【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】
[331:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2007/05/30(水) 00:59:19 ID:mHPzA/Gg)]
なんとなく、328以来、時計塔の過去を妄想し始めました。
諸先輩方をリスペクト&イメージをオマージュしつつ、過去の話を書いてみました。
まだ続きます。
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冷たい雨が降っていた。
その雨に打たれることも構わずに、そこに集った軍勢―神族、魔族、オーク族、そして人と、多種多様に混在する―その誰もが押し黙り、ただ呆然と、その中央を見つめていた。
視線の先、軍勢に囲まれた中央に、一体の巨体が苦しみもだえ、断末魔の声を辺りに響かせていた。
それはかつて、ここに集う大軍勢に対峙し、神族も魔族も、そして彼らの巻き起こした諍いすらも打ち払った、空前絶後とまで言われたる超兵器の姿だった。
かつて人の手により作られたそれは、人社会を巻き込んで戦禍を広がる、神族と魔族との諍いを平定する為のものであったー。
―かつて。
その言葉が意味するように、首尾良く神魔の諍いを両陣営の損耗を以って収めることに成功した後、彼の兵器は前触れもなく突如、暴走を始めた。
制御を失った彼の力が暴威となり、この世界に生きる全ての生物にむかったとき―、
―彼の存在はただ一己の敵となった。
最強の力は最凶の力となり、―全ての命を蹂躙し始めた。
瞬く間に、世界から種族を問わず多くの命が失われた。
―そして今。
轟雷の如き断末魔の咆哮を上げながら、その超兵器は最後の時を迎えようとしていた。
その作戦を展開した混成軍が皆、緊張した面持ちでその最後を待ちわび、見守っていた。
死ぬことをわすれたようなその生命に、対抗しうる手段は乏しく、僅かに残された手段は魔導の力による次元の狭間へ幽閉であった。
決戦に集った軍勢にしても、それはただの陽動に過ぎず、兵器を見つめることしかできない現状がそれを如実に語っていた。
人の手によって作られたそれは、また人の手によって作られた魔導の増幅機関によって、封印されようとしていた。
正しくは、その魔力増幅機関を有した、ひとつの塔の力よって―。
それにより空間に穿たれた時空の狭間に引き込まれながら、彼の兵器はじっとりとした目でその塔を見つめる。
恨めしいのか、くやしいのか、辺りを振るわすような悲鳴を上げながらも、時空の狭間のその身が押し込まれようとする間も、彼の兵器は目の前に高くそびえるその塔を、ただただ見つめていた。
―その塔。
いまだ6割程度の完成率と言われながらも、今こうして彼の兵器をみごとに押さえ込み、全ての生命の明日を担う、その存在感とは裏腹に、その塔は確固たる名称はない―。
―時計塔。いつのころからか、その塔はその姿をとってそう呼ばれていた。
これは、
この物語は、
まごうことなき、かの時計塔の昔―。
皆の知る時計塔が刻んだ時間(思い出)を逆巻きにした、遠い昔のお話ー。
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