念願のプリーストになってみんなの手助けが
もっとできるって喜んだのに…何よ!この扱いは!!私は物じゃないんだ!!」
「分かる分かる…。」
「アンタはいい奴ねぇ私の愚痴をここまで聞いてくれるアンタは苦労して捕まえた甲斐があったわ。」
「うんうん、でご主人様。」
「何かな?デビルチ君。」
「解放してくれぇぇぇえええ!!!(号泣)」
「駄目よ!何の為に捕まえたと思ってるのよこうやって愚痴を延々と聞いてもらうためじゃない!
さあもっとあるわよぉ〜中には……。」
「誰か助けてくれ……。」
今の私は一人じゃない、嫌々ながらでもこうやって一緒にいてくれるペットがいる。
有難うねデビルチ君w(天使な微笑み)
- 114紅花 :2003/01/09(木) 16:33 ID:ZbxmmzcU
- 申し訳ない皆様俺もついつい書いてみたくなってしまった。
面白いかどうかは皆様の感性次第だが、萌えあるいは燃えに当てはまるかが
問題になってしまった…誠に申し訳ない。
寂しい、孤独そういう感情を胸に抱いて冒険している者達は数多いと思う俺もその中の一人だ。
このペットシステムがそれを少しは和らげてくれるかもしれないと思うと楽しみだ。
これでその時の楽しみを表現したつもりではあるが…いかせんまだ修行不足だと実感しておる
急いで書いたものだから仕方ないとも受け取ってくれたらこれ幸いだ。
もしよろしければこれからも書かせて頂きたい、よろしくお願い申し上げる。
- 115名無したんsage :2003/01/11(土) 20:06 ID:lHeDQ8dM
- そういや♂ハンタって全然萌えSSに出てこないよね・・・・
そりゃ見た目アレだけどさ・・・(´・ω・`)
- 116名無しさんsage :2003/01/11(土) 23:43 ID:N5Jvb/OI
- 本家のほうの小説スレがdj?
スレッド一覧にはないし、ゾヌで見てもdat落ちを示すし…。
- 117名無しさんsage :2003/01/13(月) 20:43 ID:Dl2TDL4U
- >>私は転職もしてない、ただのちびっこだから
61歳アサシンでよければ、話し相手になりませう。GJです。
- 118名無しさんsage :2003/01/15(水) 20:37 ID:Py/SZtm2
- >>113
イイ!そしてデビルチたんはぁはぁ
- 119そして始まりから続く道sage :2003/01/19(日) 12:38 ID:Ogx04K8M
- 朝。
いつも通りの朝。
太陽は眩しく、空は高くどこまでも青い。
小鳥のさえずり、木々のざわめき、全てが生の喜びに満ちあふれている。
私はゆっくり伸びをすると、借宿の木陰から立ち上がった。
傍らに立てかけていたチェインを腰に差し、そう多くはない荷物を肩に掛ける。
さて、この辺りに小川か泉はあったろうか。
発つ前に、まだ少し熱を持っているこの瞼と頬をスッキリさせねば。
ともすれば蝶の羽音にさえかき消されるほどに、小さなせせらぎ。
私はそこに手を浸し、何度も何度も顔を洗った。
澄んだ水に清められていく、その感覚がひどく心地よい。
(…あながち、悪いことばかりでもなかったのかもしれない)
ふいに私を襲う悪い夢、それは思い出したくもない記憶のコラージュ。
だが、こうして私は生きている。それも、今までの自分がばからしく思えるほどきちんと前を見て。
(だからって、あんな目に合うのは金輪際ゴメンだがな)
手ぬぐいの下で苦い笑いを噛み殺すと、私は街を目指すべく立ち上がり、歩き出した。
魔法都市ゲフェン。
さほど大きな街ではないが、整然と整えられた町並みと、何より中央にそびえ立つ魔法塔が見る者を厳粛な気持ちにさせる知の都だ。
…と言っても、魔法士でない人間にはあまり関係のないこと。
中央は露天を営む商人や、塔地下のダンジョンに挑む冒険者達でごった返している。
全く、世は事も無しとはよく言ったものだ。
私は人混みの中をくぐり抜け、宿を目指した。
- 120そして始まりから続く道sage :2003/01/19(日) 12:38 ID:Ogx04K8M
- 「あは、来てくれたんだ」
人懐こい、というよりはいささか脳天気とも思える笑顔が私を出迎えた。
さらさらと癖のない黒髪を高いところで結んだ、私と同じアコライトの娘。
今はこの宿で治癒士を営んでいる、私のかつての旅仲間だ。
「すいませーん、ヒールお願いしまーす」
「はあい、今いきまぁす!」
挨拶したかと思うと、ぱたぱたとせわしなくそちらへすっ飛んでいく。
相変わらず落ち着きがない…というよりは、やはり元気がいいと言ってやるべきだろうか?
愛くるしい笑顔と、誰にでも分け隔てなく振りまかれる愛想。そのどちらも私には無いもので、よくからかわれたものだ。
………。
「どーおしたのっ?」
気が付くと、件の娘の顔が鼻先にあった。
慌てて離れると、きょとんと見つめていた顔がにんまりと笑う。
「そゆとこも変わってないねー。っと、こっち。来て」
相変わらずの強引さで、私は宿の一室へと連れ込まれた。
「ふー。あっちにいるとお話できないもんねー。…ごめんね、待たせちゃって」
ぱふん、とベッドに腰掛けて、花のように微笑む。
「構わない。仕事の方はいいのか?」
「あー、へーきへーき。ちょっとくらいの怪我なんてね、舐めてなおしとけばいーの」
今度はさもおかしそうにころころと笑う。…全く、治癒士失格だぞ、お前。
「でさ、お願いなんだけど」
「ああ。一体何なのだ?」
「………これ」
普段は陽気すぎるほどの表情をひどく神妙にさせ、胸元から小さな白い宝石を取り出すと私にそっと手渡した。
「これは」
「オパールよ」
乳白色の中に淡い虹を閉じこめた神秘の宝石。
「これをね、届けて欲しいの、お師様に」
- 121そして始まりから続く道sage :2003/01/19(日) 12:39 ID:Ogx04K8M
- かつて私たちは共に旅をした。
その頃の私たちは何もできない子供同然だったが、自らの成長を欲して旅をしていた。
小さなナイフを片手に草むらを駆け回り、拾ったゼロピのきらめきにさえ心躍らせたかつての日々。
そんな幼い私たちを導いてくれたのがお師様、ゴンザロルバルカバラ神父だ。
「お師様、きっと今もあの場所にお一人でいらっしゃるだろうし…」
昔を懐かしむように、眼差しが揺れる。
「これ、お客様からいただいたのだけれど、私はもうここを動く気はないから」
「………」
「だから、お願い。この不義理な弟子の代わりに、これをお師様に」
そして翌朝。
「よろしくお願いします。…ほんと、ごめんね?」
本気で申し訳ないなどとは微塵も思っていなさそうな笑顔で宿屋の娘が笑う。
そう、この娘はもはや「宿屋の娘」だ。
…私もいつか、こんな風に笑えるだろうか?
「了解した。私も随分ご無沙汰しているからな…良い機会だ、きちんと詫びてくる」
お師様は、暖かな教会ではなく、旅の冷たい風に祈りを捧げることの苦難を説いた。
そしてこの娘は風の向こうに安らぎの地を見いだした。だが私は未だに迷っ