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【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】

[333:331(2007/10/14(日) 17:37:53 ID:FrBph/QU)]
331の続きです。
主っきり331かき終えた頃からGvGに参加して続きを忘れてました。
多少、人影もまばらですが、まぁ、気にしない。
まだまだ続きます、というかいかせていだきます。

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「やれやれ、こんなことのためにこの塔を作った訳ではないのですけどね・・・」
宙に浮いたスフィアが写す外の光景を眺めながら、錬金術師の男がつぶやいた。
目の前には外の様子が立体的な像になって映しだされ、その中心に彼の超兵器がいた。

鳥瞰に映るその映像を眺めながら、男は溜息を漏らす。
純然たる研究者として、実験装置として作られた塔がただの兵器のように使われていることを憂う。
だがその手は休むことなく、錬金術師を取り囲む操作版の上で忙しそうに踊っていた。

「ま・・・そうもいってられませんが・・・・ね・・・」

超兵器の映像と周りに浮かんだ計器の数値を何度も確認しながら、錬金術師は独りで操作版を操作する。舞踊るような操作の度、時空に穿たれた穴はアメーバのように姿を変え、逃げようとする超兵器を捕らえた。

錬金術師もまた、この大地に住まうものの希望を担い、超兵器への最後の対抗手段―封印を施すために戦っていた。

時空/因果制御実験用 魔導増幅装置―時計塔。

錬金術師(かれ)はその全てのコントロールを担っていた。


「もう少しで、次空間の狭間へ落とし込めそうなんですけど…。」

時計塔の内部に唸りのような機器の駆動音が響いていた。
周りの計器類の数値も、振り切れそうな勢いで、とうの昔に安全領域を越えている。
タイトでぎりぎりの操作―錬金術師の男が設計の段階から経験的に得た知識―で、なんとかこの塔は動かされ、超兵器と拮抗していた。

残念のそうに機器から目を離すと、再び外の超兵器の様子に目を向けた。
超兵器が轟音の唸り声を挙げ、その声は塔の内部まで聞こえていた。
その音と、外の週音装置から拾い上げた音が奇妙なシンクロを魅せて響く。

「―我慢比べ…ってことですか。」

―あんまり得意ではないのですがね〜と心の中で独り愚痴りながら、錬金術師の男が操作する手に魔導の力を乗せた。
それ呼応するように操作盤は一斉に動き出し、触れてもいない箇所が勝手に動作する。
まるで数人がかりで行われているような操作が操作盤の上で行われていた。
それも、錬金術師の男が思う、最高のタイミングで。

錬金術師はその操作に額に汗をかきながらも、どこか楽しげな表情を顔に浮かべていた。
再び、映像の超兵器をあおり見て、呟く―。

「上等です。」


「うぉい、そっちの様子はどう?」

錬金術師の眼前に小さい映像の窓が開き、それに映るウィザートの女性が問いかけた。
「なんの用ですか? 今は戦闘体制です。持ち場を離れるとは関心できませんね。」
目もくれず、錬金術師が答えた。

「…。いつも以上に話にならんなぁ…でもまぁ、そういうな。
こちらは文句も言わず、薄暗い地下で魔道炉に魔導を注ぎ続けてる身だぞ?
…しかも、いつ終わるとも判らん。
その上、地下で状況も判らなければ、そちらからの連絡もない。
なら少しぐらいの質問してもいいだろう?」

「芳しくありません。あともう一息って感じですが、持久戦になりそうです。
通達と管理のほうよろしくお願いします、―以上、終わり。」

「ちょ…ちょっとまて、そんな一方的に…」

焦るウィザードの表情をアップで移した窓が消えうせるように閉じられた。
錬金術師のほうが返答も短めに一方的に通信連絡を遮断した。


「・・・まったく」
時計塔の地下の巨大魔導炉を有するエリアの隅で、こっそりと通信を行ったウィザードが呟くように愚痴を吐いていた―人の気もしらないで、と。

「あらあら…想い人につれなくされて残念ですのw」
音も無くウィザードに忍び寄った女セージがその耳元で呟いた。

「うひゃっ」と小さく驚き、ウィザートが飛びのいて、セージを見つめた。

「あらあら、「魔女」とまで呼ばれた女性(ひと)が、なんというカワイイ反応w」
セージが続けて微笑んで言葉を続けた。

「…まったく女心がわかってませんわね、彼は。
せっかく忙しい持ち場を仕事にかこつけて離れて、声だけでも聞こうとしたのに、
なんて冷たいおひとw…だが、それもまた快…」

「そっ…そんなんじゃないっっっ!!!お前こそ、勝手に持ち場を離れてどっ…」
ウィザードは顔をいつのまにか顔を朱に染め上げて声を張り上げていた。

「ふふっw ローテーションの休憩ですの。
持久戦になるんでしょ?なら、休めるときにゆっくり休むですのw」

どこから聞いていたと聞くよりもはやく、セージが最初からだと暗に答えた。

「護衛役のオークさん達も手持ち無沙汰で、休憩用に水やら食べ物やら用意してくれてましたわ。彼らなりに、気を使ってくれているのかしら。」
顔を紅潮させたままフリーズしたウィザードに、再起動を促すようにセージが別の話を振る。

「そっ…そうか、それはありがたい。聞いてのとおり持久戦になるらしい。好都合だ。」
ウィザードが俯いて表情を隠しながら、強気に答えた。
ほほをさすりながら、表情や音頭に心の内がでてないことを悟ると、再び言葉を続けた。
「…ここに集まった大ギルド規模の魔法職達が魔導力を注ぎ込み、それを増殖炉で数倍に跳ね上げても、拮抗するのがやっとというのか…。どれだけの計り知れない力をもつというのだ、超兵器とやらは…。」

改めてウィザードは敵の強大さを確認し、同時にぞっとする涼しさが背中を這った。

少し二人で黙った後、セージは微笑みを取り直しウィザードへ告げた。

「―今、できることをしましょう。
状況も見えないこんな地下で、それでもあなたは、その魔法職達を統率して奮い、勝利を信じて背中を預けてきたんでしょう、彼に?」

「・・・まぁな」

どこかまっすぐな言葉を含むセージの言葉に素直になれず、受け止めながらもウィザートは恥ずかしまぎれに目を逸らす。

「それを『愛』っていうんですわーーーーっっ!!!!!」

セージはひときわ大きい声で、最後を締めた。

「ばっ・・・・ばかっ!!!それとこれとは・・・ちがっ・・・・」

ウィザードは再び顔をまっかに染めて心にも無い憤慨をする。
言うや否や、否定は認めないとばかりに、セージは走って逃げた。
足が速いのは昔からのなじみでしっていたが、このときばかりは異様に速かった。

「・・あうぅ・・・」

ウィザードは手持ち無沙汰で無意識に触れた耳の温もりに気付いた。
耳まで赤くなっていたことを知ると、それだけは見られなくて、逃げられてよかったのかな、と思っていた。
さきほどまでの緊張は恥ずかしさに負け、ほぼ完璧に解けていた。


<続く…かと。>


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